JP2002001828A - 接着液、着色材料および着色方法 - Google Patents

接着液、着色材料および着色方法

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JP2002001828A
JP2002001828A JP2000181678A JP2000181678A JP2002001828A JP 2002001828 A JP2002001828 A JP 2002001828A JP 2000181678 A JP2000181678 A JP 2000181678A JP 2000181678 A JP2000181678 A JP 2000181678A JP 2002001828 A JP2002001828 A JP 2002001828A
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coloring
adhesive
liquid
coloring material
color
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Takamasa Ueda
隆正 上田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 彩色に関して造形物を再利用することができ
る着色材料を提供する。 【解決手段】 粉末材料を接着液を用いて結合すること
により三次元造形を行う際に、接着液を着色材料として
も使用するために色材および光分解性酸化チタンを混入
し、彩色された造形物91を生成する。造形物91はデ
ザインの評価などの使用目的が果たされると、消色装置
200へと搬入され、紫外線照射部201から紫外線が
照射される。これにより、光触媒である酸化チタンによ
り色材が分解され、造形物91の消色が行われる。その
後、造形物91に色材および光分解性酸化チタンを有す
る消色可能な着色材料を塗布することにより再彩色し、
異なるデザインの評価に造形物91を利用する。以上の
処理により、彩色に関して造形物91を繰り返し再利用
することが実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、三次元造形物を着
色する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、部品試作等において様々な形
の三次元の造形物を生成する技術が利用されている。例
えば、立体的な造形対象物を平行な複数の面で切断した
各断面に対応する粉末の薄層を結合剤により順次結合さ
せることによって、造形対象物の三次元モデルとなる造
形物を生成する技術が知られている。また、液体の造形
材料に光を照射して造形物を生成する光造形も利用され
る。
【0003】これらの技術はラピッドプロトタイピング
と呼ばれ、設計上の評価のみならず、生成された造形物
に彩色を行ってデザインの評価にも利用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、生成さ
れた造形物は設計やデザインの評価に用いられた後は不
要物となることから、従来より、その都度廃棄されてき
た。
【0005】そこで、本発明は上記課題に鑑みなされた
ものであり、造形物を容易に再彩色可能とすることによ
り再利用し、1つの造形物により様々な彩色の評価を可
能とすることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、粉末材料を接着することにより三次元造形物を生成
する際に使用される接着液であって、接着剤と、消色ま
たは変色可能な色材とを有する。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の接着液であって、消色用の光触媒をさらに有する。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の接着液であって、前記色材が、有機系色材である。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項2または
3に記載の接着液であって、前記光触媒が、光分解性酸
化チタンを有する。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項2ないし
4のいずれかに記載の接着液であって、前記色材を約
0.1〜6質量パーセント有する。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項2ないし
4のいずれかに記載の接着液であって、前記光触媒を約
0.2〜15質量パーセント有する。
【0012】請求項7に記載の発明は、請求項2ないし
4のいずれかに記載の接着液であって、前記接着剤を約
0.1〜9質量パーセント有する。
【0013】請求項8に記載の発明は、請求項1に記載
の接着液であって、前記色材が、クロミック色材を有す
る。
【0014】請求項9に記載の発明は、三次元造形物を
着色する着色材料であって、光分解性酸化チタンと、前
記光分解性酸化チタンにより消色可能な色材とを有す
る。
【0015】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載の着色材料であって、前記光分解性酸化チタンを約
0.2〜15質量パーセント有する。
【0016】請求項11に記載の発明は、再利用される
三次元造形物を着色する着色方法であって、(a) 消色ま
たは変色可能な着色材料を準備する工程と、(b) 前記着
色材料を三次元造形物に付与する工程とを有する。
【0017】請求項12に記載の発明は、請求項11に
記載の着色方法であって、前記工程(b)の後に、(c) 前
記三次元造形物が有する前記着色材料を消色または変色
させる工程をさらに有する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る接着液が使用
される三次元造形装置について説明した上で、接着液の
成分、使用態様および接着液の実施例について説明す
る。
【0019】<1. 三次元造形装置> <1.1 三次元造形装置の要部構成>図1は、本発明に
係る接着液が使用される三次元造形装置100を示す概
略図である。なお、図1では説明の便宜上定めたXYZ
方向も矢印にて示している。
【0020】三次元造形装置100は、制御部10、並
びに、制御部10にそれぞれ電気的に接続された接着彩
色液付与部20、造形部30、粉末供給部40、粉末拡
散部50および赤外線ランプ60を備えて構成される。
【0021】制御部10は、コンピュータ11と、コン
ピュータ11に電気的に接続された駆動制御部12とを
備える。
【0022】コンピュータ11は、内部にCPUやメモ
リ等を備えて構成される一般的な卓上型コンピュータ等
である。このコンピュータ11は、三次元形状の造形物
の形状をモデルデータとしてデータ化し、それを平行な
幾層もの薄い断面体にスライスして得られる断面データ
を駆動制御部12に対して出力する。
【0023】駆動制御部12は、接着彩色液付与部2
0、造形部30、粉末供給部40および粉末拡散部50
をそれぞれに駆動する制御手段として機能する。駆動制
御部12は、コンピュータ11から断面データを取得す
ると、その断面データに基づいて上記の各部に対して駆
動指令を与えることにより造形部30において粉末材料
の一層ごとの粉末の結合体を順次形成する動作を統括制
御する。
【0024】接着彩色液付与部20は、液状の着色され
た接着液である接着彩色液を収容するタンク部21、タ
ンク部21内の接着彩色液を吐出させるノズルヘッド2
2、ノズルヘッド22を水平XY平面で移動させるXY
方向移動部23、およびXY方向移動部23を駆動する
駆動部24を備える。
【0025】タンク部21は、それぞれ異なる色の接着
彩色液を収容する複数のタンク(この例では4つのタン
ク)21a〜21dを備える。具体的には、それぞれの
タンク21a〜21dには、Y(イエロー)、M(マゼ
ンタ)、C(シアン)の色料の3原色およびW(ホワイ
ト)の接着彩色液が収容される。
【0026】ノズルヘッド22は、XY方向移動部23
の下部に固定されており、XY方向移動部23とともに
一体となってXY平面内で移動自在となっている。ま
た、ノズルヘッド22はタンク部21のタンク数と同数
