JP2001526061A - β−リポトロピンおよびその使用 - Google Patents

β−リポトロピンおよびその使用

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JP2001526061A JP2000525132A JP2000525132A JP2001526061A JP 2001526061 A JP2001526061 A JP 2001526061A JP 2000525132 A JP2000525132 A JP 2000525132A JP 2000525132 A JP2000525132 A JP 2000525132A JP 2001526061 A JP2001526061 A JP 2001526061A
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ジョン・ポール・バトラー
ジョン・エドワード・ヘイル
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マーク・ルイス・ヘイマン
ブリジット・エリザベス・ショーナー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、β−リポトロピンに関連する、単離された核酸、ベクター、形質転換された宿主細胞、同族体、機能断片および融合タンパク質を提供する。また、β−リポトロピンまたはその断片および/または同族体を含む医薬組成物および、有効量のβ−リポトロピンを投与して、糖尿病およびその合併症を処置する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 相互参照 本出願は、以下の米国仮出願、1997年12月23日提出の第60/068
,659号;1998年3月30日提出の第60/079,857号;1998
年5月21日提出の第60/086321号;1998年7月1日提出の第60
/091,385号;1998年8月5日提出の第60/095,405号;お
よび1998年10月13日提出の第60/103,976号の利益を主張する
【0002】 発明の背景 本発明は製薬および医療分野に関する。特に本発明は、β−リポトロピン、そ
の断片および同族体、医薬製剤および、哺乳類の糖尿病および他の関連症状を治
療する際に、該化合物を使用する方法に関する。
【0003】 プロ−オピオメラノコルチン (POMC)は、神経内分泌細胞内で分泌経路に移さ れる神経ペプチド前駆体分子である。POMCは特異的エンドペプチダーゼの作
用によって分解され、副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)、β−リポトロピン(BL T)、β−エンドルフィンおよびメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)のような
ペプチドを生じる。POMCは組織特異的および細胞特異的に、1つまたはそれ
以上の特定のペプチドにプロセッシングされる(一般に、M. Castro and E. Mor
rison, Crit. Rev. Neurobiol., 11, 35-57, 1997; Roberts, J. L. and Herber
t, E., Proc Nat Acad Sci, 74, 4826 (1977); Roberts, J. L. and Herbert, E
., Proc.Nat.Acad.Sci 74, 5300 (1977); Mains, et al., Proc.Nat.Acad.Sci 7
4, 3014 (1977)を参照のこと)。POMCは下垂体腺および視床下部で主に生産
される。下垂体前葉でPOMCが翻訳後にプロセッシングされると、ACTHお
よびBLTが生じる。一方、下垂体中葉の主な生産物はα−MSH、CLIP、
γ−リポトロピン、β−エンドルフィンおよびβ−MSHであり、視床下部では
、POMCは主としてγ−MSHおよびβ−エンドルフィンにプロセッシングさ
れる。
【0004】 POMCから 誘導されたペプチドは、代謝的および生理的調節において種々の重 要な役割を果たす。例えば、39アミノ酸ペプチドである ACTH は副腎皮質から
の糖質コルチコイドの分泌を刺激する。一方、MSH は皮膚のメラニン細胞による
メラニン合成を刺激し、また、脂肪代謝に関与していると思われる。β−エンド
ルフィンはBLTのカルボキシル末端(すなわち、ヒト配列の残基 59〜89 )から導かれ、モルヒネに対する既知のアンタゴニストである、ナロキソンによ
ってアンタゴナイズされる鎮痛活性を有している。このように、POMC 誘導体ペ プチドホルモンは、生理的および代謝的調節において種々の役割を有している。
【0005】 適正なグルコースおよび燃料代謝は、POMC 関連ペプチドでない、インシュリ ンに依存する。具体的には、インシュリンはグリコーゲン、脂肪酸およびタンパ
ク質合成を刺激し、また糖分解を刺激する。インシュリンは、筋肉および脂肪細
胞へのグルコースの取り込みを促進するのに重要である。
【0006】 インシュリン代謝の欠損は糖尿病を引き起こし得る。タイプ1糖尿病(1型糖
尿病)は、食物およびグルコース代謝を適正に制御するために外因性インシュリ
ンの投与を必要とする。一方、タイプ2糖尿病(2型糖尿病)は一般に、糖尿病
の後期段階まで外因性のインシュリンを必要としない。グルコースおよび燃料代
謝の適正な制御は糖尿病の有効な管理に必須である。これを行わないと、ケトア
シドーシス, 昏睡, 網膜症, 糖尿病性小血管症, アテローム硬化症, 心筋梗塞,
ストローク, 壊疽, 高グリセリド血症, コレステロール過剰血症, 心筋症, 皮膚
病, 糖尿病性 foot 症候群, ネフロパシー, 尿路感染, 乳頭壊死(papillary ne
crosis), 白内障, 糖尿病性胃腸症, 便秘, 末梢血管疾患および死をも含む、深
刻な、あるいは致死でさえあるような結果となる可能性がある。多くの場合、多
すぎるインシュリン投与と少なすぎるインシュリン投与間で微妙な均衡をとらな
ければならない。したがって、糖尿病の理想的な治療は、インシュリンに対する
感受性を改善することによって、血中グルコース濃度を制御するものであろう。
【0007】 本明細書中には、β−リポトロピンおよび/またはその断片および/または同
族体の医薬有効量を投与することを含む、タイプ1およびタイプ2糖尿病および
その関連する合併症の処置または予防において有効な処置方法および医薬組成物
が記載されている。
【0008】 発明の簡単な要旨 本発明は、β−リポトロピン(BLT)、その同族体、その断片を含む単離さ
れたタンパク質、該タンパク質をコードする核酸、およびBLTの製造方法およ
び、糖尿病およびその関連する合併症の処置における使用方法を提供する。
【0009】 本明細書中には、医薬有効量のBLT、その同族体またはその機能断片(func
tional fragment)を投与することによって、ヒトを含む哺乳類における糖尿病お
よびその合併症を処置する方法が記載されている。本発明はさらに、タイプ1お
よびタイプ2糖尿病、網膜症, 糖尿病性小血管症, アテローム硬化症, 心筋梗塞
, ストローク, 壊疽, 高グリセリド血症, コレステロール過剰血症, 心筋症, 皮
膚病, 糖尿病性 foot 症候群, ネフロパシー, 尿路感染, 乳頭壊死(papillary
necrosis), 白内障, 糖尿病性胃腸症, 便秘, および末梢血管疾患の処置方法に
関する。
【0010】 本明細書中には、E. coli および酵母内でのBLTの製造方法を開示している
。E. coli では、高い塩濃度下、慣用の精製方法により細胞溶解液から回収可能
な融合タンパク質として BLT を製造する。この BLT 融合タンパク質は、特定の
プロテアーゼに対する認識部位を有し、このプロテアーゼを用いてBLTから融
合パートナーを分離する。酵母 Pichia pastoris では、この融合タンパク質が 細胞から分泌される際に分解され、培養培地から天然BLTが無傷で回収できる
【0011】 1つの態様では、本発明は、配列番号2、配列番号5または配列番号7のアミ
ノ酸配列を有する、実質的に純粋なタンパク質に関する。
【0012】 さらにもう1つの態様では、本発明は、β−リポトロピンを含む融合タンパク
質または組換えタンパク質またはペプチドをコードする、単離された核酸化合物
に関する。
【0013】 もう1つの態様では、本発明は、本発明のタンパク質またはペプチドをコード
する、少なくとも1つの単離された核酸化合物に関する。
【0014】 さらにもう1つの態様では、本発明は、本発明の単離された核酸化合物を含む
ベクターに関する。
【0015】 さらにもう1つの態様では、本発明は、プロモーター配列に作動可能に連結さ
れている本発明の単離された核酸を含むベクターに関する。
【0016】 もう1つの態様では、本発明は、本発明のベクターを含む宿主細胞に関する。
【0017】 さらにもう1つの態様では、本発明は、β−リポトロピンの発現能を有する組
換え宿主細胞の構築方法であって、任意の適当な手段により該宿主細胞に本発明
のベクターを導入することを含む方法に関する。
【0018】 さらにもう1つの態様では、本発明は、組換え宿主細胞におけるβ−リポトロ
ピンの発現方法であって、遺伝子発現に適当な条件下で該組換え宿主細胞を培養
することを含む方法に関する。
【0019】 もう1つの態様では、本発明は活性成分である、β−リポトロピン、その同族
体またはその機能断片を、1つまたはそれ以上の製薬的に許容される担体、賦形
剤または希釈剤とともに含む医薬製剤に関する。
【0020】 さらにもう1つの態様では、本発明は、β−リポトロピン、その同族体または
その機能断片がヒトβ−リポトロピンである医薬製剤に関する。
【0021】 さらにもう1つの態様では、本発明は、糖尿病またはその合併症の処置におい
て使用するためのβ−リポトロピン、その同族体またはその機能断片に関する。
【0022】 さらにもう1つの態様では、本発明は、インシュリノトロピック活性を有する
BLTの断片に関する。
【0023】 さらにもう1つの態様では、本発明は、配列番号9〜配列番号13からなる群
から選択される、インシュリノトロピック活性を有するペプチドに関する。
【0024】 さらにもう1つの態様では、本発明は、配列番号14〜配列番号25からなる
群から選択される、インシュリノトロピック活性を有するペプチドに関する。
【0025】 さらにもう1つの態様では、本発明は、本明細書中に開示されているβ−リポ
トロピンペプチドの機能的同族体に関する。
【0026】 さらにもう1つの態様では、本発明は、糖尿病の処置方法であって、配列番号
9〜配列番号25からなる群から選択される少なくとも1つのペプチドの治療有
効量を投与することを含む方法に関する。
【0027】 さらにもう1つの態様では、本発明は、糖尿病の処置方法であって、配列番号
9〜配列番号13からなる群から選択されるペプチドの治療有効量を投与するこ
とを含む方法に関する。
【0028】 さらにもう1つの態様では、本発明は、活性成分として、配列番号9〜配列番
号25からなる群から選択される、インシュリノトロピック活性を有する少なく
とも1つのペプチドを含む医薬製剤に関する。
【0029】 さらにもう1つの態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳類における糖尿病の処
置方法であって、β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片の治療有効
量を投与することを含む方法に関する。
【0030】 さらにもう1つの態様では、本発明は、β−リポトロピン、その同族体または
その機能断片の有効量を投与することによって哺乳類の血中グルコース濃度を低
下させる方法に関する。
【0031】 さらにもう1つの態様では、本発明は、β−リポトロピン、その同族体または
その機能断片の有効量を投与することによって、高血糖症の処置を必要としてい
る哺乳類の高血糖症を処置する方法に関する。
【0032】 さらにもう1つの態様では、本発明は、β−リポトロピン、その同族体または
その機能断片の有効量を投与することによって、哺乳類のインシュリン過剰血症
を処置する方法に関する。
【0033】 もう1つの態様では、本発明は、β−リポトロピン、その同族体またはその機
能断片の有効量を投与することによって、哺乳類のインシュリン感受性を高める
方法に関する。
【0034】 もう1つの態様では、本発明はβ−リポトロピン、その同族体またはその機能
断片を合成するための固相合成法に関する。
【0035】 もう1つの態様では、本発明は、以下の工程を含む、β−リポトロピンの製造
方法に関する: a.β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片をコードする発現ベク
ターで適当な宿主を形質転換する; b.β−リポトロピンを発現可能な条件下で該形質転換宿主を培養する; c.いずれかの適当な手法によって該β−リポトロピンを精製する。
【0036】 さらにもう1つの態様では、本発明は、以下の手段(ステップ)を含む、β−
リポトロピン活性についてのアッセイに関する: a)インシュリン非感受性と高い血中グルコース濃度を示す哺乳類に試験タン
パク質を投与する; b)過程(a)の後の血中グルコース濃度および血中インシュリン濃度につい
て試験する。
【0037】 本発明はまた、β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片の医薬有効
量を投与することによって、哺乳類のタイプ1またはタイプII糖尿病およびそ
の関連する合併症を処置する方法に関する。
【0038】 発明の詳細な記述 定義 用語「同族体」または「機能的同族体」とは、該同族体が、インビボおよび/
またはインビトロにおいて、修飾されていないBLTと実質的に同じ生物学的活
性を保持するように少なくとも1つのアミノ酸置換が施されたBLTの修飾形態
を表す。
【0039】 用語「bid」または「b.i.d.」とは、1日2回投与されるBLTまたは 他の化合物の投与量を表す。
【0040】 「BLT」とは、β−リポトロピンを表す。ヒトBLTは89アミノ酸残基(
配列番号8)を含む。BLTタンパク質は種々の生物において特徴付けされてお
り、ヒト、マウス、ヒツジおよびブタ(Li & Chung, Nature, 260, 622-24 (197
6));およびゾウ(Li et al. Int. J. Pept. Prot. Res. 32, 573-78, 1988) ;および他の哺乳類を含む種々の生物においてアミノ酸配列が決定されている(
引用によりこれらはすべて本明細書中に包含される)。
【0041】 用語「β−リポタンパク質融合タンパク質」または「BLT融合タンパク質」
とは、BLTを含む、ある種のハイブリッド組換えタンパク質分子であって、E.
