JP2001520631A - 抗真菌性ペプチド - Google Patents

抗真菌性ペプチド

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、一般に、殺菌性/浸透性が向上したタンパク質(BPI)のドメインIII(第142〜169位のアミノ酸)から誘導され、あるいは基礎とした抗真菌性ペプチドと、これらペプチドのin vivoあるいはin vitroでの使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 抗真菌性ペプチド 本願は、1995年7月20日に出願された米国特許出願No.08/504,841の一部継続 出願である。 発明の背景 本発明は、一般に、殺菌/浸透性増強タンパク質(BPI)のドメインIII(142〜16 9位のアミノ酸)から誘導された抗真菌性ペプチド、あるいはそれに基づいた抗真 菌性ペプチドと、これらペプチドの治療用途での利用に関する。 BPIは、微生物による侵入に対する防御に必須の血液細胞である哺乳動物の多 形核白血球(PMNまたは好中球)の顆粒から単離されたタンパク質である。ヒトBPI タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー[Elsbachら、J.Biol.Chem.,2 54,11000頁、(1979)]または大腸菌アフィニティークロマトグラフィー[Weiss ら、Blood,69,652頁、(1987)]のいずれかと、酸抽出とを併用して、PMNから 単離されている。このようにして得られたBPIを本明細書では天然型BPIと称する が、これは、広範なグラム陰性細菌に対する強力な殺菌活性を有することが示さ れている。ヒトBPIの分子量はおよそ55,000ダルトン(55kD)である。ヒトBPIタン パク質全体のアミノ酸配列、及び該タンパク質をコードするDNAの核酸配列は、G layら、J.Biol.Chem.,264,9505頁、(1989)の図1に報告されており、かかる 文献を引用することにより、それら配列を本明細書に含むものとする。Grayらの DNAおよびアミノ酸配列は、本明細書において、配列番号:251と252に示した 。 BPIは、強い陽イオン性を有するタンパク質である。BPIのN末端半分は、高い 実効電荷の原因となり、一方、分子のC末端半分は、-3の実効電荷を有する。[ ElsbachおよびWeiss(1981)、前出]。約25kDの分子量を有するBPIのタンパク質 分解によるN末端断片は、疎水性領域と親水性領域とを交互に含み、両親媒性の 特徴を有する。ヒトBPIのこのN末端断片は、天然に由来する55kDのヒトBPIホロ タンパク質の抗細菌効果を保有している。[Ooiら、J.Biol.Chem.,262,1489 1〜14894頁、(1987)]。N末端部分とは対照的に、単離されたヒトBPIタンパク 質のC末端領域は、グラム陰性生物に対してほんのわずかに検出可能な抗細菌活 性を呈するに過ぎない。[Ooiら、J.Exp.Med.,174巻、649頁、(1991)]。 「rBPI23」と称される、およそ23kDのN末端BPI断片が、組換え法により製造さ れており、これもグラム陰性生物に対して抗細菌活性を保持するものである。[ Gazzano-Santoroら、Infect.Immun.60巻、4754〜4761頁(1992)]。この文献に よれば、組換え発現生成物(rBPI23)をコードするDNAの入手源として発現ベクタ ーが用いられている。このベクターは、151位のバリンがGTCでなくGTGによって 決定され、また、185位が(AAGによって決定された)リジンでなく(GAGによって決 定された)グルタミン酸である以外は前出のGrayらの配列に基づいた配列番号:2 51と252に示した成熟したヒトBPIのN末端の31残基のシグナル配列と最初の199 個のアミノ酸をコードするよう調製されている。rBPI23について述べた構造上の 例外点を有する前出のGrayらの配列に基づいた配列番号:251と252に記載の配列 を有したrBPIとも称される組換えホロタンパク質も生成されている。rBPI21ある いはrBPI21Δcysと称されるN末端断片類似体が、本明細書に参考までに取り入 れた、 共同所有に係る、係属中の米国特許No.5,420,019に記載されている。この類似 体は、132位の残基がアラニンに置換され、かつrBPI23について述べた構造上の 例外点を有する、配列番号:251と252に記載のBPIホロタンパク質の最初の193個 のアミノ酸を含んでいる。 BPIの殺菌効果は、例えばElsbachおよびWeiss、Inflammation:Basic Principl es and Clinical Correlates,eds.Gallinら編、30章、Raven Press,Ltd.(199 2)におけるごとく、グラム陰性の種に特異性が高いとの報告がなされている。BP Iは、酵母を包含する他の微生物や、さらに高等な真核細胞に対して、通常非毒 性であると考えられている。 ElsbachおよびWeiss、(1992)、前出は、10-8から10-9M程度の低濃度で、BPIが 広範囲のグラム陰性細菌に対して抗細菌活性を呈するものの、それより100から1 ,000倍高い濃度のBPIが、同時に調べたグラム陽性細菌種、酵母、及びさらに高 等な真核細胞のすべてに対して、非毒性であったことを報告している。グラム陽 性生物である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(4株)、表皮ブドウ球菌 (Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ファエカリス(Staphy lococcus faecalis)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ミクロコ ッカス・リソデイクチカス(Micrococcus lysodeiklicus)、及びリステリア・ モノサイトゲンス(Listeria monocytogenes)に対して、pH7.0または5.5のいず れかで調べた場合、10-6Mまたは160μg/mlの濃度で、BPIは毒性効果を有しない ことが報告された。報告によれば、pH7.0または5.5において、BPIは10-6Mにて 真菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)及びカンジダ・パラシ ロシス(Candida parasilosis)に対する毒性効果を有さず、ヒト、ウサギ及びヒ ツジ赤血球細胞ならびに種々のヒト腫瘍細胞系に対して非毒性であった。やはり ElsbachおよびWeissの、Advances in Inflammation Research、G.Weissmann編 、2巻、95〜113頁、Raven Press(1981)を参照されたい。このように報告された 標的細胞の特異性は、リポ多糖(LPS)に対するBPIの強い誘引力の結果であると考 えられていた。LPSは、グラム陰性生物の外膜(あるいはエンベロープ)に独特 のものである。 BPIのグラム陰性細菌殺傷における正確な機構はいまだ完全には解明されてい ないが、まず、陽イオン性BPIタンパク質とLPS上の陰性に荷電した部位との間の 静電気的相互作用及び疎水性相互作用を通して、細菌の表面にBPIが結合しなけ ればならないと考えられている。LPSは、それが刺激する強い炎症応答(すなわ ち、回復不能の内毒性ショックを最終的には惹起こしうる宿主炎症細胞によるメ ディエータの放出)のゆえに、「内毒素」と称されている。BPIはリピドAに結 合するのであるが、これはLPSの最も毒性が強く最も生物学的活性を有する成分 であると報告されている。 感受性のグラム陰性細菌において、BPIの結合はLPS構造を崩壊させ、リン脂質 及びペプチドグリカンを分解する細菌酵素の活性化を惹起こし、細胞外膜の透過 性を変化せしめ、最終的には細胞死へと導く事象を開始させると考えられる。[ ElsbachおよびWeiss(1992)、前出]。BPIは2段階にて作用すると考えられる。 第一は、即時的生育停止、外膜の透過性冗進(permeabilization)ならびにリン 脂質及びペプチドグリカンを加水分解する細菌酵素の選択的な活性化によって特 徴付けられる亜致死的段階である。この段階での細菌は、血清アルブミンを追加 した培地中で生育させることにより救助できる[Mannionら、J.Clin.Invest. ,85巻、853〜860頁、 (1990)]。第二段階は、血清アルブミンで回復しえない生長阻害により規定され るものであるが、細菌をさらに長い間BPIに曝した後に起こるものであり、細胞 質内膜への明白な損傷を含む、広範囲の生理学的及び構造的変化により特徴付け られる。 BPIがLPSにまず結合して、正常時においてMg++およびCa++の結合を通して外膜 を安定化させる、LPSのKDO領域中の陰イオン性の基への結合におそらくは起因し た、組織的な変化が惹起こされる。グラム陰性細菌の外膜へのBPIの付着により アクチノマシンDなどの疎水性物質への外膜の迅速な透過性冗進がなされる。BP Iの結合及びそれに続くグラム陰性細菌殺傷は、少なくとも部分的にLPS多糖の鎖 長に依存するものであり、長いO-鎖を持っている「スムーズ」生物は、短いO-鎖 を持っている「ラフ」生物よりもBPIの殺菌効果に対して耐性である[Weissら、 J.Clin.Invest.,65巻、619〜628頁、(1980)]。このBPIの作用の第一段階で あるグラム陰性外側エンベロープの透過性亢進は、BPIの解離に際しては可逆性 であり、これは、二価陽イオンの存在及び新規LPSの合成を必要とするプロセス である[Weissら、J.Immunol.,132巻、3109〜3115頁(1984)]。しかしながら 、グラム陰性細菌の生育力喪失は、エンベロープの完全性を修復するプロセスに よっては回復せず、従って殺菌作用は標的生物に誘導される付加的な障害により 媒介されるのであり、それは細胞質膜に位置するかもしれないことが示唆される [Mannionら、J.Clin.Invest.,86巻、631〜641頁、(1990)]。この可能性を 特に精査して、モルベースで、BPIは少なくともポリミキシンBと同等に細胞質 膜小胞機能を阻害することが示されている[In't Veldら、Infection and Immun ity、56巻、1203〜1208頁(1988)]ものの、正確な機構ならびに、このような小 胞と無傷の生物の研究との 関連は、いまだ解明されていない。 組換え体の23kDのN末端BPIの配列の3つの異なる機能ドメインが発見されて いる[Littleら、J.Biol.Chem.,269巻、1865頁、(1994)]。BPIのこれら機能 ドメインは、タンパク質の生物学的活性に寄与するBPIのアミノ酸配列を指し、1 5-merのペプチドおよび他の合成ペプチドと重複するタンパク質分解性開裂断片 の活性によって実質的に決定される。ドメインIは、BPIの約17〜約45位のアミ ノ酸を含むアミノ酸配列によって決定される。このドメインに基づくペプチドは 、LPS-誘発したLAL活性とヘパリン結合活性双方の阻害において適度の活性を示 すが、顕著な殺菌活性は示さない。ドメインIIは、BPIの約65〜約99位のアミノ 酸を含むアミノ酸配列によって決定される。このドメインに基づくペプチドは、 高いLPS活性とヘパリン結合活性を示し、また殺菌性である。ドメインIIIは、BP Iの約142〜約169位のアミノ酸を含むアミノ酸配列によって決定される。このド メインに基づくペプチドは、高いLPS活性とヘパリン結合活性を示し、また殺菌 性である。機能ドメインペプチドの生物学的活性には、LPS結合性、LPS中和活性 、ヘパリン結合性、ヘパリン中和活性、あるいは殺菌活性が含まれる。 真菌は、有性生殖または無性生殖可能な真核細胞であり、二相性でありえ、一 つの型は天然型であり、感染した宿主において異なる型をなす。真菌性の疾患は 、真菌症と称される。ある真菌症は地方病性、すなわちその真菌の天然の生息地 である地球上の区域において感染がもたらされる。これらの地方病性の真菌症は 、通常自己限定性であり、症候性は極微である。ある真菌症は、主に日和見的で あって、臓器移植患者、化学療法を施されているガン患者、火傷患者、AIDS患者 、または糖尿 病ケトアシドーシスを持つ患者などの、免疫力が低下した(immunocompromised )患者に発症する。 多くの理由により、真菌の感染は主要な健康上の関心事となってきており、そ の理由には利用可能な抗真菌剤の数が限定されていること、古い抗真菌剤に耐性 を有する種の発生率の増大、ならびに日和見真菌感染に対する危険性のある免疫 力が低下した患者数の増加が包含される。全身性の真菌感染症の発生率は、1980 年代に、教育研究病院において600%、教育研究病院以外の病院において220%増 大している。最も一般的な臨床分離菌は、カンジダ・アルビカンス(Candida al bicans)であり、これはすべての臨床分離菌の約19%を占める。ある研究では、 病院でもたらされた感染による全死亡数のほぼ40%が真菌に起因している。[St ernberg、Science、266巻、1632〜1634頁、(1994)]。 抗真菌剤には3つの主な群が包含される。主要群にはポリエン誘導体が含まれ 、これにはアンフォテリシンBならびに構造的に関連する化合物であるナイスタ チン及びピマリシンが包含される。これらは真菌細胞膜の成分であるエルゴステ ロールに結合して、それにより膜を崩壊せしめる、適用範囲の広い抗真菌剤であ る。アンフォテリシンBは通常、全身性の真菌症に対して有効であるが、発熱、 腎障害、ならびに貧血、低血圧、頭痛、悪心、嘔吐及び静脈炎などの他の併発す る副作用を包含する毒性作用により、その投与は限定される。類縁性のない抗真 菌剤であるフルシトシン(5-フルオロシトシン)は、経口的に吸収される薬剤で あるが、ある型のカンジダ症及びクリプトコッカス性髄膜炎(cryptococcal meni ngitis)に対するアンフォテリシンB処置の佐剤としてしばしば使用される。そ の副作用には、白血球減少症及び血小板減少症を伴う骨髄抑 制が包含される。 抗真菌剤の第2の主要群には、エルゴステロールの合成の損傷を起こし、真菌 の膜結合性酵素系(例えばシトクロムP450)の機能を破壊する代謝物の蓄積を導 き、そして真菌の生長を阻害するアゾール誘導体が包含される。哺乳動物のP450 を有意に阻害すると、有意な薬剤の相互作用が惹起こされる。この群の抗真菌剤 には、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ブト コナゾール、オキシコナゾール、サルコナゾール、ターコナゾール、フルコナゾ ールおよびイトラコナゾールが包含される。これらの薬品は、全身性の真菌症を 治療するために投与することができる。経口投与されるイミダゾールであるケト コナゾールは、免疫力が低下していない患者における非髄膜性のブラストミセス 症、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症及びパラコクシジオイデス症を治療 するために使用され、また、口腔及び食道のカンジダ症に対しても有用である。 副作用には、まれに起こる薬剤誘導性肝炎があり、ケトコナゾールは、妊娠に禁 忌でもある。イトラコナゾールは、ケトコナゾールよりは副作用が少ないようで あり、前記と同様の症候ほとんどに対して用いられる。フルコナゾールもまた、 ケトコナゾールよりも副作用が少なく、口腔及び食道のカンジダ症及びクリプト コッカス性髄膜炎に対して使用される。ミコナゾールは、コクシジウム症及び種 々の他の真菌症において有効性を持つ腸管外用のイミダゾールであるが、高脂血 症及び低ナトリウム血症を含む副作用を有する。 抗真菌剤の第3の主要群には、皮膚の感染を治療するために通常使用されるア リルアミン−チオカーバメート類が包含される。この群には、トルナフテート( tolnaftate)及びナフチフィン(naftifine)が包含される。 