JP2002508182A - 分泌タンパク質の伸長cDNA - Google Patents

分泌タンパク質の伸長cDNA

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JP2002508182A JP2000539136A JP2000539136A JP2002508182A JP 2002508182 A JP2002508182 A JP 2002508182A JP 2000539136 A JP2000539136 A JP 2000539136A JP 2000539136 A JP2000539136 A JP 2000539136A JP 2002508182 A JP2002508182 A JP 2002508182A
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Abstract

(57)【要約】 分泌されるタンパク質をコードする伸長cDNAの配列を開示する。本伸長cDNAを使用して、分泌タンパク質またはその一部を発現させること、あるいは、分泌されるタンパク質に特異的に結合できる抗体を得ることができる。本伸長cDNAを、診断手順、法医学的手順、遺伝子療法,および染色体マッピング手順にも使用することができる。本伸長cDNAを使用して、発現ベクターおよび分泌ベクターをデザインすることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本出願は、いくつかの米国特許仮出願において開示されている伸長cDNAに関す
る。表1は、本出願における伸長cDNAの配列番号、該仮出願における同一または
ほぼ同一の伸長cDNA、および伸長cDNAが開示された該仮出願の同一物を列挙して
いる。
【0002】 (発明の背景) ヒト染色体に沿って散在する推定50,000〜100,000の遺伝子は、ヒト疾患の理 解、診断および治療にすばらしい前途を提供する。さらに、ヒトゲノム全体に分
布する遺伝子座に特異的とハイブリダイズすることができるプローブは、高解像
度染色体地図の構築および個体の同定に使用される。
【0003】 過去には、1つのヒト遺伝子を特性化するのであっても、長年の努力を必要と
する骨の折れる工程であった。クローニングベクター、DNAシークエンシング、 およびコンピューター技術の分野における近年の開発が合体して、ヒト遺伝子を
単離し、配列決定し、地図を作成し、特性化する速度が大幅に速まった。酵母人
工染色体(YAC)や細菌の人工染色体(BAC)のようなクローニングベクターは、
それぞれ、300〜1000キロベース(kb)または100〜400kbの範囲の長さのDNA挿入
物を受け入れることができ、それによって、ヒト染色体上の遠く離れた間隔に分
布するDNA配列の操作および順序づけが容易になる。自動DNAシークエンシング機
を使用すると、ヒト遺伝子のシークエンシングを迅速に行うことができる。バイ
オインフォマティクソフトウエアを使用すると、核酸配列およびタンパク質配列
を比較することができ、その結果、ヒト遺伝子産物の特性化に役立つ。
【0004】 現在は、ヒトゲノムに沿って分布する遺伝子を同定し、特性化するために、2
つの異なるアプローチが実行されている。1つのアプローチでは、ゲノムDNAの 大きなフラグメントが単離され、クローニングされ、配列決定される。これらの
ゲノム配列における潜在的オープンリーディングフレームは、バイオインフォマ
ッティックソフトウエアを使用して同定される。しかし、このアプローチは、ゲ
ノム全体に散在するタンパク質コーディング配列を発見するために、タンパク質
をコードしないヒトDNAの大きな延長部をシークエンシングことを必要とする。 生物情報科学ソフトウエアは、徹底的なシークエンシングを必要とする上に、得
られたゲノム配列を誤って特性化する可能性がある。したがって、ソフトウエア
は、非コーディングDNAがコーディングDNAであるとして誤って特性化される擬陽
性、あるいは、コーディングDNAが非コーディングDNAであるとして誤って特性化
される擬陰性を生む可能性がある。
【0005】 代替アプローチは、もっと直接的な経路を取って、ヒト遺伝子を同定し、特性
化する。このアプローチでは、ヒトタンパク質をコードする単離されたメッセン
ジャーRNA(mRNA)から相補的DNA(cDNA)が合成される。このアプローチを使用
するとき、シークエンシングは、ゲノムのタンパク質コード部分から誘導される
DNAに対して実施されるに過ぎない。多くの場合、発現配列タグ(EST)と呼ばれ
る配列を得るために、cDNAの短い延長部のみが配列決定される。次いで、このES
Tを使用して、EST配列に隣接する配列を含む伸長cDNAを単離または精製すること
ができる。この伸長cDNAは、それらを得るために使用したESTの配列を全部含ん でもよく、それらを得るために使用したESTの配列の一部のみを含んでもよい。 さらに、伸長cDNAは、ESTの起源である遺伝子の全コーディング配列を含んでも よく、あるいは、伸長cDNAは、ESTの起源である遺伝子のコーディング配列の一 部を含んでもよい。可変スプライシングまたは代替プロモーターの活性の結果と
してのEST配列を含む幾つかの伸長cDNAがあることは、理解されるであろう。
【0006】 従来、伸長cDNAを単離または精製するのに使用することが可能な短いEST配列 は、多くの場合、オリゴdT-プライムドcDNAライブラリーから得ていた。したが って、それらは、主としてmRNAの3´非翻訳領域に相当する。ある程度、mRNAの3
´末端から誘導されるEST配列が優勢なのは、cDNAを得るための代表的な技術が 、mRNAの5´末端から誘導されるcDNA配列を単離するのに十分に適していないと いうことの結果である(Adamsら、Nature 377:174, 1996, Hillierら、Genome R
es. 6:807-828, 1996)。
【0007】 さらに、報告された、より長いcDNA配列が得られた事例では、報告された配列
は、一般に、コーディング配列に相当し、且つcDNAが誘導される起源であるmRNA
の全5´非翻訳領域を含まない。特に、第1のエキソンが短い状況では、このよう
な不完全な配列は、mRNAの第1のエキソンを含まなくてもよい。さらに、このよ うな不完全な配列は、スプライシング部位の上流に位置する幾つかのエキソン(
多くの場合、短いもの)を含まなくてもよい。したがって、5´ ESTに含まれる5
´配列を含んでもよい伸長cDNAを取得するのに使用することができるmRNAの5´ 末端から誘導される配列を得る必要がある。
【0008】 ヒト染色体から誘導される多くの配列には実用的な用途があるが、タンパク生
成物をコードする染色体の配列の同定および特性化に基づくアプローチは、診断
用および治療用に特に適している。50,000〜100,000タンパク質をコードする遺 伝子のうち、タンパク質が合成される細胞から分泌されるタンパク質をコードす
る遺伝子、ならびに分泌されるタンパク質そのものは、潜在的治療剤として特に
有用である。このようなタンパク質は、しばしば、細胞間伝達に関与し、それら
の標的細胞内で、臨床的に妥当な応答をもたらすのに必要な可能性がある。
【0009】 事実、組織プラスミノーゲンアクティベーター、G-CSF、GM-CSF、エリトロポ エチン、ヒト成長ホルモン、インスリン、インターフェロン-α、インターフェ ロン-β、インターフェロン-γ、およびインターロイキン-2を含む、幾つかの分
泌タンパク質が現在臨床使用中である。これらのタンパク質は、急性心筋梗塞、
急性虚血性卒中、貧血、糖尿病、成長ホルモン欠乏、肝炎、腎癌腫、化学療法誘
発性好中球減少症および多発性硬化症を含む広範囲の病気を治療するのに使用さ
れる。以上の理由で、分泌タンパク質またはその一部をコードする伸長cDNAは、
特に有用な治療剤起源の代表である。したがって、分泌タンパク質およびそれら
をコードする核酸の同定および特性化が必要である。
【0010】 分泌タンパク質は、それ自体が治療上有用な上に、それらの分泌を指令するア
ミノ末端に、シグナルペプチドと呼ばれる短いペプチドを含む。これらのシグナ
ルペプチドは、分泌タンパク質をコードする遺伝子のコーディング配列の5´末 端に位置するシグナル配列によりコードされる。これらのシグナルペプチドは、
それらが作動可能に連結される対象である任意のタンパク質の細胞外分泌を指令
するため、シグナル配列を、分泌が望まれるタンパク質をコードする遺伝子に作
動可能に連結することにより、任意のタンパク質の能率的な分泌を指令するのに
、このシグナル配列を利用することが可能である。このことは、特定の遺伝子産
物を、その遺伝子産物が産生される細胞以外の細胞に配送することが望ましい遺
伝子療法作戦において有益な可能性がある。シグナルペプチドをコードするシグ
ナル配列は、タンパク質精製技術を簡素化する際にも使用される。このような用
途では、所望のタンパク質の細胞外分泌が、所望のタンパク質をそこから選択し
なければならない望まれていないタンパク質の数を減らすことにより、精製を大
幅に促進する。したがって、シグナルペプチドをコードする分泌タンパク質に関
する遺伝子の5´部分を同定し、且つ特性化する必要がある。
【0011】 プロモーターおよび上流の調節領域が同定され、特性化されているヒト遺伝子
の数に関する公的情報は極めて限られている。これは、ある程度、このような調
節を単離することが難しいためである。転写因子結合部位のような上流の調節配
列は、一般に、非常に短いため、ヒトゲノムライブラリーからプロモーターを単
離するためのプローブとして利用できない。最近、ヒトプロモーターを単離する
ための幾つかのアプローチが開発された。その1つは、CpG島ライブラリーの作 成から成る(Cross, S.H.ら、Purification of CpG Islands using a Methylate
d DNA Binding Column, Nature Genetics 6: 236-244(1994))。第2のアプロ ーチは、SpeI結合タンパク質を使用して、SpeI結合部位を含むヒトゲノムDNA配 列を単離することから成る(Mortlockら、Genome Res. 6:327-335, 1996)。こ れらのアプローチは、両者とも、特異性または包括性が欠如しているため、制限
がある。
【0012】 5´ ESTおよびそれらから得られる伸長cDNAを使用して、位置、発生段階、速 度、およびタンパク質合成量、ならびにmRNAの安定性を調節する上流の調節領域
を能率的に同定し、単離することが可能である(Theilら、BioFactors 4:87-93 (1993))。いったん同定して特性化するとその後は、これらの調節領域を遺伝
子療法またはタンパク質精製計画に使用して、タンパク質合成の所望の量および
位置を得たり、望ましくない遺伝子産物の合成を阻害、低減または防止すること
が可能である。
【0013】 さらに、分泌タンパク質遺伝子の5´末端を含むESTまたはESTの配列に隣接す る配列を含む伸長cDNAは、染色体地図作成および個体の同定用のプローブとして
有用な配列を含んでもよい。したがって、分泌タンパク質をコードする遺伝子の
5´コーディング配列の上流にある配列を同定し、特性化する必要がある。
【0014】 (発明の概要) 本発明は、分泌タンパク質をコードする精製された、単離された、または組換
え伸長cDNAまたはそれらのフラグメントに関する。この精製された、単離された
、または組換えcDNAは、出発コドンおよび停止コドンを含む、それらの対応する
mRNAのオープンリーディングフレーム全体を含むことが好ましい。たとえば、伸
長cDNAは、シグナルペプチドならびに成熟タンパク質をコードする核酸を含んで
もよい。あるいは、伸長cDNAは、オープンリーディングフレームのフラグメント
を含んでもよい。幾つかの実施形態において、フラグメントは、成熟タンパク質
の配列のみをコードしてもよい。あるいは、フラグメントは、成熟タンパク質の
一部のみをコードしてもよい。本発明のさらなる態様は、分泌タンパク質のシグ
ナルペプチドをコードする核酸である。
【0015】 本伸長cDNAは、それらの対応するmRNAの真の5´末端から誘導される配列を含 むESTを使用して得られた。本明細書で使用する用語「EST」または「5´EST」は
、本発明の伸長cDNAを得るために使用した短いcDNAを指す。本明細書で使用する
、用語「伸長cDNA」は、それらを得るために使用した5´ESTに隣接する配列を含
むcDNAを指す。この伸長cDNAは、それらを得るために使用したESTの配列の全部 または一部を含んでもよい。用語「対応するmRNA」は、5´ESTを作成したcDNA合
成用の鋳型であったmRNAを指す。本明細書で使用する、用語「精製された」は、
完全に純粋である必要はなく、むしろ、相対的な定義として解釈される。cDNAラ
イブラリーから単離される個々の伸長cDNAクローンは、電気泳動法的均一まで、
従来通りに精製されていた。これらのクローンから得られる配列は、ライブラリ
ーまたは完全なヒトDNAのいずれからも直接得ることができなかった。伸長cDNA クローンは、それ自体、天然のものではなく、むしろ、ある程度精製された天然
の物質(メッセンジャーRNA)を操作することによって得られる。mRNAのcDNAラ イブラリーへの変換は、合成物質(cDNA)の作製を含み、純粋な個々のcDNAクロ
ーンは、クローンの選択によって、合成ライブラリーから単離することができる
。したがって、メッセンジャーRNAからcDNAライブラリーを作成し、次にそのラ イブラリーから個々のクローンを単離すると、天然のメッセージの約104〜106
が精製される。出発材料または天然の材料を少なくとも1桁、好ましくは2桁ま
たは3桁、さらに好ましくは4桁または5桁まで精製することが特に考えられる
【0016】 本明細書で使用する、用語「単離された」は、その物質が、そのもとの環境(
たとえば、それが天然のものであれば、自然環境)から取り出されることを必要
とする。たとえば、生きている動物に存在する天然のヌクレオチドは単離されな
いが、自然系に共存する物質の一部または全てから分離される同じヌクレオチド
は単離される。
【0017】 本明細書で使用する、用語「組換え」は、伸長cDNAが、その自然環境では隣接
していない「バックボーン」核酸に隣接していることを意味する。さらに、伸長
cDNAが「富化される」ことは、核酸バックボーン分子の集団における核酸挿入物
の数の5%以上に相当する。本発明によるバックボーン分子は、核酸類、たとえ ば、発現ベクター、自己複製核酸、ウイルス、組み込み核酸、および目的の核酸
挿入物を維持または操作するのに使用される他のベクターまたは核酸を含む。好
ましくは、富化伸長cDNAは、組換えバックボーン分子集団における核酸挿入物数
の15%以上を表す。さらに好ましくは、富化伸長cDNAは、組換えバックボーン分
子集団における核酸挿入物数の50%以上に相当する。極めて好ましい実施形態で
は、富化伸長cDNAは、組換えバックボーン分子集団における核酸挿入物数の90%
以上に相当する。「ストリンジェント」、「中程度」および「低程度」のハイブ
リダイゼーション条件は、実施例29に規定されている通りである。
【0018】 特に記載がなければ、「相補的」配列は、完全に相補的である。したがって、
分泌されるポリペプチド類またはそれらのフラグメントをコードする1つまたは
複数の伸長cDNAが、バックボーン分子における核酸挿入物数の5%以上を構成す るcDNAライブラリー中に存在する、分泌されるポリペプチド類またはそれらのフ
ラグメントをコードする伸長cDNAは、本明細書で定義される「富化組換え伸長cD
NA」である。同様に、1つまたは複数の本発明の伸長cDNAが、プラスミドバック
ボーンにおける挿入物数の5%以上に相当するという具合に挿入されているプラ スミドの集団に存在する、分泌されるポリペプチド類またはそれらのフラグメン
トをコードする伸長cDNAは、本明細書で定義される「富化組換え伸長cDNA」であ
る。しかし、分泌されるポリペプチド類またはそれらのフラグメントをコードす
る伸長cDNAが、バックボーン分子の集団における核酸挿入物数の5%未満を構成
するcDNAライブラリー、たとえば、分泌されるポリペプチドをコードするcDNA挿
入物を有するバックボーン分子が極めて稀であるライブラリーに存在する、分泌
されるポリペプチド類またはそれらのフラグメントをコードする伸長cDNAは、「
富化組換え伸長cDNA」ではない。
【0019】 特に、本発明は、分泌タンパク質をコードする遺伝子から誘導された伸長cDNA
に関する。本明細書で使用する、「分泌される」タンパク質は、適当な宿主細胞
で発現されるとき、そのアミノ酸配列におけるシグナルペプチドの結果としての
輸送を含め、膜を横切って、または膜を通して、輸送されるものである。「分泌
される」タンパク質は、それらが発現される細胞から完全に(たとえば、可溶性
タンパク質)、または部分的に(たとえば、レセプター)分泌タンパク質を無制
限に含む。「分泌される」タンパク質は、内質細網の膜を横切って輸送されるタ
ンパク質も無制限に含む。
【0020】 分泌タンパク質をコードする伸長cDNAは、伸長cDNAによりコードされるタンパ
ク質の細胞外分泌を指令するシグナルペプチドをコードする、シグナル配列と呼
ばれる核酸配列を含んでもよい。一般に、シグナルペプチドは、分泌タンパク質
のアミノ末端に位置する。
【0021】 分泌タンパク質は、「粗面」小胞体と会合したリボソームにより翻訳される。
一般に、分泌タンパク質は、小胞体の膜に共翻訳輸送される。分泌タンパク質の
翻訳中のリボソームと小胞体との会合は、シグナルペプチドにより仲介される。
一般に、シグナルペプチドは、小胞体に共翻訳エントリー後に切断される。小胞
体に配送後、分泌タンパク質は、ゴルジ体を通過して進むことが可能である。タ
ンパク質は、ゴルジ体内で翻訳後修飾を受けてから、細胞膜を横切ってタンパク
質を輸送する分泌小胞に入る。
【0022】 本発明の伸長cDNAには、幾つかの重要な用途がある。たとえば、本発明の伸長
cDNAを使用して、それらがコードする分泌されるタンパク質全体を発現させても
よい。あるいは、本発明の伸長cDNAを使用して、分泌されるタンパク質の一部を
発現させてもよい。その部分は、伸長cDNAによりコードされるシグナルペプチド
または伸長cDNAによりコードされる成熟タンパク質(すなわち、シグナルペプチ
ドが切り取られたとき生成するタンパク質)を含んでもよい。その部分は、伸長
cDNAによりコードされる少なくとも10個連続したアミノ酸を有するポリペプチド
も含んでもよい。あるいは、その部分は、伸長cDNAによりコードされる少なくと
も15個連続したアミノ酸を含んでもよい。幾つかの実施形態では、その部分は、
伸長cDNAによりコードされる少なくとも25個連続したアミノ酸を含んでもよい。
他の実施形態では、その部分は伸長cDNAによりコードされる少なくとも40個のア
ミノ酸を含んでもよい。
【0023】 下記の通り、伸長cDNAによりコードされる、少なくとも10個連続したアミノ酸
、少なくとも15個連続したアミノ酸、少なくとも25個連続したアミノ酸、または
少なくとも40個連続したアミノ酸を有する、分泌されるタンパク質全体またはそ
れらのフラグメントを特異的に認識する抗体も得ることが可能である。下記の通
り、シグナルペプチドが切断されるとき生成する成熟タンパク質を特異的に認識
する抗体を得ることもできる。抗体同様に、伸長cDNAによりコードされるシグナ
ルペプチドを特異的に認識する抗体も得ることが可能である。
【0024】 一部の実施形態では、伸長cDNAはシグナル配列を含む。他の実施形態では、伸
長cDNAは、成熟タンパク質(すなわち、シグナルポリペプチドが切り取られたと
きに生成するタンパク質)に関する全コーディング配列を含んでもよい。さらに
、伸長cDNAは、翻訳開始部位の上流または停止コドンの下流にある、遺伝子発現
の量、位置、または発生段階を調節する調節領域を含んでもよい。上記の通り、
分泌タンパク質は、治療上重要である。したがって、cDNAから発現されるタンパ
ク質は、様々なヒトの病気を治療または管理するのに有用な可能性がある。伸長
cDNAを使用して、対応するゲノムDNAを得ることも可能である。用語「対応する ゲノムDNA」は、伸長cDNA配列におけるチミジン残基が、mRNAではウラシル残基 により置き換えられている伸長cDNAの鎖の1本の配列を含むmRNAをコードするゲ
ノムDNAを指す。
【0025】 本伸長cDNAまたはそれらから得られたゲノムDNAを、個体を同定するための法 医学的方法または伸長cDNAに対応する遺伝子の発現異常に起因する遺伝疾患を有
する個体を同定するための診断方法に使用することができる。さらに、本発明は
、ヒト染色体の高解像度地図を構築するのに有用である。
【0026】 本発明は、目的のタンパク質分泌を指令することができる分泌ベクターにも関
する。このようなベクターは、ある細胞内で、体内の別の位置に配送されるべき
遺伝子産物を産生することが望ましい遺伝子療法に使用することが可能である。
分泌ベクターは、所望のタンパク質の精製を促進することも可能である。
【0027】 本発明は、所望の空間的または時間的方式で、または所望のレベルで、挿入遺
伝子の発現を指令することができる発現ベクターにも関する。このようなベクタ
ーは、プロモーターのような伸長cDNAの上流にある配列、または上流の調節配列
を含んでもよい。
【0028】 さらに、本発明は、遺伝疾患を管理または治療するための遺伝子療法にも使用
することができる。シグナルペプチドを異種タンパク質に融合させて、それらの
細胞外分泌を指令することができる。
【0029】 本発明の1つの実施形態は、配列番号40〜140および242〜377の1つの配列ま たはそれに相補的な配列を含む精製されたまたは単離された核酸である。この実
施形態1つの態様において、核酸は組換えである。
【0030】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜140および242〜377の1つの配列また はそれらに相補的な配列の1つの少なくとも10個連続した塩基を含む精製された
または単離された核酸である。この実施形態の1つの態様では、核酸は、配列番
号40〜140および242〜377の配列の1つまたはそれらに相補的な配列の1つの少な
くとも15、25、30、40、50、75、または100個連続した塩基を含む。核酸は、組 換え核酸であってもよい。
【0031】 本発明の別の実施形態は、ストリンジェントな条件下で、配列番号40〜140お よび242〜377の1つの配列または配列番号40〜140および242〜377の配列の1つ に相補的な配列とハイブリダイズすることができる少なくとも15塩基の精製され
たまたは単離された核酸である。この実施形態の1つの態様では、核酸は組換え
である。
【0032】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜140および242〜377の1つの全コーデ ィング配列を含む精製されたまたは単離された核酸であって、この全コーディン
グ配列は、シグナルペプチドをコードする配列ならびに成熟タンパク質をコード
する配列を任意に含む。好ましい実施形態では、単離されたまたは精製された核
酸は、配列番号40、42〜44、46、48、49、51、53、60、62〜72、76〜78、80〜83
、85〜88、90、93、94、97、99〜102、104、107〜125、127、132、135〜138、14
0および242〜377の1つの全コーディング配列を含み、ここで、前記全コーディ ング配列は、シグナルペプチドをコードする配列および成熟タンパク質をコード
する配列を含む。この実施形態の1つの態様では、核酸は組換えである。
【0033】 本発明のさらなる実施形態は、成熟タンパク質をコードする配列番号40〜140 および242〜377の1つのヌクレオチドを含む精製されたまたは単離された核酸で
ある。好ましい実施形態では、精製されたまたは単離された核酸は、成熟タンパ
ク質をコードする、配列番号40〜44、46、48、49、51〜53、55、56、58〜72、75
〜78、80〜88、90、93、94、97、99〜125、127、132、133、135〜138、140およ び242〜377の1つのヌクレオチドを含む。この実施形態の1つの態様では、核酸
は組換えである。
【0034】 本発明のさらに別の実施形態は、シグナルペプチドをコードする配列番号40〜14
0および243〜377の1つのヌクレオチドを含む精製されたまたは単離された核酸 である。好ましい実施形態では、精製されたまたは単離された核酸は、シグナル
ペプチドをコードする、配列番号40、42〜46、48、49、51、53、57、60、62〜73
、76〜78、80〜83、85〜88、90、93〜95、97、99〜102、104、107〜125、127、1
28、130、132、134〜140および242〜377の1つのヌクレオチドを含むこの実施形
態の1つの態様では、核酸は組換えである。
【0035】 本発明の別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの配
列を有するポリペプチドをコードする精製されたまたは単離された核酸である。
【0036】 本発明の別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つに含
まれる成熟タンパク質の配列を有するポリペプチドをコードする精製されたまた
は単離された核酸である。好ましい実施形態では、精製されたまたは単離された
核酸は、配列番号141〜145、147、149、150、152〜154、156、157、159〜172、1
76〜179、181〜189、191、194、195、198、200〜226、228、233、234、236〜239
、241および378〜513の配列の1つに含まれる成熟タンパク質の配列を有するポ リペプチドをコードする。
【0037】 本発明の別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つに含
まれるシグナルペプチドの配列を有するポリペプチドをコードする精製されたま
たは単離された核酸である。好ましい実施形態では、精製されたまたは単離され
た核酸は、配列番号141、143〜147、149、150、152、154、158、161、163〜174 、177〜179、181〜184、186〜189、191、194〜196、198、200〜203、205、208〜
226、228、229、231、233、235〜241、および378〜513の配列の1つに含まれる シグナルペプチドの配列を有するポリペプチドをコードする。
【0038】 本発明のさらに別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513の1つの配
列を含む精製されたまたは単離されたタンパク質である。 本発明の別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの少 なくとも10個連続したアミノ酸を含む精製されたまたは単離されたポリペプチド
である。この実施形態の1つの態様では、精製されたまたは単離されたポリペプ
チドは、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの少なくとも15、20、25
、35、50、75、100、150または200個の連続したアミノ酸を含む。また別の態様 では、精製されたまたは単離されたポリペプチドは、配列番号141〜241および37
8〜513の配列の1つの少なくとも25個連続したアミノ酸を含む。
【0039】 本発明の別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513のポリペプチドの
1つのシグナルペプチドを含む単離されたまたは精製されたポリペプチドである
。好ましい実施形態では、単離されたまたは精製された核酸は、配列番号141、1
43〜147、149、150、152、154、158、161、163〜174、177〜179、181〜184、186
〜189、191、194〜196、198、200〜203、205、208〜226、228、229、231、233、
235〜241、および378〜513のポリペプチドの1つのシグナルペプチドを含む。
【0040】 本発明のさらに別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513のポリペプ
チドの1つの成熟タンパク質を含む単離されたまたは精製されたポリペプチドで
ある。好ましい実施形態では、単離されたまたは精製された核酸は、配列番号14
1〜145、147、149、150、152〜154、156、157、159〜172、176〜179、181〜189 、191、194、195、198、200〜226、228、233、234、236〜239、241および378〜5
13のポリペプチドの1つの成熟タンパク質を含む。
【0041】 本発明のさらなる実施形態は、配列番号40〜140および242〜377の配列の1つ を含むcDNAを得るステップと、cDNAが作動可能にプロモーターに連結されるよう
にこのcDNAを発現ベクターに挿入するステップと、発現ベクターを宿主細胞に導
入し、それによって、前述のcDNAによりコードされるタンパク質を宿主細胞が産
生するステップとを含む、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つを含む
タンパク質を製造する方法である。この実施形態の1つの態様では、この方法は
、さらに、タンパク質を単離するステップを含む。
【0042】 本発明の別の実施形態は、前段に記載されている方法により得られるタンパク
質である。
【0043】 本発明の別の実施形態は、成熟タンパク質をコードする配列番号40〜140およ び242〜377の配列のヌクレオチド配列の1つを含むcDNAを得るステップと、cDNA
が作動可能にプロモーターに連結されるようにこのcDNAを発現ベクターに挿入す
るステップと、発現ベクターを宿主細胞に導入し、それによって、前述のcDNAに
よりコードされる成熟タンパク質を宿主細胞が産生するステップとを含む、配列
番号141〜241および378〜513の配列の1つに含まれる成熟タンパク質のアミノ酸
配列を含むタンパク質を製造する方法である。この実施形態の1つの態様では、
この方法は、さらに、タンパク質を単離するステップを含む。
【0044】 本発明の別の実施形態は、前段に記載されている方法で得られる成熟タンパク
質である。
【0045】 好ましい実施形態では、上記方法は、成熟タンパク質をコードする配列番号40
〜44、46、48、49、51〜53、55、56、58〜72、75〜78、80〜88、90、93、94、97
、99〜125、127、132、133、135〜138、140および242〜377の配列のヌクレオチ ド配列の1つを含むcDNAを得るステップと、cDNAが作動可能にプロモーターに連 結されるようにこのcDNAを発現ベクターに挿入するステップと、発現ベクターを
宿主細胞に導入し、それによって、前述のcDNAによりコードされるタンパク質を
宿主細胞が産生するステップとを含む、配列番号141〜145、147、149、150、152
〜154、156、157、159〜172、176〜179、181〜189、191、194、195、198、200〜
226、228、233、234、236〜239、241および378〜513の配列の1つに含まれる成 熟タンパク質のアミノ酸を含むタンパク質製造する方法を含む。この実施形態の
1つの態様では、この方法は、さらに、タンパク質を単離するステップを含む。
【0046】 本発明の別の実施形態は、本明細書に記載の配列番号40〜140および242〜377 の1つの配列またはそれに相補的な配列を含む精製されたまたは単離された核酸
を含む宿主細胞である。
【0047】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜140および242〜377の1つのコーディ ング配列を含む精製されたまたは単離された核酸を含む宿主細胞であり、その全
コーディング配列は、本明細書に記載されているシグナルペプチドをコードする
配列および成熟タンパク質をコードする配列を含む。
【0048】 本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されている成熟タンパク質をコード
する配列番号40〜140および242〜377の1つのヌクレオチドを含む精製されたま たは単離された核酸を含む宿主細胞である。好ましくは、宿主細胞は、成熟タン
パク質をコードする配列番号40〜44、46、48、49、51〜53、55、56、58〜72、75
〜78、80〜88、90、93、94、97、99〜125、127、132、133、135〜138、140およ び242〜377の1つのヌクレオチドを含む、精製されたまたは単離された核酸を含
む。
【0049】 本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されているシグナルペプチドをコー
ドする配列番号40〜140および242〜377の1つのヌクレオチドを含む精製された または単離された核酸を含む宿主細胞である。好ましくは、宿主細胞は、シグナ
ルペプチドをコードする、配列番号40、42〜46、48、49、51、53、57、60、62〜
73、76〜78、80〜83、85〜88、90、93〜95、97、99〜102、104、107〜125、127 、128、130、132、134〜140および242〜377の1つのヌクレオチドを含む、精製 されたまたは単離された核酸を含む。
【0050】 本発明の別の実施形態は、配列番号141〜241および378〜513の1つの配列を有
するタンパク質に特異的に結合することができる精製されたまたは単離された抗
体である。この実施形態の1つの態様では、抗体は、配列番号141〜241および37
8〜513の1つの配列の少なくとも10個連続したアミノ酸を含むポリペプチドに結
合することができる。
【0051】 本発明の別の実施形態は、配列番号40〜140および242〜377の配列の少なくと も1つ、または配列番号40〜140および242〜377の配列に相補的な配列の1つ、 またはその少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメントを含む、cDNAの
アレイまたは少なくとも15ヌクレオチドの長さであるそれらのフラグメントのア
レイである。この実施形態の1つの態様では、このアレイは、配列番号40〜140 および242〜377の配列、配列番号40〜140および242〜377の配列に相補的な配列 、またはその少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメントの少なくとも
2つを含む。この実施形態の別の態様では、このアレイは、配列番号40〜140お よび242〜377の配列の少なくとも5つ、配列番号40〜140および242〜377の配列 に相補的な配列、または、その少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメ
ントを含む。
【0052】 本発明のさらなる実施形態は、表6に列挙された受託番号から成る群より選択
される受託番号を有する寄託において寄託されたクローンからの挿入物、または
前述の挿入物の少なくとも8、10、12、15、20、25、40、60、100、または200個
のヌクレオチドの連続スパンを含むそのフラグメントを含む、精製されたポリヌ
クレオチドを含む。本発明のさらなる実施形態は、表6に列挙された受託番号か
ら成る群より選択される受託番号を有する寄託において寄託されたクローンから
の挿入物によりコードされるアミノ酸配列、ならびにシグナルペプチド、成熟タ
ンパク質、または前述の挿入物によりコードされる少なくとも5、8、10、12、
15、20、25、40、60、100、または200アミノ酸の連続スパンから成る前述のアミ
ノ酸配列のフラグメントを含むポリペプチドから成る、あるいは本質的に成る、
精製されたポリペプチドを含む。
【0053】 本発明のさらなる実施形態は、配列番号158、174、175、196、226、231、232 の少なくとも5、8、10、12、15、20、25、40、60、100、または200アミノ酸の
連続スパンを含む精製されたポリペプチドを含み、前述の連続スパンは、図11〜
15のいずれにおいても、公開された配列と同一であることが示されなかったアミ
ノ酸位置の少なくとも1つを含む。本発明は、前述のポリペプチドをコードする
精製されたポリヌクレオチドも含む。
【0054】 (好ましい実施形態の詳細な説明) I.5´ESTの取得 下記の通りに単離した5'ESTを使用して、本伸長cDNAを取得した。
【0055】 A.完全な5´末端を有するmRNAを取得する化学的方法 本発明の伸長cDNAを取得するために使用する5´ESTを得るために、完全な5´ 末端を有するmRNAを取得しなければならない。現在、このようなmRNAを得るため
の2つのアプローチがある。これらのアプローチの1つは、mRNAの5´末端の誘 導および誘導されたmRNAの選択を含む化学的修飾法である。真核生物のmRNAの5 ´末端は、7位でメチル化されたグアノシンを含む「キャップ」と呼ばれる構造
を有する。5´,5´-三リン酸結合により、このキャップを、mRNAの第1の転写塩
基につなぐ。ある場合には、5´グアノシンは、2位でも7位でも、メチル化され ている。稀に、5´グアノシンは、2、7および7位でトリメチル化されている 。完全な5´末端を有するmRNAを得るための化学的方法において、5´キャップを
特異的に誘導し、固定化基質上の反応基にカップリングさせる。この特異的誘導
は、mRNAの5´末端におけるメチル化グアノシンに連結されたリボースおよびmRN
Aの3´末端における塩基に連結されたリボースのみが、2´, 3´-シスジオール を有することに基づいている。3´末端のリボースが、2´,3´-シスジオールを 有する場合、2´,3´-シスジオールを有するmRNAの5´末端におけるメチル化グ アノシンに連結したリボースのみを残して、任意に、3´末端の2´,3´-シスジ オールを化学的に修飾、置換、変換、または除去することが可能である。3´末 端のリボース上の2´,3´-シスジオールを除去するのに、様々な技術を利用する
ことができる。たとえば、制御されたアルカリ加水分解を使用して、3´末端の リボースが3´-ホスフェート、2´-ホスフェートまたは(2´,3´)-シクロホス
フェートであるmRNAフラグメントを生成することが可能である。その後、オリゴ
-dTカラムを用いたクロマトグラフィで、最初の3´リボースを含むフラグメント
を混合物から除去することが可能である。あるいは、T4RNAリガーゼのようなRNA
リガーゼを使用して、2´,3´-シスジオールのない塩基をmRNAの3´末端に加え てもよい。下記の実施例1に、pCpをメッセンジャーRNAの3´末端に連結する方 法を説明する。
【0056】 (実施例1)メッセンジャーRNAの3´末端へのヌクレオシドジホスフェートpCpの連結 製造会社(Gibco-BRL)により提供された緩衝溶液に溶解した5Uのライゲー ションT4ファージRNAリガーゼ、40UのRNaseインヒビターRNアシン(RNasin) (Promega)および、2μlの32pCp(Amersham #PB 10208)の存在下、10μlの最 終反応媒体中で1μgのRNAをインキュベートした。
【0057】 インキュベーションは、37℃で2時間または7〜8℃で一晩実施した。
【0058】 3´リボースにおける2´,3´-シスジオールの修飾または除去後、NaBH4、NaBH 3 CN、または過ヨウ素酸ナトリウムのような試薬を使用して、mRNAの5´末端に存
在する2´,3´-シスジオールを酸化し、それによって、2´,3´-シスジオールを
ジアルデヒドに変換してもよい。実施例2に、mRNAの5´末端における2´,3´-シ
スジオールの過ヨウ素酸ナトリウムによる酸化について説明する。
【0059】 (実施例2)mRNAの5´末端における2´,3´-シスジオールの酸化 0.1 OD単位の47ヌクレオチド(キャップを含む)キャプオリゴリボヌクレオ チドまたは46ヌクレオチドの非キャップオリゴリボヌクレオチドのいずれかを以
下の通りに処理した。このオリゴリボヌクレオチドは、転写キット「AmpliScrib
e T7」(Epicentre Technologies)を使用して、in vitro転写により産生した。
以下に示す通り、RNA転写物のDNA鋳型は、1つのシトシンを含んでいた。非キャ
ップRNAを合成するために、in vitro転写反応に全4種のNTPを含めた。キャップ
RNAを得るために、GTPをキャップの類似体m7G(5´)ppp(5´)Gと置き換えた 。ポリメラーゼにより認識されるこの化合物は、転写開始ステップ中に新生転写
物の5´末端に組み込まれたが、伸長ステップ中に組み込むことはできなかった 。したがって、結果として得られたRNAは、5´末端にキャップを含んでいた。in
vitro転写反応で製造されたオリゴリボヌクレオチドの配列は次の通りであった
: +キャップ: 5´m7GpppGCAUCCUACUCCCAUCCAAUUCCACCCUAACUCCUCCCAUCUCCAC-3´(配列番号1)
-キャップ: 5´pppGCAUCCUACUCCCAUCCAAUUCCACCCUAACUCCUCCCAUCUCCAC-3´(配列番号2)。
【0060】 このオリゴリボヌクレオチドを、酢酸緩衝溶液(0.1M酢酸ナトリウム、pH5.2 )9μおよび用時調製した0.1M過ヨウ素酸ナトリウム溶液3μlに溶解した。この 混合物を暗所にて、4℃または室温で1時間インキュベートした。その後、4μの1
0%エチレングリコールを加えることにより、反応を停止させた。生成物をエタ ノール沈殿させ、10μl以上の水または適当な緩衝溶液に再懸濁し、水で透析し た。
【0061】 次いで、mRNAの5´末端の富化を容易にするために、このようにして得られた アルデヒド基を、反応性アミン基、たとえば、ヒドラジン基、カルバジド基、チ
オカルバジド基またはセミカルバジド基を有する分子にカップリングさせてもよ
い。完全な5´末端を有するmRNAの選択に使用するのに適した反応性アミン基を 有する分子としては、アビジン、タンパク質、抗体、ビタミン類、レセプター分
子に特異的に結合することができるリガンド、またはオリゴヌクレオチドが挙げ
られる。下記の実施例3に、結果として得られたジアルデヒドのビオチンへのカ
ップリングについて説明する。
【0062】 (実施例3)ジアルデヒドとビオチンとのカップリング 実施例2で得られた酸化生成物を、pH5〜5.2の酢酸ナトリウム50μlおよび用 時調製した式:
【化1】 のメトキシエタノール/水混合物(1:1)に溶解したビオチンヒドラジドの0.
