JP2002001005A - 共沸蒸留方法 - Google Patents

共沸蒸留方法

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JP2002001005A
JP2002001005A JP2000187428A JP2000187428A JP2002001005A JP 2002001005 A JP2002001005 A JP 2002001005A JP 2000187428 A JP2000187428 A JP 2000187428A JP 2000187428 A JP2000187428 A JP 2000187428A JP 2002001005 A JP2002001005 A JP 2002001005A
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azeotropic
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Motomiki Numata
元幹 沼田
Takayuki Isogai
隆行 磯貝
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Mitsubishi Chemical Corp
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    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/34Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping with one or more auxiliary substances
    • B01D3/36Azeotropic distillation

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新たな指標をもとに、制御された、より安定
性の高い共沸蒸留方法を提供する。 【解決手段】 蒸留対象溶液を、共沸蒸留塔でエントレ
ーナーを用いて蒸留し、エントレーナーを含む共沸成分
を塔頂液として回収し、共沸成分の含有量が低減された
液体を缶出液として回収する共沸蒸留方法に於いて、共
沸領域が共沸蒸留塔内の決められた範囲となるようにエ
ントレーナー滞留量の目標値を予め設定し、共沸蒸留塔
内に於けるエントレーナー実滞留量を求め、該実滞留量
が該目標値となるように蒸留塔の運転条件を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共沸蒸留方法に関
し、更に詳しくは、エントレーナー滞留量を指標として
蒸留塔の運転条件を制御して共沸蒸留を行う方法に関す
る。本発明の適用例としては、脂肪族カルボン酸を含む
反応媒質中で芳香族カルボン酸を製造する方法に於い
て、製造中に生成した水と該脂肪族カルボン酸を含む蒸
気を反応器から一部取り出し、該蒸気の凝縮液から該脂
肪族カルボン酸を回収することを目的として、エントレ
ーナーの滞留量を指標として蒸留塔の運転条件を制御
し、凝縮液中の水を共沸蒸留により分離する蒸留方法が
挙げられる。
【0002】
【従来の技術】共沸蒸留方法に於いては、分離が困難な
物質からなる混合物に、これらのいずれかと共沸混合物
を形成するような物質が添加されることにより、蒸留の
分離性が向上される。共沸蒸留方法の工業的適用例とし
ては、(1)水と共沸混合物を形成する酢酸n−プロピ
ルまたは酢酸n−ブチルを添加することによって酢酸と
水の混合液から純度の高い酢酸を得る方法、(2)シク
ロヘキサンと共沸混合物を形成するアセトンを添加する
ことによってベンゼンとシクロヘキサンの混合液から純
度の高いベンゼンを得る方法、(3)パラフィンと共沸
混合物を形成するメタノールを添加することによってト
ルエンとパラフィンの混合液から純度の高いトルエンを
得る方法、(4)水とブタノールの混合液の共沸蒸留に
よって純度の高いブタノールを得る方法等が挙げられ
る。
【0003】上記した共沸蒸留方法の適用が考えられる
産業分野の一つとして、芳香族カルボン酸の製造が挙げ
られる。より詳しくは、該芳香族カルボン酸製造プロセ
スからの反応媒質回収過程に於いて、共沸蒸留方法の適
用が可能である。テレフタル酸に例示される芳香族カル
ボン酸の製造は、一般に、酢酸に例示される脂肪族カル
ボン酸を含む反応媒質中で実施されるが、該工程中に於
いて水が生成するので、水が反応系中に蓄積するのを防
ぐ必要がある。このため、反応器より脂肪族カルボン酸
と水の混合した蒸気を取り出し、この蒸気の凝縮液を含
む供給流を蒸留して水を脂肪族カルボン酸から分離し、
この脱水された脂肪族カルボン酸の少なくとも一部を反
応原料液調整槽へ再循環する。脂肪族カルボン酸の中、
上記反応媒質として広く使用されている酢酸について注
目すると、通常、酢酸からの水の分離には精留が用いら
れるが、設備費及び変動費次第では共沸蒸留の方が有利
となる。
【0004】共沸蒸留の技術開発の主要な観点は、分離
性、制御性、還流比低減、回収塔頂液の後処理に大別さ
れる。一般に、還流比が大きければ運転安定性が良く、
還流比を小さくするにつれ運転安定性は次第に悪くな
る。更に、還流比がある限界値以下となると、共沸蒸留
自体の分離性が急激に悪化する。この限界値は一般に最
小還流比と呼ばれ、その値は、供給液組成、エントレー
ナーの種類、給液位置、給液ラインの数、還流液を戻す
方法、エントレーナーを戻す方法等によって異なる。非
常に高い還流比で運転を行えば、制御性及び分離性を満
足させることは容易であるが、このような運転は経済的
に不利であるので、実際には還流比を最小還流比に極力
近づけた運転が行われている。
【0005】例えば、水と酢酸の混合液から共沸蒸留に
より酢酸を得る場合に於いても、共沸蒸留塔底からの取
り出し液(以下これを、「缶出液」と称する)の純度を
実際に要求される水準にするためには一定以上の分離性
が必要である。一方、経済的な要請からは還流比の低減
が求められる。還流比を低減させると分離性が低下する
傾向にあり、また、分離性を保ったまま還流比を低減さ
せると制御性に乏しくなる傾向にある。実際に、水還流
比と最小水還流比の差が1.0以下になると安定性は悪
化し始め、さらに0.5では悪化の程度が増大し、0.
