JP2001525426A - ポリマー中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法 - Google Patents

ポリマー中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法

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JP2001525426A JP2000523247A JP2000523247A JP2001525426A JP 2001525426 A JP2001525426 A JP 2001525426A JP 2000523247 A JP2000523247 A JP 2000523247A JP 2000523247 A JP2000523247 A JP 2000523247A JP 2001525426 A JP2001525426 A JP 2001525426A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ロジウム及び/又はルテニウムの塩及び錯化合物から選択された少なくとも1種の水素化触媒の存在下に、有機溶剤を20容量%未満含有するポリマー(P)の水性分散液中でポリマー(P)を水素と反応させることによる、ポリマー(P)中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法に関するものである。また、本発明は、前記方法により得られた水素化されたポリマー分散液及び該ポリマー分散液から得られるポリマーに関するものでもある。また、本発明は、請求項10に記載の構造単位(I)、(II)及び(III)及び場合により請求項11に記載の構造単位(IV)及び/又は(V)を有するポリマー(P′)を含有する水性ポリマー分散液に関するものでもある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ロジウム及び/又はルテニウムの塩及び錯化合物から選択された少
なくとも1種の水素化触媒の存在下でのポリマーと水素との反応による、ポリマ
ー中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法に関するものである。
【0002】 エチレン系不飽和二重結合の水素化は、エチレン系不飽和二重結合を有するポ
リマーの誘導のための1つの重要な方法である。一連のこの種のポリマーは、大
規模工業的に製造されている。この場合、例えばブタジエン及び/又はイソプレ
ンを基礎とするポリマーが挙げられる。これらのポリマー中に含まれるエチレン
系不飽和二重結合は、光、酸素及び/又は温度の作用下に生じうる老化プロセス
の出発点である。この種の老化プロセスは、負荷の程度に応じて、ポリマーもし
くは該ポリマーから製造された製品の機械的性質の劇的な劣化並びに著しくかつ
支障となる変色の結果になることが多い。二重結合の水素化によって、この種の
弱点を取り除くことができねばならない。更に、水素化により、新規の方法又は
別の方法で極めて多くの費用をかけてのみ製造可能であるポリマー種の調達が可
能になる。
【0003】 ポリマーの水素化法の詳述の際には、原則的に、水素化すべきポリマーがエチ
レン系不飽和二重結合の選択的水素化法とともに水素化とは異なる別の反応性官
能価も有していることがあることに注目せねばならない。従って、この水素化法
は、通例、水素化すべき二重結合に関する高い選択性によって傑出したものでな
ければならない。更に、水素化は、まだ反応していない二重結合を架橋下に反応
させることができる反応性中間生成物がポリマー上で製造されるという危険を原
則的にはらんでいる。
【0004】 エチレン系不飽和二重結合を有するポリマーの水素化法は、原則的に公知であ
る。この種の方法の概要は、N.T.Mcmanus他が記載している(J.M
acromol.Sci.、Rev.Macromol.Chem.Phys.
(C35(2)、1995、第239〜285頁)。記載された全ての方法は、
反応が有機媒体中で実施されていることが共通している。これらには、有機溶剤
中の均一に溶解した触媒の存在下での溶解したポリマーの均一反応並びに均一に
溶解した触媒の存在下での有機溶剤中に懸濁されているポリマーの不均一反応並
びに不均一触媒の存在下でのポリマー溶液及び/又はポリマー溶融液の水素化が
含まれる。しかしながら通常、水素化の際には、架橋反応を示すゲル形成が観察
されている。
【0005】 欧州特許出願公開第588097号からは、ブタジエン/アクリルニトリルを
ベースとするポリマーの水素化が公知である。前記の方法の場合、ポリマーは水
性分散液として、分散液に対して少なくとも5倍の量の有機溶剤中でルテニウム
触媒の存在下に変換させられている。特殊な添加剤の添加によって、架橋したポ
リマーの形成は、十分に抑制されている。この方法の欠点は、大量の有機溶剤の
使用である。
【0006】 原則的に、エチレン系不飽和二重結合を有するポリマーの接触水素化を、水性
反応系へ転用することには大きな利益がある。これにより、大規模工業的に重要
なブタジエンの若干のポリマーは、水性ポリマー分散液として商業的に提供可能
である。更に、製造の際の溶剤の使用は、少なからざる費用の要因もある。溶剤
の回避は、作業衛生上の理由及び環境保護の観点から望ましいと考えられている
【0007】 本発明には、一方で、より多くの溶剤量を使用せずに、他方で、別の官能価の
水素化又は架橋反応に比して、エチレン系不飽和二重結合の水素化反応の高い選
択性を保証する、ポリマー中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法を提
供するという課題が課されている。
【0008】 前記課題は、驚異的なことに、ポリマーを、水素化触媒としてのロジウム及び
/又はルテニウムを含有する化合物又は塩の存在下に、有機溶剤を含有していな
いか又は僅少量を含有するにすぎないポリマーの水性分散液中での水素化法によ
って解決することができた。
【0009】 従って、本発明の対象は、ロジウム及び/又はルテニウムの塩及び錯化合物か
ら選択されている少なくとも1種の水素化触媒の存在下でのポリマーと水素との
反応による、ポリマーP中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法であり
、この方法は、有機溶剤20容量%未満を含有する、ポリマーの水性分散液中で
水素化を実施することによって特徴付けられる。
【0010】 水性分散液中のポリマーの水素化は、これまで不可能であると見なされてきた
。ポリマーは、触媒活性種が、反応部位、即ち、ポリマー中のエチレン系不飽和
二重結合に達することができるように、効果的な水素化のために溶解又は溶融し
た状態、あるいは少なくとも膨潤した状態で存在していなければならないと思わ
れていた。有機反応媒体中では、疎水性ポリマーは、必然的に溶解させられてい
るか又は少なくとも膨潤して存在しているが、しかし、これとは異なり水又は水
性反応系中では溶解又は膨潤して存在していることはない。前記の理由から、疎
水性ポリマーの水素化は、既に記載したように、これまで、常に有機媒体中又は
溶融した状態で実施されていた。
【0011】 前記の見解は、就中、B.Cornils、Angew.Chem.107、
1995、1709〜1711に認められる。これによれば、エダクト、この場
合にはポリマーは、水溶性があまりに少なく、ひいては有機支持体から水相中又
は界面への移行が阻害されている場合に、支持体が疎水性相を形成し、触媒が水
相中に存在している2相系中での接触反応は、その限界に達していることが記載