coli または他の細胞タイプ内で生産され、これから、特異的タンパク質分解ま
たは化学的分解によってBLTまたはBLT断片が製造され得るものを指す。B
LT融合タンパク質の例には、本明細書中で配列番号2、配列番号5および配列
番号7と記載されているものが含まれる。
【0042】 本明細書中で用いる用語「相補的」または「相補性」とは、プリンおよびピリ
ミジンヌクレオチドが水素結合を介して結合し、二本鎖核酸分子を形成すること
ができることを表す。次の塩基対が相補的な関係にある:グアニンとシトシン;
アデニンとチミン;およびアデニンとウラシル。本明細書中で用いる「相補的」
とは、前記の関係が、該分子の全長にわたって、2本の一本鎖核酸分子を構成す
る、実質的にすべての塩基対に適用されることを意味する。「部分的に相補的」
とは、2本の一本鎖核酸分子の一方の長さがもう一方より短く、この一方の分子
の一部が一本鎖のままである前記の関係を表す。
【0043】 本明細書中で用いる用語「合併症」または「その合併症」とは、タイプ1およ
びタイプ2糖尿病を含むがこれらに限定されない、欠損インシュリン代謝または
欠損炭水化物代謝、例えば欠損グルコース代謝に関連する、1つまたはそれ以上
の疾患または症候群、または症状に関連する症状、症候群、補助疾患(群)、慢
性的な軽い疾患などを表す。合併症の例には、ケトアシドーシス, 昏睡, 網膜症
, 糖尿病性小血管症, アテローム硬化症, 心筋梗塞, ストローク, 壊疽, 高グリ
セリド血症, コレステロール過剰血症, 心筋症, 皮膚病, 糖尿病性 foot 症候群
, ネフロパシー, 尿路感染, 乳頭壊死(papillary necrosis), 白内障, 糖尿病
性胃腸症, 便秘, および末梢血管疾患が含まれるだろう。
【0044】 「保存的置換」または「保存的アミノ酸置換」とは、表1に例示されるタンパ
ク質またはペプチド中の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基(群)の置換を表す
【0045】 「その断片」とは、ペプチドの断片、片(piece)または副領域(sub-region )、または核酸であって、該断片が隣接した2個またはそれ以上のアミノ酸また
は約5〜14個またはそれ以上のアミノ酸を含むか;親ペプチドまたは核酸分子
中で隣接している10個またはそれ以上のヌクレオチドを含むものを表す。その
断片は生物学的活性を保持しているかもしれないし、保持していないかもしれな
い。例えば、本明細書中に開示されているペプチドの断片を抗原として用いて、
該断片の親ペプチドに対する特異的抗体を生じさせることができる。核酸分子に
関する場合、「その断片」とは、親核酸から誘導された10またはそれ以上の隣
接するヌクレオチドを表し、また、遺伝的コードにより、その相補的配列をも表
す。例えば、該断片が配列:5'-AGCTAG-3'を内包する場合、「その断片」はまた
、その相補的配列:3'-TCGATC-5'をも含む。
【0046】 用語「融合タンパク質」は、2個またはそれ以上の異なるタンパク質またはそ
の断片が単一のポリペプチド鎖上で共有結合している、翻訳的融合または酵素的
融合を含む、天然には見られないハイブリッドタンパク質分子を意味する。
【0047】 「融合パートナー」とは、BLT融合タンパク質内の、BLT由来でないアミ
ノ酸配列、例えば、本明細書中、配列番号6と同定される配列を表す。
【0048】 本明細書中で用いる「機能断片」または「機能的に等価な断片」とは、生物学
的活性、すなわちインビボおよび/またはインビトロにおいてインシュリンの作
用を高める能力;ならびに/あるいはインビボにおいて血中グルコースの低下を
促進し、あるいはインビトロにおいて細胞または組織へのグルコースの取り込み
を高める能力を保持している、完全長BLTの領域または断片を表す。機能断片
はまた、インビボおよび/またはインビトロにおいて、完全長BLTによって明
らかにされた生物学的活性、すなわち、グルコースの取り込みを促進する能力お
よび/またはインシュリンの作用を高める能力および/またはインシュリンの感
受性を高める能力を提供するかもしれない。機能断片はクローニング技術、また
は化学合成法、または化学的または酵素的分解によって製造することができる。
【0049】 「宿主細胞」とは、例えば形質転換またはトランスフェクションなどによって
宿主細胞に導入されるベクター中に含まれるクローン化された遺伝子の増殖およ
び/または発現に適当な、任意の真核生物または原核生物細胞を表す。
【0050】 用語「相同体」または「相同な」とは、種々の核酸分子またはアミノ酸配列が
、該分子内配列の1つまたはそれ以上のブロックまたは領域での同一性または部
分同一性および/または類似性によって関連する、その種々の核酸分子またはア
ミノ酸配列間の関係を表す。
【0051】 本明細書中で用いる用語「ハイブリッド形成」とは、一本鎖核酸分子がヌクレ
オチド塩基対形成を介して相補鎖と結合する過程を表す。「選択的ハイブリッド
形成」とは、高度にストリンジェンシーな条件下でのハイブリッド形成を表す。
ハイブリッド形成の程度は、例えば、相同性の程度、ハイブリッド形成のストリ
ンジェンシーおよびハイブリッド形成する鎖の長さに依存する。
【0052】 用語「インシュリノトロピック」とは、例えばインシュリン非感受性の作用(
効果)を逆転させ、除去することによってインシュリンを高める活性を表す。
【0053】 「単離された核酸化合物」とは、例えば細胞内での位置のように、その天然の
存在位置と位置的にはっきり区別される、構築あるいは合成された任意のRNA
またはDNA配列を表す。
【0054】 本明細書中で用いる「核酸プローブ」または「プローブ」とは、もう1つの核
酸化合物とハイブリッド形成するラベルされた核酸化合物である。「核酸プロー
ブ」とは、相補的あるいは部分的に相補的な一本鎖標的核酸配列と結合し、二本
鎖分子を形成する、一本鎖核酸配列を意味する。核酸プローブはオリゴヌクレオ
チドまたはヌクレトチドポリマーであってよい。プローブは通常、プローブの末
端に結合しているか、あるいはプローブの配列の内部にある検出可能な部分を含
む。
【0055】 用語「プラスミド」とは、染色体外遺伝因子を表す。本明細書中に開示されて
いるプラスミドは市販されているか、公に自由に入手可能であるか、あるいは、
公開されている手法にしたがって、容易に入手可能なプラスミドから構築可能で
ある。
【0056】 「プライマー」とは、例えば核酸分子の酵素的または合成的鎖延長の開始基質
として機能する核酸断片である。
【0057】 用語「プロモーター」とは、転写、例えばDNAからRNAへの転写を支配す
る核酸配列を表す。誘導性プロモーターとは、環境シグナル、例えば炭素源、熱
または金属イオンによって調節可能なプロモーターである。構成性プロモーター
は一般に、一定レベルで機能し、調節不能である。
【0058】 用語「タンパク質」および「ペプチド」とは、完全に交換可能に用いられ、ペ
プチド結合によって共有結合している、2個またはそれ以上のアミノ酸残基を表
す。いくつかの例では、これらの用語は、ペプチド結合によって結合している、
10個以上、約500個までのアミノ酸残基を含むアミノ酸生物ポリマーを示す
【0059】 本明細書中で用いる「組換えDNAクローニングベクター」とは、プラスミド
およびファージを含むがこれらに限定されない、任意の自己複製物質であって、
1つまたはそれ以上のさらなるDNAセグメントを組み込むことが可能であるか
、あるいは既に組み込まれているDNA分子を含む物質を表す。
【0060】 本明細書中で用いる用語「組換えDNA発現ベクター」または「発現ベクター
」とは、プロモーターおよび他の調節因子が存在し、それにより、タンパク質を
コードしていることもある挿入DNAの転写が可能である、任意の組換えDNA
クローニングベクター、例えばプラスミドまたはファージを表す。
【0061】 用語「ストリンジェンシー」とは、ハイブリッド形成条件を表す。高度にスト
リンジェンシーな条件は非相同な塩基対形成に不利である。低度にストリンジェ
ンシーな条件は反対の作用を有する。ストリンジェンシーは、例えば温度および
塩濃度によって変更してもよい。
【0062】 「低度にストリンジェンシー」な条件は、例えば、温度約37℃またはそれ以
下、ホルムアミド濃度約50%以下、および中〜低塩(SSC)濃度;あるいは
温度約50℃またはそれ以下、および中〜高塩(SSPE)濃度、例えば1M NaClを特徴とする。
【0063】 「高度にストリンジェンシー」な条件は、例えば温度約42℃またはそれ以下
、ホルムアミド濃度約20%以下、および低塩(SSC)濃度;あるいは、温度
約65℃またはそれ以下および低塩(SSPE)濃度を特徴とする。例えば、高
度にストリンジェンシーな条件は、0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナ
トリウム硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA、65℃を特徴とする(A
usubel, F.M. et al. Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, 198
9; Green Inc. New York, at 2.10.3)。
【0064】 「SSC」はハイブリッド形成および洗浄溶液を構成する。保存20×SSC
溶液には、3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウム(pH7.0)が
含まれる。
【0065】 「SSPE」はハイブリッド形成および洗浄溶液を構成する。保存1×SSP
E溶液には、180mM NaCl、9mM Na2HPO4、0.9mM NaH2 PO4および1mM EDTA(pH7.4)が含まれる。
【0066】 タンパク質に関して「実質的に純粋」とは、該タンパク質が、他のタンパク質
分子を含む他の細胞性および非細胞性成分から分離されていることを意味する。
実質的に純粋な調製物は少なくとも85%純粋であり;好ましくは少なくとも約
95%純粋である。「実質的に純粋」なタンパク質は、例えば、引用により本明
細書中に包含されるIMACタンパク質精製法(米国特許第4,569,794
号)を含む、たくさんの適当な方法のいずれかによって製造することができる。
【0067】 本明細書中で用いる「処置」とは、疾患、症状または障害との闘病を目的とす
る患者の管理およびケアを示し、これには本発明のタンパク質を投与して症状ま
たは合併症の開始を予防し、症状または合併症を軽減し、あるいは疾患、症状ま
たは障害を排除することが含まれる。
【0068】 本明細書中のすべての引用文献は、引用により本明細書中に包含される。
【0069】 β−リポトロピンは1964年にヒツジ(ovine)下垂体腺から単離され、そ の一次構造は翌年に報告された(Li et. al. Nature, 208, 1093, 1965)。その
後、ヒツジ(sheep)、ウシ、ヒツジ(ovine)、マウス、ブタ、モルモット、ラ
ット、ゾウおよびヒトBLTsの一次配列が報告された。例えば、引用によりす
べて本明細書中に包含される、Lohmar and Li, Biochim. Biophys. Acta, 147,
381, 1967; Li and Chung, Nature, 260, 622, 1976; Drouin and Goodman, Nat
ure, 288, 619, 1980; Li et al. Int. J. Pept. Prot. Res. 32, 573-78, 1988
; Blake and Li, Proc. Nat. Acad. Sci. 80, 1556-1559, 1983; Takahashi et.
al. FEBS Lett. 135, 97-102, 1981 を参照のこと。この配列データは、BLT のカルボキシ末端が、種間にわたって高度に保存されていることを示す。一方、
異なる種由来のBLT分子のアミノ末端では、かなりの配列の相違が存在する。
【0070】 本発明はさらに、ヒトBLT(配列番号8)または他の種由来のBLTまたは
その機能断片を含むBLT融合タンパク質に関する。BLT融合タンパク質の例
は、本明細書中で配列番号2、配列番号5および配列番号7として開示されてい
るものである。
【0071】 BLTの機能断片は、生物学的活性、例えば糖尿病の処置を必要としている哺
乳類に投与した場合に糖尿病の症状を改善するか、あるいは血清インシュリン濃
度を減少させ、ならびに/あるいはインシュリン感受性を高め、ならびに/ある
いは血中グルコース濃度を低下させ、ならびに/あるいは、インビボまたはイン
ビトロの脂肪組織または筋肉組織あるいはインビトロの脂肪細胞におけるグルコ
ースの取り込みを刺激する能力を示すBLTの断片として都合良く同定される。
BLTの機能断片には、生物学的活性を保持し、BLTタンパク質中で隣接して
いることもある、少なくとも2個またはそれ以上のアミノ酸残基を含む任意の断
片が含まれる。好ましい断片には、ヒトBLT(配列番号8)の残基59〜89
の領域、またはヒト以外のBLTの等価な領域の一部外側、あるいは完全に外側
に位置するBLTの隣接領域(すなわち、β−エンドルフィンのコード領域)が
含まれる。
【0072】 ヒトBLTの機能断片の例は、本明細書中に配列番号9〜配列番号25として
開示されているものである。好ましい断片は、本明細書中で配列番号9〜配列番
号13と記載されているものであり;最も好ましい断片は本明細書中で配列番号
10、配列番号12および配列番号13と記載されているものである。いくつか
の例では、機能断片は親BLTの内部欠失を含むこともある(例えば配列番号1
3であり、ここではヒトBLTのアミノ酸残基7〜23が欠失している)。機能
断片は、当業者に周知の固相化学合成および/または組換えDNA技術によって
製造することができる。例えば K. Struhl, "Reverse biochemistry: Methods a
nd applications for synthesizing yeast proteins in vitro," Meth. Enzymol
. 194, 520-535 を参照のこと。例えば、ある方法では、BLTをコードする核 酸に1セットの欠失突然変異を導入し、分子のアミノ末端またはカルボキシル末
端から種々の量のペプチドコード領域が欠失しているようにする。またこの方法
を用いて、カルボキシル末端およびアミノ末端の両方が除去されている、無傷の
タンパク質の内部断片を創出することもできる。このような欠失体を創出するの
に適当なヌクレアーゼには、例えば Bal31 が含まれ、あるいは一本鎖核酸分子 の場合には mung bean ヌクレアーゼが含まれる。簡単に行うためには、BLT をコードする核酸を、一本鎖クローニングベクター、例えばバクテリオファージ
M13または同等物にクローニングするのが好ましい。所望であれば、任意の適
当な宿主細胞内での増殖および発現のため、得られた欠失断片を任意の適当なベ
クターにサブクローニングしてもよい。
【0073】 BLTの機能断片を同定し、任意の適当なアッセイを用い、生物学的活性、例
えばペプチド断片が、インシュリン感受性および/またはインビボまたはインビ
トロでの細胞によるグルコースの取り込みを刺激し、あるいは高める能力につい
て試験してもよい。
【0074】 BLTまたは本明細書中に開示されているいずれか1つのペプチドの1個また
はそれ以上のアミノ酸残基を欠失、挿入、逆位および/または置換することによ
り、BLTの機能的同族体を製造してもよい。置換同族体は一般に、固相または
組換え技術によって製造され、この同族体には、例えば表1に記載のような単一
または複数の保存的アミノ酸置換が施される。一般に、複数置換される場合には
、任意の分子中、10個以下の残基が変化しているのが好ましく、最も好ましく
は1〜5個の残基が変化し、約90〜99%の範囲の残基が配列番号8と同一で
あるようにし;あるいは、約95%〜99%の範囲の残基が配列番号8または別
の種由来の他の適当なBLTと同一であるようにする。
【0075】 例えば、アミノ酸残基1〜89の間の領域に単一または複数のアミノ酸置換を
有するヒトBLT(配列番号8)の同族体には以下のような置換が含まれる: 第1位の残基は Glu, Ala, Asp または Gln のいずれか; 第2位の残基は Leu, Ile, Val, または Met のいずれか; 第3位の残基は Thr, Ala, Glu, Ser, Pro, または Gly のいずれか; 第4位の残基は Gly, Arg, Ala, Leu, Pro, または Ser のいずれか; 第5位の残基は Glu, Gln, Asp, Asn, または Ala のいずれか; 第6位の残基は Arg, Glu, Leu, Lys, Gln, または Ala のいずれか; 第7位の残基は Leu, Pro, Asp, Val, Ile, または Met のいずれか; 第8位の残基は Arg, Glu, Ala, Tyr, Leu, Lys, Pro, Gln または Trp のい ずれか; 第9位の残基は Glu, Ala, Pro, Asp, Asn, または Gln のいずれか; 第10位の残基は Gly, Ala, Ser, または Asp のいずれか; 第11位の残基は Asp, Arg, Pro, Asn, Gln, Ala, または Glu のいずれか; 第12位の残基は Gly, Ala, Ser, または Met のいずれか; 第13位の残基は Pro, Glu, Gly, または Val のいずれか; 第14位の残基は Asp, Glu, Asn, Gln, または Gly のいずれか; 第15位の残基は Gly, Ala, Ser, または Glu のいずれか; 第16位の残基は Pro, Gln, Leu, Gly, または Glu のいずれか; 第17位の残基は Ala, Asp, Ser, または Gly のいずれか; 第18位の残基は Asp, Glu, Gln, または Asn のいずれか; 第19位の残基は Asp, Glu, Asn, または Gln のいずれか; 第20位の残基は Gly, Ser, または Ala のいずれか; 第21位の残基は Ala, Gly, Ser, または Phe のいずれか; 第22位の残基は Gly, Ala, Ser, または Lys のいずれか; 第23位の残基は Ala, Phe, Thr, Gly, Ser, または Leu のいずれか; 第24位の残基は Gln, Arg, Asp, Asn, Leu, または Val のいずれか; 第25位の残基は Ala, Leu, Asp, Ile, Gly, Ser, または Thr のいずれか; 第26位の残基は Asp, Glu, Gly, Asn, Gln, または Lys のいずれか; 第27位の残基は Leu, Ala, Ile, Met, または Val のいずれか; 第28位の残基は Glu, Gln, Asn, または Asp のいずれか; 第29位の残基は His, Asn, Tyr, Ala, Gln または Glu のいずれか; 第30位の残基は Ser, Gly, Glu, Ala, Leu, または Asp のいずれか; 第31位の残基は Leu, Ala, Val, Met, または Ile のいずれか; 第32位の残基は Leu, Ala, Val, Ile, Met, または Pro