JP2001514002A - ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ - Google Patents

ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ(NTPPH−1)及びNTPPH−1を同定しコードするポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、発現ベクター、宿主細胞、アゴニスト、抗体、及びアンタゴニストを提供する。また本発明は、NTPPH−1の発現に関連する疾患の治療方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ(human nucleotide p
yrophosphohydrolase)の核酸及びアミノ酸配列、及び関節症、免疫疾患、及び 癌の診断、予防、及び治療におけるこれらの配列の使用法に関するものである。
【0002】 (背景技術) カルシウムピロリン酸二水和物(CPPD)沈着病は、関節液を含む関節組織
におけるCPPD結晶の蓄積を特徴とする関節症である。CPPD結晶は、関節
変性の慢性疼痛及び組織障害の主たる原因であり、またCPPD結晶は、in vit
roで好中球の活性化、線維芽細胞及び軟骨細胞の有糸分裂、及びMMP及びプロ
スタグランジンの産生を誘導する。CPPD沈着は、急性炎症性発作(偽通風)
、慢性関節炎、及び変形性関節症と関連を有する。急性炎症性発作を起こすのは
CPPD患者の約10%に過ぎないが、大関節の慢性関節炎の患者の多くにCP
PD沈着が見られる。CPPDの結晶は、関節症の進行において重要な役割を果
たす。変形性関節症の患者から試料採取された関節液は、CPPD結晶、軟骨断
片、及びコラゲナーゼやストロメライシンのような基質メタロプロテイナーゼ(
MMP)を含む(Swan, A.B.他 (1994) Ann. Rheum. Dis. 53:467-470; Lohmand
er. L. S.他 (1993) Arthritis. Rheum. 36:181-I89)。
【0003】 CPPD結晶の沈着は、細胞外カルシウム、ピロリン酸(PPi)何れかの過
剰またはその両方の過剰と関連を有すると考えられる。カルシウムレベルの上昇
が関節におけるCPPD沈着の主な原因であるとは考えられないが、PPiレベ
ルの上昇は、CPPD沈着を起こしている患者から採取された関節液において認
められる。PPiレベルは血漿よりも関節液において高いことから、関節液のP
Piは関節組織によって産生されていると思われる。軟骨外植体が、in vitroで
PPiを細胞外の培地に放出するという事実も、軟骨がPPiの主な出所である
ことを示唆している(Ryan, L. M.他 (1996) J. Rheumatol. 23:214-219)。
【0004】 ヌクレオチド三リン酸を加水分解してPPiを放出する酵素は、ヌクレオチド
ピロホスホヒドロラーゼ(NTPPH)と称する。NTPPHの活性は、関節液
に見られ、PPiの産生と相関性を有する。ATPレベルの上昇は、CPPD沈
着を起こした患者の関節液に見られ、細胞外ATPを関節組織及び関節液に加え
ると、PPiが産生される(Park, W.I.他 (1996) J. Rheumatol. 23:665-671)
。NTPPHの活性を示す分子は、界面活性剤を用いて軟骨から抽出することが
でき、NTPPHの活性を示す分子の濃度は、CPPD結晶を含む軟骨からの抽
出物における濃度が、結晶を含まない軟骨からの抽出物での濃度より高い。関節
の軟骨から放出された基質小胞は、高いNTPPH活性を示し、カルシウム及び
ATPの存在下で、in vitroでCPPDを発生する(Derfus, B.A.他 (1992) Ar
thritis. Rheum. 35:231-240)。
【0005】 最近になって、NTPPHの存在を示す分子量61kDのタンパク質が、ブタ
の関節軟骨外植片でコンディショニングされた培地から得られた。アミノ末端配
列の初めの26残基が決定され、この配列は、公的データベースに登録された何
れのタンパク質とも相同性を示さなかった。この61kDのブタのタンパク質に
対して抗ペプチド抗体が産生され、この抗血清は、軟骨細胞と軟骨外植片の両方
の培地を元にしたコンディションドメディウムにおいて元の61kDのタンパク
質及び別の127kDの小胞関連タンパク質を同定した。61kDのアイソフォ
ームは、127kDタンパク質の触媒作用的に活性なタンパク分解性断片である
と考えられる。61kD及び127kDのアイソフォームの両方が、ヒト関節液
において同定され、ヒトの血清において100kDのタンパク質が同定された。
組織抽出物の免疫ブロットにおいてこの抗ペプチド抗体を用いることにより、N
TPPHの発現が、CPPD沈着が生じている関節組織:ヒアリン軟骨、繊維軟
骨、腱、及び靱帯に限定されることが分かった(Cardenal, A.他 (1996) Arthri
tis Rheum. 39:252-256; Cardenal, A.他 (1996) Arthritis Rheum, 39:245-25.
1)。
【0006】 新規なヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ及びそれをコードするポリ
ヌクレオチドの発見は、関節症、免疫疾患、及び癌の診断、予防、及び治療にお
いて役立つ新たな物質を提供することにより、当分野における必要性を満たすも
のである。
【0007】 (発明の概要) 本発明は、SEQ ID NO:1に示すアミノ酸配列またはその断片を有する
実質的に精製されたポリペプチド、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ
(NTPPH−1)を提供する。
【0008】 更に本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列またはその断片を含むポ
リペプチドをコードする単離され実質的に精製されたポリヌクレオチド配列、及
び前記ポリヌクレオチド配列を含む組成物を提供する。また本発明は、厳密な条
件の下で、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド
配列または前記ポリヌクレオチド配列の断片とハイブリダイズするポリヌクレオ
チド配列を提供する。更に本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列をコ
ードするポリヌクレオチド配列、または前記ポリヌクレオチド配列の断片若しく
は変異配列の相補配列を含むポリヌクレオチド配列を提供する。
【0009】 また本発明は、SEQ ID NO:2の配列またはその変異配列(variant) を含む単離され精製された配列を提供する。更に本発明は、厳密な条件の下で、
SEQ ID NO:2のポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレ
オチド配列を提供する。また本発明は、SEQ ID NO:2の配列またはその
断片若しくは変異配列の相補配列(complement)を含むポリヌクレオチド配列を
提供する。
【0010】 更に本発明は、クレームされたポリヌクレオチド配列の何れかの少なくとも断
片を含む発現ベクターを提供する。更に別の実施態様では、前記ポリヌクレオチ
ド配列を含む発現ベクターが宿主細胞に含められる。
【0011】 また本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列またはその断片を含むポ
リペプチドの製造方法であって、(a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の
下で、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチド配列の少なくとも断片を含
む発現ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と、(b)前記宿主細胞の培地か
ら前記ポリペプチドを回収する過程とを含む、SEQ ID NO:1のアミノ酸
配列またはその断片を含むポリペプチドの製造方法を提供する。
【0012】 また本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を有する実質的に精製さ
れたNTPPH−1を、適切な医薬用担体と共に含む医薬品組成物を提供する。
【0013】 また本発明は、SEQ ID NO:1のポリペプチドの精製されたアンタゴニ
ストを提供する。或る実施態様では、本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ
酸配列を含むポリペプチドに結合する精製された抗体を提供する。
【0014】 更に本発明は、SEQ ID NO:1のポリペプチドの精製されたアゴニスト
を提供する。
【0015】 また本発明は、関節症の治療または予防方法であって、そのような治療が必要
な患者に、NTPPH−1のアンタゴニストを有効な量投与する過程を含む、関
節症の治療または予防方法を提供する。
【0016】 また本発明は、免疫疾患の治療または予防方法であって、そのような治療が必
要な患者に、NTPPH−1のアンタゴニストを有効な量投与する過程を含む、
免疫疾患の治療または予防方法を提供する。
【0017】 また本発明は、癌の治療または予防方法であって、そのような治療が必要な患
者に、NTPPH−1のアンタゴニストを有効な量投与する過程を含む、癌の治
療または予防方法を提供する。
【0018】 また本発明は、生物学的サンプルにおけるNTPPH−1をコードするポリヌ
クレオチド検出方法であって、(a)SEQ ID NO:1をコードするポリヌ
クレオチド配列の相補配列と、生物学的サンプルの核酸材料とをハイブリダイズ
し、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、(b)前記ハイブリダイ
ゼーション複合体を検出する過程であって、前記複合体の存在が、前記生物学的
サンプルにおけるNTPPH−1をコードするポリヌクレオチドの存在と相関性
を有する、該過程とを含む、生物学的サンプルにおけるNTPPH−1をコード
するポリヌクレオチド検出方法を提供する。或る実施態様では、ハイブリダイゼ
ーションの前に、前記生物学的サンプルの核酸材料をポリメラーゼ連鎖反応法に
より増幅する。
【0019】 また本発明は、生物学的サンプルにおけるNTPPH−1の検出方法であって
、(a)生物学的サンプルを準備する過程と、(b)前記生物学的サンプルと抗
NTPPH−1抗体とを結合する過程と、(c)前記NTPPH−1と前記抗体
との間で複合体形成が生ずるようにする過程と、(d)前記複合体形成を検出し
、生物学的サンプルにおけるNTPPH−1の存在を確認する過程とを含む、生
物学的サンプルにおけるNTPPH−1の検出方法を提供する。
【0020】 (発明の実施の形態) 本発明のタンパク質、核酸配列、及び方法について説明する前に、本発明は、
ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試薬に限定
されず、その実施形態を変えて実施できることを理解されたい。また、ここで用
いられる用語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用いられたものであり、
特許請求の範囲のみによって限定される本発明の範囲を限定することを意図した
ものではないということも理解されたい。
【0021】 本明細書及び請求の範囲において、単数を表す「或る」及び「その(この)」
と形容されたものは、前後関係でそうでないことが明らかである場合以外は、複
数の意味も含んでいることに注意しなければならない。従って、例えば「或る宿
主細胞」なる表記が表すものには、複数のそのような宿主細胞が含まれ、この「
抗体」なる表記は、1種またはそれ以上の種類の抗体及び当業者に周知のその等
価物等も表している。
【0022】 本明細書における全ての科学技術専門用語は、特別に定義されていない限り、
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解されるのと
同じ意味を有する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発
明の実施や試験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料を
本明細書において説明する。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連
において用いられ得る文献で報告された細胞系、ベクター、及び方法論を説明し
開示する目的で引用されたものであり、この引用により本明細書の一部とする。
本明細書のあらゆる開示内容は、本発明におけるそのような開示内容が従来技術
に先行し得ないことを認めるものと解釈してはならない。
【0023】 定義 本明細書において、NTPPH−1は、任意の種、具体的にはウシ、ヒツジ、
ブタ、マウス、ウマ、及び好ましくはヒトを含む哺乳動物に由来する、天然の、
合成の、半合成の、又は組換え体の何れかを起源として得られる実質的に精製さ
れたNTPPH−1のアミノ酸配列である。
【0024】 本明細書において、用語「アゴニスト」は、NTPPH−1に結合したときN
TPPH−1の効果を強めたり、その効果の持続時間を長くさせる分子である。
アゴニストには、NTPPH−1に結合し、その効果を変調するタンパク質、核
酸、糖質や、任意の他の分子が含まれ得る。
【0025】 本明細書において「アレル」或いは「アレル配列」とは、NTPPH−1をコ
ードする遺伝子の対立形である。アレルは、核酸配列の少なくとも一箇所の変異
によって生じ、変異したmRNA或いはポリペプチドを生ずるが、その変異mR
NA或いはポリペプチドの構造や機能が変わる場合もあれば変わらない場合もあ
る。与えられた元のままの遺伝子または組換え遺伝子には、アレル形が存在しな
いもの、1つ存在するもの、或いは多数存在するものがある。一般にアレルを生
じる変異はヌクレオチドの自然な欠失、付加並びに置換に因るものである。この
タイプの変化はそれぞれ単独で、或いは他の変化と同時に、所定の配列内で1回
又は2回以上生じ得る。
【0026】 本明細書において、NTPPH−1をコードする「変異」核酸配列とは、異な
るヌクレオチド残基の欠失、挿入並びに置換を含み、結果的に同一の、または機
能的に等価なNTPPH−1をコードするポリヌクレオチドとなるものである。
この定義には、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチド配列の正常な染色
体上の遺伝子座以外の座位を有し、アレルとの不適切又は予期しないハイブリダ
イゼーション、及びNTPPH−1をコードするポリヌクレオチドの特定のオリ
ゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能な、或いは検出が困難な多型が
含まれている。コードされたタンパク質も同様に「変異」したものであり得、サ
イレント変化となるアミノ酸残基の欠失、挿入並びに置換を含み、結果的に機能
的に等価なNTPPH−1となるものであり得る。意図的なアミノ酸の置換は、
NTPPH−1の生物学的活性が保持される限りにおいて、残基の極性、電荷、
溶解度、疎水性、親水性並びにまた両親媒性についての類似性に基づいてなされ
得る。例えば負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含ま
れ、正に荷電したアミノ酸にはリジン及びアルギニンが含まれ、近い親水性値を
有する荷電していない極性頭基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン
、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニ
ン、フェニルアラニン並びにチロシンが含まれる。
【0027】 本明細書において「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプ
チド、又はタンパク質の配列及びその断片であり、自然発生の又は合成した分子
である。NTPPH−1の断片は、好ましくは約5〜約15個のアミノ酸からな
る長さを有し、NTPPH−1の生物学的活性又は免疫学的活性を保持している
ものである。ここで「アミノ酸配列」が、自然発生タンパク質分子のアミノ酸配
列を指すものとして用いられている場合、「アミノ酸配列」や類似の用語は、ア
ミノ酸配列を、本明細書に記載のタンパク質分子に関連する完全で元のままのア
ミノ酸配列に限定する意味で用いられているわけではない。
【0028】 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なる複製物を生成することであり
、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて行われる(
Dieffenbach, C.W.及びG.S. Dveksler (1995) PCR Primer. a Laboratory Manua l , Cold Spring Harbor Press, Plainview, NY)。
【0029】 本明細書において、用語「アンタゴニスト」は、NTPPH−1に結合したと
き、NTPPH−1の生物学的又は免疫学的効果の大きさを低下させたり、持続
時間を短縮させる分子である。アンタゴニストには、NTPPH−1の作用を低
下させるタンパク質、核酸、糖質や、任意の他の分子等が含まれる。
【0030】 本明細書において、用語「抗体」は、完全な抗体分子、及び例えばFa、F(
ab')2、及びFvのような抗原決定基と結合し得るそのフラグメントを指す。
NTPPH−1ポリペプチドに結合する抗体は、免疫化の抗原として完全なポリ
ペプチド或いは目的の小型のペプチドを含むその断片を用いて調製することがで
きる。動物を免疫化するのに用いられるポリペプチドまたはペプチドは、翻訳さ
れたcDNAまたは化学的合成物を起源とするものであり得、必要ならば担体タ
ンパク質と結合させることができる。通常用いられるペプチドに化学的に結合す
る担体としては、ウシ血清アルブミン及びサイログロブリンが挙げられる。次に
この結合したペプチドを用いて動物(例えばマウス、ラット、またはウサギ)を
免疫化する。
【0031】 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子の断片
(即ちエピトープ)である。タンパク質の一部分、即ち断片を用いてホストの動
物を免疫化すると、このタンパク質の様々な領域が、該タンパク質上の所定の領
域または三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。このような領
域または構造を抗原決定基と称する。抗原決定基は、抗体への結合について、元
の抗原(即ち免疫応答を引き出すために用いられる免疫原)と競合し得る。
【0032】 本明細書において用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列に
対して相補的なヌクレオチド配列である。用語「アンチセンス鎖」は、「センス
」鎖に対して相補的な核酸鎖の意味で用いられる。アンチセンス分子にはペプチ
ド核酸が含まれ、合成や転写を含む任意の方法で作り出すことができる。この相
補的ヌクレオチドは、一度細胞内に導入されると、細胞によって作られた天然の
配列と結合して二重鎖を形成し、この二重鎖は更なる転写や翻訳を阻害する。「
マイナス(−)」なる表現はアンチセンス鎖の意味で時折用いられ、「プラス(
+)」はセンス鎖の意味で用いられることがある。
【0033】 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構造的機能
、調節機能、又は生化学的機能を有するタンパク質を表す。同様に「免疫学的に
活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のNTPPH−1、若しくはその任意
のオリゴペプチドの、適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定
の抗体に結合する能力を指す。
【0034】 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、許容的な塩濃度及び
温度条件の下で、塩基対を形成してポリヌクレオチド同士が自然に結合すること
である。例えば、配列「A−G−T」は相補的配列「T−C−A」に結合する。
2つの二本鎖分子間の相補性は、幾つかの核酸のみが結合している「部分的」な
ものであるか、若しくは一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合は完全に相
補的なものであり得る。核酸鎖同士の相補性の程度は、核酸鎖同士のハイブリダ
イゼーションの効率及び強さに有意な影響を与える。このことは、核酸鎖同士の
結合によって左右される増幅反応や、PNA分子の設計及び使用において特に重
要である。
【0035】 本明細書において「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」とは、広く所
定のポリヌクレオチド配列を含むあらゆる物質をさす。この組成物は、乾燥剤で
ある製剤又は水溶液を含み得る。NTPPH−1(SEQ ID NO:1)をコ
ードするポリヌクレオチド配列又はその断片(例えばSEQ ID NO:2及び
その断片)を含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして利用するこ
とができる。このプローブは凍結乾燥した形態で保存することができ、糖質のよ
うな安定化剤と結合させることができる。ハイブリダイゼーションにおいて、こ
のプローブは、塩(例えばNaCl)、界面活性剤(例えばSDS)及び他の物
