JP3762220B2 - 脂肪細胞特異的タンパク質分子 - Google Patents
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Description
発明の背景
エネルギーバランス( エネルギー代謝、栄養状態、脂質貯蔵及び同様のもの)は、健康のための重要な基準である。このエネルギーホメオスタシスは、自発的且つ付随的機能を生成するために、食物摂取並びに炭水化物及び脂質の代謝を包含する。タンパク質の代謝はエネルギー発生を導くが、しかし好ましくは筋肉形成又は修復を導く。他の結果の中で、エネルギーホメオスタシスの欠損は、脂肪組織の過剰又は過少形成を導く。
【0002】
脂肪の形成及び貯蔵は、インスリンにより調節される。たとえば、インスリンは細胞中へのグルコースの輸送を刺激し、ここでそれはトリグリセリドとしての脂肪酸の貯蔵を可能にするためにその脂肪酸のエステル交換に使用されるα−グリセロリン酸に代謝される。さらに、脂肪細胞は、脂肪細胞への遊離脂肪酸の移行を増強する特異的輸送タンパク質を発現する。
【0003】
脂肪細胞はまた、グルコース及び脂肪代謝のホメオスタシス性制御を調節すると思われている。それらの追加の脂肪細胞により分泌されるタンパク質は、アジプシン(adipsin) 、補体因子C3及びB、腫瘍壊死因子α、ob遺伝子生成物及びAcrp30を包含する。脂肪細胞にインスリンにより調節される分泌経路が存在することを示す証拠がまた存在する。Scherer など.,J. Biol.Chem.270(45):26746-9,1995 。脂肪組織の過剰又は過少形成により一部、影響を与えられる、それらの成分の過剰又は過少分泌は、肥満症又は食欲不振に直接的に又は間接的に関連する病理学的状態を導くことができる。
【0004】
Acrp30は、脂肪細胞により独占的に発現される247 個のアミノ酸ポリペプチドである。Acrp30ポリペプチドは、アミノ末端シグナル配列、相同性の知られていない27個のアミノ酸延長部、22個のGly-Xaa-Pro 又はGly-Xaa-Xaa コラーゲン反復配列及びカルボキシ末端球状ドメインから構成される。上記Scherer など及び国際特許出願番号WO96/39429 号を参照のこと。Acrp30、すなわちインスリンにより調節される豊富なヒト血清タンパク質は、補体因子Clg 、及び冬眠性シベリアシマリス夏期血清タンパク質に対して、特にカルボキシ−末端球状ドメインにおいて構造的類似性を有する。Acrp30の発現は、脂肪細胞分化の間、100 倍以上誘発される。Acrp30は、エネルギーバランスの調節及び試験サンプルにおける脂肪細胞の同定への使用のために提供される。
【0005】
脂肪細胞において独占的に生成されると思われるもう1 つの分泌されるタンパク質は、Maeda など.,Biochem.Biophys.Res.Comm.221:286―9,1996に記載されるapM1である。4517bpのクローンは、244 個のアミノ酸のオープンリーディングフレーム及び長い3’未翻訳領域を有した。前記タンパク質は、シグナル配列、アミノ−末端非コラーゲン配列、22個のコラーゲン反復体(Gly-Xaa-pro 又はGly-Xaa-Xaa)、及びコラーゲンX、コラーゲンVIII及び補体Clq に対して相同性を有するカルボキシ−末端領域を含んだ。
【0006】
補体因子Clq は、3種の関連するポリペプチド(A,B及びC鎖)の6 個のコピーから成り、そして個々のポリペプチドは近くのアミノ−末端コラーゲン ドメイン及びカルボキシ−末端球状領域を有する約255 個のアミノ酸の長さである。6 個の三重らせん領域は、中心領域及び6 個の茎状部を形成する、6 個のA鎖、6 個のB鎖及び6 個のC鎖のコラーゲン ドメインにより形成される。球状ヘッド部分は、A,B及びCの球状カルボキシ末端ドメインの会合により形成される。従って、Clq は、中心の細繊維領域に、6 個のコラーゲン様茎状部を通して結合される6 個の球状ヘッドから構成される。Sellarなど.,Biochem,J.274:481-90,1991 。この配置は、しばしば、花のブーケットとして言及される。Acrp30は、単一型のポリペプチド鎖から形成された類似するブーケット構造を有する。
【0007】
エネルギーホメオスタシスを調節できる分子が、この現象の研究及び不均衡の防止又は処理のために研究される。また、脂肪細胞分泌経路を調節できる分子は、間接的なエネルギーホメオスタシス モジュレータとして及び調査試薬として研究される。
本発明は、当業者に明らかである、それらの及び他の用途のためにそのようなペプチドを供給する。
【0008】
発明の要約
1 つの観点において、本発明は、配列番号2の残基28〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列( 前記配列はコラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成り、前記Xaa はいずれかのアミノ酸である);及びカルボキシ−末端球状部分を含んで成る単離されたポリペプチドを提供する。1 つの態様において、前記ポリペプドは、配列番号2の残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも90%同一である。関連する観点においては。ポリペプチドは、配列番号2 の残基22〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも90%同一である。もう1 つの態様において、ポリペプチドは、配列番号2又は配列番号44の残基1 〜288 を含んで成る。もう1 つの態様においては、ポリペプチドは、親和性標識、毒素、放射性ヌクレオチド、酸素及び蛍光団から成る群れから選択された成分にアミノ末端又はカルボキシ末端共有結合される。関連する態様においては、さらに、前記アミノ酸残基の配列と前記親和性標識との間にタンパク質加水分解部位が提供される。
【0009】
もう1 つの態様においては、a)配列番号2のアミノ酸残基99〜140 に対して、アミノ酸配列において75%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;b)配列番号2のアミノ酸残基140 又は141 〜281 に対して、アミノ酸配列において75%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチド;及びc)配列記号2のアミノ酸残基99〜281 に対して、アミノ酸配列において75%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチドから成る群から選択された、単離されたポリペプチドが供給される。
【0010】
もう1 つの観点においては、第1部分及びペプチド結合により連結される第2部分から実質的に成る融合たんぱく質が提供され、ここで前期第1部分は、a)配列番号2のアミノ酸残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチド;b)配列番号2のアミノ酸残基1,22又は26〜281 に示されるようなアミノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチド;c)配列番号44のアミノ酸残基1,22又は26〜281 に示されるようなアミノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチド;d)コラーゲン−様ドメイン、又は二量体化もしくはオリゴマー化できるコラーゲン−様ドメインの一部を含む、配列番号2又は44に示されるzsig37ポリペプチドの一部;e)球状−様ドメイン、又は球状−様ドメインの活性部分を含む配列番号2又は44に示されるzsig37ポリペプチドの一部;及びf)コラーゲン−様ドメイン及び球状ドメインを含む、配列番号2又は44に示されるzsig 37 ポリペプチドの一部から成る群から選択されたポリペプチドを含んで成り;そして前記第2部分は、もう1 つのポリペプチドを含んで成る。
【0011】
1 つの態様において、前記第1部分は, a)配列番号2又は44のアミノ酸残基99〜140 の配列を有するポリペプチド;b)配列番号2又は44のアミノ酸残基140 又は141 〜281 の配列を有するポリペプチド;及びc)配列番号2又は44のアミノ酸残基99〜281 の配列を有するポリペプチドから成る群から選択される。
【0012】
もう1 つの観点においては、配列番号2 又は44のアミノ酸残基1 〜21又は1 〜25のアミノ酸配列を有する分泌シグナル配列を含んで成る融合たんぱく質が提供され、ここで前記分泌シグナル配列は追加のポリペプチドに作用可能に連結される。
【0013】
もう1 つの観点においては、次の作用可能的に連結された要素:転写プロモ−ター;コラーゲン ドメインを形成するGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成る、配列番号2 の残基26〜281 に対してアミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチドをコードするDNA セグメント;並びに転写ターミネーターを含んで成る発現ベクターが提供される。1 つの態様において、前記DNA セグメントは、配列番号2の残基26〜281 に対してアミノ酸配列において少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする。
【0014】
もう1 つの態様においては、前記DNA セグメントは、配列番号2 の残基22〜281 に対してアミノ酸配列において少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする。もう1 つの態様においては、前記DNA セグメントは、配列番号2 又は44の残基1 〜281 を含んで成るポリペプチドをコードする。もう1 つの態様においては、前期DNA セグメントはアミノ末端又はカルボキシ末端で親和性標識に共有結合されるポリペプチドをコードする。もう1 つの態様において、分泌シグナル配列は、配列番号2 又は44の残基1 〜21又は1〜25を含んで成る。
【0015】
もう1 つの観点においては、次の作用可能に連結された要素:転写プロモーター;配列番号2 の残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列( ここで前記配列はコラーゲンドメインをGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成り、そして前記Xaa はいずれかのアミノ酸である) ;及びカルボキシン−端末球状部分を含んで成るポリペプチドをコードするDNA セグメント;並びに転写ターミネーターを含んで成る発現ベクターを導入されている培養された細胞が供給され、ここで前記細胞が前記DNA セグメントによりコードされる前記ポリペプチドを発現する。
【0016】
さらにもう1 つの観点においては、次の作用可能に連結された要素:転写プロモーター;配列番号2 の残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列( ここで前記配列コラーゲン ドメインをGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成り、そして前記Xaa はいずれかのアミノ酸である) 及びカルボキシ−末端球状部分を含んで成るポリペプチドをコードするDNA セグメント;並びに転写ターミネーターを含んで成る発現ベクターを導入されている細胞を培養し;それにより、前記細胞は前記DNA セグメントによりコードされる前記ポリペプチドを発現し;そして前記発現されたポリペプチドを回収することを含んで成るポリペプチドの製造方法が提供される。
【0017】
もう1 つの観点においては、配列番号2の残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列( ここで前記配列は、コラーゲン ドメインを形成するGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成り、ここでXaa はいずれかのアミノ酸である) 及びカルボキシ−末端球状部分を含んで成るポリペプチド;及び医薬的に許容できるビークルを含んで成る医薬組成物が供給される。
【0018】
さらにもう1 つの観点においては、配列番号2 の残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列( ここで前記配列は、コーラ−ゲン ドメインを形成するGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成り、ここでXaa はいずれかのアミノ酸である) 及びカルボキシ−末端球状部分を含んで成るポリペプチドのエピトープに対して特異的に結合する抗体が供給される。
【0019】
さらにもう1 つの観点においては、配列番号2 の残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列( ここで前記配列は、コラーゲン ドメインを形成するGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成り、ここでXaa はいずれかのアミノ酸である) 及びカルボキシ−末端球状部分を含んで成るポリペプチドのエピトープに対して特異的に結合する結合タンパク質が供給される。
【0020】
さらにもう1つの観点においては、配列番号2 の残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列( ここで前記配列は、コラーゲン ドメインを形成するGly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体を含んで成り、ここでXaa はいずれかのアミノ酸である) 及びカルボキシ−末端球状部分を含んで成るポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。1 つの態様において、前記ポリペプチドは、配列番号2 の残基22〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも90%同一である。もう一つの態様において、前記ポリペプチドは、配列番号2 又は44の残基1 〜281 を含んで成る。もう1 つの態様において、前記ポリヌクレオチドはDNA である。
【0021】
もう1 つの観点においては、a)配列番号1 のヌクレオチド465 〜688 のヌクレオチドの配列;b)配列番号1 のヌクレオチド688 〜1016のヌクレオチドの配列;c)配列番号1 のヌクレオチド691 〜1016のヌクレオチドの配列;d)配列番号1 のヌクレオチド465 〜1016のヌクレオチドの配列;e)配列番号43のヌクレオチド364 〜490 のヌクレオチドの配列;f)配列番号43のヌクレオチド490 〜912 のヌクレオチドの配列;g)配列番号43のヌクレオチド364 〜912 のヌクレオチドの配列;h)配列番号43のヌクレオチド364 〜490 のヌクレオチドの配列;i)配列番号2 のアミノ酸残基99,140又は141 〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;j) 配列番号2 のアミノ酸残基99〜140 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;k)前記a),b),c),d),e),f),g),h),i)又はj)に対して相補的なヌクレオチド配列;並びにl )前記a),b),c),d),e),f),g),h),i),j)又はk)の変性ヌクレオチド配列からなる群から選択された単離されたポリヌクレオチドが提供される。
【0022】
もう1 つの観点においては、第1 部分及びペプチド結合により連結される第2部分から実質的に成る融合たんぱく質をコードする単離されたポリヌクレオチドが供給され、ここで前記第1部分は、a)配列番号2のアミノ酸残基26〜281 に対して、アミノ酸配列において少なくとも75%同一であるアミノ酸残基配列を含んで成るポリペプチド;b)配列番号2のアミノ酸残基1,22又は26〜281に示されるようなアミノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチド;c)配列番号44のアミノ酸残基1,22又は26〜281に示されるようなアミノ酸残基の配列を含んで成るポリペプチド;d)コラーゲン−様ドメイン、又は二量体化もしくはオリゴマー化できるコラーゲン−様ドメインの一部を含む、配列番号2又は44に示されるzsig37ポリペプチドの一部;e)球状―様ドメイン、又は球状−様ドメインの活性部分を含む配列番号2又は44に示されるzsig37ポリペプチドの一部; 及びf)コラーゲン−様ドメイン及び球状ドメインを含む、配列番号2又は44に示されるようなzsig37ポリペプチドの一部、から成る群から選択され;そして前記第2部分は、もう1つのポリペプチドを含んで成る。
【0023】
さらにもう1つの観点においては、配列番号2又は44のアミノ酸残基1〜21又は1〜25のアミノ酸配列を有する、追加のポリペプチドに作用可能に連結された分泌シグナル配列を含んで成る融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。
さらにもう1つの観点においては、配列番号23のポリヌクレオチド又は配列番号23に対して相補的な配列の少なくとも14個の隣接したヌクレオチドを含んで成るオリゴヌクレオチドのプローブ又はプライマーが供給される。
【0024】
発明の詳細な記載
本発明を詳細に示す前、次の用語の理解を助けるために、それらを定義する。 用語“親和性標識”とは、ポリペプチドの精製又は検出を提供し、又は基質へのポリペプチドの結合のための部位を供給するために、ポリペプチドに結合され得るペプチドセグメントを示すために本明細書において使用される。主に、抗体又は、他の特異的結合剤が利用できるいずれかのペプチド又はタンパク質が親和性標識として使用され得る。
【0025】
親和性標識は、ポリ−ヒスチジン系、すなわちプロテインA(Nilsson など., EMBO J. 4: 1075, 1985; Nilssonなど., Methods Enzymol. 198: 3, 1991),グルタチオンSトランスフェラーゼ(Smis and Johnson, Gene67; 31, 1988)、物質P、すなわちFlag(TM)ペプチド(Hoppなど., Biotechnology 6: 1204-1210, 1988; Eastman Kodak Co., New Haven , CT から入手できる)、ストレプトアビジン結合ペプチド、又は他の抗原性エピトープ又は結合ドメインを包含する。一般的に、Fordなど., Protein Expression and Purification 2:95-107, 1991を参照のこと。親和性標識をコードするDNA は、商品供給者(たとえばPharmacia Biotech, Piscataway, NJ )から入手できる。
【0026】
用語“対立遺伝子変異体”とは、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の複数の遺伝子の二者択一形のいずれかを示すために本明細書において使用される。対立遺伝子変異は、突然変異を通して天然では生じ、そして集団内の表現型多型現象をもたらすことができる。遺伝子突然変異は、サイレントであり( コードされたポリペプチドにおける変化がない) 、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。用語、対立遺伝子変異体はまた、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるタンパク質を示すために本明細書において使用される。
【0027】
用語、“アミノ−末端”及び“カルボキシル−末端とは、ポリペプチド及びタンパク質内の位置を示すために本明細書において使用される。その情況が可能である場合、それらの用語は、接近性又は相対的位置を示すためにポリペプチド又はタンパク質の特定の配列又は一部に関して使用される。たとえば、タンパク質内の対象配列のカルボキシル末端側に位置する一定の配列は、その対象配列のカルボキシル末端に隣接して位置するが、しかし完全なポリペプチドのカルボキシル末端では必ずしも必要ではない。
【0028】
用語、“相補体/抗−相補体対”とは、適切な条件下で、非共有的に結合される安定した対を形成する非同一性成分を示す。たとえば、ビオチン及びアビジン( 又はストレプタビジン) は、相補体/抗−相補体対の基本型メンバーである。典型的な相補体/抗−相補体対は、受容体/リガンド対、抗体/抗原( 又はハプテンもしくはエピトープ) 対、センス/アンチセンス ポリヌクレオチド対、及び同様のものを包含する。相補体/抗−相補体対の続く解離が所望される場合、その相補体/抗−相補体対は好ましくは、<109 M-1の結合親和性を有する。
【0029】
用語、“ポリヌクレオチド分子の相補体”とは、対象配列に比較して相補的塩基配列を有し且つ逆の配向を有するポリヌクレオチド分子である。たとえば、配列5' ATGCACGGG 3' は、5' CCCGTGCAT 3' に対して相補的である。
用語“contig”とは、他のポリヌクレオチドに対する一連の連続した同一の又は相補的な配列を有するポリヌクレオチドを示す。連続した配列とは、ポリヌクレオチドの全体において、又はその一部にそって、一定の長さのポリヌクレオチド配列を“オーバーラップ”すると言われる。たとえば、ポリヌクレオチド配列5' ATGGCTTAGCTT 3'に対する代表的なcontigとは、5' TAGCTTgagtct 3'及び3'gtcgacTACCGA 5' である。
【0030】
用語“縮重ヌクレオチド配列”とは、1又は複数の縮重コドンを含むヌクレオチドの配列( ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子に比較して) を示す。縮重コドンは、ヌクレオチドの異なったトリプレットを含むが、しかし同じアミノ酸残基をコードする( すなわち、GAU 及びGAC トリプレットはそれぞれASP をコードする) 。
【0031】
用語“発現ベクター”は、その転写を提供する追加のセグメントに作用可能に連結された注目のポリペプチドをコードするセグメントを含んで成る線状又は環状DNA 分子を示すために使用される。そのような追加のセグメントは、プロモーター及びターミネーターを包含し、そしてまた、1または複数の複製起点、1又は複数の選択マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、及び同様のものを包含する。発現ベクターは一般的に、プラスミド又はウィルスDNA から誘導され、又は両者の要素を含むことができる。
【0032】
用語“単離された”とは、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドがその天然の遺伝的環境から除去され、そして従って、他の無関係な又は不所望のコード配列を有さず、そして遺伝子的に構築されたタンパク質生成系内での使用のために適切な形で存在することを示す。そのような単離された分子は、それらの天然の環境から分離され、そしてcDNA及びゲノムクローンを含む分子である。本発明の単離されたDNA 分子は、通常関係しない他の遺伝子を含まないが、しかし天然において存在する5'及び3'非翻訳領域、たとえばプロモーター及びターミネーターを含むことができる。関連する領域の同定は、当業者に明らかであろう( たとえば、Dynan and Tijan, Nature 316: 774―78, 1985を参照のこと) 。
【0033】
“単離された”ポリヌクレオチド又はタンパク質は、その生来の環境以外の条件、たとえば血液及び動物組織とは別の条件下で見出されるポリヌクレオチド又はタンパク質である。好ましい形においては、単離されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。高く精製された形、すなわち95%以上の純度、より好ましくは99%以上の純度でポリペプチドを提供することが好ましい。この情況下で使用される場合、用語“単離された”とは、他の物理的形、たとえばダイマー形又は他のグリコシル化された又は誘導体化された形での同じポリペプチドの存在を排除しない。
【0034】
用語“作用可能に連結された”とは、DNA セグメントに言及する場合、前記セグメントが、それらの意図された目的のために協力して機能し、たとえば転写がプロモーターにおいて開始し、そしてコードセグメントを通してターミネーターに進行するよう配列されることを示す。
用語“オルト体(orthology )”とは、異なった種からのポリペプチド又はタンパク質の機能的相対物である、1つの種から得られるポリペプチド又はタンパク質を示す。オルト体間の配列の差異は、特定化の結果である。
“パラ体(paralog) ”とは、生物により生産される、異なっているが、しかし構造的に関連しているタンパク質である。パラ体とは、遺伝子複製を通して生ずると思われる。たとえば、α―グロブリン、β−グロブリン及びミオグロブリンはお互いパラ体である。
【0035】
“ポリヌクレオチド”は、5'末端から3'末端に読み取られるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマーである。ポリヌクレオチドは、RNA 及びDNA を包含し、そして天然源から単離され、インビトロで合成され、又は天然及び合成分子の組み合わせから調製され得る。ポリヌクレオチドのサイズは、塩基対( 略語“bp”) 、ヌクレオチド(“nt”)、又はキロ塩基(“kb”)として表される。
【0036】
ここで、後者の2つの用語は、1本鎖又は二本鎖であるポリヌクレオチドを記載する。この用語が二本鎖分子に適用される場合、それは全体の長さを示すために使用され、そして用語、“塩基対”に等しいことが理解されるであろう。二本鎖ポリヌクレオチドの二本の鎖は長さにおいてわずかに異なり、そしてその末端が酵素分解の結果として異なることは、当業者により理解されており;従って、二本鎖ポリヌクレオチド分子内のすべてのヌクレオチドは一対に成り得ない。そのような対になっていない末端は、長さ20ntを超えない。
【0037】
“ポリペプチド”は、天然において生成されても又は合成的に生成されてもよく、ペプチド結合により連結されるアミノ酸残基のポリマーである。約10個以下のアミノ酸残基のポリペプチドが、通常“ポリペプチド”として言及される。
【0038】
本明細書において使用されるような“プローブ及び/又はプライマー”は、RNA 又はDNA であり得る。DNA は、cDNA 又はゲノムDNA のいずれかであり得るポリヌクレオチド プローブ及びプライマーは、一本鎖又は二本鎖DNA 又はRNA 、一般的に合成オリゴヌクレオチドであるが、しかしクローン化されたcDNA又はゲノム配列、又はその相補体から生成され得る。分析プローブは一般的に、少なくとも20個の長さのヌクレオチドであるが、但し、幾分短いプローブ( 14〜17個のヌクレオチド) も使用され得る。PCR プライマーは、少なくとも5個の長さのヌクレオチド、好ましくは15個又はそれ以上の長さのnt、より好ましくは20〜30個のntである。
【0039】
