JP2002003452A - 1,5−または2,6−ジアミノナフタレンの製造方法 - Google Patents

1,5−または2,6−ジアミノナフタレンの製造方法

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JP2002003452A
JP2002003452A JP2000184957A JP2000184957A JP2002003452A JP 2002003452 A JP2002003452 A JP 2002003452A JP 2000184957 A JP2000184957 A JP 2000184957A JP 2000184957 A JP2000184957 A JP 2000184957A JP 2002003452 A JP2002003452 A JP 2002003452A
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naphthylene
diaminonaphthalene
naphthylenedicarboxylic
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JP2000184957A
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Yutaka Kanbara
豊 神原
Takashi Okawa
大川  隆
Tomoo Tsujimoto
智雄 辻本
Hideo Igarashi
秀雄 五十嵐
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1,5−または2,6−ナフチレンジニトリル
を出発原料として、1,5−または2,6−ジアミノナ
フタレンを高収率で工業的に有利に製造できる方法を提
供する。 【解決手段】1,5−または2,6−ナフチレンジニト
リルを塩基性化合物の存在下、ジメチルスルホキシド中
で水和し、得られた1,5−または2,6−ナフチレン
ジカルボン酸アミドと塩素とを水−メタノール混合溶媒
中で反応させ、得られたナフチレンジカルボン酸−ビス
−N−クロルアミドを水中で塩基性化合物と反応させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,5−または
2,6−ナフチレンジニトリルを出発原料とする1,5
−または2,6−ジアミノナフタレンの製造法に関す
る。1,5−または2,6−ジアミノナフタレン、およ
びそれらの誘導品であるナフチレンジイソシアネート
は、耐熱性、耐摩耗性、繰り返し屈曲耐性等に優れたエ
ラストマー、ポリアミド等のポリマー原料として有用な
物質である。
【0002】
【従来の技術】現在、1,5−ジアミノナフタレンは、
混酸を用いてナフタレンを二段反応でジニトロ化し、次
いで1,5−ジニトロナフタレンを鉄粉還元する方法に
より工業的に製造されている。しかしながら、この方法
は種々の問題を抱えている。即ち、原料のナフタレンは
安価に入手できるが、各ニトロ化工程では種々の異性体
が多く副生するので、高純度の1,5−ジアミノナフタ
レンを得るには複雑な分離精製が必要となる。特に、1
−ニトロナフタレンのジニトロ化工程では、通常、1,
5−ジニトロナフタレンの他に、1,8−ジニトロナフ
タレンが約2倍も多く副生する欠点がある。また、この
方法では、ニトロ化工程および鉄粉還元工程からの廃棄
物が多いことも課題である。更に、この方法では、もう
一つのターゲットである2,6−ジアミノナフタレンを
製造することは困難である。
【0003】一方、芳香族ニトリル類の水和反応により
芳香族カルボン酸アミド類を製造する方法、およびフタ
ル酸ジアミド類のホフマン分解によりフェニレンジアミ
ン類を製造する方法が種々提案されている。芳香族ニト
リル類から芳香族カルボン酸アミド類を製造する方法
は、種々提案されており、例えば、オーガニックシンセ
シス(ORGANIC SYNTHESES)第2巻、586〜587
頁、1943年には、過酸化水素を用いてo- トルニト
リルをアミド化する方法が記載されている。この方法は
高価な過酸化水素を副原料として大量に使用する欠点が
ある。英国特許第1133013号および135153
0号には、二酸化マンガンを触媒に用いてニトリル化合
物をアミド化する方法が開示されている。この方法では
大量の触媒が必要であり、而も生成した芳香族カルボン
酸アミド類が結晶として析出し、触媒の活性点を塞ぐた
め触媒の寿命に難点がある。また、英国特許第1133
013号には、α−ナフトニトリルのアミド化の実施例
が記載されているが、α−ナフタレンカルボン酸アミド
の収率は10%と低い。米国特許第3763235号に
