JP2001512013A - 前立腺に発現される分泌タンパク質の5’est - Google Patents

前立腺に発現される分泌タンパク質の5’est

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デュクレール・アイメリック
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    • C07K2319/01Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif
    • C07K2319/02Fusion polypeptide containing a localisation/targetting motif containing a signal sequence

Abstract

(57)【要約】 分泌型タンパク質をコードするmRNAから誘導される5’ESTの配列を開示する。5’ESTは、5’ESTに対応するcDNAおよびゲノムDNAを得るためのものである。5’ESTは、診断、法医学的、遺伝子療法、および染色体マッピングにも使用することができる。5’ESTを使用して上流調節配列を得ることができる。また、5’ESTを使用して、発現ベクターおよび分泌ベクターを設計することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (背景技術) ヒト染色体に散在している推定50,000〜100,000の遺伝子は、ヒ
ト疾患の理解、診断および治療にかなり有望である。また、ヒトゲノムに分布す
る遺伝子座に特異的にハイブリダイゼーションすることができるプローブには、
高分解能染色体マップの構築および個体の識別における用途がある。
【0002】 過去には、ヒト遺伝子を1本だけでも特徴付けることが骨の折れる過程であり
、数年の努力を要した。クローニングベクター、DNA配列決定およびコンピュ
ーター技術分野における最近の発展により、ヒトの遺伝子を単離、配列決定、マ
ッピングおよび特徴づけすることができる速度が大きく加速された。酵母人工染
色体(YAC)および細菌人工染色体(BAC)のようなクローニングベクター
は、それぞれ鎖長300〜1000キロベース(kb)または100〜400k
bのDNA挿入物を受け入れることができ、それによってヒト染色体の長い距離
にわたって分布するDNA配列の操作および順序づけが容易になる。自動DNA
配列決定装置によりヒト遺伝子の迅速な配列決定が可能になる。バイオインフォ
ーマティクス(Bioinformatics)ソフトウェアは核酸とタンパク
質の配列を比較し、それによってヒト遺伝子産物の特徴づけを助けることができ
る。
【0003】 現在、ヒトゲノムに分布する遺伝子を同定し、特徴付けるための2つの異なる
方法が検討されている。一方の方法では、ゲノムDNAの大きいフラグメントを
単離し、クローニングし、配列決定する。バイオインフォーマティクス(Bio
informatics)ソフトウェアを使用して、これらのゲノム配列のオー
プンリーティングフレームと思われるものを同定する。しかし、この方法は、ゲ
ノム全体に分布するタンパク質コード配列を見つけるために、タンパク質をコー
ドしない大量のヒトDNAの配列決定を伴う。広範な配列決定が必要であること
に加えて、バイオインフォーマティクス(Bioinformatics)ソフ
トウェアは得られたゲノム配列を間違って特徴づけすることがある。従って、こ
のソフトウェアは非コードDNAをコードDNAと間違って特徴づけする偽陽性
またはコードDNAを非コードDNAと誤って標識する偽陰性を生じることがあ
る。
【0004】 別の方法はヒトの遺伝子を同定し、特徴づけするさらに直接的な経路を取る。
この方法では、ヒトタンパク質をコードする単離されたメッセンジャーRNA(
mRNA)から相補的なDNA(cDNA)を合成する。この方法を使用すると
、ゲノムのタンパク質コード部分から誘導されるDNAについてのみ配列決定が
実施される。しばしば、ほんの短い鎖長のcDNAを配列決定して、発現配列タ
グ(EST)と呼ばれる配列を得る。次いで、ESTを使用して、EST配列に
隣接する配列を含む伸長cDNAを単離または精製することができる。伸長cD
NAは、それらを得るために使用されたESTの配列の全てを含んでいてもよい
し、それらを得るために使用されたESTの配列の一部だけを含んでもよい。ま
た、伸長cDNAは、ESTが誘導される遺伝子の完全長のコード配列を含んで
もよく、またはESTが誘導される遺伝子のコード配列の一部を含んでもよい。
選択的スプライシングまたは第2プロモーターの活性の結果としてEST配列を
含む伸長cDNAがいくつか存在しうることが認識されよう。
【0005】 過去には、これらの短いEST配列はオリゴ−dTをプライマーとしたcDN
Aライブラリーからしばしば得られた。従って、それらは主にmRNAの3’非
翻訳領域に相当した。一部には、mRNAの3’末端から誘導されるEST配列
が普及したのは、cDNAを得るための典型的な技法はmRNAの5’末端から
誘導されるcDNA配列を単離するためにはあまり適していないという事実の結
果である(アダムス(Adams)ら、Nature 377:3〜174、1
996;ヒリアー(Hillier)ら、Genome Res.6:807〜
828、1996)。
【0006】 また、より長いcDNA配列が得られたと報告されている例では、その報告さ
れた配列は、一般に、コード配列に相当し、cDNAが誘導されるmRNAの全
長の5’非翻訳領域を含まない。このような不完全な配列は、特に第1のエクソ
ンが短い場合には、mRNAの第1のエクソンを含まないかもしれない。さらに
、それらは、スプライシング部位の上流に位置するいくつかのエクソン、しばし
ば短いものを含まないことがある。従って、mRNAの5’末端から誘導される
配列を得る必要性が存在する。
【0007】 ヒトの染色体から誘導される多数の配列には実用的な用途があるが、タンパク
質産物をコードするこれらの染色体配列の同定および特徴づけに基づいた方法は
、診断および治療的用途に特に関連がある。50,000〜100,000種の
タンパク質をコードする遺伝子のうち、それらが合成される細胞から分泌される
タンパク質をコードする遺伝子、並びに分泌されるタンパク質自体が、治療効果
をもつ可能性のある薬剤として特に有用である。このようなタンパク質はしばし
ば細胞間の連絡に関係しており、標的細胞において臨床的に適切な応答を生ずる
ことに関与している。
【0008】 実際、組織プラスミノーゲン活性化因子、G−CSF、GM−CSF、エリス
ロポイエチン、ヒト成長ホルモン、インスリン、インターフェロン−α、インタ
ーフェロン−β、インターフェロン−γおよびインターロイキン−2を含むいく
つかの分泌タンパク質が現在臨床的に使用されている。これらのタンパク質は、
急性心筋梗塞、急性虚血性卒中、貧血、糖尿病、成長ホルモン欠損症、肝炎、腎
癌、化学療法による好中球減少症および多発性硬化症を含む広範な症状を治療す
るために使用される。こうした理由のために、分泌タンパク質をコードする伸長
cDNAまたはその一部は、治療薬の特に有用な供給源となる。従って、分泌タ
ンパク質およびそれらをコードする核酸を同定し、特徴付ける必要性が存在する
【0009】 それら自体が治療的に有用であることに加えて、分泌タンパク質は、アミノ末
端に、その分泌を指令するシグナルペプチドと呼ばれる短いペプチドを含む。こ
れらのシグナルペプチドは、分泌タンパク質をコードする遺伝子のコード配列の
5’末端に位置するシグナル配列によってコードされる。これらのシグナルペプ
チドは、それらが機能的に結合している任意のタンパク質の細胞外分泌を指令す
るので、シグナル配列を使用して、シグナル配列を分泌が望まれるタンパク質を
コードする遺伝子に機能的に結合することによって、任意のタンパク質の効率的
な分泌を指令することができる。また、シグナル配列の一部を使用して、関心の
あるペプチドまたはタンパク質の細胞内への輸送を指令することもできる。これ
は、特定の遺伝子産物を、それを産生する細胞以外の細胞に送達することが望ま
れる遺伝子治療法において有用であることが明らかである。シグナルペプチドを
コードするシグナル配列には、タンパク質の精製法を単純化するという用途も見
いだされている。このような用途では、望ましいタンパク質が細胞外分泌される
ことによって、不要なタンパク質(これらのタンパク質から望ましいタンパク質
を選択しなければならない)の数を減少させることができ、精製はかなり容易に
なる。従って、シグナルペプチドをコードする分泌タンパク質の遺伝子の5’部
分を同定し、特徴付ける必要性が存在する。
【0010】 プロモーターおよび上流の調節領域が同定され、特徴付けられているヒト遺伝
子の数に関して公開されている情報は極めて少ない。一部には、このような調節
配列を単離する困難さによるかもしれない。転写因子結合部位などの上流の調節
配列は、一般に、非常に短いので、ヒトゲノムライブラリーからプロモーターを
単離するためのプローブとして利用することができない。最近、ヒトプロモータ
ーを単離するいくつかの方法が開発されている。それらの1つは、CpGアイラ
ンドライブラリーを作製することである(クロス(Cross)ら、Natur
e Genetics 6:236〜244,1994)。第2の方法は、Sp
eI結合タンパク質を使用することによって、SpeI結合部位を有するヒトゲ
ノムDNA配列を単離することである。(モートロック(Mortlock)ら
、Genome Res.6:327〜335,1996)。これらの方法はい
ずれも特異性または包括性の欠如による限界がある。
【0011】 本発明の5’ESTを使用して、タンパク質合成の位置、発達段階、速度およ
び量、並びにmRNAの安定性を制御する上流の調節領域を効率的に同定し、単
離することができる。(テイル(Theil)、BioFactors 4:8
7〜93,1993)。これらの調節領域は、いったん同定され、特徴づけられ
ると、遺伝子治療またはタンパク質の精製法に使用して、望ましい量および位置
のタンパク質合成を得ることができ、または望ましくない遺伝子産物の合成を阻
止、軽減または抑制することができる。
【0012】 また、分泌タンパク質遺伝子の5’末端を有するESTは、染色体マッピング
および個体の識別のためのプローブとして有用な配列を含みうる。従って、分泌
タンパク質をコードする遺伝子の5’コード配列の上流の配列を同定し、特徴付
ける必要性が存在する。
【0013】 (発明の開示) 本発明は、対応するmRNAの真正5’末端から誘導される配列を含む精製さ
れて単離されたまたは組換え体のESTに関する。「対応するmRNA」という
用語は、5’ESTを産生するcDNA合成の鋳型となったmRNAをいう。こ
れらの配列をこれ以後「5’EST」と呼ぶ。本明細書において使用される「精
製された」という用語は絶対的な純度を要求するのではなく、むしろ、それは相
対的な定義であると意図される。cDNAライブラリーから単離された個々の5
’ESTクローンは、通常、電気泳動的等質性が得られるまで精製されている。
これらのクローンから得られる配列はライブラリーまたはヒト全DNAから直接
得ることはできなかった。cDNAクローンはそのままで天然に存在していない
が、部分的に精製された天然の物質(メッセンジャーRNA)を操作することに
よって得られる。mRNAのcDNAライブラリーへの変換は合成物質(cDN
A)を作製することを含み、純粋な個々のcDNAクローンはクローン選択によ
って合成ライブラリーから単離することができる。従って、メッセンジャーRN
AからcDNAライブラリーを作製し、その後ライブラリーから個々のクローン
を単離することによって、天然のメッセージの約104〜106倍の純化が得られ
る。出発材料または天然材料を少なくとも1桁、好ましくは2または3桁、さら
に好ましくは4または5桁まで精製することが特に意図されている。
【0014】 本明細書において使用される「単離された」という用語は、物質がその元の環
境(例えば、それが天然のものである場合には、自然環境)から分離されること
を必要とする。例えば、生存動物に存在する天然型ポリヌクレオチドは単離され
ていないが、天然系において共存する物質の一部または全てから分離された該ポ
リヌクレオチドは単離されている。
【0015】 本明細書において使用される「組換え」という用語は、5’ESTが、天然の
環境では隣接していない「骨格」核酸に隣接していることを意味する。また、「
濃縮される」ためには、5’ESTが、核酸骨格分子の集団中の核酸挿入物の数
の5%以上に相当する。本発明による骨格分子には、発現ベクター、自己複製核
酸、ウィルス、組込み核酸および関心のある核酸挿入物を維持または操作するた
めに使用される他のベクターまたは核酸などの核酸が含まれる。好ましくは、濃
縮された5’ESTは、組換え骨格分子の集団中の核酸挿入物の数の15%以上
に相当する。さらに好ましくは、濃縮された5’ESTは組換え骨格分子の集団
中の核酸挿入物の数の50%以上に相当する。非常に好ましい態様において、濃
縮された5’ESTは組換え骨格分子の集団中の核酸挿入物の数の90%以上に
相当する。
【0016】 「ストリンジェントな」、「中程度の」および「低度の」ハイブリダイゼーシ
ョン条件は実施例29に定義されるとおりである。 特に明記しない限り、「相補」配列は完全に相補的である。 従って、1つ以上の5’ESTが骨格分子中の核酸挿入物の数の5%以上を占
めているcDNAライブラリー中の5’ESTは、本明細書中で定義される「濃
縮された組換え5’EST」である。同様に、本発明の5’ESTがプラスミド
骨格中の挿入物の数の5%以上となるように、本発明の1以上の5’ESTが挿
入されたプラスミド集団中の5’ESTは、本明細書で定義する「濃縮された組
換え5’EST」である。しかし、5’ESTが骨格分子集団中の核酸挿入物の
数の5%未満を構成するcDNAライブラリー、例えば、5’EST挿入物を有
する骨格分子が極めてまれであるライブラリーの5’ESTは「濃縮された組換
え5’EST」ではない。
【0017】 特に、本発明は、分泌タンパク質をコードする遺伝子から誘導される5’ES
Tに関する。本明細書において使用される「分泌」タンパク質は、好適な宿主細
胞内で発現されるとき、アミノ酸配列中のシグナルペプチドの結果としての輸送
を含む、膜を貫通してまたは通過して輸送されるタンパク質である。「分泌」タ
ンパク質は、それらが発現される細胞から全体的に(例えば、可溶性タンパク質
)または部分的に(例えば、受容体)分泌されるタンパク質を含むが、それに限
定されない。「分泌」タンパク質はまた、小胞体の膜を貫通して輸送されるタン
パク質も含むが、それに限定されない。
【0018】 このような5’ESTは、5’ESTが誘導される遺伝子によりコードされる
タンパク質の細胞外分泌を指令するシグナルペプチドをコードする、シグナル配
列と呼ばれる核酸配列を含む。一般に、シグナルペプチドは分泌タンパク質のア
ミノ末端に位置する。
【0019】 分泌タンパク質は、「粗面」小胞体に結合したリボソームによって翻訳される
。一般に、分泌タンパク質は、共翻訳的に小胞体膜に移送される。分泌タンパク
質の翻訳中のリボソームと小胞体の結合はシグナルペプチドによって仲介される
。シグナルペプチドは、一般に、小胞体内に共翻訳的にエントリーすることによ
って切断される。小胞体への送達後、分泌タンパク質はゴルジ装置を通過して前
進しうる。ゴルジ装置では、タンパク質は翻訳後修飾を受けることができ、その
後細胞膜をからそれらを輸送する分泌小胞に入る。
【0020】 本発明の5’ESTにはいくつかの重要な用途がある。例えば、それらを使用
して、5’ESTが誘導されるmRNAのコード配列の5’末端から誘導される
真正の翻訳開始部位を含む、対応する遺伝子産物の完全長のタンパク質コード配
列を含むcDNAクローンを取得し、それを発現させることができる。これらの
cDNAをこれ以後「全長cDNA」と呼ぶ。これらのcDNAはまた、翻訳開
始部位の上流のmRNA配列から誘導されるDNAを含んでもよい。全長cDN
A配列は、5’ESTに対応するタンパク質を発現させるために使用することが
できる。上記のように、分泌タンパク質は治療上重要である。従って、cDNA
から発現されるタンパク質は種々のヒト症状を治療または予防する際に有用とな
り得る。5’ESTはまた、対応するゲノムDNAを得るために使用することも
できる。「対応するゲノムDNA」という用語は、5’ESTが誘導されるmR
NAをコードするゲノムDNAをいう。
【0021】 あるいはまた、5’ESTを使用して、分泌タンパク質の一部をコードする伸
長cDNAを取得し、発現させることができる。この部分は、分泌タンパク質の
シグナルペプチドまたはシグナルペプチドが切断されたときに生成する成熟タン
パク質を含みうる。この部分はまた、伸長cDNAまたは全長cDNAによって
コードされる少なくとも10個の連続するアミノ酸を有するポリペプチドを含ん
でもよい。または、この部分は伸長cDNAまたは全長cDNAによりコードさ
れる少なくとも15個の連続するアミノ酸を含んでもよい。いくつかの実施態様
において、この部分は伸長cDNAまたは全長cDNAによりコードされる少な
くとも25個の連続するアミノ酸を含んでもよい。他の態様において、この部分
は伸長cDNAまたは全長cDNAによりコードされる少なくとも40個の連続
するアミノ酸を含んでもよい。
【0022】 伸長cDNA、全長cDNAによりコードされる分泌タンパク質全体、または
少なくとも10個の連続するアミノ酸、少なくとも15個の連続するアミノ酸、
少なくとも25個の連続するアミノ酸もしくは少なくとも40個の連続するアミ
ノ酸を有するそのフラグメントを特異的に認識する抗体も以下に示すように得る
ことができる。シグナルペプチドが切断されたとき形成される成熟タンパク質を
特異的に認識する抗体も以下のように得ることができる。同様に、伸長cDNA
または全長cDNAによりコードされるシグナルペプチドを特異的に認識する抗
体も得ることができる。
【0023】 いくつかの態様において、5’ESTを使用して得られる伸長cDNAはシグ
ナル配列を含む。他の態様において、5’ESTを使用して得られる伸長cDN
Aは成熟タンパク質(すなわち、シグナルポリペプチドが切断されたとき形成さ
れるタンパク質)の全コード配列を含む。また、5’ESTを使用して得られる
伸長cDNAは、翻訳開始部位の上流または停止コドンの下流の、遺伝子発現の
量、位置または発達段階を制御する調節領域を含んでもよい。
【0024】 上記のように、分泌タンパク質は治療上重要である。従って、5’ESTを使
用して得られる伸長cDNAまたは完全長のcDNAから発現されるタンパク質
は、種々のヒトの症状を治療または予防する際に有用となり得る。 5’EST(または、それから得られるcDNAまたはゲノムDNA)は、個
体を識別するための法医学的手法または5’ESTに対応する遺伝子の異常な発
現による遺伝病を有する個体を識別するための診断的手法にも使用することがで
きる。また、本発明は高分解能ヒト染色体マップを構築するために有用である。
【0025】 本発明はまた、関心のあるタンパク質の分泌を指令することができる分泌ベク
ターに関する。このようなベクターは、生体内の別の部位に送達しようとする遺
伝子産物を1個の細胞内で産生することが望まれる遺伝子治療法に使用すること
ができる。分泌ベクターは目的のタンパク質の精製を容易にすることもできる。
【0026】 本発明はまた、挿入された遺伝子を望ましい場所で、望ましい時期に、または
望ましい量で発現させることを指令することができる発現ベクターに関する。こ
のようなベクターは、5’ESTの上流の配列、例えばプロモーターまたは上流
調節配列を含んでもよい。
【0027】 最後に、本発明は遺伝病を予防または治療する遺伝子治療に使用することもで
きる。シグナルペプチドを異種タンパク質に融合させて、それらの細胞外分泌を
指令することもできる。
【0028】 本発明の5’EST(IIにおいて配列番号の次に掲載する名称で本発明者ら
の実験室に4%(v/v)グリセロールに入れて80℃で現在保管されている配
列番号38〜315)を含む挿入物を有するBluescriptプラスミドを
含有する細菌クローン。挿入物は、適当なクローンを好適な培地で生育させるこ
とによって寄託物から回収することができる。次いで、アルカリ溶解ミニプレッ
プまたは大規模アルカリ溶解プラスミド単離法などの当業者に周知のプラスミド
単離法を使用してBluescriptDNAを単離することができる。所望に
より、プラスミドDNAを塩化セシウム濃度勾配での遠心分離、サイズ排除クロ
マトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーによってさらに濃縮して
もよい。次いで、これらの手法を使用して得られるプラスミドDNAを当業者に
周知の標準的なクローニング技法を使用して操作することができる。または、E
ST挿入物の両端で設計されたプライマーを用いてPCRを実施することができ
る。次いで、当業者に周知の標準的なクローニング技法を使用して、5’EST
に対応するPCR産物を操作することができる。
【0029】 本発明の一態様は、配列番号38〜315の1つの配列またはそれに相補的な
配列を有する精製または単離された核酸である。一実施態様において、核酸は組
換え体である。 本発明の別の態様は、配列番号38〜315の1つの配列またはそれに相補的
な配列の1つの少なくとも10個の連続する塩基を含む精製または単離された核
酸である。
【0030】 本発明のさらに別の態様は、配列番号38〜315の配列の1つまたはそれに
相補的な配列の1つの少なくとも15個の連続する塩基を含む精製または単離さ
れた核酸である。一実施態様において、核酸は組換え体である。
【0031】 本発明のさらに別の態様は、配列番号38〜315の1つの配列または配列番
号38〜315の配列に相補的な配列の1つにストリンジェントな条件において
ハイブリダイゼーションすることができる少なくとも15塩基の精製または単離
された核酸である。一実施態様において、核酸は組換え体である。
【0032】 本発明のさらに別の態様は、配列番号38〜315の配列の1つにより部分的
にコードされる配列を有するヒト遺伝子産物をコードする精製または単離された
核酸である。
【0033】 本発明のさらに別の態様は、配列番号38〜315の1つにより部分的にコー
ドされるヒト分泌タンパク質をコードするcDNAを作製する方法である。この
方法は、ヒト細胞由来のmRNA分子の集合物を配列番号38〜315の1つに
相補的な配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むプライマーと接
触させ、前記プライマーを前記集合物中の前記タンパク質をコードするmRNA
にハイブリダイズさせ、ハイブリダイズさせた前記プライマーを逆転写して前記
mRNAから第1のcDNA鎖を作製し、前記第1cDNA鎖に相補的な第2の
cDNA鎖を作製し、そして、前記第1cDNA鎖と前記第2cDNA鎖とを含
み、前記タンパク質をコードする得られたcDNAを単離する、各ステップを含
んでなる。
【0034】 本発明の別の態様は、配列番号38〜315の1つによりコードされるタンパ
ク質または少なくとも10アミノ酸からなるそのフラグメントを含むヒト分泌タ
ンパク質をコードし、上記段落に記載する方法によって得られる精製または単離
されたcDNAである。一実施態様において、cDNAは、その配列が配列番号
38〜315の配列の1つに部分的に含まれる、前記タンパク質の全タンパク質
コード配列を含む。
【0035】 本発明の別の態様は、配列番号38〜315の1つにより部分的にコードされ
るヒト分泌タンパク質をコードするcDNAを作製する方法である。この方法は
、配列番号38〜315の配列の1つを含むcDNAを取得し、前記cDNAと
配列番号38〜315の前記配列またはそれに相補的な配列の少なくとも15個
の連続するヌクレオチドを含む検出可能なプローブとを、前記プローブを前記c
DNAにハイブリダイズさせる条件下において接触させ、前記検出可能なプロー
ブにハイブリダイズするcDNAを同定し、そして、前記プローブにハイブリダ
イズする前記cDNAを単離する、各ステップを含んでなる。
【0036】 本発明の別の態様は、配列番号38〜315の1つによりコードされるタンパ
ク質または少なくとも10アミノ酸のフラグメントを含むヒト分泌タンパク質を
コードし、上記段落に記載する方法によって得られる精製または単離されたcD
NAである。一実施態様において、cDNAは配列番号38〜315の配列の1
つに部分的に含まれる全タンパク質コード配列を含む。
【0037】 本発明の別の態様は、配列番号38〜315の配列の1つを含むcDNAを作
製する方法である。この方法は、ヒト細胞由来のmRNA分子の集合体と前記m
RNAのポリAテイルにハイブリダイズすることができる第1のプライマーとを
接触させ、前記第1のプライマーを前記ポリAテイルにハイブリダイズさせ、前
記mRNAを逆転写して第1cDNA鎖を作製し、配列番号38〜315の配列
の1つの少なくとも15ヌクレオチドを含む少なくとも1つのプライマーを使用
して前記第1cDNA鎖に相補的な第2cDNA鎖を作製し、そして、前記第1
cDNA鎖と前記第2cDNA鎖を含むcDNAを単離する、各ステップを含ん
でなる。
【0038】 本発明の別の態様は、配列番号38〜315の1つによりコードされるタンパ
ク質または少なくとも10アミノ酸のそのフラグメントを含むヒト分泌タンパク
質をコードし、上記段落に記載する方法によって得られる精製または単離された
cDNAである。一実施態様において、cDNAは配列番号38〜315の配列
の1つに部分的に含まれる全タンパク質コード配列を含む。
【0039】 上記2つの段落に記載した方法の一実施態様において、第2cDNA鎖を作製
するには、前記第1cDNA鎖に、配列番号38〜315の配列の1つの少なく
とも15個の連続するヌクレオチドを含む第2プライマーと前記第1プライマー
の配列内に含まれる配列を有する第3プライマーとを含む第1のプライマー対を
接触させ、ネステッド(nested)プライマーの前記第1の対を用いて第1
のポリメラーゼ連鎖反応を実施して第1のPCR産物を生成し、前記第1のPC
R産物に、配列番号38〜315の1つの前記配列の少なくとも15個の連続す
るヌクレオチドを含みかつ前記第1のPCR産物内の配列にハイブリダイズし得
る第4プライマーと前記第1のPCR産物内の配列にハイブリダイズし得る第5
のプライマーとを含む第2のプライマー対を接触させ、第2のポリメラーゼ連鎖
反応を実施することにより第2のPCR産物を生成することによって行う。
【0040】 本発明の一態様は、配列番号38〜315の1つによりコードされるタンパク
質または少なくとも10アミノ酸のそのフラグメントを含むヒト分泌タンパク質
をコードし、上記段落の方法によって得られる単離または精製されたcDNAで
ある。一実施態様において、cDNAは配列番号38〜315の配列の1つに部
分的に含まれる全タンパク質コード配列を含む。
【0041】 本発明の別の態様は、第2cDNA鎖が、前記第1cDNA鎖に、配列番号3
8〜315の配列の少なくとも15個の連続ヌクレオチドを含む第2プライマー
を接触させ、前記第2プライマーを前記第1cDNA鎖にハイブリダイズさせ、
ハイブリダイズした前記第2プライマーを伸長して前記第2cDNA鎖を形成す
ることによって作製される、上記4つの段落に記載した方法である。
【0042】 本発明の別の態様は、配列番号38〜315の1つにより部分的にコードされ
るタンパク質または少なくとも10アミノ酸のフラグメントを含むヒト分泌タン
パク質をコードし、上記段落に記載する方法によって得られる単離または精製さ
れたcDNAである。一実施態様において、cDNAは配列番号38〜315の
配列の1つに部分的に含まれる全タンパク質コード配列を含む。
【0043】 本発明の別の態様は、配列番号316〜593の配列の1つを含むタンパク質
を作製する方法である。この方法は、配列番号38〜315の配列の1つに部分
的に含まれる全タンパク質配列をコードするcDNAを取得し、前記cDNAが
機能しうる形でプロモーターに連結されるように前記cDNAを発現ベクターに
挿入し、前記発現ベクターを宿主細胞に導入し、それにより前記宿主細胞に前記
cDNAがコードするタンパク質を産生させ、そして前記タンパク質を単離する
、各ステップを含んでなる。
【0044】 本発明の別の態様は、上記段落に記載する方法によって得られる単離されたタ
ンパク質である。 本発明の別の態様は、プロモーターDNAを取得する方法である。この方法は
、配列番号38〜315の核酸またはそれに相補的な配列の上流に位置するDN
Aを取得し、前記上流DNAをスクリーニングして転写開始を指令することがで
きるプロモーターを同定し、同定した前記プロモーターを含む前記DNAを単離
する、各ステップを含んでなる。一実施態様において、取得ステップは配列番号
38〜315の前記核酸またはそれに相補的な配列からの染色体歩行を含む。別
の態様において、スクリーニングステップは前記上流配列をプロモーターレポー
ターベクターに挿入することを含む。別の実施態様において、スクリーニングス
テップは、転写因子結合部位または転写開始部位である前記上流DNA中のモチ
ーフを同定することを含む。
【0045】 本発明の別の態様は、上記の方法によって得られる単離されたプロモーターで
ある。 本発明の別の態様は、配列番号316〜593の配列の1つを含む単離または
精製されたタンパク質である。
【0046】 本発明の別の態様は、個々のESTまたは鎖長が少なくとも15ヌクレオチド
のフラグメントのアレイ中に、配列番号38〜315の配列のうち少なくとも1
つ、または配列番号38〜315の配列に相補的な配列のうち1つ、または少な
くとも15個の連続するヌクレオチドのそのフラグメントを含めることである。
一実施態様において、アレイは配列番号38〜315の配列、配列番号38〜3
15の配列に相補的な配列または少なくとも15個の連続するヌクレオチドのそ
のフラグメントのうち少なくとも2つを含む。別の実施態様において、アレイは
配列番号38〜315の配列、配列番号38〜315の配列に相補的な配列、ま
たは少なくとも15個の連続するヌクレオチドのフラグメントのうち少なくとも
5つを含む。 本発明の別の態様は、配列番号31、34および37からなる群から選択され
た配列を有するプロモーターである。
【0047】 (好ましい実施態様の詳細な説明) 表IVは、本明細書に記載するシグナルペプチド同定法を用いて偽陽性および
偽陰性の頻度を調べるための、全てのヒトスイスプロット(SwissProt
)タンパク質のN末端にある43アミノ酸の分析である。 表Vは、本明細書に記載する各カテゴリーにおける5’ESTの分布および所
定の最小フォン ヘイジン スコア(Von Heijne score)を有
する各カテゴリー中の5’EST数を示す。 表VIは、組織(これから対応するmRNAの5’ESTが得られた)に関し
て本明細書に記載する各カテゴリーにおける5’ESTの分布を示す。 表VIIは、これらのプロモーターのそれぞれに存在する転写因子結合部位を
示す。
【0048】I.完全な5’末端を有するmRNAに由来する5’ESTを取得する一般的方 本発明の5’ESTを得るためには、完全な5’末端を有するmRNAを取得
しなければならない。現在、完全な5’末端を有するこのようなmRNAを得る
ための方法としては、以下に記載するように化学的(1)または酵素的(2)の
2つの方法が存在する。
【0049】1.完全な5’末端を有するmRNAを得るための化学的方法 これらの方法の1つは、mRNAの5’末端を誘導体化し、誘導体化したmR
NAを選択することを含む化学的修飾方法である。真核生物のmRNAの5’末
端は、7位がメチル化されたグアノシンを含む「キャップ」と呼ばれる構造を有
する。キャップは、5’,5’−トリホスフェート結合によって、mRNAの最
初に転写される塩基に結合する。5’グアノシンは2位と7位の両方がメチル化
されている場合もある。まれに、5’グアノシンは2位、7位および7位がトリ
メチル化されている。完全な5’末端を有するmRNAを得るための化学的方法
では、5’キャップを特異的に誘導体化して、固定化用支持体上の反応性基に結
合させる。この特異的な誘導体化は、mRNAの5’末端のメチル化グアノシン
に結合するリボースとmRNAの3’末端の塩基に結合するリボースだけが2’
,3’−cisジオールを有するという事実に基づいている。
【0050】 場合により、3’末端リボースの2’,3’−cisジオールを化学的に修飾
、置換、変換または除去して、2’,3’−cisジオールを有するmRNAの
5’末端のメチル化グアノシンに結合するリボースだけを残すことができる。3
’末端リボースの2’,3’−cisジオールを除去する種々の技法を利用する
ことができる。例えば、制御されたアルカリ加水分解を使用して、3’末端リボ
ースが3’−ホスフェート、2’−ホスフェートまたは(2’,3’)−シクロ
ホスフェートであるmRNAフラグメントを作製することができる。その後、も
との3’リボースを含むフラグメントをオリゴdTカラムによるクロマトグラフ
ィーによって混合物から除去することができる。あるいはまた、2’,3’−c
isジオールを持たない塩基を、T4RNAリガーゼなどのRNAリガーゼを使
用してmRNAの3’末端に付加することができる。以下の実施例1には、メッ
センジャーRNAの3’末端にヌクレオシド二リン酸をライゲートする方法を記
載する。
【0051】実施例1 mRNAの3’末端へのヌクレオシド二リン酸pCpのライゲーション 製造業者(ギブコ(Gibco)BRL)から提供される緩衝液中の5UのT 4 ファージRNAリガーゼ、40UのRNase阻害剤RNasin(プロメガ (Promega))および2μlの32pCp(アマシャム(Amersham
)#PB10208)の存在下で最終反応媒体10μl中で1μgのRNAをイ
ンキュベーションした。インキュベーションは37℃で2時間または7〜8℃で
一夜実施した。
【0052】 3’リボースの2’,3’−cisジオールの修飾または除去後、mRNAの
5’末端に存在する2’,3’−cisジオールをNaBH4、NaBH3CNま
たは過ヨウ素酸ナトリウムなどの試薬を使用して酸化することによって、2’,
3’−cisジオールをジアルデヒドに変換することができる。実施例2は、過
ヨウ素酸ナトリウムを用いたmRNAの5’末端の2’,3’−cisジオール
の酸化を記載する。
【0053】実施例2 過ヨウ素酸ナトリウムを用いたmRNAの5’末端の2’,3’−cisジオー ルの酸化 47ヌクレオチドのキャップ付きオリゴリボヌクレオチド(キャップを含む)
または46ヌクレオチドのキャップのないオリゴリボヌクレオチドの0.1OD
単位を以下のように処理した。転写キット「AmpliScribe T7」(
エピセンター テクノロジーズ(Epicentre Technologie
s))を使用してin vitro転写によってオリゴリボヌクレオチドを作製
した。以下に示すように、RNA転写物のDNA鋳型は1個のシトシンを含有し
ていた。キャップのないRNAを合成するために、4種のNTPs全てをin
vitro転写反応中に加えた。キャップ付きRNAを得るためには、GTPを
キャップの類似体であるm7G(5’)ppp(5’)Gと交換した。ポリメラ
ーゼによって認識されるこの化合物は、転写開始時には新生転写物の5’末端に
導入されたが、伸長段階では導入されなかった。結果として、得られたRNAは
その5’末端にキャップをもっていた。in vitro転写反応によって作製
されたオリゴリボヌクレオチドの配列は以下のようであった: +キャップ: 5’m7GpppGCAUCCUACUCCCAUCCAAUUCCACCCU
AACUCCUCCCAUCUCCAC−3’(配列番号1) −キャップ: 5’−pppGCAUCCUACUCCCAUCCAAUUCCACCCUAA
CUCCUCCCAUCUCCAC−3’(配列番号2)
【0054】 オリゴリボヌクレオチドを9μlの酢酸緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、p
H5.2)および3μlの調製直後の0.1M過ヨウ素酸ナトリウム溶液に溶解
した。混合物を4℃または室温で遮光して1時間インキュベーションした。その
後、10%エチレングリコール4μlを添加して反応を停止した。生成物をエタ
ノールで沈殿させ、水または適当な緩衝液の少なくとも10μlに溶解し、水に
対して透析した。
【0055】 次いで、mRNAの5’末端の濃縮を促進するために、ヒドラジン、カルバジ
ド、チオカルバジドまたはセミカルバジド基などの反応性アミン基を有する分子
に、得られたアルデヒド基を結合することができる。完全な5’末端を有するm
RNAを選択する際に使用するのに好適な反応性アミン基を有する分子としては
、アビジン、タンパク質、抗体、ビタミン、受容体分子に特異的に結合すること
ができるリガンドまたはオリゴヌクレオチドが含まれる。実施例3には、得られ
たジアルデヒドとビオチンとの結合を記載する。
【0056】実施例3 転写物の5’末端のジアルデヒドとビオチンとの結合 実施例2で得られた酸化生成物を、pH5〜5.2の酢酸ナトリウム50μl
および式:
【化1】 のビオチンヒドラジドをメトキシエタノール/水混合物(1:1)に加えた調製
直後の0.02M溶液50μlに溶解した。
【0057】 これらの実験に使用した化合物ではn=5である。しかし、nが0〜5まで変
わる上記式の分子など、他の市販ヒドラジドを使用できることが理解されよう。
次いで、混合物を37℃で2時間インキュベーションし、エタノールで沈殿させ
、蒸留水に対して透析した。実施例4ではビオチン化反応の特異性を明らかにす
る。
【0058】実施例4 キャップ付き転写物のビオチン化反応の特異性 キャップ付きmRNAのビオチン化反応の特異性は以下の試料のゲル電気泳動
によって評価した: 試料1.実施例2のように調製し、実施例1に記載するように32pCpで標識
した46ヌクレオチドのキャップのないin vitro転写物。 試料2.実施例2のように調製し、実施例1に記載するように32pCpで標識
し、実施例2の酸化反応で処理し、実施例3のビオチン化条件にかけた46ヌク
レオチドのキャップのないin vitro転写物。 試料3.実施例2のように調製し、実施例1に記載するように32pCpで標識
した47ヌクレオチドのキャップ付きin vitro転写物。 試料4.実施例2のように調製し、実施例1に記載するように32pCpで標識
し、実施例2の酸化反応で処理し、実施例3のビオチン化条件にかけた47ヌク
レオチドのキャップ付きin vitro転写物。
【0059】 試料1と2は同じ移動速度であった。これはキャップのないRNAが酸化もビ
オチン化もされなかったことを示す。試料3は試料1および2より移動が遅かっ
たが、試料4は移動が最も遅かった。試料3および4のRNAの移動度の差は、
キャップ付きRNAが特異的にビオチン化されたことを示す。
【0060】 ある場合には、mRNAを含む容器の内側、磁気ビーズ、クロマトグラフィー
マトリックスまたはナイロンもしくはニトロセルロース膜などの好適な固相支持
体に反応性アミン基を有する分子を結合することによって完全な5’末端を有す
るmRNAを濃縮してもよい。例えば、反応性アミン基を有する分子がビオチン
である場合には、固相支持体にアビジンまたはストレプトアビジンを結合させる
。または、反応性アミン基を有する分子が抗体または受容体リガンドである場合
