JP2001514519A - 発現が増強されたベクターならびにそれらの作出方法および用途 - Google Patents

発現が増強されたベクターならびにそれらの作出方法および用途

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Abstract

(57)【要約】 発現が増強されたベクターならびにそれらを作出し、使用する方法を開示している。発現の増強は、少なくとも1個の第一の核酸分子および少なくとも1個の第二の核酸分子の実質的な共発現によるものである。第二の核酸分子は翻訳因子をコードしている。同時発現は、第一および第二の核酸分子が1個のプロモーターに機能発揮できるように結合することにより、または第一の核酸分子が第一のプロモーターに、第二の核酸分子が第二のプロモーターに機能発揮できるように結合することによって行われ、該第一および第二のプロモーターは実質的に同時に機能する。第一および第二の核酸分子はベクター内の同一の遺伝子座に存在していても異なる遺伝子座に存在していてもよい。第二の核酸分子は、1個の翻訳因子または1個以上の翻訳因子をコードすることができる。翻訳因子は、K3Lオープンリーディングフレーム、E3Lオープンリーディングフレーム、VA1 RNA、EBER RNA、シグマ3オープンリーディングフレーム、TRBPオープンリーディングフレームまたはそれらを組み合わせたものを用いることができる。ベクターとしては、減弱ポックスウイルスなどのポックスウイルスを用いることができ、例えば、NYVACワクシニアウイルスまたはALVACカナリアポックスウイルスなどが挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】 発現が増強されたベクターならびにそれらの作出方法および用途 関連出願 パオレッティ(Paoletti)らによる出願中であるUSSN 08/417,210号、08/303 ,275号、08/709,209号、08/184,009号(米国特許第5,378,457号として発行され ているUSSN 07/805,567号を参考として取り入れている)および08/521,016号、 ならびに米国特許第5,378,457号、5,225,336号、5,453,364号、5,494,807号、5, 505,941号および5,110,587号を全て参考として本明細書に取り入れておく。 発明の属する技術分野 本発明は、増強されたベクター、ならびにそれらを作出し、使用する方法に関 する。該ベクターは、翻訳および/または発現、例えば、目的の核酸配列の翻訳 および/または発現が増強されている。 本出願においてはいくつかの参考文献を参照している。これらの文献の引用に ついては、引用箇所または明細書の最後に記載しており、これらの文献の各々を 参考として本明細書に取り入れておく。これらの文献は本発明に関係する分野に 関するものではあるが、これらの文献が従来の技術であるわけではない。 発明の背景 プラスミドや裸のDNAなどのDNA、ならびにウイルス性(例えば、ワクシニアウ イルスおよび最近ではその他のポックスウイルスなど)のベクターのようなその 他のベクター類は、外来遺伝子の挿入および発現に用いられている。外来遺伝子 を生きた感染性のポックスウイルスに挿入する基本的な手法としては、ドナープ ラスミド内の外来遺伝子配列と接しているポックスDNA配列と、ドナープラスミ ドに存在する相同配列および変更されるポックスウイルス内に存在する相同配列 とを組み換えることが含まれる(ピッチーニ(Piccini)ら、1987年)。組み換 えポックスウイルスは、米国特許第4,769,330号、4,772,848号、4,603,112号、5 , 505,941号および5,494,807号において既知の工程を経て、または類似の方法によ って構築され、これらを参考として本明細書に取り入れておく。ベクターの開発 において所望されることは、例えば、安全性を増した減弱ベクターであり、その ようなベクターは例えば、免疫学的組成物またはワクチン組成物に用いることが できる。 例えば、ワクシニアのコペンハーゲン株(Copenhagen)から特定の毒性遺伝子 および宿主域遺伝子を欠失することによって作出されたNYVACベクターは(ター タグリア(Tartaglia)ら、1992年))、発現された外来抗原に対して防御免疫 応答を誘起する組み換えベクターとして有用であることが証明されている。同様 に、カナリアポックスウイルスのワクチン株であるALVACベクターは、ウイルス 性の組み換えワクチンベクターとして有効であることが証明されている(パーク ス(Perkus)ら、1995年)。鳥類以外の宿主においては、これらのベクターは生 産的な複製を行わない(NYVACについてはいくつかの例外あり)。全てのポック スウイルスは細胞質内でウイルスの転写に必要なタンパク質の大部分を複製し、 コードしているが、全てを複製し、コードしているわけではないので(モス(Mo ss)、1990年)、適切に操作すると、ウイルス性の生産的複製がなされない状況 において、ポックスウイルスプロモーターの制御下で外来コード配列を転写翻訳 できる。 増強されたベクター、例えば、転写または転写および翻訳ならびに/または発 現が増強されたベクターを提供することは従来技術を改良するものであり、例え ば、そのようなベクターが減弱されている場合には、特に、減弱によって発現レ ベルおよび/または持続性が上昇することから、発現レベルや持続性を改良する ことになる。 発明の概要と目的 ワクシニアの複製に関する最近の研究により、ウイルス性の転写および翻訳の 制御の役割をする機能について、ある種のポックスウイルスがコードしているこ とが明らかになっている(モス(Moss)による総説、1990年;モス(Moss)、19 92年)。ワクシニアがコードしているこれらの機能の内のいくつか(例えば、K3 L、E3Lおよびそれらの組み合わせなど)は現在では驚くほど活用され、ベクター 内(例えば、ALVACベクターなど)における遺伝子発現(例えば、外来遺伝子発 現)のレベルおよび持続性を向上させており、また、新規ベクターや方法の好例 である。 本発明の目的としては、次のうち少なくともひとつが含まれる。ベクターによ って目的のヌクレオチド配列の少なくともひとつ(例えば、ベクターによってコ ードされているヌクレオチド配列など)からの翻訳および/または発現を増加す る方法、翻訳が増強されているベクター、翻訳および/または発現が増強されて いるベクターを調製する方法の提供、ベクターからの翻訳および/または発現を 増強する方法の提供、ポックスウイルスベクターなどの改良ベクター(例えば、 改良NYVACベクター、ALVACベクターまたはTROVACベクターなど)の提供、ならび にそれら由来の産物。 従って、本発明は、細胞内の少なくとも1個の第一のヌクレオチド配列の発現 が増強されているベクターを提供する。このベクターを改変して第一のヌクレオ チド配列を含むようにすることができる。該ベクターを改変して、翻訳因子をコ ードしている少なくとも1個の第二のヌクレオチド配列を含むようにする。好ま しい態様としては、第一および第二のヌクレオチド配列から実質的に共発現が行 われるようにする。翻訳を増強することにより、第二のヌクレオチド配列の発現 が第一のヌクレオチド配列の発現を増強する。翻訳因子によって翻訳が増強され ている細胞内でベクターを使用することが好ましい。 第一のヌクレオチド配列は第一のプロモーターに機能発揮できるように結合す ることができ、第二のヌクレオチド配列は第二のプロモーターに機能発揮できる ように結合することができ、さらに、第一および第二のプロモーターは、機能上 、実質的に共働または同時に作用することが好ましい。従って、第一および第二 のヌクレオチド配列はベクター内の異なる遺伝子座に存在していてもよい。第一 および第二のヌクレオチド配列は、第一および第二のプロモーター使用しながら 、あるいは、第一のヌクレオチド配列および第二のヌクレオチド配列を機能発揮 できるようにプロモーターに連結することによって、ベクター内の同じ遺伝子座 に存在していてもよい。 翻訳因子は、eIF-2αリン酸化の阻害もしくはPKRリン酸化の阻害に有効であり 、あるいは、dsRNAの有効濃度の上昇をもたらすdsRNAを隠ぺいする。第二のヌク レオチド配列は、K3Lオープンリーディングフレーム、E3Lオープンリーディング フレーム、VAI RNA、EBER RNA、シグマ3オープンリーディングフレーム、TRB Pオープンリーディングフレームまたはそれらを組み合わせたものからなる群か ら選択することができる。 第一のヌクレオチド配列は、目的のエピトープ、生物学的応答調節物質、成長 因子、認識配列、治療遺伝子および融合タンパク質をコードしている配列からな る群から選択することができる。 ベクターとしては、ポックスウイルス、例えば、オルトポックスウイルス属ま たはアビポックスウイルス属(例えば、ワクシニアウイルス、鶏痘ウイルス、カ ナリアポックスウイルスなど)などの組み換えウイルスを用いることができ、減 弱されたポックスウイルス(例えば、NYVAC、ALVAC、TROVACなど)のような減弱 されたウイルスが好ましい。 本発明はさらに、ベクターを改変して少なくとも1個の第二のヌクレオチド配 列を含むようにした新規なベクターを調製する方法を提供する。本方法はまた、 ベクターを改変して少なくとも1個の第一のヌクレオチド配列を含むようにする ことも可能である。好ましくは、ベクターを改変して第一および第二のヌクレオ チド配列を実質的に共発現または同時に発現させ、さらに好ましくは、ベクター を改変して、ベクターを組み込んでいる細胞内に翻訳因子を導入する。 本方法は、第一のヌクレオチド配列が第一のプロモーターに、第二のヌクレオ チド配列が第二のプロモーターに機能発揮できるように結合することを含み、こ こで、該第一および第二のプロモーターの機能は実質的に共働または同時作用で ある。本方法はまた、第一および第二のヌクレオチド配列をプロモーターに機能 発揮できるように結合することを含む。 本発明はさらに、少なくともひとつの新規なベクターならびに薬剤学的に許容 される基剤または希釈剤を含む免疫学的ワクチンまたは治療組成物を提供する。 またさらに本発明は、宿主(動物、ヒト、脊椎動物、哺乳類など)に少なくと も1種の新規な組成物を投与することによって宿主内において免疫学的応答また は治療応答を起こす方法を提供する。 加えて本発明は、第一のヌクレオチド配列を有するベクターによって、少なく とも1個の第一のヌクレオチド配列に由来する発現を増加させる方法を提供する 。本方法は、ベクターを改変して、翻訳因子をコードしている少なくとも1個の 第二のヌクレオチド配列を含むようにすることからなる。第一および第二のヌク レオチド配列は実質的に共発現または同時発現であることが好ましい。発現は細 胞内で行うことができ、さらに、特定の翻訳因子によって発現が増強されている 細胞内において発現する翻訳因子を有していることが好ましい。加えて、本方法 は、ベクターを改変して第一のヌクレオチド配列を含むようにすることもできる 。 別の実施態様においては、本発明は、少なくとも1個の新規なベクターを有す る適切な細胞内で、感染またはトランスフェクトによってイン・ビトロ(in vit ro)条件下、少なくとも1個の遺伝子産物を発現する方法を提供する。この生成 物は目的のエピトープであることから、治療組成物、免疫学的組成物またはワク チン組成物の調製に有用であり、またはモノクローナル抗体などの抗体の産生に 有用であり、また、診断組成物(例えば、抗体の検出など)のようなアッセイ、 キット、試験などに有用である。 故に、本発明は、少なくとも1個の新規なベクターを有するイン・ビトロ(in vitro)での翻訳および/もしくは発現のための組成物および方法、例えば、遺 伝子産物を生成する方法(この遺伝子産物は、治療組成物、免疫学的組成物また はワクチン組成物において、あるいは診断もしくは検出キット、アッセイもしく は方法において、抗原またはエピトープとして用いることができ、例えば、抗体 の存在、不在をを確認するため、またはモノクローナル抗体などの抗体を誘起す るためなど、例えば、診断または検出キット、アッセイもしくは方法における使 用のためなど)、少なくとも1個の新規なベクターを有するエクス・ビトロ(ex vitro)での翻訳および/もしくは発現のための組成物および方法、例えば、宿 主(例えば、動物、ヒト、脊椎動物、哺乳類など)に再注入するために刺激を与 えた細胞において遺伝子産物を生成する方法などを提供する。 さらに本発明の別の実施態様においては、少なくとも1種の新規なベクターを 宿主(動物、ヒト、脊椎動物、哺乳類など)に投与することによって、イン・ビ ボ(in vivo)において少なくとも1個のヌクレオチド配列(例えば、少なくと も1個の第一のヌクレオチド配列など)を発現する方法を提供する。このヌクレ オチド配列は目的のエピトープをコードしているものとする。本方法により、抗 体を得ることができる。抗体を産生させることにより、モノクローナル抗体を誘 起することが可能である。あるいは、抗体はアッセイ、キット、試験もしくは診 断組成物(例えば、抗原の検出など)として有用である。 故に本発明は、新規なベクターを含むイン・ビボ(in vivo)における翻訳お よび/または発現のための方法および組成物を提供し、これは例えば、少なくと も1種の新規なベクター、もしくは少なくとも1種の新規なベクターを含む組成 物、 例えば、少なくとも1種の新規なベクター、ならびに適切な基剤もしくは希釈剤 (例えば、獣医用薬およびヒトの薬として適したものなど)を含む治療組成物、 免疫学的組成物またはワクチン組成物を投与することなどである。 これらおよびその他の実施態様は、以下に開示しており、または以下の発明の 詳細な説明から自明である。 図面の簡単な説明 以下の発明の詳細な説明は例示であり、本発明を特定の実施態様に限定するた めのものではなく、添付の図面と併せて理解されるものであり、本明細書に参考 として取り入れておく。 図1は、H6/K3LおよびE3L発現カセットを含むALVAC C6挿入部位のヌクレオチ ド配列を示す(SEQ ID NO: )。 図2は、改変されたT5NTモチーフを有するFHV gB領域をコードしているDNA配 列を示す(SEQ ID NO: )。 図3は、H6にプロモートされているFHV gBドナープラスミドであるpC3H6FHVB のDNA配列を示す(SEQ ID NO: )。 図4および5は、vCP1433およびvCP1452内の挿入体のDNA配列およびアミノ酸 配列を示す(SEQ ID NOS: )。 図6は、vC1452内のK3L E3LのDNA配列を示す(SEQ ID NO: )。発明の詳細な説明 パオレッティ(Paoletti)らの米国特許第5,494,807号を参考として本明細書 中に取り入れておく。これは、ウイルスにコードされている遺伝子機能が不活化 されている変性組換えウイルスに関し、組換えウイルスは毒性が減弱され、安全 性が増している。パオレッティ(Paoletti)らによって開示されているウイルス は、ポックスウイルスであり、例えば、ワクシニアウイルス、もしくは鶏痘ウイ ルスおよびカナリアポックスウイルスなどのアビポックスウイルス(例えば、NY VAC、 ALVACおよびTROVAC)である。ALVACは、プダペスト条約に基づいてアメリカン・ タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ア メリカ合衆国メリーランド州ロックヴィル、パークローン通り12301番地、郵便 番号20852)にATCC受け入れ番号VR-2547として寄託されている。TROVACも同様に ブダペスト条約に基づいて受け入れ番号2553としてATCCに寄託されている。