短いポリヌクレオチドは、遺伝子の小さな領域が分析のために標的化される場合に使用される。遺伝子の全体的な分析のためには、ポリヌクレオチドプローブは、全体のエクソンを含むことができる。プローブは検出シグナルを提供するために、たとえば酵素、ビオチン、放射性核種、蛍光団、化学発光剤、常磁性粒子及び同様のもの( 多くの源、たとえばMolecular Probes, Inc., Eugene, OR及びAmersham Corp., Arlington Heights, IL から市販されている) により、当業者に良く知られている技法を用いてラベルされ得る。
用語“プロモーター”は、RNA ポリメラーゼの結合及び転写の開始を提供するDNA 配列を含む遺伝子の部分を示すために本明細書において使用される。プロモーター配列は通常、遺伝子の5'非コード領域に見出されるが、しかし必ずしもそうではない。
【0040】
用語“受容体”は、生物活性分子( すなわち“リガンド”) に結合し、そして細胞上のリガンドの効果を仲介する細胞関連タンパク質を示す。膜結合受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、及び典型的には、シグナルトランスダクションに関与する細胞内エフェクタードメインを含んで成る多ペプチド構造により特徴づけられる。受容体へのリガンドの結合は、細胞におけるエフェクタードメインと他の分子との間の相互作用を引き起こす受容体におけるコンホメーション変化をもたらす。この相互作用は、細胞の代謝の変更を誘導する。
【0041】
受容体−リガンド相互作用に連結される代謝現象は、遺伝子転写、リン酸化、脱リン酸化、AMP 生成の上昇、細胞カルシュウムの代謝、膜脂質の代謝、細胞付着、イノシトール脂質の加水分解、及びリン脂質の加水分解を包含する。ほとんどの核受容体は又、アミノ−末端相互作用ドメイン、DNA 結合ドメイン及びリガンド結合ドメインを含むマルチ−ドメイン構造を示す。一般的に、受容体は、膜結合性であることができ、細胞質性又は核性であり;モノマー( たとえば甲状腺刺激ホルモン受容体、β−アドレナリン性受容体) 、又はマルチマー( たとえばPDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL−3受容体、GM―CSF 受容体、G −CSF 受容体、エリトロポイエチン受容体及びIL―6 受容体) であり得る。
【0042】
“分泌シグナル配列”は、それが合成される細胞の分泌経路を通してより大きなポリペプチドを、そのポリペプチドの成分として方向ずけるポリペプチド(“分泌ペプチド”)をコードするDNA 配列を示す。前記のより大きなポリペプチドは、分泌経路を通して移動の間、分泌ペプチドを除去するために通常分解される。
“可溶性受容体”は、細胞膜に結合されない受容体ポリペプチドである。可溶性受容体は、最も通常には、トランスメンブラン及び細胞質ドメインを欠いているリガンド−結合性受容体ポリペプチドである。
【0043】
可溶性受容体は、追加のアミノ酸残基、たとえばポリペプチドの精製を提供するか、又は基質へのポリペプチドの結合のための部位を提供する親和性標識、あるいは免疫グロブリン不変領域配列を含むことができる。多くの細胞−表面受容体は、タンパク質加水分解により生成されるか、又は交互にスプライシングされたmRNAから翻訳される天然に存在する可溶性対応物を有する。受容体ポリペプチドは、それらがそれぞれ、膜固定又はシグナルトランスダクションを提供するためにそれらのセグメントの十分な部分を欠いている場合、トランスメンブラン及び細胞内ポリペプチドセグメントを実質的に有さないと言われる。
【0044】
用語“スプライス変異体”とは、遺伝子から転写されるRNA の二者択一の形を示すために、本明細書において使用される。スプライス変異は、転写されたRNA 分子内の、又は通常低いが、別々に転写されたRNA 分子間の二者択一のスプライシング部位の使用を通して天然において生じ、そして同じ遺伝子から転写されるいくつかのmRNAをもたらすことができる。スプライス変異体は、変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。用語スプライス変異体はまた、遺伝子から転写されるmRNAのスプライス変異体によりコードされるタンパク質を示すために本明細書において使用される。
【0045】
高精度でない分析方法(たとえば、ゲル電気泳動)により決定されるポリマーの分子量及び長さは、おおよその値であることが理解されるであろう。そのような値が“約”X 又は“おおよそ”X として表される場合、その言及されたX の値は、正確には±10%であることが理解されるであろう。
本明細書に引用されるすべての引例は、それらのすべてにおいて引用により組み込まれる。
【0046】
本発明は、脂肪細胞補体関連タンパク質に対する相同性を有するポリペプチド(Acrp30)をコードする新規DNA 配列の発見に一部、基づいている。たとえば、Scherer など, J. Biol. Chem. 270(45): 26746-9, 1995を参照のこと。ポリペプチドAcrp30は、配列番号3に示される。Acrp30は、ヒトapM1( 図1及び2におけるHUMUPST2#1) に非常に関連されているように思われ、そして最も有意な差異は分泌配列に観察される。
【0047】
新規DNA 配列は、アミノ−末端シグナル配列、隣接する非相同性のN−末端領域、Gly-Xaa-Xaa 又はGly-Xaa-Pro 反復体から成る切断されたコラーゲンドメイン、及びカルボキシ−末端球状部分を有するポリペプチドをコードする。新規ポリヌクレオチド配列はまた、長い3'非翻訳領域も含む。上記に示される一般的なポリペプチド構造は、Acrp30及びHUMUPST2#1により共有されるが、但しそれらのタンパク質の個々のコラーゲン‐様ドメインはzsig 37 ポリペプチドのそのドメインよりも長い。また、HUMUPST2#1 DNA 配列は、長い3'非翻訳領域により特徴づけられる。
【0048】
さらに、Acrp30及び図1に一列配列されたすべての配列( 但し、CERL#RATを除く) は、図1及び配列番号2において示されるようなzsig37ポリペプチドの位置187 での保存されたシステイン残基を共有する。一列配列されたタンパク質におけるカルボキシ‐末端球状部分において見出される他の相同性領域は、他のファミリーメンバーを調べるための有用なプライマーとして本明細書においては同定される。たとえば、Acrp30は、プライマーを用いての調査において同定される。また、本発明のzsig37ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸93(Asn )で、推定上のN−結合されるグリコシル化部位を含む。
【0049】
30個の塩基のプローブ( 配列番号4) を用いてのこの新規DNA に対応するmRNAの組織分布の分析は発現が心臓及び胎盤において最も高く、そして比較的低い強度のシグナルが腎臓、卵巣、副腎及び骨格筋に存在し、そして低いシグナルがノザンブロット上に存在する広範囲の種類の他の組織に存在したことを示した。このポリペプチドは、zsig37ポリペプチドとして命名されている。
【0050】
本発明の新規zsig37ポリペプチドは最初に、分泌されるタンパク質を選択するための努力において、上流のメチオニン開始部位、約13個のアミノ酸の疎水性領域及び切断部位により特徴づけられる、分泌シグナル配列のためのEST データベースをたずねることによって同定された。それらの調査基準に適合するEST に対応するポリペプチドが、既知のリガンドに対して相同性を有する分泌されたタンパク質を同定するために既知の配列に比較された。単一のEST配列が発見され、そして分泌されるタンパク質であることが予測された。
【0051】
十分な長さのcDNA によりコードされる新規ポリペプチドは、脂肪細胞補体関連タンパク質Acrp30(配列番号3)及び脂肪細胞分泌されたタンパク質apM1( 図1及び2におけるHUMUPST2#1) との相同体関係の同定を可能にする。幾分より明白な相同性がまた、図1及び2に示されるように、補体成分CIQ A鎖、冬眠性シベリアン ウッドチャクの活性部位に観察される2つの因子(HP25#TAMAS 及びHP27#TAMAS) 並びにラット脳タンパク質(CERL#RAT)に対して同定された。
【0052】
Zsig37ポリペプチドの完全な配列は、それを含むと思われる単一のクローンから得られ、ここで前記クローンは脳腫組織ライブラリーから得られた。また、そのようなクローンについて調査され得る他のライブラリーは、心臓、胎盤、腎臓、卵巣、副腎、骨格筋、脂肪組織及び同様のものを包含する。
【0053】
N―末端EST のヌクレオチド配列は、配列番号1に記載され、そしてその推定されるアミノ酸配列は、配列番号2に示される。一般的に上に記載されるように、zsig37 ポリペプチドは、アミノ酸1(Met )〜アミノ酸残基21(Gly )の範囲のシグナル配列を包含する。他のシグナル配列は、アミノ酸1(Met )〜アミノ酸25(Ser )の範囲である。従って、成熟ポリペプチドは、アミノ酸22(leu )又は26(Arg )〜アミノ酸281(Pro )の範囲である。成熟ポリペプチドにおいて、アミノ酸残基22(Leu )〜98(Lys )の範囲の、知られていない相同性のN―末端領域が見出される。
【0054】
さらに、切断されたコラーゲンドメインが、アミノ酸99(Gly )〜140(Arg )間に見出される。切断されたコラーゲンドメインにおいては、1つの完全Gly-Xaa-Pro 及び13個の不完全Gly-Xaa-Xaa 反復体が観察される。対照的に、Acrp30は、22個の完全又は不完全反復体を含む。Zsig37ポロペプチドはまた、アミノ酸141(Cys )〜281(Pro )の範囲であるカルボキシ‐末端球状ドメインを含む。Zsig37ポリペプチド、HUMUPST2#1及びAcrp30は、コラーゲンドメイン内で及び球状ドメインにおいて相同であるように思われるが、しかし天然のポリペプチドのN−末端においては相同であるように思えない。
【0055】
本発明のもう1つの観点は、zsig37ポリペプチドフラグメントを包含する。好ましいフラグメントは、配列番号2のアミノ酸99(Gly )〜アミノ酸140(Arg )の範囲のzsig37ポリペプチドのコラーゲン−様ドメイン、コラーゲン−様ドメインを含むzsi37 ポリペプチドの一部、又は二量体化又はオリゴマー化できるコラーゲン−様ドメインの一部を含む。それらのフラグメントは、コラーゲン二量体化もしくはオリゴマー化の研究において、又は下記に十分に記載されるような融合タンパク質の形成において有用である。
【0056】
そのようなフラグメントをコードするポリヌクレオチド、たとえば配列番号1の(a )ヌクレオチド1, 171, 234,246 又は465 〜ヌクレオチド589 に示されるようなヌクレオチドの配列を含んで成るポリヌクレオチド分子;(b) 配列番号2のアミノ酸残基99(Gly )〜アミノ酸残基140 (Arg )のアミノ酸配列に対して少なくとも80% 同一であるzsig37ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド分子;(c )前記(a) 又は(b) に対して相補的な分子;及び(d) zsig37ポリヌクレオチドコラーゲン−様ドメインのフラグメントをコードする縮重ヌクレオチド配列からなる群は、本発明により包含される。
【0057】
他の好ましいフラグメントは、配列番号2のアミノ酸140(Arg)又は141(Cys)〜281(Pro ) の範囲のzsig 37 ポリペプチドの球状ドメイン、球状−様ドメインを含むzsig37ポリペプチドの一部、又は球状−様ドメインの活性部分を包含する。それらのフラグメントは特に、エネルギーバランス又は神経伝達、特にダイエット−又はストレス関連の神経伝達の研究又は調節において有用である。そのようなフラグメントをコードするポリヌクレオチド、たとえば(a )ヌクレオチド587 又は590 〜ヌクレオチド1016の配列番号1に示されるようなヌクレオチドの配列を含んで成るポリヌクレオチド分子;(b) 配列番号2のアミノ酸残基141(Cys)〜アミノ酸残基281(Pro ) のアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるZsig 37 ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド分子;(c) 前記(a) 又は(b) に対して相補的な分子;並びに(d) zsig37ポリペプチド球状ドメインフラグメントをコードする縮重ヌクレオチド配列から成る群は、本発明のにより包含される。
【0058】
本発明のもう1つのzsig37ポリペプチドフラグメントは、コラーゲン−様ドメイン、及び配列番号2のアミノ酸残基99(Gly) 〜281(Pro)の範囲の球状ドメインの両者を含む。そのようなフラグメントをコードするポリヌクレオチドはまた、(a )配列番号1のヌクレオチド465 〜ヌクレオチド1016に示されるようなヌクレオチドの配列を含んで成るポリヌクレオチド分子;(b) アミノ酸残基99(Gly) 〜アミノ酸残基281(Pro ) の配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一であるZsig 37 ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド分子;(c) 前記(a) 又は(b) に対して相補的な分子;並びに(d) zsig37ポリペプチドコラーゲン−様ドメイン−球状ドメインのフラグメントをコードする縮重ヌクレオチド配列から成る群は、本発明のにより包含される。
本発明はまた、上記ポリヌクレオチドに基づく縮重プローブを企画する。上記に示されるポリヌクレオチドの相補体に対応するプローブもまた、包含される。
【0059】
本発明はまた、ポリヌクレオチド分子、たとえば本明細書に開示されるzsig37ポリペプチドをコードするDNA 及びRNA 分子を提供する。当業者は、遺伝子コードの縮重の観点から、相当の配列変動がそれらのポリヌクレオチド分子間で可能であることを容易に認識するであろう。配列番号23は、配列番号2のzsig37ポリペプチドをコードするすべてのDNA を包含する縮重DNA 配列である。当業者は、配列番号23の縮重配列がまた、U(ウラシル)とT(チミン)とを置換することによって、配列番号2をコードするすべてのRNA 配列を認識するであろう。
【0060】
従って、配列番号23のヌクレオチド1〜842 を含んで成るzsig37ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びそれらのRNA 相当物は、本発明により包含される。表1は、縮重ヌクレオチド位置を示すために、配列番号23内に使用される1文字コードを示す。“解決”は、コード文字により示されるヌクレオチドである。“相補体”とは、相補的ヌクレオチドのためのコードを示す。たとえば、コードYはC(シトシン)又はTのいずれかを示し、そしてその相補体RはA(アデニン)又はG(グアニン)を示し、AはTに対して相補的であり、そしてGはCに対して相補的である。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
当業者は理解するように、各アミノ酸をコードするすべての可能なコドンを代表する、縮重コドンを決定するとき、多少の不明確さが導入される。例えば、セリン(WSN)の縮重コドンは、ある環境において、アルギニン(AGR)をコードすることができ、そしてアルギニン(MGN)の縮重コドンは、ある環境において、セリン(AGY)をコードするすることができる。同様な関係はフェニルアラニンおよびロイシンをコードするコドンの間に存在する。したがって、縮重配列に包含される、いくつかのポリヌクレオチドは変異型アミノ酸配列をコードすることができるが、当業者は、配列番号:2のアミノ酸配列を参照することによって、このような変異型配列を容易に同定することができる。変異型配列は、本明細書において記載するように、機能性について容易に試験することができる。
【0064】
また、当業者は理解するように、異なる種は「優先的コドンの使用」を示すことができる。一般に、下記の文献を参照のこと:Grantham、et al.、Nucl.Acids Res. 8:1893-912、1980;Haas 、et al.、Curr. Biol. 6:315-24、1996;Wain-Hobson、et al.、Gene 13:355-64、1981;Grosjean およびFiers 、Gene 18:199-209 、1982;Holm 、Nucl.Acids Res. 14:3075-87、1986;Ikemura、J.Mol.Biol. 158:573-97、1982。本発明において使用するとき、用語「優先的コドンの使用」または「優先的コドン」は、ある種の細胞において最も頻繁に使用され、こうして各アミノ酸をコードする可能なコドンの1つまたはわずかの代表的なものに好んで使用される、タンパク質翻訳コドンを呼ぶ、この分野の用語である(表2参照)。
【0065】
例えば、アミノ酸のスレオニン(Thr)はACA、ACC、ACG、またはACTによりコードされることができるが、哺乳動物細胞において、ACCは最も普通に使用されるコドンである;他の種、例えば、昆虫細胞、酵母、ウイルスまたは細菌において、異なるThrコドンは優先的であることができる。特定の種の優先的コドンを、この分野において知られている種々の技術により、本発明のポリヌクレオチドの中に導入することができる。組換えDNAの中への優先的コドンの導入は、例えば、特定の細胞の型または種内のタンパク質の翻訳を効率よくすることによって、タンパク質の産生を増強することができる。したがって、配列番号:4に記載されている縮重コドンの配列は、この分野において普通に使用されかつ本明細書において開示する、種々の細胞の型および種におけるポリヌクレオチドの発現を最適化するための鋳型として働く。優先的コドンを、本明細書において開示するように、種々の種における発現について試験し、発現のために最適化し、そして機能性について試験することができる。
【0066】
zsig37フラグメントは、この分野において知られている手法に従い、それらの抗微生物特性に関して評価することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:Barsum et al.,Eur.Respir.J. 8(5):709-14,1995;Sandovsky-Losica et al.,J.Med.Vet.Mycol.(England) 28(4):279-87,1990;Mehentee et al.,J.Gen.Microbiol.(England) 135(Pt.8):2181-8,1989;SegalおよびSavage,Journal of Medical and Veterinary Mycology 24:477-479、1986およびその他。所望ならば、これに関するzsig37ポリペプチドフラグメントの性能をこれに関して機能的であることが知られているタンパク質、例えば、プロリンに富んだタンパク質、リゾチーム、ヒスタチン、ラクトペルオキシダーゼまたはその他と比較することができる。さらに、zsig37ポリペプチドフラグメントを1またはそれ以上の抗微生物因子と組み合わせて評価して、相乗効果を同定することができる。当業者は認識するように、zsig37ポリペプチド、融合タンパク質、アゴニスト、アンタゴニストおよび抗体の抗微生物特性を同様に評価することができる。
【0067】
神経伝達物質または神経伝達モジュレーターとして、本発明のzsig37ポリペプチドフラグメントならびにzsig37ポリペプチド、融合タンパク質、アゴニスト、アンタゴニストまたは抗体は、また、カルシウムイオン濃度、筋肉収縮、ホルモン分泌、DNA合成または細胞成長、リン酸イノシトールの代謝回転、アラキドン酸塩の放出、ホスホリパーゼ−Cの活性化、胃内容排出、ヒト好中球の活性化またはADCC能力、スーパーオキシドアニオンの産生およびその他をモジュレートすることができる。これらの性質の評価は既知の方法、例えば、本明細書において記載する方法により実施することができる。
【0068】
細胞内カルシウムレベルに対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Dobrzanski et al.,Regulatory Peptides 45:341-52,1993、およびその他に記載されている方法により評価することができる。筋肉収縮に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Smits & Levevre,J.Auton.Pharmcol. 14:383-92,1994、Belloli et al.,J.Vet.Pharmacol.Therap. 17:379-83,1994 、Maggi et al.,Regulatory Peptides 53:259-74,1994 、およびその他に記載されている方法により評価することができる。ホルモンの分泌に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、プロラクチンの放出について、Henriksen et al.,J.of Receptor & Signal Transduction Research 15(1-4):529-41,1995 、およびその他に記載されている方法により評価することができる。
【0069】
DNA合成または細胞成長に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合物、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Dobrzanski et al.,Regulatory Peptides 45:341-52,1993、およびその他に記載されている方法により評価することができる。リン酸イノシトールの代謝回転に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合物、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Dobrzanski et al.,Regulatory Peptides 45:341-52,1993、およびその他に記載されている方法により評価することができる。
【0070】
また、アラキドン酸塩の放出に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Dobrzanski et al.,Regulatory Peptides 45:341-52,1993、およびその他に記載されている方法により評価することができる。ホスホリパーゼ−Cの活性化に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合物、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Dobrzanski et al.,Regulatory Peptides 45:341-52,1993、およびその他に記載されている方法により評価することができる。胃内容排出に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Varga et al.,Eur.J.Pharmacol. 286:109-112,1995、およびその他に記載されている方法により評価することができる。
【0071】
ヒト好中球の活性化およびADCC能力に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合物、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Wozniak et al.,Immunology 78:629-34,1993、およびその他に記載されている方法により評価することができる。スーパーオキシドのアニオンの産生に対するzsig37ポリペプチド、フラグメント、融合物、アゴニストまたはアンタゴニストの衝撃は、この分野において知られている方法、例えば、Wozniak et al.,Immunology 78:629-34,1993、およびその他に記載されている方法により評価することができる。
【0072】
本発明は、また、zsig37融合タンパク質を提供する。例えば、本発明の融合タンパク質は下記の成分からなる:(1)(a)配列番号:2に示され、アミノ酸残基1(Met)、22(Leu) または26(Arg) 〜アミノ酸残基281(Pro)のアミノ酸残基の配列を含んでなるポリペプチド分子;(b)配列番号:2のアミノ酸99(Gly) 〜アミノ酸140(Arg)の範囲のポリペプチド分子、コラーゲン様ドメインを含有するzsig37ポリペプチドの部分、または二量体化またはオリゴマー化することができるコラーゲン様ドメインの部分;(c)配列番号:2のアミノ酸140(Arg)または141(Cys)〜アミノ酸281(Pro)の範囲のポリペプチド分子、球状様ドメイン、または球状様ドメインの活性部分を含有するzsig37ポリペプチドの部分;または(d)アミノ酸99(Gly) 〜281(Pro)の範囲のポリペプチド分子、コラーゲン様ドメインおよび球状ドメインを含むzsig37ポリペプチドの部分から成る群より選択されるポリペプチド;並びに(2)他のポリペプチド。他のポリペプチドは他のまたは追加の球状ドメイン、他または追加のコラーゲン様ドメイン、融合タンパク質の分泌を促進するシグナルペプチドまたはその他であることができる。補体の球状ドメインはIgGに結合し、こうして、zsig37ポリペプチド、フラグメントまたは融合体の球状ドメインは同様な役割を有することができる。
【0073】
アミノ酸1(Met)〜アミノ酸281(Pro)の範囲のzsig37ポリペプチド;アミノ酸22(Leu) またはアミノ酸26(Arg) 〜アミノ酸281(Pro)の範囲のいずれかの成熟zsig37ポリペプチド;またはアミノ酸1(Met)〜アミノ酸21(Gly) またはアミノ酸25(Ser) の範囲の、前記ポリペプチドのいずれかの分泌リーダーフラグメントは、細胞のタンパク質の分泌の研究において使用することができる。本発明のこの面の好ましい態様において、推定上の分泌シグナル配列との融合タンパク質として成熟タンパク質が形成され;融合タンパク質の発現を指令することができる調節領域を支持するプラスミドが被験細胞の中に導入され;そして成熟タンパク質の分泌がモニターされる。
【0074】
本発明のこの面の他の好ましい態様において、いずれかの分泌リーダーフラグメントが分泌について選択されたいずれかのタンパク質との融合タンパク質として形成され;融合タンパク質の発現を指令することができる調節領域を支持するプラスミドが被験細胞の中に導入され;そして成熟タンパク質の分泌がモニターされる。モニターはこの分野において知られている技術、例えば、HPLCおよびその他の方法により実施することができる。
【0075】
高度に保存されるアミノ酸、特にzsig37カルボキシ末端の球状ドメインにおけるアミノ酸は、新しいファミリーのメンバーを同定するための道具として使用することができる。例えば、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用して、種々の組織源から得られたRNAから保存されたモチーフをコードする配列を増幅することができる。保存された配列から設計された高度に縮重したプライマーはこの目的に有用である。特に、下記のプライマーはこの目的に有用である。