には、固相支持体に同族の抗原または受容体を結合させる。最後に、反応性アミ
ン基を有する分子がオリゴヌクレオチドを含む場合には、固相支持体が相補的な
オリゴヌクレオチドを含むことができる。
【0061】 完全な5’末端を有するmRNAは、濃縮法の後に固相から遊離させることが
できる。例えば、ジアルデヒドがビオチンヒドラジドに結合し、固相がストレプ
トアビジンを含む場合には、2%SDS中で95℃までの温度に単に加熱するこ
とよって、mRNAを固相から遊離させることができる。ある方法では、濃縮後
に、反応性アミン基を有する分子を完全な5’末端を有するmRNAから切断し
てもよい。実施例5は、ストレプトアビジンを被覆したビーズによるビオチン化
mRNAの捕捉と濃縮後のビーズからのビオチン化mRNAの放出を記載する。
【0062】実施例5 ストレプトアビジン被覆ビーズを使用したビオチン化mRNAの捕捉と放出 ストレプトアビジンを被覆した磁気ビーズは、製造業者の指示(CPG In
c.、合衆国)によって調製した。ビオチン化mRNAをハイブリダイゼーショ
ン緩衝液(1.5M NaCl、pH5〜6)に添加した。30分間インキュベ
ーション後、未結合および未ビオチン化材料を除去した。次いで、ビーズを1%
SDSを添加した水で数回洗浄した。このようにして得られたビーズを2%SD
Sを含有する水中で95℃で15分間インキュベーションした。 実施例6は、ビオチン化mRNAをストレプトアビジン被覆ビーズから回収す
る際の効率を明らかにする。
【0063】実施例6 ビオチン化mRNAの回収効率 回収手順の効率は以下のように評価した。キャップ付きRNAを上記のように 32 pCpで標識し、酸化し、ビオチン化し、ストレプトアビジン被覆ビーズに結
合した。その後、結合したRNAを2%SDSの存在下で95℃で5、15また
は30分インキュベーションした。 反応生成物を変性条件下(7M尿素)で12%ポリアクリルアミドゲル電気泳
動で分析した。ゲルをオートラジオグラフィーにかけた。この操作の間に、ヒド
ラゾン結合は還元されなかった。
【0064】 2%SDS中でのインキュベーション時間が増加するにつれて、回収された核
酸の量は増加した。これはビオチン化mRNAが効率的に回収されたことを示す
。 完全な5’末端を有するmRNAを得るための別の方法では、反応性アミン基
を含むように誘導体化したオリゴヌクレオチドを、完全なキャップを有するmR
NAに特異的に結合させる。好ましくは、上記のように、アルデヒド基を誘導体
化オリゴヌクレオチドに結合するステップの前に、誘導体化オリゴヌクレオチド
がmRNAの3’末端に結合しないように、mRNAの3’末端をブロックする
。例えば、実施例1に記載するT4RNAリガーゼを使用して、pCpをmRN
Aの3’末端に結合することができる。しかし、上記のように、mRNAの3’
末端をブロックするステップは任意のステップである。誘導体化オリゴヌクレオ
チドは実施例7に記載するように調製することができる。
【0065】実施例7 オリゴヌクレオチドの誘導体化 3’末端がリン酸化されたオリゴヌクレオチドは、約1〜3Mのヒドラジンま
たは式H2N(R1)NH2のジヒドラジドのpH4.5の水溶液で8℃で一夜処
理することによって、3’側で3’ヒドラジドに変換した。このインキュベーシ
ョンは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどの
カルボジイミド型の試薬の最終濃度0.3Mの水溶液の存在下で実施した。
【0066】 次いで、誘導体化オリゴヌクレオチドを、オリゴヌクレオチドを単離するため
の標準的な技法を使用して他の試薬および生成物から分離した。 上記のように、濃縮しようとするmRNAを、mRNAに存在しうる3’OH
基を除去するように処理することができる。これは、実施例1に記載するように
、pCpなどの3’OHを持たない配列の酵素的なライゲーションによって実施
することができる。あるいはまた、以下の実施例8に記載するようにアルカリ加
水分解によって3’OH基を除去してもよい。
【0067】実施例8 アルカリ加水分解を使用したmRNAの3’OH基の除去 0.1N水酸化ナトリウムの総容量100μl中で、1.5μgのmRNAを
4℃で40〜60分間インキュベーションした。この溶液を酢酸で中和し、エタ
ノールで沈殿させた。 3’OH基を必要に応じて除去した後、mRNAの5’末端のジオール基を以
下の実施例9に記載するように酸化する。
【0068】実施例9 mRNAのジオールの酸化 1OD単位までのRNAを、9μlの緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム、pH
6〜7)または水と3μlの調製直後の0.1M過ヨウ素酸ナトリウム溶液に溶
解した。反応物を遮光して4℃または室温で1時間インキュベーションした。イ
ンキュベーション後、10%エチレングリコール4μlを添加することによって
反応を停止した。その後、混合物を室温で15分間インキュベーションした。エ
タノールで沈殿させた後、生成物を少なくとも10μlの水または適当な緩衝液
に溶解して、水に対して透析した。 mRNAの5’末端のジオール基を酸化した後、誘導体化したオリゴヌクレオ
チドを実施例10に記載するように得られたアルデヒドに結合した。
【0069】実施例10 mRNAのアルデヒドの誘導体化したオリゴヌクレオチドとの結合 酸化したmRNAを50μlの酢酸ナトリウムpH4〜6などの酸性媒体に溶
解した。mRNA:誘導体化したオリゴヌクレオチドの比1:20が得られるよ
うに、誘導体化オリゴヌクレオチドの溶液50μlを添加した。この混合物を水
素化ホウ素で還元し、37℃で2時間または10℃で一夜(14時間)インキュ
ベーションした。次いで、混合物をエタノールで沈殿し、10μl以上の水また
は適当な緩衝液に溶解し、蒸留水に対して透析した。所望により、アクリルアミ
ドゲル電気泳動、HPLC分析または他の従来の技法を使用して得られた生成物
を分析することができる。 誘導体化オリゴヌクレオチドをmRNAに結合した後に、以下の実施例11に
記載するように逆転写反応を実施することができる。
【0070】実施例11 誘導体化したオリゴヌクレオチドに結合したmRNAの逆転写 オリゴデオキシリボヌクレオチドは以下のように誘導体化した。5’OH末端
と3’−P末端を有する配列5’ATCAAGAATTCGCACGAGACC
ATTA3’(配列番号3)のオリゴデオキシリボヌクレオチドの3OD単位を
、2μgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを
含有するジメチルホルムアミド/水(75:25)中で調製した1.5Mヒドロ
キシベンゾトリアゾール溶液pH5.3の70μl中に溶解した。混合物を22
℃で2時間30分インキュベーションし、次いでLiClO4/アセトンで2回 沈殿させた。ペレットを0.25Mヒドラジン200μlに溶解し、8℃で3〜
14時間インキュベーションした。ヒドラジン反応後、混合物をLiClO4/ アセトンで2回沈殿させた。
【0071】 逆転写すべきメッセンジャーRNAを、−80℃で保存しておいた1辺2cm
の胎盤のブロックから抽出した。従来の酸性フェノール技法を使用して全RNA
を抽出した。オリゴ−dTクロマトグラフィーを使用してmRNAを精製した。
mRNAの完全性はノーザンブロット法でチェックした。 胎盤由来の7μgのmRNAのジオール基は実施例9に記載するように酸化し
た。沈殿ステップを排除クロマトグラフィーステップに変えて、mRNAに結合
しなかった誘導体化オリゴデオキシリボヌクレオチドを除去したこと以外は上記
の実施例10に記載するように、誘導体化オリゴヌクレオチドをmRNAに結合
した。排除クロマトグラフィーは以下のように実施した:
【0072】 アガロースとアクリルアミドの混合物である10mlのUltrogel A
cA34(バイオセプラ(BioSepra)#230151)ゲルを、10m
MのトリスpH8.0、300mMのNaCl、1mMのEDTAおよび0.0
5%SDSの溶液50ml中で平衡化した。混合物を沈降させた。上清を除去し
、ゲルを50mlの緩衝液に懸濁させた。この手順を2または3回繰り返し行っ
た。 ガラスビーズ(直径3mm)を2mlの使い捨てピペット(長さ25cm)に
入れた。ゲルの高さがピペットの頂部から1cmのところで安定するまでピペッ
トにゲル懸濁液を充填した。次いで、カラムを20mlの平衡緩衝液(10mM
トリスHCl pH7.4、20mM NaCl)で平衡化させた。 誘導体化オリゴヌクレオチドと反応したmRNAの10μlを、10mM尿素
39μlと、5mgのブロモフェノールブルーを60%グリセロール(v/v)
に溶解し、この混合物を直径0.45μmのフィルターを通過させることによっ
て調製したブルー−グリセロール緩衝液2μl中で混合した。
【0073】 次いで、オリゴヌクレオチドに結合したmRNAをカラムにのせた。試料が浸
透すると同時に平衡緩衝液を添加した。次いで、100μlの画分を集めた。m
RNAに結合しなかった誘導体化オリゴヌクレオチドは画分16またはそれ以後
の画分に出現した。従って、画分3〜15を合わせて、エタノールで沈殿させた
【0074】 誘導体化オリゴヌクレオチドが実際にmRNAに結合したかどうかを判定する
ために、合わせた画分の10分の1をナイロン膜に2回スポットし、従来の技法
を使用して放射性標識プローブとハイブリダイズさせた。これらのハイブリダイ
ゼーションに使用した32P標識プローブは、誘導体化オリゴヌクレオチドにアン
チ相補的(anticomplementary)な配列5’TAATGGTC
TCGTGCGAATTCTTGAT3’(配列番号4)のオリゴデオキシリボ
ヌクレオチドであった。オートラジオグラフィーにより観察されたシグナルは誘
導体化オリゴヌクレオチドが実際にmRNAに結合していることを示した。
【0075】 誘導体化オリゴヌクレオチドと反応したmRNAの残りの10分の9は以下の
ように逆転写させた。逆転写反応は製造業者の指示に従って逆転写酵素とプライ
マーとしてランダム配列のノナマー(nonamer)50pmolを用いて実
施した。 逆転写を確実にキャップ構造を通して実施させるために、2つのタイプの実験
を実施した。
【0076】 第1の方法では、アルカリ加水分解によって逆転写反応から得られたcDNA
:RNAヘテロ二重鎖のRNAを除去した後、得られた1本鎖cDNAの一部を
正に荷電した膜にスポットし、従来の方法を使用して、誘導体化オリゴヌクレオ
チドの配列と同じ配列を有する32P標識プローブにハイブリダイズさせた。誘導
体化オリゴヌクレオチドの配列と同じ配列の対照オリゴデオキシリボヌクレオチ
ドの1pmol、100fmol、50fmol、10fmolおよび1fmo
lを含有する対照スポットを加えた。cDNAを含有するスポットで観察された
シグナルは、約15fmolの誘導体化オリゴヌクレオチドが逆転写されたこと
を示した。これらの結果は、逆転写がキャップを通して実施され、特に逆転写酵
素が真核生物メッセンジャーRNAのキャップの5’−P−P−P−5’結合を
越えることを示す。
【0077】 第2のタイプの実験では、上記の第1鎖合成で得られた1本鎖cDNAをPC
R反応の鋳型として使用した。2つのタイプの反応を実施した。第一に、αグロ
ビン、デヒドロゲナーゼ、pp15および延長因子E4のmRNAの特異的な増
幅を、以下のオリゴデオキシリボヌクレオチドプライマー対を使用して実施した
【0078】 αグロビン GLO−S:5’CCGACAAGACCAACGTCAACGCCGC3’ (配列番号5) GLO−As:5’TCACCAGCAGGCAGTGGCTTAGGAG3’ (配列番号6)
【0079】 デヒドロゲナーゼ 3DH−S:5’AGTGATTCCTGCTACTTTGGATGGC3’ (配列番号7) 3DH−As:5’GCTTGGTCTTGTTCTGGAGTTTAGA3’ (配列番号8)
【0080】 pp15 PP15−S:5’TCCAGAATGGGAGACAAGCCAATTT3’ (配列番号9) PP15−As:5’AGGGAGGAGGAAACAGCGTGAGTCC3
’(配列番号10)
【0081】 延長因子E4 EFA1−S:5’ATGGGAAAGGAAAAGACTCATATCA3’ (配列番号11) EF1A−As:5’AGCAGCAACAATCAGGACAGCACAG3
’(配列番号12)
【0082】 第二に、上記の対のアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチドおよび誘導
体化オリゴデオキシリボヌクレオチドの配列に由来するプライマー(5’ATC
AAGAATTCGCACGAGACCATTA3’)(配列番号13)を用い
て非特異的増幅も実施した。
【0083】 以下のRT−PCR産物の試料の20分の1を1.5%アガロースゲルで分析
し、臭化エチジウムで染色した。 試料1:cDNAの存在下での配列番号5および6のグロビンプライマーを使
用したPCR反応の産物。 試料2:添加cDNAの非存在下での配列番号5および6のグロビンプライマ
ーを使用したPCR反応の産物。 試料3:cDNAの存在下での配列番号7および8のデヒドロゲナーゼプライ
マーを使用したPCR反応の産物。 試料4:添加cDNAの非存在下での配列番号7および8のデヒドロゲナーゼ
プライマーを使用したPCR反応の産物。 試料5:cDNAの存在下での配列番号9および10のpp15プライマーを
使用したPCR反応の産物。 試料6:添加cDNAの非存在下での配列番号9および10のpp15プライ
マーを使用したPCR反応の産物。 試料7:cDNAの存在下での配列番号11および12のEIF4プライマー
を使用したPCR反応の産物。 試料8:添加cDNAの非存在下での配列番号11および12のEIF4プラ
イマーを使用したPCR反応の産物。
【0084】 PCR産物の予想されるサイズのバンドは試料1、3、5および7だけに観察
され、これによってcDNA集団中に対応する配列が存在することが示された。 また、グロビンおよびデヒドロゲナーゼプライマー(配列番号6および8)の
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその配列が誘導体化オリゴヌクレオチド
に一致するオリゴヌクレオチドを用いてPCR反応を実施した。上記の試料1お
よび3と等価な試料中に予期されたサイズのPCR産物が存在することは、誘導
体化オリゴヌクレオチドがmRNAに結合していたことを示した。
【0085】 上記の実施例は、図1に示すように、完全な5’末端を有するものについてm
RNAを濃縮するための化学的手法をまとめたものである。このようなmRNA
を得るための化学的方法に関する更なる詳細は、参照により本明細書に組み入れ
られる1996年11月7日に公開された国際出願番号WO96/34981に
開示されている。5’キャップ構造に対する上記の化学的修飾に基づいた方法を
使用して、mRNA(cDNAがこれから誘導される)の5’末端を含むように
選択されたcDNAを作製することができる。このような手法の一形態では、m
RNAの5’末端を上記のように修飾する。その後、逆転写反応を実施して、m
RNAの5’末端に相補的なプライマーを伸長する。1本鎖RNAを除去して、
mRNAが完全な5’末端を含むcDNA/mRNAヘテロ二重鎖の集団を得る
。得られたヘテロ二重鎖を固相上に捕捉する。この固相は、mRNAの5’末端
を誘導体化するのに使用した分子と相互作用し得る分子を被覆したものである。
その後、ヘテロ二重鎖を分離して、mRNAの5’末端を含む1本鎖の第1cD
NA鎖を回収する。次いで、第2鎖cDNAの合成を従来の技法を使用して進行
させる。例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み入れられるWO96
/34981またはカルニンチ(Carninci)ら、Genomics 3
7:327〜336、1996に開示されている手法を使用して、mRNAのコ
ード配列の5’末端から誘導される配列を含むcDNAを選択することができる
【0086】 mRNAの5’キャップにオリゴヌクレオチドタグを結合した後、逆転写反応
を実施して、mRNAに相補的なプライマーをmRNAの5’末端まで伸長する
。標準的な技法を使用して、得られたヘテロ二重鎖のRNA成分を除去した後、
オリゴヌクレオチドタグに相補的なプライマーを用いて第2鎖cDNAの合成を
実施する。
【0087】2.完全な5’末端を有するmRNAを得るための酵素的方法 cDNAが誘導されるmRNAの5’末端まで伸長するcDNAを選択するた
めの他の技法は完全に酵素的な方法である。これらの技法のいくつかの形態は、
それらの開示内容が参考として本明細書に組み入れられている、デュマス ミル
ン エドワーズ(Dumas Milne Edwards)J.B.(パリV
I大学の博士論文、Le clonage des ADNc comlets
:difficultes et perspectives nouvell
es. Apports pour l’etude de la regul
ation de l’expression de la tryptoph
ane hydroxylase de rat,1993年12月20日)、
欧州特許第625572号およびカト(Kato)ら、Gene 150:24
3〜250、1994年に開示されている。
【0088】 簡単に説明すると、このような方法では、単離されたmRNAをアルカリ性ホ
スファターゼで処理して、キャップのない不完全なmRNAの5’末端に存在す
るリン酸を除去する。この手順の後に、全長mRNAに存在するキャップを、T
4ポリヌクレオチドキナーゼまたはタバコ酸ピロホスファターゼなどの脱キャッ
プ酵素で酵素的に除去する。次いで、DNAオリゴヌクレオチドまたは3’末端
にRNAを有するDNA−RNAハイブリッドオリゴヌクレオチドのいずれであ
ってもよいオリゴヌクレオチドを、T4RNAリガーゼを使用して、脱キャップ
mRNAの5’末端に存在するリン酸に結合させる。オリゴヌクレオチドは、合
成後のcDNAのクローニングを容易にするための制限部位を含んでいてもよい
。以下の実施例12には、デュマス(Dumas)の博士論文に基づいた1つの
酵素的方法を記載する。
【0089】実施例12 5’ESTを得るための酵素的な方法 ウシ腸ホスファターゼ(バイオラブズ(Biolabs))を使用して20μ
gのポリA+RNAを脱リン酸化した。フェノールクロロホルムによる抽出の後
、mRNAのキャップ構造をタバコ酸ピロホスファターゼ(シンシ(Shins
hi)ら、Biochemistry 15:2185〜2190、1976に
記載されるように精製したもの)を使用して加水分解し、非リン酸化5’末端、
3’末端にアデノシンリボホスフェートの伸長部および5’末端近傍にEcoR
I部位を有するヘミ5’DNA/RNA−3’オリゴヌクレオチドを、T4RN
Aリガーゼ(バイオラブズ(Biolabs))を使用してmRNAの5’P末
端に結合した。この手法で使用するのに好適なオリゴヌクレオチドは、好ましく
は、鎖長30〜50塩基である。5’末端に螢光色素を付加することによって、
非リン酸化5’末端を有するオリゴヌクレオチドを合成することができる。オリ
ゴヌクレオチドの3’末端にアデノシンリボホスフェートの伸長部を付加すると
、連結反応効率が増す。オリゴヌクレオチドはEcoRI以外のクローニング部
位を有してもよいことが認識されるだろう。
【0090】 脱キャップmRNAの5’末端に存在するリン酸にオリゴヌクレオチドを連結
した後に、従来の方法またはそれらの開示内容が参考として本明細書に組み入れ
られている欧州特許第625,572号およびカト(Kato)ら、前掲、およ
びデュマス ミルン エドワーズ(Dumas Milne Edwards)
、前掲、に明記されている方法を使用して、第1鎖および第2鎖のcDNAの合
成を実施する。次いで、その開示内容が参照により本明細書に組み入れられる、
サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:ラボラトリーマニュ
アル(Molecular Cloning:A Laboratory Ma
nual)、第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリープレス(
Cold Spring Harbor Laboratory Press)
、1989年、に記載されるような技法を使用して、得られたcDNAを、カト
(Kato)ら、前掲、に開示されるようなベクターまたは当業者に周知の他の
核酸ベクターに連結することができる。
【0091】II.本発明の5’ESTの取得および特徴づけ 本発明の5’ESTは、以下に記載するように完全な5’末端を有するものに
ついてmRNAを濃縮するための上記の化学的および酵素的方法を使用して得ら
れた。完全な5’ESTを有するmRNAを使用した5’ESTの取得 最初に、mRNAを以下の実施例13に記載するように調製した。
【0092】実施例13 完全な5’ESTを有するmRNAの調製 29種類の異なる組織に由来するヒト全RNAまたはポリA+RNAはそれぞ
れラビモ(LABIMO)およびクローンテック(CLONETECH)から購
入し、以下のように44のcDNAライブラリーを作製するために使用した。購
入したRNAは、酸性グアニジウムチオシアネート−フェノール−クロロホルム
抽出(チョムチニスキー(Chomczyniski)およびサッチ(Sacc
hi)、Analytical Biochemistry 162:156〜
159,1987)を使用して細胞または組織から単離されたものである。ポリ
+RNAは、リボソームRNAを除去するために、アビブ(Aviv)および レダー(Leder)、Proc. Natl.Acad.Sci.USA69
:1408〜1412、1972に記載されるように、オリゴdTクロマトグラ
フィーを2回通過させることによって全RNA(ラビモ(LABIMO))から
単離した。
【0093】 ポリA+RNAの品質および完全性を調べた。グロビンプローブによりハイブ
リダイズされるノーザンブロット法を使用して、mRNAが分解されてないこと
を確認した。リボソーム配列によるポリA+mRNAの汚染を、ノーザンブロッ ト法と28SrRNAの配列に由来するプローブを使用して調べた。rRNAが
5%未満であるmRNAの調製物をライブラリー構築に使用した。外因性配列(
原核生物または真菌)により汚染されたRNAを用いてライブラリーを構築しな
いように、PCRを使用して、細菌の16Sリボソーム配列の存在または高度に
発現される2種の真菌mRNAの配列を調べた。
【0094】 mRNAの調製後に、完全な5’末端を有するものについてmRNAを濃縮す
るための上記の化学的および/または酵素的な手法を使用して、種々の組織から
5’ESTを得た。両方法において、オリゴヌクレオチドタグをmRNAの5’
末端に結合した。オリゴヌクレオチドタグは、その後のクローニング手順を容易
にするためのEcoRI部位を有した。ライブラリーの構築物において得られた
1本鎖cDNAおよび2本鎖cDNAのプロセシングを容易にするために、化学
的および酵素的方法で同一のヌクレオチド配列を使用して、ライゲートされたオ
リゴヌクレオチドを設計した。しかし、化学的手法では、使用したタグは、mR
NAのキャップに連結されたオリゴデオキシリボヌクレオチドであったが、酵素
的ライゲーションでは、タグは、実施例12に記載するように脱キャップmRN
Aの5’末端に連結されたキメラなヘミ5’DNA/RNA3’オリゴヌクレオ
チドであった。
【0095】 化学的方法または酵素的方法のどちらかによってmRNAにオリゴヌクレオチ
ドタグを結合した後、オリゴヌクレオチドタグに相補的なプローブを使用して2
00〜500ngのmRNAを用いたノーザンブロット法を実施することによっ
てmRNAの完全性を調査してから、実施例14に記載するように第1鎖の合成
を実施した。
【0096】実施例14 完全な5’末端を有するmRNA鋳型を使用したcDNA合成 化学的および酵素的方法を使用してオリゴヌクレオチドタグに結合させたmR
NAについては、スーパースクリプト(Superscript)II(ギブコ
(Gibco)BRL)またはRNase H Minus M−MLV(プロ
メガ(Promega))逆転写酵素とプライマーとしてランダムノナマー(r
andom nonamer)を使用して第1鎖cDNAの合成を実施した。こ
の手法の後続のステップでの消化からcDNAの内部EcoRI部位を保護する
ために、メチル化dCTPを第1鎖合成に使用した。アルカリ加水分解によって
RNAを除去した後、残存するプライマーを除去するために、第1鎖cDNAを
イソプロパノールを使用して沈殿させた。
【0097】 化学的方法と酵素的方法の両方において、実施例12に記載したライゲートさ
れたオリゴヌクレオチドの5’末端に対応するプライマーを使用してクレノウ(
Klenow)フラグメントによりcDNAの第2鎖を合成した。好ましくは、
プライマーは鎖長が20〜25塩基である。クローニング中の消化からcDNA
中の内部EcoRI部位を保護するために、第2鎖合成でもメチル化dCTPも
使用した。 cDNA合成後、以下の実施例15に記載するようにcDNAをpBlueS
criptにクローニングした。
【0098】実施例15 完全な5’末端を有するmRNAから誘導したcDNAのBlueScript へのクローニング 第2鎖の合成後に、cDNAの両末端をT4DNAポリメラーゼ(バイオラボ
ズ(Biolabs))で平滑化し、EcoRIでcDNAを消化した。cDN
A合成中にメチル化dCTPを使用したので、タグ中に存在するEcoRI部位
がただ1つのヘミメチル化部位であり、従ってEcoRI消化を受けやすい唯一
の部位であった。次いで、排除クロマトグラフィー(AcA,バイオセプラ(B
iosepra))を使用してcDNAをサイズ分画し、150bpより大きい
cDNAに対応する画分を収集して、エタノールで沈殿させた。ファージミドp
BlueScriptベクター(ストラタジーン(Stratagene))の
SmaIおよびEcoRI末端にcDNAを方向性を保ってクローニングした。
ライゲーション混合物を細菌にエレクトロポレーションで導入し、適当な抗生物
質選択下で増殖させた。 以下の実施例16に記載するように、結合したオリゴヌクレオチドタグを有す
るクローンを選択した。
【0099】実施例16 オリゴヌクレオチドタグを結合させたクローンの選択 上記のように作製した5’ESTライブラリーを含有するプラスミドDNAを
精製した(キアゲン(Qiagen))。以下のように、タグ付きクローンの陽
性選択を実施した。簡単に説明すると、この選択手順では、ファージF1の遺伝
子IIエンドヌクレアーゼを、エキソヌクレアーゼIIIまたはT7遺伝子6エ
キソヌクレアーゼなどのエキソヌクレアーゼ(チャン(Chang)ら、Gen
e 127:95〜8、1993)と共に使用して、プラスミドDNAを1本鎖
DNAに変換した。次いで、得られた1本鎖DNAを、フライ(Fry)ら、B
iotechniques、13:124〜131、1992に記載されるよう
に、常磁性ビーズを使用して精製した。この手順では、1本鎖DNAを、実施例
13に記載するオリゴヌクレオチドの3末端に対応する配列を有するビオチン化
オリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせた。好ましくは、プライマーは20〜
25塩基の長さである。ビオチン化オリゴヌクレオチドに相補的な配列を含むク
ローンは、インキュベーションによって、ストレプトアビジンを被覆した磁気ビ
ーズに捕捉して、次に磁気的に選択した。陽性クローンの捕捉後、磁気ビーズか
らプラスミドDNAを放出させ、アマーシャム ファルマシア バイオテック(
Amersham Pharmacia Biotech)製のThermoS
equenaseなどのDNAポリメチラーゼを使用して2本鎖DNAに変換し
た。または、ギブコ(Gibco)BRL製のジーントラッパーキット(Gen
e Trapper kit)に記載されるようなプロトコールを使用してもよ
い。次いで、2本鎖DNAを細菌にエレクトロポレーションで導入した。5’タ
グ付きオリゴヌクレオチドを有する陽性クローンの割合は、ドットブロット分析
を使用して一般に90〜98%の範囲であると推定された。 エレクトロポレーション後、ライブラリーを384−マイクロタイタープレー
ト(MTP)に並べた。MTPのコピーを今後使用するために保管した。次いで
、ライブラリーを96MTPに移し、以下のように配列決定した。
【0100】実施例17 選択したクローン中の挿入物の配列決定 最初に、標準的なSETA−AおよびSETA−Bプライマー(ジェンセット
(Genset)SA)、AmpliTaqGold(パーキン−エルマー(P
erkin−Elmer))、dNTPs(ベーリンガー(Boehringe
r))、パーキン−エルマーコーポレーション(Perkin−Elmer C
orporation)が推奨する緩衝液およびサイクル条件を使用して、PE
9600サーモサイクラー(パーキン−エルマー、アプライド バイオシステム
ズ ディビジョン(Perkin−Elmer、Applied Biosys
tems Division)、カリフォルニア州フォスターシティ)でPCR
によりプラスミド挿入物を増幅した。
【0101】 次いで、自動ABIプリズム(Prism)377シークエンサー(パーキン
−エルマー(Perkin−Elmer))を使用してPCR産物を配列決定し
た。配列決定反応は、標準的な色素−プライマー化学とThermoSeque
nase(アマーシャム ファルマシア バイオテック(Amersham P
harmacia Biotech))を用いたPE9600サーモサイクラー
を使用して実施した。使用したプライマーは適宜にT7または21M13(ジェ
ンセット(Genset)SA)のいずれかであった。プライマーはJOE、F
AM、ROXおよびTAMRA染料で標識した。配列決定反応に使用したdNT
PsおよびddNTPsはベーリンガーから購入した。シークエンシング用緩衝
液、試薬の濃度およびサイクル条件はアマーシャム(Amersham)が推奨
するとおりにした。
【0102】 配列決定反応後、試料をエタノールで沈殿させ、ホルムアミドローディング用
緩衝液で懸濁し、標準的な4%アクリルアミドゲルにのせた。電気泳動はABI
377シークエンサーで300Vで2.5時間実施し、配列データを収集し、A
BIプリズム(Prism)DNAシークエンシング分析ソフトウェア、バージ
ョン2.1.2を使用して分析した。
【0103】2.得られた5’ESTのコンピュータ解析:NetGeneおよびSigna lTagデータベースの構築 上記のように作製した44のcDNAライブラリーの配列データを専売のデー
タベースに移し、そこで品質管理とバリデーションステップを実施した。Uni
xシステムを用いて作動する専売の塩基コーラー(base−caller)は
、ピークの形状、ピーク間分解能およびノイズレベルを考慮して、疑わしいピー
クを自動的に信号旗で知らせた。専売の塩基コーラー(base−caller
)はまた自動トリミングを実施した。疑わしいピークが4つより多い25個以下
の塩基の伸長部はいかなるものも信頼性がないとみなされ、破棄された。クロー
ニングベクターまたは連結オリゴヌクレオチドに対応する配列は自動的にEST
配列から除かれた。しかし、得られたEST配列は、5’末端に上記の配列に属
する1〜5塩基を含有してもよい。必要に応じて、これらはケースごとに容易に
除去することができる。
【0104】 上記のように配列決定した後に、5’ESTの配列を、以下に記載する保存と
操作のためにコールされる専売のデータベースであるNetGene(商標名)
に加えた。データは、コンピュータが読みとり、アクセスすることのできる任意
の媒体で保存および操作できるとことが当業者には理解されよう。コンピュータ
が読みとり可能な媒体には、磁気的、場合により、電子的に読みとり可能な媒体
が含まれる。例えば、コンピュータ読みとり可能媒体はハードディスク、フロッ
ピーディスク、磁気テープ、CD−ROM、RAMまたはROM並びに当業者に
周知の他の種類の媒体であってもよい。
【0105】 また、配列データは多様なフォーマットでデータプロセッサプログラムで保存
および操作することができる。例えば、配列データは、マイクロソフト(Mic
rosoft)ワード(WORD)もしくはワードパーフェクト(WORDPE
RFECT)などのワード処理ファイル中にテキストとして、またはDB2、S
YBASEもしくはORACLEなどの当業者に周知の種々のデータベースプロ
グラム中にASCIIファイルとして保存することができる。
【0106】 配列情報を保存するコンピュータ読みとり可能媒体はパーソナルコンピュータ
、ネットワーク、サーバーまたは当業者に周知の他のコンピュータシステム内で
あってもよい。コンピュータまたは他のシステムは、好ましくは、上記の保存媒
体と、配列データにアクセスし、操作するためのプロセッサとを含む。配列デー
タが保存されると、所望の核酸配列を有する保存配列または特定の機能性ドメイ
ンを有するタンパク質をコードする保存配列を突き止めるために操作および検索
することができる。例えば、保存されている配列情報を他の公知の配列と比較し
て、相同性、生物学的機能に必要なモチーフまたは構造モチーフを同定すること
ができる。
【0107】 保存された配列を検索または比較するために使用することができるプログラム
は、MacPattern(EMBL)、BLASTおよびBLAST2プログ
ラムシリーズ(NCBI)、ヌクレオチド(BLASTN)およびペプチド(B
LASTX)比較のための基本的なローカルアライメントツールプログラム(ア
ルトシュル(Altschul)、J.Mol.Biol.215:403、1
990)およびFASTA(ペアソン(Peason)およびリップマン(Li
pman)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444
,1988)を含む。BLASTプログラムは、規定されたマッチおよびミスマ
ッチ基準に基づいてアライメントを拡張する。
【0108】 上記のプログラムおよび実施例28に記載するプログラムを使用して検出する
ことができるモチーフは、ロイシンジッパー、ヘリックス−ターン−ヘリックス
モチーフ、グリコシル化部位、ユビキチン化部位、αヘリックスおよびβシート
、コードされたタンパク質の分泌を指令するシグナルペプチドをコードするシグ
ナル配列、ホメオボックスなどの転写調節に関与する配列、酸性領域、酵素活性
部位、基質結合部位並びに酵素的切断部位を含む。
【0109】 関心のある配列モチーフについてNetGeneTMデータベースでcDNAを
検索する前に、以下の実施例18に記載するように、関心のないmRNAから誘
導されたcDNAを同定して、それ以上考慮しないように除外した。
【0110】実施例18 不要な配列の考慮対象からの除外 トランスファーRNA、リボソームRNA、ミトコンドリアRNA、原核生物
RNAs、真菌RNAs、Alu配列、L1配列または反復配列などの不要な配
列に由来するNetGeneTMデータベース中の5’ESTを、FASTAおよ
びBLASTNプログラムと表Iに掲載するパラメータを使用して同定した。
【0111】 tRNAをコードする5’ESTを今後の考慮対象から除外するために、この
5’EST配列を、EMBLリリース38から得られる1190の周知のtRN
Aの配列(このうち、100がヒトである)と比較した。比較は、5’ESTの
両方の鎖にFASTAを使用して実施した。60より多いヌクレオチドに対して
80%を越える相同性を有する配列をtRNAと同定した。スクリーニングした
144,341の配列のうち、26はtRNAと同定され、今後の考慮対象から
除外した。
【0112】 rRNAをコードする5’ESTを今後の考慮対象から除外するために、この
5’EST配列を、EMBLリリース38から得られる2497の周知のrRN
Aの配列(このうち、73がヒトである)と比較した。5’ESTの両方の鎖に
BLASTN(パラメータS=108)を使用して比較を実施した。40ヌクレ
オチドよりも長い領域に対して80%を越える相同性を有する配列をrRNAと
同定した。スクリーニングした144,341の配列のうち、3,312をrR
NAと同定し、今後の考慮対象から除外した。
【0113】 mRNAをコードする5’ESTを今後の考慮対象から除外するために、この
5’EST配列を、ゲノムの配列全体を入手することができる2つの周知のミト
コンドリアゲノムの配列と、tRNA、rRNAおよびmRNAを含むこれらの
ミトコンドリアゲノムから転写される全ての配列と、合計38配列について比較
した。5’ESTの両方の鎖にBLASTN(パラメータS=108)を使用し
て比較を実施した。40ヌクレオチドよりも長い領域に対して80%を越える相
同性を有する配列をmtRNAと同定した。スクリーニングした144,341
の配列のうち、6,110をmtRNAと同定し、今後の考慮対象から除外した
【0114】 パラメータS=144を用いるBLASTNを使用して、5’EST配列を細
菌および真菌部門のEMBLのリリース46と比較することによって、異種不純
物由来であると思われる配列を今後の考慮対象から除外した。少なくとも40の
ヌクレオチドに対して90%を越える相同性を有する全ての配列を異種不純物と
同定した。調査した42のcDNAのうち、含まれる原核生物および真菌の配列
の平均割合は、それぞれ、0.2%および0.5%であった。これらの配列のう
ち、わずかに1つだけが真菌に特異的な配列と同定できた。他は、脊椎動物の配
列との相同性を有するか、またはコンピュータ上での比較の際にマスクされなか
った反復配列を含む真菌または原核生物の配列であった。
【0115】 また、5’ESTを、このような反復配列を有する5’ESTをマスクする6
093のAlu配列および1115のL1配列と比較した。THEおよびMER
反復、SSTR配列またはサテライト配列、マイクロサテライト配列またはテロ
メア反復を含む5’ESTも今後の考慮対象から除外した。平均では、ライブラ
リーの配列の11.5%が反復配列を有した。この11.5%のうち、7%がA
lu反復を含有し、3.3%がL1反復を含有し、残り1.2%がスクリーニン
グを行った他の反復配列に由来するものであった。これらの割合は、他のグルー
プが調製したcDNAライブラリー中で見いだされるものと一致する。例えば、
アダムス(Adams)らのcDNAライブラリーは、cDNAライブラリーを
調製するために使用したRNA源に依存して、0%〜7.4%のAlu反復を含
有した(アダムス(Adams)ら、Nature377:174,1996)
【0116】 不要な配列を除外した後に残った5’ESTの配列を周知のヒトmRNAの配
列と比較して、上記の配列決定手順の精度を求めた。
【0117】実施例19 既知の配列との比較による配列決定精度の測定 上述の配列決定手順の精度をさらに決定するために、既知の配列から誘導され
た5'ESTの配列を同定し、元の既知の配列と比較した。最初に、公的なヒト mRNAデータベースの収録事項と一致するものを同定するために、両末端にあ
る5塩基対より短い突出部を用いたFASTA分析を5'ESTに実施した。次 いで、既知のヒトmRNAと一致した6655の5'ESTを、起源を同じくす るmRNAと再度アライメントをとり、ダイナミックプログラミングを使用して
、認識されるであろう「エラー」のリストに置換、挿入および欠失を含めた。擬
似クローニング部位が配列決定精度の分析に含まれることを避けるために、5' EST配列の最後の10塩基に発生するエラーを無視した。