されている。これとは異なり、本発明により使用すべきルテニウム及び/又はロ
ジウムを含有する触媒系は、反応条件下で、少なくとも部分的には、界面中にポ
リマー相/水が侵入しているか又はこれを超えている状態にある。
【0012】 本発明による方法の場合、水素化触媒もしくは触媒前駆物質として、それぞれ
の反応条件下に、即ち、水素部分圧、反応温度、反応混合物のpH値並びに場合
により存在するコリガンド(もしくはコリガンドとして作用する有機化合物又は
無機化合物)下に、低分子量の水素化作用種の形成に適するルテニウム又はロジ
ウムの全ての塩及び/又は錯化合物を使用することができる。
【0013】 前記の目的に適するロジウム及びルテニウムの塩は、例えばこれらの水素化物
、酸化物、硫化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、例えばこれらの塩化物、カ
ルボキシレート、例えばこれらのアセテート、プロピオネート、ヘキサノエート
又は安息香酸塩、スルホン酸とのこれらの塩並びに混合した塩、即ち、種々のア
ニオンを有する塩、例えばオキシドクロリドである。更に、ロジウム及び/又は
ルテニウムの錯イオンの塩、例えばロジウム酸素酸もしくはルテニウム酸素酸の
塩、ハロゲノルテネート及びハロゲノロデートの塩、殊にクロロルテネート及び
クロロロデート、ハロゲン化ロジウム及びハロゲン化ルテニウム、殊に塩化物の
アミン錯体及びアクオ錯体並びにニトロルテネートの塩が適している。前記の塩
及び錯体塩の例は以下のものである:塩化ルテニウム(III)、塩化ニトロシ
ルルテニウム(III)、アンモニウムペンタクロロアクオルテネート(III
)、ヘキサミンルテニウム(II)クロリド及びヘキサミンルテニウム(III
)クロリド、ジクロロビス(2,2′−ジピリジル)ルテニウム(II)、トリ
ス(2,2′−ジピリジル)ルテニウム(II)クロリド、ペンタミンクロロル
テニウム(III)クロリド、カリウムペンタクロロニトロシルルテニウム(I
I)、酸化ルテニウム(IV)、テトラアセトクロロジルテニウム(II、II
I)、ヘキサキスアセテートトリアクオ−μ−オキソトリルテニウム(III)
アセテート、塩化ロジウム(III)、水酸化ロジウム(III)、硝酸ロジウ
ム(III)、硫酸ロジウム(III)、アンモニウムペンタクロロアクオロデ
ート(III)、カリウムペンタクロロロデート(III)、ナトリウムヘキサ
クロロロデート(III)、トリアミントリクロロロジウム(III)、トリス
エチレンジアミンロジウム(III)クロリド、ロジウム(II)アセテート−
ダイマー、ヘキサキスアセテートトリアクオ−μ−オキソトリスロジウム(II
I)、酸化ロジウム(IV)及びカリウムヘキサニトロロデート(III)。同
様に、ロジウム及びルテニウムの中性錯体も適している。この場合、ルテニウム
もしくはロジウムの塩並びに塩様かつ中性の錯体の間の移行は流動的であり、前
記の区分は、整理的性格を有するに過ぎないことに注意せねばならない。稠性錯
体の例には、ロジウム及びルテニウムの2,4−ペンタンジオネート、例えばル
テニウム(III)トリス−2,4−ペンタンジオネート、ロジウム(I)ジカ
ルボニル−2,4−ペンタンジオネート、ロジウム(III)トリス−2,4−
ペンタンジオネート、ビスエチレンロジウム(I)−2,4−ペンタンジオネー
ト及びノルボルナジエン−ロジウム(I)−2,4−ペンタンジオネート、ルテ
ニウム及びロジウムのカルボニル錯体、例えばドデカカルボニルテトラロジウム
、ヘキサデカカルボニルロジウム、テトラカルボニルジ−μ−クロロジロジウム
(I)及びドデカカルボニルトリルテニウムが含まれる。
【0014】 更に、有機燐化合物との一般式: RuX12(CO)k(L1l(L22 〔式中、 X1及びX2は、互いに独立に水素、ハロゲン原子、有利に塩素、カルボン酸、例
えば酢酸塩、安息香酸塩又はヘキサノエート又はスルホン酸、例えばフェニルス
ルホネート、アセチルアセトネート、置換されていてもよいフェニルのアニオン
を表し、 k及びlは、互いに独立に0、1又は2を表し、但し、k+l=1又は2であり
、 L1は、カルボニル、ピリジン、ベンゾニトリル、ジベンゾホスホル、シクロオ レフィン及び一般式:PR3(式中、Rは、アルキル、アルキルオキシ、シクロ アルキル、シクロアルキルオキシ、アリール、有利に置換されていてもよいフェ
ニル及びアリールオキシを表す)で示される配位子から選択されており、 L2は、PR3及び(L22及びR2P−A−PR2を表してもよく、この場合、R
は、上記の意味を有し、Aは、アルキレン又はアリレンを表す〕で示されるルテ
ニウムの錯体が適している。
【0015】 前記の関係において、アルキルは、有利に1〜12個の炭素原子、殊に1〜4
個の炭素原子を有する線状アルキル並びに分枝鎖状アルキル、例えばメチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、第
三ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル及びn−デシルを表す。アルキル
オキシは、通常、C1〜C12−アルキルオキシ、有利にC1〜C4−アルキルオキ シ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキ
シ、2−ブチルオキシ、第三ブトキシ、n−ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシ
ルオキシを表す。アルキル基は、更にヒドロキシ官能基又はアミノ官能基を有し
ていることがあるか又は1個又はそれ以上の隣接していない酸素原子又はイミノ
基によって中断されていてもよい。この種の基の例は、2−ヒドロキシエチル、
ヒドロキシプロピル、2−アミノエチル、5−ヒドロキシ−3−オキソペンチル
である。アリールは、例えばフェニル又はナフチルを表し、これらは、1個又は
それ以上の置換基を有していてもよい。適当な置換基は、ハロゲン原子、例えば
塩素、アルキル、殊にC1〜C4−アルキル、アルキルオキシ、殊にC1〜C4−ア
ルキルオキシ及びエトキシル化されていてもよいヒドロキシである。有利なアリ
ールは、フェニル、o−トリル、m−トリル又はp−トリル、p−クロルフェニ
ル、p−第三ブチルフェニル及びエトキシル化されていてもよい(EO度、1〜
50)p−ヒドロキシフェニルである。アルキレンは、有利に1,2−エチレン
又は1,2−プロピレンもしくは1,3−プロピレンを表すが、これらは置換さ
れていてもよい及び/又は炭素環又は複素環の一部であってもよい。アリレンに
は、殊にo−フェニレン、o,o−ジフェニレン及び(o,o−ジフェニレン)
メタンが含まれる。
【0016】 配位子PR3の例は、トリフェニルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン 、トリス−n−ブチルホスフィン、トリス−n−オクチルホスフィン、トリシク
ロヘキシルホスフィン、トリスアニシルホスファン、トリス(p−トリル)ホス
フィン、亜燐酸トリエチル及び亜燐酸トリ−n−ブチルである。
【0017】 更に、水素化触媒としては、一般式: RhXm34(L5n 〔式中、 Xは、ハロゲン化物、有利に塩化物又は臭化物、カルボン酸のアニオン、アセチ
ルアセトネート、アリルスルホネート又はアルキルスルホネート、水素化物又は
ジフェニルトリアジンアニオンを表し、 L3、L4及びL5は、互いに独立にCO、オレフィン、シクロオレフィン、ジベ ンゾホスホル、ベンゾニトリル、PR3又はR2P−A−PR2を表し、 mは、1又は2を表し、nは、0、1又は2を表すが、 但し、配位子L3、L4及びL5の少なくとも1つは、一般式:PR3又はR2P− A−PR2で示される上記の燐含有配位子の1つを表すものとする〕で示される ロジウムホスフィン錯体が適している。
