JP2001523454A - ヒト2−19タンパク質分子類似体z219c - Google Patents

ヒト2−19タンパク質分子類似体z219c

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JP2001523454A
JP2001523454A JP2000521193A JP2000521193A JP2001523454A JP 2001523454 A JP2001523454 A JP 2001523454A JP 2000521193 A JP2000521193 A JP 2000521193A JP 2000521193 A JP2000521193 A JP 2000521193A JP 2001523454 A JP2001523454 A JP 2001523454A
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polypeptide
seq
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phe
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JP2000521193A
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シー. コンクリン,ダレル
ブラムバーグ,ハル
エー. デイシャー,テリーサ
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ザイモジェネティクス,インコーポレイティド
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Application filed by ザイモジェネティクス,インコーポレイティド filed Critical ザイモジェネティクス,インコーポレイティド
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/02Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing a signal sequence

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト2−19タンパク質ファミリーの新規なメンバーであるZ219Cのポリヌクレオチド及びポリペプチド分子に関する。該ポリペプチド及び該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、種々のヒトの疾患状態及び染色体異常を検出するために使用することができる。本発明はまた、Z219Cポリペプチドに対する抗体も含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景: 多細胞生物の細胞の増殖及び分化は、ホルモン及びポリペプチド成長因子によ
り制御される。それらの分散性分子は、細胞のお互いの連絡を可能にし、そして
細胞を調節し、そして器官を形成し、そして損傷された組織を修復し、そして再
生するために協力して作用する。ホルモン及び成長因子の例は、ステロイドホル
モン(たとえばエストロゲン、テストステロン)、副甲状腺ホルモン、卵胞刺激
ホルモン、インターロイキン、血小板由来の成長因子(PDGF) 、上皮成長因子 (
EGF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF) 、エリトロポイエチ
ン (EPO)及びカルシトニンを包含する。
【0002】 ホルモン及び成長因子は、タンパク質に結合することによって細胞代謝に影響
を及ぼす。それらのタンパク質は、細胞内のシグナル経路、たとえば第2メッセ
ンジャー系に結合される内部膜タンパク質であり得る。ホルモン及び成長因子が
影響を及ぼす他の種類のタンパク質は、可溶性分子、たとえば転写因子である。
【0003】 従って、新規ホルモン、成長因子及び同様のものを発現するための連続した必
要性がある。それらのサイトカインのインビボ活性は、他のサイトカイン、サイ
トカインアゴニスト及びサイトカインアンタゴニストの莫大な臨床学的可能性及
びそれらの必要性を示す。本明細書における技法から、当業者に明らかであるよ
うなポリペプチドを、それらの及び他の使用のために提供することによって、こ
の必要性と取り組んでいる。
【0004】 発明の要約: 本発明は、新規ポリペプチド、及び関連する組成物及び方法を提供することに
よってこの必要性と取り組んでいる。 1つの観点においては、本発明は、(a)アミノ酸番号23 (Phe)〜アミノ酸番
号223 (Phe) の配列番号2に示されるようなアミノ酸配列;及び(b)アミノ酸
番号1(Met)〜アミノ酸番号223 (Phe) の配列番号2に示されるようなアミノ酸
配列から成る群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一である
、アミノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチドをコードする単離されたポリヌ
クレオチドを提供する。1つの態様において、上記に開示される、単離されたポ
リヌクレオチドは、(a)ヌクレオチド285 〜ヌクレオチド890 の配列番号1に
示されるようなヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド分子;(b)ヌ
クレオチド222 〜ヌクレオチド890 の配列番号1に示されるようなヌクレオチド
配列を含んで成るポリヌクレオチド分子;及び(c)(a)又は(b)に対して
相補的なポリヌクレオチド分子から成る。もう1つの態様においては、上記に開
示される、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号8のヌクレオチド1〜ヌク
レオチド669 を含んで成る。
【0005】 もう1つの態様においては、上記に開示される、単離されたポリヌクレオチド
は、アミノ酸番号23 (Phe)〜アミノ酸番号223 (Phe) の配列番号2に示されるよ
うな、アミノ酸配列に対して少なくとも90%同一である、アミノ酸残基の配列か
ら成る。もう1つの態様においては、上記に開示される、単離されたポリヌクレ
オチドは、アミノ酸番号23 (Phe)〜アミノ酸番号223 (Phe) の配列番号2に示さ
れるような、アミノ酸残基の配列から成る。もう1つの態様においては、上記に
開示される、単離されたポリヌクレオチドは、配置 M1-{25-26 }-M2-{15}-M
3-{11}-M4-{34-36 }-M5 において、N−末端からC−末端まで間隔を開けて
存在するモチーフ1,2,3,4、及び5を含むポリペプチドをコードする。
【0006】 第2の観点においては、本発明は、次の操作可能的に連結された要素を含んで
成る発現ベクターを提供する:転写プロモーター;アミノ酸番号23 (Phe)〜アミ
ノ酸番号223 (Phe) の配列番号2に示されるようなアミノ酸配列に対して少なく
とも90%同一であるz219a ポリペプチドをコードするDNA セグメント;及び転写
ターミネーター、ここで前記プロモーターは前記DNA セグメントに操作可能的に
連結され、そして前記セグメントは前記転写ターミネーターに操作可能的に連結
される。1つの態様においては、上記に開示される発現ベクターはさらに、前記
DNA セグメントに操作可能的に連結される分泌シグナル配列を含んで成る。
【0007】 第3の観点においては、本発明は、上記に開示されるような発現ベクターを導
入されている、培養された細胞を提供し、ここで前記細胞はDNA セグメントによ
りコードされるポリペプチドを発現する。 第4の観点においては、本発明は、融合タンパク質をコードするDNA 構造体を
提供し、ここで前記DNA 構造体は、配列番号2のアミノ酸残基1(Met)〜21 (Me
t)の配列に対して少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする第1 DNA
セグメント;及び追加のポリペプチドをコードする第2 DNAセグメントを含んで
成り、ここで前記第1及び第2 DNAセグメントは整合され、そして前記融合タン
パク質をコードする。
【0008】 もう1つの観点においては、本発明は、(a)アミノ酸番号23 (Phe)〜アミノ
酸番号223 (Phe) の配列番号2に示されるようなアミノ酸配列を含んで成るポリ
ペプチド分子;及び(b)アミノ酸残基番号1(Met)〜アミノ酸残基番号223 (P
he) の配列番号2に示されるようなアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド分子
から成る群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一である、ア
ミノ酸残基の配列を含んで成る単離されたポリペプチドを提供する。1つの観点
に置いては、上記に開示される、単離されたポリペプチドは、アミノ酸番号23 (
Phe)〜アミノ酸番号223 (Phe) の配列番号2に示されるようなアミノ酸配列に対
して少なくとも90%同一である、アミノ酸残基の配列から成る。
【0009】 もう1つの態様においては、上記に開示される、単離されたポリペプチドは、
アミノ酸番号23 (Phe)〜アミノ酸番号223 (Phe) の配列番号2に示される通りで
ある。もう1つの態様においては、上記に開示される、単離されたポリペプチド
は、配置 M1-{25-26 }-M2-{15}-M3-{11}-M4-{34-36 }-M5 において、N
−末端からC−末端まで間隔を開けて存在するモチーフ1,2,3,4及び5を
コードする。 もう1つの態様においては、本発明は、上記に開示されるような細胞を培養し
;そして前記細胞により生成されるz219c ポリペプチドを単離することを含んで
成る、z219c ポリペプチドを生成するための方法を提供する。
【0010】 もう1つの観点においては、本発明は、(a)アミノ酸番号23 (Phe)〜アミノ
酸番号223 (Phe) の配列番号2の連続した配列に対して少なくとも90%同一であ
る、9〜210 個のアミノ酸から成るポリペプチド;(b)アミノ酸番号2(Phe)
〜アミノ酸番号88 (Ile)の配列番号2のアミノ酸配列から成るポリペプチド;(
c)アミノ酸番号23 (Phe)〜アミノ酸番号223 (Phe) の配列番号2のアミノ酸配
列から成るポリペプチド;(d)アミノ酸番号51(Lys)〜アミノ酸番号124 (Asp
) の配列番号2のアミノ酸配列から成るポリペプチド;(e)アミノ酸番号125
(Val) 〜アミノ酸番号202 (Thr) の配列番号2のアミノ酸配列から成るポリペプ
チド;(f)アミノ酸番号203 (Phe) 〜アミノ酸番号223 (Phe) の配列番号2の
アミノ酸配列から成るポリペプチドから成る群から選択されたポリペプチドによ
り動物を接種し;ここで前記ポリペプチドが、抗体を生成するために、動物にお
いて免疫応答を誘発し;そして前記動物から抗体を単離することを含んで成る、
z219c ポリペプチドに対する抗体を生成するための方法を提供する。
【0011】 もう1つの観点においては、本発明は、z219c ポリペプチドに結合する、上記
に開示される方法により生成される抗体を提供する。1つの態様においては、上
記に開示される抗体は、モノクローナル抗体である。もう1つの観点においては
、本発明は、上記に開示されるようなポリペプチドに結合する抗体を提供する。
【0012】 もう1つの観点においては、本発明は、z219c により刺激された細胞経路に対
して応答するレポーター遺伝子構造体によりz219c −応答性細胞をトランスフェ
クトし;請求項15記載の方法によりz219c ポリペプチドを生成し;試験サンプル
の存在又は不在下で、前記細胞にz219c ポリペプチドを添加し;生物学的又は生
化学的アッセイにより、試験サンプルの存在及び不在下で、z219ポリペプチドに
対する応答のレベルを比較し;そして前記比較から、試験サンプルにおけるz219
c 活性のアンタゴニストの存在を決定することを含んで成る、試験サンプルにお
けるz219c タンパク質活性のアンタゴニストの存在を検出するための方法を提供
する。
【0013】 もう1つの観点においては、本発明は、z219c により刺激された細胞経路に応
答するレポーター遺伝子構造体により、z219c −応答性細胞をトランスフェクト
し;試験サンプルを添加し;生物学的又は生化学的アッセイにより、試験サンプ
ルの存在及び不在下で応答のレベルを比較し;そして前記試験サンプルにおける
z219c 活性のアゴニストの存在を、前記比較から決定することを含んで成る、試
験サンプルにおける、z219c タンパク質活性のアゴニストの存在を検出するため
の方法を提供する。
【0014】 発明の特定の記載: 本発明を詳細に記載する前、次の用語を定義することが本発明の理解を助ける
ことができる: 用語“親和性標識”とは、第2ポリペプチドの精製又は検出を提供し、又は基
質への第2ポリペプチドの結合のための部位を提供するために、第2ポリペプチ
ドに結合され得るポリペプチドセグメントを示すために本明細書において使用さ
れる。
【0015】 主に、抗体又は、他の特異的結合剤が利用できるいずれかのペプチド又はタン
パク質が親和性標識として使用され得る。親和性標識は、ポリ−ヒスチジン系、
すなわちプロテインA(Nilsson など., EMBO J. 4 : 1075, 1985 ; Nilsson な
ど., Methods Enzymol. 198 : 3, 1991)、グルタチオンS トランスフェラーゼ
(Smis and Johnson, Gene67 ; 31, 1988)、Glu-Glu 親和性標識 (Grussenmeyer
など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 : 7952-4, 1985)、物質P、すなわちFl
agTMペプチド (Hoppなど., Biotechnology 6 : 1204-1210, 1988 ; Eastman Kod
ak Co., New Haven, CT から入手できる) 、ストレプタビジン結合ペプチド、又
は他の抗原性エピトープ又は結合ドメインを包含する。一般的に、Fordなど., P
rotein Expression and Purification 2 : 95-107, 1991 を参照のこと。親和性
標識をコードするDNA は、商品供給者 (たとえばPharmacia Biotech, Piscatawa
y, NJ)から入手できる。
【0016】 用語“対立遺伝子変異体”とは、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の複数の
遺伝子の二者択一形のいずれかを示す。対立遺伝子変異は、突然変異を通して天
然では生じ、そして集団内の表現型多型現象をもたらすことができる。遺伝子突
然変異は、サイレントであり(コードされたポリペプチドにおける変化がない)
、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる
。用語、対立遺伝子変異体はまた、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされ
るタンパク質を示すために本明細書において使用される。
【0017】 用語“アミノ−末端”及び“カルボキシル−末端”とは、ポリペプチド内の位
置を示すために本明細書において使用される。その情況が可能である場合、それ
らの用語は、接近性又は相対的位置を示すためにポリペプチドの特定の配列又は
一部に関して使用される。たとえば、ポリペプチド内の対象配列のカルボキシル
末端側に位置する一定の配列は、その対象配列のカルボキシル末端に隣接して位
置するが、しかし完全なタンパク質のカルボキシル末端では必ずしも必要ではな
い。
【0018】 用語“相補体/抗−相補体対”とは、適切な条件下で、非共有的に会合される
安定した対を形成する非同一性成分を示す。たとえば、ビオチン及びアビジン(
又はストレプタビジン)は、相補体/抗−相補体対の基本型メンバーである。他
の典型的な相補体/抗−相補体対は、受容体/リガンド対、抗体/抗原(又はハ
プテン又はエピトープ)対、センス/アンチセンス ポリヌクレオチド対、及び
同様のものを包含する。相補体/抗−相補体対の続く解離が所望される場合、そ
の補体/抗−補体対は好ましくは、<10M-1の結合親和性を有する。
【0019】 用語“ポリヌクレオチド分子の相補体”とは、対照配列に比較して、相補的塩
基配列、及び逆の配向を有するポリペプチド分子である。たとえば、配列5'-ATG
CACGGG-3' は、5'-CCCGTGCAT-3' に対して相補的である。 用語“contig" とは、他のポリヌクレオチドに対する一連の連続した同一の又
は相補的な配列を有するポリヌクレオチドを示す。連続した配列とは、ポリヌク
レオチドの全体において、又はその一部に沿って、一定の長さのポリヌクレオチ
ド配列を“オーバーラップ”すると言われる。たとえば、ポリヌクレオチド配列
5'-ATGGCTTAGCTT-3'に対する代表的なcontigとは、5'-TAGCTTgagtct-3'及び3'-g
tcgacTACCGA-5'である。
【0020】 用語“縮重ヌクレオチド配列”とは、1又は複数の縮重コドンを含むヌクレオ
チドの配列(ポリペプチドをコードする対照ポリヌクレオチドに比較して)を示
す。縮重コドンは、ヌクレオチドの異なったトリプレットを含むが、しかし同じ
アミノ酸残基をコードする(すなわち、GAU 及びGAC トリプレットはそれぞれAs
p をコードする)。
【0021】 用語“発現ベクター”は、その転写を提供する追加のセグメントに操作可能的
に連結される興味あるポリペプチドをコードするセグメントを含んで成る線状又
は環状DNA 分子を示す。そのような追加のセグメントは、プロモーター及びター
ミネーター配列及び任意には、複製の1または複数の起点、1又は複数の選択マ
ーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、及び同様のものを包含する。
発現ベクターは一般的に、プラスミド又はウィルスDNA から誘導され、又は両者
の要素を含むことができる。
【0022】 用語“単離された”とは、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオ
チドがその天然の遺伝的環境から除去され、そして従って、他の無関係な又は所
望しないコード配列を有さず、そして遺伝子的に構築されたタンパク質生成シス
テム内での使用のために適切な形で存在することを示す。そのような単離された
分子は、それらの天然の環境から分離され、そしてcDNA及びゲノム クローンを
含む分子である。本発明の単離されたDNA 分子は、通常関係しない他の遺伝子を
含まないが、しかし天然において存在する5’及び3’未翻訳領域、たとえばプ
ロモーター及びターミネーターを含むことができる。関連する領域の同定は、当
業者に明らかであろう(たとえば、Dynan and Tijan, Nature 316 : 774-78, 19
85を参照のこと) 。
【0023】 “単離された”ポリペプチド又はタンパク質は、その生来の環境以外の条件、
たとえば血液及び動物組織とは別の条件下で見出されるポリペプチド又はタンパ
ク質である。好ましい形においては、単離されたポリペプチドは、他のポリペプ
チド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。高く精製された形
、すなわち95%以上の純度、より好ましくは99%以上の純度でポリペプチドを提
供することが好ましい。この情況下で使用される場合、用語“単離された”とは
、他の物理的形、たとえばダイマー形又は他のグリコシル化された又は誘導体化
された形での同じポリペプチドの存在を排除しない。
【0024】 用語“作用可能に連結された”とは、DNA セグメントを言及する場合、前記セ
グメントが、それらの意図された目的のために協力して機能し、たとえば転写が
プロモーターにおいて開始し、そしてコードセグメントを通してターミネーター
に進行するよう配列されることを示す。 用語“オルト体(orthology)”とは、異なった種からのポリペプチド又はタン
パク質の機能的相対物である、1つの種から得られるポリペプチド又はタンパク
質を示す。オルト体間の配列の差異は、特定化の結果である。
【0025】 “パラ体(paralog)”とは、生物により製造される、異なっているが、しかし
構造的に関連しているタンパク質である。パラ体とは、遺伝子複製を通して生ぜ
しめられると思われる。たとえば、α−グロブリン、β−グロブリン及びミオグ
ロブリンはお互いパラ体である。
【0026】 “ポリヌクレオチド”は5’末端から3’末端に読み取られるデオキシリボヌ
クレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマーである。ポリ
ヌクレオチドは、RNA 及びDNA を包含し、そして天然源から単離され、インビト
ロで合成され、又は天然及び合成分子の組み合わせから調製され得る。ポリヌク
レオチドのサイズは、塩基対(略語“bp”)、ヌクレオチド(“nt”)、又はキ
ロ塩基(“kb”)として表される。ここで、後者の2つの用語は、一本鎖又は二
本鎖であるポリヌクレオチドを記載する。この用語が二本鎖分子に適用される場
合、それは全体の長さを示すために使用され、そして用語、“塩基対”に等しい
ことが理解されるであろう。二本鎖ポリヌクレオチドの二本の鎖は長さにおいて
わずかに異なり、そしてその末端が酵素分解の結果として異なることは、当業者
により理解されており;従って、二本鎖ポリヌクレオチド分子内のすべてのヌク
レオチドは一対に成り得ない。
【0027】 “ポリペプチド”は、天然において生成されても又は合成的に生成されてもい
ずれにせよ、ペプチド結合により連結されるアミノ酸残基のポリマーである。約
10個以下のアミノ酸残基のポリペプチドが、通常“ポリペプチド”として言及さ
れる。 用語“プロモーター”は、RNA ポリメラーゼの結合及び転写の開始を提供する
DNA 配列を含む遺伝子の部分を示すために本明細書において使用される。プロモ
ーター配列は通常、遺伝子の5’非コード領域に見出されるが、しかし必ずしも
そうではない。
【0028】 “タンパク質”は、1又は複数のポリペプチド鎖を含んで成る高分子である。
タンパク質はまた、非ペプチド成分、たとえば炭水化物基を含むことができる。
炭水化物及び他の非ペプチド置換基は、タンパク質が生成される細胞により付加
され、そして細胞型により変化するであろう。タンパク質は、それらのアミノ酸
主鎖構造体により本明細書において定義され;置換基、たとえば炭水化物基は一
般的に、特定されないが、しかしそれにもかかわらず、存在することができる。
【0029】 用語“受容体”は、生物活性分子(すなわち“リガンド”)に結合し、そして
細胞上のリガンドの効果を仲介する細胞関連タンパク質を示す。一般的に、受容
体は、膜結合され、シトソール性又は核性であり;モノマー(たとえば甲状腺刺
激ホルモン受容体、β−アドレナリン性受容体)、又はマルチマー(たとえばPD
GF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容体、GM-CSF受容体、G-CSF 受容体、エ
リトロポイエチン受容体及びIL-6受容体) であり得る。膜−結合された受容体は
、細胞外リガンド−結合ドメイン、及び典型的には、シグナルトランスダクショ
ンに関与する細胞内エフェクタードメインを含んで成る多−ドメイン構造により