【0118】 この分析で、NetGeneTMデータベースに収録された配列の精度は、99
.5%を超えることが明らかになった。 対応するmRNAの5'末端を含むcDNAを上記選択手順で選択する効率を 決定するために、次の分析を実施した。
【0119】実施例20 5'EST選択効率の決定 上記選択手順で、mRNAの5'末端付近の配列を含む5'ESTを、それらの
起源であるmRNAから単離した際の効率を決定するために、延長因子1サブユ
ニットα遺伝子およびフェリチン重鎖遺伝子に由来する5'ESTの末端の配列 を、これらの遺伝子の既知のcDNA配列と比較した。両遺伝子の転写開始部位
は十分に特性決定されているため、それらを使用して、真の転写開始部位を含む
誘導5'ESTのパーセンテージを決定することが可能である。
【0120】 両遺伝子とも、得られた5'ESTの95%より多くが、対応するmRNAの 5'末端付近の配列または5'末端より上流の配列を実際に含んでいた。
【0121】 NetGeneTMデータベースのESTから5'ESTを単離する手順の信頼 性分析を拡張するために、比較用にGenBankデータベースリリース97か
ら抽出されたヒトmRNA配列を含むデータベースを使用して、同様の分析を実
施した。GeneBankデータベースに収録されているmRNA由来の5'E STは、その85%より多くの5'末端が、既知の配列の5'末端付近に位置して
いた。GenBankデータベースで入手可能なmRNA配列の一部は、ゲノム
配列から推定されるため、これらの配列と一致する5'末端は内部一致とみなさ れる。従って、ここで使用した方法では、対応するmRNAの真の5'末端を含 むESTの収率が過少評価される。
【0122】 上で作製したESTライブラリーは、同一mRNAに由来する複数の5'ES Tを含んでいた。このような5'ESTの配列を互いに比較し、各mRNAにつ いて最も長い5'ESTを同定した。重複cDNAを集めて連続配列(コンティ グ)を作製した。次いで、このようにして得られた連続配列を公的データベース
と比較して、下記の実施例21に記載の通りに、既知の配列との類似性を判定し
た。
【0123】実施例21 5'ESTのクラスター化およびcDNAライブラリーに関する新規性指数の算 配列決定された各ESTライブラリーについて、その配列を、5'末端により クラスター化した。BLASTN2(直接鎖、パラメータS=107)を使用し
て、ライブラリーの各配列をそれ以外の配列と比較した。95%同一な塩基を有
し、且つ各EST5'末端から10塩基対以内より開始する、少なくとも25塩 基対長のハイスコアセグメントペア(High Scoring Segmen
t Pair;HSP)を含むESTを分類した。クラスターに存在する最長配
列を、群の代表として使用した。次いで、スーパーコンティグの定義につながる
、ライブラリー間の包括的クラスター化を実施した。
【0124】 ESTライブラリー中の新規配列の収率を評価するために、新規率(nove
lty rate;NR)を次の通りに定義した:NR=100×(ライブラリ
ー内で確認された新しいユニーク配列数/ライブラリーの配列総数)。一般に、
新規率は、ESTライブラリーを入手した組織によって、10%から41%の間
であった。ライブラリーの大部分について、新規率が20%に達するまで、5' ESTライブラリーのランダム配列決定を続行した。
【0125】 上述の特性決定に続いて、下記の実施例22に記載の通りに、潜在的シグナル
配列を担持する5'ESTを同定するために、NetGeneTMにおける5'ES
Tのコレクションをスクリーニングした。
【0126】実施例22 5'ESTにおける潜在的シグナル配列の同定 ATGコドンで開始してESTの末端まで伸びる45ヌクレオチドより長い連
続オープンリーディングフレーム(ORF)を有するものを同定するために、N
etGeneTMデータベースの5'ESTをスクリーニングした。NetGen eTMのcDNA配列の約半分が、このようなORFを含んでいた。次いで、潜在
的シグナルモチーフを同定するために、Von Heijne, Nuclei
c Acids Res. 14:4683−4690, 1986(参照によ
り、その開示内容を本明細書に援用する)に開示されている手順に一部修正を加
えたものを使用して、これらの5'ESTのORFを検索した。Von Hei jneシグナルペプチド同定行列で少なくとも3.5のスコアを有する、少なく
とも15アミノ酸長の領域をコードしている5'EST配列を、シグナル配列を 有すると考えた。既知のヒトmRNAまたはEST配列と一致し、且つ既知の5
'末端より下流の、20ヌクレオチドを超える5'末端を有する5'ESTを今後 の分析から除外した。シグナル配列を有する残りのcDNAを、SignalT
agTMと呼ばれるデータベースに収録した。 シグナル配列を同定するための上記方法の精度を確認するために、実施例23
の分析を実施した。
【0127】実施例23 5'ESTにおける潜在的シグナル配列の同定精度の確認 全てのヒトSwissProtタンパク質のN末端に位置する43のアミノ酸
に本方法を適用することによって、シグナルペプチドをコードしているシグナル
配列を同定するための上記手順の精度を評価した。各タンパク質のコンピュータ
処理したVon Heijneスコアを、分泌タンパク質または非分泌タンパク
質であるとして、既知のタンパク質の特性決定と比較した。この方法で、3.5
より高いスコアを有する(偽陽性)非分泌タンパク質数および3.5より低いス
コアを有する(偽陰性)分泌タンパク質数を算出することができた。
【0128】 上述の分析結果を使用して、mRNAの5'領域によりコードされるペプチド が、実際に、そのVon Heijneスコアに基づいた真のシグナルペプチド
である確率を、ヒトタンパク質の10%が分泌されるという仮説またはヒトタン
パク質の20%が分泌されるという仮説のいずれかに基づいて算出した。この分
析結果を、図2および表IVに示す。
【0129】 上述の分泌タンパク質同定方法を使用して、分泌されることが判明している以
下のポリペプチドの5'ESTを獲得した:ヒト・グルカゴン、γインターフェ ロン誘導性モノカイン前駆体、分泌されたシクロフィリン様タンパク質、ヒト・
プレイオトロフィン(pleiotropin)、およびヒト・ビオチニダーゼ
前駆体。従って、上述の方法は、シグナルペプチドをコードする5'ESTを首 尾よく同定した。
【0130】 5'ESTによりコードされるシグナルペプチドが、シグナルペプチドとして 実際に機能することを確認するために、5'EST由来のシグナル配列を、シグ ナルペプチドの同定用に設計されたベクターにクローニングすることが可能であ
る。このようなベクターは、機能し得る形で連結されたシグナル配列を有するベ
クターを含有する宿主細胞のみに、選択培地で増殖する能力を与えるように設計
されている。たとえば、5'ESTが真のシグナルペプチドをコードすることを 確認するためには、5'ESTのシグナル配列を、米国特許第5,536,63 7号(その開示内容を参照により本明細書に援用する)に記載されているような
シグナルペプチド選択ベクター中の非分泌型酵母インベルターゼ遺伝子の上流へ
読取り枠が合うように挿入すればよい。正確に挿入された5'ESTシグナル配 列を含むシグナル配列選択ベクターを含有する宿主細胞が増殖することによって
、5'ESTが真のシグナルペプチドをコードすることが確認される。
【0131】 あるいは、シグナルペプチドの存在は、ESTを用いて得られる伸長cDNA
をpXT1のような発現ベクター(以下の実施例30に記載)へクローニングす
るか、シグナルペプチドとアッセイ可能なリポータータンパク質との間に融合タ
ンパク質をコードするプロモーター-シグナル配列-レポーター遺伝子ベクターを
構築することによって確認することが可能である。適当な宿主細胞(たとえば、
COS細胞やNIH 3T3細胞)にこれらのベクターを導入した後、増殖培地
を回収して、分泌されたタンパク質の有無について分析することが可能である。
これらの細胞から得られる培地を、シグナル配列または伸長cDNAインサート
が欠如しているベクターを含有する対照細胞から得られる培地と比較して、機能
的シグナルペプチドまたは真の分泌タンパク質をコードするベクターを同定する
【0132】 上記実施例22の方法で決定したシグナルペプチドをコードする5'ESTを 、以下の実施例24に記載の既知の配列との相同性に基づいて、さらに4つのカ
テゴリーに分類した。
【0133】実施例24 シグナルペプチドをコードする5'ESTの分類 既知の脊椎動物配列のいずれとも、公式に入手できるEST配列のいずれとも
一致しない配列を有する5'ESTを、「新規」と呼ぶ。SignalTagTM データベースの配列のうち、Von Heijneスコアが少なくとも3.5で
ある947の5'ESTがこのカテゴリーに入った。
【0134】 脊椎動物配列のいずれとも一致しないが、既知のEST配列を5'方向に少な くとも40ヌクレオチド伸長すれば公式に知られているESTと一致する配列を
有する5'ESTを、「EST−ext」と呼ぶ。SignalTagTMデータ ベースの配列のうち、Von Heijneスコアが少なくとも3.5である1
50の5'ESTがこのカテゴリーに入った。
【0135】 脊椎動物配列のいずれとも一致しないが、既知のESTを5'方向に少なくと も40ヌクレオチド伸長しなくても公式に知られているESTと一致する配列を
有する5'ESTを「EST」と呼ぶ。SignalTagTMデータベースの配 列のうち、Von Heijneスコアが少なくとも3.5である599の5' ESTがこのカテゴリーに入った。
【0136】 ヒトmRNA配列と一致するが、既知の配列を5'方向に少なくとも40ヌク レオチド伸長させた5'ESTを「VERT−ext」と呼ぶ。SignalT agTMデータベースの配列のうち、Von Heijneスコアが少なくとも3
.5である23の5'ESTがこのカテゴリーに入った。このカテゴリーに含ま れるのは、ヒト・トランスロカーゼmRNAの既知の配列を5'方向に200塩 基以上伸長させた5'ESTであった。ヒト腫瘍抑制遺伝子の配列を5'方向に伸
長させた5'ESTも同定された。 表Vに、各カテゴリーにおける5'ESTの分布および各カテゴリーにおける 所定の最小Von Heijneスコアを有する5'EST数を示す。
【0137】3.5'ESTまたは伸長cDNAに対応するmRNAの空間的および時間的発 現の評価 以下の実施例25に記載の通り、5'ESTの各々を、その対応するmRNA を採取した組織に基づいて同様に分類した。
【0138】実施例25 発現パターンの分類 表VIは、上記各カテゴリーにおける5'ESTの分布を、対応するmRNAの 5'ESTを採取した組織ごとに示す図である。
【0139】 表IIには、前立腺に由来する5'EST配列の配列同定数、これらの配列が入 るカテゴリー、およびこれらにコードされているシグナルペプチドのvon H
eijneスコアを示す。添付の配列表には、5'EST配列およびこれにコー ドされているアミノ酸配列を示す。表IIIには、5'ESTの配列番号およびこれ
にコードされているシグナルペプチドの配列を示す。本明細書に添付の配列表に
は、5'EST配列およびこれにコードされているポリペプチドの配列を示す。
【0140】 DNA配列番号38〜315の配列は、含まれるエラーについて容易にスクリ
ーニングできるため、このようなエラーまたは曖昧性(ambiguity)を
両鎖上に含む断片の配列決定をしなおすことによって、配列の曖昧性を解消する
ことができる。このような断片は、本発明者の研究所に保存されているプラスミ
ドから得ることができ、あるいは、本明細書に記載の技術を使用して単離するこ
とができる。このような曖昧性またはエラーの解消は、曖昧な配列またはエラー
を含む配列の近くに位置する配列にハイブリダイズするプライマーを使用するこ
とによって促進される。たとえば、プライマーは、曖昧性またはエラーから50
〜75塩基以内の配列にハイブリダイズすればよい。エラーまたは曖昧性が解消
すれば、エラーまたは曖昧性を含むDNAによりコードされるタンパク質配列中
で、対応する訂正を行うことができる。
【0141】 5'ESTを、それらの起源である組織について分類するほかにも、以下の実 施例26に記載の通りに、5'ESTに対応するmRNAの空間的発現パターン および時間的発現パターンならびに発現レベルを決定することが可能である。以
下でさらに詳細に検討を加えるが、これらのmRNの空間的発現パターン、時間
的発現パターンおよび発現レベルを特性決定することは、所望の空間的方式また
は時間的方式で、所望のレベルの遺伝子産物を産生することができる発現ベクタ
ーの構築に有用である。
【0142】 さらに、対応するmRNAが疾患状態に関与する5'ESTも同定することが可 能である。たとえば、ある特定の疾患は、5'ESTに対応するmRNAの発現 の欠如、過剰発現、または過少発現に起因すると考えられる。健常者から採取し
たサンプルにおけるmRNAの発現パターンと量を、ある特定の疾患に罹患した
個体のものと比較することによって、その疾患の原因である5'ESTを同定す ることが可能である。
【0143】 上述の5'ESTに関する特性決定手順の結果が、5'ESTに隣接する配列を
含む伸長cDNA(下記の通りに得られる)にもあてはまることは明らかであろ
う。また、必要に応じて、EST自体を特性決定するよりむしろ、伸長cDNA
が得られるまで特性決定を遅らせてもよいことも明らかであろう。
【0144】実施例26 5'ESTまたは伸長cDNAに対応するmRNAの発現レベルおよび発現パタ ーンの評価 国際特許出願第WO 97/05277号(その全内容を参照により本明細書 に援用する)に記載の長いプローブを用いた溶液ハイブリダイゼーションで、5
'ESTまたは伸長cDNA(以下の実施例27に記載の通りに得られる)に対 応するmRNAの発現レベルおよび発現パターンを分析することが可能である。
簡単に記述すると、特性決定すべきmRNAをコードしている遺伝子に対応する
、5'EST、伸長cDNA、またはその断片を、バクテリオファージ(T3、 T7またはSP6)RNAポリメラーゼプロモーターのすぐ下流のクローニング
部位に挿入して、アンチセンスRNAを作製する。5'ESTまたは伸長cDN Aは、100以上のクレオチドを有することが好ましい。プラスミドを線状にし
、修飾リボヌクレオチド(すなわち、ビオチン−UTPおよびDIG−UTP)
を含むリボヌクレオチドの存在下で転写する。この二重に標識した過剰のRNA
を、溶液中で、目的の細胞または組織から単離したmRNAとハイブリダイズさ
せる。標準的なストリンジェント条件下で(80%ホルムアルデヒド、0.4M
NaCl緩衝液(pH7〜8)中、40〜50℃で16時間)、ハイブリダイ
ゼーションを行う。一本鎖RNAに特異的なリボヌクレアーゼ(すなわち、RN
ase CL3、T1、PhyM、U2またはA)で消化することによって、ハ
イブリダイズしていないプローブを除去する。ビオチン−UTP修飾が存在すれ
ば、ストレプトアビジンを被覆したマイクロタイタープレート上にハイブリッド
を捕捉することが可能になる。DIG修飾が存在すれば、アルカリホスファター
ゼに結合させた抗DIG抗体を使用するELISAによって、ハイブリッドを検
出および定量することが可能になる。
【0145】 英国特許出願第2 305 241A(その全内容を参照により本明細書に援用
する)に開示されている通りに、5'EST、伸長cDNA、またはそれらの断 片に、遺伝子発現の連続分析(SAGE)用のヌクレオチド配列をタグ付けする
こともできる。この方法で、細胞、組織、生物、または遺伝子発現パターンを決
定しなければならない核酸の他の起源から、cDNAを調製する。このようにし
て得られたcDNAを2つのプールに分ける。各プール中のcDNAを、大部分
のcDNAに少なくとも一つ存在すると思われる認識部位を有する第1の制限エ
ンドヌクレアーゼ(アンカリング酵素と呼ばれる)で切断する。切断されたcD
NAの5'または3'領域を最も多く含む断片を、ストレプトアビジン被覆ビーズ
のような捕捉媒体に結合させることによって単離する。増幅プライマーをハイブ
リダイズさせるための第1配列と、いわゆるタグ付きエンドヌクレアーゼに対す
る内部制限部位とを有する第1のオリゴヌクレオチドリンカーを、第1のプール
中の消化cDNAに連結する。第2のエンドヌクレアーゼで消化して、cDNA
から短いタグ付き断片を生成する。
【0146】 増幅プライマーをハイブリダイズさせるための第2の配列と内部制限部位とを有
する第2のオリゴヌクレオチドを、第2のプール中の消化cDNAに連結する。
第2のプールのcDNA断片も、タグ付きエンドヌクレアーゼで消化して、第2
のプールのcDNAに由来する短いタグ断片を生成する。アンカリング酵素およ
びタグ付きエンドヌクレアーゼを用いた、第1のプールおよび第2のプールの消
化によって生じたタグを互いに連結して、いわゆるジタグ(ditag)を生成
する。一部の実施態様では、ジタグをコンカテマー化して、ジタグを2〜200
含有する連結反応産物を生成する。次いで、タグ配列を決定し、5'ESTまた は伸長cDNAの配列と比較して、細胞、組織、生物、またはタグが由来する核
酸の他の起源に、どの5'ESTまたは伸長cDNAが発現されるかを決定する 。この方法で、細胞、組織、生物、または核酸の他の起源における5'ESTま たは伸長cDNAの発現パターンが得られる。
【0147】 アレイを使用して、遺伝子発現の定量分析を実施することも可能である。本明
細書で使用する用語「アレイ」は、全長cDNA(すなわち、シグナルペプチド
のコード配列、成熟タンパク質のコード配列、および停止コドンを含む伸長cD
NA)、伸長cDNA、5'EST、または遺伝子発現の特異的検出ができるほ ど十分に長いそれらの断片の、一次元、二次元、または多次元の配列(arra
ngement)を意味する。断片は、長さが少なくとも15ヌクレオチドであ
ることが好ましい。さらに好ましくは、断片は、長さが少なくとも100ヌクレ
オチドである。さらに好ましくは、断片は長さが100ヌクレオチドを超える。
一部の実施態様では、断片は長さが500ヌクレオチドを超えることもある。
【0148】 たとえば、Schenaら(Science 270:467−470, 1
995; Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 9
3:10614−10619, 1996)により記載されている通り、下記の
全長cDNA、伸長cDNA、5'EST、または相補的DNAマイクロアレイ 中のそれらの断片を用いて、遺伝子発現の定量分析を実施することが可能である
。全長cDNA、伸長cDNA、5'ESTまたはそれらの断片をPCRで増幅 し、高速ロボット工学を使用して、96ウェルマイクロタイタープレートからシ
リル処理した顕微鏡スライド上に配列させた。プリントされたアレイを湿潤チャ
ンバ内でインキュベートしてアレイエレメントに再度水分を加え、0.2%SD
S中で1分間1回、水中で1分間2回および水素化ホウ素ナトリウム溶液中で5
分間1回すすぐ。このアレイを95℃の湯に2分間沈め、0.2%SDSに1分
間移し、水で2回すすぎ、風乾し、25℃の暗所に保存する。
【0149】 細胞または組織mRNAを単離するか購入し、1ラウンドの逆転写によってプ
ローブを調製する。プローブを、1cm2のマイクロアレイに、14×14mm のカバーガラス下、60℃で6〜12時間ハイブリダイズさせる。アレイを、低
ストリンジェンシー洗浄用緩衝液(1×SSC/0.2%SDS)中、25℃で
5分間、次いで、高ストリンジェンシー洗浄用緩衝液(0.1×SSC/0.2
%SDS)中、室温で10分間洗浄する。特注のフィルターセットを取り付けた
蛍光レーザー走査装置を使用して、0.1×SSC中でアレイを走査する。2つ
の独立したハイブリダイゼーションの比率の平均をとることにより、正確な示差
的発現の測定値が得られる。
【0150】 Pietuら(Genome Research 6:492−503, 1
996)により記載されている通り、全長cDNA、伸長cDNA、5'EST 、または相補的DNAアレイ中のそれらの断片を用いて、遺伝子の発現の定量分
析を実施することも可能である。全長cDNA、伸長cDNA、5'ESTまた はそれらの断片をPCR増幅し、膜上にスポットする。次いで、様々な組織また
は細胞に由来するmRNAを放射性ヌクレオチドで標識する。制御条件でハイブ
リダイズさせて洗浄した後、ハイブリダイズしたmRNAを、ホスホ-イメージ ングまたはオートラジオグラフィで検出する。実験を2回実施し、次いで、示差
的に発現したmRNAの定量分析を実施する。
【0151】 あるいは、Lockhartら(Nature Biotechnology
14: 1675−1680, 1996)およびSosnowskyら(P
roc. Natl. Acad. Sci. 94:1119−1123,
1997)により記載されている通り、高密度ヌクレオチドアレイによって、5
'ESTまたは伸長cDNAの発現分析を行うことができる。5'ESTまたは伸
長cDNAの配列に対応する15〜50ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドをチ
ップ上に直接合成する(Lockhartら、前掲)か、合成してからチップに
処理する(Sosnowskyら、前掲)。オリゴヌクレオチドは、長さ約20
ヌクレオチドが好ましい。
【0152】 ビオチン、ジゴキシゲニンまたは蛍光染料のような適当な化合物で標識したc
DNAプローブを、適当なmRNA集団から合成し、次いで、50〜100ヌク
レオチドの平均サイズまで無作為に断片化する。次いで、前述のプローブをチッ
プにハイブリダイズさせる。Lockhartら(前掲)に記載されている通り
に洗浄し、異なる電場を印加(Sonowskyら、前掲)した後、染料または
標識化合物を検出し、定量する。ハイブリダイゼーションを2回実施する。異な
るcDNAサンプル中の同一標的オリゴヌクレオチド上のcDNAプローブに由
来するシグナルの強度を比較分析することで、オリゴヌクレオチド配列が設計さ
れるもととなった5'ESTまたは伸長cDNAに対応するmRNAの示差的発 現がわかる。
【0153】III.伸長cDNAのクローニングおよび対応するゲノムcDNAのクローニン グのための5' ESTの使用 上述の手順を使用して、いったん、対応するmRNAの5'末端を含む5' E
STを選択するとその後は、それらを使用して、5' ESTに隣接する配列を 含む伸長cDNAを単離することができる。この伸長cDNAは、真の翻訳開始
部位、シグナル配列、およびシグナルペプチドの切断後に残る成熟タンパク質を
コードしている配列を含め、対応するmRNAによりコードされるタンパク質の
全コード配列を含有してもよい。このような伸長cDNAを、本明細書で「全長
cDNA」と呼ぶ。あるいは、伸長cDNAは、シグナルペプチドの切断後に残
る成熟タンパク質をコードしている配列のみを含んでもよく、シグナルペプチド
をコードしている配列のみを含んでもよい。
【0154】 以下の実施例27に、5' ESTを使用して伸長cDNAを得るための一般 的な方法を説明する。以下の実施例28は、数種の分泌タンパク質に関する全コ
ード配列および対応するmRNAの真の5'末端を含む数種の伸長cDNAにつ いて説明した、実施例27で説明されている方法を使用した実験結果を提供する
【0155】 実施例27、28、および29の方法を使用して、5' ESTに対応する遺 伝子によりコードされる分泌タンパク質の全コード配列より少ない配列をコード
する伸長cDNAを得ることができる。一部の実施態様では、これらの方法を使
用して単離される伸長cDNAは、配列番号38〜315の配列によってコード
されるタンパク質類のうち1タンパク質の少なくとも10アミノ酸をコードする
。さらなる実施態様では、伸長cDNAは、配列番号38〜315の配列により
コードされるタンパク質の少なくとも20アミノ酸をコードする。さらなる実施
態様では、その伸長cDNAは、配列番号38〜315の配列の少なくとも30
アミノ酸をコードする。好ましい実施態様では、伸長cDNAは、配列番号38
〜315のタンパク質コード配列を含む、全長タンパク質配列をコードする。
【0156】実施例27 全コード領域および対応するmRNAの真の5'末端を含むcDNAのクローニ ングおよび配列決定に5' ESTを使用するための一般的な方法 対応するmRNAの真の5'末端ならびに全タンパク質コード配列を有し、且 つ伸長cDNAの取得に使用される5'ESTの配列に隣接した配列を含む、伸 長cDNAを迅速且つ効率よく単離するのに、下記の一般的な方法が使用されて
きた。この方法は、分泌タンパク質に属するポリペプチドをコードしている5'
ESTを含め、NetGeneTMデータベース中の任意の5' ESTに関する
伸長cDNAを取得するのに使用することができる。、その方法を、図3にまと
める。
【0157】1.伸長cDNAの取得 a)第1鎖合成 本方法は、mRNAの既知の5'配列を利用する。mRNAの3'末端に対応す るcDNAの末端に既知の配列を付加することが可能な5'末端に49ヌクレオ チド配列を含有するポリ14dTプライマーを用いて、精製mRNAに逆転写反
応を実施する。たとえば、そのプライマーは次の配列:5'−ATC GTT GA
G ACT CGT ACC AGC AGA GTC ACG AGA GAG ACT
ACA CGG TAC TGG TTT TTT TTT TTT TTVN −3' (配列番号14)を有していてもよい。当業者は、その他の配列もポリdT配列
に付加して、第1鎖合成を開始するために使用できることを理解するであろう。
このプライマーと、Superscript II(Gibco BRL)やRN
ase H Minus M−MLV(Promega)酵素のような逆転写酵
素とを使用して、RNAの3'ポリA部位に固定された逆転写物を生成する。
【0158】 第1cDNA鎖にハイブリダイズしたmRNAをアルカリ加水分解で除去した
後、アルカリ加水分解の生成物および残留ポリdTプライマーを、実施例11で
説明した、AcA34(Biosepra)マトリックスのような排除カラムで
除去する。
【0159】 b)第2鎖合成 5' ESTの既知の5'配列および第1鎖合成に使用したポリdTプライマー
によって付加された既知の3'末端に基づいて、各末端の一対のネステッド(ne
sted)プライマーを設計する。プライマーの設計に使用されるソフトウエア は、GC含有量およびオリゴヌクレオチド融解温度に基づくか(例えばOSPソ
フトウエア;Illier and Green, PCR Meth. Ap
pl. 1:124−128, 1991)、例えばPC−Rare(http
://bioinformatics.weizmann.ac.il/sof
tware/PC−Rare/doc/manuel.html)のようなオク
ターマー頻度相違法(Griffais et al., Nucleic A
cids Res. 19: 3887−3891, 1991)のいずれかに
基づく。
【0160】 5'末端のネステッドプライマーは、互いに4〜9塩基離れていることが好ま しい。PCRで使用するのに適した融解温度および特異性を有するように、5' プライマー配列を選択することが可能である。
【0161】 3'末端のネステッドプライマーは、互いに4〜9塩基離れていることが好ま しい。たとえば、ネステッド3'プライマーは、次の配列:(5'−CCA GC A GAG TCA CGA GAG AGA CTA CAC GG −3'(配列番号
15)、および5'−CAC GAG AGA GAC TAC ACG GTA CT
G G −3'(配列番号16)を有していてもよい。これらのプライマーは、そ れらをPCRで使用するのに適した融解温度および特異性を有するため、選択し
た。しかし、当業者は、その他の配列もプライマーとして使用できることを十分
に理解するであろう。
【0162】 Advantage TthポリメラーゼMix(Clontech)および
ネステッドプライマー対のそれぞれに由来する外側プライマーを使用して、第1
の25サイクルのPCRを実施した。次いで、第1のPCR産物の1/2500
に対して、同じ酵素およびネステッドプライマー対のそれぞれに由来する内側プ
ライマーを使用した第2の20サイクルのPCRを実施する。その後、プライマ
ーおよびヌクレオチドを除去する。
【0163】2.全長伸長cDNAまたはそのフラグメントの配列決定 OSPソフトウエアを使用したPCR用に適合する5'ネステッドプライマー のデザインに対する位置の制約がないため、2つのタイプのアンプリコンが得ら
れる。第2の5'プライマーは翻訳開始コドンの上流に位置し、従って、コード 配列全体を含むネステッドPCR産物が生成することが好ましい。このような全
長伸長cDNAには、セクションaに記載の直接クローニング手順を実施する。
しかし、第2の5'プライマーが翻訳開始コドンの下流に位置し、その結果、O RFの一部のみを含むPCR産物が生成する場合もある。このような不完全なP
CR産物を、セクションbに記載の改良された手順に供する。
【0164】 a)完全なORFを含むネステッドPCR産物 結果として得られるネステッドPCR産物が、5' EST配列から予期され る完全なコード配列を含むとき、セクション3に記載の通り、そのPCR産物を
pED6dpc2のような適当なベクターでクローニングする。
【0165】 b)不完全なORFを含むネステッドPCR産物 アンプリコンが完全なコード配列を含まないとき、完全なコード配列と、全コ
ード配列を含むPCR産物の両者を得るための中間ステップが必要である。次の
セクションで説明する通り、異なるPCR産物から直接決定される数個の部分的
配列から、完全なコード配列を組み立てることができる。
【0166】 いったん、全コード配列が完全に決定されると、その後は、コード領域全部を
含むアンプリコンを得るために、PCR用に適合する新しいプライマーを設計す
る。しかし、そのような場合、PCR用に適合する3'プライマーは、対応する mRNAの3'UTRの内側に位置し、従って、図6に図示する通り、この領域 の一部(すなわち、ポリA区域および時にはポリアデニル化シグナル)が欠如し
たアンプリコンが生成する。次いで、セクション3に記載の通り、このような全
長伸長cDNAを適当なベクターにクローニングする。
【0167】 c)伸長cDNAの配列決定 Perkin Elmerから入手可能なAmpliTaq DNAポリメラ
ーゼFSキットを用いたDie Terminator法を使用して、伸長cD
NAの配列決定を実施する。
【0168】 PCRフラグメントの配列を決定するために、プライマーを選択するためのO
SPのようなソフトウエア、および32ヌクレオチドの最小限の重複を使用した
最初の5'タグを含む歩行配列のコンティグ(contig)を構築するための ASMG(Sutton et al., Genome Science T
echnol. 1: 9−19, 1995)のような自動化コンピュータソ
フトウエアを使用して、プライマ−歩行を実施する。全長cDNAの配列が得ら
れるまでプライマ−歩行を実施することが好ましい。
【0169】 所与の伸長cDNAフラグメントの配列決定の完了を、下記の通りに査定する
。非クローニング生成物の場合には、ポリA区域の後に位置する配列を精確に決
定することが困難なため、事例bに記載の通りに得られた伸長cDNA中にポリ
A区域が同定されたとき、PCR産物に関する配列決定およびプライマ−歩行法
を中断する。配列の長さを、上記の通りに得られたネステッドPCR産物のサイ
ズと比較する。ゲル電気泳動法によるPCR産物サイズの決定の精度には限界が
あるため、得られた配列のサイズが第1のネステッドPCR産物のサイズの少な
くとも70%であれば、配列は完全であると考えられる。コンピュータ分析で決
定された配列の長さがネステッドPCR産物の長さの少なくとも70%でなけれ
ば、これらのPCR産物をクローニングして、挿入物の配列を決定する。ノーザ
ンブロットデータを入手できるとき、所与のPCR産物に関して検出されたmR
NAのサイズを使用して、配列が完全であることを最終的に査定する。上の基準
を満たさない配列を棄てて、新しい単離手順に供する。
【0170】 次いで、すべての伸長cDNA配列データを独自に開発したデータベースに転
送し、そこで、実施例15に記載の通りに、品質管理ステプおよび検認ステップ を実施する。
【0171】3.全長伸長cDNAのクローニング 次いで、全コード配列を含有するPCR産物を適当なベクターでクローニング
する。たとえば、下記の通りに、伸長cDNAを発現ベクターpED6dpc2
(DiscoverEase, Genetics Institute, C
ambridge, MA)にクローニングすることができる。EcoRI消化
を実施した後、充填反応(full in reaction)を行なうことに
よって、平滑末端を有するpED6dpc2ベクターDNAを調製する。平滑末
端を有するベクターを脱リン酸化する。PCRプライマーを除去し、エタノール
沈殿した後、上述の通りに得られた全コード配列または伸長cDNAを含むPC
R産物をキナーゼでリン酸化し、続いて、フェノール−Sevag抽出および沈
殿によって除去する。次いで二本鎖伸長cDNAをベクターに連結し、得られた
発現プラスミドを適当な宿主細胞に導入する。
【0172】 上述の通りに得られたPCR産物は、いずれの方向にもクローニングすること
ができる平滑末端を有する分子であるため、各PCR産物について、幾つかのク
ローンの配向性を決定する。次いで、4〜10個のクローンを微量滴定プレート
に並べ、クローニング部位付近のベクターに位置する第1のプライマーおよびm
RNAの3'末端に対応する伸長cDNAの一部に位置する第2のプライマーを 使用したPCR反応に供する。この第2のプライマーは、直接クローニング(事
例a)の場合には、アンカード(anchored)PCRに使用されるアンチ
センスプライマーであってもよく、間接クローニング(事例b)の場合には、3
'UTRの内側に位置するアンチセンスプライマーであってもよい。伸長cDN Aによりコードされるタンパク質が発現できるように伸長cDNAの開始コドン
がベクターのプロモーターに機能しうる形で連結されているクローンを保存し、
配列決定する。cDNA挿入物の末端に加えて、cDNA挿入物の各側のベクタ
ーDNAの約50塩基対も配列決定する。
【0173】 次いで、前述の手順に従って、クローン化PCR産物を完全に配列決定する。
この場合、未クローン化PCR産物についてはプライマ−歩行中に既にコンティ
グ化(contigated)されている歩行配列を用いて、長いフラグメント
のコンティグ化を実施する。結果として得られるコンティグが全コード領域なら
びに両端にベクターDNAを有する重複配列を含むとき、クローン化アンプリコ
ンの配列決定は完全である。
【0174】4.全長伸長cDNAのコンピュータ分析 次いで、全ての全長伸長cDNAの配列を、下記の通りに、さらに分析する。
伸長された全長cDNAを目的の配列について検索する前に、実施例18の5'
ESTに関する記述と本質的に類似した方法を使用して、目的物以外の伸長c DNA(ベクターRNA、トランスファーRNA、リボソームRNA、ミトコン
ドリアRNA、原核RNAおよび菌類RNA)を除去する。
【0175】 a)構造的特徴の同定 次に、全長伸長cDNAの配列の構造上の特徴、たとえば、ポリAテイルやポ
リアデニル化シグナルを下記の通りに決定する。 ポリAテイルは、せいぜい1つの代替塩基を中に含む、Aが少なくとも11個
のホモポリマー延長部(stretch)であると定義される。ポリAテイル検
索は、配列の最後の100ヌクレオチド(nt)に制限され、11個連続したA
の延長部に限定されるが、それは、このようなポリA延長部の後は、しばしば配
列決定反応を読みとることができないためである。BLAST2Nを使用して、
8ヌクレオチド以上の90%を超える相同性を有する延長部をポリAテイルとし
て同定する。
【0176】 ポリアデニル化シグナルについて検索するために、全長配列からポリAテイル
を切り取る。ポリAテイルの前の50塩基を、規定のポリアデニル化AAUAA
Aシグナルについて最初に検索し、規定のシグナルが検出されなければ、代わり
のAUUAAAシグナルを検索する(Sheets et al., Nuc. Acids Res. 18: 579
9-5805, 1990)。これらのコンセンサスポリアデニル化シグナルのどちらも見つ
からなければ、1つのミスマッチが可能な配列決定エラーの原因であることを明
らかにしながら、規定のモチーフを再度検索する。同定されたポリアデニル化シ
グナルは、いずれのタイプも、その85%より多くが、ポリAテイルから10〜
30塩基対で実際に終わっている。あるいは、AUUAAAシグナルは、同定さ
れたポリアデニル化シグナルの総数の約15%を表す。
【0177】 b)機能的特徴の同定 次に、全長伸長cDNAの配列の機能的特徴、たとえばORFやシグナル配列
を、下記の通りに決定した。 翻訳開始コドンで始まり、停止コドンで終わる最長フラグメントであると定義
されるORFについて、伸長cDNAの上位ストランドフレーム3つを検索する
。少なくとも20個のアミノ酸をコードしているORFが好ましい。
【0178】 次いで、実施例22に記載の通り、von Heijne (Nuc.Aci
ds Res.14:4683−4690, 1986)(その開示内容を、参
照により本明細書に援用する)のマトリックス方法を使用して、最初のアミノ酸
50個の中の、あるいは、しかるべき場合には、ORFのアミノ酸20個以下ま
でのより短い領域内の、シグナルペプチドの有無について、確認された各ORF
を走査する。
【0179】 c)ヌクレオチド配列またはタンパク質配列のいずれかとの相同性 実施例24の5' ESTに関する記述と本質的に同じ手順を使用して、全長 配列の分類を行うことが可能である。 続いて、サブクローニング、PCR、またはin vitroオリゴヌクレオ
チド合成のような従来の技術を使用して、上述の通りに調製された延長cDNA
を操作し、伸長cDNAの所望の部分を含む核酸を得ることが可能である。たと
えば、当業者に周知の技術を使用して、全コード配列(すなわち、シグナルペプ
チドと、シグナルペプチドの切除後に残る成熟タンパク質とをコードしている配
列)のみを含む核酸を得ることができる。あるいは、従来の技術を使用して、シ
グナルペプチドの切除後に残る成熟タンパク質に関するコード配列のみを含む核
酸、またはシグナルペプチドに関するコード配列のみを含む核酸を得ることがで
きる。
【0180】 同様に、分泌タンパク質に関するコード配列の、任意の他の望ましい部分を含
む核酸を得ることも可能である。たとえば、核酸は、下記の伸長cDNAの1つ
のような伸長cDNAの少なくとも10個の連続した塩基を含んでもよい。別の
実施態様では、核酸は、下記の伸長cDNAの1つのような伸長cDNAの少な
くとも15個連続した塩基を含んでもよい。あるいは、核酸は、下記の伸長cD
NAの1つのような伸長cDNAの少なくとも20個連続した塩基を含んでもよ
い。別の実施態様では、核酸は、下記の伸長cDNAの1つのような伸長cDN
Aの少なくとも25個連続した塩基を含んでもよい。さらに別の実施態様では、
核酸は、下記の伸長cDNAの1つのような伸長cDNAの少なくとも40個連
続した塩基を含んでもよい。
【0181】 いったん、伸長cDNAが得られると配列を決定し、cDNAがコードするア
ミノ酸配列を決定する。いったん、コードされたアミノ酸配列が決定されると、
