JP2001507130A - アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断方法 - Google Patents

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断方法

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Abstract

(57)【要約】 1つまたはそれ以上のABPA関連組換え体アレルゲンと反応性のある抗体を個体が保有するかどうかを測定することを特徴とする、ヒト個体のABPA診断法。特にrAspf4、rAspf6およびrAspf8。

Description

【発明の詳細な説明】 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断方法 技術分野 本発明はアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の診断方法およびその 方法に用いる組換え体アレルゲンに関与する。優先期間中に、優先権出願におい てrAsp f2と呼んでいたその組換え体アレルゲンは、公式にはrAsp f6と命名され た。この明細書では公式名を用いる。 技術背景 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA) アレルギー性気管支肺アスペ ルギルス症は、アスペルギルス種、主にA.fumigatusが原因の非常に激しいアレ ルギー性複合症である。ABPAは、主にアトピー性喘息(8-12)または膀胱繊維症(1 6-19)を長年患っている患者のアスペルギルス抗原に対し過敏性になる結果であ る。当初は稀な疾病(13)として考えられていたけれども、ABPAは近年より多い頻 度で確認されている。様々な臨床的症状のABPAが、A.fumigatusに感作された喘 息患者の約15%で生じたと報告され(14,15)、一方、膀胱繊維症の患者では発生 率が10〜35%で変化したと報告されている(16,17)。ABPAは、定義された臨床的 、血清学的、放射線学的および病理学的特徴を有する、喘息から致命的な破壊的 肺疾病までの免疫疾病であると言われる(8,18-22)。その激しさから、A.fumiga tusに対する即座の皮膚反応性が見られる慢性喘息または膀胱繊維症患者では、A BPAを防ぐべきである(8)。ABPAの診断基準は、喘息または膀胱繊維症、レントゲ ン撮影用浸潤の記録(history of roentgenographic infiltrate)(殆どの場合)、 A.fumigatus抽出物に対する即座の皮膚反応性、血清総IgEの上昇、A.fumigatu sに対する抗体の沈殿、末梢における血液の好酸球増加症、喘息患者およびアス ペルギルスに対する皮膚反応性の患者(ただしABPAを除く)からの血清と比較した ときのA.fumigatus特異的血清IgEおよびIgG上昇、および遠位の気管支は正常に 先細りするが、近位(中心部)気管支拡張症である(23-25)。基準が全て 存在する場合、診断は容易にできる(26)。しかしながら、中心性気管支拡張症を 伴う典型的なABPA患者でさえ、8つ全ての基準が同時に存在するのは稀である。 気管支拡張症ならびにある程度はA.fumigatus特異的血清IgEおよびIgGの上昇を 除くと、ABPAに特定の診断基準はない(26)。さらに肺浸潤および中心性気管支拡 張症はA.fumigatusに感作しない膀胱繊維症患者においても通常検出され、それ は膀胱繊維症患者のABPA診断法をより困難なものとする(16)。それゆえ、ABPAの 血清学的同定はより高い診断能力を有するが、しかしながら、標準化した信頼で きる菌類抽出物の欠乏により阻害される(5,7,27-29)。 Aspergillus fumigatus 抗原疾病の免疫学的診断法の主な問題は、菌類抗原性 の複雑さに由来するA.fumigatusに関係していた。A.fumigatusの抗原/アレル ゲン抽出物には、何百もの異なるタンパク質(6,30,31)を含み、その限定された 一部がヒト血清IgE(6,32,33,35)と結合できる。アレルギー性個体の血清を用い るウエスタンブロット分析により抽出物を調べると、複合体のIgE結合パターン を生ずる40を超えるIgE結合成分を菌類が作成すると報告されている(32,33)。病 像をさらに複雑化するのは、異なる患者の血清IgEは多種のパターンの菌類タン パク質を認識する(6,36)。ABPA患者の場合、たとえ同じ一群(batch)の菌類抽出 物を用いたとしても、疾病の段階に応じて、別の時に採取した同じ患者の血清か ら異なるアレルゲン性“フィンガープリント”が得られる(36,37)。 ABPAを診断するための粗アレルゲン抽出物の代わりに精製天然アレルゲン性成 分を用いることが提唱されている(79)。ABPAと結合する組換え体A.fumigatusア レルゲンは早くから報告されている(71,83)。A.fumigatus由来の組換え体アレ ルゲンについての多くの文献では、発明者が著者として記載されている(クロー ニングと発現:39,43,49,51,52,82,および診断方法の使用:59,66,32,71,76,81) 。 優先期間の国際調査の結果 参考文献66、79および84は、特に関連しているとして類別されている。 Banerjeeら(84)は、細胞内に存在することができない抗原について報告してい る。報告された抗原は、ABPA患者の血清と反応するが、ABPAではなくA.fumigat usで感作した患者の血清と抗原が反応しないことを示唆するデータはな い。 