特徴づけられる。
【0030】 ほとんどの核受容体はまた、アミノ−末端、トランス活性化ドメイン、DNA 結
合ドメイン及びリガンド結合ドメインも示す。受容体へのリガンドの結合は、細
胞におけるエフェクタードメインと他の分子との間の相互作用を引き起こす受容
体における変化をもたらす。この相互作用は、細胞の代謝の変更を誘導する。受
容体−リガンド相互作用に連結される代謝現象は、遺伝子転写、リン酸化、脱リ
ン酸化、サイクリックAMP 生成の上昇、細胞カルシュウムの代謝、膜脂質の代謝
、細胞付着、イノシトール脂質の加水分解、及びリン脂質の加水分解を包含する
【0031】 用語“分泌シグナル配列”は、それが合成される細胞の分泌路を通してより大
きなポリペプチドを、そのポリペプチドの成分として方向ずけるポリペプチド(
“分泌ペプチド”)をコードするDNA 配列を示す。前記のより大きなポリペプチ
ドは、分泌路を通しての移動の間、分泌ペプチドを除去するために通常分解され
る。
【0032】 用語“スプライス変異体”とは、遺伝子から転写されるRNA の二者択一の形を
示すために、本明細書において使用される。スプライス変異は、転写されたRNA
分子内の、又は通常低いが、別々に転写されたRNA 分子間の二者択一のスプライ
シング部位の使用を通して天然において生じ、そして同じ遺伝子から転写される
いくつかのmRNAをもたらすことができる。スプライス変異体は、変更されたアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。用語スプライス変異
体はまた、遺伝子から転写されるmRNAのスプライス変異体によりコードされるタ
ンパク質を示すために本明細書において使用される。
【0033】 不正確な分子方法 (たとえば、ゲル電気泳動) により決定されるポリマーの分
子量及び長さは、おおよその値であることが理解されるであろう。そのような値
が“約”X又は“おおよそ”Xとして表される場合、その言及されたXの値は、
正確には±10%であることが理解されるであろう。 本明細書に引用されるすべての引例は、それらのすべてにおいて引用により組
み込まれる。 本発明は、ネズミEF-7タンパク質、ヒト2-19タンパク質及びヒト癌性骨タンパ
ク質D87120に対する相同性を有するポリペプチドをコードする新規DNA 配列の発
現に一部基づかれる。この新規DNA に対応するmRNAの組織分布の分析は、発現が
気管において最高であり、続いて、強い発現レベルが、小腸、胃、結腸及び膵臓
において存在することを示した。ポリペプチドは、z219c と命名された。
【0034】 本発明の新規z219c ポリペプチドは、分泌シグナル配列を有するタンパク質に
対して相同のタンパク質についてEST データベースに質問することによって最初
に同定された。それらのタンパク質は、上流のメチオニン開始部位、及び約13個
のアミノ酸の疎水性領域により特徴づけられる。それらの調査基準に合うポリペ
プチドを、EST データベースに比較し、既知のリガンドに対する相同性を有する
、分泌されたたんぱく質を同定した。単一のEST 配列が、発見され、そして分泌
されたタンパク質の一部をコードすることが推定され、そして十分な長さが単離
された。十分な長さのcDNAによりコードされる新規ポリペプチドは、ヒト2-19 (
Genbank 取得番号X55448) 及びネズミEF-7タンパク質ファミリー (Fu, X. and K
amps, M.P., Mol. Cell. Biol., 17 : 1503-1511, 1997) との相同性を示した。
【0035】 前記z219c ポリペプチドの十分な配列が、それを含むと思われる単一のクロー
ンから得られ、ここで前記クローンは、胃腸組織ライブラリーから得られた。そ
のような配列についてまた調査され得る他のライブラリーは、膵臓、気管、胃、
結腸、唾液腺、前立腺、骨髄、精巣、乳腺及び同様のものを包含する。
【0036】 十分な長さのz219c のヌクレオチド配列は、配列番号1において記載されてお
り、そしてその推定されるアミノ酸配列が配列番号2に記載される。複数の一列
配列(図)は、z219c がそれらのシグナル配列、推定される小さなサイズ(15-4
0kD)、組織−特異的発現、本明細書に開示される一定の新規モチーフ、グリコシ
ル化部位、及び長い疎水性セグメントの欠失により特徴づけられるたんぱく質フ
ァミリーのメンバーであることを示し、それを有する小さな分泌された分子が新
規種類の分泌されたサイトカイン様分子であることを示唆する。
【0037】 z219c ポリペプチド(配列番号1)をコードするDNA の分析は、21個のアミノ
酸残基(配列番号2の残基1(Met)〜残基21(Met)) の予測されるシグナルペプ
チド、及び 194個のアミノ酸 (配列番号2の残基23 (Phe)〜残基223 (Phe))の小
さなポリペプチドを含んで成る 223個のアミノ酸(配列番号2)をコードする読
み取り枠を示した。ヒト2-19タンパク質ファミリーの他のメンバーとz219c との
複数の一列配列は、保存されたアミノ酸の次の3種の領域を示した(図を参照の
こと):
【0038】 1)“ブロック1”としてこの後、言及される第1領域は、配列番号2のアミ
ノ酸残基51(Lys)〜アミノ酸残基124 (Asp) に対応する。ブロック1内に、“モ
チーフ1”(配列番号3:配列番号2のアミノ酸 118〜120 に対応する) として
この後に言及される1つの保存されたモチーフが存在する。 2)“ブロック2”としてこの後、言及される第2領域は、配列番号2のアミ
ノ酸残基125 (Val) 〜アミノ酸残基202 (Thr) に対応する。ブロック2内に“モ
チーフ2”(配列番号4;配列番号2のアミノ酸 146〜148 に対応する)、“モ
チーフ3”(配列番号5;配列番号2のアミノ酸 164〜166 に対応する) 、及び
“モチーフ4”(配列番号6;配列番号2のアミノ酸 178〜180 に対応する) と
してこの後、言及される3種の保存されたモチーフが存在する。
【0039】 3)“ブロック3”としてこの後、言及される第3領域は、配列番号2のアミ
ノ酸残基203 (Asn) 〜アミノ酸残基223 (Phe) に対応する。ブロック3内に、“
モチーフ5”(配列番号7;配列番号2のアミノ酸 215〜217 に対応する) とし
てこの後、言及される1つの保存されたモチーフが存在する。 モチーフ1〜5は、下記配置: M1-{25-26 }-M2-{15}-M3-{11}-M4-{34-36 }-M5 において、N−末端からC−末端まで間隔を開けて存在し、ここでM#は上記に
開示される特定のモチーフを示し、そして{#}はモチーフ間のアミノ酸の数を
示す。
【0040】 トランスメンブラン領域及び保存され、そして低分散性のモチーフの存在は、
一般的に、タンパク質における重要な構造領域と相互関係し、又はそれを定義す
る。低分散性のそのような領域はしばしば、まれな又は数少ないアミノ酸、たと
えばトリプトファンを含む。そのような保存され、そして低分散性のモチーフを
端に有する領域及びそれらの間の領域は、より可変性であるが、しかししばしば
、それらは重要な構造及び活性、たとえば結合ドメイン、生物及び酵素活性、シ
グナルトランスダクション、細胞−細胞相互作用、組織局在化ドメイン及び同様
のものに関係するか、又はそれらを定義するので、機能的に有意である。
【0041】 さらに、z219c ポリペプチドは、配列番号2におけるアミノ酸198 (Asn) に位
置する、予測されるグリコシル化部位を有する。アミノ酸198 でのこの予測され
るグリコシル化部位は、前記ファミリー中に保存される。上記z219c ポリペプチ
ド領域、ドメイン、モチーフ、残基及び配列をコードするその対応するポリヌク
レオチドは、配列番号1に示される通りである。
【0042】 z219c のモチーフ1〜5における高く保存されたアミノ酸が、新規ファミリー
メンバーを同定するための手段として使用され得る。たとえば、逆転写−ポリメ
ラーゼ鎖反応(RT-PCR) が、種々の組織源又は細胞系から得られたRNA からの保
存されたモチーフをコードする配列を増幅するために使用され得る。特に、z219
c 配列から企画された高い縮重プライマーが、この目的のために有用である。
【0043】 配列番号8は、配列番号2のz219c ポリペプチド(アミノ酸1〜223)をコード
するすべてのポリヌクレオチドを包含する縮重ポリヌクレオチドセグメントであ
る。従って、配列番号8のヌクレオチド669 の範囲のz219c ポリペプチド−コー
ドのポリヌクレオチドが本発明により企画される。配列番号8の類似領域から形
成される、配列番号1及び2に関して本明細書において記載されるようなフラグ
メント及び融合体もまた、本発明により企画される。配列番号8における記号は
、下記表1に要約されている。
【0044】
【表1】
【0045】 所定のアミノ酸のためのすべての可能なコドンを包含する、配列番号8に使用
される宿主コドンが、下記表2に示される。
【0046】
【表2】
【0047】 当業者は理解するように、各アミノ酸をコードするすべての可能なコドンを代
表する、縮重コドンを決定するとき、多少の不明確さが導入される。例えば、セ
リン(WSN) の縮重コドンは、ある環境において、アルギニン(AGR) をコードする
ことができ、そしてアルギニン(MGN) の縮重コドンは、ある環境において、セリ
ン(AGY) をコードするすることができる。同様な関係はフェニルアラニンおよび
ロイシンをコードするコドンの間に存在する。したがって、縮重配列に包含され
る、いくつかのポリヌクレオチドは変異型アミノ酸配列をコードすることができ
るが、当業者は、配列番号8 のポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配
列を参照することによって、このような変異型配列を容易に同定することができ
る。このような変異型配列は、本明細書において記載するように、機能性につい
て容易に試験することができる。
【0048】 本発明の好ましい態様の範囲内において、単離されたポリヌクレオチドは、ス
トリンジェント条件下に、配列番号1 、またはそれに対して相補的な配列の同様
な大きさの領域にハイブリダイゼーションするであろう。一般に、ストリンジェ
ント条件は、規定されたイオン強度およびpHにおいて、特定の配列の融点(Tm)
よりも約5 ℃低いように選択される。Tmは、標的配列の50%が完全に合致するプ
ローブにハイブリダイゼーションする温度(規定されたイオン強度およびpHにお
いて)である。
【0049】 適当なストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、下記の成分からなる
溶液中の約42℃における約5 時間〜一夜のインキュベーションに等しい:約40〜
50%のホルムアミド、約5 ×までのSSC 、約5 ×デンハルト溶液、10%までのデ
キストラン硫酸、および約10〜20μg/mlの変性された商業的に入手可能なキャリ
ヤーDNA ;次いでハイブリダイゼーション引き続いて約2 ×までのSSC 中でフィ
ルターを洗浄する。例えば、適当な洗浄のストリンジェンシイは0.1 ×SSC 〜2
×SSC 、0.1 %のSDS 、55℃〜65℃に等しい。ストリンジェントハイブリダイゼ
ーションおよび洗浄の条件は、プローブの長さに依存し、Tm、使用するハイブリ
ダイゼーションおよび洗浄の条件において反映し、そして当業者により日常的に
決定される。
【0050】 前述したように、本発明の単離されたポリヌクレオチドはDNA およびRNA を包
含する。DNA およびRNA を製造する方法は、この分野においてよく知られている
。一般に、RNA は大量のz219c RNA を産生する組織または細胞から単離される。
このような組織および細胞はノザンブロッティングにより同定され(Thomas 、Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 77:5201 、1980) 、そして膵臓、小腸または前立腺を包
含するが、DNA はまた他の組織または細胞系統からRNA を使用して製造できるか
、あるいはゲノムDNA として単離することができる。
【0051】 全体のRNA は、グアニジニウムイソチオシアネート抽出および引き続くCsCl勾
配における遠心による単離により製造することができる(Chirgwin et al.、Bioc hemistry 18:52-94、1979) 。ポリ (A)+ RNA は、AvivおよびLeder 、Proc.Nat l.Acad.Sci.USA 69:1408-12、1972) の方法に従い、全体のRNAから製造され
る。相補的DNA(cDNA) は、既知の方法により、ポリ (A)+ RNA から製造される。
別法において、ゲノムDNA を単離することができる。次いで、z219c ポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドを、例えば、ハイブリダイゼーションまたはPC
R により、同定および単離する。
【0052】 z219c をコードする全長のクローンを、慣用のクローニング手順により、得る
ことができる。相補的DNA(cDNA) は好ましいが、ある用途( 例えば、トランスジ
ェニック動物における発現) のために、ゲノムのクローンを使用するか、あるい
は少なくとも1つのゲノムのイントロンを含むようにcDNAクローンを修飾するこ
とが好ましいことがある。cDNAおよびゲノムのクローンを製造する方法はよく知
られておりかつ当業者のレベルの範囲内であり、そして、ライブラリーのプロー
ビングまたはプライミングのための、本明細書において開示する配列およびその
一部分の使用を包含する。z219c 、レセプターフラグメント、または他の特異的
結合相手に対する抗体で、発現ライブラリーをプロービングすることができる。
【0053】 本発明のポリヌクレオチドは、また、DNA 合成機械を使用して合成することが
できる。現在、選択される方法はホスホルアミダイト法である。遺伝子または遺
伝子フラグメントの合成のような用途のために、化学的に合成された二本鎖DNA
を必要とする場合、各相補的鎖を別々に作る。短いポリヌクレオチド(60 〜80bp
) の製造は技術的に簡単であり、そして相補的鎖を合成し、次いでそれらをアニ
ールさせることによって達成される。しかしながら、より長いポリヌクレオチド
(>300bp)を製造するためには、特別の戦略が通常用いられる。なぜなら、化学的
DNA 合成の各サイクルのカップリング効率はめったに100 %にならないからであ
る。この問題を克服するために、合成遺伝子( 二本鎖) を20〜100 ヌクレオチド
長さの一本鎖フラグメントからモジュール形態で組立てる。
【0054】 合成遺伝子を構築する1 つの方法は、1 組のオーバーラップする、相補的オリ
ゴヌクレオチドを必要とし、それらの各々は20〜60ヌクレオチドの長さである。
遺伝子の各内部の区画は、正確に隣接する区画と塩基対を形成するように設計さ
れた相補的3'および5'末端のエクステンションを有する。こうして、遺伝子が組
立てられた後、このプロセスは二本の鎖のバックボーンに沿ってニックをT4DNA
リガーゼでシールすることによって完結される。タンパク質をコードする配列に
加えて、クローニングベクターの制限エンドヌクレアーゼ部位の中への挿入を促
進する末端の配列を使用して、合成遺伝子を設計することができる。
【0055】 全長の遺伝子を製造する別の方法は、オーバーラップするオリゴヌクレオチド
(40 〜100 ヌクレオチド) の特別の組を合成することである。3'および5'の短い
オーバーラップする相補的領域がアニールされた後、大きいギャップがなお残留
するが、短い塩基対の領域は構造を一緒に保持するために十分に長くかつ安定で
ある。大腸菌(E.coli)のDNA ポリメラーゼI による酵素的DNA 合成を介して、ギ
ャップは充填されかつDNA 二本鎖は完結される。
【0056】 酵素的合成が完結した後、ニックをシールする。二本鎖の構築物を順次に互い
に結合させて全体の遺伝子配列を形成し、これはDNA 配列分析により確認される
。下記の文献を参照のこと:Glick およびPasternak 、Molecular Biotechnolog y,Principles & Applications of Recombinant DNA 、(ASM Press、Washington,D
.C.1994);Itakura et al. 、Ann.Rev.Biochem. 53:323-56 、1984およびClimie
et al. 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:633-7、1990。
【0057】 本発明は、さらに、他の種から対応物のポリペプチドおよびポリヌクレオチド
(オーソログ)を提供する。これらの種は下記のものを包含するが、これらに限
定されない:哺乳動物、トリ、両生類、爬虫類、魚類、昆虫および他の脊椎動物
および無脊椎動物。特に興味あるものは、他の哺乳動物種、例えば、ネズミ、ブ
タ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、および他の霊長類からのz219c ポリペプチドで
ある。ヒトz219c のオーソログは、本発明により提供される情報および組成物を
慣用のクローニング技術と組み合わせて使用して、クローニングすることができ
る。例えば、本明細書において開示するように、z219c を発現する組織および細
胞のタイプから得られるmRNAを使用して、cDNAをクローニングすることができる
【0058】 本明細書において開示する配列から設計されたプローブでノザンブロットをプ
ロービングすることによって、mRNAの適当な源を同定することができる。次いで
、陽性の組織または細胞系統のmRNAからライブラリーを調製することができる。
次いで、種々の方法により、例えば、完全なまたは部分的ヒトcDNAでプロービン
グするか、あるいは開示された配列をベースとするデジェネレイトプローブの1
またはそれ以上の組でプロービングすることによって、z219c をコードするcDNA
を単離することができる。
【0059】 また、ポリメラーゼ連鎖反応、すなわち、PCR(Mullis、米国特許第4,683,202
号)により、本明細書において開示する、代表的なヒトz219c 配列から設計され
たプライマーを使用して、cDNAをクローニングすることができる。追加の方法に
おいて、cDNAライブラリーを使用して宿主細胞を形質転換またはトランスフェク
トすることができ、そして問題のcDNAの発現をz219c ポリペプチドに対する抗体
で検出することができる。また、同様な技術をゲノムのクローンの単離に適用す
ることができる。
【0060】 当業者は認識するように、配列番号1 に記載する配列はヒトz219c の単一のア
レレを表し、そしてアレレ変異型およびオールタネイトスプライシングが起こる
ことが期待される。この配列のアレレ変異型は、標準的手順に従い、異なる個体
からcDNAまたはゲノムのライブラリーをプロービングすることによって、クロー
ニングすることができる。配列番号1 に示すDNA 配列のアレレ変異型は、サイレ
ント突然変異体を含有するものおよび突然変異がアミノ酸配列を変化させるもの
を包含し、配列番号2 のアレレ変異型であるタンパク質と同様に、本発明の範囲
内に入る。
【0061】 交互にスプライスされたmRNAから発生するcDNAは、z219c ポリペプチドの性質
を保持し、このようなcDNAおよびmRNAをコードするポリペプチドと同様に、本発
明の範囲内に入る。これらの配列のスプライス変異型およびスプライス変異型は
、この分野において知られている標準的手順に従い、異なる個体からのcDNAまた
はゲノムのライブラリーをプロービングすることによって、クローニングするこ
とができる。この配列の変異型は、標準的手順に従い、ヒトcDNAライブラリー、
例えば、ヒト膵臓、前立腺または小腸のcDNAライブラリーをプロービングするこ
とによってクローニングすることができる。
【0062】 本発明は、また、配列番号2 のポリペプチドおよびそれらのオーソログに対し
て実質的に相同的である、単離されたz219c ポリペプチドを提供する。用語「 実
質的に類似する」 は、本明細書において、配列番号2 に示す配列またはそれらの
オーソログに対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の配列の同
一性を有するポリペプチドを表すために使用される。このようなポリペプチドは
より好ましくは配列番号2 の配列またはそれらのオーソログに対して少なくとも
90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である。
【0063】 配列の同一性の百分率は慣用法により決定される。例えば、下記の文献を参照
のこと:Altschul et al. 、Bull.Math.Bio. 48:603-616 、1986およびHenikoff
およびHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919、1992。簡単に述べ
ると、表3(アミノ酸は標準的1 文字コードにより示されている) に示すように10
のギャップオープニングペナルティー、1のギャップエクステンションペナルテ
ィー、およびHenikoffおよびHenikoff (ibid.)の「 ブロサム62」 スコアリングマ
トリックスを使用して、2つのアミノ酸配列を整列させて整列スコアを最適化す
る。 次いで、最適な整列の同一百分率は、次のようにして計算される: (同一の整合(matches) の総数)/( より長い配列の長さ+2つの配列を整列させ
るために、より長い配列の中に導入されたギャップの数) ×100
【0064】
【表3】 ポリヌクレオチド分子の配列同一性を、先に開示したのと同様の、比を用いる
方法によって決定した。
【0065】 変異体z219c ポリペプチドまたは実質的に同族のz219c ポリペプチドは、1つ
以上のアミノ酸の置換、欠失または付加を有するものとして特徴付けられる。こ
れらの変化は好ましくは、少しの性質(minor nature)を有し、それは、保存的ア
ミノ酸置換(表4参照)および、ポリペプチドの折りたたみまたは活性に有意に
影響を及ぼさない他の置換;小さな欠失、典型的には約30個のアミノ酸に対して
1 個の欠失;
【0066】 ならびに小さいアミノ末端もしくはカルボキシル末端の伸長、例えばアミノ末
端のメチオニン残基、約20〜25個までの残基を有するリンカーペプチドまたは、
精製(親和性標識(affinity tag))を促進する伸長、例えばポリヒスチジン経路
(tract) 、プロテイン A(ニルソン(Nilsson) ら、EMBO J. :1075, 1985 ;
ニルソン(Nilsson) ら、Methods Enzymol. 198 :3, 1991)、グルタチオン S
トランスフェラーゼ(スミス(Smith) およびジョンソン(Johnson),Gene 67:3
1, 1988 )、マルトース結合タンパク質(ケラーマン(Kellerman) およびフェレ
ンチ(Ferenci) 、Methods Enzymol. 90:459-463, 1982;グアン(Guan)ら、Gene 67:21-30, 1987)、チオレドキシン、ウビキチン、セルロース結合タンパク質
、T7 ポリメラーゼまたは他の抗原エピトープもしくは結合ドメインである。
一般に、フォード(Ford)らのProtein Expression and Purification : 95-1
07, 1991を参照せよ。
【0067】 親和性標識をコードするDNA は、販売業者から入手可能である(例えば、 Pha