質(例えばデンハート液、乾燥ミルク、サケ精子DNA等)に展開することがで
きる。
【0036】 本明細書において「コンセンサス」は、再配列決定して不要な塩基を分離した
核酸配列か、XL-PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5′方向及び/ または3′方向に延長して再配列決定した核酸配列か、フラグメントを組み合わ
せるためのコンピュータプログラム(例えばGELVIEWTM Fragment Assembly syst
em, GCG, Madison WI)を用いて2種以上のインサイト社クローンの重複した配 列を組み合わせて導き出した核酸配列である。延長と組み合わせの両方によって
コンセンサス配列が作られることもある。
【0037】 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」なる表現は
、ノーザン法による解析でSEQ ID NO:2に類似性を有するリボ核酸の存
在が検出されることが、サンプル内のNTPPH−1をコードするmRNAの存
在を表し、従って該タンパク質をコードする遺伝子からの転写物の発現と相関性
を有している、ということを表している。
【0038】 本明細書において「欠失」は、1個または2個以上のヌクレオチド若しくはア
ミノ酸残基が欠けるような、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化
である。
【0039】 本明細書において、用語「誘導体」は、NTPPH−1をコードする核酸或い
はそれに相補的な核酸又はコードされたNTPPH−1を化学的に修飾したもの
を意味する。このような修飾の例には、水素からアルキル基、アシル基、又はア
ミノ基への置換がある。核酸誘導体は、修飾していないNTPPH−1の生物学
的又は免疫学的機能を保持しているポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプ
チドは、元のポリペプチドの生物学的又は免疫学的機能を保持しており、グリコ
シル化、ポリエチレングリコール化(PEGylation)、又は他の何らかのプロセス
で修飾されたものである。
【0040】 本明細書において、用語「相同性」は、或る程度の相補性を意味する。部分的
に相同な場合と、完全に相同(即ち同一)の場合があり得る。部分的に相補的な
配列は、同一の配列が標的の核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に
阻害するものであり、このことを、機能的な表現「実質的に相同な」で表す。完
全に相補的な配列と標的配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、低い厳密性
条件の下で、ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロット法またはノーザ
ンブロット法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検定することができる
。実質的に相同な配列またはプローブは、低い厳密性条件の下で標的の配列と、
完全に相同な配列またはプローブとの結合(即ちハイブリッド形成)について競
合し、それを阻害する。このことは、低い厳密性の条件が、非特異的な結合を許
容するものであることを意味するわけではない。低い厳密性条件では、2つの配
列の相互の結合が特異的(即ち選択的)相互作用であることが必要である。非特
異的結合が存在しないことは、部分的な程度の相補性(即ち約30%未満の同一
性)も有していない第2の標的配列を用いることにより調べることができる。非
特異的結合が存在しない場合、プローブは第2の非相補的標的配列とハイブリダ
イズしない。
【0041】 ヒト人工染色体(HAC)は10K〜10MのサイズのDNA配列を含んでお
り、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全ての要素を含む直鎖状の小染
色体である(Harrington, J.J.等 (1997) Nat Genet. 15:345-355)。
【0042】 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、元の結合能力をそのまま保持しつ
つ、ヒトの抗体により近づけるために非抗原結合領域においてアミノ酸を置換し
た抗体分子である。
【0043】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は
、核酸の鎖が塩基対の形成によって相補鎖と結合する過程である。
【0044】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩
基とC塩基の間及び相補的なA塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、
2つの核酸配列で形成された複合体である。これらの水素結合は、塩基スタッキ
ング相互作用(base stacking interaction)により更に安定化し得る。この2 つの相補的核酸配列は水素結合して、逆平行構造をなす。ハイブリダイゼーショ
ン複合体は、溶液中で形成されるか(例えばC0t又はR0t解析の場合)、或い
は核酸は溶液中に存在する一方の核酸と、固形支持体(例えば細胞やその核酸が
固定される紙、メンブラン、フィルター、ピン、またはスライドガラスまたは他
の適切な基板)に固定されたもう一方の核酸との間で形成され得る。
【0045】 本明細書において「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子と比較して、1
個または2個以上のヌクレオチド、アミノ酸残基がそれぞれ加わるような、ヌク
レオチド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。
【0046】 「マイクロアレイ」とは、合成された個々のポリヌクレオチド又はオリゴヌク
レオチドを基板上に高密度で配列したものである。基板には例えば紙、ナイロン
又は他のタイプのメンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、又は他の任意の
適切な固体支持体が用いられる。
【0047】 本明細書において、用語「変調」は、NTPPH−1の活性の変化である。例
えば、変調によって、タンパク質活性の上昇や低下、結合特性の変化、又はNT
PPH−1の生物学的、機能的、免疫学的特性の他の変化がもたらされる。
【0048】 本明細書において「核酸配列」は、一本鎖か二本鎖の、センス鎖又はアンチセ
ンス鎖であるゲノム起源又は合成したDNA、RNAや、オリゴヌクレオチド、
ヌクレオチド、又はポリヌクレオチド、及びその断片である。「断片(フラグメ
ント)」は、長さが60ヌクレオチド以上の核酸配列であり、最も好ましくは、
長さが100ヌクレオチド以上又は1000ヌクレオチド以上、及び10000
ヌクレオチド以上の断片である。
【0049】 本明細書において「オリゴヌクレオチド」は、PCR増幅又はハイブリダイゼ
ーションアッセイ、若しくはマイクロアレイで用いることができる核酸配列であ
って、長さが約6ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適には15
〜30ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを指す。
本明細書において、オリゴヌクレオチドは、当分野において一般に定義されてい
る用語「アンブリマー」、「プライマー」、「オリゴマー」、及び「プローブ」
と実質的に同義である。
【0050】 本明細書において「ペプチド核酸」PNAは、末端がリジンであるアミノ酸残
基のペプチドバックボーンに結合した5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌクレ
オチドを含むアンチセンス分子即ち抗遺伝子剤を意味する。末端のリジンがこの
物質に溶解性を賦与している。PNAをポリエチレングリコール化して細胞にお
けるその寿命を延ばすことができる。このような細胞では、PNAが相補的な一
本鎖DNAやRNAに優先的に結合して、転写物の伸長を止める。(Nielsen, P
.E.等(1993) Anticancer Drug Des. 8:53-63)。
【0051】 本明細書において、(「所定のタンパク質の一部(分)」と用いられるような
)タンパク質に関する用語「一部分」は、そのタンパク質の断片である。この断
片のサイズは5個のアミノ酸残基から、(全アミノ酸配列−1)個のアミノ酸の
範囲に亘る。従って、「SEQ ID NO:1のアミノ酸配列の少なくとも一部
(分)を含む」タンパク質は、完全長ヒトNTPPH−1とその断片を含む。
【0052】 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている
。NTPPH−1をコードする核酸またはその断片またはNTPPH−1自体を
含む疑いのある生物学的サンプルには、体液や、細胞から単離された染色体、細
胞小器官、又は細胞膜からの抽出物や、細胞や、(溶液中の、または例えばサザ
ンブロット解析用に固体支持体に結合した)ゲノムのDNA、RNA、またはc
DNAや、組織や、組織プリントその他が含まれる。
【0053】 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、抗体
及びタンパク質またはペプチドの相互作用が、タンパク質上の特定の構造(即ち
抗原決定基、即ちエピトープ)の存在に左右されることを意味している。つまり
、抗体は、タンパク質全体ではなく特定のタンパク質の構造を認識して結合する
。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、標識した「A」
及びその抗体を含む反応において、エピトープA(つまり結合していない、非標
識のA)を含むタンパク質が存在すると、抗体が結合した標識したAの量が低下
する。
【0054】 本明細書において、用語「厳密な条件」又は「厳密性」は、核酸、塩、及び温
度によって定義されるようなハイブリダイゼーションの条件をさす。これらの条
件は当分野でよく知られており、同一のポリヌクレオチド配列の同定や検出を目
的としているか、或いは近縁なポリヌクレオチド配列の同定や検出を目的として
いるかによって変えることができる。低い厳密性条件か高い厳密性条件の何れか
である名目上の等価な条件は、例えば配列の長さ及び性質(DNA、RNA、塩
基組成)、標的の性質(DNA、RNA、塩基組成)、環境(溶液中に存在する
か或いは固定されているか等)、塩や他の成分の濃度(例えばホルムアミド、デ
キストラン硫酸、及び/またはポリエチレングリコールの有無)、及び反応の温
度(プローブの融解温度(Tm)より5℃下からTmの約20〜25℃下までの
範囲内)のような要素によって決まる。1又は2以上の要素を変更することによ
って、上に挙げた条件とは異なるが等価である低い厳密性または高い厳密性の何
れかの条件を作り出すことができる。
【0055】 本明細書において、用語「実質的に精製」は、天然の環境から取り除かれ、天
然にはそれが結合して存在する他の構成要素から単離又は分離されて、その構成
要素が60%以上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上除去され
た核酸配列又はアミノ酸配列である。
【0056】 本明細書において「置換」は、それぞれ1個または2個以上のヌクレオチド或
いはアミノ酸を、異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置き換えることによって
生ずる変化である。
【0057】 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入ってレシピエント細胞
を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、よく知られた種々の方法を
用いた天然または人工の条件の下で生じ得る。形質転換は、外来核酸配列を原核
細胞または真核細胞の宿主細胞に導入するための何らかの既知の方法によって行
うことができる。この方法は形質転換される宿主細胞によって選択され、以下に
限定するものではないが、ウイルス感染による方法、電気穿孔法(エレクトロポ
レーション)、リポフェクション、及び微粒子銃を用いる方法が含まれ得る。こ
のような「形質転換された」細胞には、そのなかで挿入されたDNAが、自律的
に複製するプラスミドとして、または宿主の染色体の一部として複製が可能な安
定的に形質転換された細胞が含まれる。またこのような細胞には、限られた時間
において生ずる、導入DNAやRNAの一過性の発現をする細胞も含まれる。
【0058】 本明細書においてNTPPH−1の「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ
酸が変異したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むものであ
り得、この保存的変化の場合は、例えばロイシンをイソロイシンで置き換える場
合のように置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。稀に、
変異体が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変化の場合は、例え
ばグリシンがトリプトファンで置換される。類似した小変化には、アミノ酸の欠
失か挿入、若しくはその両方も含まれる。例えばDNASTARソフトウエアのような 良く知られたコンピュータプログラムを用いて、何れのアミノ酸が生物学的或い
は免疫学的活性を損なわずに置換、挿入、又は欠失できるものであるかというこ
とを決定することができる。
【0059】 発明 本発明は、新規なヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ(以下NTPP
H−1と称する)、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチド、及び関節症
、免疫疾患、及び癌の診断、予防、または治療のためのこれらの物質の使用に基
づくものである。
【0060】 本発明によるNTPPH−1の一部をコードする核酸は、IL−1で刺激され
た変形性関節症軟骨細胞cDNAライブラリー(SATPF1002)を起源とするイン サイト社クローンNo. 422069において、ヌクレオチド配列アライメントのコンピ
ュータ検索によって初めに同定された。インサイト社クローンNo. 422069及びSA
TPF008及びSATPF010軟骨細胞ライブラリーを用いて、SEQ ID NO:2の配
列を作った。
【0061】 或る実施例では、本発明は、図1A乃至図1Iに示すSEQ ID NO:1の
アミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。NTPPH−1は1184個のア
ミノ酸からなる長さを有し、8箇所のNグリコシル化可能部位を残基N(129番 )、N(132番)、N(346番)、N(420番)、N(550番)、N(631番)、N (1000番)、及びN(1056番)に有し、38箇所のリン酸化可能部位を、残基S
(29番)、S(52番)、S(112番)、T(134番)、S(143番)、T(148番)
、T(201番)、T(249番)、T(254番)、T(256番)、S(293番)、T(2
98番)、T(333番)、T(348番)、S(458番)、S(497番)、T(534番) 、T(540番)、T(551番)、S(562番)、T(625番)、T(695番)、S(7
49番)、S(761番)、S(839番)、T(862番)、S(885番)、S(936番) 、T(976番)、S(992番)、S(1032番)、T(1037番)、T(1078番)、T
(1080番)、T(1086番)、S(1103番)、S(1152番)、及びS(1171番)に
有し、1箇所のアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性化部位をA(188 )SEEGQ HCMGQD(199 )に有し、1カ所のATP/GTP結合部位モチーフを、A G(266 )LCPDGK(272 )に有する。第2A図、第2B図、及び第2C図に
示すように、NTPPH−1は、NCBI EST(GI 1515673;SEQ ID NO:3)及び線虫(C.elegans)のタンパク質、T21B6.3(GI 1070094 ;SEQ ID NO:6)との化学的及び構造的相同性を有する。NTPPH−
1の疎水性プロット及び等電点プロットを、それぞれ図3及び図4に示す。ヒト
、イヌ、及びウサギの関節組織のRNAサンプルの膜ベースのノーザン解析によ
り、関節の軟骨において最も高いレベルでNTPPH−1が発現し、滑膜、関節
間軟骨、腱、及び靱帯においてNTPPH−1がかなりのレベルで発現すること
が立証された。別のヒト組織における発現を研究した結果、骨格筋、心筋、及び
骨髄においてかなりのレベルのmRNAが存在し、気管、脊髄、甲状腺、胃、精
巣、子宮、小腸、結腸、胸腺、胎盤、リンパ及び副腎組織において検出可能なレ
ベルで存在することが立証された。LIFESEQTMデータベースを用いた電子的ノー ザン解析の結果(図5)から、様々なライブラリーにおけるNTPPH−1の発
現が分かった。NTPPH−1を発現するライブラリーの少なくとも44%は不
死化つまり癌性のものであり、少なくとも25%は免疫応答に関連するものであ
った。特に注目すべきは、消化管系の組織におけるNTPPH−1の発現(17
%)、生殖系の組織におけるNTPPH−1の発現(13%)、心血管系の組織
におけるNTPPH−1の発現(13%)、及び滑膜の組織におけるNTPPH
−1の発現(6%)である。
【0062】 また本発明は、NTPPH−1の変異体を包含する。好適なNTPPH−1変
異体は、NTPPH−1アミノ酸配列(SEQ ID NO:1)と80%以上、
より好適には90%以上のアミノ酸配列同一性を有し、且つNTPPH−1の生
物学的特徴、免疫学的特徴、または他の機能的特徴の少なくとも1種類を保持し
ているものである。最も好適なNTPPH−1変異体は、SEQ ID NO:1
と少なくとも95%以上のアミノ酸配列同一性を有するものである。
【0063】 また本発明は、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチドを包含する。従
って、NTPPH−1のアミノ酸配列をコードする任意の核酸配列を用いて、N
TPPH−1を発現する組換え分子を作り出すことができる。具体的な実施例で
は、本発明は、図1A乃至図1Iに示すようなSEQ ID NO:2の核酸配列
を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0064】 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生
遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性しか有していないものも含めて、多
種のNTPPH−1をコードするヌクレオチド配列が作り出され得る。従って本
発明は、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することにより作り出され
得る全ての可能な核酸配列の変異をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせ
は、自然発生のNTPPH−1のヌクレオチド配列に適用されるような標準的な
トリプレット遺伝暗号に基づいて作り出されるものであり、このような変異は全
てここに具体的に開示されたものと考えられたい。
【0065】 NTPPH−1をコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は、適切に選
択された厳密性条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリダイズ可
能であるのが好ましいが、実質的に異なるコドンを使用しているNTPPH−1
又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る
。コドンの選択においては、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従っ
て、特定の原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生率を高
めるように選択することができる。NTPPH−1及びその誘導体をコードする
ヌクレオチド配列を、コードされるアミノ酸配列を変えないように実質的に変更
する他の理由は、例えば自然発生配列から作り出される転写物より長い半減期の
ような、より望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すためである。
【0066】 本発明の範囲には、NTPPH−1又はその誘導体をコードするDNA配列又
はその断片の、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。この合成遺伝子を
、作製後、周知の試薬を用いて任意の入手可能な発現ベクター及び細胞系に挿入
することができる。更に、合成ケミストリを用いてNTPPH−1をコードする
配列又はその任意の断片に突然変異を導入することができる。
【0067】 また本発明の範囲に含まれるものとして、種々の厳密性条件の下で請求項に記
載のヌクレオチド配列、特にSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列とハイブ
リダイズし得るポリヌクレオチド配列がある。厳密性条件については、Wahl, G.
