JP2004526441A - 内因性および非内因性型ヒトgタンパク質共役受容体 - Google Patents
内因性および非内因性型ヒトgタンパク質共役受容体 Download PDFInfo
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Abstract
本特許文書において開示される発明は、膜貫通受容体、さらに詳しくはヒトGタンパク質共役受容体、および活性を示すヒトGPCRの変異(非内因性)型に関する。本発明は、膜貫通受容体、ある実施形態ではGタンパク質共役受容体そして、いくつかの好ましい実施形態では受容体の構成的活性を構築または増強するように修飾された内因性GPCRに関する。いくつかの実施形態では、構成的活性化GPCRは、治療薬として適用可能性のある受容体アゴニストまたは逆アゴニストとして候補化合物を直接同定するために使用される。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、1998年10月13日に出願された米国特許出願番号09/170,496の一部継続出願であり、それに対応するPCT出願番号がPCT/US99/23938であり、2000年4月20日にWO 00/22129 として公開された。本出願はまた、1997年4月14日に出願された米国特許出願番号08/839,449(放棄)の一部継続出願である、1998年4月14日に出願された米国特許出願番号 09/060,188の一部継続出願である。前述のそれぞれについての優先権の利益は本願に請求されており、そして前述のそれぞれについての開示が、本願にその全文を参考文献として引用されている。本出願はまた、本願にその全文が参考文献として引用されている、2001年2月26日に出願された、米国仮出願番号60/271,913の利益も請求する。本文書は、以下の出願に関連する。2000年12月1日に出願された米国仮出願番号60/250,881、2000年11月27日に出願された米国仮出願番号60/253,428、2000年11月3日に出願された米国仮出願番号60/245,853、2000年9月20日に出願された米国仮出願番号60/234,045、2000年4月28日に出願された米国仮出願番号60/200,568、2000年4月19日に出願された米国仮出願番号60/198,518、2000年3月14日に出願された米国仮出願番号60/189,353、1999年11月17日に出願された米国仮出願番号60/166,084、ならびに1998年10月30日に出願された米国仮出願60/106,451、これらのそれぞれの開示は全文を参考文献として引用している。
(発明の分野)
本発明は、膜貫通受容体、ある実施形態ではGタンパク質共役受容体そして、いくつかの好ましい実施形態では受容体の構成的活性を構築または増強するように修飾された内因性GPCRに関する。いくつかの実施形態では、構成的活性化GPCRは、治療薬として適用可能性のある受容体アゴニストまたは逆アゴニストとして候補化合物を直接同定するために使用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒトにはかなりの数の受容体クラスが存在するが、圧倒的に最も豊富で治療に関連するものはGタンパク質共役受容体(GPCR)クラスによって代表される。ヒトゲノムには30,000〜40,000個の遺伝子が存在すると推定され、そのうちの約2%がGPCRをコードすると推定される。内因性リガンドが同定されているGPCRを含む受容体は、「既知」受容体と呼ばれ、内因性リガンドが同定されていない受容体は「オーファン」受容体と呼ばれる。
【0003】
GPCRは医薬製品開発の重要な分野を代表しており、100個の既知GPCRの約20個から、全ての処方薬の約60%が開発されている。例えば、1999年には、ブランドネーム処方薬のトップ100のうち、以下の薬剤がGPCRと相互作用する(治療される疾患および/または障害はカッコ内に表示する)。
【0004】
クラリチン(登録商標)(アレルギー)
プロザック(登録商標)(鬱病)
バソテック(登録商標)(高血圧症)
パクシル(登録商標)(鬱病)
ゾロフト(登録商標)(鬱病)
ジブレキサ(登録商標)(精神病)
コザール(登録商標)(高血圧症)
イミトリックス(登録商標)(偏頭痛)
ザンタック(登録商標)(胃逆流症)
プロプルシド(登録商標)(胃逆流症)
リスパダール(登録商標)(精神分裂病)
セレベント(登録商標)(喘息)
ペプシド(登録商標)(胃逆流症)
ガスター(登録商標)(潰瘍)
アトロベント(登録商標)(気管支痙攣)
エフェクソール(登録商標)(鬱病)
デパコート(登録商標)(テンカン)
カルデュラ(登録商標)(前立腺肥大症)
アレグラ(登録商標)(アレルギー)
リュープロン(登録商標)(前立腺ガン)
ゾラデックス(登録商標)(前立腺ガン)
ディプリバン(登録商標)(麻酔)
ブスパール(登録商標)(不安)
ベントリン(登録商標)(気管支痙攣)
ハイトリン(登録商標)(高血圧症)
ウエルブトリン(登録商標)(鬱病)
ジルテック(登録商標)(鼻炎)
プラビックス(登録商標)(MI/卒中)
トプロール−XL(登録商標)(高血圧症)
テノルミン(登録商標)(アンギナ)
キサラタン(登録商標)(緑内障)
シングレア(登録商標)(喘息)
ディオバン(登録商標)(高血圧症)
ハルナール(登録商標)(前立腺肥大症)
(Med Adニュース 1999データ)。
【0005】
GPCRは、7つのアルファヘリックスを形成する22〜24個の疎水性アミノ酸からなる7つの配列を有し、そのそれぞれが膜をスパンする(各スパンは、即ち、膜貫通―1(TM−1)、膜貫通−2(TM−2)などのように番号で識別される)共通の構造モチーフを共有する。膜貫通ヘリックスは、細胞膜の外側、あるいは「細胞外」側において、膜貫通−2と膜貫通−3、膜貫通−4と膜貫通−5、ならびに膜貫通−6と膜貫通−7の間でアミノ酸鎖によって結合される(これらは、「細胞外」領域1、2、および3(それぞれEC−1、ECー2、およびEC−3)と呼ばれる)。膜貫通ヘリックスはまた、細胞膜の内側、あるいは「細胞内」側において、膜貫通−1と膜貫通−2、膜貫通−3と膜貫通−4、ならびに膜貫通−5と膜貫通−6の間でアミノ酸鎖によって結合される(これらは、「細胞内」領域1、2、および3(それぞれIC−1、ICー2、およびIC−3)と呼ばれる)。受容体の「カルボキシ」(“C”)末端は細胞内側の細胞内空間に位置し、そして受容体の「アミノ」(“N”) 末端は細胞外側の細胞外空間に位置する。
【0006】
一般的に、内因性リガンドが受容体と結合すると(受容体の「活性化」としばしば呼ばれる)、細胞内領域のコンフォーメーションに変化が生じ、細胞内領域と細胞内「Gタンパク質」間の共役が起こる。GPCRは、Gタンパク質に関して「乱交雑性」であることが報告されており、即ち、GPCRは一つ以上のGタンパク質と相互作用できる。Kenakin, T., 43Life Sciences1095 (1988)を参照。その他のGタンパク質が存在するが、現在同定されているGタンパク質は、Gq、Gs、Gi、Gz、およびGoである。Gタンパク質と共役したリガンド活性化GPCRは、シグナリングカスケードプロセス(「シグナル伝達」と呼ぶ)を開始する。正常条件では、シグナル伝達は、究極的には細胞活性化または細胞抑制を生起する。理論に束縛されることは意図しないが、受容体のIC−3ループならびにカルボキシ末端がGタンパク質と相互作用すると考えられる。
【0007】
生理学的条件下では、GPCRは、「不活性」状態と「活性」状態の2つの異なるコンフォーメーションの平衡状態で細胞膜内に存在する。不活性状態にある受容体は、細胞内シグナル伝達経路に結合して生物学的応答を誘導するシグナル伝達を開始することができない。受容体のコンフォーメーションが活性状態に変化すると、(Gタンパク質を介して)伝達経路に結合して、生物学的応答を生じることが可能になる。
【0008】
受容体は、リガンドまたは薬剤のような化合物によって活性状態に安定化され得る。受容体のアミノ酸配列の修飾を含むがそれのみに限定はされない、最近の発見は、受容体を促進ならびに安定化して活性状態のコンフォーメーションにするリガンドまたは薬剤以外の手段を提供する。これらの手段は、受容体に結合するリガンドの効果をシミュレートすることによって、受容体を効果的に安定化して活性状態にする。そのようなリガンドと無関係な手段による安定化は、「構成的受容体活性化」と呼ばれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
ヒトGPCRの内因性および非内因性型とその用途を本願に開示する。
【0010】
本発明のある実施形態は、配列番号2のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号63のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0011】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号62のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0012】
本発明のある実施形態は、配列番号4のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号65のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0013】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号64のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0014】
本発明のある実施形態は、配列番号6のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、それと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0015】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号5のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0016】
本発明のある実施形態は、配列番号8のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号67、配列番号69、配列番号71、および配列番号73のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0017】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号66、配列番号68、配列番号70、および配列番号72のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0018】
本発明のある実施形態は、配列番号10のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号75および配列番号77のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0019】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号74および配列番号76のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0020】
本発明のある実施形態は、配列番号12のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号79および配列番号81のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0021】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号78および配列番号80のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0022】
本発明のある実施形態は、配列番号14のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号83のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0023】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号82のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0024】
本発明のある実施形態は、配列番号16のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号85のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0025】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号84のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0026】
本発明のある実施形態は、配列番号18のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号87のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0027】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号86のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0028】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号84のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0029】
本発明のある実施形態は、配列番号98のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、それと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0030】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号97のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0031】
(発明の詳細な説明)
受容体についての科学的文献は、受容体に種々な影響を及ぼすリガンドに関連するいくつもの用語を採用している。明確性と統一性を図るために、本特許文書を通じて以下の定義を使用する。これらの定義がこれら用語のその他の定義と相反しない限り、以下の定義を使用する。
【0032】
アゴニストとは、受容体に結合すると、細胞内応答を活性化するか、あるいはGTPの膜結合を増強する物質(例えば、リガンド、候補化合物)を意味する。ある実施形態では、アゴニストは、受容体に結合すると細胞内応答を活性化すること、あるいはGTPの膜結合を増強することが過去に知られていない物質である。
【0033】
本願明細書で使用するアミノ酸略記を表1に詳述する。
【0034】
【表1】
アンタゴニストとは、アゴニストと同一部位で受容体と競合的に結合するが、活性型受容体によって開始される細胞内応答を活性化せず、その結果アゴニストによる細胞内応答を抑制することができる物質(例えば、リガンド、候補化合物)である。アンタゴニストは、アゴニストが存在しないと細胞内応答の基底(正常)値を漸減しない。ある実施形態では、アンタゴニストは、受容体に結合すると細胞内応答を活性化すること、あるいはGTPの膜結合を増強することが過去に知られていない物質である。
【0035】
候補化合物とは、スクリーニング法の対象となる分子である(例であって限定ではないが、化合物)。好ましくは、「候補化合物」という表現は、間接同定法によって過去に決定された(「間接同定化合物」)、受容体に対する逆アゴニスト、アゴニスト、またはアンタゴニストから成る群から選択される化合物であることが公知な化合物を含まず、さらに好ましくは、少なくとも一つの哺乳類において治療有効性があることが過去に決定されていることが間接的に同定された化合物を含まず、そして最も好ましくは、ヒトにおいて治療用途を有することが過去に決定されていることが間接的に同定された化合物を含まない。
【0036】
組成物とは、少なくとも一つの成分を含む物質を意味し、「医薬品組成物」は組成物の一例である。
【0037】
化合物有効性とは、受容体結合親和性に対して、受容体の機能性、即ちシグナル伝達経路を活性化/抑制する能力、を抑制または促進する化合物の能力の計量を意味する。化合物有効性を検出する典型的手段は、本特許文書の実施例セクションに開示されている。
【0038】
コドンとは、一般的にリン酸基と結合するヌクレオシド(アデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)、チミジン(T))を含み、さらに翻訳されるとアミノ酸をコードする、3つのヌクレオチド(またはヌクレオチド等価物)の一つのまとまりを意味する。
【0039】
構成的活性化受容体とは、構成的な受容体活性化を受けた受容体を意味する。構成的活性化受容体は、内因性または非内因性であり得る。
【0040】
構成的受容体活性化とは、受容体をそのリガンドまたはその化学的等価物と結合すること以外の手段によって、受容体を活性状態に安定化することを意味する。
【0041】
接触または接触するとは、少なくとも二つの部分を、インビトロ系またはインビボ系において、一緒にすることを意味する。
【0042】
「候補化合物」という表現との関連における直接同定する、または直接同定されたとは、候補化合物を、構成的活性化受容体に対して、好ましくは構成的活性化オーファン受容体に対して、そして最も好ましくは構成的活性化Gタンパク質共役細胞表面オーファン受容体に対してスクリーニングすること、ならびにそのような化合物の化合物有効性を評価することを意味する。この表現は、どんな場合でも、「間接同定する」または「間接同定された」という表現に包含されたり、包含すると解釈または理解されてはならない。
【0043】
内因性とは、哺乳類が天然に産生する物質を意味する。例であって限定ではないが、用語「受容体」に関連する内因性とは、哺乳類(例であって限定ではないが、ヒト)またはウイルスによって天然に産生されるものを意味する。対照的に、このような観点における非内因性という用語は、哺乳類(例であって限定ではないが、ヒト)またはウイルスによって天然に産生されないものを意味する。例であって限定ではないが、内因性型では構成的活性ではないが、操作されると構成的活性となる受容体が、本願では「非内因性・構成的活性化受容体」として最も好ましく参照される。どちらの用語も「インビボ」および「インビトロ」系を説明するために用いることができる。例であって限定ではないが、スクリーニング法において、内因性または非内因性受容体は、インビトロスクリーニング系に関連し得る。限定されることはないがさらなる例として、哺乳類のゲノムが、非内因性・構成的活性化受容体を含むように操作された場合、インビボ系の手段による候補化合物のスクリーニングが実行可能である。
【0044】
Gタンパク質共役受容体融合タンパク質およびGPCR融合タンパク質とは、本願に開示する本発明の観点からは、それぞれ、内因性・構成的活性化GPCR、あるいは少なくとも一つのGタンパク質、最も好ましくは、そのようなGタンパク質のアルファ(α)サブユニット(これはGTPに結合するサブユニットである)に融合され、このGタンパク質が好ましくは内因性オーファンGPCRと天然で共役するGタンパク質と同タイプである、非内因性・構成的活性化GPCRを含む非内因性タンパク質をそれぞれ意味する。例であって限定ではないが、内因状態において、Gタンパク質「Gsα」がGPCRと共役する主Gタンパク質である場合は、特定のGPCRに基づくGPCR融合タンパク質は、Gsαに融合したGPCRを含む非内因性タンパク質であり、ある場合は、以下に記述するように、非優勢のGタンパク質がGPCRに融合することがある。Gタンパク質は、構成的活性GPCRのC末端に直接融合でき、またはこの2つの間にスペーサーが存在してもよい。
【0045】
宿主細胞とは、その中にプラスミドおよび/またはベクターを組み込むことができる細胞を意味する。原核宿主細胞においては、宿主細胞が複製するとプラスミドは典型的には自律分子として複製される(一般的には、プラスミドはその後は真核宿主細胞中に導入するために単離される)。真核宿主細胞においては、プラスミドは、宿主細胞の細胞DNA中に組み込まれ、したがって真核宿主細胞が複製するとプラスミドが複製する。ある実施形態では、宿主細胞は真核性であり、より好ましくは哺乳類、そして最も好ましくは293、293T、およびCOS-7細胞から成る群から選択される。
【0046】
間接同定するまたは間接同定されたとは、内因性受容体に特異的な内因性リガンドの同定に関する創薬方法、リガンド−受容体相互作用を干渉および/または競合する候補化合物を決定するための受容体に対する候補化合物のスクリーニング、ならびに活性化受容体と関連する少なくとも一つのセカンドメッセンジャー経路への影響についてその化合物の有効性を評価するための従来の方法を意味する。
【0047】
用語「応答」との関連における、抑制するまたは抑制とは、化合物が存在しない場合に対して、化合物が存在すると応答が減少あるいは防止されることを意味する。
【0048】
逆アゴニストとは、内因性型受容体または構成的活性化型受容体のいずれかに結合して、活性型受容体によって引き起こされる正常な細胞内応答をアゴニストが存在しない場合に観察される活性の正常基準レベル以下に抑制するか、あるいは膜に対するGTP結合を減少する物質(例えば、リガンド、候補化合物)を意味する。好ましくは、細胞内応答の正常値は、逆アゴニストが存在すると、逆アゴニストが存在しない場合の応答の正常値と比較して、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、ならびに最も好ましくは少なくとも99%抑制される。
【0049】
既知受容体とは、その受容体に特異的な内因性リガンドが既に同定されている内因性受容体を意味する。
【0050】
リガンドとは、天然の受容体に特異的な分子を意味する。
【0051】
内因性受容体の核酸および/またはアミノ酸配列に関連する、変異体または変異とは、内因性で構成的に活性化しない受容体の変異型が、その受容体の構成的活性化を示すような、そのような内因性配列に対する特異的変化(複数でもよい)を意味する。特定配列に対する等価物の観点からいえば、(a)ヒト受容体の後続変異型の構成的活性化の度合いが、その受容体の最初の変異が示す活性化の度合いと実質的に同じであり、さらに(b)受容体の後続変異型と受容体の最初の変異の間の配列相同率(アミノ酸および/または核酸)が、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、そして最も好ましくは少なくとも99%である場合、ヒト受容体の後続変異型は、ヒト受容体の最初の変異と等価であると見なされる。ある実施形態では、構成的活性化を達成するために、本願において開示されているいくつかの好ましいカセットが、内因性型および非内因性型のGPCR間における単一のアミノ酸および/またはコドン変化を含むという事実のために、配列相同率は少なくとも98%であることが好ましい。
【0052】
非オーファン受容体とは、受容体に結合すると細胞内シグナル伝達経路を活性化するような、既に同定されているリガンドに特異的な内因性の天然分子を意味する。
【0053】
オーファン受容体とは、その受容体に特異的なリガンドが同定されていないか、あるいは未知である内因性受容体を意味する。
【0054】
医薬品組成物とは、少なくとも一つの活性成分を含み、それによってその組成物が哺乳類(例であって、限定はしないが、ヒト)において特定の有効な成果について調査対象となる組成物を意味する。当業者は、活性成分が当業者のニーズに基づいて望ましい有効な結果を有するか否かを決定するために適切な方法を理解かつ評価しよう。
【0055】
プラスミドとは、ベクターとcDNAを合わせたものを意味する。一般的には、プラスミドは、タンパク質としてのcDNAの複製および/または発現目的で宿主細胞中に導入される。
【0056】
セカンドメッセンジャーとは、受容体活性化の結果として生じる細胞内応答を意味する。セカンドメッセンジャーは、例えば、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシクログリセロール(DAG)、サイクリックAMP(cAMP)、ならびにサイクリックGMP(cGMP)を含み得る。セカンドメッセンジャー応答を測定して、受容体活性化を判定することができる。さらに、セコンドメッセンジャー応答は、例えば、逆アゴニスト、アゴニスト、およびアンタゴニストを含む候補化合物を直接同定するために測定され得る。
【0057】
信号雑音比(SN比)とは、活性化、増幅、または刺激に対する応答として発生されるシグナルであり、そのシグナルがバックグラウンド雑音以上であるか、または非活性化、非増幅、または非刺激に対する応答の基底レベル以上であることを意味する。
【0058】
スペーサーとは、遺伝子、例えば目的のGPCR、の最後のコドンまたは最後のアミノ酸の後に位置するが、目的のGタンパク質の開始コドンまたは開始領域の前に位置し、目的のGタンパク質の開始領域と翻訳領域内にある、翻訳されたアミノ酸数を意味する。翻訳アミノ酸数は、当業者のニーズに応じて調整することができ、一般的には約1個のアミノ酸、好ましくは2個のアミノ酸、さらに好ましくは4個のアミノ酸、さらに好ましくは5個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは6個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは7個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは8個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは9個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは10個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは11個のアミノ酸、そしてさらに好ましくは12個のアミノ酸から成る。
【0059】
用語「応答」との関連における、促進するまたは促進とは、化合物が存在しない場合に対して、化合物が存在すると応答が増加されることを意味する。
【0060】
実質的とは、コントロール結果の40%以内、好ましくは35%以内、さらに好ましくは30%以内、さらに好ましくは25%以内、さらに好ましくは20%以内、さらに好ましくは15%以内、さらに好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内、さらに好ましくは2%以内、そして最も好ましくはコントロール結果の1%以内である結果を意味する。例えば、受容体の機能性の観点からいえば、本願で教示された方法または当業者に公知の同様な方法を用いて測定された伝達シグナルが、コントロールシグナルによって産生されたシグナルの40%以内であるならば、テスト受容体がコントロール受容体と実質的に同様な結果を呈示し得る。
【0061】
cDNAに関するベクターとは、少なくとも一つのcDNAを組み込むことならびに宿主細胞内への組み込みが可能な環状DNAを意味する。
【0062】
以下のセクションの順序は、効率的な提示を考慮して記述されており、開示またはこれに続く請求に対する限定を意図すると解釈されるべきではない。
A.イントロダクション
受容体についての従来の研究は、典型的には、発見がアンタゴニストと受容体を影響し得るその他の分子の検索に進展できる前に、内因性リガンドをまず同定しなければならないという(先験に基づく)演繹的な仮定から発した。アンタゴニストがまず既知であるような場合でさえ、検索は内因性リガンドの探索へと直ちに拡大された。この思考様式は、構成的活性化受容体の発見後でさえも受容体研究に長く存続している。これまでに認識されていなかったことは、活性状態にある受容体が、受容体のアゴニストと逆アゴニスト発見に最も有用であるということである。活性過剰な受容体または活性が不十分な受容体に起因する疾患では、治療薬に望まれるものは、それぞれ受容体の活性状態を減少させたり、受容体の活性を増強するために作用する化合物であり、必ずしも内因性リガンドに対するアンタゴニストである薬剤ではない。これは、活性状態にある受容体の活性度を減少または増強する化合物は、内因性リガンドと同一部位に結合する必要がないからである。したがって、本発明の方法に教示されるように、治療化合物についてのいずれの検索もリガンドと無関係な活性状態に対して化合物をスクリーニングすることによって開始されるべきである。
B.ヒトGPCRの同定
ヒトゲノムプロジェクトの努力は、ヒトゲノム内に位置する核酸配列に関する過大な情報の同定を誘導し、この努力によって遺伝的配列情報が、いずれかの特定のゲノム配列がヒトタンパク質を翻訳する翻訳領域を含むか否かについて理解または認識することなく利用可能になった。ヒトゲノム内にある核酸配列を同定するためのいくつかの方法は、当業者の認識範囲である。
【0063】
受容体ホモロジーは、ヒト身体内における受容体の役割の評価を得る観点から有用である。本特許文書では、これらの受容体を変異して、これらの受容体の非内因性・構成的活性化型を確立するための技法が考察される。
【0064】
本願に開示される技法はまた、当業者には明らかであるように、当該分野に公知のその他のヒトGPCRに応用可能である。
C.受容体スクリーニング
本願に開示される非内因性・構成的活性化型GPCRに対する候補化合物のスクリーニングは、受容体の内因性リガンドを使用する必要なく、細胞表面受容体に作用する候補化合物を直接同定することを可能にする。常套的、さらにしばしば市販の技法を用いることによって、本願に開示された内因性型のヒトGPCRが発現および/または過剰発現されている領域を身体内で決定することができる。特定組織における受容体の発現場所によって、科学者は受容体の生理学的、機能的役割を指定することができる。また、これらの技法を用いて、受容体の発現および/または過剰発現に関連する関連疾患/障害状態を明らかにすることが可能であり、そのような取り組み方が本特許文書に開示されている。さらに、疾患臓器における受容体の発現は、受容体の臨床的関連性の度合いの決定を補助し得る。
【0065】
本願に開示されるGPCRの構成的活性化は、GPCRのTM6内に位置すると考えられているプロリン残基からの距離に基づき、このアルゴリズム法は、本願に一覧しているその他の特許文書と共に本願にその全文を参考文献として引用している、同時係属中で一般的にPCT出願番号PCT/US99/23938と指定され、2000年4月20日にWO 00/22129 として公開された特許文書中に開示されている。このアルゴリズム法は、従来の配列「アライメント」に基づくというよりはむしろ、前述のTM6プロリン残基からの特定距離(または、勿論、そのようなプロリン残基の内因性・構成的置換)に根拠を置く。16アミノ酸残基に位置するアミノ酸の残基を、この残基(おそらく、受容体のIC3領域に位置する)から、最も好ましくは、リジン残基に変異することによって、受容体の構成的活性化が達成され得る。その他のアミノ酸残基は、この目的を達成するために本位置での変異に有用であり得る。
D.疾患/障害の同定および/または選択
以下にさらに詳説するように、非内因性・構成的活性化GPCRに対する逆アゴニストとアゴニストは、本発明の方法論によって同定され得る。そのような逆アゴニストとアゴニストは、この受容体に関連する疾患を治療するための創薬プログラムにおけるリード化合物として理想的な候補である。GPCRに対する逆アゴニストを直接同定する能力に拠って、医薬品組成物の開発が可能となり、GPCR関連疾患と障害の検索が適切になる。特定組織における受容体の発現場所によって、科学者は受容体の生理学的な機能を指定することができる。例えば、GPCRの存在について疾患および正常組織サンプルをスキャンすることは、今では、学術的な作業、あるいは特定のGPCRに対する内因性リガンドを同定する方法に従って追求され得るものの域を超えて身近なものとなっている。健常ならびに疾患組織の広範囲にわたり組織スキャンを行うことができる。そのような組織スキャンは、特定の受容体を疾患および/または障害と関連させる可能性のある第一ステップを提供する。さらに、疾患臓器における受容体の発現は、受容体の臨床的関連性の度合いを決定する補助となり得る。本明細書の校閲によって、当業者は、いったん受容体が一定の組織または領域に限局化されると、GPCRの機能を推論する能力が得られる。
【0066】
GPCRのDNA配列は、プローブ/プライマーを作成するために使用できる。ある好ましい実施形態では、DNA配列は、(a)組織mRNAに対するドット−ブロット分析、および/または(b)組織サンプル中の受容体発現のRT−PCR同定、用のプローブの作成に使用される。組織ソース、または疾患組織中に受容体が存在すること、あるいは正常組織と比較して疾患組織中で受容体が高濃度で存在することを使用して、場所を機能と関連させて、受容体の生理学的役割/機能を指定して、限定はされないが、その機能/役割と関連する疾患を含む、治療方法を作出することができる。受容体はまた、この技法によって臓器の領域に限局化され得る。受容体が局在する特定組織の既知または想定される役割/機能に基づき、受容体の推定上の生理学的機能を引き出すことができる。限定ではない例として、視床領域に局在/発現されるタンパク質は、感覚運動プロセシングと覚醒に関連する(Goodman と Gilman,The PharmacologicalBasis of Therapeutics(治療薬の薬理学的基礎), 第9版, ページ465 (1996)を参照)。海馬またはシュワン細胞で発現されるタンパク質は、学習および記憶、ならびに末梢神経の髄鞘形成にそれぞれ関連する(Kandel, E. ら,Essentials of NeuralScience and Behavior(神経科学と行動の本態)、それぞれ、ページ657, 680 と 28, (1995))。ある実施形態では、プローブおよび/またはプライマーは、限定はされないが、下記の実施例6で同定される疾患と障害を含む、疾患および/または障害を検出および/または診断するために使用され得る。そのようなプライマーおよび/またはプローブの生成方法は、プライマーおよび/プローブを使用して疾患および/または障害を検出するための方法と並んで当業者には公知である。
E.候補化合物のスクリーニング
1.一般的GPCRスクリーニングアッセイ法
Gタンパク質受容体が構成的活性になると、Gタンパク質(例えば、Gq, Gs, Gi, Gz, Go)と結合して、Gタンパク質に対するGTPの結合を促進する。Gタンパク質は次にGTP加水分解酵素として作用して、GTPをGDPに加水分解し、それによって正常条件下では、受容体が脱活性化状態になる。しかし、構成的活性化受容体はGDPをGTPに交換し続ける。GTPの加水分解抵抗性類似体である[35S]GTPγSを使って、構成的活性化受容体を発現する膜への結合の増強をモニタすることができる。[35S]GTPγSを使用して、リガンドが存在する場合と存在しない場合における膜へのGタンパク質の共役をモニタできることが報告されている。当該分野で公知かつ利用可能なその他の例の中でも、このモニタリングの例は、Traynor とNahorski によって1995年に報告された。この系は受容体の細胞内ドメインと相互作用する特定のGタンパク質に係わりなく全てのGタンパク質共役受容体に一般的に適用可能であるために、このアッセイ系は典型的には候補化合物の最初のスクリーニングに使用される。
【0067】
2. 特異的GPCRスクリーニングアッセイ法
「一般的」Gタンパク質共役受容体アッセイ(即ち、アゴニストまたは逆アゴニストである化合物を選択するためのアッセイ)を用いていったん候補化合物が同定されると、受容体部位で化合物が相互作用することを確認するための更なるスクリーニングが注目される。例えば、「一般的」アッセイによって同定された化合物は、受容体に結合するのではなく、その代わり単に細胞内ドメインからGタンパク質を脱共役させるのみであり得る。
【0068】
a.Gs、Gz、およびGi