Moserら(66)およびLittleら(79)は、ABPAではなくA.fumigatusで感作した患 者の血清およびABPA患者の血清としばしば反応するため、ABPAの鑑別診断法の見 込みのない分泌タンパク質/抗原について報告している。 本発明の目的 本発明の大きな目的は、ABPAの改良した診断法を提供することである。 1つ目の小さな目的は、ABPA診断における十分な特異性および感度を有するイ ンビトロ診断方法を提供することである。 2つ目の小さな目的は、免疫検定および皮膚反応性測定方法をそれぞれ含む、 インビトロおよびインビボ両方のABPA診断に使用し得る十分に定義されたアレル ゲン調製を提供することである。 発明 本発明の第一の主な観点は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)の 診断方法である。この観点は、反応物としてABPA関連組換え体アレルゲン、すな わち、患者のABPA疾病がA.fumigatusに対するアレルギー性感作に差異を生じ得 るため、種々のIgクラス/サブクラス、すなわちIgEクラスまたは総IgGもしくは IgGサブクラス(IgG1,IgG2,IgG3およびIgG4)等の抗体が検出され得るエピトープ を有する組換え体アレルゲンを用いることを特徴とし、特に膀胱繊維症患者に有 用である。 ABPA関連組換え体アレルゲンの観念には、起源とは無関係の、示した鑑別診断 法を可能にする上記抗体結合性を有する、何れの組換え体アレルゲンも含む。そ れには、特に、A.fumigatusおよびそのABPA関連フラグメントから得られるABPA 関連組換え体アレルゲンを包含する。A.fumigatusからクローニングしたABPA関 連組換え体アレルゲンとして、その観念には、A.fumigatusのABPA関連アレルゲ ンと共通の1つまたはそれ以上のABPAエピトープを有する、他の源から得られた ABPA関連アレルゲンおよびフラグメントを包含する。優先日において、上記同様 、rAsp f4およびrAsp f6ならびにそれらのフラグメントは、最も有用なABPA関連 ア ルゲンであると見なされていた。ABPA関連組換え体アレルゲンについて定義した ように、抗体に結合能を有する種々の誘導体型もまた含まれる。 種々の副観点には、下記のインビトロおよびインビボの試験プロトコールを含 む。 2つ目の本発明の主な観点は、ABPA患者に存在するヒトIgEに結合する新規ABP A関連組換え体アレルゲンであり、本発明の第一の観点に有用となる。 本発明の第2の主観点の種々副観点は下記から明らかであり、非誘導性、不溶 性およびラベルされたABPA関連アレルゲンを含むがこれらに限定されない誘導体 形を含む。 本発明の他の観点は、他のアレルゲンに行うように除感作処置のためにABPA関 連アレルゲンを使用することである。 Aspergillus fumigatusのアレルゲンのクローニング クローニングのストラテジには、ファージミドpComb3(47)を用い、互いに結合 するロイシンジッパータンパク質JunとFosを用いた(74,48,74,75)。 システイン残基が隣接するjunロイシンジッパーをコードするDNAをウイルス性 コートタンパク質のN末端に融合して得られる修飾gIII産物は、LacZプロモータ ーにより発現され、pelBリーダーペプチドによりE.coliのペリプラズムに分泌 され、それゆえヘルパーファージの感染においてファージ分子に構造的に組込ま れた。ファージミドの2つ目のLacZプロモーターを用いて、fosロイシンジッパ ードメイン(システイン残基が隣接し、A.fumigatusのcDNAタンパク質産物にN末 端融合ペプチドとして共発現する)は、pelBリーダーペプチドを用いE.coliのペ リプラズムに分泌された(50)。Jun-Fosヘテロ2量体化およびジスルフィド結合 形成によりファージ分子に組込まれたgIII-Jun融合タンパク質は、Fosロイシン ジッパーをN末端連結したランダム組換え体cDNA産物のファージ表面に共有結合 する(48,49)。報告されているエレメントを含むファージミドpJuFoにより、ファ ージ表面のcDNAライブラリーが発現され提示され、これはショットガンクローニ ングしたA.fumigatusペプチド/タンパク質をコードする場合であり、他のフィ ラメント状ファージシステムに用いるバイオパンニング(biopanning)法に基く強 力なスクリーニング技術の適用を可能とする。ファージ表面に提示されるライブ ラリーからのcDNAクローニングの成功の鍵は、用いるスクリーニングストラテジ にある。考えられる最も重要な要因は、選択ファージに用いるリガンドを標識す ること、またはリガンドの天然のコンホメーションを維持し得る方法で固定化す ることである。疎水性相互作用により固相に直接固定化するとき、タンパク質は 3次元構造が変化するために生物学的活性を失い得ることを考慮しなければなら ない(54,55)。一般に、リガンドの既知のまたは予想される特徴よりリガンド固 定化の使用方法が示される。血清抗体が認識するアレルゲン単離のため、捕獲(c apture)抗体の使用は、異なる理由の有力な証明となっている。第一に、免疫グ ロブリンε定常ドメインCε2、Cε3およびCε4に対するモノクローナル抗体 は、抗体の抗原結合部位に妨げとならない。第二に、抗IgE抗体で被覆した表面 は、アレルギー患者の血清のIgE抗体を選択的に固定化し得る。それゆえ、他の 全血清成分を伴い相互作用および交差反応する他のイソ型血清抗体を潅いだ後、 IgE結合分子を提示するファージのみ吸着し得る特定表面が得られる(51-53)。 