M. 及びS.L.Berger(1987; Methods Enzymol. 152:399-407)及びKimmel, A.R. (1987; Methods in Enzymol. 152:507-511)に記載されている。
【0068】 当業者が通常利用可能な周知のDNAシークエンシングの方法を、本発明の実
施例の何れの実施のために用いることができる。この方法では酵素を使用する。
この酵素には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片であるSequenase(U
S Biochemical社, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定
性T7ポリメラーゼ(Amersham, Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg
MD)から市販されているELONGASE Amplification Systemのような校正エキソヌ クレアーゼと組換え体ポリメラーゼとの組み合わせがある。このプロセスは、Ha
milton Micro Lab2200(Hamilton, Reno, NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC2
00;MJ Reserch, Watertown MA)並びにABI Catalyst及びABI377及び377 DNAシ ーケンサ(Perkin Elmer)のような装置を用いて自動化するのが好ましい。
【0069】 NTPPH−1をコードする核酸配列を、部分的なヌクレオチド配列を利用し
、当業者に周知の様々な方法とを用いて伸長させ、プロモーター及び調節エレメ
ントのような上流の配列を検出することができる。例えば、使用可能な方法の一
つである「制限部位」PCR法では、汎用プライマーを用いて既知の位置に隣接
する未知の配列を得る(Sarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322)。
詳述すると、まずゲノムDNAを、既知の領域に対して特異的なプライマー及び
リンカー配列に対するプライマーの存在の下で増幅する。増幅された配列を、同
じリンカープライマーと最初のプライマーの内部に含まれる別の特異的プライマ
ーを用いてPCRの2巡目にかける。PCRの各回の生成物を、適切なRNAポ
リメラーゼを用いて転写させ、逆転写酵素を用いて配列決定する。
【0070】 既知の領域に基づく多様なプライマーを利用した配列の増幅、または伸長を行
うために、逆PCR法を用いることもできる(Triglia, T.等(1988)Nucleic A
cids Res 16:8186)。プライマーは、OLIGO 4.06 Primer Analysis software(N
ational Biosciences社, Plymouth MN)や他の適切なプログラムを用いて、長さ
が22〜30ヌクレオチドで、GC含量が50%以上となり、かつ約68〜72
℃の温度で標的配列にアニールするように設計する。この方法ではいくつかの制
限酵素を用いて遺伝子の既知領域の適当な断片を作り出す。次にこの断片を分子
内ライゲーションにより環状にし、PCR用の鋳型として使用する。
【0071】 使用できる別の方法にキャプチャPCR法があり、この方法ではヒト及び酵母
菌人工染色体DNA内の既知の配列に隣接するDNA断片をPCRで増幅する(
Lagerstrom, M.他(1991)PCR Methods Applic 1:111-119)。この方法では、P
CRを行う前に、そのDNA分子の未知の断片に、複数の制限酵素による切断及
び連結によって組換え二本鎖配列を配置しておくこともできる。
【0072】 未知の配列を得るために用いることができる別の方法は、Parker, J.D.等の方
法(1991; Nucleic Acids Res 19:3055-3060)である。更に、PCR、ネスト化
プライマー、PromoterFinderTMライブラリーを用いて、ゲノムDNA内歩行を行
うことができる(Clontech, Palo Alto CA)。このプロセスは、ライブラリーを
スクリーニングする必要がなく、イントロン/エクソン接合部を探し出すのに有
用である。
【0073】 完全長cDNAをスクリーニングするときに好適なライブラリーは、サイズ選
択された、より大きなcDNAを含むライブラリーである。またランダムプライ
ミングした(random primed)ライブラリーは、遺伝子の5′領域を含む配列を より多く含むという点で好適である。ランダムプライミングしたライブラリーは
、オリゴd(T)ライブラリーでは完全長cDNAが得られない場合に特に有用
である。またゲノムライブラリーは、5′及び3′非翻訳調節領域への配列の伸
長のために有用であり得る。
【0074】 シークエンシングや、PCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したりそ
の存在を確認するために、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることが
できる。特に、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離のため
の流動性ポリマー、レーザーで活性化される4種の異なる蛍光色素(各ヌクレオ
チドに対して1種)を使用し、CCDカメラにより放射線の波長の検出を行う。
出力/光強度は適切なソフトウエア(例えばPerkin Elmer製のGenotyperTM及びS
equence NavigatorTM)を用いて電気信号に変換され、サンプルの負荷からコン ピュータ解析及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御される。キャ
ピラリー電気泳動法は、特定のサンプル内に少量しか存在しないDNA小片の配
列決定に特に適している。
【0075】 本発明の別の実施例では、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチド配列
またはその断片を組換えDNA分子に組み入れることにより、NTPPH−1、
その断片または機能的等価物の、適切な宿主細胞内での発現を誘導することがで
きる。遺伝暗号固有の縮重のために、実質的に同一であるか機能的に等価なアミ
ノ酸配列をコードする他のDNA配列も作り出され得、これらの配列をNTPP
H−1のクローン化や発現のために用いることができる。
【0076】 当業者には理解できるように、非自然発生コドンを有するNTPPH−1コー
ディングヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。例えば、特定の原
核細胞或いは真核細胞の宿主において選好されるコドンを選択して、タンパク質
の発現率を増大させたり、或いは自然発生配列から生成された転写物より長い半
減期のような望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことができる。
【0077】 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的でNTPPH−1をコードする配列
を改変するために、周知の方法を用いて組換えることができる。この配列改変の
目的には、限定するものではないが、例えば遺伝子産物のクローニング、プロセ
シング及び/又は発現を変えることが含まれる。無作為断片によるDNA再編成
や遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCR再会合によって、ヌクレオチ
ド配列を組換えることができる。例えば、特定部位突然変異誘発のような当業者
には周知の技術を用いて突然変異を誘発させることによって、新しい制限部位の
挿入、グリコシル化パターンの変更、コドン選好の変化、スプライスバリアント
の生成等をもたらすことができる。
【0078】 本発明の別の実施例では、元のNTPPH−1コーディング配列、変異したN
TPPH−1コーディング配列、又は組換えNTPPH−1コーディング配列を
異種の配列に結合して、融合タンパク質をコードする配列にすることができる。
例えば、NTPPH−1活性のインヒビターをペプチドライブラリーからスクリ
ーニングする場合、市販の抗体により認識される異なるペプチドを発現するキメ
ラNTPPH−1タンパク質をコードすることが役立つことがある。融合タンパ
ク質はNTPPH−1配列と異種のタンパク質配列との間の位置に切断部位を有
するように設計することもでき、これによってNTPPH−1を切断して、ヘテ
ロの部分から分けて精製することが可能となる。
【0079】 本発明の別の実施例では、周知の化学的方法(Caruthers. M.H.等(1980)Nuc
Acids Res Symp Ser 7:215-223; Horn, T.等(1980)Nucl. Acids Res Symp. S
er.225-232参照)を用いて、NTPPH−1コーディング配列の全体、或いはそ
の一部を合成することができる。或いは、化学的方法を用いてタンパク質自体を
作り出して、NTPPH−1アミノ酸配列またはその断片を合成することができ
る。例えば、様々な固相技術(Roberge, J.Y.等(1995) Science 269:202-204) でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばABI 431Aペプチドシ
ンセサイザ(Perkin Elmer)を用いることにより達成することができる。
【0080】 この新たに合成されたペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーにより
実質的に精製することができる(例えばCreighton T.(1983)Proteins Structu re And Molecular Principles , WH Freeman and Co., NY参照)。合成されたペ プチドの組成は、アミノ酸解析或いはシークエンシングにより確認することがで
きる(例えばエドマン分解法;Creighton, 前出)。さらにNTPPH−1のア ミノ酸配列或いはその任意の部分をその直接の合成の際の改変することにより、
及び/又は化学的方法を用いて他のタンパク質或いはその任意の部分に由来する
配列と結合させることにより、変異体ポリペプチドを作り出すことができる。
【0081】 生物学的に活性なNTPPH−1を発現させるためには、NTPPH−1をコ
ードするヌクレオチド配列或いはその機能的等価物を、適切な発現ベクター、す
なわち挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含むベ
クターに挿入する。
【0082】 NTPPH−1をコードする配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現
ベクターを作製するために当業者に周知の方法を用いることができる。これらの
方法には、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo遺伝子組換え 技術が含まれる。このような技術は、Sambrook, J.他(1989)Molecular Clonin g, A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Press, Planview NY及びAusubel
, F.M.等Current Protocol in Molecular Biology, John Wiley &Sons, New Yor
k, NYに記載されている。
【0083】 種々の発現ベクター/宿主系を、NTPPH−1コーディング配列の保持、発
現のために利用することができる。このようなものには、限定するものではない
が、組換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現ベクター
で形質転換した細菌のような微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換した酵母
菌や、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞
系や、ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMV、タバ
コモザイクウイルスTMV)或いは細菌の発現ベクター(例えばTi、或いはpBR322 プラスミド)で形質転換した植物細胞系や、或いは動物細胞系が含まれる。本発
明は、使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0084】 「調節領域」或いは「制御配列」とは、転写及び翻訳を行うために宿主細胞の
タンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域、即ちエンハンサー、プロモー
ター及び3′非翻訳領域である。このようなエレメントの作用の強さや特異性は
様々に異なっている。使用されるベクター及び宿主に応じて、構成的及び誘導的
プロモーターを含む適切な転写及び翻訳エレメントを任意の数だけ用いることが
できる。例えば、細菌系にクローン化する際には、Bluescript ファージミド(S
tratagene, LaJolla CA)またはpSportITMプラスミド(Gibco BRL)等のハイブ リッドlacZプロモーターのような誘導的プロモーターを用いることができる。バ
キュロウイルスポリヘドリンプロモーターは、昆虫細胞において用いることがで
きる。植物細胞のゲノムに由来するプロモーター或いはエンハンサー(例えば熱
ショック RUBISCO及び貯蔵タンパク質遺伝子)、若しくは植物ウイルスに由来す
るプロモーター或いはエンハンサー(例えばウイルス性プロモータ或いはリーダ
ー配列)を、ベクターにクローン化してもよい。哺乳動物細胞系では、哺乳動物
の遺伝子或いは哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが適している。NTPPH
−1をコードする配列の多数の複製を含む細胞系を作る必要がある場合には、SV
40またはEBVベースのベクターを適切な選択マーカーと共に用いる。
【0085】 細菌系では、NTPPH−1の用途に応じて多種の発現ベクターを選択するこ
とができる。例えば抗体誘発のために大量のNTPPH−1が必要な場合には、
精製が容易な融合タンパク質を高レベルで発現できるベクターが望ましい。その
ようなベクターには、限定するものではないが、多機能の大腸菌クローニング及
び発現ベクターである、Bluescript(Stratagene)(このベクターでは、NTP
PH−1をコードする配列を、アミノ末端メチオニン及び後続のβ−ガラクトシ
ダーゼの7残基の配列を備えたフレーム内にベクターに結合してハイブリッドタ
ンパク質を生成できる)や、pINベクター(Van Heeke, G.及びS.M. Schuster(1
989)J. Biol. Chem. 264:5503-5509)等が含まれる。またpGEXベクター(Proma
ge、Madison WI)も、グルタチオンS−トランスファーゼ(GST)との融合タンパ
ク質として外来ポリペプチドを発現するために用いることができる。一般に、そ
のような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオンアガロースビーズへ吸着
させた後、フリーのグルタチオンの存在下で溶出させることによって溶解した細
胞から容易に精製できる。そのような系において生成されるタンパク質は、ヘパ
リン、トロンビン或いはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計し、目
的のクローン化ポリペプチドをGST部分から随意に放出させることができるよう にすることができる。
【0086】 酵母菌、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因
子、アルコールオキシダーゼ及びPGHのような構成的或いは誘導的プロモーター を含む多種のベクターを用いることができる。その概要を知るには、Ausubel等 (前出)及びGrant等(1987)Methods Enzymol 153:516-544を参照されたい。
【0087】 植物発現ベクターを用いる場合には、NTPPH−1をコードする配列の発現
は、多数のプロモーターの何れかによって促進され得る。例えばCaMVの35S及び1
9Sプロモーターのようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(Takam
atsu,N.等(1987)EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダー配列と共に用いる ことができる。或いは、RUBISCOの小サブユニット、熱ショックプロモーターの ような植物のプロモーターを用いてもよい(Coruzzi, G.等(1984)EMBO J 3:16
71-1680); Broglie, R.等(1984)Science 224:838-843; 及びWinter, J.等(1
991)Results Probl. Cell Differ. 17:85-105)。これらの作製物は、直接のD
NA形質転換或いは病原体を介したトランスフェクションにより植物細胞内に導
入できる。このような技術は、様々な一般に入手可能な文献に記載されている(
例えばHobbs, S.又はMurry, L.E. McGraw Hill Yearbook of Science and Techn ology (1992)McGraw Hill NY, pp191-196を参照されたい)。
【0088】 昆虫系もNTPPH−1の発現のために用いることができる。例えば、そのよ
うな系の一つでは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞或いはイラクサキ ンウワバ(Trichoplusia)幼虫において外来遺伝子を発現するためのベクターと
して、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を用いる。NTP PH−1をコードする配列は、ポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子のようなウイ
ルスの非必須領域にクローン化して、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置く
ことができる。NTPPH−1コーディング配列の挿入が成功すると、ポリヘド
リン遺伝子が失活し、コートタンパク質膜が欠如した変異体ウイルスが生成され
る。次に、この変異体ウイルスを用いて、ヨトウガ(S.frugiperda)細胞或いは
イラクサキンウワバ(Trichoplusia)幼虫へ感染させ、その中でNTPPH−1
を発現させることができる(Engelhard, E.K.等(1994)Proc. Nat. Acad. Sci.
