JP2002003952A - 深絞り用鋼板の製造方法および製造設備列 - Google Patents

深絞り用鋼板の製造方法および製造設備列

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JP2002003952A
JP2002003952A JP2000179588A JP2000179588A JP2002003952A JP 2002003952 A JP2002003952 A JP 2002003952A JP 2000179588 A JP2000179588 A JP 2000179588A JP 2000179588 A JP2000179588 A JP 2000179588A JP 2002003952 A JP2002003952 A JP 2002003952A
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rolling
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rolling mill
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JP2000179588A
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Takaaki Nakamura
隆彰 中村
Junichi Wakita
淳一 脇田
Junichi Kobayashi
順一 小林
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表層剪断層を確実に排除して、深絞り性の良
好な鋼板を製造する方法およびその設備列を提供する。 【解決手段】 所定成分を有する鋼材の熱間圧延工程に
おいてAr3変態点以上で粗圧延を行い、粗圧延と同時
若しくは仕上げ圧延が始まるまでに鋼板の表裏のうち片
面若しくは両面に凹状のくぼみを幅方向に複数作った
後、Ar3〜650℃の温度範囲で前記凹状のくぼみに
液体を封じ込めながら2パス以上の仕上げ圧延を行い、
その後再結晶させて深絞り性に優れた鋼板を製造する。
またその製造設備列として、粗圧延機若しくは粗圧延機
−仕上げ圧延機間に設けたくぼみ形成装置を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用鋼板など
の用途に用いられる深絞り用熱延鋼板の製造する方法お
よびその設備列に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、深絞り用鋼板としては冷延鋼板が
用いられてきた。これは、熱延鋼板の深絞り性が冷延鋼
板と比較して劣るためである。従来の熱延鋼板の製造法
では、通常Ar3変態点以上で仕上圧延を終了する。こ
のため、その後の冷却過程でオーステナイト粒からフェ
ライト粒への変態が起こる。変態したフェライト粒はラ
ンダムな結晶方位を有し、集合組織の発達がないため、
深絞り性が向上しない。これに対し、冷延鋼板は、冷延
されたフェライト粒が再結晶を起こすため、集合組織が
現れやすく、{111}面方位が発達した場合深絞り性
が向上する。
【0003】しかし、近年低コストを狙って、冷延鋼板
と同等の特性を有する熱延鋼板の開発研究が進められて
いる。その方法としては、上記フェライト粒の再結晶集
合組織発達を狙って仕上圧延をフェライト域で終了させ
て、その後再結晶処理によって深絞り性の向上を狙う方
法が開発されている。この方法は、冷延−焼鈍によって
鋼板中で起こることを熱延で起こすために、いくつかの
規制された熱延条件がある。
【0004】1){111}面方位の発達を阻害する固
溶C、Nを低減させるために、Ti、Nb等を添加して
炭窒化物に変えて無害化する。
【0005】2){111}面の発達のために、フェラ
イト域圧延によりフェライトの再結晶を起こさせる。
【0006】3)通常の圧延で現れる表層の剪断層は、
表層における{111}面の発達を阻害するため、油な
どを施しながらの潤滑圧延を行い、剪断層の生成を防止