3では安定性が非常に悪くなる。運転安定性が悪くなる
と、運転の変動による塔頂液中への酢酸の混入、もしく
は缶出液へのエントレーナーの混入といった好ましくな
い結果を招く。
【0006】酢酸と水の分離のための共沸蒸留方法につ
いては、特公昭62−41219号、WO98−452
39号、特表平10−504556号、特公昭61−3
1091号等各公報にも開示されている。特公昭62−
41219号公報には、共沸蒸留塔の凝縮蒸気を液液分
離した後に、水相側に同伴される油相成分を低減させる
方法として、水相液をストリッピングすることが提案さ
れている。しかし、通常、水相液は廃棄されるため、油
相成分が混入することは変動費上および環境上好ましく
ない。また、WO98−45239号公報ではエントレ
ーナーからの不純物除去のための改良方法として、共沸
蒸留塔頂蒸気の部分的凝縮を行い、未凝縮蒸気中のエン
トレーナーと水相の蒸留を連続塔内で実施するという方
法が提案されている。これらはいずれも共沸蒸留塔頂か
らの回収蒸気を後処理する工程に関する改良方法であ
り、共沸蒸留塔の制御操作に関しては従来のままで、制
御性を向上させる技術は開示されていない。特表平10
−504556号公報は、共沸蒸留塔頂からの回収蒸気
を凝縮させた供給流を共沸領域に供給することによって
水還流を省略する方法を提案している。水還流量が下が
ると共沸蒸留塔の使用熱量を低減できるため設備費およ
び変動費の利点が見込まれる。制御の面では水還流を塔
中段へ戻し、その量の操作で塔底水濃度の制御を行うと
いう提案が同時になされている。ただしこれらは、共沸
蒸留塔底からの取り出し液に含まれるエントレーナーの
量、または、塔頂液に含まれる酢酸の量を制御する観点
からの改良方法を与えるものではない。
【0007】従って、上記の缶出液中のエントレーナー
量、及び、塔頂液中の不純物量を所望する範囲に抑え
る、或いは、低減することと、経済的要求との両立を可
能にする制御方法が求められてきた。特公昭61−31
091号公報はエントレーナーの循環流を分割して一方
は塔頂に、他方は塔中段に戻すことで、運転条件を変更
した効果が反映され易く、応答性の高められた制御方法
を提案している。具体的には、塔内の温度測定、若しく
は、エントレーナー、酢酸または水の濃度検出を行い、
これらの中いずれかの変化に応じて塔中段へのエントレ
ーナーの流量を変えることで安定性を向上させる技術が
開示されている。ただしこの効果は、エントレーナー流
を分割して初めて達成されるものであり、共沸蒸留プロ
セスに於いて特殊な流路を必要とするため、汎用性に乏
しい。また、同公報で開示された方法では、エントレー
ナーの流量を如何に調節するかを、塔内の温度またはエ
ントレーナー濃度の変化そのものを指標として判断して
いる。しかしながら、本発明者らの検討によれば、経済
的な要求により還流比を下げた運転を行う際、エントレ
ーナー流量を調節した効果がこれらの指標に反映される
にかなりの時間を要するために、流量調節の際に流量の
変更を過度に行う傾向にあり、また、塔内の温度分布が
エントレーナーの流量変更履歴に依存して不規則に変動
する傾向にあるため、安定な運転を行うのが非常に困難
である。
【0008】上記した水と酢酸の分離を目的とした共沸
蒸留方法の例にみられるように、共沸蒸留の分離性、制
御性、還流比低減等を両立させつつ向上させるのは、大
変困難であり、重要な技術的課題の一つである。特に、
還流比を低く抑えて安定な運転を行うために、上記に例
示された温度分布、エントレーナー等の濃度変化に代わ
る指標が必要とされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、係る事情を
鑑みてなされたものであって、新たな指標をもとに制御
された、より安定性の高い共沸蒸留方法を提供しようと
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは共沸蒸留の
制御操作に於いて、共沸蒸留塔内に於けるエントレーナ
ー実滞留量を算出し、該エントレーナー実滞留量を目標
値に保つよう共沸蒸留塔の運転条件を制御を行うことに
よって、共沸蒸留塔内の温度または濃度そのものを指標
としてエントレーナーの流量を調節する従来の方法に比
べ、大幅に安定な運転が、プロセスに特殊な流路増設せ
ずに達成できることを見いだした。本発明はこれらの知
見に基づいて成し遂げられたものである。すなわち本発
明の要旨は、蒸留対象溶液を、共沸蒸留塔でエントレー
ナーを用いて蒸留し、エントレーナーを含む共沸成分を
塔頂液として回収し、共沸成分の含有量が低減された液
体を缶出液として回収する共沸蒸留方法に於いて、共沸
領域が共沸蒸留塔内の決められた範囲となるようにエン
トレーナー滞留量の目標値を予め設定し、共沸蒸留塔内
に於けるエントレーナー実滞留量を求め、該実滞留量が
該目標値となるように蒸留塔の運転条件を制御すること
を特徴とする共沸蒸留方法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に於いて、「蒸留対象溶液」とは、精製目
的物質と濃度を低減させたい不純物からなる混合溶液
を、「エントレーナー」とは共沸蒸留を行うために加え
る第三成分を意味する。また、「共沸領域」とは、その
領域内で液相として存在する組成全体の中でエントレー
ナーの濃度が少なくとも0.1重量%である領域を表
し、「共沸領域の範囲」とは、共沸蒸留塔内で共沸領域
となっている空間部位を意味する。また、本発明に於い
