JP2001525172A - ヒト甲状腺蛋白質zsig45及びそれをコードするdna - Google Patents

ヒト甲状腺蛋白質zsig45及びそれをコードするdna

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、甲状腺および下垂体で強く発現される新規ヒト蛋白質であるzsig45のポリヌクレオチドおよびポリペプチド分子に関する。このポリペプチドおよびこれをコードするポリヌクレオチドは、ヒトの疾患状態および染色体異常を検出するために、かつ治療薬として使用される。本発明はまた、zsig45ポリペプチドに対する抗体を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 〔従来の技術〕 多細胞生物の細胞増殖及び分化は、ホルモン及びポリペプチド成長因子により
コントロールされている。これら拡散性分子により細胞は相互に連絡でき、又調
和しながら作用し、細胞増殖及び器官発生が制御できる。ホルモン及び成長因子
はレセプターに結合することで細胞代謝に影響する。レセプターは、細胞内のシ
グナル伝達経路に結びついた膜内在性蛋白質である。レセプターの別分類は、転
写因子の様な可溶性分子である。ホルモンと可溶性レセプターの相互作用を含む
ホルモン作用は、効果的甲状腺機能に必須である。
【0002】 甲状腺は正常なヒトの成長及び発達に於ける主要な内分泌腺である。成人に於
ける甲状腺の主な役割は、一次的には甲状腺ホルモンの産生と制御を通じた代謝
安定性の維持である。実際に体内の全ての器官が甲状腺の影響を受ける。即ち、
甲状腺の機能不全は複数の疾患状態に関係する。甲状腺疾患は比較的多く、甲状
腺の大きさや形状の異常(甲状腺腫)、及び甲状腺ホルモンの分泌異常が起こる
。甲状腺機能不全は、甲状腺の生理が変化する甲状腺以外の疾患、又は栄養不良
からも起こることがある。
【0003】 一般的な甲状腺疾患の例は甲状腺中毒症、甲状腺機能低下症、グレーブス病、
甲状腺機能亢進症及び甲状腺腫瘍である。一般概要に関しては、Felig, P, Baxt
er, J.D.及びFrohma, L.A.(編)、Endocrinology and Metabolism, McGraw Hil
l, NY. 3rd ed., 1995, pp.432-553; Bennett, J.C. 及び Plum, F. ( 編), Tex
tbook of Medicine, W.B.Saunders Co., Philadelphia, 20th ed., 1996, pp.12
27-1245.
【0004】 最も多く研究された甲状腺ホルモンはチロキシン (thyroxine)(T4)、トリヨ
ードチロニン(triiodothyronine)(T3)及び甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimu
lating hormone) (TSH)である。T4は甲状腺だけで産生されるのに対し、T3は甲
状腺及び甲状腺外でのT4の酵素的5'- 脱ヨードによって産生される。T3及びT4は
共に分泌され、サイログロブリン(thyroglobulin) の酵素分解により生じる;主
要甲状腺蛋白質であるサイログロブリンはT4及びT3の細胞内貯蔵形である。T4及
びT3の生合成及び分泌は脳下垂体TSH により促進される;逆に、循環T3及びT4に
より阻害され、脳下垂体のサイロトロピン−放出ホルモン(TRH )により促進さ
れる。
【0005】 T3は甲状腺ホルモン核レセプターのリガンドとして機能し、甲状腺ホルモンに
ついて知られる全ての生理作用を伝達する。これらレセプターはステロイド核レ
セプタースーパーファミリーのメンバーである;これらはDNA に結合し、mRNA転
写を活性化する。甲状腺レセプターは、その酸性T3リガンドが結合している場合
と結合していない場合で、異なる活性を持つ。血中では、T4及びT3は様々な器官
及び組織内のそれらの作用部位に達するまでは複数の様々な血清蛋白質により結
合されている。
【0006】 甲状腺ホルモンは、各種酵素の産生及び活性、他のホルモンの産生および代謝
、及び基質、ビタミン及びミネラルの利用を制御して広い範囲の代謝プロセスを
変化させる。これら作用の全てがT3の転写制御に拠るものではない。例えば、非
核作用(non-nuclear action)には、リンパ細胞に於けるアミノ酸及び糖の移動促
進、赤血球内及び心臓細胞のカルシウム−ATPase活性、及びその他の膜相互作用
を含む。甲状腺ホルモンの代謝作用及び疾患の概説としては、Braverman,L.E.(
編)、甲状腺疾患(Diseases of the Thyroid, Humana Press, Totowa, NJ, 199
7 を参照せよ。その他既知作用因子がこの複雑な生理学的スキームに関係してい
る。おそらく現在知られていない作用因子も重要であろう。
【0007】 当分野に於いては、さらに甲状腺に関する生理を明確にし、さらに制御分子を
提供する必要が残っている。特に興味ある対象は、追加の甲状腺ホルモンを含む
、甲状腺機能に影響し、又は甲状腺より分泌される胸腺外作用を持つ制御蛋白質
である。これらホルモンは特に各種甲状腺疾患を持つ患者に於いて正常な甲状腺
機能を保つ上で有用であり、又小分子薬の開発の標的としても有用である。既知
甲状腺ホルモンに提示されるin vivo 活性は、他の甲状腺ホルモン、そのアゴニ
スト及びアンタゴニストに関する大きな臨床上の可能性、及び需要を例示する。
本発明は、本技術より当業者にとって明瞭であるこれら及びその他の利用のため
のポリペプチドを提供する。
【0008】 発明の要約 1つの観点では、本発明は以下を含むグループより選択されたアミノ酸配列に
少なくとも90%同一なアミノ酸残基の配列を含むポリペプチドをコードする単
離されたポリヌクレオチドを提供する:(a) 配列番号2に示された、配列番号2
のアミノ酸番号47(Lys)ないしミノ酸番号114 (Asp )のアミノ酸配列;(b) 配
列番号4に示すアミノ酸番号1(Met )ないしアミノ酸番号85(Asp)までのアミ
ノ酸配列;(c) 配列番号3に示すアミノ酸番号1(Met )ないしアミノ酸番号89
(Asp)までのアミノ酸配列;(d) 配列番号2に示すアミノ酸残基番号1(Met )
ないしアミノ酸残基番号114 (Asp )までのアミノ酸配列。
【0009】 1実施態様に於いては、本発明は以下を含むグループより選択される単離され
たポリヌクレオチド分子を提供する:配列番号1のヌクレオチド219 ないしヌク
レオチド422 に示されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;(b) 配列番
号1のヌクレオチド168 ないしヌクレオチド422 に示されるヌクレオチド配列を
含むポリヌクレオチド;(c) 配列番号1のヌクレオチド156 ないしヌクレオチド
422 に示されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;(d) 配列番号1のヌ
クレオチド82ないしヌクレオチド422 に示されるヌクレオチド配列を含むポリヌ
クレオチド;及び(e) 上記 (a)、(b) 、(c) または(d) に相補的なポリヌクレオ
チド分子。
【0010】 別の実施態様では、上記ポリヌクレオチドは配列番号15のヌクレオチド1ない
しヌクレオチド342 を含む。別の実施態様では、上記ポリヌクレオチドは配列番
号2に示された、配列番号2のアミノ酸番号47(Lys )ないしアミノ酸番号114
(Asp )に少なくとも90%同一であるアミノ酸残基の配列を含む。別の実施態様
では、上記のポリヌクレオチドは配列番号2のアミノ酸番号47(Lys )ないしア
ミノ酸番号114 (Asp)の配列番号2に示されるアミノ酸残基の配列を含む。別の
実施態様では、上記ポリヌクレオチドは、ポリペプチドがモチーフ1から5を含
むポリペプチドをコードする。
【0011】 第2の観点では、本発明は以下の作用可能に連結されたエレメントを含む発現
ベクターを提供する:転写プロモーター;配列番号2のアミノ酸番号47(Lys )
ないしアミノ酸番号114 (Asp)の配列番号2に示されたアミノ酸配列に90%同一
なzsig45ポリペプチドをコードするDNA 断片;及び転写ターミネーター。ある実
施態様では、上記発現ベクターは更にDNA 断片に作用可能な状態で連結した分泌
シグナル配列を含む。別の実施態様では、上記発現ベクターは以下を含む群より
選択される分泌シグナル配列を含む:(a) 配列番号2のアミノ酸1から46;(b)
配列番号3のアミノ酸1から21;及び配列番号4のアミノ酸1から17。
【0012】 第3の観点では、本発明は上記発現ベクターが導入された培養細胞にあって、
該細胞がDNA 断片にコードされたポリペプチドを発現する培養細胞を提供する。
第4の観点では、本発明は以下を含む融合蛋白質をコードすDAN 構成体を提供す
る:以下を含むグループより選択されたアミノ酸配列に少なくとも90%同一なポ
リペプチドをコードする第1DNA 断片:[(a) 配列番号2のアミノ酸1から46;
(b) 配列番号3のアミノ酸番1から21;(c) 配列番号4のアミノ酸1から17;]
及び追加のポリペプチドをコードする第2DNA 断片にあって、第1及び第2DNA
断片がフレーム内に結合しているもの。
【0013】 別の観点では、本発明は以下を含む群より選択されたアミノ酸配列に少なくと
も90%同一であるアミノ酸残基の配列を含む単離されたポリペプチドを提供する
:(a) 配列番号2に示された、配列番号2のアミノ酸番号47(Lys)ないしアミノ
酸番号114 (Asp )のアミノ酸配列;(b) 配列番号4に示すアミノ酸番号1(Me
t )ないしアミノ酸番号85(Asp)までのアミノ酸配列;(c) 配列番号3に示すア
ミノ酸番号1(Met )ないしアミノ酸番号89(Asp)までのアミノ酸配列;(d) 配
列番号2に示すアミノ酸残基番号1(Met)ないしアミノ酸残基番号114 (Asp)の
アミノ酸配列。
【0014】 実施態様の一つでは、上記に開示された単離されたポリペプチドは、配列番号
2に示す、アミノ酸番号47(Lys)ないしアミノ酸番号114(Asp)のアミノ酸配列に
少なくとも90%同一なアミノ酸残基の配列を含む。別の実施態様では、上記の単
離されたポリペプチドは、配列番号2に示すアミノ酸番号47(Lys )ないしアミ
ノ酸番号114 (Asp )である。別の実施態様では、上記単離ポリペプチドはモチ
ーフ1から5を含む。 別の観点では、本発明は上記開示の発現ベクターが導入された細胞を培養し;
該細胞により産生されたzsig45ポリペプチドを単離することを含むzsig45ポリペ
プチドを産生する方法を提供する。
【0015】 別の観点では、本発明は、(a) 少なくとも配列番号2のアミノ酸の連続配列の
アミノ酸番号47(Lys )ないしアミノ酸番号114 (Asp)に少なくとも90%同一で
ある9ないし67アミノ酸を含むポリペプチド;及び(b) 配列番号2のアミノ酸配
列のアミノ酸番号47(Lys )ないしアミノ酸番号114 (Asp )を含むポリペプチ
ドからなるグループよ選択されたペプチドを動物に接種し;そして該ペプチドが
動物内に免疫反応を惹起し、抗体を産生し;さらに動物より抗体を単離する、こ
とを含むzsig45ポリペプチドに対する抗体の生成方法を提供する。
【0016】 別の観点では、本発明は上記方法により生成された、xsig45ポリペプチドに結
合する抗体を提供する。実施態様の一つでは上記抗体はモノクローナル抗体であ
る。別の観点では、本発明は上記開示のポリペプチドに結合する抗体を提供する
【0017】 別の観点では本発明は、zsig45- 反応性細胞をzsig45- 刺激細胞経路に対し反
応性であるレポーター遺伝子構築体でトランスフェクションし;上記開示方法に
よるzsig45ポリペプチドを産生し;又試験サンプルの存在下又は不存在下zsig45
ポリペプチドを細胞に加え;そして試験サンプル有り無しの状態で生物学的、又
は生化学的アッセイによりzsig45ポリペプチドに対する反応レベルを比較し;そ
して比較より試験サンプル中のzsig45活性のアンタゴニストの存在を決定するこ
とを含む、試験サンプル中に於けるzsig45蛋白質活性のアンタゴニストの存在を
検出する方法を提供する。
【0018】 別の観点では、本発明は、zsig45- 反応性細胞をzsig45- 刺激細胞経路に対し
反応性であるレポーター遺伝子構築体でトランスフェクションし;試験サンプル
を加え;そして試験サンプルの存在下及び非存在下で生物学的又は生化学的アッ
セイにより反応レベルを比較し;そして該比較により較より試験サンプル中のzs
ig45活性のアゴニストの存在を決定することを含む、試験サンプル中に於けるzs
ig45蛋白質活性のアゴニストの存在を検出する方法を提供する。 発明のこれら、及びその他の観点は、以下の本発明の詳細な説明を参照するこ
とで明らかになるだろう。
【0019】 〔発明の詳細な説明〕 本発明を詳細に説明する前に、その理解には以下の用語を定義することが役立
つだろう: ここに用いる”アフィニティータグ”という語は、第2ポリペプチドの精製又
は検出を目的とする、又は基質への第2ポリペプチド結合の為の部位を提供する
ためのポリペプチド断片を意味する。原則として、抗体又はその他特異的結合作
用物質が存在するいずれかのペプチド又は蛋白質はアフィニティータグとして利
用できる。
【0020】 アフィニティータグにはポリ−ヒスチジントラクト、プロテインA(Nilsson
ら、EMBO J.4 4:1075, 1985; Nilssonら、Methods Enzymol. 198:3, 1991) 、グ
ルタチオンS トランスフェラーゼ(Smith及びJohnson, Gene 67:31, 1988)、Glu-
Glu アフィニティータグ(Grussenmeyerら、Proc. Natol. Acad. Sci. USA 82:7
95204, 1985)、サブスタンスP、Flag(商標)ペプチド(Hoppら、Biotechnolog
y 6: 1204-10, 1988) 、ストレプトアビジン結合ペプチド、またはその他の抗原
性エピトープまたは結合ドメインが含まれる。一般にはFordら、蛋白質発現と精
製(Protein Expression and Purification ) 2:95-107, 1991 を参照せよ。ア
フィニティータグをコードするDNAsは市販されている(例えば、Pharmacia Biot
ech, Piscataway, NJ)。
【0021】 ”対立遺伝子変異”という語は、ここでは同一染色体座を占める遺伝子の2ま
たはそれ以上の変化形のいずれかを意味する。対立遺伝子変異は突然変異により
自然に発生し、集団内に遺伝子及び表現形多形を生じる。遺伝子突然変異はサイ
レントであるか(コードされたポリペプチドは変化しない)、または変化したア
ミノ酸配列を持つポリペプチドをコードする。対立遺伝子変異という語は、ここ
では遺伝子の対立遺伝子変異によりコードされた蛋白質も意味する。
【0022】 ここでは、”アミノ−末端”及び”カルボキシル末端”という語はポリペプチ
ド内の位置を意味する。前後関係より、これらの語は具体的な配列、又は近接ま
たは相対位置を意味するポリペプチドの位置を参照して用いられる。例えば、ポ
リペプチド内の参照配列に対するカルボキシル末端に位置する特定の配列は、参
照配列のカルボキシル末端基部に位置するものであるが、完全なポリペプチドの
カルボキシル末端である必要はない。
【0023】 ”相補体/抗相補体ペア”という語は、適当な条件下に非共有結合的に対合し
、安定したペアを形成する非同一成分を意味する。例えば、ビオチン及びアビジ
ン(又はストレプトアビジン)は相補体/抗相補体ペアの蛋白質分解性要員であ
る。その他の相補体/抗相補体ペアの例には、レセプター/リガンドペア、抗体
/抗原(またはハプテン又はエピトープ)ペア、センス/アンチセンスポリヌク
レオチドペア等がある。引き続き相補体/抗相補体ペアの解離が望まれる場合、
相補体/抗相補体ペアの結合親和定数は<109M-1であることが好ましい。
【0024】 ”ポリヌクレオチド分子の相補体”という語は相補的塩基配列を有し、参照配
列に対し逆向きなポリヌクレオチド分子である。例えば、配列5'ATGCACGGG3' は
5'CCCGTGCAT3' に相補的である。 ”コンティグ(contig)”という語は、別のポリヌクレオチドに対し同一、又
は相補的な配列の連続したものを意味する。連続配列は、ポリヌクレオチドの全
長、またはその一部長につてポリヌクレオチド配列の特定長が重複する。例えば
、ポリヌクレオチド配列5'-ATGGCTTAGCTT-3'のコンティグ例は5'-TAGCTTgagtct-
3'及び3'-gtcgacTACCGA-5'である。
【0025】 ”縮重ヌクレオチド配列”という語は、1またはそれ以上の縮重コドンを含む
(ポリペプチドをコードする参照ポリヌクレオチド分子に比較し)ヌクレオチド
配列を意味する。縮重コドンは異なるヌクレオチドのトリプレットを含むが、同
一アミノ酸残基をコードする(例えばGAU 及びGAC トリプレットはそれぞれAsp
をコードする)。
【0026】 ”発現ベクター”という語は、その転写体を提供するための付加的断片に作用
可能に結合された所望のポリペプチドをコードする断片を含む、直鎖状又は環状
のDNA 分子を意味するために利用される。この様な付加的断片には、プロモータ
ー及びターミネーター配列を含み、又1またはそれ以上の複製起源、1またはそ
れ以上の選択可能なマーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル等も含む
。発現ベクターは一般にはプラスミドまたはウイルスDNA に由来し、又は両方の
エレメントを含むこともある。
【0027】 ポリヌクレオチドに使用する場合、”単離された”という語は、ポリヌクレオ
チドが天然の遺伝環境より取り出されており、また換言すればその他の外来性ま
たは不要のコーディング配列から遊離しており、遺伝工学蛋白質生産システム内
へお応用に好適な形状にあることを意味する。この様な単離された分子は、その
天然環境から分離され、cDNA及びゲノムクローンを含む分子である。本発明の単
離されたDNA 分子は、通常付随する他の遺伝子は無いが、プロモーター及びター
ミネーターの様な天然に存在する5'及び3'非翻訳域を含むだろう。付随領域を特
定することは当業者に公知である(例えば、Dynan とTijan 、Nature 316: 774-
78, 1986参照)。
【0028】 ”単離された”ポリペプチドまたは蛋白質は、血液及び動物組織からの分離の
様な、その天然環境以外の条件下に見いだされるポリペプチドまたは蛋白質であ
る。好適形態では、単離されたポリペプチドは実質的に他のポリペプチド、特に
動物起源の他のポリペプチドを含まない。ポリペプチドは高度に精製された形、
例えば純度95%以上、より好ましくは純度99%以上で提供されることが好ましい
。この観点で用いられる場合、”単離された”という語は、例えばダイマーまた
は別の形の糖化、または誘導化形状の様な、別の物理形状にある同一ポリペプチ
ドの存在を排除しない。
【0029】 DNA 断片に言及する場合、”作用可能に連結された”とは、例えばプロモータ
において転写が開始し、コード断片を通りターミネーターに至る様な、所定の目
的に関し機能する形に該断片が配置されていることを示す。 ”オルトログ”という語は、ある種に由来するポリペプチド又は蛋白質にあっ
て、別種由来のポリペプチド又は蛋白質の機能担当部分であるあるものを意味す
る。オルトログ間の配列の違いは種の結果である。 ”パラログ”は生物により作られる別種ではあるが、構造的に関連する蛋白質
である。パラログは遺伝子の複製により生ずると信じられている。例えば、α−
グロビン、β−グロビン及びミオグロビンはそれぞれパラログである。
【0030】 ”ポリヌクレオチド”は、5'端から3'端に読まれたデオキシリボヌクレオチド
またはリボヌクレオチド塩基の単鎖または2本鎖ポリマーである。ポリヌクレオ
チドにはRNA 及びDNA があり、天然源より単離され、in vitroで合成され、ある
いは天然及び合成分子の組み合わせより調製できる。ポリヌクレオチドの大きさ
は塩基対("bp"と省略される)、ヌクレオチド("nt")またはキロ塩基("kb")
として表現される。文脈により、後者2語は単鎖または2本鎖であるポリヌクレ
オチドを表す。用語が2本鎖分子に用いられる場合、それは全長を意味するため
に用いられ、”塩基対”という語に等しいと解釈される。2本鎖ポリヌクレオチ
ドの2本鎖は長さは酵素処理により若干異なっており、又その端部は食い違いに
なっていることは当業者により認識されるだろう;即ち2本鎖ポリヌクレオチド
分子内の全ヌクレオチドがペアを形成するわけではない。
【0031】 ”ポリペプチド”は、天然または合成により生成される、ペプチド結合により
結合されたアミノ酸残基のポリマーである。約10アミノ酸残基より短いポリペプ
チドは通常”ペプチド”と呼ばれる。 ”プロモーター”という語は、ここではDNA ポリメラーゼの結合及び転写の開
始を提供するDNA 配列を含む遺伝子部分を意味する当分野認識の意味に使用され
る。プロモーター配列は全てにおいてではないが、一般には遺伝子の5'非コーデ
ィング領域内にある。
【0032】 ”蛋白質”は、1またはそれ以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。蛋白
質は炭水化物基の様な非ペプチド性成分も含むことができる。炭水化物及びその
他非ペプチド性置換基は、蛋白質が生成される細胞内にて蛋白質に付加されるだ
ろう。ここでは、蛋白質はそのアミノ酸主鎖構造として規定される;炭水化物基
の様な置換基は一般的には規定されてはいないが存在するだろう。
【0033】 ”レセプター”という語は、生体活性分子(例えばリガンド)に結合し、リガ
ンドの作用を細胞に伝達する細胞付属の蛋白質を意味する。一般に、レセプター
は膜結合型、細胞質型又は核型;単量体(例えば甲状腺刺激ホルモンレセプター
、ベータアドレナリン作動性レセプター)又は多量体(例えばPDGFレセプター、
成長ホルモンレセプター、IL-3レセプター、GM-CSFレセプター、G-CSF レセプタ
ー、エリスロポイエチンレセプター及びIL-6レセプター)である。
【0034】 膜結合型レセプターは、細胞外のリガンド結合ドメインと主にシグナル伝達に
関わる細胞内エフェクタードメインを持つ多ペプチド構造により特徴付けられる
。多くの核型レセプターも、アミノ末端、相互作用ドメイン、DNA 結合ドメイン
及びリガンド結合ドメインを含む多ドメイン構造を持つ。レセプターへのリガン
ドの結合はレセプター内に立体構造の変化が起こり、その結果エフェクタードメ
インと細胞内の他分子との間に相互作用が生じる。次にこの相互作用が細胞の代
謝に変化を起こす。
【0035】 レセプター−リガンド相互作用と結びついた代謝事象には、遺伝子転写、リン
酸化、脱リン酸化、サイクリックAMP 産生増加、細胞カルシウムの可動化、膜脂
質の可動化、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解及びリン脂質の加水分解が
含まれる。一般に、レセプターは膜結合型、細胞質型、または核型;単量体(例
えば甲状腺刺激ホルモンレセプター、ベータアドレナリン作動性レセプター)又
は多量体(例えばPDGFレセプター、成長ホルモンレセプター、IL-3レセプター、
GM-CSFレセプター、G-CSF レセプター、エリスロポイエチンレセプター及びIL-6
レセプター)である。
【0036】 ”分泌シグナル配列”という語は、より大きなポリペプチドの成分として、そ
れが合成される細胞の分泌経路を通りより大きなポリペプチドになるポリペプチ
ド(”分泌ポリペプチド”)をコードするDNA 配列を意味する。より大きなペプ
チドは、通常分泌経路を通る間に切断され、分泌ペプチドが除かれる。
【0037】 ”スプライス変異体”という語は、ここでは遺伝子から転写されたRNA の変化
形を意味する。スプライス変異は、転写RNA 分子内にある別のスプライシング部
位を利用し天然に生じ、別々に転写されたRNA 分子の間に生ずることは稀であり
、同一遺伝子より複数のmRNAが転写される。スプライス変異体は変化したアミノ
酸配列を持つポリペプチドをコードする。ここではスプライス変異体という語は
、遺伝子からの転写されたmRNAスプライス変異体にコードされた蛋白質を意味す
る場合にも用いられる。
【0038】 非精密分析法(例えばゲル電気泳動)により決定されたポリマー分子量及び長
さは大まかな値と理解される。これらの値が“約" Xまたは”およそ”Xと表さ
れる場合、Xの表記値は±10%の正確さと理解されるだろう。 ここに引用された全ての参照技術はその全てが参照され取り込まれる。 本発明は分泌シグナル配列を持つポリペプチドをコードする新規DNA 配列に一
部基づいている。この新規cDNAに対応するmRNAの組織分布の分析より、その発現
は主に甲状腺に限定されることが示された。発現は脳下垂体及び結腸でも証明さ
れた。この組織特異的発現は甲状腺機能に於ける役割を示唆する。ポリペプチド
はzsig45と命名された。
【0039】 本発明の新規zsig45ポリペプチドは、分泌蛋白質の選択を目的とし分泌シグナ
ル配列に関するEST データベースの検索で最初に発見された。これら配列は、メ
チオニン開始部位上流、およそ13アミノ酸の疎水性領域、切断部位により特徴付
けられる。これら検索基準に合致したESTsに対応するポリペプチドを既知配列と
比較し、既知リガンドに相同性を有する分泌蛋白質を特定した。1種類のEST 配
列が抽出され、分泌蛋白質と推定された。
【0040】 完全長cDNAによりコードされた新規ポリペプチドは既知蛋白質との間に明瞭な
相同関係を示さなかったことから、該蛋白質が完全に新規な蛋白質で、新しい蛋
白質ファミリーの要員であることが示唆された。更に、該シグナル配列は、その
推定サイズが小さいこと(翻訳後修飾ない状態で8kD )、組織特異的に発現する
こと、ここに開示された特異な新規モチーフを持つこと、成熟蛋白質中に長い疎
水断片を持たないことから、新規クラスの分泌型サイトカイン様、または蛋白質
性ホルモン様の分子の可能性を持つ小型の分泌型分子であることが示唆された。
【0041】 代表的なzsig45をコードするDNA のヌクレオチド配列は配列番号1に記載され
、それより演繹されたアミノ酸配列は配列番号2に記載される。zsig45ポリペプ
チドをコードするDNA (配列番号1)の分析より、46アミノ酸残基(配列番号2
の残基1(Met )より残基46(Ala ))のシグナルペプチド、及び68アミノ酸の
成熟ポリペプチド(配列番号2の残基47(Lys )から残基114 (Asp ))を含む
114 アミノ酸(配列番号2)をコードするオープンリーディングフレームが示さ
れた。
【0042】 xsig45ポリペプチドをコードするDNA (配列番号1)の解析からは、翻訳開始
可能である3ヶ所のメチオニン開始候補残基も示された。最初はアミノ酸残基1
で、2番目はアミノ酸残基26、そして三番目はアミノ酸残基30(配列番号2参照
)である。即ち、上記に開示した最初のオープンリーディングフレームに加え、
同一ポリヌクレオチドによりコードされる別の2つのオープンリーディングフレ
ーム(ORFs)が存在している。これらORFsは上記開示の同一成熟ポリペ
プチドをコードしている。
【0043】 zsig45ポリペプチド(配列番号2)をコードするDNA の解析より、第2のオー
プンリーディングフレームは21アミノ酸残基(配列番号3の残基1(Met )ない
し残基21(Ala ))のシグナルペプチドを含む89アミノ酸(配列番号3)をコー
ドすることが、又第3オープンリーディングフレームは17アミノ酸残基(配列番
号4の残基1(Met )ないし残基17(Ala ))のシグナルペプチドを含む85アミ
ノ酸(配列番号4)をコードすることが示された。
【0044】 蛋白質の場合、構造上重要な領域にはしばしば低変動領域(例えば、疎水性ク
ラスター)が保存されている(Sheppard,P.,ら、Gene 150:163-167, 1994) 。こ
れら低変動領域はしばしばトリプトファンの様な稀な、または頻度の低いアミノ
酸を含んでいる。zsig45の低変動領域を調べたところ、以下に示し、以後モチー
フ1から5として参照される推定保存アミノ酸小領域が示された:モチーフ1(
配列番号5;配列番号2のアミノ酸50ないし56に対応);モチーフ2(配列番号
6;配列番号2のアミノ酸61ないし66に対応);モチーフ3(配列番号7;配列
番号2のアミノ酸71ないし76に対応);モチーフ4(配列番号8;配列番号2の
アミノ酸87ないし92に対応);モチーフ5(配列番号9;配列番号2のアミノ酸
95ないし100 に対応)。
【0045】 保存又は低変動モチーフの存在は、一般的には蛋白質中の重要な構造域に関連
、または規定する。これらモチーフ間の領域はより変動的であるものの、これら
が結合ドメインや、生物学的及び酵素的活性、シグナル伝達、細胞−細胞相互作
用、組織局在ドメイン等の様な重要な構造及び活性と関連し、または規定すると
考えられることから、しばしば機能的には重要である。
【0046】 zsig45のモチーフ1から5中の高度に保存されたアミノ酸は新規ファミリー要
員の特定手段として利用できる。例えば、逆転写ポリメラーゼチェインリアクシ
ョン(RT-PCR)を使い、各種組織又は細胞株より得たRNA から保存モチーフをコ
ードする配列を増幅することができる。具体的には、この目的には以下のモチー
フ1から5のzsig45アミノ酸配列より設計された高度に変性したオリゴヌクレオ
チドプライマーが有用である:
【0047】 a)QEEGDP(モチーフ1;配列番号5)、配列番号10の縮重ポリヌクレオチド
およびその相補体に対応; b)AMPYWP(モチーフ2;配列番号6)、配列番号11の縮重ポリヌクレオチド
およびその相補体に対応; c)DFWNYV(モチーフ3;配列番号7)、配列番号12の縮重ポリヌクレオチド
およびその相補体に対応; d)QIEDMA(モチーフ4;配列番号8)、配列番号13の縮重ポリヌクレオチド
およびその相補体に対応; e)FFAHFP(モチーフ5;配列番号9)、配列番号14の縮重ポリヌクレオチド
およびその相補体に対応; 上記xsig45ポリペプチド領域、ドメイン、モチーフ、残基及び配列をコードす
る対応ポリヌクレオチドは、配列番号1に示される通りである。
【0048】 配列番号15は配列番号2のzsig45ポリペプチド(アミノ酸1-114 )をコードす
る全ポリヌクレオチドを包含する縮重ポリヌクレオチド配列である。即ち、zsig
45ポリペプチドをコードする、配列番号15のヌクレオチド1または141 からヌク
レオチド342 までの範囲のポリヌクレオチドが本発明により予想される。さらに
本発明により予想されるものは、配列番号15の同類領域より形成される、配列番
号2,配列番号3及び配列番号4に関しここに記載される断片及び融合体がある
。配列番号15中の記号を下表1にまとめる。
【0049】
【表1】
【0050】 特定アミノ酸に関し可能な全てのコドンを含む、配列番号15に使用された変性
コドンを下表2に示す。
【表2】
【0051】 当業者は、核アミノ酸をコードする全ての可能なコドンを表す縮重コドンの解
(resolution) にある程度の曖昧さがあることを認識するだろう。例えば、セリ
ン(WSN )に関する縮重コドンは、ある条件ではアルギニン(AGR )をコードで
き、又アルギニン(MGN )の縮重コドンはある条件ではセリン(AGY )をコード
できる。同様の関係がフェニルアラニンとロイシンをコードするコドンにもある
。即ち変異配列により包含される一部のポリヌクレオチドは、変異アミノ酸配列
をコードするが、当業者は配列番号2,配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配
列を参照することで、これら変異配列を容易に特定できる。これら変異配列はこ
こに開示した様にして、その機能性を試験できる。
【0052】 当業者は種により”好ましいコドン利用”があることも認識するだろう。一般
にはGranthamら、Nuc.Acids Res., 8:1893-1912, 1980; Haas,ら、Curr.Biol.,
6:315-324, 1996; Wain-Hobsonら、Gene, 13;355-364, 1981; Grosjean, H., 及
びFiers, W., Gene, 18; 199-209, 1982; Holm, L., Nuc. Acids Res., 14: 307
5-3087, 1986; Ikemura, T., J.Mol.Biol.,158: 573-597, 1982 を参照せよ。こ
こにしようされた如く、”好ましいコドン利用”及び”好ましいコドン”という