【0018】 Xは、有利に水素化物、塩化物、臭化物、アセテート、トシレート、アセチル
アセトネート又はジフェニルトリアシンアニオン、殊に水素化物、塩化物又はア
セテートを表す。
【0019】 ルテニウムもしくはロジウムの適当なホスフィン錯体の例は以下のものである
:カルボニルクロロヒドリドビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム
(II)、カルボニルクロロヒドリドビス(トリイソプロピルホスフィン)ルテ
ニウム(II)、カルボニルクロロヒドリドビス(トリフェニルホスフィン)ル
テニウム(II)、カルボニルクロロスチリルビス〔トリシクロヘキシルホスフ
ィン〕ルテニウム(II)、カルボニルクロロスチリルビス(トリイソプロピル
ホスフィン)ルテニウム(II)、カルボニルクロロベンゾエトビス(トリフェ
ニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィ
ン)ルテニウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムジカルボ
ニルクロリド、アセテートヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウ
ム(II)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ヒドリ
ドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ヒドリドトリス(ジ
ベンゾホスホル)ロジウム(I)。
【0020】 上記のルテニウム塩及びロジウム塩並びに錯化合物の水素化活性は、原則的に
、燐原子と遷移金属との間の少なくとも1つの配位結合の形成できる状態にある
燐含有化合物の添加によって増大させることができる。適当な燐含有化合物の例
は、一般式:PR3及びR2P−A−PR2で示される上記の化合物並びに更にト リフルオルホスファン、ジベンゾホスホル等である。この種の化合物は、金属原
子との配位に適する原子又は原子群、例えばアミノ基又はイミノ基、例えばオキ
サゾリン及びイミダゾリン基をなおも有しているよう変性させることもできる。
この種の燐含有化合物の作用の仕方は、どうやら、これらが、それぞれ使用した
ルテニウム前駆物質又はロジウム前駆物質からの水素活性種の形成を促進するら
しいと説明される。有利な燐含有化合物は、一般式:PR3又はR2P−A−PR 2 で示される上記の化合物である。
【0021】 本発明の1つの有利な実施態様の場合、水素化触媒としては、ルテニウムの塩
及び/又は錯化合物を使用する。これらは、有利に上記の燐含有化合物、殊に一
般式:PR3及び/又はR2P−A−PR2で示される化合物と一緒に使用する。 前記の場合、燐含有化合物は、殊に、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−
ブチルホスフィン、トリス−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホス
フィン、トリフェニルホスフィン、トリスアニシルホスフィン及びトリス(p−
トリル)ホスフィンから選択されている。
【0022】 本発明の方法の1つの特殊な実施態様の場合、ルテニウムの上記のペンタンジ
オネートの少なくとも1種、殊にルテニウム(III)トリス−2,4−ペンタ
ンジオネート及び一般式:PR3及び/又はR2P−A−PR2で示される少なく とも1種の化合物、殊にトリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフ
ィン、トリシクロヘキシルホスフィン及び/又はトリフェニルホスフィンを含む
触媒系を使用する。
【0023】 燐含有化合物対金属原子のモル比は、通常、1:2〜40:1、有利に1:1
〜20:1の範囲内であり、ルテニウムペンタンジオネートと燐含有化合物との
組合せ物の場合には、1:2〜20:1、有利に2:1〜10:1の範囲内であ
る。有利に、この種の触媒系は、水素化反応におけるその使用の前に、場合によ
り例えば50から150℃の昇温下、適当な溶剤中及び場合により例えば1〜2
0バールの水素圧下での各成分の混合によって製造される。溶剤としては、例え
ば芳香族炭化水素、例えばベンゾール、トルオール、キシロール、クロルベンゾ
ール、アニソール、クモール、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、アミド、例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロ
リドン、ジメチルスルホキシド、アルコール、例えばメタノール、エタノール、
n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第三ブタノール又はケ
トン、例えばアセトン又はメチルエチルケトンが該当する。
【0024】 本発明による水素化法のための支持体としては、原理的に、エチレン系不飽和
二重結合を有するポリマーの全ての水性分散液が該当する。これらには、水性モ
ノマーエマルジョンのラジカル重合によって製造される分散液(第一分散液)並
びに別の方法でポリマーを製造し、引き続き水性分散液に変えるもの(第二分散
液)がある。ポリマー分散液の概念には、原則的にマイクロカプセルの分散液も
含まれる。
【0025】 エチレン系不飽和二重結合を有する適当なポリマーPは、共役ジエンのホモポ
リマー又はコポリマーであり、これは、通常、モノマー(a)として少なくとも
1種の共役ジエンを10〜100質量%含有している。適当なジエンモノマー(
a)には、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1−メチルブタジエ
ン、2,3−ジメチルブタジエン、2−(トリ−C1〜C4−アルキル)シリルブ
タジエン、例えば2−トリエチルシリル−1,3−ブタジエン及びこれらの混合
物が含まれる。有利なモノマー(a)は、ブタジエン及びイソプレン、殊にブタ
ジエンである。
【0026】 1つの有利な実施態様の場合、モノマー(a)としての少なくとも1種の共役
ジエンと、ジエンと共重合可能な少なくとも1つの別のモノマー(b)とから構
成されているポリマーPの水素化のために本発明による方法を使用する。この種
のコポリマーは、通常、モノマー(a)10〜99質量%、殊に20〜95質量
%及びモノマー(b)1〜90質量%、有利に5〜80質量%から構成されてい
る。
【0027】 適当なモノマー(b)は、例えばオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、
ビニル芳香族モノマー、例えばスチロール、α−メチルスチロール、o−クロル
スチロール又はビニルトルオール、脂肪族もしくは分枝鎖状のC1〜C18−モノ カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル、吉草酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ビニル−2−エチルヘキサノエート、
ビニルデカノエート、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニル、有利に3〜6
個のC原子を有するエチレン系不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、例えば
