JP2001514153A - 粉末からの構成要素の製造方法 - Google Patents

粉末からの構成要素の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、粉末からの構成要素の製造方法に関し、この方法は、適切には、ホットフローコンパクティング(hot flow compacting)と呼ぶことができる。その場合に、非常に複雑に形成されている構成要素も、粉末状の原材料からプレスによって製造される、その場合に、製造費用が、少くなくて済み、且つクロス・フローイング亀裂が防止されなければならない。この課題解決のため、粉末に熱可塑性結合剤または結合剤混合物がある量加えられる、その量は、未加工(未焼結)物の死荷重(自重)が、焼結の際の加熱中に、未加工物の流動限界を超えない程度である。粉末混合物は、製造すべき構成要素の型を含んでいる加熱したツール内に入れられ、そして温度は、結合剤の軟化温度以上に調整される。それから、粉末混合物は、少くとも一方側からピストンによってプレスされ、そしてその場合に、プレス方向を横切る領域に粘性の流れを生じさせる。そのようにして得られた未焼結物は、次に焼結される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、粉末状原材料からの構成要素の製造方法に関し、この方法は、適切
には、ホット・フロー・コンパクティング(hot flow compact
ing)と呼ぶことができる。その場合に種々の粉末が、ツール(工具)内に入
れられ、そしてプレスされるので、プレス圧力によって構成要素の形状が形成さ
れる。通常、そのようにして製造された未焼結物は、更に、次の工程において焼
結されるので、粉末間の結合が増大し、それによって密度および強度が高められ
る。
【0002】 アンダーカットを有している構成要素が製造されなければならない、あるいは
、構成要素の形状が、プレス方向に行なわれ、そして例えば、ツール内に孔の形
成のためのコアが収容されている公知の方法では、構成要素は容易に製造できる
が、これ等の場合には、材料の流れは、プレス方向を横切って達成される必要が
ある。そのような成型が望まれるときは、通常、剪断亀裂を生じ、それが、構成
要素の使用ができなくなる程、製造された構成要素の強度および安定性を制限す
る。
【0003】 公知の方法では、僅かな特殊な場合にのみ、このような方法で、アンダーカッ
トを粉末状の原材料で製造することが可能である。従って、剛性の真直ぐな壁の
マトリクス状のツールが使用される、それは、簡単な形状を有しており、それに
よって、成形の際の破損を避けるため、簡単に成形することができる。
【0004】 原材料として粉末を用いて、アンダーカットまたはクロス孔を有している複雑
な構造形式を有している構成要素の製造のため、種々の方法が公知であるが、そ
れ等は、一般的に高い製造費が必要である。
【0005】 従って、例えば、構成要素を、前述のように、使用した粉末のプレスによって
、簡単に形成された形状を作り、そして次の工程で、切削加工によって、所望の
輪郭または孔を形成することが知られている。他の方法は、同じように簡単に形
成された構成要素が、プレスのための次の工程で、複数のそのような構成要素の
接合(はんだ付け、溶接、接着)によって、所望の複雑な形状にすることにある
【0006】 更に、それぞれのアンダーカットが、構成要素内の僅かなオフセット(Ver
satz)を特徴としており、水平に分離するマトリクスの使用によって、構成
要素を型抜き可能にしていることが知られている。それぞれの製造すべきアンダ
ーカットが、構成要素に小さい溝を有している、あるいは、構成要素に突起を有
しているときは、補助ピストン(Hilfstempel)によって型抜きでき
る。その場合に、粉末運動は、プレスの際にプレス方向を横切って、アンダーカ
ットの縁に亀裂を作るので、アンダーカットは、構成要素に比べて小さくなけれ
ばならない、このために、名称「クロス・フローイング亀裂」または亀裂現象に
、対応する英語「デッド・ウォーター・クラック」が常用語として使われている
【0007】 そのような構成要素のアンダーカットおよびクロス孔の第3の製造方法では、
公知の金属粉射出成型を使用することにある。その場合には、原材料粉末に、ワ
ックスおよび重合体がある量加えられているので、プラスチック成型から公知の
方法で加工することができる。しかし、この金属粉末射出成型法(MIM法)は
、例えば、高い結合剤含量の必要な追い出しのような追加の方法ステップが必要
