JP2001508303A - 遺伝子機能同定のための発現モニタリング - Google Patents

遺伝子機能同定のための発現モニタリング

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、遺伝子発現の大規模同時モニタリングにより遺伝子間の制御関係をマップするための、方法、組成物および装置を提供する。いくつかの態様において、上流制御遺伝子中の変異は、下流遺伝子発現の変化をモニタリングすることにより検出する。同様に、上流遺伝子中の特定の変異の機能は、下流遺伝子発現をモニタリングすることにより決定する。さらに、標的遺伝子の制御機能は多数の下流遺伝子の発現をモニタリングすることにより決定することができる。本発明は、p53ホモ接合体変異およびp53ヘテロ接合体変異を検出するための特定の態様を提供し、そしてp53変異の機能を決定するための特定の態様を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 遺伝子機能同定のための発現モニタリング 関連する申請 本出願は、1997年1月13日出願のアメリカ合衆国仮出願、通し番号60035327、 代理人明細書番号3004、の優先権を主張するものである。本出願は、1995年9月 15日出願のアメリカ合衆国出願通し番号08/529,115および、1990年12月6日出願 のアメリカ合衆国出願通し番号07/624,114の継続である1993年12月15日出願のア メリカ合衆国出願通し番号08/168,904の分割である、1996年6月25日出願のアメ リカ合衆国出願通し番号08/670,118に関連する。アメリカ合衆国出願通し番号07 /624,114は、1990年6月7日出願のアメリカ合衆国出願通し番号07/362,901のCI Pである。上記出願のすべては、本明細書中で参考文献として援用されている。 発明の背景 多くの生物機能は、転写(例えば、開始、RNA前駆体の供給、RNAプロセシング などの調節による)および/または翻訳調節を介して様々な遺伝子の発現を変え ることによって達成される。例えば、細胞周期、細胞分化および細胞死といった 基本的な生物学的過程は、しばしば遺伝子群の発現量の変動を特徴とする。 遺伝子発現は病因とも関連している。例えば、機能し得る腫瘍抑制遺伝子が十 分に発現しない、および/または、癌遺伝子/前癌遺伝子が過剰に発現すると、 腫瘍発生という結果になり得る(本明細書中であらゆる目的で参考文献として援 用しているMarchall,Cell,64:313-326(1991);Weinberg,Science,254:1138-1 146(1991))。したがって、特定の遺伝子(例えば、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝 子)の発現量の変化は、様々な疾患の存在および進行の手がかりとして役立つ。 この技術分野における遺伝子発現の研究は一般に、目的の遺伝子の制御領域に ついて、および数個の遺伝子間の関連についてに集中していた。いくつかの転写 因子/DNA結合タンパク質が同定され、限られた数の制御経路が発見されている 。しかし、特定の遺伝子の発現は、しばしば他の多数の遺伝子の発現によって制 御されている。それらの制御遺伝子の発現も、さらに別の遺伝子の調節下にあり 得る。遺伝子間のこの複雑な制御関係は、遺伝子のネットワークを構成している 。特定の遺伝子の機能および制御は、この遺伝子のネットワークと関連して最も よく理解し得る。ヒトゲノム計画および商業上のゲノム研究が急速に進歩してい るため、発現している遺伝子のすべてではないとしてもそのほとんどは、近い将 来までに部分的に配列決定されるだろう。多数の遺伝子間の機能および調節関係 を理解することは、伝統的な手段では困難な課題になりつつある。それゆえ、こ の技術分野では、多数の遺伝子間の複雑な調節関係を理解するための系統的な研 究方法を開発する必要がある。 発明の概要 本発明は、遺伝子間の複雑な制御関係を研究するための方法、組成物、および 装置を提供する。その特定の適用のいくつかにおいては、本発明は、下流の遺伝 子の発現をモニタリングすることにより上流の制御遺伝子の変異を検出するため の方法、組成物、および装置を提供する。いくつかの態様においては、下流の制 御遺伝子を同定することによってある遺伝子の特定の機能を決定するのに、遺伝 子発現モニタリングを用いる。同様の態様で、遺伝子発現を用いて上流遺伝子の 特定の変異の効果を識別する。遺伝子発現は、いくつかの態様において上流の制 御遺伝子を同定するのにも用いられる。これらの研究方法を組み合わせることに より、本発明を用いて遺伝子の制御ネットワークに指令を出すこと、制御関係を 示す地図を作成することが可能である。 特に、本発明のある観点においては、遺伝子間の複雑な制御関係を解読するの に遺伝子発現モニタリングを用いる。そのような態様においては、10以上の遺伝 子、好ましくは100以上の遺伝子、より好ましくは1000以上の遺伝子、そして最 も好ましくは5000以上の遺伝子の発現を、多数の細胞試料においてモニターする 。 いくつかの態様においては、各試料は他の試料と異なる発現パターンを示す。好 ましい適用においては、大多数の独立な試料を評価する。発現データを解析して 、遺伝子間の複雑な関係を理解し得る。最終的には、発現データを解析してその ような複雑な関係を説明する地図を明らかにする。 本発明は、多数の独立な遺伝子発現状態を示す生物試料を得るための方法を提 供する。いくつかの態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドあるいは アンチセンス遺伝子を用いて特定の遺伝子の発現を妨げる。他の態様においては 、ホモ接合の、ノックアウトの手法を用いて遺伝子の発現を特異的に抑制する。 他の態様においては、制御遺伝子のトランスフェクションを用いて細胞の発現プ ロファイルを変える。さらに別のいくつかの態様においては、無作為な配列のア ンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞に導入して、遺伝子の発現を妨げる。 そのような一態様において、発現データを解析して遺伝子間の相互関係を示す クラスター地図を作る。いくつかの好ましい態様においては、そのようなクラス ター地図をさらに統計的手法を用いて解析し、遺伝子間の複雑な関係を説明する 制御経路からなる地図を作る。多くの統計的手法が、そのような地図を作成する のに適している。LISREL法はそのような適用に特に有用である。いくつかの態様 においては、より多くのデータが入手できるようになるにつれて、地図の構造を さらに精密にする。したがって、地図は絶えず変化し、新しいデータひと揃いが 入ると自動的に更新される。 そのような遺伝子のネットワーク地図には、診断、薬剤発見、遺伝子治療、お よび生物学的研究においてなど、幅広い種類の適用がある。例えば、特定の遺伝 子に関心のある研究者はそのような地図を調べて、統計的な信頼のある予想され る上流および下流の遺伝子を見出し得る。それから、その研究者はさらなる研究 をそれらの遺伝子に集中させ得る。 本発明の別の観点においては、遺伝子発現モニタリングを用いて制御遺伝子の 起こりうる機能不全を検出する。いくつかの態様においては、疾患組織における 目的遺伝子のサブセットの発現を解析し、疾患発現パターンを得る。そのサブセ ットには、既知のすべての遺伝子のうち、少なくともひとつ、あるいは、5、10 、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、750、1000、1250、15 00、 3000、4550、または6000の遺伝子が含まれる。正常組織における同じ遺伝子の発 現も同様に解析し、正常の遺伝子発現パターンを得ることができる。遺伝子の発 現の違いは、疾患組織における制御異常を示す。いくつかの態様においては、デ ータフィルターを用いて、発現が有意に変化している遺伝子を同定する。データ フィルターを用いることにより、疾患組織において例えば3、5、または10倍に 発現が増強されるかあるいは減少している遺伝子のみが、変化したものとして同 定される。 ある遺伝子の発現が疾患組織において変化していることがひとたび見出された なら、その変化した遺伝子の上流の制御遺伝子が、機能不全遺伝子の候補として 示される。いくつかの態様においては、より多数の下流遺伝子のうちの2つの発 現が影響される場合にのみ、その上流遺伝子を機能不全遺伝子の候補として同定 する。それから、機能不全遺伝子の候補の配列を決定し、変異があるかどうか、 あるいはその機能不全が後生的または非遺伝的なエフェクターのためであるのか どうかを調べる。いくつかの場合においては、染色体内に変異は存在しないにも かかわらず、制御遺伝子の産物は機能不全であると思われることがある。例えば 、p53は、E1BおよびラージT抗原などのウイルスタンパク質と結合することによ り、遺伝的というよりは機能的に不活性化され得る。制御タンパク質が他の遺伝 子の発現を活性化または抑制する能力を分析することにより、遺伝子および表現 型の不活性化の両方を評価し得る。 本発明のさらに別の観点においては、遺伝子発現モニタリングによりある制御 遺伝子内の特定の変異の機能を決定し得る。いくつかの特定の態様においては、 特定の変異を含む細胞および変異のない対照の細胞の発現プロファイルを比較し 、その変異が下流の遺伝子の発現に影響するかどうかを決定する。同様に、特定 の遺伝子の機能を決定し得る。そのような態様においては、多数の遺伝子の発現 を目的の遺伝子の発現がある生物試料においてモニターし、対照の発現プロファ イルを得る。それから、目的の遺伝子の発現を抑制して、目的の発現プロファイ ルを得る。この2つの発現プロファイルを比較することにより、影響を受けた遺 伝子から、制御されている可能性のある下流の遺伝子を同定し得る。 特定の一態様においては、p53により活性化および抑制される遺伝子をモニタ ーし、野生型p53機能の喪失を検出する。別の特定の態様においては、遺伝子発 現モニタリングを用いて、p53の細胞内機能を検出する。 さらに別の態様に従い、試験細胞における、制御分子をコードする核酸の機能 喪失を決定し得る。ある制御分子をコードする第一の核酸分子を解析のために選 ぶ。正常細胞においては発現がその制御分子によって誘導または抑制されるよう な一連の第二の核酸分子を集めるかあるいは選ぶ。試験細胞の転写指標を、mRNA 、cDNAおよびcRNAからなる群から選択する。その一連の核酸プローブの各メンバ ーには、選択した制御分子によって誘導または抑制される一連の第二の核酸分子 のメンバーである、核酸分子の部分が含まれる。前記一連の核酸プローブのそれ ぞれとハイブリッド形成する転写指標の量を求める。(1)試験細胞の転写指標と 、その制御分子によって誘導される核酸の部分を含むプローブとのハイブリッド 形成が、正常の細胞由来の転写指標を用いたハイブリッド形成よりも低い場合、 あるいは(2)試験細胞の転写指標と、その制御分子によって抑制される核酸の部 分を含むプローブとのハイブリッド形成が、正常の細胞由来の転写指標を用いた ハイブリッド形成よりも高い場合は、その試験細胞をその制御分子の機能を失っ ていると同定する。 図面の簡単な説明 図1は、仮説遺伝子ネットワークを示す。 図2は、遺伝子ネットワークに指令を送ることに関する一態様の概略図を示す 。 図3は、遺伝子機能同定のための発現モニタリングに関する一態様の概略図を 示す。 図4は、変異機能同定のための発現モニタリングに関する一態様の概略図を示 す。 の結果を示す。 図6は、正常および悪生乳上皮細胞の発現プロファイルを示す。 図7は、変異機能同定のための発現モニタリングに関する一態様の概略図を示 す。結果を示す。 図9Aおよび9Bは、1650の遺伝子を同時にモニターするオリゴヌクレオチドアレ イ(6600の遺伝子を包含する一連の4アレイのうちの1つ)の蛍光像の例である 。図9Aでは、正常(HT-125)および悪性乳(BT-474)細胞由来の蛍光標識cRNAの 典型的なハイブリッド形成パターンを示す。アレイを断片化したビオチン標識cR NAとハイブリッド形成させ、続いてフィコエリセリン-ストレプトアビジン結合 物にて染色した後に、像を得た。明るい行は、高程度に存在したメッセージを示 している。PM/MM強度パターンの定量的な解析に基づき、低程度のメッセージ(1 -10コピー/細胞)をはっきりと検出する。図の下部に、BT-474とHT-125の間で変 化している遺伝子発現の例を強調した、アレイの一部分の拡大像を示す。領域1 では、誘導された(ハイブリッド形成強度の>10倍の変化)遺伝子を示し、領域 2では、変化のない(ハイブリッド形成強度の<2倍の変化)ものを示し、領域 3では、抑制された(ハイブリッド形成強度の>10倍の変化)を示す。図9Bは、 完全一致(PM)および一塩基不一致(MM)オリゴヌクレオチドの20個のプローブ 対で細胞を調べる場合の、(A)の遺伝子1、2、および3の拡大像の例である。H T-125対BT-474についてPM-MMの平均蛍光強度の差(β-アクチンおよびGAPDHシグ ナルで標準化した)を、3行に示す。行1(Her2/neu癌遺伝子)では、平均強度 は111対5127であり、行2(ラミニン受容体)では、平均強度は3495対6088であり 、行3(ガレクチン-1)では、7952に対して検出されないである。 図10は、正常対悪性の乳細胞由来の遺伝子のサブセットの発現プロファイルの 例である。平均完全一致-不一致(PM-MM)強度差(β-アクチンおよびGAPDHシグ ナルで標準化した)を、HT-125とBT-474の間でハイブリッド形成シグナルに2倍 以上の差を示した、図9Aで強調した遺伝子に関してプロットした。目盛りからは ずれたシグナルの値を示してある。 図11は、ハイブリッド形成によるp53の配列解析および変異検出を示す。図11A では、1490bpのBT-474乳癌p53遺伝子にハイブリッド形成した、p53遺伝子型決定 アレイの像(左)を示す。BT-474におけるG-A一塩基変異の領域の、p53 野生型参照およびBT-474DNAのハイブリッド形成パターンの拡大像を右に示す。 各列において、A、C、GまたはTと一致する4つのプローブが中央の位置で置換さ れている。置換塩基に相補的なものとして左から右への不一致を検出することに 基づき、ハイブリッド形成した目的の配列をもっとも明るいシグナルと同定する 。これらのプローブは疑いのある位置とは異なる対象に対して一塩基不一致を有 するため、BT-474においてみられるG-A遷移は、隣接位置におけるシグナルの喪 失を伴う。図11B(上段)は、野生型参照(黒)とBT-474p53遺伝子(赤)の、変 異を含む領域におけるセンス鎖(上部)およびアンチセンス鎖(下部)に由来す るハイブリッド形成強度パターンの比較である。示した領域は、“足跡”および 試料間の一塩基の違いの検出を示す(垂直な緑の線)。エクソン8(DNA結合ド メイン)におけるグルタミン酸からリジンへのアミノ酸置換をもたらす、BT-474 におけるp53のヌクレオチド1279でのG-A塩基置換をはっきりと同定する、GeneCh ipデータ解析アウトプットを示す(下段)。アウトプットの上部は、p53野生型参 照配列を示す。野生型p53対照とBT-474試料を対応させたアウトプットを示す。 発明の詳細な説明 I. 定義 II.遺伝子ネットワーク地図作成および遺伝子機能同定のための遺伝子発現モニ タリングの利用 III. 遺伝子発現制御の検出 a) シス作用性転写調節配列、転写因子および転写速度測定 b) 単一の転写単位に由来する異なる遺伝子産物 c) 遺伝子発現の後成的な機構および長期調節 IV. 大規模な同時遺伝子発現モニタリング (A) 核酸試料の提供 (B) 高密度アレイへの核酸のハイブリッド形成 (C) シグナル検出 V. 遺伝子ネットワークおよび、発現モニタリングによる遺伝子ネットワークへ の指令 (A) 人工の細胞株 (B) 統計的解析 VI. 発現モニタリングによる遺伝子または変異の機能同定 実施例1. p53変異の機能の同定 VII. 遺伝子発現モニタリングによる変異検出 実施例2. p53遺伝子におけるホモ接合性機能変異の検出 I. 定義十分に結合する: “十分に結合する”とは、プローブ核酸と目的の核酸との間の 相補的なハイブリッド形成のことを言い、目的のポリヌクレオチド配列の望まし い検出を達成するために、ハイブリッド形成媒体の厳しさを減らすことによって 適応し得るような少数の不一致を包含する。バックグラウンド: “バックグラウンド”あるいは“バックグラウンドシグナル 強度”という用語は、非特異的な結合、あるいは標識した目的の核酸とオリゴヌ クレオチドアレイの構成物(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ、対照プロー ブ、アレイ基質など)の間の他の相互作用によりもたらされるハイブリッド形成 シグナルのことを言う。バックグラウンドシグナルは、アレイ構成物自体の固有 の蛍光によっても生じ得る。単一のバックグラウンドシグナルをアレイ全体につ いて算出することができるか、あるいは異なるバックグラウンドシグナルを各目 的とする核酸について算出することができる。好ましい一態様においては、バッ クグラウンドは、アレイ内のプローブのうち最も低い5%から10%に関する平均ハ イブリッド形成シグナル強度として算出するか、あるいは異なるバックグラウン ドシグナルを、各遺伝子に対するプローブのうち最も低い5%から10%に関し、各 目的とする遺伝子について算出する。もちろん、特定の遺伝子に対するプローブ が十分にハイブリッド形成し、したがって目的の配列に特異的に結合していると みら れる場合、それらはバックグラウンドシグナルの算出に用いるべきではないとい うことを、当業者は認めるであろう。あるいは、バックグラウンドは、試料中に 認められるどんな配列に対しても相補的でないプローブ(例えば、反対の鎖の核 酸に対する、あるいは試料がほ乳類の核酸である場合は、細菌の遺伝子のような 試料中に認められない遺伝子に対する、プローブ)とハイブリッド形成すること により生じる、平均ハイブリッド形成シグナル強度として算出し得る。バックグ ラウンドは、アレイのうちプローブが全くない領域によって生じる平均シグナル 強度としても算出し得る。シス作用性: “シス作用性”という用語は、本明細書中では、目的とする遺伝子 と同じDNA分子内のDNAサブ配列による、遺伝子発現の制御のことを言うのに用い る。シス作用性は、トランス作用性の転写因子の結合により、あるいは長期の調 節のいずれかによって発揮され得る。複雑性: “複雑性”という用語は、本明細書中ではBritten et al.Methods of Enzymol.29:363(1974)によって確立された通りの、この用語の標準的な意味に したがって用いる。核酸の複雑性のさらなる説明については、Cantor and Schim mel Biophysical Chemistry:Part IIIの1228-1230も参照のこと。に対して特異的にハイブリッド形成する: “に対して特異的にハイブリッド形成 する”という句は、その配列が複雑な混合物中の(例えば、全細胞の)DNAまた はRNA内に存在する場合に、厳しい条件下で大体はあるいは唯一、特定のヌクレ オチド配列または複数の配列に対して、ある分子が結合、重複、またはハイブリ ッド形成することを言う。イントロン: 隣接するコーディング領域を隔てる非コーディングDNA配列。遺伝 子転写の間、イントロンは、エクソンのようにRNAに転写されるが、その後RNAス プライシングによって除かれる。大規模な同時スクリーニング: “大規模な同時スクリーニング”という句は、少 なくとも約100、好ましくは約1000、より好ましくは約10000、そして最も好まし くは約1000000の異なる核酸ハイブリッド形成の、同時スクリーニングのことを 言う。不一致対照: “不一致対照”または“不一致プローブ”という用語は、その配列 が特定の目的配列に対して完全には相補的でないように意図的に選ばれたプロー ブのことを言う。高密度アレイにおける各不一致(MM)対照について、典型的に は、同じ特定の目的配列に対して完全に相補的である、対応する完全一致(PM) プローブが存在する。不一致には、ひとつあるいはそれ以上の塩基が含まれ得る 。不一致は不一致プローブ内のあらゆる場所に位置し得るが、末端の不一致は目 的配列のハイブリッド形成をそれほど妨げないようなので、末端の不一致はあま り望ましくない。特に好ましい一態様においては、不一致は、不一致が試験ハイ ブリッド形成条件下で目的配列との重複体を不安定にしそうであるように、プロ ーブの中央かあるいはその近くに位置する。mRNA または転写産物: “mRNA”という用語は、遺伝子の転写産物のことを言う。 転写産物は、例えば、翻訳の用意ができている成熟メッセンジャーRNA、転写プ ロセシングの様々な段階の産物を含むRNAである。転写プロセシングには、スプ ライシング、編集および分解が含まれ得る。核酸: “核酸”または“核酸分子”という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれ かの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーのことを 言い、他の点では制限されていないならば、天然に存在するヌクレオチドと同様 に機能し得る、天然のヌクレオチドの類似体を包含するだろう。オリゴヌクレオ チドは、2からn塩基の一本鎖核酸であり、nは500から1000よりも大きい可能性 がある。核酸は、この技術分野で知られているあらゆる手法を用いてクローン化 または合成し得る。それらは、ハイブリッド形成を改善するように修飾されたも のやペプチド核酸のような、天然には存在しないヌクレオチド類似体も含み得る 。 制御分子をコードする核酸:制御分子はDNA、RNAまたはタンパク質であり得る。 したがって、例えば、タンパク質または他の核酸分子に結合するDNA部位は、核 酸にコードされる制御分子の種類に含まれる。完全一致プローブ: “完全一致プローブ”という用語は、特定の目的配列に対し て完全に相補的な配列を有するプローブのことを言う。試験プローブは、典型的 には目的配列の一部分(サブ配列)に対して完全に相補的である。完全一致(PM )プローブは、“試験プローブ”、“標準化対照”プローブ、発現量対照プロー ブおよび類似のものであり得る。しかし、完全一致対照または完全一致プローブ は、“不一致対照”または“不一致プローブ”とは区別される。プローブ: 本明細書中で使用する場合には、“プローブ”とは、通常は水素結合 形成による、通常は相補的な塩基対形成を介した、ひとつあるいはそれ以上の種 類の化学結合によって相補的な配列をもった目的核酸に結合することができる、 核酸として定義される。本明細書中で使用する場合には、プローブは、天然の( すなわち、A、G,U、C、またはT)あるいは修飾された塩基(7-デアザグアノシ ン、イノシンなど)が含まれ得る。加えて、プローブ内の塩基は、ハイブリッド 形成を妨げない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって結びついている 可能性がある。したがって、プローブは、構成塩基がホスホジエステル結合では なくペプチド結合によって結びついている、ペプチド核酸であり得る。目的とする核酸: “目的とする核酸”という用語は、それに対して特異的にハイ ブリッド形成するようにプローブが設計されているような核酸(しばしば生物試 料に由来する)のことを言う。検出すべきは、目的とする核酸の存在または非存 在のいずれかである、あるいは定量すべきは、目的とする核酸の量である。目的 とする核酸は、目的に対する対応するプローブの核酸配列に相補的な配列を有す る。目的とする核酸という用語は、プローブがそれに対して向けられているよう なより大きな核酸の特異的な配列のこと、あるいはその発現量を検出することが 望ま れるような全配列のこと(例えば、遺伝子またはmRNA)を言い得る。