02M溶液50μlに溶解した。
【0063】 これらの実験で使用した化合物では、n=5である。但し、その他の市販され ているヒドラジド類、たとえば、nが0から5まで変化する上式の分子も使用す
ることができる。
【0064】 次いで、この混合物を37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション
後、この混合物をエタノールで沈殿させ、蒸留水で透析した。
【0065】 実施例4は、ビオチニル化反応の特異性を示す。
【0066】 (実施例4)ビオチニル化の特異性 キャップmRNAに対するビオチニル化の特異性を、次の試料のゲル電気泳動によ
って評価した。 試料1。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識した4
6ヌクレオチド非キャップin vitro転写物。 試料2。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識し、 実施例2の酸化反応で処理し、実施例3のビオチニル化条件に供した、46ヌクレ
オチド非キャップin vitro転写物。 試料3。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識した4
7ヌクレオチドキャップin vitro転写物。 試料4。実施例2の通りに調製し、実施例1に記載の通りに32pCpで標識し、 実施例2の酸化反応で処理し、実施例3のビオチニル化条件に供した、47ヌクレ
オチドキャップin vitro転写物。 試料1および2は、同一の泳動速度を有し、非キャップRNAは酸化されておら ず且つビオチニル化されたいないことを示す。試料3は、試料1および2より緩
徐に泳動したが、試料4は最も遅い泳動を示した。試料3と4におけるRNAの泳 動の差は、キャップRNAが特異的にビオチニル化されていたことを示す。
【0067】 反応性アミン基を含む分子を適当な固相基体、たとえば、mRNAを含む容器の内
則、磁気ビーズ、クロマトグラフィマトリックス、あるいはナイロン膜またはニ
トロセルロース膜に結合することにより、完全な5´末端を有するmRNAを富化す ることが可能な場合もある。たとえば、反応性アミン基を有する分子がビオチン
である場合、固相基体をアビジンまたはストレプトアビジンにカップリングさせ
ることが可能である。あるいは、反応性アミン基を有する分子が抗体またはレセ
プターリガンドである場合、固相基体を同族抗原またはレセプターにカップリン
グさせることが可能である。最終的に、反応性アミン基を有する分子がオリゴヌ
クレオチドを含む場合、固相基体は相補的オリゴヌクレオチドを含んでもよい。
【0068】 完全な5´末端を有するmRNAを、富化法後に固相から放出させることが可能で ある。たとえば、ジアルデヒドがビオチンヒドラジドカップリングしており、固
相がストレプトアビジンを含む場合、2%SDS中で95℃に加熱するだけで、mRNA を固相から放出させることが可能である。幾つかの方法では、富化後に、反応性
アミン基を有する分子を、完全な5´末端を有するmRNAから切断することが可能 である。実施例5では、富化後の、ストレプトアビジン被覆ビーズによるビオチ
ニル化mRNAの捕捉およびビーズからのビオチニル化mRNAの放出について説明する
【0069】 (実施例5)ストレプトアビジン被覆ビーズを使用したビオチニル化mRNAの捕捉および放出 製造会社(CPGInc.,USA)の説明書に従って、ストレプトアビジン被覆磁気ビ ーズを調製した。ビオチニル化mRNAをハイブリダイゼーション緩衝溶液(1.5MNa
Cl、pH5〜6)に加えた。30分間インキュベートした後、結合していない非ビオチ
ニル化物質を除去した。1%SDSを含む水中で、ビーズを数回洗浄した。得られ たビーズを、2%SDSを含む水中にて、95℃で15分間インキュベートした。
【0070】 実施例6は、ビオチニル化mRNAがストレプトアビジン被覆ビーズから回収され
た効率を示す。
【0071】 (実施例6)ビオチニル化mRNAの回収効率 以下の通りに、回収方法の効率を評価した。上述の通りに、RNAを32pCpで標識
し、酸化し、ビオチニル化し、ストレプトアビジン被覆ビーズに結合させた。次
に、結合したRNAを、2%SDSの存在下、95℃で、5、15または30分間インキュベ
ートした。
【0072】 変性条件(7M尿素)下、12%ポリアクリルアミドゲル上電気泳動で、反応生 成物を分析した。ゲルをオートラジオグラフィーに供した。この操作中に、ヒド
ラゾン結合は還元されなかった。
【0073】 2%SDS中でのインキュベーション時間が増加するにつれて、核酸の回収量が 増加したことから、ビオチニル化mRNAが効率的に回収されたことがわかる。
【0074】 完全な5´末端を有するmRNAを得るための代替法では、反応性アミン基を含む ように誘導されたオリゴヌクレオチドが、完全なキャップを有するmRNAに特異的
にカップリングされる。上述の通り、誘導されたオリゴヌクレオチドが、mRNAの
3´末端に連結されるのを防止するために、誘導されたオリゴヌクレオチドにア ルデヒド基が連結されるステップの前に、mRNAの3´末端をブロックすることが 好ましい。たとえば、T4RNAリガーゼを使用して、mRNAの3´末端にpCpを結合さ せることが可能である。しかし、上述の通り、mRNAの3´末端をブロックするこ とは、任意のステップである。以下の実施例7に記載の通り、誘導されたオリゴ
ヌクレオチドを調製することが可能である。
【0075】 (実施例7)オリゴヌクレオチドの誘導 水に溶解するカルボジイミド型薬剤、たとえば、最終濃度0.3Mの1-エチル-3- (3-ジメチルアミノプロピル)´カルボジイミドの存在下、pH4.5、温度8℃で一
晩、約1〜3Mのヒドラジンまたは式H2N(R1)NH2のジヒドラジドの水溶液で処 理することにより、3´末端でリン酸化されたオリゴヌクレオチドを、3´内の3 ´ヒドラジドに変換した。
【0076】 次いで、オリゴヌクレオチドを単離するための標準技術を使用して、誘導され
たオリゴヌクレオチドを他の薬剤および生成物から分離した。
【0077】 上述の通り、富化する対象であるmRNAを処理して、その上に存在する可能性が
ある3´OH基を除去することが可能である。実施例1に上述した通り、pCpのよう
な、3´OHのない配列の酵素的連結によってこれを実施することが可能である。 あるいは、以下の実施例8に記載の通り、アルカリ加水分解によって3´OH基を 除去することが可能である。
【0078】 (実施例8)mRNAのアルカリ加水分解 下記の通り、mRNAをアルカリ加水分解で処理してもよい。総量100μlの0.1N水
酸化ナトリウム中で、1.5μgのmRNAを4℃で40〜60分間インキュベートする。こ の溶液を酢酸で中和し、エタノールで沈殿させた。
【0079】 以下の実施例9に記載の通り、3´OH基を任意に除去した後、mRNAの5´末端に
おけるジオール基を酸化する。
【0080】 (実施例9)ジオールの酸化 1OD単位までのRNAを、9μlの緩衝溶液(0.1M酢酸ナトリウム、pH6〜7また
は水)および3μlの用時調製した0.1M過ヨウ素酸ナトリウム溶液に溶解した。 反応混合物を、暗所にて、4℃または室温で、1時間インキュベートした。イン
キュベーション後、4μlの10%エチレングリコールを加えることにより、反応 を停止させた。その後、この混合物を室温で15分間インキュベートした。エタノ
ール沈殿後、生成物を10μl以上の水または適当な緩衝溶液に再懸濁し、水で透 析した。
【0081】 以下の実施例10に記載の通り、mRNAの5´末端におけるジオール基を酸化した 後、このようにして得られたアルデヒドに、誘導されたオリゴヌクレオチドを連
結した。
【0082】 (実施例10)アルデヒドと誘導されたオリゴヌクレオチドとの反応 この酸化したmRNAを酸性媒体、たとえば、pH4〜6の酢酸ナトリウム50μlに 溶解した。mRNA:誘導されたオリゴヌクレオチドの比率1:20が得られるように 、誘導されたオリゴヌクレオチドの溶液50μlを加え、混合物をホウ化水素で還 元した。この混合物を、37℃で2時間または10℃で一晩(14時間)インキュベー トした。混合物をエタノール沈殿させ、10μl以上の水または適当な緩衝溶液に 再懸濁し、蒸留水で透析した。必要であれば、アクリルアミドゲル電気泳動法、
HPLC分析、または他の従来技術を使用して、このようにして得られた生成物を分
析することが可能である。
【0083】 以下の実施例11に記載の通り、誘導されたオリゴヌクレオチドをmRNAに結合し
た後、逆転写反応を実施することが可能である。
【0084】 (実施例11)mRNAの逆転写 下記の通りに、オリゴデオキシリボヌクレオチドを誘導した。5´-OH末端およ
び3´-P末端を有する配列ATCAAGAATTCGCACGAGACCATTA(配列番号3)のオリゴデ オキシリボヌクレオチド3OD単位を、1´エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル
)カルボジイミド2μgを含むジメチルホルムアミド/水(75:25)で調製した 、1.5 Mヒドロキシベンゾトリアゾール溶液(pH5.3)70μlに溶解した。この混 合物を、22℃で2時間30分間、インキュベートした。次いで、この混合物を、LiC
lO4/アセトン中に2回沈殿させた。このペレットを、0.25 Mヒドラジン200μl に再懸濁し、8℃で3〜14時間、インキュベートした。ヒドラジン反応後、この 混合物を、LiClO4/アセトン中に2回沈殿させた。
【0085】 逆転写すべきメッセンジャーRNAを、-80℃で保存しておいた、2cmの辺を有す
る胎盤塊から抽出した。従来の酸性フェノール技術を使用して、mRNAを抽出した
。オリゴ-dTクロマトグラフィを使用して、mRNAを精製した。mRNAの完全性を、 ノーザンブロッティングで確認した。
【0086】 実施例9に上述した通り、7μgの胎盤mRNA のジオール基を酸化した。mRNA に連結されなかった、誘導されたオリゴデオキシリボヌクレオチドを除去するた
めに、沈殿ステップを排除クロマトグラフィステップと置き換えたこと以外は実
施例10に上述した通りに、誘導されたオリゴヌクレオチドをmRNAに連結した。以
下の通りに、排除クロマトグラフィを実施した。
【0087】 AcA34(BioSepra#230151)ゲル10mlを、10mMトリス(pH8.0)、300mMNaCl、1
mMEDTA、および0.05%SDSの溶液50ml中で平衡化した。混合物を沈殿させた。上 清を除去し、ゲルを緩衝溶液50mlに再懸濁した。この方法を2回または3回繰返
した。
【0088】 ガラスビーズ(直径3mm)を、2ml使い捨てピペット(長さ25cm)に導入した
。このピペットに、ゲルの高さがピペットの最上部から1cmにて安定するまで、
ゲル懸濁液を満たした。次いで、20mlの平衡化緩衝溶液(10mMトリスHCl、pH7.4
、20mMNaCl)で、カラムを平衡化した。
【0089】 誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいた10μl のmRNAを、39μl の
10mM尿素、および5mgのブロモフェノールブルーを60%グリセロール(v/v)に
溶解し、0.45μmのフィルターを用いてこの混合物をフィルターを通過させるこ とにより調製しておいた2μlのブルー-グリセロール緩衝溶液と混合した。
【0090】 カラムに充填した。試料が浸透したら直ぐに平衡化緩衝溶液を加えた。100μl
分画を回収した。mRNAに結合しなかった誘導されたオリゴヌクレオチドは、分画
16およびそれ以降の分画に現れた。分画3〜15を合わせ、エタノールで沈殿させ
た。
【0091】 誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいたmRNAをナイロン膜上にスポ
ットし、従来技術を使用して、放射性プローブとハイブリダイズした。これらの
ハイブリダイゼーションに使用した放射性プローブは、誘導されたオリゴヌクレ
オチドに対して抗補体性(anticomplementary)であり、且つ5´末端が32Pで標 識された配列TAATGGTCTCGTGCGAATTCTTGAT(配列番号4)のオリゴデオキシリボヌ
クレオチドであった。誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいたmRNAの
1/10を、膜上に2つずつのスポットとしてスポットし、プローブのハイブリダ イゼーション後、オートラジオグラフィーにより、その膜を可視化した。シグナ
ルが観察され、誘導されたオリゴヌクレオチドがmRNAに連結されていたことがわ
かった。
【0092】 誘導されたオリゴヌクレオチドと反応させておいたmRNAの残りの9/10を、次 の通りに逆転写した。製造会社の説明書に従って、逆転写酵素を用いて逆転写反
応を実施した。反応を開始するために、ランダム配列を有する50 pmolのノナマ ーを使用した。
【0093】 このようにして得られたcDNAの一部を、従来の方法を使用して、正に帯電した
ナイロン膜上にスポットした。RNAを除去するためにcDNA:RNAヘテロ2本鎖をア
ルカリ加水分解に供した後、このcDNAを膜上にスポットした。誘導されたオリゴ
ヌクレオチドと同じ配列を有するオリゴヌクレオチドの5´末端を32Pで標識し、
従来技術を使用して、cDNAブロットとハイブリダイズした。1逆転写反応により
生じた1本鎖cDNAを、膜上にスポットした。対照として、ブロットは、誘導され
たオリゴヌクレオチドと同じ配列のオリゴデオキシリボヌクレオチドを、それぞ
れ、1pmol、100 fmol、50 fmol、10 fmolおよび1fmol含んでいた。cDNAを含む
スポットで確認されたシグナルから、約15 fmolの誘導されたオリゴヌクレオチ ドが逆転写されていたことがわかった。
【0094】 以上の結果から、キャップを介して逆転写を実施できること、および、特に、
逆転写酵素は、真核生物のメッセンジャーRNAのキャップの5´´P´P´P-5´結 合を横切ることがわかる。
【0095】 上記の第1の鎖合成後に得られた1本鎖DNAを、PCR反応用の鋳型として使用し
た。2つのタイプの反応を実施した。第1に、下記のオリゴデオキシリボヌクレ
オチドプライマー対を使用して、αグロブリン、デヒドロゲナーゼ、pp15および
延長因子E4に関するmRNA特異的増幅を実施した。 α-グロブリン GLO-S:CCG ACA AGA CCA ACG TCA AGG CCG C(配列番号5) GLO-As:TCA CCA GCA GGC AGT GGC TTA GGA G 3´(配列番号6) デヒドロゲナーゼ 3DH-S:AGT GAT TCC TGC TAC TTT GGA TGG C(配列番号7) 3DH-As:GCT TGG TCT TGT TCT GGA GTT TAG A(配列番号8) pp15 PP15-S:TCC AGA ATG GGA GAC AAG CCA ATT T(配列番号9) PP15-As:AGG GAG GAG GAA ACA GCG TGA GTC C(配列番号10) 延長因子E4 EFA1-S:ATG GGA AAG GAA AAG ACT CAT ATC A(配列番号11) EF1A-As:AGC AGC AAC AAT CAG GAC AGC ACA G(配列番号12)
【0096】 上述の対のアチセンス( As)オリゴデオキシリボヌクレオチドおよび誘導さ
れたオリゴデオキシリボヌクレオチド(ATCAAGAATTCGCACGAGACCATTA)(配列番 号13)の配列から選択されたプライマーを用いて、非特異的増幅も実施した。
【0097】 逆転写のPCR産物に対応する下記の試料を含む1.5%アガロースゲルを、臭化エ
チジウムで染色した。(逆転写生成物の1/20を各PCR反応に使用した)。 試料1:cDNAの存在下で、配列番号5および6のグロブリンプライマーを使用
したPCR反応の生成物。 試料2:添加したcDNAの非存在下で、配列番号5および6のグロブリンプライ
マーを使用したPCR反応の生成物。 試料3:cDNAの存在下で、配列番号7および8のデヒドロゲナーゼプライマー
を使用したPCR反応の生成物。 試料4:添加したcDNAの非存在下で、配列番号7および8のデヒドロゲナーゼ
プライマーを使用したPCR反応の生成物。 試料5:cDNAの存在下で、配列番号9および10のpp15プライマーを使用したPC
R反応の生成物。 試料6:添加したcDNAの非存在下で、配列番号9および10のpp15プライマーを
使用したPCR反応の生成物。 試料7:添加したcDNAの存在下で、配列番号11および12のEIE4プライマーを使
用したPCR反応の生成物。 試料8:添加したcDNAの非存在下で、配列番号11および12のEIE4プライマーを
使用したPCR反応の生成物。
【0098】 試料1、3、5および7の場合、予期したサイズのPCR産物のバンドが確認さ れ、対応する配列がcDNA集団に存在することがわかった。
【0099】 グロブリンおよびデヒドロゲナーゼプライマー(配列番号6および8)のアン
チセンスオリゴヌクレオチドおよび誘導されたオリゴヌクレオチドの配列に対応
する配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCR反応も実施した。上記の試料 1および3に対応する試料中に、予期したサイズのPCR産物が存在することから 、誘導されたオリゴヌクレオチドが組み込まれていたことがわかった。
【0100】 上記の実施例は、完全な5´末端を有するmRNAを富化させる化学的方法の概要 である。完全な5´末端を有するmRNAを得るための化学的アプローチに関するさ らなる詳細は、1996年11月7日に公開された国際出願WO96/34981に開示されて いる。
【0101】 5´キャップ構造に対する上記の化学的修飾に基づいた方法を利用して、cDNA が誘導される起源であるmRNAの5´末端を含むように選択されたcDNAを生成する ことが可能である。このような方法の1つのバージョンでは、上述の通りに、mR
NAの5´末端を修飾する。その後、逆転写反応を実施して、mRNAに相補的なプラ イマーをmRNAの5´末端まで伸長する。mRNAが完全な5´末端を含むcDNA/mRNAヘ
テロ2本鎖の集団を得るために、1本鎖RNAを除去する。このようにして得られ たヘテロ2本鎖を、mRNAの5´末端を誘導するのに使用した分子と相互に作用す ることができる分子で被覆した固相上に捕捉する。その後、ヘテロ2本鎖の鎖を
分離して、mRNAの5´末端を含む1本鎖の第1のcDNA鎖を回収する。次いで、従 来技術を使用して、第2鎖cDNA合成を続行することが可能である。たとえば、WO
96/34981またはCarninci, P.ら、High-Efficiency Full-Length cDNA Cloning
by Biotinylated CAP Trapper. Genomics 37:327-336 (1996)に開示されている
方法を使用して、mRNAのコーディング配列の5´末端から誘導される配列を含むc
DNAを選択することが可能である。
【0102】 オリゴヌクレオチドタグをmRNAの5´キャップに連結した後、逆転写反応を実 施して、mRNAに相補的なプライマーをmRNAの5´末端まで伸長する。このように して得られたヘテロ2本鎖のRNA成分を、標準技術を使用して除去した後、オリ ゴヌクレオチドタグに相補的なプライマーを用いて、第2鎖cDNA合成を実施する 。
【0103】 図1では、cDNAの起源であるmRNAの5´末端を含むように選択されたcDNAを得 るための上記手順をまとめている。
【0104】 B.完全な5´末端を有するmRNAを得るための酵素的方法 cDNAの起源であるmRNAの5´末端まで伸びるcDNAを選択するための他の技術は 、完全に酵素的である。Dumas Milne-Edwards J.B. (Doctoral Thesis of Pari
s VI University, Le clonage des ADNc complets: difficultes et perspectiv
es nouvelles. Apports pour l'etude de la regulation de l'expression de
la tryptophane hydroxylase de rat, 20 Dec. 1993)、欧州特許第625572号お よびKatoら、Construction of a Human Full-Length cDNA Bank. Gene 150:243-
250 (1994)には、これらの技術の幾つかのバージョンが開示されている。
【0105】 簡単に記載すると、このようなアプローチでは、単離されたmRNAをアルカリホ
スファターゼで処理して、非キャップ不完全mRNAの5´末端上に存在するリン酸 基を除去する。この方法に従って、T4ヌクレオチドキナーゼまたはタバコ酸ピロ
ホスファターゼのような脱キャップ酵素を用いて、全長mRNA上に存在するキャッ
プを酵素的に除去する。次いで、3´末端にRNAを有する、DNAオリゴヌクレオチ ドまたはDNA-RNAハイブリッドオリゴヌクレオチドのいずれであってもよいオリ ゴヌクレオチドを、T4RNAリガーゼを使用して、脱キャップしたmRNAの5´末端に
存在するホスフェートに連結する。オリゴヌクレオチドは、合成後のcDNAのクロ
ーニングを促進するために、制限部位を含んでもよい。下記実施例12に、Dumas の博士論文に基づく1つの酵素的方法を説明する。
【0106】 (実施例12)5´ESTを得るための酵素的アプローチ Calf Intestinal Phosphatase(Biolabs)を使用して、20μgのPolyA+RNAを脱
リン酸化した。フェノールクロロホルム抽出後、Tobacco Acid Pyrophosphatase
(Shinshiら、Biochemistry15:2185-2190, 1976に記載の通りに精製された)を
使用してmRNAのキャップ構造を加水分解し、T4RNAリガーゼ(Biolabs)を使用し
て、非リン酸化5´末端を有するヘミ5´DNA/RNA-3´オリゴヌクレオチド、3´ 末端にあるアデノシンリボホスフェートの延長部および5´末端付近のEcoRI部位
を、mRNAの5´P末端に連結した。この方法で使用するのに適したオリゴヌクレオ
チドは、好ましくは、30〜50塩基の長さである。蛍光色素を5´末端に付加する ことにより、非リン酸化5´末端を有するオリゴヌクレオチドを合成することが できる。オリゴヌクレオチドの3´末端にアデノシンリボホスフェートの延長部 を含めると、連結効率が上昇する。オリゴヌクレオチドは、EcoRI以外のクロー ニング部位を含んでもよいことが理解されるであろう。
【0107】 オリゴヌクレオチドを、脱キャップしたmRNAの5´末端に存在するホスフェー トに連結した後、従来の方法、または欧州特許第625,572号およびKatoら、Const
ruction of a Human Full-Length cDNA Bank. Gene 150:243-250 (1994)、およ
びDumas Milne-Edwards(前出)に明記されている方法を使用して、第1の鎖お よび第2の鎖のcDNA合成を実施することが可能である。次いで、このようにして
得られたcDNAを、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d Ed
., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記載されているような技術
を使用して、Katoら、Construction of a Human Full-Length cDNA Bank. Gene
150:243-250(1994)に記載されているようなベクターまたは当業者に周知の他 の核酸ベクターに連結することが可能である。
【0108】 II.5´ESTの特性化 完全な5´末端を有するmRNAを富化するための上記化学的アプローチおよび酵 素的アプローチを使用して、5´ESTを得た。以下の実施例13に記載の通り、先ず
、mRNAを調製した。
【0109】 (実施例13)mRNAの調製 29の異なる組織から誘導された全ヒトRNAまたはPolyA+RNAを、それぞれ、LABI
MOおよびCLONTECHから購入し、下記の通りに、44種のcDNAライブラリーを作成す
るのに使用した。購入したRNAは、酸グアニジウムチオシアネート-フェノール- クロロホルム抽出(Chomczyniski, P and Sacchi, N., Analytical Biochemistr
y 162:156-159, 1987)を使用して、細胞または組織から単離されていた。Aviv
and Leder(Aviv, H. and Leder, P., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:1408-
1412, 1972)により記載されている通りに、リボソームRNAを除去するために、 オリゴdTクロマトグラフィを2回通過させることにより、PolyA+RNAを全RNA(LAB
IMO)から単離した。
【0110】 polyA+の質および完全性を確認した。グロブリンプローブとハイブリダイズし
たノーザンブロットを使用して、mRNAが分解されていないことを確認した。RNA ブロットおよび28SRNAの配列から誘導されたプローブを使用して、リボソーム配
列によるPolyA+mRNAの汚染を確認した。リボソームRNAが5%未満のmRNA調製品 を、ライブラリーの構築に使用した。外因性配列(原核生物または菌類の)によ
って汚染されたRNAを含むライブラリーを構築しないために、PCRを使用して、細
菌の16Sリボソームの配列または2つの高度に発現されたmRNAの存在を試験した 。
【0111】 mRNAの調製後、上で検討した完全な5´末端を有するmRNAを富化するための上 記化学的および/または酵素的方法を使用して、様々な組織から5´ESTを得た。
両アプローチで、オリゴヌクレオチドタグを、mRNAの5´末端のキャップに結合 した。オリゴヌクレオチドタグは、その後のクローニング手順を容易にするため
に、EcoRI部位を中に有していた。
【0112】 化学的方法または酵素的方法のいずれかによってオリゴヌクレオチドタグをmR
NAに結合した後、オリゴヌクレオチドタグに相補的なプローブを使用して、200 〜500ngのmRNAを用いてノーザンブロットを実施することにより、mRNAの完全性 を試験した。
【0113】 (実施例14)完全な5´末端を有するmRNA鋳型を使用したcDNA合成 化学的方法および酵素的方法の両者を使用してオリゴヌクレオチドタグに連結
されたmRNAの場合、ランダムノナマーをプライマーとして使用し、逆転写酵素を
用いて第1の鎖cDNA合成を実施した。この方法の後のステップにおけるcDNAの内
則EcoRI部位の消化を防止するために、メチル化したdCTPを第1の鎖の合成に使 用した。アルカリ加水分解でRNAを除去した後、残留プライマーを除去するため に、イソプロパノールを使用して、cDNAの第1の鎖を沈殿させた。
【0114】 化学的方法の場合も酵素的方法の場合も、次の通りに、実施例12に記載の連結
されたオリゴヌクレオチドの5´末端に対応するプライマーを使用し、Klenowフ ラグメントを用いて、cDNAの第2の鎖を合成した。好ましくは、プライマーは、
20〜25塩基の長さである。cDNAの内則EcoRI部位がクローニング工程中に消化さ れないように、メチル化dCTPを第2の鎖合成にも使用した。
【0115】 cDNA合成後、cDNAを、以下の実施例15に記載されているpBlueScriptにクローニ ングした。
【0116】 (実施例15)cDNAのBlueScriptへの挿入 第2の鎖合成後、cDNAの末端をT4 DNAポリメラーゼ(Biolabs)で平滑化し、c
DNAをEcoRIで消化した。cDNA合成中にメチル化dCTPを使用したため、タグに存在
するEcoRI部位は、ヘミメチル化された部位のみであった。したがって、オリゴ ヌクレオチドタグのEcoRI部位のみが、EcoRI消化を受けやすかった。次いで、排
除クロマトグラフィ(AcA, Biosepra)を使用して、cDNAをサイズ分画した。150
塩基対(bp)より多いcDNAに対応する分画をプールし、エタノール沈殿させた。
ファージミドpBlueScriptベクター(Stratagene)のSmaI末端およびEcoRI末端に
、cDNAを指向的にクローニングした。連結混合物を細菌内にエレクトロポレート
し、適当な抗生物質選択下で増殖させた。
【0117】 以下の実施例16に記載の通り、結合したオリゴヌクレオチドタグを含むクロー
ンを選択した。
【0118】 (実施例16)オリゴヌクレオチドタグが結合したクローンの選択 上述の通りに作成した5'ESTライブラリーを含むプラスミドDNAを精製した(Qi
agen)。次の通りに、タグ付クローンの確実な選択を実施した。簡単に記載する
と、この選択方法では、ファージF1の遺伝子IIエンドヌクレアーゼと、エキソヌ
クレアーゼIIIやT7遺伝子6エキソヌクレアーゼのようなエキソヌクレアーゼとを
併用して、プラスミドDNAを1本鎖DNAに変換した(Changら、Gene 127:95-8,(1
993))。次いで、このようにして得られた1本鎖DNAを、Fryら、Biotechniques
, 13: 124-131(1992)により記載されているような常磁性ビーズを使用して、
精製した。この方法では、1本鎖DNAを、実施例13に記載のオリゴヌクレオチド の3'末端に対応する配列を有するビオチニル化オリゴヌクレオチドとハイブリダ
イズした。プライマーは、20〜25塩基の長さを有することが好ましい。ストレプ
トアビジン被覆磁気ビーズとインキュベーションした後、磁気的に選択すること
により、ビオチニル化オリゴヌクレオチドに相補的な配列を含むクローンを捕捉
した。陽性クローンの捕捉後、プラスミドDNAを磁気ビーズから放出させ、Amers
ham Pharmacia Biotechから得られるThermoSequenaseのようなDNAポリメラーゼ を使用して、2本鎖DNAに変換した。あるいは、GeneTrapperキット(GibcoBRL)
のようなプロトコールを使用してもよい。次いで、2本鎖DNAを細菌内にエレク トロポレートした。ドットブロット分析を使用して、一般に90〜98%の間に位置
づけるための、5'タグオリゴヌクレオチドを有する陽性クローンのパーセンテー
ジを推定した。
【0119】 エレクトロポレーション後、このライブラリーを384微量滴定プレート(MTP)
に並べた。さらなる必要性に備えて、AMTPのコピーを保存した。次いで、このラ
イブラリーを96MTPにトランスファーし、下記の通りに配列決定した。
【0120】 (実施例17)選択されたクローン中の挿入物のシークエンシング 標準SETA-AプライマーおよびSETA-Bプライマー(Genset SA)、AmpliTaqGold (Perkin-Elmer)、dNTP(Boehringer)、緩衝溶液およびPerkin-Elmer Corpora
tionが推奨する循環条件を使用して、PE9600サーモサイクラー(Perkin-Elmer)
を用いたPCRにより、先ず、プラスミド挿入物を増幅した。
【0121】 次いで、自動ABI Prism 377シークエンサー(Perkin Elmer, Applied Biosyst
ems Division, Foster City, CA)を使用して、PCR産物を配列決定した。PE9600
サーモサイクラー(Perkin Elmer)と共に、標準染料プライマー化学薬品および
ThermoSequenase(Amersham Life Science)を使用してシークエンシング反応を
実施した。使用したプライマーは、適宜、T7または21M13(Genset SAから入手可
能)のいずれかであった。プライマーを、JOE、FAM、ROXおよびTAMRA染料で標識
した。シークエンシング反応で使用したdNTPおよびddNTPは、Boehringerから購 入した。シークエンシング緩衝溶液、試薬濃度および循環条件は、Amershamが推
奨した通りであった。
【0122】 シークエンシング反応後、試料をEtOHで沈殿させ、ホルムアミドローディング
緩衝溶液に再懸濁し、標準4%アクリルアミドゲルにローディングした。ABI 37
7シークエンサーを用いて、3000Vで2.5時間、電気泳動を実施し、配列データを 収集し、ABI Prism DNA Sequencing Analysis Software, version 2.1.2を使用 して分析した。
【0123】 上述の通りに作成した44種のcDNAライブラリーの配列データを、独自に開発し
たデータベースに転送し、そこで、品質管理および検認ステップを実施した。独
自に開発した塩基コーラー(base-caller)(「Trace」)は、Unixシステムを使
用して作動し、ピークの形状、ピーク間分離、およびノイズレベルを考慮に入れ
て、疑わしいピークに自動的に付箋をつけた。この独自に開発した塩基コーラー
は、自動トリミングも実施した。4個より多い疑わしいピークを有する、25個以 下の塩基の延長部は、信頼できないと考えて除外した。クローニングベクターま
たは連結オリゴヌクレオチドに対応する配列を、EST配列から自動的に除去した 。しかし、このようにして得られるEST配列は、上記の配列に属する1〜5個の塩 基を、5´末端に含んでもよい。必要であれば、これらを、個々別々に、容易に 除去することができる。
【0124】 その後、その配列を、下記の通りにさらに分析するために、独自に開発したNE
TGENETMデータベースに転送した。
【0125】 上述の通りにシークエンシングした後、保存および操作のために、5´ ESTの 配列を、独自に開発したNETGENETMと呼ばれるデータベースに入力した。コンピ ューターで読み取ってアクセスすることができる任意の媒体で、データを保存し
、且つ操作できることは、当業者に理解できるであろう。コンピューター可読媒
体としては、磁気的可読媒体、光学的可読媒体、または電子的可読媒体が挙げら
れる。たとえば、コンピューター可読媒体は、ハードディスク、フロピーディス
ク、磁気テープ、CD-ROM、RAM、またはROM、ならびに当業者に周知の他のタイプ
の他の媒体であってもよい。
【0126】 さらに、配列データを、様々なデータプロセッサープログラムで様々なフォー
マットに保存し、操作することができる。たとえば、Microsoft WORDやWORDPERF
ECTのような、ワードプロセッシングファイルにおけるテキストとして、あるい は、DB2、SYBASE、またはORACLEのような、当業者に周知の様々なデータベース プログラムにおけるASCIIファイルとして、配列データを保存することができる 。
【0127】 配列情報が保存されるコンピューター可読媒体は、パーソナルコンピューター
、ネットワーク、サーバーまたは当業者に周知の他のコンピューターシステムで
あってもよい。コンピューターまたは他のシステムは、上述の保存媒体、および
配列データをアクセスして操作するためのプロセッサーを含むことが好ましい。
【0128】 いったん、配列データが保存されると、その後は、操作したり、所望の核酸配
列を含むか特定の機能的ドメインを有するタンパク質をコードする、保存された
配列を定位するために検索したりすることが可能である。たとえば、保存された
配列情報を他の既知の配列と比較して、相同性、生物学的機能に関係しているモ
チーフ、または構造モチーフを同定することが可能である。
【0129】 保存された配列を検索または比較するのに使用できるプログラムとしては、Ma
cPattern(EMBL)、BLAST、およびBLAST2プログラムシリーズ(NCBI)、ヌクレ オチド(BLASTN)およびペプチド(BLASTX)比較用の基本的局所的配列検索ツー
ルプログラム(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403(1990))およびFASTA(Pear
son and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444 (1988))などがあ
る。BLASTプログラムは、次に、規定されたマッチおよび非ミスマッチ基準に基 づいて、配列を伸長する。
【0130】 上記プログラムを使用して検出することが可能なモチーフとしては、ロイシン
ジッパーをコードする配列、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフ、グリコシ
ル化部位、ユビキチン化部位、αヘリックス、およびβシート、コードされたタ
ンパク質の分泌を指令するシグナルペプチドをコードするシグナル配列、ホメオ
ボックスのような転写調節に関係している配列、酸性延長部、酵素的活性部位、
基質結合部位、および酵素的切断部位などがある
【0131】 NETGENETMデータベースでcDNAを目的の配列モチーフについて検索する前に、 目的物以外のmRNAから誘導されるcDNAを同定し、以下の実施例18に記載の通り、
さらなる考察から除去した。
【0132】 (実施例18)望まれていない配列のさらなる考察からの除去 望まれていない配列、たとえば、トランスファーRNA、リボソームRNA、ミトコ
ンドリアRNA、原核RNA、菌類RNA、Alu配列、L1配列、または反復配列から誘導さ
れた、NETGENETMデータベースの5´ ESTを、FASTAプログラムおよびBLASTNプロ グラムと表2に記載のパラメーターを使用して同定した。
【0133】 tRNAをコードする5´ ESTをさらなる考察から除去するために、5´ EST配列を
、EMBLリリース38から得られた1190の既知のtRNAの配列と比較した(そのうち10
0はヒトであった)。FASTAを使用して、5´ ESTの両鎖を対象に、比較を実施し た。60を超えるヌクレオチドについて80%を上回る相同性を有する配列をtRNAで
あると同定した。スクリーニングした144,341配列のうち、26配列がtRNAとして 同定され、さらなる考察から除去された。
【0134】 rRNAをコードする5´ ESTをさらなる考察から除去するために、5´ EST配列を
、EMBLリリース38から得られた2497の既知のrRNAの配列と比較した(そのうち73
はヒトであった)。BLASTNを使用して、パラメーターS=108を有する5´ ESTの両
鎖を対象に、比較を実施した。40ヌクレオチドより長い延長部について80%を上
回る相同性を有する配列をrRNAとして同定した。スクリーニングした144,341配 列のうち、3,312配列がrRNAとして同定され、さらなる考察から除去された。
【0135】 mtRNAをコードする5´ ESTをさらなる考察から除去するために、ゲノム配列全
体を入手できる2種の既知のミトコンドリアゲノムの配列、およびtRNA、rRNA、
およびmRNAを含む、これらのミトコンドリアゲノムから転写された合計38配列の
全ての配列と、5´ EST配列を比較した。BLASTNを使用して、パラメーターS=108
を有する5´ ESTの両鎖を対象に、比較を実施した。40ヌクレオチドより長い延 長部について80%を上回る相同性を有する配列をmtRNAとして同定した。スクリ ーニングした144,341配列のうち、6,110配列がmtRNAとして同定され、さらなる 考察から除去された。
【0136】 BLASTNとパラメーターS=144を使用して、5´ EST配列をEMBL細菌門および菌門
のリリース46と比較することにより、外因性汚染が原因であった可能性のある配
列を、さらなる考察から除外した。少なくとも40ヌクレオチドについて90%を上
回る相同性を有する全ての配列を、外因性汚染であると同定した。試験した42種
のcDNAライブラリーのうち、中に含まれる原核配列および菌類配列の平均パーセ
ンテージは、それぞれ、0.2%および0.5%であった。これらの配列の中で、1配
列のみを、菌類特異的配列として同定することができた。その他は、脊椎動物配
列との相同性を有するか、または電子的比較中に除かれなかった反復配列を含む
、菌類配列または原核配列であった。
【0137】 さらに、このような反復配列を含む5´ ESTをさらなる考察から除くために、5
´ ESTを、6093のAlu配列および1115のL1配列と比較した。THE反復およびMER反 復、SSTR配列またはサテライト、ミクロ-サテライト、またはテロマー反復を含 む5´ ESTも、さらなる考察から除去した。平均で、ライブラリーの配列の11.5 %が反復配列を含んでいた。この11.5%のうち、7%がAlu反復を含み、3.3%がL
1反復を含み、残りの1.2%は、スクリーニングした他のタイプの繰り返し配列に
由来していた。これらのパーセンテージは、他のグループにより調製されたcDNA
ライブラリーで確認されたものと一致している。たとえば、AdamsらのcDNAライ ブラリーは、cDNAライブラリーを作成するのに使用されたRNAの起源によって、0
%〜7.4%の間のAlu反復を含んでいた。(Adamsら、Nature 377:174, 1996)。
【0138】 上記のシークエンシング方法の確度を決定するために、望ましくない配列の除
去後に残る5´ ESTの配列を、既知のヒトmRNAの配列と比較した。
【0139】 (実施例19)既知の配列との比較によるシークエンシング確度の測定 上記シークエンシング方法の確度をさらに決定するために、既知の配列から誘
導された5´ ESTの配列を同定し、既知の配列と比較した。先ず、両末端の5bpよ
り短い突出を用いたFASTA分析を、5´ ESTを対象に実施して、公的ヒトmRNAデー
タベースにおける記載事項と一致するものを同定した。次いで、既知のヒトmRNA
と一致した6655の 5´ ESTを、それらの同族mRNAと共に再編成し、動的プログラ
ミングを使用して、認識されるであろう「エラー」のリストに置換、挿入および
欠失を含めた。シークエンシング確度の分析に擬似クローニング部位が含まれな
いために、5´ EST配列の最後の10塩基に存在するエラーを無視した。
【0140】 この分析で、NETGENETMデータベースに組み入れられた配列は、99.5%を上回 る確度を有することが明らかになった。
【0141】 上記選択方法が、対応するmRNAの5´末端を含むcDNAを選択する効率を決定す るために、下記の分析を実施した。
【0142】 (実施例20)5´ EST選択の効率の決定 5´ ESTの起源である、mRNAの5´末端に近い配列を含む上記記載方法で5´ ES
Tを単離する効率を決定するために、延長因子1サブユニット´およびフェリチン
重鎖遺伝子から誘導された5´ ESTの末端の配列を、これらの遺伝子について、 既知のcDNA配列と比較した。延長因子1サブユニット´およびフェリチン重鎖の 転写開始部位は十分に特性化されているため、これらを使用して、真の転写開始
部位を含むこれらの遺伝子が誘導された5´ESTのパーセンテージを決定すること
が可能である。
【0143】 両遺伝子ともに、95%を超えるcDNAが、対応するmRNAの5´末端に近い、また は5´末端より上流の、配列を含んでいた。
【0144】 NETGENETMデータベースに含まれるESTから5´ ESTを単離する方法の信頼性の 分析を拡大するために、比較用のGenBankデータベースリリース97から抽出した ヒトmRNA配列を含むデータベースを使用して、同様の分析を実施した。GeneBank
データベースに含まれる、mRNAから誘導された5´ ESTの場合、その85%超が、 既知の配列の5´末端に近い5´末端を有していた。GenBankデータベースで入手 できるmRNA配列の一部は、ゲノムの配列から推定されるため、これらの配列と一
致する5´末端を、内部一致として数える。したがって、ここで使用される方法 では、対応するmRNAの真の5´末端を含むESTの収率が過少評価される。
【0145】 上で作成したESTライブラリーは、同じmRNAから誘導される多数の5´ ESTを含
んでいた。このような5´ ESTの配列を互いに比較し、各mRNAの最長5´ ESTを同
定した。重複cDNAで連続配列(コンティグ(contig))を組み立てた。次いで、
以下の実施例21に記載の通り、このようにして得られた連続配列を、公的データ
ベースと比較し、既知の配列との類似性を測定した。
【0146】 (実施例21)5´ ESTのクラスター化およびcDNAライブラリーの新規性指数の算出 配列決定された各ESTライブラリーについて、5´末端により、その配列をクラ
スター化した。BLASTN2(直鎖、パラメーターS=107)を用いて、ライブラリーの
各配列を他と比較した。95%同じ塩基を有し且つ各EST 5´末端から10bpより近 くから開始する、少なくとも25bp長の高得点セグメント対(High Scoring Segme
nt Pairs)(HSP)を有するESTを一団にした。クラスター内に存在する最長配列
を、クラスターの代表として使用した。次いで、スーパーコンティグの定義につ
ながる、ライブラリー間の包括的クラスター化を実施した。
【0147】 ESTライブラリー内の新規配列の収率を評価するために、新規性率(NR)を次 のように定義する: NR= 100×(ライブラリー内に存在する新しい独特の配列数
/ライブラリーの配列総数)。一般に、新規性率は、ESTライブラリーを得た組 織によって、10%〜41%の範囲である。ライブラリーの大部分について、新規性
率が20%に達するまで、5´ ESTライブラリーのランダムシークエンシングを遂 行した。
【0148】 上述の通りに特性化した後、以下の実施例22に記載の通りに、潜在的シグナル
配列を担持する5´ ESTを同定するために、NETGENETM内の5´ ESTのコレクショ ンをスクリーニングした。
【0149】 (実施例22)5´ EST中の潜在的シグナル配列の同定 ATGコドンで開始し、且つESTの末端まで伸びる45ヌクレオチドより長い連続し
たオープンリーディングフレーム(ORF)を有する5´ ESTを同定するために、NE
TGENETMデータベース中の5´ ESTをスクリーニングした。NETGENETM内のcDNA配 列のほぼ半分がこのようなORFを含んでいた。これらの5´ ESTのORFを検索し、V
on Heijne, G. A New Method for Predicting Signal Sequence Cleavage Sites
. Nucleic Acids Res.14:4683-4690(1986)に記載されている方法を僅かに改変
して使用し、潜在的シグナルモチーフを同定する。Von Heijneシグナルペプチド
同定マトリックスで少なくとも3.5の得点であった、15アミノ酸長の延長部をコ ードする5´ EST配列を、シグナル配列を有すると考えた。既知のヒトmRNAまた はEST配列と一致し、且つ既知の5´末端から20ヌクレオチドよりも下流に5´末 端を有する5´ ESTを、さらなる分析から除外した。シグナル配列を中に有する 残りのcDNAを、SIGNALTAGTMと呼ばれるデータベースに含めた。
【0150】 シグナル配列を同定するための上記方法の確度を確認するために、実施例23の
分析を実施した。
【0151】 (実施例23)5´ EST中の潜在的シグナル配列の同定確度の確認 シグナルペプチドをコードするシグナル配列を同定するための上記方法を全ヒ
トSwissProtタンパク質の43アミノ末端のアミノ酸に使用することによって、同 方法の確度を評価した。この方法をコンピューター処理した各タンパク質のVon
Heijne得点を、分泌タンパク質または非分泌タンパク質であるタンパク質の既知
の特性化と比較した。この方式で、3.5より高い得点を有する非分泌タンパク質 (擬陽性)の数および3.5より低い得点を有する分泌タンパク質(擬陰性)の数 を算出することができる。
【0152】 分析の結果を使用して、mRNAの5´領域によりコードされるペプチドが、実際 にVon Heijneの得点に基づいた真正のシグナルペプチドである確率を、ヒトタン
パク質の10%が分泌されるという仮定またはヒトタンパク質の20%が分泌される
という仮定のいずれかに基づいて、算出した。この分析結果を図2および図3に
示す。
【0153】 分泌タンパク質を同定する上記方法を使用して、ヒトグルカゴン、γインター
フェロン誘導性モノカイン前駆体、分泌されたシクロフィリン様タンパク質、ヒ
トプレイオトロピン、およびヒトビオチニダーゼ前駆体(その全てが分泌される
ことが判明しているポリペプチドである)の5´ ESTが得られた。このように、 上記方法は、シグナルペプチドをコードする5´ ESTを首尾よく同定した。