である、さもなくば、構成要素は、焼結温度への加熱の際に、再び溶融するか、
あるいは、焼結の際に構成要素の高い振動(ゆがみの危険)が生ずる、従って製
造すべき構成要素の許容公差では、比較的大きい許容公差を守ることができる。
【0008】 この考えに基き、本発明の課題は、複雑な形状の構成要素を粉状の原材料から
、プレスによって、少ない費用で、クロス・フローイング亀裂を避けながら製造
できる方法を作り出すことである。
【0009】 本発明によれば、この課題は、特許請求項1の特徴によって解決される。本発
明の有利な実施例および改良が、従属請求項に含まれている特徴の使用によって
得られる。
【0010】 本発明では、今まで、従来の軸線方向のプレス方法で可能であるよりも、少な
い方法費用で、製造すべき構成要素の実質的に高い複雑な形状を達成することが
可能である。更に他の利点は、公知の粉末射出成型方法の場合よりも、プレスに
よって製造された構成要素の収縮が少ないことにある。
【0011】 本発明による方法では、原材料粉末に加えられる、一時的結合剤の熱可塑性特
性が利用される。その場合に、結合剤の加熱およびそのときの軟化または液化に
よって、クロス・フローイング亀裂を避けながら、ツール内に形成された、構成
要素の型内への材料の移送が、プレス方向の横方向に行なわれるように改善でき
る。
【0012】 その場合に、粉末状原材料から、既にプレスによって、比較的密度の高い構成
要素が得られる、そして理論的密度のほぼ100%である構成要素の密度は、粉
末および結合剤に関して、少くとも理論的密度(粉末に関して)以上に達するこ
とができる。しかしながら、密度は、全成型プロセス中に上昇する。
【0013】 その場合に、本発明によって、プレス補助剤(結合剤)の少量の添加によって
、原材料粉末の特性が、粘性を有するように、変えられるように、粉末容器内の
高密度が調整されるように措置がとられている。その場合に、本発明によれば、
結合剤の割合は、加えたプレス圧力が、結合剤の加熱および少くとも軟化の際に
、原材料粉末と結合剤混合物を流動化できるように選択される、しかしながら、
結合剤の割合によって、未加工(未焼結)物の部分の自重が、焼結温度への加熱
の際に流動限界を超えるのが回避される。
【0014】 その場合に、都合のよいことに、ある割合の微細粉末を加えることができる原
材料として市販の粉末が使用できる。その場合に、微細粉末の割合は、通常の粉
末が有していると同じ密度を有することができる。しかし、また微細部分には、
達成可能な構成要素特性に確実に影響を与えることができる特定の合金部分を含
むことができる。
【0015】 粉末はそれから使用した結合剤と混合できる。その場合に、結合剤は、重合体
とワックスの混合物として、重合体が軟化し、ワックスが流動化する温度で、粉
末に混合できる。それによって、微細な粉末粒子は、結合剤により、粗い粉末粒
子に結合され、そして粉末の粗い粒子は、微細な粉末粒子を有している結合剤層
によって囲むことができる。しかし、そのようにして前処理された粉末は、扱い
易く、さらさらと流れ、そして結合粉末として存在している。
【0016】 この結合粉末は、結合剤が再び軟化する温度に予熱され、それから製造すべき
構成要素の型が含まれている加熱可能な2分されたツール内に入れることができ
る。このため結合粉末の予熱は、外部から、あるいはまた加熱したツール内で行
なうことができる。
【0017】 結合剤が少くとも軟化する適切な高温度に達したとき、粉末は、少くとも1つ
のプレスピストン(Preβstempel)によって、ツール内に圧縮され、
そして粉末に圧力が加えられる。それによって、粉末は、粉末冶金法の際に既に
従来技術から公知であるようにコンパクトにされる、そして、粉末が、ピストン
圧力によって、結合剤が、全般的な相を形成するまで、コンパクトにされると、
粘性の流動が起る。この粘性の流れは更に、ピストン(stempel)のプレ
ス方向を横切って形成されているツール内の中空スペースが粉末・結合剤混合物
で充填されるのを保証する。従って、ツール内に収容されたコアの陰にある領域
も、十分な密度に充填できる。
【0018】 そのようにして用意された未加工(未焼結)体は、2つ割りのツールの開放に
よって型から外され(離型され)そして、結合剤割合(部分)が少いので、公知
の方法で焼結される、原材料粉末の流動性は改善されるが、焼結の際に、そのよ
うにして予め作られた構成要素を流動化するため、部品の自重が十分であり、且
つ構成要素が、結合剤を考慮に入れずに比較的速く、焼結温度に加熱されるのを