rmacia Biotech, Piscataway, NJ; New England Biolabs, Beverly, MA)。本発
明はこのように、SEQ ID NO:2 の対応する領域と同一の、少なくとも80%、好ま
しくは少なくとも90%、より好ましくは95%以上である配列を含む、約195 〜約
250 個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを包含する。親和性標識を含むポリ
ペプチドはさらに、z219c ポリペプチドと親和性標識との間にタンパク質分解性
開裂部位を含む。好ましいそのような部位は、トロンビン開裂部位およびファク
ターXa開裂部位を含む。
【0068】
【表4】
【0069】 本発明はさらに、種々の他のポリペプチド融合物および、1つ以上のポリペプ
チド融合物を含む、関連する多量体タンパク質を提供する。例えば、U.S. Paten
ts Nos. 5,155,027 および5,567,584 に開示されているように、z219c ポリペプ
チドは、2量体化しているたんぱく質への融合物として製造することができる。
これについて、好ましい2量体化しているタンパク質としては、免疫グロブリン
不変領域ドメインを包含する。免疫グロブリンz219c ポリペプチド融合物は、遺
伝子操作した細胞において発現されて、種々の多量体のz219c 類似体を生成する
ことができる。
【0070】 補助ドメインは、z219c ポリペプチドに融合されて、特定の細胞、組織または
マクロ分子(例えばコラーゲン)に対してそれらを標的にすることができる。例
えば、z219c ポリペプチドまたはタンパク質は、z219c ポリペプチドを、標的細
胞の表面のレセプターに特異的に結合するリガンドへ融合することによって、所
定の細胞タイプに対して標的にされることができる。このように、ポリペプチド
およびタンパク質は、治療または診断の目的のために標的にされることができる
。z219c ポリペプチドは、2つ以上の部分、例えば精製のための親和性標識およ
び標的ドメインに融合されることができる。ポリペプチド融合物はまた、特にド
メイン間に、1つ以上の開裂部位を含むことができる。トゥアン(Tuan)ら、Co nnective Tissue Research 34:1-9, 1996参照。
【0071】 本発明のタンパク質はまた、天然に生じないアミノ酸残基を含むことができる
。天然に生じないアミノ酸としては、これらに限定されることはないが、トラン
ス-3- メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、シス-4- ヒドロキシプロリン、ト
ランス-4- ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、アロ- スレオニン、メチル
スレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、
ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジン カルボン酸
、デヒドロプロリン、3-および4-メチルプロリン、3,3-ジメチルプロリン、ター
シャリー‐ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルア
ラニン、4-アザフェニルアラニンおよび4-フルオロフェニルアラニンを包含する
【0072】 天然に生じないアミノ酸残基をタンパク質に組み込むことについて、従来幾つ
かの方法が知られている。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレッサー
tRNAを用いてナンセンス変異を抑制する、イン ビトロ(in vitro)の系を使用す
ることができる。アミノ酸を合成し、かつtRNAをアミノアシル化する方法は、従
来知られている。ナンセンス変異を含むプラスミドの転写および翻訳は、大腸菌
(E.coli) S30抽出物ならびに市販されていて入手可能な酵素および他の試薬を含
む無細胞系において行われる。タンパク質はクロマトグラフィーによって精製さ
れる。
【0073】 例えば、ロバートソン(Robertson )ら、J.Am.Chem. Soc. 113 :2722, 1991
;エルマン(Ellman)ら、Methods Enzymol. 202 :301, 1991;チュン(Chung) ら
Science 259 :806-9, 1993;およびチュン(Chung) ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10145-9, 1993参照。第2の方法においては、ケノプス オーサイ
テス(Xenopus oocytes) において、変異したmRNAおよび化学的にアミノアシル化
されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによって、翻訳が行われる
(ターカッティ (Turcatti) ら、J. Biol. Chem. 271 :19991-8, 1996)。第3
の方法の範囲内では、大腸菌(E.coli)細胞を、置き換えられるべき天然のアミノ
酸(例えばフェニルアラニン)の不在下で、かつ所望の天然に生じないアミノ酸
(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニル
アラニンまたは4-フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養する。
【0074】 天然に生じないアミノ酸が、その天然の相対物の代わりにタンパク質に組み込
まれる。コイド(Koide) ら、Biochem. 33:7470-6, 1994 参照。天然に生じるア
ミノ酸残基は、イン ビトロ(in vitro)の化学的変性によって、天然に生じない
種へと転化することができる。化学的変性は、部位特異的変異誘発と併用して、
さらに置換の範囲を広げることができる(ウィン(Wynn)およびリチャーズ(Richa
rds)、Protein Sci. :395-403, 1993)。限られた数の非保存的アミノ酸(遺
伝暗号によってコードされないアミノ酸)および非天然のアミノ酸は、z219c ア
ミノ酸残基の代わりに用いることができる。
【0075】 本発明のz219c ポリペプチドにおける必須のアミノ酸は、従来公知の手順、例
えば部位特異的変異誘発またはアラニン走査変異誘発(alanine-scanning mutage
nesis)(カニンガム(Cunningham)およびウェルズ(Wells), Science, 244 :1081-
1085, 1989;バス(Bass)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4498-502,1991)に従
って同定することができる。
【0076】 後者の技術においては、以下に開示するように、分子中のいずれの残基におい
ても1つのアラニン変異を導入し、得られた変異分子を、生物学的または生化学
的活性について試験して(例えば、z219c のイン サイツ(in situ) の局在化ま
たは発現;分泌、次いで抗体による検出;またはシグナル導入タイプアッセイ(s
ignal transduction type assay)により測定される活性)、分子の活性に不可欠
なアミノ酸残基を同定する。また、ヒルトン(Hilton)ら、J. Biol. Chem. 271 :4699-4708, 1996参照。
【0077】 リガンド‐レセプターまたは他の生物学的相互作用の部位はまた、推定の接触
部位アミノ酸の変異と共に、核磁気共鳴、結晶学、電子回折または光親和性標識
(photoaffinity labeling)のような技術によって決定されるように、構造の物理
的分析により決定することができる。例えば、デ ボス(de Vos)ら、Science 255 :306-312, 1992;スミス(Smith) ら、J. Mol. Biol. 224 :899-904, 1992;
ウロダバー(Wlodaver)ら、FEBS Lett. 309 :59-64, 1992参照。必須アミノ酸の
同一性はまた、関連したファミリーメンバー(family member) との相同性の分析
から推論することができる。
【0078】 多アミノ酸置換を行い、変異誘発およびスクリーニングの公知の方法、例えば
レイドハール‐オルソン(Reidhaar-Olson)およびソアー(Sauer) (Science 24 1 :53-57, 1988)またはボウィー(Bowie) およびソアー(Sauer) (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152-2156, 1989)により開示された方法を用いて試験する
ことができる。簡単には、これらの著者らは、ポリペプチドにおける2つ以上の
位置を同時に無作為化し、官能性ポリペプチドについて選択し、次いで変異誘発
したポリペプチドの配列を決めて、各位置での許容できる置換のスペクトルを決
定する方法を開示する。
【0079】 使用することができる他の方法は、ファージ提示(phage display) (例えば、
ロウマン(Lowman)ら、Biochem. 30:10832-10837, 1991;ラドナー(Ladner)ら、
U.S. Patent No. 5,223,409 ;ヒューズ(Huse)、WIPO 公開公報 WO 92/06204
)および領域特異的(region-directed) 変異誘発(ダーバイシャイアー(Derbysh
ire)ら、Gene 46:145, 1986;ネール(Ner) ら、DNA :127, 1988)を包含す
る。
【0080】 開示されたz219c DNA の変異体およびポリペプチド配列Stemmer,Nature 370 :389-91, 1994, Stemmer, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-51, 1994 お
よびWIPO公報WO97/20078により開示されたようなDNA シャッフルにより作製でき
る。便宜には、変異型DNA は親DNA の無作為の断片化によるin vitro相同組換え
の後、PCR を用いて再構築して無作為に導入された点突然変異を得ることによっ
て作製される。この技術は、その方法にさらなる変異性を導入するために対立遺
伝子変異体または異種由来のDNA などの親DNA のあるファミリーを用いることに
より改良できる。所望の活性に関する選択またはスクリーニングの後の突然変異
誘発のさらなる反復およびアッセイは、障害変異に対して選択しながら所望の突
然変異に関して選択することによる配列の迅速な「進化」をもたらす。
【0081】 本明細書に開示された突然変異誘発法は、高処理量の自動化スクリーニング法
と併用して宿主細胞中のクローン化された変異誘発型ポリペプチドの活性を検出
することができる。活性のあるポリペプチドをコードする変異誘発型DNA 分子(
例えば、分泌されるか、抗体により検出されるか、またはシグナル変換型アッセ
イにより測定される)が宿主細胞から回収でき最新の装置を用いて迅速に配列決
定できる。これらの方法により注目されるポリペプチドの個々のアミノ酸残基の
重要性が迅速に決定できるようになり、未知の構造のポリペプチドに当てはめる
ことができる。
【0082】 本明細書で論じられた方法を用い、当業者ならば配列番号2 またはその対立遺
伝子変異体と実質的に同等であり、かつ、野生型タンパク質の特性を保持する多
様なポリペプチドを同定および/または調製することができる。例えば、前記の
方法を用い、z219c 上の受容体結合ドメイン;z219c の受容体の細胞外リガンド
結合ドメイン;ヘテロ二量体およびホモ二量体結合ドメイン;他の機能的または
構造ドメイン;親和性タグ;またはタンパク質間相互作用もしくはシグナル変換
に重要な他のドメインを同定できた。かかるポリペプチドはまた、一般に前記に
開示されたさらなるポリペプチドセグメントも含み得る。
【0083】 変異体および融合タンパク質を含め、Z219c ポリペプチドのいずれに関しても
、当業者ならば前記表1 および2 に示された情報を用いてその変異体をコードす
る全縮重ポリペプチド配列をすぐに作製することができる。 全長ポリペプチド、生物学的に活性な断片、および融合ポリペプチドを含め、
本発明のポリペプチドは常法に従い遺伝子操作された宿主細胞で産生され得る。
好適な宿主細胞は外来DNA で形質転換またはトランスフェクトでき、さらに培養
で増殖させることができる細胞種であり、細菌、真菌細胞および培養高等真核細
胞が挙げられる。
【0084】 真核細胞、特に多細胞生物の培養細胞が好ましい。クローン化DNA 分子を操作
し、多様な宿主細胞に外来DNA を導入する技術はSambrookら, Molecular Clonin g : A Laboratory Manual, 第2 版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, C
old Spring Harbor, NY, 1989 およびAusubel ら編, Current Protocols in Mol ecular Biology , John WileyおよびSons, Inc., NY, 1987により開示されている
【0085】 一般に、本発明のz219c ポリペプチドをコードするDNA 配列は、一般に転写プ
ロモーターおよび発現ベクター内のターミネーターをはじめとするその発現に必
要とされる他の遺伝子エレメントに機能し得る形で連結される。このベクターは
また、通常、1以上の選択マーカーおよび1以上の複製起点を含むであろうが、
当業者ならばある系において個々のベクターに対して選択マーカーが提供されて
もよく、外来DNA の複製は宿主細胞ゲノム中への組み込みによってもたらされ得
ることを認識するであろう。プロモーター、ターミネーター、選択マーカー、ベ
クターおよび他のエレメントの選択は当技術分野の技術水準内で通常計画される
ものである。かかる多くのエレメントは文献に記載され、商業供給業者を通じて
入手できる。
【0086】 Z219c ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に向かわせるには、発現ベクターに
分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としても知られ
る)を提供する。分泌シグナル配列はz219c ポリペプチドのものであってもよい
し、あるいは別の分泌タンパク質(例えば、t-PA)に由来してもよいし、または
de novo で合成してもよい。
【0087】 この分泌シグナル配列はz219c DNA 配列に機能し得る形で連結され、すなわち
これら2つの配列は正しい読み取り枠内で連結され、新たに合成されるポリペプ
チドを宿主細胞の分泌経路に向かわせるように配置する。分泌シグナル配列は通
常、注目されるポリペプチドをコードするDNA 配列の5'に置かれる、ある分泌シ
グナル配列は注目されるDNA 配列の他の場所に置かれる場合もある(例えば、We
lch ら, 米国特許第5,037,743 号; Holland ら, 米国特許第5,143,830 号を参照
)。
【0088】 あるいは、本発明のポリペプチドに含まれるシグナル配列を用いて他のポリペ
プチドを分泌経路へと向かわせる。本発明はかかるシグナル融合ポリペプチドを
提供する。当技術分野で公知で、かつ本明細書に開示された方法を用いて、配列
番号2 で開示されたシグナル配列(配列番号2 のアミノ酸1 ないし21)が機能し
うる形で別のポリペプチドへ連結され得るDNA 構築物を作製できる。
【0089】 本発明の融合ポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列をアミノ末端でさらな
るペプチドに融合させ、その付加ペプチドを分泌経路へと向かわせることが好ま
しい。かかる構築物には当技術分野で公知な非常に多くの使用法がある。例えば
、これらの新規な分泌シグナル配列融合構築物は正常に分泌されない有効成分の
分泌を誘導することができる。かかる融合物をin vivo またはin vitroで用い、
ペプチドを分泌経路へと向かわせてもよい。
【0090】 哺乳類培養細胞は本発明の範囲内で好適な宿主である。外来DNA を哺乳類宿主
細胞へ導入する方法には、リン酸カルシウムをによるトランスフェクション(Wig
ler ら, Cell 14: 725, 1978; Corsaroおよび Pearson, Somatic Cell Genetic s : 603, 1981; Graham およびVan der Eb, Virology 52: 456, 1973)、エ
レクトロポレーション(Neumannら, EMBO J. : 841-845, 1982)、DEAEデキスト
ランによるトランスフェクション(Ausubelら, 同書) 、およびリポソームによる
トランスフェクション(Hawley-Nelsonら, Focus 15: 73, 1993; Ciccarone ら
, Focus 15: 80, 1993) 、さらにウイルスベクター(A. MillerおよびG. Rosma
n,BioTechnique : 980-90, 1989; Q. Wang およびM. Finer, Nature Med. : 714-16, 1996) が挙げられる。
【0091】 哺乳類培養細胞における組換えポリペプチドの産生については、例えばLevins
onら米国特許第4,713,339 号; Hagen ら, 米国特許第4,784,950 号; Palmiterら
, 米国特許第4,579,821 号; およびRingold, 米国特許第4,656,134 号により開
示される。好適な哺乳類培養細胞としては、cos-1(ATCC番号CRL1650)、cos-7(AT
CC番号CRL1651)、BHK(ATCC番号CRL1632)、BHK570(ATCC 番号CRL10314) 、293(AT
CC番号CRL1573; Graham ら, J. Gen. Virol. 36: 59-72, 1977)およびチャイニ
ーズハムスター卵巣( 例えばCHO-K1; ATCC番号CCL61)細胞系が挙げられる。
【0092】 さらなる好適な細胞系が当技術分野で公知であり、American Type Culture Co
llection, Manassas, VAのような公的な寄託機関から入手可能である。一般に、
SV-40 またはサイトメガロウイルス(CMV) 由来のプロモーターなどの強力な転写
プロモーターが好ましい。例えば、米国特許第4,956,288 号を参照。他の好適な
プロモーターとしては、メタロチオネイン遺伝子( 米国特許第4,579,821 および
4,601,978 号) およびアデノウイルス後期主要プロモーター由来のものが挙げら
れる。
【0093】 一般に、薬剤選択を用いて外来DNA が挿入された哺乳類培養細胞について選択
する。かかる細胞を一般に「トランスフェクト細胞」という。選択薬剤の存在下
で培養され、かつ注目される遺伝子をそれらの後代へ伝えることのできる細胞を
「安定したトランスフェクト細胞」という。好ましい選択マーカーとしては抗生
物質ネオマイシン耐性をコードする遺伝子がある。G-418 などのようなネオマイ
シン系薬剤の存在下で選択を行う。選択系を用いて注目される遺伝子の発現レベ
ルを高めることもできる、その工程を「増幅」という。低レベルの選択薬剤の存
在下でトランスフェクト細胞を培養し、次いで導入される遺伝子の産物を高レベ
ルで産生する細胞に関して選択すべき選択薬剤量を増加させて増幅を行う。
【0094】 好ましい増幅可能な選択マーカーとしてはメトトレキサート耐性を与える、ジ
ヒドロ葉酸レダクターゼがある。また他の薬剤耐性遺伝子(例えば、ハイグロマ
イシン耐性、多剤耐性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)を用い
てもよい。緑色蛍光タンパク質、またはCD4 、 CD8、 IクラスMHC および胎盤ア
ルカリ性ホスファターゼなどの細胞表面タンパク質のような改変表現型を導入す
る別のマーカーを用いてFACS選別法または磁気ビーズ分離法などの手段によりト
ランスフェクトされていない細胞からトランスフェクト細胞を分離してもよい。
【0095】 また、植物細胞、昆虫細胞、および鳥類細胞などの他の高等真核生物細胞を宿
主として用いてもよい。植物細胞において遺伝子を発現させるためのベクターと
してのアグロバクテリウム・リゾゲンス(Agrobacterium rhizogenes)の使用につ
いては、Sinkarら, J. Biosci. (Bangalore) 11: 47-58, 1987 およびWIPO 公
報WO94/06463で考察されている。昆虫細胞の形質転換およびそこでの外来ポリペ
プチドの産生については、Guarino ら, 米国特許第5,162,222 号; Bangら, 米国
特許第4,775,624 号; およびWIPO 公報WO94/06463で開示されている。植物細胞
において遺伝子を発現させるためのベクターとしてのアグロバクテリウム・リゾ
ゲンスの使用については、Sinkarら, J. Biosci. (Bangalore) 11: 47-58, 198
7 で考察されている。
【0096】 酵母細胞をはじめとする真菌細胞および、とりわけサッカロミセス(Saccharom
yces) 属の細胞を、z219c 断片またはポリペプチド融合物の産生のように本発明
の範囲内で用いることもできる。昆虫細胞のための方法では、一般にオートグラ
ファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV) 由
来の組換えバキュロウイルスを感染させることができる。Kingら, L. A. および
Possee, R. D.,The Baculovirus Expression System: A Laboratory Guide, Lon
don, Chapman & Hall; O'Reilly, D. R.ら, Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual, New York, Oxford University Press., 1994; およびRi
chardson, C. D. 編, Baculovirus Expression Protocols. Methods in Molecul ar Biology , Totowa, NJ, Humana Press., 1995 を参照。
【0097】 組換えz219c バキュロウイルスを作製する第2 の方法は、Luckowにより記載さ
れた(Luckow, V. A., ら, J. Virol 67: 4566-79, 1993)トランスポゾンを基に
した系を使用する。この系はトランスファーベクターを使用し、Bac-to-Bac( 商
標) キット(Life Technologies, Rockville, MD)として販売される。この系はTn
7 トランスポゾンを含むトランスファーベクター、pFastBac1(商標)(Life Techn
ologies)を使用して、z219c ポリペプチドをコードするDNA を大腸菌(E.coli)
「バクミド」と呼ばれる大きなプラスミドとして保持されるバキュロウイルスゲ
ノムへと移動させる。
【0098】 Hill-Perkin, M. S. およびPossee, R. D., J Gen Virol 71: 971-6, 1990;
Bonning, B. C. ら, J Gen Virol 75: 1551-6, 1994; およびChazenbalk, G.
