JP2001501097A - レセプターエフェクターを同定する方法及び組成物 - Google Patents

レセプターエフェクターを同定する方法及び組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細胞性蛋白質例えばレセプター又はイオンチャンネルと特異的に相互作用し又はその活性を調節する製薬上有効な化合物をスクリーニングし又は同定するための利用可能で迅速で効果的なアッセイを作成する。主題のアッセイは、多数の化合物の迅速なスクリーニングを可能にして、細胞性蛋白質の生体活性に対するアゴニスト又はアンタゴニストとして作用するものを同定する。主題のアッセイは、特に、低分子又はペプチドのライブラリーから、又は自己分泌システムにより生成されるペプチドからのレセプターの代用リガンドの同定に従順である。

Description

【発明の詳細な説明】 レセプターエフェクターを同定する方法及び組成物 従来技術 新規分子の生物学的活性の識別・同定は、歴史的に試験管内検定または完全動 物を使用して行われてきた。無傷の生物学的実体(即ち、細胞又は完全有機体) は、試験管内での抗バクテリア試薬、抗真菌性試薬、抗寄生虫性試薬および抗ウ ィルス試薬のスクリーニングに用いられてきた。培養された哺乳類細胞もまた潜 在的な治療用化合物を検出するように設計されたスクリーニングに用いられてき た。種々の生物学的定量終点が、成長の促進または細胞の分化、細胞運動性の変 化、特定代謝物質の生成、細胞内の特定のタンパク質の発現、タンパク質機能の 変更、およびコンダクタンス性質の変更を含む細胞のスクリーニングにおいて活 用されてきた。ガン化学療法に用いられる細胞毒性化合物は、試験管内および生 体内での腫瘍細胞成長に対する抑制能力により識別されてきた。分散細胞の培養 に加えて、筋肉の収縮性に基づく場合のように、完全な組織を生物学的検定に用 いてきた。高処理量スクリーニングによる設計を可能にするので、試験管内テス トは好ましい方法である。即ち、多数の少量化合物を低費用でかつ短時間で試験 することが可能である。最適には、動物は発見段階において使われず、化合物評 価の後の段階のために残しておく。即ち、完全な動物の使用は手間がかかり極め て高価である。 細胞受容体のアゴニストおよびアンタゴニストの検索は、これらの標的分子の 精密な特性のために、薬剤発見を目的とする広範囲の調査を要した。薬剤スクリ ーニングは機能的受容体を発現している完全細胞を使用することによって行われ てきており、最近は、膜断片または精製された受容体を用いた結合検定が競争的 リガンドのための化合物のライブラリをスクリーニングするために考案されてき た。 通常それらの受容体を発現しない哺乳類細胞内の組換え哺乳類のGタンパク質 に結合した受容体の異種の発現は、これらの受容体のアゴニストおよびアンタ ゴニストを識別するための受容体機能を研究する手段として記載されている。例 えば、人のムスカリンの受容体(HMI)は、マウス細胞(Harpoldほか米国特許第 5,401,629号)に機能的に発現した。ネズミVIbバソプレシン受容体が、アゴニス ト促進によって中国ハムスターの卵巣細胞内のホスホチジリノシトール(phospho tidylinositol)加水分解および細胞内のCa2+流動化作用を促進することがわかっ てきた(Lolaitほか(1995)Proc Natl.Acad Sci.USA 92:6783-6787)。これらの タイプの異所性発現の研究によって、研究者が受容体シグナルの機構を研究し、 突然変異生成研究を行うことが可能になり、それらはリガンド結合またはシグナ ルトランスダクションのために決定的な受容体の部分を識別するために有用であ った。 酵母セル中の機能的Gタンパク質に結合した受容体を発現するためにいくつか の実験が企画された。例えば、Kingらの米国特許第5,482,835号は、酵母Gタン パク質αサブユニットを生成することができない形質転換された酵母細胞を記載 するが、上記の哺乳類Gタンパク質のαサブユニットに結合した(即ち、と相互 作用した)哺乳類Gタンパク質のαサブユニット及び哺乳類受容体の双方の生成 を行うものである。特に、米国特許第5,482,835号は、コード配列の最初の63塩 基対を、STE2遺伝子からの非コード配列の11塩基対及びコード配列の42塩基対で 置換することにより変成されたβ2ARを用いて、GAL1プロモーターの制御により 酵母中で人のβ2アドレナリン作動性受容体(β2AR)(7膜内外受容体(STR)) が発現することを報告している(STE2は、酵母α-因子受容体をコード化する)。 デューク研究者は、単離された膜が様々な公知のβ2ARのアゴニスト及びアンタ ゴニストと適切に相互作用する能力の研究により示されたように、変成されたβ 2ARが機能的に膜に組み込まれることを発見した。酵母の発現したβ2ARに対する リガンドの結合親和力は、天然に生成されたβ2ARについて観察される結合親和 力とほどんど等しい言われていた。 米国特許第5,482,835号は、同種の酵母タンパタ質を欠いている同じ細胞(酵 母緊張8C)内のネズミGタンパク質αサブユニットの共同発現を開示している。 リガンドの結合によって、Gタンパク質により媒介されるシグナルトランスダク ションがもたらされる。米国特許第5,482,835号は、細胞内のGβγからのGα の解離速度に影響を及ぼす能力により化合物をスクリーニングする際に、これら の細胞を用いてもよいことを開示する。この細胞はこの目的のために更に、指示 遺伝子(例えば、H1S3又はLacZ)に結合するフェロモン感応性のプロモーター( 例えば、BAR1又はFUS1)を含む。この細胞は多重滴定プレートに置かれ、異なる 化合物は各穴に置かれる。次にそれらのコロニーについて指示遺伝子の発現が記 録される。 発明の概要 この発明は、特に細胞の受容体の活性または細胞のイオンチャンネルと相互作 用し、かつそれを調整する薬学的に効果的な化合物をスクリーニング及び識別す るための新規で、速く、信頼性がありかつ効果的な検定法に関する。 この発明の検定法においては、いかなる種類の細胞(原核細胞又は真核細胞)も 用いることができる。好ましい実施態様においては、この発明の細胞は真核細胞 である。ある好ましい実施態様においては、その細胞は哺乳類の細胞である。こ の他の好ましい実施態様においては、その細胞は酵母細胞であり、より好ましく はサッカロミケス又はシゾサッカロミケス属の細胞である。宿主細胞は、一次細 胞、又は形質転換された細胞及び/又は固定化細胞に由来してもよい。 この発明の検定法は、検出シグナルのアップレギュレーションまたはダウンレ ギュレーションを評価することにより標的受容体のシグナルトランスダクション 活性を調整する化合物の能力を検出するための手段を提供する。シグナルトラン スダクションはいろいろな方法で測定することができる。例えば、内在性酵母二 次メッセンジャーの生成(例えば、GTP加水分解、カルシウム移動性若しくは燐 脂質加水分解)または内在性遺伝子の転写の増加を直接検出することができる。 この代わりに、レポーター遺伝子または指示遺伝子を使用すると便利な読出しを することができる。測定した手段が何であれ、検出シグナルの変化(例えば統計 学的に重大な変化)を、標的受容体を経たシグナルを受信した混合物からのそれ らの細胞の単離を容易にするために用いることができ、更にそれを受容体ゴニス トまたはアンタゴニストとして機能する新規化合物を識別するために用いること ができる。 この発明のある実施態様において、試薬細胞は重要な受容体を内生的に発現す る。他の実施態様において、細胞は異種の受容体タンパク質を発現するために設 計される。これらの実施態様のどちらにおいても、宿主細胞の一以上の内在性遺 伝子を不活性にすることは望ましいかもしれない。例えば、異種の受容体が提供 されるような好ましいある実施態様においては、相同の受容体のための遺伝子が 不活性にされた宿主細胞を利用する。同様に、標的受容体からシグナルを形質導 入することに関係している他のタンパク質は不活性にされるか又はもう一つの有 機体からのオルソロガスまたはパラロガスで相補されうる。例えば、酵母Gタン パク質サブユニットは、酵母細胞内の哺乳類Gタンパク質サブユニットで相補さ れ、哺乳類のGタンパク質に結合した受容体を発現するために設計された。他の 相補性には、例えば、異種のMAPキナーゼ若しくはerkキナーゼ、MEKs若しくはMK Ks(MAPキナーゼキナーゼ)、MEKKs(MEKキナーゼ)、ras、raf、STATs、JAKs等 の発現が含まれる。 ある実施態様において、潜在的な受容体エフェクター化合物を識別するために 外因的に細胞に加えられる化合物をスクリーニングするために、この発明の検定 を用いることができる。もう一つの実施態様において、この発明の検定は、自己 分泌系をつくる受容体生物活性をアゴナイズまたはアンタゴナイズするポリペプ チドを識別するために、細胞に発現されるライブラリ内の大量のポリペプチドを 迅速にスクリーニングすることができる。自己分泌検定は、組換え細胞のライブ ラリの使用により特徴づけられ、各細胞は、シグナルトランスダクション活性( そのトランスダクション(形質導入)活性は検出可能なシグナルを生成すること が可能である。)が細胞外のシグナルとの相互作用により調整され得る標的受容 体タンパク質、及びポリペプチドライブラリからの外因性試験ポリペプチドをコ ード化する発現可能な組換え遺伝子を含む。遺伝子ライブラリの使用によって、 細胞の混合物は試験ポリペプチドの個体群を集合的に発現する。好ましい実施態 様において、このポリペプチドライブラリは少なくとも103の異なるポリペプチ ド、より好ましくは少なくとも105、106又は107の異なる(多様な)ポリペプチ ドを含む。ポリペプチドライブラリは、ランダムなペプチドライブラリ、半ラン ダムなペプチドライブラリ(例えば、公知のリガンドの組合せ突然変異生成に基 づく ペプチドライブラリ)又はcDNAライブラリとして生成することができる。 この検定のもう一つの実施態様において、試験化合物が直接受容体タンパク質 の活性を促進しない場合、この検定を繰り返し、かつ、受容体からのシグナルト ランスダクション経路を促進するために、細胞を最初に標的受容体の公知の補酵 素と接触させる段階を加えることにより変更されてもよい。したがって、試験化 合物のアンタゴナイズずる(例えば、補酵素の活性をを抑制するかまたは妨げる )能力を検定することができる。またその代わりに、この検定は、細胞を公知の 補酵素で処理することにより生成する誘導反応を強化する化合物を評価すること ができる。ここで用いた「アゴニスト」とは、受容体シグナリング経路の活性化 を(例えば、受容体のためにリガンドを模倣することによって)促進する試薬、 及びリガンドに対する受容体の感度を強化する(例えば、受容体に依存するシグ ナリングの特定のレベルを促進するのに必要なリガンドの濃度を下げる)試薬に 関する。 ある見方によれば、この発明は酵母細胞によって発現される異種の受容体を調 整する化合物を識別するための検定に関する。この発明の検定は、(i)酵母細 胞を提供する段階であって、そこで異種の受容体が機能的に内在性酵母シグナリ ング経路に組み込まれる段階、(ii)酵母細胞を試験化合物に接触させる段階、 及び(iii)内在性酵母シグナリング経路によって、シグナルの交代を検出する 段階からなる。 好ましい実施態様において、シグナリング経路は、酵母フェロモン系経路であ る。 他の好ましい実施態様において、検出段階は、内在性酵母タンパク質をコード 化する遺伝子の転写を測定する段階を含む。遺伝子の転写を直接または間接的に 測定することができる。それに加えて、他の実施態様において、内在性酵母タン パク質の量又は活性を検定することができる。 この発明の検定において試験される化合物は多くのソースに由来していてもよ い。好ましい実施態様において、試験化合物はペプチドライブラリに由来する。 別の好ましい実施態様において、試験化合物は非ペプチドの化合物のライブラリ に由来する。 内在性酵母タンパク質の活性が検定されるこの発明の検定の実施態様において 、内在性酵母タンパク質は、酵母フェロモン系により生成するシグナルに感応性 であるプロモーターに機能的に結合している内在性酵母遺伝子によってコードさ れ得る。ある実施態様において、プロモーターは自然に発生する。また別の実施 態様においては、プロモーターは非自然に発生する。このような非自然に発生し ているプロモーターは、自然に発生しているプロモーター変成することによって (例えば、自然に発生しているプロモーターを突然変異させることによって)得る ことができる。さらに別の検定の実施態様において、このプロモーターは機能的 に内在性酵母遺伝子に結合しているプロモーターである。 好ましい実施態様において、検定される内在性酵母遺伝子は、BAR1遺伝子であ る。他の好ましい実施態様において、内在性酵母遺伝子の発現を調節するプロモ ーターは、フェロモン感応性のプロモーターである。好ましいフェロモン感応性 であるプロモーターの例にはFus1プロモーターおよびFus2プロモーターが含まれ 、一定の実施態様において、それは異種の内在性遺伝子に機能的に結合する。 さらに別の実施態様において、この発明の検定はキメラ核酸構造体からなる酵 母細胞を利用する。このキメラ構造体は内在性遺伝子の発現を調整する融合蛋白 質をコード化し、この発現は検定可能である。本発明のキメラ構造体は、酵母フ ェロモン系経路により活性化されるポリペプチドをコード化する、第一の遺伝子 に由来する第一部分、及び関心のある内在性遺伝子の調節領域内のDNA配列に結 合するポリペプチドをコード化する第二部分から成る。このような構造体により 問題の遺伝子が酵母フェロモン系経路による活性化に応答する。 好ましい実施態様において、このような構造体の第一部分はSte12をコード化 する。他の好ましい実施態様において、第二部分は、Pho4(又は、そのDNA結合 領域)をコード化する。また別の好ましい実施態様において、検定されるべき内 在性酵母遺伝子はPho5遺伝子であり、それは調節領域内にPho4結合部位を含む。 したがって、Ste12-Pho4融合蛋白質の発現の際に(その発現はフェロモン感応性 である)、その融合蛋白質はPho5遺伝子内のPho4部位に結合し、それによってPho 5遺伝子の発現を活性化する。このPho5遺伝子は、その発現が容 易に検定可能である酸性ホスファターゼをコード化する。特に好ましい実施態様 において、キメラ構造体の第一部分は、Ste12のアミノ酸1-688を含むポリペプチ ドをコード化する。別の特に好ましい実施態様において、第二部分はPho4のアミ ノ酸227-312を含むポリペプチドをコード化する。また別の好ましい実施態様に おいて、検定においても使われる酵母細胞はその内在性Pho4遺伝子に突然変異体 を含む。好ましい実施態様において、この発明の検定の検出段階はPho5酸性ホス ファターゼの活性を検出する段階を含む。 またこの発明の検定のもう一つの実施態様において、検出段階は、内在性酵母 シグナリング経路によって生じるシグナルに応答して該酵母細胞により発現する 内在性酵素の活性の変化を検出する段階を含む。好ましくは、内在性酵母シグナ リング経路は酵母フェロモン系経路である。内在性酵素の活性の変化は、例えば 、酵素の酵素活性を測定することにより検出することができる。好ましい実施態 様において、検定はBAR1プロテアーゼの活性を検出することを含む。 このBAR1プロテアーゼの活性はいろいろな方法で検出することができる。例え ば、BAR1ペプチド認識配列を有する基質の分裂を観察することができる。好まし い実施態様においで、BAR1基質は少なくとも一つの検出可能なラベルを含む。あ る実施態様において、この基質は自然に発生する。また別の実施態様において、 この基質は自然に発生しない。好ましい実施態様において、この基質は配列番号 4の化合物を含む。また別の好ましい実施態様において、この基質は配列番号5 の化合物を含む。 更に別の実施態様において、この基質は、BAR1による分裂の際アミノ末端Lys を露出する第一ポリペプチド及び該第一ポリペプチドのカルボキシ末端に結合し た二次ポリペプチドを含むキメラ基質である。特に好ましい実施態様において、 検出段階はキメラ基質の安定性を測定する段階を含む。 BAR1活性はまた、機能的BAR1酵素を発現しない試験酵母系統の成長に及ぼすこ の酵素の効果を測定することによって検出することができる。したがって、試験 化合物と接触した細胞を発現するBAR1からの培地を試験酵母系統で培養し、この ことにより培地のBAR1活性の有無を検出する。 別の見方によれば、本発明はそれが段階を含んでいる細胞の受容体を調整する 化合物を識別する検定法であって、(i)機能的に細胞の内在性シグナリング経 路に組み込まれる受容体を発現する細胞を提供する段階、(ii)細胞を非ペプチ ドの化合物のライブラリに接触させる段階、及び(iii)内在性シグナリング経路 により生成するシグナルの変更を検出(測定)する段階からなる検定法を提供す る。好ましい実施態様において、この細胞は酵母細胞である。また別の好ましい 実施態様において、このシグナリング経路は、酵母フェロモン系経路である。こ の測定段階は、例えば、内在性遺伝子の転写または細胞内の内在性タンパク質の 活性を測定する段階を含んでもよい。 また別の見方によれば、本発明はそれが段階を含んでいる細胞の受容体を調整 する化合物を識別する検定法であって、(i)機能的に細胞の内在性シグナリン グ経路に組み込まれる受容体を発現する細胞を提供する段階、(ii)細胞を試験 ポリペプチドのライブラリに接触させる段階であって、該試験ポリペプチドのラ イブラリは前記細胞によって発現される段階、及び(iii)内在性シグナリング経 路により生成するシグナルの変更を検出(測定)する段階からなる検定法を提供 する。好ましい実施態様において、この細胞は酵母細胞である。また別の好まし い実施態様において、このシグナリング経路は、酵母フェロモン系経路である。 この測定段階は、例えば、内在性遺伝子の転写または細胞内の内在性タンパク質 の活性を測定する段階を含んでもよい。 また別の側面において、本発明は、酵母細胞内のフェロモン系タンパク質代用 薬を調整する化合物を識別するための検定法であって、(i)酵母細胞の内在性 フェロモン系シグナリング経路に機能的に組み込まれるフェロモン系タンパク質 代用薬を含む酵母細胞を提供する段階、(ii)細胞を非ペプチドの化合物のライ ブラリに接触させる段階、及び(iii)内在性フェロモンシグナリング経路により 生成するシグナルの変更を測定する段階からなる検定法を提供する。 好ましい実施態様において、この測定段階は、内在性遺伝子の転写またはこの 細胞の内在性タンパク質の活性を測定する段階を含む。好ましい実施態様におい て、検定されるフェロモン系タンパク質代用薬は、Gタンパク質に結合した受容 体、Gタンパク質、プロテアーゼ、キナーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ 、カルボキシメチルトランスフェラーゼ、ABCトランスポーター及びサイクリン か ら成る群から選択される。 また別の側面においで、本発明は、酵母細胞内のフェロモン系タンパク質代用 薬を調整する化合物を識別するための検定法であって、(i)酵母細胞の内在性 フェロモン系シグナリング経路に機能的に組み込まれるフェロモン系タンパク質 代用薬を含む酵母細胞を提供する段階、(ii)細胞を試験ポリペプチドのライブ ラリに接触させる段階であって、該試験ポリペプチドのライブラリが前記細胞に より発現する段階、及び(iii)内在性フェロモンシグナリング経路により生成す るシグナルの変更を測定する段階からなる検定法を提供する。 好ましい実施態様において、この測定段階は、内在性遺伝子の転写またはこの 細胞の内在性タンパク質の活性を測定する段階を含む。好ましい実施態様におい て、検定されるフェロモン系タンパク質代用薬は、Gタンパク質に結合した受容 体、Gタンパク質、プロテアーゼ、キナーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ 、カルボキシメチルトランスフェラーゼ、ABCトランスポーター及びサイクリン から成る群から選択される。 この発明はまたBAR1酵素のための基質を提供する。好ましい実施態様において 、この基質は配列番号4又は配列番号5の化合物から成る。 この発明はまたBAR1酵素のためのキメラ基質を提供する。このキメラ基質は、 成熟酵母α因子に由来する第一ポリペプチド部分、及び第二の異なるポリペプチ ドに由来する第二ポリペプチド部分から成り、BAR1による該第一ポリペプチド部 分の分裂の際に該第二ポリペプチド部分の安定性の変化が検出可能である。 好ましい実施態様において、この第二ポリペプチド部分はLacZに由来する。ま た別の好ましい実施態様において、この第二ポリペプチド部分は、酵母細胞成長 のために必須であるタンパク質に由来する。また別の好ましい実施態様において 、この第二ポリペプチド部分は、酵母リプレッサタンパク質に由来する。 別の見方によれば、この発明は、酵母フェロモン系経路によって活性化される ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列から成る第の部分、及びPho4ポリ ペプチドをコード化するヌクレオチド配列から成る第二部分から成るキメラ核酸 構造体を提供する。好ましい実施態様において、この第一部分はSte12ポリペプ チドをコード化する。 この発明はまた、この発明のキメラ核酸構造体から成る酵母細胞を提供する。 この発明に用いるための受容体タンパク質は、細胞内のシグナルを調整するた めに細胞外の分子(即ち、ホルモン、成長因子、ペプチド、イオン)と相互作用 するいかなる受容体又はイオンチャンネルであってもよい。例証するために、こ の受容体は細胞表面受容体であってもよく、又は他の実施態様においては、この 受容体は細胞内の受容体であってもよい。好ましい実施態様において、この受容 体は以下のような細胞表面受容体である:受容体チロシンキナーゼ(例えば、EPI -I受容体)、イオンチャンネル、サイトカイン受容体、多サブユニット免疫性認 識受容体(ケモカイン受容体)、成長因子受容体、又はGタンパク質結合受容体( 例えば、ケモ誘引性(chemoattracttractant)ペプチド受容体、ニューロペプチド 受容体、軽受容体、ニューロトランスミッター受容体またはポリペプチドホルモ ン受容体)。 好ましいGタンパク質結合受容体には、α1A-アドレナリン作動性受容体、α1 B-アドレナリン作動性受容体、α2-アドレナリン作動性受容体、α2B-アドレナ リン作動性受容体、β1-アドレナリン作動性受容体、β2-アドレナリン作動性受 容体、β3-アドレナリン作動性受容体、m1アセチルコリン受容体(AChR)、m2AChR 、m3 AChR、m4 AChR、m5 AChR、D1ドーパミン受容体、D2ドーパミン受容体、D3 ドーパミン受容体、D4ドーパミン受容体、D5ドーパミン受容体、A1アデノシン受 容体、A2bアデノシン受容体、5-HT1a受容体、5-HT1b受容体、5HT1-様受容体、5- HT1d受容体、5NT1d-様受容体、5HT1dβ受容体、物質K(ニューロキニンA)受容 体、fMLP受容体、fMLP-様受容体、アンギオテンシンII型1受容体、エンドセリ ンETA受容体、エンドセリンETB受容体、トロンビン受容体、成長ホルモン放出ホ ルモン(GHRH)受容体、血管作動性腸ペプチド受容体、オキシトシン受容体、ソ マトスタチンSSTR1、SSTR2、SSTR3、カンナビノイド受容体、濾胞刺激ホルモン (FSH)受容体、ロイトロピン(leutropin)(LH/HCG)受容体、甲状腺刺激ホルモ ン(TSH)受容体、トロンボキサンA2受容体、血小板活性因子(PAF)受容体、C5 aアナフィラトキシン受容体、インターリューキン8(IL8)IL-8RA、IL-8RB、デ ルタオピオイド受容体、カッパオピオイド受容体、mip-1/RANTES受容体、ロドプ シン、赤オプシン、緑オプシン、 青オプシン、メタボトロピックグルタミン酸塩mGluR1-6、ヒスタミンH2受容体、 ATP受容体、ニューロペプチドY受容体、アミロイドタンパク質前駆体受容体、 インシュリン様成長因子U受容体、ブラジキニン受容体、性腺刺激ホルモン放出 ホルモン受容体、コレシストキニン受容体、メラニン細胞刺激ホルモン受容体、 抗利尿ホルモン受容体、グルカゴン受容体、及び副腎皮質刺激ホルモンII受容体 が含まれる。 好ましいEPH受容体には、eph,elk,eck,sek,mek4,hek,hek2,eek,erk,tyro1,tyr o4,tyro5,tyro6,tyro11,cek4,cek5,cek6,cek7,cek8,cek9,cek10,bsk,rik1,rik2, rik3,myk1,myk2,ehk1,ehk2,pagliaccio,htk,erk及びnuk受容体が含まれる。 更に、この発明の検定は、それが属している受容体のクラスに関係なくオーフ ァン受容体(即ち、公知のリガンドを持たない受容体)のためのリガンドを識別 するために用いることができる。 標的受容体が細胞表面受容体である実施態様及び細胞がペプチドライブラリを 発現する一定の実施態様においては、それらが適当な分泌経路で処理され、その ため細胞表面上の受容体と相互作用することを確実にするために、このライブラ リのペプチドがシグナル配列を発現することが望ましい。 他の実施態様において、宿主細胞は、受容体タンパク質のシグナルトランスダ クション活性に応答する一以上の転写調整成分に機能的に結合するレポーター遺 伝子を含むレポーター構造体を宿す。典型的なレポーター遺伝子には、例えば、 発光酵素、ホスファターゼ、分光技術的に活性なラベル(例えば色の変化、螢光 または発光)を生成可能なβガラクトシダーゼ、又は細胞表現型(例えば、細胞 成長、薬剤抵抗又は栄養要求体)を変える遺伝子生成物のような酵素が含まれる 。好ましい実施態様において、レポーター遺伝子は、クロラムフェニコールアセ チル転移酵素、βガラクトシダーゼおよび分泌されたアルカリフォスファターゼ から成る群から選択される遺伝子生成物をコード化する。また他の実施態様にお いて、レポーター遺伝子は成長シグナルを授ける遺伝子生成物をコード化する。 更に他の実施態様において、レポーター遺伝子はアミノトリアゾール、カナバニ ン又はシクロヘキシミドを含む培地で成長するための遺伝子生成物をコード化す る。 図面の簡単な説明 図1は、GaサブユニットのN-末端領域の配列整列及びGPA41-Gα複合型タン パク質のN-末端配列を示す。 発明の詳細な説明 真核細胞の生殖、分化および死は、いろいろな細胞外のシグナル(例えば、ホ ルモン、神経伝達物質及びポリペプチド因子)により制御される。これらの拡散 型リガンドにより、細胞は周りの環境の合図に影響し、またそれらに影響される 。受容体-リガンド相互作用の研究は細胞が外部の刺激に応答する方法に関する 多量の情報を明らかにしてきた。そして、この知識は治療に重要な化合物の開発 をもたらしてきた。 この発明は、特に受容体の活性または細胞のイオンチャンネルと相互作用し、 かつそれを調整する薬学的に効果的な化合物をスクリーニング及び識別するため の速くて効果的な検定法を提供する。この発明の検定は、受容体の生物学的活性 を促進又はアンタゴナイズする化合物を識別するために、多数の化合物(例えば 、発現ライブラリ中のポリペプチド)を急速にスクリーニングすることを可能に する。 一般に、この検定は、細胞の混合物を使用することによって、受容体/チャン ネルアゴニストまたはアンタゴニストのための一群の化合物のサンプルをとるた めに特徴づけられる。後により詳細に記載するが、この試薬細胞は試薬細胞に検 出可能なシグナルを形質導入することができる標的受容体タンパク質又はイオン チャンネルを発現する。この受容体/チャンネルタンパク質は内在性又は異種で あってもよい。開示された検出手段と組み合わせて、速成の試薬細胞の培養によ り、受容体機能のアゴニスト又はアンタゴニストを検出する手段が提供される。 ある実施態様において、試験化合物が外因的に加えられ、その検定において、 それについて、標的受容体若しくはイオンチャンネルの活性を調整する能力が評 価される。他の実施態様において、細胞は、受容体またはイオンチャンネルと相 互作用する能力を検定できるような試験ポリペプチドを追加的に発現するように 設計される。それらの実施態様において、その検定は、潜在的な受容体/チャン ネルエフェクターを含むペプチドライブラリを発現する細胞の個体群を提供し、 そのペプチドライブラリは、受容体若しくはチャンネル機能をアゴナイズ又はア ンタゴナイズし、配列により選択又は識別され得る。 この発明の検定は、細胞の機能を調整するのに有用であり得る薬剤を発見し、 また細胞の受容体またはイオンチャンネルで特に相互作用する化合物の薬学的性 質を理解するために便利な形式を提供する。更に、この発明の検定は特に天然又 は人工の受容体およびイオンチャンネルのためのリガンドを敏感に識別する。 I定義 この発明を更に記載する前に、便宜のために、明細書、実施例及びクレームで 用いた用語をここに集める。 「異種の(heterologous)DNA」又は「異種の核酸」は、それがその中に存在す るゲノムの一部としては自然に発生しないDNA、又は自然に発生するものとは異 なるゲノム中の位置には見られないDNAを含む。異種のDNAはその位置には自然に 発生しないか、又はそれが導入された細胞に内在性のものではなく、他の細胞か ら得られたものである。一般に、必ずしも必要ではないが、このようなDNAはそ れが発現される細胞によっては通常生成しないタンパク質をコード化する。異種 のDNAは同じ種からのものであってもよいが、好ましくは異なる種からのもので ある。特に好ましい実施態様において、その種は哺乳類である(例えば、人)。ま た異種のDNAを外来の(foreign)DNAと称してもよい。当業者がそれが発現した細 胞に対して異種若しくは外来であると認識又は考えるかもしれないいかなるDNA もここでは異種のDNAに含まれる。異種のDNAの例には、試験ポリペプチドをコー ド化するDNA、受容体、レポーター遺伝子、転写および翻訳の調整配列、又は選 択若しくはさかのぼることができるマーカータンパク質(例えば、薬剤抵抗力を 授けるタンパク質)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。 「異種のタンパク質」、「組換えタンパク質」及び「外因性タンパク質」は、 この明細書全体にわたって互換的に用いられ、組み換えDNA技術によって生成 す るポリペプチドを意味する。一般にこの組み換えDNA技術において、ポリペプ チドをコード化するDNAは適切な発現ベクターに挿入され、それは宿主細胞を形 質転換するために用いられ、異種のタンパク質を生成する。すなわち、このポリ ペプチドは異種の核酸から発現される。 「組換え細胞」には異種のDNAの導入により変成されたいかなる細胞も含まれ る。標準細胞には、組換え細胞に実質的に同一であるが、異種のDNAによってコ ード化された一以上のタンパク質を発現しない細胞が含まれ、それは例えば、レ ポーター遺伝子構造体、異種の受容体または試験ポリペプチドを発現せず、又は これらを含まない。 「細胞表面受容体」は、細胞の表面に発生し、細胞外の環境と相互作用し、環 境に関する情報を(細胞内で細胞内の二次メッセンジャー活性又は特定のプロモ ーターの転写を調整する方法で)伝達又は変換し、その結果特定遺伝子の転写が 行われる。「異種の受容体」は「異種のタンパク質」の特定の具体例であり、異 種の受容体は異種のDNAによってコード化され、組換え細胞内のこの異種のDNAの 発現の際に、異種の受容体が組換え細胞に発現する。 「細胞外のシグナル」には、細胞外のシグナルと直接または間接的に相互作用 する細胞表面タンパク質を通して、細胞内で形質導入される分子及び環境の変化 が含まれる。細胞外のシグナル又はエフェクター分子には、いくつかの方法によ って細胞表面タンパク質の活性を変えるいかなる化合物又は物質も含まれる。こ のようなシグナルの例には、例えば、細胞表面並びに/又は細胞内の受容体及び イオンチャンネルに結合し、このような受容体及びチャンネルの活性を調整する 、アセチルコリン、成長因子及びホルモン、脂質、砂糖並びにヌクレオチドのよ うな分子が含まれるが、これらに限定されるわけではない。「細胞外のシグナル 」には、細胞の受容体の活性を調整し、そのため細胞内の機能に影響を及ぼす未 だ特定されていない物質も含まれる。このような細胞外のシグナルは、特定の細 胞表面受容体の活性を調整することによって特異的疾患を治療するために用いて もよい潜在的な薬理学的試薬である。 「シグナルトランスダクション(シグナル形質導入)」は、細胞外の環境から、 物理的又は化学的シグナルを、細胞膜を通して細胞の中へもたらす処理を含み、 いくつかのメカニズム(例えば、酵素(例えば、燐酸化パターンまたは他の翻訳 後修飾を変更することができるプロテアーゼその他の酵素)の活性化/不活性化 、イオンチャンネル若しくは細胞内のイオンストアの活性化、グアニンヌクレオ チドに結合したタンパク質中間体を介したエフェクター酵素の活性化、イノシト ールホスフェートの形成、アデニルシクラーゼの活性化若しくは不活性化、転写 因子の直接の活性化(又は抑制)及び/又は活性化)のうちの一以上を通して行 われる。「シグナリング経路」とは、細胞の中へ特定のシグナルを「シグナルト ランスダクション(シグナル形質導入)」することに関与する成分を意味する。「 内在性シグナリング経路」という用語は、シグナリング経路の成分のいくつかま たは全てが天然に発生する細胞の成分であることを示す。このような経路の例と して、酵母の内在性フェロモン系経路がある。 「機能的に組み込まれた」(即ち、「細胞内のシグナリング経路に機能的に組 み込まれた」受容体又は「内在性酵母シグナリング経路に機能的に組み込まれた 」受容体におけるような場合)とは、細胞の表面で発現する受容体の能力、及び 発現した受容体のモジュレーター(例えば、受容体のリガンド)に結合し細胞の シグナリング経路の成分を介して細胞内にシグナルを導入する能力に関する。例 えば、酵母細胞の内在性フェロモン反応経路に機能的に組み込まれたGタンパク 質に結合した受容体(GPCR)は、酵母細胞の表面で発現し、酵母細胞内のフェロ モン反応経路のGタンパク質に結合し、モジュレーターが受容体に結合する際に その酵母細胞内のシグナルを形質導入する。 「内在性遺伝子」は、天然に細胞のゲノムの一部である細胞中の遺伝子を意味 し、最も好ましくはそのゲノムの中の天然の位置に存在する(細胞に導入された 「異種の」DNAとは反対である)。同様に、「内在性タンパク質」は細胞の内在性 遺伝子によってコード化されたある細胞のタンパク質を含む。 内在性遺伝子は、その遺伝子の天然調整成分(例えば、その遺伝子の発現を自 然に調節する自生プロモーター/エンハンサー成分)を含むことが可能であり、 又はこの内在性遺伝子は「異種のプロモーター」(または他の異種調整成分)に 「機能的に結合する」ことができる。「異種のプロモーター」とは、異種のプロ モーターが機能的に結合した遺伝子を自然には調節しないプロモーターを意味す る。例 えば、通常フェロモン感応性ではない内在性酵母遺伝子が、酵母フェロモン系に よって生成されるシグナルに応答する「異種のプロモーター」に「機能的に結合 する」ことが可能であり、このことにより内在性酵母遺伝子にフェロモン感応性 が与えられる(後に更に詳細に記載する。)。 「内在性シグナリング経路(例えば、内在性酵母シグナリング経路)によって 生成するシグナルの変化を検出すること」とは、内在性シグナリング経路の成分 の活性の際に生成する内在性二次メッセンジャーの変化、内在性シグナリング経 路の成分の活性の際に促進される転写の変化、及び/又は内在性シグナリング経 路の成分の活性の際の内在性タンパタ質の活性の変化を検出することをいう。し かし「内在性シグナリング経路によって生成するシグナルの変化を検出すること 」は、細胞に導入された外因性レポーター遺伝子の発現レベルの変化やレポータ ー遺伝子生成物の活性の変化を検出することを意味するものではない。さらに、 「内在性シグナリング経路によって生成するシグナルの変化を検出すること」は 、細胞の成長や細胞の形態学の変化のような一般的で全体的な変化を検定するこ とを意味しない。それより、この用語は内在性シグナリング経路に関連する特定 のシグナルを検定することを意味する。 「調節」「(異種の)受容体の調節」および「受容体タンパク質のシグナルトラン スダクション活性の調節」とは、その多様な文法的な形態において、受容体活性 及び/又は受容体の下流の一以上のシグナルトランスダクション経路の誘導及び /又は強化並びに抑制及び/又ダウンレギュレーションを含む。 「化合物」(例えば、「試験化合物」のような場合)とは、外因的に加えられた 試験化合物及びペプチドライブラリから内生的に発現したペプチドの双方をいう 。例えば、一定の実施態様において、試薬細胞はまたスクリーニングされる試験 化合物を生成する。例として、試薬細胞は、例えば、受容体/チャンネル活性を 調整する能力をスクリーニングされる、試験ポリペプチド、試験核酸及び/又は 試験炭水化物を生成することができる。このような実施態様において、このよう な試薬細胞の培養は集合的に潜在的なエフェクター分子のライブラリを提供し、 受容体若しくはイオンチャンネル機能をアゴナイズ又はアンタゴナイズするこの ライブラリのメンバーは選択され識別され得る。さらに、この試薬細胞を、関心 の対 象である受容体又はチャンネルを介してシグナルを形質導入する試薬を検出する ために用いることができることは明らかである。 他の実施態様において、試験化合物は外因的に加えられる。このような実施態 様においては、試験化合物を試薬細胞に接触させる。活性をスクリーニングする ことができる典型的な化合物には、ペプチド、核酸、炭水化物、小有機分子およ び天然性生物抽出ライブラリーが含まれるが、これらに限定されるわけではない 。このような実施態様において、受容体またはチャンネルに媒介されたシグナリ ング機能をアゴナイズ又はアンタゴナイズする化合物のいずれをも選択され識別 され得る。 「非ペプチドの化合物」は、天然のペプチド結合によって結合された天然発生 のL-アミノ酸残基とは(少なくともその一部が)異なる分子構造の化合物を含 む。しかし、「非ペプチドの化合物」は、全体的又は部分的に擬似ペプチド構造 (例えば、D-アミノ酸)や非天然に発生するL-アミノ酸(変成されたペプチド 骨格等)から成る化合物、及び全体的又は部分的に天然ペプチド結合で結合する 天然に発生するL-アミノ酸残基には無関係な分子構造の化合物を含む。「非ペ プチドの化合物」はまた天然物を含む。 「キメラ核酸構造体」とは、少なくとも2つの離散的な部分(第一遺伝子に由 来する第一部分及び第二遺伝子に由来する第二部分)から成る核酸分子(好まし くは、DNA)をいう。ここで「に由来する」とは、前記第一部分及び第二部分が 、各第一遺伝子及び第二遺伝子の全体若しくは一部と、それぞれ、同じ又は実質 的に相同のヌクレオチド配列を有することを意味する。第一及び第二部分の各々 は機能的ポリペプチドをコード化し、構造体の発現の際に融合蛋白質が生成する ように機能的に結合する(この融合蛋白質は第一部分によってコード化される第 一ポリペプチド及び第二部分によってコード化される第二ポリペプチドから成る 。)。好ましい実施態様において、キメラ構造体の第一部分はフェロモン系経路 を通して形質導入されるシグナルに応答する酵母転写因子をコード化し、第二部 分は関心の対象である内在性遺伝子の調節領域のDNA配列に結合するDNA結合タン パク質をコード化する。 