使用法の違 いは、文脈から明らかになるだろう。トランス作用性: “トランス作用性”という用語は、遠く離れた位置にある遺伝 子によってコードされる産物による、通常はシスエレメントに結合する結果とし ての、遺伝子発現の制御のことを言う。厳しい条件: “厳しい条件”という用語は、プローブがその目的配列とハイブリ ッド形成するが、他の配列とは不十分にハイブリッド形成するのみであるか、あ るいは違いを同定し得るように他の配列とハイブリッド形成するような条件のこ とを言う。厳しい条件は配列に依存し、異なる環境では異なるだろう。より長い 配列は、より高い温度で特異的にハイブリッド形成する。一般的に、厳しい条件 は、限定されたイオン強度およびpHにおいて、特異的な配列の熱溶融点(Tm)よ りも約5℃低いように選択する。サブ配列: “サブ配列”とは、より長い核酸の配列の一部分を含む、核酸の配列 のことを言う。熱溶融点(Tm): Tmとは、限定されたイオン強度、pH、および核酸濃度のもとで 、平衡状態で、目的配列に相補的なプローブの50%が目的配列とハイブリッド形 成するような温度のことである。目的配列は一般的には過剰に存在するため、Tm では、平衡状態でプローブの50%が占有されている。典型的には、厳しい条件は 、pH7.0から8.3で塩濃度が少なくとも約0.01から1.0M Naイオン濃度(または他 の塩)であるような条件であり、その温度は、短いプローブ(例えば、10から50 ヌクレオチド)については少なくとも約30℃である。厳しい条件は、ホルムアミ ドのような不安定化剤の添加によっても達成し得る。定量: ある遺伝子の転写量を定量する状況において使用する場合は、“定量”と いう用語は、絶対的なあるいは相対的な定量のことを言い得る。絶対的な定量は 、 既知の濃度の、ひとつまたはそれ以上の目的とする核酸(例えば、Bio Bといっ た対照核酸あるいは、既知の量の目的とする核酸そのもの)を含め、そして、既 知の目的とする核酸によって(例えば、標準曲線を作ることにより)未知のもの のハイブリッド形成強度を参照することにより達成し得る。あるいは、相対的な 定量は、2つあるいはそれ以上の遺伝子間で、またはハイブリッド形成強度の変 化および暗に転写量を定量するための2つまたはそれ以上の処理間で、ハイブリ ッド形成シグナルを比較することにより達成し得る。配列一致性: “配列一致性のパーセント”または“配列一致性”は、2つの最適 に対応させた配列またはサブ配列を、比較領域または範囲にわたって比較するこ とによって決定され、その場合、比較領域内のポリヌクレオチド配列の部分は2 つの配列の最適な対応付けのための参照配列(付加または欠失を含まない)と比 較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を任意に含み得る。一致するサ ブユニット(例えば、核酸塩基またはアミノ酸残基)が両方の配列内に現れる位 置の数を求めて一致する位置の数を得て、比較の領域内の位置の総数で一致する 位置の数を割り、その結果に100をかけることによってパーセントを算出し、配 列一致性のパーセントを得る。プログラムGAPまたはBESTFIT(以下を参照)を用 いて算出する場合は、パーセント配列一致性は欠如ギャップの比重を用いて算出 する。 比較のための配列の対応付け方法は、この技術分野では十分に知られている。 比較のための配列の最適な対応付けは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:4 82(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch J.Mol.B iol.48:443(1970)の相同性対応付けアルゴリズムによって、Pearson and Lipma n,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索の方法によって、 これらのアルゴリズム(Intelligenetics,Moutain View,CaliforniaによるPC/ Geneプログラム内のCLUSTAL、Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCC),575 Science Dr.,Madison,Wisconsin,USA内のGAP、BE STFIT、FASTA、およびTFASTAを含むがこれらに限定はされない)のコンピュータ ー化した方法によって、あるいは点検によって処理し得る。特に、 CLUSTALプログラムを用いて配列を対応付ける方法は、HigginsおよびSharpによ りGene,73:237-244(1988)およびCABIOS 5:151-153(1989)に十分に記載されてい る。 上流または下流遺伝子:第一の遺伝子の発現が第二の遺伝子によって制御されて いる場合、第二の遺伝子を第一の遺伝子に対する“上流遺伝子”と呼び、第一の 遺伝子は第二の遺伝子の“下流”遺伝子である。第二の遺伝子による第一の遺伝 子の制御は、トランス活性化を介し得る。例えば、第二の遺伝子の発現を調節す る転写因子を、第一の遺伝子がコードする。制御はシス作用性によっても発揮さ れ得る。例えば、第一の遺伝子が第二の遺伝子の付近にあって、第二の遺伝子の 発現に対して前後関係に依存した影響を発揮する。この場合は、第一の遺伝子は 、第二の遺伝子に対して影響を及ぼすために発現していなくてもよい。 II.遺伝子ネットワーク地図作成および遺伝子機能同定のための遺伝子発現モニ タリングの利用 本発明は、遺伝子ネットワークに指令を送るための、および特定の遺伝子に関 する正常および異常な機能を研究するための、方法、組成物および装置を提供す る。その方法は、多数の遺伝子の発現量を定量することを含む。いくつかの好ま しい態様においては、多数の遺伝子、好ましくは10以上の、より好ましくは100 以上の、そして最も好ましくは1000以上の遺伝子の発現量を検出するために、高 密度オリゴヌクレオチドアレイを用い、目的とする核酸試料とハイブリッド形成 させる。 本発明の方法に従い、遺伝子ネットワークの多くの状態を表すために様々な核 酸試料を調製する。それらの試料の発現量を比較することにより、遺伝子間の制 御関係を、一定の統計的な信頼性を持って決定し得る。発現データに基づき、絶 えず変化する地図を作成し得る。 そのような遺伝子ネットワーク地図は、薬剤発見に極めて有用である。例えば 、ある目的の遺伝子が特定の疾患と関連していると分かった場合、そのような遺 伝 子ネットワーク地図を用いて可能性のある上流制御遺伝子のリストを見つけ得る 。それから、薬剤標的として、可能性のある上流遺伝子に研究努力を注ぎ得る。 同様に、ある遺伝子変異がある疾患の原因となる場合、疾患の病因に関係のある 遺伝子および無関係の遺伝子の両方に影響し得る。その関連を調査して病因遺伝 子を見つけだし得る。そのような態様においては、疾患状態と多数の遺伝子の発 現との間の関連が決定され、疾患組織において発現が変化している遺伝子が同定 される。その変化した遺伝子を制御する上流遺伝子は、機能的に変化しているか あるいは変異している可能性のあるものとして示される。 一般的に、ひとたびある目的遺伝子の下流の制御遺伝子が同定されたなら、遺 伝子制御の関係を調査して、可能性のある変異を検出し得る。本発明の一態様に おいては、正に制御されるいくつかの下流遺伝子の発現を、高密度オリゴヌクレ オチドアレイを用いてモニターする。それらの正に制御される遺伝子の発現の減 少は、目的遺伝子に機能不全があり得ることを示す。そのような機能不全は、目 的遺伝子内に変異が存在し得ることを示し得る。それから、タイリング法のよう な他の変異検出方法を用い、変異の性質を確かめ、検出することができる。各遺 伝子の組みは目的遺伝子によって制御されているような、多数のそのような正に 制御される下流遺伝子の組みを同時にモニターし得る。この多数の遺伝子におけ る変異の同時検出は、先行技術の方法を越える主な改良点のひとつである。負に 制御される下流遺伝子も同様に用い得るということを、当業者は理解するだろう 。 同様に、いくつかの態様においては、多数の遺伝子をモニタリングすることに より、特定の遺伝子の制御機能を同定し得る。特に好ましい一態様においては、 目的の遺伝子の発現を、アンチセンスオリゴヌクレオチドを利用することによっ て抑制する。多数の遺伝子の発現をモニターし、発現パターンを提供する。それ から、目的の遺伝子の発現を回復させ、多数の遺伝子の発現を同様にモニターし てもうひとつの発現パターンを提供する。この発現パターンを比較することによ り、目的の遺伝子の制御機能を推理し得る。 III. 遺伝子発現制御の検出 ある遺伝子の活性は、その産物、すなわちその遺伝子によってコードされるタ ンパク質または他の分子の活性に反映される。それらの産物分子は生物機能を果 たす。しかし、ある遺伝子産物の活性を直接測定することは、特定の遺伝子に関 してはしばしば困難である。それよりも、最終産物あるいはそのペプチドプロセ シング中間体の免疫学的な活性あるいは量を、遺伝子活性の測定値として求める 。より頻繁には、転写産物、RNAプロセシング中間体、あるいは成熟したmRNAな どの中間体の量または活性を、遺伝子活性の測定値として検出する。 多くの場合、ある遺伝子の最終産物の形態および機能は未知である。そのよう な場合、遺伝子の活性は、転写産物、RNAプロセシング中間体、成熟したmRNAあ るいはそのタンパク質産物の量または活性、あるいはそのタンパク質産物の機能 的な活性によって、都合よく測定される。 遺伝子の活性を測定するあらゆる方法が、本発明の少なくともいくつかの態様 に関しては有用である。例えば、古典的なノーザンブロッティングおよびハイブ リッド形成、ヌクレアーゼプロテクション、RT-PCRおよびディファレンシャルデ ィスプレイが、遺伝子活性を検出するのに用いられてきた。それらの方法は、本 発明のいくつかの態様に関しては有用である。しかし、本発明は多数の遺伝子の 発現を検出する方法と関連する場合に最も有用である。 転写、RNAプロセシングおよび分解の量における発現調節をモニタリングする のに、高密度アレイが特に有用である。遺伝子発現モニタリングに高密度アレイ を作製して適用することは、以前に、例えばWO 97/10365、WO 92/10588、1996年 12月23日提出のアメリカ合衆国出願通し番号08/772,376;1995年9月15日提出の 通し番号08/529,115;1993年12月15日提出の通し番号08/168,904;1990年12月6日 提出の通し番号07/624,l14;1990年6月7日提出の通し番号07/362,901中に開示 されており、それらすべては本明細書中であらゆる目的で参考文献として援用さ れている。高密度アレイを用いるいくつかの態様においては、本明細書中であら ゆる目的で参考文献として援用している、アメリカ合衆国特許番号5,445,934に 開示のVery Large Scale Immobilized Polymer Synthesis(VLSIPS)などの方法 を用いて、高密度オリゴヌクレオチドアレイを合成する。各オリゴヌクレオチド は基質上の既知の位置を占める。目的とする核酸試料をオ リゴヌクレオチドの高密度アレイとハイブリッド形成させ、それからアレイ中で 各プローブとハイブリッド形成した目的核酸の量を定量する。好ましい一定量方 Santa Clara,CA)は、ハイブリッド形成を定量するのに特に適しているが、あら ゆるシステムあるいは他の効果的に同等の検出方法も用い得るということは、当 業者には明らかであろう。 高密度アレイは、大部分の異種の核酸の存在下、遺伝子の発現量の小さな変化 を定量するのに適している。そのような高密度アレイは、基質上でのde novo合 成によってか、あるいは核酸配列を基質の特定の位置にスポットするまたは移す ことによってのいずれかにより作製し得る。目的の配列のクローン化された区分 を含む細菌プラスミドなどの生物材料から、核酸を精製し、かつ/または単離す る。適した核酸は、鋳型の増幅によっても作製する。限定しない例として、ポリ メラーゼ連鎖反応、および/またはin vitro転写が適切な核酸増幅方法である。 合成オリゴヌクレオチドアレイは、本発明に特に好ましい。オリゴヌクレオチ ドアレイには、他の方法とは対照的に、産生の効率、アレイ内およびアレイ外の 変動の減少、情報容量の増加および高いシグナル対ノイズ比などの多数の利点が ある。 遺伝子機能同定および遺伝子ネットワーク地図作成に関して好ましい高密度ア レイには、好ましくは1cm2以下の表面積に、約100以上、好ましくは約1000以上 、より好ましくは約16,000以上、そして最も好ましくは65,000または250,000以 上の、あるいは約1,000,000以上の異なるオリゴヌクレオチドプローブが含まれ る。オリゴヌクレオチドプローブは、長さが約5から約50または約500のヌクレ オチド、より好ましくは約10から約40のヌクレオチド、そして最も好ましくは約 15から約40のヌクレオチドの範囲に及ぶ。 遺伝子ネットワークに指令を送るためには転写の調節を測定するのが望ましい ということを、当業者は認めるだろう。ある生物体の全ての細胞核は一般的には 同じ遺伝子を持つため、異なる種類の細胞におけるタンパク質産物の違いは、一 般的には選択的な遺伝子発現の結果である。最初の制御レベルは、転写レベルで ある、すなわちある遺伝子がRNAポリメラーゼによって、発生しようとしている プレmRNAに転写される頻度を変えることによるということは、この技術分野では 十分に知られている。転写はmRNAプールのインプットを構成するため、転写制御 は遺伝子発現の調節において最も重要な段階のひとつである。転写制御は様々な 方法によって達成し得るということは、この技術分野では一般的に知られている 。限定しない例として、転写はa)シス作用性の転写調節配列および転写因子;b) 単一の転写単位に由来する異なる遺伝子産物およびc)後成的な機構;およびd)ク ロマチン構造による遺伝子発現の長期調節によって調節され得る。本発明は、こ れらの調節レベルのすべてにおける個々の遺伝子の転写制御を検出する方法を提 供する。 a) シス作用性転写調節配列、転写因子および転写速度測定 転写調節のひとつは、シス作用性転写調節配列への転写因子の結合による。ヒ トの遺伝子は、しばしばいくつかのシス作用性配列を用いている。プロモーター は、通常は転写開始部位のすぐ上流(しばしば200bp以内)に位置するシス作用 性エレメントの一種類である。プロモーター(TATAボックス、CCAATボックス、G Cボックスなど)は、しばしば遍在する転写因子によって認識される。加えて、 プロモーターは、組織特異的な転写因子の結合により組織特異的な発現の調節に 関わり得る。シス作用性エレメントのもう一つの種類は、応答エレメント(RE) である。それらのエレメントは典型的には、その発現が増殖因子、ホルモン、お よび二次メッセンジャーなどのシグナリング分子の存在に応答するような遺伝子 に見出される。そのようなエレメントには、cAMP RE、レチノイン酸RE、増殖因 子RE、糖質コルチコイドREが含まれるが、これらに限定はされない。エンハンサ ーおよびリプレッサーもまた、シス作用性エレメントのもう一つの種類である。 それらのエレメントには、転写に対する正または負の効果があり、それらの機能 は一般的には遺伝子におけるその方向とは無関係である。 転写因子は、シス作用性転写エレメントを認識し、結合するタンパク質である 。常にではないがしばしば、それらの因子には2つのドメイン、すなわちDNA結 合ドメインおよび活性化ドメインが含まれる。DNA結合ドメインは、典型的には ロイシンジッパーモチーフ、ヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフ、ヘリック ス-ターン-ヘリックスモチーフ、および/または亜鉛フィンガーモチーフを含む 。転 写因子は、それら自体の遺伝子によってコードされている。したがって、転写因 子の発現量は他の遺伝子の発現に影響し得る。それらのトランス作用性因子は遺 伝子ネットワークの絶対必要な部分である。本発明のいくつかの態様においては 、高密度アレイの利用により転写因子の発現をモニターする。他のいくつかの態 様においては、2次元ゲル電気泳動、質量分析器または免疫学的手法の利用によ り、転写因子の発現をタンパク質レベルでモニターする。 いくつかの好ましい態様においては、核ラン-オンアッセイなど、転写速度の 直接の測定を用いる。そのような態様においては、核を目的の細胞から単離する 。単離した核を、標識したヌクレオチドとある期間インキュベートする。それか ら、転写産物をプローブとハイブリッド形成させる。いくつかの好ましい態様に おいては、高密度核酸アレイを用いて転写産物を定量する。 b) 単一の転写単位に由来する異なる遺伝子産物 転写単位は、RNAに転写されるDNAの連続した区分である。例えば、細菌はいく つかの連続した遺伝子を連続的に転写して多シストロン性のmRNAを作り得る。連 続した遺伝子は同じ転写単位に由来する。より高等な生物体もいくつかの機構を 用いて単一の転写単位から様々な異なる遺伝子産物を作るということは、この技 術分野では十分に知られている。 多くの遺伝子はいくつかの選択的なプロモーターを持ち、各プロモーターを使 用すると特定のひとつの転写産物が得られることが知られている。選択的なプロ モーターの利用は、しばしば組織特異的な遺伝子発現を制御するのに用いられる 。例えば、ヒトジストロフィン遺伝子は少なくとも7つのプロモーターを持つ。 もっとも5'上流のプロモーターは脳特異的な転写産物を転写するのに用いられ、 最初のプロモーターから100kb下流のプロモーターは筋特異的な転写産物の転写 に用いられ、二番目のプロモーターから100kb下流のプロモーターはプルキン工 細胞特異的な転写産物の転写に用いられる。選択的なプロモーターの利用は、遺 伝子ネットワーク調節機構の一部である。本発明のいくつかの態様においては、 選択的なプロモーターの利用をモニターし、地図作成して遺伝子間の制御関係を 解明し得る。好ましい一態様においては、高密度オリゴヌクレオチドアレイを用 いて、各選択的なプロモーターから得られる転写産物の量を測定することにより 、 特定のプロモーターの使用をモニターする。そのような態様においては、プロー ブは、選択的に用いられるエクソンのそれぞれに特異的であるように設計する。 プローブ設計の柔軟性のために、高密度オリゴヌクレオチドアレイはこの目的に 関して特に有用である。しかし、DNAアレイ、RT-PCR、ディファレンシャルディ スプレイ、光学的オリゴヌクレオチドセンサーなどの他の方法もプロモーターの 選択的な使用をモニターするのに用い得るということを、当業者は認めるであろ う。 同様に、選択的スプライシングおよびポリアデニル化も、しばしば組織特異的 に遺伝子活性を制御するための重要な機構である。真核生物においては、発生し ようとしているプレmRNAは一般的にタンパク質に翻訳されない。むしろ、いくつ かの経路を経て成熟mRNAを生じる。RNAスプライシングは、もっとも一般的なRNA プロセシングの方法である。発生しようとしているプレmRNAは、スプライソソー ムと呼ばれる専門の装置によって切断され、貼られる。イントロン領域から転写 されたいくつかの非コーディング領域は、切り取られる。エクソンが結合されて 、翻訳の用意がととのった連続したコーディング領域を形成する。いくつかのス プライシング反応においては、一種類の発生しつつあるプレmRNAを用いて、異な るタンパク質をコードする異なる成熟mRNAを形成するのにエクソンが選択的に用 いられる、選択的スプライシングと呼ばれる過程によって、複数の種類の成熟RN Aを生じる。例えば、ヒトカルヒトニン遺伝子(CALC)は、甲状腺ではカルシト ニン、循環Ca2+恒常性ホルモンとして;視床下部ではカルシトニン遺伝子関連ペ プチド(CGRP)、神経制御および栄養因子としてスプライスされる(Hodges and Be rnstein,1994,Adv.Genet.,31,207-281参照)。遺伝子産物のこの多様性は、 選択的スプライシングと選択的アデニル化の組み合わせによって達成される。選 択的スプライシングおよびアデニル化の制御は、遺伝子ネットワークの一部であ る。本発明のいくつかの態様においては、選択的スプライシングをモニターする 。選択的スプライシングおよびアデニル化を検出するのに多くの方法が適してい る。設計の柔軟性のために、高密度オリゴヌクレオチドアレイはこの目的に関し て特に有用である。特異的な配列の多様性に対するオリゴヌクレオチドプローブ は容易に合成でき、選択的スプライシングおよびアデニル化によって作られる各 配列 の量を検出するのに用いられ得る。 RNA編集は転写後プロセシングのもう一つの形態である。例えば、ウィルム腫 瘍感受性遣伝子(WTI)、アポリポタンパク質(APOB)遺伝子、およびグルタミン 酸受容体遺伝子などの特定の遺伝子は、C->UまたはU->C置換編集事象をうける(S cott,1995,Cell,81,833-836を参照)。肝臓においては、ヒトAPOB遺伝子は45 36アミノ酸の産物をコードする。しかし、腸では同じ遺伝子が2152アミノ酸の産 物をコードする。小さな産物はRNA編集の間の終始コドン付加のためである。高 密度オリゴヌクレオチドアレイは、RNA編集事象を検出するのに特に適している 。一塩基の不一致を容易に同定できるため、あり得るRNA編集産物のそれぞれに 対するオリゴヌクレオチドプローブをひとつの基質上に組み立て、特異的なハイ ブリッド形成によりそれらの産物の量を検出する。 c) 遺伝子発現の後成的な機構および長期調節 母親あるいは父親のいずれから遺伝したかによらずに大多数の遺伝子は発現し ているとしても、いくつかの常染色体遺伝子の発現はその起源に影響される。例 えば、インスリン様増殖因子-II遺伝子では両親の対立遺伝子が発現しているが 、H-19癌抑制RNAでは母系の対立遺伝子が発現している。この現象はゲノム刷り 込みと呼ばれている。本発明のいくつかの態様においては、特定の配列の転写産 物の量を測定することにより、ゲノム刷り込みをモニターし得る。 遺伝子発現の長期調節は、ある遺伝子に発現の際に別の遺伝子と相互作用する さらなる手段を提供する。エンハンサーまたはサイレンサーに関する競合、位置 効果、クロマチンドメインおよびX不活性化が、DNAのある領域またはそれ自体を 発現することなく他の遺伝子の発現に調節を発揮する遺伝子に関する機構である 。遺伝子発現の長期調節は、相関する遺伝子発現データの解析をますます複雑に し得る。例えば、特定の遺伝子の発現は、共通の遺伝子の発現産物の調節下にあ るからではなく、それらが近接しているために相関し得る。遺伝子の位置に関す る知識は、そのようなデータを解析するのに有用である。いくつかの態様におい ては、隠れた変異(すなわち、発現モニタリングを用いることによっては測定で きない変異)を導入し、データ解析において長期調節を表し得る。長期調節効果 は、一貫した位置効果、すなわち遺伝子の発現と近接の間の相関関係によって 推測し得る。遺伝子発現の長期調節の直接的な測定は、遺伝子発現モニタリング とそのような調節を同定する伝統的な方法を組み合わせることにより実行し得る 。伝統的な方法は、例えば、本明細書中であらゆる目的で参考文献として援用し ているStrachan and Read,Human Molecular Genetics,1996に記載されている 。 本発明は、遺伝子間の制御関係に基づいている。遺伝子発現は転写、RNAプロ セシング、RNA分解、翻訳、およびタンパク質プロセシングレベルで制御されて いるということは、この技術分野では十分に知られている。本発明の特に好まし いいくつかの態様においては、モニター発現は転写、RNAプロセシングおよび分 解レベルで調節される。