【0154】 5´ ESTによりコードされるシグナルペプチドが、シグナルペプチドとして実 際に機能することを確認するために、5´ ESTのシグナル配列を、シグナルペプ チドの同定用に設計されたベクターにクローニングしてもよい。数種のシグナル
ペプチド同定用ベクターは、ベクター中に作動可能に挿入されたシグナル配列を
有する宿主細胞上の選択的媒体中で成長する能力を与えるように設計されている
。たとえば、米国特許第5,536,637号に記載されているもののような、シグナル ペプチド選択ベクター内の非分泌型酵母インベルターゼ遺伝子と共に、5´ EST のシグナル配列を、上流およびフレーム内に挿入して、5´ ESTが真正のシグナ ルペプチドをコードすることを確認することが可能である。中に挿入された5´
ESTに由来するシグナル配列を有するシグナル配列選択ベクターを含む宿主細胞 が成長することにより、5´ ESTが真正のシグナルペプチドをコードすることが 確認される。
【0155】 あるいは、ESTを使用して得られた伸長cDNAを、(下記の)pXT1のような発現 ベクターにクローニングすることによって、あるいは、シグナルペプチドとアッ
セイ可能なレポータータンパク質との間の融合タンパク質をコードするプロモー
ター-シグナル配列-レポーター遺伝子ベクターを構築することによって、シグナ
ルペプチドの存在を確認することができる。これらのベクターを、適当な宿主細
胞、たとえば、COS細胞やNIH 3T3細胞に導入した後、成長媒体を収穫し、分泌タ
ンパク質の存在について分析することが可能である。機能的シグナルペプチドま
たは真の分泌タンパク質をコードするベクターを同定するために、これらの細胞
からの媒体を、シグナル配列または伸長cDNA挿入物が欠如したベクターを含む細
胞からの媒体と比較する。
【0156】 上記実施例22の方法で決定された、シグナルペプチドをコードした5´ ESTを 、それらの既知の配列との相同性に基づいて、さらに4つのカテゴリーに分類し
た。以下の実施例24に、5´ ESTの分類について説明する。
【0157】 (実施例24)シグナルペプチドをコードする5´ ESTの分類 既知の脊椎動物配列のいずれとも、公的に入手可能なEST配列のいずれとも一 致しない配列を有する5´ ESTを、「new」と明示した。SIGNALTAGTMデータベー ス中の配列のうち、少なくとも3.5というVon Heijneの得点を有する947の5´ ES
Tが、このカテゴリーに分類された。
【0158】 脊椎動物配列のいずれとも一致しないが、公的に知られるESTと一致する配列 を有する5´ ESTを、「EST-ext」と明示したが、但し、既知のEST配列は、5´方
向に少なくとも40ヌクレオチド伸長されていた。SIGNALTAGTMデータベース中の 配列のうち、少なくとも3.5というVon Heijneの得点を有する150の5´ ESTが、 このカテゴリーに分類された。
【0159】 脊椎動物配列のいずれとも一致しないが、既知のESTを5´方向に少なくとも40
ヌクレオチド伸長していない公的に知られるESTと一致する配列を有する5´ EST
を、「EST」と明示した。SIGNALTAGTMデータベース中の配列のうち、少なくとも
3.5というVon Heijneの得点を有する599の5´ ESTが、このカテゴリーに分類さ れた。
【0160】 ヒトmRNA配列と一致するが、既知の配列を5´方向に少なくとも40ヌクレオチ ド伸長している5´ESTを、「VERT-ext」と明示した。SIGNALTAGTMデータベース 中の配列のうち、少なくとも3.5というVon Heijneの得点を有する23の5´ ESTが
、このカテゴリーに分類された。このカテゴリーに含まれたのは、ヒトトランス
ロカーゼmRNAの既知の配列を、5´方向に200塩基より多く伸長した5´ESTであっ
た。ヒト腫瘍サプレッサー遺伝子の配列を5´方向に伸長した5´ ESTも同定した
【0161】 図4に、各カテゴリーにおける5´ ESTの分布および所与の最小von Heijne得 点を有する各カテゴリー内の5´EST数を示す。
【0162】 以下の実施例25に記載の通り、各5´ ESTを、その対応するmRNAを入手した起 源である組織に基づいて分類した。
【0163】 (実施例25)発現パターンの分類 図5に、上述の各カテゴリー内の、5´ ESTに対応するmRNAを入手した起源で ある組織を示す。
【0164】 5´ ESTが初めて同定されたcDNAライブラリーが得られた起源である組織によ る5´ ESTの分類に加えて、以下の実施例26に記載の通りに、5´ ESTに対応する
mRNAの空間的発現パターンおよび時間的発現パターン、ならびにそれらの発現レ
ベルを決定することが可能である。さらに詳細に後述する通り、これらのmRNAの
空間的発現パターン、時間的発現パターンおよび発現レベルの特性化は、所望の
空間的または時間的方式で、所望のレベルの遺伝子産物を産生することができる
発現ベクターを構築するのに有用である。
【0165】 さらに、対応するmRNAが疾患状態と関連のある5´ ESTを同定することも可能 である。たとえば、ある特定の疾患は、5´ ESTに対応するmRNAの発現の欠如、 過剰発現、または過少発現に起因する可能性がある。健康な個体から採取した試
料におけるmRNA発現パターンおよび量を、特定の疾患に罹っている個体のものと
比較することによって、疾患の原因である5´ ESTを同定することが可能である 。
【0166】 上記5´ ESTの特性化方法の結果は、(下記の通りに得られる)5´ ESTに隣接
する配列を含む伸長cDNAにも当てはまることが十分に理解されるであろう。EST そのものを特性化するよりむしろ、伸長cDNAが得られるまで特性化を延期したい
場合、伸長cDNAを単離した後、上記特性化方法をその特性化に適用できることも
理解されるであろう。
【0167】 (実施例26)5´ ESTまたは伸長cDNAに対応するmRNAの発現レベルおよび発現パターンの評価 5´ ESTまたは(下記の通りに得られる)伸長cDNAに対応するmRNAの発現レベ ルおよび発現パターンを、国際特許出願第WO97/05277号に記載されているよう な長いプローブとの溶液ハイブリダイゼーションで、分析することが可能である
。簡単に記載すると、特性化すべきmRNAをコードする遺伝子に対応する5´ EST 、伸長cDNA、またはそれらのフラグメントを、バクテリオファージ(T3、T7また
はSP6)RNAポリメラーゼプロモーターのすぐ下流にあるクローニング部位に挿入
して、アンチセンスRNAを生成する。好ましくは、5´ ESTまたは伸長cDNAは、10
0以上のヌクレオチドを有する。修飾されたリボヌクレオチド(すなわち、ビオ チン-UTPおよびDIG-UTP)を含むリボヌクレオチドの存在下で、プラスミドが直 線化され、転写される。過剰の、この2重に標識されたRNAを、溶液中で、目的の
細胞または組織から単離されたmRNAとハイブリダイズする。標準的なストリンジ
ェントな条件(40〜50℃、80%ホルムアミド、0.4 MNaCl緩衝溶液、pH7〜8中 で16時間)で、ハイブリダイゼーションを実施する。1本鎖RNAに特異的なリボ ヌクレアーゼ(すなわち、リボヌクレアーゼCL3、T1、PhyM、U2またはA)で消化
することにより、ハイブリダイズしてないプローブを除去する。ビオチン-UTP修
飾が存在すると、ストレプトアビジンで被覆した微量滴定プレート上に、ハイブ
リッドを捕捉することができる。DIG修飾が存在すると、アルカリホスファター ゼに結合した抗DIG抗体を使用したELISAで、ハイブリッドを検出して定量するこ
とができる。
【0168】 英国特許出願第2,305,241A号に記載されている通り、5´ EST、伸長cDNA、ま たはそれらのフラグメントに、遺伝子発現の連続分析(SAGE)用のヌクレオチド
配列を付け加えることが可能である。この方法では、遺伝子発現パターンを決定
することが望まれる、細胞、組織、生物または他の核酸ソースからcDNAを調製す
る。このようにして得られるcDNAを2つのプールに分ける。ほとんどのcDNAに少
なくとも一度は存在すると思われる認識部位を有する「アンカー酵素」と呼ばれ
る第1の制限エンドヌクレアーゼを用いて、各プール中のcDNAを切断する。スト
レプトアビジン被覆ビーズのような捕捉媒体に結合させることによって、切断さ
れたcDNAの5´または3´最多領域を含むフラグメントを単離する。増幅プライマ
ーと「付加エンドヌクレアーゼ」の内則制限部位とをハイブリダイズするための
第1配列を有する第1のオリゴヌクレオチドリンカーを、第1のプール内の消化 したcDNAに連結する。第2のエンドヌクレアーゼで消化すると、cDNAから短い「
タグ」フラグメントが生成する。
【0169】 増幅プライマーと内則制限部位をハイブリダイズするための第2の配列を有す る第2のオリゴヌクレオチドを、第2のプール内の消化したcDNAに連結する。第
2のプール内のcDNAから誘導される短い「タグ」フラグメントを生成するために
、第2のプール内のcDNAフラグメントを「付加エンドヌクレアーゼ」で消化する
。第1プールおよび第2プールをアンカー酵素で消化することによって得られる 「タグ」と、付加エンドヌクレアーゼとを互いに連結して「ジタグ」を生成する
。一部の実施形態において、ジタグを鎖状化して、2〜200のジタグを含む連結 生成物を生成する。細胞、組織、生物、またはタグが誘導される起源である他の
核酸ソースにおいて、5´ ESTまたは伸長cDNAのいずれが発現するかを決定する ために、タグ配列を決定し、5´ ESTまたは伸長cDNAの配列と比較する。この方 法では、細胞、組織、生物、または他の核酸ソースにおける5´ ESTまたは伸長c
DNAの発現パターンが得られる。
【0170】 アレイを使用して、遺伝子発現の定量分析を実施することも可能である。本明
細書で使用する、用語アレイは、一次元、二次元、または多次元配置の全長cDNA
(すなわち、シグナルペプチドに関するコーディング配列、成熟タンパク質に関
するコーディング配列、および停止コドンを含む伸長cDNA)、全長cDNAの伸長cD
NA、5´ ESTまたはフラグメント、遺伝子発現の特異的検出が可能なほど十分な 長さの伸長cDNA、または5´ ESTを意味する。好ましくは、このフラグメントは 、少なくとも15ヌクレオチドの長さである。さらに好ましくは、このフラグメン
トは、少なくとも100ヌクレオチドの長さである。さらに好ましくは、このフラ グメントは100ヌクレオチドを超す長さである。一部の実施形態において、この フラグメントは、500ヌクレオチドを超す長さであってもよい。
【0171】 たとえば、Schenaら(Science 270:467-470, 1995;Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A. 93:10614-10619, 1996)により記載されているような相補的DNAミクロ
アレイにおいて、全長cDNA、伸長cDNA、5´ EST、またはそれらのフラグメント を用いて、遺伝子発現の定量分析を実施することができる。全長cDNA、伸長cDNA
、5´ ESTまたはそれらのフラグメントをPCRで増幅し、高速ロボットを使用して
、96ウェル微量滴定プレートからシリル化した顕微鏡スライド上に並べる。プリ
ントされたアレイを湿潤なチャンバ−内でインキュベートする。このアレイ要素
を再水和し、0.2%SDS中で1分間1回、水中で1分間2回および水素化ホウ素ナ
トリウム溶液中で5分間1回、すすぐ。このアレイを、95℃で2分間、水中に入
れ、0.2%SDSに1分間移し、水で2回すすぎ、風乾して暗所にて、25℃で保存す
る。
【0172】 細胞または組織mRNAを単離するか、または商業的に入手し、1ラウンドの逆転
写で、プローブを調製する。14×14mmカバーガラス下の1cm2ミクロアレイに、6
0℃で6〜12時間、プローブをハイブリダイズする。低ストリンジェンシー洗浄用
緩衝溶液(1x SSC/0.2% SDS)中、25℃で5分間洗浄し、次いで、高ストリン ジェンシー洗浄用緩衝溶液(0.1 x SSC/0.2% SDS)中、室温で10分間、アレイ
を洗浄する。特注のフィルターセットを取り付けた蛍光性レーザー走査装置を使
用して、0.1 x SSC中でアレイを走査する。2つの独立したハイブリダイゼーシ ョン率の平均を取ることによって、正確な示差発現測定値が得られる。
【0173】 Pietuら(Genome Research 6:492-503, 1996)に記載されているような相補的
DNAアレイにおいて、全長cDNA、伸長cDNA、5´ EST、またはそれらのフラグメン
トを用いて、遺伝子の発現の定量分析を実施することもできる。全長cDNA、伸長
cDNA、5´ ESTまたはそれらのフラグメントはをPCR増幅し、膜上にスポットする
。次いで、様々な組織または細胞に由来するmRNAを放射性ヌクレオチドで標識す
る。制御された条件でのハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、ハイブリダイ
ズしたmRNAをホスホイメージングまたはオートラジオグラフィーで検出する。二
重の実験を実施し、次いでおよび示差的に発現したmRNAを定量分析する。
【0174】 あるいは、Lockhartら、Nature Biotechnology 14: 1675-1680, 1996およびSo
snowskyら、Proc. Natl. Acad. Sci. 94:1119-1123, 1997により記載されている
通り、高密度ヌクレオチドアレイによって、5´ ESTまたは伸長cDNAの発現分析 を実施することができる。5´ EST伸長cDNAの配列に対応する15〜50ヌクレオチ ドのオリゴヌクレオチドをチップ上で直接合成する(Lockhartら、前出)か、合
成してからチップに処理する(Sosnowskiら、前出)。オリゴヌクレオチドは、 約20ヌクレオチドの長さが好ましい。
【0175】 適当な化合物、たとえば、ビオチン、ジゴキシゲニンまたは蛍光染料で標識し
たcDNAプローブを、適当なmRNA集団から合成し、次いで、50〜100ヌクレオチド の平均サイズまで、無作為にフラグメント化する。次に、前述のプローブをチッ
プとハイブリダイズする。Lockhartら、(前出)に記載されている通りに洗浄し
、異なる電場を印加した(Sosnowskyら、Proc. Natl. Acad. Sci. 94:1119-112
3)後、染料または標識化合物を検出し、定量する。二重のハイブリダイゼーシ ョンを実施する。異なるcDNA試料中の同一標的オリゴヌクレオチド上のcDNAプロ
ーブに由来するシグナルの比較分析から、オリゴヌクレオチド配列が設計される
もととなった5´ ESTまたは伸長cDNAに対応するmRNAの示差的発現がわかる。
【0176】 III.伸長cDNAのクローニングおよび対応するゲノムDNAのクローニングのための
5´ ESTの使用 上述の手順を使用して、いったん、対応するmRNAの5´末端を含む5´ ESTを選
択するとその後は、それらを使用して、5´ ESTに隣接する配列を含む伸長cDNA を単離することができる。この伸長cDNAは、真の翻訳開始部位、シグナル配列、
およびシグナルペプチドの切断後に残る成熟タンパク質をコードする配列を含め
、対応するmRNAによりコードされるタンパク質の全コーディング配列を含有して
もよい。このような伸長cDNAを、本明細書で「全長cDNA」と呼ぶ。あるいは、伸
長cDNAは、シグナルペプチドの切断後に残る成熟タンパク質をコードする配列の
みを含んでもよく、シグナルペプチドをコードする配列のみを含んでもよい。
【0177】 以下の実施例27に、伸長cDNAを得るための一般的な方法を説明する。以下の実
施例28に、数種の分泌タンパク質に関する全コーディング配列および対応するmR
NAの真の5´末端を含む伸長cDNAを含む、数種の伸長cDNAのクローニングおよび シークエンシングについて説明する。
【0178】 実施例27、28、および 29の方法を使用して、5´ ESTに対応する遺伝子により
コードされる分泌タンパク質の全コーディング配列より少ない配列をコードする
伸長cDNAを得ることができる。一部の実施形態では、これらの方法を使用して単
離される伸長cDNAは、配列番号40〜140および242〜377の配列によってコードさ れるタンパク質類のうちの1タンパク質の少なくとも10アミノ酸をコードする。
さらなる実施形態では、伸長cDNAは、配列番号40〜140および242〜377の配列に よりコードされるタンパク質の少なくとも20アミノ酸をコードする。さらなる実
施形態では、伸長cDNAは、伸長cDNAは、配列番号40〜140および242〜377の配列 の少なくとも30アミノ酸をコードする。好ましい実施形態では、配列番号40〜14
0および242〜377のタンパク質コーディング配列を含む全長タンパク質配列をコ ードする。
【0179】 (実施例 27 )全コード領域および対応するmRNAの真の5´末端を含む伸長cDNAのクローニング および配列決定に5´ ESTを使用するための一般的な方法 伸長cDNAの取得に使用される5' ESTの配列に隣接する配列を含む伸長cDNAを迅
速且つ能率的に単離するのに、下記の一般的な方法が使用されている。この方法
は、分泌タンパク質をコードする5' ESTを含め、NetGeneTM データベース中の任
意の5' EST に関する伸長cDNAを取得するのに使用することができる。その方法 を、図 6にまとめる。
【0180】1.伸長cDNAの取得 a)第1鎖の合成 本方法は、mRNAの既知の5'配列を利用する。mRNAの3'末端に対応するcDNAの末
端に既知の配列を付加することが可能な、5'末端に49ヌクレオチド配列を含むポ
リ14dTプライマーを用いて、精製mRNAに逆転写反応を実施する。たとえば、その
プライマーは、次の配列: 5'-ATC GTT GAG ACT CGT ACC AGC AGA GTC ACG AGA
GAG ACT ACA CGG TAC TGG TTT TTT TTT TTT TTVN -3' (配列番号14)を有して いてもよい。当業者は、その他の配列も配ポリdT配列に付加して、第1鎖合成を 開始するために使用できることを理解するであろう。このプライマーと、Supers
criptII(GibcoBRL)やRNase H Minus M-MLV(Promega)酵素のような逆転写酵 素とを使用して、RNAの3'ポリA部位に固定された逆転写物を生成する。
【0181】 第1のcDNA鎖とハイブリダイズしたmRNAをアルカリ加水分解で除去した後、ア
ルカリ加水分解の生成物および残留ポリdTプライマーを、実施例11で説明した、
AcA34(Biosepra)マトリックスのような排除カラムで除去する。
【0182】 b)第2鎖の合成 5' ESTの既知の5'配列および第1鎖の合成に使用したポリdTプライマーによっ
て付加された既知の3'末端に基づいて、各末端の一対のネステッドプライマー(
nested primer)を設計する。プライマーの設計に使用されるソフトウエアは、 たとえば、OSPフトウエア(Illier and Green, PCR Meth. Appl. 1:124-128, 19
91)のような、GC含有量およびオリゴヌクレオチドの融解温度に基づくか、たと
えば、PC-Rare(http://bioinformatics.weizmann.ac.il/software/PC-Rare
/doc/manuel.html)のような、オクタマー頻度相違法(Griffaisら、Nucleic
Acids Res. 19: 3887-3891, 1991)のいずれかに基づく。
【0183】 5'末端のネステッドプライマーは、互いに4〜9塩基離れていることが好まし
い。PCRで使用するのに適した融解温度および特性を有するように、5'プライマ ー配列を選択することが可能である。
【0184】 3'末端のネステッドプライマーは、互いに4〜9塩基離れていることが好まし
い。たとえば、ネステッド3'プライマーは、次の配列:(5'- CCA GCA GAG TCA
CGA GAG AGA CTA CAC GG -3'(配列番号15)、および 5'- CAC GAG AGA GAC TAC
ACG GTA CTG G -3' (配列番号16)を有していてもよい。これらのプライマー は、それらをPCRで使用するのに適した融解温度および特性を有するため、選択 した。しかし、当業者は、その他の配列もプライマーとして使用できることを十
分に理解するであろう。
【0185】 Advantage Tth Polymerase Mix(Clontech)およびネステッドプライマー対の
それぞれに由来する外側プライマーを使用して、第1の25サイクルのPCRを実施 する。第1のPCR産物の1/2500に対して、同じ酵素およびネステッドプライマー
対のそれぞれに由来する内側プライマーを使用した第2の20サイクルのPCRを実 施する。その後、プライマーおよびヌクレオチドを除去する。
【0186】 2. 全長伸長cDNAまたはそのフラグメントのシークエンシング OSPソフトウエアを使用した、PCR用に適合する5’ネステッドプライマーのデ ザインに対する位置の制約がないため、2つのタイプのアンプリコンがえられる
。第2の5’プライマーは、翻訳開始コドンの上流に位置し、したがって、コー ディング配列全体を含むネステッド(nested)PCR産物が生成することが好まし い。このような全長伸長cDNAには、セクションaに記載の直接クローニング方法
を実施する。しかし、第2の5’プライマーが翻訳開始コドンの下流に位置し、 その結果、ORFの一部のみを含むPCR産物が生成する場合もある。このような不完
全なPCR産物を、セクションbに記載の改良された方法に供する。
【0187】 a)完全なORFを含むネステッドPCR産物 結果として得られるネステッドPCR産物が、5’ EST配列から予期される完全な
コーディング配列を含むとき、セクション3に記載の通り、そのPCR産物を、pED6
dpc2のような適当なベクターでクローニングする。
【0188】 b)不完全なORFを含むネステッドPCR産物 アンプリコンが完全なコーディング配列を含まないとき、完全なコーディング
配列と、全コーディング配列を含むPCR産物の両者を得るための中間ステップが 必要である。次のセクションで説明する通り、異なるPCR産物から直接決定され る数個の部分的配列から、完全なコーディング配列を組み立てることができる。
【0189】 いったん、全コーディング配列が完全に決定されるとその後は、コード領域全
体を含むアンプリコンを得るために、PCR用に適合する新しいプライマーを設計 する。しかし、そのような場合、PCR用に適合する3’プライマーは、対応するmR
NAの3’ UTRの内側に位置し、したがって、図6に図示する通り、この領域の一 部(すなわち、ポリA区域および時にはポリアデニル化シグナル)が欠如したア ンプリコンが生成する。次いで、セクション3に記載の通り、このような全長伸
長cDNAを適当なベクターにクローニングする。
【0190】 c)伸長cDNAのシークエンシング Perkin Elmerから入手可能なAmpliTaq DNA Polymerase FS キットを用いたDie
Terminator法を使用して、伸長cDNAのシークエンシングを実施する。
【0191】 PCRフラグメントの配列を決定するために、プライマーを選択するためのOSPの
ようなソフトウエア、および32ヌクレオチドの最小限の重複を使用した最初の5 ’タグを含む歩行配列のコンティグ(contig)を構築するためのASMG(Suttonら
、Genome Science Technol. 1: 9-19, 1995)のような自動化コンピューターソ
フトウエアを使用して、プライマー歩行を実施する。全長cDNAの配列が得られる
までプライマー歩行を実施することが好ましい。
【0192】 所定の伸長cDNAフラグメントのシークエンシングの完了を、下記の通りに査定
する。非クローニング生成物の場合には、ポリA区域の後に位置する配列を精確 に決定することが困難なため、事例bに記載の通りに得られた伸長cDNA中にポリ
A区域が同定されたとき、PCR産物に関するシークエンシングおよびプライマー歩
行法を中断する。配列の長さを、上述の通りに得られたネステッドPCR産物のサ イズと比較する。ゲル電気泳動法によるPCR産物サイズの決定の確度には限界が あるため、得られた配列のサイズが、第1のネステッドPCR産物のサイズ少なく とも70%であれば、配列は完全であると考えられる。コンピューター分析で決定
された配列の長さが、ネステッドPCR産物の長さの少なくとも70%でなければ、 これらのPCR産物をクローニングして、挿入物の配列を決定する。ノーザンブロ ットデータを入手できるとき、所与のPCR産物に関して検出されたmRNAのサイズ を使用して、配列が完全であることを最終的に査定する。上の基準を満たさない
配列を棄てて、新しい単離方法に供する。
【0193】 次いで、全ての伸長cDNA配列データを、独自に開発したデータベースに転送し
、そこで、実施例15に記載の通りに、品質管理ステップおよび検認ステップを実
施する。
【0194】 3.全長伸長cDNAのクローニング 次いで、全コーディング配列Tを含むPCR産物を、適当なベクターでクローニン
グする。たとえば、下記の通りに、伸長cDNAを発現ベクターpED6dpc2(Discover
Ease, Genetics Institute, Cambridge, MA)にクローニングすることができる 。pED6dpc2の構造を図7に示す。EcoRI消化に続いて充填反応を実施することによ
って、平滑末端を有するpED6dpc2ベクターDNAを調製する。平滑末端を有するベ クターを脱リン酸化する。PCRプライマーを除去し、エタノール沈殿した後、上 述の通り得られた全コーディング配列または伸長cDNAを含むPCR産物をキナーゼ でリン酸化し、続いて、フェノール-Sevag抽出および沈殿によって除去する。次
いで、2本鎖伸長cDNAをベクターに連結し、得られた発現プラスミドを適当な宿
主細胞に導入する。
【0195】 上述の通りに得られたPCR産物は、いずれの方向にもクローニングすることが できる平滑末端を有する分子であるため、各PCR産物について、幾つかのクロー ンの配向性を決定する。次いで、4〜10個のクローンを微量滴定プレートに並べ
、クローニング部位付近のベクターに位置する第1のプライマーおよびmRNAの3'
末端に対応する伸長cDNAの一部に位置する第2のプライマーを使用したPCR反応 に供する。この第2プライマーは、直接クローニング(事例a)の場合には、ア
ンカード(anchored)PCRに使用されるアチセンスプライマーであってもよく、 間接クローニング(事例b)の場合には、3’UTRの内側に位置するアチセンスプ
ライマーであってもよい。伸長cDNAによりコードされるタンパク質が発現できる
ように、伸長cDNAの出発コドンがベクターのプロモーターに作動可能に連結され
ているクローンを保存し、配列決定する。cDNA挿入物の末端に加えて、cDNA挿入
物の各側のベクターDNAの約50bpも、配列決定する。
【0196】 次いで、前述の方法に従って、クローン化PCR産物を完全に配列決定する。こ の場合、非クローン化PCR産物については、プライマー歩行中に既にコンティグ 化されている(ontigated)歩行配列を用いて、長いフラグメントのコンティグ 組み立てを実施する。結果として得られるコンティグが、全コード領域ならびに
両端にベクターDNAを有する重複配列を含むとき、クローン化アンプリコンのシ ークエンシングは完全である。
【0197】 4.全長伸長cDNAのコンピューター分析 次いで、全ての全長伸長cDNAの配列を、下記の通りに、且つ表1に記載されて
いるパラメーターおよび下記の改変を使用して、さらなる分析に供する。Genban
kの種々雑多の下位分類のスクリーニングの場合、BLASTNの代わりにFASTAを使用
し、17ヌクレオチドの代わりに、15ヌクレオチドの相同性が限界であった。Alu 検出の場合、次のパラメーター(S=72;同一性=70%; および長さ=40ヌクレ
オチド)と共に、BLASTNを使用した。5' ESTに関しては検索しなかったポリアデ
ニル化シグナルおよびポリAテールを検索した。ポリアデニル化シグナル検出の 場合、ポリAの5'末端の前の最後の10ヌクレオチドにおいて、ミスマッチを1つ 許容して、シグナル(AATAAA)を検出した。ポリAの場合、以下のパラメーター (W=6、S=10、E=1000、および同一性=90%)を有するセンス鎖でBLAST2
Nを使用して、配列の最後の20ヌクレオチドにおける8アミノ酸の延長部を検索し
た。最後に、それぞれ、GenSEQ(Derwentの特許権を受けたヌクレオチド配列の データベース)に対してはBLASTNおよびBLASTPを使用し、以下のパラメーター(
W=8およびB=10)を有するORFに対してはSWISSPROTを使用して、特許を受け
た配列およびORF相同性を検索した。伸長された全長cDNAを目的の配列について 調査する前に、目的物以外の伸長cDNAを以下の通りに検索する。
【0198】 a)望まれていない配列の除去 実施例18に記載されている通りに、汚染物質配列を除去するために、5’ EST を照査したが、ベクターRNA、トランスファーRNA、リボソームrRNA、ミトコンド
リアRNA、原核生物RNAおよび菌類RNAのような、望まれていない配列から誘導さ れた伸長cDNA配列を同定するために、下記の通りに、伸長cDNAの両鎖に対してFA
STAおよびBLASTNプログラムを使用して、最後の確認を実施した。
【0199】 ベクターRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、FASTAプログラムを使用
して、伸長cDNAをベクターRNAの既知の配列と比較する。15ヌクレオチドのスト レッチについて、90%を上回る相同性を有する伸長cDNAの配列を、ベクターRNA として同定する。
【0200】 tRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、伸長cDNA配列を、EMBLリリース
38から得られた1190の既知のtRNAの配列と比較した(そのうち、100がヒトであ った)。FASTAを使用して、60ヌクレオチドに関して80%を上回る相同性を有す る伸長cDNAの配列を、tRNAとして同定した。
【0201】 rRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、伸長cDNA配列を、EMBLリリース
38から得られた2497の既知のrRNAの配列と比較した(そのうち73はヒトであった
)。BLASTNを使用して、40ヌクレオチドより長いストレッチに関して80%を上回
る相同性を有する伸長cDNAの配列を、rRNAとして同定した。
【0202】 mtRNAをコードする伸長cDNAを同定するために、ゲノム配列全体を入手できる 2種の既知のミトコンドリアゲノムの配列、およびtRNA、rRNA、およびmRNAを含
む、これらのミトコンドリアゲノムから転写された合計38配列の全ての配列と、
5´EST配列を比較した。BLASTNを使用して、40ヌクレオチドより長いストレッチ
に関して80%を上回る相同性を有する伸長cDNAの配列を、mtRNAとして同定した 。
【0203】 伸長cDNA配列を、Genbank細菌門および真菌門のリリース105と比較することに
より、その他の外因性汚染物質が原因であった可能性がある配列を同定した。BL
ASTNを使用して、40ヌクレオチドに関して90%を上回る相同性を有する伸長cDNA
の配列を、外因性原核汚染物質または真菌汚染物質として同定した。
【0204】 さらに、Alu配列、L1配列、THE反復、MER反復、SSTR配列またはサテライト、 ミクロ-サテライト、またはテロマー反復を含む、異なる反復配列について、伸 長cDNAを検索した。BLASTNを使用して、40ヌクレオチド延長部に関して70%を上
回る相同性を有する伸長cDNAの配列を反復配列として同定し、さらなる同定方法
においてマスキングした。さらに、反復との広範な相同性を示す、すなわち、相
同性が少なくとも75%であった場合は50ヌクレオチドを上回るか、または相同性
が少なくとも85%であった場合は40ヌクレオチドを上回るか、または相同性が少
なくとも90%であった場合は30ヌクレオチドを上回るかのいずれかが一致するク
ローンに付箋をつけた。
【0205】 b)構造的特徴の同定 次に、全長伸長cDNAの配列の構造的特徴、たとえば、ポリAテールおよびポリ アデニル化シグナルを、次の通りに決定する。
【0206】 ポリAテイルは、せいぜい1個の代替塩基を中に含む、Aが少なくとも11個の ホモポリマーストレッチであると定義される。ポリAテイル検索は、配列の最後 の20ヌクレオチド(nt)に制限され、11個連続したAのストレッチに限定される
が、それは、このようなポリAストレッチの後は、しばしばシークエンシング反 応を読み取ることができないためである。6ヌクレオチドに関して100%の相同性
を有するストレッチをポリAテイルとして同定する。
【0207】 ポリアデニル化シグナルについて検索するために、全長配列からポリAテイル を切り取る。1つのミスマッチが、ポリアデニル化シグナルの正規の配列におけ
る可能なシークエンシングエラーおよび変化の原因であることを容認しながら、
ポリAテイルの前の50bpを、正規のポリアデニル化AAUAAAシグナルについて検索 する。
【0208】 c)機能的特徴の同定 次に、全長伸長cDNAの配列の機能的特徴、たとえば、ORFおよびシグナル配列 を、下記の通りに決定した。
【0209】 翻訳開始コドンで始まり、停止コドンで終わる最長フラグメントであると定義
されるORFについて、伸長cDNAの上位ストランドフレーム3つを検索する。少な くとも20アミノ酸をコードするORFが好ましい。
【0210】 von Heijneのマトリックス方法(Nuc. Acids Res. 14: 4683-4690(1986))
および実施例22に記載の改変法を使用して、最初の50アミノ酸中の、あるいは、
しかるべき場合には、ORFのアミノ酸20個以下までのより短い領域内の、シグナ ルペプチドの有無について、確認された各ORFを走査する。
【0211】 d)ヌクレオチド配列またはタンパク質配列のいずれかとの相同性 次いで、全長伸長cDNAの配列を、ヌクレオチドベースまたはタンパク質ベース
で、既知の配列と比較する。
【0212】 全長伸長cDNAの配列を下記の既知の核酸配列と比較する:脊椎動物配列(Genb
ankリリース#GB)、EST配列(Genbankリリース#GB)、特許を受けた配列(Gense
qnリリースGSEQ)および提出時に入手可能な、最近同定された配列(Genbankデ ーリーリリース)。出願者により既に同定されている配列を発見するために、全
長cDNA配列を、私的なデータベース(Genset内則配列)の配列とも比較する。表
2に示す通り、BLASTNまたはBLAST2Nのいずれかを使用して、30ヌクレオチドに ついて90%を上回る相同性を有する全長伸長cDNAの配列は、既に記述されている
配列として認定される。次いで、FASTAを使用して、一致(matching)する脊椎 動物配列を試験する;30ヌクレオチドについて、70%を上回る相同性を有する全
長伸長cDNAは、既に記述されている配列として認定される。
【0213】 次いで、BLASTPとパラメーターW=8を使用し、且つ最大10の一致を認めて、セ クションc)に規定されているような、全長伸長cDNAによりコードされるORFを 、SwissprotリリースCHP、PIRリリースPIR#およびGenpeptリリースGPEPT公的デ ータベースに存在する既知のアミノ酸配列と比較する。既知のタンパク質配列と
の広範な相同性を示す全長伸長cDNAの配列は、既に同定されたタンパク質とみな
される。
【0214】 さらに、BLASTXとパラメーターE=0.001を使用して、全長伸長cDNAの最上鎖の
3フレーム概念的翻訳生成物を、Swissprotの公式に知られているアミノ酸配列 と比較する。30アミノ酸延長部について、70%を上回る相同性を有する全長伸長
cDNAの配列は、既に同定されたタンパク質として検出される。
【0215】 5.本発明のクローン化全長配列の選択 次いで、目的の配列を含む全長伸長cDNAを予め選択するために、前述のコンピ
ューター分析で既に特性化されているクローン化全長伸長cDNA配列を、自動式の
方法に供する。
【0216】 a)自動式配列予備選択 ベクター向けに、両端で切り取った全ての完全なクローン化全長伸長cDNAを考
える。第1に、汚染物質またはPCR人工物のいずれかから生じる望まれていないク
ローン化配列を除去するために、下記の通りに、否定的選択を施す。汚染物質配
列と一致する配列、ベクターRNA、tRNA、mtRNA、rRNA配列、ならびに、セクショ
ン4a)に規定したような、反復との広範な相同性を示すORF配列をコードするも のを除く。5’および3’タグ上のネステッドプライマーを使用した直接クローニ
ングで得られる(セクション1事例a)が、ポリAテイルが欠如している配列を 除いた。シグナルペプチドを含有し、且つポリAテイルの前か(事例a)、また はクローン化3’ UTRの末端の前(事例b)のいずれかで終わるORFのみを保存す
る。次いで、サイズが20アミノ酸未満であるか、または未成熟タンパク質サイズ
が25%未満である成熟タンパク質のようなありそうもない成熟タンパク質を含む
ORFを排除する。
【0217】 OFRを選択する際に、シグナルタグ特許(SignalTag Patents)(米国特許出願
番号08/905,223;08/905,135;08/905,051;08/905,144;08/905,279;08 /904,468;08/905,134;および08/905,133)に記載されているポリペプチド に対応するORFおよびフレームを優先する。SignalTag Patentに記載されているO
FRの中に、そのORFが発見されなかった場合、実施例22に記載されているVon Hei
jne方法による最高得点を有するシグナルペプチドをコードするORFを選択した。
得点が同じで場合、最長のORFを選択した。
【0218】 次いで、反復配列のマスキング後にBLASTを用いて、全長伸長cDNAクローンの 配列を対で比較する。30ヌクレオチドについて少なくとも90%の相同性を含む配
列を、同じクラス内に集める。次いで、各クラスターを、内則プライミングまた
は代替スプライシングにより生じる配列、同一配列、または幾つかのフレームシ
フト突然変異を含む配列を検出するクラスター分析に供する。この自動分析は、
配列の手動式選択の基礎として使用できる。
【0219】 b)手動式配列選択 配列決定された各全長伸長cDNAクローンに関する、自動的に作成されたレポー
トを使用して、手動式選択を実施する。この手動式方法中に、下記の通りに、同
一クラスに属するクローンの間で選択を行う。同一クラスに属するクローンによ
りコードされるORF配列を並べて比較する。同一クラスに属するクローンのヌク レオチド配列間の相同性が、30ヌクレオチド延長部について90%を上回る場合、
または同一クラスに属するクローンのアミノ酸配列の相同性が、20アミノ酸延長
部について80%を上回る場合、そのクローンは同じであると考えられる。選択さ
れるORFは、下記の基準による最良のものである。ヌクレオチド相同性およびア ミノ酸相同性が、それぞれ、90%未満および80%未満の場合、そのクローンは、
目的の配列を含むのであれば、共に選択され得る異なるタンパク質をコードする
と言われる。
【0220】 下記の基準を使用して、目的の配列をコードする全長伸長cDNAクローンの選択
を実施する。構造パラメーター(最初のタグ、ポリアデニル化部位およびシグナ
ル)を最初に照査する。次いで、クローン配列が既知の核酸/タンパク質配列と
一致するかどうかを決定するために、既知の核酸およびタンパク質との相同性を
調査し、後者の場合、その被覆率(coveringrate)および配列が公表された日付
を調査する。ESTまたはゲノムDNA以外の配列との広範な一致がみられない場合、
または、そのクローン配列が、既知のタンパク質に関するmRNAの代替スライスに
より生じるタンパク質をコードするなど、十分な新情報を担持する場合、その配
列を保存する。目的の配列を含む、このようなクローン化全長伸長cDNAの例を実
施例28に記載する。この方法の間に、他の配列との相同性によって査定されるよ
うな、キメラまたは二重の挿入物から生じる配列が除かれる。
【0221】 (実施例28)伸長cDNAのクローニングおよびシークエンシング 上の実施例27に記載の方法を使用して、本発明の伸長cDNAを得た。このアプロ
ーチを使用して、配列番号17全長cDNAを得た。このcDNAは、上述の「EST-ext」 カテゴリーに入り、von Heijne得点が8.2のシグナルペプチドMKKVLLLITAILAVAVG
(配列番号18)をコードする。
【0222】 この方法を使用して、配列番号49 の全長cDNAも得た。このcDNAは、上述の「
EST-ext」カテゴリーに入り、von Heijne得点が5.5のシグナルペプチドMWWFQQGL
SFLPSALVIWTSA (配列番号20)をコードする。
【0223】 上述の方法を使用して得られた別の全長cDNAは、配列番号21の配列を有する。
このcDNAは、上述の「EST-ext」カテゴリーに入り、von Heijne得点が5.9のシグ
ナルペプチドMVLTTLPSANSANSPVNMPTTGPNSLSYASSALSPCLT(配列番号22)をコード
する。
【0224】 上記方法を使用して、配列番号23の配列を有する全長cDNAも得た。このcDNAは
、上述の「EST-ext」カテゴリーに入り、von Heijne得点が5.5のシグナルペプチ
ドILSTVTALTFAXA (配列番号24)をコードする。
【0225】 この方法を使用して、配列番号25の全長cDNAも得た。このcDNAは、上述の「ne
w」カテゴリーに入り、von Heijne得点が10.1のシグナルペプチドLVLTLCTLPLAVA
(配列番号26)をコードする。
【0226】 この方法を使用して、配列番号27の全長cDNAも得た。このcDNAは、上述の「ne
w」カテゴリーに入り、von Heijne得点が10.7のシグナルペプチドLWLLFFLVTAIHA
(配列番号28)をコードする。
【0227】 上の諸方法を使用して、本発明の伸長cDNAも得た。上述の通りに、様々な組織
で発現した5´ ESTを得た。添付の配列表に、伸長cDNAを得た起源である組織を 示す。伸長cDNAは、配列表に記載されている組織以外の組織でも発現できること
が、十分に理解されるであろう。
【0228】 上述の通りに得られた5´ ESTを使用して、配列番号40〜140および242〜377の
配列を有する伸長cDNAを得た。本発明の伸長cDNA配列番号、全コーディング配列
の配列番号40〜140および242〜377における位置(すなわち、表4の項目FCSの位
置の下に記載されている、シグナルペプチドおよび成熟タンパク質の両者をコー
ドするヌクレオチド)、シグナルペプチドをコードするヌクレオチドの配列番号
40〜140および242〜377における位置(表4の項目SigPepの位置の下に記載され ている)、シグナルペプチドの切断により生成する成熟タンパク質をコードする
ヌクレオチドの配列番号40〜140および242〜377における位置(表4の項目成熟 ポリペプチドの位置の下に記載されている)、配列番号40〜140および242〜377 における停止コドンの位置(表4の項目停止コドンの位置の下に記載されている
)、ポリAシグナルの配列番号40〜140および242〜377における位置(表4の項目
ポリAシグナルの位置の下に記載されている)およびポリA部位の位置(表4の項
目ポリA部位の先頭の位置の下に記載されている)を、表4に示す。
【0229】 既知の構造または機能的モチーフの有無について、またはタンパク質ファミリ
ーの構成員の中に首尾よく保存されている小さいアミノ酸配列であるシグネチャ
ーの有無について、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドをスクリーニング
した。保存された領域を使用して、PROSITEデータバンク、特に、ファイルprosi
te.dat(http://expasy.hcuge.ch/sprot/prosite.htmlにある、1995年11月
のリリース13.0)に含まれるコンセンサスパターンまたはマトリックスを誘導し
た。Prosite_convertおよびprosite_scanプログラム(http://ulrec3.unil.c
h/ftpserveur/prosite_scan) を使用して、伸長cDNA上のシグネチャーを見つ
けた。
【0230】 データバンクSWISSPROTに含まれるヒト分泌タンパク質の集団に関する的外れ のヒットの頻度を評価することにより、prosite.datファイルのprosite_convert
プログラムで得られる各パターンについて、新たなタンパク質配列における検出
確度の試験が行われている。シャッフルド(shuffled)タンパク質(ウインドウ
サイズが20アミノ酸)に関するヒット数と、生来の(非シャッフルド)タンパク
質に関するヒット数との間の比率を指標として使用した。prosite_scanを用いた
検索中に、その比率が20%(生来のタンパク質に関するヒット5件に対してシャ
ッフルドタンパク質に関するヒット1件)を超えたあらゆるパターンを省いた。
タンパク質配列をシャッフルするのに使用されるプログラム(db_shuffled)お よびプログラム、ならびにタンパク質データバンク中の各パターンに関する統計
学の決定に使用されるプログラム(prosite_statistics)は、ftpサイトhttp: //ulrec3.unil.ch/ftpserveur/prosite_scan.で利用できる。
【0231】 表5は、配列番号141〜241および378〜513のポリペプチドの配列番号、全長ポ
リペプチドにおける配列番号141〜241および378〜513のアミノ酸残基の存在位置
(第2列)、シグナルペプチドにおける配列番号141〜241および378〜513のアミ
ノ酸残基の存在位置(第3列)、シグナルペプチドの切断によって作製される成
熟ポリペプチドにおける配列番号141〜241および378〜513のアミノ酸残基の存在
位置(第4列)を示す。
【0232】 配列番号40〜140および242〜377の配列のヌクレオチド配列、および配列番号4
0〜140および242〜377によりコードされるアミノ酸配列(すなわち、配列番号14
1〜241および378〜513のアミノ酸配列)を添付の配列表に示す。場合によっては
、配列は予備的であり、若干の不正確な配列または曖昧な配列またはアミノ酸を
含む可能性もある。配列番号40〜140および242〜377の配列を、その中のエラー について容易にスクリーニングすることができ、このようなエラーまたは曖昧性
を両鎖に含むフラグメントをシークエンシングしなおすことにより、配列曖昧性
を解消することができる。シークエンシングエラーまたは曖昧性を解消するため
の核酸フラグメントは、寄託されたクローンから得ることが可能であり、あるい
は、本明細書に記載されている技術を使用して単離することができる。曖昧なま
たは誤った配列の付近に位置する配列とハイブリダイズするプライマーを使用す
ることにより、このような曖昧性またはエラーの解消を促進することができる。
たとえば、このプライマーを曖昧性またはエラーの50〜75塩基内の配列とハイブ
リダイズすることが可能である。エラーまたは曖昧性を解消すると、エラーまた
は曖昧性を含むDNAによりコードされるタンパク質配列において、対応する修正 を行うことができる。たとえば、本発明の配列において、配列番号131の配列に おける曖昧性を解消した。適当な宿主細胞におけるクローンの発現、タンパク質
を回収すること、およびその配列を決定することにより、特定のクローンにより
コードされるタンパク質のアミノ酸配列も決定することができる。
【0233】 本出願者らは、各アミノ酸配列について、提出の時点で入手できる配列情報を
用いて、最もよく同定できるリーディングフレームであると決定したものを同定
した。アミノ酸配列の一部は、「Xaa」デジグネーター(designator)を含んで もよい。この「Xaa」デジグネーターは、(1)ヌクレオチド配列が曖昧性なた めに同定できない残基、または(2)(配列がさらに正確に決定されれば)本出
願者らが存在すべきでないと考える決定された配列における停止コドンのいずれ
かを示す。
【0234】 ベクターpED6dpc2における本発明の伸長cDNA(配列番号40〜140および242〜37