91:3224-3227)。
【0089】 哺乳動物の宿主細胞では、様々なウイルス性発現系を利用することができる。
発現ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、NTPPH−1をコ
ードする配列は、後期プロモータ及び三連リーダー配列からなるアデノウイルス
転写物/翻訳物複合体内に結合することが可能である。ウイルスのゲノムの非必
須のE1又はE3領域へ挿入することにより、感染した宿主細胞でNTPPH−1を
発現できる生ウイルスが得られる(Logan, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl
. Acad. Sci. 81:3655-3659)。さらに、哺乳類宿主細胞内の発現を増加させる ためにラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーのような転写エンハンサーを用 いることができる。
【0090】 また、ヒト人工染色体(HAC)を用いることにより、プラスミドに含められ
て発現され得るものより大きいDNAの断片を供給することもできる。治療上の
目的で、6〜10MのHACを構築し、従来のデリバリー方法(リポソーム、ポ
リカチオンのアミノポリマー、又は小胞)を利用して供給することができる。
【0091】 また、NTPPH−1をコードする配列の効率的な翻訳のためには、特定の開
始シグナルも必要である。このようなシグナルには、ATG開始コドン及び隣接す る配列が含まれる。NTPPH−1及びその開始コドン及び上流配列が適切な発
現ベクター内に挿入された場合には、別の転写または翻訳の制御シグナルは不要
である。しかしながらコーディング配列又はその一部のみが挿入される場合には
、ATG開始コドンを含む外来の翻訳制御シグナルを与えなければならない。さら に、全インサートの転写が確実に行われるようにするためには、開始コドンは正
しい読み枠に存在しなければならない。外来転写エレメント及び開始コドンは、
自然及び合成両方の様々な起源に由来するものであり得る。例えば文献(Scharf
,D.等(1994)Results Probl. Cell Differ. 20:125-162)に記載されているよ うに、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサーを含めることにより、発現
の効率を高めることができる。
【0092】 さらに宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節したり、発現したタンパク
質を望ましい形にプロセシングする能力ついて選択することができる。このよう
なポリペプチドの修飾には、以下のものに限定はしないが、アセチル化、カルボ
キシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)並びにアシル化が含
まれる。またタンパク質の「プレプロ」部分を切り離す翻訳後プロセシングも、
正しい挿入、折り畳み、及び/又は機能の発揮のために重要である。そのような
翻訳後の作用のための特定の細胞装置及び特徴的な機構を有している種々の宿主
細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、293、WI38)がAmerican Type Culture Collecti
on(ATCC; Bethesda, MD)より入手でき、導入される外来タンパク質の正しい修
飾やプロセシングが確実に行われるように、このなかから選択することができる
【0093】 長期間にわたって組換えタンパク質の高収率の産生を確保するためには安定し
た発現が望ましい。例えば、ウイルスの複製起源及び/または内在性発現エレメ
ント及び選択マーカー遺伝子を同一のベクター上、或いは別のベクター上に含む
発現ベクター群を用いて、NTPPH−1を安定的に発現する株細胞を形質転換
することができる。ベクターの導入の後、細胞を、選択培地に切り替える前に濃
縮培地内で1〜2日間増殖させる。選択マーカーの目的は、選択のための耐性を
与え、その存在に基づいて導入された配列を正しく発現する細胞を増殖、回収で
きるようにすることである。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、そ
の細胞の型に適した組織培養技術を用いて増殖することができる。
【0094】 形質転換された株細胞を回収するために任意の数の選択系を用いることができ
る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ(tk)(Wigler, M.等(1977)Cell 11:223-32)及びアデニンホスホリ
ボシルトランスフェラーゼ(aprt)(Lowy, I.等(1980)Cell 22:817-23)遺伝
子が含まれ、それぞれtk-又はaprt-細胞において用いられる。また代謝拮抗物質
、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎として用いることができる。例え
ばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え(Wigler, M.等(1980)Natl Acad
Sci 77:3567)、nptはアミノ配糖体のネオマイシン及びG-418に対する耐性を与 え(Colberre-Garapin, F.等(1981)J Mol Biol 150:1)、als或いはpatはクロ
ルスルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラ ーゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(Murry, 前
出)。さらに選択に利用できる遺伝子として、例えば細胞がトリプトファンの代
わりにインドールを利用できるようにするtrpB、細胞がヒスチジンの代わりにヒ
スチノール(histinol)を利用できるようにするhisDが文献に記載されている(
Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047-51 )。最近になって、形質転換体を特定するためばかりではなく、特定ベクター系
による一過性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量するために、例えばア
ントシアニン、β−グルクロニダーゼ及びその基質であるGUS、及びルシフェラ ーゼ及びその基質であるルシフェリンのような可視マーカーが広く用いられるよ
うになった(Rhodes, C.A.等(1995)Methods Mol. Biol. 55:121-131)。
【0095】 マーカー遺伝子の発現の存在/不存在によって目的の遺伝子の存在も示唆され
るが、その存在及び発現の確認をする必要があることがある。例えばNTPPH
−1をコードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入された場合は、NTPPH
−1をコードする配列を含む組換え体細胞をマーカー遺伝子の機能を欠いている
ことで確認できる。或いは、マーカー遺伝子をNTPPH−1をコードする配列
と直列に配置して、両者が単一のプロモータの制御下となるようにすることがで
きる。誘導または選択に応じてのマーカー遺伝子の発現は、通常直列に配置され
た配列の発現をも同時に示すことになる。
【0096】 或いは、当業者には周知の様々な方法により、NTPPH−1をコードする核
酸配列を含みNTPPH−1を発現する宿主細胞を識別できる。このような方法
には、以下のものに限定はしないが、DNA-DNA或いはDNA-RNAハイブリダイゼーシ
ョン及び、核酸及びタンパク質を検出及び/又は定量するための膜ベース、溶液
ベース或いはチップベースの技術を含むタンパク質バイオアッセイ或いはイムノ
アッセイが含まれる。
【0097】 NTPPH−1をコードする配列のプローブ、一部分、或いは断片を用いるDN
A-DNA又はDNA-RNAハイブリダイゼーションまたは増幅により、NTPPH−1ポ
リヌクレオチド配列の存在を検出することができる。核酸増幅に基づくアッセイ
では、NTPPH−1をコードするDNA或いはRNAを含む形質転換体を検出
するために、NTPPH−1をコードする配列に基づくオリゴヌクレオチド或い
はオリゴマーを用いる。
【0098】 NTPPH−1の発現を検出、測定するための、このタンパク質に特異的なポ
リクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれかを用いる様々なプロトコル
が当業者には周知である。このようなプロトコルの例には、酵素結合免疫検定法
(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法(FACS)
が含まれる。NTPPH−1ポリペプチド上で2種の非干渉なエピトープに対し
て反応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベースイムノア
ッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好適であるが、競合的結
合アッセイも用いられる。これらアッセイの並びに他のアッセイは、他の文献、
Hampton, R.等(1990; Serological Methods, a Laboratory Manual, APS Press
, St. Paul MN)及びMaddox, D.E.等(1983, J. Exp. Med. 158:1211-1216)に 記載されている。
【0099】 さらに様々な標識・結合技術が当業者には周知であり、種々の核酸及びアミノ
酸のアッセイにおいて用いることができる。近縁な配列を検出するための、標識
されたハイブリダイゼーションプローブやPCRプローブを作成するための手段
には、オリゴ標識、ニックトランスレーション法、末端標識、或いは標識したヌ
クレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。或いは、NTPPH−1コーディン
グ配列またはその任意の部分を、mRNAプローブの作製のためのベクターにク
ローン化する。そのようなベクターは当分野では周知で、市販されており、これ
を用いて、例えばT7、T3、或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼ及び標 識されたヌクレオチドを加えることによってin vitroでRNAプローブを合成す
ることができる。これらの方法は、種々の市販のキット(Pharmacia Upjohn(Ka
lamazoo, MI);Promega(Madison WI);及びU.S. Biochemical Corp.(Clevel
and OH))を用いて実施することができる。適切なリポーター分子、すなわち標
識には、放射性核種、酵素、フルオレセント(蛍光剤)、化学発光剤或いは色素
剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子等が含まれる。
【0100】 NTPPH−1をコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、
このタンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件の下で
培養することができる。組換え体細胞により生成されるタンパク質は、用いられ
る配列及び/またはベクターに応じて、分泌されるか、または細胞内に含められ
る。当業者には理解されるように、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチ
ドを含む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通してのNTPPH−
1分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計することができる。また他の作
製物を用いて、NTPPH−1をコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を
容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合すること
ができる。そのような精製を容易にするドメインには、限定するものではないが
、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジントリプトファンモジュールのよ
うな金属キレートペプチド、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロ
テインAドメイン、並びにFLAGS延長/アフィニティ精製システムにおいて用い られるドメイン(Immunex Corp., Seattle WA)が含まれる。精製ドメインとN TPPH−1の間に、例えばXa因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen, Sa
n Diego CA)に対して特異的な配列のような切断可能なリンカー配列を含めて、
精製を促進することができる。NTPPH−1をコードする配列とともに、6個
のヒスチジン残基、それに続くチオレドキシン及びエンテロキナーゼ切断部位を
コードする核酸配列を含むこのような発現ベクターの1つは、融合タンパク質を
発現する。ヒスチジン残基がIMIAC(Porath, J等(1992; Protein Exp. Purif.
3:263-281)に記載のような固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー )での精製を促進するとともに、エンテロキナーゼ切断部位が融合タンパク質か
らNTPPH−1を精製するための手段となる。融合タンパク質を含むベクター
についての解説は、Kroll, D.J.等(1993; DNA Cell Biol. 12:441-453)に記載
されている。
【0101】 組換え体の産生に加えて、NTPPH−1の断片を、固相技術を用いた直接的
なペプチド合成で作り出すこともできる(Merrifield J. (1963) J. Am. Chem.
Soc. 85:2149-2154参照)。タンパク質合成は手作業で行えるが、自動化するこ ともできる。自動的な合成は、例えば、Applied Biosystem 431Aペプチドシンセ
サイザ(Perkin Elmer)を用いて行うことができる。NTPPH−1の種々の断
片を個別に化学的に合成し、化学的方法を用いて結合して完全長分子を作り出す
ことも可能である。
【0102】 治療 NTPPH−1と、3種のNCBI EST(GI 1515673、GI 1131415、及びG
I 2015160)、及びCaenorhabditis elegansタンパク質T21B6.3(GI 1070
094;SEQ ID NO:4)の間に化学的及び構造的相同性が存在する。NT PPH−1をコードする転写物は、軟骨、関節及び骨格筋、子宮、乳房、脳、腸
、及び腫瘍のライブラリーにおいて発現された。また、電子的ノーザン解析の結
果(図5)から、消化管系の組織(17%)、生殖系の組織(13%)、心血管
系の組織(13%)、及び滑膜組織(6%)におけるNTPPH−1の発現が分
かった。従って、NTPPH−1は、関節症、免疫疾患、及び癌において一定の
役割を果たしていると考えられる。
【0103】 従って、或る実施例では、関節症の予防または治療のためにNTPPH−1の
アンタゴニストを患者に投与し得る。関節症としては、以下に限定するものでは
ないが、ベーチェット症候群、シャルコー変形性関節症、CPPD病、糖尿病性
神経障害性関節症、変形性関節疾患、繊維筋痛、ヘモクロマトーシス、血友病性
関節症、ジャコー型関節症、エリテマトーデス、混合型結合組織病、マックル−
ウェルズ症候群、変形性関節症、進行性全身性硬化症、偽痛風、乾癬、ライター
症候群、リウマチ性関節炎、シェーグレン症候群、脊椎関節症、及び潰瘍性大腸
炎が挙げられる。或る実施態様では、NTPPH−1に特異的に結合する抗体を
、アンタゴニストとして直接的に用いたり、或いはNTPPH−1を発現する細
胞または組織に薬物を送達するためのターゲティングまたはデリバリー機構とし
て間接的に用いることができる。
【0104】 別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む関節症の
治療または予防のために、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチドの相補
配列を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0105】 別の実施例では、免疫疾患の予防または治療のために、NTPPH−1のアン
タゴニストを患者に投与し得る。免疫疾患としては、以下に限定するものではな
いが、AIDS、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、貧血症、喘息
、アテローム性動脈硬化症、気管支炎、胆嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、ア
トピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、結節性紅斑、萎縮性胃炎、腎炎、
痛風、グレーブス病、過好酸球増加症、過敏性腸症候群、多発性硬化症、重症筋
無力症、心筋炎または心膜炎、骨粗鬆症、膵炎、多発筋炎、強皮症、及び自己免
疫性甲状腺炎;癌、血液透析、体外循環の合併症;ウイルス感染、細菌感染、真
菌感染、寄生虫感染、原虫感染、及び蠕虫感染;及び外傷が挙げられる。このよ
うな疾患は、サイトカインの産生、及び白血球、マクロファージ及び他の組織損
傷を生じ得る細胞の増殖によって特性化され得る。或る実施態様では、NTPP
H−1に特異的に結合する抗体を、アンタゴニストとして直接的に用いたり、或
いはNTPPH−1を発現する細胞または組織に薬物を送達するためのターゲテ
ィングまたはデリバリー機構として間接的に用いることができる。
【0106】 別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む免疫疾患
の治療または予防のために、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチドの相
補配列を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0107】 別の実施例では、癌の予防または治療のために、NTPPH−1のアンタゴニ
ストを患者に投与し得る。癌としては、腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄
腫、肉腫、奇形癌腫、具体的には、副腎、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、子
宮頚、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲
状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌
が挙げられる。或る態様では、NTPPH−1に特異的に結合する抗体を、アン
タゴニストとして直接的に用いたり、或いはNTPPH−1を発現する細胞また
は組織に薬物を送達するためのターゲティングまたはデリバリー機構として間接
的に用いることができる。
【0108】 別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の治療
または予防のために、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチドの相補配列
を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0109】 他の実施例では、本発明の治療用タンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補的配列、又はベクターの何れかを、他の適切な治療薬と組み合わせて
投与し得る。当業者であれば、併用療法で使用するための適切な薬剤を、従来の
医薬上の原理に基づいて選択することができよう。治療薬を組み合わせることに
より、上述の種々の疾患の治療又は予防に効果のある相乗作用を与え得る。この
方法を用いることにより、低い用量の各薬剤で同じ治療効果を上げることができ
、従って副作用の可能性を低下させることができる。
【0110】 NTPPH−1のアンタゴニストは、当分野において周知の方法を用いて製造
することができる。詳述すると、精製されたNTPPH−1を用いて、抗体を製
造したり、或いはNTPPH−1に特異的に結合するものを同定するべく治療薬
のライブラリーをスクリーニングすることができる。
【0111】 NTPPH−1に対する抗体は、従来の方法を用いて製造することができる。
このような抗体には、限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクロ
ーナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ラ
イブラリーから作られたフラグメントが含まれる。中和抗体(即ち二量体形成を
阻害するもの)は治療の用途に特に好適である。
【0112】 抗体を作り出すため、NTPPH−1か、免疫学的特性を有するその任意の一
部分、断片或いはオリゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラッ
ト、マウス等を含む種々の宿主を免疫化することができる。免疫学的反応を増強
するために、ホストの種に応じた種々のアジュバントを用いることができる。そ
のようなアジュバントには、限定するものではないが、フロイントのアジュバン
ト、水酸化アルミニウムのような無機質ゲルアジュバント、リゾレシチンのよう
な界面活性剤アジュバント、プルロニックポリオール(pluronic polyol)アジ ュバント、ポリアニオンアジュバント、ペプチドアジュバント、油性乳剤アジュ
バント、キーホールリンペットヘモシニアンアジュバント並びにジニトロフェノ
ールアジュバントが含まれる。ヒトで使用するアジュバントのなかでは、BCG
(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリネバクテリウム−パルヴム(Corynebacter
ium parvum)が特に好適である。
【0113】 NTPPH−1に対する特異的抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチ
ド、ペプチド、またはその断片は、好ましくは5個以上のアミノ酸、より好まし
くは10個以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。またこれらの配列は
、自然タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の
全アミノ酸配列を含んでいるのが好ましい。NTPPH−1アミノ酸の短いスト
レッチを、キーホールリンペットヘモシアニンや、キメラ分子に対して産生され
た抗体のような他のタンパク質の配列に結合してもよい。
【0114】 NTPPH−1のモノクローナル抗体は、培地内の無制限増殖性細胞系(cont
inuous cell line)に抗体分子を産生させる技術を用いて作製できる。このよう
な技術には、限定するものではないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブ
リドーマ技術、及びEBV−ハイブリドーマ技術(Kohler, G.他(1975) Nature
256:495-497;Kozbor, D.他(1983) Immunol Methods 81 :31-42;Cote, R.J.等(
1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030;Cole, S.P.他(1984) Mol. Cell
Biol. 62:109-120)が含まれる。
【0115】 さらに、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための「キメラ
抗体」の産生のために開発された技術、即ちヒト抗体遺伝子へのマウス抗体遺伝
子の結合のために開発された技術が用いられる(Morrison,S.L.等(1984)Proc.
Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855;Neuberger, M.S.等(1984)Nature 312:604-
608;Takeda, S.等(1985)Nature 314:452-454)。或いは、一本鎖抗体の生成 のための周知技術を適用して、NTPPH−1に特異的な一本鎖抗体を作り出す
ことができる。関連する特異性を有するがイディオタイプの構成が異なる抗体は
、無作為の免疫グロブリン組み合わせライブラリーからの鎖再編成(chain shuf
fling)によって作り出すことができる(Burton D.R.(1991) Proc. Natl. Acad.
Sci. 88:11120-3)。
【0116】 また抗体は、文献(Orlandi, R.等(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. 86:3833-
3837;Winter, G.等1991, Nature 349:293-299)に開示されているように高度に
特異的な結合試薬のパネルや組換え免疫グロブリンライブラリーをスクリーニン
グすることによって、或いはリンパ球集団でのin vivo産生を誘導することによ って作り出すこともできる。
【0117】 NTPPH−1に対する特異結合部位を含む抗体断片も作り出すことができる
。このような断片には例えば、限定はしないが、抗体分子のペプシンによる消化
で生成することができるF(ab′)2フラグメントや、F(ab′)2フラグメ
ントのジスルフィド架橋を減らすことにより作り出すことができるFabフラグ
メントが含まれる。或いは、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグ
メントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリーを作製して
もよい(Huse, W.D.等(1989)Science 256:1275-1281)。
【0118】 様々なイムノアッセイを、所望の特異性を有する抗体を同定するためのスクリ
ーニングに利用することができる。確立された特異性を有するモノクローナル抗
体或いはポリクローナル抗体のいずれかを用いる競合的結合アッセイ或いはラジ
オイムノアッセイの様々なプロトコルが当分野で周知である。このようなイムノ
アッセイでは、NTPPH−1とその特異的抗体との複合体の形成量の測定が行
われる。特定のNTPPH−1タンパク質上の2つの互いに非干渉なエピトープ
に対して反応するモノクローナル抗体を用いる二部位モノクローナル抗体ベース
イムノアッセイ(two sites monoclonal based immunoassay)が好適であるが、
競合的結合アッセイも用いられる(Maddox , 前出)。
【0119】 本発明の別の実施例では、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチド、ま
たはその任意の断片や相補配列を、治療上の目的で用いることができる。或る実
施態様では、mRNAの転写を阻害することが望ましいような状況において、N
TPPH−1をコードするポリヌクレオチドに対する相補配列を用いることがで
きる。詳述すると、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチドに相補的な配
列で細胞を形質転換することができる。従って、相補的分子または断片を用いて
、NTPPH−1の活性を変調したり、遺伝子の機能を調節することができる。
このような技術は現在周知となっており、センス又はアンチセンスオリゴヌクレ
オチド、若しくはより大きな断片を、NTPPH−1コーディング配列のコード
領域や調節領域の様々な位置から設計することができる。
【0120】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルス由来の
発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターが、標的
の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いられる。
NTPPH−1をコードする遺伝子のポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を発
現するベクターは、当業者に周知の方法を用いて作製することができる。これら
の技術はSambrook他(前出)及びAusubel他(前出)の両方に記載されている。
【0121】 NTPPH−1をコードするポリヌクレオチドまたはその断片を高レベルで発
現する発現ベクターで細胞または組織を形質転換することにより、NTPPH−
1をコードする遺伝子の機能を停止させることができる。このような作製物を用
いて、翻訳不可能なセンス配列或いはアンチセンス配列を細胞に導入することが
できる。このようなベクターは、DNAへ組み入れられない場合でも、そのベク
ターが内在性ヌクレアーゼにより機能停止状態となるまでRNA分子の転写を続
ける。このような一過性の発現は、非複製ベクターでも1ヶ月以上、適当な複製
エレメントがベクター系の一部である場合には更に長い期間継続し得る。
【0122】 上述のように、NTPPH−1をコードする遺伝子の制御5′領域、つまり調
節領域(シグナル配列、プロモーター、エンハンサー、及びイントロン)に対す
る相補配列、即ちアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計する
ことにより遺伝子発現を変化させることができる。転写開始部位、例えばリーダ
ー配列の+10〜−10の間の領域に由来するオリゴヌクレオチドが好適である
。同様に、「三重らせん」塩基対合法を用いて阻害を達成することができる。三
重らせん対合が有用なのは、ポリメラーゼ、転写因子、或いは調節分子の結合の
ために二重らせんが十分にほどける能力をそれが阻害するからである。三重らせ
んDNAを用いた最近の治療上の進歩については、文献(Gee, J.E.等(1994)In:
Huber, B.E.及びB.I. Carr, Molecular and Immunologic Approaches, Futura
Publishing Co, Mt Kisco NY)に記載されている。また、転写物のリボソームへ
の結合を防止することによってmRNAの転写を阻害するために、相補配列、即
ちアンチセンス分子を設計することもできる。
【0123】 リボザイムはRNAの特異的切断を触媒することができる酵素性RNA分子で
ある。リボザイムの作用機構では、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列
特異的ハイブリダイゼーションがなされ、その後エンドヌクレアーゼによる切断
(endonucleolytic cleavage)がなされる。使用可能なリボザイムの例には、N
TPPH−1をコードする配列のエンドヌクレアーゼによる切断を特異的かつ効
果的に触媒し得る人工合成のハンマーヘッド型リボザイム分子も含まれている。
【0124】 標的となり得るRNA内の特異的なリボザイム切断部位を、初めに、以下の配
列、GUA、GUU並びにGUCを含むリボザイム切断部位に対する標的分子を調べるこ とによって同定する。ひとたび同定されたならば、切断部位を含む標的遺伝子の
領域に対応する15〜20個のリボヌクレオチドからなる短いRNA配列を、そ
のオリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴について評価すること
が可能となる。候補の標的部分の適切性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイ(ri
bonuclease protection assay)を用いて相補的なオリゴヌクレオチドとのハイ ブリダイゼーションについての接触性(accessibility)を測定することにより 評価することができる。
【0125】 本発明の相補的リボ核酸分子及びリボザイムは、RNA分子を合成するのため
の当分野で周知の方法により作製することができる。これらの技術には、固相ホ
スホラミダイト(phosphoramidite)化学合成法のようなオリゴヌクレオチドの 化学合成技術が含まれる。或いは、RNA分子を、NTPPH−1をコードする
DNA配列のin vivo及びin vitroでの転写により作り出すことができる。この ようなDNA配列は、T7或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼプロ
モーターを有する様々なベクターに組み込むことができる。或いは、構成的に或
いは誘導的にアンチセンスRNAを合成するcDNA作製物を、細胞系、細胞或
いは組織内に導入することができる。
【0126】 RNA分子はその細胞内での安定性を高めたり、半減期を長くするために修飾
することができる。可能な修飾には、限定するものではないが、その分子の5′
末端か3′末端、或いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバック
ボーンにおいてホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phosph
orothioate)或いは2′O−メチルを使用することによる修飾がある。この方式
(concept)は、PNA製造固有のものであり、内在性エンドヌクレアーゼによ り容易に認識されないアデニン、グアニン、シチジン、チミン、及びウリジンの
、アセチル−、メチル−、チオ−形態、及び類似の修飾形態とともに、イノシン
、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(Wybutosine)のような従来あ
まり用いられなかった塩基を含めることによって、これら分子全てにに拡張する
ことができる。
【0127】 細胞或いは組織内にベクターを導入するための多くの方法が利用可能であり、
そのような多くの方法が、in vivoin vitro、及びex vivoでの使用についても
同様に適している。ex vivo治療法の場合には、患者から採取された幹細胞にベ クターを導入し、自家移植用のクローンとして増殖して同じ患者に戻す方法があ
る。またトランスフェクションによるデリバリー、リポソーム注入またはポリカ
チオンアミノポリマーによるデリバリー(Goldman, C.K.等(1997) Nature Biote
chnology 15:462-66; ここで引用することにより本明細書の一部とする)は、当
分野でよく知られた方法を用いて実施することができる。
【0128】 上述の治療法の何れも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び
最も好ましくはヒトのような哺乳動物を含む、任意の適切な被験体に適用するこ
とができる。
【0129】 本発明の更に別の実施例では、上述のいずれかの治療効果をあげるために、医
薬品組成物を医薬上許容される担体とともに投与する。このような医薬品組成物
は、NTPPH−1、NTPPH−1に対する抗体、NTPPH−1の模擬体(
mimetics)、アゴニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターからなるものであ
り得る。この医薬品組成物は、単体で、或いは例えば安定剤のような1種以上の
他の薬剤とともに、任意の滅菌した生体適合性の医薬用担体に含めて投与される
。このような担体としては、限定はしないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ
糖或いは水等が挙げられる。このような組成物は、単体で、或いは他の薬剤やホ
ルモンと結合した形で患者に投与することができる。
【0130】 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路としては、以下に限定するもので
はないが、経口投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、髄内投与、くも膜下
内投与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与
、局所投与、舌下投与、或いは直腸内投与等が挙げられる。
【0131】 これらの医薬品組成物は、活性成分に加えて、活性化合物を医薬上使用可能な
製剤にするための処理を容易にする賦形剤及び補助剤のような適切な医薬上許容
される担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、“Remington's
Pharmaceutical Sciences”(Maack Publishing Co, Easton PA)の最新版にお いて見ることができる。
【0132】 経口投与用の医薬品組成物は、当分野で周知の医薬上に許容される担体を用い
て適切な剤形に製剤することができる。このような担体により、この医薬品組成
物を、患者が摂取するための、錠剤、丸剤、カプセル剤、液体剤、ゲル剤、シロ
ップ剤、スラリー剤、懸濁液等として製剤することができる。
【0133】 経口投与するための製剤は、活性化合物と固形の賦形剤とを結合することによ
って作製できるが、所望に応じて、必要なら適切な補助剤を添加した後、得られ
た混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して錠剤或いは糖衣剤コアを作ることが
できる。適切な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール或いはソルビ
トールを含む砂糖のような糖質或いはタンパク質充填剤、とうもろこし、小麦、
米、じゃがいも等からのでんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース或いはカルボキシルメチルセルロースナトリウムのようなセルロー
ス、アラビアゴム或いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラチン或いはコラ
ーゲンのようなタンパク質である。必要ならば、架橋結合したポリビニルピロリ
ドン、寒天、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸或いはアルギン酸ナトリ
ウムや、その塩のような、崩壊剤或いは可溶化剤が加えられる。
【0134】 糖衣剤コア(dragee core)には、濃縮砂糖溶液のような適切な錠皮を与えら れるが、このような溶液としては、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリド
ン、カルボポルゲル剤、ポリエチレングリコール並びにまた二酸化チタン、ラッ
カー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混合物等が挙げられる。錠剤の識別のた
め、すなわち活性化合物の量、すなわち投与量を特徴付けるために染料或いは色
素を錠剤或いは糖衣錠皮に加えてもよい。
【0135】 経口投与可能な製剤としては、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル及
びゼラチンからなる柔らかい密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソ
ルビトールのような錠皮が挙げられる。プッシュフィットカプセルには、ラクト
ース或いはでんぷんのような充填剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マ
グネシウムのような潤滑剤、並びに付加的には安定剤と混合された活性処方組成
物が含まれる。柔らかいカプセルでは、活性化合物は、安定剤とともに或いは安
定剤なしで、脂肪油、液体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適
切な液体に溶解或いは懸濁される。
【0136】 非経口投与用の製剤は、水溶性の活性化合物の水溶液を含む。注射用として、
本発明の薬品組成物を水溶液、好適にはハンクの溶液、リンゲル溶液或いは生理
緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液に入れて製剤することができる。
水性の注入懸濁剤には、 カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビト ール或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質を含めることができ
る。更に、活性成分の懸濁液は、適切な油性注入懸濁剤として調製される。適切
な親油性の溶媒或いは媒介物としては、胡麻油のような脂肪油や、オレイン酸エ
チル、トリグリセリド或いはリポソームのような合成脂肪酸エステルがある。ま
た懸濁剤は、所望に応じて、溶解度を増加し濃縮度の高い溶液の調製を可能にす
る適切な安定剤或いは薬剤を含めることができる。
【0137】 局所的投与または経鼻粘膜投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な
浸透剤を用いて製剤する。このような浸透剤は、当技術分野において周知である
【0138】 本発明の医薬品組成物は周知の方法、例えば従来通りの混合処理、溶解処理、
顆粒化処理、糖衣形成処理、研和処理、乳化処理、封入処理(entrapping)、或
いは凍結乾燥処理により製造される。
【0139】 この医薬品組成物は塩類として提供されることもあり、限定はしないが塩酸、
硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む種々の酸とともに形成
することができる。塩は、水性或いはプロトニック溶剤において、対応する遊離
塩基形態より可溶性が高くなる傾向がある。他の場合では、好適な製剤は、1m
M〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、及び2%〜7%のマンニ
トールの全てまたは何れかを含む、pH4.5〜5.5の範囲にある、使用前に
緩衝剤と結合させた凍結乾燥粉末である。
【0140】 医薬上に許容される担体内に製剤された本発明の化合物を含む組成物は、調製
された後、適切な容器内に入れて、さらに提示した疾病状態の治療のためにラベ
ル付けすることができる。NTPPH−1の投与の場合、このようなラベルには
、投与の量、頻度、方法が表示される。
【0141】 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、活性成分を所望の目的
を達成するための有効量含む組成物である。有効量の決定は、当業者の能力の範
囲内で十分行うことができる。
【0142】 任意の化合物について、治療上有効な量は、初めに、新生物細胞、或いは通常
マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセイ
から推定する。次に、このような情報を利用して、ヒトにおける有効な量や投与
経路を決定することができる。
【0143】 治療上有効な量とは、症状や状態を改善する有効成分、例えばNTPPH−1
またはその断片、NTPPH−1の抗体、NTPPH−1のアゴニスト、アンタ
ゴニスト、またはインヒビターの量である。そのような化合物の毒性及び治療上
の有効性は、例えば細胞培地或いは実験動物においてLD50(個体群の50%
の致死投与量)及びED50(個体群の50%における治療上の有効量、50%
有効量)を決定するための標準的な薬学的手順により決定することができる。毒
性と治療有効性との間の投与量の比は治療指数であり、LD50/ED50の比
として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい。これ
らの細胞培地のアッセイ及び付加的な動物研究から得られるデータは、ヒトへの
使用に対する投与量の範囲を決める際に用いることができる。そのような化合物
の投与量は、毒性がほとんど或いは全くなく、ED50を達成する循環濃度の範
囲内にあることが望ましい。投与量は、用いられる剤形、患者の感受性並びに投
与経路に応じてこの範囲内で変わる。
【0144】 正確な投与量は、治療が必要な患者に関連する要因群を考慮して担当医師が選
択する。投与量及び投薬量は、十分なレベルの活性成分を与え、かつ所定の効果
を維持するために調節される。考慮すべき付加的な要因は、疾患状態の重症度、
または患者の年齢、体重並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用する薬剤
、反応感受性、並びに治療への耐性/反応を含む。長期的に作用する薬品組成物
は3〜4日毎に、1週間毎に、或いは半減期及び特定の処方のクリアランス速度
に応じて2週間に1度投与してもよい。
【0145】 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大約1gであり
、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いは送達の方法に関する手引
きは、当分野の実施者が通常入手できる文献において見出すことができる。当業
者であれば、ヌクレオチドに対しては、タンパク質やインヒビター用の剤形とは
異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド
の送達方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まってくる。
