JP2001502407A - タッピンねじを備えた固定ねじ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 タッピングのための自己切削性ねじ山を備えた冷間転造タッピンねじで、特に熱可塑性樹脂に使用され、ほぼ一貫した円筒状のねじ底と一貫して同じ高さの頂点を有するねじ山を持ち、ねじに沿った隣り合うねじ山の間の空間が均等に形成されている。ねじはつぎの特徴の組み合わせを有ししている。１．ねじの外径Ｄｏおよび谷径Ｄｋが形成する式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋが１．２から１．４の大きさであること、２．隣り合うねじ山の軸方向間隔Ｐがねじ山高さＨとで形成する式Ｑ２＝Ｐ／Ｈが２．７５と２．９の間にあること、３．ねじ山の頂角が約３０度であること、または、１．ねじの外径Ｄｏおよび谷径Ｄｋが形成する式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋが１．２５から１．６５の大きさであること、２．隣り合うねじ山の軸方向間隔Ｐがねじ山高さＨとで形成する式Ｑ２＝Ｐ／Ｈが２．３５と２．７の間にあること、３．ねじ山の頂角が約３０度であること。

Description

【発明の詳細な説明】 タッピンねじを備えた固定ねじ 本発明は、タッピンねじを備えた固定ねじに関するものであり、その固定ねじ は冷間転造により形成され、特に熱可塑性の樹脂に使用され、ほぼ一貫した円筒 状のねじ底と一貫して同じ高さの頂点を有するねじ山を持ち、ねじに沿った隣り 合うねじ山の間の空間が均等に形成されているタッピングのための自己切削性ね じ山を備えている。 この種のねじはドイツ特許公報第３９２６０００号から既知である。このねじ は特許出願書に明示されているように、特に調整および調節装置、ならびにいわ ゆる移動ねじに良く適合するように、連続的で強さが管理されたねじ込みモーメ ントが達成される高い品質のねじでなければならない。冷間転造によるねじの製 作時に要する加工力は従来のねじの種類よりも小さくなければならない。この課 題を解決するため、ねじは約４０度の頂角を持ち冷間転造過程におけるねじ材料 の流動を容易にしている。 本発明は、特に熱可塑性樹脂に対するねじ込み時の移動ねじの効果と逆に固定 の目的に特に適したねじを提供するものである。このようなねじを樹脂にねじ込 む場合に、樹脂は樹脂に食込んだねじ山によっての排出されるので、このためね じの断面には十分な空間がなければならない。ねじ山によって排出される樹脂材 料はこの空間で押し潰される。ドイツ特許公報２７５４８７０号、第２文節第１ 節によれば樹脂から構成される対象とする部品にできるだけ深く食込ませる（大 きな支え深さ）という考えから出発しており、そのために約３０度の面 角度において相応する広い空間を準備しなければならない。ドイツ特許公報２７ ５４８７０号によるねじにおいてはそのためねじ底部に狭窄部を設け、ねじ山が 排出した樹脂材料のために相応する広い空間を提供している。ねじ山によって排 除される樹脂材料は樹脂に食込んだねじ山の領域からねじ底に戻され、排出され る樹脂材料はこの長い経路のため排出されない樹脂材料と直接の密接な結合が失 われ、引き抜き力に寄与する能力を低下させる。引き抜き力はねじ込まれたねじ を真っ直ぐに引き抜くのに必要な力である。排出された樹脂材料を収容するため の広い空間に対応するためには当然ねじ底径（谷径）が細くなる結果となり、こ のようなねじをねじ込む場合に特に多数のねじ山がねじ込まれたとき、ねじは加 えられるねじりモーメントによって過負荷となり破断する。 樹脂材料を排出する考えは欧州特許公報第０５８９３９９号によるねじの形状 の前提にもある。