Gsは酵素アデニリルシクラーゼを促進する。Gi(およびGzとGo)は、他方、アデニリルシクラーゼを阻害する。アデニリルシクラーゼは、ATPからcAMPへの変換を触媒し、したがって、Gsタンパク質を共役する構成的活性化GPCRは、細胞のcAMPレベルの増加に関連する。他方、Gi(またはGz、Go)タンパク質と共役する構成的活性化GPCRは、細胞のcAMPレベルの低下に関連する。一般的には、From Neuron To Brain(ニューロンから脳)(第3版)Nichols,J.G.ら編集、「Indirect Mechanisms of Synaptic Transmission(シナプス伝達の間接的メカニズム)」,Sinauer Associates, Inc. (1992)を参照。したがって、cAMPを検出するアッセイは、候補化合物が、例えば、受容体に対する逆アゴニスト(即ち、そのような化合物はcAMPレベルを低下させる)であるかどうかを決定するために利用できる。cAMP測定について当該分野で公知の種々の方法が利用でき、最も好ましい方法は、ELISAフォーマットにおける抗−cAMP抗体の使用に依拠する。利用できるアッセイの他のタイプは、全細胞セカンドメッセンジャーレポーター系アッセイである。遺伝子上にあるプロモーターは、特定の遺伝子がコードするタンパク質の発現を動因する。サイクリックAMPは、cAMP応答性DNA結合タンパク質または転写因子(CREB)の結合を促進し、次に特異的部位でプロモーターに結合し(cAMP応答エレメント)、そして遺伝子の発現を動因する。レポーター遺伝子、例えばβ−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼの前に複数のcAMP応答エレメントを含むプロモーターを有するレポーター系を構築することができる。したがって、受容体に結合した構成的活性化Gsは、cAMPの蓄積を生起し、これは次に遺伝子を活性化して、レポータータンパク質の発現を誘導する。β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼのようなレポータータンパク質は、次に標準生化学的アッセイ法を用いて検出することができる(Chenら 1995)。
【0069】
b.GoとGq
GqとGoは、酵素ホスホリパーゼCの活性化に関連し、その結果としてリン脂質PIP2を加水分解して、2つの細胞内メッセンジャー、ジアシクログリセロール(DAG)とイノシトール1,4,5−三リン酸塩(IP3)を遊離する。IP3の蓄積の増加は、Gq−およびGo−関連受容体の活性化に関連する。一般的には、From Neuron To Brain(ニューロンから脳)(第3版)Nichols,J.G. ら編集、「Indirect Mechanisms of Synaptic Transmission(シナプス伝達の間接的メカニズム)」,第8章, Sinauer Associates, Inc. (1992)を参照。IP3蓄積を検出するアッセイは、候補化合物が、例えば、GqまたはGo関連受容体に対する逆アゴニスト(即ち、そのような化合物はIP3レベルを低下させる)であるかどうかを決定するために利用できる。Gq関連受容体はまた、Gq依存性ホスホリパーゼCがAP1エレメントを含む遺伝子の活性化を起因する、AP1レポーターアッセイを用いて検査することができ、したがって活性化Gq関連受容体は、そのような遺伝子発現増加を示し、それによってその逆アゴニストがそのような発現を減少すること、またアゴニストがそのような発現を増加することを示す。そのような検出用の市販アッセイが入手可能である。
【0070】
3.GPCR融合タンパク質
逆アゴニスト、アゴニストの直接同定のための候補化合物のスクリーニングに、内因性・構成的活性化GPCRまたは非内因性・構成的活性化GPCRを使用する場合、必然として、受容体はそれに結合する内因性リガンドが存在しない場合でさえ活性であるという興味深いスクリーニングの困難性が生じる。したがって、例えば、候補化合物が存在する場合の非内因性受容体とその化合物が存在しない場合の非内因性受容体を識別するためには、かかる識別の目的がそのような化合物が逆アゴニストまたはアゴニストであるか、またはそのような受容体を影響しないかどうかを理解することなので、かかる識別を増強できる方法を利用することが好ましい。好ましい方法は、GPCR融合タンパク質の使用である。
【0071】
一般的に、前述のアッセイ法(並びにその他の方法)を用いて非内因性GPCRが構成的に活性化されていることがいったん判明すると、内因性GPCRと共役する主Gタンパク質を決定することが可能である。Gタンパク質がGPCRと共役すると、評価可能なシグナル伝達経路を生じる。ある実施形態では、哺乳類発現系を用いてスクリーニングを行うことが好ましく、そのような系は内因性Gタンパク質を有することが予測される。したがって、定義上、そのような系では非内因性・構成的活性化GPCRは持続的にシグナル伝達を行うであろう。ある実施形態では、例えば、受容体に対する逆アゴニストが存在する場合にこのシグナルが増強されることが好ましく、特にスクリーニングの観点からいえば、受容体が逆アゴニストと接触すると、より容易に受容体の識別が可能となることが好ましい。
【0072】
GPCR融合タンパク質は、Gタンパク質と非内因性GPCRとの共役効力を増強することが意図されている。GPCR融合タンパク質は、内因性・構成的活性GPCRまたは非内因性・構成的活性化GPCRのいずれかのスクリーニングに向いており、それはそのような方法がそのようなスクリーニング法において使用されるシグナルを増加するためである。これは、有意な「信号雑音比」を促進するために重要であり、そのような有意な信号雑音比は本願に開示するような候補化合物のスクリーニングに好ましい。
【0073】
GPCR融合タンパク質の発現に有用な構築物の作成は当業者の認識範囲である。市販の発現ベクターおよびシステムは、研究者の特定のニーズに適合できる種々の方法を提供する。そのようなGPCR融合タンパク質構築物の作成における重要な判定基準は、限定はされないが、内因性GPCR配列とGタンパク質配列がどちらも翻訳領域内(インフレーム)にあり(好ましくは、内因性GPCR配列がGタンパク質配列の上流にあり)、さらにGPCRの「停止」コドンが欠失されているか、あるいはGPCRの発現に際して、Gタンパク質もまた発現できるように置換されていることを含む。その他の実施形態は、内因性GPCR配列とGタンパク質配列が翻訳領域内にないか、および/または「停止」コドンが欠失または置換されていないような構築物を含む。GPCRは直接Gタンパク質に結合されるか、あるいはこの二つの間にスペーサー残基が存在し得る(好ましくは、約12個以下、この数値は当業者には容易に把握され得る)。便宜上、スペーサーを使用することが好ましい。非内因性GPCRに共役するGタンパク質は、GPCR融合タンパク質構築物を作出する前に同定されていることが好ましい。同定されているGタンパク質はほんの僅かであるため、その中に内因性GPCR配列の挿入するために利用可能なGタンパク質の配列を含む構築物(即ち、ユニバーサルGタンパク質構築物(実施例を参照))であることが好ましく、これによって、別々の配列を有する種々の別個の内因性GPCRの大規模なスクリーニングがさらに効率的になる。
【0074】
前述のように、Gi、Gz、およびGoに共役する構成的活性化GPCRは、cAMPの形成を抑制して、これらのタイプのGPCRに基づくアッセイの作出を困難とすることが予測される(即ち、活性化されるとcAMPシグナルが減少して、例えば(このシグナルをさらに減少させるであろう)逆アゴニストの直接同定が困難となる。本願に開示するように、発明者らは、これらのタイプの受容体では、GPCR内因性Gタンパク質に基づかないGPCR融合タンパク質を作出して、有効なシクラーゼアッセイを確立することが可能であることを確信した。 したがって、例えば、内因性Gi共役受容体をGsタンパク質と融合することができ、そのような融合構築物は、発現に際して、内因性GPCRが、例えば、「天然」Giタンパク質というよりはむしろGsと共役することを「動因」または「強制」して、それによってシクラーゼアッセイが確立され得る。したがって、Gi、Gz、およびGo共役受容体について、ある実施形態では、GPCR融合タンパク質が使用されて、アッセイがアデニリルシクラーゼ活性の検出に基づくならば、融合構築物はGs(または酵素アデニリルシクラーゼの形成を促進する等価Gタンパク質)によって構築されることが好ましい。
【0075】
【表2】
Gs、Gi、Gz、またはGoと融合したGqタンパク質を利用するGタンパク質融合構築物は同様に有効である。ある実施形態では、Gタンパク質α−サブユニット(「Gαq」)の最初の6個のアミノ酸が欠失され、さらにGαqのC末端にある最後の5個のアミノ酸が目的のGタンパク質のGαの対応するアミノ酸で置換されている、Gqタンパク質によって達成され得る。例えば、融合構築物は、Giタンパク質と融合したGq(6個アミノ酸欠失)を有することが可能で、その結果「Gq/Gi融合構築物」が生じる。この融合構築物は、内因性Gi共役受容体をその非内因性Gタンパク質であるGqと共役させ、したがってセカンドメッセンジャー、例えば、イノシトール三リン酸またはジアシルグリセロール、がcAMP産生の代わりに測定され得る。
【0076】
4.ターゲットGi共役GPCRとシグナルエンハンサーGs共役GPCRの同時トランスフェクション(cAMPベースアッセイ)
Gi共役受容体はアデニリルシクラーゼを阻害することが知られており、したがって、cAMP産生レベルを減少するために、cAMPレベルの評価を困難にし得る。活性化時に主としてGiを共役する受容体の構成的活性化の指標として、cAMP産生の減少を測定する有効な技法は、シグナルエンハンサー、例えば、活性化時に主としてGsを共役する非内因性・構成的活性化受容体(例えば、以下に開示されるTSHR-A623I)をGPCRと結合したGiと共に同時トランスフェクトすることによって達成され得る。明らかであるように、Gs共役受容体の構成的活性化はcAMPの産生の増加に基づいて判定できる。Gi共役受容体の構成的活性化はcAMP産生の減少を誘導する。したがって、この同時トランスフェクション法は、これらの「逆の」影響を好都合にも利用することを意図している。例えば、非内因性・構成的活性化Gs共役受容体(「シグナルエンハンサー」)と内因性Gi共役受容体(「ターゲット受容体」)の同時トランスフェクションは、ベースラインcAMPシグナルを生じる(即ち、Gi共役受容体はcAMPレベルを減少するが、この「減少」は、シグナルエンハンサーと共役した、構成的活性化Gsによって確立されたcAMPレベルの大幅な増加を基準にしている)。シグナルエンハンサーをターゲット受容体の構成的活性化型と同時トランスフェクトすることによって、Giターゲットの機能的活性の増加(即ち、cAMPを減少する)のために、cAMPは(ベースラインに対して)さらに減少することが予測される。
【0077】
cAMPベースアッセイを用いる候補化合物のスクリーニングは、次に内因性受容体/Gタンパク質融合の用途に関する2つの「変化」によって達成することができる。その第一はGi共役ターゲット受容体に関しては、即ち、Gi共役ターゲット受容体の逆アゴニストがcAMPの測定シグナルを増加し、Gi共役ターゲット受容体のアゴニストはこのシグナルの減少を起因するという「対向」効果を生じることであり、第二は、明らかであるように、この方法を用いて直接同定された候補化合物はこれらがシグナル増強受容体をターゲットしないことを確実にするために個別に評価されるべきことである(これは同時トランスフェクト受容体に対するスクリーニングの前または後に行うことができる)。
F.医薬品化学
しかし必ずではないが、一般的に、候補化合物の直接同定は、コンビナトリアル化学技法を介して生成された化合物と組み合わせて行われ、それによって何千もの化合物がそのような分析のためランダムに調製される。一般的に、そのようなスクリーニングの結果は、特有のコア構造を有する化合物であり、その後、これらの化合物は、さらにその医薬品特性を増強するために、好ましいコア構造(複数でもよい)周辺にさらなる化学的修飾を受け得る。そのような技法は、当業者には公知であるため、本特許文書において詳細に説明はしない。
G.医薬品組成物
さらなる開発のために選択された候補化合物は、当業者に公知の技法を用いて医薬品組成物に製剤化され得る。適切な薬剤認容性キャリアは当業者には入手可能であり、例えば、「Remington ' s Pharmaceutical Sciences( レミントン著、薬理科学)」、第16版、Mack PublishingCo, 1980 (Osolら編集)を参照。
H.その他の用途
本願に開示の非内因性型GPCRの好ましい用途は、候補化合物を逆アゴニストまたはアゴニスト(好ましくは医薬品製剤としての用途)として直接同定することであるが、これらの型のGPCRのその他の用途も存在する。例えば、GPCRを組み込むインビトロおよびインビボ系は、これらの受容体がヒトの正常ならびに疾患状態において果たす役割をさらに解明かつ理解するため、ならびにシグナリングカスケードの理解に応用できるように、構成的活性化の役割を理解するために利用され得る。ある実施形態では、内因性受容体が「オーファン受容体」であること、即ち、その受容体の内因性リガンドが同定されていないこと、が好ましい。ある実施形態では、したがって、修飾された、非内因性GPCRは、内因性リガンドが同定されない前に、ヒト身体における内因性受容体の役割を理解するために使用できる。そのような受容体はまた、既知の受容体およびそれらがシグナル伝達をする経路をさらに解明するために使用できる。開示された受容体のその他の用途は、なかんずく、本特許文書を校閲することによって当業者には明らかとなろう。
【実施例】
【0078】
以下の例は、本発明の解明を目的として提示するもので、限定を意図するものではない。特定の核酸およびアミノ酸配列が本願に開示されるが、当業者はこれらの配列に僅かな変更を加えて、さらに以下の報告と同一または実質的に同様な結果を達成し得る能力を有する。一つの配列から別の配列への配列カセット(例えば、ラット受容体からヒト受容体、あるいはヒト受容体Aからヒト受容体B)の適用または理解に対する従来の取り組み方は、一般的には、共通領域を決定するために配列を整列する配列アライメント法に基く。本願に開示する変異による取り組み方はこの方法には依拠せず、その代わりアルゴリズム法とヒトGPCRのTM6領域内に位置するプロリン残基からの位置的距離に基づく。いったんこの取り組み方を理解すると、当業者は、それに僅かな変更を加えて本願の開示と実質的に同一な結果(即ち、構成的活性化)を作出する能力を得る。そのような変更された方法は、本開示の認識範囲であると見なされる。
[実施例1]
内因性ヒトGPCR
以下のcDNA受容体は、本セクションの技法を用いてクローン化された。以下参照。表Bは、本特許出願を通じて開示された受容体、翻訳領域、内因性GPCRの核酸およびアミノ酸配列を一覧する(表3)。
【0079】
【表3】
2. 全長クローニングプロトコル
a.FPRL−2(配列番号1と2)
FPRL−2は、1992年にクローン化かつ配列決定された。Bao, L. ら, 13(2)Genomics437-40 (1992)。FPRL−2は染色体19に位置し、N−ホルミルペプチド受容体Like−1(FPRL−1)と類似の配列を有し、そのどちらもN−ホルミルペプチド受容体(FPR)と有意な類似性があることが報告されている。FPRに対する内因性リガンドはホルミルペプチドであるが、FPRの2つの相同体、FPRL−1とFPRL−2、は同一リガンドに結合しないが、走化性受容体であるらしい。13(2)Genomics437-40 (1992)。走化性受容体は、炎症に関与することが報告されている。FPRL−2は、353個のアミノ酸から成るタンパク質をコードする1062bpの翻訳領域を有するGPCRである。
【0080】
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(PerkinElmer(パーキンエルマー社)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、64℃(1分20秒)、および72℃(2分)のサイクルを30回を繰り返した。5’PCRは、EcoI部位を以下の配列、
5'-AAAGATTCAGGTGTGGGAAGATGGAAACC-3' (配列番号19)
と共に含み、ならびに3’プライマーはApaI部位を以下の配列、
5'-AAAGGATCCCCGACCTCACATTGCTTGTA -3' (配列番号20)
と共に含んだ。
【0081】
PCRフラグメントにEcoRIとApaIを加えて消化して、CMV発現ベクターのEcoRI−ApaI部位中にクローン化した。ヒトFPRL−2の核酸(配列番号1)とアミノ酸(配列番号2)配列は、その後配列決定ならびに検証された。
【0082】
b.STLR33(配列番号3と4)
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、62℃(1分20秒)、および72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRは、EcoRI部位を以下の配列、
5'-CAGGAATTCATCAGAACAGACACCATGGCA-3'(配列番号21)
と共に含み、ならびに3’プライマーはBamHI部位を以下の配列、
5'-GCAGGATCCAGAGCAGTTTTTTCGAAACCCT -3' (配列番号22)
と共に含んだ。
【0083】
PCRフラグメントにEcoRIとBamHIを加えて消化して、CMV発現ベクターのEcoRI−BamHI部位中にクローン化した。ヒトSTRL33 の核酸(配列番号3)とアミノ酸(配列番号4)配列は、その後配列決定ならびに検証された。
【0084】
c.CPR45(配列番号5と6)
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、96℃(2分)、96℃(30秒)、55℃(20秒)、72℃(1分20秒)、そして72℃(5分)であり、サイクル2〜4は35回繰り返した。5’PCRは、HindIII部位を以下の配列、
5'-TCCAAGCTTCAAGGGTCTCTCCACGATGGCCTG-3'(配列番号23)
と共に含み、ならびに3’プライマーはEcoRI部位を以下の配列、
5'-TGCGAATTCTCTGTGGCCCCCTGACCCCCTAAA -3' (配列番号24)
と共に含んだ。
【0085】
PCRフラグメントはHindIIIとEcoRIを加えて消化して、CMV発現ベクターのHindIII−EcoRI部位中にクローン化した。ヒトGPR45の核酸(配列番号5)とアミノ酸(配列番号6)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0086】
cDNAは次にV5−Hisベクター中に再サブクローニングすることによってpfuPCRを用いてV5でタグされた。使用された以下の2つのプライマーは以下の配列、
5'-GGTAAGCTTACCATGGCCTGCAACAGCACGTCCCTT-3' (配列番号25)および
5'-GACGAATTCAACCGCAGACTGGTTFTCATTGCA-3' (配列番号26)
を有した。
【0087】
サイクル条件は、94℃(1分)、60℃(2分)、および72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。
【0088】
d.mGLUR7(配列番号7と8)
グルタミン酸は、哺乳類の脳において大量に見いだされる興奮性神経伝達物質である。
【0089】
Dingledine, R.ら, 130(4S Suppl)J Nutr. 10395 (2000)を参照。グルタミン酸受容体には、イオンチャネル型(リガンドゲート型イオンチャネル)と代謝調節型(GPCR)の2つのクラスがある。代謝調節型グルタミン酸受容体は、GPCRの異種起源ファミリーであり、いくつかのセカンドメッセンジャー経路に結合して、ニューロン興奮性とシナプス伝達を制御する。(Phillips, T. ら, 57(1)Brain ResMol Brain Res132 (1998)を参照)。代謝調節型グルタミン酸受容体タイプ7(mGLUR7)は、脳において発現され、海馬、大脳皮質、および小脳において発現の度合いが最も高いことが報告されている。Makoff, A.ら, 40(1)Brain Res MolBrain Res165 (1996)参照。受容体が局在する脳の領域に基づいて、その受容体の推定上の機能的役割を推論することができる。例えば、特定の理論に束縛されることは意図しないが、mGluR7は、鬱病、不安症、肥満、アルツハイマー病、疼痛、および卒中に役割を果たしていると考えられる。
【0090】
mGluR7 cDNAは、Elizabeth Hoffman, Ph.D.の好意によって提供された。 mGluR7に使用されたベクターは、pRcCMVであった(mGluR7のコード領域はpCMVベクターのEcoRI-ClaI 部位にサブクローンされた)。mGluR7の核酸については配列番号7そして推論上のアミノ酸配列については配列番号8を参照。
【0091】
e.GPR37(配列番号9と10)
本発明はまたヒトGPR37に関する。GPR37は1997年にクローン化および配列決定された。Marazziti, D.ら, 45 (1)Genomics68-77 (1997)。GPR37は613個のアミノ酸から成るタンパク質をコードする1839bpの翻訳領域(オープンリーディングフレーム)を有するGPCRである。GPR37は、エンドセリンタイプB様受容体とホモロジーがあり、ヒト脳組織、特に脳梁、髄質、被殻、および尾状核で発現される。
【0092】
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、62℃(1分)、および72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRは、HindIII部位を以下の配列、
5'-GCAAGCTTGTGCCCTCACCAAGCCATGCGAGCC-3'(配列番号27)
と共に含み、ならびに3’プライマーはEcoRI部位を以下の配列、
5'-CGGAATTCAGCAATGAGTTCCGACAGAAGC-3' (配列番号28)
と共に含んだ。
【0093】
この1.9kbのPCRフラグメントにHindIIIとEcoRIを加えて消化して、CMVp発現ベクターのHindIII−EcoRI部位中にクローン化した。ヒトGPR37の核酸(配列番号9)とアミノ酸(配列番号10)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0094】
f.HF1948(配列番号11と12)
HF1948 cDNAは、Elizabeth Hoffman, Ph.D.の好意によって提供された。 HF1948に使用されたベクターはpRcCMVであった(HF1948のコード領域はpCMVベクターのHindIII-BamHI 部位にサブクローンされた)。HF1948の核酸については配列番号11そして推論上のアミノ酸配列については配列番号12を参照。
【0095】
g.GPR66(配列番号13と14)
ヒトGPR66(GenBank受託番号、AF044600およびAF044601)のcDNAは、以下のようにしてpCMV発現ベクター中に生成ならびにクローン化された。PCRはゲノムDNAを鋳型に、そして第一ラウンドではTaqPlusポリメラーゼ(Stratagene(ストラタジーン社))、第二ラウンドPCRではpfuポリメラーゼ(Stratagene)を製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、ならびに各4つのヌクレオチドを0.2mM(Taqプラスプレシジョン(TaqPlus Precision))または0.5mM(pfu)と共に使用してPCRを実施した。pfuを使用する場合は、10%DMSOをバッファー中に含んだ。サイクル条件は94℃(1分)、65℃(1分)を30回繰り返し、そして(a)第一ラウンドPCRでは72℃(1分)および(b)第二ラウンドPCRでは72℃(2分)であった。コード領域にイントロンがあるために、2セットのプライマーが重複5’および3’フラグメントを生成するので別々に使用された。5’フラグメントPCRプライマーは、5'-ACCATGGCTTGCAATGGCAGTGCGGCCAGGGGGCACT-3'(外部センス)(配列番号29)および5'-CGACCAGGACAAACAGCATCTTGGTCACTTGTCTCCGGC-3 '(内部アンチセンス)(配列番号30)であった。3’フラグメントPCRプライマーは、5'-GACCAAGATGCTGTTTGTCCTGGTCGTGGTGTTTGGCAT-3'(内部センス)(配列番号31)および、5'-CGGAATTCAGGATGGATCGGTCTCTTGCTGCGCCT-3'(EcoRI部位を伴う外部アンチセンス((配列番号32)であった。
【0096】
5’および3’フラグメントは、第一ラウンドPCRを鋳型として、キナーゼ処理した外部センスプライマーと外部アンチセンスプライマーを用いて結合して、第二ラウンドPCRを行った。この1.2kbのPCRフラグメントにEcoRIを加えて消化して、pCMV発現ベクターの平滑末端型EcoRI部位中にクローン化した。ヒトGPR66の核酸(配列番号13)とアミノ酸(配列番号14)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0097】
h.GPR35(配列番号15と16)
GPR35は、309個のアミノ酸配列であり、その内因性リガンドは未知である(O'Dowd B.ら, 47(2)Genomics310 (1998))。GPR35はE2Fとして知られる特定の転写因子と相互作用することが判明しており、その相互作用はDNA複製の開始、そして最終的には細胞増殖に必須である。細胞内では、E2Fは網膜芽細胞腫(“Rb”)として知られる腫瘍抑制遺伝子と共役する。この転写因子構築物がリン酸化すると、E2Fは、Rb遺伝子から遊離されて、次に細胞の核に入る。核の内部では、E2Fは、DNAポリメラーゼのような遺伝子と結合して、DNA複製を開始し、その結果細胞の増殖を起こす。
【0098】
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、62℃(1分)、および72℃(1分20秒)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRプライマーは以下の配列、
5'-GCGAATTCCGGCTCCCTGTGCTGCCCCAGG-3' (配列番号33)
を加えてキナーゼ処理し、ならびに3’プライマーはBamHI部位を以下の配列、
5'-GCGGATCCCGGAGCCCCCGAGACCTGGCCC -3' (配列番号34)
と共に含んだ。
【0099】
この1kbのPCRフラグメントにBamHIを加えて消化して、CMVp発現ベクターのEcoRI-BamHI 部位中にクローン化した。配列決定された全ての6個のクローンは、ArgからSerへのアミノ酸294の変化を伴う潜在的な多形性を含む。ヒトGPR35の核酸(配列番号15)とアミノ酸(配列番号16)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0100】
i.ETBR −LP2 (配列番号17と18)
ETBR-LP2 は1998年にクローン化かつ配列決定された。Valdenaire 0.ら, 424(3)FEBS Lett. 193 (1998)。推論上の核酸およびアミノ酸配列についてはValdenaireの図1を参照。ETBR-LP2 は613個のアミノ酸から成るタンパク質をコードする1839bpの翻訳領域を有する。ETBR-LP2は、エンドセリンタイプB受容体(ETBR-LP)とホモロジーがあることが報告されている。さらに、ETBR-LP2 は、ヒトGPR37と約47%のアミノ酸配列ホモロジーを有することが明らかにされている。ETBR-LP2は、ヒト中枢神経系(例えば、大脳皮質、内包線維、およびバーグマングリア(424FEBS Lett 196))で発現されることが報告されている。
【0101】
脳cDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、65℃(1分)、および72℃(1.5分)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRは、EcoI部位を以下の配列、
5'-CTGGAATTCTCCTGCTCATCCAGCCATGCGG -3'(配列番号35)
と共に含み、3’ プライマーはBamHI部位を以下の配列、
5'-CCTGGATCCCCACCCCTACTGGGGCCTCAG -3' (配列番号36)
と共に含んだ。
【0102】
結果生じるこの1.5kbのPCRフラグメントにEcoRI とBamHIを加えて消化して、pCMV発現ベクターのEcoRI-BamHI 部位中にクローン化した。ヒトETBR-LP2 の核酸(配列番号17)とアミノ酸(配列番号18)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0103】
j.GPR26(配列番号97と98)
400bpの3’PCRフラグメントであるESTクローンHIBB055がヒトゲノムラムダダッシュIIライブラリー(Stratagene、カタログ特別注文)をスクリーンするために使用される。スクリーニング条件は以下のようであった。フィルターはホルムアルデヒドベースのハイブリダイゼーション溶液中55℃で一晩ハイブリダイズさせた。洗浄条件は、2× SSC/1%SDS、65℃で2回、そして2× SSC/0.1%SDS、65℃で2回を各洗浄について20分行った。フィルターをフィルム上に置いて−80℃で一晩暴露させて、翌日現像した。陽性プラークは、同一条件で一次プラグから二回目のファージスクリーニングによってさらに特徴づけされた。
【0104】
ヒト胎児脳cDNAライブラリUni-ZAP XR ベクター(カタログ番号937227、 Stratagene)を、次にゲノムライブラリスクリーニングからの新しい配列から生成された250bpのプローブを使ってプローブした。この250bpプローブは、TaqplusプレシジョンPCRシステムに製造元から提供されたバッファー系を加えて生成された。サイクリングパラメータは以下のようであった。95℃(45秒)、55℃(40秒)、72℃(1分)を30回繰り返して、72℃(10分)の最終伸長を行った。以下のプライマー、5'-CGAGAAGGTGCTCAAGGTGGC-3' (配列番号99)および5'-GAGAAGAGCTCCACTAGCCTGGTGATCACA-3'(配列番号100)を使用した。
【0105】
ヒト胎児脳cDNAライブラリーを、同じ250bp PCRフラグメントを用いて、ハイブリダイゼーション温度が42℃である以外はゲノムライブラリーと同一条件下でプローブした。陽性の一次プラグは、ハイブリダイゼーション温度を55℃として同一条件下で2回目のスクリーニングによってさらに特徴づけされた。陽性プラークは、サンガー法を用いる配列によって分析が行われ、開始コドンが陽性クローンの一つから得られた。
【0106】
ヒトGPR26全長クローンは次に、以下のパラメータ、95℃(45秒)、62℃(1分)、および72℃(1.2分)を40回繰り返して、72℃(10分)で最終伸長して、PfuTurbo DNAポリメラーゼ(Stratagene、 #600250)を用いて生成された。鋳型としてはヒト胎仔脳cDNA(Clonetech(クローンテク社)、# 7402-1)が使用され、以下のプライマー、5'-GAATTCATGAACTCGTGGGACGCGGGCCTGGCGGGC-3' (配列番号101)および5'-CTCGAGTCACTCAGACACCGGCAGAATGTTCT-3'(配列番号102)を使用した。
【0107】
生成されたフラグメントは、5’EcoRIリンカーと3’Xho1リンカーを有した。PCR産物は所定のリンカー酵素で消化されて、ラピッドリゲーションキット(Roche(ロッシュ社)、#1635 379)を用いて、発現ベクターpcDNA3.1(+) (Invitrogen(インビトロジェン社)、#V790-20)のEcoR1/Xho1部位中にサブクローンされた。ヒトGPR26の核酸(配列番号97)とアミノ酸(配列番号98)配列は、その後配列決定かつ検証された。
[実施例2] 非内因性・構成的活性化GPCRの調製
当業者は核酸配列の突然変異の技法を選択する能力を有している。上記に開示されたいくつかのヒトGPCRの非内因性型を作出するために使用される方法を以下に示す。以下に開示する変異は、(TM6/IC3インターフェース付近の、GPCRのTM6領域に位置する)保存プロリン(またはその内因性・保存置換)残基由来の(GCPRのIC3領域に位置する)16番目のアミノ酸が、好ましくは、アラニン、ヒスチミン(histimine)、アルギニン、またはリジンアミノ酸残基、最も好ましくは、リジンアミノ酸残基に変異されることによる、アルゴリズム法に基づく。
【0108】
1.部位特異的変異誘発
非内因性ヒトGPCRの調製は、なかでも、トランスフォーマー部位特異的(商標)変異誘発キット(Transformer Site-Directed(TM)Mutagenesis Kit (Clontech)を製造元の指示に従って、あるいはクイックチェンジ(商標)部位特異的(商標)変異誘発キット(QuikChange(TM)Site-Directed(TM)Mutagenesis Kit)(Stratagene、製造元の指示に従う)を用いてヒトGPCRで達成された。以下のGPCRは、所定の配列プライマー(表4)を用いて、上記の方法に従って変異された。 便宜上、ヒトGPCRに組み込まれたコドンの変異もまた、標準型で表記する(表4)。
【0109】
【表4】
1. 非内因性ヒトGPCR作成の代替方法
非内因性・構成的活性化ヒトGPR35受容体の調製は、A216K変異を作出することによって達成された。変異誘発は、トランスフォーマー部位特異的(商標)変異誘発キット(Clontech)を製造元の指示に従って用いて実施した。(核酸配列については配列番号84、アミノ酸配列については配列番号85を参照)。以下の配列、
5'- GCCACCCGCAAGGCTAAACGCATGGTCTGG -3' (配列番号60)および
5'- CTCCTTCGGTCCTCCTATCGTTGTCAGAAGT -3' (配列番号61)
をそれぞれ有する2つの変異誘発プライマー、リジン変異誘発オリゴヌクレオチドと選択マーカーオリゴヌクレオチド、が使用された。
【0110】
第一回目のPCRでは、配列番号33と配列番号61を使って700bpの5’フラグメントが生成され、配列番号34と配列番号60を使って350bpの3’フラグメントが生成された。内因性GPR35cDNAを鋳型として、ならびにpfuポリメラーゼ(Stratagene)に、10% DMSOを補充した製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.5mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(30秒)、65℃(1分)、および72℃(2分20秒)のサイクルを25回繰り返した。第一回目のPCRからの5’および3’PCRフラグメントを次に共鋳型として使用して、アニーリング温度を55℃に、また伸長時間が2分である以外は前述のように、オリゴ1と2をプライマーに、そしてpfuポリメラーゼを用いて第二回目のPCRを行った。その結果生じるPCRフラグメントを次に消化して、内因性cDNAについて説明したようにpCMV中にサブクローンした。
【0111】
非内因性ヒトGPCRを次に配列決定して、これに由来し、検証された核酸とアミノ酸配列を、以下の表5に要約するように、本特許文書に随伴する「配列一覧」付録に一覧する。
【0112】
【表5】
[実施例3] 受容体の発現
タンパク質発現用として当業者は種々の細胞を利用可能であるが、哺乳類細胞を使用することが好ましい。この第一の理由は、実用性、即ち、GPCR発現のために、例えば、酵母細胞の使用は可能であるが、プロトコル中に、哺乳類系に進化してきた受容体共役、遺伝的メカニズム、および分泌経路を含まない可能性のある(事実、酵母の場合は、含まない)非哺乳類細胞を導入し、したがって、非哺乳類細胞において得られた結果は、使用可能ではあるが、哺乳類細胞を用いて得られた結果ほど好ましくはない。哺乳類細胞では、COS-7、293、および293T細胞が特に好ましいが、使用される特定の哺乳類細胞は、当業者の特定のニーズに応じて決定され得る。
【0113】
a.293細胞の一過性トランスフェクション
1日目には、10 cmのディッシュに6x106個の293細胞を接種した。2日目に、2本の試験管を用意した(各試験管の大きさはプレートに依拠する)。試験管Aは、4μg DNA(例えば、pCMVベクター、受容体cDNAを有するpCMVベクター等)を0.5ml 無血清DMEM(Gibco BRL(ギブコ BRL社))に混合することによって調製した。試験管Bは、24μl リポフェクタミン(Gibco BRL)を0.5ml 無血清DMEMに混合することによって調製した。試験管AとBは(数回)反転することによって混合して、続いて室温で30〜45分インキュベートした。混合物は、「トランスフェクションミックス」と呼ばれる。平板培養された293細胞を1×PBSで洗浄してから、5mlの無血清DMEMを追加した。1mlのトランスフェクションミックスを細胞に添加してから、37℃/5%CO2で4時間インキュベートした。トランスフェクションミックスを吸引除去してから、DMEM/10%ウシ胎仔血清を10ml添加した。細胞を37℃/5%CO2でインキュベートした。48時間のインキュベートした後、細胞を収集して分析に使用した。
