【発明の詳細な説明】
高耐衝撃性LLDPEフィルム
本発明の方法は、Mz/Mwとして測定して3.5を越える分子量分布を有するL
LDPE組成物の高ストーク(高スプルー)押出しを包含する。高ストーク押出し
のフィルム生成物は、高ストーク押出し以外の方法によって製造された同じ厚み
および密度の同一組成のフィルムの値よりも優れた落槍衝撃値およびMD引裂抵
抗を示す。
本発明は、線状低密度ポリエチレンのインフレートフィルムの製造に関する。
また本発明は、1つの反応器中で生成したMz/Mwで測定して>3.5の分子量分
布を示す線状低密度ポリエチレンのポリマーに関する。本発明の特定のフィルム
製造法、即ち高ストーク押出し、およびこれらポリマー生成物のフィルムは、高
い衝撃強さおよびMD引裂抵抗を与える。
LLDPEのMz/Mwで測定したときの分子量分布は、LLDPEの製造におい
て、触媒前駆体と組合せて共触媒としてジメチルアルミニウムクロリドを使用し
たことに起因するようである。
本発明によれば、優れた衝撃強さおよびMD引裂抵抗によって特徴付けられる
LLDPEフィルムが製造される。本発明において、衝撃強さは落槍衝撃(AS
TM−1709)によって測定する。グラムで測定したときの本発明のフィルム
の落槍衝撃抵抗は、50ないし>800、好ましくは200ないし>800、最
も好ましくは350ないし>800、例えば70〜1000または800〜10
00の範囲である。本発明のフィルムのMD引裂抵抗は、ASTM−D−192
2で測定し、グラム/ミルで測定して50〜500、好ましくは200〜500
、最も好ましくは250〜500の範囲である。
本発明において使用するコポリマー生成物は、70〜350ppmのジメチルア
ルミニウムクロリド(DMAC)活性化剤を含有する。
これらは、0.915〜0.940g/cm3の範囲の密度によって特徴付けら
れ
る低密度生成物である。これらは、25〜45の範囲の溶融流量比を示す。
上記のように、本発明で使用するコポリマーは、3.5を越えるMz/Mwによっ
て特徴付けられるように、比較的広い分子量分布(MWD)を示し、単峰形ではな
い。この分子量分布、即ち3.5を越えるMz/Mwは、LLDPE中の高分子量分
画に起因するようであり、これがLLDPEの溶融強度を高め、本発明の方法に
おいてこれを極めて有用なものにするようである。Mz/Mw比は、分布のHMW部
分に対する分子量分布の非対称の尺度である。個々のモーメントは次式のように
定義される:
[式中、Wiは、MiとMi+Mの間の分子量を有するポリマーの重量分画である]。
HMW側に大きな丘を有する本発明のポリマーについては、より高いモーメン
トMzが、通常のLLDPEと同じMwに対して有意に高い。従って、より高いMz/
Mwになる。
通常、本発明のLLDPEは、GPCまたは流れ特性(MFR)で測定したとき
に、分子量分布が比較的広い。GPC曲線は、通常のLLDPEと比較して、高
分子量の種の量が有意に多いことを特徴とする。このGPC分析は、4カラムの
組(1E6、1E6、1E4、1E3オングストローム)を有するウォーターズ(W
aters)150C装置を用いて140℃で行った。全ての分析は、1-2-4 トリク
ロロベンゼン中の0.1%溶液を用いて行った。この差異を特徴付ける最も一定
した方法は、HMW側の分布の非対称を示すMz/Mw比によるものである。我々は
、DMAC共触媒されたLLDPEが常に4より高いMz/Mwを有するが、一方、
通常のLLDPEは約3となる傾向があることを見い出した。また、HMW種の
存在は、観察された本発明のLLDPEの光学的性質の改善の説明を与える。H
MW種の存在は、結晶化の開始前にかなり高いストレスを生じ、結晶
成長を遅らせると言うことができる。このことは、ポリマーフィルムの表面でさ
らに大きくなるであろう。DMAC LLDPEフィルムは、通常のLLDPE
に比べてより滑らかな表面を持つ傾向があり、その結果、より良好な光学的性質
、即ち、より低い曇り度およびより高い光沢を持つ。
我々の先の特許である米国特許No.5,210,167およびNo.5,258,449において、我
々は、優れた光学的性質および優れた落槍衝撃(ASTM D−1709)を示す
LLDPEのフィルムを開示した。優れた光学的性質とは、ASTMD−100
3で測定して15未満、好ましくは10未満の曇り度、およびASTM D−2
457で測定して50を越える、好ましくは70を越える光沢を意味する(通常
のLLDPEの場合には常に、15を越える曇り度および50未満の光沢を有す
る光学的性質に劣るフィルムが得られた)。我々の特許のフィルムの落槍衝撃(A
STM D−1709)は、通常の商業生産されたLLDPEフィルムの値を20
〜30%越えていた。これらの予想外の性質の少なくとも一部は、該特許に開示
された新規コポリマーのためと考えられた。これら新規コポリマーは、チーグラ
ー型の触媒または前駆体のための共触媒としてのジメチルアルミニウムクロリド
(DMAC)の触媒作用の結果であると考えられた。
ここに我々は、上記先行特許(米国特許No.5,210,167およびNo.5,258,449)に記
載されたものよりも優れた落槍衝撃(ASTM D−1709)を示すフィルムを
製造することができた。これら新規なフィルムは、共触媒としてDMACを用い
る触媒反応において米国特許No.5,210,167およびNo.5,258,449に記載された同一
のエチレンのコポリマーから、また、「フィルム製造」の標題で後記する方法に
よって製造される。本発明のフィルムの落槍衝撃特性の改善は、少なくとも25
%以上であり、好ましくは25〜500%であり、最も好ましくは25〜300
%である。本発明のフィルムの落槍衝撃特性の改善には、光学的性質の改善が伴
われていないことに注意すべきである。本発明のフィルムの光学的性質には、A
STM D−1003で測定して15を越える曇り度の値およびASTM D−2
