JP2001358072A - 投影露光装置、露光方法、半導体の製造方法及び投影光学系の調整方法 - Google Patents

投影露光装置、露光方法、半導体の製造方法及び投影光学系の調整方法

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JP2001358072A
JP2001358072A JP2001164376A JP2001164376A JP2001358072A JP 2001358072 A JP2001358072 A JP 2001358072A JP 2001164376 A JP2001164376 A JP 2001164376A JP 2001164376 A JP2001164376 A JP 2001164376A JP 2001358072 A JP2001358072 A JP 2001358072A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 投影光学系内に残存する投影光学系の光軸に
対して回転非対称な光学特性を調整可能としながら、耐
久性、再現性に優れた高性能な投影露光装置を提供する
ことである。 【解決手段】 第1物体35を照明する照明光学系と、
照明光学系によって照明された第1物体の像を第2物体
38に投影する投影光学系36とを有する投影露光装置
において、第1物体と第2物体との間に、投影光学系に
て残存する回転非対称な非点収差成分を補正する第1光
学手段(1B、2B)と、投影光学系にて残存する回転
非対称な倍率誤差成分を補正する第2光学手段(1A、
2A)とを有し、第1光学手段は、回転非対称な倍率誤
差成分にあまり影響を及ぼさずに回転非対称な非点収差
成分を補正し、第2光学手段は、回転非対称な非点収差
成分にあまり影響を及ぼさずに回転非対称な倍率誤差成
分を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1物体に光を照
明し、照明された第1物体のパターンを第2物体として
の基板等に縮小投影するための投影露光装置に関するも
のであり、特に、第1物体としてのレチクル(マスク)
上に形成された回路パターンを第2物体としての基板
(ウェハ)上に投影露光するのに好適な投影露光装置に
関するものである。また、本発明は、この投影露光装置
を用いた露光方法及び半導体の製造方法に関するもので
ある。更に本発明はレクチルのパターン像を基板に投影
する投影光学系の調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年においては、集積回路のパターンが
微細になるに従って、ウェハの焼き付けに用いられる投
影露光装置に対して要求される性能もますます厳しくな
ってきている。この様な状況の中で投影光学系について
は高い解像力、像面の平坦性、少ないディストーション
(以下、歪曲収差と称する。)等が要求されている。そ
れらのために、露光波長λを短くする他に、投影光学系
の開口数NAを大きくしたり、像面湾曲を小さくし、歪
曲収差を軽減する事が行われてきた。この様な例として
は、特開平4−157412号、特開平5−17306
5号等のものがある。
【0003】また、倍率誤差だけを調整する方法とし
て、特開昭59−144127号、特開昭62−356
20号がある。前者では、非常に薄く像性能に影響を与
えない膜、例えばペリクルを湾曲させて光路中に配置す
ることが提案されており、後者では回転対称な平凸レン
ズ、あるいは回転対称な平凸レンズと平凹レンズの組
を、光軸方向に動かしてウエハ面での全体の倍率を等方
的に調整することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
4−157412号及び特開平5−173065号の各
特許公報にて提案されている高性能な投影光学系は、レ
ンズの構成枚数が15〜24枚で、特に、開口数NAが
0.4以上の高解像の投影光学系になると、構成枚数が
20枚以上と非常に多くなっている。このように、要求
性能が厳しくなってくるにしたがって、ますます投影光
学系は構成枚数も増えて非常に複雑な構成になってきて
いる。そのため、これらの投影光学系を実際に製造し、
投影露光装置に搭載して、像面湾曲、非点収差、歪曲収
差等の収差を設計値どおりにおさえ、高性能を発揮させ
るには、個々のレンズ部品の精度や組立の精度を非常に
厳しくおさえる必要があり、そのため歩留まりが悪かっ
たり、製造する日程が非常にかかったり、あるいは、十
分な性能が発揮できない等の問題があった。
【0005】また、特開昭59−144127号にて提
案されている倍率誤差の補正方法では、光学系の結像性
能に影響を与えないような極めて薄い膜等を湾曲させて
そのプリズム作用によって倍率誤差を補正しているもの
の、投影光学系内に残存する方向性のある非対称な倍率
誤差成分の補正量や補正方向に対する微調整はできな
い。しかも、薄い膜を用いているために、ミラープロジ
ェクション方式のように露光領域が細長い場合には、金
枠等に貼って2次元的に保持可能であるが、露光領域が
長方形や正方形の場合には、そのような薄い膜を3次元
的に保持し、良い再現性を発揮させるのは非常に困難で
ある。また、形状を保持するために薄い膜の代わりにガ
ラス等を使用するとしても、結像性能に影響を与えない
ように薄くかつ均一にそれらを作成するのはやはり困難
であり、さらに、それらの膜等を実際に使用したときの
露光光の熱吸収等による破損事故を含めての膜等の耐久
性、露光光の熱吸収や環境変化に伴う光学性能の変化に
対して非常に問題がある。
【0006】また、特開昭62−35620号では回転
対称なレンズを使用して倍率誤差を調整することが提案
されているが、回転対称なレンズを光軸方向に動すだけ
では、ウエハ面での全体の倍率だけを等方的しか調整で
きず、投影光学系内に残存する方向性のある非対称な倍
率誤差成分は調整できない。
【0007】さらに、特開昭59−144127号及び
特開昭62−35620号にて提案されている倍率誤差
の補正方法では、倍率誤差のみが基本的に補正可能であ
り、軸外収差としての非点収差等に対する補正は出来
ず、さらには、投影光学系内にて回転非対称で局所的に
ランダムに残存する倍率誤差成分や歪曲収差成分に対す
る対応も困難であった。
【0008】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされた
ものであり、個々の部品の精度や組立の精度を非常に厳
しく抑えることなしに、投影光学系内に残存する投影光
学系の光軸に対して回転非対称な光学特性、例えば回転
非対称な軸外収差成分(非点収差、像面湾曲等)、回転
非対称な倍率誤差成分等を調整可能としながら、耐久
性、再現性に優れた高性能な投影露光装置を提供するこ
とを主たる目的としている。また、この投影露光装置を
用いた露光方法及び半導体の製造方法を提供することを
目的としている。また、投影露光装置に用いられる投影
光学系の調整方法を提供することを目的としている。さ
らには、投影光学系内にて回転非対称で局所的にランダ
ムに残存する回転非対称な歪曲収差等の補正に対しても
十分に対応し得ることを副次的な目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明の投影露光装置は、第1物体を照明す
る照明光学系と、該照明光学系によって照明された前記
第1物体の像を第2物体に投影する投影光学系とを有す
る投影露光装置において、前記第1物体と前記第2物体
との間に前記投影光学系にて残存する回転非対称な非点
収差成分を補正する第1光学手段と、前記第1物体と前
記第2物体との間に前記投影光学系にて残存する回転非
対称な倍率誤差成分を補正する第2光学手段とを有し、
前記第1光学手段は、前記回転非対称な倍率誤差成分に
あまり影響を及ぼさずに前記回転非対称な非点収差成分
を補正し、前記第2光学手段は、前記回転非対称な非点
収差成分にあまり影響を及ぼさずに回転非対称な倍率誤
差成分を補正することを特徴とする。
【0010】また、第2の発明の露光方法は、第1の発
明の投影露光装置を用いた露光方法において、前記照明
光学系を用いて前記第1物体としてのレチクルを照明す
る工程と、前記投影光学系を用いて前記レチクルのパタ
ーン像を前記第2物体としての基板に投影する工程とを
含むことを特徴とする。
【0011】また、第3の発明の半導体の製造方法は、
第1の発明の投影露光装置を用いた半導体の製造方法に
おいて、前記照明光学系を用いて前記第1物体としての
レチクルを照明する工程と、前記投影光学系を用いて前
記レチクルのパターン像を前記第2物体としてのウエハ
に投影する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】また、第4の発明の投影光学系の調整方法