の吐出ノズル22a〜22dを備え、各吐出ノズル22
a〜22dはタンク21a〜21dと4本のチューブ2
5で連結している。
【0027】各吐出ノズル22a〜22dは、例えばイ
ンクジェット方式等で微小な液滴として各接着彩色液を
吐出(噴出)するノズルである。各吐出ノズル22a〜
22dによる接着彩色液の吐出は、駆動制御部12によ
って個別に制御され、各吐出ノズル22a〜22dから
吐出される接着彩色液はノズルヘッド22に対向する位
置に設けられている造形部30の粉末層に付着する。
【0028】XY方向移動部23は、移動部本体23a
およびガイドレール23bを備える。移動部本体23a
は、ガイドレール23bに沿ってX方向への往復移動が
可能であるとともに、Y方向への往復移動が可能となっ
ている。よって、ノズルヘッド22は、XY方向移動部
23によりX軸およびY軸によって規定される平面内で
移動できることとなる。すなわち、駆動制御部12から
の駆動指令に基づいてノズルヘッド22を、その平面に
おける駆動範囲内で任意の位置に移動させることができ
る。
【0029】造形部30は、中央に凹状部を有する造形
部本体31、造形部本体31の凹状部の内部に設けられ
ている造形ステージ32、造形ステージ32をZ方向に
移動させるZ方向移動部33、および、Z方向移動部3
3を駆動する駆動部34を備える。
【0030】造形部本体31は、三次元造形物を生成す
るための作業領域を提供する役目を果たす。また、造形
部本体31は、その上部に、粉末供給部40から供給さ
れる粉末を一時的に保持する粉末仮置部31bを有す
る。
【0031】造形ステージ32は、XY断面において矩
形型の形状を有し、その側面が造形部本体31における
凹状部の垂直内壁31aと接している。そして、この造
形ステージ32と造形部本体31の垂直内壁31aとで
形成される直方体状の三次元空間WKが、三次元造形物
を生成するための基盤空間として機能する。すなわち、
各吐出ノズル22a〜22dから吐出された接着彩色液
により、造形ステージ32上にて粉末を接合させて造形
物が作成される。
【0032】Z方向移動部33は、造形ステージ32と
連結する支持棒33aを有する。そして、支持棒33a
が、駆動部34によって垂直方向に移動されることによ
り、支持棒33aと連結する造形ステージ32のZ方向
の移動が可能となる。
【0033】粉末供給部40は、タンク部41とタンク
部41の出口に設けられている締切板42と、駆動制御
部12の指令により締切板42をスライドさせる駆動部
43とを備える。
【0034】タンク部41は白色の粉末を収容し、この
粉末は、三次元造形物の形成における材料となるもの
で、例えば、(セルロース−)デンプン粉末、石膏粉
末、樹脂粉末などが使用される。
【0035】締切板42は、水平方向(X方向)にスラ
イドできるようになっており、造形部30の粉末仮置部
31bに対して、タンク部41に収容される粉末の供給
および停止を行う。
【0036】粉末拡散部50は、ブレード51、ブレー
ド51の動作を規制するガイドレール52、および、ブ
レード51を移動させる駆動部53を備える。
【0037】ブレード51は、Y方向に長く、下部先端
が尖った刃状の形状を有している。ブレード51のY方
向の長さは、三次元空間WKにおけるY方向の幅をカバ
ーできる長さとなっている。なお、ブレード51による
粉末の拡散が円滑に行えるように、ブレードに微小振動
を与えるバイブレーション機構を付加してもよい。
【0038】駆動部53は、ブレード51を垂直方向
(Z方向)に昇降移動させる垂直駆動部53a、および
ブレード51を水平方向(X方向)に往復移動させる水
平駆動部53bを有する。そして、駆動制御部12から
の指令に基づいて垂直駆動部53aおよび水平駆動部5
3bが駆動されることにより、ブレード51のX方向お
よびZ方向の移動が可能となる。
【0039】赤外線ランプ60は、接着彩色液に含まれ
る水分もしくは溶剤を蒸発させて接着彩色液が付与され
た粉末の結合を促進するためのものである。駆動制御部
12の指令により、赤外線ランプ60の点消灯が行われ
る。また、熱硬化性の接着彩色液を使用するように構成
した場合には、この赤外線ランプ60は、接着彩色液を
硬化させる手段として機能する。
【0040】<1.2 三次元造形装置の動作>図2は、
三次元造形装置100の動作の概要を説明するフローチ
ャートである。以下、同図を参照して、その基本動作を
説明する。
【0041】ステップS1では、コンピュータ11が、
表面にカラー模様等が施された三次元造形対象物を表現
したモデルデータを作成する。造形するための基になる
モデルデータには、一般の三次元CADモデリングソフ
トウェアで作成されるカラー三次元モデルデータを使用
することができる。また、三次元形状入力装置で計測さ
れた3次元形状のデータおよびテクスチャを利用するこ
とも可能である。
【0042】モデルデータにおいては、色情報が三次元
モデルの表面にのみ付与されているもの、または色情報
がモデル内部まで付与されているものがある。後者の場
合でも造形に際してモデル表面の色情報のみを使用する
ことが可能であるし、モデル内部の色情報も使用するこ
とが可能である。例えば、人体モデル等の三次元造形物
を生成する際、各内臓ごとに異なる色で彩色を施したい
場合もあり、その場合にはモデル内部の色情報を使用す
る。
【0043】ステップS2では、上記のモデルデータか
ら造形対象物を水平方向にスライスした各断面ごとの断
面データを生成する。モデルデータから積層する粉末の
一層分の厚みに相当するピッチでスライスされた断面体
を切り出し、断面の存在する領域を示す形状データおよ
び彩色のデータを断面データとして作成する。なお、ス
ライスするピッチは、所定範囲内(粉末を結合可能な厚
みの範囲)で変更可能にしてもよい。
【0044】図3は、ステップS2における断面データ
の一例の生成の様子を示す図である。図3(a)および
(b)に示すように、モデルデータから色情報を含めて
断面体を切り出し、格子状に細分化する。それを、2次
元画像のビットマップと同様に扱い、図3(c)に示す
ように各色毎のビットマップ情報に変換する。このビッ
トマップ情報は階調などを考慮した情報となっている。
図3(c)において、形状データは断面の存在する領域
を示すデータであり、Yデータ、Cデータ、Mデータお
よびWデータが彩色データに相当する。
【0045】なお、粉末の色は白色であるため、白部分
には彩色は不要である。しかし、造形のためには接着液
が必要であり、この部分には白色の接着彩色液を塗布す
ることとし、Wデータを付与した。また、3次元モデル
内部に色情報がない場合、その内部に対応する部分にも
Wデータを付与するようにした。したがって、YCMW
のデータのORをとると、断面の形状全面が埋まるよう
になっている。
【0046】図4(a)ないし(c)は、図3と同様に
ステップS2における断面データの一例の生成の様子を
示す図である。なお、図4(c)では彩色データの図示
を省略していおり、形状データは断面が存在する領域の
みを図示している。図4(c)では、モデルデータにお
いて、三次元造形に寄与しない部分、つまり外形に現れ
ない内部領域に該当する部分を、造形不要部分として形
状データから削除している。これにより、造形不要部分
では接着彩色液により粉末を結合する動作が行われず、
接着彩色液が節約できる。
【0047】ステップS3では、造形対象物を造形する
際における粉末の積層厚さ(断面データ作成の際のスラ
イスピッチ)および積層数(断面データセットの数)に
関する情報が、コンピュータ11から駆動制御部12に
入力される。
【0048】次のステップS4以降については、駆動制
御部12が各部を制御することによって行われる動作で
ある。図5(a)ないし(c)は、これらの動作を説明
する概念図である。以下では、同図を参照しながら説明
する。
【0049】ステップS4では、造形ステージ32にお
いて粉末の第N層目(N=1,2,・・)の結合体を形成す
るために、造形ステージ32がZ方向移動部33により
図5(a)に示す矢印DNの方向に、所定距離だけ下降
されて保持される。下降する距離は、コンピュータ11
から入力された上記積層厚さに相当する距離である。こ
れにより、造形ステージ32上に堆積されて必要な結合
が完了した粉末層の上方に、新たな粉末の層を1層分形
成するためのスペースSPが形成される。ただし、N=