【0114】
b.安定293細胞株
約12x106個の293細胞を15cm細胞培養プレートに接種して、10%ウシ胎仔血清と1%ピルビン酸ナトリウム、L−グルタミン酸、および抗生物質を含有するDME高グルコース培地で生育させる。293細胞接種24時間後(約80%コンフルーエント)、12μg DNAを用いて細胞をトランスフェクトする。12μg DNAを、60μl リポフェクタミンと2ml DME高グルコース無血清培地と混合する。プレートから培地を吸引除去して、無血清培地で細胞を一度洗浄する。DNA、リポフェクタミン、および培地混合物を、10mlの無血清培地と共にプレートに添加する。37℃で4〜5時間インキュベート後、培地を吸引除去して、血清培地を25ml添加する。トランスフェクションの24時間後、再び培地を吸引除去して、新鮮な血清培地を添加する。トランスフェクションの48時間後、培地を吸引除去して、ゲネチシン(G418薬剤)を含む血清培地を、最終濃度が500μg/mlになるように添加する。トランスフェクト細胞は次に、G418抵抗性遺伝子を含む陽性トランスフェクト細胞についての選択を受ける。培地は、選択が行われる4〜5日ごとに取り替える。選択中、細胞は安定なプールを作出するために生育されるか、あるいは安定コロニー選択のためにスプリットされる。
【0115】
c.RGT細胞(mGluR7に使用)
RGT細胞は、グルタミン酸−アスパラギン酸輸送体が安定的にトランスフェクトされているアデノウイルス形質転換シリアンハムスター細胞株(AV12-664)に由来した。
【0116】
1日目には、10 cmディッシュに5x106個のRGT細胞を接種した。2日目に、91μlの無血清培地を試験管に添加した後で、9μlのFugene6(Roche)を添加した。同一混合物に3ugのDNAを加えた(0.5μg/μl)。この混合物を穏やかに混合して、室温で15分インキュベートし、次にこの混合物をDMEM/10%FBSに生育する細胞中に一滴ずつ加えて、37℃/5%C2条件下で48時間インキュベートした。48時間のインキュベーション後に、細胞を収集して分析に使用した。
[実施例4] 非内因性GPCRの構成的活性判定用アッセイ
非内因性ヒトGPCRの構成的活性を評価するために種々の方法が利用できる。以下は例示であり、当業者は、そのニーズのために優先的に利益のあるこれらの技法を決定する能力を有している。
【0117】
1.膜結合アッセイ、[35S]GTPγS アッセイ
リガンド結合あるいは構成的活性化の結果として、Gタンパク質共役受容体が活性状態にあると、受容体はGタンパク質に共役して、GDPの遊離とそれに引き続くGTPのGタンパク質への結合を促進する。Gタンパク質−受容体複合体のアルファサブユニットは、GTP加水分解酵素として作用して、緩徐にGTPをGDPに加水分解し、その時点で受容体は通常は脱活性化される。構成的活性化型受容体はGDPをGTPに交換し続ける。非加水分解型GTP類似体である[35S]GTPγSを利用して、構成的活性化受容体を発現している膜に対する[35S]GTPγSの結合の増強を実証することができる。構成的活性化を測定するために[35S]GTPγS 結合を使用する利点は、限定はされないが、(a)一般的に全てのGタンパク質共役受容体に適応可能である、(b)膜表面近位にあるために、細胞内カスケードを影響する分子を捕獲する可能性が少ない、ことである。
【0118】
このアッセイは、関連受容体を発現している膜に対する[35S]GTPγS の結合を促進するGタンパク質共役受容体の能力を利用する。このアッセイは、したがって、構成的活性化Gタンパク質共役受容体に対する候補化合物をスクリーンするための直接同定法に使用できる。このアッセイは一般的であり、全てのGタンパク質共役受容体についての創薬に実用性を有する。
【0119】
[35S]GTPγS アッセイは、20mM HEPESおよび1〜20mM MgCl2(この量は結果を最適化するために調節可能であるが、20mMであることが好ましい)、pH7.4、約0.3〜1.2nM [35S]GTPγS (この量は結果を最適化するために調節可能であるが、1.2であることが好ましい)を含む結合バッファー、ならびに12.5〜75μg 膜タンパク質(例えば、Gs融合タンパク質を発現する293細胞、この量は最適化のために調節可能である)および10μM GDP(この量は最適化のために調節可能である)中でインキュベートされる。麦芽凝集素ビーズ(25μl、Amersham(アマーシャム社))を次に加えて、混合物を室温でさらに30分インキュベートする。この試験管を次に、室温、1500×gで5分遠心分離してからシンチレーションカウンターでカウントする。
【0120】
2.細胞ベースcAMP検出アッセイ
細胞ベースアッセイのためにデザインされたFlash Plate(フラッシュプレート)(商標)アデニリルシクラーゼキット(New England Nuclear(ニューイングランドニュークレア社)、カタログ番号SMP004A)は、粗原形質膜と使用するために修正され得る。このFlash Plateウェルは、シンチラントコーティングを含み、またさらにcAMPを認識する特異的抗体を含むことができる。このウェルで生成されたcAMPは、放射性cAMPトレーサーのcAMP抗体に対する結合の直接競合によって定量することができる。以下は、受容体を発現する全細胞におけるcAMPレベルの変化測定のための簡単なプロトコルの役目を果たす。
【0121】
トランスフェクト細胞は、一過性トランスフェクションの約24時間後に収集された。培地は注意深く吸引して廃棄された。10mlのPBSをゆっくりと各ディッシュの細胞に加えてから注意深く吸引した。1mlのSigma細胞解離バッファーと3mlのPBSを各プレートに添加した。細胞をプレートからピペットで取り出して、細胞懸濁液を50mlの円錐状遠心管中に回収した。細胞を室温、1,100rpmで5分遠心分離した。細胞ペレットを適量(約3ml/プレート)のPBS中に注意深く再懸濁した。細胞を次に血球計数器を用いてカウントし、追加PBSを加えて適切な数の細胞にした(最終容量が約50μl/ウェル)。
【0122】
標準cAMPと検出バッファー(11mlの検出バッファーについて1μCiのトレーサー[125IcAMP(50μl)] を含む)を調製して、製造元の指示に従って維持した。アッセイ用バッファーは、スクリーニング用に新しく調製し、50μlの促進バッファー、3μlの試験化合物(最終アッセイ濃度 12μM)および50μlの細胞を含み、アッセイ用バッファーは使用するまで氷上に保存した。アッセイは適切なウェルに50μlの標準cAMPを添加することによって開始され、次にウェルH-11とH-12に50μlのPBSAを添加した。50μlの促進バッファーを全てのウェルに加えた。DMSO(または選択された候補化合物)を、3μlの化合物溶液をディスペンスすることが可能なピンツールを用いて適切なウェルに、最終アッセイ濃度が12μM 試験化合物と100μl 総アッセイ容量となるように加えた。細胞を次にウェルに加えて、室温で60分インキュベートした。100μlのトレーサーcAMPを含む検出ミックスを次ぎにウェルに加えた。プレートをさらに2時間インキュベートしてから、Wallacマイクロベータ(商標)シンチレーションカウンターでカウントした。cAMP/ウェル値を次に、各アッセイプレート内に含まれている標準cAMP曲線から外挿した。
【0123】
3.Gi共役FPRL−2とGs/Gi融合タンパク質構築物の同時トランスフェクション
FPRL−2およびGs/Gi融合タンパク質構築物を含むトランスフェクションミックス(実施例3Aより)を吸引除去後、10mlのDMEM/10%ウシ胎仔血清を加えた。細胞を次に37℃/5%CO2でインキュベートした。48時間のインキュベーション後に、細胞を収集して分析に使用した。細胞ベースcAMP検出アッセイを次に上記実施例4(2)のプロトコルに従って実施した。
【0124】
内因性FPRL−2は、その活性状態では優先的にGiタンパク質と共役すると考えられるため、cAMP産生の減少は、開示された非内因性型FPRL−2が構成的に活性であることを表す。したがって、cAMPシグナルを増加することによってFPRL−2受容体を影響する候補化合物は逆アゴニストであり、FPRL−2アゴニストはcAMPシグナルを減少する。図1を参照。
【0125】
図1は、Gs/Giと比較すると、FPRL−2の活性が約4倍増加することを明らかにする。FPRL−2の内因性型をその非内因性型と比較すると、非内因性FPRL−2(“FPRL-2(L240K)”)は、コントロールである、Gs/Giと比較すると受容体活性が約3倍増加することが明らかである。したがって、このデータはFPRL−2の内因性および非内因性型のどちらも構成的に活性であることを示唆する。
【0126】
図9を参照する。図9では、非内因性GPR37(L352R) は、GPR37(“GPR37 wt”)の内因性型と比較すると、約354%のcAMP増加を生じ、GPR37(C543Y)は、GPR37wtと比較すると約189%のcAMP増加を生じた。このデータは、GPR37の非内因性L352RとC543Y型のどちらも構成的に活性化されていることを示唆する。
【0127】
4.Gi共役型ターゲットGPCR用の細胞ベースcAMP
TSHRは、活性化されるとcAMPの蓄積を起因するGs共役型GPCRである。TSHRは、アミノ酸残基623の変異(即ち、アラニン残基のイソロイシン残基への変更)によって構成的活性化される。Gi共役受容体はアデニリルシクラーゼを阻害することが予測され、したがって、cAMP産生レベルを減少するために、cAMPレベルの評価を困難とし得る。Gi共役受容体の構成的活性化の兆候としてcAMP産生の減少を測定するための効果的な技法は、最も好ましくは、非内因性・構成的活性化TSHR(TSHR-A623I)(あるいは、内因性・構成的活性化Gs共役受容体)を「シグナルエンハンサー」として、Gi結合型ターゲットGPCRと共に同時トランスフェクトして、cAMPのベースラインレベルを確立することによって達成され得る。非内因性型Gi共役受容体を作出すると、この非内因性型ターゲットGPCRを次にシグナルエンハンサーと同時トランスフェクトして、この物質をスクリーンに用いることができる。この方法を使って、cAMPアッセイが使用される際に効果的にシグナルを生成することができる。この方法は、Gi共役受容体に対する候補化合物の直接同定に使用することが好ましい。Gi共役型GPCRについては、この方法を用いる際は、ターゲットGPCRの逆アゴニストはcAMPを増加させ、アゴニストはcAMPを減少することを特記する。
【0128】
細胞は、上記の実施例3Aに従ってトランスフェクトされた。次にトランスフェクトされた細胞は、一過性トランスフェクションの約24時間後に、トランスフェクトされた細胞を収集される。細胞ベースcAMP検出アッセイを次に上記実施例4(2)のプロトコルに従って実施した。
【0129】
好ましくは、前述のように、小分子候補化合物が、例えば、TSHR(A623I)ではなくてGi共役型ターゲット受容体をターゲットすることを確実にするために、直接同定された候補化合物はターゲット受容体が存在しない状態でシグナルエンハンサーについてスクリーンすることが好ましい。
【0130】
図3を参照する。図3は、293細胞における、内因性GPR45(“GPR45 wt”)対コントロール(“CMV”)の比較分析である。内因性ターゲット受容体GPR45は、シグナルエンハンサー、TSHR(A623I)、と共に同時トランスフェクトされた。TSH受容体の内因性リガンドであるTSHが存在しないと、TSHR(A623I)と内因性GPR45の同時トランスフェクションは、コントロール(CMV)と比較すると、cAMPの産生を約96%減少することを明示する。TSHが存在すると、内因性GPR45(“GPR45 wt”)は、コントロール(“CMV”)と比較すると、cAMPの産生を約73%減少することを明示する。このデータは、GPR45が内因性・構成的活性であり、Giタンパク質を共役することを示す。
【0131】
図4と表Eを参照する。表Eは図4の要約であり、293細胞内における、内因性mGluR7(“mGluR7 wt”)とmGluR7の非内因性型のいくつか(“W590S”、“R659H”、“T771C”および“1790K”) ならびにコントロール(“pCMV”)の比較分析である。表Eは、内因性リガンド(即ち、TSH)が存在しない場合のシグナルエンハンサー受容体(即ち、TSHR(A623I))とターゲット受容体(mGluR7)を含むベクターによるcAMP産生、TSHが存在する場合のシグナルエンハンサーとターゲット受容体の同時トランスフェクションによるcAMP産生、TSHが存在する場合に、TSHR(A623I)で同時トランスフェクトされたmGluR7の内因性型と非内因性型の間のcAMP産生のパーセント(%)減少を要約する。このデータは、mGluR7(“W590S”、“R659H”、“T771C” および “1790K”)の非内因性型が、内因性mGluR7と比較すると、cAMP産生を減少すること、したがって、前述の方法によって構成的に活性化されておることを実証する。
【0132】
【表6】
RGT細胞中でトランスフェクトされたmGluR7型は前述のデータを支持する。図5を参照する。図5において、mGluR7受容体の内因性型と比較すると、W590Sは、cAMPの産生を約52%減少し、R659Hは、約43%の減少、T771Cは、約5%の減少、ならびにI790Kは約28%減少することが明示された。
【0133】
mGluR7は活性状態では優先的にGiを共役するために、cAMP産生の減少は、ここに開示されたmGluR7の非内因性型は構成的活性であることを意味する。したがって、cAMPシグナルを増加することによってmG1uR7受容体を影響する候補化合物は逆アゴニストであり、そしてmG1uR7アゴニストはcAMPシグナルを減少する。図5と6で得られたデータに基づき、293およびRGT両細胞におけるcAMPアッセイを用いるTSHR構成的活性化同時トランスフェクション法で使用される際には、“W590S”、“R659H”、“T771 C”、および“I790K”は、mGluR7の好ましい非内因性型であり、“W590S”が最も好ましい。
【0134】
図12を参照する。図12において、HF1948(“I281F” と“E135N”)の非内因性型は、HF1948(“wt”)の内因性型と比較すると、それぞれ約18%および約39%のcAMP産生の減少を示す。このデータは、HF1948の非内因性I281FおよびE135N型のどちらも構成的活性化されていることを示唆する。cAMPのこの減少は、これらの型がGi共役型であることをさらに示唆する。Gi共役型である他に、図11は、HF1948の非内因性I281F型はまたGqGタンパク質を共役し得ることを示唆する。(以下の実施例4(5)(f)を参照)。
【0135】
図16を参照する。図16は、(TSHが存在する場合に)TSHR-A623I (“TSHR-A623I”)と非内因性、構成的活性化ETBR-LP2 (“N358K”)で同時トランスフェクトされた細胞のcAMP産生 (65.96 ピコモルcAMP/ウェル) を、TSHR-A623I と内因性 ETBR-LP2 (“WT”) で同時トランスフェクトされた細胞のcAMP産生(102.59 ピコモルcAMP/ウェル)と比較すると、約36%のcAMP産生の減少があることを明示する。pCMVと共に同時トランスフェクトされたTSHR-A623I (290.75ピコモル cAMP/ウェル)に対して、ETBR-LP2(“N358K”) と共にトランスフェクトされたTSHR-A623IとETBR-LP2(“WT”)と共に同時トランスフェクトされたTSHR-A623Iをそれぞれ比較すると、cAMPの産生が約77%と約65%減少することが示された。好ましくは、この方法は、アゴニストがシグナルを減少するのに反して、シグナルを増加する逆アゴニストをスクリーンするために使用される。小分子がTSHR-A623I 構築物ではなくETBR-LP2に結合することを確認するためには、この小分子をETBR-LP2が存在しない状態でこの構築物に対してスクリーンすることが好ましい。
【0136】
5.受容体ベースアッセイ
a.CRE−Luc受容体アッセイ(Gs関連受容体)
293および293T細胞を96ウェルプレート上で、ウェル当たり2 x 104の細胞密度となるように接種して、翌日製造元の指示に従ってリポフェクタミン試薬(BRL)を用いてトランスフェクトした。DNA/脂質混合物を各6ウェルトランスフェクションが以下になるように調製した。260ngのプラスミドDNAを含む100μlのDMEMを2μlの脂質を含む100μlのDMEMと穏やかに混合する(この260ngのプラスミドDNAは、200ngの8xCRE-Luc レポータープラスミド、内因性または非内因性受容体を含む50ngのpCMVまたはpCMVのみ、ならびに10ngのGPRS発現プラスミド(pcDNA3のGPRS(Invitrogen))。8XCRE-Lucレポータープラスミドは以下のように調製する。pβgal-ベーシック ベクター(Clontech)内のBg1V−HindIII部位に、ラットソマトスタチンプロモーター(--71/+51)をクローン化することによってベクターSRIF-β-galを得た。cAMP応答エレメントの8コピーが、アデノウイルス鋳型AdpCF126CCRE8由来のPCRから得られ(7Human Gene Therapy1883 (7 ヒト遺伝子療法 1883 (1996)を参照) 、SRIF β−galベクターのKpn-Bg1V 部位にクローン化され、その結果として8xCRE−β-galレポーターベクターが生成された。8xCRE-Lucレポータープラスミドは、 8xCRE-β-galレポーターベクターのベータガラクトシダーゼ遺伝子を、pGL3-ベーシックベクター(Promega(プロメガ社))から得たルシフェラーゼ遺伝子と、HindIII-BamHI 部位で置換することによって生成された。30分、室温でインキュベート後、DNA/脂質混合物を400μlのDMEMで希釈して、希釈混合物 100μlを各ウェルに加えた。細胞培養インキュベーター内で4時間インキュベートした後、10%FCS補充DMEM 100μlを各ウェルに加えた。翌日、トランスフェクトされた細胞は10%FCS補充DMEM 200μl/ウェルで交換された。8時間後、PEBSで一回洗浄後、ウェルはウェルあたり100μlのフェノールレッドを含まないDMEMに交換した。ルシフェラーゼ活性は、LucLite(商標)レポーター遺伝子アッセイキット(Packard)を製造元の指示に従って用いて、翌日測定し、1450マイクロベータ(商標)シンチレーションとルミネッセンスカウンター(Wallac))で読み取った。
【0137】
図2を参照する。図2は、STRL33受容体12.5ngでコントロール(CMV)と比較すると、STRL33の活性が約50%減少することを明示する。STRL33の内因性型をその非内因性型と比較すると、非内因性STRL33(“STRL33(L230K)”)は、12.5ngのタンパク質で比較する場合は受容体活性の約30%の低下、そして25ngのタンパク質では約40%の活性低下を示す。このデータは、STRL33受容体の非内因性型は構成的活性であり、Gタンパク質であるGiと共役し得ることを示唆する。
【0138】
b.AP1受容体アッセイ(Gq関連受容体)
Gq促進の検出方法は、そのプロモーターにAP1エレメントを含む遺伝子の活性化を起因するGq依存性ホスホリパーゼCの既知特性に基づく。Pathdetect(商標)AP-1シス−レポーティングシステム(Stratagene、カタログ# 219073)は、リン酸カルシウム沈降物の成分が410ng pAP1-Luc、80ng pCMV-受容体発現プラスミド、および20ng CMV-SEAPである以外は、CREBレポーターアッセイを基準にして上記に説明したプロトコルに従って使用された。
【0139】
図17を参照する。図17は、内因性ETBR-LP2(862相対光単位)と比べて、ヒトETBR-LP2(“N358K”)の非内因性・構成的活性型(2203相対光単位)は61.1%の活性増加を示す。このデータは、ETBR-LP2 受容体の非内因性型は構成的活性であり、Gタンパク質であるGiと共役し得ることを示唆する。
【0140】
c.SRF−Luc受容体アッセイ(Gq関連受容体)
Gq促進を検出する一つの方法は、そのプロモーターに血清応答因子を含む遺伝子の活性化を起因するGq依存性ホスホリパーゼCの既知特性に基づく。Pathdetect(商標)SRF-Lucレポーティングシステム(Stratagene)を使って、例えばCOS7細胞におけるGq共役活性をアッセイすることができる。細胞を、本システムのプラスミド成分と内因性または非内因性GPCRをコードする指定の発現プラスミドで、哺乳類トランスフェクション(商標)キット(Stratagene、 カタログ#200285)を製造元の指示に従って用いてトランスフェクトした。簡単に言えば、410ngのSRF-Luc、80ngのpCMV受容体発現プラスミド、および20ngのCMV-SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド、アルカリホスファターゼ活性は、サンプル間のトランスフェクション効率の変動を制御するために、トランスフェクトされた細胞の培地中で測定される)を、製造元の指示に従って、リン酸カルシウム沈降物中で混合する。この沈降物の半分は、96ウェルプレート中の3つのウェルに均等に分配され、無血清培地中の細胞の上で24時間保持される。最後の5時間は、指示に従って、細胞に1μM アンジオテンシンを加えてインキュベートする。細胞を次に溶解して、Luclite(商標)キット(Packard、カタログ#6016911)および“Trilux 1450 マイクロベータ”液体シンチレーションならびにルミネッセンスカウンター(Wallac)を製造元の指示に従って用いて、ルシフェラーゼ活性をアッセイする。データはグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)(商標)2.0a (GraphPad Software Inc.(グラスパッドソフトウェア社))を用いて分析することができる。
【0141】
d.SREレポーターアッセイ
SRE-Lucレポーター(マーキュリー・ルシフェラーゼシステム3の構成成分、Clontech カタログ番号K2053-1)を293細胞で使用した。細胞を、本システムのプラスミド成分および内因性または非内因性受容体をコードする指定の発現プラスミドで、リポフェクタミン試薬(Gibco/BRL、カタログ#18324012)を製造元の指示に従って用いてトランスフェクトした。簡単に言えば、420ngのSRF-Luc、50ngのCMV(GPR37受容体を含む)、および30ngのCMV-SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド、アルカリホスファターゼ活性は、サンプル間のトランスフェクション効率の変動を制御するために、トランスフェクトされた細胞の培地中で測定される)を、製造元の指示に従って、陽イオン性脂質−DNA沈降物中で混合する。最終容量は、オプチメム(Optimem)(Vendor(ベンダー社))で25μlにした。これは「鋳型ミックス」として言及される。鋳型ミックスは、ポリスチレン試験管中でリポフェクタミンと混合して、30分インキュベートした。インキュベーション中、細胞を100μlのオプチメムで洗浄した。インキュベーション後、200μlのオプチメムを加えて混合して、40μl〜50μl/ウェルにした。細胞を一晩混合放置した。翌朝培地を新鮮培地に交換して、各ウェル当たり130μlのフェノールレッドを含まない、1%FBNS補充DMEMにした。細胞を次に、Luclite(商標)キット(Packard、カタログ#6016911)および“Trilux1450マイクロベータ”液体シンチレーションならびにルミネッセンスカウンター(Wallac)を製造元の指示に従って用いて、ルシフェラーゼ活性をアッセイした。データはグラフパッドプリズム(商標)2.0a(GraphPad Software Inc.)を用いて分析した。
【0142】
図7を参照する。図7では、GPR37(“C543Y”)の非内因性型を内因性型(“wt”)と比較すると、C543Y変異は、野生(wt)型よりも約31.6%のcAMPの産生増加をし、非内因性型である“L352R”は、野生(wt)型よりも約178%のcAMPの産生増加を示す。 このデータは、GPR37の非内因性型である、C543YとL352Rのどちらも構成的活性化されていることを示唆する。
【0143】
e.E2F-Lucレポーターアッセイ
pE2F-Luc レポーター(マーキュリールシフェラーゼシステム3の構成成分、Clontech カタログ#K2053-1)を293細胞で使用した。細胞を、本システムのプラスミド成分および内因性または非内因性受容体をコードする指定の発現プラスミドで、リポフェクタミン試薬(Gibco/BRL、カタログ#18324012)を製造元の指示に従って用いてトランスフェクトした。簡単に言えば、400ngのpE2F-Luc、80ngのCMV(GPR35受容体を含む)、および20ngのCMV-SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド、アルカリホスファターゼ活性は、サンプル間のトランスフェクション効率の変動を制御するために、トランスフェクトされた細胞の培地中で測定される)を、製造元の指示に従って、陽イオン性脂質−DNA沈降物中で混合した。この沈降物の半分は、96ウェルプレート中の3つのウェルに均等に分配して、細胞上で一晩保持して、翌日新鮮培地と交換した。トランスフェクション開始48時間後、細胞を処理して、Luclite(商標)キット(Packard、カタログ#6016911)および“Trilux 1450 マイクロベータ”液体シンチレーションならびにルミネッセンスカウンター(Wallac)を製造元の指示に従って用いて、ルシフェラーゼ活性をアッセイした。データはグラフパッドプリズム(商標)2.0a (GraphPad Software Inc.)(商標)を用いて分析した。
【0144】
図14を参照する。図14は、内因性GPR35(24.97相対光単位)と比べて、ヒトGPR35(A216K)の非内因性・構成的活性化型(607.13相対光単位)は活性を約100%増加することを示す。このデータは、GPR35(A216K)が転写因子E2Fと相互作用して、ルシフェラーゼタンパク質の発現を誘導することを示唆する。E2Fとのそのような相互作用は、GPR35が結腸直腸ガン細胞において発現されることの実証と合わせて、さらにGPR35がガン細胞増殖に役割を果たし得ることを示唆する。したがって、これらのデータに基づいて、GPR35受容体を影響する好ましい候補化合物は逆アゴニストである。このデータは、GPR35の逆アゴニストはガン性状態、特に結腸直腸ガンの治療に有用であることを示唆する。
【0145】
f.細胞内IP3蓄積アッセイ(Gq関連受容体)
1日目は、受容体(内因性および/または非内因性)を含む細胞を24ウェルプレート
上に、通常1x105細胞/ウェル(この数値は最適化され得るが)となるように接種する。2日目には、細胞は、まず0.25ug DNAを含む50μlの無血清DMEM/ウェルを2μl リポフェクタミンを含む50μlの無血清DMEM/ウェルと混合することによってトランスフェクトされた。この溶液を穏やかに混合して、室温で15〜30分インキュベートした。細胞を次に0.5mlのPBSと400μlの無血清培地で洗浄してから、トランスフェクション培地と混合して、細胞に加えた。細胞を37℃/5%CO2で3〜4時間インキュベートしてから、トランスフェクション培地を除去して、1ml/ウェルの普通成長培地で置換した。3日目には、細胞を3H−ミオイノシトールで標識する。簡単に言えば、培地を除去してから細胞を0.5mlのPBSで洗浄する。次に、各ウェルに0.5mlのイノシトールを含まない無血清培地(GIBCO BRL)と0.25μCiの3H-ミオイノシトールを加えて、細胞を37℃/5%CO2で16〜18時間一晩インキュベートした。4日目には、細胞を0.5mlのPBSで洗浄し、イノシトールを含まない無血清培地、10μM パージリン、10mM 塩化リチウムを含む0.45mlのアッセイ培地あるいは0.4mlのアッセイ培地を加えた。細胞を次に37℃で30分インキュベートした。細胞を次に0.5mlPBSで洗浄して、200μlの新鮮/氷冷停止溶液(1M KOH、18mM 硼酸ナトリウム、 3.8mM EDTA)を各ウェルに加えた。この溶液を氷の上に5〜10分(あるいは細胞が溶解するまで)保持して、次に200μLの新鮮/氷冷中和溶液(7.5% HCL)で中和した。この溶解産物を次に1.5ml エッペンドルフ試験管内に移して、試験管あたり1mlのクロロホルム/メタノール(1:2)を加えた。溶液を15秒渦を巻くように振とうしてから、上相をBioradAG1-X8(商標)陰イオン交換樹脂(100〜200メッシュ)にかけた。まず、樹脂を1:1.25重量/容積の水で洗浄して、0.9mlの上相をカラムに充填した。カラムを次に10mlの5mMミオイノシトールと10mlの5mM硼酸ナトリウム/60mMギ酸ナトリウムで洗浄した。イノシトールトリスリン酸塩を2mlの0.1Mギ酸/1Mギ酸アンモニウムを有するシンチレーションカクテル10mlを含むシンチレーションバイアル中に溶出した。カラムを10mlの0.1Mギ酸/3Mギ酸アンモニウムで洗浄することにより再生して、ddH2Oで二度濯いでから、4℃で水中保存した。
【0146】
図6を参照する。図6では、293細胞は、6つのアミノ酸欠失を含むGqタンパク質、“Gq(del)”、Giタンパク質と融合したGqタンパク質、“Gq(del)/Gi”、Gq(del)を加えた非内因性mGluR7であるT771、“T771 C+Gq(del)”、ならびに“Gq(del)/Gi”を加えたT771C、“T771 C+Gq(del)/Gi”でトランスフェクトされた。グルタミン酸の存在する場合としない場合についてイノシトール三リン酸を測定した。mGluR7の非内因性型とGq(del)/Gi の同時トランスフェクションは、グルタミン酸が存在する場合において、Gq(del)/Giと比較すると、約1850倍増加し、グルタミン酸が存在する場合T771C+Gq(del)/Giと比較して約860倍増加を示した。これらのデータは、Gi共役型受容体であるmGluR7がGqタンパク質によって活性化され得ることを実証する。したがって、Gq(del)/Gi融合構築物は、GPCRと同時トランスフェクトして、候補化合物をスクリーンするツールとして使用し得る。
【0147】
図11を参照する。図11では、HF1948の非内因性型(“I281F”)を内因性型(“wt”)と比較すると、I281F変異は、wt型よりもIP3蓄積を約361%増加することを示す。このデータは、HF1948の非内因性I281F型が構成的活性化型ならびにGq共役型であることを示唆する。
[実施例5] 融合タンパク質の調製
a.GPCR:Gs融合構築物
構成的活性化GPCR-Gタンパク質融合構築物のデザインは、以下のように達成され得る。ラットGタンパク質Gsα(長型、Itoh, Hら83PNAS3776(1986))の5’および3’両末端を、その上にHindIII(5'-AAGCTT-3')配列を含むように操作する。正しい配列(隣接HindIII配列を含む)の確認後、そのベクターのHindIII制限部位を用いてサブクローニングすることによって全配列をpcDNA3.1(−)(Invitrogen)、カタログ番号 V795-20)中にシャトルする。pcDNA3.1(−)中にサブクローニング後、Gsα配列の正しい方向性が決定される。HindIII配列にラットGsα遺伝子を含む修飾pcDNA3.1(−)を次に検証してから、このベクターをその後「ユニバーサル」Gsαタンパク質ベクターとして利用することができる。pcDNA3.1(−)ベクターは、HindIII部位の上流に種々の既知制限部位を含み、したがって、Gsタンパク質の上流に内因性・構成的活性GPCRのコード配列を挿入する能力を好都合にも提供する。これと同様な方法を使って、その他の「ユニバーサル」Gタンパク質ベクターを作出することができ、勿論、当業者に公知であるその他の市販または特許化されたベクターを使用することもできる。ある実施形態では、重要な判定基準は、GPCRの配列がGタンパク質の配列の上流ならびに翻訳領域内にあることである。
【0148】
Gタンパク質とGPCRの間の制限部位にオプションとしてスペーサーがあってもよい。センスならびにアンチセンスプライマーはXbaIおよびEcoRVの制限部位をそれぞれ含み、したがって(制限部位に起因する)スペーサーがGタンパク質とGPCRの間に存在する。
【0149】
次に上記に開示されたGsαユニバーサルベクター内で融合のためのそれぞれの受容体配列を確保するためにPCRが使用され、それぞれについて以下のプロトコルが使用される。100ng GPCR用のcDNAを、2μlの各プライマー(センスとアンチセンス)、3μlの10mM dNTP、10μl の10XTaqPlus(商標)プレシジョンポリメラーゼ(Stratagene #600211)、ならびに80μlの水を含む別々の試験管に加える。GPCR用の反応温度およびサイクル時間は、94℃(1分)、94℃(30秒)、62℃(20秒)、72℃(1分40秒)そして72℃(5分)であって、ステップ2〜4を35回繰り返した。PCR産物を1%アガロースゲルを通過させてから精製する。精製産物にXbalIとEcoRVを加えて消化して、所望のインサートを精製して、それぞれの制限部位でGsユニバーサルベクター中に結合する。形質転換後に陽性クローンを単離して、制限酵素消化によって判定し、以下に記述するプロトコルに従って、293細胞を用いる発現が達成される。GPCR−Gs融合タンパク質の各陽性クローンは、その正確さを検証するために配列決定されよう。
【0150】
b.Gq(6アミノ酸欠失)/Gi融合構築物
Gq(del)/Gi融合構築物のデザインは以下のように達成された。TLESIM(配列番号88)を有するGαqサブユニットのN末端6アミノ酸(アミノ酸2〜7)が欠失され、また配列EYNLV(配列番号89)を有するC末端5アミノ酸がDCGLF(配列番号90)を有するGαiタンパク質の対応するアミノ酸で置換された。この融合構築物は、以下のプライマー、5’-gatcAAGCTTCCATGGCGTGCTGCCTGAGCGAGG-3’(配列番号91)および 5’-gatcGGATCCTTAGAACAGGCCGCAGTCCTTCAGGTTCAGCTGCAGGATGGTG-3’(配列番号92)、 ならびに赤血球凝集素タグを有するマウスGαq野生型を含むプラスミド63313を鋳型として用いるPCRによって得られた。小文字のヌクレオチドはスペーサーとして含まれる。
【0151】
TagPlus(登録商標)DNAポリメラーゼ(Stratagene)が以下のサイクル、95℃(2分)、95℃(20秒)、56℃(20秒)、72℃(2分)、そして72℃(7分)、で増幅に使用され、ステップ2〜4は35回繰り返した。PCR産物は、pCRII-TOPO ベクター(Invitrogen)中にクローン化され、ABI ビッグダイターミネーター キット(P.E. Biosystems(P.E.バイオシステムズ社))を用いて配列決定を行う。融合構築物の配列を含むTOPOクローン由来のインサートは、2ステップクローニング法によって発現ベクターpcDNA3.1(+) のHindIII/BamHI 部位にシャトルされる。
【0152】
c.Gs/Gi融合タンパク質構築物
Gs/Gi融合構築物のデザインは以下のように達成された。配列5’-QYELL-3’ (配列番号93) を有するGαsサブユニットのC末端5アミノ酸が欠失され、配列5’-DCGLF-3’(配列番号94)を有するGαiタンパク質の対応するアミノ酸で置換された。このタンパク質融合構築物は、5’および3’オリゴヌクレオチドを用いてPCRによって得られた。
【0153】
TagPlusDNAポリメラーゼ(Stratagene)が以下のサイクル、98℃(2分)、98℃(30秒)、60℃(30秒)、72℃(2分)、そして72℃(5分)で増幅に使用され、ステップ2〜4は25回繰り返された。PCR産物は、pCRII-TOPO ベクター(Invitrogen)中にクローン化され、ABI ビッグダイターミネーター キット(P.E. Biosystems)を用いて配列決定が行われた。タンパク質融合構築物の配列を含むTOPOクローン由来のインサートは、発現ベクターpcDNA3.1(+) の制限部位中にシャトルされた。Gs/Giタンパク質融合構築物の核酸配列を次に決定した。核酸配列については配列番号95、そしてアミノ酸配列については配列番号96を参照。
[実施例6] シュワン細胞の調製