7)を含む細胞は、本発明者らにより、Genset, S.A., 24 Rue Royale, 75008 Pa
ris, Franceにある永久的な保管場所に保存されている。
【0235】 ある特定のヌクレオチドを含む細胞が得られる伸長cDNA(配列番号40〜140お よび242〜377)を含む細胞のプールを、American Type Culture Collection, 10
801 University Blvd., Manassas, VA 20110-2209またはEuropean Collection o
f Cell Culture, Vaccine Research and Production Laboratory, Public Healt
h Laboratory Service, Centre for Applied Microbiology and Research, Port
ion Down, Salisbury, Wiltshire SP4 0JG, United Kingdom に寄託した。この 複合寄託物における各伸長cDNAクローンを、別々の細菌細胞(E-coli)にトラン
スファーした。表6は、本発明の伸長cDNAを含むクローンの寄託番号を示す。表
7は、それぞれの配列番号に割り当てられた内部呼称番号を示し、該配列が核酸
の配列かまたはタンパク質の配列かを表す。
【0236】 NotI、PstI二重消化を実施して、各クローンの適当なフラグメントを生成する
ことによって伸長cDNAが挿入されたpED6dpc2ベクターから、各伸長cDNAを除去す
ることができる。伸長cDNAによりコードされるタンパク質を、pED6dpc2のプロモ
ーターにより発現させることも可能である。
【0237】 下記の通りに、この複合寄託物から、ある特定のクローンを含む細菌細胞を得
ることができる。 その特定のクローンで知られている配列に適するように、オリゴヌクレオチド
プローブまたはプローブ類を、設計すべきである。この配列は、本明細書に記載
の配列、またはそれらの配列の組み合せから誘導することが可能である。好まし
くは、オリゴヌクレオチドプローブのデザインは、これらのパラメーターに従う
べきである。 (a) オリゴヌクレオチドプローブは、曖昧な塩基が、存在するとしても、
最少である、配列の領域に適するように設計されなければならない(「N's」) 、 (b) 好ましくは、そのプローブは、約80℃のTmを有するように設計される
(各AまたはTに対して2℃、各GまたはCに対して4℃を仮定する)。しかし
、特異性が失われていなければ、40℃〜80℃の間の融解温度を有するプローブを
使用することも可能である。
【0238】 好ましくは、オリゴヌクレオチドを標識するためのよく使用される技術を使用
して、このオリゴヌクレオチドを[32P]ATP(比活性 6000 Ci/mmole)およびT
4ヌクレオチドキナーゼで標識すべきである。その他の標識技術も使用すること ができる。好ましくは、組み込まれなかった標識を、ゲル濾過クロマトグラフィ
または他の確立された方法で、除去すべきである。シンチレーションカウンター
で測定することにより、プローブ内に組み込まれた放射能の量を定量化する。好
ましくは、このようにして得られるプローブの比活性は約4×106 dpm/pmoleで
ある。
【0239】 好ましくは、全長クローンのプールを含む細菌の培養を解凍し、100μlのスト
ックを使用して、100μg/mのアンピシリンを含む25mlの滅菌L-ブロスが入って いる滅菌培養フラスコに接種する。好ましくは、この培養を飽和するまで37℃で
増殖させ、好ましくは、飽和した培養を用時調製したL-ブロスで希釈する。これ
らの希釈液のアリコートをプレーティングして、37℃で一晩増殖させたとき、15
0mmペトリ皿内の、100μg/mlのアンピシリンおよび1.5%の寒天を含むL-ブロス
を含む固体の細菌学的媒体上に、約5000の別個で且つ完全に離れたコロニーを生
じる希釈および量を決定することが好ましい。別個で且つ完全に離れたコロニー
を得る、他の既知の方法も使用することができる。
【0240】 次いで、標準的なコロニーハイブリダイゼーション方法を使用して、コロニー
をニトロセルロースフィルターに移して溶解し、変性させ、そしてベイクする。
【0241】 次いで、このフィルターを、0.5%SDS、100pg/mlの酵母RNA、および10mMEDTA
を含む6×SSC(20×ストックはNaOHでpH7.0に調整した、175.3g NaC1/リット
ル、88.2gクエン酸ナトリウム/リットルである)(150mmフィルター当たり約10
mL)中で、穏やかにかき混ぜながら、65℃で1時間インキュベートすることが好 ましい。次いで、このプローブを、1×106dpm/mL以上の濃度のハイブリダイゼ
ーションミックスに加えることが好ましい。次いで、このフィルターを、穏やか
にかき混ぜながら、65℃で一晩インキュベートすることが好ましい。次いで、こ
のフィルターを、500mLの2×SSC/0.1%SDS中で、室温にて穏やかに振盪しなが
ら15分間、洗浄することが好ましい。0.1×SSC/0.5%SDSを用いた、65℃で30分
〜1時間の3回目の洗浄は、任意である。次いで、このフィルターを乾燥させて
、陽性のものをX線フィルム上に可視化するのに十分な時間、オートラジオグラ フィーに供することが好ましい。その他の公知のハイブリダイゼーション方法も
使用することができる。
【0242】 陽性コロニーを収穫し、培地中で増殖させ、標準方法を使用して、プラスミド
DNAを単離する。次いで、制限分析、ハイブリダイゼーション分析、またはDNAシ
ークエンシングによって、クローンを検証する。
【0243】 次いで、これらの方法を使用して得られたプラスミドDNAを、当業者に周知の 標準クローニング技術を使用して、操作することが可能である。あるいは、伸長
cDNA挿入物の両端にデザインされたプライマーを用いて、PCRを実施することが できる。たとえば、配列GGCCATACACTTGAGTGAC(配列番号38)を有するプライマ ーおよび配列ATATAGACAAACGCACACC(配列番号39)を有するプライマーを使用し て、PCR反応を実施することが可能である。次いで、当業者に周知の標準クロー ニング技術を使用して、伸長cDNAに対応するPCR産物を操作することができる。
【0244】 PCRに基づいた、伸長cDNAを得る方法に加えて、伝統的なハイブリダイゼーシ ョンに基づく方法も使用することが可能である。これらの方法を使用して、5´
ESTの起源であるmRNA、伸長cDNAに対応するmRNA、または伸長cDNAまたは5´ EST
と相同である核酸をコードするゲノムDNAを得ることもできる。以下の実施例29 に、このような方法の例を提供する。
【0245】 (実施例 29)伸長cDNA、あるいは伸長cDNAまたは5´ESTと相同な核酸を得る方法 上記実施例13、14、15および16に記載の方法を使用し、実施例14で使用したラ
ンダムノナマーをオリゴ-dTプライマーに換えることによって、全長cDNAライブ ラリーを作成することができる。たとえば、配列番号14のオリゴヌクレオチドを
使用することができる。
【0246】 あるいは、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを、商業的ソース から入手してもよく、または当業者に周知の技術を使用して作成してもよい。こ
のライブラリーは、5´ ESTに対応するmRNAから誘導されるか、または伸長cDNA または5´ ESTとの相同性を有する、cDNAを含む。従来技術を使用して、このcDN
AライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーを、5´ESTまたは伸長cDNAに由来す
る少なくとも10個連続したヌクレオチドを含む検出可能なプローブとハイブリダ
イズする。このプローブは、5´ ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも12、1
5、または17個連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。このプローブは、5
´ ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも20〜30個連続したヌクレオチドを含
むことがさらに好ましい。一部の実施形態では、プローブは、5´ ESTまたは伸 長cDNAに由来する30個を上回るヌクレオチドを含む。他の実施形態では、プロー
ブは、5´ ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも40、少なくとも50、少なく とも75、少なくとも100、少なくとも150、または少なくとも200個の連続したヌ クレオチドを含む。
【0247】 Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d Ed., Cold Spring
Harbor Laboratory Press (1989) には、所与のプローブ配列とハイブリダイ
ズするcDNAライブラリーのcDNAクローンを同定する技術が開示されている。同じ
技術を使用して、ゲノムDNAを単離することができる。
【0248】 簡単に記載すると、下記の通りに、さらなる操作のために、検出可能なプロー
ブとハイブリダイズするcDNAクローンまたはゲノムDNAクローンを同定し、単離 する。5´ ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも10個連続したヌクレオチド を含むプローブを、検出可能な標識、たとえば、放射性同位元素または蛍光分子
で標識する。このプローブは、5´ ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも12 個、15個、または17個連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。このプロー
ブは、5´ ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも20〜30個連続したヌクレオ チドを含むことがさらに好ましい。一部の実施形態では、プローブは、5´ESTま
たは伸長cDNAに由来する30個を上回るヌクレオチドを含む。一部の実施形態では
、プローブは、5´ ESTまたは伸長cDNAに由来する少なくとも40、少なくとも50 、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも150、または少なくとも200個の連 続したヌクレオチドを含む。
【0249】 プローブを標識する技術は周知であり、ヌクレオチドキナーゼを用いたリン
酸化、ニックトランスレーション、in vitro転写、および非放射性技術が含まれ
る。ライブラリー中のcDNAまたはゲノムDNAをニトロセルロースまたはナイロン フィルターに移動させ、変性させる。このフィルターをブロッキング溶液と共に
インキュベートした後、フィルターを、標識したプローブと接触させ、プローブ
とハイブリダイズすることができる配列を含むcDNAまたはゲノムDNAに、プロー ブがハイブリダイズするのに十分な時間、インキュベートした。
【0250】 検出可能なプローブとハイブリダイズする伸長cDNAまたはゲノムDNAの同定に 使用されるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変えることによ
って、プローブとの相同性のレベルが異なる伸長cDNAを同定し、単離することが
できる。プローブ配列と高度の相同性を有する伸長cDNAまたはゲノムDNAを同定 するために、次式を使用して、プローブの融解温度を算出することが可能である
【0251】 14〜70ヌクレオチドの長さのプローブの場合、式: Tm=81.5+16.6(log [Na+]
)+0.41(分画G+C)-(600/N)(式中、Nは、プローブの長さである)を使用し
て、融解温度(Tm)を算出する。
【0252】 ホルムアミドを含む溶液中でハイブリダイゼーションを実施する場合、式:Tm
=81.5+16.6(log [Na+])+0.41(分画 G+C)-(0.63% ホルムアミド)-(600/
N)(式中、Nは、プローブの長さである)を使用して、融解温度(Tm)を算出す
ることができる。
【0253】 6×SSC、5×Denhardt試薬、0.5%SDS、100μg変性されフラグメント化され たサケ精子DNA、または6×SSC、5×Denhardt試薬、0.5%SDS、100μg変性され
フラグメント化されたサケ精子DNA、50%ホルムアミド中で、プレハイブリダイ ゼーションを実施することが可能である。Sambrookら(前出)には、SSCおよびD
enhardt溶液に関する処方が記載されている。
【0254】 上記プレハイブリダイゼーション溶液に検出可能なプローブを加えることによ
ってハイブリダイゼーションを実施する。プローブが2本鎖DNAを含む場合、こ れを変性させてからハイブリダイゼーション溶液に加える。プローブに相補的な
配列またはプローブと相同な配列を含む伸長cDNAまたはゲノムDNAとプローブと をハイブリダイズさせるのに十分な時間、フィルターをハイブリダイゼーション
溶液と接触させる。200ヌクレオチドを超える長さのプローブの場合、Tmより15 〜25℃低い温度でハイブリダイゼーションを実施することが可能である。オリゴ
ヌクレオチドプローブのようなより短いプローブの場合、Tmより15〜25℃低い温
度でハイブリダイゼーションを実施することが可能である。6×SSC中でハイブ リダイズする場合、約68℃でハイブリダイゼーションを実施することが好ましい
。50%ホルムアミド含有溶液中でハイブリダイズする場合、約42℃でハイブリダ
イゼーションを実施することが好ましい。
【0255】 前述のハイブリダイゼーションは全て、「ストリンジェント」な条件であると
考えられる。ハイブリダイゼーション後、フィルターを、2×SSC、0.1%SDSで 、室温で15分間洗浄する。次いで、このフィルターを、0.1×SSC、0.5%SDSで、
室温で30分〜1時間洗浄する。その後、この溶液を、0.1×SSC、0.5%SDSで、ハ
イブリダイゼーション温度で洗浄する。最終的な洗浄を、0.1×SSCで、室温で実
施する。
【0256】 伸長cDNA、伸長cDNAまたは5´ESTと相同な核酸、またはプローブとハイブリダ
イズしたゲノムDNAを、オートラジオグラフィーまたは他の従来技術で同定する 。
【0257】 プローブ配列との相同性レベルが低い伸長cDNA、伸長cDNAと相同な核酸、また
はゲノムDNAを同定するために、上記の手順を改変することが可能である。たと えば、検出可能なプローブとの相同性が低い伸長cDNA、伸長cDNAと相同な核酸、
またはゲノムDNAを得るために、より低いストリンジェント条件を使用してもよ い。たとえば、Na+濃度が約1Mのハイブリダイゼーション緩衝溶液中で、ハイブ リダイゼーション温度を68℃から42℃まで5℃ずつ下げてもよい。ハイブリダイ
ゼーション後、ハイブリダイゼーション温度にて、2×SSC、0.5%SDSでフィル ターを洗浄してもよい。これらの条件は、50℃を超える温度で「中程度」条件、
50℃未満で「低程度」条件であると考えられる。
【0258】 あるいは、ホルムアミドを含む6×SSCのような緩衝液中、42℃の温度で、ハ イブリダイゼーションを実施してもよい。この場合、プローブとの相同性レベル
が低いクローンを同定するために、ハイブリダイゼーション緩衝溶液中のホルム
アミド濃度を50%から0%まで5%ずつ下げてもよい。ハイブリダイゼーション後
、50℃の6×SSC、0.5%SDSでフィルターを洗浄してもよい。これらの条件は、25
%を超えるホルムアミドで「中程度」条件、25%未満のホルムアミドで「低程度
」条件であると考えられる。
【0259】 伸長cDNA、伸長cDNAと相同な核酸、またはプローブとハイブリダイズしたゲノ
ムDNAを、オートラジオグラフィーで同定する。
【0260】 伸長cDNAと相同な核酸、たとえば、その対立遺伝子変異体や、伸長cDNAにより
コードされるタンパク質関連のタンパク質をコードする核酸を得ることが望まし
い場合、ハイブリダイズした核酸と、プローブとして使用される伸長cDNAまたは
5´ESTとの間の相同性レベルを容易に決定することができる。ハイブリダイズし
た核酸と、プローブの起源である伸長cDNAまたは5´ESTとの間の相同性レベルを
決定するために、ハイブリダイズした核酸のヌクレオチド配列と、プローブの起
源である伸長cDNAまたは5´ESTのヌクレオチド配列とを比較する。たとえば、上
記の方法を使用して、そのプローブの起源である伸長cDNAまたは5´ESTと少なく
とも95%の核酸相同性を有する核酸を獲得し、同定することが可能である。同様
に、次第により低いストリンジェントハイブリダイゼーション条件を使用して、
そのプローブの起源である伸長cDNAまたは5´ESTと少なくとも90%、少なくとも
85%、少なくとも80%または少なくとも75%の相同性を有する核酸を獲得し、同
定することができる。BLAST2Nを使用して、ハイブリダイズした核酸とプローブ として使用される伸長cDNAまたは5´ESTとの間の相同性のレベルを決定すること
ができる。配列の長さおよび研究された相同性の程度に依存してパラメータを適
応することができる。そのような比較では、デフォルトのパラメータまたは表2
および表3に示されたパラメータを使用してもよい。
【0261】 クローンが、伸長cDNA または 5´ ESTによりコードされるタンパク質と所定
量の相同性を有するタンパク質をコードするかどうかを決定するために、伸長cD
NA または 5´ ESTによりコードされるアミノ酸配列を、ハイブリダイズする核 酸によりコードされるアミノ酸配列と比較する。伸長cDNA または 5´ ESのアミ
ノ酸配列が、ハイブリダイズする核酸と密接に関連しているとき、相同性が存在
すると決定される。配列が、伸長cDNA または 5´ ESTの配列と同じとき、 また
は配列が、類似した特徴を有するアミノ酸が互いに置き換わっている1つまたは
複数のアミノ酸置換を中に含むとき、配列は密接に関連している。上記の方法を
使用して、プローブの起源である伸長cDNA または 5´ESTによりコードされるタ
ンパク質と、少なくとも 95%、少なくとも 90%、少なくとも 85%、少なくと も 80% または 少なくとも 75%の 相同性を有するタンパク質をコードする核 酸を得ることができる。上記の方法ならびに配列の長さおよび研究された相同性
の程度に依存するパラメータを伴うFASTAなどのアルゴリズムを使用して、相同 性のレベルを決定することができる。FASTAを使用する相同性のレベルを決定す る場合は、デフォルトのパラメータまたは表2および表3に示されたパラメータ
を使用してもよい。
【0262】 あるいは、ポリA選択方法または当業者に周知の他の技術を利用したmRNA調製 手順を使用して、目的の組織、細胞、または生物からmRNAを得ることにより、伸
長cDNAを調製することができる。mRNAのポリAテイルとハイブリダイズすること ができる第1のプライマーを、mRNAとハイブリダイズさせ、逆転写反応を実施し
て、第1のcDNA鎖を生成する。
【0263】 この第1のcDNA鎖を、伸長cDNAが所望される5´ESTの配列の少なくとも10個連 続したヌクレオチドを含む第2のプライマーとハイブリダイズさせる。このプラ
イマーは、5´ESTの配列に由来する少なくとも12、15、または17個連続したヌク
レオチドを含むことが好ましい。このプライマーは、5´ESTの配列に由来する20
〜30個連続したヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。一部の実施形態では
、プローブは、5´ESTの配列に由来する30個を上回るヌクレオチドを含む。真の
翻訳開始部位を含む、全タンパク質コーディング配列を含む伸長cDNAを得ること
が望ましい場合、使用される第2のプライマーは、翻訳開始部位の上流に位置す
る配列を含む。第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を生成するために、この第 2のプライマーを伸長する。あるいは、上述の通り、獲得すべきcDNAの両端に由
来するプライマーを使用して、RTPCRを実施してもよい。
【0264】 5´ ESTの配列を含むmRNAを、5´ ESTに相補的な配列の少なくとも10個連続し
たヌクレオチドを含むプライマーと接触させ、このプライマーをmRNAとハイブリ
ダイズさせ、ハイブリダイズしたプライマーを逆転写して、mRNAから第1のcDNA 鎖を作成することにより、伸長cDNAが望ましい、mRNAの5´フラグメントを含む 伸長cDNAを調製することが可能である。5´ ESTに由来する少なくとも12、15、 または17個連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。このプライマーは、5 ´ ESTに由来する20〜30個連続したヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。
【0265】 その後、第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を合成する。第1のcDNA鎖の配
列に相補的なプライマーを、第1のcDNA鎖とハイブリダイズさせ、プライマーを
伸長して第2のcDNA鎖を生成することにより、第2のcDNA鎖を作成することが可
能である。
【0266】 上述の方法を使用して作成された2本鎖伸長cDNAを単離してクローニングする
。この伸長cDNAを、プラスミドや、適当な宿主細胞内で複製することができるウ
イルスベクター等のベクターにクローニングしてもよい。たとえば、宿主細胞は
、細菌、哺乳類、鳥類、または昆虫の細胞であってもよい。
【0267】 mRNAを単離し、mRNAとハイブリダイズしたプライマーを逆転写して第1のcDNA
鎖を生成し、プライマーを伸長して第1のcDNA鎖に相補的な第2のcDNA鎖を作成
し、2本鎖cDNAを単離して2本鎖cDNAをクローニングする諸技術は当業者に周知
であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley 503 Sons, Inc
. (1997)および Sambrook ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Se
cond Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989)に記載されてい
る。
【0268】 あるいは、全長cDNAまたは伸長cDNAを得るために、GeneTrapper(カタログ番 号10356-020, Gibco, BRL)等の、全長cDNAを得るためのキットを使用してもよ い。このアプローチでは、全長cDNAまたは伸長cDNAをmRNAから調製し、2本鎖フ
ァージミドにクローニングする。ファージF1のGeneII産物のようなエンドヌクレ
アーゼ、およびGeneTrapperキットに添付されているマニュアルに記載されてい るようなエキソヌクレアーゼIIIで処理することにより、2本鎖ファージミドのc
DNAライブラリーを1本鎖にする。5´ ESTの配列を含むビオチニル化オリゴヌク
レオチド、またはその少なくとも10個のヌクレオチドを含むフラグメントを、1
本鎖ファージミドとハイブリダイズする。好ましくは、このフラグメントは、5 ´ESTに由来する少なくとも12、15、または17個連続したヌクレオチドを含むこ とが好ましい。このフラグメントは、5´ ESTに由来する20〜30個連続したヌク レオチドを含むことがさらに好ましい。一部の方法では、フラグメントは、5´E
STに由来する30個を上回る連続したヌクレオチドを含んでもよい。たとえば、フ
ラグメントは、5´ ESTに由来する少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75 、少なくとも100、または少なくとも200個の連続したヌクレオチドを含んでもよ
い。
【0269】 ビオチニル化オリゴヌクレオチドと、5´ EST配列を含む挿入物を有するファ ージミドとの間のハイブリッドを、このハイブリッドをストレプトアビジン被覆
常磁性ビーズと共にインキュベートし、磁石を用いてビーズを回収することによ
って単離する。その後、このようにして得られた5´ EST配列を含むファージミ ドをビーズから放出し、5´ EST配列に特異的なプライマーを使用して、2本鎖D
NAに変換する。このようにして得られた2本鎖DNAを、細菌に形質転換する。5´
EST配列を含む伸長cDNAを、コロニーPCRまたはコロニーハイブリダイゼーショ ンにより同定する。
【0270】 全長 タンパク質 コーディング配列、またはシグナル ペプチドの切断後に 残る成熟 タンパク質のみをコードする 配列を含む複数の 伸長cDNA を、下記の
ような、その後のコードされたタンパク質の評価用または診断アッセイ用のcDNA
ライブラリーとして、提供することができる。
【0271】 IV. 5´ ESTを使用して単離される伸長cDNAによりコードされるタンパク質の発
現 以下の実施例30に記載の通り、対応するmRNAの全タンパク質コーディング配列
またはその一部を含む伸長cDNA、たとえば、成熟タンパク質をコードするcDNAを
使用して、コードされた分泌タンパク質またはその一部を発現させることが可能
である。所望であれば、この伸長cDNAは、発現タンパク質の分泌を促進するため
に、シグナルペプチドをコードする配列を含んでもよい。以下に記載するように
、全タンパク質コーディング配列またはその一部を含む複数の伸長cDNAを、発現
ベクターに同時にクローニングして、コードされたタンパク質を分析するための
発現ライブラリーを作成できることは、十分に理解されるであろう。
【0272】 (実施例 30 )伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質の発現 上記の伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を発現させるた
めに、発現させるべきタンパク質またはその一部に関するコーディング配列を含
む核酸を、実施例27〜29に記載の通りに獲得し、適当な発現ベクターにクローニ
ングする。所望であれば、この核酸は、発現されるタンパク質の分泌を促進する
ために、シグナルペプチドをコードする配列を含んでもよい。たとえば、核酸は
、表4および添付の配列表に記載されている配列番号40〜140および242〜377の 1つの配列を含んでもよい。あるいは、核酸は、上記の表4に記載の配列番号40
〜140および242〜377の配列の1つの全コーディング配列を構成するヌクレオチ ドを含んでもよい。
【0273】 シークエンシングエラー、逆転写エラー、増幅エラー、mRNAスプライシング、
コードされたタンパク質の翻訳後修飾、コードされたタンパク質の酵素的切断、
または他の生物学的因子の結果として、全コーディング配列(すなわち、シグナ
ルペプチド、およびシグナルペプチドの切断により生じる成熟タンパク質をコー
ドする配列)の範囲が、表4に記載されているものと異なる場合、当業者は、配
列番号40〜140および242〜377の配列における全コーディング配列の範囲を容易 に同定できるであろうことは、十分に理解されるであろう。たとえば、配列番号
115は、予め同定されたmRNAの代替的にスプライシングされた転写物を表す。し たがって、配列番号40〜140および242〜377の1つの全コーディング配列を含む 核酸に関する本明細書における請求の範囲も、表4に記載の全コーディング配列
からの容易に同定できる変異体または等価物を除外すると考えてはならない。同
様に、前述の諸因子のいずれかの結果として、全長ポリペプチドの範囲が、表5
に記載されているものと異なる場合、全長ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポ
リペプチドに関する請求の範囲は、表5に記載の配列からの容易に同定できる変
異体または等価物を除外すると考えてはならない。
【0274】 あるいは、タンパク質またはその一部を発現させるのに使用される核酸は、表
4に記載の配列番号40〜140および242〜377の配列の1つによりコードされる成 熟タンパク質(すなわち、シグナルペプチドを切り取ることにより生成するタン
パク質)をコードするヌクレオチドを含んでもよい。
【0275】 シークエンシングエラー、逆転写エラー、増幅エラー、mRNAスプライシング、
コードされたタンパク質の翻訳後修飾、コードされたタンパク質の酵素的切断、
または他の生物学的因子、の結果として、成熟タンパク質をコードする配列範囲
が、表7に記載されているものと異なる場合、当業者は、配列番号40〜140およ び242〜377の配列における成熟タンパクをコードする配列の範囲を容易に同定で
きるであろうことは、十分に理解されるであろう。したがって、配列番号40〜14
0および242〜377の1つによってコードされる成熟タンパクをコードする配列を 含む核酸に関する請求の範囲も、表4に記載の全コーディング配列からの容易に
同定できる変異体または等価物を除外すると考えてはならない。したがって、成
熟タンパク質をコードする配列を含む核酸に関する請求の範囲、表4に記載され
ている配列の等価物、たとえば、シグナルペプチドの切断に加えて、翻訳後修飾
、酵素的切断、または、その他の、分泌タンパク質から容易に同定できる変異体
または等価物から生じる生物学的に活性なタンパク質をコードする配列を含む。
同様に、前述の諸因子のいずれかの結果として、成熟ポリペプチドの範囲が表5
に記載されているものと異なる場合、配列番号141〜241および378〜513の1つの
配列に含まれる成熟タンパク質の配列を含むポリペプチドに関する請求の範囲は
、表5に記載の配列からの容易に同定できる変異体または等価物を除外すると考
えてはならない。したがって、成熟タンパク質の配列を含むポリペプチドに関す
る請求の範囲は、表4に記載の配列の等価物、たとえば、シグナルペプチドの切
断に加えて、翻訳後修飾、酵素的切断、あるいは、その他の、タンパク質から容
易に同定できる変異体または等価物から生じる生物学的に活性なタンパク質を含
む。配列番号141〜241および378〜513の1つの配列に含まれる生物学的活性型の
ポリペプチドまたは、その生物学的活性型のポリペプチドをコードする核酸が、
シークエンシングエラー、逆転写、増幅エラー、mRNAスプライシング、コードさ
れたタンパク質の翻訳後修飾、コードされたタンパク質の素的切断、またはその
他の生物学的因子の結果として、表5中の成熟ポリペプチドとして同定されたも
のまたは表4中の成熟ポリペプチドをコードするヌクレオチドと異なる場合、当
業者は、その生物学的活性型のポリペプチド内のアミノ酸およびその生物学的活
性型のポリペプチドをコードする核酸を容易に同定できるであろうことは、十分
に理解されるであろう。このような場合、配列番号141〜241および378〜513の1
つに含まれる成熟タンパク質を含むポリペプチドまたは成熟タンパク質をコード
する配列番号40〜140および242〜377の1つのヌクレオチドを含む核酸に関連し たクレームは、表4および表5に記載されている配列から容易に同定できる変異
体を除外すると考えてはならない。
【0276】 一部の実施形態において、タンパク質またはその一部を発現させるのに使用さ
れる核酸は、上記表7に記載されている配列番号40〜140および242〜377の配列 の1つによりコードされるシグナルペプチドをコードするヌクレオチドを含んで
もよい。
【0277】 シグナルペプチドをコードする配列の範囲が、シークエンシングエラー、逆転
写エラー、増幅エラー、mRNAスプライシング、コードされたタンパク質の翻訳後
修飾、コードされたタンパク質の酵素的切断、または他の生物学的因子の結果と
して、表4に記載されているものと異なる場合、当業者は、配列番号40〜140お よび242〜377の配列におけるシグナルペプチドをコードする配列の範囲を容易に
同定できるであろうことは、十分に理解されるであろう。したがって、40〜140 および242〜377配列番号の1つによりコードされるシグナルペプチドをコードす
る配列を含む核酸に関する本願の請求の範囲は、表4に記載の配列からの容易に
同定できる変異体を除外すると考えてはならない。同様に、前述の諸因子のいず
れかの結果として、シグナルペプチドの範囲が、表5において同定されるものと
異なる場合、配列番号141〜241および378〜513の1つの配列に含まれるシグナル
ペプチドの配列を含むポリペプチドに関する請求の範囲は、表5に記載の配列か
ら容易に同定できる任意の変異体を除外すると考えてはならない。
【0278】 あるいは、この核酸は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの少な
くとも10個連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードしてもよい。一部の実
施形態において、核酸は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの少な
くとも15個連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードしてもよい。他の実施
形態において、核酸は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの少なく
とも25個連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコードしてもよい。他の実施形
態において、核酸は、配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの少なくと
も60、少なくとも75、少なくとも100または100を超える連続したアミノ酸をコー
ドすることができる。
【0279】 発現ベクターに挿入される核酸は、シグナルペプチドをコードする配列の上流
にある配列、たとえば、発現レベルを調節する配列または組織特異的発現を与え
る配列を含んでもよい。
【0280】 従来のクローニング技術を使用して、発現させるべきタンパク質またはポリペ
プチドをコードする核酸を、発現ベクターにおけるプロモーターに作動可能に連
結させる。発現ベクターは、哺乳類、酵母、昆虫または当後術分野で周知の細菌
発現系のいずれであってもよい。市販のベクターおよび発現系は、Genetics Ins
titute(Cambridge, MA)、Stratagene(La Jolla, California)、Promega(Ma
dison, Wisconsin)、および In vitrogen(San Diego, California)を含む様 々な製造業者から入手できる。Hatfieldら、米国特許第5,082,767号によって説 明される通り、所望により、発現を強化し且つ適当なタンパク質の折り畳みを促
進するために、発現ベクターが導入される個々の発現生物に合わせて、配列のコ
ドンコンテクストおよびコドンペアリングを最適化することができる。
【0281】 上述の5´ ESTまたは核酸に対応する伸長cDNAによりコードされるタンパク質 を発現させる代表的な方法を以下に提供する。最初に、遺伝子のメチオニン開始
コドンおよび遺伝子のポリAシグナルを同定する。発現させるポリペプチドをコ ードする核酸に、開始部位部位の役割をするメチオニンが欠如している場合、従
来技術を使用して、核酸の第1コドンの隣に開始用メチオニンを導入することが できる。同様に、伸長cDNAにポリAシグナルが欠如している場合、たとえば、Bgl
IおよびSalI制限エンドヌクレアーゼ酵素を使用して、pSG5(Stratagene)から ポリAシグナルをスプライシングし、哺乳類発現ベクターpXT1(Stratagene)に 組み込むことにより、この配列を構築物に付加することができる。pXT1は、LTR およびMoloney Murine Leukemia Virusからのgag遺伝子の一部を含む。構築物に
おけるLTRの位置は、能率的な安定したトランスフェクションを可能にする。ベ クターは、単純疱疹(Herpes Simplex)チミジンキナーゼプロモーターおよび選
択可能なネオマイシン遺伝子を含む。伸長cDNAまたはその一部に相補的で、且つ
5´プライマーに組み込まれたPst Iおよび対応するcDNA3´ プライマーの5´ 末
端のBglIIに対する制限エンドヌクレアーゼ配列を含むオリゴヌクレオチドプラ イマーを使用し、伸長cDNAが確実にポリAシグナルと一緒にフレーム内に配置さ れるように気をつけて、発現すべきポリペプチドをコードする伸長cDNAまたはそ
の一部を、PCRにより、細菌ベクターから獲得する。このようにしてPCR反応によ
り得られた精製フラグメントをPstIで消化し、エキソヌクレアーゼで平滑末端化
し、BglIIで消化し、精製し、さらに、ポリAシグナルを含み且つBglIIで消化し たpXT1に連結する。
【0282】 製品仕様書に略述されている条件下で、Lipofectin (Life Technologies, In
c., Grand Island, New York)を使用して、この連結生成物をマウスNIH 3T3細 胞に形質導入する。600μg/ml G418 (Sigma, St. Louis, Missouri)中で、形
質導入した細胞を成長させた後、陽性の形質導入体を選択する。発現したタンパ
ク質が培地中に放出され、その結果、精製が容易になることが好ましい。
【0283】 あるいは、上述の通り、伸長cDNAをpED6dpc2にクローニングしてもよい。この
ようにして得られたpED6dpc2構築物を、COS1細胞等の、適当な宿主細胞に形 質導入してもよい。メトトキサート耐性細胞を選択して増殖させる。伸長cDNAか
ら発現したタンパク質が培地に放出され、その結果、精製が容易になることが好
ましい。
【0284】 培地中のタンパク質を、ゲル電気泳動法で分離する。所望であれば、電気泳動
の前に、タンパク質を硫酸アンモニウム沈殿させてもよく、あるいは、サイズま
たは電荷に基づいて分離してもよい。
【0285】 対照として、cDNA挿入物がない発現ベクターを宿主細胞または生物に導入し、
培地中のタンパク質を収穫する。クーマシーまたは銀染色等の技術を使用するか
または伸長cDNAによりコードされるタンパク質に対する抗体を使用して、培地中
に存在する分泌タンパク質を検出する。クーマシー技術および銀染色技術は、当
業者に知られている。
【0286】 適当な5´ EST、伸長cDNA、またはその一部によりコードされる配列を有する 合成の15量体ペプチドを使用して、目的のタンパク質特異的に認識することがで
きる抗体を生成することができる。合成ペプチドをマウスにマウスに注射し、5 ´ EST、伸長cDNA、またはその一部によりコードされるポリペプチドに対する抗
体を生成する。
【0287】 5´ ESTまたはその一部から誘導された伸長cDNAを含む発現ベクターを含む宿 主細胞または生物からの分泌タンパク質を、対照細胞または生物からのものと比
較する。対照細胞の培地中に存在しないバンドが、発現ベクターを含む細胞の培
地中に存在することは、伸長cDNAが分泌タンパク質をコードすることを示す。一
般に、伸長cDNAによりコードされるタンパク質に対応するバンドは、伸長cDNAの
オープンリーディングフレーム内のアミノ酸の数に基づいて予期されるものに近
い移動度を有する。しかし、このバンドは、グリコシル化、ユビキチン化、また
は酵素的切断等の、修飾の結果として予期されるものとは異なる移動度を有する
ことがある。
【0288】 あるいは、上記発現ベクターから発現したタンパク質が、その分泌、を指令す
る配列を含まない場合、分泌タンパク質またはその一部をコードする挿入物を含
む発現ベクターを含む宿主細胞から発現したタンパク質を、挿入物を含まない発
現ベクターを含む対照の宿主細胞で発現したタンパク質と比較することができる
。挿入物を含まない発現ベクターからの試料中に存在しないバンドが、挿入物を
含む発現ベクターを含む細胞からの試料中に存在することは、所望のタンパク質
またはその一部が発現されていることを示す。一般に、このバンドは、分泌タン
パク質またはその一部に対して予期される移動度を有する。しかし、バンドは、
グリコシル化、ユビキチン化、または酵素的切断等の、修飾の結果として予期さ
れるものとは異なる移動度を有することがある。
【0289】 標準的なイムノクロマトグラフィ技術を使用して、伸長cDNAによりコードされ
るタンパク質を精製することができる。このような方法では、培地または細胞抽
出物のような分泌タンパク質を含む溶液を、クロマトグラフィマトリックスに付
着させた分泌タンパク質に対する抗体を有するカラムにアプライする。分泌タン
パク質を、イムノクロマトグラフィカラムに結合させる。その後、カラムを洗浄
して、非特異的に結合したタンパク質を除去する。次いで、特異的に結合した分
泌タンパク質を、カラムから放出させ、標準技術を使用して回収する。
【0290】 抗体を産生することができない場合、キメラのポリペプチドを使用して、精製
計画で設計された発現ベクターに、伸長cDNA配列またはその一部を組み込んでも
よい。このような方法で、伸長cDNAまたはその一部のコーディング配列を、キメ
ラの他の半分をコードしている遺伝子とともにインフレームで挿入する。キメラ
の残り半分は、β-グロブリンまたはニッケル結合性ポリペプチドコード配列で あってもよい。β-グロブリンに対する抗体を有するか、ニッケルが付着したク ロマトグラフィマトリックスを使用して、キメラタンパク質を精製する。β-グ ロブリン遺伝子またはニッケル結合性ポリペプチドと、伸長cDNAまたはその一部
との間の、プロテアーゼ切断部位を操作することが可能である。したがって、キ
メラの2つのポリペプチドを、プロテアーゼ消化によって互いに分離することが
可能である。
【0291】 β-グロブリンキメラの生成に有用な1つの発現ベクターは、ウサギβ-グロブ
リンをコードするpSG5(Stratagene)である。ウサギβ-グロブリン遺伝子のイ ントロンIIは、発現した転写物のスプライシングを促進し、構築物に組み込まれ
たポリアデニル化シグナルは、発現レベルを高める。記載されているこれらの技
術は、分子生物学の当業者には周知である。標準的な方法は、Davisら、(Basic
Methods in Molecular Biology, L.G. Davis, M.D. Dibner, and J.F. Battey,
ed., Elsevier Press, NY, 1986)のような方法教本に公表されており、方法の
多くは、Stratagene, Life Technologies, Inc., またはPromegaから入手できる
。in vitro ExpressTM Translation Kit (Stratagene)のようなin vitro 翻訳シ
ステムを使用して、構築物からさらなるポリペプチドを作成することができる。
【0292】 5´ EST、伸長cDNA、またはそのフラグメントによりコードされる分泌タンパ ク質を発現させ、精製した後、以下の実施例31に記載のように、精製タンパク質
が様々な細胞型の表面に結合する能力を試験することができる。以下に具体的に
記載されている作用、ならびに作用を決定するためのアッセイを利用できる他の
生物学的役割について同時に評価すべきタンパク質のパネルに、これらのcDNAか
ら発現した複数のタンパク質を含めてもよいことは、十分に理解されるであろう
【0293】 (実施例 31)分泌タンパク質が細胞 表面に結合するかどうかを決定するための分泌タンパク 質の分析 上記5´ EST、伸長cDNA、またはそのフラグメントによりコードされるタンパ ク質を、実施例30に記載されているような発現ベクターにクローニングする。サ
イズ、電荷、イムノクロマトグラフィまたは当業者に知られている他の技術によ
って、このタンパク質を精製する。精製後、当業者に公知の技術を使用して、こ
のタンパク質を標識する。標識されたタンパク質を、様々な器官または組織に由
来する細胞または細胞系と共にインキュベートし、このタンパク質を、細胞表面
上に存在する任意のレセプターに結合させる。インキュベーション後、細胞を洗
浄して、非特異的に結合したタンパク質を除去する。標識タンパク質をオートラ
ジオグラフィーで検出する。あるいは、非標識タンパク質を細胞と共にインキュ
ベートし、検出可能な標識を有する抗体、たとえば、蛍光分子が付着した抗体を
用いて検出してもよい。
【0294】 様々な量の非標識タンパク質を標識タンパク質と一緒にインキュベートする競
合分析を実施することにより、細胞表面結合の特異性を分析する。競合的非標識
タンパク質の量が増加するにつれて、細胞表面に結合した標識タンパク質の量が
減少する。対照として、標識タンパク質と無関係の様々な量の非標識タンパク質
を、幾つかの結合反応に含める。結合反応において、無関係の非標識タンパク質
の含有量を増加させても、細胞に結合した表面標識タンパク質の量は減少せず、
cDNAによりコードされるタンパク質が細胞表面に特異的に結合することが示唆さ
れる。
【0295】 上述の通り、分泌タンパク質は、多数の重要な生理学的効果を有し、結果とし
て、貴重な治療源であることが示されている。下記の通り、実施例27〜29に従っ
て作成された、伸長cDNAまたはその一部によりコードされる分泌タンパク質を評
価して、その生理学的活性を決定することが可能である。
【0296】 (実施例 32)伸長cDNAまたはその一部から発現したタンパク質の、サイトカイン、細胞増殖ま たは細胞分化活性に関するアッセイ 上述の通り、分泌タンパク質は、サイトカイン類として作用し、または細胞増殖
もしくは分化に影響を及ぼす可能性がある。現在までに発見された多くのタンパ
ク質因子は、全ての既知のサイトカイン類を含め、1つまたは複数の因子依存的
細胞増殖アッセイにおいて活性を示しており、従って、これらのアッセイは、サ
イトカイン活性の便利な確認方法となる。32D、DA2、DA1G、T10、B9、B9/11、B
aF3、MC9/G、M+(preBM+)、2E8、RB5、DA1、123、T1165、HT2、CTLL2、TF-1、
Mo7cおよびCMKを含むが、これに限定されない細胞系では、多数の定型的な因子 依存的細胞増殖アッセイのいずれか1つによって、本発明のタンパク質の活性が
証明される。上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質は、上
述のようなアッセイまたは下記の参考文献に記載されているようなアッセイにお
いて、T細胞または胸腺細胞の増殖を調節する能力について評価することが可能 である(Current Protocols in Immunology, Ed. by J.E. Coliganら、Greene P
ublishing Associates and Wiley-Interscience;Takaiら、J.Immunol. 137:349
4-3500 (1986);Bertagnolliら、J. Immunol. 145:1706-1712 (1990);Bertagno
lliら、Cellular Immunology 133:327-341 (1991);Bertagnolliら、J. Immunol
. 149:3778-3783 (1992);Bowmanら、J. Immunol. 152:1756-1761 (1994))。
【0297】 さらに、サイトカイン産生および/または脾臓細胞、リンパ節細胞および胸腺
細胞の増殖に関する多くのアッセイが知られている。このようなものとしては、
Current Protocols in Immunology. J.E. Coliganら、Eds., Vol 1 pp. 3.12.1
-3.12.14 John Wiley and Sons, Toronto. (1994);および Schreiber, R.D. C
urrent Protocols in Immunology(前出) Vol 1 pp. 6.8.1-6.8.8, John Wiley
and Sons, Toronto. (1994)に開示されている技術が挙げられる。
【0298】 上記cDNAによりコードされるタンパク質が造血細胞またはリンパ球産生細胞の
増殖および分化を調節する能力について、アッセイすることも可能である。以下
の参考文献に記載されているアッセイを含め、このような活性に関する多くのア
ッセイは、当業者に周知である。(Bottomly, K., Davis, L.S. and Lipsky, P.