1の場合は、最初の層の形成に相当するため、造形ステ
ージ32の上面自身の上にスペースSPが形成されるよ
うにする。
【0050】ステップS5では、三次元造形物の造形に
おいて材料となる粉末の供給を行う。ここでは、図5
(a)のように、粉末供給部40の締切板42が閉止位
置からスライドしてタンク部41内の粉末を所定量だけ
造形部本体31の粉末仮置部31bに落下させる。この
所定量とは、上記のスペースSPの体積(造形における
粉末の必要量)より若干多めに設定されている。所定量
の粉末の供給完了後、締切板42が閉止位置に戻り粉末
供給を停止する。
【0051】ステップS6では、ステップS5で供給さ
れた粉末の薄層を形成する。ここでは、図5(a)およ
び(b)に示すように、粉末仮置部31b上に堆積され
た粉末をブレード51がX方向に移動することで造形ス
テージ32上のスペースSPに粉末が入り込み、薄い均
一な粉末層が形成される。この際には、ブレード51の
下部先端を造形部本体31の最上面31cに沿って移動
させる。これにより、所定の厚さの粉末の薄層が正確に
形成される。なお、余った粉末は回収され、再度利用さ
れる。そして、粉末層が形成された後、ブレード51
は、垂直駆動部53a(図1参照)によって最上面31
cから離され、水平駆動部53bによって粉末層の上方
を通過して初期位置に復帰する。
【0052】ステップS7では、ステップS2で作成さ
れた形状データおよび彩色データに従ってXY方向移動
部23を駆動することにより、図5(c)に示すよう
に、ノズルヘッド22をXY平面内に移動させる。その
際、形状データの存在する領域のみを走査することによ
り時間が短縮される。そして、移動中に彩色データに基
づいて各吐出ノズル22a〜22dから接着彩色液の吐
出を適宜に行わせる。これにより、粉末の結合体81が
生成される。なお、接着彩色液が塗布されない粉末82
は個々に独立した状態を保つこととなる。
【0053】ここでは、三次元造形物の表面部分に相当
する部分について、接着彩色液の吐出を行う際に、造形
対象物から導かれた彩色データに基づいてY、M、Cお
よびWの接着彩色液を選択的に吐出するように制御が行
われる。これにより、三次元造形物の造形過程における
カラー造形が行える。一方、三次元造形物において彩色
を施す必要のない部分(彩色不要領域)では、彩色され
た部分の着色状態を妨げることのないWの接着彩色液を
吐出することにより、造形を行う。
【0054】また、粉末層に付着した接着彩色液の拡が
りを均一化して造形物の強度を確保するため、造形部分
に対して単位面積当たり同量の接着彩色液を均一に付与
することが好ましい。例えば、XY方向移動部23によ
る各吐出ノズル22a〜22dの移動速度に、単位時間
当たりに各吐出ノズル22a〜22dから吐出される接
着彩色液の量(例えば、接着彩色液の液滴の数)を乗じ
たものを一定にすれば、単位面積当たり同量の接着彩色
液が均一に付与できることとなる。
【0055】接着彩色液の吐出完了後、接着彩色液吐出
動作を停止し、XY方向移動部23を駆動することによ
り、ノズルヘッド22は初期位置に復帰する。
【0056】ステップS8では、バインタが付着した粉
末を乾燥させて接合させる。ここでは、薄く引き延ばさ
れた粉末の層の上方から、赤外線ランプ60の照射を行
う。これにより、粉末に付着した接着彩色液の迅速な乾
燥が行える。なお、自然乾燥により迅速に硬化する種類
の接着彩色液では、特に赤外線ランプなどでの照射は不
要となる。乾燥が完了すると、三次元造形物の一層分の
断面体の造形が完了する。
【0057】そして、一層分の造形が終了するとステッ
プS9に進んで、駆動制御部12が、ステップ3で入力
された積層数に基づき、その積層数分の処理が完了した
かどうかを判断し(つまり、三次元造形物の造形が完了
したかどうかを判断し)、「NO」と判断された場合は
ステップS4からの処理を繰り返し、「YES」と判断
された場合は造形動作は終了する。三次元造形物の造形
が完了すると、接着彩色液が付与されていない粉末を分
離して、接着彩色液により結合された粉末の結合体(三
次元造形物)を取り出す。なお、結合されなかった粉末
は回収して、再度材料として利用してもよい。
【0058】ステップS4に戻った場合には、第N層目
の上側に第N+1層目の新たな粉末の結合体を形成する
動作が行われる。このような動作を積層数だけ繰り返す
ことにより、ステージ32上に一層ごとのカラー化され
た結合体が順次積層されていき最終的に造形対象物の三
次元造形物が造形ステージ32上に造形される。
【0059】このようにして得られる三次元造形物(以
下、「造形物」という。)91を図6に示す。図6
(a)は造形物91の断面を示したものであり、図6
(b)は図6(a)におけるA部分を拡大表示したもの
である。図6(b)において、三次元造形物91の表面
側付近の領域91aには斜線領域で示すようにY、M、
CおよびWの接着彩色液によって単色または複数色の彩
色が施されるとともに、内部側の領域91bはWの着色
接着彩色液によって造形が行われている。つまり、図6
(b)における彩色領域は、吐出ノズル22a〜22d
から各接着彩色液が彩色データに応じて選択的に吐出さ
れて形成されたものであり、彩色不要な領域である内部
領域は、単なる粉末の接合を目的として吐出ノズル22
dから白色の接着彩色液が吐出されて形成されたもので
ある。
【0060】このような彩色の機構を使用することによ
って多様な彩色が可能になる。たとえば、図6(a)に
おける彩色領域のうち、 ・領域911においてはイエローYとホワイトWとの所
定のドット配列によって薄いイエローの彩色がなされ、 ・領域912においてはシアンCとイエローYとのドッ
ト配列によってグリーンの彩色がなされ、 ・領域913においてはマジェンタMの区域とホワイト
Wの区域とが帯状に交互に配列することによって縞模様
の着色がなされ、というようなことができる。
【0061】また、ある造形物自身では1色(たとえば
イエロー)のみで着色する場合でも、他の造形物では異
なる色での着色が可能である。
【0062】すなわち、三次元造形装置100において
多様な彩色が可能になるという意味は、ひとつの造形物
についての彩色の自由度が高まるということと、種々の
造形物ごとに彩色を変更できるということとの双方の意
味を含んでいる。
【0063】したがって、三次元造形装置100では彩
色情報に応じて複数色の接着彩色液を選択的に付与する
ことにより、造形物の造形過程において多様な彩色を施
すことができ、人手に頼ることなく短時間かつ低コスト
でカラー造形を行うことができる。
【0064】図6(b)において、彩色が施される領域
が造形物91の表面だけでなく、若干内部側領域まで及
んでいる。一般に、彩色が必要な領域は、通常造形物の
表面のみであるため、接着彩色液で彩色を施すのは造形
物の表面に現れる部分のみでよい。しかし、オーバーハ
ング部やアンダーハング部を有する造形物では、隣接す
る上層と下層との断面体の最外周よりも内部まで彩色を
行わなければ、彩色されていない部分が造形物の表面に
現れてしまう。
【0065】また、厳密に表面だけを彩色することはノ
ズルヘッド22の移動量と各接着彩色液の吐出タイミン
グとに対する高精度な制御が必要であるため、断面デー
タにおいて彩色情報を有する領域を所定幅だけ内部側に
オフセットして確保するのが望ましい。さらに、図6
(b)のように彩色領域を所定量分だけ内部側に形成す
ることにより、その後に造形物91の表面に傷等が生じ
た場合であっても内部用の接着彩色液の白色が露呈する
ことを防止することができる。
【0066】造形物の内部領域の粉末の接合に用いる接
着彩色液は、白色が必須ではなく、着色されていないナ
チュラル(無色透明、乳白色)な接着液を使用してもよ
い。また、特定の色の接着彩色液を内部接合用として他
の色の接着彩色液より多くタンク部21に蓄えておく仕
様にすることが望ましい。なお、造形物の内部領域であ
っても内部構造を分類するように色分けすることもでき
る。これは、造形後に造形物を切断し、カットモデルと
して断面構造を見せる場合などでは、造形物の内部領域
まですべて彩色を施しておくことも有効である。
【0067】三次元造形装置100において、コンピュ
ータ11にCAD/CAM/CAEのシステムを導入す
れば、造形の際のスピードアップ化とデザインの質的向
