【発明の詳細な説明】
CCR5受容体リガンド、抗炎症薬および抗−ウイルス薬としての置換ビス−
アクリジンおよび関連化合物
発明の分野
本発明は、現在はCCR5(Nature Medicine 1996,2,1174-8)と称されて
いるCCケモカイン受容体CC−CKR5のリガンド、アゴニストまたはアンタ
ゴニストである置換ビス−アクリジンおよび関連化合物に関する。さらに、本発
明は、CCR5により媒介される病状の治療および予防に関する。
発明の背景
T細胞は、感染因子に対する免疫応答の重要な調節因子であるだけでなく、種
々の慢性疾患における炎症反応の開始および持続について重要なものであると考
えられている。T細胞、特に、CD4+T細胞の数の増加または活性化状態の増
強が、慢性関節リウマチに罹患している個体の滑膜(M.J.ElliottおよびR.N
.Maini,Int.Arch.Allergy Immunol.104:112-1125,1994)、喘息の気管支
粘膜(C.J.CorriganおよびA.B.Kay,Immunol.Today 13:501-506,1992)、
多発性硬化症の病巣(R.MartinおよびH.F.McFarland,Crit.Rev.Clin.Lab
.Sci.32:121-182,1995)、乾癬病巣(J.L.Jones,J.Berth-Jone,A.Flet
cherおよびP.E.Hutchinson,J.Pathol.174:77-82,1994)およびアテローム
性動脈硬化症の脂肪条痕(R.Ross,Annu.Rev.Physiol.57:791-804,1995)
において示された。
T細胞ならびに他の炎症細胞は、種々の走化性因子の産生に反応して組織中に
移動する。これらの因子には、ケモカインとして知られている8−12kDa蛋白
質のスーパーファミリーがある。これらの蛋白質は、3−4個の保存されたシス
テイン残基の存在などの構造的特徴を共有する。発現および分泌された活性化調
節性正常T細胞の略称であるランテス(RANTES;Regulated upon Activat
ion Normal T cell Expressed and Secreted)は、ケモカインファミリーのCC
ブランチの8kDa蛋白質メンバーである。これらの蛋白質は、G蛋
白質結合受容体との相互作用により免疫および炎症細胞を補充し、活性化する。
CCブランチは、最初の2つのシステイン残基の間に介在アミノ酸が存在しない
ことにより定義され、このファミリーのメンバーは、単核細胞、好酸球および好
塩基球の移動を主に誘起する(M.Baggiolini,B.DewaldおよびB.Moser,Adv
.Immunol.55:97-179,1994;ならびにJ.J.Oppenheim,C.O.C.Zachariae
,N.MukaidaおよびK.Matsushima,Annu.Rev.Immunol.9:617-648,1991)。
ランテスは、T細胞、好塩基球、好酸球、単球およびマスト細胞の走化性を強
力に生じさせる。ランテスは、初めは、T細胞の抗原活性化後に誘発される遺伝
子産物と定義された(T.J.Schall,J.Jongstra,B.J.Dyer,J.Jorgensen
ら,J.Immunol.141:1018-1025,1988)が、ランテスは、上皮細胞および内皮
細胞(C.Stellato,L.A.Beck,G.A.Gorgone,D.Proudら,J.Immunol.155
:410-418,1995;およびA.Marfaing-Koka,O.Devergne,G.Gorgone,A.Port
ierら,J.Immunol.154:1870-1878,1994)、滑膜線維芽細胞(P.Rathanaswam
i,M.Hachicha,M.Sadick,T.J.Schallら,J.Biol.Chem.268:5834-5839
,1993)および皮膚線維芽細胞(M.Sticherling,M.Kupper,F.Koltrowitz,
E.Bornscheuerら,J.Invest.Dermatol.105:585-591,1995)、メサンギウム
細胞(G.Wolf,S.Aberle,F.Thaissら,Kidney Int.44:795-804,1994)お
よび血小板(Y.Koameyoshi,A.Dorschner,A.I.Mallet,E.Christophersら
,J.Exp.Med.176:587-592,1992)を含む別の細胞グループにより合成および
分泌されることが示された。これらの細胞において、ランテスmRNAは、IL
−1またはTNFαに反応して迅速にアップレギュレートされる。ランテスmR
NAは、通常、正常な細胞では検出されないが(J.M.Pattison,P.J.Nelson
およびA.M.Krensky,Clin.Immunother.4:1-8,1995)、mRNAまたは蛋白
質の増加が、単核浸潤により特徴付けられる疾患において見出された。例えば、
ランテスmRNAは、拒絶反応下の腎移植片(J.M.Pattison,P.J.Nelsonお
よびA.M.Krensky,Clin.Immunother.4:1-8,1995;ならびにK.C.Nadeau,H
.AzumaおよびN.I.Tilney,Proc.Natl.Acad.USA 92:8729-8733,1995)、抗
原への暴露後のアトピー性皮膚炎患者の
皮膚(S.Ying,L.Taborda-Barata,Q.Meng,M.Humbertら,J.Exp.Med.18
1:2153-2159,1995)および心臓移植後の急速アテローム性動脈硬化症下の冠動
脈の内皮細胞(J.M.Pattison,P.J.NelsonおよびA.M.Krensky,Clin.Imm
unother.4:1-8,1995)においてin situハイブリダイゼーションを用いて視覚
化された。さらに、ランテスに対する免疫反応性蛋白質の増加が、気管支肺胞洗
浄液(R.Alam,J.York,M.Boyersら,Am.J.Resp.Crit.Care Med.149:A9
51,1994)および喘息患者の痰(C.M.Gelder,P.S.Thomas,D.H.Yates,I
.M.Adcockら,Thorax 50:1033-1037,1995)において検出された。
ランテスを結合するいくつかの受容体が同定された。特に、CCR5は、HE
K 293細胞またはCHO細胞のいずれかにおいて発現される場合、ランテス
を結合する。この受容体は、T細胞ならびに慢性炎症反応の持続において重要で
ある免疫/炎症細胞である単球およびマクロファージにおいて発現される。CC
R5の薬理学的特徴は、単離T細胞上で観察されるランテス結合部位に対する類
似性を示す。したがって、CCR5に対するランテスの作用の拮抗作用およびC
CR5の他の天然リガンドの拮抗作用は、T細胞の炎症病巣への補充を阻害し、
アトピー性および自己免疫性障害治療のための新規治療法を提供する。
T細胞は、CCR5を発現するので、CCR5の選択受容体リガンド、特に、
アンタゴニストは、限定するものではないが、哺乳動物、好ましくは、ヒトにお
ける喘息およびアトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎およびアレルギー)
、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症のような自
己免疫疾患および炎症性腸疾患を含む疾患において有益な効果を与えると思われ
る。また、CCR5は、HIVの細胞への侵入のための共受容体(co-receptor
)であるので、選択受容体リガンドは、HIV感染症の治療に有用である。
式(I)で示される化合物に含まれる化合物のサブセットは、挿入活性(J.Med
.Chem.1978,21,868-74;Biochem.Pharmacol.1977,26,275-8;およびJ.M
ed.Chem.1978,21,658-68)、突然変異誘発活性(Mutat.Res.1990,232,3
37-43;およびBiochem.J.1985,226,175-82)、抗腫瘍活性(Biochem.Pharm
acol.1985,34,2123-8)、抗菌、抗結核および抗らい活性(Chem.Pharm.Bul
l.1972,20,206-8)ならびに抗アセチルコリンエステラーゼ活性(Anal.
