JP2002002509A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents
電動式パワーステアリング装置Info
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Abstract
ず規制の滑りトルクを発揮し得る電動駆動部の動力伝達
機構を備えた電動式パワーステアリング装置を提供す
る。 【解決手段】 出力軸7を鉄材で作製する一方、ウォー
ムホイール4の芯金部4bを鉄材に比し比重が小さく、
線膨張係数が大きい金属材で作成し、かつ弾性力付与用
のリング部材10により構成されるトルクリミッタの規
制トルクを使用温度に応じたトルクに設定する。
Description
リング装置に関し、さらに詳細には、過大トルクに対し
減速ギア部保護のために、減速用のギア装置と出力軸と
の間に装着されるトルクリミッタに関する。
力をギア装置により減速して出力軸に伝達し、ステアリ
ングホイールの手動力を補助して車輪の操舵を行うよう
にした電動式パワーステアリング装置(以下「EPS装
置」という)の作動時において、例えばハンドルをラッ
クのストロークエンドまで切った場合など操舵が急激に
止められた場合に、モータは慣性力により急に停止する
ことができず、減速ギア部に過大なトルクが発生するこ
とがある。この前記過大トルクから減速ギアを保護すた
め、従来、モータとウォーム間に摩擦板を使用したトル
クリミッタを設け、あるいは出力軸とウォームホイール
間に弾性力付与用のリング部材を使用したトルクリミッ
タを設けて、このような過大トルクの発生時には、両者
間にすべりを発生させてこの過大トルクの伝達を防止し
ている。
ウォームは鉄材により作られ、また前記ウォームホイー
ルは中実な鉄材で作られた芯金部の外周に樹脂材で作ら
れたギア部を接着、融着、あるいはインジェクション成
形等により一体化して作られ、また、このウオームホイ
ールが装着される出力軸も前記芯金と同質の鉄材で作ら
れている。
ホイールとの間に装着するトルクリミッタに使用する弾
性力付与用のリング部材を回転伝達部材あるいはトルク
設定部材等の名称で呼ばれることもあり、また、トレラ
ンスリング(レンコールトレランスリング社商標名)と
しても知られている。
のEPS装置では、ギア装置を構成するウォームホイー
ルの芯金部が中実な鉄材で作られているため次のような
問題があった。先ず、EPS装置の高出力化に対応しよ
うとすると、高強度化及び高モジュール化のためにウォ
ームホイールを大径化する必要があるが、芯金部を大径
化して対応した場合、それに伴って芯金部の重量が重く
なり、操舵時の慣性力が増して操舵輪の回転、切り返し
時の操舵感が低下してしまう。また、大径化に伴い、樹
脂製ギア部の径を大きくすると、樹脂は吸湿や温度によ
る寸法変化が大きいので、ギア精度が悪化してギアの作
動音が大きくなってしまったり、インジェクション成形
によって樹脂部にボイドが発生してギア強度が低下して
しまう恐れがある。このように、従来のEPS装置では
ウォームホイールの大径化には問題があった。
較すると、高温下では強度が低下し、逆に低温下では強
度がアップするという特性を有するが、従来出力軸と芯
金部は鉄材でできており、線膨張係数がほぼ同一なた
め、トルクリミッタの規制トルクは温度に対して一定値
であった。そのため、トルクリミッタの規制トルクの設
定に際しては、最高使用温度に合わせなければならず、
リミットトルクも低く設定しなければならないために、
伝達トルクとの差が小さくなってしまっていた。EPS
装置を長期間使用することでリングが摩耗してリミット
トルクが低下するとトルク伝達ができなくなる恐れがあ
り、設計が困難であった。
なされたものであり、本発明の目的は、高出力化に対応
でき、また、使用温度変化に応じた規制の滑りトルクを
発揮し得る電動駆動部の動力伝達機構を備えた電動式パ
ワーステアリング装置を提供することにある。
ォームホイールと出力軸間に弾性力付与用のリング部材