上をおしすすめることも可能である。
【0068】<1.3 彩色の具体的態様>次に、三次元
造形装置100における造形過程での彩色について説明
する。
【0069】三次元造形装置100では、造形物の材料
となる粉末を結合させるものとして接着彩色液を使用す
るとともに、その彩色領域にY、M、C、Wの4色の接
着彩色液を吐出することによって造形物の造形過程での
彩色(着色)を行っている。この彩色については、微視
的には、粉末粒子よりも小さい接着彩色液の粒子が、粉
末粒子の周りに付着するとともに、粉末粒子の間に充填
されることにより行われる。
【0070】吐出ノズル22a〜22dのうち、吐出ノ
ズル22a〜22cのそれぞれからは原色混合によって
異なる色成分を表現することができるY、M、Cの各色
成分の接着彩色液が吐出される一方、吐出ノズル22d
からはホワイトの接着彩色液が吐出される。このような
各吐出ノズル22a〜22dから吐出される微小な接着
彩色液の液滴のドット配列の集合によって、三次元造形
物に面積階調として混色あるいは色の階調を表現するこ
とができる。
【0071】一般に、彩色を行うためにはY、M、Cの
三原色を混色すればよいが、色の濃淡(階調)を表現す
るためには、三原色に加えて白色の接着彩色液を吐出し
混色することが有効となる。一般のプリンタ等では白色
の紙にインク、トナー等で字、画像をプリントしていく
ため、基材となる紙の白色を利用すれば白色インクは必
要でなく、Y、M、Cの三色を使用するだけで原理的に
各色成分の濃淡を表現することができる。しかしなが
ら、三次元造形の材料となる粉末の色が白色でないよう
な場合には、白色の接着彩色液を使用することが特に有
効となるのである。
【0072】つまり、Y、M、Cの各色成分を混合する
ことによって暗い色を表現することができるが、白色は
表現することができないため、粉末の結合用として白色
等淡い色の接着彩色液を準備し、白色の接着彩色液を表
面彩色の際にも使用すれば、造形物91に対して適切な
彩色を施すことが可能となる。
【0073】濃淡を表現しつつ造形物91に彩色を施す
際の接着彩色液の吐出形態の一例について説明する。
【0074】図7は、シアンについての階調表現の一例
を示す図である。駆動制御部12において所定の階調変
換が行われると、断面データに含まれる多値の階調デー
タは基本ドット領域(図7の最小矩形)ごとの2値デー
タに変換される。基本ドット領域とは4種類の接着彩色
液のうち選択されたものが付与される最小単位であり、
2値データは各吐出ノズル22a〜22dをON/OF
F制御するための情報となる。
【0075】図7は、基本ドット領域の2×2のマトリ
クス配列による基本集合領域を示しており、彩色のため
の基本ドット領域への各色成分の接着彩色液の吐出パタ
ーンを変化させることにより、階調表現や混合色表現を
行うことが可能となる。淡いシアンを表示する場合に
は、2×2のマトリクス配列のうち1つの基本ドット領
域にシアンを吐出し、他の基本ドット領域にはホワイト
を吐出する。また、濃いシアンを表示する場合には基本
集合領域の全体にシアンを吐出する。このように基本集
合領域に対するシアンの接着彩色液とホワイトの接着彩
色液との吐出割合を変化させることにより、淡いシアン
から濃いシアンへの階調変化を適切に表現することが可
能になる。
【0076】なお、図7の例では説明の都合上、階調変
換によって生じる彩色のための基本集合領域を4個の基
本ドット領域で構成しているが、これに限定するもので
はない。例えば、断面データにおいて256階調を有し
ている場合であって、その階調を低下させずにON/O
FF制御のための2値データに変換する場合、基本集合
領域を256個の基本ドット領域の集合で構成する。
【0077】次に、図8は淡いシアンから淡いイエロー
へ変化する表現の一例を示す図である。図8の左端は淡
いシアンを表現する際のCとWとの吐出パターンであ
り、右端は淡いイエローを表現する際のYとWとの吐出
パターンである。淡いシアンからシアンとイエローとの
混合色を経て淡いイエローへと変化させる際には図8に
示すように基本集合領域内へのCとYとWとを吐出する
割合を徐々に変化させることによって、そのような色の
変化を表現することが可能になる。
【0078】なお、このような場合でも既述したよう
に、造形物の強度を確保するため、C、Y、Wの各接着
彩色液は、単位面積当たり同量にすることが好ましい。
【0079】また、図9には上記の彩色のための基本集
合領域が複数個集合したものを示している。図9(a)
はCとWとの吐出パターンを示しており、図9(b)は
図9(a)の吐出パターンによって表現される彩色形態
を具体的に示している。図9に示すように駆動制御部1
2が吐出パターンを制御することによって造形物91の
造形過程における彩色を行うことが可能になる。
【0080】このように、三次元造形装置100では、
造形物91の着色部分を造形する際に接合用および着色
用としてY、M、C、Wの接着彩色液を使用し、内部側
を造形する際には内部接合用として白色の接着彩色液を
使用することにより、造形過程において造形対象物に対
応した彩色を施していくことができる。
【0081】なお、吐出ノズル22a〜22cから吐出
される接着彩色液はそれぞれ他の色成分(例えば、R
(赤)、G(緑)、B(青)等)に着色されていてもよ
いが、Y、M、Cの三原色の接着彩色液を使用してこれ
らを混合することにより、造形物91の中間色等の全て
の色成分の彩色ができるという効果がある。
【0082】また、粉末の接合用としてのみ機能する吐
出ノズル22dから吐出される接着彩色液は白色に限定
されるものではなく、クリーム色等の接着彩色液であっ
てもよい。ただし、生成される造形物91において造形
対象物の白色や階調を鮮明に再現するためには、接合用
として白色の接着彩色液を使用することが望ましい。
【0083】さらに、造形物91の表面側に黒色を再現
する場合には、Y、M、Cの三原色を吐出することで黒
色を表現することができるが、鮮明な黒色を再現するた
めに別途黒色の接着彩色液を吐出するための吐出ノズル
を設けてもよい。
【0084】また、2色以上の接着彩色液が吐出ノズル
から同時に吐出されてもよく、色毎の接着彩色液が時間
的に前後して吐出されてもよい。
【0085】三次元造形物の材料となる粉末について
は、三次元造形装置100では白色粉末が用いられる。
プリンタの場合、白い紙の上に印刷するため、色を付け
る部分にのみ有色インクを塗布し、下地の白色とのバラ
ンスで色の階調表現が行われる。これと同様に三次元造
形装置100の場合、下地となる粉末を白色とすること
で発色をよくすることができる。
【0086】<2. 接着彩色液>三次元造形装置10
0では消色または変色可能な接着彩色液が使用される。
これにより、再彩色や彩色の変更により1つの造形物に
対して様々なデザインの評価(あるいは、試行錯誤にに
よるデザインの決定)が容易に実現される。
【0087】接着彩色液には、消色または変色可能とす
るために色材とともに光触媒が混入されたり、色材とし
てクロミック色材が用いられる。もちろん、接着彩色液
に粉末の接着をさせるために接着剤も混入される。以
下、色材、光触媒および接着剤の具体例について順に説
明する。
【0088】<2.1 色材の具体例>接着彩色液に光触
媒が混入される場合の色材は、主として有機系染料また
は有機系顔料から選択される。これにより、造形物に紫
外線を照射することで適切な消色が実現される。
【0089】具体例として、イエロー色材の染料とし
て、C.I.Direct Yellow 86、C.I.AcidYellow 23、C.I.A
cid Yellow 79等が挙げられる。顔料として、C.I.Pigme
nt Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yel
low 3、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 1
6、C.I.Pigment Yellow 79、C.I.Pigment Yellow 83、
C.I.Pigment Yellow 180等が挙げられる。
【0090】マゼンタ色材の染料として、C.I.Acid Red
52、C.I.Acid Red 289、C.I.Reactive 120等が挙げら
