JP2001508414A - (メタ)アクリル酸エステルの製法 - Google Patents
(メタ)アクリル酸エステルの製法Info
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Abstract
(57)【要約】
触媒としての硫酸又は硫酸モノ−C4〜C12−アルキルエステルの存在下での(メタ)アクリル酸とC4〜C12−アルカノールとの反応により(メタ)アクリル酸エステルを製造する場合に、a)反応を、第1反応器と少なくとももう1つの反応器を包含するエステル化装置中で実施し、b)第1反応器に、出発物質の合計に対して5重量%以下の水を含有する、(メタ)アクリル酸、C4〜C12−アルカノール及び触媒からの混合物を装入し、c)第1反応器中でのエステル化を、エステル、アルカノール又は水を除去することなく、少なくとも40%の(メタ)アクリル酸変換率に達するが、この混合物が1相で残るようになるまで実施し、かつ、d)このエステル化を、少なくとももう一つの反応器中で、生じる水の蒸発除去の下に続行する。
Description
【発明の詳細な説明】
(メタ)アクリル酸エステルの製法
本発明は、アクリル酸又はメタクリル酸[(メタ)アクリル酸]のエステルの
製法に関する。
(メタ)アクリル酸エステルは、通常は、(メタ)アクリル酸をエステル化触
媒としての強酸(例えば硫酸、燐酸のような無機酸、アルカンスルホン酸又はア
リールスルホン酸)の存在下に、アルカノールを用いてエステル化することによ
り大規模に製造される。このような方法は、例えばKirk Othmerの"Encyclopedi
a of Chemical Technology"Vol.1、347−348頁から公知である。エス
テル化混合物中の触媒の含有率は、数十分の1〜数%の大きさで変動可能である
。触媒としての多価の無機酸の使用の際に、存在するアルカノールでこの無機酸
は、固有のエステル化触媒であるモノエステルの形成下に容易にエステル化され
る。この反応混合物は、エステル化の終了後に多量のこのモノエステルを含有す
る。
触媒として使用された酸及び場合により形成されるそのエステルは、更なる作
業の前にこの反応混合物から除くべきである。通常、このことは、洗浄及び反応
混合物を苛性アルカリ及び苛性アルカリ土類金属又はカルボン酸を用いる中和に
より達成される。この際、
その除去にコストがかかり、環境汚染性である廃水が生じる。触媒として硫酸を
使用すると、前記のように主として硫酸と当該アルカノールとのモノエステルが
生じる。エステル硫酸モノエステルの、殊に高級アルカノールとのそのエステル
の塩は、表面活性であり、その廃棄の際に、このプロセスからの廃水の品質は著
しく害され、有用生成物の無視できない損失の原因となる。従って、経済的及び
環境学的理由から、これらの触媒の回収及び再使用が望まれる。
技術水準は多くの方法を包含しているが、これらには、すべてかなりの欠点が
付随している。
EP−A−0609127号明細書には、(メタ)アクリル酸エステルの製法
が記載されており、ここでは、硫酸とアルコールとからのエステル化の際に生じ
る相応する硫酸モノエステルから、酸性加水分解によりアルコール成分が回収さ
れている。この方法は、コストがかかり、環境汚染性であり、不経済である。
CZ−B−179808号明細書は、エステル化混合物を水で抽出し、水相を
蒸発により濃縮させ、かつ、こうして得られた濃触媒水溶液をエステル化反応に
戻すことにより、エステル化混合物から無機酸を回収する方法を記載している。
この方法は、エネルギー浪費性である。
EP−A−0618187(≒US−A−5386052)明細書は、(メタ
)アクリル酸エステルの製
法を記載しており、この際、触媒を水で抽出し、この抽出物を、場合によっては
蒸留濃縮の後に、エステル化反応に戻す。しかしながら、この場合には、特に、
硫酸モノアルキルエステルは抽出性が悪いので硫酸は触媒として不適当であるこ
とが示されている。それというのも、硫酸モノアルキルエステルの適当な抽出の
ために必要である多量の水がエステル化反応に負に影響するはずであるからであ
る。従って、アルキル−又はアリールスルホン酸が触媒として使用されている(
2欄55行以降)が、これらは硫酸よりは著しく高価である。