「キメラ基質」(「BAR1酵素のキメラ基質」のような場合)は、2つの明確に 区別される(お互いに結合している)ポリペプチドから成る基質をいう(このポ リペプチドのうちの少なくとも1つはBAR1によって分裂されうる。)。好ましく は、このキメラ基質の第一ポリペプチドはBAR1による分裂の際にN末端リジン残 基を露出し、第二ポリペプチドは第一ポリペプチドのC末端に結合する。好まし い実施態様において、第一ポリペプチドは酵母a因子ポリペプチドである。「フ エロモン系タンパク質代用薬」(「PSP代用薬」と略す。)とは、フェロモン系経路 の酵母タンパク質に機能的に相同である酵母細胞の異種タンパク質をいう(即ち 、PSP代用薬は酵母フェロモン系経路に機能的に統合される。)。PSP代用薬の例 及びこのようなPSP代用薬を含む酵母細胞を生成する方法は、PCT国際公開WO 94/ 23025に詳細に記載されている。好ましいPSP代用薬には、Gタンパク質に結合し た受容体、Gタンパク質、プロテアーゼ、キナーゼ、ファルネシルトランスフェ ラーゼ、カルボキシメチルトランスフェラーゼ、ABCトランスポーター及びサイ クリンが含まれる。 「受容体エフェクター」は、受容体を介してシグナルトランスダクションを調 整するアゴニスト及びアンタゴニストを含む。受容体エフェクター分子は、天然 リガンドの結合部位における必要はないが、受容体に結合できる。受容体エフェ クターは、単独で用いられる場合には、シグナルトランスダクションを調整する ことができる。即ち、受容体エフェクターは、天然リガンドによるシグナリング を促進若しくは抑制するために、代用薬リガンドであり得るし、又は天然リガン ドの存在下でシグナルトランスダクションを変化させ得る。例えば、「アンタゴ ニスト」は受容体のシグナルトランスダクション活性を妨げるかまたは減少させ る分子であり、それらは、例えば、受容体から拮抗的に、非拮抗的におよび/ま たはアロステリックにシグナルトランスダクションを抑制することができる。一 方、「アゴニスト」は受容体のシグナルトランスダクション活性を強化、誘導又 は促進する。「受容体補酵素」および「代用薬リガンド」は、受容体からのシグ ナルトランスダクションを促進するアゴニストである。 「オーファン受容体」は、それについて特定の天然リガンドが記載されていな かった受容体、及び/又は機能が決定されてなかった受容体のことをいう。 「指示遺伝子」は、総称的に、標的受容体またはイオンチャンネルにより調整 されるシグナルトランスダクション経路に応答して発現する発現可能な(例えば 、転写され得る、及び(任意に)翻訳され得る)DNA配列をいう。例えば、典型的 な指示遺伝子には、宿主細胞の変成されていない内在性遺伝子、又はレポーター 遺伝子構造体の一部としての異種構造体のレポーター遺伝子が含まれる。 「レポーター遺伝子構造体」は、少なくとも一つの転写調整配列に機能的に結 する「レポーター遺伝子」を含む核酸である。レポーター遺伝子の転写は、それ らが結合するこれらの配列によって制御される。これらの制御配列のうちの少な くとも1つの活性は、標的受容体タンパク質によって直接または間接的に調節さ れる。典型的な転写制御配列はプロモーター配列である。レポーター遺伝子は、 細胞において異種で発現するプロモーターレポーター遺伝子構造体を含む。 「実質的に相同である」は、アミノ酸配列と関連して使われる場合には、配列 が実質的に同一又は類似であることであり、形態が異体同形となり類似した生物 学的活性をもたらす。この用語は、その配列の一般的進化を意味しない。 「実質的に相同である」配列とは、所望の活性に関係することが知られている 少なくともいかなる領域について、その配列が典型的には少なくとも50%、より 好ましくは少なくとも80%一致することをいう。末端以外の5以上の残基が異な らないことが最も好ましい。少なくとも前記の領域での配列の相違が「保守的な 変更」の形態であることが好ましい。 「自己分泌細胞」は、その物質を生成するのと同じ細胞の中又は上に位置する 受容体を刺激することができる物質を生成する細胞のことをいう。例えば、野生 型酵母MATa及びMATaは自己分泌細胞ではない。しかし、a因子及びa因子受容体 の両方、又は機能的形態のa因子及びa因子受容体の両方を生成する酵母細胞は 自己分泌細胞である。更に、受容体を(例えば、Gタンパク質に結合した受容体 を活性化することによって)活性化しまたその受容体を発現する能力をスクリー ニングされるペプチドを生成する細胞は「自己分泌細胞」と呼ばれる。いくつか の例では、いくつかの細胞はペプチドを発現する受容体を活性化しないライブラ リからのペプチドを発現するので、このような細胞もまた「推定の自己分泌細胞 」と呼ばれる。多数の異なるペプチドが生成されるこのような細胞のライブラリ において、一以上の細胞がこの用語のより厳格な意味で「自己分泌」である こともありうる。 II 検定の一般的概要 既に詳説したように、この発明は受容体タンパク質又はその複合体のエフェク ターを識別するための方法に関する。一般に、この検定は、そのシグナルトラン スダクション(シグナル形質導入)活性を細胞外のシグナルとの相互作用により 調整しうるような、標的受容体又はイオンチャンネルタンパク質を含む試験細胞 を使用し、この形質導入活性により検出可能なシグナルを生成することが可能で あることを特徴とする。好ましい実施態様において、この細胞はまた受容体によ り生成するシグナルを検出するための、レポーター遺伝子又は指示遺伝子のよう な、検出手段を含む。この発明の最も好ましい実施態様において、細胞の内在性 シグナリング経路によって生成されるシグナルの変化が検出される。 標的受容体又はチャンネルのシグナルトランスダクション活性を調整する特定 の化合物の能力を、内在性検出シグナルのアップレギュレーション又はダウンレ ギュレーションを検出することにより評価することができる。例えば、二次メッ センジャーの生成(例えば、GTPアーゼ活性、燐脂質加水分解、又はタンパク質 燐酸化パターン)を直接測定することができる。他の実施態様において、内在性 遺伝子の転写または内在性タンパク質の活性を検出可能な読出し情報として利用 する。 その代わりに、指示遺伝子を使用すると便利な読出し情報を得ることができる 。他の実施態様において、検出手段はレポーター遺伝子である。いずれにしても 、検出シグナルの統計学的に顕著な変化を、受容体またはイオンチャンネル活性 を調整する化合物の識別を容易にするために用いることができる。 この方法によって、特定の受容体又はチャンネルからのシグナル経路を促進す る化合物を識別することができる。試験化合物が受容体/チャンネルタンパク質 の活性を促進しないような場合には、この検定を繰り返してもよく、そしてシグ ナルトランスダクションを促進するためにまず試薬細胞を標的受容体/チャンネ ルの公知の補酵素に接触させる段階を導入するようにこの検定を改変してもよく 、そして試験化合物を、例えば、活性化された受容体/チャンネルを抑制する能 力(例 えば、アンタゴニストを識別する能力)により検定することができる。また他の 実施態様において、受容体の公知の補酵素に対する反応を強化する試薬のために 、一群の化合物をスクリーニングすることができる。 この発明の検定を開発する際に、転写活性を促進する細胞外のシグナルに同種 の受容体を曝した後に、細胞外のシグナルに対する受容体により媒介される応答 が特定の遺伝子の転写の活性化又は不活性化であるような結果が頻繁に見られた 。したがって、受容体感応性である転写成分によって制御される遺伝子の転写は 、しばしば細胞内シグナルの形質導入によって表面タンパク質の活性を反映する 。これを例証するために、形質導入された細胞内シグナルを、細胞上の細胞表面 受容体と細胞外のシグナル(特にリガンド)の特定の相互作用によって開始する ことができる。この相互作用は、その最後帰結が遺伝子の転写又は翻訳の迅速で 検出可能な変化であるような、細胞内事象のカスケードが動くように設定される 。形質導入された細胞内シグナルに応答し、転写または翻訳が容易に検出可能で 測定可能な指示遺伝子を、選択されたプロモーターに機能的に結合させる転写調 整配列を選択することにより、転写に基づく検定は、細胞内の形質導入を調整す るいかなる方法によっても、特定の受容体またはイオンチャンネルが試験化合物 と相互作用するかどうかについて迅速な指示を提供する。したがって、指示遺伝 子の発現は、細胞受容体またはイオンチャンネルのアゴニスト又はアンタゴニス トとして作用する化合物の開発のための価値あるスクリーニング手段を提供する 。 この発明の指示遺伝子又はレポーター遺伝子に基づく検定により、上記の事象 (例えば転写調節)のカスケードの最終段階が測定される。それゆえに、この検 定の1つの実施態様を実施する際に、受容体のシグナリングに依存して検出シグ ナルを生成するために、レポーター遺伝子構造体を試薬細胞に挿入する。典型的 には、このレポーター遺伝子構造体は、標的受容体のシグナルトランスダクショ ン活性に応答する一以上の転写規定成分と機能的に結合しているレポーター遺伝 子を含み、レポーター遺伝子の発現レベルは受容体に依存する検出シグナルを出 力するレベルである。後述するように、一定の内在性遺伝子は、受容体またはイ オンチャンネルからのシグナルトランスダクションに応答して、検出可能な信号 を出力することができる。即ち、この内在性遺伝子は指示遺伝子として機能する 。 いずれの実施態様においても、適当な当業者にとって公知のいかなる方法を使用 して、指示遺伝子からの転写の量を測定することができる。例えば、特定のmRNA 発現をノーザンブロット法を使用して検出することができるし、又は特定のタン パク質生成物を特徴的な変形または固有の活性によって識別することができる。 好ましい実施態様においては、指示遺伝子又はレポーター遺伝子の遺伝子生成 物は、その生成物に関連する固有の活性によって検出される。例えば、指示遺伝 子は、例えば、色、螢光または発光に基づく検出シグナルを(例えば、酵素の活 性により)引き起こす遺伝子生成物をコード化することができる。 この指示遺伝子からの発現の量を次に試験化合物のない同じセルで発現する量 と比較するか、又は、その量を特定の受容体を欠く実質的に全く同じセルの転写 量と比較することができる。対照標準細胞は、それから試験細胞を生成するがそ の化合物で処理されなかった同じ細胞に由来するものであってもよい。その代わ りに、対照標準細胞は関心の対象である受容体が除去された細胞であってもよい 。統計学的又はその他のいかなる顕著な転写量の違いは、試験化合物が、ある方 法で、特定の受容体またはイオンチャンネルの活性を変えたことを示す。 他の好ましい実施態様において、指示遺伝子は、受容体またはイオンチャンネ ルの一以上のシグナル経路の活性化(又は不活性)により処理された細胞の有利 な成長をもたらすような選択方法を提供する。例えば、指示遺伝子の発現は、細 胞の生存能力を改良し、細胞栄養の必要条件を和らげ、及び/又は薬剤抵抗力を 提供することができる。 他の実施態様において、細胞内の二次メッセンジャー経路の変化を生物学的よ りむしろ生物化学的に検出することができる。例えば、細胞内のCa+2、タンパク 質の燐酸化状態、細胞内の酵素の活性等の変化を検出することができる。また他 の検出技術には、例えば、イオンまたは細胞内のpHの僅かな変化を検出できる ミクロ生理機能測定装置が含まれる。 受容体またはイオンチャンネルに関しては、それは宿主細胞によって内生的に 発現されるか、又は細胞に形質導入された異種の遺伝子から発現されてもよい。 真核細胞に異種のDNAを導入する方法はこの分野で公知であり、これらいずれの 方法を用いてもよい。更に、多様な受容体タンパク質をコード化するDNAは 当業者によく知られており、それは当業者に知られたいかなる方法によってもク ローン化されてもよい。ある実施熊様において(例えば、外因性受容体が発現す る場合)、細胞に存在する相同の受容体を(例えば、失欠により)不活性にする ことが望ましいことがある。 この発明の検定は、その活性が、検出可能なシグナルを生成するために利用さ れ得る宿主細胞のシグナルトランスダクションのカスケードを最終的に促進する ような、いかなる受容体タンパタ質とも相互作用する化合物を識別するのに有用 である。特に、細胞表面に局地化された受容体およびチャンネル並びに細胞質お よび核受容体のための、機能的リガンド-受容体又はリガンド-イオンチャンネル 相互作用を試験するために、この検定を用いることができる。以下より詳細に記 載するように、この発明の検定は、例えば、Gタンパタ質に結合した受容体、受 容体チロシンキナーゼ、サイトカイン受容体およびイオンチャンネル、ステロイ ドホルモン、又はこの他の核受容体のエフェクターを識別するために用いること ができる。ある実施態様において、ここで記載されている方法を、そのためのリ ガンドが知られていない「オーファン受容体」のためのリガンドを識別するため に用いることができる。 この発明の「自己分泌細胞」を利用しており、細胞表面受容体が検定標的であ る実施態様において、ペプチドライブラリの各々のペプチドが分泌のためのシグ ナル配列を含むことが望ましい。一定の実施態様において、このようなシグナル 配列の発現は、ペプチドを、細胞質網状構造(ゴルジ)に、そして、最終的に細 胞表面に、適切に輸送することを確実にすることができる。酵母細胞が宿主細胞 である一定の実施態様において、シグナル配列はペプチドを細胞周辺スペースへ 輸送するであろうが、このような輸送は自己分泌促進を達成するのに必要ではな いであろう。 所望の細胞表面タンパク質を発現することができるあらゆるトランスフェクシ ョン可能な細胞を、このようなタンパク質が細胞外シグナルを細胞内に形質導入 するように機能する方法で、用いることができる。同様に、当業者に知られてお り、当業者により識別されるいかなる細胞表面たんぱく質をこの検定の用いても よい。細胞表面タンパク質は選択された細胞上に内生的に発現するか、又はそれ はクローン化されたDNAから発現してもよい。 III 宿主細胞 この発明の検定のために適当な宿主細胞には、原核生物、酵母又はより高度の 真核細胞細胞、更に植物細胞及び動物細胞、特に哺乳類細胞がある。原核生物に はグラム陰性有機体又はグラム陽性有機体が含まれる。適当な哺乳類の宿主細胞 系列の例には、猿腎臓細胞のCOS-7系列(ATC CCR L1651)(Gluzman(1981)Cel2 3:175)、CV-l細胞(ATCC CCL 70)、L細胞、C127、3T3、中国ハムスター卵巣(CH O)、Hela、HEK-293、SWISS 3T3、及びBHK細胞系列がある。 酵母細胞を使う場合、その酵母は、その宿主細胞の適当なシグナルトランスダ クション機構に用いるために外因性受容体をその中で作ることのできる、培養可 能ないかなる種であっでもよい。適当な種には、Kluyverei lactis、シゾサッカ ロミケス(Schizosaccharomyces)pombe、Ustilaqo maydis、サッカロミケス(Sacc haromyces)cerevisiaeがあり、サッカロミケス(Saccharomyces)cerevisiaeが好 ましい。この発明の実施に用いることのできるこの他の酵母には、ニューロスポ ラ(Neurospora)crassa、Aspergillus niger、Aspergillus nidulans、Pichiapas toris、カンディダ(Candida)tropicalisおよびHansenula polymorphaである。こ こで「酵母」には、厳密な分類学上の酵母(即ち、単細胞有機体)のみでなく、 酵母類似の多細胞菌又は糸状菌も含まれる。 適当な宿主細胞の選択もまた検出シグナルの選択により影響される。例えば、 下記のようにリポーター構造体は、標的受容体に結合したシグナルトランスダク ション経路に応答して、転写活性化(又は不活性)において、選択可能又はスク リーニング可能な特徴を提供することができる。レポーター遺伝子は、酵母内の 成長停止の原因になる遺伝子のような、宿主細胞経路に既に存在している無変更 の遺伝子であってもよい。そのレポーター遺伝子は「受容体感応性」プロモータ ーに使用可能な状態で結合する宿主細胞遺伝子であってもよい。その代わりに、 そのレポーター遺伝子はそのように結合した異種の遺伝子(例えば、「レポータ ー遺伝子構造体」)であってもよい。適当な遺伝子およびプロモーターについて は後に論議する。他の実施態様においては、例えば、細胞内のカルシウムまたは 燐脂 質代謝の移動性を定量するように、検出段階において二次メッセンジャー生成を 直接測定することができる。さらに他の実施熊様において、受容体によって媒介 されるシグナリングを検出するために指示遺伝子を用いることができる。 それゆえに、選択又はスクリーニングを行うために、宿主細胞が適当な表現型 を有しなければならないことは理解されるであろう。例えば、野生型HIS3遺伝子 を有する酵母のフェロモン感応性キメラHIS3遺伝子の生成により、遺伝子の選択 が失敗する。したがって、栄養学の選択を達成するために、栄養要求性の変形は 好ましい。 この発明の検定用のいろいろな相補性を構成することができる。実際に、哺乳 類シグナル形質導入タンパク質を有する多くの酵母遺伝的相補性がこの分野の先 行技術に開示されている。例えば、Mostellerらの(1994)Mol Cell Biol 14:1104 -12は、人のRasタンパク質がS.cerevisiaeのras突然変異の喪失を補足すること ができることを証明する。さらに、Todaらの(1986)Princess Takamatsu Symp 17 :253-60は、人のrasタンパク質がRAS1の損失および酵母内のRAS2タンパク質を補 足することができることを示して、それゆえに、機能的に相同である。Martegan iらの(1992)EMBO J11:2151-7は、クローニングをCDC25(サッカロミケスcerevis iae R.AS補酵素)の相同物をコード化しているマウスcDNAの機能の相補性によっ て記載する。さらに、戸田らの(1986)Princess Takamatsu Symp 17:253-60は、 人のrasタンパク質が酵母内のRAS1およびRAS2タンパク質の喪失を補足し、それ ゆえ機能的に相同であることを示している。人および酵母Rasタンパク質の両方 とも、酵母膜に存在するマグネシウムおよびグアニンヌクレオチド依存性アデニ ル酸シタラーゼ活性を刺激することができる。Ballesterらの(1989)Cell 59:681 -6には、酵母S.cerevisiaeの哺乳類GAPタンパク質を発現するベクターが記載さ れている。酵母で発現する場合に、GAPは人のrasタンパク質の機能を抑制し、IR A1の喪失を補足する。IRA1は、GAPと異体同形のタンパク質をコード化し、Rasの 上流で働く酵母遺伝子である。それゆえに哺乳類のGAPは酵母内で機能し、酵母R asと相互作用することができる。Weiらの(1994)Gene 151:279-84は、人のRasに 特有のグアニンヌクレオチド交換因子(Cdc25GEF)がS.cerevisiaeのCDC25機能 の喪失を補足することが できることを記載する。Vojtekらの(1993)3 Cell Sci 105:777-85およびMatviw らの(1992)Mol Cell Biol 12:5033-40は、マウスCAPタンパク質(例えばrasによ って媒介されるシグナルトランスダクションと関連があるアデニルシクラーゼに 付随するタンパク質)がどのようにS.cerevisiaeの欠点を補足することができる かについて記述する。Papasavvasらの(1992)Biochem Biophys Res Commun 184:1 378-85も、不活性化された酵母アデニルシクラーゼが哺乳類のアデニルシクラー ゼ遺伝子によって補足され得ることを示唆する。Hughesらの(1993)Nature 364:3 49-52は、哺乳類のMAPキナーゼキナーゼ(MEK)による分裂酵母のbyrlの相補性 を記載する。Parissentiらの(1993)Mol Cell Endocrinol 98:9-16は、酵母のウ シ属タンパク質キナーゼC(PKC)の再構成を記載する。Ca(2+)-および燐脂質依 存性Ser/ThrキナーゼPKCは、哺乳類細胞における細胞シグナルの形質導入におい て重要な役割をはたす。マーカスらの(1995)PNAS 92:61804は、構造的に関連し たS.cerevisiac Ste20または哺乳類のp65PAKタンパク質キナーゼのいずれかにに よるS.pombeのshkl null突然変異の相補性を示唆する。 宿主細胞の遺伝子に関する「不活性」とは、機能的遺伝子生成物の生成が妨げ られるかまたは抑制されることを意味する。不活性は、遺伝子の削除、発現が起 きないようなプロモーターの突然変異、又は遺伝子生成物が不活発になるような コード配列の突然変異によって達成されることができる。不活性は部分的又は全 体的であってもよい。 宿主細胞の遺伝子に関する「相補性」とは、宿主細胞の不活性化遺伝子の少な くとも部分的な機能が外因性核酸によって供給されることを意味する。たとえば 、酵母細胞は、受容体の相補性および哺乳類の相同物によるシグナルトランスダ クションタンパク質によって、「哺乳類化され(mammalianized)」又はさらに「 人化され(humanized)」うる。これを例証するために、酵母Byr2/Ste11遺伝子の 不活性化は、人のMEKK遺伝子の発現によって補足されうる。 IV 発現系 ポリヌクレオチドコード配列を遺伝子構造体(例えば、発現ベクター)に導入 すること、及び真核細胞(酵母、鳥、昆虫又は哺乳類)又は原核細胞(バクテリ ア細胞)の宿主にトランスフェクト又はを形質転換することは外因性受容体およ びペプチドライブラリをコード化している配列を含む他の周知のタンパク質を生 成する際に使われる標準的方法である。これに類似した手順(又はそれの変形) を、この発明に従った組織培養技術によって、この発明の組換え試薬細胞を生成 するために用いることができる。 一般に、ベクターが宿主細胞内で複製する能力を有することが望ましい。その ベクターは、宿主ゲノムに統合されその後染色体のDNAの一部として複製されるD NAであってもよく、又はプラスミドの場合のように自己制御的に複製するDNAで あってもよい。後者の場合、そのベクターは宿主において機能的である複製の起 源を含む。ベクターを統合する場合、ベクターは統合を促進する配列(例えば、 宿主配列に相同の配列又はインテグラーセをコード化している配列)を含んでも よい。 バクテリア、菌類、酵母、及び哺乳類細胞の宿主に用いるのに適当なクローニ ングおよび発現ベクターはこの技術分野で公知であり、例えば、PowelsらのClor ning Vectors A Laboratory Manual,Elsevier,New York,1985に記載されている 。哺乳類の発現ベクターは、転写されていない成分(例えば、複製の起源)適当 なプロモーター及び発現される遺伝子に結合したエンハンサー)そして、その他 の5'又は3'ワレーキング非転写配列、及び5'又は3'非翻訳配列(例えば、必 要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプ タ部位)並びに転写終了配列含んでもよい。 好ましい哺乳類の発現ベクターは、バクテリア内のベクターの伝播を容易にす るための原核細胞配列、及び一以上の真核細胞細胞において発現された真核細胞 転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp,pcDNAI/neo,pRc/CMV,pSV2gpt,pSV2neo,pSV2 -dhfr,pTk2,pRSVneo,pMSG,pSVT7,pko-neo及びpHygに由来するベクターは、真核 細胞細胞のトランスフェクションのために適当な哺乳類の発現ベクターの例であ る。これらのベクターのいくつかは、原核細胞および真核細胞の両方において複 製及び薬剤抵抗選択を促進するために、バクテリアのプラスミド(例えば、pBR3 22)の配列により変成される。その代わりに、ウシ属 乳頭腫ウイルス(BPV-1)またはエプスタインバーウイルス(pHEBo,pREP誘導体及 びp205)のようなウイルスの誘導体を、真核細胞細胞内でのタンパク質の移動型 発現のために用いることができる。プラスミドの生成および宿主有機体の形質転 換に用いられる様々な方法は公知技術である。原核細胞及び真核細胞のためのこ の他の適当な発現系並びに一般的な組換え操作については、Molecular Cloning A Laboraiory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spr ing Harbor Laboratory Press:1989)Chapters 16 and 17を参照されたい。 哺乳類の細胞を形質転換する際に用いられる発現ベクターの転写および翻訳の 標準配列はウィルス源により提供されてもよい。例えば、通常用いられるプロモ ーター及びエンハンサーは、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、猿ウイル ス40(SV4O)および人のサイトメガロウイルスに由来する。SV4Oウィルスのゲノ ム(例えば、SV4O起源、初期及び最後のプロモーター、エンハンサー、スプライ スおよびポリアデニレーション部位)に由来するDNA配列を、異種のDNA配列の発 現に必要な他の遺伝的成分を提供するために用いることができる。複製のSV4Oウ ィルスの起源を含む断片として、両方とも簡単にウイルスから得られるので、こ の初期及び最後のプロモーターは特に有用である(Fiers et al.(1978)Nature 273:111)。Hind III部位から、複製のウィルスの起源に位置するBglI部位の方へ 延びる約250bp配列が含まれるならば、より小さいかより大きいSV4O断片を用い てもよい。OkayamaおよびBergによって開示されたような典型的なベクターを構 成することもできる(1983,Mol.Cell Biol.3:280)。Cosmanらの(1986,Mol.Immuno l.23:935)に記載されているように、C127ネズミ乳上皮細胞の哺乳類受容体cDNAs の高水準で安定な発現のために有用な系を実質的に構成することができる。哺乳 類の宿主細胞に用いるためのこの他の発現ベクターはレトロウイルスに由来する 。 この他の実施態様において、ウィルスのトランスフェクションを使用すると、 発現構造体の安定して統合化された複製を得ることができる。特に、外因性受容 体及び/又はポリペプチドライブラリーを発現する安定してトランスフェクトさ れた細胞系列を提供する手段として、レトロウイルス、アデノウイルス又はアデ ノ付随ウィルスのベクターの使用が考察されている。酵母の組換えタンパク質の 発現のために数多くのベクターが存在する。例えば、YEP24、YIP5、YEP5I、YEP5 2、pYES2およびYRPI7は、遺伝的構造体をS.cerevisiaeへ導入するのに有用なク ローニング及び発現ビヒクルである(例えば、Broachらの(1983)Experimental Manipulation of Gene Expression,ed M.Inouye Academic Press,p.83を参照さ れたい。)。これらのベクターは、pBR322 oriの存在により、S cerevixiaeにお いて、2ミクロンプラスミド酵母の複製決定要素に従って、E.coliを複製するこ とができる。更に、アンピシリンのような薬剤抵抗マーカーを用いてもよい。さ らに、酵母が宿主細胞として使われる場合、酵母細胞の遺伝子の発現には酵母に おいて機能的であるプロモーターが必要であることを理解されたい。適当なプロ モーターには、金属結合性蛋白質のためのプロモーター、3-ホスホグリセリン酸 塩キナーゼ(Hitzemanらの(J Biol.Chem.255,2073(1980))又はこの他の糖分解酵 素(例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-ホスフェート、デヒドロゲナ ーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸塩デカルボキシラーゼ、ホスホ-フクルトキ ナーゼ、グルコース-6-ホスフェートイソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸塩ム ターゼ、ピルビン酸塩キナーゼ、トリホスフェートイソメラーゼ、ホスホ-グル コースイソメラーゼ及びグルコキナーゼ)が含まれる(Hess et al.,J Adv.Enzym e Req.7,149(1968)及びHollandらのBiochemistry 17,4900(1978))。酵母発現用 の適当なベクターおよびプロモーターは、更にR.Hitzernanらの(EPO Publn..No .73,657)に記載されている。成長条件によって制御される転写の追加的利点を 有するこの他のプロモーターは、アルコール脱水素酵素2、イソチトクロムC、 酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、及び前記の金属結合性蛋白 質、並びにグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、更にマルト ース及びガラクトースに対応する酵素のためのプロモーター領域である。最後に 、2つの半数体交配型のうちの1つだけに活性であるプロモーターは一定の状況 で適当でありうる。これらの半数体に特有のプロモーターの中で、特にフェロモ ンプロモーターMFaI及びMEalfalが関心をひく。 いくつかの例では、宿主細胞として昆虫細胞を使用することが望ましいことも ある。このような実施態様において、組換えポリペプチドをバキュロウイルス発 現系を使用することにより発現することができる。このようなバキュロウイルス 発現系の例には、pVL由来ベクター(例えば、pVL1392、pVL1393及びpVL941)、pAc UW由来ベクター(例えば、pAcUW1)、及びpBlueBac由来ベクター(例えば、pBlueB ac IIIを含むβ-gal)が含まれる。 適当な発現プラスミドを構成する際に、これらの遺伝子又は酵母中で効果的に 発現する他の遺伝子に関連する終了配列を、mRNAのポリアデニル化及び終了を提 供する異種のコード配列の発現ベクター3'に結合することができる。 V 細胞周辺分泌 宿主細胞として酵母細胞が用いられ、試験化合物がライブラリから内生的に発 現するような実施態様において、酵母細胞が原形質膜と呼ばれる脂質二分子層に よって境界をつけられていることに注意すべきである。この原形質膜と細胞壁と の間に細胞周辺スペースがある。酵母細胞により分泌されるペプチドは、いろい ろなメカニズムにより原形質膜を通過し、細胞周辺空間に入る。次に分泌された ペプチドは、周辺質に存在するか又は原形質膜の外部表面に表示される他分子と 相互作用する。次にこのペプチドは、細胞へ再摂取されるか、培地へ細胞壁を通 って分散するか、又は細胞周辺空間の中で退化する。 それらが結合する発現系の性質に依って、数多くの典型的なメカニズムのいず れにより、試験ポリペプチドライブラリは周辺質に分泌されてもよい。ある実施 態様においては、このペプチドは、a因子前駆体内に存在するように、酵母シグ ナル配列に構造的に結合してもよく、それは細胞質網状構造およびゴルジ装置を 通る分泌を管理する。これは受容体タンパク質が原形質膜への移動においてたど る経路と同じなので、受容体およびペプチドライブラリを発現する細胞の中で、 特定のペプチドが分泌経路を通る移動の間に受容体と相互作用する機会がある。 これは自己分泌活性化を示す哺乳類の細胞で起こると仮定されてきた。このよう な相互作用は、移動の間に反応経路の活性化を生じてもよく、それはまだペプチ ドアゴニストを発現するこれら細胞の識別を可能にする。外に接触した受容体ア ゴニストに対するペプチドアンタゴニストを捜すような状況の場合、ペプチドア ンタゴニストおよび受容体は共に細胞の外へ解放されるため、この系はまだ効果 的である。したがって、ペプチドアンタゴニストは外で接触するアゴニストによ り刺激されることから受容体を適切にかつタイムリーに防止するため、アンタゴ ニストを生成するそれらの細胞は選択可能である。 ペプチドを細胞周辺空間に輸送する代替メカニズムとして、STE6/MDRIクラス のATP依存トランスポーターを使用することがある。タンパク質またはペプチド をこの経路に向けるこの輸送経路およびシグナルは、細胞質網状構造に基づく分 泌経路とは同様に特徴づけられない。それでもなお、ER/ゴルジ経路を通過させ るペプチドなしで、これらのトランスポーターは、一定のペプチドを原形質膜を 通して効果的に直接外へ出すことができる。a因子プロ配列(prosequence)及び 末端テトラペプチドの範囲でライブラリーを発現することによって、ペプチドの 少なくとも一部分がこの経路を通って分泌され得ると予期される。この系の可能 な利点は、受容体及びペプチドの両方が細胞の外部の表面に輸送されるまで、こ の受容体及びペプチドが接触しないということである。したがって、この系は、 通常細胞の外へ輸送されるアゴニスト又はアンタゴニストの状況を厳密に模倣す る。この記載されている経路のいずれを使用することもこの発明の範囲内である 。 この発明は細胞周辺分泌を必要としないし、もしこのような分泌が提供されて もいかなる特定の分泌シグナル又は輸送経路も必要としない。VI .レセプター サイトカインレセプター 一具体例において、標的レセプターは、サイトカインレセプターである。サイ トカインは、細胞と細胞のコミュニケーションの可溶性メディエーターのファミ リーであり、これには、インターロイキン、インターフェロン及びコロニー刺激 因子が含まれる。サイトカインの特徴は、それらの機能的冗長性と多面発現性に ある。別々のスーパーファミリーを構成するサイトカインレセプターの殆どは、 固有のタンパク質チロシンキナーゼドメインを有しないが、しかもなお、レセプ ター刺激は、通常、レセプター自身を含む細胞内蛋白質の急速なチロシンリン酸 化を呼び出す。サイトカインレセプタースーパーファミリーの多くのメンバーは 、Jak蛋白質チロシンキナーゼファミリーを活性化し、結果として生じるST AT転写アクチベーター因子のリン酸化を伴う。IL−2、IL−7,IL−2 及びインターフェロンγは、すべて、Jakキナーゼを活性化することが示され ている(Frank等(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7779-7783);Scharfe等(1995) Blood 86:2077-2085);(Bacon等(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7307-7311); 及び(Sakatsume等(1995)J Biol Chem 270:17528-17534)。Jakリン酸化の下流 の事象も又、解明されている。例えば、Tリンパ球をIL−2にさらすことは、 シグナルトランスデューサー及び転写のアクチベーター(STAT)蛋白質STA T1α、STAT2β及びSTAT3の並びに2つのSTAT関連蛋白質p94 及びp95のリン酸化へと導かれることが示されている。これらのSTAT蛋白 質は、核へ転移して特異的なDNA配列に結合することが見出されたが、それ故 、これは、IL−2が免疫細胞機能に関与する特異的遺伝子を活性化する機構を 示唆している(Frank等、前出)。Jak3は、IL−2、IL−4及びIL−7 サイトカインレセプターのガンマー鎖と会合する。(Fujii等(1995)Proc.Natl.Ac ad.Sci.92:5482-5486)及び(Musso等(1995)J Exp Mcd 181:1425-1431)。Jakキ ナーゼは又、成長ホルモン及びエリスロポエチン及びIL−6等のサイトカイン のレセプターを介してシグナルを伝える多くのリガンドによって活性化されるこ とも示されている(Kishimoto(1994)Stem cells補遺12:37-44)。 第2メッセンジャーの直接的検出(例えば、リン酸化の変化の測定による)に加 えて、本アッセイにおいて検出し得るシグナル変換には、STAT蛋白質に応答 性の転写調節エレメントを含むレポーター構築物又はインジケーター遺伝子が含 まれる。 マルチサブユニット免疫認識レセプター(MIRR) 他の具体例において、レセプターは、マルチサブユニットレセプターである。 レセプターは、サブユニットとして言及される多数の蛋白質よりなってよく、マ ルチサブユニットレセプターとして言及されるその一つのカテゴリーは、マルチ サブユニット免疫認識レセプター(MIRR)である。MIRRは、多数の非共有 結合的に会合したサブユニットを有するレセプターを含み、srcファミリーチ ロシンキナーゼと相互作用することができる。MIRRには、限定はしないが、 B細胞抗原レセプター、T細胞抗原レセプター、Fcレセプター及びCD22が 含まれ得る。MIRRの一例は、B細胞表面上の抗原レセプターである。更なる 説明のために、B細胞表面上のMIRRは、サブユニットIg−α及びIg−β 又はIg−γと会合した膜結合免疫グロブリン(mIg)を含み、これは、抗原に 結合されたときにB細胞機能を調節することのできる複合体を形成する。抗原レ セプターは、アンプリファイヤー分子と、該分子が遺伝子転写を調節することが できるような仕方で機能的に結合することができる。 srcファミリーチロシンキナーゼは、標的分子のチロシン残基をリン酸化す ることのできる酵素である。典型的には、srcファミリーチロシンキナーゼは 、少なくとも1つの結合ドメイン及びキナーゼドメインを含む。srcファミリ ーチロシンキナーゼの結合ドメインは、標的分子に結合することができ、キナー ゼドメインは、キナーゼが結合した標的分子をリン酸化することができる。チロ シンキナーゼのsrcファミリーのメンバーは、N末端のユニークな領域とその 後ろの3つの領域(このファミリーのすべてのメンバー間で異なる程度の相同性 を含む)により特徴付けられる。これらの3つの領域は、srcホモロジー領域 1(SH1)、srcホモロジー領域2(SH2)及びsrcホモロジー領域3(S H3)と呼ばれる。SH2及びSH3ドメインの両者は、シグナル変換複合体の 形成に重要な蛋白質会合機能を有すると考えられている。N末端のユニーク領域 の アミノ酸配列は、各srcファミリーチロシンキナーゼ間で変化する。N末端の ユニーク領域は、srcファミリーチロシンキナーゼのN末端の少なくとも最初 の凡そ40アミノ酸残基であってよい。 sykファミリーキナーゼは、標的分子のチロシン残基をリン酸化することの できる酵素である。典型的には、sykファミリーキナーゼは、少なくとも1つ の結合ドメインと1つのキナーゼドメインを含む。sykファミリーチロシンキ ナーゼの結合ドメインは、標的分子に結合することができ、キナーゼドメインは 、キナーゼが結合した標的分子をリン酸化することができる。チロシンキナーゼ のsykファミリーのメンバーは、蛋白質会合機能のための2つのSH2ドメイ ン及びチロシンキナーゼドメインにより特徴付けられる。 一次標的分子は、第2メッセンジャー分子を修飾することにより、シグナル変 換パスウェーを更に拡張することができる。一次標的分子には、限定はしないが 、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI−3K)、P21rasGAPア ーゼ活性化蛋白質及び関連するP190及びP62蛋白質、ホスホリラーゼ例え ばPLCγ1及びPLCγ2、MAPキナーゼ、Shc及びVAVが含まれ得る 。