て、「共沸蒸留塔」とは、上記の蒸留対象溶液及びエン
トレーナーを蒸留する蒸留塔を意味し、「共沸蒸留塔に
付属するエントレーナー循環部」とは、エントレーナー
を回収して共沸蒸留塔にリサイクルすることを目的とし
た装置部分を指す。更に、本発明に於いて、「エントレ
ーナー滞留量」とは、共沸蒸留を行う蒸留塔内部に於け
る上記エントレーナーの滞留量を意味し、特に「エント
レーナー実滞留量」とは、共沸蒸留塔の運転に際して、
その時点で蒸留塔内部に滞留している上記エントレーナ
ーの量を実際に各種データを基に算出した値を意味す
る。また、「エントレーナー滞留量の目標値」とは、共
沸蒸留塔の運転に際して、蒸留塔内部に滞留させるべき
エントレーナー量の目標値または目標範囲を意味する。
【0012】まず、蒸留対象溶液とエントレーナーにつ
いて説明する。本発明に於ける蒸留対象溶液とは、精製
目的物質と濃度を低減させたい不純物からなる混合溶液
であって、更に添加するエントレーナーと該不純物が共
沸混合物を生成し、且つ、その共沸温度が目的物質の沸
点よりも低いものであれば、特に制限はない。また、更
に、本共沸蒸留に本質的に影響を与えないような物質を
含んでいてもよい。本発明に於けるエントレーナーと
は、その効果を発現する限り特に制限はない。
【0013】経済的要請からエントレーナーは回収する
ことが好ましい。このエントレーナー回収過程を考慮す
ると、蒸留対象溶液とエントレーナーの組合せとして
は、蒸留対象溶液中に含まれる不純物とエントレーナー
とが液相状態で均一に混じり合わないような不均一共沸
混合物を与えるものが好ましい。また、水とブタノール
の混合液の共沸蒸留によってブタノールを濃縮する例に
みられるように、精製目的物質自体をエントレーナーと
して作用させることも可能である。しかしながら、共沸
蒸留を安定に制御する指標の精度を鑑みると、エントレ
ーナーは精製目的物質とは異なる化合物であることが望
ましい。
【0014】蒸留対象溶液とエントレーナーについて、
本発明を適用するのに好ましい組合せとしては、(i)
精製目的物質が、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の脂肪族
カルボン酸であり、濃度を低減させたい不純物が水であ
り、エントレーナーが、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブ
チル等の脂肪族カルボン酸エステルであるような共沸蒸
留方法、(ii)精製目的物質がベンゼン、トルエン等
の芳香族炭化水素であり、濃度を低減させたい不純物が
シクロヘキサン等のパラフィンであり、エントレーナー
がメタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級
アルコール、若しくは、アセトン、メチルエチルケト
ン、ニトロメタン等の極性含酸素有機化合物であるよう
な共沸蒸留方法等が挙げられる。中でも、(iii)精
製目的物質が酢酸、濃度を低減させたい不純物が水、エ
ントレーナーが酢酸n−プロピルまたは酢酸n−ブチル
であるような共沸蒸留方法、(iv)精製目的物質がベ
ンゼン、濃度を低減させたい不純物がシクロヘキサン、
エントレーナーがアセトンであるような共沸蒸留方法、
及び、(v)精製目的物質がトルエン、濃度を低減させ
たい不純物がパラフィン、エントレーナーがメタノール
であるような共沸蒸留方法等が特に好ましい。
【0015】次に、共沸蒸留塔、及び該共沸蒸留塔に付
属するエントレーナー循環部について説明する。本発明
に於ける共沸蒸留塔とは、充填塔または棚段塔のいずれ
であってもよい。蒸留対象溶液の供給位置は特に制限さ
れないが、通常、共沸蒸留塔の中段であり、段効率の最
適化のために塔内組成を勘案して最適位置を決めればよ
い。該共沸蒸留塔の運転は常圧下、加圧下、あるいは減
圧下のいずれの条件下でも実施でき、その方式は回分式
でも連続式でもよい。より好ましくは、常圧下に連続式
に実施される。
【0016】該共沸蒸留によって、塔底からは不純物濃
度の低減された精製目的物質を含む缶出液が得られ、塔
頂からは主に不純物とエントレーナーより成る共沸混合
物の蒸気が得られる。塔頂から得られた蒸気は通常凝縮
され、不純物とエントレーナーとに分離される。該分離
手段としては、目的が達せられれば特に限定されない
が、不純物とエントレーナーが均一に混じり合わないよ
うな組合せの場合、該凝縮液はデカンターによる液液分
離等が例示される。分離された2相のうち、エントレー
ナーを主とする相は共沸蒸留塔へリサイクルされる。エ
ントレーナーを戻す方法には、塔頂に全量戻す方法と、
一部分割して塔中段に戻す方法とがある。一方、不純物
を主とする相はその一部が廃棄され、残りが還流液とし
て共沸蒸留塔へ戻される。還流液を戻す方法には、例え
ば、塔頂に戻す方法と塔中段に戻す方法がある。エント
レーナーはロス分の補償として新しく供給してもよい。
【0017】該共沸蒸留によって濃度を低減させたい不
純物や精製目的物質以外の第四成分がエントレーナーを
主とする相に蓄積するような場合は、該相は別の蒸留塔
へ送られ上記蓄積物を除去した後に共沸蒸留塔へ戻され
る。また、WO98−45239号公報に記載のように
共沸蒸留塔頂蒸気の部分的凝縮を行い、残りの未凝縮蒸
気の蒸留を連続塔内で実施するという方法で不純物を除
去してもよい。
【0018】また、特公昭61−31091号公報に記
載のように、エントレーナーの循環流を分割して一方は