他の抗真菌剤としては、局所的な処置に呼応しない皮膚、毛髪または爪の真菌 感染のために経口的に投与される静真菌剤である、グリセオフルビンがある。 大抵の地方病性真菌症は、呼吸経路によりもたらされ、症候性は極微であり、 咳、発熱、頭痛、及び胸膜痛が認められるかもしれない。場合によっては、地方 病性の真菌症は進行性の肺疾患または全身性の感染を惹起こすかもしれない。ヒ ストプラスマ(Histoplasma)により惹起こされるヒストプラスマ症は、米国にお いて最も一般的な地方病性の呼吸器系真菌症であり、4000万人を越える人々が感 染している。かかる疾患は非伝染性であり、大抵は自己限定性であるが、慢性の 肺感染及び播種性(disseminated)感染が生じる可能性がある。肺感染は滅多に 治療を要しないが、播種性の感染は、アンフォテリシンBを用いて治療されうる 。コクシジオイデス(Coccidioides)によって惹起こされるコクシジオイデス症は 、米国南西部において広く普及した非伝染性の呼吸器系真菌症である。これもや はり、通常は自己限定性であるものの、慢性の肺感染または播種性の感染を惹起 こすかもしれない。治療のために、アンフォテリシンBまたはミコナゾールが投 与されうる。ブラストミセス(Blastomyces)によって惹起こされるブラストミセ ス症は、非伝染性、亜急性または慢性の地方病性真菌症であり、米国南東部にお いて最も広く認められる。大抵の肺感染は、おそらくは自己限定性である。進行 性の肺疾患または播種性の疾患を持つ患者、および免疫力が低下した患者は、ア ンフォテリシンBを用いて全身性の治療が行われるとよい。パラコクシジオイデ ス(Paracoccidioides)によって惹起こされるパラコクシジオイデス症は、非伝 染性の呼吸器系真菌症であり、南米において最も一般的な全身性の真菌症である 。これ は急性且つ自己限定性でありえ、あるいは、進行性の肺疾患または肺外の播種を 生じるかもしれない。播種性の疾患は、概して、治療を施さなければ命に関わる ものである。スルホンアミド類が使用されうるが、成功率は低い。アンフォテリ シンBが応答の率は高いが、それでも再発が起こるかもしれない。 クリプトコッカス症は、非伝染性で、しばしば日和見性の真菌症である。これ は、しばしば髄膜炎を伴う、呼吸困難(involvement)または血行性の播種によ り特徴付けられる。主たる病因学的物質は、クリプトコッカス・ネオフォーマン ス(C.neoformans)である。大抵の肺感染はおそらく見落とされているが、クリ プトコッカス性髄膜炎は、報告されている疾患のうち90%に相当し、劇的であり 滅多に見落とされることはない。クリプトコッカス症は免疫力が低下した患者に おいて特に問題であって、AIDS患者の7〜10%にクリプトコッカス性髄膜炎が発 症している。髄膜炎の主な症候は頭痛であり、付随する所見には、精神的な変化 、眼の症候、聴覚減退、悪心、嘔吐、及び急発作が包含される。治療しなければ 、2年以内に80%の患者が死亡する。髄膜炎において、脳脊髄液沈渣のインディ アインク調製物中にクリプトコッカスを観察することができ、脳脊髄液から培養 できる。通常、治療にはフルコナゾールまたは、アンフォテリシンBとフルシト シンの組合せが用いられるが、アンフォテリシンBは血液−脳関門を通過しない 。 アスペルギルス症は、アスペルギルス(Aspergillus、コウジカビ)種によって 惹起こされる多様な疾患プロセスを網羅する語である。アスペルギルス種は遍在 性であり、その胞子は定常的に吸入されている。既知の300を越える種のうち、 以下のわずか数種のみが通常ヒトに対して病原となる:アスペルギ ルス・フミガタス(A.fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(A.flavus)、 アスペルギルス・ニガー(A.niger)、アスペルギルス・ニドゥランス(A.nidu lans)、アスペルギルス・テレウス(A.terreus)、アスペルギルス・シドウィ( A.sydowi)、アスペルギルス・フラバタス(A.flavatus)、およびアスペルギル ス・グラウカス(A.glaucus)。アスペルギルス症の罹患率は上昇しており、特 に慢性の呼吸器疾患を持つ患者または免疫力が低下した患者の間で問題になって いる。免疫力が低下した患者の間において、アスペルギルス症は、最も一般的に 日和見性の真菌症としてカンジダ症に次ぐものであり、この群の全身性真菌症の 約15%に相当する。日和見性の肺アスペルギルス症は、広範な気管支びらん及び 潰瘍形成、それに続く、血栓症、閉塞及び梗塞形成を伴う、肺血管の浸潤により その特徴が示される。臨床的には、感染により壊死性の斑状気管支肺炎が現れ、 時に出血性の肺梗塞を伴う。症例のうち40%で、他の部位への血行性の伝播があ る。アスペルギルス症も稀少ではあるが、火傷創の悪化を圧倒的なものにし、療 治のためにしばしば切断を施す必要がある。侵入性のアスペルギルス症は、一般 に致命的であり、しかして果敢なる診断及び治療が必要である。血液、尿及び脳 脊髄液の培養では滅多に陽性にならないが、塗沫標本及び生検において、真菌を 認めることができる。治療のためにアンフォテリシンBが投与可能である。 ムコール症は、急性であり化膿性の日和見性真菌症で、免疫力が低下した患者 に鼻脳、肺または播種性の疾患を起こし、火傷または開放創を持った患者に局所 性または播種性の疾患を起こす。この感染は、接合菌類のクラスの真菌によって 惹起こされ該真菌には、バシジオボラス(Basidiobolus)、コニジオ ボラス(Conidiobolus)、リゾプス(Rhizopus)、ムコール(Mucor)、アブシジ ア(Absidia)、モーチエレラ(Mortierella)、クニンガメラ(Cunninghamella)、 およびサクセナエ(Saksenaea)が包含される。鼻脳ムコール症は、ムコール症の 全症例のうち約半分に相当する。これは最も速やかなる致死性を持つ真菌性疾患 のひとつであり、治療されない患者は2〜10日以内で死に至る。初期の臨床的所 見には、鼻詰まり、鼻からの血液分泌、顔面膨化及び顔面痛が挙げられる。次い で、感染は眼、頭蓋神経及び脳に伝藩する。肺のムコール症は鼻脳疾患とほぼ同 様に一般的なものであり、アスペルギルス症と同様の壊死及び梗塞形成を惹起こ す。真菌は事実上決して見出されず、あるいは血液、痰または脳脊髄液から培養 もされない。播種性のムコール症は、肺または火傷創の感染を伴う。治療にはア ンフォテリシンBが用いられる。 カンジダ症は、酵母であるカンジダの種による宿主における転移増殖または感 染によって惹起こされる局所または全身性の多様なプロセスを称する概括的な用 語である。カンジダ症は全世界において広く発生しており、皮膚、口腔及び他の 粘膜の表面感染が一般的である。例えばガン治療に際して、正常な細菌性フロー ラを破壊する抗生物質、免疫抑制剤、及び骨髄に対して毒性を有する薬剤を高い 投与量にて使用することに起因して、侵入性の全身性疾患が問題になってきてい る。カンジダの播種については、好中球減少が主たる危険因子である。カンジダ 症はまた、AIDS患者、臓器移植患者、腸管外栄養を摂取している患者、ならびに 放射線治療及び化学療法を行っているガン患者などといった免疫力が低下してい る個体にも見出される。カンジダ症は、世界中で最も一般的な日和見性の真菌症 である。最も一般的な病原学的物質は、カンジダ・アルビ カンスである。他の感染性を持つ種には、カンジダ・トロピカリス(C.tropical is)、カンジダ・パラシロシス(C.parapsilosis)、カンジダ・ステラトイデア(C .stellatoidea)、カンジダ・クルセイ(C.krusei)、カンジダ・パラクルセイ( C.parakrusei)、カンジダ・ルシタナエ(C.lusitaniae)、カンジダ・シュード トロピカリス(C.pseudotropicalis)、カンジダ・ギリエルモンディ(C.guilli ermondi)およびカンジダ・グラブラータ(C.glabrata)が包含される。カンジダ ・アルビカンスは、通常、ヒトの口腔、咽喉、胃腸管及び膣に見出される。アル ビカンス以外の種は、よく皮膚にコロニー形成している。カンジダ種は、温度ま たは宿主に依存せず、2つの型で存在する。通常のコロニー形成型は、特に組織 侵入に際して偽菌糸体の形態に見せかけた酵母類である。偽菌糸体は、伸長した 生物体の分岐鎖の中に酵母が連続的に出芽して生じる。 カンジダ・アルビカンスは、酵母細胞の特定の宿主組織に対する接着を担うと 考えられる、細胞壁マンノタンパク質を含んでいる。かかるマンノタンパク質の タンパク質部分よりもむしろマンナン部分が、マウスにおける脾臓及びリンパ節 への真菌細胞の接着に寄与しているとの報告がなされている。[Kanbeら、Infec tion Immunity、61巻、2578〜2584頁、(1993)]。 カンジダ・アルビカンスは、フィブロネクチン、ラミニン、ならびにI型及び IV型コラーゲンなどの細胞外マトリックス(ECM)タンパク質(これらはすべて、 ヘパリン結合ドメインを含んでいる)にも強固に結合する。このことは、カンジ ダ・アルビカンスが、ヘパリン様表面分子を発現しているかもしれないことを示 唆している。播種性のカンジダ症の病原論において、カンジダ・アルビカンスの ECMへの接着が重要であるかもしれない。ヘパリン、ヘパラン硫酸およびデキス トラン硫 酸グリコサミノグリカン(GAG)は、おそらくはGAGのECMタンパク質への結合が関 与する機構によって、カンジダ・アルビカンスのECMおよびECMタンパク質に対す る接着を阻害し、しかしてこれらの選択的なリガンドをマスキングしていること が立証されている。[Klotzら、FEMS Microbiology Letters,78巻、205〜208頁 、(1992)。] 臨床的には、カンジダは、表在性の粘膜皮膚感染、慢性の粘膜皮膚カンジダ症 、または全身性感染として現れる。表在性の粘膜皮膚感染は、皮膚または粘膜の いかなる領域にも生じうる。AIDS患者において一般に認められる口瘡は、舌、口 腔、または他の中咽頭表面を覆う斑状または連続的な、クリーム色から灰色の偽 膜により特徴付けられ、潰瘍または壊死を伴う可能性がある。喉頭が冒されると 、嗄声が惹起こされる。時として、中咽頭の疾患が拡張して食道炎になる場合が あり、胸骨後痛及び嚥下困難の症候を示すかもしれない。腸管のカンジダ症は、 通常は非症候性であるものの、免疫力が低下した個体における血液原性の侵入の 主因となる。間擦疹は、腋窩、そ径部、乳腺下の襞、及びその他の暖かく湿った 領域を冒し、また、赤く侵出性の、または乾燥して鱗状の障害として現れるかも しれない。感染は他の領域で生じる可能性もあり、それら領域には、肛門周囲や 生殖器の領域が含まれる。爪の感染である爪囲炎は、手または足が湿気に慢性的 に曝されることに伴うことが多い。限定的なT−細胞免疫免疫不全を持ついくら かの患者は、慢性的な粘膜皮膚のカンジダ症を併発する。これらの患者は、皮膚 、頭皮、爪及び粘膜の、頑固な表面性カンジダ感染に罹患する。 全身性カンジダ症のほとんどの症例は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ トロピカリス、および増加傾向にあるカンジ ダ・グラバラータによって惹起こされる。カンジダの感染による臨床的な明示は 、眼、腎臓及び皮膚に、主として現れる。眼では、単一または複数の、白い綿毛 状の脈絡膜と網膜の障害が生じるかもしれない。これらの障害は、視覚消失の潜 在的な原因である。腎臓が冒されると、瀰漫性膿瘍、毛細管壊死及び尿管の閉塞 が発症する。感染によって、進行性の腎不全が惹起こされることがある。全身性 のカンジダ感染はまた、赤変部分で取り囲まれた斑小結節性の皮膚障害としても 現れ、これら障害は、ざ瘡に類似した外観を有するが潜在的致死性を呈する疾患 の主な端緒となる。全身性のカンジダ症において他に明示されるものに、骨髄炎 、関節炎、髄膜炎、及び脳、心臓、肝臓、脾臓及び甲状腺における膿瘍が包含さ れる。肺が冒されることも一般的であるが、肺障害は、通常小さいので、胸部X 線では認められない。最後に、カンジダ心内膜炎は、長期にわたる静脈内治療ま たは心臓弁インプラントを受けている患者において、または静脈内薬剤の乱用者 において発症する可能性がある。真菌による障害は、弁に現れ、大血管に梗塞を 形成したり閉塞を起こしうる。 表面感染は、10%の水酸化カリウムの存在下で、感染した障害の切屑またはス ワブを顕微鏡で調べることによって診断される。カンジダ生物は、グラム染色で も見ることができる。心内膜炎は、血液培養または超音波心臓動態診断で肥厚し た弁の障害を証明することによって診断される。全身性カンジダ症は、感染の通 常部位での移しいコロニー形成の存在により、播種の発症が示唆されるものの、 その立証はなされないので、診断が困難であるかもしれない。全身性カンジダ症 の最も信頼のおける証拠は、組織侵入のバイオプシーによる立証、または脳脊髄 液、肋膜もしくは腹膜液などの閉鎖系の体腔中の液体 からの酵母の回収である。同様に、陽性の血液または尿または痰培養により、侵 入性の疾患であるか、または、内在するデバイス、例えばカテーテルまたは静脈 内ラインの周囲に単に局在するだけの疾患であるかが示されるかもしれない。 粘膜皮膚の感染は、ナイスタチン、アンフォテリシンB、クロトリマゾール、 ミコナゾール、ハロプロジンまたはゲンチアンバイオレットの局所用製剤で治療 されうる。口腔咽頭または食道のカンジダ症は、ケトコナゾールまたはフルコナ ゾールなどの全身用薬剤を用いて治療することができる。慢性的な粘膜皮膚カン ジダ症症候群は、アンフォテリシンBまたはケトコナゾールなどの、局所または 全身用治療薬に感応するかもしれないが、薬物投与が中断されると、しばしば再 発する。膀胱炎は、アンフォテリシンBを用いた膀胱洗浄、またはフルシトシン を経口投与しつつもしくはこの経口投与をせずに、短期間少量のアンフォテリシ ンBを静脈内経路で投与することにより治療されうる。心内膜炎は、6から10週 間アンフォテリシンB及びフルシトシンを併用して、弁の取替を行わなければ、 本質的には治癒不能である。しかしながら、療法を用いても、心内膜炎の完全な 治癒は必ずしも可能でない。 全身性カンジダ症の死亡率は、約50%である。全身性カンジダ症は、フルコナ ゾール(静真菌剤)、またはアンフォテリシンB(殺真菌剤)を用いて治療する ことができるが、アンフォテリシンBを全身に用いることは、その毒性により制 限がある。双方の薬剤とも、シクロスポリンA(それ自体腎毒性を有する)と併 用して用いる場合、実質的な副作用を有する。感染を制御するために、静脈内ラ インまたはカテーテルなどの促進的(precipitating)因子を除去することも重要 である。特に、免疫力が低下していない患者において、全身性カンジダ 症を治療するために、フルシトシン療法をアンフォテリシンB療法に追加するこ とができる。しかしながら、免疫力が低下した患者では、これらの感染は問題を 孕んでおり、有効な治療に抗するものである。かかる患者では、全身性カンジダ 症の死亡率は90%を越える。さらに、慢性の粘膜皮膚カンジダ症及びカンジダ性 心内膜炎は、治癒したと言明された後に疾患の証拠が示されることがしばしばあ る。 当該技術分野において、新しい抗真菌方法および材料に対する要求は現存し続 けている。特に、全身性の真菌症のために有効な抗真菌療法は限られている。こ の要求に応じる産物および方法には、理想的には、合成法または組換え法により 大量に入手可能な、実質的に非毒性の化合物が包含されよう。理想的な化合物は 、唯一の抗真菌剤として投与または適用した場合に種々の異なる真菌種に対して 迅速な作用、ならびに広範なる殺真菌または静真菌活性を有するものであろう。 理想的な化合物は、他の抗真菌剤との併用療法においても、特に、療法が有効で あるために必要とされる抗真菌剤の量をこれらの活性が低減させ、かかる薬剤の 効果を増強し、もしくは潜在的な毒性の応答及び治療における価格の高騰を限度 あるものにする場合に、有用であろう。 発明の要約 本発明は、殺菌/浸透性増強タンパク質(BPI)のドメインIII(142〜169位のア ミノ酸)から誘導された、あるいは、それに基づいた新規の抗真菌性ペプチドと 、これらペプチドの抗真菌剤としての治療用途での利用に関する。