JP4337149B2 - 位置検出装置、露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents
位置検出装置、露光装置及びデバイス製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は位置検出用パターンの位置を検出する位置検出装置に関し、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、または薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するリソグラフィ工程で用いる露光装置に好適なマスクと感光基板との位置合わせ装置や、該露光装置の重ね合わせ(位置合わせ)精度やステージの送り精度(ステッピング精度)を測定する重ね合わせ測定装置に用いられる位置検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子等のデバイスは、一般に感光材料が塗布されたウエハ(又はガラスプレート等の基板)上に複数層の回路パターンを積み重ねて形成されるため、回路パターンをウエハ上に露光するための投影露光装置には、これから露光するレチクルのパターンと既に回路パターンが形成されているウエハの各ショット領域との位置合わせを行うためのアライメント装置が備えられている。
【0003】
従来この種のアライメント装置としては、特開平4−65603号公報、特開平4−273246号公報等で提示されているように、ハロゲンランプ等の光源から射出される波長帯域幅の広い光でウエハ上のアライメントマーク(ウエハマーク)を照明し、その拡大像を撮像素子上に形成し、得られた撮像信号を画像処理してそのウエハマークの位置検出を行うオフ・アクシス方式で、且つ撮像方式のアライメント装置が知られている。撮像方式のアライメント装置の検出系はFIA(Field Image Alignment)系とも呼ばれている。 この撮像方式のアライメント装置では、広帯域照明であるため、ウエハ上のフォトレジスト層での薄膜干渉の影響が低減される利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の撮像方式のアライメント装置の結像光学系では、加工、組立、調整等の製造工程において、僅かながら収差が残存していた。このように収差が残存していると、撮像面上でのウエハマーク像のコントラストが低下したり、ウエハマーク像に歪が生じるなどして、マーク位置の検出誤差が発生する。近年、回路パターンの線幅の微細化に伴い、益々高精度のアライメントが必要とされるようになり、上記の如き僅少な収差による、アライメント精度の低下も問題となってきている。
【0005】
そのように残存する収差の内で、特にコマ収差のウエハマーク像の検出に及ぼす影響は大きく、光軸に軸対称なコマ収差や視野全面に均一な偏心コマ収差などの瞳において光軸に非対称な横収差が光学系内に発生していると、撮像面上に投影されるウエハマーク像は、理想結像の場合と比べて位置ずれして計測される。また、ピッチ、デューティ比、段差等のウエハマークの形状が変わった場合や、ウエハマークがデフォーカスした場合に、そのウエハマーク像にコマ収差が存在すると、その像へのコマ収差の影響の度合いが様々に変化し、且つその計測位置のずれ量も様々に変わることになる。
【0006】
半導体製造工程毎にウエハマークの形状は異なるため、コマ収差が残留した光学系でウエハのアライメント(位置合わせ)を行うと、プロセスオフセットが発生したり、重ね合わせ精度の再現性が悪化する等により、アライメント精度が低下する。
このようなコマ収差を補正するために、本願出願人は特開平8-195336号公報において、対物光学系に後続する光学系においてコマ収差を補正する手法を提案した。しかしながら、当該特開平8-195336号公報にて提案した手法では、補正可能なコマ収差は低次のコマ収差のみであり、高次のコマ収差の補正を行うことは困難である。近年の回路の微細化に伴なって要求される厳しい位置検出精度を満足するためには、上記高次コマ収差が無視できなくなってきている。
【0007】