語は、特定の種の細胞に於いて最も頻繁に利用される蛋白質翻訳コドンを指して
おり、換言すれば各アミノ酸をコードする可能なコドンの中の1またはそれ以上
の好ましい例である(表2参照)。
【0053】 例えば、アミノ酸スレオニン(Thr )は、ACA 、ACC 、ACG 又はACT によりコ
ードできるが、哺乳動物細胞ではACC が最も一般的に使用されるコドンである;
別の種、例えば昆虫細胞、酵母、ウイルス又は最近では別のThr コドンが好まれ
る。特定の種に関する好ましいコドンは、当業者公知の各種方法により本発明の
ポリヌクレオチドに導入できる。例えば、組み換え体DNA への好ましいコドン配
列の導入は、特定のタイプの細胞又は種に於いてより効率的に蛋白質翻訳を行う
こと蛋白質の生成を増強する。
【0054】 従って、配列番号15に開示された縮重コドン配列は、様々なタイプの細胞、及
び当領域にて一般に使用され、にここに開示される種に於いて、ポリヌクレオチ
ドの発現を最適化するための鋳型として作用する。好ましいコドンを含む配列は
、様々な種に於いて発現を試験し、また最適化することができ、ここに開示した
如くに機能性について試験できる。
【0055】 本発明の好適実施態様に於いて、単離されたポリヌクレオチドは、厳密(strin
gent) 条件下に配列番号1の同様の大きさの領域、又はそれに相補的な配列にハ
イブリダイズする。一般に、厳密条件は特定イオン強度及びpHに於ける、特定配
列の融解温度(Tm)より約5℃低くく選択される。Tmは標的配列の50% が好適に
適合したプローブとハイブリダイズする温度である(規定のイオン強度及びpHで
)。
【0056】 好適な厳密ハイブリダイゼーション条件は、以下を含む液中に於ける42℃、約
5時間ないし一晩の反応に等しい:約40〜50%フォルムアミド、ならびに約5×
までのSSC 、約5×のデンハート液(Denhardt's solution)、ならびに約10%ま
での硫酸デキストラン、及び10〜20μg/mlの変性された市販のキャリアーDNA ;
ハイブリダイゼーションに続き約2×までのSSC による洗浄濾過。例えば、好適
な洗浄条件は0.1 ×SSC ないし2×SSC 、0.1 %SDS 、55℃ないし65℃である。
ハイブリダイゼーション及び洗浄の厳密条件は、プローブの長さに依存し、使用
したTm、ハイブリダイゼーション及び洗浄液を反映するものであり、当業者によ
り定型作業として経験的に決定される。
【0057】 前記の如く、本発明の単離されたポリヌクレオチドはDNA 及びRNA を含む。DN
A 及びRNA の調製方法は当業者公知である。一般にRNA は、zsig45RNA を大量に
生成する組織又は細胞より単離される。甲状腺を含むその他の組織及び細胞株由
来のRNA を用い、ゲノムDNA 同様にして調製または単離できるが、これら組織及
び細胞はノーザンブロッティング(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci.USA 77:520
1, 1980 )により同定される。
【0058】 総RNA はグアニジンイソチオシアネート抽出、続くCsCl勾配遠心分離による単
離を利用し調製できる(Chirgwinら、Biochemistry 18;52-94, 1979 )。ポリ(A
)+RNA は、AvivとLeder (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408-1412, 1972 )
の方法を利用して総RNA から調整される。相補的DNA (cDNA)は既知の方法を用
い、ポリ(A)+RNA より調整される。あるいはゲノミックDNA は単離できる。zsig
45ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例えばハイブリダイゼーショ
ンあるいはPCR により特定される。
【0059】 zsig45をコードする完全長のクローンは通常のクローニング法により得ること
ができる。一部の応用では(例えばトランスジェニック動物)はゲノミッククロ
ーンの利用、またはゲノミックなイントロンを少なくとも1つ含むcDNAクローン
を改良することが好ましいが、相補的DNA (cDNA)クローンが好ましい。cDNA及
びゲノミッククローン調整法は公知であり、且つ当業者の通常技術の範囲内であ
り、又ライブラリーのプロービング、及びプライミングへの本開示配列、または
その一部の利用を含む。発現ライブラリーはzsig45に対する抗体、レセプター断
片、又はその他特異的結合相手によりプローブすることができる。
【0060】 本発明のポリヌクレオチドはDNA 合成装置を利用し合成することもできる。現
在、選択される方法はフォスフォールアミダイト法である。遺伝子または遺伝子
断片の合成といった利用の為に化学的に合成された2本鎖DNA が必要な場合には
、各相補鎖を別々に合成しする。短いポリヌクレオチド(60ないし80bp)の産生
は技術的には一方向性であり、相補鎖を合成してからそれらをアニーリングする
ことで達成できる。しかし、より長いポリヌクレオチド(>300bp)を作製する場
合、化学的DNA 合成中の各サイクルの結合効率が100 %になることは無いため、
通常は特別な方法が利用される。この問題を解決するため、合成遺伝子(2本鎖
)を、長さ20ないし100 ヌクレオチドの単鎖断片よりモジュラー形式に組み立て
る。
【0061】 合成遺伝子構築法の一つは、それぞれが20から60ヌクレオチドの間の長さを持
つ、重複する相補的オリゴヌクレオチドのセットをまず作る必要がある。遺伝子
の各内部部分は隣り合う部分と正確に塩基対ペアする様に設計された相補的な3'
及び5'末端突出部を持つ。即ち、遺伝子を組み立てた後、T4DNA リガーゼを用い
て2本鎖の主鎖にそって切れ目を塞ぎ、作業を終了する。蛋白質コード配列に加
え、クローニングベクターの制限エンドヌクレアーゼ部位内への挿入を促進する
末端配列を持つように合成遺伝子を設計することができる。
【0062】 完全長遺伝子を調製する別の方法は、重複するオリゴヌクレオチド(40ないし
100 ヌクレオチド)の特定のセットを合成する。3'及び5'の短い重複する相補域
をアニールした後にも大きなギャップが残るものの、形成された短いベースペア
域は構造を保持するのに十分に長く、又十分に安定である。大腸菌DNA ポリメラ
ーゼIによる酵素的なDNA 合成を行いギャップを埋め、2本鎖DNA を完成させる
。酵素的合成が終了した後、切れ目をふさぐ。引き続いて2本鎖構築体を相互に
連結し、完全遺伝子配列を形成し、DNA 配列分析により確認する。Glick 及びPa
sternak 、Molecular Biotechnology, Principles & Applications of Recombin
ant DNA, (ASM Press, Washington, D.C. 1994); Itakuraら、Annu. Rev. Bioch
em. 53; 323-56, 1984及びClimieら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 633-7,
1990を参照せよ。
【0063】 本発明はさらにヒト(パラログ)及びその他の種(オルトログ)に由来する、
対応するポリペプチド及びポリヌクレオチドを提供する。これらの種としては、
哺乳動物、鳥類、両生類、は虫類、魚類、昆虫及びその他の脊椎動物、ならびに
無脊椎動物があるが、これに限定されない。特に関心のあるものはzsig45ヒトパ
ラログ及び、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ及びその
他冷涼類蛋白質を含むその他の哺乳動物由来のペプチドである。
【0064】 ヒトポリペプチドの種ホモログ。ヒトzsig45のオルトログは、本発明により提
供される情報と成分を通常のクローニング技術と組み合わせクローン化すること
ができる。例えば、cDNAはここに開示された如くにzsig45を発現する組織又は細
胞より得たmRNAを用いてクローン化できる。mRNAの好適な源はここに開示された
配列より設計されたプローブでノーザンブロットをプロービングすることで同定
できる。次にライブラリーは陽性組織又は細胞株のmRNAより調整される。
【0065】 続いて完全又は部分的ヒトcDNA、あるいは開示配列に基づく変性プローブの1
またはそれ以上のセットでプロービングする様な、各種方法によりヒトzsig45を
コードするcDNAは単離できる。cDNAはここに開示される代表的なヒトzsig45配列
より設計されたプライマーを用いた、ポリメラーゼチェインリアクションまたは
PCR (Mullis, 米国特許第4,683,202 号)におりクローン化できる。別の方法で
は、cDNAライブラリーは宿主細胞の形質転換またはトランスフェクトに利用でき
、又所望のcDNAの発現はzsig45ポリペプチドに対する抗体により検出できる。同
様の技術はゲノミッククローンの単離にも応用できる。
【0066】 当業者は配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4に開示された配
列がヒトzsig45遺伝子及びポリペプチドの単一対立遺伝子を表すものであり、対
立遺伝子変異またはその他スプライシングが起こり得ることが分かるだろう。こ
の配列の対立遺伝子変異は、標準的な方法により様々な個体より得たcDNAまたは
ゲノミックライブラリーをプロービングし、クローン化できる。サイレント変異
の対立遺伝子変異、及びアミノ酸配列の変化を生じる突然変異を起した対立遺伝
子変異を含む、配列番号1に示されたDNA 配列の対立遺伝子変異は、配列番号3
及び配列番号4の対立遺伝子変異の蛋白質同様、本発明の範囲である。
【0067】 zsig45ポリペプチドの特性を保持した別の形にスプライスされたmRNAい由来す
るcDNAs は、これらcDNAs 及びmRNAs にコードされたポリペプチド同様、本発明
の範囲内である。これら配列の対立遺伝子変異及びスプライス変異は、cDNAまた
は例えばヒト甲状腺cDNAライブラリーの様なゲノミックライブラリーをプロービ
ングしすることで、当業者公知の標準的方法により各種個体又は組織よりクロー
ン化できる。
【0068】 本発明は、配列番号2、配列番号3及び配列番号4のポリペプチドに実質的に
相同である単離されたzsig45ポリペプチド、及びそれらヒトパラログまたは種オ
ルトログも提供する。ここでは用いられる”実質的に同類”という語は、配列番
号2に示された配列、またはそのパラログあるいはオルトログに対する配列同一
性が50%である、好ましくは60%、より好ましくは少なくとも80%であるポリペ
プチドを意味する。この様なポリペプチドはより好ましくは配列番号2、配列番
号3又は配列番号4、あるいはそのパラログ又はオルトログに少なくとも90%同
一であり、最も好ましくは95%またはそれ以上同一である。配列同一率は通常の
方法により決定される。
【0069】 例えば、Altshul ら、Bull. Math. Bio. 48: 603-616m 1986及びHenikoffとHe
nikoff、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 89:10915-10929, 1992を見よ。要約すると、
2アミノ酸配列を、ギャップオープニングペナルティーを10、ギャップエクステ
ンションペナルティーを1及び表3(アミノ酸は標準的な1文字コードにより示
した)に示す"Henikoff 及びHenikoff(上記)の”ブロサム(blosum)62”スコ
アリングマトリックスを用い、アラインメントスコアが最適化されるように並べ
る。次に同一性を以下の様にして計算する:
【0070】
【数1】
【0071】
【表3】 ポリヌクレオチド分子の配列同一性は上記開示の比を用いた同様の方法にて決
定される。
【0072】 変異体zsig45ポリペプチドまたは実質的に同族のzsig45ポリペプチドは、1つ
以上のアミノ酸の置換、欠失または付加を有するものとして特徴付けられる。こ
れらの変化は好ましくは、少しの性質(minor nature)を有し、それは、保存的ア
ミノ酸置換(表4参照)および、ポリペプチドの折りたたみまたは活性に有意に
影響を及ぼさない他の置換;小さな欠失、典型的には約30個のアミノ酸に対して
1 個の欠失;ならびに小さいアミノ末端もしくはカルボキシル末端の伸長、
【0073】 例えばアミノ末端のメチオニン残基、約20〜25個までの残基を有する小さいリ
ンカーペプチドまたは、精製(親和性標識(affinity tag))を促進する小さい伸
長、例えばポリヒスチジン経路(tract) 、プロテイン A(ニルソン(Nilsson)
ら、EMBO J. 4 :1075, 1985 ;ニルソン(Nilsson) ら、Methods Enzymol . 198 :3, 1991)、グルタチオン S トランスフェラーゼ(スミス(Smith) およびジ
ョンソン (Johnson), Gene67:31, 1988 )、
【0074】 マルトース結合蛋白質(ケラーマン(Kellerman) およびフェレンチ(Ferenci)
Methods Enzymol . 90:459-463, 1982;グアン(Guan)ら、Gene67:21-30, 1987
)、チオレドキシン、ウビキチン、セルロース結合蛋白質、T7 ポリメラーゼ
または他の抗原エピトープもしくは結合ドメインである。一般に、フォード(For
d)らのProtein Expression and Purification 2 : 95-107, 1991を参照せよ。親
和性標識をコードするDNA は、販売業者から入手可能である(例えば、 Pharmac
ia Biotech, Piscataway, NJ; New England Biolabs, Beverly, MA)。
【0075】 本発明はこのように、配列番号:2の対応する領域と同一の、少なくとも80%、
好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%以上である配列を含む、約60〜
約150 個のアミノ酸残基を有するポリペプチドを包含する。親和性標識を含むポ
リペプチドはさらに、zsig45ポリペプチドと親和性標識との間に蛋白質分解性開
裂部位を含む。好ましいそのような部位は、トロンビン開裂部位およびファクタ
ーXa開裂部位を含む。
【0076】
【表4】
【0077】 本発明の蛋白質はまた、天然に生じないアミノ酸残基を含むことができる。天
然に生じないアミノ酸としては、これらに限定されることはないが、トランス-3
- メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、シス-4- ヒドロキシプロリン、トラン
ス-4- ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシン、アロ- スレオニン、メチルスレ
オニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニト
ログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジン カルボン酸、デ
ヒドロプロリン、3-および4-メチルプロリン、3,3-ジメチルプロリン、ターシャ
リー‐ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニ
ン、4-アザフェニルアラニンおよび4-フルオロフェニルアラニンを包含する。
【0078】 天然に生じないアミノ酸残基を蛋白質に組み込むことについて、従来幾つかの
方法が知られている。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNA
を用いてナンセンス変異を抑制する、イン‐ビトロ(in vitro)の系を使用するこ
とができる。アミノ酸を合成し、かつtRNAをアミノアシル化する方法は、従来知
られている。ナンセンス変異を含むプラスミドの転写および翻訳は、大腸菌(E.c
oli) S30抽出物ならびに市販されていて入手可能な酵素および他の試薬を含む無
細胞系において行われる。蛋白質はクロマトグラフィーによって精製される。
【0079】 例えば、ロバートソン(Robertson )ら、J.Am.Chem. Soc. 113 :2722, 1991
;エルマン(Ellman)ら、Methods Enzymol.202 :301, 1991;チュン(Chung) ら、 Science 259 :806-809, 1993;およびチュン(Chung) ら、Proc. Natl. Acad. Sc i. USA90 :10145-10149, 1993参照。第2の方法においては、ケノプス オーサイ
テス(Xenopus oocytes) において、変異したmRNAおよび化学的にアミノアシル化
されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによって、翻訳が行われる
(ターカッティ (Turcatti) ら、J. Biol. Chem.271 :19991-19998, 1996)。
【0080】 第3の方法の範囲内では、大腸菌(E.coli)細胞を、置き換えられるべき天然の
アミノ酸(例えばフェニルアラニン)の不在下で、かつ所望の天然に生じないア
ミノ酸(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフ
ェニルアラニンまたは4-フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養する。天然
に生じないアミノ酸が、その天然の相対物の代わりに蛋白質に組み込まれる。
【0081】 コイド(Koide) ら、Biochem . 33:7470-7476, 1994参照。天然に生じるアミノ
酸残基は、イン‐ビトロ(in vitro)の化学的変性によって、天然に生じない種へ
と転化することができる。化学的変性は、部位特異的変異誘発と併用して、さら
に置換の範囲を広げることができる(ウィン(Wynn)およびリチャーズ(Richards)
Protein Sci.2 :395-403, 1993)。 限られた数の非保存的アミノ酸、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸、
天然に生じないアミノ酸および非天然のアミノ酸が、zsig45アミノ酸残基の代わ
りに用いることができる。
【0082】 本発明のzsig45ポリペプチドにおける必須のアミノ酸は、従来公知の手順、例
えば部位特異的変異誘発またはアラニン走査変異誘発(alanine-scanning mutage
nesis)(カニンガム(Cunningham)およびウェルズ(Wells), Science, 244 :1081-
1085, 1989;バス(Bass)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4498-502,1991)に従
って同定することができる。
【0083】 後者の技術においては、以下に開示するように、分子中のいずれの残基におい
ても1つのアラニン変異を導入し、得られた変異分子を、生物学的または生化学
的活性について試験して(例えば、zsig45のイン サイツ(in situ) の局在化ま
たは発現;分泌、次いで抗体による検出;またはシグナル導入タイプアッセイ(s
ignal transduction type assay)により測定される活性)、分子の活性に不可欠
なアミノ酸残基を同定する。また、ヒルトン(Hilton)ら、J. Biol. Chem.271 :4
699-4708, 1996参照。
【0084】 リガンド‐レセプターまたは他の生物学的相互作用の部位はまた、推定の接触
部位アミノ酸の変異と共に、核磁気共鳴、結晶学、電子回折または光親和性標識
(photoaffinity labeling)のような技術によって決定されるように、構造の物理
的分析により決定することができる。例えば、デ ボス(de Vos)ら、Science 25 5 :306-312, 1992;スミス(Smith) ら、J. Mol. Biol. 224 :899-904, 1992;ウ
ロダバー(Wlodaver)ら、FEBS Lett.309 :59-64, 1992参照。必須アミノ酸の同一
性はまた、関連したファミリーメンバー(family member) との相同性の分析から
推論することができる。
【0085】 多アミノ酸置換を行い、変異誘発およびスクリーニングの公知の方法、例えば
レイドハール‐オルソン(Reidhaar-Olson)およびソアー(Sauer) (Science 241 :53-57, 1988)またはボウィー(Bowie) およびソアー(Sauer) (Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA86 :2152-2156, 1989)により開示された方法を用いて試験すること
ができる。簡単には、これらの著者らは、ポリペプチドにおける2つ以上の位置
を同時に無作為化し、官能性ポリペプチドについて選択し、次いで変異誘発した
ポリペプチドの配列を決めて、各位置での許容できる置換のスペクトルを決定す
る方法を開示する。
【0086】 使用することができる他の方法は、ファージ提示(phage display) (例えば、
ロウマン(Lowman)ら、Biochem.30:10832-10837, 1991;ラドナー(Ladner)ら、米
国特許No. 5,223,409 ;ヒューズ(Huse)、WIPO公開公報 WO 92/06204 )および
領域特異的(region-directed) 変異誘発(ダーバイシャイアー(Derbyshire)ら、 Gene46 :145, 1986;ネール(Ner) ら、DNA 7 :127, 1988)を包含する。
【0087】 開示されたzsig45 DNA およびポリペプチド配列の変異体を、ステマー(Stemm
er) 、Nature370 :389-91, 1994 、ステマー(Stemmer) 、Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 91:10747-51, 1994およびWIPO公開公報 WO 97/20078 により開示された
ように、DNA シャッフリング(shuffling) によって生成することができる。簡単
には、親DNA の無作為断片化、次いでPCR を用いた再構築、その結果、無作為に
導入された点変異を生じることによるイン‐ビトロ(in vitro)の相同組換えによ
って、変異体DNA が生成される。
【0088】 この技術は、親DNA のファミリー、例えば異なる種からの対立遺伝子の変異体
またはDNA を用いて、プロセスにさらなる変異性を導入することによって、変更
されることができる。所望の活性の選択またはスクリーニング、次いで変異誘発
のさらなる繰返しおよびアッセイは、有害な変化に対して同時に選択しながら、
所望の変異を選択することによって、配列の急速な「進化」に備える。
【0089】 ここに開示される変異誘発の方法は、高処理量の自動化スクリーニング法と組
合せて、宿主細胞におけるクローン化され変異誘発されたポリペプチドの活性を
検出することができる。活性なポリペプチドをコードする変異誘発されたDNA 分
子(例えば、分泌され、抗体によって検出された;またはシグナル形質導入タイ
プアッセイ(signal transduction type assay)により測定されたもの)を宿主細
胞から回収し、最新の装置を用いて速やかに配列決定することができる。 これらの方法は、興味あるポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性
の速やかな決定を可能にし、未知の構造を有するポリペプチドに適用することが
できる。
【0090】 ここで論じた方法を用いて、当業者は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4
またはその対立遺伝子変異体と実質的に相同で、野生型蛋白質の官能的および構
造的特性を保持する種々のポリペプチドを同定および/または製造することがで
きる。例えば、先に記載した方法を用いて、zsig45のレセプター結合ドメイン;
zsig45のためのレセプターの細胞外リガンド結合ドメイン;ヘテロダイマーおよ
びホモダイマー結合ドメイン;他の官能的もしくは構造のドメイン;親和性標識
;または、蛋白質‐蛋白質相互作用もしくはシグナル形質導入のために重要な他
のドメインを同定することができる。そのようなポリペプチドとしてはまた、さ
らなるポリペプチドセグメント、例えば先に一般的に開示したような親和性標識
を包含する。
【0091】 本発明はさらに、種々の他のポリペプチド融合物および、1つ以上のポリペプ
チド融合物を含む関連する多量体蛋白質を提供する。例えば、zsig45ポリペプチ
ドは、米国特許No. 5,155,027 および5,567,584 に開示されているように、2量
化している蛋白質への融合物として製造することができる。これに関して好まし
い2量化している蛋白質としては、免疫グロブリン定常領域ドメインを包含する
。免疫グロブリンzsig45ポリペプチド融合物は、遺伝子操作された細胞において
発現されて、種々の多量体のzsig45類似体を生成することができる。
【0092】 補助ドメインをzsig45ポリペプチドに融合して、それらを特定の細胞、組織ま
たは高分子(例えば、コラーゲン)に対する標的にすることができる。例えば、
標的細胞の表面のレセプターに特異的に結合するリガンドにzsig45ポリペプチド
を融合することによって、zsig45ポリペプチドまたは蛋白質を、所定の細胞タイ
プに対して標的にすることができる。このように、ポリペプチドおよび蛋白質は
、治療または診断の目的のための標的にすることができる。
【0093】 zsig45ポリペプチドは、2つ以上の部分、例えば精製のための親和性標識およ
び標的にするドメインに融合されることができる。ポリペプチド融合物はまた、
特にドメイン間に、1つ以上の開裂部位を含むことができる。トゥアン(Tuan)ら
Connective Tissue Research34:1-9, 1996参照。 変異体および融合蛋白質を含む任意のzsig45ポリペプチドについて、当業者は
、先の表1および2に示した情報を用いて、その変異体をコードする完全に変性
したポリヌクレオチド配列を容易に生成することができる。
【0094】 本発明のzsig45ポリペプチド(完全な長さのポリペプチド、生物学的に活性な
断片および融合ポリペプチドを含む)は、慣用の技術にしたがって、遺伝子操作
された宿主細胞において生成することができる。適当な宿主細胞は、外因性のDN
A を用いて形質転換され、またはトランスフェクションされ、かつ培養で増殖さ
れることができる細胞タイプであり、細菌、真菌細胞および培養したより高度の
真核の細胞を包含する。
【0095】 真核細胞、特に多細胞生物の培養した細胞が好ましい。クローン化したDNA 分
子を操作し、外因性DNA を種々の宿主細胞へ導入する技術は、サムブルック(Sam
brook)ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Labora tory Manual) , 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring
Harbor, NY, 1989およびアウスベル(Ausubel) ら版、分子生物学における現在の
プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), John Wiley and Sons,
Inc., NY, 1987 により開示されている。
【0096】 一般に、本発明のzsig45ポリペプチドをコードするDNA 配列は、その発現のた
めに必要とされる他の遺伝要素(一般に、発現ベクター内で、転写プロモーター
およびターモネーターを含む)に動作可能に結合される。ベクターはまた、普通
、1つ以上の選択可能なマーカーおよび1つ以上の複製源を含むが、当業者は、
ある系内で、選択可能なマーカーは別々のベクター上に提供されることができ、
外因性DNA の複製は、宿主細胞ゲノムへの組込みによって提供されることができ
ることを認識するであろう。プロモーター、ターミネーター、選択可能なマーカ
ー、ベクターおよび他の要素の選択は、当業者の技術水準内でのありきたりの設
計の問題である。多くのそのような要素が文献に記載されており、販売業者によ
って入手可能である。
【0097】 zsig45ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路へと導くために、分泌シグナル配列
(分泌ペプチド、リーダー配列、プレプロ配列(prepro sequence) またはプレ配
列(pre sequence)としてまた知られている)が発現ベクターにおいて提供される
。分泌シグナル配列は、zsig45ポリペプチドのものであることができ、または、
別の分泌された蛋白質(例えば、t-PA)から誘導され、もしくは新たに合成され
ることができる。
【0098】 分泌シグナル配列は、zsig45 DNA 配列に動作可能に結合される。すなわち、
2つの配列が、正しい読み取りフレーム(reading frame) で結合され、新たに合
成されたポリペプチドを宿主細胞の分泌経路へと導くために配置される。分泌シ
グナル配列は普通、興味のあるペプチドをコードするDNA 配列に5’位で位置す
る。しかし、ある種の分泌シグナル配列は、興味のあるDNA 配列の別の場所に位
置するが(例えば、ウェルチ(Welch) ら、米国特許No. 5,037,743 ;ホランド (
Holland)ら、米国特許No. 5,143,830 参照)。
【0099】 あるいは、本発明のポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列は、他のポリペ
プチドを分泌経路へと導くために使用される。本発明は、そのようなシグナル融
合ポリペプチドに備える。シグナル融合ポリペプチドをコードするDNA 構造物を
作ることができ、そこでは、シグナル配列が、配列番号:2(配列番号:2のアミノ
酸1〜46)、配列番号:3(配列番号:3のアミノ酸1〜21)または配列番号:4(配
列番号:4のアミノ酸1〜17)に開示された3つのORF のうちの任意の1つから誘
導された分泌ペプチドをコードし、当分野で公知の、ここに開示された方法を用
いて、別のポリペプチドに動作可能に結合されている。
【0100】 本発明の融合ポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列は好ましくは、アミノ
末端で、さらなるペプチドに融合されて、さらなるペプチドを分泌経路へと導く
。そのような構造物は、当分野で公知の多くの用途を持つ。たとえば、これらの
新規な分泌シグナル配列融合構造物は、普通は分泌されない蛋白質の活性成分の
分泌を命令することができる。そのような融合物は、イン ビボ(in vivo) また
はイン ビト(in vitro)で使用されて、ペプチドに分泌経路を経る命令をするこ
とができる。
【0101】 培養された哺乳動物の細胞は、本発明の範囲内で適当な宿主細胞である。外因
性のDNA を哺乳動物宿主細胞へ導入する方法は、カルシウムホスフェート媒介ト
ランスフェクション(ウィグラー(Wigler)ら、Cell 14:725, 1978 ;コルサロ(C
orsaro) およびピアソン (Pearson), Somatic Cell Genetics 7 :603, 1981;グ
ラハム(Graham)およびファン デル エプ(Van der Eb), Virology 52 :456, 19
73)、エレクトロポレーション(ニューマン(Neumann) ら、EMBO J. 1 :841-845
, 1982)、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション(アウスベル(Ausubel
) ら、同)およびリポソーム媒介トランスフェクション(ハウレイ‐ネルソン(H
awley-Nelson) ら、Focus 15:73, 1993 ;シッカロン(Ciccarone) ら、Focus 15 :80, 1993 )ならびにウィルスベクター(A.ミラー(Miller)およびG.ロスマン(R
osman), BioTechniques 7 :980-90, 1989 ;Q.ワン(Wang)およびM.ファイナー (
Finer), Nature Med. 2:714-16, 1996)を包含する。
【0102】 培養した哺乳動物細胞における組換えポリペプチドの生成が、例えばレビンソ
ン(Levinson)ら、米国特許No. 4,713,339 ;ヘイゲン(Hagen) ら、米国特許No.