塔頂に、他方は塔中段に戻すことで、運転条件を変更し
た効果が反映され易くし、応答を速めた方法を用いても
よい。更に、特表平10−504556号公報に記載の
ように、還流液を塔中段へ戻し、その量の操作で塔底に
於ける不純物濃度の制御を行うという方法にも用いるこ
とができる。
【0019】本発明の方法が適用可能な共沸蒸留プロセ
スの一態様を図1に示す。共沸蒸留によって濃度を低減
させたい不純物、およびエントレーナーを含む共沸混合
蒸気は、共沸蒸留塔1の塔頂より冷却器12に送られ、
ここで凝縮され、液液分離槽2で2相に分離される。分
離手段は共沸混合物の性質により適切なものが選ばれ
る。該共沸混合物が液相で2相に分離しない場合は、エ
ントレーナーを分離する工程として蒸留塔等を設置す
る。図1に示すプロセスに於いては、液液分離槽2で分
離される液のうち、エントレーナーを主成分とする相
は、ライン9を通り、蓄積不純物除去のために蒸留塔3
へ供給され、蓄積不純物濃度の低減された液が蒸留塔3
の塔底より回収される。該液はライン10を通り、エン
トレーナー回収槽4に溜められライン14を通って共沸
蒸留塔1へ戻される。蒸留塔3および槽4は設置するの
が好ましいが必須ではない。他方、共沸蒸留によって濃
度を低減させたい不純物を主成分とする相は、所望する
還流比を達成するために、その一部がライン6を通って
共沸蒸留塔1へ戻される。他の一部はライン15を通
り、必要に応じて設置された処理設備を経て廃棄または
該プロセス外で再利用される。ライン6およびライン1
4は共沸蒸留塔1の塔頂または塔中段に所望に応じて接
続され、本数は1本または複数のいずれであっても良
い。また、共沸蒸留塔1に戻るラインに於いて、エント
レーナーを主成分とする液と、共沸蒸留によって濃度を
低減させたい不純物を主成分とする液とを共沸蒸留塔1
に戻すのに際しては、共通のラインを使用しても良いし
個別でも良い。蒸留対象溶液はライン7より共沸蒸留塔
1へ供給される。ライン7の位置は所望に応じて設定さ
れ本数は1本または複数のいずれであっても良い。ま
た、共沸蒸留塔1の塔底より精製目的物質を主成分とす
る液が得られる。
【0020】本発明に於いては、該共沸領域を共沸蒸留
塔内の決められた範囲となるように制御することによっ
て、安定な運転を実現する。実際には、共沸蒸留塔内に
於けるエントレーナー実滞留量を求め、共沸領域が共沸
蒸留塔内の決められた範囲となるようなエントレーナー
滞留量の目標値を予め設定し、共沸蒸留塔内に於けるエ
ントレーナー実滞留量を該目標値に制御する。
【0021】共沸蒸留塔に於けるエントレーナー滞留量
としては、実滞留量の絶対値を厳密に測定する必要はな
い。厳密に一致していると、算出したエントレーナー滞
留量と分離状態の関係が常に厳密に1対1で対応すると
いう効果がある。ただし、実際の分離結果もしくは代替
の塔内温度分布によって、適宜、エントレーナー滞留量
と分離の関係を補正すればエントレーナー滞留量と分離
の関係を適正に保つことができる。従って、共沸蒸留塔
内に於けるエントレーナー実滞留量の変化をとらえるこ
とができれば、たとえ算出したエントレーナー滞留量と
実滞留量の絶対値が厳密に一致していなくても、分離を
最適な状態に保つという本発明の目的を達成できる。
【0022】本発明に於いて、共沸蒸留塔内に於けるエ
ントレーナー実滞留量を求める方法について説明する。
該目的のためには、例えば、以下に示す3つの手法を用
いることができる。その1つとして、共沸蒸留塔1から
出て行くエントレーナー量と共沸蒸留塔1に入ってくる
エントレーナー量の差を計測してエントレーナー実滞留
量を算出する。たとえば、図1に於いて、ライン5とラ
イン8を出ていくエントレーナー量と、ライン6とライ
ン7とライン14から共沸蒸留塔1に入ってくるエント
レーナー量の差から算出される。装置に応じて共沸蒸留
塔に接続されるラインが増えれば、都度、入りと出に分
類してエントレーナー量の推定に積算する。ただし、含
有するエントレーナーが微量であるライン、たとえばラ
イン6とライン7とライン8に関しては計算を省略する
こともできる。また、ライン5の蒸気が凝縮したライン
11の液は、ライン5の流量はライン9の流量と分離槽
2に滞留するエントレーナー量で代用することも可能で
ある。また、各ラインに於けるエントレーナーの流量
は、各ラインで必要に応じて測定したエントレーナー組
成と、測定した流量より求める。組成の測定は、サンプ
ルを分取しガスクロマトグラフィー等で分析する方法、
検出端をラインに設置しスペクトルを測定する方法等で
実施する。
【0023】また、共沸蒸留塔内に於けるエントレーナ
ー実滞留量を算出する第2の方法として、エントレーナ
ー循環部に於けるエントレーナー実滞留量を求めてこの
値から計算する。系内のエントレーナー総量より循環部
のエントレーナー量を差し引けば共沸蒸留塔1に滞留す
るエントレーナー量となる。たとえば、図1に於いてエ
ントレーナーは共沸蒸留塔1の塔頂を出て、ライン5、
分離槽2、ライン9、蒸留塔3、ライン10、槽4、ラ
イン14を経て共沸蒸留塔1に戻る。この、ライン5、
分離槽2、ライン9、蒸留塔3、ライン10、槽4、ラ
イン14に於けるエントレーナー実滞留量から共沸蒸留
塔1に於けるエントレーナー実滞留量が算出できる。槽
および塔に於けるエントレーナー量は液面から読みとる
方法、入りと出の差から算出する方法、どちらでも実施
できる。たとえば、図1に於いて槽4に滞留するエント
レーナー量は、槽4の液面から読みとる方法、ライン1