のいずれか; 第33位の残基は Val, Ala, Glu, Leu, Ile, Met, または Arg のいずれか; 第34位の残基は Ala, Ser, Pro, Glu, または Gly のいずれか; 第35位の残基は Ala, Asp, Gly, Ser, または Leu のいずれか; 第36位の残基は Glu, Ala, Thr, Leu, Asp, Asn, または Gln のいずれか; 第37位の残基は Lys, Glu, Thr, Arg, Gln, または Asp のいずれか; 第38位の残基は Lys, Arg, Gln, または Glu のいずれか; 第39位の残基は Asp, Ala, Asn, Glu, Gln, または Lys のいずれか; 第40位の残基は Glu, Ser, Asp, Asn, Gln, または Gly のいずれか; 第41位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第42位の残基は Pro, Gly, Ser, または Asn のいずれか; 第43位の残基は Tyr, Phe, または Trp のいずれか; 第44位の残基は Arg, Lys, Gln, または Glu のいずれか; 第45位の残基は Met, Ile, Ser, または Val のいずれか; 第46位の残基は Glu, Gln, Asp, Asn, His, Arg または Gly のいずれか; 第48位の残基は Tyr または Trp のいずれか; 第49位の残基は Arg または Lys のいずれか; 第50位の残基は Trp, Tyr, または Phe のいずれか; 第51位の残基は Gly, Ala, Ser, または gln のいずれか; 第52位の残基は Ser, Thr, Asn, または Ala のいずれか; 第53位の残基は Pro または Gly のいずれか; 第54位の残基は Pro, Ala, Gly, Arg, Leu, または Thr のいずれか; 第55位の残基は Lys, Arg, Gln, または Ala のいずれか; 第56位の残基は Asp, Asn, Glu, Gln, Ala, Gly, または Ile のいずれか; 第57位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第58位の残基は Arg, Gln, または Lys のいずれか; 第59位の残基は Tyr, Phe または Trp のいずれか; 第60位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第61位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第62位の残基は Phe, Tyr, または Trp のいずれか; 第63位の残基は Met, Leu, Ile, または Val のいずれか; 第64位の残基は Thr, Ala, Ser, または Lys のいずれか; 第65位の残基は Ser, Ala, Thr, または Pro のいずれか; 第66位の残基は Glu, Asp, Asn, Lys, または Gln のいずれか; 第67位の残基は Lys, Arg, または Gln のいずれか; 第68位の残基は Ser, Ala, Thr, または Gly のいずれか; 第69位の残基は Gln, Glu, Asp, Asn, Arg, または His のいずれか; 第70位の残基は Thr, Ser, Ala, または Lys のいずれか; 第71位の残基は Pro または Gly のいずれか; 第72位の残基は Leu, Ile, Met, または Val のいずれか; 第73位の残基は Val, Leu, Ile, または Met のいずれか; 第74位の残基は Thr, Ala, または Ser のいずれか; 第75位の残基は Leu, Ile, Met, または Val のいずれか; 第76位の残基は Phe, Tyr, Trp, または Leu のいずれか; 第77位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第78位の残基は Asn, Asp, Glu, Gln, または His のいずれか; 第79位の残基は Ala, Gly, Ser, Ile または Val のいずれか; 第80位の残基は Ile, Leu, Met, Val, または Thr のいずれか; 第81位の残基は Ile, Met, Val, Thr, または Leu のいずれか; 第82位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第83位の残基は Asn, Asp, Glu, Gln, または Ser のいずれか; 第84位の残基は Ala, Val, Ser, Gly, または Glu のいずれか; 第85位の残基は Tyr, Phe, Trp, または His のいずれか; 第86位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第87位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第88位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第89位の残基は Glu, Gln, Asp, Asn, または His のいずれか。
【0076】 ヒトBLT(配列番号8)中のさらなる具体的な置換には、配列番号8におけ
る、以下のような単一または複数の置換が含まれる: 第3位の残基は Glu ; 第4位の残基は Arg ; 第6位の残基は Gln ; 第7位の残基は Pro ; 第8位の残基は Glu, Ala, または Pro ; 第9位の残基は Pro または Ala ; 第11位の残基は Arg または Pro ; 第16位の残基は Leu または Gln ; 第21位の残基は Phe ; 第23位の残基は Thr, Leu または Pro ; 第24位の残基は Arg または Val ; 第27位の残基は Ala ; 第29位の残基は Asn, Tyr, または Ala ; 第30位の残基は Glu ; 第31位の残基は Ala ; 第32位の残基は Ala ; 第33位の残基は Ala または Glu ; 第34位の残基は Pro または Ser ; 第35位の残基は Asp ; 第36位の残基は Thr または Ala ; 第37位の残基は Glu ; 第40位の残基は Ser ; 第42位の残基は Ser ; 第44位の残基は Glu ; 第45位の残基は Val ; 第52位の残基は Asn ; 第54位の残基は Ala または Arg ; 第56位の残基は Gly ; 第84位の残基は Val ; 第85位の残基は His ; 第89位の残基は His 。
【0077】
【表1】 表1 典型的なアミノ酸置換能
【0078】
【表2】 表2 配列表の説明
【0079】遺伝子単離手順 当業者であれば、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅または de no
vo DNA合成を含むたくさんの組換えDNA技術によって、BLTまたはBL T融合体をコードする核酸配列を得ることができることを認識するであろう。(
例えば T. Maniatis et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed.
Chap. 14 (1989) を参照のこと)。
【0080】 例えば、配列番号1の3’末端および5’末端を標的とするオリゴヌクレオチ
ドプライマーを Met-Arg-BLT のPCR増幅用に用いることができる。例えば PC R Protocols: A Guide to Method and Application , Ed. M. Innis et al., Aca
demic Press (1990) を参照のこと。PCR増幅は、鋳型DNA、適当な酵素、 プライマーおよび緩衝液から構成され、DNA熱サイクラー(Perkin Elmer Cet
us, Norwalk, CT)において都合良く行われる。ポジティブな結果は、アガロー スゲル電気泳動による適当なサイズのDNA断片(すなわち273塩基対)の検
出によって測定される。
【0081】タンパク質製造方法 本発明の1つの態様はBLTタンパク質の医薬化合物としての使用に関する。
【0082】 当業者であれば、たくさんの種々の方法、例えば、固相ペプチド合成を含む当
分野に周知の化学的方法または組換え法によって、本発明のタンパク質およびそ
の断片または機能断片を合成することができることを認識するであろう。 両方法は、引用により本明細書中に包含される、米国特許第4,617,149
号に記載されている。
【0083】 タンパク質の固相化学合成の原理は当分野に周知であり、この分野の一般的文
献中に見出すことができる。例えば H. Dugas and C. Penney, Bioorganic Chem istry (1981) Springer-Verlag, New York, 54-92 を参照のこと。例えば、Appl
ied Biosystems 430A peptide synthesizer (Applied Biosystems, Foster City
, CA) および Applied Biosystems によって供給される合成サイクルを用いる固
相方法論によってペプチドを合成してもよい。
【0084】 double-couple プロトコルを用いる連続t−ブトキシカルボニル化学を、出発
p−メチルベンズヒドリルアミン樹脂に適用して、C末端カルボキサミド化合物
を製造する。C末端酸化合物の製造には、対応するピリジン−2−アルドオキシ
ムメチオダイド樹脂を用いる。前もって形成されたヒドロキシベンゾトリアゾー
ルエステルを用いて、アスパラギン、グルタミンおよびアルギニンをカップリン
グさせる。合成完了後、このペプチドを脱保護し、10% メタ−クレゾールを 含む無水のフッ化水素を用いて樹脂から開裂させる。側鎖保護基(群)の開裂、
およびペプチドの樹脂からの開裂は、摂氏0℃またはそれ以下、好ましくは−2
0℃で30分間、その後0℃で30分間行う。
【0085】 一般に、ペプチドの合成は以下のような一連の工程から構成される。まず、α
−アミノ(および、必要であれば、側鎖の官能基)が保護されているアミノ酸を
活性化させ、反応性エステルを形成させる。この活性化アミノ酸をその活性化エ
ステル基を介して不活性固形支持体に結合させ、結合アミノ酸を十分に洗浄する
。この工程の後、別の反応において、第2の保護アミノ酸をエステルに活性化さ
せる。第1のアミノ酸のα−アミノ基を脱保護し、反応性アミンを得、第2の活
性化アミノ酸をそれと反応させて、固形支持体上にジペプチドを形成させる。こ
れらの工程を連続して繰り返し、ペプチドを長くする。合成完了後、このペプチ
ドを固形支持体から切り離し、このペプチドを強酸で処理して側鎖官能基を脱保
護する。次いでろ過によってこのペプチドを固形支持体と分離し、有機溶媒で沈
殿させ、当分野に周知の種々の技術によって精製する。
【0086】 この例では、α−アミノ保護基は9−フルオロエニルメチルカルボニル(Fm
oc)基である。側鎖保護基は;Boc(Lys および Trp 残基に対して), Trt(
Asn, His, Gln に対して), tBu(Ser, Thr, Tyr に対して), OtBu(Asp, Glu
に対して) および Pmc(Arg に対して)である。活性化エステルは2−(1H −ベンゾ−トリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウ
ムヘキサフルオロホスフェイト(HBTU)を用いて形成させる。
【0087】 固相をピペリジンで処理することによってα−アミノFmoc保護基を除去す
る。これらの条件下、固相結合および側鎖保護基には影響を与えずに、Fmoc
基を容易に除去することができる。発生期のペプチド鎖に付加することが可能な
ように、この保護アミノ酸をHBTUで活性化する。
【0088】 ヒトBLTの合成ではいくつかの特別な難題を提示された。まず、このペプチ
ド配列は ser-pro-pro トリペプチドセグメントを含んでいる。標準的カップリ ング化学は、この合成において一連の欠失エラーを生じる。pro 残基の double-
coupling によってこのような欠失を最小化する。好ましい態様では、Pro およ び Ser 残基の double-coupling によってこの合成を行う。さらに、カップリン
グ工程が完了した後、未反応のまま残った、脱保護ペプチドすべてを無水酢酸に
よって保護し、欠失ペプチドの鎖延長を防止する。
【0089】 第2に、ヒトペプチドは3個の asp-gly ジペプチド配列を含む。これらの配 列は、asp 側鎖が保護されている場合でさえ、サイクリックイミンが形成しやす
い。次いでこれらのサイクリックイミンは、脱保護工程においてピペリジンと反
応し、ピペリジン修飾ペプチドを生じることもある。asp 残基の前にある各グリ
シン残基のN−a−Hmb保護を利用して、この環化を排除した。例えば、引用
により本明細書中に包含される Qubbell et.al. J. Chem. Soc. Chem. Commun.
2343, 1994 を参照のこと。2個の asp-gly ジペプチドの前に pro がある。配 列のこの特徴およびhmb保護アミノ酸の低い反応性のおかげで、これらの各々
は多重カップリング(multiply-coupled)され、次いで無水酢酸でキャップされ
る。好ましい態様では、これらは二重カップリング(double-coupled)される。
【0090】 好ましい方法では、Fmoc化学を用い、一回の実行でペプチドを合成する。
BLTの合成は、分子のN末端部分にいくつかの asp-gly ジペプチド配列が存 在することによって面倒になる。asp-gly ジペプチド配列中のアスパルチル(As
partyl)側鎖が、FMOC合成中に、塩基で触媒される環化とその後のピペリジ
ン付加を受けることが観察された。この反応は、合成中、各 asp-gly 配列でF moc−(FmocHmb)−グリシンを用いることにより排除される。Hmb
基を用いてグリシルアミドを保護すると、アスパルチル側鎖の環化が阻害される
。分解し、脱保護し、ならびに逆相HPLCで精製した後、このペプチドをエレ
クトロスプレー質量スペクトル分析によって分析することができる。このBLT
の合成で見られる主な種類は、予想される質量を有する完全長ペプチドである。
この方法を用いて、0.1mmoleスケールでの一回の実行から100mgを
超える大量の精製タンパク質を製造することができる。
【0091】 本発明のタンパク質はまた、組換えDNA法によって製造することもできる。
当業者に周知の種々の適当な宿主細胞中で、BLT、またはBLT融合体(例え
ば配列番号1)をコードするクローン化核酸を発現させることができる。この目
的のため、当業者に周知のいずれかの適当な方法によって、BLTをコードする
核酸を宿主細胞に導入する。染色体組込みは本発明の範囲内であるが、BLT遺
伝子のコード領域が構成性または誘導性プロモーターに作動可能に連結されるよ
うに、染色体外に維持される適当な発現ベクターにこの配列をクローン化するの
が好ましい。
【0092】 BLTタンパク質の組換え生産における基本工程は: a) BLTまたはその融合タンパク質をコードする、天然、合成または半合成
のDNAを構築する工程; b) 該タンパク質の発現に適当なようにDNAを発現ベクターに組込む工程; c) 該ベクターを適当な真核または原核宿主細胞に形質導入するか、あるいは
別の方法で導入し、組換え宿主細胞を形成させる工程; d) 該タンパク質の発現に適当なように組換え宿主細胞を培養する工程;およ
び、 e)いずれかの適当な手法により、該タンパク質を回収し、実質的に精製する工
程である。
【0093】原核および真核宿主細胞内での組換えBLT融合タンパク質の発現 ヒトβ−リポトロピン(BLT)は89アミノ酸ホルモンであり、前駆体タン
パク質の形態で下垂体によって生産され、この前駆体は翻訳後にプロセッシング
を受けていくつかの生物に影響するホルモンを生じ、この中にBLTも含まれる
。BLTは小さく、タンパク質分解に感受性の部位を含むので、最初、我々は化
学合成によってこのタンパク質を製造した。しかし、この方法は大量生産に有用
ではない。本発明では、細菌または真菌発現宿主内で、融合タンパク質形態のB
LTを生産することができる方法を記載する。これらの融合タンパク質をタンパ
ク質分解から保護し、以下に記載の方法によって無傷のBLTを回収可能にする
【0094】 E. coli では、高濃度の塩の存在下、慣用の精製法によって細胞溶解液から回
収可能な融合タンパク質としてBLTを製造する。融合タンパク質は特異的プロ
テアーゼの認識部位を含み、これはBLTから融合パートナーを分離するのに用
いられる。Pichia pastoris では、融合タンパク質は細胞から分泌される際に開
裂されるので、培養培地から天然BLTを検出し、無傷で回収することができる
【0095】 この方法はBLTの製造方法を提供する。化学合成と違い、本明細書中に記載
される方法は、大量のBLTの製造にまで規模を拡大することができる。
【0096】 組換えBLTタンパク質の製造に原核生物を用いてもよい。例えば、Escheric
hia coli K12 株 294 (ATCC No. 31446) は、原核細胞内での外来性タンパク質 の発現に特に有用である。本発明の組換えタンパク質のクローニングおよび発現
に、宿主細胞として、他の E. coli 株、Bacillus subtilis のようなバチルス 、Salmonella typhimurium または Serratia marcescans のような腸内細菌(en
terobacteriaceae)、種々のシュードモナス種および他の細菌、例えば Strepto
myces を用いてもよい。
【0097】 原核生物における遺伝子の発現を駆動させる適当なプロモーター配列には、b
−ラクタマーゼ[例えば、ベクター pGX2907, ATCC 39344 であり, これはレプ リコンおよびb−ラクタマーゼ遺伝子を含む]、ラクトース系[Chang et al.,
Nature (London), 275:615 (1978); Goeddel et al., Nature (London), 281:54
4 (1979)]、アルカリホスファターゼおよび、trpプロモーターの制御下で、
オープンリーディングフレームのtrpE融合タンパク質としての発現を促進す
るように設計されているトリプトファン(trp)プロモーター系[ベクター p
ATH1 (ATCC 37695)]が含まれる。ハイブリッドプロモーター、例えばtacプ ロモーター(プラスミド pDR540, ATCC-37282 から単離可能)も T7 プロモータ
ーと同様、適当である。ヌクレオチド配列が概して既知である、さらに他の細菌
プロモーターを、リンカーまたはアダプターを用いて本発明のタンパク質をコー
ドするDNAに連結し、必要な任意の制限部位を供給してもよい。細菌系で用い
るためのプロモーターはまた、所望のポリペプチドをコードするDNAに作動可
能に連結されたシャイン・ダルガルノ配列を含むであろう。これらの例は限定的