さら に、vCP205、vCP1433、pMPC6H6K3E3およびpC3H6FHVBもブダペスト条約に基づい て受け入れ番号 および としてATCCに寄託されている 。 パオレッティ(Paoletti)らと同様に、1994年4月24日に出願された米国特許 出願08/235,392号に基づく、発行されているファルクナー(Falkner)らのWO 9 5/30018号(1995年11月9日発行)(両者とも参考として本明細書中に取り入れ ておく)はポックスウイルスに関し、この発明では、毒性に関連する遺伝子機能 に対する遺伝子座(すなわち、「必須」機能に対する遺伝子座)を外来性DNAの 挿入に用いている。 さらに、初期の(DNA)および後期欠損突然変異体(コンディット(Condit) およびナイルス(Niles)、「オルトポックスウイルスの遺伝子学(Orthopoxvir us Genetics)」、R.W.モイヤー(Moyer)およびP.C.ターナー(Turner)編『ポ ックスウイルス(Poxviruses)』より(スプリンガー−ヴェルラーグ(Springer -Verlag)社、1990年)、pp1−39、およびそれらの引用されている文献を本明 細書中に参考として取り入れておく)、または後期に不全であるとされているMV Aから組換え体を作出することができる。欠損突然変異体、不全後期ウイルス、 必要な遺伝子機能が欠損もしくは阻害されているウイルス、または生産的な複製 を伴わない発現をするウイルス(例えば、哺乳類系におけるALVACなど)由来の 組換え体は減弱されているということができる。ベクター、特に減弱されたベク ター内において、外来遺伝子の発現、例えば、外来遺伝子発現レベルまたは発現 の持続性などを向上させることは有用である。 外来遺伝子の発現を増す方法としては、翻訳(例えば、ウイルス性のmRNAの翻 訳のようなmRNAの翻訳など)の全体的な効率を増強することが含まれる。最近、 ワクシニアによってコードされている2つの機能(E3LおよびK3L)は、ウイルス 性翻訳の制御に役割を果たしていることが明らかになった(ベアティー(Beatti e)ら、1995年、1995年b、1991年;チャン(Chang)ら、1992年;ダヴィーズ(D avies)ら、1993年)。これらは両方とも細胞性タンパク質キナーゼ(PKR)の活 性を阻害することが可能であり、これは、二本鎖RNA(dsRNA)によって活性化さ れた場合に、翻訳開始因子であるeIF-2αをリン酸化してmRNAの翻訳の開始を阻 害するものである(ヤコブス(Jacobs)およびラングランド(Langland)による 総説、1996年)。故に、ウイルス性の翻訳中にdsRNAを産生するワクシニアウイ ルスは、eIF-2αに対するPKRの負の作用を阻止し、ウイルス性mRNAの効率的な翻 訳を行わせるメカニズムを有している。(非対称転写によってdsRNAが増加し、 任意のウイルス性またはプラスミド由来の発現がdsRNAを増加させる。dsRNAはPK Rを活性化し、PKRは自己リン酸化されてeIF-2αをリン酸化する。) ワクシニアのK3L ORFは、eIF-2αとのアミノ酸の相同性が非常に高いことが 示されている(ゲーベル(Goebel)ら、1990年;ベアティー(Beattie)ら、199 1年;米国特許第5,378,457号;また、ベアティー(Beattie)ら、1995年a、1995 年bを参照のこと)。このタンパク質はPKRの偽基質として作用し、eIF-2α結合 部位において競合すると考えられている(キャロル(Carroll)ら、1993年;ダ ヴィーズ(Davies)ら、1992年)。K3L遺伝子産物は活性化されたPKRに結合する ことができ、故に、翻訳の開始に負の影響を与えることになるeIF-2αのリン酸 化を阻止する。 ワクシニアのE3L遺伝子は、dsRNAに特異的に結合することができるタンパク質 をコードしている(ワトソン(Watson)およびヤコブス(Jacobs)、1991年;チ ャン(Chang)ら、1992年)。このことは、感染した細胞内においてdsRNAの量が 低下し、従って、活性化されたPKRのレベルが下がることを意味している。ワク シニアからE3Lを欠失させると、得られたウイルスはこのキナーゼ阻害機能を失 い、さらに、rRNAの分解がすすむことによって2’,5’オリゴアデニレートシ ンセターゼ/RNアーゼL回路が活性化する(ベアティー(Beattie)ら、1995年a 、1995年b)。故に、ワクシニアに感染した細胞内におけるmRNAの効率的な翻訳 に対しては、2つのレベル、すなわちmRNAの安定性およびeIF-2αのリン酸化の 制限において、E3Lが必須であると考えられる。 ALVACゲノムは配列が明らかにされており、E3L/K3Lまたは任意の既知のdsRNA に対する相同性について研究がなされている。その結果、いずれのALVAC ORFも これら2個のワクシニアのORFsに対して顕著な相同性は認められず、dsRNA結合 モチーフも全く存在していないことが明らかになっている。 従って、組換えALVACベクター内において発現レベルを向上させるためには、 初期ワクシニアプロモーターの制御下において、ALVAC内でワクシニアのE3L/K3L ORFsを発現させる。感染細胞においてはPKRが阻害されるが、外来遺伝子の発 現のレベルおよび持続性は向上する。 このように、本明細書に記載しているALVAC組換え体は、外来遺伝子の転写ま たは転写および翻訳レベルを増強する目的で作出されたものであり、本発明のベ クターおよび方法の一例である。 従って、本明細書において例示されているのは、挿入された外来遺伝子の転写 または転写および翻訳レベルあるいは持続性を増強もしくは向上させるためのワ クシニアE3L/K3L遺伝子の発現が可能なALVAC組換え体である。外来遺伝子の発現 が多くなるように制御することにより、これらの新規なベクター由来の組換え体 を投与または接種した宿主内において治療的応答または免疫学的応答の誘導に十 分な効果を発揮することができ、それによって免疫学的(例えば、防御的など) 応答の増強または治療的応答の増強が得られる。 すなわち、E3LおよびK3Lのいずれかの発現を操作し、それによって翻訳および /または発現の効率を増強する本発明は、他の真核生物のベクター系(すなわち 、DNA、ウイルス)にも応用することが可能である。 事実、他の科のウイルスにおいても、PKRの活性化を介した翻訳が少なくなる ように制御することによる細胞性の抗ウイルス性応答を克服するメカニズムが発 見されている。アデノウイルスにおいては、RNA pol IIIによって転写されるVA I RNAについて特性がよく調べられており、直接PKRに結合することが示されて いることから、dsRNAによってその活性化が阻止される(マシューズ(Mathews) およびシェンク(Shenk)、1991年)。アデノウイルスゲノムからVAIを欠失させ ることにより、複製をあまり行わず、後期遺伝子発現のレベルが不十分な突然変 異体が得られる(シマパヤ(Thimmappaya)ら、1982年)。同様に、エプスタイ ン・バーウイルス(EBウイルス)、ヘルペスウイルスは、EBERとよばれる類似の RNAを有しており、これも、キナーゼに直接結合することによってPKRの活性化を 阻止する働きをする(クラーク(Clark)ら、1991年;シャープ(Sharp)ら、19 93年)。レオウイルスのシグマ3遺伝子産物は、dsRNAに結合し、PKRの活性化を 阻止する点において、ワクシニアのE3Lと同様に作用することが示されている( イマーニ(Imani)およびヤコブス(Jacobs)、1988年;ベアティー(Beattie) ら、1995年aも参照のこと)。実際、ひとつの研究においては、E3Lが欠失したワ クシニア組換え体をレオウイルスのシグマ3遺伝子が部分的に補償することがで きることが示されている(ベアティー(Beattie)ら、1995年a)。さらに、HIV 感染状態において活性化された細胞性タンパク質(TRBP)はPKRの活性化を阻害 することが示されている(パーク(Park)ら、1994年)。 従って、本発明は広く発現の増強に関し、好ましくは、発現を増加または増強 するような少なくとも1個の翻訳因子(例えば、任意の真核細胞のベクター系に おいてPKRの活性化を介した翻訳が少なくなるように制御することによって細胞 性の抗ウイルス性応答を克服するような産物をコードしているヌクレオチド配列 など)を用いる。また、本発明は、プラスミドもしくは裸DNAベクター、ウイル ス性ベクター(ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、バキュ ロウイルスなど)を含む任意のベクター系に使用することができる。従って、ヌ クレオチド配列は、ベクター系に適していれば例えばRNAでもDNAでもよい。 従って、本発明は、少なくとも1個の翻訳因子をコードしている少なくとも1 個のヌクレオチド配列を含むように改変されたベクター、ならびにベクターによ って翻訳および/または発現を増強する方法、もしくは新規なベクターを調製す る方法に関し、これは例えば、ベクターを改変して少なくとも1個のヌクレオチ ド配列を含むようにすることなどである。 これらの方法には、(i)少なくとも1個の目的とするヌクレオチド配列を含 む第一のヌクレオチド配列、および(ii)翻訳因子をコードしている少なくと も1個のヌクレオチド配列を含む第二のヌクレオチド配列からの実質的共発現を 含む。ベクターを改変して、少なくとも1個の目的とするヌクレオチド配列を含 むようにすることもできる。この少なくとも1個の目的とするヌクレオチド配列 としては、少なくとも1個のコードしているヌクレオチド配列を用いることがで きる。ベクターは、第一および第二のヌクレオチド配列が実質的に共発現するか または同時発現するものが好ましい。 実質的な共発現は、感染のほぼ同じ時期または段階において機能を発揮するよ うな第一および第二のヌクレオチド配列についてのプロモーターを導入すること によって起こすことができる。従って、目的とするヌクレオチド配列および因子 をコードしているヌクレオチド配列は、ベクター内の異なる遺伝子座に存在して いてもよい。別の方法としては、第一および第二のヌクレオチド配列を同一の遺 伝子座内に配置することによって実質的な共発現を起こすことが可能である。従 って、実質的な共発現は、目的とするヌクレオチド配列を機能発揮できるように 連結することにより、ならびに/または目的とするヌクレオチド配列、翻訳因子 をコードしているヌクレオチド配列にプロモーターを機能発揮できるように連結 することによって起こすことができる。 翻訳因子は任意の適切な系から得たものを用いることができる。翻訳因子は、 eIF-2αリン酸化を阻害する、もしくはPKRリン酸化を阻害する効果を有する、ま たはdsRNAの有効濃度を上昇させる細胞性dsRNAを減少させるものであることが好 ましい。翻訳因子は、以下ものを含む群からの発現から選択することができる。 K3Lオープンリーディングフレーム、E3Lオープンリーディングフレーム、VAI R NA、EBER RNA、シグマ3オープンリーディングフレーム、TRBPオープンリーデ ィングフレームもしくはそれらと相同性のあるもの、またはそれらの組み合わせ であり、本発明の実施に使用することができる。dsRNA濃度に関して「有効」と は、PKRおよび/またはeIF-2αリン酸化を活性化するdsRNAの量をさす(dsRNAは そのための形態をしている)。RNAに基づく因子に関しては、当業者であれば不 要な実験をすることなしに、DNAに基づくベクター系に使用する適切なDNAを得る ことが可能であり、また、DNAに基づく因子に関しては、当業者であれば不要な 実験をすることなしに、RNAに基づくベクター系に使用する適切なRNAを得ること が可能である。 「実質的な共発現(substantially co-temporal expression)」または「実質 的な同時発現(substantially contemporaneous expression)」とは、翻訳因子 をコードしているヌクレオチド配列が、少なくとも1個の目的のヌクレオチド配 列とほぼ同じ感染段階において発現することをさす。 例えば、ポックスウイルス遺伝子は同時制御されている(クーパー(Couper) ら、Eur.J.Immunol.1986,16:1479-1487,1479ページ)。従って、感染直後 は一連の「初期」遺伝子が発現している(同上)。「初期遺伝子」は、感染後、 感染の「後期」(DNA複製の開始)に至る前に発現が止まる(すなわち、初期プロ モーターが機能停止する)。チミジンキナーゼ(「TK」)遺伝子およびTKプロモ ーターが「初期」遺伝子およびプロモーターの例である(ハルビー(Hruby)ら 、J.Virol.,1982,43(2):403-409,403ページ)。感染約4時間後にTK遺伝子の スイッチが「切れる」。「後期遺伝子」とは、DNAの複製が開始するまで発現し ない一連の遺伝子である(クーパー(Couper)ら、同上)。クーパー(Couper) らによって用いられたPL11プロモーターは「後期」プロモーターの例である。従 って、クーパー(Couper)らによれば、TK領域内にあるにもかかわらず、PL11プ ロモーターによって制御されているHA遺伝子の発現はDNA複製後まで行われない 。 標準的な「初期」遺伝子および「後期」遺伝子とは対照的に、7.5kD遺伝子お よび7.5kDプロモーターは「初期および後期」遺伝子プロモーターの例である。 「転写が制御されている状態とは明らかに異なり」、(ダヴィソン(Davison) およびモス(Moss)、「ワクシニアウイルスの初期プロモーターの構造(Struct ure of Vaccinia Virus Early Promoters)」,J.Mol.Biol.,210-69,249-69 (1989),749)7.5kDプロモーターは「初期および後期転写の両方に対する制御シ グナルを有している(クーパー(Couper)ら、同上)。実際、「7.5kD遺伝子の プロモーター領域内には、独立した初期および後期のRNA開始部位」が存在して いる(コッホラン(Cochran)ら、J.Virol.,59(1):30-37(1985年4月))。 クーパー(Couper)らは、「PF(初期)、P7.5(初期および後期)およびPL11 (後期)の各プロモーターによる一時的なHA発現の制御は、これらのプロモータ ーを転位してワクシニアウイルスのTK遺伝子を遮断することによって持続する」 ことを観察している(同上、1482ページ)。すなわち、クーパー(Couper)らは 初期のワクシニアプロモーターの制御下にある外来遺伝子の発現は「初期」に起 こり、後期のワクシニアプロモーターの制御下にある外来遺伝子の発現は「後期 」に起こり、また、初期および後期のワクシニア7.5kDプロモーターの制御下に ある外来遺伝子の発現は初期および後期の両方において起こることを観察した( 同上1479ページを参照:チミジンキナーゼ(TK)遺伝子内に転位された[p]プ ロモーター配列は一時的な制御下において引き続き機能を発揮した(引用は省略 )。)。 従って、翻訳因子をコードしているヌクレオチド配列は、第一の型のプロモー ターの制御下におくことが可能であり、少なくとも1個の目的のヌクレオチド配 列コードしているヌクレオチド配列は、第二の型のプロモーターの制御下におく ことが可能であり、ここで、該第一および第二のプロモーターは両者ともに初期 、両者ともに後期(中間を含む)もしくは両者ともに初期および後期とするか、 あるいは、第一のプロモーターは初期もしくは後期であり、第二のプロモーター は初期および後期であるか、または第一のプロモーターは初期および後期であり 、第二のプロモーターは初期もしくは後期である。