このねじは明白にねじ面の支え深さを大きくする構想のもので 、この種の材料の排出を達成させるため材料をねじ面に凝着させその面をいわゆ る荷重負担面としてねじに作用する引き抜き力を負担させる。材料の流動をこの ように導くためにねじには上記の荷重負担面に連続する小さな谷形の円錐形のね じ底を持たせる。これによって樹脂材料の流動は樹脂材料を凝着させなければな らない荷重負担面に向かう。この望ましい樹脂材料の流動は、材料がねじのねじ 込み時に十分に加熱され流動および硬化の変化が生ずるすることを前提としてい る。この既知のねじの形状は樹脂材料がねじのねじ込みにより相当軟らかくなり 移動し凝着されることを前提としており、その結果樹脂本来の組織結合は完全に 失われその構成が変化することになる。その結果ねじの荷重負担面はこのように 変質した材料に よって支えられので、このようにしてねじ込まれたねじの引き抜き力の低下をも たらす。 本発明は、従来の技術によるできるだけ深いねじ山を樹脂材料内への食込ませ ることによってはじめて高い引き抜き力が達成されるのが当然であるという思想 を打破するものである。このため第１の案として次の寸法関係を使用する。 １．ねじの外径Ｄｏおよび谷径Ｄが形成する式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋを１．２から １．４の大きさとする。 ２．隣合うねじ山の軸方向距離Ｐとねじ山の高さＨで構成する式Ｑ２＝Ｐ／Ｈ を２．７５から２．９の間とする。 ３．ねじ山の頂角を約３０度とする。 この寸法関係では比較的低いねじ山のねじとなるので、ねじは樹脂材料に対し て比較的少ない食込み深さとなる。このことにより排出れた樹脂材料がその組成 内で余り周囲を傷付けないと言う利点がある。比較的浅い食込み深さにも関わら ず高い引き抜き力を達成するため、ねじは比較的小さなピッチで製作されるので 、多数のねじが樹脂との噛み合いを持つことになる。 第２の案によれば次の寸法関係を使用する。 １．ねじの外径Ｄｏおよび谷径Ｄｋが形成する式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋを１．２５ から１．６５の大きさとする。 ２．隣合うねじ山の軸方向距離Ｐとねじ山の高さＨで構成する式Ｑ２＝Ｐ／Ｈ を２．３５から２．７の間とする。 ３．ねじ山の頂角を約３０度とする。 この後者の寸法関係により次の効果が補足される。谷径は当該ねじの素材をロ ールにより加工する場合の変形挙動を考慮した寸法、すな わち谷径から突き出したねじ山の高さは転造時に素材に加えられる圧力によって ねじ山間の部分でねじの材料を都合よく排出するのに十分な高さとなり、それに よって一方では樹脂材料に食込むときに樹脂に損傷を与えない利点が有り、他方 では転造時に相当な精度で形成できる良好な形状のねじ山を製作することができ る。 ねじが前述の寸法関係により達成される効果を十分に発揮するため、本発明に よるねじはねじ山の頂点角を約３０度とする。 樹脂に対するこの種の頂角は例えばドイツ特許公報第２７５４８７０号に示さ れているように既知である。このねじでは、ねじがねじ込まれる樹脂材料のため にねじ山間に比較的広い空間を設けようとしている。このねじが求める目的は、 この方法によって高い引き抜き力を得るためできるだけ多くの樹脂材料をねじ山 によって排出し、深い食込み深さを加工することである。本特許出願は、特に移 動ねじに適合することを無視してできるだけ少ない樹脂材料を排出することによ って樹脂用にねじを使用することを目的にしているので、ドイツ特許公報第３９ ２６０００号によって示される技術は参考にはならない。