それらの態様を、本発明の方法を例証するために詳細に 説明する。翻訳およびタンパク質プロセシングをモニタリングすることを本発明 に関して同様に使用し得るということは、当業者には明らかであろう。いくつか の態様においては、抗体を用いて、ウエスタンブロッティングおよび免疫細胞化 学などの手順を用いてタンパク質産物の量を検出する。他の免疫学的な方法も用 い得る。伝統的なポリクローン性またはモノクローン性抗体が有用である。例え ば本明細書中であらゆる目的で参考文献として援用しているStrachan and Read ,Human Molecular Genetics,1996に記載のファージディスプレイ法といった遺 伝子工学的な手法が、多数の遺伝子の発現をモニタリングするための多数の抗体 を得るのに、いくつかの態様において特に好ましい。 IV.大量平行遺伝子発現モニタリング 大量平行遺伝子発現モニタリングのための一つの好適な方法は高密度核酸アレ イに基づいている。遺伝子発現をモニタリングするための核酸アレイ法はPCT出 願WO092/10588(1992年6月25日に公開、本明細書において援用される)に開示お よび詳しく議論されている。 一般的に、遺伝子発現をモニタリングするこれらの方法は(a)一つまたはそ れ以上の標的遺伝子のRNA転写産物またはRNA転写産物から誘導された核酸から成 る標的核酸のプールを供給し;(b)核酸試料をプローブの高密度アレイへハイブ リダイズさせ、および(c)ハイブリダイズした核酸を検出し、および相対お よび/または絶対発現(転写、RNAプロセシングまたは分解)レベルを計算する ことを含んでいる。 (A)核酸試料の供給 当業者には、問題とする転写産物を反映する標的核酸配列を含む核酸試料を所 有することが望ましいことが認識されるであろう。それ故、適した核酸試料は問 題とする転写産物を含んでいるであろう。しかしながら、適した核酸試料は問題 とする転写産物から誘導された核酸を含んでいるであろう。本明細書で使用され る場合、転写産物から誘導された核酸とは、その合成にmRNA転写産物またはそれ らの副配列が最終的に鋳型として働いた核酸を意味している。従って、転写産物 から逆転写されたcDNA、そのcDNAから転写されたRNA、cDNAから増幅されたDNA、 増幅されたDNAから転写されたRNAなどはすべて転写産物から誘導されており、そ のような誘導産物の検出は試料中に本来の転写産物が存在するおよび/または豊 富である指標である。従って、適した試料には遺伝子の転写産物、転写産物から 逆転写されたcDNA、cDNAから転写されたRNA、遺伝子から増幅されたDNA、増幅さ れたDNAから転写されたRNAなどが含まれるが、それらに制限されるわけではない 。本明細書で使用される場合、転写産物はmRNA前駆体新生転写産物、転写産物プ ロセシング中間体、成熟mRNAおよび分解産物を含んでいるであろうが、それらに 制限されるわけではない。本発明を実施するためにすべての型の転写産物をモニ ターする必要はない。例えば、本発明を実施するために成熟mRNAレベルのみを測 定することを選択してもよい。 一つの態様において、そのような試料は細胞または組織のホモジネートまたは 他の生物学的試料である。好適には、そのような試料は生物学的試料の全RNA調 製試料である。いくつかの態様においてより好適には、そのような核酸試料は生 物学的試料から単離された全RNAである。当業者は、ほとんどの方法で調製され た全RNAは成熟mRNAのみでなく、RNAプロセシング中間体および新生mRNA転写産物 前駆体も含んでいることを理解するであろう。例えば、ポリ(dT)カラムで精製 された全mRNAはポリ(A)尾部を持つRNA分子を含んでいる。これらのポリA+RNA 分子は成熟RNA、RNAプロセシング中間体、新生転写産物または分解産物 であり得るであろう。 生物学的試料とは任意の生物学的組織または体液または任意の生物体からの細 胞であろう。しばしば試料は患者からの試料である”臨床試料”であろう。臨床 試料は遺伝子ネットワークまたは遺伝子発現の種々の段階に関する豊富な情報源 を提供する。本発明のいくつかの実施態様は突然変異を検出するためおよび突然 変異の表現型を同定するために用いられている。そのような実施態様は臨床診断 および臨床研究に広範囲に応用できる。典型的な臨床試料としては痰、血液、血 球細胞(例えば、白血球)、組織または細針生検試料、尿、腹水、および胸水また はそれからの細胞が含まれるが、それらに制限されるわけではない。生物学的試 料にはまた組織学的目的のために採られた凍結切片またはホルマリン固定切片の ような組織切片も含まれるであろう。 生物学的試料の別の典型的な起源は、遺伝子間の関係を探究するために遺伝子 発現状態が操作できる細胞培養物である。本発明の一つの態様において、広範囲 な遺伝子ネットワークの状態を反映している生物学的試料を発生させる方法が提 供される。 当業者はホモジネートがハイブリダイゼーションに使用される前にホモジネー ト中に存在しているRNaseを阻害または破壊することが望ましいことを認識する であろう。ヌクレアーゼを阻害または破壊する方法は本分野ではよく知られてい る。いくつかの好適な態様において、細胞または組織はヌクレアーゼを阻害する ためにカオトロピック剤の存在下でホモジネートされる。いくつかの別の態様に おいて、RNaseは熱処理に続くプロテイナーゼ処理により阻害または破壊される 。 全mRNAを単離する方法は当業者にはよく知られている。例えば、核酸を単離お よび精製する方法は、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridazation With Nucleic Acid Probes,Part 1.Theory and Nucle ic Acid Preparation,P.Tijssen,ed.Elsevier,N.Y.(1993)の第3章および Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridazatio n With Nucleic Acid Probes,Part 1.Theory and Nucleic Acid Preparation ,P.Tijssen,ed.Elsevier,N.Y.(1993)の第3章に詳しく記載されている。 好適な態様において、全RNAは与えられた試料から、例えば、酸グアニジウム −フェノール−クロロホルム抽出法を用いて単離され、およびポリA+mRNAはオ リゴ(dT)カラムクロマトグラフィーまたは磁気ビーズ上の(dT)を用いて単離 される(例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd ed.),Vols.1-3,Cold Spring Harbor Laboratory,(1989)、またはCurrent Pro tocols in Molecular Biology F.Ausubel et al.ed.Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York(1987)を参照されたい)。 しばしばハイブリダイゼーションに先だって核酸試料を増幅することが望まれ る。当業者は、定量的結果を望むならばどのような増幅法が使用されたとしても 、定量的増幅を達成するため、増幅された核酸の相対的頻度を維持または制御す ることに方法の使用における注意を払わなければならない。 ”定量的”増幅の方法は当業者にはよく知られている。例えば、定量的PCR には同一のプライマーを用いる対照配列の既知量の同時共増幅が含まれる。高密 度アレイは、増幅された核酸定量のための内部標準に特異的なプローブを含んで いるであろう。 一つの好適な内部標準は合成AW106 cRNAである。AW106 cRNAは当業者には既知 の標準技術に従って試料から単離されたRNAと混合される。RNAは次に逆転写酵素 を用いて逆転写され、コピーDNAが得られる。cDNA配列は標識プライマーを用い て増幅される(例えば、PCRにより)。増幅生成物は典型的には電気泳動により分 離され、放射活性の量(増幅された生成物の量に比例している)が決定される。 試料中のmRNA量は既知のAW106RNA標準により生成されたシグナルと比較すること により計算される。定量的PCRのための詳細なプロトコールはPCR Protocols,A Guide to Methods and Applications,Innis et al.,Academic Press,Inc.N. Y.,(1990)に記載されている。 他の適した増幅法にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Innis,et al.,PCR Pro tocols.Aguide to Methods and Application.Academic Press,Inc.San Dieg o,(1990))、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu and Wallace,Genomics,4:560(198 9)、Landegren,et al.,Science,241:1077(1988)およびBarringer,et al.,G ene,89:117(1990)、転写増幅(Kwoh,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86 :1173(1989))、および自己保持配列複製(Guatelli,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.U SA, 87:1874(1990))が含まれるが、これらに制限されるわけではない。 細胞溶解液または組織ホモジネートはポリメラーゼ活性の多数の阻害剤をしば しば含んでいる。従って、RT-PCRには増幅鋳型として続いて使用するために全RN AまたはmRNAを単離する予備的工程が典型的には含まれている。一試験管mRNA捕 捉法が、同一試験管での即時RT-PCRに適したポリ(A)+RNA試料を調製するため に使用されるであろう(Boehringer Mannheim)。捕捉されたmRNAは、逆転写混合 物および続いてPCR混合物を添加することにより直接RT-PCRを行うことができる 。 特に好適な態様において、試料mRNAは逆転写酵素により逆転写され、オリゴ(d T)から成るプライマーおよびファージT7プロモーターをコードしている配列で一 本鎖DNA鋳型が提供される。第二のDNA鎖はDNAポリメラーゼを用いて重合される 。二本鎖cDNA合成後、T7RNAポリメラーゼが添加され、RNAがcDNA鋳型から転写さ れる。各々の単一cDNA鋳型から転写を連続的に繰り返すことによりRNAが増幅さ れる。インビトロ重合化の方法は当業者にはよく知られており(例えば、Sambroo k、上記文献を参照されたい)、この特別な方法はVan Gelder,et al.,Proc.Nat l.Acad.Sci.USA,87:1663-1667(1990)に詳細に記載されており、この方法に 従ったインビトロ増幅は種々のRNA転写産物の相対的頻度を保っていることが示 されている。さらに、Eberwine et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:3010 -3014は、インビトロ転写を経る二回の増幅を用いて元々の出発物質の106倍より 大きな増幅が達成されるプロトコールを提供しており、それにより生物学的試料 が限られている場合でも発現のモニタリングを可能にしている。 当業者は前記の直接転写法ではアンチセンス(aRNA)プールが提供されること を認識するであろう。アンチセンスRNAが標的核酸として使用される場合、アレ イにおいて提供されるオリゴヌクレオチドプローブはアンチセンス核酸の副配列 に相補的であるように選択される。逆に、標的核酸プールがセンス核酸のプール である場合、オリゴヌクレオチドプローブはセンス核酸の副配列に相補的である ように選択される。最後に、核酸プールが二本鎖である場合、プローブは標的核 酸としてどちらのセンスでもよく、センスおよびアンチセンス鎖の両方が含まれ る。 前記のプロトコールはセンスかまたはアンチセンス核酸のプールを発生させる 方法を含んでいる。実際、一つの方法は、必要に応じ、センスかまたはアンチセ ンス核酸を発生させるために使用できる。例えば、cDNAはT3およびT7プロモータ ーに隣接するようにベクター(例えば、StratageneのBluscript IIKS(+)phagemi d)内へ方向付けてクローン化できる。T3ポリメラーゼによるインビトロ転写は 一つのセンスを生成するであろうし(挿入物の方向付けに依存しているセンス)、 一方、T7ポリメラーゼによるインビトロ転写は反対のセンスを持つRNAを生成す るであろう。他の適したクリーニング系としては、Cre-loxPプラスミドサブクロ ーニングのために設計されたファージラムダベクターが含まれる(例えば、Palaz zolo et al.,Gene,88:25-36(1990)を参照されたい)。 (B)高密度アレイへの核酸のハイブリダイズ 1.プローブ設計 当業者は非常に多数のアレイ設計が本発明の実施に適していることを認識する であろう。高密度アレイは典型的には、問題とする配列へ特異的にハイブリダイ ズする多数のプローブを含んでいる。加えて、好適な態様において、本アレイは 一つまたはそれ以上の対照プローブを含んでいるであろう。 高密度アレイチップは”試験プローブ”を含んでいる。試験プローブとは約5 から約45または5から約500ヌクレオチド、より好適には約10から約40ヌクレオ チド、および最も好適には約15から約40ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオ チドであろう。他の特に好適な態様において、試験プローブは20または25ヌクレ オチドの長さである。別の好適な態様において、試験プローブは二本または一本 鎖DNA配列である。DNA配列は天然の供給源から単離またはクローン化されるか、 または鋳型として天然の核酸を用いて天然の供給源から増幅される。これらのプ ローブは、その発現が検出のために設計された遺伝子の特定の副配列に相補的な 配列を持っている。従って、試験プローブは検出されるべき標的核酸へ特異的に ハイブリダイズできる。 問題とする標的核酸を結合する試験プローブに加え、高密度アレイは多数の対 照プローブを含むことができる。対照プローブは本明細書で1)規格化対照;2 )発現レベル対照;および3)不適正対照と称される三つの範疇に分類される。 規格化対照とは、核酸試料へ加えられた標識参照オリゴヌクレオチドまたは他 の核酸配列に相補的であるオリゴヌクレオチドまたは他の核酸プローブである。 ハイブリダイゼーション後に規格化対照から得られるシグナルは、アレイ間で変 化するハイブリダイゼーション条件、標識強度、”読み取り”効率および他の因 子の変異のための対照を提供する。好適な態様において、アレイ中のすべての他 のプローブから読みとられたシグナル(例えば、蛍光強度)を対照プローブから のシグナル(例えば、蛍光強度)で割ることにより測定値を規格化する。 実質的にはすべてのプローブが規格化対照として働くことができる。しかしな がら、ハイブリダイゼーション効率は塩基組成およびプローブ長で変化すること が認められている。好適な規格化プローブはアレイ中に存在する他のプローブの 平均の長さを反映するように選択される、しかしながら、それらは長さの範囲を カバーするように選択できる。規格化対照はまた、アレイ中の他のプローブの( 平均)塩基組成を反映するように選択されるであろう、しかしながら、好適な態 様においては、ただ一つのまたは少数の規格化プローブが使用され、それらはよ くハイブリダイズするように(即ち、二次構造がない)および標的特異的プロー ブとは適合しないように選択される。 発現レベル対照とは生物学的試料中で構成的に発現される遺伝子と特異的にハ イブリダイズするプローブである。実質的には任意の構成的に発現される遺伝子 が発現レベル対照のために適した標的を提供する。典型的な発現レベル対照プロ ーブは、β−アクチン遺伝子、トランスフェリンレセプター遺伝子、GAPDH遺伝 子などを含む(これらに制限されるわけではない)構成的に発現される”ハウス キーピング遺伝子”の配列に相補的な配列を持っている。 不適正対照がまた、標的遺伝子へのプローブ、発現レベル対照または規格化対 照のために提供されるであろう。不適正対照は一つまたはそれ以上の不適正塩基 の存在を除いてそれらの対応する試験または対照プローブと同一であるオリゴヌ クレオチドプローブまたは他の核酸プローブである。不適正塩基は、プローブが 特異的にハイブリダイズするであろう標的配列中の対応する塩基へ相補的ではな いように選択された塩基である。一つまたはそれ以上の不適正が、適当なハイブ リダイゼーション条件下(例えば、厳密性条件)、試験または対照プローブはその 標的配列とハイブリダイズすることが期待されるが、しかし不適正プローブはハ イブリダイズしないように(または著しく少ない程度でハイブリダイズするよう に)選択される。好適な不適正プローブは中心部不適正を含んでいる。従って、 例えば、、プローブが20merであるならば、対応する不適正プローブは6から14 位の任意の位置の(中心部不適正)単一塩基不適正(例えば、G、CまたはTをAに 置換して)を除いて同一の配列を持っているであろう。 このように不適正プローブは、プローブが方向付けられる標的以外の試料中の 核酸への非特異的結合または交差ハイブリダイゼーションのための対照を提供す る。このように不適正プローブはハイブリダイゼーションが特異的であるかない かを示している。例えば、もし標的が存在しているとしたら、完全一致プローブ は不適正プローブよりも一貫してより強く検出されなければならない。加えて、 もし全中心部不適正が存在するとしたら、不適正プローブは突然変異を検出する ために使用できる。完全一致および不適正プローブ間の強度の相違は(I(PM)-( I(MM))ハイブリダイズした物質濃度の良好な測定尺度を提供する。 高密度アレイにはまた、試料調製/増幅対照プローブが含まれている。これら は、アッセイされている特定の生物学的試料の核酸中には通常は存在していない ように選択された対照遺伝子の副配列に相補的であるプローブである。問題とす る試料が真核生物からの生物学的試料の場合、適した試料調製/増幅対照プロー ブには例えば、細菌遺伝子に対するプローブ(例えば、Bio B)が含まれる。 RNA試料は次に既知量の核酸でスパイクを付け、プロセシング前に試料調製/ 増幅対照プローブを結合させる。試料調製/増幅対照プローブのハイブリダイゼ ーションの定量はプロセシング工程(例えば、PCR、転写、インビトロ転写他) により起こされる豊富な核酸の変化の尺度を提供する。 好適な態様において、高密度アレイにおけるオリゴヌクレオチドプローブは核 酸標的に特異的に結合するように選択され、それに対し利用された特定のハイブ リダイゼーション条件下では最少の非特異的結合または交差ハイブリダイゼーシ ョンで方向付けられる。本発明の高密度アレイは1,000,000を超える異なったプ ローブを含むことができるので、特定の核酸配列へ結合する特徴的な長さのすべ てのプローブを提供することが可能である。従って、例えば、高密度アレイはIL -2 mRNAに相補的なすべての可能な20-mer配列を含むことができる。 しかしながら、それらはIL-2mRNAに独特ではない20-mer副配列として存在して もよい。これらの副配列に方向付けられたプローブは試料ゲノムの他の領域にお けるそれらの相補的配列の存在に交差ハイブリダイズすることが期待される。同 様に、他のプローブは単純にハイブリダイゼーション条件下では有効にはハイブ リダイズしないであろう(例えば、二次構造、または基質または他のプローブと の相互作用のため)。従って、好適な態様において、そのような悪い特異性また はハイブリダイゼーション効率を示すプローブが同定され、高密度アレイそれ自 身(例えば、アレイ製作の間)またはハイブリダイゼーション後のデータ分析に おいて排除されるであろう。 加えて、好適な態様において、発現モニタリングアレイが、数百塩基対長であ る遺伝子の存在および発現(転写)レベルを同定するために使用される。ほとん どの応用に対して、数千から十万遺伝予の存在、不在または発現レベルを同定す ることが有用であろう。好適な態様ではアレイ当たりのオリゴヌクレオチドの数 は制限されるため、その発現が検出されるべき各々の遺伝子に特異的なプローブ の制限された組のみが含まれることが望まれる。 米国特許出願番号第08/772,372号に記載されているように、15、20または25ヌ クレオチドのような短いプローブで遺伝子の副配列へのハイブリダイズに十分で あり、およびほとんどの遺伝子に対し、標的核酸濃度の広い範囲にわたってうま く実施できるプローブの組が存在する。好適な態様においては、高密度アレイを 合成する前に各々の遺伝子に対する好適なまたは”最適な”プローブのサブセッ トを選択するのが望ましい。 2.高密度アレイの形成 最少の合成工程数でオリゴヌクレオチド、ペプチドおよび他のポリマー配列の 高密度アレイを形成する方法は既知である。オリゴヌクレオチド類似体アレイは 光指令化学連結および機械的に指令された連結を含む(これらに制限されるわけ ではない)種々の方法により固体基質上で合成できる。Pirrungら、米国特許第5 ,143,854号(PCT出願第WO90/15070号も)およびFodorら、PCT出願第WO92/10092 号およびWO93/09668号、および、例えば、光指令合成技術を用いてペプチド、オ リゴヌクレオチドおよび他の分子の広範囲なアレイを形成する方法を開示してい る米国特許第07/980,523号を参照されたい。Fodor et al.,Science,251,767- 77(1991)もまた参照されたい。ポリマーアレイ合成のためのこれらの方法は現在 VLSIPSTM法と称されている。VLSIPSTM法を用いて、ポリマーの一つの不均一アレ イが、多数の反応部位での同時結合を経て、異なった不均一アレイへ変換される 。米国特許出願番号第07/796,243および07/980,523号を参照されたい。 上記米国特許第5,143,854号およびPCT特許公開第WO90/15070号および92/10092 号に記載されているようなVLSIPSTM技術の開発はコンビトナトリアル合成および コンビトナトリアルライブラリーのスクリーニングの分野においての先駆的技術 と考えられる。より最近、1993年6月25日に出願された特許出願第08/082,937号 は標的核酸の部分または完全配列を検査または決定、および特異的オリゴヌクレ オチド配列を含む核酸の存在を検出するために使用できるオリゴヌクレオチドプ ローブのアレイを作成する方法を記載している。 簡単に記すと、自動化ホスホロアミダイト化学およびチップマスキング技術を 用い、ガラス表面上でオリゴヌクレオチドアレイの光指令コンビトナトリアル合 成が進行する。一つの特別の実行において、ガラス表面は官能基(例えば、光不 安定性保護基でふさがれたヒドロキシルまたはアミノ基)を含んだシラン試薬で 誘導体化される。選択的に官能基を暴露するために光リソグラフマスクを通した 光分解が使用され、それらは入ってくる5’−光保護ヌクレオシドホスホロアミ ダイトと容易に反応する。ホスホロアミダイトは照射された(および光不安定保 護基の除去により暴露された)部位のみで反応する。従って、ホスホロアミダイ トは前の工程で選択的に暴露された領域でのみ加えられる。これらの工程は、固 体表面上に望まれる配列のアレイが合成されるまで繰り返される。アレイ上の異 なった位置での異なったオリゴヌクレオチド類似体のコンビトナトリアル合成は 、合成間の照射パターンおよび連結試薬添加の順序により決定される。 