そこで、本発明は、低次だけでなく高次のコマ収差を極力抑えることにより、プロセスオフセットが小さく高精度な位置検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明にかかる位置検出装置は、位置検出用パターンを照明する照明手段と、照明された前記位置検出用パターンからの光を対物光学系を介して集光する集光手段と、集光手段を介した前記位置検出用パターンからの光を検出する光電検出手段とを有し、該光電検出手段により得られる検出信号に基づいて前記位置検出用パターンの位置を検出するものであって、
前記集光手段中の前記対物光学系は複数の光学素子のみからなり、
前記光の中心波長をλとするとき、前記対物光学系の該複数の光学素子の光学面のそれぞれの研磨面精度から少なくともアス成分を取り除いた後のRMSが0.01λ以下となるように、前記複数の光学素子が形成される。
【0009】
上述の構成において、前記集光手段を構成する全ての光学素子は、前記光の中心波長をλとするとき、前記全ての光学素子の光学面のそれぞれの研磨面精度から少なくともアス成分を取り除いた後のRMSがS0.01λ以下となるように、前記複数の光学素子が形成されることが好ましい。
また、前記RMSは、前記光学面の研磨面精度から前記アス成分及び曲率誤差成分を取り除いた後のRMSであることが好ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様においては、前記集光光学系の瞳における波面収差成分と、光軸からの距離の偶数乗、1乗及び3乗に比例する成分並びにアス成分との残差波面収差成分のRMSが0.01λ以下である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の原理について説明する。
図1は、本発明の原理を説明するための図である。図1に示す結像光学系は、レンズL1、開口絞りAS、及びレンズL2で構成されており、物体面上に形成されるマークの像を結像面上に所定の倍率のもとで結像させるものである。なお、図1における物体面には、ピッチがpのパターンとピッチが2pのパターンとが形成されているものとする。 図1の結像光学系においてコマ収差が残存していると、このコマ収差は、結像光学系の瞳面(開口絞りAS位置)において光軸AXに対して回転非対称な波面収差で表される。また、ピッチpのパターンから発生する±1次光と、ピッチ2pのパターンから発生する±1次光とが瞳面において通過する座標が異なるため、ピッチpのパターンからの±1次光に加わる収差量ΔWpとピッチ2pのパターンからの±1次光に加わる収差量ΔW2pとは異なる。従って、ピッチpのパターンからの±1次光が結像面上に到達する位置と、ピッチ2pのパターンからの±1次光が結像面上に到達する位置とは、上記収差量ΔWp,ΔW2pの違いに応じて異なり、結果として、ピッチpのパターンの結像位置とピッチ2pのパターンの結像位置とが一致しない。これがプロセスオフセットとなる。 なお、図1には低次(参照球面からの位相ずれが光軸からの距離の3乗に比例する成分)のコマ収差が発生している状態を図示したが、高次(参照球面からの位相ずれが光軸からの距離の3乗を超える成分)のコマ収差についても原理は同様であり、低次のコマ収差及び高次のコマ収差が大きいほどプロセスオフセットは大きくなる。
【0012】
なお、低次の収差成分とは、光学系の瞳上での波面収差ΔWのうち参照球面からの位相ずれが光軸からの距離Dの3乗に比例する成分を指し、例えばツェルニケ(Zernike)の多項式では一般的にD3 cos(3θ),(3D3 −2Dcosθ,(3D3 −2D)sinθ,D3 sin(3θ)で表される。 また高次の収差成分とは、光学系の瞳上での波面収差ΔWを、参照球面からの位相ずれが光軸からの距離Dの偶数乗、1乗及び3乗に比例する成分でフィッティングし、そのフィッティング面とΔWとの残差成分に対応する。なお、参照球面からの位相ずれが光軸からの距離Dの1乗に比例する成分は、例えばツェルニケの多項式では、Dcosθ,Dsinθで表される。
【0013】
このようなコマ収差を初めとする収差(光軸に対称な収差、光軸に非対称な収差)は、設計値、ガラス部品の内部歪み、ガラス部品の面の研磨誤差、ガラス部品をメカ部品に組み込むときに内部や外部に生じる歪み、更には組み立て誤差によって生じる。これらの収差のうち低次のコマ収差は、特開平8-195336号公報などで提案した方法で補正することが可能であるが、この手法では高次のコマ収差補正が困難である。
【0014】