Spectrosc.Libr.1995,6,281-311)を有することが報告されている。
驚くべきことに、今、このクラスの非ペプチド化合物、特に、式(I)で示され
る置換ビス−アクリジンおよび関連化合物がCCR5受容体リガンド、アゴニス
トまたはアンタゴニストとして機能し、従って、CCR5受容体メカニズムの阻
害が予防または治療的処置のために指示される病状の治療における利用性を有す
ることが発見された。
発明の概要
1つの態様では、本発明は、限定するものではないが、哺乳動物、好ましくは
、ヒトにおける喘息およびアトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎およびア
レルギー)、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症
のような自己免疫疾患、炎症性腸疾患ならびにHIV感染症を含むCCR5媒介
病状の治療方法であって、その必要のある哺乳動物に式(I):
[式中、
Xは、独立して、1つ以上のH、所望により置換されていてもよいC1-6アル
キル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル、Ar−C0-4アルキル、CH2NR'2
、CH2OR'、CN、COR'、CONR'2、CO2R'、CF3、N(R')2、NR
'COR'、NR'CONR'R'、NR'CO2R''、NR'SO2R''、NO2、OR
'、S(O)0-2R''、S(O)0-2CF3またはハロであり;
R'は、H、所望により置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロア
ルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
R''は、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0 -4
アルキルであり;
DおよびD'は、独立して、CXまたはNであり;
VおよびV'は、独立して、C(R)2、NR1、OまたはS(O)0-2であり;
R1は、独立して、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル
、Ar−C0-4アルキル、−C(O)CF3、−C(O)R'または−SO2R''であるか
、または、VおよびV'が−NR1である場合、2つのR1基は、一緒になって(C
(R)2)2-3となり、5員〜9員の複素環を形成してもよく;
nは、0、1、2または3であり;
Rは、独立して、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル
またはAr−C0-4アルキルであるか、または、VおよびV'が独立してNR1、O
またはS(O)0-2である場合、いずれか2つのRは、一緒になって(C(R)2)2-4
となり、3員〜8員の炭素環を形成してもよい]
で示される置換ビス−アクリジンもしくは関連化合物またはその医薬上有効な塩
の有効量を投与することからなる治療方法に関する。
別の態様では、本発明は、上記CCR5媒介病状の治療に有用な式(I):
[式中、
Xは、独立して、1つ以上のH、所望により置換されていてもよいC1-6アル
キル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル、Ar−C0-4アルキル、
CH2NR'2、CH2OR'、CN、COR'、CONR'2、CO2R'、CF3、N(
R')2、NR'COR'、NR'CONR'R'、NR'CO2R''、NR'SO2R''、
NO2、OR'、S(O)0-2R''、S(O)0-2CF3またはハロであり;
R'は、H、所望により置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロア
ルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
R''は、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0 -4
アルキルであり;
DおよびD'は、独立して、CXまたはNであり;
VおよびV'は、独立して、C(R)2、NR1、OまたはS(O)0-2であり;
R1は、独立して、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル
、Ar−C0-4アルキル、−C(O)CF3、−C(O)R'または−SO2R''であるか
、または、VおよびV'が−NR1である場合、2つのR1基は、一緒になって(C
(R)2)2-3となり、5員〜9員の複素環を形成してもよく;
nは、0、1、2または3であり;
Rは、独立して、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル
またはAr−C0-4アルキルであるか、または、VおよびV'が独立してNR1、O
またはS(O)0-2である場合、いずれか2つのRは、一緒になって(C(R)2)2-4
となり、3員〜8員の炭素環を形成してもよい;
ただし、式(I)で示される化合物が9,9'−(1,3−プロパンジイル)ビス−
アクリジン;9,9'−(1,5−ペンタンジイル)ビス−アクリジン;N,N'−ジ
−9−アクリジニル−1,2−エタンジアミン;N,N'−ビス(4−エチル−9−
アクリジニル)−1,2−エタンジアミン;N,N'−ビス(3−メトキシ−9−ア
クリジニル)−1,2−エタンジアミン;N,N'−ビス(4−ブトキシ−9−アク
リジニル)−1,2−エタンジアミン;N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ
−9−アクリジニル)−1,2−エタンジアミン;トランス−N,N'−ビス(6−
クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−シクロヘキサンジアミン;
9,9'−(1,4−ピペラジンジイル)ビス[6−クロロ−2−メトキシ−アクリジ
ン];N,N'−ジ−9−アクリジニル−1,2−プロパンジアミン;N,N'−ジ−
9−アクリジニル−1,3−プロパンジアミン;N,N'−ビス(1−ニトロ−9−
アクリジニル)−1,3−プロパンジアミン;N,N'−ビス(6−クロロ−2−メ
トキシ−9−アクリジニル)−1,3−プロパンジアミン;N,N'−ビス(6−ク
ロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−2,2−メチル−1,3−プロパンジ
アミン;N,N'−ビス(6−クロロ−2−フルオロ−9−アクリジニル)−1,3
−プロパンジアミン;N,N'−ジ−9−アクリジニル−1,4−ブタンジアミン
;N,N'−ビス(4−エチル−9−アクリジニル)−1,4−ブタンジアミン;N,
N'−ビス(1−ニトロ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンジアミン;N,N'−
ビス(3−メトキシ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンジアミン;N,N'−ビ
ス(4−プロポキシ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンジアミン;N,N'−ビ
ス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンジアミン;
N,N'−ビス(3,6−ジクロロ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンジアミン;
6−クロロ−N−[2−[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)チオ]
エチル]−2−メトキシ−9−アクリジンアミン;9,9'−[1,2−エタンジイ
ルビス(チオ)]ビス−アクリジン;9,9'−[1,2−エタンジイルビス(チオ)]ビ
ス−3−アクリジンアミン;9,9'−[1,3−プロパンジイルビス(チオ)]ビス
−アクリジン;9,9'−[1,4−ブタンジイルビス(チオ)]ビス−アクリジン;
9,9'−[1,4−ブタンジイルビス(チオ)]ビス−1−アクリジンアミン;9,9
'−[1,4−ブタンジイルビス(チオ)]ビス−3−アクリジンアミン;9,9'−[
1,4−ブタンジイルビス(チオ)]ビス−4−アクリジンアミン;9,9'−[メチ
レンビス(オキシ)]ビス−アントラセン;9,9'−[メチレンビス(オキシ)]ビス[
10−メトキシ−アントラセン];9,9'−[メチレンビス(オキシ)]ビス[10−
プロポキシ−アントラセン];9,9'−[メチレンビス(オキシ)]ビス[10−(2
−メトキシエトキシ)−アントラセン];9,9'−[1,2−エタンジイルビス(オ
キシ)]ビス−アントラセン;9,9'−(1,3−プロパンジイル)ビス−アントラ
セン;9,9'−(1,4−ブタンジイル)ビス−アントラセン;9,9'−(1,4−
ブタンジイル)ビス[10−(クロロメチル)−アントラセン;9−[3−(9−アン
トラセニルオキシ)プロピル]アントラセン;9,9'−(1,5−ペンタンジイル)
ビス−アントラセン;9,9'−(1,5−ペンタンジイル)ビス[10−(クロロ
メチル)−アントラセン;および9,9'−(1,6−ヘキサンジイル)ビス−アント
ラセンではない]
で示される新規化合物またはその医薬上有効な塩に関する。
さらに別の態様では、本発明は、式(I)で示される新規化合物および医薬上許
容される担体を含有する医薬組成物に関する。特に、本発明の医薬組成物は、限
定するものではないが、喘息およびアトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎
およびアレルギー)、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発
性硬化症などの自己免疫疾患、炎症性腸疾患ならびにHIV感染症を含むCCR
5媒介病状の治療に用いられる。
発明の詳細な説明
式(I)で示される置換ビス−アクリジンおよび関連化合物がCCR5受容体リ
ガンドであることを見出した。また、式(I)で示される受容体リガンドまたはそ
の医薬上許容される塩を用いる処置によるCCR5受容体メカニズムの選択阻害
が、限定するものではないが、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおける喘息および
アトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎およびアレルギー)、慢性関節リウ
マチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症のような自己免疫疾患、炎
症性腸疾患ならびにHIV感染症を含む種々の病状の処置に対する新規治療法お
よび予防法であることを見出した。
「アルキル」なる用語は、本明細書では、全ての場合、鎖長を限定しない限り
炭素原子1〜6個の直鎖または枝分れ鎖を意味するために用い、限定するもので
はないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−
ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。
「シクロアルキル」なる用語は、本明細書では、全ての場合、好ましくは、炭
素原子3〜7個の環式基を意味するために用い、限定するものではないが、シク
ロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
「ハロ」または「ハロゲン」なる用語は、本明細書では、全ての場合、塩素、
フッ素、ヨウ素および臭素原子から誘導されるラジカルを意味する同意語として
用いる。
「ヘテロ環」または「複素環」なる用語は、本明細書では、全ての場合、例え
ば、限定するものではないが、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリ
ン、イミダゾリジンまたはピラゾリジンなどの、N、OまたはSからなる群から
選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する飽和または完全もしくは部分不飽和
の5員、6員、7員、8員または9員環系を意味するために用いる。
「アリール」または「Ar−」なる用語は、本明細書では、全ての場合、二環式
系または三環式系を含みうる置換および非置換芳香環または環系を意味するため
に用いる。代表例としては、限定するものではないが、フェニル、ベンジルおよ
びナフチルが挙げられる。
「所望により置換されていてもよい」なる用語は、本明細書では、全ての場合
、その基が−OCH3、−N(R')2および−CO2R''を含む1つ以上の官能基で