は、金属塩の存在下で水を含有する低級脂肪族カルボン
酸を用いてニトリル化合物をアミド化する方法が開示さ
れている。この方法でも触媒を大量に必要とし、而も析
出する芳香族カルボン酸アミド類の結晶中に触媒が巻き
込まれる為この分離に難点がある。国際公開WO90/
09988号には、水を含有するアルコール中で芳香族
ニトリル類を過ホウ酸アルカリ金属塩と接触させる方法
である。この方法では、高価な過ホウ酸アルカリ金属を
芳香族ニトリル類1モルに対して2.5〜4倍モルと多
く必要とする欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】先に、本発明者は、特
開平6−116221号及び特開平6−128204号
において、芳香族ニトリル類を無機強塩基の存在下、水
を含有するアルコール中でアミド化する方法および芳香
族ニトリル類を無機強塩基の存在下、アルコールと反応
させてイミノエーテル化合物を合成し、次いで水を加え
てアミド化する方法を提案した。これらの方法は触媒と
して安価なアルカリ金属水酸化物およびアルコールを用
いる点で工業的に優れている。更に、この方法を検討し
たところ、2,6−ナフチレンジニトリルでは比較的高
い2,6−ナフチレンジカルボン酸アミドが得られた
が、それに比べて反応性の低い1,5−ナフチレンジニ
トリルに適用した結果、1,5−ナフチレンジカルボン
酸アミドは低い収率でしか得られないことが判った。
(本願比較例1)。
【0005】一方、特開昭49−134635号には、
ジクロルイソフタル酸アミドまたはジクロロテレフタル
酸アミドのホフマン分解によるメタフェニレンジアミン
またはパラフェニレンジアミンの製造方法が開示されて
いる。この方法は、フタル酸ジアミド類を水溶媒中でク
ロル化する第一反応工程、および生成したN、N‘−ジ
クロルフタル酸ジアミド類をアルカリまたはアルカリ土
類水酸化物と反応させる第二反応工程からなるフェニレ
ンジアミン類の製造法である。この特許公開公報には、
ジアミノナフタレン類の記載はないが、この方法により
ナフチレンジカルボン酸アミドを水溶媒存在下でクロル
化した場合には、ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−
クロルアミドは低い収率でしか得られないことが判っ
た。
【0006】以上の如く、現行法による1,5−ジアミ
ノナフタレンの製造法はナフタリンを出発原料とする方
法であるが、収率が低い、廃棄物が多い等の課題があ
る。また、2,6−ジアミノナフタレンは、1,5−ジ
アミノナフタレンと同様な方法では製造できず、工業的
に実施できる製造法の開発が望まれている。本発明の目
的は、工業的に入手できる1,5−または2,6−ナフ
チレンジニトリルを出発原料として、1,5−または
2,6−ジアミノナフタレンを高収率で工業的に有利に
製造できる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、1,5−
または2,6−ナフチレンジニトリルを出発原料とする
1,5−または2,6−ジアミノナフタレンの製造法に
ついて鋭意検討を重ねた結果、1,5−または2,6−
ナフチレンジニトリルを塩基性化合物の存在下、ジメチ
ルスホキシド中で水和し、生成した1,5−または2,
6−ナフチレンジカルボン酸アミドと塩素とを水−メタ
ノール混合溶媒中で反応させ、また生成した1,5−ま
たは2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロ
ルアミドを水中で水酸化アルカリと反応させることによ
り、高収率で1,5−または2,6−ジアミノナフタレ
ンが得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】即ち本発明は、1,5−または2,6−ナ
フチレンジニトリルを塩基性化合物の存在下、ジメチル
スルホキシド中で水和して1,5−または2,6−ナフ
チレンジカルボン酸アミドを得る第一工程、1,5−ま
たは2,6−ナフチレンジカルボン酸アミドと塩素とを
水−メタノール混合溶媒中で反応させナフチレンジカル
ボン酸−ビス−N−クロルアミドを得る第二工程、およ
び1,5−または2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビ
ス−N−クロルアミドを水中で塩基性化合物と反応させ
る第三工程からなることを特徴とする1,5−または
2,6−ジアミノナフタレンの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の方法において出発原料と
して用いられる1,5−ナフチレンジニトリルや2,6
−ナフチレンジニトリルは、種々の方法で得られ、特に