れる。顔料として、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment R
ed 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(C
a)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57
(Ca)、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122等
が挙げられる。
【0091】シアン色材の染料として、C.I.Direct Blu
e 86、C.I.Direct Blue 199、C.I.Acid Blue 9等が挙げ
られる。顔料として、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigmen
t Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:
3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.V
at Blue 4、C.I.Vat Blue 6等が挙げられる。
【0092】ホワイト色材については、接着彩色液に光
触媒として混入される光触媒作用のある酸化チタン(T
iO2)をそのままホワイト色材として利用することが
できる。
【0093】ブラック色材の染料として、C.I.Food Bla
ck 1、C.I.Food Black 2等が挙げられる。顔料として有
機系のC.I.Pigment Black 1、シニアンブラック等が挙
げられる。
【0094】もちろん、色材としては上記のものに限定
されない。
【0095】色材として使用可能なクロミック色材とし
ては、サーモクロミック色材、フォトクロミック色材、
エレクトロクロミック色材、ソルバトクロミック色材等
が挙げられる。これらのクロミック色材のうち、サーモ
クロミック色材およびフォトクロミック色材は熱や光に
より消色または変色可能であることから取り扱いが容易
であり、接着彩色液に使用されることが好ましい。
【0096】サーモクロミック色材としては、例えば、
化学構造変化によるスピロピラン系、アゾメチン系、ポ
リアセチレン系、p−ベンゾフェノン系のもの;ラジカ
ルの生成によるイミダゾール系、ピロール系のもの;分
子配列の変化によるコレステロール誘導体からなるコレ
ステリック液晶;pHおよび水素結合性の変化によるク
リスタルバイオレットラクトン(CVL)、トリフェニ
ルメタン系のもの;溶解による成分の混合接触によるカ
ラーホーマーと有機酸(固体酸);および、これらの誘
導体が挙げられる。
【0097】フォトクロミック色材としては、例えば、
シス−トランス異性変化によるアゾベンゼン系、スチル
ベン系のもの;ケト−エノール互変異性によるアゾヒド
ラゾン系のもの;開閉反応によるフルギド系、ジアリー
ルエテン系のもの;イオン解離反応によるトリフェニル
メタン系のもの;酸化反応によるテトラベンゾペンタセ
ン系のもの;および、これらの誘導体が挙げられる。
【0098】もちろん、クロミック色材としては上記の
ものに限定されない。
【0099】<2.2 光触媒の具体例>光触媒とは光照
射により有機分解(色材分解)等の触媒作用を有する物
質をいう。
【0100】光触媒としては、酸化チタン(Ti
2)、SrTiO3、K4NbO17、Ni−K4Nb6
17、CdS、ZnS、CdSe、GaP、CdTe、M
oSe2、WSe2、ZnO、Nb25、WO3、Sn
2、ZrO2、KTaO3、ルテニウムトリスビピリジ
ル(Ru錯体)、Co錯体、Rh錯体、ポルフィリン誘
導体(Zn、Al、Mg)が利用可能である。
【0101】酸化チタンを用いる場合、ルチル型よりも
アナターゼ型の方が光分解性が高く好ましい。光触媒用
の酸化チタン(すなわち、アナターゼ型の光分解性酸化
チタンを多く含む酸化チタン)の具体例としては、日本
アエロジル社のP25(アナターゼ型70%、ルチル型
30%)が知られている。なお、酸化チタンの粒径は小
さい方が好ましく、酸化チタン表面にパラジウムを付け
たものを使用すると触媒反応が促進される。
【0102】光触媒(光分解)効果の高い酸化チタンは
紫外線しか吸収できないため、造形物の消色には紫外線
の照射が必要となる。このため、消色用の光源が限定さ
れるが、紫外線の比較的少ない室内等の環境では消色が
抑えられるという長所を有する。
【0103】一方、上記例のうち、酸化チタン以外は紫
外線のみならず可視光によっても消色を行うことができ
る可視光光触媒であり、消色用の光源を比較的自由に選
択することができる。酸化チタンに酸化クロム(VI)
を添加することにより、可視光光触媒とすることも可能
である。
【0104】光触媒として酸化チタンを使用するか、可
視光光触媒を使用するかは、造形物の利用態様に応じて
適宜決定される。
【0105】<2.3 接着剤の具体例>通常、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチ
ラール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体、ポリ
アミド等が接着剤として使用される。また、これらの接
着用のポリマーは完全に水溶性である必要はなく、一部
溶解または膨潤状態であっても接着性を有していれば利
用可能である。
【0106】<3. 造形物の消色または変色工程> <3.1 光触媒を用いた消色>図10は、消色装置20
0に彩色された造形物91が搬入された様子を示す図で
ある。消色装置200は紫外線照射部(例えば、紫外線
ランプ)201を有しており、紫外線照射部201から
造形物91に向けて紫外線が照射される。消色装置20
0に搬入される造形物91は、造形の際に色材とともに
光触媒として酸化チタンが混入された接着彩色液が使用
される。したがって、消色装置200内で造形物91に
紫外線が照射されると、造形物91の彩色が消色され、
図11に示すように白色の造形物91となる。
【0107】図12は、消色装置200の使用を前提と
した場合の造形物91の取り扱い(生成も含む。以下同
様)の流れを示すフローチャートである。
【0108】まず、三次元造形装置100に色材ととも
に光触媒として酸化チタンが混入された接着彩色液が充
填されて準備される(ステップS11)。次に、接着彩
色液を用いて三次元造形装置100の既述の動作により
造形が行われる(ステップS12)。接着彩色液は粉末
に対する接着液であり、着色材料でもあることから、ス
テップS12は実質的に造形物91に着色材料を付与す
る工程に相当する。A 作成された造形物91は設計や
彩色等のデザインの評価に使用される(ステップS1
3)。その後、造形物91は消色装置200へと搬入さ
れ、紫外線が照射される(ステップS15)。これによ
り、造形物91の消色が行われる。
【0109】消色後、人手により、色材とともに光触媒
として酸化チタンが混入された着色材料(接着剤は含ま
れても含まれなくてもよい。)が準備され(ステップS
16)、造形の際の彩色とは異なる彩色が行われる(ス
テップS17)。
【0110】彩色後の造形物91は、再度、デザインの
評価の対象となる(ステップS13)。その後、さらに
彩色を行うか否かが確認され(ステップS14)、再彩
色を行う場合には消色装置200による消色および再彩
色が行われる(ステップS15〜S17)。
【0111】以上の取り扱いが、造形物91が不要とな
るまで繰り返し行われ(ステップS13〜S17)、1
つの造形物91を用いて様々な彩色の評価が行われる。
その結果、彩色に関する造形物91の再利用が実現され
る。
【0112】<3.2 フォトクロミック色材を用いた消
色>図13は、発色・消色装置210に実質的に彩色さ
れているが未発色状態の造形物91が搬入された様子を
示す図である。発色・消色装置210は紫外線照射部
(例えば、紫外線ランプ)211および可視光照射部2
12を有しており、紫外線照射部211からは造形物9
1に向けて紫外線が照射され、可視光照射部212から
は造形物91に向けて可視光が照射される。
【0113】発色・消色装置210に搬入される造形物
91は、造形の際に色材としてフォトクロミック色材が
混入された接着彩色液が使用される。したがって、発色
・消色装置210内で造形物91に紫外線が照射される
と、造形物91が発色して彩色が現れ、図14に示すよ