は、レチクルのパターン像を基板に投影する投影光学系
の調整方法において、前記レチクルと前記基板との間に
おいて前記投影光学系にて残存する回転非対称な非点収
差成分を補正する第1工程と、前記レチクルと前記基板
との間において前記投影光学系にて残存する回転非対称
な倍率誤差成分を補正する第2工程とを有し、前記第1
工程は、前記回転非対称な倍率誤差成分にあまり影響を
及ぼさずに前記回転非対称な非点収差成分を補正し、前
記第2工程は、前記回転非対称な非点収差成分にあまり
影響を及ぼさずに回転非対称な倍率誤差成分を補正する
ことを特徴とする。
【0013】また、第5の発明の投影露光装置は、第4
の発明の投影光学系の調整方法によって調整された投影
光学系と、前記レチクルを照明する照明光学系とを有す
ることを特徴とする。
【0014】また、第6の発明の露光方法は、第5の発
明の投影露光装置を用いた露光方法において、前記照明
光学系を用いて前記レチクルを照明する工程と、前記投
影光学系を用いて前記レチクルのパターン像を前記基板
に投影する工程とを含むことを特徴とする。
【0015】また、第7の発明の半導体の製造方法は、
第5の発明の投影露光装置を用いた半導体の製造方法に
おいて、前記照明光学系を用いて前記レチクルを照明す
る工程と、前記投影光学系を用いて前記レチクルのパタ
ーン像を前記基板に投影する工程とを含むことを特徴と
する。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に示すように、直交した方向
で異なるパワーを持つトーリックレンズの1種である負
の屈折力を持つ円柱レンズ1のメリジオナル方向(y
y'平面方向)の焦点距離をf1、円柱レンズ1から第
1物体としてのレチクル面4(xy平面)までの距離を
d11、レチクル面4の中心位置(レチクル面と光軸A
xとが交わる位置)を物点とする時に円柱レンズ1によ
って物点(レチクル面4)と円柱レンズ1との間に形成
される像点(虚像)位置をd12としたとき、この円柱
レンズ1によるy軸よりθ回転したY方向(光軸Axと
Y軸とを含む平面方向)の結像倍率β1及び円柱レンズ
1から像点位置までの距離d12(以下、単に結像位置
と称する。)は以下に示す如くなる。なお、図1では不
図示であるが円柱レンズに対してレチクル面4の反対側
には、レチクルのパターンをウエハに投影するための投
影光学系が配置されており、後述する図2〜図4に関し
ても同様である。
【0017】 β1=f1/(d11・cos2 θ+f1) (1) d12=d11・f1/(d11・cos2 θ+f1) (2) 同様に、Y方向と直交するX方向(光軸AxとX軸とを
含む平面方向)の結像倍率β1'と結像倍率d12'は以
下に示す如くなる。
【0018】 β1'=f1/(d11・sin2 θ+f1) (3) d12'=d11・f1/(d11・sin2 θ+f1) (4) 従って、非点収差量AS1は AS1=d12−d12' (5) で与えられる。
【0019】よって、円柱レンズ1を移動させれば、
(1)式〜(4)式中のd11が変化するため、(5)
式より非点収差量が変化するとともに、(1)式及び
(3)式の倍率が変化することが理解できる。
【0020】一方、円柱レンズ1を回転させれば、
(1)式〜(4)式中のθが変化するため、(5)式よ
り非点収差量が変化するとともに、(1)式及び(3)
式の倍率が変化することが理解できる。
【0021】また、図2に示すように、トーリックレン
ズの1種である正の屈折力を持つ円柱レンズ2のメリジ
オナル方向(yy'平面方向)の焦点距離をf2,円柱
レンズ2から第1物体としてのレチクル面4(xy平
面)までの距離をd21、レチクル面4の中心位置(レ
チクル面と光軸Axとが交わる位置)を物点とする時に
円柱レンズ2によって形成される像点位置をd22とし
たとき、この円柱レンズ2によるy軸よりθ回転したY
方向(光軸AxとY軸とを含む平面方向)の結像倍率β
2及び円柱レンズ2から像点位置d22までの距離(以
下、単に結像位置と称する。)は以下に示す如くなる。
【0022】 β2=f2/(d21・cos2 θ+f2) (6) d22=d21・f2/(d21・cos2 θ+f2) (7) 同様に、Y方向と直交するX方向(光軸AxとX軸とを
含む平面方向)の結像倍率β2'と結像倍率d22'は以
下に示す如くなる。
【0023】 β2'=f2/(d21・sin2 θ+f2) (8) d22'=d21・f2/(d21・sin2 θ+f2) (9) よって、非点収差量AS2は AS2=d22−d22' (10) で与えられる。
【0024】よって、円柱レンズ2を移動させれば、
(6)式〜(10)式中のd21が変化するため、(1
0)式より非点収差量が変化するとともに、(6)式及
び(8)式の倍率が変化することが理解できる。
【0025】一方、円柱レンズ2を回転させれば、
(6)式〜(9)式中のθが変化するため、(10)式
より非点収差量が変化するとともに、(6)式及び
(8)式の倍率が変化することが理解できる。
【0026】さて、上記(5)式及び(10)式にて示
したAS1、AS2は、それぞれの円柱レンズ(1,
2)によって補正できる非点収差量になる。
【0027】そのときの最良像面はそれぞれ、 (d12+d12')/2 (11) (d22+d22')/2 (12) で与えられ、その最良像面は、d11、d21、θによ
って変化するため、よって、像面湾曲の量も変化するこ
とが分かる。
【0028】以上の如く、結像倍率、非点収差、像面湾
曲に対する量並びに方向を調整するためには、円柱レン
ズ等のトーリックレンズを光軸方向に移動させるか、あ
るいは円柱レンズ等のトーリックレンズ自体を回転させ
れば良いことが理解される。なお、上記の調整手法以外
にトーリックレンズ自体の焦点距離を変ても良い。
【0029】さて、図2に示した円柱レンズ2を用いる
場合において最大の非点収差の補正量を見積もるために
θ=0とすると、そのときの最大の非点収差は以下の如
くなる。
【0030】 AS2max =−(d21)2 /(d21+f2) (13) 今、第1物体としてのレチクルから第2物体としてのウ
エハまでの距離をLとしたとき、10ミクロン以下の線
幅を焼き付ける投影露光装置に関し、試し焼付けを行っ
て検討を重ねていった結果、補正すべき最大の非点収差
量AS2max は、10-5L以下とすることが良い事が判
明した。
【0031】従って、d21≦10-2Lとすると、(1
3)式より、 |f2|≧10L (14) となり、正の円柱レンズ2の焦点距離は上記(14)式
の範囲を満足することが望ましい。
【0032】なお、図1及び図2に示した如き2つ以上
の円柱レンズ等のトーリックレンズを組み合わせる場合
や、他の光学素子と組み合わせる場合には、レチクル4
の物点が、第1のトーリックレンズや他の光学素子によ
ってできた、着目している方向での結像位置を新たな物
点として、この新たな物点から次のトーリックレンズや
他の光学素子までの距離を求め直して、その距離をd1
1やd21にしてやれば良い。
【0033】ところで、図1にて示した負の円柱レンズ
1と図2にて示した正の円柱レンズ2とを光軸方向に沿
って直列的に配置した場合について検討する。
【0034】今、2つの円柱レンズ(1,2)の母線方
向が互いに一致するとともに、2つの円柱レンズの結像
倍率の積が1、即ち|β1・β2|=1である場合、各
方向での2つの円柱レンズ(1,2)の合成のパワーは
ほぼ零となり、倍率及び軸外収差(非点収差、像面湾曲
等)等の光学特性は何ら変化しない。
【0035】一方、2つの円柱レンズ(1,2)の母線
方向が互いに直交した場合には、最大の倍率並びに最大
の軸外収差を発生させることができる。
【0036】従って、2つの円柱レンズ(1,2)とを
相対的に回転させれば、投影光学系内に残存する方向性
のある非対称な倍率誤差成分及び軸外収差成分の補正量
や補正方向に対する調整が実現できることが分かる。
【0037】なお、図1に示した負の円柱レンズ1を光
軸方向に沿って2つ直列的に配置した場合、あるいは図
2に示した正の円柱レンズ2を光軸方向に沿って2つ直
列的に配置した場合には、それぞれの円柱レンズの母線
方向が互いに一致すると、最大の倍率並びに最大の軸外
収差を発生させることができ、また、それぞれの円柱レ
ンズの母線方向が互いに直交すると、ほぼ1枚の回転対
称な球面レンズと同じレンズ作用を持たせることができ
る。
【0038】このように、トーリックレンズの1種であ
る円柱レンズを少なくとも2枚用いて、少なくとも一方
の円柱レンズを回転可能にしてやる事により、倍率及び
軸外収差(非点収差、像面湾曲等)等の光学特性の量と
方向を任意に調整する事が出来る。
【0039】以上においては、非点収差及び像面湾曲に
関する調整について主に述べてきたが、次に、図1にて