次に、高次のコマ収差の残存量とプロセスオフセットとの関係について図2を参照して説明する。まず、実際に製造された複数本(図2では4本)の対物レンズを任意に選択して、それらの波面収差を周知の手法で測定する。測定された波面収差を補正可能な低次収差でフィッティングし、残存する波面収差(残差波面収差成分)の平方自乗平均(root mean square, RMS)を高次コマ収差RMSとする。そして、上記残存する波面収差が結像光学系に存在しているとして、パターンピッチ、デューティなどが異なる複数種類のパターンが理想結像位置からどれくらいずれた位置に結像するのかをシミュレーションし、これらの結像点のばらつきの幅をプロセスオフセットとする。
【0015】
図2は、横軸を上記高次コマ収差とし縦軸を上記プロセスオフセットとして複数本の対物レンズに関してプロットした図である。この図2からも明らかな通り、高次のコマ収差を低減させれば(低次収差が補正されていることが前提)、プロセスオフセットを小さく抑えることができる。
本願発明者らは、どのようにしたら高次コマ収差を低減させることができるのかについて鋭意研究した結果、結像光学系を構成している光学部品の光学面(レンズであればレンズ面、反射鏡であれば反射面)の研磨誤差が上記高次コマ収差の発生要因として大きいという結論に到達した。
【0016】
図3は、結像光学系の瞳における収差と、該収差のうちの高次コマ収差との関係とを示すシミュレーション結果である。図3のシミュレーションに際しては、以下の手法で行った。まず、実際に製造された複数本(図3では9本)の対物レンズを任意に選択して、それらの波面収差を周知の手法で測定する。そして、測定された波面収差の平方自乗平均を瞳に生じた収差RMSとする。次に、測定された波面収差から、光軸対称成分(主に球面収差に対応)、参照球面からの位相ずれが光軸からの距離の3乗に比例する成分、及び傾斜成分(参照球面からの位相ずれが光軸からの距離の1乗に比例する成分に対応)でフィッティングした残りの波面収差(残差波面収差)の平方自乗平均を瞳に生じた高次コマ収差RMSとする。
【0017】
図3は、横軸を上記瞳に生じた収差RMSとし、縦軸を上記瞳に生じた高次コマ収差成分RMSとして、上記複数本の対物レンズにつきプロットした図である。この図3からも明らかな通り、高次のコマ収差を小さくするためには、研磨面の面誤差に起因して瞳に生じる全体の収差を小さく抑えることが必要なことが分かる。なお、研磨面で光軸に非対称な収差だけでなく対称な収差も抑える必要があるのは、研磨面のみでは光軸に対称な収差も、組み立て誤差により偏心すれば光軸に非対称な収差となるからである。
【0018】
次に、対物光学系を構成する複数の光学素子のうち、特定の光学素子の光学面に研磨誤差があった場合を想定してシミュレーションを行った。このシミュレーションにおいては、対物光学系のレンズデータにおいて、ある特定の面に研磨誤差として設計値の面形状に偏差を与え、このときに瞳に生じる収差を計算した。次に上記特定の面とは異なる面に対しても同様に収差を計算した。この結果、対物光学系中の様々な位置にあるレンズ面のうちのどのレンズ面であっても、瞳に生じる収差への影響が同程度であることが分かった。従って、高次コマ収差の発生を抑えるためには、対物光学系を構成する各光学素子の光学面の研磨面精度を全ての光学面において所定の値以下にする必要がある。
【0019】
さて、図4は対物光学系の開口数ごとに、高次のコマ収差の残存量とプロセスオフセットとの関係を示した図である。なお、図4のシミュレーションにおいては、図2・図3と同様に低次の収差を引いた状態でシミュレーションしている。
図4において、点Aは対物光学系の物体側開口数NA=0.2である場合、研磨面精度の平方自乗平均が0.02λのときを示す。ここで、点Bは対物光学系の物体側開口数NAを一定にしつつ研磨面精度の平方自乗平均を0.01λとした場合を示している。点A、点Bの比較により、上述の図2に示したときと同様に対物光学系の開口数が一定である場合には、プロセスオフセットはコマ収差量にほぼ比例して小さくなることが分かる。 また、点Cは対物光学系を構成する光学面の研磨面精度の平方自乗平均を0.01λとしつつ、対物光学系の物体側開口数NAをNA=0.3に拡大した場合を示しており、点Dは対物光学系を構成する光学面の研磨面精度の平方自乗平均を0.02λとしつつ対物光学系の物体側開口数NAをNA=0.3に拡大した場合を示している。これより、対物光学系を構成する光学面の研磨面精度の平方自乗平均が0.02λ程度である場合には、対物光学系の物体側開口数NAを大きくしてもプロセスオフセットの低減にはつながらないが、この研磨面精度の平方自乗平均が0.01λ以下である場合には、対物光学系の物体側開口数を大きくしてさらにプロセスオフセットの低減を図ることができる。 すなわち、対物光学系の瞳における全体の収差が同じであっても、第一対物レンズの各面の研磨精度がRMSで0.02λ程度の場合はNAを大きくしてもあまり精度は変わらないが、0.01λ以下程度であればNAを大きくしてプロセスオフセットを向上することができる。