2Lの新生ラット仔(SpragueDawley)(出生時、出生後2日目、3日目)を氷の上に置いて安楽死させた。仔を取り出して、断頭して血液をドレインした。新生仔を解剖台に腹下位置に置いて、70%エタノールでリンスして滅菌した。メスを使用して、大腿領域の皮膚を坐骨神経が露出するまで(あるいは脊髄から膝に伸びる細く白色の「ヒモ」が見えるまで)除去した。神経をDMEM培地に入れて、次に吸引してから、DMEM培地で容量を2.4mlにして、解離させるために300uLの10Xコラゲナーゼ(0.3% Sigma、カタログ#C-9891)と300uLの10Xトリプシン(0.25%、GIBCO カタログ#25095-019)を加えた。神経を次に37℃で15分インキュベートして、1,000rpmで5分遠心分離してから、培地を除去した(二回反復)。1mLのDMEM-HEPEと1mLのDMEM/10%FBSを加えてから、50mLの円錐管に移した。試験管の内容物を次のゲージ針(VWR)、18Gで1回、21Gで2回、そして23Gで2回、剪断した。内容物をファルコン細胞ストレーナに入れて、超低速(約1200rpm)で遠心した。DMEM/10%FBSを加えて全量を10mLにして、ポリーL―リジン処理10cmプレート(Sigma、カタログ#P-1274)上に接種した。プレートを次に7%CO2、37℃の加湿インキュベーター内で一晩インキュベートした。新鮮培地を100X ARA C(10mM、Sigma、カタログ#C-1768)と共に加えて、さらに48時間培養した。細胞を次にPBSで(3回)洗浄して、ARA Cを除去してから、DMEM/10%FBS、色々な濃度のフォルスコリン100%エタノール溶液(2uM、5uM、10uM、20uM、および50uM)(Calbiochem、カタログ#344270)、80ugの下垂体抽出物含有PBS溶液(Sigma、#P-1167)および0.1% BSAを加え、次に細胞を7%CO2、37℃加湿器中で30時間成長させた。細胞を回収してからRNAを単離して分析した。
【0154】
抗体選択は以下のように達成された。ポリ−L−リジン処理プレートをまず1X PBSで洗浄(3回)し、1mLの0.5% トリプシンEDTAを加えて約1分トリプシン処理してから、9mLのDMEM-HEPESバッファーおよび10% FBSで中和した。細胞を1200rpmで5分遠心分離し、トリプシンを洗出するために3mLのDMEM-HEPES中に再懸濁して、さらに1200rpmで5分遠心した。細胞を次に600uLのDMEM-HEPESに再懸濁して、単一細胞を得るために遠心後いくらかの培地を残した。Thy1.1抗体(単クローン性抗体、Sigma、カタログ#P-1274)を1:1000希釈で加えた。
【0155】
細胞を次に、2分ごとに試験管を僅かに撹拌しながら、37℃で20分インキュベートした。20uLのモルモット補体(GIBCO、カタログ#19195-015)を使用前に解凍してから、抗体を加えた細胞の最終容量が1mLになるように補体を加えた。細胞を37℃の水浴中で20〜30分インキュベートして、10mLのDMEM-HEPESを加えてから1200rpmで3分遠心沈降した。細胞を5mLのDEME/10%FBS中に再懸濁して、下垂体抽出物とフォルスコリンを含むポリ−L―リジン処理プレートに加えた。細胞は24〜48時間後に回収されるまで放置され、免疫選択法を二度反復した。
[実施例7] ラット圧挫坐骨神経の調製
麻酔(イソフロレン)された成体(10〜13週齢)Sprague-Dawleyラットの坐骨神経を坐骨切痕で露出させた。神経圧挫は、坐骨神経を坐骨切痕できつく押しつけて、鉗子で2回、各10秒、平坦にすることによって作出された。この技法は、軸索の変性を起こすが軸索の再生は可能である。神経損傷後様々な時間に、動物をCO2吸入によって安楽死させ、遠位神経断端を除去して、最も近位部2〜3mmを切り落とした。圧挫神経については、全遠位神経を収集した。神経は液体窒素中で直ちに冷凍して、-80℃で保存した。損傷を受けていない坐骨神経を、P0(圧挫後)〜P13までの異なる年齢の動物から得た。
[実施例8] 開示のヒトGPCRの組織分布
1.RT-PCR
RT-PCRは、いくつかの新ヒトGPCRの発現を確認し、そしてその組織分布を決定するために適用され得る。使用されるオリゴヌクレオチドはGPCR特異型であり、複数のヒト組織cDNAパネル(MTC、Clontech)が使用される。Taq DNAポリメラーゼ(Stratagene)は、製造元の指示に従って、40ul反応での増幅に使用される。20μlの反応を1.5%アガロースゲルに負荷して、RT-PCR産物を分析する。
【0156】
2.ドットブロット
市販のヒト組織ドットブロットフォーマットを用いて、内因性GPCRは、そのような受容体が局在する領域決定用のプローブに使用された。実施例1のPCRフラグメントをプローブに使用して、このフラグメントとPrime-It II(商標)ランダムプライマー標識キット(Stratagene、 #300385)を製造元の指示に従って用いて放射線標識プローブを生成した。ヒトRNAマスターブロット(商標)(Clontech、 #7770-1)をGPCR放射性標識プローブとハイブリダイズさせ、ストリンジェント条件下で、製造元の指示に従って洗浄した。ブロットは、-80℃で一晩Kodak BioMax オートラジオグラフィに暴露した。以下の表7は、発現が観察される受容体と組織を一覧する。受容体に関連する代表的疾患/障害は、以下実施例6に考察する。
【0157】
【表7】
3.ノーザンブロット
a.GPR37
実施例6からのRNAは、RNAzol B試薬(TelTest Inc.(テルテスト社)、カタログ#CS-104)を製造元の指示に従って用いて収集した。 1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、10X SSCを用いる毛細管作用によって、RNAをナイロン膜(Sachleicher Schull)に移動した。GPR37の3’末端に正確に対応するDNAフラグメントとハイプライム標識キット(Roche Molecular Biochemical(ロッシュモレキュラーバイオケミカル社))を製造元の指示に従って用いて、32P標識GPR37 DNAプローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ#8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にExpressHyb溶液を加えて、65℃でまず一晩インキュベートした。32P標識GPR37 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーション溶液から取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.2X SSC/0.1%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、―80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0158】
図9を参照する。図9は、GPR37がシュワン細胞で発現され、したがって、髄鞘形成が20uMフォルスコリンで維持され得ることを示す。
【0159】
図10は、GPR37が、特に神経を圧挫7日後のラット圧挫坐骨神経でアップレギュレートされることを示す。そのようなデータは、GPR37がシュワン細胞における髄鞘形成のプロセスを促進することによって神経の再生に役割を果たし得るという図9に示すデータと一貫する。
【0160】
GPR37は、ヒト中枢神経系、特に脳組織で発現される。GPR37がシュワン細胞で発現することがさらに明らかにされている。軸索(または神経)が損傷されると、シュワン細胞は、軸索周りにミエリン鞘を形成して、ミエリン鞘の形状の「絶縁体」を供給することによって神経を再生するために作用する。髄鞘形成として知られるこのプロセスは、活動電位がより速い速度で進行し、それによって代謝エネルギーを節約するために重要である。シュワン細胞とその前駆体は、末梢神経を構成するその他の細胞の生存と分化の影響に重要な役割を果たす。さらに、GPR37は、ラット圧挫坐骨神経で発現されることが明らかにされている。そのようなデータは、GPR37が神経細胞の再生に役割を果たし得ることを示す。受容体が局在する特定の組織の既知の機能に基づき、受容体の推定上の機能的役割を引き出すことができる。したがって、髄鞘形成過剰(例えば、腫瘍発生)ではGPR37に対する逆アゴニストが好ましく、髄鞘形成不全起こる場合(例えば、糖尿病のような変性疾患)ではアゴニストが好ましい。
【0161】
b.GPR66
いくつかの膵臓細胞株(例えば、HIT、ARIP、Tu6、RINαTC、STC、NITおよび EcR-CHO、これらのいずれも市販されており入手可能)由来の全RNAを、TRIzol試薬(Gibco/BRL、カタログ#15596-018)を製造元の指示に従って使用して単離した。1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、標準プロトコルを用いて、RNAをナイロン膜に移動した。全コード配列に正確に対応するDNAフラグメントとPrime It II ランダムプライマーラベリングキット(Stratagene、カタログ#300385)を製造元の指示に従って使用して、32P標識GPR66プローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ#8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にまずExpressHyb溶液を加えて、65℃で1時間インキュベートした。32P標識GPR66 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーションから取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.1X SSC/0.5%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、―80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0162】
図13を参照する。膵臓におけるGPR66の発現を実証する、ドットブロットデータと合わせたRNAブロットの結果(図13)は、全ての膵島細胞株および膵管細胞株であるARIP細胞において豊富に発現されていることを示唆する。いずれの理論にも束縛される意図はないが、膵臓細胞株におけるGPR66の発現は、GPRが膵島新生に役割を果たし得ることを示唆する。
【0163】
c.GPR35
いくつかのガン細胞株(例えば、RIN-SAH、 HEP-G2、 A549、HELA、MOLT-4、 HL-60 およびSW480細胞、これらのいずれも市販されており入手可能)由来の全RNAを、TRIzol試薬(Gibco/BRL、カタログ#15596-018)を製造元の指示に従って使用して単離した。1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、標準プロトコルを用いて、RNAをナイロン膜に移動した。全コード配列に正確に対応するDNAフラグメントとPrime It II ランダムプライマーラベリングキット(Stratagene、カタログ#300385)を製造元の指示に従って使用して、32P標識GPR35プローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ#8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にまずExpressHyb溶液を加えて、65℃で1時間インキュベートした。32P標識GPR35 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーションから取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.1X SSC/0.5%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、−80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0164】
図15を参照する。RNAブロット(図15を参照)の結果は、GPR35が結腸直腸ガン細胞株SW480において豊富に発現されていることを示す。そのようなデータは、GPR35が、結腸直腸の発ガン現象に役割を果たし得ることを示唆する。以下に論述する方法による、候補化合物の同定は、逆アゴニストであることが最も好ましい。GPR35の逆アゴニストは、ガン性細胞の細胞増殖を阻害するためにDNA複製を減少させることを意図する。GPR35は、大腸および小腸で発現される。GPR35が結腸直腸ガン細胞株(例えば、HELA、MOLT-4、およびSW480)で明らかに発現されている多数のガン細胞株が調査されている。そのようなデータは、GPR35が、結腸直腸の発ガン現象に役割を果たし得ることを示唆する。結腸直腸ガンは、結腸または直腸のいずれかから生じる悪性である。大腸ガンは、男性および女性に発見されるガンのうち二番目によく見られる形態である。
【0165】
d.ETBR-LP2
実施例6からのRNAをRNAzol B試薬(TelTestInc.、カタログ#CS-104)を製造元の指示に従って使用して収集した。 1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、10X SSCを用いる毛細管作用によって、RNAをナイロン膜(Sachleicher Schull)に移動した。ETBR-LP2 の3’末端に正確に対応するDNAフラグメントとハイプライム標識キット(Roche Molecular Biochemical)を製造元の指示に従って使用して、32P標識ETBR-LP2 DNAプローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ番号8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にExpressHyb溶液を加えて、65℃で一晩インキュベートした。32P標識ETBR-LP2 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーション溶液から取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.2X SSC/0.1%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、−80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0166】
図18を参照する。図18は、ETBR-LP2 がシュワン細胞で発現され、したがって、髄鞘形成が20uMフォルスコリンで維持され得ることを示す。
【0167】
図19は、ETBR-LP2 が、特に神経を圧挫7日後のラット圧挫坐骨神経でアップレギュレートされることを示す。そのようなデータは、ETBR-LP2 がシュワン細胞における髄鞘形成のプロセスを促進することによって神経の再生に役割を果たし得るという図18に示すデータと一貫している。
【0168】
これらのデータに基づいて、ETBR-LP2 はシュワン細胞で発現されている。軸索(または神経)が損傷されると、シュワン細胞は、軸索周りにミエリン鞘を形成して、ミエリン鞘の形状の「絶縁体」を供給することによって神経を再生するために作用する。髄鞘形成として知られるこのプロセスは、活動電位がより速い速度で進行し、それによって代謝エネルギーを節約するために重要である。シュワン細胞とその前駆体は、末梢神経を構成するその他の細胞の生存と分化の影響に重要な役割を果たす。さらに、ETBR-LP2 は、ラット圧挫坐骨神経で発現されることが明らかにされている。そのようなデータは、ETBR-LP2 が神経細胞の再生に役割を果たし得ることを示す。受容体が局在する特定の組織の既知の機能に基づき、受容体の推定上の機能的役割を引き出すことができる。したがって、髄鞘形成過剰(例えば、腫瘍発生)ではETBR-LP2 に対する逆アゴニストが好ましく、髄鞘形成不全が起こる場合(例えば、糖尿病のような変性疾患)はアゴニストが好ましい。
【0169】
これらの組織または領域に局在する受容体に関連する疾患および障害は、限定はされないが、心臓障害および心臓病(例えば、血栓症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、心筋症)、腎臓障害/腎臓病(例えば、腎不全、腎尿細管アシドーシス、腎性糖尿、腎性尿崩症、シスチン尿症、多発性嚢胞腎)、好酸球増加症、白血球増加症、白血球減少症、卵巣ガン、性機能障害、多嚢胞性卵巣症候群、膵炎および膵臓ガン、過敏性腸症候群、結腸ガン、クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺性高血圧、結核および肺ガン、パーキンソン病、運動障害および運動失調症、学習および記憶障害、摂食障害(例えば、拒食症、過食症など)、肥満症、ガン、胸腺腫、重症筋無力症、循環障害、前立腺ガン、前立腺炎、腎臓病/障害(例えば、腎不全、腎尿細管アシドーシス、腎性糖尿、腎性尿崩症、シスチン尿症、多発性嚢胞腎)、感覚運動プロセシングおよび覚醒障害、強迫性障害、精巣ガン、持続勃起症、前立腺炎、ヘルニア、内分泌障害、性機能障害、アレルギー、鬱病、精神病、偏頭痛、胸焼け、精神分裂病、潰瘍、気管支痙攣、テンカン、前立腺肥大、不安症、鼻炎、アンギナおよび緑内障を含む。したがって、本発明の方法は、またこれらならびにその他の疾患および障害の診断および/または治療に有用であり得る。
[実施例7] プロトコル:逆アゴニストとアゴニストの直接同定
A. [ 35 S ] GTPγS アッセイ
内因性・構成的活性GPCRは、例えば、逆アゴニストのような候補化合物の直接同定に使用されてきたが、完全には理解されていない理由のために、アッセイ内のばらつきが悪化することがある。ある実施形態では、上記に開示されるGPCR融合タンパク質はまた、非内因性・構成的活性化GPCRと共に利用される。そのようなタンパク質が使用されると、アッセイ内のばらつきは有意に安定化され、そのため有効な信号雑音比が得られる。これは、候補化合物の同定をさらに強固なものとする有利な結果を有する。したがって、ある実施形態では、直接同定には、GPCR融合タンパク質が使用されることが好ましく、これが使用される際は、以下のアッセイプロトコルが使用される。
【0170】
1.膜の調製
目的の構成的活性オーファンGPCR融合タンパク質を含み、逆アゴニストまたはアゴニストとしての候補化合物の直接同定に使用される膜は、以下のようにして調製されることが好ましい。
【0171】
a.材料
「膜剥離バッファー」は、20mM HEPESおよび10mM EDTAを含み, pH 7.4であり、 「膜洗浄バッファー」は、20 mM HEPESおよび0.1 mM EDTAを含み、pH 7.4であり、「結合バッファー」は、20mM HEPES、100 mM NaClおよび 10 mM MgC12を含み、 pH 7.4である。
【0172】
b.手順
全ての材料はこの手順を通じて氷上で保つ。まず、コンフルエント単層細胞から培地を吸引除去し、次に10mlの冷PBSでリンスをしてから、吸引除去を行う。その後、5mlの膜剥離バッファーを剥離細胞に加えた後で、細胞抽出物を50mlの遠心管中に移す(4℃、20,000rpmで17分遠心分離する)。その後、上清を吸引除去して、そのペレットを30mlの膜洗浄バッファー中に再懸濁してから、4℃、20,000rpmで17分遠心分離する。上清を次に吸引除去して、ペレットを結合バッファーに再懸濁する。再懸濁されたペレットを次にブリンクマン・ポリトロン(商標)ホモジナイザーを用いてホモジナイズする(懸濁液中の物質がバーストするまで、15〜20秒)。これを本願では「膜タンパク質」と呼ぶ。
【0173】
2.ブラッドフォードタンパク質アッセイ
均質化後、膜のタンパク質濃度を、例えば、ブラッドフォードタンパク質アッセイを用いて決定する(タンパク質は、約1.5mg/mlに希釈して、分割量にして、後の使用のために冷凍(-80℃)し得る、冷凍する場合は、使用プロトコルは以下の如くである。アッセイを行う日に、冷凍膜タンパク質を室温で解凍し、渦を巻くように動かしてから、ポリトロンで約12x1,000rpmで約5〜10分ホモジナイズする。複数を調製する場合、次の調製物をホモジナイズする前にホモジナイザーを十分に洗浄することを特記する。
【0174】
a.材料
結合バッファー(上記に説明)、ブラッドフォード色素試薬、ブラッドフォード標準タンパク質を、製造元の指示に従って使用する(Biorad、カタログ番号500−-0006)。
【0175】
b.手順
一つは膜を含み、他方はコントロール「空」である二本の試験管を用意する。各試験管は800μlの結合バッファーを含む。その後、10μlのブラッドフォード標準タンパク質(1mg/ml)を各試験管に加え、10μlの膜タンパク質を1本の試験管(「空」ではない)に加える。その後、200μlのブラッドフォード色素試薬を各試験管に加えてから渦を巻くように動かす。5分後、試験管を再び渦を巻くように動かしてから、その中の物質をキュベットに移動する。キュベットを次に、CECIL 3041分光光度計を用いて、波長595で読み取る。
【0176】
3.直接同定アッセイ
a.材料
GDPバッファーは、37.5mlの結合バッファーと2mgのGDP(Sigma、カタログ番号G-7127)から構成され、0.2μMのGDPを得るために結合バッファーで一連の希釈を行う(各ウェル中のGDPの最終濃度は、0.1μM GDP)。候補化合物を含む各ウェルは、100μlのGDPバッファー(最終濃度 0.1μM)、50μlの膜タンパク質結合バッファー溶液、および50μlの50μl[35S]GTPγS (0.6nM)結合バッファー溶液(10mlの結合バッファー当たり2.5μlの[35S]GTPγS )から成る最終容量200μlを含む。
【0177】
b.手順
候補化合物は、96ウェルフォーマット(これらは-80℃で冷凍し得る)を用いてスクリーンすることが好ましい。膜タンパク質(または、コントロールとしてGPCR融合タンパク質を含まない発現ベクターを有する膜、)を懸濁液となるまで手短にホモジナイズする。例えば、前述のブラッドフォードタンパク質アッセイを用いて、タンパク質濃度を決定する。膜タンパク質(およびコントロール)を次に結合バッファーで0.25mg/mlまで希釈する(最終アッセイ濃度、12.5μg/ウェル)。その後、100μlのGDPバッファーを、Wallac シンチストリップ(商標)(Wallac)の各ウェルに加える。5μlのピンツールを使って5μlの候補化合物をそのようなウェル中に移す(即ち、全アッセイ量200μlのうちの5μlが、候補化合物の最終スクリーニング濃度が10μMになるように、1:40の比である)。さらに、汚染を避けるため、各移動ステップ後、ピンツールを水(1X)、エタノール(1X)および水(2X)を含む3つのレザバー中で濯ぎ、濯ぎの後は毎回、過剰な液体をツールから振り落として、ツールを紙およびキムワイプで乾燥させる。その後、50μlの膜タンパク質を各ウェルに加え(膜を含むがGPCR融合タンパク質を含まないコントロールウェルをまた使用した)、室温で5〜10分プレインキュベートする。その後、50μlの[35S]GTPγS (0.6 nM) 結合バッファー溶液を各ウェルに加え、室温、シェーカー上で60分インキュベートする(この実施例では、プレートをフォイルで被った)。22℃で15分、4000RPMでプレートを遠心することによってアッセイを停止する。プレートを次に8チャネルマニフォールドで吸引してからプレートカバーでシールする。プレートは次に、“Trot #37”設定を用いて(製造元の指示に従って)、Wallac1450で読み取る。
B.サイクリックAMPアッセイ
候補化合物を直接同定するためのもう一つのアッセイ法は、シクラーゼベースアッセイを用いて達成される。直接同定の他に、このアッセイ法は、前述するように [35S]GTPγS 法から得られる結果の確認をするための独立した方法としても使用され得る。
【0178】
修正Flash Plate(商標)アデニリルシクラーゼキット(NewEngland Nuclear、カタログ番号SMP004A)は、候補化合物をGPCRに対する逆アゴニストおよびアゴニストとして直接同定するために、以下のプロトコルに従って使用することが好ましい。
【0179】
トランスフェクト細胞をトランスフェクトの約3日後に収集する。膜は、懸濁細胞を20mM HEPES、pH7.4および10mM MgCl2を含むバッファー中でホモジナイズすることによって調製される。均質化は、ブリンクマン・ポリトロン(商標)を約10秒用いて、氷上で実施される。結果生じるホモジネートを4℃、49,000 X gで15分遠心分離する。生じたペレットを次に20mM HEPES、pH7.4と0.1mM EDTAを含むバッファーに再懸濁して、10秒ホモジナイズした後、4℃、49,000 X gで15分遠心分離する。結果生じるペレットを使用するまで−80℃で保存する。直接同定スクリーニングを行う日に、膜ペレットを室温でゆっくりと解凍して、最終タンパク質濃度が0.60mg/ml になるように、20mM HEPES、 pH 7.4と10mM MgC12を含むバッファーに再懸濁する(再懸濁された膜は使用するまで氷上に置く)。
【0180】
cAMPスタンダードと検出バッファー(11mlの検出バッファーについて2μCiのトレーサー[125IcAMP(125μl) を含む]を調製して、製造元の指示に従って維持した。アッセイ用バッファーは、スクリーニング用に新しく調製し、20mM HEPES、 pH 7.4、10mM MgC12, 20mM クレアチンリン酸(Sigma)、 0.1 ユニット/ml クレアチンホスホキナーゼ (Sigma)、50gM GTP (Sigma)、および0.2 mM ATP (Sigma)を含む。アッセイ用バッファーは使用するまでは氷上で保存する。
【0181】
前述のように同定された候補化合物(冷凍されている場合は、室温で解凍)を、好ましくは96ウェルプレートウェル(3gl/ウェル、 12μM 最終アッセイ濃度)に、40μlの膜タンパク質(30μg/ウェル)と50μlのアッセイ用バッファーと共に加える。この混合物を、ゆるやかな振とうを加えながら、室温で30分インキュベートする。
【0182】
インキュベーション後、100μlの検出バッファーを各ウェルに加えて、2〜24時間インキュベートする。"Prot. #31" を(製造元の指示に従って)使用して、Wallac マイクロベータ(商標)プレートリーダーでカウントする。
C.メラニン保有細胞スクリーニングアッセイ
GPCRの候補アゴニストまたは逆アゴニストを同定するための方法は、特定の刺激に応答して色素を分散または凝集することおよびGPCRをコードする外来性クローンを発現できる色素細胞株のテスト細胞を導入することによって実施され得る。例えば、光のようなスティミュラントは、色素素質の初期状態を設定し、GPCRの活性化が色素の分散を誘導するならば、色素はテスト細胞内で凝集する。しかし、色素素質の初期状態を設定するためにスティミュラントで細胞を刺激して、GPCRの活性化が色素の凝集を誘導するならば、色素は分散する。テスト細胞は次に化合物と接触され、細胞内の色素素質が初期状態から変化したかどうかが決定される。候補化合物のGPCRへの共役に起因する色素細胞の分散は、ペトリ皿上では暗く見え、色素細胞の凝集は明るく見える。
材料と方法については、米国特許番号5,462,856 と米国特許番号6,051,386の公開に従い、それぞれの全文が参考文献として引用されている。
【0183】
種々の発現ベクターが、内因性および非内因性ヒトGPCRのための用途目的で、当業者に入手可能であるが、ある実施形態では、使用されるベクターはpCMVであることが好ましい。このベクターは、特許手続きを目標として微生物の国際寄託制度についてのブダペスト条約の規定により、1988年10月13日にアメリカ培養コレクション(ATCC)(10801 UniversityBlvd., Manassas, VA 20110-2209 USA)に寄託された。このDNAはATCCで試験されて、生存可能であることが決定された。ATCCは、pCMVに以下の寄託番号:ATCC#203351を指定した。
【0184】
本特許文書を通じて引用されている、同時係属中および関連特許出願を含む、参考文献は、特記されない限りは、本願に参考文献として全面的に引用されている。
【0185】
当業者の認識範囲である開示発明の修正または拡張は、上記開示および以下の請求内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1は、内因性・構成的活性FPRL-2(“FPRL-2 wt”)、Gs/Gi融合タンパク質構築物に融合されたFPRL-2 (“FPRL-2 (L240K)”)の非内因性・構成的活性化型、およびコントロール(“Gs/Gi”)の構成的シグナリングについての比較結果を示す、セカンドメッセンジャー細胞ベースサイクリックAMPアッセイの結果のグラフ描写である。
【図2】図2は、内因性STRL33と非内因性・構成的活性化STRL33(“STRL33(L230K)”)を、293細胞において、8XCRE-Lucレポーターアッセイを用いてコントロール(“CMV”)と比較する場合の比較分析結果をグラフ表示する。
【図3】図3は、非内因性TSHR(A623I)(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合はGPR45(“GPR45 wt”)−の同時トランスフェクション対コントロール(“CMV”)を、293細胞において細胞ベースのアデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図4】図4は、非内因性TSHR(A623I)(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合は、mGluR7(“mG1uR7wt”)−の同時トランスフェクション対非内因性TSHR(A623I)と同時トランスフェクトされた、このターゲット受容体mGluR7の非内因性・構成的活性化型(“W590S”、 “R659H”、“T771C”および“I790K”)を、293細胞において細胞ベースのアデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図5】図5は、非内因性TSHR(A623I)(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合は、mG1uR7 (“mGluR7 wt”)−の同時トランスフェクション対非内因性TSHR(A623I)と同時トランスフェクトされたこのターゲット受容体mGluR7の非内因性・構成的活性化型(“W590S”、 “R659H”、“T771C”および“I790K”)を、RGT細胞において細胞ベースのアデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図6】図6は、グルタミン酸が存在する場合と存在しない場合に、Gqタンパク質の非内因性型である、“Gq(del)”と“Gq(del)/Gi” と同時トランスフェクトされた非内因性mGluR7である“T771C”のセカンドメッセンジャーIP3産生を“Gq(del)”と“Gq(del)/Gi”に比較する例を示す。
【図7】図7は、内因性・非構成的活性GPR37(“wt”)とGPR37の非内因性・構成的活性化型(“C543Y”と “L352R”)の、SREレポーターアッセイにおける比較分析であり、ここでコントロールは発現ベクター(“CMV")である。
【図8】図8は、Gs/Gi融合構築物と内因性ターゲット受容体−この場合はGPR37(“GPR37 wt”)−の同時トランスフェクション対Gs/Gi融合構築物と同時トランスフェクトされたこのターゲット受容体GPR37の非内因性・構成的活性化型(“C543Y”と “L352R”)の、全細胞セカンドメッセンジャーcAMPアッセイを用いる比較分析である。
【図9】図9は、フォルスコリン処理ラットシュワン細胞で発現されたGPR37のノーザン分析の写像である。細胞分化は20uM フォルスコリンで維持された。
【図10】図10は、ラット圧挫坐骨神経で発現されたGPR37のノーザン分析の写像である。GPR37は、圧挫後7日目に高度にアップレギュレートされた。
【図11】図11は、IP3アッセイにおける、内因性・非構成的活性HF1948(“wt”) とHF1948の非内因性・構成的活性化型(“I281F”) の比較分析であり、ここでコントロールは発現ベクター(“pCMV”)である。
【図12】図12は、非内因性TSHR−A623I(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合は、HF1948(“HF1948wt”)−の同時トランスフェクション対非内因性TSHR−A623Iと同時トランスフェクトされたこのターゲット受容体HF1948の非内因性・構成的活性化型(“I281F”と “E135N”) を、全細胞アデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図13】図13は、複数の膵臓細胞株を用いる、GPR66のノーザンブロットの結果の写真の複写である。
【図14】図14は、内因性GPR35と非内因性・構成的活性化型GPR35(“GPR35(A216K)”)を、293A細胞において、E2F−Lucレポーターアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。
【図15】図15は、複数の組織(ヒト)cDNAを用いる、GPR35のノーザンブロットの結果の写真の複写である。
【図16】図16は、非内因性TSHR-A623I (“TSHR-A623I”) (TSHが存在する場合としない場合)と内因性ETBR-LP2 (“WT”)の同時トランスフェクション対変異型TSHR-A623I (TSHが存在する場合としない場合)と同時トランスフェクトされた非内因性・構成的活性化ETBR-LP2 (“N358K”)を、アデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。
【図17】図17は、内因性ETBR-LP2 (“WT”) と非内因性・構成的活性化ETBR-LP2 (“N358K”)を、AP1レポーターアッセイ系を用いて、比較分析した結果をグラフ表示する。
【図18】図18は、フォルスコリン処理ラットシュワン細胞で発現されたETBR-LP2 のノーザン分析の写像である。細胞分化は20uM フォルスコリンで維持された。
【図19】図19は、ラット圧挫坐骨神経で発現されたETBR-LP2 のノーザン分析の写像である。GPR37は、圧挫後7日目に高度にアップレギュレートされた。
【図20A】図20Aと20Bは、ヒトETBR LP2 (“hETBRLP2p”) の推定アミノ酸配列とヒトGPR37 (“hGPR37p”)の報告されたアミノ酸配列のアライメント報告を示す。
【図20B】図20Aと20Bは、ヒトETBR LP2 (“hETBRLP2p”) の推定アミノ酸配列とヒトGPR37 (“hGPR37p”)の報告されたアミノ酸配列のアライメント報告を示す。
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、1998年10月13日に出願された米国特許出願番号09/170,496の一部継続出願であり、それに対応するPCT出願番号がPCT/US99/23938であり、2000年4月20日にWO 00/22129 として公開された。本出願はまた、1997年4月14日に出願された米国特許出願番号08/839,449(放棄)の一部継続出願である、1998年4月14日に出願された米国特許出願番号 09/060,188の一部継続出願である。前述のそれぞれについての優先権の利益は本願に請求されており、そして前述のそれぞれについての開示が、本願にその全文を参考文献として引用されている。本出願はまた、本願にその全文が参考文献として引用されている、2001年2月26日に出願された、米国仮出願番号60/271,913の利益も請求する。本文書は、以下の出願に関連する。2000年12月1日に出願された米国仮出願番号60/250,881、2000年11月27日に出願された米国仮出願番号60/253,428、2000年11月3日に出願された米国仮出願番号60/245,853、2000年9月20日に出願された米国仮出願番号60/234,045、2000年4月28日に出願された米国仮出願番号60/200,568、2000年4月19日に出願された米国仮出願番号60/198,518、2000年3月14日に出願された米国仮出願番号60/189,353、1999年11月17日に出願された米国仮出願番号60/166,084、ならびに1998年10月30日に出願された米国仮出願60/106,451、これらのそれぞれの開示は全文を参考文献として引用している。
(発明の分野)