置換されているかまたは置換されていないことを意味するために用いる。任意の
置換基は、お互いに独立して選択される。
置換基Xは、該置換基が結合する式(I)の芳香環上のいずれかの空いている位
置にある。さらに、式(I)で示されるいずれの化合物も2つ以上の置換基Xがあ
ってもよく、置換基Xが2つ以上ある場合、該置換基は、同一または異なっても
よい。
「CCR5媒介病状」なる用語は、本明細書では、全ての場合、CCR5によ
り媒介される(または、調節される)病状を意味するために用いる。
適切には、式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩としては、限定する
ものではないが、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、およ
び硝酸塩などの無機酸による塩、または、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸
塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩
、p−トルエンスルホン酸塩、パルミチン酸塩、サリチル酸塩およびステアリン
酸塩などの有機酸による塩が挙げられる。さらにまた、式(I)で示される化合物
の医薬上許容される塩は、例えば、置換基がカルボキシ基を含む場合、医薬上許
容される陽イオンで形成されてもよい。適切な医薬上許容される陽イオンは、当
業者によく知られており、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウムおよび第4ア
ンモニウム陽イオンが挙げられる。
式(I)で示される化合物について、種々の具体例は、以下のとおりである。
Xは、適切には、独立して、1つ以上のH、所望により置換されていてもよい
C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル、Ar−C0-4アルキル、C
H2NR'2、CH2OR'、CN、COR'、CONR'2、CO2R'、CF3、NR'2
、NR'COR'、NR'CONR'R'、NR'CO2R''、NR'SO2R''、NO2
、OR'、S(O)0-2R''、S(O)0-2CF3またはハロである。Xは、好ましく
は、2−OR'および6−Clである。
R'は、適切には、H、所望により置換されていてもよいC1-6アルキル、C3- 7
シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0-4アルキルである。R'は、好ま
しくは、Hまたは所望により置換されていてもよいC1-6アルキルであり、より
好ましくは、CH3、ネオペンチルまたはt−ブトキシカルボニルメチルである
。
R''は、適切には、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルま
たはAr−C0-4アルキルである。R''は、好ましくは、C1-6アルキルである。
DおよびD'は、適切には、独立して、CXまたはNである。DおよびD'は、
好ましくは、Nである。
VおよびV'は、適切には、独立して、C(R)2、NR1、OまたはS(O)0-2で
ある。VおよびV'は、好ましくは、NR1である。
R1は、適切には、独立して、HまたはC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル
−C0-4アルキル、Ar−C0-4アルキル、−C(O)CF3、−C(O)R'、−SO2
R''であるか、または、VおよびV'が−NR1である場合、2つのR1基は、一
緒になって(C(R)2)2-3となり、5員〜9員の複素環を形成してもよい。R1は
、好ましくは、Hであるか、または、R1の1つは、−CO(CF3)である。
nは、適切には、0、1、2または3である。VがNR1であり、V'がNR1
、OまたはSである場合、本発明が、nが0である場合に不安定であると解され
る化合物を含まない以外は、nは、0、1、2または3であり得る。nは、好ま
しくは、1である。
Rは、適切には、独立して、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0- 4
アルキルまたはAr−C0-4アルキルであるか、または、VおよびV'が独
立してNR1、OまたはS(O)0-2である場合、いずれか2つのRは、一緒になっ
て(C(R)2)2-4となり、3員〜8員の炭素環を形成してもよい。Rは、好ましく
は、Hである。
本発明の好ましい化合物には、以下の化合物がある:
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ
ンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N,N'−ジ−9−アクリジニル−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロ
アセテート);
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,3−プロ
パンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
9,9'−(1,4−ピペラジンジイル)ビス[6−クロロ−2−メトキシ−アクリ
ジン]ビス(トリフルオロアセテート);
N−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N'−(6−クロロ−2
−ヒドロキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロ
アセテート);
N,N'−ビス(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)−1,2−エ
タンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N−[6−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロポキシ)−9−アクリジニル]−
N'−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミ
ン ビス(トリフルオロアセテート);
N−[6−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロポキシ)−9−アクリジニル)−
N'−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミン
ビス(トリフルオロアセテート);
N,N'−ビス[6−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロポキシ)−9−アクリジ
ニル]−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N,N'−ビス[6−クロロ−2−(tert−ブトキシカルボニル)メトキシ−9−
アクリジニル]−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N−[6−クロロ−2−(tert−ブトキシカルボニル)メトキシ−9−アクリジ
ニル]−N'−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ
ンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N−[6−クロロ−2−(tert−ブトキシカルボニル)メトキシ−9−アクリジ
ニル]−N'−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタン
ジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N,N'−ビス[(6−クロロ−2−カルボキシメトキシ−9−アクリジニル)−
1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N−[6−クロロ−2−(2−ジメチルアミノ)エトキシ−9−アクリジニル]−
N'−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミ
ン ビス(トリフルオロアセテート);
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N,N'−ジメ
チル−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N,N'−ビス
(トリフルオロメチルカルボニル)−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロ
アセテート);
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N−(トリフ
ルオロメチルカルボニル)−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテー
ト);
ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,3−プロパン;
ビス(2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンビス(トリフルオロア
セテート);
1−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−4−(2−メトキシ−
9−アクリジニル)ブタン;
N−(9−アクリジニル)−N'−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニ
ル)−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート);および
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N,N'−ビス
(アセチル)−1,2−エタンジアミン。
式(I)で示される化合物の範囲内の好ましい化合物のグループは、式(IA):[式中、
X1、X2、X3およびX4は、独立して、H、所望により置換されていてもよい
C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル、Ar−C0-4アルキル、C
H2NR'2、CH2OR'、CN、COR'、CONR'2、CO2R’、CF3、N(
R')2、NR'COR'、NR'CONR'R'、NR'CO2R''、NR'SO2R''、
NO2、OR'、S(O)0-2R''、S(O)0-2CF3またはハロであり;
R'は、H、所望により置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロア
ルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
R''は、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0 -4
アルキルであり;
R1は、独立して、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル
、Ar−C0-4アルキル、−C(O)CF3、−C(O)R'または−SO2R''であるか
、または、2つのR1基は、一緒になって(C(R)2)2-3となり、5員〜9員の複
素環を形成してもよく;
nは、0、1、2または3であり;
Rは、独立して、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル
またはAr−C0-4アルキルであるか、または、いずれか2つのRは、一緒になっ
て(C(R)2)2-4となり、3員〜8員の炭素環を形成してもよく;
ただし、nが1、2または3であり、R1が共にHであり、Rが全てHである
場合、X1、X2、X3およびX4は、全てが水素となることはなく;nが1であり
、R1が共にHであり、Rの1つがCH3である場合、X1、X2、X3およびX4は
、全てが水素となることはなく;nが1であり、R1が共にHであり、Rが全て
Hであり、X2およびX3が各々水素である場合、X1およびX4は、各々、4−エ
チル、3−メトキシまたは4−ブトキシではなく;nが1であり、R1が共にH
である場合、X1、X2、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロではなく;
2つのR1基が一緒になって(CH2)2となって6員複素環を形成し、Rが全てH
である場合、X1、X2、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロではなく;
nが1であり、R1が共にHであり、2つのRが(CH2)4となって6員炭素環を