する。
【0007】4){111}面は、再結晶を起こすこと
により発達するので、巻き取り後、再結晶温度以上に保
持する。
【0008】これらの条件に従い、従来多くの製造方法
の提示がなされている。たとえば、特開平5−7083
8号公報では、Ti、Nb添加極低炭素鋼を用いて、フ
ェライト域圧延を行う際に圧延ロールへの潤滑油を用い
て付着させることにより深絞り性を向上させている。ま
た、特開平4−263022号公報では、同様にTi、
Nb添加極低炭素鋼を用いて、フェライト域圧延を行う
際に、グリース基潤滑剤をロールに塗布する方法が提案
されている。
【0009】しかし、鋼板表面への作用は間接的であ
り、効果にばらつきが出たり、給配管詰まり等の設備ト
ラブルが発生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決し、表層剪断層を確実に排除して、深絞り性の良好
な鋼板を製造する方法およびその設備列を提供すること
を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の特徴は以下の通りである。
【0012】手段(1)は、質量%として、 C:0.05%以下 Si:0.3%以下 Mn:1.5%以下 P:0.05%以下 S:0.03%以下 Al:0.1%以下 N:0.005%以下 を含み、さらにTi:0.005〜0.1%、Nb:
0.005〜0.1%、B:0.0005〜0.01%
の1種または2種以上を含有して、残部がFeおよび不
可避的不純物よりなる鋼材を、熱間圧延工程においてA
3変態点以上で粗圧延を行い、粗圧延と同時若しくは
仕上圧延が始まるまでに粗圧延後の鋼板の表裏のうち片
面若しくは両面に凹状のくぼみを該鋼板の幅方向に複数
作った後、該鋼板をAr3〜650℃の温度範囲で前記
凹状のくぼみに鋼板の摩擦係数低減用液体を封じ込めな
がら2パス以上の仕上圧延を行い、その後再結晶させる
ことを特徴とする深絞り性に優れた鋼板の製造方法であ
る。
【0013】手段(2)は、凹状くぼみが、深さ
(d):0.3〜5.0mm、幅(w):2d/√3≦
w≦2√3・d、くぼみ内部にある曲面の最小部の半径
(R):R≧d、および、仕上圧延中に鋼板表面凹状の
くぼみ部に封入された鋼板の摩擦係数低減用液体と熱間
圧延機の圧延ロールの接触面積(S)が全接触面積の5
0%以上となることを特徴とする手段(1)に記載の深
絞り性に優れた鋼板の製造方法である。
【0014】手段(3)は、鋼材から深絞り性に優れた
鋼板を製造する粗圧延機と仕上圧延機からなる熱間圧延
鋼板製造設備に、該粗圧延機若しくは該粗圧延機〜該仕
上圧延機間に設けた鋼板表面に凹状のくぼみを形成させ
るくぼみ形成装置と、該仕上圧延機前若しくは該仕上圧
延機中に前記鋼板の凹状のくぼみ部に鋼板の摩擦係数低
減用液体を供給する液体供給装置を配置したことを特徴
とする深絞り用熱延鋼板の製造設備列である。
【0015】手段(4)は、くぼみ形成装置は、深さ
(d):0.3〜5.0mm、幅(w):2d/√3≦
w≦2√3・d、くぼみ内部にある曲面の最小部の半径
(R):R≧dとなる凹状くぼみを鋼板表面に形成する
ことを特徴とする手段(3)に記載の深絞り用熱延鋼板
の製造設備列である。
【0016】手段(5)は、仕上げ圧延の3パス目若し
くは4パス目のいずれかの圧延機に鋼板表面に凹状のく
ぼみ形成装置を設けることを特徴とする手段(3)また
は(4)に記載の深絞り性に優れた鋼板の製造設備列で
ある。
【0017】さらに、手段(6)は、粗圧延機の後に鋼
板の粗圧延後のシートバーを巻取り、ついで巻戻す装置
を設けたことを特徴とする手段(3)および(4)およ
び(5)の内のいずれか1つに記載の深絞り性に優れた
鋼板の製造設備列である。
【0018】
【発明の実施の形態】深絞り用熱延鋼板の素材成分は、
延性や深絞り性を高めるために重要な要素である。以下
に、本発明に関わる製造条件のうち鋼組成の限定理由に
ついて述べる。
【0019】C量は、鉄鋼材料の強度の目安となってい
るが、増えるほどマルテンサイトやベーナイトなど強化