D. およびRapoport, B., J Biol Chem 270 :1543-9, 1995 を参照。さらにト
ランスファーベクターには発現されたz219c ポリペプチドのC またはN 末端のエ
ピトープタグ、例えばGlu-Glu エピトープタグ(Grussenmeyer, T. ら, Proc. Na tl. Acad. Sci. 82: 7952-4, 1985) をコードしているDNA を含むフレーム内融
合物が挙げられよう。
【0099】 当技術分野で公知な手法を用いて、z219c を含むトランスファーベクターを大
腸菌へ形質転換し、組換えバキュロウイルスを示す挿入をもつlacz遺伝子を含む
バクミドについてスクリーニングする。組換えバキュロウイルスゲノムを含むバ
クミドDNA は常法により単離し、それを用いてスポドプテラ・フルギペルダ(Spo
doptera frugiperda) 細胞、例えばsf9 細胞をトランスフェクトする。その後、
z219c を発現する組換えウイルスが産生される。組換えウイルスは当技術分野で
一般に用いられる方法により保存される。
【0100】 この組換えウイルスを用いて宿主細胞、典型的にはシロナヤガと同属のヤガ、
スポドプテラ・フルギペルダ由来の細胞系に感染させる。一般にはGlick および
Pasternak, Molocular Biotechnology: Principles and Applications of Recom binant DNA , ASM Press, Washington, D.C., 1994 を参照。もう1 つの好適な細
胞系としてはトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni) 由来の高FiveO (商標)細
胞系(Invitrogen) がある( 米国特許第5,300,435 号)。細胞を増殖および維持
するには、市販の血清フリー培地を使用する。
【0101】 好適な培地としてはSf9 細胞用にはSf900 II(商標)(Life Technologies) ま
たはESF 921 (商標)(Expression Systems);また、T.ニ細胞用にはEx-cell040
5 (商標)(JPH Biosciences, Lenexa, KS) またはExpress FiveO (商標)(Li
fe Technologies)がある。細胞は約2 ないし5 ×105 細胞の接種密度から1 ない
し2 ×106 細胞密度へと増殖し、この時点で感染の多重度(MOI)0.1ないし10、よ
り典型的には3 付近で組換えウイルス系統を加える。用いる手順は一般に、入手
可能な実験マニュアルに記載されている (King, L. A. およびPossee, R.D., 同
書;O'Reilly, D.R. ら, 同書; Richardson, C.D., 同書) 。これに次ぐ上清から
のz219c ポリペプチドの精製は、本明細書に記載の方法を用いて達成できる。
【0102】 また本発明の範囲内で、酵母細胞をはじめとする真菌細胞も使用できる。これ
に関して特に注目される酵母種としては、サッカロミセス・セレビシエ、ピチア
・パストリス(Pichia pastoris) およびピチア・メタノリカ(Pichia methanolic
a)が挙げられる。S.セレビシエ細胞を外来DNA で形質転換し、それらから組換え
ポリペプチドを産生する方法は、例えばKawasaki, 米国特許第4,599,311 号;Kaw
asaki ら, 米国特許第4,931,373 号;Brake, 米国特許第4,870,008 号;Welchら,
米国特許第5,037,743 号; およびMurrayら, 米国特許第4,845,075 号に開示され
ている。
【0103】 形質転換細胞は選択マーカー、一般には薬剤耐性または特定の栄養素( 例えば
ロイシン) の不在下での増殖能によって決定される表現型をもとに選択される。
サッカロミセス・セレビシエで使用するための好ましいベクター系にはKawasaki
ら( 米国特許第4,931,373 号) よって開示されているPOT1ベクター系があり、こ
れにより形質転換細胞がグルコース含有培地上での増殖をもとに選択できるよう
になる。酵母で使用するための好適なプロモーターおよびターミネーターとして
は、解糖系酵素遺伝子由来のもの( 例えばKawasaki, 米国特許第4,599,311 号;K
ingsman ら, 米国特許第4,615,974 号およびBitter, 米国特許第4,977,092 号を
参照) およびアルコール脱水素酵素遺伝子由来のものが挙げられる。
【0104】 米国特許第4,990,446 号; 同第5,063,154 号; 同第5,139,936 号および同第4,
661,454 号も参照。ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサ
ッカロミセス・ポンブ(Schizosaccharomyces pombe) 、クルイベロミセス・ラク
チス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces f
ragilis)、ウスチラゴ・マイビス(Ustilago maybis) 、ピチア・パストリス、ピ
チア・メタノリカ、ピチア・ギレルモンディー(Pichia guillermondii)およびカ
ンジダ・マルトサ(Candida maltosa) をはじめとする他の酵母の形質転換系は当
技術分野で公知である。
【0105】 例えば、Gleeson ら, J. Gen. Microbiol. 132:3459-3465, 1986およびCregg,
米国特許第4,882,279 号を参照。Mcknightら, 米国特許第4,935,349 号の方法に
従い、アスペルギウス属の細胞を利用してよい。アクレモニウム・クリソゲナム
(Acremonium chrysogenum)を形質転換する方法はSuminoら, 米国特許第5,162,22
8 号に開示されている。パンカビ属を形質転換する方法はLambowitz 米国特許第
4,486,533 号に開示されている。
【0106】 組換えタンパク質の産生のための宿主としてのピチア・メタノリカの使用は、
WIPO公開WO 97/17450、WO 97/17451、WO 98/02536およびWO 98/02565に開示
されている。P.メタノリカの形質転換において使用するためのDNA 分子は、2 本
鎖、環状プラスミド( 形質転換前に線状化されることが好ましい) として調製さ
れる。P.メタノリカにおけるポリペプチド産生に関しては、プラスミド中のプロ
モーターおよびターミネーターは、P.メタノリカアルコール利用遺伝子(AUG1 ま
たはAUG2) などのP.メタノリカのものであることが好ましい。
【0107】 他の有用なプロモーターとしてはジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)、ホ
ルメート脱水素酵素(FMD) およびカタラーゼ(CAT)遺伝子のものが挙げられる。
宿主染色体へのDNA の組み込みを促進するには、宿主DNA 配列によって両端をフ
ランクされたプラスミドの完全な発現セグメントを有することが好ましい。ピチ
ア・メタノリカで使用するための好ましい選択マーカーとしてはP.メタノリカAD
E2遺伝子があり、それによりade2宿主細胞はアデニンの不在下で増殖することが
できるようになる、ホスホリボシル-5- アミノイミダゾールカルボキシラーゼを
コードする(AIRC:EC 4.1.1.21)。
【0108】 大規模な工業的製造法用には(これではメタノールの使用を最小化することが
望ましい)、メタノール利用遺伝子の双方(AUG1 およびAUG2) が欠失した宿主細
胞を使用することが好ましい。分泌性タンパク質の産生用には、液胞プロテアー
ゼ遺伝子(PEP4およびPRB1) に欠陥のある宿主細胞が好ましい。注目されるポリ
ペプチドをコードするDNA を含有するプラスミドの、P.メタノリカ細胞への導入
を促進するにはエレクトロポレーションが使用される。電界力2.5 ないし4.5kV/
cm、好ましくは約3.75kV/cm および時定数(t)1ないし40ミリ秒、最も好ましくは
約20ミリ秒の、指数関数的に減衰するパルス電界を用いるエレクトロポレーショ
ンによってP.メタノリカ細胞を形質転換することが好ましい。
【0109】 形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞は、常法に従って選択された
宿主細胞の増殖に必要な栄養素および他の成分を含有する培養培地で培養される
。規定培地および複合培地をはじめとする好適な培地の種類は当技術分野で公知
であり、一般には炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミンおよび無機質を含む
。また要すれば、培地は増殖因子または血清のような成分を含んでもよい。一般
には、例えば発現ベクターに保持されるか、または宿主細胞中に同時トランスフ
ェクトされる選択マーカーによって相補される、薬剤選抜または必須栄養素の欠
乏によって、増殖培地は外界から加えられたDNA を含有する細胞を選択する。
【0110】 P.メタノリカ細胞は十分な炭素、窒素の供給源およびわずかな栄養素を含んで
なる培地で約25℃ないし35℃の温度で培養される。液体培養では小型フラスコの
振とうまたは発酵物の散布などの常法によって十分通気される。P.メタノリカに
好ましい培養培地には、YEPD(2% D-グルコース、2% Bacro(商標)ペプトン(Dif
co Laboratories, Detroit, MI) 、1% Bacto(商標)酵母抽出物(Difco Laborat
ories)、0.004% アデニンおよび0.006% L-ロイシン) がある。
【0111】 原核生物宿主細胞、例えば細菌である大腸菌、バシラス属およびその他の属の
菌株も、本発明の範囲内の有用な宿主細胞である。これらの宿主を形質転換し、
そしてそこでクローン化された外来DNA配列を発現するための技法は、当業界
で周知である(例えば、Sambrook等、同書参照)。大腸菌のような細菌中でz219
c ポリペプチドを発現する場合、ポリペプチドは、典型的には不溶性顆粒として
細胞質中に保持され得るか、または細菌分泌配列により細胞周辺腔に向けられ得
る。前者の場合、細胞は溶解され、顆粒が回収され、そして例えばグアニジンイ
ソチオシアネートまたは尿素を用いて変性される。
【0112】 変性ポリペプチドは、次に変性体を希釈することにより、例えば尿素の溶液に
対する透析、ならびに酸化および還元グルタチオンの組合せ、その後の緩衝化食
塩水溶液に対する透析により、リフォールドされ、そして二量体化される。後者
の場合には、ポリペプチドは、細胞周辺腔の内容物を放出するために細胞を破裂
させ(例えば、音波処理または浸透圧ショックにより)、タンパク質を回収し、
それにより変性およびリフォールディングの必要性をなくすることにより、可溶
性および機能性形態で細胞周辺腔から回収され得る。
【0113】 本発明のポリペプチドを純度>80%、さらに好ましくは≧90%、さらに好まし
くは>95%に精製するのが好ましく、特に好ましいのは製薬的純粋状態、即ち夾
雑する高分子物質、特にその他のタンパク質および核酸に関して99.9%以上純粋
で、感染性および発熱性作用物質を含有しないことである。好ましくは、精製ポ
リペプチドは、実質的にその他のポリペプチド、特に動物起源のその他のポリペ
プチドを含有しない。
【0114】 発現組換え体z219c ポリペプチド(またはキメラz219c ポリペプチド)は、分
画および/または慣用的精製法および培地により精製され得る。硫安沈澱および
酸またはカオトロープ抽出は、試料の分画のために用いられ得る。精製工程の例
としては、ヒドロキシアパタイト、サイズ排除、FPLCおよび逆相高速液体クロマ
トグラフィーが挙げられる。適切なクロマトグラフィー培地としては、誘導化デ
キストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特殊シリケート等
が挙げられる。
【0115】 PEI 、DEAE、QAE およびQ 誘導体が好ましい。クロマトグラフィー培地の例と
しては、フェニル、ブチルまたはオクチル基で誘導化された培地、例えばフェニ
ル−セファロースFE(Pharmacia )、トヨパールToyopearl ブチル650 (Toso H
aas, Montgomeryville, PA)、オクチル−セファロース(Pharmacia )等;ある
いはポリアクリル系樹脂、例えばアンバークロムCG71(Toso Haas )等が挙げら
れる。適切な固体支持体としては、それらが用いられる条件下で不溶性であるガ
ラスビーズ、シリカ・ベース樹脂、セルロース樹脂、アガロースビーズ、架橋ア
ガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリアクリルアミド樹脂等が挙げら
れる。
【0116】 これらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキ
シル基および/または炭水化物部分によるタンパク質の結合を可能にする反応基
で修飾され得る。カップリング化学の例としては、臭化シアン活性化、N−ヒド
ロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、ヒド
ラジン活性化、ならびにカルボジイミドカップリング化学のためのカルボキシル
およびアミノ誘導体が挙げられる。
【0117】 これらのそしてその他の固体培地は当業界で周知であり、広範に用いられ、そ
して商業的供給元から入手可能である。配位子または受容体ポリペプチドを支持
培地に結合するための方法は、当業界で周知である。特定方法の選択は、ルーチ
ン計画の問題であり、一部は選定支持体の特性により確定される(例えば、Affi
nity Chromatography:Principles & Methods, Pharmacia LKB Biotechnology, U
ppsala, Sweden, 1988参照)。
【0118】 本発明のポリペプチドは、それらの構造および生物学的特性の利用により単離
され得る。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーを用いて
、富ヒスチジンタンパク質、例えばポリヒスチジンタッグを包含するものを精製
し得る。要するに、ゲルは先ず二価金属イオンで荷電されて、キレートを形成す
る(Sulkowski, Trends in Biochem. 3:1-7, 1985 )。富ヒスチジンタンパク質
は、用いられる金属イオンによって親和性を異にするこのマトリックスに吸着さ
れ、そして競合溶離、pHの低下、または強キレート化剤の使用により溶離され
る。
【0119】 その他の精製方法としては、レシチン親和性クロマトグラフィーおよびイオン
交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質の精製が挙げられる(Me
thods in Enzymol., Vol. 182, "Guide to Protein Purification", M. Deutsch
er, (ed. ), Acad. Press, San Diego, 1990, pp.529-39 )。本発明のさらに
別の実施態様内では、問題のポリペプチドおよび親和性タッグ(例えばポリヒス
チジン、マルトース結合タンパク質、イムノグロブリンドメイン)の融合が構築
されて精製が促進され得る。
【0120】 さらに、当業界で記載された方法を用いて、z219cの領域またはドメインを、
その他のヒト2−19族タンパク質(例えばヒト2−19、D87120およびネズミEF-7
)、または異種タンパク質の領域またはドメインと組合せて用いて、ポリペプチ
ド融合物またはハイブリッドz219c タンパク質が構築される(Sambrook et al.,
同書、Altschul et al., 同書、Picard. D., Cur. Opin. Biology, 5:511-51
5, 1994 およびその中の参考文献)。これらの方法は、当該ポリペプチド中のよ
り大きいドメインまたは領域の生物学的重要性の確定を可能にする。このような
ハイブリッドは、反応速度論、結合を変え、基質特異性を制限または拡張し、あ
るいはポリペプチドの組織および細胞局在化を変え、そして未知の構造のポリペ
プチドに適用され得る。
【0121】 融合ポリペプチドは、融合タンパク質の各構成成分を調製し、それらを化学的
に接合することにより、当業者に既知の方法で調製され得る。あるいは、適正読
取り枠における融合タンパク質の1つ又はそれ以上の構成成分をコードするポリ
ヌクレオチドは、既知の技法を用いて生成され、本明細書中に記載した方法によ
り発現され得る。例えば、生物学的機能を付与するドメイン(単数または複数)
の一部またはすべては、別の族成員、例えばヒト2−19タンパク質またはD87120
からの機能的に等価のドメイン(単数または複数)と、本発明のz219c 間で交換
され得る。
【0122】 このようなドメインとしては、分泌シグナル配列、保存モチーフ、ならびにブ
ロック1、2および3が挙げられるが、これらに限定されない。このような融合
タンパク質は、構築される融合によって、本発明のポリペプチド、あるいはその
他の既知の2−19族タンパク質(例えばヒト2−19、D87120およびネズミEF-7)
または異種タンパク質と同一であるかまたは類似する生物学的機能プロフィール
を有すると予測される。さらに、このような融合タンパク質は、本明細書中に開
示されるようなその他の特性を示し得る。
【0123】 標準分子生物学およびクローニング技法を用いて、z219c ポリペプチドおよび
それらが融合されるポリペプチド間の等価のドメインを交換し得る。一般に、当
該ドメイン、例えば本明細書に記載したz219c ドメインをコードするDNA セグメ
ントは、付加的ポリペプチド(例えば類似ドメインまたは領域ヒト2−19タンパ
ク質)をコードする少なくとも1つのその他のDNA セグメントと枠内で操作可能
的に連結され、本明細書中に記載されたような適切な発現ベクターに挿入される
。一般にDNA 構築物は、ポリペプチドの対応する領域をコードするいくつかのDN
A セグメントが枠内で操作可能的に連結されて全融合タンパク質またはその機能
的部分をコードする単一構築物を作る用、作製される。
【0124】 例えば、DNA 構築物は、シグナルポリペプチドとその後の成熟ポリペプチドを
包含する融合タンパク質をN末端からC末端までコードするか、あるいはDNA 構
築物は、シグナルポリペプチドとその後のブロック1その後のブロック2,その
後のブロック3を包含するタンパク質をN末端からC末端までコードする。この
ような融合タンパク質は、本明細書中に記載したように発現され、単離されそし
て活性に関して検定され得る。
【0125】 タンパク質リフォールディング(および任意に再酸化)手法は、有益に用いら
れ得る。Z219c ポリペプチドまたはその断片も、化学合成により調製され得る。
z219c ポリペプチドはモノマーまたはマルチマーであり得るし;グリコシル化ま
たは非グリコシル化され得るし;ペギル化または非ペギル化され得るし;そして
初期メチオニンアミノ酸残基を含むこともある。
【0126】 このz219c ポリペプチドに関して観察された組織分布の点から見て、作動物質
(例えば天然配位子/基質/補助因子等)および拮抗物質は、in vitroおよびin
vivo 用途の両方において、非常に大きい可能性を有する。z219c 作動物質とし
て同定された化合物は、in vitroでの種々の種類の細胞の成長、増殖または分化
に、そしてin vivo での糖尿病、腸管再生、胃粘膜炎、粘膜再生、代謝性疾患、
前立腺疾患の治療に有用である。例えば、作動物質化合物は、限定細胞培地の構
成成分として有用であり、そして単独で、または他のサイトカインおよびホルモ
ンと組合せて用いて、細胞培養に一般に用いられる血清に取って代わり得る。
【0127】 一実施態様内では、z219c ポリペプチドの作動物質を同定する方法であって、
z219c ポリペプチドに応答する細胞を提供し、被験化合物の存在下で細胞の一次
部分を培養し、被験化合物の非存在下で細胞の二次部分を培養し、そして細胞の
二次部分と比較した場合の細胞の一次部分の細胞応答の増大を検出することを包
含する方法が提供される。 別の実施態様内では、z219c ポリペプチドの拮抗物質を同定する方法であって
、z219c ポリペプチドに応答する細胞を提供し、 z219cポリペプチドの存在下で
細胞の一次部分を培養し、 z219cポリペプチドおよび被験物質の非存在下で細胞
の二次部分を培養し、そして細胞の一次部分と比較した場合の細胞の二次部分の
細胞応答の低減を検出することを包含する方法が提供される。
【0128】 本発明の分子の活性は、例えば、受容体を結合する場合のシグナル伝達、粘膜
性分泌、抗体結合またはELISA を測定する種々の検定を用いて測定され得る。例
えば、z219c ポリペプチドは標識化され、特定の細胞株または細胞との特異的お
よび飽和結合に関して試験され得る。z219c が結合する陽性細胞の同定後、当業
界で既知の方法を用いて、シグナル伝達経路のz219c 媒介性活性化に関して、活
性が試験され得る。
【0129】 例えば、レポーター(例えばSRE-ルシフェラーゼまたはSTAT- ルシフェラーゼ
等)を含有するベクター構築物が、陽性細胞株に導入され得る;このような細胞
株は、分泌z219c タンパク質を含有する状態調節培地に曝露されると、測定可能
なレポーターの活性化によるz219c 媒介性シグナル伝達活性を示す。このような
検定は、当業界では周知である。特異的アッセイはシグナル伝達を測定している
バイオアッセイを包含するが、それに限定されない。
【0130】 さらに、本発明のz219c ポリペプチドは、膵臓細胞増殖または分化を調べるた
めに用いられ得る。本発明のこのような方法は、一般に、z219c ポリペプチド、
モノクローナル抗体、その作動物質または拮抗物質の存在下および非存在下で、
α細胞、β細胞、δ細胞、F細胞および腺房細胞をインキュベートし、そして島
細胞の増殖または分化の変化を観察することを包含する。 本発明のさらに別の局面は、インスリンの試験方法を提供する。本発明のこの
ような方法は、z219c ポリペプチド、モノクローナル抗体、その作動物質または
拮抗物質±インスリンを含む培地中で脂肪細胞をインキュベートし、そして脂肪
細胞タンパク質の分泌または分化の変化を観察することを包含する。
【0131】 本発明は、哺乳類細胞代謝の試験方法も提供する。本発明のこのような方法は
、試験される細胞、例えばヒト血管内皮細胞±z219c ポリペプチド、モノクロー
ナル抗体、その作動物質または拮抗物質をインキュベートし、そして脂肪生成、
糖新生、糖原分解、脂質生成、グルコース取込みなどの変化を観察することを包
含する。
【0132】 z219c ポリペプチドの高レベルの発現は、気管におけるノーザンブロットによ
り、ならびに唾液腺および気管におけるドットブロットにより観察された。した
がって、本発明の別の局面は、唾液腺機能または機能不全に関する評価を受けて
いる患者の血清または組織生検におけるz219c ポリペプチドの検出を包含する。
このようなz219c ポリペプチドは、イムノアッセイ技法およびz219c ポリペプチ
ドエピトープを認識し得る抗体を用いて検出され得る。
【0133】 特に、方法はz219c ポリペプチドの検出方法であって、以下の: z219c ポリペプチドを含有すると思われる溶液を固体支持体に結合された抗体
に曝露し(この場合、前記の抗体はz219c ポリペプチドの一次エピトープと結合
する); 前記の固定化抗体−ポリペプチドを洗浄して、非結合夾雑物を除去し; 固定化抗体−ポリペプチドを、z219c ポリペプチドの二次エピトープに向けら
れる二次抗体に曝露し(この場合、二次抗体は検出可能標識と会合する);そし
て 検出可能標識を検出する; 工程を包含する方法を意図する。血清または生検中z219c ポリペプチド濃度の変
化(正常血清または組織濃度に対する)は、唾液腺の機能不全を示し得る。
【0134】 唾液腺機能不全としては、消化性機能不全、創傷治癒機能不全、不適切な唾液
の産生または組成、粘膜完全性破壊、および抗菌機能の不全または減少が挙げら
れる。気管における相対的に高レベルのz219c ポリペプチドの検出は、このよう
なポリペプチドが肺機能不全のマーカーとして役立ち得ることを示す。さらに、
z219c発現は、肺で検出される。
【0135】 唾液腺または肺機能不全に関連した症状の例としては、唾液腺癌、サルコイド
ーシス、ニューモシスティスカリニ(特にエイズ患者に関連した)、気腫、慢性
気管支炎、嚢胞性繊維症、ARDS、SIDS等が挙げられる。さらに、z219c ポリペプ
チドは、気管ならびに唾液腺と同様のレベルで、前立腺において発現される。前
立腺は、アンドロゲン調節性で、唾液腺と他の特性を共有する。したがって、そ
の機能不全、例えば前立腺腺癌等も、z219c ポリペプチドまたはz219c 抗体を用
いて検出され得る。
【0136】 さらに、唾液腺は、種々の生物学的機能を有する多数のタンパク質を合成し、
分泌する。このようなタンパク質は、口腔の潤滑(例えば、富ムチンおよびプロ