阻げる。
【0019】 原材料粉末に加えた微細粉末割合によって、焼結活性、従って、焼結した出来
上った構成要素の最終密度を向上する。
【0020】 公知の方法とは対照的に、密度増加がプレスによる圧縮の際および焼結の際の
振動によって成型体に分配される。これとは対照的に、従来のプレス方法では、
原材料粉末は、最初に、ばらに詰められており、そして圧縮は主に、プレスの際
の成型ステップで行なわれる。金属粉末射出成型法では、密度増加は最初に焼結
の際に行なわれ、そして成型は、殆んど圧縮せずに行なわれる。
【0021】 本発明による方法によって、種々の構成要素をプレスによって、複雑な形状、
詳細には、アンダーカット、貫通孔またはめくら孔のようなプレス方向を横切る
孔を有している複雑な形状に作ることができる。その場合に、孔またはめくら孔
は、追加の可動ピストンなしで、構成要素内に作ることができる、そしてそのた
めに簡単なコアを使用できる。更にまた、未加工(未焼結)物からブランク(p
reβling)をねじを外して取出すことができる、ねじを取付けたコアを使
用できる。そのようなねじを備えた孔は、プレス方向に、且つまたプレス方向を
横切る方向に設けることができる、そして流動性により、ねじピッチは、原材料
で満たされる。また、ネット・シェープ(Net−shape)ねじを作ること
ができる、その場合にはしかし、いかなる場合にも、それぞれのコアの設計によ
って、焼結の際の収縮を考慮に入れなければならない。
【0022】 追加の可動の、または補助ピストンを必要とせずに、またプレスにのみ必要な
ピストンを用いて、種々の比較的複雑な形状の構成要素が、適切に形成された型
を用いて作ることができる。その場合にピストンを用いて同方向に、または、互
に反対方向にプレスすることができる。
【0023】 粉末粒子の高い流動性および良好な可動性により(粉末粒子が粘性相で流動す
るので)、従来の方法(例えばマトリクスプレス)よりも、出来上がった構成要
素の密度の良好な均一性が達成できる。
【0024】 その場合に、既述のように、原材料粉末に、パッキング密度を高めるため、あ
る割合の微細粉末を加えることができる、そしてその場合、微細粉末の割合は、
5〜40容積%に保たれる。微細粉末割合には、原材料粉末のd50値よりも小
さい、少くともすべての粉末を含む。
【0025】 粒子の大きさが比較的大きい大きさ領域に分布されている原材料粉末も同様の
結果を生むので、小さい非常に微細な粒子の外に、中程度の粒子も大きな粒子に
含まれている。
【0026】 原材料粉末として、本発明により、種々の材料を加工できる。構成要素を種々
のセラミック・プラスチック材料およびガラスから作ることができる。
【0027】 この方法は、金属粉末の加工に特に適している。
【0028】 その場合に、そのような金属粉末、例えば、150μm以下の粒度を有してい
る鉄ベースの合金に対しては、有利には25μm以下、とくに有利には10μm
以下の粒度を有している微細な粉末を加えることができる。微細粒子割合は、好
ましくは、5と20容積%の間にあるべきであり、その場合に残りは100%ま
で粗い粉末で補足される。
【0029】 原材料としてのセラミック粉末に対する可能な粒度サイズも、大体において同
じ程度である、その場合に、セラミックでは、粗い粒度割合は、多少大きくとる
ことができる。
【0030】 原材料粉末または、微細粒子(割合)を加えた原材料粉末に、0.5〜4質量
%の割合の結合剤が加えられる、その場合にこの割合は、金属粉末の場合に使用
されるべきである。低初期密度を有する粉末に対しては、結合剤の割合は、この
範囲に対して、適切に増加できる。
【0031】 熱可塑性結合剤は、結合剤に特有の温度に達したとき軟化し、そして加熱の際
にそれによって生じた熱膨脹によって、室温のときよりも、大きな容積割合(率
)をとる、その場合にこれは、高い加工温度のときの成形に好都合である。その
場合に、加えたプレス圧力が、粉末・結合剤混合物を流動化する程度の結合剤を
使用すべきである。その場合に結合剤の割合の上部限界は、焼結中の加熱の際に
、未加工(未焼結)物の弾性限界を超えないように、そして未加工物が粒子の自
重によって焼結中に破壊されないように制限される。
【0032】 結合剤組成の例 a)約4質量%のパラフィンを含む、ポリオキシメチレン(POM) b)約4質量%のパラフィンを含む、ポリメチルメタクリラート(PMMA) c)2%のパラフィンと2%のステアリン酸を含むポリプロピレン(PP) この前提条件によって、結合剤割合を小さく保つので、金属粉末射出成型の場