形成し、残りのRの全てがHである場合、X1、X2、X3およびX4は、2−メト
キシ−6−クロロではなく;nが2であり、R1が共にHであり、Rが全てHで
あり、X2およびX3が各々水素である場合、X1およびX4は、各々、1−NO2
ではなく;nが2であり、R1が共にHであり、Rが全てHである場合、X1、X2
、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロまたは2−フルオロ−6−クロ
ロではなく;[C(R)2]nC(R)2がCH2C(CH3)2CH2である場合、X1、X2
、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロではなく;nが3であり、R1が
共にHであり、Rが全てHであり、X2およびX3が各々水素である場合、X1お
よびX4は、各々、4−エチル、1−ニトロ、3−メトキシまたは4−プロポキ
シではなく;nが3であり、R1が共にHであり、Rが全てHである場合、X1、
X2、X3およびX4は、3,6−ジクロロまたは2−メトキシ−6−クロロではな
い]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
さらに好ましい化合物のグループは、式(IA):[式中、
X1、X2、X3およびX4は、独立して、H、所望により置換されていてもよい
C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキル、Ar−C0-4アルキル、C
H2NR'2、CH2OR'、CN、COR'、CONR'2、CO2R'、CF3、N(R
')2、NR'COR'、NR'CONR'R'、NR'CO2R''、NR'SO2R''、N
O2、OR'、S(O)0-2R''、S(O)0-2CF3またはハロであり;
R'は、H、所望により置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロア
ルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
R''は、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0 -4
アルキルであり;
R1は、独立して、H、C1-6アルキルであるか、または、R1の1つは、−C(
O)CF3であり;
nは、0、1、2または3であり;
Rは、HまたはC1-6アルキルである;
ただし、nが1、2または3であり、R1が共にHであり、Rが全てHである
場合、X1、X2、X3およびX4は、全てが水素となることはなく;nが1であり
、R1が共にHであり、Rの1つがメチルである場合、X1、X2、X3およびX4
は、全てが水素となることはなく;nが1であり、R1が共にHであり、Rが全
てHであり、X2およびX3が各々水素である場合、X1およびX4は、各々、
4−エチル、3−メトキシまたは4−ブトキシではなく;nが1であり、R1が
共にHであり、Rが全てHである場合、X1、X2、X3およびX4は、2−メトキ
シ−6−クロロではなく;nが2であり、R1が共にHであり、Rが全てHであ
り、X2およびX3が各々水素である場合、X1およびX4は、各々、1−NO2で
はなく;nが2であり、R1が共にHであり、Rが全てHである場合、X1、X2
、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロまたは2−フルオロ−6−クロロ
ではなく;[C(R)2]nC(R)2がCH2C(CH3)2CH2である場合、X1、X2、
X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロではなく;nが3であり、R1が共
にHであり、Rが全てHであり、X2およびX3が各々水素である場合、X1およ
びX4は、各々、4−エチル、1−ニトロ、3−メトキシまたは4−プロボキシ
ではなく;nが3であり、R1が共にHであり、Rが全てHである場合、X1、X2
、X3およびX4は、3,6−ジクロロまたは2−メトキシ−6−クロロではない
]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
さらに別の好ましい化合物のグループは、式(IA):
[式中、
X1、X2、X3およびX4は、独立して、1つ以上のH、OR'またはハロであ
り;
R'は、Hまたは所望により置換されていてもよいC1-6アルキルであり;
R1は、H、C1-6アルキルであるか、または、R1の1つは、−CO(CF3)
であり;
nは、1またはは2であり;
Rは、HまたはC1-6アルキルである;
ただし、R1が共にHである場合、X1、X2、X3およびX4は、全てが水素と
なることはなく;nが1であり、R1が共にHであり、X2およびX3が各々水素
である場合、X1およびX4は、各々、4−エチル、3−メトキシ、4−ブトキシ
ではなく;nが1であり、R1が共にHである場合、X1、X2、X3およびX4は
、2−メトキシ−6−クロロではなく;nが2であり、R1が共にHである場合
、X1、X2、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロまたは2−フルオロ−
6−クロロではない]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
さらに好ましい化合物のグループは、式(IA):
[式中、
X1、X2、X3およびX4は、独立して、1つ以上のH、OR'またはハロであ
り;
R'は、H、または、所望によりN(CH3)2もしくはCO2C1-6アルキルで置
換されていてもよいC1-6アルキルであり;
R1は、H、CH3であるか、または、R1の1つは、−CO(CF3)であり;
nは、1または2であり;
Rは、Hである;
ただし、R1が共にHである場合、X1、X2、X3およびX4は、全てが水素と
なることはなく;nが1であり、R1が共にHであり、X2およびX3が各々水素
である場合、X1およびX4は、各々、4−エチル、3−メトキシ、4−ブトキシ
ではなく;nが1であり、R1が共にHである場合、X1、X2、X3およびX4は
、2−メトキシ−6−クロロではなく;nが2であり、R1が共にHである場合
、X1、X2、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロまたは2−フルオロ−
6−クロロではない]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
特に好ましい化合物のグループは、式(IA):
[式中、
X1、X2、X3およびX4は、独立して、1つ以上のH、OR'またはハロであ
り;
R'は、H、または、所望によりN(CH3)2もしくはCO2C1-6アルキルで置
換されていてもよいC1-6アルキルであり;
R1は、H、CH3であるか、または、R1の1つは、−CO(CF3)であり;
nは、1または2であり;
Rは、Hである;
ただし、R1が共にHである場合、X1、X2、X3およびX4は、全てが水素と
なることはなく;nが1であり、R1が共にHであり、X2およびX3が各々水素
である場合、X1およびX4は、各々、4−エチル、3−メトキシ、4−ブトキ
シではなく;nが1であり、R1が共にHである場合、X1、X2、X3およびX4
は、2−メトキシ−6−クロロではなく;nが2であり、R1が共にHである場
合、X1、X2、X3およびX4は、2−メトキシ−6−クロロまたは2−フルオロ
−6−クロロではない]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明は、また、以下のとおり、式(I)で示される新規化合物の製造方法を含
む。
特に、DおよびD'がNであり、VおよびV'がNR1である式(I)で示される
化合物の製造方法であって、
a)式(II):
[式中、X1は、適切な離脱基、例えば、クロロ、フェノキシ、エトキシ、また
はブロモである]
で示される化合物約2当量を式(III):
で示される化合物で処理するか;または
b)式(II)で示される化合物を式(III)で示される化合物と反応させて式(IV)
:で示される化合物を得、次いで、式(IV)で示される化合物を式(II)で示される同
一または異なる化合物と反応させるか;または
c)(i)式(II)で示される化合物を式(V):
[式中、R2は、適切な保護基、例えば、ベンジルまたはベンジルオキシカルボ
ニルである]
で示される化合物と反応させて式(VI):
で示される化合物を得;
(ii)保護基R2を除去して式(IV)で示される化合物を得;
(iii)式(IV)で示される化合物を式(II)で示される化合物と反応させて、X、
R、nおよびR1が式(I)についての上記定義と同じである式(I)で示される化
合物を得ることからなる製造方法を包含する。
式(IA)で示される好ましい化合物は、出発物質の置換基を変化させることに
より類似の方法により製造できると解される。
医薬組成物の製剤化
本発明の医薬上有効な化合物(およびその医薬上許容される塩)は、当該技術
分野でよく知られている慣用的な方法に従って、喘息およびアトピー性障害(例
えば、アトピー性皮膚炎およびアレルギー)、慢性関節リウマチ、アテローム性
動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症などの自己免疫疾患、炎症性腸疾患ならびにH
IV感染症を治療するのに充分な量の式(I)で示される化合物(「有効成分」)
を標準的な医薬担体または希釈剤と組み合わせて投与する。これらの方法は、所
望の調製物に応じて、成分を混合し、顆粒化し、打錠することを含む。
用いる医薬担体は、例えば、固体または液体のいずれであってもよい。固体担
体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペ
クチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などが挙げら
れる。液体担体の例としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、水などが挙げ
られる。同様に、該担体または希釈剤は、単独またはワックスと一緒に用いるモ
ノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの当該技術分野
でよく知られている遅延物質が挙げられる。
種々の医薬形態を用いることができる。かくして、固体担体を用いる場合、調
製物は、錠剤化するか、粉末もしくはペレットの形態でハードゼラチンカプセル
に入れるか、またはトローチ剤もしくはロゼンジ剤の形態であり得る。固体担体
の量は、広範囲に変化するが、好ましくは、約25mg〜約1000mgである。液
体担体を用いる場合、調製物は、シロップ剤、乳剤、ソフトゼラチンカプセル剤
、アンプル剤などの無菌注射液剤または非水性液体懸濁液剤の形態である。
該有効成分は、また、CCR5媒介病状の治療を必要とする哺乳動物に局所投
与できる。かくして、該有効成分は、限定するものではないが、喘息およびアト
ピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎およびアレルギー)、慢性関節リウマチ
、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症などの自己免疫疾患、炎症性腸
疾患ならびにHIV感染症を含むCCR5媒介病状の治療または予防において局
所
投与できる。
局所投与に対する治療効果のために必要な有効成分の量は、もちろん、選択し
た化合物、治療する病状の性質および重篤度ならびに治療を受ける哺乳動物によ
り変化し、最終的には医師の裁量にまかせられる。有効成分の適切な用量は、局
所投与については1.5mg〜500mgであり、最も好ましい用量は、1mg〜10
0mgであり、例えば、5〜25mgを1日2回または3回投与する。
局所投与とは、非全身投与を意味し、有効成分の表皮および口腔への外用、な
らびに、かかる化合物の耳、眼および鼻への点滴注入を含み、この場合、該化合
物は、血流に有意には進入しない。全身投与とは、経口、静脈内、腹腔内および
筋肉内投与を意味する。
有効成分は、原料化学物質として単独で投与できるが、医薬製剤として投与す
るのが好ましい。局所投与については、有効成分は、製剤の0.001%〜10
%w/w、例えば、1重量%〜2重量%を構成するが、製剤の10%w/w程度
、好ましくは、5%w/w以下、より好ましくは、0.1%〜1%w/wを構成
してもよい。
獣医学およびヒト医薬用の両方について、本発明の局所製剤は、有効成分を1
種類以上の許容される担体および所望により他の治療成分と一緒に含有する。担
体は、製剤の他の成分と適合でき、かつ、その受容者に対して有害ではないとい
う意味において「許容」されなければならない。