リンタンパク質)、再石灰化(例えば、富スタセリンおよびイオン性プロリンタ
ンパク質)および消化(例えば、アミラーゼ、リパーゼおよびプロテアーゼ)を
促し、そして抗菌(例えば、富プロリンタンパク質、リゾチーム、ヒスタチンお
よびラクトペルオキシダーゼ)および粘膜完全性保持(例えばムチン)能力を提
供する。
【0137】 さらに、唾液は、唾液腺により合成される増殖因子の富供給源である。例えば
、唾液は、上皮増殖因子(EGF )、神経発育因子(NGF )、トランスフォーミン
グ増殖因子−アルファ(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子−ベータ(TG
F-β)、インスリン、インスリン様増殖因子I およびII(IGF-I およびIGF-II)
ならびに繊維芽細胞増殖因子(FGF )を含有することが知られている(例えば、
Zelles et al., J. Dental. Res. 74 (12):1826-32, 1995参照)。唾液腺によ
る増殖因子の合成は、アンドロゲン依存性であり、そして口腔および消化管の健
康のために必要であると考えられる。
【0138】 したがって、z219c ポリペプチド、その作動物質または拮抗物質は、消化を助
けるために治療的に有用であり得る。本発明のz219c ポリペプチド、その作動物
質または拮抗物質におけるこの能力の存在を立証するために、当業界で既知の手
法によりデンプンを分解するそれらの能力に関して、このようなz219c ポリペプ
チド、その作動物質または拮抗物質が評価される。所望により、z219c ポリペプ
チド性能はこの点で、消化酵素、例えばアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等
と比較され得る。さらに、z219c ポリペプチドあるいはその作動物質または拮抗
物質は、共働作用を確認するために1つ又はそれ以上の消化酵素と組合せて評価
され得る。
【0139】 さらに、z219c ポリペプチド、その作動物質または拮抗物質は、創傷治癒を促
進するために治療的に有用である。本発明のz219c ポリペプチド、その作動物質
または拮抗物質におけるこの能力の存在を立証するために、当業界で既知の手法
により創傷治癒を促進するそれらの能力に関して、このようなz219c ポリペプチ
ド、その作動物質または拮抗物質が評価される。所望により、z219c ポリペプチ
ド性能はこの点で、増殖因子、例えばEGF 、NGF 、TGF-α、TGF-β、インスリン
、IGF-I 、IGF-II、繊維芽細胞増殖因子(FGF )等と比較され得る。さらに、z2
19c ポリペプチドあるいはその作動物質または拮抗物質は、共働作用を確認する
ために1つ又はそれ以上の消化酵素と組合せて評価され得る。
【0140】 さらに、z219c ポリペプチド、その作動物質または拮抗物質は、抗菌的用途に
治療的に有用である。本発明のz219c ポリペプチド、その作動物質または拮抗物
質におけるこの能力の存在を立証するために、当業界で既知の手法によりそれら
の抗菌特性に関して、このようなz219c ポリペプチド、その作動物質または拮抗
物質が評価される(例えば、Barsum et al., Eur. Respir. J. 8(5 ):709-14,
1995; Sandovsky-Losica et al., J. Med. Vet. Mycol(England )28(4 ):2
79-87, 1990; Mehentee et al., J. Gen. Microbiol (England )135 (Pt.8)
:2181-8,1989; Segal and Savage, Journal of Medical and Veterinary Mycolo
gy 24:477-479, 1986 等参照)。
【0141】 所望により、z219c ポリペプチド性能はこの点で機能的であることが知られて
いるタンパク質、例えば富プロリンタンパク質、リゾチーム、ヒスタチン、ラク
トペルオキシダーゼ等と比較され得る。さらに、z219c ポリペプチドあるいはそ
の作動物質または拮抗物質は、共働作用を確認するために1つ又はそれ以上の抗
菌剤と組合せて評価され得る。
【0142】 本発明の分子の活性は、胃腸細胞収縮性の刺激、栄養摂取の変調及び/又は消
化酵素の分泌を測定するさまざまな検定を用いて測定することができる。特に有
利であるのは、平滑筋細胞の収縮性の変化である。例えば、哺乳動物の十二指腸
又はその他の胃腸平滑筋組織のセグメントの収縮性応答がある。(Depoorteve et
al., J. Gastro intestinal Motility 1:150-159, 1989) 。1つの in vivo検
定例においては、横連合間では半径方向に、又弁基部の平面に対しては長手方向
に寸法的変化を測定するために超音波マイクロメータが使用されている(Hansen
et al., 胸部外科学会60:S384-390, 1995)。
【0143】 抗菌保護剤は、直接的又は間接的に作用している可能性がある。膜連合又は孔
形成作用メカニズムを介して働くこのような作用物質は、攻撃的微生物に直接付
着する。抗菌剤は同様に、酵素メカニズムを介しても作用し、微生物防御物質又
はその細胞壁/膜を破壊する。微生物の繁殖又は作用を阻害する能力又は以上に
記したいずれかのメカニズムによって微生物の無欠性を分断する能力をもつ抗菌
剤は、その抗菌活性を受ける可能性のある微生物による細胞培養の汚染を予防す
る方法において有用である。かかる技術には、有効量の前記Z219C ポリペプチド
又はそのアゴニスト又はアンタゴニストの存在下での細胞の培養が関与する。
【0144】 同様に、z219c ポリペプチド又はそのアゴニストは、細菌、ウイルス又は真菌
による感染といったような外因性微生物感染のin vitro研究において細胞培養試
薬として用いることができる。かかる半分は、同じくin vivo の動物感染モデル
においても使用できる。同様に、z219c ポリペプチド又はそのアゴニストの微生
物付着特性は、結合検定などにおいてさまざまな条件下で研究され得る。
【0145】 その上、z219c ポリペプチド、そのアゴニスト又はアンタゴニストは、粘膜無
欠性維持のためにも治療上有用であり得る。z219c ポリペプチドの組織発現は、
小腸、気管及び唾液腺といった粘膜分泌に関与する組織内で中乃至は高である。
本発明のz219c ポリペプチド、アゴニスト又はアンタゴニストにおけるこの能力
の存在を確認するためには、当該技術分野において既知の手順に従ってその粘膜
無欠性維持に関し、かかるz219c ポリペプチド、そのアゴニスト又はアンタゴニ
ストが評価される。
【0146】 例えば、粘膜の粘弾性特性及び表面特性を測定する方法ならびに咳及び腺毛活
動による粘液質輸送を評価する方法について記述する Zahm et al., Eur. Respi r. J. 8:381-6 、1995を参照のこと。望ましい場合には、この点におけるz219c
ポリペプチドの性能は、ムチンなどに匹敵し得る。さらに、z219c ポリペプチド
又はそのアゴニスト又はアンタゴニストは、相乗効果を識別するためムチンと組
合わせて評価され得る。
【0147】 本発明のタンパク質は、例えば、腸、前立腺及び膵臓障害の治療に有用であり
、適切な動物モデルに対し本発明の分子を投与することによって、in vivo で又
は培養した細胞を用いてin vitroで測定可能である。例えば、z219c 可溶性レセ
プタポリペプチドを発現する宿主細胞をアルギン酸塩環境内に包埋し、受容動物
の体内に注射(移植)することができる。アルギン酸−ポリ−L−リシン、マイ
クロカプセル化、選択透過性カプセル化及び拡散チャンバが、トランスフェクシ
ョンを受けた哺乳動物の細胞又は哺乳動物始原細胞を取込む手段である。
【0148】 これらのタイプの非免疫原性の「カプセル化」は、捕獲された細胞により分泌
又は放出されたタンパク質及びその他の高分子を受容動物へと拡散することを可
能にする。最も重要なことに、カプセルは、外来性の包埋された細胞を受容動物
の免疫応答からマスキングし遮断する。かかるカプセル化は、注射された細胞の
寿命を数時間又は数日(裸細胞)から数週間(包埋細胞)まで延ばすことができ
る。アルギン酸塩の糸は、包埋細胞を生成するための単純かつ迅速な手段を提供
する。
【0149】 アルギン酸塩の糸を生成するのに必要とされる材料は当該技術分野において既
知のものである。1つの手順例では、無菌H2O の中で3%のアルギン酸塩が調製
され、無菌ろ過される。アルギン酸塩の糸の調製の直前に、アルギン酸塩溶液は
再度ろ過される。3%のアルギン酸溶液と、約50%の細胞懸濁液(約5×105
〜約5×107 個の細胞/mlを含有)が混合される。1mlのアルギン酸塩/細胞懸
濁液が100mM の無菌ろ過されたCaCl2 内に15分未満の時間にわたって押出され
、「糸」を形成する。
【0150】 押出された糸は次に、50mMのCaCl2 の溶液中に移され、その後25mMのCaCl2
液中に移される。その後糸は、0.01%のポリ−L−リシン溶液内でのインキュベ
ーションによって糸をコーティングする前に脱イオン水で洗い流される。最後に
、糸は、乳酸加リンガー溶液で洗い流され、注射器の胴(針無し)の中に溶液か
ら引き出される。その後内径の大きな針を注射器にとりつけ、受容動物の体内に
最小量の乳酸加リンガー溶液内で糸を腹腔内に注入する。
【0151】 本発明のタンパク質を検定するためのin vivo アプローチには、ウイルス送達
系が関与する。この目的のためのウイルス例としては、アデノウイルス、ヘルペ
スウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス及びアデノ関連ウイルス(A
アデノウイルス)が含まれる。2重鎖DNA ウイルスであるアデノウイルスが現在
のところ、非相同核酸の送達のための最も良く研究されている遺伝子移入ベクタ
ーである(再考のためには、T.C. Becker et al., Meth. Cell Biol.43:161-89,
1994;及び J.T. Douglas 及び D.T. Curiel, Science & Medicine :44-53,
1997を参照のこと)。
【0152】 アデノウイルス系は、次のようないくつかの利点を提供する:すなわち、 (i)アデノウイルスは比較的大きいDNA インサートを収容できる;(ii)高力
価まで成長させることができる;(iii) 広範囲にわたる哺乳動物細胞型を感染
させる;及び(iv)汎存性、組織特異的及び調節可能なプロモータを含む数多く
の異なるプロモータと共に使用可能である。同様に、アデノウイルスは、血流内
で安定していることから、静脈内注入により投与可能である。
【0153】 アデノウイルスゲノムの一部分が欠失しているアデノウイルスベクターを用い
て、同時にトランスフェクションを受けたプラスミドとの相同組換えによってか
又は直接的連結によってウイルスDNA 内にインサートを組込む。典型的な系では
、必須E1遺伝子がウイルスベクターから欠失させられており、ウイルスは、E
1遺伝子が宿主細胞(ヒト293 細胞系統が一例である)によって提供されないか
ぎり、複製しないと思われる。
【0154】 無傷の動物に静脈内投与された場合、アデノウイルスはまず第1に肝臓を標的
にする。アデノウイルス送達系がE1遺伝子欠失を有する場合には、ウイルスは
宿主細胞内で複製できない。しかしながら、宿主の組織(例えば肝臓)は、非相
同タンパク質を発現及び処理(そして分泌シグナル配列が存在する場合には分泌
)することになる。分泌されたタンパク質は、高度に血管新生された肝臓の中で
循環に入ることになり、感染を受けた動物に対する効果を見極めることができる
【0155】 その上、ウイルス遺伝子のさまざまな欠失を含むアデノウイルスベクターは、
ベクターに対する免疫応答を減少又は削除させるように使用することもできる。
かかるアデノウイルスは、E1欠失されており、それに加えてE2A又はE4の
欠失を含有する(Lusky, M. et al., J. Virol. 72 : 2022-2032、1998; Raper,
S.E. et al., Human Gene Therapy(ヒト遺伝子療法)9 : 671-679 、1998)。
【0156】 さらに、E2bの欠失は免疫応答を低減させるものであると報告されている(A
malfitano, A. et al., J. Virol. 72 : 926-933, 1998)。その上、アデノウイ
ルスゲノム全体を欠失させることによって、非相同DNA の極めて大きいインサー
トを収容することができる。全てのウイルス遺伝子が欠失させられるいわゆる「
無気力」アデノウイルスの生成は、非相同DNA の大きなインサートの挿入にとっ
て特に有利である。再考のためには、Yeh, P. 及び Perricaudet, M., EASEB J. 11:615-623 、1997を参照のこと。
【0157】 アデノウイルス系は同様に、in vitroでのタンパク質産生のためにも使用可能
である。細胞分裂が急速でない条件の下でアデノウイルス感染した非293細胞
を培養することによって、細胞は、さらに長時間タンパク質を産生することがで
きる。例えば、BHK 細胞は、細胞ファクトリ内で集密性に至るまで成長させられ
、次に問題の分泌タンパク質をコードするアデノウイルスベクターに対し露呈さ
れる。その後、細胞は、血清を含まない条件の下で成長させられ、これにより感
染細胞は著しい細胞分割無く数週間生き延びることができる。
【0158】 代替的には、アデノウイルスベクター感染を受けた293細胞を、粘着細胞と
して、又は相対的に高い細胞密度で懸濁培養中で成長させて、著しい量のタンパ
ク質を産生することもできる。(Garnier et al., Cytotechnol. 15 : 145-55、
1994) 。いずれのプロトコルの場合でも、発現された分泌非相同タンパク質を、
細胞中の発現されたタンパク質の被着に応じて細胞培養上清、リゼイト又は膜分
画から反復的に分離することができる。感染した293 細胞の産生プロトコル内で
、分泌されていないタンパク質も有効に得ることができる。
【0159】 z219c アゴニストとして同定された化合物は、in vitro及びin vivo で有用で
ある。例えばz219c 及びアゴニスト化合物は、規定の細胞培地の成分として有用
であり、かつ細胞培地内で一般に使用される血清に置換わるべく、単独で又はそ
の他のサイトカイン及びホルモンと組合わせた形で使用可能である。かくして、
z219c ポリペプチド及びz219c アゴニストポリペプチドは、例えば培養された細
胞の拡張用といった研究用試薬として有用である。従って、z219c ポリペプチド
はこれらの細胞型のための組織培地に添加される。
【0160】 リガンドとしては、z219c ポリペプチドの活性は、レセプタ結合及びその後の
生理学的細胞応答と結びつけられた細胞外酸性化又は陽子排出を測定するケイ素
ベースのバイオセンサーマイクロフィジオメータによって測定できる。装置の一
例としては、Molecular Devices, Sunny vale, CA が製造する Cyto SensorTM
イクロフィジオメータがある。この方法によって、細胞増殖、イオン輸送、エネ
ルギー生成、炎症性応答、調節及びレセプタ活性化などといったさまざまな細胞
応答を測定することができる。例えばMcConnell, H.M. et al., Science 257 :1906-1912, 1992 ;Pitchford, S. et al., Meth. Enzymol. 228 :84-108,
1997;Arimilli, S. et al.,J. Immunol. Meth. 212 :49-59, 1998 ;Van Lief
de, I. et al., Eur. J. Pharmacol. 346 : 87-95, 1998 を参照のこと。
【0161】 マイクロフィジオメータは、粘着又は非粘着真核又は原核細胞を検定するため
に使用することができる。経時的な細胞培地の細胞外酸性化の変化を測定するこ
とにより、マイクロフィジオメータは直接、z219c ポリペプチド、そのアゴニス
ト又はアンタゴニストを含めたさまざまな刺激に対する細胞応答を測定する。好
ましくはマイクロフィジオメータは、z219c ポリペプチドに応答しない対照真核
細胞に比較して、z219c ポリペプチド真核細胞の応答を測定するのに使用される
。Z219C 応答性真核細胞は、中にz219c のためのレセプタがトランスフェクショ
ンされてz219c に対する応答性をもつ細胞を作り出した細胞又は膵臓、腸、前立
腺又は気管組織に由来する細胞といったような、z219c に対する天然の応答性を
もつ細胞を含んでいる。
【0162】 z219c に露呈されていない対照との関係におけるz219c ポリペプチドに露呈さ
れた細胞の応答における細胞外酸性化の増加又は減少といった変化によって測定
される差異は、z219c 変調された細胞応答の直接的尺度である。さらに、かかる
z219c 変調された応答は、さまざまな刺激の下で検定できる。マイクロフィジオ
メータを用いて、z219c ポリペプチドに対する応答性をもつ細胞を提供する段階
、テスト化合物の無い状態で細胞の第1の部分を培養する段階、テスト化合物の
存在下で細胞の第2の部分を培養する段階そして例えば、細胞の第1の部分と比
べた細胞の第2の部分の細胞応答における増大又は減少といった変化を検出する
段階を含む、z219c ポリペプチドのアゴニストを同定する方法が提供されている
【0163】 細胞応答の変化は、細胞外酸性化速度の測定可能な変化として示されている。
その上、z219c ポリペプチドが存在しテスト化合物が存在しない状態での細胞の
第3の部分の培養を、z219c-応答性細胞のための正の対照として、及びテスト化
合物のアゴニスト活性をz219c ポリペプチドのものと比較するための対照として
使用することが可能である。
【0164】 その上、マイクロフィジオメータを用いて、z219c ポリペプチドに対する応答
性をもつ細胞を提供する段階、z219c の存在下でテスト化合物の無い状態で細胞
の第1の部分を培養する段階、z219c の存在下でかつテスト化合物の存在下で細
胞の第2の部分を培養する段階そして例えば、細胞の第1の部分と比べた細胞の
第2の部分の細胞応答における増大又は減少といった変化を検出する段階を含む
、z219c ポリペプチドのアンタゴニストを同定する方法が提供されている。細胞
応答の変化は、細胞外酸性化速度の測定可能な変化として示されている。z219c
ポリペプチドに対するアンタゴニスト及びアゴニストは、この方法を用いて迅速
に同定することができる。
【0165】 その上、z219c は、z219c で刺激された経路に応答する細胞、組織又は細胞系
を同定するのにも用いることができる。本発明のz219c に対する応答性をもつ細
胞といったようなリガンド応答性細胞を迅速に同定するために、上述のマイロク
フィジオメータを使用することができる。細胞は、z219c ポリペプチドの存在下
でも不在下でも培養できる。z219c の存在下で細胞外酸性化の測定可能な変化を
惹起するような細胞はz219c に対する応答性をもつ。かかる細胞は、上述のよう
なz219c ポリペプチドのアンタゴニスト及びアゴニストを同定するために使用で
きる。
【0166】 z219c を同様に、その活性の阻害物質(アンタゴニスト)を同定するためにも
使用できる。z219c の活性を阻害する化合物を同定するため、本書に開示されて
いる検定に対しテスト化合物を付加する。本書で開示するこれらの検定に加えて
、z219c 依存性細胞応答の刺激/阻害又はレセプタ結合を測定するように設計さ
れたさまざまな検定の範囲内でz219c 活性の阻害について標本をテストすること
ができる。例えば、z219c 応答性細胞系統を、z219c で刺激された細胞経路に対
する応答性をもつリポータ遺伝子構成体を用いてトランスフェクションすること
ができる。
【0167】 このタイプのリポータ遺伝子構成体は、当該技術分野において既知であり、一
般にルシフェラーゼといった検定可能なタンパク質をコードする遺伝子に対し作
動的に連鎖されたz219c-DNA 応答要素を含むことになる。DNA 応答要素としては
、環状AMP応答要素(CRE)、ホルモン応答要素(HRE)インシュリン応答要素(
IRE)(Nasrin et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 : 5273-7, 1990)及び血
清応答要素(SRE)(Shaw et al. Cell 56 : 563-72, 1989) が含まれる可能性が
ある。環状AMP応答要素は、Roestlar et al., J. Biol. Chem. 263 (19) : 9
063-6 ; 1988及び Habener, Molec. Endocrinol. (8) : 1087-94 ; 1990 の
中で再考されている。
【0168】 ホルモン応答要素は Beato, Cell 56 : 335-44 ; 1989の中で再考されている
。候補の化合物、溶液、混合物又は抽出物は、リポータ遺伝子発現のz219c 刺激
の減少によって明らかにされるように、標的細胞に対するz219c の活性を阻害す
る能力についてテストされる。このタイプの検定は、細胞表面レセプタに結合す
るz219c を直接遮断する化合物ならびに、レセプタ−リガンド結合に続く細胞経
路内のプロセスを遮断する化合物を検出することになる。
【0169】 代替的には、検出可能な標識(例えば 125I、ピオチン、ホースラディッシュ
ペルオキシダーゼ、FITCなど)でタグ付けされたz219c を用いてレセプタに結合
するz219c の直接的遮断について、化合物又はその他の標本をテストすることが
できる。このタイプの検定の範囲内では、レセプタに対する標識づけされたz219
c の結合を阻害する試験用標本の能力は阻害活性を表わすものであり、このこと
は二次検定を通して確認できる。結合検定内で使用されるレセプタは、細胞レセ
プタ又は分離され、不動化されたレセプタであってよい。
【0170】 z219c ポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖定常領域、標準的には2つの定常
領域ドメインを含み可変領域が欠如したFcフラグメントとの融合として発現され
得る。かかる融合を調製するための方法は、米国特許第5,155,027 号及び5,567,
584 号の中で開示されている。かかる融合は標準的には、Fc部分が互いに結合さ
れたジスルフィドであり2つの非Igポリペプチドが互いに近接して配列されて
いる多量体分子として分泌される。このタイプの融合は、in vitro検定手段とし
てか又はz219アンタゴニストとしてz219c レセプタを親和性精製するために使用
され得る。検定内で使用するため、キメラはFc領域を介して支持体に結合され、
ELISA フォーマットで使用される。
【0171】 z219c ポリペプチドは同様に、z219c エピトープ、ペプチド又はポリペプチド
に特異的に結合する抗体を調製するためにも使用可能である。z219c ポリペプチ
ド又はそのフラグメントは、動物に接種し免疫応答を惹起するための抗原(免疫
原)として役立つ。当業者であれば、抗原又は免疫原性エピトープが、ポリペプ
チドに応じてアミノ酸約10以上の長さから最高でそのポリペプチドの全長以上
の長さに至るより長いポリペプチドの範囲内のアミノ酸の広がりで構成されうる
ということを認識することだろう。
【0172】 かくして、適切な抗原としては、アミノ酸9〜210 個で構成されたポリペプチ
ドが含まれ、ここでポリペプチドはアミノ酸番号23 (Phe)からアミノ酸番号223
(Phe) までの配列番号2の中のアミノ酸の隣接する配列と少なくとも90%同一で
ある。適切な抗原には、同様に、本書で開示されているように、成熱z219c ポリ
ペプチド、z219c 分泌シグナル配列、ブロック1、2及び3、成熱ポリペプチド
のN末端(アミノ酸番号22 (Phe)からアミノ酸番号88 (Ile)までの配列番号2)
、及びこれらの領域内のアミノ酸配列も含まれる。
【0173】 動物を免疫化するのに用いられるペプチドは一般に、アミノ酸約9個〜約80個
の長さを有する。しかしながら、免疫原としてより長い領域又は全長z219c タン
パク質も同様に使用可能である。抗原として使用するための好ましいペプチドは
、例えば、埋没したG.S.及びT 残基及び露呈したH.Y 、及びW 残基を無視して、
滑り6残基ウィンドウに基づくHopp/Woods 親和性プロフィールから決定された
疎水性プロットから、当業者によって予測されるものといった親水性ペプチドで
ある。
【0174】 この免疫応答から生成された抗体は、本書で記述されるとおりに分離及び精製
され得る。ポリクローナル及びモノクローナル抗体を調製し分離するための方法
は、当該技術分野において周知のものである。例えば「免疫学における現行のプ ロトコル 」Cooligan, et al.,(eds.), National Institutes of Health, John W
iley and Sons, Inc.,1995; Sambrook et al., 「分子クローニング:実験室マ ニュアル 」、第2版、Cold Spring Harbor, NY, 1989; and Hurrell, J. G. R.