4,784,950 ;パルミター(Palmiter)ら、米国特許No. 4,579,821 ;およびリンゴ
ルード(Ringold) 、米国特許No.4,656,134によって開示されている。適当な培養
された哺乳動物細胞としては、COS-1 (ATCC No. CRL 1650)、COS-7 (ATCC No.
CRL 1651)、BHK (ATCC No. CRL 1632)、BHK 570 (ATCC No. CRL 10314)、293
(ATCC No. CRL 1573;グラハム(Graham)ら、J. Gen. Virol. 36 :59-72, 1977)
およびチャイニーズハムスター卵巣(例えば、CHO-K1;ATCC No. CCL 61)細胞系
を包含する。
【0103】 さらなる適当な細胞系は当分野で公知であり、公の寄託施設、例えばアメリカ
ン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection)、
Manassas, VA. から入手可能である。一般に、強い転写プロモーター、例えばSV
-40 またはサイトメガロウィルス(cytomegalovirus) からのプロモーターが好ま
しい。例えば、米国特許No.4,956,288参照。他の適当なプロモーターは、メタロ
チオネイン遺伝子(米国特許No. 4,579,821 および4,601,978 )ならびにアデノ
ウィルスの主要後期プロモーター(major late promoter) を包含する。
【0104】 外来のDNA が挿入された、培養された哺乳動物細胞の選択のために、薬剤選択
が一般に使用される。そのような細胞は普通、「トランスフェクタント(transfe
ctant)」と称する。選択的な剤の存在下で培養し、かつ興味のある遺伝子をそれ
らの後継に送ることができる細胞は、「安定なトランスフェクタント」と称する
。好ましい選択可能なマーカーは、抗生物質のネオマイシンに対する抵抗性をコ
ードする遺伝子である。ネオマイシンタイプの薬剤、例えばG-418 等の存在下で
選択が行われる。
【0105】 選択系はまた、興味ある遺伝子の発現レベルを増加するのに使用することがで
き、プロセスは、「増幅」と称する。増幅は、低濃度の選択的な剤の存在下でト
ランスフェクタントを培養し、次いで選択的な剤の量を増加して、導入された遺
伝子を持つ高濃度の生成物を生成する細胞の選択をすることによって行われる。
好ましい増幅可能で選択可能なマーカーは、ジヒドロフォレート レダクターゼ
であり、これは、メトトレキセートに対する抵抗性を与える。他の薬剤抵抗性遺
伝子(例えば、ハイグロマイシン(hygromycin)抵抗性、多薬剤抵抗性、プロマイ
シン アセチルトランスフェラーゼ)がまた使用できる。
【0106】 変えられた表現型を導入する代替マーカー、例えば緑色蛍光蛋白質または細胞
表面蛋白質、例えばCD4 、CD8 、クラス I MHC、胎盤アルカリホスファターゼ
を使用して、FACS分類(sorting) または磁気ビーズ分離技術のような手段によっ
て、トランスフェクションされた細胞を、トランスフェクションされていない細
胞から分類することができる。
【0107】 他のより高度の真核細胞がまた宿主として使用でき、それは、植物細胞、昆虫
細胞および鳥類細胞を含む。アグロバクテリウム リゾゲネス(Agrobacterium r
hizogenes)を、植物細胞において遺伝子を発現するためにベクターとして使用す
ることは、シンカー(Sinkar)ら、J. Biosci. (Bangalore) 11:47-58, 1987 およ
びWIPO公開公報WO 94/06463 により概説された。
【0108】 昆虫細胞の形質転換およびそこでの外来ポリペプチドの生成は、グアリノ(Gua
rino) ら、米国特許No. 5,162,222 ;バング(Bang)ら、米国特許No.4,775,624;
およびWIPO公開公報WO94/06463により開示されている。アグロバクテリウム リ
ゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を、植物細胞において遺伝子を発現するた
めにベクターとして使用することは、シンカー(Sinkar)ら、J. Biosci. (Bangal ore) 11:47-58, 1987 により概説された。
【0109】 酵母細胞を含む真菌細胞および特にサッカロミセス(Saccharomyces) 属の細胞
がまた、本発明の範囲内で、例えばzsig45ポリペプチド、zsig45ポリペプチド断
片またはポリペプチド融合物を生成するために使用することができる。昆虫細胞
のための方法は、普通オートグラファ カリフォルニカ ヌクレア ポリヘドロ
シス ウィルス(Autographa californica nulear polyhedrosis virus)(AcNPV)
から誘導される組換えバキュロウィルスを用いて感染させることができる。
【0110】 キング(King), L.A.およびポッシー(Possee), R.D.、バキュロウィルス発現系 (The Baculovirus Expression System):実験室ガイド(A Laboratory Guide) , Lo
ndon, Chapman & Hall;オリーリー(O'Reilly), D.R.ら、バキュロウィルス発現 ベクター(Baculovirus Expression Vectors): 実験室マニュアル (A Laboratory Manual) , New York, Oxford University Press., 1994;およびリチャードソン
(Richardson), C.D.版、バキュロウィルス発現プロトコル。分子生物学における 方法(Baculovirus Expression Protocols. Methods in Molecular Biology) , To
towa, NJ, Humana Press, 1995参照。
【0111】 組換えzsig45バキュロウィルスを作る第2の方法は、ルコウ(Luckow)(ルコウ
(Luckow), V.A.ら、J. Virol 67 :4566-79, 1993)により記載されたトランスポ
ゾンに基づく系を使用する。転移ベクターを使用するこの系は、Bac-to Bac(商
標)キットで販売されている(ライフ テクノロジーズ(Life Technologies) 、
Rockville, MD )。この系は、転移ベクターである、Tn7 トランスポゾンを含む
pFastBacl (商標)(ライフ テクノロジーズ(Life Technologies) )を使用し
て、zsig45ポリペプチドをコードするDNA を、「バクミッド(bacmid)」と呼ばれ
る大きいプラスミドとして大腸菌(E. coli) に保持されたバキュロウィルスゲノ
ム中へ動かす。
【0112】 ヒル‐パーキンス(Hill-Parkins), M.S.およびポッシー(Possee), R.D.、J. G en Virol71 :971-6, 1990;ボニング(Bonning), B.C. ら、J. Gen Virol75:1551-
6, 1994 ;およびシャゼンバーク(Chazenbalk), G.D.およびラポポート(Rapopor
t), B., J. Biol Chem270 :1543-9, 1995 参照。さらに、転移ベクターは、発現
されたzsig45ポリペプチドのC-末端またはN-末端でのエピトープ標識(tag) 、例
えばGlu-Glu エピトープ標識をコードするDNA とのフレーム内(in-frame)融合物
を含む(グルッセンミーヤー(Grussenmeyer), T ら、Proc. Natl. Acad. Sci.82 :7952-4, 1985 )。
【0113】 当分野で公知の技術を用いて、zsig45を含む転移ベクターが大腸菌(E. coli)
へと形質転換され、組換えバキュロウィルスを示す中断されたlacZ遺伝子を含む
バクミッド(bacmid)についてスクリーニングされる。組換えバキュロウィルスゲ
ノムを含むバクミッドDNA が、通常の技術を用いて分離され、スポドプテラ フ
ルギペルダ(Spodoptera frugiperda) 細胞、例えばSf9 細胞をトランスフェクシ
ョンするために使用される。zsig45を発現する組換えウィルスが次に生成される
。組換えウィルス株が、当分野で通常使用される方法によって作られる。
【0114】 組換えウィルスを使用して、宿主細胞、典型的にはフォール アーミーウォー
ム(fall armyworm) のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda) か
ら誘導された細胞系に感染させる。一般に、グリック(Glick) およびパスターナ
ク (Pasternak), Molecular Biotechnology:組換えDNA の原理と応用(Principle s and Applications of Recombinant DNA) , ASM Press, Washington, D.C., 199
4 参照。
【0115】 別の適当な細胞系は、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni) から誘導された
、High FiveO(商標)細胞系(インビトロゲン(Invitrogen))である(米国特許
No. 5,300,435 )。細胞を増殖し、維持するために、市販されていて入手可能な
無血清培地が使用される。適当な培地は、Sf9 細胞のためのSf900 II(商標)(
ライフ テクノロジーズ(Life Technologies) )またはESF 921 (商標)(イク
スプレッション システムズ(Expression Systems));およびT. ni 細胞のため
のEx-cellO405 (商標)(JRH バイオサイエンスィズ(Biosciences), Lenexa, K
S )またはExpress FiveO (商標)(ライフ テクノロジーズ)である。
【0116】 細胞は、約2-5 x 105 細胞〜1-2 x 106 細胞の接種密度で増殖させ、そのとき
、組換えウィルス株を、0.1 〜10、より典型的には3 付近の感染多重度(MOI) で
加える。使用した手順は一般に、入手可能な実験室マニュアルに記載されている
(キング(King), L.A.およびポッシー(Possee), R.D., 同上;オリーリー(O'Rei
lly), D.R.ら、同上;リチャードソン(Richardson), C.D.、同上)。上清からの
zsig45ポリペプチドの次なる精製は、ここに記載された方法を用いて達成できる
【0117】 酵母細胞を含む真菌をまた、本発明の範囲内で使用することができる。これに
関して特に興味ある酵母菌種としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharom
yces cerevisiae)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris) およびピチア・メタ
ノリカ(Pichia methanolica)を含む。外因性DNA を用いてS.セレビシエ(cerevis
iae)細胞を形質転換し、それから組換えポリペプチドを生成する方法は、例えば
、カワサキ(Kawasaki)、米国特許No. 4,599,311 ;カワサキ(Kawasaki)ら、米国
特許No. 4,931,373 ;ブレイク(Brake) 、米国特許No. 4,870,008 ;ウェルチ(W
elch) ら、米国特許No.5,037,743;およびマレー(Murray)ら、米国特許No.4,845
,075により開示されている。形質転換された細胞は、選択可能なマーカー、普通
、薬剤抵抗性または特定の栄養分(例えば、ロイシン)の不在下での増殖能によ
り決定される表現型によって選択される。
【0118】 サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)において使用するの
に好ましいベクター系は、カワサキ(Kawasaki)ら(米国特許No. 4,931,373 )に
より開示されたPOT1ベクター系であり、これは、形質転換された細胞を、グルコ
ース含有培地での増殖によって選択することを可能にする。酵母菌において使用
するのに適当なプロモーターおよびターミネーターとしては、解糖系酵素遺伝子
(例えば、カワサキ(Kawasaki)、米国特許No. 4,599,311 ;キングズマン(Kings
man)ら、米国特許No.4,615,974;およびビッター(Bitter)、米国特許No.4,977,0
92参照)およびアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子からのものを包含する。
【0119】 また、米国特許No. 4,990,446; 5,063,154; 5,139,936;および4,661,454 を参
照せよ。ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロミセ
ス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe) 、クリヴェロミセス・ラクティス(Klu
yveromyces lactis)、クリヴェロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)
、ウスティラゴ・メイディス(Ustilago maydis) 、ピチア・パストリス(Pichia
pastoris) 、ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピチア・グィラーモン
ディ(Pichia guillermondii)およびカンジダ・マルトサ(Candida maltosa) を含
む他の酵母についての形質転換系は、当分野で公知である。
【0120】 例えば、グリーソン(Gleeson) ら、J. Gen. Microbiol. 132:3459-3465, 1986
およびクレグ(Cregg) 、米国特許No.4,882,279参照。アスペルギルス(Aspergill
us) 細胞を、マックナイト(McKnight)ら、米国特許No.4,935,349の方法にしたが
って使用することができる。アクレモニウム クリソゲナム(Acremonium chryso
genum)を形質転換する方法は、スミノ(Sumino)ら、米国特許No.5,162,228により
開示されている。ニューロスポラ(Neurospora)を形質転換する方法は、ランボウ
ィッツ(Lambowitz) 、米国特許No.4,486,533により開示されている。
【0121】 組換え蛋白質の生成のために、宿主としてピチア・メタノリカ(Pichia methan
olica)を使用することは、WIPO公開公報WO 97/17450, WO 97/17451, WO 98/0253
6 およびWO 98/02565 に開示されている。P.メタノリカ(methanolica) を形質転
換するのに使用するためのDNA 分子は普通、二本鎖環状プラスミドとして製造さ
れ、これは、好ましくは形質転換の前に線状にされる。
【0122】 P.メタノリカ(methanolica) におけるポリペプチド生成のために、プラスミド
におけるプロモーターおよびターミネーターは、P.メタノリカ(methanolica) 遺
伝子、例えばP.メタノリカ(methanolica) アルコール使用遺伝子(alcohol utili
zation gene)(AUG1 またはAUG2) のものであるのが好ましい。他の有用なプロモ
ーターとしては、ジヒドロキシアセトン シンターゼ(DHAS)、ホルメート デヒ
ドロゲナーゼ(FMD) およびカタラーゼ(CAT) 遺伝子のものを包含する。宿主染色
体へのDNA の組込みを容易にするために、宿主のDNA 配列に両端で隣接されるプ
ラスミドの全部の発現セグメントを有することが好ましい。
【0123】 ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)において使用するのに好ましい選択
可能なマーカーは、P.メタノリカ(methanolica) ADE2 遺伝子であり、これは、
ホスホリボシル-5- アミノイミダゾール カルボキシラーゼ(AIRC; EC 4.1.1.21
) をコードし、これはade2宿主細胞がアデニン不在下で増殖するのを可能にする
。メタノールの使用を最小にするのが望ましい大規模工業プロセスのためには、
メタノール使用遺伝子(methanol utilization gene)(AUG1およびAUG2) の両方が
欠失している宿主細胞を使用するのが好ましい。
【0124】 分泌された蛋白質の生成のために、液胞プロテアーゼ遺伝子(PEP4 およびPRB1
) が不足した宿主細胞が好ましい。興味あるポリペプチドをコードするDNA を含
むプラスミドをP.メタノリカ(methanolica) 細胞に導入するのを容易にするため
に、エレクトロポレーションが使用される。電界強度2.5 〜4.5 kV/cm 、好まし
くは約3.75 kV/cmおよび時定数 (t) 1〜40ミリ秒、最も好ましくは約20ミリ秒を
有する、指数関数的に遅延するパルス電場を用いたエレクトロポレーションによ
って、P.メタノリカ(methanolica) 細胞を形質転換するのが好ましい。
【0125】 形質転換され、またはトランスフェクションされた宿主細胞は、慣用の手順に
したがって、選ばれた宿主細胞の増殖のために必要とされる栄養分および他の成
分を含む培養培地で培養される。制限培地(defined medium)および複合培地を含
む種々の適当な培地が当分野で知られており、それは一般的には、炭素源、窒素
源、必須アミノ酸、ビタミン類および無機質を含む。培地はまた、必要とされる
増殖因子または血清のような成分を含むことができる。
【0126】 増殖培地は一般に、例えば、薬剤選択または、発現ベクター上へ運ばれた、も
しくは宿主細胞へ同時トランスフェクションされた(co-transfected)選択可能な
マーカーにより補足される必須栄養分の欠乏によって、外来的に加えられたDNA
を含む細胞を選択する。P.メタノリカ(methanolica) 細胞は、十分な炭素源、窒
素源および痕跡量の栄養分を含む培地中で、約25〜35℃の温度にて培養される。
【0127】 液体培養液は、慣用の手段、例えば小さいフラスコを振とうするか、または発
酵器(fermentor) のスパージング(sparging)により十分な通気を備える。P.メタ
ノリカ(methanolica) のために好ましい培養培地は、YEPD(2 % D-グルコース
、2 % Bacto(商標)ペプトン(Peptone) (ジフコ ラボラトリーズ(Difco Lab
oratories)、Detroit, MI)、1 % Bacto(商標)酵母抽出物(ジフコ ラボラト
リーズ)、0.004 %アデニンおよび0.006 % L-ロイシン)である。
【0128】 細菌である大腸菌(Escherichia coli)、バチルス(Bacillus)および他の属の株
を含む、原核の宿主細胞がまた、本発明の範囲内で有用な宿主細胞である。これ
らの宿主を形質転換し、かつクローン化された外来DNA 配列をそこに発現するた
めの技術は、当分野で良く知られている(例えば、サムブルック(Sambrook)ら、
同上参照)。細菌、例えば大腸菌(E. coli) にzsig45ポリペプチドを発現すると
き、ポリペプチドは、細胞質中に、典型的には不溶性の顆粒として保持されるか
、または細菌の分泌配列によって細胞周辺腔へと導かれることができる。
【0129】 前者の場合、細胞は溶解され、顆粒は回収され、例えばグアニジンイソチオシ
アネートまたは尿素を用いて変性される。変性されたポリペプチドは次に、例え
ば尿素および、還元されたグルタチオンと酸化されたグルタチオンとの組合せの
溶液に対する透析、次いで緩衝塩溶液に対する透析によって変性剤(denaturant)
を希釈することにより、再び折りたたまれ、二量化され得る。後者の場合、細胞
を粉砕(例えば超音波処理または浸透ショックによって)して細胞周辺腔の内容
物を放出し、蛋白質を回収することによって、ポリペプチドを、可溶性かつ機能
的な形態で細胞周辺腔から回収することができ、それによって変性および再度の
折りたたみの必要性が回避される。
【0130】 本発明のポリペプチドを≧80%純度、より好ましくは≧90%純度、なおさらに
好ましくは≧95%純度、特に好ましくは製薬的に純粋な状態(高分子、特に他の
蛋白質および核酸の混入に関して99.9%より上の純度であり、感染性かつ発熱性
の因子を含まない)に精製するのが好ましい。好ましくは、精製したポリペプチ
ドは、実質的に他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを含まない
【0131】 発現された組換えzsig45ポリペプチド(キメラまたは融合物のzsig45ポリペプ
チドを包含する)は、分画および/または慣用の精製法および培地を用いて精製
することができる。硫酸アンモニウム沈殿および、酸またはカオトロープ(chaot
rope) 抽出を、試料の分画のために使用できる。典型的な精製段階は、ヒドロキ
シアパタイト、サイズ排除、FPLCおよび逆相の高性能液体クロマトグラフィーを
含むことができる。適当なクロマトグラフィー媒質としては、誘導された(deriv
atized) デキストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特別品
のシリカ等を包含する。
【0132】 PEI 、DEAE、QAE およびQ 誘導体が好ましい。典型的なクロマトグラフィー媒
質としては、フェニル、ブチルまたはオクチル基を用いて誘導された媒質、例え
ばPhenyl-Sepharose FF(ファルマシア(Pharmacia) )、Toyopearl butyl 650
(トーソー ハース(Toso Haas), Montgomeryville, PA)、Octyl-Sepharose (
ファルマシア(Pharmacia) )等;またはポリアクリル樹脂、例えばAmberchrom C
G 71(トーソー ハース(Toso Haas) )等を包含する。
【0133】 適当な固体担体としては、ガラスビーズ、シリカに基づく樹脂、セルロース樹
脂、アガロースビーズ、架橋アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリ
アクリルアミド樹脂等を包含し、これらは、使用されるべき条件下で不溶性であ
る。これらの担体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキ
シ基および/または炭水化物部分によってたんぱく質の付着を可能にする反応性
基を用いて変性されることができる。カップリングの化学の例としては、臭化シ
アン活性化、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒ
ドリル活性化、ヒドラジド活性化ならびに、カルボジイミドカップリング化学の
ためのカルボキシルおよびアミノ誘導体を包含する。
【0134】 これらおよび他の固体媒質は当分野でよく知られ、広く使用されており、販売
業者から入手可能である。リガンドまたはレセプターポリペプチドを担体媒質に
結合する方法は、当分野でよく知られている。特定の方法の選択は、ありきたり
の設計の問題であり、幾分、選ばれた担体の特性によって決定される。例えば、 アフィニティークロマトグラフィー:原理&方法 (Affinity Chromatography: P rinciples & Methods) , Pharmacia LKB Biotechnology, Uppsala, Sweden, 1988
参照。
【0135】 本発明のポリペプチドは、それらの構造的および生物学的特性の活用によって
分離することができる。例えば、単純なイオン交換クロマトグラフィーおよび逆
相HPLCおよび/またはゲル浸透クロマトグラフィーを使用して、この大きさおよ
びpIを有する蛋白質を精製することができる。他の方法をまた使用できる。例え
ば、不動化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーを使用して、ヒスチジンを
多く含む蛋白質(ポリヒスチジン標識(tag) を含むものを包含する)を精製する
ことができる。
【0136】 簡単には、ゲルにまず、2価の金属イオンを仕込んで、キレートを形成する(
E.サルコゥスキー (Sulkowski), Trends in Biochem . 3: 1-7, 1985)。ヒスチ
ジンを多く含む蛋白質は、使用される金属イオンに依存した異なる親和性でこの
マトリックスに吸着され、拮抗的な溶出、pHを下げること、または強いキレート
剤の使用によって溶出される。
【0137】 精製の他の方法としては、レクチン親和性クロマトグラフィーおよびイオン交
換クロマトグラフィーによるグリコシル化蛋白質の精製(Methods in Enzymol.