うに彩色された造形物91となる。さらに、可視光照射
部212から造形物91に可視光が照射されると、図1
3に示すように造形物91が消色される。
【0114】図15は、発色・消色装置210の使用を
前提とした場合の造形物91の取り扱いの流れを示すフ
ローチャートである。
【0115】まず、色材としてフォトクロミック色材が
混入された接着彩色液が三次元造形装置100に充填さ
れて準備される(ステップS21)。次に、接着彩色液
を用いて三次元造形装置100にて造形が行われる(ス
テップS22)。造形後、造形物91が発色・消色装置
210へと搬入され、紫外線が照射される(ステップS
23)。これにより、造形物91の接着彩色液が発色
し、彩色された造形物91となる。なお、白色のデザイ
ンも評価する場合にはステップS21の直後にデザイン
の評価が行われる。また、接着彩色液は接着液であると
ともに着色材料でもあることから、上記ステップS22
は実質的に造形物91に着色材料を付与する工程に相当
する。
【0116】彩色された造形物91は設計や彩色等のデ
ザインの評価に使用され(ステップS24)、その後、
造形物91は再び発色・消色装置210へと搬入され、
可視光が照射される(ステップS25)。これにより、
造形物91の消色が行われる。
【0117】消色後の造形物91には、人手により、再
度、彩色される(ステップS26)。彩色により、造形
の際の彩色とは異なった彩色の評価が実現され(ステッ
プS27)、彩色に関する造形物91の再利用が行われ
る。
【0118】なお、ステップS26における彩色の際
に、光触媒が混入された着色材料を使用することによ
り、再彩色が可能とされてもよい。
【0119】また、消色後、紫外線照射により再発色が
制御可能なフォトクロミック色材を使用することによ
り、後述のサーモクロミック色材の場合と同様に、造形
物91における色の濃さの度合いを変更することも可能
となる。さらに、レーザを用いて部分的に彩色が行われ
てもよい。
【0120】<3.3 サーモクロミック色材を用いた消
色および変色>図16は、発色・消色装置220に実質
的に彩色されているが未発色状態の造形物91が搬入さ
れた様子を示す図である。発色・消色装置220は送風
機221およびヒータ222を有しており、造形物91
に向けて熱風および冷風を送出することが可能とされて
いる。
【0121】発色・消色装置220に搬入される造形物
91は、造形の際に色材としてサーモクロミック色材が
混入された接着彩色液が使用される。したがって、発色
・消色装置220内で造形物91が加熱および急冷され
ると、造形物91が発色するとともに発色が固定され、
図17に示すように彩色された造形物91となる。さら
に、造形物91が加熱および徐冷されると、図16に示
すように造形物91が消色される。
【0122】図18は、発色・消色装置220の使用を
前提とした場合の造形物91の取り扱いの流れを示すフ
ローチャートである。
【0123】まず、色材としてサーモクロミック色材が
混入された接着彩色液が三次元造形装置100に充填さ
れて準備される(ステップS31)。次に、接着彩色液
を用いて三次元造形装置100にて造形が行われる(ス
テップS32)。造形後、造形物91が発色・消色装置
220へと搬入され、加熱および急冷が行われる(ステ
ップS33,S34)。これにより、造形物91の接着
彩色液が発色するとともに発色が固定され、彩色された
造形物91となる。なお、白色のデザインも評価する場
合にはステップS31の直後にデザインの評価が行われ
る。また、接着彩色液は接着液であるとともに着色材料
でもあることから、上記ステップS32は実質的に造形
物91に着色材料を付与する工程に相当する。
【0124】造形物91は設計や彩色等のデザインの評
価に使用され(ステップS35)、その後、造形物91
は再び発色・消色装置210へと搬入され、加熱および
徐冷が行われる(ステップS37,S38)。これによ
り、造形物91の消色が行われる。
【0125】消色後の造形物91には、再度、加熱およ
び急冷が行われる(ステップS33,S34)。このと
き、加熱および冷却を制御することにより、発色状態を
変更する。サーモクロミック色材の場合、このような制
御により、色の濃さや色自体の変更を行うことができ、
彩色が変更された造形物91を用いてデザインの再評価
が可能となる(ステップS35)。
【0126】その後、さらに発色変更(彩色変更)を行
うか否かが確認され(ステップS36)、発色変更を行
う場合には発色・消色装置220による発色変更が行わ
れる(ステップS37,S38,S33,S34)。
【0127】以上の取り扱いが、造形物91が不要とな
るまで繰り返し行われ(ステップS33〜S38)、1
つの造形物91を用いて様々な彩色の評価が行われる。
その結果、彩色に関する造形物91の再利用が実現され
る。
【0128】<4. 実施例および比較例>次に、三次
元造形装置100を用いて造形物91の生成を行うとと
もに彩色された造形物91を消色させるために使用した
接着彩色液の実施例および比較例について説明する。
【0129】<4.1 基本となる接着彩色液の組成>ま
ず、造形に使用した接着彩色液の組成の幾つかについて
説明する。
【0130】<白色接着彩色液X>白色の接着彩色液X
として、表1に示す組成を有する接着彩色液を作成し
た。なお、以下の実施例および比較例において酸化チタ
ンは日本アエロジル社のP25を使用した。
【0131】
【表1】
【0132】<染料系の接着彩色液A>染料系の接着彩
色液として、表2〜表5に示す組成を有する各色の接着
彩色液を作成した。
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】なお、酸化チタンを除く表2〜表5に示す
成分を混合溶解した後、ポアサイズが0.22μmのメ
ンブレンフィルタにて加圧濾過し、最後に、光触媒用の
酸化チタンを加えてpHを9に調整してブラック、イエ
ロー、マゼンダ、シアンの接着彩色液を得た。
【0138】造形に際しては、イエロー、マゼンダ、シ
アンの接着彩色液および白色接着彩色液Xを接着彩色液
Aとして使用した。なお、ブラックの接着彩色液は鮮鋭
な黒色を再現する際に別途使用されるものである(以下
の接着彩色液のセットについても同様)。
【0139】<染料系の接着彩色液B>表6に示す染料
を用いたという点以外は、接着彩色液Aと同様にして各
色の接着彩色液を調整し、イエロー、マゼンタ、シアン
の接着彩色液および上記白色接着彩色液Xを接着彩色液
Bとして使用した。
【0140】
【表6】
【0141】<顔料系の接着彩色液C>顔料系の接着彩
色液の作成に際し、まず、表7中のポリビニルピロリド
ン、グリセリンおよび蒸留水を混合し、ウォーターバス
で70°Cに加熱して完全に溶解させた。この溶液に色
材およびイソプロピルアルコールを加え、30分間プレ
ミキシングを行った後、さらに、遠心分離処理を行って
粗大粒子を除去したものを分散液として生成した。
【0142】
【表7】
【0143】続いて、表8に示す組成比にて混合を行
い、各色の接着彩色液を得た。そして、イエロー、マゼ
ンタ、シアンの接着彩色液および上記白色接着彩色液X
を接着彩色液Cとして使用した。
【0144】
【表8】
【0145】なお、ブラック、イエロー、マゼンタ、シ
アンの色材としては、表9に示すものを使用した。
【0146】
【表9】
【0147】<フォトクロミック色材を有する接着彩色
液D>表10に示す成分を混合し、黒、赤、緑、青の各
色の接着彩色液を作成した。なお、各色の色材として
は、表11に示すようにジアリールエテン系フォトクロ
ミック色素(無色の前駆体)を使用した。これらのう
ち、赤、緑、青の接着彩色液と白色接着彩色液Xを接着
彩色液Dとした。
【0148】なお、ジアリールエテン系フォトクロミッ
ク色素は紫外線により発色し、可視光により無色化され
る。
【0149】
【表10】
【0150】
【表11】
【0151】<サーモクロミック色材を有する接着彩色
液E>表12に示す成分を混合し、黒、赤、緑、青の各
色の接着彩色液を作成した。なお、各色の色材として
は、表13に示すようにロイコ系感熱色素(無色の前駆
体)を使用した。これらのうち、赤、緑、青の接着彩色
液と白色接着彩色液Xを接着彩色液Dとした。
【0152】なお、ロイコ系感熱色素の無色の前駆体と
固体酸(顕色剤)と含む各接着彩色液は、加熱により固