0から槽4に入るエントレーナー量と槽4からライン1
4に出ていくエントレーナー量の差から算出する方法、
どちらでも実施できる。ライン内のエントレーナー実滞
留量はライン寸法、たとえば内径と長さ、から求めた容
積を代用することもできる。エントレーナーに有意の不
純物が混入している場合は、必要に応じて測定したエン
トレーナー組成と、測定した混合液の滞留量からエント
レーナー実滞留量を求めることができる。組成の測定
は、サンプルを分取しガスクロマトグラフィー等で直接
分析する方法、検出端を槽および塔に設置しスペクトル
を測定する方法等で実施する。
【0024】また、共沸蒸留塔内に於けるエントレーナ
ー実滞留量を算出する第3の方法として、精製目的物質
と共沸蒸留によって濃度を低減させたい不純物とについ
て共沸蒸留塔1内に滞留量から算出する。共沸蒸留塔1
に滞留する精製目的物質と該不純物は、共沸蒸留塔1に
入る精製目的物質と該不純物の量および共沸蒸留塔1か
ら出る精製目的物質と該不純物の量から算出される。共
沸蒸留塔1の総液容積を算出し、総液容積から滞留する
精製目的物質と該不純物の量を差し引けば共沸蒸留塔1
に滞留するエントレーナー量が算出できる。たとえば、
図1に於いて、ライン6とライン7とライン14から入
ってくる精製目的物質と該不純物の量と、ライン5とラ
イン8から出ていく精製目的物質と該不純物の量から、
共沸蒸留塔1に滞留する精製目的物質と該不純物の量が
算出される。装置に応じて共沸蒸留塔に接続されるライ
ンが増えれば、都度、入りと出に分類して共沸蒸留塔1
に於ける精製目的物質と該不純物の滞留量算出値に積算
する。ただし、精製目的物質の含有量が極僅かであるラ
イン、たとえばライン5とライン6とライン14に関し
て計算を省略してもよい。また、ライン5の流量はライ
ン16の流量と分離槽2に滞留する精製目的物質と該不
純物の量で代用することも可能である。
【0025】次に、本発明に於いて、共沸蒸留塔内のエ
ントレーナー滞留量の目標値を予め設定する方法につい
て説明する。実際には、共沸蒸留塔1に滞留するエント
レーナー量は所望の分離を達成するために最適な値もし
くは範囲となるよう条件が決定される。具体的には、共
沸蒸留塔からの塔頂液中や缶出液中に於ける望ましくな
い混入物質の濃度が最適となるように共沸蒸留塔内のエ
ントレーナー滞留量の目標値を設定する。該目的のため
には、例えば、以下に示す2つの手法を用いることがで
きる。
【0026】その1つとして、共沸蒸留塔からの塔頂液
中や缶出液中に於ける望ましくない混入物質の濃度を実
測して共沸蒸留塔内のエントレーナー滞留量の目標値を
設定する。塔頂回収液中の望ましくない混入物質として
は、例えば精製目的物質が、缶出液中の望ましくない混
入物質としてはたとえばエントレーナーが挙げられる。
塔頂液および缶出液の組成の測定は、サンプルを分取し
ガスクロマトグラフィー等で直接分析する方法、検出端
を槽および塔に設置しスペクトルを測定する方法等で実
施する。
【0027】また、共沸蒸留塔内のエントレーナー滞留
量の目標値を設定する第2の方法として、共沸蒸留塔内
の温度分布を測定し、共沸蒸留塔からの塔頂液中や缶出
液中に於ける望ましくない混入物質の濃度が最適な状態
を保てる温度分布の範囲を決定する。共沸蒸留塔内のエ
ントレーナー滞留量の目的値は、温度分布の許容範囲か
ら決定される。また、この温度分布の測定は塔内に設置
された温度検出端によって行う。温度検出端は1本もし
くは高さ方向で異なる位置に複数本設置され、塔全体、
好ましくは塔頂と塔底を含み共沸領域下部付近の温度測
定を行う。
【0028】次に、本発明に於いて、共沸蒸留塔内のエ
ントレーナー滞留量をその目標値となるように制御する
方法について説明する。該目的のためには、例えば、以
下に示す3つの手法を用いることができる。エントレー
ナー滞留量を目標の値もしくは範囲に制御する1つの方
法として、共沸蒸留塔内に付属する於けるエントレーナ
ー循環部から蒸留塔に戻されるエントレーナーの量を調
節する。具体的には、たとえば図1に於いて、エントレ
ーナー滞留量を目標とする値もしくは範囲になるように
ライン6から塔に戻されるエントレーナーの量を調節す
る。また、エントレーナー滞留量の目標値または範囲
は、適宜、分離状態または塔内温度分布によって補正す
ることもできる。缶出液の不純物濃度調節のためにリボ
イラー13による加熱量制御、またはライン6からの還
流液量を調節してもよい。
【0029】共沸蒸留塔内のエントレーナー滞留量をそ
の目標値とする第2の制御方法として、還流液の量を調
節する。具体的には、たとえば図1に於いて、算出した
エントレーナー実滞留量を目標とする値になるようにラ
イン6から塔に戻される還流液の量を調節する。また、
エントレーナー滞留量の目標値は、適宜、分離状態また
は塔内温度分布によって補正することもできる。缶出液
の不純物濃度調節のためにリボイラー13による加熱量
制御を行ってもよい。
【0030】共沸蒸留塔内のエントレーナー滞留量をそ
の目標値とする第3の制御方法として、共沸蒸留塔の加
熱量を調節する。具体的には、たとえば図1に於いて、
算出したエントレーナー実滞留量を目標とする値もしく
は範囲になるようにリボイラー13による加熱量を調節
する。また、エントレーナー滞留量の目標値は、適宜、
分離状態または塔内温度分布によって補正することもで
きる。缶出液の不純物濃度調節のためにライン6からの
還流液量を調節してもよい。共沸蒸留に於ける制御ルー
プは、通常、塔底液量から缶出液抜き出し量、塔底温度