【0076】
1)配列番号:2のアミノ酸269〜274(配列番号:1のヌクレオチド975〜992に対応する);
2)配列番号:2のアミノ酸191〜196(配列番号:1のヌクレオチド741〜758に対応する);
3)配列番号:2のアミノ酸163〜168(配列番号:1のヌクレオチド657〜674に対応する);
4)配列番号:2のアミノ酸173〜178(配列番号:1のヌクレオチド687〜704に対応する);および
5)配列番号:2のアミノ酸243〜248(配列番号:1のヌクレオチド897〜914に対応する)。
【0077】
本発明はまた、前述のポリヌクレオチドをベースとする、縮重プローブを包含する。前述のポリヌクレオチドの相補体に対応するプローブもまた包含される。 本発明の好ましい態様において、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20またはそれらに対して相補的な配列に、ストリンジェント条件下に、ハイブリダイズするであろう。
【0078】
一般に、ストリンジェント条件は、規定されたイオン強度およびpHにおいて、特定の配列の融点(Tm)よりも約5℃低いように選択される。Tmは、標的配列の50%が、完全に合致するプローブにハイブリダイズする温度(規定されたイオン強度およびpHにおいて)である。典型的にはストリンジェント条件は、pH7においてNaCl濃度が約0.03M以下であり、かつ温度が少なくとも約60℃である条件である。
本発明の他の面において、精製されたzsig37ポリペプチドと、薬学上許容されるビヒクルとを含んでなる医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、哺乳動物のエネルギーバランスを調整(モジュレート)するために、あるいは内皮細胞を損傷から保護するために使用されるであろう。
【0079】
エネルギーバランスのモジュレーションに関すると、zsig37ポリペプチドは細胞の代謝反応をモジュレートする。このような代謝反応は、脂肪生成、グルコース新生、グリコーゲン分解、脂質生成、グルコース吸収、タンパク質合成、熱発生、酸素の利用およびその他を包含する。zsig37ポリペプチドの発現パターンは、内皮細胞組織における発現を示す。内皮細胞の保護に関すると、zsig37ポリペプチドは、器官の保存において、凍結保存のため、虚血および/または炎症のための損傷を防止する外科的前処理のために、または同様な手順において使用することができる。
【0080】
心臓におけるzsig37ポリペプチドの発現は、タンパク質がアセチルコリンおよび/またはノルエピネフリンの放出をモジュレートできることを示唆する。zsig37ポリペプチドは、また、交感神経系または副交感神経系に関連する組織中のポリペプチドの発現により示されるように、神経伝達物質として、または神経伝達のモジュレーターとしての使用を見出すすることができる。これに関して、zsig37ポリペプチドは、例えば、脳またはその他における2−デオキシ−グルコースの吸収により証明されるように、栄養分の吸収における実用性を見出すことができる。
【0081】
この分野において知られているか、あるいは本明細書において記載されている他の方法の中で、哺乳動物のエネルギーバランスを下記の代謝機能の1または2以上をモニターすることによって評価することができる:脂肪生成、グルコース新生、グリコーゲン分解、脂質生成、グルコース吸収、タンパク質合成、熱発生、酸素の利用およびその他。これらの代謝機能は、いっそう詳細に後述するように、当業者に知られている技術(アッセイまたは動物モデル)によりモニターされる。例えば、インスリンのグルコース調節作用は、肝臓、骨格筋および脂肪組織において主として発揮される。インスリンはこれらの組織中のその細胞のレセプターに結合し、組織特異的作用を開始し、これは、例えば、グルコース産生の阻害およびグルコース利用の刺激を生ずる。肝臓において、インスリンはグルコース吸収を刺激し、グルコース新生およびグリコーゲン分解を阻害する。骨格筋および脂肪組織において、インスリンはグルコースの吸収、貯蔵および利用を刺激する作用をする。
【0082】
前述の代謝機能のすべてをモニターするための、この分野において認識されている方法が存在する。こうして、当業者は、zsig37ポリペプチド、フラグメント、融合タンパク質、抗体、アゴニストまたはアンタゴニストを代謝のモジュレート機能のために評価することができる。典型的なモジュレーション技術は後述される。
【0083】
脂肪生成、グルコース新生およびグリコーゲン分解は、哺乳動物のエネルギーバランスの相互に関係する成分であり、既知の技術、例えば、ob/ob マウスまたはdb/db マウスにより評価することができる。ob/ob マウスは、ob(肥満)遺伝子座における不活性化突然変異に対してホモ接合性である同系繁殖マウスである。このようなob/ob マウスは過食性および代謝低下性であり、循環OBタンパク質の産生を欠如すると考えられる。db/db マウスはdb(糖尿病)遺伝子座における不活性化突然変異に対してホモ接合性である同系繁殖マウスである。db/db マウスはまた、糖尿病の表現型を表示する以外、ob/obmu のそれに類似する表現型を表示する。このようなdb/db マウスは循環OBタンパク質の作用に対して耐性であると考えられる。また、これらのパラメーターを評価する種々のin vitro法がこの分野において知られている。
【0084】
インスリン刺激脂質生成は、例えば、トリグリセリド中の14C−アセテートの取込み(Mackall et al.,J.Biol.Chem. 251:6462-6464,1976)またはトリグリセリドの蓄積(Kletzien et al.,Mol.Pharmacol. 41:393-398,1992)の測定によりモニターすることができる。
【0085】
グルコースの吸収は、例えば、インスリン刺激グルコース輸送についてのアッセイにおいて評価することができる。トランスフェクトされていない分化したL6筋管(myotube)(G418の非存在において維持される)を、1g/lのグルコース、0.5または1.0%のBSA、20mMのHepes 、および2mMのグルタミンを含有するDMEMの中に入れる。2〜5時間培養した後、培地を0.5または1.0%のBSA、20mMのHepes 、および2mMのグルタミンを含有する、新鮮な無グルコースDMEMと取替える。適当な濃度のインスリンもしくはIGF−1、または希釈系列の被験物質を添加し、細胞を20〜30分間インキュベートする。 3Hまたは14C標識化デオキシグルコースを約50 lMの最終濃度に添加し、細胞をほぼ10〜30分間インキュベートする。
【0086】
次いで細胞を冷緩衝液(例えば、PBS)で急速にすすぎ、適当な溶解剤(例えば、1%のSDSまたは1NのNaOH)で溶解する。次いでシンチレーションカウンターで計数することによって、細胞ライゼートを評価する。グルコース輸送のインヒビターであるサイトカラシンbの存在において細胞をインキュベートさせることによって測定して、細胞に関連する放射能を非特異的結合を減じた後のグルコース輸送の速度として採る。他の方法は、例えば、Manchester et al.,Am.J.Physiol. 266(Endocrinol.Metab.29):E326-E333,1994 (インスリン刺激グルコース輸送)に記載されている方法を包含する。
タンパク質合成は、例えば、被験細胞と35S−メチオニンとをインキュベートした後、35S−メチオニン標識化タンパク質の沈澱を35S−メチオニンおよびタンパク質合成の推定上のモジュレーターと比較することによって評価することができる。
【0087】
熱発生(thermogenesis)は下記の文献に記載されているようにして評価することができる:B.Stanley 、The Biology から入手したNeutropeptide Y and Related Peptides、W.Colmers およびC.Wahlestedt(編)、Humana Press、Ottawa,1993,pp.457-509;C.Billington et al.,Am.J.Physiol. 260:R321,1991;N.Zarjevski et al.,Endocrinology 133:1753,1993;C.Billington et al.,Am.J.Physiol. 252(4Pt2):R661-7,1987 ;およびHeller et al.,Am.J.Physiol. 245(3):R321-8,1993。また、代謝速度は、種々の技術により測定することができ、熱発生の間接的測度である。
【0088】
酸素の利用は、Heller et al.,Pflugers Atch 369(1):55-9,1977に記載するようにして評価することができる。この方法は、また、視床下部温度および代謝熱産生の分析を含んだ。酸素の利用および熱調節は、また、ヒトにおいてHaskell et al.,J.Appl.Physiol. 51(4):948-54,1981に記載されているように評価された。
この分野において知られているか、あるいは本明細書において記載されている他の方法の中で、哺乳動物の内皮細胞組織の保護は、内皮組織の機能をモニターすることによって評価することができる。例えば、心臓(大動脈)の機能は、アセチルコリンの放出、ノルエピネフリンの放出または同様なパラメーターをモニターすることによって評価することができる。これらのパラメーターは、いっそう詳細に後述するように、この分野において知られている技術(アッセイまたは動物モデル)によりモニターされる。
【0089】
アセチルコリンおよびノルエピネフリンの放出はHPLCによりモニターすることができる。Levy,Electrophysiology of the Sinoatrial and Atrioventricular Nodes,Alan T.Liss,Inc.,187-197,1998 には、冠状動脈洞の流出流中のノルエピネフリンの測定が記載されている。さらに、下記の文献に記載されているように、電気的に動物の歩調を調整し、結果をモニターすることができる:Elsner,European Heart Journal 16(Supplement N),52-8,1955、およびReiffel およびKuehnert,PACE 17(Part 1):349-65,1994。
【0090】
この分野において知られているか、あるいは本明細書において記載されている他の方法の中で、神経伝達物質の機能を脳における2−デオキシ−グルコースの吸収をモニターすることによって評価することができる。このパラメーターはこの分野において知られている技術(アッセイまたは動物モデル)、例えば、オートラジオグラフィーによりモニターされる。有効なモニター技術は、例えば、Kilduff et al.,J.Neurosci. 10:2463-75,1990に記載されており、下記の文献に記載されているように、関係する技術を使用して「冬眠心臓」を評価する:Gerber et al.,Circulation 94(4):651-8,1996、およびFallavollita et al.,Circulation 95(7):1900-1909,1997。
【0091】
さらに、zsig37ポリペプチド、そのフラグメント、融合体、アゴニストまたはアンタゴニストは、抗微生物または神経伝達物質仲介の用途に有用である。補体成分C1gは、感染因子、例えば、細菌およびウイルスに対する宿主の防御においてある役割を演ずる。C1gはいくつかの特殊化された機能を示す。例えば、C1gは結合した抗体またはC反応性タンパク質(CRP)との相互作用を介して補体のカスケードを誘発する。また、C1gはある種の細菌、RNAウイルス、マイコプラズマ、尿酸結晶、細菌のエンドトキシンの脂質A成分およびある種の細胞内オルガネラの膜と直接的に相互作用する。C1gレセプターに対するC1gの結合は、食作用を促進すると考えられる。C1gは、また、宿主の防御系の抗体形成の面を増強するように思われる。例えば、下記の文献を参照のこと:Johnston,Pediatr.Infect.Dis.J. 12(11):933-41,1993 。こうして、可溶性C1g様分子は、感染因子の溶解または食作用を促進する抗菌剤として有用であろう。
【0092】
本発明のzsig37ポリペプチドは、また、神経伝達をモジュレートすると考えられる部分に対する相同性を示す。第1図に示すように、zsig37ポリペプチドは下記のタンパク質に対して相同性である:HP25_TAMAS(Takamatsu et al.,Mol.Cell.Biol. 13:1516-21,1993 およびKondo & Kondo,J.Biol. Chem. 267:473-8 、1992);HP27_TAMAS(Takamatsu et al.およびKondo & Kondo の前述の参考文献)およびCERL_RAT(Wada & Ohtani,Brain Res.Mol.Brain Res. 9:71-7,1991) 。HP25およびHP27は冬眠するシベリアンウッドチャックの活性(夏)血清の中に見出されるポリペプチドである。CERLはラット小脳の中に存在する。こうして、zsig37ポリペプチド、フラグメント、融合物、アゴニストまたはアンタゴニストは、例えば、神経伝達物質またはそれらのレセプターに結合することによって、神経伝達をモジュレートすることにおいて有用である。
【0093】
放射性ハイブリッドマッピングは、哺乳動物の染色体の高い分解能の、隣接する地図を構築するために開発された、幹細胞の遺伝的技術である(Cox et al.,Science 250:245-50,1990)。遺伝子の配列の部分的または完全な知識は、染色体の放射性ハイブリッドマッピングパネルとともに使用するために適当なPCRプライマーの設計を可能とする。全体のヒトゲノムをカバーする、放射性ハイブリッドマッピングパネル、例えば、Stanford G3 Panel およびGeneBridge 4 RH Panel(Research Genetics,Inc.、アラバマ州ハンツヴィレ)は商業的に入手可能である。これらのパネルは、急速な、PCRをベースとする染色体の局在化および遺伝子、配列標識化部位(STSs)、および問題の領域内の他の非多形性および多形性マーカーの順序決定を可能とする。
【0094】
これは、問題の新しく発見された遺伝子と前にマッピングされたマーカーとの間の、直接的に比例する物理的距離の確立を包含する。遺伝子の位置の正確な知識は、下記の目的を包含する、多数の目的に有用である:1)配列が存在するcontigの一部分であるかどうかを決定し、そして追加の取り囲む遺伝的配列を種々の形態、例えば、YACs、BACsまたはcDNAクローンで得ること;2)同一染色体領域に対する連鎖を示す、遺伝性疾患の可能な候補の遺伝子を準備すること;および3)特定の遺伝子がどんな機能を有することができるかの決定を促進することができる、交差参照モデルの生物、例えば、マウス。
【0095】
これらの結果が示すように、zsig37ポリペプチドをコードする遺伝子は、NIGMS ヒト/齧歯類幹細胞ハイブリッドマッピングパネルNo.2(National Institute of General Medical Sciences,Coriell Instutute of Medical Research)を使用するPCRにより、ヒト染色体17、領域17q25.2 にマッピングされた。
本発明はまた、診断用途において使用する試薬を提供する。例えば、zsig37遺伝子、zsig37DNA またはRNAからなるプローブ、またはそれらのサブ配列を使用して、zsig37遺伝子が染色体17上に存在するかどうか、あるいは突然変異が起こったかどうかを決定することができる。zsig37遺伝子座における検出可能な染色体の異常は、異数性、遺伝子コピー数の変化、挿入、欠失、制限部位の変化および再配列を包含するが、これらに限定されない。このような異常は、上流のプロモーターおよび調節領域を含む、コーディング配列内、またはフランキング配列内で起こることができ、そしてコーディング配列内の物理的変更または遺伝子の発現レベルにおける変化として発現されることがある。
【0096】
一般に、これらの診断法は下記の工程を含んでなる:(a)患者から遺伝的試料を採取し、(b)遺伝的試料を前述のポリヌクレオチドのプローブまたはプロモーターと、ポリヌクレオチドが相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする条件下に、インキュベートして、第1反応生成物を生成し、そして(c)第1反応生成物を対照反応生成物と比較する。第1反応生成物と対照反応生成物との間の差は、患者における遺伝的異常性を示す。本発明において使用する遺伝的試料は、ゲノムDNA、cDNA、およびRNAを包含する。ポリヌクレオチドのプローブまたはプロモーターはRNAまたはDNAであることができ、そして配列番号:1の一部分、配列番号:1の相補体、またはそれらのRNA同等物を含むであろう。
【0097】
これに関して適当なアッセイ法は、この分野において知られている分子遺伝的技術、例えば、制限フラグメントの長さ多形性(RFLP)の分析、PCR技術を使用する短い直列反復(STR)の分析、結合鎖反応(Barany,PCR Methods and Applications 1:1-15,1991) 、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、およびこの分野において知られている他の遺伝的結合分析技術を包含する(Sambrook et al.,ibid.;Ausubel et al.,ibid.;Marian;Chest 108:255-65 、1995) 。リボヌクレアーゼ保護アッセイ(例えば、Ausubel et al.、ibid. 参照)は、RNAプローブを患者のRNA試料に対してハイブリダイズさせ、次いで反応生成物(RNA-RNA ハイブリッド)をRNアーゼに暴露することを含んでなる。RNAのハイブリダイゼーションした領域を消化から保護する。PCRアッセイにおいて、患者の遺伝的試料を1対のポリヌクレオチドのプライマーとインキュベートし、プロモーターの間の領域を増幅させ、回収する。回収された生成物の大きさおよび量の変化は患者における突然変異を示す。使用することができる他のPCRをベースとする技術は、一本鎖コンフォメーション多形性(SSCP)そしてである(Hayashi,PCR Methods and Applications 1:34-8,1991)。
【0098】
17q25.2 に関連する症状はグリコーゲン貯蔵疾患IIである。こうして、zsig37ポリペプチドは、この症状の研究、予防または治療、例えば、遺伝子治療において有用であろう。哺乳動物が突然変異したzsig37遺伝子を有するか、あるいはzsig37遺伝子を欠如する場合、zsig37遺伝子を哺乳動物の細胞の中に導入することができる。1つの態様において、zsig37ポリペプチドをコードする遺伝子をin vivo においてウイルスベクターの中に導入する。このようなベクターは、弱毒化または欠陥DNAウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、肺炎ウイルス、EBウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、およびその他を包含するが、これらに限定されない。
【0099】
欠陥ウイルスは、ウイルス遺伝子を完全にまたはほとんど完全に欠如し、このようなウイルスは好ましい。欠陥ウイルスは、細胞の中に導入された後、感染性ではない。欠陥ウイルスのベクターを使用すると、ベクターが他の細胞を感染することができるということことを無視して、特定の局在化区域における細胞への投与が可能となる。特定のベクターの例は下記のものを包含するが、これらに限定されない:欠陥単純ヘルペスウイルス1(HSV1)のベクター(Kaplitt et al.,Molec.Cell.Neurosci. 2:320-30,(1991)) 、弱毒化アデノウイルス、例えば、Stratford-Perricaudet et al.,J.Clin.Invest. 90:626-30(1992) に記載されているベクター、および欠陥アデノ関連ウイルスのベクター(Samulski et al.,J.Virol. 61:3096-101(1987);Samulski et al.,J.Virol. 63:3822-8,(1989))。
【0100】
他の態様において、遺伝子を、例えば、下記の文献に記載されているように、レトロウイルスのベクターの中に導入することができる:Anderson et al. 、米国特許第5,399,346 号;Mann et al.,Cell 33:153(1983);Temin et al.、米国特許第4,650,764 号;Temin et al.、米国特許第4,980,289 号;Markwoitz et al.,J.Virol. 62:1120(1988);Temin et al.、米国特許第5,124,263 号;Dougherty et al.、国際特許公開No.WO95/07358 号、公開1995年3 月16日;およびBlood 82:845(1993)。あるいは、ベクターはリポソームを使用するin vivo におけるリポフェクションにより導入することができる。合成カチオン性脂質を使用して、マーカーをコードする遺伝子バンクのin vivoトランスフェクションのためのリポソームを調製する(Felgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7(1987);Mackey et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8027-31(1988)) 。
【0101】
外因的遺伝子を特定の器官の中にin vivo において導入するリポフェクションを使用すると、ある種の実際的利点が得られる。特定の細胞に対するリポソームの分子のターゲッティングは、1つの範囲の利益を表す。明らかなように、トランスフェクションを特定の細胞に向けることは、1つの範囲の利益を表す。例えば、特定の細胞の型にトランスフェクションを向けることは、細胞の異種性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、腎臓、および脳において特に好都合であることが明らかである。脂質をターゲッティングの目的で他の分子に化学的にカップリングさせることができる。ターゲッテッドペプチド(例えば、ホルモンまたは神経伝達物質)、タンパク質、例えば、抗体、または非ペプチド分子をリポソームの化学的にカップリングすることができる。
【0102】
標的細胞を体から取出し、裸のDNAプラスミドとしてベクターを導入し、次いで形質転換された細胞を体の中に再移植することができる。遺伝子治療のための裸のDNAベクターを、この分野において知られている方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、トランスダクション、細胞融合、DEAEデキストリン、リン酸カルシウム沈澱法、遺伝子ガンの使用またはDNAベクターのトランスポーターの使用により、所望の宿主細胞の中に導入することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:Wu et al.,J.Biol.Chem. 267:963-7(1992);Wu et al.,J.Biol.Chem. 263:14621-4(1988) ;およびJohnstonおよびTang,Methods in Cell Biology 43:353-65(1994)。
【0103】
本発明の他の面は、配列番号:1に記載するポリヌクレオチドのセグメントに対して相補的であるアンチセンスポリヌクレオチド組成物を包含する。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドはzsig37ポリペプチドをコードするmRNAに結合し、このようなmRNAの翻訳を阻害するように設計される。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞培養または被検体におけるzsig37ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を阻害するために有用である。
【0104】
zsig37ポリペプチドは、哺乳動物のエネルギーバランスの分析において使用することができる。血清または組織の試料の中に見出されるzsig37ポリペプチドは、食物を貯蔵する哺乳動物の能力を示し、いっそう高度に効率よい哺乳動物は肥満に向かう傾向がある。さらに詳しくは、本発明は下記の工程を含んでなるzsig37ポリペプチドを検出する方法を包含する:
zsig37ポリペプチドを含有する可能性がある試料を固体支持体に結合させた抗体に暴露し、ここで前記抗体はzsig37ポリペプチドのエピトープに結合し;
前記固定化された抗体−ポリペプチドを洗浄して、非結合汚染物質を除去し;
前記固定化された抗体−ポリペプチドをzsig37ポリペプチドの第2エピトープに対して向けられた第2抗体に暴露し;ここで第2抗体は検出可能な標識と結合しており;そして
検出可能な標識を検出する。
【0105】
被験試料中のzsig37ポリペプチドの濃度は哺乳動物のエネルギー効率を示すように思われる。この情報は哺乳動物の栄養の分析促進する。潜在的に、この情報はエネルギー欠乏組織の同定および/またはターゲッティングにおいて有用であろう。
本発明の追加の面において、前述のzsig37ポリペプチドに特異的に結合する抗体が提供される。このような抗体は、前述した他の用途の中で、抗イディオタイプ抗体の製造に有用である。本発明の追加の面は、前述のzsig37ポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストを同定する方法を提供する。このようなアゴニストまたはアンタゴニストは、本明細書においてさらに議論するように、価値ある性質を有することができる。1つの態様において、zsig37ポリペプチドのアゴニストを同定する方法が提供され、この方法は、アゴニストに対して応答性の細胞を準備し、被検化合物の存在において細胞を培養し、細胞の応答をzsig37ポリペプチドの存在において培養した細胞と比較し、そして細胞の応答が同一の型である被検化合物を選択することからなる。
【0106】
他の態様において、zsig37ポリペプチドのアンタゴニストを同定する方法が提供され、この方法は、アンタゴニストに対して応答性の細胞を準備し、細胞の第1部分を被検化合物の存在において培養し、細胞の第2部分をzsig37ポリペプチドおよび被検化合物の存在において培養し、そして細胞の第1部分に比較して細胞の第2部分の細胞の応答の制限を検出することを含んでなる。本明細書において開示するアッセイに加えて、レセプターの結合またはzsig37依存的細胞の応答の刺激/阻害を測定するように設計された、種々のアッセイにおいて、zsig37の活性の阻害について試料を試験することができる。例えば、zsig37刺激経路に対して応答性であるリポーター遺伝子構築物で、zsig37応答性細胞系統をトランスフェクトすることができる。
【0107】