体酸が溶融されて発色し、急冷により発色が固定され
る。また、再加熱により溶融状態とし、徐冷することに
より消色される。
【0153】
【表12】
【0154】
【表13】
【0155】<着色材料>接着彩色液は粉末を接着する
とともに着色を行う液であるが、以上に説明した接着彩
色液の組成から接着剤を除くことにより(ただし、接着
剤は含まれていてもよい。)、造形物を着色する着色材
料を作成することができる。これらの着色材料を造形物
に塗布することにより、消色または変色可能に造形物を
彩色することができる。
【0156】色材と酸化チタンとを有する消色可能な着
色材料は、例えば、図12に示したステップS15にお
ける彩色工程に利用することができる。
【0157】また、造形物にクロミック色材を有する着
色材料を塗布することにより、造形物の発色、変色およ
び消色が可能となり、様々な彩色状態の造形物をデザイ
ン評価に利用することができる。
【0158】<4.2 実施例>各種接着彩色液を既述の
三次元造形装置100に装填し、粉末造形法による造形
を行い、消色装置200による消色、または、発色・消
色装置210,220による発色および消色を行った。
【0159】<実施例1>接着彩色液Aを用いて造形を
行った。
【0160】<実施例2>接着彩色液Bを用いて造形を
行った。
【0161】<実施例3>接着彩色液Cを用いて造形を
行った。
【0162】<実施例4>接着彩色液Dを用いて造形を
行った。
【0163】<実施例5>接着彩色液Eを用いて造形を
行った。
【0164】<実施例6>接着彩色液Aの色材を2質量
パーセント(重量パーセント)から5質量パーセントへ
変更して造形を行った。なお、変更した成分および蒸留
水の質量パーセントのみを変更し、他の成分の質量パー
セントは維持するものとする(以下の実施例および比較
例において同様)。
【0165】<実施例7>接着彩色液Aの色材を2質量
パーセントから0.1質量パーセントへ変更して造形を
行った。
【0166】<実施例8>接着彩色液Aの酸化チタンを
5質量パーセントから10質量パーセントへ変更して造
形を行った。
【0167】<実施例9>接着彩色液Aの酸化チタンを
5質量パーセントから0.2質量パーセントへ変更して
造形を行った。
【0168】<実施例10>接着彩色液Aの接着剤を2
質量パーセントから5質量パーセントへ変更して造形を
行った。
【0169】<実施例11>接着彩色液Aの接着剤を2
質量パーセントから0.1質量パーセントへ変更して造
形を行った。
【0170】<4.3 比較例>実施例と比較するために
以下の比較例を実施した。
【0171】<比較例1>接着彩色液Aの接着剤を2質
量パーセントから7質量パーセントへ変更して造形を行
った。
【0172】<比較例2>接着彩色液Aの接着剤を2質
量パーセントから0.05質量パーセントへ変更して造
形を行った。
【0173】<比較例3>接着彩色液Aの接着剤を2質
量パーセントから0質量パーセントへ変更して造形を行
った。
【0174】<比較例4>接着彩色液Aの色材を2質量
パーセントから6質量パーセントへ変更して造形を行っ
た。
【0175】<比較例5>接着彩色液Aの色材を2質量
パーセントから0.05質量パーセントへ変更して造形
を行った。
【0176】<比較例6>接着彩色液Aの酸化チタンを
5質量パーセントから12質量パーセントへ変更して造
形を行った。
【0177】<比較例7>接着彩色液Aの酸化チタンを
5質量パーセントから0.1質量パーセントへ変更して
造形を行った。
【0178】<比較例8>接着彩色液Aの酸化チタンを
5質量パーセントから0質量パーセントへ変更して造形
を行った。
【0179】<比較例9>接着彩色液Cの酸化チタンを
5質量パーセントから12質量パーセントへ変更して造
形を行った。
【0180】<比較例10>接着彩色液Cの酸化チタン
を5質量パーセントから0.1質量パーセントへ変更し
て造形を行った。
【0181】<比較例11>接着彩色液Cの酸化チタン
を5質量パーセントから0質量パーセントへ変更して造
形を行った。
【0182】<4.4 評価結果>各実施例および比較例
による造形物の彩色濃度、消色の程度、ノズル詰まりの
有無、造形物の成型性に関する評価結果を表14および
表15に示す。
【0183】
【表14】
【0184】
【表15】
【0185】表14および表15において、彩色濃度に
ついては、作成した造形物(クロミック色材を用いたも
のは発色後の造形物)を撮影して取り込んだデジタル画
像データにより評価を行った。彩色濃度の欄では、所望
の彩色濃度が十分にある場合には記号○、所望の彩色濃
度がない場合には記号×を付している。
【0186】消色程度については、作成した造形物を紫
外線照射、可視光照射または加熱・徐冷を行って消色さ
せ、消色した造形物を撮影して取り込んだデジタル画像
データにより評価を行った。消色程度の欄では、完全に
消色する場合には記号○、消色するが消色しない部分が
ある場合には記号△、ほとんど消色しない場合には記号
×を付している。
【0187】ノズル詰まりについては、各接着彩色液を
100回連続吐出し、吐出口の目詰まりを評価した。ノ
ズル詰まりの欄では、最後まで吐出が良好に行われて目
詰まりの発生がなかった場合には記号○、目詰まりが発
生するが程度が軽く、クリーニング作業で回復する場合
には記号△、途中で目詰まりが発生して吐出が不可能な
場合には記号×を付している。
【0188】成型性については、造形物に扇風機で一定
の力を加え、造形物の崩壊の程度を目視により評価し
た。成型性の欄では、ほとんど崩壊しない場合には記号
○、多少崩壊するがかなりの部分が崩壊しない場合には
記号△、完全に崩壊する場合には記号×を付している。
【0189】表14および表15より、色材、酸化チタ
ン、接着剤に関して次のような結論を導くことができ
る。
【0190】まず、実施例7と比較例5とを比較する
と、接着彩色液に色材を約0.1質量パーセントよりも
多く含ませることにより、彩色濃度に問題が生じないと
いえる。そして、実施例6と比較例4とを比較すると、
接着彩色液に色材を約5質量パーセントよりも少なく含
ませることによりノズル詰まりも生じないといえる。
【0191】なお、ノズル詰まりは粉末にノズルから接
着彩色液を吐出する三次元造形装置100に特有の問題
であり、ノズルを用いずに粉末に接着彩色液を供給する
場合には色材の濃度はより高くてもよい。ただし、通
常、色材は6質量パーセント以下とすべきことから、接
着彩色液に含まれる色材の濃度は約0.1〜6質量パー
セントが好ましいといえる。そして、三次元造形装置1
00に使用する場合には、約0.1〜5質量パーセント
とすることが好ましい。
【0192】光分解性の酸化チタンを用いて消色を行う
場合、実施例9と比較例7や比較例10とを比較する
と、接着彩色液に酸化チタンを約0.2質量パーセント
よりも多く含ませることにより、消色に問題が生じない
といえる。そして、実施例8と比較例6や比較例9とを
比較すると、接着彩色液に酸化チタンを約10質量パー
セントよりも少なく含ませることによりノズル詰まりも
生じないといえる。
【0193】なお、ノズル詰まりは三次元造形装置10
0特有の問題であり、ノズルを用いずに粉末に接着彩色
液を供給する場合には酸化チタンの濃度はより高くても
よい。ただし、通常、酸化チタンは15質量パーセント
以下とすべきことから、接着彩色液に含まれる酸化チタ
ンの濃度は約0.2〜15質量パーセントが好ましいと
いえる。そして、三次元造形装置100に使用する場合
には、約0.2〜10質量パーセントとすることが好ま
しい。
【0194】接着剤については、実施例11と比較例2
とを比較すると、接着彩色液に接着剤を約0.1質量パ
ーセント以上含ませることにより、成型性に問題が生じ
ないといえる。そして、実施例10と比較例1とを比較
すると、接着彩色液に接着剤を約5質量パーセントより
も少なく含ませることによりノズル詰まりも生じないと
いえる。
【0195】なお、ノズル詰まりは三次元造形装置10
0特有の問題であり、ノズルを用いずに粉末に接着彩色
液を供給する場合には接着剤の濃度はより高くてもよ
い。ただし、通常、接着剤は9質量パーセント以下とす
べきことから、接着彩色液に含まれる接着剤の濃度は約
0.1〜9質量パーセントが好ましいといえる。そし
て、三次元造形装置100に使用する場合には、約0.