合のような、追加の除去プロセスを必要としないことが保証される。
【0033】 ツール内での本来の成型は、結合材が軟化する、あるいは液状になる室温以上
の温度で行なわれる。その場合に、結合剤が、適切な温度に達し、そして原材料
粉末が、これに関する特性変化をしない程度の加熱が必要である。結合剤の軟化
および溶融温度は実質的に低いので、特に金属、セラミックまたはガラスより成
る原材料粉末の場合には、必要な温度範囲が、はるかに低いことが明白である。 本発明による方法によって、プレス後および焼結前の未加工物内に、確実に、
金属粉末・射出成型の際に達成可能である以上の大きな密度を達成できる。
【0034】 本発明による方法は、種々の複雑に形成された形状の構成要素の製造に使用で
きる。その例は、中央にフランジまたはカラーを有している構成要素、多重スプ
ロケットホイール、クロス孔を有している部品、オフセット孔を有している部品
、ねじ孔等である。その場合に、本発明の前には不可能であったような、輪郭、
特にアンダーカットを、粉末状の原材料からプレスによって製造できる。また同
様に、初めて、ねじを有している構成要素を粉末冶金的に、そのような方法で製
造できる。
【0035】 この方法は、既述の原材料の他に、他の粉末も使用できる。その場合には、広
い粒度分布を有し、且つ多数の粒子サイズを有している粉末を使用できる。
【0036】 以下に本発明を、実施例により詳述する。図1は、本発明による方法に使用さ
れるツールの1例を示し、図2は、それによって製造された構成要素の概略図を
示し、図3は図2に示された構成要素の中央部分の顕微鏡写真を示し、図4は図
2に示された構成要素の縁部分の顕微鏡写真を示し、図5は本発明によって製造
された構成要素の更に他の例を示し、図6は中央構成要素領域の構成要素の顕微
鏡写真を示し、図7は図5に示された構成要素における、負荷除去亀裂(Ent
lastungsriβ)を有する顕微鏡写真を示し、図8は縁領域における図
5による構成要素の顕微鏡写真を示し、図9は構成要素におけるフローコンパク
ト材料の得られた密度分布を示し、図10はそのような構成要素の写真を示し、
図11は種々の幅のアンダーカットを有する構成要素を示し、図12は図11に
示された構成要素の中央領域の顕微鏡写真を示し、図13は図11に示された構
成要素の縁領域の顕微鏡写真を示し、図14は本発明により製造されたクロス孔
を有する構成要素の写真を示し、図15は本発明により製造された構成要素に形
成されたねじの複数の顕微鏡写真を示している。
【0037】 記号または平面Aで2分されている図1に示されたツール1により、構成要素
は、粉末状の原材料から、本発明による方法によって製造できる。その場合に、
既に、明細書の一般的部分に述べたように、用意された粉末・結合剤混合物が加
熱可能なツール1内に入れられ、そしてこの例では、2つの反対方向に作動する
プレスピストン2によって、加熱した混合物がプレスされる。ツール1内に更に
他のピストン3が形成されている、このピストン3はしかしこの場合には動かな
い、従って、製造すべき形状4は、アンダーカットを有しており、これが、適切
な結合剤割合を含んでいる粉末状の原材料で、流れによるコンパクト化の際に、
同様に満たされる。
【0038】 これは、プレスピストン3の2重矢印で示されているように、これ等のプレス
ピストンはその位置を変えられるので、形状4の大きさは、この領域で変更でき
る。これ等のプレスピストンは、しかし、構成要素の本来の製造プロセスでは、
単に側部の当接部を形成し、そして実際には、圧縮プロセスに加わっていない。 ツール1の両半部は、比較的互に剛性に接続されていて、且つ、双方のツール
半部のスプリングバック弾性(Ruckfedern)の際の亀裂形成を避ける
ため、接続部分が、僅かに弾性的に柔軟性があるときでも、注意すべきである。 図1に示されたツール1によって、また図2に示された構成要素が製造される
、その場合に、この構成要素は、種々の寸法のアンダーカットを、特に右と左の
構成要素縁部に有しており、これ等のアンダーカットは、プレスピストン2のプ
レス方向を横切る方向にある。
【0039】 構成要素は、ホガナース社の商品名「デンスミックス」を有している金属粉末
から製造される、これはそれ自体、クロス フロー特性を有していない。この通
常の熱プレス粉末を従来の方法で使用すると、縁領域の圧縮は達成されない、そ
して曲り部分の縁に典型的な剪断亀裂を生ずる。実際にこの剪断亀裂が問題であ