457で測定して50未満の光沢の値が含まれる。重合
いずれかの適当な方法により本発明に従って調製した触媒を用いてオレフィン
を重合する。このような方法には、懸濁液中で、溶液中で、またはガス相中で行
う重合が含まれる。ガス相重合反応、例えば、撹拌床反応器および特に流動床反
応器において起こる重合反応が好ましい。
本発明に従って調製される線状ポリエチレンポリマーは、エチレンのホモポリ
マーまたはエチレンと1もしくはそれ以上のC3〜C10α−オレフィンとのコポ
リマーである。即ち、2種類のモノマー単位を有するコポリマーが可能であり、
さらに3種類のモノマー単位を有するターポリマーも同様に可能である。このよ
うなポリマーの具体例には、エチレン/1−ブテンコポリマー、エチレン/1−
ヘキセンコポリマー、エチレン/1−オクテンコポリマー、エチレン/4−メチ
ル/1−ペンテンコポリマー、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセンターポリマ
ー、エチレン/プロピレン/1−ヘキセンターポリマーおよびエチレン/プロピ
レン/1−ブテンターポリマーが含まれる。プロピレンをコモノマーとして用い
るときには、得られる線状低密度ポリエチレンポリマーは、少なくとも4個の炭
素原子を有する少なくとも1種の他のα−オレフィンコモノマーを、ポリマーの
少なくとも1重量%の量で含んでいるのが好ましい。即ち、エチレン/プロピレ
ンコポリマーは可能ではあるが、好ましくはない。最も好ましいコモノマーは1
−ヘキセンである。
本発明に従って製造される線状低密度ポリエチレンポリマーは、少なくとも8
0重量%のエチレン単位を含むのが好ましい。
ポリマーの分子量は、例えば水素を用いることにより、既知のようにして制御
することができる。本発明において使用する触媒によれば、比較的低温、例えば
30〜105℃で重合を行うときに水素を用いて分子量を適切に制御することが
できる。この分子量制御は、製造したポリマーのメルトインデックス(I2)の測
定可能な正の変化によって確かめることができる。
水素を希釈ガスとして使用するときには、この希釈剤は、反応混合物を希釈し
ポリマー凝集を妨げるように働くだけでなく、連鎖移動剤としても作用して本方
法によって製造するコポリマーのメルトインデックスを調節する。一般に反応混
合物は、水素:エチレンのモル比が0.01:1〜0.5:1となるに十分な量で
水素を含有する。ポリマーの分子量は、例えば水素を用いることにより、既知の
ようにして制御することができる。本発明に従って製造する触媒を用い、比較的
低温、例えば70〜105℃で重合を行うときに、水素を用いて分子量を適切に
制御することができる。この分子量制御は、反応器中の水素とエチレンのモル比
を増加させたときのポリマーのメルトインデックス(I2)の測定可能な正の変化
によって確かめられる。
反応器中の正確な条件は、希釈ガスの濃度に依存して変化することができ、よ
り高い希釈ガス濃度はいくらか高い温度の使用を可能にする。一般に、温度は4
0〜95℃の範囲であることができる。
流動床反応器において、床を通過するガス性反応混合物の表面ガス速度は、流
動化に必要な最低流量を越えるものでなければならず、最低流量よりも高く、少
なくとも0.2フィート/秒であるのが好ましい。通常、表面ガス速度は5.0フ
ィート/秒を越えることはなく、最も普通には、2.5フィート/秒以下で十分
である。
本発明に従って線状低密度ポリエチレンポリマーを製造するための特に望まし
い方法は、流動床反応器中でのものである。このような反応器およびこれを操作
するための手段は、レビン(Levine)らの米国特許No.4,011,382、キャロル(Karol
)らの米国特許No.4,302,566、およびナウリン(Nowlin)らの米国特許No.4,481,30
1に記載されている(これら特許の全内容は本明細書の一部を構成する)。このよ
うな反応器中で製造されるポリマーは触媒粒子を含有しているが、これは、ポリ
マーから触媒が分離されないためである。
触媒
本発明において使用する触媒は、共触媒としてDMACを含有し、0.915
〜0.950の範囲の密度および0.2〜1.5の範囲のI2のエチレンポリマーお
よびコポリマーを与え、後記のパラメーターに従うフィルム製造を可能にする溶
融強度を示す。Mz/Mw>3.5ではない市販のLLDPEは、少なくとも2種
類の異なる直径のバブルおよびバブルインフレートフィルムを必要とする後記の
方法に従ってフィルムにブローすることができない。本発明に従って調製される
ポリマーの分子量分布は、0.900〜0.940g/ccの密度および0.1〜
100のI2(メルトインデックス)を有するLLDPE生成物について、MFR
値で表して、20〜40、好ましくは25〜35に変化する。
本発明のフィルムおよび樹脂を製造するために使用する触媒組成物は、遷移金
属(好ましくは、チタン)化合物およびマグネシウム化合物を含む触媒前駆体組成
物と混合したDMAC共触媒を必要とする。この前駆体は、非極性溶媒または電
子供与体のどちらかであってよい溶媒中で形成させることができる。前駆体を、
ジメチルアルミニウムクロリドである共触媒(または活性化剤)と反応容器の外側
で、または触媒活性化剤と反応容器の内側で反応させる。
活性化剤は、本発明の触媒の固体成分の重合活性を高めるに少なくとも効果的
な量で使用する。好ましくは、活性化剤は、ポリマー生成物中のその濃度が15
〜400ppm(パーツ・パー・ミリオン)、好ましくは60〜200ppm、最も好ま
しくは80〜200ppmとなるような量で使用する。スラリー重合法においては
、活性化剤の一部を、所望により重合媒体を前処理するために使用することがで
きる。
活性化剤および触媒を別々に重合媒体に添加することによって、触媒をその場
で活性化することができる。また、触媒および活性化剤を重合媒体中に導入する