cDNA産物を表し、A.fumigatusのmRNAを用いて構成されたライブラリーからフ ァージを選択するpJuFo適用から、A.fumigatusで感作した患者の血清のIgE抗体 に結合し得る種々様々なファージクローンを得た(表1)。 固体相支持体に固定化λ-ライブラリーのスクリーニングに比べて、フィラメ ント状ファージの表面に表されたcDNAライブラリーのスクリーニング方法には幾 つかの利点がある。血清IgEを固定化抗IgE抗体で捕獲することにより、変性せず (56,57)、そのため完全な抗原結合能を有する固定化IgEの均一表面を生ずる。最 も重要な利点は、ファージライブラリーは液相中で保存され、そこではリガンド と親和性のあるファージのみが洗浄後も固体相に維持されることである(47,53) 。取り除いたファージは、リガンドに親和性のあるファージを増やすためにE.co liの感染に用い得る。それゆえ、ファージの増殖および選択の連続的段階より、 リガンドと親和性のあるタンパク質を提示するファージを増やすことができる( 表3)。IgE結合性タンパク質を提示する候補ファージクローンの選択後、10mL培 養液から得られるファージ分子は沈殿され、各候補クローンの1010-1013ファー ジ分子試料が還元条件下SDS-PAGEで分析され、その後ニトロセルロース膜に移さ れ 得る(49,51)。ニトロセルロースシート上の自由結合部位を充たすためにブロッ キングした後、“一次抗体”として1:10に希釈した患者の血清と共に膜をイン キュベーションし、二次抗体としてマウス抗ヒトIgE mAbを用い、ファージ表面 に元来存在するcDNA産物にIgEを結合させ視覚化し得る。ウエスタンブロットは 、非放射性システム、および検出システムとしてセイヨウワサビ-ペルオキシダ ーゼ連結ヤギ抗マウスIgを用い容易に発達し得た。ファージ表面に提示されるA .fumigatus cDNAライブラリーから増やしたIgE結合タンパク質の明確な分子量 は、10から50kDa以上の範囲であった。大きさの異なるcDNA挿入物のヌクレオチ ド配列決定および制限酵素パターンより、オープンリーディングフレームから推 定したとおり異なるタンパク質をコードしていることが示された。 E.coliでの組換え体アレルゲンの製造 製造法の説明的例示により、rAsp f4およびrAsp f6としてデザインされ、A.f umigatusからクローニングした2つのABPA関連組換え体アレルゲンが得られる。 rAsp f6:rAsp f6のコーディング配列を含むDNAを、T7プロモーターの転写制 御下のもと発現ベクターにクローニングした(78)。その構成は、メチオニン残基 1つをアレルゲンアミノ酸配列のN末端に加え、その一方で8残基長の-VEHHHHHH をC末端に加えるという方法でデザインした。その6つのヒスチジン残基は金属 キレートアフィニティークロマトグラフィーのアフィニティータグの役割をする 。配列確定後、その構築物をE.coli BL21[pT7POL23]に導入し(77)、そのT7RNA ポリメラーゼ合成は増殖培養の温度を37℃以上に上げることにより誘導される。 rAsp f66を産生するために、適当量の構成物質を含む1リッターLB培地に、30℃ で一夜増殖したスターター培養1mLを接種した。30℃の増殖で約3時問の後、OD60 0 0.7で、培養温度を42℃にシフトし発現を誘導した。誘導温度でインキュベーシ ョンして4時間後、細胞を遠心分離により回収し、0.5M NaClおよび5mMイミダゾ ールを含む氷冷20mM Tris-HCl pH8.0(再懸濁バッファー)50mLに再懸濁した。細 胞を超音波で破壊し、遠心分離で不溶性の残骸を除去した。過剰発現したアレル ゲンを含む上清を0.22μmで濾過し、残存している微粒子物資を除去し、事前にN i2-で電荷を与え、再懸濁バッファーで平衡化した5mL Hi Trapキレート化カラム (Pharmacia Biotech AB,Uppsala,Sweden)を2つ直列に連結した組み立て(asse mbly)に流し入れた。そのカラム組み立てを最初に再懸濁バッファー50mLで洗浄 し、次に60mMまでのイミダゾールを加えた再懸濁バッファー50mLで洗浄した。rA sp f6を溶出するために、20mM Tris-HCl pH8.0/0.5M NaClにおける60-500mMイ ミダゾールの30mL直線状勾配を適用し、1mL画分を回収しSDS-PAGEで分析した。r Asp f6を含む画分を保存し、平衡化したSuperdex 200カラム(Pharmacia Biotech AB,Uppsala,Sweden)でゲル濾過し、0.15M NaClで溶出した。rAsp f6を含む画 分を保存し、YM5膜を装着したアミコンセルを用い濃縮した。最後に、細菌培養1 Lから精製したrAsp f6収量は23mgであった。 rAsp f4:rAsp f4をコーディング配列を含むDNAをT7プロモーターの転写制御 下、発現ベクターにクローニングした(78)。その構成は、11残基長のMRGSHHHHHH M-をアレルゲンアミノ酸配列のN末端に加えた。その6つの構造ヒスチジン残基 は金属キレートアフェニティークロマトグラフィーのアフェニティータグの役割 をする。タンパク質のC末端にはアミノ酸を加えなかった。配列確定後、構成をE .coli BL21[pT7POL23]に導入し(77)、そのT7RNAポリメラーゼの合成は増殖培養 の温度を37℃以上に上げることにより誘導され得る。