って、ツールの負荷軽減によって生ずる亀裂のことではない。
【0040】 図3および4に、図2によるT形状構成要素の2つの顕微鏡写真が、50:1
の倍率で、図3では、構成要素の中央領域と、図4では、図2に示された局部的
位置に対応する縁領域が示されている。
【0041】 従来の熱プレス粉末は、クロス・フローイング特性を有していないので、縁領
域における構成要素の密度が、プレスピストンのライン内にある構成要素の中央
部よりかなり低いことが判る。
【0042】 図5には、中央シリンダーの縁から3mm、6mmおよび9mmのアンダーカ
ットを有している更に他のシリンダー状の構成要素が示されている。製造には、
80容積%の通常の粉末と、微細なカルボニル鉄粉末を含む20容積%の添加し
た微細部分とから成る混合物が使用された。市販の原材料粉末は、商品名「ディ
スタロイAE」の名で、ホガナース社から入手できる。通常の粉末と微細粉末部
分とから成るこの粉末混合物に3質量%の結合剤が加えられ、そして全体が混合
される。その場合に、場合によっては予熱が行なうことができる、従って結合剤
によって微細な粉末が粗い通常の粉末に結合され、そして結合剤によりコーティ
ングが達成される。
【0043】 そのようにして用意され、ツール1内で図1により製造された構成要素は、次
の工程で、約1,250℃の温度で焼結された。図6〜8は、そのようにして製
造された9mmのアンダーカットを有している構成要素の顕微鏡写真を示してい
る、これでは、B、CおよびDで示された構成要素の倍率は50:1である、こ
の場合には、構成要素は、全密度7.39g/cmが達成される。図7では、
更に位置C、つまりアンダーカットの縁に、負荷除去亀裂が判る、これはツール
1の負荷除去によって生じたものであり、それにより本発明の課題により避けな
ければならないような剪断亀裂ではない。
【0044】 図9では、図5に示されたような、構成要素の密度分布が概略的に判る、この
場合には、この構成要素はしかし1、150℃の温度で焼結された。
【0045】 図10に示された構成要素の写真では、中央のシリンダーの縁から3mm、6
mmおよび9mmの距離のアンダーカットを有する構成要素を示している。
【0046】 更に他の実例では、通常の、比較的粗い粉末と、粉末の微細部分との比が変更
された、そして通常の粉末に、10容積%だけの微細粉末が加えられた。図12
および13に示された顕微鏡写真は、図11に明らかにされている位置から得た
ものである。通常の粉末と微細の粉末のこの比によって、同じように良い結果が
達成され、且つ縁に剪断亀裂を生じないことが確認された。亀裂が生じたとして
も、それには負荷除去亀裂であり、それはツールの構造によるものであり、2つ
のツール部分の接続の高すぎる弾性によって生じたものである。
【0047】 更に他の適切な構成要素が、高品質鋼粉末混合物によって製造された、この場
合には、比較的粗い粉末(150μm以下)、80容積%と、微細な粉末(22
μm以下)、20容積%が使用される。
【0048】 図14では、プレス方向を横切った方向にあるクロス孔を有している、本発明
により製造された構成要素の写真が示されている。図示の例は、引抜き可能なコ
アによって製造されているクロス孔を示している。この追加の切削加工なしで得
られるクロス孔は、構成要素のほぼ任意の高さにあり、従って、上部および下部
の非常に様々な変形が作られる。その場合に、製造されたクロス孔の大部分が、
本来のプレス方向を横切っている領域にあることがはっきりと判る。そのような
形状は、今までの通常の方法では達成できなかった、そしてP.ベイス氏により
例えばNNS会議およびハーゲン・シンポジウムの席上で、そのようなクロス孔
は、構成要素の中立ゾーンでは、上部および下部の変形が同じ大きさであるから
、そのような構成要素の中立ゾーンにのみ得られることを指摘している。
【0049】 しかし、クロス孔の他にめくら孔も同じ方法で製造できる、これはしかし、好
ましくは前述の中立ゾーンにあるべきであり、さもないと、このために使用すべ
きコアへの曲げモーメントが大きすぎる。
【0050】 本発明による方法によって、しかしまた、追加の加工ステップを要せずに、構
成要素内にねじを設けることができる。このために、同じように、対応した外ね
じを備えているコアが使用される。プレスプロセス後、アンダーカットのないも
のでなければならない、外ねじを有しているコアは、構成要素からねじをゆるめ
て外される。図15では、ねじを有している構成要素の種々の顕微鏡写真が示さ