この型のリポーター遺伝子構築物はこの分野において知られており、そして一般にアッセイ可能なタンパク質、例えば、ルシフェラーゼをコードする遺伝子に作用可能に連鎖されたzsig37-DNA応答因子からなるであろう。DNA応答因子は下記のものを包含することができるが、これらに限定されない:環状AMP応答因子(CRE)、ホルモン応答因子(HRE)、インスリン応答因子(IRE) (Nasrin et al. 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:5273-7、1990)および血清応答因子(SRE) (Shaw et al. 、Cell 56:563-72、1989)。環状AMP応答因子は、Roestler et al. 、J.Biol.Chem. 263(19):9063-6 、1988およびHabener 、Molec.Endocrinol. 4(8):1087-94、1990において概観されている。ホルモン応答因子は、Beato 、Cell 56:335-44、1989において概観されている。候補の化合物、溶液、混合物または抽出物を、リポーター遺伝子の発現のzsig37の刺激の減少により証明されるように、ターゲット細胞に対するzsig37の活性を阻害する能力について試験する。
【0108】
この型のとしては、細胞表面のレセプターに対するzsig37の結合を直接的にブロックする化合物、ならびにリポーター−リガンド結合に細胞の経路におけるプロセスをブロックする化合物を検出するであろう。別法において、検出可能な標識(例えば、 125I、ビオチン、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、FITC、およびその他)で標識化されたzsig37を使用して、レセプターへのzsig37の結合の直接的ブロックについて、化合物または他の特異的を試験するすることができる。この型のアッセイにおいて、レセプターに対する標識化zsig37の結合を阻害する被験特異的の能力は阻害活性を示し、この活性は二次アッセイにより確証することができる。この結合アッセイにおいて使用するレセプターは、細胞のレセプターまたは単離された、固定化レセプターであることができる。
【0109】
本発明のそれ以上の面は、インスリンを研究する方法を提供する。本発明のこのような方法は、zsig37ポリペプチド、そのモノクローナル抗体、アゴニストまたはアンタゴニスト±インスリンを含んでなる培地中で脂肪細胞インキュベートし、そして脂肪細胞のタンパク質の分泌または分化の変化を観測することを含んでなる。
【0110】
抗微生物保護因子は、直接的に作用性または間接的に作用性であることができる。このような因子は、膜のアソシエーションまたは孔の形成メカニズムを介して働き、攻撃性微生物に直接的に結合する。抗微生物因子は、また、酵素的メカニズムを介して作用して、微生物保護物質または微生物の細胞壁/膜を破壊することができる。微生物の増殖または作用を阻害するか、あるいは前述のいずれかのメカニズムにより微生物の完全性を崩壊することができる、抗微生物因子は、抗微生物活性に対して感受性である微生物による、細胞培養における汚染を防止する方法において有用である。このような技術は、有効量の前記zsig37ポリペプチドまたはそのアゴニストまたはアンタゴニストの存在において、細胞を培養することを含む。
【0111】
また、zsig37ポリペプチドまたはそのアゴニストを、外因的微生物の感染、例えば、細菌、ウイルスまたは菌類の感染のin vitro研究において、細胞培養試薬として使用することができる。このような成分は、また、感染のin vivo 動物モデルとして使用することができる。
本発明は、また、哺乳動物細胞の代謝を研究する方法を提供する。本発明のこのような方法は、研究すべき細胞、例えば、ヒト導管内皮細胞、±zsig37ポリペプチド、そのモノクローナル抗体、アゴニストまたはアンタゴニストをインキュベートし、そして脂肪生成、グルコース新生、グリコーゲン分解、脂質生成、グルコース吸収、またはその他の変化を観測することからなる。
【0112】
本発明の追加の面は、二量体化またはオリゴマー化を研究する方法を提供する。本発明のこのような方法は、zsig37ポリペプチド、またはコラーゲン様ドメインを単独で、またはコラーゲン様ドメインを支持する他のポリペプチドを含有する、そのフラグメントまたは融合タンパク質をインキュベートし、そしてコラーゲン様ドメインの間で形成したアソシエーションを観測することからなる。このようなアソシエーションは、HPLC、細胞の二色性またはその他により示される。
【0113】
前述したように、本発明の単離されたポリヌクレオチドはDNAおよびRNAを包含する。DNAおよびRNAを製造する方法は、この分野においてよく知られている。一般に、RNAは腫瘍、心臓、胎盤、脂肪組織およびその他から単離することが好ましいが、DNAは、また、他の組織からのRNAを使用して製造することができるか、あるいはゲノムDNAから単離することができる。全体のRNAは、グアニジンHCl抽出および引き続くCsCl勾配における遠心による単離により製造することができる(Chirgwin et al.,Biochemistry 18:52-94,1979)。ポリ(A)+ RNAは、AvivおよびLeder,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:1408-12,1972) の方法に従い、全体のRNAから製造される。相補的DNA(cDNA) は、既知の方法により、ポリ(A)+ RNAから製造される。別法において、ゲノムDNAを単離することができる。次いで、zsig37ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、例えば、ハイブリダイゼーションまたはPCRにより、同定および単離する。
【0114】
本発明は、さらに、他の種からの対応物のポリペプチドおよびポリヌクレオチド(オルト体またはパラログ)を提供する。これらの種は下記のものを包含するが、これらに限定されない:哺乳動物、トリ、両生類、爬虫類、魚類、昆虫および他の脊椎動物および無脊椎動物。特に興味あるものは、他の哺乳動物種、例えば、ネズミ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、および他の霊長類からのzsig37ポリペプチドである。ヒトタンパク質のオルト体は、本発明により提供される情報および組成物を慣用のクローニング技術と組み合わせて使用して、クローニングすることができる。例えば、タンパク質を発現する組織および細胞のタイプから得られるmRNAを使用して、cDNAをクローニングすることができる。本明細書において開示する配列から設計されたプローブでノザンブロットをプロービングすることによって、mRNAの適当な源を同定することができる。
【0115】
次いで、陽性の組織または細胞系統のmRNAからライブラリーを調製する。次いで、種々の方法により、例えば、完全なまたは部分的ヒトcDNAでプロービングするか、あるいは開示された配列をベースとする縮重プローブの1またはそれ以上の組でプロービングすることによって、zsig37をコードするcDNAを単離することができる。また、ポリメラーゼ連鎖反応、すなわち、PCR(Mullis、米国特許第4,683,202 号)により、本明細書において開示する、配列から設計されたプライマーを使用して、cDNAをクローニングすることができる。追加の方法において、cDNAライブラリーを使用して宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができ、そして問題のcDNAの発現をzsig37ポリペプチドに対する抗体で検出することができる。
【0116】
また、同様な技術をゲノムのクローンの単離に適用することができる。また、本明細書において提供される配列を使用して、種特異的ESTデータベースをスクリーニングすることによって、オルト体を同定することができる。ネズミzsig37オルト体をコードするESTは、下にいっそう詳細に説明するように、マウスESTデータベースをスクリーニングすることによって見出された。マウスオルト体(配列番号:43)は、ヒト配列と、ヌクレオチドレベルにおいて77%の同一性およびアミノ酸レベルにおいて77%の同一性を有する。
【0117】
当業者は認識するように、配列番号:1および配列番号:2に開示する配列はヒトzsig37DNA およびタンパク質の単一の対立遺伝子を表し、そして対立遺伝子の変動およびいずれかのスプライシングが起こることが期待される。この配列の対立遺伝子変異型は、標準的手順に従い、異なる個体からcDNAまたはゲノムのライブラリーをプロービングすることによって、クローニングすることができる。配列番号:1に示すDNA配列の対立遺伝子変異型は、サイレント突然変異体を含有するものおよび突然変異がアミノ酸配列を変化させるものを包含し、配列番号:2の対立遺伝子変異型であるタンパク質と同様に、本発明の範囲内に入る。
【0118】
交互にスプライスされたmRNAから発生するcDNAは、zsig37ポリペプチドの性質を保持し、このようなcDNAおよびmRNAによりコードされるポリペプチドと同様に、本発明の範囲内に入る。これらの配列の対立遺伝子変異型およびスプライス変異型は、この分野において知られている標準的手順に従い、異なる個体または組織からのcDNAまたはゲノムのライブラリーをプロービングすることによって、クローニングすることができる。
【0119】
本発明は、また、配列番号:2のポリペプチドおよびそれらの種相同体/オルト体ノポリペプチドに対して実質的に相同である、単離されたzsig37ポリペプチドを提供する。用語「実質的に相同」は、本明細書において、配列番号:2に示す配列またはそれらのオルト体またはパラログに対して50%、好ましくは60%、より好ましくは少なくとも80%の配列の同一性を有するポリペプチドを表すために使用される。このようなポリペプチドは配列番号:2に示す配列またはそれらのオルト体またはパラログに対して少なくとも90%の同一性、より好ましくは95%またはそれ以上の同一性を有する。配列の同一性の百分率は慣用法により決定される。
【0120】
例えば、下記の文献を参照のこと:Altschul et al. 、Bull.Math.Bio. 48:603-616 、1986およびHenikoffおよびHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919 、1992。簡単に述べると、表3(アミノ酸は標準的1文字コードにより示されている)に示すように10のギャップオープニングペナルティー、1のギャップエクステンションペナルティー、およびHenikoffおよびHenikoff(ibid.) の「ブロサム62」スコアリングマトリックスを使用して、2つのアミノ酸配列を整列させて整列スコアを最適化する。次いで、最適な整列の同一百分率は、次のようにして計算される:
【0121】
【数1】
【0122】
【表3】
【0123】
ポリヌクレオチド分子の配列の同一性は、前述した比を使用する同様な方法により決定される。
実質的に相同性のタンパク質およびポリペプチドは、1または複数のアミノ酸の置換、欠失または付加を有するとして特性決定される。これらの変化は好ましくは小さい特質を有する、すなわち、保存的アミノ酸置換(表4参照)およびタンパク質またはポリペプチドのフォルディングまたは活性に影響を実質的に与えない他の置換;小さい欠失、典型的には1〜約30アミノ酸の欠失;および小さいアミノ末端およびカルボキシル末端のエクステンション、例えば、アミノ末端のメチオニン残基、約20〜25残基までの小さいリンカーペプチド、または親和標識を有する。親和標識を含むポリペプチドは、zsig37ポリペプチドと親和標識との間にタンパク質分解切断部位をさらに含むことができる。好ましいこのような部位は、トロンビン切断部位および因子Xa切断部位を包含する。
【0124】
【表4】
【0125】
本発明のタンパク質は、また、天然に存在しないアミノ酸残基を含むことができる。天然に存在しないアミノ酸は、限定されず、下記のものを包含する:トランス−3−メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロ−スレオニン、メチルスレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3−および4−メチルプロリン、3,3−ジメチルプロリン、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、および4−フルオロフェニルアラニン。天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質の中に組込む、いくつかの方法はこの分野において知られている。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを使用してナンセンス突然変異を抑制する、in vitro系を使用することができる。
【0126】
アミノ酸を合成し、tRNAをアミノアシル化する方法はこの分野において知られている。大腸菌(E.coli)S30 抽出物および商業的に入手可能な酵素および他の試薬からなる、無細胞系において、ナンセンス突然変異を含有するプラスミドの転写および翻訳は実施される。タンパク質をクロマトグラフィーにより精製する。例えば、下記の文献を参照のこと:Robertson et al.,J.Am.Chem.Soc. 113:2722,1991;Ellman et al.,Methods Enzymol. 202:301,1991;Chung et al.,Science 259:806-809,1993;およびChung et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10145-10149,1993)。
【0127】
第2の方法において、突然変異されたmRNAおよび化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションにより、キセノプス・オオサイト(Xenopus oocytes) 中で翻訳を実施する(Turcatti et al.,J.Biol.Chem. 271:19991-19998,1996)。第3の方法において、置換すべき天然のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)の非存在においてかつ所望の天然に存在しない1またはそれ以上のアミノ酸(例えば、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニンまたは4−フルオロフェニルアラニン)の存在において、大腸菌(E.coli)細胞を培養する。天然に存在しないアミノ酸をその天然の対応物の代わりにタンパク質の中に組込む。Koide et al.、Biochem. 33:7470-7476 、1994、参照。in vitro化学的修飾により、天然に存在するアミノ酸残基を天然に存在しない種に変換することができる。化学的修飾を部位特異的突然変異誘発と組合わせて、置換の範囲をさらに拡張することができる(WynnおよびRichards、Protein Sci. 2:395-403、1993)。
【0128】
制限された数の非保存的アミノ酸、遺伝暗号によりコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、および非天然のアミノ酸をzsig37アミノ酸残基と置換することができる。
本発明のポリペプチドにおける必須アミノ酸は、この分野において知られている手順、例えば、部位特異的突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発に従い同定することができる(Cunningham およびWells 、Science 244:1081-1085 、1989;Bass et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4498-4502 、1991)。後者の技術において、単一のアラニンの突然変異を分子中のすべての残基において導入し、そして、後述するように、生ずる突然変異体分子を生物学的活性(例えば、エネルギーバランスをモジュレートする能力)について試験して、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定する。
【0129】
また、Hilton et al. 、J.Biol.Chem. 271:4699-4708、1996参照。また、核磁気共鳴、結晶学、電子回折またはホトアフィニティーラベリングのような技術と、推定上の接触部位のアミノ酸の突然変異との組合わせにより決定した、構造の物理的分析により、リガンド−レセプターの相互作用または他の生物学的相互作用の部位を決定することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:de Vos et al. 、Science 255:306-312 、1992;Smith et al. 、J.Mol.Biol. 224:899-904 、1992;Wlodaver et al.、FEBS Lett. 309:59-64、1992。必須アミノ酸の同一性は、また、関係するポリペプチドとの相同性の分析から推理することができる。
【0130】
既知の突然変異誘発およびスクリーニングの方法、例えば、下記の文献に記載されている方法により、多重アミノ酸置換を行い、試験することができる:Reidhaar-OlsonおよびSauer 、Science 241:53-57 、1988またはBowie およびSauer 、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2152-2156 、1989。簡単に述べると、これらの著者らは、ポリペプチド中の2またはそれ以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドについて選択し、次いで突然変異したポリペプチドを配列決定して、各位置において許容可能な置換のスペクトルを決定する方法を開示している。
【0131】
使用できる他の方法は、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al. 、Biochem. 30:10832-10837 、1991;Ladner et al.、米国特許第5,223,409 号;Huse、WIPO公開WO92/06204号)および領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al. 、Gene 46:145 、1986;Ner et al. 、DNA 7:127 、1988)を包含する。
【0132】
開示されたzsig37 DNAおよびポリペプチド配列の変異型は、下記の文献に開示されているように、DNAシャフリングにより発生させることができる:Stemmer 、Nature 370:389-91 、1994;Stemmer、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747-51、1994;およびWIPO公開WO97/20078号。簡単に述べると、親DNAのランダムフラグメント化によるin vitro相同組換えおよび引き続くPCRを使用するリアセンブリーによって、ランダムに導入された点突然変異を生成することによって、変異型DNAを発生させる。1ファミリーの親DNA、例えば、異なる種からの対立遺伝子変異型またはDNAを使用して、追加の変動性をこのプロセスに導入することによって、この技術を変更することができる。所望の活性についての選択またはスクリーニング、および引き続く突然変異誘発の追加の反復およびアッセイは、所望の突然変異体についての選択および同時の有害な変化に対する選択により、配列の急速な「進化」を提供する。
【0133】
前述したような突然変異誘発法を、高い処理量の、自動化されたスクリーニング法と組合わせて、宿主細胞におけるクローニングされた、突然変異化されたポリペプチドの活性を検出することができる。活性ポリペプチドをコードする突然変異化DNA分子を宿主細胞から回収し、そして現代的装置により急速に配列決定することができる。これらの方法は問題のポリペプチド中の個々のアミノ酸残基の重要性の急速な決定を可能とし、そして未知の構造のポリペプチドに適用することができる。
【0134】
前述の方法を使用して、当業者は、配列番号:2の残基26〜281またはそれらの対立遺伝子変異型に対して実質的に相同でありかつ野生型タンパク質のエネルギーバランスのモジュレーションまたは他の性質を保持する種々のポリペプチドを同定および/または製造することができる。このようなポリペプチドは、追加のアミノ酸、例えば、Gly-Xaa-Pro またはGly-Xaa-Xaa 型のコラーゲン領域を含むことができる。このようなポリペプチドは、また、一般的に前述したように追加のポリペプチドのセグメントを含むことができる。
【0135】
全長のタンパク質、それらのフラグメント、および融合タンパク質を包含する、本発明のポリペプチドを、慣用の技術に従い、遺伝子操作された宿主細胞において製造することができる。適当な宿主細胞は、外因的DNAで形質転換またはトランスフェクトすることができ、培養により増殖させることができる細胞の型であり、そして細菌、菌類細胞、および培養された高等真核細胞を包含する。真核細胞、特に多細胞生物の培養された細胞は好ましい。クローニングされたDNA分子を操作し、外因的DNAを種々の宿主細胞の中に導入する技術は、下記の文献に記載されている:Sambrook et al. 、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press 、Cold Spring Harbor、NY、1989、およびAusubel et al.編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons,Inc.、NY、1987。
【0136】
一般に、本発明のzsig37ポリペプチドをコードするDNA配列は、発現ベクター内に一般に転写プロモーターおよびターミネーターを含む、その発現のための必要な他の遺伝因子に作用可能に連鎖される。ベクターは、また、1またはそれ以上の選択可能なマーカーおよび1またはそれ以上の複製起点を普通に含有するが、当業者は認識するように、ある種の系内で選択可能なマーカーを別々のベクター上に提供し、そして宿主細胞のゲノムの中への組込みにより外因的DNAの複製を得ることができる。プロモーター、ターミネーター、選択可能なマーカー、ベクターおよび他の因子の選択は、当業者のレベル内の日常的設計事項である。多数のこのような因子は文献に記載されており、そして商業的供給会社から入手可能である。
zsig37ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に向けるために、分泌シグナル配列(また、リーダー配列、プレプロ配列または前配列として知られている)を発現ベクターの中に準備する。
【0137】
分泌シグナル配列はzsig37ポリペプチドのそれであることができるか、あるいは他の分泌されたタンパク質(例えば、t−PA)から誘導するか、あるいは新規に合成することができる。分泌シグナル配列をzsig37DNA配列に正しいリーディングフレームで結合する。分泌シグナル配列はに問題のポリペプチドをコードするDNA配列に対して5’に普通に配置されるが、ある種の分泌シグナル配列は問題のDNA配列の中のどこかに位置決定することができる(例えば、Welch et al.、米国特許第5,037,743 号;Holland et al.、米国特許第5,143,830 号、参照)。逆に、zsig37ポリペプチドのシグナル配列の部分(配列番号:2のアミノ酸1〜21または1〜25)を使用して、類似の方法によりオールタネイティブタンパク質の分泌を指令することができる。
【0138】
本発明のポリペプチドの中に含有される分泌シグナル配列を使用して、他のポリペプチドを分泌経路に向けることができる。本発明は、このような融合ポリペプチドを提供する。配列番号:2のアミノ酸残基1〜22または1〜25から誘導された分泌シグナル配列が他のポリペプチドに作用可能に連鎖されたシグナル融合ポリペプチドを、この分野において知られておりかつ本明細書に開示されている方法により、作ることができる。好ましくは、本発明の融合ポリペプチドの中に含有される分泌シグナル配列を追加のペプチドに対してアミノ末端的に融合させて、追加のペプチドを分泌経路の中に向ける。このような構築物はこの分野において知られている多数の用途を有する。例えば、これらの新規な分泌シグナル配列の融合構築物は、例えば、常態で分泌されないタンパク質の活性成分、例えば、レセプターの分泌を指令することができる。このような融合体をin vivo またはin vitroにおいて使用して、ペプチドを分泌経路を通して向けることができる。
【0139】
培養された哺乳動物細胞は、また、本発明において適当な宿主である。外因的DNAを哺乳動物の宿主細胞の中に導入する方法は下記の方法を包含する:リン酸カルシウム仲介トランスフェクション(Wigler et al.,Cell 14:725,1978;Corsaro およびPearson,Somatic Cell Genetics 7:603,1981;Graham およびVan der Eb,Virology 52:456,1973)、エレクトロポレーション(Neumann et al.,EMBO J.1:841-845,1982)、DEAE−デキストリン仲介トランスフェクション(Ausubel et al.,ibid.)、リポソーム仲介トランスフェクション(Hawley-Nelson et al.,Focus 15:73,1993;Ciccarone et al.,Focus 15:80,1993) 、およびウイルスベクター(MillerおよびRosman,BioTechniques 7:980-90,1989;Q.Wang およびFiner,Nature Med. 2:714-6,1996) 。
【0140】
培養された哺乳動物細胞における組換えポリペプチドの産生は、例えば、下記の特許文献に記載されている:Levinson et al. 、米国特許第4,713,339 号;Hagen et al.、米国特許第4,784,950 号;Palmiter et al. 、米国特許第4,579,821 号;およびRingold 、米国特許第4,656,134 号。適当な培養された哺乳動物細胞は下記のものを包含する:COS-1(ATCC No.CRL 1650) 、COS-7(ATCC No.CRL 1651) 、BHK570(ATCC No.CRL 10314) 、293(ATCC No.CRL 1573;Graham et al. 、J.Gen.Virol.36:59-72、1977)およびチャイニーズハムスター卵巣(例えば、CHO-K1;ATCC No.CRL 61)細胞系統。追加の適当な細胞系統はこの分野において知られており、そして公衆の寄託機関、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(マリイランド州ロックビレ)から入手可能である。一般に、強い転写プロモーター、例えば、SV-40 またはサイトメガロウイルスからのプロモーターは好ましい。例えば、米国特許第4,956,288 号参照。他の適当なプロモーターは、メタロチオネイン遺伝子からプロモーター(米国特許第4,579,821 号および米国特許第4,601,978 号)およびアデノウイルスの主要な後期プロモーターを包含する。