VLSIPSTM法においてポリアミド主鎖を持つオリゴヌクレオチド類似体が使用さ れる場合、モノマーはリン酸結合を通してお互いに結合しないので、一般的に合 成工程の実施においてホスホロアミダイト化学を用いるのは不適当である。実 際、ペプチド合成法は変えられている。例えば、Pirrungら、米国特許第5,143,8 54号を参照されたい。 ペプチド核酸は例えば、Biosearch,Inc.(Bedford,MA)から商業的に入手 可能であり、それはポリアミド主鎖および天然に存在するヌクレオシドに観察さ れる塩基を含んでいる。ペプチド核酸は高い特異性で核酸を結合でき、本開示の 目的のための”オリゴヌクレオチド類似体”と考えられる。 上記のものに加え、単一基質上にオリゴヌクレオチドのアレイを発生させるた めに使用できる追加の方法が、同時係属中の出願第07/980,523号(1992年11月20 日に出願)および第07/796,243号(1992年11月22日に出願)およびPCT公開第WO9 3/09668号に記載されている。これらの出願に開示されている方法において、試 薬は基質へ(1)前もって限定されている領域上の限定された溝内を流すまたは (2)前もって限定されている領域上に”スポッティング”または(3)光レジ ストを使用することにより送達される。しかしながら、他の方法ならびにスポッ ティングおよび流すことの組み合わせを用いてもよい。各々の例において、モノ マー溶液が種々の反応部位へ送達される場合、基質のある種の活性化領域は機械 的に他の領域から分離される。 本発明の化合物およびライブラリーに応用される典型的な”流入溝”法は一般 的に以下のように説明できる。適当な試薬が流れるまたは適当な試薬が置かれる 基質表面上の流入溝を形成することにより基質または固体支持体の選択された領 域で多様なポリマー配列が合成される。例えば、モノマー”A”が選択された領 域の第一の群で基質に結合されるべきとする。必要に応じ、例えば、溝のすべて またはいくつかに適当な試薬を流すことにより、または適当な試薬で全基質を洗 浄することにより、選択された領域のすべてまたは一部中の基質表面のすべてま たは一部が結合のために活性化される。基質表面上に溝ブロックを置いた後、モ ノマー”A”を含む試薬を流すまたは溝のすべてまたは一部に置く。溝は第一の 選択された領域で液体と接触し、それにより第一の選択された領域で直接的また は間接的(スペーサーを通して)に基質上にモノマーAを結合する。 その後、モノマーBを第二の選択された領域(そのいくつかは第一の選択され た領域に含まれているであろう)へ結合させる。第二の選択された領域は、並進 、 回転または基質表面上の溝ブロックの置き換えにより;選択されたバルブを開放 または閉鎖することにより;または化学または光レジスト層の沈着により第二の 流入溝で液体と接触するであろう。その後、モノマーBを第二の流入溝に流すま たは置き、第二の選択された位置でモノマーを結合させる。この特別の例におい て、加工のこの段階で基質に結合されて生じる配列は、例えば、A、BおよびABで あろう。この過程を繰り返すと、基質上の既知の位置に、所望の長さの配列の莫 大なアレイが形成される。 基質が活性化された後、モノマーAをいくつかの溝を通して流すことができ、 モノマーBを他の溝通して流すことができ、モノマーCをさらに他の溝通して流す ことができる、以下同じ。この様式で、溝ブロックを移動せねばならないまたは 基質を洗浄および/または再活性化せねばならない前に、多くのまたはすべての 反応領域がモノマーと反応する。多くのまたはすべての利用可能な反応領域を同 時に使用することにより、多数の洗浄および活性化工程を最少にすることができ る。 当業者は、溝を形成するまたはさもなくば基質表面の一部を保護する別の方法 が存在することを認識するであろう。例えば、いくつかの態様に従うと、親水性 または疎水性被覆(溶媒の性質に依存して)のような保護的被覆が保護されるべ き基質部分に利用され、時折、他の領域の反応溶液による湿潤を容易にする物質 と組み合わされる。このようにして、流入溶液は選定された流路の外側を流れる ことからさらに防止される。 高密度核酸アレイは前もって決められた位置に前もって合成されたまたは天然 の核酸を沈着させることにより作り上げることができる。合成されたまたは天然 の核酸は光指令標的化およびオリゴヌクレオチド指令標的化により基質の特定の 位置に沈着させられる。核酸はまた、流入溝法のような多くの同じ方法で特定の 位置へ向かわせることができる。例えば、核酸Aは適切に活性化されている反応 領域の第一の群へ送達および結合できる。その後、核酸Bを活性化された反応領 域の第二の群へ送達および反応させることができる。核酸は選択された領域で沈 着される。別の態様は、特定の点へ核酸を沈着するために領域から領域へ移動す るディスペンサーを使用している。典型的なディスペンサーには、基質へ核酸を 送達するためのマイクロピペットまたはキャピラリーピンおよび基質に関してマ イクロピペットの位置を制御するためのロボットシステムが含まれる。他の態様 では、ディスペンサーは種々の試薬が反応領域へ同時に送達できるように、一連 の管、マニホールド、ピペッターまたはキャピラリーピンの配列などを含んでい る。 3.ハイブリダイゼーション 核酸ハイブリダイゼーションは単純に、相補的塩基対形成を通してプローブお よびその相補的標的が安定なハイブリッド二重鎖を形成できる条件下でプローブ と標的核酸を接触させることである。ハイブリッド二重鎖を形成しない核酸を洗 浄して除き、検出されるべき(典型的には結合された検出可能な標識の検出によ り)ハイブリダイズした核酸を残す。温度を上げるまたは核酸を含んでいる緩衝 液の塩濃度を減少させることにより核酸が変性されることは一般的に認められて いる。低厳密性条件下(例えば、低温および/または高塩)、アニール化配列が完 全に相補的でなくてもハイブリッド二重鎖(例えば、DNA:DNA、RNA:RNAまたは RNA:DNA)は形成されるであろう。従って、ハイブリダイゼーション特異性は低 厳密性では減少する。逆に、高厳密性においては(例えば、高温または低塩)、ハ イブリダイゼーションが起こるにはより少ない不適正を要求する。 当業者は、ハイブリダイゼーション条件は任意の程度の厳密性を提供するよう に選択されるであろうことを認識するであろう。好適な態様において、ハイブリ ダイゼーションを確かにするためにこの場合37℃にて6XSSPE-T(0.005%トリト ンX-100)の低厳密性で実施され、続いての洗浄は不適正ハイブリッド二重鎖を 除去するため高厳密性(例えば、37℃にて1XSSPE-T)で実施される。連続的洗浄 は所望のレベルのハイブリダイゼーション特異性が得られるまでより高い厳密性 へ増加させて(例えば、37℃から50℃で0.25XSSPE-Tの低さまで下げて)実施さ れる。厳密性はホルムアミドのような試薬を添加することによっても増加できる 。ハイブリダイゼーション特異性は試験プローブへのハイブリダイゼーションを 存在するであろう種々の対照(例えば、発現レベル対照、規格化対照、不適正対 照など)へのハイブリダイゼーションと比較することにより評価されるであろう 。 一般に、ハイブリダイゼーション特異性(厳密性)およびシグナル強度間に取 引が存在する。従って、好適な態様において、一貫した結果を生じおよびバック グラウンド強度の約10%より大きなシグナル強度が提供される最も高い厳密性で 洗浄が実施される。従って、好適な態様において、ハイブリダイズしたアレイは 連続的により高い厳密性溶液で洗浄され、各々の洗浄間で読みとられる。このよ うにして生み出されたデータセットの分析は、それ以上はハイブリダイゼーショ ンパターンが感知できるほど変化せず、および問題とする特定のオリゴヌクレオ チドプローブに適当なシグナルを与える洗浄厳密性を明らかにするであろう。 好適な態様において、バックグラウンドシグナルは、非特異的結合を減少させ るためにハイブリダイゼーション間に界面活性剤(例えば、C-TAB)または阻止 試薬(例えば、精子DNA,cot-1DNAなど)を使用することにより減少する。特に 好適な態様において、ハイブリダイゼーションは約0.5mg/ml DNA(例えば、ニシ ン精子DNA)存在下で実施される。ハイブリダイゼーションにおける阻止試薬の 使用は当業者にはよく知られている(例えば、P.Tijssen、上記文献の第8章を 参照されたい)。 RNAおよびDNA間で形成された二重鎖の安定性は一般的に溶液中でRNA:RNA>RN A:DNA>DNA:DNAの順である。長いプローブは標的とのより良好な二重鎖安定性 を持っているが、より短いプローブよりも不適正識別が悪い(不適正識別は完全 一致プローブおよび単一塩基不適正プローブ間で測定されたハイブリダイゼーシ ョンシグナル比を意味している)。より短いプローブ(例えば、8-mer)は不適正 を非常によく識別するが、全二重鎖安定性は低い。 例えば、既知のオリゴヌクレオチド類似体を用いて標的およびプローブ間で形 成された二重鎖の熱安定性(Tm)を変化させると、二重鎖安定性および不適正識 別の最適化が可能である。Tmを変化させる一つの有用な特色は、アデニン−チミ ン(A-T)二重鎖はグアニン−シトシン(G-C)二重鎖より低いTmを持っていると いう事実(一部はA-T二重鎖は塩基対当たり2つの水素結合を持っているが、一 方、G-C二重鎖は塩基対当たり3つの水素結合を持っている事実による)から生 じている。塩基が非均一に分布している不均一オリゴヌクレオチドアレイにおい て、各々のオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを同時に最適 化することは一般的には不可能である。従って、いくつかの態様においては、選 択的にG-C二重鎖を不安定化しおよび/またはA-T二重鎖の安定性を増加させるこ とが望ましい。このことは例えば、G-C二重鎖を形成するアレイのプローブ中の グアニン残基をヒポキサンチンに置換してまたはA-T二重鎖を形成するプローブ 中のアデニン残基を2,6-ジアミノプリンに置換することによりまたはNaClの代わ りにテトラメチルアンモニウムクロリド塩(TMACI)を使用することにより達成 できる。 オリゴヌクレオチド類似体を使用することにより与えられた二重鎖安定性の変 化は例えば、標的オリゴヌクレオチドとハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド 類似体アレイの蛍光シグナル強度を時間で追跡することにより確かめることがで きる。このデータは例えば室温での(将来の診断応用を簡単にするため)特異的 ハイブリダイゼーション条件の最適化を可能にする。 二重鎖安定性の変化を確かめる別の方法はハイブリダイゼーションにより発生 するシグナル強度を時間で追跡することである。DNA標的およびDNAチップを用い た前の実験は時間とともにシグナル強度が増加し、より安定な二重鎖はより不安 定な二重鎖より速く高いシグナル強度を発生したことを示した。シグナルは、す べての結合部位が占有されるためある時間後にプラトーに達する、または”飽和 ”する。これらのデータはハイブリダイゼーションの最適化、および特定の温度 での最良条件の決定を可能にする。 ハイブリダイゼーション条件を最適化する方法は当業者にはよく知られている (例えば、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Vo l.24:Hybridization With Nucleic Acid Probe,P.Tijssen,ed.Elsevier,N.Y.,(1 993)を参照されたい)。 (C)シグナル検出 好適な態様において、ハイブリダイズした核酸は、試料核酸へ結合された一つ またはそれ以上の標識を検出することにより検出される。標識は当業者にはよく 知られている多数の手段のいずれかにより取り込まれるであろう。しかしながら 、好適な態様において、標識は試料核酸の調製における増幅工程間に同時に取り 込 まれる。従って、例えば、標識プライマーまたは標識ヌクレオチドを用いるポリ メラーゼ連鎖反応(PCR)は標識増幅生成物を与えるであろう。好適な態様にお いて、前記のような、標識ヌクレオチド(例えば、フルオレセイン−標識UTPお よび/またはCTP)を使用する転写増幅は転写された核酸内に標識を取り込む。 もしくは、標識を直接本来の核酸試料(例えば、mRNA、ポリA mRNA、cDNAなど )または増幅完了後の増幅生成物へ加えてもよい。核酸へ標識を結合させる方法 は当業者にはよく知られており、例えば、核酸のキナージングによるニックトラ ンスレーションまたは末端標識(例えば、標識RNAでの)、および続いての試料核 酸を標識(例えば、蛍光発色団)へ連結している核酸リンカーの結合(リゲーシ ョン)が含まれる。 本発明で使用するために適した検出可能標識には、分光学的、光化学的、生化 学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段により検出可能な任意の組 成物が含まれる。本発明で有用な標識には標識ストレプタビジン複合体で染色す るためのビオチン、磁気ビーズ(例えば、DynabeadsTM)、蛍光色素(例えば、フル オレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射標 識(例えば、3H、1251、35S、14Cまたは32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキ シダーゼ、アルカリ性ホスファターゼおよびELISAで通常使用される他のもの)、 およびコロイド金のような比色用標識または着色ガラスまたはプラスチック(例 えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ゴムなど)ビーズが含まれる。そのよう な標識の使用を教えている特許は米国特許第3,817,837;3,850,752;3,939,350;3 ,996,345;4,277,437;4,275,149;および4,366,241である。 そのような標識を検出する手段は当業者にはよく知られている。例えば、放射 標識は写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを用いて検出されるであ ろうし、蛍光マーカーは発光を検出するための光検出器を用いて検出されるであ ろう。酵素的標識は典型的には、酵素に基質を提供しおよび基質に対する酵素の 作用により生成される反応生成物を検出することにより検出され、比色用標識は 単に着色標識を可視化することにより検出される。一つの特別な方法は、散乱光 を測定することにより検出できるコロイド金を使用している。 標識はハイブリダイゼーションに先立ってまたは後で標的(試料)核酸へ加え られる。いわゆる”直接標識”はハイブリダイゼーションに先立って標的(試料 )核酸内へ直接的に結合されるまたは取り込まれる検出可能標識である。対照的 に、いわゆる”間接標識”はハイブリダイゼーション後にハイブリッド二重鎖へ 結合される。しばしば、間接標識はハイブリダイゼーションに先立って、標的核 酸へ結合されている結合残基へ結合される。従って、例えば、標的核酸はハイブ リダイゼーション前にビオチニル化されるであろう。ハイブリダイゼーション後 、アビジン結合蛍光団がビオチンを含むハイブリッド二重鎖へ結合され、容易に 検出される標識が提供される。核酸を標識するおよび標識されたハイブリダイズ 核酸を検出する方法の詳細な総説はLaboratory Techniques in Biochemistry an d Molecular Biology,Vol.24:Hybridization With Nucleic Acid Probe,P.Ti jssen,ed.Elsevier,N.Y.,(1993)を参照されたい。 蛍光標識は好適であり、インビトロ転写反応の間に容易に加えられる。好適な 態様において、フルオレセイン標識UTPおよびCTPが、前記のようなインビトロ転 写反応で生成されるRNA内に取り込まれる。 高密度アレイのプローブへハイブリダイズした標識標的(試料)核酸を検出す る手段は当業者には既知である。従って、例えば、比色標識が使用された場合は 標識の単なる可視化で十分である。放射活性標識プローブが使用された場合、放 射線の検出(例えば、写真フィルムまたは固相検出器による)で十分である。 しかしながら、好適な態様において、標的核酸は蛍光標識で標識されており、 プローブアレイ上の標識の局在化は蛍光顕微鏡で行われる。ハイブリダイズアレ イは特定の蛍光標識の励起波長で光源により励起され、生じる蛍光は発光波長で 検出される。特に好適な態様において、励起光源は蛍光標識の励起に適したレー ザーである。 共焦点顕微鏡はコンピューター制御段階で自動化されており、全高密度アレイ を自動的にスキャンする。同様に、顕微鏡はアレイ上の各々のオリゴヌクレオチ ドプローブへのハイブリダイゼーションにより生成される蛍光シグナルを自動的 に記録するための自動化データアクイジションシステムへ結合された光変換器( 例えば、光電子増倍管、ソリッドステートアレイ、CCDカメラなど)が備えられ ているであろう。そのような自動化システムはようやく米国特許第5,143,854 号、PCT出願20 92/10092号および1994年2月10日に出願された同時係属中の米国 特許出願第08/195,889号に記載されている。シグナル検出のために自動化共焦点 顕微鏡と連結されたレーザー照射の使用は約100μmより良い、より好適には50μ mより良い、最も好適には25μmより良い分解能での検出を可能にする。 当業者は、ハイブリダイゼーション結果を評価する方法は使用された特定のプ ローブ核酸ならびに対照プローブの性質で変化することを理解するであろう。最 も簡単な態様において、各々のプローブに対する蛍光強度の単純な定量化が決定 された。これは高密度アレイ上の各々の位置での(異なったプローブを表してい る)プローブシグナル強度を単純に測定することにより達成される(例えば、標 識が蛍光標識である場合、アレイ上の各々の位置での固定励起照射により生成さ れた蛍光量(強度)の検出)。”試験”試料からの核酸へハイブリダイズしたア レイの絶対強度と”対照”試料により生成された強度の比較は、各々のプローブ へハイブリダイズした核酸の相対的発現の尺度を提供する。 しかしながら、当業者はハイブリダイゼーションシグナルはハイブリダイゼー ション効率、試料核酸上の標識の量、および試料中の特定の核酸量で強度が変化 することを理解するであろう。典型的には、非常に低濃度で存在する核酸は(例 えば、<1pM))非常に弱いシグナルを示すであろう。ある程度の低レベル濃度 でシグナルは実質上バックグラウンドと区別がつかなくなる。ハイブリダイゼー ションデータの評価において、強度の閾値はそれ以下では本質的にバックグラウ ンドと区別がつかないのでシグナルが計数できないように選択されるであろう。 低レベルで発現される核酸を検出することが望まれる場合は、より低い閾値が 選択される。逆に、高発現レベルのみが評価される場合はより高い閾値レベルが 選択される。好適な態様において、適した閾値はバックグラウンドシグナルより 約10%上である。 加えて、ハイブリダイゼーション条件、細胞健康、非特異的結合などの変異の ための適した対照の供給はより詳細な分析を可能にする。従って、例えば好適な 態様において、ハイブリダイゼーションアレイは規格化対照を含むように提供さ れる。これらの規格化対照は、試料に既知の濃度で加えられた対照配列に相補的 なプローブである。全ハイブリダイゼーション条件が悪い場合、規格化対照は減 少したハイブリダイゼーションを反映してより弱いシグナルを示すであろう。逆 に、ハイブリダイゼーション条件が良好である場合、規格化対照は改良されたハ イブリダイゼーションを反映してより高いシグナルを提供するであろう。アレイ 中の他のプローブから誘導されるシグナルを規格化対照へ規格化するとハイブリ ダイゼーション条件変異の対照を提供する。典型的には、規格化はアレイ中の他 のプローブから測定されたシグナルを、規格化対照により生成される平均シグナ ルで割ることにより達成される。規格化はまた、試料調製および増幅による変異 のための補正を含んでいる。そのような規格化は測定されたシグナルを試料調製 /増幅対照プローブ(例えば、Bio Bプローブ)からの平均シグナルで割ること により達成される。得られた値は結果を調整するための一定値により操作される 。 前に示したように、高密度アレイは不適正対照を含むことができる。好適な態 様において、アレイ中のすべてのプローブ(規格化対照を除く)のための中心部 不適正を持つ不適正対照が存在する。プローブへハイブリダイズするために完全 一致が期待される場合(不適正ではなく)、厳密性条件で洗浄後、不適正対照から のシグナルは非特異的結合または不適正でハイブリダイズした核酸試料の存在の みを反映していなければならない。問題とするプローブおよびその対応する不適 正対照の両方が高いシグナルを示すか、または不適正プローブがその対応する試 験プローブよりも高いシグナルを示す場合は、ハイブリダイゼーションに問題が あり、これらのプローブからのシグナルは無視された。標的特異的プローブおよ びその対応する不適正対照間のハイブリダイゼーションシグナル強度の相違は標 的特異的プローブの識別の尺度である。従って、好適な態様において、不適正プ ローブのシグナルは対応する試験プローブからのシグナルから差し引かれ、試験 プローブの特異的結合によるシグナルの尺度を提供する。 特定の配列の濃度は、その遺伝子へ特異的に結合する各々のプローブのシグナ ル強度を測定し、規格化対照へ規格化することにより決定できる。プローブから のシグナルが不適正より大きい場合、不適正シグナルが差し引かれる。不適正強 度が対応する試験プローブと等しいかまたは大きい場合、シグナルは無視された 。特定の遺伝子の発現レベルは、陽性シグナル(絶対的かまたは閾値以上)の数 、陽性シグナル(絶対的かまたは選択された閾値以上)の強度または両方のメト リ ックスの組み合わせ(例えば、重量平均)によりスコアをつけることができる。 いくつかの好適な態様において、各々の対の完全一致および不適正プローブの ハイブリダイゼーション強度を比較するためにコンピューターシステムが使用さ れた。遺伝子が発現されているなら、対の完全一致プローブのハイブリダイゼー ション強度(親和性)は対応する不適正プローブよりも認識できるほど高くなけ ればならない。一般に、プローブ対のハイブリダイゼーション強度が実質的に同 じであるなら、その遺伝子は発現されていないことを示している。しかしながら 、決定は単一のプローブ対のみには基づいていず、遺伝子が発現されているかど うかの決定は多くの対のプローブ分析に基づいている。 システムが完全一致および不適正プローブのハイブリダイゼーション強度を比 較した後、システムは遺伝子の発現を表示する。例として、システムは遺伝子が 存在する(発現されている)、限界であるまたは不在(発現されていない)かどう かを使用者に表示するであろう。データ分析の特別過程は前に本明細書で援用さ れた米国特許出願08/772,376号に記載されている。 高密度核酸アレイに加え、他の方法も大量遺伝子発現モニタリングに有用であ る。Liang,P.およびPardee,A.B.により記載されている(ポリメラーゼ連鎖反 応による真核生物メッセンジャーRNAの差異表示、Science 257:967-971、本明細 書において援用される)差異表示は二つの試料間の遺伝子発現を区別するための 有用な手段を提供している。Velculescuらにより記載されている遺伝子発現の連 続分析(遺伝子発現の連続分析、Science,270:484-487,1995、本明細書で援用 される)は遺伝子発現の定量および定性分析のための別の方法を提供している。F ergusonらにより記載されている光ファイバーオリゴヌクレオチドセンサー(遺 伝子発現分析のための光ファイバーDNAバイオセンサーマイクロアレイ、Nature- Biotechnology 14:1681-1684,1996)もまた遺伝子発現モニタリングに使用でき る。 