ではなく、例示的である。
【0098】 本発明のタンパク質を直接発現させるか、あるいは融合タンパク質であって、
これから融合パートナーが酵素的あるいは化学的分解によって除去され得るもの
として発現させることによって本発明のタンパク質を合成してもよい。原理的に
は、本発明は、細菌または真菌宿主内で発現可能な任意の融合系に適用される。
適当な融合系の1つの態様では、例えば融合パートナーをBLTのアミノ末端に
配置するなど、認識部位をBLTと融合パートナーの間に配置する。適当な部位
は、プロテアーゼの認識配列または化学的分解を受けやすい部位であり得る。
【0099】 適当な細菌の融合パートナーの例には、グルタチオン−S−トランスフェラー
ゼ、マルトース結合タンパク質、プロカルボキシペプチダーゼ、カルモジュリン
結合タンパク質または、融合タンパク質の大量発現そ促進する、アミノ末端に位
置する任意の配列が含まれる。
【0100】 適当なプロテアーゼの例には、因子Xa、トロンビンおよびエンテロキナーゼ
が含まれる。化学的分解用の試薬には、臭化シアン、酸などが含まれる。
【0101】 真菌系で有用な融合パートナーの例には、α交配因子(alpha mating factor )、プロペプチド、ヒト血清アルブミンおよび、融合タンパク質の発現および分
泌およびその後の開裂(分泌中)を促進し、天然BLTを培養培地内に放出させ
る、任意の他の配列が含まれる。
【0102】 1つのアプローチでは、BLT融合タンパク質は、天然BLT分子のアミノ末
端でジペプチド(すなわち Met-Arg)と融合した天然BLT配列(例えば配列番
号2)を含む。カテプシンCで処理することによって、この融合分子のジペプチ
ドパートナーを放出させ、当分野に既知の技術、例えばHPLCによって、天然
BLT分子を精製することができる。組換えBLT融合タンパク質を製造する別
の方法では、本質的には、引用により本明細書中に包含される Smith and Johns
on(Gene, 67, 31, 1988)に記載のように、グルタチオン−S−トランスフェラ
ーゼ(GST)を融合パートナーとして用い、本明細書中で配列番号7と記載さ
れるタンパク質を製造する。
【0103】 あるペプチドを組換え系で製造する際にしばしば観察されるのは、融合タンパ
ク質としての発現によって、所望のペプチドの寿命が延長され、収量が増加し、
あるいは該タンパク質の好都合な精製方法が提供されることである。このことは
、原核宿主内で哺乳類のタンパク質を発現させた場合に特に関係する。ポリペプ
チドを特異的部位で開裂させる(例えば、エンテロキナーゼおよびトロンビン)
か、あるいはペプチドを、該ペプチド鎖のアミノ末端またはカルボキシ末端から
消化する(例えばジアミノペプチダーゼ)種々のペプチダーゼが既知である。さ
らに、特定の化学物質(例えば臭化シアン)はポリペプチド鎖を特異的部位で開
裂させる。当業者であれば、アミノ酸配列(および、組換え法が用いられている
場合には、合成または半合成のコード配列)に対して、部位特異的内部開裂部位
を包含させる、必要な修飾を理解するであろう。例えば P. Carter, "Site Spec
ific Proteolysis of Fusion Proteins", Chapter 13, in Protein Purificatio n: From Molecular Mechanisms to Large Scale Processes , American Chemical
Society, Washington, D.C. (1990) を参照のこと。
【0104】 原核生物に加えて、種々の両生類発現系、例えばカエル卵母細胞、および哺乳
類細胞系を用いることができる。特定の宿主細胞の選択は、ある程度、実際に用
いられる発現ベクターに依存する。本発明において用いるのに適当な哺乳類宿主
細胞の例には、例えば HepG-2 (ATCC HB 8065), CV-1 (ATCC CCL 70), LC-MK2 (
ATCC CCL 7.1), 3T3 (ATCC CCL 92), CHO-K1 (ATCC CCL 61), HeLa (ATCC CCL 2
), RPMI8226 (ATCC CCL 155), H4IIEC3 (ATCC CCL 1600), C127I (ATCC CCL 161
6), HS-Sultan (ATCC CCL 1484), および BHK-21 (ATCC CCL 10) が含まれる。
【0105】 広範な種々のベクターが哺乳類宿主細胞を形質転換するのに適当である。例え
ば、pSV2 型ベクターは、転写およびポリアデニル化に必要とされる simian vir
us 40 (SV40) ゲノムのセグメントを含む。SV40 プロモーターが挿入遺伝子の転
写を駆動する、多数のプラスミド pSV2 型ベクター、例えば pSV2-gpt, pSV2-ne
o, pSV2-dhfr, pSV2-hyg, および pSV2-b-globin が構築された。これらのベク ターは、例えば the American Type Culture Collection (ATCC), 12301 Parkla
wn Drive, Rockville, Maryland, 20852, または the Northern Regional Resea
rch Laboratory (NRRL), 1815 N. University Street, Peoria, Illinois, 6160
4 のような供給元から広く入手可能である。
【0106】 哺乳類細胞内での発現に適当なプロモーターには、SV40 後期プロモーター、 真核生物遺伝子由来のプロモーター、例えばエストロゲン誘導チキン卵白アルブ
ミン遺伝子、インターフェロン遺伝子、糖質コルチコイド誘導チロシンアミノト
ランスフェラーゼ遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子プロモーターおよび主要な初
期および後期アデノウイルス遺伝子のプロモーターが含まれる。
【0107】 プロトプラスト融合、リン酸カルシウム共沈殿、エレクトロポレーションなど
を含むが、これらに限定されないたくさんの周知の方法により、哺乳類細胞をベ
クターでトランスフェクションすることができる。例えば Maniatis et al. 上 記を参照のこと。
【0108】 また、いくつかのウイルスは適当なベクターになる。この例には、引用により
本明細書中に包含される、米国特許第4,775,624号に記載の、アデノウ
イルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、バキュ
ロウイルスおよびラウス肉腫ウイルスが含まれる。
【0109】 真核微生物、例えば酵母および他の真菌もまた、適当な宿主細胞である。酵母
Saccharomyces cerevisiae および Pichia pastoris は好ましい真核微生物で ある。他の酵母、例えば Kluyveromyces lactis もまた適当である。Saccharomy
ces 内での発現用には、例えばプラスミド YRp7 (ATCC-40053) を用いてもよい 。例えば L. Stinchcomb et al., Nature, 282, 39 (1979); J. Kingsman et al
., Gene, 7, 141 (1979); S. Tschemper et al., Gene, 10, 157 (1980) を参照
のこと。プラスミド YRp7 には trp1 栄養要求性突然変異体内での使用について
の選択的マーカーを提供する TRP1 遺伝子が含まれる。
【0110】 本発明の他の態様には、BLTまたはその断片をコードする単離された核酸配
列が含まれる。当業者であれば、本発明のアミノ酸化合物が、たくさんの種々の
核酸配列によってコードされ得ることを理解できよう。これらの別の核酸配列は
同じアミノ酸配列をコードするため、本発明にはさらに、これらの別の核酸配列
が含まれる。
【0111】 また、本発明のBLTをコードする核酸を、化学合成法によって製造してもよ
い。核酸の合成は当分野に周知である。例えば E.L. Brown, R. Belagaje, M.J.
Ryan, and H.G. Khorana, Methods in Enzymology, 68:109-151 (1979) を参照
のこと。ホスホルアミダイト(phosphoramidite)化学を利用する、慣用のDN A合成装置、例えば、Applied Biosystems Model 380A or 380B DNA synthesize
rs (Applied Biosystems, Inc., 850 Lincoln Center Drive, Foster City, CA
94404) を用いて、BLTに対応するDNA配列の断片を製造することができ、
次いでこの断片を連結し、完全な遺伝子を再構成することができる。別法として
、ホスホトリエステル化学を用いて、本発明の核酸を合成してもよい。(例えば
M.J. Gait, ed., Oligonucleotide Synthesis, A Practical Approach, (1984)
を参照のこと)。
【0112】ベクター 本発明のもう1つの側面は、本発明の核酸を含む、組換えDNAクローニング
ベクターおよび発現ベクターに関する。好ましい核酸ベクターはDNAを含むも
のである。最も好ましい組換えDNAベクターは、単離されたDNA配列、配列
番号1を含むものである。
【0113】 当業者であれば、最も適当なクローニングベクターの選択は、制限酵素部位の
利用可能性、該ベクターがトランスフェクトあるいは形質導入される宿主細胞の
タイプ、トランスフェクションおよび形質転換の目的(例えば染色体外因子とし
ての安定な形質転換または宿主染色体への組込み)、容易にアッセイ可能あるい
は選択可能なマーカーの存在または不存在(例えば1つのタイプおよびもう1つ
のタイプの抗生物質耐性および代謝マーカー)および宿主細胞内の所望の遺伝子
のコピー数を含むたくさんの要因に依存することを理解する。
【0114】 本発明の核酸を保持するのに適当なベクターには、RNAウイルス、DNAウ
イルス、溶菌性バクテリオファージ、溶原性バクテリオファージ、安定バクテリ
オファージ、プラスミド、ウイロイドなどが含まれる。最も好ましいベクターは
プラスミドである。
【0115】 発現ベクターを調製する場合、例えば、構成性プロモーター用いるか、あるい
は誘導性プロモーターを用いるかのような考慮すべき多くの変数が存在すること
が当業者には理解される。また当業者には、製造される核酸またはタンパク質の
量が、発現系の選択を部分的に左右することを理解される。プロモーター配列に
ついて言えば、誘導性プロモーターは、作動可能に連結された遺伝子を大量に調
節して発現できるので好ましい。当業者であれば、種々の誘導物質、例えば炭素
源、金属イオンおよび熱に応答するたくさんの適当なプロモーターを認識してい
るであろう。発現ベクターに関する他の関連する考察には、組換えタンパク質を
局在化させる配列を含ませるかどうかが含まれる。例えばシグナルペプチドをコ
ードする配列を遺伝子のコード領域の前に配置すると、得られたポリペプチドを
細胞外へ輸送させるのに有用である。
【0116】 本発明はまた、BLTタンパク質を発現可能な組換え宿主細胞を構築する方法
であって、BLTをコードする単離されたDNA配列を含む組換えDNAベクタ
ーを宿主細胞に形質導入あるいは別の方法で導入することを含む方法を提供する
。好ましい宿主細胞は、外来の導入遺伝子またはタンパク質の大量発現を可能に
する任意の細胞である。形質転換された細胞を当業者に周知の条件下で培養し、
組換えBLTを発現させてもよい。
【0117】 本発明はまた、インシュリン代謝または炭水化物代謝の欠損に関連する疾患ま
たは症状、例えば高血糖症、インシュリン過剰血症、タイプ1およびタイプ2糖
尿病およびその合併症を患っているヒトおよび他の哺乳類を処置する方法を提供
する。この方法はそれを必要としている生物に有効量のBLTタンパク質または
ペプチド、または、BLTを含む融合タンパク質、またはその機能断片、または
その同族体を約1〜1000ug/体重kgの範囲の用量で投与することを含む
。この方法を行う際、一日1回の投与、一日当たり複数回の投与、または体内に
移植されているか、あるいは身体に装着されている機械ポンプ装置を介して継続
的または断続的に投与することによりBLTを投与可能である。投与すべきBL
Tまたは関連するタンパク質またはペプチドの量は、医師によって決定され、処
置される症状、症候群または疾患の性質および重篤度、および患者の年齢および
全体的健康状態などの要因に依存する。
【0118】 本発明はまた、活性物質として、BLTタンパク質またはその機能断片、また
はその同族体、例えば配列番号8で示されるもの、または製薬的に許容されるそ
の無毒の塩を、製薬的に許容される固形または液状担体と組み合わせて含む医薬
組成物を提供する。好ましくは製薬的に許容される塩形態である本発明のタンパ
ク質を、糖尿病またはその合併症を治療または予防処置するための非経口投与用
に製剤化することができる。例えば、配列番号8の化合物または他のBLT、ま
たはその断片を慣用の製薬的担体および賦形剤と混合することができる。BLT
タンパク質を含む組成物は、好ましくは可溶形態で、約0.1〜90重量%、よ
り一般的には約10〜30%のこのタンパク質を含む。さらに、本発明のタンパ
ク質は、単独で、あるいは他の抗糖尿病剤または糖尿病の処置に有用な物質と組
み合わせて投与してもよい。
【0119】 静脈内(IV)で使用するには、BLTタンパク質、断片または同族体を、一
般に用いられる静脈内投与用液状物(群)中で投与し、ならびに注入によって投
与する。そのような液状物として、例えば生理食塩水、リンガー溶液または5%
デキストロース溶液を用いることができる。
【0120】 筋肉内製剤用に、滅菌製剤、好ましくはBLTタンパク質、例えば配列番号8
の適当な可溶塩形態、例えば塩酸塩を、製薬的希釈剤、例えば発熱原を含まない
水(蒸留水)、生理食塩水または5%グルコース溶液中に溶解させ、投与するこ
とができる。適当な不溶性形態の本発明化合物を水性基剤または製薬的に許容さ
れる油状基剤、例えば長鎖脂肪酸のエステル、例えばエチルオレアート中の懸濁
液として調製し、投与してもよい。
【0121】 以下に実施例を挙げ、本発明および糖尿病の処置におけるBLTの使用をさら
に完全に説明する。当業者であれば、記載されている具体的な試薬、装置および
手法が単に例示的であり、いかなる意味においても本発明を限定するためのもの
ではないことを認識するであろう。
【0122】 実施例1ヒトBLTタンパク質の固相合成および精製 ヒトBLTペプチド(配列番号8)をFmoc化学を利用する一回の実行で合
成した。BLTの合成は、このペプチドのN末端部分にいくつかの asp-gly ジ ペプチド配列が存在するために面倒である。asp-gly ジペプチド配列中のアスパ
ルチル側鎖は、FMOC合成中、塩基によって触媒される環化およびその後のピ
ペリジン付加を受けることが観察された。この合成において、各 asp-gly 配列 での Fmoc-(FmocHmb)-グリシンの使用によりこの反応を排除する。グリシルアミ
ドをHmbで保護すると、アスパルチル側鎖の環化が阻害される。分解、脱保護
および逆相HPLC精製を行った後、このペプチドをエレクトロスプレー質量ス
ペクトル分析によって分析することができる。この合成において見られる主要な
種類は、予想される質量を有する完全長のペプチドである。この方法の使用によ
り、0.1mmole 規模で、一回の実行から100mgを超える大量の精製タンパ
ク質の生産が可能になる。
【0123】 材料:前負荷された Fmoc-Glu (OtBu) Wang (p−ベンゾキシベンジルアルコ ールで機能化された1%架橋ポリスチレン)樹脂(約0.6mmole アミノ酸/樹脂
g)。N−メチルピロリドン (NMP), ピペリジン, 2−(1H−ベンゾトリア
ゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ
ホスフェイト (HBTU), 2M N,N−ジイソプロピルエチルアミン (DIEA) 1−
ヒドロキシベンゾトリアゾール (HOBt), ジクロロメタン (DCM), ジメチルホル ムアミド (DMF)。
【0124】 Fmoc保護C末端アミノ酸(0.1または0.25mmole アミノ酸)を前負
荷しておいた樹脂の重さを量り、反応室に置いた。この樹脂をDCMで洗浄し、
前もって膨潤させておいた。次いでこの樹脂をNMPで洗浄した。この樹脂をN
MP中の18−22%ピペリジン溶液中でインキュベートし、N−末端Fmoc
基を除去した。脱保護後、樹脂をNMPで何回も洗浄した。
【0125】 このペプチドに付加すべき次のFmoc保護アミノ酸1mmoleを、DMF中の NMP2.1g、0.45 M HBTU/HOBt 試薬2.0gに溶解させた。溶解後、NM
P中の 2M DIEA 3mLを加えてアミノ酸の活性化を開始した。次いで活性化さ れたアミノ酸を脱保護した樹脂に加えて、カップリングさせた。カップリングが
完了した時点で、この樹脂をNMPで何回も洗浄した。次いで各後続アミノ酸に
ついて、脱保護およびカップリングの完全サイクルを繰り返した。