本発明のペプ チドの治療的有効量を投与することにより、真菌感染に罹患している被験者を治 療する方法において有用である。これは、ドメイ ンIII誘導ペプチドが、殺真菌/静真菌作用を有するという、驚くべき発見に基 づくものである。また、これらペプチドが、LPS中和活性を有していることは、 驚きに価する第二の発見である。この活性は、真菌感染の治療において本発明の ペプチドを使用する上で有利な点でもある。ドメインIII誘導ペプチドは、単独 でも、または既知の抗真菌剤と組み合わせて投与するとよい。被験者に補助的な 療法がなされる場合、ドメインIII誘導ペプチドの投与により有効な治療のため に必要とされる抗真菌剤の量を減じることができ、しかして、潜在的な毒性応答 及び/または治療に要する価格の高騰が限度あるものになる。ドメインIII誘導 ペプチドの投与はまた、かかる薬剤の作用を増強し、かかる薬剤の作用を促進し 、あるいは、このような薬剤に対する真菌の耐性を無効にするかもしれない。本 発明のペプチドは、配列番号:1〜250に記載のペプチドを含む。 加えて、本発明は、真菌をドメインIII誘導ペプチドに接触させることを含む 、殺真菌または真菌生長阻害の方法を提供する。この方法は、in vivo、または 液体及び表面の浄化のため、ならびに、補綴用の関節及び内在する侵入デバイス を包含する、外科用及び他の医療用装置及び埋込可能なデバイスを滅菌するため の多岐にわたるin vitro用途などで、実施することができる。 本発明のさらなる特徴には、真菌感染の治療のための医薬製造のためのドメイ ンIII誘導ペプチドの使用が包含される。医薬には、ドメインIII誘導ペプチドに 加えて、抗真菌剤などの他の化学療法剤が含有されうる。 当業者には、本発明の現在好ましい実施態様を記載した、以下の発明の詳細な 説明を考慮すれば、本発明の多くの付加的な特徴や利点が明らかになるであろう 。図面の簡単な説明 図1は、カンジダ・アルビカンスに対する様々なペプチドの活性に関するブロ スアッセイ試験の結果を示す。 図2Aおよび2Bは、カンジダ・アルビカンスSLU-1(図2A)およびカンジダ・ア ルビカンスSLU-1(図2B)に対する様々なペプチドの活性に関する放射拡散試験 の結果を示す。 図3は、カンジダ・アルビカンスに対するアンフォテリシンBとペプチドの組 み合わせによる活性に関するブロスアッセイ試験の結果を示す。 図4、5および6は、カンジダ・アルビカンスによる攻撃、ならびにペプチド または緩衝液を用いた処置後のマウスにおける生存データをグラフにより表す。 図7は、カンジダ・アルビカンスによる攻撃、ならびにペプチドまたは緩衝液 を用いたシクロスポリン処置後のマウスにおける生存データをグラフにより表す 。 図8は、様々なペプチドの活性に関するRAW細胞アッセイ試験の結果を示す。 図9は、E.coli Olll:B4 LPSによる攻撃、ならびにペプチドで処置したマウ スにおける生存データをグラフにより表す。 発明の詳細な説明 本発明は、ドメインIII誘導ペプチドが抗真菌活性を有し、また、真菌感染に 罹患した対象を治療するために投与できるという驚くべき発見に関連する。本明 細書で使用する「対象」の語は、動物(例えば、ヒト;犬のようなペット動物; 馬、牛および豚のような家畜;家禽;昆虫類;魚類;鳥類)や植物を包含するも のである。これらペプチドによって、真菌感染を治療する方法も提供するもので ある。予期せざることに、ドメ インIII誘導ペプチドは、in vitro殺菌分析系ならびに真菌感染のin vivoモデル において、例えば真菌による攻撃後の生存が向上することもしくは循環系でのコ ロニー形成単位が減少することなどによって判定して、双方で抗真菌活性を有す ることが立証された。アスペルギルスによって惹起こされる感染、クリプトコッ カス性髄膜炎などのクリプトコッカスにより惹起こされる感染、ならびにカンジ ダ種によって惹起こされる粘膜皮膚及び全身性カンジダ症を包含する種々の真菌 感染を、本発明によって治療することができる。さらに、予期せざることに、in vitro分析系ならびに真菌感染のin vivoモデルにおいて、ドメインIII誘導ペプ チドが、LPS中和活性を有していることが実証されたのである。この活性は、ト ランスロケーションあるいは感染拡大に起因する細菌性LPSが、真菌感染に関連 している場合に、真菌感染の治療において有利である。本明細書で使用する「ド メインIII誘導ペプチド」の語は、抗真菌活性を有する、BPIタンパク質の第142 〜169位のアミノ酸配列、そのサブ配列、およびその配列の変異体あるいはその 変異配列のサブ配列を含む。特に意図しているのは、6〜14個のアミノ酸と、BP Iタンパク質の約148〜約161位のアミノ酸配列、そのサブ配列、およびその配列 の変異体あるいはその変異配列のサブ配列を含んだ抗真菌性ペプチドである。好 ましいペプチドは、14個のアミノ酸を有し、そして、好ましい変異配列あるいは そのサブ配列は、第152位のGに対応するアミノ酸がKになっている配列である 。14個のアミノ酸を有する好ましいペプチド配列は、LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLF およびWLIQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸配列あるいはこれら 配列に対して少なくとも75%の相同性を示すコアアミノ酸配列変異体を有してお り、配列番号:4(XMP.13)、6〜19(XMP.31 -44)、21〜22(XMP.82-83)、23〜25(XMP.85-87)、26〜27(XMP.91-92)、28〜31(XM P.94-97)、32〜33(XMP.100-101)、34(XMP.104)、35〜40(XMP.106-111)、41(XMP. 113)、42(XMP.116)、43〜55(XMP.123-135)、57〜58(XMP.138-139)、59〜61(XMP. 142-144)、62(XMP.146)、66〜78(XMP.222-234)、80〜88(XMP.236-244)、89〜109 (XMP.249-269)および116(XMP.283)に記載のペプチドがある。抗真菌性の14merの ペプチドのこのグループは、少なくとも一つのBPI配列残基が、D-異性体アミノ 酸で置換された変異配列ペプチドを含む。例えば、配列番号:46(XMP.126)、48( XMP.128)、86〜87(XMP.242-243)および92〜93(XMP.252-253)を参照のこと。不定 型のアミノ酸、例えば、β(1-ナフチル)A、β(2-ナフチル)A、パラーアミ ノF、シクロヘキシルA、α−およびγ−アミノ酪酸、αメチルAおよびNメチ ルG、VおよびLによるBPI配列の置換に関与する変異配列もこのグループに属 する。 7〜12個のアミノ酸を有する本発明の好適なドメインIII誘導抗真菌性ペプチ ドは、(a)LIQL、IQLF、WLIQL、LIQLFおよびWLIQLFからなるグループから選択さ れたコアアミノ酸配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノおよび/また はカルボキシ末端部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ酪酸からなる グループから選択された一つ以上のカチオン性アミノ酸を含む。7〜9個のアミ ノ酸を有するこのペプチドのサブセットは、(a)LIQLおよびIQLFからなるグルー プから選択されたコアアミノ酸配列;および(b)このコアアミノ酸配列のアミノ および/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オルニチンおよびジアミノ 酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つのカチオン性アミノ酸を含 む。8〜10個のアミノ酸を有するこのペプチドの他のサブセットは、(a)LIQLFお よび WLQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸配列;および(b)このコアア ミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシ末端部分に、K、R、H、オルニ チンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少なくとも二つのカチ オン性アミノ酸を含む。9〜12個のアミノ酸を有するこのペプチドのさらに他の サブセットは、(a)WLQLFからなるグループから選択されたコアアミノ酸配列;お よび(b)このコアアミノ酸配列のアミノおよび/またはカルボキシ末端部分に、 K、R、H、オルニチンおよびジアミノ酪酸からなるグループから選択された少 なくとも三つのカチオン性アミノ酸を含む。これらサブセットの例として、配列 番号:118〜137(XMP.285-304)、140〜144(XMP.307-311)、155〜160(XMP.322-327 )、166〜170(XMP.335-339)、174〜177(XMP.343-346)、179〜184(XMP.348-353)、 186(XMP.355)、188〜190(XMP.357-359)がある。 上記したペプチドの構造の考察から明らかな通り、BPIアミノ酸の第148〜161 位にあるドメインIII配列が、上記したコア配列とこのコア部分に作用する複数 のカチオン性残基(KとH)を含む。この部分は、本発明の抗真菌性ペプチドを もたらす第148〜161位の配列のサブ配列構造まで移動し、第148〜161位の抗真菌 性変異配列およびそのサブ配列にて保存される。例えば、BPI配列の第152位に通 常は位置するG残基がK残基で置換され、これによって、支配的な疎水性コア残 基の直近にカチオン性残基が到達するように作用する。本発明による抗真菌性ペ プチドをもたらす配列と変異サブ配列は、通常はコア配列に作用している一つ以 上の非カチオン性残基が、カチオン性残基で置換された配列であって、本発明の ペプチドはこの配列を含むペプチドである。 このコア配列にて、中性脂肪残基LとIは、中性脂肪残基G、 A、V、IおよびLによってそれぞれ置換される。同様に、芳香族残基W(BPIの 第153位)およびF(BPIの第158位)は、異なる芳香族残基あるいは中性脂肪残基G 、A、V、IおよびLによって置換される。さらに、コア配列Q(BPIの第156位) は、好ましくは、中性脂肪残基T、SおよびNによって置換される。上述したよ うに、コア配列に変異作用を及ぼす場合、変異コア配列が、BPI配列に対して75 %の相同性を保持するのが好ましい。 本発明の抗真菌性ドメインIIIペプチドは、配列番号:164(XMP.333)、165(X MP.334)、173(XMP.342)、194(XMP.363)および196(XMP.365)に記載のペプチドに 例示したような、一つ以上のD-異性体アミノ酸を有し、また、配列番号:163(XM P.332)および198(XMP.367)に記載のアミノ酸配列を有するペプチドに例示したよ うな逆方向のD-異性体アミノ酸を有するコアアミノ酸配列を有している。この抗 真菌性ペプチドは、配列番号:162(XMP.331)、185(XMP.354)、187(XMP.356)、19 5(XMP.364)、199(XMP.368)および204(XMP.373)に記載のペプチドに例示したよう な、アセチル化したアミノ末端アミノ酸残基を有することもできる。配列番号: 191〜193(XMP.360-362)に例示したような、環状抗真菌性ペプチドも、本発明の 範囲内に含まれる。 本発明の他のドメインIII抗真菌性ペプチドは、配列番号:1(XMP.5)、2〜 4(XMP.11-.13)、5(XMP.29)、20(XMP.55)、56(XMP.137)、79(XMP.235)、111 〜115(XMP.271-.275)、117(XMP.284)、132(XMP.299)、138〜139(XMP.305-.306 )、145〜154(XMP.312-.321)、200〜203(XMP.369-.372)、171〜172(XMP.340-.341 )に記載のペプチド、および配列番号:206に記載のBPI残基145〜159および149〜 163を含む。 本発明の他のドメインIII抗真菌性ペプチドは、配列番号:205-243(XMP.374-. 412)および配列番号:244-250(XMP.414-.420)に記載の抗真菌性ペプチドを含 む。よって、本発明のペプチドは、表1に記載の配列番号:1-250の配列を有す るペプチドを包含するのである。 本発明の薬学的組成物は、ドメインIII誘導ペプチドと、薬学的に許容可能な 希釈剤、補助剤あるいは担体を含み、局所的、静脈注射的、経口的あるいはエア ロゾルにて投与される。 本発明のin vitro法によれば、抗真菌性ペプチドあるいはこれを含む薬学的組 成物と真菌を接触させることで、真菌の殺菌あるいは増殖阻害に至る。本発明の 真菌感染の治療法は、ドメインIII抗真菌性ペプチドの治療的有効量を、真菌感 染の患者に投与することを含み、この治療法は、Candida(特に、C.atbicans、C .glabrata、C.krusei、C.lusitaniae、C.parapsziosisおよびC.tropicalis) 、AspergillusおよびCryptococcus種からなるグループから選択された真菌種が 関与する感染に対して適用可能である。 詳述したように、本発明によって調製した薬剤/薬学的組成物は、非ペプチド 性薬剤を含めた他の抗真菌剤を併用することも、あるいは他の薬剤を用いた治療 との併用治療においても使用できる。 組換え法あるいは合成法によって生成したBPIに由来もしくは基づくペプチド (BPI誘導ペプチド)は、1994年9月15日出願の米国特許出願第08/306,473号に 対応する、共有であり係属中の1994年9月15日出願のPCT出願第US94/010427号、 および、(特に、配列番号:206に記載のBPI残基145〜159および149〜163を有す る、重複する15-merペプチドを開示した)1993年3月12日出願の米国特許出願第 08/030,644号の一部継続 出願である、1993年7月15日出願の米国特許出願第08/093,202号(これに対応す る国際出願は、1994年3月11日出願のPCT出願第US94/02401号である)の一部継 続出願である、1994年1月14日出願の米国特許出願第08/183,222号の一部継続出 願である、1994年3月11日出願の米国特許出願第08/209,762号に対応する、1994 年3月11日出願のPCT出願第US94/02465号(これらはすべて引用することにより その開示が本明細書に含まれるものである)に記載されれている。BPI抗真菌活 性を有する、BPIタンパク質の約142〜169位のアミノ酸配列、そのサブ配列、お よびその配列の変異体あるいはその変異配列のサブ配列を含むBPI-誘導ペプチド は、その開示が本明細書に含まれるものである、1995年1月13日に出願の共同所 有に係る係属中の米国優先権出願No.08/372,105に開示されている。 ドメインIII誘導ペプチドは、全身に、あるいは局所に投与することができる 。全身投与の経路には、経口、静脈内、筋肉もしくは皮下注射(長時間放出用の デポ剤に含められる)、眼内または眼球後部、鞘内、腹膜組織内(例えば腹腔組 織内灌流による)、エアゾル化または霧状にした薬物を用いた経肺、または経皮 経路が包含される。局所経路には、軟膏、眼用滴剤、耳用滴剤、または潅注液( 例えば傷の潅注用)剤形での投与が包含される。 ドメインIII誘導ペプチドは、現在のところ有効であることが知られている他 の抗真菌剤と併用して投与してもよい。この目的のために好ましい抗真菌剤は、 アンフォテリシンBおよびフルコナゾールである。抗真菌剤と共にドメインIII 誘導ペプチドを同時に投与することで、抗真菌剤の治療効果の向上が期待される 。このような向上は、例えば複製などの真菌の生長を根絶または阻害するに要す る抗真菌剤の濃度を低減すること を通して起こるのかもしれない。