組織ができやすくなる。しかし、本発明の狙いである加
工性・深絞り性を向上するには、フェライト粒の比率が
高いことが必要であり、そのためC量は少ないほど良
い。また、固溶したCは{111}集合組織の形成を妨
げるが、これは炭窒化物形成元素によって無害化するこ
とができる。0.05%以下であれば、加工性を保つこ
とができるため、これを上限とした。
【0020】Siは、鋼材の強度を高める作用がある。
多用すると加工性が劣化し、さらに表面に赤スケールが
発生して品位が落ちるため、上限を0.3%とした。
【0021】Mnも鋼材強度を高める作用があり、強度
レベルを作り分ける場合に活用される。また、粗バー接
合の熱影響部において脆化を回避する効用がある。しか
し多用すると加工性を劣化させるため上限を1.5%と
した。
【0022】Pは、強化元素であるが、多用すると加工
性の劣化と共に、脆化起因ともなるため上限を0.05
%とした。
【0023】Sは硫化物を形成し、加工劣化を起こし、
また接合時の脆化起因ともなるため、少ないほど好まし
い。0.03%以下であれば、その影響はなくなるた
め、これを上限とした。
【0024】Alは、脱酸元素であり、また鋼中で窒化
物を作り固溶Nを減少させる効果がある。しかし、多量
添加しても効果が飽和しコスト高となるため、上限を
0.1%とした。
【0025】Nは、Cと共に固溶状態では{111}集
合組織の形成を阻害する。従って、できる限り低い方が
よい。0.005%以下であれば、製鋼での製造コスト
上昇もなく、また、炭窒化元素によって無害化すること
ができるため、これを上限とした。
【0026】Tiは、固溶C、Nを無害化する炭窒化物
形成元素として重要である。しかし、多用すると加工性
を劣化させ、合金コストを上げるため、0.005〜
0.1%、とした。
【0027】NbについてもTiと同様、固溶C、Nを
無害化する炭窒化物形成元素として重要である。しか
し、多用すると加工性を劣化させ、合金コストを上げる
ため、0.005〜0.1%とした。
【0028】Bは、炭窒化物を形成すると共に、鋼材の
加工時に2次加工割れを起こすような場合に、粒界を強
化してこれを防止する必要がある場合に用いる。0.0
005%以上の添加で効果があるが、多量に添加する
と、深絞り性を低下させ、また異方性も大きくするため
上限を0.01%にしている。
【0029】次に、本発明の熱延条件限定について、以
下に詳細に記す。
【0030】粗圧延温度をAr3変態点以上にするの
は、オーステナイトを圧延により再結晶させて、この粒
から変態するフェライト粒径を細粒にするためである。
この理由は、フェライト粒界が{111}方位の成長の
起点となるため、フェライト粒界は多い方が良く、すな
わち細粒フェライトが好ましい。このような組織にする
ためには、オーステナイト域で再結晶を起こさせてオー
ステナイト組織も細粒化した後にフェライト変態させる
必要があるためである。
【0031】また、次の工程の仕上連続圧延において、
Ar3〜650℃で多パス圧延を行うのは、フェライト
域で圧延して、フェライトの再結晶を起こすための歪み
を蓄えるためである。仕上圧延終了後にフェライト再結
晶を起こさせるためには、歪みをできるだけ多く蓄積さ
せる必要がある。Ar3点以上から圧延を開始すると、
圧延中に起こる変態によって、歪みは解放されてしまう
ため圧延開始温度は、Ar3変態点以下とする。また、
歪みを多く蓄積させるためには、圧延温度はできるだけ
低くした方がよいが、低くしすぎると、圧延時の荷重負
荷が大きくなるだけでなく、その後再結晶させるために
再度加熱処理などを加える必要が出てくるため、エネル
ギーの無駄があり、コストアップの要因となるため下限
を650℃とした。
【0032】本特許において最も重要なのは、鋼材の表
面に凹状のくぼみを作り、仕上連続圧延において、その
くぼみに水を封じ込ませながら圧延を行うことである。
そこで、鋼板表面に線状のくぼみをつけ、くぼみの前後
のA、B部にドリルで穴を空けて、同径の円柱状のピン
を埋め込み、底面のみ仮溶接を行って、固定した。その
後、表裏面を研削して平滑状態にした。実験室における