【0020】
これは、研磨面精度が0.02λ程度の場合、参照球面からの位相ずれが光軸からの距離の3乗に比例する補正可能な収差を補正しても、残存した高次収差のうち瞳の外周部にいくほど位相ずれ(収差)が大きくなるような収差が支配的になっていて、NAを大きくすることによるコマ収差の増加が支配的となり、NAは小さいほうが高精度となるためである。
【0021】
しかし、図4に示したように、研磨面精度のRMSの平均値が0.01λ程度となれば、瞳上において残存した収差のうちランダムに分布するような高次の収差が支配的になり、NAを大きくしてもコマ収差の増加はあまりなく、それ以上にNAを大きくすることによるプロセスオフセットの減少が大きくなる。
上述した図1〜図4の説明より、対物光学系に後続する光学系により補正することが難しい高次のコマ収差の発生を抑え、更に残存する収差が瞳にランダムに分布するような程度まで高次の収差を抑えるためには、対物光学系の各面の研磨面精度の平方自乗平均の平均値が0.01λ(λ=使用中心波長)以下であることが必要であることがわかる。 ただし、研磨誤差において理想曲面からのずれのうち、光軸からの距離の2乗に比例する成分はレンズの曲率誤差成分であり、レンズのパワー(屈折力)誤差となるが、このパワー誤差は補正可能であるためプロセスオフセットの要因とはならない。さらに、アス成分は、レンズ同士を回転させ打ち消し合うことが可能である。なお、アス成分とは、あるメリジオナル面で光軸からの距離Dの2乗に比例する研磨誤差成分と、それに直交する面における光軸からの距離Dの2乗に比例する研磨誤差成分との差のうち、その差が一番大きくなる成分のことである。
【0022】
さらに、対物光学系の各面の精度を本発明のようにすれば、全光学系の瞳の波面収差のうち、補正が難しい光軸に関して高次の非対称収差の残存成分をRMS0.01λ以下とすることができる。
図5を参照して、瞳の波面収差について説明する。
図5において、瞳の波面収差とは、実光学系を介して光電検出面(結像面)に結像した像点Ipからの球面波を考え、その球面波が瞳に形成する波面Wと、無収差の理想光学系での瞳上での理想波面W0との位相ずれΔWである。波面収差ΔWのうち、光軸Axからの距離Dの偶数次数で比例する成分(光軸に対称な収差)はプロセスオフセットの要因とはならない。さらに光軸Axからの距離Dの1乗に比例する成分(ツェルニケの多項式では一般的にDcosθ,Dsinθで表される)も全ての像の位置ずれとなるだけで、プロセスオフセットの要因とはならない。また、光軸Axからの距離Dの3乗に比例する成分(ツェルニケ多項式では一般的にD3 cos(3θ),(3D3 −2Dcosθ,(3D3 −2D)sinθ,D3 sin(3θ)で表される)は特開平8−195386号公報に開示されている手法で補正可能な低次のコマ収差である。
【0023】
従って本発明を適用することにより、全光学系の瞳上での波面収差ΔWを光軸からの距離Dの偶数乗、1乗及び3乗に比例する成分でフィッティングし、そのフィッティング面と波面収差ΔWとの残差成分ΔW’(=補正が難しい高次のコマ収差)をRMS0.01λ以下とすることができる。
なお、上記高次の非対称波面収差ΔW’において、アス成分は、集光光学系を構成する複数のレンズの組み上げの際に、これら複数のレンズの回転方向をコントロールして組み上げることにより、X方向及びY方向のフォーカスずれとはなるがプロセスオフセットの要因としないことが可能なため、アス補正後のRMSが0.01λ以下でもよい。 ここで、アス成分とは、あるメリジオナル面で光軸からの距離Dの2乗に比例する波面収差成分(W1)と、それに直交する面における光軸からの距離Dの2乗に比例する波面収差成分(W2)との差が一番大きくなる成分である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明する。