限定されるものではないが、2,6−ナフチレンジカル
ボン酸ジメチル製造プロセスの中間体から製造するのが
有利である。この2,6−ナフチレンジカルボン酸ジメ
チルの製造プロセスは、o−キシレンとブタジエンをア
ルケニル化、環化、脱水素により、1,5−ジメチルナ
フタレンを得、これを異性化して2,6−ジメチルナフ
タレンを得て、さらに酸化、エステル化により2,6−
ナフチレンジカルボン酸ジメチルを製造している。この
製造プロセスの中間体である1,5−または2,6−ジ
メチルナフタレンをアンモ酸化して得られる1,5−ま
たは2,6−ナフチレンジニトリルを用いるのが工業的
に有利である。
【0010】本発明の方法において、1,5−または
2,6−ナフチレンジニトリルを水和する第一反応工程
は、原料の1,5−または2,6−ナフチレンジニトリ
ルと水とを塩基性化合物存在下、ジメチルスホキシド中
で反応させることにより行われる。塩基性化合物として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のア
ルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、カリウム
エトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、1,8−ジ
アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の環状
アミン化合物、塩基性イオン交換樹脂等が用いられる
が、工業的には安価に入手できる水酸化ナトリウムが好
適に用いられる。塩基性化合物の使用量は、1,5−ま
たは2,6−ナフチレンジニトリル1モルに対して0.
01〜1モルの範囲が好ましい。これよりも少ない場合
には反応速度が小さくなり、一方、これより多い場合に
は経済的でない。
【0011】第一反応工程における水の使用量は1,5
−または2,6−ナフチレンジニトリル1モルに対して
2〜50モルの範囲が好ましい。この範囲よりも多い場
合には1,5−または2,6−ナフチレンジカルボン酸
の副生が多く、一方、この範囲より少ない場合には反応
が完結せず、1,5−または2,6−ナフチレンジカル
ボン酸アミドの収率が低下する。ジメチルスルホキシド
の使用量は、1,5−または2,6−ナフチレンジニト
リルの仕込み濃度で1〜50重量%の範囲とするのが好
ましい。この範囲より多い場合には反応系内の混合が困
難となり、一方、この範囲より少ない場合には1,5−
または2,6−ナフチレンジカルボン酸アミドの空時収
率が低下し経済的でない。第一反応工程の反応温度は5
0〜150℃であり、この範囲より反応温度が高い場合
には副生物の生成量が増加し、一方、この範囲より低い
場合には反応速度が小さくなる。また、反応圧力は特に
限定されないが、通常0.01〜0.5MPa、好まし
くは0.1MPa付近である。反応時間は用いる塩基の
種類、量及びジメチルスルホキシド、水の仕込量等によ
り異なり、一概に言えないが、通常0.1〜10時間で
ある。反応で生成した1,5−または2,6−ナフチレ
ンジカルボン酸アミドは結晶として析出するので、反応
終了後、冷却し、ろ過することにより容易に分離回収で
き、ろ液は反応系にリサイクルすると経済性が向上す
る。
【0012】1,5−または2,6−ナフチレンジカル
ボン酸アミドを塩素化する第二反応工程は、1,5−ま
たは2,6−ナフチレンジカルボン酸アミドと塩素とを
水−メタノール混合溶媒中で反応させることにより行わ
れる。水単独溶媒の場合には、1,5−または2,6−
ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロルアミドは低
い収率しか得られない。水と他の溶媒、例えば、ジメチ
ルホルムアミド、ジメトキシエタン等との混合溶媒を用
いることもできるが、その効果はメタノールに比べて劣
る。反応方式は特に限定されないが、通常、冷却した水
−メタノール混合溶媒中に塩素を吹き込んだ後、1,5
−または2,6−ナフチレンジカルボン酸アミドを投入
し所定温度で反応させるか、または、1,5−または
2,6−ナフチレンジカルボン酸アミドを水−メタノー
ル混合溶媒中に懸濁させた後、所定温度で塩素を吹き込
みながら反応することにより行われる。水−メタノール
混合溶媒の使用量は1,5−または2,6−ナフチレン
ジカルボン酸アミドの仕込み濃度として1〜50重量%
の範囲である。この範囲より多い場合には溶媒中にアミ
ドがうまく分散せず、一方この範囲より少ない場合には
空時収率が低下する。メタノールの使用量は、水に対し
て0.2〜0.8重量比であり、この範囲より小さい場
合には1,5−または2,6−ナフチレンジカルボン酸