V.遺伝子ネットワークおよび発現モニタリングによる遺伝子ネットワークの解 析 前に示したように、転写の制御、RNAプロセシングおよびRNA編集はすべてそれ ら自身の遺伝子によりコードされているタンパク質により達成される。加えて、 DNA配列は位置的効果により他の遺伝子の発現に対する長距離制御を働かせるこ とができる。従って、遺伝子の発現はしばしば他の遺伝子の発現により制御され る。これらの制御遺伝子は、制御されるまたは下流の遺伝子に対して上流遺伝子 と称される。単純な制御経路においては: A++>B-->C++>D 式中:A、B、C、Dは遺伝子である ++アップレギュレート --ダウンレギュレート 遺伝子Aは遺伝子Bの上流遺伝子であり、BはCの上流遺伝子である。当業者は、 ネットワークがしばしばループ状でありおよび相互に連結されていることを理解 するであろう。いくつかの例において、遺伝子の発現は正のまたは負のフィード バックのような自身の生成物により制御される(図1は仮説的遺伝子ネットワー クを例示している)。 伝統的には、遺伝子ネットワークは特定の遺伝子または遺伝子経路を単離し、 一つまたは多くても二、三の遺伝子の制御を理解することにより研究されてきた 。本発明の一つの態様は、多くのまたはすべての種における全遺伝子ネットワー クにおける遺伝子間の制御を理解するための系統的方法を提供するものである。 この方法は一部、遺伝子発現の大量平行モニタリングのための方法の開発を前提 としている。本発明はまた一部、種々の段階および状態の遺伝子ネットワークを 反映している生物学的試料の利用可能性も前提としている。遺伝子発現の変化を 観察することにより、制御関係が種々のデータ加工法により定義できる。遺伝子 ネットワークの複雑さのため、当業者は遺伝子ネットワークの種々の段階を反映 している多数の生物学的試料を入手することの重要性を理解するであろう。種々 の生理学的、分化的、病理学的状態を反映している培養細胞または組織試料は、 それらが遺伝子ネットワークの独立した状態を反映しているので有用である。本 発 明の一つの態様は、遺伝子ネットワークの多数の独立した状態を反映している多 数の追加の生物学的試料を発生させるための方法を提供する。 A.人工細胞株 いくつかの態様において、細胞株が突然変異誘発剤、放射線、ウイルス感染ま たは転写ベクターで処理された。処理された細胞はクローン化され、十分な量の mRNAを産生するまで増殖させた。各々のクローンは遺伝子発現の独立した状態を 反映している。いくつかの他の態様において、遺伝子突然変異のより洗練された 方法が系統的な遺伝子ノックアウトのために使用された。無作為同型接合ノック アウトのような方法は、同型接合ノックアウト細胞が得られるその効率のため特 に好適である。 1)化学的および照射突然変異発生 エチルニトロソ尿素およびエチルメチルスルホネートのような突然変異発生化 学薬品または高線量のX線への暴露は多数の突然変異体細胞を産生させるために 使用できる。そのような突然変異発生ではいくつかの突然変異体は生存できずお よびそれ故最終的クローンを示さないけれども、本質的に無作為である。クロー ン化突然変異体は遺伝子発現の異なったプロフィールを持っているであろう。 2)アンチセンスオリゴヌクレオチド mRNA配列と相補的な配列を持つオリゴヌクレオチドがmRNAの翻訳を阻止するた めに細胞内へ導入でき、mRNAによりコードされている遺伝子の機能を阻止する。 いくつかの態様において、その方法の簡便性のため遺伝子発現を阻止するための オリゴヌクレオチドの使用は好適である。遺伝子発現を阻止するためのオリゴヌ クレオチドの使用は、例えば、Strachan and Read,Human Molecular Genetics ,1996(前に本明細書において援用されている)に記載されている。 3)アンチセンス遺伝子 アンチセンス遺伝子を含む特別に設計されたベクターが安定に細胞内へトラン スフェクトでき、遺伝子発現を阻止するためにアンチセンスRNAを産生する。い くつかの態様において、mRNA標的に相補的なDNA配列をクローニングすることに よりアンチセンスミニ遺伝子が構築された。DNA配列は一つの末端のプロモータ ーの制御下にあり、他の末端はポリアデニル化配列で取り囲まれている。そのよ うなベクターからの転写は標的mRNAの機能を阻止するアンチセンスRNAを産生す る。 B.統計解析 統計解析の目的は遺伝子ネットワークに対する因果関係モデルを確立および試 験することである。当業者にとっては、このような因果関係モデルが制御経路の 動的地図を発生させるために使用できることは明らかである。いくつかの態様に 対し、複雑な系を理解するために開発された種々の統計的方法は有用である。い くつかの態様において、その発現が相関しているグループ遺伝子にクラスター解 析法が使用された。クラスター解析のための方法はHartigan(1975)Clustering Algorithms.NY,John Wile and Sons,Inc,およびEverritt,(1980)Cluster Analysis 2nd.Ed.London Heineman Educational books,Ltd.(本明細書に おいて援用される)に詳細に記載されている。遺伝子ネットワークにおける因果 関係は確率法によってもモデル化できる。そのようなモデルは時間または状態間 の変化に関する遺伝子ネットワークの動的態様の試験を可能にする。Maybeck,S tochastic Models,estimation and control.vol.1.(1979)NY,Academic P ress。 遺伝子制御の指向性、相関性および原因モデルは異なった遺伝子の発現レベル に基づいて組み立てることができる。いくつかの態様において、発現データおよ び特定の遺伝子制御についての現在の知識を取り込んでモデルが組み立てられた 。パス解析が変数間の関係を分解するためおよび遺伝子ネットワークのための原 因モデルを試験するために使用できる。しかしながら、パス解析は一般的に、誤 差なしで測定された変数、残余間の無相関および単指向性原因フローのようなそ の仮定により制限されている。 線形構造相関解析(LISREL)はパス解析法の多くの制限を克服しているので、 そのようなモデルの統計的信頼の試験に特に好適である。LISRELは原因モデル解 析の非常に一般的な方法である。それは潜在性または隠れた(測定できない)変 数を許容する。従って、いくつかの態様において、潜在性変数が測定されていな い遺伝子または制御関係の説明に使用される。LISRELモデルはまた、二指向性ま たは相互原因、測定誤差および相関残余も許容する。LISRELの数学的理論および 応用はJoreskog and Sorbom(1979)Advances in Factor Analvsis and Structu al Equations Modeling.Cambridge MA,Abt Books;およびJoreskog and Sorbom, (1985)LISREL.VI:Analysis of Linear Structural Relationships by Maximu m Liklihood Insturmental Variables and Least Squares,Uppsala,Sweden:Un iversity of Uppsala(本明細書において援用される)に詳細に記載されている 。LISRELのコンピューター実行は多数の他のソフトウェアーパッケージにより提 供されている。 当業者は他の原因モデル法もまた遺伝子発現データ解析に適していることを認 識するであろう。構造モデルはBentler,P.M.Multivariate Analysis with Laten t Variables:Causal Modeling,Ann.Rev.Psychol.31:419-56(1980)により概 説されている。 VI. 発現モニタリング(Expression Monitoring)による遺伝子または突然変 異の機能の同定 本発明の1つの側面は、標的遺伝子が他の遺伝子の発現を制御しているかどう かを同定することにより、遺伝子の制御機能を検出する方法を提供する。図3は 、こうした方法の1つの態様を例示する。いくつかの態様において、目的の遺伝 子は突然変異しているか、または他の手段により機能が抑制されている(2)。ア ンチセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンス遺伝子の使用を含む、多様な 方法を使用して標的遺伝子の機能を特異的に抑制することも可能である。他のい くつかの態様において、目的の遺伝子を、目的の遺伝子の発現を欠く細胞に導入 し、そして多数の遺伝子の発現をモニターして、発現パターンの改変を検出する 。維持および構築が安価であるため、いくつかの態様において標的遺伝子の制御 機能を研究するには、細胞株が好ましい。 好ましくは10より多い、より好ましくは100より多い、そして最も好ましくは1 000より多い、多数の遺伝子の発現をモニターし、発現パターンの有意な変化を 検出する(1、2)。発現の変化をその後解析し、目的の遺伝子により制御されてい る可能性がある特定の遺伝子を検出する(3)。 下流遺伝子の発現レベルは、しばしば上流遺伝子の発現と直接には相関してい ない。例えば、下流遺伝子を制御する転写因子をコードする上流遺伝子は、一定 の率で発現している可能性もある。下流遺伝子活性の制御は、情報伝達分子に結 合することによる転写因子活性の変化を通じてであり、転写因子量の変化を通じ てではない。制御の関係を2遺伝子の活性間の相関にのみ基づいて説明するのは 困難であろう。この複雑さを克服するため、いくつかの態様において、遺伝子産 物のいかなる蓄積(reserve)も枯渇させるため、標的遺伝子をある一定の期間 、完全に抑制する。 他の複雑な事態は、制御遺伝子の重複性(redundancy)によるものである。例 えば、制御遺伝子は抑制されており、そして重複遺伝子が標的遺伝子と同様の機 能を行うため、下流遺伝子の発現に変化が起こらない可能性もある。したがって 、標的遺伝子を抑制することにより発現プロフィールに変化がなくても、標的遺 伝子が制御機能を有するかどうかの明確な解答を与えない可能性がある。 同様に、制御遺伝子における突然変異の機能を、遺伝子発現モニタリングによ り同定することも可能である。図4は、こうした態様の1つを例示する。いくつ かの態様において、野生型(1)および突然変異型(2)生物学的試料由来の核酸 試料を解析し、いくつかの下流遺伝子の野生型および突然変異型発現プロフィー ルを得る。下流遺伝子の発現における変化は、突然変異がサイレント(silent) ではないことを示す可能性がある(7)。 上述の複雑な要因および実験の変動(variation)のため、いくつかの下流遺 伝子の発現をモニターするのが好ましい。1つの特定の態様において、p53が上 方制御するgadd45、サイクリンG、p21waf1、Bax、IGF-BP3およびトロンボスポン ジン遺伝子およびp53が下方制御するc-mycおよびPCNA遺伝子の発現をモニターす ることにより、p53突然変異の機能を決定する。制御される遺伝子をより多く含 むと、解析の品質および信頼性が改善される。 実施例1. p53突然変異の表現型の同定 p53遺伝子の突然変異は、ヒトの癌において最も一般的に見られる異常である( Volgelstein,1990,A deadly inheritance.Nature 348:681-2)。最近のスクリ ーニングのデータの編集および解析により、2567の癌のうち37%がp53遺伝子に 突然変異を含んでいることが示された(Greenblattら,1994,Mutations in the p53 tumor supressor gene:clues to cancer etiology and molecular pathogen esis. Cancer Res.54:4855-78)。 p53突然変異と多くの型の癌の間に強い関連があることにより、p53機能の損失 は、発癌に対する高感受性のマーカーとして使用できる可能性があることが示唆 される。p53遺伝子の直接配列解析は理論的にはすべての突然変異を検出するこ とも可能である。しかし、すべての突然変異が機能的に重要であるのではない。 p53機能の損失を検出するのは、しかし、困難な仕事である。免疫組織化学(IHC )法を使用して機能異常p53突然変異タンパク質のいくつかの型を検出してもよ い。IHC検出法は突然変異p53の量がp53機能異常を持つ腫瘍細胞において増加し ているという事実に依存している(Nigro,JM,Baker,SJ,Preisinger,AC,Jes sup,JM,Hostetter,R,Cleary,Kら,Mutations in the p53 gene occur in d iverse human tumor types.Nature 1989;342:705-8)。突然変異p53のこの量の 増加は、おそらく突然変異p53の半減期が、野生型に比べ増加していることによ るものである。しかし、p53の短縮型を生じるナンセンス突然変異は、p53濃度の 増加にはつながらない。本発明の1つの側面は、細胞におけるp53機能損失を同 定する方法を提供することにより、先行技術のこれらの欠点を克服する。 1. 高密度アレイ(High Density Array)設計(design)および構成(fabric ation) 光食刻法(photolithography)および固相化学合成を用いて、誘導体化した( derivitized)ガラス上に、指定されたDNAプローブを50mm2合成領域あたり107オ リゴヌクレオチド分子の密度で合成した。光指示固相合成(light directed sol id phase synthesis)の方法は、本出願の別の場所に記載される。 およそ65,000の独自のDNAプローブ(107の独自のプローブ/50mm2領域)が1.2c m2のガラス・スライド上に合成された。GenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov) およびdbESTデータベース由来の6,500を超えるヒト遺伝子配列を含む、一連の4 つの異なるオリゴヌクレオチドアレイが生成された。これらのアレイを使用し、 並列方式で正常および悪性乳房組織細胞株由来の6,500を超える遺伝子の発現を モニターしそして比較した。 2. 野生型および突然変異p53試料の調製 アレイハイブリダイゼーション実験の標識RNAプローブを、悪性乳房細胞株BT- 474および初代細胞株HT-125由来の正常乳房組織から得た。BT-474は固型浸潤性 の乳房管癌(ductal carcinoma)より単離されており、そして無胸腺ヌードマウ スにおいて腫瘍を形成する。HT-125は浸潤する管癌周辺の正常乳房組織由来の細 胞株より得た。p53遺伝子型決定アレイ(genotypingarray)(Affymetrix,カリ フォルニア州サンタクララ)を用い、潜在的な突然変異を発見するため、BT-474 におけるp53遺伝子を解析した。図5は、GからAへの塩基変化により、p53のDNA 結合ドメインであるエクソン8の285位においてEからKへのアミノ酸変化を生じ ていることを実証する、遺伝子型解析の結果を示す。この遺伝子型解析法は、す べての目的に関し本明細書に援用される、10/26/93に出願された米国特許出願第 08/143,312号、WO95/11995、U.S.5677195、1994年10月21日に出願されたU.S.S er.08/327,525、およびWO 97/29212に開示されている。 3. 核酸試料調製 正常および悪性細胞を回収し、溶解し、そしてポリA+RNAを単離し、そして5' 端にT7プロモーター配列を含むオリゴdTプライマーを用いる二重鎖cDNA(ds cDN A)合成のテンプレートとして用いた。ds cDNA産物をその後、T7ポリメラーゼお よびビオチン化リボヌクレオチドを用いるin vitro転写(IVT)反応のテンプレ ートとして使用した。 4. ハイブリダイゼーション、データ取得および解析 標識cRNAをその後、熱およびMg2+の存在下で断片化し、そしてアレイ規準化お よびメッセージ定量化のため用いられる標識コントロール標的の存在下で、オリ ゴヌクレオチドアレイにハイブリダイズさせた。洗浄しそしてストレプトアビジ ン・フィコエリトリン結合体で染色した後、ハイブリダイゼーション・パターン をアルゴンレーザー走査型共焦点顕微鏡(Affymetix,カリフォルニア州サンタク ララ)を用いて視覚化し、そして蛍光強度像を処理しそしてGeneSeqソフトウェ ア(Affymetix,カリフォルニア州サンタクララ)により定量化した。 表1. 突然変異機能同定のための遺伝子発現モニタリング 図6は多くの遺伝子の発現が正常および悪性細胞株において改変されているこ とを示す。表1はいくつかのp53下流遺伝子の発現を要約している。p53が活性化 する標的、gadd45、サイクリンG、p2lwaf1、Bax、IGF-BF3およびトロンボスポン ジンの発現レベルはBT-474において失われている。同時にp53が抑制する標的、c -mycおよびPCNAの増加が見られた。BT-474におけるこれらの発現パターンは野生 型p53機能の損失を示していた。したがって、p53遺伝子におけるGからAへ の突然変異はp53遺伝子の制御機能を損なう。 VII. 遺伝子発現モニタリングによる突然変異検出 本発明の1つの側面において、遺伝子発現モニタリングを用い、コード領域ま たは制御領域における突然変異など、制御遺伝子の潜在的な機能不全を検出する 。いくつかの態様において(図7)、疾患組織における目的の遺伝子サブセットの 発現を解析し、疾患発現パターンを得る(2)。サブセットには少なくとも1つの 遺伝子を含み、好ましくは5遺伝子より多く、好ましくは100遺伝子より多く、 より好ましくは1,000遺伝子より多くを含み、そして最も好ましくは6,000遺伝子 より多く、またはすべての既知の遺伝子を含む。正常組織における同一の遺伝子 の発現も同様に解析し、正常遺伝子発現パターンを生成してもよい(1)。遺伝子 発現の違いは、疾患組織において変化した遺伝子の制御異常を示す(3)。いくつ かの態様において、フィルターを用いて、発現が有意に改変された遺伝子を同定 する。フィルターを用いることにより、疾患組織において、発現が3、5、または 10倍より多く冗進または減弱した遺伝子のみが、改変されたとして同定される。 改変遺伝子の上流遺伝子が突然変異した可能性のある遺伝子として示される(6) 。いくつかの態様において、こうした突然変異した可能性のある遺伝子を配列解 析し、配列変化を検出する(9)。 配列変化の検出に、さまざまな核酸配列解析法を使用してもよい。1つの好ま しい方法において、高密度オリゴヌクレオチドアレイを使用し配列変化を検出す る。オリゴヌクレオチドアレイを用いる利点の1つは、単一のチップにおいて遺 伝子発現モニタリングと同時に配列解読を行うことも可能であることである。 以下の実施例に例示するように、遺伝子発現モニタリングをまた、制御遺伝子 におけるヘテロ接合体突然変異を検出するのにも使用してもよいことは驚くべき 発見である。したがって、本発明は突然変異検出の強力な方法を提供する。 実施例2. p53遺伝子におけるヘテロ接合体機能的突然変異の検出 本発明の1つの側面は、機能に影響するp53遺伝子の突然変異を検出する方法 を提供する。 1. 高密度アレイ設計および構成 光食刻法および固相化学合成を用いて、誘導体化した(derivitized)ガラス 上に、指定されたDNAプローブを50mm2合成領域あたり107オリゴヌクレオチド分 子の密度で合成した。 およそ65,000の独自のDNAプローブ(107の独自のプローブ/50mm2領域)が1.2c m2のガラス・スライド上に合成された。GenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov) およびdbESTデータベース由来の6,500を超えるヒト遺伝子配列を含む、一連の4 つの異なるオリゴヌクレオチドアレイが生成された。これらのアレイを使用し、 並列方式で正常および悪性乳房組織細胞株由来の6,500を超える遺伝子の発現を モニターしそして比較した。 2. 試料の調製 アレイハイブリダイゼーション実験の標識RNAプローブを、悪性乳房細胞株MDA 468およびMDA231および初代細胞株HT-125由来の正常乳房組織から得た。HT-125 は浸潤する管癌周辺の正常乳房組織由来の細胞株より得た。正常および悪性細胞 を回収し、溶解し、そしてポリA+RNAを単離し、そして5'端にT7プロモーター配 列を含むオリゴdTプライマーを用いる二重鎖cDNA(ds cDNA)合成のテンプレー トとして用いた。ds cDNA産物をその後、T7ポリメラーゼおよびビオチン化リボ ヌクレオチドを用いるin vitro転写(IVT)反応のテンプレートとして使用した 。 3. ハイブリダイゼーション、データ取得および解析 標識cRNAをその後、熱およびMg2+の存在下で断片化し、そしてアレイ規準化お よびメッセージ定量化のため用いられる標識コントロール標的の存在下で、オリ ゴヌクレオチドアレイにハイブリダイズさせた。洗浄しそしてストレプトアビジ ン・フィコエリトリン結合体で染色した後、ハイブリダイゼーション・パターン をアルゴンレーザー走査型共焦点顕微鏡(Affymetix,カリフォルニア州サンタク ララ)を用いて視覚化し、そして蛍光強度像を処理しそしてGeneSeqソフトウェ ア(Affymetix,カリフォルニア州サンタクララ)により定量化した。 表2より、p53が活性化する標的、gadd45、サイクリンG、p21waf1、Bax、IGF- BF3およびトロンボスポンジンの発現は、MDA468およびMDA231において欠失して いる。同時にp53が抑制する標的、c-mycおよびPCNAの増加が見られた。BT-474に おけるこれらの発現パターンは、MDA468およびMDA231双方における野生型p53機 能の損失を示す。p53遺伝子型決定アレイ解析によりMDA438およびMDA23lにおけ るヘテロ接合体突然変異が裏付けられた。 本実施例は、遺伝子発現モニタリングが、機能に影響するヘテロ接合体突然変 異を検出できることを例示する。これはまた、ヘテロ接合体およびホモ接合体突 然変異を含む、p53機能に影響する突然変異を検出する強力でそして効率的な方 法を提供する。 表2. 機能的突然変異同定のための遺伝子発現モニタリング実施例3. 乳房組織においてディファレンシャルに発現をする遺伝子の同定 疾患の分子的基礎を理解するには、多数の遺伝子に渡る遺伝的多様性を検出し 、そして細胞において生じる結果と遺伝的要因を相関させることができる必要が ある。高密度オリゴヌクレオチド(核酸)アレイを使用することにより、候補遺 伝子の遺伝型決定と共に、本明細書に同定される相対的に多くのmRNAの性質決定 が提供される。ヒトゲノムプロジェクトからの情報、MerckのEST配列決定の成果 、 または他のいずれの遺伝的配列情報源を用いてmRNAレベルの高並列解析のための 、こうしたオリゴヌクレオチドアレイを設計しそして構成してもよい。こうした メッセンジャーRNAを同定するため、本明細書に概略を示す特定の実験において 、6,600のヒトESTに相補的なプローブを含むDNAアレイを使用した。これらのア レイを使用して、正常および乳房癌特異的遺伝子発現プロフィールを生成した。 137遺伝子の発現レベルは、悪性乳房細胞において正常乳房細胞と比べ10倍を超 えて増加した。さらに167遺伝子の発現は、検出不可能なレベル近くまで減少し た。総数1,549の発現遺伝子が乳房癌細胞において検出された。