本発明は、膜貫通受容体、ある実施形態ではGタンパク質共役受容体そして、いくつかの好ましい実施形態では受容体の構成的活性を構築または増強するように修飾された内因性GPCRに関する。いくつかの実施形態では、構成的活性化GPCRは、治療薬として適用可能性のある受容体アゴニストまたは逆アゴニストとして候補化合物を直接同定するために使用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒトにはかなりの数の受容体クラスが存在するが、圧倒的に最も豊富で治療に関連するものはGタンパク質共役受容体(GPCR)クラスによって代表される。ヒトゲノムには30,000〜40,000個の遺伝子が存在すると推定され、そのうちの約2%がGPCRをコードすると推定される。内因性リガンドが同定されているGPCRを含む受容体は、「既知」受容体と呼ばれ、内因性リガンドが同定されていない受容体は「オーファン」受容体と呼ばれる。
【0003】
GPCRは医薬製品開発の重要な分野を代表しており、100個の既知GPCRの約20個から、全ての処方薬の約60%が開発されている。例えば、1999年には、ブランドネーム処方薬のトップ100のうち、以下の薬剤がGPCRと相互作用する(治療される疾患および/または障害はカッコ内に表示する)。
【0004】
クラリチン(登録商標)(アレルギー)
プロザック(登録商標)(鬱病)
バソテック(登録商標)(高血圧症)
パクシル(登録商標)(鬱病)
ゾロフト(登録商標)(鬱病)
ジブレキサ(登録商標)(精神病)
コザール(登録商標)(高血圧症)
イミトリックス(登録商標)(偏頭痛)
ザンタック(登録商標)(胃逆流症)
プロプルシド(登録商標)(胃逆流症)
リスパダール(登録商標)(精神分裂病)
セレベント(登録商標)(喘息)
ペプシド(登録商標)(胃逆流症)
ガスター(登録商標)(潰瘍)
アトロベント(登録商標)(気管支痙攣)
エフェクソール(登録商標)(鬱病)
デパコート(登録商標)(テンカン)
カルデュラ(登録商標)(前立腺肥大症)
アレグラ(登録商標)(アレルギー)
リュープロン(登録商標)(前立腺ガン)
ゾラデックス(登録商標)(前立腺ガン)
ディプリバン(登録商標)(麻酔)
ブスパール(登録商標)(不安)
ベントリン(登録商標)(気管支痙攣)
ハイトリン(登録商標)(高血圧症)
ウエルブトリン(登録商標)(鬱病)
ジルテック(登録商標)(鼻炎)
プラビックス(登録商標)(MI/卒中)
トプロール−XL(登録商標)(高血圧症)
テノルミン(登録商標)(アンギナ)
キサラタン(登録商標)(緑内障)
シングレア(登録商標)(喘息)
ディオバン(登録商標)(高血圧症)
ハルナール(登録商標)(前立腺肥大症)
(Med Adニュース 1999データ)。
【0005】
GPCRは、7つのアルファヘリックスを形成する22〜24個の疎水性アミノ酸からなる7つの配列を有し、そのそれぞれが膜をスパンする(各スパンは、即ち、膜貫通―1(TM−1)、膜貫通−2(TM−2)などのように番号で識別される)共通の構造モチーフを共有する。膜貫通ヘリックスは、細胞膜の外側、あるいは「細胞外」側において、膜貫通−2と膜貫通−3、膜貫通−4と膜貫通−5、ならびに膜貫通−6と膜貫通−7の間でアミノ酸鎖によって結合される(これらは、「細胞外」領域1、2、および3(それぞれEC−1、ECー2、およびEC−3)と呼ばれる)。膜貫通ヘリックスはまた、細胞膜の内側、あるいは「細胞内」側において、膜貫通−1と膜貫通−2、膜貫通−3と膜貫通−4、ならびに膜貫通−5と膜貫通−6の間でアミノ酸鎖によって結合される(これらは、「細胞内」領域1、2、および3(それぞれIC−1、ICー2、およびIC−3)と呼ばれる)。受容体の「カルボキシ」(“C”)末端は細胞内側の細胞内空間に位置し、そして受容体の「アミノ」(“N”) 末端は細胞外側の細胞外空間に位置する。
【0006】
一般的に、内因性リガンドが受容体と結合すると(受容体の「活性化」としばしば呼ばれる)、細胞内領域のコンフォーメーションに変化が生じ、細胞内領域と細胞内「Gタンパク質」間の共役が起こる。GPCRは、Gタンパク質に関して「乱交雑性」であることが報告されており、即ち、GPCRは一つ以上のGタンパク質と相互作用できる。Kenakin, T., 43Life Sciences1095 (1988)を参照。その他のGタンパク質が存在するが、現在同定されているGタンパク質は、Gq、Gs、Gi、Gz、およびGoである。Gタンパク質と共役したリガンド活性化GPCRは、シグナリングカスケードプロセス(「シグナル伝達」と呼ぶ)を開始する。正常条件では、シグナル伝達は、究極的には細胞活性化または細胞抑制を生起する。理論に束縛されることは意図しないが、受容体のIC−3ループならびにカルボキシ末端がGタンパク質と相互作用すると考えられる。
【0007】
生理学的条件下では、GPCRは、「不活性」状態と「活性」状態の2つの異なるコンフォーメーションの平衡状態で細胞膜内に存在する。不活性状態にある受容体は、細胞内シグナル伝達経路に結合して生物学的応答を誘導するシグナル伝達を開始することができない。受容体のコンフォーメーションが活性状態に変化すると、(Gタンパク質を介して)伝達経路に結合して、生物学的応答を生じることが可能になる。
【0008】
受容体は、リガンドまたは薬剤のような化合物によって活性状態に安定化され得る。受容体のアミノ酸配列の修飾を含むがそれのみに限定はされない、最近の発見は、受容体を促進ならびに安定化して活性状態のコンフォーメーションにするリガンドまたは薬剤以外の手段を提供する。これらの手段は、受容体に結合するリガンドの効果をシミュレートすることによって、受容体を効果的に安定化して活性状態にする。そのようなリガンドと無関係な手段による安定化は、「構成的受容体活性化」と呼ばれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
ヒトGPCRの内因性および非内因性型とその用途を本願に開示する。
【0010】
本発明のある実施形態は、配列番号2のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号63のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0011】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号62のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0012】
本発明のある実施形態は、配列番号4のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号65のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0013】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号64のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0014】
本発明のある実施形態は、配列番号6のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、それと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0015】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号5のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0016】
本発明のある実施形態は、配列番号8のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号67、配列番号69、配列番号71、および配列番号73のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0017】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号66、配列番号68、配列番号70、および配列番号72のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0018】
本発明のある実施形態は、配列番号10のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号75および配列番号77のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0019】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号74および配列番号76のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0020】
本発明のある実施形態は、配列番号12のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号79および配列番号81のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0021】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号78および配列番号80のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0022】
本発明のある実施形態は、配列番号14のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号83のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0023】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号82のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0024】
本発明のある実施形態は、配列番号16のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号85のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0025】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号84のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0026】
本発明のある実施形態は、配列番号18のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、配列番号87のアミノ酸によってコードされるそれと同一物の構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0027】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号86のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0028】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号84のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0029】
本発明のある実施形態は、配列番号98のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体、それと同一物の非内因性・構成的活性化型、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0030】
本発明のある実施形態は、ベクターと配列番号97のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれと同一物を含む宿主細胞に関する。
【0031】
(発明の詳細な説明)
受容体についての科学的文献は、受容体に種々な影響を及ぼすリガンドに関連するいくつもの用語を採用している。明確性と統一性を図るために、本特許文書を通じて以下の定義を使用する。これらの定義がこれら用語のその他の定義と相反しない限り、以下の定義を使用する。
【0032】
アゴニストとは、受容体に結合すると、細胞内応答を活性化するか、あるいはGTPの膜結合を増強する物質(例えば、リガンド、候補化合物)を意味する。ある実施形態では、アゴニストは、受容体に結合すると細胞内応答を活性化すること、あるいはGTPの膜結合を増強することが過去に知られていない物質である。
【0033】
本願明細書で使用するアミノ酸略記を表1に詳述する。
【0034】
【表1】
アンタゴニストとは、アゴニストと同一部位で受容体と競合的に結合するが、活性型受容体によって開始される細胞内応答を活性化せず、その結果アゴニストによる細胞内応答を抑制することができる物質(例えば、リガンド、候補化合物)である。アンタゴニストは、アゴニストが存在しないと細胞内応答の基底(正常)値を漸減しない。ある実施形態では、アンタゴニストは、受容体に結合すると細胞内応答を活性化すること、あるいはGTPの膜結合を増強することが過去に知られていない物質である。
【0035】
候補化合物とは、スクリーニング法の対象となる分子である(例であって限定ではないが、化合物)。好ましくは、「候補化合物」という表現は、間接同定法によって過去に決定された(「間接同定化合物」)、受容体に対する逆アゴニスト、アゴニスト、またはアンタゴニストから成る群から選択される化合物であることが公知な化合物を含まず、さらに好ましくは、少なくとも一つの哺乳類において治療有効性があることが過去に決定されていることが間接的に同定された化合物を含まず、そして最も好ましくは、ヒトにおいて治療用途を有することが過去に決定されていることが間接的に同定された化合物を含まない。
【0036】
組成物とは、少なくとも一つの成分を含む物質を意味し、「医薬品組成物」は組成物の一例である。
【0037】
化合物有効性とは、受容体結合親和性に対して、受容体の機能性、即ちシグナル伝達経路を活性化/抑制する能力、を抑制または促進する化合物の能力の計量を意味する。化合物有効性を検出する典型的手段は、本特許文書の実施例セクションに開示されている。
【0038】
コドンとは、一般的にリン酸基と結合するヌクレオシド(アデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)、チミジン(T))を含み、さらに翻訳されるとアミノ酸をコードする、3つのヌクレオチド(またはヌクレオチド等価物)の一つのまとまりを意味する。
【0039】
構成的活性化受容体とは、構成的な受容体活性化を受けた受容体を意味する。構成的活性化受容体は、内因性または非内因性であり得る。
【0040】
構成的受容体活性化とは、受容体をそのリガンドまたはその化学的等価物と結合すること以外の手段によって、受容体を活性状態に安定化することを意味する。
【0041】
接触または接触するとは、少なくとも二つの部分を、インビトロ系またはインビボ系において、一緒にすることを意味する。
【0042】
「候補化合物」という表現との関連における直接同定する、または直接同定されたとは、候補化合物を、構成的活性化受容体に対して、好ましくは構成的活性化オーファン受容体に対して、そして最も好ましくは構成的活性化Gタンパク質共役細胞表面オーファン受容体に対してスクリーニングすること、ならびにそのような化合物の化合物有効性を評価することを意味する。この表現は、どんな場合でも、「間接同定する」または「間接同定された」という表現に包含されたり、包含すると解釈または理解されてはならない。
【0043】
内因性とは、哺乳類が天然に産生する物質を意味する。例であって限定ではないが、用語「受容体」に関連する内因性とは、哺乳類(例であって限定ではないが、ヒト)またはウイルスによって天然に産生されるものを意味する。対照的に、このような観点における非内因性という用語は、哺乳類(例であって限定ではないが、ヒト)またはウイルスによって天然に産生されないものを意味する。例であって限定ではないが、内因性型では構成的活性ではないが、操作されると構成的活性となる受容体が、本願では「非内因性・構成的活性化受容体」として最も好ましく参照される。どちらの用語も「インビボ」および「インビトロ」系を説明するために用いることができる。例であって限定ではないが、スクリーニング法において、内因性または非内因性受容体は、インビトロスクリーニング系に関連し得る。限定されることはないがさらなる例として、哺乳類のゲノムが、非内因性・構成的活性化受容体を含むように操作された場合、インビボ系の手段による候補化合物のスクリーニングが実行可能である。
【0044】
Gタンパク質共役受容体融合タンパク質およびGPCR融合タンパク質とは、本願に開示する本発明の観点からは、それぞれ、内因性・構成的活性化GPCR、あるいは少なくとも一つのGタンパク質、最も好ましくは、そのようなGタンパク質のアルファ(α)サブユニット(これはGTPに結合するサブユニットである)に融合され、このGタンパク質が好ましくは内因性オーファンGPCRと天然で共役するGタンパク質と同タイプである、非内因性・構成的活性化GPCRを含む非内因性タンパク質をそれぞれ意味する。例であって限定ではないが、内因状態において、Gタンパク質「Gsα」がGPCRと共役する主Gタンパク質である場合は、特定のGPCRに基づくGPCR融合タンパク質は、Gsαに融合したGPCRを含む非内因性タンパク質であり、ある場合は、以下に記述するように、非優勢のGタンパク質がGPCRに融合することがある。Gタンパク質は、構成的活性GPCRのC末端に直接融合でき、またはこの2つの間にスペーサーが存在してもよい。
【0045】
宿主細胞とは、その中にプラスミドおよび/またはベクターを組み込むことができる細胞を意味する。原核宿主細胞においては、宿主細胞が複製するとプラスミドは典型的には自律分子として複製される(一般的には、プラスミドはその後は真核宿主細胞中に導入するために単離される)。真核宿主細胞においては、プラスミドは、宿主細胞の細胞DNA中に組み込まれ、したがって真核宿主細胞が複製するとプラスミドが複製する。ある実施形態では、宿主細胞は真核性であり、より好ましくは哺乳類、そして最も好ましくは293、293T、およびCOS-7細胞から成る群から選択される。
【0046】
間接同定するまたは間接同定されたとは、内因性受容体に特異的な内因性リガンドの同定に関する創薬方法、リガンド−受容体相互作用を干渉および/または競合する候補化合物を決定するための受容体に対する候補化合物のスクリーニング、ならびに活性化受容体と関連する少なくとも一つのセカンドメッセンジャー経路への影響についてその化合物の有効性を評価するための従来の方法を意味する。
【0047】
用語「応答」との関連における、抑制するまたは抑制とは、化合物が存在しない場合に対して、化合物が存在すると応答が減少あるいは防止されることを意味する。
【0048】
逆アゴニストとは、内因性型受容体または構成的活性化型受容体のいずれかに結合して、活性型受容体によって引き起こされる正常な細胞内応答をアゴニストが存在しない場合に観察される活性の正常基準レベル以下に抑制するか、あるいは膜に対するGTP結合を減少する物質(例えば、リガンド、候補化合物)を意味する。好ましくは、細胞内応答の正常値は、逆アゴニストが存在すると、逆アゴニストが存在しない場合の応答の正常値と比較して、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、ならびに最も好ましくは少なくとも99%抑制される。
【0049】
既知受容体とは、その受容体に特異的な内因性リガンドが既に同定されている内因性受容体を意味する。
【0050】
リガンドとは、天然の受容体に特異的な分子を意味する。
【0051】
内因性受容体の核酸および/またはアミノ酸配列に関連する、変異体または変異とは、内因性で構成的に活性化しない受容体の変異型が、その受容体の構成的活性化を示すような、そのような内因性配列に対する特異的変化(複数でもよい)を意味する。特定配列に対する等価物の観点からいえば、(a)ヒト受容体の後続変異型の構成的活性化の度合いが、その受容体の最初の変異が示す活性化の度合いと実質的に同じであり、さらに(b)受容体の後続変異型と受容体の最初の変異の間の配列相同率(アミノ酸および/または核酸)が、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、そして最も好ましくは少なくとも99%である場合、ヒト受容体の後続変異型は、ヒト受容体の最初の変異と等価であると見なされる。ある実施形態では、構成的活性化を達成するために、本願において開示されているいくつかの好ましいカセットが、内因性型および非内因性型のGPCR間における単一のアミノ酸および/またはコドン変化を含むという事実のために、配列相同率は少なくとも98%であることが好ましい。
【0052】
非オーファン受容体とは、受容体に結合すると細胞内シグナル伝達経路を活性化するような、既に同定されているリガンドに特異的な内因性の天然分子を意味する。
【0053】
オーファン受容体とは、その受容体に特異的なリガンドが同定されていないか、あるいは未知である内因性受容体を意味する。
【0054】
医薬品組成物とは、少なくとも一つの活性成分を含み、それによってその組成物が哺乳類(例であって、限定はしないが、ヒト)において特定の有効な成果について調査対象となる組成物を意味する。当業者は、活性成分が当業者のニーズに基づいて望ましい有効な結果を有するか否かを決定するために適切な方法を理解かつ評価しよう。
【0055】
プラスミドとは、ベクターとcDNAを合わせたものを意味する。一般的には、プラスミドは、タンパク質としてのcDNAの複製および/または発現目的で宿主細胞中に導入される。
【0056】
セカンドメッセンジャーとは、受容体活性化の結果として生じる細胞内応答を意味する。セカンドメッセンジャーは、例えば、イノシトール三リン酸(IP3)、ジアシクログリセロール(DAG)、サイクリックAMP(cAMP)、ならびにサイクリックGMP(cGMP)を含み得る。セカンドメッセンジャー応答を測定して、受容体活性化を判定することができる。さらに、セコンドメッセンジャー応答は、例えば、逆アゴニスト、アゴニスト、およびアンタゴニストを含む候補化合物を直接同定するために測定され得る。
【0057】
信号雑音比(SN比)とは、活性化、増幅、または刺激に対する応答として発生されるシグナルであり、そのシグナルがバックグラウンド雑音以上であるか、または非活性化、非増幅、または非刺激に対する応答の基底レベル以上であることを意味する。
【0058】
スペーサーとは、遺伝子、例えば目的のGPCR、の最後のコドンまたは最後のアミノ酸の後に位置するが、目的のGタンパク質の開始コドンまたは開始領域の前に位置し、目的のGタンパク質の開始領域と翻訳領域内にある、翻訳されたアミノ酸数を意味する。翻訳アミノ酸数は、当業者のニーズに応じて調整することができ、一般的には約1個のアミノ酸、好ましくは2個のアミノ酸、さらに好ましくは4個のアミノ酸、さらに好ましくは5個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは6個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは7個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは8個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは9個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは10個のアミノ酸、それよりもさらに好ましくは11個のアミノ酸、そしてさらに好ましくは12個のアミノ酸から成る。
【0059】
用語「応答」との関連における、促進するまたは促進とは、化合物が存在しない場合に対して、化合物が存在すると応答が増加されることを意味する。
【0060】
実質的とは、コントロール結果の40%以内、好ましくは35%以内、さらに好ましくは30%以内、さらに好ましくは25%以内、さらに好ましくは20%以内、さらに好ましくは15%以内、さらに好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内、さらに好ましくは2%以内、そして最も好ましくはコントロール結果の1%以内である結果を意味する。例えば、受容体の機能性の観点からいえば、本願で教示された方法または当業者に公知の同様な方法を用いて測定された伝達シグナルが、コントロールシグナルによって産生されたシグナルの40%以内であるならば、テスト受容体がコントロール受容体と実質的に同様な結果を呈示し得る。
【0061】
cDNAに関するベクターとは、少なくとも一つのcDNAを組み込むことならびに宿主細胞内への組み込みが可能な環状DNAを意味する。
【0062】
以下のセクションの順序は、効率的な提示を考慮して記述されており、開示またはこれに続く請求に対する限定を意図すると解釈されるべきではない。
A.イントロダクション
受容体についての従来の研究は、典型的には、発見がアンタゴニストと受容体を影響し得るその他の分子の検索に進展できる前に、内因性リガンドをまず同定しなければならないという(先験に基づく)演繹的な仮定から発した。アンタゴニストがまず既知であるような場合でさえ、検索は内因性リガンドの探索へと直ちに拡大された。この思考様式は、構成的活性化受容体の発見後でさえも受容体研究に長く存続している。これまでに認識されていなかったことは、活性状態にある受容体が、受容体のアゴニストと逆アゴニスト発見に最も有用であるということである。活性過剰な受容体または活性が不十分な受容体に起因する疾患では、治療薬に望まれるものは、それぞれ受容体の活性状態を減少させたり、受容体の活性を増強するために作用する化合物であり、必ずしも内因性リガンドに対するアンタゴニストである薬剤ではない。これは、活性状態にある受容体の活性度を減少または増強する化合物は、内因性リガンドと同一部位に結合する必要がないからである。したがって、本発明の方法に教示されるように、治療化合物についてのいずれの検索もリガンドと無関係な活性状態に対して化合物をスクリーニングすることによって開始されるべきである。
B.ヒトGPCRの同定
ヒトゲノムプロジェクトの努力は、ヒトゲノム内に位置する核酸配列に関する過大な情報の同定を誘導し、この努力によって遺伝的配列情報が、いずれかの特定のゲノム配列がヒトタンパク質を翻訳する翻訳領域を含むか否かについて理解または認識することなく利用可能になった。ヒトゲノム内にある核酸配列を同定するためのいくつかの方法は、当業者の認識範囲である。
【0063】
受容体ホモロジーは、ヒト身体内における受容体の役割の評価を得る観点から有用である。本特許文書では、これらの受容体を変異して、これらの受容体の非内因性・構成的活性化型を確立するための技法が考察される。
【0064】
本願に開示される技法はまた、当業者には明らかであるように、当該分野に公知のその他のヒトGPCRに応用可能である。
C.受容体スクリーニング
本願に開示される非内因性・構成的活性化型GPCRに対する候補化合物のスクリーニングは、受容体の内因性リガンドを使用する必要なく、細胞表面受容体に作用する候補化合物を直接同定することを可能にする。常套的、さらにしばしば市販の技法を用いることによって、本願に開示された内因性型のヒトGPCRが発現および/または過剰発現されている領域を身体内で決定することができる。特定組織における受容体の発現場所によって、科学者は受容体の生理学的、機能的役割を指定することができる。また、これらの技法を用いて、受容体の発現および/または過剰発現に関連する関連疾患/障害状態を明らかにすることが可能であり、そのような取り組み方が本特許文書に開示されている。さらに、疾患臓器における受容体の発現は、受容体の臨床的関連性の度合いの決定を補助し得る。
【0065】
本願に開示されるGPCRの構成的活性化は、GPCRのTM6内に位置すると考えられているプロリン残基からの距離に基づき、このアルゴリズム法は、本願に一覧しているその他の特許文書と共に本願にその全文を参考文献として引用している、同時係属中で一般的にPCT出願番号PCT/US99/23938と指定され、2000年4月20日にWO 00/22129 として公開された特許文書中に開示されている。このアルゴリズム法は、従来の配列「アライメント」に基づくというよりはむしろ、前述のTM6プロリン残基からの特定距離(または、勿論、そのようなプロリン残基の内因性・構成的置換)に根拠を置く。16アミノ酸残基に位置するアミノ酸の残基を、この残基(おそらく、受容体のIC3領域に位置する)から、最も好ましくは、リジン残基に変異することによって、受容体の構成的活性化が達成され得る。その他のアミノ酸残基は、この目的を達成するために本位置での変異に有用であり得る。
D.疾患/障害の同定および/または選択
以下にさらに詳説するように、非内因性・構成的活性化GPCRに対する逆アゴニストとアゴニストは、本発明の方法論によって同定され得る。そのような逆アゴニストとアゴニストは、この受容体に関連する疾患を治療するための創薬プログラムにおけるリード化合物として理想的な候補である。GPCRに対する逆アゴニストを直接同定する能力に拠って、医薬品組成物の開発が可能となり、GPCR関連疾患と障害の検索が適切になる。特定組織における受容体の発現場所によって、科学者は受容体の生理学的な機能を指定することができる。例えば、GPCRの存在について疾患および正常組織サンプルをスキャンすることは、今では、学術的な作業、あるいは特定のGPCRに対する内因性リガンドを同定する方法に従って追求され得るものの域を超えて身近なものとなっている。健常ならびに疾患組織の広範囲にわたり組織スキャンを行うことができる。そのような組織スキャンは、特定の受容体を疾患および/または障害と関連させる可能性のある第一ステップを提供する。さらに、疾患臓器における受容体の発現は、受容体の臨床的関連性の度合いを決定する補助となり得る。本明細書の校閲によって、当業者は、いったん受容体が一定の組織または領域に限局化されると、GPCRの機能を推論する能力が得られる。
【0066】
GPCRのDNA配列は、プローブ/プライマーを作成するために使用できる。ある好ましい実施形態では、DNA配列は、(a)組織mRNAに対するドット−ブロット分析、および/または(b)組織サンプル中の受容体発現のRT−PCR同定、用のプローブの作成に使用される。組織ソース、または疾患組織中に受容体が存在すること、あるいは正常組織と比較して疾患組織中で受容体が高濃度で存在することを使用して、場所を機能と関連させて、受容体の生理学的役割/機能を指定して、限定はされないが、その機能/役割と関連する疾患を含む、治療方法を作出することができる。受容体はまた、この技法によって臓器の領域に限局化され得る。受容体が局在する特定組織の既知または想定される役割/機能に基づき、受容体の推定上の生理学的機能を引き出すことができる。限定ではない例として、視床領域に局在/発現されるタンパク質は、感覚運動プロセシングと覚醒に関連する(Goodman と Gilman,The PharmacologicalBasis of Therapeutics(治療薬の薬理学的基礎), 第9版, ページ465 (1996)を参照)。海馬またはシュワン細胞で発現されるタンパク質は、学習および記憶、ならびに末梢神経の髄鞘形成にそれぞれ関連する(Kandel, E. ら,Essentials of NeuralScience and Behavior(神経科学と行動の本態)、それぞれ、ページ657, 680 と 28, (1995))。ある実施形態では、プローブおよび/またはプライマーは、限定はされないが、下記の実施例6で同定される疾患と障害を含む、疾患および/または障害を検出および/または診断するために使用され得る。そのようなプライマーおよび/またはプローブの生成方法は、プライマーおよび/プローブを使用して疾患および/または障害を検出するための方法と並んで当業者には公知である。
E.候補化合物のスクリーニング
1.一般的GPCRスクリーニングアッセイ法
Gタンパク質受容体が構成的活性になると、Gタンパク質(例えば、Gq, Gs, Gi, Gz, Go)と結合して、Gタンパク質に対するGTPの結合を促進する。Gタンパク質は次にGTP加水分解酵素として作用して、GTPをGDPに加水分解し、それによって正常条件下では、受容体が脱活性化状態になる。しかし、構成的活性化受容体はGDPをGTPに交換し続ける。GTPの加水分解抵抗性類似体である[35S]GTPγSを使って、構成的活性化受容体を発現する膜への結合の増強をモニタすることができる。[35S]GTPγSを使用して、リガンドが存在する場合と存在しない場合における膜へのGタンパク質の共役をモニタできることが報告されている。当該分野で公知かつ利用可能なその他の例の中でも、このモニタリングの例は、Traynor とNahorski によって1995年に報告された。この系は受容体の細胞内ドメインと相互作用する特定のGタンパク質に係わりなく全てのGタンパク質共役受容体に一般的に適用可能であるために、このアッセイ系は典型的には候補化合物の最初のスクリーニングに使用される。
【0067】
2. 特異的GPCRスクリーニングアッセイ法
「一般的」Gタンパク質共役受容体アッセイ(即ち、アゴニストまたは逆アゴニストである化合物を選択するためのアッセイ)を用いていったん候補化合物が同定されると、受容体部位で化合物が相互作用することを確認するための更なるスクリーニングが注目される。例えば、「一般的」アッセイによって同定された化合物は、受容体に結合するのではなく、その代わり単に細胞内ドメインからGタンパク質を脱共役させるのみであり得る。
【0068】
a.Gs、Gz、およびGi
Gsは酵素アデニリルシクラーゼを促進する。Gi(およびGzとGo)は、他方、アデニリルシクラーゼを阻害する。アデニリルシクラーゼは、ATPからcAMPへの変換を触媒し、したがって、Gsタンパク質を共役する構成的活性化GPCRは、細胞のcAMPレベルの増加に関連する。他方、Gi(またはGz、Go)タンパク質と共役する構成的活性化GPCRは、細胞のcAMPレベルの低下に関連する。一般的には、From Neuron To Brain(ニューロンから脳)(第3版)Nichols,J.G.ら編集、「Indirect Mechanisms of Synaptic Transmission(シナプス伝達の間接的メカニズム)」,Sinauer Associates, Inc. (1992)を参照。したがって、cAMPを検出するアッセイは、候補化合物が、例えば、受容体に対する逆アゴニスト(即ち、そのような化合物はcAMPレベルを低下させる)であるかどうかを決定するために利用できる。cAMP測定について当該分野で公知の種々の方法が利用でき、最も好ましい方法は、ELISAフォーマットにおける抗−cAMP抗体の使用に依拠する。利用できるアッセイの他のタイプは、全細胞セカンドメッセンジャーレポーター系アッセイである。遺伝子上にあるプロモーターは、特定の遺伝子がコードするタンパク質の発現を動因する。サイクリックAMPは、cAMP応答性DNA結合タンパク質または転写因子(CREB)の結合を促進し、次に特異的部位でプロモーターに結合し(cAMP応答エレメント)、そして遺伝子の発現を動因する。レポーター遺伝子、例えばβ−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼの前に複数のcAMP応答エレメントを含むプロモーターを有するレポーター系を構築することができる。したがって、受容体に結合した構成的活性化Gsは、cAMPの蓄積を生起し、これは次に遺伝子を活性化して、レポータータンパク質の発現を誘導する。β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼのようなレポータータンパク質は、次に標準生化学的アッセイ法を用いて検出することができる(Chenら 1995)。
【0069】
b.GoとGq
GqとGoは、酵素ホスホリパーゼCの活性化に関連し、その結果としてリン脂質PIP2を加水分解して、2つの細胞内メッセンジャー、ジアシクログリセロール(DAG)とイノシトール1,4,5−三リン酸塩(IP3)を遊離する。IP3の蓄積の増加は、Gq−およびGo−関連受容体の活性化に関連する。一般的には、From Neuron To Brain(ニューロンから脳)(第3版)Nichols,J.G. ら編集、「Indirect Mechanisms of Synaptic Transmission(シナプス伝達の間接的メカニズム)」,第8章, Sinauer Associates, Inc. (1992)を参照。IP3蓄積を検出するアッセイは、候補化合物が、例えば、GqまたはGo関連受容体に対する逆アゴニスト(即ち、そのような化合物はIP3レベルを低下させる)であるかどうかを決定するために利用できる。Gq関連受容体はまた、Gq依存性ホスホリパーゼCがAP1エレメントを含む遺伝子の活性化を起因する、AP1レポーターアッセイを用いて検査することができ、したがって活性化Gq関連受容体は、そのような遺伝子発現増加を示し、それによってその逆アゴニストがそのような発現を減少すること、またアゴニストがそのような発現を増加することを示す。そのような検出用の市販アッセイが入手可能である。