示した負の円柱レンズ1または図2に示した正の円柱レ
ンズ2を光軸Axを中心に回転させた時の倍率誤差の調
整に関して図3〜図7を参照しながら詳述する。
【0040】図3は図1に示した負の円柱レンズ1に対
し光軸Axを中心とした半径Rの平行光束を入射させた
時の様子を示している。ここで、図3において、光軸A
xを中心とした半径Rの平行光束がレチクル面4(xy
平面)を通過した時の軌跡を円13として示し、光軸A
xを中心とした半径Rの平行光束が円柱レンズ1によっ
て発散作用を受けた光束が仮想平面(x'y'平面)を通
過するときの軌跡を楕円11として示している。また、
図5は、図3に示した仮想平面(x'y'平面)上での光
束径の様子を示している。
【0041】一方、図4は図2に示した正の円柱レンズ
2に対し光軸Axを中心とした半径Rの平行光束を入射
させた時の様子を示している。ここで、図4において、
光軸Axを中心とした半径Rの平行光束がレチクル面4
(xy平面)を通過した時の軌跡を円13として示し、
光軸Axを中心とした半径Rの平行光束が円柱レンズ2
によって収斂作用を受けた光束が仮想平面(x'y'平
面)を通過するときの軌跡を楕円12として示してい
る。また、図6は、図4に示した仮想平面(x'y'平
面)上での光束径の様子を示している。
【0042】なお、図3中の楕円11及び図4中の楕円
12は、円柱レンズ(1,2)を光軸中心に回転させれ
ば、それに伴って回転する。
【0043】図7に示すように、負の円柱レンズ1によ
る仮想平面(x'y'平面)上のメリジオナル方向である
y'方向(光軸Axとy'軸とを含む平面方向)の光束径
の変化量をΔR1としたとき、負の円柱レンズ1より仮
想平面(x'y'平面)までの距離をe1とすると以下の
関係が成立する。
【0044】 ΔR1=−R・e1/f1 (15) 同様に、図8に示すように、正の円柱レンズ2による仮
想平面(x'y'平面)上のメリジオナル方向であるy'
方向(光軸Axとy'軸とを含む平面方向)の光束径の
変化量をΔR2としたとき、正の円柱レンズ2より仮想
平面(x'y'平面)までの距離をe2とすると以下の関
係が成立する。
【0045】 ΔR2=−R・e2/f2 (16) よって、図5及び図6に示される如く、仮想平面(x'
y'平面)上での実線で示すy'方向の径(図5では長径
の半分、図6では短径の半分)は、それぞれ y'=R(1−e1/f1) (17) y'=R(1−e2/f2) (18) となり、円の式、すなわち y=±〔R2 +(x')20.5 (19) を代入して、x' y'座標をxy座標に変換すると、図
5及び図6の実線で示す楕円11、楕円12は、それぞ
れ以下の如く表現できる。
【0046】 x2 /R2 +y2 /〔(1−e1/f1)・R〕2 =1 (20) x2 /R2 +y2 /〔(1−e2/f2)・R〕2 =1 (21) となる。
【0047】このように、投影光学系内部に例えば図6
に示す如き非対称な倍率誤差を有している場合には、図
5の如き光学特性を有する図3の円柱レンズ1を回転さ
せる事によって、図6に示す如き光束径は楕円から円に
わたり任意に変化させることができるため、非対称な倍
率誤差を調整することができる。逆に、投影光学系内部
に例えば図5に示す如き非対称な倍率誤差を有している
場合には、図6の如き光学特性を有する図4の円柱レン
ズ2を回転させる事によって、図5に示す如き光束径は
楕円から円にわたり任意に変化させることができるた
め、非対称な倍率誤差を調整することができる。
【0048】ここで、図1に示す如き負の円柱レンズ1
を用いる場合、第1物体としてのレチクルから第2物体
としてのウエハまでの距離をLとしたとき、10ミクロ
ン以下の線幅を焼き付ける投影露光装置に関し、試し焼
付けを行って検討を重ねていった結果、最大の倍率誤差
の補正量は、10-4(=100ppm) 以下とすることが良い
事が判明した。
【0049】また、円柱レンズ1の焦点距離f1と円柱
レンズ1の倍率β1との関係を示す上記(1)式を変形
すると、次式が得られる。
【0050】 f1=(−d11・β1)/(β1−1) (23) 従って、上記最大の倍率誤差の補正量10-4(=100pp
m) をβ1に換算すると、β1= 0.9999 (又は1.000
1)となり、d11≦10-2Lとすると、(23)式よ
り、 |f2|≧102 L (24) となり、正の円柱レンズ2の焦点距離は上記(24)式
の範囲を満足することが望ましい。
【0051】なお、以上では、1つのトーリックレンズ
(円柱レンズ)を光軸方向を中心として回転させて倍率
誤差を補正する例を述べたが、1つのトーリックレンズ
(円柱レンズ)を光軸方向に移動させて、倍率誤差を補
正できることは、上記(1)、(3)式、(6)及び
(8)式から明らかである。この場合には、上記(2
4)式を満足することがより好ましい。
【0052】ところで、以上においては、1つのトーリ
ックレンズ(円柱レンズ)を用いて倍率誤差を補正でき
る事について述べたが、トーリックレンズの1種である
円柱レンズを少なくとも2枚用いて、少なくとも一方の
円柱レンズを回転可能にしてやる事により、倍率誤差等
の光学特性の量と方向を任意に調整する事が出来る。
【0053】このため、図1に示した負の円柱レンズ1
と図2に示した正の円柱レンズ2とを投影光学系の光軸
方向に沿って直列的に配置し、これらを相対的に回転さ
せても良い。この場合、負の円柱レンズ1は図5に示す
如き光学特性を有し、正の円柱レンズ1は図6に示す如
き光学特性を有していたため、これらの円柱レンズ
(1,2)によって形成される光束径は、図5及び図6
に示す光束径の合成となり、これらを相対的に回転させ
れば、光束径は楕円から円にわたり任意に変化させるこ
とができ、非対称な倍率誤差を補正できることが理解で
きる。
【0054】さらに、投影光学系内部に例えば図5又は
図6に示す如き非対称な倍率誤差を有している場合に
は、少なくとも2つ以上の円柱レンズを光軸方向に沿っ
て直列的に配置し、それらの円柱レンズの内の少なくと
も1つを回転可能に設ければ、図5または図6に示す如
き光束径は楕円から円にわたり任意に変化させることが
できるため、非対称な倍率誤差を調整することができ
る。
【0055】なお、2つ以上のトーリックレンズ(円柱
レンズ)を組み合わせる場合や、他の光学素子と組み合
わせる場合には、着目している光束が、第1のトーリッ
クレンズ(円柱レンズ)や他の光学素子を通過して出来
る光束を新たな光束として、次のトーリックレンズ(円
柱レンズ)等に入射してきたとして追跡を行ってやれば
良い。
【0056】2つのトーリックレンズ(円柱レンズ)の
組み合わせで、図1のような負の円柱レンズ1と図2の
ような正の円柱レンズを近接して設置した場合、それぞ
れのレンズの母線方向が一致したときには、各方向のト
ータルなレンズパワーはほぼ0となり、光束形状は変わ
らないが、それぞれのレンズの母線方向が直交した場合
には、最大の形状変化となる。
【0057】また、図1に示した負の円柱レンズ1を光
軸方向に沿って2つ直列的に配置した場合、あるいは図
2に示した正の円柱レンズ2を光軸方向に沿って2つ直
列的に配置した場合には、それぞれの円柱レンズの母線
方向が互いに一致すると、最大の倍率並びに最大の軸外
収差を発生させることができ、また、それぞれの円柱レ
ンズの母線方向が互いに直交すると、ほぼ1枚の回転対
称な球面レンズと同じレンズ作用を持たせることができ
る。
【0058】このように、トーリックレンズの1種であ
る円柱レンズを少なくとも2枚用いて、少なくとも一方
の円柱レンズを回転可能にしてやる事により、倍率及び
軸外収差(非点収差、像面湾曲等)等の光学特性の量と
方向を任意に調整する事が出来る。
【0059】なお、上述した(14)式並びに(24)
式を一般的な形で表現すれば、非点収差の補正に有効に
作用させ得る円柱レンズの焦点距離をfA 、倍率誤差の
補正に有効に作用させ得る円柱レンズの焦点距離をfD
とすると、 |fA |≧10L (25) |fD |≧102 L (26) となり、非点収差の有効に補正するには上記(25)式
を満足することが望ましく、また倍率誤差の有効に補正
するには上記(26)式を満足することが望ましい。但
し、この場合の円柱レンズの焦点距離(fA ,fD )
は、単一の円柱レンズに限らず、複数の円柱レンズ等の
トーリックレンズやトーリック型の反射部材を組み合わ
せた場合にも適用できる。すなわち、この円柱レンズの
焦点距離(fA ,fD )は複数のトーリック型光学部材
を組み合わせた場合での複数の円柱レンズの合成焦点距
離となる。
【0060】(25)式または(26)式の関係から外
れると、トーリックの成分が強すぎて、それぞれ他の収
差への影響が出て問題となる。例えば、非点収差の補正
では、像面湾曲、倍率誤差が悪くなったり、倍率誤差の