一次標的分子は、変換されたシグナルを更に増幅することのできる第2メッセ ンジャー分子を生成することができる。第2メッセンジャー分子には、限定はし ないが、ジアシルグリセロール及びイノシトール1,4,5−トリホスフェート (IP3)が含まれる。第2メッセンジャー分子は、遺伝子転写の変化へと導くこ とのできる生理学的事象を開始することができる。例えば、IP3の産生は、細 胞内カルシウムの放出を生じることができ、これは、次いで、カルモジュリンキ ナーゼIIの活性化へと導くことができ、これは、次いで、ets−1プロトオン コ蛋白質として言及されるDNA結合性蛋白質のセリンリン酸化へと導くことが できる。ジアシルグリセロールは、シグナル変換蛋白質、蛋白質キナーゼC(こ れは、AP1DNA結合性蛋白質複合体の活性に影響を与える)を活性化するこ とができる。シグナル変換パスウェーは、c−fos、egr−1及びc−my c等の遺伝子の転写活性化へと導くことができる。 Shcは、アダプター分子と考えることができる。アダプター分子は、他の2 つの蛋白質に複合体(例えば、3分子複合体)を形成することを可能にする蛋白質 を含む。Shc蛋白質は、複合体を、Grb2及びSOSを含む形態にすること を可能にする。Shcは、Grb2のSH2ドメインと会合することのできるS H2ドメインを含む。 シグナル変換パスウェーの分子は、認識配列を利用して互いに会合することが できる。認識配列は、2つの分子間の特異的結合を可能にする。認識配列は、互 いに会合する分子の構造に依って変化し得る。分子は、少なくとも1つの認識配 列を有することができ、そうして、少なくとも1つの異なる分子と会合すること ができる。 MIRR複合体のシグナル変換パスウェーは、細胞の生物学的機能を調節する ことができる。かかる機能には、限定はしないが、細胞の成長し、分化し、そし て細胞生成物を分泌する能力が含まれ得る。MIRR誘導されたシグナル変換パ スウェーは、動物による特定の応答例えば免疫応答、炎症応答及びアレルギー応 答に関与する特定の細胞型の生物学的機能を調節することができる。免疫応答に 関与する細胞には、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチ ュラルキラー細胞及び形質細胞が含まれ得る。炎症応答に関与する細胞には、例 えば、好塩基球、マスト細胞、好酸球、好中球及びマクロファージが含まれ得る 。アレルギー応答に関与する細胞には、例えば、マスト細胞、好塩基球、B細胞 、T細胞及びマクロファージが含まれ得る。 主題のアッセイの典型的な具体例において、シグナル変換を、第2メッセンジ ャー例えばリン酸化したsrc様蛋白質(レポーター構築物を含む)又はインディ ケーター遺伝子(転写調節エレメント例えば血清応答エレメント(SRE)、12 −O−テトラデカノイル−ホルボール−13−アセテート応答エレメント、サイ クリックAMP応答エレメント、c−fosプロモーター又はCREB応答性エ レメントを含む)の検出により測定する。 核レセプター 他の具体例において、標的レセプターは、核レセプターである。核レセプター は、リガンド依存性の転写因子と見ることができる。これらのレセプターは、細 胞外シグナル(主としてホルモン)と転写応答との間の直接的リンクを与える。そ れらの転写活性化機能は、内因性の低分子例えばステロイドホルモン、ビタミン D、エクジソン、レチノイン酸及び甲状腺ホルモン(これらは、容易に原形質膜 を通過して細胞内のそれらのレセプターに結合する)により調節される(Laudet及 びAdelmant(1995)Current Biology 5:124)。これらのレセプターの大半は、3つ のドメイン:可変アミノ末端ドメイン;高度に保存されたDNA結合ドメイン及 び中程度に保存されたカルボキシル末端リガンド結合ドメインを含むようである (Power等(1993)Curr.Opin.Cell Biol.5:499-504)。例には、エストロゲン、プロ ゲステロン、アンドロゲン、甲状腺ホルモン及び鉱質コルチコイドレセプターが 含まれる。公知のステロイドレセプターに加えて、このスーパーファミリーの少 なくとも40のオーファンメンバーが同定されている(Laudet等(1992)EMBO J 11 :1003-1013)。NGF1,FTZ−F1、Rev−erbs及びRARにより表 される少なくとも4つのオーファン核レセプターのグループが存在し、それらは 、進化の標準により、互いに僅かしか離れていない(Laudet等、前出)。これらの ステロイドホルモンレセプターは、専らホモ2量体としてそれらのホルモンに応 答性のエレメントのパリンドロームに結合するが、他の核レセプターは、ヘテロ 2量体として結合する。興味深いことには、幾つかのオーファンレセプターは、 類似のレセプターエレメントにモノマーとして結合し、それらの機能に対して特 異的な塩基性アミノ酸残基に富みDNA結合ドメインのカルボキシ末端側に位置 するモチーフを必要とする(Laudet及びAdelmant、前出)。 好適具体例において、主題のアッセイは、選択用のホルモン依存性レセプター 構築物を利用する。例えば、糖質コルチコイド応答エレメント(GRE)及び甲 状腺レセプターエンハンサー様DNA配列(TRE)を用いて、ホルモンレセプタ ーへのホルモンの結合に応答してレセプター構築物の発現を駆動することができ る。GREは、糖質コルチコイドレセプターとの相互作用を介して糖質コルチコ イド応答性を与えるエンハンサー様DNA配列である。Payvar等(1983)Cell 35: 381及びSchiedereit等(1983)Nature 304:749を参照されたい。TREは、GRE に似ているが、但し、それらは、甲状腺ホルモン応答性を甲状腺ホルモンレセプ ターとの相互作用によって与える。ステロイド又は甲状腺ホルモンは、促進され た拡散により細胞に入り、その特異的レセプター蛋白質に結合してその蛋白質の アロ ステリック変化を開始するということが知られている。この変化の結果として、 ホルモン/レセプター複合体は、転写調節配列上のある特異的な部位に高い親和 性で結合することができる。 ステロイド及び甲状腺ホルモンの第一次的効果の多くは、特異的細胞型におけ る遺伝子サブセットの増大された転写を包含する。その上、ステロイド及び甲状 腺ホルモンに応答性の遺伝子の(クロマチンとホルモンレセプター/ホルモン複 合体との相互作用による)転写の活性化(従って、増大された発現)は、この複合 体の遺伝子と関連するエンハンサーへの結合により達成される。 幾つかのステロイドホルモン及び甲状腺ホルモン応答性の転写制御ユニット( その幾つかは、エンハンサーを含むことが示されている)が、同定されている。 これらは、マウス乳癌ウイルスの5’−ロングターミナルリピート(MMTVL TR)(糖質コルチコイド、アルドステロン及びアンドロゲンホルモンに応答性) ;哺乳動物の成長ホルモン遺伝子の転写調節ユニット(糖質コルチコイド、エス トロゲン及び甲状腺ホルモンに応答性);哺乳動物のプロラクチン遺伝子及びプ ロゲステロンレセプター遺伝子の転写制御ユニット(エストロゲンに応答性);ア ビジンオバルブミン遺伝子の転写制御ユニット(プロゲステロンに応答性)、哺乳 動物のメタロチオネイン遺伝子の転写制御ユニット(糖質コルチコイドに応答性) ;及び哺乳動物の肝臓アルファ2u−グロブリン遺伝子の転写制御ユニット(ア ンドロゲン、エストロゲン、甲状腺ホルモン及び糖質コルチコイドに応答性)を 包含する。かかるステロイドホルモン及び甲状腺ホルモン応答性の転写制御ユニ ットを用いて、ステロイドホルモン及び/又は甲状腺ホルモンレセプターのアゴ ニスト及びアンタゴニストに感受性であるレセプター構築物又はインジケーター 遺伝子を生成することができる。例えば、米国特許第5,298,429号及び 5,071,773号(両方ともEvans等に対する特許である)を参照されたい。 その上、当技術分野は、かかるレセプターの酵母における機能的発現を記載して いる。例えば、Caplan等(1995)J Biol Chem 270:5251-7;及びBaniahmad等(1995 )Mol Endocrinol 9:34-43も参照されたい。 レセプターチロシンキナーゼ 更に別の具体例において、標的レセプターは、レセプターチロシンキナーゼで ある。このレセプターチロシンキナーゼを、それらの細胞外ドメインにおける構 造的類似性及びそれらの細胞質ドメインにおけるチロシンキナーゼ触媒領域の構 成に基づいて5つのサブグループに分割することができる。サブグループI(上 皮成長因子(EGF)レセプター様)、II(インシュリンレセプター様)及びeph /eckファミリーは、システインに富む配列を含む(Hirai等(1987)Scicnce 23 8:1717-1720及びLindberg及びHunter(1990)Mol Cell.Biol.10:6316-6324)。これ らの3つのクラスのレセプターチロシンキナーゼのキナーゼ領域の機能的ドメイ ンは、隣接する配列としてコードされている(Hanks等(1988)Science 241:42-52) 。サブグループIII(血小板由来成長因子(PDGF)レセプター様)及びIV(繊維芽 細胞成長因子(FGF)レセプター)は、それらの細胞外ドメインに免疫グロブリ ン(Ig)様の折り畳みを有するとして、並びに無関係のアミノ酸の可変ストレッ チにより2つのパーツに分割されるそれらのキナーゼドメインを有するとして特 徴付けられる(Yanden及びUllrich(1988)前出及びHanks等(1988)前出)。 断然最大数の公知のメンバーを有するファミリーは、EPHファミリーである 。プロトタイプEPHレセプターの記載(Hirai等(1987)Science 238:1717-1720) 以来、このファミリーの少なくとも10のメンバーについての配列が、報告され ている(見かけ上、2種以上で見出されるオルトロガスレセプターをカウントし ていない)。更なる部分配列及び新たなメンバーが未だに報告されている速度は 、このファミリーが一層大きくさえあることを示唆している(Maisonpierre等(19 93)Oncogene 8:3277-3288;Andres等(1994)Oncogene 9:1461-1467;Henkemeyer等 (1994)Oncogene 9:1001-1014;Ruiz等(1994)Mech Dev 46:87-100;Xu等(1994)Deve lopment 120:287-299;Zhou等(1994)J Neurosci Res 37:129-143;及びTuzi及びGu llick(1994)Br J Cancer 69:417-421中の参考文献)。著しく、EPHファミリー の多数のメンバーにもかかわらず、これらの分子のすべては、公知のリガンドを 有しないオーファンレセプターとして同定された。 EPHファミリーレセプターの幾つかについて測定された発現パターンは、こ れらの分子の初期脊椎動物発生における重要な役割を暗示している。特に、se k、mek4及び他の幾つかのレセプターの嚢胚形成期及び初期器官形成期 における発現のタイミングとパターンは、このステージにおける胚のパターン形 成に関与する重要な細胞相互作用におけるこれらのレセプターの機能を示唆して いる(Gilardi-Hebenstreit等(1992)Oncogene 7:2499-2506;Nieto等(1992)Develo pment 116:1137-1150;Henkemeyer等前出;Ruiz等前出;及びXu等前出)。例えば 、sekは、明白な体節形成を示すマウス胚の2つの領域(即ち、中胚葉におけ る中胚葉節及び後脳の菱脳)において顕著な早期発現を示し;それ故に、sek( segmentally expressed kinase)の名をもつ(Gilardi-Hebenstreit等前出、Nieto 等前出)。ショウジョウバエにおけるように、哺乳動物胚におけるこれらの体節 構造は、身体計画の確立における重要な要素として関わるものである。Sek発 現が形態学的体節形成の出現に先行するという観察は、これらの体節構造の形成 における又は体節特異的な細胞特性(系列区画化等)の決定におけるsekの役割 を示唆する(Nieto等前出)。その上、EPHレセプターは、それらの発現パター ンにより、胚及び成体の殆どすべての組織の発生及び維持に関連付けられてきた 。例えば、EPHレセプターは、神経系、精巣、骨の軟骨モデル、歯の原基、下 垂体の漏斗状要素、様々な上皮組織、肺、膵臓、肝臓及び腎臓組織中で検出され ている。このような観察は、発生及び生理学におけるEPHファミリーキナーゼ の重要且つ独特の役割を示唆しているが、それらの作用の理解の更なる進歩は、 それらのリガンドについての情報の不足により非常に制限されてきた。 ここで用いる場合、用語「EPHレセプター」又は「EPH型レセプター」は 、少なくとも11のパラロガス遺伝子を含むレセプターチロシンキナーゼのクラ スをいう(このクラスには、一層多くのオルトロガスが存在するが)(例えば、異 なる種からの相同物)。EPHレセプターは、一般に、ホモロジーにより関連し ており且つ容易に認識できるレセプターの別々のグループである。例えば、それ らは、典型的に、N末端近くのシステイン残基の特徴的な間隔及び2つのフィブ ロネクチンIII型の反復を含む細胞外ドメインにより認識される(Hirai等(1987)S cience 238:1717-1720;Lindberg等(1990)Mol Cell Biol 10:6316-6324;Chan等(1 991)Oncogene 6:1057-1061;Maisonpierre等(1993)Oncogene 8:3277-3288;Andres s等(1994)Oncogene 9:1461-1467;Henkemeyer等(1994)Oncogene 9:1001- 1014;Ruiz等(1994)Mech Dev 46:87-100;Xu等(1994)Development 120:287-299;Zh ou等(1994)J Neurosci Res 37:129-143;Tuzi及びGullick(1994)Br J Cancer 69: 417-421中の参考文献)。典型的なEPHレセプターには、eph、elk、ec k、sek、mek4、hek2、eek、erk、tyrol、tyro4、 tyro5、tyro6、tyro11、cek4、cek5、cek6、ce k7、cek8、cek9、cek10、bsk,rtk1、rtk2、rtk 3、myk1、myk2、ehk1、ehk2、pagliaccio、htk 、erk及びnukレセプターが含まれる。用語「EPHレセプター」は、レセ プター蛋白質の膜型並びに本発明のリガンドに結合する能力を保持している可溶 性の細胞外フラグメントをいう。 典型的具体例において、検出シグナルは、細胞内蛋白質例えばMEKK、ME K又はMapキナーゼのリン酸化を検出することにより、又はc−fos及び/ 又はc−junに反応性の転写調節エレメントを含むレポーター構築物又はイン ジケーター遺伝子の利用により与えられる。 G蛋白質にカップルしたレセプター 真核細胞中で見出されるシグナル変換カスケードの−ファミリーは、ヘテロ3 量体の「G蛋白質」を利用している。多くの異なるG蛋白質が、レセプターと相 互作用することが知られている。G蛋白質シグナリングシステムは、3つの成分 :レセプター自体、GTP結合蛋白質(G蛋白質)及び細胞内標的蛋白質を含む。 細胞膜は、配電盤として作用する。種々のレセプターを介して到着したメッセー ジは、それらのレセプターが同じ型のG蛋白質に作用するならば単一の効果を生 じ得る。他方、単一のレセプターを活性化するシグナルは、そのレセプターが異 なる種類のG蛋白質に作用し又はそれらのG蛋白質が種々のエフェクターに作用 し得るならば2種類以上の効果を生じ得る。 それらの休止状態において、G蛋白質は、アルファ(α)、ベータ(β)及びガン マ(γ)サブユニットよりなるが、ヌクレオチドグアノシン二リン酸(GDP)と複 合体を形成し、レセプターと接触している。ホルモンその他の第1メッセンジャ ーがレセプターに結合すると、レセプターは、コンホメーションを変え、これが 、 そのG蛋白質との相互作用を変化させる。これは、αサブユニットにGDPを放 出するように拍車をかけ、一層豊富なヌクレオチドグアノシン三リン酸(GTP) がそれに取って代わり、G蛋白質を活性化する。次いで、G蛋白質は、解離して 、αサブユニットを依然複合体を形成しているベータ及びガンマサブユニットか ら分離する。Gαサブユニット又はGβγ複合体の何れかが、パスウェーに依っ て、エフェクターと相互作用する。このエフェクター(これは、しばしば、酵素 である)が、次いで、不活性な前駆体分子を活性な「第2メッセンジャー」に変 換し、これは、細胞質中に拡散して代謝カスケードの引き金を引くことができる 。数秒後に、Gαは、GTPをGDPに変換し、それにより、自身を不活性化す る。不活性化したGαは、次いで、Gβγ複合体と会合することができる。 数千でなくても、数百のレセプターが、ヘテロ3量体のG蛋白質を介してメッ セージを運び、その少なくとも17の異なる形態が単離されている。αサブユニ ットにおいて最も変化が見られるが、幾つかの異なるβ及びγ構造が報告されて いる。 殆どのG蛋白質とカップルしたレセプターは、原形質膜を7回通り抜ける一本 の蛋白質鎖からなっている。かかるレセプターは、しばしば、7回膜貫通レセプ ター(STR)と呼ばれる。同じリガンドに結合する多くの別々のレセプターを含 む100より多くの異なるSTRが見出されており、一層多くのSTRが未発見 であることはありそうなことである。 更に、天然のリガンドが不明のSTRが、同定されており;これらのレセプタ ーは、上記のように、「オーファン」のG蛋白質とカップルしたレセプターと呼 ばれる。例には、Neote等(1993)Cell 72,415,Kouba等FEBS Lett.(1993)321,173; Birkenbach等(1993)J.Virol 67,2209によりクローン化されたレセプターが含ま れる。 本発明の「外因性レセプター」は、本発明の目的のために遺伝子工学処理され る任意のG蛋白質とカップルしたレセプター(好ましくは、細胞にとって外因性 のもの)であってよい。このレセプターは、植物又は動物細胞のレセプターであ ってよい。植物細胞レセプターに対する結合についてのスクリーニングは、例え ば、除草剤の開発において有用であり得る。動物のレセプターの場合には、それ は、無脊椎動物起源であっても脊椎動物起源であってもよい。もし無脊椎動物の レセプターであれば、昆虫のレセプターが好適であり、殺虫剤の開発を容易にす るであろう。このレセプターは又、脊椎動物一層好ましくは哺乳動物尚一層好ま しくはヒトのレセプターであってもよい。外因性レセプターは又、好ましくは、 7回膜貫通セグメントレセプターである。 G蛋白質とカップルしたレセプターの公知のリガンドには、プリン及びヌクレ オチド例えばアデノシン、cAMP、ATP、UTP、ADP、メラトニン等; 生物アミン(及び関連する天然リガンド)例えば5−ヒドロキシトリプタミン、ア セチルコリン、ドーパミン、アドレナリン、ヒスタミン、ノルアドレナリン、チ ラミン/オクトパミン及び他の関連化合物;副腎皮質刺激ホルモン(acth)、 メラノサイト刺激ホルモン(msh)、メラノコルチン、ニューロテンシン(nt) 、ボンベンシン及び関連ペプチド、エンドセリン、コレシストキニン、ガストリ ン、ニューロキニンb(nk3)、無脊椎動物のタキキニン様ペプチド、サブスタ ンスk(nk2)、サブスタンスp(nk1)、ニューロペプチドy(npy)、チ ロトロピン放出因子(trf)、ブラジキニン、アンギオテンシンii、ベータエ ンドルフィン、c5aアナファラトキシン、カルシトニン、ケモカイン(インタ ークリンとも呼ばれる)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(crf)、ダイノルフ ィン、エンドルフィン、fmlp及び他のホルミル化ペプチド、フォリトロピン (fsh)、カビ交配フェロモン、ガラニン、ガストリックインヒビトリーポリペ プチドレセプター(gip)、グルカゴン様ペプチド(glps)、グルカゴン、ゴ ナドトロピン放出ホルモン(gnrh)、成長ホルモン放出ホルモン(ghrh)、 昆虫利尿ホルモン、インターロイキン8、ロイトロピン(lh/hcg)、メテン ケファリン、オピオイドペプチド、オキシトシン、副甲状腺ホルモン(pth)及 びpthrp、下垂体アデニルシクラーゼ活性化ペプチド(pacap)、セクレ チン、ソマトスタチン、トロンビン、チロトロピン(tsh)、バソアクティブイ ンテスティナルペプチド(vip)、バソプレシン、バソトシン;エイコサノイド 例えばip−プロスタサイクリン、pg−プロスタグランジン、tx−トロンボ キサン;レチナールベースの化合物例えば脊椎動物の11−シスレチナール、無 脊椎動物の11−シスレチナール及び他の関連化合物;脂質及び脂質ベー スの化合物例えばカンナビノイド、アナンダミド、リゾホスファチジン酸、血小 板活性化因子、ロイコトリエン等;刺激性アミノ酸及びイオン例えばカルシウム イオン及びグルタメートが含まれる。 G蛋白質とカップルしたレセプターには、限定はしないが、ドーパミン作動性 、ムスカリン性コリン作動性、a−アドレナリン作動性、b−アドレナリン作動 性、オピオイド(デルタ及びミューを含む)、カンナビノイド、セロトニン作動性 及びGABA作動性レセプターが含まれる。好適レセプターには、レセプターの 5HTファミリー、C5aレセプター及びFPRL−1レセプター、シクロ−ヒ スチジル−プロリン−ジケトプルペラジンレセプター、メラノサイト刺激ホルモ ン放出阻止因子レセプター、及びニューロテンシン、チロトロピン放出ホルモン 、カルシトニン、コレシストキニンA、ニューロキニン2、ヒスタミン3、カン ナビノイド、メラノコルチン又はアドレノモジュリン、ニューロペプチドY1又 はガラニンのレセプターが含まれる。他のG蛋白質とカップルしたレセプター( GPCR)は、当技術分野で列挙されている。用語「レセプター」は、ここで用 いる場合、天然の及び変異したレセプターの両方を包含する。 これらのG蛋白質とカップルしたレセプターの多くは、酵母のa及びα−因子 レセプターと同様に、原形質膜中にある様相を呈する7つの疎水性アミノ酸に富 む領域を含んでいる。特異的なヒトのG蛋白質とカップルしたSTRであって、 遺伝子が単離されたもの及び発現ベクターが構築され得たものには、ここに列挙 したもの及び他の等分野で公知のものが含まれる。従って、その遺伝子は、遺伝 子工学処理されるべき細胞中で機能するプロモーターに及びやはりその細胞中で 機能するシグナル配列に操作可能に結合される。例えば、酵母の場合には、適当 なプロモーターには、Ste2Ste3及びga110が含まれる。適当なシ グナル配列には、Ste2Ste3及び他の酵母細胞により分泌される蛋白質 をコードする遺伝子が含まれる。好ましくは、酵母細胞を用いる場合には、遺伝 子のコドンを、酵母における発現に最適なものにする。Hoekema等(1987)Mol.Cel l.Biol.,7:2914-24;Sharp等(1986)14:5125-43を参照されたい。 STRのホモロジーは、Dohlman等Ann.Rev.Biochem.(1991)60:653-88において 検討されている。STRを比較すると、異なるホモロジーの空間的パターンが 識別され得る。膜貫通ドメインは、しばしば、最も類似しているが、N及びC末 端領域並びに膜貫通セグメントVとVIを繋いでいる細胞質ループは、一層相異し ている。 種々のSTR領域の機能的重要性は、点突然変異(置換及び欠失の両方)の導入 により及び異なるが関連するSTRのキメラを構築することにより研究されてい る。個々のセグメントに対応する合成ペプチドも又、活性を試験されている。ア フィニティー標識は、リガンド結合部位を同定するために利用されてきた。 ある具体例において、もし野生型の外因性G蛋白質とカップルしたレセプター が酵母中で機能的にできないならば、それをこの目的のために突然変異させるこ とができる。外因性レセプターと酵母のレセプターのアミノ酸配列の比較を行い 、高ホモロジーの領域と低ホモロジーの領域を同定する。次いで、試験的突然変 異を行って、リガンド又はG蛋白質結合に関与する領域を膜内への機能的インテ グレーションに必要な領域と区別する。次いで、外因性レセプターを後者の領域 にて突然変異させて、機能的インテグレーションが達成されるまで一層緊密に酵 母レセプターに似させる。これが機能性を達成するのに不十分な場合には、次い で、G蛋白質結合に関与する領域において突然変異を行う。リガンド結合に関与 する。領域での突然変異は、最後の頼みとしてのみ行い、それ故、可能なら常に 保存的置換をすることによりリガンド結合を保存するように努力する。例えば、 異種のG蛋白質とカップルしたレセプターのV−VIループは、酵母のSTE2又 はSTE3レセプターのそれと置き換えることができる。 更に別の具体例においては、適合性のG蛋白質を提供する。本アッセイにおけ る使用に適合性のG蛋白質は、異種の又はキメラのG蛋白質サブユニット例えば 当分野で記載されたもの(例えば、PCT/US94/03143参照)及び以下 に一層詳細に記載したものを含むことができる。 好ましくは、酵母ゲノムを改変して、機能的形態の外因性レセプターと相同な 酵母レセプターを作れないようにする。 A.化学誘因剤レセプター 典型的なGPCRは、N−ホルミルペプチドレセプター(哺乳動物の免疫系の 好中球及び他の食細胞により発現されるカルシウム動員性GPCRの古典的な例 )である(Snyderman等(1988)In Inflammation:Basic Principles and Clinical C orrelates,pp.309-323)。細菌起源のN−ホルミルペプチドは、このレセプター に結合し、指示された細胞移動、炎症顆粒内容物の放出及び分子状酸素の代謝産 物の生成に重要な潜在的NADPH酸化の活性化を生じる複合体活性化プログラ ムに携わる。このレセプター−リガンド相互作用により開始されるパスウェーは 、化膿性感染から宿主を防護するのに決定的に重要である。類似のシグナル変換 が、炎症性ペプチドC5a及びIL−8に応答して起きる。 2つの他のホルミルペプチドレセプター様(FPRL)遺伝子が、それらのNF PRcDNAコード配列のフラグメントにハイブリダイズする能力に基づいてク ローン化された。これらは、FPRL1(Murphy等(1992)J.Biol Chem.267:7637- 7643)及びFPRL2(Ye等(1992)Biochem Biophys Res.Comm.184:582-589)と命 名された。FPRL2は、この遺伝子をトランスフェクトされ、ホルミルペプチ ドに曝露されたマウスの繊維芽細胞におけるカルシウムの動員を媒介することが 見出された。対照的に、FPRL1は、アミノ酸配列においてNFPRと69% 同一であることが見出されているにもかかわらず、異種細胞型において発現され た場合に、プロトタイプのN−ホルミルペプチドリガンドと結合しなかった。こ れは、FPRL1オーファンレセプターに対する未だ同定されていないリガンド が存在するという仮説へと導く(Murphy等、前出)。 B.G蛋白質 外因性のG蛋白質とカップルしたレセプターの場合には、酵母細胞は、その外 因性レセプターにより活性化されるG蛋白質を生成することができなければなら ず、それは更に、その酵母のエフェクターを活性化することができなければなら ない。当技術分野は、内因性の酵母Gαサブユニット(例えば、GPA)が、しば しば、自然のままで外因性レセプターと会合する「同起源」のGαサブユニット に対してカップリングが起きるだけ十分に相同性であることを示唆している。一 層ありそうなことには、酵母細胞を遺伝子工学的に処理して、外因性レセプター と適当に相互作用することのできる外来Gαサブユニットを生成する必要がある であろう。例えば、酵母のG蛋白質のGαサブユニットは、自然のままで外因性 レセプターと会合しているGαサブユニットに置き換えることができる。 Dietzel及びKurjan(1987)Cell,50:1001は、ラットのGαが、酵母のGβγ複 合体に機能的にカップルすることを示した。しかしながら、ラットのGai2は 、実質的に過剰発現したときにのみ補完したが、Gα0は、全く補完しなかった 。Kang等Mol.Cell.Biol.(1990)10:2582)。従って、幾つかの外来Gαサブユニッ トを用いて、簡単に酵母Gαを置き換えることは、実行できない。 もし、外因性のG蛋白質とカップルしたレセプターが、自然のままでそのレセ プターと会合するGαサブユニットにより、適当に酵母のGβγにカップルしな いならば、そのGαサブユニットを改変してカップリングを改善することができ る。これらの改変は、しばしば、このGαサブユニットの酵母Gαへの類似性を 増すが、レセプターと会合したGαへの類似性を減らす突然変異の形態を取る。 例えば、一残基を変化させて、対応する酵母のGαの残基と同じにするか、少な くともその残基の同じ交換グループに属させる。改変後に、改変されたGαサブ ユニットは、外来の及び/又は酵母のGαサブユニットに対して「実質的に相同 性」であってよく、又はよくない。 これらの改変は、好ましくは、Gβγ結合に関与することがありそうなGαの 領域内に集中される。幾つかの具体例において、改変は、レセプターと会合した Gαの1つ以上のセグメントを対応する酵母のGαセグメントと置き換える形態 を取り、それにより、キメラのGαサブユニットを形成する。他の具体例におい て、点突然変異は、十分であり得る。 このキメラのGαサブユニットは、外因性レセプター及び酵母のGβγ複合体 と相互作用し、それにより、シグナル変換を可能にする。内因性の酵母のGβγ の利用は好適であるが、外来の又はキメラのGβγがシグナルを酵母のエフェク ターに対して変換することができるならば、それを代わりに用いることができる 。 C.Gα構造 Gα構造の幾つかの面は、改変Gαサブユニットのデザインと関連する。GP A1のアミノ末端の66残基は、ヒトのGαs、Gαi2、Gαi3、Gα16 及びトランスデューシンの同起源のドメインと整列される。GPA41Gαハイ ブリッドにおいて、アミノ末端の41残基(GPA1から誘導)は、同一であり、 配列−LEKQRDKNE−で終わり、そして強調のために下線を引いてある。 41位のグルタメート(E)残基後のすべての残基は、ヒトのGαサブユニットに より与えられたものであり、共通のヌクレオチド結合モチーフ−GxGxxG− を含んでいる。これらの配列中のピリオドは、この領域のアラインメントを最大 にするために導入されたギャップを示している。コドン偏向は、哺乳動物のもの である。GPA1の完全なコード領域のGαs、Gαi及びGαO、Gαq及び GαZとのアラインメントについては、Dietzel及びKurian(1987,Cell 50:573) 及びLambright等(1994,Nature 369:621-628)を参照されたい。更なる配列情報は 、Mattera等(1986,FEBS Lett 206:36-41)、Bray等(1986,Proc.Natl.Acad.Sci.U SA 83:8893-8897)及びBray等(1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:5115-5119)によ り与えられる。 S.cerevisiaeのG蛋白質相同物をコードする遺伝子が、Dietzel及びKurjan(前 出)(SCG1)とNakafuku等(1987 Proc.Natl.Acad.Sci.84:2140-2144)(GPA1 )によって、独立に、クローン化された。配列分析は、この遺伝子によりコード される蛋白質と哺乳動物のGαとの間の高度のホモロジーを示した。GPA1は 、殆どの哺乳動物のGαサブユニットについての約340〜350a.a.に匹 敵する472アミノ酸の蛋白質をコードする(4つの記載されたファミリーGα s、Gαi、Gαq及びGα12/13において)。それにもかかわらず、GP A1は、全配列及び構造ホモロジーを現在までに同定されたすべてのGα蛋白質 と共有している。GPA1中で最高のホモロジーは、Gαiファミリーに対し てであり(48%同一、又は65%の保存的置換)、最低は、GQSである(33 %同一、又は51%の保存的置換)(Nakafuku等、前出)。 Gαサブユニット間の高い配列ホモロジーの領域は、それらの一次配列中に分 散しており、これらの最高度のホモロジーを共有する領域は、グアニンヌクレオ チド結合/GTPアーゼドメインを含む配列にマップされる。このドメインは、ras 蛋白質及び蛋白質合成伸長因子EF−Tuのαβ折り畳みに構造的に類似 している。この高度に保存されたグアニンヌクレオチド結合ドメインは、5つの αヘリックスのセットに囲まれた6ストランドのβシートよりなる。最高度の保 存がGPA1を含むすべてのGα蛋白質間で認められるのは、これらのβシート 及びαヘリックス内である。最低の配列及び構造的ホモロジーは、コアGTPア ーゼドメインを規定するβシートとαヘリックスの間のインタービーニングルー プに見出される。全部で4つの「インタービーニングループ」又は「インサート 」が、すべてのGαサブユニット中に存在する。GDP及びGTPγSリガンデ ッド形態のウシの桿状体トランスデューシンについて現在までに報告された結晶 構造において(Noel等(1993)Nature 366:654-663);(Lambright等(1994)Nature 36 9;621-628)、ループ残基は、コアGTPアーゼ構造の外側に見出されている。こ れらのループ構造の機能的役割は、少数例においてのみ確立されている。ホスホ ジエステラーゼ−γに対するカップリングにおける直接的役割は、Gαtのイン サート3及び4内の残基について示された(Rarick等(1992)Science 256:1031-10 33);(Artemyev等(1992)J.Biol.Chem.267:25067-25072)が、「GAP様」活性は 、大いにαヘリックス性のGαSのインサート1ドメインに帰されている(Markb y等(1993)Science 262:1805-1901)。 Gαサブユニットのアミノ及びカルボキシ末端は、著しいホモロジーを1次、 2次又は3次レベルにおいて共有しておらず、それらに関してなされ得る幾つか の一般化がある。第1に、Gαサブユニットのアミノ末端は、GαのGβγ複合 体との会合及びN末端ミリストイル化に関連付けられてきた。加えて、カルボキ シ末端は、Gαβγヘテロ3量体複合体のG蛋白質とカップルしたレセプターと の会合に関連付けられてきた(Sullivan等(1987)Nature)330:758-760;(West等(1 985)J.Biol.Chem.260:14428-14430);(Conklin等(1993)Nature 363:274-276);( Kallal及びKurjan 1997.Mol.Cell.Biol.17:2897)。N末端の機能についてのこれ らの一般化の支持データは、生化学的及び遺伝学的研究を含む幾つかの起源から 導かれたものである。 図1は、ヒトのGαs、Gαi2、Gαi3、Gα16及びトランスデューシ ンの同起源のドメインと整列させたGPA1のアミノ末端の66残基を示してい る。GPA41Gαハイブリッドにおいて、アミノ末端の41残基(GPA1に 由来)は、同一であり、配列LEKQRDKNE(SEQ ID NO:47)で終わって いる。41位のグルタメート(E)残基の後ろのすべての残基は、ヒトのGαサブ ユニットにより与えられ、アミノ酸配列−GxGxxG−中に見られる共通ヌク レオチド結合モチーフを含む。これらの配列中のピリオドは、この領域のアライ ンメントを最大にするために導入されたギャップを示している。コドン偏向は、 哺乳動物のものである。GPA1の完全なコード領域のGαs、Gαi及びGα Oとのアラインメントのために、Gαq及びGαZ、Dietzel及びKurjan(1987, Cell 50:573)及びLambright等(1994,Nature 369:621-628)を参照されたい。更な る配列情報は、Mattera等(1986,FEBS Lett 206:36-41)、Bray等(1986,Proc.Natl .Acad.Sci.USA 83:8893-8897)及びBray等(1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:511 5-5119)により与えられる。 GαとGβγサブユニット間の会合の駆動におけるGαのアミノ末端の役割を 試験することを目的とした他の生化学的研究において、蛋白質分解により又は遺 伝学的に切り詰めたバージョンのGαサブユニットが、Gβγ複合体と会合し、 グアニンヌクレオチドと結合し及び/又はエフェクター分子を活性化するそれら の能力についてアッセイされた。すべての場合において、切り詰められたアミノ 末端を有するGαサブユニットは、3つすべての機能において不十分であった(G raf等(1992)J.Biol.Chem.267:24307-24314);(Journot等(1990)J.Biol.Chem.265 :9009-9015);及び(Neer等(1988)J.Biol.Chem.263:8996-9000)。Slepak等(1993, J.Biol.Chem.268:1414-1423)は、大腸菌中で発現させた哺乳動物のGαoのN末 端の56a.a.の突然変異分析を報告した。外因的に加えた哺乳動物のGβγ と相互作用する明白な減少した能力を有する分子が、変異体ライブラリーにおい て同定された。しかしながら、著者が指摘するように、変異体をスクリーニング するために用いたアッセイ、百日咳毒素による変異型GαのADP−リボシル化 の程度は、GαとGβγの間の相互作用の完全に満足すべきプローブではなかっ た。これらのサブユニットの相互作用を阻止するとしてこのアッセイを用いて同 定された突然変異は、依然としてGαとGβγの複合体化を許すが、Gαのリボ シル化は、毒素により、立体障害を受ける。遺伝学的研究は、ヘテロ3量体サブ ユニットにおけるGαのアミノ末端決定基の役割を試験し、会合は、GPA1− 哺乳動物Gαハイブリッドを用いる酵母の系(Kang等(1990)Mol.Cell.Biol.10: 2582-2590)及びGαi/Gαsハイブリッドを用いる哺乳動物の系(Russell及び Johnson(1993)Mol.Pharmacol.44:255-263)の両方で行われた。前の研究において 、酵母のGPA1と哺乳動物のGα配列からなる遺伝子融合物が、Kang等(前出) により構築され、gpalナル表現型(即ち、フェロモン応答パスウェーの構成 的活性化)を補完するそれらの能力について、S.cerevisiaeにおいてアッセイさ れた。Kang等は、野生型の哺乳動物のGαs、Gαiが、酵母のGαと会合する 能力があるがGαoはないこと及びgpalナル表現型を抑制するが過剰発現さ れたときだけであることを示した。哺乳動物のGαs、Gαi及びGαoのカル ボキシ末端領域の160、143又は142残基と結合されたGPA1配列のア ミノ末端の330残基を含む融合蛋白質は、それぞれ、強い誘導可能な(CUP )又は構成的(PGK)プロモーターを有するハイコピーのプラスミドで過剰発現 されたときに、酵母の交配応答パスウェーにもカップルした。これらの3つのハ イブリッド分子のすべては、成長捕捉アッセイにおいて、gpalナル変異を補 完することができ、且つ更にα因子応答性及びテスター株における交配を阻止す ることができた。