【0126】 この合成の具体的なサイクル工程は以下のものであった:サイクル アミノ酸 工程 1 Glu(OtBu) Complete wash 2 Gly Single Couple 3 Lys(Boc) Single Couple 4 Lys(Boc) Single Couple 5 Tyr(tBu) Single Couple 6 Ala Single Couple 7 Asn(Trt) Single Couple 8 Lys(Boc) Single Couple 9 Ile Single Couple 10 Ile Single Couple 11 Ala Single Couple 12 Asn(Trt) Single Couple 13 Lys(Boc) Single Couple 14 Phe Single Couple 15 Leu Single Couple 16 Thr(tBu) Single Couple 17 Val Single Couple 18 Leu Single Couple 19 Pro Double couple/Ac2O cap 20 Thr(tBu) Single Couple 21 Gln(Trt) Single Couple 22 Ser(tBu) Single Couple 23 Lys(Boc) Single Couple 24 Glu(OtBu) Single Couple 25 Ser(tBu) Single Couple 26 Thr(tBu) Single Couple 27 Met Single Couple 28 Phe Single Couple 29 Gly Single Couple 30 Gly Single Couple 31 Tyr(tBu) Single Couple 32 Arg(Pmc) Single Couple 33 Lys(Boc) Single Couple 34 Asp(OtBu) Single Couple 35 Lys(Boc) Single Couple 36 Pro Double couple/Ac2O cap 37 Pro Double couple/Ac2O cap 38 Ser(tBu) Single Couple 39 Gly Single Couple 40 Trp(Boc) Single Couple 41 Arg(Pmc) Single Couple 42 Phe Single Couple 43 His(Trt) Single Couple 44 Glu(OtBu) Single Couple 45 Met Single Couple 46 Arg(Pmc) Single Couple 47 Tyr(tBu) Single Couple 48 Pro Double couple/Ac2O cap 49 Gly Single Couple 50 Glu(OtBu) Single Couple 51 Asp(OtBu) Single Couple 52 Lys(Boc) Single Couple 53 Lys(Boc) Single Couple 54 Glu(OtBu) Single Couple 55 Ala Single Couple 56 Ala Single Couple 57 Val Single Couple 58 Leu Single Couple 59 Leu Single Couple 60 Ser(tBu) Single Couple 61 His(Trt) Single Couple 62 Glu(OtBu) Single Couple 63 Leu Single Couple 64 Asp(OtBu) Single Couple 65 Ala Single Couple 66 Gln(Trt) Single Couple 67 Ala Single Couple 68 Gly Single Couple 69 Ala Single Couple 70 Gly(Fmoc-hmb) Double couple/Ac2O cap 71 Asp(OtBu) Single Couple 72 Asp(OtBu) Single Couple 73 Ala Single Couple 74 Pro Double couple/Ac2O cap 75 Gly(Fmoc-hmb) Double couple/Ac2O cap 76 Asp(OtBu) Single Couple 77 Pro Double couple/Ac2O cap 78 Gly(Fmoc-hmb) Double couple/Ac2O cap 79 Asp(OtBu) Single Couple 80 Gly Single Couple 81 Glu(OtBu) Single Couple 82 Arg(Pmc) Single Couple 83 Leu Single Couple 84 Arg(Pmc) Single Couple 85 Gln(Trt) Single Couple 86 Gly Single Couple 87 Thr(tBu) Single Couple 88 Leu Single Couple 89 Glu(OtBu) Single Couple 90 Final deprotect Complete wash(完全な洗浄) Single Couple(一重カップリング) Double couple(二重カップリング) Final deprotect(最終的な脱保護)
【0127】 ゆっくり、非効率的に反応するアミノ酸に関して、2回の別のカップリング反
応を行った。無水酢酸で処理して、残りの反応しなかったペプチドをすべて保護
した。これらのアミノ酸の1個についての工程手順は、脱保護、カップリング反
応1、洗浄、カップリング反応2、洗浄、Ac2O cap、洗浄、脱保護であった。 略語: OtBu: t-ブチルエステル, tBu: t-ブチル, Boc: t-ブトキシカルボニ
ル, Pmc: 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマ-6-スルホニル, Hmb: 2-ヒドロキシ-4
-メトキシベンジル, Fmoc: 9-フルオレニルメトキシカルボニル。
【0128】 実施例2BLTをコードする合成遺伝子の構築 Maniatis et.al., Molecular Cloning: A laboratory Manual, Cold Spring H
arbor Laboratory, N.Y. (1982) に記載のような標準的クローニング方法論を用
いてプラスミドを構築した。酵素および他の試薬は Gibco-BRL, Gaithersgurg,
MD または New England Biolabs, Beverly MA 01915 から入手した。本発明で用
いられる種々のオリゴヌクレオチドおよびDNA断片を消化、同定、回収および
精製する方法は当業者に既知であり、これらの配列をベクターに連結し、宿主微
生物を形質転換し、プラスミドDNAおよび組換えタンパク質産物の製造を可能
にする条件下でこれらの宿主微生物を培養する方法も同様である。
【0129】 ヒトBLT(配列番号8)をコードするDNA配列を、52〜86塩基の範囲
のサイズの8個の化学合成オリゴヌクレオチドと結合させた。このオリゴヌクレ
オチドは慣用のDNA合成装置、例えば Applied Biosystems model 380A or 38
0B(Applied Biosystems, Inc., 850 Lincoln Center Drive, Foster City, CA
94404 から市販されている)を用いて製造されたものである。このオリゴヌクレ
オチドの配列は、4個のオリゴヌクレオチドが合成遺伝子の一方の鎖を生じさせ
、残りの4個のオリゴヌクレオチドが合成遺伝子のその相補鎖を生じさせるよう
に設計されたものである。結合の前に、このオリゴヌクレオチドを、ATPの存
在下、ポリヌクレオチドキナーゼで処理し、それぞれのオリゴヌクレオチドの遊
離のヒドロキシル基をリン酸化する。
【0130】 8個のオリゴヌクレオチドを容量100uL中、等濃度(3ピコモル/uL)
で混合し、95℃にまで加熱し、数時間かけて、室温にまで徐々に冷却した。こ
れにより、それぞれのオリゴヌクレオチドを適正に塩基対形成させた。T4 DNA リガーゼを加えて、オリゴヌクレオチドを連結し、二重鎖の〜285塩基対DN
Aを得、これを2%アガロースゲルで分析し、精製した。「付着」末端を有する
この断片を、NdeI および BamHI で消化したpUC18ベクターに連結した。こ
の連結混合物を感応 DH10B 細胞に形質導入し、これを100ug/mLのアン ピシリンを含むトリプトン−酵母寒天プレートにまいた。一晩で生育したコロニ
ーを、化学合成された遺伝子を含むプラスミドの存在に関して分析した。これは
、これらのコロニーからプラスミドDNAを精製し、このプラスミドDNAをNd
eI および BamHI で消化し、〜285塩基対断片の存在を確かめることによって
行った。次いでDNA配列分析により正しい配列を確認にした。このプラスミド
を pOJ838 と名付けた。
【0131】 実施例3BLT融合タンパク質を発現するプラスミドの構築 BLTは小さいタンパク質であるため、融合タンパク質を創出して、そのサイ
ズを大きくすることは有益であった。この目的のため、2個の異なる融合パート
ナーを用いた。一方は、因子Xa開裂部位および本明細書中では配列番号6とし
て記載されるアミノ酸配列を有する、ベクター pGEX-2T (Pharmacia Biotechno
logy, Piscataway, NJ 08855) によってコードされるグルタチオン−S−トラン
スフェラーゼ(GST)であり;他方は短いペプチド配列 MIIGLMVGGVSGSGSGSGD
DDDP(配列番号3)であった。
【0132】 天然のβ−リポトロピンを得るため、融合タンパク質を化学的処理あるいは酵
素的消化によって処理し、β−リポトロピンをその融合パートナーから解離させ
る。融合パートナーとβ−リポトロピンの間に酵素的あるいは化学的開裂用の部
位を挿入することによってこれを行う。GST融合物の場合には、エンテロキナ
ーゼまたは因子Xaの認識部位を選択し;合成小ペプチド融合物(配列番号3)
の場合には、プロリンを挿入し、これにより酸での処理によって化学的に開裂さ
せることができるようにした。
【0133】 因子Xa認識配列 (IEGR) を伴うGST融合物をコードするプラスミドを以下
のように構築した。プラスミド pOJ838(合成β−リポトロピンを含む pUC18; 実施例4を参照のこと)を NdeI および NruI で消化し、最大のベクター断片を
ゲル精製した。配列:5'-TATGAGATCTATCGAAGGTCGTGAGCTCACCGGTCAGCGTGTTCG-3' (配列番号4)の合成リンカーおよびその相補体を等量混合し、95℃にまで加
熱し、温度を約25℃にまで徐々に下げてアニーリングさせた。アニーリングさ
れたリンカーをベクター断片に連結し、連結混合物を感応 DH10B 細胞に形質導 入した。形質転換細胞を、100ug/mlのアンピシリンを含むトリプトン−
酵母寒天プレートにまいた。一晩生育したコロニーを、リンカー配列を含むプラ
スミドの存在に関して分析した。これらのコロニーからプラスミドDNAを精製
し、リンカーを介して導入された新たな BglII 部位の存在を確かめることによ ってこれを行った。次いでDNA配列分析によって正しいリンカー配列を確認し
た。得られたプラスミドを pOJ839 と名付けた。
【0134】 プラスミド pOJ839 を BglII および EcoRI によって消化し、(因子Xa認識
配列と結合されている)β−リポトロピン遺伝子を含む小さい断片をゲル精製し
、BamHI および EcoRI で消化された pGEX 2-T に連結した。この連結混合物を コンピテント DH10B 細胞内に形質導入し、これを、100ug/mLのアンピ シリンを含むトリプトン−酵母寒天プレートにまいた。一晩生育したコロニーを
、SacI で消化した後に新たな〜300bp断片を含むプラスミドの存在に関し て分析した。この新規プラスミドを pOJ840 と名付けた。
【0135】 実施例4プロカルボキシペプチダーゼ−BLT融合タンパク質をコードする組換えベクタ ー pHMM260-ProCpB(10)/LVPR/β−リポトロピン (R49) 組換えDNA発現ベクター、pHMM260 は、プロカルボキシペプチダーゼ−BL
T融合タンパク質をコードする ProCpB(10)/LVPR/β−リポトロピン(R49) 発現カセットを含む。標準的クローニング技術を用いてこのベクターを製造した
。pHMM260 の発現カセットの注釈を図16に示す。この発現カセットには、5’
末端において NdeI 部位が隣接し、3’末端において BamHI 部位が隣接してい る。ブタプロカルボキシペプチダーゼBタンパク質のプロペプチド部分はカセッ
トの5’末端に存在し、Met残基で始まって、Ser残基で終わっている。ト
ロンビンプロテアーゼ認識配列、LVPR はプロカルボキシペプチダーゼ配列の3 ’側に隣接して存在する。トロンビン開裂部位の3’末端側のGlu残基で始ま
る配列は、野生型ヒトβ−リポトロピンをコードしている。
【0136】 BLT配列の第49位が野生型配列の Arg (R49) から Ala (A49) pHMM261, または Glu (E49) pHMM262, または Gln (Q49) pHMM263 に変化している、いく つかの誘導体カセットを構築した。これらの誘導体は、融合タンパク質を合成お
よび精製する間のタンパク質分解の感受性を減少させるために作成されたもので
ある。これらのベクターはすべて可溶性融合タンパク質をコードしている。
【0137】 実施例5セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)−BLT融合タンパク 質をコードする組換えベクター pHMM268 標準的クローニング技術を用いて、酵素、セリンヒドロキシメチラーゼトラン
スフェラーゼ(SHMT)由来のアミノ末端配列を含む融合タンパク質を構築し
た。プラスミド pHMM268 を E. coli 中で大量に発現させた。pHMM268 によって
生産された融合タンパク質は不溶性であり、粒子分画(フラクション)で回収す
ることができた。この特徴はタンパク質分解に対して保護するのに利点を提供し
た。
【0138】 実施例6雄性 Avy/A マウスに対する7日間のマウスBLTの投与 Avy/A マウスは肥満および糖尿病のモデルである。この同系交配株は、中年期
に高血糖症、インシュリン過剰血症およびインシュリン非感受性を発症するため
、肥満および糖尿病の両者についての有用なモデルを提供する。
【0139】 年齢約6月の雄性 Avy/A マウスを Harlan Co. (Indianapolis, IN) から購入
した。この動物をかご当たり6匹飼育し、ad libitum(任意量)の 5008 えさと
水を与えた。規則的間隔で血中グルコース濃度を測定した;朝のグルコース濃度
が少なくとも300mg/dLに達したときに、動物を実験プロトコルに付した
。無作為に選択した被検動物5匹をコントロールとしていっしょに飼育し;また
、無作為に選択した被検動物5匹をいっしょに飼育し、固相技術によって合成さ
れたマウスBLT(マウスBLT配列は容易に入手可能である;例えば引用によ
り本明細書中に包含される M. Notake et. al. FEBS Lett. 156, 67-71, 1983 を参照のこと)で処置した。
【0140】 BLTで処置されたマウスには一日2回、60μgを皮下(SC)投与し(各
用量の総容量は200μL);コントロール動物には一日2回ビヒクル(食塩水
)200μLを投与した。この被検動物に対して、6日間、一日2回、朝と午後
に注射をし;7日目は朝の注射だけ行った。
【0141】 0日目の朝、血中グルコース濃度、体重およびえさ消費量を測定した。1〜6
日目の朝には体重およびえさ消費量を測定した。6日目の朝には、血漿トリグリ
セリドを測定した。6日目の午後から7日目の朝まで一晩、マウスを絶食させた
。7日目に、経口グルコース許容試験を行った。朝の食塩水またはBLTの注射
の2時間後、時間0の血中グルコース濃度を測定した。この試験では、動物に2
5%デキストロース溶液(100μL/体重10g)を経口投与し、30分、6
0分および120分後に採血した。この血液サンプルを用いてグルコースおよび
インシュリンの濃度を測定した。経口グルコース許容試験の後、動物をad libit
um で飼育した。食塩水またはBLTを最後にSC注射した後、1、3および1 4日目に、動物から採血し、血中グルコース値を測定した。
【0142】 結果BLT投与はインビボで血中グルコースおよびインシュリンを低下させる これらの実験の結果を図1〜8にまとめる。7日間の処置過程を通して、コン
トロール群および試験群の動物はおおよそ4.5〜6グラムのえさを消費した(
図1)。体重は両群で同等に維持され、約50グラムであった(図2)。
【0143】 BLT処置は、処置マウスの血漿トリグリセリドを6日間の処置後に減少させ
た(図3を参照のこと)。コントロール動物は平均値 3.05 nmol/L (s.d. 0.58)
を示し、一方処置された動物では平均値 2.05 nmol/L (s.d. 0.43) が測定され
た。これは血清トリグリセリドが約30%〜35%減少したことを示す。
【0144】 BLTはまた、処置された動物において血中グルコース濃度の実質的な減少を
誘導した(図4)。7日間のBLTの投与後、処置された群は血中グルコース濃
度 135 mg/dL (s.d. 16) を示し;コントロール群では、著しく対照的に、171 m
g/dL (s.d. 16) であることが測定された。
【0145】 処置された動物における血中グルコース濃度の減少は、7日目に最後にBLT
投与した後、少なくとも3日間継続した(図5)。コントロール動物はグルコー
ス濃度 331 mg/dL (s.d. 79) を示した。一方、処置された動物は、実質的に低 い血中グルコース濃度を維持し、205 mg/dL (s.d. 76) であった。血中グルコー
ス濃度を低下させるBLTの効果は、最後にBLT投与してから14日後には、
観察されなかった(図6)。
【0146】 インシュリン濃度に対するBLT処置の効果を扱うため、7日間の処置期間お
よび一晩の絶食後に経口グルコース許容試験を行った(図7および図8)。コン
トロール動物および処置された動物は、試験開始後30分の時点で、約 80 mg/d
L 〜 200 mg/dL またはそれ以上の血中グルコース濃度の初期上昇を示し;その 後、両群は2時間の時点まで同等の割合の、値の減少を示した(図7)。印象的
なのは、処置された動物が実質的にコントロール動物以下の血漿インシュリン値
を示したことである(図8)。例えば、30分の時点で、コントロール動物はイ
ンシュリン濃度 11.5 ng/ml (s.d. 1.9) を示したのに対し、処置された動物は インシュリン濃度 6.0 ng/ml (s.d. 3.0) を示した。
【0147】 実施例7雄性 Avy/A マウスに対する14日間のマウスBLTの投与 雄性 Avy/A マウスをかご当たり6匹ずつ飼育し、ad libitum の 5008 えさお
よび水を与えた。血中グルコース濃度を規則的間隔で測定し;朝のグルコース濃
度が少なくとも 300mg/dL に達した時点で、動物を実験プロトコルに付した。コ
ントロールとして、無作為に選択した動物5匹をいっしょに飼育し;また、無作
為に選択した動物5匹をいっしょに飼育し、固相技術によって合成されたマウス
BLTで処置した。
【0148】 BLTで処置されたマウスには、一日2回60μgをSCで投与し(各用量の
総容量は200μL);コントロール動物にはビヒクル(食塩水)200μLを
投与した。動物に対して、13日間、一日2回、朝と午後に注射をし;14日目
は朝の注射だけを行った。
【0149】 0日目の朝、血中グルコース濃度、体重およびえさ消費量を測定した。1〜1
3日目の朝には体重およびえさ消費量を測定した。13日目の午後から14日目
の朝まで一晩、マウスを絶食させた。14日目に、経口グルコース許容試験を行
った。朝の食塩水またはBLTの注射の2時間後、時間0の血中グルコース濃度
を測定した。この試験では、動物に25%デキストロース溶液(100μL/体
重10g)を経口投与し、30分、60分および120分後に採血した。この血
液サンプルを用いてグルコースおよびインシュリンの濃度を測定した。経口グル
コース許容試験の後、動物をad libitum で飼育した。食塩水またはBLTを最 後にSC注射した後、1、3および14日目に、動物から採血し、血中グルコー
ス値を測定した。
【0150】 結果:14日間のBLT投与は血中グルコースおよびインシュリンを低下させる 結果を図9、10にまとめる。14日間の処置過程を通して、コントロール群
および試験群の動物はおおよそ4.5〜6グラムのえさを消費し、体重は両群で
同等に維持され、約50グラムであった(データは示していない)。
【0151】 インシュリン濃度に対する、2週間のBLT処置の効果を扱うため、14日間
の期間後に経口グルコース許容試験を行った(図9および図10)。コントロー
ル動物および処置された動物は、30分の時点で、約 80 mg/dL 〜 300 mg/dL またはそれ以上の血中グルコース濃度の初期上昇を示し;その後、両群は2時間
の時点で試験が終了するまで同等の割合の、値の減少を示した(図9)。例えば
、30分の時点で、処置された動物は平均の血中グルコース濃度 289 mg/dL (s.