目的のヌクレオチド配列およ び翻訳因子をコードしているヌクレオチド配列は、同じ遺伝子座もしくは異なる 遺伝子座に存在することが可能であり、または同一のプロモーターの制御下にお くことも可能である。 以上のことから本発明は、翻訳および/または発現が増強しているベクターを 調製する方法、あるいは、少なくとも1個の目的のヌクレオチドに対して、また は、少なくとも1個の翻訳因子に対応する少なくとも1個のヌクレオチド配列が 機能発揮できるように結合したプロモーターに対して機能発揮できるように結合 しているベクター内における翻訳および/または発現を向上または増強する方法 に関する。翻訳因子は、eIF-2αリン酸化を阻害する効果、ならびに/またはPKR のリン酸化および/もしくは細胞性キナーゼ(これはeIF-2αリン酸化および/ またはdsRNAの有効濃度を減少させる効果に関与している)を阻害する効果を有 していることが好ましい。故にまた、本発明はそのような方法によって得られた ベクターに関する。 別の態様としては、本発明の方法には、ベクター内において、少なくとも1個 の目的のヌクレオチド配列を第一の型のプロモーターに機能発揮できるように連 結し、少なくとも1個の翻訳因子をコードしている少なくとも1個の第二のヌク レオチド配列を第二のプロモーターに機能発揮できるように連結することを含み 、ここで、該第一および第二のプロモーターは感染の同時期または同段階におい て機能を発揮し、例えば、両者ともに初期、両者ともに後期(中間を含む)もし くは両者ともに初期および後期とするか、あるいは、第一のプロモーターは初期 もしくは後期であり、第二のプロモーターは初期および後期であるか、または第 一のプロモーターは初期および後期であり、第二のプロモーターは初期もしくは 後期である。もちろん、該第一および第二のプロモーターは2つまたはそれ以上 の遺伝子座において同一のプロモーターを用いてもよく、あるいは1つの遺伝子 座において同一のプロモーターを用いてもよい。さらに、本発明はそのような方 法によって得られたベクターに関する。 また、本明細書において使用している「ヌクレオチド配列」とは核酸分子をさ している。従って、ヌクレオチド配列は単離された核酸分子、例えば外来性DNA などを用いることができる。 以上のことから、本発明は、少なくとも1個の外来性ヌクレオチド配列、好ま しくは少なくとも1個の目的のエピトープおよび少なくとも1個の翻訳因子をコ ードしている外来性ヌクレオチド配列を含むように改変されたベクター(ここで 、外来性ヌクレオチド配列および因子の実質的に一時的な共発現、または実質的 な共発現もしくは実質的に同時に発現が起こる)、ならびにそのようなベクター およびそれらの生成物を作出し、使用する方法を提供する。本発明のベクターお よび方法によって発現の増強または向上がもたらされる。発現の増強または向上 と は、発現のレベルの上昇および/または持続性を意味している。 本発明は、挿入されたヌクレオチド配列、例えば外来遺伝子などのレベルおよ び持続性を増強および/または向上するための手段として、ワクシニアE3Lおよ び/またはK3L(またはそれらと相同なもの、例えば、ワクシニア、ヘルペスウ イルス(EBウイルスなど)以外のポックスウイルス、アデノウイルス、プラスミ ドもしくは裸DNAなどのその他のベクター系など;PKRの活性化を介して翻訳を少 なくするように制御するという細胞性の抗ウイルス応答を克服する細胞のメカニ ズムについては上述の記載を参照)に由来する発現を有するベクター、例えば、 ポックスウイルスベクター(例えば、NYVA組換え体C、ALVAC組換え体、TROVAC組 換え体など)を提供する。 以下の実施例に示すように、E3L/K3L因子を有するALVAC-HIV組換え体であるvC P1452は、ヒト細胞内において、vCP1433またはvCP300よりも発現が増強されてい る。事実、ヒトおよびイヌの細胞内においては、E3L/K3L翻訳因子による発現増 強が観察されている。 E3L/K3Lのような翻訳因子による発現の増強は細胞型に依存していることがあ る。例えば、ヒトおよびイヌの細胞においてはE3L/K3Lによる発現増強が観察さ れるが、マウスおよびネコの細胞においては観察されない。本開示および当該分 野の知識から、当業者であれば、不要な実験をすることなく、特定の細胞型に対 して使用する適切な翻訳因子を選択することができる。例えば、当業者であれば 細胞間の差異については自明である。従って、翻訳因子は、発現の増強が観察さ れる細胞内で発現するもの、例えば、細胞に応じて翻訳因子を選ぶことが好まし い。 さらに、マウスを用いた免疫原性の予備試験においては、E3L/K3L翻訳因子に よる免疫原性の増強は認められなかった。このことは、マウス細胞内において発 現の増強が観察されなかったことと一致している。 従って、本開示および当該分野の知識から、当業者であれば、不要な実験をす ることなく、所望する動物の体内において免疫原性を増強すると考えられる適切 な翻訳因子を選択することができる。イン・ビトロ(in vitro)条件下で、ある 特定の翻訳因子(例えば、ヒトまたはイヌの細胞内のE3L/K3Lなど)によって、 ある特定の細胞系内において発現の増強が観察される場合には、当業者であれば 、不要な実験をすることなく、その特定の翻訳因子によって、その細胞が由来し ている動物(ヒトを含む)の体内においてイン・ビボ(in vivo)での免疫原性 の増強を期待することができる(例えば、E3L/K3L翻訳因子によるヒトおよびイ ヌの体内における免疫原性の増強など)。 ALVACまたはNYVACなどの初期不全系においては、初期に外来性DNAおよび翻訳 因子を発現することが好ましい。後期不全系(中間系を含む)においては、後期 または初期および後期に外来性DNAおよび翻訳因子を発現することが好ましい( 初期のみの発現は最適発現の達成には不要である)。 本開示および当該分野の知識から、適切な翻訳因子およびその発現時期の選択 は当業者に可能である。すなわち、当業者であれば、ベクターの性質に基づいた 翻訳因子の発現および因子と共に使用するプロモーターの発現を選択することが 可能であり、これは例えば、ベクターの不全表現型に基づくものであり、例えば 、MVAは後期不全であるとされており、このベクターを使用することによって翻 訳因子由来の発現は後期(中間期を含む)または初期または初期/後期となり、 また、ALVACは初期不全であり、このベクターを使用した場合の翻訳因子由来の 発現は初期または初期/後期である。ベクターはさらに、ts(温度感受性)突然 変異体(初期DNAに対して)および後期不全突然変異も用いることができ、これ らも本発明の実施例において使用しており、コンディット(Condit)およびナイ ルス(Niles)の同上の文献を参照している。従って、翻訳因子および少なくと も1個の目的のヌクレオチド配列は、ベクターの表現型に応じて初期、後期(中 間期を含む)または初期/後期に発現することが好ましい。また、好ましくは、 ベクターを組み込んでいる細胞型に合わせて実際に翻訳および/または発現を増 強するように翻訳因子を選択すべきである。 ベクターまたは組換え体を作出する方法は、以下に開示されている方法または それらと類似の方法である。米国特許第4,603,112号、第4,769,330号、第5,174, 993号、第5,505,941号、第5,338,683号、第5,494,807号および第4,722,848号、W O 95/30018号;パオレッティ(Paoletti)「ポックスウイルスベクターのワク チン接種への応用:最新情報(Applications of poxvirus vectors to vaccina tion:An update)」、PNAS USA 93:11349-11353、1996年10月;モス(Moss)「 組換え遺伝子発現、ワクチン接種および安全性の目的で遺伝子操作されたポック スウイルス(Genetically engineered poxviruses for recombinant gene expre ssion,vaccination,and safety)」、PNAS USA 93:11341-11348、1996年10月 ;スミス(Smith)らの米国特許第4,745,051号(組換えバキュロウイルス);リ チャードソン(Richardson),C.D.(編者)『分子生物学における方法 39(M ethods in Molecular Biology 39)』より「バキュロウイルス発現のプロトコー ル(Baculovirus Expression Protocols)」(1995年、ヒューマナ・プレス(Hu mana Press)社);スミス(Smith)ら「バキュロウイルス発現ベクターを感染 させた昆虫細胞内におけるヒトβ−インターフェロンの産生(Production of Hu man Beta Interferon in Incect Cells Infected with Baculovirus Expression Vector)」、分子および細胞生物学(Molecular and Celllar Biology)、1983 年12月、第3巻12号、p.2156-2165;ペノック(Pennock)ら「バキュロウイルス 発現ベクターを感染させた昆虫細胞内における大腸菌(Escherichia coli)β− ガラクトシダーゼの強力かつ制御された発現(Strong and Regulated Expressio n of Escherichia coli β-Galactosidase in Infect Cells with a Baculoviru s Vector)」、分子および細胞生物学(Molecular and Cellular Biology)、19 84年4月、第4巻3号、p.399-406;EPA 0 370 573、1986年10月16日出願の米 国特許出願第920,197号、EP特許公報第265785号、米国特許第4,769,331号(組換 えヘルペスウイルス);ロイツマン(Roizman)「単純ヘルペスウイルス遺伝子 の機能:新規なベクターの遺伝子工学のためのプライマー(The function of he rpes simprex virus genes:A promaer for genetic engineering of novel vect ors)」、PNAS USA 93:11313-11318、1996年10月;ロバートソン(Robertson) ら「Bリンパ球へ遺伝子を輸送するためのEBウイルスベクター(Epstein-Barr v irus vectors for gene delivery to B lymphocytes)」、PNAS USA 93:11334-1 1340、1996年10月;フロロヴ(Frolov)ら「アルファウイルスに基づく発現ベク ター:戦略および応用(Alphavirus-based expression vectors:Strategies and applications)」、PNAS USA 93:11371-11377、1996年10月;キトソン(Kitson )ら、J.Viol.65,3068-3075,1991;米国特許第5,591,439号、5,5 52,143号;グルンハウス(Grunhaus)ら、1992年「クローニングベクターとして のアデノウイルス(Adenovirus as cloning vectors)」ウイルス学セミナー第 3巻(Seminars in Virology)、p.237-52、1993年;バライ(Ballay)ら、EMBO Journal,vol.4,p.3861-651;グラハム(Graham)、Tibtech 8,85-87,1990 年4月;プレヴェック(Prevec)ら、J.Gen.Virol.70,429-434;PCT WO91/ 11525号;フェルグナー(Felgner)ら(1994年),J.Biol.Chem.269,2550-2 561,Science,259:1745-49;およびマククレメンツ(McClements)ら「糖タンパ ク質Dまたは糖タンパク質BをコードしているDNAワクチン単独または組み合わ せて用いた免疫が単純ヘルペス2型疾患の動物モデルにおいて防御免疫を誘導す る(Immunization tiwh DNA vaccines encoding glycoprotein D or glycoprote in B,alone or in combination,induces protective immunity in animal mod els of herpes simplex virus-2 disease)」、PNAS USA 93:11414-11420、1996 年10月;ならびに米国特許第5,591,639号、5,589,466号および5,580,859号(中 でもDNA発現ベクターに関する)。アデノウイルスベクターを含むベクターに関 する米国特許出願08/675,566号および08/675,556号も参照のこと。 本発明のベクター内に挿入されたヌクレオチド配列、例えば外来遺伝子、異型 もしくは外因性のヌクレオチド配列(例えば、DNAなど)に関しては、目的のエ ピトープ、生物学的応答の調製物質、成長因子、認識配列、治療遺伝子または融 合タンパク質を含む発現産物をコードしていることが好ましい。これらの事項に ついては、以下の考察、ならびに一般的なものとしてはケンドリュー(Kendrew )「分子生物学辞典(THE ENCYCLOPEDIS OF MOLECULAR BIOLOGY)」(ブラック ウェル・サイエンス(Blackwell Science)社、1995年)およびサンブルック(S ambrook)、フリッシュ(Fritsch)およびマニアティス(Maniatis)「分子クロ ーニング 実験室マニュアル(Molecular Cloning,A Laboratory Manual)第2 版」(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)社、1982年)を参照のこと。 目的のエピトープは、抗原もしくは免疫原の中の免疫学的に意味のある領域、 またはそれらの免疫学的に活性な断片(例えば、獣医学またはヒトについての病 原体または毒素に由来する)である。 目的のエピトープは、病原体もしくは毒素、または病原体に対して応答を誘起 するその他の病原体もしくは毒素から調製することができる。これらの病原体ま たは毒素としては、モルビリウイルス(Morbillivirus)抗原(例えば、イヌジ ステンパーウイルスまたは麻疹または牛疫抗原(HAまたはFなど))、狂犬病糖 タンパク質(狂犬病糖タンパク質Gなど)、トリインフルエンザ抗原(例えば、 七面鳥インフルエンザHA、ニワトリ/ペンシルバニア/1/83インフルエンザ抗 原(ヌデオプロテイン(NP)など)など)、ウシ白血病ウイルス抗原(例えば、 gp51,30エンベロープなど)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)抗原(例えば 、HNまたはFなど)、ネコ白血病ウイルス抗原(FeLV)(例えば、FeLVエンベロ ープタンパク質など)、RAV-1エンベロープ、感染性気管支炎ウイルスのマトリ ックスおよび/またはプレプロマー、ヘルペスウイルスの糖タンパク質(例えば 、ネコヘルペスウイルス、ウマヘルペスウイルス、ウシヘルペスウイルス、偽狂 犬病ウイルス、イヌヘルペスウイルス、HSV、マレック病(Marek's Disease)ウ イルスまたはサイトメガロウイルス由来の糖タンパク質など)、フラビウイルス 抗原(例えば、日本脳炎ウイルス(JEV)抗原、黄熱病抗原またはデングウイル ス抗原など)、マラリヤ(プラスモジウム(Plasmodium))抗原、免疫不全ウイ ルス抗原(例えば、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)抗原、サル免疫不全ウイルス (SIV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原など)、パルボウイルス抗原( 例えば、イヌパルボウイルスなど)、ウマインフルエンザ抗原、ポックスウイル ス抗原(例えば、エクトロメリア抗原、カナリアポックスウイルス抗原または鶏 痘ウイルス抗原など)、感染性粘液嚢疾患ウイルス抗原(例えば、VP2、VP3、VP 4など)などが挙げられる。 