殊にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸からのエ
ステル、一般に1〜12個、有利に1〜8個、殊に1〜4個のC原子を有するア
ルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、n−
ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、又はC5〜C10−シクロアルカノール 、例えばシクロペンタノール又はシクロヘキサノール、更に特にアクリル酸及び
/又はメタクリル酸のエステル、例えばメチルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、第三ブチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート及び第三ブチルアクリレートである。更に、モノマー(b
)としては、エチレン系不飽和ニトリル、例えばアクリルニトリル又はメタクリ
ルニトリルが該当する。有利なモノマー(b)は、スチロール、α−メチルスチ
ロール及びアクリルニトリルである。
【0028】 モノマー(a)及び(b)とともに、水素化すべきポリマーPは、変性モノマ
ー(c)を重合導入した形で含有していてもよい。ポリマーPは、通常、モノマ
ー(a)、(b)及び(c)の質量全体に対して20質量%まで、この種の変性
モノマー(c)を重合導入して含有していてもよい。変性モノマー(c)には、
高められた水溶性(例えば25℃及び1バールで>60g/l)を有するモノマ
ー(c′)が含まれる。モノマー(c′)には、例えば前記のエチレン系不飽和
カルボン酸、殊にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、前記の
エチレン系不飽和カルボン酸のアミド、例えばアクリルアミド及びメタクリルア
ミド、前記のエチレン系不飽和カルボン酸のN−アルキロールアミド、例えばN
−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミド、前記のエチ
レン系不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば2−ヒドロキシ
エチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレン系不飽
和スルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩、例えばビニルスルホン酸、アリルス
ルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、他のN−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプ
ロラクタムが含まれる。この種のモノマー(c′)は、通常、重合すべきモノマ
ー(a)、(b)及び(c)の全体量に対して副次的な程度、即ち、<20質量
%、有利に≦10質量%、例えば0.1〜10質量%まで、特に0.5〜8質量
%の量で使用される。
【0029】 更に、モノマー(c)には、少なくとも2個の共役していないエチレン系不飽
和結合、例えばエチレン系不飽和モノカルボン酸との二価アルコールのジエステ
ルを有するモノマー(c″)も含まれる。これらについての例は、アルキレング
リコールジアクリレート及びジメタクリレート、例えばエチレングリコールジ(
メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1
,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(
メタ)アクリレート、更にジビニルベンゾール、ビニルメタクリレート、ビニル
アクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレエー
ト、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート、メチレンビスアクリルアミド、
シクロペンタジエニルアクリレート及びシクロペンタジエニルメタクリレート、
トリシクロデセニルアクリレート及びトリシクロデセニルメタクリレート、N,
N′−ジビニルイミダゾリン−2−オン又はトリアリルシアヌレートである。こ
の種のモノマーは、望ましい場合には、モノマー(a)+(b)+(c)の全体
量に対して0.01〜10質量%の量で使用される。
【0030】 本発明による方法の利点は、殊にポリマー分散液の水素化の際に、モノマー(
b)及び/又は(c)を重合導入して含有し、原則的に水素化されやすい官能基
を有する担体になる。これらには、殊にカルボニル基、ニトリル基及び/又はア
リール基、例えば置換されていてもよいフェニル基を有するモノマーが含まれる
【0031】 本発明による方法の有利な実施態様は、ポリマーPが、本質的にブタジエン及
び/又はイソプレン、殊に単独モノマー(a)としてのブタジエンと、モノマー
(b)としてのスチロール、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、イソブテ
ン及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとから構成されているポリマ
ー分散液の水素化に関するものである。
【0032】 有利なモノマー組合せ物(a)/(b)は、ブタジエン及び/又はイソプレン
とスチロール及び/又はα−メチルスチロール、ブタジエンとアクリルニトリル
及び/又はメタクリルニトリル、ブタジエン及びイソプレンとアクリルニトリル
及び/又はメタクリルニトリル;ブタジエンとアクリルニトリル及びスチロール
;ブタジエンとイソブテン;ブタジエンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル
である。
【0033】 本発明の1つの特殊な実施態様は、ポリマーPが、本質的に、 ブタジエン及びイソプレンから選択されたモノマー(a)20〜95質量%及び
スチロール、α−メチルスチロール及びアクリルニトリルから選択されたモノマ
ー(b)5〜80質量% から構成されているが、 この場合、モノマー(a)及び(b)の含量は、合計で100質量%になるポリ
マー分散液の水素化に関するものである。もちろん、この種のポリマーは、変性
モノマー(c)を上記の量、詳細には、モノマー(a)、(b)及び(c)の全
体量に対して、10質量%までの量で重合導入して含有していてもよい。有利な
モノマー(c)は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、
メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメ
タクリルアミドである。
【0034】 この種のポリマーPの製造は、当業者には公知であり、原則的に、溶液中、塊
状又は乳濁液中でのアニオン重合、ラジカル重合又はチーグラー・ナッタ重合に
よって実施することができる。反応のタイプに応じて、共役ジエンは、1,4−
重合及び/又は1,2−重合して存在している。本発明による水素化法のために
は、有利に、前記のモノマー(a)及び場合により(b)及び/又は(c)のラ
ジカル水性乳化重合(微小及び微細乳化重合(Mini− und Mikro
emulsionspolymerisation)を含む)によって製造され
たポリマーが使用される。前記の方法は、当業者には十分に公知であり、文献中
、例えばUllmans Encyclopedia of Industri