遺伝子コードの縮重を使用するだけで、そのタンパク質をコードする、多くの考
え得るcDNAを創って同定することができる。たとえば、下記の通りに、対立
遺伝子の変異体または他の相同核酸を同定することができる。あるいは、所望の
アミノ酸配列をコードしている核酸を、in vitroで合成することができ
る。
【0182】 好ましい実施態様で、cDNAが発現されるべき宿主生物に関する既知のコド
ンまたはコドン対優位を使用して、コード配列を選択することが可能である。 以下の実施例28に記載の通りに、本発明の5' ESTSに由来する伸長cD
NAを取得した。
【0183】実施例28 5' ESTを使用して得られたクローン化伸長cDNAの特徴づけ 上の実施例27に記載の手順を使用して、本発明の5' ESTから誘導され る伸長cDNAを、様々な組織で得た。このようにして得られた若干の伸長cD
NAの具体例を、下記のリストに示す。
【0184】 このアプローチを使用して、配列番号17(内部ID番号48−19−3−G
1−FL1)の全長cDNAを取得した。このcDNAは、上述の「EST-e xt」カテゴリーに入り、von Heijneスコアが8.2のシグナルペプ
チドMKKVLLLITAILAVAVG(配列番号18)をコードする。
【0185】 この手順を使用して、配列番号19(内部ID番号58−34−2−E7−F
L2)の全長cDNAも取得した。このcDNAは、上述の「EST-ext」 カテゴリーに入り、von Heijneスコアが5.5のシグナルペプチドM
WWFQQGLSFLPSALVIWTSA(配列番号20)をコードする。
【0186】 上述の手順を使用して得られた別の全長cDNAは、配列番号21(内部ID
番号51−27−1−E8−FL1)の配列を有する。このcDNAは、上述の
「EST-ext」カテゴリーに入り、von Heijneスコアが5.9の シグナルペプチドMVLTTLPSANSANSPVNMPTTGPNSLSY
ASSALSPCLT(配列番号22)をコードする。
【0187】 上述の手順を使用して、配列番号23(内部ID番号76−4−1−G5−F
L1)の配列を有する全長cDNAも取得した。このcDNAは、上述の「ES
T-ext」カテゴリーに入り、von Heijneスコアが5.5のシグナ ルペプチドILSTVTALTFAXA(配列番号24)をコードする。
【0188】 この手順を使用して、配列番号25(内部ID番号51−3−3−B10−F
L3)の全長cDNAも取得した。このcDNAは、上述の「新」カテゴリーに
入り、von Heijneスコアが10.1のシグナルペプチドLVLTLC
TLPLAVA(配列番号26)をコードする。
【0189】 この手順を使用して、配列番号27(内部ID番号58−35−2−F10−
FL2)の全長cDNAも取得した。このcDNAは、上述の「新」カテゴリー
に入り、von Heijneスコアが10.7のシグナルペプチドLWLLF
FLVTAIHA(配列番号28)をコードする。
【0190】 現在、上述の全長cDNAを含有するプラスミドを含有するバクテリアクロー
ンは、上記内部ID番号で、本発明者の研究所に保存されている。適当な培地中
で適当なバクテリアクローンのアリコートを増殖させることによって、保存物質
から挿入物を回収することが可能である。次いで、アルカリ溶解ミニプレップや
大規模アルカリ溶解プラスミド単離手順のような、当業者に周知のプラスミド単
離手順を使用して、プラスミドDNAを単離することができる。必要に応じて、
塩化セシウム勾配を用いた遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィ、または陰イ
オン交換クロマトグラフィによって、プラスミドDNAをさらに豊富にすること
が可能である。次いで、こうした手順を使用して取得したプラスミドDNAを、
当業者に周知の標準的なクローニング技術を使用して操作することが可能である
。あるいは、cDNA挿入物の両端で設計されたプライマーを用いて、PCRを
実施することが可能である。次いで、当業者に周知のクローニング技術を使用し
て、cDNAに対応するPCR産物を操作することができる。
【0191】 伸長cDNAによりコードされるポリペプチドを、既知の構造モチーフまたは
機能的モチーフの存在について、またはタンパク質ファミリーの構成員の中に十
分に保存されている小さいアミノ酸配列であるシグネチャー(signatur
es)の存在について、スクリーニングすることが可能である。保存された領域
は、PROSITEデータバンク、特にファイルprosite.dat(1995年 11月のRelease 13.0 、http://expasy.hcug
e.ch/sprot/prosite.html)に収録されているコンセン
サスパターンまたはマトリックスを導くのに使用されている。Prosite_
convertおよびprosite_scanプログラム(http://u
lrec3.unil.ch/ftpserveur/prosite_sca
n)を使用して、伸長cDNA上のシグネチャーを見つけることが可能である。
【0192】 prosite.datファイルのprosite_convertプログラ
ムを用いて得られた各パターンについて、データバンクSWISSPROTに収
録されているヒト分泌タンパク質の集団に関する不適切なヒットの頻度を評価す
ることによって、新しいタンパク質に関する配列検出精度を査定することが可能
である。シャッフルド(shuffled)タンパク質(アミノ酸20個のウイ
ンドウサイズ)に関するヒット数と天然(非シャッフル)タンパク質に関するヒ
ット数との間の比率を指数として使用することが可能である。prosite_
scanを用いた検索中に、比率が20%を超える(生来のタンパク質に関する
ヒット5件に対してシャッフルドタンパク質に関するヒット1件)あらゆるパタ
ーンを省くことができる。タンパク質配列をシャッフルするのに使用されるプロ
グラム(db_shuffled)およびタンパク質データバンクの各パターン
に関する統計学の決定に使用されるプログラム(prosite_statis
tics)は、ftpサイト HYPERLINK http://ulrec3.unil.ch/ftpserveur/pr
osite#scan http://ulrec3.unil.ch/ftpserve ur/prosite_scanで利用できる。
【0193】 伸長cDNAを取得するためのPCRに基づいた方法に加えて、伝統的なハイ
ブリダイゼーションに基づいた方法も使用することが可能である。こうした方法
を使用して、5' ESTの起源であるmRNA、伸長cDNAに対応するmR NA、あるいは伸長cDNAまたは5' ESTに相同な核酸をコードするゲノ ムDNAを取得することもできる。以下の実施例29に、このような方法の例を
提供する。
【0194】実施例29 全コード領域を含むcDNAおよび対応するmRNAの真の5'末端を取得する 方法 上記実施例13、14、15および16の方法を使用し、実施例14で使用し
たランダムノナマーをoligo−dT プライマーに換えることによって、全
長cDNAライブラリーを作成することができる。たとえば、配列番号14のオ
リゴヌクレオチドを使用することが可能である。
【0195】 あるいはまた、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを、商
業的ソースから入手してもよく、または当業者に周知の技術を使用して作成して
もよい。下記の通りに、このようなcDNAライブラリーまたはゲノムDNAラ
イブラリーを使用して、5' ESTから取得した伸長cDNAまたは該伸長c DNAもしくは5' ESTに相同な核酸を単離することができる。従来の技術 を使用して、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを、5' ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも10個連続したヌクレオチドを
含む検出可能なプローブにハイブリダイズさせる。プローブは、5' ESTま たは伸長cDNAに由来する少なくとも12個、15個または17個連続したヌ
クレオチドを含むことが好ましい。プローブは、5' ESTまたは伸長cDN Aに由来する少なくとも20〜30個連続したヌクレオチドを含むことがさらに
好ましい。一部の実施形態では、プローブは、5' ESTまたは伸長cDNA に由来する30個を上回るヌクレオチドを含む。
【0196】 Sambrookら、Molecular Cloning: A Labo
ratory Manual 2d Ed., Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press, 1989(その開示内容を、
参照により本明細書に援用する)には、所与のプローブ配列にハイブリダイズす
るcDNAライブラリーのcDNAクローンを同定する技術が開示されている。
同じ技術を用いてゲノムDNAを単離できる。
【0197】 簡単に記載すると、さらなる操作のために下記の通りに検出可能なプローブと
ハイブリダイズするcDNAクローンまたはゲノムDNAクローンを同定し、単
離する。5' ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも10個連続した ヌクレオチドを含むプローブを、検出可能な標識、たとえば、放射性同位元素ま
たは蛍光分子で標識する。プローブは、5' ESTまたは伸長cDNAに由来 する少なくとも12個、15個、または17個連続したヌクレオチドを含むこと
が好ましい。プローブは、5' ESTまたは伸長cDNAに由来する20〜3 0個連続したヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。一部の実施形態におい
て、プローブは5' ESTまたは伸長cDNAに由来する30個を超えるヌク レオチドを含む。
【0198】 プローブを標識する技術は周知であり、ポリヌクレオチドキナーゼを用いたリ
ン酸化、ニック翻訳、in vitro転写、および非放射性技術が含まれる。
ライブラリー中のcDNAまたはゲノムDNAをニトロセルロースフィルターま
たはナイロンフィルターに移動させ、変性させる。非特異的部位を遮断した後、
プローブにハイブリダイズすることができる配列を含むcDNAまたはゲノムD
NAにプローブを結合させるのに十分な時間、フィルターを標識プローブと共に
インキュベートする。
【0199】 検出可能なプローブにハイブリダイズする伸長cDNAまたはゲノムDNAの
同定に使用されるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変えるこ
とによって、下記の通りに、プローブとの相同性のレベルが異なる伸長cDNA
を同定し、単離することができる。
【0200】 1.標識プローブと高度の相同性を有する伸長cDNA配列またはゲノムcDN
A配列の同定 プローブ配列と高度の相同性を有する伸長cDNAまたはゲノムDNAを同定
するために、次式を使用して、プローブの融解温度を算出することが可能である
。 14〜70ヌクレオチドの長さのプローブの場合、次式: Tm=81.5+16.6(log [Na+])+0.41(分画G+C)−
(600/N)(式中、Nはプローブの長さである)を使用して、融解温度(T
m)を算出する。 ホルムアミドを含有する溶液中でハイブリダイゼーションを実施する場合、式
:Tm=81.5+16.6(log [Na+])+0.41(分画 G+C
)−(0.63% ホルムアミド)−(600/N)(式中、Nはプローブの長
さである)を使用して、融解温度を算出することができる。
【0201】 プレハイブリダイゼーションを、6X SSC、5X Denhardt試薬
、0.5%SDS、100μgの変性され断片化されたサケ精子DNA中、また は6X SSC、5X Denhardt試薬、0.5%SDS、100μgの 変性され断片化されたサケ精子DNA、50%ホルムアミド中で実施することが
可能である。Sambrookら(前出)には、SSCおよびDenhardt
溶液に関する処方が記載されている。
【0202】 検出可能なプローブを上記プレハイブリダイゼーション溶液に加えることによ
って、ハイブリダイゼーションを実施する。プローブが二本鎖DNAを含む場合
、これを変性させてからハイブリダイゼーション溶液に加える。プローブに相補
的な配列またはプローブに相同な配列を含む伸長cDNAまたはゲノムDNAと
プローブをハイブリダイズさせるのに十分な時間、フィルターをハイブリダイゼ
ーション溶液と接触させる。長さが200ヌクレオチドを超えるプローブの場合
、Tmより15〜25℃低い温度でハイブリダイゼーションを実施することが可
能である。オリゴヌクレオチドプローブのようなより短いプローブの場合、Tm
より15〜25℃低い温度でハイブリダイゼーションを実施することが可能であ
る。6X SSC中でハイブリダイゼーションする場合、約68℃でハイブリダ
イズすることが好ましい。50%ホルムアミド含有溶液中でハイブリダイズする
場合、約42℃でハイブリダイズすることが好ましい。 前述のハイブリダイゼーションは全て、「ストリンジェントな」条件下である
と考えられるであろう。
【0203】 ハイブリダイゼーション後、フィルターを、2X SSC、0.1%SDS中 、室温で15分間洗浄する。次いで、このフィルターを、0.1X SSC、0
.5%SDSで、室温で30分〜1時間洗浄する。その後、この溶液を、0.1
X SSC、0.5%SDS中、ハイブリダイゼーション温度で洗浄する。最終
的な洗浄を、0.1X SSC中、室温で実施する。 伸長cDNA、伸長cDNAまたは5' ESTに相同な核酸、またはプロー ブとハイブリダイズしたゲノムDNAを、オートラジオグラフィまたは他の従来
技術で、同定する。
【0204】 2.標識プローブと低度の相同性を有する伸長cDNA配列またはゲノムcDN
A配列の取得 プローブ配列との相同性レベルが低い伸長cDNA、伸長cDNAに相同な核
酸、またはゲノムDNAを同定するために、上記手順を改変することが可能であ
る。たとえば、検出可能プローブ配列との相同性が低い伸長cDNA、伸長cD
NAに相同な核酸、またはゲノムDNAを取得するために、より低いストリンジ
ェント条件を使用してもよい。たとえば、ナトリウム濃度が約1Mのハイブリダ
イゼーション緩衝液中で、ハイブリダイゼーション温度を、68℃から42℃ま
で5℃ずつ下げてもよい。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイゼーション
温度にて、2X SSC、0.5%SDSでフィルターを洗浄してもよい。これ
らの条件は、50℃以上で「中程度」条件、50℃未満で「低度」条件であると
考えられる。
【0205】 あるいは、ホルムアミドを含む6X SSCのような緩衝液中、温度42℃で
、ハイブリダイゼーションを実施してもよい。この場合、プローブとの相同性レ
ベルが低いクローンを同定するために、ハイブリダイゼーション緩衝液中のホル
ムアミド濃度を50%から0%まで5%ずつ下げてもよい。ハイブリダイゼーシ
ョン後、50℃の6X SSC、0.5%SDSでフィルターを洗浄してもよい 。これらの条件は、25%を超えるホルムアミドで「中程度」条件、25%未満
のホルムアミドで「低度」条件と考えられる。
【0206】 伸長cDNA、伸長cDNAに相同な核酸、またはプローブにハイブリダイズ
したゲノムDNAを、オートラジオグラフィで同定する。
【0207】 3.取得した伸長cDNAと標識プローブとの間の相同性の程度の決定 伸長cDNAに相同な核酸、たとえば、その対立遺伝子変異体や、伸長cDN
Aによりコードされるタンパク質関連のタンパク質をコードしている核酸を取得
することが望ましい場合、BLAST2Nを使用して、ハイブリダイズした核酸
と、プローブとして使用される伸長cDNAまたは5' ESTとの間の相同性 のレベルをさらに決定することが可能であり、試験する配列の長さおよび相同性
の程度に応じて、パラメータを改変してもよい。ハイブリダイズした核酸と、プ
ローブの起源である伸長cDNAまたは5' ESTとの間の相同性のレベルを 決定するために、ハイブリダイズした核酸のヌクレオチド配列と、およびプロー
ブの起源である伸長cDNAまたは5' ESTのヌクレオチド配列とを比較す る。たとえば、上記の方法を使用して、そのプローブの起源である伸長cDNA
もしくは5' ESTと少なくとも95%の核酸相同性を有する核酸を取得し、 同定することが可能である。同様に、より低いストリンジェントでないハイブリ
ダイゼーション条件を使用して、プローブの起源である伸長cDNAまたは5'
ESTと少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%または少な くとも75%の相同性を有する核酸を取得し、同定することが可能である。
【0208】 クローンが、伸長cDNAまたは5' ESTによりコードされるタンパク質 と所定量の相同性を有するタンパク質をコードするかどうかを決定するために、
伸長cDNAまたは5' ESTによりコードされるアミノ酸配列を、ハイブリ ダイズする核酸によりコードされるアミノ酸配列と比較する。伸長cDNAまた
は5' ESTのアミノ酸配列が、ハイブリダイズする核酸のアミノ酸配列と密 接に関連しているとき、相同性は存在すると決定される。配列が伸長cDNAま
たは5' ESTの配列と同じとき、または配列が、類似した特徴を有するアミ ノ酸が互いに置き換わっている1つまたは複数のアミノ酸置換を中に含むとき、
その配列は密接に関連している。上記の方法、ならびに試験する配列の長さおよ
び相同性の程度に応じたパラメータとを用いてFASTAのようなアルゴリズム
を使用して、プローブの起源である伸長cDNAまたは5' ESTによりコー ドされるタンパク質と少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%
、少なくとも80%または少なくとも75%の相同性を有するタンパク質をコー
ドしている核酸を取得することが可能である。
【0209】 次のパラグラフに略述する通り、5' ESTを使用して伸長cDNAを取得 するために、上述の方法に加えて、他のプロトコルが利用される。 ポリA選択方法または当業者に周知の技術を利用したmRNA調製方法を使用
して、関心のある組織、細胞、または生物からmRNAを取得することによって
、伸長cDNAを調製することが可能である。mRNAのポリAテイル(tail)に
ハイブリダイズすることができる第1のプライマーを、mRNAにハイブリダイ
ズさせ、逆転写反応を実施して、第1のcDNA鎖を生成する。
【0210】 第1のcDNA鎖を、配列番号38〜315の配列に由来する少なくとも10
個連続したヌクレオチドを含む第2のプライマーにハイブリダイズさせる。この
プライマーは、配列番号38〜315の配列に由来する少なくとも12、15、
または17個連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。プライマーは、配列
番号38〜315の配列に由来する20〜30個連続したヌクレオチドを含むこ
とがさらに好ましい。一部の実施形態では、プライマーは、配列番号38〜31
5の配列に由来する30個より多いヌクレオチドを含む。真の翻訳開始部位を含
む、全タンパク質コーディング配列を含む伸長cDNAを取得することが望まし
い場合、使用される第2のプライマーは、翻訳開始部位の上流に位置する配列を
含む。第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を生成するために、第2の
プライマーを伸長する。あるいは、取得すべきcDNAの両端に由来するプライ
マーを使用して、上述の通りにRT−PCRを実施してもよい。
【0211】 伸長cDNAが望ましい5' ESTの配列を含むmRNAを、5' ESTに
相補的な配列の少なくとも10個連続したヌクレオチドを含むプライマーとハイ
ブリダイズさせ、このハイブリダイズしたプライマーを逆転写してmRNAから
第1のcDNA鎖を作成することにより、mRNAの5'フラグメントを含む伸 長cDNAを調製することが可能である。このプライマーは、5' ESTに由 来する少なくとも12、15、または17個連続したヌクレオチドを含むことが
好ましい。プライマーは、5' ESTに由来する20〜30個の連続したヌク レオチドを有することがさらに好ましい。
【0212】 その後、第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を合成する。第1のc
DNA鎖の配列に相補的なプライマーを第1のcDNA鎖にハイブリダイズさせ
、プライマーを伸長して第2のcDNA鎖を生成することによって、第2のcD
NA鎖を作成することが可能である。 上述の方法を使用して作成した二本鎖伸長cDNAを単離してクローニングす
る。伸長cDNAを、プラスミドや適当な宿主細胞で複製することができるウイ
ルスベクター等のベクターにクローニングしてもよい。たとえば、宿主細胞は、
細菌、哺乳類、鳥類、または昆虫細胞であってもよい。
【0213】 mRNAを単離し、mRNAにハイブリダイズしたプライマーを逆転写して第
1のcDNA鎖を生成し、プライマーを伸長して第1のcDNA鎖に相補的な第
2のcDNA鎖を作成し、二本鎖cDNAを単離して、二本鎖cDNAをクロー
ニングする技術は、当業者に周知であり、Current Protocols
in Molecular Biology, John Wiley an
d Sons, Inc. 1997およびSambrook et al.,
Molecular Cloning: A Laboratory Man
ual, Second Edition, Cold Spring Har
bor Laboratory Press, 1989(その全開示内容を、
参照により本明細書に援用する)に記載されている。
【0214】 あるいは、実施例29に記載されているような手順を、全長cDNAまたは伸
長cDNAの取得に使用してもよい。このアプローチでは、全長cDNAまたは
伸長cDNAをmRNAから調製し、下記の通りに、二本鎖ファージミドにクロ
ーニングする。次いで、ファージF1のGene II産物のようなエンドヌクレ アーゼ、およびエクソヌクレアーゼで処理することにより、二本鎖ファージミド
のcDNAライブラリーを一本鎖にする(Chang et al., Gene 127:95-8, 1993 )。5' ESTの配列を含むビオチニル化オリゴヌクレオチド、またはその少 なくとも10個のヌクレオチドを含む断片を、一本鎖ファージミドにハイブリダ
イズする。この断片は、5' ESTに由来する少なくとも12、15、または 17個連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。断片は、5' ESTに由 来する20-30個連続したヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。一部の 方法では、フラグメントは、5' ESTに由来する30個より多い連続したヌ クレオチドを含むことがある。
【0215】 ビオチニル化オリゴヌクレオチドと5' EST配列を含む挿入物を有するフ ァージミドとの間のハイブリッドを、ハイブリッドをストレプトアビジン被覆常
磁性ビーズと共にインキュベートし、磁石を用いてビーズを回収することによっ
て単離する(Fry et al., Biotechniques, 13: 124-131, 1992)。その後、この
ようにして得られた5' EST配列を含むファージミドをビーズから放出し、 5' EST配列に特異的なプライマーを使用して、二本鎖DNAに変換する。 あるいは、Gene Trapperキット(Gibco BRL)のようなプロトコル を使用してもよい。このようにして得られた二本鎖DNAを、細菌に形質転換す
る。5' EST配列を含む伸長cDNAを、コロニーPCRまたはコロニーハ イブリダイゼーションにより同定する。
【0216】 セクションIIIに上述した方法のいずれかを使用して、全長タンパク質コーデ ィング配列またはシグナルペプチドの除去後に残った成熟タンパク質のみをコー
ドしている配列を含む複数の伸長cDNAを、以下のようなその後のコードされ
たタンパク質の評価用または診断アッセイ用のcDNAライブラリーとして提供
することができる。
【0217】 IV.5' ESTを使用して単離される伸長cDNAによりコードされるタンパ ク質の発現 以下の実施例30に記載の通り、対応するmRNAの全タンパク質コーディン
グ配列またはその一部を含む伸長cDNA、たとえば、成熟タンパク質をコード
しているcDNAを使用して、コードされた分泌タンパク質またはその一部を発
現させることができる。必要に応じて、伸長cDNAは、発現したタンパク質の
分泌を促進するために、シグナルペプチドをコードしている配列を含んでもよい
。以下に記載するように、全タンパク質コーディング配列またはその一部を含む
複数の伸長cDNAを、発現ベクターに同時にクローニングして、コードされた
タンパク質を分析するための発現ライブラリーを作成できることは、十分に理解
されるであろう。
【0218】実施例30 5' ESTまたはその一部に対応する遺伝子によりコードされるタンパク質の 発現 5' EST、(またはその一部)に対応する遺伝子によりコードされるタン パク質を発現させるために、全タンパク質コード領域を含む全長cDNAまたは
5' EST(またはその一部)に隣接する配列を含む伸長cDNAを、実施例 27〜29に記載の通りに取得し、適当な発現ベクターにクローニングする。必
要に応じて、核酸は、発現したタンパク質の分泌を促進するために、シグナルペ
プチドをコードしている配列を含んでもよい。発現ベクターに挿入される核酸は
、シグナルペプチドをコードしている配列の上流の配列、たとえば、発現レベル
を調節する配列や組織特異的発現を与える配列も含んでもよい。
【0219】 従来のクローニング技術を使用して、発現させるべきタンパク質またはポリペ
プチドをコードしている核酸を、発現ベクターにおけるプロモーターに操作可能
に連結させる。発現ベクターは、哺乳類、酵母、昆虫または当業者に周知の細菌
発現システムのいずれであってもよい。市販のベクターおよび発現系は、Gen
etics Institute(Cambridge, MA)、Strat
agene(La Jolla, California)、Promega(
Madison, Wisconsin)、およびInvitrogen(Sa
n Diego, California)を含む様々な製造業者から入手でき
る。Hatfieldらの米国特許第5,082,767号(参照により本明細
書に援用する)によって説明される通り、必要に応じて、発現を強化しかつ適当
なタンパク質折畳みを促進するために、発現ベクターが導入される個々の発現生
物に合わせて、配列のコドンコンテクストおよびコドンのペアリングを最適化す
ることができる。
【0220】 発現ベクターにクローニングされたcDNAクローンは、全タンパク質(すな
わち、シグナルペプチドおよび成熟タンパク質)、成熟タンパク質(すなわち、
シグナルペプチドの切除によって作成されるタンパク質)、シグナルペプチドま
たはその任意の他の部分のみをコードしてもよい。
【0221】 上述の5' ESTまたは核酸に対応する伸長cDNAによりコードされるタ ンパク質を発現させる代表的な方法を以下に提供する。最初に、遺伝子のメチオ
ニン開始コドンおよび遺伝子のポリAシグナルを同定する。発現されるポリペプ
チドをコードしている核酸に、開始部位の役割をするメチオニンが欠如している
場合、従来技術を使用して、開始用メチオニンを核酸の第1コドンの隣に導入す
ることができる。同様に、伸長cDNAにポリAシグナルが欠如している場合、
たとえば、BglIIおよびSalI制限エンドヌクレアーゼ酵素を使用してpSG 5(Stratagene)からポリAシグナルをスプライシングし、哺乳類発
現ベクターpXT1(Stratagene)に組み込むことにより、この配列
を構築物に付加することができる。pXT1はLTRおよびMoloney M
urine Leukemia Virusから入手できるgag遺伝子の一部
を含む。構築物におけるLTRの位置は、効率のよい安定したトランスフェクシ
ョンを可能にする。ベクターは、単純疱疹(Herpes Simplex)チ
ミジンキナーゼプロモーターおよび選択可能なネオマイシン遺伝子を含む。伸長
cDNAまたはその一部に相補的で、且つ5'プライマーに組み込まれたPst Iおよび対応するcDNA 3'プライマーの5'末端のBglIIに対する制限エ
ンドヌクレアーゼ配列を含むオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、伸長cD
NAが確実にポリAシグナルと一緒に配置されるように気をつけて、発現すべき
ポリペプチドをコードしている伸長cDNAまたはその一部を、細菌ベクターか
らPCRによって取得する。このようにして得られたPCR反応物から得られた
精製断片をPstIで消化し、エクソヌクレアーゼで平滑末端化し、BglIIで
消化し、精製し、さらに、ポリAシグナルを含み且つこの連結(blunt/B
glII)用に調製されたpXT1に連結する。
【0222】 Lipofectin(Life Technologies, Inc.,
Grand Island, New York)を使用して、製品仕様書に
略述されている条件下で、連結生成物をマウス NIH 3T3細胞にトランス
フェクトする。600μg/ml G418(Sigma, St. Loui
s, Missouri)中で形質導入した細胞を成長させた後、陽性の形質導
入体を選択する。発現したタンパク質が培地に放出され、その結果、精製が容易
になることが好ましい。
【0223】 あるいは、上述の通り、伸長cDNAをpED6dpc2にクローニングして
もよい。このようにして得られたpED6dpc2構築物を適当な宿主細胞、た
とえば、COS 1細胞にトランスフェクトしてもよい。メトトレキセート耐性
細胞を選択して、増殖する。伸長cDNAから発現したタンパク質が培地に放出
され、その結果、精製が容易になることが好ましい。 培地中のタンパク質をゲル電気泳動法で分離する。必要に応じて、電気泳動の
前に、タンパク質を硫酸アンモニウム沈殿させてもよく、あるいはサイズまたは
電荷に基づいて分離してもよい。
【0224】 対照として、cDNA挿入物が欠如している発現ベクターを宿主細胞または生
物に導入し、培地中のタンパク質を収穫する。クーマシーブルーまたは銀染色の
ような当業者に周知の技術を使用するか、伸長cDNAによりコードされるタン
パク質に対する抗体を使用して、培地中に存在する分泌タンパク質を検出する。
適当な5' EST、伸長cDNA、またはその一部によりコードされる配列 を有する合成15量体ペプチドを使用して、関心のあるタンパク質を特異的に認
識することができる抗体を生成することが可能である。合成ペプチドをマウスに
注射し、5' EST、伸長cDNA、またはその一部によりコードされるポリ ペプチドに対する抗体を生成する。
【0225】 5' ESTまたはその一部から誘導された伸長cDNAを含む発現ベクター を含む宿主細胞または生物に由来する分泌タンパク質を、対照の細胞または生物
のものと比較する。対照細胞の培地に存在しないバンドが、発現ベクターを含む
細胞の培地中に存在することは、伸長cDNAが分泌タンパク質をコードするこ
とを示す。一般に、伸長cDNAによりコードされるタンパク質に対応するバン
ドは、伸長cDNAのオープンリーディングフレーム内のアミノ酸の数に基づい
て予期されるものに近い移動度を有する。しかし、バンドは、グリコシル化、ユ
ビキチン化、または酵素的切断のような修飾の結果として予期されるものとは異
なる移動度を有することがある。
【0226】 あるいは、上記発現ベクターから発現したタンパク質が、その分泌を指令する
配列を含まない場合、分泌タンパク質またはその一部をコードしている挿入物を
含む発現ベクターを含む宿主細胞から発現したタンパク質を、挿入物を含まない
発現ベクターを含む対照の宿主細胞で発現したタンパク質と比較することができ
る。挿入物を含まない発現ベクターを含む細胞からの試料に存在しないバンドが
、挿入物を含む発現ベクターを含む細胞からの試料に存在することは、所望のタ
ンパク質またはその一部が発現したことを示す。一般に、バンドは、分泌タンパ
ク質またはその一部に関して予期される移動度を有する。しかし、バンドは、グ
リコシル化、ユビキチン化、または酵素的切断のような修飾の結果として予期さ
れるものとは異なる移動度を有することがある。
【0227】 標準的なイムノクロマトグラフィ技術を使用して、伸長cDNAによりコード
されるタンパク質を精製することが可能である。このような手順では、培地や細
胞抽出物のような、分泌タンパク質を含む溶液を、クロマトグラフィマトリック
スに付着した分泌タンパク質に対する抗体を有するカラムにかける。分泌タンパ
ク質をイムノクロマトグラフィカラムに結合させる。その後、カラムを洗浄して
、非特異的に結合したタンパク質を除去する。次いで、特異的に結合した分泌タ
ンパク質を、カラムから放出し、標準的な技術を使用して回収する。
【0228】 抗体産生ができなければ、伸長cDNA配列またはその一部を、キメラポリペ
プチドを使用して、精製機構で使用するために設計された発現ベクターに組み込
んでもよい。このような方法で、伸長cDNAまたはその一部のコーディング配
列を、キメラの残り半分をコードしている遺伝子とともにインフレームで挿入す
る。キメラの残り半分は、β−グロビンまたはニッケル結合性ポリペプチドであ
ってもよい。β−グロビンに対する抗体を有するかまたはニッケルが付着したク
ロマトグラフィマトリックスを使用して、キメラタンパク質を精製する。β−グ
ロビン遺伝子またはニッケル結合性ポリペプチドと、伸長cDNAまたはその一
部との間の、プロテアーゼ切断部位を操作することが可能である。従って、キメ
ラの2つのポリペプチドを、プロテアーゼ消化によって互いに分離することが可
能である。
【0229】 β−グロビンキメラの生成に有用な1つの発現ベクターは、ウサギβ−グロビ
ンをコードするpSG5(Stratagene)である。ウサギβ−グロビン
遺伝子のイントロンIIは、発現した転写物のスプライシングを促進し、構築物
に組込まれたポリアデニル化シグナルは、発現レベルを高める。記載されている
これらの技術は、分子生物学の当業者には周知である。標準的な方法は、Dav
is et al.,(Basic Methods in Molecula
r Biology, Davis, Dibner, and Battey
, ed., Elsevier Press, NY, 1986)のような
方法教本に公表されており、方法の多くは、Stratagene、Life
Technologies, Inc.またはPromegaから入手できる。
in vitro ExpressTM Translation Kit (S
tratagene)のようなin vitro翻訳システムを使用して、構築
物からさらなるポリペプチドを作ることができる。
【0230】 5' EST、伸長cDNA、またはそれらの断片によりコードされる分泌タ ンパク質を発現させ、精製した後、以下の実施例31に記載のように精製タンパ
ク質が様々な細胞型の表面に結合する能力を試験することができる。以下に具体
的に記載されている作用、および作用を決定するためのアッセイが利用可能な他
の生物学的役割について同時に評価すべきタンパク質団に、これらのcDNAか
ら発現した複数のタンパク質を含めてもよいことは、十分に理解されるであろう
【0231】実施例31 分泌タンパク質が細胞表面に結合するかどうかを決定するための分泌タンパク質 の分析 5’EST、伸長cDNA、またはそれらのフラグメントによりコードされる
タンパク質を、実施例30に記載されているような発現ベクターにクローニング
する。サイズ、電荷、イムノクロマトグラフィまたはその他の当業者に周知の技
術によって、このタンパク質を精製する。精製後、このタンパク質を、当業者に
周知の技術を使用して標識する。標識タンパク質を、様々な器官または組織に由
来する細胞または細胞系と共にインキュベートし、このタンパク質を、細胞表面
上に存在する任意のレセプターに結合させる。インキュベーション後、細胞を洗
浄して、非特異的に結合したタンパク質を除去する。標識タンパク質をオートラ
ジオグラフィで検出する。あるいは、非標識タンパク質を細胞とインキュベート
し、検出可能な標識、たとえば、蛍光分子が付着した抗体を用いて検出してもよ
い。
【0232】 様々な量の非標識タンパク質を標識タンパク質と一緒にインキュベートする競
合分析を実施することにより、細胞表面結合の特異性を分析する。競合的非標識
タンパク質の量が増加するにつれて、細胞表面に結合した標識タンパク質の量が
減少する。対照として、標識タンパク質と無関係の様々な量の非標識タンパク質
を、幾つかの結合反応に含める。結合反応において、無関係の非標識タンパク質
の含有量を増加させても細胞表面に結合した標識タンパク質の量は減少せず、上
記cDNAによりコードされるタンパク質が細胞表面に特異的に結合することが
示唆される。
【0233】 上記の通り、分泌タンパク質は、多数の重要な生理学的効果を有し、結果とし
て、貴重な治療源であることが示されている。下記の通り、実施例27〜29に
よって作られた、伸長cDNAまたはその一部によりコードされる分泌タンパク
質を評価して、その生理学的活性を決定することが可能である。
【0234】実施例32 伸長cDNAまたはその一部から発現したタンパク質の、サイトカイン、細胞増 殖または細胞分化活性に関するアッセイ 上記の通り、分泌タンパク質は、サイトカイン類として作用し、または細胞増
殖もしくは分化に影響を及ぼす可能性がある。現在までに発見された多くのタン
パク質因子は、全ての既知のサイトカイン類を含め、1つまたは複数の因子依存
的細胞増殖アッセイにおいて活性を示しており、従って、これらのアッセイは、
サイトカイン活性の便利な確認方法となる。32D、DA2、DA1G、T10
、B9、B9/11、BaF3、MC9/G、M+(preB M+)、2E8、
RB5、DA1、123、T1165、HT2、CTLL2、TF−1、Mo7
cおよびCMKを含むが、これに限定されない細胞系では、多数の定型的な因子
依存的細胞増殖アッセイのいずれか1つによって、伸長cDNAによりコードさ
れるタンパク質の活性が証明される。上記伸長cDNAまたはその一部によりコ
ードされるタンパク質は、上述のアッセイまたは下記の参考文献(参照により本
明細書に組み入れる)に記載されているようなアッセイにおいて、T細胞または
胸腺細胞増殖を調節する能力について評価することが可能である(Curren
t Protocols in Immunology,Ed. by Col
igan et al., Greene Publishing Assoc
iates and Wiley−Interscience;Takai e
t al.,J. Immunol. 137:3494−3500,1986
.;Bertagnolli et al.,J. Immunol. 145
:1706−1712,1990;Bertagnolli et al.,C
ell. Immunol. 133:327−341,1991;Berta
gnolli, et al.,J. Immunol. 149:3778−
3783,1992;Bowman et al.,J. Immunol.