全ての公知方法では、出発物質のエステル化及び反応水の蒸発除去が、1つの
同じ反応容器中で、又は同様な容器の1カスケード中で行われる。この反応器の
蒸留能力は、エステル化反応により多量の水が生じる場合にのみ充分に利用され
るので、これらの慣用の方法は、空時収率及び経済性の観点で最適ではない。
反応温度を高めることによる変換率の上昇は、アクリル化合物の重合傾向の故
に、限られてのみ可能である。
従って、本発明の課題は、温和な条件下で高い空時収率を可能とし、エステル
化触媒としての硫酸を用いて行われる、工業的に簡単で経済的な方法を開発する
ことである。更に、この方法は、エステル化触媒(硫酸又はモノアルキル硫酸)
をできるだけ簡単かつ完全
に、得られる反応混合物から分離することを可能とすべきである。更に、この触
媒は、再び直接、即ち付加的に蒸留濃縮することなしに、エステル化に戻すこと
が可能であるべきである。
本発明の目的は、触媒としての硫酸又は硫酸モノ−C4〜C12−アルキルエス
テルの存在下での(メタ)アクリル酸とC4〜C12−アルカノール、有利にC4〜
C10−アルカノール、特に有利にC4〜C8−アルカノールとの反応による(メタ
)アクリル酸エステルの製法であり、これは、
a)反応を、第1反応器と少なくとももう1個の反応器を包含するエステル化装
置中で実施し、
b)第1反応器に、(メタ)アクリル酸、C4〜C12−アルカノール及び触媒か
らの混合物(これは出発物質の合計に対して5重量%以下の水を含有する)を装
入し、
c)第1反応器中でのエステル化を、エステル、アルカノール又は水を除去する
ことなく、少なくとも40%の(メタ)アクリル酸変換率に達するまでであるが
、この混合物が1相で残存するまで実施し、かつ、
d)少なくとももう一つの反応器中でのエステル化を、生じた水の蒸発除去下に
続行することを特徴とする。
このエステル化は、有利に、撹拌機、塔又は凝縮器を有しない簡単な、場合に
よっては単離された容器で
ある第1反応器及びもう一つの、有利に取り付けられた蒸留塔、凝縮器及び相分
離容器を有する慣用の反応器又は複数の更なる慣用の反応器(カスケード)を包
含するエステル化装置中で実施する。この反応器の内容物を常法で、例えば撹拌
により混合する。第1反応器は、特別な混合をせずに操作することもでき、出発
物質の吹き込みにより混合を行うのが有利である。
第1反応器は、60〜130℃、特に有利に80〜110℃で操作され、この
際、少なくとも40%、殊に少なくとも50%の(メタ)アクリル酸変換率で作
用させるために、流入混合物(アルカノール、(メタ)アクリル酸、触媒)の水
含有率は、出発物質の合計に対して5重量%を下回る。しかしながら、この場合
に、この変換は、生じる水が特有の1相を形成し、混合物が2相になるまで実施
すべきではない。最適変換率は、一般に30分〜2時間、殊に約1時間の滞留時
間の後に達する。
次の表は、ブチルアクリレートの製造例における、供給された混合物(アクリ
ル酸、ブタノール及び触媒)の水含有率と滞留時間1時間及び100℃の温度で
の第1反応器中の変換率との間の関係を示す。
水含有率 変換率 0% 57% 5% 50% 10% 41%
触媒としての硫酸の存在下にエステル化を実施し、条件を、エステル化混合物
中の残留アルカノール含有率がエステル化混合物に対して最大5重量%、殊に最
大3重量%であるように選択する。
意外にも、このアルカノール含有率は、硫酸及びアルカノールから形成され、
特有のエステル化触媒として作用する硫酸モノアルキルエステルの抽出可能性へ
大きな影響を有することが明らかになった(第1表参照)。これによって、この
触媒が少量の水量で抽出でき、抽出物は、直接、再びエステル化のために戻すこ
とができる。
最大5重量%のアルカノール含有率を達成するために、例えば反応水の蒸発除
去及び/又は使用物質の適当な割合を選択して高いエステル化変換率をもたらす
のが有利である。残留アルカノール含有率がなお5重量%より高い場合には、こ
のアルカノールを慣用の蒸留装置(例えば篩板、ラシッヒリング、パッキング等
を備えた塔)中で留去する。意外にも、この場合に、強酸性のエステル化触媒の
存在にもかかわらず、酸触媒作用による副反応、例えばエーテル−又はオレフィ
ン形成又は(メタ)アクリレートの二重結合へのアルカノールの付加(Micael−