al Chemistry、第5版、第A21巻、第373〜393頁中に詳細
に記載されている。通常、前記ポリマーは、ラジカル開始剤及び場合により界面
活性物質、例えば乳化剤及び保護コロイドの存在下に製造される(例えばHou
ben−Weyl、Methoden der organischen Ch
emie、第XIV/1巻、Makromolekulare Stoffe、
Georg Thieme−Verlag、シュトゥットガルト、1961、第
192〜208頁を見よ)。
【0035】 適当なラジカル重合開始剤には、有機ペルオキシド、例えば第三ブチルヒドロ
ペルオキシド、ベンゾイルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゾイルペル
オキシド、無機ペルオキシド、例えば過酸化水素、ペルオキソ一硫酸及び/又は
ペルオキソ二硫酸の塩、殊にペルオキシ二硫酸アンモニウム及び/又はペルオキ
シ二硫酸アルカリ金属(過硫酸塩)並びにアゾ化合物が含まれるが、この場合、
過硫酸塩が特に有利である。また、少なくとも1種の有機還元剤と、少なくとも
1種のペルオキシド及び/又はヒドロペルオキシドとから構成されている組合せ
系、例えば第三ブチルヒドロペルオキシドと、ヒドロキシメタンスルフィン酸の
ナトリウム塩又は過酸化水素とアスコルビン酸(電解質不含の酸化還元開始剤系
)及びその上更に、金属成分が複数の原子価段階で生じることがあり、重合媒体
中に可溶性の金属化合物の少量を含有する組合せ系、例えばアスコルビン酸/硫
酸第二鉄/過酸化水素も有利であるが、この場合、アスコルビン酸の代わりに、
しばしばヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩、亜硫酸ナトリウム、亜
硫酸水素ナトリウム又は重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素の代わりに、第三ブ
チルヒドロペルオキシド、アルカリ金属ペルオキシドスルフェート及び/又はア
ンモニウムペルオキシジスルフェートを使用することもできる。また、水溶性第
二鉄塩の代わりに、水溶性Fe/V−塩からなる組合せ物を使用することもでき
る。
【0036】 前記の重合開始剤は、通常の量、例えば重合すべきモノマーに対して0.01
〜5質量%、有利に0.1〜2.0質量%の量で使用される。
【0037】 場合により、モノマー混合物を、通常の重合調整剤、例えばメルカプタン、例
えば第三ドデシルメルカプタンの存在下に重合させることもできる。この後これ
らは、混合物の全体量に対して0.01〜5質量%の量で使用される。
【0038】 使用可能な乳化剤に関しては、特に制限はない。有利に、中性乳化剤、例えば
エトキシル化したモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール及びトリアル
キルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C9)又はエトキシル化
した脂肪アルコール(EO度:3〜50、アルキル基C8〜C36)及び/又はア ニオン性乳化剤、例えば脂肪酸(アルキル基:C12〜C24)、アルキルスルフェ
ート(アルキル基:C8〜C22)のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、エトキ シル化したアルカノール(EO度:4〜30,アルキル基:C8〜C22)及びエ トキシル化したアルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C4〜C1 0 )の硫酸半エステルのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、アルキルスルホン 酸(アルキル基:C8〜C22)及びアルキルアリールスルホン酸(アルキル基: C4〜C18)のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。アニオン性乳化剤と しては、更にビス(フェニルスルホン酸)エーテルのモノ−C4〜C24−アルキ ル誘導体又はモノ−C4〜C24−アルキル誘導体のアルカリ金属塩又はアンモニ ウム塩、例えばモノアルキル化した製品を50〜80%含有する工業用混合物が
該当する。この種の乳化剤は、米国特許第4269749号から公知であり、同
工業用混合物は、例えばDowfax(R)2Al(Dow Chemical) の名称で商業的に入手される。
【0039】 特に有利に、アルキルアリールスルホン酸、アルキルスルホン酸、(例えばス
ルホン化したC12〜C18−パラフィン;乳化剤として、市販のBayer AG
のK30)、アルキルスルフェート(例えばナトリウムラウリルスルホネート、
Firma HenkelのTexapon(R)K12として市販)及びエトキ シル化したアルカノールの硫酸半エステル(例えばEO単位2〜3個を有するラ
ウリルアルコールの硫酸化したエトキシレート;Henkel KGaAのTe
xapon(R)NSOとして市販)のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩 、殊にナトリウム塩である。同様に適当な乳化剤は、脂肪酸(C12〜C23−アル
キル基)のナトリウム塩又はカリウム塩、例えばオレイン酸カリウムである。他
の適当な乳化剤は、Houben−Weyl、Methoden der or
ganischen Chemie、第XIV/1巻、Makromoleku
lare Stoffe、Georg−Thieme Verlag、シュトゥ
ットガルト、1961,第192〜208頁中に記載されている。あるいはまた
乳化剤の代わり又は乳化剤との混合物で、従来の保護コロイド、例えばポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン又は短い疎水性ブロックを有する両親媒性
ブロックポリマーを補助安定化のために使用することもできる。通常、乳化剤の
使用量は、重合すべきモノマーに対して5質量%を超えることはない。
【0040】 ラジカル重合反応は、完全バッチ型(バッチ法)で実施することができるが、
しかし、有利には殊に、工業的規模で、流入法により作業される。この場合、重
合すべきモノマーの過剰量(通常50〜100質量)が、既に重合容器中に存在
するモノマーの重合の進行に応じて重合容器に入れられる。この場合、ラジカル
開始剤系は、完全に重合容器中に装入並びにその使用量に応じてラジカル水性乳
化重合の進行中に重合反応に連続的又は段階的に供給することができる。詳細に
は、公知の方法で、開始剤系の化学的性質並びに重合温度に左右される。有利に
、開始剤系は、使用量に応じて重合帯域に供給される。
【0041】 有利に、重合反応は、ポリマーシード(シード−ラテックス)としての水性ポ
リマー分散液の存在下に実施される。この種の方法は、当業者には原則的に公知
であり、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4213967号、同第421
3968号、欧州特許出願公開第567811号、同第567812号又は同第
567819号中に記載されているので、これに関しては、全ての範囲を引用す
る。原則的に、シードは、所望の性質に応じて装入されるか又は重合の間に連続
的又は段階的に添加される。有利に、予め装入したシードを用いて重合が行われ
る。シードポリマーの量は、有利に、モノマーa)〜d)の量に対して、0.0
5〜5質量%、有利に0.1〜2質量%、殊に0.2〜1質量%である。有利に
、使用したシードラテックスのポリマー粒子は、10〜100nm、有利に20