【0141】
薬剤選択を一般に使用して、外来DNAが挿入された、培養された哺乳動物細胞について選択する。このような細胞は普通に「トランスフェクタント」と呼ばれる。選択因子の存在において培養され、問題の遺伝子をそれらの子孫に移行させることができる細胞は、「安定なトランスフェクタント」と呼ばれる。好ましい選択可能なマーカーは、抗生物質のネオマイシンに対する耐性をコードする遺伝子である。選択はネオマイシン型薬剤、例えば、G-418 またはその他の存在において実施される。また、選択系を使用して、問題の遺伝子の発現レベルを増加することができる、「増幅」と呼ぶ方法。低いレベルの選択因子の存在においてトランスフェクタントを培養し、次いで選択因子の量を増加して、導入された遺伝子の産物を高いレベルで産生する細胞について選択することによって、増幅は実施される。
【0142】
好ましい増幅可能な選択可能なマーカーは、メトトレキセートに対する耐性を付与する、ジヒドロフォレートリダクターゼである。他の薬剤耐性遺伝子(例えば、ヒグロマイシン耐性、多薬剤耐性、プロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)を使用することもできる。変更された表現型を導入するオールタネイティブマーカー、例えば、緑色蛍光タンパク質、または細胞表面のタンパク質、例えば、CD4、CD8、クラスIのMHC、胎盤アルカリ性ホスファターゼを使用して、FACSソーティングまたは磁気ビーズ分離技術のような手段により、非形質転換細胞からトランスフェクテッド細胞を選別することができる。
【0143】
植物細胞、昆虫細胞およびトリ細胞を包含する、他の高等真核細胞を宿主細胞として使用することもできる。植物細胞中で遺伝子を発現するのためのベクターとしてアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を使用することは、Sinkar et al., J.Biosci.(Bangalore)11:47-58, 1987 、において概観されている。昆虫細胞の形質転換およびその中の外来ポリペプチドの産生は、Guarino et al.、米国特許第5,162,222 号およびWIPO公開WO94/06463号に記載されている。オートグラファト・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)から普通に誘導される、組換えバキュロウイルスで、昆虫細胞を感染させることができる。
【0144】
下記の文献を参照のこと:KingおよびPossee, The Baculovirus Expression System:A Laboratory Guide、London、Chapman & Hall、O'Reilly, D.R.et al., Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual, New York、Oxford University Press, 1994;およびRichardson, C.D.編、Baculovirus Expression Protocols.Methods in Molecular Biology, Totowa, NJ, Humana Press, 1995 。
【0145】
組換えバキュロウイルスを作る第2の方法は、Luckowが記載するトランスポゾンをベースとする系を利用する(Luckow, V.A., et al., J.Virol.67:4566-79, 1993)。この系はBac-to-Bacキット(Life Technologies, マリイランド州ロックビレ)で販売されている。この系は転移ベクター、pFastBac1TM(Life Technologies)を利用し、ここでpFastBac1TM は「バクミド(bacmid)」と呼ばれる大きいプラスミドとして大腸菌(E.coli)の中に維持されたバキュロウイルスのゲノムの中にzsig37ポリペプチドをコードするDNAを動かすために、Tn7トランスポゾンを含有する。下記の文献を参照のこと:Hill-PerkinsおよびPossee, J.Gen.Virol.71:971-6, 1990; Bonning ,et al.,J.Gen.Virol. 75:1551-6,1994; および、ChazenbalkおよびRapoport, J.Biol.Chem.270:1543-9, 1995。
【0146】
さらに、転移ベクターは、発現されたzsig37ポリペプチドのC末端またはN末端におけるエピトープ標識、例えば、Glu−Gluエピトープ標識をコードするDNAとのインフレーム融合物を含むことができる(Grussenmeyer, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.82:7952-4, 1985)。この分野において知られている技術を使用して、zsig37を含有する転移ベクターを大腸菌(E.coli)の中に形質転換し、そして組換えバキュロウイルスを示す中断されたlacZ遺伝子を含有するバクミドについてスクリーニングする。組換えバキュロウイルスのゲノムを含有するバクミドDNAを普通の技術に従い単離し、そしてスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞、例えば、Sf9細胞をトランスフェクトする。zsig37を発現する組換えベクターを引き続いて生成させる。この分野において普通に使用されている方法により、組換えウイルスの系統を作る。
【0147】
宿主細胞、典型的にはヨトウガ、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda) から誘導された細胞系統を感染させるために、組換えウイルスを使用する。一般に、下記の文献を参照のこと:Glick およびPasternak,Molecular Biotechnology:Principle and Applications of Recombinant DNA 、ASM Press, Washington, D.C., 1994 。他の適当な細胞系統は、トリコデルマ・ニ(Trichoderma ni)から誘導されたHigh FiveOTM細胞系統(Invitrogen)である(米国特許第5,300,435 号)。
【0148】
商業的に入手可能な無血清培地を使用して、細胞を増殖させかつ維持する。適当な培地はSf9細胞についてSf900 IITM(Life Technologies) またはESF 921TM(Expression System);およびトリコデルマ・ニ(T.ni)細胞についてEx-cellO450TM(JRH Bioscience、カンサス州レネクサ)またはExpress FiveOTM(Life Technologies)である。細胞をほぼ2〜5×105 細胞の接種密度から1〜2×106 細胞の密度に増殖させ、この時組換えウイルスの系統を0.1〜10、より典型的には約3の感染の多重度で添加する。使用する手順は一般に入手可能な実験室のマニュアルに記載されている(King、およびPossee, ibid.; O'Reilly, et al., ibid.; Richardson, ibid.)。本明細書に記載する方法に従い、上清からのzsig37ポリペプチドの引き続く精製を実施することができる。
【0149】
酵母細胞を包含する菌類細胞を本発明において使用することもできる。これに関して特に興味ある酵母種は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)を包含する。外因的DNAでサッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)を形質転換し、それから組換えポリペプチドを生産する方法は、例えば、下記の特許文献に記載されている:Kawasaki、米国特許第4,599,311 号;Kawasaki et al. 、米国特許第4,931,373 号;Brake 、米国特許第4,870,008 号;Welch et al.、米国特許第5,037,743 号;およびMurry et al.、米国特許第4,845,075 号。選択可能なマーカーにより決定された表現型、普通の薬剤耐性または特定の栄養(例えば、ロイシン)の非存在において増殖する能力により、形質転換された細胞を選択する。
【0150】
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) において使用するために好ましいベクター系は、Kawasaki et al.(米国特許第4,931,373 号)により開示されているPOT1ベクター系であり、これはグルコース含有培地中の増殖による形質転換細胞の選択を可能とする。酵母において使用するために適当なプロモーターおよびターミネーターは、解糖酵素遺伝子(例えば、Kawasaki、米国特許第4,599,311 号;Ingsman et al.、米国特許第4,615,974 号;およびBitter、米国特許第4,977,092 号、参照)およびアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子からのものを包含する。また、米国特許第4,990,446 号;米国特許第5,063,154 号;米国特許第5,139,936 号および米国特許第4,661,454 号参照。
【0151】
ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカラロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis) 、ピキア・パストリス(Pichia pastoris) 、ピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)、ピキア・グイレルモンディイ(Pichia guillermondii)およびカンジダ・マルトサ(Candida maltosa) を包含する、他の酵母のための形質転換系はこの分野において知られている。例えば、Gleeson et al., J.Gen.Microbiol. 132:3459-3465 、1986およびCregg 、米国特許第4,882,279 号、参照。McKnight et al. 、米国特許第4,935,349 号の方法に従い、アスペルギルス(Aspergillus)細胞を利用することができる。アクレモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenum)は、Sumino et al. 、米国特許第5,162,228 号に開示されている。
【0152】
ニューロスポラ(Neurospora)を形質転換する方法は、Lambowitz 、米国特許第4,486,533 号に開示されている。組換えタンパク質の生産のための宿主としてピキア・メタノリカ(Pichia metanolica) を使用することは、WIPO公開WO97/17450号、WO97/17451号、WO98/02536号、およびWO98/02565号に開示されている。ピキア・メタノリカ(P.metanolica)の形質転換において使用するためのDNA分子は二本鎖、環状のプラスミドとして普通に製造され、これらは好ましくは形質転換の前に線状化される。ピキア・メタノリカ(P.metanolica)におけるタンパク質の生産のために、プラスミド中のプロモーターおよびターミネーターはピキア・メタノリカ(P.metanolica)の遺伝子、例えば、ピキア・メタノリカ(P.metanolica)のアルコール利用遺伝子(AUG1またはAUG2)のそれであることが好ましい。
【0153】
他の有用なプロモーターは、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)、ホルメートデヒドロゲナーゼ(FMD)、およびカタラーゼ(CAT)遺伝子のプロモーターを包含する。宿主染色体の中へのDNAの組込みを促進するために、宿主DNA配列により双方の末端においてフランクされたプラスミドの全体の発現セグメントを有することが好ましい。ピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)において使用するために好ましい選択可能なマーカーはピキア・メタノリカ(P.metanolica)のADE2遺伝子であり、これはホスホリボシル−5−アミノイミダゾールカルボキシラーゼ(AIRC;EC4.1.1.21) をコードし、これはアデニンの非存在においてade2宿主細胞を増殖させる。
【0154】
メタノールの使用を最小としようとする、大規模の工業的方法のために、双方のメタノール利用遺伝子(AUG1およびAUG2)が欠失されている、宿主細胞を使用することが好ましい。分泌されたタンパク質の生産のために、液胞プロテアーゼ遺伝子(PEP4およびPRB1)を欠如する宿主細胞は好ましい。問題のポリペプチドをコードするDNAを含有するプラスミドをピキア・メタノリカ(P.metanolica)細胞の中に導入することを促進するために、エレクトロポレーションを使用する。 2.5〜4.5kV/cm、好ましくは約3.75kV/cm の電界強度を有する、指数的に減衰する、パルス電界、および1〜40ミリセカント、最も好ましくは約20ミリセカントの時間定数(τ)を使用する、エレクトロポレーションにより、ピキア・メタノリカ(P.metanolica)細胞を形質転換することが好ましい。
【0155】
細菌大腸菌(Escherichia coli)、バシラス(Bacillus)および他の属の株を包含する、原核宿主細胞は、また、本発明において有用である。これらの宿主を発現し、その中にクローニングされた外来DNA配列を発現する技術はこの分野においてよく知られている(例えば、Sambrook et al.,ibid.参照)。大腸菌(E.coli) のような細菌においてzsig37ポリペプチドを発現させるとき、ポリペプチドを、典型的には不溶性粒子として、細胞質の中に保持させることができるか、あるいは細菌の分泌配列によりペリプラスミック空間の中に向けることができる。前者の場合において、細胞を溶解し、粒子を回収し、例えば、グアニジンイソチオシアネートまたは尿素を使用して、変性する。
【0156】
次いで変性されたポリペプチドをリフォルディングさせ、変性物の希釈により、例えば、尿素の溶液および還元されたグルタチオンおよび酸化されたグルタチオンとの組合わせに対する透析、および引き続く緩衝化生理食塩水に対する透析により、二量体化させることができる。後者の場合において、細胞を崩壊させて(例えば、超音波処理または浸透圧ショックにより)ペリプラスミック空間の内容物を解放し、これにより変性およびリフォルディングの必要性を排除することによって、ポリペプチドをペリプラスミック空間から可溶性の、機能的形態で回収することができる。
【0157】
形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を、慣用手順に従い、栄養素および選択した宿主細胞の成長に必要な他の成分を含有する培地中で培養する。規定された培地および複合培地を包含する、種々の適当な培地は、この分野において知られており、そして一般に炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミンおよび無機質を含む。培地は、また、必要に応じて、成長因子または血清のような成分を含有することができる。一般に、外因的に添加されたDNAを含有する細胞について成長培地を選択する。この選択は、例えば、薬剤選択または必須栄養素の欠如により実施され、必須栄養素は発現ベクター上に担体されるか、あるいは宿主細胞の中に共トランスフェクトされた選択可能なマーカーにより補足される。分画および/または慣用の精製方法および培地を使用して、発現された組換えzsig37ポリペプチド(またはキメラzsig37ポリペプチド)を精製することができる。
【0158】
試料の分画のために、硫酸アンモニウム沈降および酸またはカオトロープ抽出を使用することができる。典型的な精製工程は、ヒドロキシアパタイト、サイズ排除クロマトグラフィー、FPLCおよび逆相高性能液体クロマトグラフィーを包含することができる。適当なクロマトグラフィーの媒質は、誘導化デキストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特製のシリカ、およびその他を包含する。PEI 、DEAE、QAE およびQ誘導体は好ましい。典型的なクロマトグラフィー媒質は、フェニル、ブチル、またはオクチル基で誘導化された媒質、例えば、フェニル−セファローズFF(Pharmacia)、トヨパールブチル650(Toso Haas 、ペンシルベニア州モントゴメリヴィレ)、オクチル−セファローズ(Pharmacia) およびその他;またはポリアクリル樹脂、例えば、Amberchrom CG 71(Toso Haas) およびその他を包含する。適当な固体の支持体は、ガラスビーズ、シリカをベースとする樹脂、セルロース樹脂、アガロースビーズ、架橋アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリアクリルアミド樹脂、およびその他を包含し、これらはこれらを使用する条件下に不溶性である。
【0159】
これらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基および/または炭水化物部分によるタンパク質の結合を可能とする反応性基で修飾することができる。化学的カップリングの例は、臭化シアンの活性化、N−ヒドロキシスクシンイミドの活性化、エポキシドの活性化、スルフヒドリルの活性化、ヒドラジドの活性化、およびカーボジイミドの化学的カップリングのためのカルボキシルおよびアミノ誘導体を包含する。これらおよび他の固体の媒質はこの分野においてよく知られており、かつ広く使用されており、そして商業的供給会社から入手可能である。レセプターのポリペプチドを固体の媒質に結合する方法は、この分野においてよく知られている。特定の方法の選択は日常的設計事項であり、そして一部分選択した支持体の性質により決定される。例えば、Affinity Chromatography:Principle & Methods, Pharmacia LKB Biotechnology、スイス国ウップサラ、1988参照。
【0160】
本発明のポリペプチドは、それらの構造および結合の性質を利用することによって、単離することができる。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーを使用して、ヒスチジンに富んだタンパク質またはHis標識を有するタンパク質を精製することができる。簡単に述べると、ゲルにまず2価の金属イオンを負荷してキレート化剤を形成する(E.Sulkowsiki, Trends in Biochem. 3:1-7, 1985)。ヒスチジンに富んだタンパクは、使用する金属イオンに依存して、このマトリックスに異なるアフィニティーで吸着され、そして競合溶離、pHの低下、または強いキレート化剤の使用により溶離されるであろう。
【0161】
他の精製法は、レクチンアフィニティークロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質の精製を包含する(Methods in Enzymol., Vol.182,″Guide to Protein Purification ″, M.Deutscher(編)、Academic Press、サンディエゴ、1990,pp.529-39)。本発明の追加の好ましい態様の範囲内において、下記の実施例の節において詳細に記載するように、問題のポリペプチドと親和標識(例えば、マルトース結合タンパク質、FLAG、Glu−Glu、免疫グロブリンドメイン)との融合物を構築して、精製を促進することができる。
【0162】
タンパク質のリフォルディング(および、必要に応じて、再酸化)手順を好 都合に使用することができる。タンパク質を>80%の純度、より好ましくは>90%の純度、なおより好ましくは>95%の純度に精製することが好ましく、そして特に好ましくはタンパク質は薬学的に純粋な形態である、すなわち、汚染する高分子、特に他のタンパク質および核酸に関して99.9%より高い純度であり、そして感染因子または発熱因子を含有しない。好ましくは、精製されたタンパク質は他のタンパク質、特に動物由来の他のタンパク質を実質的に含まない。
【0163】
zsig37ポリペプチドまたはそのフラグメントを、また、化学的合成により製造することができる。このようなzsig37ポリペプチドは、モノマーまたはマルチマーであり、グリコシル化されているか、あるいはされていないことができ、ペキル化(pegylate)されているか、あるいはされていないことができ、そして初期のメチオニンアミノ酸残基を含むか、あるいは含まないことができる。
【0164】
リガンド結合性ポリペプチド、zsig37結合性ポリペプチドを、リガンドの精製に使用することもできる。ポリペプチドを、使用条件下に安定である、固体の支持体、例えば、アガロース、架橋アガロー、ガラス、セルロース樹脂、シリカをベースとする樹脂、ポリスチレン、架橋ポリアクリルアミド樹脂、およびその他の材料のビーズ上に固定化する。固体の支持体にポリペプチドを結合する方法は、この分野において知られており、そしてアミン化学、臭化シアンの活性化、N−ヒドロキシスクシンイミドの活性化、エポキシドの活性化、スルフヒドリルの活性化およびヒドラジドの活性化を包含する。得られる媒質は一般にカラムの形態に形造られ、そしてリガンドを含有する流体をカラムに1回またはそれ以上の回数通過させて、リガンドをリガンド結合性ポリペプチドに結合させる。次いで塩濃度の変化、カオトロープ剤(グアニジンHCl)、またはリガンド−レセプターの結合を崩壊させるpHを使用して、リガンドを溶離する。
【0165】
リガンド結合性レセプター(または抗体、補体/抗補体の対の一方のメンバー)またはその結合性フラグメント、および商業的に入手可能なバイオセンサー計器(BIAcoreTM, Pharmacia Biosensor 、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)を使用してアッセイシステムを好都合に使用することができる。このようなレセプター、抗体、補体/抗補体の対のメンバーまたはフラグメントをレセプターのチップの表面上に固定化する。このフラグメントの使用は、Karlsson, J.Immunol.Methods 145:229-40, 1991およびCunninghamおよびWells, J.Mol.Biol. 234:554-63, 1993 、に開示されている。レセプター、抗体、メンバーまたはフラグメントを、アミンまたはスルフヒドリルの化学を使用して、フローセル内の金薄膜に結合させたデキストラン繊維に共有結合させる。
【0166】
被験試料をセルに通過させる。リガンド、エピトープ、または補体/抗補体の反対のメンバーが試料の中に存在する場合、それは、それぞれ、固定化されたレセプター、抗体またはメンバーに結合し、媒質の屈折率を変化させ、これは金薄膜の表面のプラズモンの共鳴の変化として検出される。このシステムは、オンおよびオフの割合の測定(これから結合アフィニティーを計算することができる)および結合の化学量論的評価を可能とする。
【0167】
リガンド結合性ポリペプチドを、また、この分野において知られている他のアッセイシステムにおいて使用することができる。このようなシステムは、結合アフィニティーを測定するスキャッチャード分析(Scatchard, Ann.NY Acad.Sci. 51:660-72, 1949、参照)および比色アッセイ(Cunningham et al., Science 253:545-48, 1991; Cunningham et al., Science 245:821-25, 1991 、参照)を包含する。
【0168】
zsig37ポリペプチドを、また、使用して、zsig37ポリペプチドのエピトープ、ペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合する抗体を製造することができる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を製造する方法は、この分野においてよく知られている(例えば、下記の文献を参照のこと:Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor, NY, 1989; およびHurrel, J.G.R.編、Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications, CRC Press,Inc. 、フロリダ州ボカレイトン、1982)。
【0169】
当業者にとって明らかなように、種々の温血動物、例えば、ウマ、雌牛、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、およびラットならびにトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニックヒツジ、雌牛、ヤギまたはブタを接種することによって、ポリクローナル抗体を発生させることができる。抗体は、また、酵母および菌類において修飾された形態で、ならびに哺乳動物細胞および昆虫細胞において発現させることができる。zsig37ポリペプチドまたはそのフラグメントは、動物を接種するか、あるいは免疫応答を引き出す抗原(免疫原)として働く。適当な抗原は、配列番号:2のアミノ酸残基26〜281、配列番号:2のアミノ酸残基26〜281、またはそれらの隣接9〜281アミノ酸残基からの配列番号:2によりコードされるzsig37ポリペプチドを包含するであろう。
【0170】
アジュバント、例えば、明礬(水酸化アルミニウム)またはフロインド完全アジュバントまたはフロインド不完全アジュバントを使用して、zsig37ポリペプチドの免疫原性を増加させることができる。免疫化に有用なポリペプチドは、また、融合ポリペプチド、例えば、zsig37またはその一部分と免疫グロブリンポリペプチドまたは親和標識との融合物を包含する。ポリペプチドの免疫原は全長の分子またはその一部分であることができる。ポリペプチドの一部分が「ハプテン様」である場合、このような一部分は好都合には免疫化のために高分子の担体(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)または破傷風トキソイド)に結合させることができる。
【0171】
本明細書において使用するとき、用語「抗体」はポリクローナル抗体、アフィニティー精製されたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および抗原結合性フラグメント、例えば、F(ab')2 およびFab'タンパク質分解フラグメントを包含する。遺伝子操作された無傷の抗体またはフラグメント、例えば、キメラ抗体、Fvフラグメント、一本鎖抗体およびその他、ならびに合成抗原結合性ペプチドおよびポリペプチドもまた包含される。非ヒトCDRのみをヒトフレームワークおよび定常領域の上にグラフト化するか、あるいは全体の非ヒト可変ドメインを組込む(必要に応じて暴露した残基を置換することによって、前記ドメインをヒト様表面で「クローキング(cloaking)」する、ここで「ベニヤ化された」抗体が生ずる)ことによって、非ヒト抗体をヒト化することができる。
【0172】