E., Measurement of Human and Murine Interleukin 2 and Interleukin 4, Cu
rrent Protocols in Immunology., J.E. Coliganら、Eds. Vol 1 pp. 6.3.1-6.3
.12, John Wiley and Sons, Toronto. (1991); deVriesら、J. Exp. Med. 173:1
205-1211, 1991; Moreauら、Nature 36:690-692, (1988); Greenbergerら、Proc
. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:2931-2938, (1983); Nordan, R., Measurement
of Mouse and Human Interleukin 6. Current Protocols in Immunology. J.E.
Coliganら、Eds. Vol 1 pp. 6.6.1-6.6.5, John Wiley and Sons, Toronto. (1
991); Smithら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:1857-1861, 1986; Bennet
t, F., Giannotti, J., Clark, S.C. and Turner, K.J., Measurement of Human
Interleukin 11. Current Protocols in Immunology. J.E. Coliganら、Eds. V
ol 1 pp. 6.15.1 John Wiley and Sons, Toronto. (1991);および Ciarletta, A
., Giannotti, J., Clark, S.C. and Turner, K.J., Measurement of Mouse and
Human Interleukin 9. Current Protocols in Immunology. J.E. Coliganら、E
ds. Vol 1 pp. 6.13.1, John Wiley and Sons, Toronto. (1991) )。
【0299】 上記cDNAによりコードされるタンパク質が、抗原に対するT細胞応答を調節す る能力について、アッセイすることが可能である。以下の参考文献に記載されて
いるアッセイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に周知
である。(Chapter 3 (In Vitro Assays for Mouse Lymphocyte Function), Cha
pter 6 (Cytokines and Their Cellular Receptors) and Chapter 7, (Immunolo
gic Studies in Humans) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら、
Eds. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience; Weinbergerら、
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:6091-6095 (1980); Weinbergerら、Eur. J. Im
mun. 11:405-411 (1981); Takaiら、J. Immunol. 137:3494-3500 (1986); and T
akaiら、J. Immunol 140:508-512 (1988))。
【0300】 次いで、サイトカイン、細胞増殖、または細胞分化活性を示すタンパク質を医
薬として製剤化し、細胞増殖または分化の誘導が有益である臨床状態の治療に使
用することが可能である。あるいは、以下に詳述する通り、これらのタンパク質
をコードする遺伝子またはこれらのタンパク質の発現を調節する核酸を適当な宿
主細胞に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少させることも
可能である。
【0301】 (実施例 33)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の免疫系レギュレーターとし ての活性に関するアッセイ 上記cDNAによりコードされるタンパク質を、その免疫レギュレーターとしての
効果について評価することが可能である。たとえば、胸腺細胞細胞障害性または
脾細胞細胞障害性を左右する活性について、このタンパク質を評価することが可
能である。以下の参考文献に記載されているアッセイを含め、このような活性に
関する多くのアッセイは、当業者に知られている。(Chapter 3 (In Vitro Assa
ys for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19) and Chapter 7 (Immunologic st
udies in Humans) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら、Eds, G
reene Publishing Associates and Wiley-Interscience; Herrmannら、Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 78:2488-24921 (1981); Herrmannら、J. Immunol. 128:19
68-1974 (1982); Handaら、J. Immunol. 135:1564-1572 (1985); Takaiら、J.
Immunol. 137:3494-3500 (1986); Takaiら、J. Immunol. 140:508-512 (1988)
; Herrmannら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2488-2492 (1981); Herrmann
ら J. Immunol. 128:1968-1974 (1982); Handaら、J. Immunol. 135:1564-1572
(1985); Takaiら、J. Immunol. 137:3494-3500 (1986); Bowmanら、J. Virol
ogy 61:1992-1998; Takaiら、J. Immunol. 140:508-512 (1988); Bertagnolli
ら、Cellular Immunology 133:327-341 (1991); and Brownら、J. Immunol. 153
:3079-3092 (1994))。
【0302】 T細胞依存性免疫グロブリン応答およびアイソタイプスイッチングに及ぼす影
響について、上記cDNAによりコードされるタンパク質を評価することも可能であ
る。以下の参考文献に記載されているアッセイを含め、このような活性に関する
多くのアッセイは、当業者に知られている(Maliszewski, J. Immunol. 144:302
8-3033 (1990)および Mond, J.J. and Brunswick, M. Assays for B Cell Funct
ion: In vitro Antibody Production, Vol 1 pp. 3.8.1-3.8.16 Current Proto
cols in Immunology. J.E. Coligan ら Eds., John Wiley and Sons, Toronto.
(1994))。
【0303】 Th1細胞および細胞障害性リンパ球を含め、免疫エフェクター細胞に及ぼす影 響について、上記cDNAによりコードされるタンパク質を評価することもできる。
以下の参考文献に記載されているアッセイを含め、このような活性に関する多く
のアッセイは、当業者に知られている(Chapter 3 (In Vitro Assays for Mouse
Lymphocyte Function 3.1-3.19) and Chapter 7 (Immunologic Studies in Hum
ans) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら、Eds., Greene Publi
shing Associates and Wiley-Interscience; Takaiら、J. Immunol. 137:3494-3
500 (1986); Takaiら、J. Immunol. 140:508-512 (1988)およびBertagnolliら、
J. Immunol. 149:3778-3783 (1992))。
【0304】 ナイーブT-細胞の樹状細胞介在性活性化に及ぼす影響について、上記cDNAによ
りコードされるタンパク質を評価することもできる。以下の参考文献に記載され
ているアッセイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に知
られている(Gueryら、J. Immunol. 134:536-544 (1995); Inabaら、Journal of
Experimental Medicine 173:549-559 (1991); Macatoniaら、J. Immunol. 154
:5071-5079 (1995); Porgadorら、Journal of Experimental Medicine 182:255
-260 (1995); Nairら、Journal of Virology 67:4062-4069 (1993); Huangら 、Science 264:961-965 (1994)、Macatoniaら、Journal of Experimental Medic
ine 169:1255-1264 (1989); Bhardwajら、Journal of Clinical Investigation
94:797-807 (1994)およびand Inabaら、Journal of Experimental Medicine 172
:631-640 (1990)。
【0305】 リンパの寿命に及ぼす影響について、上記cDNAによりコードされるタンパク質
を評価することもできる。以下の参考文献に記載されているアッセイを含め、こ
のような活性に関する多くのアッセイは、当業者に知られている(Darzynkiewic
zら、Cytometry 13:795-808 (1992);Gorczycaら、Leukemia 7:659-670 (1993) ;Gorczycaら、Cancer Research 53:1945-1951 (1993);Itohら、Cell 66:233-2
43 (1991);Zacharchukら、J. Immunol. 145:4037-4045 (1990);Zamaiら、Cyto
metry 14:891-897 (1993);およびGorczycaら、International Journal of Onco
logy 1:639-648 (1992))。
【0306】 T細胞拘束および発生の初期段階に影響を及ぼすタンパク質に関するアッセイ
としては、Anticaら、Blood 84:111-117 (1994);Fineら、Immunology 155:
111-122 (1994);Galyら、Blood 85:2770-2778 (1995);および Tokiら、P
roc. Nat. Acad Sci. USA 88:7548-7551 (1991)に記載されているものなどが
あるが、この限りではない。
【0307】 次いで、免疫系レギュレーターとしての活性を示すタンパク質を医薬として製
剤化し、免疫活性の調節が有益である臨床状態の治療に使用することができる。
たとえば、このタンパク質は、様々な免疫不全症および免疫疾患(重度複合型免
疫不全症(SCID)を含む)の治療、たとえば、Tリンパ球および/またはBリン
パ球の成長および増殖の調節(アップレギュレーションおよびダウンレギュレー
ション)、ならびにNK細胞および他の細胞集団の細胞溶解活性の遂行に有用な可
能性がある。これらの免疫不全症は、遺伝性のことや、ウイルイス感染(たとえ
ば、HIV)ならびに細菌感染または真菌感染に起因することもあり、あるいは、 自己免疫疾患によることもある。さらに具体的には、本発明のタンパク質を使用
して、HIV、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、マイコバクテリウム、レインマ ニア種、マラリア種による感染症およびカンジダ症のような様々な真菌感染症を
含む、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染または他の感染に起因する感染性疾患
を治療できる。もちろん、この点に関して、本発明のタンパク質は、免疫系を高
めることが一般に望ましい可能性がある場合、すなわち、癌の治療においても有
用である。
【0308】 本発明のタンパク質を使用して治療することができる自己免疫疾患としては、
たとえば、結合組織疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、関節リウマ
チ、自己免疫肺炎症、ギラン・バレー症候群、自己免疫甲状腺炎、インスリン依
存性糖尿病、重症筋無力症、移植片宿主相関病および自己免疫炎症性眼疾患など
が挙げられる。このような本発明のタンパク質は、アレルギー反応およびアレル
ギー状態、たとえば、喘息(特にアレルギー性喘息)または他の呼吸の問題の治
療にも有用な可能性がある。本発明のタンパク質を使用して、免疫抑制が望まし
い他の病態(たとえば、臓器移植を含む)を治療も治療することが可能である。
【0309】 本発明のタンパク質を使用して、多数の方法で、免疫応答を調節できることも
ある。ダウンレギュレーションは、既に進行中の免疫応答を阻害または遮断する
形態であってもよく、あるいは、免疫応答の誘導を防止することを含んでもよい
。T細胞応答を抑制することによって、またはT細胞における特異的寛容を誘導 することによって、またはその両者によって、活性化T細胞の機能を阻害するこ
とが可能である。T細胞応答の免疫抑制は、一般に、T細胞を免疫抑制剤に連続
的に曝露することが必要な、活性で、非抗原特異的な過程である。寛容は、T細
胞における無応答またはアネルギーの誘導を含み、一般に抗原特的であり且つ寛
容化剤への曝露を停止した後も持続する点で、免疫抑制と区別できる。機能的に
は、寛容化剤の非存在下で特異的抗原に再曝露したとき、T細胞応答がないこと
によって、寛容を証明することができる。
【0310】 1つまたは複数の抗原機能(Bリンパ球抗原機能(たとえば、B7等)などが挙
げられるが、その限りではない)をダウンレギュレートまたは妨害すること、た
とえば、活性化T細胞による高レベルリンホカイン合成を妨害することは、組織 、皮膚および器官移植の状況ならびに移植片宿主相関病(GVHD)において有用で
ある。たとえば、組織移植において、T細胞機能を遮断すると、組織破壊が減少
する。一般に、組織移植において、移植片の拒絶は、T細胞による異物としての
認識を介して開始し、続いて移植片を破壊する免疫反応が起こる。B7リンパ球抗
原と免疫細胞上のその天然リガンドとの相互作用を阻害または遮断する分子を(
たとえば、B7-2活性を有する可溶性のモノマー型のペプチドを単独で、または別
のBリンパ球抗原(たとえば、B7-1、B7-3)の活性を有するモノマー型のペプチ ドまたはブロッキング抗体と併用して)移植前に投与すると、対応する共刺激シ
グナルを伝達することなしに、その分子は免疫細胞上の天然リガンドに結合する
。この様式でのブロッキングBリンパ球抗原機能は、T細胞等の免疫細胞による サイトカイン合成を妨害し、したがって、免疫抑制剤として作用する。さらに、
共刺激の欠如は、T細胞をアネルギー化し、それによって、被験対象に寛容を誘
導するのに十分である。Bリンパ球抗原-ブロッキング試薬により長期寛容を誘 導すると、これらのブロッキング試薬の反復投与の必要性がなくなる。被験対象
において十分な免疫抑制または寛容を達成するために、Bリンパ球抗原の併用の 機能を遮断することも必要なことがある。
【0311】 ヒトにおける効果を予示する動物モデルを使用して、器官移植片拒絶またはGV
HDを防止する上での個々のブロッキング試薬の効果を査定することができる。使
用できる適当な系の例としては、ラットでの同種異系心移植片およびマウスでの
異種膵臓島細胞移植片などが挙げられ、両者とも、Lenschowら、Science 257:7
89-792 (1992)およびTurkaら、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89:11102-11105
(1992)に記載されている通り、in vivoでのCTLA4Ig融合タンパク質の免疫抑制
効果の試験に使用されている。さらに、GVHDのマウスモデル(Paul ed., Fundam
ental Immunology, Raven Press, New´York,(1989)、 pp.´846-847を参照さ
れたい)を使用して、in vivoで、ブロッキングBリンパ球抗原機能がその疾患の
発症に及ぼす影響を決定することができる。
【0312】 ブロッキング抗原機能は、自己免疫疾患の治療に有用な可能性がある。多くの
自己免疫疾患は、自己組織に対して反応し、且つするサイトカイン類および諸疾
患の病理に関与する自己抗体の産生を促進するT細胞の不適当な活性化の結果で ある。自己反応性T細胞の活性化を防止することにより、疾患症状を低減または
除去することが可能である。Bリンパ球抗原のレセプターリガンド相互作用を混
乱させることによりT細胞の共刺激を遮断する試薬を投与して、T細胞活性化を
阻害し且つ疾患経過に関与する可能性がある自己抗体またはT細胞由来のサイト
カイン類の産生を防止することができる。さらに、ブロッキング試薬は、疾患の
長期緩和を導くことができる自己反応性T細胞の抗原特異的寛容を誘導すること
が可能である。多数の十分に特性化された、ヒト自己免疫疾患の動物モデルを使
用して、自己免疫疾患の予防または軽減におけるブロッキング試薬の効果を決定
することができる。例としては、マウスの実験的自己免疫脳炎、MRL/pr/prマ ウスまたはNZBハイブリッドマウスにおける全身性エリテマトーデス、マウスオ ートイムノコラーゲン関節炎、ODマウスおよびBBラットにおける糖尿病、および
マウス実験的重症筋無力症などがある(Paul ed., Fundamental Immunology, Ra
ven Press, New York, (1989)、 pp.´840-856参照)。
【0313】 免疫応答をアップレギュレートする手段としての、抗原機能(好ましくはBリ ンパ球抗原機能)のアップレギュレーションは、治療においても有用な可能性が
ある。免疫応答のアップレギュレーションは、既存の免疫応答を強化する形態で
あってもよく、あるいは、初回免疫応答を誘発する形態であってもよい。たとえ
ば、Bリンパ球抗原機能の刺激を介した免疫応答の強化は、ウイルス感染の場合
に有用な可能性がある。さらに、刺激型Bリンパ球抗原の全身投与により、イン フルエンザ、風邪、および脳炎等の、全身性ウイルス性疾患を軽減することがで
きる。
【0314】 あるいは、患者からT細胞、を除去し、本発明のペプチドを発現しているウイ
ルス抗原パルスAPCを用いて、またはウイルス抗原パルスAPCと刺激型の本発明の
可溶性ペプチドを一緒に用いて、in vitroでT細胞を共刺激し、さらにin vitro
で活性化T細胞を患者に再導入することにより、感染患者における抗ウイルス免
疫応答を強化することができる。このとき、感染細胞は、in vivoで共刺激シグ ナルをT細胞に配送することができ、その結果、T細胞を活性化することができ
る。
【0315】 別の用途では、抗原機能(好ましくはBリンパ球抗原機能)のアップレギュレ ーションまたは強化が、腫瘍免疫性の誘導に有用な可能性がある。被験対象にお
ける腫瘍特異的寛容を克服するために、少なくとも1つの本発明のペプチドをコ
ードする核酸を用いて形質導入した腫瘍細胞(たとえば、肉腫、黒色腫、リンパ
腫、白血病、神経芽細胞腫、癌腫)を被験対象に投与することができる。必要に
応じて、ペプチドの組み合せを発現させるために、腫瘍細胞を形質導入すること
ができる。たとえば、ex vivoで B7-2様 活性を有するペプチドの発現を指令す る発現 ベクターのみを用いて、 または B7-1-l様活性 および/または B7-3様
活性を有するペプチドと一緒に用いて、患者から採取した腫瘍 細胞を形質導入 することができる。形質導入された腫瘍 細胞を患者に戻すと、形質導入された 細胞の表面上に、そのペプチドが発現する。あるいは、 遺伝子療法 技術を使用
して、in vivo形質導入用の腫瘍 細胞を標的とすることができる。
【0316】 Bリンパ球抗原の活性を有する本発明のペプチドが腫瘍細胞の表面上に存在す
ると、形質導入された腫瘍細胞に対するT細胞介在性免疫応答を誘導するのに必
要な共刺激シグナルをT細胞に提供する。さらに、MHCクラスI´鎖タンパク質お
よびβ2マクログロブリンタンパク質あるいはMHCクラスII´鎖タンパク質および
MHCクラスIIβ鎖タンパク質の全部または一部(たとえば、細胞質ドメイン切断 部分)をコードする核酸を用いて、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子が欠 如した腫瘍細胞、または十分な量のMHCクラスI分子またはMHCクラスII分子を再 発現することができない腫瘍細胞を形質導入し、それによって、MHCクラスIまた
はMHCクラスIIタンパク質を細胞表面上に発現することができる。適当なクラスI
I、あるいはクラスIIMHCとBリンパ球抗原(たとえば、B7-1、B7-2、B7-3)の活 性を有するペプチドが一緒に発現すると、形質導入された腫瘍細胞に対するT細 胞介在性免疫応答を誘導する。任意に、Bリンパ球抗原の活性を有するペプチド
をコードするDNAを用いて、MHCクラスII関連のタンパク質の発現を遮断するアチ
センス構築物をコードする遺伝子、たとえば、不変鎖を形質導入して、腫瘍関連
抗原の呈示を促進し且つ腫瘍特異的免疫を誘導することもできる。したがって、
ヒト被験者におけるT細胞介在性免疫応答の誘導は、その被験者における腫瘍特
異的寛容を克服するのに十分な可能性がある。あるいは、以下にさらに詳細に説
明する通り、これらのタンパク質の発現を調節するこれらのタンパク質または核
酸をコードする遺伝子を適当な宿主細胞に導入して、タンパク質の発現を望み通
りに増加または減少させることができる。
【0317】 (実施例 34)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の造血調節活性に関するアッ セイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、その造血調節
活性についても評価することができる。たとえば、そのタンパク質が胚の幹細胞
分化に及ぼす作用を評価することができる。以下の参考文献に記載されているア
ッセイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に周知である
(Johanssonら、Cellular Biology 15:141-151 (1995); Kellerら、Molecul
ar and Cellular Biology 13:473-486 (1993); および McClanahanら、Bloo
d 81:2903-2915 (1993))。
【0318】 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、それらの幹細
胞の寿命および幹細胞分化に対する影響について評価することもできる。以下の
参考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性に関する多くのアッ
セイは、当業者に周知である(Freshney, M.G. Methylcellulose Colony Formin
g Assays, Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、Eds. pp. 265-
268, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. (1994);Hirayamaら、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 89:5907-5911 (1992);McNiece, I.K. and Briddell, R.A. Primit
ive Hematopoietic Colony Forming Cells with High Proliferative Potential
, Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、eds. Vol pp. 23-39, W
iley-Liss, Inc., New York, NY. (1994);Nebenら、Experimental Hematology
22:353-359 (1994);Ploemacher, R.E. Cobblestone Area Forming Cell Assay,
Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、Eds. pp. 1-21, Wiley-L
iss, Inc., New York, NY. (1994);Spooncer, E., Dexter, M. and Allen, T.
Long Term Bone Marrow Cultures in the Presence of Stromal Cells, Culture
of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、Eds. pp. 163-179, Wiley-Liss,
Inc., New York, NY. (1994);およびSutherland, H.J. Long Term Culture In
itiating Cell Assay, Culture of Hematopoietic Cells. R.I. Freshneyら、E
ds. pp. 139-162, Wiley-Liss, Inc., New York, NY. (1994)。
【0319】 次いで、造血調節活性を示すタンパク質を医薬として製剤化し、造血の調節が
有益な臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発明のタンパク質
は、造血の調節に有用な可能性があり、その結果、骨髄系細胞不全症またはリン
パ系細胞不全症の治療に有用な可能性がある。コロニー形成細胞または因子依存
性細胞系を支援する最低限の生物学的活性でさえも、造血の調節における関与を
示し、たとえば、単独でまたは他のサイトカイン類と組み合せて、赤血球前駆細
胞の成長および増殖の支援し、それによって、たとえば、様々な貧血の治療にお
ける、または赤血球前駆体および/または赤血球系細胞の産生を刺激するための
照射/化学療法との併用における有用性を示し、あるいは、たとえば、化学療法
と併用して、結果として起こる骨髄抑制を予防または治療するのに有用な顆粒球
および単球/マクロファージ(すなわち、伝統的なCSF活性)等の、骨髄細胞の 成長および増殖の支援し、あるいは、巨核球および結果として生じる血小板の成
長および増殖を支援し、それによって、血小板減少症等の、様々な血小板障害の
予防および治療を可能にし、さらに、一般に血小板輸血の代わりにまたは血小板
輸血の捕捉に使用することを可能にし、且つ/または上述の造血細胞のいずれか
および全てを成熟させることができる造血幹細胞の成長および増殖を支援し、し
たがって、様々な幹細胞障害(再生不良性貧血および発作性夜間グロブリン尿症
などが挙げられるが、その限りではない、通常は移植により治療されるものなど
)、ならびにin vivo またはex vivoのいずれかでの(すなわち、骨髄移植また
は末梢前駆細胞移植(同種または異種)と共同して)、照射/化学療法後の、幹
細胞区画の再殖において、正常細胞として、または遺伝子操作された遺伝子療法
用として、治療的有用性を見出す。あるいは、以下にさらに詳細に説明する通り
、これらのタンパク質の発現を調節するこれらのタンパク質または核酸をコード
する遺伝子を、適当な宿主細胞に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加
または減少させることができる。
【0320】 (実施例35)伸長cDNAまたはその一部からから発現されたタンパク質の、組織成長の調節に関 するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、その組織成長
に対する作用について評価することが可能である。このような活性に関する多く
のアッセイは、国際公開第WO95/16035号、国際公開第WO95/05846号および国際
公開第WO91/07491号に記載のアッセイを含め、当業者に周知である。
【0321】 創傷治癒活性に関するアッセイとしては、Winter, Epidermal Wound Healing,
pps.´71-112 (Maibach, H1 and Rovee, DT, eds.), Year Book Medical Publi
shers, Inc., Chicago, as modified by Eaglstein and Mertz, J. Invest. Der
matol. 71:382-84 (1978)に記載されているものが挙げられるが、この限りでは ない。
【0322】 次いで、組織成長の調節に関与するタンパク質を医薬として製剤化し、組織成
長の調節が有用である臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発
明のタンパク質は、骨、軟骨、腱、靭帯および/または神経組織成長または調節
用ならびに創傷治癒、組織修復および組織置換用に使用される組成物、および火
傷、切り傷および潰瘍の治療において有用な可能性がある。
【0323】 本発明のタンパク質は、骨が正常に形成されない状況で、軟骨および/または
骨の成長を誘導し、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨損傷または欠損
の治癒に使用される。本発明のタンパク質を使用するこのような調製物は、単純
骨折ならびに複雑骨折を減少させる予防的使用および改良された人工関節の固定
にも使用することが可能である。骨形成剤により誘導される新規骨形成は、先天
的、外傷性、または腫瘍学的切除誘導性頭蓋顔面欠損の修復に貢献し、また、美
容成形手術においても有用である。
【0324】 本発明のタンパク質を、歯周病の治療およびその他の歯の修復過程にも使用す
ることができる。このような薬剤は、骨形成性細胞を誘引し、刺激する骨形成性
細胞の成長を刺激し、あるいは骨形成性前駆細胞の分化を誘導する環境を提供す
ることができる。本発明のタンパク質は、骨および/または軟骨修復の刺激、あ
るいは炎症過程が介在する炎症または組織破壊過程(コラゲナーゼ活性、破骨細
胞活性など)の遮断などによって、骨粗鬆症または変形性関節炎の治療にも有用
な可能性がある。
【0325】 本発明のタンパク質に起因する可能性がある別のカテゴリーの組織調節活性は
、腱/靭帯形成である。腱/靭帯様組織または他の組織が正常に形成されない状
況で、このような組織形成を誘導する、本発明のタンパク質は、ヒトおよび他の
動物における腱または靭帯の断裂、変形部および他の腱または靭帯の欠損の治癒
に使用される。腱/靭帯様組織誘導性タンパク質を使用するこのような調製物は
、腱または靭帯組織への損傷を防止するための予防的使用、ならびに骨または他
の組織への腱または靭帯の改良された固定における使用、および腱または靭帯組
織の欠損修復などに用途がある。本発明の組成物により誘導される新規腱/靭帯
様組織形成は、先天的腱欠損または靭帯欠損、外傷性腱欠損または靭帯欠損、ま
たは他の原因によるその他の腱欠損または靭帯欠損の修復に貢献し、且つ腱また
は靭帯を連結または修復するのための美容成形手術にも有用である。本発明の組
成物は、腱形成性細胞または靭帯形成性細胞を誘引し、腱形成性細胞または靭帯
形成性細胞の成長を刺激し、腱形成性細胞または靭帯形成性細胞の前駆体の分化
を誘導し、あるいはex vivoで腱/靭帯細胞または前駆細胞の成長を誘導し、in
vivoで戻して組織修復を実行する環境を提供することが可能である。本発明の組
成物は、腱炎,手根管症候群および他の腱欠損または靭帯欠損の治療にも有用な 可能性がある。この組成物は、担体として、当技術分野で周知の適当なマトリッ
クスおよび/または封鎖剤も含んでもよい。
【0326】 本発明のタンパク質は、神経細胞の増殖ならびに神経および脳組織の調節、す
なわち、中枢神経系疾患、末梢神経系疾患、およびニューロパシー、ならびに神
経細胞または神経組織の退行変性、死または外傷を含む機械的障害および外傷性
障害の治療にも有用な可能性がある。さらに具体的には、このタンパク質を、末
梢神経傷害、末梢ニューロパシーおよび限局性ニューロパシー等の末梢神経系疾
患、ならびに、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、筋萎
縮性側索硬化症、およびシャイ-ドレジャー症候群等の中枢神経系疾患の治療に 使用することが可能である。本発明に従って治療することができるさらなる病気
としては、機械的障害および外傷性障害、たとえば、脊髄障害、頭部外傷および
卒中等の脳血管性疾患などが挙げられる。本発明のタンパク質を使用して、化学
療法または他の医学的治療に起因する末梢ニューロパシーも治療できる。
【0327】 本発明のタンパク質は、圧迫性潰瘍、血管不全関連の潰瘍、手術性および外傷
性創傷等々を含むが、これに制限されない未治癒創傷のより良いまたはより速い
閉鎖の促進にも有用な可能性がある。
【0328】 本発明のタンパク質は、他の組織、たとえば、器官(たとえば、膵臓、肝臓、
腸、腎、皮膚、内皮を含む)筋(平滑筋、骨格筋、または心筋)および血管(血
管内皮を含む)組織の発生または調節、あるいはこのような組織を含む細胞の成
長促進に関する活性を示すこともできる。所望の効果の一部は、正常組織を発生
させるための線維性瘢痕形成の阻害または調節によってもよい。本発明のタンパ
ク質は、血管形成活性も示すことができる。
【0329】 本発明のタンパク質は、腸管保護または調節および肺線維症、肝線維症、様々
な組織における灌流傷害、および全身性サイトカイニン損傷に起因する病気の治
療にも使用することができる。
【0330】 本発明のタンパク質は、前駆体組織または細胞から上述の組織が分化するのを
促進または阻害したり、あるいは上述の組織の成長を阻害したりするのにも有用
な可能性がある。
【0331】 あるいは、以下にさらに詳細に説明するように、これらのタンパク質の発現を
調節するこれらのタンパク質または核酸をコードする遺伝子を、適当な宿主細胞
に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少させることができる
【0332】 (実施例36)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、生殖ホルモン類または細 胞運動の調節に関するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、卵胞刺激ホル
モン等の、生殖ホルモン類を調節するその能力についても、評価することできる
。以下の参考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性に関する多
くのアッセイは、当業者に周知である(Valeら、Endocrinology 91:562-572 (19
72);Lingら、Nature 321:779-782 (1986);Valeら、Nature 321:776-779 (1986
);Masonら、Nature 318:659-663 (1985);Forageら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 83:3091-3095 (1986). Chapter 6.12 (Measurement of Alpha and Beta Ch
emokines) Current Protocols in Immunology, J.E. Coliganら、Eds. Greene P
ublishing Associates and Wiley-Intersciece;Taubら、J. Clin. Invest. 95:
1370-1376 (1995);Lindら、APMIS 103:140-146 (1995);Mullerら、Eur. J. Im
munol. 25:1744-1748;Gruberら、J. of Immunol. 152:5860-5867 (1994);およ びJohnstonら、J. of Immunol. 153:1762-1768 (1994))。
【0333】 次いで、生殖ホルモン類または細胞運動のレギュレーターとしての活性を示す
タンパク質を、医薬として製剤化し、生殖ホルモン類または細胞運動の調節が有
益である臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発明のタンパク
質は、アクチビン関連活性またはインヒビン関連活性も示すことができる。イン
ヒビンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を阻害する能力を特徴とし、アクチ ビンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激する能力を特徴とする。したが って、本発明のタンパク質は、単独で、またはインヒビンαファミリーの一員と
のヘテロダイマーの状態で、メス哺乳類における受精能を低下させ、且つオス哺
乳類における精子形成を減少させるというインヒビンの能力に基づいた避妊薬と
して有用な可能性がある。十分量の他のインヒビンを投与して、これらの哺乳類
における不妊を誘導することができる。あるいは、本発明のタンパク質は、ホモ
ダイマーとして、またはインヒビン-B群の他のタンパク質サブユニットとのヘテ
ロダイマーとして、アクチビン分子が下垂体細胞からのFSH放出を刺激する能力 に基づいた受精能誘導療法として有用な可能性がある。たとえば、米国特許第4,
798,885号を参照されたい。本発明のタンパク質は、ウシ、ヒツジおよびブタ等 の、家畜の生涯生殖能力を高めるために、性的に未熟な哺乳類における受精の開
始を促進するのにも有用な可能性がある。
【0334】 あるいは、以下にさらに詳細に説明するように、これらのタンパク質の発現を
調節するこれらのタンパク質または核酸をコードする遺伝子を、適当な宿主細胞
に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少させることができる
【0335】 (実施例36A)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、走化性/化学運動活性に 関するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、走化性/化学
運動活性について評価することもできる。たとえば、本発明のタンパク質は、単
球、線維芽細胞、好中球、T細胞、マスト細胞、好酸球(cosinophil)、上皮お
よび/または内皮細胞等の、哺乳類細胞に向かう走化性または化学運動活性を有
する(たとえば、ケモカインとして作用する)可能性がある。走化性タンパク質
および化学運動性タンパク質を使用して、所望の細胞集団を所望の作用部位に動
員または誘引することができる。走化性タンパク質または化学運動性タンパク質
は、組織への創傷および他の外傷の治療、ならびに限局性感染症の治療において
、特別の利益を提供する。たとえば、腫瘍または感染部位へのリンパ球、単球ま
たは好中球を誘引すると、腫瘍または感染性作因に対する免疫応答が改善される
【0336】 タンパク質またはペプチドは、このような細胞集団の指令された配向性または
運動を、直接または間接的に刺激することができる場合、ある特定の細胞集団に
向かう走化性活性を有する。上記タンパク質またはペプチドは、細胞の指令され
た運動を直接刺激する能力を有することが好ましい。細胞走化性用の周知のアッ
セイのいずれかで、このようなタンパク質またはペプチドを使用して、ある特定
のタンパク質が細胞集団に向かう走化性活性を有するかどうかを容易に決定する
ことができる。
【0337】 本発明のタンパク質の活性は、ほかにも方法はあるが、下記の方法で測定する
ことができる。 走化性活性に関するアッセイ(走化性を誘導または妨害するタ ンパク質を同定する)は、タンパク質が、膜を横切って、細胞を泳動させる能力
、ならびに、タンパク質が、1つの細胞集団を別の細胞集団に接着させる能力を
測定するアッセイで構成される。運動および接着に適するアッセイとしては、Cu
rrent Protocols in Immunology, Ed by J.E. Coligan, A.M. Kruisbeek, D.H.