Vol.182,「蛋白質精製指針(Guide to Protein Purification) 」, M.ドイッチャ
ー(Deutscher) 版、Acad. Press, San Diego, 1990, pp.529-39 )を包含する。
本発明のさらなる実施態様の範囲内で、興味あるポリペプチドの融合物および親
和性標識(例えば、ポリヒスチジン、マルトース結合蛋白質、免疫グロブリンド
メイン)を構成して、精製を容易にすることができる。
【0138】 さらに、従来記載された方法を使用して、ポリペプチド融合物またはハイブリ
ッドzsig45蛋白質が、本発明のzsig45ポリペプチドの領域またはドメインを用い
て、他のヒト2 〜19ファミリー蛋白質(例えば、ヒト2 〜19、D87120およびネズ
ミ EF-7)または非相同蛋白質(サムブルック(Sambrook)ら、同上、アルチュー
ル(Altschul)ら、同上、ピカード(Picard). D.Cur. Opin. Biology, 5:511-515,
1994 およびそこに記載されている参考文献)のそれらと組み合せて構成される
【0139】 これらの方法は、興味あるポリペプチドにおいて、より大きいドメインまたは
領域の生物学的重要性の決定を可能にする。そのようなハイブリッドは、反応速
度論、結合を変え、基質特異性を狭め、もしくは拡大し、またはポリペプチドの
組織および細胞局在化を変えることができ、かつ未知の構造のポリペプチドに適
用することができる。
【0140】 融合蛋白質の各成分を製造し、それらを化学的に結合することにより、当業者
に公知の方法によって、融合ポリペプチドを製造することができる。あるいは、
適当な読み取りフレームにおける融合蛋白質の1つ以上の成分をコードするポリ
ヌクレオチドを公知の技術を用いて生成し、ここに記載した方法によって発現す
ることができる。例えば、生物学的機能を与えるドメインの一部または全部を、
本発明のzsig45の間で、別のファミリーメンバーまたは非相同蛋白質からの機能
的に等価のドメインを用いて交換することができる。
【0141】 そのようなドメインは、これらに限定されることはないが、3つの開示された
分泌シグナル配列、成熟蛋白質および保存モティーフ(conserved motif) を含む
。そのような融合蛋白質は、本発明のポリペプチドまたは、構成された融合物に
依存してそれらが融合される蛋白質と同じまたは同様の生物学的機能プロファイ
ルを有することが期待される。さらに、そのような融合蛋白質はここに開示され
るような他の特性を示すことができる。
【0142】 標準の分子生物学的およびクローニングの技術を使用して、zsig45ポリペプチ
ドと、それらが融合されるポリペプチドとの間で等価なドメインを交換すること
ができる。一般に、興味あるドメイン、例えばここで記載したzsig45ドメインを
コードするDNA セグメントを、ここで記載したように、さらなるポリペプチド(
例えば、類似のドメインまたは領域ヒト2 〜19蛋白質)をコードする少なくとも
1つの他のDNA セグメントに、動作可能にフレーム内結合し、適当な発現ベクタ
ーへ挿入する。
【0143】 一般に、DNA 構造物は、ポリペプチドの対応する領域をコードするいくつかの
DNA セグメントが、動作可能にフレーム内結合されて、全部の融合蛋白質をコー
ドする単一の構造物またはその機能的部分を作るように作られる。例えば、DNA
構造物は、N-末端からC-末端へ、シグナルポリペプチド、次いで成熟ポリペプチ
ドを含む融合蛋白質をコードするか、または、DNA 構造物は、N-末端からC-末端
へ、シグナルポリペプチド、次いでモティーフ1 〜5 をそれらがzsig45ポリペプ
チドにおいて現れる順序で含む領域または、非相同蛋白質、例えばヒト2 〜19蛋
白質からの等価な領域を含む融合蛋白質をコードする。そのような融合蛋白質は
、ここで記載したように、発現され、分離され、かつ活性についてアッセイされ
ることができる。
【0144】 zsig45ポリペプチドまたはその断片はまた、化学的合成によって製造すること
ができる。zsig45ポリペプチドは、単量体または多量体であることができ;グリ
コシル化されるかまたはグリコシル化されないことができ;ペギル化される(peg
ylated) かまたはペギル化されない(non-pegylated) ことができ;かつ、最初の
メチオニンアミノ酸残基を含むかまたは含まないことができる。
【0145】 本発明の分子の活性は、甲状腺、心臓血管、および骨の機能を測定する様々な
検定法を用いて測定することができる。特に興味があるのは代謝、甲状腺、ある
いは下垂体のホルモンの分泌と、骨の吸収および形成の検定法である。このよう
な検定法は当業界ではよく知られている。
【0146】 このzsig45ポリペプチドに対して観察された組織の分布から見て、作動体(天
然の受容体/基質/共同因子/その他を含む)および拮抗体は、試験管内および
生体内の両用途で極めて大きな可能性がある。zsig45ポリペプチド、その断片、
あるいはzsig45の作動体、拮抗体として同定された化合物は、試験管内の様々な
細胞型の成長、増殖あるいは分化、および生体内の甲状腺外あるいは甲状腺の疾
患の治療を促進するために有効であるかも知れない。例えば、このような化合物
は規定の細胞培養培地の成分として有用であり、また一般に細胞培養に用いる血
清を置換するために単独あるいは他のサイトカインおよびホルモンと組み合わせ
て用いることができる。
【0147】 別の実施形態では、zsig45ポリペプチドに応答する細胞を供給すること、試験
化合物の存在下で細胞の第一部分を培養すること、試験化合物の不在下で細胞の
第二部分を培養すること、および細胞の第二部分と比較して細胞の第一部分の細
胞応答の増加を検出することを含む、zsig45ポリペプチドの拮抗体の同定法を提
供する。
【0148】 別の実施形態では、zsig45ポリペプチドに応答する細胞を供給すること、zsig
45ポリペプチドの存在下で細胞の第一部分を培養すること、zsig45ポリペプチド
および試験化合物の存在下で細胞の第二部分を培養すること、および細胞の第一
部分と比較して細胞の第二部分の細胞応答の減少を検出することを含む、zsig45
ポリペプチドの拮抗体の同定法を提供する。
【0149】 本発明の分子は、甲状腺、下垂体、心臓、およびその他の機能に含まれた、生
体内でzsig45ポリペプチドに結合している受容体を同定し、単離するために用い
ることができる。例えば、本発明の蛋白質およびペプチドをカラム上に固定化し
、膜の調製をカラム上で進行させることができる(Hermanson等の編集による「Im
mobilized affinity Ligand Techniques」,Academic Press, San diego, CA, 1
992, 195〜202)。
【0150】 また、蛋白質およびペプチドは、放射能ラベリング(M.Deutscherの編集による
「Guide to Protein Purification 」,Acad.Press, San Diego,1990の中の、「
Methods in Enzymol」,vol.182, 721〜737)、あるいはホトアフィニティー(Bru
nner等の論文、Ann.Rev.Biochm.62:483 〜514, 1993 およびFedan 等の論文、Bi
ochem.Pharmacol, 33:1167〜1180, 1984) を行うことができ、特異細胞表面の蛋
白質を同定することができる。
【0151】 ケイ素ベースのバイオセンサーであるミクロフィジオメータにより、配位子と
してzsig45ポリペプチドの活性を測定することができ、これは細胞外部の酸性化
速度、あるいは受容体の結合および続いて起こる生理的細胞応答に関連したプロ
トンの排出を測定する。典型的な装置はMolecular Devices 社(Sunnyvale, CA.)
製ミクロフィジオメータであるCytosensor(商標)である。この方法により、細
胞増殖、イオン輸送、エネルギーの産生、炎症の応答、調節、および受容体の活
性化などの様々な細胞の応答を測定することができる。
【0152】 例えば、McConnell, H.M. 等の論文、Science, 257:1906 〜1912, 1992、Pitc
hford, S. 等の論文、Meth.Enzymol.228:84 〜108, 1997 、Arimilli, S.等の論
文、J.Immunol.Mecth.212:49〜59, 1998、Van Liefde, I.等の論文、Eur.J.phar
macol.346:87〜95, 1998を参照されたい。ミクロフィジオメータは付着性あるい
は非付着性の、真核あるいは原核細胞の検定に用いることができる。
【0153】 ミクロフィジオメータは、時間の経過に伴う細胞培地中の細胞外酸性化変化を
測定することによりzsig45ポリペプチド、その作動体、あるいは拮抗体を含む様
々な刺激に対する細胞応答を直接測定する。好ましくはミクロフィジオメータは
、zsig45ポリペプチドに対して応答しない対照用の真核細胞と比較して、zsig45
応答真核細胞の応答を測定するために用いられる。
【0154】 zsig45応答真核細胞は、zsig45に対して応答する細胞を創出するzsig45の受容
体がその中に移入されている細胞、あるいは甲状腺、心臓、下垂体、視床下部、
骨格、骨髄、およびとりわけ骨格筋の組織などのもともとzsig45に対して応答す
る細胞を含む。zsig45で変調された細胞応答の直接の測定値が、変化、例えば細
胞外の酸性化の増加あるいは減少により測定されるzsig45ポリペプチドに暴露さ
れない対照試料と比べた、zsig45に暴露された細胞の応答の差である。
【0155】 さらに、このようなzsig45で変調された応答は、様々な刺激のもとで検定する
ことができる。zsig45ポリペプチドに応答する細胞を供給すること、試験化合物
の不在下で細胞第一部分を培養すること、試験化合物の存在下で細胞第二部分を
培養すること、および変化、例えば細胞第一部分と比較して細胞第二部分の細胞
応答の増加あるいは減少を検出することを含む、ミクロフィジオメータを用いる
zsig45ポリペプチドの作動体の同定法を提供する。
【0156】 細胞応答の変化は、測定可能な変化である細胞外酸性化速度として示される。
さらに、zsig45ポリペプチドの存在下、かつ試験化合物の不在下における細胞第
三部分の培養は、zsig45応答細胞のためのポジティブ対照として、また試験化合
物とzsig45ポリペプチドの作動体活性を比較するための対照として用いることが
できる。
【0157】 さらに、zsig45ポリペプチドに応答する細胞を供給すること、zsig45の存在下
かつ試験化合物の不在下で細胞第一部分を培養すること、zsig45の存在下かつ試
験化合物の存在下で細胞第二部分を培養すること、および変化、例えば細胞第一
部分と比較して細胞第二部分の細胞応答の増加あるいは減少を検出することを含
む、ミクロフィジオメータを用いるzsig45ポリペプチドの拮抗体の同定法を提供
する。細胞応答の変化は、測定可能な変化である細胞外酸性化速度として示され
る。zsig45ポリペプチドに対する拮抗体および作動体はこの方法を用いて迅速に
同定することができる。
【0158】 さらに、zsig45は細胞、組織、あるいはzsig45刺激経路に応答する細胞系を同
定するために用いることができる。上記のミクロフィジオメータは、本発明のzs
ig45に応答する細胞など配位子応答細胞を迅速に同定するために用いることがで
きる。細胞はzsig45ポリペプチドの存在下あるいは不在下で培養することができ
る。zsig45の存在下で細胞外の酸性化の測定可能な変化を顕在化させるこれらの
細胞はzsig45に応答する。このような細胞系は、上記のようにzsig45ポリペプチ
ドの拮抗体および作動体を同定するために用いることができる。
【0159】 本発明のポリペプチド、核酸、および/または抗体は、甲状腺機能障害と関連
する疾患の治療に用いることが可能である。本発明の分子は、甲状腺、心臓、お
よび骨格のような種々の組織の病理的条件の展開の治療あるいは予防に用いるこ
とができる。特に、ある種の症候群、とりわけ本明細書に記載の甲状腺疾患、イ
スケミア再灌流傷害、炎症性疾患などの疾病は、診断、治療、あるいは予防の影
響を受けやすい。
【0160】 本発明の分子の活性は、例えば受容体結合時のシグナル導入、試験管内および
生体内の甲状腺ホルモンの分泌、骨量喪失、TSH 活性、あるいは抗体結合を測定
する様々な検定法を用いて測定することができる。例えば、zsig45ポリペプチド
は、特異な細胞系あるいは細胞に対する特異な飽和性の結合を標識し、試験する
ことができる。zsig45が結合するポジティブ細胞の同定は、放射性あるいは蛍光
性標識したzsig45ポリペプチドを注入することにより、またzsig45が結合する生
体内細胞あるいは組織を視覚化するために技術的に承認された免疫組織工学の方
法を用いて達成することができる。
【0161】 zsig45が結合するポジティブ細胞の同定の後、活性を、シグナル導入経路のzs
ig45仲介活性化について、当業界で知られいる方法を用いて試験することができ
る。例えば、受容体(例えば、SRE /発光酵素、STAT/発光酵素、甲状腺ホルモ
ン応答要素(THRE)/発光酵素など)を含有するベクター構築物をポジティブ細
胞系に導入することができ、このような細胞系は、分泌されたzsig45蛋白質を含
有するコンディショニングされた培地に暴露されると測定可能な受容体の活性化
により、zsig45仲介シグナル導入活性を示すことになる。このような検定は当業
界ではよく知られている。具体的な検定法にはシグナル導入を測定する生物検定
法があるが、これには限定されない。
【0162】 本発明の分子は、甲状腺あるいは甲状腺外でその効果を発揮するかも知れない
。したがって、zsig45ポリペプチド、作動体、あるいは拮抗体の活性は、甲状腺
機能に影響する可能性があり、試験管内の甲状腺ホルモンの分泌あるいは生体内
の甲状腺機能を評価することにより測定することができる。甲状腺ホルモン、あ
るいはzsig45の存在下あるいは不在下での甲状腺ホルモン分泌の変化は、当業界
で知られている様々な方法を用いて検出することができる。
【0163】 例えば、TSH およびその他の甲状腺ホルモンは、一般に放射線免疫検定法(RI
A)、「サンドウィッチ」型検定を使用する免疫分析検定法(IMA)、あるいはELIS
A により測定される。T3およびT4を含むホルモンは、当業界で知られている様々
な方法(Elkins, R. の論文、Endcr.Rev., 11:5〜46, 1990) により生体内で測定
することができる。例えばT4は、放射性を分析する125 I 結合検定、透析、およ
び限界濾過を用いて測定することができる。Braverman, L.E. の論文、(Ed.), i
bid., p35 〜48を参照されたい。
【0164】 加えて、本発明のzsig45ポリペプチド、作動体、あるいは拮抗体は、血漿膜蛋
白質、すなわち末梢部でT4をT3に転換するヨードサイロン 5′−モノデイオジ
ナーゼII型(5′D-II) を調節することができる。このような効果は本明細書で論
じたようにT4あるいはT3を評価することにより生体内で間接的に、あるいは5 ′
D-II酵素活性を測定することにより試験管内で直接的に測定することができる。
さらに、5′−デイオジナーゼI型(5′D-I)による肝臓中のT3浄化の効果を生体
内で評価することができる。Braverman, L.E. の論文、(Ed.), ibid., p49 〜68
を参照されたい。
【0165】 さらに、生体内の甲状腺機能に及ぼすzsig45ポリペプチドの影響もまた超音波
、放射性ヨウ素の消費、および細い針による吸引バイオプシーにより実験動物あ
るいはヒトで評価することができる(Braverman, L.E.の論文、(Ed.), ibid., p3
5 〜48) 。
【0166】 甲状腺機能障害および幾つかの現今の関連する治療法は、生体内で骨に及ぼす
悪影響を顕在化させる可能性がある。したがって、本発明の甲状腺および下垂体
の局部化を想定すれば、骨形成および/または吸収を測定する検定法はzsig45活
性の評価にとって重要な検定法である。一つの例は、カルシトニン受容体を発現
する細胞に対して選択的なカルシトニン受容体活性を有する物質の迅速な同定を
可能にする検定システムである。
【0167】 カルシトニン受容体はG−蛋白質受容体族の一員であり、細胞のcAMPレベルの
上昇につながるアデニル酸シクラーゼの活性化を介してシグナルを導入する(Lin
等の論文、Science, 254:1022 〜24, 1991) 。この検定システムは、カルシトニ
ン受容体を刺激し、シグナル導入を始動させる可能性のある他の分子を検出する
一つの方法として、cAMPレベルを上昇させる受容体の能力を利用する。骨形成お
よび/または吸収を測定する他の検定法には、頭蓋冠検定法、QCT 、および造骨
細胞の寸法および数を測定する検定法がある。このような検定法は当業界で知ら
れており、下記で論じる。
【0168】 受容体の活性化は、(1)アデニル酸シクラーゼ活性の測定(Salomon等の論文
、Anal.Biochem.58:541 〜48, 1974、Alvarez およびDaniels の論文、Anal.Bio
chem.187:98 〜103, 1990)、(2) 通常の放射線免疫検定法を用いる細胞内のcAMP
レベル変化の測定(Steiner等の論文、J.Biol.Chem.247:1106〜13, 1972、Harper
およびBrooker の論文、J.Cyc.Nucl.Res.1:207〜18, 1975) 、あるいは(3)cAMP
シンチレーション近接検定(SPA)法の一貫使用(Amersham Corp., Arlington Hei
ghts, IL) により検出することができる。これらの方法はすぐれた感度と精度を
提供するが、検定に先だってかなりの試料処理を伴い、時間がかかり、ラジオア
イソトープの使用を伴い、大規模な選別検定にとっては面倒であろう。
【0169】 別の検定システムは、米国特許第5,622,839 号、米国特許第5,674,689 号、お
よび米国特許第5,674,981 号に記載されているように、上昇したcAMPレベルの結
果として、カルシトニン受容体の発現のない細胞中ではなく、カルシトニン受容
体を発現する細胞中において、環状AMP 応答要素である(CRE)/発光酵素リポー
ター遺伝子の発現を誘導することができるポリペプチドの選別を含む。
【0170】 十分に確立している動物モデルが、カルシトニン受容体と相互に影響し合うzs
ig45ポリペプチド、作動体、あるいは拮抗体の生体内の有効性試験に利用できる
。さらに、これらのモデルは骨に及ぼすzsig45の、カルシトニン受容体によるも
のとは別の効果を試験するために用いることができる。例えば、低カルシウム血
症のラットあるいはマウスのモデルは血清カルシウムに及ぼす影響を判定するた
めに用いることができ、また卵巣切除したラットあるいはマウスは骨粗鬆症のモ
デル系として用いることができる。
【0171】 エストロゲン欠乏の早期段階の間にこれらモデルおよびヒトに見られる骨変化
は定性的に類似している。カルシトニンは卵巣切除した女性およびラットの骨量
喪失の予防にとって有効な作因であることが示されている(Mazzuoli 等の論文、
Calcif.Tissue Int.47:209〜14, 1990; WronskiEndocrinology 129:2246 〜50,
1991) 。高投与量のエスロトゲンは卵巣切除したマウスモデルの骨吸収を抑制し
、骨形成を刺激することが示されている(Bain等の論文、J.Bone Miner.Res.8:4
35〜42, 1993) 。
【0172】 カルシトニン受容体と相互に影響し合い、あるいは骨に別の効果を与える本発
明の生物学的に活性なzsig45ポリペプチド、作動体、あるいは拮抗体は、カルシ
トニンが有効な治療用途に用いると有利であると考えられる。例えばこのような
用途は、骨粗鬆症、パジェット病、上皮小体機能高進症、骨軟化症、乳児期の特
発性高カルシウム血症、およびその他の状態の治療である。その他の用途は、急
性の膵炎および胃腸障害の治療における胃の分泌の抑制、および鎮痛剤、特に骨
痛用としての使用である。
【0173】 骨形成速度の変化を測定するための生体内検定法には骨組織学(Recker, R. 編
「Bone Histomorphometry:Techniques and Interpretation 」.Boca Raton:CRC
Press, Inc., 1983 を参照されたい)および定量的コンピュータ断層装置(QCT;
Ferretti, J.の論文、Bone, 17:353S 〜364S, 1995、Orphanoludakis等の論文、
Investig.Radiol.14:122〜130, 1979 、およびDurand等の論文、Medical Physic
s, 19:569 〜573, 1992)の実践が含まれる。骨形成の変化を測定するための典型
的な生体外検定法は、頭蓋冠検定法(Gowen等の論文、J.Immunol.136:2478〜2482
, 1986) あるいは吸収頭蓋冠検定法 (Linkhart, T.A., およびMohan, S. の論文
、Endocrinology, 125:1484 〜1491, 1989) である。
【0174】 加えて、本発明のポリペプチドを検定し、それらの炎症を緩和する能力を使用
することができる。zsig45の原炎症性および抗炎症性の性質を決定する方法は当
業界で知られており、本明細書で論じられる。例えば、cAMP産生の抑制は抗炎症
作用の指標である(Nihei, Y.等の論文、Arch.Dermatol.Res., 287:546 〜552, 1
995)。cAMPの抑制、および角化細胞中のIFN-γにより誘発されるICAMおよびHLA-
Drの抑制は、炎症の抑制を評価するために用いることができる。あるいは、この
系の中のcAMPの産生およびICAMおよびHLA-Drの誘発を増大させると、蛋白質の原
炎症作用を測定することができる。
【0175】 同様に、生体内(実施例8)に示すように、zsig45は類似の炎症作用を示すこ
とができ、それが発現する組織あるいは別の組織の中でこれらが作用する可能性
がある。例えば、zsig45は結腸の中で発現し、この組織の中で傷の治癒を促進す
るのに有効であり、抗菌あるいは抗ウィルス作用を示す可能性がある。さらに、
zsig45あるいはその拮抗体は、炎症性の腸疾患、憩室炎、腸の手術の間および術
後の炎症などの治療に有用であるかも知れない。
【0176】 その上、甲状腺の中で発現しzsig45は、心臓、脳、肝臓、腎臓などの甲状腺の
外側の組織中で、傷の治癒、または抗菌あるいは抗ウィルス作用を有する可能性
がある。さらに、zsig45ポリペプチドおよびzsig45抗体の直接測定は、黒色腫、
炎症性の腸疾患、憩室炎、喘息、骨盤の炎症性疾患、(PID)、乾癬、関節炎、再
灌流性イスケミア、およびその他の炎症性疾患など炎症性疾患の診断に有効であ
る可能性がある。さらに、zsig45、拮抗体は、心筋炎、アテローマ性動脈硬化症
、骨盤の炎症性疾患、(PID)、乾癬、関節炎、湿疹、強皮症、およびその他の炎
症性疾患の治療に有効である可能性がある。
【0177】 このように、zsig45ポリペプチド、作動体、あるいはその拮抗体は、喘息およ
び関節炎などの炎症性疾患に潜在的な使用法を有する。例えば、zsig45が原炎症
性であれば、拮抗体はリンパ球の移動が有害な喘息の療法、あるいはその他の抗
炎症性療法にとって価値があるであろう。その上、zsig45は、肺機能、例えば気
管支拡張、組織の弾性、肺感染および損傷におけるリンパ球の補充において他の
重要な役割を演ずる可能性がある。
【0178】 肺細胞中のzsig45の活性を評価するための検定法は、Laberge, S. 等の論文、
Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.17:193〜202, 1997 、Rumsaeng, V.等の論文、J.Im
munol., 159:2904〜2910, 1997、およびSchluesener, H.J. 等の論文、J.Neuros
ci.Res.44:606 〜611, 1996 で論じられている。zsig45、その作動体、あるいは
その拮抗体の原炎症性および抗炎症性の性質を決定する方法は当業界で知られて
いる。さらに、当業界で知られ、本明細書に記述した他の分子生物学的、免疫学
的、および生化学的技法を、zsig45の活性を決定し、作動体および拮抗体を単離
するために用いることができる。
【0179】 さらに、zsig45ポリペプチドは、甲状腺における高い発現に基づいて、宿主細
胞(例えばT−細胞)上のその受容体を介する特異シグナルによりウィルスの複
製を阻害することによって抗ウィルス活性を示すことができる。zsig45は免疫細
胞の増殖活性(実施例8を参照)を示すことができ、本明細書の開示に従ってこ
の活性を検定することができ、また免疫系を刺激してウィルス感染と闘う可能性
がある。
【0180】 さらに、zsig45はCD4 あるいは別のリンパ球の受容体と結合し、抗ウィルス作
用、例えばヒト免疫不全ウィルス(HIV)あるいはヒトT−細胞のリンパ性ウィル
ス(HTIV)に対する抵抗を示すことができる。あるいはzsig45ポリペプチドはウ
ィルスの感染を阻止するように、ウィルスの受容体あるいは補受容体と闘うこと
ができる。zsig45をウィルスの感染を防ぐために、あるいは進行中のウィルスの
複製および再感染を減少するために親として与えてもよい(Gayowski, T. 等の論
文、Transplantation, 64:422 〜426, 1997)。
【0181】 したがって、zsig45を、例えばウィルス性白血病(HTLV)、AIDS(HIV)、ある
いは例えば、ロタウィルス、カリチウィルス(例えばNorwalk Agent 社)、およ
びある種の系統の病原性アデノウィルスにより引き起こされる胃腸のウィルス感
染に対する抗ウィルス療法として用いることができる。
【0182】 zsig45で変調された直接および間接の炎症は当業界の方法により共に検定する
ことができる。例えば、Hamada, T.等の論文、J.Exp.Med.138:539 〜548, 1998
およびLiu, L. 等の論文、J.Immunol.161:3064〜3070, 1998を参照されたい。例
えば、zsig45ポリペプチドの原炎症作用はTranswell(商標)(Costar社)を使用す
る検定で直接試験することができる。この検定においては、内皮細胞を半透明膜
上に塗布し、zsig45ポリペプチドをこのトランスウェルの下側のチャンバの中に
置き、Cr51または蛍光標識した好中球(PMNs)、リンパ球、HL60細胞、K562細胞
などをこのトランスウェルの上側のチャンバに加える。
【0183】 zsig45ポリペプチドの不在下(ネガティブ対照)ではなく、その存在下におけ
るPMNsなどのトランスウェルの下側チャンバへの移動は、PMNsの直接的化学誘引
剤としてのzsig45ポリペプチドを証明するであろう。さらに、IL-8をポジティブ
対照としてこの検定に使用することができる。炎症応答の間接的刺激剤としての
zsig45を試験するために同様の方法を使用することができる。例えば、transwel
l の下側チャンバにzsig45を置くことに加えて繊維芽細胞あるいは脂肪細胞を塗
布する実験を、上記に従って設定することができる。
【0184】 この方法では、PMNsの移行、すなわち炎症を増進させる因子を分泌するように
これら細胞を誘導するzsig45ポリペプチドの作用を測定することができる。bFGF
を間接的検定のポジティブ対照として用いることができる。zsig45ポリペプチド
の抗炎症作用もまた、当業界で知られている同様のトランスウェル検定法を用い
てPMNsの存在下で上側チャンバに加えると測定することができる。
【0185】 本発明の分子の活性は、例えばzsig45の甲状腺外活性の潜在的な作用に基づく
心臓細胞の新生あるいは過形成(すなわち増殖)を測定する様々な検定法を用い
て測定することができる。本発明のポリペプチドと関連しそうなその他の活性に
は、直接的あるいは間接的に他の増殖因子を経由する内皮細胞、心筋細胞、繊維
芽細胞、骨格筋細胞の増殖;内皮細胞、繊維芽細胞、および/または食細胞の化
学走性因子としての作用;骨形成因子;および間葉幹細胞と前駆体の個体群があ
る。
【0186】 増殖は、培養した心臓細胞を用いて、あるいは本発明の分子を適切な動物モデ
ルに投与することによって生体内で測定することができる。通常、増殖作用は細
胞数の増加として認識され、アポトーシスの抑制ならびに有糸分裂生起の刺激を
含んでもよい。この検定に使用する培養した細胞には、心臓の繊維芽細胞、心筋
細胞、骨格筋細胞、および一次培養で得たヒトの臍静脈の内皮細胞がある。
【0187】 好適な確立された細胞系には、繊維芽細胞NIH 3T3(ATCC No.CRL-1680) 、ラッ
トの心臓の筋原細胞H9c2(ATCC No.CRL-1446)、乳癌細胞Shionogi(Tanaka 等の論
文、Proc.Natl.Acad.Sci.89:8928〜8932, 1992) 、および腺癌細胞LNCap.FGC(AT
CC No.CRL-1740) がある。細胞の増殖を測定する検定法は当業界でよく知られて
いる。
【0188】 例えば、増殖を測定する検定法には、ニュートラルレッド色素に対する化学的
感度(Cavanaugh等の論文、Investigational New Drugs, 8:347〜354, 1990)、放
射能標識したヌクレオチドの取込み(Cook等の論文、Analytical Biochem.179:1
〜7, 1989)、増殖する細胞のDNA 中への5−ブロモ−2´−デオキシウリジン(
BrdU)の取込み(Porstmann等の論文、J.Immunol.Methods, 82:169 〜179, 1985)
、およびテトラゾリウム塩の使用(Mosmann,J. の論文、Immunol.Methods, 65:55
〜63, 1983、Alley 等の論文、Cancer Res.48:589 〜601, 1988 、Marshall等の
論文、Growth Reg.5:69 〜84, 1995、およびScudiero等の論文、Cancer Res.48:
4827〜4833, 1988) のような検定法がある。
【0189】 分化は、多分化能性幹細胞で始まり最終分化細胞で終わる、進行性かつ動的な
プロセスである。直系にコミットメントすることなしに再生することができる多
分化能性幹細胞は、細胞の直系に対するコミットメントがなされると失われる一
組の分化の遺伝標識を発現する。先祖細胞は、成熟に向かって細胞の直系の経路
を下方に進むに従って発現を続けられるか、あるいは続けられない一組の分化の
遺伝標識を発現する。
【0190】 通常、成熟細胞によってのみ発現される分化の遺伝標識は、細胞生成物、細胞
生成物を産生するための酵素、および受容体などの機能的な特性である。細胞個
体の分化の段階は、細胞個体中に存在する遺伝標識を同定することにより監視さ
れる。筋細胞、造骨細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、および網状細胞は
、共通の間葉幹細胞から生ずると考えられる(Owen等の論文、Ciba Fdn.Symp.13
6:42〜46, 1988) 。通常、同定が先祖および成熟細胞の段階で行われるために間
葉幹細胞は十分に同定されていなかった(Owen等の論文、J.of Cell Sci.87:731
〜738, 1987)。
【0191】 初期の心筋先祖細胞(しばしば心筋幹細胞と呼ばれる)は、成人の心臓組織の
中に存在すると推測されていたが証明されていなかった。本発明の新奇なポリペ
プチドは、生体内と生体外の両方で、間葉幹細胞および心筋先祖細胞を単離する
研究にとって有用である可能性がある。特異の細胞型を経路の下方で最終分化あ
るいは脱分化に向けて刺激する因子が、共通の前駆体あるいは幹細胞から生じる
全細胞個体に影響することを示唆する証拠がある。
【0192】 したがって、本発明には、筋細胞、平滑筋細胞、造骨細胞、脂肪細胞、軟骨細
胞、および内皮細胞の増殖を刺激あるいは抑制することが含まれる。本発明の分
子は、心筋細胞の増殖あるいは分化を刺激するが、それらの共通の前駆体/幹細
胞に及ぼす影響によって脂肪細胞の増殖あるいは分化を抑制することができる。
したがって、本発明の分子は、軟骨肉腫、アテローマ性動脈硬化症、再狭窄、お
よび肥満症の抑制に用いることができる。
【0193】 分化を測定する検定法には、例えば組織、酵素活性、機能活性、あるいは形態
的変化の段階に特異な発現に関連した細胞表面の遺伝標識の測定が含まれる(Wa
ttの論文、FASEB, 5:281〜284, 1991 、Francis の論文、Differentiation, 57:
63〜75, 1994、Raesの論文、Adv.Anim.Cell Biol.Technol.Bioprocesses, 161〜
171, 1989 、これらは全て参照により本明細書に合体されている)。
【0194】 心臓の新生あるいは過形成を評価するための生体内検定法には、新生および成
熟したラットを本発明の分子で処理することが含まれる。動物の心臓の機能は、
心拍数、血圧、および左心室機能を測定するための心拍出量として測定される。
心臓の衰微あるいは改善を評価するための死後の方法には、心臓の重量、核/細
胞質の体積の増加あるいは減少、および増殖細胞の核抗原(PCNA)に対する細胞
質のアクチンのレベルを決定するための心臓の組織学的切片の染色が含まれる(
Quaini等の論文、Circulation Res.75:1050 〜1063, 1994、およびReiss 、Proc
.Natl.Acad.Sci.93:8630〜8635, 1996) 。
【0195】 また、zsig45ポリペプチドは、zsig45のエピトープ、ペプチド、あるいはポリ
ペプチドと特異的に結合する抗体を調製するために用いることができる。zsig45
ポリペプチドあるいはその断片は、動物に接種し、免疫応答を顕在化させるため
の抗原(免疫原)として働く。当業技術者ならば、抗原あるいは免疫原性エピト
ープは、約10個未満またはそれより長いアミノ酸のポリペプチドの範囲内でよ
り長く、またポリペプチド次第ではポリペプチドのほぼ全長またはより長いとこ
ろまでアミノ酸を伸長させることからなることを認めるであろう。
【0196】 好適な抗原には、アミノ酸数47(Lys) からアミノ酸数114(Asp)まで配列番号:
2により符号化されたzsig45ポリペプチド、あるいはその隣接する9から67個
のアミノ酸断片がある。抗原として用いられる好ましいペプチドは、例えばG、
S、およびTの埋残基と、無視されたH、Y、およびWの露出残基とを備え、ス
ライドする6個の残基窓に基づいてHopp/Woodsの親水性プロフィルから決定され
た、あるいはモティーフ1から5、または本明細書に開示したモティーフ1から
5の間の領域の親水性ドメインから決定される疎水性グラフから当業技術者によ
り予測されるような親水性のペプチドである。
【0197】 この免疫応答から発生した抗体は、本明細書の記述に従って単離し、精製する
ことができる。多クローン性および単クローン性の抗体を調製し、単離する方法
は当業界でよく知られている。例えば、Cooligan等の編集による「Current Prot
ocols in Immunology 」, National Institutes of Health, John Wiley and So
ns, Inc., 1995およびSambrook等の「Molecular Cloning:A Laboratory Manual
」, Second Edition, Cold Spring Harbor, NY, 1989、およびHurrell, J.G.R.