〜60nmの範囲内、殊に約30nmの質量平均粒径を有している。有利にポリ
スチロールシードが使用される。
【0042】 重合反応は、有利に加圧下に実施される。重合時間は、広い範囲で変動するこ
とができる。重合時間は、一般に、1〜15時間の範囲内、有利に3〜10時間
の範囲内である。また、重合温度は、広い範囲で変動することができる。この重
合温度は、使用した開始剤に応じて約0〜110℃である。
【0043】 こうして製造されたポリマー分散液は、通常、75質量%までの固体含量を有
している。40〜70質量%の固体含量を有するポリマー分散液は特に重要であ
る。本発明による水素化法における使用には、前記の固体含量を有する分散液を
使用することができる。しかし、場合により、該分散液は、適当な固体含量にな
るまで事前に希釈しなければならない。有利に、この方法で使用される分散液の
固体含量は、分散液の質量全体に対して10〜60質量%、殊に20〜50質量
%の範囲内である。
【0044】 ポリマー分散液中に通常なお含有されている界面活性物質並びに例えば乳化重
合の際に通常の重合助剤として使用される他の物質は、本発明による水素化法に
おいて支障とならない。しかしながら、ポリマー分散液を、水素化の前に事前に
化学的又は物理的に脱臭させておくことが推奨される。水蒸気を用いる残留モノ
マーの除去による物理的脱臭は、例えば欧州特許出願公開第584458号から
公知である。また、欧州特許出願公開第327006号によれば、慣用の蒸留法
の使用が推奨されている。化学的脱臭は、有利に、主重合に引き続く後重合によ
って行われる。この種の方法は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第383
4734号、欧州特許出願公開第379892号、同第327006号、ドイツ
連邦共和国特許出願公開第4419518号、同第4435422号並びに同第
4435423号中に記載されている。
【0045】 本発明による水素化は、通常、上記の触媒又は触媒前駆物質の1種並びに場合
により1種又はそれ以上のコリガンド、例えば場合により有機溶剤中に溶解して
ある上記の燐含有化合物をポリマー分散液に加えることによって実施される。場
合により、該分散液を水又は水−乳化剤混合物又は水と混合可能な有機溶剤を用
いる希釈によって適当な固体含量に調節する。次に、所望の水素圧に調節し、か
つ適当な反応温度になるまで加熱する。この場合、例えば、まず、分散液への触
媒の添加後に若干の水素化常圧に調節し、次に、反応バッチを所望の反応温度に
なるまで加熱し、この後、反応に必要とされる水素化常圧に調節するように行う
ことができる。多くの場合、反応容器を不活性ガス、例えば窒素で事前に洗浄す
ることが好ましい。
【0046】 希釈のための適当な溶剤には、殊に上記のC1〜C4−アルカノール、ケトン、
例えばアセトン及びエチルメチルケトン、環式エーテル、例えばテトラヒドロフ
ラン又はジオキサン又はアミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド又はN−
メチルピロリドンが含まれる。しかしながら、水素化すべきポリマー分散液の溶
剤含量は、通常、分散液の質量全体に対して20質量%を超えることはない。有
利に、水性ポリマー分散液は、必要な場合、専ら水又は水−乳化剤混合物で希釈
される。
【0047】 しかしながら、殊にコリガンド、例えば上記の燐含有化合物の使用の際に、適
当な溶剤中のそれぞれ所望のルテニウム化合物及び/又はロジウム化合物をコリ
ガンドと合わせ(上記)、その際得られた溶液又は懸濁液をポリマー分実基に添
加することが、多くの場合好ましいと判明した。場合により、前記の溶液もしく
は懸濁液を、ポリマー分散液に添加する前に、水素又は別の還元剤、例えば水素
と、1〜20バールの範囲内の圧力及び50〜150℃の範囲内の温度で反応さ
せるが、この場合、触媒活性種が形成される。活性化は、その場で、例えばポリ
マー分散液中でも行われる。
【0048】 水素化は、通常、0.5〜600バール、有利に50〜400バール、殊に1
00〜300バールの範囲内の水素の部分圧で行われる。反応温度は、通常20
〜250℃、有利に50〜200℃、殊に100〜180℃の範囲内である。触
媒系の種類及び所望の変換率に応じて、水素化すべきポリマー分散液の質量全体
に対してルテニウム及び/又はロジウムを1〜1000ppm、有利に5〜50
0ppmの範囲内の触媒量を使用する。反応時間は、通常1〜30時間、有利に
2〜25時間、殊に3〜20時間の範囲内である。
【0049】 反応は、水素化したポリマーの所望の性質に応じて、特定の変換率になるまで
実施することができるが、これは、公知の方法で、反応パラメーター、例えば水
素圧及び温度並びに使用した触媒系の種類及び量の選択によって調節することが
できる。変換率の測定は、例えばIR分光分析により、900〜1000cm-1 の範囲内のエチレン系不飽和二重結合にとって典型的な帯域の監視によって行う
ことができる。
【0050】 本発明の方法により水素化されたポリマー分散液は、エチレン系二重結合を有
するポリマーPのエチレン系二重結合を別の水素化活性二重結合、例えば芳香族
C−C二重結合、カルボニル基、ニトリル官能基等の存在下であっても水素化す
ることによって顕著である。
【0051】 こうして得られたポリマー分散液は、新規であり、同様に本発明の対象である
。これらから得られるポリマーは、公知の方法で該分散液から取得され(下記)
、同様に本発明の対象であるが、周囲の影響、例えば光、酸素及び/又は高めら
れた温度に対する、水素化されていない基礎分散液に比して明らかに改善された
高い安定性によって顕著である。これにより、本発明によるポリマーは、屋外で
の使用、例えば分散染料及び被覆材料用の結合剤、繊維製品、皮革及び紙用の仕
上げ剤として用いられることになっている。
【0052】 本発明の1つの特に有利な実施態様は、スチロール−ブタジエンポリマーの水
性分散液の水素化に関するものである。ブタジエン及びスチロールを重合導入し
た形で含有するポリマー分散液は、有利にラジカル乳化重合によって製造され、
かつ重要な大規模工業製品である。これらは、多くの点でスチロール/ブチルア
クリレートをベースとするポリマーに匹敵するが、この場合、重合導入したブタ
ジエンは、「可塑化」ブチルアクリレートの役割を引き継いでいる。確かに、ブ
タジエンは、エステルが水蒸気分解剤のC4−切片から直接分離でき、これとは 異なり、ブチルアクリレートは、少なくとも2つの工程で水蒸気分解剤生成物か
ら出発して製造されなければならないので、ブチルアクリレートに比して相当の
コスト優位性を有しているが、しかし、他方で、ブタジエン含有ポリマーは、そ
の耐候安定性の点で上記の欠点を有しているので、その使用可能性は、これまで
著しく制限されていた。
【0053】 本発明による水素化法は、ブタジエン/スチロールをベースとする前記のポリ
マーの場合に、驚異的なことに、機械的性質の点で水素化されていないポリマー
を凌駕しているのではないにしても、周囲の条件に明らかに僅かな感応性を有す
る少なくとも匹敵するポリマーP′になる。水素化したポリマー分散液並びにそ
の中に含有されているポリマーP′は、新規であり、同様に本発明の対象である
。ポリマーP′は、公知の方法で、水及び場合により存在する溶剤の除去、例え
ば沈殿及び濾過、乾燥、例えば噴霧乾燥又は凍結乾燥又は蒸発押出機中で、水性
分散液から取得することができる。
【0054】 本発明により水素化されたポリマーP′は、モノマー(a)としてのスチロー
ル及び/又はα−メチルスチロール及びモノマー(b)としてのブタジエン及び