Margulies, E.M. Shevach, W. Strober, Pub. Greene Publishing Associates a
nd Wiley-Interscience (Chapter 6.12, Measurement of alpha and beta Chemo
kincs 6.12.1-6.12.28;Taubら、J. Clin. Invest. 95:1370-1376 (1995);Lind
ら、APMIS 103:140-146 (1995);Muellerら、Eur. J. Immunol. 25:1744-1748;
Gruberら、J. of Immunol. 152:5860-5867 (1994);および Johnstonら、J. of
Immunol. 153:1762-1768 (1994)に記載されているものが挙げられるが、この限
りではない。
【0338】 (実施例37)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、血液凝固の調節に関する アッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、血液凝固に対
する作用について評価することもできる。以下の参考文献に開示されているアッ
セイを含め、このような活性に関する多くのアッセイは、当業者に周知である(
Linetら、J. Clin. Pharmacol. 26:131-140 (1986);Burdickら、Thrombosis Re
s. 45:413-419 (1987);Humphreyら、Fibrinolysis 5:71-79 (1991);およびSch
aub, Prostaglandins 35:467-474 (1988))。 次いで、血液凝固の調節に関与するタンパク質を医薬として製剤化し、血液凝
固の調節が有益な臨床状態の治療に使用することができる。たとえば、本発明の
タンパク質は、止血活性または血栓溶解活性を示すことができる。結果として、
このようなタンパク質は、様々な凝固障害(血友病などの遺伝性障害を含む)の
治療、あるいは外傷、手術またはその他の原因により生じる創傷の治療における
凝固および他の止血事象の強化に、有用であると予期される。本発明のタンパク
質は、血栓の溶解または血栓形成の阻害、ならびにそれから生じる病気(たとえ
ば、心筋梗塞や中枢神経系脈管梗塞(たとえば、卒中)等)の治療および予防に
有用な可能性がある。あるいは、以下にさらに詳細に説明するように、これらの
タンパク質の発現を調節するこれらのタンパク質または核酸をコードする遺伝子
を適当な宿主細胞に導入して、タンパク質の発現を望み通りに増加または減少さ
せることができる。
【0339】 (実施例38)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、レセプター/リガンド相 互作用における関与に関するアッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、レセプター/
リガンド相互作用におけるその関与について、評価することができる。以下の参
考文献に開示されているアッセイを含め、このような活性に関する多くのアッセ
イは、当業者に周知である(Chapter 7.28 (Measurement of Cellular Adhesion
under Static Conditions 7.28.1-7.28.22) Current Protocols in Immunology
, J.E. Coligan らEds. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscienc
e;Takaiら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:6864-6868 (1987);Biererら、J.
Exp. Med. 168:1145-1156 (1988);Rosensteinら、J. Exp. Med. 169:149-160
(1989);Stoltenborgら、J. Immunol. Methods 175:59-68 (1994);Stittら、Ce
ll 80:661-670 (1995);およびGyurisら、Cell 75:791-803 (1993))。
【0340】 たとえば、本発明のタンパク質は、レセプター、レセプターリガンドあるいは
レセプター/リガンド相互作用のインヒビターもしくはアゴニストとしての活性
を示すこともできる。このようなレセプターおよびリガンドの例としては、サイ
トカインレセプターおよびそのリガンド、レセプターキナーゼおよびそのリガン
ド、レセプターホスファターゼおよびそのリガンド、細胞-細胞相互作用に関与 するレセプターおよびそのリガンド(細胞接着分子(セレクチン、インテグリン
およびそれらのリガンドなど)ならびに、抗原呈示、抗原認識、細胞性免疫応答
および体液性応答の発生に関与するレセプター/リガンド対を含むが、その限り
ではない)などが挙げられるが、この限りではない。レセプターおよびリガンド
は、関係のあるレセプター/リガンド相互作用の潜在的ペプチドインヒビターま
たは低分子インヒビターのスクリーニングにも有用である。本発明のタンパク質
(レセプターおよびリガンドのフラグメントを含むが、その限りではない)その
ものが、レセプター/リガンド相互作用のインヒビターとして、有用な可能性が
ある。
【0341】 (実施例38A)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、抗炎症性活性に関するア ッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、抗炎症性活性
について評価することも可能である。抗炎症性活性は、細胞−細胞相互作用(た
とえば、細胞接着など)を阻害もしくは促進することにより、炎症性経過に関与
する細胞の走化性を阻害もしくは促進することにより、細胞浸出を阻害もしくは
促進することにより、あるいは、炎症性応答をより直接に阻害もしくは促進する
他の因子の産生を刺激もしくは抑制することにより、炎症性応答に刺激を与える
ことによって達成できる。このような活性を示すタンパク質を使用して、感染関
連の炎症(敗血症性ショック、敗血症または全身性炎症性応答症候群(SIRS))
、虚血‐再灌流障害、内毒素死亡、関節炎、補体介性超急性拒絶、腎炎、サイト
カインまたはケモカイン-導性肺傷害、炎症性腸疾患、クローン病またはTNFまた
はIL-1等のサイトカイン類の産生過剰に起因する炎症状態を含むが、その限りで
はない炎症状態(慢性状態または急性状態を含む)を治療することができる。本
発明のタンパク質は、抗原性物質または材料に対するアナフィラキシーおよび過
敏症の治療にも有用な可能性がある。
【0342】 (実施例38B)伸長cDNAまたはその一部から発現されたタンパク質の、腫瘍阻害活性に関するア ッセイ 上記伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質を、腫瘍阻害活性
について評価することもできる。上述の腫瘍の免疫学的治療または予防に関する
活性に加えて、本発明のタンパク質は、他の抗腫瘍活性を示すことができる。タ
ンパク質は、腫瘍成長を直接にまたは間接的に(たとえば、ADCCを介して)阻害
することが可能である。タンパク質は、腫瘍組織または腫瘍前駆体組織に対して
作用することにより、腫瘍成長を維持するのに必要な組織の形成を阻害すること
により(たとえば、血管形成を阻害することにより)、腫瘍成長を阻害する他の
因子、作因または細胞型を産生させることにより、あるいは、腫瘍成長を促進す
る因子、作因または細胞型を抑制、排泄(climinating)または阻害することに より、その腫瘍阻害活性を示すことができる。
【0343】 本発明のタンパク質はまた、下記のさらなる活性または効果の1つまたは複数
を示すことができる:細菌、ウイルス、菌類および他の寄生虫を含むがこれに限
定されない感染作因の成長、感染または機能を阻害すること、または死滅させる
こと、身長、体重、毛髪の色、目の色、皮膚、肥満率または他の組織組織沈着、
または器官または身体部分サイズまたは形状(たとえば、胸部の増大または縮小
、骨の形または形状の変化)を含むが、これに限定されない身体的特徴をもたら
すこと(抑制または強化)、バイオリズム、概日周期または概日リズムをもたら
すこと、オスまたはメス被験対象の受精(授精)をもたらすこと、食餌性脂肪、
脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン類、ミネラル、補助因子または他の栄養
因子または成分の代謝、異化、同化、処理、利用、保存または排泄(climinatio
n)をもたらすこと、食欲、リビドー、ストレス、認識(認識障害を含む)、鬱 病(抑鬱性障害を含む)および暴力行為を含むが、これに限定されない挙動特性
をもたらすこと、鎮痛効果または他の疼痛低減効果を提供すること、造血系以外
の系における胚幹細胞の分化および成長を促進すること、ホルモン活性または内
分泌活性、酵素の場合、酵素の欠乏を修正して、欠乏関連疾患を治療すること、
増殖過剰障害(たとえば、乾癬)の治療、イムノグロブリン様活性(たとえば、
抗原または補体を結合する能力)、ならびに、このようなタンパク質またはこの
ようなタンパク質と交差反応する別の材料または実体に対する免疫応答を高める
ためのワクチン組成物において抗原として作用する能力。
【0344】 (実施例39)伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相互に作用するタンパク質の同定 Matchmaker Two Hybrid System 2 (カタログ番号 K1604-1、Clontech)などの 2ハイブリッドシステムを使用して、伸長cDNAまたはその一部によりコードされ
るポリペプチドと相互に作用するタンパク質、たとえば、レセプタータンパク質
を同定することができる。 Matchmaker Two Hybrid System 2 (カタログ番号 K1
604-1、Clontech)に添付されているマニュアルに記載されている通りに、伸長cD
NAまたはその一部を、酵母転写アクティベーターGAL4のDNA結合ドメインをコー ドするDNAと一緒にインフレームで、発現ベクターに挿入する。伸長cDNAまたは その一部によりコードされるポリペプチドと相互に作用すると考えられるタンパ
ク質をコードするcDNAライブラリー中のcDNAを、GAL4の活性化ドメインをコード
するDNAと一緒にインフレームで、第2の発現ベクターに挿入する。この2つの発
現プラスミドを酵母に形質転換し、各発現ベクター上の選択可能マーカーの発現
ならびにHIS3遺伝子のGAL4依存性発現に関して選択する選択培地上に、この酵母
をプレーティングする。ヒスチジンが欠けた培地上で成長できる形質転換体を、
GAL4依存性lacZ発現用にスクリーニングする。ヒスチジン選択およびlacZアッセ
イの両者で陽性である細胞は、伸長cDNAまたはその一部によりコードされるポリ
ペプチドと相互に作用するタンパク質をコードするプラスミドを含む。
【0345】 あるいは、Lustigら、Methods in Enzymology 283: 83-99(1997)に記載さ れているシステムを、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相互に作用す
る分子の同定に使用してもよい。このようなシステムにおいて、転写を推進する
プロモーターの下流をクローニングした伸長cDNA挿入物を含むベクターのプール
を対象に、in vitro転写反応が実施される。このようにして得られたmRNAのプー
ルをXenopus laevis卵母細胞に導入する。次いで、この卵母細胞を、所望の活性
についてアッセイする。
【0346】 あるいは、上述の通りに産生されてプールされたin vitro転写生成物をin vit
roで翻訳することが可能である。既知のポリペプチドを用いて、プールされたin
vitro翻訳生成物を、所望の活性または相互作用についてアッセイすることがで
きる。
【0347】 様々なさらなる技術によって、伸長cDNAによりコードされるポリペプチドと相
互に作用するタンパク質または他の分子を確認することができる。1つの方法で
は、伸長cDNAまたはその一部によりコードされるポリペプチドが入っているアフ
ィニティカラムを構築することができる。この方法の幾つかのバージョンで、ア
フィニティカラムには、伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質
がグルタチオンS-トランスフェラーゼと融合しているキメラタンパク質が入って
いる。細胞性タンパク質の混合物または上述のような発現タンパク質のプールを
アフィニティカラムにアプライする。次いで、Ramunsenら、Electrophoresis 18
:588-598 (1997)に記載されている通りに、2-D電気泳動ゲルを用いて、カラムに
付着させたポリペプチドと相互に作用するタンパク質を単離し、分析することが
できる。あるいは、電気泳動を基礎とする方法で、アフィニティカラム上に保持
されたタンパク質を精製し、配列決定することができる。ファージディスプレイ
(phage display)生成物をスクリーニングするために、またはファージディス プレイヒト抗体をスクリーニングするために、同じ方法を使用して、抗体を単離
することができる。
【0348】 Edwards & Leatherbarrow, Analytical Biochemistry, 246:1-6(1997)に記
載されているようなOptical Biosensorを使用して、伸長cDNAまたはその一部に よりコードされるポリペプチドと相互に作用するタンパク質をスクリーニングす
ることができる。この方法の主な利点は、タンパク質と他の相互作用分子との間
の会合率を測定できることである。したがって、高会合率または低会合率を有す
る相互作用分子を特異的に選択することが可能である。一般に、標的分子をセン
サー表面(カルボキシメチルデキストランマトリックスを介して)に連結し、被
験分子の試料を、標的分子と接触させて置く。被験分子が標的分子に結合すると
、屈折率および/または厚さが変化する。この変化が極微な範囲(センサー表面
から数百ナノメートルに及ぶ)で発生するのであれば、これを、上記Biosensor で検出する。これらのスクリーニングアッセイにおいて、標的分子は、伸長cDNA
またはその一部によりコードされるポリペプチドの1つであってもよく、被験試
料は、組織または細胞から抽出されたタンパク質のコレクション、発現タンパク
質のプール、連結ペプチドおよび/または化学物質ライブラリー、またはファー
ジディスプレイペプチドであってもよい。被験タンパク質が抽出される組織また
は細胞は、任意の種に由来してもよい。
【0349】 他の方法では、標的タンパク質を固定化し、被験集団は、伸長cDNAまたはその
一部によりコードされる独特のポリペプチドのコレクションである。
【0350】 伸長cDNAまたはその一部によりコードされるタンパク質と薬物との相互作用を
研究するために、Wangら、Chromatographia 44:205-208(1997)により記載さ れているHPLC方法またはBuschら、J. Chromatogr. 777:311-328 (1997)によ
り記載されているアフィニティーキャピラリー電気泳動方法と連結させた微量透
析を使用することができる。上記文献の開示内容は参考として本明細書に組み入
れられる。
【0351】 米国特許第5,654,150号に記載のシステムを使用して、伸長cDNAによりコード されるポリペプチドと相互に作用する分子を同定することもできる。このシステ
ムにおいて、伸長cDNAのプールをin vitroで転写および翻訳し、既知のポリペプ
チドまたは抗体との相互作用について、反応生成物をアッセイする。
【0352】 上に具体的に列挙したものに加えて、多くの活性について、伸長cDNAまたはそ
の一部から発現したタンパク質をアッセイできることは、当業者に十分に理解さ
れるであろう。たとえば、炎症、腫瘍増殖、腫瘍転移、感染、あるいは他の臨床
状態の管理および調節を含む適用について、発現したタンパク質を評価すること
ができる。さらに、上記伸長cDNAまたはその一部から発現したタンパク質を、栄
養剤または化粧品として使用することができる。
【0353】 以下の実施例40に記載されている通り、上記伸長cDNAまたはその一部から発現
したタンパク質を使用して、発現タンパク質またはそのフラグメントに特異的に
結合することができる抗体を生成することもできる。この抗体は、配列番号40〜
140および242〜377の配列の1つによりコードされる全長タンパク質、配列番号4
0〜140および242〜377の配列の1つによりコードされる成熟タンパク質、または
配列番号40〜140および242〜377の配列の1つによりコードされるシグナルペプ チドを結合することができる。あるいは、この抗体は、配列番号141〜241および
378〜513の配列の少なくとも10アミノ酸を含む伸長cDNAから発現したタンパク質
のフラグメントを結合することができる。一部の実施形態において、抗体は、配
列番号141〜241および378〜513の配列の少なくとも15アミノ酸を含む伸長cDNAか
ら発現したタンパク質のフラグメントを結合することができる。他の実施形態で
は、抗体は、配列番号141〜241および378〜513の配列の少なくとも25アミノ酸を
含む伸長cDNAから発現したタンパク質のフラグメントを結合することができる。
さらなる実施形態では、抗体は、配列番号141〜241および378〜513の配列の少な
くとも40アミノ酸を含む伸長cDNAから発現したタンパク質のフラグメントを結合
することができる。
【0354】 (実施例40)ヒトタンパク質に対する抗体の産生 実施例30に記載されている通りに、実質的に純粋なタンパク質またはポリペ プチドを、形質導入された細胞または形質転換された細胞から単離する。最終調
製物中のタンパク質濃度を、たとえば、フィルター装置上の濃度により、数μg /mlのレベルに調製する。次いで、上記タンパクに対するモノクローナル抗体ま
たはポリクローナル抗体を、下記の通りに調製することができる。
【0355】 A.ハイブリドーマ融合によるモノクローナル抗体産生 記載通りに同定され、単離されたペプチドのいずれかのエピトープに対するモ
ノクローナル抗体を、Kohler, G. and Milstein, C., Nature 256:495 (1975)の
古典的方法、またはそれから誘導された方法に従って、マウスハイブリドーマか
ら調製することができる。簡単に記載すると、マウス誘導された、選択されたタ
ンパク質またはペプチド数μgを、数週間にわたって、マウスに繰返し接種する 。次いで、このマウスを屠殺し、脾臓の抗体産生細胞を単離する。ポリエチレン
グリコールを使用して、この脾細胞を、マウス骨髄腫細胞と融合させ、アミノプ
テリンを含む選択的培地(HAT培地)上における系の成長によって、過剰の非融 合細胞を破壊する。首尾よく融合した細胞を希釈し、希釈液のアリコートを微量
滴定プレートのウェルに入れ、そこで培養の成長を続ける。Engvall, E., Meth.
Enzymol. 70:419 (1980)によって初めて記載された、エリサ(Elisa)等のイム
ノアッセイ方法およびそれから誘導された方法による、ウェルの上清中の抗体の
検出によって、抗体産生クローンを同定する。選択された陽性クローンを増殖さ
せ、使用するために、そのモノクローナル抗体生成物を収穫することができる。
Davis, L.ら、Basic Methods in Molecular Biology Elsevier, New York. Sect
ion 21-2には、モノクローナル抗体産生に関する詳細な方法が記載されている。
【0356】 B.免疫化によるポリクローナル抗体産生 修飾されていなくてもよく、または免疫原性を強化するために修飾されていて
もよい、上述の発現タンパク質またはそれから誘導されるペプチドで、適当な動
物を免疫化することにより、1つのタンパク質の外来エピトープに対する抗体を
含むポリクローナル抗血清を調製することができる。有効なポリクローナル抗体
産生は、抗原および宿主種の両者に関連した多くの因子による影響を受ける。た
とえば、小さい分子は、他のものより免疫原性が低い傾向があり、担体および補
助アジュバントを使用することが必要なことがある。また、宿主動物は、接種部
位および用量に対する応答が異なり、用量が不充分な場合も過剰な場合も、共に
、低力価抗血清に終わる。複数の皮内部位に投与される低用量(ngレベル)の抗
原が最も信頼できるようである。Vaitukaitis, J.ら、J. Clin. Endocrinol. Me
tab. 33:988-991 (1971)には、ウサギのための有効な免疫化 プロトコールが
記載されている。
【0357】 一定間隔で追加抗原注射を投与し、たとえば、既知の抗原濃度に対する寒天内
二重免疫拡散法により半定量的に測定して、その抗体価が低下しはじめるとき、
抗血清を収穫することができる。たとえば、Ouchterlony, O.ら、Chap. 19 in:
Handbook of Experimental Immunology D. Wier (ed) Blackwell (1973)を参照 されたい。通常、抗体のプラトー濃度は、0.1〜0.2mg/ml血清(約12μM)の範 囲である。たとえば、Fisher, D., Chap. 42 in: Manual of Clinical Immunolo
gy, 2d Ed. (Rose and Friedman, Eds.) Amer. Soc. For Microbiol., Washingt
on, D.C. (1980)により記載されている通りに、競合的結合曲線を作成すること により、抗原に対する抗血清のアフィニティを決定する。
【0358】 いずれのプロトコールに準拠して調製された抗体調製物も、生物学的試料中の
抗原担持物質の濃度を決定する定量的イムノアッセイに有用であり、また、生物
学的試料中の抗原の存在を、半定量的に、または定量的に同定する。そのタンパ
ク質を発現する細胞を死滅させるための治療用組成物中、またはそのタンパク質
の体内レベルを低下させるための治療用組成物中にも、上記抗体を使用すること
ができる。
【0359】 V.伸長cDNAまたはその一部の試薬としての使用 上記本発明の伸長cDNAを、単離方法、診断用アッセイ、および法医学的手順に
おける試薬として使用することができる。たとえば、伸長cDNA(またはそれから
得られるゲノムDNA)からの配列を検出可能に標識し、プローブとして使用して 、それとハイブリダイズすることができる他の配列を単離することができる。さ
らに、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からの配列を使用して、 単離方法、診断方法、または法医学的手順において使用するためのPCRプライマ ーをデザインすることができる。
【0360】 (実施例41)PCRプライマーの調製およびDNAの増幅 上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を使用して、このような 配列とハイブリダイズすることができる核酸をクローニングするための単離方法
、診断技術および法医学的技術を含め、様々な用途向けのPCRプライマーを調製 することができる。このPCRプライマーは、少なくとも10塩基であり、好ましく は、少なくとも12、15、または17塩基の長さである。さらに好ましくは、このPC
Rプライマーは、少なくとも20〜30塩基の長さである。一部の実施形態では、PCR
プライマーは、30塩基を超える長さであってもよい。プライマー対は、融解温度
がほぼ同じであるように、ほぼ同じG/C比を有することが好ましい。様々なPCR 技術が当業者に周知である。PCR技術の総説に関しては、Molecular Cloning to
Genetic Engineering White, B.A. Ed. in Methods in Molecular Biology 67:
Humana Press, Totowa (1997)を参照されたい。これらの各PCR方法において、増
幅すべき核酸配列の各側のPCRプライマーを、dNTPおよびTaqポリメラーゼ、Pfu ポリメラーゼ、またはVentポリメラーゼ等の耐熱性ポリメラーゼと一緒に、適当
に調製された核酸試料に付加する。試料中の核酸を変性させ、PCRプライマーを 、試料中の相補的核酸配列と特異的にハイブリダイズさせる。ハイブリダイズし
たプライマを伸長させる。その後、別のサイクルの変性、ハイブリダイゼーショ
ン、および伸長を開始する。このサイクルを複数回反復して、この核酸配列をプ
ライマー部位の間に含む、増幅されたフラグメントを作成する。
【0361】 (実施例42)伸長cDNAのプローブとしての使用 伸長cDNAまたはその一部(またはそれから得られるゲノムDNA)から誘導され たプローブを、放射性同位元素および非放射性標識を含む、当業者に周知の検出
可能な標識で標識して、検出可能なプローブを提供することができる。この検出
可能なプローブは、1本鎖であってもよく、あるいは、2本鎖であってもよく、
in vitro転写、ニックトランスレーション、またはキナーゼ反応を含む、当技術
分野で周知の技術を使用して作成することができる。標識プローブとハイブリダ
イズすることができる配列を含む核酸試料を標識プローブと接触させる。試料中
の核酸が2本鎖である場合、これを変性させてから、プローブと接触させてもよ
い。一部の用途では、核酸試料を、ニトロセルロースまたはナイロン膜等の表面
上に固定させてもよい。核酸試料は、ゲノムDNA、cDNAライブラリー、RNA、また
は組織試料を含む、様々なソースから得られる核酸を含んでもよい。
【0362】 検出可能なプローブとハイブリダイズすることができる核酸の存在を検出する
のに使用される手順としては、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング
、ドットブロッティング、コロニーハイブリダイゼーション、およびプラークハ
イブリダイゼーション等の周知の技術が挙げられる。一部の用途では、標識プロ
ーブとハイブリダイズすることができる核酸を、発現ベクター、シークエンシン
グベクター、またはin vitro転写ベクター等のベクターにクローニングして、試
料中のハイブリダイズする核酸の特性化および発現を容易にすることができる。
たとえば、上の実施例30に記載されているように、このような技術を使用して、
検出可能なプローブとハイブリダイズすることができるゲノムライブラリーまた
はcDNAライブラリー中の配列を単離し、クローニングすることができる。
【0363】 上の実施例41に記載の通りに作成されたPCRプライマーを、以下の実施例43〜4
7に記載のDNAフィンガープリント技術等の法医学的分析において使用することが
できる。このような分析は、5´ ESTを使用して単離された伸長cDNA(またはそ れから得られるゲノムDNA)の配列に基づいた検出可能なプローブまたはプライ マーを利用することができる。
【0364】 (実施例43)DNAシークエンシングによる法医学的一致 1つの代表的な方法において、従来の方法で、たとえば、毛髪、精液、血液ま
たは皮膚細胞の法医学的標本から、DNA試料を単離する。次いで、実施例41に従 って、多数の上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に基づいたPCR
プライマーのパネルを利用して、法医学的標本からの約100〜200塩基の長さのDN
Aを増幅する。対応する配列を、被験対象から入手する。次いで、標準技術を使 用して、これらの各同定DNAの配列を決定し、被験対象からの配列と、試料から のものとの間に差があれば、その差を、単純なデータベース比較で決定する。容
疑者のDNA配列と、試料からのものとの間の統計学的有意差により、同一性のな いことが決定的に証明される。この同一性の欠如は、たとえば、1つの配列のみ
で証明することができる。これにひきかえ、同一性は、多数の配列を用いて、全
てが一致しなければならない。100塩基の長さの、最低限50の統計学的に同じ配 列を使用して、容疑者と試料との間の同一性を証明することが好ましい。
【0365】 (実施例44)DNAシークエンシングによる陽性同定 先の実施例に略述されている技術をより大規模で使用して、任意の個体の独自
のフィンガープリント型同定を実現することができる。この技術では、表2およ
び添付の配列表からの多数の配列からプライマーを調製する。好ましくは、20〜
50種の異なるプライマーを使用する。実施例41に従って、これらのプライマーを
使用して、対応する数のPCR-生成DNAセグメントを当該個体から入手する。実施 例43に記載の方法を使用して、これらの各DNAセグメントの配列を決定する。こ の方法で作成した配列のデータベースで、配列を入手した個体が独自に同定され
る。次いで、その後の任意の時に、同じパネルのプライマーを使用して、組織ま
たは他の生物学的標本とその個体とを、完全に相関させることができる。
【0366】 (実施例45)サザンブロット法医学的同定 実施例44の方法を繰返して、個体および標本から、少なくとも10増幅された配
列のパネルを入手する。好ましくは、このパネルは、少なくとも50増幅された配
列を含む。さらに好ましくは、このパネルは、100増幅された配列を含む。一部 の実施形態において、このパネルは、200増幅された配列を含む。次いで、このP
CR生成DNAを、1種の、または、好ましくは、4種の塩基特異的制限酵素の組み 合せで消化する。このような酵素は市販されており、当業者に周知である。消化
後、結果として得られた遺伝子フラグメントを、アガロースゲル上の多数の重複
ウェルでサイズ分離し、当業者に周知のサザンブロッティング技術を使用して、
ニトロセルロースに移動させる。サザンブロッティングの総説については、Davi
sら、Basic Methods in Molecular Biology, (1986), Elsevier Press. pp 62-6
5を参照されたい。
【0367】 伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の配列、または少なくとも10 塩基のそのフラグメントに基づいたプローブのパネルを、ニックトランスレーシ
ョンまたは末端標識等の、当技術分野で周知の方法を使用して、放射性標識する
か、または比色測定法的に標識し、当技術分野で公知の技術を使用して、サザン
ブロットにハイブリダイズする(Davisら、前出)。このプローブは、上記伸長c
DNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からの少なくとも12、15、または17個
連続したヌクレオチドを含むことが好ましい。さらに好ましくは、このプローブ
は、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からの少なくとも20〜30個 連続したヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、プローブは、伸長cDNA
(またはそれから得られるゲノムDNA)からの30個を超えるヌクレオチドを含む 。他の実施形態では、プローブは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDN
A)に由来する少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少
なくとも150、または少なくとも200個の連続したヌクレオチドを含む。
【0368】 少なくとも5〜10種のこれらの標識プローブを使用することが好ましく、さら に好ましくは、少なくとも約20種または30種を使用して、独自のパターンを実現
する。結果として得られる、多量の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDN
A)試料のハイブリダイゼーションから出現するバンドで、独自に同定される。 制限酵素切断は各個体で異なるため、サザンブロットでのバンドパターンも独特
である。伸長cDNAプローブの数を増加させると、同定に使用されるバンドの組数
が増加するため、同定における、統計学的により高度の信頼性が実現される。
【0369】 (実施例46)ドットブロット同定方法 本明細書に開示されている伸長cDNA配列を使用して個体を同定する別の技術で
は、ドットブロットハイブリダイゼーション技術を利用する。
【0370】 同定すべき被験対象の核からゲノムDNAを単離する。伸長cDNAまたはそれから 得られるゲノムDNAからの少なくとも10配列、好ましくは50配列に相当する約30b
pの長さのオリゴヌクレオチドプローブを合成する。当技術分野で周知の条件で 、このプローブを使用して、ゲノムDNAとハイブリダイズする。ヌクレオチドキ ナーゼ(Pharmacia)を使用して、オリゴヌクレオチドを、P32で末端標識する。
真空ドットブロットマニホールド(BioRad, Richmond California)を使用して 、ゲノムDNAをニトロセルロース等々の上にスポットすることにより、ドットブ ロットを作成する。ゲノム配列を含むニトロセルロースフィルターを焼成するか
、またはフィルターにUV連結し、当技術分野で周知の技術(Davisら、前出)を 使用して、標識プローブとプレハイブリダイズおよびハイブリダイズする。30bp
の配列と、上記DNAとの間の最小限の差を検出するために、継続的にストリンジ ェントな条件を用いて、32P標識DNAフラグメントを逐次的にハイブリダイズする
。少数のヌクレオチドミスマッチを含むクローンの同定には、塩化テトラメチル
アンモニウムが有用である(Woodら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82(6):1585-
1588 (1985))。独自のドットパターンによって、ある個体と別の個体が区別さ れる。
【0371】 これらの配列からの少なくとも10個連続した塩基を含む伸長cDNAまたはオリゴ
ヌクレオチドを、下記の代替フィンガープリント技術において、プローブとして
使用することができる。このプローブは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲ
ノムDNA)からの少なくとも12、15、または17個連続したヌクレオチドを含むこ とが好ましい。さらに好ましくは、このプローブは、伸長cDNA(またはそれから
得られるゲノムDNA)からの少なくとも20〜30個連続したヌクレオチドを含む。 一部の実施形態において、プローブは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ
ムDNA)からの30個を超えるヌクレオチドを含む。他の実施形態では、プローブ は、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に由来する少なくとも40、 少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも150、または少なくと
も200個の連続したヌクレオチドを含む。
【0372】 異なる遺伝子からの配列を有する複数のプローブを、代替フィンガープリント
技術で使用することが好ましい。以下の実施例47に、伸長cDNAからプローブを誘
導する、代表的な代替フィンガープリント方法を提供する。
【0373】 (実施例47)代替「フィンガープリント」同定技術 Genset、Paris、France等の、市販のオリゴヌクレオチドサービスを使用して 、多数の、たとえば、50、100、または200の伸長cDNA配列(またはそれから得ら
れるゲノムDNA)から、20量体のオリゴヌクレオチドを調製する。当業者に周知 の技術を使用して、被験対象からの細胞試料を、DNA用に処理する。EcoRIおよび
XbaI等の制限酵素で、核酸を消化する。消化後、試料を、電気泳動用のウェルに
適用する。当技術分野で周知の方法を、ポリアクリルアミド電気泳動にアプライ
するように改変することは可能であるが、この実施例では、5μgのDNAを含む試 料をウェルに入れ、0.8%アガロースゲルで分離させる。標準サザンブロッティ ング技術を使用して、このゲルを、ニトロセルロース上に移動させる。
【0374】 10ngの各オリゴヌクレオチドをプールし、P32で末端標識する。ニトロセルロ ースをブロッキング溶液でプレハイブリダイズし、標識プローブとハイブリダイ
ズさせる。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の後、ニトロセルロースフィルタ
ーをX-Omat ARX線フィルムに曝露する。このようにして得られたハイブリダイゼ
ーションパターンは、各個体独特になる。
【0375】 さらに、この実施例の範囲内で、さらなる確度または明瞭性を得るために、使
用するプローブ配列数を変えられることが考えられる。
【0376】 上記実施例30および40で生成した抗体を使用して、上述の通りに試料が誘導さ
れる起源である組織型または細胞種を同定することができる。
【0377】 (実施例48)標識された組織特異的抗体を使用した組織型または細胞種の同定 特異的組織の同定は、検出可能なマーカーに直接または間接的に結合される、
実施例30および40による抗体調製物を用いた組織特異的抗原の可視化により実行
される。選択された標識抗体種は、その特異的抗原組織片中、細胞懸濁液、また
は組織試料からの可溶性タンパク質の抽出物中の結合パートナーに結合して、定
量的または半定量的分析のための1つの様式を提供する。
【0378】 これらの手順に適した抗血清は、天然の調製物の力価を上回る力価を具有しな
ければならず、そのため、たとえば、イオン交換クロマトグラフィまたは硫酸ア
ンモニウム画分によるγグロブリン分画の単離によって、抗体を、mg/mlのレベ
ルまで濃縮する。また、最も特異的な抗血清を提供するために、抗体をマーカー
で標識する前に、たとえば、不溶性免疫吸収剤を使用して、たとえば、一般的な
タンパク質に対する、望まれていない抗体を、γグロブリン分画から除去しなけ
ればならない。いずれの手順にも、モノクローナル抗血清または異種抗血清のい
ずれも適する。
【0379】 A.免疫組織化学的技術 上述の通りに調製され、精製された、高力価抗体を、たとえば、Fudenberg, H
., Chap. 26 in: Basic 503 Clinical Immunology, 3rd Ed. Lange, Los Altos,
California (1980)またはRose, N. ら、, Chap. 12 in: Methods in Immunodia
gnosis, 2d Ed. John Wiley 503 Sons, New York (1980)により記載されている 通りに、検出可能なマーカーに結合させる。
【0380】 蛍光性マーカー(フルオレセインまたはローダミンのいずれか)が好ましいが
、基質との発色反応を支持する酵素、たとえば、セイヨウワサビペルオキシダー
ゼで抗体を標識することもできる。下記の通り、第2ステップで、マーカーを、
組織結合抗体に加えることができる。あるいは、この特異的抗組織抗体をフェリ
チンまたは他の電子高密度粒子で標識し、電子顕微鏡を使用して、フェリチン結
合した抗原-抗体複合体の定位を実施する。さらに別のアプローチでは、たとえ ば125Iで抗体を放射標識し、抗体処理した調製物を写真乳剤で覆うことによって
検出する。
【0381】 上記方法を実行するための調製物は、モノクローナル抗体またはポリクローナ
ル抗体を含んでもよい。1つの組織型、たとえば、脳組織に特異的であると同定
された1つのタンパク質またはペプチド、あるいは、幾つかの抗原的に異なる組
織特異的抗原に対する抗体調製物を、必要に応じて、独立に、または混合物の状
態で、パネルに使用してもよい。
【0382】 一般的な組織学的技術により、免疫組織化学的試験用の組織片および細胞懸濁
液を調製する。未知の組織および既知の対照の、多数のクリオスタット片(約4 μm、非固定)をスライドに載せ、各スライドを異なる抗体調製物希釈液で覆う 。既知の組織および未知の組織の切片を、陽性対照、陰性対照、たとえば、プレ
免疫血清、および非特異的染色用の対照、たとえば、緩衝溶液を提供するための
調製物でも処理する。
【0383】 処理した切片を、湿潤なチャンバー内で、室温にて30分間インキュベートし、
すすぎ、次いで、緩衝溶液で30〜45分間洗浄する。過剰の流体を吸い取り、マー
カーを現像する。
【0384】 初回のインキュベーションで、組織特異的抗体が標識されなかった場合、この
時に、標識第2の抗体-抗体反応で、たとえば、イムノグロブリンクラスの抗血 清-産生種に対するフルオロセイン-結合抗体または酵素-結合抗体、たとえば、 マウスIgGに対するフルオロセイン標識抗体を加えることにより、組織特異的抗 体を標識することができる。このような標識血清は市販されている。
【0385】 組織切片上の色または蛍光の強度を測定し、適当な標準を使用して、そのシグ
ナルを較正することにより、上記手順で、組織中に認められる抗原を定量するこ
とができる。
【0386】 B.組織特異的可溶性タンパク質の同定 免疫組織化学に関する記載通りに標識抗体試薬および検出方法を使用するが、
組織から抽出されたタンパク質を、検出のために分子量に基づく整然としたアレ
イで配分するために、電気泳動法的技術に準拠して試料を調製して、上記方法に
よる組織特異的タンパク質の可視化および未知の組織の同定を実施する。
【0387】 Virtis装置を使用して組織試料をホモジナイズし、いずれの場合にも、当技術
分野で実践されいるように、細胞膜を破壊するために、必要に応じてデタージェ
ントを使用して、Dounceホモジナイゼーションまたは浸透性溶解により細胞懸濁
液を破壊する。核、ミクロソームおよび膜フラグメント等の不溶性細胞成分を限
外濾過で除去し、必要であれば、可溶性タンパク質含有分画を濃縮し、分析に備
えて保存する。
【0388】 試料中で検出される全分子量範囲のタンパク質を分解するために、1組のゲル
で、ある範囲の量のポリアクリルアミドを使用して、たとえば、Davis,L.ら、Se
ction 19-2 in:Basic Methods in Molecular Biology (P. Leder, ed), Elsevie
r, New York (1986) により記載されている従来のSDSポリアクリルアミド電気泳
動により、可溶性タンパク質溶液の試料を、個々のタンパク質に分解する。構成
タンパク質の分子量を推定するために、サイズマーカーを並行して実行する。分
析の試料サイズは、5〜55μlの便利な量であり、且つ約1〜100μgタンパク質 を含む。分解されたタンパク質のそれぞれのアリコートを、ブロッティングによ
り、ニトロセルロースフィルター紙に移動させる(分解パターンを維持する工程
)。多数のコピーを作成する。ウエスタンブロット分析として知られるこの手順
は、Davis,Lら、(上記)Section19-3に十分に説明されている。抗体結合タンパ
ク質と比較するために、1組のニトロセルロースブロットをクーマシーブルー染
色で染色して、全組のタンパク質を可視化する。次いで、残りのニトロセルロー
スフィルターを実施例30および40に記載の通りに調製された組織特異的タンパク
質に対する1つまたは複数の特異的抗血清の溶液とともにインキュベートする。
この方法では、上記手順Aの場合と同様に、適当な陽性および陰性の、試料およ
び試薬対照を実行する。
【0389】 手順AまたはBのいずれでも、様々な方法およびその変形に従って、検出可能
な標識を、一次組織抗原-一次抗体複合体に付着させることができる。直進的な アプローチにおいて、一次特異的抗体を標識してもよく、あるいは、標識された
二次抗IgG抗体により、非標識複合体を結合させてもよい。他のアプローチにお いて、一次抗体または二次抗体のいずれかをビオチン分子に結合させ、これを、
次のステップで、アビジン結合マーカーに結合させてもよい。また別の方法によ
れば、いずれかのIgGに結合する性質を有する酵素標識されたタンパク質Aまた は放射性タンパク質Aを、最終ステップで、一次または二次抗体のいずれかに結
合させる。
【0390】 伸長cDNA配列から同定された遺伝子配列から調製された1つまたは複数の組織
特異的抗体への、対照組織でみられるものを上回るレベルの組織特異的抗原の結
合を可視化して、未知の起源、たとえば、法医学的試料の組織,、または他所の 身体部位に転移した分化した腫瘍組織を同定することができる。
【0391】 法医学および同定における用途に加えて、伸長cDNA(またはそれから得られる
ゲノムDNA)を、染色体の位置にマッピングすることができる。以下の実施例49 に、伸長cDNAを使用したヒト染色体領域の放射線ハイブリッド(RH)マッピング
について記載する。以下の実施例50に、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ
ムDNA)を、ヒト染色体上のその位置にマッピングする代表的方法について記載 する。以下の実施例51に、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)による 、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の中期染色体上マッピングに ついて記載する。
【0392】 (実施例49)ヒトゲノムへの伸長cDNAの放射線ハイブリッドマッピング 放射線ハイブリッド(RH)マッピングは、ヒトゲノムの高解像度マッピングに
使用できる体細胞遺伝学的アプローチである。このアプローチにおいて、1つま
たは複数のヒト染色体を含む細胞系を致命的に照射し、各染色体をフラグメント
に切断するが、そのサイズは、放射線量によって異なる。培養げっ歯類細胞との
融合により、これらのフラグメントを救助して、ヒトゲノムの異なる部分を含む
サブクローンを生成する。この技術は、Genomics 4: 509-517(1989)およびCoxら
、Science 250: 245-250 (1990) により説明されている。サブクローンはランダ
ム且つ独立しているため、ヒトゲノムマーカーを能率的にマッピングすることが
できる。80〜100細胞系のパネルから単離されたヒトDNAは、伸長cDNA(またはそ
れから得られるゲノムDNA)を順序良く配置するマッピング試薬である。このア プローチにおいて、マーカー間の切断頻度を使用して距離を測定し、従来のEST (Schulerら、Science 274:540-546(1996))を使用して実施されていた、精 密な解像マップを作成することができる。
【0393】 RHマッピングは、成長ホルモン(GH)およびチミジンキナーゼ(TK)に関する
遺伝子全域のヒト染色体17q22〜q25.3(Fosterら、Genomics 33:185-192(1996
))、ゴーリン(Gorlin)症候群遺伝子を囲む領域(Obermayrら、Eur.J. Hum.