【0070】
3.GPCR融合タンパク質
逆アゴニスト、アゴニストの直接同定のための候補化合物のスクリーニングに、内因性・構成的活性化GPCRまたは非内因性・構成的活性化GPCRを使用する場合、必然として、受容体はそれに結合する内因性リガンドが存在しない場合でさえ活性であるという興味深いスクリーニングの困難性が生じる。したがって、例えば、候補化合物が存在する場合の非内因性受容体とその化合物が存在しない場合の非内因性受容体を識別するためには、かかる識別の目的がそのような化合物が逆アゴニストまたはアゴニストであるか、またはそのような受容体を影響しないかどうかを理解することなので、かかる識別を増強できる方法を利用することが好ましい。好ましい方法は、GPCR融合タンパク質の使用である。
【0071】
一般的に、前述のアッセイ法(並びにその他の方法)を用いて非内因性GPCRが構成的に活性化されていることがいったん判明すると、内因性GPCRと共役する主Gタンパク質を決定することが可能である。Gタンパク質がGPCRと共役すると、評価可能なシグナル伝達経路を生じる。ある実施形態では、哺乳類発現系を用いてスクリーニングを行うことが好ましく、そのような系は内因性Gタンパク質を有することが予測される。したがって、定義上、そのような系では非内因性・構成的活性化GPCRは持続的にシグナル伝達を行うであろう。ある実施形態では、例えば、受容体に対する逆アゴニストが存在する場合にこのシグナルが増強されることが好ましく、特にスクリーニングの観点からいえば、受容体が逆アゴニストと接触すると、より容易に受容体の識別が可能となることが好ましい。
【0072】
GPCR融合タンパク質は、Gタンパク質と非内因性GPCRとの共役効力を増強することが意図されている。GPCR融合タンパク質は、内因性・構成的活性GPCRまたは非内因性・構成的活性化GPCRのいずれかのスクリーニングに向いており、それはそのような方法がそのようなスクリーニング法において使用されるシグナルを増加するためである。これは、有意な「信号雑音比」を促進するために重要であり、そのような有意な信号雑音比は本願に開示するような候補化合物のスクリーニングに好ましい。
【0073】
GPCR融合タンパク質の発現に有用な構築物の作成は当業者の認識範囲である。市販の発現ベクターおよびシステムは、研究者の特定のニーズに適合できる種々の方法を提供する。そのようなGPCR融合タンパク質構築物の作成における重要な判定基準は、限定はされないが、内因性GPCR配列とGタンパク質配列がどちらも翻訳領域内(インフレーム)にあり(好ましくは、内因性GPCR配列がGタンパク質配列の上流にあり)、さらにGPCRの「停止」コドンが欠失されているか、あるいはGPCRの発現に際して、Gタンパク質もまた発現できるように置換されていることを含む。その他の実施形態は、内因性GPCR配列とGタンパク質配列が翻訳領域内にないか、および/または「停止」コドンが欠失または置換されていないような構築物を含む。GPCRは直接Gタンパク質に結合されるか、あるいはこの二つの間にスペーサー残基が存在し得る(好ましくは、約12個以下、この数値は当業者には容易に把握され得る)。便宜上、スペーサーを使用することが好ましい。非内因性GPCRに共役するGタンパク質は、GPCR融合タンパク質構築物を作出する前に同定されていることが好ましい。同定されているGタンパク質はほんの僅かであるため、その中に内因性GPCR配列の挿入するために利用可能なGタンパク質の配列を含む構築物(即ち、ユニバーサルGタンパク質構築物(実施例を参照))であることが好ましく、これによって、別々の配列を有する種々の別個の内因性GPCRの大規模なスクリーニングがさらに効率的になる。
【0074】
前述のように、Gi、Gz、およびGoに共役する構成的活性化GPCRは、cAMPの形成を抑制して、これらのタイプのGPCRに基づくアッセイの作出を困難とすることが予測される(即ち、活性化されるとcAMPシグナルが減少して、例えば(このシグナルをさらに減少させるであろう)逆アゴニストの直接同定が困難となる。本願に開示するように、発明者らは、これらのタイプの受容体では、GPCR内因性Gタンパク質に基づかないGPCR融合タンパク質を作出して、有効なシクラーゼアッセイを確立することが可能であることを確信した。 したがって、例えば、内因性Gi共役受容体をGsタンパク質と融合することができ、そのような融合構築物は、発現に際して、内因性GPCRが、例えば、「天然」Giタンパク質というよりはむしろGsと共役することを「動因」または「強制」して、それによってシクラーゼアッセイが確立され得る。したがって、Gi、Gz、およびGo共役受容体について、ある実施形態では、GPCR融合タンパク質が使用されて、アッセイがアデニリルシクラーゼ活性の検出に基づくならば、融合構築物はGs(または酵素アデニリルシクラーゼの形成を促進する等価Gタンパク質)によって構築されることが好ましい。
【0075】
【表2】
Gs、Gi、Gz、またはGoと融合したGqタンパク質を利用するGタンパク質融合構築物は同様に有効である。ある実施形態では、Gタンパク質α−サブユニット(「Gαq」)の最初の6個のアミノ酸が欠失され、さらにGαqのC末端にある最後の5個のアミノ酸が目的のGタンパク質のGαの対応するアミノ酸で置換されている、Gqタンパク質によって達成され得る。例えば、融合構築物は、Giタンパク質と融合したGq(6個アミノ酸欠失)を有することが可能で、その結果「Gq/Gi融合構築物」が生じる。この融合構築物は、内因性Gi共役受容体をその非内因性Gタンパク質であるGqと共役させ、したがってセカンドメッセンジャー、例えば、イノシトール三リン酸またはジアシルグリセロール、がcAMP産生の代わりに測定され得る。
【0076】
4.ターゲットGi共役GPCRとシグナルエンハンサーGs共役GPCRの同時トランスフェクション(cAMPベースアッセイ)
Gi共役受容体はアデニリルシクラーゼを阻害することが知られており、したがって、cAMP産生レベルを減少するために、cAMPレベルの評価を困難にし得る。活性化時に主としてGiを共役する受容体の構成的活性化の指標として、cAMP産生の減少を測定する有効な技法は、シグナルエンハンサー、例えば、活性化時に主としてGsを共役する非内因性・構成的活性化受容体(例えば、以下に開示されるTSHR-A623I)をGPCRと結合したGiと共に同時トランスフェクトすることによって達成され得る。明らかであるように、Gs共役受容体の構成的活性化はcAMPの産生の増加に基づいて判定できる。Gi共役受容体の構成的活性化はcAMP産生の減少を誘導する。したがって、この同時トランスフェクション法は、これらの「逆の」影響を好都合にも利用することを意図している。例えば、非内因性・構成的活性化Gs共役受容体(「シグナルエンハンサー」)と内因性Gi共役受容体(「ターゲット受容体」)の同時トランスフェクションは、ベースラインcAMPシグナルを生じる(即ち、Gi共役受容体はcAMPレベルを減少するが、この「減少」は、シグナルエンハンサーと共役した、構成的活性化Gsによって確立されたcAMPレベルの大幅な増加を基準にしている)。シグナルエンハンサーをターゲット受容体の構成的活性化型と同時トランスフェクトすることによって、Giターゲットの機能的活性の増加(即ち、cAMPを減少する)のために、cAMPは(ベースラインに対して)さらに減少することが予測される。
【0077】
cAMPベースアッセイを用いる候補化合物のスクリーニングは、次に内因性受容体/Gタンパク質融合の用途に関する2つの「変化」によって達成することができる。その第一はGi共役ターゲット受容体に関しては、即ち、Gi共役ターゲット受容体の逆アゴニストがcAMPの測定シグナルを増加し、Gi共役ターゲット受容体のアゴニストはこのシグナルの減少を起因するという「対向」効果を生じることであり、第二は、明らかであるように、この方法を用いて直接同定された候補化合物はこれらがシグナル増強受容体をターゲットしないことを確実にするために個別に評価されるべきことである(これは同時トランスフェクト受容体に対するスクリーニングの前または後に行うことができる)。
F.医薬品化学
しかし必ずではないが、一般的に、候補化合物の直接同定は、コンビナトリアル化学技法を介して生成された化合物と組み合わせて行われ、それによって何千もの化合物がそのような分析のためランダムに調製される。一般的に、そのようなスクリーニングの結果は、特有のコア構造を有する化合物であり、その後、これらの化合物は、さらにその医薬品特性を増強するために、好ましいコア構造(複数でもよい)周辺にさらなる化学的修飾を受け得る。そのような技法は、当業者には公知であるため、本特許文書において詳細に説明はしない。
G.医薬品組成物
さらなる開発のために選択された候補化合物は、当業者に公知の技法を用いて医薬品組成物に製剤化され得る。適切な薬剤認容性キャリアは当業者には入手可能であり、例えば、「Remington ' s Pharmaceutical Sciences( レミントン著、薬理科学)」、第16版、Mack PublishingCo, 1980 (Osolら編集)を参照。
H.その他の用途
本願に開示の非内因性型GPCRの好ましい用途は、候補化合物を逆アゴニストまたはアゴニスト(好ましくは医薬品製剤としての用途)として直接同定することであるが、これらの型のGPCRのその他の用途も存在する。例えば、GPCRを組み込むインビトロおよびインビボ系は、これらの受容体がヒトの正常ならびに疾患状態において果たす役割をさらに解明かつ理解するため、ならびにシグナリングカスケードの理解に応用できるように、構成的活性化の役割を理解するために利用され得る。ある実施形態では、内因性受容体が「オーファン受容体」であること、即ち、その受容体の内因性リガンドが同定されていないこと、が好ましい。ある実施形態では、したがって、修飾された、非内因性GPCRは、内因性リガンドが同定されない前に、ヒト身体における内因性受容体の役割を理解するために使用できる。そのような受容体はまた、既知の受容体およびそれらがシグナル伝達をする経路をさらに解明するために使用できる。開示された受容体のその他の用途は、なかんずく、本特許文書を校閲することによって当業者には明らかとなろう。
【実施例】
【0078】
以下の例は、本発明の解明を目的として提示するもので、限定を意図するものではない。特定の核酸およびアミノ酸配列が本願に開示されるが、当業者はこれらの配列に僅かな変更を加えて、さらに以下の報告と同一または実質的に同様な結果を達成し得る能力を有する。一つの配列から別の配列への配列カセット(例えば、ラット受容体からヒト受容体、あるいはヒト受容体Aからヒト受容体B)の適用または理解に対する従来の取り組み方は、一般的には、共通領域を決定するために配列を整列する配列アライメント法に基く。本願に開示する変異による取り組み方はこの方法には依拠せず、その代わりアルゴリズム法とヒトGPCRのTM6領域内に位置するプロリン残基からの位置的距離に基づく。いったんこの取り組み方を理解すると、当業者は、それに僅かな変更を加えて本願の開示と実質的に同一な結果(即ち、構成的活性化)を作出する能力を得る。そのような変更された方法は、本開示の認識範囲であると見なされる。
[実施例1]
内因性ヒトGPCR
以下のcDNA受容体は、本セクションの技法を用いてクローン化された。以下参照。表Bは、本特許出願を通じて開示された受容体、翻訳領域、内因性GPCRの核酸およびアミノ酸配列を一覧する(表3)。
【0079】
【表3】
2. 全長クローニングプロトコル
a.FPRL−2(配列番号1と2)
FPRL−2は、1992年にクローン化かつ配列決定された。Bao, L. ら, 13(2)Genomics437-40 (1992)。FPRL−2は染色体19に位置し、N−ホルミルペプチド受容体Like−1(FPRL−1)と類似の配列を有し、そのどちらもN−ホルミルペプチド受容体(FPR)と有意な類似性があることが報告されている。FPRに対する内因性リガンドはホルミルペプチドであるが、FPRの2つの相同体、FPRL−1とFPRL−2、は同一リガンドに結合しないが、走化性受容体であるらしい。13(2)Genomics437-40 (1992)。走化性受容体は、炎症に関与することが報告されている。FPRL−2は、353個のアミノ酸から成るタンパク質をコードする1062bpの翻訳領域を有するGPCRである。
【0080】
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(PerkinElmer(パーキンエルマー社)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、64℃(1分20秒)、および72℃(2分)のサイクルを30回を繰り返した。5’PCRは、EcoI部位を以下の配列、
5'-AAAGATTCAGGTGTGGGAAGATGGAAACC-3' (配列番号19)
と共に含み、ならびに3’プライマーはApaI部位を以下の配列、
5'-AAAGGATCCCCGACCTCACATTGCTTGTA -3' (配列番号20)
と共に含んだ。
【0081】
PCRフラグメントにEcoRIとApaIを加えて消化して、CMV発現ベクターのEcoRI−ApaI部位中にクローン化した。ヒトFPRL−2の核酸(配列番号1)とアミノ酸(配列番号2)配列は、その後配列決定ならびに検証された。
【0082】
b.STLR33(配列番号3と4)
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、62℃(1分20秒)、および72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRは、EcoRI部位を以下の配列、
5'-CAGGAATTCATCAGAACAGACACCATGGCA-3'(配列番号21)
と共に含み、ならびに3’プライマーはBamHI部位を以下の配列、
5'-GCAGGATCCAGAGCAGTTTTTTCGAAACCCT -3' (配列番号22)
と共に含んだ。
【0083】
PCRフラグメントにEcoRIとBamHIを加えて消化して、CMV発現ベクターのEcoRI−BamHI部位中にクローン化した。ヒトSTRL33 の核酸(配列番号3)とアミノ酸(配列番号4)配列は、その後配列決定ならびに検証された。
【0084】
c.CPR45(配列番号5と6)
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、96℃(2分)、96℃(30秒)、55℃(20秒)、72℃(1分20秒)、そして72℃(5分)であり、サイクル2〜4は35回繰り返した。5’PCRは、HindIII部位を以下の配列、
5'-TCCAAGCTTCAAGGGTCTCTCCACGATGGCCTG-3'(配列番号23)
と共に含み、ならびに3’プライマーはEcoRI部位を以下の配列、
5'-TGCGAATTCTCTGTGGCCCCCTGACCCCCTAAA -3' (配列番号24)
と共に含んだ。
【0085】
PCRフラグメントはHindIIIとEcoRIを加えて消化して、CMV発現ベクターのHindIII−EcoRI部位中にクローン化した。ヒトGPR45の核酸(配列番号5)とアミノ酸(配列番号6)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0086】
cDNAは次にV5−Hisベクター中に再サブクローニングすることによってpfuPCRを用いてV5でタグされた。使用された以下の2つのプライマーは以下の配列、
5'-GGTAAGCTTACCATGGCCTGCAACAGCACGTCCCTT-3' (配列番号25)および
5'-GACGAATTCAACCGCAGACTGGTTFTCATTGCA-3' (配列番号26)
を有した。
【0087】
サイクル条件は、94℃(1分)、60℃(2分)、および72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。
【0088】
d.mGLUR7(配列番号7と8)
グルタミン酸は、哺乳類の脳において大量に見いだされる興奮性神経伝達物質である。
【0089】
Dingledine, R.ら, 130(4S Suppl)J Nutr. 10395 (2000)を参照。グルタミン酸受容体には、イオンチャネル型(リガンドゲート型イオンチャネル)と代謝調節型(GPCR)の2つのクラスがある。代謝調節型グルタミン酸受容体は、GPCRの異種起源ファミリーであり、いくつかのセカンドメッセンジャー経路に結合して、ニューロン興奮性とシナプス伝達を制御する。(Phillips, T. ら, 57(1)Brain ResMol Brain Res132 (1998)を参照)。代謝調節型グルタミン酸受容体タイプ7(mGLUR7)は、脳において発現され、海馬、大脳皮質、および小脳において発現の度合いが最も高いことが報告されている。Makoff, A.ら, 40(1)Brain Res MolBrain Res165 (1996)参照。受容体が局在する脳の領域に基づいて、その受容体の推定上の機能的役割を推論することができる。例えば、特定の理論に束縛されることは意図しないが、mGluR7は、鬱病、不安症、肥満、アルツハイマー病、疼痛、および卒中に役割を果たしていると考えられる。
【0090】
mGluR7 cDNAは、Elizabeth Hoffman, Ph.D.の好意によって提供された。 mGluR7に使用されたベクターは、pRcCMVであった(mGluR7のコード領域はpCMVベクターのEcoRI-ClaI 部位にサブクローンされた)。mGluR7の核酸については配列番号7そして推論上のアミノ酸配列については配列番号8を参照。
【0091】
e.GPR37(配列番号9と10)
本発明はまたヒトGPR37に関する。GPR37は1997年にクローン化および配列決定された。Marazziti, D.ら, 45 (1)Genomics68-77 (1997)。GPR37は613個のアミノ酸から成るタンパク質をコードする1839bpの翻訳領域(オープンリーディングフレーム)を有するGPCRである。GPR37は、エンドセリンタイプB様受容体とホモロジーがあり、ヒト脳組織、特に脳梁、髄質、被殻、および尾状核で発現される。
【0092】
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、62℃(1分)、および72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRは、HindIII部位を以下の配列、
5'-GCAAGCTTGTGCCCTCACCAAGCCATGCGAGCC-3'(配列番号27)
と共に含み、ならびに3’プライマーはEcoRI部位を以下の配列、
5'-CGGAATTCAGCAATGAGTTCCGACAGAAGC-3' (配列番号28)
と共に含んだ。
【0093】
この1.9kbのPCRフラグメントにHindIIIとEcoRIを加えて消化して、CMVp発現ベクターのHindIII−EcoRI部位中にクローン化した。ヒトGPR37の核酸(配列番号9)とアミノ酸(配列番号10)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0094】
f.HF1948(配列番号11と12)
HF1948 cDNAは、Elizabeth Hoffman, Ph.D.の好意によって提供された。 HF1948に使用されたベクターはpRcCMVであった(HF1948のコード領域はpCMVベクターのHindIII-BamHI 部位にサブクローンされた)。HF1948の核酸については配列番号11そして推論上のアミノ酸配列については配列番号12を参照。
【0095】
g.GPR66(配列番号13と14)
ヒトGPR66(GenBank受託番号、AF044600およびAF044601)のcDNAは、以下のようにしてpCMV発現ベクター中に生成ならびにクローン化された。PCRはゲノムDNAを鋳型に、そして第一ラウンドではTaqPlusポリメラーゼ(Stratagene(ストラタジーン社))、第二ラウンドPCRではpfuポリメラーゼ(Stratagene)を製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、ならびに各4つのヌクレオチドを0.2mM(Taqプラスプレシジョン(TaqPlus Precision))または0.5mM(pfu)と共に使用してPCRを実施した。pfuを使用する場合は、10%DMSOをバッファー中に含んだ。サイクル条件は94℃(1分)、65℃(1分)を30回繰り返し、そして(a)第一ラウンドPCRでは72℃(1分)および(b)第二ラウンドPCRでは72℃(2分)であった。コード領域にイントロンがあるために、2セットのプライマーが重複5’および3’フラグメントを生成するので別々に使用された。5’フラグメントPCRプライマーは、5'-ACCATGGCTTGCAATGGCAGTGCGGCCAGGGGGCACT-3'(外部センス)(配列番号29)および5'-CGACCAGGACAAACAGCATCTTGGTCACTTGTCTCCGGC-3 '(内部アンチセンス)(配列番号30)であった。3’フラグメントPCRプライマーは、5'-GACCAAGATGCTGTTTGTCCTGGTCGTGGTGTTTGGCAT-3'(内部センス)(配列番号31)および、5'-CGGAATTCAGGATGGATCGGTCTCTTGCTGCGCCT-3'(EcoRI部位を伴う外部アンチセンス((配列番号32)であった。
【0096】
5’および3’フラグメントは、第一ラウンドPCRを鋳型として、キナーゼ処理した外部センスプライマーと外部アンチセンスプライマーを用いて結合して、第二ラウンドPCRを行った。この1.2kbのPCRフラグメントにEcoRIを加えて消化して、pCMV発現ベクターの平滑末端型EcoRI部位中にクローン化した。ヒトGPR66の核酸(配列番号13)とアミノ酸(配列番号14)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0097】
h.GPR35(配列番号15と16)
GPR35は、309個のアミノ酸配列であり、その内因性リガンドは未知である(O'Dowd B.ら, 47(2)Genomics310 (1998))。GPR35はE2Fとして知られる特定の転写因子と相互作用することが判明しており、その相互作用はDNA複製の開始、そして最終的には細胞増殖に必須である。細胞内では、E2Fは網膜芽細胞腫(“Rb”)として知られる腫瘍抑制遺伝子と共役する。この転写因子構築物がリン酸化すると、E2Fは、Rb遺伝子から遊離されて、次に細胞の核に入る。核の内部では、E2Fは、DNAポリメラーゼのような遺伝子と結合して、DNA複製を開始し、その結果細胞の増殖を起こす。
【0098】
ゲノムcDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、62℃(1分)、および72℃(1分20秒)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRプライマーは以下の配列、
5'-GCGAATTCCGGCTCCCTGTGCTGCCCCAGG-3' (配列番号33)
を加えてキナーゼ処理し、ならびに3’プライマーはBamHI部位を以下の配列、
5'-GCGGATCCCGGAGCCCCCGAGACCTGGCCC -3' (配列番号34)
と共に含んだ。
【0099】
この1kbのPCRフラグメントにBamHIを加えて消化して、CMVp発現ベクターのEcoRI-BamHI 部位中にクローン化した。配列決定された全ての6個のクローンは、ArgからSerへのアミノ酸294の変化を伴う潜在的な多形性を含む。ヒトGPR35の核酸(配列番号15)とアミノ酸(配列番号16)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0100】
i.ETBR −LP2 (配列番号17と18)
ETBR-LP2 は1998年にクローン化かつ配列決定された。Valdenaire 0.ら, 424(3)FEBS Lett. 193 (1998)。推論上の核酸およびアミノ酸配列についてはValdenaireの図1を参照。ETBR-LP2 は613個のアミノ酸から成るタンパク質をコードする1839bpの翻訳領域を有する。ETBR-LP2は、エンドセリンタイプB受容体(ETBR-LP)とホモロジーがあることが報告されている。さらに、ETBR-LP2 は、ヒトGPR37と約47%のアミノ酸配列ホモロジーを有することが明らかにされている。ETBR-LP2は、ヒト中枢神経系(例えば、大脳皮質、内包線維、およびバーグマングリア(424FEBS Lett 196))で発現されることが報告されている。
【0101】
脳cDNAを鋳型として、ならびにrTthポリメラーゼ(Perkin Elmer)に製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.2mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(1分)、65℃(1分)、および72℃(1.5分)のサイクルを30回繰り返した。5’PCRは、EcoI部位を以下の配列、
5'-CTGGAATTCTCCTGCTCATCCAGCCATGCGG -3'(配列番号35)
と共に含み、3’ プライマーはBamHI部位を以下の配列、
5'-CCTGGATCCCCACCCCTACTGGGGCCTCAG -3' (配列番号36)
と共に含んだ。
【0102】
結果生じるこの1.5kbのPCRフラグメントにEcoRI とBamHIを加えて消化して、pCMV発現ベクターのEcoRI-BamHI 部位中にクローン化した。ヒトETBR-LP2 の核酸(配列番号17)とアミノ酸(配列番号18)配列は、その後配列決定かつ検証された。
【0103】
j.GPR26(配列番号97と98)
400bpの3’PCRフラグメントであるESTクローンHIBB055がヒトゲノムラムダダッシュIIライブラリー(Stratagene、カタログ特別注文)をスクリーンするために使用される。スクリーニング条件は以下のようであった。フィルターはホルムアルデヒドベースのハイブリダイゼーション溶液中55℃で一晩ハイブリダイズさせた。洗浄条件は、2× SSC/1%SDS、65℃で2回、そして2× SSC/0.1%SDS、65℃で2回を各洗浄について20分行った。フィルターをフィルム上に置いて−80℃で一晩暴露させて、翌日現像した。陽性プラークは、同一条件で一次プラグから二回目のファージスクリーニングによってさらに特徴づけされた。
【0104】
ヒト胎児脳cDNAライブラリUni-ZAP XR ベクター(カタログ番号937227、 Stratagene)を、次にゲノムライブラリスクリーニングからの新しい配列から生成された250bpのプローブを使ってプローブした。この250bpプローブは、TaqplusプレシジョンPCRシステムに製造元から提供されたバッファー系を加えて生成された。サイクリングパラメータは以下のようであった。95℃(45秒)、55℃(40秒)、72℃(1分)を30回繰り返して、72℃(10分)の最終伸長を行った。以下のプライマー、5'-CGAGAAGGTGCTCAAGGTGGC-3' (配列番号99)および5'-GAGAAGAGCTCCACTAGCCTGGTGATCACA-3'(配列番号100)を使用した。
【0105】
ヒト胎児脳cDNAライブラリーを、同じ250bp PCRフラグメントを用いて、ハイブリダイゼーション温度が42℃である以外はゲノムライブラリーと同一条件下でプローブした。陽性の一次プラグは、ハイブリダイゼーション温度を55℃として同一条件下で2回目のスクリーニングによってさらに特徴づけされた。陽性プラークは、サンガー法を用いる配列によって分析が行われ、開始コドンが陽性クローンの一つから得られた。
【0106】
ヒトGPR26全長クローンは次に、以下のパラメータ、95℃(45秒)、62℃(1分)、および72℃(1.2分)を40回繰り返して、72℃(10分)で最終伸長して、PfuTurbo DNAポリメラーゼ(Stratagene、 #600250)を用いて生成された。鋳型としてはヒト胎仔脳cDNA(Clonetech(クローンテク社)、# 7402-1)が使用され、以下のプライマー、5'-GAATTCATGAACTCGTGGGACGCGGGCCTGGCGGGC-3' (配列番号101)および5'-CTCGAGTCACTCAGACACCGGCAGAATGTTCT-3'(配列番号102)を使用した。
【0107】
生成されたフラグメントは、5’EcoRIリンカーと3’Xho1リンカーを有した。PCR産物は所定のリンカー酵素で消化されて、ラピッドリゲーションキット(Roche(ロッシュ社)、#1635 379)を用いて、発現ベクターpcDNA3.1(+) (Invitrogen(インビトロジェン社)、#V790-20)のEcoR1/Xho1部位中にサブクローンされた。ヒトGPR26の核酸(配列番号97)とアミノ酸(配列番号98)配列は、その後配列決定かつ検証された。
[実施例2] 非内因性・構成的活性化GPCRの調製
当業者は核酸配列の突然変異の技法を選択する能力を有している。上記に開示されたいくつかのヒトGPCRの非内因性型を作出するために使用される方法を以下に示す。以下に開示する変異は、(TM6/IC3インターフェース付近の、GPCRのTM6領域に位置する)保存プロリン(またはその内因性・保存置換)残基由来の(GCPRのIC3領域に位置する)16番目のアミノ酸が、好ましくは、アラニン、ヒスチミン(histimine)、アルギニン、またはリジンアミノ酸残基、最も好ましくは、リジンアミノ酸残基に変異されることによる、アルゴリズム法に基づく。
【0108】
1.部位特異的変異誘発
非内因性ヒトGPCRの調製は、なかでも、トランスフォーマー部位特異的(商標)変異誘発キット(Transformer Site-Directed(TM)Mutagenesis Kit (Clontech)を製造元の指示に従って、あるいはクイックチェンジ(商標)部位特異的(商標)変異誘発キット(QuikChange(TM)Site-Directed(TM)Mutagenesis Kit)(Stratagene、製造元の指示に従う)を用いてヒトGPCRで達成された。以下のGPCRは、所定の配列プライマー(表4)を用いて、上記の方法に従って変異された。 便宜上、ヒトGPCRに組み込まれたコドンの変異もまた、標準型で表記する(表4)。
【0109】
【表4】
1. 非内因性ヒトGPCR作成の代替方法
非内因性・構成的活性化ヒトGPR35受容体の調製は、A216K変異を作出することによって達成された。変異誘発は、トランスフォーマー部位特異的(商標)変異誘発キット(Clontech)を製造元の指示に従って用いて実施した。(核酸配列については配列番号84、アミノ酸配列については配列番号85を参照)。以下の配列、
5'- GCCACCCGCAAGGCTAAACGCATGGTCTGG -3' (配列番号60)および
5'- CTCCTTCGGTCCTCCTATCGTTGTCAGAAGT -3' (配列番号61)
をそれぞれ有する2つの変異誘発プライマー、リジン変異誘発オリゴヌクレオチドと選択マーカーオリゴヌクレオチド、が使用された。
【0110】
第一回目のPCRでは、配列番号33と配列番号61を使って700bpの5’フラグメントが生成され、配列番号34と配列番号60を使って350bpの3’フラグメントが生成された。内因性GPR35cDNAを鋳型として、ならびにpfuポリメラーゼ(Stratagene)に、10% DMSOを補充した製造元から提供されたバッファー系、0.25μMの各プライマー、0.5mMの各4つのヌクレオチドを加えてPCRを実施した。サイクル条件は、94℃(30秒)、65℃(1分)、および72℃(2分20秒)のサイクルを25回繰り返した。第一回目のPCRからの5’および3’PCRフラグメントを次に共鋳型として使用して、アニーリング温度を55℃に、また伸長時間が2分である以外は前述のように、オリゴ1と2をプライマーに、そしてpfuポリメラーゼを用いて第二回目のPCRを行った。その結果生じるPCRフラグメントを次に消化して、内因性cDNAについて説明したようにpCMV中にサブクローンした。
【0111】
非内因性ヒトGPCRを次に配列決定して、これに由来し、検証された核酸とアミノ酸配列を、以下の表5に要約するように、本特許文書に随伴する「配列一覧」付録に一覧する。
【0112】
【表5】
[実施例3] 受容体の発現
タンパク質発現用として当業者は種々の細胞を利用可能であるが、哺乳類細胞を使用することが好ましい。この第一の理由は、実用性、即ち、GPCR発現のために、例えば、酵母細胞の使用は可能であるが、プロトコル中に、哺乳類系に進化してきた受容体共役、遺伝的メカニズム、および分泌経路を含まない可能性のある(事実、酵母の場合は、含まない)非哺乳類細胞を導入し、したがって、非哺乳類細胞において得られた結果は、使用可能ではあるが、哺乳類細胞を用いて得られた結果ほど好ましくはない。哺乳類細胞では、COS-7、293、および293T細胞が特に好ましいが、使用される特定の哺乳類細胞は、当業者の特定のニーズに応じて決定され得る。
【0113】
a.293細胞の一過性トランスフェクション
1日目には、10 cmのディッシュに6x106個の293細胞を接種した。2日目に、2本の試験管を用意した(各試験管の大きさはプレートに依拠する)。試験管Aは、4μg DNA(例えば、pCMVベクター、受容体cDNAを有するpCMVベクター等)を0.5ml 無血清DMEM(Gibco BRL(ギブコ BRL社))に混合することによって調製した。試験管Bは、24μl リポフェクタミン(Gibco BRL)を0.5ml 無血清DMEMに混合することによって調製した。試験管AとBは(数回)反転することによって混合して、続いて室温で30〜45分インキュベートした。混合物は、「トランスフェクションミックス」と呼ばれる。平板培養された293細胞を1×PBSで洗浄してから、5mlの無血清DMEMを追加した。1mlのトランスフェクションミックスを細胞に添加してから、37℃/5%CO2で4時間インキュベートした。トランスフェクションミックスを吸引除去してから、DMEM/10%ウシ胎仔血清を10ml添加した。細胞を37℃/5%CO2でインキュベートした。48時間のインキュベートした後、細胞を収集して分析に使用した。
【0114】
b.安定293細胞株
約12x106個の293細胞を15cm細胞培養プレートに接種して、10%ウシ胎仔血清と1%ピルビン酸ナトリウム、L−グルタミン酸、および抗生物質を含有するDME高グルコース培地で生育させる。293細胞接種24時間後(約80%コンフルーエント)、12μg DNAを用いて細胞をトランスフェクトする。12μg DNAを、60μl リポフェクタミンと2ml DME高グルコース無血清培地と混合する。プレートから培地を吸引除去して、無血清培地で細胞を一度洗浄する。DNA、リポフェクタミン、および培地混合物を、10mlの無血清培地と共にプレートに添加する。37℃で4〜5時間インキュベート後、培地を吸引除去して、血清培地を25ml添加する。トランスフェクションの24時間後、再び培地を吸引除去して、新鮮な血清培地を添加する。トランスフェクションの48時間後、培地を吸引除去して、ゲネチシン(G418薬剤)を含む血清培地を、最終濃度が500μg/mlになるように添加する。トランスフェクト細胞は次に、G418抵抗性遺伝子を含む陽性トランスフェクト細胞についての選択を受ける。培地は、選択が行われる4〜5日ごとに取り替える。選択中、細胞は安定なプールを作出するために生育されるか、あるいは安定コロニー選択のためにスプリットされる。
【0115】
c.RGT細胞(mGluR7に使用)
RGT細胞は、グルタミン酸−アスパラギン酸輸送体が安定的にトランスフェクトされているアデノウイルス形質転換シリアンハムスター細胞株(AV12-664)に由来した。
【0116】
1日目には、10 cmディッシュに5x106個のRGT細胞を接種した。2日目に、91μlの無血清培地を試験管に添加した後で、9μlのFugene6(Roche)を添加した。同一混合物に3ugのDNAを加えた(0.5μg/μl)。この混合物を穏やかに混合して、室温で15分インキュベートし、次にこの混合物をDMEM/10%FBSに生育する細胞中に一滴ずつ加えて、37℃/5%C2条件下で48時間インキュベートした。48時間のインキュベーション後に、細胞を収集して分析に使用した。
[実施例4] 非内因性GPCRの構成的活性判定用アッセイ
非内因性ヒトGPCRの構成的活性を評価するために種々の方法が利用できる。以下は例示であり、当業者は、そのニーズのために優先的に利益のあるこれらの技法を決定する能力を有している。
【0117】
1.膜結合アッセイ、[35S]GTPγS アッセイ