152:1756−1761,1994)。
【0235】 さらに、サイトカイン産生および/または脾細胞、リンパ節細胞および胸腺細
胞の増殖に関する多くのアッセイが知られている。このようなものとしては、C
urrent Protocols in Immunology,前掲 1:
3.12.1−3.12.14、およびSchreiber In Curre
nt Protocols in Immunology,前掲 1:6.8.
1−6.8.8に開示されている技術が挙げられる。
【0236】 上記cDNAによりコードされるタンパク質が造血細胞またはリンパ球産生細
胞の増殖および分化を調節する能力について、アッセイすることも可能である。
以下の参考文献(参照により本明細書に組み入れる)にあるアッセイを含め、こ
のような活性に関する多くのアッセイは当業者に周知である:Bottomly
et al.,In Current Protocols in Immu
nology.,前掲 1:6.3.1−6.3.12;deVries et
al.,J. Exp. Med. 173:1205−1211,1991
;Moreau et al.,Nature 36:690−692,198
8;Greenberger et al.,Proc. Natl. Aca
d. Sci. U.S.A. 80:2931−2938,1983;Nor
dan, R.,In Current Protocols in Immu
nology.,前掲 1:6.6.1−6.6.5;Smith et al
.,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:1
857−1861,1986;Bennett et al.,in Curr
ent Protocols in Immunology 前掲 1:6.1
5.1;Ciarletta et al.,In Current Prot
ocols in Immunology.前掲 1:6.13.1。
【0237】 上記cDNAによりコードされるタンパク質が抗原に対するT細胞応答を調節
する能力について、アッセイすることが可能である。以下の参考文献(参照によ
り本明細書に組み入れる)にあるアッセイを含め、このような活性に関する多く
のアッセイは当業者に周知である:Current Protocols in
Immunology 前掲,第3章(マウスリンパ球機能についてのIn
Vitroアッセイ),第6章(サイトカインおよびその細胞受容体)および第
7章(ヒトにおける免疫学的研究);Weinberger et al.,P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 77:6091−60
95,1980;Weinberger et al.,Eur. J. Im
mun. 11:405−411,1981;Takai et al.,J.
Immunol. 137:3494−3500,1986;Takai e
t al.,J. Immunol. 140:508−512,1988。
【0238】 次いで、サイトカイン、細胞増殖、または細胞分化活性を示すタンパク質を医
薬として製剤化し、細胞増殖または分化の誘導が有益な臨床状態の治療に使用す
ることが可能である。あるいは、以下に詳述する通り、これらのタンパク質をコ
ードしている遺伝子またはこれらのタンパク質の発現を調節する核酸を適当な宿
主細胞に導入して、これらのタンパク質の発現を望み通りに増加または減少させ
ることも可能である。
【0239】実施例33 免疫系調節物質としての活性を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現 されるタンパク質のアッセイ 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、免疫調節物質としてのそれら
の効果について評価することができる。例えば、該タンパク質を、胸腺細胞また
は脾臓細胞の細胞傷害性に影響するそれらの活性について評価することができる
。そのような活性に対する多くのアッセイが当業者によく知られており、以下の
ような参考文献(これらは参照により本明細書に組み入れる):Coligan
ら編,Current Protocols in Immunology,G
reene Publishing Associates and Wile
y−Interscience,第3章(マウスリンパ球機能についてのin
vitroアッセイ3.1〜3.19)および第7章(ヒトにおける免疫学的研
究);Hermannら、Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 78:2488−2492,1981;Hermannら、J. Imm
unol. 128:1968−1974,1982;Handaら、J. I
mmunol. 135:1564−1572,1985;Takaiら、J.
Immunol. 137:3494−3500,1986;Takaiら、
J. Immunol. 140:508−512,1988;Bowmanら
、J. Virology 61:1992−1998;Bertagnoll
iら、Cell. Immunol. 133:327−341,1991;B
rownら、J. Immunol. 153:3079−3092,1994
;に記載のアッセイが挙げられる。
【0240】 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、T細胞依存性の免疫グロブリ
ン応答およびアイソタイプスイッチに対するそれらの効果について評価すること
ができる。そのような活性に対する多くのアッセイが当業者によく知られており
、以下のような参考文献(これらは参照により本明細書に組み入れる):Mal
iszewski,J. Immunol. 144:3028−3033,1
990;Mondら,Current Protocols in Immun
ology,1:3.8.1−3.8.16,前掲;に記載のアッセイが挙げら
れる。
【0241】 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、Th1細胞および細胞傷害性
リンパ球に対する効果などの、免疫エフェクター細胞に対する効果について評価
することができる。そのような活性に対する多くのアッセイが当業者によく知ら
れており、以下のような参考文献(これらは参照により本明細書に組み入れる)
:Current Protocols in Immunology(前掲)
の第3章(マウスリンパ球についてのin vitroアッセイ3.1〜3.1
9)および第7章(ヒトにおける免疫学的研究);Takaiら,J. Imm
unol. 137:3494−3500,1986;Takaiら,J. I
mmunol. 140:508−512,1988;Bertagnolli
ら,J. Immunol. 149:3778−3783,1992;に記載
のアッセイが挙げられる。
【0242】 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、未活性型T細胞の樹状細胞介
在性活性化に対するそれらの効果について評価することができる。そのような活
性に対する多くのアッセイが当業者によく知られており、以下のような参考文献
(これらは参照により本明細書に組み入れる):Gueryら,J. Immu
nol. 134:536−544,1995;Inabaら,J. Exp.
Med. 173:549−559,1991;Macatoniaら,J.
Immunol. 154:5071−5079,1995;Porgado
rら,J. Exp. Med. 182:255−260,1995;Nai
rら,J. Virol. 67:4062−4069,1993;Huang
ら,Science 264:961−965,1994;Macatonia
ら,J. Exp. Med 169:1255−1264,1989;Bha
rdwajら,Journal of Clinical Investiga
tion 94:797−807,1994;およびInabaら,J. Ex
p. Med 172:631−640,1990;に記載のアッセイが挙げら
れる。
【0243】 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、リンパ球の寿命に対するそれ
らの影響について評価することができる。そのような活性に対する多くのアッセ
イが当業者によく知られており、以下のような参考文献(これらは参照により本
明細書に組み入れる):Darzynkiewiczら,Cytometry
13:795−808,1992;Gorczycaら,Leukemia 7
:659−670,1993;Gorczycaら,Cancer Res.
53:1945−1951,1993;Itohら,Cell 66:233−
243,1991;Zacharchuk,J. Immunol. 145:
4037−4045,1990;Zamaiら,Cytometry 14:8
91−897,1993;Gorczycaら,Int. J. Oncol.
1:639−648,1992;に記載のアッセイが挙げられる。
【0244】 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、T細胞の分化の方向が決定さ
れ、細胞が発達していく初期の段階に対するそれらの影響について評価すること
ができる。そのような活性に対する多くのアッセイが当業者によく知られており
、以下のような参考文献(これらの参考文献は参照により本明細書に組み入れる
):Anticaら,Blood 84:111−117,1994;Fine
ら,Cell. Immunol. 155:111−122,1994;Ga
lyら,Blood 85:2770−2778,1995;Tokiら,Pr
oc. Nat. Acad Sci. USA 88:7548−7551,
1991;に記載のアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】 次いで免疫系調節物質活性として活性を示すタンパク質を医薬として製剤化し
、免疫活性の調節が有益な臨床状態を治療するのに使用してもよい。例えば、該
タンパク質は、(重症複合型免疫不全などの)様々な免疫不全および免疫障害の
治療、例えば、Tおよび/またはBリンパ球の成長および増殖の調節(上向きま
たは下向き)ならびにNK細胞および他の細胞集団の細胞溶解活性の惹起に有用
である。これらの免疫不全は遺伝的であるかまたはウイルス(例えば、HIV)
および細菌もしくは真菌感染によって生じるか、あるいは自己免疫障害から生じ
ることがある。より具体的には、ウイルス、細菌、真菌または他の感染によって
生じる感染症は、本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコード
されるタンパク質を用いて治療することができ、該感染症には、HIV、肝炎ウ
イルス、ヘルペスウイルス、マイコバクテリア、Leishmania属、Pl
amodium属による感染症およびカンジダ症などの様々な真菌感染症が挙げ
られる。この点についてはもちろん、一般的に免疫系を促進することが所望され
る場合、例えば、癌の治療においても、本発明の5’ESTから誘導される伸長
cDNAによりコードされるタンパク質は有用である。
【0246】 あるいは、本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされ
るタンパク質を、例えば、結合組織病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス
、慢性関節リウマチ、自己免疫性肺炎、ギヤン−バレー症候群、自己免疫性甲状
腺炎、インスリン依存性糖尿病、重症筋無力症、移植片対宿主病および自己免疫
性炎症性眼疾患などの自己免疫疾患の治療に使用してもよい。本発明の5’ES
Tから誘導される伸長cDNAによりコードされるそのようなタンパク質は、喘
息(特にアレルギー性喘息)または他の呼吸器系障害などのアレルギー反応およ
び症状の治療にも有用である。免疫抑制が所望される他の症状(例えば、臓器移
植など)も、本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされ
るタンパク質を使用して治療することができる。
【0247】 本発明のタンパク質を使用すれば、免疫応答を上向きまたは下向きのいずれか
に調節することも可能である。
【0248】 ダウンレギュレーションには、既に進行中にある免疫応答の阻害または阻止が
関与するか、あるいは免疫応答の誘導の防止が関与し得る。T細胞応答を抑制す
るかまたはT細胞の特異的寛容性を誘導することによって、あるいはその両方に
よって、活性化されたT細胞の機能が阻害され得る。T細胞応答の免疫抑制は、
一般に、積極的な非抗原特異的プロセスであって、T細胞を抑制剤に継続的に暴
露する必要がある。寛容性は、T細胞の非応答性またはアネルギーを誘導するこ
とを含むが、一般に抗原特異的であり、寛容化剤への暴露が終了した後も存続す
るという点で免疫抑制とは異なる。実際には、寛容化剤が存在しない場合は、特
異的抗原に再暴露されてもT細胞の応答が認められないことから、寛容性を実証
することができる。
【0249】 1つ以上の抗原機能(例えば、B7同時刺激などのBリンパ球抗原機能が挙げ
られるが、これに限定されない)をダウンレギュレートするかまたは防止するこ
と、例えば、活性化されたT細胞による高レベルのリンホカイン合成を防止する
ことは、組織、皮膚および臓器移植の状況において、ならびに移植片対宿主病(
GVHD)において有用である。例えば、T細胞の機能を阻止すると、組織移植
における組織破壊が減少するはずである。典型的に、組織移植では、移植片がT
細胞によって外来性であると認識されることによって移植片の拒絶が始まり、続
いて、免疫反応によって移植片が破壊される。B7リンパ球抗原と免疫細胞上の
その天然のリガンド(例えば、B7−2活性を有するペプチドの可溶性単量体形
態のみかあるいは該ペプチドの可溶性単量体形態ともう1つのBリンパ球抗原(
例えば、B7−1、B7−3)の活性を有するかまたは抗体を阻止するペプチド
の単量体形態とを合わせたもの)との相互作用を阻害するかまたは阻止する分子
を移植前に投与すると、対応する同時刺激シグナルを伝達することなく免疫細胞
上の天然のリガンドに該分子を結合することができる。この事柄においてBリン
パ球抗原機能を阻止すると、T細胞などの免疫細胞によるサイトカイン合成が防
止され、それゆえ、該阻止は免疫抑制剤として作用する。更に、同時刺激の欠如
もT細胞をアネルギー化する(anergize)のに十分であり得、これによ
り、被験体に寛容性が誘導される。Bリンパ球抗原阻止試薬によって長期寛容性
を誘導すると、これらの阻止試薬の反復投与の必要性を回避することができる。
被験体において十分な免疫抑制または寛容性を達成するために、Bリンパ球抗原
の組み合わせの機能を阻止する必要があり得る。
【0250】 ヒトにおける評価の予想となる動物モデルを用いて、臓器移植の拒絶またはG
VHDを防止する特定の阻止試薬の効果を評価することができる。使用すること
のできる適切な系の例としては、ラットにおける同種心移植片およびマウスにお
ける異種ランゲルハンス島細胞移植片が挙げられ、両者ともin vivoでC
TLA4Ig融合タンパク質の免疫抑制効果を調べるのに使用されている。これ
らのことについては、Lenschowら,Science 257:789−
792,1992およびTurkaら,Proc. Natl. Acad.
Sci USA,89:11102−11105,1992に記載されている。
更に、GVHDのマウスモデル(Paul編,Fundamental Imm
unology,Raven Press,New York,1989,84
6〜847頁を参照のこと)を使用して、該疾患の進行に対するin vivo
でのBリンパ球抗原機能の阻止の効果を決定することができる。
【0251】 抗原機能の阻止も、自己免疫疾患の治療には治療上有効である。多くの自己免
疫障害は、T細胞の活性化が不適切であることが原因であり、この時T細胞は自
己の組織に対して反応性であり、疾患の病因に関与するサイトカインおよび自己
抗体の産生を促進する。自己反応性のT細胞の活性化を防止すると、疾患の症候
を減少または消失することができる。Bリンパ球抗原のレセプター/リガンド相
互作用を破壊することによってT細胞の同時刺激を阻止する試薬を投与すること
により、T細胞の活性化を阻害し、疾患のプロセスに潜在的に関与する自己抗体
またはT細胞誘導性サイトカインの産生を防止することができる。更に、阻止試
薬は、自己反応性T細胞の抗原特異的寛容性を誘導することができ、これにより
疾患から長期軽減を導き得る。詳細に特性づけされたヒト自己免疫疾患の多くの
動物モデルを使用して、自己免疫障害を妨げるかまたは緩和する阻止試薬の効果
を決定することができる。その例としては、マウス実験的自己免疫脳炎、MRL
/pr/prマウスまたはNZB交雑マウスの全身性エリテマトーデス、マウス
の自己免疫性抗原性関節炎(murine autoimmuno colla
gen arthritis)、ODマウスおよびBBラットの糖尿病、ならび
にマウスの実験的重症筋無力症が挙げられる(Paul編、前掲、840〜85
6頁を参照のこと)。
【0252】 免疫応答をアップレギュレートする手段として、抗原機能(好ましくはBリン
パ球の抗原機能)をアップレギュレートすることも治療に有効であり得る。免疫
応答のアップレギュレーションには、現存の免疫応答を増強するか、または以下
の例に示されるような初期免疫応答を誘発するかのいずれかが関与し得る。例え
ば、Bリンパ球抗原機能を刺激することをにより免疫応答を増強することは、ウ
イルス感染の場合に有用であり得る。更に、全身的なBリンパ球抗原の刺激形態
を投与することによって、インフルエンザ、一般的な風邪、および脳炎などの全
身性ウイルス疾患を緩和し得る。
【0253】 あるいは、感染患者からT細胞を取り出し、in vitroにおいて本発明
の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされるペプチドを発現す
るかまたは該ペプチドと共に本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAに
よりコードされる可溶性ペプチドの刺激形態を発現するウイルス抗原で惹起され
たAPCで該T細胞を同時刺激し、そしてin vitroで感作したT細胞を
前記患者に再導入することによって、前記患者の抗ウイルス免疫応答を増強して
もよい。これで感染細胞は、同時刺激シグナルをin vivoでT細胞に送達
し、従って、T細胞を活性化することができる。
【0254】 もう1つの適用では、抗原機能(好ましくはBリンパ球の抗原機能)のアップ
レギュレーションまたは増強は、腫瘍免疫の誘導に有益であり得る。本発明の5
’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされる少なくとも1つのペプ
チドをコードする核酸をトランスフェクトされた腫瘍細胞(例えば、肉腫、黒色
腫、リンパ腫、白血病、神経芽腫、癌腫)を被験体に投与して、該被験体の腫瘍
特異的寛容性を克服することができる。所望であれば、ペプチドを組み合わせて
発現するように腫瘍細胞をトランスフェクトすることもできる。例えば、患者か
ら得られる腫瘍細胞を、ex vivoにおいて、B7−2様活性を有するペプ
チドのみか、あるいは該ペプチドとB7−1様活性および/またはB7−3様活
性を有するペプチドとを合わせたものの発現を指令する発現ベクターでトランス
フェクトすることができる。トランスフェクトされた腫瘍細胞は患者に戻され、
その結果、トランスフェクトされた細胞の表面上でこれらのペプチドが発現する
。あるいは、in vivoでのトランスフェクションにおいて腫瘍細胞を標的
化するために、遺伝子治療技術を使用することができる。
【0255】 腫瘍細胞の表面上にBリンパ球抗原の活性を有する、本発明の5’ESTから
誘導される伸長cDNAによりコードされるペプチドが存在すると、必要な同時
刺激シグナルがT細胞に提供され、トランスフェクトされた腫瘍細胞に対するT
細胞介在性免疫応答が誘導される。更に、十分な量のMHCクラスIまたはMH
CクラスII分子を再発現することができないかまたは完全に損なわれている腫
瘍細胞を、MHCクラスIα鎖およびβ2ミクログロブリンまたはMHCクラス IIα鎖およびMHCクラスIIβ鎖の全てまたは一部(例えば、細胞質ドメイ
ンを切断した部分)をコードする核酸でトランスフェクトすることができ、それ
により、該腫瘍細胞は細胞表面上にそれぞれMHCクラスIまたはクラスIIタ
ンパク質を発現する。適切なMHCクラスIまたはクラスII分子がBリンパ球
抗原(例えば、B7−1、B7−2、B7−3)の活性を有するペプチドと合わ
せて発現すると、トランスフェクトされた腫瘍細胞に対するT細胞介在性免疫応
答が誘導される。場合に応じて、不変鎖などのMHCクラスIIの発現を阻止す
るアンチセンス構築物をコードする遺伝子も、Bリンパ球抗原の活性を有するペ
プチドをコードするDNAと共に同時トランスフェクトし、腫瘍関連抗原の提示
を促進して、腫瘍特異的免疫を誘導することができる。従って、ヒト被験体にお
いてT細胞介在性免疫応答を誘導することは、被験体において腫瘍特異的寛容性
を克服するのに十分であり得る。あるいは、以下に詳細に記載するように、これ
らの免疫系調節物質のタンパク質をコードする遺伝子またはそのようなタンパク
質の発現を調節する核酸を適切な宿主細胞に導入して、所望する通りに該タンパ
ク質の発現を増加または減少してもよい。
【0256】実施例34 造血調節活性を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現されるタンパク 質のアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、それらの
造血調節活性について評価することができる。例えば、胚性幹細胞の分化に対す
る該タンパク質の効果を評価することができる。そのような活性に対する多くの
アッセイが当業者によく知られており、以下のような参考文献(これらは参照に
より本明細書に組み入れる):Johanssonら,Cell. Biol.
15:141−151,1995;Kellerら,Mol. Cell.
Biol. 13:473−486,1993;McClanahanら,Bl
ood 81:2903−2915,1993;に記載のアッセイが挙げられる
。 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、幹細胞の
寿命および幹細胞の分化に対するそれらの影響について評価することができる。
そのような活性に対する多くのアッセイが当業者によく知られており、以下のよ
うな参考文献(これらは参照により本明細書に組み入れる):Freshney
,Methylcellulose Colony Forming Assa
ys,in Culture of Hematopoietic Cells
.,Freshneyら編,265〜268頁,Wiley−Liss, In
c., New York,NY.1994;Hirayamaら,Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 89:5907−5911,1
992;McNieceおよびBriddell,in Culture of
Hematopoietic Cells、前掲;Nebenら,Exp.