d. 24) を示したのに対し、コントロール動物は濃度 348 mg/dL (s.d. 18) を示
した。60分および120分の時点では、濃度の低下が観察された。例えば12
0分では、処置された動物は平均の血中グルコース濃度 114 mg/dL (s.d. 4) を
示したのに対し、コントロール動物は濃度 188 mg/dL (s.d. 23) を示した。
【0152】 また、処置された動物は実質的にコントロール動物より低い血漿インシュリン
値を示した(図10)。例えば、30分の時点で、コントロール動物はインシュ
リン濃度 7.4 ng/ml (s.d. 2.1) を示したのに対し、処置された動物はインシュ
リン濃度 4.8 ng/ml (s.d. 0.6) を示した。
【0153】 実施例8BLTは3T3含脂肪細胞へのグルコースの取り込みを刺激する マウス 3T3-L1 細胞を、96ウェルプレート中、ウェル当たり約100μLの
培養培地に、ウェル当たり約25,000細胞が分配されるようにプレーティン
グした。培養培値 : DMEM, 高濃度グルコース, w/out L-グルタミン 10% 子ウシ血清 2mM L-グルタミン 1% PenStrep 1.25μg/ml Fungizone プレーティングの3日後、培養培地を分化用培地で置換することによって、細胞
を誘導し、含脂肪細胞に分化させた。分化用培地 : DMEM, 高濃度グルコース, w/out L-グルタミン 10% FBS 2mM L-グルタミン 1% Pen Strep 1.25μg/ml Fungizone 10mM Hepes 0.25μM デクサメタゾーン (1μl/ml の 0.25mM保存溶液) 0.5mM IBMX (10μl/ml の 50mM 保存溶液) 5μg/ml インシュリン (1μl/ml の 5mg/ml 保存溶液) 流量調節器を備えた house vacuum 源と結合した8チャンネルマニホルドを用い
て吸引し、細胞から培地を除去した。細胞の破壊を最小化するために最低速度に
設定した8チャンネル Matrix electronic pipettor を用いて、新たな培地をウ
ェルに分配した。
【0154】 1日目、分化用培地100μLを各ウェルに加えて、3T3 細胞の含脂肪細胞へ
の分化を開始させた。分化の開始から3日後に、培地を、インシュリンを含むが
、IBMX またはデクサメタゾーンを含まない分化用培地(インシュリン培地)に 変えた。6日目に、再度、培地を、インシュリン、IBMX またはデクサメタゾー ンを含まない分化用培地(FBS培地)に変えた。細胞を、分化の開始から15
〜21日後のグルコース輸送アッセイに備えるまで、一日おきに栄養を与えなが
ら、FBS培地中に維持した。
【0155】 実施例9含脂肪細胞への分化を誘導された 3T3 細胞における、BLT存在下でのグルコ ース輸送アッセイ 実施例8のように、マウス 3T3-L1 細胞を誘導し、含脂肪細胞へ分化させた。
グルコース輸送アッセイを行う15〜24時間前、細胞を以下のように処理した
: 1. 37℃で、吸引しながら、リン酸緩衝塩溶液(PBS)100mLで2
回、ウェルを洗浄した。 2. 次いで、100mLのDMEM, 高濃度グルコース、 1% 抗性物質/抗真菌 物質溶液、2mM グルタミン、(37C にまであたためた) 0.1% BSA、(固相技術に よって合成された)0 〜 1000 nM マウス BLT および 0 〜 100 nM インシュリ ンを各ウェルに加えた。これは血清窮乏相(serum starvation phase)である。 3. 次いで、37℃で一晩、細胞をインキュベートした。
【0156】 アッセイの日、細胞を以下のように処理した: 1.培地を除去し、プレートをペーパータオルにブロッティングし、細胞を、
KRBH緩衝液(ヘペスを含むクレブス・リンガー緩衝液、pH7.4)100
mLで2回洗浄した。 2.最後の洗浄液を除去した後、細胞を、100μMグルコース、10μl/ml (
0.1μCi/ウェル) の放射性ラベルされた2−デオキシグルコース(C14)と一緒
に、所望のインシュリン濃度の100μLのKRBH、0.1%BSA中、37
℃で1時間インキュベートした。 3.放射性ラベルされたグルコースとインキュベートした後、10x サイトカラ
シン B (200μM) 10μl を加え、細胞のさらなるグルコース取り込みを停止させ
た。 4.Microbeta plate reader でプレートを読み取り、放射性レベルされたグ ルコースの取り込みを測定した。
【0157】結果: この実験の結果を図11にまとめる。含脂肪細胞を取り込みアッセイ前にBL
Tで前処理した場合、含脂肪細胞への分化を誘導された 3T3 細胞へのグルコー スの取り込みは約3倍〜約6倍刺激された。
【0158】 実施例10含脂肪細胞への分化を誘導された 3T3 細胞の、BLT機能断片の存在下におけ るグルコース輸送アッセイ 実施例8のように、マウス 3T3-L1 細胞を誘導し、含脂肪細胞へ分化させる。
グルコース輸送アッセイを行う約15〜24時間前、細胞を以下のように処理す
る: 1. 37℃で、吸引しながら、リン酸緩衝塩溶液(PBS)100mLで2
回、ウェルを洗浄する。 2. 次いで、100mLのDMEM, 高濃度グルコース、 1% 抗性物質/抗真菌 物質溶液、2mM グルタミン、(37C にまであたためた) 0.1% BSA、(固相技術に よって合成された)0 〜 1000 nM マウス BLT またはヒトBLTおよび 0 〜 10
0 nM インシュリンを各ウェルに加える。これは血清窮乏相である。例えば、あ る試験では、本明細書中で配列番号10と記載されるヒトBLT断片を用い;別
の試験では、本明細書中で配列番号12と記載されるヒトBLT断片を用いる。 3. 次いで、37℃で一晩、細胞をインキュベートする。
【0159】 アッセイの日、細胞を以下のように処理する: 1.培地を除去し、プレートをペーパータオルにブロッティングし、細胞を、
KRBH緩衝液(ヘペスを含むクレブス・リンガー緩衝液、pH7.4)100
mLで2回洗浄する。 2.最後の洗浄液を除去した後、100μMグルコース、10μl/ml (0.1μCi/
ウェル) の放射性ラベルされた2−デオキシグルコース(C14)と一緒に、所望
のインシュリン濃度を有する100μLのKRBH、0.1%BSA中、37℃
で1時間、細胞をインキュベートする。 3.放射性ラベルされたグルコースとインキュベートした後、10x サイトカラ
シン B (200μM) 10μl を加え、細胞のさらなるグルコース取り込みを停止させ
る。 4.Microbeta plate reader でプレートを読み取り、放射性レベルされたグ ルコースの取り込みを測定する。
【0160】結果: 含脂肪細胞が取り込みアッセイ前にBLTの機能断片で前処理された場合、含
脂肪細胞への分化を誘導された 3T3 細胞へのグルコースの取り込みはコントロ ールより高くなる。
【0161】 実施例11BLTの機能的同族体 実施例10のように、マウス 3T3-L1 細胞を誘導し、含脂肪細胞へ分化させる
。次いで、含脂肪細胞をヒトBLTの同族体、例えば配列番号26〜配列番号3
5に暴露し、実施例8のようにグルコース輸送をモニターする。機能的同族体は
天然BLTと実質的に同じ結果を示す。
【0162】 実施例12雄性 Avy/A マウスに対する14日間のヒトBLTの投与 実施例7に記載の方法にしたがい、固相合成されたヒトBLTを雄性 Avy/A マウスに投与した。
【0163】結果: ヒトBLTを投与すると、雄性 Avy/A マウスの実質的な血清インシュリン濃 度が低下した(図12および13を参照のこと)。
【0164】 結果を図12、13にまとめる。14日間の処置を通して、コントロール群お
よび試験群の動物はおおよそ4.5〜6グラムのえさを消費し、体重は両群で同
等に維持され、約50グラムであった(データは示していない)。
【0165】 血漿グルコースおよびインシュリン濃度に対する、2週間のヒトBLTでの処
置の効果を扱うため、14日間の期間後に経口グルコース許容試験を行った。コ
ントロール動物および処置された動物は、30分の時点で、約 80 mg/dL 〜 300
mg/dL またはそれ以上の血中グルコース濃度の初期上昇を示し;その後、両群 は2時間の時点で試験が終了するまで同等の割合の、値の減少を示した(図12
)。例えば、30分の時点で、処置された動物は平均の血中グルコース濃度約 4
00 mg/dL (s.d. 12) を示したのに対し、コントロール動物は濃度 330 mg/dL (s
.d. 19) を示した。また、60分および120分の時点では、濃度の低下が観察
された。例えば120分では、処置された動物は平均の血中グルコース濃度 178
mg/dL (s.d. 16) を示したのに対し、コントロール動物は濃度 202 mg/dL (s.d
. 13) を示した。
【0166】 処置された動物は実質的にコントロール動物より低い血漿インシュリン値を示
した(図13)。例えば、30分の時点で、コントロール動物はインシュリン濃
度 14.0 ng/ml (s.d. 1.5) を示したのに対し、処置された動物はインシュリン 濃度 10.2 ng/ml (s.d. 0.4) を示した。120分の時点で、コントロール動物 はインシュリン濃度 9.3 ng/ml (s.d. 2.3) であり、処置された動物はインシュ
リン濃度 5.4 ng/ml (s.d. 0.9) であった。
【0167】 実施例13雄性 Lepob/Lepob マウスに対するマウスβ−リポトロピンの投与 Jackson Laboratories (Bar Harbor, ME) から購入した雄性 Lepob/Lepob マ ウスを単独で飼育し、ad libitum の 5008 えさおよび水を与えた。初期グルコ ース、インシュリンおよびトリグリセリド値用に、マウスの尾から採血した。一
日2回の、コントロール、60μg または 120μg マウスβ−リポトロピン処置用
にマウスを選択した。処置されたマウスには、60μgまたは120μgを一日
2回皮下投与し(各用量の総容量は200μL);コントロールマウスには、ビ
ヒクル(食塩水)を200μL投与した。16日間、午前7時と午後3時にマウ
スに注射し、17日目は午前7時だけ注射した。0〜17日目の朝、体重および
えさ消費量を測定した。7日目の朝、血中グルコース、インシュリンおよびトリ
グリセリド値用に、マウスの尾から採血した。13日目の午後から14日目の朝
まで一晩、この動物を絶食させた。14日目に、経口グルコース許容試験を行っ
た。朝の注射の2時間後に時間0の血中グルコースおよびインシュリンを測定し
た。マウスに25%デキストロース溶液 (100μl/体重10g) を経口投与し、30
分、60分および120分後に採血した。この血液サンプルを用いてグルコース
およびインシュリンを測定した。経口グルコース許容試験の後、マウスを ad li
bitum で飼育した。16日目に、尾の血液サンプルを採り、血中グルコース、イ
ンシュリン、トリグリセリドおよびコルチコステロン値を測定した。17日目に
マウスを犠牲にした。
【0168】 この実験の結果を図14に示す。16日の処置期間を通して、処置された動物
では血漿インシュリン値が大きく低下した。例えば、処置7日目では、コントロ
ール動物はインシュリン濃度約 300 ng/ml を示したのに対し、処置された動物 は約 215 ng/ml であることが測定され、少なくとも30%減であった。さらに 、処置16日目の処置された動物では、血漿インシュリン濃度が低い維持されて
いた(図14)。
【0169】 実施例14雄性 Lepob/Lepob マウスに対するヒトBLTのAlzetTM ポンプ投与 Jackson Laboratories(Bar Harbor, ME) から購入した、年齢1月の雄性 Lepo b /Lepob マウスを単独で飼育し、ad libitum の 5008 えさおよび水を与え、1 2時間サイクルで光を照らした(午後6時から午前6時まで消灯)。初期グルコ
ース、インシュリンおよびトリグリセリド値用にマウスの尾から採血した。処置
された動物には、皮下移植された Alzet ポンプ (Alza, Inc.) を介して、0.24m
g/日または 0.48mg/日のヒトβ−リポトロピン (ER4-VBH-43) を継続投与し、3
群すべてにわたって平均のグルコースおよびトリグリセリド値が等しくなるよう
にした。コントロール動物には食塩水を投与した。コントロール群に関しては食
塩水で、低用量群に関しては 20mg/ml ヒトβ−リポトロピンで、高用量群に関 しては 40mg/ml ヒトβ−リポトロピンでこのポンプを満たした。ポンプを移植 する前に、イソフルランでマウスを麻酔した。0〜7日目の朝に体重およびえさ
消費量を測定した。4日目の朝、血中グルコース、インシュリンおよびトリグリ
セリド値用に、マウスの尾から採血した。6日目の午後から7日目の朝まで一晩
、マウスを絶食させた。
【0170】 7日目に、経口グルコース許容試験を行った。時間0でのインシュリンおよび
グルコース用に、マウスの尾から採血し、次いで25%デキストロース溶液 (10
0μl/体重10g) を経口投与し、30分、60分および120分後に採血した。こ
の血液サンプルを用いて、グルコースおよびインシュリンを測定した。経口グル
コース許容試験の後、マウスを ad libitum で飼育した。
【0171】 血漿インシュリン濃度に関するグルコース許容試験の結果を図15に示す。0.