からリボイラー蒸気量を決めている。本発明はさらに、
特表平10−504556号公報で提案されている制御
ループに関しても実施できる。
【0031】本発明は、制御安定性の悪い系に於いて、
より大きな効果をもたらす。たとえば、実施しようとす
る系の還流比が、最小還流比に近づくほど制御安定性は
悪くなる。
【0032】本発明の共沸蒸留方法は如何なる物質の共
沸蒸留にも適用可能であるが、例えば、脂肪族カルボン
酸及び水を含有する混合物中の水の濃度を低減させるこ
とに好ましく適用できる。ここで、脂肪族カルボン酸と
は、炭素数2〜6の飽和、または不飽和の脂肪族カルボ
ン酸を指す。本発明は、特に炭素数2〜4の飽和脂肪族
カルボン酸と水を含有する混合物について、該混合物中
の水の濃度を低減させる方法として好ましい。更に、本
発明を適用する対象としては、脂肪族カルボン酸を含む
反応媒体中で芳香族炭化水素を原料として液層酸化によ
り芳香族カルボン酸を製造する工程に於いて、反応器か
らの混合蒸気を回収凝縮した液が好ましい。次に、本発
明が好ましく適用される芳香族カルボン酸の製造に関し
て説明する。製造目的の化合物である芳香族カルボン酸
は、芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香
族トリカルボン酸等であり、これらはモノ、ジ、トリア
ルキルベンゼン等のアルキルベンゼンを液相酸化して製
造される。特に本発明の方法は、テレフタル酸の製造に
適用するのが好ましく、この場合、原料となるアルキル
ベンゼンとしてはパラキシレンが挙げられる。
【0033】液相酸化の溶媒である脂肪族カルボン酸と
しては、例えば酢酸が好ましく、該溶媒の使用量は、通
常原料芳香族炭化水素に対して2〜6重量倍である。ま
た、反応系内の水分濃度は、通常5〜25重量%、好ま
しくは7〜20重量%である。該共沸蒸留塔へは、上記
したような液相酸化反応の反応器より揮発した脂肪族カ
ルボン酸と水の混合蒸気を回収凝縮した液が供給され
る。また、この他に、製造された芳香族カルボン酸固体
より分離された母液の一部、工程で有意に使用された脂
肪族カルボン酸および水を含む液を供給してもよい。共
沸蒸留塔に供給される脂肪族カルボン酸及び水を含有す
る混合溶液のそれぞれの成分の組成は任意であるが、通
常は水の含有率が5から95重量%の範囲、好ましくは
10から70重量%の範囲にある脂肪族カルボン酸およ
び水からなる混合溶液に本発明の方法が適用される。
【0034】上記のように、脂肪族カルボン酸及び水を
含有する混合物中の水の濃度を低減させる場合には、共
沸蒸留により、塔底から水の量の低減された脂肪族カル
ボン酸を含む缶出液を得、塔頂から主に水とエントレー
ナーより成る共沸混合物の蒸気を得る。この際、脂肪族
カルボン酸を再使用等の目的のためには、缶出液中に於
けるエントレーナーの濃度は100ppm以下であるこ
とが好ましく、また、経済性の要請等から、塔頂液中に
於ける脂肪族カルボン酸の濃度は1,000ppm以下
であることが好ましい。缶出液は原料調整液として一
部、芳香族炭化水素の液相酸化反応にリサイクルされ
る。塔頂から得た蒸気は通常凝縮して、デカンター等で
液液分離した後、油相液はエントレーナーとして共沸蒸
留塔へリサイクルされ、水相液は一部は廃棄され一部は
還流液として共沸蒸留塔へ戻される。エントレーナーは
ロス分の補償として新しく供給を行ってもよい。水相側
にエントレーナーを含む油相成分が混入して来る場合
は、水蒸気やガスを吹き込んで油相成分を除去する、あ
るいは活性炭で処理する等の工程を経て、排水処理装置
へ送られる。またこの際、特公昭62−41219号公
報に記載のようにストリッピングにより水相液中の油相
成分を低減させてもよい。
【0035】上記した本発明の適用例の更に好ましい一
態様として、共沸蒸留塔の塔頂液中に於ける脂肪族カル
ボン酸濃度が1,000ppm以上となるエントレーナ
ー滞留量を下限とし、且つ、該共沸蒸留塔の缶出液中に
於けるエントレーナー濃度が100ppm以上となるエ
ントレーナー滞留量を上限としてエントレーナー滞留量
の目標値の設定し、共沸蒸留塔の運転条件を制御する方
法が提供される。
【0036】本発明を適用して脂肪族カルボン酸及び水
を含有する混合物中の水の濃度を低減させる場合に使用
されるエントレーナーとしては、その効果を発現する限
り特に制限はない。実際は、共存する脂肪族カルボン酸
の種類を勘案して選択される。具体的には、主として酢
酸と水からなる混合溶液の共沸蒸留に用いられる公知の
化合物が好ましい。一例を挙げると、ギ酸ブチル、酢酸
n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸
アミル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブ
チルなどのエステル類、ジクロルメチルエーテル、エチ
ルイソアミルエーテル、アルリルイソアミルエーテル、
ジn−ブチルエーテルなどのエーテル類、二塩化エチレ
ン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、塩化ア
セトン、ジプロピルケトン、メチルブチルケトン、アル
リルアセトンなどのケトン類、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼンなどの芳香族炭化水素のように水と共沸混
合物を作ることのできる化合物が通常使用される。これ