前に、例えば重合媒体中にそれらを導入する前の2時間までの間に、60〜12
0℃の温度で触媒および活性化剤を混合することができる。
適切な活性化量の活性化剤を用いて、触媒の重合活性を高めることができる。
また、上記の活性化剤の割合を、触媒組成物中のチタンのグラム原子あたりの活
性化剤のモル数で表すことができるが、好ましくは8〜30モル活性化剤/チタ
ングラム原子である。
1.電子供与体中で形成させた前駆体
適当な遷移金属化合物は、元素周期表[フィッシャー・サイエンティフィック
・カンパニーから出版、カタログNo.5-702-10、1978年]のIVA、VA、または
VIA、VIIAまたはVIII族の化合物、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バ
ナジウム(V)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)の化合物、例え
ば、TiCl4、TiCl3、VCl4、VCl3、VOCl3、MoCl5、ZrCl5およびクロムアセチルア
セトネートである。これら化合物の中で、チタンおよびバナジウムの化合物が好
ましく、チタンの化合物が最も好ましい。
前駆体組成物の調製に使用するチタン化合物の構造は、次式で示される:
Ti(OR)aXb
[式中、Rは1〜14個の炭素原子を含有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基
であるか、またはCOR’(ここで、R’は1〜14個の炭素原子を含有する脂
肪族もしくは芳香族炭化水素基である)であり、
XはCl、Br、Iおよびこれらの混合物からなる群から選択され、
aは0、1または2であり、
bは1〜4であり、そして
a+bは3または4である]。
適当なチタン化合物は、TiCl3、TiCl4、Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC6H5)Cl3、Ti(OCOC
H3)Cl3およびTi(OCOC6H5)Cl3を包含する。TiCl3が好ましいが、これは、この物
質を含有する触媒が、本発明の方法において使用するモノマー濃度および低い温
度でより高い活性を示すためである。
前駆体組成物の調製に使用するマグネシウム化合物の式は、次式で示される:
MgX2
[式中、XはCl、Br、Iおよびこれらの混合物からなる群から選択される]。
適当なマグネシウム化合物は、MgCl2、MgBr2およびMgI2を包含する。
無水MgCl2が特に好ましい。
前駆体組成物の調製に使用する溶媒または電子供与化合物は、25℃で液体で
あり、チタンおよびマグネシウム化合物が可溶性である有機化合物である。電子
供与化合物は自体既知であるか、またはルイス塩基として既知である。
適当な電子供与化合物には、脂肪族および芳香族カルボン酸のアルキルエステ
ル、脂肪族エーテル、環状エーテルおよび脂肪族ケトンが含まれる。これら電子
供与化合物の中で、好ましい化合物は、1〜4個の炭素原子を含有する飽和脂肪
族カルボン酸のアルキルエステル;7〜8個の炭素原子を含有する芳香族カルボ
ン酸のアルキルエステル;2〜8個の炭素原子、好ましくは4〜5個の炭素原子
を含有する脂肪族エーテル;4〜5個の炭素原子を含有する環状エーテル、好ま
しくは4個の炭素原子を含有するモノまたはジエーテル;および3〜6個の炭素
原子、好ましくは3〜4個の炭素原子を含有する脂肪族ケトンである。これら電
子供与化合物の中で最も好ましいものには、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトンおよびメチル
エチルケトンが含まれる。
前駆体組成物は、少なくとも1つの遷移金属化合物(例えば、チタン化合物)お
よび少なくとも1つのマグネシウム化合物を、少なくとも1つの電子供与化合物
中に、20℃から電子供与化合物の沸点までの温度で溶解することによって生成
させる。あらゆる周知の遷移金属化合物のいずれかまたはその組合せ物を、本発
明の触媒前駆体の調製に使用することができる。チタン化合物を、マグネシウム
化合物の添加前または添加後に、またはそれと同時に電子供与化合物に添加する
ことができる。チタン化合物およびマグネシウム化合物の溶解を、電子供与化合
物中でこれら2種類の化合物を撹拌することによって、またある場合には還流さ
せることによって促進することができる。
チタン化合物およびマグネシウム化合物が溶解した後、5〜8個の炭素原子を
含有する脂肪族または芳香族炭化水素、例えばヘキサン、イソペンタンまたはベ
ンゼンを用いて結晶化または沈殿させることによって前駆体組成物を単離するこ
とができる。結晶化または沈殿させた前駆体組成物は、60℃までの温度で乾燥
した後に10〜100ミクロンの平均粒子サイズを有する微細な易流動性の粒子
の形態で単離することができる。
前駆体組成物を製造する際に、1モルのチタン化合物に対して約0.5〜56
モル、好ましくは1〜10モルのマグネシウム化合物を用いる。
本発明によれば、共触媒と接触させる前に前還元試薬を用いて触媒前駆体を前
還元することができる。即ち、前駆体を、少なくとも1つの前還元剤、例えばジ
エチルアルミニウムクロリドまたはトリ−n−ヘキシルアルミニウム(TNHA
L)およびこれらの混合物と接触させることができる。この前還元反応は、過度
に高いピーク活性および温度(これは、極めて低い嵩密度のポリマー生成物を導
く)を防止するための反応初期段階の重要な制御を与える。
前駆体組成物を不活性担体物質中に、(1)機械的に混合することにより、また
は、(2)含浸させることにより、該組成物を該担体物質で希釈することができる
。
不活性担体と前駆体組成物の機械的混合は、常法を用いてこれら物質を一緒に
ブレンドすることによって行う。ブレンドした混合物は、3〜50重量%の前駆
体組成物を含有するのが適切である。
前駆体組成物による不活性担体物質の含浸は、前駆体組成物を電子供与化合物