Genet. 4:242-245, 1996)、第12染色体の短いアーム全体を含む遺伝子座(Rae
ymaekersら、Genomics 29:170-178,(1995))、2型神経線維腫遺伝子座を含 むヒト染色体22の領域(Frazerら、Genomics 14:574-584(1992))および第5
染色体の長いアーム上の13遺伝子座(Warringtonら、Genomics 11:701-708(19
91))の高解像度全ゲノム放射線ハイブリッドマップの作成に使用されている。
【0394】 (実施例50)PCR技術を使用したヒト染色体への伸長cDNAのマッピング PCRに基づいた方法論を使用して、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムD
NA)をヒト染色体に割り当てることができる。このようなアプローチにおいて、
イントロンを介して増幅する機会を最小限に抑えるように、オリゴヌクレオチド
プライマー対を伸長cDNA配列(またはそれから得られるゲノムDNAの配列)か
らデザインする。このオリゴヌクレオチドプライマーは、18〜23bpの長さであり
、且つPCR増幅向けであることが好ましい。既知の配列からのPCRプライマの作成
は、当業者に周知である。PCR技術の総説については、Erlich, H.A., PCR Techn ology; Principles and Applications for DNA Amplification .(1992).W.H. F
reeman and Co., New York.を参照されたい。
【0395】 上記プライマーは、全ヒトゲノムDNAからの鋳型を増幅するためのポリメラー ゼ連鎖反応(PCR)に使用される。PCR条件は、以下の通りである:80ngの各オリ
ゴヌクレオチドプライマー、0.6単位のTaqポリメラーゼ、および1μCuの32P標 識デオキシシチジントリホスフェートと共に、60ngのゲノムDNAを、PCR用の鋳型
として使用する。マイクロプレートサーモサイクラー(Techne)内で、以下の条
件で、PCRを実施する:94´Cで1.4分、55℃で2分、および72´℃で2分を30サ イクル、72℃で10分間の最終延長。6%ポリアクリルアミドシークエンシングゲ ルで増幅すされた生成物を分析し、オートラジオグラフィーで可視化する。この
ようにして得られたPCR産物の長さが、プライマーの起源である伸長cDNAにける プライマー配列の末端から末端までの距離と同じ場合、ヒト-げっ歯類体細胞細 胞ハイブリッド、BIOS PCRable DNA(BIOS Corporation)およびNIGMS Human-Ro
dent Somatic Cell Hybrid Mapping Panel Number1 (NIGMS, Camden, NJ)の2パ
ネルからのDNA鋳型を用いて、PCR反応を繰返す。
【0396】 PCRを使用して、所与の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の有無
について、規定されたセットの染色体を含む一連の体細胞細胞ハイブリッド細胞
系をスクリーニングする。体細胞ハイブリッドからDNAを単離し、伸長cDNA(ま たはそれから得られるゲノムDNA)からのプライマー対を使用したPCR反応用の出
発鋳型として使用する。伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)に対応 するヒト遺伝子をを含む染色体との体細胞細胞ハイブリッドのみをのみが、増幅
されたフラグメントを生成する。体細胞ハイブリッドDNA鋳型からのPCR産物の分
離パターンの分析により、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を、 染色体に割り当てる。増幅されたフラグメントを生じさせる全ての細胞ハイブリ
ッドに存在する1つのヒト染色体が、上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲ
ノムDNA)を含む染色体である。体細胞細胞遺伝子マッピング実験の結果の技術 および分析に関する総説については、Ledbetterら、Genomics 6:475-481(1990
)を参照されたい。
【0397】 あるいは、以下の実施例51に記載のFISHを使用して、伸長cDNA(またはそれか
ら得られるゲノムDNA)を、個々の染色体にマッピングしてもよい。
【0398】 (実施例 51) 蛍光in situハイブリダイゼーションを使用した、伸長5´ESTの染色体へのマッ ピング 蛍光in situハイブリダイゼーションを使用して、伸長cDNA(またはそれから得
られるゲノムDNA)を、所与の染色体上の特定の位置にマッピングすることが可能
である。蛍光in situハイブリダイゼーション技術に使用される染色体は、細胞 培養、組織、または全血を含む様々なソースから得ることができる。
【0399】 好ましい実施形態において、Cherifら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:
6639-6643 (1990)により記載されているFISHによって、伸長cDNA(またはそれか ら得られるゲノムDNA)の染色体の配置が得られる。中期染色体を、フィトヘマグ
ルチニン(PHA)-刺激血液細胞供与体から調製する。健常な男性からのPHA-刺激リ
ンパ球を、RPMI-1640培地中で72時間培養する。同期化のために、メトトレキセ ート(10μM)を17時間加えた後、5-ブロモデオキシウリジン(5-BudR、0.1mM)を6 時間加える。Colcemid(1μg/ml)を最後の15分間加えてから、細胞を収穫する
。細胞を回収し、RPMIで洗浄し、低張のKCl(75mM)溶液と共に、37℃で15分間 インキュベートし、メタノール:酢酸(3:1)を3回変えて固定する。細胞懸
濁液をスライドガラス上に落とし、風乾する。製造会社の説明書に従って(Bethe
sda Research Laboratories, Bethesda, MD)、ニックトランスレーションにより
、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)をビオチン-16dUTPを標識し、Se
phadexG-50カラム(Pharmacia, Upssala, Sweden)を使用して精製し、沈殿させる
。ハイブリダイゼーションの直前に、このDNAハイブリダイゼーション緩衝溶液 (50%ホルムアミド、2×SSC、10%硫酸デキストラン、1mg/ml超音波処理したサ
ケ精子DNA、pH7)に溶解し、このプローブを、70℃で5〜10分間、変性させる 。
【0400】 -20℃に保たれたスライドを、RNaseA(100μg/ml)で、37℃にて1時間処理し
、2×SSCで3回すすぎ、エタノールシリーズで脱水する。染色体調製物を、70%
ホルムアミド、2×SSCで70℃にて2分間変性させ、次いで4℃で脱水する。上 記スライドを、プロテイナーゼK(20mM Tris-HCl中10μg/100ml、2mMCaCl2)で
、37℃にて8分間処理し、脱水する。このスライドにプローブを含むハイブリダ
イゼーション混合物を載せ、カバーガラスで覆い、ゴムセメントで密封し、湿潤
なチャンバ内で、37℃にて一晩、インキュベートする。ハイブリダイゼーション
およびハイブリダイゼーション後洗浄の後、ビオチニル化したプローブをアビジ
ン-FITCで検出し、ビオチニル化したヤギ抗ビジンおよびアビジン-FITCのさらな
る層で増幅する。染色体の配置については、蛍光R-バンドが前述(Cherifら、前 出)の通りに得られる。LEICA蛍光顕微鏡(DMRXA)下でスライドを観察する。ヨウ 化プロピジウムで染色体を対比染色すると、プローブの蛍光シグナルが、蛍光R-
バンド染色体の両染色分体(赤色)上に、2つの対称的な黄緑色のスポットとして
出現する。このように、ある特定の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA
)を、所定の染色体上の特定の細胞遺伝学的R-バンドに局在化することができる 。
【0401】 上記実施例49〜51に記載の技術を使用して、伸長cDNA(またはそれから得られ るゲノムDNA)をいったん特定の染色体に割り当てるとその後は、これを使用して
、試料中の染色体が定位または同定される、染色体の高解像能マップの構築に利
用することができる。
【0402】 (実施例52)伸長cDNAの、染色体マップの構築または拡大への使用 上記の通り、染色体マッピングは、所与の固有の配列を、ある特定の染色体に
割り当てることを含む。いったん、固有の配列を所与の染色体にマッピングする
とその後は、同じ染色体上に位置する他の固有の配列と比較して、これを整然と
配置する。染色体マッピングのための1つのアプローチは、伸長cDNA(またはそ れから得られるゲノムDNA)を入手した生物の染色体から誘導される数千の長さの
挿入物を担持する一連の酵母人工染色体(YAC)を利用する。このアプローチは、R
amaiah Nagaraja ら、Genome Research 7:210-222 (March, 1997)に記載されて いる。簡単に記載すると、このアプローチにおいて、各染色体を、重複するフラ
グメントに切断し、これをYACベクターに挿入する。位置を決定すべき伸長cDNA(
またはそれから得られるゲノムDNA)が挿入物に含まれているかどうかを決定する
ために、PCRまたは他の方法を使用して、このYAC挿入物をスクリーニングする。
伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を含む挿入物がいったん確認され ると、その染色体上、あるいは、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA) が誘導された起源である領域内に存在することが判明している他の配列も、この
挿入物に含まれているかどうかを決定するために、PCRまたは他の方法で、この 挿入物を分析することができる。YACライブラリー中の各挿入物について、この 方法を繰返して、互いに比較した、且つ他の既知の染色体のマーカーと比較した
、各伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の位置を決定することができ る。この方法で、各生物の染色体に沿った多くの固有のマーカーの分布を示す高
解像度マップを得ることができる。
【0403】 以下の実施例53に記載の通りに、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA
)を使用して、特定の表現型、たとえば、遺伝的疾患または薬物応答と関連した 遺伝子を同定することができる。
【0404】 実施例53遺伝病または薬物応答と関連した遺伝子の同定 この実施例では、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)と特定の表現 型特性との関連に有用なアプローチを説明する。この実施例において、特定の伸
長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を被験プローブとして使用して、上 記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)と、特定の表現型特性とを結び つける。
【0405】 実施例49および50に記載されているような技術または当技術分野で周知の他の
技術を使用して、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を、ヒト染色体 上の特定の位置にマッピングする。人間のメンデル遺伝子 (V. McKusick, Mende
lian Inheritance in Man (Johns Hopkins University Welch Medical Library によりオンラインで利用できる))を検索すると、幾つかの既知の遺伝子ならび に遺伝子が同定されていない幾つかの疾患または表現型を含む非常に遺伝子の多
い領域である伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を含むヒト染色体の 領域が明らかになる。したがって、この伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ ムDNA)に対応する遺伝子は、これらの各遺伝学的疾患の当面の候補となる。
【0406】 これらの疾患または表現型を有する患者からの細胞を単離し、培養で増殖させ
る。伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からのPCRプライマーを使用し
て、患者から採取したゲノムDNA、mRNAまたはcDNAをスクリーニングする。さら なる分析により、患者で増幅されない伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムD
NA)を、特定の疾患と決定的に結びつけることができる。あるいは、試料が疾患 関連の表現型を有する個体から誘導されるとき、試料が健常者から誘導されると
きと異なる長さのフラグメントが、PCR分析で生じる可能性があり、伸長cDNAを 含む遺伝子が遺伝的疾患の原因である可能性を示す。
【0407】 VI.ベクターを構築するための伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の使
用 本伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を使用して、ベクターに挿入 された遺伝子によりコードされるタンパク質の分泌を指令することができる、分
泌ベクターを構築することができる。このような分泌ベクターは、所望のタンパ
ク質をそれから精製しまたは富化しなければならないバックグラウンドタンパク
質の数を減少することにより、中に挿入された遺伝子によりコードされるタンパ
ク質の精製または富化を容易にすることができる。代表的な分泌ベクターを以下
の実施例54に記載する。
【0408】 (実施例54)分泌ベクターの構築 本発明の分泌ベクターは、宿主細胞、組織、または目的の生物において遺伝子
発現を指令することができるプロモーターを含む。このようなプロモーターとし
ては、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロ
ウイルスプロモーター、および当業者に知られている他のプロモーターなどが挙
げられる。
【0409】 上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)からのシグナル配列、たと えば、上の表7に記載されている配列番号40〜140および242〜377におけるシグ ナル配列の1つを、プロモーターから転写されたmRNAが、シグナルペプチドの翻
訳を指令するように、操作可能にプロモーターに連結する。宿主細胞、宿主組織
、または宿主生物は、上記伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)におけ るシグナル配列によりコードされるシグナルペプチドを認識する任意の細胞、組
織、または生物であってもよい。適当な宿主としては、哺乳類細胞、哺乳類組織
、哺乳類生物、鳥類細胞、鳥類組織、鳥類生物、昆虫細胞、昆虫組織、昆虫生物
、または酵母が挙げられる。
【0410】 さらに、上記分泌ベクターは、分泌されるタンパク質をコードする遺伝子を挿
入するためのクローニング部位を含む。このクローニング部位は、挿入された遺
伝子によりコードされるタンパク質にシグナルペプチドが融合される融合タンパ
ク質が、プロモーターから転写されたmRNAから発現するように、挿入遺伝子をシ
グナル配列と一緒にインフレームでクローニングするのを容易にする。このシグ
ナルペプチドは、融合タンパク質の細胞外分泌を指令する。
【0411】 上記分泌ベクターは、DNAであってもRNAであってもよく、宿主の染色体に統合
されてもよく、染色体外のレプリコンとして宿主に安定に維持されていてもよく
、人工染色体であってもよく、または宿主に一時的に存在してもよい。分泌ベク
ターとして使用するのに適した多くの核酸バックボーンは、レトロウイルスベク
ター、SV40ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、酵母統合プラスミド、酵母
エピソームプラスミド、酵母人工染色体、ヒト人工染色体、P因子ベクター、バ キュロウイルスベクター、または一時的に宿主に導入することができる細菌プラ
スミドを含め、当業者に公知である。
【0412】 上記分泌ベクターは、ポリAシグナルが分泌ベクターに挿入された遺伝子の下
流に位置するように、ポリAシグナルも含んでもよい。
【0413】 分泌が望まれるタンパク質をコードする遺伝子を分泌ベクターに挿入した後、
リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポソ ーム介在形質導入、ウイルス粒子、または裸のDNAとして使用して、この分泌ベ クターを宿主細胞、宿主組織、または宿主生物に導入する。次いで、挿入された
遺伝子によりコードされるタンパク質を、硫酸アンモニウム沈殿、免疫沈殿、イ
ムノクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラ
フィ、およびHPLC等の従来技術を使用して、上清から精製するか、または富化す
る。あるいは、分泌タンパク質は、さらに富化せずに、所期の目的のために使用
できるほど十分に、宿主の上清または成長培地中で富化された状態であってもよ
く、純粋な状態であってもよい。
【0414】 上記シグナル配列を、遺伝子療法用にデザインされたベクターに挿入すること
もできる。このようなベクターにおいて、上記プロモーターから転写されたmRNA
が、上記シグナルペプチドをコードするように、シグナル配列を操作可能にプロ
モーターに連結する。分泌が望まれるタンパク質をコードする遺伝子が、容易に
ベクターに挿入され、シグナル配列に融合されるように、クローニング部位を、
シグナル配列の下流に置く。このベクターを、適当な宿主細胞に導入する。プロ
モーターから発現されたタンパク質が細胞外に分泌され、その結果、治療効果が
生じる。
【0415】 上記伸長cDNAまたは5´ ESTを使用して、転写レベルまたは翻訳レベルに影響 するプロモーター配列、エンハンサー配列、および他の上流配列を含む、遺伝子
発現を調節することができる伸長cDNAまたは5´ ESTの上流に位置する配列をク ローニングすることもできる。いったん同定し、クローニングすると、これらの
上流にある調節配列を、所望の空間的、時間的、発生的、または量的様式で挿入
された遺伝子の発現を指令するようにデザインされた発現ベクターに使用するこ
とができる。実施例55に、伸長cDNAまたは5´ ESTの上流にある配列をクローニ ングする方法を説明する。
【0416】 (実施例55)ゲノムDNAから上流の配列をクローニングするための伸長cDNAまたは5´ ESTの使 染色体歩行技術を使用して、伸長cDNAまたは5´ ESTから誘導された配列を、 対応する遺伝子のロモーターの単離に使用することができる。Clontechから市販
されている登録商標GenomeWalkerキットを利用する1つの染色体歩行技術におい
て、5つの完全なゲノムDNA試料を、6つの塩基認識部位を有し、且つ平滑末端を
残す異なる制限酵素で、それぞれを消化する。消化後、このようにして得られた
ゲノムDNAフラグメントの各末端に、オリゴヌクレオチドアダプターを連結する 。
【0417】 5つのゲノムDNAライブラリーのそれぞれに対して、製造会社の説明書に従い 、キット内に用意されている外側アダプタープライマーおよび外側遺伝子特異的
プライマーを使用して、初回PCR反応を実施する。この遺伝子特異的プライマー は、目的の伸長cDNAまたは5´ ESTに特異的であるように選択され、且つPCR反応
におけるその使用と一致する融解温度、長さ、および伸長cDNAまたは´ESTにお ける位置を具有しなければならない。各初回PCR反応は、総体積50μl中に、5ng のゲノムDNA、5μlの10×Tth反応緩衝溶液、0.2mMの各dNTP、それぞれ0.2μMの
外側アダプタープライマーおよび外側遺伝子特異的プライマー、1.1mMのMg(OAc) 2 、および1μlのTthポリメラーゼ50×ミックスを含む。初回PCR反応のための反 応サイクルは、次の通りである:1分-94℃/2秒-94℃、3分-72℃(7サイクル)/
2秒-94℃、3分-67℃(32サイクル)/5分-67℃。
【0418】 初回PCR反応の生成物を希釈し、製造会社の説明書に従って、初回PCR反応から
生じたアンプリコン上内部に位置する一対のネステッドプライマーを使用して、
第2回PCR反応製造用の鋳型として使用する。たとえば、初回PCR反応混合物の反
応生成物5μlを180倍希釈することが可能である。ネステッドプライマーを使用
すること以外は、反応は、初回PCR反応のものと同一の組成を有する50μlの容積
において行う。第1のネステッドプライマーは、アダプターに特異的であり、Ge
nomeWalkerTMキットで提供される。第2のネステッドプライマーは、プロモータ
ーをクローニングすべき個々の伸長cDNAまたは5´ ESTに特異的である。且つPCR
反応におけるその使用と一致する融解温度、長さ、および伸長cDNAまたは´EST における位置を具有しなければならない。第2回PCR反応の反応パラメーターは 以下の通りである:1分-94℃/2秒-94℃、3分-72℃(6サイクル)/2秒-94℃、 3分-67℃(25サイクル)/5分-67℃
【0419】 標準技術を使用して、第2回PCR反応の生成物を精製し、クローニング、配列 決定する。あるいは、2種以上の制限酵素を使用して、2つ以上のヒトゲノムDN
Aライブラリーを構築することができる。1本鎖、環状、または線状DNAに変換す
ることができるベクターに、消化されたゲノムDNAをクローニングする。伸長cDN
Aまたは5´ EST配列からの少なくとも15ヌクレオチドを含むビオチニル化オリゴ
ヌクレオチドを、1本鎖DNAとハイブリダイズする。上の実施例29に記載の通り に、ビオチニル化オリゴヌクレオチドと、伸長cDNAまたはEST配列を含む1本鎖D
NAとの間のハイブリッドを単離する。その後、伸長cDNAまたはEST配列を含む1 本鎖DNAをビーズから放出させ、伸長cDNAまたは5´ EST配列に特異的なプライマ
ーあるいはクローニングベクターに含まれる配列に対応するプライマー二本鎖DN
Aに変換する。このようにして得られた二本鎖DNAを細菌に形質転換する。5´ ES
Tまたは伸長cDNA配列を含むDNAを、コロニーPCRまたはコロニーハイブリダイゼ ーションで同定する。
【0420】 上記の通り、いったん上流ゲノム配列がクローニングされ、配列決定されると
その後は、伸長cDNAまたは5´ ESTの上流にある配列を、既知の転写開始部位、 転写因子結合部位、またはプロモーター配列を含むデータベースと比較すること
により、上流配列内の有望なプロモーターおよび転写開始部位を同定することが
できる。
【0421】 さらに、プロモーターレポーターベクターを使用して、実施例56に記載されて
いるような上流配列におけるプロモーターを同定することができる。
【0422】 (実施例56)クローン化上流配列におけるプロモーターの同定 伸長cDNAまたは5´ ESTの上流にあるゲノム配列を、Clontechから入手可能なp
SEAP-Basic、pSEAP-Enhancer、pβgal-Basic、pβgal-Enhancer、またはpEGFP-1
プロモーターレポーターベクター等の、適当なプロモーターレポーターベクター
にクローニングする。簡単に記載すると、上記の各プロモーターレポーターベク
ターは、分泌されたアルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、または緑色
蛍光性タンパク質等の、容易にアッセイできるタンパク質をコードするレポータ
ー遺伝子の上流に配置された多数のクローニング部位を含む。伸長cDNAまたは5 ´ ESTの上流にある配列を、レポーター遺伝子の上流にあるクローニング部位に
、両方向に 挿入し、適当な宿主細胞に導入する。レポータータンパク質のレベ
ルをアッセイし、クローニング部位に挿入物がないベクターから得られたレベル
と比較する。対照ベクターと比較して、挿入物を含むベクターに高い発現レベル
が存在することは、挿入物の中にプロモーターが存在することを示す。必要であ
れば、上流配列を、弱いプロモーター配列からの転写レベルを増大するためのエ
ンハンサーを含むベクタークローニングすることができる。挿入物がないベクタ
ーで確認されたものを上回るかなりのレベルの発現は、挿入された上流配列中に
プロモーター配列が存在することを示す。
【0423】 上記の伸長cDNAおよびESTの発現パターン決定の結果に基づいて、プロモータ ーレポーターベクターに適した宿主細胞を選択することができる。たとえば、発
現パターン分析が、特定の伸長cDNAまたは5´ ESTに対応するmRNAが線維芽細胞 に発現されることを示す場合、そのプロモーターレポーターベクターを、ヒト線
維芽細胞細胞系導入することができる。
【0424】 エキソヌクレアーゼIII消化等の、従来技術を使用して、上流DNAにネステッド
欠失を構築することにより、上流ゲノムDNA内のプロモーター配列をさらに明確 にすることができる。結果として得られた欠失フラグメントを、プロモーターレ
ポーターベクター挿入して、欠失がプロモーター活性を低減したか、あるいは削
除したかを決定することができる。この方法で、プロモーターの境界を画定する
ことができる。必要に応じて、プロモーター内の潜在的転写因子結合部位を個々
にまたは組み合せて削除するために、位置指定突然変異誘発またはリンカー走査
を使用して、プロモーター内の潜在的な個々の調節部位を同定することができる
。プロモーターレポーターベクター内のクローニング部位に、突然変異を挿入す
ることにより、これらの突然変異が転写レベルに及ぼす影響を決定することがで
きる。
【0425】 (実施例57)プロモーターのクローニングおよび同定 上の実施例55に記載の方法と5´ ESTとを使用して、幾つかの遺伝子の上流に ある配列を得た。プライマー対GGG AAG ATG GAG ATA GTA TTG CCT G (配列番号2
9)とCTG CCA TGT ACA TGA TAG AGA GAT TC(配列番号30)を使用して、内部呼称P1
3H2(配列番号31)を有するプロモーターを得た。
【0426】 プライマー対GTA CCA GGGG ACT GTG ACC ATT GC (配列番号32) と CTG TGA CC
A TTG CTC CCA AGA GAG(配列番号33)を使用して、内部呼称P15B4(配列番号34)を
有するプロモーターを得た。
【0427】 プライマー 対 CTG GGA TGG AAG GCA CGG TA (配列番号35) と GAG ACC ACA C
AG CTA GAC AA (配列番号36)を使用して、内部呼称P29B6(配列番号37)を有する プロモーターを得た。
【0428】 図8は、単離されたプロモーターならびにそれらを対応する5´タグと組み合 せる方法に関する図式的説明である。コンピュータープログラムMatInspectorリ
リース2.0、1996年8月を使用して、上流配列を、転写因子結合部位と類似した モチーフまたは既知の転写開始部位の有無についてスクリーニングした。
【0429】 図9に、これらの各プロモーターに存在する転写因子結合部位について説明す
る。マトリックスと標された欄は、使用したMatInspectorマトリクックスの名称
である。位置と標された欄は、プロモーター部位の5´位置である。配列の計数 は、ゲノム配列と5´ EST配列との一致によって決定された、転写部位から開始 する。「配向性」と標された欄は、その部位が確認されたDNA鎖を示し、+鎖はゲ
ノム配列と5´ ESTの配列との一致によって決定されたコード鎖である。「得点 」と標された欄は、この部位について下されたMatInspector得点である。「長さ
」と標された欄は、ヌクレオチドにおけるその部位の長さである。「配列」と標
された欄は、確認された部位の配列である。
【0430】 伸長cDNAまたは5´ ESTの上流に位置する上記プロモーターおよび他の調節配 列を使用して、所望の空間的、時間的、発生的、または量的方式で、挿入された
遺伝子の発現を指令することができる発現ベクターをデザインすることができる
。上の実施例26に記載の発現分析の結果を使用して、所望の空間的、時間的、発
生的、または量的パターンを指令することができるプロモーターを選択すること
ができる。たとえば、筋肉において高レベルの発現を与えるプロモーターが望ま
しい場合、実施例26の方法で決定したとき、筋肉に高レベルで発現されたmRNAか
ら誘導された伸長cDNAまたは5´ ESTの上流にあるプロモーター配列を、発現ベ クターに使用することができる。
【0431】 プロモーターの下流にある所望の挿入物のクローニングを容易にするために、
挿入された遺伝子の発現をプロモーター推進できるように、所望のプロモーター
を、多数の制限部位付近に入れることが好ましい。染色体外複製、宿主染色体へ
の統合または一時的発現向けにデザインされた従来の核酸バックボーンに、この
プロモーターを挿入することができる。本発現ベクターに適したバックボーンと
しては、レトロウイルスバックボーン、SV40またはウシ乳頭腫ウイルス等の真核
エピソームからのバックボーン、細菌エピソームからのバックボーン、または人
工染色体などが挙げられる。
【0432】 発現ベクターは、発現ベクターに挿入された遺伝子から転写されたmRNAのポリ
アデニル化を指令するための、多数の制限部位の下流にあるポリAシグナルも含
むことが好ましい。 実施例55〜57の方法を使用してプロモーター配列を同定した後、以下の実施例
58に記載の通りに、プロモーターと相互に作用するタンパク質を同定することが
可能である。
【0433】 (実施例58)プロモーター配列、上流調節配列、またはmRNAと相互に作用するタンパク質の同 既知の転写因子結合部位との相同性によって、あるいは、プロモーター配列を
含むレポータープラスミドの、従来の突然変異誘発分析または欠失分析を用いて
、転写因子に結合する可能性があるプロモーター領域内の配列を同定することが
可能である。たとえば、アッセイできるレポーター遺伝子に操作可能に連結され
た、目的のプロモーター配列を含むレポータープラスミド内に欠失を作ることが
できる。プロモーター領域内に種々の欠失を担持するレポータープラスミドを、
適当な宿主細胞に形質導入し、その欠失が発現レベルに及ぼす影響を評価する。
部位指定突然変異誘発、リンカー走査分析、または当業者に周知の他の技術を使
用して、欠失が発現レベルを低減する領域内の転写因子結合部位をさらに定位す
ることが可能である。Clontech(カタログ番号K1603-1)から入手可能なMatchmake
r One-Hybrid System キットに添付されているマニュアルに記載されているよう
な、1-ハイブリッド系を使用して、プロモーター内の配列とと相互に作用する タンパク質をコードする核酸を同定することが可能である。簡単に記載すると、
以下の通りに、Matchmaker One- Hybrid Systemを使用する。結合性タンパク質 を同定するのに必要なターゲト配列を選択可能なレポーター遺伝子の上流にクロ
ーニングし、酵母ゲノムに統合する。ターゲト配列の多数のコピーをレポーター
プラスミドに直列で挿入することが好ましい。
【0434】 プロモーターおよびGAL4等の酵母転写因子の活性化ドメインに結合する能力に
関して評価すべきcDNA間の融合を含むライブラリーを、統合されたレポーター配
列を含む酵母株に形質転換する。この酵母を、選択培地上にプレーティングして
、プロモーター配列に連結された選択可能なマーカーを発現する細胞を選択する
。選択培地で成長するコロニーは、標的配列を結合するタンパク質をコードする
遺伝子を含む。融合タンパク質をコードする遺伝子内の挿入物を、シークエンシ
ングによって、さらに特性化する。さらに、この挿入物を、発現ベクターまたは
in vitro転写ベクターに挿入することができる。プロモーターDNA内への挿入物 によりコードされるポリペプチドの結合を、ゲルシフト分析またはDNAese保護分
析等の、当業者に周知の技術で、確認することができる。
【0435】 VII.遺伝子療法における伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の使用 本発明は、以下の実施例57および58に記載のアンチセンス方法および三重らせ
ん方法を含む、遺伝子療法における伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA
)の使用も含む。アンチセンスアプローチにおいて、mRNAに相補的な核酸配列を 、細胞内で、mRNAとハイブリダイズし、その結果、そのmRNAによりコードされる
タンパク質の発現を遮断する。アンチセンス配列は、様々な機構によって、遺伝
子発現を妨害することができる。たとえば、アンチセンス配列は、リボソームが
mRNAを翻訳する能力を阻害することができる。あるいは、アンチセンス配列は、
核から細胞質へのmRNAの輸送を遮断し、それによって、翻訳に利用できるmRNAの
量を制限する。アンチセンス配列が遺伝子発現を阻害することができる別の機構
は、mRNAスプライシングを妨害することによる。さらに別の方法において、アン
チセンス核酸を標的mRNAを特異的に切断することができるリボザイム内に組み込
んでもよい。
【0436】 (実施例 59 )アンチセンス オリゴヌクレオチドの調製および使用 遺伝子療法で使用すべきアンチセンス核酸分子は、DNA配列またはRNA配列のい
ずれであってもよい。上記核酸分子は、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノ ムDNA)の配列と相補的な配列を含む。アンチセンス核酸は、二重らせんにおける
mRNAの発現を阻害するのに十分な安定性を有する細胞内二重らせんの形成を可能
にするのに十分な長さおよび融解温度を具有しなければならない。遺伝子療法で
使用するのに適したアンチセンス核酸をデザインする方法は、Greenら、Ann. Re
v. Biochem. 55:569-597 (1986) および Izant and Weintraub, Cell 36:1007-1
015 (1984)に開示されている。
【0437】 一部の方法において、細胞内で、正常に転写されるものと逆の鎖を転写するた
めに、プロモーターに関するコード配列の配置を逆転することにより、タンパク
質をコードするヌクレオチド配列からアンチセンス分子が得られる。in vitro転
写システム、たとえば、T7またはSP6ポリメラーゼを使用して、転写物を生成す るものを使用して、アンチセンス分子を転写することができる。別のアプローチ
は、アンチセンス配列を含むDNAを、発現ベクターにおけるプロモーターに操作 可能に連結することによる、in vivoでのアンチセンス核酸の転写を含む。
【0438】 あるいは、細胞内で、正常に転写される鎖と相補的なオリゴヌクレオチドをin vitroで合成することができる。したがって、アンチセンス核酸は、対応するmR
NAと相補的であり、且つmRNAとハイブリダイズして、二重らせんを生成すること
ができる。一部の実施形態において、安定性を高め、且つRNase活性に対する感 受性を低くするために、アンチセンス配列は、修飾された糖リン酸バックボーン
を含んでもよい。アンチセンス方法で使用するのに適した修飾の例は、Rossiら 、Pharmacol. Ther. 50(2):245-254 (1991)に記載されている。
【0439】 伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の配列と相補的な種々のタイプ のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することができる。1つの好ましい実
施形態では、PCT国際公開第WO94/23026号に記載の安定なアンチセンスオリゴヌ クレオチドおよび半安定なアンチセンスオリゴヌクレオチドが使用される。これ
らの分子において、相補塩基対間の分子内水素結合において、3´末端または3´
末端と5´末端の両者を操作する。これらの分子は、従来のアンチセンスオリゴ ヌクレオチドに比べて、エキソヌクレアーゼ攻撃により耐えることができ、且つ
高い安定性を示す。
【0440】 別の好ましい実施形態では、国際公開第WO95/04141号に記載の、単純ヘルペ スウイルス1型および2型に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドが
使用される。
【0441】 また別の好ましい実施形態では、国際公開第WO96/31523号に記載の共有結合的
に架橋したアンチセンスオリゴヌクレオチドが使用される。これらの2本鎖オリ
ゴヌクレオチドまたはまたは1本鎖オリゴヌクレオチドは、それぞれ、1つまた
は複数の、オリゴヌクレオチド間またはオリゴヌクレオチド内共有結合的架橋を
含み、その結合は、それぞれ、1本の鎖の第一級アミン基と、他の鎖または同じ
鎖のカルボキシル基との間のアミド結合からなり、第一級アミン基は、その鎖の
ヌクレオチド単糖環の2'位で直接に置換されており、カルボキシル基は、それぞ
れ、他の鎖または同じ鎖の、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体上で置換さ
れた、脂肪族スペーサー基により担持されている。
【0442】 国際公開第WO92/18522に開示されているアンチセンスオリゴデオキシヌクレオ
チドおよびオリゴヌクレオチドを使用することもできる。これらの分子は、分解
に対して安定であり、且つ調節タンパク質に結合し、そのデコイとして有効な少
なくとも1つの転写調節認識配列を含む。これらの分子は、「ヘアピン」構造、
「ダンベル」構造、「修飾されたダンベル」構造、「架橋」デコイ構造および「
ループ」構造を含んでもよい。
【0443】 別の好ましい実施形態では、欧州特許出願第0572287A2号に記載の環状2本鎖 オリゴヌクレオチドが使用される。これらの連結されたオリゴヌクレオチド「ダ
ンベル」は、転写因子用の結合部位を含み、転写因子の制御下で、因子を封鎖す
ることにより、遺伝子の発現を阻害する。
【0444】 国際公開第WO92/19732に開示されている、閉鎖アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドの使用も考えられる。これらの分子には自由端がないため、従来のオリゴヌク
レオチドより、エキソヌクレアーゼによる分解に対する抵抗性がある。これらの
オリゴヌクレオチドは、標的mRNAに近接しない幾つかの領域と相互に作用する、
多機能であってもよい。
【0445】 in vitro発現分析を使用して、遺伝子発現の阻害に必要なアンチセンス核酸の
適当なレベルを決定することができる。当技術分野で周知の方法を使用して、拡
散、注入、感染または形質導入により、このアンチセンス分子を、細胞に導入こ
とができる。たとえば、アンチセンス核酸を、露出した、または裸のオリゴヌク
レオチド、脂質に包まれたオリゴヌクレオチド、ウイルスのタンパク質の外殻で
包まれたオリゴヌクレオチド配列、または発現ベクターに含まれるプロモーター
に操作可能に連結されたオリゴヌクレオチドとして、体内に導入することができ
る。発現ベクターは、レトロウイルスまたはウイルスベクター、染色体外複製が
できるベクター、または統合性ベクターを含め、当技術分野で周知の様々な発現
ベクターのいずれであってもよい。ベクターは、DNAであってもよく、またはRNA
であってもよい。
【0446】 多数の異なる濃度、好ましくは1×10-10M〜1×10-4Mで、アンチセンス分子 を、細胞試料に導入する。遺伝子発現を十分に調節することができる最低濃度が
いったん同定されると、最適化された用量が、in vivoで使用するのに適した投 薬量に変換される。たとえば、1×10-7の培養における阻止濃度は、約0.6mg/kg
体重の用量に変換される。100mg/kg体重に近い、またはそれより高いオリゴヌク
レオチドレベルは、実験動物におけるオリゴヌクレオチドの毒性試験後に可能で
あろう。さらに、脊椎動物から細胞を取りだし、アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドで処理し、脊椎動物に再導入することも考えられる。
【0447】 さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列をリボザイム配列に組み込み、
アンチセンスが、その標的mRNAを特異的に結合して切断することができるように
することも考えられる。リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドの技
術の適用については、Rossiら(前出)を参照されたい。
【0448】 本発明の好ましい用途では、RIAsおよびELISA等の抗体介在試験、機能的アッ セイ、または放射標識を含むが、これに限定されない技術を使用して、翻訳に対
するアンチセンス阻害の有効性をモニタリングできるように、該遺伝子によりコ
ードされるポリペプチドを最初に同定する。
【0449】 本発明の伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)を、細胞内三重らせん 形成に基づく遺伝子療法アプローチについても使用することができる。三重らせ
んオリゴヌクレオチドを使用して、ゲノムからの転写を阻害する。細胞活性の変
化は、特定の遺伝子と関連しているため、三重らせんオリゴヌクレオチドは、細
胞活性の変化を研究するのに特に有用である。本発明の伸長cDNA(またはそれか ら得られるゲノムDNA)または、さらに好ましくは、それらの配列の一部を使用し
て、特定の遺伝子の発現と関連した疾患を有する個体における遺伝子発現を阻害
する。同様に、伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の一部を使用して 、細胞内の特定の遺伝子の転写阻害の影響を試験する。伝統的に、三重らせん方
法には、ホモプリン配列が最も有用であると考えられた。しかし、ホモピリミジ
ン配列も遺伝子発現をそがいすることができる。このようなホモピリミジンオリ
ゴヌクレオチドは、ホモプリン:ホモピリミジン配列の主溝に結合する。したが って、伸長cDNAからの配列も、伸長cDNAに対応する遺伝子からの配列も、本発明
の範囲内であると考えられる。
【0450】 (実施例 60) 三重らせんプローブの調製および使用 伸長cDNA(またはそれから得られるゲノムDNA)の配列を走査して、遺伝子発現 を阻害するための方法に基づく三重らせんに使用できる可能性のある10量体〜20
量体のホモピリミジンまたはホモプリン延長部を同定する。候補のホモピリミジ
ンまたはホモプリン延長部の同定後、遺伝子発現阻害におけるその効力を評価す
る。候補の配列を含むオリゴヌクレオチドの様々な量を、標的遺伝子を正常に発
現する組織培養細胞に導入する。このオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチ
ドシンセサイザーで調製してもよく、または、特別注文のオリゴヌクレオチド合
成を専門とする会社、たとえば、GENSET, Paris, Franceから購入してもよい。
【0451】 リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポ ソーム介在形質導入または自然取り込み(native uptake)を含むが、これに限 定されない、当業者に周知の様々な方法を使用して、オリゴヌクレオチドを細胞
に導入することができる
【0452】 ノーザンブロッティング、RNase保護アッセイ、またはオリゴヌクレオチドで 処理しておいた細胞における標的遺伝子の転写レベルをモニタリングするための
、PCRに基づく方法等の技術を使用して、細胞機能の変化または遺伝子発現の減 少について、処理された細胞をモニタリングする。オリゴヌクレオチドの起源で
ある伸長cDNAに対応する標的遺伝子と、特定の機能と関連していた既知の遺伝子
配列との相同性にもとづいて、モニタリングすべき細胞機能を予測する。特定の
遺伝的疾患を有する個体から誘導された細胞内における生理機能異常の有無に基
づいて、特に、伸長cDNAがその疾患と関連しているとき、実施例53に記載の技術
を使用して、細胞機能を予測することもできる。
【0453】 次いで、上記の技術および実施例59に記載の技術を使用し、実施例59に記載の
ように、in vitroでの結果に基づいて算出された投薬量で、組織培養細胞におけ
る遺伝子発現の阻害に有効なオリゴヌクレオチドを、in vivoで導入することが できる。
【0454】 一部の実施形態において、オリゴヌクレオチド単位の天然(β)アノマーを、α
アノマーと置き換えて、オリゴヌクレオチドを、さらにヌクレアーゼ耐性にする
ことができる。さらに、臭化エチジウム等々の挿入用薬剤を、αオリゴヌクレオ
チドの3´末端に接着し、三重らせんを安定化することができる。三重らせん形 成に適したオリゴヌクレオチドの生成に関する情報については、Griffinら、Sci
ence 245:967-971 (1989)を参照されたい。
【0455】 (実施例 61)コードされたタンパク質を、宿主生物にて発現させるための伸長cDNAの使用 本発明の伸長cDNAを使用して、コードされたタンパク質を、宿主生物にて発現
させ、有益な作用をもたらすこともできる。このような方法では、コードされた
タンパク質は、宿主生物にて一時的に発現してもよく、または宿主生物にて安定
に発現してもよい。コードされたタンパク質は、上述の活性のいずれを具有して
もよい。コードされたタンパク質は、宿主生物に欠けているタンパク質であって
もよく、あるいは、コードされたタンパク質は、宿主生物におけるタンパク質の
既存のレベルを高めてもよい。
【0456】 シグナルペプチドと成熟タンパク質をコードする全長伸長cDNA、または成熟タ
ンパク質のみをコードする伸長cDNAを、宿主生物に導入する。当業者に周知の様
々な技術を使用して、伸長cDNAを、宿主生物に導入することができる。たとえば
、コードされたタンパク質が宿主生物にて発現し、その結果、有益な作用をもた
らすように、裸のDNAとして、伸長cDNAを宿主生物に注入してもよい。
【0457】 あるいは、伸長cDNAを、宿主生物内で活性なプロモーターの下流にある発現ベ
クターに、クローニングすることもできる。発現ベクターは、ウイルスベクター
またはレトロウイルスベクターを含む、遺伝子療法向けにデザインされた発現ベ
クターのいずれであってもよい。
【0458】 発現ベクターを、コードされたタンパク質が宿主生物にて発現し、有益な作用
をもたらすように、宿主生物に直接導入してもよい。別のアプローチにおいて、
発現ベクターを、in vitroで細胞に導入することができる。その後、発現ベクタ
ーを含む細胞を選択して宿主生物に導入し、そこで、コードされたタンパク質を
発現させ、有益な作用をもたらす。
【0459】 (実施例 62)タンパク質を細胞内に移入するための、5’ESTまたはそれから得られる配列によ りコードされるシグナルペプチドの使用 5' EST本発明のから誘導された5'ESTまたは伸長cDNAによりコードされるシグ ナルペプチドの短い疎水性コア域(h)を担体として使用して、ペプチドまたは
目的のタンパク質、いわゆるカーゴを、組織培養細胞に移入することができる(L
inら、J. Biol. Chem., 270: 14225-14258 (1995); Du ら、J. Peptide Res., 5
1: 235-243 (1998); Rojasら、Nature Biotech., 16: 370-375 (1998)).