rAsp f4を得るために、適 当量の抗生物質を含むLB培地1リッターに、30℃で一夜増殖したスターター培養1 mLを接種した。30℃の増殖で約3時間の後、OD6000.7で、培養温度を42℃にシフ トし発現を誘導した。誘導温度でインキュベーションして4時間後、細胞を遠心 分離により集菌し、0.5M NaClを含む氷冷20mM Tris-HCl pH8.0 50mLで再懸濁し た。細胞を超音波で破壊し、遠心分離でrAsp f4タンパク質を含む不溶性物質を 回収した。2M尿素、0.5M NaClおよび2%Triton X-100を含む20mM Tris-HCl pH8. 0の再懸濁により不溶性物質を2回洗浄し、その後、遠心分離した。封入体を含 む部分的に精製したrAsp f4を、45分間、室温、6Mグアニジニウム塩酸塩、0.5M NaCl、5mMイミダゾールおよび1mM 2-メルカプトエタノールを含む20mM Tris-HCl pH8.0(抽出バッファー)70mLで抽出した。抽出物を遠心分離で浄化し、0.22μm 過により、残存している微粒子物資を除去した。過剰発現したアレルゲンを含む 浄化抽出物を、事前にNi2-で電荷を与え、2-メルカプトエタノールを欠く抽出バ ッファーで平衡化した5mL HiTrapキレート化カラム(Pharmacia Biotech AB,Uppsala,Sweden)を2つ直列に連結し組み立てた装置に流し入れた 。そのカラム装置を最初に抽出バッファー50mLで洗浄し、次いで20mM Tris-HCl pH8.0、0.5M NaCl、20mMイミダゾールおよび1mM 2-メルカプトエタノール中の6M 尿素(尿素洗浄バッファー)50mLで洗浄した。固定化rAsp f4を復元するために、 尿素洗浄バッファーから0.5M NaCl、20mMイミダゾールおよび1mM 2-メルカプト エタノールを含む20mM Tris-HCl pH8.0(復元バッファー)までの960mL直線状勾配 を適用した。rAsp f4を溶出するために、復元バッファーにおいて20-1000mMイミ ダゾールの30mL勾配を適用し、一方、1mL画分を回収しSDS-PAGEで分析した。rAs p f4を含む画分を保存し、平衡化したSuperdex 75カラム(Pharmacia BiotechAB ,Uppsala,Sweden)でゲル濾過し、0.15M NaClで溶出した。rAsp f4を含む画分 を保存し、YM10膜を装着したアミコンセルを用い濃縮した。最後に、細菌培養1L から精製したrAsp f4収量は34mgであった。 産生はまた、Hochliら(60-63)により報告されているベクターを用いて行った 。 cDNA挿入部の分析 ABPA診断に適当なペプチド/タンパク質をコードする挿入部のみを考察する。 rAsp f6(配列番号1).624塩基対のオープンリーディングフレームの751塩基 対の挿入部を含むクローンは、スーパーオキシドジスムターゼをコードするヌク レオチド配列と高い相同性があった。3'-非コード領域は、24塩基対のポリアデ ニル化テイルを有した。このcDNAクローン(配列番号1)の推定アミノ酸配列はマ ンガンSODと相同性があり、ヒト、ショウジョウバエ、ゴムの木、酵母、E.coli およびマイコバクテリウムleprae酵素と48-52%の高い相同性があった。明らか にA.fumigatus MnSODは、系統発生的に隔たる種々の生物のMnSODと同程度に高 い相同性配列である(43)。多数の配列のアライメントから、A.fumigatus MnSOD (rAsp f6)はヒトMnSODと高い相同領域を占めている(51.8%同一性、67.2%相同 性)。A.fumigatus MnSODに対し生ずるIgEは、ABPA患者の血清から優勢的に検出 される。それゆえMnSODは、ABPAとA.fumigatusアレルギーとの間の血清学的相 違による識別法の候補となり得た(以下参照)。特に、組換え体A.fumigatusおよ びヒトMnSODの両方により、A.fumigatus MnSODに特異的なIgEが検出レベル であるA.fumigatusアレルギー性対象物の末梢血単核細胞増殖を誘発する。さら に、菌類とヒト組換え体MnSODsの両方により、菌類酵素に感作する個体のタイプ I皮膚反応は顕現化され、環境のA.fumigatusアレルゲンに感作するアレルギー 性個体におけるヒトMnSODとの自己-反応性(auto-reactivity)を証明することと なった(43)。 rAsp f4(配列番号2).これは我々のスクリーニングシステムで発見した2つ 目の組換え体ABPA関連アレルゲンであった。そのクローンには858塩基対のオー プンリーディングフレームを有する1103塩基対の挿入部を含んでいた。その推定 アミノ酸配列は、既知タンパク質の何れかと顕著な相同領域を占めていない。用 いたcDNAによりコードされる遺伝子産物は、選択された機能:IgE結合能により 特徴付けられた。 組換え体アレルゲンを用いるインビボ試験 アレルゲン溶液を少量、個体の真皮に注入し、その結果、膨疹反応が投与した 場所の付近で生ずる皮膚プリックテストにより主に説明される。 本発明の皮膚プリックテストの1つのプロトコールにより、組換え体アレルゲ ンを希釈液として0.9%生理食塩水に溶解し最終濃度100μg/mLとした。これら溶 液20μLを患者の前腕に塗布した。その後、皮膚を滅菌した針で突き刺し、それ を一定の角度で表皮に入れ、表皮の小部分を持ち上げた(38)。針は、汚染を防ぐ ために各溶液の適用後放棄した。その試験部位は、偽陽性結果を避けるため3〜4 cmの間隔を開けた。 