【0146】 診断 別の実施例では、NTPPH−1に特異的に結合する抗体を、NTPPH−1
の発現によって特性化される状態や疾病の診断や、NTPPH−1で治療を受け
ている患者のモニタリングのためのアッセイにおいて用いることができる。診断
のために有用な抗体は、上述の治療用のものと同一の方法で作製することができ
る。NTPPH−1の診断検査法には、ヒトの体液、細胞或いは組織の抽出物に
おいてNTPPH−1を検出するために抗体或いは標識を利用する方法が含まれ
る。本発明のポリペプチド及び抗体は、修飾しても、修飾なしでも用いることが
でき、共有結合、或いは非共有結合かのいずれかでリポーター分子と結合させる
ことにより標識することができる。種々のリポーター分子が周知となっており、
その幾つかについては上記した。
【0147】 例えばELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)並びにFA
CS(蛍光表示式細胞分取器法)を含む、NTPPH−1を測定するための種々の
プロトコルが当分野では周知であり、これによってNTPPH−1発現の変化や
異常を診断するための基礎が得られる。NTPPH−1の発現の正常値、つまり
標準値は、哺乳動物、好ましくはヒトの正常な被験者から得られる体液或いは細
胞抽出物とNTPPH−1に対する抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結
合させることによって得ることができる。標準の複合体形成量は、種々の方法、
好ましくは測光手段を用いることにより定量することができる。被験者の、生検
組織の患部組織サンプル及び対照サンプルにおいて発現されたNTPPH−1の
量を、標準値と比較する。標準値と被験者の値との偏差から、疾病の診断のため
のパラメータが確立される。
【0148】 本発明の別の実施例では、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチドを、
診断目的で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドには、オリゴヌク
レオチド配列、相補的RNA及びDNA分子、及びペプチド核酸(PNA)が含
まれる。このポリヌクレオチドは、NTPPH−1の発現が疾病と関係がある可
能性がある生検組織における遺伝子発現を検出し、定量するために用いられる。
診断アッセイは、NTPPH−1が存在する状態か、存在しない状態か、過剰発
現している状態の何れの状態にあるかを区別したり、治療上の介入の際にNTP
PH−1レベルの調節をモニタリングするのに役立つ。
【0149】 或る実施態様では、NTPPH−1または近縁な分子をコードする、ゲノム配
列を含むポリヌクレオチド配列を検出できるPCRプローブとのハイブリダイゼ
ーションを利用して、NTPPH−1をコードする核酸配列を同定することがで
きる。そのプローブの特異性、即ちそのプローブが非常に高度に特異的な領域(
例えば5′調節領域における10個の独特のヌクレオチド)、或いは特異性の度
合いの低い領域(例えば特に3′領域におけるコーディング領域)の何れに由来
するのかということによって、及びハイブリダイゼーション或いは増幅の(高い
、中程度の或いは低い)厳密性によって、そのプローブが自然発生NTPPH−
1のみを同定するものであるか、或いはアレル配列や近縁な配列も同定するもの
であるかということが決まってくる。
【0150】 プローブは、近縁な配列を検出するためにも用いることができ、好ましくは、
NTPPH−1をコードする任意の配列から得られるヌクレオチドを少なくとも
50%含むべきである。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、SEQ ID NO:2のヌクレオチド配列か、自然発生NTPPH−1のイントロン、 プロモータ、及びエンハンサーエレメントを含むゲノムの配列に由来するもので
あり得る。
【0151】 NTPPH−1をコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーション
プローブを作製するための手段には、NTPPH−1やNTPPH−1誘導体を
コードする核酸配列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化す
る方法がある。このようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリ
メラーゼや適切な標識ヌクレオチドを付加することにより、in vitroでのRNA
プローブ合成のために用いることができる。ハイブリダイゼーションプローブは
種々のリポータ分子により標識することができ、この標識には、32Pや35Sのよ
うな放射性核種や、アビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合するアル
カリホスファターゼのような酵素標識等が含まれる。
【0152】 NTPPH−1をコードするポリヌクレオチド配列を、NTPPH−1の発現
に関連する状態または疾患の診断のために用いることができる。そのような状態
または疾患の例としては、(1)以下に限定するものではないが、ベーチェット
症候群、シャルコー変形性関節症、CPPD病、糖尿病性神経障害性関節症、変
形性関節疾患、繊維筋痛、ヘモクロマトーシス、血友病性関節症、ジャコー型関
節症、エリテマトーデス、混合型結合組織病、マックル−ウェルズ症候群、変形
性関節症、進行性全身性硬化症、偽痛風、乾癬、ライター症候群、リウマチ性関
節炎、シェーグレン症候群、脊椎関節症、及び潰瘍性大腸炎を含む関節症、(2
)以下に限定するものではないが、AIDS、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群
、アレルギー、貧血症、喘息、アテローム性動脈硬化症、気管支炎、胆嚢炎、ク
ローン病、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、結節
性紅斑、萎縮性胃炎、腎炎、痛風、グレーブス病、過好酸球増加症、過敏性腸症
候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎または心膜炎、骨粗鬆症、膵炎、多
発筋炎、強皮症、及び自己免疫性甲状腺炎;癌、血液透析、体外循環の合併症;
ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、原虫感染、及び蠕虫感染;及
び外傷を含む免疫疾患、及び(3)以下に限定するものではないが、腺癌、白血
病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫、具体的には、副腎、副腎、膀
胱、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頚、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、
肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、
胸腺、甲状腺、及び子宮の癌を含む癌が挙げられる。
【0153】 患者の生検組織や体液を利用するサザンブロット法或いはノーザンブロット法
、ドットブロット法或いは他の膜をベースにした技術や、PCR技術、ディップ
スティック試験法(試験紙法)、ピン或いはチップ技術及びELISAアッセイまた はマイクロアレイにおいて、NTPPH−1をコードするポリヌクレオチド配列
を用いることによって、NTPPH−1発現の変化を検出することができる。こ
のような定性的或いは定量的試験法は当分野では周知である。
【0154】 特定の実施態様では、種々の癌、特に上に列挙した癌の活性化、つまり誘発を
検出するアッセイにおいてNTPPH−1をコードするヌクレオチド配列を用い
ることができる。NTPPH−1をコードするヌクレオチド配列を標準的な方法
で標識し、ハイブリダイゼーション複合体の形成に適した条件の下で患者の体液
や組織サンプルに加え得る。適当なインキュベーション時間の経過後、このサン
プルを洗浄しシグナルを定量して、標準値と比較する。生検サンプルまたは抽出
サンプルにおけるシグナルの量が、比較できる対照サンプルのシグナル量と有意
に異なっている場合、このヌクレオチド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハ
イブリダイズしており、サンプルのなかのNTPPH−1をコードするヌクレオ
チド配列のレベルの変化が存在することは、関連する疾患の存在を示している。
このようなアッセイは、動物実験、臨床試験、または個々の患者の治療のモニタ
リングにおける特定の治療上の処置の有効性を評価するために用いることもでき
る。
【0155】 NTPPH−1の発現に関連する疾病の診断の基礎とするために、正常な、つ
まり標準の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或いは
ヒト何れかの正常な被験者から採取された体液或いは細胞の抽出物を、ハイブリ
ダイゼーション或いは増幅に適した条件下でNTPPH−1をコードする配列又
はその断片と結合することにより確立する。標準のハイブリッド形成量は、既知
の量の実質的に精製されたNTPPH−1が用いられる実験で得られる値と、正
常被験者で得られる値とを比較することにより定量することができる。正常なサ
ンプルから得られた標準値は、疾病の症状を呈する患者のサンプルから得られる
値と比較することができる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病の存在を確
認する。
【0156】 ひとたび疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、このようなアッセ
イを定期的に反復して行い、患者における発現のレベルが正常な患者において観
察されるレベルに近づき始めたか否かを評価することができる。継続的なアッセ
イから得られる結果を用いて、数日間或いは数ヶ月にわたる期間での治療の効果
を知ることができる。
【0157】 癌については、患者の生検組織において転写物が比較的多量に存在することが
、疾病の発生の素因を示し、つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出す
る手段となり得る。このタイプのより確定的な診断により、医療従事者が予防的
処置を講じたり、より早期に積極的な治療を開始し、癌の発生や更なる進行を予
防することが可能となる。
【0158】 NTPPH−1をコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドの別の診
断目的の使用法では、PCR法を利用することがある。このようなオリゴマーは
化学的に合成したり、酵素を用いて作製したり、或いはin vitroで作製してもよ
い。オリゴマーは、特定の遺伝子或いは状態を識別するために最適な条件下で用
いられる2種のヌクレオチド配列、即ちセンス方向(5′→3′)のヌクレオチ
ド及びアンチセンス方向(3′←5′)のヌクレオチドからなるのが好ましい。
同一の2種のオリゴマーや入れ子オリゴマーの組、或いはオリゴマーの縮重プー
ルでも、近縁なDNAまたはRNA配列の検出及び/または定量のため低めの厳
密性条件の下で用いることができる。
【0159】 さらにNTPPH−1発現の定量のために用いることができる方法には、放射
標識(radiolabeling)或いはビオチン標識したヌクレオチドの利用、対照の核 酸の同時増幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた 標準のグラフ曲線の利用も含まれる(Melby, P.C.等(1993) J. Immunol. Method
s, 159:235-44;Duplaa, C.等(1993) Anal. Biochem. 229-236)。多数のサンプ
ルの定量は、目的のオリゴマーが様々な希釈溶液中に存在し、分光光度計を用い
たり比色定量により迅速に定量することができるELISA形式でアッセイを行うこ とによって一層迅速に実施することができる。
【0160】 別の実施例では、ここに開示する任意のポリヌクレオチド配列に由来するオリ
ゴヌクレオチドを、マイクロアレイにおける標的として用いることができる。マ
イクロアレイを用いることにより、多くの遺伝子の発現レベルを同時にモニタし
(転写物イメージを生成する)、また遺伝子の変異体、変異及び多型を同定する
ことができる。この情報は、遺伝子の機能の決定や、疾病の遺伝的な基礎の理解
、疾病の診断、及び治療薬の開発やその活性のモニタリングにおいて役立つ(He
ller, R. 等. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-55)。
【0161】 或る実施例では、PCT出願WO95/11995(Chee 等.)、Lockhart, D. J. 等. (1
996; Nat.Biotech. 14: 1675-1680)及びSchena, M. 等. (1996; Proc. Natl.
Acad. Sci. 93: 10614-10619)に記載の方法によりマイクロアレイを準備し、利
用する。上記の文献はここに引用することにより本明細書の一部とする。
【0162】 マイクロアレイは、好ましくは、固体支持体に固定された、通常は合成アンチ
センスオリゴヌクレオチドかcDNAの断片の何れかである、数多くの独特の一
本鎖の核酸配列から構成される。このオリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは
6〜60個のヌクレオチドからなる長さ、より好ましくは15〜30個のヌクレ
オチドからなる長さ、最も好ましくは20〜25個のヌクレオチドからなる長さ
である。マイクロアレイの或るタイプでは、7〜10ヌクレオチドの長さしかな
いオリゴヌクレオチドを用いるのが好ましいことがある。マイクロアレイは、既
知の5’又は3’配列をカバーするオリゴヌクレオチド、完全長配列をカバーす
る連続的なオリゴヌクレオチド、又は配列の長さ方向に沿った特定の領域から選
択された独特のオリゴヌクレオチドを含み得る。マイクロアレイにおいて用いら
れるポリヌクレオチドは、少なくとも配列の断片が既知である標的の遺伝子又は
遺伝子群に特異的なオリゴヌクレオチド、或いは特定の細胞の型、発達又は疾病
の状態について共通な1種又は2種以上の未同定cDNAに特異的なオリゴヌク
レオチドであり得る。
【0163】 マイクロアレイで用いる既知の配列に対するオリゴヌクレオチドを作製するた
めに、ヌクレオチド配列の5’またはより好ましくは3’末端から、コンピュー
タアルゴリズムを用いて目的の遺伝子を調べる。このアルゴリズムでは、その遺
伝子に独特でハイブリダイゼーションに適した範囲内のGC含量を有し、ハイブ
リダイゼーションを妨げる可能性のある推定上の二次構造の無い、決まった長さ
のオリゴマーを同定する。或る場合には、マイクロアレイ上でオリゴヌクレオチ
ドのペア(対)を用いるのが適切なことがある。この複数「ペア」は、好ましく
は配列の中央部に位置する一個のヌクレオチドを除いて同一のものである。(一
個のヌクレオチドだけが一致していない)ペアの第2のオリゴヌクレオチドが対
照としての役目を果たす。オリゴヌクレオチドのペアの数は、2ペアから100万ペ
アの範囲であり得る。このオリゴマーは、光照射化学プロセスを用いて基板上の
所定の領域において合成される。この基板は、紙、ナイロン、又は他のタイプの
メンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、又は他の任意の適切な固形支持体
であり得る。
【0164】 別の実施態様では、オリゴマーを、PCT出願WO95/251116 (Baldeschweiler 等
.)に記載のように化学結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いること によって基板の表面上で合成することができる。上記PCT出願はここに引用する ことにより本明細書の一部とする。別の実施態様では、ドットブロット(又はス
ロットブロット)に類似した「格子型」アレイを使用し、真空システム、熱、U
V、機械的又は化学的結合プロシージャを利用してcDNA断片又はオリゴヌク
レオチドを基板の表面上に配置し結合することができる。アレイは、手作業で製
作するか、或いは市販の装置(スロットブロット又はドットブロット装置)、材
料(任意の適切な固形支持体)、及び機械(ロボット装置を含む)を用いること
により製作することができ、市販の器具を効果的に使用できる、8、24、96、384
、1536、又は6144のオリゴヌクレオチド、若しくは2から100万の範囲の任意の数
のオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0165】 マイクロアレイを用いてサンプルの解析を行うために、生物学的サンプルから
得られるRNA又はDNAをハイブリダイゼーションプローブにする。このmR
NAを単離し、cDNAを作製して、アンチセンスRNA(aRNA)を作るた
めの鋳型として用いる。aRNAを蛍光標識したヌクレオチドの存在下で増幅さ
せ、標識されたプローブをマイクロアレイと共にインキュベートすると、プロー
ブ配列がマイクロアレイの相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする。
インキュベーション条件は、ハイブリダイゼーションが正確な相補的一致をもっ
て起こるか、或いは種々のより低いレベルの相補性で起こるように調節する。ハ
イブリダイズしたプローブを取り除いた後、スキャナーを用いて、蛍光のレベル
及びパターンを決定する。スキャンされたイメージを調べて、マイクロアレイ上
の各オリゴヌクレオチド配列の相補性の程度及び相対的な量を求める。生物学的
サンプルは、体液(例えば血液、尿、唾液、痰、胃液等)、培養された細胞、生
検組織、又は他の組織調製物から得ることができる。検出システムを用いること
により、全ての個別の配列について同時にハイブリダイゼーションの不存在、存
在、及び量を測定することができる。このデータは、サンプルにおける配列、突
然変異、変異体、又は多形体についてのラージスケールの相関性の研究のために
用いることができる。
【0166】 本発明の別の実施例では、NTPPH−1をコードする核酸配列を用いて、自
然発生のゲノム配列マッピングのためのハイブリダイゼーションプローブを作り
出すこともできる。この配列を、特定の染色体、染色体の特定の領域、又は人工
染色体作成物にマッピングすることができる。前記人工染色体作製物には、例え
ばヒト人工染色体(HAC)、酵母菌人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(
BAC)、細菌性P1作製物又は一本鎖染色体cDNAライブラリーがあり、Pr
ice, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134, 及びTrask, B.J. (1991) Trends Gen
et. 7:149-154にその概要が記載されている。
【0167】 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH、Verma等(1988)Human Chromoso mes: A Manual of Basic Technique , Pergamon Press, New York, NY”に記載)
は、他の染色体マッピング技術及び遺伝子地図データと関係を有し得る。遺伝子
地図データの例は、種々の科学誌や、Online Mendelian Inheritance in Man(O
MIM)に見ることができる。物理的染色体地図上でのNTPPH−1をコードす る配列の位置と、特定の疾病(または特定の疾病の素因)との相関関係を助けと
して、ある遺伝病が関係するDNAの領域の限界決定ができる。本発明のヌクレ
オチド配列を用いて、正常者とキャリア、つまり患者との遺伝子配列の違いを検
出することができる。
【0168】 染色体調製物のin situハイブリダイゼーション及び確立された染色体マーカ ーを用いる連鎖解析のような物理的マッピング技術は、遺伝子地図を拡大するた
めに用いることができる。多くの場合、特定のヒト染色体の数或いはアームが未
知であっても、マウスのような別の哺乳動物の染色体上の遺伝子配置から、関連
するマーカーがわかる。新たな配列は、物理的マッピングにより染色体のアーム
、或いはその一部へ割当てることができる。これにより、位置クローニング或い
は他の遺伝子発見技術を用いて疾病遺伝子を調査する研究者に貴重な情報を提供
できる。ひとたび毛細血管拡張性運動失調(AT)のような疾患或いは症候群が、
特定のゲノム領域、例えばATならば11q22-23(Gatti, R.A.等(1988)Nature 33
6:577-580)への遺伝子連鎖によって粗い局所化がなされれば、その領域にマッ ピングされる任意の配列は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節
遺伝子を表し得ることになる。本発明のヌクレオチド配列を、正常者の染色体の
位置と、キャリアつまり患者の、転座、逆位等によって生じた染色体の位置との
違いを検出するために用いることもできる。
【0169】 本発明の別の実施例では、NTPPH−1や、その触媒作用性または免疫原性
断片つまりオリゴペプチドを、種々の薬物スクリーニング技術において治療用化
合物のスクリーニングのために用いることができる。そのような試験において用