Hematol. 22:353−359,1994;Ploemacherお
よびCobblestone In Culture of Hematopo
ietic Cells,前掲,1−21;Spooncerら,in Cul
ture of Hematopoietic Cells,前掲,163−1
79ならびにSutherland in Culture of Hemat
opoietic Cells,前掲,139−162;に記載のアッセイが挙
げられる。
【0257】 次いで、造血調節活性を示すタンパク質を、医薬として製剤化し、骨髄または
リンパ球細胞欠損症の治療など、造血の調節が有益である臨床状態を治療するた
めに使用することができる。コロニー形成細胞または因子依存性細胞系を支える
周辺の生物学的活性によっても造血の調節の改善が認められる。例えば、赤血球
前駆細胞の成長または増殖を支持するタンパク質のみかあるいは他のサイトカイ
ンとの組み合わせは、例えば、様々な貧血の治療において、あるいは赤血球前駆
細胞および/または赤血球細胞の産生を刺激するための放射線照射/化学療法と
の併用に有用である。顆粒球および単球/マクロファージなどの骨髄細胞の成長
または増殖を支持するタンパク質(即ち、従来のCSF活性)は、例えば、結果
として生じる骨髄抑制(myelosuppression)予防するかまたは
治療するための化学療法との組み合わせにおいて有用であり得る。巨核細胞の成
長および増殖、すなわち血小板の成長および増殖を支持するタンパク質は、血小
板減少症などの様々な血小板異常の防止または治療を可能にし、一般に、血小板
輸注の代わりまたは補助に使用することができる。従って、上記の造血細胞のい
くつかおよび全てに成熟することができる造血幹細胞の成長および増殖を支持す
るタンパク質は、様々な幹細胞異常(通常、移植で治療されるものなど、例えば
、再生不良性貧血および発作性夜間血色素尿症が挙げられるが、それらに限定さ
れない)において、ならびに正常細胞または遺伝子治療のために遺伝子操作され
た細胞として、in vivoまたはex vivo(骨髄移植との組み合わせ
かまたは末梢前駆細胞移植(同種または異種))のいずれかで放射線照射/化学
療法後の幹細胞画分の増殖に治療上有用である。あるいは、以下に詳細に記載さ
れるように、造血調節活性を有するタンパク質をコードする遺伝子またはそのよ
うなタンパク質の発現を調節する核酸を適切な宿主細胞に導入し、所望する通り
に該タンパク質の発現を増加または減少することができる。
【0258】実施例35 組織成長の調節を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現されるタンパ ク質のアッセイ 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、組織の成長に
対するそれらの効果についても評価することができる。そのような活性に対する
多くのアッセイが当業者によく知られており、国際特許公開WO95/1603
5号、国際特許公開WO95/05846号、および国際特許公開WO91/0
7491号(これらは本明細書において参考として援用される)に開示されてい
るアッセイが挙げられる。
【0259】 創傷治癒活性のためのアッセイとしては、Winter, Epiderma
l Wound Healing、71〜112頁、MaibachおよびRo
vee編、Year Book Medical Publishers, I
nc., Chicagoに記載のアッセイを、EaglsteinおよびMe
rtz, J. Invest. Dermatol.71:382-84, 1978(これは本明細書において参考として援用される)において改変したア
ッセイが挙げられるが、これに限定される訳ではない。
【0260】 次いで、組織の成長の調節に関与するタンパク質を医薬として処方し、組織成
長の調節が有益である臨床症状を治療するために使用することができる。例えば
、本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコ-ドされるタンパク 質はまた、骨、軟骨、腱、靭帯および/または神経組織の成長または再生ならび
に創傷の治癒および組織の修復および置換に使用される組成物、ならびに火傷、
切開および潰瘍の治療に有用であり得る。
【0261】 本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコ-ドされるタンパク 質は、骨が正常に形成されない環境において軟骨および/または骨の成長を誘導
するため、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨の損傷または欠損の治癒
に適用性を有する。本発明のタンパク質を用いるそのような調製物は、閉鎖骨折
および開放骨折の整復ならびに人工関節の固定の改善において予防的用途を有し
得る。骨形成剤によって誘導されるde novoでの骨合成は、先天性、外傷誘導性、 または腫瘍学的切除誘導性脳顔面頭蓋欠損の修復に役立ち、また美容整形外科に
おいても有用である。
【0262】 本発明のタンパク質は、歯周病の治療および他の歯修復過程においても使用す
ることができる。そのような薬剤は、骨形成細胞を引き寄せる環境を提供するか
、骨形成細胞の増殖を刺激するか、または骨形成前駆細胞の分化を誘導すること
ができる。本発明のタンパク質はまた、例えば、骨および/または軟骨修復の刺
激を介するか、あるいは炎症または炎症過程によって介在される組織破壊の過程
(コラゲナーゼ活性、破骨細胞活性など)を阻止することによる、骨粗しょう症
または変形性関節症の治療にも有用である。
【0263】 本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされるタンパク
質に帰すことができる組織再生活性のもう1つのカテゴリーは、腱/靭帯形成で
ある。本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされるタン
パク質は、腱/靭帯様組織または他の組織が通常は形成されない環境でのそのよ
うな組織の形成を誘導し、ヒトおよび他の動物における腱または靭帯の断裂、変
形および他の腱または靭帯欠損の治癒において適用性を有する。腱/靭帯様組織
を誘導するタンパク質を用いるそのような調製物は、腱または靭帯組織に対する
損傷の防止、ならびに骨または他の組織に対する腱または靭帯固定の改善、およ
び腱または靭帯組織に対する欠損の修復において予防的用途を有し得る。本発明
の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコ-ドされる組成物によって誘 導されるde novoでの腱/靭帯様組織形成は、先天性、外傷性または他に由来す る腱または靭帯欠損の修復に役立ち、また腱または靭帯の付着または修復のため
の美容整形外科に有用である。本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNA
によりコードされる組成物は、腱または靭帯形成細胞を引き寄せるか、腱または
靭帯形成細胞の増殖を刺激するか、腱または靭帯形成細胞の前駆細胞の分化を誘
導するか、あるいは組織の修復を引き起こすようにin vivoに戻すためにex vivo
での腱/靭帯細胞または前駆細胞の増殖を誘導する環境を提供する。本発明の組
成物は、腱炎、手根管症候群および他の腱または靭帯欠損の治療にも有用である
。組成物は、当該分野においてキャリアとして周知の適切なマトリックスおよび
/または封鎖剤(sequestering agent)を含んでもよい。
【0264】 本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされるタンパク
質は、神経細胞の増殖ならびに神経および脳組織の再生、即ち、中枢神経系およ
び末梢神経系の疾患および壊疽、ならびに神経細胞または神経組織の変性、死ま
たは外傷に関与する機械性および外傷性障害の治療にも有用である。より具体的
には、タンパク質を、末梢神経の損傷、末梢性ニューロパシーおよび局限性ニュ
ーロパシーなどの末梢神経系の疾患、ならびにアルツハイマー病、パーキンソン
病、ハンチントン病、筋萎縮側索硬化症、およびシャイ-ドレーガー症候群など の中枢神経系の疾患の治療に使用してもよい。更に、本発明に従って治療され得
る症状としては、脊髄障害、頭部外傷などの機械性および外傷性障害ならびに脳
卒中などの脳血管性疾患などが挙げられる。化学療法または他の医学療法により
生じる末梢性ニューロパシーも、本発明のタンパク質を使用して治療することが
できる。
【0265】 本発明のタンパク質はまた、非治癒性創傷のより良好または迅速な閉鎖を促進
するのにも有用であり、該創傷としては、圧迫性潰瘍(pressure ulcers)、血 管不全を伴う潰瘍、外科的および外傷性創傷などが挙げられるが、これらに限定
される訳ではない。 本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコ-ドされるタンパク 質はまた、臓器(例えば、膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮を含む)、筋肉(
平滑筋、骨格筋または心筋)および脈管(脈管内皮を含む)組織などの他の組織
の発生または再生、あるいはそのような組織を構成する細胞の増殖を促進するた
めの活性を示し得ることが予想される。所望される効果の1つは、線維性瘢痕形
成(fibrotic scarring)を阻害または調節することによって、正常な組織の発 生を可能にすることである。本発明のタンパク質はまた、脈管形成活性を示し得
る。
【0266】 本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされるタンパク
質は、腸の保護または再生および肺または肝繊維症、様々な組織における再灌流
障害、ならびに全身性サイトカイン障害により生じる症状の治療にも有用である
。 本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされるタンパク
質は、前駆組織または細胞からの上記組織の分化を促進または阻害すること、ま
たは上記組織の成長を阻害するのにも有用である。 あるいは、以下に詳細に記載のように、組織の成長を調製する活性を有するタ
ンパク質をコードする遺伝子またはそのようなタンパク質の発現を調節する核酸
を適切な宿主細胞に導入し、所望する通りに該タンパク質の発現を増加または減
少させることができる。
【0267】実施例36 生殖ホルモンの調節を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現されるタ ンパク質のアッセイ 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、卵胞刺激ホル
モンなどの生殖ホルモンを調節するそれらの能力について評価することもできる
。そのような活性に対する多くのアッセイが当業者によく知られており、以下の
参考文献に開示されているアッセイが挙げられるが、これらは本明細書において
参考として援用される:Valeら、Endocrinol. 91:562- 572, 1972;Lingら、Nature 321:779-782, 1986;Valeら、Nature 321:776-779, 1986; Masonら、Nature 318:659-663, 1985;Fora geら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:30
91-3095, 1986, Current Protocols in Immunology 6.12章、Coliganら編、Greene Pu
blishing Associates and Wiley-Inters cience;Taubら、J. Clin. Invest. 95:137
0-1376, 1995;Lindら、APMIS 103:140-146,
1995;Mullerら、Eur. J. Immunol. 25:17
44-1748;Gruberら、J. Immunol. 152:5860-
5867, 1994; Johnstonら、J. Immunol. 15
3:1762-1768, 1994。
【0268】 次いで、生殖ホルモンまたは細胞運動の調節物質としての活性を示すそれらの
タンパク質を医薬として処方し、生殖ホルモンの調節が有益な臨床症状を治療す
るのに使用してもよい。例えば、本発明の5’ESTから誘導される伸長cDN
Aによりコードされるタンパク質はまた、アクチビンまたはインヒビン関連活性
も示し得る。インヒビンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を阻害する能力
を特徴とし、アクチビンはFSHの放出を刺激する能力を特徴とする。従って、
本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされるタンパク質
は、それのみで、またはインヒビンαファミリーのメンバーとのヘテロダイマー
の形で、雌の哺乳動物における生殖能力を減少し、雄の哺乳動物の精子形成を減
少する能力に基づく避妊薬として有用であり得る。十分な量の他のインヒビンを
投与すると、これらの動物において不妊を誘発することができる。あるいは、本
発明のタンパク質は、ホモダイマー、またはインヒビンB群の他のタンパク質サ
ブユニットとのヘテロダイマーとして存在し、脳下垂体前葉の細胞からのFSH
放出を刺激するアクチビン分子の能力に基づく生殖能力誘導療法として有用であ
り得る。例えば、米国特許第4,798,885号を参照のこと。該参考文献の
開示内容は本明細書において参考として援用される。本発明のタンパク質はまた
、ウシ、ヒツジおよびブタなどの家畜の生存期間中の生殖能力を向上するように
、性的に未成熟な哺乳動物の生殖能力の発生を進めるのに有用である。
【0269】 あるいは、以下に詳細に記載のように、生殖ホルモン調節活性を有するタンパ
ク質をコードする遺伝子またはそのようなタンパク質の発現を調節する核酸を適
切な宿主細胞に導入し、所望する通りに該タンパク質の発現を増加または減少さ
せることができる。
【0270】実施例37 走化性/ケモキネシス活性を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現さ れるタンパク質のアッセイ 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、走化性/ケモ
キネシス活性について評価することもできる。例えば、本発明の5’ESTから
誘導される伸長cDNAによりコードされるタンパク質は、例えば、単球、線維
芽細胞、好中球、T細胞、肥満細胞、好酸球、上皮および/または内皮細胞を含
む哺乳動物細胞に対する走化性またはケモキネシス活性(例えば、ケモカインと
して作用する)を有し得る。走化性およびケモキネシスタンパク質を使用して、
所望の細胞集団を所望の作用部位に移動させるかまたは引き寄せることができる
。走化性およびケモキネシスタンパク質は、組織に対する創傷および他の外傷の
治療、ならびに限局性感染症の治療に特定の利点を提供する。例えば、腫瘍また
は感染部位にリンパ球、単球または好中球を引き寄せると、腫瘍または感染因子
に対する免疫応答を改善することができる。
【0271】 タンパク質またはペプチドが直接的または間接的に特定の細胞集団の指令され
た方向づけまたは運動を刺激することができるのであれば、該タンパク質または
ペプチドは該特定の細胞集団に対する走化性活性を有する。好ましくは、タンパ
ク質またはペプチドは細胞の指令された運動を直接刺激する能力を有する。特定
のタンパク質が細胞の集団に対して走化性活性を有するか否かは、細胞走化性に
対する任意の既知のアッセイにおいてそのようなタンパク質またはペプチドを用
いることによって容易に決定することができる。
【0272】 本発明のタンパク質の活性は、中でも以下の方法によって測定することができ
る。 走化性活性のためのアッセイ(走化性を誘導または妨げるタンパク質を同定す
るもの)は、細胞が膜を横切る移動を誘導するタンパク質の能力、および1つの
細胞集団のもう1つの細胞集団への付着を誘導するタンパク質の能力を測定する
アッセイからなる。運動および付着のための適切なアッセイとしては、Curr
ent Protocols in Immunology, Coligan
、Kruisbeek、Margulies、ShevachおよびStrob
er編、Pub. Greene Publishing Associate
s and Wiley-Interscience,6.12章:6.12. 1-6.12.28;Taubら、J. Clin. Invest.95:1 370-1376, 1995;Lindら、APMIS 103:140-14
6, 1995;Muellerら、Eur. J. Immunol. 25
:1744-1748;Gruberら、J. Immunol. 152:5 860-5867, 1994;Johnstonら、J. Immunol. 153:1762-1768,1994に記載のアッセイが挙げられるが,そ れらに限定される訳ではない。
【0273】実施例38 血液凝固の調節を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現されるタンパ ク質のアッセイ 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、血液凝固に対
するそれらの効果について評価することもできる。そのような活性に対する多く
のアッセイが当業者によく知られており、以下の参考文献に開示されているアッ
セイが挙げられるが、これらは本明細書において参考として援用される:Lin
etら、J. Clin. Pharmacol. 26:131-140, 1986;Burdickら、Thrombosis Res. 45:413
-419, 1987;Humphreyら、Fibrinolysis 5: 71-79, 1991;Schaub, Prostaglandins 3 5:467-474, 1988。
【0274】 次いで、血液凝固の調節に関連するそれらのタンパク質を医薬として処方し、
血液凝固の調節が有益な臨床症状を治療するのに使用してもよい。例えば、本発
明のタンパク質はまた、止血または血栓溶解(thrombolytic)活性を示し得る。
その結果、そのようなタンパク質は、様々な凝固異常(血友病などの遺伝性異常
を含む)の治療において、あるいは外傷、外科または他の原因から生じる創傷の
治療における凝固および他の止血事象を促進するのに有用であると予想される。
本発明のタンパク質はまた、血栓の溶解または血栓形成阻害ならびに血栓形成か
ら生じる症状(心血管の梗塞および中枢神経系血管の梗塞(例えば、脳卒中)な
ど)の予防および治療にも有用であり得る。あるいは、以下に詳細に記載のよう
に、血液凝固活性を有するタンパク質をコードする遺伝子またはそのようなタン
パク質の発現を調節する核酸を適切な宿主細胞に導入し、所望する通りに該タン
パク質の発現を増加または減少させることができる。
【0275】実施例39 受容体/リガンド相互作用への関与を対象とした伸長cDNAまたはその一部か ら発現されるタンパク質のアッセイ 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、受容体/リガ
ンド相互作用への関与について評価することもできる。そのような関与に対する
多くのアッセイが当業者によく知られており、以下の参考文献に開示されている
アッセイが挙げられるが、これらは本明細書において参考として援用される:C
urrent Protocols in Immunology、7.7.2
8.1-7.28.22章、Coliganら編、Greene Publis hing Associates and Wiley-Interscien ce;Takaiら、Pro. Natl. Acad. Sci. USA
84:6864-6868, 1987;Biererら、J. Exp. M ed. 168:1145-1156, 1988;Rosensteinら、 J. Exp. Med. 169:149-160, 1989;Stolt enborgら、J. Immunol. Methods 175:59-6 8, 1994;Stittら、Cell 80:661-670, 1995 ;Gyurisら、Cell 75:791-803, 1993。
【0276】 例えば、本発明の5’ESTから誘導される伸長cDNAによりコードされる
タンパク質は、受容体、受容体リガンドまたは受容体/リガンド相互作用の阻害
剤もしくはアゴニストとしての活性を示す。そのような受容体およびリガンドの
例としては、サイトカイン受容体およびそれらのリガンド、受容体キナーゼおよ
びそれらのリガンド、受容体ホスファターゼおよびそれらのリガンド、細胞-細 胞間相互作用に関与する受容体およびそれらのリガンド(細胞付着分子(セレク
チン、インテグリンおよびそれらのリガンドなど)、および細胞性および体液性
免疫応答の抗原提示、抗原認識および発達に関与する受容体/リガンド対を含む
がそれらに限定されない)が挙げられるが、それらに限定される訳ではない。受
容体およびリガンドは、関連の受容体/リガンド相互作用の潜在的なペプチドま
たは小分子阻害剤のスクリーニングにも有用である。本発明の5’ESTから誘
導される伸長cDNAによりコードされるタンパク質(受容体およびリガンドの
断片を含むが、それらに限定されない)は、それ自体で受容体/リガンド相互作
用の阻害剤として有用であり得る。あるいは、以下に詳細に記載のように、受容
体/リガンド相互作用に関与するタンパク質をコードする遺伝子またはそのよう
なタンパク質の発現を調節する核酸を適切な宿主細胞に導入し、所望する通りに
該タンパク質の発現を増加または減少させることができる。
【0277】実施例40 抗炎症活性を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現されるタンパク質 のアッセイ 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、抗炎症活性に
ついて評価することもできる。抗炎症活性は、炎症応答に関与する細胞に刺激を
与えることによって、細胞-細胞間相互作用(例えば、細胞付着など)を阻害も しくは促進することによって、炎症過程に関与する細胞の走化性を阻害もしくは
促進することによって、細胞溢出を阻害もしくは促進することによって、または
炎症応答をより直接的に阻害もしくは促進する他の因子の産生を刺激もしくは抑
制することによって、達成することができる。そのような活性を示すタンパク質
を使用して、慢性または急性症状を含む炎症症状を治療することができる。該炎
症症状としては、感染に伴う炎症(敗血症性ショック、敗血症または全身性炎症
応答症候群)、虚血性再灌流障害(ischemia-reperfusioninury)、エンドトキ シン死亡率、関節炎、補体介在性超急性拒絶、腎炎、サイトカインまたはケモカ
イン誘導性肺損傷、炎症性腸疾患、クローン病あるいはTNFまたはIL-1な どのサイトカインの過度の産生により生じる疾患が挙げられるが、これらに限定
される訳ではない。本発明のタンパク質は、抗原性物質または材料に対するアナ
フィラキシーおよび過敏症を治療するのにも有用であり得る。あるいは、以下に
詳細に記載のように、抗炎症活性を有するタンパク質をコードする遺伝子または
そのようなタンパク質の発現を調節する核酸を適切な宿主細胞に導入し、所望す
る通りに該タンパク質の発現を増加または減少させることができる。
【0278】実施例41 腫瘍阻害活性を対象とした伸長cDNAまたはその一部から発現されるタンパク 質のアッセイ 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、腫瘍阻害活性
について評価することもできる。腫瘍の免疫学的治療または予防についての上記
の活性に加えて、本発明のタンパク質は他の抗腫瘍活性を示し得る。タンパク質
は、腫瘍の成長を(例えば、ADCCを介して)直接的または間接的に阻害する
ことができる。タンパク質は、腫瘍組織または腫瘍前駆組織に対して作用するこ
とによって、(例えば、血管新生を阻害することによって)腫瘍の成長を支える
のに必要な組織の形成を阻害することによって、腫瘍の成長を阻害する他の因子
、薬剤または細胞型の産生を引き起こすことによって、あるいは腫瘍の成長を促
進する因子、薬剤または細胞型を抑制するか、消失させるかまたは阻害すること
によって、該タンパク質の腫瘍阻害活性を示し得る。あるいは、以下に詳細に記
載のように、腫瘍阻害活性を有するタンパク質をコードする遺伝子またはそのよ
うなタンパク質の発現を調節する核酸を適切な宿主細胞に導入し、所望する通り
に該タンパク質の発現を増加または減少させることができる。
【0279】 本発明のタンパク質はまた、以下の更なる活性または効果の1つ以上を示すこ
ともできる:感染因子の増加、感染または機能を阻害すること、あるいは感染因
子を死滅すること(該感染因子としては、細菌、ウイルス、真菌および他の寄生
物が挙げられるが、これらに限定されない);身体の特徴に影響を及ぼす(抑制
するかまたは増強する)こと(該身体の特徴としては、身長、体重、毛髪の色、
眼の色、皮膚、体脂肪率(fat to lean ratio)もしくは他の組織色素沈着、ま たは臓器または身体部分のサイズまたは形状(例えば、胸部の増大または縮小、
骨の形態または形状の変化など)が挙げられるが、これらに限定されない);バ
イオリズムもしくはサーカディアンリズムまたはリズムに影響を及ぼすこと;雄
または雌被験体の生殖能力に影響を及ぼすこと;食事から摂取される脂肪、脂質
、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、補因子あるいは他の栄養因子ま
たは成分の代謝、異化作用、同化作用、プロセシング、利用、貯蔵または排泄に
影響を及ぼすこと;行動特性に影響を及ぼすこと(該行動特性としては、食欲、
性欲、ストレス、認識(認識障害を含む)、うつ状態(うつ病を含む)および暴
力的行動が挙げられるが、これらに限定されない);鎮痛効果または他の疼痛抑
制効果をもたらすこと;造血系列以外の胚性幹細胞の分化および増加を促進する
こと;体液性または内分泌活性;酵素の場合、酵素の欠乏を補正し、欠乏関連疾
患を治療すること;過増殖異常(例えば、乾癬など)の治療;免疫グロブリン様
活性(例えば、抗原または補体への結合能など);ならびにワクチン組成物中の
抗原として作用して、そのようなタンパク質またはもう1つの材料またはそのよ
うなタンパク質と交差反応を呈するものに対して免疫応答を惹起する能力。ある
いは、以下に詳細に記載のように、上記の活性のいずれかに関与するタンパク質
をコードする遺伝子、またはそのようなタンパク質の発現を調節する核酸を適切
な宿主細胞に導入し、所望する通りに該タンパク質の発現を増加または減少させ
ることができる。
【0280】実施例42 伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相互作用するタンパク質の同定 5’ESTまたはそのフラグメントから誘導されるcDNAによりコードされ
るポリペプチドと相互作用するタンパク質(例えば、レセプタータンパク質)は
、Matchmaker Two Hybrid System 2(カタログ
番号K1604−1、Clontech)などのツーハイブリッドシステムを使
用して同定することができる。キットに添付されている取扱説明書(参照により
本明細書に組み入れる)に記載のように、5’ESTまたはそのフラグメントか
ら誘導されるcDNAを、それらが酵母の転写アクチベーターGAL4のDNA
結合ドメインをコードするDNAと共にインフレームに存在するように、発現ベ
クターに挿入する。伸長cDNAまたはその一部によりコードされるポリペプチ
ドと相互作用し得るタンパク質をコードするcDNAライブラリー中のcDNA
を、それらがGAL4の活性化ドメインをコードするDNAと共にインフレーム
に存在するように第2の発現ベクターに挿入する。2つの発現プラスミドを酵母
に形質転換し、酵母を、それぞれの発現ベクターにおける選択マーカーの発現お
よびHIS3遺伝子のGAL4依存性発現を対象に選択する選択培地上でプレー
ト化する。ヒスチジンを欠く培地上で増殖することができる形質転換体を、GA
L4依存性lacZ発現についてスクリーニングする。ヒスチジン選択およびl
acZアッセイの両方において陽性であるそれらの細胞は、伸長cDNAまたは
その一部によりコードされるポリペプチドと相互作用するタンパク質をコードす
るプラスミドを含有する。
【0281】 あるいは、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相互作用する分子
を同定するために、Lustigら、Methods in Enzymolo
gy 283:83−99, 1997および米国特許第5,654,150号
(開示内容は参照により本明細書に組み入れる)に記載の系を使用してもよい。
そのような系では、in vitroでの転写を駆動するプロモーターの下流に
クローニングされた伸長cDNA挿入物を含有するベクターのプールにおいて、
in vitroでの転写反応を実施する。得られるmRNAのプールをXen
opus laevis卵母細胞に導入する。次いで、卵母細胞を所望の活性に
ついてアッセイする。
【0282】 あるいは、上記のように産生され、プールされたin vitro転写産物を
in vitroで翻訳してもよい。所望の活性または既知のポリペプチドとの
相互作用について、プールされたin vitro翻訳産物をアッセイすること
ができる。
【0283】 様々な更なる技術によって、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと
相互作用するタンパク質または他の分子を見出すことができる。他の方法では、
伸長cDNAまたはその一部によりコードされるポリペプチドを含有するアフィ
ニティーカラムを構築することができる。本方法では場合により、アフィニティ
ーカラムは、伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質とグル
タチオンS−トランスフェラーゼとが融合したキメラタンパク質を含有する。細
胞タンパク質の混合物または上記の発現されたタンパク質のプールをアフィニテ
ィーカラムに適用する。次いで、カラムに付着したポリペプチドと相互作用する
タンパク質を単離し、Ramunsenら、Electrophoresis
18:588−598, 1997に記載のように2−D電気泳動ゲル上で分析
することができる。該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる
。あるいは、アフィニティーカラム上に保持されるタンパク質を、電気泳動に基
づく方法によって精製し、配列を決定することができる。同じ方法を用いて抗体
を単離するか、ファージディスプレー産物をスクリーニングするか、またはファ
ージディスプレイーヒト抗体をスクリーニングすることができる。
【0284】 EdwardsおよびLeatherbarrow、Analytical
Biochemistry 246:1−6, 1997に記載のように、光学
的バイオセンサーを使用しても、伸長cDNAまたはその一部によりコードされ
るポリペプチドと相互作用するタンパク質をスクリーニングすることができる。
該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。本方法の主な利点
は、タンパク質と他方の相互作用分子との間の会合比を決定することができるこ
とである。従って、高いまたは低い会合比の相互作用分子を特異的に選択するこ
とが可能である。典型的には、(カルボキシメチルデキストランマトリックスを
介して)標的分子をセンサー表面に結合し、試験分子のサンプルを標的分子に接
触させて配置する。試験分子が標的分子に結合すると、屈折率および/または濃
度に変化が生じる。バイオセンサーによってこの変化を検出する。但し、この変
化は、(センサー表面から数百ナノメートル延長した)一時的な場において生じ
る。これらのスクリーニングアッセイにおいて、標的分子は、伸長cDNAまた
はその一部によりコードされるポリペプチドの1つであり得、試験サンプルは、
組織または細胞から抽出されたタンパク質の集合、発現されたタンパク質のプー
ル、コンビナトリアルペプチドおよび/または化学ライブラリー、あるいはファ
ージによってディスプレーされたペプチド群であり得る。試験タンパク質が抽出
される組織または細胞は、任意の種を起源とすることができる。 他の方法では、標的タンパク質は固定化され、試験集団は伸長cDNAまたは
その一部によりコードされる独特なポリペプチドの集合である。
【0285】 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質と薬物との間の相
互作用を研究するために、微小透析法を、Wangら、Chromatogra
phia 44:205−208, 1997に記載のHPLC法またはBus
chら、J. Chromatogr. 777:311−328, 1997
に記載のアフィニティーキャピラリー電気泳動法と組み合わせて使用することが
できる。該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【0286】 上記で具体的に列挙した活性に加えて多くの活性について、伸長cDNAまた
はその一部から発現されるタンパク質をアッセイすることができることが、当業
者には理解されるであろう。例えば、発現したタンパク質を、炎症、腫瘍増殖ま
たは転移、感染、あるいは他の臨床症状の調節及び制御を包含する適用について
評価することができる。更に、伸長cDNAまたはその一部から発現されるタン
パク質は、栄養物質または化粧物質として有用であり得る。
【0287】 cDNAまたはその一部から発現されるタンパク質を使用して、以下の実施例
40に記載のように、発現されたタンパク質またはそのフラグメントに特異的に
結合可能な抗体を作製することができる。抗体は、5’ESTから誘導されるc
DNAによりコードされる全長タンパク質、5’ESTから誘導されるcDNA
によりコードされる成熟タンパク質(即ち、シグナルペプチドの切断によって生
じるタンパク質)、または5’ESTから誘導されるcDNAによりコードされ
るシグナルペプチドに結合可能であり得る。あるいは、抗体は、上記のcDNA
によりコードされるタンパク質の少なくとも10個のアミノ酸のフラグメントに
結合可能であり得る。実施態様によっては、抗体は、上記のcDNAによりコー
ドされるタンパク質の少なくとも15個のアミノ酸のフラグメントに結合可能で
あり得る。また他の実施態様によっては、抗体は、伸長cDNAから発現される
タンパク質の少なくとも25個のアミノ酸のフラグメントに結合可能であり得、
該フラグメントは、上記のcDNAによりコードされるタンパク質の少なくとも
25個のアミノ酸を含む。更なる実施態様において、抗体は、上記のcDNAに
よりコードされるタンパク質の少なくとも40個のアミノ酸のフラグメントに結
合可能であり得る。
【0288】実施例43 ヒトタンパク質に対する抗体の産生 実質的に純粋なタンパク質またはポリペプチドを、実施例30に記載のように
トランスフェクトした細胞または形質転換した細胞から単離する。例えば、Am
iconろ過装置上で数μg/mlのレベルまで濃縮することによって、最終調
製物のタンパク質の濃度を調整する。次いで、タンパク質に対するモノクローナ
ルまたはポリクローナル抗体を、以下のように調製することができる。
【0289】1.ハイブリドーマ融合体によるモノクローナル抗体の産生 記載のように同定および単離される任意のペプチドのエピトープに対するモノ
クローナル抗体を、KohlerおよびMilstein、Nature 25
6:495, 1975の古典的方法またはそれから由来する方法に従って、マ
ウスのハイブリドーマから調製することができる。簡単に説明すると、数週間の
間、マウスに、数ミリグラムの選択されたタンパク質または該タンパク質に由来
するペプチドを反復的に接種する。次いで、マウスを屠殺し、抗体を産生する脾
臓細胞を単離する。脾臓細胞を、ポリエチレングリコールによって、マウスのミ
エローマ細胞と融合し、アミノプテリンを含む選択培地(HAT培地)上の系の
増殖によって融合していない過度の細胞を破壊する。首尾よく融合した細胞を希
釈して、希釈物のアリコートをマイクロタイタープレートのウェルに配置し、こ
こで培養物の増殖が継続される。本来Engvall, Meth. Enzy
mol. 70:419, 1980(この開示内容は、参照により本明細書に
組み入れる)に記載のELISAなどのイムノアッセイ手順及びそれから由来す
る方法により、ウェルの上清液中の抗体を検出することによって、抗体産生クロ
ーンを同定する。選択した陽性クローンを培養し、使用のためにそれらのモノク
ローナル抗体産物を回収することができる。モノクローナル抗体産生の詳細な手
順については、Davisら、Basic Methods in Molec
ular Biology Elsevier, New York、21−2
節に記載されている。該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れ
る。
【0290】2.免疫化によるポリクローナル抗体の産性 適切な動物を、修飾されていないかまたは免疫原性を増強するために修飾する
ことができる発現されたタンパク質またはそれから誘導されるペプチドで免疫す
ることによって、単一のタンパク質の異種エピトープに対する抗体を含有するポ
リクローナル抗血清を調製することができる。抗原および宿主種の両方に関連す
る多くの因子が有効なポリクローナル抗体の産生に影響を及ぼす。例えば、小さ
な分子は、他の分子よりも免疫原性が小さい傾向があり、キャリアおよびアジュ
バントの使用が必要な場合がある。また、宿主動物の応答は、接種部位または用
量に依存して変化し、抗原の量が不適切であってもまたは過度であっても抗血清
の力価が低下する。多数の皮内部位に投与された小用量(ngのレベル)の抗原
が最も信頼できるようである。ウサギに対する有効な免疫化プロトコルをVai
tukaitisら、J. Clin. Endocrinol. Metab
. 33:988−991(1971)に見出すことができる。該参考文献の開
示内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【0291】 定期的に追加注入することができ、抗血清は、その抗体価が低下し始める時点
で収穫される。抗体価は、例えば、抗体の既知の濃度に対する寒天中の二重免疫
拡散法によって半定量的に測定される。例えば、Ouchterlonyら、H
andbook of Experimental Immunology 1
9章、D.Wier(編)、Blackwell(1973)を参照のこと。該
参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。抗体のプラトー濃度
は、通常、0.1〜0.2mg/mlの血清(約12μM)の範囲にある。例え
ば、Fisher, D.Manual of Clinical Immun
ology、2版(RoseおよびFriedman編)Amer. Soc.
For Microbiol., Washington, D.C.(19
80)に記載のように、競合結合曲線を調製することによって、抗原に対する抗
血清の親和性が決定される。該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組
み入れる。
【0292】 いずれかのプロトコルに従って調製される抗体調製物は、生物学的サンプルに
おいて抗原を有する物質の濃度を決定する定量的イムノアッセイにおいて有用で
ある。それらは、生物学的サンプル中の抗原の存在を同定するために、半定量的
または定量的に使用される。該抗体は、タンパク質を発現する細胞を死滅させる
かまたは身体中のタンパク質のレベルを低下させるための治療用組成物に使用し
てもよい。
【0293】V. 5’ESTあるいは5’ESTまたはその一部から得られる配列の試薬と しての使用 本発明の5’EST(あるいはそれから得られるcDNAまたはゲノムDNA
)を、単離手順、診断アッセイ、および法医学手順における試薬として使用する
ことができる。例えば、5’EST(あるいはそれから得られるcDNAまたは
ゲノムDNA)由来の配列を検出可能に標識し、該配列にハイブリダイズ可能な
他の配列を単離するためのプローブとして使用してもよい。更に、5’EST(
あるいはそれから得られるcDNAまたはゲノムDNA)由来の配列を使用して
、単離、診断、および法医学手順に使用されるPCRプライマーを設計すること
ができる。
【0294】1.5’ESTあるいは5’ESTまたはその一部から得られる配列の、単離、 診断および法医学的手順における使用
【0295】実施例44 PCRプライマーの調製およびDNAの増幅 5’EST配列(あるいはそれから得られるcDNAまたはゲノムDNA)を
使用して、そのような配列にハイブリダイズし得る核酸をクローニングするため
の単離手順、診断技術および法医学技術を含む様々な適用のためのPCRプライ
マーを調製することができる。PCRプライマーは少なくとも10塩基、好まし
くは少なくとも12、15、または17塩基の長さである。より好ましくは、P
CRプライマーは、少なくとも20〜30塩基の長さである。いくつかの実施態
様において、PCRプライマーは30塩基を超える長さであってもよい。プライ
マー対は、融点がほぼ同じであるように、ほぼ同じG/C比を有する。様々なP
CR技術が当業者によく知られている。PCR技術の概要については、Mole
cular Cloning to Genetic Engineering
, White編、Mothods in Molecular Biolog
y 67:Humana Press, Totowa 1997を参照のこと
。該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。これらのPCR
手順のそれぞれにおいて、増幅しようとする核酸配列のそれぞれの側に対するP
CRプライマーを、dNTPおよびTaqポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、
またはVentポリメラーゼなどの耐熱性ポリメラーゼと共に適切に調製された
核酸サンプルに添加する。サンプル中の核酸を変性し、PCRプライマーを、サ
ンプル中の相補的な核酸配列に特異的にハイブリダイズさせる。ハイブリダイズ
したプライマーが伸張される。その後、変性、ハイブリダイゼーションおよび伸
張の別のサイクルが開始する。サイクルを複数回反復して、プライマー部位間の
核酸配列を含有する増幅されたフラグメントを生成する。
【0296】実施例45 プローブとしての5’ESTの使用 全長cDNAまたはゲノム配列を含む5’EST配列(あるいはそれから得ら
れるcDNAまたはゲノムDNA)から誘導されるプローブを、放射性同位体お
よび非放射性標識物を含む、当業者によく知られた検出可能な標識物で標識し、
検出可能なプローブを提供することもできる。検出可能なプローブは、一本鎖ま
たは二本鎖であってもよく、in vitro転写、ニックトランスレーション
、またはキナーゼ反応を含む当業者に公知の技術を使用して作製してもよい。標
識されたプローブにハイブリダイズすることができる配列を含有する核酸サンプ
ルを、標識したプローブに接触させる。サンプル中の核酸が二本鎖である場合、
プローブに接触させる前に該核酸を変性してもよい。適用によっては、核酸サン
プルを、ニトロセルロースまたはナイロン膜などの表面上に固定化してもよい。
核酸サンプルは、ゲノムDNA、cDNAライブラリー、RNA、または組織サ
ンプルを含むさまざまな供給源から得られる核酸を含むことができる。
【0297】 検出可能なプローブにハイブリダイズすることができる核酸の存在を検出する
ために使用される手順には、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、
ドットブロッティング、コロニーハイブリダイゼーション、およびプラークハイ
ブリダイゼーションなどの周知の技術が含まれる。適用によっては、標識された
プローブにハイブリダイズすることができる核酸を、発現ベクター、シークエン
シングベクター、またはin vitro転写ベクターなどのベクターにクロー
ニングして、サンプル中のハイブリダイズ核酸の特徴付けおよび発現を容易にす
ることができる。例えば、そのような技術を使用して、上記の実施例30に記載
の検出可能なプローブにハイブリダイズすることができるゲノムライブラリーま
たはcDNAライブラリー中の配列を単離し、クローニングしてもよい。
【0298】 上記の実施例44に記載のように作製されたPCRプライマーは、以下の実施
例46〜50に記載のDNAフィンガープリント技術などの法医学分析に使用す
ることもできる。そのような分析は、5’ESTあるいは5’ESTを使用して
単離されるcDNAまたはゲノムDNAの配列に基づく検出可能なプローブまた
はプライマーを利用することができる。
【0299】実施例46 DNAの配列決定による法医学的一致 ある例示的方法では、従来の方法によって例えば、毛、精液、血液または皮膚
細胞の法医学的標本からDNAサンプルを単離する。次いで、実施例44に従っ
て、実施例25の多くの5’ESTあるいは上記のように該5’ESTから単離
されるcDNAまたはゲノムDNAに基づくPCRプライマーのパネルを利用し
、法医学的標本から長さ約100〜200塩基のDNAを増幅する。対応する配
列は試験被験体から得られる。次いで、標準的な技術を使用して、これらの同定
DNAのそれぞれについて配列を決定し、サンプルのデータベースを比較するこ
とによって、被験体由来の配列とサンプル由来の配列との間に差異があればこれ
を決定する。被験体のDNA配列とサンプル由来のDNA配列との間に統計学的
に有意な差異が認められれば、その結果として同一性が欠如していることが明ら
かにされる。このような同一性の欠如は、例えば、ただ1つの配列によって証明
することができる。一方、同一性を有することは、多数の配列でそれらが全て一
致することによって実証されるべきである。好ましくは、長さが100塩基の統
計学的に同一な配列を最小でも50個使用して、被疑体とサンプルとの間の同一
性を証明する。
【0300】実施例47 DNAの配列決定による陽性同定 先の実施例に概略されている技術をより大きな規模で使用して、任意の個体の
独特なフィンガープリント型同定を提供することができる。本技術では、実施例
25に由来する多くの5’EST配列あるいは該5’EST配列から得られるc
DNAまたはゲノムDNA配列からプライマーを調製する。好ましくは、20〜
50個の異なるプライマーを使用する。これらのプライマーを使用して、実施例
44に従い、問題の個体から相当する数のPCRによって作製されたDNAセグ
メントを得る。実施例46に記載の方法を使用して、これらのDNAセグメント
のそれぞれについて塩基配列を決定する。本手順を介して作製された配列のデー
タベースは、配列が得られた個体を特異に同定する。次いで、後にプライマーの
同じパネルを使用して、組織または他の生物学的標本と個体を絶対的に相関付け
ることができる。
【0301】実施例48 サザンブロットによる法医学的同定 実施例47の手順を反復して、個体および標本から少なくとも10個の増幅さ
れた配列を得る。好ましくは、パネルは少なくとも50個の増幅された配列を含
有する。より好ましくは、パネルは100個の増幅された配列を含有する。実施
例によっては、パネルは200個の増幅された配列を含有する。次いで、このP
CRによって作製されたDNAを、好ましくは4塩基特異的制限酵素の1つまた
は組み合わせで消化する。そのような酵素は市販されており、当業者に既知であ
る。消化後、得られた遺伝子フラグメントを、アガロースゲル上の複数の二連ウ
ェルでサイズにより分離し、当業者に周知のサザンブロッティング技術を使用し
て、ニトロセルロースに移す。サザンブロッティングの概要については、Dav
isら(Basic Methods in Molecular Biolo
gy, 1986, Elsevier Press62〜65頁)を参照のこ
と。該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【0302】 5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)あるい
は少なくとも10塩基のそれらのフラグメントの配列に対して、ニックトランス
レーション、末端標識化などの当該分野において公知の方法を用いて、放射性ま
たは発色性の標識を行い、当該分野において公知の方法(Davisら、前掲)
を用いて、サザンブロットにハイブリダイズさせる。好ましくは、プローブは、
5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)由来の少
なくとも12、15、17個の連続したヌクレオチドを含む。より好ましくは、
プローブは5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA
)由来の少なくとも20〜30個の連続したヌクレオチドを含む。実施態様によ
っては、プローブは、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲ
ノムDNA)由来の30個を超える連続したヌクレオチドを含む。
【0303】 好ましくは、少なくとも5〜10個のこれらの標識されたプローブを使用し、
より好ましくは少なくとも約20または30個を使用して特異なパターンを提供
する。5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)の
大きなサンプルのハイブリダイゼーションから出現する得られたバンドは、特異
な同定物となる。制限酵素切断は全ての個体に対して異なるため、サザンブロッ
ト上のバンドのパターンも特異である。5’EST(またはそれから得られるc
DNAもしくはゲノムDNA)の数が増加すると、同定において統計学的により
高いレベルの信頼度が得られる。何故なら、同定のために使用されるバンドの組
の数が増加するからである。
【0304】実施例49 ドットブロット同定法 本明細書において開示される5’EST配列を使用して個体を同定するための
もう1つの技術は、ドットハイブリダイゼーション技術を利用する。 同定しようとする被験体の核からゲノムDNAを単離する。5’ESTまたは
cDNAもしくはそれから得られるゲノム由来の少なくとも10個、好ましくは
50個のDNA配列に相当する約30bpの長さのオリゴヌクレオチドプローブ
を合成する。プローブを使用して、当業者に既知の条件を介してゲノムDNAに
ハイブリダイズする。ポリヌクレオチドキナーゼ(Pharmacia)を使用
して、オリゴヌクレオチドをP32で末端標識する。減圧ドットブロットマニホー
ルド(BioRad, Richmond California)を使用して
、ゲノムDNAをニトロセルロースなどにスポットすることによってドットブロ
ットを作製する。当該分野において公知の技術(Davisら、前掲)を用いて
、ゲノムの配列を含有するニトロセルロースフィルターをベーキングまたはUV
によりフィルターに結合させ、プレハイブリダイズし、標識されたプローブでハ
イブリダイズする。32P標識DNAフラグメントを順に成功率の高いストリンジ
ェント条件でハイブリダイズし、30bpの配列とDNAとの間の最低限の差異
を検出する。塩化テトラメチルアンモニウムは、少数のヌクレオチドのミスマッ
チを含有するクローンを同定するのに有用である(Woodら、Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 82(6):1585−1588,
1985)。該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。ド
ットの特異なパターンにより、1つの個体ともう1つの個体とが区別される。
【0305】 以下の代替的フィンガープリント技術では、5’EST配列(またはそれから
得られるcDNAもしくはゲノムDNA)あるいはこれらの配列由来の少なくと
も10個の連続した塩基を含有するオリゴヌクレオチドを、プローブとして使用
することができる。好ましくは、プローブは、5’EST配列(またはそれから
得られるcDNAもしくはゲノムDNA)由来の少なくとも12、15、17個
の連続したヌクレオチドを含む。より好ましくは、プローブは5’EST配列(
またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)由来の少なくとも20
〜30個の連続したヌクレオチドを含む。実施態様によっては、プローブは、5
’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)由来の少な
くとも30個を超える連続したヌクレオチドを含む。
【0306】 好ましくは、異なる遺伝子由来の配列を有する複数のプローブを代替的フィン
ガープリント技術において使用する。以下の実施例50は、プローブが5’ES
Tから誘導される代表的代替的フィンガープリント手順を提供する。
【0307】実施例50 代替的「フィンガープリント」同定法 Genset, Paris, Franceなどの市販のオリゴヌクレオチ
ドサービスを用いて、多数、例えば、50,100、または200個の5’ES
Tから20マーのオリゴヌクレオチドを調製する。当業者に周知の技術を用い、
DNAを対象として試験被験体由来の細胞サンプルを処理する。核酸をEcoR
IおよびXbaIなどの制限酵素で消化する。消化後、サンプルを電気泳動用ウ
ェルにアプライする。ポリアクリルアミド電気泳動に順応するために当該分野に
おいて既知の手順を改変してもよいが、本実施例では、5μgのDNAを含むサ
ンプルをウェルにロードし、0.8%のアガロースゲルで分離する。標準的なサ
ザンブロッティング技術を使用して、ゲルをニトロセルロースに移す。
【0308】 10ngのそれぞれのオリゴヌクレオチドをプールして、32Pで末端標識する
。ニトロセルロースをブロッキング溶液でプレハイブリダイズし、標識したプロ
ーブでハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションおよび洗浄後、ニトロセル
ロースフィルターをX−Omat AR X線フィルムに暴露する。得られるハ
イブリダイゼーションのパターンはそれぞれの個体について特異である。 本実施例では、更なる正確性または明確性のために使用されるプローブ配列の
数を変更することができることが更に考慮される。 実施例51に記載のようにサンプルが誘導される組織型または細胞種を同定す
るために、伸長cDNAによりコードされるタンパク質を使用して、実施例30
および43に記載の抗体を作製することもできる。
【0309】実施例51 標識組織特異的抗体による組織型または細胞種の同定 直接的または間接的に検出可能なマーカーに結合した、実施例30および43
による抗体調製物によって組織特異的抗原を可視化することによって、特異的な
組織の同定が達成される。選択された標識抗体種は、組織切片、細胞懸濁物、ま
たは組織サンプル由来の可溶性タンパク質抽出物におけるそれらの特異的抗原結
合パートナーに結合して、定量的または半定量的解釈のためのパターンを提供す
る。
【0310】 これらの手順のための抗血清は、天然の調製物の効力を超える効力を有さなけ
ればならない。何故なら、抗体は、γグロブリン画分を単離することによって、
例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたは硫安分画によってmg/mlレベ
ルに濃縮されるからである。また、最も特異的な抗血清を提供するために、抗体
をマーカーで標識する前に、例えば、不溶性免疫吸着によって、γグロブリン画
分から、例えば、一般的なタンパク質に対する所望されない抗体を除去しなけれ
ばならない。モノクローナル抗血清または異種抗血清のいずれも、いずれの手順
に適切である。
【0311】 A. 免疫組織化学技術 上記のように調製した精製された高力価の抗体を、例えば、Fudenber
g、Basic and Clinical Immunology、26章、
3版、Lange, Los Altos, California, 198
0、またはRoseらMethods in Immunodiagnosis
12章、2版、John WileyおよびSons、New York(1
980)(これらの開示内容は本明細書において参考として組み込まれる)に記
載のように検出可能なマーカーに結合する。
【0312】 蛍光マーカーであるフルオレセインまたはローダミンのいずれかが好ましいが
、基質との発色反応を支持する西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素で抗体を
標識することもできる。以下に記載のように、第2の工程において組織結合抗体
にマーカーを添加することもできる。あるいは、特異的抗血清抗体をフェリチン
または他の電子高密度粒子で標識し、電子顕微鏡で抗原−抗体複合体に結合した
フェリチンの局在を調べることができる。もう1つのアプローチでは、抗体を例
えば125Iで標識し、抗体処置調製物を写真乳剤で覆うことによって抗体を検出 する。
【0313】 手順を実施するための調製物は、組織型、例えば、脳組織に対して特異的であ
ると同定される単一のタンパク質またはペプチドに対するモノクローナルまたは
ポリクローナル抗体を含むことができるか、あるいはいくつかの抗原性が異なる
組織特異的抗原は、パネル内で、必要であれば独立してまたは混合物で使用する
ことができる。
【0314】 一般的な組織学的技術により、免疫組織化学的試験のための組織切片および細
胞懸濁物を調製する。未知の組織および対照の複数のクリオスタット切片(約4
μm、未固定)をマウントし、それぞれのスライドを異なる希釈の抗体調製物で
覆った。既知および未知の組織の切片はまた、陽性対照、陰性対照、例えば、前
免疫血清、および非特異的染色に対する対照、例えば、緩衝液を提供するために
調製物で処置されなければならない。 処置された切片を湿式チャンバで30分間室温でインキュベートし、濯ぎ、次
いで、30〜40分間、緩衝液で洗浄する。過度の液を滴り落として除き、マー
カーを展開する。
【0315】 組織特異的抗体を第1のインキュベーションで標識しなかった場合、この時点
の該抗体は、2次抗体−抗体反応、例えば、抗血清産生種の免疫グロブリンクラ
スに対するフルオレセインまたは酵素結合抗体、例えば、マウスIgGに対する
フルオレセイン標識抗体を添加することによって標識することができる。そのよ
うな標識血清は市販されている。 上記の手順によって組織において見出される抗原を、組織切片上の色または蛍
光の強度を測定することによって、および適切な標準を用いてシグナルを検量す
ることによって定量することができる。
【0316】 B. 組織特異的可溶性タンパク質の同定 組織特異的タンパク質の可視化および該手順に由来する未知の組織の同定を、
免疫組織化学について記載された標識抗体試薬および検出戦略を使用して行うが
、サンプルは電気泳動技術に従って調製され、検出のために分子量に基づく順序
で組織から抽出されたタンパク質が分布する。 Virtis装置を用いて、組織サンプルを均質化する。Dounce均質化
または浸透圧溶解により細胞懸濁物を破壊するが、いずれの場合でも、細胞膜を
破壊するのに必要であって当該分野において慣例となっている界面活性剤を使用
する。核、ミクロソーム、および膜フラグメントなどの不溶性の細胞成分を、超
遠心分離によって除去し、必要であれば、可溶性のタンパク質を含有する画分を
濃縮して、分析のために保存する。
【0317】 例えば、Davisら、Basic Methods in Molecul
ar Biology、19−2節、Leder編、Elsevier, Ne
w York, 1986(この開示内容は本明細書において参考として組み込
まれる)に記載の従来のSDSポリアクリルアミド電気泳動によって、サンプル
中で検出しようとするタンパク質の全分子量範囲を分けられる範囲の量のポリア
クリルアミドゲルを1組のゲルに使用して、可溶性タンパク質のサンプルを個々
のタンパク質種に分ける。構成タンパク質の分子量を見積もる目的で、平行して
サイズマーカーを泳動させる。分析のためのサンプルのサイズは5〜55μlの
簡便な容量で、約1〜100μgのタンパク質を含有する。ニトロセルロースフ
ィルター紙にブロットすることによって、分けられたタンパク質のそれぞれのア
リコートを移し、この過程では分解のパターンは維持されている。複数のコピー
を調製する。ウエスタンブロット分析として知られる手順については、Davi
s, L.ら、前掲、19−3節に詳細に記載されている。ニトロセルロースブ
ロットの1つの組をクーマシーブルー染料で染色して、抗体に結合したタンパク
質と比較するために全てのタンパク質の組を可視化する。次いで、残りのニトロ
セルロースフィルターを、実施例30および43に記載のように調製した組織特
異的タンパク質に対する1以上の特異的抗血清の溶液と共にインキュベートする
。本手順では、上記の手順Aにおけるように、適切な陽性および陰性サンプルな
らびに試薬対照を泳動する。
【0318】 手順AおよびBのいずれにおいても、様々な戦略およびそれらの並べ替えに従
って、検出可能な標識を1次組織抗原−1次抗体複合体に付着させることができ
る。簡潔なアプローチでは、1次特異的抗体を標識することができる。あるいは
、非標識複合体を、標識された2次抗IgG抗体に結合させることができる。他
のアプローチでは、1次抗体または2次抗体のいずれかをビオチン分子に結合す
る。該ビオチン分子は、その後の工程において、アビジン結合マーカーと結合す
る。もう1つの戦略によれば、抗体標識または放射性タンパク質Aは任意のIg
Gと結合する特性を有し、最終工程で1次抗体または2次抗体のいずれかと結合
する。
【0319】 伸長cDNA配列から同定された遺伝子配列から調製される1つ以上の組織特
異的抗体に結合する組織特異的抗原を、対照組織で見られるレベルを超えるレベ
ルで可視化すると、未知の起源の組織、例えば、法医学的サンプル、または異質
身体部位に転移した分化型腫瘍組織を同定することができる。
【0320】 法医学におけるそれらの適用および同定に加えて、5’EST(またはそれか
ら得られるcDNAもしくはゲノムDNA)を、染色体の位置に対してマッピン
グすることができる。以下の実施例52では、5’ESTを使用するヒト染色体
領域の放射性ハイブリッド(radiation hybrid)(RH)マッ
ピングについて記載する。以下の実施例53では、ヒト染色体上の5’ESTの
位置のマッピングの代表的手順について記載する。以下の実施例54では、蛍光
in situハイブリダイゼーション(FISH)による中期染色体上の5’
ESTのマッピングについて記載する。当業者であれば、実施例52〜54の方
法を使用して5’ESTから得られるcDNAまたはゲノムDNAをそれらの染
色体位置についてマッピングすることができることは理解できるであろう。 2. 染色体マッピングにおける5’ESTあるいはそれから得られる配列また
はその一部の使用
【0321】実施例52 ヒトゲノムに対する5’ESTの放射性ハイブリッドマッピング 放射性ハイブリッド(RH)マッピングは、体細胞の遺伝学的アプローチであ
り、ヒトゲノムの高解像マッピングに使用することができる。本アプローチでは
、1つ以上のヒト染色体を含有する細胞株に致死的放射線を照射し、それぞれの
染色体を、放射線の用量に依存するサイズを有するフラグメントに切断する。こ
れらのフラグメントを、培養したげっ歯類動物細胞で回収し、ヒトゲノムの異な
る部分を含有するサブクローンを得る。本技術は、Benhamら、Genom
ics 4:509−517, 1989;およびCoxら、Science
250:245−250, 1990に記載されており、これらの全ての内容は
、本明細書において参考として組み込まれる。サブクローンは無作為的かつ独立
した性質を有するため、任意のヒトゲノムマーカーの効率的なマッピングが可能
である。80〜100種の細胞株から単離されたヒトDNAは、5’ESTを配
列するためのマッピング試薬を提供する。本アプローチでは、マーカー間の切断
の頻度を使用して、距離を測定し、従来のESTを用いて行われているのと同程
度の細密な解像度のマップを構築することが可能である(Schulerら、S
cience 274:540−546, 1996、本明細書において組み込
まれる)。
【0322】 RHマッピングを使用して、成長ホルモン(GH)およびチミジンキナーゼ(
TK)の遺伝子が横切るヒト染色体17q22〜q25.3(Fosterら、
Genomics 33:185−192, 1996)、ゴーリン症候群遺伝
子を囲む領域(Obermayrら、Eur. J. Hum. Genet.