皮内試験として、アレルゲン溶液(100μg/mL)を10倍量の血清希釈液で希釈し 、10-4μg/mL〜10μg/mLの開始濃度で適用した。試験として、ヒスタミン制御に より誘発する皮膚反応の膨疹の大きさが半分となる最も低い濃度の溶液から始め 、溶液(100μL)を患者の背中に注入した。試験部位は偽陽性結果を避けるために 5〜8cmの間隔を開けた。ヒスタミンジヒドロクロリドを陽性対照として用い、皮 膚プリックテストでは0.1%濃度で、または皮内試験では0.01%濃度でそれぞれ 用いた。0.9%生理食塩水を陰性対照として用いた。15分後、膨疹の最大縦方向 および横方向の直径を測定することにより、その反応を記録し、報告されている (66)ように評価した。 インビトロ診断のための組換え体A.fumigatusアレルゲンの用途 組換え体A.fumigatusアレルゲンと抗体との結合は、特定のサブクラスを含む 種々のクラス(IgA,IgG,IgD,IgEおよびIgM)のアレルゲン/抗原特異的抗体を測定 する免疫検定に、例えばアレルギーおよびABPAの診断と合わせて使用し得る。Ig Gサブクラスでは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4について述べられている。その 検定の方法論は、通常の抗原/アレルゲンの従来技術で使用されるものと同様で ある。それゆえ適当な免疫検定プロトコールより、三つからなる免疫複合体の形 成が予想される:[アレルゲン]-[抗-アレルゲン抗体]-[抗-抗体](アレルゲンお よび抗-抗体を反応物に添加し、抗アレルゲン抗体は検定試料より得られる)。複 合体は不溶性または不溶性化した形で形成される。不溶性形は、複合体形成の前 、後または複合体形成の間に、アレルゲンまたは抗-抗体の何れかを固体相に結 合させることにより成される。本分野の既知固体相は、チューブおよびウェルの 壁であり、クロマトグラフィーおよび異種性免疫検定などで吸着物として用いる 粒子状でありモノシリックである幾分の多孔性物質である。複合体量の測定のた め、アレルゲンまたは抗-抗体の何れかを、分析的に検出可能な基でラベルする が、試薬は固体相と連結するか、または後で不溶性の要因となる反応物をラベル しない。既知の検出基は、酵素(ELISA)、フルオロホア(fluorophor)、発色団、 化学ルミネセンス基、放射性同位元素、金属原子、ビオチン、ハプテンなどであ る。クラス/サブクラス特異的抗原/アレルゲン特異的抗体を測定するために、 抗体は特定クラス/サブクラスでなければならない。 通常、免疫検定型は、連続的にインキュベーションにより行う、すなわちステ ップ1:アレルゲン試料、その後に ステップ2:ステップ1で形成した複合体、すなわち抗-抗体を伴う[アレルゲン ]-[抗-アレルゲン抗体]のインキュベーションまたはその逆である。ステップ1 に用いる反応物が固相に結合する場合、非特異的妨害を除くために各ステップ後 、分離および洗浄をしなければならない。ABPA診断のために、IgEおよびあるIg Gサブクラスは測定に最も適当なIgである。用いる組換え体アレルゲンが、細 胞表面上でさらされることなく、分泌せずにA.fumigatusタンパク質から得られ ると信じられている。これは、ABPAに関連する最も適当なA.fumigatusアレル ゲンは細胞結合し、例えば細胞内ペプチド/タンパク質であることを示唆し得る 。 関連する抗体は、血液(血漿および血清を含む)、唾液、脳脊髄液(CSF)、気管 支肺胞液(bronchioalveolar fluid)、涙(lacrymal fluid)等において見られ得る 。 用いたインビトロ試験プロトコールおよび結果 組換え体アレルゲンに対するIgE抗体(および他のイソ型)の結合は、全てのア レルゲンと同じ方法を用い、ELISA(39)により評価された。簡単に言うと、ポリ スチレンマイクロタイタープレートを2時間37℃で、アレルゲンタンパク質(PBS 中、10μg/mL、pH8.0)で被覆した。遊離部位は、5%(W/V)非脂肪性ドライミルク パウダー(lh、37℃)を含むPBS、pH7.4でブロッキングした。洗浄後、連続して2 倍に希釈した、5%Tween20を含むブロッキングバッファー中の血清でプレートを インキュベーションした(2h、37℃)。洗浄後、市販の2次抗体(66)またはTN-142 、Cε2ドメインに対するマウスモノクローナル抗ヒトIgE抗体(Dr C.H.Heusser ,Ciba-Geigy Ltd.,Basel.Switzerlandにより提供された)を血清のイソ型特異 的Ig含有の定量に用いた。アレルゲンと結合するイソ型-特異的Igは、ヤギ抗マ ウスIgGに結合したアルカリ-ホスファターゼで検出した(66,69)。校正基準がな い場合、ABPA患者二人からの血清を研究室内リファレンスとして用いた。光 学密度に対する血清希釈をlog-logグラフにプロットし、直線状の滴定領域を用 い光学密度値を任意ELSAユニット(EU)に変換した。全てのイソ型を分析するため にリファレンス血清を任意に100 EU/mLに設定した(66,68)。抗原特異的ELISAは 血清抗体の信頼性ある検出法となる。rAsp f6を用いるIgE測定のために、その結 果は、固定化アレルゲンとして組換え体タンパク質用いPharmacia CAP System(P harmacia & Upjohn,Diagnostics,Uppsala,Sweden)で確認した。 組換え体A.fumigatusアレルゲンのインビトロ診断値のラージスケール評価の ために、ABPA患者、およびA.fumigatusで感作したがABPAには感作しない35名の アレルギー性喘息患者(臨床パラメータから推定した)の54血清を選択した。