局所投与に適した製剤としては、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、
軟膏剤またはペースト剤などの皮膚を介して炎症部位への浸透に適した液体また
は半液体調製物、および、眼、耳または鼻への投与に適した滴剤が挙げられる。
本発明の滴剤は、無菌水性または油性溶液または懸濁液を含有し、殺菌剤およ
び/または殺真菌剤および/または他の適切な保存剤の好ましくは界面活性剤を
含む適切な水性またはアルコール性溶液に有効成分を溶解することにより調製で
きる。次いで、得られた溶液を濾過により透明にし、適当な容器に移し、次いで
、これを密封し、オートクレーブ処理するかまたは98−100℃で1時間半維
持することにより滅菌する。別法としては、該溶液を濾過滅菌し、無菌技術によ
り容器に移す。滴剤に含有させるのに適した殺菌剤および殺真菌剤の例としては
、
硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニ
ウム(0.01%)および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)が挙げられる。油
性溶液の調製に適した溶媒としては、グリセロール、希アルコールおよびプロピ
レングリコールが挙げられる。
本発明のローション剤としては、皮膚または眼用に適したものが挙げられる。
眼用ローション剤は、所望により殺菌剤を含有していてもよい無菌水溶液を含有
し、滴剤の調製方法と同様の方法により調製できる。皮膚用ローション剤または
リニメント剤は、また、アルコールまたはアセトンなどの速乾し皮膚を冷却する
薬剤および/またはグリセロールなどの保湿剤またはヒマシ油もしくは落花生油
などの油を含んでもよい。
本発明のクリーム剤、軟膏剤またはペースト剤は、外用の有効成分の半固体製
剤である。それらは、微粉または粉末形態の有効成分を単独または水性または非
水性流体中溶液または懸濁液中で、適切な機械により、グリース状または非グリ
ース状の基剤と混合することにより調製する。該基剤は、プロピレングリコール
などのアルコールと一緒に、固形、軟もしくは流動パラフィン、グリセロール、
蜜蝋、金属石鹸などの炭水化物;粘滑薬;扁桃油、コーン油、落花生油、ヒマシ
油またはオリーブ油などの天然原料の油;羊毛脂もしくはその誘導体、または、
ステアリン酸もしくはオレイン酸などの脂肪酸を含有する。該製剤は、エステル
またはそのポリオキシエチレン誘導体のような陰イオン、陽イオンまたは非イオ
ン界面活性剤などの適当な界面活性剤を含有してもよい。天然ガム、セルロース
誘導体またはケイ酸含有シリカのような無機物質などの沈殿防止剤およびラノリ
ンなどの他の成分を含有してもよい。
有効成分は、また、吸入により投与してもよい。「吸入」とは、鼻腔内および
経口吸入投与を意味する。エアゾール剤または定量吸入器などのかかる投与に適
した投与形態は、慣用的な技術により調製できる。吸入により投与する有効成分
の日用量は、1日当たり約0.1mg〜約100mg、好ましくは、1日当たり約1m
g〜約10mgである。
1つの態様では、本発明は、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおける喘息および
アトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎およびアレルギー)、慢性関節リウ
マチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症などの自己免疫疾患、炎症
性腸疾患ならびにHIV感染症の治療方法であって、かかる哺乳動物に有効量の
CCR5受容体リガンド、特に、式(I)で示されるアンタゴニストを投与するこ
とからなる治療方法に関する。
「治療」なる用語は、予防的または治療的治療を意味する。かかる式(I)で示
される化合物は、式(I)で示される化合物を公知技術に従って慣用的な医薬上許
容される担体または希釈剤と合わせることにより調製した慣用的な投与形態でか
かる哺乳動物に投与できる。医薬上許容される担体または希釈剤の形態および特
性が組み合わせる有効成分の量、投与径路および他のよく知られている可変因子
に従うことは当業者により認識されている。式(I)で示される化合物は、喘息お
よびアトピー性障害(例えば、アトピー性皮膚炎およびアレルギー)、慢性関節
リウマチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症などの自己免疫疾患、
炎症性腸疾患ならびにHIV感染症の治療を必要とする哺乳動物にこれらの病状
に伴う症状を軽減するのに充分な量で投与する。投与径路は、経口または非経口
である。
本明細書で用いる場合、非経口なる用語は、静脈内、筋肉内、皮下、直腸内、
膣内または腹腔内投与を含む。非経口投与の皮下および筋肉内形態が一般に好ま
しい。1日非経口投与方針は、好ましくは、有効成分約30mg〜約300mg/日
である。1日経口投与方針は、好ましくは、有効成分約100mg〜約2000mg
/日である。
式(I)で示される化合物の個々の最適な投与量および投与間隔は、治療する状
態の性質および程度、投与形態、投与径路および投与部位ならびに治療する特定
の哺乳動物により決定し、かかる最適事項が慣用的な技術により決定できること
は、当業者により認識される。また、最適な治療単位、すなわち、所定の日数の
間1日に投与される式(I)で示される化合物の投与回数は、慣用的な治療単位決
定試験を用いて当業者により確かめることができることは、当業者に認識される
。
製造方法
式(I)で示される化合物は、公知または市販の出発物質から技術的に認識され
た方法により製造できる。出発物質が市販の原料から入手できない場合、それら
の合成法は、本明細書に記載するか、または、当該技術分野で知られている方法
により製造できる。
特に、DおよびD'がNであり、VおよびV'がNR1である式(I)で示される
化合物は、スキーム1の一般的な方法に従って、X1が適切な離脱基、例えば、
クロロ、フェノキシ、エトキシまたはブロモであり、Xが式(I)における定義と
同じである適切に置換されたアクリジン1−1から製造する。置換アクリジン1
−1は、当該技術分野で知られており、当該技術分野で知られている方法により
製造できる。例えば、“The Acridines”,第2版,William Clowes and Sons,L
ondon,1966;“Acridines”,第2版,Acheson,R.M.編,Interscience Publi
shers,New York,1973,第1章;Heterocycles 1977,6(7)987-1060;およびJ.
Med.Chem.1978,21,868-874を参照。
化合物1−1を、n、RおよびR1が式(I)における定義と同じである適切に
置換されたジアミン1−2で処理する;ジアミン1−2は、当該技術分野で知ら
れており、当該技術分野で知られている方法により製造できる。
例えば、J.Am.Chem.Soc.1947,69,468;J.Med.Chem.1978,21,658-6
68;およびJ.Med.Chem.1978,21,868-874における記載に従って、適切に置
換されたアクリジン1−1約2当量を、適切な温度、例えば、25−180℃で
、適切な時間、例えば、1−4時間、適切な溶媒、例えば、フェノールまたは1
−メチル−2−ピロリジノン中、適切に置換されたジアミン1−2で処理して1
−4を得る。
別法としては、1−4は、1−1を1−2と反応させて1−3を得、次いで、
これを同一または異なる1−1と反応させて1−4を得ることにより、二工程で
得られる。
別法としては、1−3を、適切な温度、例えば、130℃で、適切な時間、例
えば、4日間、適切な溶媒、例えばジメチルスルホキシド中で加熱して、1−4
を得る。
スキーム1
別法としては、スキーム1の一般的な方法を用いて、1−2の代わりに、R2
が適切な保護基、例えば、ベンジルまたはベンジルオキシカルボニルである1−
2'を用いてもよい。1−1および1−2'の反応により、1−3'を得;当該技
術分野で知られている条件を用いて1−3'から保護基R2を除去して、1−3を
得、次いで、これを1−1と反応させて1−4を得る。 スキーム2に示すように、ジアミン1−2の代わりにアミノ−メルカプタン2
−2を用いる以外はスキーム1の一般的な方法に従って、DおよびD'がNであ
り、VがNR1であり、V'がSである式(I)で示される化合物を製造する。
化合物2−1を、n、RおよびR1が式(I)における定義と同じである適切に
置換されたアミノ−メルカプタン2−2で処理する;アミノ−メルカプタン2−
2は、当該技術分野で知られており、当該技術分野で知られている方法により製
造できる。
例えば、Tetrahedron 1989,45,6455-66の記載に従って、2−1約2当量を
、適切な温度、例えば、80℃で、適切な時間、例えば、3時間、適切な溶媒、
例えば、フェノール中、2−2と一緒に加熱して2−3を得る。
スキーム2
スキーム3の方法に従って、Xが式(I)における定義と同じである置換9−
(メルカプト)アクリジン3−1から、DおよびD'がNであり、VおよびV'が
Sである式(I)で示される化合物を製造する。9−(メルカプト)アクリジン3−
1は、それらの互変異性体10H−アクリジン−9−チオンとして存在していて
もよく、これは、当該技術分野で知られており、当該技術分野で知られている方
法により製造できる。
化合物3−1を、X2が独立してクロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシまた
はトシルオキシなどの適切な離脱基であり、nおよびRが式(I)における定義と
同じである化合物3−2と反応させて3−3を得る。化合物3−2は、当該技術
分野で知られており、当該技術分野で知られている方法により製造できる。
例えば、Eur.J.Med.Chem.1991,26,117-9の記載に従って、3−1約2当
量を、適切な温度で、例えば、還流させながら、適切な時間、例えば、2時間、
適切な溶媒、例えば、トルエン、および、適切な塩基、例えば、50%水酸化カ
リウム水溶液中、3−2で処理して3−3を得る。
スキーム3
スキーム4の一般的な方法により、Xが式(I)における定義と同じである適切
に置換された9−(ヒドロキシ)アントラセン4−1から、DおよびD'がCXで
あり、VおよびV'がOである式(I)で示される化合物を製造する。置換9−(ヒ
ドロキシ)アントラセン4−1は、それらの互変異性体アントロンとして存在し
てもよく、これは、当該技術分野で知られており、当該技術分野で知られている
方法により製造できる。
化合物4−1を、X2が独立してクロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシまた
はトシルオキシなどの適切な離脱基であり、nおよびRが式(I)における定義と
同じである化合物4−2と反応させて4−4を得る。化合物4−2は、当該技術
分野で知られており、当該技術分野で知られている方法により製造できる。
例えば、適切に置換された9−(ヒドロキシ)アントラセン4−1を、適切な温
度で、例えば、還流させながら、適切な時間、例えば、11日間、適切な溶媒、
例えば、ジクロロメタン、および、適切な塩基、例えば、水酸化ナトリウム水溶
液、および、適切な相転移剤、例えば、水酸化テトラブチルアンモニウム中、4
−2で処理して4−3を得る。J.Chem.Soc.Perkin Trans.II 1988,1885-18
94の記載に従って、同様の条件を用いて、4−3を同一または異なる4−1で処
理して4−4を得る。
スキーム4 スキーム5の方法に従って、X2がクロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシま
たはトシルオキシなどの適切な離脱基であり、X、Rおよびnが式(I)における
定義と同じである適切に置換されたアントラシン5−1から、DおよびD'がC
Xであり、VがC(R)2であり、V'がOである式(I)で示される化合物を製造す
る。置換アントラシン5−1は、当該技術分野で知られており、当該技術分野で
知られている方法により製造できる。
化合物5−1を、Xが式(I)における定義と同じである適切に置換された9−
(ヒドロキシ)アントラシン5−2で処理する;9−(ヒドロキシ)アントラシン5
−2は、当該技術分野で知られており、当該技術分野で知られている方法により
製造できる。
例えば、J.Chem.Soc.Perkin Trans.II 1988,1885-1894の記載に従って、
5−1および5−2を、適切な温度で、例えば、還流させながら、適切な時間、
例えば、4時間、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、および、適切な塩
基、例えば、水酸化ナトリウム水溶液中で反応させて5−3を得る。