中に溶解し、次いでこの溶解した前駆体組成物と支持体を混合して支持体を含浸
させることによって行うことができる。次いで、85℃までの温度で乾燥するこ
とによって溶媒を除去する。
また、電子供与化合物中で前駆体組成物を生成させるために使用する化学的粗
原料の溶液に支持体を添加することにより、該溶液から前駆体組成物を単離する
ことなく、支持体を前駆体組成物で含浸させることもできる。次いで、85℃ま
での温度で乾燥することによって過剰の電子供与化合物を除去する。
上記のように調製したときに、ブレンドしたかまたは含浸させた前駆体組成物
は次式で示される:
MgmTi(OR)nXp[ED]q
[式中、Rは1〜14個の炭素原子を含有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基
であるか、またはCOR’(ここで、R’も1〜14個の炭素原子を含有する脂
肪族もしくは芳香族炭化水素基である)であり、
XはCl、Br、Iおよびこれらの混合物からなる群から選択され、
EDは電子供与化合物であり、
mは0.5〜56、好ましくは1.5〜5であり、
nは0、1または2であり、
pは2〜116、好ましくは6〜14であり、そして
qは2〜85、好ましくは3〜10である]。
含浸させた担体物質は、3〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の前駆
体組成物を含有するのが適切である。
前駆体組成物を希釈するために使用する担体物質は、触媒組成物の他の成分に
対して、および反応系の他の活性成分に対して不活性である固体の粒状の多孔性
物質である。これらの担体物質には、アルミニウムおよび/またはケイ素の酸化
物などの無機物質が含まれる。平均粒子サイズが10〜250ミクロン、好まし
くは20〜150ミクロンの乾燥粉末の形態で担体物質を用いる。また、これら
の物質は多孔性であり、1グラムあたり少なくとも3平方メートル、好ましくは
1グラムあたり少なくとも50平方メートルの表面積を有する。触媒の活性また
は生産性を、平均孔サイズが少なくとも80オングストローム単位、好ましくは
少なくとも100オングストローム単位であるシリカ支持体を使用することによ
って、明らかに改善することができる。担体物質は乾燥しているべき、即ち、吸
着水を含まないものであるべきである。担体物質の乾燥は、例えば、シリカを支
持体として使用するときには少なくとも600℃の温度で加熱することによって
行うことができる。別法によれば、シリカを使用するときには、これを少なくと
も200℃の温度で乾燥し、1〜8重量%の1またはそれ以上の後記のアルミニ
ウム活性化化合物で処理することもできる。このようにアルミニウム化合物で支
持体を修飾すると、増加した活性を有する触媒組成物が得られ、さらに得られる
エチレンコポリマーのポリマー粒子形態が改善される。
あらゆる通常の方法(従来技術の遷移金属化合物を従来技術で使用する活性化
剤と反応させる方法)により、本発明に従って遷移金属化合物をDMAC活性化
剤と反応させる。例えば、遷移金属化合物を適当な溶媒(例えば、イソペンタン
またはヘキサン)に溶解し、得られた溶液を活性化剤(これは、適当な溶媒、例え
ばイソペンタン中の溶液として使用することもできる)と反応させることができ
る。しかし、触媒前駆体を反応器に導入し、触媒前駆体の導入と同時に、または
前駆体導入の終了後に、活性化剤を反応器に導入するのが好ましい。
2.非極性溶媒中で形成させた前駆体
本発明のこの態様によれば、液体媒体中で適当な支持体を反応性マグネシウム
により含浸させ、この支持された反応性マグネシウムを利用して四価チタン(即
ち、+4価の状態にあるチタン)と反応させることによって、支持されたチタン
を適当な支持体上に導入する。未反応のチタンはこの液体媒体中に可溶性であり
、一方、反応したチタンおよび支持された反応性マグネシウムはこの液体媒体に
不溶性である。
処理することができる適当な担体物質には、固体の多孔性担体物質、例えば、
シリカ、アルミナおよびこれらの組合せ物が含まれる。このような担体物質は、
その形態が無定形または結晶形であってよい。これらの担体は、粒子サイズが0
.1〜250ミクロン、好ましくは10〜200ミクロン、最も好ましくは10
〜80ミクロンである粒子の形態であってよい。好ましくは、この担体は球状粒
子の形態にあり、例えば噴霧乾燥したシリカである。
この担体物質も多孔性である。これら担体の内部多孔度は、0.2cm3/gより
大きいものであってよく、例えば0.6cm3/gより大きいものであってよい。こ
れら担体の比表面積は、少なくとも3m2/g、好ましくは少なくとも50m2/
g、より好ましくは例えば150〜1500m2/gである。
担体物質を水反応性マグネシウム化合物と接触させる前に、この担体物質から
物理的に結合した水を除去するのが望ましい。この水除去は、担体物質を100
℃〜上限温度(状態変化または焼結が起こる温度)の温度に加熱することによって
行うことができる。即ち、適当な温度範囲は、100〜800℃、例えば150
〜650℃であろう。
本発明のある態様に従って担体を水反応性マグネシウム化合物と接触させると
きには、担体中にSi−OH基の存在によって示されるシラノール基が存在してい
てもよい。これらSi−OH基は、1グラムの担体あたりに0.3mモルまたはそ
れ以上のOH基の割合で存在していてよい。即ち、1グラムの担体あたりに例え
ば0.5〜5mモルのOH基の量が存在していてよいが、好ましい範囲は1グラ
ムの担体あたりに0.4〜0.9mモルのOH基である。担体中に存在する過剰
のOH基は、この担体を十分な温度で十分な時間加熱して所望の除去を行うこと
によって除くことができる。より具体的には、例えば、比較的少量のOH基は1
50〜250℃での十分な加熱によって除くことができ、一方、比較的大量のO
H基は少なくとも500℃または800℃、より具体的には550〜650℃で