らのエントレーナーのうちではエステル類を使用するこ
とが好ましい。例えば、酢酸n−プロピルまたは酢酸n
−ブチルの使用が挙げられる。エントレーナー中には共
沸蒸留原料由来のパラキシレンや酢酸メチル等が含まれ
ていてもよい。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 図2に示した装置を使用して、蒸留対象溶液として酢酸
を含有する水溶液を、エントレーナーとして酢酸ブチル
を使用して連続蒸留法により本発明の方法を実施した。
共沸蒸留を行う共沸蒸留塔として、全段数60段の棚段
塔を使用した。連続共沸蒸留を開始する方法として、共
沸蒸留塔51に酢酸75.0重量%、水24.9重量
%、酢酸ブチル0.1重量%からなる混合液をフィード
し、共沸蒸留塔のリボイラー63により加熱を行い全還
流循環を行った。その後、エントレーナータンク53か
ら徐々にエントレーナーである酢酸ブチルを供給するこ
とにより酢酸−水−酢酸ブチルの三成分の共沸蒸留を形
成させた。エントレーナーの量を調節し共沸領域が所望
する範囲となってから、共沸蒸留塔に原料供給ライン5
7から原料供給を開始した。原料は酢酸75.0重量
%、水24.9重量%、酢酸ブチル0.1重量%からな
り、流量は10.5T/hr、供給口は共沸蒸留塔の4
4段目と45段目の間に設置した。共沸蒸留塔の塔底よ
りライン58を通して缶出液として濃縮酢酸を8.2T
/hrで抜き出した。共沸蒸留塔の塔頂からは共沸組成
の水とエントレーナーを含む蒸気が得られ、これを冷却
してデカンター52に回収した。デカンター52には界
面計が設置され、常に界面が一定に保たれるようにライ
ン66、ライン60を通って排出される水相液の量(W
w)を調節した。ライン66から56に分岐して共沸蒸
留塔51に戻る水相液は還流水(Wr)として作用し、
Wr/Wwで定義される水還流比が所望の値となるよう
に還流水量を決めた。本実施例に於いては、排出される
水相液の量(Ww)が2.3T/hr、還流水(Wr)
が1.15T/hrで水還流比が0.5の条件で実施し
た。エントレーナーはデカンター52で液液分離された
後、オーバーフローによりライン59を通って、エント
レーナータンク53、ライン64を経て共沸蒸留塔51
へ供給した。また、ライン64を分岐して、エントレー
ナーの一部をライン65を通して共沸蒸留塔51の15
段目と16段目の間に供給した。ライン65を通して供
給されるエントレーナー量は0.5T/hrで常時一
定、ライン64を通して供給されるエントレーナーの量
は分離状態に応じて適宜調整した。共沸蒸留塔51に於
けるエントレーナー実滞留量の算出は、循環系に滞留す
るエントレーナー量の測定によって実施した。具体的に
はエントレーナーはライン61、デカンター52、ライ
ン59、タンク53、ライン64およびライン65を通
って共沸蒸留塔51へ戻した。このうち、ライン61、
ライン59、ライン64およびライン65内のエントレ
ーナー滞留量としては常時一定で各ラインの容積に対応
する値を使用した。デカンター52では界面が常時一
定、抜き出しはオーバーフローのため、ここでも滞留量
としては常時一定の値を使用した。タンク53に於いて
は液面位置を測定し、実滞留量を算出した。運転開始前
に仕込んだ共沸蒸留系内の全エントレーナー量から各ラ
インおよびタンクに於けるエントレーナー実滞留量を差
し引くことにより、共沸蒸留塔51内に滞留する実エン
トレーナー量を算出した。以上より、本実施例に於いて
は実質的にタンク53のエントレーナー滞留量を管理す
ることで共沸蒸留塔51内のエントレーナー量を制御し
た。タンク53のエントレーナー滞留量目標値を2.1
0T、共沸蒸留塔内のエントレーナー滞留量目標値を
1.15Tとして、連続共沸蒸留を9時間継続して行っ
た。その間、第23段に於いては若干の温度変動が観ら
れたが、第20段、及び第26段に於ける温度は安定し
ており、これらより上部(例えば、第43段、第52
段、第60段)及び下部(例えば、第1段、第11段)
では温度変動は観られなかった。共沸蒸留塔内に於ける
温度分布の経時変化を図3に示す。このように蒸留塔内
の温度分布が非常に安定していることから、共沸領域の
範囲が大きく変動していないことが判明し、良好な分離
状態が保たれた。
【0038】比較例1 実施例1に於いて、共沸蒸留塔51内に於けるエントレ
ーナー実滞留量を算出することなく温度分布の変化を見
て直接エントレーナーの流量を調節した以外は、実施例
1と同様に実施した。その間、第14段から第32段の
範囲に亘って大幅な温度変化が観られた。(これらより
上部(例えば、第43段、第52段、第60段)及び下
部(例えば、第1段、第11段)では大きな温度変動は
観られなかった。)共沸蒸留塔内に於ける温度分布の経
時変化を図4に示す。このように、温度分布は安定せ
ず、変動の大きな運転を許容せざるを得なかった。変動
を抑えられない原因として、エントレーナー流量の変更
に対して温度分布の変化が不規則に遅れることが挙げら
れる。塔内の安定状態、エントレーナーの変更履歴に依
存して温度分布が変化するために、温度分布の変化に不
規則性が生じると考えられる。従って、本発明では、温
度分布にかわる指標として塔内に於けるエントレーナー
滞留量を指標とすることで、即時に応答する制御ループ
を確立し蒸留の運転を安定させる効果が得られる。
【0039】
【発明の効果】共沸蒸留塔の制御は分離状態もしくは温
度分布状態から直接エントレーナー流量を制御するより