を装着する、トルクリミッタを備えた電動式パワーステ
アリング装置において、前記出力軸を鉄材で作る一方、
前記ウォームホイールのギア部を樹脂材で、芯金部を前
記鉄材に対し比重が小さく、線膨張率の大きい金属材で
夫々作製することにより、前記トルクリミッタの規制ト
ルクを、高温では低く、低温では高く設定したことを特
徴とするEPS装置を提供することによって達成され
る。
について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わ
るEPS装置の要部、すなわち電動駆動部における動力
伝達機構の軸線方向一部断面図であり、図2は図1のX
−X断面図である。図1及び図2において、1は操舵補
助用の電動モータ、2は電動モータ1の出力軸、3は出
力軸2にセレーション結合、あるいはジョイントを介し
て結合されたウォーム、3aはウォーム3のギア部であ
る。4は中心に軸穴4cを有する芯金部4bの外周にギ
ア部4aが一体化されて成るウォームホイールで、ウォ
ーム3のギア部3aとウォームホイール4のギア部4a
とが噛合されている。5は図示しないステアリングホイ
ールに連結された入力軸、6は入力軸5を軸心回りに回
転自在に支承する円筒形のハウジング、7は出力軸、8
は出力軸7を回転自在に支承する軸受、9は軸受8を保
持するハウジング、10は出力軸7の外周とウォームホ
イール4の芯金部4bの軸穴4cとの間に装着されて径
方向に弾性力を付与するリング部材、11及び12はウ
ォーム3を軸支する軸受、13はハウジングである。な
お、入力軸5と出力軸7とは図示しないトーションバー
によって連結されている。
達機構により構成されていて、電動モータ1の駆動によ
り出力軸2が回転すると、ウォーム3を介してウォーム
ホイール4が回転され、電動モータ1の動力が出力軸7
に伝達される。
作られているのに対し、ウォームホイール4はその芯金
部4bが、アルミニウム等の、少なくとも前記出力軸7
の鉄材よりも比重が小さく、かつ線膨張係数が大きな材
料で作られ、そしてギア部4aが、例えばナイロン等の
硬質で成形性に富んだ樹脂材で作られている。このよう
に、本EPS装置の動力伝達機構に使用されるウォーム
ホイール4は、重量の軽量化、強度アップ、騒音の防止
等が図られている。
ル4の芯金部4bと樹脂製のギア部4aとは接着剤によ
って一体化されていたり、あるいは芯金部4bの外周面
に、例えばエンボス、ローレット、あるいはセレーショ
ン等の凹凸状の加工が施されている。このように樹脂製
のギア部4aの内周面に対し芯金部4bの外周面が十分
に引っ掛かるように配慮されているため、ウォームホイ
ール4の作製に際し芯金部4bの外周面にギア部4a
を、インジェクション成形や融着、あるいは圧入等によ
り装着して一体化したときに両者の強度が十分に得ら
れ、これにより滑りトルク及び抜け強度が保証されてい
る。
断斜視図で示されるような公知の部材が適用される。す
なわち、このリング部材10は、薄い金属板を間隙cを
もってほぼ円筒状に曲げ、その内周面には軸方向の溝1
0aが、また外周面には径方向に高さを有する多数の突
起10bが夫々形成されているもので、このリング部材
10は出力軸7の外周面に設けられた軸方向の突起(図
示せず)に溝10aが係合して取付けられている。な
お、突起10bはバネ鋼等の弾力性を有する材料で作ら
れ、ウォームホイール4が装着されると、図4に拡大断
面図で示されるように、芯金部4bの内周面に当接し
て、リング部材10と出力軸7との間に適当な摩擦力が
印加される。このように径方向に弾性力を付与するリン
グ部材10によりトルクリミッタが構成されている。
規制トルクは出力軸7とウォームホイール4、とくにそ
の芯金部4bの線膨張係数の差を考慮して設定されてい
る。上述したように、出力軸7が鉄材で作られているの
に対し、芯金部4bは線膨張係数が鉄材に比べ2倍強の
アルミニウム材で作られているため、使用温度の高低に
より両者間の距離、つまり径方向の長さ寸法の差に変動
を生じる。すなわち、図4に示すように、今、弾性力付