いくらかの薬剤の使用は、全身性の毒性のため またはひどく高価格となるために限度があるので、治療効果のために必要な抗真 菌剤の濃度を下げることで毒性及び/または治療価格が低減され、しかして、そ の薬剤をより広範に用いることが許容される。ドメインIII誘導ペプチドと他の 抗真菌剤とを同時に投与することで、いずれかの薬剤を単独で用いた場合に達成 しうるよりも迅速または完全な殺真菌/静真菌効果が得られるかもしれない。ド メインIII誘導ペプチドの投与は、抗真菌剤に対する真菌の耐性を無効にするか もしれない。ドメインIII誘導ペプチドの投与はまた、静真菌剤を殺真菌剤に変 換させるかもしれない。 本発明により提供される利点は、現在のところ不治であると考えられている真 菌感染、特にカンジダ感染を治療することができることにある。別の利点は、既 知の抗真菌剤に対する耐性を有する真菌を処置できることにある。例えば、アン フォテリシンBなどの望ましくない副作用を有する抗真菌剤と共にドメインIII 誘導ペプチドを同時に投与することのさらなる利点は、有効な治療のために必要 な抗真菌剤の量を減じうることにある。本発明は、さらには、例えば、治療期間 が短縮され、集中医療ユニットにおける滞在が短縮されまたは、病院全体での滞 在が短縮されるために、患者の生活の質における恩典をも提供し、付随的に重大 な院内(病院でもたらされる)感染の危険性を減じるものである。 本明細書中における「同時投与」には、薬剤を一緒に、または互いに先にもし くは後で投与することが包含される。ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤 は、異なる経路によって投与されてもよい。例えば、ドメインIII誘導ペプチド を静脈内投与し、一方抗真菌剤を筋肉、静脈内、皮下、経口または腹膜 組織内に投与してもよい。あるいは、ドメインIII誘導ペプチドを腹腔組織内に 投与し、一方、抗真菌剤を腹腔組織内もしくは静脈内に投与したり、またはドメ インIII誘導ペプチドをエアゾルもしくは霧状の剤形にて投与し、一方、抗真菌 剤を例えば静脈内投与してもよい。ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤を 、双方とも静脈内投与してもよい。ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤は 、同じ静脈内ラインを介して、間に水洗をした後、引き続き与えるか、または異 なる静脈内ラインを介して与えてもよい。ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真 菌剤は、双方の薬剤とも感染の部位において有効濃度に達することを許容するに 充分なように与えられる限りにおいて、同時にまたは引き続き投与することがで きる。 ドメインIII誘導ペプチドおよび抗真菌剤の同時投与によって、真菌感染のさ らに効果的な治療が提供されると予測される。2つの薬剤の同時投与で、どちら かの薬剤を単独で投与した場合よりも、in vivoにおいて大きな治療効果が提供 されるかもしれない。例えば、同時投与によって、同等の治療効果を達成しつつ 、一方または双方の薬剤の投与量を低減させることができるかもしれない。ある いは、同時投与によって、いずれかの薬剤を単独で用いた場合に達成可能な効果 よりも迅速または完全な殺真菌/静真菌効果が生み出されるかもしれない。 治療上の有効性は、首尾良い臨床上の成果に基づくものであり、感染に関わる 生物の100%を抗真菌剤または薬剤が死滅させることが必要なわけではない。成 功は、宿主にとって利となるようにバランスを傾けるよう、真菌を阻害するに充 分な、感染部位における抗真菌活性のレベルを達成することに依存している。宿 主の防御が高度に効果的である場合には、必要な抗真菌作用は、低くてもよい。 1の常用対数(指数10)にま で生物への負荷量を減じてでさえも、感染を制御するための宿主自身の防御が許 容されるかもしれない。加えて、初期の殺真菌/静真菌作用を増加させることが 、長期間の殺真菌/静真菌作用よりも重要でありうる。これらの初期の成果によ って、宿主の防御機構を活性化する時間が与えられるので、かかる成果は重要で あり、治療の成功に決定的な部分である。 ドメインIII誘導ペプチドは、補体、p15およびLBPを含む全血または血清、な らびに他の細胞及び免疫系の成分に存在する種々の宿主防御要素と相互作用する と考えられる。このような相互作用は、ペプチドの活性の強化を生しさせるのか もしれない。これらの相互作用のために、ドメインIII誘導ペプチドは、in vitr oよりもin vivoでさらに大きな活性を発揮することが期待できる。しかして、in vitro試験でin vivoにおける実用が予示はされるが、in vitroで活性がないこ とが必ずしもin vivoにおいて活性がないことを示唆するものではない。例えば 、BPIは、旧来の培地を用いたアッセイにおけるよりも、全血または血漿アッセ イで、グラム陰性細菌に対してより大きな殺菌効果を呈することが観察されてい る。[Weissら、J.Clin.Invest.90巻、1122〜1130頁(1992)]。これは、旧来 のin vitro系が、in vivoにおけるBPIの機能を助長するかもしくは強化する血液 成分を欠くためか、または、旧来の培地がBPIタンパク質産物の典型的な活性阻 害剤であるマグネシウムおよびカルシウムを生理学的濃度よりも多量に含有して いるからかもしれない。さらに、宿主において、ドメインIII誘導ペプチドは、 グラム陰性細菌の転位を中庸化し、付随する菌体内毒素の放出を無効にするのに 役立ち、抗真菌活性のin vitro試験によって認められないまたは予測されないさ らなる臨床上の利益を提供する。 ドメインIII誘導ペプチドを、当該ペプチドの抗真菌活性を包含するペプチド の活性を強化する他の産物と共に投与することも意図される。例えば、血清補体 は、BPIタンパク質産物の殺グラム陰性細菌活性を強化し、BPIタンパク質産物と 血清補体との組合せによって、相乗的な殺細菌/生長阻害効果が提供される。例 えば、Ooiら、J.Biol.Chem.、265巻、15956頁、(1990)、及びBPI殺細菌活性を 強化する、天然に存在する15kDタンパク質について述べられている、Levyら、J. Biol.Chem.,268巻、6038〜6083頁(1993)を参照されたい。また、1993年7月14 日出願の米国特許出願第08/093,201号の一部継続出願である、1994年7月11日出 願の米国特許出願第08/274,303号に対応する、1994年7月13日出願の共有で係属 中であるPCT出願第US94/07834号も参照されたい。これらの出願は、すべて引用 することによりその開示が本明細書に含まれるものであり、リポ多糖結合タンパ ク質(LBP)およびLBPタンパク質産物を投与することによってBPIタンパク質産物 の殺グラム陰性細菌活性を強化する方法が記載されているものである。CD-14免 疫促進特性を欠いたLBPタンパク質誘導体および誘導体ハイブリッドが、1993年 6月17日出願の米国特許出願第08/079,510号の一部継続出願である、1994年6月 17日出願の、共有で係属中である米国特許出願第08/261,660号に対応する、1994 年6月17日出願のPCT出願第US94/06931号に記載されており、これらの出願は、 すべて引用することによってその開示が本明細書に含まれるものである。1995年 1月13日出願の、Lambert、米国出願第08/372,104号に記載されているように、 ポロキサマー界面活性剤がBPIタンパク質産物の抗細菌活性を増強させることも 観察されており、ポロキサマー界面活性剤は、抗真菌剤の活性をも増強するのか もしれない。 本発明の理論に拘束されず、ドメインIII誘導ペプチドが種々の作用態様を有 するかもしれないと考えられる。このペプチドは、そのヘパリン結合能を通して 、細胞外マトリックスへの真菌の結合を妨害するのかもしれない。例えば、カン ジダのヘパリン様表面分子が、細胞外マトリックスおよび宿主組織への酵母の接 着を媒介すると考えられている。このペプチドは、真菌の細胞質膜上への直接的 な作用もしているかもしれない。加えて、このペプチドは、グラム陰性生物のLP Sに構造的に類似している、または標的宿主組織への接着の原因である、真菌細 胞壁マンノタンパク質に結合し、しかして宿主組織との真菌の相互作用が干渉さ れるかもしれない。真菌のマンナンへの結合は、ペプチドの細胞質内膜への接近 も促進するかもしれない。さらに、真菌感染は腸菌叢(flora)および/またはLPS のストレス誘導性転位を惹起こすかもしれないので、このペプチドは、グラム陰 性細菌を殺傷し、LPSを中和することによって有益に作用するかもしれない。最 後に、本発明によるドメインIII誘導ペプチドの抗真菌活性は、その独特の構造 によるものかもしれない。例えば、ドメインIIIに含まれる6つのアミノ酸(WLIQ LF)の配列と5つと4つのアミノ酸(LIQL、IQLF、WLIQLおよびLIQLF)の配列は、 中性親水性アミノ酸であるグルタミン(Q)を除けば、疎水性のアミノ酸配列を構 成する。この疎水性部分は、そのN−およびC−末端にて高カチオン性の(極性 )リシンによって結合されている。この部分は、リーダー/シグナルペプチドな らびに膜タンパク質の膜内外部分のように思われる。I、L、V、M、Aのよう な脂肪アミノ酸は、背骨水素結合を形成する能力を持っているので、12〜15個の 非極性アミノ酸の配列が形成されれば、疎水性膜環境下では、経膜性のα−フェ リック構造をつくる顕著な傾向がある。W やFのような芳香族疎水性アミノ酸も、膜のα−フェリックに取り込まれる。ド メインIIIの疎水性部分の中央にある中性の親水性のグルタミンは、エルゴステ ロールのような他の真菌膜成分と水素結合に関与し、そして、殺真菌活性におい て重要な役割を果たす。10個のアミノ酸からなる短鎖(例えば、XMP.293)は、脂 質二重層に至るに十分な長さとは言えず、膜崩壊をきたす両親媒性のカチオン性 抗生物質ペプチドとは違った多様な作用機序を有しているものと考えられる。6 〜12個のアミノ酸とカチオン性アミノ酸で結合した中性アミノ酸のコア部分から なる短鎖部分は、脂質二重層に至るに十分な長さとは言えず、よって、長鎖ペプ チドよりも効率善く脂質二重層を横断できると考えられる。細胞内部にまで輸送 された場合、カチオン性/中性/カチオン性分子は、細胞壁の炭水化物合成のポ リアミン調節による拮抗阻害および/またはポリアミン合成のフィードバック阻 害のいずれかによって、内因性ポリアミン(スペルミジン、スペルミン、プトレ ッシン)の機能を阻害するであろう。 加えて、本発明は、真菌をドメインIII誘導ペプチドに接触させることを含む 、真菌の殺傷または生長阻害の方法を提供する。この方法は、in vivoまたは、 食物の調製における用途、もしくは液体及び表面の浄化のため、もしくは、補綴 用の関節を包含する、外科用及び他の医療用装置及び埋込可能なデバイスを滅菌 するための用途など、種々のin vitro用途において、実施することができる。こ れらの方法は、しばしば感染の病巣である、静脈内ライン及びカテーテルなどの 内在する侵入デバイスのin situ滅菌のためにも用いることができる。 本発明のさらなる特徴には、真菌感染の治療用医薬の製造のためのドメインII I誘導ペプチドの使用が包含される。医薬に は、BPIタンパク質産物に加えて、抗真菌剤などの他の化学療法剤が含まれる。 医薬は、製薬的に容認されうる希釈剤、佐剤または担体を随意に含むことができ る。 抗真菌性ペプチドの投与は、好ましくは、ペプチドおよび製薬的に容認されう る希釈剤、補助剤または担体を含む、医薬組成物を用いて成し遂げられる。この ペプチドは、既知の界面活性剤、他の化学療法剤または付加的な既知の抗真菌剤 と併用してまたは併用せずに投与することができる。 以下の例示的な実施例を考慮して、本発明の他の特徴および利点が理解される であろう。すなわち、実施例1では、ペプチドの調製と精製が述べられており; 実施例2では、ペプチドのin vitro抗真菌性試験についての報告がなされ;実施 例3は、カンジダ株と抗生物質耐性株を含む、様々な真菌種に対するペプチドの in vitroとin vivo試験について述べられており;実施例4には、カンジダに感 染したマウスの生存率に関するペプチドのin vivo効果が示されており;実施例 5では、ペプチドの血清安定性について報告がなされ;実施例6は、構造と最小 機能配列の分析のための抗真菌ペプチドの設計と分析について報告しており;実 施例7では、抗真菌ペプチドのLPS中和活性が、そして実施例8には、ペプチド の製剤化について言及されている。 実施例1 ペプチドの調製と精製 本実施例は、ドメインIII誘導ペプチドの調製と精製に関する。 このペプチドは、様々な合成法によって調製することができる。あるペプチド (例えば、XMP.5)は、親出願の米国特許出願第08/209,762号および第08/183,222 号に記載された方法 に従い、Applied Biosystems社のModel 432ペプチド合成機を用いて、Merrifiel d、J.Am.Chem.Soc.,85巻、2149頁(1963)およびMerrifieldら、Anal.Chem.,3 8巻、1905〜1914頁(1966)の方法によって、固相ペプチド合成によって調製した 。 あるいは、これらペプチドは、1-フルオレニルメチル−オキシカルボニル(Fmo c)保護処理を利用するAdvanced Chemtech(ACT-Model 357 MPS)合成機にて、N,N- ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)お よび2-(1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘ キサフルオロリン酸(HBTU)/HOBt/ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を用いたダ ブルカップリング法による固相ペプチド合成法によって大量に合成される。使用 した固相支持体は、1%ジビニルベンゼン(DVB)架橋剤と0.44mmol/gの置換率の 4-(2',4'-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)-フェノキシ(Fmoc-Rinkアミ ド)リンカーを含むポリスチレン樹脂であった。使用したスケールは、出発樹脂 の0.1〜5gであった。 ジメチルフォルムアルデヒド(DMF)は主たる溶剤であり、ピペリジン/DMFの50/ 50溶剤は、1、5および10分時点それぞれでのFmoc保護を解消するために使用し た。ダブルカップリング法は各サイクルにて、各カップリングにおいて4:1の アミノ酸:ペプチドの比率で用いた。アミノ酸は、0.5Mの濃度にて、N−メチル ピロリディノン(NMP)を含む0.5MのHOBt溶液に溶解した。最初のカップリングの ために、(アミノ酸と)等モル量の、NMPを含む0.5Mジイソプロピルカルボジイ ミド(DIP CDI)の溶液を用い、そして、45分間反応せしめた。DMFを含んだ(アミ ノ酸と)等モル量の0.5M HBTU溶液と、NMPを含んだ等量の1M DIEA(2:1、DIEA: アミノ酸)を用いて、第二のカッ プリング反応を30分間行った。 合成が完了次第に、樹脂をメタノールで洗浄し、真空条件下で乾燥し、トリフ ルオロ酢酸(TFA):チオアニゾール:エタンジチオール(EDT):水を、36:2:1: 1の比率(体積は樹脂量に応じて調製する)で含むカクテルを用いて、少なくと も2時間、湿氷浴中に置いて最初の15分でアルギニンが認められれば、各アルギ ニンについて30分追加した(ただし、3時間を超えない)時間にわたって、遊離 せしめる。この溶液を10%のTFA水溶液に溶解し、メチルt−ブチルエステル(MT BE)で3回洗浄し、そして、凍結乾燥した。 選抜したペプチドのアミノ末端を、固相合成後に、上記したN末端Fmoc保護法 を用いてアセチル化した。