患者 は全て喘息であり、診断および喘息の対処についての説明を受けていた(70)。陰 性対照として、A.fumigatusに感作しない10名のアレルギー性喘息患者およびア トピー歴のない10健常者の血清を用いた。感作した個体の血清と比較して、20対 照個体の血清試料は全組換え体アレルゲンでバックグラウンドより低いIgE値を 示し、それはIgE検出システムがA.fumigatusに対する特異的感作に関係するこ とを証明する。現在まで発見されている関連する組換え体アレルゲン(rAsp f4お よびrAsp f6)のABPAを有するか、または有しないA.fumigatusアレルギー性喘息 の血清から得られたIgE測定の結果について以下に考察する。 rAsp f4およびrAsp f6の血清学的検討により、他の組換え体A.fumigatusアレ ルゲンで得られる病像と比較して完全に異なる病像となる。rAsp f4およびrAsp f6に特異的なIgEは、菌類で感作したアレルギー性喘息患者の35名の血清からは 検出されなかった。反対に、ABPA患者の54名の血清は、rAsp f4およびrAsp f6を それぞれ54%および78%の頻度で認識し(表3)、一方、49名の血清はアレルゲン のうち少なくとも1つを認識した。それゆえ2つのアレルゲンを用いるABPA血清学 的診断は、100%の特異性および90%を超える感度を有する(表4)。MnSOD(rAsp f6)、生化学的機能が既知のタンパク質は、顕著に細胞内酵素を示す。rAsp f4の 生物学的機能は不明のままである;しかしながら、rAsp f4に対するモノクロー ナル抗体を用いてタンパク質の位置を捜す予備実験では、そのタンパク質は菌類 から分泌するわけではないことを示唆する。それゆえ両タンパク質が空気アレル ゲンとして遊離形で存在することはあり得ず、A.fumigatusに感作するアレルギ ー性喘息患者はこれらアレルゲンに特異的なIgEを欠いていると説明され得る。 対照的に、ABPA患者は、肺の中で菌類が増殖し、宿主防御機構より菌類細胞が破 壊された結果として、非分泌性タンパク質にまたさらされることになる(3)。菌 類感染に対する宿主防御機構の1つは、多形核細胞により媒介される菌糸および 食作用の損害によりなる(2,3,4)。菌類に対する細胞媒介免疫応答の発現は、Tリ ンパ球に対する菌類抗原を処置し示す抗原提示細胞(antigen-presenting cell) を必要とすると考えられている(1)。それゆえABPA患者は、分泌アレルゲンおよ び分生子(conidiae)のみにさらされるA.fumigatusアレルギー性個体の免疫シス テムが見られないA.fumigatus細胞内タンパク質に対する免疫応答を高め得る。 rAsp f4およびrAsp f6のインビボの妥当性は、ABPA患者、A.fumigatusアレルギ ー患者および健常者対照を典型数含む皮膚試験により評価される(以下参照)。 インビボ試験のための組換え体A.fumigatusアレルゲン診断値 ABPAとアレルギー性感作との可能な識別に関して、喘息のおよびA.fumigatus に対する付随感作性の対象を含む血清検討の最も重要な発見は、ABPA患者のrAsp f4およびrAsp f6に特異的な血清IgEレベルの上昇であった。表3に示すように 、ELISAの測定としてrAsp f4-およびrAsp f6-特異的IgEは、ABPAを伴う喘息患者 の血清中54±160 ELISA Units/mlおよび47±66 ELISA Units/mlの値に到達した 。対照的に、これら2つのアレルゲンに特異的なIgE抗体は、事実上、ABPAの証拠 のないA.fumigatus感作的喘息患者、および対照個体の血清中には存在しない( 表3)。これらの結果に基いて、rAsp f4およびrAsp f6は、循環するアレルゲン 特異的IgE抗体に基くABPA特異的検定の開発の反応剤としての役割をし得た。そ れゆえインビボのこれらのタンパク質のアレルゲン性の評価を目的とした。イン ビボの媒介物放出を顕現するrAsp f4およびrAsp f6能を示すために、皮内皮膚誘 発の検討は、ABPAを有する12名の喘息患者、ABPAを有さないA.fumigatusに感作 する12名のアレルギー性喘息患者および5名の健常者対照を含めて行った。A.fu migatusに感作性の患者および診断の選択は、臨床歴、RASTおよび報告されてい るようにA.fumigatus抽出物との皮膚反応性に基いた(59,66)。全患者は喘息で あり、喘息の診断および対処についての説明を受けていた(70)。検討の際、全対 象では、気管支喘息は安定し、胸部感染の証拠はなく、抗ヒスタミン投薬法を受 けていなかった。5名の健常対照個体は、アレルギーおよび喘息歴はなく、通常 の全IgE血清レベルであった。ABPA診断は、Rosenbergら(23)およびPattersonら( 24)により提唱された8基準のうち最低6つに基いている。4名のABPA患者(表5)お よび1名のアレルギー性喘息患者を、低用量の経口コルチコイドステロイド(5-10 mg/day)で処置した。組換え体アレルゲンによるヒトを対象とする皮膚試験の倫 理上の賛成は、本検討を開始する前に責任ある委員会から得た。試験する前に本 手順を全個体に完全に説明し、その後同意書を得た。この検討に参加する対象の 主な特徴(年齢、性別、エオシン好性白血球数、血清総IgE、rAsp f4およびrAsp f6に特異的な血清IgEならびにA.fumigatusに対するRASTを含む)を表5に 記載した。