これらの最後の2つの観察は、ハイブリッドの酵母−哺乳動物 Gαサブユニットが酵母のGβγと直接相互作用することができ、それにより、 酵母のヘテロ3量体の正常の機能を混乱させることを示している。しかしながら 、Gαs、Gαi又はGαoのアミノ末端を含む融合物は、gpalナル表現型 を補完せず、これは、酵母のGβγ複合体の会合及び隔離にGPA1のアミノ末 端の330アミノ酸残基中の決定基が必要であることを示している。まとめると 、これらのデータは、Gαサブユニットのアミノ末端領域中の決定基がGβγと 会合するための能力を一般的に決定するだけでなく、種限定された様式で特異的 なGβγサブユニットと会合するための能力をも決定するということを示唆して いる。 ハイブリッドのGαi/Gαsサブユニットは、哺乳動物の発現系でアッセイ されてきた(Russell及びJohnson(前出)。これらの研究において、多数のキメラ Gαサブユニットが、アデニリルシクラーゼを活性化する能力について、従って 間接的に、Gβγと相互作用する能力についてアッセイされた(即ち、GαのG βγへのカップリング=不活性なシクラーゼ;GαのGβγからの分離=活性 なシクラーゼ)。これらの研究から複雑な状況が現れ、これらのハイブリッドの 残基25〜96の領域中の決定基がこれらの対立遺伝子の活性化の状態(それら のグアニンヌクレオチド交換及びGTP加水分解の割合並びにそれらがアデニリ ルシクラーゼをイン・ビボで活性化する程度に反映される)を決定することが見 出された。これらのデータは、アミノ末端メチオニンとGαの結晶構造(Noel等 前出及びLambright等前出参照)において同定された〜1シートとの間の領域の構 造エレメントが、(1)Gα及びGβγサブユニットの間の会合/解離を駆動する ことにより;(2)GDP/GTP交換を駆動することにより、ヘテロ3量体の活 性状態の決定に関与するという仮説を支持するように解釈することができた。こ れらの研究からは、Gαのこの領域内の残基とGβγサブユニット内の残基が互 いに接触するという考えを支持する直接的証拠は提供されないが、それにもかか わらず、このデータは、機能を保持したハイブリッドGαサブユニットの構築の 肯定的指示を提供する。しかしながら、幾つかのハイブリッド構築物がキメラ蛋 白質の構成的活性化(即ち、Gβγ解離のレセプター依存性の刺激の消失とエフ ェクターの活性化)を生じるというこの仕事に由来する否定的指標がある。 D.キメラGαサブユニットの構築 哺乳動物のG蛋白質とカップルしたレセプターで生じたシグナルを酵母におい て伝達することのできるGαサブユニットのデザインにおいて、2つの一般的願 望が認識された。第1に、これらのサブユニットは、できるだけ多くの自然の哺 乳動物蛋白質の配列を保持すべきである。第2に、異種の成分の発現レベルは、 できるだけそれらの内因性の対応物のレベルに近づけるべきである。ヒトのβ2 −アドレナリン作動性レセプター及びGαsの酵母における発現について、King 等(1990,Science 250:121-123)により記載された結果は、Gαs以外の完全長の 哺乳動物Gαサブユニットを用いて、Kang等(前出)により得られた否定的な結果 とひとまとめにして考えると、我々を、哺乳動物のG蛋白質とカップルしたレセ プターがフェロモン応答パスウェーに結合し得る酵母株の発生に関して、下記の 選択へと導く。 1.哺乳動物のGαサブユニットは、各サブユニットの自然のままの配列を用 いて、或いは、哺乳動物のGαサブユニットからの相同残基を置換するGPA1 のアミノ末端からの配列との最少遺伝子融合物として発現される。 2.哺乳動物のGαサブユニットは、低コピープラスミドにて又は酵母ゲノム 中への単一コピー遺伝子としてのインテグレーションの後に、GPA1プロモー ターから発現される。 3.内因性のGβγサブユニットが、酵母のSTE4及びSTE18遺伝子座 から与えられる。 E.部位指定突然変異誘発対ランダム突然変異誘発 G蛋白質ヘテロ3量体を構成するサブユニットの会合の媒介に関与する決定基 を確定する試みにより提出された分類の構造−機能問題を解決するための2つの 一般的アプローチがある。第1のアプローチは、ハイブリッド構築物に関して上 で論じたが、合理的なものであり、特異的な突然変異又は変化を利用できる実験 的証拠に基づいて分子に導入する。第2のアプローチにおいては、ランダム突然 変異誘発技術を、選択又はスクリーニングシステムとカップルさせて用いて多数 の突然変異を分子に導入し、ランダムに変異した分子の収集を、次いで、所望の 表現型についての選択にかけ、又は望まない表現型のバックグラウンドに対して 所望の表現型が観察され得るスクリーニングにかける。ランダム突然変異誘発を 用いた場合には、全分子を突然変異させることができ又は、カセット突然変異誘 発によって進めることができる。前者の場合には、分子の完全なコード領域を、 幾つかの方法(化学的、PCR、ドープトオリゴヌクレオチド合成)の一つにより 突然変異させ、ランダムに変異させた分子の収集を選択又はスクリーニング手順 にかける。ランダム突然変異誘発は、研究される分子が比較的小さく且つ必然的 に生じる種々のクラスの変異型表現型を区別するための強力で厳格な選択又はス クリーニングが利用可能である場合には、この方法において適用することができ る。第2のアプローチにおいては、確定された構造(即ち、αヘリックス、βシ ート、ターン、表面ループ)又は機能的決定基(例えば、触媒性の裂け目、結合性 の決定基、膜貫通セグメント)に対応する蛋白質の別々の領域を飽和又は半ラン ダム突然変異誘発にかけ、これらの突然変異されたカセットを別の野生型の対立 遺伝子のコンテキストに再導入する。カセット突然変異誘発は、分子のある領域 についての特別の機能を示唆するのに利用できる実験的証拠があり且つ関心ある 変異と関心のない変異とを区別するのに利用できる強力な選択及び/又はスクリ ーニングアプローチがある場合に最も有用である。カセット突然変異導入は又、 親分子が比較的大きく且つ要求が分子の機能的ドメインを、その分子をステップ ワイズ様式で突然変異させることにより即ち一の残基のリニアーカセットを一時 に変異させ、次いで、機能をアッセイすることによりマップすることであるとき にも有用である。 本発明は、更に、Gα−Gβγ会合に関与する決定基を確定するためにランダ ム突然変異誘発を適用することを企図する。ランダム突然変異誘発は、下記を含 む多くの方法により達成することができる: 1.エラーを生じやすいTaqポリメラーゼを開発して、Gαサブユニットの 変異型対立遺伝子を生成し、それを、直接、酵母において、酵母のGβγとカッ プルする能力についてアッセイするPCR突然変異誘発。 2.Gαサブユニットをコードする発現カセットを突然変異誘発原に曝露し、 それらの突然変異型配列の蛋白質産物を、直接、酵母において、酵母のGβγと カップルする能力についてアッセイするキメラ突然変異誘発。 3.Gα遺伝子の部分をコードするオリゴヌクレオチドのドープした合成。 4.ランダム突然変異誘発を、大腸菌XL1−Red(mutD5 mutS mutT)(ウィスコンシン、Menasa在、Stratagene)の突然変異誘発株を介する経路に より、Gαサブユニットのコード領域内に導入するイン・ビボ突然変異。 ランダム突然変異誘発は、次の節で論じるように、Gα−Gβγ会合に関与す ると思われる領域に集中させることができる。ランダム突然変異誘発のアプロー チは、2つの理由により実行可能である。第1に、酵母において、それは、哺乳 動物の系では容易に利用できない厳格なスクリーニング及び容易な選択(成長対 死、転写対転写の欠如)を構成する能力を有する。第2に、酵母を利用する場合 には、効率的に数千のトランスフォーマントを迅速にスクリーニングすることが できる。カセット突然変異誘発は、GPA41ハイブリッドがフェロモン応答パス ウェーにカップルするという観察により直接的に示唆される(以下参照)。この Gαサブユニットの比較的小さい領域は、この型の突然変異誘発の妥当な標的を 表す。カセット突然変異誘発に従順であり得る他の領域は、Gαi及びトランス デューシンの結晶構造において溶媒曝露されるGαサブユニットのスイッチ領域 の表面を規定するものである。下記のデータから、この表面は、直接酵母Gβγ サブユニットと接触する残基を含むことができ、それ故、突然変異誘発の妥当な 標的であり得る。 F.キメラGαサブユニットの合理的デザイン 合理的にデザインされたGPA1−哺乳動物Gαハイブリッドサブユニットの 幾つかのクラスを、酵母のβγにカップルする能力について試験した。第1の最 大のクラスのハイブリッドは、哺乳動物のGαサブユニットの相同な領域の代わ りに種々の長さのGPA1アミノ末端ドメインをコードしている。このクラスの ハイブリッド分子には、下記のGPABAMH1、GPA41、GPA1D及びGPALW ハイブリッドが含まれる。これらのハイブリッドGα蛋白質を構築する理論的根 拠は、Gβγとの相互作用の媒介におけるGαのアミノ末端残基の重要性に関係 があるという上記した結果に基づいている。 好ましくは、酵母のGαサブユニットを、キメラGαサブユニットで置き換え るが、その一部(例えば、酵母のGαのアミノ末端の対応する残基と実質的に相 同である少なくとも約20アミノ酸一層好ましくは少なくとも約40アミノ酸) は、哺乳動物の(又は他の外因性の)Gαの主要部と実質的に相同な配列と融合し ている。40アミノ酸は、示唆される開始点であるが、酵母のGβγにカップリ ングするのに必要な最小の長さ及び外因性レセプターに対するカップリングの保 持と両立する最大の長さを決定するために一層短い又は長い部分を試験すること ができる。現在、Gαサブユニットのカルボキシ末端の最後の10又は20アミ ノ酸のみがレセプターとの相互作用に必要とされると考えられている。 GPABAMH1ハイブリッド。Kang等前出は、それぞれ、GαS、Gαi2及び Gαoのカルボキシル末端の160、143及び142残基と融合されたGPA 1のアミノ末端の310残基をコードするハイブリッドGαサブユニットを記載 した。Kang等により調べられたすべての場合において、これらのハイブリッ ド蛋白質は、gpal株の成長捕捉表現型を補完することができた。これらの発 見は、確認されており、加えて、GPA1とGαi3、Gαq及びGα16との 間のハイブリッドを構築して試験した。機能的に試験されたこの型のすべてのハ イブリッドは、gpal株の成長捕捉表現型を補完する。 GPA41ハイブリッド。GPA1の41アミノ酸のみをコードする最小ハイ ブリッドを構築する理論的根拠は、下記の観察と共に、上記のGαサブユニット のアミノ末端の役割に関する生化学的証拠にある。Gβ及びGγサブユニットは 、それらの各アミノ末端のαヘリックスドメインを介して反応することが知られ ている(Pronin等(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6220-6224);Garritsen等199 3)。Gαサブユニットのアミノ末端がらせん状コイルを形成し得るという示唆及 びこのらせん状コイルがGαのGβγとの会合に関与し得るという示唆(Masters 等(1986)Protein Engineering 1:47-54);Lupas等(1992)FEBS Lett.314:105-108) は、G蛋白質ヘテロ3量体の3つのサブユニットが、それらのアミノ末端のらせ ん領域を巻きそしてほどくことにより、互いに可逆に相互作用するという仮説へ と導く。この型の機構は、GCN4転写因子のロイシンジッパー変異体の分析か らも示唆されている(Harbury等:(1993)Science 262:1401-1407)。Kang等(前出) により記載されたような大多数の酵母配列と最小の哺乳動物配列を含むハイブリ ッドを構築する理論的根拠は、GαとGβγサブユニットの間のカップリングの アッセイにおいて機能するそれらの能力に由来する。しかしながら、これらのキ メラは、哺乳動物のG蛋白質とカップルしたレセプター及び酵母のGβγサブユ ニットの両者とカップルする能力について決してアッセイされなかったし、従っ て、酵母においてハイブリッドシグナリングパスウェーを再構成する能力につい て決してアッセイされなかった。 構築して試験したGPA41ハイブリッドには、Gαs、Gαi2、Gαi3、 Gαq、GαOa,GαOb、Gα16が含まれる。Gαs、Gαi2、Gαi3 、及びGα16のハイブリッドは、機能的に、gpal株の成長捕捉表現型を補 完したが、GαOa及びGαobのGPA41ハイブリッドは、補完しなかった。成 長捕捉アッセイで試験されたことに加えて、これらの構築物は、一層鋭敏な転写 アッセイにおいてfuslp−HIS3遺伝子の活性化についてアッセイされた 。 これらの両アッセイにおいて、GPA41−Gαsハイブリッドは、GPα41−i 2、−i3及び−16ハイブリッドより良くはカップルせず、GPα41−oa及 び−obハイブリッドは、何れのアッセイでも機能しない。 幾つかの予想アルゴリズムは、高度に保存された配列モチーフ−LLLLGA GESG−(SEQ ID NO:46)(このモチーフ中の最初のLは、GPA1中の残基 43である)までのアミノ末端ドメインが両親媒性のらせん構造を形成すること を示している。7つのらせん状反復ユニットを仮定して、下記のGPA1とGα Sのハイブリッドを用いて、ハイブリッド機能に必要なこのモチーフ中のらせん 状反復の数を確定することができる: GPA1−7/Gαs8−394 GPA1−14/Gαs15−394 GPA1−21/Gαs22−394 GPA1−28/Gαs29−394 GPA1−35/Gαs36−394 GPA1−42/Gαs43−394 これらのハイブリッドにおいて、予想は、テトラロイシンモチーフまでのアミ ノ末端ドメイン中の構造的反復ユニットが7であり、7のユニット中の配列交換 が、結果において、このドメインを含むらせん状構造のターンのユニットターン の交換になるということである。 このクラスの「ダブルクロスオーバー」ハイブリッドの第2のグループは、G PA1の残基G11で始まる第1の推定の7つの反復において整列されるもので ある。これらのハイブリッドにおいて、らせんの反復は、GPA1からGas主 鎖中に一時に一つの7反復が交換される。 GαS1−10/GPA11−17/Gαs18−394 GαS1−17/GPA18−24/GαS25−394 GαS1−17/GPA25−31/GαS32−394 GαS?−17/GPA32−38/GαS39−394 GaS配列中の残基9と10の間に導入されるギャップは、−LLLLGAG E−(SEQ ID NO:46のアミノ酸1〜8)の配列モチーフのアラインメントを保 存するためのものである。このクラスのハイブリッドは、各7反復のカセット突 然変異誘発とその後に標準的なカップリングアッセイにおいてこれらの「7ぞろ い」ライブラリーの収集をスクリーニングすることにより補完することができる 。 アミノ末端は、7つのらせん状反復ユニットを有するらせん状ドメインを形成 するという予想に基づくハイブリッドの第3のクラスは、予想されたらせん構造 の反対側の全体の疎水性又は親水性の性質を達成するものである(Lupas等前出を 参照されたい)。このモデルにおいて、7反復abcdefgのa及びd位置は 、ヘリックスの一面を規定する保存された疎水性残基であることが見出されるが 、e及びg位置はヘリックスの帯電した面を規定する。ハイブリッドのこのクラ スにおいては、GaS親の配列は、下記の決定的に重要な残基の少なくとも1つ における特異的置換を除いて保持されており、一層「GPA1様」のGaSの種 々のらせん状の面を与える。 K8Q +I−10 E10G Q12E R13S N14D E15P E15F K17L E21R K28Q K32L V36R この単一突然変異の収集は、酵母のGβγに対するカップリング効率について スクリーニングし、次いで、組み合わせて構築することができる(必要ならば、 二重以上で)。 GPA1−Gαハイブリッドのこの領域に及ぶハイブリッド分子の第4のクラ スは、3つのプライマーのPCRにより導入されたGPA1とGαサブユニット の間の接合点を有するものである。このアプローチにおいては、2つの外側プラ イマーは、5’側のGPA1のイニシエーターメチオニンと3’側のGαS(例 えば)のテトラロイシンモチーフにおける配列によりコードされる。種々の接合 点に及ぶ一連の接合プライマーを外側プライマーと混合して、それぞれ異なる量 のGPA1及びGαS配列を有する一連の分子を作ることができる。 GPA1D及びGPALWハイブリッド。配列アラインメントにより同定されたG βγサブユニット間の高ホモロジーの領域は、分子中に散在されている。高度に 保存された−GSGESGDST−モチーフを含むG1領域は、非常に低い配列 保存の領域が直ぐ後ろに続く(「il」又はインサート1領域)。配列及び長さの 両方とも、Gαサブユニットのil領域間でかなり変化する。Gαサブユニット の配列を整列させることにより、il領域と境を接する保存された領域が同定さ れ、GPA1−Gαハイブリッドの2つの更なるクラスが構築された。これらの GPA1Dハイブリッドは、イン・フレームで哺乳動物のGαサブユニットに融合 されたGPA1のアミノ末端の102残基(配列−QARKLGIQ−まで)をコ ードしているが、GPALWハイブリッドは、GPA1のアミノ末端の244残 基をコードしている(GPA1中の配列−LIHEDIAKA−まで)。これらの GPA1D及びGPALWハイブリッドを構築する理由は、GPAlのil領域がG PA1の酵母のGβγサブユニットとの相互作用を媒介するのに必要であり、こ れらのハイブリッド分子の安定な発現に必要であり、又はこれらのハイブリッド 分子の機能に必要あるという仮説を試験するためであった。GPA1Dハイブリッ ドは、哺乳動物のサブユニットのilドメインと融合したGPA1のアミノ末端 ドメインを含み、それ故、GPA1のil領域を含まないが、GPALWハイブリ ッドは、完全なil領域を含むGPA1のアミノ末端244領域を含む(配列ア ラインメントにより確定)。GPA1DとGPALWの両クラスのハイブリッドは、 GαS、Gαi2、Gαi3、Gαoa及びGα16について構築され;これら のハイブリッドの何れも、gpal成長捕捉表現型を補完しなかった。 GPA1DとGPALWクラスのハイブリッドの構築と試験に続いて、GDP及 びGTP−γS−リガンデド形態の両方におけるGtransducinの結晶構造、及び GTPγS−リガンデド及びGDP−AlF4形態における幾つかのGαil変 異物の結晶構造が報告された(Noel等前出;Lambright等前出;及びColeman等(19 94)Science 265:1405-1412)。これらの結晶構造は、配列アラインメントにより 確定されたil領域が、固いアレイ中の6つのαヘリックスよりなる保存された 構造を有すること、及びGPA1DとGPALWハイブリッドの構築のために選択し た接合点がこれらの結晶中に認められたil領域の構造的特徴の保存と相容れな いことを示している。GPA1Dハイブリッドについて選択した接合点は、長いα Aヘリックスの中心に来て;このヘリックスのキメリゼーションは、たぶん、そ れと蛋白質構造を一般に不安定にする。同じことが、GPALWハイブリッドにつ いて選択した接合点にも正しく、GPA1と哺乳動物のGαサブユニットとの間 のクロスオーバーポイントは、短いαCヘリックスの最後に来て、それ故、それ をゆがめて、この蛋白質を不安定にする。 GPA1DとGPALWハイブリッドの失敗は、上記のようにil領域における決 定的に重要な構造的エレメントの崩壊のために、予想されるものである。Noel等 (前出)、Lambright等(前出)及びColeman等(前出)により提供された新しいアライ ンメント及びデータに基づいて、この問題は、ras様コアドメインを用いて避 けることができ、ilらせん状ドメインは、アルファーヘリックス様の公知の構 造的エレメントの外側に導入される。 ハイブリッドA GαS1−67/GPA66−299/GαS203− 394 このハイブリッドは、GαS配列に導入されたGPA1の完全なilイン サートを含む。 ハイブリッドB GPA1−41/GαS4443−67/GPA66− 299/GαS203−394 このハイブリッドは、GPA1のアミノ末端の41残基を、ハイブリッド A中に見出されるGαSの42アミノ末端残基の代わりに含む。Gαsハイブリッド。Gαトランスデューシンの残基171〜237(Noel等( 前出)のナンバリングを使用)によりコードされる「スイッチ領域」がGβγカッ プリングにおいても役割を演じるという証拠がある。第1に、GαSにおけるG 226A突然変異は、リガンドによるレセプターの活性化の際にGDPのGTP への変換を伴って起きるGTP誘導されたコンホメーション変化を阻止する。こ の残基は、高度に保存された配列−DVGGQ−にマップされ、すべてのGαサ ブユニット中に存在して、GTP加水分解に関与する。Gαt及びGαil結晶 構造の両者において、この配列モチーフは、β3シートとグアニンヌクレオチド 結合コア中のα2ヘリックスを繋ぐループ中に存在する。GTP結合に際して起 きるコンホメーション変化のブロックに加えて、この変異は又、GTPリガンデ ドGαsのGβγからの解離をも阻止する。第2に、架橋データは、α2ヘリッ クス中の高度に保存されたシステイン残基(Gαo中のC215、Gαt中のC 210、がGβサブユニットのカルボキシ末端領域に架橋され得ることを示して いる。最後に、遺伝学的証拠(Whiteway等(1993)Mol.Cell Biol.14:3233-3239)が 、βγと直接接触しているであろうコア構造のβ2シート中のGPA1(E30 7)中の重要な単一残基を同定している。この位置のGPA1蛋白質中の突然変 異は、Gα−Gβγ会合の欠損も知られている優勢の負の変異のSTE4(Gβ) の変種の構成的シグナリング表現型を抑制する(酵母における2ハイブリッドア ッセイ並びに一層慣用の遺伝学的試験にて評価)。 GαのGβγとの会合に関与するスイッチ領域の決定基があるという仮説が、 GPA1とGαSの部分を種々の組合せでコードする一連のハイブリッドGα蛋 白質を構築することにより試験された。 2つの結論が引き出せる。GαSのアミノ末端のコンテキストにおいて、GP A1スイッチ領域は、酵母Gβγ(SGS)へのカップリングを抑制するが、GP A1アミノ末端のコンテキストにおいて、GPA1スイッチ領域は、Gβγ(G Pβγ−SGS)とのカップリングを安定化する。これは、GPA1のこれらの 2つの領域が共同してGαサブユニットとGβγサブユニットの間の相互作用を 可能にすることを示唆する。この結論は、GPA1スイッチ領域を含まないGP A41−Gαsハイブリッドがgpal株の成長捕捉表現型を補完することが できるという観察により幾分か弱められる。GPA41−Gαs対立遺伝子とGP A−I−SGS対立遺伝子の振舞いの間の量的差異は、注意されていないが、も しこの相互作用が幾らか退化すれば、これを正確に定量することは困難であろう 。これらの結果から引き出し得る第2の結論は、GPA1/Gαsハイブリッド 蛋白質の何れも天然のGPA1のように酵母のGβγに効率的にカップルしない ので、GαのGβγとの相互作用の安定化に関与する別の決定基がこれら2つの 領域の範囲を超えて存在するというものである。 この領域の表面に露出した残基の役割は、酵母のGβγに対する有効なカップ リングに関して決定的に重要であり得、且つ下記のようにハイブリッド分子中に 取り込まれ得る。 GαS−GPA−スイッチ GαS1−202/GPA298−350/ GαS253−394 このハイブリッドは、GaSコンテキストにおいてGPA1の完全なスイッチ 領域をコードする。 GαS−GPA−α2 GQS1−226/GPA322−332/GQ S238−394 このハイブリッドは、GαSのコンテキストにおいて、GPA1のa2ヘリッ クスをコードする。 GPA41−GαS−GPA−α2GPA1−41/GQS43−226/G A322−332/GQS238−394 このハイブリッドは、GPA1の41残基アミノ末端ドメイン及びGPA1の α2ヘリックスをGαSのコンテキストにおいてコードする。 最後に、ここで検討するハイブリッドの最後のクラスは、αSのβ2及びβ3 シートの表面に露出した残基をそれらがGPA1QSヘリックスのものに似るよ うに変えたものである。これらの変化したα2らせん状ドメインは、下記の構造 を有する。(変化した残基の位置は、GαSに対応する。) L203K K211E D215G K216S D229S これらの単一突然変異は、GαS主鎖中に単独で及び一対の組み合わせで作る ことができる。更に、それらを、完全長のGαSと前に記載したGPA41−Gα Sハイブリッドの両者のコンテキストにおいて導入することができる。すべては 、この領域とWhiteway等(GPA1と相互作用する部位を確定しているWhiteway 等(前出))により確定されたGβγの領域との間の改善された静電的及び疎水性 の接触によって、Gαサブユニットの酵母のGβγサブユニットへのカップリン グを改善すると予想される。 まとめると、酵母のフェロモンパスウェーにカップルするハイブリッドGαサ ブユニットの同定は、下記の一般的観察へと導いた。第一に、すべてのGPABA MH1 ハイブリッドは、酵母のGβγと会合し、それ故、哺乳動物において、これ らのハイブリッドは、フェロモン応答パスウェーに対するカップリングに必要な GPA1中の決定基を含む。第2に、GPA1のアミノ末端の41残基は、すべ てでなくても幾つかの場合に酵母のGβγに対するGαハイブリッドのカップリ ングを容易にするのに十分な決定基を含み、幾つかのGαサブユニットは、GP A1のアミノ末端の41残基の不在においてさえGPA1との相互作用を容易に するGPA1中のものに十分類似している第一の41残基の外側の領域を含む。 第3に、他の決定基が、Gαサブユニットの酵母Gβγサブユニットに対するカ ップリングに関与するGPA1の最初の310残基中にある。 上で注目したハイブリッドの種々のクラスは、相互に排他的ではない。例えば 、GPA1−41を含むGPA1も又、L203突然変異を特徴とし得た。 単純さの故に、酵母のGPA1と哺乳動物のGαsとのハイブリッドを記載し たが、ハイブリッドは、他の酵母のGαサブユニット及び/又は他の哺乳動物の Gαサブユニット(特に、哺乳動物のGαiサブユニット)で作ることができると いうことは、認められよう。その上、記載したハイブリッドは、2つの親蛋白質 から構築されているが、3つ以上の親蛋白質からのハイブリッドも可能である。 実施例に示すように、キメラのGαサブユニットは、レセプターのGαi種へ のカップリングにおいて特に有用である。 G.Gαの発現 Kang等前出は、幾つかのクラスの天然の哺乳動物のG〜サブユニットは、Gα の発現が構成的に活性な強いプロモーター(PGK)又は強い誘導可能なプロモー ター(CUP)から駆動された場合には、酵母のαサブユニットと機能的に相互作 用することができたと報告した。これらの著者は、高レベルで発現されたラット のGαS、Gαi2又はGαoが酵母のβγにカップルすると報告した。哺乳動 物のGαの高レベルの発現(即ち、酵母のβγに関して非化学量論的)は、この出 願に記載したもの等に用いるのに望ましくない。G蛋白質とカップルしたレセプ ターのシグナル変換の酵母における再構成は、ヘテロ3量体複合体のシグナリン グ成分(Gβγ)がGαサブユニットと化学量論的に存在することを要求する。過 剰のGαサブユニット(Kang等では、哺乳動物のGαi2及びGαoの酵母のG βγへのカップリングに必要であった)は、Gβγサブユニットがシグナルを変 換する場合に、システム中のそのシグナルの勢いをそぐであろう。過剰のGαサ ブユニットは、システム中のシグナリングのバックグラウンドレベルを上げて、 容認できない程の高レベルにする。好ましくは、Gα及びGβγサブユニットの レベルは、バランスさせる。例えば、異種のGαサブユニットは、内因性の酵母 のGPA1プロモーターとGPA13’非翻訳領域を含む低コピーのベクター( CEN ARS)から発現させることができる。酵母のフェロモンパスウェーに 機能的にカップルする能力に関して異種のGαサブユニットに適用される最低限 度の基準は、低コピーのプラスミド上のGPA1プロモーターから又はインテグ レートされた単一コピーの遺伝子から発現されたときにgpal遺伝子型を補完 することである。この出願に記載した仕事においては、すべての異種Gαサブユ ニットは、2つの生物学的系においてアッセイされた。第一のアッセイにおいて 、異種Gαサブユニットは、gpal株の成長捕捉表現型を機能的に補完する能 力について試験される。第2のアッセイにおいては、fusl−HIS3レポー ター遺伝子の転写を利用して、フェロモン応答パスウェーが活性化される程度を 、従って、異種Gαサブユニットが内因性の酵母のGβγ複合体を封鎖す る程度を測定する。哺乳動物のGαs、Gαi2、Gαi3、Gαq、Gα11 、Gα16、Gαoa、Gαob及びGαz(ラット、マウス又はヒト起源)を、G PA1プロモーターを含む低コピーCEN ARSベクターから発現させた。g pal株の機能的補完は、ラット及びヒトのGαSを除いて、これらの完全長の Gα構築物の何れを用いる何れのアッセイ系においても認められなかった。 H.キメラの酵母のβγサブユニット 改善されたシグナル変換のための哺乳動物のGαサブユニットの改変の別法は 、酵母のGβ又はGγサブユニット中の適当な部位の改変である。Gαサブユニ ットに関して既に検討したそれらの原理を、必要な変更を加えて、酵母のGβ又 はGγに適用する。 例えば、ある具体例においては、酵母のSte4pGβサブユニットをカセッ ト突然変異誘発の標的とすることができる。特に、幾つかの優勢の負のシグナリ ング欠損変異をコードするSte4pの領域は、特定の哺乳動物のGαサブユニ ットに対する酵母のGβγのカップリングを探す場合には、カセット突然変異誘 発の優れた標的であろう。 V.試験化合物 外的に添加する化合物 医薬品化学の分野において近年見られる傾向の一つに、複数の化合物を混合し たまま生産することが挙げられる。これは「ライブラリー」と称される。当分野 においてペプチドのライブラリーを用いる技術は確立されているが、更に他の化 合物[ベンゾジアゼピン類(Bunin他、1992.J.Am.Chem.S oc.114:10987;DeWitt他、1993.Proc.Natl. Acad.Sci.USA90:6909参照)、ペプトイド(peptoid)類(Z uckermann、1994.J.Med.Chem.37:2678参照) 、オリゴカルバミン酸類(Cho他、1993.Science.261:13 03参照)及びヒダントイン類(DeWitt他、上述。)]との混合物として生 産することを可能にする技術が開発されている。Rebek他は、104−10 5の多様度がある小さな有機分子の分子ライブラリーを作成する方法について開 示している(Carell他、1994.Angew.Chem.Int.Ed .Engl.33:2059;Carell他、Angew.Chem.Int .Ed.Engl.1994.33:2061参照)。 本発明の化合物は、数ある公知の組み合わせライブラリー技術のうちいずれか を用いて得ることができる。これらライブラリーの例として、生物学的ライブラ リー、空間的に位置付け可能な平行固相又は液相ライブラリー、デコンヴォルー ションが必要な合成ライブラリー、「1ビーズ1化合物」ライブラリー、親和ク ロマトグラフィーを用いた合成ライブラリーなどが挙げられる。生物学的ライブ ラリーを用いる方法は、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのライ ブラリーを用いる方法はペプチド、ペプチドでないオリゴマ^−又は小分子化合 物に適用することができる(Lam,K.S.Anticancer Drug Des.1997.12:145参照)。 一つの態様にあっては、試験化合物はペプチド又はペプチド様物質(peptidom imetic)である。他の好ましい態様にあっては、試験化合物は小さな有機の非ペ プチド化合物である。 分子ライブラリーを作成する他の例証的な方法は、たとえばErb他、199 4.Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:11422;Hor well 他、1996 Immunopharmacology33:68;及びGal lop他、1994.J.Med.Chem.37:1233などの当分野の文 献に見ることができる。加えて、同一の出願者によるUSSN08/864,2 41、USSN08/864,240及びUSSN08/835,623に記載 されているライブラリーを用いて本発明における試験化合物を得ることができる 。これら出願の内容は、ここに参照して説明に変える。 化合物のライブラリーは、溶液中[例えばHoughten(1992)Bi otechniques13:412−421]、ビーズ上[Lam(1991) Nature354:82−84]、チップ上[Fodor(1993)Natu re364:555−556]、細菌上[LadnerUSP5,223,409 ]、胞子上[LadnerUSP‘409]、プラスミド上[Cull他(1992 )Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:1865−1869] 、又はファージ上[Scott及びSmith(1990)Science24 9:386−390];[Devlin(1990)Science249:40 4−406];[Cwirla他(1990)Proc.Natl.Acad.S ci.87:6378−6382];[Felici(1991)J.Mol.B iol.222:301−310];(Ladner上述)に作成することができ る。 ある態様にあっては、試験化合物は組換え受容体を発現する酵母菌に外的に添 加され、受容体を通じたシグナルトランスダクションを変調する化合物が選択さ れる。他の態様にあっては、酵母菌は試験化合物を発現する。例えば、対象とな る酵母菌の培養を更に改変して、ペプチドライブラリーを一まとめに発現させる ことができる(PCT公報WO94/23025に詳述。ここに参照して説明に変 える)。 他の種類のペプチドライブラリーを発現することもできる(例えば米国特許5 ,270,181及び5,292,646;PCT公報WO94/02502参 照)。更に他の態様にあっては、cDNAライブラリーから組合せペプチドを生 産することができる。 活性についてスクリーンすることのできる化合物の例としては、ペプチド、核 酸、炭水化物、小さい有機分子及び天然産物抽出のライブラリーが挙げられるが 、これらに限定されるものではない。この様な態様にあっては、受容体媒介又は チャネル媒介 シグナリング機能に対してアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する化合物 の両方を選択し同定することができる。 ペプチドライブラリー ある態様にあっては、酵母菌を遺伝子工学処理して試験化合物を産生させるこ とができる。この検定系には試験化合物の有効濃度を向上させるという利点があ る。一つの態様にあっては、例えばWO94/23025に記載の方法を用いる ことができる。 他の方法を用いることもできる。例えば、ペプチドライブラリーは、標的と相 互作用できる形態で、非常に多様で多数のペプチドの集合体を同時に発現できる 系である。これらのペプチドは、溶液中[例えばHoughten(1992) Biotechniques13:412−421]、ビーズ上[Lam(199 1)Nature354:82−84]、チップ上[Fodor(1993)Na ture364:555−556]、細菌上[LadnerUSP5,223,4 09]、胞子上[LadnerUSP‘409]、プラスミド上[Cull他(19 92)Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:1865−186 9]、又はファージ上[Scott及びSmith(1990)Science2 49:386−390];[Devlin(1990)Science249:4 04−406];[Cwirla他(1990)Proc.Natl.Acad. Sci87:6378−6382];[Felici(1991)J.Mol.B iol.222:301−310];(Ladner上述)に生産されても良い。 これらの系の多くは、ペプチドの最大長又はペプチドの合成(例えばCysの除 外など)に関して制限がある。支持体の近接といった空間的配置が原因で、結合 が阻害されることがある。一般にスクリーニングは、人工の標的に対する生体外 での結合を調べるために行われるものであり、生きた細胞内における細胞シグナ ルトランスダクション経路の活性化又は阻害を調べるために行われるものではな い。細胞表面受容体は標的として使われうるが、ペプチドの結合によって受容体 配座にアロステリックな変化が引き起こされたかどうかは、スクリーニングによ って示されることはない。 Ladner他による特許、USSN5,096,815は、所望のDNA結 合活性を有する新規な蛋白質又はポリペプチドを同定する方法を記載している。 異なる結 合蛋白質を多数コードする半ランダム(「多様性」、variegated)DNAを、発現可 能な形態で、適当な酵母菌に導入する。標的DNA配列を遺伝子工学処理したオ ペロンに組み込むが、この組み込みは、標的DNAに蛋白質又はポリペプチドが 結合すると、選択条件で遺伝子に害を及ぼす遺伝子産物の発現が阻害されるよう に行われる。従って、選択条件で生き残る細胞は、標的DNAに結合する蛋白質 を発現する細胞である。酵母菌を試験に用いることが教示されているが、細菌細 胞を用いるのが好ましい。蛋白質と標的DNAとの相互作用は、ペリプラズムや 細胞質においてではなく、細胞内のみにおいて(そして核内のみにおいて)起こ るものであり、標的は受容体蛋白質ではなく核酸である。細胞蛋白質内の機能領 域を、ランダムペプチド配列で置換することによって、その機能の遂行に必要な 特異な配列をある程度決定することができる。細胞内での蛋白質の局在化におい て作用する認識現象の詳細は不明であるが、ランダムペプチドを用いることによ って、ミトコンドリアの標的配列及び蛋白質分泌シグナル配列の多様性が制約を 受けることが分かっている[それぞれLemire他、J.Biol.Chem .(1989)264、20206及びKaiser他、(1987)Scie nce235:312参照]。 本発明のある態様にあっては、試験化合物はペプチドライブラリーから得たペ プチドの形態をしている。本発明のペプチドライブラリーは、実質的に各細胞が ライブラリーのペプチドを1個(通常1個のみ)発現する、細胞培養の形態をし ている。各細胞が異なる配列のペプチドを産生するのであればライブラリーの多 様性は最大化されるが、そのようなライブラリーの構築は困難であるため、重複 するペプチドが生じうる。ライブラリーの組合せペプチドは、そのサイズに応じ て、発現されるか或いは大きな融合蛋白質に組み込まれる。融合蛋白質は、例え ば分解又は変性に対する安定性を賦与することができ、分泌されれば分泌シグナ ルを提供することができる。細胞内発現のライブラリー、例えば細胞内標的受容 体に関連して用いるライブラリーの例証的態様にあっては、ポリペプチドライブ ラリーはチオレドキシン融合蛋白質として発現される(例えば米国特許5,27 0,181及び5,292,646;及びPCT公報WO94/02502参照 )。