4:242−245, 1996)、第12染色体の全短腕に渡る60個の遺
伝子座(Raeymaekersら、Genomics 29:170−178
, 1995)、2型神経繊維腫症の遺伝子座を含有するヒト第22染色体なら
びに第5染色体の長腕上の13個の遺伝子座(Warringtonら、Gen
omics 11:701−708, 1991)の高解像全ゲノム放射性ハイ
ブリッドマップが作製されている。
【0323】実施例53 PCR技術を使用するヒト染色体に対する5’ESTのマッピング PCRに基づく方法論を使用して、5’EST(またはそれから得られるcD
NAもしくはゲノムDNA)をヒト染色体に対して割り当てることができる。そ
のようなアプローチでは、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしく
はゲノムDNA)からオリゴヌクレオチドプライマー対を設計して、イントロン
を介して増幅する可能性を最小限にする。好ましくは、オリゴヌクレオチドプラ
イマーの長さは18〜23bpであり、PCR増幅のために設計される。既知の
配列からPCRプライマーを作成するのは当業者に周知である。PCR技術の概
要については、Erlich, PCR Technology, Princ
iples and Applications for DNA Ampli
fication、Freeman and Co., New York,
1992を参照のこと。該参考文献の開示内容は本明細書において組み込まれる
【0324】 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)においてプライマーを使用し、全ヒトゲノム
DNAからテンプレートを増幅する。PCR条件は以下の通りである:60ng
のゲノムDNAをPCRのテンプレートとして使用し、80ngのそれぞれのオ
リゴヌクレオチドプライマー、0.6単位のTaqポリメラーゼ、および1μC
uの32P標識デオキシシチジン三リン酸を伴う。PCRは、マイクロプレートサ
ーモサイクラー(Techne)において、以下の条件で行う:94℃、1.4
分間;55℃、2分間;および72℃、2分間の30サイクル;更に72℃で1
0分間の最終伸長。増幅産物を6%ポリアクリルアミドシークエンシング用ゲル
上で分析し、オートラジオグラフィーで可視化した。得られるPCR産物の長さ
が、プライマーが誘導誘導する伸長cDNAにおけるプライマー配列の末端間の
距離と同一であれば、ヒト−げっ歯類動物体細胞ハイブリッドの2つのパネル、
BIOS PCRable DNA(BIOS Corporation)およ
びNIGMSヒト−げっ歯類動物体細胞ハイブリッドマッピングパネルナンバー
1(NIGMS, Gamden, NJ)由来のDNAテンプレートでPCR
反応を繰り返す。
【0325】 PCRを使用して、ヒト染色体の規定された組を含有する一連の体細胞雑種細
胞株を、所定の5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムD
NA)の存在を対象にスクリーニングする。体細胞ハイブリッドからDNAを単
離し、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)由
来のプライマー対を使用するPCR反応のための開始テンプレートとして使用す
る。5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)に対
応するヒト遺伝子を含有する染色体を有するそれらの体細胞ハイブリッドのみが
、増幅されたフラグメントを生じる。体細胞ハイブリッドDNAテンプレート由
来のPCR産物の分離パターンを分析することによって、5’EST(またはそ
れから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)を染色体に対して割り当てる。
増幅されたフラグメントを生じる全ての細胞ハイブリッドに存在する単一のヒト
ゲノムは、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA
)を含有する染色体である。体細胞遺伝子のマッピング実験から生じる技術およ
び分析の概要については、Ledbetterら、Genomics 6:47
5−481, 1990を参照のこと。該参考文献の開示内容は本明細書におい
て組み込まれる。
【0326】実施例54 蛍光in situハイブリダイゼーションを用いる染色体に対する伸長5’E STのマッピング 蛍光in situハイブリダイゼーションにより、所定の染色体の特定の位
置に対して5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA
)をマッピングすることができる。蛍光in situハイブリダイゼーション
技術のために使用すべき染色体は、細胞培養物、組織、または全血を含む様々な
供給源から得ることができる。
【0327】 好ましい実施態様において、5’EST(またはそれから得られるcDNAも
しくはゲノムDNA)の染色体位置は、Cherifら(Proc. Natl
. Acad. Sci. U.S.A., 87:6639−6643, 1
990)(この開示内容は本明細書において組み込まれる)に記載のFISHに
より得られる。中期の染色体をフィトヘマグルチニン(PHA)−刺激血液細胞
供与体から調製する。健常雄由来のPHA−刺激リンパ球を、RPMI−164
0培地で72時間培養する。同調のため、メトトレキセート(10μM)を17
時間添加し、続いて、5−ブロモデオキシウリジン(5−BrdU、0.1mM
)を6時間添加する。細胞を回収する前に、コルセミド(1μg/ml)を最後
の15分間添加する。細胞を回収し、RPMIで洗浄し、KCl(75mM)の
低張溶液と共に37℃で15分間インキュベートし、メタノール:酢酸(3:1
)を3回取り替えて固定する。細胞懸濁物をガラススライド上に滴下し、空気乾
燥する。5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)
を、製造者(Bethesda Research Laboratories
, Bethesda, MD)の説明書に従い、ビオチン−16dUTPでニ
ックトランスレーションにより標識し、Sephadex G−50カラム(P
harmacia, Upsala, Sweden)を用いて精製し、沈殿さ
せる。ハイブリダイゼーションの直前に、DNAのペレットをハイブリダイゼー
ション緩衝液(50%ホルムアミド、2×SSC、10%硫酸デキストラン、1
mg/ml超音波処理サケ精子DNA、pH7)に溶解し、プローブを70℃で
5〜10分間変性させる。
【0328】 −20℃に保たれたスライドをRNase A(100μg/ml)により3
7℃で1時間処置し、2×SSCで3回濯いで、エタノール系列で脱水する。染
色体調製物を70%ホルムアミド、2×SSC中、70℃で2分間変性させ、次
いで4℃で脱水する。スライドをプロテイナーゼK(20mM Tris−HC
l中10μg/100ml、2mMCaCl2)により、37℃で8分間処置し 、脱水する。プローブを含有するハイブリダイゼーション混合物をスライド上に
配置し、カバーガラスで覆い、ゴム糊で封をして湿式チャンバにおいて37℃で
1晩インキュベートする。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーショ
ン後の洗浄後、ビオチン化されたプローブをアビジン−FITCで検出し、ビオ
チン化ヤギ抗アビジンおよびアビジン−FITCの更なる層で増幅する。染色体
位置決定のために、前記のように蛍光Rバンドを得る(Cherifら、前掲)
。LEICA蛍光顕微鏡(DMRXA)下でスライドを観察する。染色体をヨウ
化プロピジウム(propidium iodide)で対比染色し、蛍光Rバ
ンド染色体の両染色分体(赤色)上に2つの対称性の黄緑色のスポットとしてプ
ローブの蛍光シグナルが出現する。従って、特定の5’EST(またはそれから
得られるcDNAもしくはゲノムDNA)は、所定の染色体上の特定の細胞遺伝
子のRバンドに局在し得る。 一旦、上記の実施例52〜54に記載の技術を使用して、5’EST(または
それから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)が特定の染色体に対して割り
当てられると、それらを利用して、それらが局在する染色体の高解像マップを構
築するかまたはサンプル中の染色体を同定することができる。
【0329】実施例55 染色体マップを構築または拡大するための5’ESTの使用 上記のように、染色体マッピングは特定の染色体に所定の特異な配列を割り当
てることが必要である。一旦、特異な配列が所定の染色体にマッピングされると
、該特異な配列は、同じ染色体上に位置する他の特異な配列に対する相対的な順
番が決定する。染色体マッピングに対する1つのアプローチは、伸長cDNA(
またはそれから得られるゲノムDNA)が得られる生物の染色体由来の数千もの
長い挿入物を有する一連の酵母人工染色体(YAC)を利用する。本アプローチ
については、Nagarajaら、Genome Research 7:21
0−222, 1997に記載されている。該参考文献の開示内容は本明細書に
おいて組み込まれる。簡単に説明すると、本アプローチでは、それぞれの染色体
を、重複する片に切断して、YACベクターに挿入する。PCRまたは他の方法
を用いてYAC挿入物をスクリーニングし、それらが位置を決定しようとする5
’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)を含むかど
うかを決定する。一旦、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくは
ゲノムDNA)を含む挿入物が見つかると、該挿入物をPCRまたは他の方法を
用いて分析し、該挿入物が、染色体上に、または5’EST(またはそれから得
られるcDNAもしくはゲノムDNA)を誘導した領域内に存在することが知ら
れている他の配列を含有するかどうかを決定する。この過程はYACライブラリ
ー内のそれぞれの挿入物について反復して、もう1つの既知の染色体マーカーお
よび他の既知の染色体マーカーに対するそれぞれの伸長cDNA(またはそれか
ら得られるゲノムDNA)の相対的な位置を決定することができる。本方法では
、生物のそれぞれの染色体に沿った多くの特異なマーカーの分布についての高解
像マップを得ることができる。 以下の実施例56に記載のように、伸長cDNA(またはそれから得られるゲ
ノムDNA)を使用して、遺伝性疾患または薬物応答などの特定の表現型に関連
する遺伝子を同定することもできる。 3. 遺伝子同定における5’ESTあるいはそれから得られる配列またはその
フラグメントの使用
【0330】実施例56 遺伝性疾患または薬物応答に関連する遺伝子の同定 本実施例は、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムD
NA)と特定の表現型特性との関連性について有用なアプローチを例示する。本
実施例では、特定の5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノ
ムDNA)を試験プローブとして使用し、5’EST(またはそれから得られる
cDNAもしくはゲノムDNA)と特定の表現型特性との間の関連性について調
べる。
【0331】 実施例52および53に記載の技術または他の当該分野において公知の技術を
使用して、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA
)をヒト染色体上の特定の位置に対してマッピングする。A search o
f Mendelian Inheritance in Man(McKus
ick in Mendelian Inheritance in Man)
(Johns Hopkins University Welch Medi
cal Libraryを介してオンラインで入手可能)は、5’EST(また
はそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)を含有するヒト染色体の領
域が、いくつかの公知の遺伝子および遺伝子が同定されていないいくつかの疾患
または表現型を含有する高度の遺伝子富化領域であることを示している。従って
、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)に対応
する遺伝子は、これらのそれぞれの遺伝子疾患についての直接的候補となる。
【0332】 これらの疾患または表現型を有する患者由来の細胞を単離し、培養で増殖させ
る。5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)由来
のPCRプライマーを使用して、患者由来のゲノムDNA、mRNAまたはcD
NAをスクリーニングする。患者の5’EST(またはそれから得られるcDN
AもしくはゲノムDNA)が増幅しない場合、該配列は更なる分析によって特定
の疾患と関連性があると見なすことができる。あるいは、PCR分析は、サンプ
ルが健常な個体から誘導される場合よりも、サンプルが疾患に関連する表現型を
有する個体から誘導される場合に様々な長さのフラグメントを生じ、このことは
5’ESTを含有する遺伝子が遺伝子疾患の原因である可能性を示す。 VI. ベクターの構築するための5’EST(またはそれから得られるcDN
AもしくはゲノムDNA)の使用
【0333】 本発明の5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA
)を使用して、ベクター内の遺伝子によりコードされるタンパク質の分泌を指令
し得る分泌ベクターを構築することもできる。そのような分泌ベクターは、所望
のタンパク質を精製または富化しなければならないバックグランドのタンパク質
の数を減少することによって、ベクターに挿入された遺伝子によりコードされる
タンパク質の精製または富化を容易にすることができる。例示的分泌ベクターに
ついては、以下の実施例57に記載する。
【0334】1. 分泌ベクターの構築 実施例57 分泌ベクターの構築 分泌ベクターは、目的の宿主細胞、組織、または生物において遺伝子の発現を
指令することができるプロモーターを含む。そのようなプロモーターとしては、
ラウス肉腫ウイルスプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウ
イルスプロモーター、および当業者によく知られている他のプロモーターが挙げ
られる。
【0335】 5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)由来の
シグナル配列は、プロモーターから転写されるmRNAがシグナルペプチドの翻
訳を指令するように、プロモーターに作動可能に連結している。宿主細胞、組織
、または生物は、5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノム
DNA)のシグナル配列によりコードされるシグナルペプチドを認識する任意の
細胞、組織、または生物であり得る。適切な宿主としては、哺乳動物の細胞、組
織もしくは生物、トリの細胞、組織もしくは生物、昆虫の細胞、組織もしくは生
物、または酵母が挙げられる。
【0336】 更に、分泌ベクターは、分泌されるべきタンパク質をコードする遺伝子を挿入
するためのクローニング部位を含む。クローニング部位は、シグナルペプチドが
、挿入された遺伝子によりコードされるタンパク質に融合している融合タンパク
質が、プロモーターより転写されるmRNAから発現されるように、シグナル配
列と読みが合った挿入遺伝子のクローニングを容易にする。シグナルペプチドは
融合タンパク質の細胞外分泌を指令する。
【0337】 分泌ベクターはDNAまたはRNAであってもよく、そして、宿主の染色体に
組み込まれていてもよいし、宿主の染色体外レプリコンとして安定に維持されて
いてもよいし、人工染色体であってもよいし、または宿主内に一過的に存在して
いてもよい。分泌ベクターの用途に適切な多くの核酸骨格が当業者に公知であり
、レトロウイルスベクター、SV40ベクター、ウシパピローマウイルスベクタ
ー、酵母組込み型プラスミド、酵母エピソームプラスミド、酵母人工染色体、ヒ
ト人工染色体、Pエレメントベクター、バキュロウイルスベクター、または宿主
に一過的に導入され得る細菌プラスミドが挙げられる。
【0338】 分泌ベクターはまた、ポリAが分泌ベクターに挿入される遺伝子の下流に位置
するようにポリAシグナルを含み得る。
【0339】 分泌が所望されるタンパク質をコードする遺伝子を分泌ベクターに挿入した後
、この分泌ベクターは、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン、エレ
クトロポレーション、リポソーム媒介性トランスエフェクション、ウイルス粒子
を用いて、またはむき出しのDNAとして、宿主の細胞、組織または生物に導入
される。次いで、硫安沈殿、免疫沈降、免疫クロマトグラフィー、サイズ排除ク
ロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、およびHPLCなどの慣用
の技術を使用して、挿入された遺伝子によりコードされるタンパク質を上清より
精製するかまたは濃縮する。あるいは、分泌されたタンパク質は、更なる濃縮を
行わずとも意図する目的のために使用することができるように、十分に濃縮され
たまたは純粋な状態で上清中または宿主の増殖培地中に存在してもよい。
【0340】 シグナル配列はまた、遺伝子治療のために設計されたベクターに挿入してもよ
い。そのようなベクターでは、シグナル配列は、プロモーターから転写されるm
RNAがシグナルペプチドをコードするように、プロモーターに作動可能に連結
される。クローニング部位は、シグナルペプチドの下流に配置して、分泌が所望
されるタンパク質をコードする遺伝子が容易にベクターに挿入され、シグナルペ
プチドに融合されるようにする。ベクターは適切な宿主細胞に導入される。プロ
モーターから発現されるタンパク質は細胞外に分泌され、それによって、治療効
果を呈する。
【0341】 5’ESTを使用して、遺伝子の発現を調節することができる5’ESTの上
流に位置する配列をクローニングしてもよく、そのような配列としては、プロモ
ーター配列、エンハンサー配列、および転写レベルまたは翻訳レベルに影響を及
ぼし得る他の上流配列が含まれる。同定されてクローニングされたら、これらの
上流の調節配列は、所望の場所的、時間的、発生的または量的様式で挿入遺伝子
の発現を指令するように設計された発現ベクターにおいて使用することができる
。実施例58では、伸長cDNAまたは5’ESTの上流にある配列をクローニ
ングするための方法について説明する。
【0342】2.プロモーター活性または調節活性を有する上流配列の同定 実施例58 ゲノムDNA由来の上流配列をクローニングするための伸長cDNAまたは5’ ESTの使用 染色体歩行技術を用い、伸長cDNAまたは5’ESTから誘導される配列を
使用して、相当する遺伝子のプロモータを単離することができる。Clonte
chより販売されているGenome WalkerTMキットを利用する1つの
染色体歩行技術では、5つの完全なゲノムDNAサンプルのそれぞれを、6塩基
の認識部位を有し、かつ平滑末端を生じる異なる制限酵素で消化する。消化後、
オリゴヌクレオチドアダプターを、得られたゲノムDNA断片の両末端に連結す
る。
【0343】 5つのゲノムDNAライブラリーのそれぞれについて、キットに付属している
外側アダプタープライマーおよび外側遺伝子特異的プライマーを使用して、製造
者の説明書(引用により本明細書に組み入れる)に従って第1のPCR反応を実
施する。遺伝子特異的プライマーは、目的の伸長cDNAまたは5’ESTに特
異的であるように選択されるべきであり、かつ、PCR反応での該プライマーの
使用に適合する融解温度、長さ、および伸長cDNAまたは5’ESTにおける
該プライマー内での位置を有するべきである。それぞれの第1のPCR反応物は
、50μlの全用量中に、5ngのゲノムDNA、5μlの10×Tth反応緩
衝液、0.2mMの各種dNTP、外側アダプタープライマーおよび外側遺伝子
特異的プライマーをそれぞれ0.2μM、1.1mMのMg(OAc)2、およ び1μlのTthポリメラーゼ50×ミックスを含有する。第1のPCR反応の
反応サイクルは以下の通りである:1分間−94℃/2秒間−94℃、3分間−
72℃(7サイクル)/2秒間−94℃、3分間−67℃(32サイクル)/5
分間−67℃。
【0344】 第1のPCR反応の産物を希釈し、第1のPCR反応から生じるアンプリコン
の内部に位置するネステッドプライマーの対を用い、製造業者の説明書に従った
第2のPCR反応の鋳型として使用する。例えば、第1のPCR反応混合物の5
μlの反応産物を180倍に希釈してもよい。ネステッドプライマーを使用する
こと以外は第1のPCR反応の組成と同一の組成を有する50μlの容量で反応
を行う。第1のネステッドプライマーは、アダプターに特異的であり、Geno
me WalkerTMキットに付属している。第2のネステッドプライマーは、
該プライマーがクローニングしようとする特定の伸長cDNAまたは5’EST
に特異的であり、かつ、PCR反応における使用に適合する融解温度、長さ、お
よび該伸長cDNAまたは5’EST中での位置を有するべきである。第2のP
CR反応の反応パラメータは以下の通りである:1分間−94℃/2秒間−94
℃、3分間−72℃(6サイクル)/2秒間−94℃、3分間−67℃(25サ
イクル)/5分間−67℃。第2のPCR反応の産物を標準的な技術を用いて精
製し、クローニングし、配列を決定する。
【0345】 あるいは、2種以上の制限酵素を用いることによって、2種以上のヒトゲノム
DNAライブラリーを構築することができる。消化されたゲノムDNAを、一本
鎖、環状、または鎖状DNAに変換可能なベクターにクローニングする。伸長c
DNAまたは5’EST配列由来の少なくとも15個のヌクレオチドを含むビオ
チン化オリゴヌクレオチドを、一本鎖DNAにハイブリダイズさせる。ビオチン
化オリゴヌクレオチドと伸長cDNAまたはEST配列を含む一本鎖DNAとの
ハイブリッドを、上記の実施例29に記載のように単離する。その後、その伸長
cDNAまたはEST配列を含有する一本鎖DNAをビーズから遊離させ、伸長
cDNAまたは5’EST配列に特異的なプライマーまたはクローニングベクタ
ーに含まれる配列に対応するプライマーを使用して、二本鎖DNAに変換する。
得られる二本鎖DNAを細菌に形質転換する。5’ESTまたは伸長cDNA配
列を含有するDNAを、コロニーPCRまたはコロニーハイブリダイゼーション
によって同定する。
【0346】 上記のように上流ゲノム配列をクローニングし配列決定したら、該上流配列内
の予期されるプロモーターおよび転写開始部位は、伸長cDNAまたは5’ES
Tの上流にある配列を、既知の転写開始部位、転写因子結合部位またはプロモー
ター配列を含有するデータベースと比較することによって同定することができる
【0347】 更に、実施例に記載のようにして、プロモーターレポーターベクターを使用し
て、上流配列内のプロモーターを同定することができる。
【0348】実施例59 クローニングされた上流配列におけるプロモーターの同定 伸長cDNAまたは5’ESTの上流のゲノム配列を、例えばpSEAP−B
asic、pSEAP−Enhancer、pβgal−Basic、pβga
l−Enhancer、またはClontechより市販されているpEGFP
−1プロモーターレポーターベクターなどの適切なプロモーターレポーターベク
ターにクローニングする。簡単に説明すると、これらのプロモーターレポーター
ベクターのそれぞれは、分泌型アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、
またはグリーン蛍光タンパク質などの容易にアッセイをすることができるタンパ
ク質をコードするレポーター遺伝子の上流に位置する多重クローニング部位を含
む。伸長cDNAまたは5’ESTの上流の配列を、レポーター遺伝子の上流の
クローニング部位に両方向で挿入し、適切な宿主細胞に導入する。レポーター遺
伝子のレベルをアッセイし、クローニング部位に挿入物がないベクターから得ら
れるレベルと比較する。対照のベクターと比較して、挿入物を含有するベクター
の発現レベルの上昇が認められれば、挿入物にプロモーターが存在することにな
る。必要であれば、上流配列を、弱いプロモーター配列からの転写レベルを増大
させるためのエンハンサーを含有するベクターにクローニングすることもできる
。挿入物を含まないベクターの場合に認められる上記の発現の有意なレベルは、
プロモーター配列が挿入上流配列に存在することを示す。
【0349】 プロモーターレポーターベクターのための適切な宿主細胞は、伸長cDNAま
たはESTの発現パターンの上記の判定に基づいて選択することができる。例え
ば、発現パターンの分析から、特定の伸長cDNAまたは5’ESTに対応する
mRNAが繊維芽細胞において発現されることが示された場合、プロモーターレ
ポーターベクターをヒト繊維芽細胞系に導入することができる。
【0350】 上流ゲノムDNA内のプロモーター配列は、エキドヌクレアーゼIII消化な
どの慣用の技術を使用して、上流DNAにおいてネステッド欠失を構築すること
によって、更に明確化することができる。得られる欠失断片をプロモーターレポ
ーターベクターに挿入して、その欠失がプロモーター活性を低下させるかまたは
失わせるかどうかを判定することができる。このようにして、プロモーターの境
界を規定することができる。所望であれば、プロモータ内の潜在的な転写因子結
合部位を除去するための部位特異的突然変異誘発もしくはリンカースキャニング
を単独または組合せて使用して、プロモーター内の潜在的な個々の調節部位を同
定してもよい。プロモーターレポーターベクターのクローニング部位に変異を挿
入することによって、転写レベルに対するこれらの変異の効果を決定することが
できる。
【0351】実施例60 プロモーターのクローニングおよび同定 5’ESTを用いた上記の実施例58に記載の方法を用いて、いくつかの遺伝
子の上流の配列を得た。プライマー対GGG AAG ATG GAG ATA
GTA TTG CCT G(配列番号29)およびCTG CCA TGT
ACA TGA TAG AGA GAT TC(配列番号30)を使用して
、P13H2(本発明者らによる命名)(配列番号31)を有するプロモーター
を得た。
【0352】 プライマー対GTA CCA GGGG ACT GTG ACC ATT
GC(配列番号32)およびCTG TGA CCA TTG CTC CCA
AGA GAG(配列番号33)を使用して、P15B4(本発明者らによる
命名)(配列番号34)を有するプロモーターを得た。
【0353】 プライマー対CTG GGA TGG AAG GCA CGG TA(配列
番号35)およびGAG ACC ACA CAG CTA GAC AA(配
列番号36)を使用して、P29B6(本発明者らによる命名)(配列番号37
)を有するプロモーターを得た。
【0354】 図4は、単離されたプロモーターの概略図および対応する5’タグでそれらを
アセンブリする方法を示す。コンピュータプログラムMatInspector
リリース2.0(1996年8月)を使用して、転写因子結合部位または既知の
転写開始部位に類似するモチーフの存在に基づいて、上流配列をスクリーニング
した。
【0355】 表VIIは、これらのプロモーターのそれぞれに存在する転写因子結合部位に
ついて記載している。「マトリックス」と書いた欄は、使用したMatInsp
ectorマトリックスの名称を示す。「位置(position)」と書いた欄は、プロ
モーター部位の5’位を示す。配列の番号付けは、ゲノム配列と5’EST配列
とのマッチングにより決定した転写部位から開始する。「方向(orientation)」 と書いた欄は、その部位が見出されたDNA鎖を示し、+鎖は、ゲノム配列と5
’ESTの配列とが一致することで決定されたコード鎖である。「スコア」と書
いた欄は、この部位に対するMatInspectorのスコアを示す。「長さ
」と書いた欄は、部位の長さ(ヌクレオチド単位による)を示す。「配列」と書
いた欄は、見出された部位の配列を示す。
【0356】 上記のプロモーター配列を含有するプラスミドを含有する細菌クローンは、先
に示した内部認識番号で本発明者の研究室に現在保存されている。適切な細菌の
クローンのアリコートを適切な培地で増殖させることによって、沈殿物から挿入
物を取り出すことができる。次いで、アルカリ溶解ミニプレップまたは大量アル
カリ溶解プラスミド単離法などの当業者によく知られているプラスミド単離手順
を使用して、プラスミドDNAを単離することができる。所望であれば、塩化セ
シウム勾配上での遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、または陰イオン交
換クロマトグラフィーによって、プラスミドDNAを更に濃縮してもよい。次い
で、当業者によく知られている標準的なクローニング技術を用いて、これらの手
順を用いて得られるプラスミドDNAを操作してもよい。あるいは、5’EST
挿入の両末端で設計したプライマーを用いてPCRを行うことができる。次いで
、当業者によく知られている標準的なクローニング技術を用いて、5’ESTに
対応するPCR産物を操作することができる。
【0357】 伸長cDNAまたは5’ESTの上流に位置するプロモーターおよび他の調節
配列を使用して、所望の場所的、時間的、発生的または量的様式の発現を指令し
得る発現ベクターを設計することができる。上記の実施例26に記載の発現分析
の結果を使用して、所望の場所的、時間的、発生的または量的パターンで指令し
得るプロモーターを選択することができる。例えば、筋肉において高レベルの発
現をもたらすプロモーターが望まれる場合、筋肉において高レベルで発現される
mRNAから誘導される伸長cDNAまたは5’ESTの上流のプロモーター配
列は、実施例26に記載の方法で決定されるように、発現ベクターで使用するこ
とができる。
【0358】 好ましくは、所望のプロモーターを多重制限部位の付近に配置して、プロモー
ターの上流の所望の挿入物のクローニングを容易にし、それによってプロモータ
ーが挿入遺伝子の発現を駆動することができるようにする。染色体外複製、宿主
染色体への組み込みまたは一過性発現のために設計された通常の核酸骨格にプロ
モーターを挿入することができる。本発明の発現ベクターの適切な骨格としては
、レトロウイルスの骨格、SV40またはウシパピローマウイルスなどの真核生
物エピソーム由来の骨格、細菌エピソーム由来の骨格、または人工染色体が挙げ
られる。
【0359】 好ましくは、この発現ベクターはまた、該発現ベクターに挿入された遺伝子か
ら転写されるmRNAのポリアデニル化を指令するための多重制限部位の下流に
あるポリAシグナルを含む。
【0360】 実施例58〜60の手順を使用してプロモーター配列を同定した後、以下の実
施例61に記載するようにして、プロモーターと相互作用するタンパク質を同定
することができる。
【0361】実施例61 プロモーター配列、上流調節配列、またはmRNAと相互作用するタンパク質の 同定 既知の転写因子結合部位に対する相同性によって、あるいはプロモーター配列
を含有するレポータープラスミドの慣用の変異誘発または欠失分析により、転写
因子に結合しやすいプロモーター領域内の配列を同定することができる。例えば
、アッセイ可能なレポーター遺伝子に作動可能に連結した目的のプロモーター配
列を含有するレポータープラスミド内に欠失を作製することができる。プロモー
ター領域内に様々な欠失を保有するレポータープラスミドを適切な宿主細胞にト
ランスフェクトし、発現レベルに対する欠失の影響をアッセイする。部位特異的
変異、リンカーリンカースキャニング分析、または当業者によく知られている他
の技術を使用して、欠失により発現レベルが低下する領域内で転写因子結合部位
を更に局在化することができる。
【0362】 Clontechより市販のMatchmaker One−Hybrid System kit(カタログ番号K1603−1)に添付されている説明書 (この開示内容は引用により本明細書に組み込まれる)に記載の系のような1ハ
イブリッド系(one-hybrid system)を使用して、プロモーター内の配列と相互作 用するタンパク質をコードする核酸を同定することができる。簡単に説明すると
、Matchmaker One−Hybrid Systemは以下のように して使用する。結合タンパク質を同定することが所望される標的配列を、選択レ
ポーター遺伝子の上流にクローニングし、酵母のゲノムに組み込む。好ましくは
、標的配列の多コピーをタンデムにレポータープラスミドに挿入する。プロモー
ターに結合する能力について評価しようとするcDNAとGAL4などの酵母転
写因子の活性化ドメインとの融合物を含むライブラリーを、組み込まれたレポー
ター遺伝子配列を含有する酵母株へ形質転換する。この酵母を選択培地に蒔き、
プロモーター配列に連結した選択マーカーを発現している細胞を選択する。選択
培地上で増殖するコロニーは、標的配列に結合するタンパク質をコードする遺伝
子を含有する。配列を決定することによって、融合タンパク質をコードする遺伝
子内の挿入物を更に特徴付けする。更に、挿入物は、発現ベクターかまたはin
vitro転写ベクターに挿入してもよい。挿入物によりコードされるポリペ
プチドとプロモーターDNAとの結合は、ゲルシフト分析またはDNAase保
護分析などの当業者によく知られている技術によって確認することができる。
【0363】VII. 遺伝子治療における5’EST(またはそれから得られるcDNAも しくはゲノムDNA)の使用 本発明はまた、以下の実施例62および63に記載のアンチセンスおよび三重
らせん戦略を含む遺伝子治療における5’EST(またはそれから得られるcD
NAもしくはゲノムDNA)の使用を包含する。アンチセンスアプローチでは、
mRNAに相補的な核酸配列を細胞内でmRNAにハイブリダイズさせることに
よって、該mRNAによりコードされるタンパク質の発現を阻止する。アンチセ
ンス配列は、様々な機構を介して遺伝子の発現を妨げることができる。例えば、
アンチセンス配列は、リボソームがmRNAを翻訳する能力を阻害することがで
きる。あるいは、アンチセンス配列は、核から細胞質へのmRNAの輸送を阻止
して、翻訳に利用可能なmRNAの量を制限することができる。アンチセンス配
列が遺伝子発現を抑制し得るもう1つの機構は、mRNAのスプライシングを干
渉することによるものである。更にもう1つの戦略では、標的のmRNAを特異
的に切断し得るリボザイムにアンチセンス核酸を取り込ませることができる。