与用のリング部材10が装着される出力軸7の外周面と
芯金部4bの内周面との距離をDとすると、この距離D
は使用温度が最高温度のときに最大距離D(max)と
なり、最低温度のときに最小距離D(min)となる。
従って、規制トルクは最高使用温度時、つまり最大距離
D(max)の場合にリング部材10の規定の締め代と
なるように設定される。
するもので、リング部材10の径方向変形量(横軸)と
径方向力[トルク](縦軸)との関係を示している。図
においてAはトルクリミッタの規制トルク変化幅を、B
は温度変化による締め代の変化幅を、ポイントT0は常
温での設定値を、T1は最高使用温度での設定値を、T
2は最低使用温度での設定値を、直線Naは電動モータ
1の回転付勢力を、また直線Nbは樹脂材の破壊トルク
を夫々示している。図示するように、トルクリミッタの
規制トルクの変化幅Aは、通常使用の固定化された回転
付勢力Naと温度により変化する樹脂材の破壊トルクN
bとの間の、塑性変形領域内に設定された温度変化によ
る締め代の変化幅B、すなわち最高使用温度設定値T1
と最低使用温度設定値T2の範囲内に設定される。
化(横軸)とトルク(縦軸)との関係を示したものであ
る。図において直線Noは本EPS装置におけるトルク
リミッタの規制トルクを、直線Npは鉄製の出力軸及び
芯金部から成る従来のEPS装置におけるトルクリミッ
タの規制トルクを夫々示している。図示するように、従
来EPS装置におけるトルクリミッタの規制トルクNp
は、前述したように温度に対して一定であるが、本EP
S装置におけるトルクリミッタの規制トルクNoは、温
度によって変化する電動モータ1の回転付勢力Naと樹
脂材の破壊トルクNbとの間に設定される。このよう
に、本EPS装置では使用温度に応じた滑りトルクが発
揮されるように設定されている。
のギア部4aに対しても影響があり、その強度は低温下
では増加するものの、高温下、とくに最高使用温度時で
は最も低下する。
説明したが、本発明は必ずしもこれに限られるものでは
なく、特許請求の範囲の記載内において、その構成に関
し種々の変更が可能であることはいうまでもない。な
お、上記実施の形態は、ウォームとウォームホイールの
組合せから成る動力伝達機構について説明したが、これ
を例えばハイポイドギア、ベベルギア、ヘリカルギア等
の種々の歯車の組合せから成る動力伝達機構にも適用す
ることが可能である。
ワーステアリング装置では、電動駆動部の動力伝達機構
を構成するウォームホイールの芯金部を鉄材より比重の
小さい金属材で作製しているので、ウォームホイール自
体の重量が軽減される。これにより、ウォームホイール
を大径化しても操舵時の慣性力が低減されて切り返し時
の操舵感が向上され、EPS装置の高出力化にも十分対
応することができる。また、このように軽量化された芯
金部を大径化することにより樹脂製ギア部の径は小さく
て済み、このため樹脂部の大径化に伴う寸法変化やボイ
ド等の成形性に係わる問題が解消される。なお、上記芯
金部の材料を鉄材に比し比重が約1/3のアルミニウム
とすればこれらの効果は一層向上される。
アリング装置の要部、すなわち電動駆動部における動力
伝達機構の一部断面図である。
る。
拡大断面図である。
向力の関係を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】ウォームホイールと出力軸間に弾性力付与
用のリング部材を装着する、トルクリミッタを備えた電
動式パワーステアリング装置において、前記出力軸を鉄
材で作る一方、前記ウォームホイールのギア部を樹脂材
で、芯金部を前記鉄材に対し比重が小さく、線膨張率の
大きい金属材で夫々作製することにより、前記トルクリ
ミッタの規制トルクを、高温では低く、低温では高く設
定したことを特徴とする電動式パワーステアリング装
置。
Priority Applications (5)
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