の編集による「Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Application
s 」,CRC Press, Inc.,Boca Raton, FL, 1982 を参照されたい。
【0198】 当業界の一般技術者には明らかであろうが、抗体は、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツ
ジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、およびラットなど様々な温血動物にzsig
45ポリペプチドあるいはその断片を接種することにより生成させることができる
。zsig45ポリペプチドの抗原性は、ミョウバン(水酸化アルミニウム)あるいは
フロイントの完全または不完全アジュバントなどのアジュバントの使用により増
すことができる。
【0199】 また、免疫化にとって有用なポリペプチドには、zsig45の融合、あるいは免疫
グロブリンポリペプチドまたはマルトース結合蛋白質を備えたその一部分などの
融合ポリペプチドがある。ポリペプチド免疫原は標準の長さの分子あるいはその
一部分であってもよい。ポリペプチドの部分が「ハプテン様」のものならば、こ
のような部分は免疫化用の巨大分子キャリア(キーホールリンペットヘモシアニ
ン(KLH)、ウシの血清アルブミン(BSA)、あるいはテタヌストキソイド)と有利
に接合あるいは結合することができる。
【0200】 本明細書で用いられる用語「抗体」には、多クローン性抗体、親和性の精製し
た多クローン性抗体、単クローン性抗体、およびF(ab´)2およびFab 蛋白質分解
断片などの抗原結合性断片がある。キメラ抗体、Fv断片、単鎖抗体等、ならび
に合成の抗原結合性ペプチドおよびポリペプチドなどの遺伝子工学的に手が付け
られていない抗体あるいは断片もまた含まれる。
【0201】 非ヒトの抗体は、ヒトのフレーム構造および恒常部上に非ヒトのCDRsを移植す
ることにより、あるいは非ヒトの全可変ドメインを取り込むことにより(任意選
択で、結果として「ベニヤ」抗体になるようにそれらを露出残基の置換によって
ヒトに似た表面で「覆い隠す」ことにより)ヒト化することができる。幾つかの
例では、ヒト化した抗体は、固有の結合特性を増強するためにヒトの可変部のフ
レーム構造ドメイン内に非ヒトの残基を保有してもよい。抗体をヒト化すること
によって、生物学的な半減期を増すことができ、ヒトに投与したときの有害な免
疫反応に対する可能性が減る。
【0202】 本明細書に有用な抗体を生成するための、あるいは選択するための別の技術に
は、試験管内でリンパ細胞をzsig45蛋白質あるいはペプチドに暴露すること、お
よびファージあるいは類似のベクター中で抗体の表示ライブラリーを選択するこ
と(例えば、固定化した、あるいは標識したzsig45蛋白質あるいはペプチドを用
いて)が含まれる。可能性のあるzsig45ポリペプチド結合ドメインを有する遺伝
子符号化ポリペプチドは、ファージ(ファージ表示)上、あるいは大腸菌などの
細菌上に表示されたランダムペプチドのライブラリーをスクリーニングすること
により得られる。
【0203】 ポリペプチドを符号化するヌクレオチド配列は、ランダム変異誘発およびラン
ダムポリヌクレオチド合成によるなど、幾つかの方法で得ることができる。これ
らのランダムペプチド表示ライブラリーは、配位子あるいは受容体、生体あるい
は合成の巨大分子、もしくは有機あるいは無機の物質など、蛋白質あるいはポリ
ペプチドの既知の標的と相互に作用するペプチドをスクリーニングするために用
いることができる。
【0204】 このようなランダムペプチド表示ライブラリー創出し、スクリーニングする技
術は当業界で知られており(Ladner他の米国特許第5,223,409 号、Ladner他の米
国特許第4,946,778 号、Ladner他の米国特許第5,403,484 号、およびLadner他の
米国特許第5,571,698 号)、またランダムペプチド表示ライブラリーおよびこの
ようなライブラリーをスクリーニングするためのキットは、例えばClontech社(P
alo Alto, CA) 、Invitrogen Inc. 社(San Diego, CA) 、New England Biolabs,
Inc. 社(Beverly, MA) およびPharmacia LKB Biotechnology Inc.社(Piscatawa
y, NJ)から市販されている。
【0205】 ランダムペプチド表示ライブラリーは、zsig45と結合する蛋白質を同定するた
めに、本明細書に開示したzsig45配列を用いてスクリーニングすることができる
。zsig45ポリペプチドと相互に作用するこれらの「結合蛋白質」は細胞を標識す
るために、また親和精製により相同染色体ポリペプチドを単離するために用いる
ことができ、それらは直接あるいは間接に、薬剤、毒素、放射性核種などと接合
することができる。また、これらの結合蛋白質は、発現ライブラリーのスクリー
ニングおよび活性の中和などの分析法に用いることができる。
【0206】 また、結合蛋白質は、ポリペプチドの循環レベルを判定するための、病理学あ
るいは疾病の根底をなす遺伝標識として可溶性ポリペプチドを検出、または定量
するための診断測定に用いることができる。また、これらの結合蛋白質は、試験
管内および生体内でzsig45の結合およびシグナル導入を遮断するためのzsig45「
拮抗体」として作用することができる。これらの抗zsig45結合蛋白質は、炎症あ
るいはその他のzsig45の活性を抑制するために有効であるはずである。
【0207】 抗体は、1)結合活性の閾値を示し、および/または2)関連ポリペプチド分
子と著しい相互反応を行わない場合には、特異的に結合していると判定される。
まず、抗体は、本明細書においては対照(非zsig45)のポリペプチドに対する結
合親和力より少なくとも10倍大きい親和力でzsig45ポリペプチド、ペプチド、
あるいはエピトープと結合する場合、特異的な結合である。
【0208】 抗体は106M-1以上、好ましくは107M-1以上、より好ましくは108M-1以上、最も
好ましくは109M-1以上の結合親和力(Ka)を示すことが好ましい。抗体の結合
親和力は、当業界で一般的な技術の一つ、例えばスカッチャード分析(Scatchard
, G.の論文、Ann.NY Acad.Sci.51:660〜672, 1949)により容易に決定することが
できる。
【0209】 つぎに、抗体は、それが関連ポリペプチドと著しい相互反応を行わない場合に
は、特異的にな結合すると判定される。抗体は、例えば、それらが標準のウェス
タンブロット分析(Ausubel等の論文、ibid)を用いて既知の関連ポリペプチドで
はなくzsig45を検出する場合には、関連ポリペプチド分子と著しい相互反応を行
わない。既知の関連ポリペプチドの例は、蛋白質系列の一員である同じ種の蛋白
質(例えばIL-16)、すなわちオルトロッグ、zsig45ポリペプチド、および非ヒト
zsig45である。
【0210】 さらに、抗体は、本発明のポリペプチドと特異的に結合する個体を単離するた
めに、既知の関連ポリペプチドの「対抗スクリーニング」を行ってもよい。例え
ば、zsig45まで育てた抗体は、不溶性の基質に接着させた関連ポリペプチドに吸
着されると、適正な緩衝条件下でzsig45に固有の抗体は基質を通って流れること
になる。このようなスクリーニングは、密接に関連するポリペプチドに対して非
相互反応性の多クローン性および単クローン性抗体の単離を可能にする(Harlow
およびLaneの編集による「Antibodies:A Laboratory Manual」, Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press, 1988 、およびCooligan等の編集による「Current Prot
ocols in Immunology 」, National Institutes of Health, John Wiley and So
ns, Inc., 1995) 。特異抗体のスクリーニングおよび単離は当業界ではよく知ら
れている。
【0211】 Paulの編集による「Fundamental Immunology」, Raven Press, 1993 、Getzof
f 等の論文、Adv.in Immunol.43:1 〜98, 1988、Goding, J.W.の編集による「Mo
noclonal Antibodies:Principles and Practice 」, Academic Press Ltd., 199
6 、Benjamin等の論文、Ann.Rev.Immunol.2:67〜101, 1984 を参照されたい。
【0212】 当業技術者に知られた様々な検定法をzsig45蛋白質あるいはペプチドと特異的
に結合する抗体を検出するために用いることができる。典型的な検定法は、Harl
owおよびLaneの編集による「Antibodies:A Laboratory Manual」, Cold Spring
Harbor Laboratory Press, 1988 に詳細に記載されている。このような検定法の
代表的な例には、並行して行われる免疫電気泳動、放射線免疫検定、酵素とリン
クした免疫吸着検定(ELISA)、ドットブロットあるいはウェスタンブロット検定
、阻害あるいは競合検定、およびサンドウィッチ検定がある。その上、抗体は、
突然変異zsig45蛋白質あるいはペプチドと対照させて野生型との結合をスクリー
ニングすることができる。
【0213】 zsig45に対する抗体は、zsig45を発現する細胞の標識用に;親和精製によるzs
ig45の単離用に;zsig45ポリペプチドの循環レベルを判定するための診断測定用
に;病理学あるいは疾病の根底をなす遺伝標識としての可溶性zsig45の検出また
は定量用に;FACCを使用する分析法において;発現ライブラリーのスクリーニン
グ用に;抗イディオタイプ抗体の生成用に;試験管内および生体内で中和抗体と
してあるいはzsig45の活性を遮断するための拮抗体として;使用することができ
る。
【0214】 好適な直接的な標識あるいはラベルには、放射性核種、酵素、基質、共同因子
、阻害剤、蛍光標識、化学発光標識、磁気粒子などがあり、また間接的な標識あ
るいはラベルは、ビオチン−アビジンあるいは代謝産物としてのその他の補体/
抗補体のペアの使用を特徴とすることができる。また本明細書の抗体は直接ある
いは間接に、薬剤、毒素、放射性核種などと接合することができ、またこれらの
接合体は生体内で診断あるいは治療の用途に用いることができる。さらに、zsig
45あるいはその断片の抗体は、例えば当業界で知られているウェスタンブロット
あるいはその他の検定において、試験管内で変性zsig45あるいはその断片を検出
するために用いることができる。
【0215】 本発明の分子は、生体内でzsig45ポリペプチドが結合する、甲状腺、下垂体、
心臓、あるいはその他の機能中に含まれた受容体を同定し、単離するために用い
ることができる。例えば、本発明の蛋白質およびペプチドをカラム上に固定化し
、膜の調製をカラム上で進行させることができる(Hermanson等の編集による「Im
mobilized affinity Ligand Techniques」, Academic Press, San diego, CA, 1
992, pp.195 〜202)。
【0216】 また、蛋白質およびペプチドは、放射能標識(M.Deutscherの編集による「Guid
e to Protein Purification 」, Acad.Press, San Diego, 1990 の中の、「Meth
ods in Enzymol」, vol.182, 721〜737)、あるいはホトアフィニティーラベリン
グ(Brunner等の論文、Ann.Rev.Biochm.62:483 〜514, 1993 およびFedan 等の論
文、Biochem.Pharmacol, 33:1167〜1180, 1984) を施すことができ、特異細胞表
面の蛋白質を同定することができる。
【0217】 さらに、上記の方法は抗zsig45結合性蛋白質を単離するために用いることがで
きる。このような拮抗体は、例えば横紋筋肉腫、心臓の粘液腫、造骨細胞由来の
骨癌、および小人症の治療に、関節炎、靭帯および軟骨の修復に、単独あるいは
他の療法と組み合わせて用いられる。
【0218】 本発明の分子は、様々な甲状腺疾患、骨の疾患、月経の問題、心臓疾患、骨、
結腸、下垂体、および甲状腺の癌の解明および予防に有効である可能性がある。
本発明のポリペプチド、核酸、および/または抗体は、甲状腺の機能障害に関連
する疾病の治療に用いることができる。本発明の分子は、甲状腺の活動を調節す
るために、あるいは甲状腺、心臓、および骨などの多様な組織の病理学的状態の
進展を処理し、予防するために用いることができる。特に、ある種の症候群およ
び疾病は、診断、治療、あるいは予防に適している。
【0219】 また、本発明は哺乳動物の細胞の代謝の研究方法を提供する。本発明のこのよ
うな方法は、研究用の細胞、例えばヒトの血管の内皮細胞、±zsig45ポリペプチ
ド、単クローン性抗体、作動体、あるいはその拮抗体をインキュベートすること
、および脂肪生成(adipogenesis)、糖新生、脂肪形成(lipogenesis)、グルコ
ースの消費などの変化を観察することを含む。
【0220】 本発明の別の態様では、製剤学的に受け入れることができるビヒクルと組み合
わせた、精製したzsig45ポリペプチドを含む薬用組成物を提供する。この薬用組
成物は、哺乳動物のエネルギー平衡を調節するために、あるいは内皮細胞を損傷
から守るために用いることができる。
【0221】 また、本明細書の抗体あるいはポリペプチドは直接的あるいは間接的に、薬剤
、毒素、放射性核種などと複合することができ、またこれらの複合体は生体内で
診断あるいは治療の用途に用いることができる。例えば、本発明のポリペプチド
あるいは抗体は、対応する抗相補分子(例えば、それぞれ受容体あるいは抗原)
を発現する組織あるいは器官を同定あるいは治療するために用いることができる
。より具体的には、zsig45ポリペプチドあるいは抗zsig45抗体、生理活性の断片
あるいはその部分は、検出可能あるいは細胞毒性分子と結合させ、抗相補分子を
発現する細胞、組織、あるいは器官を有する哺乳動物に送達することができる。
【0222】 適切な検出可能な分子は、直接的あるいは間接的にポリペプチドあるいは抗体
に付着することができ、放射性核種、酵素、基質、共同因子、阻害剤、蛍光標識
、化学発光標識、磁気粒子などが含まれる。適切な細胞毒性分子は、直接的ある
いは間接的にポリペプチドあるいは抗体に付着することができ、細菌性あるいは
植物性毒素(例えば、ジフテリア毒素、Pseudomonas (シュードモナス属)エキ
ソトキシン、リシン、アブリンなど)、ならびにヨウ素131 、レニウム188 、あ
るいはイットリウム90などの治療用の放射性核種(ポリペプチドあるいは抗体に
直接付着させるか、または例えば一部分をキレート化する手段により間接的に付
着させる)を含む。
【0223】 またポリペプチドあるいは抗体は、アドリアマイシンなどの細胞毒性をもつ薬
剤と複合することができる。検出可能あるいは細胞毒性分子の間接的な付着のた
めに、検出可能あるいは細胞毒性分子を補体/抗補体のペア要素と複合すること
ができ、その場合、他の要素はポリペプチドあるいは抗体部分と結合する。これ
らの目的で、ビオチン/ストレプトアビジンは典型的な補体/抗補体のペアであ
る。
【0224】 別の実施形態において、ポリペプチド−毒素の融合蛋白質、あるいは抗体−毒
素の融合蛋白質を、標的細胞あるいは組織の抑制あるいは切除(例えば、癌細胞
または組織の治療のため)に用いることができる。別法では、ポリペプチドが多
官能性ドメイン(すなわち、標的用ドメインに加えて、活性化ドメインあるいは
配位子結合ドメイン)を有する場合、標的用ドメインのみを含む融合蛋白質は、
検出可能な分子、細胞毒性分子、あるいは相補性分子を、関心のある細胞あるい
は組織の型に向けるのに適しているかも知れない。
【0225】 ドメインのただ一つの融合蛋白質が相補性分子を含む場合、抗相補性分子は検
出可能あるいは細胞毒性分子と複合することができる。したがって、このような
ドメイン−相補性分子融合蛋白質は、細胞/組織への特異的な送達のための、遺
伝性の抗相補性かつ検出可能で/細胞毒性をもつ分子複合体の遺伝子標的用ビヒ
クルを代表する。
【0226】 別の実施形態において、zsig45−サイトカイン融合蛋白質あるいは抗体―サイ
トカイン融合蛋白質は、zsig45ポリペプチドあるいは抗zsig45抗体が過増殖性の
血液あるいは骨髄細胞を標的にする場合、生体中で標的組織(例えば、血液およ
び骨髄の癌)を殺す効果を高めるために用いることができる(一般的には、Horn
ick 等の論文、Blood, 89:4437〜47, 1997を参照されたい)。Hornick 等は、融
合蛋白質がサイトカインを所望の作用部位の標的に向かうことを可能にし、それ
によってサイトカインの局部的濃度の上昇をもたらすことを記述した。
【0227】 好適なzsig45ポリペプチドあるいは抗zsig45抗体は、望ましくない細胞あるい
は組織(すなわち、腫瘍あるいは白血病)を標的にし、仲介する融合サイトカイ
ンは、エフェクター細胞による標的の細胞溶解を向上させた。この目的に対する
好適なサイトカインには、例えばインターロイキン2および顆粒球−マクロファ
ージコロニー刺激因子(GN-CSF)がある。
【0228】 さらに別の実施形態において、zsig45ポリペプチドあるいは抗zsig45抗体は、
血管細胞あるいは組織を標的にすることができる。このようなポリペプチドある
いは抗体は、再狭窄を縮小するために放射性核種、具体的にはβ放射放射性核種
と複合することができる。このような療法への取り組みは、臨床医家に対する危
険をより少なくする姿勢を示す。
【0229】 例えば、イリジウム192 を含浸したリボンを、必要な放射線量が与えられるま
で患者のステントした血管中に置くと、血管中の組織の成長が減少し、プラセボ
用のリボンを受け入れた対照群より大きな管腔径を示した。さらに、処理群では
脈管再生およびステント血栓症が顕著に低下した。同様の結果は、本明細書に記
載した放射性核種を含有する生理活性の複合体を標的に向けることにより予想さ
れる。
【0230】 本明細書に記載した生理活性のポリペプチドあるいは抗体複合物は、静脈内、
動脈内、あるいは導管内に送達することができ、あるいは意図する作用部位に局
部的に導入することができる。
【0231】 さらに、上記の方法は抗zsig45結合蛋白質を単離するために用いることができ
る。このような拮抗体は、例えば横紋筋肉腫、心臓の粘液腫、造骨細胞由来の骨
癌、および小人症の治療に、関節炎、靭帯および軟骨の修復に、単独あるいは他
の療法と組み合わせて用いられる。
【0232】 本発明の分子は、様々な甲状腺疾患、炎症、骨の疾患、月経の問題、心臓疾患
、骨、結腸、下垂体、および甲状腺の癌の解明および予防に有用である可能性が
ある。 zsig45ポリペプチドを符号化するポリヌクレオチドは、zsig45活性の増進ある
いは抑制を望む遺伝子療法の用途に有効である。哺乳動物が、突然変異あるいは
欠如したzsig45遺伝子を有する場合、zsig45遺伝子を哺乳動物の細胞中に導入す
ることができる。一実施形態においては、zsig45ポリペプチドを符号化する遺伝
子を、生体内でウィルスのベクター中に導入する。
【0233】 このようなベクターには、単純ヘルペスウィルス(HSV)、パピローマウィルス
、エプスタイン・バールウィルス(EBV)、アデノウィルス、レトロウィルス、ア
デノ随伴ウィルス(AAV)、などの弱毒あるいは欠陥DNA ウィルスがあるが、これ
には限定されない。完全に、あるいはほとんど完全に遺伝子を欠く、欠陥ウィル
スが好ましい。欠陥ウィルスは細胞に導入されたのち感染性でない。欠陥ウィル
スベクターは、ベクターが他の細胞に感染することを気にせずに、特異の局部的
領域の細胞に対する投与を可能にする。
【0234】 具体的なベクターの例には、欠陥単純ヘルペスウィルス1(HSV1)ベクター(K
aplitt等の論文、Molec.Cell.Neurosci.2:320 〜30, 1991) 、またStratford-Pe
rricaudet 等の論文、J.Clin.Invest.90:626〜30, 1992に記述されたベクターな
どの弱毒アデノウィルス、および欠陥アデノ随伴ウィルスベクター(Samulski等
の論文、J.Virol.61:3096 〜101, 1987 、Samulski等の論文、J.Virol.63:3822
〜8, 1989)があるが、これには限定されない。
【0235】 別の実施形態において、zsig45遺伝子を、例えばAnderson他の米国特許第5,39
9,346 号、Mann等の論文、Cell, 33:153, 1983、Temin 他の米国特許第4,980,28
9 号、Markowitz 等の論文、J.Virol.62:1120, 1988 、Temin 他の米国特許第5,
124,263 号、1995年3月16日公開のDougherty 他の国際特許公開番号WO95/07358
号、およびKuo 等の論文、Blood, 82:845, 1993 に記載されたレトロウィルスベ
クターに導入することができる。
【0236】 別法では、リポソームを用いてリポフェクチンによりベクターを生体内に導入
することができる。遺伝標識を符号化する遺伝子の生体内移入用リポソームを調
製するために、合成カチオン性脂質を用いることができる(Felgner等の論文、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA, 84:7413 〜7, 1987 、Mackey等の論文、Proc.Natl.Acad
.Sci.USA, 85:8027 〜31, 1988) 。外因性遺伝子を生体内の特定の器官に導入す
るためにリポフェクチンを使用することは、ある種の実用的な利点を有する。
【0237】 リポソームを分子的に特異細胞の標的に向けることは、利益の一分野を代表す
る。より具体的には、移入を特定の細胞に向けることは、利益の一分野を代表す
る。例えば、移入を特定の細胞型に向けることは、膵臓、肝臓、腎臓、および脳
など細胞の不均一性を伴なう組織には特に有利だろう。脂質は標的に向ける目的
で化学的に他の分子と結合させることができる。標的に向けられたペプチド(例
えば、ホルモンあるいは神経伝達物質)、抗体などの蛋白質、あるいは非ペプチ
ド分子は、化学的にリポソームと結合することができる。
【0238】 標的細胞を体から取り除くこと、ベクターを裸のDNA プラスミドとして導入す
ること、次いで形質転換細胞を体に再移植することが可能である。遺伝子療法用
の裸のDNA ベクターは、当業界で知られている方法、例えば移入、エレクトロポ
レーション、マクロインジェクション、細胞融合、DEDAデキストラン、リン酸カ
ルシウム沈降、遺伝子銃の使用、あるいはDNA ベクター輸送体により所望の宿主
細胞に導入することができる。例えばWu等の論文、J.Biol.Chem.267:963 〜7, 1
992 、Wu等の論文、J.Biol.Chem.263:14621 〜4, 1988 を参照されたい。
【0239】 生体内細胞増殖を抑制するなど、zsig45遺伝子の転写を阻害するためにアンチ
センスの方法体系を用いることができる。zsig45で符号化したmRNAと結合するよ
うに、またこのようなmRNAの翻訳を阻害するように、zsig45で符号化したポリヌ
クレオチド(例えば配列番号:1に示されたポリヌクレオチド)のセグメントに
対して相補性のポリヌクレオチドを設計する。このようなアンチセンスポリヌク
レオチドは、細胞培養中あるいは被験者中のzsig45ポリペプチドで符号化した遺
伝子の発現を阻害するために用いられる。
【0240】 「トランスジェニックマウス」と呼ばれるzsig45遺伝子を発現するように設計
されたマウス、および「ノックアウトマウス」と呼ばれるzsig45遺伝子機能の完
全な欠如を示すマウスもまた生成することができる(Snouwaert 等の論文、Scie
nce, 257:1083, 1992 、Lowell等の論文、Nature, 366:740 〜42, 1993、Capecc
hi, M.R.の論文、Science, 244:1288 〜1292, 1989、Palmiter, R.D.等の論文、
Annu Rev Genet.20:465 〜499, 1986)。
【0241】 例えば、至るところに同時に、または組織特異的あるいは組織限定的促進因子
の下でzsig45を過剰に発現するトランスジェニックマウスは、過剰発現が表現型
の原因となるかどうかを問うために用いることができる。例えば、野生型zsig45
ポリペプチド、ポリペプチド断片、あるいはその変異体の過剰発現は、正常な細
胞プロセスを変える可能性があり、結果として機能的にzsig45の発現と直接関連
する組織を識別する可能性のある表現型をもたらし、またzsig45、その作動体、
あるいは拮抗体に対する療法上のターゲットを示すかも知れない。
【0242】 例えば、設計される好ましいトランスジェニックマウスは、成熟したzsig45ポ
リペプチドを過剰に発現するものである。その上、このような過剰発現は、結果
としてヒトの疾病と類似性を示す表現型をもたらすかも知れない。同様に、ノッ
クアウトzsig45マウスは、zsig45が生体内のどこで絶対的に必要となるのかを決
定するために用いることができる。ノックアウトマウスの表現型は、本明細書に
記載したようなzsig45拮抗体が有するかも知れない生体内の作用を予言する。
【0243】 ヒトのzsig45cDNAは、ノックアウトマウスを引き続き生成させるために用いら
れる、マウスのzsig45mRNA、cDNA、およびゲノムDNA を単離するために用いるこ
とができる。これらのマウスは、zsig45遺伝子およびそれにより符号化された蛋
白質を生体系内で研究するために用いてもよく、また対応するヒトの疾病の生体
内モデルとして用いることができる。さらに、本明細書に記載したトランスジェ
ニックマウスのzsig45アンチセンスポリヌクレオチド、あるいはzsig45とは逆向
きのリボザイムの発現を、上記のノックアウトマウスと同様に用いることができ
る。
【0244】 zsig45を用いてその他の診断に適用することができる。例えば、zsig45遺伝子
、zsig45DNA またはRNA 、あるいはそれに続いて得られるものを含む探査子は、
病気の組織中でzsig45遺伝子が異なるように発現されるかどうかを決定するため
に用いることができる。例えばzsig45は、病気の中でもとりわけある種の膵臓、
前立腺、腸、咽喉、および肺の癌、あるいはこれらの組織と関連する他の疾病に
おいて発現する可能性がある。あるいは、ある組織中のzsig45の発現は、何らか
の病気の状態では正常な場合に対して減少するかも知れない。
【0245】 エネルギー平衡の調節に関しては、zsig45ポリペプチドを細胞の代謝反応の調
節のために用いることができる。このような代謝反応には、脂肪形成(adipogen
esis) 、糖新生、糖分解、脂肪形成(lipogenesis)、グルコース消費、蛋白質合
成、産熱、酸素利用などがある。zsig45ポリペプチドの発現パターンは、主要な
代謝器官である甲状腺における発現を示し、内皮細胞組織に対して甲状腺内およ
び外の作用を有するかも知れない。このような作用には、甲状腺あるいはその他
の組織の保護、再生、成長、および発達がある。
【0246】 内皮細胞の保護に関しては、zsig45ポリペプチドは器官の保存における低温保
存法用、イスケミアおよび/または炎症による傷を予防するために手術の前処置
用、あるいは同様の処理用に用いることができる。これに関しては、zsig45ポリ
ペプチドは、例えば脳などにおける2−デオキシ−グルコースの消費により実証
されるように、栄養摂取の調節に効用を見出すことができる。
【0247】 zsig45ポリペプチドは哺乳動物のエネルギー平衡を調節する可能性がある。甲
状腺のzsig45発現パターンは、zsig45が、例えばGLUT-1を通じてグルコース消費
に、また産熱(温度調節)に影響があるかも知れないことを示唆する。当業界で
知られている、あるいは本明細書に記載された方法の中でもとりわけ哺乳動物の
エネルギー平衡は、下記の代謝機能、すなわち脂肪形成(adipogenesis)、糖新
生、糖分解、脂肪形成(lipogenesis)、グルコース消費、蛋白質合成、産熱、酸
素利用などの1つまたは複数を監視することにより評価することができる。
【0248】 これらの代謝機能は下記に、より完全に示した、当業界の普通の技術者ならば
