JP2001354978A - 燃料油の酸化脱硫方法 - Google Patents

燃料油の酸化脱硫方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】燃料油中に含まれている難除去性硫黄化合物、
例えば有機硫黄化合物殊にジベンゾチオフェン類を選択
的かつ効率的に酸化・除去できる工業的に有利な酸化脱
硫方法を提供する。 【解決手段】硫黄化合物を含有する燃料油を極性有機溶
剤と遷移金属触媒の存在下、酸化剤で処理して、該硫黄
化合物を脱硫する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄化合物を含有
する燃料油の酸化脱硫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、石油、石炭などの化石資源を原
料とする燃料油中には有機硫黄化合物などの種々の硫黄
化合物が含有されている。これらの硫黄化合物は、燃焼
に際して硫黄酸化物を生成し、人体に有害なガスを発生
させたり、酸性雨等の原因となるため、大気環境汚染防
止のためには、化石燃料資源の利用の前後において硫黄
化合物の除去が必要とされている。そのため、従来よ
り、燃料油中に含まれる硫黄化合物の脱硫技術は積極的
に開発が進められてきており、現在精油所では、触媒の
存在下に水素化処理を行う水素化脱硫方法が行われてい
る。
【0003】一方、近年、大都市地域において、光化学
オキシダント、酸性雨等による大気環境汚染が深刻化し
ており、その主な原因として軽油を燃料とするディーゼ
ル自動車の排出ガス中に含まれる窒素酸化物、粒子状物
質、および炭化水素があげられている。軽油中の硫黄分
は、ディーゼル自動車の排出ガス対策として期待されて
いる、酸化触媒、窒素酸化物還元触媒、および、排気微
粒子除去フィルター等の排気後の処理装置の信頼性や耐
久性に影響を及ぼす懸念があるため、規制強化の第一対
象とされている。
【0004】したがって、我が国においては、ディーゼ
ル自動車の排出ガス浄化対策の一環として、軽油中に含
まれる硫黄分を現在の規制値である硫黄分500ppm
から、将来的には50ppm以下へと規制の強化を図る
方策を採るとされており、この意味においても軽油中に
含まれる硫黄分に対してもその低減が強く要請されてい
る。
【0005】ところで、このような軽油などの燃料油中
には、水素化脱硫法において、その除去が極めて困難な
有機硫黄化合物、特に硫黄原子周辺にアルキル基などの
立体障害性の置換基を持つアルキル置換ジベンゾチオフ
ェン類が含まれているため、50ppm以下の超深度脱
硫の達成のためには、有機硫黄化合物、特にアルキル置
換ジベンゾチオフェン類を有効に脱硫する必要がある。
【0006】そこで、超深度脱硫の達成のためには、こ
のような難除去性硫黄化合物を有効に除去することので
きる、新たな脱硫技術の開発が急務とされている。
【0007】新たな脱硫方法としては、前記の硫黄化合
物を酸化することにより燃料油中から除去する酸化脱硫
方法が有効であると考えられる。というのは、酸化反応
では、水素化反応の場合とは逆に、アルキル置換ジベン
ゾチオフェン類の相対反応性がより増加するためであ
る。すなわち、この酸化法によれば、これらのジベンゾ
チオフェン類をスルホキシドやスルホン誘導体のような
極性化合物に変化させることにより、抽出及び吸着操作
等を利用して、燃料油から効率的に分離することができ
ると考えられるからである。
【0008】ジベンゾチオフェン類の酸化反応には、従
来から種々の方法が知られている。このような方法とし
ては、たとえば、酸化反応を行うに際し、酸化剤とし
て、二酸化窒素、硝酸、有機ヒドロペルオキシド(t−
ブチルヒドロペルオキシド等)を用いる方法、その際に
モリブデンヘキサカルボニルなどの金属触媒を存在させ
る方法、酸化剤として、過酸化水素及び触媒としてホス
ホタングステン酸等を組み合わせて用いる方法、過酸化
水素とトリフルオロ酢酸等から生成する有機過酸を用い
る方法等が挙げられる。
【0009】しかしながら、これらの酸化法は、いずれ
も基質選択性がなく、ジベンゾチオフェン類を酸化する
ばかりでなく、燃料油の主成分である炭化水素類をも酸
化してしまうことや、反応に際し、高価な薬品を使用し
なければならない等の問題点があり、実際の工業的な方
法としては実用化されていない。
【0010】又、有機硫黄化合物であるベンゾチオフェ
ン類を酸化する方法として、光酸化反応、たとえば、紫
外線などの特定波長の光を照射する方法、光照射を過酸
化水素の存在下で行う方法、光照射を光触媒である酸化
チタンおよび光増感剤である9,10−ジシアノアント
ラセンの存在下で行う方法などが知られている。しかし
ながら、これらの方法も光反応を利用するため工業化に
際してはスケールアップ等の多くの問題点を包含する。
【0011】このようなことから、燃料油中に含まれる
有機硫黄化合物、とりわけジベンゾチオフェン類の含有
量の低減を図ることのできる、ジベンゾチオフェン類の
選択的酸化反応による酸化脱硫法の開発が望まれてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、燃料油中に
含まれている難除去性硫黄化合物、例えば有機硫黄化合
物、殊にジベンゾチオフェン類を選択的かつ効率的に酸
化・除去できる工業的に有利な酸化脱硫方法を提供する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決しようとする手段】本発明によれば、第一
に、硫黄化合物を含有する燃料油を、極性有機溶剤と遷
移金属触媒の存在下、酸化剤で処理することを特徴とす
る燃料油の酸化脱硫方法が提供される。第二に、酸化剤
が過酸化水素であることを特徴とする第一に記載の燃料