/又はイソプレンを基礎とするポリマーPから出発して得られるが、本質的に構
造単位I、II及びIII:
【0055】
【化3】
【0056】 〔式中、R1、R2及びR3は、独立に水素又はメチルを表す〕から構成されてい る。
【0057】 有利に、R1及びR2は、水素を表す。通常、この種のポリマーP′は、それぞ
れ、構造単位I、II及びIIIの全モル数に対して、構造単位I及びIIを5
5〜98モル%、構造単位IIIを2〜45モル%有している。
【0058】 更に、この種のポリマーP′は、構造単位IV:
【0059】
【化4】
【0060】 〔式中、Xは、水素、COOH及びCH2−COOHから選択されており、Yは 、COOH、CONH2、CONH−CH2OHから選択されており、Zは、水素
、CH3から選択されており、Xが、Hである場合には、CH2COOHを表して
いてもよい〕を有していることもある。更に、Zが、H又はメチルである場合に
は、X及びYは、基:−C(O)−O−C(O)−及びC(O)−N(R)−C
(O)〔式中、Rは、水素、C1〜C6−アルキル又はアリールを表す〕を表して
いてもよい。構造単位IVは、出発分散液のポリマーP中の変性モノマー(c)
から生じる。構造単位IVのモル量は、構造単位I、II及びIIIの全モル数
に対して、有利に0.05〜10モル%の範囲内である。
【0061】 更に、ポリマーP′は、構造単位V:
【0062】
【化5】
【0063】 〔式中、R4は、水素又はメチル及び有利に水素を表す〕を有していてもよい。 構造単位Vは、出発分散液のポリマーP中の重合導入されたアクリルニトリルも
しくはメタクリルニトリルから生じる。構造単位Vの割合は、構造単位I、II
及びIIIの全モル数に対して、40モル%まで、例えば0.5〜35モル%で
あってもよい。
【0064】 水素化されたポリマーP′は、周囲の影響に対する高い安定性、例えば低い黄
変傾向及び脆弱化傾向によって顕著である。その上更に、ポリマーP′は、水素
化されていないポリマーPに比して改善された引裂強度及び高められた破断時の
伸びによって顕著である。水素化の進行中の架橋による望ましくない分子量構成
は、この種のポリマー中のフェニル基の水素化と同様に観察されなかった。
【0065】 ポリマーP′もしくはその分散液は、例えば封止材料又は被覆材料用の結合剤
、例えば特に屋外での使用のための分散染料、プラスチックプラスター中、更に
感圧接着剤、成形材料中のゴム弾性成分として使用することができる。
【0066】 実施例 I.出発分散液D1及びD2 分散液D1:水45kg中のブタジエン28kg、スチロール9.2kg及び
水性オレイン酸カリウム8.0kg(17.4質量%のもの)からなるモノマー
エマルジョンを、10℃で、ジイソプロピルベンゾイルヒドロペルオキシド38
.4kg及びドデシルメルカプタン37gで80%の変換率になるまで重合させ
た。引き続き、残留モノマー含量を、化学的脱臭及び物理的脱臭を組み合わせる
ことによって、ブタジエン<10ppm及びスチロール400ppmにまで減少
させた(漿液のガスクロマトグラフィーを用いて測定)。
【0067】 分散液D2:重合容器中に、水5kg及びシードラテックス(ポリスチロール
シード、30nm)を装入し、かつ75℃にまで昇温させた。これに、過硫酸ナ
トリウム6g並びにモノマーエマルジョン5質量%を添加した。引き続き、温度
を保持しつつ、5質量%の過硫酸ナトリウム水溶液2280g及びモノマーエマ
ルジョンの残量を3時間で時間的に同時に添加したが、その際、圧力は6バール
を上回ることはなかった。引き続き、更に1時間、温度の保持下に重合させた。
引き続き、残留モノマーの含量を、化学的脱臭及び物理的脱臭を組み合わせるこ
とによって、<10ppmの値にまで減少させた。
【0068】 モノマーエマルジョンは、 質量比1:2.1のブタジエンとスチロールとからなるモノマー混合物1425 0g、 アクリル酸 750g Texapon(R)NSO(Henkel KGaA) 105g 及び 水 7400g からなっていた。
【0069】 II.水素化した分散液(例1〜6) a) 触媒溶液の製造 0.3 lの容量を有するオートクレーブ中に、アルゴン雰囲気下に、トルオ
ール100g、ルテニウム(III)トリス−2,4−ペンタンジオネート5.
0g及びトリス−n−ブチルホスフィン10.15gを装入した。引き続き、室
温で、オートクレーブを水素圧5バールにし、100℃にまで昇温させ、水素圧
を10バールに上昇させた。水素圧及び温度を2時間保持し、次に反応混合物を
冷却し、該反応混合物を不活性貯蔵容器中に移送した。
【0070】 b) 本発明による水素化法 例 1: 不活性ガス条件下に、IIaで製造した触媒溶液45.4gを、強力な混和下
に、Iからの分散液D1 1kgに添加した。この混合物を、数回の真空化及び
窒素の充填によって不活性化しておいた2.5 lの容量を有するオートクレー
ブ中に移送した。次に、室温で、オートクレーブを水素圧10バールにし、かつ
温度を15時間保持した。冷却後に、こうして得られた分散液を分析した。結果
は、表1にまとめてある。
【0071】 例 2: 水素化を、例1と同様に行ったが、しかし、分散液D1 1kgに対して触媒
溶液18.1gを使用した。
【0072】 例 3: 水素化を、例2と同様に行ったが、しかし、今回は、反応温度は150℃であ
り、水素圧は100バールであった。
【0073】 例 4: 水素化を、例3と同様に行ったが、しかし、触媒溶液4.5gの存在下であっ
た。
【0074】 例 5: 不活性ガス条件下で、強力な混和下に、IIaからの触媒溶液0.09gとト
ルオール0.09gとからなる混合物を、Iからの分散液D2 50gと水50
gとからなる混合物に添加した。この混合物を、300mlの収容能力を有する
不活性化させたオートクレーブ中に移送した。引き続き、室温で、オートクレー
ブを水素圧10バールにし、150℃にまで昇温させ、次に水素圧を100バー
ルにまで上昇させた。温度及び圧力を、15時間保持した。引き続き、室温にま
で冷却し、更に処理せずに分散液を分析した。結果は、表1にまとめてある。
【0075】 例 6: 水素化を、例5と同様に行った。触媒を、IIaからの触媒溶液0.045g
とトルオール0.135gとからなる混合物の形で使用した。水素圧は、反応の
間280バールであった。分散液の分析値は、表1にまとめてある。
【0076】 表 1
【0077】
【表1】
【0078】* 本発明による 1)使用した分散液の全体量に対する使用したルテニウム 2)ASTM D3418−82による「中点法(mid−point−Met
hode)」によって評価したDSC(示差熱測定法)により測定 3)水素化したサンプル(I)と水素化していないサンプル(Io)のIR帯域 の標準化した強さの挙動。960cm-1のIR帯域は、1,4−結合したブタジ
エン単位の二重結合から生じたものであり、910cm-1の帯域は、1,2−結
合したブタジエン単位の二重結合から生じたものである。これらの強さは、それ
ぞれの帯域の統合及びこうして求められたピーク面積と699cm-1での帯域の
ピーク面積(スチロール単位)との比較によって標準化した。
【0079】 III.使用技術的性質の測定 Iからの分散液D1及び例1からの分散液を、公知の方法で、注型して薄膜に
し、かつ乾燥させた。乾燥させた薄膜から、長さ20mm及び幅4mmのサンプ
ルを準備した。このサンプルの厚さは、約500μm〜600μmであった。
【0080】 こうして準備されたサンプルに、DIN53455−3により従来の引張り試
験装置を用いる応力測定/延伸性測定を施した。排出速度は、毎分100mm、