いくつかの例において、ヒト化抗体はヒト可変領域のフレームワークドメイン内に非ヒト残基を保持して、適切な結合特性を増強することができる。抗体をヒト化することによって、生物学的半減期を増加することができ、そしてヒトへの投与のときの悪い免疫反応の可能性が減少させる。本発明において有用な抗体を発生させるか、あるいは選択する別の技術は、zsig37タンパク質またはペプチドに対するリンパ球のin vitro暴露、およびファージまたは同様なベクター中の抗体ディスプレイライブラリーの選択(例えば、固定化または標識化されたzsig37タンパク質またはペプチドの使用による)を包含する。
【0173】
抗体は、1)それらが限界のレベルの結合活性を示す場合、および/または2)それらが関係するポリペプチド分子と有意に交差反応しない場合、特異的に結合すると決定される。第1に、本発明における抗体がzsig37ポリペプチド、ペプチドまたはエピトープと、106 /molまたはそれより大きい、好ましくは107 /molまたはそれより大きい、より好ましくは108 /molまたはそれより大きい、最も好ましくは109 /molまたはそれより大きい、結合アフィニティー(Ka)で結合する場合、特異的に結合する。抗体の結合アフィニティーは、当業者により、例えば、スキャッチャード分析(Scatchard, G., Ann.NY Acad.Sci. 51:660-672, 1949)により容易に測定することができる。
【0174】
第2に、抗体が関係するポリペプチドと有意に交差反応しない場合、抗体は特異的に結合すると決定される。例えば、標準的ウェスタンブロット分析を使用して、抗体がzsig37ポリペプチドを検出するが、既知の関係するポリペプチドを検出しない場合、抗体は関係するポリペプチド分子と有意に交差反応しない(Ausubel et al., ibid.) 。既知の関係するポリペプチドの例は、タンパク質ファミリー、例えば、Arcrp30 (配列番号:3)の他のメンバー、整列第1図に示すポリペプチドおよびその他を包含する。それらは、また、所望ならば、オルト体および突然変異のヒトzsig37ポリペプチドを包含することができるであろう。そのうえ、抗体を既知の関係するポリペプチド「に対してスクリーニング」して、本発明のポリペプチドに特異的に結合する集団を単離することができる。
【0175】
例えば、ヒトzsig37ポリペプチドに対して発生させた抗体は不溶性マトリックスに付着した関係するポリペプチドに吸着される;ヒトzsig37ポリペプチドに対して特異的な抗体は適切な緩衝条件下にマトリックスを通して流れるであろう。このようなスクリーニングは、密接に関係するポリペプチドに対して非交差反応性のポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の単離を可能とする(Antibodies:A Laboratory Manual, Harlow およびLane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988; Current Protocols in Imunology, Cooligan, et al.,(編)、National Institutes of Health, John Wiley & Sons,Inc., 1995)。特定の抗体のスクリーニングおよび単離は、この分野においてよく知られている。下記の文献を参照のこと:Fundamental Immunology,Paul(編)、Raven Press, 1993; Getzoff et al., Adv.in Immunol., 43:1-98, 1988; Monoclonal Antibodies:Principleand Practice, Goding, J.W.(編)、Academic Press Ltd., 1996; Benjamin et al., Ann.Rev.Immunol. 2:67-101, 1984 。
【0176】
このようなアッセイの代表例は次の通りである:並流免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ、放射線免疫沈澱、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ドットブロットまたはウェスタンブロットアッセイ、阻害または競合アッセイ、およびサンドイッチアッセイ。ファージ上にディスプレイされた(ファージディスプレイ)、あるいは細菌、例えば、大腸菌(E.coli)上にディスプレイされた、ランダムまたは特異的ペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、潜在的zsig37ポリペプチド結合性ドメインを有するポリペプチドをコードする遺伝子を得ることができる。ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、多数の方法、例えば、ランダム突然変異誘発およびランダムポリヌクレオチド合成により、得ることができる。あるいは、拘束ファージディスプレイをまた生成することもできる。これらのペプチドディスプレイライブラリーを使用して、ペプチドまたはポリペプチドであることができる既知の標的、例えば、リガンドまたはレセプター、生物学的または合成の高分子、または有機または無機の物質と相互作用するペプチドをスクリーニングすることができる。
【0177】
このようなランダムペプチドディスプレイライブラリーをつくり、スクリーニングする技術はこの分野において知られており(Ladner et al.、米国特許第5,223,409 号;Ladner et al. 、米国特許第4,946,778 号;Ladner et al. 、米国特許第5,403,484 号およびLadner et al. 、米国特許第5,571,698 号)そしてペプチドディスプレイライブラリーおよびこのようなライブラリーをスクリーニングするキットは、例えば、クロンテク(Clontech) (カリフォルニア州パロアルト)、インビトロゲン・インコーポレーテッド(Invitrogen Inc.)(カリフォルニア州サンディエゴ)、ニュー・イングランド・バイラブズ・インコーポレーテッド(New England Biolabs Inc.)(マサチュセッツ州ベバーリイ)およびファーマシア(Pharmacia LKB Biotechnology Inc.)(ニュージャージイ州ピスカタウェイ)から商業的に入手可能である。
【0178】
本明細書に開示するzsig37配列を使用して、ペプチドディスプレイライブラリーをスクリーニングして、zsig37に結合するタンパク質を同定することができる。これらの「結合性タンパク質」は、zsig37ポリペプチドと相互作用し、細胞の標識化、アフィニティー精製による相同体ポリペプチドの単離に使用することができ;それらを直接的または間接的に薬剤、トキシン、放射性核種およびその他に結合させることができる。これらの結合性タンパク質は、また、分析方法において、例えば、発現ライブラリーのスクリーニングおよび活性の中和に使用することができる。また、結合性タンパク質は、組織中のポリペプチドの循環レベルを測定し、そして根元的な病理学または疾患のマーカーとしてポリペプチドを検出または定量する診断アッセイに使用することができる。
【0179】
これらの結合性タンパク質の半減期を増加するために、それらを結合することができる。それらの生物学的性質は、アゴニストまたはアンタゴニスト本発明に従い使用するための、二量体化またはオリゴマー化することによって修飾することができる。前述したように、結合性ペプチドを既知の関係するポリペプチドに対してスクリーニングすることができる。
【0180】
zsig37を発現する細胞の標識化;アフィニティー精製によるzsig37の単離;zsig37ポリペプチドの循環レベルを測定する診断アッセイ;根元的な病理学または疾患のマーカーとしてのスラブzsig37の検出または定量;FACSを使用する分析方法;発現ライブラリーのスクリーニング;抗イディオタイプ抗体の発生;のために、そしてin vitroおよびin vivo においてzsig37ポリペプチドのエネルギーバランスをブロックする中和性抗体またはアンタゴニスト;として、zsig37に対する抗体または結合性タンパク質を使用することができる。
【0181】
適当な直接的標識は下記のものを包含する:放射性核種、酵素、基質、コファクター、インヒビター、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子およびその他;間接的標識は、中間体としてビオチン−アビジンまたは他の補体/抗補体の対の使用を特徴とすることができる。そのうえ、zsig37またはそのフラグメントに対する抗体をin vitroにおいて使用して、アッセイ、例えば、ウェスタンブロットアッセイまたはこの分野において知られている他のアッセイにおいて、変性されたzsig37またはそのフラグメントを検出することができる。
【0182】
本発明における抗体または結合性タンパク質は、また、薬剤、トキシン、放射性核種およびその他と直接的または間接的に複合化することができ、そしてこれらの複合体はin vivo の診断または療法の用途において使用することができる。例えば、本発明のポリペプチドまたは抗体を使用して、対応する抗相補的分子(例えば、それぞれ、レセプターまたは抗原)を発現する組織または器官を同定または治療することができる。さらに詳しくは、zsig37ポリペプチドまたは抗zsig37抗体、またはそれらの生物活性フラグメントまたは部分を検出可能なまたは細胞障害性分子にカップリングさせ、そして抗相補的分子を発現する細胞、組織または器官を有する哺乳動物に送出すことができる。
【0183】
適当な検出可能な分子をポリペプチドまたは抗体に直接的または間接的に結合させることができ、そしてこのような分子は放射性核種、酵素、基質、コファクター、インヒビター、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子、およびその他を包含する。適当な細胞障害分子をポリペプチドまたは抗体に直接的または間接的に結合させることができ、そしてこのような分子は細菌または植物のトキシン(例えば、ジフテリアのトキシン、シュードモナス・エキソトキシン(Pseudomonas exotoxin)、リシン、アブリンおよびその他)、ならびに治療用放射性核種、例えば、ヨウ素−131、レニウム−188またはイットリウム−90(ポリペプチドまたは抗体に直接的に結合されているか、あるいは、例えば、キレート化部分の手段により間接的に結合されている)を包含する。
【0184】
また、ポリペプチドまたは抗体を細胞障害性薬剤、例えば、アドリアマイシンに結合させることができる。検出可能なまたは細胞障害性分子の間接的結合のために、検出可能なまたは細胞障害性分子を補体/抗補体の対の1メンバーに結合することができ、ここで他方のメンバーをポリペプチドまたは抗体の部分に結合させる。これらの目的に対して、ビオチン/ストレプトアビジンは典型的な補体/抗補体の対である。
【0185】
他の態様において、ポリペプチド−トキシン融合タンパク質または抗体−トキシン融合タンパク質を、ターゲッテッド細胞または組織の阻害または切除のために(例えば、癌細胞または組織を処置するために)使用することができる。また、ポリペプチドは多数の機能的ドメイン(例えば、活性化ドメインまたはリガンド結合性ドメイン、+ターゲッティングドメイン)を有する場合、ターゲッティングドメインのみを含む融合タンパク質は、検出可能な分子、細胞障害性分子または相補的分子を問題の細胞または組織の型に向けるために適当であろう。
【0186】
そのドメインのみの融合タンパク質が相補的分子を含む場合、抗相補的分子を検出可能なまたは細胞障害性分子に結合させることができる。したがって、このようなドメイン−相補的分子の融合タンパク質は、遺伝的抗相補的−検出可能な/細胞障害性分子の複合体の細胞/組織特異的送達のための、遺伝的ターゲッティングビヒクルを表す。本明細書において記載する生物活性ポリペプチドまたは抗体の複合体は、静脈内、動脈内、DMSOとともに導管内、筋肉内、皮下、腹腔内に、また、経皮法により、電気輸送法により、経口的にまたは吸入により送出すことができる。
【0187】
zsig37ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、zsig37活性を増加させるか、あるいは阻害する遺伝子治療において有用である。哺乳動物が突然変異したzsig37遺伝子をもつか、あるいは前記遺伝子をもたない場合、zsig37遺伝子を哺乳動物の細胞の中に導入することができる。1つの態様において、zsig37ポリペプチドをコードする遺伝子をin vivo においてウイルスのベクターの中に導入する。このようなベクターは、弱毒化または欠陥DNAウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、肺炎ウイルス、EBウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、およびその他を包含するが、これらに限定されない。欠陥ウイルスは、ウイルス遺伝子を完全にまたはほとんど完全に欠如し、このようなウイルスは好ましい。欠陥ウイルスは、細胞の中に導入された後、感染性ではない。
【0188】
欠陥ウイルスのベクターを使用すると、ベクターが他の細胞を感染することができるということことを無視して、特定の局在化区域における細胞への投与が可能となる。特定のベクターの例は下記のものを包含するが、これらに限定されない:欠陥単純ヘルペスウイルス1(HSV1)のベクター(Kaplitt et al., Molec.Cell.Neurosci. 2:320-30, 1991) ;弱毒化アデノウイルス、例えば、Stratford-Perricaudet et al., J.Clin.Invest. 90:626-30, 1992、に記載されているベクター;および欠陥アデノ関連ウイルスのベクター(Samulski et al.,J.Virol. 61:3096-101, 1987; Samulski et al., J.Virol. 63:3822-8, 1989)。
【0189】
他の態様において、zsig37遺伝子を、例えば、下記の文献に記載されているように、レトロウイルスのベクターの中に導入することができる:Anderson et al. 、米国特許第5,399,346 号; Mann et al., Cell 33:153, 1983; Temin et al. 、米国特許第4,650,764 号;Temin et al.、米国特許第4,980,289 号;Markwoitz et al., J.Virol. 62:1120, 1988; Temin et al.、米国特許第5,124,263 号; Dougherty et al.、国際特許公開No.WO95/07358 号、公開、1995年3月16日;およびKuo et al., Blood 82:845, 1993。あるいは、ベクターはリポソームを使用するin vivo におけるリポフェクションにより導入することができる。合成カチオン性脂質を使用して、マーカーをコードする遺伝子バンクのin vivo トランスフェクションのためのリポソームを調製する(Felgner et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7, 1987; Mackey et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8027-31, 1988)。
【0190】
外因的遺伝子を特定の器官の中にin vivo において導入するリポフェクションを使用すると、ある種の実際的利点が得られる。特定の細胞に対するリポソームの分子のターゲッティングは、1つの範囲の利益を表す。さらに詳しくは、トランスフェクションを特定の細胞に向けることは、1つの範囲の利益を表す。例えば、特定の細胞の型にトランスフェクションを向けることは、細胞の異種性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、腎臓、および脳において特に好都合である。脂質をターゲッティングの目的で他の分子に化学的にカップリングさせることができる。ターゲッテッドペプチド(例えば、ホルモンまたは神経伝達物質)、タンパク質、例えば、抗体、または非ペプチド分子をリポソームの化学的にカップリングすることができる。
【0191】
標的細胞を体から取出し、裸のDNAプラスミドとしてベクターを導入し、次いで形質転換された細胞を体の中に再移植することができる。遺伝子治療のための裸のDNAベクターを、この分野において知られている方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、トランスダクション、細胞融合、DEAEデキストリン、リン酸カルシウム沈澱法、遺伝子ガンの使用またはDNAベクターのトランスポーターの使用により、所望の宿主細胞の中に導入することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:Wu et al., J.Biol.Chem. 267:963-7, 1992;Wu et al., J.Biol.Chem. 263:14621-4, 1988 。
【0192】
アンチセンスの方法を使用して、zsig37遺伝子の転写を阻害すること、例えば、in vivo において細胞の増殖を阻害することができる。zsig37をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号:1に記載するポリヌクレオチド)のセグメントに対して相補的であるポリヌクレオチドを設計して、zsig37をコードするmRNAに結合させ、かつこのようなmRNAの翻訳を阻害する。細胞培養において、または被検者において、このようなアンチセンスのポリヌクレオチドを使用して、zsig37ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を阻害する。
【0193】
zsig37遺伝子を発現するように操作された、トランスジェニックマウス、およびzsig37遺伝子機能の完全な非存在を示すマウス、「ノックアウトマウス」と呼ぶ(Snouwaert et al., Science, 257:1083, 1992)を発生させることもできる(Lowell et al., Nature 366:740-42, 1993)。これらのマウスを使用して、in vivo 系においてzsig37遺伝子およびそれによりコードされるタンパク質を研究することができる。
【0194】
薬学的に使用するために、本発明のタンパク質は、慣用法に従い、非経口的、特に静脈内または皮下の送出のために処方される。静脈内投与は、1〜数時間の典型的な期間にわたる、ボーラス注射または注入によるであろう。一般に、医薬処方物はzsig37タンパク質と、薬学上許容されるビヒクル、例えば、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、水中の5%デキストロースまたはその他との組合わせを包含するであろう。処方物は、さらに、1または2以上の賦形剤、保存剤、可溶化剤、緩衝化剤、バイアル表面上のタンパク質の損失を防止するためのアルブミン、およびその他を含むことができる。処方法はこの分野においてよく知られており、そして、例えば、下記の文献に開示されている:The Science and Practice of Pharmacy,Gennaro 編、Mack Publshing Company、ペンシルベニア州イーストン、第19版、1995。治療的投与量は一般承認された標準に従い、治療すべき症状の特質および苛酷性、患者の体質、およびその他を考慮して、臨床医により決定される。投与量の決定は当業者のレベルの範囲内である。
【0195】
下記の非限定的実施例により、本発明をさらに例示する。
実施例1
EST配列の延長
ESTデータベースからESTを選択し、それをベースとするタンパク質を予測し、そしてESTをベースとする予測された既知の配列のデータベースを検索することによって、本発明の新規なzsig37ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを最初に同定した。既知の分泌されたタンパク質に対して生物学的に興味ある相同性を有するタンパク質を潜在的にコードするESTを、それ以上の研究のために同定した。単一のEST配列が発見され、脂肪細胞特異的タンパク質に対して相同であることが予測された。
【0196】
例えば、Scherer et al., J.Biol.Chem. 270(45):26746-9, 1995参照。対応 するcDNAを同定するために、全体のコーディング配列を含有すると考えられるクローンを配列決定のために使用した。インヴィトロゲン(Invitrogen)S.N.A.P.TMMiniprepキット(Invitrogen,Corp. 、カリフォルニア州サンディエゴ)を製造業者のインストラクションに従い使用し、 LB+50μg/mlのアンピシリン中の5mlの一夜の培養物を調製した。ABI PRISMTM 色素ターミネーターサイクル配列決定レディー反応キット(Perkin Elmer Corp. )を製造業者のインストラクションに従い使用して、ABIPRISMTM377 型DNA 配列決定装置(Perkin Elmer Cetusn Elmer、コネチカット州ノーウォーク)で鋳型を配列決定した。
【0197】
クローン含有ベクター上のSP6およびT7プロモーターに対するオリゴヌクレオチドZC695(配列番号:5)、ZC694(配列番号:6)を配列決定プロモーターとして使用した。オリゴヌクレオチドZC13210(配列番号:7)、ZC13588(配列番号:8)、ZC13532(配列番号:9)、ZC13641(配列番号:10)、ZC13586(配列番号:11)、ZC13651(配列番号:12)、ZC13622(配列番号:13)、ZC13625(配列番号:14)、ZC13650(配列番号:15)、ZC13589(配列番号:16)、ZC13624(配列番号:17)、ZC13531(配列番号:18)、ZC13587(配列番号:19)、およびZC13623(配列番号:20)を使用して、クローンから配列を完結させた。
【0198】
Hybaid OmniGene Temparature Cycling System(National Labnet Co.、ニューヨーク州ウッドブリッジ)において、配列決定反応を実施した。SEQUENCHERTM3.0 配列分析ソフトウェア(Gene Codes Corporation 、ミシガン州アンアーバー)をデータの解析に使用した。生ずる2769bpの配列を配列番号:1に開示する。本来誘導されたEST配列を配列番号:1に表す配列と比較すると、1塩基の不明確さ(未知の「N」残基)が存在し、不明確さの分解においてロイシンの同定において塩基対の挿入は存在せず、そして推定されたアミノ酸配列の間のフレームシフトはゼロであった。
【0199】
実施例2
組織の分布
クロンテク(Clontech)(カリフォルニア州パロアルト)からのヒト多重組織ブロットを使用して、ノザンを実施した。配列番号:1に示す成熟タンパク質のヌクレオチド配列の5’末端に対して30塩基のDNAプローブ(ZC12447;配列番号:4)を、T4ポリヌクレオチドキナーゼおよび前方向反応緩衝液(Gibco BRL、マリイランド州ガイサースバーグ)を製造業者の使用説明書に従い使用して、32Pで放射能標識化した。NUCTRAP プッシュカラム(Stratagene Cloning Systems 、カリフォルニア州ラジョラ)を使用して、プローブを精製した。EXPRESSHYB(Clontech 、カリフォルニア州パロアルト)溶液をプレハイブリダイゼーションのために、そしてノザンブロットのためのハイブリダイゼーション溶液として使用した。
【0200】
ハイブリダイゼーションを50℃において一夜実施し、次いでブロットを2 ×SSC および0.1%SDS で室温において洗浄し、次いで1 ×SSC および0.1%SDS で68℃において洗浄した(融点よりも約5℃低い)。1つの転写物の大きさはほぼ2.8kb に観測された。シグナルの強度は心臓および胎盤について最高であり、腎臓、卵巣、副腎および骨格筋において比較的低い強度であり、そしてノザンブロット上に存在する広範な種類の他の組織においてシグナルは低かった。
【0201】
グート(Gut)ノザン組織ブロットを使用して、追加のノザンブロット分析を実施した。ヒト結腸直腸腺癌細胞系統SW480(Clontech、カリフォルニア州パロアルト)、ヒト小腸組織(Clontech)、ヒト胃組織(Clontech)、ヒト腸平滑筋細胞系統(Hism; ATCC No.CRL-1692; American Type Culture Collection 、マリイランド州ロックビレ、パークローンドライブ12301)、正常ヒト結腸細胞系統(FHC; ATCC No.CRL-1831; American Type Culture Collection) およびヒト正常胎児小腸細胞系統(FHs74 Int.; ATCC No.CCL241; American Type Culture Collection)からmRNAを使用して、ブロットを調製した。
【0202】
Hism, FHC およびFHs74 Int.から、酸グアニジニウム法(Cheomczynski et al., Analytical Biochem. 162:156-9, 1987)により、全体のRNAsを単離した。ポリA+ RNAを保持するカラムを通して全体のRNAを溶離することによって、ポリA+ RNAs を選択した(Aviv et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:1408-12, 1972)。2.2Mのホルムアルデヒドおよびリン酸塩緩衝液中の1.5%のアガロースゲル中で、各試料から2μgのポリA+ RNAを分離した。20kscc中で一夜ナイトラン(Nytran)膜(Schleicher and Schuell、ニューハンプシャイヤー州ケーネ)上にRNAを移した。ブロットをUV Stratalinker 2400(Stratagene、カリフォルニア州ラジョラ)中で0.12ジュールにおいて処理した。
【0203】
全長のcDNA(配列番号:1に示す)をPCRにより増幅し、そしてレディプラミイム(Rediprime) ペレットキット(Amersham 、イリノイ州アーリントンハイツ)を製造業者の使用説明書に従い使用して32PdCTPで放射能標識化した。ブロットをEXPRESSHYB(Clontech)中で56℃において一夜ハイブリダイゼーションさせた。ブロットを2 ×SSC および0.1%SDS で室温において洗浄し、次いで2 ×SSC および0.1%SDS で65℃において洗浄し、最後に0.1 ×SSC および0.1%SDS で65℃において洗浄した。ヒト腸平滑筋細胞系統HISMを除外して、zsig37はすべての組織にハイブリダイゼーションすることを結果は示した。
【0204】
実施例3
zsig37 遺伝子の染色体のマッピング