ピペリジンによるFmoc除去の後で、かつTFAによるペ プチドの遊離の前に、10倍以上のモル濃度の無水酢酸と、ジメチルホルムアルデ ヒド中の2倍以上のモル濃度のジイソプロピルエチルアミンを用いて、樹脂上の ペプチドを1時間誘導するか、あるいは、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(D IC)/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と2-(1-H-ベンゾトリアゾール-1- イル)-1,1,3,3,−テトラメチルウロニウムヘキサ−フルオロ燐酸塩(HBTU)/HOBt/ ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、および、カプリン酸、ラウリル酸、Fmoc-8 −アミノ−オクタン酸、およびFMoc-12-アミノ−ドデカン酸のいずれか一つを構 成単位として用いた二重結合法を、誘導のために用いた。このペプチドを、上述 したTFA遊離カクテルを用いて樹脂から遊離せしめ、そして後述するようにして 精製した。精製したペプチドのN末端のアシル化を、質量分光測定法によって確 認した。 新たに合成された各ペプチドの純度分析のために、粗製の凍結乾燥したペプチ ドの希釈液を調製し、150mm×1mm、5μ径、 300Å孔径のC-8 Zorbaxカラムを備えたMichrom Ultrafast Microprotein分析機 にて分析した。カラム・オーブンを、40℃に設定し、流速を100μl/分とし、そ して、注入量を5〜10μlとした。移動相Aを5%アセトニトリル/0.1%TFAの 水溶液とし、そして、移動相Bに80%アセトニトリル/0.065%TFAを用いたHPLC を行った。溶出物を、214nmにて分光測定法によって観察した。純度(%)を、 各ペプチドに関するピーク面積(表1参照)から算出した。 選抜したペプチドを、40×10mmの防護カートリッジと40×100mmのPrep Pakカ ートリッジからなる、15μm、300Å孔径のカートリッジカラムである、デルタPa k C-18を備えたWaters Prep LC 2000調製用クロマトグラフィーシステム(Water Corp.,ミルフォード、マサチューセッツ州)を用いて、高速液体クロマトグラフ ィー(HPLC)によって精製した。このカラムは、移動相Aを5%アセトニトリル/ 0.1%トリフルオロ酢酸、そして、移動相Bに80%アセトニトリル/0.065%トリ フルオロ酢酸を用いた、25%の緩衝液Bで平衡化した。ペプチドを、緩衝液Aに 20mg/ml程度になるまで溶解し、その200〜800mgを8〜17ml/分の流速で稼働し ているLCポンプを介してカラムに導入し、結合している物質を、8〜17ml/分の 流速で負荷された25〜35%緩衝液B/30分で溶出した。(ペプチドよっては、23 〜33%緩衝液B/30分の勾配で精製した。)溶出物を、プログラム可能な多波長 検出器Waters 490Eを用いて、220および/または280および300nmにて観察した。 画分を回収し、そして、40℃に維持した、150×1mm、5μm、300Å孔径のZorba x C-8を備えたUltrafast Microprotein分析機(Michrom BioResources社、プラサ ントン、カリフォルニア州)にて対象となるペプチドの分析を行った。95%以上 の純度のこれらペ プチドを含む画分をプールし、そして、凍結乾燥した。復元したペプチドの純度 を、分析用逆相HPLCを用いて決定した。 実施例2 IN VITRO 抗真菌効果 本実施例は、ブロスアッセイおよび/または放射拡散アッセイでの抗真菌活性 に関する、ドメインIII誘導ペプチドのin vitroスクリーニングに関する。 以下の表1に、BPIのドメインIIIの配列より由来するまたはそれに基づいたペ プチドが示されている。これらペプチドは、接頭のXMPまたはBPIに伴うペプチド 番号(例えば、XMP.1またはBPI.1、XMP.2またはBPI.2)によって特定される。表 1では、各ペプチドの配列番号、BPIの中での参照位置に基づいたアミノ酸配列 ならびにアミノ酸置換及び付加の標記によっても識別される。さらに表1には、 それらペプチドのHPLCによる純度の評価についても示した。HPLC純度分析は、実 施例1に記載の方法に従った。 各ブロスアッセイスクリーニング法において、CA-1と名付けたカンジダ・アル ビカンス、SLU#1株は、セントルイス大学病院、セントルイス、ミズーリー州の G.MatuschakおよびA.Lechnerの研究室から受領したものであり、このコロニーを 、5mlのサブローデキストロースブロス(2%デキストロース、1%ネオペプト ン)を含有するチューブに接種し、振盪しつつ37℃にて一晩インキュベートした 。一晩培養した培養物を5mlの新鮮なブロスにて1:50に希釈し、37℃にて3時 間インキュベートした。生物をBeckman J-6M遠心機において3000rpm(1500×g) にて5分間遠心することでペレットとし、そのペレットは5mlのリン酸緩衝性生 理食塩水(PBS)に再懸濁して、570nm における吸光度を測定した。1OD単位は3×107コロニー形成単位/mlに等しいと いう測定結果に基づいて、酵母細胞をサブローデキストロースブロス中、2×106 細胞/mlに希釈した。 スクリーニングすべきBPI由来のドメインIII誘導ペプチドまたはBPIに基づく ドメインIII誘導ペプチドは、元はダルベッコ−PBSにおいて構成されていたが、 ブロス中100μg/mlに希釈し、そして、96ウェルの滅菌した、平底の発熱物質不 含の組織培養プレート(Costar、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)のウェル の中へ連続的に2倍希釈した。すべてのアッセイは、3重検定で実施した。2× 105の生物をウェル当たり100μlにて添加して、プレートを37℃にて18時間振盪 機でインキュベートし、そして各ウェルについての吸光度を、590nmにて読み取 った。本明細書に添付した図1に、5つのペプチド(XMP.13、XMP.138、XMP.139 、XMP.142およびXMP.143)に対する用量曲線をグラフで示す。示した全ペプチド が、培養物の吸光度を約50μg/mlを下回る用量において0.1を越えない数値にま で減じさせたが、XMP.138が、示したペプチドのうち低用量で最も良い結果を呈 した。最小阻害濃度(MIC)、すなわち、590nmにおける吸光度を0.1を越えない数 値に減じさせるに要する最低濃度によって、ブロスアッセイのデータを表す。図 1にある上記した5つのペプチドの各MIC(μg/ml)は、それぞれ、12.5、3.13、6 .25、12.5および25.0であった。 放射拡散アッセイ法において、CA-1培養物およびペプチド溶液を、前記のブロ スアッセイ法におけると同様に調製した。3%サブローデキストロースブロス、 1%アガロース(Pharmacia、Piscataway、ニュージャージー州)、0.02%Tween 20、および10mMリン酸ナトリウム、pH7.4を含む、10mLの融解した下層アガロー スをポリスチレンチューブに加え、酵母を添加する まで、56℃の水浴中に保持した。チューブをおよそ45℃にまで冷却し、酵母を添 加して1×106CFU/mlの最終濃度となるようにし、チューブを反転させることに より再度混合した。内容物を平坦な四角形のペトリ皿に注加し、平均に分布させ た。アガロースは30秒経たないうちに固化し、約1mmの均一の厚みを有していた 。固まったアガロースに、真空装置が装着された滅菌した3mmの穿孔器を用いて 、一連のウェルを穿孔した。 アッセイすべきペプチドは、およそ1mg/mLの濃度から始めて、ダルベッコPBS (D-PBS)で連続的に2倍に希釈していった。各希釈液のうち5μLを、各々のウ ェルに加えて、プレートを37℃にて3時間インキュベートした。次いで、6%サ ブローデキストロースブロス、1%アガロース、および10mMリン酸ナトリウム、 pH7.4(およそ45℃)を含む、10mLの融解したアガロース上層を加え、プレートを3 7℃にて一晩インキュベートした。この一晩にわたるインキュベーションに続き 、希釈したクーマシー溶液をプレートに注加し、24時間染色させた。 各ウェルを取り囲む生長阻害の清澄域を、カリパスを用いて測定した。実際の 生長阻害面積(mm2)は、ウェルの面積を引くことで算出した。以下の表1に、PRO BIT分析によって(例えば、log pmolと阻害正規面積の関係を示す濃度用量作用 曲線の対数曲線の直線部分からの回帰から)算出した、30mm2の生長阻害面積を なすために必要なペプチドのピコモル数(pmol)によって、調べたペプチドにつ いての放射拡散アッセイの結果を表す。 実施例3 様々な真菌種に関する抗真菌性ペプチドのIN VITRO およびIN VIVOでの効果 本実施例では、カンジダ種および様々な抗真菌剤に対して耐性を有する株を含 めた真菌種に対する、放射拡散分析での、様々なドメインIII誘導ペプチドのin vitroおよびin vivoスクリーニングについて述べる。本実施例は、カンジダ株SL U-1に対する、ペプチドとアンフォテリシンBとの併用による効果についても述 べている。 アンフォテリシン耐性カンジダ株に関して、ドメインIII誘導ペプチドの殺真 菌活性について試験した。カンジダ株の耐性コロニーを、傾斜プレート法を用い て単離した。スラントのサボローデキストロース寒天をプレートに注ぎ、そして 固化せしめた。このプレートを水平に置き、10μg/mlの濃度のナイスタチン(Sig ma社、セントルイス、ミズーリー州、カタログ番号第N-3503)を補充した寒天を 足した。実施例2に記載のカンジダ アルビカンスSLU-1株のCA-1コロニーから 得た細胞(100μl中に107個の細胞)をプレートに播き、37℃で、一晩インキュ ベートした。当初は、微細なコロニーが確認され、野性株のコロニー程度の大き さになるまでインキュベーションが必要であった。11個の各コロニーを、SLU-2A からSLU-2Kと、順次命名した。これらのコロニーは、2μg/mlのアンフォテリシ ンBによる最初の馴養の後、アンフォテリシンBの濃度を高めたサブローデキス トロースブロスで連続的に馴養した。20μg/mlのアンフォテリシンBによる最後 の馴養の後、コロニー2G、2H、2Jおよび2Kは生存していたが、野性株SLU-1株は 1μg/mlのアンフォテリシンBに対して感受性を有していた。いずれの耐性株に も、胎児ウシ血清での胚管の形成は認められ なかった。さらに、これら単離物の成長速度はSLU-1より格段に遅く、37℃では 、菌糸を形成しなかった。 放射拡散分析のために、カンジダ アルビカンスSLU-1を上記したようにして 成長せしめ、そして、SLU-2Gを、10μg/mlのアンフォテリシンBと5μg/mlのセ フトリアキソンを補充したサブローデキストロースブロスにて、37℃で、一晩成 長せしめた。新鮮な、補充物を含まないブロスで、この培養物を1:25に希釈し 、37℃で、5時間成長せしめた。4℃で、1,500×g、5分間という遠心条件で 、細胞をペレット化した。上清を移し、pH7.4の10mM燐酸緩衝液の5mlと交換し た。遠心分離後、OD570での計測のために、細胞ペレットを5mlの燐酸緩衝液で 再懸濁した。SLU-1細胞のOD570は3×107CFU/mlであり、また、SLU-2G細胞のOD5 70 は5×106CFU/mlであった。 10mlの溶解および冷却(−45℃)した下層アガロースに、1×106/mlの濃度に なるまで細胞を添加し、懸濁液を平底ペトリ皿に注ぎ、ゆっくりと揺らしながら 均一に分布および固化せしめて、約1mmの厚みになるようにした。ウェルから、 真空装置を備えた滅菌した3mm径のパンチで、固化アガロースを切り出した。 ペプチドを、D-PBSで、約1mg/mlの濃度から連続的に2倍ずつ希釈した。アン フォテリシンBとナイスタチンも、それぞれ、100および225μg/mlの濃度から同 様にして希釈した。各ウェルに5μlを添加し、37℃で、1.5〜2.0時間拡散せし めた。そして、10mlの溶解した上層のアガロースを添加し、プレートを倒立させ て、37℃で、一晩インキュベートした。プレートを希釈したクーマシー溶液で染 色し、阻害面積をカリパーで計測し、正規面積を算出し、そして、PROBIT分析に よってpmol値に換算した。各実験の結果を、SLU-1株について は図2Aに、そして、SLU-2G株については図2Bに表した。図2Aと図2Bにて、XMP.13 の抗真菌活性を白抜円で、XMP.37を黒塗円で、XMP.97を白抜三角で、XMP.127を 黒塗三角で、アンフォテリシンBを白抜四角で、そして、ナイスタチンは黒塗四 角でそれぞれ表した。30mm2の阻害領域を形成するpmolは、XMP.13は、SLU-1に対 して689pmol、SLU-2Gに対して129pmolであり;XMP.37は、SLU-1に対して231pmol 、SLU-2Gに対して75pmolであり;XMP.97は、SLU-1に対して670pmol、SLU-2Gに対 して161pmolであり;XMP.127は、SLU-1に対して935pmol、SLU-2Gに対して116pmo lであり;アンフォテリシンBは、SLU-1に対して36pmol、SLU-2Gに対して>541p molであり;そして、ナイスタチンは、SLU-1に対して98pmol、SLU-2Gに対して> 1215pmolであった。図2Aと2Bに示したように、XMP.13、XMP.37、XMP.97およびXM P.127の各ドメインIII誘導ペプチドは、SLU-1野性型株とSLU-2Gアンフォテリシ ンB耐性株の双方に対して抗真菌活性を示し、これらは、SLU-2Gアンフォテリシ ンB耐性株に対して実証された活性より良好であった。対照的に、アンフォテリ シンBは本来のSLU-1株に対しては効果的であったが、SLU-2G耐性細胞の殺傷に は至っていなかった。これら結果は、本発明のドメインIII誘導ペプチドが、ア ンフォテリシンBとは異なる作用機構を有した殺真菌剤であることを実証してい る。 他の抗真菌剤に対する耐性を有すると考えられる一般に入手可能なカンジダ株 、すなわち、ポリエン耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC受託番号第38247号 )、5-フルオロシトシン耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC第44373号)、ア ゾール耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC第62342号)およびケトコナゾール 耐性のカンジダ アルビカンス(ATCC第64124号)に関する、ドメインIII誘導ペ プチドの抗真菌活性を決定するため の試験をさらに行った。試験した上記株に関するXMP.13、XMP.36、XMP.97、XMP. 127およびXMP.166という代表的な各ペプチドによる抗真菌活性は低減されず、こ のことは、これらペプチドが他の殺真菌剤とは異なる作用機構によって活性を呈 していることを示すものである。 ドメインIII誘導ペプチドの抗真菌活性を、Candida glabrata(カンジダ グ ラブラタ)、Candida krusei(カンジダ クルセイ)、Candida lusitaniae(カ ンジダ ラシタニエ)、Candida parapsilosis(カンジダ パラシロシス)、お よびCandida tropicalis(カンジダ トロピカリス)を含めた様々な真菌種に対 して、in vitroで評価した。実験を行うにあたって、サブローデキストロース寒 天(SDA)プレートから上記したカンジダ株それぞれの1コロニーを採取し、そし て、5mlのサブローデキストロースブロス(SDB、2%デキストロースおよび1% ネオペプトン)に、Candida kruseiについては、酵母モルトブロス(YM、Becton Dickenson、コッキースビル、メリーランド州、カタログ番号BL11405)を収めた 12mlのポリプロピレン製の留め蓋式チューブに接種した。