補正ではテレセン性、非点収差が悪くなったりする。こ
のため、上記範囲内であれば、有効に非対称収差の補正
が行うことが出来る。
【0061】ところで、上記(25)式、(26)式で
はトーリック型光学部材の最適な焦点距離の範囲を示し
たが、次に別の観点よりトーリック型光学部材の最適な
焦点距離の範囲について検討する。
【0062】まず、図9には、投影光学系が開口絞りS
を挟んでレチクル4側を前群GF 、ウエハ5側を後群G
R を持つ構成を示しており、ここでは、前群GF はfGF
の焦点距離を有し、後群GR はfGRの焦点距離を有して
おり、投影光学系はレチクル側並びにウエハ5側でテレ
セントリックである。
【0063】図10は図9に示した投影光学系の前群G
F とレチクル4との間にトーリック型光学部材としての
正のパワーを持つ円柱レンズを配置した時の様子を示し
ており、この円柱レンズ2のパワーは図10の紙面方向
(メリジオナル方向)である。
【0064】ここで、図10に示す如く、円柱レンズ2
の焦点距離をf2とし、円柱レンズ2と前群GF との間
の距離(双方の光学系の主点間隔の距離)をD1 とする
と、円柱レンズ2と前群GF との合成焦点距離F1 は、
以下の関係が成立する。
【0065】 F1 =(f2・fGF)/(f2+fGF−D1 ) (27) また、投影光学系(GF ,GR )の結像倍率B1 とし、
円柱レンズ2と投影光学系(GF ,GR )との合成系で
の結像倍率B1'とすると、以下の関係が成立する。
【0066】 B1 =−fGR/fGF (28) B1'=−fGR/F1 =B1 〔1+(fGF−D1 )/f2〕 (29) 従って、投影光学系のサジタル方向とメリジオナル方向
での倍率差ΔB1 は、以下の如くなる。
【0067】 ΔB1 =B1'−B1 =B1 (fGF−D1 )/f2 (30) 一方、円柱レンズ2と前群GF との合成系によるレチク
ル側の主点をH1 、円柱レンズ2と前群GF との合成系
によるレチクル側での焦点位置をP1 、その焦点位置P
1 とレチクル4までの距離をΔs1 、円柱レンズ2と投
影光学系(GF,GR )との合成系によるレチクル4の
結像位置Q1 からウエハ5までの距離をΔs1'とする
と、以下の関係が成立する。
【0068】 Δs1 =(fGF−D12 /(f2+fGF−D1 ) (31) Δs1'=(B1')2 ・Δs1 (32) ここで、Δs1'は投影光学系のサジタル方向とメリジオ
ナル方向での結像位置の差、すなわち非点収差量(非点
隔差)を意味する。
【0069】また、投影光学系のレチクル側の開口数を
NAR 、露光光の波長をλとすると、投影光学系のレチ
クル側での焦点深度DOFR は以下の如くなる。
【0070】 DOFR =λ/(NAR2 (33) そこで、非点収差量を投影光学系のレチクル側での焦点
深度以内に抑えるためには、上式(31)式及び(3
3)式より、次式が導出される。
【0071】 f2≧−(fGF−D1 )+〔(NAR )2(fGF−D12 〕/λ (34 ) 従って、(34)式を満足するように円柱レンズ2を構
成することが好ましく、これにより、非点収差量を焦点
深度以内に抑えることが可能となる。
【0072】この(34)式を一般的に表現すれば、ト
ーリック型光学部材の直交した方向でのパワー差をΔf
とすると、以下の如くなる。 Δf≧|−(fGF−D1 )+〔(NAR )2(fGF−D12 〕/λ| (35 ) この様に、トーリック型光学部材を用いた場合、この部
材による非点収差量を投影光学系のレチクル側での焦点
深度以内に抑えるためには、上式(35)を満足するこ
とが好ましいことが理解される。なお、上式(34)及
び(35)の関係は、投影光学系が等倍、縮小または拡
大の倍率を有する場合にも成立する事は言うまでもな
い。
【0073】一例として、投影光学系のレチクル側の開
口数NAR を0.1、露光光の波長をλを436nm、
GF=250mm、fGR=250mm、D1 =200m
mとすると、上記(34)式より、円柱レンズのメリジ
オナル方向での焦点距離f2、一般的に言うと上記(3
5)式より、トーリック型光学部材の直交した方向での
パワー差Δfは、5.7×104 mm以上となり、この
時の可変にし得る倍率補正量(倍率差ΔB1 )は、87
0ppm(=8.7×10-4)以下となる。
【0074】なお、以上においては、トーリック型光学
部材をレチクルと投影光学系との間に配置した場合を前
提として、(35)式を導出したが、トーリック型光学
部材を投影光学系とウエハとの間に配置した場合にも同
様な関係が成立するため、この場合には、以下の関係を
満足することが望ましい。
【0075】 Δf≧|−(fGR−D1')+〔(NAW )2(fGR−D1')2 〕/λ| (3 6) 但し、NAW は投影光学系のウエハ側の開口数であり、
1'はトーリック型光学部材と後群GR との間の距離
(双方の光学系の主点間隔の距離)である。
【0076】次に、図11を参照しながら、投影光学系
中の前群GF と後群GR との間、換言すれば、開口絞り
Sの近傍に正の円柱レンズ2を配置した時のその円柱レ
ンズ2の最適な焦点距離範囲について検討する。図11
は図9に示した投影光学系の前群GF と後群GR との間
にトーリック型光学部材としての正のパワーを持つ円柱
レンズ2を配置した時の様子を示しており、この円柱レ
ンズ2のパワーは図11の紙面方向(メリジオナル方
向)である。
【0077】ここで、図11に示す如く、円柱レンズ2
の焦点距離をf2とし、前群GF と円柱レンズ2との間
の距離(双方の光学系の主点間隔の距離)をD2 とする
と、前群GF と円柱レンズ2との合成焦点距離F2 は、
以下の関係が成立する。
【0078】 F2 =(f2・fGF)/(f2+fGF−D2 ) (37) また、投影光学系(GF ,GR )の結像倍率B2 とし、
円柱レンズ2と投影光学系(GF ,GR )との合成系で
の結像倍率B2'とすると、以下の関係が成立する。
【0079】 B2 =−fGR/fGF (38) B2'=−fGR/F2 =B2 〔1+(fGF−D2 )/f2〕 (39) 従って、投影光学系のサジタル方向とメリジオナル方向
での倍率差ΔB2 は、以下の如くなる。
【0080】 ΔB2 =B2'−B2 =B2 (fGF−D2 )/f2 (40) 一方、前群GF と円柱レンズ2との合成系によるレチク
ル側の主点をH2 、前群GF と円柱レンズ2との合成系
によるレチクル側での焦点位置をP2 、その焦点位置P
2 とレチクル4までの距離をΔs2 、投影光学系(GF
,GR )と円柱レンズ2との合成系によるレチクル4
の結像位置Q2 からウエハ5までの距離をΔs2 'とす
ると、以下の関係が成立する。
【0081】 Δs2 =(fGF2 /(f2+fGF−D2 ) (41) Δs2'=(B2')2 ・Δs2 (42) ここで、Δs2'は投影光学系のサジタル方向とメリジオ
ナル方向での結像位置の差、すなわち非点収差量(非点
隔差)を意味する。
【0082】そこで、非点収差量を投影光学系のレチク
ル側での焦点深度以内に抑えるためには、上式(33)
式及び(41)式より、次式が導出される。
【0083】 f2≧−(fGF−D2 )+〔(NAR )2(fGF2 〕/λ (43) 従って、(43)式を満足するように円柱レンズ2を構
成することが好ましく、これにより、非点収差量を焦点
深度以内に抑えることが可能となる。
【0084】この(43)式を一般的に表現すれば、ト
ーリック型光学部材の直交した方向でのパワー差をΔf
とすると、以下の如くなる。
【0085】 Δf≧|−(fGF−D2 )+〔(NAR )2(fGF2 〕/λ| (44) この様に、トーリック型光学部材を用いた場合、この部
材による非点収差量を投影光学系のレチクル側での焦点
深度以内に抑えるためには、上式(44)を満足するこ
とが好ましいことが理解される。なお、上式(43)及
び(44)の関係は、投影光学系が等倍、縮小または拡
大の倍率を有する場合にも成立する事は言うまでもな
い。
【0086】一例として、投影光学系のレチクル側の開
口数NAR を0.1、露光光の波長をλを436nm、
GF=250mm、fGR=250mm、D2 =200m
mとすると、上記(43)式より、円柱レンズのメリジ
オナル方向での焦点距離f2、一般的に言うと上記(4
4)式より、トーリック型光学部材の直交した方向での
パワー差Δfは、1.43×106 mm以上となり、こ
の時の可変にし得る倍率補正量(倍率差ΔB1 )は、3
5ppm(=3.5×10-5)以下となる。
【0087】以上の図9〜図11にて解析の結果より、
レチクルと投影光学系との間または投影光学系とウエハ
との間にトーリック型光学部材を配置した場合には、非
点収差に対する補正の寄与を小さく抑えつつ、倍率誤差
に対する補正の寄与を大きくすることが可能となり、一