NIGMS ヒト/齧歯類幹細胞ハイブリッドマッピングパネルNo.2(National Institute of General Medical Sciences, Coriell Institute of Medical Research) を使用するPCRにより、zsig37遺伝子はヒト染色体17、領域17q25.2 にマッピングされた。パネルは、各々が特異的ヒト染色体および親DNAを保持する24のヒト/齧歯類幹細胞ハイブリッドから成る。zsig37遺伝子をマッピングするために、20μlの反応物を96ウェルのマイクロタイタープレート(Stratagene 、カリフォルニア州ラジョラ)中で構成し、そして「RoboCycler Gradient 96」サーマルサークラー(Stratagene)中で使用した。
【0205】
27のPCR反応物の各々は、2μlの10×KlenTaq PCR 反応緩衝液(Clontech Laboratories,Inc. 、カリフォルニア州パロアルト)、 1.6μl のdNTP混合(2.5mMの各々、Perkin Elmer、フォスターシティー、カリフォルニア州)、1μlのセンスプライマー(配列番号:21)、1μlのアンチセンスプライマー(配列番号:22)、2μlのReadiLoad(Research Genetics, Inc.)、0.4 μl の50×Advantage KlenTaq ポリメラーゼ(Clontech Laboratories, Inc.) 、25ngの個々のハイブリッドクローンまたは対照からのDNAおよび全体の体積を20μlするための蒸留水から成っていた。
【0206】
反応物に等しい量の鉱油をオーバーレイし、密閉した。PCRサイクラー条件は次の通りであった:初期の1サイクルの5℃における5分の変性、35サイクルの95℃における1分変性、60℃における1分のアニーリングおよび72℃における1.5分のエクステンション、次いで最後の1サイクルの72℃における7分のエクステンション。3%のNuSieve GTG アガロースゲル(FMC Bioproducts、メイン州ロックランド)上の電気泳動により、反応物を分離した。
【0207】
実施例4
哺乳動物発現ベクター zsig37NEE/pZP9 および zsig37CEE/pZP9 の発生
zsig37ポリペプチドのための2つのベクター、zSIG37NEE/pZP9およびzSIG37CEE/pZP9調製した。ここで構築物はC末端またはN末端のGlu-Glu 標識を有するzsig37ポリペプチドを発現するように設計した。
【0208】
zsig37NEE/pZP9
PCRプライマーとしてZC15040(配列番号:24)およびZC15033(配列番号:25)および上記実施例1に記載する鋳型を使用して、800bp のPCR 発生zsig-37DNAフラグメントをつくった。PCR反応を94℃において3分間インキュベートし、次いで5サイクルの94℃における30秒間、30℃における20秒間および72℃における1分間、次いで25サイクルの94℃における30秒間、64℃における20秒間および72℃における1分間を実施した。次いで0.9%のTBEアガロースゲルで1×TBE緩衝液を使用して、得られるPCR生成物を展開した。予測された大きさのバンドを切除し、DNAをゲルからQiaex IIR 樹脂(Qiagen)で製造業者のインストラクションに従い精製した。DNAを制限酵素BamHI およびXbaIで消化し、次いで抽出し、沈降させた。
【0209】
制限酵素BamHI およびXbaIで切断したプラスミドNEE/pZP9の中に、切除し、制限消化したzsig37DNA フラグメントをサブクローニングした。zsig37NEE/pZP9発現ベクターはTPAリーダー配列を組込み、zsig37ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列のN末端にGlu-Glu 標識(配列番号:26)を結合させる。プラスミドNEE/pZP9(American Type Culture Collection 、マリイランド州ロックビレ、パークローンドライブ12301 、に受託された、ATCC No.98668)は、マウスメタロチオネイン−1プロモーター、TPAリーダーペプチドおよび引き続くGlu-Glu 標識(配列番号:26)をコードする配列、コーディング配列の挿入のための多重制限部位、およびヒト成長ホルモンターミネーターを有する発現カセットを含有する哺乳動物発現ベクターである。このプラスミドは、また、大腸菌(E.coli)複製起点、SV40プロモーター、エンハンサーおよび複製起点を有する哺乳動物の選択可能なマーカー発現ユニット、DHFR遺伝子およびSV40ターミネーターを含有する。
【0210】
zsig37CEE/pZP9
PCRプライマーとしてZC15721(配列番号:27)およびZC15035(配列番号:28)を使用して、前述の手順に従い、866bp のPCR発生zsig37DNA フラグメントをつくった。前述したように、精製したDNAを制限酵素EcoRI およびBamHI で消化し、Qiaex II樹脂を使用してゲル精製した。
【0211】
制限酵素EcoRI およびBamHI で切断したプラスミドCEE/pZP9の中に、切除し、制限消化したzsig37DNA をサブクローニングした。zsig37CEE/pZP9発現ベクターは自然zsig37シグナルペプチドを使用し、そしてGlu-Glu エピトープ(配列番号:26)は精製助剤としてC末端に結合されている。
【0212】
プラスミドCEE/pZP9(American Type Culture Collection 、マリイランド州ロックビレ、パークローンドライブ12301 、に受託された、ATCC No.98668 )は、マウスメタロチオネイン−1プロモーター、コーディング配列の挿入のための多重制限部位、Glu-Glu 標識(配列番号:26)をコードする配列、停止コドンおよびヒト成長ホルモンターミネーターを有する発現カセットを含有する哺乳動物発現ベクターである。このプラスミドは、また、大腸菌(E.coli)複製起点、SV40プロモーター、エンハンサーおよび複製起点を有する哺乳動物の選択可能なマーカー発現ユニット、DHFR遺伝子およびSV40ターミネーターを含有する。
【0213】
N−およびC−タッグド構築物について、約30ngの制限消化したインサートおよび50ngの対応するベクターを室温において4時間結合させた。1μlの各結合反応物を独立にDH10B コンピテント細胞(Gibco BRL、マリイランド州ガイサースバーグ)の中に製造業者の指示に従いエレクトロポレートし、50mg/ml のアンピシリンを含有するLBプレート上にプレートし、一夜インキュベートした。
【0214】
前述したように、クローンをPCRによりスクリーニングした。zsig37NEE/pZP9およびzsig37CEE/pZP9のスクリーンのために、プライマーはZC13006(配列番号:29)およびZC13007(配列番号:20)であった。PCR反応を94℃において2.5分間インキュベートし、次いで25サイクルの94℃における10秒間、58℃における20秒間および72℃における1分間を実施した。次いで、72℃における5分のエクステンションを実施した。陽性のクローンの挿入配列、zsig37NEE/pZP9について1013bpおよびzsig37CEE/pZP9について950bp のフラグメントを配列の分析により確認した。QIAGENR Maxiプレプキット(Qiagen)を製造業者の使用説明書に従い使用して、大規模のプラスミドの製造を実施した。
【0215】
実施例5
zsig37NEE およびCEEポリペプチドのトランスフェクションおよび発現
BHK570細胞(ATCC No.CCL-10314) を10cmの組織培養皿の中にプレートし、37℃、5%CO2 において、DMEM/PBS(DME,Gibco/BRL High Glucose,(Gibco BRL、マリイランド州ガイサースバーグ)、5%の胎仔ウシ血清(Hyclone、ユタ州ローガン)、2μMのL−グルタミン(JRH Biosciences、カンサス州レネクサ)、1μMのピルビン酸ナトリウム(Gibco BRL) )中で成長させた。次いで細胞をプラスミドzsig37NEE/pZP9(N末端のGlu-Glu 標識)またはzsig37CEE/pZP9(C末端のGlu-Glu 標識)で、LipofecttamineTM(Gibco BRL) を使用して、無血清(SF)培地処方物(DMEM, Gibco/BRL High Glucose, (Gibco BRL 、マリイランド州ガイサースバーグ)、2μMのL−グルタミン、2μMのピルビン酸ナトリウム、40μg/mlのトランスフェリン、5μg/mlのインスリン、10μg/mlのフェツインおよび2ng/mlのセレン)中でトランスフェクトした。
【0216】
16μgのzsig37NEE/pZP9および16μgのzsig37CEE/pZP9を別々に15mlの管の中に640 μl のSF培地の合計の最終体積に希釈した。別々の管において、35μlのLipofecttamineTM(Gibco BRL) を605 μl のSF培地と混合した。LipofecttamineTM混合物をDNA混合物に添加し、室温においてほぼ30分間インキュベートした。5mlのSF培地をDNA:LipofecttamineTM混合物に添加した。細胞を5mlのSF培地で1回すすぎ、吸引し、DNA:LipofecttamineTM混合物を添加した。細胞を37℃において5時間インキュベートし、次いで6.4mlのDMEM/10%のFBS、1%のPSN培地をプレートに添加した。プレートを37℃において一夜インキュベートし、次の日にDNA:LipofecttamineTM混合物を新鮮なFBS/DMEM培地と交換した。トランスフェクション後第2日に、細胞を150mmのプレート中の選択培地(ESTEP #1+1 μM のMTX)の中に1:50、1:100および1:200で分割した。プレートにトランスフェクション後第5日に新鮮な選択培地を再供給した。
【0217】
コロニーのスクリーニング
トランスフェクション後ほぼ第10〜12日に、メトトレキセート耐性コロニーの1つの150mm の培養皿を各トランスフェクションから選択し、培地を吸引し、プレートを10mlの無血清ESTEP2培地(668.7g/50リットルのDMEM(Gibco) 、5.5g/50 リットルピルビン酸ナトリウム塩96%(Mallinckrodt) 、185.0g/50 リットルのNaHCO3 (Mallinckrodt) 、5.0mg/ml、25ml/50 リットルのインスリン、10.0mg/ml および25mg/50 リットルのトランスフェリン)で洗浄した。
【0218】
洗浄培地を吸引し、5mlの無血清ESTEP2と交換した。次いで無血清ESTEP2中で前ソーキングした、無菌のテフロンメッシュ(Spectrum Medical Industries、カリフォルニア州ロサンジェルス)を細胞の上に配置した。次いで無血清ESTEP2中で前ソーキングした、無菌のニトロセルロースフィルターをメッシュの上に配置した。ニトロセルロース上の向きのマークを培養皿に移した。次いでプレートを37℃、5%CO2 のインキュベーター中で5〜6時間インキュベートした。インキュベーション後、フィルターを除去し、培地を吸引し、DMEM/5%FBS、1 ×PSN(Gibco BRL)培地と交換した。次いでフィルターを50mlの緩衝液(25mM のTris、25mMのグリシン、5mMのβ−メルカプトエタノール)を含有する密閉可能なバッグの中に入れ、65℃の水浴中で10分間インキュベートした。
【0219】
フィルターを10%の脱脂乾燥ミルク/ウェスタンA緩衝液(Western A:50mM のTris、pH7.4 、5mM のEDTA、0.05% のNP-40 、150mM のNaClおよび0.25% のゼラチン)中で室温において回転震盪培養機上で15分間ブロックした。次いで、フィルターを、2.5%の脱脂乾燥ミルク/ウェスタンA緩衝液(Western A:50mM のTris、pH7.4 、 5mMのEDTA、0.05% のNP-40 、150mM のNaClおよび0.25% のゼラチン)中で4℃において回転震盪培養機上で、抗Glu-Glu 抗体−HRP 複合体と一夜インキュベートした。次いでフィルターを室温においてPBS+0.1%のTween 20中で各5〜15分間3回洗浄した。フィルターをECL試薬(Amersham Corporation 、イリノイ州アーリントンハイツ)で製造業者の使用説明書に従い展開し、フィルム(Hyperfilm ECL, Amersham) にほぼ5分間暴露した。
【0220】
フィルムをコロニーを含有するプレートと整列させた。ガイドとしてフィルムを使用して、適当なコロニーを選択した。無菌の、3mmのコロニーのディスク(PGC Scietific Corp.、マリイランド州フレデリック)をトリプシン中のソーキングし、コロニー上に配置した。各構築物について12のコロニーを、96ウェルのプレート中の200 μl の選択培地の中に移した。1系列の7つの、2倍希釈を各コロニーについて実施した。細胞を37℃において1週間成長させ、この時最適な密度にある細胞の最低の希釈を受けたウェルを選択し、トリプシン処理し、選択培地を含有する12ウェルのプレートに移した。150cm の培養皿をまたトリプシン処理し、細胞の残りをプールし、ウェスタン分析し、マイコプラズマについて試験した。プールを貯蔵のために凍結させた。クローンを12ウェルのプレートから2つのT−75フラスコの中に直接的に拡張した。一方のフラスコを連続的に細胞成長させ、第2のフラスコを無血清ESTEP2中で成長させ、これはウェスタン分析のために収集した。ウェスタンブロットアッセイに基づいて、発現構築物の各々のクローンを選択し、プールし、大規模の培養に移した。
【0221】
実施例7(1)
zsig37CEE の大規模の哺乳動物発現
前述の発現手順から得られた、zsig37CEE を発現するコンフルエント細胞を含有する1つのT-162 フラスコおよびzsig37NEE を含有する1つのフラスコを、4つの各T-162 フラスコに拡張した。4つの得られたフラスコの1つを使用して4つのクライオバイアルを凍結させ、そして他の3つのフラスコを使用してNunc細胞ファクトリーを発生させた。
【0222】
zsig37CEE/pZP9およびzsig37NEE/pZP9の3つのT-162 フラスコからの細胞を使用して、2つのNunc細胞ファクトリー(10層、VWRから商業的に入手可能である)を独立に播種した。簡単に述べると、前述のT-162 フラスコからの細胞をトリプシンで分離し、プールし、1.5リットルのESTEP1培地(668.7g/50リットルのDMEM(Gibco) 、5.5g/50 リットルピルビン酸ナトリウム塩96%(Mallinckrodt) 、185.0g/50 リットルのNaHCO3(Mallinckrodt)、5.0mg/mlおよび25ml/50 リットルのインスリン、10.0mg/ml および25mg/50 リットルのトランスフェリン(JRH Biosciences) 、2.5 リットル/50リットルの胎仔ウシ血清(特性決定された)(Hyclone)、1 μM のMTX 、pHを7.05±0.05に調節した)(37℃に前もって加温された)に添加した。次いで細胞を含有する培地を漏斗を介してNunc細胞ファクトリーの中に注いだ。細胞ファクトリーを37℃/5.0%CO2のインキュベーターの中に入れた。
【0223】
80〜100%のコンフルエンスにおいて、視的汚染試験(フェノールレッドの色変化)をNunc細胞ファクトリーの内容物について実施した。汚染は観察されなかったので、コンフルエントファクトリーからの上清を小さい収集容器の中に注ぎ、試料採取し、廃棄した。次いで付着細胞を400ml のPBSで1回洗浄した。ファクトリーから細胞を分離するために、100ml のトリプシンを各々に添加し、取出し、次いで細胞を残留トリプシン中で5〜10分間インキュベートした。200ml のESTEP 培地で2回洗浄した後、細胞を収集した。10本のESTEP1培地を含有するびん(各々1.5リットル、37℃)の各々に、40mlの収集した細胞を添加した。次いで1本の1.5リットルのびんを使用して、1つのNuncファクトリーを充填した。各細胞ファクトリーを37℃/5.0%CO2のインキュベーターの中に入れた。
【0224】
80〜900%のコンフルエンスにおいて、視的汚染試験(フェノールレッドの色変化)をNunc細胞ファクトリーについて実施した。汚染は観察されなかったので、コンフルエントファクトリーからの上清を小さい収集容器の中に注ぎ、試料採取し、廃棄した。次いで細胞を400ml のPBSで1回洗浄した。1.5リットルのESTEP2培地(668.7g/50リットルのDMEM(Gibco) 、5.5g/50 リットルピルビン酸ナトリウム塩96%(Mallinckrodt) 、185.0g/50 リットルのNaHCO3 (Mallinckrodt) 、5.0mg/ml、25ml/50 リットルのインスリン、10.0mg/ml および25mg/50 リットルのトランスフェリン)を各Nunc細胞ファクトリーに添加した。細胞ファクトリーを37℃/5.0%CO2においてインキュベートした。
【0225】
ほぼ48時間において、視的汚染試験(フェノールレッドの色変化)をNunc細胞ファクトリーについて実施した。各ファクトリーからの上清を小さい収集容器の中に注いだ。新鮮なSF培地(1.5リットル)をNunc細胞ファクトリーの中に注ぎ、37℃/5.0%CO2においてインキュベートした。各構築物について1mlの上清収集物を顕微鏡スライドに移し、汚染について顕微鏡分析した。各構築物の小さい収集容器の内容物をプールし、直ちに濾過した。次いで48時間において実質的に前述したように第2の収集を実施し、その後細胞ファクトリーを廃棄した。収集上清の無菌濾過のために、無菌的に組立てたフィルター系列装置を使用した。
【0226】
組立ては次の通りであった:管を針金でオプチキャップ(OptiCap) フィルター(Millipore Corp.、マサチュセッツ州ベッドフォード)およびゲルマン・スーパーカップ(Gelman Supercap) 50フィルター(Gelman Sciences、ミシガン州アンアーバー)に結束した。またスーパーカップ50フィルターをフードの中に位置する無菌のキャップ付き容器に結合させた;ミリポア・オプチキャップフィルターの上流に位置する管を蠕動ポンプの中に挿入した;そして管の自由端を大きい収集容器の中に入れた。コンディショニングした培地のすべてが0.22μm のフィルターを通して無菌の収集容器の中に入るまで、蠕動ポンプを200 〜300rpmで運転した。濾液を精製まで4℃の冷たい室の中に入れた。培地をミリポア5kDAカットオフ濃縮装置(Millipore Corp.、マサチュセッツ州ベッドフォード)を製造業者の指示に従い使用して10倍に濃縮し、抗FLAG標識抗体(Kodak) を使用してウェスタンブロット分析した。
【0227】
zsig37CEE :
5×T−162フラスコ=0.12mg/l、38kDa;
1×ファクトリー、FBS=0.12mg/l、38kDa;
10×ファクトリー、FBS=0.12mg/l、38kDa;
10×ファクトリー(#1)、SF=1.2mg/l、38kDa;および
10×ファクトリー(#1)、SF=3.56mg/l、38kDa
【0228】
zsig37NEE :
5×T−162フラスコ=0.137mg/l、35kDa;
1×ファクトリー、FBS=0.137mg/l、35kDa;
10×ファクトリー、FBS=0.137mg/l、35kDa;
10×ファクトリー(#1)、SF=1.37.2mg/l、35kDa;および
10×ファクトリー(#1)、SF=4.11mg/l、35kDa
【0229】
実施例7(2)
zsig37NEE および zsig37CEE の精製
特記しない限り、すべての操作は4℃において実施した。N末端またはC末端のGlu-Glu(EE) 標識を含有するzsig37を精製について、下記の手順を使用した。ベイビーハムスター腎(BHK)細胞からのコンディショニングした培地の合計25リットルを順次に4インチの0.2mmのミリポア(Millipore) (マサチュセッツ州ベッドフォード)(OptiCap) フィルターおよび0.2mm のゲルマン(Gelman)(ミシガン州アンアーバー)スーパーカップ50を通して滅菌濾過した。
【0230】
次いで、3000kDa のカットオフのアミコン(Amicon)(マサチュセッツ州ベッドフォード)S10Y3 膜を装備するミリポア・プロフラックス(Millipore ProFlux)A30接線方向流濃縮装置を使用して、物質を約1.3リットルに濃縮した。濃縮された物質を再び前述のゲルマンフィルターで滅菌濾過した。
【0231】
コンディショニングし、濃縮した培地に、プロテアーゼインヒビターの混合物を2.5mM のエチレンジアミン四酢酸(EDTA 、Sigma Chemical Co.、ミゾリー州セントルイス)、0.001mM のロイペプチン(Boehringer-Mannheim、インジアナ州インジアナポリス)、0.001mM のペプスタチン(Boehringer Mannheim) および0.4mM のペファブロク(Boehringer Mannheim) の最終濃度に添加した。25.0mlの後述するように調製した抗EEセファローズの試料をバッチ吸着のための試料に添加し、そしてこの混合物をウィートン(Wheaton) (ニュージャージイ州ミルヴィレ)ローラー培養装置で4℃において18.0時間おだやかに撹拌した。
【0232】
次いでこの混合物を5.0 ×20.0cmのエコノ・カラム(Econo-Column)(Bio-Rad,Laboratories 、カリフォルニア州ハーキュレス)の中に注ぎ、そしてゲルを30カラム体積のリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。保持されない貫流画分を廃棄した。いったん流出液の280nm における吸収が0.05より低くなったとき、カラムを通る流れをゼロに減少させ、抗EEセファローズゲルを2.0カラム体積の0.4mg/mlのEEペプチド(AnaSpec、カリフォルニア州サンジョース)を含有するPBSでバッチ式に洗浄した。
【0233】
使用したペプチドは配列Glu-Tyr-Met-Pro-Val-Asp 、配列番号:31)を有する。4℃において1時間後、流れを回復させ、溶出されたタンパク質を収集した。この画分をペプチド溶出液と呼んだ。次いで抗EEセファローズゲルを2.0カラム体積の0.1Mのグリシン、pH2.5で洗浄し、グリシン洗浄液を別々に収集した。グリシン溶出画分のpHを小さい体積の10×PBS の添加により7.0に調節し、必要な場合における、それ以上の分析のために、4℃において貯蔵した。
【0234】
15,000の分子量のカットオフの膜濃縮装置(Millipore、マサチュセッツ州ベッドフォード)を製造業者の使用説明書に従い使用して、ペプチド溶出液を5.0mlに濃縮した。バイカド・スプリング(BioCad Spring)HPLC(PerSeptive BioSystems 、マサチュセッツ州フラミンガム)を使用してPBS中で平衡化した1.5 ×50cmのセファデックスG-50(Pharmacia、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)上のクロマトグラフィーにより、濃縮されたペプチド溶出液を分離した。
【0235】
2mlの画分を収集し、280nm における吸収をモニターした。280nm において吸収しおよびカラムの空隙体積付近で溶出する物質の第1ピークを収集した。この画分は純粋なzsig37NEE またはzsig37CEE であった。純粋な物質を前述したように濃縮し、SDS-PAGEおよび抗EE抗体を使用するウェスタンブロッティングにより分析し、試料をアミノ酸分析およびN末端の配列決定のために採った。試料の残りをアリコートし、我々の標準的手順に従い−80℃において貯蔵した。
【0236】
還元剤の非存在におけるSDS-PAGEゲル上のzsig37NEE の電気泳動は、見掛けの分子量39,000の1つの主要なクーマッシーブルー染色されたバンドおよび60,000〜116,000 の間の分子量のいくつかの少量の成分を示した。バンドのすべてはウェスタンブロット上で抗EE抗体との交差反応性を示した。還元剤の存在において、観測された唯一のバンドは39,000kDa のタンパク質であり、そのクーマッシーブルー染色の強度は増加した。このバンドは、また、ウェスタンブロット上で抗EE抗体との交差反応性を示した。
【0237】
zsig37CEE について、還元剤の非存在におけるSDS-PAGEゲル上のzsig37NEE の電気泳動は、見掛けの分子量39,000の1つの主要なクーマッシーブルー染色されたバンドおよび60,000〜116,000 の間の分子量のいくつかの少量の成分を示した。ウェスタンブロット上で、見掛けの分子量150,000 、116,000 、および60,000のバンドのみは抗EE抗体との交差反応性を示した。還元剤の存在において、39,000kDa においてクーマッシーブルー染色のバンドが観測され、そしてこの物質はウェスタンブロット上で抗EE抗体との交差反応性を示した。これらの条件下に、少量の交差反応性物質がまた150,000kDaにおいて見られた。
【0238】
抗EEセファローズの精製
100ml のベッド体積のプロテインG−セファローズ(Pharmacia、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)を、500ml のナルジーン(Nalgene) 0.45ミクロンのフィルターユニットを使用して、100ml の0.02%のアジ化ナトリウムを含有するPBSで3回洗浄した。ゲルを6.0体積の200mM のトリエチルアミン、pH8.2(TEA、Sigma 、ミゾリー州セントルイス)で洗浄し、そして等しい体積の900mg の抗体を含有するEE抗体溶液を添加した。
【0239】
4℃において一夜インキュベートした後、前述したように、樹脂を5体積の200mM のTEAで洗浄することによって、非結合抗体を除去した。樹脂を2体積のTEAの中に再懸濁させ、適当な容器に移し、TEA中に溶解したジメチルピリミデート−2HCl(Pierce 、イリノイ州ロックフォード)を36mg/ml のゲルの最終濃度に添加した。ゲルを室温において45分間揺動し、前述したように、液体をフィルターユニットで除去した。次いで室温において5体積の200mM のTEA中の20mMのエタノールアミンとインキュベートすることによって、ゲル上の特異的部位をブロックした。ゲルを5体積の0.02% のアジ化ナトリウムを含有するPBSで洗浄し、この溶液中で4℃において貯蔵した。
【0240】
実施例8
接着性および増殖アッセイ
TF-1細胞の接着および拡大を刺激するzsig37の能力を次のようにしてアッセイした。PBSまたはELISA 被覆緩衝液(0.1M のNaCO3)中の10〜0.0625μg/mlのC 末端Glu-Glu 標識化zsig37から1系列の希釈物を調製し、各々を100 μl/ウェルで96ウェルのプレート(Costar 、カリフォルニア州プレザントン)の中にプレートした。プレートを37℃、5%CO2 において2時間インキュベートした。次いでプレートをRPMI/10%FBS(RPMI 1640 、2mM のL−グルタミン、110 μg/mlのピルビン酸ナトリウム、PSNおよび10%の熱不活性化胎仔ウシ血清)で3回洗浄し、15分間ブロックさせた。
【0241】