全対象は皮内ヒスタミン変化(0.01%)に応答し皮膚試験は陽性となり 、0.9%塩水には非反応的であった。結果(表5)から、ABPA患者に対するrAsp f4 およびrAsp f6の反応に高い特異性があることを示唆する。事実、このグループ の患者のみに、適当量のrAsp f4およびrAsp f6特異的IgEが見られた(表3および4 )。予想されるように、血清中に検出し得るアレルゲン特異的IgE量が見られる個 体のみ反応し、rAsp f4およびrAsp f6により皮膚変化した。これらの結果から、 組換え体アレルゲンに基くABPA高特異的診断は実施可能であることが明らかであ る。しかしながら、rAsp f4およびrAsp f6に基いた血清学および皮膚試験からア トピー性皮膚炎のないABPA高特異性が見られるけれども、診断の感度はたったの 約90%である(表4)。今日利用可能なABPA診断基準の比較的低い特異性を考慮す ると、血清学的、およびrAsp f4およびrAsp f6による皮膚試験により、本疾病の 診断の考えられる改良が示されている。さらに、ABPA患者およびA.fumigatus感 作性アレルギー喘息はウエスタンブロット分析で異なるアレルゲンを認識するこ とが観察されるとともに、両アレルゲンの特性によりABPA診断の更なる改良に基 本原理を提供することになる。Borga(6)による報告の検討では、2グループの患 者、すなわちA.fumigatus感作性アレルギーおよびABPA患者において、A.fumig atusアレルゲンに対する血清IgE反応性が比較された。A.fumigatusアレルギー 患者の血清は、少なくとも35の異なる菌類IgE結合成分を認識し、その大きさは1 4〜118kDaの範囲であり、4成分(34、39、43および83kDa)がこれら血清により検 出された。ABPAグループの血清により14〜150kDaの範囲の39の異なるIgE結合成 分が検出され、分子量15、19.5、54、56、96、110、126および150kDaの8成分が 、アレルギー患者のIgEで認識されなかった。それゆえ、検出される全ての43IgE 結合成分から、31成分に対する抗体が両患者グループに見つけられ、8つはABPA に特異的であり、4つはA.fumigatusに対する非ABPA関連感作性に特異的であっ た。 報告されている組換え体アレルゲンの利用性により、これらクローン化したア レルゲンに対する感作性を欠くA.fumigatusアレルギーの同定が可能となる。そ のような対象物の血清は、その後、別のアレルゲンを示すファージクローンを単 離するために、A.fumigatusファージ表面に表されるライブラリーをスクリーニ ングするのに用い得る。ファージライブラリーのスクリーニングに用いる血清の 選択の基本原理と共に、バイオパンニングに基く強力なスクリーニング法(45,47 ,51,52)により、妥当な時間内に別のアレルゲンの単離が可能となる。これらア レルゲンの産生、特性および評価は、ABPAおよびA.fumigatus関連感作性の両方 に対する特異的診断ツールの発達に寄与することになる。 ABPA診断に特異的なアレルゲンとしてrAsp f6を用いるために、アトピー性皮 膚炎を除外しなければならない。A.fumigatusに適当なRASTクラスによるアトピ ー性皮膚炎患者の割合が高いことから、血清中のrAsp f6特異的IgEの高い力価を 示す。さらに3名のアトピー性皮膚炎患者におけるrAsp f66の皮内皮膚変化によ り、アレルゲンが、これら患者において放出される強力なインビボ媒介物を誘発 することが明らかとなった。特に、アトピー性皮膚炎患者の15名の血清の血清学 的調査では、利用可能な他の組換え体A.fumigatusアレルゲンに特異的なIgEが 全く見られない(76)。アトピー性皮膚炎患者におけるAsp f2に対する一価感作性 の理由は不明である。しかしながら、rAsp f6に対する特異的IgE応答が、これら 個体におけるヒトスーパーオキシドジスムターゼを認識するIgE抗体の産生に帰 すると考えやすく、それは高相同性の菌類MnSODと交差反応する結果である。ヒ トおよび菌類組換え体MnSOD、両方の利用性可能性により、さらに詳細にアトピ ー性皮膚炎の病態生理学におけるこれらのタンパク質の役割についての検討が可 能となる。 膀胱繊維症患者におけるA.fumigatusに対する感作とABPAとの血清学的識別 この検討には37名の膀胱繊維症患者が含まれ、皮膚プリックテストを含む膀胱 繊維症およびアレルギーの通常評価を行う。Laufer(16)およびNelson(25)が提唱 する臨床的および免疫学的基準により、15名がABPAであると診断された。12名の 患者が、A.fumigatus抽出物に対するRASTおよび皮膚プリックテストによりA.f umigatusに対する報告された感作を有するグループに属し、10名の患者が、A.f umigatusに対する感作の欠損に基くCF対照グループに入れられた(67)。年齢、性 別、A.fumigatusに対するRASTおよび血清総IgEを含む患者の特性を表6に示す。 アレルゲン特異的IgEレベルは、各個体血清中のアレルゲンrAsp f1、rAsp f3、r Asp f4およびrAsp f6について決定された。rAsp f1(43)およびrAsp f3(42)は、 A.fumigatus抽出物に対する皮膚試験の陽性喘息患者で69%および76%の感作性 保有率となるA.fumigatusの主なアレルゲンに相当し、その一方、rAsp f4およ びrAsp f6(43)はABPA患者の血清のみにより認識される。