れている。その場合には、ねじめくら孔は、図1に示されたように、ツール内の
双方のプレスピストン2の一方によってプレスされた。
【0051】 そのようなねじを備えた構成要素もまた、微細粉末割合、20または10容積
%を有し、100%までのすべての残りが、粗い粉末である粉末混合物によって
製造できる。本発明による作業では、プレスプロセス中の粉末材料の十分な流動
性を保証するため、最大4質量%の結合剤割合で十分である。
【0052】 また既述のめくら孔は、従来技術によって使用されている追加の可動のピスト
ンセグメントなしで製造できる。その場合には、ツール1内の形状4は、後方か
ら充填できる、そして上部ピストン2上にプラグが取付けられ、これがめくら孔
の形状を形成し、そしてプレス中に、粉末状の原材料を後方に流し、そしてピス
トン2のプラグの周りに、均一な材料密度を有しているめくら孔を形成する。そ
の場合に実験では、8mmの長さのプラグで、見事に実施することができた。
【0053】 本発明による方法での構成要素の製造の場合に、特に、ツール1内の形状4の
寸法決定の際、また特にコアの寸法決定の際、次の焼結のときに生ずる収縮量を
考慮に入れなければならない、しかし、それは、従来の方法、つまり、金属粉末
射出成型の場合よりも少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による方法に使用されるツールの1例を示す。
【図2】 それによって製造された構成要素の概略図を示す。
【図3】 図2に示された構成要素の中央部分の顕微鏡写真を示す。
【図4】 図2に示された構成要素の縁部分の顕微鏡写真を示す。
【図5】 本発明によって製造された構成要素の更に他の例を示す。
【図6】 中央構成要素領域の構成要素の顕微鏡写真を示す。
【図7】 図5に示された構成要素における、負荷除去亀裂(Entlastungsr
iβ)を有する顕微鏡写真を示す。
【図8】 縁領域における図5による構成要素の顕微鏡写真を示す。
【図9】 構成要素におけるフローコンパクト材料の得られた密度分布を示す。
【図10】 そのような構成要素の写真を示す。
【図11】 種々の幅のアンダーカットを有する構成要素を示す。
【図12】 図11に示された構成要素の中央領域の顕微鏡写真を示す。
【図13】 図11に示された構成要素の縁領域の顕微鏡写真を示す。
【図14】 本発明により製造されたクロス孔を有する構成要素の写真を示す。
【図15】 本発明により製造された構成要素に形成されたねじの複数の顕微鏡写真を示す
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】 従って、例えば、構成要素を、前述のように、使用した粉末のプレスによって
簡単に形成された形状を作ることが知られている。そのような方法はドイツ国特 許第1533035Bの明細書の冒頭に記述されている。粉末にまた、焼結中に 再び焼失される熱硬化性結合剤を加えることができると詳述されている。更に次 の工程で、切削加工によって所望の輪郭又は孔を形成することができる。 他の方
法は、同じように簡単に形成された構成要素が、プレスのための次の工程で、複
数のそのような構成要素の接合(はんだ付け、溶接、接着)によって、所望の複
雑な形状にすることにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】 そのような構成要素のアンダーカットおよびクロス孔の第3の製造方法では、
公知の金属粉射出成型を使用することにある。その場合には、原材料粉末に、ワ
ックスおよび重合体がある量加えられているので、プラスチック成型から公知の
方法で加工することができる。しかし、この金属粉末射出成型法(MIM法)は
、例えば、高い結合剤含量の必要な追い出しのような追加の方法ステップが必要
である、さもなくば、構成要素は、焼結温度への加熱の際に、再び溶融するか、
あるいは、焼結の際に構成要素の高い振動(ゆがみの危険)が生ずる、従って製
造すべき構成要素の許容公差では、比較的大きい許容公差を守ることができる。
そのような射出成型法は、例えばドイツ国特許第1533035B号、米国特許 第4、233、256A号及びヨーロッパ特許第400778A号から公知であ る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 35/632 C04B 35/00 108 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),JP,US