, Ed.,「モノクローナルハイブリドーマ抗体:技術と応用」CRC Press, Inc., B
oca Raton, FL, 1982 を参照のこと。
【0175】 当業者公知の如く、抗体はウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサ
ギ、マウス、ラットの様な各種温血動物に、z219c ポリペプチドまたはその断片
を接種し作製することができる。z219c ポリペプチドの免疫原性はミョウバン(
水酸化アルミニウム)の様なアジュバント、またはフロイント(Freund)
完全または不完全アジュバントにより増強できるだろう。
【0176】 免疫感作に有用なポリペプチドには、z219c ポリペプチド融合体、又は免疫グ
ロプリンポリペプチドあるいはマルトース結合蛋白を有するその一部分の様な融
合ポリペプチドも含む。ポリペプチド免疫原は完全長分子またはその一部である
。ポリペプチド部分が”ハプテン様”の場合、免疫感作の為にこれら部分を高分
子キャリアー(キーホールリンペットヘモシアニン(KLH )、ウシ血清アルブミ
ン(BSA )又は破傷風毒素)に接続又は結合することが好ましい。
【0177】 本発明で使用される場合、”抗体”という用語はポリクローナル抗体、アフィ
ニティー精製ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及び、F(ab' )2 やFab
蛋白分解性断片の様な抗原結合断片を含む。キメラ抗体、Fv断片、単鎖抗体等、
及び合成抗原結合ペプチドやポリペプチドの様な遺伝工学的作製された無傷抗体
、又は断片も含まれる。
【0178】 非ヒト型抗体は、非ヒト型CDRsをヒトフレームワーク及び不変領域に移植し、
又は非ヒト型可変領域(露出した残基を置換して該領域をヒト様表面で随意”覆
う”ことにより、”修飾”抗体を得る)全体を取り込むことでヒト型化されるだ
ろう。ある例には、ヒト型化抗体はヒト型可変領域フレームワークドメイン内に
非ヒト型残存部を保持することで適当な結合特性を増強する。抗体のヒト型化を
通じ、生物学的半減期は増加され、ヒトへの投与時の有害な免疫反応は軽減され
るだろう。
【0179】 本発明に有用な抗体作製又は選択の別の技術には、in vitroに於けるリンパ細
胞のz219c ポリペプチド又はペプチドの暴露、及びファージあるいは同様のベク
ター内での抗体ディスプレーライブラリーの選別(例えば、固定化あるいは標識
化されたz219c ポリペプチドの利用による)が含まれる。潜在的z219c ポリペプ
チド結合ドメインを有するポリペプチドをコードする遺伝子は、ファージ(ファ
ージディスプレー)又は大腸菌の様な細菌上に提示されたランダムペプチドライ
ブラリーをスクリーニングすることで得ることができる。
【0180】 ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ランダム突然変異誘導法やラ
ンダムポリヌクレオチド合成法の様な多くの方法により得ることができる。これ
らランダムペプチドディスプレーライブラリーを利用し、リガンド又はレセプタ
ーの様な蛋白又はポリペプチド、生物学的又は合成高分子、あるいは有機又は無
機基質である既知標的体と相互作用するペプチドをスクリーニングすることがで
きる。
【0181】 この様なランダムペプチドディスプレーライブラリーを作製し、及びスクリー
ニングする技術は当業者公知であり(Ladnerら、米国特許第5,223,409 号;Ladn
erら、米国特許第4,946,776 号;Ladnerら、米国特許第5,403,484 号及びLadner
ら、米国特許第5,571,698 号)。そしてランダムペプチドディスプレーライブラ
リーやその様なライブラリーをスクリーニングするためのキットは、例えばクロ
ーンテック社(Clontech)(Palo Alto, CA )、インビトロジェン社(Invitrog
en Inc. )(San Diego, CA )、ニューイングランドバイオラブス社(New Engl
and Biolabs, Inc)(Beverly, MA )、及びファルマシアLKB バイオテクノロジ
ー社(Pharmacia LKB Biotechnology Inc )より市販されている。
【0182】 ランダムペプチドディスプレーライブラリーをここに開示さえたz219c 配列を
用いスクリーニングすることで、z219c に結合するポリペプチドを同定すること
ができる。これらz219c ポリペプチドと相互作用する”結合ポリペプチド”は細
胞の標識付け;アフィニティー精製による相同ポリペプチドの単離に利用できる
;これらは薬物、毒素、放射性核種等に直接、または間接的に標識することがで
きる。これら結合ポリペプチドは発現ライブラリーのスクリーニング及びz219c
活性の中和の様な分析的方法に利用することもできる。
【0183】 また結合ポリペプチドはz219c ポリペプチドの血中レベル測定するため;基礎
病因または病気のマーカーとして可溶性ポリペプチドを検出または定量するため
の診断アッセイにも利用できる。さらに、これら結合ポリペプチドはz219c ”拮
抗体”として作用させ、例えばレセプターへのz219c の結合を阻止し、in vitro
及びin vivo に於けるシグナル伝達を阻止することもできる。これら抗z219c 結
合ポリペプチドは、例えばz219c リガンドのレセプターと相互作用することでz2
19c リガンドを阻害する拮抗体として有用であろう。
【0184】 抗体は、1)それらが閾値レベルの結合活性を有し、及び/又は2)それらが
既知関連ポリペプチド分子と有意な交叉反応をしない場合に、それら抗体は特異
的に結合する判定される。第1に、本例では抗体がコントロール(非z219c )ポ
リペプチドに対する結合親和性より少なくとも10倍以上の親和性をもってz219ポ
リペプチド、ペプチド又はエピトープに結合する場合、抗体は特異的に結合する
。当該抗体は106M-1又はそれ以上の結合親和性(Ka)を有することが好ましく、
好ましくは107M-1又はそれ以上であり、更に好ましくは108M-1またはそれ以上で
あり、最も好ましくは109M-1またはそれ以上である。抗体の結合親和性は当業者
により、例えばスキャッチャード分析法(Scatchard, G.,Ann. NY Acad. Sci. 5 1: 660-672,1949)により容易に決定できる。
【0185】 第2に抗体は、既知関連ポリペプチドと有意な交叉反応をしない場合に特異的
に結合すると判定される。例えば、通常のウエスタンブロット分析(Ausubel ら
、前出)を利用した場合に抗体がz219c は検出するが既知関連ポリペプチドは検
出しない場合、抗体は関連ポリペプチド分子と有意に交叉反応しない。既知関連
ポリペプチドの例には、オルトログ、他の既知2-19ファミリーメンバーの様な同
種由来ポリペプチド、変異型z219c ポリペプチド、及び非ヒト型z219c がある。
さらに、抗体は既知関連ポリペプチドに対し”スクリーニングする”ことで本発
明のポリペプチドに特異的に結合する集団を分離することができるだろう。
【0186】 例えば、z219c に対し作製された抗体を、不溶性マトリックスに吸着された関
連ポリペプチドで吸収する;z219c に特異的な抗体を適当な緩衝条件下にマトリ
ックスを通過させる。この様なスクリーニングにより関連性の強いポリペプチド
と交叉反応しないポリクローナル及びモノクローナル抗体を単離することができ
る(抗体:研究室マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual )、Harlow a
nd Lane (eds.) 、Cold Spring Harbor Laboratory Press 、1988;Current Pr otocols in Immunology 、Cooligan、et al.(eds.)、Nationa Institutes of He
alth, John Wiley and Sons, Inc., 1995 )。
【0187】 特異抗体のスクリーニング及び単離は当業者公知である。Fundamental Immuno logy , Paul (eds.), Raven Press, 1993; Getzoffら、Adv. in Immunol. 43: 1
-98, 1988; Monoclonal Antibodies; Principles and Practice, Goding, J.W.(
eds.), Academic Press Ltd., 1996; Penjamin et al., Ann. Rev. Immunol. 2:
67-101,1984 参照。
【0188】 当業者公知の様々なアッセイを利用し、z219c ポリペプチドまたはペプチドに
特異的に結合する抗体を検出することができる。アッセイ例の詳細は抗体: 研究
室マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual )、Harlow and Lane (eds.)
、Cold Spring Harbor Laboratory Press 、1988内に記述されている。これら
アッセイの代表例としては:並流免疫電気泳動法、ラジオイムノアッセイ、ラジ
オイムノ−沈殿法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA )法、ドットブロットま
たはウエスタンブロット、阻害又は競合アッセイ、及びサンドイッチアッセイが
ある。更に、抗体は野生型対変異型z219c ポリペプチドに対する結合について、
スクリーニングすることもできる。
【0189】 z219c に対する抗体はz219c を発現している細胞の標識;アフィニティー精製
によるz219c の単離、z219c ポリペプチドの血中レベルを測定するための診断ア
ッセイ;基礎病因または病気のマーカーとして可溶性ポリペプチドの検出または
定量を目的とした診断アッセイ;FACSを利用した分析法;in situ ハイブリダイ
ゼーション及び組織学を利用した分析法;発現ライブラリーのスクリーニング;
抗イディオタイプ抗体の作製;及び中和抗体またはin vitro及びin vivo でのz2
19c 活性を阻止する拮抗体として利用できるだろう。
【0190】 好適な直接標識体またはラベルには、放射性核種、酵素、基質、コファクター
、阻害体、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁性ビーズ等が含まれ;間接的標
識体またはラベルでは、ビオチン−アビジンまたはその他の相補体/抗相補体ペ
アを介在体として特徴的に利用できるだろう。ここでの抗体はさらに薬物、毒素
、放射性核種等に直接または間接的に標識でき、そしてこれら標識体はin vivo
の診断または治療に応用できるだろう。更に、z219c ポリペプチド又はその断片
に対する抗体は、例えばウエスタンブロットあるいはその他の公知アッセイ法に
於ける変性z219c ポリペプチド、またはその断片のin vitroでの検出に利用でき
るだろう。
【0191】 ここでの抗体又はポリペプチドもまた薬物、毒素、放射性核種等に直接、又は
間接的に標識でき、これら標識体はin vivo 診断または治療法に利用できる。例
えば、本発明のポリペプチド又は抗体を利用し、対応する抗総補体分子(例えば
それぞれレセプター又は抗原)を発現している処置組織または臓器を検出するこ
とができる。更に具体的には、z219c ポリペプチドまたは抗z219c 抗体、または
生物反応性断片またはその一部分は検出可能分子、または細胞毒性分子に結合し
、抗相補体分子を発現している細胞、組織または臓器を有する哺乳動物に供給す
ることができる。
【0192】 好適な検出可能分子は直接、または間接的にポリペプチドまたは抗体に結合で
き、放射性核種、酵素、基質、コファクター、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光
マーカー、磁性ビーズ等が含まれる。好適な細胞毒性分子は直接、または間接的
にポリぺプチド又は抗体に結合でき、該分子としては細菌性または植物性毒素(
例えばジフテリア毒素、シュードモナス外毒素、リシン、アブリン等)及びヨー
ド131 、レニウム-188、またはイットリウム-90 の様な治療用の放射性核種(ポ
リペプチドまたは抗体に直接結合させるか、又は例えばキレート成分法により間
接的に結合させる)が含まれる。
【0193】 ポリペプチド又は抗体はアドリアマイシンの様な細胞毒性薬物に結合させるこ
ともできる。検出可能または細胞毒性分子を間接的に結合させる場合、多数の相
補体/抗相補体ペアを検出可能または細胞毒性分子に標識し、その他のメンバー
をポリペプチド又は抗体部分に結合させることができる。そのためにの相補体/
抗相補体ペアの例としてはビオチン/ストレプトアビジンがある。
【0194】 別の実施態様では、ポリペプチド−毒素融合蛋白または抗体−毒素融合蛋白を
標的細胞または組織を阻害又は消耗に利用できる(例えば、ガン細胞または組織
の処理)。あるいは、ポリペプチドが多機能ドメイン(例えば、1の活性化ドメ
インまたはリガンド結合ドメインに加え標的ドメイン)である場合、所望する型
の細胞または組織への検出可能分子、細胞毒性分子、又は相補的分子への配向に
は、標的ドメインのみを含む融合蛋白が好適である。ドメインのみの融合蛋白が
相補体分子を含む場合、抗相補体分子を検出可能または細胞毒性分子に標識する
ことができる。従ってこの様なドメイン−相補体分子型の融合蛋白は、一般的抗
相補体−検出可能/細胞毒性分子標識体の細胞/組織特異的な一般的な標的ビー
クルを例示する。
【0195】 別の実施態様では、z219c ポリペプチドまたは抗z219c 抗体が増殖亢進血液ま
たは骨髄細胞を標的とするのであれば(一般に、Hornick ら、Blood 89:4437-
47、1997参照)z219c-サイトカイン融合蛋白または抗体−サイトカイン融合蛋白
はin vivo に於ける標的組織(例えば血液及び骨髄癌)の殺滅促進に利用できる
【0196】 彼らは作用所望部位をサイトカインで標的化でき、それにより局所のサイトカ
インレベルを増加できる融合蛋白を記述している。好適なz219c ポリペプチド又
は抗-z219c抗体は望ましくない細胞または組織(例えば、主要または白血病)を
標的とし、融合サイトカインの介在によりエフェクター細胞による標的細胞の溶
解が改善される。本目的に好適なサイトカインには、例えばインターロイキン2
、及び顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
【0197】 さらに別の実施態様では、z219c ポリペプチドまたは抗-z219c抗体は血管細胞
又は組織を標的にできる。これらポリペプチド又は抗体は放射性核種、特にβ線
放射放射性核種と標識され、再狭窄を軽減できる。この様な治療的アプローチは
、放射線治療を実施する臨床医に対する危険性が低い。例えば、イリジウム-192
浸透性リボンをステント処置された患者血管内に所望の放射線量が提供されるま
で設置した場合、プラセボのリボンを設置したコントロール群に比べ血管内の組
織増殖は低下し、管腔直径が大きくなることが示された。更に、治療群では再血
管新生及びステント血栓症が有意に低下した。同様の結果は、本書記載の放射性
核種を含む生物活性型標識体による標的化についても予想される。
【0198】 ここに記載された生物活性型ポリペプチドまたは抗体標識体は静脈内、動脈内
、または線管内に供給でき、又作用所望部位に局所的に導入することができる。 本発明の分子を利用することで、z219c に対するレセプターを同定及び単離す
ることができる。例えば、本発明の蛋白及びペプチドは、カラム及びカラムに張
りわたされたメンブレン標本に固定できる(固定アフィニティーリガンド技術( Immobilized Affinity Ligand Techniques ), Hermanson ら、eds.、Academic P
ress, San Diego, CA, 1992, pp.195-202 参照)。
【0199】 蛋白及びペプチドは放射線標識(Methods in Enzymol., vol.182, ”蛋白精製
ガイド”("Guid to Protein Purification"), M.Deutscher, ed., Acad. Pres
s, San Diego, 1990, 721-737 )または光アフィニティー標識(Brunner ら、An n. Rev. Biochem. 62;483-514, 1993Fedanら、Biochem. Pharmacol. 33:1167-11 80, 1984 )することができ、そして特異的細胞表面蛋白を同定できる。
【0200】 本発明のポリペプチド、核酸及び/又は抗体はI型及びII型糖尿病、遺伝性糖
尿病、膵臓癌、栄養及び代謝障害、膵臓及び腸管ホルモンの放出、腸管粘膜分泌
痛、急性障害からの腸管再生、消化性潰瘍、クローン病、炎症性腸疾患、細菌感
染に対する胃腸(GI)管の防御、咽頭及び気管癌、胃ガン、結腸癌、腸癌、憩室
炎、その他の上皮性疾患、および前立腺閉塞及び癌に伴う病気の治療及び評価に
利用できる。本発明の分子は該分子が相互作用するその他の蛋白を変調し、又は
気管、小腸、膵臓及び結腸の様な様々な組織内の病的状態の発生を治癒し、又は
予防できる。特に糖尿病、癌、消化性潰瘍、クローン病、炎症性腸管疾患、特定
の遺伝的症候群及びその他のヒト疾患といった特定疾患は、これら診断、治療お
よび予防の適用が容易であろう。
【0201】 z219c ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、z219c 活性を増加、又
は阻害することを望む遺伝子治療法に於いて有用である。哺乳動物が変異型z219
c 遺伝子を有するか、z219c 遺伝子を欠損している場合には、z219c 遺伝子を該
哺乳動物細胞内に導入することができる。実施態様の一つでは、z219c ポリペプ
チドをコードする遺伝子はin vivo にてウイルスベクター内に導入される。この
様なベクターは、単純ヘルペス(HSV )、パピローマウイルス、エプシュタイン
バーウイルス(EBV )、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV )等の減弱
化、又は欠損型DNA ウイルスを含むが、もとよりこれに限定されるものではない
【0202】 ウイルス遺伝子全部、又はほぼ全部を欠損する欠損型ウイルスが好ましい。欠
損ウイルスは細胞内導入後は非感染性である。欠損型ウイルスベクターを利用す
れば、ベクターの他細胞への感染を危惧することなく、細胞の特異的、局所領域
への投与が可能となる。具体的なベクター例としては、欠損型単純ヘルペスウイ
ルス1(HSV1)ベクター(Kaplitt ら、Molec. Cell. Neurosci. 2:320-330, 19
91);Stratgord-Perricaudet ら、J.Clin. Invest. 90:626-30, 1992 記載のベ
クターの様な減弱化アデノウイルスベクター、及び欠損型アデノ関連ウイルスベ
クター(Samulskiら、J.Virol. 61: 3096-101, 1987; Samulski ら、J. Virol. 63 :3822-8, 1989 )を含むが、もとよりこれに限定されるものではない。
【0203】 他の実施例において、例えば、Andersonらによる米国特許第5399346 号、Mann
らによるCell 33:153, 1983、Temin らによる米国特許第4650764 号、Temin ら
による米国特許第4980289 号、Markowitz らによるJ.Virol. 62:1120, 1988 、
Temin らによる米国特許第5124263 号、1995年3 月16日にDougherty らによって
公開された国際公開WO 95/07358 号、およびKuo らによるBlood 82:845, 1993
に記述されているように、z219c 遺伝子を、レトロウイルスベクタ−に挿入する
ことができる。
【0204】 或いは、そのベクタ−を、リポソ−ムを用いたリポフェクション法によってイ
ンビボで導入してもよい。合成陽イオン脂質は、マ−カ−をコ−ドする遺伝子を
インビボでトランスフェクトするためのリポソ−ムの調製に用いることができる
(Felgner 他, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7, 1987 、Mackey他, Proc.N atl.Acad.Sci.USA 85:8027-31, 1988)。外来遺伝子をインビボで特定の臓器に