4タンパク質はすべて、 A.fumigatusに感作する喘息患者の皮膚変化によるインビボの適当なアレルゲン であると説明される。血清学的調査の結果は、A.fumigatusに感作する膀胱繊維 症の個体の大多数がrAsp f1およびrAsp f3(それぞれ85%および100%)に対するI gEを、85%が両アレルゲンに対するIgEを担持することを示す。rAsp f1およびrA sp f3は両方とも、膀胱繊維症患者の調査した血清全てにおいて、A.fumigatus に対する感作性を診断することが重要である。最近のアレルゲンの説明(41)に よると、rAsp f1およびrAsp f3は膀胱繊維症グループの主要アレルゲンにも相当 する。分析される3サブグループの個体、ABPAを伴うかまたは伴わないA.fumiga tus感作性の膀胱繊維症患者、ならびにA.fumigatus感作性を伴わない膀胱繊維 症患者において、rAsp f4およびrAsp f6に対する血清IgEの適当なレベルが、ABP A臨床診断の個体の血清中にのみに見られた。このグループにおいて、カットオ フ値(>5U/mL)を超えるrAsp f6特異的IgEレベルが15名の患者の血清から10名で 検出され、他方、rAsp f4特異的IgEの適当レベル(カットオフ値>7U/mL)が15名 の患者の血清から13名で検出された。ABPAの指示に重要なrAsp f4-またはrAsp f 6−特異的IgEの何れかのレベルが上昇すると考えられるならば、血清学的診断に より全患者がカバーされ、一方、15名の患者のうち8名の患者がrAsp f6およびrA sp f4両方に対するIgEレベルが上昇した。それゆえrAsp f4およびrAsp f6のアレ ルゲン特異的血清学は、膀胱繊維症およびA.fumigatus感作性の患者においてAB PAの異なる血清学的診断に実質的に寄与する。 優先期間中に得られた結果 rAsp f8をコードするcDNAが単離され、rAsp f4およびrAsp f6と同じ方法で発 現し、P2酸性リボゾームタンパク質のコーディング配列に相当し、それゆえ典型 的な非分泌性タンパク質を表す。臨床的に試験してないけれども、上記方法のEL ISAによる評価をするときタンパク質はIgE結合タンパク質を表す。ELISAから得 られる限りの全結果は、rAsp f8がABPA患者の血清に高特異的であることを示す 。試験した35名のアレルギー性喘息患者は、20名の健常者個体から得られた値(1 .2±0.6EU/mL)とは統計的には異ならない検出可能なrAsp f8特異的IgEレベル(2. 3±0.4EU/mL)を示さなかった。対照的に、ABPA患者54名のうち17(31%)は明らか にrAsp f8に感作した。全試料の平均EU/mL値は、全A.fumigatus感作的患者(ア レルギー患者+ABPA患者、n=89)を含む全感作の8±14に相当し、19%(EU/mL 5. 4±12)に相当する。しかしながら、この新しいABPA特異的アレルゲンはABPAの異 なる診断の改良に寄与ぜず、それはrAsp f8を認識する全患者が既にrAsp f4、rA sp f6またはそれら両方を認識するためである。 rAsp f8のDNA配列を配列番号5に示し、相当するアミノ酸配列を配列番号6に示 す。その配列は仮定したものであり、rAsp f8のDNA配列は多くとも10の位置(例 えば92、94、108、156および183の位置)に間違いであるかもしれず、最終的な確 認はしていない。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.個体が、1つまたはそれ以上のABPA関連組換え体アレルゲンと反応性のある 抗体を有するかどうかを決定することを特徴とする、ヒト個体のABPA診断方法。 2.アレルゲンがA.fumigatusに由来することを特徴とする、請求項1記載の方 法。 3.アレルゲンがA.fumigatus由来の非分泌性タンパク質に相当することを特徴 とする、請求項2記載の方法。 4.1つまたはそれ以上のアレルゲンがrAsp f4およびrAsp f6ならびそれらのABP A関連フラグメントから選択されることを特徴とする、請求項1-3の何れか記載の 方法。 5.1つまたはそれ以上のアレルゲンがrAsp f8およびそのABPA関連フラグメント から選択されることを特徴とする、請求項1-3の何れか記載の方法。 6.組換え体アレルゲンに対する抗体、特にIgEクラスもしくはIgGクラスまたは それらサブクラスの抗体のレベル測定のために個体由来の体液試料でインビトロ 免疫検定を行うことを特徴とする、請求項1-4の何れか記載の方法。 7.IgEクラスの抗体が測定されることを特徴とする、請求項1-5の何れか記載の 方法。 8.インビボ試験を個体に行うことを特徴とする、請求項1-4の何れか記載の方 法。 9.試験が、患者の皮膚に1つまたはそれ以上のABPA関連アレルゲンを塗布する ことを含む皮膚試験であることを特徴とする、請求項7記載の方法。 10.組換え体アレルゲンに対する抗体、特にIgEクラスもしくはIgGクラスまた はそれらサブクラスの抗体のレベル測定のために個体由来の体液試料でインビト ロ免疫検定を行うことを特徴とする、請求項5記載の方法。 11.IgEクラスの抗体を測定することを特徴とする、請求項10記載の方法。 12.インビボ試験を個体に行うことを特徴とする、請求項5記載の方法。 13.試験が、患者の皮膚に1つまたはそれ以上のABPA関連アレルゲンを塗布す ることを含む皮膚試験であることを特徴とする、請求項12記載の方法。
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