−ビス−N−クロルアミドの収率は低下する。一方、こ
の範囲より多い場合には、塩素の溶解度が低下し、反応
速度も小さくなる。
【0013】第二反応工程における塩素の使用量は、
1,5−または2,6−ナフチレンジカルボン酸アミド
1モルに対して2〜30モルの範囲が好ましい。この範
囲より多い場合には空時収率が低下し、この範囲より少
ない場合には反応速度が小さくなり、収率も低下する。
第二反応工程の反応温度は0〜50℃の範囲である。こ
の範囲より反応温度が高い場合には生成する1,5−ま
たは2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロ
ルアミドが分解して収率が低下し、一方、この範囲より
低い場合には反応速度が低下する。反応時間は仕込み条
件、反応温度等によって異なるが、通常は0.5〜10
時間である。また、反応圧力は特に限定されないが、通
常0.01〜0.5MPa、好ましくは0.1MPa付
近である。
【0014】第二反応工程で生成したナフチレンジカル
ボン酸−ビス−N−クロルアミドの結晶は、反応生成液
を濾過することにより容易に分離回収できる。一方、濾
液中には未反応ナフチレンジカルボン酸アミドおよび生
成するナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロルアミ
ドが少量含まれるが、溶解する塩素および副生する塩化
水素を除去した後に母液を反応系に戻すこともできる。
【0015】1,5−または2,6−ナフチレンジカル
ボン酸−ビス−N−クロルアミドをホフマン分解して
1,5−または2,6−ジアミノナフタレンを得る第三
反応工程は、1,5−または2,6−ナフチレンジカル
ボン酸−ビス−N−クロルアミドと塩基性化合物とを水
存在下で反応させることにより行われる。本発明におい
て用いられる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリ
ウムメトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属
アルコキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]
−7−ウンデセン等の環状アミン化合物、塩基性イオン
交換樹脂等が挙げられるが、工業的には安価な水酸化ナ
トリウムが好ましい。塩基性化合物の使用量は1,5−
または2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−ク
ロルアミド1モルに対して5〜8モルの範囲である。塩
基性化合物の使用量がこの範囲よりも少ない場合には副
生物が生成し、一方この範囲より多い場合には経済的に
不利となる。
【0016】第三反応工程における水は1,5−または
2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロルア
ミドの仕込み濃度として0.1〜50重量%となるよう
に使用する。1,5−または2,6−ナフチレンジカル
ボン酸−ビス−N−クロルアミドの仕込み濃度が高すぎ
る場合には副生物の生成量が増加し、一方低すぎる場合
には1,5−または2,6−ジアミノナフタレンの空時
収率が低下する。また、反応温度は0〜70℃の範囲で
ある。反応温度が高すぎる場合には副生物が増加し、一
方低すぎる場合には反応温度が小さくなる。反応方式と
しては、一定温度で反応させる一段法と始めに低い温度
で反応させて中間体を得た後、次に高い温度で反応を完
結される二段法との両方で実施できる。また、反応圧力
は特に限定されないが、通常0.01〜0.5MPa、
好ましくは0.1MPa付近である。反応時間は温度、
仕込み濃度により異なるが通常0.1〜10時間の範囲
である。
【0017】第三反応工程の反応生成液からは、常法、
例えば再結晶、溶媒による抽出、蒸留等により容易に
1,5−または2,6−ジアミノナフタレンを分離する
ことができる。反応後、反応生成液中に第二反応工程の
未反応物である1,5−または2,6−ナフチレンジカ
ルボン酸アミドが析出していた場合には、濾過操作によ
り分離し、必要に応じて第二反応工程にリサイクルする
こともできる。
【0018】本発明方法は、各反応工程を回分式または
連続式により実施できるので、それらを組み合わせて製
造プロセスを構築できる。
【0019】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に具
体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0020】実施例1(第一反応工程) 攪拌機および温度計を備えた1リットルの三ツ口フラス
コ内に、1,5−ナフチレンジニトリル(純度:99.