の十分な加熱によって除くことができる。加熱期間は、一晩(例えば、16時間)
またはそれより短い期間(例えば、少なくとも4時間)であってよい。最も好まし
い態様においては担体はシリカであるが、このシリカは、最初の触媒合成工程に
おいて使用する前に、窒素または空気で流動化し、少なくとも600℃で16時
間加熱して、1グラムあたり0.7mモルの表面ヒドロキシル基濃度(mモル/g
)を達成することによって脱水したものである。シリカの表面ヒドロキシル濃度
は、ペリ(J.B.Peri)およびヘンズレイ(A.L.Hensley,Jr.)[J.Phys.Chem.,72(
8),2926(1968)]に従って測定することができる。最も好ましい態様のシリカは
、高表面積の無定形シリカ(表面積=300m2/g;孔体積=1.65cm3/g)
であり、これはグレース社(W.R.Grace and Company)のダビソン化学部門(Davis
on Chemical Division)からダビソン(Davison)952または955の商品名で市
販されている物質である。窒素または空気で流動化し、600℃で16時間加熱
することによって脱水したシリカである場合、表面ヒドロキシル濃度は0.72
mモル/gである。使用するシリカは、グレース社のダビソン部門からダビソン
952の商品名で市販されている高表面積の無定形シリカ(表面積=300m2/
g;孔体積=1.65cm3/g)であってよい。
また、担体の比表面積は、英国規格BS4359、第1巻(1969)に記載さ
れている規格化された方法を用い、上記のBET法に従って測定することができ
る。
担体物質を非極性溶媒中でスラリー化し、得られたスラリーを少なくとも1つ
の有機マグネシウム組成物と接触させる。溶媒中の担体物質のスラリーは、好ま
しくは撹拌しながら、また、混合物を25〜100℃、好ましくは40〜60℃
に加熱しながら、担体を溶媒に導入することよって調製する。次いで、このスラ
リーを、上記温度での加熱を続けながら、上記の有機マグネシウム組成物と接触
させる。
有機マグネシウム組成物は、次の実験式で示される:
RmMgR'n
[式中、RおよびR'は同一または異なってC2−C12アルキル基、好ましくはC4
−C10アルキル基、より好ましくはC4−C8アルキル基、最も好ましくはRおよ
びR'の両方がブチル基であり、
mおよびnはそれぞれ0、1または2である;
ただし、m+nはMgの価数に等しい]。
適当な非極性溶媒は、本発明において使用する反応物質の全て、例えば有機マ
グネシウム組成物、遷移金属化合物が少なくとも部分的に可溶性であり、反応温
度で液体である物質である。好ましい非極性溶媒は、アルカン、例えばイソペン
タン、ヘキサン、n−ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンであるが、シク
ロアルカン、例えばシクロヘキサン、芳香族化合物、例えばベンゼンおよびエチ
ルベンゼンを包含する種々の他の物質も使用することができる。最も好ましい非
極性溶媒はイソペンタンである。使用前に非極性溶媒を、例えばシリカゲルおよ
び/またはモレキュラーシーブによるパーコレーションによって精製して、水、
酸素、極性化合物、および触媒活性に悪影響を及ぼしうる他の物質の痕跡を除去
すべきである。
この触媒の合成の最も好ましい態様においては、支持体上に物理的または化学
的に蓄積されるであろう量の有機マグネシウム組成物のみを加えるのが重要であ
る。この理由は、溶液中のあらゆる過剰の有機マグネシウム組成物が、他の合成
化学物質と反応し、支持体の外側に沈殿することがあるためである。担体乾燥温
度は、有機マグネシウム組成物が利用しうる担体上の部位の数に影響を与え、乾
燥温度が高くなるほど部位の数は少なくなる。即ち、有機マグネシウム組成物と
ヒドロキシル基の正確なモル比は個々に変化し、それを個々に決定して、溶液中
にどのような過剰の有機マグネシウム組成物を残すことなく、支持体上に蓄積さ
れるであろう量のみの有機マグネシウム組成物を溶液に加えることを確実にしな
ければならない。さらに、支持体上に蓄積される有機マグネシウム組成物のモル
量は、支持体上のヒドロキシル基のモル含有量よりも多いと考えられる。従って
、以下に示すモル比はおよその指針のみを意図するものであり、この態様におけ
る有機マグネシウム組成物の正確な量は、上記の機能的な制限によって制御され
なければならない。即ち、その量は、支持体上に蓄積されうる量よりも多いもの
であってはならない。この量よりも多い量を溶媒に加えたときには、その過剰量
が後に添加した試薬と反応して本発明の触媒を生成することができる。これによ
って、支持体の外側に沈殿を生成するが、これは我々の触媒の合成には有害であ
り、避けなければならない。支持体上に蓄積される量よりも多くない有機マグネ
シウム組成物の量は、任意の常法により測定することができる。例えば、溶媒中
の担体のスラリーを撹拌しながら、このスラリーに有機マグネシウム組成物を添
加し、この有機マグネシウム組成物が溶媒中の溶液として検出されるまで添加す
ることによって測定することができる。
例えば、600℃で加熱されたシリカ担体については、スラリーに添加する有
機マグネシウム組成物の量は、Mgと固体担体上のヒドロキシル基(OH)のモル比
が1:1〜4:1、好ましくは1.1:1〜2.8:1、より好ましくは1.2:
1〜1.8:1、最も好ましくは1.4:1となるような量である。有機マグネシ
ウム組成物が非極性溶媒に溶解して溶液を生成し、これから有機マグネシウム組
成物が担体上に蓄積される。
好ましくは、担体の孔が反応性固体マグネシウム含有組成物を含むように、担
体を含浸させるべきである。この結果を達成する好ましい手段は、溶解した有機
マグネシウム組成物を含有する液体媒体中に多孔性担体を導入し、(1)有機マグ
ネシウム組成物と担体との反応によって、(2)担体上の有機マグネシウム組成物