リガンド結合あるいは構成的活性化の結果として、Gタンパク質共役受容体が活性状態にあると、受容体はGタンパク質に共役して、GDPの遊離とそれに引き続くGTPのGタンパク質への結合を促進する。Gタンパク質−受容体複合体のアルファサブユニットは、GTP加水分解酵素として作用して、緩徐にGTPをGDPに加水分解し、その時点で受容体は通常は脱活性化される。構成的活性化型受容体はGDPをGTPに交換し続ける。非加水分解型GTP類似体である[35S]GTPγSを利用して、構成的活性化受容体を発現している膜に対する[35S]GTPγSの結合の増強を実証することができる。構成的活性化を測定するために[35S]GTPγS 結合を使用する利点は、限定はされないが、(a)一般的に全てのGタンパク質共役受容体に適応可能である、(b)膜表面近位にあるために、細胞内カスケードを影響する分子を捕獲する可能性が少ない、ことである。
【0118】
このアッセイは、関連受容体を発現している膜に対する[35S]GTPγS の結合を促進するGタンパク質共役受容体の能力を利用する。このアッセイは、したがって、構成的活性化Gタンパク質共役受容体に対する候補化合物をスクリーンするための直接同定法に使用できる。このアッセイは一般的であり、全てのGタンパク質共役受容体についての創薬に実用性を有する。
【0119】
[35S]GTPγS アッセイは、20mM HEPESおよび1〜20mM MgCl2(この量は結果を最適化するために調節可能であるが、20mMであることが好ましい)、pH7.4、約0.3〜1.2nM [35S]GTPγS (この量は結果を最適化するために調節可能であるが、1.2であることが好ましい)を含む結合バッファー、ならびに12.5〜75μg 膜タンパク質(例えば、Gs融合タンパク質を発現する293細胞、この量は最適化のために調節可能である)および10μM GDP(この量は最適化のために調節可能である)中でインキュベートされる。麦芽凝集素ビーズ(25μl、Amersham(アマーシャム社))を次に加えて、混合物を室温でさらに30分インキュベートする。この試験管を次に、室温、1500×gで5分遠心分離してからシンチレーションカウンターでカウントする。
【0120】
2.細胞ベースcAMP検出アッセイ
細胞ベースアッセイのためにデザインされたFlash Plate(フラッシュプレート)(商標)アデニリルシクラーゼキット(New England Nuclear(ニューイングランドニュークレア社)、カタログ番号SMP004A)は、粗原形質膜と使用するために修正され得る。このFlash Plateウェルは、シンチラントコーティングを含み、またさらにcAMPを認識する特異的抗体を含むことができる。このウェルで生成されたcAMPは、放射性cAMPトレーサーのcAMP抗体に対する結合の直接競合によって定量することができる。以下は、受容体を発現する全細胞におけるcAMPレベルの変化測定のための簡単なプロトコルの役目を果たす。
【0121】
トランスフェクト細胞は、一過性トランスフェクションの約24時間後に収集された。培地は注意深く吸引して廃棄された。10mlのPBSをゆっくりと各ディッシュの細胞に加えてから注意深く吸引した。1mlのSigma細胞解離バッファーと3mlのPBSを各プレートに添加した。細胞をプレートからピペットで取り出して、細胞懸濁液を50mlの円錐状遠心管中に回収した。細胞を室温、1,100rpmで5分遠心分離した。細胞ペレットを適量(約3ml/プレート)のPBS中に注意深く再懸濁した。細胞を次に血球計数器を用いてカウントし、追加PBSを加えて適切な数の細胞にした(最終容量が約50μl/ウェル)。
【0122】
標準cAMPと検出バッファー(11mlの検出バッファーについて1μCiのトレーサー[125IcAMP(50μl)] を含む)を調製して、製造元の指示に従って維持した。アッセイ用バッファーは、スクリーニング用に新しく調製し、50μlの促進バッファー、3μlの試験化合物(最終アッセイ濃度 12μM)および50μlの細胞を含み、アッセイ用バッファーは使用するまで氷上に保存した。アッセイは適切なウェルに50μlの標準cAMPを添加することによって開始され、次にウェルH-11とH-12に50μlのPBSAを添加した。50μlの促進バッファーを全てのウェルに加えた。DMSO(または選択された候補化合物)を、3μlの化合物溶液をディスペンスすることが可能なピンツールを用いて適切なウェルに、最終アッセイ濃度が12μM 試験化合物と100μl 総アッセイ容量となるように加えた。細胞を次にウェルに加えて、室温で60分インキュベートした。100μlのトレーサーcAMPを含む検出ミックスを次ぎにウェルに加えた。プレートをさらに2時間インキュベートしてから、Wallacマイクロベータ(商標)シンチレーションカウンターでカウントした。cAMP/ウェル値を次に、各アッセイプレート内に含まれている標準cAMP曲線から外挿した。
【0123】
3.Gi共役FPRL−2とGs/Gi融合タンパク質構築物の同時トランスフェクション
FPRL−2およびGs/Gi融合タンパク質構築物を含むトランスフェクションミックス(実施例3Aより)を吸引除去後、10mlのDMEM/10%ウシ胎仔血清を加えた。細胞を次に37℃/5%CO2でインキュベートした。48時間のインキュベーション後に、細胞を収集して分析に使用した。細胞ベースcAMP検出アッセイを次に上記実施例4(2)のプロトコルに従って実施した。
【0124】
内因性FPRL−2は、その活性状態では優先的にGiタンパク質と共役すると考えられるため、cAMP産生の減少は、開示された非内因性型FPRL−2が構成的に活性であることを表す。したがって、cAMPシグナルを増加することによってFPRL−2受容体を影響する候補化合物は逆アゴニストであり、FPRL−2アゴニストはcAMPシグナルを減少する。図1を参照。
【0125】
図1は、Gs/Giと比較すると、FPRL−2の活性が約4倍増加することを明らかにする。FPRL−2の内因性型をその非内因性型と比較すると、非内因性FPRL−2(“FPRL-2(L240K)”)は、コントロールである、Gs/Giと比較すると受容体活性が約3倍増加することが明らかである。したがって、このデータはFPRL−2の内因性および非内因性型のどちらも構成的に活性であることを示唆する。
【0126】
図9を参照する。図9では、非内因性GPR37(L352R) は、GPR37(“GPR37 wt”)の内因性型と比較すると、約354%のcAMP増加を生じ、GPR37(C543Y)は、GPR37wtと比較すると約189%のcAMP増加を生じた。このデータは、GPR37の非内因性L352RとC543Y型のどちらも構成的に活性化されていることを示唆する。
【0127】
4.Gi共役型ターゲットGPCR用の細胞ベースcAMP
TSHRは、活性化されるとcAMPの蓄積を起因するGs共役型GPCRである。TSHRは、アミノ酸残基623の変異(即ち、アラニン残基のイソロイシン残基への変更)によって構成的活性化される。Gi共役受容体はアデニリルシクラーゼを阻害することが予測され、したがって、cAMP産生レベルを減少するために、cAMPレベルの評価を困難とし得る。Gi共役受容体の構成的活性化の兆候としてcAMP産生の減少を測定するための効果的な技法は、最も好ましくは、非内因性・構成的活性化TSHR(TSHR-A623I)(あるいは、内因性・構成的活性化Gs共役受容体)を「シグナルエンハンサー」として、Gi結合型ターゲットGPCRと共に同時トランスフェクトして、cAMPのベースラインレベルを確立することによって達成され得る。非内因性型Gi共役受容体を作出すると、この非内因性型ターゲットGPCRを次にシグナルエンハンサーと同時トランスフェクトして、この物質をスクリーンに用いることができる。この方法を使って、cAMPアッセイが使用される際に効果的にシグナルを生成することができる。この方法は、Gi共役受容体に対する候補化合物の直接同定に使用することが好ましい。Gi共役型GPCRについては、この方法を用いる際は、ターゲットGPCRの逆アゴニストはcAMPを増加させ、アゴニストはcAMPを減少することを特記する。
【0128】
細胞は、上記の実施例3Aに従ってトランスフェクトされた。次にトランスフェクトされた細胞は、一過性トランスフェクションの約24時間後に、トランスフェクトされた細胞を収集される。細胞ベースcAMP検出アッセイを次に上記実施例4(2)のプロトコルに従って実施した。
【0129】
好ましくは、前述のように、小分子候補化合物が、例えば、TSHR(A623I)ではなくてGi共役型ターゲット受容体をターゲットすることを確実にするために、直接同定された候補化合物はターゲット受容体が存在しない状態でシグナルエンハンサーについてスクリーンすることが好ましい。
【0130】
図3を参照する。図3は、293細胞における、内因性GPR45(“GPR45 wt”)対コントロール(“CMV”)の比較分析である。内因性ターゲット受容体GPR45は、シグナルエンハンサー、TSHR(A623I)、と共に同時トランスフェクトされた。TSH受容体の内因性リガンドであるTSHが存在しないと、TSHR(A623I)と内因性GPR45の同時トランスフェクションは、コントロール(CMV)と比較すると、cAMPの産生を約96%減少することを明示する。TSHが存在すると、内因性GPR45(“GPR45 wt”)は、コントロール(“CMV”)と比較すると、cAMPの産生を約73%減少することを明示する。このデータは、GPR45が内因性・構成的活性であり、Giタンパク質を共役することを示す。
【0131】
図4と表Eを参照する。表Eは図4の要約であり、293細胞内における、内因性mGluR7(“mGluR7 wt”)とmGluR7の非内因性型のいくつか(“W590S”、“R659H”、“T771C”および“1790K”) ならびにコントロール(“pCMV”)の比較分析である。表Eは、内因性リガンド(即ち、TSH)が存在しない場合のシグナルエンハンサー受容体(即ち、TSHR(A623I))とターゲット受容体(mGluR7)を含むベクターによるcAMP産生、TSHが存在する場合のシグナルエンハンサーとターゲット受容体の同時トランスフェクションによるcAMP産生、TSHが存在する場合に、TSHR(A623I)で同時トランスフェクトされたmGluR7の内因性型と非内因性型の間のcAMP産生のパーセント(%)減少を要約する。このデータは、mGluR7(“W590S”、“R659H”、“T771C” および “1790K”)の非内因性型が、内因性mGluR7と比較すると、cAMP産生を減少すること、したがって、前述の方法によって構成的に活性化されておることを実証する。
【0132】
【表6】
RGT細胞中でトランスフェクトされたmGluR7型は前述のデータを支持する。図5を参照する。図5において、mGluR7受容体の内因性型と比較すると、W590Sは、cAMPの産生を約52%減少し、R659Hは、約43%の減少、T771Cは、約5%の減少、ならびにI790Kは約28%減少することが明示された。
【0133】
mGluR7は活性状態では優先的にGiを共役するために、cAMP産生の減少は、ここに開示されたmGluR7の非内因性型は構成的活性であることを意味する。したがって、cAMPシグナルを増加することによってmG1uR7受容体を影響する候補化合物は逆アゴニストであり、そしてmG1uR7アゴニストはcAMPシグナルを減少する。図5と6で得られたデータに基づき、293およびRGT両細胞におけるcAMPアッセイを用いるTSHR構成的活性化同時トランスフェクション法で使用される際には、“W590S”、“R659H”、“T771 C”、および“I790K”は、mGluR7の好ましい非内因性型であり、“W590S”が最も好ましい。
【0134】
図12を参照する。図12において、HF1948(“I281F” と“E135N”)の非内因性型は、HF1948(“wt”)の内因性型と比較すると、それぞれ約18%および約39%のcAMP産生の減少を示す。このデータは、HF1948の非内因性I281FおよびE135N型のどちらも構成的活性化されていることを示唆する。cAMPのこの減少は、これらの型がGi共役型であることをさらに示唆する。Gi共役型である他に、図11は、HF1948の非内因性I281F型はまたGqGタンパク質を共役し得ることを示唆する。(以下の実施例4(5)(f)を参照)。
【0135】
図16を参照する。図16は、(TSHが存在する場合に)TSHR-A623I (“TSHR-A623I”)と非内因性、構成的活性化ETBR-LP2 (“N358K”)で同時トランスフェクトされた細胞のcAMP産生 (65.96 ピコモルcAMP/ウェル) を、TSHR-A623I と内因性 ETBR-LP2 (“WT”) で同時トランスフェクトされた細胞のcAMP産生(102.59 ピコモルcAMP/ウェル)と比較すると、約36%のcAMP産生の減少があることを明示する。pCMVと共に同時トランスフェクトされたTSHR-A623I (290.75ピコモル cAMP/ウェル)に対して、ETBR-LP2(“N358K”) と共にトランスフェクトされたTSHR-A623IとETBR-LP2(“WT”)と共に同時トランスフェクトされたTSHR-A623Iをそれぞれ比較すると、cAMPの産生が約77%と約65%減少することが示された。好ましくは、この方法は、アゴニストがシグナルを減少するのに反して、シグナルを増加する逆アゴニストをスクリーンするために使用される。小分子がTSHR-A623I 構築物ではなくETBR-LP2に結合することを確認するためには、この小分子をETBR-LP2が存在しない状態でこの構築物に対してスクリーンすることが好ましい。
【0136】
5.受容体ベースアッセイ
a.CRE−Luc受容体アッセイ(Gs関連受容体)
293および293T細胞を96ウェルプレート上で、ウェル当たり2 x 104の細胞密度となるように接種して、翌日製造元の指示に従ってリポフェクタミン試薬(BRL)を用いてトランスフェクトした。DNA/脂質混合物を各6ウェルトランスフェクションが以下になるように調製した。260ngのプラスミドDNAを含む100μlのDMEMを2μlの脂質を含む100μlのDMEMと穏やかに混合する(この260ngのプラスミドDNAは、200ngの8xCRE-Luc レポータープラスミド、内因性または非内因性受容体を含む50ngのpCMVまたはpCMVのみ、ならびに10ngのGPRS発現プラスミド(pcDNA3のGPRS(Invitrogen))。8XCRE-Lucレポータープラスミドは以下のように調製する。pβgal-ベーシック ベクター(Clontech)内のBg1V−HindIII部位に、ラットソマトスタチンプロモーター(--71/+51)をクローン化することによってベクターSRIF-β-galを得た。cAMP応答エレメントの8コピーが、アデノウイルス鋳型AdpCF126CCRE8由来のPCRから得られ(7Human Gene Therapy1883 (7 ヒト遺伝子療法 1883 (1996)を参照) 、SRIF β−galベクターのKpn-Bg1V 部位にクローン化され、その結果として8xCRE−β-galレポーターベクターが生成された。8xCRE-Lucレポータープラスミドは、 8xCRE-β-galレポーターベクターのベータガラクトシダーゼ遺伝子を、pGL3-ベーシックベクター(Promega(プロメガ社))から得たルシフェラーゼ遺伝子と、HindIII-BamHI 部位で置換することによって生成された。30分、室温でインキュベート後、DNA/脂質混合物を400μlのDMEMで希釈して、希釈混合物 100μlを各ウェルに加えた。細胞培養インキュベーター内で4時間インキュベートした後、10%FCS補充DMEM 100μlを各ウェルに加えた。翌日、トランスフェクトされた細胞は10%FCS補充DMEM 200μl/ウェルで交換された。8時間後、PEBSで一回洗浄後、ウェルはウェルあたり100μlのフェノールレッドを含まないDMEMに交換した。ルシフェラーゼ活性は、LucLite(商標)レポーター遺伝子アッセイキット(Packard)を製造元の指示に従って用いて、翌日測定し、1450マイクロベータ(商標)シンチレーションとルミネッセンスカウンター(Wallac))で読み取った。
【0137】
図2を参照する。図2は、STRL33受容体12.5ngでコントロール(CMV)と比較すると、STRL33の活性が約50%減少することを明示する。STRL33の内因性型をその非内因性型と比較すると、非内因性STRL33(“STRL33(L230K)”)は、12.5ngのタンパク質で比較する場合は受容体活性の約30%の低下、そして25ngのタンパク質では約40%の活性低下を示す。このデータは、STRL33受容体の非内因性型は構成的活性であり、Gタンパク質であるGiと共役し得ることを示唆する。
【0138】
b.AP1受容体アッセイ(Gq関連受容体)
Gq促進の検出方法は、そのプロモーターにAP1エレメントを含む遺伝子の活性化を起因するGq依存性ホスホリパーゼCの既知特性に基づく。Pathdetect(商標)AP-1シス−レポーティングシステム(Stratagene、カタログ# 219073)は、リン酸カルシウム沈降物の成分が410ng pAP1-Luc、80ng pCMV-受容体発現プラスミド、および20ng CMV-SEAPである以外は、CREBレポーターアッセイを基準にして上記に説明したプロトコルに従って使用された。
【0139】
図17を参照する。図17は、内因性ETBR-LP2(862相対光単位)と比べて、ヒトETBR-LP2(“N358K”)の非内因性・構成的活性型(2203相対光単位)は61.1%の活性増加を示す。このデータは、ETBR-LP2 受容体の非内因性型は構成的活性であり、Gタンパク質であるGiと共役し得ることを示唆する。
【0140】
c.SRF−Luc受容体アッセイ(Gq関連受容体)
Gq促進を検出する一つの方法は、そのプロモーターに血清応答因子を含む遺伝子の活性化を起因するGq依存性ホスホリパーゼCの既知特性に基づく。Pathdetect(商標)SRF-Lucレポーティングシステム(Stratagene)を使って、例えばCOS7細胞におけるGq共役活性をアッセイすることができる。細胞を、本システムのプラスミド成分と内因性または非内因性GPCRをコードする指定の発現プラスミドで、哺乳類トランスフェクション(商標)キット(Stratagene、 カタログ#200285)を製造元の指示に従って用いてトランスフェクトした。簡単に言えば、410ngのSRF-Luc、80ngのpCMV受容体発現プラスミド、および20ngのCMV-SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド、アルカリホスファターゼ活性は、サンプル間のトランスフェクション効率の変動を制御するために、トランスフェクトされた細胞の培地中で測定される)を、製造元の指示に従って、リン酸カルシウム沈降物中で混合する。この沈降物の半分は、96ウェルプレート中の3つのウェルに均等に分配され、無血清培地中の細胞の上で24時間保持される。最後の5時間は、指示に従って、細胞に1μM アンジオテンシンを加えてインキュベートする。細胞を次に溶解して、Luclite(商標)キット(Packard、カタログ#6016911)および“Trilux 1450 マイクロベータ”液体シンチレーションならびにルミネッセンスカウンター(Wallac)を製造元の指示に従って用いて、ルシフェラーゼ活性をアッセイする。データはグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)(商標)2.0a (GraphPad Software Inc.(グラスパッドソフトウェア社))を用いて分析することができる。
【0141】
d.SREレポーターアッセイ
SRE-Lucレポーター(マーキュリー・ルシフェラーゼシステム3の構成成分、Clontech カタログ番号K2053-1)を293細胞で使用した。細胞を、本システムのプラスミド成分および内因性または非内因性受容体をコードする指定の発現プラスミドで、リポフェクタミン試薬(Gibco/BRL、カタログ#18324012)を製造元の指示に従って用いてトランスフェクトした。簡単に言えば、420ngのSRF-Luc、50ngのCMV(GPR37受容体を含む)、および30ngのCMV-SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド、アルカリホスファターゼ活性は、サンプル間のトランスフェクション効率の変動を制御するために、トランスフェクトされた細胞の培地中で測定される)を、製造元の指示に従って、陽イオン性脂質−DNA沈降物中で混合する。最終容量は、オプチメム(Optimem)(Vendor(ベンダー社))で25μlにした。これは「鋳型ミックス」として言及される。鋳型ミックスは、ポリスチレン試験管中でリポフェクタミンと混合して、30分インキュベートした。インキュベーション中、細胞を100μlのオプチメムで洗浄した。インキュベーション後、200μlのオプチメムを加えて混合して、40μl〜50μl/ウェルにした。細胞を一晩混合放置した。翌朝培地を新鮮培地に交換して、各ウェル当たり130μlのフェノールレッドを含まない、1%FBNS補充DMEMにした。細胞を次に、Luclite(商標)キット(Packard、カタログ#6016911)および“Trilux1450マイクロベータ”液体シンチレーションならびにルミネッセンスカウンター(Wallac)を製造元の指示に従って用いて、ルシフェラーゼ活性をアッセイした。データはグラフパッドプリズム(商標)2.0a(GraphPad Software Inc.)を用いて分析した。
【0142】
図7を参照する。図7では、GPR37(“C543Y”)の非内因性型を内因性型(“wt”)と比較すると、C543Y変異は、野生(wt)型よりも約31.6%のcAMPの産生増加をし、非内因性型である“L352R”は、野生(wt)型よりも約178%のcAMPの産生増加を示す。 このデータは、GPR37の非内因性型である、C543YとL352Rのどちらも構成的活性化されていることを示唆する。
【0143】
e.E2F-Lucレポーターアッセイ
pE2F-Luc レポーター(マーキュリールシフェラーゼシステム3の構成成分、Clontech カタログ#K2053-1)を293細胞で使用した。細胞を、本システムのプラスミド成分および内因性または非内因性受容体をコードする指定の発現プラスミドで、リポフェクタミン試薬(Gibco/BRL、カタログ#18324012)を製造元の指示に従って用いてトランスフェクトした。簡単に言えば、400ngのpE2F-Luc、80ngのCMV(GPR35受容体を含む)、および20ngのCMV-SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ発現プラスミド、アルカリホスファターゼ活性は、サンプル間のトランスフェクション効率の変動を制御するために、トランスフェクトされた細胞の培地中で測定される)を、製造元の指示に従って、陽イオン性脂質−DNA沈降物中で混合した。この沈降物の半分は、96ウェルプレート中の3つのウェルに均等に分配して、細胞上で一晩保持して、翌日新鮮培地と交換した。トランスフェクション開始48時間後、細胞を処理して、Luclite(商標)キット(Packard、カタログ#6016911)および“Trilux 1450 マイクロベータ”液体シンチレーションならびにルミネッセンスカウンター(Wallac)を製造元の指示に従って用いて、ルシフェラーゼ活性をアッセイした。データはグラフパッドプリズム(商標)2.0a (GraphPad Software Inc.)(商標)を用いて分析した。
【0144】
図14を参照する。図14は、内因性GPR35(24.97相対光単位)と比べて、ヒトGPR35(A216K)の非内因性・構成的活性化型(607.13相対光単位)は活性を約100%増加することを示す。このデータは、GPR35(A216K)が転写因子E2Fと相互作用して、ルシフェラーゼタンパク質の発現を誘導することを示唆する。E2Fとのそのような相互作用は、GPR35が結腸直腸ガン細胞において発現されることの実証と合わせて、さらにGPR35がガン細胞増殖に役割を果たし得ることを示唆する。したがって、これらのデータに基づいて、GPR35受容体を影響する好ましい候補化合物は逆アゴニストである。このデータは、GPR35の逆アゴニストはガン性状態、特に結腸直腸ガンの治療に有用であることを示唆する。
【0145】
f.細胞内IP3蓄積アッセイ(Gq関連受容体)
1日目は、受容体(内因性および/または非内因性)を含む細胞を24ウェルプレート
上に、通常1x105細胞/ウェル(この数値は最適化され得るが)となるように接種する。2日目には、細胞は、まず0.25ug DNAを含む50μlの無血清DMEM/ウェルを2μl リポフェクタミンを含む50μlの無血清DMEM/ウェルと混合することによってトランスフェクトされた。この溶液を穏やかに混合して、室温で15〜30分インキュベートした。細胞を次に0.5mlのPBSと400μlの無血清培地で洗浄してから、トランスフェクション培地と混合して、細胞に加えた。細胞を37℃/5%CO2で3〜4時間インキュベートしてから、トランスフェクション培地を除去して、1ml/ウェルの普通成長培地で置換した。3日目には、細胞を3H−ミオイノシトールで標識する。簡単に言えば、培地を除去してから細胞を0.5mlのPBSで洗浄する。次に、各ウェルに0.5mlのイノシトールを含まない無血清培地(GIBCO BRL)と0.25μCiの3H-ミオイノシトールを加えて、細胞を37℃/5%CO2で16〜18時間一晩インキュベートした。4日目には、細胞を0.5mlのPBSで洗浄し、イノシトールを含まない無血清培地、10μM パージリン、10mM 塩化リチウムを含む0.45mlのアッセイ培地あるいは0.4mlのアッセイ培地を加えた。細胞を次に37℃で30分インキュベートした。細胞を次に0.5mlPBSで洗浄して、200μlの新鮮/氷冷停止溶液(1M KOH、18mM 硼酸ナトリウム、 3.8mM EDTA)を各ウェルに加えた。この溶液を氷の上に5〜10分(あるいは細胞が溶解するまで)保持して、次に200μLの新鮮/氷冷中和溶液(7.5% HCL)で中和した。この溶解産物を次に1.5ml エッペンドルフ試験管内に移して、試験管あたり1mlのクロロホルム/メタノール(1:2)を加えた。溶液を15秒渦を巻くように振とうしてから、上相をBioradAG1-X8(商標)陰イオン交換樹脂(100〜200メッシュ)にかけた。まず、樹脂を1:1.25重量/容積の水で洗浄して、0.9mlの上相をカラムに充填した。カラムを次に10mlの5mMミオイノシトールと10mlの5mM硼酸ナトリウム/60mMギ酸ナトリウムで洗浄した。イノシトールトリスリン酸塩を2mlの0.1Mギ酸/1Mギ酸アンモニウムを有するシンチレーションカクテル10mlを含むシンチレーションバイアル中に溶出した。カラムを10mlの0.1Mギ酸/3Mギ酸アンモニウムで洗浄することにより再生して、ddH2Oで二度濯いでから、4℃で水中保存した。
【0146】
図6を参照する。図6では、293細胞は、6つのアミノ酸欠失を含むGqタンパク質、“Gq(del)”、Giタンパク質と融合したGqタンパク質、“Gq(del)/Gi”、Gq(del)を加えた非内因性mGluR7であるT771、“T771 C+Gq(del)”、ならびに“Gq(del)/Gi”を加えたT771C、“T771 C+Gq(del)/Gi”でトランスフェクトされた。グルタミン酸の存在する場合としない場合についてイノシトール三リン酸を測定した。mGluR7の非内因性型とGq(del)/Gi の同時トランスフェクションは、グルタミン酸が存在する場合において、Gq(del)/Giと比較すると、約1850倍増加し、グルタミン酸が存在する場合T771C+Gq(del)/Giと比較して約860倍増加を示した。これらのデータは、Gi共役型受容体であるmGluR7がGqタンパク質によって活性化され得ることを実証する。したがって、Gq(del)/Gi融合構築物は、GPCRと同時トランスフェクトして、候補化合物をスクリーンするツールとして使用し得る。
【0147】
図11を参照する。図11では、HF1948の非内因性型(“I281F”)を内因性型(“wt”)と比較すると、I281F変異は、wt型よりもIP3蓄積を約361%増加することを示す。このデータは、HF1948の非内因性I281F型が構成的活性化型ならびにGq共役型であることを示唆する。
[実施例5] 融合タンパク質の調製
a.GPCR:Gs融合構築物
構成的活性化GPCR-Gタンパク質融合構築物のデザインは、以下のように達成され得る。ラットGタンパク質Gsα(長型、Itoh, Hら83PNAS3776(1986))の5’および3’両末端を、その上にHindIII(5'-AAGCTT-3')配列を含むように操作する。正しい配列(隣接HindIII配列を含む)の確認後、そのベクターのHindIII制限部位を用いてサブクローニングすることによって全配列をpcDNA3.1(−)(Invitrogen)、カタログ番号 V795-20)中にシャトルする。pcDNA3.1(−)中にサブクローニング後、Gsα配列の正しい方向性が決定される。HindIII配列にラットGsα遺伝子を含む修飾pcDNA3.1(−)を次に検証してから、このベクターをその後「ユニバーサル」Gsαタンパク質ベクターとして利用することができる。pcDNA3.1(−)ベクターは、HindIII部位の上流に種々の既知制限部位を含み、したがって、Gsタンパク質の上流に内因性・構成的活性GPCRのコード配列を挿入する能力を好都合にも提供する。これと同様な方法を使って、その他の「ユニバーサル」Gタンパク質ベクターを作出することができ、勿論、当業者に公知であるその他の市販または特許化されたベクターを使用することもできる。ある実施形態では、重要な判定基準は、GPCRの配列がGタンパク質の配列の上流ならびに翻訳領域内にあることである。
【0148】
Gタンパク質とGPCRの間の制限部位にオプションとしてスペーサーがあってもよい。センスならびにアンチセンスプライマーはXbaIおよびEcoRVの制限部位をそれぞれ含み、したがって(制限部位に起因する)スペーサーがGタンパク質とGPCRの間に存在する。
【0149】
次に上記に開示されたGsαユニバーサルベクター内で融合のためのそれぞれの受容体配列を確保するためにPCRが使用され、それぞれについて以下のプロトコルが使用される。100ng GPCR用のcDNAを、2μlの各プライマー(センスとアンチセンス)、3μlの10mM dNTP、10μl の10XTaqPlus(商標)プレシジョンポリメラーゼ(Stratagene #600211)、ならびに80μlの水を含む別々の試験管に加える。GPCR用の反応温度およびサイクル時間は、94℃(1分)、94℃(30秒)、62℃(20秒)、72℃(1分40秒)そして72℃(5分)であって、ステップ2〜4を35回繰り返した。PCR産物を1%アガロースゲルを通過させてから精製する。精製産物にXbalIとEcoRVを加えて消化して、所望のインサートを精製して、それぞれの制限部位でGsユニバーサルベクター中に結合する。形質転換後に陽性クローンを単離して、制限酵素消化によって判定し、以下に記述するプロトコルに従って、293細胞を用いる発現が達成される。GPCR−Gs融合タンパク質の各陽性クローンは、その正確さを検証するために配列決定されよう。
【0150】
b.Gq(6アミノ酸欠失)/Gi融合構築物
Gq(del)/Gi融合構築物のデザインは以下のように達成された。TLESIM(配列番号88)を有するGαqサブユニットのN末端6アミノ酸(アミノ酸2〜7)が欠失され、また配列EYNLV(配列番号89)を有するC末端5アミノ酸がDCGLF(配列番号90)を有するGαiタンパク質の対応するアミノ酸で置換された。この融合構築物は、以下のプライマー、5’-gatcAAGCTTCCATGGCGTGCTGCCTGAGCGAGG-3’(配列番号91)および 5’-gatcGGATCCTTAGAACAGGCCGCAGTCCTTCAGGTTCAGCTGCAGGATGGTG-3’(配列番号92)、 ならびに赤血球凝集素タグを有するマウスGαq野生型を含むプラスミド63313を鋳型として用いるPCRによって得られた。小文字のヌクレオチドはスペーサーとして含まれる。
【0151】
TagPlus(登録商標)DNAポリメラーゼ(Stratagene)が以下のサイクル、95℃(2分)、95℃(20秒)、56℃(20秒)、72℃(2分)、そして72℃(7分)、で増幅に使用され、ステップ2〜4は35回繰り返した。PCR産物は、pCRII-TOPO ベクター(Invitrogen)中にクローン化され、ABI ビッグダイターミネーター キット(P.E. Biosystems(P.E.バイオシステムズ社))を用いて配列決定を行う。融合構築物の配列を含むTOPOクローン由来のインサートは、2ステップクローニング法によって発現ベクターpcDNA3.1(+) のHindIII/BamHI 部位にシャトルされる。
【0152】
c.Gs/Gi融合タンパク質構築物
Gs/Gi融合構築物のデザインは以下のように達成された。配列5’-QYELL-3’ (配列番号93) を有するGαsサブユニットのC末端5アミノ酸が欠失され、配列5’-DCGLF-3’(配列番号94)を有するGαiタンパク質の対応するアミノ酸で置換された。このタンパク質融合構築物は、5’および3’オリゴヌクレオチドを用いてPCRによって得られた。
【0153】
TagPlusDNAポリメラーゼ(Stratagene)が以下のサイクル、98℃(2分)、98℃(30秒)、60℃(30秒)、72℃(2分)、そして72℃(5分)で増幅に使用され、ステップ2〜4は25回繰り返された。PCR産物は、pCRII-TOPO ベクター(Invitrogen)中にクローン化され、ABI ビッグダイターミネーター キット(P.E. Biosystems)を用いて配列決定が行われた。タンパク質融合構築物の配列を含むTOPOクローン由来のインサートは、発現ベクターpcDNA3.1(+) の制限部位中にシャトルされた。Gs/Giタンパク質融合構築物の核酸配列を次に決定した。核酸配列については配列番号95、そしてアミノ酸配列については配列番号96を参照。
[実施例6] シュワン細胞の調製
2Lの新生ラット仔(SpragueDawley)(出生時、出生後2日目、3日目)を氷の上に置いて安楽死させた。仔を取り出して、断頭して血液をドレインした。新生仔を解剖台に腹下位置に置いて、70%エタノールでリンスして滅菌した。メスを使用して、大腿領域の皮膚を坐骨神経が露出するまで(あるいは脊髄から膝に伸びる細く白色の「ヒモ」が見えるまで)除去した。神経をDMEM培地に入れて、次に吸引してから、DMEM培地で容量を2.4mlにして、解離させるために300uLの10Xコラゲナーゼ(0.3% Sigma、カタログ#C-9891)と300uLの10Xトリプシン(0.25%、GIBCO カタログ#25095-019)を加えた。神経を次に37℃で15分インキュベートして、1,000rpmで5分遠心分離してから、培地を除去した(二回反復)。1mLのDMEM-HEPEと1mLのDMEM/10%FBSを加えてから、50mLの円錐管に移した。試験管の内容物を次のゲージ針(VWR)、18Gで1回、21Gで2回、そして23Gで2回、剪断した。内容物をファルコン細胞ストレーナに入れて、超低速(約1200rpm)で遠心した。DMEM/10%FBSを加えて全量を10mLにして、ポリーL―リジン処理10cmプレート(Sigma、カタログ#P-1274)上に接種した。プレートを次に7%CO2、37℃の加湿インキュベーター内で一晩インキュベートした。新鮮培地を100X ARA C(10mM、Sigma、カタログ#C-1768)と共に加えて、さらに48時間培養した。細胞を次にPBSで(3回)洗浄して、ARA Cを除去してから、DMEM/10%FBS、色々な濃度のフォルスコリン100%エタノール溶液(2uM、5uM、10uM、20uM、および50uM)(Calbiochem、カタログ#344270)、80ugの下垂体抽出物含有PBS溶液(Sigma、#P-1167)および0.1% BSAを加え、次に細胞を7%CO2、37℃加湿器中で30時間成長させた。細胞を回収してからRNAを単離して分析した。
【0154】
抗体選択は以下のように達成された。ポリ−L−リジン処理プレートをまず1X PBSで洗浄(3回)し、1mLの0.5% トリプシンEDTAを加えて約1分トリプシン処理してから、9mLのDMEM-HEPESバッファーおよび10% FBSで中和した。細胞を1200rpmで5分遠心分離し、トリプシンを洗出するために3mLのDMEM-HEPES中に再懸濁して、さらに1200rpmで5分遠心した。細胞を次に600uLのDMEM-HEPESに再懸濁して、単一細胞を得るために遠心後いくらかの培地を残した。Thy1.1抗体(単クローン性抗体、Sigma、カタログ#P-1274)を1:1000希釈で加えた。
【0155】