組合せペプチドはチオレドキシン蛋白質の一端末に結合することができるし 、あるいは短いペプチドライブラリーについては、いわゆる活性ループに挿入す ることができる。 一つの態様にあっては、ペプチドライブラリーを、公知のいかなる配列に由来 するものではないし、cDNAに由来するものでもないポリペプチドの組合せラ イブラリーとして発現するように誘導することができる。すなわち、ライブラリ ーの配列は主にランダムである。好ましい態様にあっては、組合せポリペプチド の長さは3−100アミノ酸、より好ましくは少なくとも5−50アミノ酸、更 により好ましくは少なくとも10、13、15、20又は25アミノ酸である。 好ましくは、ライブラリーのポリペプチドは同一の長さである。組合せペプチド の長さは、例えばシグナル配列や融合蛋白質の不変部分といった、発現を促進す るために存在する他の配列からは影響を受けないということは理解されるであろ う。 他の態様にあっては、ペプチドライブラリーを、公知のポリペプチド配列に少 なくとも一部が由来する或いは公知のポリペプチド配列の一部であるポリペプチ ドの組合せライブラリー(だだしcDNAライブラリーではない)として発現す るように誘導できる。すなわち、ライブラリーの配列は半ランダムであり、公知 の配列の組合せ突然変異誘発によって誘導される配列である[例えばLadne r他、PCT公報WO90/02909;Garrard他、PCT公報WO9 2/09690;Marks他、(1992)J.Biol.Chem.267 :16007−16010;Griffth他、(1993)EMBOJ12: 725−734;Clackson他、(1991)Nature352:62 4−628;及びBarbas他、(1992)PNAS89:4457−44 61参照]。よって、標的受容体に対する公知の配位子である(複数の)ポリペ プチドを標準的方法によって突然変異させ、アゴニスト及び/又はアンタゴニス トについて更にスクリーンすることのできる、ポリペプチド配列の多様性ライブ ラリーを誘導することができる。例えばFPEL−1の代理配位子(Ser−L eu−Leu−Trp−Leu−Thr−Cys−Arg−Pro−Trp−G lu−Ala−Metペプチド等)を突然変異させ、原型となるトリデカペプチ ドに関連したペプチドライブラリーを作成することができる。このライブラリー は本発明の試薬細胞内で発現することができ、他の受容体活性化物質をこのライ ブラリーから分離することができる。これにより、FPRL−1代理配位子にな りうる配位子を更に同定することができる。 或いはライブラリーは、細胞が元のトリデカペプチドと接触する条件、例えば FP RL−1受容体が代理配位子によって誘導される条件下において発現することが できる。ライブラリーから発現したペプチドは、代理配位子によって引き起こさ れた、誘導を強化する又は阻害する能力に基づいて分離される。後者は勿論、化 学引誘物質受容体の潜在的なアンタゴニストを同定する。更に他の態様にあって は、代理配位子を用いて、外生化合物ライブラリー(ペブチド及び非ペプチド) をスクリーンすることができる。このライブラリーは、同定された代理配位子の 活性を変調することによって、標的受容体に天然配位子が及ぼす効果におそらく は同様に影響を与える。この様な態様にあっては、代理配位子を細胞に適用する ことができ(ただし、配位子は試薬細胞によって産生されるのが好ましい)、これ によって自己分泌細胞が提供される。 更に他の態様にあっては、組合せポリペプチドがcDNAライブラリーから生 産される。 本発明の好ましい態様にあっては、集合体としての酵母菌は、好ましくは少な くとも103〜107種類の異なるペプチドを含む「ペプチドライブラリー」を産 生する。これによって、外生の受容体と相互に作用する能力について、多種のペ プチドを同時に検定できる。特に好ましい態様にあっては、ペプチドライブラリ ーのうち少なくとも幾つかのペプチドがペリプラズムに分泌され、そこで外生受 容体の「細胞外」結合部位と相互に作用する。従ってこれらのペプチドは、臨床 的に薬が細胞受容体に対して示す相互作用に非常に類似した作用を示す。あるい はこの態様は、フェロモン分泌を阻害し、よってシグナルペプチダーゼ及び他の 分泌系成分についてペプチドがフェロモンと競合することを回避することによっ て(フェロモン分泌を必要としない検定において)更に改良することができる。 本発明のある態様にあっては、ライブラリーのペプチドは、異なる配列を有す るDNA分子の混合物によってコードされる。ペプチドをコードする各DNA分 子は、ベクターDNA分子に連結され、生じた組換えDNA分子は酵母菌に導入 される。どのペプチドをコードするDNAが特定の細胞に導入されるかは偶然に 従うので、細胞がどのペプチドを産生するのかは予測することができない。しか し、混合物が調製される方法に関する知識に基づいて、ペプチドライブラリー中 のペプチド混合物について統計的予測を立てることができる。 ライブラリーのペプチドは定常及び可変の残基から構成される。n番目の残基 がラ イブラリー中の全てのペプチドについて同じであるなら、その残基は定常である といえる。n番目の残基がペプチドによって異なるなら、可変であるといえる。 ライブラリーのペプチドは少なくとも1個、通常1個以上の可変残基を有する。 可変残基は、遺伝子的にコードされるアミノ酸のうち2〜20種全てにおいて可 変でありうる。ペプチドの可変残基は同じ又は異なる様式で可変でありうる。そ の上更に、特定の残基位置において許容されるアミノ酸の発生頻度は、同じ又は 異なりうる。ペプチドは、1個以上の定常残基を有しうる。 必要とされるDNA混合物を調整する方法は主に2つある。第一の方法におい ては、DNAは一度に1個の塩基しか合成されない。可変体が望まれる場合には 、遺伝コードによって指定される塩基位置において、従来のポリヌクレオチド合 成における純粋なヌクレオチド試薬でなく、適当なヌクレオチド混合物を発生期 のDNAに反応させる。 第二の方法においては、多様なアミノ酸をより正確に制御する。第一に、トリ ヌクレオチド試薬を調製する。各トリヌクレオチドはペプチドライブラリーにお いて特徴付けられるアミノ酸のうちの一つの(且つ唯一の)コドンである。特定 の可変残基を合成する場合、適当なトリヌクレオチドから混合物を調製し、発生 期のDNAに反応させる。必要な「変性」DNAが一旦完成すると、ペプチドを 発現するのに必要なDNA配列に連結する(下記に詳しく述べる)。完成したDN A構造体を酵母菌に導入する。 試験化合物の態様にあっては、ペプチドがリーダー配列の文脈において発現さ れるのが望ましい。酵母菌は原形質膜と呼ばれる脂質二重層によって囲まれてい る。この原形質膜と細胞壁との間には細胞周辺腔が存在する。酵母菌によって分 泌されるペプチドは、様々なメカニズムによって原形質膜を通過し、細胞周辺腔 に入る。そしてペプチドはペリプラズム中に存在する他の分子と自由に相互作用 するか、原形質膜の外表面に提示される。その後ペプチドは細胞内に再度吸収さ れるか、細胞壁を通じて媒体に拡散するか、細胞周辺腔において分解される。 試験ポリペプチドライブラリーは、リンクする発現系の性質に応じて、あらゆ る典型的なメカニズムによってペリプラズムに分泌することができる。ある態様 にあっては、ペプチドは、(例えば小胞体及びゴルジ体を通じて分泌を導くα因 子前駆体内に 存在する)酵母菌シグナル配列に構造的にリンクしうる。これは受容体蛋白質が 原形質膜にいたる経路と同じなので、受容体とペプチドライブラリーとの両方を 発現する細胞においては、分泌経路の途中で特定のペプチドが受容体と相互に作 用する機会がある。この現象は自己分泌活性を有する哺乳類細胞において起こる と仮定されている。この様な相互作用は、経路の途中で応答経路を活性化するこ とができ、これによってペプチドアゴニストを発現する細胞を同定することがで きる。外的に添加された受容体アゴニストに対するペプチドアンタゴニストが探 される状況では、ペプチドアゴニストと受容体との両方が細胞の外部に運搬され るので、この系が依然として有効である。従って、ペプチドアンタゴニストが適 当に及び時宜を得て位置しており、外的に添加されたアゴニストによって受容体 が刺激されることが防がれるので、これらのアンタゴニスト産生細胞が選択可能 である。 ペプチドを細胞周辺腔に送るもう一つのメカニズムは、STE6/MDR1ク ラスのATP依存輸送体を使用することである。この輸送経路並びにこの経路に 蛋白質又はペプチドを導くシグナルは、小胞体の分泌経路ほどには詳しいことが 判明していない。にもかかわらず、これらの輸送体は明らかに、小胞体/ゴルジ 体経路を通過させること無く、ある種のペプチドを効率良く原形質膜から外に出 すことができる。a因子前配列(prosequence)及び末端テトラペプチドの文脈 におけるライブラリーを発現することによって、少なくともペプチドの部分集合 がこの経路を通じて分泌されることが予想される。この系が有利であると思われ る点は、細胞の外表面に運搬されるまでに受容体とペプチドとが接触することが 無いということである。従って、この系は、通常は細胞外から運搬されるアゴニ スト又はアンタゴニストと厳密に同じ状況を作り出す。上記した経路のいずれか を用いることは、本発明の範囲に含まれる。本発明はペリプラズム分泌を必須と しないし、そのような分泌がある場合でも、特定の分泌シグナル又は輸送経路を 必要としない。 VI スクリーニング及び選択 特定の試験化合物における、目的の受容体のシグナルトランスダクション活性 を変調する能力は、検出シグナルのアップレギュレーション又はダウンレギュレ ーションを検出することによって評価することができる。例えば、内生酵母菌の セカンドメッセンジャー産生(GTPアーゼ活性、燐脂質加水分解、蛋白質リン 酸化パターン又は 酵素活性)における変化を直接測定することができる。或いは、指標遺伝子又は 非相同レポーター遺伝子を用いて、容易に読み出しを行うことができる。いずれ にせよ、検出シグナルの変化を用いて、受容体を通じてシグナリングを変調する 化合物の同定を行うことができる。 セカンドメッセンジャーの産生 ある態様にあっては、細胞内セカンドメッセンジャー経路における変化を、生 化学的に検出することができる。すなわち、内生酵母菌シグナル経路の変調によ って産生されたセカンドメッセンジャーにおける変化を測定することによって検 出することができる。例えば、細胞内のCa+2、蛋白質のリン酸化状態、細胞内 酵素の活性などにおける変化を検出することができる。更に他の検出技術として は、例えばイオンや細胞内pHなどの小さな変化の検出を可能にする微小生理機 能測定装置が挙げられる。他の例証的な態様にあっては、例えばアデニル酸シク ラーゼ、環状GMP、ホスホジエステラーゼ、ホスホイノシチダーゼ、ホスホイ ノシトルキナーゼ、ホスホリーパーゼ及び他の様々なイオンの変調を検定するこ とができる。 ある態様にあっては、G蛋白質によるGTPアーゼの酵素活性は、当分野にお いて公知の方法を用いてγ32PGTPの分解量を調べることによって、原形質膜 調製物中で測定することができる(例えば、Signal Transduct ion:A Practical Approach.G.Milligan編 、Oxford University Press、Oxford Engl and参照)。cAMPを変調する受容体が試験された場合には、例えば標識化 されていないcAMPの存在下で[3H]cAMPを定量する競合アッセイ等の 、標準的cAMP検出方法を用いることができる。 ある種の受容体及びイオンチャネルは、ホスホリパーゼCを活性化し、ホスホ リパーゼCはホスファチジルイノシトール4,5ビスリン酸を1,4,5−IP 3(細胞内Ca++に移動性を持たせる)及びジアシルグリセロール(DAG; 蛋白質キナーゼCを活性化する)に分解する。イノシトール脂質は、標準的な脂 質抽出法によって抽出し分析することができる。DAGは薄層クロマトグラフィ ーによっても測定することができる。3種のイノシトール脂質(IP1、IP2 及びIP3)の水溶性誘導体は、放射性同位元素標識法及びHPLCを用いても 定量することができる。 PIP2分解による他の産物であるDAGは、ホスファチジルコリンからも産 生することができる。受容体媒介シグナリングに応答して起こるこの燐脂質の分 解は、様々な放射性同位元素標識法を用いても測定することができる。 ホスフォリパーゼA2の活性は、例えば細胞内のアラキドン酸塩の産生などを 利用した、公知の方法を用いて容易に定量することができる。 他の態様にあっては、例えば特定の受容体及びイオンチャネルの場合、細胞の リン酸化における変化についてスクリーンするのが望ましい。この様な検定フォ ーマットは、目的の受容体が受容体キナーゼ又はホスファターゼである場合に有 用である。例えば、抗ホスフォチロシン、抗ホスフォセリン又は抗ホスフォトレ オニン抗体を用いた免疫ブロット法[Lyons及びNelson(1984) Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:7426−7430]が 挙げられる。更に、受容体自体はキナーゼでないが、シグナルトランスダクショ ン経路の下流において機能する蛋白質キナーゼ又はホスファターゼを活性化する 場合には、リン酸化試験が有用である この様なカスケードの一つとして、異なる種類の細胞において、マイトジェン の分化とストレス応答とを調節するように見えるMAPキナーゼ経路が挙げられ る。成長因子受容体を刺激すると、Rasが活性化され、続いてc−Raf、M EK並びにp44及びp42MAPキナーゼ(ERK1及びERK2)が活性化 される。活性化されたMAPキナーゼは次いでキーとなる多くの調節蛋白質、例 えばp90RSK及びElk−1等をリン酸化する。これらの調節蛋白質はMA Pキナーゼが核に移動した時にリン酸化される。哺乳類と酵母菌には相同の経路 が存在する。例えば、サッカロミケス・セレビジエ(S.cerevisiae )のフェロモンシグナリング経路の本質部分は、STE11、STE7及びFU S3/KSS1遺伝子(senes)(後者のペアは明確に区別できるものであり、 機能的に重複する)の産物からなる蛋白質キナーゼカスケードを包含する。従っ て、このキナーゼカスケードを構成する物質のリン酸化及び/又は活性化を検出 し、受容体の結合の定量に用いることができる。ホスフォチロシンに特異な抗体 を用いて、チロシンのリン酸化量の増加を測定することができる。このようなリ ン酸に特異な抗体は市販のものを用いることができる(New England Biolabs、Beverly、MA)。 更に他の態様にあっては、検出可能なシグナルを、セカンドメッセンジャー( 例えばカルシウム、イノシトールリン酸の加水分解産物、cAMPなど)の濃度 に依存して活性化される酵素又は色素産生/蛍光プローブを用いて生産すること ができる。例えば、細胞内カルシウムの可動化又は細胞外からのカルシウムの流 入を、標準的な方法によって測定することができる。適切なカルシウム指標体、 蛍光、生物発光体、金属クロム、またはCa++感応性微小電極の選択は、細胞 の種類並びに研究事象の規模及び時定数に依存する[Borle(1990)En viron Health Perspect84:45−56]。Ca++検 出法の例としては、標準的な方法を用いて細胞にCa++感応性蛍光染料フラ2 又はインド1を充填し、蛍光測定器を用いてCa++の変化を測定する。 転写又は転写産物の検出 セカンドメッセンジャー産物を直接測ることに加えて、受容体のシグナルトラ ンスダクション活性を、転写産物を検出することによって、例えば(複数の)内 生遺伝子の受容体/チャネル媒介転写活性(又は抑制)を検出することによって 、測定することができる。転写産物の検出としては、遺伝子転写物の検出、産物 の直接検出(例えば免疫検定)又は蛋白質活性の検出(酵素活性又は色素/蛍光 活性等)が挙げられる。これらは指標遺伝子発現を検出する一般的方法として、 ここに参照する。指標遺伝子は、改変していない酵母菌内生遺伝子であっても、 改変した内生遺伝子であっても良い。 一つの態様にあっては、指標遺伝子は改変していない内生遺伝子である。例え ば、(Bar1又はFus1、Fus2、交配因子、Ste3、Ste13、K ex1、Ste2、Ste6、Ste7、sSst2又はChs1等の)フェロ モン系経路に応答する内生遺伝子の転写レベルを検出することで方法を実施する ことができる(Appletauer及び:Zchstetter、1989. Eur.J.Biochem.181:243)。 他の態様にあっては、内生指標遺伝子の天然座におけるプロモーター配列を操 作することによって、指標遺伝子の感応性を向上させることができる。この様な 操作には、内生調節因子の点突然変異から、調節因子全体または実質的部位の総 置換にいたるまでが含まれる。上記した、G蛋白質及びG蛋白質結合受容体にお ける突然変異につ いての議論は、ここにも当てはまる。 例えば、Bar1遺伝子の場合、遺伝子のプロモーターを改変して、酵母菌フ ェロモン系経路の活性化に際するBar1の転写を促進することができる。Ba r1遺伝子転写は、酵母菌が交配因子と接触する際に活性化される。Bar1遺 伝子の配列は公知である(米国特許4,613,572参照)。その上更に、α因 子を用いたBar1発現の促進に必要な配列及び他のフェロモン応答遺伝子の配 列は同定されている(Appeltauer及びZchstetter、198 9.Eur.J.Biochem.181:243;Hagen他、1991. Mol.Cell.Biol.11:2952)。例証的な態様にあっては、酵 母菌Bar1プロモーターを遺伝子工学的に突然変異誘発することによって、酵 母菌フェロモン経路の刺激の際に、より応答性を高めること、例えばプロモータ ー遺伝子の転写をより促進することができる。プロモーターの突然変異誘発には 標準的な方法を用いることができる。この様な態様にあっては、Appelta ure他に記載の保存オリゴヌクレオチドモチーフが保存されているのが望まし い。 他の態様にあっては、酵母菌の内生Bar1プロモーターを、例えば相同組換 えによって、フェロモン刺激に際してBar1発現のレベルが上がるように遺伝 子工学的処理されたBar1プロモーターと置換することができる。 他の例証的な態様にあっては、内生遺伝子のプロモーター(又は他の転写制御 配列)を非相同プロモーター配列と「切り替え(switche dout)」することができ 、例えば指標内生遺伝子座においてキメラ遺伝子を形成することができる。繰り 返すが、相同組換えのような技術を用いることによって、指標遺伝子のゲノム座 において調節配列を改変できる。例えば、Bar1プロモーターを、Bar1座 において、fus1(又はfus2)遺伝子のプロモーターに置き換えることが できる。fus1プロモーターはBar1プロモーターよりもフェロモンによる 刺激に対して高い応答性を有し、従って、指標遺伝子のシグナル対雑音及びダイ ナミックレンジを増加させることができる。例えば、fus1及びfus2は、 他座のプロモーター(can1プロモーター等)と置換されている。これらの系 は、can1遺伝子の発現に際してカナバニンに感応するようになる。同様の方 法を用いて、fus1及びfus2プロモーターを、ura3プロモーターの代 わりにura3遺伝子の上流に挿入し、酵母菌フェロ モンシグナル経路の活性化に依存した方法でウラシル原栄養性を賦与することが できる。同様に、fus1及びfus2プロモーターを他の遺伝子の上流に挿入 して、発現を制御することができる。このような遺伝子の例としては、gal1 (gal10遺伝子の随伴欠損に基づく、デオキシガラクトース感応性又はガラ クトース感応性の賦与);β−D−グルカナーゼ(exg1:容易に検定される細 胞外酵素);キチナーゼ(cts1);アスパラギナーゼ(ast3:アスパラギン をアンモニア及びアスパラギン酸塩に加水分解する);インベルターゼ(suc2 );及び分泌酸性ホスファターゼ(pho3又はpho5)が挙げられる。 ある態様にあっては、例えば試験系のシグナル対雑音を向上させる、応答のレ ベルを特定の検出方法のレベルに適するように調節する等の目的で、シグナル経 路による内生指標遺伝子の転写活性レベルを増加させるのが好ましい。ある態様 にあっては、シグナル経路の転写活性化能は、細胞内シグナルカスケードに関与 する1個以上の蛋白質、特に経路に関与する酵素の過剰発現によって増幅するこ とができる。例えば、Junキナーゼ(JNKs)の発現を増やすことによって 、MEKK/JNKK経路におけるシグナルによる転写活性化のレベルを上げる ことができる。同様に、酵母菌フェロモン経路における1個以上のシグナルトラ ンスダクション蛋白質の過剰発現によって、Fus1、Fus2及び/又はBa r1発現のレベルを上げることができる。この方法を用いて、非相同レポーター 遺伝子(下記参照)の転写レベルを同様に上げることもできる。 酵素の活性化 更に他の態様にあっては、セカンドメッセンジャー産生又は転写における変性 を測定するのではなく、内生酵母菌蛋白質の活性を検定する。例えばある態様に あっては、受容体のシグナルトランスダクション経路は、発現をアップレギュレ ーションの状態にするか、さもなくば細胞に添加することのできる基質を改変す ることのできる酵素を活性化する。シグナルは、検出可能な基質を用いて基質シ グナルの損失をモニターすることで検出するか、或いは検出可能な産物を生産す る基質を用いることで検出することができる。ある態様にあっては、基質は天然 のものである。或いは、基質は天然のものでなくとも良い。 好ましい態様にあっては、基質ペプチドを切断する酵素はBAR1遺伝子の産 物で ある。この遺伝子の発現は、酵母菌フェロモン経路を刺激することによってアッ プレギュレーションの状態にされる。従って、フェロモンシグナル経路を利用し た検出用に作成された酵母菌は、適当な検出手段と接触する、すなわちBAR1 で切断して検出可能な断片(例えば検出可能に標識付けをした断片)を放出する ことのできる基質ペプチドと接触することができ、これによってBAR1活性の レベルが決定される。 試験化合物と受容体との相互作用により媒介される酵素活性の変化は、様々な 手段によって検出することができる。好ましい態様にあっては、基質の変換は、 実施例2に示すようにBAR1p活性を測定するのに用いられる半定量的プレー ト検定を用いて測定される。例証的な態様にあっては、内生BAR1欠損細胞(「 試験酵母菌株」と称する)は、適当な培地で育成することができる。一晩育成し た培地をα因子含有培地の上に注ぎ、数分間静置した後こぼして除去する。これ によって、融合した均質な試験細胞菌叢が得られる。プレート上の菌叢はBAR 1遺伝子を欠損しているので、α因子に対する感応性が非常に高く、α因子プレ ート上では成長が停止する。試験化合物にさらしたBar1誘導性酵母菌から得 た培養を用いて、Bar1欠損試験酵母菌叢を成長させる能力があるかどうかを 調べることができる。菌叢が成長した場合、培養にBAR1が存在することを意 味する。従って、Bar1誘導性酵母菌のフェロモン系は試験化合物との接触に よって変調されている。この検定を用いて、BAR1活性の2倍〜100倍濃度 の差を識別することができる。 より好ましい態様にあっては、酵素による基質の産物への転換は、試験細胞の 光学的性質における検出可能な変化、例えば基質及び/又は産物の色素又は蛍光 活性化等を引き起こす。例証的な態様にあっては、シグナルトランスダクション 経路によって蛋白質分解酵素の活性が変化し、その酵素が基質ペプチドを切断す る速度が変化する(あるいは単に基質に対する酵素が活性化される)。基質ペプチ ドは、蛍光供与ラジカル(例えば蛍光放射ラジカル)及び受容ラジカル(例えば 受容ラジカル及び蛍光供与ラジカルが電子対を共有するように近接する場合に、 蛍光供与ラジカルの蛍光エネルギーを吸収する芳香族ラジカル)を包含すること ができる[例えばUSSN5,527,681、5,506,115、5,42 9,766、5,424,186及び5,316,691;Capobianc o他、(1992)Anal Biochem204:96−102参照]。例 えば基質ペプチドは、ペプチド上のあるポジシ ョンに位置する、1−アミノ安息香酸(アントラニル酸又はABZ)又はアミノ メチルクマリン(AMC)といった蛍光供与基;ペプチドの遠位端に近く蛍光供 与基とは異なる場所に位置する、ルシファーイエロー、メチルレッド又はニトロ ベンゾ−2−オキソ−1,3−ジアゾール(NBD)といった蛍光消光基を有す る。活性化した酵素の切断部位は、供与基と受容基それぞれの間に位置する。蛍 光供与分子と消光分子とが空間的に十分近接している時(例えばペプチドが未処 理である時)、2分子間で移転される分子内共鳴エネルギーによって、供与分子 の蛍光が消滅する。しかしペプチドが切断される場合、消光分子が供与基から、 そして蛍光断片から分離される。従って、酵素を活性化した結果、検出用ペプチ ドが切断され、蛍光基が消光されなくなる。好ましい態様にあっては、BAR1 活性の検定に用いる基質は、例えば5−[(2−アミノエチル)アミノ]ナフタ レン−1−スルフォン酸(EDANS)といった蛍光供与体、及び例えば4−( 4−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)といった消光受容 体と複合される。好ましい態様にあっては、基質は、EDANSとDABCYL をそれぞれCOOH末端とNH2末端に有するBAR1p認識配列含有ペプチド からなる。他の態様にあっては、基質は、EDANS基とCOOH末端における 最初のアミノ酸(例えばTrp残基)との間に位置するGABA基を更に包含し てなる。DABCYL基に向かって分子内蛍光共鳴エネルギー移動(FRET) が起こるので、EDANS固有の蛍光はこの基質内で劇的に減少することが予想 される。FRETは100Aの距離を超えると重要ではなくなるので、EDAN Sの蛍光が基質切断の後に回復する(Matayoshi他、Science、 1990 247:954)。従って、蛋白質分解活性は蛍光強度の経時的増加 を記録することによって連続的にモニターすることができる。 あるいは、ベンザミジン、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基を基質のN 末端に、ローダミン基を基質のC末端に付加することができる。フリーローダミ ン又は一置換ローダミンは主として高度蛍光キノンとして存在する。しかし、二 置換ローダミンは実質的に非蛍光ラクトンとして存在する(McGrath他、 Virology、1996 217:131)。従って、二置換BAR1p基 質はごく僅かな蛍光しか有さない。基質上のペプチドはアミノペプチダーゼによ る切断から保護されている。BAR1pでペプチドを切断すると、ローダミン付 加ペプチド残基がアミノペプチ ダーゼによって切断されやすくなる。アミノペプチダーゼを用いてローダミンか らペプチドを除去した結果、高度蛍光一置換及びフリーローダミン分子が産生さ れる。 一つの態様にあっては、検定される基質は、天然に発生する酵母α因子である 。好ましい態様にあっては、基質は下記化合物を包含する。 DABCYL−Trp−Leu−Gln−Leu−Lys−Pro−Gly− Gln−Pro−Met−Tyr−EDANS(配列番号4) 更に他の態様にあっては、好ましい基質は下記化合物を包含する。 Cbz−Trp−Leu−Gln−Leu−Lys−Pro−Gly−Gln −Pro−Met−Tyr−NH2−ローダミン(配列番号5) 酵素原の活性化 追加の態様にあっては、酵素前駆体から活性酵素への活性化を検出することに よって、Bar1活性を測定することができる。酵素原は、特異で限定的な蛋白 質分解処理の際に活性化される酵素前駆体である。検定に用いる酵素原基質の作 成においては、Bar1感応性部位(例えばLeu−Lys配列を含む、酵母菌 α因子から得た約9〜10個のアミノ酸配列)を、標準的な遺伝子工学技術によ って、酵素原の前駆体領域(precursor pro-region)と完全な(活性化)蛋白質 配列との間に導入する。酵素原をBar1pで処理すると、酵素原から活性酵素 が放出される。この検出方法を用いて、酵素原から活性酵素に転化した量を測る ことによって(例えば活性酵素による切断に感応性を有する基質の切断を検出す ることによって)、化合物によってBar1を産生するように刺激された酵母菌 又は酵母菌上澄みを試験することができる。この様な検定に有用な酵素原の例と して、トリプシノゲン、プラスミノゲン、プロトロンビン、ペプシノゲン、フィ ブリノゲン及び酵母菌カルボキシペプチダーゼYが挙げられる。これらの酵素原 に由来する活性酵素の活性を検定する方法は当分野において公知である。 上記した系は細胞内酵素原処理にも適用することができる。例証的な態様にあ っては、分泌に必要な配列を遺伝子から除去することによって、Bar1蛋白質 分解酵素が細胞質中に発現され、その結果完全なBar1蛋白質が細胞内で発現 される。このように細胞内Bar1pを発現する細胞を遺伝子工学処理すると、 細胞内酵素原と、Bar1pに対して感応性を有する切断及び活性部位とを共に 発現するようになる。 Bar1p活性、すなわち酵素原の活性酵素への変換を検出するには、数種の 検定を用いることができる。例えば、細菌Lacα断片を、大きなペプチド又は 蛋白質に融合することができる。この融合によりLacαはLacω断片との相 補ができなくなる。(この相補に基づいて、Lacαベクターにおけるフレーム 挿入クローンの青−白識別がなされる。)しかし、Bar1感応性部位がLac α−ペプチド融合部位に近接して含まれる場合には、Bar1pによる処理を行 うとLacα−ω相補が可能になった機能的Lacα−ペプチドが放出される。 従って、Bar1活性は細胞の色の変化として読み出すことができる。βガラク トシダーゼ酵素活性は一般的に用いられている数多くの方法によって検出及び測 定することができるが、もっとも好ましい方法は、X−gal基質処理に際する 、インディゴ染料形成に基づく色素産生検定である。他の態様にあっては、この 系を上記の酵素原の態様に組み込んで、βガラクトシダーゼ及び酵素原両方の読 み出しに用いることができる。 基質の安定性 酵素活性変調の検出に基づく検定の更に他の態様にあっては、酵素基質を改変 することによって、酵素による切断の結果基質が不安定になっても良い(この態 様については実施例5において更に述べる)。例えば、N末端にLysを有する 蛋白質は、酵母菌において不安定である(Bachmair及びVarshav sky.1989.Cell.56:1019)。従って、切断するとN末端に Lysを露出する酵素基質を、容易に検定される検出蛋白質に融合することがで きる。例えば、BAR1基質、α因子は、検出可能遺伝子、例えばlacZ遺伝 子に融合することができる。好ましい態様にあっては、内生BAR1遺伝子を改 変し、分泌シグナル(BAR1のN末端及びC末端に存在する)を除去し、BA R1と細胞質基質との相互作用を促進するようにするのが望ましい。ある態様に あっては、検出蛋白質は必須蛋白質であり、従ってBAR1発現又は活性の負の 選択性を提供することができる。他の態様にあっては、リプレッサー蛋白質は検 出蛋白質として用いることができ、よって正の読み出しを提供することができる 。 内生遺伝子をフェロモン応答性にする、キメラ構造体の使用 更に他の態様にあっては、実施例6に述べるように、キメラ構造体を用いて、 通常はフェロモン応答性を有しない内生酵母菌遺伝子にフェロモン応答性を賦与 すること ができる。この様な構造体は例えばSte12p転写因子等の、フェロモン誘導 性転写因子をコードする遺伝子部分を包含する。例えば、フェロモンシグナルの 存在下で、Ste12pは、配列の判明したDNA結合領域を含有するプロモー ターを有する遺伝子に対する、強力な転写賦活体(フェロモン応答因子又はPR E)となる。キメラ構造体は更に、フェロモン応答性を賦与される内生遺伝子の プロモーターのDNA配列に結合するDNA結合領域をコードする、第二の部分 を包含する。第二の部分が由来する遺伝子は、所望の読み出しに基づいて選択さ れる。例えば、(遺伝子Aの産物を検定するのは容易であるので)遺伝子Aを読 み出しに用いた検定を構築する場合には、キメラ構造体の第二の部分は、遺伝子 Aのプロモーターに結合して遺伝子Aの検定にかかる発現を誘導する、DNA結 合領域をコードする。例えば、好ましい態様にあっては、構造体の第二の部分は 、DNA結合領域Pho4pをコードする。野生型Pho4pは分泌型アルカリ ホスファターゼ遺伝子PHO5のプロモーターに結合し活性化する。キメラ構造 体の発現に際しては、フェロモン応答経路を通じたシグナリングがキメラ構造体 によってコードされるPho4−Ste12融合蛋白質を活性化し、ついでこの Pho4−Ste12融合蛋白質がPho5プロモーターのPho4結合部位に 結合し、PHO5遺伝子の発現を誘導する。 キメラ構造体を用いた検定においては、試験化合物によって受容体を変調した 結果、通常はフェロモン応答性を持たない遺伝子の転写に変化がもたらされる。 好ましい態様にあっては、遺伝子は容易に検出できる。例えば、好ましい態様に あっては、検定を用いて分泌酸性ホスファターゼPho5を測定することができ る。酸性ホスファターゼ活性は標準的方法によって測定することができる。例え ば、Toh−e他(J.Bacteriol、1973)のオーバーレイ検定を 用いることができる。例えば、適当な媒体上に細胞を植え、一晩培養する。各プ レートについて、2mlの溶融1%アガロース(50mM NaAc中、pH4 .0)、700μlのH2O及び300μlのα−ナフチル酸性リン酸(50mg /ml)の混合物を調製し、プレートに注ぐ。次いで、1mlのD−ジアニシジ ンファストブルー塩B(50mg/ml、50mM NaAc中、pH4.0) をプレートに注ぐ。発色の度合いによって、細胞コロニーが産生した酸性ホスフ ァターゼレベルを測定する。この様な発色は、試験化合物による受容体変調の指 標となる。 ある態様にあっては、この様なキメラ構造体は、核局在化配列を更に包含する 。 上記したように、好ましい態様にあっては、構造体のDNA結合領域(すなわ ち、構造体の第二の部分にコードされる部分)はPHO4DNA結合領域を形成 する。PHO4DNA結合領域の配列は、当分野において公知である。構造体は 天然のPHO4遺伝子部分を包含することが出来、あるいは天然のPHO4遺伝 子に由来する部分を包含することができるが、例えば突然変異によって変性され ている。好ましい態様にあっては、第二の遺伝子部分はPHO4DNA結合領域 のアミノ酸227−312をコードする。 他の好ましい態様にあっては、フェロモン誘導性転写因子(すなわち、構造体 の第一の遺伝子部分によってコードされる)はSte12遺伝子に由来する。S te12断片の個数に関わらず、構造体に用いることができる。Ste12の配 列は公知である。Ste12部分を選択し、キメラ構造体に組み込む際に、当業 者が参照できるSte12の配列に関する情報源はいくつも存在する。例えば、 Ste12上の、Gal4DNA結合部位と、それとは異なる部位との間での融 合がされている(Song他、Genes&Development、1991) 。更に、Ste12の欠損及び挿入変異体が構築されており、ste12Δ株と の相補性及び転写活性の回復能について試験されている(Kirkman−Co rreia他、Mol Cell Biol、1993)。この様な実験によっ て、構造体に導入することができ且つ突然変異しやすいSte12の部分につい ての指標が提供されている。 本発明のキメラ構造体は天然のDNA配列に由来する部分を包含することがで き、あるいは構造体は、天然の遺伝子と相同性を有しかつ(例えば突然変異によ って)変性した部分を包含することができる。この目的を果たすためには、当分 野において公知の又はここで述べた、突然変異体を作成する標準的方法を用いる ことができる。 例えば、好ましい態様にあっては、構造体内に組み込まれた第一の遺伝子部分 は、天然のSte12のアミノ酸1−473をコードするヌクレオチド配列を包 含する。他の態様にあっては、構造体は天然のSte12のアミノ酸214−4 73をコードするヌクレオチド配列を包含する。更に他の態様にあっては、構造 体は天然のSte12のアミノ酸214−688をコードするヌクレオチド配列 を包含する。更に他の態様にあっては、構造体は天然のSte12のアミノ酸1 −688をコードするヌク レオチド配列を包含する。 更に他の態様にあっては、Ste12遺伝子に由来する構造体の部分は、突然 変異体を包含する。例えばある態様にあっては、そのような突然変異体は、1個 以上のアミノ酸が(例えばSte12のアミノ酸85及び86の間にLys−L euが)挿入されて得られる。他の態様にあっては、そのような突然変異体は、 アミノ酸103及び104の間にSer−Leuが挿入されて得られる。更に他 の態様にあっては、1個以上のアミノ酸(例えばアミノ酸253−305、57 2−669又は588−669)を欠損する。 好ましい態様にあっては、構造体に存在する遺伝子に相当する内生酵母菌遺伝 子を分断する。例えば、好ましい態様にあっては、Ste12−PHO4構造体 を生じる酵母菌を遺伝子工学処理することによって、宿主酵母菌のPHO4遺伝 子を分断する。他の態様にあっては、分泌酸性ホスファターゼをさらにコードす るPHO3遺伝子を分断する。このPHO3は、高濃度リン酸条件下においては 促進され、チアミン欠損により更に増加する。 非相同読み出し:レポーター遺伝子構造体 更に他の態様にあっては、非相同遺伝子構造体を用いて受容体の変調を検出す ることができる。細胞内シグナルトランスダクションに応答する転写制御配列を 選択し、選択したプロモーターをレポーター遺伝子に操作可能に連結する(その 転写又は翻訳は容易に検出及び測定ができる)ことによって、転写に基づいた検 定では、細胞内トランスダクションを変調するような方法で特異な受容体と試験 化合物とが相互作用するかどうかが迅速に示される。従って、レポーター遺伝子 の発現は、そのような受容体のアゴニスト又はアンタゴニストとしての化合物を スクリーンする、有効な道具として使用できる。 本発明のレポーター遺伝子に基づく検定は、上記したカスケードの最終段階、 例えば転写変調を測定する。従って、検定の一態様の実施にあたって、受容体シ グナリングに依存する検出シグナルを発生するために、レポーター遺伝子構造体 を試薬細胞に挿入する。通常、レポーター遺伝子構造体は、1個以上の転写制御 因子と操作可能に結合したレポーター遺伝子を含有する。この転写制御因子は、 受容体依存検出シグナルを発するレポーター遺伝子の発現レベルで、標的受容体 のシグナルトランスダクシ ョン活性に応答する。いずれの態様においても、指標遺伝子からの転写量は、当 分野で公知の方法のうち適当なものを用いて測定することができる。 好ましい態様にあっては、レポーター遺伝子の産物は、その産物に固有の活性 によって検出することができる。例えば、指標遺伝子は、色、蛍光、発光などに 基づいた検出シグナルを、酵素活性によって生み出す遺伝子産物をコードしうる 。 次いで、レポーター遺伝子からの発現量が、試験化合物の非存在下で同じ細胞 内における発現量と比較されるか、或いは特異な受容体を欠損する実質的に同一 の細胞における転写量と比較される。対照細胞は、試験細胞を準備したのと同じ 細胞であり且つ化合物では処理をしていない細胞に由来しても良い。或いは、対 照細胞は、目的の受容体を持たない細胞であっても良い。