発現変化の単純 なカテゴリー化により、Her2/neuオンコジーンおよびGrb-7、Ras、Raf、Mekおよ びERKを含むその情報伝達経路の増加と共に、野生型p53機能の損失に特徴的なパ ターンが明らかになった。DNA再配列解析アレイ(re-sequence analysis array )を用いたp53遺伝子座の遺伝子型決定により、p53のDNA結合ドメインにおける 不活性化突然変異およびヘテロ接合性の消失が明らかになり、これは発現モニタ リングアレイにより得られた機能プロフィールと一致していた。これらのデータ は、細胞の機能的状態を性質決定するのに遺伝子発現プロフィールをどのように 用いることが可能であるか示し、そして特定の生化学経路を解読し、そして新規 の試験可能な仮説を生成するのに、一般的なアレイハイブリダイゼーションに基 づく方法を示唆する。 本明細書中に同定される発現遺伝子は、広範囲のアレイの用法における適用が 見出されるであろう。これらの用法に含まれるのは、診断的用法、予後的用法、 治療的用法および法医学的用法である。 本明細書において設計される特定のアレイは、本明細書に援用されるLockhart ,DJ.,Dong,H.,Byrne,M.C.,Follettie,M.T.,Gallo,M.V.,Chee,M.S., Mittmann,M.,Wang,C.,Kobayashi,M.,Horton,H.およびBrown,E.L.,Exp ression monitoring by hybridization to high-density oligonucleotide arra ys.Nature Biotechnology 13,1675-1680(1996)に議論されるように、半導体 に基づく光食刻法および固相化学合成を用いて、誘導体化した(derivitized)ガ ラス上に、独立して指定されたDNAプローブを50μm2合成領域あたり107オリゴヌ クレオチド分子の密度で直接合成する。およそ65,000の独自の50μm2合成 領域が、並列方式で1.28cm2のガラス・スライド上に合成された。遺伝子発現モ ニタリングに適用されるこうした高密度オリゴヌクレオチドアレイは特異的で、 高感度であり、そして定量的であって、細胞当たり1コピーまでのメッセージレ ベルの検出を可能にする。本明細書に論じられる特定の適用において、本明細書 に援用されるBoguski,M.S.,Lowe,T.M.およびTolstoshev,C.M.dbEST-databa se for‘expressed sequence tags’.Nature Genetics 4,332-333(1993)に 記載されるように、dbEST公共データベース由来の6,600 EST遺伝子群から選択さ れたプローブを用い、オリゴヌクレオチドアレイを生成した。これらのアレイは 、3,200のヒト全長GenBank遺伝子、およびSwissProtタンパク質配列データベー スにおける他の真核生物遺伝子に強い相補性を示す3,400のESTと相補的である。 ここで特定のアレイはモニターされた6,600メッセージのそれぞれに対する20プ ローブ対の集合を含んだ。各プローブ対は、特定のメッセージ由来の配列領域に 完全に相補的な25量体オリゴヌクレオチド、および中央部位に単一塩基置換を持 つほかは同一である姉妹プローブから構成される。この、完全なおよびミスマッ チしたプローブの組み合わせにより、ハイブリダイゼーション特異性の内部コン トロールが提供され、そしてクロスハイブリダイゼーション・バックグラウンド の存在下で、高感度な定量を可能にする。プローブは、独自性およびハイブリダ イゼーション特異性に基づいて選択された。目的は完全なマッチおよび単一塩基 ミスマッチハイブリダイゼーションの間の区別を最もよく行うプローブを選択す ることであった。 アレイハイブリダイゼーション実験の標識RNAは、悪性乳房細胞株BT-474およ び正常初代乳房組織細胞株HT-125より得た。BT-474は、本明細書に援用されるLa sfargues,E.Y.,Coutinho,W.G.およびRedfield,E.S.Isolation of two hum an tumor epithelial cell lines from solid breast carcinomas.Journal of the National Cancer Institute 4,967-978(1978)に記載されるように、固型 浸潤性の乳房管癌から単離され、そして無胸腺ヌードマウスにおいて腫瘍を形成 する。HT-125は浸潤する管癌周辺の正常乳房組織より得た(Hackett,A.J.,Smit h,H.S.,Springer,E.L.,0wens,R.B.,Nelson-Rees,W.A.,Riggs,J.L.,お よびGardner,M.B.Two syngeneic cell lines from human breast tissue:the aneuploid mammary epithelial(Hs578T)and the diploid myoepithelial(Hs578Bst)cell lines .Journal of the National Cancer Institute 6,1795-1806(1977))。mRNAを正 常および悪性細胞から単離し、そして5'端にT7プロモーター配列を含むオリゴdT プライマーを用いて二重鎖cDNA(ds cDNA)に変換した(5)。ds cDNA産物(T7ポ リメラーゼプロモーター配列が組み込まれたもの)を、T7ポリメラーゼおよびビ オチン化リボヌクレオチドを用いるin vitro転写(IVT)反応のテンプレートと して使用した。ビオチン化cRNAをその後、加熱により断片化し、そしてオリゴヌ クレオチドアレイにハイブリダイズさせた。洗浄しそしてストレプトアビジン・ フィコエリトリン結合体で染色した後、アルゴンイオンレーザー走査型共焦点顕 微鏡を用いてハイブリダイゼーション・パターンを視覚化した。蛍光強度像を処 理しそしてGeneChipデータ解析ソフトウェアにより定量化した。 図9(最上段)は、正常および悪性乳房細胞由来の総メッセージを1,650遺伝 子配列(6,600ヒト遺伝子を含む4組のアレイの1つ)由来の20プローブ対の組 とハイブリダイゼーションさせた代表的なパターンを示す。未変化および改変さ れた遺伝子発現パターンの明確な例を、これら2つの試料のプローブ組の蛍光強 度を視覚的に比較することにより、観察することが可能である。ハイブリダイゼ ーションパターンの定量的解析は、特定のmRNAに対し、完全マッチ(PM)プロー ブはミスマッチ(MM)パートナーより平均してより強くハイブリダイズするであ ろうという仮定に基づいている(図9B)。各プローブセットに関し、PMおよびMMハ イブリダイゼーション・シグナル間の強度の平均差を、PM/MM比率の対数の平均 と共に計算する。これらの値をその後、検出されたメッセージの相対コピー数を 測定するのに用いる。 既知の濃度の添加ビオチン化コントロールcRNA(大腸菌(E.coli)ビオチン合 成酵素遺伝子bioB、bioC、bioDおよびバクテリオファージP1のCreリコンビナー ゼ)を内部コントロールとして使用し、細胞当たりのコピー数を概算する蛍光強 度の相対定量を可能にした。既知の濃度の複数のRNA間の絶対的ハイブリダイゼ ーション強度範囲を調べるため、添加(spiking)実験を行った。総細胞mRNAの バックグラウンドにおいて、1:100,000から1:30,000のコピー数に渡るレベルで 、32の個々のcRNAを添加したとき、試験したすべての標的に関し、ハイブリ ダイゼーション絶対強度は2倍の範囲内だった。添加したビオチン化コントロー ルオリゴヌクレオチドは、内因性細胞RNAメッセージ(例えば、βアクチンおよ びグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH))と共に、実験の変動 およびアレイハイブリダイゼーションの規準化を可能にした。総細胞標的存在下 の添加標準の強度は、細胞当たり2、3コピーに相当する、1:100,000もの高感度 を実証した。図10に示すように、ハイブリダイゼーションシグナル強度を比較す ると、4桁以上にも渡っており、抑制(10倍を超える低下)、下方制御(10倍未満 の低下)、上方制御(10倍未満の上昇)および誘導(10倍を超える上昇)されたm RNAを含む、正常および悪性細胞間のすべてのメッセージ発現変化カテゴリーを 表した。 抑制されたそして誘導/活性化された遺伝子は、脛瘍形成プログラムに関与す る分子経路を解読するのに、特に優れた開始点を提供する可能性がある。これら 2つのカテゴリーのそれぞれに当たる遺伝子を同定するため、我々は正常および 悪性メッセージ集団を分類し、メッセージ強度に10倍またはそれ以上の差を示す 遺伝子を同定した。この解析により、表3(図11)に示すように、HT-125と比較 してBT-474では抑制される168の遺伝子および活性化される137の遺伝子が明らか になった。ディファレンシャルな発現を示すメッセージの260がGenBankヒト全長 遺伝子に相当し、45が他の真核生物またはウイルス遺伝子に相同性を持つESTに 相当した。 活性化群で観察された最も大きな変化の一つはHer2/neu癌原遺伝子(c-erbB-2 としても知られる)であり、BT-474では正常な乳房細胞に比較して〜50倍の増加 を示した(規準化した(normalized)蛍光強度単位で5,127対111。図−1B参照)。 BT-474腫瘍細胞がHer2/neuを過剰発現することは既に証明されており(Styles,J .M.,Harrison,S.,Gusterson,B.A.& Dean,C.J.,c-erbB-2癌原遺伝子産物 の細胞外領域に対するラットモノクローナル抗体(Rat monoclonal antibodies t o the external domain of the product of the c-erbB-2 proto-oncogene),In ternational Journal of Cancer,2,320-324(1990)に記載されている)、これ は受容体型チロシンキナーゼ(RTK)の上皮成長因子受容体ファミリーに属する( Coussens,L.,Yang-Feng,T.L.,Liao,Y.C.,Chen,E.,Gray, A.,McGrath,J.,Seeburg,P.H.,Libermann,T.A.,Schlessinger,J.,Franc ke,U.ら,EGF受容体と高い相同性を有するチロシンキナーゼ受容体はneu癌遺伝 子と同じ染色体位置にある(Tyrosine kinase receptor with extensive homolo gy to EGF receptor shares chromosomal location with neu oncogene),Scien ce 4730,1132-1139(1985)に記載されている)。一般にRTKの腫瘍活性化は過剰 発現によるものであり、これによってリガンドの非存在下で二量体化が起こるよ うになる(Earp,H.S.,Dawson,T.L.,Li,X.& Yu,H.,EGF受容体ファミリー メンバー間のヘテロ二量体化および機能性相互作用:乳癌研究に関係する新しい 情報伝達の例証(Heterodimerization and functional interaction between EGF receptor family members:a new signaling paradigm with implications for breast cancer research),Breast Cancer Research and Treatment 1,115-13 2(1995)に記載されている)。特に、Her2/neuの過剰発現はヒト乳癌および卵巣 癌全体の20〜30%に見られ、これはEarp,H.S.,Dawson,T.L.,Li,X.& Yu,H .,EGF受容体ファミリーメンバー間のヘテロ二量体化および機能性相互作用:乳 癌研究に関係する新しい情報伝達の例証(Heterodimerization and functional i nteraction between EGF receptor familymembers:a new signaling paradigm with implications for breast cancer research;Breast Cancer Research and Treatment,115-132(1995);King,C.R.,Kraus,M.H.&Aaronson,S.A.,ヒ ト乳癌における新規v-erbB-関連遺伝子の増幅(Amplification of a novel v-erb B-related gene in a human mammary carcinoma),Science 4717,974-976(1985 );Slamon,D.J.,Clark,G.M.,Wong,S.G.,Levin,W.J.,Ullrich,A.& McGuire,W. L.,ヒト乳癌:HER-2/neu癌遺伝子の増幅と再発および生存の相関関係(Human br east cancer:correlation of relapse and survival with amplification of t he HER-2/neu oncogene),Science 4785,177-182(1987);およびSlamon,D.J. ,Godolphin,W.,Jones,L.A.,Holt,J.A.,Wong,S.G.,Keith,D.E.,Levin ,W.J.,Stuart,S.G.,Udove,J.,Ullrich,A.,ら,ヒト乳癌および卵巣癌に おけるHER-2/neu癌原遺伝子の研究(Studies of the HER-2/neu protooncogene i n human breast and ovarian cancer),Science 4905,707-712(1989)に記載 されている。また、関連するRTKファミリーメンバーの一つであるHer3(c-erbB- 3)の発現増加も乳癌を含むヒトの悪性腫 瘍の発生および進行に関係があるとされており、Kraus,M.H,Issing,W.,Miki ,T.,Popescu,N.C.& Aaronson,S.A.,ERBB/上皮成長因子受容体ファミリー の第三のメンバーであるERBB3の単離およびキャラクタリゼーション:ヒト乳癌 のサブセットにおける過剰発現の証拠(Isolation and characterization of ERB B3,a third member of the ERBB/epidermal growth factor receptor family: evidence for overexpression in a subset of human mammary tumors),Procee dings of the National Academy of Sciences of the Unlted States of Americ a 23,9193-9197(1989)、およびLemoine,N.R.,Barnes,D.M.,Hollywood,D.P .,Hughes,C.M.,Smith,P.,Dublin,E.,Prigent,S.A.,Gullick,W.J.& Hu rst,H.C.,乳癌におけるERBB3遺伝子産物の発現(Expression of the ERBB3 gen e product in breast cancer),British Journal of Cancer 6,1116-1121(199 2)に記載されている。これらの結果と一致して、BT-474において有意なレベル のHer3メッセージも検出された(HT-125では検出されなかったのに対し、BT-474 では規準化した蛍光強度単位が602であった。表−1参照)。合わせて考えると、 これらのデータから、RTKおよびRTKのヘテロ二量体化がこの乳癌の発生に強く関 連づけられる;Wallasch,C.,Weiss,F.U.,Niederfellner,G.,Jallal,B., Isslng,W.& Ullrich,A.,HER3とのヘテロ二量体化によるHER2/neuの癌化情報シ グナルのヘレグリン依存型調節(Heregulin-dependent regulation of HER2/neu oncogenic signaling by heterodimerization with HER3),EMBO J.14,4267-4 275(1995)を参照されたい。また、下線で示すRTKのシグナル伝達経路の活性化 も、観察されたGRB-7の上方制御である(表-1)。GRB-7はSH2ドメインタンパク質 で、RTKのシグナル伝達経路の構成要素であり、ある種の乳癌において過剰発現 してHer2/neuとの強固な複合体として存在するが、これについてはStein,D.,W u,J.,Fuqua,S.A.,Roonprapunt,C.,Yanjnik,V.,D'Eustachio,P.,Mosko w,J.J.,Buchberg,A.M.,Osborne,C.K.& Margolis,B.,SH2ドメインタンパク質 GRB-7は乳癌においてHER2と共増幅され、過剰発現し、HER2と強固な複合体を生 成する(The SH2 domain protein GRB-7 is co-amplified,overexpressed and i n tight complex with HER2 in breast cancer),EMBO J.13,1331-1340(1994 )に記載されている。 顕著な発現の下方制御が分析した遺伝子の〜2.5%に観察され、カベオリン-1 および-2遺伝子にメッセージレベルの劇的な低下が見られた(表-1)。カベオリン は膜融合タンパク質で、カベオラ(caveolae;形質膜の非クラスリン被覆陥入部 分。Lisanti,M.P.,Tang,Z.,Scherer,P.E.,Kubler,E.,Koleske,A.J.& S argiacomo,M.,カベオラ、膜貫通シグナル伝達、および細胞の形質転換(Caveolae ,transmembrane signalling and cellular transformation),Molecular Membr ane Biology,1,121-124(1995)に記載されている)の主要な構成要素である 。最近の証拠から、カベオラはG-タンパク質結合型(GPCR)シグナル伝達イベン トに関係し、特にカベオリンは複数のGタンパク質のαサブユニットと直接相互 作用してヘテロ三量体Gタンパク質の活性化状態を抑制的に調節することが示唆 されている;Lisanti,M.P.,Tang,Z.,Scherer,P.E.,Kubler,E.,Koleske ,A.J.& Sargiacomo,M.,カベオラ、膜貫通シグナル伝達、および細胞の形質転換 (Caveolae,transmembrane signalling and cellular transformation),Molecu lar Membrane Biology,1,121-124(1995);Li,S.Okamoto,T.,Chun,M.,Sar giacomo,M.,Casanova,J.E.,Hansen,S.H.,Nishimoto,I.& Lisanti,M.P. ,ヘテロ三量体Gタンパク質とカベオリン間の調節された相互作用の証拠(Eviden ce for a regulated interaction between heterotrimeric G proteins and cav eolin),Journal of Biological Chemistry 26,15693-15701(1995)を参照さ れたい。ここで提唱される機能は、ここに示す結果と同様、形質転換により癌化 した細胞においてカベオリンレベルの低下が観察されることと一致する(Koleske ,A.J.,Baltimore,D.& Lisanti,M.P.,形質転換により癌化した細胞における カベオリンおよびカベオラの減少(Reduction of caveolin and caveolae in onc ogenically transformed cells),Proceedings of the National Academy of Sc iences of the United States of America 5,1381-1385(1995))。 Rasタンパク質は、上流のRTK(21、22)およびGPCR(23,24)と、下流の細胞 の形質転換に関係するシグナル伝達成分(マイトジェン活性化型プロテイン(MAPK )キナーゼを含む)間の重要な仲介物質として確立されている;Van,Biesen,T., Hawes,B.E.,Luttrell,D.K.,Krueger,K.M.,Touhara,K.,Porfiri,E.,Sa kaue,M.,Luttrell,L.M.& Lefkowitz,R.J.,一般的なシグナル伝達経路によ る受容体型チロシンキナーゼおよびGベータガンマ仲介型MAPキナーゼの活性化 (Receptor-tyrosine-kinase-and G beta gamma-mediated MAP kinase activatio n by a common signallingpathway),Nature 6543,781-784(1995);Li,N.,Ba tzer,A.,Daly,R.,Yajnik,V.,Skolnik,E.,Chardin,P.,Bar-Sagi,D., Margolis,B.& Schlessinger,J.,グアニンヌクレオチド放出因子hSos1はGrb2 に結合し、受容体型チロシンキナーゼをRasシグナル伝達に連動させる(Guanine- nucleotide-releasing factor hSosl binds to Grb2 and links receptor tyros ine kinases to Ras signalling),Nature 6424,85-88(1993);Howe,L.R.,Mar shall & C.J.,リゾホスファチジン酸は、p21rasおよびp74raf-1を必要とするG タンパク質共役型経路を介してマイトジェン活性化型プロテインキナーゼの活性 化を誘導する(Lysophosphatidic acid stimulates mitogen-activated protein kinase activation via a G-protein-coupled pathway requiring p21ras and p 74raf-1),Journal of Biological Chemistry 28,20717-20720(1993);および 、Alblas,J.,Van Corven,E.J.,Hordijk,P.L.,Milligan,G.& Moolenaar, W.H.,線維芽細胞に発現するアルファ2−アドレナリン作動性受容体によるp21ra s-マイトジェン活性化型プロテインキナーゼ経路のGi-仲介型活性化(Gi-mediate d activation of the p21ras-mitogen-activated protein kinase pathway by a lpha 2-adrenergic receptors expressed in fibroblasts),Journal of Biolog ical Chemistry 30,22235-22238(1993)を参照されたい。Rasの変異は乳癌の5 %未満にしか見られないが、多くの証拠は乳癌におけるRas経路の調節解除(der egulation)と関係している(Clark,G.J.& Der,C.J.,ヒト乳癌におけるRasシ グナル伝達経路の異常機能(Aberrant function of the Ras signal transductio n pathway in human breast cancer),Breast Cancer Research and Treatment 1,133-144(1995))。