からのマグネシウムの沈殿によって、または(3)このような反応と沈殿の組合わ
せによって、マグネシウムを担体の孔中に含浸させることによるものである。こ
の工程から非ルイス塩基液体である非極性溶媒を蒸発させると、マグネシウムを
含有する担体が、乾燥した易流動性粉末の形態で得られる。
担体上に含浸させるマグネシウム組成物の量は、後記の方法により、シラン化
合物および次に四価チタン化合物と反応して担体上に触媒的有効量のチタンを導
入するに十分な量であるべきである。有機マグネシウム組成物を含有する液体を
担体と接触させるときには、この液体中のマグネシウムの量(mモルで表す)は、
担体に含浸させる量について上記した量と実質的に同じであってよい。
我々の別出願によれば、本発明の触媒組成物の製造における必須成分は、ヒド
ロキシル基を含まないシラン化合物である。このシラン化合物は、次の実験式で
示される:
R1 xSiR2 y
[式中、Siはケイ素原子であり、
xは1、2、3または4であり、
yは0、1、2または3であり、
ただし、x+yは4であり、
R1はRw−O−であり(ここで、Oは酸素であり、Rwは1〜10個の炭素原子
を有するヒドロカルビルである)、
R2はハロゲン、好ましくは塩素、水素または1〜10個の炭素原子を有する
ヒドロカルビルである]。
この実験式で示される好ましい種は、Si(OR)4[ここで、RはC1−C10ヒドロカ
ルビルである]およびSi(R"O)n(R''')(4-n)[ここで、R'''はハロゲン、好ましく
は塩素、またはC1−C10ヒドロカルビルまたは水素である]で定義される化合物
である。ヒドロカルビル基には、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル、ア
リール、アリールアルキル、アルケニルおよびアリールアルケニルが含まれる。
本発明に従って使用することができる具体的なシラン化合物には、テトラメトキ
シシラン、ジメトキシジメチルシラン、テトラエトキシシラン、フェノキシトリ
メチルシラン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、クロロ
トリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エトキシトリエチルシラン
、テトライソプロポキシシラン、ジイソプロポキシジイソプロピルシラン、テト
ラプロポキシシラン、ジプロポキシジプロピルシラン、テトラブトキシシラン、
ジブトキシジブチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、テトラフェノキシシ
ラン、トリエトキシフェニルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチル
ジシロ
キサン、オクタエチルトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニ
ルシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリフェニルヒドロシロキサン、
テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)
シラン、テトラアリルオキシシランおよびオクタメチルトリシロキサンが含まれ
る。
溶媒中の有機マグネシウム組成物および担体物質のスラリーを、シラン化合物
の導入のために、40〜60℃の温度に維持する。有機マグネシウム導入の後に
、そして好ましくは触媒への遷移金属導入の前にシラン化合物を導入する。スラ
リーに加えるシラン化合物の量は、シランと固体担体上のMgのモル比が0.20
〜1.40、好ましくは0.30〜0.90、より好ましくは0.50〜0.80、
最も好ましくは0.66となるような量である。
好ましくはシラン化合物の添加の終了後に、スラリーを、非極性溶媒中に可溶
性の少なくとも1つの遷移金属化合物と接触させる。この合成工程は、25〜6
5℃、好ましくは30〜60℃、最も好ましくは45〜55℃で行う。好ましい
態様においては、添加する遷移金属化合物の量は、担体上に蓄積されうる量を越
えることはない。即ち、Mgと遷移金属および遷移金属と担体のヒドロキシル基の
正確なモル比は、例えば担体乾燥温度に依存して変化し、個々に決定しなければ
ならない。例えば、200〜850℃に加熱したシリカ担体については、遷移金
属化合物の量は、遷移金属(遷移金属化合物に由来する)と担体のヒドロキシル基
のモル比が1〜2.0、好ましくは1.3〜2.0となるような量である。また、
遷移金属化合物の量は、Mgと遷移金属のモル比が1〜3、好ましくは1〜2とな
るような量である。本発明において使用する適当な遷移金属化合物は、これら化
合物が非極性溶媒に可溶性であるという条件のもと、元素周期表[フィッシャー
・サイエンティフィック・カンパニーから出版、カタログNo.5-702-10、1978年]
のIVA、VA、VIAまたはVIII族の金属の化合物である。このような化合物の限定の
ためのものではない例は、チタンハロゲン化物(例えば、そのハライド部分はCl
またはBrである)、例えば四塩化チタンTiCl4、チタンアルコキシド(例えば、そ
のアルコキシド部分はC1−C6アルコキシドである)またはこれ
らの混合物、およびバナジウムハロゲン化物、四塩化バナジウムVCl4、バナジウ
ムオキシトリクロリドVOCl3、チタンおよびバナジウムアルコキシド(ここで、ア
ルコキシド部分は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含
む分岐または未分岐のアルキル基である)である。好ましい遷移金属化合物は、
チタン化合物、好ましくは四価のチタン化合物である。最も好ましいチタン化合
物は、四塩化チタンである。また、このような遷移金属化合物の混合物を使用し