24 mg BLT/日での値は、コントロールより約25%低下し、0.48 mg BLT/日での
値はコントロールより約40%低下していた(図15、曲線下面積(auc)に関す
る図を参照のこと)。
【0172】 実施例15ヒトBLTタンパク質の同族体の固相合成および精製 Fmoc化学を用いる1回の実行で、配列番号8中のGluがAlaで置換さ
れている、ヒトBLTペプチドの同族体(すなわち、配列番号26によって表さ
れる同族体)を合成した。この合成は、ペプチドのN末端部分にいくつかの asp
-gly ジペプチド配列が存在することによって面倒になる。asp-gly ジペプチド 配列のアスパルチル側鎖は、FMOC合成中に、塩基によって触媒される環化お
よびその後のピペリジンの付加を受けることが観察された。合成中、それぞれの
asp-gly 配列において Fmoc-(FmocHmb)-グリシンを使用することによりこの反 応を排除する。グリシルアミドをHmb基で保護することにより、アスパルチル
側鎖の環化が阻害される。開裂、脱保護および逆相HPLC精製した後、エレク
トロスプレー質量スペクトル分析によってこのペプチドを分析することができる
。この合成で観察される主要な種類は、予想される質量を有する完全長ペプチド
である。この方法を用いることにより、0.1mmole 規模での1回の実行から、
100mgを超える大量の精製タンパク質を製造することが可能になる。
【0173】 材料: 前負荷された Fmoc-Glu (OtBu) Wang (p−ベンゾキシベンジルアルコ ールで機能化された1%架橋ポリスチレン) 樹脂(約0.6mmole アミノ酸/樹脂
g)。N-メチルピロリドン (NMP), ピペリジン, 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1
-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト (HBTU),
2M N,N-ジイソプロピルエチルアミン (DIEA) 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
(HOBt), ジクロロメタン (DCM), ジメチルホルムアミド (DMF)。
【0174】 Fmoc保護C末端アミノ酸(0.1または0.25mmole アミノ酸)を前負
荷しておいた樹脂の重さをはかり、反応室に入れた。この樹脂をDCMで洗浄し
て、あらかじめ膨潤させた。次いでこの樹脂をNMPで洗浄した。この樹脂をN
MP中の18〜22%ピペリジン溶液中でインキュベートし、N末端Fmoc基
を除去した。脱保護した後、この樹脂をNMPで何回も洗浄した。
【0175】 ペプチドに付加すべき次のFmoc保護アミノ酸(1mmole)を、DMF中の NMP2.1g、0.45M HBTU/HOBt 試薬2.0g中に溶解した。溶解後、 NMP中の2M DIEA3mLを加えて、このアミノ酸の活性化を開始させた 。次いで、この活性化アミノ酸を脱保護された樹脂に加え、カップリングさせた
。カップリングが完了した時点で、この樹脂をNMPで何回も洗浄した。次いで
、連続するアミノ酸のそれぞれに対して脱保護およびカップリングの完全サイク
ルを繰り返した。
【0176】 この合成の具体的なサイクル工程を以下に示す:サイクル アミノ酸 工程 1 Ala Complete wash 2 Gly Single Couple 3 Lys(Boc) Single Couple 4 Lys(Boc) Single Couple 5 Tyr(tBu) Single Couple 6 Ala Single Couple 7 Asn(Trt) Single Couple 8 Lys(Boc) Single Couple 9 Ile Single Couple 10 Ile Single Couple 11 Ala Single Couple 12 Asn(Trt) Single Couple 13 Lys(Boc) Single Couple 14 Phe Single Couple 15 Leu Single Couple 16 Thr(tBu) Single Couple 17 Val Single Couple 18 Leu Single Couple 19 Pro Double couple/Ac2O cap 20 Thr(tBu) Single Couple 21 Gln(Trt) Single Couple 22 Ser(tBu) Single Couple 23 Lys(Boc) Single Couple 24 Glu(OtBu) Single Couple 25 Ser(tBu) Single Couple 26 Thr(tBu) Single Couple 27 Met Single Couple 28 Phe Single Couple 29 Gly Single Couple 30 Gly Single Couple 31 Tyr(tBu) Single Couple 32 Arg(Pmc) Single Couple 33 Lys(Boc) Single Couple 34 Asp(OtBu) Single Couple 35 Lys(Boc) Single Couple 36 Pro Double couple/Ac2O cap 37 Pro Double couple/Ac2O cap 38 Ser(tBu) Single Couple 39 Gly Single Couple 40 Trp(Boc) Single Couple 41 Arg(Pmc) Single Couple 42 Phe Single Couple 43 His(Trt) Single Couple 44 Glu(OtBu) Single Couple 45 Met Single Couple 46 Arg(Pmc) Single Couple 47 Tyr(tBu) Single Couple 48 Pro Double couple/Ac2O cap 49 Gly Single Couple 50 Glu(OtBu) Single Couple 51 Asp(OtBu) Single Couple 52 Lys(Boc) Single Couple 53 Lys(Boc) Single Couple 54 Glu(OtBu) Single Couple 55 Ala Single Couple 56 Ala Single Couple 57 Val Single Couple 58 Leu Single Couple 59 Leu Single Couple 60 Ser(tBu) Single Couple 61 His(Trt) Single Couple 62 Glu(OtBu) Single Couple 63 Leu Single Couple 64 Asp(OtBu) Single Couple 65 Ala Single Couple 66 Gln(Trt) Single Couple 67 Ala Single Couple 68 Gly Single Couple 69 Ala Single Couple 70 Gly(Fmoc-hmb) Double couple/Ac2O cap 71 Asp(OtBu) Single Couple 72 Asp(OtBu) Single Couple 73 Ala Single Couple 74 Pro Double couple/Ac2O cap 75 Gly(Fmoc-hmb) Double couple/Ac2O cap 76 Asp(OtBu) Single Couple 77 Pro Double couple/Ac2O cap 78 Gly(Fmoc-hmb) Double couple/Ac2O cap 79 Asp(OtBu) Single Couple 80 Gly Single Couple 81 Glu(OtBu) Single Couple 82 Arg(Pmc) Single Couple 83 Leu Single Couple 84 Arg(Pmc) Single Couple 85 Gln(Trt) Single Couple 86 Gly Single Couple 87 Thr(tBu) Single Couple 88 Leu Single Couple 89 Glu(OtBu) Single Couple 90 Final deprotect Complete wash(完全な洗浄) Single Couple(一重カップリング) Double couple(二重カップリング) Final deprotect(最終的な脱保護)
【0177】 ゆっくり、非効率的に反応するアミノ酸に関して2回の別のカップリング反応
を行った。無水酢酸で処理して、残りの反応しなかったペプチドをすべて保護し
た。これらのアミノ酸の1個についての工程手順は、脱保護、カップリング反応
1、洗浄、カップリング反応2、洗浄、Ac2O cap、洗浄、脱保護であった。 略語: OtBu: t-ブチルエステル, tBu: t-ブチル, Boc: t-ブトキシカルボニ
ル, Pmc: 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマ-6-スルホニル, Hmb: 2-ヒドロキシ-4
-メトキシベンジル, Fmoc: 9-フルオレニルメトキシカルボニル。
【0178】 実施例16雄性 ZDF ラットに対するヒトBLTの Alzet ポンプでの投与 Genetic Models Inc. (Indianapolis, IN) から購入した雄性 Zucker Diabeti
c Fatty (ZDF) ラット を単独で飼育し、ad libitum の 5008 えさおよび水を与
えた。初期経口グルコース許容試験用に、年齢5週間のラットを一晩絶食させた
。時間0の時点でのインシュリンおよびグルコース濃度を測定するため、尾から
血液を採取した後、この動物に50%デキストロース溶液 (2.5g/体重kg) を経
口投与し、投与30分、60分および120分後に採血した。経口グルコース許
容試験の後、このラットを ad libitum で飼育した。ヒトBLTの投与のため、
年齢6週間で、この動物をそれぞれ動物4匹ずつの群に分けた。試験0日目に、
グルコース、インシュリン、コルチコステロンおよびトリグリセリド値の測定用
に、再び尾の血液を採取した。コントロール、皮下移植された Alzet ポンプに よる、0.5mg/日 または 1.0mg/日のヒトβ−リポトロピン (ER4-VTA-2) の継続 投与に関して、ラットを無作為に選択した。コントロール群に関しては食塩水で
、低用量群に関しては 20.835mg/ml ヒトβ−リポトロピンで、高用量群に関し ては 41.67mg/ml ヒトβ−リポトロピンでこのポンプを満たした。このポンプを
、皮下移植する前に、食塩水中、37℃で一晩インキュベートした。体重および
えさ消費量を0〜8日目に測定した。3日目の朝、グルコース、インシュリン、
コルチコステロンおよびトリグリセリド値用に血液サンプルを採取した。5日目
の午後から6日目の朝まで一晩、ラットを絶食させた。6日目に、経口グルコー
ス許容試験を行った。経口グルコース許容試験の後、このラットを ad libitum
で飼育した。
【0179】 この試験で使用した Zucker 動物は、タイプ2糖尿病の良好なモデルを提供す
る。年齢6〜7週間で、血中グルコース値およびトリグリセリド濃度は上昇し、
インシュリン分泌は減少する。これらの動物は高コルチコステロン血症(hyperc
orticosteronemic)かつインシュリン耐性である。
【表3】 表3 ヒトBLTで処置されたZDFラット
【0180】 表3および図16に示される結果は、ヒトBLT 1mg/日の用量での、Z DFラットに対するヒトBLTの明らかな効果を示す。OGTT開始後30分の
時点で、血漿グルコース濃度は、コントロールでは平均 191 ± 16 mg/dL、BL
Tで処置された動物では平均 172 ± 5 mg/dL であった(図16を参照のこと)
。開始後60分の時点で、コントロール動物はグルコース濃度 157 ± 6 mg/dL
を示したのに対し、BLTで処置された動物は 154 ± 8 mg/dL であった。
【0181】 表3は、特に高い用量の場合に、BLTで処置された動物では、コントロール
動物より血中グルコース値が低く維持されることを示している。BLTの投与開
始後、0、2および7日目の時点で、コントロール動物はグルコース濃度約 150
mg/dL を示した。一方、1 mg/日のヒトBLTで処置された動物は、7日目の時
点で平均約 140 mg/dL であり、コントロール動物より7%ほど低かった。また 、処置された動物は、コントロール動物より約11%低い血清トリグリセリド濃
度を示し(表3)、これにより、BLT処置のインシュリノトロピック効果(イ
ンシュリン向性効果)が証明された。
【0182】 実施例17ヒトBLTはZDFラットの骨格筋におけるグルコース輸送を刺激する 骨格筋のグルコース輸送に対するβ−リポトロピンの効果を測定するため、試
験を行った。Zucker Diabetic Fatty (ZDF/GmiTM-fa/fa) 雄性ラットは Genetic
Models Inc. (Indianapolis, IN) から入手した。このラットをPurina Formula
b 5008 rat chow (Puina Mills, Inc., St. Louis, MO) で養い、光制御室中、 明と暗の交互の12時間サイクルで飼育した。ラットを単独で飼育し、えさおよ
び水を自由に摂取できるようにした。
【0183】 筋肉組織内のグルコース輸送を測定するため、ペントバルビタールナトリウム
(pentabarbitol sodium)(6.5 mg/体重 100 gm) の腹膜内注射によって、実施 例16の動物を麻酔し、ひらめ筋を単離し、半分に分けた。この組織サンプルの
各半分を食塩水中で2分間、次いで 1% BSA, 8 mM グルコース および 32 mM マ
ンニトールを含む、ガス(95% O2-5% CO2)で処理されたKHB中で洗浄した。
【0184】 グルコース輸送アッセイを以下のように行った。プレインキュベーション : 1% BSA, 8 mM グルコース 32 mM マンニトールを伴い、500 nM マウスβ−リ ポトロピンを含むか、あるいは含まない、ガスで処理されたKHB1.8mLが
入った20mLビンに筋肉組織サンプルを入れた。途中で2回緩衝液交換を行い
ながら、室温で20時間、サンプルを振とう水浴中に置いた。
【0185】 プレインキュベーション後、絶えず 95% O2-5% CO2 ガスで処理しながら、筋 肉組織サンプルを29℃で15分間洗浄した。40 mM マンニトールを伴い、イン
シュリン (2000 uU/ml) を伴うか、あるいはインシュリンを伴わず、β−リポト
ロピン (500 nM) を伴うか、あるいは伴わないKHB 1.8mLを含むビン中 でこのサンプルを洗浄した。
【0186】 次いで、絶えず 95% O2-5% CO2 ガスで処理しながら、筋肉サンプルを新たな ビンに移した。インキュベーション培地の組成は、8 mM 3-O-メチル-グルコース
(OMG), 2 mCi/ml 3H-3-OMG, 30 mM マンニトール, 0.3 mCi/ml 14C マンニトー
ル, 2mM ピルビン酸塩, インシュリン (2000 μU/ml), およびマウスβ−リポト
ロピンであった。コントロールはインシュリンおよび/またはβ−リポトロピン
を欠いていた。29℃で10分後、サンプルをフリーズクランプ(freeze clamp
)し、グルコース輸送をアッセイするまで、凍結保存した。
【0187】グルコース輸送 : 筋肉を1M KOH 0.5mL中、70℃で30分間消化して、約20〜25
mgに切り揃えた。消化後、サンプルを氷上に置き、サンプル 100 μl をグリ コーゲン分析用に取り出した。残りのサンプル0.4mLに、1N HCl 0.4m Lを加え、試験管をボルテックスした。次いで、HClで処理したサンプル30
0mLをシンチレーション液6.4mLに加え、シンチレーションカウンターで
サンプル中の放射能を測定した。
【0188】 14C マンニトールを細胞外マーカーとして用い、細胞内 3H-3-OMG 蓄積に基づ
いてグルコース輸送を計算した。
【0189】グリコーゲン濃度 : 上記のサンプル 100 μl 中に、0.3 M 酢酸ナトリウム緩衝液 (Ph 4.8 + 5 mg
/ml アミログルコシダーゼ) 500 μl とともに氷酢酸 17 μl を加えた。次いで
この試験管を37℃で一晩インキュベートした。翌日、サンプル 50 μl を96
ウェルプレートに入れ、Trinder 試薬 (Sigma 315-100; 水で 20 μl に希釈) 2
00 μl を加えた。このプレートを37℃で10分間インキュベートし、波長 50
5 nm で吸光度を測定した。
【表4】 表4 ヒトBLTで処理されたZDFラット由来の筋肉組織内のグルコース輸送
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/67 C12N 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12N 15/00 ZNAA 5/10 A61K 37/32 C12P 21/02 C12N 5/00 A (31)優先権主張番号 60/086,321 (32)優先日 平成10年5月21日(1998.5.21) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/091,385 (32)優先日 平成10年7月1日(1998.7.1) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/095,405 (32)優先日 平成10年8月5日(1998.8.5) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/103,976 (32)優先日 平成10年10月13日(1998.10.13) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 OA(BF,BJ,CF,CG, CI,CM,GA,GN,GW,ML,MR,NE,S N,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,MW ,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY, KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C N,CU,CZ,DE,EE,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NZ ,PL,RO,RU,SD,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 ジョン・ポール・バトラー アメリカ合衆国46064インディアナ州ペン ドルトン、ウエスト・1000・サウス1934番 (72)発明者 ジョン・エドワード・ヘイル アメリカ合衆国46038インディアナ州フィ ッシャーズ、フォレスト・ドライブ7644番 (72)発明者 ウィリアム・フランシス・ヒース・ジュニ ア アメリカ合衆国46038インディアナ州フィ ッシャーズ、タフトン・ストリート11214 番 (72)発明者 マーク・ルイス・ヘイマン アメリカ合衆国46250インディアナ州イン ディアナポリス、ブルックビュー・サーク ル7523番 (72)発明者 ブリジット・エリザベス・ショーナー アメリカ合衆国46157インディアナ州モン ロビア、ボックス30エフ、ルーラル・ルー ト2番 (72)発明者 アレキサンダー・デイビッド・バーシャフ スキ アメリカ合衆国46033インディアナ州カー メル、レイクショアー・ウエスト・ドライ ブ11321番 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA02 CA05 CA07 4B064 AG01 AG16 CA10 CA19 CC24 DA03 4B065 AA90X AA93Y AB01 AC20 CA24 CA44 4C084 AA02 AA06 BA01 BA20 CA53 CA56 DB20 ZC351 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA37 EA27 FA33 FA41 FA74