細胞を次に、2分ごとに試験管を僅かに撹拌しながら、37℃で20分インキュベートした。20uLのモルモット補体(GIBCO、カタログ#19195-015)を使用前に解凍してから、抗体を加えた細胞の最終容量が1mLになるように補体を加えた。細胞を37℃の水浴中で20〜30分インキュベートして、10mLのDMEM-HEPESを加えてから1200rpmで3分遠心沈降した。細胞を5mLのDEME/10%FBS中に再懸濁して、下垂体抽出物とフォルスコリンを含むポリ−L―リジン処理プレートに加えた。細胞は24〜48時間後に回収されるまで放置され、免疫選択法を二度反復した。
[実施例7] ラット圧挫坐骨神経の調製
麻酔(イソフロレン)された成体(10〜13週齢)Sprague-Dawleyラットの坐骨神経を坐骨切痕で露出させた。神経圧挫は、坐骨神経を坐骨切痕できつく押しつけて、鉗子で2回、各10秒、平坦にすることによって作出された。この技法は、軸索の変性を起こすが軸索の再生は可能である。神経損傷後様々な時間に、動物をCO2吸入によって安楽死させ、遠位神経断端を除去して、最も近位部2〜3mmを切り落とした。圧挫神経については、全遠位神経を収集した。神経は液体窒素中で直ちに冷凍して、-80℃で保存した。損傷を受けていない坐骨神経を、P0(圧挫後)〜P13までの異なる年齢の動物から得た。
[実施例8] 開示のヒトGPCRの組織分布
1.RT-PCR
RT-PCRは、いくつかの新ヒトGPCRの発現を確認し、そしてその組織分布を決定するために適用され得る。使用されるオリゴヌクレオチドはGPCR特異型であり、複数のヒト組織cDNAパネル(MTC、Clontech)が使用される。Taq DNAポリメラーゼ(Stratagene)は、製造元の指示に従って、40ul反応での増幅に使用される。20μlの反応を1.5%アガロースゲルに負荷して、RT-PCR産物を分析する。
【0156】
2.ドットブロット
市販のヒト組織ドットブロットフォーマットを用いて、内因性GPCRは、そのような受容体が局在する領域決定用のプローブに使用された。実施例1のPCRフラグメントをプローブに使用して、このフラグメントとPrime-It II(商標)ランダムプライマー標識キット(Stratagene、 #300385)を製造元の指示に従って用いて放射線標識プローブを生成した。ヒトRNAマスターブロット(商標)(Clontech、 #7770-1)をGPCR放射性標識プローブとハイブリダイズさせ、ストリンジェント条件下で、製造元の指示に従って洗浄した。ブロットは、-80℃で一晩Kodak BioMax オートラジオグラフィに暴露した。以下の表7は、発現が観察される受容体と組織を一覧する。受容体に関連する代表的疾患/障害は、以下実施例6に考察する。
【0157】
【表7】
3.ノーザンブロット
a.GPR37
実施例6からのRNAは、RNAzol B試薬(TelTest Inc.(テルテスト社)、カタログ#CS-104)を製造元の指示に従って用いて収集した。 1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、10X SSCを用いる毛細管作用によって、RNAをナイロン膜(Sachleicher Schull)に移動した。GPR37の3’末端に正確に対応するDNAフラグメントとハイプライム標識キット(Roche Molecular Biochemical(ロッシュモレキュラーバイオケミカル社))を製造元の指示に従って用いて、32P標識GPR37 DNAプローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ#8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にExpressHyb溶液を加えて、65℃でまず一晩インキュベートした。32P標識GPR37 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーション溶液から取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.2X SSC/0.1%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、―80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0158】
図9を参照する。図9は、GPR37がシュワン細胞で発現され、したがって、髄鞘形成が20uMフォルスコリンで維持され得ることを示す。
【0159】
図10は、GPR37が、特に神経を圧挫7日後のラット圧挫坐骨神経でアップレギュレートされることを示す。そのようなデータは、GPR37がシュワン細胞における髄鞘形成のプロセスを促進することによって神経の再生に役割を果たし得るという図9に示すデータと一貫する。
【0160】
GPR37は、ヒト中枢神経系、特に脳組織で発現される。GPR37がシュワン細胞で発現することがさらに明らかにされている。軸索(または神経)が損傷されると、シュワン細胞は、軸索周りにミエリン鞘を形成して、ミエリン鞘の形状の「絶縁体」を供給することによって神経を再生するために作用する。髄鞘形成として知られるこのプロセスは、活動電位がより速い速度で進行し、それによって代謝エネルギーを節約するために重要である。シュワン細胞とその前駆体は、末梢神経を構成するその他の細胞の生存と分化の影響に重要な役割を果たす。さらに、GPR37は、ラット圧挫坐骨神経で発現されることが明らかにされている。そのようなデータは、GPR37が神経細胞の再生に役割を果たし得ることを示す。受容体が局在する特定の組織の既知の機能に基づき、受容体の推定上の機能的役割を引き出すことができる。したがって、髄鞘形成過剰(例えば、腫瘍発生)ではGPR37に対する逆アゴニストが好ましく、髄鞘形成不全起こる場合(例えば、糖尿病のような変性疾患)ではアゴニストが好ましい。
【0161】
b.GPR66
いくつかの膵臓細胞株(例えば、HIT、ARIP、Tu6、RINαTC、STC、NITおよび EcR-CHO、これらのいずれも市販されており入手可能)由来の全RNAを、TRIzol試薬(Gibco/BRL、カタログ#15596-018)を製造元の指示に従って使用して単離した。1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、標準プロトコルを用いて、RNAをナイロン膜に移動した。全コード配列に正確に対応するDNAフラグメントとPrime It II ランダムプライマーラベリングキット(Stratagene、カタログ#300385)を製造元の指示に従って使用して、32P標識GPR66プローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ#8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にまずExpressHyb溶液を加えて、65℃で1時間インキュベートした。32P標識GPR66 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーションから取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.1X SSC/0.5%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、―80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0162】
図13を参照する。膵臓におけるGPR66の発現を実証する、ドットブロットデータと合わせたRNAブロットの結果(図13)は、全ての膵島細胞株および膵管細胞株であるARIP細胞において豊富に発現されていることを示唆する。いずれの理論にも束縛される意図はないが、膵臓細胞株におけるGPR66の発現は、GPRが膵島新生に役割を果たし得ることを示唆する。
【0163】
c.GPR35
いくつかのガン細胞株(例えば、RIN-SAH、 HEP-G2、 A549、HELA、MOLT-4、 HL-60 およびSW480細胞、これらのいずれも市販されており入手可能)由来の全RNAを、TRIzol試薬(Gibco/BRL、カタログ#15596-018)を製造元の指示に従って使用して単離した。1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、標準プロトコルを用いて、RNAをナイロン膜に移動した。全コード配列に正確に対応するDNAフラグメントとPrime It II ランダムプライマーラベリングキット(Stratagene、カタログ#300385)を製造元の指示に従って使用して、32P標識GPR35プローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ#8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にまずExpressHyb溶液を加えて、65℃で1時間インキュベートした。32P標識GPR35 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーションから取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.1X SSC/0.5%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、−80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0164】
図15を参照する。RNAブロット(図15を参照)の結果は、GPR35が結腸直腸ガン細胞株SW480において豊富に発現されていることを示す。そのようなデータは、GPR35が、結腸直腸の発ガン現象に役割を果たし得ることを示唆する。以下に論述する方法による、候補化合物の同定は、逆アゴニストであることが最も好ましい。GPR35の逆アゴニストは、ガン性細胞の細胞増殖を阻害するためにDNA複製を減少させることを意図する。GPR35は、大腸および小腸で発現される。GPR35が結腸直腸ガン細胞株(例えば、HELA、MOLT-4、およびSW480)で明らかに発現されている多数のガン細胞株が調査されている。そのようなデータは、GPR35が、結腸直腸の発ガン現象に役割を果たし得ることを示唆する。結腸直腸ガンは、結腸または直腸のいずれかから生じる悪性である。大腸ガンは、男性および女性に発見されるガンのうち二番目によく見られる形態である。
【0165】
d.ETBR-LP2
実施例6からのRNAをRNAzol B試薬(TelTestInc.、カタログ#CS-104)を製造元の指示に従って使用して収集した。 1%アガロース/ホルムアルデヒドゲル中で電気泳動後、10X SSCを用いる毛細管作用によって、RNAをナイロン膜(Sachleicher Schull)に移動した。ETBR-LP2 の3’末端に正確に対応するDNAフラグメントとハイプライム標識キット(Roche Molecular Biochemical)を製造元の指示に従って使用して、32P標識ETBR-LP2 DNAプローブを合成した。ハイブリダイゼーションは、100μg/mlのサケ精子DNAを補充したExpressHyb溶液(Clontech、 カタログ番号8015-2)を用いて以下のように実施した。単離されたRNAサンプルを含む膜にExpressHyb溶液を加えて、65℃で一晩インキュベートした。32P標識ETBR-LP2 DNAプローブを、約2分煮沸して変性し、5分氷上に置いた後、膜を浸しているExpressHyb溶液中に移した。65℃で一晩インキュベートした後、膜をハイブリダイゼーション溶液から取り出して、65℃で2X SSC/1%SDS中で各15分ずつ4回洗浄し、その後で55℃で0.2X SSC/0.1%SDS中で各15分ずつ2回洗浄した。ゆるやかに振ってブロットから過剰水分を除去した後、ブロットをプラスチックラップで包み、−80℃で一晩フィルムに暴露した。
【0166】
図18を参照する。図18は、ETBR-LP2 がシュワン細胞で発現され、したがって、髄鞘形成が20uMフォルスコリンで維持され得ることを示す。
【0167】
図19は、ETBR-LP2 が、特に神経を圧挫7日後のラット圧挫坐骨神経でアップレギュレートされることを示す。そのようなデータは、ETBR-LP2 がシュワン細胞における髄鞘形成のプロセスを促進することによって神経の再生に役割を果たし得るという図18に示すデータと一貫している。
【0168】
これらのデータに基づいて、ETBR-LP2 はシュワン細胞で発現されている。軸索(または神経)が損傷されると、シュワン細胞は、軸索周りにミエリン鞘を形成して、ミエリン鞘の形状の「絶縁体」を供給することによって神経を再生するために作用する。髄鞘形成として知られるこのプロセスは、活動電位がより速い速度で進行し、それによって代謝エネルギーを節約するために重要である。シュワン細胞とその前駆体は、末梢神経を構成するその他の細胞の生存と分化の影響に重要な役割を果たす。さらに、ETBR-LP2 は、ラット圧挫坐骨神経で発現されることが明らかにされている。そのようなデータは、ETBR-LP2 が神経細胞の再生に役割を果たし得ることを示す。受容体が局在する特定の組織の既知の機能に基づき、受容体の推定上の機能的役割を引き出すことができる。したがって、髄鞘形成過剰(例えば、腫瘍発生)ではETBR-LP2 に対する逆アゴニストが好ましく、髄鞘形成不全が起こる場合(例えば、糖尿病のような変性疾患)はアゴニストが好ましい。
【0169】
これらの組織または領域に局在する受容体に関連する疾患および障害は、限定はされないが、心臓障害および心臓病(例えば、血栓症、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、心筋症)、腎臓障害/腎臓病(例えば、腎不全、腎尿細管アシドーシス、腎性糖尿、腎性尿崩症、シスチン尿症、多発性嚢胞腎)、好酸球増加症、白血球増加症、白血球減少症、卵巣ガン、性機能障害、多嚢胞性卵巣症候群、膵炎および膵臓ガン、過敏性腸症候群、結腸ガン、クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺性高血圧、結核および肺ガン、パーキンソン病、運動障害および運動失調症、学習および記憶障害、摂食障害(例えば、拒食症、過食症など)、肥満症、ガン、胸腺腫、重症筋無力症、循環障害、前立腺ガン、前立腺炎、腎臓病/障害(例えば、腎不全、腎尿細管アシドーシス、腎性糖尿、腎性尿崩症、シスチン尿症、多発性嚢胞腎)、感覚運動プロセシングおよび覚醒障害、強迫性障害、精巣ガン、持続勃起症、前立腺炎、ヘルニア、内分泌障害、性機能障害、アレルギー、鬱病、精神病、偏頭痛、胸焼け、精神分裂病、潰瘍、気管支痙攣、テンカン、前立腺肥大、不安症、鼻炎、アンギナおよび緑内障を含む。したがって、本発明の方法は、またこれらならびにその他の疾患および障害の診断および/または治療に有用であり得る。
[実施例7] プロトコル:逆アゴニストとアゴニストの直接同定
A. [ 35 S ] GTPγS アッセイ
内因性・構成的活性GPCRは、例えば、逆アゴニストのような候補化合物の直接同定に使用されてきたが、完全には理解されていない理由のために、アッセイ内のばらつきが悪化することがある。ある実施形態では、上記に開示されるGPCR融合タンパク質はまた、非内因性・構成的活性化GPCRと共に利用される。そのようなタンパク質が使用されると、アッセイ内のばらつきは有意に安定化され、そのため有効な信号雑音比が得られる。これは、候補化合物の同定をさらに強固なものとする有利な結果を有する。したがって、ある実施形態では、直接同定には、GPCR融合タンパク質が使用されることが好ましく、これが使用される際は、以下のアッセイプロトコルが使用される。
【0170】
1.膜の調製
目的の構成的活性オーファンGPCR融合タンパク質を含み、逆アゴニストまたはアゴニストとしての候補化合物の直接同定に使用される膜は、以下のようにして調製されることが好ましい。
【0171】
a.材料
「膜剥離バッファー」は、20mM HEPESおよび10mM EDTAを含み, pH 7.4であり、 「膜洗浄バッファー」は、20 mM HEPESおよび0.1 mM EDTAを含み、pH 7.4であり、「結合バッファー」は、20mM HEPES、100 mM NaClおよび 10 mM MgC12を含み、 pH 7.4である。
【0172】
b.手順
全ての材料はこの手順を通じて氷上で保つ。まず、コンフルエント単層細胞から培地を吸引除去し、次に10mlの冷PBSでリンスをしてから、吸引除去を行う。その後、5mlの膜剥離バッファーを剥離細胞に加えた後で、細胞抽出物を50mlの遠心管中に移す(4℃、20,000rpmで17分遠心分離する)。その後、上清を吸引除去して、そのペレットを30mlの膜洗浄バッファー中に再懸濁してから、4℃、20,000rpmで17分遠心分離する。上清を次に吸引除去して、ペレットを結合バッファーに再懸濁する。再懸濁されたペレットを次にブリンクマン・ポリトロン(商標)ホモジナイザーを用いてホモジナイズする(懸濁液中の物質がバーストするまで、15〜20秒)。これを本願では「膜タンパク質」と呼ぶ。
【0173】
2.ブラッドフォードタンパク質アッセイ
均質化後、膜のタンパク質濃度を、例えば、ブラッドフォードタンパク質アッセイを用いて決定する(タンパク質は、約1.5mg/mlに希釈して、分割量にして、後の使用のために冷凍(-80℃)し得る、冷凍する場合は、使用プロトコルは以下の如くである。アッセイを行う日に、冷凍膜タンパク質を室温で解凍し、渦を巻くように動かしてから、ポリトロンで約12x1,000rpmで約5〜10分ホモジナイズする。複数を調製する場合、次の調製物をホモジナイズする前にホモジナイザーを十分に洗浄することを特記する。
【0174】
a.材料
結合バッファー(上記に説明)、ブラッドフォード色素試薬、ブラッドフォード標準タンパク質を、製造元の指示に従って使用する(Biorad、カタログ番号500−-0006)。
【0175】
b.手順
一つは膜を含み、他方はコントロール「空」である二本の試験管を用意する。各試験管は800μlの結合バッファーを含む。その後、10μlのブラッドフォード標準タンパク質(1mg/ml)を各試験管に加え、10μlの膜タンパク質を1本の試験管(「空」ではない)に加える。その後、200μlのブラッドフォード色素試薬を各試験管に加えてから渦を巻くように動かす。5分後、試験管を再び渦を巻くように動かしてから、その中の物質をキュベットに移動する。キュベットを次に、CECIL 3041分光光度計を用いて、波長595で読み取る。
【0176】
3.直接同定アッセイ
a.材料
GDPバッファーは、37.5mlの結合バッファーと2mgのGDP(Sigma、カタログ番号G-7127)から構成され、0.2μMのGDPを得るために結合バッファーで一連の希釈を行う(各ウェル中のGDPの最終濃度は、0.1μM GDP)。候補化合物を含む各ウェルは、100μlのGDPバッファー(最終濃度 0.1μM)、50μlの膜タンパク質結合バッファー溶液、および50μlの50μl[35S]GTPγS (0.6nM)結合バッファー溶液(10mlの結合バッファー当たり2.5μlの[35S]GTPγS )から成る最終容量200μlを含む。
【0177】
b.手順
候補化合物は、96ウェルフォーマット(これらは-80℃で冷凍し得る)を用いてスクリーンすることが好ましい。膜タンパク質(または、コントロールとしてGPCR融合タンパク質を含まない発現ベクターを有する膜、)を懸濁液となるまで手短にホモジナイズする。例えば、前述のブラッドフォードタンパク質アッセイを用いて、タンパク質濃度を決定する。膜タンパク質(およびコントロール)を次に結合バッファーで0.25mg/mlまで希釈する(最終アッセイ濃度、12.5μg/ウェル)。その後、100μlのGDPバッファーを、Wallac シンチストリップ(商標)(Wallac)の各ウェルに加える。5μlのピンツールを使って5μlの候補化合物をそのようなウェル中に移す(即ち、全アッセイ量200μlのうちの5μlが、候補化合物の最終スクリーニング濃度が10μMになるように、1:40の比である)。さらに、汚染を避けるため、各移動ステップ後、ピンツールを水(1X)、エタノール(1X)および水(2X)を含む3つのレザバー中で濯ぎ、濯ぎの後は毎回、過剰な液体をツールから振り落として、ツールを紙およびキムワイプで乾燥させる。その後、50μlの膜タンパク質を各ウェルに加え(膜を含むがGPCR融合タンパク質を含まないコントロールウェルをまた使用した)、室温で5〜10分プレインキュベートする。その後、50μlの[35S]GTPγS (0.6 nM) 結合バッファー溶液を各ウェルに加え、室温、シェーカー上で60分インキュベートする(この実施例では、プレートをフォイルで被った)。22℃で15分、4000RPMでプレートを遠心することによってアッセイを停止する。プレートを次に8チャネルマニフォールドで吸引してからプレートカバーでシールする。プレートは次に、“Trot #37”設定を用いて(製造元の指示に従って)、Wallac1450で読み取る。
B.サイクリックAMPアッセイ
候補化合物を直接同定するためのもう一つのアッセイ法は、シクラーゼベースアッセイを用いて達成される。直接同定の他に、このアッセイ法は、前述するように [35S]GTPγS 法から得られる結果の確認をするための独立した方法としても使用され得る。
【0178】
修正Flash Plate(商標)アデニリルシクラーゼキット(NewEngland Nuclear、カタログ番号SMP004A)は、候補化合物をGPCRに対する逆アゴニストおよびアゴニストとして直接同定するために、以下のプロトコルに従って使用することが好ましい。
【0179】
トランスフェクト細胞をトランスフェクトの約3日後に収集する。膜は、懸濁細胞を20mM HEPES、pH7.4および10mM MgCl2を含むバッファー中でホモジナイズすることによって調製される。均質化は、ブリンクマン・ポリトロン(商標)を約10秒用いて、氷上で実施される。結果生じるホモジネートを4℃、49,000 X gで15分遠心分離する。生じたペレットを次に20mM HEPES、pH7.4と0.1mM EDTAを含むバッファーに再懸濁して、10秒ホモジナイズした後、4℃、49,000 X gで15分遠心分離する。結果生じるペレットを使用するまで−80℃で保存する。直接同定スクリーニングを行う日に、膜ペレットを室温でゆっくりと解凍して、最終タンパク質濃度が0.60mg/ml になるように、20mM HEPES、 pH 7.4と10mM MgC12を含むバッファーに再懸濁する(再懸濁された膜は使用するまで氷上に置く)。
【0180】
cAMPスタンダードと検出バッファー(11mlの検出バッファーについて2μCiのトレーサー[125IcAMP(125μl) を含む]を調製して、製造元の指示に従って維持した。アッセイ用バッファーは、スクリーニング用に新しく調製し、20mM HEPES、 pH 7.4、10mM MgC12, 20mM クレアチンリン酸(Sigma)、 0.1 ユニット/ml クレアチンホスホキナーゼ (Sigma)、50gM GTP (Sigma)、および0.2 mM ATP (Sigma)を含む。アッセイ用バッファーは使用するまでは氷上で保存する。
【0181】
前述のように同定された候補化合物(冷凍されている場合は、室温で解凍)を、好ましくは96ウェルプレートウェル(3gl/ウェル、 12μM 最終アッセイ濃度)に、40μlの膜タンパク質(30μg/ウェル)と50μlのアッセイ用バッファーと共に加える。この混合物を、ゆるやかな振とうを加えながら、室温で30分インキュベートする。
【0182】
インキュベーション後、100μlの検出バッファーを各ウェルに加えて、2〜24時間インキュベートする。"Prot. #31" を(製造元の指示に従って)使用して、Wallac マイクロベータ(商標)プレートリーダーでカウントする。
C.メラニン保有細胞スクリーニングアッセイ
GPCRの候補アゴニストまたは逆アゴニストを同定するための方法は、特定の刺激に応答して色素を分散または凝集することおよびGPCRをコードする外来性クローンを発現できる色素細胞株のテスト細胞を導入することによって実施され得る。例えば、光のようなスティミュラントは、色素素質の初期状態を設定し、GPCRの活性化が色素の分散を誘導するならば、色素はテスト細胞内で凝集する。しかし、色素素質の初期状態を設定するためにスティミュラントで細胞を刺激して、GPCRの活性化が色素の凝集を誘導するならば、色素は分散する。テスト細胞は次に化合物と接触され、細胞内の色素素質が初期状態から変化したかどうかが決定される。候補化合物のGPCRへの共役に起因する色素細胞の分散は、ペトリ皿上では暗く見え、色素細胞の凝集は明るく見える。
材料と方法については、米国特許番号5,462,856 と米国特許番号6,051,386の公開に従い、それぞれの全文が参考文献として引用されている。
【0183】
種々の発現ベクターが、内因性および非内因性ヒトGPCRのための用途目的で、当業者に入手可能であるが、ある実施形態では、使用されるベクターはpCMVであることが好ましい。このベクターは、特許手続きを目標として微生物の国際寄託制度についてのブダペスト条約の規定により、1988年10月13日にアメリカ培養コレクション(ATCC)(10801 UniversityBlvd., Manassas, VA 20110-2209 USA)に寄託された。このDNAはATCCで試験されて、生存可能であることが決定された。ATCCは、pCMVに以下の寄託番号:ATCC#203351を指定した。
【0184】
本特許文書を通じて引用されている、同時係属中および関連特許出願を含む、参考文献は、特記されない限りは、本願に参考文献として全面的に引用されている。
【0185】
当業者の認識範囲である開示発明の修正または拡張は、上記開示および以下の請求内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1は、内因性・構成的活性FPRL-2(“FPRL-2 wt”)、Gs/Gi融合タンパク質構築物に融合されたFPRL-2 (“FPRL-2 (L240K)”)の非内因性・構成的活性化型、およびコントロール(“Gs/Gi”)の構成的シグナリングについての比較結果を示す、セカンドメッセンジャー細胞ベースサイクリックAMPアッセイの結果のグラフ描写である。
【図2】図2は、内因性STRL33と非内因性・構成的活性化STRL33(“STRL33(L230K)”)を、293細胞において、8XCRE-Lucレポーターアッセイを用いてコントロール(“CMV”)と比較する場合の比較分析結果をグラフ表示する。
【図3】図3は、非内因性TSHR(A623I)(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合はGPR45(“GPR45 wt”)−の同時トランスフェクション対コントロール(“CMV”)を、293細胞において細胞ベースのアデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図4】図4は、非内因性TSHR(A623I)(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合は、mGluR7(“mG1uR7wt”)−の同時トランスフェクション対非内因性TSHR(A623I)と同時トランスフェクトされた、このターゲット受容体mGluR7の非内因性・構成的活性化型(“W590S”、 “R659H”、“T771C”および“I790K”)を、293細胞において細胞ベースのアデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図5】図5は、非内因性TSHR(A623I)(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合は、mG1uR7 (“mGluR7 wt”)−の同時トランスフェクション対非内因性TSHR(A623I)と同時トランスフェクトされたこのターゲット受容体mGluR7の非内因性・構成的活性化型(“W590S”、 “R659H”、“T771C”および“I790K”)を、RGT細胞において細胞ベースのアデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図6】図6は、グルタミン酸が存在する場合と存在しない場合に、Gqタンパク質の非内因性型である、“Gq(del)”と“Gq(del)/Gi” と同時トランスフェクトされた非内因性mGluR7である“T771C”のセカンドメッセンジャーIP3産生を“Gq(del)”と“Gq(del)/Gi”に比較する例を示す。
【図7】図7は、内因性・非構成的活性GPR37(“wt”)とGPR37の非内因性・構成的活性化型(“C543Y”と “L352R”)の、SREレポーターアッセイにおける比較分析であり、ここでコントロールは発現ベクター(“CMV")である。
【図8】図8は、Gs/Gi融合構築物と内因性ターゲット受容体−この場合はGPR37(“GPR37 wt”)−の同時トランスフェクション対Gs/Gi融合構築物と同時トランスフェクトされたこのターゲット受容体GPR37の非内因性・構成的活性化型(“C543Y”と “L352R”)の、全細胞セカンドメッセンジャーcAMPアッセイを用いる比較分析である。
【図9】図9は、フォルスコリン処理ラットシュワン細胞で発現されたGPR37のノーザン分析の写像である。細胞分化は20uM フォルスコリンで維持された。
【図10】図10は、ラット圧挫坐骨神経で発現されたGPR37のノーザン分析の写像である。GPR37は、圧挫後7日目に高度にアップレギュレートされた。
【図11】図11は、IP3アッセイにおける、内因性・非構成的活性HF1948(“wt”) とHF1948の非内因性・構成的活性化型(“I281F”) の比較分析であり、ここでコントロールは発現ベクター(“pCMV”)である。
【図12】図12は、非内因性TSHR−A623I(“シグナルエンハンサー”)と内因性ターゲット受容体−この場合は、HF1948(“HF1948wt”)−の同時トランスフェクション対非内因性TSHR−A623Iと同時トランスフェクトされたこのターゲット受容体HF1948の非内因性・構成的活性化型(“I281F”と “E135N”) を、全細胞アデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。このアッセイは、TSHRの内因性リガンドである、TSHの添加を含む。
【図13】図13は、複数の膵臓細胞株を用いる、GPR66のノーザンブロットの結果の写真の複写である。
【図14】図14は、内因性GPR35と非内因性・構成的活性化型GPR35(“GPR35(A216K)”)を、293A細胞において、E2F−Lucレポーターアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。
【図15】図15は、複数の組織(ヒト)cDNAを用いる、GPR35のノーザンブロットの結果の写真の複写である。
【図16】図16は、非内因性TSHR-A623I (“TSHR-A623I”) (TSHが存在する場合としない場合)と内因性ETBR-LP2 (“WT”)の同時トランスフェクション対変異型TSHR-A623I (TSHが存在する場合としない場合)と同時トランスフェクトされた非内因性・構成的活性化ETBR-LP2 (“N358K”)を、アデニリルシクラーゼアッセイを用いて比較分析した結果をグラフ表示する。
【図17】図17は、内因性ETBR-LP2 (“WT”) と非内因性・構成的活性化ETBR-LP2 (“N358K”)を、AP1レポーターアッセイ系を用いて、比較分析した結果をグラフ表示する。
【図18】図18は、フォルスコリン処理ラットシュワン細胞で発現されたETBR-LP2 のノーザン分析の写像である。細胞分化は20uM フォルスコリンで維持された。
【図19】図19は、ラット圧挫坐骨神経で発現されたETBR-LP2 のノーザン分析の写像である。GPR37は、圧挫後7日目に高度にアップレギュレートされた。
【図20A】図20Aと20Bは、ヒトETBR LP2 (“hETBRLP2p”) の推定アミノ酸配列とヒトGPR37 (“hGPR37p”)の報告されたアミノ酸配列のアライメント報告を示す。
【図20B】図20Aと20Bは、ヒトETBR LP2 (“hETBRLP2p”) の推定アミノ酸配列とヒトGPR37 (“hGPR37p”)の報告されたアミノ酸配列のアライメント報告を示す。
Claims (36)
- 配列番号2のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項1に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号1のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項3に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号4のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項5に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号3のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項7に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号6のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項9に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号5のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項11に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号8のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項13に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号7のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項15に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号10のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項17に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号9のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項19に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号12のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項21に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号11のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項23に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号14のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項25に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号13のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項27に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号16のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項29に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号15のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項31に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
- 配列番号18のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役受容体。
- 請求項33に記載のGタンパク質共役受容体の非内因性・構成的活性化型。
- ベクターと配列番号17のcDNAを含むプラスミド。
- 請求項35に記載のプラスミドを含む宿主細胞。
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