てもよく、一般に、含有されていてよい遷移金属化合物に制限はない。また、単
独で使用しうるあらゆる遷移金属化合物を、他の遷移金属化合物と組合せて使用
することもできる。
液体媒体中での遷移金属化合物、例えば四価のチタン化合物の反応は、四価チ
タン化合物の溶液中に反応性マグネシウム組成物を含有する固体担体をスラリー
化し、この液体反応媒体を常圧で適当な反応温度、例えば溶媒の還流温度まで加
熱することによって好都合に起こる。即ち、反応は還流条件下で起こるであろう
。四価チタン化合物のための好ましい溶媒はヘキサンまたはイソペンタンである
。
種々の反応パラメーターが多種多様に可能であり、適切なこれらパラメーター
の選択は当業者には周知である。しかし、例えば溶液中に最初にスラリー化され
る処理された担体に対する四価チタン溶液の体積は、該担体1gあたり0.1〜
10mlであろう。四価チタン溶液の濃度は、例えば0.1〜9モルであろう。溶
液中の四価チタンの量は、例えば、担体を処理するために先に使用する有機マグ
ネシウムのモル量を上回るであろう。より具体的には、例えば、四価チタンと有
機マグネシウムのモル比は、0.5〜5、より具体的には0.7〜1.4であろう
。未反応のチタンは、デカンテーション、濾過および洗浄などの適当な分離法に
よって除去することができる。
適当な活性化量の活性化剤を使用することができる。触媒中のチタン1グラム
原子あたりのDMAC活性化剤のモル数は、例えば1〜100であってよく、5
を越えるのが好ましい。フィルム製造
本フィルム製造法によれば、0.5〜1.5ミルのフィルムを製造することがで
きる(一部の商業用途には、0.5ミルのフィルムが必要とされている)。
本発明によれば、垂直に上に移動させるチューブの形態で押出すための環状ダ
イ中のギャップから、線状低密度ポリエチレンの溶融物を供給する。このチュー
ブによって形成されるバブルの内側に加圧空気を供給し、これが大きく増加した
直径および対応して減少した壁厚みまでチューブをブローし、二軸延伸フィルム
を与える。溶融物質の押出しチューブを引きながら、冷却用空気をバブルの外側
表面に供給する。追加の操作には、通常、壁表面が互いに付着しない冷却中のあ
る段階において、一対のロール間でチューブを偏平な二重壁ウエブに潰すことが
含まれる。この偏平にしたチューブをロールに巻き取り、そして/またはさらに
加工する。
冷却用空気は、それぞれがバブル外側表面との熱交換のための1またはそれ以
上の冷却用空気の環状流を放出する、1またはそれ以上の空冷環によってバブル
の外側表面に供給することができる。ダイオリフィスのすぐ近くの一次環は、バ
ブルの通路に沿って配置されたさらに強力な二次環(溶融物が、未だ固化してい
ないが、さらに強力な二次環の空気流の力に耐えるには十分冷却されている位置
に配置される)と共に使用されることが多い。
これらの空気環は、溶融樹脂のチューブを冷却するためだけでなく形状化する
ためにも、予め調整し配置することができる。このような空気環によるチューブ
およびバブルの形状の制御は、米国特許No.4,118,453に記載されている(この記
載は本明細書の一部を構成する)。チューブの内部圧は、空気環からのチューブ
の通過中に加圧ガス(空気)を使用することによって維持する。このような手段が
使用されている装置は、「ストーク押出機」と呼ばれることもある。ストーク押
出機はアルパイン(Alpine)から市販されている。
即ち、本発明の方法は、Mz/Mw>3.5のLLDPEを環状ダイから押出して
押出された溶融物質のチューブを生成させ、該押出されたチューブを冷却すると
同時に引き、該チューブの内部にガスを導入することによって該チューブを膨
張させてその壁を薄くし、該押出されたチューブの周囲の複数の環状ゾーン(該
押出されたチューブの軸に沿って配置され、かつ押出し点から離れる方向に直径
が増加する;また、該複数の環状ゾーンは該押出されたチューブの周囲の円形の
環状ゾーン対によって供することができる)から該チューブの外側表面と接触す
るように冷却ガスを流すことからなる。上記のように米国特許No.4,118,453(本
明細書の一部を構成する)においては、追加の独立した対の冷却ガス制限流が、
該フィルムの形状限定表面(放出された制限流の放出境界を越えて伸びる)のそれ
ぞれの側面に向けられている。該追加の冷却ガス流を、それぞれの形状限定表面
のところで該フィルムチューブの外側表面と接触するように通過させて、該表面
と該フィルム物質の間に正のガス圧ゾーンを生成させ、次いで、該冷却ガスを各
対の隣接冷却ガス入口の間で該接触からはずす。
本発明によれば上記の溶融した線状低密度ポリエチレンを、少なくとも2つの
異なる直径を有するチューブまたはバブルに成形する。この2つの直径の小さい
方は実質的にダイの直径であり、バブルの第2の直径はダイの直径より大きい。
フロスト高さライン下流のバブル部分は小さい方の直径を持ち、下流のバブル部
分は第2の直径を持つ。このフロストラインは、押出されたチューブまたはバブ
ルが溶融から固体の性質に変化するところでのラインである。
チューブの直径は、溶融緩和における、ダイ、応力ならびに縦方向(MD)延伸
のものであるが、この段階がMD引裂抵抗および衝撃抵抗の増加に重要であるこ
とがわかった。チューブの直径が増加するにつれて、バブル中の圧力が増加する
。即ち、チューブ内部とチューブ外側表面の間の圧力差は、直径の増加につれて
増加する。直径の増加は、ダイ直径の3:1〜5:1、7:1〜9:1倍までで
あってよい。このバブル直径の増大は、溶融物が固体に変わる前に起こる。上に
示唆したように、フロストライン高さは、フィルムがその融点以下になる点であ
り、もはや横断方向に膨張せず、従ってバブル直径の増加がない点である。得ら
れるフィルムは、0.2〜2.0の範囲、好ましくは0.3〜1.5の範囲、最も好
ましくは0.3〜1.0の範囲の厚みを有する。
以下に実施例を挙げて、本発明の重要な特徴をさらに詳しく説明する。