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2、配列番号5および配列番号7からなる群から選
    択されるアミノ酸配列を有する実質的に純粋なタンパク質。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のタンパク質をコードする単離された核酸化
    合物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の単離された核酸化合物を含むベクター。
  4. 【請求項4】 単離された核酸化合物がプロモーター配列に作動可能に連結
    されている、請求項3に記載のベクター。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のベクターを含有する宿主細胞。
  6. 【請求項6】 いずれかの適当な方法により、請求項5に記載のベクターを
    宿主細胞内に導入することを含む、β−リポトロピンの発現能を有する組換え宿
    主細胞の構築方法。
  7. 【請求項7】 遺伝子発現に適当な条件下で組換え宿主細胞を培養すること
    を含む、請求項6に記載の組換え宿主細胞におけるβ−リポトロピンの発現方法
  8. 【請求項8】 活性成分として、β−リポトロピン、その同族体またはその
    機能断片を、1つまたはそれ以上の製薬的に許容される担体、賦形剤または希釈
    剤とともに含む医薬製剤。
  9. 【請求項9】 β−リポトロピンがヒトβ−リポトロピンである、請求項8
    に記載の医薬製剤。
  10. 【請求項10】 糖尿病またはその合併症の処置において使用するための、
    β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片。
  11. 【請求項11】 β−リポトロピンまたはその同族体の治療有効量を投与す
    ることを含む、哺乳類における糖尿病の処置方法。
  12. 【請求項12】 治療有効量のβ−リポトロピンの機能断片を投与すること
    を含む、哺乳類における糖尿病の処置方法。
  13. 【請求項13】 β−リポトロピンが、本明細書中で配列番号8として同定
    される配列を有するヒトβ−リポトロピンである、請求項11に記載の方法。
  14. 【請求項14】 β−リポトロピンが組換えヒトβ−リポトロピンである、
    請求項11に記載の方法。
  15. 【請求項15】 糖尿病がタイプ1またはタイプ2糖尿病である、請求項1
    1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 該哺乳類がヒトである、請求項11に記載の方法。
  17. 【請求項17】 β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片の治療
    有効量を投与することを含む、糖尿病の合併症の処置を必要としている患者にお
    ける糖尿病の合併症の処置方法。
  18. 【請求項18】 β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片の有効
    量を投与することによって、哺乳類の血中グルコース濃度を低下させる方法。
  19. 【請求項19】 β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片の有効
    量を投与することによって、高血糖症の処置を必要としている哺乳類における高
    血糖症を処置する方法。
  20. 【請求項20】 β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片の有効
    量を投与することによって、哺乳類におけるインシュリン過剰血症を処置する方
    法。
  21. 【請求項21】 β−リポトロピン、その同族体またはその機能断片の有効
    量を投与することによって、哺乳類におけるインシュリン感受性を高める方法。
  22. 【請求項22】 β−リポトロピン、その同族体またはその断片を一回の実
    行で合成する、以下の工程を含む固相合成法: a)保護されたαアミノ基および/または側鎖官能基を有するアミノ酸を活性
    化して、反応性エステルを形成させる; b)活性化されたアミノ酸を不活性固形支持体に結合させる; c)第二の保護アミノ酸をエステルに活性化し、第一のアミノ酸のα−アミノ
    基を脱保護して、反応性アミンを形成させ、第二の活性化アミノ酸を第一のアミ
    ノ酸と反応させて、固形支持体上でジペプチドを形成させる; d)工程(a)〜(c)を繰り返す; e)固形支持体からペプチドを解離させ、側鎖官能基を脱保護する; f)ペプチドを固形支持体から分離する;および g)いずれかの適当な方法によってペプチドを精製する [ここに、 h)BLT配列が ser-pro-pro トリペプチドセグメントを含む場合、pro 残 基の多重カップリングを行い; i)カップリングが完了した後、すべての未反応の脱保護ペプチドを保護して
    、欠失ペプチドの鎖延長を防止し;ならびに j)BLT配列が asp-gly ジペプチド配列を含む場合、asp 残基の前にある 各グリシン残基にN−α保護基を用いる]。
  23. 【請求項23】 以下の手段を含む、請求項1に記載のβ−リポトロピンの
    製造方法: a.β−リポトロピンをコードする発現ベクターで適当な宿主を形質転換する
    ; b.形質転換された細胞を、β−リポトロピンを発現可能な条件下で培養する
    ; c.いずれかの適当な方法によってβ−リポトロピンを精製する。
  24. 【請求項24】 以下の工程を含む、β−リポトロピン活性に関するアッセ
    イ: a)インシュリン非感受性および高い血中グルコース濃度を示す哺乳類に試験
    タンパク質を投与する;および b)工程(a)の後、いずれかの適当な方法によって、血中グルコースおよび
    インシュリン濃度に関して試験する。
  25. 【請求項25】 β−リポトロピンが、配列番号2、配列番号5、配列番号
    7および配列番号8からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
  26. 【請求項26】 配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12
    および配列番号13からなる群から選択される、インシュリノトロピック活性を
    有するペプチド。
  27. 【請求項27】 配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号1
    7、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22
    、配列番号23、配列番号24および配列番号25からなる群から選択される、
    インシュリノトロピック活性を有するペプチド。
  28. 【請求項28】 配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12
    、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、
    配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配
    列番号23、配列番号24および配列番号25からなる群から選択される、イン
    シュリノトロピック活性を有するペプチド。
  29. 【請求項29】 配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12
    、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、
    配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配
    列番号23、配列番号24および配列番号25からなる群から選択される少なく
    とも1個のペプチドの治療有効量を投与することを含む、糖尿病の処置方法。
  30. 【請求項30】 配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12
    および配列番号13からなる群から選択される少なくとも1個のペプチドの治療
    有効量を投与することを含む、糖尿病の処置方法。
  31. 【請求項31】 活性成分として、配列番号9、配列番号10、配列番号1
    1、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16
    、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、
    配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号25からなる群から
    選択されるインシュリノトロピック活性を有するペプチドを含む医薬製剤。
  32. 【請求項32】 β−リポトロピンの機能的同族体。
  33. 【請求項33】 インビトロまたはインビボでインシュリノトロピック活性
    を有するβ−リポトロピンの断片。
  34. 【請求項34】 配列番号8と約90%〜95%同一なβ−リポトロピンの
    機能的同族体であって、アミノ酸置換が以下のものからなる群から選択される同
    族体: 第1位の残基は Glu, Ala, Asp または Gln のいずれか; 第2位の残基は Leu, Ile, Val, または Met のいずれか; 第3位の残基は Thr, Ala, Glu, Ser, Pro, または Gly のいずれか; 第4位の残基は Gly, Arg, Ala, Leu, Pro, または Ser のいずれか; 第5位の残基は Glu, Gln, Asp, Asn, または Ala のいずれか; 第6位の残基は Arg, Glu, Leu, Lys, Gln, または Ala のいずれか; 第7位の残基は Leu, Pro, Asp, Val, Ile, または Met のいずれか; 第8位の残基は Arg, Glu, Ala, Tyr, Leu, Lys, Pro, Gln または Trp のい ずれか; 第9位の残基は Glu, Ala, Pro, Asp, Asn, または Gln のいずれか; 第10位の残基は Gly, Ala, Ser, または Asp のいずれか; 第11位の残基は Asp, Arg, Pro, Asn, Gln, Ala, または Glu のいずれか; 第12位の残基は Gly, Ala, Ser, または Met のいずれか; 第13位の残基は Pro, Glu, Gly, または Val のいずれか; 第14位の残基は Asp, Glu, Asn, Gln, または Gly のいずれか; 第15位の残基は Gly, Ala, Ser, または Glu のいずれか; 第16位の残基は Pro, Gln, Leu, Gly, または Glu のいずれか; 第17位の残基は Ala, Asp, Ser, または Gly のいずれか; 第18位の残基は Asp, Glu, Gln, または Asn のいずれか; 第19位の残基は Asp, Glu, Asn, または Gln のいずれか; 第20位の残基は Gly, Ser, または Ala のいずれか; 第21位の残基は Ala, Gly, Ser, または Phe のいずれか; 第22位の残基は Gly, Ala, Ser, または Lys のいずれか; 第23位の残基は Ala, Phe, Thr, Gly, Ser, または Leu のいずれか; 第24位の残基は Gln, Arg, Asp, Asn, Leu, または Val のいずれか; 第25位の残基は Ala, Leu, Asp, Ile, Gly, Ser, または Thr のいずれか; 第26位の残基は Asp, Glu, Gly, Asn, Gln, または Lys のいずれか; 第27位の残基は Leu, Ala, Ile, Met, または Val のいずれか; 第28位の残基は Glu, Gln, Asn, または Asp のいずれか; 第29位の残基は His, Asn, Tyr, Ala, Gln または Glu のいずれか; 第30位の残基は Ser, Gly, Glu, Ala, Leu, または Asp のいずれか; 第31位の残基は Leu, Ala, Val, Met, または Ile のいずれか; 第32位の残基は Leu, Ala, Val, Ile, Met, または Pro のいずれか; 第33位の残基は Val, Ala, Glu, Leu, Ile, Met, または Arg のいずれか; 第34位の残基は Ala, Ser, Pro, Glu, または Gly のいずれか; 第35位の残基は Ala, Asp, Gly, Ser, または Leu のいずれか; 第36位の残基は Glu, Ala, Thr, Leu, Asp, Asn, または Gln のいずれか; 第37位の残基は Lys, Glu, Thr, Arg, Gln, または Asp のいずれか; 第38位の残基は Lys, Arg, Gln, または Glu のいずれか; 第39位の残基は Asp, Ala, Asn, Glu, Gln, または Lys のいずれか; 第40位の残基は Glu, Ser, Asp, Asn, Gln, または Gly のいずれか; 第41位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第42位の残基は Pro, Gly, Ser, または Asn のいずれか; 第43位の残基は Tyr, Phe, または Trp のいずれか; 第44位の残基は Arg, Lys, Gln, または Glu のいずれか; 第45位の残基は Met, Ile, Ser, または Val のいずれか; 第46位の残基は Glu, Gln, Asp, Asn, His, Arg または Gly のいずれか; 第48位の残基は Tyr または Trp のいずれか; 第49位の残基は Arg または Lys のいずれか; 第50位の残基は Trp, Tyr, または Phe のいずれか; 第51位の残基は Gly, Ala, Ser, または gln のいずれか; 第52位の残基は Ser, Thr, Asn, または Ala のいずれか; 第53位の残基は Pro または Gly のいずれか; 第54位の残基は Pro, Ala, Gly, Arg, Leu, または Thr のいずれか; 第55位の残基は Lys, Arg, Gln, または Ala のいずれか; 第56位の残基は Asp, Asn, Glu, Gln, Ala, Gly, または Ile のいずれか; 第57位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第58位の残基は Arg, Gln, または Lys のいずれか; 第59位の残基は Tyr, Phe または Trp のいずれか; 第60位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第61位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第62位の残基は Phe, Tyr, または Trp のいずれか; 第63位の残基は Met, Leu, Ile, または Val のいずれか; 第64位の残基は Thr, Ala, Ser, または Lys のいずれか; 第65位の残基は Ser, Ala, Thr, または Pro のいずれか; 第66位の残基は Glu, Asp, Asn, Lys, または Gln のいずれか; 第67位の残基は Lys, Arg, または Gln のいずれか; 第68位の残基は Ser, Ala, Thr, または Gly のいずれか; 第69位の残基は Gln, Glu, Asp, Asn, Arg, または His のいずれか; 第70位の残基は Thr, Ser, Ala, または Lys のいずれか; 第71位の残基は Pro または Gly のいずれか; 第72位の残基は Leu, Ile, Met, または Val のいずれか; 第73位の残基は Val, Leu, Ile, または Met のいずれか; 第74位の残基は Thr, Ala, または Ser のいずれか; 第75位の残基は Leu, Ile, Met, または Val のいずれか; 第76位の残基は Phe, Tyr, Trp, または Leu のいずれか; 第77位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第78位の残基は Asn, Asp, Glu, Gln, または His のいずれか; 第79位の残基は Ala, Gly, Ser, Ile または Val のいずれか; 第80位の残基は Ile, Leu, Met, Val, または Thr のいずれか; 第81位の残基は Ile, Met, Val, Thr, または Leu のいずれか; 第82位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第83位の残基は Asn, Asp, Glu, Gln, または Ser のいずれか; 第84位の残基は Ala, Val, Ser, Gly, または Glu のいずれか; 第85位の残基は Tyr, Phe, Trp, または His のいずれか; 第86位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第87位の残基は Lys, Gln, または Arg のいずれか; 第88位の残基は Gly, Ala, または Ser のいずれか; 第89位の残基は Glu, Gln, Asp, Asn, または His のいずれか。
  35. 【請求項35】 配列番号8と約95%〜99%の範囲の同一性を有する、
    請求項34に記載のβ−リポトロピンの機能的同族体。
  36. 【請求項36】 配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号1
    7、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22
    からなる群から選択される、インシュリノトロピック活性を有するペプチド。
  37. 【請求項37】 前記工程において、 h)BLT配列が ser-pro-pro トリペプチドセグメントを有する場合、pro および ser 残基の二重カップリングを行い; i)カップリング工程完了後、すべての未反応の脱保護ペプチドを無水物で保
    護し、欠失ペプチドの鎖延長を防止する、 請求項22に記載の方法。
  38. 【請求項38】 前記工程において、 J)該N−α保護は、N−α−Hmbまたは安息香酸メチルから構成される、
    請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】 配列番号8と少なくとも90%同一である、β−リポトロ
    ピンの機能的同族体。
JP2000525132A 1997-12-23 1998-12-21 β−リポトロピンおよびその使用 Withdrawn JP2001526061A (ja)

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