転写量に起きた変化は どのようなもの(例えば統計的に有意な変化)であれ、試験化合物がある方法で 特異な受容体又はイオンチャネルの活性を変えたことを示す。 他の好ましい態様にあっては、レポーター遺伝子は選択的方法を提供し、そこ では受容体又はイオンチャネルの1個以上のシグナル経路が活性化(又は不活化 )された結果、処理した細胞に成長上の利点が与えられる。例えば、指標遺伝子 の発現は、細胞の生存能力を向上させ、細胞の必須栄養条件を軽減し、及び/又 は薬品に対する耐性を賦与しうる。 多くの例証的なレポーター遺伝子及び転写制御因子が当分野において公知であ り、その他の遺伝子・因子も当分野において公知の方法によって同定又は合成す ることができる。そのようなレポーター遺伝子の例として、CAT(クロラムフ ェニコールアセチル移転酵素)[Alton及びVapnek(1979)Na ture282:864−869]ルシフェラーゼ;及び、β−ガラクトシダー ゼ、ホタルルシフェラーゼ[deWet他、(1987)、Mol.Cell.B iol.7:725−737]、細菌ルシフェラーゼ[Engebrecht及び Silverman(1984)、PNAS1:4154−4158、Baldw in他、(1984)、Biochemistry23:3663−3667]、 アルカリホスファターゼ[Toh他、(1989)Eur.J.Biochem .182:231−238、Hall他、(1983)J.Mol.Appl. Gen.2:101]、ヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼ[Cullen及び Malim(1992)Methods in Enzymol.216:362−368]、β−ラクタマーゼ及びGST等の 他の酵素検出系が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 レポーター遺伝子構造体に用いる、あるいは標的遺伝子のゲノム座の改変に用 いる転写制御因子の例として、プロモーター、エンハンサー並びにリプレッサー 及び活性化体結合部位が挙げられるが、これらに限定されるものではない。細胞 表面蛋白質と細胞表面蛋白質の活性を変調するエフェクター蛋白質とが接触して から急速に(一般に数分で)発現が誘導される遺伝子があるが、適当な転写制御 因子は、この遺伝子の転写制御領域に由来するものであっても良い。この様な遺 伝子の例として、c−fosなどの前初期(immediate early)遺伝子[She ng他、(1990)Neuron4:477−485]が挙げられるが、これ に限定されるものではない。前初期遺伝子は、配位子が細胞表面蛋白質に結合し た際に急速に誘導される遺伝子である。遺伝子構造体に用いるのに好ましい転写 制御因子の例としては、前初期遺伝子に由来する転写制御因子;前初期遺伝子の 幾つか又は全ての特徴を有する他の遺伝子に由来する因子;及び操作可能に組み 込んだ遺伝子に上記した特徴を発現させるように構築した合成因子が挙けられる 。転写制御因子が由来する遺伝子の好ましい特徴の例としては、休止細胞におい ては発現が低い又は検出できないレベルであること;細胞外刺激を受けてから数 分後に急速に転写レベルでの誘導が起こること;誘導は一時的なものであり新た な蛋白質合成とは独立していること;転写の終了には新たな蛋白質合成が必要で あること;及びこれらの遺伝子から転写されたmRNAは短い半減期を有するこ と、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの特性全て が存在する必要はない。 上記したものに加え、プロモーター及び転写制御因子の例としては、他に血管 作用性腸ペプチド(VIP)遺伝子プロモーター[cAMP応答性;Finkほ か(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.85:6662−66 66]、ソマトスタチン遺伝子プロモーター[cAMP応答性;Montminy 他、(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.8.3:6682− 6686]、プロエンケファリン(proenkephalin)プロモーター[cAMP、ニ コチン様アンタゴニスト及びホルボールエステル応答性;Comb他、(198 6)Nature323:353−356]、ホスホエノールピルビン酸カルボ キシル化酵素遺伝子プロモーター [cAMP応答性;Short他、(1986)J.Biol.Chem.26 1:9721−9726]、NGFI−A遺伝子プロモーター[NGF、cAMP 及び血清応答性;Changelian他、(1989)Proc.Natl. Acad.Sci.86:377−381]、及び公知のプロモーター、当業者 に調製できるプロモーターが挙げられる。 環状AMPを変調する受容体の場合、環状AMP応答因子結合蛋白質(CRE B)を用いて、転写に基づく読み出しを構築することができる。CREBは特定 のセリン(S133)におけるリン酸化によって活性が調節される転写因子であ る。このセリン残基がリン酸化されると、CREBは、cAMPレベルが上がる と応答することが知られるプロモーターの[5’末端にあるCRE(cAMP応 答性因子)として知られる認識配列に結合する。リン酸化CREBがCREに結 合すると、このプロモーターからの転写が増加する。 CREBのリン酸化は、cAMPレベルの増加及び細胞内Caレベルの増加の 両方に応じて起こる。cAMPのレベルが上がるとPKAが活性化され、これに よってCREBがリン酸化され、リン酸化されたCREBがCREに結合して転 写が活性化される。細胞内カルシウムのレベルが上がるとカルシウム/カルモジ ュリン応答性キナーゼII(CaMキナーゼII)が活性化される。CaMキナ ーゼIIによるCREBのリン酸化は、PKAによるCREBのリン酸化と同様 に効果的であり、結果としてCRE含有プロモーターの転写が活性化される。 転写に基づく読み出しは、1個以上のCREを含有する基底(basal)プロモ ーターによって発現が誘導されるレポーター遺伝子を有する細胞内に構築するこ とができる。(配位子と結合して受容体の活性が変化した結果、)細胞内Ca+ +の濃度が変化すると、下記条件を満たす時、レポーター遺伝子の発現レベルが 変化する。(a)細胞内にCREBが共存し、かつ(b)カルシウムの増加に応 答して内生又は非相同いずれかのCaMキナーゼがCREBをリン酸化する;或 いは、外的に発現したCaMキナーゼIIが同じ細胞内に存在する。すなわち、 PLC活性を刺激すると、CREBがリン酸化されCRE構造体からの転写が増 加する。一方、PLC活性を阻害すると、CRE応答性構造体からの転写は減少 する。 Bonni他[(1993)Science262:1575−1579]に 記載 されているように、SK−N−MC細胞をCNTF処理するとSTAT/p91 及びSTAT関連蛋白質と特異なDNA配列との相互作用が促進されるという観 察結果は、これらの蛋白質が、CNTFによって誘導される遺伝子発現の変化を 制御する物質であることを示唆している。STAT/p91結合に必要なコンセ ンサスDNA配列に類似のDNA配列要素が、CNTF(例えばヒトc−fos 、マウスc−fos、マウスtis11、ラットjunB、ラットSOD−1及 びCNTF等)により誘導されると分かっている多くの遺伝子の上流に存在する という見地は、上記の示唆と一致する。こうした文献では、STAT/p91結 合部位が、CNTF非応答性レポーター遺伝子に応答性を付与する能力を有して いることを立証している。従って、本発明において(例えばサイトカイン受容体 に由来する)STAT蛋白質を通じたシグナルトランスダクションの検出に用い るレポーター構造体は、細菌クロラムフェニコルアセチル基移転酵素遺伝子(− 71fosCAT)又は他の検出可能なレポーター遺伝子と融合したマウスc− fos遺伝子の−71〜+109を用いて作成することができる。サイトカイン 受容体の誘導によって、STAT及びSTAT関連蛋白質のチロシンリン酸化が 誘導され、ついでこれらの蛋白質はSTAT−REに移動・結合する。その結果 、このDNA要素をプロモーター内に含有する遺伝子の転写が活性化される。 好ましい態様にあっては、レポーター遺伝子は、発現した結果、スクリーン可 能又は選択可能な表現形の変化を引き起こす遺伝子である。変化が選択可能であ る場合、表現形の違いによって、レポーター遺伝子を有する細胞とそうでない細 胞との間に成長率又は生存率における差が生じる。変化がスクリーン可能である 場合、表現形の違いによって細胞に検出可能な特徴の違いが生じ、レポーターを 有する細胞とそうでない細胞を識別できる。細胞培養から、受容体エフェクター である試験ポリペプチドを発現する細胞を増幅する手段を提供できるという点に おいて、スクリーニングよりも選択が好ましい。 レポーター遺伝子は、その発現が受容体の活性化に依存するように、受容体シ グナリング経路に組み合わされる。この組み合わせは、レポーター遺伝子を受容 体応答性プロモーターに操作可能に連結することによって達成することができる 。ここでいう「受容体応答性プロモーター」という語は、受容体のシグナルトラ ンスダクション経 路の産物によって制御されるプロモーターのことを言う。 あるいはプロモーターは、受容体経路によって抑制され、よって細胞に有害な 産物の発現を防ぐものであっても良い。受容体抑制プロモーターを用いると、プ ロモーターを有害な遺伝子に連結することによってアゴニストについてスクリー ンすることができ、プロモーターを有益な遺伝子に連結することによってアンタ ゴニストについてスクリーンすることができる。抑制は、(コード領域・フラン キング領域に関わらず)レポーター遺伝子によってコードされるmRNAの少な くとも一部分のアンチセンスであるmRNAをコードする遺伝子に、受容体誘導 性プロモーターを操作可能に連結し、mRNAの翻訳が阻害されるようにするこ とによって達成される。あるいは抑制は、DNA結合抑制蛋白質をコードする遺 伝子に、受容体誘導性プロモーターを連結し、適当なオペレーター部位を、レポ ーター遺伝子のプロモーター又は他に適した領域に挿入することによっても達成 される。 酵母菌の場合、正の選択性(有益な)遺伝子の適当な例として、URA3、L YS2、HIS3、LEU2、TRP1;ADE1、2、3、4、5、7、8; ARG1、3、4、5、6、8;HIS1、4、5;ILV1、2、5;THR 1、4;TRP2、3、4、5;LEU1、4;MET2、3、4、8、9、1 4、16、19;URA1、2、4、5、10;HOM3、6;ASP3;CH O1;ARO2、7;CYS3;OLE1;INO1、2、4;PRO1、3が 挙げられる。数多くの他の遺伝子を選択性マーカーに用いることができる。上記 したものは、詳細が公知である生合成経路に関与している。非常に感応性が高く 、広い発現レベル範囲で選択できるので、イミダゾールグリセロールリン酸脱水 酵素(IGP脱水酵素)遺伝子(HIS3)が好ましい。もっとも単純な検定に おいては、細胞は不活性時にヒスチジン要求体である(成長にヒスチジンを必要 とする)。活性化によって酵素が合成され、細胞はヒスチジンに対し原栄養体と なる(ヒスチジンを必要としなくなる)。従って選択は、ヒスチジンの非存在下に おける成長についてなされる。ヒスチジンに対する原栄養体は細胞1個あたり数 個のIGP脱水酵素分子しか必要としないので、検定の感応性は非常に高い。 より複雑な検定においては、IGP脱水酵素の活性を阻害する薬であるアミノ トリアゾール(AT)に対する耐性について細胞を選択する。HIS3の発現レ ベルが低 くて一定した細胞は、阻害薬に対する感応性を有するが、発現レベルが高い細胞 は耐性を有する。ATの量は、HIS3発現の基底レベル(それがどの程度のも のであれ)にある細胞を阻害するが、誘導された発現レベルにある細胞の成長を 可能にするように選択される。この場合、ヒスチジンの非存在下且つ適当なレベ ルのATの存在下における成長について選択がなされる。 適当な検定にあっては、いわゆる反選択性又は負の選択性遺伝子を用いること ができる。適当な遺伝子の例としては、URA3(オロチジン−5’−リン酸デ カルボキシラーゼ;5−フルオロオロチン酸における成長を阻害する)、LYS 2(2−アミノアジパート還元酵素;唯一の窒素源としてのα−アミノアジパー トにおける成長を阻害する)、CYH2(リボソーム蛋白質L29をコードする; シクロヘキシミド感応性対立遺伝子が耐性対立遺伝子より優勢である)、CAN 1(アルギニン透過酵素をコードする;零対立遺伝子はアルギニン類似体カナバ ニンに対する耐性を賦与する);及び他の劣性薬剤耐性マーカーが挙げられる。 一つの例にあっては、レポーター遺伝子は酵母菌の成長に影響を与える。酵母 菌フェロモン系応答経路を通じたシグナルトランスダクションに対する天然の応 答は、成長の停止した細胞についてなされる。これは経路を誘導する配位子/受 容体対に対するアンタゴニストを選択する好ましい方法である。自己分泌ペプチ ドアゴニストは経路の活性化を阻害しうる。従って、細胞が成長可能となる。よ って、FAR1遺伝子は内生の反選択性マーカーであるとみなすことができる。 FAR1遺伝子は好ましくはアゴニスト活性がスクリーンされる時に不活化され る。 レポーター遺伝子はまた、スクリーン可能な遺伝子であっても良い。スクリー ンする特徴は細胞の形態、代謝又は他のスクリーン可能な特性に応じて変えても よい。適当なマーカーの例としては、β−ガラクトシダーゼ[Xgal、C12F DG、Salmon−gal、Magenta−gal(最後の二つはBios ynth Ag製)]、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダー ゼ、エキソグルカン消化酵素(酵母菌exbl遺伝子産物;アミノ酸非必須、分 泌)、ルシフェラーゼ、細菌緑色蛍光蛋白質、(ヒト胎盤)分泌アルカリホスフ ァターゼ(SEAP)、及びクロラムフェニコル移転酵素(CAT)が挙げられる 。これらのうち幾つかを遺伝子工学的処理して、分泌させることができる(但し β−ガラクトシダーゼを除く)。スク リーン可能なレポーター遺伝子の好ましいものとしては、β−ガラクトシダーゼ が挙げられ、酵素を発現する酵母菌によって無色の基質Xgalは青い色素に変 換される。繰り返すが、プロモーターは受容体により誘導されるものであっても 、受容体によって阻害されるものであっても良い。 ある検定にあっては、スクリーニング工程中に、成長の変化を利用するのが望 ましい。例えば、野生株酵母菌のフェロモンシグナル経路を活性化した結果、成 長が停止する。G蛋白質に結合した受容体のアンタゴニストについて試験する場 合に、この通常応答である成長停止を用いて、フェロモン応答回路が阻害されて いる細胞を選択することができる。すなわち、試験化合物に接触した細胞は、そ の化合物がアゴニストである場合には成長を停止し、その化合物が中性又はアン タゴニストである場合には正常に成長する。従って、アゴニスト又はアンタゴニ ストとして機能する化合物を発見するのに、成長停止応答を有利に用いることが できる。その上更に、成長停止は、有糸分裂中の細胞に毒性を有する作用体の存 在下にあって、有利な選択性を提供する。例えば、成長停止期において、細胞毒 性作用体を培養に添加する。これによって細胞周期を進める細胞(成長が停止し ていない細胞)は死滅する。添加後しばらくした時点で、細胞毒性作用体を培養 から洗浄除去し、生存細胞の培養を続ける。試験化合物によって成長停止されて いた細胞は、生存細胞群内で増殖する。 しかし、ある態様(特に自己分泌ペプチドライブラリーが用いられている態様 )にあっては、アゴニストに結合した細胞が成長を停止する一方でペプチドに結 合しそこなった周辺の細胞が成長しつづけるので、フェロモン応答経路を活性化 した結果に起こる成長停止は望ましくない。目的の細胞は過剰成長してしまうか 、その検出はバックグラウンド細胞によって不明瞭になってしまい、目的の化合 物の同定がうまくいかなくなってしまう。この問題を克服するために、本発明は 、下記を実現する細胞処理を教示する。(1)外生シグナル経路を活性化しても (例えばFAR1遺伝子を不活化しても)成長停止は起こらない;及び/又は( 2)経路を活性化することによって(例えばフェロモン応答性プロモーターの制 御下にHIS3遺伝子を用いて栄養要求突然変異体を形質転換し、選択的条件を 用いることによって)選択的成長の利点が賦与される。 外生受容体が連続的にペプチドに接触するのが望ましい。しかし好ましくない こと に、これによってフェロモン回路が刺激に対して不感応化されてしまう。例えば 、フェロモンの分解や、SST2、STE50、AFR1[Konopka、J .B.(1993)Mol.Cell.Biol.13:6876−6888] 及びSGV1、MSG5及びSIG1遺伝子の産物による受容体、G蛋白質及び /又はフェロモンシグナルトランスダクションの下流因子の機能の変化を含む幾 つかのメカニズムによって、交配シグナルトランスダクション経路は不活化され ることが知られている。これらの遺伝子における選択的突然変異は、フェロモン に対する過剰感作と、フェロモンの存在に適応する能力の欠損につながる。例え ば、非相同G蛋白質に結合した受容体を発現する株の機能に干渉する突然変異体 を導入することによって、野生株を有意に向上させ、受容体に相互作用する化合 物の生物検定を、極度に感応性の高いものにすることができる。その他の遺伝子 の突然変異体、例えばSTE50、sgv1、Bar1、ste2、ste3、 pik1、msg5、sig1及びaft1等の突然変異体も、生物検定の感応 性を高める効果を同様に有する。従って、SST2遺伝子の突然変異(欠失を含 む)を作成して機能蛋白質を産生させないようにすることによって、或いは上記 したその他の遺伝子の突然変異体を作成して、不感応化を防ぐことができる。 試験化合物が受容体の活性化を誘導しそこなった場合には、検定を繰り返し、 以下の段階を導入して改変する。代理細胞をまず標的受容体/チャネルの公知の 活性物に接触させ、シグナルトランスダクションを誘導する。そして試験化合物 を、活性化された受容体/チャネルを阻害する能力(例えばアンタゴニストを同 定する能力)について検定する。更に他の態様にあっては、一連の化合物を、受 容体の公知の活性物に対して応答性を賦与する作用体についてスクリーンするこ とができる。 XII 酵母菌株における遺伝子マーカー ヒスチジン要求体の酵母菌株(HIS3)が公知である[Struhl及びH ill(1987)Mol.Cell.Biol.7:104;Fasullo 及びDavis、Mol.Cell.Biol.(1988)8:4370参照 ]。HIS3(イミダゾールグリセロールリン酸脱水酵素)遺伝子は酵母菌の選 択マーカーとして用いられている[Sikorski及びHeiter(198 9)Genetics、122:19:Struhl他、P.N.A.S.(1 979)76:1035参照 。FUS1−HIS3融合体については、Stevenson他、(1992) Genes Dev.6:1293参照]。 XIII 同定された作用体の薬剤調製 ある試験化合物を検定して、例えば代理配位子や受容体アンタゴニストである と同定したあとは、選択した化合物の効力及び特異性を、生体外及び生体内の両 方で、継続して試験することもできる。生体内で継続して行う試験にしろ、是認 された薬物として動物に投与するにしろ、検定で同定された作用体は動物、好ま しくはヒトへの生体内投与用に薬剤として処方することができる。 検定で選択した化合物、又は薬学的に許容できるその塩類は、したがって生物 学的に許容できる媒体[例えば水、緩衝食塩水、ポリオール(グリセロール、プ ロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)又はそれらの混合物で 好ましいもの]と共に投与するように処方することができる。選択された媒体中 での有効成分の最適な濃度は、医療化学の分野において公知の手順を用いて経験 的に決定することができる。ここで言う「生物学的に許容できる媒体」は、薬剤 を投与するのに望ましい経路に適した、あらゆる溶媒、分散媒体等を含む。薬学 的に活性な基質に対してそのような媒体を用いることは、公知である。本発明に おける化合物の活性と両立しない場合を除いては、従来のあらゆる媒体又は作用 体を、本発明の薬剤と組み合わせることが考えられる。好ましい媒体と他の蛋白 質を含むその調合については、例えばRemington’s Pharmac eutical Sciences(Remington’s Pharmac eutical Sciences.Mack Publishing Com pany、Easton、Pa、USA1985)に記載がある。これらの媒体 は、注射可能な「沈積処方(deposit formulation)」を含む。上記に基づくと、 そのような薬剤処方は、1以上の薬学的に許容できる媒体又は希釈液、並びに好 適なpHを持ち生理的液体と等張に調製された緩衝媒体中に含まれる、化合物の 溶液又は凍結乾燥粉末を含むが、これらに限定されるものではない。好ましい態 様にあっては、化合物は、局所及び/又は全身投与用の滅菌調製物として処理す ることができる。凍結乾燥調製物の場合は、マンニトールやグリシンといった支 持賦形剤を用いてもよいし、望ましい量の適当な緩衝溶液を用いて望ましいpH の好適な等張緩衝溶液を得てもよい。同様の溶液を用いて、望ましい量の等張溶 液中に化合物の 薬学的組成物を調製しても良い。例えば、リン酸塩又はクエン酸塩を好適な濃度 で含む緩衝生理食塩水を用いて、望ましいpH(例えば中性)で常に等張の薬学 的調製物を得られるようにしても良いが、これに限定されるものではない。 [実施例] ここで、一般的に記載している本発明は、下記の実施例の参照によって、より 容易に理解されると思われるが、それらは、本発明の一定の様相および実施態様 の例示の目的でのみ含まれ、本発明を限定しようとするものではない。本明細書 に開示されたすべての特許、公開特許出願その他の参考文献は、ここに、引用に よって明示的に組み込まれる。実施例1:Bar1プロテアーゼ活性に関する検定の開発 本実施例は、サッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)におけるフェロ モン−応答経路の誘導についての読出しとしてBar1を用いるのを容易にする検定 の開発を説明する。サッカロミセス・セレビシエのBAR1遺伝子は、酵母のα因子 というペプチドフェロモンを認識かつ切断するプロテアーゼをコードしている。 Bar1pは、成熟した13アミノ酸のα因子ペプチドを第6および7残基の間(Leu− Lys)で切断して、フェロモンを不活性にする。Bar1pは、それを読出し系として おそらくは役立たせる、三つの特徴を有する:(1)BAR1遺伝子は、フェロモン −応答経路からシグナルを送ることによって誘導され、(2)Bar1pは、分泌さ れ、(3)Bar1pは、触媒性酵素であって、シグナル増幅を可能にする["The Mol ecular and Cellular Biology of the Yeast Saccharomyces",Vol.2(1992)でSpr agueおよびThornerが総説]。 菌株の構築 Bar1p活性に関する検定の開発を容易にするために、BAR1遺伝子を2種類の酵 母発現プラスミドにクローニングした。一方は、遺伝子がそれ自身のプロモータ ーの制御下にある低コピー数ベクターであり、他方は、遺伝子がサッカロミセス ・セレビシエの強力な構成的PGKプロモーターによって駆動される高コピー数ベ クターである。両プラスミドとも、酵母の選別を維持するサッカロミセス・セレ ビシエLEU2遺伝子を含む。プライマー:すなわち および を用いて、塩基、すなわち酵母のゲノムDNAからのBAR1遺伝子の第480〜 1,760番を増幅した。増幅生成物は、その5’末端にXhoI部位を、その3’末端 にBamHI部位を有し、完全なBar1読取り枠はもとより、BAR1の発現に影響するこ とが公知のプロモーター要素のすべてを含む[Kronstad et al.Cell,1987]。この 生成物をXhoIおよびBamHIで消化し、XhoIおよびBamHIで消化しておいた酵母の発 現ベクター(pRS415、本明細書ではCadus 1014と呼ぶ;例えばSikorski and Hie ter,1989,Genetics,122:19を参照されたい)にサブクローニングした。得られた プラスミドをCadus 3974と名付けた。 PGK-BAR1現プラスミドを生成するために、プライマー#2およびプライマー を用いて、上記のPCR生成物からBAR1読取り枠のみをコードする配列を増幅し た。この生成物は、その5’末端にBsmBI部位(BsmBIによる消化は、NcoI適格オ ーバーハングを生じる)を、その3’末端にBamHI部位を有する。この生成物をB smBIおよびBamHIで消化し、NcoIおよびBamHIで消化しておいたCadus 1651にサブ クローニングした。得られたプラスミドをCadus 3975と名付けた。 Cadus 1014、3974、1651およびを3975を、それ自身のBAR1遺伝子のコピーを欠 く酵母の菌株であるCadus 579(MATα Bar1::hisG::URA3trp1 leu2ura3 his 3 FUS1:HIS3 ste14::TRP1)に導入した。 Bar1の平板検定 半定量的平板検定を用いて、Bar1p活性を測定した。いかなる入手源からのBar 1pもこの検定に用い得るが、本実験では、CY11362(Cadus 397を含むCadus 57 9)によって生成したBar1pを用いた。CY11362細胞は、飽和するまでSDLE U培地で終夜増殖させた。濾過によって、細胞を培養体から除去した。調整培地 でのBar1pの活性を、2μlをBar1検定プレートにスポットすることによって測 定した(下記に記載)。検定の感度を決定するために、調整培地の二倍系統希釈物 8個を作成し、各希釈物5μlを検定プレートに塗布した。 検定プレートは、下記のとおりに調製した。CY579細胞を、YEPD培地で 終夜増殖させた。この終夜培養体を、OD6000.1まで希釈し、(OD6000. 4 まで)数時間増殖させた。次いで、細胞を、H2O中でOD6000.1まで希釈し 、5mlをYEPD+α因子のプレート(使用直前にα因子1μgをYEPDプ レートの表面に均等に展開した)に注ぎ、数分間放置し、傾瀉した。この結果、 YEPD+α因子のプレート上での細胞の密集した、均等な菌叢の形成を生じた 。次いで、調整培地を検定プレートに塗布し、プレートを30℃で1〜2日間温 置した。 CY579は、BAR1遺伝子に欠けるため、その増殖をYEPD+α因子プレート 上で停止させるα因子に超感受性である。菌叢に塗布した調整培地がBar1p活性 を有するならば、その領域のα因子は、破壊されて、CY579細胞の増殖を許す 。 この検定を用いて、100倍の濃度範囲にわたるBar1活性の2倍の差を識別す ることができる。こうして、この検定は、内在性BAR1遺伝子のみを発現する細胞 でのフェロモン応答経路の活性化を査定するのに役立つ。本実施例に記載したC Y11362調整培地の一連の系統希釈物を用いて、標準曲線を作成し、こうしてBar 1p活性に関する半定量的検定を与える。このためには、CY11362調整培地の大 量のプールを調製し、その後の実験に用いるために、アリコートを凍結させた。 Bar1の蛍光性基質 2種類の新規な蛍光基質を工夫して、高処理量スクリーニングができる液体検 定で、Bar1pプロテアーゼの活性を追跡した。これらの基質は、それぞれ、Bar1p ペプチド認識配列を含み、Bar1による切断が顕著な蛍光シグナルを生じるように 工夫されている。第一の基質である は、HIV−1プロテアーゼの基質に基づく[Matayoshi et al.,Science,1990] 。この基質は、蛍光性供与体の5−[(2−アミノエチル)アミノ]ナフタレン− 1−スルホン酸(EDANS)、および消光性受容体の4−(4−ジメチルアミノ フェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)が、それぞれCOOHおよびNH2末 端に付着した、Bar1p認識配列を含むペプチドよりなる。EDANSの自発蛍光 は、 DABCYLの基への分子内の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のために、 この基質では劇的に削減されることが期待される。FRETは、100Åの距離 を超えると無意味になるため、EDANSの蛍光は、ペプチドの切断後に回復す る[Matayoshi et al.,Science,1990]。 第二の基質である は、アデノウイルスプロテイナーゼの基質に基づく[McGrath et al.,Virology,1 996]。遊離ローダミンまたはモノ置換ローダミンは、専ら高蛍光性キノンとして 存在する。しかし、ピス置換ローダミンは、実質的に非蛍光性であるラクトンと して存在する[McGrath et al.,Virology,1996]。したがって、ビス置換Bar1p基 質は、非常に僅かな蛍光を示すにすぎない。この基質は、初めはBar1pによる、 次いで添加アミノペプチダーゼによる切断を伴う共役検定に用い得る。基質上の ペプチドは、アミノペプチダーゼによる切断から防護される。Bar1pによるペプ チドの切断は、残留するローダミンに付着したペプチドを、添加アミノペプチダ ーゼによって切断され易くする。ローダミンからのペプチドのアミノペプチダー ゼによる除去は、高度に蛍光性であるモノ置換および遊離ローダミン分子の生成 を招くことになる。 チモーゲン活性化検定 追加の実施態様では、活性酵素への酵素前駆体の活性化を検定することによっ て、Bar1活性を測定することができる。チモーゲンは、特異的な、限定されたタ ンパク質分解性処理の際に活性になる、酵素前駆体である。Bar1感受性部位(例 えば、Leu-Lys配列を含む、酵母α因子からの約9〜10アミノ酸の配列)を、 標準的な遺伝子工学の手法によってチモーゲンの前駆体プロ領域と成熟(活性) タンパク質配列との間に導入する。次いで、Bar1pによるチモーゲンの処理は、 活性酵素をチモーゲンから遊離させる。この検出法を用いると、ある化合物によ ってBar1を生成するよう刺激された酵母細胞、または酵母細胞からの上清を、チ モーゲンを活性化できるそれらの能力について試験することができる。次いで、 当業者に周知の方法によって、チモーゲン活性を測定する。そのような検 定に役立ち得るチモーゲンの例は、トリプシノーゲン、プラスミノーゲン、プロ トロンビン、ペプシノーゲン、フィブリノーゲンおよび酵母カルボキシペプチダ ーゼYを包含する。 上記の系は、チモーゲンの細胞内プロセシングに適応させることもできる。Ba r1というプロテアーゼは、分泌に必要な配列を遺伝子から切除することによって 、細胞質で発現させて、成熟Bar1タンパク質の細胞内発現を招くことができる。 この細胞内Bar1pを発現する細胞を、上記のBar1p感受性切断および活性化部位と 細胞内チモーゲンとを同時発現するよう加工する。 大きいペプチドまたはタンパク質との細菌Lacα因子フラグメントの融合は、 それがLacのωフラグメントと相補性であることを不能にする。(これが、Lacα ベクターでの枠内挿入クローンの青白識別の根拠である)。しかし、他のペプチ ドまたはタンパク質とLacαとのそのような融合が、融合接点の近傍にBar1感受 性部位を有するならば、Bar1pによるそのような処理は、もはやLacα−ωの相補 性が可能である、機能的なLacαペプチドを遊離させる。β−ガラクトシダーゼ 酵素活性は、汎用される多数の方法のいずれによっても検出または測定できるが 、X-galという基質の処理の際のインジゴの色素形成に基づく発色検定が最も好 適である。この系は、上記のチモーゲンの実施態様に組み込むことができて、β −ガラクトシダーゼどチモーゲンとの双方の読出しを可能にする。実施例2:Bar1平板検定を用いたSte2p活性化の検出 本実施例は、サッカロミセス・セレビシエフェロモン受容体であるSte2pの作 用薬で誘導される活性化を査定するのに、Bar1平板検定が役立つことを立証する 。 菌株の構築 初めに、サッカロミセス・セレビシエGαをコードする遺伝子GPA1を、GPA1を コードする組込みプラスミドで形質転換することによって、CY8034(MATα g pa1*1162 far1-1 ste2*1154 ste14::trp1::LYS2 fus1-HIS3 trp3 trp1 leu2lys2 his3 ade2-1 met1)のゲノムに再導入して、CY 11364を生成した。次ぎに、サ ッカロミセス・セレビシエRGSタンパク質をコードする遺伝子SST2をこの菌株 中で寸断して、CY 11645を生成した。フェロモン応答経路の脱感作には、 Sst2pが関与するため、その寸断は、経路からの発信の増大を招く["The Molecul ar and Cellular Biology of the Yeast Saccharomyces",Vol.2(1992)でSprague およびThornerが総説]。 高コピー数のSte2発現プラスミドを、次のように構築した。STE2遺伝子全体を 含む4.3kbのBamHIフラグメントを、酵母の発現プラスミドであるYep24-STE2 (J.Thorner,Univ.of California,Berkleyから入手)から切り出し、pRS425(Cad us 1018)のBamHI部位にクローニングした[Sikorski and Hieter,Genetics,1989 ]。次いで、得られたプラスミドCadus 2456、および対照ベクターCadus 1018をC Y 11645に導入して、それぞれCY 11728およびCY 11727を生成した。 Bar1平板検定を用いたSte2p活性化の検出 CY 11727およびCY 11728の終夜培養体を、SDLEU培地で0.2のOD600 まで希釈し、(OD6000.4まで)30℃で数時間増殖させた。遠心分離によ って細胞を捕集し、SDLEU培地で1回洗浄し、SDLEU培地2mlに再懸 濁させた。培養体を二等分し、一方のアリコートにはα因子(10μg)を加え 、他方には担体(この場合はH2O)を加えた。30℃で2時間温置した後、連 続4回の遠心分離、または濾過のいずれかによって細胞を除去し、調整培地5μ lをBar1検定プレートに塗布した(実施例1に記載)。各実験ごとに標準曲線も作 成して(実施例1に記載)、結果を定量した。 Ste2p発現プラスミドを欠く細胞からの調整培地では、Bar1p活性は、僅かしか 、または全く検出されなかった。Ste2pを発現する細胞では、作用薬との接触は 、Bar1p活性の8倍を上回る増加を招いた。これらのデータは、Bar1平板検定は 、サッカロミセス・セレビシエGタンパク質に結合した受容体Ste2pの活性化を 検出するのに用いることができることを示す。類推により、この検定は、フェロ モン応答経路に結合したいかなる受容体(非相同な、例えば哺乳動物のGPCR を包含する)の活性化もサッカロミセス・セレビシエで検出するのに用いること ができる。実施例3:Bar1平板検定を用いたサッカロミセス・セレビシエにおけるメラトニ ン1b受容体活性化の検出 本実施例は、サッカロミセス・セレビシエのフェロモン応答経路に結合した哨 乳動物Gタンパク質結合受容体の活性化を査定するのにBar1平板検定が役立つこ とを立証する。そのために、メラトニン1b受容体を発現する酵母菌株を構築し た。 プラスミドおよび菌株の構築 ヒトメラトニン1b受容体の完全な読取り枠を含むプラスミドpcDNA3-hML1bを 、この遺伝子の好都合な入手源として用いた。メラトニン1b受容体の配列は、 当技術に公知である[例えばGenbank登録番号第U25341号を参照]。 プライマー および を用いて、このプラスミドの受容体配列を増幅した。増幅生成物は、5’および 3’末端の双方にBsa1部位を有する。Bsa1による消化は、5’末端にNco1適格オ ーバーハングを、3’末端にBamHI適格オーバーハングを有する生成物を生じた 。この生成物を、ゲル精製し、NcoIおよびBamHIで消化しておいたCadus 1651に サブクローニングした。得られたプラスミドをCadus 3693と名付けた。 Cadus 1651および3693をCY 11645中に形質転換して(実施例2に記載)、それぞ れCY 11729およびCY 11730を生成した。CY 11730で発現したメラトニン1b受容 体が、作用薬によって活性化され得ること、およびこの活性化が、フェロモン応 答経路からの発信を招くことを確認するため、組み込まれたFUS1-HIS3リポータ ーの発現を査定した。CY 11729およびCY 11730の細胞の菌叢を、実施例1に記載 のようなSDLEU、pH6.8の終夜培養体からのSDLEU−HIS、pH6. 8のプレート上に調製した。菌叢を調製した後、メラトニン(20μg)をプレ ートにスポットし、プレートを30℃で終夜温置した。メラトニン1b発現プラ スミド(CY 11730)を含む細胞のみが、増殖したにすぎず、これらの細胞は、塗 布したメラトニンの拡散帯域内でのみ増殖したにすぎなかった。これらのデータ は、酵母におけるヒトメラトニン1b受容体の機能的発現と、フ ェロモン応答経路とのこの受容体の結合とを立証する。 Bar1平板検定を用いたメラトニン1b受容体の活性化の検出 CY 11729およびCY 11730の終夜培養体を、SDLEU、pH6.8の培地で0. 2のOD600まで希釈し、(OD6000.4まで)30℃で数時間増殖させた。遠 心分離によって細胞を捕集し、SDLEU、pH6.8の培地で1回洗浄し、SD LEU、pH6.8の培地2mlに再懸濁させた。メラトニン(10μg)を一 方のアリコートに加え、他方には担体(この場合はDMSO)を加えた。30℃ で4時間温置した後、連続4回の遠心分離、または濾過のいずれかによって細胞 を除去し、調整培地2μlをBar1検定プレート(上記)に塗布した。各実験ごと に標準曲線も作成して、結果を定量した。メラトニン1b受容体発現プラスミド を欠く細胞からの調整培地では、Bar1p活性は、僅かしか、または全く検出され なかった。 いくつかの実験では、受容体を発現する細胞へのメラトニン10μgの添加は 、Bar1pの約2〜8倍の誘導を招いた。したがって、Bar1平板検定は、哺乳動物 Gタンパク質に合した受容体Ste2pの活性化をサッカロミセス・セレビシエで検 出するのに用いることができる実施例4:Bar1平板検定を用いたサッカロミセス・セレビシエにおけるC5a受 容体活性化の検出 本実施例では、キメラ性GαであるGPA141-Gαi3を発現する酵母菌株でBar1平 板検定を用いて、C5a受容体活性化を査定する。 菌株の構築 キメラ性GαのGPA141-Gai3を、CY 8034のGPA1遺伝子座に組み込んで、CY 113 65を生成した。組込みを確認するため、CY 8034とCY 11365とでのFUS1-HIS3リポ ーターの発現を比較した。CY 8034は、Gαタンパク質を発現しないため、フェ ロモン応答経路は、この菌株では構成的に活性である。したがって、GPA141-Gα i3の組込みは、このリポーターの発現を低下させることが予測されると思われる 。予測されたとおり、リポーター遺伝子の発現は、CY 11365で削減されたが、完 全に排除されはしなかった。残留活性は、酵母のGβγとのGPA141-Gαi3キメラ の不完全な結合による可能性がある。 