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末を有し、その粉末に熱可塑性結合剤あるいは結合剤混合
    物がある量加えられ、従って未加工(未焼結)物の自重(死荷重)が、焼結の際
    の加熱中に、未加工物の流動限界を超えないように加えられ、粉末混合物が、製
    造すべき構成要素の型を含んでいる加熱したツール内に入れられ、温度が結合剤
    の軟化温度以上に調整され、粉末混合物が少くとも一方側からピストンによって
    プレスされ、そしてその場合にまた粘性の流れによってプレス方向を横切る領域
    内にも押込まれ、そしてそのようにして得られた未焼結物が焼結されることを特
    徴とする粉末からの構成要素の製造方法。
  2. 【請求項2】 粉末に、0.5〜4質量%の割合の結合剤が加えられること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 5と40容積%との間の混合した微細粉末割合を有している
    粉末が使用されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 広い粒度分布を有している粉末が使用されていることを特徴
    とする請求項1または2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 セラミック粉末が使用されていることを特徴とする請求項1
    〜4のいづれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ガラスまたはプラスチック粉末が使用されていることを特徴
    とする請求項1〜4のいづれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 金属粉末が使用されていることを特徴とする請求項1〜4の
    いづれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 合金要素を含んでいる微細粉末が使用されていることを特徴
    とする請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 粉末、微細粉末及び結合剤が高温度で混合され、そしてその
    場合に、結合剤が軟化および/または溶融し、従って結合剤によって微細な粉末
    が粗い粉末に結合され、そしてツール内に導入される前に、粒子が結合剤と共に
    層を形成することを特徴とする請求項1〜8のいづれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 粉末・結合剤混合物が予熱され、それからツール内に導入
    されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 重合体・ワックス混合物が、結合剤として使用されている
    ことを特徴とする請求項1〜10のいづれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 粉末・結合剤混合物が2分された(2つ割り)ツール内に
    導入されることを特徴とする請求項1〜11のいづれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 ツール内に、少くとも1つの構成要素の内部輪郭を形成す
    るコアが、ツール内に入れられているか、あるいはツール部分の一方に配置され
    ていることを特徴とする請求項1〜12のいづれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 コアにより構成要素内にクロス孔が形成されることを特徴
    とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 コアにより、構成要素内に、ねじを有する孔が形成される
    ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  16. 【請求項16】 成型の際のプレス圧力および温度および/または、粉末の
    粒子サイズ分布が調整される、従って未加工物内に、粉末に関して、理論的密度
    の70%以上の密度が達成されることを特徴とする請求項1〜15のいづれか1
    項に記載の方法。
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