目的のエピトープは、ヒトの病原体もしくは毒素、または病原体に対して応答 を誘起するその他の病原体もしくは毒素から調製することができる。これらの病 原体または毒素としては、モルビリウイルス(Morbillivirus)抗原(例えば、 麻疹ウイルス抗原(HAまたはFなど)など)、狂犬病糖タンパク質(例えば、狂 犬病タンパク質Gなど)、インフルエンザ抗原(例えば、インフルエンザウイル スHAまたはNなど)、ヘルペスウイルス抗原(例えば、単純ヘルペスウイルス(H SV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、EBウイルスの糖タンパク質など)、 フラビウイルス抗原、JEV、黄熱病ウイルスまたはデング病ウイルス抗原、肝炎 ウイルス抗原(例えば、HBsAgなど)、免疫不全ウイルス抗原(gp120、gp160な どのHIV抗原など)、ハンタンウイルス(Hantaan)抗原、破傷風菌(Clostoridiu m tetani)抗原、おたふくかぜウイルス、肺炎球菌抗原(例えば、PspAなど)、 ボレリア(Borrelia)抗原(例えば、OspA、OspB、OspCなど:ボレリア(Borrel ia)はライム(Lyme)病の発症に関与しており、ボレリア・ブルグドフェリ(Bo rrelia burgdorferi)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelli)およびボレリ ア・ガリニ(Borrelia garinii)などが存在する)、水痘(バリセラ・ゾスター (varicella zoster))抗原またはプラスモジウム(Plasmodium))抗原などが 挙げられる。 もちろん、上述のリストは例示であり、目的のエピトープは任意の動物または ヒトの病原体の任意の抗原から得ることができ、目的のエピトープを得るために は、任意の動物またはヒトの病原体の任意の抗原を発現することができる(本発 明は、少なくとも1個の抗原をコードしている外因性または外来性のヌクレオチ ド配列を意図している)。 異型DNAが成長因子または治療遺伝子である場合には、本発明の組換え体を遺 伝子治療に用いることができる。遺伝子治療には遺伝情報の移転を含んでおり、 遺伝子治療および免疫治療については、米国特許第5,252,479号(この特許に引 用されている文献と共に参考として本明細書に取り入れておく)、およびWO 94 /16716号および1994年1月19日に出願された米国特許出願08/184,009号(この出 願に引用されている文献と共に参考として本明細書に取り入れておく)を参照の こと。成長因子または治療遺伝子は、例えば、疾患抵抗性タンパク質、癌治療の ための分子、腫瘍サプレッサー、サイトカイン、腫瘍関連抗原またはインターフ ェロンなどをコードすることができる。さらに、成長因子または治療遺伝子は、 例えば、α−グロブリン、β−グロブリン、γ−グロブリン、顆粒球マクロファ ージ−コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、インターロイキン、マクロファージコ ロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、マスト細胞成長 因子、腫瘍サプレッサーp53、網膜芽腫、インターフェロン、メラノーマ関連抗 原またはB7をコードしている遺伝子を含む群から選択することができる。 更に本発明は、新規なベクターならびに許容される基剤もしくは希釈剤(例え ば、獣医学的に許容されるまたは薬剤学的に許容されるものなど)を含有する免 疫原性組成物、免疫学的組成物またはワクチン組成物に関する。ベクター(また はそれらの発現産物)を含有する免疫学的組成物は、局所または全身性の免疫学 的応答を誘発する。応答は防御的であることが望ましいが、必須ではない。本発 明の組換え体(またはそれらの発現産物)を含有する免疫原性組成物は、同様に 局所または全身性の免疫学的応答を誘発し、ここでこの応答は防御的であること が望ましいが、必須ではない。ワクチン組成物は局所または全身性の免疫学的応 答を誘発する。従って、「免疫学的組成物」および「免疫原性組成物」という語 には「ワクチン組成物」を含んでいる(前二者は防御的組成物を意味するものと して用いられる)。 故に、本発明は、脊椎動物宿主における免疫学的応答の誘導方法をも提供し、 この方法は、本発明の組換えウイルスもしくはベクターならびに許容される基剤 もしくは希釈剤を含有する免疫原性組成物、免疫学的組成物またはワクチン組成 物を宿主に投与することを含む。本明細書においては、「動物」にはヒトを除く 全ての脊椎動物種が含まれ、「脊椎動物」には動物(本明細書中で使用している 意味での「動物」)を含む全ての脊椎動物種およびヒトを含んでいる。更にもち ろん、「動物」のうちの一部が「哺乳類」であり、本明細書においてはヒトを除 く全ての哺乳類を含む。 ヒトへの投与においては、本発明の組換え体またはベクターは生産的複製をす ることなく発現を行うことができるという利点を有する。このことは従って、免 疫が低下している患者に対して本発明の組換え体を使用する可能性を提供し、ま た、本発明の組換え体と接触する作業者に対する安全性のレベルを提供する。故 に、本発明は組換えウイルスまたはベクターを宿主に投与または接種することに よってタンパク質を増幅または発現するための方法を含んでおり、ここで、宿主 は組換えウイルスまたはベクターの本来の宿主ではなく、生産的複製を伴わない 発現をする。 外因性DNAまたは異型DNA(またはワクチンウイルスに対して外来性のDNA)と しては、上掲しているような上述のエピトープのいずれかをコードしているDNA を用いることができる。この点に関して、ボレリア(Borrelia)DNAについては 、米国特許第5,523,089号、WO 93/08306号、PCT/US92/08697号、分子微生物学 (Molecular Microbiology)(1989),3(4),479-486、およびPCT公開公報WO 93/04175号およびWO 96/06165号を参考とし、参照として本明細書中に取り入れ ておく。 肺炎球菌エピトープに関しては、ブリレス(Briles)らのWO 92/14488号を参 考とし、参照として本明細書中に取り入れておき、腫瘍ウイルスに関しては、『 腫瘍ウイルスの分子生物学、RNA腫瘍ウイルス(Molecular Biology of Tumor Vi ruses,RNA TUMOR VIRUSES)』(第2版、ウェイス(Weiss)ら編、コールド・ スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)社、1982年)(例えば、44ページ以降−レトロウイルスの分類学(Taxo nomy of Retroviruses)など)を参考とし、参照として本明細書中に取り入れて おく。 目的のエピトープをコードしているDNAに関しては、例えば、これまでに引用 している文献および以下に引用している文献などの本明細書に引用している文献 を参照のこと。そのような文献としては例えば、米国特許第5,174,993号および5 ,505,941号(例えば、組換えアビポックスウイルス(avipoxvirus)、ワクシニ アウイルス;狂犬病糖タンパク質(G)遺伝子、七面鳥インフルエンザ赤血球凝 集素遺伝子、gp51、gp30、牛白血病ウイルスのエンベロープ遺伝子、ニューカッ スル病ウイルス(NDV)抗原、FeIVエンベロープ遺伝子、RAV-1エンベロープ遺伝 子、NP(ニワトリ/ペンシルバニア/1/83インフルエンザウイルスのヌデオタ ンパク質遺伝子)、感染性気管支炎ウイルスのマトリックスおよびプレプロマー ;HSV gDなど)米国特許第5,338,683号(例えば、組換えワクシニアウイルス、 アビポックスウイルス(avipoxvirus);特にヘルペスウイルスの糖タンパク質 をコードしているDNAなど)、米国特許第5,494,807号(例えば、組換えワクシニ ア、アビポックス(avipox);特に、狂犬病、B型肝炎、JEV、YF、デング、麻 疹、偽狂犬病、エプスタイン−バー(Epstein-Barr)、HSV、HIV、SIV、EHV、BH V、HCMV、イヌパルボウイルスウマインフルエンザ、FeLV、FHV、ハンタン(Hant aan)、破傷風菌(Clostoridium tetani)、トリインフルエンザ、おたふくか ぜ、 NDV由来の抗原をコードしている外因性DNAなど)、米国特許第5,503,834号(例 えば、組換えワクシニア、アビポックス(avipox)、モルビリウイルス(Morbil livirus)(例えば、特に麻疹F、赤血球凝集素など))、米国特許第4,722,848 号(例えば、組換えワクシニアウイルス;特に、HSV tk、HSV糖タンパク質(例 えば、gB、gDなど)、インフルエンザHA、B型肝炎(例えばHBsAgなど)など) 、英国特許GB 2 269 820 Bおよび米国特許第5,514,375号(例えば、組換え ポックスウイルス;フラビウイルス構造タンパク質)、WO 92/22641号ならびに 米国特許出願08/417,210号および08/372,664号(例えば、組換えポックスウイル ス:特に免疫不全ウイルス、HTLVなど)、WO 93/03145号ならびに米国特許出願 08/204,729号および08/303,124号(例えば、組換えポックスウイルス;特にIBDV など)、WO 94/16716号および1994年1月19日に出願した米国特許出願08/184,0 09号(例えば、組換えポックスウイルス;特にサイトカインおよび/または腫瘍 関連抗原など)、米国特許出願08/469,969号(狂犬病組換え組成物)、米国特許 出願08/746,668号(レンチウイルス、レトロウイルスおよび/または特にネコ免 疫不全ウイルスを含む免疫不全ウイルス)、米国特許番号第5,529,780号および 米国特許出願08/413,118号(イヌヘルペスウイルス)、米国特許出願08/471,025 号(カリシウイルス)、WO 96/3941および米国特許出願08/658,665号(サイト メガロウイルス)、ならびにPCT/US94/06652(プラスモジウム(Plasmodium)の 生活環の各段階に由来するようなプラスモジウム(Plasmodium)抗原)が挙げら れる。 ワクチンまたは免疫学的組成物として用いられる抗原については本明細書に引 用されている文献(例えば、上掲の文献など)を参考とし、更にステッドマン医 学辞典(Stedman's Medical Dictionary)(第24版、1982年)を参照のこと。 例えば、ワクチンの決定については、ワクチン製剤に使用される抗原の一覧表な どがあり、そのような抗原またはこれらの抗原由来の目的のエピトープは、新規 な組換えウイルスまたはベクターのいずれの発現産物も本発明に使用することが でき、また、新規な組換えウイルスもしくはベクターまたはそれらの発現産物を 含有する多価組成物中に使用することができる。 目的のエピトープに関しては、アミノ酸ならびにペプチドまたはポリペプチド の対応するDNA、さらに特定のアミノ酸の性質(例えば、大きさ、電荷など)お よびコドン辞書から、当業者であれば、ペプチドまたはポリペプチド内のエピト ープまたは免疫に関与する領域、また逆にそれらがコードしているDNAを不要な 実験をすることなく決定することができる。 タンパク質のどの部分を免疫学的組成に使用するかを決定する一般的な方法は 、目的の抗原の大きさおよび配列に注目することである。「一般的には、大きな タンパク質は(強力な決定因子をより多く有していることから)、小さいものよ りも抗原としてふさわしい。抗原が外来性(すなわち、寛容性を誘発する自己構 造との類似性が小さい)であればあるほど、免疫応答の遊起には有効である。」 (イヴァン・ロイット(Ivan Roitt)『基礎免疫学(Essential Immunology)』 、1998年) 大きさについては、当業者であれば、ウイルスベクターに挿入すべきDNAによ ってコードされているタンパク質の大きさを(ベクターの挿入限度を考慮しなが ら)最大にすることができる。発現されるタンパク質の大きさを最大にしながら 挿入されるDNAを最小限にするために、DNA配列からイントロン(これは、転写さ れるが、一次RNA転写に続いて切除される領域である)を排除することができる 。 最小の場合には、DNA配列はアミノ酸長が少なくとも8〜9このペプチドをコ ードすることができる。これは、CD8+ T細胞応答(これは、ウイルスに感染し た細胞または癌様細胞を認識する)を刺激するために必要なペプチドの最短長で ある。ペプチドの最短長がアミノ酸数13〜25個のペプチドは、DC4+ T細胞応答 (これは、病原体に取り込まれている特定抗原呈示細胞を認識する)の刺激に有 用である。ケンドリュー(Kendrew)らの上述の文献を参照のこと。しかしなが ら、これらは最短長であっても、これらのペプチドは免疫学的応答、すなわち抗 体応答またはT細胞応答を起こすと考えられる。しかし、ワクチン組成物からの ような防御応答についてはより長いペプチドが好ましい。 配列に関しては、抗体応答またはT細胞応答を起こすペプチド領域をDNA配列 が少なくともコードしていることが好ましい。T細胞およびB細胞のエピトープ を決定する方法のひとつとしてエピトープマッピングがある。目的のタンパク質 を「タンパク質分解酵素を用いてオーバーラップペプチドに切断する。次に、個 々のペプチドについて、元のタンパク質から誘発された抗体への結合能、または T細胞もしくはB細胞活性化の誘導能について調べる。T細胞はMHC分子とコン プレックスを形成する短い直鎖ペプチドを認識することから、この方法はT細胞 エピトープのマッピングに特に有用である。B細胞エピトープは直鎖アミノ酸配 列であることは少なく、むしろ三次元のタンパク質が折り畳まれた4次構造をと っていることから、この方法はB細胞エピトープの決定にはあまり有効ではない 。」ジャニス・クビー(Janis Kuby)、Immunology(1992)pp.79-80. 目的のエピトープを決定するための別の方法は、親水性のタンパク質の領域を 選択することである。親水性残基はタンパク質の表面に存在していることが多く 、故に抗体に受け入れられやすいタンパク質の領域である。ジャニス・クビー( Janis Kuby)、Immunology(1992)p.81. 目的のエピトープを決定するためのさらに別の方法は、抗原(全長)−抗体コ ンプレックスのX線結晶解析を行うことである。ジャニス・クビー(Janis Kuby )、Immunology(1992)p.80. T細胞応答を誘起することができる目的のエピトープを決定するためのまたさ らに別の方法は、MHC分子に結合する傾向を有することが知られているペプチド 配列であるHLAアンカー結合モチーフである可能性があるタンパク質配列から確 認することである。 T細胞応答を誘起し、目的のエピトープであると推定されるペプチドはMHCコ ンプレックス内に存在するはずである。