次いで、酵母のPGKプロモーターに融合させたC5a受容体の読取り枠を含む 高コピー数酵母発現ベクターであるCadus 1303と、対照ベクターのCadus 1289と をCY 11365中で形質転換して、それぞれCY 11458とCY 11457とを生成した。Merc kのC5a受容体作用薬であるCHA-CHAを用いたこれらの細胞でのFU1-HIS3リポー ターの発現を、実施例2におけるとおりに査定した。予測されたとおり、C5a 受容体を発現する細胞(CY 11458)のみが、1mMのアミノトリアゾールを含有 するSDLEU−HIS、pH6.8のプレートで増殖し、これらの細胞は、塗 布したCHA-CHAの拡散帯域内でのみ増殖したにすぎない。 Bar1平板検定を用いたC5a受容体活性化の検出 CY 11457およびCY 11458の終夜培養体を、SDLEU、pH6.8の培地で0 .2のOD600まで希釈し、(OD6000.4まで)30℃で数時間増殖させた。 遠心分離によって細胞を捕集し、SDLEU、pH6.8の培地で1回洗浄し、 SDLEU、pH6.8の培地、2mlに再懸濁させた。CHA-CHA(10μM) を一方のアリコートに加え、他方には担体(この場合はDMSO)を加えた。3 0℃で4時間温置した後、連続4回の遠心分離、または濾過のいずれかによって 細胞を除去し、調整培地5μlをBar1検定プレートに塗布した(実施例1に記載) 。各実験ごとに標準曲線を作成して、結果を定量した。C5a受容体を発現する 細胞のCHA-CHAとの接触は、Bar1p活性の上昇を招いたが、誘導は、Ste2pまたは メラトニン1b受容体で認められたそれより少なかった。実施例5:Bar1p介在性タンパク質分解の検出 本実施例は、酵素を介してのBAR1pによるα因子の切断を用いて、基質の安定 性を制御し得る、被験体検定の実施態様を例示するが、これは、選別できる事象 として用いることができる。BAR1pによるα因子の切断は、N末端リシン残基を 残す。N末端にリシンを有するタンパク質は、酵母中では不安定であることが示 されている[Bachmair and Varshavsky,1989,Cell,56:1019]。そのため、酵母中 での安定性がBar1pのレベルによって制御される、キメラ性基質のタンパク質を 構築することができる。α因子のペプチド配列を、容易に検定されるタンパク質 の読取り枠に導入する。すると、BAR1pの誘導は、このキメラ性基質内のα因子 の切断と、N末端支配経路による基質の分解とを生じる。 α因子のペプチド配列を、標準的な組換えDNAの手法を用いて、モデル基質 、例えばlacZのN末端に融合する。構成体を、酵母発現ベクター中で構成的な、 程ほどに発現されるプロモーターの制御下に置く。このベクターを、適切な試験 化合物による刺激でBar1p活性が誘導できる酵母細胞に導入し、次いで、LacZ(酵 素活性またはタンパク質レベルのいずれか)を、試験化合物と接触させた細胞で 検定する。Bar1pを誘導する試験化合物は、キメラ性のLacZ基質の低下した安定 性に基づいて選別する。 代替的な実施態様では、LacZを、例えば、必須遺伝子(Bar1p活性についての 負の選別を与えるため)またはリプレッサータンパク質(Bar1p活性について正 の選別を与えるため)に置き換えることができる。 この検定の一定の実施態様では、BAR1pのNまたはC末端に存在する分泌のた めのシグナルを除去し、それによって、分泌機構をBAR1pの標的にさせることを 阻害するのが望ましいことがある。これは、細胞質に存在するキメラ性基質への Bar1pのアクセスをより容易にすることができる。実施例6:PHO4/STE12キメラの構築 本実施例は、PHO4/STE12キメラの部位をコードする酵母の発現プラスミド の構築を説明する。これらのキメラは、容易に検定される遺伝子産物である分泌 された酸性ホスファターゼPho5pをフェロモンで誘導できるようにするのに用い られる。フェロモン誘導の結果としての遺伝子発現の変化には、Ste12pという転 写因子が介在する。フェロモンの発信の存在下で、Ste12pは、充分定義されたD NA結合部位をそのプロモーターが含む、遺伝子の強力な転写活性化因子となる (フェロモン応答因子またはPRE)["The Molecular and Cellular Biology of the Yeast Saccharomyces",Vol.2(1992)でSpragueおよびThornerが総説]。転写 因子Pho4pは、細胞をリン酸塩に欠乏させたときに活性化される。活性化された ならば、Pho4pは、Pho5を包含するいくつかの遺伝子のプロモーター要素に結合 し、それらの転写を誘導する["The Molecular and Cellular Biology of the Ye ast Saccharomyces",Vol.2(1992)でJohnstonおよびCarlsonが総説]。Ste12pの 転写活性化ドメインを含むキメラ性転写因子は、Ste12pの領域をPho4pのDNA 結合ドメインと融合することによって構築されている。酵母での これらのキメラの発現は、フェロモン応答経路が活性化されたときに、Pho5の発 現の誘導を招く。この誘導は、Pho4DNA結合ドメインがPho5プロモーターに接 近させたSte12p転写活性化ドメインによる刺激に起因する。Pho5の発現は、酸性 ホスファターゼ活性を検出するためのいくつかの充分定義された方法によって、 容易に査定することができる。 11アミノ酸の核局在シグナルとPHO4DNA結合ドメイン(アミノ酸第222〜3 12番)とをコードする配列に融合させた酵母ADHプロモーターを有する、酵母 発現プラスミドを構築した。PHO4DNA結合ドメインをコードする配列を、 プライマー および を用いて酵母ゲノムDNAから増幅した。PCR生成物は、HindIII部位と、5 ’末端で核局在シグナルを、また3’末端でEcoRI部位をコードする配列とが両 端に隣接するPho4DNA結合ドメインをコードする。この生成物を、HindIIIお よびEcoRIで消化し、ゲル精製した。プラスミドpCD72(Cadus 3973)は、J.Braoch 博士から入手した。これは、ADHのプロモーターおよび転写終結配列とともに、G AL4DNA結合ドメインをコードする配列も含む高コピー数の酵母ベクターであ る。HindIIIおよびEcoRIによるこのプラスミドの消化は、3フラグメントを生 じるが:一つは、ベクターの骨格とHindIIIのオーバーハングが両端に隣接するA DHプロモーターとを含み、第二は、5’末端にEcoRIのオーバーハングを、また 3’末端にHindIIIのオーバーハングをADH転写終結配列を含み、第三は、5’末 端にHindIIIのオーバーハングを、また3’末端にEcoRIのオーバーハングを有す るGAL4DNA結合ドメインを含む。初めの2フラグメントを、ゲル精製し、消化 され、ゲル精製されたPCR増幅生成物との三片結合に用いた。得られたプラス ミドをCadus 4129と名付けた。 Cadus 4129のEcoRI部位、EcoRIおよびBamHI部位、またはEcoRIおよびPstI部 位のいずれかを用いることによって、STE12のフラグメントを、ADH転 写終結配列のPho4DNA結合ドメインおよび5’にフレーム3’内でサブクロー ニングした。Ste12フラグメントの選択は、Gal4DNA結合ドメインと、Ste12の 異なる領域との間で融合を実施したもの[Song et al.,Genes & Development,199 1]、およびSte12の欠失および挿入突然変異体を構築し、それらがste12Δ株に対 する交配および転写活性を回復できる能力について試験したもの[Kirkman-Corr eia et al.Mol.Cell.Biol.,1993]の二つの研究に基づいた。異なるSte12フラグ メントをコードするプラスミドは、S.Fields博士から入手した。 Cadus 4183は、pOF22[GAL4-STE12、1〜688](Cadus 3918)をEcoRIで消化す ることによって構築した。STE12読取り枠全体を含む2.8kbのフラグメントを ゲル精製し、Cadus 4129のEcoRI部位にサブクローニングした。Cadus 4184は、p YZ11[GAL4-STE12、214〜688](Cadus 3916)をEcoRIで消化することによって構 築した。Ste12pの第214〜688アミノ酸をコードする2.2kbのEcoRIフラグメン トをゲル精製し、Cadus 4129のEcoRI部位にサブクローニングした。Cadus 4185 は、pXB1[GAL4-STE12、214〜473](Cadus 3972)をEcoRIおよびBamHIで消化するこ とによって構築した。Ste12pの第214〜473アミノ酸をコードする780bpのフラグ メントをゲル精製し、EcoRIおよびBamHIで消化しておいたCadus 4129に結合した 。Cadus 4186は、pOG4[GAL4-STE12、1〜4173](Cadus 3919)をEcoRIおよびBam HIで消化することによって構築した。Ste12pの第1〜473アミノ酸をコードする 1.42kbのフラグメントをゲル精製し、EcoRIおよびBamHIで消化しておいたCa dus 4129に結合した。プライマー および を用いて、Ste12pの挿入および欠失突然変異体を増幅した。増幅生成物は、それ らの5’末端にEcoRI部位を、それらの3’末端にPstI部位を有する。それらをE coRIおよびPstIで消化し、ゲル精製し、EcoRIおよびPstIで消化しておいたCadus 4129に結合した。Cadus 4747は、プラスミドlk85(Cadus 3913)の増幅生成物 を、Cadus 4553は、プラスミドlk 103(Cadus 3910)の増幅生成物を、Cadus 45 54は、D11[D253-305](Cadus 3911)の増幅生成物を、Cadus 4555は、D7[D512-69 9](Cadus 3912)の増幅生成物を、Cadus 4556は、D22[D588-669]の増幅生成 物を、それぞれ含む。実施例7:PHO4/STE12キメラを用いたSte2p活性化の検出 本実施例は、PHO4/STE12キメラ(実施例5に記載)を用いて、フェロモン応 答経路を活性化したときにPHO5遺伝子の発現を誘導することを立証する。 菌株の構築 CY 1638(MATα far1*1442 tbt1-1 FUS1-HIS3 trp1 ura3 leu2 his3 suc2)中 で内在性PHO4遺伝子を、カナマイシン耐性をコードする遺伝子KanMX2(酵母10:17 93-1808)で寸断した。プライマー およびを用いて、KanMX2遺伝子を増幅した。増幅生成物は、PHO4遺伝子の5’および3 ’末端に相当する配列が両端に隣接した。このDNAを、CY 1638に形質転換し た。形質転換体をYEPD+ゲネチシン(200μg/ml)のプレート上で選別 した。この菌株、すなわちCY 9788でのPHO4の寸断は、リン酸欠乏YEPD培地( YEPD100ml、NH4OH1ml、MgSO41ml[1M];30分放置; 濾過)[Biscon and Thorner,Genetics,1982]で増殖した細胞での酸性ホスファタ ーゼ活性を査定することによって確認した。酸性ホスファターゼ活性は、Toh-e ら[J.Bacteriol.,1973]の上掛け検定を用いて査定した。細胞を、YEPDま たはリン酸欠乏YEPDのプレートに貼り付け、終夜増殖させた。プレートごと に、50mMNaAc、pH4.0中の溶融1%アガロース2ml、H2O70 0μl、および酸性リン酸α−ナフチル(50mg/ml)300μlの混合物 を調製し、プレートに塗布した。次いで、D−ジアニシジンファーストブルー塩 B(50mMNaAc、pH4.0中に50mg/ml)1mlをプレートに注 いだ。発色の程度が、細胞のパッチが生成した酸性ホスファターゼ活性の尺度で ある。予測したとおり、CY 9788は、酸性ホスファターゼ活性がCY 1638よりはる かに低かった。CY 9788で観察された酸性ホスファターゼ活性が少ないことは、P ho3pのそれであると思われる。PHO3遺伝子は、分泌される酸性ホスファターゼも コードするが、その発現は、Pho4pによって調節されない。代りに、その発現は 、高リン酸条件下で誘導され、チアミン飢餓によって更に増大する[Vogelおよび Hinnenが総説、1990,Mol.Microbiol.]。この遺伝子は、必須ではなく、その存在 は、すべての検定がリン酸飢餓の条件下でなされることを要するため、それを寸 断した。プライマー およびを用いて、PHO3遺伝子の5’末端の配列を増幅した。その5’末端にHindIIIを 、その3’末端にEcoRI部位を有する増幅生成物を、HindIIIおよびEcoRIで消化 し、ゲル精製した。プライマー および を用いて、PHO3遺伝子の3'非翻訳領域の配列を増幅した。その5'末端にEcoRI 部位を、その3’末端にXbaI部位を有する増幅生成物を、EcoRIおよびXbaIで消 化し、ゲル精製した。URA3で標識した組込みベクターpRS406(Cadus 1011) [Sikorski and Hieter,1989,Genetics]をHindIIIおよびXbaIで消化し、ゲル精 製し、2種類のPCR生成物との三片結合に用いた。得られた二段階寸断[Boek e et al.,1988]プラスミドCadus 4602をHpa1で消化し、CY 9788をウラシルのプ ロトトロピーに形質転換するのに用いた。この形質転換体のUra誘導体に対する 、S-FOAを用いたその後の選別は、Pho3の欠失を有するCY 11643を生じた。CY 11 643におけるPHO3の寸断は、上記のとおり、YEPDプレート、およびリン酸欠 乏YEPDプレートでの酸性ホスファターゼ活性を測定することによって確認し た。予測したとおり、CY 11643は、両プレートで酸性ホスファターゼ活性が極め で低かった。その親であるCY 9788の活性は、YEPDプレートでは(Pho3pの存 在のために)非常に高かったが、リン酸結合SDプレートでは(Pho4pの欠如の ために)非常に低かった。最後に、起源菌株CY 1638の活性は、両プレートで非 常に高く、Pho4とPho3との双方が寸断されたことを示した。 次いで、9種類のPHO4/STE12キメラ性プラスミド(実施例5に記載)、およびP ho4DNA結合ドメインのみをコードするCadus 4129を、CY 11643に形質転換し た。 PHO4/STE12キメラを含む菌株でPho5pを測定することによるSte2p活性化の検出 細胞をSD−TRP培地で終夜増殖させた。終夜培養体を、OD6000.2ま で希釈し、(OD6000.4まで)数時間増殖させた。培養体を二等分し(各2. 5ml)、一方のアリコートにはα因子(25μg)を加えた。30℃で2.5時 間の後、遠心分離によって細胞を捕集し、H2Oで3回、50mMNaAc、pH4 .0で1回洗浄し、250μlの50mMNaAc、pH4.0に再懸濁させた。基 本的にはTorriani[Biochim.Biophys.Acta,1960]が記載したようにして、酸性 ホスファターゼ活性を査定した。100μlの細胞を、リン酸p−ニトロフェニ ル(50mMNaAc、pH4.0中に1mg/ml)に加えた。室温で15分後、 飽和NaCO3720μlを加えて、反応を停止させた。遠心分離によって細胞 を除去し、420nmでの光学密度を決定した。活性を、H2O900μl中の 細胞100μlの600nmでの光学密度に正規化した。二つの独立した実験の 結果を、下記の表に 要約する: Pho4pDNA結合ドメインのみを発現する(かつSte12成分を発現しない)細胞 (CY 11643+Cadus 4129)は、酸性ホスファターゼ活性が極めて低く、それは、 α因子との接触によって上昇しなかった。対照的に、Pho4/Ste12キメラを発現 する菌株のすべてにおいて、フェロモンで誘導できる酸性ホスファターゼ活性が 観察された。キメラのうち2種類、すなわちPho4/Ste12(214〜473)(Cadus 4 184)およびPho4/Ste12(1〜473)(Cadus 4185)も、高レベルの構成的Pho5p活 性を有したが、2〜4倍の誘導比であったにすぎない。いくつかのキメラは、類 似の誘導比を有した。その他は、非常に低い構成的活性、および5〜10倍の類 似の誘導比を有した。これらのデータは、Pho4/Ste12キメラ性転写因子を用い て、PHO5遺伝子をフェロモンで誘導できるようにさせ得ることを立証する。拡張 によって、この読出しは、サッカロミセス・セレビシエで発現されたいかなるG タンパク質結合受容体の活性化はもとより、この受容体の下流のいかなるフェロ モン応答経路の成分の活性化も検出するのに用いることができる。そのような活 性化は、化合物によるか、またはタンパク質−タンパク質相互作用(例えば、ク ローニングされた異種遺伝子産物との相互作用)による調節に起因する可能性が ある。実施例8:オートクリン酵母菌株における哺乳動物Gタンパク質結合受容体およ びリガンドの機能的発現 本実施例では、即席検定に用いるのに適した、Gタンパク質結合受容体を発現 する酵母細胞の構築を説明する。本実施例は、下記のことを詳述する:(1)酵 母におけるヒトC5a受容体の発現;(2)酵母におけるこの受容体、すなわち ヒトC5aの未変性リガンドの発現;およびオートクリン酵母の同じ菌株中でこ れらの分子の双方を発現させたときに、C5aによってC5a受容体を刺激した 際の、内在性酵母フェロモン経路の活性化。実験データに続いて、ヒトC5a受 容体を機能的に発現する酵母のオートクリン菌株の有用性を記述する。 ヒトC5aは、74アミノ酸のポリペプチドであって、補体カスケードの活性 化の際に補体の第五成分から誘導され;補体由来のアナフィラトキシン類のうち で最も強力なものである。C5aは、細胞毒性スーパーオキシド基の生成、およ び走化性や接着性の誘導を包含する、好中球とマクロファージの機能の強力な活 性化物質である。加えて、C5aは、平滑筋の収縮を刺激し、肥満細胞の脱顆粒 を誘導し、血小板からのセロトニン放出を誘導し、血管透過性を高める。C5a アナフィラトキシンは、サイトカインの生産を刺激することによって、炎症応答 を増幅することもできる。C5aは、極めて強い炎症作用因であるため、様々な 炎症過程への干渉に用いるための拮抗薬の開発の主要な標的である。 C5a受容体は、好中球、肥満細胞、マクロファージおよび平滑筋細胞に存在 し、Gタンパク質を介して結合して、C5aの結合によって発動されるシグナル を伝達する。 C5a受容体の発現 ヒトC5a受容体をコードするcDNA配列を有するプラスミドpCDM8-C5aRc を、N.GerardおよびC.Gerard(Harvard Medical School,Boston,MA)から入手し た[Gerard and Gerard,1991]。C5aをコードする配列は、このプラスミドから 、VENTポリメラーゼ(New England Biolabs Inc.,Beverly,MA)、および下記 のプライマー: を用いたPCRによって誘導した。プライマー#1は、C5a受容体cDNAと のただ1ヶ所の塩基対誤対合(下線)を含む。それは、C5a受容体コーディン グ配列のTAG終止コドンから201bp下流に、XbaI部位(太字)を導入する。プ ライマー#2は、2ヶ所の誤対合した塩基を有し、ATG開始コドン(二重下線) を囲むNcoI部位(太字)を生成するのに役立つ。第二のアミノ酸は、アスパラギ ン酸からアスパラギン残基へと変えられている。これが、野生型ヒトC5a受容 体からの一次アミノ酸配列における唯一の変化である。 PCRをNcoIおよびXbaI(太字の部位)で制限し、Gal10プロモーターの発現 ベクターであるCADUS 1002にクローニングした。挿入全体の配列は、多数のプラ イマーを用いたジデオキシ配列決定によって決定した。NcoIおよびXbaI部位間の 配列は、PCRプライマーがコードする変化以外は、GenBankに寄託された(登 録番号第JO5327番)ヒトC5a受容体配列と同一であると判明した。このC5a 受容体をコードする挿入を、PGKプロモーター発現ベクターであるCADUS 1289(p LPXt)へと、NcoIおよびXbaI部位を用いて移転して、C5a受容体酵母発現クロ ーンのCADUS 1303を生成した。 酵母インベルターゼシグナル配列、およびそのアミノ末端にmycエピトープの タグを有するC5a受容体の改作を、Cadus 1270を移転した酵母にGAL10プロモ ーターの制御下で発現させた。C5a受容体のタグのない改作と、mycのタグを 有するFUS1の誘導体とをコードするプラスミドを対照として役立てた。酵母にお けるタグを有する受容体の発現を、抗mycモノクローナル抗体9E10を用いた ウェスタンブロットによって確認した。Cadus 1270突然変異体からの抽出物を含 有するレーンでは、抗mycモノクローナル抗体9E10と反応するタンパク質は 、予測どおり、大きさが約40kDであった。この受容体構成体は、オートクリン 活性化の実験に用いたのと同一ではないことに注目されたい。この受容体は、タ グ付けされておらず。シグナル配列を含まず、PGKプロモーターによって駆動さ れる。 リガンド、C5aの発現 C5aをコードする配列の合成構築体をC.Gerard(Harvard Medical School,B oston,MA)から入手した。この合成遺伝子は、大腸菌からの分泌のために、 FLAGタグ付き分子として設計されていた[Gerard and Gerard,(1990)Biochemist ry 29:9274-9281]。大腸菌コドン偏倚を依然として有するC5aコーディング領 域を、下記のプライマー: を用い、VENTポリメラーゼ(New England Biolabs Inc.,Beverly,MA)を用 いて、30サイクルによって増幅した。 257bpのPCR生成物を、ゲル濾過し、AflIIおよびBglIIで制限し、CADUS1 215(Mfαの状況でペプチド配列を発現するよう設計された発現ベクター)に クローニングして、CADUS 1297を得た。合成C5aと相同である領域は、下線が 付されている。5’プライマーも、プレプロα因子配列を含む。プレプロα因子 配列の翻訳および転写の際は、CADUS 1297を含む酵母によって、真正ヒトC5a が分泌されることになる。ジデオキシ法によって、CADUS 1297中の挿入配列を両 方向で配列決定し、PCRプライマーによって予測されたそれ、および合成C5 a遺伝子の公表された配列[Franke et al.(1988)Methods in Enzymology 162:65 3-668]と同一であることが判明した。 二組の実験は、下記に詳述する酵母のオートクリン活性化とは別に、CADUS 12 97が酵母でC5aを発現するのに用い得ることを立証した。 (1)C5aは、商業的に入手できる酵素結合免疫吸着検定(ELISA)を 用いて、双方の培養上清および溶解細胞中に免疫学的に検出された(表1)。この 検定は、培養上清中のC5aの濃度が約50〜100mMであることを示した。 比較のため、哺乳動物細胞から導出されたデータでは、その受容体とのC5aの 結合定数は、1nMである[Boulay et al.(1991)Biochemistry 30:2993-2999]。 (2)酵母で発現されたC5aは、商業的に得られた(Amersham Corporation,Ar lington Heights,IL)誘導されたHL60細胞で放射能標識されたC5aと、結 合について競合することが示された。 ヒトC5a受容体およびヒトC5aを発現するオートクリン酵母におけるフェロ モン応答経路の活性化 C5aとC5a受容体との相互作用を介しての酵母のフェロモン応答経路の活 性化を、増殖の読出しを用いて立証した。この分析に用いた菌株のCY 455(MA Tα tbt1-1 ura3 leu2 trp1 his3 fus1-HIS3 can1 ste14::TRP1 ste3*1156)は 、下記の顕著な変更を含む。フェロモンで誘導できるHIS3遺伝子であるfus1-HIS 3を、Fus1遺伝子座に組み込む。ヒトGαi2a(N末端の33アミノ酸に対するコ ドンが不足)をコードする配列に融合させたGPA1(酵母Gαサブユニット)の初 めの41アミノ酸をコードする配列を含むハイブリッド遺伝子は、その正常な染 色体の座でGPA1と置き換わる。酵母STE14遺伝子を寸断して、フェロモン応答経 路からの発信の基底レベルを低下させる。酵母α因子の受容体遺伝子STE3を削除 する。最後の二つの変更は、おそらく不可欠ではないが、シグナル対ノイズ比を 改善すると思われる。 CY 455(MATα tbt1-1ura3 leu2 trp1 his3 fus1-HIS3 can1 ste14::TRP1 ste31156)を下記のプラスミド: Cadus 1289+Cadus 1215=受容体-リガンド-=(R-L-) Cadus 1303+Cadus 1215=受容体+リガンド-=(R+L-) Cadus 1289+Cadus 1297=受容体-リガンド+=(R-L+) Cadus 1303+Cadus 1297=受容体+リガンド-=(R+L+) (受容体とは、ヒトC5a受容体を意味し、リガンドとはヒトC5aを意味する )で形質転換した。 各形質転換から3種類のコロニーを摘出し、25mMのIPESを有し、ロイ シンおよびウラシルを欠くpH6.8の培地(25mMのPIPESを有するLE U URA pH6.8)中で終夜培養した。この培地は、無菌の1MのKOH0.45 ml、および無菌の1MのPIPES2.5ml、pH6.8を標準的なSDL EU−URA培地100mlに加えることによって作成した。終夜増殖後は、こ の培地のpHを、常に約pH5.5まで酸性化する。終夜培養体を、25mMの PIPES、pH6.8で1回洗浄し、ロイシン、ウラシルおよびヒスチジンを 欠く等量の培地(25mMのPIPESを有するLEU URA His pH6.8)に再懸 濁させた。これらの培養体の1/20希釈の600nmでの光学密度を決定し、培養 体を25mMのPIPES、pH6.8に、0.2の最終OD600まで希釈した 。10,000 の細胞に等価の量(5μl)のこの希釈物を、選別(HIS+TRP:pH6. 8)プレートにスポットした。C5aとその受容体との双方を発現する菌株(R++)のみが、ヒスチジンを欠く選別プレート上での増殖を示すにすぎない。試 験菌株はすべて、ヒスチジンを含有するプレート上での増殖が可能である。R+ +菌株は、試験した最高濃度である5mMまでのアミノトリアゾールを含有す るプレートで増殖すると思われる。 フェロモン経路の活性化の確認、および刺激の定量化のために、類似の組合わ せの菌株でのfus1-lacZ融合を用いて、fus1プロモーターの活性を比色分析で決 定した。これらの実験の出発菌株としては、CY 878(MATα tbt-1 fus1-HIS3 caN1 ste14::trp1::LYS2 ste31156 gpal(41)-Gαi2)を用いた。この菌株は 、CY455のtrp1誘導体である。この実験のための形質転換体は、受容体およびリ ガンドのプラスミドに加えで、CADUS 1584(pRS424-fus1-lacZ)を有していた。 4種類の菌株を、50mMのPIPESを有するSD LEU URA His pH6.8中で、 0.8未満のOD600まで終夜増殖させた。β−ガラクトシダーゼ活性の検定は 、当技術に公知の方法[Guarente 1983]を用いて、実施することができる。こ れらの実験は、C5aの受容体およびリガンド(R++)細胞の発現が、オート クリン刺激およびβ−ガラクトシダーゼ活性を生じることを示す。 オートクリンC5a菌株の計画された用途 オートクリンC5a菌株の主要な用途は、C5a拮抗薬の発見にあると思われ る。C5aの生物学的機能の阻害剤は、非常に多様な炎症性疾患の過程での炎症 に起因する組織損傷に対して防護することが期待され、これらの過程は、呼吸困 難症候群[Duchateau et al.(1984)Am.Rev.Respir.Dis.130:1058;Hammers chmidt et al.(1980)Lance t1:947]、腐敗性肺損傷[Olson et al.(1985)Ann.Sur g.202:771]、関節炎[Banerjee et al.(1989)J.Immunol.142:2237]、虚血性およ び後虚血性心筋損傷[Weisman(1990)Science 146:249;Crawford et al.(1988)C irculation 78:1449]および火傷損傷[Gelfand et al.(1982)J.Clin.Invest.7 0:1170]を包含するが、これらに限定されない。 記載されたようなオートクリンC5a系は、下記のとおり、C5a拮抗薬を単 離するのに用いることができる: 1.C5a拮抗薬を特定するための高処理量スクリーン 簡明な方策は、選別培地では上記のR++菌株菌株の増殖を阻害するが、非選 別培地では同じ菌株またはR+-菌株の増殖を阻害しないものを特定するよう、 化合物をスクリーニングすることを要する。一般的には酵母に有害である化合物 を考慮から除くために、逆スクリーンが必要である。この種の最初の実験は、強 力な治療の効用を有する化合物の特定へと導いた。 2.負の選別を用いた拮抗薬の特定 fus1-HIS3の読出しをいくつかの負の選別図式の一つ(fus1-URA3/FOA、fus1-G AL1/ガラクトースもしくはデオキシガラクトース、Far1 sst2、または酵母を増 殖停止に対して超感受性にするその他の突然変異)に置き換えることは、拮抗薬 の存在が検定菌株の増殖を招くような試験系を形成するものと思われる。そのよ うな方策は、化合物の高処理量スクリーニングはもとより、オートクリン酵母で 発現されるランダムペプチドライブラリーからの拮抗薬の選別にも適用できると 思われる。この種のスクリーンの最適化は、R++菌株の増殖を阻止するアミノ トリアゾールの濃度(例えば0.6〜0.8M)でのR++株のスクリーニング と、同一の増殖率を与えるアミノトリアゾールの濃度(例えば0.4M)でのR+-菌株の逆スクリーニングとを要すると思われる。加えて、この系は、いくつ かの比色分析、蛍光または化学発光による読出しの一つを用いることができると 思われる。これらの代替的読出しのためにfus1プロモーターと融合させ得る遺伝 子のいくつかは、lacZ(比色分析および蛍光基質)、グルクロニダーゼ20(比色 分析および蛍光基質)、ホスファターゼ(例えばPHO3、PHO5、アルカリ性ホスファ ターゼ;比色分析および化学発光基質)、緑色タンパク質(内因性蛍光)、セイヨ ウワサビペルオキシダーゼ(比色分析)、ルシフェラーゼ(化学発光)を包含する 。 オートクリンC5a菌株は、更に、下記の効用を有する: 3.オートクリン酵母で発現されるランダムペプチドライブラリーからの新規C 5a作用薬の特定に 新規ペプチドは、C5a拮抗薬の合理的設計の指針とするのに用いられる構造 /機能解析に寄与すると思われる。 4.受容体突然変異体の特定に 選別培地での増殖によって、高度に突然変異誘発性にされた集団から、構成的 に活性である、すなわちリガンドとは無関係である受容体を選別し得る。これら の構成的活性受容体は、受容体とGタンパク質との相互作用の部位の地図作成を 可能にするのに効用があり得る。これらの部位の特定は、該相互作用を遮断する 薬物の合理的設計に重要であり得る。加えて、受容体は、ある作用薬によって刺 激できるが、他のものではできないか、または拮抗薬に対して耐性にできる能力 について選別することができると思われる。これらの変種の受容体は、受容体と 作用薬または拮抗薬との相互作用の部位を地図作成するのを助け、そのために、 合理的薬物設計の努力に寄与すると思われる。 5.Gαi2と作用し合う分子の特定に Gαi2からのGDP交換を直接阻害する化合物またはペプチドは、これらの検 定の際にC5a拮抗薬と同じ効果を有すると思われる。追加的情報は、C5a拮 抗薬からのGDP交換の阻害剤を際立たせると思われる。この情報は、下記のこ とを決定する検定を通じて得ることができると思われる: 1.他の受容体からのGαi2活性化の試験化合物による阻害、 2.試験化合物が、C5a受容体との結合について放射能標識したC5aと競 合できないこと、 3.試験化合物が、C5aによる他のGαサブユニットの活性化を阻害できな いこと、および 4.試験化合物による、C5aの構成的に活性である改作、または他の受容体 からの発信の阻害。 実施例9:ハイブリッドGα遺伝子の構築、二組のキメラ性酵母/哺乳動物のGα 遺伝子、GPA41-Gα、およびGPA1Bam-Gαの構築 ヘテロ三量体のGタンパク質のGαサブユニットは、βγ複合体と受容体との 双方と作用し合うはずである。これらの相互作用のそれぞれに要するGαのドメ インは、完全には定義されておらず、本発明者らの最終目標は、一方では哺乳動 物の受容体と、他方では酵母βγサブユニットと連絡するGαタンパク質を要す るため、両者の機能を発揮する最適化された能力を有するヒト−酵母キメラ性G αタンパク質を誘導した。本明細書に報告した研究から、酵母Gαのアミノ末端 の小タンパク質のみの包有が、酵母βγサブユニットと哺乳動物Gαタンパク質 との結合に必要であることが決定された。これらの限定されたキメラを用いるこ とに対する一層の利益は、受容体の接触および相互作用に関与すると考えられる Gαタンパク質の、哺乳動物ドメイン全体の保存であると予測された。このため 、これらのキメラが、同じ酵母細胞で発現された哺乳動物受容体と機能的に作用 し合うことができる能力を保持する可能性は、きわめて高いと予測された。 プラスミドの構築 pRS416-GPA1(Cadus 11069):GPA1プロモーター領域全体をコードするXbaI−Sac Iフラグメント、すなわちコーディング領域であって、3’非翻訳領域の約25 0ヌクレオチドを、10 YCplac111-GPA1(S.Reed,Scripps Instuteより)から 摘出し、XbaIおよびSacIで切断したYEPベクターであるpRS416[Sikorski and Hieter,1989,Genetics,122:19]にクローニングした。 GPA1(Cadus 1075、1121および1122)の部位指向性突然変異誘発:GPA1コーデ ィング領域全体と、5’非翻訳領域からの200ヌクレオチドとを含む1.9kb のEcoRIフラグメントをEcoRIで切断した、ホスファターゼ処理したpALTER-1(Pro mega)にクローニングし、DH5αF'という細菌への電気穿孔(Biorad Gene Pul ser)によって形質転換して、Cadus 1075を得た。M13KO7のヘルパーファー ジで組換えファージミドを取り戻し、一本鎖の組換えDNAを抽出し、製造業者 の仕様に従って精製した。合成オリゴヌクレオチド: を用いたオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発によって、新規NcoI部位をGPA1 のイニシエーターであるメチオニンに導入した。アンピシリン中で、陽性クロー ンを選別し、いくつかの独立クローンを、+1で新規NcoI部位を横断する両方向 に配列決定した。適正な配列を有する2クローンを、Cadus 1121およびCadus 11 22として保持した。 GPA1に基づく発現ベクター(Cadus 1127)の構築:酵母における完全長でハイ ブリッドの哺乳動物Gαタンパク質の発現に用いるベクターCadus 1127を、下記 のとおりに構築した。GPA1の3’非翻訳領域にわたる350ヌクレオチドのフラ グメントを、オリゴヌクレオチドプライマーA: およびB を用いて、Taqポリメラーゼ(AmpliTaq;Perkin Elmer)で増幅した。この3 50ヌクレオチドの生成物を、GeneCIeanII(Bio101)を用いたゲル電気泳動に よって精製し、単一ヌクレオチドオーバーラップTAクローニング(InVitrogen )によってpCRIIベクターに直接クローニングした。組換えクローンを、制限酵 素地図作成、およびジデオキシヌクレオチド配列決定によって特性記述した。組 換えクローンは、それぞれプライマーAおよびプライマーBによって与えられた 、真正GPA1配列までの新規XhoI部位5'、および真正GPA1配列までの新規KpnI部 位3’を含んだ。 Cadus 1013(pRS414)のポリリンカー中のNotIおよびSacI部位を、これらの酵 素で制限した後、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を充填し、平滑末端結合 して、Cadus 1092を得た。GPA1プロモーターと、GPA1の5’非翻訳領域とを含む YCplac111-GPA1からのGPA1の1.4kbのPstI−EcoRI5’フラグメントを、GeneC leanII(Bio101)を用いたゲル電気泳動によって精製し、Pst1−EcoRIで制限し たCadus 1013にクローニングして、Cadus 1087を得た。GPA1の3’非翻訳領域を コードする、PCRで増幅したXhoI−KpnIフラグメントを、Cadus 1089から摘出 し、XhoI−KpnIで制限したCadus 1087にクローニングして、Cadus 1092を得た。 Cadus 1092のポリリンカー中のNotIおよびSacI部位を、これらの酵素で制限した 後、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を充填し、平滑末端結合し て、Cadus 1110を得た。Cadus 1122の、−200のEcoRI部位から+120まで のGPA1の領域をコードする領域を、プライマー および を用い、VentDNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)で増幅 した。 その5’末端にEcoRIを、その3’末端に新規SacI、NotIおよびSalI部位を有 する、増幅された生成物を、EcoRIおよびSalIで制限し、GeneCleanII(Bio101)を 用いてゲル精製し、EcoRIおよびSalIで制限したCadus 1110にクローニングして 、Cadus 1127を得た。このベクターの、−200のEcoRI部位と、3’非翻訳領 域の3’末端のKpnI部位との間のDNA配列を、制限酵素地図作成、およびジデ オキシヌクレオチドDNA配列分析によって確認した。 GPA41-Gαタンパク質のPCR増幅、およびCadus 1127へのクローニング:ヒ トGαのサブユニットGαs、Gai2、Gai3、およびサッカロミセス・セレビシエGP A1をコードするcDNAクローンを、Vent熱安定性ポリメラーゼ(New England B iolabs,Beverly,MA)で増幅した。増幅に用いたプライマー対は、下記のとおり である: Gαs プライマー1: プライマー2 プライマー3: Gαi2 プライマー1: プライマー2: プライマー3: Gαi3 プライマー1: プライマー2: プライマー3:増幅の後、生成物を、GeneCleanII(Bio101)を用いたゲル電気泳動によって精 製し、Cadus 1127へのクローニングに適切な制限酵素で切断した。 ハイブリッドのGPA41-Gαサブユニットを、増幅した遺伝子の5’末端付近の 望みの位置で導入したSacI部位、および3'非翻訳領域に導入したSalIまたはXho I部位を介してクローニングした。結合混合物を適格の細菌に電気穿孔し、プラ スミドDNAを、アンピシリン耐性細菌の50の培養体から調製した。 