チューブでの培養物は 、振盪しながら、37℃で、一晩インキュベートした。 この培養物の1:10の希釈液のOD570での計測が、Candida glabrataについて は0.083、Candida kruseiについては0.154、Candida lusitaniaeについては0.11 7、Candida parapsilosisについては0.076、およびCandida tropicalisについて は0.192と、同等もしくは上回った時に培養物を回収した。3,000rpm(約1,500× g)にて、エッペンドルフマイクロフュージにて、7分間、細胞を遠心分離した 。細胞ペレットを1mlの燐酸緩衝液で再懸濁し、約0.5ml中の約1×107個の細胞 を、10mlの冷却した下層寒天(3%SBD、1%寒天、0.02%Tween 20、10 mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH7.4、約5℃)に添加した。この懸濁液を角形ペト リ皿に注いで固化せしめ、そして、上述したようにてウェルを切り出した。 ペプチドを、D-PBSで、約1mg/mlの濃度の約20μlから連続的に2倍ずつ希釈 した。各ウェルにペプチド希釈液の5μlを添加し、(完全に拡散するように)3 7℃で、少なくとも約30分間拡散せしめた。そして、10mlの溶解した上層のアガ ロース(6%SDB、1%寒天、10mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH7.4、約45℃)を添 加し、プレートを倒立させて、37℃で、一晩インキュベートした。プレートを希 釈したクーマシー溶液で染色し、阻害面積をカリパーで計測し、正規面積を算出 し、そして、PROBIT分析によってpmol値に換算した。各実験の結果を、表2に表 した。例えば、ドメインIII誘導ペプチド、XMP.13P、XMP.97P、XMP.127P、XMP.1 66P、XMP.286P、XMP.327P、XMP.331P、XMP.332P、XMP.333PおよびXMP.337Pは、 試験の用いたカンジダ株の少なくとも数種に対して抗真菌活性を示した。これら 結果は、本発明のドメインIII誘導ペプチドが、様々なカンジダ種に対する抗真 菌剤として広範に効果を及ぼすことを実証するものである。 ドメインIII誘導ペプチドの抗真菌活性を、カンジダ(Candida)、クリプトコ ッカス(Cryptococcus)、フサリウム(Fusarium)、トリコフィトン(Trychophyton) およびアスペルギルス(Aspergillus)の種を含めた多様な種の真菌に対して、ア ラマーブルー(Alamar Blue)を利用した他の分析用プロコトールに従って評価を 行った。アラマーブルーは、多様なヒトあるいは動物細胞、細菌あるいは真菌の 増殖を定量的に測定するための指示薬である。この指示薬は、代謝活性に応じて 色が変化する酸化還元(REDOX)指示薬から構成されている。 実験を行うにあたって、カンジダとクリプトコッカスの真菌を、サブロー(Sab ouraud)のデキストロース肉汁(SDB)にて、一晩、生育せしめた。繊維状真菌(ア スペルギルス、フサリウム、トリコフィトン)の株を、混濁した培地をペトリ皿 に流して取得した。細胞を洗浄し、そして、新しいSDBで5.0×103/mlの濃度に調 整した。ペプチドを、20μg/mlの濃度から、SDBで連続的に2倍に希釈した。対 照は、アンフォテリシンB、フルコナゾール、ケトコナゾールおよびグリセオフ ルビンを含んでいた。抗真菌剤も、同様の手順で希釈した。 分析を、96ウェルマイクロタイタープレートにて行った。各ウェルに100μlの 量のペプチドを入れ、次いで、100μlの真菌細胞の懸濁液を加えた。真菌の最終 濃度は2.5×103/mlであり、試験した抗真菌化合物は、10μg/mlの濃度のものか ら使用した。各ウェルに20μlの量のアラマーブルーを加え、アスペルギルス、 カンジダ、クリプトコッカスのプレートについては、37℃で、18時間、そして、 生育の遅い真菌(すなわち、トリコフィトン)のプレートについては、30℃で、 48〜72時間インキュベートを行った。真菌細胞あるいは細胞屑をペレット化する ために、プレートを緩く遠心分離(1,000rpm、1分間) した。各ウェルの100μlを、新しい96ウェルプレートに移し、ELISAプレートリ ーダーにてOD590を計測した。 元の96ウェルプレートから得た50μlを、殺真菌活性を決定するために、サブ ローのデキストロース寒天に置いた。試料が置かれたウェルは、OD590の計測に よって選択した。対照の青色(あるいは、OD計測値)を維持しているペプチドの 最低濃度を、後続の二つの高濃度試料の結果に沿って選択した。各真菌の成長率 に応じて、18〜48時間かけて生育せしめた。最小殺真菌活性(MFC)は、当初の接 種量の99.9%を殺菌する活性を指す。繊維状の真菌については、最小殺真菌活性 (MFC)は、成長が止まった(完全殺菌した)時のペプチドの最小濃度を指す。代 表的なペプチドに関するこれら分析の結果を、表3と4に示した。これら結果は 、本発明のドメインIII誘導ペプチドが、多様な真菌種に対して有効な抗真菌剤 であることを実証している。 他の実験にて、ペプチドの殺真菌活性を試験するために、蛍光活性化細胞分離 (FACS)に基づいた分析法を作成した。これら実験のために、サブローのデキスト ロース(1%ネオペプトン、2%デキストロース:Difco社製)寒天に真菌を置 いて、培養および単離した。寒天プレートから幾つかのコロニーを拾い、滅菌済 の10ml容のポリプロピレン製チューブ中にある5mlのサブローのデキストロース 培地に接種した。真菌培養物を、30℃で、約18時間インキュベートした。インキ ュベーションの終わりに、4mlの真菌培養物を、100mlのサブローのデキストロ ース肉汁(SDB)が入ったフラスコに接種した。100mlの培養物を、約5時間あるい は対数増殖期に至るまで接種した。培養物が対数増殖期に達すると、100mlの培 養物を、二つの50mlの円錐形のポリプロピレン製の遠心用チューブに移した。こ の培養物を、3000rpmで、5分間、遠心分離した(Sorvall RT 6000B)。遠心分 離した後、遠心用チューブに真菌のペレットを残して、上清を移した。このペレ ットを、15mlのSDBで再懸濁した。両懸濁液を一つのチューブに合わし、ストッ ク(親株)カルチャーが生じるように混合した。この真菌の親株の濃度は、試料 をSDBで1:10に希釈し、570nmでの分光測光法(Shimadzu UV-160分光測光器)に よって希釈液のOD(吸光度)を測定するか、あるいは試料をトリパンブルーで1: 10に希釈し、血球計を用いて細胞数を計測して決定する。親株の濃度を決定した 後、1×106細胞/mlの100mlを得るべく、サブローのデキストロース培地で適切 な希釈液を調製した。 生理食塩水にて、約1mg/mlの濃度のペプチド溶液を調製した。96ウェルのポ リプロピレン製のプレート(Costar 3790)にて、ペプチドをPBSで、1:2に、6 回、連続的に希釈した。次に、1×106細胞/mlの細胞懸濁液の1mlを、適当数の FACScanチューブ、一ペプチドにつき7つのチューブ、そして分析対照用の3つ のチューブ(正、負および自動蛍光用の対照チューブ)に分注した。約20μlの ペプチド溶液を、1mlの細胞懸濁液に加え、チューブ内のペプチドが、20、10、 5、2.5、1.25、0.625および0.313μg/mlの最終ペプチド濃度になるようにした 。これらチューブは、30℃で、1時間インキュベートしたが、正の対照チューブ については、40分間インキュベートして、3000rpmで5分間遠心分離した。上清 を移し、そして、細胞ぺレットを1mlの70%エタノールで再懸濁し、100%殺菌 を達成すべく、10分間インキュベートした。1時間のインキュベーションの後、 すべてのチューブを、3000rpmで5分間遠心分離した。上清を移し、そして、ダ ルベッコのPBS(DPBS、GIBCO社、グランドアイランド、ニューヨーク州)に溶か した80μg/mlのヨウ化プロピディウム(Sigma社、セントルイス、ミズーリー州) の1mlで再懸濁したが、自動蛍光用の対照についてはDPBSでの再懸濁に止めた。 これらチューブを混合し、室温下、暗黒下で、少なくとも20分間、インキュベー トした。 FACScan流動血球計(Becton Dickenson社、マウンテンビュー、カリフォルニ ア州)を、分析の開始に先駆けて、少なくとも5分間、ウォームアップさせた。 以下のパラメーターが設定されるよう、適切な調整を行った。 増幅器 検出器 FSC 1.00-2.00 E00 SSC 1.00-2.00 200-300 FL1 対数 400-500 FL2 対数 400-500 細胞(10,000細胞/チューブ)を分析にかけ、各蛍光値を測定した。これら実 験において、自動蛍光用の対照試料にあっては、顕著な蛍光値は認められなかっ た。死滅した(つまり、ヨウ化プロピディウムで染色した)真菌細胞の数は、負 の対照と正の対照試料との間の蛍光域値によって求められる。ペプチドのすべて の濃度について、ペプチド濃度に対する死滅細胞のパーセントをグラフに描き、 その曲線からIC50決定した。代表的なペプチドに関する結果を、以下の表5〜8 に示した。 ペプチドとアンフォテリシンBの組み合わせによる、カンジダ株SLU-1に対す る効果を研究した。この実験を行うにあたって、ペプチド単独、アンフォテリシ ンB単独、あるいはペプチドとアンフォテリシンBの併用の場合に、試験に用い る真菌細胞と共にインキュベートすることを除けば、カンジダ アルビカンスSL U-1を、実施例2と同様にして成長せしめ、そしてブロス希釈分析にて分析を行 った。 代表的なペプチドXMP.97の単独使用、あるいはアンフォテリシンBと併用した 場合の分析結果を、図3に示した。図3にて、XMP.97とアンフォテリシンBの併 用による殺真菌活性を、XMP.97の濃度と、0.047μg/ml(白抜四角)、0.074μg/ ml(黒塗三角)、0.188μg/ml(白抜三角:0.375μg/ml(黒塗円))および0.750μg /ml(白抜円)のアンフォテリシンBの濃度によって表示した。XMP.97単独での 活性を、黒塗四角で表した。XMP.97とアンフォテリシンBは共に、それぞれ単独 で用いてもある濃度までは、抗真菌剤として効果がある。ペプチドとアンフォテ リシンBとの併用は(これら二つの薬剤が、拮抗薬であるかのように)阻害活性 には結びつかないが、むしろ、最大の殺真菌効果を得るに必要な双方の抗真菌剤 の量を減少せしめる結果をもたらすものである。特に、ドメインIII誘導ペプチ ドと、アンフォテリシンBのような抗真菌剤の同時投与は、真菌の根絶あるいは 真菌の成長阻害に必要なアンフォテリシンBの濃度が低減されることにより、治 療効果の改善に寄与するものである。アンフォテリシンBは、その全身的毒性の ためにその使用が制限されていたので、治療効果を得るに必要な抗真菌剤の濃度 を低減することは、毒性の低下を招くものであり、結果としてこの抗真菌剤の用 途拡大を許容することにもなる。 ドメインIII誘導ペプチドの抗真菌活性を、クリプトスポリジウム パルヴム( Cryptosporidium parvum)、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)およびヒストプラスマ カプシラタム(Histoplasma capsilatum)を 含めた様々な真菌種に対して、動物モデルにてin vitoで評価した。C.parvumに 関する動物モデルには、国立アレルギーおよび感染症疾患センター(National In stitute of Allergy and Infectious Diseases)より契約に基づいて供給された 、重度合併免疫不全(SCID)マウスと、初乳欠乏SPF子ブタのモデルが含まれてい た。 ドメインIII誘導ペプチドのin vivoでの抗真菌活性を、他の動物モデル、例え ば、Walshら、J.Infect.Dis.,161:755-760(1990)およびThalerら、J.Infect .Dis.,158:80(1988)に記載された散在性のカンジダ症を患った顆粒球減少症の ウサギのモデル;Arroyoら、Antimzcrob.Agents & Chemo.,pp.21-25(1977年 1月)に記載された散在性のアスペルギルス症を患ったマウスのモデル;および 、Lechnerら、Am.J.Physiol.(Lung Cell.Mol.Physiol.)10:1-8(1994) ならびにそこで引用された文献に記載された散在性のカンジダ症を患った好中球 減少症のラットのモデルについても評価できる。 実施例4 全身性のカンジダ感染を有するマウスにおけるペプチドのIN VIVO抗真菌効果 本実施例では、カンジダ・アルビカンスを全身に感染させたマウスの総死亡数 または死亡率の軽減において、ドメインIII誘導ペプチドのin vivo抗真菌効果を 示す。実施例2に記載した放射拡散およびブロスアッセイで抗真菌活性について スクリーニングしたペプチドを、実施例1に記載の通りに調製および 精製した。 6〜8週齢の雄性DBA/2Jマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、メイン州 )15匹の5つの群に、尾静脈への静脈注射により1.24×105のカンジダ・アルビ カンス(実施例2に記載のSLU-1株)を接種した。動物への注射のために、以下 のようにして細胞を調製した。単一コロニーを選抜し、サブローデキストロース ブロスを含有する5mlのチューブび接種した。30℃で通気しながら震盪して、15 〜18時間、インキュベーションを行った。終夜培養物の4mlを、100mlの新鮮サ ブローデキストロースブロス(1:25に希釈したもの)に添加し、4時間インキュ ベートした。100mlの培養物を、1500×gで5分間遠心してペレット化した。20m l D-PESを添加し、攪拌し、そして再度遠心することで、細胞を2回洗浄した。 一つのチューブに細胞を集め、OD570(1 OD単位=3×107CFU/ml)による測定のた めに、試料を1:25に希釈した。この細胞を、D-PBSで所望の用量になるように希 釈し、用時まで4℃で保管した。連続10倍希釈を行い、そして、サブローデキス トロース寒天に希釈液50μlを接種することで用量を確認した。37℃で終夜イン キュベーションを終えた日にコロニーを計測した。500mlの培養液で、約1×107 CFU/mlの細胞数が認められた。 このモデルでは、細胞数が約1×105のカンジダを接種した結果、28日で致死 量に至った。真菌で攻撃した直後に、尾静脈を介して10mg/kgのXMP.36、5mg/kg のXMP.97、10mg/kgのXMP.102、1mg/kgのアンフォテリシンB(Sigma、セントル イス、ミズーリー州)、または対照として0.1mlのリン酸緩衝性生理食塩水(PBS) をマウスに静脈注射した。2日目および4日目に同量のペプチド、アンフォテリ シンBまたはPBS(例外として、XMP.36は第2回目に5mg/kgの投与量にて与えた) を用 いた処置を繰り返した。28日目に試験を終了するまで、死亡率につき、1日2回 マウスを監視した。図4に表す死亡率のデータで、28日目までに、アンフォテリ シンBで処置したマウスの100%が生存し、XMP.97で処置したマウスの53%が生 存し(対照に比較してp<0.05)、XMP.36で処置したマウスの33%が生存し、XMP. 102で処置したマウスの27%が生存し、そしてPBSで処置したマウスの20%が生存 することが示される。図4において、「×」の記号は、アンフォテリシンBでの 処置、白抜きの四角はXMP.97での処置、白抜きの円形はXMP.36での処置、白抜き の菱形はXMP.102での処置、および白抜きの三角は緩衝液での処置後の生存を表 す。Lifetest Survival Curve分析を用いて統計的有意性を評価した。[Lawless 、Statistical Models and Methods for Lifetime Data、John Wiley &Sons、Ne w York(1982)。]