方、投影光学系の瞳もしくはその近傍にトーリック型光
学部材を配置した場合には、倍率誤差に対する補正の寄
与を小さく抑えつつ、非点収差に対する補正の寄与を大
きくすることが可能となることが理解できる。
【0088】なお、本発明で言うトーリック光学部材と
は、回転対称な球面の1方向に対して研磨を施し、直交
した方向で異なるパワーを持たせたトーリックレンズで
も良いし、あるいは直交した方向で異なるパワーを持つ
反射鏡でも良く、さらには、直交した方向で異なるパワ
ーを持つ屈折率分布型のレンズでも良い。
【0089】ところで、これまでの説明は、投影光学系
の光軸に対して回転非対称なる非球面として、直交した
方向で異なるパワーのあるトーリック光学部材を用いて
回転非対称に発生する非点収差、像面湾曲、倍率誤差等
を補正することについて述べたが、回転非対称に発生す
るこれらの収差や倍率誤差に加えて、投影光学系内にて
回転非対称で局所的にランダムに残存する倍率誤差成分
や歪曲収差成分が発生する場合には、光軸方向に沿って
移動可能または光軸を中心に回転可能なトーリック光学
部材の1種としての円柱レンズのレンズ面に局所的に研
磨等の加工を施し、その加工が施された円柱レンズをレ
チクルとウエハとの間に配置すれば、回転非対称に発生
する非点収差、像面湾曲、倍率誤差の補正に加えて、ラ
ンダムに発生する倍率誤差成分や歪曲収差成分を補正す
ることが可能である。
【0090】さらに、投影光学系が回転非対称で局所的
にランダムに残存する倍率誤差成分や歪曲収差成分のみ
を有している場合には、投影光学系を構成する光学素子
(レンズ、反射鏡)自体に局所的に研磨等の加工を施せ
ば、ランダムに発生する倍率誤差成分や歪曲収差成分を
補正することも可能である。
【0091】また、投影光学系が回転非対称で局所的に
ランダムに残存する倍率誤差成分や歪曲収差成分のみを
有している場合において、ランダムに発生する倍率誤差
成分や歪曲収差成分を補正するために、所定の厚みを持
つ平行平面板に局所的に研磨等の加工を施し、その加工
が施された平行平面板を、レチクルと投影光学系の間、
投影光学系の内部または投影光学系とウエハとの間に配
置しても良い。但し、この場合、平行平面板は所定の厚
みを持っているため、球面収差が発生するが、その球面
収差を補正し得るように投影光学系を予め構成すれば良
い。
【0092】次に、図12を参照しながら本発明の実施
の形態について詳述する。図12は、本発明の実施の形
態による投影露光装置の構成を示している。図12に示
す如く、両側(又は片側)テレセントリックな投影レン
ズ36の上方には、不図示のレチクルステージに保持さ
れたレチクル35が配置され、レチクル35と投影レン
ズ36との間には、その投影レンズ36の光軸に対して
回転非対称なパワーを持つ光学手段として直交した方向
に異なるパワーを有するトーリック型光学部材が配置さ
れている。このトーリック型光学部材は、レチクル側か
ら順に、投影レンズ側に凹面を向け紙面方向に負のパワ
ーを持つ負の円柱レンズ1と、レチクル側に凸面を向け
紙面方向に正のパワーを持つ正の円柱レンズ2とを有
し、円柱レンズ1と円柱レンズ2とは投影レンズ36の
光軸を中心にそれぞれ回転可能に設けられている。
【0093】また、投影レンズ36に関してレチクル3
5と共役な位置には、ウエハステージ37上に載置され
たウエハ38が配置されており、このウエハステージ3
7は、2次元的に移動可能なXYステージ及び投影レン
ズ36の光軸方向に移動可能なZステージより構成され
ている。
【0094】一方、レチクル35の上方には、レチクル
35を均一にケーラー照明するための照明光学系(2
1,22,23,24,25,32,33,34)が設
けられており、照明光学系中には投影レンズの光学特性
を計測するための計測系42と、後述する露光光ILと
は異なる波長の光によってレチクル35とウエハ38と
の相対的な位置検出を光学的に行う第1アライメント系
47とがそれぞれ設けられている。
【0095】また、投影レンズ36の外側には、オフ・
アクシス型の第2アライメント系48が設けられてお
り、この第2アライメント系48は、後述する露光光I
Lとは異なる波長の光によってウエハ38の位置を光学
的に検出する。
【0096】図12に示した実施の形態を具体的に説明
すると、水銀灯等の光源21から放射される露光光IL
は、楕円鏡22によって集光され、反射ミラー23によ
って反射された後、コリメータレンズ24によりほぼ平
行光束に変換され、フライアイレンズよりなるオプティ
カルインテグレータ25に入射する。楕円鏡22の第2
焦点近傍にはシャッター26が配置され、このシャッタ
ー26をモータ等の駆動部27を介して回転することに
より、その露光光ILを随時遮断することができる。
【0097】シャッター26で露光光ILを遮断してい
る時にはそのシャッター26により反射された露光光I
Lが楕円鏡22の光軸にほぼ垂直な方向に射出されるの
で、この様に射出された露光光ILは集光レンズ28に
よりライトガイド29の一端に入射させる。従って、光
源21から放射される露光光ILはオプティカルインテ
グレータ25またはライトガイド29の何れかに入射す
る。
【0098】オプティカルインテグレータ25に露光光
ILが入射すると、オプティカルインテグレータ25の
レチクル側の焦点面には多数の2次光源像(以下、単に
2次光源と称する。)が形成され、この2次光源形成面
に可変開口絞り30が配置されている。それら2次光源
から射出された露光光ILは光軸に対し45度傾斜して
配置されたハーフミラー31を透過した後に、第1のコ
ンデンサーレンズ32,ダイクロイックミラー33及び
第2コンデンサーレンズ34を経てレチクル35の下面
側のパターン領域を均一な照度で照明する。
【0099】露光時には、トーリック型光学部材(1,
2)及び投影レンズ36によりレチクル35のパターン
の像がウエハ38上に結像される。この場合、オプティ
カルインテグレータ25の2次光源形成面は投影レンズ
36の瞳面と共役であり、その2次光源形成面に配置さ
れた可変開口絞り30の口径を調整することにより、レ
チクル35を照明する照明光学系のコヒーレンシィを表
すσ値を変更することができる。レチクル35を照明す
る露光光ILの最大入射角をθIL、投影レンズ36のレ
チクル35側の開口半角をθPLとすると、σ値はsin
θIL/sinθ PLで表すことかできる。ここで、σ値は
0.3〜0.7程度に設定される。
【0100】なお、投影レンズ36の瞳位置には不図示
であるが開口絞りが設けられており、この開口絞りの開
口を可変となるように構成しても良い。また、ウエハス
テージ37のウエハホルダー近傍には、例えばガラス板
よりなる調整板39が固設されており、この調整板39
の投影レンズ36側の面には、基準パターンが形成され
ている。これに対応して、投影レンズ36のイメージフ
ィールド内でかつレチクル35のパターン領域近傍に
は、その調整板39上の基準パターンと投影レンズ36
に関して共役な位置にレチクルマークRMが形成されて
いる。一例として、調整板39側の基準パターンは遮光
部の中に形成された十字型の開口パターンよりなり、ウ
エハ35側のレチクルマークRMはその基準パターンに
トーリック型光学部材(1,2)及び投影レンズ36に
よる投影倍率を乗じて得られたパターンの明暗を反転し
て得られるパターンよりなる。
【0101】ウエハステージ37の調整板39の下面に
はコンデンサーレンズ41及び反射ミラー40が配置さ
れ、コンデンサーレンズ41の後側焦点面にライトガイ
ド29の射出端が固定されている。このライトガイド2
9の射出端の面は投影レンズ36の瞳面と共役なので可
変開口絞り30とも共役である。また、このライトガイ
ド29の射出端の発光面は、可変開口絞り30上への投
影像の大きさを可変開口絞り30の口径にほぼ等しく取
ってあり、これによって調整板39上の基準パターンは
露光光IL用の照明σ値にほぼ等しい照明σ値で照明さ
れる。さらに、露光光ILの照明光学系中において、ハ
ーフミラー31に関して可変開口絞り30と共役な位置
にフォトマルチプライアー42の受光部が配置されてい
る。即ち、フォトマルチプライアー42の受光部は投影
レンズ36の瞳面及びライトガイド29の射出端面と共
役となるうよに配置されている。その受光部の検出面
は、その上に投影されるライトガイド39の射出端の発
光面の像よりも大きく取って光量ロスを防いでいる。従
って、調整板39の基準パターンを下面側から照明した
場合には、調整板39が投影レンズ36のイメージフィ
ールドのどの位置に存在しても調整板39の基準パター
ンから射出した光の大部分は投影レンズ36及びトーリ
ック型光学部材(1,2)に入射し、レチクル35のレ
チクルマークRMを経てフォトマルチプライアー42の
受光面に入射する。