スキーム5
スキーム6の方法に従って、Xが式(I)における定義と同じである適切に置換
されたジヒドロ−アントラシン6−1から、DおよびD'がCXであり、Vおよ
びV1がCR2である式(I)で示される化合物を製造する。置換アントラシン6−
1は、当該技術分野で知られており、当該技術分野で知られている方法により製
造できる。
化合物6−1を、X2が独立して適切な離脱基、例えば、クロロ、ブロモ、ヨ
ード、メシルオキシまたはトシルオキシであり、nおよびRが式(I)における定
義と同じである適切に置換された6−2で処理する。化合物6−2は、当該技術
分野で知られており、当該技術分野で知られている方法により製造できる。
例えば、J.Chem.Soc.Perkin Trans II 1988,1885-1894の記載に従って、
6−1を、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中、適切な塩基、例えば、
n−ブチルリチウムと反応させ、6−2で処理し、次いで、適切な酸化剤、例え
ば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンで処理して6−
3を得る。
別法としては、J.Am.Chem.Soc.1980,102,3524-3530の記載に従って、適
切に置換されたアントロンおよびビス−グリニャールから6−3を製造する。
スキーム6
スキーム7の一般的な方法に従って、1つ以上のXがOR'である式(I)で示
される化合物を製造する。例えば、1つ以上のXがOR''であり、R''が所望に
より置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキ
ルまたはAr−C0-4アルキルである式(I)で示される化合物、例えば、7−1を
、適切な温度、例えば、85℃で、適切な時間、例えば、4−18時間、
適切な溶媒、例えば、メタンスルホン酸中、4−10当量のメチオニンまたは適
切な硫黄求核試薬と反応させて、1つ以上のXがOHである式(I)で示される化
合物、例えば、7−2を得る。
さらに、例えば、7−2を、適切な温度、例えば、85℃で、適切な時間、例
えば、4−18時間、適切な溶媒、例えば、ジメチルスルホキシドまたはジメチ
ルホルムアミド中、適切な塩基、例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウム
の存在下、適切な試薬R''X2[ここで、R''は、所望により置換されていても
よいC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0-4アル
キルであり、X2は、クロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシまたはトシルオキ
シなどの適切な離脱基である]で処理して、1つ以上のXがOR''である式(I)
で示される化合物、例えば、7−3を得る。R''X2により定義される試薬は、
当該技術分野で知られているか、または、当該技術分野で知られている方法によ
り製造される。
スキーム7
試薬:(a)メチオニン、CH3SO3H;(b)DMSO、NaHまたはDMF
、K2CO3、R''X2。
スキーム8の一般的な方法により、DおよびD'がNであり、VおよびV'がN
R1であり、R1の1つ以上がアシルである式(I)で示される化合物を製造する。
例えば、8−1を、適切な温度、例えば、25℃で、適切な時間、例えば、18
時間、適切な溶媒、例えば、ジクロロメタン中、適切なアシル化剤、例えば、無
水トリフルオロ酢酸、および、適切な塩基、例えば、トリエチルアミンと反応さ
せて8−2を得る。
スキーム8
試薬:(a)(CF3CO)2O、Et3N、CH2Cl2。
スキーム9の一般的な方法により、DおよびD'がNであり、VおよびV'がN
R1であり、R1が所望により置換されていてもよいC1-6アルキル、C3-7シクロ
アルキル−C0-4アルキルまたはAr−C0-4アルキルである式(I)で示される化合
物を製造する。例えば、9−1を、適切な温度、例えば、75℃で、適切な時間
、例えば、1−2時間、適切な溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、および、
適切なアルキル化剤、例えば、ヨードメタン中、適切な塩基、例えば、水素化ナ
トリウムで処理して9−2を得る。
スキーム9
試薬:(a)DMSO、NaH、CH3I。
スキーム10の一般的な方法に従って、DおよびD'がNであり、VおよびV'
がCH2であり、nが0である式(I)で示される化合物を製造する。例えば、X1
が適切な離脱基、例えば、クロロ、フェノキシ、エトキシまたはブロモである1
0−1を、適切な温度、例えば、85−100℃で、適切な時間、例えば、16
時間、適切な溶媒混合物、例えば、エタノールおよびトルエン中、適切な塩基、
例えば、ナトリウムエトキシドの存在下、適切なマロン酸エステル、例えば、マ
ロン酸ジエチルと反応させることによりマロネート10−2に転換する。J.Med
.Chem.1969,12,913の一般的な方法を用いて、得られたマロネートを、適切
な温度、例えば、100−120℃で、適切な時間、例えば、4時間、適切な試
薬、例えば、塩酸で加水分解して10−2を得る。
さらに、例えば、Bull.Chem.Soc.Japan、1972,45,3187の一般的な方法を
用いて、10−2を、適切な温度、例えば、75−85℃で、適切な時間、例え
ば、2時間、適切な溶媒、例えば、エタノール中、適切なアルデヒド、例えば、
パラホルムアルデヒド、および、適切な第二アミン塩酸塩、例えば、ジメチルア
ミン塩酸塩と反応させて式10−3で示される化合物を得る。
スキーム10
試薬:(a)マロン酸ジエチル/Na/EtOH;(b)濃HCl/H2O;
(c)パラホルムアルデヒド/ジメチルアミンHCl。
スキーム11の一般的な方法に従って、DおよびD'がNであり、VおよびV'
がC(R)2であり、RがHであり、nが2である式(I)で示される化合物を製造
する。例えば、X1が適切な離脱基、例えば、クロロ、フェノキシ、エトキシま
たはブロモである化合物11−1を、適切な温度、例えば、90℃で、適切な時
間、例えば、18時間、適切な溶媒混合物、例えば、トリエチルアミンおよびジ
メチルホルムアミド中、適切なパラジウム触媒、例えば、ビス(トリフェニルホ
スフィン)パラジウムジクロリドの存在下、適切なアルキノール、例えば、2−
メチル−3−ブチン−2−オールで処理して中間体アルキノールを得る。J.Het
.Chem.,1984,21,607の一般的な方法を用いて、該アルキノールを、適切な温
度、例えば、120−150℃で、適切な時間、例えば、2時間、適切な溶媒、
例えば、トルエン中、適切な塩基、例えば、固体NaOHの存在下、加熱還流して1
1−2を得る。
化合物11−2を、適切な温度、例えば、25℃で、適切な時間、例えば、2
時間、適切な溶媒混合物、例えば、ジイソプロピルアミンおよびジメチルホルム
アミド中、適切なパラジウム触媒、例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウムジクロリド、CuI、および、適切な酸化剤、例えば、I2で処理する。Tet
.Lett.,1997,4371の一般的な方法を用いて、得られたジイン11−3を、適
切な温度、例えば、25℃で、適切な時間、例えば、18時間、適切な溶媒混合
物、例えば、酢酸エチルおよびメタノール中、適切な触媒、例えば、10%パラ
ジウム−炭素の存在下、水素ガス雰囲気下で水素添加して11−4を得る。
スキーム11試薬:(a)2−メチル−3−ブチン−2−オール/Pd(PPh3)2Cl2/DMF/T
EA;(b)NaOH/トルエン;(c)Pd(PPh3)2Cl2/CuI/I2/DMF/i−プ
ロピルアミン、(d)H2、10%Pd/C、MeOH、EtOAc。
実験
実施例1 N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ ンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
N−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタンジアミ
ン(250mg)(Tetrahedron Lett.1995,36,6651-4)をDMSOに溶解し、
130℃に4日間加熱した。該混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。得
られた沈殿物を濾過し、乾燥させ、MPLC(YMC ODS−AQ、20%ア
セトニトリル/水−0.1%トリフルオロ酢酸)に付すことにより精製して、標
記化合物を得た。MS(ES)m/e 543.1(M+H)+;融点220−22
5℃(分解)。
実施例2 N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ ンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
6,9−ジクロロ−2−メトキシアクリジン(7g、25.3ミリモル)、エチ
レンジアミン(0.8mL、12.6ミリモル)およびトリエチルアミン(3.5
mL、25.3ミリモル)の1−メチル−2−ピロリジノン(35mL)中混合
物を130℃で2時間加熱した。得られた懸濁液を濾過して標記化合物を得、こ
れを熱エタノール中で粉砕し、乾燥させた(3.8g)。MS(ES)m/e 54
3.1(M+H)+。
実施例3 N,N'−ジ−9−アクリジニル−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロ アセテート)の製造
フェノール(5g)中の9−クロロアクリジン(1g、4.68ミリモル)、エ
チレンジアミン(0.16mL、2.34ミリモル)およびジイソプロピルエチル
アミン(1.63mL、9.36ミリモル)を115℃で3時間攪拌した。該反応
を冷却し、濃塩酸(4mL)を添加し、次いで、エーテル(10mL)を添加し
た。得られた沈殿物を濾過し、30%水酸化ナトリウム水溶液(10mL)と一
緒に粉砕し、再度濾過し、水で洗浄し、50℃で一夜真空乾燥させた。得られた
固体の一部をMPLC(YMC ODS−AQ、20%アセトニトリル/水−0.
1%トリフルオロ酢酸)に付すことにより精製し、得られた固体の一部をさらに
HPLC(YMC ODS−AQ、100×250mm、80mL/分、勾配液、
A:アセトニトリル、B:水−0.1%トリフルオロ酢酸、20分間に10−5
0%、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体として所望の
化合物を得た。MS(ES)m/e 415.3(M+H)+;融点225−230℃
(分解)。
実施例4 N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,3−プロ パンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
6,9−ジクロロ−2−メトキシアクリジン(0.56g、2ミリモル)、1,3
−ジアミノプロパン(0.08mL、1ミリモル)およびトリエチルアミン(0.
28mL、1ミリモル)の1−メチル−2−ピロリジノン(5mL)中混合物を
130℃で2時間加熱した。得られた固体を濾過し、HPLC(YMC ODS
−AQ、100×250mm、80mL/分、20%アセトニトリル/水−0.1
%トリフルオロ酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固
体として標記化合物を得た。MS(ES)m/e 557.2(M+H)+。
実施例5 9,9'−(1,4−ピペラジンジイル)ビス[6−クロロ−2−メトキシ−アクリ ジン]ビス(トリフルオロアセテート)の製造
6,9−ジクロロ−2−メトキシアクリジン(0.56g、2ミリモル)、ピペ
ラジン(0.086g、1ミリモル)およびトリエチルアミン(0.28mL、1
ミリモル)の1−メチル−2−ピロリジノン(5mL)中混合物を130℃で2
時間加熱した。得られた固体を酢酸およびトリフルオロ酢酸の混合物と一緒に粉
砕して、黄色固体として標記化合物を得た。MS(ES)m/e 569.1(M+
H)+。
実施例6 N−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N'−(6−クロロ−2 −ヒドロキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロ アセテート)の製造
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ
ンジアミン(0.54g、1.0ミリモル)およびDL−メチオニン(1.2g、8.