サンプル温度は23℃であった。結果は、表2にまとめてある。
【0081】 表 2
【0082】
【表2】
【0083】 1)表1を見よ 2)DIN53455によるポリマーフィルムについて測定 3)本発明による
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年1月5日(2000.1.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 分散液が、モノマー(a)としての本質的に少なくとも1種
の共役ジエンと、ジエンと共重合可能な少なくとも1種のモノマー(b)と、場
合により変性モノマー(c)とから構成されているポリマーPを含有する、請求
項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項】 ポリマーPが、本質的に ブタジエン及びイソプレンから選択されたモノマー(a)20〜95質量%、及
び スチロール及びα−メチルスチロール及びアクリルニトリルから選択されたモノ
マー(b)5〜80質量% から構成されており、この場合、モノマー(a)及び(b)の含量は、合計で1
00質量%になる、請求項に記載の方法。
【請求項】 ポリマーPが、モノマー(a)、(b)及び(c)の全体量
に対して20質量%まで、変性モノマー(c)を重合導入した形で含有している
、請求項又はに記載の方法。
【請求項請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法により得ら れる水性ポリマー分散液が、 本質的に、構造単位I、II及びIII:
【化1】 〔上記式中、R1、R2及びR3は、互いに独立に水素又はメチルを表す〕から構 成されているポリマーP′及び有機溶剤を20容量%未満含有することを特徴と
する、水性ポリマー分散液。
【請求項】 ポリマーP′が、付加的に構造単位IV及び/又はV:
【化2】 〔上記式中、 Xは、水素、COOH及びCH2−COOHから選択されており、 Yは、COOH、CONH2、CONHCH2OHから選択されており、 Zは、水素及びCH3から選択されており、Xが、Hである場合には、CH2CO
OHをも表すこともあり、また、 X及びYは、−C(O)−O−C(O)−又は−C(O)−NR−C(O)−を
表すが、この場合、Zが、H又はメチルである場合には、Rは、水素、C1〜C6 −アルキル又はアリールを表し、 式V中のR4は、水素又はメチルを表す〕を有する、請求項に記載の水性ポリ マー分散液。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 エドガー ツェラー ドイツ連邦共和国 マンハイム クニービ スシュトラーセ 18 (72)発明者 ハイコ マース ドイツ連邦共和国 シッファーシュタット アントン−ブルックナー−シュトラーセ 10 Fターム(参考) 4J100 AA02Q AA03Q AB02Q AB03Q AG02Q AG04Q AJ02R AJ08R AL03Q AL34Q AM02Q AM15R AM21R AS02P AS03P AS06P AS07P BA03R BA72P CA04 CA05 EA06 HA04 HB57 JA01 JA11 JA13

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロジウム及び/又はルテニウムの塩及び錯化合物から選択さ
    れた少なくとも1種の水素化触媒の存在下でのポリマー水素との反応による、ポ
    リマーP中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法において、有機溶剤を
    多くとも20容量%含有するポリマーPの水性分散液中で反応を実施することを
    特徴とする、ポリマーP中のエチレン系不飽和二重結合の選択的水素化法。
  2. 【請求項2】 水素化触媒に、ルテニウムの少なくとも1種の塩及び/又は
    錯化合物及びルテニウムを有する配位化合物を形成することができる少なくとも
    1種の燐含有化合物が含まれる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 燐含有化合物が、一般式:PR3及びR2P−A−PR2(前 記式中、基Rは、同一か又は異なっていてもよく、互いに独立にアルキル、シク
    ロアルキル、アリール、アルキルオキシ、シクロアルキルオキシ及びアリールオ
    キシ又はフッ素であってもよく、Aは、二価の炭化水素基を表す)で示される化
    合物から選択されている、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 分散液の質量全体に対してルテニウムを1〜1000ppm
    使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 反応を、20〜250℃の範囲内の温度及び0.5〜600
    バールの範囲内の水素部分圧で実施する、請求項1から4までのいずれか1項に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 分散液が、モノマー(a)としての本質的に少なくとも1種
    の共役ジエンと、ジエンと共重合可能な少なくとも1種のモノマー(b)と場合
    により変性モノマー(c)とから構成されているポリマーPを含有する、請求項
    1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 ポリマーPが、本質的に ブタジエン及びイソプレンから選択されたモノマー(a)20〜95質量%、及
    び スチロール及びα−メチルスチロール及びアクリルニトリルから選択されたモノ
    マー(b)5〜80質量% から構成されており、その際、モノマー(a)及び(b)の含量は、合計で10
    0質量%になっている、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ポリマーPが、モノマー(a)、(b)及び(c)の全体量
    に対して20質量%まで、変性モノマー(c)を重合導入した形で含有している
    、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法により得ら
    れる水性ポリマー分散液。
  10. 【請求項10】 水性ポリマー分散液が、本質的に、構造単位I、II及び
    III: 【化1】 〔上記式中、R1、R2及びR3は、互いに独立に水素又はメチルを表す〕から構 成されているポリマーP′を含有する水性ポリマー分散液。
  11. 【請求項11】 ポリマーP′が、付加的に構造単位IV及び/又はV: 【化2】 〔上記式中、 Xは、水素、COOH及びCH2−COOHから選択されており、 Yは、COOH、CONH2、CONHCH2OHから選択されており、 Zは、水素及びCH3から選択されており、Xが、Hである場合には、CH2CO
    OHをも表すこともあり、また、 X及びYは、−C(O)−O−C(O)−又は−C(O)−NR−C(O)−を
    表すが、この場合、ZがH又はメチルである場合には、Rは、水素、C1〜C6
    アルキル又はアリールを表し、 式V中のR4は、水素又はメチルを表す〕を有する、請求項10に記載の水性ポ リマー分散液。
  12. 【請求項12】 請求項9から11までのいずれか1項に記載の水性ポリマ
    ー分散液から水及び場合により溶剤の除去によって得られるポリマー。
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