【0102】中央処理ユニット43(以下、CPUと称
する。)は、フォトマルチプライアー42と電気的に接
続されており、このフォトマルチプライアー42から出
力される光電変換信号がCPU43に供給される。ま
た、ウエハステージ37の上面にはX方向用ミラー及び
不図示のY方向用ミラーが固定され、レーザ干渉系44
及びそれら2個のミラーを用いることにより、ウエハス
テージ37上の位置の座標を常時モニターすることがで
きる。レーザ干渉系44からCPU43に対してそのウ
エハステージ37からの座標情報が供給され、CPU4
3はステージ駆動部45を介してそのウエハステージ3
7の位置を所望の座標位置まで移動させることかでき
る。
【0103】さて、次に、本実施の形態の動作について
説明する。組み立て誤差等により投影レンズ36及びト
ーリック型光学部材(1,2)内にて残存する投影光学
系の光軸に対して回転非対称な光学特性(非点収差、像
面湾曲、倍率誤差、歪曲収差)を計測するために、ま
ず、不図示のレチクルステージには、図13に示す如き
予め基準レチクル35’が配置されている。この基準レ
チクル35’のパターン領域には、図13に示す如く、
十字状のクロム等の遮光パターンが2次元的に所定の間
隔で配列されている。
【0104】CPU43は、駆動部27を介してシャッ
ター26で露光光ILを遮断した後に、ステージ駆動部
45を介してウエハステージ37上の調整板39を投影
レンズ36のイメージフィールド内に移動させる。これ
により、シャッター26から反射された露光光IL(以
下、単に照明光と称する。)が集光レンズ28及びライ
トガイド29を介してウエハステージ37の内部へ射出
される。この照明光は反射ミラー40で反射された後
に、コンデンサーレンズ41でほぼ平行光束に変換され
て、調整板39に形成された基準パターンを下面側から
照明する。この調整板39の基準パターンは、投影レン
ズ36及びトーリック型光学部材(1,2)により、基
準レチクル35’の遮光パターン上に投影され、この2
つのパターン同志の整合状態は、第2のコンデンサーレ
ンズ34、ダイクロイックミラー33、第1のコンデン
サーレンズ33及びハーフミラー31を介してフォトマ
ルチプライアー42にて光電的に検出される。そして、
CPU43は、基準レチクル35’内で2次元的に配列
された複数の遮光パターンの位置の座標をフォトマルチ
プライアー42を介して順次検出するために、レーザ干
渉系44を介してウエハステージ37の座標位置を常時
モニターしながら、ステージ駆動部45を介してウエハ
ステージ37を順次移動させる。これによって、フォト
マルチプライアー42は基準レチクル35’内で2次元
的に配列された複数の遮光パターンと調整板39の基準
パターンとの整合状態をそれぞれ光電的に検出し、CP
U43はそれぞれの整合状態となる座標位置をレーザ干
渉系44を介して、CPU43内部の第1メモリー部に
て順次格納する。さらにCPU43の内部には不図示の
第2メモリー部及び第1補正量算出部を有しており、こ
の第2メモリー部には、投影光学系の光軸に対して回転
非対称な光学特性(非点収差、像面湾曲、倍率誤差、歪
曲収差)とトーリック型光学部材(1,2)の相対的な
回転量とに関する相関的な情報が予め格納されている。
従って、第1補正量算出部は、第1及び第2メモリー部
からの情報に基づいて、トーリック型光学部材(1,
2)の補正すべき最適な相対的な回転量を算出する。そ
して、この第1補正量算出部からの補正情報に基づいて
CPU43は駆動信号をモータ等の駆動部46へ出力
し、駆動部46は所定の補正量(回転量)だけトーリッ
ク型光学部材(1,2)の相対的に回転させる。
【0105】以上の動作が完了した後、実際のプロセス
に用いる通常のレチクル35を不図示のレチクルステー
ジ上に設定し、CPU43は駆動部27を介してシャッ
ター26を切り換える。これによって、露光光ILは照
明光学系を介してレチクル35を照明して、レチクル3
5のパターン像はトーリック型光学部材(1,2)及び
投影レンズ36を介してウエハ38上に忠実に転写され
る。この様に、投影露光装置による露光転写を連続的に
行うと、投影レンズ36には露光光ILによる熱エネル
ギーが蓄えられ、投影レンズ36の光学特性の変動が生
じる恐れがあるため、露光転写の動作の途中で定期的
に、以上にて述べた如く、投影レンズ36による光学特
性を計測し、その計測した結果に基づいてトーリック型
光学部材(1,2)を回転させれば良い。この時、投影
レンズ36を構成するレンズ間での圧力を制御して、投
影レンズ36自体の倍率を調整するという周知の技術と
併用することがより望ましい。
【0106】なお、トーリック型光学部材(1,2)の
相対的な回転量によって、投影レンズ36に残存する回
転非対称な光学特性(非点収差、像面湾曲、倍率誤差、
歪曲収差)が完全に最適化された状態で補正されている
かを確認する事が望ましく、この場合には、以上の述べ
た動作を繰り返せば、より完全なる補正が達成できる。
【0107】また、投影レンズ36内に残存する倍率誤
差、歪曲収差を計測する際には、ウエハステージ37を
2次元的に移動させて基準レチクル35’内の各遮光パ
ターンの座標位置を求めれば良いが、投影レンズ36内
に残存する非点収差、像面湾曲をより正確に計測する際
には、ウエハステージ37を投影レンズ36の光軸方向
へ移動させながら、フォトマルチプライアー42からの
出力信号のコントラストが最大となるような基準レチク
ル35’内の各遮光パターンの座標位置を求めれば良
い。
【0108】さて、本実施の形態の投影露光装置は、半
導体製造プロセス等によりウエハ38の非線型な伸縮、
複数の投影露光装置によって半導体を製造する場合での
投影露光装置間の倍率誤差及び歪曲収差の差が生じる際
にも十分に対応することができる。具体的には、まず、
CPU43は、ウエハ上に形成されている複数のウエハ
マークの座標位置を、投影レンズ36の外側に設けられ
ている第2アライメント48を介して順次、光学的に検
出するために、レーザ干渉系44を介してウエハステー
ジ37の座標位置を常時モニターしながら、ステージ駆
動部45を介してウエハステージ37を順次移動させ
る。これによって、CPU43は第2アライメント48
及びレーザ干渉系44から得られるウエハ上に形成され
た各ウエハマークの座標位置をCPU43の内部の第3
メモリー部にて順次格納する。さらにCPU43の内部
には不図示の第4メモリー部及び第2補正量算出部を有
しており、この第4メモリー部には、投影光学系の光軸
に対して回転非対称な光学特性(非点収差、像面湾曲、
倍率誤差、歪曲収差)とトーリック型光学部材(1,
2)の相対的な回転量とに関する相関的な情報が予め格
納されている。従って、第2補正量算出部は、第3及び
第4メモリー部からの情報に基づいて、トーリック型光
学部材(1,2)の補正すべき最適な相対的な回転量を
算出する。そして、この補正量算出部からの補正情報に
基づいてCPU43は駆動信号をモータ等の駆動部46
へ出力し、駆動部46は所定の補正量(回転量)だけト
ーリック型光学部材(1,2)の相対的に回転させる。
【0109】以上の図12に示した実施の形態ではトー
リック型光学部材(1,2)の相対的な回転量によって
投影レンズ36に残存する回転非対称な光学特性(非点
収差、像面湾曲、倍率誤差、歪曲収差)を補正する例を
述べたが、トーリック型光学部材(1,2)を相対的に
投影レンズ36の光軸方向へ移動させても良いことは言
うまでもない。また、図12の実施の形態では投影レン
ズ36に残存する回転非対称な光学特性(非点収差、像
面湾曲、倍率誤差、歪曲収差)を自動補正する例を示し
たが、トーリック型光学部材(1,2)の回転または移
動をマニュアル的に行うことも可能である。
【0110】また、本実施の形態中の光源21、楕円鏡
22及びコリメータレンズ24の代わりに平行光束を供
給するエキシマレーザ等のレーザ光源を用いても良く、
さらにはこのレーザ、及びこのレーザ光を所定の光束断
面の光に変換するビームエキスパンダとを組み合わせて
も良い。さて、図12に示した実施の形態では、レチク
ルと投影レンズとの間にトーリック型光学部材(1,
2)を配置した例を述べたがこの配置に限ることはな
く、図14に示す如き構成としても良い。
【0111】図14の(a)は、投影レンズ36とウエ
ハ38との間にトーリック型光学部材(1,2)を配置
した例を示している。図示の如く、トーリック型光学部
材(1,2)は、ウエハ38側から順に、レチクル35
側に凹面を向けた負の円柱レンズ1と、ウエハ38側に
凸面を向けた正の円柱レンズ2とを有している。この構
成によれば、図12に示した実施例と同様に、非点収差
に対して余り影響を及ばさずに、倍率誤差の補正に対し
て大きく寄与させることができる。従って、投影レンズ
36内にて倍率誤差が大きく残存している場合において