GPA41-Gαサブユニットをコードする組込みベクターの構築 各GPA41-Gαハイブリッドのコーディング領域を、このプラスミドのポリリン カークローニング部位の両端に隣接するBssHII部位を用いて、組込みベクター( pRS406=URA3 AmpR)にクローニングした。Cadus 1011(pRS406)をBssHIIで制 限し、製造業者の仕様のとおりにエビアルカリ性ホスファターゼで処理し、線状 にしたベクターを、ゲル電気泳動によって精製した。GPA41-Gαのそれぞれから の挿入断片を、親プラスミドからBssHIIで摘出し、ゲル精製したCadus 1011にサ ブクローニングした。 GPABAM-Gα構築物の構築:鋳型としてのCadus 1179(イニシエーターのメチオ ニンに新規NcoI部位を有する、野生型GPA1対立遺伝子をコードする)、VENT ポリメラーゼ、ならびに下記のプライマー:プライマーA= およびプライマーB= を用いたPCR増幅によって、新規BamHI部位をGPA1に枠内で導入した。1.1k bのPCR生成物を、GeneCleanII(Bio101)でゲル精製し、NcoIおよびBamHIで 制限し、NcoI−BamHIで切断してホスファターゼ処理したCadus 1122にクローニ ングして、Cadus 1605を得た。Cadus 1605の配列を、制限分析と、二本鎖鋳型の ジデオキシ配列決定とによって確認した。Gαs、Gαi2およびGα16の組換えGPABAM -Gαハイブリッドを生成した。組換えGPABAM-Gα16をコードするCadus 1855 の構築は、マスター例として役立つ:すなわち、その他のハイブリッドの構築は 、類似のクローニング戦略に従う。未変性Gα16をコードする親プラスミドのCad us 1617を、NcoIおよびBamHIで制限し、製造業者の仕様のとおりにエビアルカリ 性ホスファターゼで処理し、線状にしたベクターを、ゲル電気泳動によって精製 した。Cadus 1605を、NcoIおよびBamHIで制限し、3’末端に新規BamHI部位を有 するGPA1のアミノ末端の60%をコードする1.1kbのフラグメントを、NcoIお よびBamHIで制限したCadus 1617にクローニングした。GPABAM-Gα16ハイブリッ ドをコードする得られたプラスミドを、制限分析によって確認し、酵母Gβγと 結合し、それによってgpalのヌル表現型を抑制できる能力について、テスター菌 株中で検定した。本願に記載の2種類の追加のGPABAM-Gαハイブリッドである、 GPABAM-GαsおよびGPABAM-Gαi2を、GPABAM-Gαi2ハイブリッドの構築のための 親プラスミドとしてのCadus 1606と、GPABAM-Gαsハイブリッドの構築のための 親プラスミドとしてのCadus 1181とを用いて、同様にして調製した。 キメラ性Gαタンパク質による結合 哺乳動物のGタンパク質と結合した受容体を酵母のフェロモン応答経路と結合 させ得る能力について、上記のGαキメラを試験した。 実施例10:Gα活性のモジュレーターに対するスクリーニング Gα活性のモジュレーターに対するスクリーンは、例示を目的とする、限定し ないものとする下記の実施例に示したとおりに実施してもよい。菌株CY4874とCY 4877とは、プラスミド1にクローニングされた、クローニングされたGα12遺伝 子におけるQ205Lという突然変異の存在以外は、同質遺伝子性である。菌株 CY4901とCY4904とは、それぞれ、ヒトGα12遺伝子のN末端にgpalの41ア ミノ酸を含む、染色体レベルで組み込まれたキメラ性Gαの融合を有し、CY4901 のC5a受容体遺伝子における構成的に活性化する突然変異の存在以外は、同質 遺伝子性である。菌株CY5058は、酵母Gβγサブユニットのみを有し、Gαを保有 しないgpal突然変異体である。この菌株は、Gαサブユニットに対する作用の特 異性を立証するための対照菌株である。 I.Gαの突然変異による活性化の抑制 Q205L突然変異は、ヒトGα12遺伝子の構成的に活性化されたGTPアー ゼ欠失突然変異体である。拮抗化合物、すなわちGα12に作用する化学物質その 他の物質は、活性化のレベルを低下させ、こうして第二のプラスミド(プラスミ ド2)でのfus1-lacZリポーター遺伝子からのシグナルを削減するそれらの作用 によって、認識することができる。 A.GTPアーゼGα12突然変異体 試験成分=gpa41-Gα12(Q205L) 対照成分=gpa41-Gα12 上記に詳述したCY4874およびCY4877構築物はもとより、fus1-His3またはfus2- CAN-1の増殖読出しを用いてもよい。fus1-His3という菌株は、作用薬についての スクリーニングに、またfus2-CAN1という菌株は、拮抗薬のスクリーンに好適で ある。読出し 試験菌株 G α12拮抗薬の効果 対照菌株 fus1-HIS3 CY4868 -HIS+AT(アミノトリア CY4871 ゾール)の増殖を阻害 fus1-lacZ CY4874 β-gal活性を低下 CY4877 fus2-CAN1 CY4892 カナバニンでの増殖を阻害 CY4386 それぞれの場合に、拮抗薬は、試験菌株に、より対照菌株に近い挙動を示させな ければならない。 B.GTPアーゼGαs突然変異体(Gα特異性) 試験成分=Gαs(Q227L) 対照成分=Gαs 読出し 試験菌株 G α12拮抗薬の効果 対照菌株 fus1-HIS3 CY4880 なし CY4883 fus1-lacZ CY4886 なし CY4889 fus2-CAN1 CY4895 なし CY4898 それぞれの場合に、非特異的拮抗薬は、試験菌株に、より対照菌株に近い挙動を 示させると思われる。 培地の追加的な要件:fus1-HIS3およびfus2-CAN1のスクリーンでのGαプラスミ ドの維持のための-TRP、ならびにfus1-lacZのスクリーンでのGαおよびfus1-lac Zプラスミドの維持のための-TRP-URA。 II.受容体による活性化の抑制 構成的に活性化されたC5a受容体 試験成分=C5aR*(P184L、活性化されたC5a受容体) 対照成分=C5aR C5aR*という突然変異は、アミノ酸配列の第184位の野生型のプロリン残 基に代えて、ロイシン残基を有する。読出し 試験菌株 G α12拮抗薬の効果 対照菌株 fus1-HIS3 CY4029 -HIS+AT(アミノトリア CY2246 ゾール)の増殖を阻害 fus1-lacZ CY4901 β-gal活性を低下 CY4904 fus2-CAN1 CY4365 カナバニンでの増殖を阻害 CY4362 それぞれの場合に、拮抗薬は、試験菌株に、より対照菌株に近い挙動を示させな ければならない。 培地の追加的な要件:fus1-HIS3およびfus2-CAN1のスクリーンでの受容体プラス ミドの維持のための-LEU、ならびにfus1-lacZのスクリーンでの受容体およびfus 1-lacZプラスミドの維持のための-LEU-URA、緩衝液化されない酵母培地(pH5. 5)。 実施例11:哺乳動物のオーファン受容体を発現する酵母におけるランダムペプ チドライブラリーの発現を用いた、代用リガンドの特定 FPRL−1(ホルミルペプチド受容体類似1)は、ホルミルペプチド受容体 (FPR)の構造的相同体である。FPRは、Gタンパク質と結合した受容体で あって、好中球および食細胞で発現され、細菌起源のN−ホルミルペプチドによ って刺激される。天然リガンドであるf-Met-Leu-Pheの特異的結合は、カルシウ ムを動態化するシグナルの形質導入を刺激して、走化性や、顆粒内容の放出を包 含する細胞性の変化を生じる。FPRcDNAとのHL−60cDNAライブラ リーの低緊縮度ハイブリッド形成は、関連受容体であるFPRL−1の特定を可 能にした[Murphy et al.前掲;Ye et al.前掲]。FPRL−1のcDNAは、 FPRとの69%の配列相同性を有する351アミノ酸のタンパク質をコードす る[Murphy et al.前掲]。FPRとFPRL−1とは、ヒト第19染色体に同時 局在し、FPRのそれと同一である組織発現パターンを有する:すなわち、発現 は、骨髄起源の細胞に限定されている[Murphy et al.前掲]。Yeら(前掲)は、 FPRL−1のcDNAを核酸移入した繊維芽細胞とのf-Met-Leu-Pheの弱い結 合(μMレベルの濃度)を立証した。対照的に、Murphyら(前掲)は、FPRL −1のcDNAを核酸移入したアフリカツメガエルXenopusの卵母細胞とのN− ホルミルペプチドとの結合を検出できなかった。FPRL−1は、その特異的リ ガンドが、FPRが応答するホルミルペプチドのリガンドとは異なる、オーファン 受容体であると思われる。 本実施例では、下記に詳述する実験を説明する:(1)ヒトオーファンGタンパ ク質と結合した受容体FPRL−1を発現するよう設計された酵母の菌株の確定 ;(2)酵母の上記菌株中のランダムペプチドライブラリーの発現;(3)酵母の同 じ菌株内で発現させたランダムライブラリーにコードされたペプチドによるFP RL−1受容体の刺激の際の、内在性酵母フェロモン経路の活性化。FPRL-1 酵母発現ベクターの調製 。 BluescriptIISK+というベクター中にFPRL−1cDNAをコードする、2 .6kbのEcoRI−XhoIフラグメントを含むプラスミドpFPRL1-L31を、Philip Murp hy(NIH)から入手した。FPRL−1をコードする配列を、下記のオリゴヌ クレオチドプライマー: を用い、20サイクルによって、VENTポリメラーゼ(New England Biolabs,Beve rly, MA)を用いたポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。PCR生成物を精製し、B saIで再制限し、NcoIおよびBamHI部位を用いて、pGKプロモーター駆動発現ベク ターであるCadus 1651にクローニングして、CADUS2311を得た。この挿入断片全 体の配列を決定し、GenBankに寄託された(受託番号第M84562番)FPRL−1 の配列と同一であることが判明した。 ランダムオリゴヌクレオチドの調製 代用リガンドを特定するためのライブラリー−リサイクリングプロトコル 酵母菌株CY1141(MATα far1*1441 tbt1-1 fus1-HIS3 can Iste14::trp1 ::LYS2 ste3*1156gpal(41)-Galphai2 lys2 ura3leu2 trp1 his3)を、以下に述 べる実験に用いた。CY1141は、フェロモン誘導可能なHIS3遺伝子、FUS1の遺伝子 座で組み込まれたfus1-HIS3、およびその染色体上の座でGPA1と置き換わる、ヒ トGai2(N末端の33アミノ酸をコードするコドンを欠く)をコードする配列 と融合したGPA1(酵母Gα)の初めの41アミノ酸をコードするハイブリッ ド遺伝子を含む。酵母のSTE14遺伝子を、フェロモン応答経路からの発信の基底 レベルを低下させるよう寸断する。酵母α因子受容体遺伝子であるSTE3を削除す る。CY1141を、Cadus 2311で形質転換して、ヒトオーファン受容体のFPRL− 1を発現する菌株であるCY6571を得た。 CY6571は、LIRMA(リガンド非依存受容体媒介活性化)、リガンドの不在下で酵 母のフェロモン経路の活性化を示した。LIRMAから生じた選別培地での酵母 の増殖は、3−アミノトリアゾール(AT)の2.5ミリモルの濃度の追加によ って除外されることが決定された。ATは、バックグラウンドの増殖を低下させ るのに役立つHIS3遺伝子産物の阻害剤である。そのため、FPRL−1受容体に 対する代用リガンドの特定を目的とした選別プロトコルを、ATのこの濃度で実 施した。 ロイシンを欠く(-LEU)標準的合成培地(SD)10mlに、CY6571を接種し、 30℃で終夜温置した。10mlの終夜培養体を用いて、YEPD50mlに接種し ;この培養体を30℃で4.5〜5時間接種し、その時点で、細胞を採集し、ラ ンダム配列のトリデカペプチドをコードするランダムペプチドライブラリー[α −NNK(6.24.24)]をコードするDNAによる形質転換のために、電気穿 孔によって調製した。電気穿孔(0.2cmのキュベット、0.25μF、200 Ω、1.5kV)の後、細胞を直ちに氷冷1Mソルビトール1mlに希釈し、100 μlのアリコートを、ロイシンおよびウラシルを欠く(-LEU-URA)合成培地プレ ート(pH6.8)10枚に載せた。プレートを30℃で2〜4日間温置し、その 時点で、各原形質転換プレートの二重のレプリカを、ロイシン、ウラシルおよび ヒスチジンを欠き、2.5mMのATを強化した(-LEU-URA-HIS+2.5mMAT)合 成培地(pH6.8)とした。レプリカを、30℃で3〜5日間温置した。温置の 後、二つのレプリカの組に存在するコロニーを、プレートから全部で10mlのH2 Oに(各プレートに5ml)に掻き取った。各細胞懸濁液のOD600を決定し、未 精製プラスミド単離を、各プールごとに8〜16OD単位の細胞に対して実施し た。全部で8個のプールが、4組のプレートに存在する酵母コロニーの数が比較 的少なかったため、得られた。これらの培養プラスミド単離物から得られたペレ ット[いわゆる「スマッシュ・アンド・グラブ」手法、Methods in Yeast Genet ics-A Laboratory Manual,1990,M.D.Rose,F.Winston and P.Heiler,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.]を、40μl の10mMトリス、EDTA1mM、pH8.0に再懸濁させ、1μlを用いて、電気 穿孔(0.1cmのキュベット、0.25μF、200Ω、1.8kV)によって大 腸菌を形質転換した。電気穿孔の後、細胞を直ちに2xYT培地1mlに希釈し、 37℃で30分間、振盪しつつ温置した後、細胞を用いて、100μg/mlのア ンピシリンで強化した2xYT50mlに接種した。得られた10個の培養体を3 7℃で終夜温置した。これらの細菌培養体のそれぞれからプラスミドDNAを、 Qiagenカラム(Qiagen,Inc.,Chatsworth,CA)を用いて単離した。各プラスミ ドDNAのペレットを、50μlの10mMトリス、EDTA1mM、pH8.0に再 懸濁させた。 それぞれのプラスミドプール1μlを用いて、電気穿孔によって菌株CY6571を 形質転換した。電気穿孔の後、細胞を1Mソルビトール400μlに希釈した。 電気穿孔した各細胞懸濁液から、細胞1μlおよび400μlを-Leu-Ura合成培 地、pH6.8で平板培養して、「低密度」および「高密度」の平板培養体を得た 。プレートを30℃で3日間温置し、その時点で、低および高密度プレートの双 方のレプリカを-LEU-URA-HIS+2.5mMATとした。His+の表現型を与えること がで きるプラスミドへの富裕化が生じた場合、それは、低および高密度プレートの双 方での、2〜3日で視認できるHis+コロニーの増幅された数によって反映される と思われるが、増幅は、高密度の細胞を与えられたプレートで最も明白であると 思われる。FPRL−1の実験では、1/8のプールが、His+コロニーの増幅を 示した。このプレートから、5mlのH2Oに細胞を掻き取り、細胞懸濁液のOD6 00 を決定し、未精製プラスミド単離を、15OD単位の細胞に対して実施した。 得られたペレットを、40μlの10mMトリス、EDTA1mM、pH8.0に再懸 濁させ、1μlを用いて大腸菌を形質転換した。この形質転換から得られた単一 の細菌コロニーの、2xYT培養体からのミニプレップによって、プラスミドD NAを単離した。個々の細菌コロニーに由来する10個のDNAペレット(A1 〜A10)を20μlの10mMトリス、EDTA1mM、pH8.0に再懸濁させ、 電気穿孔によってCY6571(FPRL-1発現ベクターを含む)およびCY6263(いかなる 受容体配列も欠いた対照発現ベクターを含むCY1141)を形質転換した。ペプチド をコードする配列を欠く対照ベクターであるCandus 1625を含め、酵母の受容体 +および受容体−の菌株の双方を形質転換するのに用いた。形質転換体は、初め に-Leu-Ura、pH6.8で選別し、次いで、(11のCY6571形質転換、および11 のCY6263形質転換からの)各型の酵母の形質転換体3体を、-Leu-Ura、pH6.8 に貼付して、コロニーを拡大した。拡大したならば、-LEU-URA-HIS+2.5mMA T上に形質転換体の画線を作成して、ヒスチジンの不在下での増殖について試験 した。A2と名付けた一つを除くすべてのプラスミドが、ヒスチジンを欠く培地 での、FPRL−1をコードするプラスミドを有する酵母に有利であるが、受容 体プラスミドを欠く酵母には有利でない増殖を与えた。プラスミドA1およびA 3〜A10がコードしていると判明したペプチド配列は: であり、ヌクレオチド配列 によってコードされる。FPRL−1受容体およびペプチド作用薬を発現する酵母におけるフェロモン応 答経路の活性化 フェロモン経路の活性化の確認、および刺激の定量化のため、fus1プロモータ ーの活性を、fus1-lacZ融合を試験菌株の並行セットとして用いて比色分析によ り決定した。上記のCY1141を、これらの実験の受容菌株として用いた。形質転換 体は、受容体(R+/-)およびリガンド(L+/-)プラスミドに加えて、CADUS 15 84(pRS424-fus1-lacZ1)を有した。(同一プラスミドを有する)4系統の菌株 をロイシン、ウラシルおよびトリプトファンを欠くpH8.6の最小限培地で終 夜増殖させた。終夜培養体を用いて、Leu-Ura-Trp培地、pH6.8に接種し、 これらの新たな培養体を、0.4未満のOD600まで約4.5〜5時間増殖させ た。これらの培養体からの細胞でのβ−ガラクトシダーゼ活性の検定[Guarente 1983]は、下記の結果が生じた: CY1141/CADUS 2311/ペプチドA1/CADUS 1584 R++ 28単位 CY1141/CADUS 2311/CADUS 1625/CADUS 1584 R+- 3単位 CY1141/CADUS 1289/ペプチドA1/CADUS 1584 R-+ 3.5単位 CY1141/CADUS 1289/CADUS 1625/CADUS 1584 R-- 3.9単位 受容体およびペプチドコーディングプラスミドの存在は、β−ガラクトシダーゼ のバックグラウンドレベルの平均8倍の刺激を招いた。 実施例12:哺乳動物のオーファン受容体MDR−15を発現する酵母における ランダムペプチドライブラリーの発現を用いた、代用リガンドの特定 同様にして、単球由来受容体の単球由来受容体15[MDR15:Barella et al.(1995)Biochem.J.309:773-9]をコードするプラスミドを用いて、この受容体 を発現する酵母菌株(CY6573)を構築した。この受容体は、ヒトバーキットリン パ腫のcDNAがコードするバーキットリンパ腫受容体(BLR1)の代替的な スプライシングされた形態である[Dobner et al.(1992)Eur.J.Immunol.22 ,2795-2799]。同様にしで、菌株CY6573をNNK13ライブラリーで形質転換し 、10の-Leu-Ura(1プレートあたり4.4x105コロニー)で選別した後、 -Leu-Ura-His+1mMATプレートにレプリカ平板培養した。プラスミドプール を再単離し、菌株CY6573に再形質転換すると;10のうち8のプールが-Leu-Ura -His+1mMATプレートでの有意に富裕化したコロニー形成を示した。これら のプールに由来する独自の8プラスミドは、CY6573に再形質転換したとき、 -Leu-Ura-His+1mMATプレートでの増殖を示した。これらのプラスミドのう ち一つは、MDR15受容体を欠く酵母菌株での増殖を与えられなかった。 実施例13:ヒトトロンビン受容体を発現する酵母におけるランダムペプチドラ イブラリーの発現を用いた、リガンドの特定 トロンビンのための受容体、すなわちGタンパク質と結合する受容体は、血小 板、血管平滑筋、繊維芽細胞を包含する無数の細胞型に、また免疫に機能する細 胞のサブセットに存在ずる。トロンビン、すなわちセリンプロテアーゼは、残基 41で受容体分子に結合し、それを切断して、新たな受容体のN末端を生成する 。次いで、切断後のN末端残基は、「拘束されたリガンド」として作用して、受 容体分子を活性化する[Vu et al.1994]。血小板では、トロンビン受容体からの 発信は、ホスホリパーゼCの刺激、細胞内Ca2+の動態化、およびアデニリルシ クラーゼの阻害を包含する無数の効果を生じることが示されている。 本実施例では、下記に詳述する実験を記載することになる:(1)トロンビンに 対するヒトGタンパク質結合受容体を発現するよう指定された酵母の菌株の確立 ;(2)酵母の前記菌株におけるランダムペプチドライブラリーの発現;および( 3)酵母の同じ菌株内で発現されたランダムライブラリーがコードするペプチド によるトロンビン受容体の刺激の際の、内在性酵母フェロモン経路の活性化。哺乳動物トロンビン受容体のための酵母発現ベクターの調製 ヒトトロンビン受容体を、下記のオリゴヌクレオチド: を用いて、pcDNA3:Hu-Thr9b-5'(Bristol Myers Squibb)からのPCRによって 増幅した。増幅された生成物を、ゲル電気泳動によって精製し、NcoIおよびBamH Iで制限し、NcoIおよびBamHIでCADUS 1871、すなわちPGKプロモーターで駆動さ れる発現ベクターに結合して、CADUS 2260を得た。CADUS 1871へのクローニング は、ヒトトロンビン受容体の真正カルボキシル末端コドン(トレオニン)の後に 、三つ組のGlySerValに先行される新規な終止コドンを導入する。加えて、イン ベルターゼシグナル配列が、この受容体の真正アミノ末端 に融合される。 CY7467は、LIRMA(リガンド独立性受容体介在性活性化)、すなわち、リガ ンドの不在下での酵母フェロモン経路の活性化を示す。LIRMAの結果生じた 選別培地での酵母の増殖は、2.5ミリモル濃度の3−アミノトリアゾール(A T)の添加によって排除されることが決定された。ATは、バックグラウンド増 殖を削減するのに役立つHIS3遺伝子産物の阻害剤である。したがって、ヒトトロ ンビン受容体のための新規ペプチドリガンドの特定を目的とする、選別プロトコ ルをこの濃度のATで実施した。ランダムオリゴヌクレオチドライブラリーの調製 上記のとおり。代用リガンドを特定するリサイクリングプロトコル 酵母菌株CY1141(MATα far11442 tbt-1 fus1-HIS3 canI ste14::trp1:: LYS2 ste31156gpal(41)-Gαi2 lys2 ura3 leu2 trp1 his3)をCADUS 2260で形 質転換して、ヒトトロンビン受容体を発現する菌株CY7467を得た。CY7467を、ロ イシン(-Leu)を欠く標準的合成培地(SD)10mlに接種し、30℃で終夜 温置した。10mlの終夜培養体を用いて、YEPD培地50mlに接種し;こ の培養体を、30℃で4.5〜5時間温置し、その時点で、細胞を採集し、ラン ダムペプチドライブラリーをコードするDNA[α−NNK(6.24.94)]での電 気穿孔による形質転換のために調製した。電気穿孔(0.2cmのキュベット中 、0.25mF、200W、1.5kV)の後、細胞を直ちに氷冷1Mソルビト ール1mlに希釈し、100mlのアリコートを、ロイシンおよびウラシルを欠 く(-Leu-Ura)合成培地プレート(pH6.8)10枚に載せた。プレートを3 0℃で2〜4日間温置し、その時点で、最初の形質転換プレートのそれぞれの二 重のレプリカを、ロイシン、ウラシルおよびヒスチジンを欠き、2.5mMのA Tで強化した(-Leu-Ura-His+2.5mMAT)合成培地(pH6.8)に対し て作成した。レプリカを、30℃で3〜5日間温置した。温置の後、二つのレプ リカの組に存在するコロニーを、プレートから全部で10mlのH2Oに(各プ レートに5ml)に掻き取った。各細胞懸濁液のOD600を決定し、未精製プラ スミド単離を、 各プールごとに8〜16OD単位の細胞に対して実施した。全部で10のプール を得た。これらの未精製プラスミドの単離から得たペレットを、40mlの10 mMトリス、EDTA1mM、pH8.0に再懸濁させ、1mlを用いて、電気 穿孔(0.1cmのキュベット、0.25mF、200W、1.8kV)によっ て大腸菌を形質転換した。電気穿孔の後、細胞を直ちに2xYT培地1mlに希 釈し、37℃で30分間、振盪しつつ温置した後、細胞を用いて、100μg/ mlのアンピシリンで強化した2xYT50mlに接種した。得られた10個の 培養体を37℃で終夜温置した。これらの細菌培養体のそれぞれからプラスミド DNAを、Qiagenカラム(Qiagen,Inc.,Chatsworth,CA)を用いて単離した。各 プラスミドDNAペレットを、50mlの10mMトリス、EDTA1mM、p H8.0に再懸濁させた。 それぞれのプラスミドプール1mlを用いて、電気穿孔によって菌株CY7467を 形質転換した。電気穿孔の後、細胞を1Mソルビトール400mlに希釈した。 電気穿孔した各細胞懸濁液から、細胞1mlおよび400mlを-Leu-Ura合成培 地、pH6.8で平板培養して、「低密度」および「高密度」の平板培養体を得 た。プレートを30℃で3日間温置し、その時点で、低および高密度プレートの 双方のレプリカを-Leu-Ura-His+2.5mMATに対して作成した。His+の表現 型を与えることができるプラスミドへの富裕化が生じた場合、それは、低および 高密度プレートの双方での、2〜3日で視認できるHis+コロニーの増幅された数 によって反映されると思われるが、増幅は、高密度の細胞を与えられたプレート で最も明白であると思われる。この実験では、3/10のプールが、His+コロニ ーの増幅を示した。これらのプレートのそれぞれから、5mlのH2Oに細胞を 掻き取り、細胞懸濁液のOD600を決定し、未精製プラスミド単離を、8〜16 OD単位の酵母細胞に対して実施した。得られたペレットを、40mlの10m Mトリス、EDTA1mM、pH8.0に再懸濁させ、1mlを用いて、大腸菌 を形質転換した。この形質転換から得られた単一の細菌コロニーの、2xYT培 養体3mlからのミニプレップによって、プラスミドDNAを単離した(この方 法で、各DNAプールにつき3個の細菌コロニーを処理した)。1プールあたり 3個の個々の細菌コロ ニーに由来するDNAを、20mlの10mMトリス、EDTA1mM、pH8 .0に再懸濁させた。1プールあたり3個の誘導されたDNAを、配列決定し、 同一のペプチドをコードずることが判明した。こうして、3種類の異なるDNA 配列を誘導したが、一つは、それぞれの増幅されたプールを示した。3個の最初 の増幅されたプールのそれぞれを代表する1個のプラスミドを用いて、CY7467( トロンビン受容体発現ベクターを含む)およびCY6263(いかなる受容体配列も欠 いた対照発現ベクターを含むCY1141)を電気穿孔によって形質転換した。ペプチ ドをコードする配列を欠く対照ベクターであるCANDUS 1625を含め、酵母の受容 体+および受容体−の菌株の双方を形質転換するのに用いた。受容体をコードす る配列を欠く対照ベクターであるCANDUS 1651を含め、酵母のリガンド+および リガンド−の菌株の双方を形質転換するのに用いた。形質転換体は、初めに-Leu -Ura、pH6.8で選別し、次いで、各型の酵母の形質転換体2体を、-Leu-Ura 、pH6.8に貼付して、コロニーを拡大した。拡大したならば、-Leu-Ura-His +2.5mMAT上に形質転換体の画線を作成して、ヒスチジンの不在下での増 殖について試験した。試験した3プラスミドのうち一つが、ヒスチジンを欠く培 地での、トロンビンをコードするプラスミドを有する酵母に有利であるが、受容 体プラスミドを欠く酵母には有利でない増殖を与えた。このプラスミドがコード するペプチド配列は: であり、ヌクレオチド配列 によってコードされていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/00 C12Q 1/37 15/09 ZNA 1/42 C12Q 1/37 1/48 Z 1/42 1/68 Z 1/48 C12N 15/00 1/68 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ポール,ジェレミー アイ. アメリカ合衆国 10690 ニューヨーク, サウス ナイアック,ディーポー プレイ ス 89 (72)発明者 フエルンクランツ,ハンス エイ. アメリカ合衆国 10592 ニューヨーク, マンジー,ケアジング パークウェイ 200エイ (72)発明者 ネイサン,デブラ アメリカ合衆国 10549 ニューヨーク, マウント キスコ,フォックスウッド サ ークル 46 (72)発明者 ホームズ,スコット アメリカ合衆国 06877 コネティカット, リッジフィールド,サークル ドライブ 53

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.酵母細胞により発現された異種レセプターを調節する化合物を同定するため のアッセイであって、下記を含む当該アッセイ: i)内因性の酵母のシグナリングパスウェーに機能的にインテグレートされた 異種レセプターを発現する酵母細胞を用意し; ii)その酵母細胞を試験化合物と接触させ;そして iii)内因性酵母シグナリングパスウェーにより生成されるジグナルの変化を検 出し; それにより、異種レセプターを調節する化合物を同定する。 2.前記のシグナリングパスウェーが、酵母のフェロモンシステムパスウェーで ある、請求項1に記載のアッセイ。 3.前記の検出のステップが、内因性の酵母蛋白質をコードする遺伝子の転写を 測定することを含む、請求項1に記載のアッセイ。 4.前記の検出のステップが、内因性の酵母蛋白質の量又は活性を測定すること を含む、請求項1に記載のアッセイ。 5.前記の試験化合物が、ペプチドライブラリーに由来する、請求項1に記載の アッセイ。 6.前記の試験化合物が、非ペプチド化合物のライブラリーに由来する、請求項 1に記載のアッセイ。 7.前記の内因性の酵母蛋白質が、酵母のフェロモンシステムにより生成される シグナルに応答性であるプロモーターに機能的に結合された内因性の酵母遺伝子 によりコードされる、請求項4に記載のアッセイ。 8.前記のプロモーターが、天然のものである、請求項7に記載のアッセイ。 9.前記のプロモーターが、天然のものでない、請求項7に記載のアッセイ。 10.プロモーターが、天然のプロモーターから突然変異されている、請求項9 に記載のアッセイ。 11.プロモーターが、前記の内因性の酵母遺伝子に機能的に結合された異種プ ロモーターである、請求項7に記載のアッセイ。 12.前記の内因性の酵母遺伝子が、BAR1遺伝子である、請求項7に記載の アッセイ。 13.プロモーターを、Fus1プロモーター及びFus2プロモーターよりな る群から選択する、請求項11に記載のアッセイ。 14.前記の酵母細胞が、キメラの核酸構築物を更に含み、該構築物が下記を含 み: 第1の遺伝子に由来する第1のセグメント(該第1のセグメントは、酵母のフ ェロモンシステムパスウェーにより活性化されるポリペプチドをコードする)、 及び 第2の遺伝子に由来する第2のセグメント(該第2のセグメントは、該遺伝子 の調節領域内のDNA配列に結合するポリペプチドをコードする); それにより、該遺伝子が、酵母のフェロモンシステムパスウェーの活性化に対し て応答性となっている、請求項3に記載のアッセイ。 15.前記の第1のセグメントが、Ste12遺伝子に由来する、請求項14に 記載のアッセイ。 16.前記の第2のセグメントが、Pho4遺伝子に由来する、請求項14に記 載のアッセイ。 17.前記の内因性遺伝子が、Pho5遺伝子である、請求項14に記載のアッ セイ。 18.前記の第1のセグメントが、Ste12のアミノ酸1〜688を含むポリ ペプチドをコードする、請求項15に記載のアッセイ。 19.前記の第2のセグメントが、Pho4のアミノ酸227〜312を含むポ リペプチドをコードする、請求項16に記載のアッセイ。 20.前記の酵母細胞が、その内因性Pho4遺伝子内に突然変異を含む、請求 項16に記載のアッセイ。 21.前記の測定のステップが、PHO5酸性ホスファターゼの活性を検出する ことを含む、請求項17に記載のアッセイ。 22.検出ステップが、内因性の酵母シグナリングパスウェーにより生成される シグナルに応答して前記の酵母細胞により発現される内因性酵素の活性の変化を 検出することを含む、請求項1に記載のアッセイ。 23.前記のシグナリングパスウェーが、酵母のフェロモンシステムパスウェー である、請求項22に記載のアッセイ。 24.前記の検出のステップが、酵素の酵素活性を測定することを含む、請求項 22に記載のアッセイ。 25.前記の酵素が、BAR1プロテアーゼである、請求項22に記載のアッセ イ。 26.前記の検出のステップが、BAR1ペプチド認識配列を有する基質の開裂 を測定することを含む、請求項25に記載のアッセイ。 27.前記の基質が、天然物である、請求項26に記載のアッセイ。 28.前記の基質が、天然物でない、請求項26に記載のアッセイ。 29.前記の基質が、SEQ ID NO:4の化合物を含む、請求項28に記載のアッセ イ。 30.前記の基質が、SEQ ID NO:5の化合物を含む、請求項28に記載のアッセ イ。 31.前記のBAR1基質が、少なくとも一つの検出可能な標識を含む、請求項 26に記載のアッセイ。 32.前記の検出のステップが、機能的なBAR1酵素を発現しない試験酵母株 の成長に対する酵素の効果を測定することを含む、請求項22に記載のアッセイ 。 33.前記の基質が、下記を含むキメラの基質であり、前記の検出のステップが 、キメラの基質の安定性を測定することを含む、請求項26に記載のアッセイ: BAR1による開裂の際にアミノ末端Lysを露出する第1のポリペプチド; 及び 該第1のポリペプチドのカルボキシ末端に結合された第2のポリペプチド。 34.細胞内のレセプターを調節する化合物を同定するためのアッセイであって 、下記を含む当該アッセイ: (i)細胞の内因性シグナリングパスウェーに機能的にインテグレートされたレ セプターを発現する細胞を用意し; (ii)その細胞を、非ペプチド化合物のライブラリーと接触させ;そして (iii)内因性シグナリングパスウェーにより生成されるシグナルの変化を検出 し; それにより、レセプターを調節する化合物を同定する。 35.前記の細胞が、酵母細胞である、請求項34に記載のアッセイ。 36.前記のシグナリングパスウェーが、酵母のフェロモンシステムパスウェー である、請求項35に記載のアッセイ。 37.前記の測定のステップが、細胞内の内因性遺伝子の転写又は内因性蛋白質 の活性を測定することを含む、請求項34に記載のアッセイ。 38.細胞内のレセプターを調節する化合物を同定するためのアッセイであって 、下記を含む当該アッセイ: (i)細胞の内因性シグナリングパスウェーに機能的にインテグレートされたレ セプターを発現する細胞を用童し; (ii)その細胞を、試験ポリペプチドのライブラリーと接触させ(該試験ポリペ プチドのライブラリーは、この細胞により発現される);そして (iii)内因性シグナリングパスウェーにより生成されるシグナルの変化を検出 し; それにより、レセプターを調節する化合物を同定する。 39.前記の細胞が、酵母細胞である、請求項38に記載のアッセイ。 40.前記のシグナリングパスウェーが、酵母のフェロモンシステムパスウェー である、請求項39に記載のアッセイ。 41.前記の測定のステップが、細胞内の内因性遺伝子の転写又は内因性蛋白質 の活性を測定することを含む、請求項38に記載のアッセイ。 42.酵母細胞内のフェロモンシステム蛋白質代理物質を調節する化合物を同定 するためのアッセイであって、下記を含む当該アッセイ: (i)酵母細胞の内因性フェロモンシステムシグナリングパスウェーに機能的に インテグレートされたフェロモンシステム蛋白質代理物質を含む酵母細胞を用意 し; (ii)その細胞を、非ペプチド化合物のライブラリーと接触させ;そして (iii)その酵母細胞の内因性フェロモンシグナリングパスウェーにより生成さ れ るシグナルの変化を測定し; それにより、フェロモンシステム蛋白質代理物質を調節する化合物を同定する。 43.前記の測定のステップが、細胞内の内因性遺伝子の転写又は内因性蛋白質 の活性を測定することを含む、請求項42に記載のアッセイ。 44.フェロモンシステム蛋白質代理物質を、G蛋白質とカップルしたレセプタ ー、G蛋白質、プロテアーゼ、キナーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ、カ ルボキシメチルトランスフェラーゼ、ABCトランスポーター及びサイクリンよ りなる群から選択する、請求項42に記載のアッセイ。 45.酵母細胞内のフェロモンシステム蛋白質代理物質を調節する化合物を同定 するためのアッセイであって、下記を含む当該アッセイ: (i)酵母細胞の内因性フェロモンシステムシグナリングパスウェーに機能的に インテグレートされたフェロモンシステム蛋白質代理物質を含む酵母細胞を用意 し; (ii)その細胞を、試験ポリペプチドのライブラリーと接触させ(該試験ポリペ プチドのライブラリーは、この細胞により発現される);そして (iii)酵母細胞の内因性フェロモンシグナリングパスウェーにより生成される シグナルの変化を測定し; それにより、フェロモンシステム蛋白質代理物質を調節する化合物を同定する。 46.前記の測定のステップが、細胞内の内因性遺伝子の発現又は内因性蛋白質 の活性を測定することを含む、請求項45に記載のアッセイ。 47.フェロモンシステム蛋白質代理物質を、G蛋白質とカップルしたレセプタ ー、G蛋白質、プロテアーゼ、キナーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ、カ ルボキシメチルトランスフェラーゼ、ABCトランスポーター及びサイクリンよ りなる群から選択する、請求項45に記載のアッセイ。 48.SEQ ID NO:4の化合物を含む、BAR1酵素の基質。 49.SEQ ID NO:5の化合物を含む、BAR1酵素の基質。 50.BAR1酵素のキメラの基質であって、成熟酵母a因子由来の第1のポリ ペプチドセグメント及び第2の異なるポリペプチド由来の第2のポリペプチドセ グメントを含み、BAR1による該第1のポリペプチドセグメントの開裂に際し て、該第2のポリペプチドセグメントの安定性の変化が検出可能である、上記の キメラの基質。 51.前記の第2のポリペプチドセグメントが、LacZに由来する、請求項5 0に記載のキメラの基質。 52.前記の第2のポリペプチドセグメントが、酵母細胞の成長に必須である蛋 白質に由来する、請求項50に記載のキメラの基質。 53.前記の第2のポリペプチドセグメントが、酵母のリプレッサー蛋白質に由 来する、請求項50に記載のキメラの基質。 54.下記を含む、キメラの核酸構築物: 酵母のフェロモンシステムパスウェーにより活性化されるポリペプチドをコー ドするヌクレオチド配列を含む第1のセグメント;及び Pho4ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第2のセグメント 。 55.前記の第1のセグメントが、Ste12ポリペプチドをコードする、請求 項54に記載のキメラの核酸構築物。 56.請求項54の構築物を含む、酵母細胞。
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