図6は、本発明の第1実施例にかかる位置検出装置および該位置検出装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。本実施例は、半導体露光装置における感光性基板の位置検出に本発明を適用している。
【0025】
なお、図6では、露光装置の投影光学系PLの光軸に対して平行にZ軸が、Z軸に垂直な平面内において図6の紙面に平行な方向にX軸が、Z軸に垂直な平面内において図6の紙面に垂直な方向にY軸がそれぞれ設定されている。
図示の露光装置は、適当な露光光でマスク(投影原版)としてのレチクルRを均一に照明するための露光用照明光学系(不図示)を備えている。レチクルRはレチクルステージ1上においてXY平面とほぼ平行に支持されており、そのパターン領域PAには転写すべき回路パターンが形成されている。
【0026】
レチクルRを透過した光は、投影光学系PLを介してウエハWに達し、ウエハW上にはレチクルRのパターン像が形成される。
なお、ウエハWは、ウエハホルダ21を介してZステージ22上においてXY平面とほぼ平行に支持されている。Zステージ22は、ステージ制御系24によって、投影光学系PLの光軸に沿って駆動されるように構成されている。
【0027】
Zステージ22はさらに、XYステージ23上に支持されている。XYステージ23は、同じくステージ制御系24によって、投影光学系PLの光軸に対して垂直なXY平面内において二次元的に駆動されるように構成されている。
前述したように、露光装置では、投影露光に先立って、レチクルR上のパターン領域PAとウエハW上の各露光領域とを光学的に位置合わせ(アライメント)する必要がある。そこで、ウエハW上に形成された段差パターンからなるアライメントマークすなわちウエハマークWMの基準座標系におけるX方向位置およびY方向位置を検出し、その位置情報に基づいてアライメントが行われる。このように、ウエハマークWMの位置を検出してアライメントを行うのに、本発明の位置検出装置が使用される。
【0028】
なお、ウエハマークWMは、X方向およびY方向にそれぞれ周期性を有する互いに独立した2つの一次元マークであっても、X方向およびY方向に周期性を有する二次元マークであってもよい。
図6に示す位置検出装置は、波長帯域幅の広い照明光としてアライメント光ALを供給するための光源3を備えている。光源3として、たとえばハロゲンランプのような光源を使用することができる。本実施例では、アライメント光の波長帯域を500nm〜800nmとしている。光源3からのアライメント光ALは、たとえば光ファイバーのようなライトガイド4を介して所定位置まで導かれる。ライトガイド4の射出端から射出されたアライメント光ALは、たとえば円形の開口部を有する照明開口絞り27を介して制限された後、コンデンサーレンズ29に入射する。
【0029】
コンデンサーレンズ29を介したアライメント光ALは、一旦集光された後、照明視野絞り(不図示)を介して照明リレーレンズ5に入射する。照明リレーレンズ5を介して平行光となったアライメント光ALは、ハーフプリズム6を透過した後、第1対物レンズ7に入射する。第1対物レンズ7で集光されたアライメント光ALは、反射プリズム8の反射面で図中下方に反射された後、ウエハW上に形成されたウエハマークWMを照明する。 このように、光源3、ライトガイド4、照明開口絞り27、コンデンサーレンズ29、照明視野絞り(不図示)、照明リレーレンズ5、ハーフプリズム6、第1対物レンズ7および反射プリズム8は、ウエハマークWMに照明光を照射するための照明光学系を構成している。
【0030】
照明光に対するウエハマークWMからの反射光(回折光を含む)は、反射プリズム8および第1対物レンズ7を介して、ハーフプリズム6に入射する。ハーフプリズム6で図中上方に反射された光は、第2対物レンズ11を介して、指標板12上にウエハマークWMの像を形成する。このマーク像からの光は、リレーレンズ系(13,14)およびその光路中において照明開口絞り27とほぼ共役な位置に配置された結像開口絞り30を介して、XY分岐ハーフプリズム15に入射する。そして、XY分岐ハーフプリズム15で反射された光はY方向用CCD16に、XY分岐ハーフプリズム15を透過した光はX方向用CCD17に入射する。
【0031】