有効(図12に示した実施例と同様に有効)である。
【0112】図14の(b)は、前群36Aと後群36
Bとからなる投影レンズ36において、前群36Aと後
群36Bとの間、即ち投影レンズ36の瞳位置もしくは
その近傍にトーリック型光学部材(1,2)を配置した
例を示している。図示の如く、トーリック型光学部材
(1,2)は、レチクル35側から順に、ウエハ38側
に凹面を向けた負の円柱レンズ1と、レチクル35側に
凸面を向けた正の円柱レンズ2とを有している。この構
成によれば、倍率誤差に対して余り影響を及ばさずに、
非点収差の補正に対して大きく寄与させることができ
る。従って、投影レンズ36内にて非点収差が大きく残
存している場合において有効である。
【0113】図14の(c)は、投影レンズ36を挟ん
でレチクル35側とウエハ38側とにそれぞれトーリッ
ク型光学部材(2A,2B)を配置した例を示してい
る。図示の如く、レチクル35と投影レンズ36との間
には、ウエハ38側に凸面を向けた第1の正の円柱レン
ズ2Aが設けられており、投影レンズ36とウエハ38
との間にはレチクル35側に凸面を向けた第2の正の円
柱レンズ2Bが設けられている。この構成によれば、図
12及び図14(a)に示した例と同様に、非点収差に
対して余り影響を及ばさずに、倍率誤差の補正に対して
大きく寄与させることができる。
【0114】図14の(d)は図14の(c)をさらに
応用した例を示しており、投影レンズ36を挟んでレチ
クル35側とウエハ38側とにそれぞれ配置された正の
円柱レンズ(2A,2B)の各々に負の円柱レンズ(1
A,1B)を組み合わせた例を示している。この構成に
よれば、非点収差に対して余り影響を及ばさずに、倍率
誤差の補正に対して大きく寄与させることができる。こ
の場合、第1のトーリック型光学部材(1A,2A)と
第2のトーリック型光学部材(1B,2B)との内の一
方によって投影レンズ36に残存する倍率誤差を主に補
正し、他方によってウエハ38の伸縮に対する倍率誤差
の補正を行っても良い。さらには、この構成に基づい
て、第1のトーリック型光学部材(1A,2A)と第2
のトーリック型光学部材(1B,2B)との内の一方の
パワーを強くし、他方を弱くなるように構成すれば、一
方のパワー強いトーリック型光学部材では、非点収差に
対して余り影響を及ばさずに倍率誤差の粗調整が行え、
他方のパワーの弱いトーリック型光学部材では、非点収
差に対して余り影響を及ばさずに倍率誤差の微調整が行
える。
【0115】図14の(e)は図14の(a)と図14
の(b)とを組み合わせてさらに応用した例を示してお
り、図示の如く、レチクル35と投影レンズ(前群36
A)との間には、負の円柱レンズ1Aと正の円柱レンズ
2Aとで構成される第1のトーリック型光学部材(1
A,2A)が設けられており、投影レンズ36中におけ
る前群36Aと後群36Bとの間(投影レンズ36の瞳
位置もしくはその近傍)には、負の円柱レンズ1Bと正
の円柱レンズ2Bとで構成される第2のトーリック型光
学部材(1B,2B)が設けられている。この構成によ
れば、第1のトーリック型光学部材(1A,2A)では
非点収差に対して余り影響を及ばさずに倍率誤差の調整
が行え、第2のトーリック型光学部材(1B,2B)で
は倍率誤差に対して余り影響を及ばさずに非点収差の調
整が行え、すなわち、倍率誤差と非点収差とを独立に補
正することができる。
【0116】図14の(f)は図14の(d)と図14
の(e)とを組み合わせた例を示しており、倍率誤差と
非点収差との独立補正に加えて、倍率誤差と非点収差と
の各々の粗調整と微調整とを行うことができる。
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、製造誤差による投影光
学系の性能低下を防止して、設計値どおりの高性能な投
影光学系を得る事が可能となり、製造上では歩留まりの
向上につながる。また、これらの機能を積極的に利用し
て、投影光学系に悪影響を与える事無しに、ウェハープ
ロセスに起因する非線形なウエハの伸縮や、投影露光装
置間の回転不対称な倍率誤差を補正してやる事により、
マッチング精度の低下を防止できる。また、何らかの原
因で発生した光学系自身による非点収差、ディストーシ
ョンを補正することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トーリックレンズを負の円柱レンズとした時の
原理図である。
【図2】トーリックレンズを正の円柱レンズとした時の
原理図である。
【図3】図1の負の円柱レンズによる作用を示す図であ
る。
【図4】図2の正の円柱レンズによる作用を示す図であ
る。
【図5】図3に示した仮想平面での光束断面の様子を示
す平面図である。
【図6】図4に示した仮想平面での光束断面の様子を示
す平面図である。
【図7】図3に示した負の円柱レンズの幾何光学的な関
係を示す図である。
【図8】図4に示した正の円柱レンズの幾何光学的な関
係を示す図である。
【図9】投影光学系の幾何光学的な関係を示す図であ
る。
【図10】図9に示した投影光学系とレチクルとの間に
トーリックレンズとしての円柱レンズを配置した時の幾
何光学的な関係を示す図である。
【図11】図9に示した投影光学系の瞳近傍にトーリッ
クレンズとしての円柱レンズを配置した時の幾何光学的
な関係を示す図である。
【図12】本発明による実施例の構成を示す図である。
【図13】基準レチクルの様子を示す平面図である。
【図14】(a)はレチクルと投影レンズとの間にトー
リックレンズとしての正の円柱レンズと負の円柱レンズ
とを配置した時の様子を示す図、(b)は投影レンズの
瞳位置またはその近傍にトーリックレンズとしての正の
円柱レンズと負の円柱レンズとを配置した時の様子を示
す図、(c)はレチクルと投影レンズとの間及び投影レ
ンズとウエハとの間の各々にトーリックレンズとしての
正の円柱レンズを配置した時の様子を示す図、(d)は
レチクルと投影レンズとの間及び投影レンズとウエハと
の間の各々にトーリックレンズとしての正の円柱レンズ
と負の円柱レンズとを配置した時の様子を示す図、
(e)はレチクルと投影レンズとの間及び投影レンズの
瞳位置またはその近傍の各々にトーリックレンズとして
の正の円柱レンズと負の円柱レンズとを配置した時の様
子を示す図、(f)はレチクルと投影レンズとの間、及
び投影レンズの瞳位置またはその近傍及び投影レンズと
ウエハとの間の各々にトーリックレンズとしての正の円
柱レンズと負の円柱レンズとを配置した時の様子を示す
図である。
【符号の説明】
1…負の円柱レンズ、2…正の円柱レンズ、21…光
源、22…楕円鏡、23…反射ミラー、24…コリメー
タレンズ、25…オプティカルインテグレータ、32…
第1のコンデンサーレンズ、34…第2コンデンサーレ
ンズ、36…投影レンズ、37…ウエハステージ、38
…ウエハ、42…フォトマルチプライアー、48…第2
アライメント系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牛田 一雄 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 2H087 KA21 LA01 NA01 NA09 RA06 RA07 RA08 5F046 BA03 CB25 DA12

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1物体を照明する照明光学系と、該照
    明光学系によって照明された前記第1物体の像を第2物
    体に投影する投影光学系とを有する投影露光装置におい
    て、 前記第1物体と前記第2物体との間に前記投影光学系に
    て残存する回転非対称な非点収差成分を補正する第1光
    学手段と、 前記第1物体と前記第2物体との間に前記投影光学系に
    て残存する回転非対称な倍率誤差成分を補正する第2光
    学手段とを有し、 前記第1光学手段は、前記回転非対称な倍率誤差成分に
    あまり影響を及ぼさずに前記回転非対称な非点収差成分
    を補正し、 前記第2光学手段は、前記回転非対称な非点収差成分に
    あまり影響を及ぼさずに回転非対称な倍率誤差成分を補
    正することを特徴とする投影露光装置。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2光学手段は、前記投影
    光学系の光軸に対して回転非対称なパワーをそれぞれ持
    つことを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
  3. 【請求項3】 前記第1光学手段は、直交した方向でパ
    ワーが異なるトーリック型光学部材を2つ有し、前記第
    2光学手段は、直交した方向でパワーが異なるトーリッ