確認圧延テストによると、図1に示す鋼板の表面に線状
のくぼみがある鋼材を熱間圧延する際に、くぼみに水を
封じ込めながら圧延すると、くぼみの圧延後方部で、厚
み方向に埋め込んだピンは、図2に示すように変形し、
溝のない裏面部は表層の剪断歪みの影響で表層部が延ば
されるが、くぼみがあり水を封じ込めながら圧延された
表層部は、表層の剪断引張を受けた様子は見られず、潤
滑効果が働いたことが判る。なお、図2(a)は、図1
のA部圧延後の写真であり、図2(b)は、図1のB部
圧延後の写真である。
【0033】このメカニズムは、高温である鋼板のくぼ
みに集まった液体は、圧延によって、ロールと鋼材との
間で高温かつ高圧力を受け、気体に変化する。この時、
たとえば水の例では、体積膨張は1000倍を遙かに越
えようとするため、鋼材とロール間は接触することがな
く、従ってロールによる摩擦が小さくなり表層剪断力が
低下すると考えられる。
【0034】なお、鋼材の片面若しくは両面に凹状のく
ぼみをつくるのは、仕上圧延で水を封じ込めながら圧延
するための準備であり、変形抵抗の観点から、鋼材温度
が高いときにくぼみをつける方がよい。また、液体封じ
込め効果を活用するのは、仕上連続圧延時が最も効果が
あるため、粗圧延ロールの表面の一部を凸状にして、圧
延時に鋼板表面に転写して、凹部を作る方法が簡易的で
ある。凹状のくぼみとしては、溝状、円錐状、半球状な
ど、ロールで鋼板の液体が封じ込められるくぼみであれ
ばよい。
【0035】また、封じ込めるための液体は、デスケ
水、ロール冷却水、スタンド間冷却水、潤滑油等が活用
できるが、封じ込める液体の量を多くするために、でき
るだけ圧延ロール直前で鋼板上に液体水が確保できた方
がよい。
【0036】また、図3に示すように、くぼみは圧延後
も残存しており、なくなるまでには、数パスを要するた
め、圧延後2〜3パス目まで液体封じ込め効果が持続す
る。従って、最終圧延まで液体の封じ込み圧延を行う場
合は、仕上圧延の3パス目若しくは4パス目の圧延機で
粗圧延機と同様に再度鋼板表面にくぼみをつけた方がよ
い。
【0037】くぼみの深さを0.3mm〜5mmとした
のは、0.3mm未満では十分に液体を封じ込めること
ができず、表層剪断回避効果が認められない。また、5
mmより深くなると、圧延後にヘゲ疵が残る。
【0038】調査によると、くぼみ深さ(d)はくぼみ
幅に影響を及ぼしており、幅が2d/√3より狭いと圧
延後に底部が閉じこめられてヘゲに成りやすく、2√3
・dより広いと、圧延時に液体が分散してしまい、封じ
込め効果がなくなる。
【0039】同様に、凹部のコーナー角度が鋭角である
と、図4に示すように、圧延後に底部が閉じこめられる
ため、コーナーは弧にする必要がある。これも、くぼみ
深さの影響を受け、くぼみ内部にある曲面の最小部の半
径(R)がdより大きい場合には、ヘゲは発生しなかっ
た。
【0040】また、表層剪断層の除去のためには摩擦係
数を下げる必要がある。、通常の圧延において、ロール
と鋼材が直接接触するため摩擦係数は高くなる。発明者
らの調査によれば、圧延中の凹部の液体とロールの接触
面積が全面積の50%以上になると、表層剪断層除去効
果が現れ、表層の{111}面が発達して鋼材の深絞り
性が上昇する。液体とロールの接触面積の確認は、いろ
いろな方法がある。一例として、鋼板が圧延されている
途中で圧延を中断し、圧延直後の鋼板表面を観察すれ
ば、凹部の液体とロールの接触部分と直接鋼材と接触し
た部分とを区別することができる。凹部に液体が封じ込
めらた部分は、直接ロールと鋼板が接触しないので、封
じ込められた液体によりくぼみが残存し、またロール表
面の粗度転写がないため鋼板表面がうねりを持った状態
となり、色調に違いが現れる。全幅、一定長の面積あた
りで、色調が異なる面積比率を求めれば、液体とロール
の接触面積比率を算出できる。
【0041】次に仕上圧延後の巻取りであるが、この工
程は、フェライト域潤滑圧延鋼材の材質特性を決定する
のに極めて重要な工程である。フェライト域圧延後に巻
き取られた材料は、十分な再結晶を起こしていない場合