生存における期間およびほぼ直線的な減衰は、ヒトの日和見性 のカンジダ症に類似している。 三回投与試験にて、15匹のマウスのグループについて、上述した注射用に調製 された、0.5×105個のカンジダ細胞をマウスに注射し、次いで、0日、2日及び 5日目に10mg/kgのXMP.127、5mg/kgのXMP.13、5mg/kgのXMP.37、1mg/kgのア ンフォテリシンB、または対照として0.1mlのPBSを用いて処置した。図5に表す 死亡率のデータにより、28日目までに、アンフォテリシンBで処置したマウスの 100%が生存し、XMP.127で処置したマウスの67%が生存し(対照に比較してp<0. 05)、XMP.37で処置したマウスの33%が生存し、XMP.13で処置したマウスの20% が生存し、そしてPBSで処置したマウスの33%が生存することが示される。図5 において、「×」の記号はアンフォテリシンBでの処置、白抜きの円形はXMP.12 7での処置、黒塗りの三角は緩衝液での処置、白抜きの四角はXMP.37での処 置、白抜きの三角はXMP.13での処置後の生存を表す。 三回投与試験にて、予期されるとおりアンフォテリシンBには完全に保護能が あった。実施例2に記載の放射拡散分析によって決定された抗真菌活性を有しな い対照のペプチドであるXMP.102の効果は、PBSと何ら異なることはなかった。こ のデータにより、全身をカンジダ・アルビカンスで攻撃したマウスへのペプチド XMP.97およびXMP.127の投与によって、予期せざることに、緩衝液で処置した対 照に比較して死亡率の有意な低下が提供されることが立証される。 抗真菌性ペプチドの効果を決定するための試験を、(上記した三回投与でなく 、六回投与として)用量を増やしてさらに実施した。9週齢の雄性DBA/2Jマウス のグループに、尾静脈への静脈注射により(上記したように調製した)2.7×105個 のカンジダ細胞を接種した。真菌で攻撃した直後に、0日目、2日目、4日目、 7日目、9日目および11日目に、10mg/kgのXMP.284、1mg/kgのアンフォテリシ ンB、または対照としてのPBSの各0.1mlでマウスを処置した。アンフォテリシン Bで処置したマウスは、すべて保護されていた。XMP.284(黒塗円)とPBS対照(白 抜円)の結果を、図6に示した。死亡率を示すデータは、6〜24日目までに、2. 7×105個のカンジダ細胞が接種されたPBS処置したマウスは一匹だけが生存する に至った(生存率:6%)が、XMP.284は6日目にして13匹のマウスを生存せし め(生存率:87%)、24日目には3匹のマウスを生存せしめた(生存率:33%) 。 0.5〜3.0×105Candida細胞と、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0もしくは5.0mg/kg 用量のペプチドを用いて、上述した手順に沿って、さらに6つの用量実験を行っ た。その結果を、以下の表9に示した。 カンジダ・アルビカンスで全身的に感染したマウスの腎臓での真菌による負担 を軽減させる上での、本発明のペプチドとアンフォテリシンB(AmpB)の効果を比 較するために、in vivoでの殺真菌性分析を確立した。実験は、以下のようにし てペプチドあるいはAmpBで処置した腎臓からの真菌の除去効果を決定する目的で 構成されている。 6×104個のカンジダ・アルビカンスを雄性DBA/2マウス(Charles River Labs) に接種し、そして、試験0日目に、尻尾の静脈から静脈注射によって、生理食塩 水、AmpBあるいはペプチドを投与した。すべてのグループ(n=6)に、同じカ ンジダ・アルビカンス(死亡数を下げるために、半分量の1.0-1.5×105個の真菌 を標準接種量とした)と、一回の注射当たり、等量の滅菌食塩水あるいは抗真菌 剤を投与した。接種後直ちに、処置を開始した。すべてのマウスに、毎日あるい は隔日に、生理食塩水、ペプチドあるいはAmpBの所定用量が投与された。試験を 4日目で終了し、すべての動物を二酸化炭素で窒息死させ、その腎臓をカンジダ の再単離のために摘出した。 具体的には、動物を屠殺して直ちに、双方の腎臓が摘出され、また、副腎と付 着組織も取り除いた。双方の腎臓を、5mlの滅菌食塩水と、ペニシリン/ストレ プトマイシンの10mg/mlのストック溶液の1:100の希釈液が入った、予め秤量した 15mlの円錐形チューブに直ちに入れた。このチューブを改めて秤量し、増えた重 量を、「腎臓の生重量(g)」として記録した。臓器浸軟するまで、氷上でチュー ブを保存した。 カンジダの再単離とCFU測定のために、ガラス製の組織ホモジェナイザー(Tenb roeck Tissue Grinder,15ml,Wheaton)を石鹸と水で洗浄および濯ぎを行い、氷 冷した70%エタノールで2分間滅菌処理した。エタノールを除いた後に、滅菌し た PBSでホモジェナイザーを濯ぎ、そしてPBSも除いた。このホモジェナイザーに、 5mlの生理食塩水/抗生物質および腎臓を入れ、腎臓の包膜から付着組織が離れ るまで均質化を行った。この均質化物の2mlを、無菌的に、氷上の新しいチュー ブに移した。100μlの(滅菌PBSで連続的に希釈した)均質化物を、サブローデ キストロース寒天プレートに置き、37℃で、一晩インキュベートした。コロニー の数を数え、そして、CFUとCFU/GFWを算出し、さらに、ANOVAとFisherのPLSDに よって結果を解析した。代表的なペプチドの分析結果を、以下の表10に示した。 カンジダ・アルビカンスSLU-1株で全身的に感染処置されたシクロスポリンA で免疫抑制したマウスでの、代表的な抗真菌性ペプチドの効果を決定するための 試験も行った。9齢の雄性DBA/2Jマウスのグループ(15匹/グループ)に、シク ロスポリンAの10mg/kgを腹膜内注射した(−1日目)。1日後(0日目)、尾 静脈への静脈注射により、2×105個のカンジダ細胞をマウスに接種した。 真 菌で攻撃した直後に、10mg/kgのXMP.284、10mg/kgのXMP.127、または対照として のPBSの各0.1mlでマウスを処置した。1日目、3日目、7日目および9日目に、 シクロスポリンA注射を行った。XMP.284、XMP.127、またはPBSの注射を、2日 目、4日目、6日目、8日目および10日目に行った。アンフォテリシンBで処置 したマウスは、すべて保護されていた。XMP.127(黒塗三角)、XMP.284(白抜四角) およびPBS対照(白抜円)で処置した後の死亡率のデータを示した図7の結果は 、予想された通り、免疫抑制されたマウスがカンジダ感染により感受性になって いることを示していた。しかし、XMP.284と、程度は若干劣るもののXMP.127は、 PBS対照と比較して、生存数の大きさに反映されているように、感染に対する保 護能を有していた。 他の抗真菌剤に対して耐性であると考えられるカンジダの株:ポリエン耐性の カンジダ アルビカンス(ATCC受託番号第38247号)、5-フルオロシトシン耐性 のカンジダ アルビカンス(ATCC第44373号)、アゾール耐性のカンジダ アル ビカンス(ATCC第62342号)およびケトコナゾール耐性のカンジダ アルビカン ス(ATCC第64124号)に関する、実施例3に記載のペプチドのin vitro抗真菌活 性を確認するための、シクロスポリンAによる免疫抑制を伴う/伴わないin viv o試験をさらに行った。実施例5 血清安定性の分析 本実施例では、ドメインIII誘導ペプチドの血清安定性と、バイオアッセイとH PLCを用いた血清の減成の効果について述べる。 この血清安定性試験にあたって、実施例1に記載したように、固相ペプチド合 成によってペプチドを調製し、94%以上の純度にまで精製した。メタファンで麻 酔をかけたラットの大動脈からVacutainer(登録商標)チューブに採血を行い、約 30分かけて室温にて血液を凝固させ、室温にて、10分間、3000rpm(約1000×g) で遠心分離し、そして、血清を吸い出した。 加えて、凍結したヒトの血清(No rth American Biologics社、マイアミ、フロリダ州、カタログNo.2140、ロット No.94115)を室温下で解凍し、そして、用時に先駆けて0.45μmの膜に通して濾 過した。 試験に用いるXMPペプチドの1mg/mlの溶液を、等量の上記したラットもしくは ヒトの血清に添加し、そして、37℃で維持した。0、1、2および4時間の時点 にて、100μlの試料を除去し、後述するHPLC分析のために固相抽出によって処理 した。C-18 Sep-Pakカートリッジ(100mgの溶剤を含む1mlカートリッジ、Waters 社、ミルフォード、マサチューセッツ州)を利用したHPLCのための血清試料を調 製した。100μlの血清試料を、等量の1% TFAに添加し、Vortexミキサーで30秒 間混合した。1mlのメタノールと1mlのミリQ水で洗浄して調整したC-18 Sep-P akカートリッジに、この試料を適用した。1mlの0.1% TFAで洗浄することで、 弱く保持された成分を溶出した。2倍量の250μlの80%アセトニトリル/0.065 % TFAで、結合したペプチドを溶出した。 Sep-Pakカートリッジから溶出した物質を、150mm×1mm、 5μ径、300Å孔径のC-8 Zorbaxカラムを備えたMichrom Ultrafast Microprotei n分析機にて分析した。カラムオーブンを40℃に、流速を100μl/分に、そして一 般的な注入量を5〜10μlに設定した。移動相Aとして5%アセトニトリル/0.1 % TFAの溶液、そして移動相Bとして80%アセトニトリル/0.065% TFAを用い たHPLCを実施した。溶出物を、214nmの波長にて分光光度的に測定した。標準ペ プチドを、0.1mg/mlの濃度にて移動相Aに溶解した。勾配を25〜35%B/10分と し、次いで、100%Bによる5分間の洗浄工程、そして、25%Bによる10分間の 再平衡化を行った。 上記したように血清のインキュベーションの後に同定され、そして精製された ペプチドを、Applied Biosystems社のModel 477A/120A配列解析機でのN末端の ペプチド配列の決定と、VG Biotech Bio-Q質量分光器を用いた電子噴射イオン化 質量分光分析(ESI/MS)に適用した。さらに、上記したように血清のインキュベー ションの後に同定され、そして精製されたペプチドを、実施例2に記載したよう にカンジダ アルビカンスSLU-1を用いた放射拡散バイオアッセイにてその抗真 菌活性についても試験した。 これらの実験では、ドメインIII誘導ペプチド、XMP.97、XMP.327、XMP.332お よびXMP.333を使用した。それぞれの血清安定性は、実質的に相違していた。例 えば、XMP.97は所定のアッセイ条件下で、59分の半減期で血清中で減成した。XM P.97からの二つの代謝産物が検出され、このものが、アミノ末端の開裂によって 生じた一つもしくは二つのアミノ酸だけ少ないペプチドである開裂産物であるこ とが判明した。この開裂産物と反応速度は、市販の血清あるいは新たに調製した ラットの血清と同様であった。XMP.97の他の代謝産物の存在が推定さ れるが、検出限界を下回る濃度であると思われる。 ペプチドの血清インキュベーションの後に認められた化学変化は、カンジダを 用いた放射拡散アッセイにて決定された活性の損失を伴うのが一般的である。例 えば、例えば、XMP.327は所定のHPLC条件下で、40分の半減期で血清中で減成し た。放射拡散アッセイでの抗真菌活性によって決定されたXMP.327の血清半減期 は、43分であった。他のケースの場合、抗真菌活性の消失速度とペプチドの消失 速度とは相違しており、このことは、ある産物が活性を有していることを示唆し ている。 ペプチドの減成に関与する酵素は、これらの実験では同定されていない。しか しながら、血清中のアミノペプチドは、ペプチドのN末端から一つ以上の残基を 除去できる。〔例えば、Hooper,N.M.,Ectopeptidases,Biological Barriers to Protein Delivery,pp.25-30,Audus and Raub編、Plenum Press,New York ,1993を参照。〕例えば、アミノペプチダーゼ(E.C.3.4.11.2)は、広範な基質 特異性を有しており、ブロックされていないペプチドからN末端アミノ酸を放出 する。加水分解部位に基づいて、減成経路を封じるようにデザインすることがで きる。ペプチド中の特定のアミノ酸での血清の変質は、D-アミノ酸あるいは他の 不定型のアミノ酸の導入、および/またはプロテアーゼ認識を防ぐための環状化 によって解消される。 他の研究にて、血清安定性が向上したペプチドをデザインした。例えば、一つ 以上のD-アミノ酸を用いてペプチドを合成した。実施例1に記載されたようにペ プチドを合成し、そして、そのN末端をアセチル化した。例えば、XMP.333は、 合成のために用いたアミノ末端のリジン残基をD-アミノ酸とした以外は、XMP.32 7と同じアミノ酸配列を有するように合成した。 XMP.333を試験したところ、放射拡散アッセイにて決定された半減期は130分であ った(XMP.327は43分であった)。これら結果は、N末端の単一のD-アミノ酸が 、ある部分の消失を防ぎ、ペプチドの半減期を延長することを示唆するものであ る。 半減期が長くなったペプチドの調製は可能であるが、同じin vitro活性は維持 できないであろう。例えば、XMP.327の半減期は43分であり、また、放射拡散ア ッセイでの活性は353pmolであった(表1参照)。XMP.327と同じアミノ酸配列を 有するものの、N末端はアセチル化されていないXMP.331は、HPLC分析によって 検出された280分という延長された血清半減期を有するが、アセチル化されてい ないXMP.327よりも劣る>3493pmol(表1参照)の活性しか保持していなかった 。しかし、in vitro活性が落ちてはいるものの、このペプチドは、その改善され た安定性が故にin vivoでの効果の改善は期待できる。 顕著な安定性の改善のみならず、放射拡散アッセイで検出される抗真菌活性も 維持した、他のペプチドの調製も可能である。例えば、XMP.332はすべてD-アミ ノ酸を用いて合成されており、XMP.327の逆配列を有している。かような「逆D- 」ペプチドは、Lアミノ酸の間にあるペプチド結合を認識して加水分解する血清 酵素に対して耐性とすべきである。実際、XMP.332は、6時間にわたる血清のイ ンキュベーションの後でも、活性の低下あるいはペプチド濃度の低下は認められ なかった。Lアミノ酸ペプチドに対してin vitroにて等モル濃度の活性を維持し 、そして、血清半減期を増大せしめるこのようなペプチドは、in vivoでも改善 された効果が期待される。放射拡散アッセイによって測定した血清中の活性の半 減期と、HPLC分析によって検出された血清中の活性の半減期を、代表的なペプチ ドについて、以下の表11に示した。 実施例6 構造/機能の研究 本実施例は、抗真菌性ペプチドの構造面および最小機能配列の解析のための、 ペプチドのデザインと分析に関する。 上記実施例2、3および4に記したように、XMP.97は、カンジダ アルビカン スに対して顕著なin vitro活性を有しており、また、マウスの全身系カンジダモ デルに対して顕著なin vivo活性を有していることが明らかとなった。この配列 は、BPI配列の第152位のグリシンをリジンで置換して得られたXMP.13から誘導さ れたものである。実施例5にて示したように、XMP.97を含むペプチドを血清と共 にインキュベートすることで、N末端アミノ酸配列が除去されることが観察され ている。13個のアミノ酸からなるペプチドXMP.284(SKVKWLIQLFHKK-アミド:配列 番号:117)が合成され、(97%にまで)精製され、そして、抗真菌活性について 試験を行った。in vitro活性は、はっきりと確認はできないが、驚くほど消失し た(表1参照)。この配列を基にして、35個の欠失ペプチドを調製した。