    ク型光学部材を2つ有し、 前記第1光学手段における前記2つのトーリック型光学
    部材うちの少なくとも一方は、前記投影光学系の光軸を
    中心に相対的に回転可能または前記投影光学系の光軸に
    沿って相対的に移動可能に設けられており、 前記第2光学手段における前記2つのトーリック型光学
    部材うちの少なくとも一方は、前記投影光学系の光軸を
    中心に相対的に回転可能または前記投影光学系の光軸に
    沿って相対的に移動可能に設けられていることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の投影露光装置。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2光学手段は、前記投影
    光学系の光軸に対して回転非対称な非球面をそれぞれ有
    することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一
    項に記載の投影露光装置。
  5. 【請求項5】 前記回転非対称な非点収差成分と前記回
    転非対称な倍率誤差成分とを計測する手段を更に有し、 前記第1及び前記第2光学手段は、前記計測する手段に
    より計測された結果に基づいて、前記回転非対称な非点
    収差成分と前記回転非対称な倍率誤差成分とを独立に補
    正することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか
    一項に記載の投影露光装置。
  6. 【請求項6】 前記第1光学手段は、前記投影光学系の
    瞳もしくはその近傍の配置され、前記第2光学手段は、
    前記第1光学手段から離れた前記第1物体側又は前記第
    2物体側に配置されることを特徴とする請求項1乃至請
    求項5の何れか一項に記載の投影露光装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記
    載の投影露光装置を用いた露光方法において、 前記照明光学系を用いて前記第1物体としてのレチクル
    を照明する工程と、 前記投影光学系を用いて前記レチクルのパターン像を前
    記第2物体としての基板に投影する工程とを含むことを
    特徴とする露光方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項6の何れか一項に記
    載の投影露光装置を用いた半導体の製造方法において、 前記照明光学系を用いて前記第1物体としてのレチクル
    を照明する工程と、 前記投影光学系を用いて前記レチクルのパターン像を前
    記第2物体としてのウエハに投影する工程とを含むこと
    を特徴とする半導体の製造方法。
  9. 【請求項9】 レチクルのパターン像を基板に投影する
    投影光学系の調整方法において、 前記レチクルと前記基板との間において前記投影光学系
    にて残存する回転非対称な非点収差成分を補正する第1
    工程と、 前記レチクルと前記基板との間において前記投影光学系
    にて残存する回転非対称な倍率誤差成分を補正する第2
    工程とを有し、 前記第1工程は、前記回転非対称な倍率誤差成分にあま
    り影響を及ぼさずに前記回転非対称な非点収差成分を補
    正し、 前記第2工程は、前記回転非対称な非点収差成分にあま
    り影響を及ぼさずに回転非対称な倍率誤差成分を補正す
    ることを特徴とする投影光学系の調整方法。
  10. 【請求項10】 前記第1工程は、前記投影光学系の光
    軸に対して回転非対称なパワーを持つ第1光学手段を用
    いて、前記投影光学系にて残存する回転非対称な非点収
    差成分を補正する工程を含み、 前記第2工程は、前記投影光学系の光軸に対して回転非
    対称なパワーを持つ第2光学手段を用いて、前記投影光
    学系にて残存する回転非対称な倍率誤差成分を補正する
    工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の投影光学
    系の調整方法。
  11. 【請求項11】 前記第1工程は、直交した方向でパワ
    ーが異なる2つのトーリック型光学部材を用いて、前記
    2つのトーリック型光学部材うちの少なくとも一方を、
    前記投影光学系の光軸を中心に相対的に回転または前記
    投影光学系の光軸に沿って相対的に移動させる工程を含
    み、 前記第2工程は、前記第1工程とは別の2つのトーリッ
    ク型光学部材を用いて、直交した方向でパワーが異なる
    2つのトーリック型光学部材うちの少なくとも一方を、
    前記投影光学系の光軸を中心に相対的に回転または前記
    投影光学系の光軸に沿って相対的に移動させる工程を含
    むことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の
    投影光学系の調整方法。
  12. 【請求項12】 前記第1工程は、前記投影光学系の光
    軸に対して回転非対称な非球面を用いて、前記投影光学
    系にて残存する回転非対称な非点収差成分を補正する工
    程を含み、 前記第2工程は、前記投影光学系の光軸に対して回転非
    対称な非球面を用いて、前記投影光学系にて残存する回
    転非対称な倍率誤差成分を補正する工程を含むことを特
    徴とする請求項9乃至請求項11の何れか一項に記載の
    投影光学系の調整方法。
  13. 【請求項13】 前記投影光学系の光学特性を計測する
    工程を更に有し、 前記第1及び前記第2工程は、前記計測する工程による
    計測結果に基づいて、前記回転非対称な非点収差成分と
    前記回転非対称な倍率誤差成分とを独立に補正すること
    を特徴とする請求項9乃至請求項12の何れか一項に記
    載の投影光学系の調整方法。
  14. 【請求項14】 前記計測する工程は、前記投影光学系
    に光を導き前記投影光学系を介した光を光電検出する工
    程を含むことを特徴とする請求項13記載の投影光学系
    の調整方法。
  15. 【請求項15】 前記第1工程は、前記投影光学系の瞳
    もしくはその近傍に配置された第1光学手段を用いて、
    前記投影光学系にて残存する回転非対称な非点収差成分
    を補正し、前記第2工程は、前記第1光学手段から離れ
    た前記第1物体側又は前記第2物体側に配置された第2
    光学手段を用いて、前記投影光学系にて残存する回転非
    対称な倍率誤差成分を補正することを特徴とする請求項
    9乃至請求項14の何れか一項に記載の投影光学系の調
    整方法。
  16. 【請求項16】 請求項9乃至請求項15の何れか一項
    に記載の方法によって調整された投影光学系と、前記レ
    チクルを照明する照明光学系とを有することを特徴とす
    る投影露光装置。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の投影露光装置を用い
    た露光方法において、 前記照明光学系を用いて前記レチクルを照明する工程
    と、 前記投影光学系を用いて前記レチクルのパターン像を前
    記基板に投影する工程とを含むことを特徴とする露光方
    法。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の投影露光装置を用い
    た半導体の製造方法において、 前記照明光学系を用いて前記レチクルを照明する工程
    と、 前記投影光学系を用いて前記レチクルのパターン像を前
    記基板に投影する工程とを含むことを特徴とする半導体
    の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014103171A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Canon Inc 投影光学系、露光装置および物品の製造方法
US8760618B2 (en) 2009-01-19 2014-06-24 Canon Kabushiki Kaisha Projection optical system, exposure apparatus and device manufacturing method
JP2017534918A (ja) * 2014-10-29 2017-11-24 シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド 露光装置の調整装置及び調整方法

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