導入するためにリポフェクション法を用いることは、いくつかの実用的な利点を
有する。特定の細胞に対するリポソ−ムの分子タ−ゲッティングは、ある領域に
利益をもたらす。
【0205】 さらに詳細には、特定の細胞に対して方向づけしてトランスフェクトすること
は、ある領域に利益をもたらす。例えば、特定のタイプの細胞に対して方向づけ
してトランスフェクトすることは、膵臓、肝臓、腎臓、脳のような異種細胞から
なる組織において、特に好都合であろう。脂質は、タ−ゲッティングのために、
化学的に他の分子に結合してもよい。標的とされたペプチド(例えば、ホルモン
、あるいは神経伝達物質)、あるいは抗体のような蛋白、あるいは非ペプチド分
子は、化学的にリポソ−ムに結合することができる。
【0206】 裸のDNA プラスミドとしてベクタ−を導入するため、標的細胞を体から摘出し
、それからその転換細胞を体に再移植することが可能である。遺伝子治療のため
の裸のDNA ベクタ−を、例えば、トランスフェクション法、あるいはエレクトロ
ポレ−ション法、あるいは顕微注射法、あるいは形質導入、あるいは細胞融合、
あるいはDEAE- デキストラン処理法、あるいはリン酸カルシウム共沈法、あるい
は遺伝子銃の使用、あるいはDNA ベクタ−輸送体の使用などの、当業界で周知の
方法によって、希望する宿主細胞に導入することができる。例えば、Wuらによる J.Biol.Chem. 267 :963-7, 1992、WuらによるJ.Biol. Chem. 263 :14621-4, 19
88を参照。
【0207】 アンチセンス方法論を、インビボで細胞増殖を阻害するような、z219c 遺伝子
の転写阻害に用いることができる。Z219c をコ−ドしたポリヌクレオチド(例え
ばSEQ ID NO:1 に示されているようなポリヌクレオチド)の分節に相補的なポリ
ヌクレオチドは、z219c をコ−ドしたmRNAに結合し、かつこのようなmRNAの翻訳
を阻害するように設計されている。このようなアンチセンスポリヌクレオチドは
、細胞培養中、あるいは患者において、z219c ポリヌクレオチドをコ−ドした遺
伝子の発現を阻害するために用いられる。
【0208】 本発明のポリヌクレオチドはまた、疾患、あるいは他のヒトの体質に関連する
ヒト第3 染色体の異常を検出するために用いられる。本発明のポリヌクレオチド
は、ヒト第3 染色体の3p21.1からp13 の領域に位置する。いくつかのケモカイン
受容体(CMKBR1と2 と5 )が、膵癌に関連するマ−カ−と同様、ヒト第3 染色体
のこの領域に位置する。z219c は、WICGR ラジエ−ション ハイブリッド マッ
プ(radiation hybrid map)上、ヒト第3 染色体連鎖群の先頭から230.61 cR 3000
に位置する。近位、および遠位の枠組みマ−カ−はそれぞれWT-6691(D3S3117)と
D3S1313 である。周辺マ−カ−を用いると、z219c は、完全なLDB 第3 染色体地
図上、3p21.1からp13 領域に位置する。
【0209】 本発明は、また、診断的用途に用いることができるような試薬を提供する。例
えば、z219c 遺伝子が第3 染色体にあるか否か、あるいは突然変異が起こってい
るか否かを判断するために、z219c 遺伝子、あるいはz219c DNA あるいはRNA を
含むプロ−ブ、あるいはそれらのサブシ−クエンス(subsequence) を用いること
ができる。z219c 遺伝子座における検出可能な染色体異常は、異数性、および遺
伝子転写数の変化、および挿入、および欠失、および制限酵素認識部位の変化、
および転位を含むが、これらに限定されない。
【0210】 このような異常は、制限断片長多型(RFLP)分析、およびPCR 技術を使ってい
るショ−ト タンデム リピ−ト(short tandem repeat(STR))分析、および当
業界で周知の他の連鎖分析技術のような分子遺伝子技術を使うことによって、本
発明のポリヌクレオチドを用いて検出することができる(Sambrook他, ibid. 、
Ausubel 他, ibid. 、Marian,A.J.,Chest, 108 :255-265, 1995)。
【0211】 遺伝子の配置に関する正確な知識は、下記のいくつかの目的のために役立つこ
とができる。 1 )配列が、存在する遺伝子配列の一部かどうかを判断し、かつ、さらに周囲
の遺伝子配列をYACs、あるいはBACs、あるいはcDNAクロ−ンのような種種の形態
で得る目的、 2 )同じ染色体領域に因果関係を示す遺伝性疾患のための候補遺伝子を提供す
る目的、 3 )特定の遺伝子が何の機能を有するかの判断に役立ち得るマウスのようなモ
デル生物を相互参照する目的である。
【0212】 Z219a 遺伝子は第3 染色体の3p21.1からp13 の領域に位置する。機能がわかっ
ているいくつかの遺伝子がこの領域に位置する。例えば、高アルギニン型蛋白(A
RP) は3p21.1に位置する。ARP 欠損は、種種のタイプの固形腫瘍に関連しており
、さらに、コドン50における欠失、および突然変異が膵癌で観察されている(Sh
ridhar,R. 他, Cancer Res.,56:5576-5578, 1996、Shridhar,V. 他, Oncogene, 12 :1931-1939, 1996、Shridhar,V. 他,Oncogene, 14:2213-2216,1997)。さら
には、z219c ポリヌクレオチドプロ−ブは、これらのARP 欠損に関連する異常、
あるいは遺伝子型の検出に用いることができる。
【0213】 さらに、z219c ポリヌクレオチドプロ−ブは、3p21からp14 に位置するニュ−
ロセンサリ- ノンサンドロミック レセッシブ デフネス (neurosensory nonsu
ndromic recessive deafness(DFNB6))に関連する異常、あるいは遺伝子型の検出
に用いることができる。(Fukushima,K.他, Genoma Res. :305-308, 1995、Pe
tit,C., Nature Genet. 14:385-391, 1996)。
【0214】 さらに、他の遺伝子座の中でも、家族性非ポリポ−シス2 型結腸直腸癌(3p21.
3)、およびラ−セン症候群(3p21.1からp14.1 )、および非ケトン性II型高グリ
シン血症(3p21.2からp21.1 )の遺伝子座は、ヒトゲノムのこの領域に位置する
とともに、全てヒトの疾患状態に表われている。第3 染色体のこの領域のオンラ
イン メドライン インヘリタンス オブ マン(Online Mendellian Inherita
nce of Man (OMIM) )での遺伝子地図およびそれらの中の参考文献を、公共利用
できるwww サ−バ−(http://www3.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-post/omim/getmap?c
hromosome=3p21.1) で参照。
【0215】 これらの全ては、z219c 遺伝子と同じ染色体領域に関連性を示している遺伝性
疾患用の候補遺伝子として役立つ。 同様に、z219c 遺伝子自体の中の欠失は、遺伝性のヒトの疾患を引きおこす。
本発明の分子、例えば本発明のポリペプチド、アンタゴニスト、アゴニスト、ポ
リヌクレオチド及び抗体はz219c 遺伝子欠損に関連する検出、診断、予防、及び
治療の助けとなるであろう。
【0216】 “トランスジェニックマウス”と呼ばれるz219c 遺伝子を発現するよう工作さ
れたマウス、及び“ノックアウトマウス”と呼ばれるz219c 遺伝子機能を完全に
欠如したマウスも作り出すことができる(Snouwaert ら,Science 257 : 1083
. 1992 ; Lowell ら,Nature 366 : 740-42, 1993 ; Capecchi, M.R., Science
244 : 1288-1292, 1989 ; Palmiter, R.D.らAnnu Rev Genet. 20 : 465-499,
1986) 。例えば、いたるところで又は組織特異的もしくは組織限定的プロモータ
ー下でz219c を過剰発現するトランスジェニックマウスは、過剰発現が表現型を
引きおこすか否かを問うために用いることができる。
【0217】 例えば、野生型z219c ポリペプチド、そのポリペプチドフラグメント又は変異
体の過剰発現は、正常な細胞プロセスを変化させて、その結果、z219c 発現が機
能的に関連している組織を明らかにする表現型を形成し得、z219c のための治療
標的、そのアゴニスト又はアンタゴニストを指示し得る。例えば、技術者にとっ
て好ましいトランスジェニックマウスは、成熟z219c ポリペプチドを過剰発現す
るものである。更に、このような過剰発現は、ヒトの疾患と類似性を示す表現型
を作り出し得る。同様に、ノックアウトz219c マウスは、z219c が生体内で絶対
的に要求されるか否かを決定するために用いることができる。
【0218】 ノックアウトマウスの表現型は、z219c アンタゴニスト、例えば本明細書に記
載されるものが有し得る生体内効果を予想する。ヒトz219c cDNAは、ネズミz219
c mRNA,cDNA及びゲノムDNA を単離するために用いることができ、これらは次に
、ノックアウトマウスを作り出すために用いられる。これらのマウスは生体内系
においてz219c 遺伝子及びそれによりコードされるタンパク質を研究するために
用いることができ、そして対応するヒトの疾患のための生体内モデルとして用い
ることができる。更に、本明細書に記載されるz219c に対するz219c アンチセン
スポリヌクレオチド又はリボザイムのトランスジェニックマウス発現は、上述の
ノックアウトマウスと同様に用いることができる。
【0219】 z219c を用いる別の診断的適用を用いることができる。例えば、z219c 遺伝子
、z219c DNA もしくはRNA を含むプローブ又はそのサブ配列は、z219c 遺伝子が
、病気にかかっている組織において異なって発現されているか否かを決定するた
めに用いることができる。例えば、他の疾患の中で、z219c は、特定の膵臓、前
立腺、腸、咽候及び肺癌、又はこれらの組織に関連する他の疾患において発現さ
れ得る。あるいは、特定の組織におけるz219c 発現は、特定の病状において、正
常値に対して減少し得る。
【0220】 本発明の別の態様において、医薬として許容されるビヒクルと組み合わせて、
精製したz219c ポリペプチドを含む医薬組成物を供する。この医薬組成物は、哺
乳動物においてエネルギー収支を調節するために及び上皮細胞を損傷から保護す
るために用いられるであろう。
【0221】 エネルギー収支を調節することに関して、z219c ポリペプチドは細胞の代謝反
応を調節する。このような代謝反応には脂質生成、糖新生、グリコーゲン分解、
脂質生成、グルコース摂取、タンパク質合成、熱発生、酸素利用等がある。z219
c ポリペプチドの発現パターンは、上皮細胞組織内での発現を示す。上皮細胞保
護に関して、z219c ポリペプチドは、器官保護において、凍結保存のために、虚
血及び/又は炎症による損傷を防ぐための外科的前処理のために、又は同様の手
順において用いることができる。この点において、z219c ポリペプチドは、例え
ば脳における2−デオキシ−グルコース摂取等により証明されるように、栄養素
摂取を調節することにおいて利用性を見い出すことができる。
【0222】 z219c ポリペプチドは、哺乳動物のエネルギー収支を調節することができる。
z219c ポリペプチドの発現パターンは、膵臓での発現を示す。当該技術分野で知
られている別の方法又は本明細書に記載される別の方法の中で、哺乳動物のエネ
ルギー収支は、次の代謝機能:脂質生成、糖新生、グリコーゲン分解、脂質生成
、グルコース摂取、タンパク質合成、熱発生、酸素利用等のうちの1又は複数を
監視することにより評価することができる。これらの代謝機能は、以下により詳
述されるような、当業者に知られた技術(アッセイ又は動物モデル)により監視
される。
【0223】 例えば、インスリンの糖調節効果は、主に、肝臓、骨格筋及び脂肪組織におい
て発揮される。インスリンはこれら3つの組織においてその細胞のレセプターに
結合し、組織特異的作用を開始させる。それは結果として、例えばグルコース生
産を阻害してグルコース利用を刺激する。肝臓においては、インスリンは、グル
コース摂取を刺激して、糖新生及びグリコーゲン分解を阻害する。骨格筋及び脂
肪組織においては、インスリンは、グルコースの摂取、貯蔵及び利用を刺激する
よう機能する。
【0224】 更に、z219c ポリペプチドの膵臓での発現は、本発明の医薬組成物が、膵臓内
の神経分泌及び外分泌細胞の膨張の病的調節に関連する膵臓の疾患、例えばIDDM
、膵臓癌等の予防又は治療に役立ち得ることを示唆する。本発明の医薬組成物は
血糖値、インスリン抵抗性又は消化機能の病的調節に関連する不全を特徴とする
膵臓の状態の予防又は治療にも関連し得る。 上述の代謝機能の全てを監視するための当該技術分野で認められている方法が
存在する。これにより、当業者は、代謝調節機能について、z219c ポリペプチド
、フラグメント、融合タンパク質、抗体、アゴニスト及びアンタゴニストを評価
することができる。典型的な調節技術は以下に記述する。
【0225】 脂質生成、糖新生及び糖原病は哺乳動物のエネルギーバランスの相互に関係し
合った成分であり、それらは例えばob/obマウス又はdb/dbマウスを利用する公
知の技術により評価できうる。ob/obマウスはob(肥満)遺伝子座においての不
活性化性突然変異に対してホモ接合性である統系マウスである。かかるob/obマ
ウスは過食性又は代謝低下性であり、そして循環OBタンパク質の産生において欠
陥となっているものと信じられている。
【0226】 db/dbマウスはdb(糖尿病)遺伝子座においての不活性化性突然変異に対して
ホモ接合性である統系マウスである。db/dbマウスはob/obマウスのそれと似た
表現型を示すが、但しdb/dbマウスはより重篤な糖尿病表現型を示す。かかるdb
/dbマウスは循環OBタンパク質の効果に対して耐性であると信じられている。ま
た、このようなパラメーターを評価する様々なin vitro方法が当業界において公
知である。
【0227】 例えば、インスリン刺激脂質生成はトリグリセリドへの14C−酢酸の組込み(
Mackall ら、J. Biol. Chem. 251 : 6462-6464, 1976)又はトリグリセリド蓄積
(Kletzierら、Mol. Pharmacol. 41 : 393-398, 1992) を測定することにより追
跡できうる。
【0228】 グルコースの取込みは例えばインスリン刺激グルコース輸送のアッセイで評価
できうる。非形質転換分化L6筋管(G418の非存在下で維持) を1g/Lのグル
コース、0.5 又は 1.0%のBSA 、20mMのHepes 及び2mMのグルタミンを含むDMEM
の中に入れる。2〜5時間の培養後、培地を0.5 又は 1.0%のBSA 、20mMのHepe
s 、1mMのピルビン酸塩及び2mMのグルタミンを含む新鮮なグルコースフリーDM
EMと交換する。適当な濃度のインスリンもしくはIGF-1 、又は試験物質の希釈系
列を加え、そして細胞を20〜30分インキュベーションする。 3H又は14C−ラベ
ル化デオキシグルコースを約50 1M最終濃度になるように加え、そしてその細
胞を約10〜30分インキュベーションする。次いでその細胞を低温バッファー (例
えばPBS)ですばやくすすぎ、そして適当な溶解剤 (例えば1%のSDS 又は1Nの
NaOH) で溶解する。
【0229】 この細胞リゼートをシンチレーションカウンターでカウンティングすることに
より評価する。グルコース輸送のインヒビターであるサイトカウシンbの存在下
で細胞をインキュベーションすることにより決定される非特異的結合能を差し引
いた細胞結合放射能をグルコース輸送の尺度とする。その他の方法には、例えば
Manchesterら、Am. J. Physiol. 266 (Endocrinol Metab. 29) : E326-E333, 1
994(インスリン刺激グルコース輸送) に記載のものが挙げられる。
【0230】 タンパク質合成は例えば、試験細胞と35S−メチオニンとのインキュベーショ
ン、並びに35S−メチオニン及びタンパク質合成の推定モジュレーターとのイン
キュベーション後の35S−メチオニンラベル化タンパク質の沈殿を比較すること
により評価できうる。
【0231】 熱発生は下記の文献に記載されている通りに評価できうる: B. Stanley The Biology of Neuropeptide Y and Related Peptides , W. Colmers and C. Wahles
tedt (eds.), Humana Press, Ottawa, 1993, pp. 457-509 ; C. BillingtonらAm . J. Physiol . 260 : R321, 1991 ; N. Zarjevski らEndocrinology 133 : 17
53, 1993 ; C. BillingtonらAm. J. Physiol. 266 : R1765, 1994 ; HellerらAm . J. Physiol. 252 (4 Pt 2) : R661-7, 1987 ; 及びHellerらAm. J. Physiol. 245 (3) : R321-8, 1983。また、様々な技術により測定し得る代謝速度は熱発生
の間接的な尺度である。
【0232】 酸素有用率はHellerら、Pflugers Arch 369 (1) : 55-9, 1977に記載の通り
にして評価できうる。この方法はハイポタルミー (hypothalmic)温度及び代謝熱
生成の分析である。酸素有用率及び熱制御はHaskell ら、J. Appl. Physiol. 51
(4) : 948-54, 1981 に記載の通りヒトでも評価されている。
【0233】 z219c ポリペプチドは小腸、膵臓及び気管で発現される。これらの器官由来の
分泌産物は正常な胃の上皮及び機能の維持に重要な役割を果たす。かくして、本
発明のz219c ポリペプチド医薬組成物は胃の粘膜炎の予防又は処置においても有
用でありうる。粘膜炎は口内及び胃の上皮の保全性の損傷及び低下により明白と
なる。かかる損傷は往々にして微生物の侵入部位を司り、敗血症を招く。粘膜炎
は往々にして化学治療及び放射線治療により誘導され、そして往々にして用量依
存性副作用であり、並びにかかる処置を受けている疾患者の死因となる。
【0234】 本発明のz219c ポリペプチドはいくつかの成長因子及びサイトカイン、例えば
インターロイキン−IIと似たような胃粘膜炎に対する保護を供しうる(Orazi, A
. ら、Lab. Invest. 75 : 33-42, 1996) 。胃粘膜炎のz219c の予防又は治療の
効果はin vivo 動物モデル、例えばシリアンハムスターモデル又はネズミモデル
で、当業界に記載の方法を利用して測定できる (Sonis, S.T. ら、Oral Surg. O ral Med. Oral Pathol . 69 : 437-443, 1990 ; Farrell, C.L.ら、Cancer Res. 58 : 933-939 ; 1998 ; Orazi, A. ら前掲) 。
【0235】 z219c ポリペプチドは小腸内で発現される。かくして、本発明のz219c ポリペ
プチド医薬組成物はGI管の消化障害、例えば病理学的分泌細胞の増殖又は分化に
係る障害の予防又は処置においても有用でありうる。かかる増殖又は分化をモニ
ターする、及びその予防又は治療におけるz219c ポリペプチド、フラグメント、
融合タンパク質、抗体、作動因子もしくは拮抗因子を評価するためのアッセイ及
び動物モデルは当業界において公知である。
【0236】 更に、腸内の三葉形因子は腸内の粘膜の安定化及び急性傷害、特に上皮外回旋
に係る修復過程に関与することが知られる(Poulsom, R., Bail. Clin. Gastro., 10 ; 113-134, 1996 ; Sands, B.E., and Podolsky, D.K., Annu. Rev. Physiol .,58 ; 253-273, 1996) 。また、三葉形タンパク質は腸内炎症疾患により生ずる
創傷の治療及び粘膜分泌の関与を介する微生物の侵入に対する耐性を司るようで
ある(Palut, A.G, New Eng. J. Med., 336 ; 5-6-507, 1997 ; Playford, R.J.