好ましくは、ペプチドはMHC分子に結合 するための適切なアンカーモチーフを有しており、十分な親和性を持って結合し 、免疫応答を誘起するはずである。考慮すべき因子としては、免疫性を与えるこ とが予測される患者(脊椎動物、動物またはヒト)のHLA型、タンパク質の配列 、適切なアンカーモチーフの存在ならびに他の生細胞中でのペプチド配列の存在 が挙げられる。 一般的には、免疫応答は次のように起こる。タンパク質が小さいペプチドに解 裂され、他の細胞の表面に存在している「主要組織適合遺伝子複合体 MHC」と 呼ばれるコンプレックス内に存在している場合にのみT細胞はタンパク質を認識 する。MHCコンプレックスには2つのクラス−クラスIおよびクラスIIがあり、 各クラスは多くの異なる対立遺伝子から構成されている。異なる患者は異なる型 のMHCコンプレックス対立遺伝子を有し、このことは「異なるHLA型」を有すると 称される。 MHCコンプレックスクラスIはほぼ全ての細胞において見出され、細胞内で産 生されたタンパク質由来のペプチドを提供する。従って、MHCコンプレックスク ラスIは、ウイルスに感染した場合、もしくは癌化した場合、ならびに癌遺伝子 の発現の結果、細胞を殺すのに有用である。細胞表面にCD8と呼ばれるタンパク 質を有するT細胞は、T細胞レセプターを介してMHCコンプレックスクラスI/ ペプチドコンプレックスに特異的に結合する。このことにより、細胞溶解エフェ クター活性がもたらされる。 MHCコンプレックスクラスIIは抗原呈示細胞のみにおいて見出され、抗原呈示 細胞によってエンドサイトースされた循環病原体由来のペプチドを提供するのに 用いられる。CD4と呼ばれるタンパク質を有するT細胞は、T細胞レセプターを 介してMHCコンプレックスクラスII/ペプチドコンプレックスに結合する。この ことにより、免疫応答を刺激する特定のサイトカインの合成が行われる。 あるタンパク質がT細胞応答を刺激するエピトープとなり得るか否かを決定す るいくつかの指標があり、それには例えば、ペプチドの長さなどが含まれ、MHC コンプレックスクラスIに適合するためにはペプチドの長さは少なくともアミノ 酸数が8〜9個でなければならず、また、MHCコンプレックスクラスIIに適合す るためにはペプチドの長さは少なくともアミノ酸数が13〜15個でなければならな い。この長さはペプチドがMHCコンプレックスに結合するための最短長である。 細胞は発現されたペプチドを切断することがあるため、ペプチドはこれらより長 い方が好ましい。ペプチドは適切なアンカーモチーフを有し、このアンカーモチ ーフは、免疫応答を誘起するために十分な高い特異性を持って様々なクラスIお よびクラスII分子とペプチドが結合することができるようにする(ボキア,M. (Bocchia)ら、「白血病癌遺伝子融合タンパク質ペプチドのHLAクラスI分子へ の特異的結合(Specific Binding of Leukemia Oncogene Fusion Protein Pepti de to HLA class I Molecu1es)」、Blood 85:2680-2684;イングルハード(Eng lehard),VH、「MHC分子クラスIおよびクラスIIに関連するペプチドの構造 (Structure of peptides associated with class I and class II MHC molecul es)」、Ann.Rev.Immunol.12:181(1984))。これは、MHC分子に関連するペプ チドについての公表されている構造と目的のタンパク質の配列とを比較すること により、不要な実験をすることなく、行うことが可能である。T細胞レセプター によって認識されるタンパク質エピトープは、タンパク質分子の酵素分解によっ て生じたペプチドであり、MHC分子のクラスIまたはクラスIIに関連する細胞表 面に存在している。 更に、当業者であれば、タンパク質データベースに掲載されている配列とタン パク質配列とを比較することにより、目的のエピトープを確認することができる 。 更にまた、別の方法としては、単純に目的のタンパク質の一部分を誘起または 発現し、目的のタンパク質のこれらの部分に対するモノクローナル抗体を誘起し 、これらの抗体について、イン・ビトロ(in vitro)において、そのタンパク質 の起源となっている病原体の成長を阻害するか否かを確認する。当業者であれば 、本明細書に記載している他の指針、およびイン・ビトロ(in vitro)において 抗体が成長を阻害するか否かについて分析するための目的のタンパク質の一部を 誘起または発現するための当該分野の指針を利用することができる。例えば、当 業者であれば、アミノ酸数が8〜9個または13〜15個の長さのタンパク質の一部 を選択することにより、抗原(全長)−抗体コンプレックスのX線データから結 合を示した部分を選択することにより、配列が他のタンパク質とは異なる領域を 選択することにより、HLAアンカーモチーフとなり得る部分を選択することによ り、またはこれらの方法もしくは当該分野において既知の他の方法の任意の組み 合わせによって目的のタンパク質の一部分を誘起することができる。 抗体によって認識されるエピトープはタンパク質の表面に発現される。抗体応 答を刺激する可能性が高いタンパク質領域を明らかにするためには、上述の一般 的方法または当該分野において既知のたのマッピング法を用いることにより、エ ピトープマッピングを行うことが好ましい。 上記からわかるように、本開示および当該分野の知識から、当業者であれば、 不要な実験をすることなく、T細胞、B細胞および/または抗体を得るための目 的のエピトープのアミノ酸配列および対応するDNA配列を確認することができる 。 更に、1991年5月28日に登録されたジェフター(Gefter)らによる米国特許第5, 019,384号およびその特許に引用されている文献を本明細書中に参考として取り 入れておく(特に、該特許の「関連文献」および該特許の13欄、すなわち、「広 範な微生物に対する多数のエピトープが明らかになっている。特に注目されるの は、中和抗体を対象とするものである。そのようなエピトープについての開示は 関連文献の項に引用されている多くの参考文献中に見出される。」という記載を 参照)。 例えば、生物学的応答の調節物質は生物学的活性を調節する。例えば、生物学 的応答の調節物質は、非NMDA刺激性のアミノ酸レセプターに関連のある高分子量 のタンパク質などの調節性の構成要素であり、これは、AMPA結合の親和性をアロ ステリックに制御する(ケンドリュー(Kendrew)、同上参照)。本発明の組換 え体はそのような高分子量のタンパク質を発現することができる。 より一般的には、自然界は生物学的応答の調節物質についての多数の先例を提 供している。活性の調節は、在/不在(例えば、発現/分解など)系に至るアロ ステリックに誘導された四段階変化と同程度の複雑かつ入り組んだメカニズムを 介して行われると考えられる。実際、多くの生物学的分子の発現の抑制/活性化 は、様々なメカニズムを介してその活性を調節することができるような分子によ って自己仲介されている。 ニードハート(Neidhardt)ら、『バクテリア細胞の生理学(Physiology of B acterial Cell)』(シナウアー・アソシエーツ(Sinauer Associates)社、199 0年)、73ページの表2にバクテリアタンパク質の化学的変性が挙げられている 。この表に示しているように、いくつかの変性は適切な構成を含んでおり、他の 変性はそうではないが、いずれの場合においても、そのような変性は機能の調節 をすることができる。この表から、不要な実験をすることなく、他の細胞のタン パク質に対する類似の化学調節を判断することができる。 いくつかの例においては、生物学的活性の調節は、ある分子が単に適切/不適 切ぶ局在することによって仲介されていると考えられる。分子が特定の位置に存 在している場合にのみ分子が作用して成長促進または抑制をすると考えられる。 例えば、ある細胞の機能が細胞から分泌された分解酵素によって最初に分解され た場合には、一般的には、その分子は細胞に取り込まれまたは利用されることは ない。従って、組換え体による酵素の産生によって、細胞による分子の利用また は取り込みを制御することができる。同様に、組換え体は、分子の取り込みまた は利用に必要な酵素に結合する分子を発現することができ、それによって取り込 みまたは利用を同じように制御する。 タンパク質の局在位置を定めるためには、別の型の調節または制御を行うシグ ナルペプチドの解裂を行う。この場合には、組換え体を用いて特異的エンドヌク レアーゼ触媒活性を発現することができる。 機能の調節が起こるメカニズムのその他の例としては、RNAウイルスポリタン パク質、アロステリック効果、ならびに一般的な共有結合および非共有結合立体 障害がある。HIVはよく研究されているRNAウイルスの一例であり、これは、非機 能性のポリタンパク質構築体を発現する。HIVにおいては、「gag、polおよびenv ポリタンパク質を分解して、ウイルス構造タンパク質であるp17、p24およびp15 (逆転写酵素およびインテグラーゼ)ならびに2個のエンベロープタンパク質gp 41およびgp120がそれぞれ得られる」(コール(Kohl)ら、PNAS USA 85:4686-90 (1988))。ポリタンパク質を適切に解裂することはウイルスの複製にきわめて重 要であり、不活性な突然変異型HIVプロテアーゼを有するビリオンは非感染性で ある(同上)。これは、活性が低くなるように調節するタンパク質の融合のもう ひとっの例である。従って、解裂の干渉または促進によって、あるタンパク質の 本来の発現を阻害または増強する目的で、エンドプロテアーゼに干渉する、また はエンドプロテアーゼを産生する分子を発現する組換えウイルスを構築すること が可能である。 酵素の機能的な有用性は、それらが反応を触媒する能力を変化させることによ っても調節することができる。調節された分子の例としては、チモーゲン(酵素 前駆体)、マルチサブユニット機能性コンプレックスの形成/分離、RNAウイル スポリタンパク質鎖、アロステリック相互作用、一般的な立体障害(共有および 非共有)および様々な化学調節(例えば、リン酸化、メチル化、アセチル化、ア デニル化およびウリデニル化など)が挙げられる(ニードハート(Neidhardt) ら(上述)、315ページの表1および73ページの表2を参照のこと)。 チモーゲンは、天然に存在する酵素活性の調節をするタンパク質融合体の例で ある。チモーゲンは、限定的タンパク質分解によって活性状態に転換する一群の タンパク質である。ライヒ(Reich)ら、『プロテアーゼおよび生物学的制御第 2巻(Proteases and Biological Control)』、54ページの表3を参照のこと。 自然界は、酵素と共に追加としてそのアミノ末端に「リーダー」ペプチド配列を 発現することによって、ある種の酵素(例えば、トリプシンなど)の活性が低く なるように調節するメカニズムを発達させてきた。追加のペプチド配列を有する ことにより、酵素は不活性なチモーゲン状態にある。この配列を解裂することに よって、チモーゲンは酵素的に活性な状態に転換する。チモーゲンの全体的な反 応速度は「対応する酵素の約105〜106分の1である」(ライヒ(Reich)ら(上 述)、54ページの表3参照)。 故に、酵素の末端に単にペプチド配列を付加することによって、ある酵素の機 能が低くなるように調節することが可能である。例えば、適切な知識をもってす れば、ある組換え体は、一方の端または両端に追加のアミノ酸を有するペプチド 配列を発現することができる。 マルチサブユニット酵素の形成または分離は、制御を起こすもうひとつの方法 である。マルチサブユニット酵素の形成または分離においては、活性の調節に対 して異なるメカニズムが関与していると考えられる。 故に、適切な特異的サブユニットの相互作用に対する立体障害は、触媒活性を 低くなるように調節する。従って更に、本発明の組換え体は、生物学的機能を調 節するための天然に存在する酵素または酵素コンプレックスに立体障害を与える 分子を発現することができる。 ある種の酵素阻害剤は、共有結合立体障害または変性を介した機能を低く調節 するものの好例である。活性部位内の触媒的に重要なアミノ酸において、酵素の 活性部位に不可逆的に結合する自殺基質は、酵素の活性部位を立体的に阻止する 共有結合変性の例である。自殺基質の例としては、キモトリプシンのTPCKが挙げ られる(フリッシュ(Fritsh)、『酵素の構造およびメカニズム(Enzyme Struc ture and Mechanism)第2版』(フリーマン(Freeman)社、(1984年))。こ の型の調節は、組換え体によって適切な自殺基質を発現し、それによって生物学 的応答を調節すること(例えば、酵素活性を制限するなど)によって可能である 。 非共有結合立体障害の例としては、多くのリプレッサー分子が挙げられる。組 換え体はリプレッサー分子を発現することができ、この分子は、立体障害を起こ すことができ、従って、特定のDNA−RNAポリメラーゼの相互作用を抑制すること によってDNA配列の機能が低下するように調節する。 アロステリック効果は、ある種の生体系において調節を行うもうひとつの方法 である。アスパラギン酸トランスカルバミラーゼは、よく特性が明らかになって いるアロステリック酵素である。基質サブユニットと相互作用するのは制御ドメ インである。CTPまたはUTPと結合することによって、制御サブユニットは、触媒 活性が低くなるように調節を行うホロ酵素の四次構造の変化を促すことができる 。対照的に、制御サブユニットがATPに結合することによって、触媒活性を高く するように調節をすることができる(フリッシュ(Fritsh)、同上)。本発明の 方法を用いることにより、結合でき、四次構造または三次構造の変化を調節する ことができる分子を発現させることができる。 更に、機能を調節するために、様々な化学的変性、例えば、リン酸化、メチル 化、アセチル化、アデニル化およびウリデニル化などを行うことができる。この ような変性は、多くの重要な細胞成分の制御において重要な役割を果たしている ことが知られている。ニードハート(Neidhardt)ら(上述)の73ページの表2 には、そのような変性を行う種々のバクテリア性酵素が掲載されている。当業者 であれば、その表から、不要な実験をすることなく、同一または類似の変性を行 う他の系の他の酵素を確認することができる。加えて、ヒトの疾患に関与する多 くのタンパク質もそのような化学的変性を行う。例えば、多くの癌遺伝子はリン 酸化によって変性され、または、リン酸化もしくは脱リン酸化を介して他のタン パク質を変性することが知られている。故に、本発明によってもたらされた調節 物質(これは、例えばリン酸化などのように、機能を変性または変化させること ができるもの)を発現する能力が重要である。 上記から、当業者であれば、不要な実験をすることなく、本発明を利用して生 物学的反応の調節物質を発現させることができる。 本発明の組換え体による融合タンパク質の発現に関しては、サンブルック(Sa mbrook)、フリッシュ(Fritsh)、マニアティス(Maniatis)、『分子クローニ ング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A LABORATORY MANUAL)第2版』 (コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harb or Laboratory Press)社、1989年)(特に第3巻)、およびケンドリュー(Ken drew)(同上)を参照し、参考として本明細書に取り入れておく。