実施例において製造したポリマーの性質は、以下の試験方法によって測定した
。
密度:ASTM D−1505
プラックを調製し、100℃で1時間の状態調整を行って平衡結晶化度に近づ
けた。次いで、密度勾配カラムにおいて密度の測定を行った。結果はg/ccで
示す。
メルトインデックス(MI)I2:ASTM D−1238−条件E
190℃で測定した。結果はg/10分間で示す。
高荷重メルトインデックス:ASTM D−1238−条件F
上記のメルトインデックス試験において使用した重量I21の10.5倍で測定
した(HLMI)。
溶融流量比(MFR):I21/I2 実施例 実施例1 触媒前駆体の合成
ヤマグチ(Yamaguchi)ら[米国特許No.3,989,881]およびキャロル(Karol)ら[欧
州特許出願No.84103441.6]の教示に従って、触媒前駆体を合成した。
(a)前駆体の調製
機械的撹拌機を装着した12Lのフラスコに、無水MgCl2(41.8g、0.43
9モル)およびテトラヒドロフラン(THF)(2.5L)を入れた。この混合物に、
TiCl30.33AlCl3粉末(29.0、0.146モル)を、0.5時間で加えた。次い
で、この混合物を、さらに0.5時間60℃に加熱して全物質を完全に溶解した
。
独立して、シリカ(500g)を600℃の温度で加熱することによって脱水し
、イソペンタン(3L)中にスラリー化した。このスラリーを、ヘキサン中TEA
Lの20重量%溶液(186ml)により前処理した。この溶液は、撹拌したシリカ
スラリーに0.25時間で加えた。次いで、得られた混合物を窒素パージ下に6
0℃で4時間乾燥して、5.5重量%のアルミニウムアルキルを含有する乾燥し
た易流動性の粉末を得た。
次いで、この前処理したシリカを、上記のように調製した触媒前駆体の溶液に
加えた。得られたスラリーを0.25時間撹拌し、次いで溶媒(THF)を窒素パ
ージ下に60℃で4時間乾燥して、触媒前駆体の易流動性粉末を得た。
(b)修飾した前駆体の調製
実施例1(a)の前駆体組成物を、キャロルら[欧州特許出願No.84103441.6]の教
示のように修飾した。実施例1(a)に従って調製したシリカ含浸させた前駆体組
成物を、無水イソペンタン(3L)中にスラリー化し、これに無水ヘキサン中のジ
エチルアルミニウムクロリド(DEAC)の20重量%溶液を加えながら0.25
時間撹拌した。DEAC溶液は、前駆体中の残存溶媒(THF)1モルあたりこの
化合物が0.4モルとなるに十分な量で用いた。DEACの添加の終了後に、無
水ヘキサン中のトリ−n−ヘキシルアルミニウム(TNHAL)の20重量%溶液
を、前駆体中の残存THF1モルあたりこの化合物が0.2モルとなるに十分な
量で加えながら、0.25〜0.5時間撹拌を続けた。次いで、この混合物を窒素
パージ下に65±10℃の温度で4時間乾燥して、易流動性の粉末を得た。
試験した前駆体中のDEACおよびTNHALの量は、以下の表に示すように
変化した。
後記実施例において使用したDMAC共触媒含有の組成物は触媒前駆体から調
製したが、この触媒前駆体は、以下の表に記載した一部の場合には、DEACお
よびTNHALで予備活性化した。
全ての実施例で使用したコモノマーは、1−ヘキセンであった。
実施例2
この実施例においては、DMAC共触媒されたLLDPEおよび通常のLLD
PEの性能を、ストークおよび非ストーク押出し条件で比較した。フィルムゲー
ジは両方の場合に1.5ミルであった。高ストーク押出しは、50mmアルパイン
押出機を用いて次の条件下に行った:BUR=3:1、15"ストーク高さ、6
5ポンド/時。非ストーク押出しは、2.5"のスターリング(Sterling)押出機を
用いて次の条件下で行った:2:1 BUR、20"FLH、130ポンド/時
、100ミルのダイギャップ。結果は以下の通りである。
*TMA共触媒により製造した樹脂は、広範囲の試験条件下で、バブルの不
安定性のゆえに高ストーク押出し条件下では実施できなかった。
実施例2
この実施例においては、比較的低い樹脂密度で性質を比較した。条件は次の通
りであった。アルパイン:4:1 BUR、15"ストーク高さ、70ポンド/
時;スターリング:2:1 BUR、130ボンド/時、17"FLH、100
ミルのダイギャップ。
*TMA共触媒により製造した樹脂は、広範囲の試験条件下で、バブルの不
安定性のゆえに高ストーク押出し条件下では実施できなかった。
スターリングラインにおける通常の押出しを2種類の異なる膨張比(2:1お
よび3:1)で行って、性質に対するBURの効果を確かめた。また、我々は、
最も高い可能なフロストライン高さで実施して、通常の押出し条件下での最大緩
和を可能にした。これらの相違は別にしても、特徴的な高ストークバブル形状を
スターリング上でも同様に行うことはできなかった(これは、アルパインライン
上で改善された性質およびポリマー溶融物のより高い緩和を可能にする)。記載
した表に見られるように、フィルム強度特性は、スターリング押出しに比べ、ア
ルパイン押出しにより劇的に改善される。0.5ミルのアルパインフィルムは、
1.0ミルのアルパインフィルムよりも良好な特性を持ち、1.0ミルのアルパイ
ンフィルムは1.0ミルのスターリングフィルムよりも良好な衝撃特性および引
裂特性を持つ。DMAC共触媒されたLLDPE樹脂は、HMW種により付与さ
れる顕著に高い溶融強度のゆえに両配置下の加工が可能であるという点で独特で
ある。他の狭いMWDのLLDPEとのこれら2種類のラインでの特性の比較は
、これらが高ストーク配置下で加工できなかったので、不可能であった。
通常の押出しおよび高ストーク押出しの比較
実施例1の触媒前駆体を用いて共触媒化したDMAC
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B29K 23:00 B29K 23:00
B29C 47/00 B29C 47/00