BT-474においてRTKの上方制御とカベオリンの下方制御が同 時に起こることから、この乳癌ではRas経路に複数の上流マイトジェンシグナル 伝達イベントが集中していることが強く示唆される。我々の分析からRas、Raf、 Mek、およびERKの上方制御も明らかとなり(表-1)、これらは共にRas/MAPK経路 の調節解除を浮き彫りにしていることは興味深い;Marshall,M.S.,真核細胞にお けるRasの標的タンパク質(Ras target proteins in eukaryotic cells),Faseb Journal 13,1311-1318(1995)、およびSeger,R.& Krebs,E.G., MAPKシグナル伝達カスケード(The MAPK signalling cascade),Faseb Journal 9 ,726-735(1995)を参照されたい。これらのデータを合わせると、制御されて いない細胞の増殖期(uncontrolled cell-cycle proliferation)の原因である 遺伝子発現のプログラムが説明される。 通常はp53の転写調節で制御される遺伝子の発現パターンから、BT-474癌の遺 伝子異常を更に洞察した。p53は新生物と関係する最も一般的な変異型遺伝子で 、変異はヒトの癌全体の50%以上に見られる。p53遺伝子産物は核のリンタンパ ク質で、細胞周期の調節および遺伝子の恒常性の保存に機能する(Levine,A.J. ,p53、細胞の増殖および分裂の門番(p53,the cellular gatekeeper for growth and division),Cell 3,323-331(1997)に記載されている)。これらの機能を 果たすために必要な多くの生化学的特性を有し、その中には配列特異的DNA結合 活性、転写の活性化、そして転写の抑制がある。ヒト癌に見られるp53変異にお いてDNAへ結合して標的遺伝子の転写を調節する能力を喪失したp53遺伝子産物が 圧倒的に選択されて生じることは、それらの特性が細胞増殖およびアポトーシス のp53調節に重要なものであることを強く示唆している。 野生型p53タンパク質は、その腫瘍抑制活性に関連し、p53依存型機能の原因の 一部である多くの既知遺伝子を細胞内で転写的に活性化する。多くのこれら標的 遺伝子のmRNAレベルは正常な乳房細胞で検出されたが、BT-474癌では検出されな いか、あるいは劇的に下方制御されていること観察された(表-2)。更に、BT-474 において、通常は野生型p53活性によって転写的に抑制されているmRNAの有意な 上方制御が観察された(表-2参照);Velculescu,V.E.& Ei-Deiry,W.S.,p53腫 瘍抑制遺伝子の生物学的および臨床的重要性(Biological and clinical importa nce of the p53 tumor suppressorgene),Clinical Chemistry 6 Pt 1,858-68 (1996)を参照されたい。考え合わせると、これらの発現プロフィールは、これ らの細胞において野生型p53の機能が喪失していることを示している。 転写的に不活性なp53の要因を検討するために、ゲノムp53をBT474に再配列さ せた。高密度オリゴヌクレオチドアレイを使用して大量のゲノム情報を迅速に同 時分析する方法は、Chee,M.,Yang,R.,Hubbell,E.,Berno,A.,Huang,X.C .,Stern,D.,Winkler,J.,Lockhart,D.J.,Morris,M.S.& Fodor,S.P.,高 密度 DNAアレイによるゲノム情報の入手(Accessing genetic information with high- density DNA arrays),Science 5287,610-614(1996)に記載されている。この 研究に使用されるDNAアレイにより、10塩基対の隣接するイントロン配列(intro nic flanking sequence)を含む(スプライスドナー−アクセプター変異を同定 するため)p53をコードするエクソン2〜11のセンスおよびアンチセンス配列、そ して300を越える特性を調べられたされたp53のホットスポット変異および可能性 のある単一塩基の欠失の全てに対する対立遺伝子特異的プローブを同時に分析す ることができた(Deeら,投稿準備中)。DNAアレイの再配列分析部分は、p53野生 型配列に相補的な4つの、それぞれのプローブの中心に局在する位置でA、C、G 、またはTが置換されている以外は同一の、20量体オリゴヌクレオチド1セット から成る。それぞれのセットの4つのプローブでは、標的配列に完全に相補的な ものは、単一の塩基がミスマッチなプローブよりも強くハイブリダイズするため (図-3A、野生型参照)、自動化された塩基読み取りソフトウェアによって明確な 配列読み取りができる(30)。p53配列の1,490bpにわたってこのように4プローブ のセットを使用することにより、1人の人が60ゲノムからp53遺伝子の完全な遺 伝子タイピングを、従来のゲルを使用する新規の(de novo)シーケンシングで1 2ゲノムをする時間で行うことができる。 p53遺伝子における変異の特性決定を容易にするためにアルゴリズムを適用し 、サンプルと対照間のヌクレオチド変化の塩基同定を行った。この配列分析は2 つの主要な効果に基づくもので、それは単一塩基の変更によって、野生型対照に 関連して実験サンプルのアレイハイブリダイゼーションパターン上にもたらされ るものである;1)置換塩基を含有するプローブは、4プローブセット中で最も 強いシグナルを示す;そして2)位置が重複する近傍のプローブは、塩基置換の 側面にあるプローブに特徴的なシグナルの喪失または“フットプリント”を示し 、これはこれらのプローブが、変異型の標的配列とは1塩基が不適合で、疑いの ある塩基と異なるためである(図-3A、BT-474対野生型、およびref.30参照)。 p53遺伝子タイピングアレイを使用したHT-125に対するBT-474のp53ゲノムDNA の分析により、エクソン8(DNA結合ドメイン)におけるGからAへの単一塩基置 換により、285位においてEからKへアミノ酸が変更されることが明らかと なった(図−3B)。ハイブリダイゼーションシグナルの差異はフットプリント分析 によって同定された変異のあたりに集中しており(図-3Bの上段参照)、それに続 くジーンチップ(GeneChip)ソフトウェアによるBT-474の単一遺伝子タイプ(図 3Bの下段参照)の塩基の読み取りにより、この癌はp53の遺伝子座におけるヘテ ロ接合性が喪失していることが示された(ジデオキシ配列分析によって確認)。こ れらのデータは明らかに、これらの細胞における野生型p53の転写機能の喪失が 野生型p53タンパク質の欠乏によるものであることを示している。われわれはこ の分析を他の乳癌に適用して同様の結果を得、p53の転写調節の標的となる遺伝 子の発現パターンの変化は変異型p53遺伝子の状態と相関関係があると考えた(表 -3)。 組織的な発現ゲノムシーケンシングによりESTデータが生み出されており、そ の速さで行けば、全てのヒト遺伝子のESTがわずか数年で可能となると予測され る。発現配列データベースを十分活用するために、遺伝子配列から遺伝子の機能 を理解することが必要である。オリゴヌクレオチドアレイは全ゲノムにわたる発 現分析の基礎となり、調節の相互作用および遺伝子機能の洞察をもたらす。実験 細胞培養。 BT-474、MDA468、およびMDA231細胞は、10%ウシ胎児血清、10μ g/mlウシインシュリン、2mMグルタミン、100単位/mlペニシリン、および100μg/ mlストレプトマイシンを含有するRPMI-1640(Gibco/BRL社)で継代した。HT-125 細胞は、10%ウシ胎児血清、30ng/ml上皮成長因子、10μg/mlウシインシュリン 、10μM非必須アミノ酸、100単位/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマ イシンを含有する改変ダルベッコ培養液(Gibco/BRL社)で継代した。細胞株は3 7℃、5%CO2で保存し、コンフルエントの約60〜70%で3分割した。 遺伝子発現モニタリングのためのmRNAの調製および標識。 ポリA+ RNAの細胞 からの単離は、オリゴテックス・ダイレクトmRNAキット(Oligotex Direct mRNA Kit;Qiagen社)を使用し、製品の取扱説明書に従って標準プロトコールおよび バッチ・プロトコールの両方で行った。次いで0.5〜1μgのmRNAをds cDNAに変 換したが、それにはスーパースクリプト・チョイス・システムcDNA合成キット( Superscript Choice System cDNA Synthesis Kit;Gibco/BRL社)および5’末端 にT7 RNAポリメラーゼ・プロモーター配列を組み込んだオリゴdTプライマーを使 用した。得られたds cDNAを精製するために、フェイズ・ロック・ゲル(Phase Lo ck Gel;5 Prime to 3 Prime)を使用して一段階フェノール/クロロホルム抽出 をし、次いでEtOH沈殿を行った。次にds cDNA産物を標的としてin vitroで転写 標識反応を行ったが、これにはT7 RNAポリメラーゼ(Ambion T7 Megascript Tran scription Kit)、1.875mMビオチン-CTP、および1.875mMビオチン-UTPを、それぞ れのNTPの最終濃度が7.5mMになるようにして使用した。37℃で6時間インキュベ ートした後、標識されたcRNA転写物の全体をクロマスピン(Chromaspin)-100カ ラム(Clontech社)で精製し、次いでProCipitate処理(Affinity Binding)お よびEtOH沈殿を行って、取り込まれなかったヌクレオチドおよびタンパク質汚染 物を除去した。 遺伝子発現アレイのハイブリダイゼーションおよびスキャニング。 ビオチン 化したcRNA標的10μgを、10μlのマグネシウム・フラグメンテーション緩衝液 (40mMトリス−酢酸(pH8.1)、100mM KOAc、30mM MgOAc)中、95℃で35分間処理 し、平均50ヌクレオチドのサイズにフラグメント化した。ハイブリダイゼーショ ン緩衝液(0.9M NaCl、60mM NaH2PO4、6mM EDTA、および0.005%トリトンX-100 、pH7.6(6xSSPE-T))に0.1ng/mlニシン精子DNA、50pMビオチン標識コントロール オリゴ(5’-GTCAAGATGCTACCGTTCAG-3')、そしてビオチン化したcRNA定量スタン ダードであるbioB(1.5pM)、bioC(5.0pM)、bioD(25pM)、およびCre(100pM)を含 有させたもので、フラグメント化したサンプルの最終容量を200μlとした。サン プルを95℃で10分間変性させ、氷上で5分間冷却し、室温に平衡化させた(5分 間)後、アレイ・フロー・セルに適用した。アレイのハイブリダイズは60rpmで 回転させながら40℃で14〜16時間行い、次いでジーンチップ・フルイディクス・ ステーション(GeneChip Fluldics Station;RELA社)中で、6xSSPE-Tを用いて 室温で洗浄サイクル(2廃液−充填(drain-fills)/サイクル)を10回行った。 ハイブリダイズした標的cRNAを染色するために、 まずアレイを回転させながら(60rpm)40℃で15分間、0.5xSSPE-Tで洗浄し、次 いで、1mg/mlのアセチル化したウシ血清アルブミンを含有する6xSSPE-T中の2μ g/mlのフィコエリトリン−ストレプトアビジン結合体(Molecular Probes社)と 共に40℃で10分間、インキュベートした。スキャニングに先立ち、アレイを6xS SPE-Tを用いて室温で5サイクル(2廃液−充填/サイクル)、フルイディクス・ス テーション中で洗浄した。ハイブリダイズおよび染色したアレイのスキャニング は、アルゴン−イオン・レーザー・ジーンチップ・スキャナー50(Molecular Dy namics社)を使用し、解像度を7.5μm/ピクセル(〜45ピクセル/プローブ細胞 )に、そして検出波長を560nmにセットして行った。蛍光イメージと、ハイブリ ダイゼーションパターンおよび強度の定量分析は、ジーンセック分析ソフトウェ ア(GeneSeq Analysis Software)およびGEプロセス(GEprocess;Affymetrix社 )遺伝子発現データ分析プログラムを使用して実施した。 アレイのハイブリダイゼーションによる再配列分析のためのp53のPCRおよび標 識。 p53遺伝子の遺伝子タイピングは、QIAmp Blood Kit(Qiagen社)を使用し て細胞から抽出したゲノムDNA100ngを用いて、100μlの複合PCR反応液中でコー ドするエクソン2〜11を増幅して行った。2.5mM MgCl2、200μMのそれぞれのdNTP 、および10ユニットのTaqポリメラーゼ・ゴールド(Taq Polymerase Gold;Perki n-Elmer社)と共に、PCRバッファー11(PCR Buffer 11;Perkin-Elmer社)を1X で使用した。複合PCRは10個のエクソン特異的プライマー(表−4)を使用し、以 下のサイクル条件で実施した:94℃(5分)で1サイクル、94℃(30秒)、60℃(30 秒)、および72℃(30秒)を50サイクル、次いで72℃(7分)で1サイクル。その 後、0.25ユニットのAmp Grade DNAse I(Gibco/BRL社)および2.5ユニットの子ウ シ・アルカリホスファターゼ(Gibco/BRL社)と共に25℃で15分間インキュベート してPCR反応液45μlをフラグメント化および脱リン酸化し、次いで99℃で10分間 、熱不活性化を行った。次いで、フラグメント化したPCR産物を100μlの反応液 中で標識したが、これには10μMのフルオレセイン(flourecein)-N6-ddATP(Du pont-NEN社)および25ユニットのターミナルトランスフェラーゼ(Boehringer M annheim社)を200μM K-カコジレート、25mMト リス-HCl(pH6.6)、0.25mg/ml BSA、および2.5mM CoCl2に混合して使用した。標 識反応液を37℃で45分間インキュベートし、99℃で5分間、熱不活性化した。 p53 再配列分析アレイのハイブリダイゼーションおよびスキャニング。 フラ グメント化および標識したPCR反応液をp53再配列分析アレイとハイブリダイズさ せるために、2mg/mlのBSAおよび1.67nMのフルオレセイン標識したコントロール オリゴ(5’-CTGAACGGTAGCATCTTGAC-3')を含有する6xSSPE-T中で45℃で30分間 処理した。次いで、ジーンチップ・フルイディクス・ステーション(RELA社)中で 、35℃で4サイクル、3X SSPE-Tでアレイを洗浄した。ハイブリダイズしたp53 アレイのスキャニングは、アルゴンイオン・レーザー・スキャナー(Hewlett-Pa ckard社)を使用し、解像度を6.0μm/ピクセル(〜70ピクセル/プローブ細胞) 、検出波長を530nmにセットして行った。蛍光イメージを作成し、強度に関する 情報を解析し、ジーンチップ分析ソフトウェア(GeneChip Analysis Software; Affymetrix社)でヌクレオチドを分析した。フットプリント分析は、本質的には 上記のようにUlysses Analysis Software(Affymetrix社)を使用して行った。 遺伝子タイピングのスループット能力。 従来型のゲルを使用するジデオキシ ヌクレオチドのシーケンスでは、ゲル毎に平均400のヌクレオチドを読み、一日 に2回運転すると仮定すると、一日(10時間)につき約12のp53ゲノムを遣伝子 タイピングすることができる。一人当たりのジーンチップp53システムのスルー プットは、一台のフルイディクス・ステーションおよびスキャナー(40分のhyb/ 洗浄、および6分のスキャン時間)を使用した場合、1時間につき約6アレイ、 または10時間につき60のp53ゲノムを完全に遺伝子タイピングする。 遺伝子発現アレイのオリゴヌクレオチドプローブの選択およびアレイの設計。 ヒトの6,600の遺伝子アレイのプローブを、dbESTデータベースから選んだ3’-末 端配列の600塩基から選択した。アレイに含有させるプローブは、特殊性(uniqu eness)およびハイブリダイゼーション特性の基準に基づいて同定した。可能性 のあるプローブをアレイに含有させるものとして考えられる全ての遺伝子と比較 して、特殊性を求めた。可能性のあるプローブが別の配列の25個のヌクレオチド 中の22個と適合した場合は、そのプローブは廃棄した。ハイブリダイゼー ション特性によるプローブの選択は、機能的法則(heuristic rules)および従 前の発現実験から得られた神経回路網を使用して行った。6,600の遺伝子アレイ の機能的研究は以下の通りである:1)AまたはTの総数が13未満;2)CまたはGの 総数が11未満;3)領域(window)8におけるAまたはTの数が7未満;4)領域8 におけるCまたはGの数が6未満;5)パリンドロームスコアが9未満(パリンドロ ームスコアはプローブの自己相補性の尺度である)。別の箇所で詳細に記載した ように、神経回路網を使用してハイブリダイゼーションの程度が低いもの、また は乱雑にハイブリダイズするものと同定されたプローブを除去した。最後に、ア レイに含有させるのに70段階より多くの合成段階を必要とするプローブは、合成 時間およびコストを最小化するために除去した。 表2および3からのデータには、標的の別のスプライス型を同定するために設 計されたアレイから得られる発現結果も含まれている。このアレイは機能性カテ ゴリーから250の遺伝子を調査するもので、それには癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子 、DNAミスマッチ修復およびアポトーシス遺伝子産物が含まれる。この設計のた めのプローブ対は、得られるメッセージに対するそれぞれのエクソンがアレイ上 に表現されるように選択した。このように、特定のメッセージのエクソンに相当 するプローブのサブセットからの特定のシグナルの喪失は、スプライシング変異 型を示す。 ここに記載する実施例および態様が例証のみを意図するものであり、その観点 により種々の修飾および変更が当業者に示唆され、そしてそれらが本明細書の意 図と範囲、および付帯する請求の範囲内に含まれることは理解されるところであ る。ここに引用する全ての出版物、特許、および特許出願は、あらゆる意味で参 照によりここに組み込まれる。 結論 本発明は、遺伝子機能の同定および遺伝子間の制御関係を研究するための、大 いに向上された方法、組成物、および装置を提供する。上記の説明は例証を意図 し、制限を意図するものではないことは理解されるべきところである。本発明の 多くの変化は、上記説明の再考により、当業者に明白であろう。例として、主に 高密度オリゴヌクレオチドアレイの使用法に関連して本発明について記載したが 、他の核酸アレイ、他の転写レベルの測定法、およびタンパク質レベルでの遺伝 子発現モニタリングを使用しうることは、当業者に容易に理解されるところであ る。従って、本発明の範囲は上記の説明に関連して確定されるのではなく、付帯 の請求の範囲、および請求に与えられる同等のものの全範囲に関連して確定され る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 以下の工程: 多数の生物学的試料を調製すること; 前記生物学的試料中の少なくとも5遺伝子の発現を検出しそして比較するこ と; 前記遺伝子間で発現における相関により、前記遺伝子についてのクラスター マップを作成すること;そして 前記クラスターマップを解析して、前記遺伝子間の制御関係を決定する遺伝 子ネットワーク因果(causal)モデルを作成すること; を含む、遺伝子ネットワークをマッピングするための方法。 2. 前記遺伝子の発現を前記遺伝子の転写物の相対量および/または絶対量 を測定することにより検出する、請求項1に記載の方法。 3. 前記転写物の量を高密度核酸アレイを用いて検出する、請求項2に記載 の方法。 5. 前記生物学的試料をホモ接合体ノックアウト戦略により調製する、請求 項1に記載の方法。 6. 前記生物学的試料のそれぞれが前記細胞の一つのクローンに由来する、 請求項1に記載の方法。 7. 前記生物学的試料を様々な発生状態、生理学的状態または病理学的状態 を示す細胞を用いて調製する、請求項1に記載の方法。 8. 前記生物学的試料を、細胞を多数のホルモンの組合せにより刺激するこ とにより調製する、請求項1に記載の方法。 9. 前記生物学的試料を多数のベクターの組合せを用いてトランスフェクト することにより調製し、前記ベクターは多数のRNAを転写するための鋳型として 前記細胞により使用され、前記RNAのそれぞれは前記遺伝子のうちの一つに相補 的な配列を有する、請求項1に記載の方法。 10. 前記遺伝子ネットワーク因果モデルをデジタルコンピュータ中で行う 直線的構造関係(Linear Structure Relations,LISREL)法を用いて、作成およ び試験する、請求項1に記載の方法。 11. 標的上流制御遺伝子中の機能的変異を検出するための方法であって: 前記標的上流制御遺伝子に対応する野生型上流制御遺伝子を有する参照細胞 から参照試料を調製し; 前記標的上流制御遺伝子中に変異を有することが疑われるがそれ以外は実質 的に参照細胞と同様である標的細胞から、標的試料を調製し; 前記野生型上流制御遺伝子により情報制御または下方制御される前記参照試 料中の多数の下流遺伝子の発現を検出して、参照発現パターンを入手し; 前記標的試料中の前記多数の下流遺伝子の発現を検出して、標的発現パター ンを入手し;そして 参照発現パターンと前記標的発現パターンを比較して、前記標的遺伝子中の 機能的変異または不活性化を検出する; ことを含む、前記方法。 12. 前記下流遺伝子が前記野生型上流制御遺伝子により転写的に制御され 、そして前記参照発現パターンおよび標的発現パターンを前記参照試料および標 的試料中における前記下流遺伝子の転写物の量を測定することにより検出する、 請求項11に記載の方法。 13. 前記転写物の量を高密度核酸アレイを用いて検出する、請求項12に 記載の方法。 14. 前記参照発現パターンおよび標的発現パターンを前記参照試料および 標的試料中における前記下流遺伝子のタンパク質産物の量を測定することにより 検出する、請求項11に記載の方法。 15. 以下の工程: 前記参照試料および標的試料中において、前記上流制御遺伝子の機能に対し て非同調的な多数の対照遺伝子の発現を検出すること;そして 対照遺伝子の参照発現パターンおよび標的発現パターンを比較して、発現パ ターンにおける有意な相違を検出するための基準線を提供すること; をさらに含む、請求項11に記載の方法。 16. 以下の工程: 有意な数の前記下方制御された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記標的 試料中において相対的により高度に発現するか、または有意な数の前記情報制御 された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記標的試料中において相対的により 低度に発現している場合には、前記標的遺伝子中における野生型機能の損失を示 すこと; をさらに含む、請求項11に記載の方法。 17. 