1%)44.5g、ジメチルスルホキシド500g、1
N−水酸化ナトリウム水溶液50gおよび水25gを仕
込んだ。このときの1,5−ナフチレンジニトリルに対
する水酸化ナトリウムの仕込み量は0.20モル比であ
り、水の仕込み量は16.9モル比である。このフラス
コをオイルバス内に設置し、攪拌しながら反応温度98
℃まで昇温した後、3時間保持した。この間、反応液は
温度90℃付近を過ぎた時点で均一溶液を呈したが、そ
の後、アミドの生成と共に結晶が析出しスラリーとなっ
た。反応終了後、反応生成液を濾過し、分離された結晶
を水でリンス後、乾燥して白色結晶51.5gを得た。
この結晶を液体クロマトグラフで分析した結果、1,5
−ナフチレンジカルボン酸アミドの含量は98.9%で
あり、原料の1,5−ナフチレンジニトリルを基準とす
る収率は96.0%であった。
【0021】実施例2(第一反応工程) 実施例1において、原料を2,6−ナフチレンジニトリ
ル(純度:99.5%)44.5gとした以外は実施例
1と同じとした。反応終了後、反応生成液を濾過し、分
離された結晶を水でリンス後、乾燥して白色結晶53.
1gを得た。この結晶を液体クロマトグラフで分析した
結果、2,6−ナフチレンジカルボン酸アミドの含量は
98.0%であり、原料の2、6−ナフチレンジニトリ
ルを基準とする収率は97.7%であった。
【0022】比較例1(第一反応工程) 攪拌機および温度計を備えた1リットルの三ツ口フラス
コ内に、1,5−ナフチレンジニトリル(純度:99.
1%)89.1g、n−プロパノール500gおよび8
wt%水酸化ナトリウム50gを仕込んだ。このときの
1,5−ナフチレンジニトリルに対する水酸化ナトリウ
ムの仕込み量は0.20モル比であり、水の仕込み量は
5.1モル比である。このフラスコをオイルバスに設置
し、攪拌しながら反応温度90℃まで昇温した後、3時
間攪拌した。反応終了後、反応生成液を濾過し、分離さ
れた結晶を水でリンス後、乾燥して白色結晶71gを得
た。この結晶を液体クロマトグラフで分析した結果、
1,5−ナフチレンジカルボン酸アミドの含量は8.4
1%であり、他は未反応1,5−ナフチレンジニトリル
であった。原料の1,5−ナフチレンジニトリルを基準
とする収率は5.6%であった。
【0023】実施例3(第二反応工程) 攪拌機、温度計および塩素の吹き込みノズルを備えた1
リットルの三ツ口フラスコに、1,5−ナフチレンジカ
ルボン酸アミド(純度:98.6%)26g、メタノー
ル450gおよび水150gを仕込んだ。このフラスコ
を恒温水浴槽内に設置し、攪拌しながら反応液の温度を
20℃に保持した。次に、塩素吹き込みノズルを通して
塩素28gを反応液に溶解させた後、塩素ガスをロータ
ーメーターで計量しながら毎時23.2gの供給速度で
連続的に反応液内に4時間供給した。反応終了後、塩素
ガスを窒素に切り替えて反応生成液内に吹き込み、反応
生成液に溶解している塩素を系外に追い出した。次に、
反応生成液を3℃まで冷却した後、濾過し、分離された
結晶を水でリンス後、乾燥して白色結晶31.5gを得
た。この結晶を液体クロマトグラフで分析した結果、
1,5−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロルア
ミドの含量は98.1%であり、1,5−ナフチレンジ
カルボン酸アミドを基準とする収率は96.4%であっ
た。
【0024】実施例4(第二反応工程) 攪拌機、温度計および塩素の吹き込みノズルを備えた1
リットルの三ツ口フラスコにメタノール150g、水1
50gを仕込み、0℃にて攪拌しながら塩素29gを1
時間かけて導入した。次に2,6−ナフチレンジカルボ
ン酸アミド25gを入れ、攪拌下、反応液を25℃まで
昇温し、この温度を保ちつつ1時間攪拌した。反応終了
後、反応液を5℃まで冷却した後、ろ過し、分離された
結晶を水でリンス後、乾燥して淡黄色結晶32.0gを
得た。この結晶を液体クロマトグラフで分析した結果、
2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロルア
ミドの含量は98.0%であり、2,6−ナフチレンジ
カルボン酸アミドを基準とする収率は95.1%であっ
た。
【0025】実施例5(第三反応工程) 攪拌機、温度計を付した1リットルの三ツ口フラスコに
水420.7g、8規定水酸化ナトリウム水溶液64.