があり、このままでは冷却後の加工特性が悪い。そこ
で、必要な場合は、一旦巻き取った後再加熱して再結晶
させる必要がある。
【0042】次に上述の条件に加え、さらにコスト低減
や材質特性の向上を図る手段について説明する。
【0043】粗圧延後のシートバーをコイルボックスに
巻き取ることにはいくつかの効果がある。一つは、粗圧
延後の巻取り時に、歪みが加わり、同時に熱の放出が減
少して保温効果が起こり、炭窒化物の析出が促進される
こと。二つ目に、コイル状に巻くことで材料位置が反転
し、温度が均一化することである。これは、本発明で必
要な炭窒化物の生成と、材質の均一化に対し非常に有効
である。また、巻き取り−巻戻しで表面に加わる歪みに
よって、スケールが剥離し、スケール疵などを起因とす
る表面疵防止効果も認められる。
【0044】次に、バーを接合し連続的に圧延すること
による主たる効果は次の通りである。
【0045】(1)バッチで圧延する場合と比較して、
接合1本目のコイルのフロント部および、最終コイルの
テール部を除き、常時仕上最終圧延機とコイラー間で張
力が保持されるため、安定して製品コイルとして巻き取
ることができる。このため温度、形状張力制御が行いや
すく安定した形状・材質を確保できる。接合の2本目以
降は、最終本目のコイルを除き全長で張力がかかったま
まの圧延−巻取りとなるため、安定して良好な加工性を
得ることができる。
【0046】(2)フェライト域で圧延する場合は、圧
延時に剪断歪みが加わり鋼板の表層に{110}面が発
達して深絞り性を低下させる。これを防止するために、
本発明では、液体の封じ込め圧延を行うが、このような
摩擦係数を低くする圧延はスリップを起こすために従来
のバッチ圧延の工程では採用されなかった。しかし、シ
ートバーを接合して半連続的に圧延を行う、いわゆる熱
延連続化により、スリップの心配なく圧延ができるよう
になる。上述のようにバーを接合して圧延することによ
り、鋼材製造時の安定領域が増加して歩留りは著しく向
上する。
【0047】
【実施例】以下に、本発明の効果について実施例を示し
ながら、説明する。
【0048】表1に示すNo1〜5のスラブを加熱炉で
1000℃〜1250℃に加熱し、表2で示すように粗
圧延機で圧延したのち、仕上圧延を行った後巻き取っ
た。実験においては、粗圧延機、粗圧延機に設置したく
ぼみ形成装置、コイルボックス、シートバーの巻き取り
・巻戻し装置、シートバー接合装置、7スタンドの仕上
圧延機、さらに仕上圧延機ドの3パス目のスタンドにく
ぼみ形成装置、くぼみ形成装置の前に液体として水を供
給する装置を配置した熱間圧延設備を用いた。これらの
装置により粗圧延温度、仕上温度、巻き取り後の再結晶
温度のほか、鋼材表面のくぼみ状況、コイルボックス、
シートバー巻取り・巻戻し、シートバー接合装置の活用
の有無、について水準を変えて鋼板を製造し、常温に達
した後その鋼材の材質を評価した。その結果を表2に合
わせて示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】本発明例であるNo.1〜5は、高い伸び
(El≧40%)、深絞り性(平均r値≧1.2)を確
保できており、ヘゲ疵もなく、表面状態も良好であっ
た。
【0052】従来例No.18は、くぼみ無しで圧延し
たため、剪断層が発達し、平均r値は1.0未満と低か
った。
【0053】比較例No.13は鋼材成分としてTi、
Nb、Bの1種または2種以上含まれておらず、またN
o.14は、鋼材成分のC量が本発明範囲を外れたた
め、加工性の向上がなく、El、平均r値が1.0未満
と低かった。No.15は粗圧延温度が低く、Ar3
態点以下になったため、No.16は仕上最大温度が高
かったため、またNo.17は再結晶温度が低すぎたた
めに、いずれも平均r値は1.0未満と低かった。
【0054】一方、No.6〜12は、本発明例である
が請求項2の比較例でもある。No.6はくぼみ深さが
浅すぎたため、No.9はくぼみ最大幅が広すぎたた
め、No12は接触面積率が少なかったため、平均r値
は、1.2までに届かなかったがいずれも1.1〜1.