いられる断片は、溶液に遊離した形態で存在するか、固体支持体へ付着した形態
で存在するか、細胞表面へ付着した形態で存在するか、或いは細胞内に存在する
ものであり得る。NTPPH−1と試験対象の薬剤との結合複合体形成を測定す
ることができる。
【0170】 NTPPH−1ポリペプチドへの適切な結合親和性を有する化合物の高スルー
プットスクリーニングのために用いることができる別の薬物スクリーニング技術
が、公開されたPCT出願WO84/03564に詳細に記載されている。この方法をNTP PH−1に適用する場合には、多数の異なる小形ペプチドの試験化合物を、プラ
スチックピン或いは他の表面のような固体基質上で合成する。ポリペプチド試験
用化合物をNTPPH−1又はその断片と反応させ、洗浄する。次に結合NTP
PH−1を当分野で周知の方法により検出する。また、前述の薬物スクリーニン
グ技術において使用するために、精製NTPPH−1をプレート上に直接コーテ
ィングすることもできる。この他、ペプチドを捕捉して固体支持体上にペプチド
を固定するために非中和抗体を用いることができる。
【0171】 別の実施例では、NTPPH−1に結合し得る中和抗体が、NTPPH−1と
の結合について試験化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセ
イを使用することができる。このように、抗体を用いて、1種または2種以上の
抗原決定基をNTPPH−1と共有する任意のペプチドの存在を検出することが
できる。
【0172】 更に別の実施例では、NTPPH−1をコードするヌクレオチド配列を、現在
までに開発されていない技術であって、その新技術が、以下に限らないが、例え
ばトリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対相互作用のような特性を含む現在周知
のヌクレオチド配列の特性に基づく技術であれば、そのような分子生物学的技術
においても用いることができる。
【0173】 以下に示す本発明の実施例は、単なる例示であって、本発明をこの実施例に限
定しようとするものではない。
【0174】
【実施例】
1 SATPF1002 OA(変形性関節症)軟骨cDNAライブラリー SATPF1002 cDNAライブラリーを、変形性関節症の年齢48歳及び82歳の
2名の男性及び年齢57歳及び64歳の2名の女性の膝関節から外科的に採取さ
れた4つの軟骨サンプルから抽出・プールしたRNAから作製した。これらの初
期の関節炎(primary arthritis)の患者全員に、プレドニゾンのようなステロ イドか、或いはアスピリン、アセトミノフェン、イブプロフェン、モトリン等の
ような非ステロイド系抗炎症剤が投与されていた。組織を集め、抗体(ペニシリ
ン、ストレプトマイシン、及びゲンタマイシン)を加えたダルベッコの改良イー
グル培地(D-MEM;Gibco/BRL)に入れ、Groton CTのPfizer研究所に送った。こ の軟骨は、下にある骨から無菌状態で切除し、D-MEMでリンスして、小立方体( 〜4mm2)に切り分け、20mlのノイマン・タイテルの無血清培養液(Neuma
n and Tytell's serum free medium)(GIBCO/BRD)の入った100mmのペト リ皿に入れた。濃度5ng/mlのインターロイキン1aを培養液に加え、37
℃で約18時間軟骨をインキュベートし、メタロプロテイナーゼのような遺伝子
の過剰発現を誘導した。Cathala G他(1983; DNA 2:329-335)のプロトコルを用
いて、各患者から採取した軟骨を、4mg/mlのプロナーゼ(Sigma. St Loui
s)で1.5時間かけて消化し、次に3mg/mlの細菌のコラゲナーゼ(Sigma
)で1.5時間かけて消化した。消化した材料を、細胞濾過器で濾過し、その細
胞を遠心分離によってペレット化した。この細胞ペレットをリン酸緩衝食塩水で
1回洗浄し、次に5Mのグアニジンイソチオシアネート、10mMのEDTA、
50mMのトリス(pH7.5)、及び8%βメルカプトエタノールからなるバ
ッファーの5mlに溶解した。このバッファに5倍量の4M LiClを加え、
混合物を冷蔵庫に終夜保存した。遠心分離の後、沈殿物を3MのLiClで1回
洗浄し、再度遠心分離にかけた。2回目の沈殿物を、0.1%ドデシル硫酸ナト
リウム、1mMのEDTA、及び10mMのトリス(pH7.5)からなる溶液
に溶解した。この懸濁液を−70℃で冷凍し、解凍時にボルテックスした。
【0175】 全RNAをフェノールクロロホルムで2回抽出し、クロロホルムで1回抽出し
、次にエタノールで沈殿させた。遠心分離の後、RNAペレットをDEPC処理
した蒸留脱イオン水(DEPC−ddHOH)に再溶解し、CsCl密度勾配法
で分離した。RNAを酸性フェノール(pH4.0で1X、catalog #972Z, Amb
ion, Austin TX)で抽出し、エタノールで沈殿させ、DEPC−ddHOHに再
懸濁した。このRNAを、RNアーゼを含まないDNアーゼ(Epicentre Techno
logies, Madison WI)で15分間かけて処理し、クロロホルムで抽出し、エタノ
ールで沈殿させて洗浄し、DEPC−ddHOHに溶解した。RNAの収量が各
サンプルによって異なるため、各サンプルからの全RNAの40%がプールされ
たサンプルに含まれることになった。
【0176】 このプールしたRNAを用いて、カスタム品のcDNAライブラリーを作製し
た。このRNAは、SuperScript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plas
mid Cloning(catalog # 18248-013;GIBCO/BRL)の推奨プロトコルに従って取り
扱った。cDNAのなかの400bpを越えるサイズのものをベクターpSport I
に連結し、次にこのプラスミドをDH5aTMコンピテント細胞(Cat. # 18258-012,
GIBCO/BRL)に形質転換した。
【0177】 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAは細胞から放出され、Miniprep Kit(Catalog #77468; Adva
nced Genetic Technologies Corporation, Gaithersburg MD)を用いて精製した
。このキットは、96穴ブロックからなり、960回の精製用の試薬を備えている。 推奨プロトコルを採用したが、以下の点を変更した。96個のウェルのそれぞれを
、25mg/Lのカルベニシリン及び0.4%のグリセロールと共に1mlの滅菌Terrific Br
oth(Catalog#22711. Gibco/BRL)のみで満たした。ウェルに植菌した後、細菌 を24時間培養し、次に60μlの溶解バッファーに溶解した。Beckman GS-6R ロー ターを用いて1分当たり2900回転の回転数で5分間遠心分離にかけた後、ブロック
の内容物を一次濾板(primary filter plate)に加えた。トリスバッファにイソ
プロパノールを添加するオプションのステップはルーチンで行わなかった。プロ
トコルの最終ステップの後、サンプルを保管のためBeckman96穴ブロックに移し た。
【0178】 このcDNAの配列決定は、4台のPeltier Thermal Cyclers (PTC200 from
MJ Research, Watertown, MA)及びApplied Biosystems 377または373 DNA Sequ
encing Systemsと組み合わせてHamilton Micro Lab 2200 (Hamilton, Reno, NV
)を用いてSanger F.及びA.R. Coulsonの方法(1975, J. Mol. Biol.94:441f) により行い、読み枠を決定した。
【0179】 3 cDNAクローン及びそれらの類推されるタンパク質の相同性検索 配列表のヌクレオチド配列及び、それらから類推されるアミノ酸配列を問い合
わせ配列として用いて、例えばGenBank、SwissProt、BLOCKS、及びPima IIのよ うなデータベースを検索した。これらのデータベースには既に同定された配列が
注釈付きで含められており、BLAST(Basic Local Alignment Toolを表す)を用 いて相同性(類似性)を有する領域をこのデータベースのなかから検索した(Al
tschul. S.F. (1993) J. Mol. Evol. 36:290-300; Altschulら(1990) J. Mol. B
iol. 215:403-10)。
【0180】 BLASTは、ヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方のアライメントを作成して配 列の類似性を決定する。そのアライメントの局所的性質のために、BLASTは厳密 な一致、すなわち原核生物(細菌)や真核生物(動物、菌類、又は植物)を起源
とするホモログを求める際に特に有効である。一次配列パターンや二次構造ギャ
ップペナルティを処理する際には、この引用により本明細書の一部とするSmith
R.F.及びT.F. Smith(1992, Protein Engineering 5:35-51)に記載のもののよ うな他のアルゴリズムを用いることができる。本明細書に開示された配列の長さ
は少なくとも49ヌクレオチドであり、不必要な塩基は12%以下である(ここ
で、NはA、C、G、又はT以外と記録されたものである)。
【0181】 BLAST法は、この引用により本明細書の一部とするKarlin. S.及びS.F. Altsch
ul(1993: Proc. Nat. Acad. Sci. 90:5873-7)に詳細に記載されているように 、問い合わせ配列とデータベースの配列の一致を検索し、発見したあらゆる配列
の一致の統計的有意性を評価して、ユーザが選択した有意性の閾値を満たす一致
のみを報告する。本出願での閾値は、ヌクレオチドで10-25、ペプチドで10- 14 に設定した。
【0182】 インサイト社のヌクレオチド配列を、pri=霊長類、rod=げっ歯類、及びmam =哺乳動物配列のGenBankデータベースで検索した。次に同じクローンから類推 されたアミノ酸配列を、GenBankの機能性タンパク質データベース、mamp=哺乳 動物、vrtp=脊椎動物、及びeukp=真核生物で、相同性について検索した。
【0183】 4 NTPPH−1をコードするcDNAのクローニング及び配列決定 L.M. Ryan博士(Medical College of Wisconsin. Milwaukee. WI)から、部分
的なブタNTPPHをコードする2.3kbの未発表のcDNA配列の提供を受
けた。このcDNA配列を、Pfizer社所有のNCBI public EST(Pfizer, Groton
CT)、及びIncyte社LIFESEQTMデータベース(Incyte Pharmaceuticals)で検索 した。この部分的配列では、相同なpublic ESTは同定できなかったが、相同な配
列は、Pfizer社のデータベースの3種のヒト軟骨ライブラリーにおいて見出され
た。
【0184】 インサイト社クローンNo. 422069を完全に配列決定した。インサイト社クロー
ンNo. 422069から類推されるタンパク質配列と、部分的ブタNTPPHの配列を
比較したところ、このタンパク質は、アミノ酸レベルでは90%の同一性を有し
ていることが分かった。正常なヒト軟骨ライブラリー(SATPF010)及び変形性関
節症のヒト軟骨ライブラリー(SATPF008)からの連結反応物を、エレクトロポレ
ーションによりDH10B大腸菌に入れ、1.1×106個の独立したcDNA クローンを各ライブラリーから作り出した。
【0185】 SATPF008を、インサイト社クローンNo. 422069の5’末端からの700bpの
BamHIフラグメントによってスクリーニングした(5×106クローン)。ライブ
ラリーの2回目及び3回目のスクリーニングの後、部分的配列解析及び制限部位
マッピングによりクローンを特性化した。完全なNTPPH−1のコーディング
領域にわたっている4種の独立したクローンを単離した。NTPPH−1をコー
ドするcDNAの5末端側の半分も、NTPPH−1特異的プライマー及びpINC
Yベクター特異的プライマーを用いてcDNAライブラリーをPCRで増幅する ことによって作り出した。得られたPCRの産物を、Y22069と組み合わせること
により、ノーザンハイブリダイゼーションによって同定されたmRNAのサイズ
に一致する4.4kbの完全長cDNAクローンを推定した。PCRで作り出し
たcDNAの5’末端配列は、ライブラリーから得られたcDNAクローンの配
列と一致した。4種のライブラリーに由来するcDNAクローンを配列決定し、
これを用いてNTPPH−1のアミノ酸配列を推定した。
【0186】 5 ノーザン法による解析 ヒト、イヌ、及びウサギの関節組織のRNAサンプルの膜ベースのノーザン法
による解析により、関節の軟骨において最も高いレベルでNTPPH−1が発現
し、滑膜、関節間軟骨、腱、及び靱帯においてNTPPH−1がかなりのレベル
で発現することが立証された。別のヒト組織における発現を研究した結果、骨格
筋、心筋、及び骨髄においてかなりのレベルのmRNAが存在し、気管、脊髄、
甲状腺、胃、精巣、子宮、小腸、結腸、胸腺、胎盤、リンパ及び副腎組織におい
て検出可能なレベルで存在することが立証された(Sambrook等、前出参照)。
【0187】 BLAST(Altschul, S.F. 1993及び1990, 前出)を用いるノーザン法に類似のコ
ンピュータ技術も用いた。検索の基準値は、積スコア(product score)であり 、これは以下の式で定義されるものである。 (配列の一致率(%)×最大BLASTスコア(%))/100 この積スコアは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方を
考慮に入れている。例えば、積スコアが40の場合は、一致は誤差が1〜2%の
範囲で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。相同な分子は、
通常積スコアとして15〜40を示すものを選択することにより同定されるが、
スコアの低いものは近縁関係にある分子として同定される。
【0188】 NTPPH−1をコードする配列を用いて、NCBI及びLIFESEQTMデータベース にある同一または近縁な分子を検索した。この解析の結果から、NTPPH−1
と、骨格筋、卵巣、及び心臓を起源とするヒトESTクローンとの相同性(図2A 参照)、及びNTPPH−1と多くのインサイト社クローンとの相同性がわかっ
た。このインサイト社クローンの多くは、軟骨細胞cDNAライブラリーを起源
とするものであり、残りは他の組織に分散していた(図5参照)。
【0189】 6 NTPPH−1をコードする配列の延長 適切なゲノムライブラリーを用いて5’末端の調節配列を得るためのオリゴヌ
クレオチドプライマーを、NTPPH−1をコードする核酸配列を用いて設計し
た。一方のプライマーはアンチセンス方向の延長を開始するために合成し、他方
のプライマーはセンス方向に配列を延長するために合成した。これらのプライマ
ーを用いて既知の配列の「外側への」延長を促進し、目的の領域の新しい未知の
ヌクレオチド配列を含むアンプリコンを作り出した。開始プライマーは、OLI
GO 4.06(National Biosciences)或いは他の適切なプログラムを用いて
、約22個から約30個のヌクレオチドからなる長さで、50%以上のGC含量
を有し、かつ約68〜約72℃の温度で標的配列にアニールするようにcDNA
から設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体化を生ずるよう
なヌクレオチドのストレッチは避けた。
【0190】 この配列の延長のために選択されたヒトcDNAライブラリー(Gibco/BRL) を用いた。2段階以上の延長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、既知領域
をさらに延長するための別のプライマーの組を設計する。
【0191】 XL−PCRキット(Perkin Elmer)の説明書の指示に従って処理を行い、ま
た酵素と反応混合物とを徹底的に混合することにより、高い忠実度の増幅を行っ
た。それぞれ40pmolの各プライマーと、推奨された濃度のキットの他の全
ての成分とから増幅を開始する場合、Peltier Thermal Cycler(PTC200;M.J. R
eserch, Watertown MA)を用いて、以下のパラメータ、即ち、 ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) でPCRを行った。
【0192】 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度の(約0.6〜0.8%)
アガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、何れの反応物が配列を延長する
ことに成功したかを決定した。最も大きな生成物を含むと考えられるバンドを選
択して、ゲルから切り出し、QIAQuickTM(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)を用 いて精製し、クレノウ酵素を用いて末端の延び出しを切り取って、再連結及びク
ローニングが容易になる平滑末端を作った。
【0193】 エタノール沈殿の後、生成物を13μlの連結バッファーに再溶解し、1μl
のT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチドキナー
ゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で終夜インキュベー
トした。(40μlの適切な培養液のなかの)コンピテントな大腸菌細胞を、3
μlの連結混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培養液で(Sembrook等
、前出)で培養した。37℃で1時間インキュベートした後、全ての形質転換し
た混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(LB)アガー(Sembrook等、 前出)上にプレートした。後日、いくつかのコロニーを各プレートから無作為に
選択し、適切な市販の滅菌96穴マイクロタイタープレートの各ウェル内に入れ
られた150μlの液状のLB/2xCarb培地で培養した。さらに後日、そ
れぞれ5μlの終夜培養した各培養物を非滅菌96穴プレート内に移し、水で1
:10に希釈した後、それぞれ5μlの各サンプルをPCRアレイに移した。
【0194】 PCR増幅のため、4単位のrTthDNAポリメラーゼを含む18μlの濃
縮PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用い
られる遺伝子特異的プライマーの一方或いは両方を各ウェルに加えた。増幅は以
下の条件、即ち ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) で行った。
【0195】 PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上で移動
させた。PCR産物のサイズを元の部分的なcDNAと比較して、適切なクロー
ンを選択し、プラスミドに連結して、配列決定を行った。
【0196】 7 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 SEQ ID NO:2の配列から導き出されたハイブリダイゼーションプロー
ブを用いて、cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。
約20塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大き
なcDNAフラグメントの場合でも基本的に同じ手順を用いる。オリゴヌクレオ
チドを、OLIGO4.06(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用
いてデザインし、50pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]ア
デノシン三リン酸(Amersham)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN
、Boston MA)とを組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリゴ ヌクレオチドを、Sephadex G-25超精細樹脂カラム(Pharmacia & Upjohn)を用
いて実質的に精製する。毎分107カウントの標識されたプローブを含むアリコ ットを、次のエンドヌクレアーゼ、AseI,Bgl II,EcoRI,Pst I,Xba1或いはPv
uII(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒトゲノムDNAの典型的な膜ベー スのハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0197】 各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製
メンブラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)にトランスファ