それ自体は既知の特に 小さな頂角を使用した本寸法関係を特徴とするねじ山の高さと間隔の組み合わせ により、ねじを樹脂にねじ込むときにできるだけ少ない樹脂材料を排出するとい う考えは強調され、３０度の小さな頂角によって排出される樹脂の量はドイツ特 許公報第３９２６０００号で製作される４０度の頂角のねじによる排出に比べて 相当少なくなるので、ネジのピッチによって定まるねじ山間の間隔を短く保つこ とができ、同じねじ込み長さの場合に樹脂に食込むねじ山の数を多くすることが できる。これに対応して引き抜き力は高められる。 高い引き抜き力は、それに対応するねじの軸方向および円周方向の 負荷能力を必要とする。ねじ山の断面が外径に対して薄いほどねじ込みに対して も引き抜きに対してもねじの荷重に対する断面は大きくなる。高い引き抜き力に 耐えるために、従来の既知のねじでは使用するねじ材料に非常に高い強度を要求 しなければならず、そのようなねじには高度の焼き入れ材料を使用しなければな らないので、一方では高価であり、他方では水素拡散に基く脆化に鋭敏に反応す る。高度の焼き入れ材料のねじを強く締め付けると、周知のこの特性によって例 えば数日後に頭部の破断が発生するようなねじ込みおよび締付け後の時間遅れ脆 性破壊を生じる。 本発明によるねじの寸法関係によれば、外径に対して比較的大きなねじ断面（ 例えば図１に一見して明らかにに示される）が得られる。従って、本発明による ねじは断面の形状によって従来のねじに比べて相当高いねじりモーメントおよび 軸力に耐えることができる。このことから本発明によるねじは従来のねじに比べ て低い強度の材料から製作することができるようになり、軽度の焼き入れのため 拡散による水素の吸収の傾向がなく、それによる脆性破壊のおそれのない材料を 使用することができる。 図は本発明による実施例を示す。図において 図１は板を固定するためにチューブにねじ込まれた第１実施例の固定ねじであ る。 図２は図１の一重ねじ部の一部を拡大したものである。 図３は２重ねじの一部を示す。 図４は板を固定するためにチューブにねじ込まれた第２実施例の固定ねじであ る。 図５は図４の一重ねじ部の一部を拡大したものである。 図６は２重ねじの一部である。 図１はタッピンねじ２を有する冷間転造で成形されたねじ１を示し、軸３に沿 って同じ形状で伸びている。軸３の端末のねじ１の反対側にねじ頭部４があり、 この部分にはスパナを使用するために適した形状を持つ窪み５が設けられており 、これによりねじ１は部品に、ここではチューブ６にねじ込まれる。ねじ１は板 ７をチューブ６に固定している。この目的のためねじは頭部４が板７をチューブ ６に押し付けるようにチューブ６に対して締め付けられる。 図１から本発明による固定ねじ１の特殊性は明確に示されており、すなわち比 較的小さなチューブ６の材料への食込み深さおよびそれに比較して比較的大きな ねじ２の谷径Ｄｋ、谷径を一貫する円筒状のねじ底８とチューブ６の内面９の間 には比較的狭い空間だけが残されていることが示されている。 図２には図１による軸３の一部の拡大図である。この部分に谷径Ｄｋ、外径Ｄ ｏおよび軸方向間隔Ｐおよびねじ山１０の高さＨが図示されている。さらに図２ には３０度のねじ山の面角度が示されている。 図２から拡大して図示したねじの場合式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋは１．３であり、式 Ｑ２＝軸方向間隔Ｐ／高さＨは２．８５となっている。 図３に２重ねじ１１の一部が図示されており、ねじ数を無視するとその他は図 ２によるねじ２とほぼ一致している。図３によるねじ１１の軸方向間隔Ｐはここ では一つのねじともう一つのねじの両方の隣接するねじ山の間で測定される。こ れから図１の実施例の場合と同様に式Ｑ２＝軸方向間隔Ｐ／高さＨは２．８５と なる。 図１および２に図示された固定ねじは一般に外径が１ｍｍから１０ｍｍまでの 間で製作されるものを取扱っている。本発明によるねじは 現在普遍的な熱可塑性樹脂へのねじ込みだけでなく、熱可塑性樹脂と似た特性を 示す他の材料にも適している。 