サンブルック (Sambrook)らの教示によれば、当業者であれば不要な実験をすることなく、本 開示から適切な変性ができ、融合タンパク質を発現する組換え体またはベクター を作出することができる。 遺伝子治療および免疫治療に関しては、米国特許第4,690,915号および5,252,4 79号を参照し、その中に引用されている文献と共に参考として本明細書中に取り 入れ、また、WO 94/16716および1994年1月19日出願の来国特許出願08/184,009 号を参照し、その中に引用されている文献と共に参考として本明細書中に取り入 れておく。 成長因子は、個体発生ならびに組織および機能の維持の両方を制御する局所作 用性細胞内シグナリングペプチドと定義付けすることができる(ケンドリュー( Kendrew)(同上)、特に455ページを参照)。 成長因子または治療遺伝子は、例えば、抗疾患性タンパク質、癌を治療する分 子、腫瘍サプレッサー、サイトカイン、腫瘍関連抗原またはインターフェロンを コードすることができる。また、成長因子または治療遺伝子は、例えば、α−グ ロビン、β−グロビン、γ−グロビン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 、腫瘍壊死因子、インターロイキン(例えば、インターロイキン1〜14もしくは 1〜11、またはそれらの任意の組み合わせなど)、マクロファージコロニー刺激 因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン、マスト細胞成長因子、腫瘍 サプレッサーp53、網膜芽腫、インターフェロン、メラノーマ関連抗原もしくはB 7をコードしている遺伝子を含む群から選択することができる。米国特許第5,252 ,479号は、遺伝子治療に用いられ、アデノウイルス系において発現することがで きるタンパク質の一覧を示しており、当業者であればこの開示に従って実施する ことができる。WO 94/16716および1994年1月19日出願の米国特許出願08/184,0 09号は、サイトカインおよび腫瘍関連抗原の遺伝子、ならびにエクス・ビボ(ex vivo)法を含む免疫治療法を提供しており、当業者であればこの開示に従って実 施することができる。 従って、当業者であれば不要な実験をすることなく、本開示および当該分野の 知識から、成長因子もしくは治療遺伝子を発現するベクターを作出し、ならびに 組換え体もしくはベクターを使用することができる。 更に、以上の記載および当該分野における知識から、当業者であれば不要な実 験を要せずに、目的のエピトープ、生物学的応答の調節物質、成長因子、認識配 列、治療遺伝子または融合タンパク質を発現する新規な組換え体またはベクター を構築することができ、またはそのような組換え体またはベクターを使用するこ とができる。 本発明の組換え体またはベクターは、イン・ビトロ(in vitro)における遺伝 子産物の発現に用いることができ、タンパク質精製のための技術を本発明の実施 に利用することができる。そのような技術としては一般的に以下のようなものが ある。 概略すると、細胞を破壊し、目的のタンパク質を水性「抽出液」中に放出させ る。細胞破壊には、比較的穏やかな条件から過激な条件までの幅広い多くの方法 があり、原材料に応じてよりよい方法を選択する。動物の組織は、非常に崩壊し やすい赤血球から強固な膠原質性の材料(血管などにみられるような平滑筋を含 む組織など)まで様々である。バクテリアは、消化酵素または浸透圧ショックに よって破壊することができる非常に脆いものから、崩壊には過激な機械的処理を 要する厚い細胞壁を有するより抵抗性のものまで様々である。 緩和な方法としては、細胞溶解、酵素消化、化学的溶解、手動ホモジェナイズ および細断(または破砕)などが挙げられる。細胞破壊の中程度の方法としては 、刃を用いたホモジェナイズ、研磨剤(すなわち、砂またはアルミナ)を用いた 破砕などが挙げられ、過激な方法としては、フレンチプレス、超音波、ビーズミ ルまたはマントン−ガウリン(Manton-Gaulin)ホモジェナイズなどが挙げられ る。上記の各方法は当該分野において既知であり、出発原料、ならびに本明細書 および当該分野の教示に基づいて適切な細胞破壊の方法を決定することは当業者 の知識の範ちゅうである。 細胞破壊に続いて、遠心分離によって不溶材料を除去することによって抽出物 を調製する。この段階において、精製法を行って目的のタンパク質を可能な限り 多量に含む抽出物を調製するが、適切に行われた場合には、粒子性および大部分 の非タンパク質材料は除去される。 タンパク質精製の標準的な技術を用いて目的のタンパク質を更に精製するが、 その方法としては、種々の塩濃度における目的のタンパク質の溶解性を利用した 沈澱、有機溶媒、ポリマーおよびその他の材料を用いた沈澱、親和沈澱および選 択的変性、カラムクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、 イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーまたは染料 リガンドクロマトグラフィーなどを含む)、免疫沈降およびゲル透過法、電気泳 動法、限外ろ過、ならびに等電点電気泳動などが挙げられる。上述の各方法は当 業者において既知であり、不要な実験をすることなく、本明細書および文献中に 概説している標準的な方法および以下の実施例における教示を用いて、本発明の 組換え体またはベクターの発現産物から目的のタンパク質またはエピトープを精 製することができる。 発現産物は抗原性応答、免疫学的応答または防御(ワクチン)応答を示し、従 って本発明は更に、それらからの産物、すなわち、抗体およびその利用にも関す る。更に特定すると、これらの発現産物、または発現を行う組換え体またはベク ターを投与することによって、発現産物は抗体を誘起することができる。抗体と してはモノクローナル抗体を用いることができ、該抗体または発現産物は、キッ ト、アッセイ、試験およびその他結合を伴うものに利用することができることか ら、本発明はこれらの利用にも関する。加えて、本発明の組換え体またはベクタ ーを用いてDNAを複製することができることから、本発明は、新規な組換え体も しくはベクター、ならびに組換え体およびそこから採取したDNAを用いて感染も しくはトランスフェクトした細胞によってDNAを複製する方法に関する。得られ たDNAは増幅用のプローブまたはプライマーとして使用することができる。 本発明の組換え体またはベクターまたはそれらの発現産物の投与手段としては 、本発明の組成物(免疫学的組成物、抗原性組成物もしくはワクチン組成物また は治療組成物)を非経口経路(皮内、筋肉内または皮下)で投与することができ る。 そのような投与によって全身性の免疫応答が可能である。投与は経粘膜(例えば 、経口、経鼻、経性器など)で行うこともできる。そのような投与においては局 所免疫応答を起こすことができる。 更に一般的には、本発明の抗原性組成物、免疫原性組成物もしくはワクチン組 成物または治療組成物は、薬学、医学または獣医学の分野の当業者において既知 の標準的な技術に基づいて調製することができる。血統もしくは種、年齢、性別 、体重および特定の患者の状態ならびに投与経路を考慮し、医学または獣医学の 分野の当業者において既知の技術により、そのような組成物を投与することがで きる。組成物は、単独で、あるいは本発明の他の組成物、またはその他の免疫学 的組成物、抗原性組成物、ワクチン組成物もしくは治療組成物と共にまたは連続 して投与することができる。そのような他の組成物としては、天然由来の精製さ れた抗原もしくはエピトープ、あるいは本発明の組換え体もしくはベクターまた は別のベクター系によって発現された抗原もしくはエピトープが含まれ、上述の 因子を考慮して投与する。 本発明の組成物の例としては液体製剤が挙げられ開口部(例えば、経口、経鼻 、経肛門、経性器(例えば、経腟など)など)投与用としては懸濁液、シロップ またはエリキシルなど、また、非経口、皮下、皮内、筋肉内もしくは静脈内投与 (例えば、注射による投与など)用としては無菌懸濁液もしくはエマルションな どがある。そのような組成物においては、組換え体またはベクターを適切な基剤 、希釈剤、または賦形剤(無菌水、生理食塩水、グルコースなど)と混合するこ とができる。 一般的には、免疫学的組成物またはワクチン組成物は、アジュバントならびに 一定量の組換え体もしくはベクターまたは発現産物を含んでおり、所望する応答 を誘起する。ヒトへの応用においては、アラム(ミョウバン)(リン酸アルミニ ウムまたは水酸化アルミニウム)が一般的なアジュバントである。研究および動 物への応用に用いられるサポニンおよびその精製成分であるクイルA(Quil A) 、フロインド(Freund)の完全アジュバントならびにその他のアジュバントは毒 性を有していることから、ヒトのワクチンへの積極的な利用が制限されている。 ムラミルジペプチド、モノリン酸化リピドA、リン脂質コンジュゲート(グッド マ ン−スニトコフ(Goodman-Snitkoff)ら、J.Immunol.147:410-415(1991)によ って記載されているようなもの、本明細書中に参考として取り入れておく)など の化学的に明らかになっている製剤、ミラー(Miller)らによって記載されてい るようなプロテオリポソーム内へのタンパク質の封入(J.Exp.Med.176:1739- 1744(1992)、本明細書中に参考として取り入れておく)、ならびにノヴァソームTM 脂質粒子(NovasomeTM)(ミクロ・ヴェスキュラー・システムズ(Micro Vesc ular Systems)社、ニューハンプシャー州ナシュア)のような脂質粒子内へのタ ンパク質の封入も用いることができる。 該組成物は、非経口(すなわち、筋肉内、皮内または皮下)投与または開口部 (例えば、経舌(すなわち経口)、消化管内、経粘膜(口腔内、肛門内、腟内を 含む)投与およびその他の投与による免疫用に単回投与型に充填することができ る。また、組成物の性質、発現産物の性質、組換え体をそのまま使用する場合に は発現レベル、ならびに血統もしくは種、年齢、性別、体重および状態などの既 知の因子、ならびに宿主の性質、さらにLD50およびその他のスクリーニング手段 により、有効投与量および投与経路を決定するが、これらは既知であり、不要な 実験を要しない。発現産物の投与量の範囲は数μg〜数百μg、例えば、5〜50 0μgである。本発明の組換え体またはベクターは、これらの投与レベルにおい て発現を行うことができるような任意の適切な量を投与することができる。ウイ ルス性組換え体は約103〜105pfuの量を投与することができ、従って、本発明の ウイルス性組換え体は少なくともこの量を投与することが好ましい。より好まし くは約104〜約105pfuである。しかしながら、約104〜約1010程度の高投与量、例 えば、約105〜約109pfu、例えば、約106〜108pfuでも用いることができる。プラ スミド組成物または裸DNA組成物中のプラスミドまたは裸DNAの適量は1μg〜10 0mgであり、好ましくは0.1〜10mgであるが、0.1〜2mg、好ましくは1〜10μg の少量でも用いることができる。その他の適切な基剤または希釈剤としては、保 存剤を含むまたは含まない水または緩衝生理食塩水がある。発現産物または組換 え体もしくはベクターは、凍結乾燥して投与時に再懸濁するかまたはまたは溶液 の形にすることができる。 基剤(キャリア)は、ポリマー性の放出抑制系を用いることもできる。放出制 御組成物の調製においては合成ポリマーが特に有用である。このことに関する初 期の例においては、メチルメタクリレートをポリマー化して直径1ミクロン以下 の球(スフェア)とし、いわゆるナノ粒子を形成している(クレウター(Kreute r),J、『医薬品および薬物学におけるマイクロカプセルおよびナノ粒子(Micr ocapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacology)』、M.ドンブ ロウ(Donbrow)編、(CRCプレス(CRC Press)社、p.125-148)。 マイクロカプセル化は、マイクロカプセル化された薬剤粒子の注入に応用され 放出が制御される。マイクロカプセル化に用いる特定のポリマーの選択には多く の因子が関与している。考慮すべき因子としては、ポリマー合成およびマイクロ カプセル化過程の再現性、マイクロカプセル化材料および過程のコスト、毒性曲 線、様々な放出動態、ならびにポリマーと抗体との物理化学的適合性などがある 。有用なポリマーの例としては、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリウ レタン類、ポリオルトエステル類およびポリアミド類が挙げられ、これらは特に 生体内で分解される。 薬剤学および最近では抗原に頻繁に用いられる基剤はポリd,1−ラクチド−コ グリコリド(PLGA)である。これは生体分解性ポリエステルであり、侵食性縫合 線、骨板およびその他の一時的な補綴において医学的に使用されてきた長い歴史 があり、全く毒性を示していない。ペプチドおよび抗原を含む広範な薬剤がPLGA マイクロカプセルに製剤されている。抗体の放出制御に関するPLGAの適合性につ いての多くのデータが蓄積されており、例えば、エルドリッジ(Erdridge),J .H.らによる総説(Current topics in Microbiology and Immunology,1989,1 46:59-66)がある。直径1〜10ミクロンのPLGAマイクロスフェア内中の抗原の取 り込みは、経口投与した場合に顕著なアジュバント効果を有することが示されて いる。PLGAのマイクロカプセル化過程においては、油中水エマルションの相分離 を用いる。目的の化合物を水溶液として調製し、PLGAは塩化メチレンおよび酢酸 エチルエステルなどのような適切な有機溶媒に溶解する。これら2つの非混和性 溶液を高速撹拌によって共エマルション化する。次に、ポリマーに対する非溶媒 を添加し、水滴の周囲にポリマーの沈澱を起させ、未熟なマイクロカプセルを形 成する。マイクロカプセルを集め、溶剤(ポリビニルアルコール(PVA)、ゼラ チン、アルギネート類、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース)の うちのひとつを用いて安定化し、真空乾燥または溶媒抽出のいずれかによって溶 媒を除去する。 従って、固体組成物(液体充填固体を含む)、液体組成物およびゲル組成物( 「ゲルカプセル」を含む)も考えられる。 更にまた、本発明のベクターまたは組換え体は、任意の所望する免疫または投 与計画において使用することができ、それは例えば、獣医学分野における毎年の ワクチン接種、ヒトの医学分野における定期的なワクチン接種または初期ブース ター計画などのような定期的ワクチン接種の一部としての使用である。ここで、 本発明のベクターまたは組換え体は、同一または異なるエピトープ(同一または 異なるエピトープを発現する組換え体またはベクターを含む)を発現するような 同一または異なるエピトープまたは組換え体もしくはベクターの前または後のい ずれにも投与することができる。(例えば、米国特許出願08/746,668号などを参 照。) 更に、本発明のベクターもしくは組換え体ならびにそれらの発現産物は、動物 において免疫応答または抗体応答を刺激することができる。これらの抗体から、 当該分野において既知の技術によってモノクローナル抗体を調製することができ 、これらの抗体を既知の抗体結合アッセイ、診断キットもしくは試験に用いて、 抗体の在否および生来の抗原発生原の在否を判断し、そのような発生原または抗 原に対する免疫応答が単に刺激されただけであるのか否かを判断する。 