このように、反射プリズム8、第1対物レンズ7、ハーフプリズム6、第2対物レンズ11、指標板12、リレーレンズ系(13,14)、結像開口絞り30、およびハーフプリズム15は、照明光に対するウエハマークWMからの反射光に基づいてマーク像を形成するための結像光学系(集光光学系)を構成している。
【0032】
こうして、Y方向用CCD16およびX方向用CCD17の撮像面には、マーク像が指標板12の指標パターン像とともに形成される。Y方向用CCD16およびX方向用CCD17からの出力信号は、信号処理系18に供給される。さらに、信号処理系18において信号処理(波形処理)により得られたウエハマークWMの位置情報は、主制御系25に供給される。
【0033】
主制御系25は、信号処理系18からのウエハマークWMの位置情報に基づいてウエハWのX方向位置およびY方向位置を検出し、検出したウエハWのX方向位置およびY方向位置に応じたステージ制御信号をステージ制御系24に出力する。ステージ制御系24は、ステージ制御信号にしたがってXYステージ23を適宜駆動し、ウエハWのアライメントを行う。
【0034】
このように、Y方向用CCD16、X方向用CCD17、信号処理系18、および主制御系25は、結像光学系を介して形成されたマーク像の位置情報に基づいてウエハWの位置を検出するための光電検出手段を構成している。
さて、本実施例における第1対物レンズ7は、複数の光学素子(レンズ素子)で構成されており、これら各光学素子の光学面(レンズ面)の研磨面精度は、従来のRMS≒0.02λ(λ=633nm)のときには全光学系の瞳での波面収差のうち光軸に非対称な高次収差がRMS≒0.02λ程度残存していたのに比べて、各レンズの研磨面精度の平方自乗平均の値をRMS≒0.01λ(λ=633nm)としたため、補正が難しい瞳上での高次コマ収差の発生が約半分(RMS≒0.01λ)となり、プロセスオフセットの発生も約半分とすることができた。
【0035】
なお、本実施例においては、低次の収差によるプロセスオフセットの発生を防ぐために、特開平8-195336号に開示される技術も併せて適用している。
さて、図6に示した本実施例のような位置検出装置では、拡大倍率を有する光学系を用いることが一般的である。この場合、第1対物レンズ7の物体側開口数は、倍率のかかった後段のレンズ11,13,14などの物体側開口数よりも大きくなる。図7に示すように、軸上光束のみを考えると、第1対物レンズ7も倍率のかかった後段のレンズ11(13,14)も同程度の研磨面精度が要求される。しかしながら、倍率のかかった後段のレンズ11(13,14)では、図中破線で示すように結像面I上で像高を持つ光束による有効径の増加が大きい。従って、後段のレンズ11(13,14)では必ずしも有効径全域での研磨面精度がRMS≒0.01λ(λ:使用波長の中心波長)を満足する必要はない。言いかえると、集光光学系を構成するレンズのうち、第1対物レンズ7が平均値でRMS0.01λを満足していれば、高精度なアライメントが可能となる。
【0036】
なお、図6の実施例において、例えば瞳空間に置かれたハーフプリズム6等の入射面・射出面の研磨面誤差は、そのまま瞳での収差を発生させる恐れがある。また、第1対物レンズ7に後続する各レンズ(11,13,14)においても第1対物レンズ7と同程度な研磨面誤差が存在するときには、瞳での収差を発生させる恐れがある。さらに、第1対物レンズ7の物体側に配置される反射プリズム8の反射面の研磨面誤差も瞳において収差を発生させる恐れがある。
【0037】
従って、さらなる高精度の位置検出系を提供するためには、第一対物レンズだけでなく、位置検出系における各レンズ、各平行平面板、各反射面の研磨面精度の平方自乗平均の平均値が0.01λ以下であることが好ましい。
また、本発明は、面精度や瞳の収差をRMSで表現しているが、最大値と最小値との差(P−V、PK−PK)、収差係数などで言いかえることができるのは言うまでもない。 なお、上記の研磨面精度は、光学部品全体で要求されるのではなく、光束が通過する有効域内だけでいいことは言うまでもない。
【0038】
また、落射照明型の位置検出装置の例を示したが、透過型の位置検出装置に本発明を適応することが可能なのは言うまでもない。