ーする。ハイブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグ
ナルを取り除くため、ブロットを、最大0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び
0.5%ドデシル硫酸ナトリウムまでの段階的に厳密性が増す条件で順次室温に
て洗浄する。XOMAT ARTMフィルム(Kodak, Rochester, NY)を、Phosphoimager
cassette(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)においてブロットに数時間露 光した後、ハイブリダイゼーションパターンを視覚的に比較する。
【0198】 8 マイクロアレイ マイクロアレイ用のオリゴヌクレオチドを作製するために、本明細書に記載の
ヌクレオチド配列を、該ヌクレオチド配列の3’末端からコンピュータアルゴリ
ズムを用いて調べる。このアルゴリズムによって、その遺伝子に独特で、GC含
量がハイブリダイゼーションに適した範囲内にあり、且つハイブリダイゼーショ
ンを妨げるような推定上の2次構造が存在しない、決まった長さのオリゴマー群
を同定する。このアルゴリズムは、それぞれ20ヌクレオチドからなる長さの(
20量体の)、20種の配列特異的オリゴヌクレオチドを同定する。各配列の中
央の1個のヌクレオチドだけが変化している点を除いて一致しているオリゴヌク
レオチドの組が作られる。このプロセスはマイクロアレイにおける各遺伝子につ
いて反復され、20種の20量体の組が二組、光照射化学プロセスを用いてシリ
コンチップの表面上で合成され並べられる(Chee, M. 等, PCT/WO95/11995、こ の引用により本明細書の一部とする)。
【0199】 或いは、化学結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いて、基板の表面
上でオリゴマーを合成する(Baldeschweiler, J.D. 等, PCT/WO95/25116、この 引用により本明細書の一部とする)。更に別の形態では、ドットブロット法(ま
たはスロットブロット法)に類似した「格子型」アレイを利用し、cDNA断片
即ちオリゴヌクレオチドを、真空システム、熱、UV、機械的または化学的結合
プロシージャを用いて基板の表面に配置し結合させる。アレイは、手作業で、ま
たは市販の材料及び機械を用いることによって作製することができ、8ドット、
24ドット、94ドット、384ドット、1536ドット、又は6144ドット
の格子を有し得る。ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイを洗浄してハ
イブリダイズしていないプローブを取り除き、スキャナーを用いて蛍光のレベル
及びパターンを求める。スキャンされた画像を調べて、マイクロアレイ上の各オ
リゴヌクレオチド配列の相補性の程度及び相対的な量を求める。
【0200】 9 相補的ポリヌクレオチド NTPPH−1をコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列
は、自然発生のNTPPH−1の発現を低下、即ち阻害するために用られる。約
15〜約30個の塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について特に記すが、
より小さな或いはより大きな配列フラグメントの場合でも概ね同じ方法を用いる
ことができる。Oligo4.06ソフトウェア及びNTPPH−1のコーディング配列 (SEQ ID NO:1)を用いて、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転
写を阻害するためには、最も独特な5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを
設計し、これを用いてプロモーターがコーディング配列に結合するのを阻害する
。翻訳を阻害するためには、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソー
ムがNTPPH−1をコードする転写物に結合するのを阻害する。
【0201】 10 NTPPH−1の発現 NTPPH−1をコードするcDNAを用いて、完全長と切断された形態の両
方の組み換えNTPPHを発現させる。NTPPH−1の発現は、cDNAを適
当なベクターにサブクローニングし、このベクターを宿主細胞に形質転換するこ
とによって行われる。この場合では、クローニングベクターを用いて、バキュロ
ウイルスのFast-BAC系(GIBCO/BRL)においてNTPPH−1を発現させた。ク ローニング部位の上流に、このベクターは、多角体コートタンパク質のプロモー
ターを有する。この組み換えバキュロウイルスをSF9等の昆虫細胞系に感染さ
せることによってNTPPH−1が発現される。シグナル残基によって、NTP
PH−1の培地への分泌が誘導され、この培地は以下に記す活性のアッセイにお
いて直接用いることができる。
【0202】 11 NTPPH−1活性の実証 ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼの活性を、基質としてチミジン1
リン酸パラニトロフェニルエステルまたは32Pγ標識したATPを用いて解析す
る。Cardenal, A.他(1996: Arthritis Rheum. 39:252-256)に記載のように、 培養液をクロマトグラフィにかけ、ピークを示す分画を動力学的に解析する。
【0203】 12 NTPPH−1に特異的な抗体の産生 NTPPH−1をコードするcDNAから類推されるアミノ酸配列をDNASTAR ソフトウエア(DNASTAR社)を用いて解析して免疫原性の高い領域を決定して対 応するオリゴペプチドを合成し、これを用いて当業者に周知の方法で抗体を作り
出す。C末端付近の、或いは隣接する親水性領域内のエピトープのような適切な
エピトープの選択については、Ausubel等(前出)及び他の文献に記載されてい る。
【0204】 通常、このオリゴペプチドは約15残基の長さを有するもので、Applied Bios
ystemsのペプチドシンセサイザModel 431Aを用いてfmoc法のケミストリによ
り合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
(MBS:Ausubel等、前出)を用いた反応によりキーホールリンペットヘモシ ニアン(KLH、Sigma, St. Louis, MO)に結合する。フロイントの完全アジュ
バントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する。得
られた抗血清の抗ペプチド活性を検査するには、例えばペプチドをプラスチック
に結合し、1%BSAを用いてブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、
さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
【0205】 13 特異的抗体を用いる自然発生NTPPH−1の精製 自然発生NTPPH−1或いは組換えNTPPH−1を、NTPPH−1に特
異的な抗体を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィにより実質的に精製
する。イムノアフィニティーカラムは、CnBr-活性化Sepharose(Pharmacia Biot
ech社)のような活性化クロマトグラフィー用レジンとNTPPH−1抗体とを 共有結合させることにより構築する。結合の後、そのレジンを使用説明書の指示
に従って、ブロックし洗浄する。
【0206】 NTPPH−1を含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラ
ムをNTPPH−1を優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下
において高イオン強度のバッファーで)洗浄する。このカラムを、抗体とNTP
PH−1との結合を切るような条件下で(例えばpH2−3のバッファー、或い
は高濃度の尿素またはチオシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイオンで)
溶出させ、NTPPH−1を回収する。
【0207】 14 NTPPH−1と相互作用する分子の同定 NTPPH−1又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試 薬(Bolton他 (1973) Biochem. J. 133:529)で標識する。マルチウェルプレー トに予め配列しておいた候補の分子を、標識したNTPPH−1とともにインキ
ュベートし、洗浄して、標識したNTPPH−1複合体を有するウェルをアッセ
イする。異なるNTPPH−1濃度で得られたデータを用いて、候補の分子とN
TPPH−1の会合、親和性、数について数値を計算する。
【0208】 上記のすべての刊行物及び特許明細書は、引用により本明細書の一部とする。
当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法及
びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適実施例に関し
て本発明を説明したが、本発明の真の範囲が、そのような特定の実施例に不当に
制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは関連す
る分野の専門家には明らかな本明細書に記載の本発明の実施のための方法の様々
な改変は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1B】 図1Bは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1C】 図1Cは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1D】 図1Dは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1E】 図1Eは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1F】 図1Fは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1G】 図1Gは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1H】 図1Hは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1I】 図1Iは、ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPH−1のアミ
ノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ ID NO:2)の一
部を示す図である。配列アライメントは、MacDNAsis PROTMソフトウェア(Hitac
hi Software Engineering Co. Ltd. San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2A】 NTPPH−1とNCBI ESTの類推されるタンパク質(GI 1515673;S EQ ID NO:3)との間の配列アライメント、及びNTPPH−1と線虫( Caenorhabditis elegans )のタンパク質、T21B6.3(GI 1070094;SEQ
ID NO:6)との間の配列アライメントを示す図である。
【図2B】 NTPPH−1とNCBI ESTの類推されるタンパク質(GI 1515673;S EQ ID NO:3)との間の配列アライメント、及びNTPPH−1と線虫( Caenorhabditis elegans )のタンパク質、T21B6.3(GI 1070094;SEQ
ID NO:6)との間の配列アライメントを示す図である。
【図2C】 NTPPH−1とNCBI ESTの類推されるタンパク質(GI 1515673;S EQ ID NO:3)との間の配列アライメント、及びNTPPH−1と線虫( Caenorhabditis elegans )のタンパク質、T21B6.3(GI 1070094;SEQ
ID NO:6)との間の配列アライメントを示す図である。
【図3】 NTPPH−1(SEQ ID NO:1)の疎水性プロットを示す図であり、
X軸は正の方向にアミノ酸の位置を表し、Y軸は負の方向に疎水性のレベルを表
す(MacDNAsis PROソフトウェアを用いて作成)。
【図4】 NTPPH−1(SEQ ID NO:1)の等電点プロットを示す図である(
MacDNAsis PROソフトウェアを用いて作成)。
【図5】 LIFESEQTMデータベース(Incyte Pharmaceuticals, Inc. Palo Alto CA)を用
いて作成した、NTPPH−1の電子的ノーザン解析の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/00 C07K 16/40 4C086 C07K 16/40 C12N 1/15 4H045 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 9/16 B 5/10 C12Q 1/68 A 9/16 G01N 33/53 D C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/53 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ロートン、マイケル アメリカ合衆国コネチカット州06498・ウ エストブルック・マグナレーン 61 (72)発明者 マグナ、ホリー アメリカ合衆国コネチカット州06357・ナ イアンティック・オールドブラックポイン トロード 88 (72)発明者 ヨッカム、スー・エイ アメリカ合衆国コネチカット州06330・バ ルティック・パインクレストレーン 11 (72)発明者 マリー、リン・イー アメリカ合衆国カリフォルニア州94028・ ポルトラバレー・ロストランコスロード 1124 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA11 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 HA12 HA15 4B050 CC03 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ02 QQ32 QR08 QR55 QR62 QS03 QS25 QS34 QX01 QX07 4B065 AA26X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA31 CA44 CA46 4C084 AA01 AA06 AA07 AA17 BA01 BA22 CA53 DC22 ZA962 ZB072 ZB262 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 EA16 MA01 MA04 ZA96 ZB07 ZB26 4H045 AA11 AA20 AA30 CA40 DA76 DA86 DA89 EA22 EA28 EA51 FA74

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO:1のアミノ酸配列またはその断片を含
    む実質的に精製されたヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ。
  2. 【請求項2】 SEQ ID NO:1の配列と少なくとも90%のアミノ
    酸配列同一性を有し、且つヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼの機能的
    特性の少なくとも1種類を保持していることを特徴とする実質的に精製されたヒ
    ト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼの変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼを
    コードする単離され精製されたポリヌクレオチド配列、または前記ポリヌクレオ
    チド配列の断片若しくは変異配列。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチド配列を含む組成物。
  5. 【請求項5】 請求項3のポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポ
    リヌクレオチド配列。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチド配列またはその断片若しくは
    変異配列に相補的なポリヌクレオチド配列。
  7. 【請求項7】 SEQ ID NO:2の配列またはその断片若しくは変異
    配列を含む単離され精製されたポリヌクレオチド配列。
  8. 【請求項8】 請求項7のポリヌクレオチド配列に相補的なポリヌクレオ
    チド配列。
  9. 【請求項9】 請求項3のポリヌクレオチド配列の少なくとも断片を含む
    発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9のベクターを含む宿主細胞。
  11. 【請求項11】 SEQ ID NO:1のアミノ酸配列またはその断片を
    含むポリペプチドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で、請求項10の宿主細胞を
    培養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと
    を特徴とするSEQ ID NO:1のアミノ酸配列またはその断片を含むポリペ
    プチドの製造方法。
  12. 【請求項12】 SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を有する実質的に
    精製されたヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼを、適切な医薬用担体と
    共に含む医薬品組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する精製された
    抗体。
  14. 【請求項14】 請求項1のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  15. 【請求項15】 請求項1のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  16. 【請求項16】 関節症の治療方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項15のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む関節症の治療方法。
  17. 【請求項17】 免疫疾患の治療方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項15のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む免疫疾患の治療方法。
  18. 【請求項18】 癌の治療方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項15のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む癌の治療方法。
  19. 【請求項19】 生物学的サンプルにおけるヒト・ヌクレオチドピロホス
    ホヒドロラーゼをコードするポリヌクレオチドの検出方法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドと、生物学的サンプルの核酸材料とをハイ
    ブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記複合
    体の存在が、前記生物学的サンプルにおけるヒト・ヌクレオチドピロホスホヒド
    ロラーゼをコードするポリヌクレオチドの存在と相関性を有する、該過程とを含
    むことを特徴とする生物学的サンプルにおけるヒト・ヌクレオチドピロホスホヒ
    ドロラーゼをコードするポリヌクレオチドの検出方法。
  20. 【請求項20】 ハイブリダイゼーションの前に、前記核酸材料をポリメ
    ラーゼ連鎖反応法により増幅することを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 生物学的サンプルにおけるNTPPH−1の検出方法で
    あって、 (a)生物学的サンプルを準備する過程と、 (b)前記生物学的サンプルと請求項13の抗体を結合させる過程と、 (c)NTPPH−1と前記抗体との間で複合体形成を生じさせる過程と、 (d)複合体形成を検出し、前記生物学的サンプルにおけるNTPPH−1の
    存在を確認する過程とを含むことを特徴とする生物学的サンプルにおけるNTP
    PH−1の検出方法。
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