0ミリモル)のメタンスルホン酸(8.0mL)中混合物を85℃で16時間加
熱した。該反応を冷却し、冷水酸化アンモニウムでpH7.5に塩基性化した。得
られた赤色固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、100×250mm
、80mL/分、28%アセトニトリル/水−0.1%トリフルオロ酢酸、25
4nmでUV検出)に付すことにより精製し、得られた固体の一部をさらにHPL
Cに付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物を得た。MS(ES)m
/e 529.3(M+H)+。実施例7 N,N'−ビス(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)−1,2−エ タンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ
ンジアミン(0.54g、1.0ミリモル)およびDL−メチオニン(1.48g、
10.0ミリモル)のメタンスルホン酸(8.0mL)中混合物を85℃で16時
間加熱した。該反応を冷却し、冷水酸化アンモニウムでpH7.5に塩基性化した
。得られた赤色固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、100×25
0mm、80mL/分、28%アセトニトリル/水−0.1%トリフルオロ酢酸、
254nmでUV検出)に付すことにより精製し、得られた固体の一部をさらにH
PLCに付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物を得た。MS(E
S)m/e 515.2(M+H)+。
実施例8 N−[6−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロポキシ)−9−アクリジニル]− N'−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミ ン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
70℃で15分間加熱したDMSO(4mL)およびNaH(44mg、1.1ミリモ
ル)の溶液にN,N'−ビス(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)−
1,2−エタンジアミン(0.258g、0.5ミリモル)およびヨウ化ネオペンチ
ル(0.22g、1.10ミリモル)を添加した。24時間後、該反応混合物を氷
水に注いだ。得られた固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、100
×250mm、80mL/分、42%アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ
酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体として標記化
合物を得た。MS(ES)m/e 585.2(M+H)+。
実施例9 N−[6−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロポキシ)−9−アクリジニル]− N'−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
N−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N'−(6−クロロ−2
−ヒドロキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミン(0.257g、0.
5ミリモル)およびヨウ化ネオペンチル(0.22g、1.10ミリモル)のDM
F(10mL)中混合物を90℃で24時間加熱した。該反応混合物を冷却し、
氷水に注いだ。得られた固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、10
0×250mm、80mL/分、48%アセトニトリル/水/0.1%トリフルオ
ロ酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体として標記
化合物を得た。MS(ES)m/e 599.2(M+H)+。
実施例10 N,N'−ビス[6−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロポキシ)−9−アクリジ ニル]−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
N,N'−ビス(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)−1,2−エ
タンジアミン(0.258g、0.5ミリモル)、K2CO3(0.56g、4ミリモ
ル)およびヨウ化ネオペンチル(0.8g、4.0ミリモル)のDMF(10mL
)中混合物を90℃で24時間加熱した。該反応混合物を冷却し、氷水に注いだ
。得られた固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、100×250mm
、80mL/分、50%アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸、25
4nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物を得た
。MS(ES)m/e 655.3(M+H)+。
実施例11 N,N'−ビス[6−クロロ−2−(tert−ブトキシカルボニル)メトキシ−9− アクリジニル]−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
70℃で15分間加熱したDMSO(4mL)およびNaH(22mg、1.1ミリ
モル)の溶液にN,N'−ビス(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)
−1,2−エタンジアミン(0.129g、0.5ミリモル)およびブロモ酢酸tert
−ブチル(0.13g、0.67ミリモル)を添加した。18時間後、該反応混合
物を氷水に注いだ。得られた固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、
100×250mm、80mL/分、39%アセトニトリル/水/0.1%トリフ
ルオロ酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体として
標記化合物を得た。MS(ES)m/e 743.4(M+H)+。実施例12 N−[6−クロロ−2−(tert−ブトキシカルボニル)メトキシ−9−アクリジ ニル]−N'−[(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ ンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
70℃で15分間加熱したDMSO(4mL)およびNaH(22mg、1.1ミリ
モル)の溶液にN,N'−ビス(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)
−1,2−エタンジアミン(0.129g、0.5ミリモル)およびブロモ酢酸tert
−ブチル(0.13g、0.67ミリモル)を添加した。18時間後、該反応混合
物を氷水に注いだ。得られた固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、
100×250mm、80mL/分、39%アセトニトリル/水/0.1%トリフ
ルオロ酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体として
標記化合物を得た。MS(ES)m/e 629.4(M+H)+。
実施例13 N−[6−クロロ−2−(tert−ブトキシカルボニル)メトキシ−9−アクリジ ニル]−N'−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタン ジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
70℃で15分間加熱したDMSO(4mL)およびNaH(22mg、1.1ミリ
モル)にN−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N'−(6−クロ
ロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミン(0.3g、0
.6ミリモル)およびブロモ酢酸tert−ブチル(0.15g、0.76ミリモル)を
添加した。8時間後、該反応混合物を氷水に注いだ。得られた固体を濾過し、H
PLC(YMC ODS−AQ、100×250mm、80mL/分、38%アセ
トニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸、254nmでUV検出)に付すこと
により精製して、黄色固体として標記化合物を得た。MS(ES)m/e 643.
4(M+H)+。
実施例14 N,N'−ビス(6−クロロ−2−カルボキシメトキシ−9−アクリジニル)−1 2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
N,N'−ビス[6−クロロ−2−(tert−ブトキシカルボニル)メトキシ−9−
アクリジニル]−1,2−エタンジアミン(12mg、0.12ミリモル)およびト
リフルオロ酢酸(5mL)のジクロロメタン(12mL)中溶液を室温で18時
間攪拌した。該反応混合物を真空濃縮し、残留物をHPLC(YMC ODS−
AQ、100×250mm、80mL/分、26%アセトニトリル/水/0.1%
トリフルオロ酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体
として標記化合物を得た。MS(ES)m/e 631.3(M+H)+。
実施例15 N−[6−クロロ−2−(2−ジメチルアミノ)エトキシ−9−アクリジニル]− N'−(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル]−1,2−エタンジアミ ン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
70℃で15分間加熱したDMSO(4mL)およびNaH(22mg、1.1ミリ
モル)の溶液にN,N'−ビス(6−クロロ−2−ヒドロキシ−9−アクリジニル)
−1,2−エタンジアミン(0.258g、0.5ミリモル)および2−(ジメチル
アミノ)エチルクロリド(0.317g、2.2ミリモル)を添加した。18時間後
、該反応混合物を氷水に注いだ。得られた固体を濾過し、HPLC(YMCOD
S−AQ、100×250mm、80mL/分、26%アセトニトリル/水/0.