知っている技法(検定あるいは動物モデル)により監視される。例えば、インス
リンの糖調節作用は主に肝臓、骨格筋、および脂肪組織で発揮される。インスリ
ンはこれら三つの組織の細胞の受容体と結合し、結果として例えばグルコースの
産生を阻害し、グルコースの利用を刺激する組織特異的作用を始動する。肝臓に
おいてはインスリンはグルコースの消費を刺激し、糖新生および糖分解を抑制す
る。骨格筋および脂肪組織においてはインスリンはグルコースの消費、貯蔵、お
よび利用を刺激するように働く。
【0249】 zsig45ポリペプチドは甲状腺の中で発現するが、甲状腺外で代謝機能に影響す
る器官において活性を示すことができる。したがって、本発明の薬用組成物は、
膵臓の疾患の予防および治療に有用であるかも知れない。例えば、zsig45は、ID
DM、膵臓癌などで明らかなように、膵臓中の神経作用性ホルモンおよび外分泌細
胞の膨張の病理学的調節と関連する可能性がある。また、本発明の薬物組成物は
、血液のグルコース水準、インスリン抵抗性、あるいは消化機能の病理学的調節
に関連する機能障害を特徴とする膵臓の状態の予防および治療に含まれるかも知
れない。
【0250】 技術的に承認されている方法が、上記で引用した全ての代謝機能を監視するた
めに存在する。したがって、当業界の普通の技術者ならば代謝調節機能に対する
zsig45ポリペプチド、断片、融合蛋白質、抗体、作動体、および拮抗体を評価す
ることができる。典型的な調節技術を下記に示す。
【0251】 脂肪生成、糖新生及びグリコーゲン分解は、例えば ob/obマウス又は db/dbマ
ウスを用いて既知の技術により評価することのできる相互関係のある哺乳動物エ
ネルギー収支の構成要素である。 ob/obマウスは、ob(肥満)遺伝子座における
不活性突然変異についてホモ接合性をもつ同系繁殖マウスである。このような o
b/obマウスは、過食症で代謝低下状態にあり、循環するOB蛋白質の産生不全状
態にあると考えられている。
【0252】 db/dbマウスは、db(糖尿病)遺伝子座での不活性化突然変異についてホモ接
合性をもつ同系繁殖マウスである。 db/dbマウスは、それがより重症の糖尿病表
現型を示すという点を除いて、 ob/obマウスのものと類似した表現型を示す。か
かる db/dbマウスは、循環するOB蛋白質の効果に対し耐性をもつものと考えら
れている。同様に、これらのパラメータを評価するさまざまな in vitro 方法が
、当該技術分野において知られている。
【0253】 例えばインシュリンにより刺激された脂質生合成は、トリグリセリド内への14
c-アセテートの取込み(Mackall et al., J.Biol.Chem.251:6462-6464, 1976)又
はトリグリセリド蓄積(Kletzien et al., Mol.Pharmacol.41:393-398, 1992) を
測定することによって監視できる。
【0254】 例えば、インシュリンにより刺激されたグルコース輸送についての検定におい
てグルコース摂取を評価することができる。トランスフェクションを受けていな
い(G418の無い状態に維持された)分化されたL6筋管を、1g/ lのグルコー
ス、0.5 又は1.0 %のBSA, 20mM のHepes 及び2mMのグルタミンを含むDMEMの中
に置く。2〜5時間の培養後、培地を、0.5 又は1.0 %のBSA, 20mM のHepes, 1
mMのピルビン酸塩及び2mMのグルタミンを含む新鮮でグルコースを含まないDMEM
で置換する。
【0255】 適切な濃度のインシュリン又はIGF-1 又はテスト物質の希釈系列を添加し20〜
30分間細胞をインキュベートする。約50lMの最終濃度に至るまで 3H又は14Cで
標識づけされたデオキシグルコースを添加し、細胞を約10〜30分間インキュベー
トする。その後、細胞を低温緩衝液(例えばPBS)で迅速に洗い流し、その後適切
な溶解剤(例えば1%のSDS 又は1NのNaOH)で溶解させる。細胞溶解産物を次に
、シンチレーションカウンタ内での計数によって評価する。
【0256】 グルコース輸送の阻害物質であるサイトカラシンbの存在下で細胞をインキュ
ベートすることによって決定されるように、非特異的結合を減算した後のグルコ
ース輸送の尺度として、細胞関連放射能が取り上げられる。その他の方法として
は、例えば、 Manchester et al., Am.J.Physiol.266(Endocrinol.Matab.29):E3
26-E333, 1994 (インシュリン刺激型グルコース輸送)により記述されているも
のが含まれる。
【0257】 蛋白質合成は、例えば、35S−メチオニン及び35S−メチオニンと蛋白質合成
の推定上のモジュレータを用いたテスト細胞のインキュベーション後の35S−メ
チニオンで標識づけされた蛋白質の沈降を比較することによって評価することが
できる。B.Stanley により神経ペプチドY及びその他関連ペプチドの生物学、W.
Colmars 及び C.Wahlestedt (編)、Humana Press, オタワ、1993, p457〜507
の中で;又は C.Billington et al., Am.J.Physiol.260:R321, 1991; N.Zarjevs
ki et al., Endocrinology 133 :1753, 1993; C.Billington et al., Am.J.Phy siol.266 :R1765, 1994; Heller et al., Am.J.Physiol.252(4 Pt 2):R661-7, 1
987;及び Heller et al., Am.J.Physiol.245(3) :R321-8, 1983 によって記述さ
れているように、熱産生を評価することができる。同様に、さまざまな技術によ
って測定されうる代謝速度は、熱産生の間接的なサイズである。
【0258】 酸素利用は、 Heller et al., Pflugers Arch 369(1):55-9, 1977 によって記
述される通りに評価可能である。この方法には同様に、視床下部の温度及び代謝
熱生成の分析も関与していた。Haskell et al., J.Appl.Physiol.51(4):948-54,
1981 によって記述されているように、酸素利用及び熱調節も同様に人間におい
て評価されてきた。
【0259】 本発明のzsig45ポリペプチドは、神経内分泌/外分泌細胞の運命決定経路にお
いて 作用することができ、従って、膵臓内の神経内分泌及び外分泌細胞の膨張
を調節する能力をもつ。1つのこのような調節用途としては、膵島細胞の再生の
調節がある。同様に、IDDMを引き外しする自己免疫が子宮内で始まることが仮説
として立てられてきており、zsig45ポリペプチドは、細胞分割に関与する発達途
上の遺伝子である。
【0260】 外分泌/神経内分泌細胞系列の決定を監視するため、及び膵臓細胞バランスを
観察するため、及び上述の条件の予防又は治療においてzsig45ポリペプチド、フ
ラグメント、融合蛋白質、抗体、アゴニスト又はアンタゴニストを評価するため
の検定及び動物モデルが当該技術分野において知られている。
【0261】 当該技術分野において既知のものであるか又は本書に記述されているその他の
方法のうち、哺乳動物の内皮細胞組織の保護は、内皮組織の機能を監視すること
によって評価することができる。例えば、心臓(大動脈)の機能は、アセチルコ
リン放出、ノルエピネフリン放出などのパラメータを監視することによって評価
できる。これらのパラメータは、以下でさらに詳細に記述する通り、当業者にと
って既知の技術(検定又は動物モデル)によって監視される。
【0262】 アセチルコリン及びノルエピネフリン放出は、HPLCによって監視することがで
きる。Levy「洞房結節及び房室結節の電気生理学」、Alan R.Liss, Inc., 187-1
97, 1998は、冠状静脈洞流出物中のノルエピネフリンの測定について記述してい
る。さらに、動物の脈拍を電気的に調整することもでき、監視された結果は、El
sner, European Heart Journal 16 (別冊N)52-8, 1995; 及び Reiffel及びKu
ehnert, PACE 17 (Part1) :349-65, 1994 に記述されている通りである。
【0263】 zsig45ポリペプチドは同様に、結腸内でも発現される。かくして、本発明のzs
ig45ポリペプチド薬学組成物は、病的な分泌細胞の膨張又は分化に付随する障害
といったようなGI(胃腸)管内の消化障害の予防又は治療においても有用であり
得る。かかる膨張又は分化を監視するため及びその予防又は治療においてポリペ
プチド,フラグメント,融合蛋白質、抗体、アゴニスト及びアンタゴニストを含
むzsig45ポリペプチドを評価するための検定及び動物モデルが、当該技術分野に
おいて知られている。
【0264】 その上、腸内の三ツ葉因子が、消化管内の粘膜安定化及び急性損傷に付随する
修復プロセス特に上皮復旧に関与することが知られている。(Poulsom, R., Bail .Clin.Gastro ., 10:113-134, 1996; Sands, B.E.,及びPodolsky, D.K., Annu.R ev.Physiol ., 58:253-273, 1996),同様に、三ツ葉蛋白質は、腸の炎症性疾患
によりひき起こされた創傷を治ゆし粘膜分泌関与を介した微生物の侵入に抵抗す
る上で1つの役割をもつと思われる(Palut, A.N., Gew Eng.J.Med ., 336 :5-6
-507, 1997; Playford, R.J., J.Royal Coll.Phys.London, 31:37-41, 1997) 。
【0265】 表皮細胞成長因子(EGF)レセプタリガンドは、消化管内の三つ葉活性を増強さ
せる上で1つの役割を果たすことができる。しかしながら、粘膜損傷の修復は、
消化管内の主要外因性EGF レセプタリガンド、TNFaに依存するものではなく、そ
の他の未だ発見されていないリガンドの役割を示唆している。(Cook, G.A., et
al., Am.Physiol.Soc., G1540-G1549, 1997) 。例えば、zsig45ポリペプチドは
、三つ葉経路内でかかるリガンド、調節蛋白質又はその他の因子として役立つこ
とができ、かくして、消化管及び粘膜上皮に結びつけられた疾患及び損傷におい
て重要な治療的役割を果たす。
【0266】 EGF は同じく甲状腺内でも発現され、in vitroでの甲状腺細胞の成長及び分化
を変調させる(Dagogo-Jack, S., Afr.J.Med.Sci .,24:211-217, 1995) 。かくし
て、EGF レセプタとzsig45の相互作用は同様に、甲状腺の機能に影響を及ぼし、
甲状腺疾患又は甲状腺機能不全に結びつけられる疾病においてこうして治療的役
割を果たすこともできる。数多くの成長因子が、甲状腺組織内で検出されている
(Dagogo-Jack, S., ibid. )。zsig45は、これらのその他の因子の活性又は生物
学的経路のうちの単数又は複数のものに影響を及ぼす可能性がある。
【0267】 zsig45の甲状腺発現は、本発明のポリペプチドが甲状腺外組織の細胞膜に作用
することによって既知の甲状腺ホルモンに類似したものでありうるということを
示唆する。かくして本発明のポリペプチドは、細胞膜に対し非核効果を及ぼすこ
とができ、かつ心臓及びリンパ組織といった組織内の治療的応用分野において有
用でありうる。例えば、膜効果には、心筋層のNa+ −チャネルの不活性化又は
赤血球Ca2+-AT Pase活性の刺激が含まれる可能性がある。
【0268】 かくして、本発明のzsig45ポリペプチドは、心臓疾患又は心筋層収縮性の機能
不全又は腎臓、骨髄といった溶質輸送及びイオンチャネルに結びつけられたその
他の疾病、糖尿病、骨疾患、造血障害、免疫障害、白血病、高血圧、心臓肥大、
その他の心臓障害及び神経疾患といったような、遺伝性疾患及びその他のヒトの
疾病状態に結びつけられる筋肉、心臓及び/ 又は神経の病理の治療において使用
することができる。
【0269】 心臓機能に対する甲状腺機能の影響は、文書で充分に証明されている。 (Lomp
re, A., et al., J.Mol.Cell Cardiol., 26:1109-1121, 1994) 。動物では、甲
状腺機能亢進が収縮及び弛緩速度の増強に関係し、甲状腺機能低下が収縮性の減
少に関係している。これらの効果は、心筋層筋小胞体の中に見られるCa2+-ATPas
e を通して仲介される可能性がある。かかる効果は、以下で開示する検定を用い
て容易に測定可能である。
【0270】 本発明の分子の心臓活性は、ランゲンドルフ検定を用いて測定することができ
る。この好ましい検定は、実験動物について ex vivoで心臓機能を測定し、当該
技術分野では周知のものである。実験動物は、例えばラット、ウサギ、及びテン
ジクネズミであるが、これらに限られるわけではない。心臓組織に対する緩性効
果は、被験動物を1〜7日またはそれ以上の間ZSIG45ポリペプチドで処置した後
で測定できる。対照動物には緩衝液のみが与えられることになる。
【0271】 処置の後、心臓を除去し、大動脈を通して逆行して灌流を行なう。灌流中、時
間あたりの冠状動脈血流量、左心室(LV)圧力及び心拍数といった複数の生理
学的パラメータが測定される。これらのパラメータは直接心臓機能を反映してい
る。対照動物との関係における、zsig45ポリペプチドで in vivoで処置した後ラ
ンゲンドルフ検定によって測定されるようなこれらのパラメータの変化は、心臓
機能に対するこのポリペプチドの緩性効果を表わしている。
【0272】 その上、ランゲンドルフ検定は同様に、心臓に対するzsig45ポリペプチドの急
性効果を測定するためにも利用することができる。かかる利用分野においては、
未処置の動物からの心臓が使用され、検定の中で灌流液に対してzsig45ポリペプ
チドが添加される。以上で評価されたパラメータが測定され、zsig45ポリペプチ
ドが灌流液から削除された対照の心臓からの結果と比較される。心拍数、時間あ
たりの圧力変化及び/ 又は冠状動脈血流量の差が、心臓の機能に対する本発明の
分子の急性効果を示している。
【0273】 本発明の分子の活性は同様に、イオンチャネル活性を測定するさまざまな検定
を用いても測定することができる。特に有利なのは、細胞膜を横断するイオン移
送を測定することである。かかる検定は、当該技術分野において周知のものであ
る。新しいイオンチャネル又はその調節物質の活性を評価するための特定的検定
には、ツメガエル卵母細胞内の電圧依存性コンダクタンスを測定する生物学的検
定が含まれるが、これに制限されるわけではない(Rudy, B., Iverson, L.E., ed
s., Meth.Enzymol., vol.207, Academic Press, San Diego, CA, 1992; Hamill,
O.P.et al., Pfluegers Arch. 391 :85-100, 1981; Moorman, J.R.et al., J. Biol.Chem.267 :14551-14554, 1992; Durieux, M.E., et al., Am.J.Physiol.2 63 :C896-C900, 1992を参照のこと。
【0274】 この方法には分離された卵母細胞内にin vitroで発現されたmRNAを注入し、パ
ッチクランプ技術を用いて電圧依存性コンダクタンスを評価することが関与して
いる。インオチャネル又はその調節物質が、この検定システムにおいて電圧依存
性コンダクタンスを増大させる可能性がある。このシステムは、昆虫及び哺乳動
物細胞といったようなその他の細胞型に適用することができる(Rudy, B, Ivers
on, L.E., eds., 同書を参照のこと)。
【0275】 その他の検定には、Fura2といったようなキレート化剤染料を用いて、哺乳動
物又はその他の細胞型の中で間接的にイオンチャネル活性を測定することが関与
する(例えば、 James-Kracke M.R., J.Gen.Physiol . 99:41-62, 1992; Raghu,
P.et al., Gene190 :151-156, 1997を参照のこと)。イオンチャネル活性は同
様に、125 I外向きフラックス検定といったような放射線標識付けされたイオン
を使用することによっても監視することができる(Xia, Y.et al., J.Membr.Biol . 151 :269-278, 1996) 。
【0276】 その他の検定には、例えば、ここで開示されるような適切なプロモータの下で
例えばルシフェラーゼといった測定可能なリポータ遺伝子の発現を駆動すること
によって、イオンフラックス又はイオンチャネルリン酸化によって合図される哺
乳動物細胞内の遺伝子発現の変化を測定する作業が関与する。
【0277】 本発明の分子は、心筋細胞又は筋原細胞といった心臓組織細胞;骨格筋細胞又
は筋原細胞及び平滑筋細胞;軟骨細胞;内皮細胞;含脂肪細胞及び骨芽細胞のin
vitroでの増殖にとって有用でありうる。例えば、本発明の分子は、規定の細胞
培地の成分として有用であり、細胞培養において一般に用いられる血清を置換す
るためその他のサイトカイン及びホルモンと組合せた形か又は単独で使用するこ
とができる。本発明の分子は培養中の筋細胞の成長及び/ 又は発達を特異的に促
進する上で特に有用であり、心筋細胞過形成及び再生の研究において有用である
ことも判明する可能性がある。
【0278】 本発明のポリペプチド,核酸及び/ 又は抗体は、心筋梗塞、うっ血性心不全、
肥厚性心筋症及び拡張型心筋症に付随する障害の治療において使用することがで
きる。本発明の分子は同様に、心臓発作後の梗塞の規模を制限し、心臓移植後の
回復を助け、血管形成術又は静脈血管内膜切除後の血管形成及び創傷治ゆを促進
して冠状動脈側副血行を発達させるため、及び眼内の血管再生のため、糖尿病性
足部潰瘍といった血行不良に関連する合併症、薬学的方法を用いた冠状動脈再灌
流の後の卒中及び血管形成が有利であるようなその他の適応症のためにも有用で
ありうる。
【0279】 本発明の分子は、心筋細胞新生及び/ 又は過形成を誘発すること、冠状動脈側
副発達を誘発すること又は壊死心筋層部域の再建を誘発することのいずれかによ
って、心臓機能を改善するために有用でありうる。本発明のためのその他の治療
的用途には、骨格筋新生及び/ 又は過形成の誘発、腎臓再生及び/ 又は全身性及
び肺高血圧症の治療が含まれる。
【0280】 zsig45で誘発された冠状動脈側副発達は、慢性冠状動脈閉塞のモデルを用いて
ウサギ、イヌ又はブタにおいて測定される(Landau et al., Amer.Heart J. 29:9
24-931, 1995; Sellke et al., Surgery120(2); 182-188, 1996:及びLazarous e
t al., 1996,同書)。zsig45の卒中治療に対する効力は、両側頸動脈閉塞を利用
し組織学的変化ならびに迷路遂行能力を測定することによって、ラットにおいて in vivoでテストされている(Gage et al., Neurobiol.Aging 9 :645-655, 19
88) 。高血圧におけるzsig45の効力は、全身性高血圧症について、自然発症高血
圧ラット(SHR)を用いて in vivoでテストされている(Marche et al., Clin.Exp .Pharmacol.Physiol . Suppl. 1 :S114-116, 1995)。
【0281】 本発明のポリヌクレオチドは同様に、疾病又はその他の人間の形質に結びつけ
られるヒト染色体2上の異常を検出するためにも使用される。本発明のポリヌク
レオチドは、ヒト染色体2上の2q37. 3 領域に対してマッピングする。zsig45遺
伝子はWICGR 放射線ハイブリッド地図上でヒト染色体2連鎖群の最上部から1086
.2cR3000をマッピングする。近位及び遠位フレームワークマーカーはそれぞれWI
-6310(D2S2704)及びD2S2585 であった。周辺マーカーの使用によって、統合型LD
B 染色体2地図上の2q37.3領域内でzsig45遺伝子が位置づけされる。
【0282】 本発明は同様に、診断の利用分野において使用されることになる試薬をも提供
する。例えば、zsig45DNA 又はRNA 又はその下位配列を含むプローブを使用して
、染色体2上にzsig45遺伝子が存在するか否か又は突然変異が発生したか否かを
決定することができる。zsig45遺伝子座における検出可能な染色体異常には、異
数性、遺伝子写し数変化、挿入、欠失、制限部位変化及び再配置が含まれるが、
これらに限られるわけではない。
【0283】 かかる異常は、制限フラグメント長多型現象(RFLP)分析、PCR 技術を利用し
た短縦列反復(STR)分析及び当該技術分野において既知のその他の遺伝連鎖分析
技術といった分子遺伝技術を利用することによって本発明のポリヌクレオチドを
使用して検出可能である。(Sambrook et al., 同書; Ausubel, et al.,同書; Ma
rian, A.J., Chest , 108 :255-265, 1995) 。
【0284】 zsig45ポリヌクレオチドプローブは、人間の疾病状態において現われる2q37.3
に結びつけられた又はここに位置特定された異常又は遺伝子型を検出し、かつヒ
トゲノムのこの領域にマッピングするために使用することができる。一般に利用
できるwww サーバー上で染色体2のこの領域についてのオンラインヒトメンデル
遺伝(OMIM)遺伝子地図を参照のこと(http.//www3.ncbi.nlm.nih.gov/htbin-p
ost/Omim/getmap?chromosome=2q37.3)。人間の疾病状態において現われるこれら
のもの全てが、zsig45遺伝子と同じ染色体領域に対する連鎖を示す遺伝性疾患の
ための考えられる遺伝子候補として役立つ。
【0285】 同様にして、zsig45遺伝子座自体の中の欠損は、結果としてヒトの遺伝性疾病
状態をもたらす可能性がある。本発明の分子例えば本発明のポリペプチド,アン
タゴニスト,アゴニスト,ポリヌクレオチド及び抗体は、zsig45遺伝子欠損に結
びつけられる検出、診断、予防及び治療を助けるものとなる。
【0286】 zsig45を用いたその他の診断的応用も利用可能である。例えば、zsig45DNA 又
はRNA 又はその下位配列を含むzsig45遺伝子プローブを用いて、zsig45遺伝子が
疾病を患う組織内で異なる形で発現されているか否かを見極めることができる。
かくして、かかるzsig45プローブを、甲状腺機能の評価に使用することが可能で
ある。例えば、その他の疾病の中でも、zsig45は、或る種の甲状腺ガン、下垂体
ガン、結腸ガン、骨ガン及び内分泌腺ガン又はこれらの組織に結びつけられるそ
の他の疾病の中で発現され得る。一変形形態では、或る種の組織内のzsig45の発
現は、正常組織に比べて或る種の組織内で減少しうる。
【0287】 薬学的用途のためには、本発明のポリペプチドは、従来の方法に従った非経口
、特に静脈内又は皮下での送達用に製剤される。静脈内投与は、1時間から数時
間の標準的周期にわたる巨丸剤注射又は輸注によるものとなる。局所的効果が好
まれる応用、例えば局所化された(例えば甲状腺)基幹細胞からの或るタイプの
成熟細胞の形成に影響を及ぼすことを目的とする応用分野については、局所投与
向けに設計された製剤形態が好ましい。かかる薬学組成物は、例えば、移植又は
その他の局所的送達方法に順応でき、さらに持続放出向けに製剤することができ
る。さまざまな投与様式のための薬学組成物の製剤が、当業者の技術レベルの範
囲内に入るものである。
【0288】 一般に、薬学製剤は、食塩水、緩衝食塩水、5%ブドウ糖水溶液などのような
薬学的に受容可能なビヒクルと組合わせた形でzsig45ポリペプチドを内含するこ
とになる。製剤にはさらに、単数又は複数の賦形剤、防腐剤、溶解補助剤、緩衝
剤、バイアル表面上での蛋白質損失を予防するためのアルブミンが内含されてい
てよい。製剤方法は、当該技術分野において周知のものであり、例えば Remingt
on:「調剤の科学と実践」Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, RA,第
19版,1995の中で開示されている。
【0289】 治療的用量は一般に、処置すべき条件の性質及び重症度、患者の形質などを考
慮に入れて、受容された規格に従って臨床医により決定されることになる。用量
の決定は、当業者の技量レベル範囲内にある。ポリペプチドは急性処置のために
は1週間以下の期間、往々にして1〜3日間にわたり投与でき、そうでなければ
緩性処置においては数カ月又は数年にわたり使用可能である。 本発明について、さらに、以下の制限的意味のない例を用いて説明する。
【0290】 実施例 例1zsig45の同定 A.全長zsig45を得るためのEST 配列の使用 照会プログラムとしてシグナルトラップを用いて、翻訳された社内下垂体ライ
ブラリを走査した結果、ヒト分泌シグナル配列と相同であることが判明した発現
済み配列 tag(EST)配列が同定された。同定されたEST からオリゴヌクレオチド
プライマを設計した。ヒト下垂体cDNAライブラリから全長クローンを分離するべ
く、EST 内部でのプライミングのため、これらのプライマを用いた。
【0291】 B.全長zsig45cDNAの分離 全長cDNAを得るため、3'RACEを利用した。鋳型としてヒト下垂体cDNAライブラ
リを、又プライマとしてオリゴヌクレオチドZC694(配列番号16)及びZC14, 030(
配列番号17)を用いて、3'RACE産物を生成した。この第1回3'RACE PCR反応は、
5分間94℃で1サイクル;30秒94℃で35サイクル、次に30秒55℃、次に3分間72
℃といった要領で実行された。
【0292】 結果として得られたDNA 産物を1.5 %のアガロースゲル上で電気泳動させ、約
650bp で顕著なバンドが見られた。このDNA バンドをゲル精製し、PCR-blunt (
商標)ベクタ内にサブクローニングさせた(Invitrogen, San Siego, CA)。サブ
クローンの配列分析により、DNA 産物がEST DNA 配列を内含していることが明ら
かになった。
【0293】 この650bp インサートを、EcoR Iでの制限酵素消化によりベクターから解放さ
せ、1%のアガロースゲル上で電気泳動させた。市販のゲル抽出キットを用いて
フラグメントを精製し、次に、ランダムプライムラベリングシステムであるPrim
e-I tII(Stratagene Cloning Systems, La Jolla, CA)をメーカーの仕様に従っ
て利用して32P-dCTPで放射能標識付けした。その後、Nuc-Trap(商標)カラム(
Stratagene)をメーカーの指示書に従って用いて、プローブを精製した。
【0294】 予備ハイブリダイゼーションのため、及びヒト下垂体ライブラリのコロニーリ
フトのためのハイブリッド形成用溶液として、Express Hyb (商標)(Clontech
, Palo Alto, CA )溶液を使用した。ハイブリダイゼーションは、標識付けされ
たプローブを5×106 cpm/mlを用いて65℃で一晩中行なわれた。コロニーリスト
を次に、65(℃)で2×SSC/1 %SDS 中で洗浄し、その後55(℃)で0.1 ×SSC/
0.1 %SDS 中で洗浄した。ハイブリッド形成用クローンを分離させ、全長cDNAを
コードするzsig45蛋白質を含有することを発見した。
【0295】 例2組織分布 ヒト多重組織ブロット(MTNI, MTN II及びMTN III)(Clontech)を用いて、ノー
ザンブロット分析を実施した。例1に記述されているクローニングされた650bp
のインサートを含有するベクターを制限酵素で消化させ、1%のアガロースゲル
上で電気泳動させた。650bp のフラグメントを市販のキット(Qiae×II(商標)
;Qiagen)を用いて精製し、その後、ランダムプライムラベリングシステムであ
る Prime-It II(Stratagene Cloning Systems)をメーカーの仕様に従って使用し
て、32P-dCTPで放射能標識づけした。
【0296】 その後、Nuc-Trap(商標)カラム(Stratagene) をメーカーの指示書に従って
用いて、プローブを精製した。予備ハイブリダイゼーションのため、及びノーザ
ンブロットのためのハイブリッド形成用溶液として、Express Hyb (商標)(Cl
ontech, Palo Alto,CA)溶液を使用した。ハイブリダイゼーションは、標識付け
されたプローブを5×106 cpm/mlを用いて65℃で一晩中行なわれた。
【0297】 ブロットを次に65(℃)で2×SSC/1 %SDS 中で洗浄し、その後55(℃)で0.