塔内の滞留量制御の方がより安定な運転を実現できるこ
とを見出した。その結果、共沸蒸留を安定して操作でき
るようになり、運転の変動による塔頂液中への酢酸の混
入もしくは缶出液へのエントレーナーの混入を最小限に
抑えることが可能となった。本発明の方法は、有効成分
の損失を防ぎ、変動費上また環境保護上大きな効果をも
たらすものである。また、変動費抑制の要求より使用熱
量を低減するために還流比を下げた運転を行うと応答が
鈍くなり、従来の方法では制御が不安定になって塔頂液
中への酢酸の混入もしくは缶出液へのエントレーナーの
混入の増加に関しては譲歩をしなければならないが、本
発明によれば低還流でも安定した運転を達成できる。さ
らに、本発明は共沸蒸留プロセスに於いて特殊もしくは
複雑な流路を必要とせず汎用性があり、ほとんどの共沸
蒸留プロセスで適用できる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するためのプロセス例の概略図
である。
【図2】 本発明を実施するためのプロセス例の概略図
である。
【図3】 実施例に記載の共沸蒸留塔内各部に於ける温
度の経時変化を示すグラフである。
【図4】 実施例に記載の共沸蒸留塔内各部に於ける温
度の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1:共沸蒸留塔 2:液液分離槽 3:蒸留塔 4:エントレーナー回収槽 5〜11:配管ライン 12:冷却器 13:リボイラー 14〜16:配管ライン 51:共沸蒸留塔 52:デカンター 53:エントレーナータンク 54:熱交換器 55〜62:配管ライン 63:リボイラー 64〜66:配管ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D076 AA16 AA22 AA24 BB05 BB08 EA05Y EA12X EA13Y EA15Y EA17X EA17Y EA20X EA20Z FA31 GA01 HA03 JA02 JA03 JA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸留対象溶液を、共沸蒸留塔でエントレ
    ーナーを用いて蒸留し、エントレーナーを含む共沸成分
    を塔頂液として回収し、共沸成分の含有量が低減された
    液体を缶出液として回収する共沸蒸留方法に於いて、共
    沸領域が共沸蒸留塔内の決められた範囲となるようにエ
    ントレーナー滞留量の目標値を予め設定し、共沸蒸留塔
    内に於けるエントレーナー実滞留量を求め、該実滞留量
    が該目標値となるように蒸留塔の運転条件を制御するこ
    とを特徴とする共沸蒸留方法。
  2. 【請求項2】 エントレーナー実滞留量を、該共沸蒸留
    塔から出入りする液のマスバランスによって求めること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 エントレーナー実滞留量を、該共沸蒸留
    塔に仕込んだエントレーナー量から、該共沸蒸留塔以外
    の蒸留系内のエントレーナー実滞留量を差し引くことに
    よって求めることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 エントレーナー滞留量の目標値の設定
    を、該共沸蒸留塔内の組成変化または温度変化から共沸
    領域の範囲を検出することによって行うことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 エントレーナー滞留量の目標値の設定
    を、塔頂液及び缶出液中の不純物量を測定することによ
    って行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 エントレーナー滞留量を、該共沸蒸留塔
    に付属するエントレーナー循環部から蒸留塔に戻される
    エントレーナー量によって制御することを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 エントレーナー滞留量を、該共沸蒸留塔
    に戻される還流液の量を調整することによって制御する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 エントレーナー滞留量を、該共沸蒸留塔
    に加える熱量を調整することによって制御することを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 蒸留対象溶液が脂肪族カルボン酸と水を
    含有する混合物であり、水とエントレーナーを含む共沸
    成分を塔頂液として回収し、且つ、濃縮された脂肪族カ
    ルボン酸を缶出液として回収することを特徴とする請求
    項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 エントレーナー滞留量の目標値の設定
    に際し、共沸蒸留塔の塔頂液中に於ける脂肪族カルボン
    酸濃度が1,000ppm以上となるエントレーナー滞
    留量を下限とし、且つ、該共沸蒸留塔の缶出液中に於け
    るエントレーナー濃度が100ppm以上となるエント
    レーナー滞留量を上限とすることを特徴とする請求項9
    に記載の方法。
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