【0460】 限定されたサイズ(約25アミノ酸まで)の細胞透過性ペプチドを、細胞膜を横切
って移動させるとき、h領域からC末端またはN末端のいずれかまでを、目的の
カーゴペプチドに付加するために、化学合成を使用することができる。あるいは
、より長いペプチドまたはタンパク質を細胞に移入するとき、カーゴポリペプチ
ドに関するDNA配列コードのh領域から5’末端または3’末端までをコードする 伸長cDNA配列に連結するために、当業者に周知の技術を使用して、核酸を遺伝子
操作することができる。次いで、このような遺伝子操作した核酸を、適当な細胞
に形質導入した後、結果として得られる細胞透過性ポリペプチドを産生するため
の従来技術を使用して、in vitroまたはin vivoのいずれかで翻訳する。次いで 、適当な宿主細胞を、細胞透過性ポリペプチドと共に簡単にインキュベートし、
次いで、これを、膜を横切って移動させる。
【0461】 この方法を適用して、様々な細胞内機能および細胞工程を研究することができ
る。たとえば、機能的に関連のある細胞内タンパク質のドメインの精査およびシ
グナルトランスダクション経路に関与するタンパク質-タンパク質相互作用の試 験には、この方法が使用されている。(Linら、前出;Linら、J. Biol. Chem., 2
71: 5305-5308 (1996);Rojasら、J. Biol. Chem., 271: 27456-27461 (1996);
Liuら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93: 11819-11824 (1996);Rojasら、Bioc
h. Biophys. Res. Commun., 234: 675-680 (1997))。
【0462】 このような技術を細胞療法で使用して、治療効果をもたらすタンパク質を移入
することができる。たとえば、患者から単離された細胞を、移入された治療用タ
ンパク質で処理し、次いで、宿主生物に再導入する。
【0463】 あるいは、本発明のシグナルペプチドのh領域を、核配置シグナルと組み合せ
て使用し、核酸を細胞核に送りこむことができる。このようなオリゴヌクレオチ
ドは、標的細胞RNAのプロセッシングおよび成熟を阻害するために、それぞれ、 実施例59および60に記載されている、三重らせんを形成するようにデザインされ
た、アンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよく、またはオリゴヌクレオチ
ドであってもよい。
【0464】 (実施例 63)クローンの再組み立ておよび再シークエンシング 実施例27に記載の手順によって得られる全長cDNAクローンを二重配列決定した
。実施例27に記載の工程に本質的に同じ工程に従って、オープンリーディングフ
レームを割り当てた。
【0465】 この再分析工程の後、2〜3の異常が存続していた。配列番号47、73、79、89
、91、96、126、128、134、および139に示されている配列は、明らかに、真正の
全長cDNAではなさそうである。これらのクローンは、停止コドンが欠けており、
したがって、3'短縮型cDNA配列である公算が高い。同様に、配列番号45、50、54
、57、73、74、89、92、95、98、126、129、130、131および139に示されている配
列も、既存のタンパク質配列との相同性試験に基づいて、真正の全長cDNAでない
可能性がある。これらの配列は共に、潜在的な開始メチオニンをコードするが、
それぞれ、5'短縮型cDNAを示す可能性がある。
【0466】 さらに、配列番号115は代替的にスプライシングされた転写物であることを見 出し、配列番号131の塩基の一部の同一性を修正した。
【0467】 最後に、オープンリーディングフレームをクローンに割り当てなおした後、新
しいオープンリーディングフレームを選択した場合もある。たとえば、配列番号
41、47、50、52、54〜56、58、59、61、74、75、79、84、89、91、92、96、98、
103、105、106、126、129、131、および133の場合、新しいオープンリーディング
フレームは、もはや、シグナルペプチドを含んでいると予想できなかった。
【0468】 上記の通り、表4に、本発明の伸長cDNAの配列番号、全コード配列(すなわち 、表4の項目FCSの先頭位置の下に記載されている、シグナルペプチドと成熟タ ンパク質の両者をコードするヌクレオチド)の、配列番号40〜140および242〜377
における位置、シグナルペプチドをコードするヌクレオチドの、配列番号40〜14
0および242〜377における位置(表4の項目SigPepの先頭位置の下に記載)、シグ ナルペプチドの切断によって生成する成熟タンパク質をコードするヌクレオチド
の、配列番号40〜140および242〜377における位置(表4の項目成熟ポリペプチド
の先頭位置の下に記載)、停止コドンの配列番号40〜140および242〜377における
位置(表4の項目停止コドンの先頭位置の下に記載)、ポリAシグナルの配列番号
40〜140および242〜377における位置(表4の項目ポリAシグナルの先頭位置の下
に記載)およびポリA部位の位置(表4の項目ポリA部位の先頭位置の下に記載)を 示す。
【0469】 上記の通り、表5は、配列番号141〜241および378〜513のポリペプチドの配列
番号、配列番号141〜241および378〜513のアミノ酸残基の全長ポリペプチドにお
ける位置(第2列)、配列番号141〜241および378〜513のアミノ酸残基のシグナル
ペプチドにおける位置(第3列)、および配列番号141〜241および378〜513のアミ
ノ酸残基の、全長ポリペプチドからシグナルペプチドを切断することによって生
じる成熟ポリペプチドにおける位置(第4列)のリストである。表5および添付の
配列表において、配列表の基準となる規則に準拠して、シグナルペプチドの切断
によって生じる成熟タンパク質の最初のアミノ酸をアミノ酸番号1と呼び、シグ
ナルペプチドの最初のアミノ酸を適当な負の数で呼ぶ。
【0470】 (実施例 64)予想されたタンパク質 配列の機能的分析 二重にシークエンシングした後、本発明の各伸長cDNAについて新しいコンティ
グを組み立て、それぞれを、提出の時点で入手可能な既知の配列と比較した。こ
れらの配列は、以下のデータベースに由来する:Genbank(リリース108および199
8年10月15日までのデイリーリリース)、Genseq(リリース32)PIR(リリース53)お よびSwissprot(リリース35)。既知のタンパク質と一致する本発明の予想された タンパク質を、相同性のレベルによって、さらに3つのカテゴリーに分類した。
【0471】 第1のカテゴリーは、一致したタンパク質の全長で、70%を超える同じアミノ 酸残基を示す本発明のタンパク質を含む。これらのタンパク質は、一致したタン
パク質と同じ機能または非常に類似した機能を有する公算が最も高い、明らかに
類似した相同体である。
【0472】 第2のカテゴリーは、関係の薄い相同性(タンパク質全体で40〜70%)を示す本 発明のタンパク質を含み、本発明のタンパク質が、相同タンパク質のものに似た
機能を有することを示す。
【0473】 第3のカテゴリーは、既知のタンパク質のドメインに対して相同性(90〜100%)
を示すタンパク質を含み、一致したタンパク質と本発明のタンパク質が類似した
特徴を共有し得ることを示す。
【0474】 図10〜15、および表8で検討されるタンパク質配列のアミノ酸の番号付けでは
、最初の遭遇したメチオニンをアミノ酸番号1と呼ぶことに留意されたい。添付
の配列表では、シグナルペプチドの切断によって生じる成熟タンパク質の最初の
アミノ酸をアミノ酸番号1と呼び、配列表を統制する規則に準拠して、シグナル ペプチドの最初のアミノ酸を適当な負の数で呼ぶ。
【0475】 さらに、修正されたアミノ酸配列(配列番号141〜241および378〜513)全てを、
既知のタンパク質シグネチャーおよびモチーフの有無について、走査した。GCG パッケージからのProscanソフトウエアを使用して、Prosite 15.0データベース に対して、この検索を実施した。機能的シグネチャーおよびそれらの存在位置を
表8に示す。
【0476】 A)既知のタンパク質と密接に関連したタンパク質配列番号217のタンパク質 リンパ球から単離された配列番号116の伸長cDNAによりコードされる配列番号2
17のタンパク質は、図 10の列からわかるように、アポトーシスにおいて役割を 果たすヒトタンパク質TFAR19(Genbank寄託番号AF014955、配列番号516)に完全
な同一性を示す。
【0477】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号217のタンパク質は発達お よび恒常性の制御に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質は
、癌、自己免疫障害、AIDSなどのウイルス感染、神経変性障害、骨粗しょう症を
含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/または治療に有用であり
得る。
【0478】配列番号174、175および232のタンパク質 それぞれ配列番号73、74および131の伸長cDNAによりコードされ、リンパ球か ら単離される配列番号174、175および232のタンパク質は、ヒトタンパク質(Gen
bank寄託番号W36955、配列番号517)に完全に広範な相同性を示す。 図 11の列からわかるように、アミノ酸残基は、配列番号174のタンパク質に一致
するタンパク質の51および108〜110位、配列番号175の一致したタンパク質の48 、94および108〜110位、ならびに配列番号232のタンパク質に一致するタンパク 質の94および108〜110位を除いて、110アミノ酸長一致タンパク質のアミノ酸配 列に同一である。
【0479】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号174、175および232のタン パク質は、細胞の増殖および/または分化、免疫応答および/または造血におい
て役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパク質またはこのタン
パク質の一部は、癌、免疫学的、血液学的および/または炎症性障害を含むがこ
れらに限定されない数種の障害の診断および治療に有用であり得る。該タンパク
質または該タンパク質の一部は、感染因子に対する免疫および炎症応答を調節す
ることおよび/または移植片の拒絶を抑制することにも有用であり得る。
【0480】配列番号231のタンパク質 配列番号130の伸長cDNAによりコードされる配列番号231のタンパク質は、ヒト
タンパク質E25(Genbank寄託番号AF038953、配列番号515)に広範な相同性を示 す。図 12の列からわかるように、アミノ酸残基は、263アミノ酸長一致配列の15
9位を除いて同一である。一致したタンパク質は、造血幹細胞/前駆細胞の発達 および分化に関与し得る。さらに、それは、軟骨骨形成分化に関与し、膜内在性
タンパク質(integral membrane protein)の新規の多重遺伝子族に属すると思 われるマウスタンパク質(Deleersnijderら、J. Biol. Chem., 271 : 19475-194
82 (1996))のヒト相同体である。
【0481】 本発明のタンパク質は、ソフトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne、
CABIOS applic. Notes, 10 : 685-686 (1994))により予想される1〜21位およ び100〜120位由来の2つの短いセグメントを含む。第1のトランスメンブランド
メインは、マウスE25タンパク質について予想されるドメインに正確に一致する 。
【0482】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号231のタンパク質は、細胞 の増殖および分化に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質は
、癌および胚形成障害を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/
または治療に有用であり得る。
【0483】配列番号196のタンパク質 配列番号95の伸長cDNAによりコードされる配列番号196のタンパク質は、ヒト 7トランスメンブランタンパク質(Genbank寄託番号Y11395、配列番号518)およ
びそのマウス相同体(Genbank寄託番号Y11550)に広範な相同性を示す。図 13の
列からわかるように、アミノ酸残基は、399アミノ酸長一致配列の174位を除いて
同一である。ストマチンに潜在的に会合する一致タンパク質は、Gタンパク質結 合性レセプターとして作用し、ニューロンおよび造血細胞におけるシグナル伝達
に重要であるようである(Mayerら、Biochem. Biophys. Acta., 1395: 301-308
(1998))。
【0484】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号196のタンパク質は、シグ ナル伝達に関与することが示唆される。したがって、このタンパク質は、癌、神
経変性疾患、心血管障害、高血圧、腎損傷および修復(repair)ならびに敗血症
性ショックを含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および治療に有用で
あり得る。
【0485】配列番号158のタンパク質 配列番号57の伸長cDNAによりコードされる配列番号158のタンパク質は、COP9 複合体のマウスサブユニット7a(Genbank寄託番号AF071316、配列番号520)に広
範な相同性を示す。図 14の列からわかるように、アミノ酸残基は、275アミノ酸
長一致配列の90、172および275位を除いて同一である。この複合体は、動物から
高等植物の間で高度に保存されており、該複合体は、光形態形成のレセプターと
して作用することが明らかにされている。哺乳動物COP9複合体の全ての成分はプ
ロテオソーム調節複合体および翻訳開始複合体elF3複合体にも存在する構造的特
徴を含むことから、哺乳動物COP9複合体は複数のシグナル経路を調節する重要な
細胞調節因子であることが示唆される(Weiら、Curr. Biol. 8: 919-922 (1998)
)。
【0486】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号158のタンパク質は、おそ らくヒトCOP9複合体のサブユニットとして細胞シグナリングに関与することが示
唆される。したがって、このタンパク質は、癌、神経変性疾患、心血管障害、高
血圧、腎損傷および修復(repair)ならびに敗血症性ショックを含むがこれらに
限定されない数種の障害の診断および治療に有用であり得る。
【0487】配列番号226のタンパク質 配列番号125の伸長cDNAによりコードされる配列番号226のタンパク質は、NADH
-ユビキノンオキシドレダクターゼ複合体のウシサブユニットB14.5B(Arizmendi
ら、FEBS Lett., 313:80-84 (1992) およびSwissprot寄託番号002827、配列番号
514)に相同性を示す。図 15の列からわかるように、アミノ酸残基は、120アミ ノ酸長一致配列の3〜4、6〜12、32〜34、47、53〜55、67および69〜74位を除
いて同一である。この複合体は、ミトコンドリア内膜に位置する4つの複合体の
うち第1のものであり、ミトコンドリアの電子伝達鎖を構成している。複合体I
は、NADHの脱水素およびコエンザイムQへの電子の輸送に関与する。該複合体は
、ミトコンドリアゲノムによりコードされる7つのサブユニットおよび核ゲノム
によりコードされる34のサブユニットから成る。該複合体はまた、アポトーシス
および壊死の調節に役割を果たすと考えられている。複合体I不全によるミトコ
ンドリア細胞障害(mitochondriocytopathy)は多く認められ、脳(精神遅滞、 痙攣、運動障害)、心臓(心筋症、伝導障害)、腎臓(ファンコーニ症候群)、
骨格筋(運動不耐性、筋虚弱、緊張低下)および/または眼(下垂、白内障およ
び網膜症)などの高エネルギーを必要とする組織に影響を与える。複合体Iにつ
いては、Smeitinkら、Hum. Mol. Gent., 7:1573-1579 (1998)を参照されたい。
【0488】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号226のタンパク質は、おそ らくNADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ複合体のサブユニットとしてミトコ ンドリアのエネルギー生成系の一部であることが示唆される。したがって、この
タンパク質またはこのタンパク質の一部は、脳障害(精神遅滞、痙攣、運動障害
)、心障害(心筋症、伝導障害)、腎障害(ファンコーニ症候群)、骨格筋障害
(運動不耐性、筋虚弱、緊張低下)および/または眼障害(下垂、白内障および
網膜症)を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および治療に有用であ
り得る。
【0489】 B)既知の機能を有するタンパク質と薄い関連のあるタンパク質配列番号149、150および211のタンパク質 それぞれ配列番号48、49および110の伸長cDNAによりコードされる配列番号149
、150および211のタンパク質は、骨格筋に認められ、ヒト(Genbank寄託番号U41
804およびGenbank寄託番号W09639)またはげっ歯類(Genbank寄託番号U41805お よびGenbank寄託番号W09640)のいずれかのT1/ST2リガンドポリペプチドに相同 性を示す。これらのポリペプチドはST2レセプター、インターロイキン1に相同で
あり一部のリンパ球に存在する多くの免疫グロブリンファミリー相同体に結合す
るサイトカインであると考えられる。それらは、短いトランスメンブランドメイ
ンを含む細胞表面タンパク質と予想される。(Galyeら、J. Biol. Chem., 271:5
784-5789 (1996))配列番号149、150および211のタンパク質は、ポリアデニル化
シグナルの代替的使用から由来する代替的形態を表し得る。
【0490】 本発明のタンパク質は、ソフトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne、
CABIOS applic. Notes, 10 : 685-686 (1994))により予想される5〜25位およ び195〜215位由来の2つの短いトランスメンブランセグメントを含む。第2のト
ランスメンブランドメインは、一致する細胞表面タンパク質のドメインに正確に
一致する。
【0491】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号149、150および211のタン パク質は、細胞の増殖および分化の調節および/または免疫応答の調節において
役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパク質またはこのタンパ
ク質の一部は、癌、免疫学的、血液学的および/または炎症性障害を含むがこれ
らに限定されない数種の障害の診断および治療に有用であり得る。該タンパク質
または該タンパク質の一部は、HIVなどの感染因子に対する免疫および炎症応答 を調節することおよび/または移植片の拒絶を抑制することにも有用であり得る
【0492】配列番号177のタンパク質 精巣において認められ、配列番号76の伸長cDNAによりコードされる配列番号17
7のタンパク質は、ケロニアニン(chelonianin)(Swissprot寄託番号P00993) と呼ばれる外細胞プロテアーゼインヒビターなどの膵臓トリプシンインヒビター
ファミリー(Kunitz)に属するセリンプロテアーゼインヒビタータンパク質に相
同性を示す。このファミリーの特徴的PROSITEシグネチャーは、最後のシステイ ン残基のアルギニン残基への顕著な変化を除いて、本発明のタンパク質(69〜87
位)に保存されている。
【0493】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号177のタンパク質は、おそ らくKunitzファミリーのプロテアーゼインヒビターであることが示唆される。し
たがって、このタンパク質またはこのタンパク質の一部は、癌、およびアルツハ
イマー病などの神経変性疾患を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断お
よび治療に有用であり得る。
【0494】配列番号146のタンパク質 配列番号45の伸長cDNAによりコードされる配列番号146のタンパク質は、ヒト アポリポタンパク質L(Genbank寄託番号AF019225)に相同性を示す。一致する タンパク質は、コレステロールの逆輸送に重要な役割を果たし、アポA-I含有リ ポタンパク質に会合する分泌型高密度リポタンパク質である。
【0495】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号146のタンパク質は、脂質 代謝に役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパク質は、高脂血
症、高コレステロール血症、アテローム硬化症、冠状心疾患(coronary heart d
isease)などの心血管障害、およびアルツハイマー病または痴呆などの神経変性
障害を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/または治療に有用
であり得る。
【0496】配列番号163のタンパク質 配列番号62の伸長cDNAによりコードされる配列番号163のタンパク質は、酵母 自食作用(autophagocytosis)タンパク質AUT1(Swissprot寄託番号P40344)に 相同性を示す。一致するタンパク質は、細胞質タンパク質の空胞への飢餓誘導性
非特異的バルク輸送に必要である。
【0497】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号163のタンパク質は、タン パク質の輸送に役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパク質は
、自己免疫障害および抗原提示の不全による免疫障害を含むがこれらに限定され
ない数種の障害の診断および/または治療に有用であり得る。
【0498】 C)既知の機能を有するタンパク質のドメインに相同なタンパク質配列番号214のタンパク質 配列番号113の伸長cDNAによりコードされ、成人脳において発現される配列番 号214のタンパク質は、発達中のおよび胚の神経系においてならびに成人脳の臭 覚経路に沿って発現されるマウスSHYCタンパク質(Genbank寄託番号AF072697) の一部に広範な相同性を示す(Kosterら、Neuroscience Letter., 252:69-71 (1
998))。
【0499】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号214のタンパク質は、神経 系の発達および機能に役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパ
ク質は、アルツハイマー病およびパーキンソン病などの神経変性疾患を含む脳障
害の診断および/または治療に有用であり得る。
【0500】配列番号225のタンパク質 配列番号124の伸長cDNAによりコードされ、成人前立腺において発現される配 列番号225のタンパク質は、90〜112位の特徴的PROSITEを示すホスファチジルエ タノールアミン結合タンパク質に属する(表8を参照されたい)。この広範に分
布するファミリー、線虫からハエ、酵母、げっ歯類および霊長類由来のタンパク
質は、ホスホリピドおよびヌクレオチドなどの疎水性リガンドに結合する。それ
らは、脳および精巣において最も発現され、細胞の成長および/または成熟、精
子の成熟、運動性、ならびに膜リモデリングに役割を果たすと思われる。それら
は、シグナル伝達または酸化還元反応のいずれかを介して作用し得る(検討につ
いてはSchoentgenおよびJolles, FEBS Letters, 369:22-26 (1995)を参照された
い)。
【0501】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号225のタンパク質は、細胞 において役割を果たすことが示唆される。したがって、これらの成長、成熟およ
び膜リモデリングは、オスの受精能に関連し得る。したがって、このタンパク質
は、癌、神経変性障害、および/またはオス受精能および生殖不能に関連する障
害を含む脳障害の診断および/または治療に有用であり得る。
【0502】配列番号153のタンパク質 配列番号52の伸長cDNAによりコードされ、脳において発現される配列番号153 のタンパク質は、異なる膜内在性タンパク質に相同性を示す。これらの膜タンパ
ク質には、C. elegansレセプター様タンパク質の多重遺伝子SREファミリーおよ びハエから哺乳動物の間で保存されているトリカルボン酸キャリアのファミリー
に属する線虫タンパク質SRE-2(Swissprot寄託番号009273)が含まれる。この一
致ファミリーの1つのメンバーは、ラットトリカルボン酸キャリア(Genbank寄託
番号S70011)、ミトコンドリアの内膜に位置し、脂肪酸およびコレステロールの
生合成に関与するアニオントランスポーターである。本発明のタンパク質は、ソ
フトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne、CABIOS applic. Notes, 10 :
685-686 (1994))により予想される5〜25位由来の短いトランスメンブランセ グメントを含む。
【0503】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号153のタンパク質は、シグ ナル伝達および/または分子輸送に関与することが示唆される。したがって、こ
のタンパク質は、癌、神経変性疾患、免疫障害、心血管障害、高血圧、腎損傷お
よび修復ならびに敗血症性ショックを含むがこれらに限定されない数種の障害の
診断および治療に有用であり得る。
【0504】配列番号213のタンパク質 配列番号112の伸長cDNAによりコードされ、脳において発現される配列番号213
のタンパク質は、Escherichia coli(Swissprot寄託番号P09171)において見出 されるtRNAプソイドウリジン55シンターゼの一部に相同性を示す。この細菌性タ
ンパク質は、rRNAまたはtRNA生合成、リボソームサブユニット組み立ておよび/
またはセントロメア/マイクロチューブ結合に関与する細菌、酵母および哺乳動
物において見出される核タンパク質のNAP57/CBF5/TRUBファミリーに属する。
【0505】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号213のタンパク質は、rRNA またはtRNA生合成および機能に役割を果たすことが示唆される。したがって、こ
のタンパク質は、癌、難聴または角化不全などの染色体不安定性に関与する障害
を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/または治療に有用であ
り得る。
【0506】配列番号240のタンパク質 配列番号139の伸長cDNAによりコードされ、脳において発現される配列番号240
のタンパク質は、4つのトランスメンブランドメインを含む真核細胞表面抗原の
ファミリーに相同性を示す。このファミリーに対するPROSITEシグネチャーは、 以下の疎水性残基:ロイシン、バリン、イソロイシンまたはメチオニン(21〜36
位)のいずれかがアラニン残基に置換されていることを除いて、本発明のタンパ
ク質に保存されている。
【0507】 本発明のタンパク質は、ソフトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne、
CABIOS applic. Notes, 10 : 685-686 (1994))により予想される6〜26位、32 〜52位および56〜76位由来の3つの短いトランスメンブランセグメントを含む。
これらのトランスメンブランドメインは、一致するタンパク質ファミリーの最後
の3つのトランスメンブランドメインに一致する。
【0508】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号240のタンパク質は、おそ らく細胞表面抗原として免疫学的および/または炎症応答において役割を果たす
ことが示唆される。したがって、このタンパク質またはこのタンパク質の一部は
、癌、免疫学的、血液学的および/または炎症性障害を含むがこれらに限定され
ない数種の障害の診断および治療に有用であり得る。該タンパク質または該タン
パク質の一部は、感染因子に対する免疫および炎症応答を調節することおよび/
または移植片の拒絶を抑制することにも有用であり得る。
【0509】配列番号239のタンパク質 配列番号138の伸長cDNAによりコードされる配列番号239のタンパク質は、酵母
、線虫および哺乳動物において保存されているNA+/H+交換タンパク質(exchange
r)のファミリーの保存領域に相同性を示す。これらのカチオン/プロトン交換 タンパク質は、細胞内pHの調節、細胞容積の維持、特殊な上皮を横切るナトリウ
ムの再吸収、ベクター輸送に関与する5つのトランスメンブランセグメントを有
する膜内在性タンパク質であり、これもシグナル伝達ならびに特に細胞増殖の誘
導およびアポトーシスの誘導に役割を果たすとおもわれる。
【0510】 本発明のタンパク質は、ソフトウェアTopPred II(Clarosおよびvon Heijne、
CABIOS applic. Notes, 10 : 685-686 (1994))により予想される21〜41位、48 〜68位および131〜151位由来の短い4つのトランスメンブランセグメントを含む
。第3および第4のトランスメンブランドメインは、タンパク質の一致したファ
ミリーの第4および第5のトランスメンブランセグメントに一致する。
【0511】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号239のタンパク質は、膜透 過性および/またはシグナル伝達に役割を果たすことが示唆される。したがって
、このタンパク質は、癌、神経変性疾患、免疫障害、心血管障害、高血圧、腎損
傷および修復ならびに敗血症性ショックならびに下痢などの膜透過性の障害を含
むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/または治療に有用であり得
る。
【0512】配列番号200のタンパク質 配列番号99の伸長cDNAによりコードされ、脳において発現される配列番号200 のタンパク質は、細胞分裂周期タンパク質23(Genbank寄託番号AF053977)のN 末端に広範に相同性を示し、さらにSaccharomyces cerevisiaeにおけるその相同
体により低い程度で相同性を示す。一致するタンパク質は、染色体の染色体分離
に必要であり、細胞周期の進行が有糸分裂に至るのに必要な後期促進複合体の一
部である。
【0513】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号200のタンパク質は、細胞 の有糸分裂に役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパク質は、
癌または白血病を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/または
治療に有用であり得る。
【0514】配列番号230のタンパク質 配列番号129の伸長cDNAによりコードされる配列番号230のタンパク質は、酵母
から哺乳動物において保存されているT複合体ポリペプチド1のηサブユニット
のC末端に広範な相同性を示し、さらにヒトタンパク質の(Genbank寄託番号AF0
26292)の最後の54アミノ酸残基に完全に同一である。一致するタンパク質は、A
TP加水分解時に真核細胞においてアクチンおよびチューブリンの折りたたみを補
助するシャペロニンである。
【0515】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号230のタンパク質は、タン パク質の折りたたみ、輸送、組み立ておよび分解に役割を果たすことが示唆され
る。したがって、このタンパク質は、癌、心血管障害、免疫障害、神経変性障害
、骨粗しょう症および関節炎を含むがこれらに限定されない数種の障害の診断お
よび/または治療に有用であり得る。
【0516】配列番号163のタンパク質 配列番号66の伸長cDNAによりコードされる配列番号167のタンパク質は、サル ペプシノーゲンA-4前駆体(Swissprot寄託番号P27678)およびアスパラギン酸プ
ロテアーゼファミリーの関連するメンバーに相同性を示す。一致するタンパク質
は、脊椎動物、菌類、植物、レトロウイルスおよび植物ウイルスの一部に存在す
ることが知られている広範に分布している原核生物の酵素のファミリーに属する
【0517】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号167のタンパク質は、タン パク質の分解に役割を果たすことが示唆される。したがって、このタンパク質は
、癌、自己免疫障害および抗原提示の不全による免疫障害を含むがこれらに限定
されない数種の障害の診断および/または治療に有用であり得る。
【0518】配列番号179のタンパク質 精巣において認められ、配列番号78の伸長cDNAによりコードされる配列番号17
9のタンパク質は、哺乳動物コリパーゼ前駆体の一部に相同性を示す。コリパー ゼは、リパーゼが水-脂質界面に固定するのを可能にする膵臓リパーゼに対する 選択されたコファクターである。このタンパク質ファミリーに特徴的な5個のシ
ステインは本発明のタンパク質に保存されているが、コリパーゼPROSITEシグネ チャーは保存されていない。
【0519】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号179のタンパク質は、脂質 代謝および/またはオス受精能において役割を果たすことが示唆される。したが
って、このタンパク質は、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム硬化症
、冠状心疾患などの心血管障害、およびアルツハイマー病または痴呆などの神経
変性障害およびオス受精能に関連する障害を含む数種の障害の診断および/また
は治療に有用であり得る。
【0520】配列番号227のタンパク質 配列番号126の伸長cDNAによりコードされる配列番号227のタンパク質は、CDC2
/CDC28サブファミリーに属するセリン/スレオニンタンパク質キナーゼのファミ
リー全体のATP結合領域に広範な相同性を示す。このドメインに特徴的なPROSITE
シグネチャーは本発明のタンパク質の10〜34位に存在する。
【0521】 合わせて考えると、これらのデータから、配列番号158のタンパク質は、ATPに
結合し、タンパク質キナーゼであることが示唆される。したがって、このタンパ
ク質は、癌、神経変性疾患、心血管障害、高血圧、腎損傷および修復ならびに敗
血症性ショックを含むがこれらに限定されない数種の障害の診断および/または
治療に有用であり得る。
【0522】 本発明を、ある一定の好ましい実施形態に関して説明してきたが、本明細書の
開示内容を鑑みて、当業者に明白になるであろう他の実施形態も、本発明の範囲
内である。したがって、本発明の範囲は、添付のクレームを参照することによっ
てのみ規定される。
【0523】 上述の通り、本発明の伸長cDNAまたはその一部を、種々の目的に使用すること
ができる。ポリヌクレオチドを、分析、特性化または治療用に、組換えタンパク
質を発現させるために、対応するタンパク質が優先的に発現される(構成的に、
あるいは組織分化または発生の特定の段階または疾患状態のいずれかで)組織の
マーカーとして、サザンゲルでの分子量マーカーとして、染色体を同定するため
あるいは関連遺伝子の位置をマッピングするための染色体マーカーまたはタグ(
標識したとき)として、患者の内因性DNA配列と比較して、潜在的遺伝子障害を同
定するために、ハイブリダイズするため、および、したがって、新規関連DNA配 列を発見するためのプローブとして、遺伝子フィンガープリント用のPCRプライ マーを誘導するための情報源として、発現パターン試験用を含め、「遺伝子チッ
プ」または他の支持体に連結するためのオリゴマーを選択して作成するために、
DNA免疫化技術を使用して、抗タンパク質抗体を高めるために、さらに、抗原と して、抗DNAを高めるか、別の免疫応答を誘導するために使用することができる 。上記ポリヌクレオチドが、別のタンパク質に結合するか潜在的に結合する(た
とえば、レセプター-リガンド相互作用において)タンパク質をコードする場合 、このポリヌクレオチドを、相互作用トラップアッセイ(たとえば、Gyurisら、
Cell 75:791-803 (1993)に記載のもの等)に使用して、結合が発生する対象であ
る他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定したり、結合相互作用の
インヒビターを同定したりすることもできる。
【0524】 同様に、本発明により提供されるタンパク質またはポリペプチドを、生物学的
活性を決定するためのアッセイにおいて、以下のように使用することができる:
高処理能力スクリーニング用の多数のタンパク質のパネルで、抗体を高めるため
、または別の免疫応答を誘導するために、体液中のタンパク質(またはそのレセ
プター)のレベルを定量的に測定するためにデザインされたアッセイにおける試
薬として(標識された試薬を含む)、対応するタンパク質が優先的に発現される
(構成的に、あるいは組織分化または発生の特定の段階または疾患状態のいずれ
かで)組織のマーカーとして、さらに、もちろん、相互に関連するレセプターま
たはリンドを単離するために。上記タンパク質が、別のタンパク質に結合するか
潜在的に結合する(たとえば、レセプター-リガンド相互作用において)タンパ ク質をコードする場合、このタンパク質を使用して、結合が発生する対象である
他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定したり、結合性相互作用の
インヒビターを同定したりすることもできる。これらの結合性相互作用に関与す
るタンパク質を使用して、結合性相互作用のペプチドまたは低分子のインヒビタ
ーまたはアゴニストをスクリーニングすることもできる。
【0525】 これらの調査研究の有用な要素のいずれかまたは全てを、試薬級に、または研
究産物として商業化するためのキット形式に、開発することができる。
【0526】 上掲の使用方法は、当業者に周知である。このような方法を開示している参考
文献としては、Molecular Cloning; A Laboratory Mannual, 2d ed., Cole Spri
ng Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E.F.´Fritsch and T.´Maniatis
eds., (1989)およびMethods in Enzymology;Guide to Molecular Cloning Tec
hniques, Academic Press, Berger, S.L. and A.R. Kimmel eds., (1987)が挙げ
られるが、この限りではない。
【0527】 本発明のポリヌクレオチドおよびタンパク質を栄養源または補助食品として使
用することも可能である。このような使用としては、タンパク質酸補助食品また
はアミノ酸補助食品としての使用、炭素源としての使用、窒素源としての使用、
および炭水化物源としての使用などが挙げられるが、この限りではない。このよ
うな場合、本発明のタンパク質またはポリヌクレオチドを特定の生物の飼料にく
わえてもよく、あるいは、別個の固体製剤または液体製剤として、たとえば、粉
末、ピル、溶液、懸濁液またはカプセルの形等で、投与してもよい。微生物の場
合、微生物が中で、または上で培養される培地に、本発明のタンパク質またはポ
リヌクレオチドを加えてもよい。
【0528】 配列表のフリーテキスト 添付の配列表に以下のフリーテキストを加える。 in vitro転写産物 オリゴヌクレオチド プロモーター 転写開始位置 von Heijneマトリックス 得点 matinspector予想 名称
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 cDNAが誘導される起源である、mRNAの5´末端を含むように選択されたcDNAを 得る方法の概要を表す図である。
【図2】 本明細書に記載されているシグナルペプチド同定のための技術を使用して、擬
陽性および擬陰性の頻度を決定するための、全ヒトスイスプロット(SwissProt )タンパク質の43アミノ末端のアミノ酸の分析を示す図である。
【図3】 本明細書に記載の各カテゴリー内の5´ESTに関するvon Heijne得点の分布およ
びこれらの5´ESTがシグナルペプチドをコードする確率を示す図である。
【図4】 各カテゴリー内の5´ESTの分布および所与の最小のvon Heijne得点を有する各
カテゴリー内の5´ESTの数を示す図である。
【図5】 本明細書に記載されている各カテゴリー内の5´ESTに対応するmRNAが得られた
組織を示す図である。
【図6】 伸長cDNAを得るための方法を示す図である。
【図7】 pED6dpc2の地図を示す図である。pED6dpc2 は、cDNAクローニングを容易にす るための新規のポリリンカーの挿入によってpED6dpc1から誘導される。SSt cDNA
は、EcoRIとNotIとの間にクローン化される。PEDベクターについては、Kaufman ら(1991), NAR 19:4485-4490に記載されている。
【図8】 単離されたプロモーターの概略図およびそれらを対応する5'タグで組み立てる
方法を示す図である。
【図9】 これらの各プロモーターに存在する転写因子結合部位を示す図である。
【図10】 配列番号217のタンパク質とアポトーシスにおいて役割を果たすヒトタンパク 質TFAR19(Genbank寄託番号AF014955、配列番号516)とのアラインメントを示す
図である。
【図11】 配列番号174、175および232のタンパク質とヒト分泌型タンパク質(Genbank寄
託番号W36955、配列番号517)とのアラインメントを示す図である。
【図12】 配列番号231のタンパク質とヒトE25タンパク質(Genbank寄託番号AF038953、 配列番号515)とのアラインメントを示す図である。
【図13】 配列番号196のタンパク質とヒト7トランスメンブランタンパク質(Genbank寄
託番号Y11395、配列番号518)とのアラインメントを示す図である。
【図14】 配列番号158のタンパク質とCOP9複合体のマウスサブユニット7a(Genbank寄託
番号AF071316、配列番号519)とのアラインメントを示す図である。
【図15】 配列番号226のタンパク質とNADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ複合体のウ
シサブユニットB14.5B(Arizmendiら、FEBS Lett., 313:80-84 (1992) およびSw
issprot寄託番号002827、配列番号514)とのアラインメントを示す図である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A C12Q 1/68 F (31)優先権主張番号 60/081,563 (32)優先日 平成10年4月13日(1998.4.13) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/096,116 (32)優先日 平成10年8月10日(1998.8.10) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 デューマス ミルネ エドワーズ,ジャン −バプティスト フランス国 エフ−75006 パリ,ル グ レゴリ デ テゥールズ,8

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号40〜140および242〜377の1つの配列またはそれに 相補的な配列を含む、精製されたまたは単離された核酸。
  2. 【請求項2】 配列番号40〜140および242〜377の1つの配列またはそれに 相補的な配列の1つの少なくとも10個連続した塩基を含む、精製されたまたは単
    離された核酸。
  3. 【請求項3】 配列番号40、42〜44、46、48、49、51、53、60、62〜72、76
    〜78、80〜83、85〜88、90、93、94、97、99〜102、104、107〜125、127、132、
    135〜138、140および242〜377の1つの全コーディング配列を含み、前記全コー ディング配列は、シグナルペプチドをコードする配列および成熟タンパク質をコ
    ードする配列を含む、精製されたまたは単離された核酸。
  4. 【請求項4】 成熟タンパク質をコードする、配列番号40〜44、46、48、49
    、51〜53、55、56、58〜72、75〜78、80〜88、90、93、94、97、99〜125、127、
    132、133、135〜138、140および242〜377の1つのヌクレオチドを含む、精製さ れたまたは単離された核酸。
  5. 【請求項5】 シグナルペプチドをコードする、配列番号40、42〜46、48、
    49、51、53、57、60、62〜73、76〜78、80〜83、85〜88、90、93〜95、97、99〜
    102、104、107〜125、127、128、130、132、134〜140および242〜377の1つのヌ
    クレオチドを含む、精製されたまたは単離された核酸。
  6. 【請求項6】 配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの配列を有す
    るポリペプチドをコードする精製されたまたは単離された核酸。
  7. 【請求項7】 配列番号141〜145、147、149、150、152〜154、156、157、1
    59〜172、176〜179、181〜189、191、194、195、198、200〜226、228、233、234
    、236〜239、241および378〜513の配列の1つに含まれる成熟タンパク質の配列 を有するポリペプチドをコードする、精製されたまたは単離された核酸。
  8. 【請求項8】 配列番号141、143〜147、149、150、152、154、158、161、1
    63〜174、177〜179、181〜184、186〜189、191、194〜196、198、200〜203、205
    、208〜226、228、229、231、233、235〜241、および378〜513の配列の1つに含
    まれるシグナルペプチドの配列を有するポリペプチドをコードする、精製された
    または単離された核酸。
  9. 【請求項9】 配列番号141〜241および378〜513の1つの配列を含む、精製
    されたまたは単離されたタンパク質。
  10. 【請求項10】 配列番号141〜241および378〜513の配列の1つの少なくと
    も10個連続したアミノ酸を含む、精製されたまたは単離されたポリペプチド。
  11. 【請求項11】 配列番号141、143〜147、149、150、152、154、158、161 、163〜174、177〜179、181〜184、186〜189、191、194〜196、198、200〜203、
    205、208〜226、228、229、231、233、235〜241、および378〜513のポリペプチド
    の1つのシグナルペプチドを含む、単離されたまたは精製されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 配列番号141〜145、147、149、150、152〜154、156、157 、159〜172、176〜179、181〜189、191、194、195、198、200〜226、228、233、
    234、236〜239、241および378〜513のポリペプチドの1つの成熟タンパク質を含
    む、単離されたまたは精製されたポリペプチド。
  13. 【請求項13】 配列番号141〜241および378〜513の配列の1つを含むタン
    パク質を製造する方法であって、 配列番号40〜140および242〜377の配列の1つの配列を含むcDNAを得るステッ プと、 前記cDNAが作動可能にプロモーターに連結されるように、前記cDNAを発現ベク
    ターに挿入するステップと、 前記発現ベクターを宿主細胞に導入し、それによって、前記宿主細胞が、前記
    cDNAによりコードされるタンパク質を産生するステップと を含む方法。
  14. 【請求項14】 前記タンパク質を単離するステップをさらに含む、請求項
    13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の方法で得られる、タンパク質。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載の組換え核酸を含む、宿主細胞。
  17. 【請求項17】 配列番号141〜241および378〜513の1つの配列を有するタ
    ンパク質に特異的に結合することができる、精製されたまたは単離された抗体。
  18. 【請求項18】 少なくとも15ヌクレオチドの長さのポリヌクレオチドのア
    レイであって、その改良点が、配列番号40〜140および242〜377の配列の少なく とも1つ、または配列番号40〜140および242〜377の配列に相補的な配列の1つ 、またはその少なくとも15個連続したヌクレオチドのフラグメントを、前記アレ
    イに含めることから成る、上記アレイ。
  19. 【請求項19】 配列番号40〜140および242〜377の1つの配列または配列 番号40〜140および242〜377の配列の1つに相補的な配列にストリンジェントな 条件下でハイブリダイズすることができる、少なくとも15塩基の精製されたまた
    は単離された核酸。
  20. 【請求項20】 配列番号141〜241および378〜513の1つの配列の少なくと
    も10個連続したアミノ酸を含むポリペプチドに結合することができる、精製され
    たまたは単離された抗体。
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