1〜5質量パーセントとすることが好ましい。
【0196】ただし、表14および表15に示す接着剤
の濃度は、希釈成分を含まない接着剤の濃度をいい、接
着作用を発揮する成分の濃度に相当する。
【0197】また、上記評価のうち、ノズル詰まりに関
する評価は、三次元造形装置100のノズルの吐出口の
大きさにも依存することから、吐出口の直径が実施例に
使用した三次元造形装置100のノズルの吐出口の大き
さ(直径30μm)よりも大きい場合には、各成分の上
限をより高く設定することができる。さらに、ノズル詰
まりの影響を除いた場合の色材、酸化チタン、接着剤の
上限値もおよその値であり、種類や品質に応じてさらに
高い値に設定することも可能である。
【0198】接着剤を含まない(あるいは、微少量だけ
含む)着色のための着色材料を考えた場合においても、
彩色および消色程度の評価に基づいて、色材については
約0.1〜6質量パーセントが好ましいといえ、酸化チ
タンに代表される光触媒については約0.2〜15質量
パーセントとすることが好ましいといえる。
【0199】<5. 変形例>以上、本発明に係る実施
の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形
態に限定されるものではなく、様々な変形が可能であ
る。
【0200】例えば、三次元造形装置100では、接着
彩色液を利用するようになっているが、接着剤を含まな
い消色または変色可能な着色材料と無色透明な接着液と
が個別に吐出されることにより、粉末造形が行われるよ
うになっていてもよい。
【0201】また、粉末造形は三次元造形装置100の
ようにブレードを利用するものではなく、ローラなどが
利用されてもよい。
【0202】また、造形方法もどのようなものが採用さ
れてもよく、例えば、紙を積層して三次元造形物を造形
する方法に消色または変色可能な接着彩色液が使用され
てもよい。
【0203】もちろん、既述のように、造形後に消色ま
たは変色可能な着色材料を用いて着色が行われてもよ
く、この場合、造形物の作成方法は任意のものが利用可
能である。例えば、光造形法が利用されてもよく、溶融
した樹脂を吐出して積み重ねる樹脂溶融法が利用されて
もよい。
【0204】
【発明の効果】請求項1ないし8の発明では、彩色に関
して三次元造形物を再利用することができる。これによ
り、例えば、1つの三次元造形物を用いて異なる彩色に
関する評価が可能となる。
【0205】また、請求項2の発明では、光を照射する
ことにより三次元造形物を消色することができる。
【0206】また、請求項3および4の発明では、消色
を効率よく行うことができる。
【0207】また、請求項5ないし7の発明では、適切
に彩色および消色を行うことができる。
【0208】また、請求項8の発明では、適切に彩色、
並びに、消色または変色を行うことができる。
【0209】請求項9の発明では、彩色に関して三次元
造形物を再利用することができる。
【0210】また、請求項10の発明では、適切に彩色
および消色を行うことができる。
【0211】請求項11および12の発明では、彩色に
関して三次元造形物を再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】三次元造形装置を示す概略図である。
【図2】三次元造形装置の動作の概要を説明するフロー
チャートである。
【図3】(a)ないし(c)は断面データの生成の様子
の一例を示す図である。
【図4】(a)ないし(c)は断面データ(形状デー
タ)の他の例の生成の様子を示す図である。
【図5】(a)ないし(c)は三次元造形装置の動作を
説明する概念図である。
【図6】(a)は三次元造形物を示す断面図であり、
(b)は部分拡大図である。
【図7】シアンについての階調表現の一例を示す図であ
る。
【図8】淡いシアンから淡いイエローへ変化する表現の
一例を示す図である。
【図9】(a)および(b)は彩色の一例を示す図であ
る。
【図10】消色装置を示す斜視図である。
【図11】消色装置を示す斜視図である。
【図12】造形物の取り扱いの流れを示すフローチャー
トである。
【図13】発色・消色装置を示す斜視図である。
【図14】発色・消色装置を示す斜視図である。
【図15】造形物の取り扱いの流れを示すフローチャー
トである。
【図16】発色・消色装置を示す斜視図である。
【図17】発色・消色装置を示す斜視図である。
【図18】造形物の取り扱いの流れを示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
21 タンク部 91 三次元造形物 100 三次元造形装置 200 消色装置 210,220 発色・消色装置 S11,S12,S15〜S17,S21,S22,S
25,S31〜S34,S37,S38 ステップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F213 AB12 AC04 WA25 WB01 WL02 WL15 WL21 WL26 WL32 WL67 WL96 4J040 DD021 DD071 DF011 DF041 DH031 EG001 HA126 HA136 HA246 HA256 HB09 HB11 JA03 KA14 KA23 KA35 MA01 MA07 MA09 MA10 MB07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末材料を接着することにより三次元造
    形物を生成する際に使用される接着液であって、 接着剤と、 消色または変色可能な色材と、を有することを特徴とす
    る接着液。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の接着液であって、 消色用の光触媒をさらに有することを特徴とする接着
    液。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の接着液であって、 前記色材が、有機系色材であることを特徴とする接着
    液。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の接着液であっ
    て、 前記光触媒が、光分解性酸化チタンを有することを特徴
    とする接着液。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし4のいずれかに記載の接
    着液であって、 前記色材を約0.1〜6質量パーセント有することを特
    徴とする接着液。
  6. 【請求項6】 請求項2ないし4のいずれかに記載の接
    着液であって、 前記光触媒を約0.2〜15質量パーセント有すること
    を特徴とする接着液。
  7. 【請求項7】 請求項2ないし4のいずれかに記載の接
    着液であって、 前記接着剤を約0.1〜9質量パーセント有することを
    特徴とする接着液。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の接着液であって、 前記色材が、クロミック色材を有することを特徴とする
    接着液。
  9. 【請求項9】 三次元造形物を着色する着色材料であっ
    て、 光分解性酸化チタンと、 前記光分解性酸化チタンにより消色可能な色材と、を有
    することを特徴とする着色材料。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の着色材料であって、 前記光分解性酸化チタンを約0.2〜15質量パーセン
    ト有することを特徴とする着色材料。
  11. 【請求項11】 再利用される三次元造形物を着色する
    着色方法であって、 (a) 消色または変色可能な着色材料を準備する工程と、 (b) 前記着色材料を三次元造形物に付与する工程と、を
    有することを特徴とする着色方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の着色方法であっ
    て、前記工程(b)の後に、 (c) 前記三次元造形物が有する前記着色材料を消色また
    は変色させる工程、をさらに有することを特徴とする着
    色方法。
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