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞によって産生される免疫グロブリ ンである。モノクローナル抗体はただひとつの抗原決定因子と反応し、従来の血 清由来の抗体よりも特異性が高い。更にまた、多数のモノクローナル抗体をスク リーニングすることにより、所望する特異性、結合力およびアイソタイプを有す るそれぞれの抗体を選択することが可能である。ハイブリドーマ細胞系は化学的 に同質の抗体の安定した安価な供給源であり、そのような抗体の調製法は標準化 されている。モノクローナル抗体を産生する方法は当業者においては既知であり 、例えば、コプロウスキー(Koprowski),H.らによる、1989年4月1日に公開さ れた米国特許第4,196,265号などがあり、参考として本明細書に取り入れておく 。 モノクローナル抗体の使用についても既知である。そのような使用のひとつと して診断法があり、例えば、1983年3月8日に公開されたデーヴィッド(David ),G.およびグリーン(Greene),H.による米国特許第4,376,110号などであり参 考として本明細書に取り入れておく。 モノクローナル抗体はまた、免疫吸着クロマトグラフィーによる回収材料とし ても用いられる(例えば、ミルステイン(Milstein),C,1980,Scientific Ame rican,243:66,70など、参考として本明細書に取り入れておく)。 本発明のベクターもしくは組換え体ならびにそれらの発現産物を用い、患者へ の連続的な再注入を行うためにイン・ビトロ(in vitro)またはエクス・ビボ( ex vivo)において細胞の応答を刺激することができる。もし患者が血清陰性の 場合には、再注入により免疫応答(例えば、能動免疫のような免疫学的応答また は抗原性応答など)が刺激される。血清陽性の患者の場合には、再注入により病 原体に対して免疫系を刺激または増強する。 本発明の組換え体またはベクターは、DNA産生用のプローブまたはPCRプライマ ーとして有用であり、これらは、ハイブリダイズ可能なDNAの在否の検出またはD NAの増幅(例えば、サンプル中の病原体の検出またはDNAの増幅など)に用いる ことができる。 ウイルスは複製に必要なウイルスタンパク質を発生させるためにウイルスmRNA の翻訳を必要としていることから、感染した細胞内のPKRの活動を阻止する機能 はいずれもウイルスタンパク質の発現に正の効果を有することは明らかである。 従って、一般的に、ワクシニアのE3L/K3L遺伝子産物またはE3Lおよび/もしくは K3Lの同類体(ホモログ)を何らかの形で共発現させることにより、ベクターに よる異型遺伝子産物の発現レベルの増強に対する一般的なメカニズムを与えるこ とになる。E3L/K3Lまたはそのホモログの機能は、生来の抗PKRメカニズムを増強 または増幅することから、タンパク質の発現レベルおよび/または持続性が増す このことは、免疫運搬者としての真核性ウイルス型の効率を最適化するための有 用な要素を提供する。この方法は、DNAに基づく免疫原、例えば、裸DNAベクター 系またはプラスミドDNAベクター系などの改変を更に促進することができる。従 って、発現のレベルの上昇もしくは増強または発現の持続性が得られる。 本発明のよりよい理解とその多くの利点は、以下の限定を伴わない例示である 実施例から明らかになるであろう。 実施例 実施例1−ALVAC組換え体 イン・ビボ(in vivo)での組換えにおいて、レスキューウイルスvC205(ATCC 受入れ番号 )を用い、pMPC6H6K3E3(ATCC受入れ番号 :米国特許出願番 号08/417,210号を参考として本明細書中に取り入れておく;HIV発現カセット− ワクシニアV6プロモーター/HIV MN株の切断したenv、ALVAC C3挿入部位にプロ テアーゼを有するI3L gag)をドナープラスミドとして使用し、得られた組換え ウイルスをvCP1431A(ワクシニアのH6/K3LおよびE3LカセットはC6遺伝子座に存 在している)とした。H6/K3L発現カセットおよびALVAC C6挿入部位配列に挟ま れた外因性のプロモーターを有するE3L遺伝子に関しては図1(SEQ ID NO: ) を参照。 pC3H6FHVB(ATCC受入れ番号 ;図3、SEQ ID NO: ;H6をプロモーターと するFHV gB ORFであり、5’および3’末端に初期転写および翻訳停止シグナ ルを有し、これがALVAC C3遺伝子座の左右のアームに挟まれている)を使用して 、ALVAC(ATCC受入れ番号VR-2547)とのイン・ビボ(in vivo)組換えを行い、v CP1459(オープンリーディングフレーム(ORF)を外したC3挿入遺伝子座に存在 し、H6をプロモーターとするFHV gB発現カセット)を作出した。FHV-1 gBをコ ードしている領域に関しては、2個の内部T5NTモチーフが変異している(図2( SEQ ID NO: )を参照)。 pC3H6FHVBを用い、vCP1431Aとのイン・ビボ(in vivo)組換えを行い、vCP146 0(H6をプロモーターとし、ORFを外したC3挿入遺伝子座に存在するFHV gB発現 カセットおよびC6遺伝子座のワクシニアのE3L/K3L遺伝子)を作出した。 vCP205との組換えにおいてpMPC5H6PN(ALVAC C5遺伝子に存在するHIV pol/ne f「ビーズで構成された糸(string of beads)」カセット)を用いることによっ てvCP1433(ATCC受入れ番号 )を得た。すなわち、vCP205のC5として既知の 挿入部位に既知の全てのPol CTLエピトープ(ニクソン(Nixon)およびマクミカ エル(McMichael):1991年)および既知の全てのヒトNef CTLを含む合成ポリペ プチドをコードしている発現カセットを挿入することによって組換え体ALVAC-MN 120TMGNPst(vCP1433)を作出した。 においてpMPC6H6K3E3(ATCC受入れ番号 ;ALVAC C6挿入部位配列が接続し ている外来性プロモーターを有するワクシニアのH6/K3L発現カセットおよびワク シニアE3L遺伝子を含む)を用い、vCP1433との組換えを行うことによってvCP145 2を得た。図4および5にvCP1433およびvCP1452挿入体のヌクレオチド配列およ びアミノ酸配列を示す。図6はvCP1452内のC6部位内のE3L K3Lを示す。vCP1452 は、IIIB単離株由来のHIV 1型のgagおよびプロテアーゼ遺伝子、MN単離株由来 のgp120エンベロープ配列、ならびにHIV-1 NefおよびPol由来の既知のヒトCTL エピトープ(Nef1およびNef2 CTLエピトープ、ならびにPol1、Po12およびPol3 エピトープ)を含むポリペプチドをコードしている配列を含む。発現されたgp12 0部位は、エンベロープ糖タンパク質から構成される膜透過(TM)アンカー配列 (アミノ酸数28個)に連結した。HIVをコードしている配列に加えて、vCP1452は 、C6部位に挿入されたワクシニアウイルスのE3LおよびK3Lをコードしている配列 を含んでいる。この構築体の挿入部位およびプロモーターの連結については以下 の表に示す。 表:vCP1452内の挿入部位およびプロモーターの連結 vCP300は、HIV gp120TM(MN)、gag/pro(IIIB)(C3遺伝子座)、Nef(C6遺 伝子座)、およびPol(C5遺伝子座)を有するALVAC組換え体であり、これは米国 特許出願08/417,210号に記載されており、参考として本明細書に取り入れておく 。 これらの組換え体を調製するためのプラスミドは以下のように調製した。 K3L 発現カセット 米国特許第5,378,457号に記載されているように、鋳型としてコペンハーゲン ワクシニアのHindIII K断片を含むpSD407VCを用い、PCR増幅によってK3Lをコ ードしている配列を合成した。オリゴヌクレオチドMPSYN763およびMPSYN764をPC R反応用のプライマーとして使用した。 XbaIおよびEcoRIを用いて約325bpのPCR断片を切断し、315bpの断片を得た。ア ガロースゲルを用いた単離によってこの315bpの断片を精製し、XbaIおよびEcoRI で切断したpBSSK+ベクター(ストラタジーン(Stratagene)社(カリフォルニア 州ラ・ホーヤ)から入手)と連結した。変形T7ポリメラーゼ(タボール(Tabor ),S.およびリチャードソン(Richardson),C.C.、1987年)およびシークエナー ゼ(Sequenase)(U.S.バイオケミカルズ(U.S.Biochemicals)社(オハイオ州 クリーヴランド)から入手)を用い、ハットリ(Hattori),M.およびササキ(Sa saki),Y.が記載しているように、アルカリ変性したプラスミド鋳型から直接核 酸配列を決定した。このプラスミドをpBS763/764とした。NruIおよびXhoIを用い てpBS763/764を切断し、プラスミドベクターpMM154にクローニングするための34 0bpの断片を単離した。ここでpMM154は、NYVAC tk-挿入ベクター(NruI(部分的 )およびXhoIを用いて切断することによって調製)に無関係な遺伝子を制御する ワクシニアH6プロモーターを含むカセットを含んでいる。K3L遺伝子を有するpBS 763/764から得た340bpの断片を直接的にH6プロモーターの隣に結合することによ ってpMPTKH6K3Lを作出した。エントモポックス(Entomopox)の42kのプロモー ターの制御下における優先的選択マーカーであるEco gpt遺伝子(プラット(Pra tt),D.およびスブラマーニ(Subramani),S.、1983年)を含むpMP42GP TをSmaIおよびBamHIを用いて切断し、0.7kbpの42kEco gpt発現カセットを得た。 この0.7kbpの断片を精製し、SmaIおよびBamHIで切断したpMPTKH6K3Lに連結して プラスミドpMPTKH6K3Lgptを作出した。このプラスミドをXhoIで切断してH6/K3L および42k/Ecogpt発現カセットを含む1.2kbpの断片を得、次にこれをゲル精製し た。1.2kbpのXhoI断片をALVAC C6挿入プラスミドであるpC6LのXhoI部位に挿入し (米国特許第5,494,807号に記載)、pMPC6H6K3Lgptを作出した。 E3L/K3L ALVAC 発現カセット コペンハーゲンワクシニア由来のHindIII E断片のクローンを含むpSD401VCか ら単離した2.3kbpのEcoRI断片内にE3Lの全遺伝子が含まれている。EcoRIで部分 切断したpMPC6H6K3Lgptに2.3kbpのEcoRI断片を挿入してプラスミドpMPC6H6K3E3g ptを作出した。このプラスミドpMPC6H6K3E3gptをXhoIで切断し、得られた6.8kbp のベクター断片を精製、自己連結し、プラスミドpMPC6E3を得た。プラスミドpMP TKH6K3LをPspAIで切断し、H6/K3L発現カセットを含む560bpの得られた断片をPsp AIで切断したpMPC6E3に連結してプラスミド構築体pMPC6H6K3E3を得た。 H6 をプロモーターとするFHV gBドナープラスミドの構築 ネコヘルペスウイルスIの糖タンパク質gB(FHV-1 gB)の全コード領域は、P stIを用いてpJCA079を切断することによって得られ、アガロースゲルによって3 kbpの断片を単離した(FHV gBをコードしている領域では、T5NT配列の5’およ び3’が突然変異を起こしてアミノ酸配列に影響を与えない初期転写停止シグナ ルに変化している;I3LワクシニアプロモーターはgB ORFの5’末端に結合して いる;図4、SEQ ID NO: 参照)。精製PstI断片をやはりPstIで切断したALVACC 3挿入プラスミド(pVQH6CP3LSA)内にクローニングした。pVQH6CP3LSA内の特徴 的なBamHI部位はBamHIで切断することによって予め不活化し、クレノー(Klenow )ポリメラーゼを用いて末端を平滑化して再連結した;NotIおよびNsiIを用いて pNV6CP3L(米国特許第5,494,807号に記載)を切断することによってpVQH6CP3LSA を得、そこから6623bpの断片を単離し、アニールしたオリゴヌクレオチドCP34( 5’GGCCGCGTCGACATGCA3’)およびCP35(5’TGTCGA CGC3’)(SEQ ID NOS: )に連結した。得られたプラスミドpRAC5について 、H6プロモーターに関してgBをコードしている領域が正しい方向性であるか否 かをスクリーニングした。H6プロモーターをFHV gB開始コドンに正しく連結さ せるために、オリゴヌクレオチドRG789(SEQ ID NO: )(5’−TTTCAT TATCGCGATATC−CGTTAAGTTTGTATCGTAATGTC CACTCGTGGCGATC−3’)およびRG787(SEQ ID NO: )(5’− GGAGGGTTTCAGAGGCAG−3’)を用いてpJCA079から800bpのPC R断片を増幅させた。この精製した断片をNruI/BamHIを用いて切断し、同様にNru I/BamHIを用いて切断したpRAC5に連結した。得られたプラスミドをFHV gBドナ ープラスミドpC3H6FHVBとした。 「ビーズで構成された糸」カセット nefおよびpol CTLエピトープに対する「ビーズで構成された糸」カセット(H 6/Pol 3/Nef C末端/Pol 2/Nef 中央/Pol1)は、以下に詳細に記載してい るように、polエピトープに対してはpHXBD2を鋳型として用い、Nefエピトープに 対しては2-60-HIV.3を鋳型として用い、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって 作出した。初期の組立ては2つの部分に分けて行った。pBSSK内の(1)H6(部 分的プロモーター)/Pol 3/Nef C末端(Nef2);(2)Pol 2/Nef中央(Nef1) /Pol 1。これらを組み合わせ、次にH6全プロモーターを組立てるためにpBSH6-11 に移し、続いてH6/HIVカセットをC5挿入プラスミドに移した。 (1)H6 /Pol 3/Nef C末端(Nef2) PCR由来の230bpの断片(A)から、合成オリゴヌクレオチドMPSYN783およびMP SYN784ならびに鋳型pHXBD2を用いてH6連鎖およびPolを得た。pHXBD2はNIH/NCI( ナンシー・ミラー(Nancy Miller)博士)に由来し、これは、HTLV-1に感染した H9細胞をラムダ−J1細胞にクローニングしたものに由来するDNAをXbaIで切断す ることによって得られた組換えファージライブラリーから得たものである(シャ ウ(Shaw)ら、1994年)。このプラスミドは、HIV IIIB単離株のプロウイルス性 DNAの全てを含んでいる。 PCR由来の110bpの断片(A)から、合成オリゴヌクレオチドMPSYN785/MPSYN7 86ならびに鋳型p2-60-HIV.3を用いてNefを得た(米国特許出願08/417,210号に記 載)。 外部プライマーMPSYN783/MPSYN786(SEQ ID NOS: )を用い、PCRにおいて鋳 型としてPCR断片AおよびBを組み合わせてH6連結/Po13/Nef2を含む300bpの断片 を得た。XhoI/HindIIIを用いてこの300bpの断片を切断して290bpの断片を単離し 、同様に切断したpBSSKと連結することによってpBS783/786を作出した。配列確 認を行った。 (2)Pol 2/Nef 中央(Nef 1)/Pol 1 合成オリゴヌクレオチドMPSYN787/MPSYN788(SEQ ID NOS: )ならびに鋳型p HXBD2を用い、PCRによってPo12を含む210bpの断片(C)を得た。 