【0364】実施例62 アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製および使用 遺伝子治療において使用すべきアンチセンス核酸分子は、DNAまたはRNA配
列のいずれであってもよく、5’EST(またはそれから得られるcDNAもし
くはゲノムDNA)の配列に相補的な配列を含んでいてもよい。アンチセンス核
酸は、二本鎖の状態でmRNAの発現を阻害するのに十分安定な細胞内二本鎖を
形成し得るよう、十分な長さおよび融解温度を有するべきである。遺伝子治療の
用途に適切なアンチセンス核酸を設計するための方法については、Greenら
、Ann. Rev. Biochem. 55:569−597,1986;
およびIzantおよびWeintraub、Cell36:1007−101
5,1984に開示されている。これらの参考文献は本明細書において参考とし
て援用される。
【0365】 いくつかの方法では、細胞中で正常に転写される鎖とは反対側の鎖を転写する
ように、プロモーターに対してコード領域の方向を逆にすることによって、タン
パク質をコードするヌクレオチド配列からアンチセンス核酸を得ている。T7ま
たはSP6ポリメラーゼを使用して転写産物を作製する系などのin vitr
o転写系を用いて、アンチセンス分子を転写することができる。もう1つのアプ
ローチは、アンチセンス配列を含有するDNAを発現ベクターのプロモーターに
機能し得る形で連結することによるin vivoでのアンチセンス核酸の転写
に関与するものである。
【0366】 あるいは、細胞中で正常に転写される鎖に相補的なオリゴヌクレオチドをin
vitroで合成してもよい。従って、アンチセンス核酸は対応するmRNA
に相補的であり、mRNAにハイブリダイズして二本鎖を作製することができる
。いくつかの実施態様では、アンチセンス配列は、改変された糖リン酸骨格を含
有するため安定性が増し、RNase活性に対する該アンチセンス配列の感受性
が低下する。アンチセンス法での使用に適した改変の例については、Rossi
ら、Pharmacol. Ther. 50(2):245−254,199
1に記載されており、本明細書において参考として援用される。
【0367】 5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)の配列
に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの様々な型を使用することができる
。1つの好ましい実施態様では、国際出願であるPCT WO94/23026
号に記載の安定および半安定なアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する。該
参考文献は本明細書において参考として援用される。これらの分子では、3’末
端または3’および5’両末端は、相補的な塩基対間の分子内水素結合で結ばれ
ている。これらの分子はエキソヌクレアーゼの攻撃に更に耐えることができ、従
来のアンチセンスオリゴヌクレオチドに比べて安定性が向上している。
【0368】 別の好ましい実施態様では、国際出願WO95/04141号に記載の単純ヘ
ルペスウイルI型およびII型に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用
する。該参考文献は本明細書において参考として援用される。
【0369】 更に別の好ましい実施態様では、国際出願WO96/31523号に記載の共
有結合で架橋されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する。該参考文献は
本明細書において参考として援用される。これらの二本鎖または一本鎖オリゴヌ
クレオチドは、それぞれ1つ以上のオリゴヌクレオチド間またはオリゴヌクレオ
チド内の共有架橋結合を有し、ここで、該結合は、それぞれ、一方の鎖の第一級
アミノ基と他方の鎖のカルボキシル基との間のアミド結合、または同じ鎖の第一
級アミノ基とカルボキシル基との間のアミド結合から成り、第一級アミノ基は、
鎖ヌクレオチドの単糖環の2’位で直接置換されており、カルボキシル基は、他
方の鎖または同じ鎖のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体上に置換されてい
る脂肪族スペーサー基によって担持されている。
【0370】 国際出願WO92/18522号に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドお
よびオリゴヌクレオチドを使用することができる。該参考文献は本明細書におい
て参考として援用される。これらの分子は分解に対して安定であり、制御タンパ
ク質に結合する少なくとも1つの転写制御認識配列を含有するため、デコイとし
て有効である。これらの分子は、「ヘアピン」構造、「ダンベル」構造、「修飾
されたダンベル」構造、「架橋された」デコイ構造および「ループ」構造を含有
し得る。
【0371】 別の好ましい実施態様では、欧州特許出願第0 572 287A2号に記載
の環状二本鎖オリゴヌクレオチドを使用する。該参考文献は本明細書において参
考として援用される。これらの結合型オリゴヌクレオチド「ダンベル」は、転写
因子のための結合部位を含有し、転写因子を封鎖(sequester)するこ
とによって、転写因子の制御下での遺伝子発現を阻害する。
【0372】 国際出願WO92/19732号に開示されている閉環型アンチセンスオリゴ
ヌクレオチドの使用も考慮される。該参考文献は本明細書において参考として援
用される。これらの分子は遊離の末端を持たないため、従来のオリゴヌクレオチ
ドよりもエキソヌクレアーゼによる分解に対して耐性が高い。これらのオリゴヌ
クレオチドは多機能性であり、標的mRNAに隣接していない複数の領域と相互
作用する。
【0373】 遺伝子の発現を阻害するのに必要なアンチセンス核酸の適切なレベルは、in
vitro発現分析を用いて決定することができる。当該分野において公知の
手順を用いる拡散、注入、感染、トランスフェクションまたはh領域介在性移入
により、アンチセンス分子を細胞に導入することができる。例えば、アンチセン
ス核酸を裸のオリゴヌクレオチド、脂質にカプセル化させたオリゴヌクレオチド
、ウイルスタンパク質に封入したオリゴヌクレオチド、または発現ベクターに含
まれるプロモーターに機能し得る形で連結させたオリゴヌクレオチドとして、ア
ンチセンス核酸を身体に導入することができる。発現ベクターは当該分野におい
て公知の様々な発現ベクターのいずれであってもよく、レトロウイルスベクター
またはウイルスベクター、染色体外複製が可能なベクター、または組込みベクタ
ーが挙げられる。ベクターは、DNAであってもよく、RNAであってもよい。
【0374】 アンチセンス分子を、好ましくは1×10-10M〜1×10-4Mの間の多くの 異なる濃度で細胞サンプルに導入する。適切に遺伝子発現を制御することができ
る最小濃度が同定されれば、その最適化用量がin vivoでの使用に適切な
用量と解釈される。例えば、培養物の場合の1×10-7の阻害濃度は約0.6m
g/kg体重の用量と解釈される。100mg/kg体重以上に達するオリゴヌ
クレオチドのレベルは、実験動物でオリゴヌクレオチドの毒性を試験すれば可能
である。脊椎動物から細胞を取り出し、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置
して、脊椎動物に再導入することも更に考慮される。
【0375】 アンチセンスオリゴヌクレオチド配列をリボザイム配列に取り込ませ、アンチ
センスを特異的にその標的mRNAに結合させてこれを切断し得るようにするこ
とも更に考慮される。リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドの技術
的適用については、Rossiら(前掲)を参照のこと。
【0376】 本発明の好ましい適用では、翻訳に対するアンチセンス阻害の有効性を監視で
きるように、遺伝子によりコードされるポリペプチドを最初に同定する。監視に
はRIAおよびELISA、機能アッセイ、または放射性標識などの抗体介在性
試験を含む技術が使用されるが、これらに限定されない。
【0377】 本発明の5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA
)を、細胞内三重らせん形成に基づく遺伝子治療に使用することもできる。三重
らせんオリゴヌクレオチドを使用してゲノムからの転写を阻害する。それらは、
細胞活性の変化を研究するのに特に有用である。何故なら、これは特定の遺伝子
に関連するからである。本発明の5’EST(またはそれから得られるcDNA
もしくはゲノムDNA)または、より好ましくは、それらの配列の一部は、特定
の遺伝子の発現に関連する疾患を有する個体の遺伝子発現を阻害するために使用
することができる。同様に、5’EST配列(またはそれから得られるcDNA
もしくはゲノムDNA)の一部を使用して、細胞内での特定の遺伝子の転写を阻
害する効果を研究することができる。従来は、ホモプリン配列は三重らせんスト
ラテジーに最も有用であると考えられていた。しかし、ホモピリミジン配列も遺
伝子の発現を阻害することができる。そのようなホモピリミジンオリゴヌクレオ
チドは、ホモプリン:ホモピリミジン配列の主要な溝に結合する。従って、5’
EST由来または5’ESTに相当する遺伝子由来の両タイプの配列は、本発明
の範囲内にあるものとする。
【0378】実施例63 三重らせんプローブの調製および使用 5’EST(またはそれから得られるcDNAもしくはゲノムDNA)の配列
を走査して、遺伝子発現を阻害するための三重らせんに基づくストラテジーに使
用し得る10量体〜20量体のホモピリミジンまたはホモプリンストレッチを同
定する。ホモピリミジンまたはホモプリンストレッチの候補の同定後、候補配列
を含有する様々な量のオリゴヌクレオチドを、標的遺伝子を正常に発現する組織
培養細胞に導入することによって、遺伝子発現の阻害効率を評価する。オリゴヌ
クレオチドは、オリゴヌクレオチド合成装置で調製するか、またはGENSET
,Paris,Franceなどのオリゴヌクレオチド合成の専門業者より購入
することができる。
【0379】 当業者に既知の様々な方法を用いて、オリゴヌクレオチドを細胞に導入するこ
とができ、このような方法としては、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE−デキ
ストラン法、エレクトロポレーション法、リポソーム介在トランスエフェクショ
ン法または自然取り込み法が挙げられるが、それらに限定されない。
【0380】 ノーザンブロッティング、RNase保護アッセイ、またはPCRに基づくス
トラテジーなどの技術を用いて、処置された細胞を細胞機能の変化または遺伝子
発現の減少についてモニタリングし、オリゴヌクレオチドで処置されている細胞
の標的遺伝子の転写レベルをモニタリングする。該オリゴヌクレオチドが誘導さ
れる伸長cDNAに相当する標的遺伝子の、特定の機能に関連している既知の遺
伝子配列に対する相同性に基づいて、モニタリングしようとする細胞機能を予測
する。特に、実施例56に記載の技術を用いて、伸長cDNAが疾患と関連付け
られる場合には、特定の遺伝性疾患を有する個体から誘導される細胞内の異常な
生理活動の存在に基づいて、細胞機能を予測することもできる。
【0381】 次いで、実施例62に記載のように、in vitroでの結果に基づいて算
出された用量で、上記の技術および実施例62に記載の技術を用いて、組織培養
細胞における遺伝子発現を阻害するのに有効なオリゴヌクレオチドをin vi
voで導入することができる。
【0382】 いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチド単位の天然の(β)アノマ
ーをαアノマーで置換し、該オリゴヌクレオチドをヌクレアーゼに対してより耐
性にすることができる。更に、臭化エチジウムなどの挿入化剤(interca
lating agent)などをαオリゴヌクレオチドの3’末端に結合させ
て、三重らせんを安定化することができる。三重らせん形成に適切なオリゴヌク
レオチドの作製に関する情報については、Griffinら、Science
245:967−971,1989を参照されたい(この参考文献は参照により
本明細書に組み入れる)。
【0383】実施例64 宿主生物においてコードされるタンパク質を発現させるための、5’ESTを用 いて得られるcDNAの使用 本発明の5’ESTを用いて上述のようにして得られるcDNAを使用して、
宿主生物においてコードされるタンパク質を発現し、有益な効果を生じることが
できる。そのような手順において、コードされるタンパク質は、宿主生物におい
て一過的に発現させてもよいし、宿主生物において安定的に発現させてもよい。
コードされるタンパク質は、上記の活性のいずれかを有することができる。コー
ドされるタンパク質は宿主生物が欠くタンパク質であってもよいし、あるいは宿
主生物におけるタンパク質の現存のレベルを増大するものであってもよい。
【0384】 シグナルペプチドおよび成熟タンパク質をコードする完全長伸長cDNA、ま
たは成熟タンパク質のみをコードする伸長cDNAを宿主生物に導入するするこ
とができる。該伸長cDNAは、当業者に公知の様々な技術を用いて、宿主生物
に導入することができる。例えば、コードされるタンパク質が宿主生物で発現さ
れ、これにより有益な効果を生じるように、伸長cDNAを剥き出しのDNAと
して宿主に注入することができる。
【0385】 あるいは、伸長cDNAを、宿主生物において活性なプロモーターの下流にお
いて発現ベクター中にクローニングすることができる。発現ベクターは遺伝子治
療での使用のために設計された発現ベクターのいずれであってもよく、このよう
なものとしては、ウイルスまたはレトロウイルスベクターが挙げられる。コード
されるタンパク質が宿主生物において発現され、これにより有益な効果を生じる
ように、発現ベクターを宿主生物に直接導入することができる。他の方法では、
発現ベクターをin vitroで細胞に導入することができる。その後、発現
ベクターを含有する細胞を選択して宿主生物に導入すると、ここで、該細胞はコ
ードされるタンパク質を発現して有益な効果を生じる。
【0386】実施例65 タンパク質を細胞に移入するための5’ESTまたはそれから得られる配列によ りコードされるシグナルペプチドの使用 5’ESTまたは配列番号38〜315から誘導される伸長cDNAによりコ
ードされるシグナルペプチドの短いコア疎水性領域(h)を、目的のペプチドま
たはタンパク質、いわゆる積荷を組織培養細胞へ移入するキャリアとして使用す
ることができる(Linら、J. Biol. Chem. 270:1422
5−14258, 1995;Duら、J. Peptide Res., 5
1:235−243, 1998;Rojasら、Nature Biotec
h., 16:370−375, 1998)。
【0387】 制限されたサイズ(約25個のアミノ酸まで)の細胞透過性ペプチドを細胞膜
を横切って移送しようとする場合、化学合成を使用して、目的の積荷ペプチドの
C末端またはN末端のいずれかにh領域を加えることができる。あるいは、更に
長いペプチドまたはタンパク質を細胞に移入しようとする場合、当業者によく知
られている技術を用いて、核酸に遺伝子操作を施し、h領域をコードする伸長c
DNA配列を積荷ポリペプチドをコードするDNA配列の5’または3’末端に
結合することができる。次いで、そのように遺伝子操作された核酸を、適切な細
胞にトランスフェクション後、得られる細胞透過性ポリペプチドを産生するため
の従来の技術を使用して、in vivoまたはin vitroのいずれかで
翻訳する。次いで、適切な宿主細胞を簡単に細胞透過性ポリペプチドと共にイン
キュベートし、次に膜を横切って輸送される。
【0388】 本方法は、多様な細胞内機能および細胞プロセスを研究するために適用するこ
とができる。例えば、本方法は、細胞内タンパク質の機能関連ドメインを探査し
たり、シグナル伝達経路に関連のタンパク質−タンパク質相互作用を調べるのに
使用されている(Linら、前掲;Linら、J. Biol. Chem.
271:5305−5308, 1996;Rojasら、J. Biol.
Chem., 271:27456−27461, 1996;Liuら、Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, 93: 11819−
11824, 1996; Rojasら、Bioch. Biophys.
Res. Commun., 234:675−680, 1997)。
【0389】 そのような技術は、治療効果を生じるタンパク質を移入するための細胞医療に
使用することができる。例えば、患者から単離された細胞を、移入された治療用
タンパク質で処置し、次いで、宿主生物に再導入することができる。 あるいは、本発明のシグナルペプチドのh領域は、核の局在化シグナルと組み
合わせて使用され得、核酸を細胞の核に送達することができる。そのようなオリ
ゴヌクレオチドは、標的細胞RNAのプロセシングおよび/または成熟化を阻害
するために、実施例62および63に記載のように、三重らせんを形成するため
に設計されるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドであっ
てもよい。
【0390】 上記のように、本発明の5’ESTcDNAまたはその一部は、さまざまな目
的のために使用することができる。ポリヌクレオチドを使用して、分析、特徴付
けまたは治療用途のための組換えタンパク質を;対応するタンパク質を(構成的
かまたは組織分化または発生の特定の段階かまたは疾患状態のいずれかにおいて
)好適に発現させる組織のためのマーカーとして;サザンゲル上の分子量マーカ
ーとして;染色体を同定するかまたは関連遺伝子の位置をマッピングするための
染色体マーカーまたはタグ(標識される場合)として;患者の内在性DNAを比
較して、潜在的遺伝子異常を同定するために;ハイブリダイズし、それにより新
規の関連DNA配列を発見するためのプローブとして;遺伝子フィンガープリン
トのためのPCRプライマーを得るための情報の供給源として;「遺伝子チップ
」または他の支持体に付着するためのオリゴマーを選択し、作製するために(発
現パターンを調べることを含む);DNA免疫化技術を用いて、抗タンパク質抗
体を惹起するために;および抗DNA抗体を惹起するかまたはもう1つの免疫応
答を引き出すための抗原として、発現させることができる。ポリヌクレオチドが
(例えば、レセプター−リガンド相互作用などにおいて)別のタンパク質に結合
するかまたは潜在的に結合するタンパク質をコードする場合には、該ポリヌクレ
オチドを、結合が生じる他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定す
るかまたは結合相互作用の阻害剤を同定するために、相互作用トラップアッセイ
(例えば、Gyurisら、Cell 75:791−803, 1993など
に記載のアッセイであって、該参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組
み入れる)に使用することができる。
【0391】 本発明により提供されるタンパク質またはポリペプチドは、ハイスループット
スクリーニングのための複数のタンパク質のパネルを含む生物学的活性を決定す
るためのアッセイにおいて;抗体を惹起するかまたは別の免疫応答を引き出すた
めに;生物学的液体におけるタンパク質(またはそのレセプター)のレベルを定
量的に決定するために設計されたアッセイにおける試薬(標識された試薬を含む
);対応するタンパク質を(構成的かまたは組織分化または発生の特定の段階か
または疾患状態のいずれかにおいて)好適に発現させる組織用のマーカーとして
;そして、もちろん、相関関係にあるレセプターまたはリガンドを単離するため
に、同様に使用することができる。タンパク質がもう1つのタンパク質に結合す
るかまたは潜在的に結合する場合、該タンパク質を、結合が生じる他のタンパク
質を同定するかまたは結合相互作用の阻害剤を同定するために使用することがで
きる。これらの結合相互作用に関与するタンパク質は、ペプチドまたは小分子阻
害剤または結合相互作用のアゴニストをスクリーニングするためにも使用するこ
とができる。
【0392】 これらの研究有用性のいくつかまたは全ては、研究用製品としての商品される
試薬レベルまたはキット形態にまで開発することが可能である。 上記に列挙された用途を達成するための方法は当業者に周知である。そのよう
な方法を開示している参考文献としては、Molecular Cloning
;A Laboratory Manual、2版、Cold Spring
Harbor Laboratory Press, Sambrook, F
ritchおよびManiatis編、1989、ならびにMethods i
n Enzymology;Guide to Molecular Clon
ing Techniques, Academic Press, Berg
erおよびKimmel編、1987が挙げられるが、これらに限定されない。
【0393】 本発明のポリヌクレオチドおよびタンパク質を栄養供給源または補助物として
使用することもできる。そのような使用としては、タンパク質またはアミノ酸補
助物としての使用、炭素源としての使用、窒素源としての使用および炭水化物源
としての使用が挙げられるが、これらに限定されない。そのような場合、本発明
のタンパク質またはポリヌクレオチドを特定の生物の食物に添加することができ
、または個別の固体または液体調製物として、散剤、丸剤、溶液、懸濁液または
カプセルの剤形などで投与することができる。微生物の場合、本発明のタンパク
質またはポリヌクレオチドを、微生物が培養される培地に添加することができる
【0394】 本発明を特定の好適な実施態様の形態で説明してきたが、本明細書の開示内容
から当業者に明らかである他の実施態様も本発明の範囲内にある。従って、本発
明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にすることによってのみ規定されることを
意図している。本明細書に引用された全ての文書は、その全体を参照により本明
細書に組み入れる。
【0395】
【表1】
【0396】
【表2】
【0397】
【表3】
【0398】
【表4】
【0399】
【表5】
【0400】
【表6】
【0401】
【表7】
【0402】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 mRNA(これからcDNAが誘導される)の5’末端を含むように選択され
たcDNAを取得するための手順を示す。
【図2】 本明細書に記載するカテゴリーの各々における5’ESTのフォン ヘイジン
スコア(Von Heijne score)の分布およびこれらの5’ES
Tがシグナルペプチドをコードする確率を示す。
【図3】 5’ESTに隣接する配列を有する伸長cDNAをクローニングし、配列決定
するために使用される一般的方法を示す。
【図4】 (シグナルタグ5’ESTから単離されたプロモーター構造の説明)単離した
プロモーターの模式的説明およびそれらを対応する5‘タグと共にアセンブリー
する方法を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ラクロワ・ブルノ フランス国 エフ−69230サン‐ジェニス ラバル,ルト ド ブルレ,93

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号38〜315のうち1つの配列を含むかまたはそ
    れに相補的な配列を含む、精製または単離された核酸。
  2. 【請求項2】 前記核酸が組換え体である、請求項1に記載の核酸。
  3. 【請求項3】 配列番号38〜315のうち1つの配列の少なくとも10
    個の連続する塩基を含むかまたはそれに相補的な配列を含む、精製または単離さ
    れた核酸。
  4. 【請求項4】 配列番号38〜315のうち1つ配列の少なくとも15個
    の連続する塩基を含むかまたはそれに相補的な配列を含む、精製または単離され
    た核酸。
  5. 【請求項5】 前記核酸が組換え体である、請求項4に記載の核酸。
  6. 【請求項6】 配列番号38〜315のうち1つの配列または配列番号3
    8〜315の配列に相補的な配列のうち1つに対してストリンジェントな条件下
    でハイブリダイズ可能な少なくとも15塩基からなる精製または単離された核酸
  7. 【請求項7】 前記核酸が組換え体である、請求項6に記載の核酸。
  8. 【請求項8】 ヒト遺伝子産物をコードする精製または単離された核酸で
    あって、前記ヒト遺伝子産物の一部が配列番号38〜315の配列の1つにより
    コードされる配列を有する、上記核酸。
  9. 【請求項9】 配列番号38〜315の1つの配列を有するかまたはそれ
    に相補的な配列を有する、精製または単離された核酸。
  10. 【請求項10】 シグナルペプチドをコードする配列番号38〜315の
    1つのヌクレオチドを含む、精製または単離された核酸。
  11. 【請求項11】 配列番号38〜315の配列の1つによりコードされる
    シグナルペプチドを含む、精製または単離されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 ポリペプチドおよびシグナルペプチドを含む融合タンパ
    ク質をコードするベクターであって、前記ポリペプチドをコードする第2の核酸
    に機能しうる形で連結された配列番号38〜315の配列の1つによりコードさ
    れるシグナルペプチドをコードする第1の核酸を含む、上記ベクター。
  13. 【請求項13】 ポリペプチドの細胞外分泌またはポリペプチドの膜への
    挿入を指令する方法であって、 請求項12に記載のベクターを取得し、そして 前記ベクターを宿主細胞に導入して、融合タンパク質が宿主細胞の細胞外環境
    に分泌されるかまたは宿主細胞の膜に挿入されるようにする、 各ステップを含んでなる上記方法。
  14. 【請求項14】 ポリペプチドを細胞に移入する方法であって、前記細胞
    に、前記ポリペプチドに機能しうる形で連結された配列番号38〜315の配列
    の1つによりコードされるシグナルペプチドを含む融合タンパク質を接触させる
    ことを含んでなる上記方法。
  15. 【請求項15】 配列番号38〜315の1つによりその一部がコードさ
    れるヒト分泌タンパク質をコードするcDNAを作製する方法であって、 配列番号38〜315の配列の1つを含むcDNAを取得し、 前記cDNAと、配列番号38〜315の前記配列のうち少なくとも15個の
    連続するヌクレオチドまたはそれに相補的な配列を含む検出可能なプローブとを
    、前記プローブが前記cDNAにハイブリダイズし得る条件下で接触させ、 前記検出可能なプローブにハイブリダイズするcDNAを同定し、そして 前記検出可能なプローブにハイブリダイズする前記cDNAを単離する、 各ステップを含んでなる上記方法。
  16. 【請求項16】 ヒト分泌タンパク質をコードする単離または精製された
    cDNAであって、前記ヒト分泌タンパク質が配列番号38〜315の1つによ
    りコードされるタンパク質または少なくとも10個のアミノ酸からなるそのフラ
    グメントを含み、前記cDNAが請求項15に記載の方法によって得られる、上
    記cDNA。
  17. 【請求項17】 前記cDNAが全タンパク質コード配列を含み、その一
    部が配列番号38〜315の配列の1つに含まれている、請求項16に記載のc
    DNA。
  18. 【請求項18】 配列番号38〜315の配列の1つを含むcDNAを作
    製する方法であって、 ヒト細胞由来のmRNA分子の集合体と前記mRNAのポリAテイルにハイブ
    リダイズ可能な第1のプライマーとを接触させ、 前記第1のプライマーを前記ポリAテイルにハイブリダイズさせ、 前記mRNAを逆転写して第1のcDNA鎖を作製し、 配列番号38〜315のうち1つの配列の少なくとも15ヌクレオチドを含む
    少なくとも1つのプライマーを用いて、前記第1のcDNA鎖に相補的な第2の
    cDNA鎖を作製し、そして 前記第1のcDNA鎖および前記第2のcDNA鎖を含むcDNAを単離する
    、 各ステップを含んでなる上記方法。
  19. 【請求項19】 ヒト分泌タンパク質をコードする単離または精製された
    cDNAであって、前記ヒト分泌タンパク質が配列番号38〜315の1つによ
    りコードされるタンパク質または少なくとも10個のアミノ酸からなるそのフラ
    グメントを含み、前記cDNAが請求項18に記載の方法によって得られる、上
    記cDNA。
  20. 【請求項20】 前記cDNAが全タンパク質コード配列を含み、その一
    部が配列番号38〜315の配列のうち1つに含まれている、請求項19に記載
    のcDNA。
  21. 【請求項21】 前記第2のcDNA鎖が、 前記第1のcDNA鎖と第1の対のプライマーとを接触させること、ただし、
    前記第1の対のプライマーは、配列番号38〜315のうち1つの配列の少なく
    とも15個の連続するヌクレオチドを含む第2のプライマーおよび前記第1のプ
    ライマーの配列内に含まれる配列を有する第3のプライマーを含むものである、 前記第1の対のネステッドプライマーで第1のポリメラーゼ連鎖反応を行い、
    第1のPCR産物を生成すること、 前記第1のPCR産物と第2の対のプライマーとを接触させること、ただし、
    前記第2の対のプライマーは第4のプライマーおよび第5のプライマーを含み、
    ここで、前記第4のプライマーは配列番号38〜315のうち1つの配列の少な
    くとも15個の連続するヌクレオチドを含み、前記第4および第5のプライマー
    は前記第1のPCR産物内の配列にハイブリダイズ可能である、および 第2のポリメラーゼ連鎖反応を行い、それにより第2のPCR産物を生成する
    こと、 によって作製される、請求項18に記載の方法。
  22. 【請求項22】 ヒト分泌タンパク質をコードする単離または精製された
    cDNAであって、前記ヒト分泌タンパク質が配列番号38〜315の1つによ
    りコードされるタンパク質または少なくとも10アミノ酸からなるそのフラグメ
    ントを含み、前記cDNAは請求項21に記載の方法によって得られる、上記c
    DNA。
  23. 【請求項23】 前記cDNAが全タンパク質コード配列を含み、その一
    部が配列番号38〜315の配列の1つに含まれている、請求項22に記載のc
    DNA。
  24. 【請求項24】 前記第2のcDNA鎖が、 前記第1のcDNA鎖と、配列番号38〜315の配列のうち少なくとも15
    個の連続するヌクレオチドを含む第2のプライマーとを接触させること、 前記第2のプライマーを前記第1鎖のcDNAにハイブリダイズさせること、
    および 前記ハイブリダイズした第2のプライマーを伸長して前記第2のcDNA鎖を
    生成すること、 によって作製される、請求項18に記載の方法。
  25. 【請求項25】 ヒト分泌タンパク質をコードする単離または精製された
    cDNAであって、前記ヒト分泌タンパク質は配列番号38〜315の1つによ
    りその一部がコードされるタンパク質を含むかまたは少なくとも10アミノ酸か
    らなるそのフラグメントを含み、前記cDNAは請求項24に記載の方法によっ
    て得られる、上記cDNA。
  26. 【請求項26】 前記cDNAが全タンパク質コード配列を含み、その一
    部が配列番号38〜315の配列の1つに含まれている、請求項25に記載のc
    DNA。
  27. 【請求項27】 配列番号316〜593の配列の1つを含むタンパク質
    を作製する方法であって、 配列番号38〜315の配列の1つに部分的に含まれている全タンパク質コー
    ド配列をコードするcDNAを取得し、 前記cDNAを、それがプロモーターに機能しうる形で連結されるように発現
    ベクターに挿入し、 前記発現ベクターを宿主細胞に導入し、それにより前記宿主細胞に前記cDN
    Aによりコードされるタンパク質を産生させ、そして 前記タンパク質を単離する 各ステップを含んでなる上記方法。
  28. 【請求項28】 請求項27の方法によって得られる単離されたタンパク
    質。
  29. 【請求項29】 プロモーターDNAを得る方法であって、 配列番号38〜315の核酸の上流に位置するDNAまたはそれに相補的な配
    列を取得し、 前記上流DNAをスクリーニングして、転写開始を指令し得るプロモーターを
    同定し、 前記同定したプロモーターを含む前記DNAを単離する、 各ステップを含んでなる上記方法。
  30. 【請求項30】 前記取得ステップが配列番号38〜315の前記核酸ま
    たはそれに相補的な配列からの染色体歩行を含む、請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記スクリーニング工程が前記上流配列をプロモーター
    レポーターベクターに挿入することを含む、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記スクリーニング工程が、転写因子結合部位かまたは
    転写開始部位である前記上流DNA中のモチーフを同定することを含む、請求項
    30に記載の方法。
  33. 【請求項33】 請求項32に記載の方法によって得られる単離されたプ
    ロモーター。
  34. 【請求項34】 配列番号316〜593の配列の1つを含む、単離また
    は精製されたタンパク質。
  35. 【請求項35】 個別のESTまたは長さが少なくとも15ヌクレオチド
    のそのフラグメントのアレイであって、その改良点が配列番号38〜315の配
    列のうち少なくとも1つ、または配列番号38〜315の配列に相補的な配列の
    1つ、または少なくとも15ヌクレオチドのそのフラグメントを前記アレイに加
    えることからなる、上記アレイ。
  36. 【請求項36】 配列番号38〜315の配列、配列番号38〜315の
    配列に相補的な配列、または少なくとも15個の連続したヌクレオチドのそのフ
    ラグメントのうち少なくとも2つを含む、請求項35に記載のアレイ。
  37. 【請求項37】 配列番号38〜315の配列、配列番号38〜315の
    配列に相補的な配列、または少なくとも15個の連続したヌクレオチドのそのフ
    ラグメントのうち少なくとも5つを含む、請求項35に記載のアレイ。
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