図４はタッピンねじ２２を有する冷間転造で成形されたねじ２１を示し、軸２ ３に沿って同じ形状で伸びている。軸２３の端末のねじ２１の反対側にねじ頭部 ２４がありこの部分にはスパナを使用するために適した形状を持つ窪み２５が設 けられており、これによりねじ２１は部品に、ここではチューブ２６にねじ込ま れる。ねじ２１は板２７をチューブ２６に固定している。この目的のためねじは 頭部２４が板２７をチューブ２６に押し付けるようにチューブ２６に対して締め 付けられる。 図４から本発明による固定ねじ２１の特殊性は明確に示されておりすなわち比 較的小さなチューブ２６の材料への食込み深さおよびそれに比較して比較的大き なねじ２２の谷径Ｄｋ、谷径を一貫する円筒状のねじ底２８とチューブ２６の内 面２９の間には比較的狭い空間だけが残されていることが示されている。 図５には図４による軸２３の一部の拡大図である。この部分に谷径Ｄｋ、外径 Ｄｏおよび軸方向間隔Ｐおよびねじ山３０の高さＨが図示されている。さらに図 ５には３０度のねじ山の面角度が示されている。 図５から拡大して図示したねじの場合式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋは１．４６であり、 式Ｑ２＝軸方向間隔Ｐ／高さＨは２．４８となっている。 図６に２重ねじ３１の一部が図示されており、ねじ数を無視するとその他は図 ５によるねじ２２とほぼ一致している。図６によるねじ３１の軸方向間隔Ｐはこ こでは一つのねじともう一つのねじの両方の隣接するねじ山の間で測定される。 これから図４の実施例の場合と同様に式Ｑ２＝軸方向間隔Ｐ／高さＨは２．４８ となる。 図４および５に図示された固定ねじは一般に外径が１ｍｍから１０ｍｍまでの 間で製作されるものを取扱っている。本発明によるねじは現在普遍的な熱可塑性 樹脂へのねじ込みだけでなく、熱可塑性樹脂と似た特性を示す他の材料にも適し ている。 本発明によるねじは、特に尖ったねじ山として約３０度の面角度の許容幅内の １つの値である約２５度の面角度を選んだ場合に、特に軟らかい樹脂材に適して いる。

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Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．冷間転造により形成され、特に熱可塑性樹脂にねじ込むため、ほぼ一貫した 円筒状のねじ底（８）および一貫して同じ高さの頂点を有するねじ山（１０）を 備え、隣り合うねじ山（１０）間の自由空間はタッピンねじ（２、１１）に沿っ て均一に形成された固定ねじにおいて、 １．ねじの外径Ｄｏおよび谷径Ｄｋが形成する式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋが１．２ から１．４の大きさであること、 ２．隣り合うねじ山の軸方向間隔Ｐおよびねじ山高さＨとで形成する式Ｑ２ ＝Ｐ／Ｈが２．７５と２．９の間にあること、 ３．ねじ山の頂角が約３０度であること、 の特徴を組み合わせてなるタッピンねじを備えた固定ねじ（１）。 ２．冷間転造により形成され、特に熱可塑性樹脂にねじ込むため、ほぼ一貫した 円筒歌のねじ底（８）および一貫して同じ高さの頂点を有するねじ山（１０）を 備え、隣り合うねじ山（１０）間の自由空間はタッピンねじ（２、１１）に沿っ て均一に形成された固定ねじにおいて、 １．ねじの外径Ｄｏおよび谷径Ｄｋが形成する式Ｑ１＝Ｄｏ／Ｄｋが１．２ ５から１．６５の大きさであること、 ２．隣り合うねじ山の軸方向間隔Ｐおよびねじ山高さＨとで形成する式Ｑ２ ＝Ｐ／Ｈが２．３５と２．７の間にあること、 ３．ねじ山の頂角が約３０度であること、 の特徴を組み合わせてなるタッピンねじを備えた固定ねじ（２１）。