付加)は、あまり観察されない。
蒸留は常法で実施され;この蒸留条件は使用アルカノールの種類に従って決ま
る。
エステル化混合物からの触媒の抽出のための条件を、水相中の触媒濃度(硫酸
及び硫酸モノアルキルエステル)が水性抽出物に対して少なくとも20重量%、
殊に少なくとも30重量%及び抽出度が反応混合物中の触媒量に対して少なくと
も70重量%、殊に少なくとも80重量%になるように選択するのが有利である
。
特に有利な1実施形では、抽出物中のできるだけ高い触媒濃度を得るために、
抽出のために触媒含有水性抽出物を使用する。この目的のために、抽出物を循環
させるのが有利であり、この際、通常は抽出物の1部分を取り出し、直接、エス
テル化反応に再び導入する。取り出された量は水で代えられる。
エステル化混合物を、このエステル化混合物の総重量に対して約5〜20重量
%、殊に約5〜15重量%の水で抽出するのが有利である。
触媒水溶液を、濃縮することなく、直接第1反応器に戻す。
この抽出の実施は、自体公知の方法で行うことができる。向流法で、例えば、
エネルギー供給なしに塔中で、脈動塔、内部充填体を有する塔、ミキサーセット
ラー装置又はスタティックミキサー中で抽出するのが有利である。
環境温度又は高い温度で抽出を実施することができるが、約15〜40℃の範
囲の温度で実施するのが有
利である。
エステル化は、実際に慣用の方法で実施される。アルカノール:アクリル酸又
はメタクリル酸のモル比は、一般に1:0.8〜1.2である。C4〜C12−アル
カノールは、例えばペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール
、2−エチルヘキサノール、ノナノール、2−プロピルヘプタノール、デカノー
ル、ウンデカノール、ドデカノール及び有利にブタノール、殊にn−ブタノール
である。反応混合物中の硫酸濃度は、全内容物に対して通常0.5〜10重量%
、有利に1〜5重量%である。
重合開始剤としては、例えばフェノチアジン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモ
ノメチルエーテル又はこれらの混合物及び場合によっては空気(0.1〜10リ
ットル/h×l)が、反応混合物に対して100〜5000ppmの量で使用さ
れる。
エントレイナーとして、本発明の方法で飽和炭化水素(例えばシクロヘキサン
)又は芳香族化合物(例えばトルエン)が使用されるが、この反応は付加的なエ
ントレイナーなしで実施するのが有利である。
更なる反応器中の反応温度は、一般に約70〜160℃、有利に90〜130
℃である。
反応時間は、一般に約1〜10、有利に1〜6時間である。
反応は、常圧、減圧又は過圧下に、連続的に又は非
連続的に実施することができ、この際、連続的反応実施が特に有利である。
触媒の抽出の後になお水性塩基を用いる残留酸(触媒及び(メタ)アクリル酸
)の抽出/中和が必要である場合には、これは慣用の抽出装置(前記参照)中で
行うことができ、この際、塩基必要量は触媒の高い抽出度に基づき低く、この抽
出は、意外にもEP−A−0566074に記載の相分離の問題なしに進行する
。
触媒及び場合による残留カルボン酸及び低沸点成分の除かれた反応混合物か
らのエステルの単離は、常法で、殊に蒸留、例えば篩棚段塔中での蒸留により行
う。
次の実施例で本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない:
第1反応器(3.0リットル内容積を有する加熱可能な容器)及び蒸留塔、凝
縮器及び分離容器付きの加熱可能な1リットル−撹拌反応器3個より成るエステ
ル化装置(カスケード)に、連続的操作で、1時間当たりアクリル酸688g、
n−ブタノール820g、硫酸22g及び重合開始剤としてのフェノチアジン1
.5gを供給する。気相なしで操作される前反応器の温度は110℃、撹拌反応
器のそれは115℃、120℃及び123℃であり、反応器中の圧力は0.61
バールである。各々の塔の塔頂部で2相の留出物が生
じる。有機相を循環流としてこの塔中に戻し、水相を除去する。
反応生成物(1353g/h)は、分析によれば、n−ブチルアクリレート9
1.3%、n−ブタノール3.0%、アクリル酸0.5%及び硫酸モノ−n−ブチ