3gを仕込み、攪拌しながら、5℃に冷却した。次に
1,5−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロルア
ミド20.3g(純度90.8%)を入れ、攪拌下、注
意深く温度を上げ、25℃となってから3時間攪拌を続
けた。反応液は茶褐色の均一液であった。反応終了後、
反応液を5℃に冷却して24時間放置すると、茶色の針
状結晶が析出した。この結晶をろ過し、少量の水でリン
ス後、乾燥して白色結晶9.47gを得た。この結晶を
液体クロマトグラフで分析した結果、1,5−ジアミノ
ナフタレンの含量は95.9%であり、1,5−ナフチ
レンジカルボン酸−ビス−N−クロルアミドを基準とす
る収率は88.8%であった。
【0026】実施例6 実施例5において、仕込んだ原料を2,6−ナフチレン
ジカルボン酸−ビス−N−クロルアミド(純度98.0
%)とした以外は実施例5と同じとした。得られた結晶
10.7gを液体クロマトグラフで分析した結果、2,
6−ジアミノナフタレンの含量は94.3%であり、
2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロルア
ミドを基準とする収率は90.8%であった。
【0027】
【発明の効果】本発明により、工業的に入手できる1,
5−または2,6−ナフチレンジニトリルを原料とし
て、アミド化、塩素化およびホフマン分解により1,5
−または2,6−ジアミノナフタレンを高収率で製造で
きる。本発明の方法は、現行法の1,5−ジアミノナフ
タレン製造法等に比べ、各工程の選択率が高く廃棄物が
少ない点で優れており、その工業的意義は大きい。
フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 秀雄 新潟県新潟市太夫浜字新割182番地 三菱 瓦斯化学株式会社新潟研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC52 AC53 BA02 BA29 BB14 BB31 BD70 BE10 BE53 BE60 BJ50 BV71 4H039 CA71 CE20 CF40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1,5−または2,6−ナフチレンジニト
    リルを塩基性化合物の存在下、ジメチルスルホキシド中
    で水和して1,5−または2,6−ナフチレンジカルボ
    ン酸アミドを得る第一工程、1,5−または2,6−ナ
    フチレンジカルボン酸アミドと塩素とを水−メタノール
    混合溶媒中で反応させナフチレンジカルボン酸−ビス−
    N−クロルアミドを得る第二工程、および1,5−また
    は2,6−ナフチレンジカルボン酸−ビス−N−クロル
    アミドを水中で塩基性化合物と反応させる第三工程から
    なることを特徴とする1,5−または2,6−ジアミノ
    ナフタレンの製造方法。
  2. 【請求項2】第一反応工程において、塩基性化合物とし
    て水酸化ナトリウムを用いる請求項1記載の1,5−ま
    たは2,6−ジアミノナフタレンの製造方法。
  3. 【請求項3】第三反応工程において、塩基性化合物とし
    て水酸化ナトリウムを用いる請求項1記載の1,5−ま
    たは2,6−ジアミノナフタレンの製造方法。
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