TF-1細胞(急性骨髄性白血病の細胞に由来する)をRPMI/10%FBS の中に再懸濁させ、10,000細胞/ウェルでzsig37CEE 被覆した96ウェルのプレートの中に120 μl/ウェルの最終体積で入れた。プレートを37℃において5%CO2 下に2時間インキュベートした。次いでプレートをPBSで3回洗浄し、200 μl/ウェルの成長培地(RPMI/10%FBS、5ng/mlのGM-CSF) を添加した。細胞を洗浄の前後に顕微鏡検査した。また、色素の組込みを使用して、比色の変化および蛍光シグナルの増加に基づいて、接着性細胞の数を定量的に測定した。アラマーブルー(Alamar BlueTM)(AccuMed 、イリノイ州シカゴ)を96ウェルのプレートに添加し、細胞を37℃において5%CO2 下に一夜インキュベートした。次いでプレートをフルオロメーターで544nmの励起波長および590nm の放射波長を使用して走査した。zsig37CEE-0.1MのNaCO3 被覆プレートよりもzsig37CEE-PBS 被覆プレート上に、いっそう接着性の細胞が存在した。可溶性zsig37の添加は、結合したzsig37への細胞の接着をブロックしなかった。
【0242】
下記の細胞系統を前述したように5,000 細胞/ウェルで使用して、第2アッセイを実施した:TF-1、DA-1(IL-3 培地中の過成長によりB細胞のリンパ腫のマウスのリンパ節から誘導されたIL−3依存性細胞系統)(提供者:Kenneth Kaushansky博士、ワシントン大学、ワシントン州シアトル))、pre-B(p53-/-、マウス骨髄細胞、IL−7依存性、B220+ 、低いThy1, Sca-1+) 、およびA7BaF-3 細胞系統。BHK細胞をまた500細胞/ウェルでプレートした。Zsig37はA7-BaF-3細胞の増殖を増強し、そしてDA-1細胞の増殖を僅かに阻害した。
【0243】
実施例9
マウスのオルト体配列
本発明の新規なヒトzsig37ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用して、マウスESTデータベースを相同的マウス配列についてスクリーニングした。ヒトzsig37配列に対して、単一のEST配列が発見され、予測された。対応するcDNAを同定するために、全体のコーディング配列を含有すると考えられるクローンを配列決定のために使用した。インヴィトロゲン(Invitrogen)S.N.A.P.TMMiniprepキット(Invitrogen,Corp.)を製造業者のインストラクションに従い使用し、LB+50 μg/mlのアンピシリン中の5mlの一夜の培養物を調製した。ABIPRISMTMBig 色素ターミネーターサイクル配列決定レディー反応キット(Perkin Elmer Corp.)を製造業者のインストラクションに従い使用して、ABIPRISMTM377 型DNA 配列決定装置(Perkin Elmer Cetusn Elmer、コネチカット州ノーウォーク)で鋳型を配列決定した。
【0244】
オリゴヌクレオチドZC694 (配列番号:6)、ZC6768(配列番号:32)、ZC18297 (配列番号:33)、ZC18298 (配列番号:34)、ZC18402 (配列番号:35)、ZC18403 (配列番号:36)、ZC18456 (配列番号:37)、ZC18457 (配列番号:38)、ZC18560 (配列番号:39)、ZC18561 (配列番号:40)、ZC18687 (配列番号:41)およびZC18688 (配列番号:42)を使用して、クローンから配列を完結させた。
【0245】
Hybaid OmniGene Temparature Cycling System(National Labnet Co.、ニューヨーク州ウッドブリッジ)において、配列決定反応を実施した。SEQUENCHERTM3.0 配列分析ソフトウェア(Gene Codes Corporation 、ミシガン州アンアーバー)をデータの解析に使用した。生ずる2559bpの配列を配列番号:43に、そして推定されたアミノ酸配列を配列番号:44に開示する。ヒトzsig37ヌクレオチド配列(配列番号:1)との整列は、ヌクレオチドレベルにおける77%の同一性を示す。推定上のアミノ酸配列(配列番号:44)は、ヒトポリヌクレオチド配列(配列番号:2)との77%の同一性を示す。
【0246】
実施例10(1)
細胞をベースとするアッセイ
zsig37ポリペプチドを大きい処理量でin vitroアッセイして、固定化された骨芽細胞系統における細胞の応答を選択的に活性化する配列を同定した。p53-/-(欠乏)マウスに由来する、すなわち、ルシフェラーゼの発現を誘導する誘導可能な血清応答因子(SRE)を含有するプラスミドでトランスフェクトされた、成熟骨芽細胞系統CCC4をアッセイにおいて使用した。これらの細胞は、また、内因的PTH 、PDGFおよびbFGFレセプターを発現する。CCC4細胞におけるSREの刺激、こうしてルシフェラーゼの発現は、化学的実在物が骨芽細胞における有糸分裂の誘発を刺激するであろうことを示す。
【0247】
CCC4系統をトリプシン処理し、プレーティング培地(アルファ−MEM、1%の熱不活性化胎仔ウシ血清、1mMのピルビン酸ナトリウムおよび2mMのL−グルタミン酸塩)中で5 ×104 細胞/mlに調節し、ダイナテク・ミクロライト(Dynatech ・Microlite)不透明白色マイクロタイタープレート(Dynatech 、バージニア州チャンチリイ)の中にプレートし、37℃、5%CO2 において一夜インキュベートした。次いで成長培地を吸引し、50μl/ウェルのアッセイ培地(F-12 HAM 、0.5%のウシ血清アルブミン、20mMのHEPES 、1mMのピルビン酸ナトリウムおよび2mMのL−グルタミン酸塩)と交換した。アッセイ培地中のzsig37の連続希釈物(0.29 〜1000ng/ml の最終アッセイ濃度)を調製し、ウェルに添加した。zsig37の試料を三重反復実験においてアッセイした。血清(陰性)およびbFGF(陽性)の対照をまた使用した。bFGFの最終濃度は3ng/mlであった。対照を四重反復実験においてアッセイした。プレートを37℃、5%CO2 において4時間インキュベートした。次いでアッセイ培地を吸引し、プレートをPBSで1回すすいだ。
【0248】
次いで各ウェルに25μl の溶解緩衝液(ルシフェラーゼアッセイ試薬、E1501 、Promega Corp. 、ウイスコンシン州マディソン)を添加した。プレートを室温において15分間インキュベートした。50μl/ウェルのルシフェラーゼ基質(ルシフェラーゼアッセイ試薬、E1501 、Promega Corp.)を添加し、そしてラブシステムス(Labsystems)LUMINOSKANR を使用して2秒/ウェルにおいて1秒の遅延後に、ルシフェラーゼ活性を検出した。平均基底(非誘導)シグナルをすべての読みから減じ、これらは表5に3ng/mlのbFGFにより生成した最大誘導の百分率として表されている。
zsig37はこのアッセイにおいてルシフェラーゼの発現を刺激し、それらが骨芽細胞を刺激することを示す。zsig37は1000ng/ml において73〜75%の最大で刺激する。
【0249】
対応物の成長因子の模倣物のアッセイを実施して、zsig37が成長因子の模倣物、特にチミジンキナーゼレセプターのリガンドPDGF、bFGFおよびFGF(インスリン−R陰性)として作用するかどうかを決定した。スイス(Swiss)3T3マウスから誘導された、すなわち、ルシフェラーゼの発現を誘導する誘導可能な血清応答因子(SRE)を含有するプラスミドでトランスフェクトされた、クローナル細胞系統Swiss3T3をこのアッセイにおいて使用した。これらの細胞は、また、内因的PMA 、EGF およびbFGFレセプターを発現する。Swiss3T3細胞におけるSREの刺激、こうしてルシフェラーゼの発現は、化学的実在物がPDGF、bFGFおよびEGF 成長因子の活性を模擬するであろうことを示す。
【0250】
Swiss3T3細胞をトリプシン処理し、前述したように、プレーティング培地中で5 ×104 細胞/mlに調節し、プレートし、インキュベートした。次いで成長培地を吸引し、50μl/ウェルのアッセイ培地(F-12 HAM 、0.5%のウシ血清アルブミン、20mMのHEPES)と交換した。アッセイ培地中のzsig37の連続希釈物(0.29 〜1000ng/ml の最終アッセイ濃度)を調製し、ウェルに添加した。zsig37の試料を三重反復実験においてアッセイした。血清(陰性)およびbFGF(陽性)の対照をまた使用した。bFGFの最終濃度は3ng/mlであった。対照を四重反復実験においてアッセイした。
【0251】
プレートを37℃、5%CO2 において5時間インキュベートした。次いでアッセイ培地を吸引し、プレートをPBSで1回すすいだ。次いで各ウェルに25μl の溶解緩衝液(ルシフェラーゼアッセイ試薬、E1501 、Promega Corp. 、ウイスコンシン州マディソン)を添加した。プレートを室温において15分間インキュベートした。50μl/ウェルのルシフェラーゼ基質(ルシフェラーゼアッセイ試薬、E1501 、Promega Corp.)を添加し、そしてラブシステムス(Labsystems)LUMINOSKANR を使用して2秒/ウェルにおいて1秒の遅延後に、ルシフェラーゼ活性を検出した。平均基底(非誘導)シグナルをすべての読みから減じ、これらは表5に3ng/mlのbFGFにより生成した最大誘導の百分率として表されている。この細胞系統をbFGF、DDGF。FGF またはPMAで5時間処理すると、SRE−ルシフェラーゼの発現は25〜50倍誘導される。
zsig37はこのアッセイにおいてルシフェラーゼの発現を刺激するように思われない。zsig37は1000ng/ml において0.2 〜0.1%の最大で刺激する。
【0252】
実施例10(2)
アデノウイルス送出を介する zsig37 の in vivo 投与
24匹の雄および24匹の雌のC57B16/Jマウス、ほぼ12週齢(Jackson Labs 、メイン州バールハーバー)を秤量し、体温を測定し、注射前に食物摂取を毎日4日間測定した(第−4〜−1日)。第0日に、マウスを3つのグループに分割し、0.1ml のウイルス(AdV−エンプティー1.8 ×1011ウイルス粒子/0.1mlまたはAdV-zsig37-CEE 5×1011ウイルス粒子/0.1ml) を静脈内尾静脈注射により与えるか、あるいは注射しなかった。注射は宿主肝臓を感染を生じ、そしてウイルス的に送出された遺伝子の発現は24時間以内に開始し、1〜4週間連続する。これらのグループのマウスを試験した。グループ1、未処置、n=8の各雄および雌。グループ2、AdV−エンプティー(エンプティーウイルス)、n=8の各雄および雌。グループ3、AdV-zsig37CEE 、n=8 の各雄および雌。
【0253】
動物の体温、体重および摂取した食物の重量を3週の研究の間にモニターした。グループの間で差は見出されなかった。
第21日に、雌のマウスを安楽死させ、頸部転位により殺し、第22日に、雄を同様にした。動物を全採血し、組織を剖検のために収集した。
標準的血清化学のパネルを殺しのとき実施した。肝臓、腎臓および代謝のパラメーターのすべては正常の範囲内であった。しかしながら、zsig37処置グループとエンプティーウイルス処置グループの間において差が存在した。zsig37動物はエンプティーウイルスの対照よりも高い平均の脂血症指数を有した。
【0254】
差は有意ではなかったが、それ以上の研究は是認された。総遊離脂肪酸を各動物からの残りの血清についてアッセイした。血清遊離脂肪酸レベルにおいて統計的有意差は、エンプティーウイルスを与えられた雄マウス(p=0.0379)と、zsig37をコードするウイルスを与えられた雄マウスとの間に見られた;zsig37マウスはより高いレベルを有した。差は、統計的に有意ではないが、また、雌において見られた(p=0.3357)。肝臓、脾臓、腎臓、胸腺、心臓および脳を除去後に秤量した。処置グループの間において、差は見出されなかった。これらの組織およびβ−メルカプトエタノールの組織病理学的分析は、処置グループの間の差をを明らかにしなかった。
【0255】
上記結果を確証するために、前述したように、第2スクリーンを下記の変更を加えて実施した。3つのグループ;a)未処置および断食、b)AdV−ヌルおよび断食、c)AdV-zsig37-CEEおよび断食、20匹のC57B16/Jを含有する、10匹の各雄および雌を試験した。マウスを一夜断食させ、そして100 μl の血清を収集して、下記のパラメーターのための基底レベルを確立した:空腹時グルコース、TP、アルカリ性ホスファターゼ、コレステロール、トリグリセリド、遊離脂肪酸およびインスリン。体重を毎週3回測定した。第0日に、マウスに側方の尾静脈に0.1mlの適当なウイルス溶液を注射した。血液を第17日に一夜の断食後に収集した。3週後、マウスを殺し、すべての血液を収集した。血液の一部分をEDTAと混合してCBCについて検査し、そして残りを前述したようにアッセイし、スクリーニングした。器官を収集し、死体を組織病理学のために取って置いた。
以上から理解されるように、本発明の特定の態様を例示の目的で説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱しないで種々の変更が可能である。したがって、本発明は添付された請求の範囲による以外限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、zsig37ポリペプチド、及びHUMUPST 2#1(Maedaなど., Biochem. Biophys. Res. Comm. 211(2) : 286-9, 1996); C1QA#HUMAN (Seller など.,Biochem. J. 274:481-90, 1991; Reid, Biochem. J. 179: 367-71, 1979;及びReidなど., Biochem. J. 203:559-69, 1982) ; Hp25 #TAMAS (Takamatsuなど., Mol. Cell. Biol.13: 1516-21, 1993 及びKondo & Kondo, J. Biol. Chem. 267: 473-8, 1992); HP27#TAMAS (Takamatuなど., 及び上記に引用されるKondo & Kondo );及びCERL#RAT (Wada & Ohtani, Brain Res.Mol. Brain Res. 9: 71-7, 1991) の複数一列配列を示す。
【図2】 図2は、図1の複数一列配列に示される6種のタンパク質の比較における%アミノ酸同一性を示すマトリックスである。
【配列表】
Claims (33)
- 配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有する、単離されたポリペプチド〔前記配列は、コラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa またはGly-Xaa-Pro 反復(ここで、Xaaは任意のアミノ酸である)、および配列番号:2のアミノ酸141〜281の範囲にあるカルボキシ末端の球状部分を含んでなる〕。
- 前記ポリペプチドが配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが配列番号:2の残基1〜281を含んでなる、請求項2に記載の単離されたポリペプチド。
- 親和標識、トキシン、放射性ヌクレオチド、酵素および蛍光体から成る群より選択される成分にアミノ末端においてまたはカルボキシ末端において共有結合している、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
- 前記アミノ酸残基の配列と前記親和標識との間にタンパク質分解切断部位をさらに含む、請求項4に記載の単離されたポリペプチド。
- a) 配列番号:2のアミノ酸残基26〜アミノ酸残基281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んで成り、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチド;
b) 配列番号:2のアミノ酸残基26〜アミノ酸残基281に対して少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んで成り、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチド;
c) 配列番号:2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;
d) 配列番号2の残基26〜281のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;及び
e) 配列番号2の残基26〜281のアミノ酸配列から成るポリペプチド;
から成る群より選択される単離されたポリペプチド。 - ペプチド結合により結合された第1部分および第2部分を含んで成る融合タンパク質であって、前記第1部分は、
a) 配列番号:2のアミノ酸残基26〜アミノ酸残基281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチド;
b) 配列番号:2に示すアミノ酸残基1、22または26〜アミノ酸残基281のアミノ酸残基の配列を含んでなるポリペプチド;
c) 配列番号:2のアミノ酸残基26〜アミノ酸残基281に対して少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチド;
d) 配列番号2の残基26〜281のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;及び
e) 配列番号2の残基26〜281のアミノ酸配列から成るポリペプチド;
から成る群より選択され、そして
前記第2部分は他のペプチドを含んでなる、
融合タンパク質。 - 前記第1部分が、
a) 配列番号:2のアミノ酸残基26〜アミノ酸残基281の配列を含んで成るポリペプチド;
b) 配列番号:2のアミノ酸配列から成るポリペプチド;および
c) 配列番号:2アミノ酸残基26〜281のアミノ酸配列から成るポリペプチド;
から成る群より選択される、請求項7に記載の融合タンパク質。 - 下記の作用可能に連結された因子(a)、(b)及び(c):
(a)転写プロモーター;
(b)配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチドをコードするDNAセグメント〔ここで、前記配列は、コラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa またはGly-Xaa-Pro 反復(ここで、Xaaは任意のアミノ酸である)、及び配列番号:2のアミノ酸141〜281の範囲にあるカルボキシ末端の球状部分を含む〕;並びに
(c)転写ターミネーター;
を含んでなる発現ベクター。 - 前記DNAセグメントが、配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項9に記載の発現ベクター。
- 前記DNAセグメントが、配列番号:2の残基26〜281のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする、請求項10に記載の発現ベクター。
- 前記DNAセグメントが、配列番号:2の残基1〜281を含んでなるポリペプチドをコードする、請求項10に記載の発現ベクター。
- 親和標識に、アミノ末端においてまたはカルボキシ末端において共有結合しているポリペプチドをコードする、請求項10に記載の発現ベクター。
- 前記DNAセグメントが、前記ポリペプチドに作用可能に連結された分泌シグナル配列をコードする、請求項10に記載の発現ベクター。
- 前記分泌シグナル配列が、配列番号:2の残基1〜21または1〜25を含んでなる、請求項14に記載の発現ベクター。
- 下記の作用可能に連結された因子(a)、(b)及び(c):
(a)転写プロモーター;
(b)配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチドをコードするDNAセグメント〔ここで、前記配列は、コラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa またはGly-Xaa-Pro 反復(ここで、Xaaは任意のアミノ酸配列である)、及び配列番号:2のアミノ酸141〜281の範囲にあるカルボキシ末端球状部分を含んで成る〕;並びに
(c)転写ターミネーター;
を含んでなる発現ベクターが導入されており、前記DNAセグメントによりコードされる前記ポリペプチドを発現する、培養された細胞。 - 下記の作用可能に連結された因子(a)、(b)及び(c)を含んでなる発現ベクター:
(a)転写プロモーター;
(b)配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチドをコードするDNAセグメント〔ここで前記配列は、コラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa またはGly-Xaa-Pro 反復(ここでXaaは任意のアミノ酸配列である)、および配列番号:2のアミノ酸141〜281の範囲にあるカルボキシ末端の球状部分を含んで成る〕;並びに
(c)転写ターミネーター;
が導入された細胞を培養し、ここで前記細胞は前記DNAセグメントによりコードされる前記ポリペプチドを発現し;そして
前記発現されたポリペプチドを回収する;
ことを含んでなる、ポリペプチドの製造方法。 - 配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んで成り、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有する、ポリペプチド〔前記配列は、コラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa またはGly-Xaa-Pro 反復(ここでXaaは任意のアミノ酸配列である)、および配列番号:2のアミノ酸141〜281の範囲にあるカルボキシ末端の球状部分を含んで成る〕;並びに
薬学上許容されるビヒクル;
を含んでなる医薬組成物。 - 配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んで成り、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有する、ポリペプチド〔前記配列は、コラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa またはGly-Xaa-Pro 反復(ここでXaaは任意のアミノ酸配列である)、及び配列番号:2のアミノ酸141〜281の範囲にあるカルボキシ末端の球状部分を含んで成る〕のエピトープに特異的に結合する抗体。
- 配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んで成り、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチド〔前記配列は、コラーゲンドメインを形成するGly-Xaa-Xaa またはGly-Xaa-Pro 反復(ここでXaaは任意のアミノ酸配列である)、および配列番号:2のアミノ酸141〜281の範囲にあるカルボキシ末端の球状部分を含んで成る〕をコードする単離されたポリヌクレオチド。
- 前記ポリペプチドが配列番号:2の残基26〜281に対して少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有する、請求項20に記載の単離されたポリヌクレオチド。
- 前記ポリペプチドが配列番号:2の残基26〜281から成る、請求項21に記載の単離されたポリヌクレオチド。
- 前記ポリペプチドが配列番号:2の残基26〜281を含んでなるポリペプチドをコードする、請求項20に記載の単離されたポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項20に記載の単離されたポリヌクレオチド。
- a)配列番号:1のヌクレオチド456〜ヌクレオチド688のヌクレオチド配列;
b)配列番号:1のヌクレオチド688〜ヌクレオチド1016のヌクレオチド配列;
c)配列番号:1のヌクレオチド691〜ヌクレオチド1016のヌクレオチド配列;
d)配列番号:1のヌクレオチド465〜ヌクレオチド1016のヌクレオチド配列;
e)配列番号:2のアミノ酸残基99、140または141〜アミノ酸残基281に対して少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を有し、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
f)配列番号:2のアミノ酸残基99〜アミノ酸残基140に対して少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を有し、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
g)上記a)、b)、c)、d)、e)またはf)に対して相補的であるヌクレオチド配列;および
h)上記a)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)の縮重ヌクレオチド配列;
から成る群より選択される単離されたポリヌクレオチド。 - ペプチド結合により結合された第1部分および第2部分を含んで成る融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチドであって、前記第1部分は、
a)配列番号:2のアミノ酸残基26〜アミノ酸残基281に対して少なくとも90%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有する、ポリペプチド;
b)配列番号:2に示すアミノ酸残基1、22または26〜アミノ酸残基281のアミノ酸残基の配列を含んでなるポリペプチド;
c)配列番号:2のアミノ酸残基26〜アミノ酸残基281に対して少なくとも95%のアミノ酸配列の同一性を有するアミノ酸残基の配列を含んでなり、TF-1細胞の接着性の促進、A7-BaF-3細胞の増殖の増強、Da-1細胞の増殖の阻害、又は血清遊離脂肪酸レベルの上昇の機能を有するポリペプチド;
d)配列番号2の残基26〜281のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチド;及び
e)配列番号2の残基26〜281のアミノ酸配列から成るポリペプチド;
から成る群より選択され、そして
前記第2部分は他のペプチドを含んでなる、
単離されたポリヌクレオチド。 - 配列番号:2のアミノ酸残基26〜281のアミノ酸配列から成る単離されたポリペプチド。
- 配列番号:2のアミノ酸残基26〜281のアミノ酸配列を含んでなる単離されたポリペプチド。
- 請求項28に記載の少なくとも2個のポリペプチドを含んで成るポリペプチドオリゴマー。
- 分子間ジスルフィド結合により連結された、請求項29に記載のポリペプチドオリゴマー。
- 前記オリゴマーが3量体である、請求項29に記載のペプチドオリゴマー。
- 前記オリゴマーが6量体である、請求項29に記載のペプチドオリゴマー。
- 前記オリゴマーが18量体である、請求項29に記載のペプチドオリゴマー。
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