1 ×SSC/0.1 %SDS 中で洗浄した。約650bp で1つの写しサイズを検出した。シ
グナル強度は、甲状腺について最高であった。ブロット上に代表されたその他の
いずれの組織内にも、650bp でのシグナル全く存在しなかった。
【0298】 ヒトRNA マスターブロット(商標)(Clontech) を用いてドットブロットも実施
した。ドットブロットのための方法及び条件は、以上で開示した多重組織ブロッ
トの場合と同じである。甲状腺及び下垂体内に強いシグナル強度が存在した。結
腸内では、比較的低い強度のシグナルが示された。
【0299】 例3zsig45遺伝子のPCR ベースの染色体マッピング 市販の「Gene Bridge 4放射線ハイブリッドパネル」(Research Genetics, In
c., Huntsville, AL) を用いて、zsig45を、染色体2に対しマッピングした。Ge
ne Bridge 4放射線ハイブリッドパネルは、93の放射線ハイブリッドクローン各
々からのDNA と2つの対照DNA(HFL ドナー及びA23 レシピエント)を含んでいる
【0300】 一般に利用可能なwww サーバー(http://www-genome.wi.mit.edu/cgi-bin/con
tig/rhmapper.pl)が、Gene Bridge 4放射線ハイブリッドパネルを用いて構築さ
れたヒトゲノムの Genome Researchの放射線ハイブリッド地図のため Whitehead
Institute/MIT Center との関係におけるマッピングを可能にする。「Gene Bri
dge 4RH パネル」を用いたzsig45のマッピングのために、20μlの反応を96ウェ
ルのマイクロタイタープレート(Stratagene, La Jolla, CA)内に据えつけ,「
RoboCycler Gradient 96」サーマルサイクラー(Stratagene) の中で使用した。
【0301】 95のPCR 反応の各々は、2μlの10×KlenTaq PCR 反応緩衝液(Clontech),
1.6 μlのdNTPs 混合物(各2.5mM, Perkin-Elmer, Foster City, CA),1μlの
センスプライマ,zc15, 414 (配列番号18),1μlのアンチセンスプライマ,
zc15, 413 (配列番号19),2μlの「RediLoad」(Research Genetics, Inc.),
0.4μlの50λAdvantage KlenTaq Polymerase Mix(Clontech), 25ngの個々のハ
イブリッドクローン又は対照からのDNA 及び合計体積20μlとなるまでのddH2O
で構成されていた。
【0302】 反応の上に等量の鉱油を入れ、密閉した。PCR サイクラー条件は以下の通りで
あった:95℃で5分の変性の最初の1サイクル;95℃で1分の変性、62℃で1分
のアニーリングそして72℃で1.5 分の拡大を40サイクル;その後の72℃で7分間
の拡大の最後の1サイクル。反応を2%のアガロースゲル上での電気泳動により
分離させた(Life Technologies, Gaithersburg, MD)。
【0303】 結果は、zsig45がWICGR 放射線ハイブリッド地図上でヒト染色体2連鎖群の最
上部から1086.2cR-3000 をマッピングすることを示した。近位及び遠位フレーム
ワークマーカーは、それぞれWI-6310(D2S2704)及びD2S2582 であった。周辺マー
カーを使用することにより、統合型LDB 染色体2地図上で2q37.3領域内にzsig45
が位置づけされる(Genetic Location Database,サザンプトン大学、www サーバ
ー:30 http//cedar.genetics.soton.ac.uk/public-html/) 。
【0304】 例4zsig45アミノ末端Glu-Glu タグ付け及びカルボキシ末端Glu-Glu タグ付 けされた酵母発現ベクターの構築及び発現 ピチア・メタノリカ(Pichia Methanolica)内でのzsig45の発現では、同時譲
渡されたWIPO公報WO97/17450中で記述された発現システムが利用される。相同組
換えを介して、ポリヌクレオチドをコードするzsig45の全て又は一部を含む発現
プラスミドが構築される。C末端Glu-Glu タグ付け(CEE)又はN末端Glu-Glu タ
グ付け(NEE)されたzsig45ポリペプチドを発現するためpCZR204 から発現ベクタ
ーを構築した。
【0305】 pCZR204 ベクターは、AUG1プロモータとそれに続くαFppリーダー配列、及び
それに続くN末端Glu-Glu タグ、平滑末端SmaI制御部位、カルボキシ末端ペプ
チドタグ(Glu-Glu),翻訳停止コドン、それに続くAUG1ターミネータ、ADE2選択
性マーカーそして最後にAUG1 3' 未翻訳領域を含む。同じくこのベクター内に含
まれるのは、サッカロミセス・セレビシエー(S.cerevisiae)の中での選択及び
複製のために必要とされるURA3及びCEN-ARS 配列、及びE.coli内での選択及び複
製に必要とされるAmpR及び colE1 ori配列である。これらのベクター内に挿
入されたzsig45配列は、zsig45アミノ酸配列(配列番号2)の残基47(Lys)で始
まる。
【0306】 各構成体について2つのリンカーを調製し、zsig45と共に、上述の酵母発現ベ
クターへと相同的に組換えた。タグ付けされていないN末端リンカー(配列番号
20)は、1方の端部でアルファ因子プレプロ(αFpp)コーディング配列の70の
塩基対にまたがり、もう1方の端部で成熟zsig45配列からのアミノ末端コーディ
ング配列の70の塩基対にそれを接合させる。
【0307】 NEE タグ付けされたリンカー(配列番号21)はαFppコーディング配列とzsig
45配列の間でGlu-Glu タグ(配列番号22)を接合させる。タグ付けされていない
C末端リンカー(配列番号23)は、AUG1ターミネータ配列の70の塩基対を伴って
、片端上のzsig45のカルボキシ末端コーディング配列の約70の塩基対にまたがっ
ている。
【0308】 CEE タグ付けられたリンカー(配列番号24)は、zsig45のC末端端部とAUG1タ
ーミネータ領域の間にGlu-Glu タグ(配列番号22)を挿入する。NEE タグ付けさ
れたzsig45を作るためには、相同組換え事象においてNEE タグ付けされたリンカ
ーとタグ付けされていないC末端リンカーを利用した。CEE −タグ付けされたzs
ig45を作るためには、相同組換え事象において、タグ付けされていないN末端リ
ンカーとCEE タグ付けされたリンカーを利用した。
【0309】 NEE タグ付けされたzsig45プラスミドの構築 サッカロミセス・セレビシエー(S.cerevisiae)(SF838-9D)の中で、Sma I消
化されたpCZR204 アクセプタベクター100ng, EcoRI−Bam HIzsig45cDNAドナ
ーフラグメント1μg,NEE タグ付けされたzsig45リンカー(配列番号21)1μ
g及びC末端のタグ付けされていないリンカー(配列番号23)1μgを相同的に
組換えることによってNEE タグ付けされたzsig45プラスミドを作った。(Rothman
, J.et al., EMBO J. :2057-2065, 1989) 。
【0310】 NEE −zsig45リンカーは、PCR 反応により合成した。100ml の最終反応体積に
対して、センス及びアンチセンス中央オリゴ、それぞれzc13, 731 (配列番号25
)及びzc15, 264 (配列番号26)を各々1pmolずつ;センス及びアンチセンスオ
リゴプライマー、それぞれzc13, 497 (配列番号27)及びzc15, 272 (配列番号
28)を各々100pmol ずつ;10×PCR 緩衝液(Boehringer Mannheim)10μl,Pwo
ポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)1μl,0.25mMの三リン酸ヌクレオチドミ
ックス(Perkin Elmer) 10μl及びdH2Oを添加した。PCR 反応は、94℃30秒、50
℃で1分、72℃で1分、最後に72℃で6分間の拡大で締めくくる10サイクルで行
なわれた。結果として得られた338bp の2本鎖NEE タグ付けリンカーは、配列番
号21で開示されている。
【0311】 C末端のタグ付けされていないzsig45リンカーを、センス及びアンチセンス中
央オリゴ、それぞれzc15, 725 (配列番号29)及びzc15, 633 (配列番号30)及
びセンス及びアンチセンスオリゴプライマ、それぞれzc15, 271 (配列番号31)
及びzc13, 734 (配列番号32)を用いて記述された通りにPCR 反応を介して作っ
た。結果として得た290bp の2本鎖C末端のタグ付け無しのリンカーは、配列番
号23で開示されている。
【0312】 CEE-zsig45プラスミドの構築 サッカロミセス・セレビシエー(S.cerevisiae)の中で、SmaI消化されたpC
ZR204 アクセプタベクター100ng ,EcoRI-BamHIzsig45cDNAドナーフラグメント
1μg,N末端タグ付け無しのzsig45リンカー(配列番号20)1μg及びCEE タ
グ付けされたリンカー(配列番号24)1μgを相同的に組換えることによってCE
E-zsig45プラスミドを作った。
【0313】 N末端タグ付け無しのzsig45リンカーは、センス及びアンチセンス中央オリゴ
、それぞれzc15, 14, 821 (配列番号33)及びzc15, 265 (配列番号34);及び
センス及びアンチセンスオリゴプライマー,それぞれzc14, 822 (配列番号35)
及びzc15, 272 (配列番号28)を用いて、上述のとおりにPCR 反応を介して作っ
た。結果として得た244bp の2本鎖N末端タグ付け無しのリンカーは、配列番号
20で開示されている。
【0314】 CEE タグ付けされたリンカーは、センス及びアンチセンス中央オリゴ、それぞ
れzc15, 763 (配列番号36)及びzc15, 633 (配列番号30);及びセンス及びア
ンチセンスオリゴプライマー、それぞれzc15, 271 (配列番号31)及びzc13, 73
4 (配列番号32)を用いて、上述のとおりにPCR 反応を介して作った。結果とし
て得た約288bp の2本鎖のCEE タグ付けされたリンカーは、配列番号24で開示さ
れている。
【0315】 コンピテント酵母細胞(S.cerevisiae) 100 マイクロリットルを、以上からの
さまざまなDNA 混合物10mlと独立して組合せ、0.2 cmの電気穿孔用キュベットに
移した。酵母/DNA 混合物を0.75KV(5KV/cm),∞オーム、25μFで電気パルスに
付した。各キュベットに対し、1.2Mのソルビトール600 μlを添加し、300 μl
のアリコート2つの形で酵母を2枚のURA D 平板上に固定し、30℃でインキュベ
ートした。
【0316】 約48時間後に、単一の平板からのUra+ 酵母形質転換体を2.5 mlのH2O 中に再
懸濁させ、簡単に回転させて酵母細胞をペレット化した。細胞ペレットを1mlの
溶菌緩衝液(2%の Triton X-100 ,1%のSDS, 100mMのNaCl, 10mMのトリス、
pH8.0, 1mMのEDTA)中で再懸濁させた。500 マイクロリットルの溶菌混合物を、
300 μlの酸洗い済みガラス溶球と200 μlのフェノールクロロホルムが入った
エッペンドルフ管に添加し、1分の間隔で2〜3回渦流に付し、その後最大速度
でエッペンドルフ遠心機内で5分間回転させた。
【0317】 300 マイクロリットルの水相を新しい試験管に移し、DNA を600 μlのエタノ
ール(EtoH)で沈降させ、その後4℃で10分間遠心分離に付した。DNA ペレット
を100 μlのH2O 中に再懸濁させた。
【0318】 1μlの酵母DNA prep及び50μlのMC1061細胞を用いて、電気コンピテントE.
Coli細胞の形質転換(MC1061: Casadaban, M.及び S.Cohen.J.Mol.Biol.138:17
9-207, 1980)を行なった。細胞を、2.0KV, 25 μF及び400 オームで電気パルス
に付した。電気穿孔法の後、1mlのSOC (2% Bacto(商標)トリプトン(Difc
o, Detroit, MI),0.5 %の酵母エキス(Difco), 10mMのNaCl, 2.5mM のKcl, 1
0mM のMgCl2, 10mM のMgSO4, 20mM のグルコース)を、4枚のLBAMP 平板上に、
250 μlのアリコートの形で固定した(LB肉汁(Lennox),1.8 %の Bacto(
商標)寒天(Difco), 100mg/Lのアンピシリン)。
【0319】 NEE 及びCEE タグ付けされたzsig45構成体のための適正な発現構成体を含む個
々のクローンをPCR 及び制限消化物によって同定し、zsig45インサートの存在を
確認し、さまざまなDNA 配列が互いに正しく接合されたことを確認するために配
列分析を使用した。メーカーの指示に従って Qiagen Maxiキット(Qiagen)を用
いて、より大規模なプラスミドDNA を分離し、ベクターバックボーンから Pichi
a-zsig45発現カセットを解放させるべくNotIを用いてDNA を消化させた。
【0320】 NotIで制限消化されたDNA フラグメントを次に、Pichia methanolica発現宿主
、PMAD16へと形質転換させた。これは、調製されたコンピテントPMAD16細胞100
μlを10μgのNotI制限消化済みzsig45と混合することによって行なわれ、これ
を0.2cm の電気穿孔用キュベットに移した。酵母/DNA 混合物を0.75KV, 25mF,
無限オームで電気パルスに付した。
【0321】 キュベットに対し、1Mのソルビトール1mlを加え、500 μlのアリコートを
、選択のため2枚のADEDS(0.056 %-Ade-Trp-Thr粉末、0.67%のアミノ酸無しの
酵母窒素基剤、2%のD−グルコース、0.5 %の200 ×トリプトファン、トレオ
ニン溶液、及び18.22 %のD−ソルビトール)平板上に固定させ、30℃でインキ
ュベートした。
【0322】 クローンを拾い上げ、高レベルzsig45発現のためウェスタンブロットを介して
スクリーニングした。結果として得た酵母細胞を含むNEE −タグ付けされたzsig
45プラスミドを、PMAD16:iPCZR207 と呼称し、酵母細胞を含有するCEE タグ付け
されたzsig45プラスミドをPMAD16:PCZR210と呼称した。その後クローンを発酵に
付した。
【0323】 ZSIG45NEE の発現のためのピチア・メタノリカ(P.methanolica)PMAD16:PCZR2
07の発酵は、6.0 リットル補給のバッチ発酵において行なった。発酵は、3.0 リ
ットルの基本培地とグルコースの中で開始した。30℃でYEPD内で成長させた20時
間経過後の振とうフラスコからタンクの接種を行なった(8.0% v/v)。グルコー
スの秤量実施は12時間目で開始し、残りの発酵中さまざまな速度で実施した。
【0324】 ZSIG45NEE 蛋白質のAUG1プロモータ駆動発現の誘発は、40時間という発酵経過
時間で、メタノール秤量開始によってオン切換えされた。発酵は72時間実施され
、遠心分離によって収獲を行なった。5.5 リットルの発酵肉汁から、細胞除去後
約3.0 リットルの細胞肉汁を得た。N末端 glu-gluタグに対しモノクローナル抗
体でプローブ探査した後、ウェスタンブロット上で、グリコシル化されない蛋白
質を検出した。
【0325】 ZSIG45CEE の発現のためのピチア・メタノリカ(P.methanolica)PMAD16:PCZR2
10.1の発酵を、上述のとおりに行なった。グリコシル化されない蛋白質を、C末
端 glu:gluタグに対するモノクローナル抗体を用いたプローブ探査の後、ウェス
タンブロット上で検出した。
【0326】 例5ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)の感染を受けた細胞からの zsig45CEE 及びzsig45NEE ポリペプチドの精製 相反する記載のないかぎり、全ての作業は4℃で実施した。C末端又はN末端 Glu Glu(EE)タグを含むzsig45ポリペプチドを精製するために、以下の手順を
使用した。
【0327】 2.5mM のエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA,Sigma Chemical Co. St. Louis
, MO),0.001mM のロイペプチン(Boehringer-Mannheim, Indianapolis, IN),
0.001mM のペプスタチン(Boehringer-Mannheim)及び0.4mM のPefabloc(Boehri
nger-Mannheim)という最終濃度になるまで、Pichia培養(例4参照)からの調整
培地3000mlに対してプロテアーゼ阻害物質溶液を加えた。
【0328】 標本を、Beckman Avanti J25I 遠心機(Beckman Instruments)中の Beckman J
LA-10.5 ローター(Beckman Instrument, Palo Alto, CA )内にて4℃で30分間
10000rpmで遠心分離させ、細胞破片を除去した。上清分画に対し50.0mlの抗EEセ
ファロース(以下で記述する)通りに調製されたもの)を添加し、混合物を4℃
で18時間、Wheaton (Millville, NJ)ローラー培養装置の上で穏やかに撹拌させ
た。
【0329】 混合物を5.0 ×20.0cmの Econo−カラム(Bio-Rad, Laboratories, Hercules, CA)内に注ぎ込み、抗−EEセファロースゲルを、30カラム体積のリン酸緩衝溶液
(PBS)で浄浄した。保持されなかったフロースルー分画の280nM での吸収度を、
それが0.05未満となるまで測定した。フロースルー分画は廃棄した。フロースル
ーの吸収度がひとたび0.05未満となった時点で、カラム流量をゼロまで低減させ
た。次に抗EEセファロースゲルを、4℃で1時間、0.2 mg/mlのEEペプチドを含
有する2.0 カラム体積のPBS(Anaspec, San Josi, CA)で洗浄した。
【0330】 使用したEEペプチドは、N−GluTyrMetProValAsp-Cという配列(配列番号37)
を有する。洗浄後、カラム流を再開させ、zsig45CEE (又はzsig45NEE)ポリペプ
チド及びEEペプチドの両方を含有する溶離したポリペプチドを収集した。この分
画を「ポリペプチド溶離分画」と呼ぶ。抗−EEセファロースゲルを、2.0 カラム
体積の0.1Mのグリシン、pH2.5 で洗浄し、グリシン洗浄液を別々に収集した。少
量の10×PBS を添加することによりグリシン−溶離された分画のpHを7.0 に調
整し、必要とあらば将来分析するため4℃で保管した。
【0331】 分子量3000の遮断膜濃縮機(Millipore, Bedford, MA)をメーカーの指示に従
って使用して、ポリペプチド溶離分画を5.0 mlまで濃縮させた。遊離EEペプチド
からzsig45EE又はzsig45NEE ポリペプチドを分離するため、Bio Cad Sprint HPL
C を用いて1.0 ml/分の流量でPBS 中で平衡化された1.5 ×50cmの Sephadex G-
50(Pharmacia, Piscataway, NJ)カラム上で、濃縮されたポリペプチド溶離分画
をクロマトグラフィに付した。
【0332】 2mlの分画を収集し、280nM での吸収度を監視した。280nM で吸収しカラムの
空隙容積近くで溶離する材料の最初のピークを収集した。この材料は、精製され
たzsig45CEE 又はzsig45NEE ポリペプチドを代表したものであり、抗EE抗体での
SDS-PAGE及びウェスタンブロット法によってさらに特徴づけされた。
【0333】 クーマシーブルーで染色されたSDS-PAGEゲル上で、zsig45NEE 調製物は、見か
けの分子量が8000である1つの主要バンドを含んでいた。このバンドの易動度は
、還元剤の存在下及び不在下で同じであり、抗EE抗体でのウェスタンブロット上
で目に見えるものであった。zsig45CEE 精製蛋白質も同様に、クーマシーブルー
染色されたSDS-PAGEゲル上で8000Daで1つの主要バンドを示した。抗EE抗体での
ウェスタンブロット法は、8000Daで交叉感受性材料の、そして18000Da で微量成
分の1つの主要バンドを示した。SDS-PAGEゲル又はウェスタンブロット上の8000
Daのバンドの易動度は、還元剤の存在又は不在により変化しなかった。
【0334】 精製蛋白質の蛋白質濃縮を、BCA 分析(Pierce, Rockford, IL)によって実施
し、材料をアリコートにし、我々の標準的手順に従って−80℃で保管した。精製
したzsig45NEE ポリペプチドの濃度は0.35mg/ml でありzsig45CEE ポリペプチド
の濃度は0.17mg/ml であった。
【0335】 抗−EEセファロースを調製するため、床体積100ml のプロテインG−セファロ
ース(Pharmacia, Piscataway, NJ)を、500ml のNalgene 0.45ミクロンフィルタ
ユニットを用いて0.02%のアジ化ナトリウムを含むPBS100mlで3回洗浄した。20
0mM のトリエタノールアミン、pH8.2 6.0 体積(TEA,Sigma, St. Lowis, MO)で
ゲルを洗浄し、900mg の抗体を含有する等体積のEE抗体溶液を添加した。
【0336】 4℃で一晩インキュベートした後、上述のように200mM のTEA5体積で樹脂を洗
浄することによって未結合抗体を除去した。樹脂を2体積のTEA 中に再懸濁させ
、適切な容器に移し、プロテインG−セファロースゲルの最終濃度が36mg/ml
となるまで、TEA 中に溶解したジメチルピミルイミデート−2HCl(Pierce, Rock
ford, IL)を添加した。
【0337】 ゲルを室温で45分間揺動させ、上述のようにフィルタユニットを用いて液体を
除去した。次に、200mM のTEA 中の20mMのエタノールアミン5体積を用いて、室
温で10分間インキュベートすることにより、ゲル上の非特異的部位を遮断した。
その後、0.02%のアジ化ナトリウムを含有する5体積のPBS でゲルを洗浄し、4
℃でこの溶液中に保管した。
【0338】 例6タグ付け無しのzsig45組換え型アデノウイルスの生成 zsig45の蛋白質コーディング領域を、それぞれ5’及3’末端で FseI及び A
scI制限部位を付加したプライマを用いてPCR により増幅させた。5分間95℃で
1サイクル;それに続く1分間95℃,1分間58℃,及び1.5 分間72℃での15サイ
クル;それに続く7分間72℃,及びその後の4℃の浸漬というPCR 反応において
、全長zsig45cDNA(例1)を含有する鋳型 Bluescript SKII(商標)(Stratagene
)プラスミドと共に、PCR プライマZC17536 (配列番号38)及びZC17537 (配列
番号39)を使用した。
【0339】 PCR 反応産物を、TEA 緩衝液中の1.2 %の(低融点)Sea Plaque GTG(FMC, Ro
ckland,ME )ゲル上に投入した。zsig45PCR 産物をゲルから切除し、キット説明
書(Qiagen) にある通りにQIA quick (商標)PCR 精製キットゲルクリーンナッ
プキットを用いて精製した。その後、PCR 産物をFseI-AscI で消化し、フェノー
ル/クロロホルム抽出し、EtOHで沈降させ、20mlのTE(トリス/EDTA, pH8)内で
再水和させた。
【0340】 その後、344bP のzsig45フラグメントを、遺伝子導入ベクターPTG12-8 のFseI
-AscI 部位内に連結させ(例7参照)、電気穿孔によりDH10B コンピーテント細
胞へと形質転換させた。zsig45を含有するクローンをプラスミドDNA ミニプレッ
プによって同定し、その後FseI-AscI で消化させた。構成体の中にいかなる欠失
もその他の異常も無いことを保証するため、配列決定部門に対し正のクローンを
送った。zsig45cDNAの配列は確認された。以下で記述する我々のプロセスを続行
するためDNA を生成するには、Qiagen MaxiPrep プロトコル(Qiagen)を使用す
る。
【0341】 アデノウイルスの生成用のDNA 構成体の調製 FseI及びAscI酵素を用いてTG12-8ベクターから344bp のzsig45cDNAを放出した
。1%の低融点 Sea Plague GTG (商標)(FMC, Rockland, ME )ゲル上でcDNAを
分離し、その後、ゲルからこれを切除し、ゲル切片を70℃で融解させ、等体積の
トリス緩衝フェノールで2回抽出し、EtOHで沈降させた。DNA を10μlのH2O 中
で再懸濁させた。
【0342】 zsig45cDNAを、未変性ポリリンカーがFseI, EcoRV 及びAscI部位と置換された
pAd Track CMV(He, T-C et al., PNAS95:2509-2514, 1998) のFseI-AscI 部位へ
とクローニングさせた。Fast-Link (商標)DNA 連結及びスクリーニングキット
(Epicentre Technologies, Madison, WI)を用いて、連結を実施した。
【0343】 プラスミドを線形化するため、約5μgのpAd Track CMVzsig45 プラスミドを
PmeIで消化した。BJ5183細胞内に、約1μgの線形化されたプラスミドを200n
g の高次コイル pAd Easy(He et al.,前出)と同時形質転換した。同時形質転換
は、2.5KV, 200オーム及び25mFaで Bio-Rad Gene Pulserを用いて行なった。
同時形質転換全体を、25μg/mlのカナマイシンを含有する4LB の平板上に固定
した。
【0344】 最小のコロニーを拾い上げ、LB/カナマイシン内で膨張させ、標準的DNA ミニ
プレップ手順により組換え型アデノウイルスDNA を同定した。FseI-AscI での組
換え型アデノウイルスDNA の消化によって、zsig45の存在が確認された。組換え
型アデノウイルスミニプレップDNA をDH10B コンピテント細胞内に形質転換させ
、キット説明書に従って、Qiagenマキシプレップキットを用いてDNA を調製した