2の範囲と良好な値であった。また、No7はくぼみ深
さが深すぎたため、No.8は、くぼみ幅が狭すぎたた
め、No.11曲面最小半径が小さすぎたため、いずれ
も表面の数カ所にごく微少なヘゲ若しくは肌荒れ部が見
られたが品質上は問題なく、平均r値も1.1以上を確
保でき良好な値であった。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、表層剪断層を確実に排
除できる、深絞り性の良好な鋼板を製造する設備列およ
びその方法によって良好な深絞り性かつ表面性状の良好
な熱延鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上圧延前のくぼみの例を示した図である。
【図2】くぼみの存在により鋼板表層の剪断状態が変わ
ることを示した図面代用の圧延部の写真である。
【図3】1パス圧延後にもくぼみの残存があることを示
した図面代用写真である。
【図4】圧延によるくぼみの変化を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 順一 大分市大字西ノ州1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA15 EA18 EA19 EA23 EA25 EA27 EA31 FB06 FB10 FC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%として、 C:0.05%以下 Si:0.3%以下 Mn:1.5%以下 P:0.05%以下 S:0.03%以下 Al:0.1%以下 N:0.005%以下 を含み、さらに Ti:0.005〜0.1%、 Nb:0.005〜0.1%、 B:0.0005〜0.01% の1種または2種以上を含有して、残部がFeおよび不
    可避的不純物よりなる鋼材を、熱間圧延工程においてA
    3変態点以上で粗圧延を行い、粗圧延と同時若しくは
    仕上圧延が始まるまでに粗圧延後の鋼板の表裏のうち片
    面若しくは両面に凹状のくぼみを該鋼板の幅方向に複数
    作った後、該鋼板をAr3〜650℃の温度範囲で前記
    凹状のくぼみに鋼板の摩擦係数低減用液体を封じ込めな
    がら2パス以上の仕上圧延を行い、その後再結晶させる
    ことを特徴とする深絞り性に優れた鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 凹状くぼみが、深さ(d):0.3〜
    5.0mm、幅(w):2d/√3≦w≦2√3・d、
    くぼみ内部にある曲面の最小部の半径(R):R≧d、
    および、仕上圧延中に鋼板表面凹状のくぼみ部に封入さ
    れた鋼板の摩擦係数低減用液体と熱間圧延機の圧延ロー
    ルの接触面積(S)が全接触面積の50%以上となるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の深絞り性に優れた鋼板
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼材から深絞り性に優れた鋼板を製造す
    る粗圧延機と仕上圧延機からなる熱間圧延鋼板製造設備
    に、該粗圧延機若しくは該粗圧延機〜該仕上圧延機間に
    設けた鋼板表面に凹状のくぼみを形成させるくぼみ形成
    装置と、該仕上圧延機前若しくは該仕上圧延機中に前記
    鋼板の凹状のくぼみ部に鋼板の摩擦係数低減用液体を供
    給する液体供給装置を配置したことを特徴とする深絞り
    用熱延鋼板の製造設備列。
  4. 【請求項4】 くぼみ形成装置は、深さ(d):0.3
    〜5.0mm、幅(w):2d/√3≦w≦2√3・
    d、くぼみ内部にある曲面の最小部の半径(R):R≧
    dとなる凹状くぼみを鋼板表面に形成させることを特徴
    とする請求項3に記載の深絞り用熱延鋼板の製造設備
    列。
  5. 【請求項5】 仕上圧延の3パス目若しくは4パス目の
    いずれかの圧延機に鋼板表面に凹状のくぼみ形成装置を
    設けることを特徴とする請求項3または4に記載の深絞
    り性に優れた鋼板の製造設備列。
  6. 【請求項6】 粗圧延機の後に鋼板の粗圧延後のシート
    バーを巻取り、ついで巻戻す装置を設けたことを特徴と
    する請求項3および4および5の内のいずれか1つに記
    載の深絞り性に優れた鋼板の製造設備列。
  7. 【請求項7】 前記巻戻し装置によって巻戻された粗圧
    延後のシートバーの後端部に次に巻戻された粗圧延後の
    シートバーの先端部と接合する装置を設けたことを特徴
    とする請求項6に記載の深絞り性に優れた鋼板の製造設
    備列。
JP2000179588A 2000-06-15 2000-06-15 深絞り用鋼板の製造方法および製造設備列 Withdrawn JP2002003952A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106906344A (zh) * 2015-10-20 2017-06-30 意大利Itt有限责任公司 用于制动片摩擦层的连续炉及其装载方法

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