, J. Royal Coll. Phys. London, 31 : 37-41, 1997) 。
【0237】 上皮成長因子 (EGF)レセプターリガンドは腸内の三葉形活性の増強を司りうる
。しかしながら、粘膜損傷の修復は腸内の主たる内因性EGF レセプターリガンド
、TNF-a には依存せず、他の不明なリガンドの役割が示唆される (Cook, G.A.ら
Am. Physiol. Soc., G1540-G1549, 1997) 。例えば、z219c ポリペプチドは三
葉形経路においてリガンド、調節タンパク質又はその他の因子として働くことが
あり、それ故腸及び粘膜上皮に係る病気及び損傷において重要な治療的役割を司
る。
【0238】 又、z219c ポリペプチドは膵臓において発現し、その機能は胃腸の機能から独
立しうる。このように本発明のz219c ポリペプチド医薬組成物は、本発明あるい
は膵臓内の神経内分泌又は外分泌細胞の膨脹の病理学上制御と関連する膵臓の疾
病、例えばIDDM、膵臓ガン、血液グルコース濃度の病理学上制御、インスリン耐
性又は消化機能において有用である。
【0239】 本発明のz219c ポリペプチドは、神経内分泌/外分泌細胞の運命決定経路にお
いて作用する事ができ、そしてそれ故に膵臓における神経内分泌及び外分泌の細
胞の膨脹を引き起こす能力がある。その様な製御の使用の1つは、小島細胞再生
のそれである。又、子宮内で自己免疫がIDDMの開始の引き金を引き、そしてz219
c ポリペプチドは細胞分割に関わる発生遺伝子であると仮定されている。検定及
び動物モデルは外分泌/神経内分泌細胞系譜決定の監視のため、膵臓細胞の平衡
を観察するため及び本発明又は前述の状態の治療におけるz219c ポリペプチド、
フラグメント、融合タンパク質、抗体、アゴニスト又はアンタゴニストの評価の
ため当業界で知られている。
【0240】 本発明の別の観点において、医薬として許容される賦形剤と組合わせて成る精
製z219c ポリペプチドを含んで成る医薬組成物の提供がある。その様な医薬組成
物は唾液腺機能不全の予防又は治療のために投与されうる。その様な予防又は治
療は、消化機能不全、例えば澱粉分解能力又は能率における欠損、創傷治癒機能
不全、不十分な唾液産生若しくは組成又は粘膜の完全消化に向ける事ができる。
z219c ポリペプチドは抗菌機能も有する。又、気管における比較的高レベルでの
z219c ポリペプチドの発現は、本発明又は壊滅的な肺の病気におけるz219c ポリ
ペプチドの役割を示していよう。
【0241】 1又は複数の前記の診断基準によって特徴づけられる、病気の状態の例は、口
内乾燥症、類肉腫症、虫歯、骨髄炎、口腔カンジダ症、口腔粘膜感染症、慢性炎
症(ショーグレーン症候群)、おたふくかぜ、慢性気管支炎、成人呼吸困難症候
群(ARDS) 、突然乳児死亡症候群 (SIDS) 、唾液腺癌、ニューモシスティックカ
リニイ (pneumocystic carinii)(特にAIDS患者と関連) 、嚢胞性線維症、気腫な
どを含む。
【0242】 その様な症状に関わるz219c ポリペプチドの評価は当業界における通常の熟練
のそれらに知られるin vivo 又はin vitroの方法を用いて行われうる。例えば気
管支肺胞性洗浄は壊滅的な肺の病気、例えば肺性気腫、慢性気管支炎、嚢胞性線
維症、ARDSなどの評価において適用されうる。例えば Luisetti et al., Respir ation 59 (suppl. 1) : 24-27, 1992 を参照にせよ。唾液腺、涙腺及び唇唾液
腺の生検法は口内乾燥症に適用されうる。
【0243】 例えばMatsumoto et al., J. Clin. Invest. 97 (8) : 1969-77, 1996. を参
照にせよ。このカルシウムチャンネル依存の症状は、 Seagrave et al., Archs. Oral Biol . 41 (5) : 425-30, 1996.に記載された様に細胞内カルシウムイオン
濃度のフラー2アッセイを用いても評価されてきた。リンパ形成不全(aly)マウ
スは、症候的なドライアイ及びマウスへと導く、涙腺及び唾液腺へのリンパ球浸
入によって特徴づけられる全身系のショーグレーン症候群及び自己免疫疾患のた
めの有用な動物モデルである。例えば Furukawa et al., British Journal of R heumatology 35 : 1223-30, 1996. を参照にせよ。
【0244】 医薬としての利用のため、本発明のタンパク質は非経口の、特に静脈の又は皮
下の、輸送のために調製される。静脈投与は、典型的な1〜数時間の期間を超え
て巨丸剤の注射又は注入によってなされる。局所的な効果に適用されるものは好
ましく、例えば局在(例えば膵臓性)幹細胞由来の成熟細胞胞のある型の形成に
影響するための、局所的な投与のために設計された製剤が好ましい。その様な医
薬組成物は、例えば注入又は他の局所的輸送法に従い、そして放出維持のために
追加として調製されうる。
【0245】 様々な投与形態のための医薬組成物の調製は、当業界の通常の熟練の範囲内で
ある。通常、医薬組成物とは、医薬として許容の賦形剤、例えば塩水、緩衝化塩
水、水中の5%デキストロースなどと一緒のz219c タンパク質を含む。更に製剤
は1又は複数の補形剤、保存剤、可溶化剤、緩衝化剤、容器表面上でのタンパク
質の損失を防ぐためのアルブミンなどを含みうる。調製方法は当業界で公知であ
り、そして例えばRemington : The Science and Practice of Pharmacy, Gennar
o, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th ed., 1995.において開示され
ている。
【0246】 治療的投薬量は通常治療される症状の種類及び苦しさ、患者の特徴などを考慮
して、容認標準に従い臨床医によって決定される。投薬量の決定は、当業者の通
常の熟練のレベルの範囲内である。本タンパク質は、深刻な治療のために、1週
間又はそれ以下を超えて、しばしば1〜3日の期間を超えて投与されることがで
き、あるいは慢性的な治療において、数ケ月又は年を超えて使用されうる。 限定のためでなく、以下の実施例から更に本発明を説明する。
【0247】実施例 実施例1EST 配列の伸長 参照としての単一配列を含むヒトタンパク質を用いて、翻訳DNA データベース
を検索した結果、2-19ファミリーにおいて、マウスEF-7に相同な発現配列タグ (
EST)の配列、名称z219c 、が同定された。 そのEST の起源であるcDNAの配列分析により、そのEST 配列を確認した。この
cDNAは、プラスミドに含まれており、クローニング部位のEcoRI 及びNotIを用い
てこれを切り出した。1つのcDNAクローンが得られ、プライマー:ZC694(配列番
号9)及びZC695(配列番号10) を用いてその配列を決定した。このクローンの3
’末端は完全であったが、5’末端は不完全であった。
【0248】 追加のcDNA配列を生成させるために、5’RACE (cDNA末端急速増幅) 反応を用
いた。鋳型として胃の「marathon ready」cDNAライブラリーを用い、オリゴヌク
レオチドZC13,978 (配列番号11) 及びmarathonプライマーAP-1 (Clontech) によ
り、PCR 反応を以下の様に実施した:94℃30秒、68℃20秒及び72℃30秒、30サイ
クル;続いて72℃5分、1サイクル。この産物を1:50に希釈したものを鋳型と
して用い、オリゴヌクレオチドZC15,288 (配列番号12) 及びmarathonプライマー
AP-2 (Clontech) により、前記と同一な条件下で25サイクル反応して、5’ネス
ト (nested) RACEを行った。
【0249】 この産物をゲル電気泳動した結果、 350〜400bp 間に2つの異なるバンドが生
じた。これらのバンドを単離し、そしてゲル抽出を行った(QIAEX II, Qiagen)
。これらの断片の配列を決定し、より小さい断片を分析したところ、z219c の5
’末端に相同であること、そしてその配列が開始メチオニンまで伸長しているこ
とが示された。この配列分析から、このDNA が、z219c をコードするDNA の完全
なコード領域を含んでいることが判明した。
【0250】実施例2組織分布 ヒト複組織(Human Multiple Tissue)及びマスタードットブロット (Master D
ot Blots) (Clontech, Palo Alto, CA) を用いてノーザンブロット分析を行った
。プライマーZC14,067 (配列番号13) 及びZC14,068 (配列番号14) 、並びに鋳型
としてのz219c クローンを用いたPCR により、プローブを作成した。増幅のため
に、当遺伝子内部の452bp 断片を選んだ。PCR の条件は次の通りとした:94℃5
分、1サイクル;94℃30秒、60℃30秒、30サイクル;続いて4℃保持。生じた産
物の試料をゲル泳動して、産物のサイズ及び純度を確認した。
【0251】 標的DNA に対応するバンドを切り出し、QIAquickゲル抽出キット (QIAGEN INC
. Chatsworth CA)によりそのゲルから精製し、そしてランダムプライマーによる
DNA 標識系REDIPRIME (Amersham, Arlington Heights, IL) を用い、取扱説明書
に従って放射性標識した。このプローブを、NUCTRAP プッシュカラム (Stratage
ne Clonig Systems, La Jolla, CA)を用いて精製した。EXPESSHYB (Clonteck)溶
液を、ノーザンブロットのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーシ
ョン溶液として用いた。ハイブリダイゼーションを一晩50℃で行った。そしてそ
のブロットを、室温で2×SSC 及び0.05% SDS中で、次に55℃で1×SSC 及び 0
.1% SDS中で、次に55℃で 0.1×SSC 及び 0.1% SDSで洗浄した。
【0252】 前記MTN 上で約1kbの位置に1つの転写物を認めた。このシグナル強度は、気
管において最も高く、胃及び大腸では強く、そして膵臓、前立腺及び小腸では中
位に強かった。前記ドットブロットから、唾液腺でもシグナルが強く、腎臓、胎
児腎臓、胎児肝臓、胎児脾臓、胎児胸腺及び胎児肺ではシグナルがかすかである
ことが示された。
【0253】実施例3PCR によるz219c 遺伝子の染色体マッピング 市販の「Gene Bridge 4 放射線ハイブリッドパネル (Gene Bridge 4 Radiatio
n Hybrid Panel) 」(Research Genetics, Inc.) を用いて、z219c が3番染色体
に位置することを決定した。このGene Bridge 4 放射線ハイブリッドパネルは、
93の放射線ハイブリッドクローンの各々に由来するDNA 、及び2つのコントロー
ルDNA (HFL供与者及びA23 受容者) を含んでいる。公開されているwww サーバー
(http://wwwgenome.wi.mit.edu/cgi-bin/contig/rhmapper.pl) により、ホワイ
トヘッド研究所/MIT ゲノム研究センター (Whitehead Institute/MIT Center f
or Genome Research) のヒトゲノムの放射線ハイブリッド地図 (「WICGR 」放射
線ハイブリッド地図)(これは、Gnne Bridge 4 放射線ハイブリッドパネルにより
構築されたものである) 上で位置決定できる。
【0254】 「Gene Bridge 4 放射線ハイブリッドパネル」によるz219c の位置決定のため
に、96ウェルマイクロプレート (Stratagene, La Jolla, CA) 上に20μl 反応液
を用意し、「RoboCycler Gradient 96」サーマルサイクラー (Stratagene) 中で
反応させた。95の各PCR 反応液は、10×KlenTaq PCR 反応緩衝液 (Clontech Lab
oratories, Inc., Palo Alto, CA) 2μl 、dNTPs 混合液 (各2.5mM 、PERKIN-E
LMER, Foster City, CA)1.6 μl 、センスプライマーZC14,869 (配列番号15)1
μl 、アンチセンスプライマーZC14,868 (配列番号16) 1μl 、「RediLoad」(R
esearch Genetics, Inc., Huntsville, AL) 2μl 、50×Advantage KlenTaq Po
ymerase Mix (Clontech Laboratories, Inc.)0.4μl 、各ハイブリッドクローン
又はコントロール由来のDNA 25ng、及び総量を20μl にするためのddH2O から構
成された。反応液上に等量のミネラルオイルをのせて、密閉した。PCR サイクル
の条件は次の通りとした:最初の変性のための95℃5分、1サイクル;変性のた
めの95℃1分、アニールのための60℃1分及び伸長のための72℃ 1.5分、35サイ
クル;続いて最後の伸長のための72℃7分、1サイクル。この反応液を、2%ア
ガロースゲル電気泳動(Life Technologies, Gaithersburg, MD)で分離した。
【0255】 その結果、z219c は、WICGR 放射線ハイブリッド地図上で、ヒト3番染色体連
結群の上端から 230.61 cR 3000の位置にあることが決定された。近位及び遠位
のフレームワークマーカーは、各々WI-6691 (D3S3117) 及びD3S1313 であった。
周囲のマーカーにより、z219c は、完全LOB 3番染色体地図上の3p21.1-p13領域
に位置決定された (The Genetic Location Database, University of South ham
ton, wwwサーバー:http://cedar.genetics.soton.ac.uk/public html/)。 前記載から、本発明の特定の態様が、説明のために記載されているが、発明の
意図及び範囲からはずれることなく種々の改変が可能であることがわかるであろ
う。従って本発明は、特許請求の範囲による以外では、限定されない。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図は、z219c (z219c.pep)(配列番号2)、ネズミEF-7タンパク質 (MMU72677 1) (配列番号17) 、ヒト2-19タンパク質(219 HUMAN) (配列番号18) 、及びD871
20(D87120 1) ( 配列番号19) の複数の整列を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月30日(2000.5.30)
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】要約書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【要約】 本発明は、ヒト2-19タンパク質ファミリーの新規なメンバーであるz219c のポ
リヌクレオチド及びポリペプチド分子に関する。該ポリペプチド及び該ポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドは、種々のヒトの疾患状態及び染色体異常を
検出するために使用することができる。本発明はまた、z219c ポリペプチドに対
する抗体も含む。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/566 33/566 C12P 21/08 // C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ブラムバーグ,ハル アメリカ合衆国,ワシントン 98103,シ アトル,サニーサイド アベニュ ノース 4620 (72)発明者 デイシャー,テリーサ エー. アメリカ合衆国,ワシントン 98115,シ アトル,ノースイースト シクスティーフ ァースト ストリート 6317

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)配列番号:2のアミノ酸番号23 (Phe)からアミノ酸番
    号232 (Phe) に示すアミノ酸配列;及び (b)配列番号:2のアミノ酸番号1(Met)からアミノ酸番号223 (Phe)に示
    すアミノ酸配列; から成る群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミ
    ノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオ
    チド。
  2. 【請求項2】 (a)配列番号:1のヌクレオチド285 からヌクレオチド89
    0 に示すヌクレオチド配列を含んで成るポリヌクレオチド分子; (b)配列番号:1のヌクレオチド222 からヌクレオチド890 に示すヌクレオ
    チド配列を含んで成るポリヌクレオチド分子;及び (c)前記(a)又は(b)に相補的であるポリヌクレオチド分子; から成る群から選択される単離されたポリヌクレオチド分子。
  3. 【請求項3】 前記ポリヌクレオチドが配列番号:8のヌクレオチド1〜ヌ
    クレオチド669 を含んで成る、請求項1に記載の単離されたポリヌクチオチド分
    子; から成る群から選択された単離されたポリヌクレオチド分子。
  4. 【請求項4】 前記ポリペプチドが、配列番号:2のアミノ酸番号23 (Phe)
    からアミノ酸番号223 (Phe) のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一である
    アミノ酸残基の配列から成る、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 前記z219a ポリペプチドが、配列番号:2のアミノ酸番号23
    (Phe)からアミノ酸番号223 (Phe) に示すアミノ酸残基の配列から成る、請求項
    4に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 前記ポリヌクレオチドが、コンフィグレーション M1-{25-2
    6 }-M2-{15}-M3-{11}-M4-{34-36 }-M5 のN−末端からC−末端までに、
    離れて配置されたモチーフ1,2,3,4及び5を含有するポリペプチドをコー
    ドする、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド分子。
  7. 【請求項7】 作用可能に連結された下記要素: 転写プロモーター; 配列番号:2のアミノ酸番号23 (Phe)からアミノ酸番号223 (Phe) に示すアミ
    ノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるz219a ポリペプチド配列をコードす
    るセグメント;及び 転写停止ターミネーター; を含んで成り、ここで前記プロモーターが前記DNA セグメントに作用可能に連結
    されており、そして前記DNA セグメントが前記転写ターミネーターに作用可能に
    連結されている、発現ベクター。
  8. 【請求項8】 前記DNA セグメントに作用可能に連結された分泌シグナル配
    列を含んで成る、請求項7に記載の発現ベクター。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の発現ベクターが導入されており、そして前
    記DNA セグメントによりコードされているペプチドを発現する培養細胞。
  10. 【請求項10】 融合タンパク質をコードするDNA 構成物であって、 配列番号:2のアミノ酸残基1(Met)から21 (Met)の配列に対して少なくとも
    90%同一であるポリペプチドをコードする第一DNA セグメント;及び 追加のポリペプチドをコードする第二DNA セグメント; を含んで成り、 ここで前記第一DNA セグメントと第二DNA とがフレーム内で連結されており、
    そして 前記融合タンパク質をコードしている; ことを特徴とするDNA 構成物。
  11. 【請求項11】 (a)配列番号:2のアミノ酸残基23 (Phe)からアミノ酸
    残基223 (Phe) に示すアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド分子;及び (b)配列番号:2のアミノ酸残基1(Met)からアミノ酸残基223 (Phe) に示
    すアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド分子; から成る群から選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミ
    ノ酸残基の配列を含んで成る単離されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 前記ポリペプチドが、配列番号:2のアミノ酸番号23 (Ph
    e)からアミノ酸番号223 (Phe) に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一
    であるアミノ酸残基の配列から成る請求項11に記載の単離されたポリペプチド。
  13. 【請求項13】 前記アミノ酸残基の配列が、配列番号:2のアミノ酸番号
    23 (Phe)からアミノ酸番号223 (Phe) に示すアミノ酸配列の配列である、請求項
    12に記載の単離されたポリペプチド。
  14. 【請求項14】 前記ポリペプチド分子が、コンフィグレーション M1-{25
    -26 }-M2-{15}-M3-{11}-M4-{34-36 }-M5 におけるN−末端からC−末端
    までに、離れて配置されたモチーフ1,2,3,4及び5をコードする、請求項
    11に記載の単離されたポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項9に記載の細胞を培養し;そして 該細胞により生産されたz219c ポリペプチドを単離する; ことを含んで成る、z219c ポリペプチドの製造方法。
  16. 【請求項16】 z219c ポリペプチドに対する抗体の製造方法であって、 (a)配列番号:2のアミノ酸番号23 (Phe)からアミノ酸番号223 (Phe) まで
    のアミノ酸の連続する配列に対して少なくとも90%同一である9〜210 個のアミ
    ノ酸から成るポリペプチド; (b)配列番号:2のアミノ酸番号22 (Phe)からアミノ酸番号88 (Ile)までの
    アミノ酸配列から成るポリペプチド; (c)配列番号:2のアミノ酸番号23 (Phe)からアミノ酸番号223 (Phe) まで
    のアミノ酸配列から成るポリペプチド; (d)配列番号:2のアミノ酸番号51 (Lys)からアミノ酸番号124 (Asp) まで
    のアミノ酸配列から成るポリペプチド; (e)配列番号:2のアミノ酸番号125 (Val) からアミノ酸番号202 (Thr) ま
    でのアミノ酸配列から成るポリペプチド;及び (f)配列番号:2のアミノ酸203 (Phe) からアミノ酸223 (Phe) までのアミ
    ノ酸配列から成るポリペプチド; から成る群から選択されたポリペプチドを動物に接種し; ここで、前記ポリペプチドは前記動物中で免疫応答を惹起して抗体を産生し;
    そして 前記動物から前記抗体を単離する; ことを含んで成る方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法により産生された、z219c ポリペプ
    チドに結合する抗体。
  18. 【請求項18】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項17に記載の抗体
  19. 【請求項19】 請求項11に記載のポリペプチドに結合する抗体。
  20. 【請求項20】 試験試料中のz219c タンパク質活性の拮抗物質の存在を検
    出する方法であって、 z219c −応答性細胞を、z219c −刺激細胞性経過に応答性のレポーター遺伝子
    構成物によりトランスフェクトし; 請求項15に記載の方法によりz219c ポリペプチドを製造し; 被験試料の存在下又は非存在下で、前記細胞に前記z219c ポリペプチドを添加
    し; 前記被験試料の存在下又は非存在下で、生物学的アッセイ又は生化学的アッセ
    イにより、前記z219c ポリペプチドに対する応答のレベルを比較し;そして 前記の比較から、試験試料中のz219c 活性の拮抗物質存在を決定する; ことを含んで成る方法。
  21. 【請求項21】 試験試料中のz219c タンパク質活性のアゴニストの存在を
    検出する方法において、 z219c −刺激細胞性経路に応答性のレポーター遺伝子構成物によりz219c −応
    答性細胞をトランスフェクトし; 試験試料を添加し; 前記試験試料の存在下又は非存在下で生物学的アッセイ又は生化学的アッセイ
    により、応答のレベルを比較し;そして 前記の比較から、前記試験試料中のz219c 活性のアゴニストの存在を決定する
    、 ことを含んで成る方法。
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