なお、図6に示した露光装置の位置検出装置は、例えば本件出願人による特願平8-273227号にて提案されているパターン間寸法測定装置の集光光学系や、同じく本件出願人による特開昭62-32614号公報に開示される重ね合わせ測定装置のアライメント系などに適用することもできる。これらの場合、高精度な寸法測定や高精度な重ね合わせ精度(位置合わせ精度)を測定することができる。また、図5の位置検出装置は、特開平1-187817号公報などに開示される最適露光条件設定装置にも適用することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上の通り本発明によれば、検出するパターンの種類によらず高精度に該パターンの位置を検出することができる位置検出装置を実現できる。また、該位置検出装置を露光装置に適用すれば、微細な線幅に対応することができる。また、該位置検出装置を重ね合わせ測定装置に適用すれば、高精度に重ね合わせ精度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための図である。
【図2】シミュレーション結果を示すグラフである。
【図3】シミュレーション結果を示すグラフである。
【図4】シミュレーション結果を示すグラフである。
【図5】本発明の原理を説明するための図である。
【図6】本発明の位置検出装置を露光装置に適用した実施例を示す図である。
【図7】本発明の変形例の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
1 レチクルステージ
3 光源
4 ライトガイド
6 ハーフプリズム
7 第1対物レンズ
8 反射プリズム
11 第2対物レンズ
12 指標板
15 XY分岐ハーフプリズム
16、17 CCD
18 信号処理系
21 ウエハホルダ
22 Zステージ
23 XYステージ
24 ステージ制御系
25 主制御系
26 キーボード
27 照明開口絞り
30 結像開口絞り
Claims (6)
- 位置検出用パターンを照明する照明手段と、照明された前記位置検出用パターンからの光を対物光学系を介して集光する集光手段と、該集光手段を介した前記位置検出用パターンからの光を検出する光電検出手段とを有し、該光電検出手段により得られる検出信号に基づいて前記位置検出用パターンの位置を検出する位置検出装置において、
前記集光手段中の前記対物光学系は複数の光学素子のみからなり、
前記光の中心波長をλとするとき、前記対物光学系の該複数の光学素子の光学面のそれぞれの研磨面精度から少なくともアス成分を取り除いた後のRMSが0.01λ以下となるように、前記複数の光学素子が形成されることを特徴とする位置検出装置。 - 前記集光手段を構成する全ての光学素子は、前記光の中心波長をλとするとき、前記全ての光学素子の光学面のそれぞれの研磨面精度から少なくともアス成分を取り除いた後のRMSが0.01λ以下となるように、形成されることを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
- 前記RMSは、前記光学面の研磨面精度から前記アス成分及び曲率誤差成分を取り除いた後のRMSであることを特徴とする請求項1または2記載の位置検出装置。
- 前記集光光学系の瞳における波面収差成分と、光軸からの距離の偶数乗、1乗及び3乗に比例する成分並びにアス成分との残差波面収差成分のRMSが0.01λ以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の位置検出装置。
- 原版上の所定のパターンを感光性材料が塗布された基板へ転写するための露光装置において、
請求項1、2、3または4記載の位置検出装置を備えたことを特徴とする露光装置。 - 請求項5記載の露光装置を用いて回路パターンをウエハ上に露光し、複数層の回路パターンを積み重ねて形成することを特徴とするデバイス製造方法。
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JP10070598A JP4337149B2 (ja) | 1998-04-13 | 1998-04-13 | 位置検出装置、露光装置及びデバイス製造方法 |
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JPH11297600A JPH11297600A (ja) | 1999-10-29 |
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