ルエステル2.45%を含有する。このアクリル酸変換率(Umsatz)は99%であ
り、転化率(Umwandlung)は98%である。
25℃まで冷却された反応生成物を塔(3cm*200cm、5mm−ラシッ
ヒリング)中、25℃で水を用いて抽出し、その際、有機相:水相の比は1:0
.15である。この抽出で、1時間当たり水相100を取り出し、新鮮水を補充
する。
硫酸モノ−n−ブチルエステル31.2%(回収率90%)を含有する取り出
された水を、直接、第1反応器に戻し、硫酸添加を2.2g/hまで減少させる
。前反応器への総流入分の水含有率は4.3%である。第1反応器中のアクリル
酸−変換率は52%であり、最終反応器の後のアクリル酸−変換率は変わらず9
9%である。
抽出に供される反応混合物のn−ブタノール含有率による触媒−抽出度の依存
性を測定し、ここで、硫酸の存在下にn−ブタノールを用いるアクリル酸のエス
テル化により製造され、種々のn−ブタノール含有率を有するエステル化混合物
を、分液ロート中で一度に
25℃で水10%で抽出した。この実験の結果を第1表に記載し、未反応のアル
カノールの含有率を3%以下に保持する反応実施の重要性を明らかにする。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AU
,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,GE,HU,
ID,IL,JP,KR,KZ,LT,LV,MX,N
O,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,SK,TR
,UA,US
(72)発明者 ゲールハルト ネストラー
ドイツ連邦共和国 D―67061 ルートヴ
ィッヒスハーフェン ムンデンハイマー
シュトラーセ 170
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.触媒としての硫酸又は硫酸モノ−C4〜C12−アルキルエステルの存在下に おける(メタ)アクリル酸とC4〜C12−アルカノールとの反応により(メタ) アクリル酸エステルを製造する場合に、 a)反応を、第1反応器と少なくとももう1つの反応器を包含するエステル化 装置中で実施し、 b)第1反応器に、出発物質の合計に対して5重量%以下の水を含有する、( メタ)アクリル酸、C4〜C12−アルカノール及び触媒からの混合物を装入し、 c)第1反応器中でのエステル化を、エステル、アルカノール又は水を除去す ることなく、少なくとも40%の(メタ)アクリル酸変換率に達するが、この混 合物が1相で残るようになるまで実施し、かつ、 d)少なくとももう一つの反応器中でのエステル化を、生じる水の蒸発除去の 下に続行することを特徴とする、(メタ)アクリル酸エステルの製法。 2.第1反応器中でのエステル化を、少なくとも50%の(メタ)アクリル酸変 換率に達するまで実施する、請求項1に記載の方法。 3.第1反応器中でのエステル化を60〜130℃、 有利に80〜110℃で実施する、請求項1又は2に記載の方法。 4.工程d)により得られるエステル化混合物中の残留アルカノール含有率が最 大5重量%、殊に最大3重量%になるようにエステル化を実施する、請求項1か ら3までのいずれか1項に記載の方法。 5.第2反応器及び場合によっては他の全ての反応器中でのエステル化を、70 〜160℃、殊に90〜130℃で実施する、請求項1から4までのいずれか1 項に記載の方法。 6.工程d)で得られるエステル化混合物を、触媒の除去のために、水又は触媒 含有抽出物を用いて抽出する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法 。 7.エステル化混合物を、総エステル化混合物に対して5〜20重量%の水又は 触媒含有抽出物で抽出する、請求項6に記載の方法。 8.抽出度は最低80%である、請求項6又は7に記載の方法。 9.抽出物中の触媒濃度は、抽出物に対して少なくとも20重量%、殊に少なく とも30重量%である、請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法。
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