1%トリフルオロ酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色
固体として標記化合物を得た。MS(ES)m/e 586.3(M+H)+。
実施例16 N,N'−ビス[(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N,N'−ジ メチル−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
70℃で15分間加熱したDMSO(4mL)およびNaH(40mg、1.0ミリ
モル)の溶液にN,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−
1,2−エタンジアミン(0.27g、0.5ミリモル)、次いで、ヨウ化メチル(
0.06mL、1.0ミリモル)を添加した。1時間後、該反応混合物を氷水に注
いだ。得られた固体を濾過し、HPLC(YMC ODS−AQ、100×25
0mm、80mL/分、35%アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸、
254nmでUV検出)に付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物を
得た。MS(ES)m/e 571.2(M+H)+。実施例17 N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N−(トリフ ルオロメチルカルボニル)−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテー ト)の製造
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ
ンジアミン(0.27g、0.5ミリモル)のジクロロメタン(20mL)中懸濁
液にトリエチルアミン(1mL、ミリモル)、次いで、無水トリフルオロ酢酸(
1mL、7.0ミリモル)を添加した。18時間後、該溶液をジクロロメタン(
100mL)で希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、黄色の半固体に真空濃縮し、次
いで、これをHPLC(YMC ODS−AQ、100×250mm、80mL/
分、50%アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸、254nmでUV検
出)に付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物を得た。MS(ES)
m/e 639.1(M+H)+。
実施例18 N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N,N'−ビス (トリフルオロメチルカルボニル)−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロ アセテート)の製造
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ
ンジアミン(0.157g、0.3ミリモル)のジクロロメタン(10mL)中懸
濁液にトリエチルアミン(3mL、20ミリモル)、次いで、無水トリフルオロ
酢酸(3mL、20ミリモル)を添加した。18時間後、該溶液をジクロロメタ
ン(100mL)で希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、真空濃縮して、黄色固体を
得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1−2%メタノ
ール:ジクロロメタン)に付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物
を得た。MS(ES)m/e 735.3(M+H)+。
実施例19 ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,3−プロパンの製 造
a)( 6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)マロン酸ジエチル
ナトリウム(1.3g、52ミリモル)のエタノール(50mL)中溶液にマロ
ン酸ジエチル(8.8g55ミリモル)、次いで、6,9−ジクロロ−2−メトキ
シアクリジン(9.68g、35ミリモル)およびトルエン(5mL)を添加した
。該混合物を24時間加熱還流し、炭酸カリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで
抽出し、乾燥させ、真空濃縮して、固体を得、これをフラッシュカラムクロマト
グラフィー(シリカゲル、5−12%メタノール:ジクロロメタン)に付すこと
により精製して、標記化合物を得た。MS(ES)m/e 402.2(M+H)+。
b)6−クロロ−2−メトキシ−9−メチルアクリジン
実施例19(a)の化合物(2.2g、5.5ミリモル)の水(5mL)および
濃塩酸中溶液を4時間加熱還流し、濾過して標記化合物を得た。MS(ES)m/
e 258.2(M+H)+。
c)ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,3−プロパン
実施例19(b)の化合物(0.32g、1.1ミリモル)、パラホルムアルデ
ヒド(40mg)およびジメチルアミン塩酸塩(0.14g、1.7ミリモル)のエ
タノール(4mL)中混合物を80℃で2.5時間加熱した。該懸濁液を冷却し
、濾過して標記化合物を得た。MS(ES)m/e 527.3(M+H)+。
実施例20−21 ビス(2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンおよび1−(6−クロ ロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−4−(2−メトキシ−9−アクリジニル )ブタンの製造
a)2−メチル−4−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−3− ブチン−2−オール
6,9−ジクロロ−2−メトキシアクリジン(3.5g、12.6ミリモル)、2
−メチル−3−ブチン−2−オール(1.27g、15ミリモル)、ジクロロビス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム(100mg)およびヨウ化第一銅(25mg
)のトリエチルアミン(35mL)およびジメチルホルムアミド(20mL)中
混合物を90℃で12時間加熱した。該混合物を冷却し、炭酸カリウム水溶液で
希釈して標記化合物を得た。MS(ES)m/e 326.2(M+H)+。
b)9−エチニル−6−クロロ−2−メトキシアクリジン
実施例20(a)の化合物(2g、6.15ミリモル)および水酸化ナトリウム
(0.25g、6.25ミリモル)のトルエン(100mL)中溶液を5時間加熱
還流した。該混合物を濃縮し、残留物をジクロロメタンに溶解し、水で洗浄し、
乾燥させ、真空濃縮して標記化合物を得た。MS(ES)m/e 268.1(M+
H)+。
c)ビス(2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,4−ブタジイン
実施例20(b)の化合物(0.272g、1ミリモル)、ジクロロビス(トリ
フェニルホスフィン)パラジウム(100mg)、ヨウ化第一銅(25mg)、および
ヨウ素(0.128g、0.5ミリモル)のジエチルアミン(6mL)およびジメ
チルホルムアミド(3mL)中混合物を2時間攪拌し、濾過して、標記化合物を
得た。
d)ビス(2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,4−ブタンおよび1−(6− クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−4−(2−メトキシ−9−アクリジ ニル)ブタン
実施例20(c)の化合物および10%パラジウム一炭素(0.12g)のメタ
ノール(25mL)および酢酸エチル(25mL)中混合物を水素雰囲気下で攪
拌した。18時間後、該混合物を濾過し、濾液を真空濃縮し、残留物をHPLC
(YMC ODS−AQ、100×250mm、80mL/分、30%アセトニト
リル/水/0.1%トリフルオロ酢酸、254nmでUV検出)に付すことにより
精製して、標記化合物を得た。MS(ES)m/e各々、473.3(M+H)+およ
び527.3(M+H)+。
実施例22 N−(9−アクリジニル)−N'−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニ ル)−1,2−エタンジアミン ビス(トリフルオロアセテート)の製造
N−(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタンジアミ
ン(0.4g、1.3ミリモル)および9−クロロアクリジン(0.28g、1.3ミ
リモル)の混合物を130℃で1分間加熱した。得られた懸濁液を冷却し、濾過
した。濾液をHPLC(YMC ODS−AQ、100×250mm、80mL/
分、20%アセトニトリル/水−0.1%トリフルオロ酢酸、254nmでUV検
出)に付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物を得た。MS(ES)
m/e 479.3(M+H)+。
実施例23 N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−N,N'−ビス (アセチル)−1,2−エタンジアミンの製造
N,N'−ビス(6−クロロ−2−メトキシ−9−アクリジニル)−1,2−エタ
ンジアミン(0.157g、0.3ミリモル)のジクロロメタン(10mL)中懸
濁液にトリエチルアミン(4.5mL、32ミリモル)、次いで、無水酢酸(3
mL、32ミリモル)を添加した。18時間後、該溶液をジクロロメタン(10
0mL)で希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、真空濃縮して黄色固体を得、これを
フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1%メタノール:ジクロロ
メタン)に付すことにより精製して、黄色固体として標記化合物を得た。MS(
ES)m/e 627.3(M+H)+。
生物学的データ: CCR5受容体結合アッセイ:
96ウエルプレート中、CCR5を安定にトランスフェクトしたCHO細胞か
ら誘導したCHO細胞膜(細胞0.25×106個と等価)を0.3125I−ランテ
スと一緒に室温で45分間インキュベートした(最終反応容量200ul)。反応
を濾過により停止させ、フィルター(GF/C)を、0.1%ウシ血清アルブミ
ンおよび0.05%NaN3を含有するリン酸緩衝生理食塩水の溶液で12回洗浄し
た。フィルターに結合した放射能を液体シンチレーション分光測定により測定し
た。非標識ランテス(10または30nM)の存在下、非特異的結合を測定し、
これは総結合の平均30−50%であった。
CCR5受容体機能アッセイ:
化合物のアンタゴニスト活性を評価するために用いた細胞機能アッセイは、h
CCR5受容体を安定に発現するRBL 2H3細胞(RBL 2H3 hCCR
5)におけるランテス誘発性Ca2+動員であった。T−150フラスコ中、細胞を
集密度80−100%に増殖し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。室温で3分
間、1mM EDTA 3mLで処理し、5mM HEPES(pH7.4)、1m
M
CaCl2、1mM MgCl2および0.1%BSAを含有するクレブス・リンゲル・ヘン
ゼライト緩衝液(KRH;118mM NaCl、4.6mM KCl、25mMNaHCO3
、1mM KH2PO4および11mMグルコース)で2×106細胞/mLに希
釈することにより、細胞をフラスコから取り外し、200gで3分間遠心分離し
た。細胞を、2μM Fura−2AMを有する同緩衝液中で2×106細胞/mLの
濃度で再懸濁し、37℃で35分間インキュベートした。細胞を200×gで3
分間遠心分離し、Fura−2AMを含まない同緩衝液に再懸濁し、次いで、37℃
で15分間インキュベートして、細胞内Fura−2AMの加水分解を完了し、次い
で、上記と同様に遠心分離した。細胞(106細胞/mL)を、5mM HEPE
S(pH7.4)、1mM CaCl2、1mM MgCl2および0.1%ゼラチンを有する
冷KRHに再懸濁し、アッセイを行うまで氷上に維持した。アンタゴニスト研究
のために、3mLのプラスチック製キュベット中、細胞のアリコット(2mL)
を37℃で5分間予備加熱し、電磁攪拌しつつ、かつ、温度を37℃に維持しつ
つ、蛍光計(アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアのジョンソン・
ファウンデーション・バイオメディカル・グループ(Johnson Foundation Biome
dical Group))において蛍光を測定した。340nmで励起し、510nmで発
光した。種々の濃度のアンタゴニストまたはビヒクルを添加し、〜15秒間蛍光
をモニターして、基線蛍光の変化がないことを確認し、次いで、33nMランテ
スを添加した。Grynkiewiczら,(1985)の記載に従って、33nMランテス刺
激後に達した最大Ca2+を計算した。アンタゴニストの各濃度について最大ランテ
ス誘発Ca2+のパーセントを測定し、最大33nMランテス応答の50%を阻害す
る試験化合物の濃度と定義したIC50を濃度応答曲線(アンタゴニストの5−7
つの濃度)から得た。
本発明の化合物は、0.0001〜100μMの範囲のIC50を有するCCR
5受容体アンタゴニスト活性を示す。完全な構造/活性関係は、本発明の化合物
についてなおも確立されていない。しかしながら、本明細書の記載により、当業
者は、式(I)で示される化合物がCCR5受容体のリガンドであるか、および、
0.0001〜100μMの範囲のIC50値でもってそれに結合するかを決定す
るために当該アッセイを利用できる。
限定するものではないが本明細書に記載した特許および特許出願を含む全ての
刊行物は、出典明示により本明細書の記載として引用する。
以上、好ましい具体例を含む本発明を充分に記載したが、本明細書に詳細に記
載されている具体例の変更および改良も、以下の請求の範囲の範囲内である。ま
た、いずれの実施例も本発明を単に説明するものであり、如何なる場合も本発明
の範囲を限定するものではない。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 1/04 A61P 1/04
9/10 101 9/10 101
11/06 11/06
17/00 17/00
17/06 17/06
29/00 101 29/00 101
31/18 31/18
37/06 37/06
37/08 37/08
C07D 219/02 C07D 219/02
219/04 219/04
219/06 219/06
219/12 219/12
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AU
,BA,BB,BG,BR,CA,CN,CZ,EE,
GE,HU,ID,IL,IS,JP,KP,KR,L
C,LK,LR,LT,LV,MG,MK,MN,MX
,NO,NZ,PL,RO,SG,SI,SK,SL,
TR,TT,UA,US,UZ,VN,YU
(72)発明者 ク,トーマス・ウェン・フ
アメリカ合衆国19025ペンシルベニア州ド
レシャー、サウスウィンド・ウェイ1413番