【0345】 組換え型DNA を用いた293a細胞のトランスフェクション 20〜30U のPacIを含有する100 μlの反応体積内で37℃で3時間、PacI酵素(
New England Biolabs)で約5μgの組換え型アデノウイルスDNA を消化した。等
体積のフェノール/クロロホルムで2回、消化されたDNA を抽出し、エタノール
で沈降させた。10μlの精製水中にDNA ペレットを再懸濁させた。前日に接種さ
れ60〜70%の集密性まで成長させたQBI-293A細胞のT25 フラスコ(Quantum Biot
echnologies, Inc. Montreal, Qc, Canada)に、PacIで消化したDNA をトランス
フェクションした。
【0346】 PacIで消化したDNA を、無菌HBS(150mM のNaCl, 20mMのHEPES)で、50μlの合
計体積となるまで希釈した。別の試験管の中で、20μlのDOTAP(Boehringer Man
nheim,1mg/ml)を、HBS で合計体積100 μlになるまで希釈した。DNA をDOTA
P に添加し、上下にピペットで移すことによって穏やかに混合し、15分間室温で
放置した。293A細胞から培地を除去し、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco
BRL), 0.1mM のMEM 可欠アミノ酸(Gibco BRL)及び25mlのHEPES 緩衝液(Gibco
BRL)を含有する5mlの無血清MEM alpha (Gibco BRL) で洗浄した。
【0347】 293A細胞に5mlの無血清MEM を添加し、37℃に保った。DNA /脂質混合物を29
3A細胞のT25 フラスコに滴下により添加し、穏やかに混合し、4時間37℃でイン
キュベートした。4時間後、DNA /脂質混合物を含有する培地を吸引して除去し
、5%のウシ胎児血清を含有する5mlの完全MEM と交換する。トランスフェクシ
ョンを受けた細胞を、緑色螢光蛋白質(GFP)の発現及び細胞増殖巣すなわちウイ
ルスプラークの形成について監視した。
【0348】 組換え型アデノウイルスDNA を用いた293A細胞のトランスフェクションから7
日後に、細胞はGFP 蛋白質を発現し細胞増殖巣を形成し始めた。これらの細胞増
殖巣は、ウイルス「プラーク」であり、293A細胞の全てを収集するため細胞スク
レーパを使用することにより粗製ウイルス溶解産物を収集した。溶解産物を50ml
入り円錐管に移した。細胞からウイルス粒子の大部分を放出するため、ドライア
イス/エタノール浴及び37℃の水浴内で、凍結/解凍サイクルを3回行なった。
【0349】 組換え型アデノウイルス(rAdV) の増幅 zsig45rAdV溶解産物の作業用「系統」を得るため、粗製溶解産物を増幅した(
一次(1°)増幅)。ほぼ集密性(80〜90%)の293Aの細胞の10cmの平板を20時
間前に据えつけ、10cmの平板の各々に対し粗製rAdV溶解産物200ml を添加し、白
色光顕微鏡下でCPE を又螢光顕微鏡下でGFP の発現を探して48〜72時間監視した
。293Aの細胞全てがCPE(細胞変性効果)を示した時点で、この1°系統の溶解産
物を収集し、精製rAdV溶解産物の下で記述したとおりに凍結/解凍サイクルを行
なった。
【0350】 zsig45rAdVの2次(2°)増幅は、以下のようにして得られた:すなわち、29
3A細胞の20枚の15cmの組織培養皿を、細胞が80〜90%の集密性を示すような形で
調製した。5%MEM 培地20mls を除く全てを除去し、各々の皿に300 〜500ml の
1°増幅されたrAdV溶解産物を接種した。48時間後に293A細胞をウイルス産生物
から溶解させ、この溶解産物を250ml 入りのポリプロピレン遠心機ボトル内に収
集し、rAdVを精製した。
【0351】 AdV /cDNA精製 全ての細胞を溶解するべく、精製溶解産物のボトルに対し0.5 %の最終濃度に
なるまでNP-40 洗浄剤を添加した。ボトルを回転するプラットフォーム上に10分
間置き、ボトルが倒れないようにしながらできるかぎり高速で撹拌する。20000
×Gで15分間の遠心分離により破片をペレット化した。250ml 入りポリカーボネ
ート遠心機ボトルに上清を移し20%のPEG8000/2.5MのNaCl溶液0.5 体積を添加し
た。ボトルを氷上で一晩振とうさせた。
【0352】 ボトルを20000 ×Gで15分間遠心分離に付し、上清を漂白剤溶液の中に廃棄し
た。回転マークのいずれかの側のボトルの壁に沿った2本の垂直線の形をした白
色沈降物は、沈降したウイルス/PEG である。無菌細胞スクレーパを用いて、2
本のボトルからの沈降物を2.5ml のPBS 中で再懸濁させた。2ml入りのミクロ遠
心機管の中にウイルス溶液を入れ、10分間ミクロ遠心機内で遠心分離して付加的
な細胞破片を全て除去した。
【0353】 2mlのミクロ遠心機管からの上清を15ml入りのポリプロピレン製スナップキャ
ップ管内に移し、塩化セシウム(CsCl)を用いて1.34g/mlの密度になるまで調
整した。ウイルス溶液の体積を見積り、0.55g/mlのCsClを添加した。CsClを溶
解させ、この溶液1mlの重さは1.34gであった。溶液を32ml入りポリカーボネー
ト製の厚壁遠心機管(Beckman No. 362305) に移し、TLK-100.4 ロータ付きの B
eckman Optima TLX ミクロ超遠心機内で25℃で3〜4時間80000rpm (348,000 ×
G)で回転させた。ウイルスは白色バンドを形成した。口径の広いピペット先端
部を用いて、ウイルスバンドを収集した。
【0354】 傾斜からのウイルスは大量のCsClを有し、これは、細胞上での使用に先立ち除
去されなくてはならない。Sephadex G-25M(Pharmacia) を予め装てんした Pharm
acia PD-10カラムを使用してウイルス調製物を脱塩した。カラムをPBS20ml で平
衡化した。ウイルスを投入し、カラム内へと至らせる。カラムに5mlのPBS を添
加し、8〜10滴の分画を収集した。分光光度計上で260nm で各分画の1:50の希
釈液の光学密度を測定した。分画7−12の間に明白な吸収度ピークが存在してい
た。
【0355】 これらの分画をプールし、1:50の希釈液の光学密度(OD)を決定した。ODを
ウイルス濃度に換算するため以下の公式を使用する:(260nmでのOD)(50)(1.1 ×
1012)=ウイルス粒子/ml。zsig45rAdVの1:50希釈液のODは0.057 であり、3.
1 ×1012ウイルス粒子/mlというウイルス濃度が得られた。
【0356】 ウイルスを保管するためには、15%という最終濃度になるまで精製されたウイ
ルスに対しグリセロールを添加し、穏やかにかつ効率良く混合し、−80℃でアリ
コートの形で保管した。
【0357】 50%CPE での組織培養感染性用量(TCID50)ウイルス滴定検定 組換え型ウイルスの感染力を測定するため、Quantum Biotechnologies Inc.(M
ontreal, Qc. Canada)により開発されたプロトコルに従った。簡単に言うと、検
定すべき各々の組換え型ウイルスについて2%のウシ胎児血清を含有するMEM 内
で1ウェルあたり1×104 個の293A細胞を用いて2枚の96ウェル組織培養平板に
播種を行なった。
【0358】 24時間後、1×10-2〜1×10-14 の各ウイルスの10倍希釈液を、2%のウシ胎
児血清を含有するMEM 中で作製した。37℃で5日後に、細胞変性効果(CPE)が陽
性であるか陰性であるかについてウェルの読取りを行ない、「プラーク形成単位
/ml」(PFU)の値を計算する。
【0359】 使用したTCID50の公式表示は、上述の Quantum Biotechnologiesによる通りで
あった。使用されるウイルスが10-2〜10-14 に希釈される1枚の平板から力価(
T)が決定され、感染5日後に読取りが行なわれる。各希釈において、ウェル合
計数あたりのCPE について陽性のウェルの比率(R)が決定される。
【0360】 希釈されていないウイルス標本の力価を計算するためには:係数「F」=1+d(S
-0.5) であり、ここで「S」は比率(R)の和であり、「d」は希釈系列の Log
10であり、例えば「d」は10倍の希釈系列については1に等しい。希釈されてい
ない標本の力価はT=10(1+F)=TCID50/mlである。TCID50/mlを pfu/mlに換算す
るためには、力価(T)についての計算においてべき指数から0.7 が減算される
。 zsig45アデノウイルスは、1.1 ×1010 pfu/mlという力価を有していた。
【0361】 実施例7Zsig45トランスジェニックマウス コンセンサスコザック配列と正確なzsig45コード領域を含むPCR 断片が生成す
るように、オリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドは、我
々の標準的トランスジェニックベクターであるpMT12-8 へのクローニングを促進
するために、5’末端にFseI部位をそして3’末端にAscI部位を有するように設
計した。PMT12-8 は、FseI部位の上流にマウスMT-1プロモーターと5’ラットイ
ンスリンIIイントロンを含有する。
【0362】 200ng のヒトzsig45鋳型とオリゴヌクレオチドZC17, 536 (配列番号38)とZC
17, 537 (配列番号39)を用いて、PCR 反応を行った。PCR 条件は以下の通りで
ある:95℃で5分;95℃で60秒、62℃で60秒、そして72℃で90秒を15サイクル;
および72℃で7分。PCR 産物をアガロースゲル電気泳動で分離し、QiaQuick(商
標)(Qiagen)ゲル抽出キットを使用して精製した。
【0363】 単離した344 塩基対のDNA 断片をFseIとAscI(ベーリンガーマンハイム(Boeh
ringer-Mannheim ))で消化し、エタノール沈殿させ、あらかじめFsetI とAscI
で消化したpMT12-8 に連結した。トランスジェニックマウス中での目的の遺伝子
の発現について設計したpMT12-8 プラスミドは、10kbのMT-1 5'DNA と7kbのMT
-1 3'DNAが両側に位置する発現カセットを含有する。この発現カセットは、MT-1
プロモーター、ラットインスリンIIイントロン、所望のクローンの挿入のための
ポリリンカー、およびヒト成長ホルモンポリA配列を含む。
【0364】 約1μl の連結反応物を、製造業者の説明書に従ってDH10B ElectroMax(商標
)コンピタント細胞(ギブコビーアールエル(GIBCO BRL )、ゲーサーズバーグ
(Gaithersburg)、メリーランド州)中に電気穿孔し、一晩インキュベートした
。コロニーを取り上げ、100 μg/mlアンピシリンを含有するLB培地中で増殖させ
た。取り上げたクローンからMiniprepDNA を調製し、EcoRI で制限消化し、次に
アガロースゲル電気泳動を行ってzsig45挿入体についてスクリーニングした。正
しいpMT-zsig45作製体のMaxiprepを行った。5’および3’フランキング配列、
ラットインスリンIIイントロン、zsig45 cDNA およびヒト成長ホルモンポリA配
列を含有するSalI断片を調製し、これを使用して受精マウス卵母細胞中に微量注
入した。
【0365】 54匹の子マウスから15匹のトランスジェニックマウスを同定した。15匹のトラ
ンスジェニックマウスについて肝生検を行い、肝zsig45トランス遺伝子mRNAをRT
-PCRにより定量した。発現プロフィールは以下の通りである:3つの高発現体(
約2400〜5100mRNA分子/肝細胞);3つの中発現体(約1600〜1900mRNA分子/肝
細胞);4つの低発現体(約200 〜400mRNA 分子/肝細胞);および検出可能な
トランス遺伝子発現の無い5つ。
【0366】 実施例8インビボのzsig45活性 zsig45蛋白質の活性可能性を、正常マウスに14日間にわたって毎日、精製蛋白
質調製物を皮下注射して試験した。実験では、C57BL6系統(ハーラン・スプラー
グ−・ドーレイ(Harlan Sprague Dawley )、インディアポリス、インディアナ
州)の34匹のオスのマウスを使用したが、これらは試験開始日に8週令であった
。マウスを4群に分けた:10匹のマウスには、0.1 %ウシ血清アルブミン(BSA)(
アイシーエヌ・ファーマシューチカルズ(ICN Pharmaceuticals ))含有リン酸
緩衝化生理食塩水(PBS)0.1ml 中の精製zsig45NEE ポリペプチド(実施例5を参
照)10μg を注射;10匹のマウスには、0.1 %BSA 含有PBS 0.1ml 中の精製zsig
45CEE ポリペプチド(実施例5を参照)10μg を注射;9匹のマウスには、ビヒ
クル(0.1%BSA 含有PBS)のみを注射;5匹は注射なし。
【0367】 0、7、および14日目にマウスの体重を測定した。完全血液細胞数測定のため
に7日と14日目にマウスから採血し、エベレット・セントラル・ラボラトリー(
Everett Central laboratory)、エベレット(Everett )、ワシントン州)のマ
ウスケミストリースクリーンを使用して、マウス臨床化学パネルを評価した。14
日目にマウスを屠殺し、組織学的分析のためにホルマリン中に組織を採取した(
下記参照)。
【0368】 血液化学パネルは完全に正常であり、マウス群の間に有意差はなかった。体重
増加は、群間で有意差はなかった。同様に血液細胞数は正常範囲内にあり、群間
で有意差はなかった。
【0369】皮膚の顕微鏡観察: zsig45CEE 、zsig45-NEE、またはビヒクル、ウシ血清アルブミン(BSA)対照を
皮下投与したマウスから、皮膚試料(および他の組織)を単離し、組織観察のた
めに調製した。実験処理の開始の約2週間後に皮膚を採取した。試料を10%緩衝
化ホルマリン中で固定し、パラフィン包埋し、3ミクロンの切片にし、ヘマトキ
シリンとエオシンで染色した。スライドを検鏡し、処理についてはブラインドと
した有資格の獣医病理医メンバーが炎症の重症度についてスコアをつけた(0=
無し、1=弱い、2=中程度、3=強い)。
【0370】 各処理群の平均重症度スコアを測定し、GraphPad InStataソフトウェアパッケ
ージ(グラフパッド・ソフトウェア(Graph Pad Software), サンジエゴ、カリ
ホルニア州)により解析した。zsig45-NEE群の平均重症度スコア間の差は、Krus
kal-Wallis検定によりビヒクルのみ(p<0.05)を投与したマウスとは、有意に異な
っていた。zsig45-CEE(平均=2.1)群の平均重症度スコアは、zsig45-NEE群(平
均=2.3)と類似であったが、対照(平均=1.2)とは有意差はなかった。
【0371】 次に皮膚切片をランダムに分類し、処理についてはブラインドとした有資格の
獣医病理医メンバーが読み、最も低いものから最も高いものまで炎症の重症度に
従ってランク分類した。1つの対照マウス(これは、剖検の時に不注意に対照に
されたのかも知れない)を除いて対照はすべて、重症度のランクの下半分にあっ
た。炎症は主に、注射部位の皮下組織中に存在した。まれに炎症巣が、上の深部
皮膚とその下の筋肉組織で観察された。部位の炎症細胞は、リンパ球、形質細胞
、マクロファージそして少数の好中球からなり、慢性活動性炎症を示唆していた
【0372】 また注射部位の繊維性結合組織中で弱〜中程度の上昇があった。処理群で観察
された炎症と繊維形成は、対照動物で観察されたものより大きく、zsig45-NEEに
関連して観察された炎症は、zsig45-CEEで観察されたものよりわずかに大きかっ
た。BSA とzsig45処理群の間の主要な差は、炎症と繊維形成の重症度と程度にあ
り、対照(BSA)群では全体に無し〜弱で、zsig45処理群では中程度〜強であった
。 以上より、例示を目的として本発明の具体例を説明したが、本発明の精神と範
囲を逸脱することなく種々の変更態様が可能であることは理解されるであろう。
従って本発明は、添付の請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 C12P 21/02 G01N 33/15 Z 21/08 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 デイシャー,テレサ エー. アメリカ合衆国,ワシントン 98115,シ アトル,ノースイースト シックスティー ファースト ストリート 6317 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB10 BB14 BB20 BB29 BB46 BB50 BB51 CB01 FB02 FB05 GC10 4B024 AA01 AA11 BA01 BA80 CA04 CA07 CA09 CA10 CA20 DA03 DA06 DA12 EA02 EA04 FA02 FA07 FA18 GA12 GA14 GA18 GA19 GA27 HA03 HA13 HA14 4B064 AG01 AG15 AG27 CA06 CA10 CA19 CA20 CC01 CC24 CD06 CE02 CE03 CE06 CE10 CE12 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA58X AA72X AA88X AA90X AA91X AA93Y AB01 AC14 BA03 BA04 BB01 BB06 BD01 BD14 BD15 BD50 CA24 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA30 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74 GA01 GA10 GA15 GA21 GA26

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下よりなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも9
    0%同一であるアミノ酸残基の配列を含むポリペプチドをコードする単離された
    ポリヌクレオチド: (a)配列番号2に示すアミノ酸番号47(Lys)からアミノ酸番号114
    (Asp)までのアミノ酸配列; (b)配列番号4に示すアミノ酸番号1(Met)からアミノ酸番号85(A
    sp)までのアミノ酸配列; (c)配列番号3に示すアミノ酸番号1(Met)からアミノ酸番号89(A
    sp)までのアミノ酸配列; (d)配列番号2に示すアミノ酸残基番号1(Met)からアミノ酸残基番号
    114(Asp)までのアミノ酸配列。
  2. 【請求項2】 以下よりなる群から選択される単離されたポリヌクレオチド
    分子: (a)配列番号1に示すヌクレオチド219からヌクレオチド422までのヌ
    クレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子; (b)配列番号1に示すヌクレオチド168からヌクレオチド422までのヌ
    クレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子; (c)配列番号1に示すヌクレオチド156からヌクレオチド422までのヌ
    クレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子; (d)配列番号1に示すヌクレオチド82からヌクレオチド422までのヌク
    レオチド配列を含むポリヌクレオチド分子;および (e)上記(a)、(b)、(c)または(d)に相補的なポリヌクレオチド
    分子。
  3. 【請求項3】 配列番号15のヌクレオチド1からヌクレオチド342を含
    む、請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド配列。
  4. 【請求項4】 前記ポリペプチドが、配列番号2に示すアミノ酸番号47(
    Lys)からアミノ酸番号114(Asp)までのアミノ酸配列と少なくとも9
    0%同一であるアミノ酸残基の配列からなる、請求項1記載の単離されたポリヌ
    クレオチド。
  5. 【請求項5】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2に示すアミノ酸番号4
    7(Lys)からアミノ酸番号114(Asp)までのアミノ酸残基の配列から
    なる、請求項1記載の単離されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 前記ポリペプチドがモチーフ1〜5を含有する、請求項1記
    載の単離されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 以下の機能的に結合した成分を含んでなる発現ベクター: 転写プロモーター; 配列番号2に示すアミノ酸番号47(Lys)からアミノ酸番号114(As
    p)までのアミノ酸配列と90%同一である、zsig45ポリペプチドをコー
    ドするDNAセグメント:および 転写ターミネーター。
  8. 【請求項8】 前記DNAセグメントに作用可能に連結された分泌シグナル
    配列をさらに含む、請求項7記載の発現ベクター。
  9. 【請求項9】 前記分泌シグナル配列が、 (a)配列番号2のアミノ酸1〜46; (b)配列番号3のアミノ酸1〜21;および (c)配列番号4のアミノ酸1〜17; からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする請求項8記載の発現ベク
    ター。
  10. 【請求項10】 前記DNAセグメントによりコードされるポリペプチドを
    発現する、請求項7記載の発現ベクターが導入された培養細胞。
  11. 【請求項11】 融合蛋白質をコードするDNA構成体であって、 (a)配列番号2のアミノ酸1〜46; (b)配列番号3のアミノ酸1〜21;および (c)配列番号4のアミノ酸1〜17; よりなる群から選択されるアミノ酸の配列と少なくとも90%同一であるポリ
    ペプチドをコードする第1のDNAセグメント;並びに 追加のポリペプチドをコードする第2のDNAセグメント; を含んでなり、前記第1のDNAセグメントと第2のDNAセグメントがフレ
    ーム内で連結している、 融合蛋白質をコードするDNA構成体。
  12. 【請求項12】 以下よりなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも
    90%同一であるアミノ酸残基の配列を含む単離されたポリペプチド: (a)配列番号2に示すアミノ酸番号47(Lys)からアミノ酸番号114
    (Asp)までのアミノ酸配列; (b)配列番号4に示すアミノ酸番号1(Met)からアミノ酸番号85(A
    sp)までのアミノ酸配列; (c)配列番号3に示すアミノ酸番号1(Met)からアミノ酸番号89(A
    sp)までのアミノ酸配列; (d)配列番号2に示すアミノ酸残基番号1(Met)からアミノ酸残基番号
    114(Asp)までのアミノ酸配列。
  13. 【請求項13】 配列番号2に示すアミノ酸番号47(Lys)からアミノ
    酸番号114(Asp)までのアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミ
    ノ酸残基の配列からなる、請求項12記載の単離されたポリペプチド。
  14. 【請求項14】 前記アミノ酸残基の配列が、配列番号2に示すアミノ酸番
    号47(Lys)からアミノ酸番号114(Asp)までのものである、請求項
    12記載の単離されたポリペプチド。
  15. 【請求項15】 前記アミノ酸残基の配列が、モチーフ1〜5を含有する、
    請求項12記載の単離されたポリペプチド。
  16. 【請求項16】 請求項7記載の発現ベクターが導入された細胞を培養し、
    そして 細胞により産生されたzsig45ポリペプチドを単離する、 ことを含んでなる、zsig45ポリペプチドの製造方法。
  17. 【請求項17】 zsig45ポリペプチドに対する抗体の製造方法であっ
    て、 (a)配列番号2のアミノ酸番号47(Lys)からアミノ酸番号114(A
    sp)までの、アミノ酸の連続配列と少なくとも90%同一である、9〜67ア
    ミノ酸からなるポリペプチド;および (b)配列番号2のアミノ酸番号47(Lys)からアミノ酸番号114(A
    sp)までのアミノ酸配列からなるポリペプチド; よりなる群から選択されるポリペプチドであって動物中で免疫応答を誘発して
    抗体を産生するものを動物に接種し、そして 動物から抗体を単離する、 ことを含んでなる方法。
  18. 【請求項18】 zsig45ポリペプチドに結合する、請求項17記載の
    方法により産生される抗体。
  19. 【請求項19】 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項18記載の
    抗体。
  20. 【請求項20】 請求項12記載のポリペプチドに結合する抗体。
  21. 【請求項21】 被験試料中のzsig45蛋白質活性のアンタゴニストの
    存在を検出する方法であって、 zsig45刺激細胞経路に応答性のレポーター遺伝子構成体で、zsig4
    5応答性細胞をトランスフェクトし、 請求項16記載の方法によりzsig45ポリペプチドを産生し、 被験試料の存在下および非存在下で、細胞にzsig45ポリペプチドを添加
    し、そして 被験試料の存在下および非存在下で、生物学的または生化学的測定法により、
    zsig45ポリペプチドに対する応答レベルを比較し、そして この比較から、被験試料中のzsig45活性のアンタゴニストの存在を決定
    する、 ことを含んでなる方法。
  22. 【請求項22】 被験試料中のzsig45蛋白質活性のアゴニストの存在
    を検出する方法であって、 zsig45刺激細胞経路に応答性のレポーター遺伝子構成体で、zsig4
    5応答性細胞をトランスフェクトし、 被験試料を添加し、そして 被験試料の存在下および非存在下で、生物学的または生化学的測定法により、
    応答レベルを比較し、そして この比較から、被験試料中のzsig45活性のアゴニストの存在を決定する
    、 ことを含んでなる方法。
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