合成オリゴヌクレオチドMPSYN789/MPSYN790(SEQ ID NOS: )ならびに鋳型p 2-60-HIV.3を用い、PCRによってNef1を含む270bpの断片(D)を得た((米国特 許出願08/417,210号に記載)。 合成オリゴヌクレオチドMPSYN791/MPSYN792(SEQ ID NOS: )ならびに鋳型p HXBD2を用い、PCRによってPol1を含む170bpの断片(C)を得た。 外部プライマーMPSYN787/MPSYN790(SEQ ID NOS: )を用い、Pol2/Nef1に対 するPCRにおいて鋳型として断片CおよびDを組み合わせて460bpのPCR産物(C +D)を得た。 外部プライマーMPSYN789/MPSYN792(SEQ ID NOS: )を用い、Nef1/Pol1に対 するPCRにおいて鋳型として断片DおよびEを組み合わせ、420bpの断片(D+E )を単離した。 外部プライマーMPSYN787/MPSYN792(SEQ ID NOS: )を用い、PCRにおいて鋳 型として断片(C+D)および(D+E)を組み合わせ、Pol 2/Nef1/Pol1を含 む6100bpの断片を得た。この610bpの断片をHindIII/PstIで切断した。得られた5 90bpの断片をHindIII/PstIで切断したpBSSKに連結し、pBS787/792を作出した。 配列確認を行った。 全カセットの組立 pBS787/792から590bpのHindIII/PstI断片を単離し、HindIII/PstIで切断したp BS783/786ベクターと連結し、pBS783/792を作出した。pBS783/792をEcoRVおよび PstIで切断して880bpの断片を作出し、次にこれを同様に切断したベクターpBSH6 -1と連結してpBSH6PNを作出した。プラスミドpBSH6PNをBamHIで切断して1060bp の断片を単離した。一般的なC5ドナープラスミドであるpVQC5LPS1をBamHIで切断 し、pBSH6PN由来の1060bpの断片と連結した。得られたプラスミドpMPC5H6PNは、 ALVAC C5遺伝子座にHIV pol/nefの「ビーズで構成された糸」カセットを有する 。 実施例2−発現実験 融合性の単層細胞の入ったペトリ皿を感染の多重度(moi)2で感染させた。 一定時間インキュベートした後、ラベルした培地内で細胞を1時間インキュベー トした。インキュベーション終了後、細胞を回収してハーロウ(Harlow),E.お よびレーン(Lane),D.(1988年);ランゴーン(Langone),J.(1982年) の記載に従って免疫沈降分析を行った。 細胞をmoiが2pfu/細胞となるように感染させ、一定時間インキュベートした 。適切な時間に後感染を行い、細胞溶解物を調製してRNA分析を行った。培地を 吸引除去して細胞を回収した。TRI試薬(TRI-Reagent)(モレキュラー・リサー チ・センター(Molecular Research Center)社、オハイオ州シンシナテイ、452 12)を用い、メーカーの指示に従ってRNAを単離、調製し、スロットブロット( ドッドブロット)によって分析した。放射活性ラベルしたDNAを用いて特定のRNA 種を検出した。 ALVAC-HIV 組換え体 免疫沈降法(IP)を用い、MRC-5が感染したALVAC組換え体の中に存在するHIV- 1の一時的な発現についての半定量的比較を行った。方法に記載されているよう に、HIV患者由来の熱不活化血清を入手し、IPに使用した。抗血清は、120kDaのe nvタンパク質およびgagタンパク質前駆体由来の様々な解裂産物を沈降する。IP データの分析から、E3L/K3Lカセットを有しないALVAC組換え体vCP205と比較する と、後感染の全期間にわたり、E3L/K3Lカセットを有するvCP1431AなどのALVAC組 換え体は、発現のレベルが著しく上昇していたことが明らかである。 RNAスロットブロットを用い、ALVAC組換え体であるvCP205およびvCP1431Aを感 染させたMRC-5細胞内における一時的な転写性発現を評価した。この分析におい ては、envおよびgagタンパク質をコードしているHIVカセットから転写されたmRN Aのレベルについて比較を行った。envおよびgag遺伝子のmRNAのレベルに関して 、E3L/K3Lカセットを有するALVAC組換え体(vCP1431A)は、ALVAC組換え体vCP20 5よりも顕著な上昇を示したわけではなかった。 ワクシニアのE3L/K3L機能を有するALVAC組換え体内においては、既述したよう に、ワクシニアに感染した細胞内ではE3L/K3LがPKRを少なくするように制御する ことにより翻訳を調節する役割を果たしていると考えられる。データから、E3L/ K3L遺伝子を有するALVAC組換え体が感染した細胞内では翻訳が顕著に増強されて いるが、転写レベルの顕著な上昇は観察されていないことが示されている。この ことは、ポックスウイルスに感染した細胞内での翻訳効率にE3L/K3Lが与える影 響を例示するものである。 ALVAC親ウイルス、ALVAC-MN120TMG(vCP205)、ALVAC-MN120TMGNPst(vCP1433 )vCP1452およびvCP300(テイラー(Taylor)ら、(1990年)の記載を参照)、 ならびにHIV血清陽性患者由来のヒト血清(抗HIV)を用いて感染したCEF細胞由 来の放射活性ラベルした溶解物を用いて免疫沈降分析も行った。分析から、組換 え体内においては、分子量120kDaのエンベロープ配列および分子量55kDaのGag前 駆体タンパク質の発現が確認されたが、親ウイルス内においては確認されなかっ た。しかしながら、vCP1452と比較すると、vCP300は発現が弱まっていた。vCP14 52は、本発明に従う転写および/または翻訳因子の発現によって驚くほどの発現 の増強を示したのである。 ヒト抗HIV抗体を用いたFACスキャン分析においては、ALVAC-MN120TMGNPst(vC P1433)が感染したヒーラ(HeLa)細胞の表面にgp120が発現していることが明ら かになった。ALVAC親ウイルスを感染させた細胞においては全く蛍光が検出され なかった。 vCP1433またはvCP1452を感染させたMRC-5細胞の放射活性ラベルした溶解物に 関して行った免疫沈降分析(HIV感染患者由来のポリクローナル血清プールを使 用)によって、挿入されたHIV遺伝子の適切な発現がさらに確認された。この分 析により、vCP1452内における分子量120kDaのエンベロープ配列および分子量55k DaのGag前駆体タンパク質の発現が確認された。 vCP1433およびvCP300と比較して、vCP1452はヒト細胞において発現を増強した 。実際、ヒトおよびイヌの細胞内において、E3L/K3L翻訳因子による発現の増強 が観察された。 マウスを用いた予備的な免疫原性実験においては、E3L/K3L翻訳因子による免 疫原性の増強は認められなかった。このことは、マウス細胞内において発現の増 強が観察されなかったことと一致している。従って、本発明のイン・ビトロ(in vitro)またはイン・ビボ(in vivo)における応用においては、細胞の起源が ベクターの性質(例えば、ベクターの表現系(例えば、不全性、および初期不全 、後期不全のような不全性など)など)と同様に重要な因子であるが、細胞およ びベクターの表現系、ならびに因子および外来性および/もしくは外因性DNAの 発 現時間について適切な選択を行うことは、本開示および当該分野の知識から当業 者の範ちゅうであり、不要な実験を要しない。 ALVAC-FHV gB 組換え体 ヒツジ抗FHV gBポリクローナル血清を用い、免疫沈降分析によってvCP1459お よびvCP1460の発現の分析を行った。ヒトMRC-5細胞に時間0の時にmoi=5で接 種を行い、次に、3、6、24、48および72時間目に35Sラベルしたメチオニンを 1時間照射した。沈降したタンパク質をSDS-PAGEゲル上で分離した。これらのIP の放射能写真を濃度計を用いてスキャンした。この方法により、特定の時間点に おけるFHV gB発現に関する半定量的分析が得られた。 全ての組換え体が、グルコシル化されたFHV gBポリペプチドの正しい大きさ の全長(見かけの分子量は約115kDa)を発現することが示された。しかしながら 、vCP1459と比較すると、組換え体vCP1460はgBタンパク質の量の著しい増加(約 5倍)を示した。さらに、これらの発現レベルは72時間後においても持続してい た。従って、ALVAC内におけるワクシニアのE3L/K3Lの発現は、FHV gBの発現の レベルおよび持続性に顕著な効果を有していると考えられる。実施例3−追加のベクター 本明細書に引用されている文献および以上の実施例を含む明細書の教示に従い 、プラスミド、裸DNAおよび追加のウイルス性ベクター(これには、ポックスウ イルス(例えば、NYVAC、TROVAC、ALVAC、MVA、ts(温度感受性)突然変異体、 または初期(DNA)および後期検出変異体など)、アデノウイルス(例えば、CAV 2のようなCAVなど)、ヘルペスウイルス(例えば、エプステイン−バー(Epstei n-Barr)ウイルスなど)をE3L、K3L、VAT、EBER、シグマ3、TRBPまたはこれら の組み合わせを用いるなどして発現が増強された形で作出し、ベクターを変形し て少なくとも1個の翻訳因子を含むようにした。このようにして、外因性のコー ドしている核酸分子(そのような外因性のコードしている核酸分子としては、本 明細書中に記載している文献もしくはその他当該分野において既知のもの、また はこれらの教示を本明細書の教示と組み合わせて適用したものに由来するものが 挙げられる)の発現を増強させる。 本発明の好ましい実施態様の詳細について記載してきたが、本発明は請求の範 囲によって規定されるものであり、上述の特定の記載によって制限されるもので はなく、それらの種々の変形もまた本発明の範中に含まれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 タータグリア,ジェイムズ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 12303 スケネクタディー クリスティナ ドラ イヴ 7 (72)発明者 ジャコブス,バートラム エル アメリカ合衆国 アリゾナ州 85003 フ ェニクス ウェスト リンウッド ストリ ート 522 (72)発明者 ゴーベル,スコット ジェイ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 12020 ボールストン スパー グレイド マロ ー ロード 19 (72)発明者 コックス,ウィリアム アイ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 12153 サンド レイク メイプル トレイル 1379 (72)発明者 ゲティッグ,ラッセル ロバート アメリカ合衆国 ニューヨーク州 12018 アヴェリル パーク ボックス 421シ ー アールディー 2 (72)発明者 ピンカス,スティーヴン イー アメリカ合衆国 ニューヨーク州 12061 イースト グリーンブッシュ トロイ ロード 78 (72)発明者 パオレッティ,エンゾ アメリカ合衆国 ニューヨーク州 12054 デルマー マーレイ アヴェニュー 297

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.細胞内で少なくとも1個の第一の核酸分子の発現を増強するベクターであっ て、第一の核酸分子および翻訳因子をコードしている第二の核酸分子を少なく とも1個含むように改変されており、第一および第二の核酸分子の実質的な共 発現が起こり、これにより、第二の核酸分子の発現が翻訳を増強することによ って第一の核酸分子の発現を増強することを特徴とするベクター。 2.第一のプロモーターが機能発揮できるように第一の核酸分子に結合し、第二 のプロモーターが機能発揮できるように第二の核酸分子に結合し、さらに、第 一および第二のプロモーターが実質的に同時に機能することを特徴とする請求 の範囲第1項記載のベクター。 3.第一および第二の核酸分子がベクター内の異なる遺伝子座に存在することを 特徴とする請求の範囲第2項記載のベクター。 4.第一および第二の核酸分子がベクター内の同じ遺伝子座に存在することを特 徴とする請求の範囲第2項記載のベクター。 5.第一および第二の核酸分子が機能発揮できるようにプロモーターに結合して いることを特徴とする請求の範囲第1項記載のベクター。 6.翻訳因子がeIF-2αのリン酸化を阻害し、もしくはPKRのリン酸化を阻害し、 またはdsRNAを封鎖してdsRNAの有効濃度の上昇を妨げることを特徴とする請求 の範囲第1項記載のベクター。 7.該少なくとも1個の第二の分子が、K3Lオープンリーディングフレーム、E3L オープンリーディングフレーム、VAI RNA、EBER RNA、シグマ3オープンリー ディングフレーム、TRBPオープンリーディングフレームおよびそれらの組み合 わせを含む群より選択されることを特徴とする請求の範囲第6項記載のベクタ ー。 8.該第一の核酸分子が、目的のエピトープ、生物学的応答の調節物質、成長因 子、認識配列、治療遺伝子および融合タンパク質をコードしている核酸分子を 含む群から選択されることを特徴とする請求の範囲第1項記載のベクター。 9.ベクターが組み換えウイルスであることをを特徴とする請求の範囲第1項記 載のベクター。 10.ベクターが組み換えポックスウイルスであることを特徴とする請求の範囲第 9項記載のベクター。 11.請求の範囲第1項記載のベクターを調製する方法であって、ベクターを変形 して少なくとも1個の核酸分子を含むようにし、さらに任意にベクターを改変 して第一の核酸分子を含むようにし、第一および第二の核酸分子が実質的に共 発現をすること特徴とする方法。 12.第一の核酸分子が第一のプロモーターに、第二の核酸分子が第二のプロモー ターにそれぞれ機能発揮できるように結合しており、ここで、該第一および第 二のプロモーターが実質的に同時に機能することを特徴とする請求の範囲第11 項記載の方法。 13.第一および第二の核酸分子が機能発揮できるように1個のプロモーターに結 合していることを特徴とする請求の範囲第11項記載の方法。 14.請求の範囲第1項記載のベクターならびに薬剤学的に許容できる基剤もしく は希釈剤を含むことを特徴とする免疫学的組成物、ワクチン組成物または治療 組成物。 15.請求の範囲第14項記載の組成物を宿主に投与することを特徴とする宿主に免 疫学的応答または治療的応答を誘起する方法。 16.ベクターを改変して、翻訳因子をコードしている少なくとも1個の第二の核 酸分子を含むようにした細胞内において、第一の核酸分子を有するベクターに よって少なくとも1個の第一の核酸分子の発現を増強する方法であって、該第 一および第二の核酸分子は実質的に共発現し、それにより、第二の核酸分子の 発現が翻訳の増強によって第一の核酸分子の発現を増強することを特徴とする 方法。 17.請求の範囲第1項に記載しているようなベクターを用いて適切な細胞を感染 またはトランスフェクトすることを含む、イン・ビトロ(in vitro)において 遺伝子産物を発現させることを特徴とする方法。 18.請求の範囲第1項記載のベクターを宿主に投与することを含む、イン・ビボ (in vivo)において第一の核酸分子を発現させることを特徴とする方法。
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