以下の工程: 有意な程度の前記下方制御された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記標 的試料中において相対的により低度に発現するか、または有意な程度の前記情報 制御された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記標的試料中において相対的に 高度に発現している場合には、前記標的遺伝子中における機能獲得変異を示すこ と; をさらに含む、請求項11に記載の方法。 18. 標的上流制御遺伝子中の配列変化の機能を決定するための方法であっ て、以下の工程: 前記標的上流制御遺伝子に対応する野生型上流制御遺伝子を有する参照細胞 から参照試料を調製すること; 前記配列変化を有する前記標的上流制御遺伝子を有するが、それ以外は実質 的に前記参照細胞と同様である標的細胞から、標的試料を調製すること; 前記野生型上流制御遺伝子により情報制御または下方制御される前記参照試 料中の多数の下流遺伝子の発現を検出して、野生型発現パターンを入手すること ; 前記標的試料中の前記多数の下流遺伝子の発現を検出して、標的発現パター ンを入手すること;そして 参照発現パターンと前記標的発現パターンを比較して、前記配列変化の制御 的機能を検出すること; を含む、前記方法。 19. 前記下流遺伝子が前記上流制御遺伝子により転写的に制御され、そし て前記参照発現パターンおよび標的発現パターンを前記参照試料および標的試料 中において前記下流遺伝子の転写物の量を測定することにより検出する、請求項 18に記載の方法。 20. 前記転写物の量を高密度核酸アレイを用いて検出する、請求項19に 記載の方法。 21. 前記参照発現パターンおよび標的発現パターンを前記参照試料および 標的試料中において前記下流遺伝子のタンパク質産物の量を測定することにより 検出する、請求項18に記載の方法。 22. 以下の工程: 前記参照試料および標的試料中において、前記上流制御遺伝子の機能に対し て非同調的な多数の対照遺伝子の発現を検出すること;そして 対照遺伝子の参照発現パターンおよび標的発現パターンを比較して、発現パ ターンにおける有意な相違を検出するための基準線を提供すること; をさらに含む、請求項18に記載の方法。 23. 以下の工程: a) 有意な程度の前記下方制御された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記 標的試料中において相対的により高度に発現するか、または有意な程度の前記情 報制御された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記標的試料中において相対的 により低度に発現している場合には、前記配列変化が機能損失変異を示すこと; b) 有意な程度の前記下方制御された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記 標的試料中において相対的により低度に発現するか、または有意な程度の前記情 報制御された遺伝子が前記参照試料中と比較して前記標的試料中において相対的 に高度に発現している場合には、前記配列変化が機能獲得変異を示すこと; c) 前記参照発現パターンおよび標的発現パターンが実質的に同様である場合 には、前記配列変化が非機能的多型であることを示すこと; をさらに含む、請求項18に記載の方法。 24. 前記工程(a)、(b)および(c)をデジタルコンピュータを用いて行う、 請求項23に記載の方法。 25. 標的細胞型中の標的遺伝子の遺伝子的制御機能を決定する方法であっ て、以下の工程: 前記標的遺伝子の発現された遺伝子産物を有する前記標的細胞型から参照試 料を調製すること; 前記標的細胞型における前記標的遺伝子の発現を阻止して、機能欠損試料を 調製すること; 前記参照試料中および前記機能欠損試料中において少なくとも2000遺伝子の 発現を検出して、参照発現パターンおよび機能欠損発現パターンを入手すること ;そして 前記参照発現パターンと前記機能欠損発現パターンを比較して、前記標的遺 伝子の制御機能を決定すること; を含む、前記方法。 26. 前記参照発現パターンおよび機能欠損発現パターンを前記参照試料お よび標的試料中における前記下流遺伝子の転写物の量を測定することにより検出 する、請求項25に記載の方法。 27. 前記転写物の量を高密度核酸アレイを用いて検出する、請求項26に 記載の方法。 28. 前記標的遺伝子の発現をアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入する ことにより前記機能欠損アッセイにおいて阻止する、請求項25に記載の方法。 29. 標的細胞中のp53遺伝子の機能的変異を検出するための方法であって 、以下の工程: 野生型p53遺伝子を有する以外は実質的に前記標的細胞と同様である参照細 胞から参照試料を調製すること; 前記参照細胞および前記標的細胞中において、前記野生型p53遺伝子により 情報制御または下方制御される多数の下流遺伝子の発現を検出して、標的発現パ ターンを入手すること;そして 前記参照発現パターンと前記標的発現パターンを比較して、前記p53機能的 変異を検出すること; を含む、前記方法。 30. 前記下流遺伝子が前記野生型p53遺伝子により転写的に制御され、そ して前記下流遺伝子の発現を前記参照細胞および標的細胞中における前記下流遺 伝子の転写物の量を測定することにより検出する、請求項29に記載の方法。 31. 前記転写物の量を高密度核酸アレイを用いて測定する、請求項30に 記載の方法。 32. 前記下流遺伝子が、p53情報制御gadd45、サイクリンG、p21waf1、Bax 、IGF-BP3およびトロンボプラスチン遺伝子、そしてp53下方制御c-mycおよびPCN A遺伝子を含む、請求項30に記載の方法。 33. 以下の工程: 前記p53情報制御遺伝子の発現が前記参照細胞中と比較して前記標的細胞中 において少なくとも5倍であるか、または前記p53下方制御遺伝子の発現が前記 参照細胞中と比較して前記標的細胞中において少なくとも5倍である場合には、 前記p53中における機能欠損変異を示すこと; をさらに含む、請求項32に記載の方法。 34. p53の配列変化についての細胞内機能アッセイであって、以下の工程 : 前記p53配列変化を有する標的細胞から標的試料を調製すること; 野生型p53遺伝子を有する以外は前記標的細胞と実質的に同様である参照細 胞から参照試料を調製すること; 前記野生型p53遺伝子により情報制御または下方制御される多数の下流遺伝 子の発現を、前記参照細胞中において検出して参照発現パターンを入手し、そし て前記標的細胞中において検出して標的発現パターンを検出すること;そして 前記参照発現パターンと前記標的発現パターンを比較して、前記p53配列変 化軒脳を決定すること; を含む、前記方法。 35. 前記下流遺伝子が前記野生型p53遺伝子により転写的に制御され、そ して前記下流遺伝子の発現を前記参照細胞および標的細胞中において前記下流遺 伝子の転写物の量を測定することにより検出する、請求項34に記載の方法。 36. 前記転写物の量を高密度核酸アレイを用い手測定する、請求項35に 記載の方法。 37. 前記下流遺伝子が、p53情報制御gadd45、サイクリンG、p21waf1、Bax 、IGF-BP3およびトロンボスポンジンの遺伝子、そしてp53下方制御c-mycおよびP CNA遺伝子を含む、請求項35に記載の方法。 38. 以下の工程: 前記p53情報制御遺伝子の発現が前記参照細胞中と比較して前記標的細胞中 において少なくとも5倍であるか、または前記p53下方制御遺伝子の発現が前記 参照細胞中と比較して前記標的細胞中において少なくとも5倍である場合には、 前記p53配列変化が野生型機能欠損変異であることを示すこと; をさらに含む、請求項35に記載の方法。 39. 多数の下流制御遺伝子の部分配列の相補的な配列を含む高密度核酸ア レイを含む、前記標的制御遺伝子に対応する野生型遺伝子により情報制御または 下方制御される標的制御遺伝子中の機能変異を検出するための装置。 40. 前記高密度核酸アレイが前記標的の制御遺伝子中の配列変化を決定す るためのタイル状配列をさらに含む、請求項39に記載の装置。 41. 疾患細胞中の推定変異遺伝子を検出する方法であって、以下の工程: 正常細胞から参照試料を調製し、そして前記疾患細胞から標的試料を調製す ること; 前記参照試料および前記標的試料中において目的とする少なくとも100遺伝 子の発現を検出すること; 前記疾患細胞中において発現が増加するかまたは減少する遺伝子を変化した 遺伝子として示すこと; 前記変化した遺伝子の上流遺伝子を前記推定変異遺伝子として示すこと; を含む、前記方法。 42. 前記推定変異遺伝子が前記変化した遺伝子を転写的に制御する上流遺 伝子であり、そして前記遺伝子の発現を前記遺伝子の転写物の量を測定すること により検出する、請求項41に記載の方法。 43. 前記転写物の量を高密度核酸アレイを用いて決定する、請求項42に 記載の方法。 44. コンピュータ中で遺伝子発現データを解析する方法であって: 多数の生物学的試料中において少なくとも5遺伝子の発現を反映する多数の 発現データをインプットすること; 前記遺伝子間で前記発現データを相関付けること; 前記相関を解析して前記遺伝子間の制御関係を決定すること; を含む、前記方法。 45. コンピュータを用いて標的遺伝子中の変異を検出する方法であって: 前記標的遺伝子を含む標的試料中において、前記標的遺伝子により制御され る多数の遣伝子の標的発現データをインプットすること; 前記標的遺伝子に対応する野生型遺伝子を含む野生型試料中において、前記 多数の遺伝子の野生型発現データをインプットすること; 標的発現データと野生型発現データを比較して、前記標的遺伝手中の変異を 検出すること; を含む、前記方法。 46. 試験細胞中において制御分子をコードする核酸の機能欠損を決定する 方法であって: 制御分子をコードする第一の核酸分子を選択すること; 正常細胞中において制御分子により発現が誘導または抑制される一組の第二 の核酸分子を選択すること; 試験細胞の転写指標を一組の核酸プローブとハイブリダイゼーションするこ とであって、前記転写指標をmRNA、cDNA、およびcRNAからなる群から選択し、前 記一組の核酸プローブのそれぞれのメンバーは一組の第二の核酸分子のメンバー である核酸分子の一部を含み; 前期比徳見の核酸プローブのそれぞれにハイブリダイゼーションする転写指 標の量を検出すること; (1)制御分子により誘導される核酸の一部を含むプローブに対する試験細胞 の転写指標のハイブリダイゼーションが正常細胞由来の転写指標を用いたハイブ リダイゼーションと比較して低いか、または(2)制御分子により抑制される核酸 分子の一部を含むプローブに対する試験細胞の転写指標のハイブリダイゼーショ ンが正常細胞由来の転写指標を用いたハイブリダイゼーションと比較して高い場 合には、試験細胞が制御分子の機能を欠損したものとして同定すること; を含む、前記方法。 47. 制御分子がp53である、請求項46に記載の方法。 48. 試験細胞が乳腺細胞である、請求項46に記載の方法。 49. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも4遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 50. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも10遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 51. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも20遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 52. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも30遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 53. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも100遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 54. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも250遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 55. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも300遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 56. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも400遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 57. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも500遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 58. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも750遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 59. 一組の核酸プローブがp53により活性化されるかまたは抑制される少 なくとも1000遺伝子の一部を含む核酸配列を含む、請求項46に記載の方法。 60. それぞれがp53により活性化されるかまたは抑制される遺伝子の一部 を含む核酸が、表3中に示される核酸から選択される、請求項46に記載の方法 。 61. 核酸プローブを固相支持体に接着する、請求項46に記載の方法。 62. 核酸プローブをアレイ中に配列する、請求項46に記載の方法。 63. アレイがp53により誘導されるかまたはp53に抑制されるかのいずれか である少なくとも250遺伝子の一部である核酸プローブを含む、請求項62に 記載の方法。 64. アレイが少なくとも6000の別個の遺伝子の一部である核酸プローブを 含む、請求項62に記載の方法。 65. 核酸プローブの少なくとも一つが、表2中で定義される様に、サイク リンG、GADD45、IGF-BP3、p21WAFl/CIPl、トロンボスポンジン、C-myc、およびP CNAのそれぞれの一部を含む、請求項46に記載の方法。 66. 核酸プローブの少なくとも一つが、表2中で定義される様に、Bax、 サイクリンG、GADD45、IGF-BP3、p21WAFl/CIPl、トロンボスポンジン、C-myc、 およびPCNAのそれぞれの一部を含む、請求項46に記載の方法。 67. 以下の工程: 試験細胞中のp53遺伝子の配列を決定して、細胞のp53の状態を確認すること ; をさらに含む、請求項46に記載の方法。 68. ハイブリダイゼーションが対比される試料間で少なくとも3倍の差が ある場合に、試験細胞をp53陰性細胞と特定する、請求項46に記載の方法。 69. ハイブリダイゼーションが対比される試料間で少なくとも5倍の差が ある場合に、試験細胞をp53陰性細胞と特定する、請求項46に記載の方法。 70. ハイブリダイゼーションが対比される試料間で少なくとも10倍の差が ある場合に、試験細胞をp53陰性細胞と特定する、請求項46に記載の方法。 71. 試験細胞の異常増殖(neoplasia)を診断する方法であって; 試験細胞の転写指標を一組の核酸プローブとハイブリダイゼーションするこ とであって、転写指標はmRNA、cDNAおよびcRNAからなる群から選択し、一組の核 酸プローブは、p53により活性化されるかまたは抑制される遺伝子の一部である 少なくとも一つの核酸分子を含み; 前期一組の核酸プローブのそれぞれとハイブリダイゼーションする転写指標 の量を検出し; (1)p53活性化遺伝子であるプローブに対する試験細胞の転写指標のハイブリ ダイゼーションが正常細胞由来の転写指標を用いたハイブリダイゼーションより も低いか、または(2)p53抑制遺伝子であるプローブに対する試験細胞の転写指 標のハイブリダイゼーションが正常細胞由来の転写指標を用いたハイブリダイゼ ーションよりも高い場合には、試験細胞が新生物(neoplastic)であるとして同 定すること; を含む方法。 72. 試験細胞が乳腺細胞である、請求項71に記載の方法。 73. 前記プローブの少なくとも4個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺伝 子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 74. 前記プローブの少なくとも10個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺伝 子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 75. 前記プローブの少なくとも20個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺伝 子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 76. 前記プローブの少なくとも30個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺伝 子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 77. 前記プローブの少なくとも50個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺伝 子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 78. 前記プローブの少なくとも75個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺伝 子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 79. 前記プローブの少なくとも100個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺 伝子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 80. 前記プローブの少なくとも250個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺 伝子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 81. 前記プローブの少なくとも300個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺 伝子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 82. 前記プローブの少なくとも500個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺 伝子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 83. 前記プローブの少なくとも750個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺 伝子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 84. 前記プローブの少なくとも1000個がp53活性化遺伝子またはp53抑制遺 伝子の一部を含む、請求項71に記載の方法。 85. 核酸プローブを固相支持体に接着する、請求項71に記載の方法。 86. 核酸プローブをアレイ中に配列する、請求項71に記載の方法。 87. アレイが少なくとも250の別個の遺伝子の一部である核酸プローブを 含む、請求項71に記載の方法。 88. アレイが少なくとも6000の別個の遺伝子の一部である核酸プローブを 含む、請求項71に記載の方法。 89. 核酸プローブの少なくとも一つが、表2で定義される様に、Bax、サ イクリンG、GADD45、IGF-BP3、p21WAFl/CIPl、トロンボスポンジン、C-myc、お よびPCNAのそれぞれの一部を含む、請求項71に記載の方法。 90. 核酸プローブの少なくとも一つが、表2で定義される様に、サイクリ ンG、GADD45、IGF-BP3、p21WAFl/CIPl、トロンボスポンジン、C-myc、およびPCN Aのそれぞれの一部を含む、請求項71に記載の方法。 91. 以下の工程: 試験細胞中のp53遺伝子の配列を決定して、前記細胞のp53遺伝子型の状態を 決定すること; をさらに含む、請求項71に記載の方法。 92. ハイブリダイゼーションが対比される試料間で少なくとも3倍の差が ある場合に、試験細胞を新生物と特定する、請求項71に記載の方法。 93. ハイブリダイゼーションが対比される試料間で少なくとも5倍の差が ある場合に、試験細胞を新生物と特定する、請求項71に記載の方法。 94. ハイブリダイゼーションが対比される試料間で少なくとも10倍の差が ある場合に、試験細胞を新生物と特定する、請求項71に記載の方法。 95. 抗ガン剤を同定する方法であって、以下の工程: そのmRNAが腫瘍細胞中で誘導されるタンパク質を選択すること; 試験化合物を選択したタンパク質と接触させること; 化合物が前記タンパク質の活性を阻害する場合に、前記化合物を可能性のあ る抗ガン剤として特定すること; を含む、前記方法。 96. mRNAが乳腺腫瘍中で誘導される、請求項95に記載の方法。 97. mRNAがBT-474乳腺腫瘍細胞中で誘導される、請求項95に記載の方法 。 98. mRNAが表3中に示されるmRNAから選択される、請求項95に記載の方 法。 99. 少なくとも50個の前記プローブが、表3中で同定される遺伝子の少な くとも9個の隣接したヌクレオチドの部分を含む、核酸プローブのアレイを含む 固相支持体。 100. 少なくとも75個の前記プローブが、表3中で同定される遺伝子の少 なくとも9個の隣接したヌクレオチドの部分を含む、請求項99に記載の固相支 持体。 101. 少なくとも100個の前記プローブが、表3中で同定される遺伝子の 少なくとも9個の隣接したヌクレオチドの部分を含む、請求項99に記載の固相 支持体。 102. 少なくとも150個の前記プローブが、表3中で同定される遺伝子の 少なくとも9個の隣接したヌクレオチドの部分を含む、請求項99に記載の固相 支持体。 103. 少なくとも200個の前記プローブが、表3中で同定される遺伝子の 少なくとも9個の隣接したヌクレオチドの部分を含む、請求項99に記載の固相 支持体。 104. 少なくとも250個の前記プローブが、表3中で同定される遺伝子の 少なくとも9個の隣接したヌクレオチドの部分を含む、請求項99に記載の固相 支持体。 105. 少なくとも300個の前記プローブが、表3中で同定される遺伝子の 少なくとも9個の隣接したヌクレオチドの部分を含む、請求項99に記載の固相 支持体。 106. 表2中に示されるプローブから選択されるプローブを含む、請求項 99に記載の固相支持体。 107. 前記生物学的試料を無作為の化学変異物質を用いて調製する、請求 項7に記載の方法。 108. 前記生物学的試料をアンチセンスRNAまたはタンパク質の細胞中へ のマイクロインジェクションを用いて調製する、請求項7に記載の方法。
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