以下の 表12に記したような、NおよびC末端を12merから6merだけ削除したペプチド(X MP.285〜XMP.319)を合成した。 粗製のペプチドについて、実施例1に記載したようにして当初の純度と、実施 例2に記載したようにして放射拡散アッセイによってin vitro活性を分析した。 表12に記載のnmol値は、このアッセイにて30mm2の阻害面積を得るに必要なnmol 数について計算された数値(対数滴定曲線)である。XMP.97とXMP.284の精製に おいて、精製時にpmol値に大きな変化が認められた。この変化の大きさは、他の 粗製ペプチドの場合と比べて大きなものであり、これは不活性なペプチド不純物 が除去されたことによるものと思われる。よって、実施例1に記載した ようにして精製したペプチドを用いて最終比較を行い、好ましくは、同日に分析 を行った。 最も活性のある粗製のペプチドをHPLCによって精製し、そして再分析を行った 。その結果を、表12に示した。この分析から、表12にて実証されているように、 ペプチドXMP.97に対して、XMP.293がモル活性の増大を伴う最も小さなペプチド であった。XMP.297は、活性に関して言えば、XMP.284と同等であった。興味深い ことに、XMP.298の活性は、XMP.297の二倍以内であった。XMP.315のような、わ ずか6つのアミノ酸からなるペプチドでも活性が認められたが、この活性レベル は、出発配列の活性の大きさからして、約3桁程度低いものである。 これらデータは、本発明のドメインIII誘導ペプチドのあるグループが開示さ れていること、そして、4〜6個のアミノ酸、好ましくは5〜6個のアミノ酸の 、疎水性アミノ酸の中央分に一つの中性親水性残基を有し、そして、カチオン性 アミノ酸によってNおよび/またはC末端に結合あるいは接するコア部分からな る構造によって定義されることを実証するものである。好ましいコア配列として 、LIQL、IQLF、WLIQF、LIQLFおよびWLIQLFがある。好ましいカチオン性アミノ酸 として、K(最も好ましい)、R、H、オルニチン(ORN)およびジアミノ酪酸(D AB)がある。かような構造のペプチドは、至適な活性を有する。カチオン性残基 のすべてをコア部分のC末端に有するペプチド(例えば、XMP.298)あるいはコア 部分のN末端に有するペプチド(例えば、XMP.300)の場合、活性はあるものの、 ある程度の活性の消失も認められる。ペプチドXMP.320〜XMP.368を設計し、所定 の構造を有するように調製を行ったところ、本発明の抗真菌性ペプチドの構造面 および特徴的な最小機能配列を裏付ける結果が得られた。 実施例7 抗真菌性ペプチドのLPS中和活性 本実施例では、ドメイン・誘導ペプチドのin vitroおよびin vivoでのLPS中和 活性について述べる。 ドメインIII誘導ペプチドの評価のためのin vivoでのLPS中和活性のスクリー ニング分析法は、(共同所有に係る、係属中の米国特許出願No.08/306,473に記 載されたような)各ペプチドの効果(EC50)と、各ペプチドによる毒性/成長阻害 の効果(IC50)の双方の測定ができるようにしてある。LPSで処置されたマウス細 胞の増殖阻害に関するこの敏感な分析法は、標準曲線があれば、ヒトの血漿中の LPSレベルの定量に用いることができる。 この分析において、10mM HEPES緩衝液(pH7.4)、2mM L−グルタミン、ペニシリ ン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、O.075%重炭酸ナトリウム、0. 15M 2-メルカプトエタノールおよび10%胎児ウシ血清(Hyclone社、ローガン、ユ タ州)を補充したRPMI 1640培地(GIBCO)で維持されたマウスRAW264.7細胞(ATCC受 託No.T1B71)を、まず、50U/mlの組換えマウスγ−インターフェロン(Genzyme、 ケンブリッジ、マサチューセッツ州)の存在下で、分析に先行して、24時間イン キュベーシンして誘発を行った。そして、誘発した細胞を機械的に回収し、4℃ で、500×gにて遠心し、50mlのRPMI1640培地(補充物無し)で再懸濁し、再遠 心し、そして、RPMI1640培地(補充物無し)でさらに懸濁した。細胞の数を計測 し、2×105細胞/mlの濃度に調製された100μlの画分を、96ウェルマイクロ滴定 用プレートの各ウェルに添加した。1ng/mlの濃度(LPS濃度を50〜100ng/mlの間 で変化させる滴定試験で得られた濃度である)で100μl/ウェルの量の血清を含 まない RPMI 1640培地が添加されたウェルにて、E.coli 0111 LPS(Control Standard Assoc.of Cape Cod、ウッズホール、マサチューセッツ州)と共に約15時間にわ たって細胞をインキュベートした。このインキュベーションは、25〜50μg/mlの 濃度のペプチドと共に、あるいはペプチド無しに実施した。第132位のシステイ ンをアラニンで置換したrBPI 1-193であり、rBPI21Δcysとも称される、組換えr BPI21〔共同所有に係る米国特許No.5,420,019を参照〕を、1μg/mlの濃度で正 の対照として用いた。分析を開始してから5時間にわたって、経時的に、1μCi /ウェルの[3H]-チミジンを添加して細胞の増殖を観察した。15時間のインキュ ベーションの後に、標識付けした細胞を、細胞回収材(Inotech Biosystems,IN B-384,Sample Processing and Filter Counting System、ランシング、ミシガン 州)と共にガラス繊維フィルター上に置いた。 RAW 264.7細胞増殖のLPS-媒介阻害は、血清成分もしくは組換えLBP(1μg/ml の濃度)として反応混合物に添加することにより、LBPの存在に依存する。この分 析にて、ペプチドの挙動は異なるパターンを示した。本発明によるLPS中和活性 を有するドメインIII誘導ペプチドは、共同所有に係る、係属中の米国特許出願N os.08/209,762と08/306,473に記載された、抗真菌活性を持たないLPS中和活性 を有する他のXMPペプチドとは異なり、試験した濃度にあっては、IC50は示され なかった。例えば、XMP.5は5.3±0.6μg/mlのEC50(すなわち、LPSによる50%の 成長阻害効果をもたらすペプチド濃度)を示すが、試験で用いた濃度にあっては 、IC50(すなわち、LPSもしくはペプチドを用いない場合に、50%のRAW細胞の成 長阻害をもたらすペプチド濃度)は認められなかった。代表的なドメインIII誘 導抗真菌性ペプチドの分析結果を、図8に示した。精製 した抗真菌性ペプチドXMP.327(白抜四角)、XMP.332(黒塗四角)、XMP.333(白抜 三角)およびXMP.337(黒塗三角)のLPS中和活性を、図8に示した。正の対照とし て、rBPI21の活性を示した。この分析で試験した代表的なペプチドの結果を、表 13に示した。 マウスの内毒素血症in vivoモデルにおけるドメインIII誘導ペプチドのLPS中 和効果に関する試験も行った。15匹のマウスからなるグループに、LD90が20mg/k gの内毒素(E.coli 0111:B4、Sigma Chemical社、セントルイス、ミズーリー州 )を静脈注射した。次いで、試験対象たるペプチドを同じく静脈注射した。負の 対照マウスには、生理食塩水を注射した。マウスを7日間にわたって観察し、死 亡数を記録した。ペプチドの効果を、ペプチドを投与したマウスにおける内毒素 血症に関連した死亡数との対比において、対照マウスの死亡数からの減少分によ って測定した。XMP.284が、このマウスモデルにおいて活性を呈した代表的なペ プチドである。図7に示したように、0.5mg/kgの用量のXMP.284にて顕著な保護 効果が認められ、1mg/kgの用量では15匹の内14匹が生存し、そして、3mg/kgの 用量ではすべてのマウスに対して効果が認められた(生存率100%)。生理食塩 水を用いた対照グループでは、生存したマウスは無かった。 実施例8 ペプチドの調剤 本実施例では、ペプチドの調剤について述べる。ドメインIII誘導ペプチドの 一つであるXMP.284を、これらペプチドが通常保持している分解機構、もしあれ ば、を明らかにするために、緩衝化した生理食塩水を含む液剤での安定性につい ての評価を行った。 凍結乾燥したペプチドを、3つの個別の緩衝液に1mg/mlの濃度にそれぞれ溶 解した。使用する3つの緩衝液とは、(a)10mM酢酸液、150mM塩化ナトリウム、 pH4、(b)10mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH5、および(c)10mM 酢酸ナ トリウム、150mM塩化ナトリウム、pH6の3タイプであった。調剤したペプチド 試料を、4℃と37℃でインキュベートした。所定の時間にて、各バイアルから試 料を採取し、C18逆相HPLC、280nmでの吸光度およびSDS-PAGEで分析を行った。こ の研究は、50日間にわたって継続した。 0.46×25cmのVydac C18カラム(カタログNo.218TP54)を、島津HPLCシステム に用いた。このカラムを、二重勾配移動相A=水と0.05% TFA、B=アセトニト リル+0.05% TFAに適用した。クトマトグラフィーの条件は、以下の通りであっ た。波長=229nm;流速=1ml/分;注入量=50μl;適用時間=37分;勾配=20 分間に20〜40%B;AUFS=XMP.284に関しては0.1;試料濃度=3.5μg/注入量50 μ。C18分析のための試料調製において、バイアルから採取した試料は、水に溶 解した0.05% TFAで16倍に希釈する。 分析に先行して、すべての試料をAcrod1 sc4で濾過した。 Novex 10〜20%のトリシンを予め混ぜたゲル(Novax、ラヨラ、カリフォルニア 州、EC6625)を用いたSDSポリアクリルアミドゲルによって、試料を分析した。非 還元試料を載せた緩衝液(Novex LC1676、2×)と試料を混合し、95℃で、2分 間加熱した。冷却した後に、試料をゲルに置き、クーマシーブルーでゲルを染色 した。さらに、試料を分光測定法によって分析した。この試料について、各時点 で採取した試料をミリポワ水で6倍に希釈し、280nmで吸光度を測定し、そして 、島津UV160分光光度計を用いて210〜340nmにて走査した。吸光度測定に先行し て、すべての試料を濾過した。 XMP.284は、水と非緩衝化生理食塩水に対して可溶性である。XMP.284は、10mM 酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH7に対しても可溶性である。このペ プチドは、40℃で1時間、 次いで、55℃で1時間の条件下で燐酸緩衝液中においても可溶性を保っている。 pH4、5もしくは6にて、10mM酢酸で緩衝化した0.15Mの生理食塩水において、2 80nmの吸光度を測定したところ、生成物の損失はほとんど無かった。4℃での経 時安定性の試験では、生成物濃度の変化は認められなかった。37℃での安定性試 験においてさえも、95%以上の生成物濃度は維持され、低レベル(50日目で0.5 %以下)の新たに生じたHPLCピークが、酢酸で緩衝化した生理食塩水において時 間と共に蓄積されたに過ぎなかった。試験したドメインIII誘導ペプチドによっ て発現した実質的な安定性を考慮すれば、他の賦形剤は不要となるが、さらに長 期間持続する安定性および/または活性を得るための改善が必要とされるであろ う。目下のところ、10mM酢酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウムを含んだ、pH5 の調剤物が好ましい。 当業者であれば、本明細書における本発明の好ましい実施態様に関するこれま での記載を考慮して、本発明を実施する上での多くの修正や変更を想起すること が予測される。よって、本発明の範囲は、添付の請求の範囲に記載に従った限定 のみが付加されるべきである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成9年7月8日(1997.7.8) 【補正内容】 請求の範囲 1.7〜12個のアミノ酸と、配列番号:205〜223、239〜247あるいは249〜250の いずれか一つのアミノ酸配列を有する、殺菌性/浸透性が向上したタンパク質(B PI)の第142〜169位のアミノ酸から誘導 された抗真菌性ペプチド。 2.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチドと、薬学的に許容される希釈剤 、佐剤あるいは担体を含む薬剤組成物。 3.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチドを、真菌と接触せしめることを 含む、真菌を死滅あるいは真菌の複製を阻害するためのin vitro方法。 4.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチド以外の抗真菌剤を、真菌と接触 する工程をさらに含む、請求の範囲第3項に記載のin vitro方法。 5.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチドの治療的有効量を、真菌に感染 した対象に投与することを含む、真菌感染を治療するための方法。 6.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチド以外の抗真菌剤を投与する工程 をさらに含む、請求の範囲第5項に記載の方法。 7.真菌感染症だけを治療する薬剤の製造のための、請求の範囲第1項に記載の 抗真菌性ペプチドの使用。 8.他の抗真菌剤との併用による請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の 抗真菌性ペプチドの使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN, MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT ,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 ファデム,ミッチェル,ビー. アメリカ合衆国 94707 カリフォルニア バークレイ コルサ アベニュー 716

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.表1に記載の配列番号:1〜250のペプチドからなるグループから選択され た抗真菌性ペプチド。 2.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチドと、薬学的に許容される希釈剤 、佐剤あるいは担体を含む薬剤組成物。 3.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチドを、真菌と接触せしめることを 含む、真菌を死滅あるいは真菌の複製を阻害するためのin vitro方法。 4.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチド以外の抗真菌剤を、真菌と接触 する工程をさらに含む、請求の範囲第3項に記載のin vitro方法。 5.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチドの治療的有効量を、真菌に感染 した対象に投与することを含む、真菌感染を治療するための方法。 6.請求の範囲第1項に記載の抗真菌性ペプチド以外の抗真菌剤を投与する工程 をさらに含む、請求の範囲第5項に記載の方法。 7.真菌感染症だけを治療する薬剤の製造のための、請求の範囲第1項に記載の 抗真菌性ペプチドの使用。 8.他の抗真菌剤との併用による請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の 抗真菌性ペプチドの使用。
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