油の酸化脱硫方法が提供される。第三に、硫黄化合物が
有機硫黄化合物であることを特徴とする第一又は第二に
記載の燃料油の酸化脱硫方法が提供される。第四に、有
機硫黄化合物がジベンゾチオフェン類であることを特徴
とする第一乃至第三に記載の燃料油の酸化脱硫方法が提
供される。第五に、極性有機溶剤がアセトニトリルであ
ることを特徴とする第一乃至第四に記載の燃料油の酸化
脱硫方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の対象となる燃料油は、化
石燃料由来の燃料油を意味し、石油に限らず、石炭、オ
イルサンド、オイルシェール、及びオリマルジョン等の
有機化石資源由来の燃料油であっても差し支えない。こ
の具体例を挙げると、石油系としては、ガソリン、灯
油、軽油、重油等の特定の留分から成る蒸留生成物及び
原油等が、石炭系としては、コールタール、液化油等
が、石油類似資源では、オイルサンド、オイルシェー
ル、オリマルジョン等からの抽出物、及び精製油等の液
体化されているものである。
【0015】燃料油中に含まれる硫黄化合物としては、
無機硫黄化合物及び有機硫黄化合物が包含される。有機
硫黄化合物としては、脂肪族炭化水素を構成する炭素鎖
中に硫黄原子を含有する化合物、たとえばチオール類、
チオエーテル類等、芳香族炭化水素の置換基として炭素
鎖中に硫黄原子を含有する基を有する化合物、たとえ
ば、チオフェノール類、チオアニソール類等、および、
骨格中に硫黄原子を含む複素環化合物、たとえばチオフ
ェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類等
を挙げることができる。
【0016】一般に、前記した骨格中に硫黄原子を含有
する複素環化合物、特に硫黄原子周辺にアルキル基など
の置換基を持つジベンゾチオフェン類は、通常の水素化
脱硫法では立体障害の影響により分解することが困難な
化合物であるが、本発明ではこのような硫黄化合物も他
の有機化合物に変化させ、簡便に分離除去することがで
きるので、かかる硫黄化合物の除去法として特に有効で
ある。このような本発明により、前述の有機硫黄化合物
類を燃料油中から有効に酸化除去することができるが、
特にジベンゾチオフェン類への適用が効果的である。ジ
ベンゾチオフェン類に含まれる化合物としては、ジベン
ゾチオフェン、ジベンゾチオフェンのモノアルキル化体
又はジアルキル化体等のアルキル化誘導体、更に分子内
にジベンゾチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられ
る。
【0017】そして、これらの有機硫黄化合物は、脂肪
族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、縮合多
環式化合物などの炭化水素を主成分とする燃料油中に含
有されているものである。本発明の対象となる燃料油は
これらの各成分を適宜含有する混合物であってもよい。
さらに、これらの燃料油は、特定の脱硫操作を施した後
の、有機硫黄化合物を含有する混合物であっても差し支
えない。本発明においては、水素化脱硫を行った後の燃
料油中に含まれる水素化脱硫では分解することができな
かった有機硫黄化合物を適宜割合で含有する燃料油を対
象とすることが特に有効である。
【0018】燃料油中に含まれる硫黄化合物の割合は、
適宜選択することができるが、通常、有機硫黄化合物の
含有量は、硫黄として 1×10−4 (1 ppm) 〜 100
重量%であることが好ましい。
【0019】本発明においては、前記した硫黄化合物好
ましくは有機硫黄化合物を含有する燃料油を、極性有機
溶剤と遷移金属触媒の存在下、酸化剤で処理して、生成
した硫黄化合物好ましくは有機硫黄酸化物を燃料油から
分離除去することを特徴としている。
【0020】極性有機溶媒は、燃料中に含まれる硫黄化
合物特に有機硫黄化合物およびその酸化生成物の抽出溶
媒として機能する。このような極性有機溶媒としては、
例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニ
トリル、バレロニトリル、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール、アセトン、2−ブタノン、アセチルアセトン、ニ
トロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、N,N’
−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトア
ミド、トリメチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エ
ステル、ヘキサメチルリン酸アミド等であり、本発明に
おいてはアセトニトリルの使用が特に好ましい。本発明
においては、硫黄化合物の酸化反応が、かかる極性有機
溶媒中で選択的に進行し、燃料油の主成分である炭化水
素類の酸化反応が抑制されることから、硫黄化合物の酸
化選択性が著しく向上する。また、本発明においては、
硫黄化合物及びその酸化生成物の抽出効率を高めるため
に、補助溶媒を添加しておくことが好ましい。このよう
な補助溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ベンゾニトリル、アセトフェノン、ベンゾフェ
ノン等を挙げることができる。極性有機溶媒の使用量に
特に制限はないが、通常、燃料油に対して 1/20〜
20 v/v(容積比)の割合、好ましくは1/10 〜
10 v/vの割合で添加される。また、補助溶媒を用
いる場合、その使用量は、通常、極性有機溶媒に対して
1/100〜 1/2 v/v(容積比)の割合、好まし
くは5/100〜1/3v/vの割合で添加される。
【0021】遷移金属触媒は、酸化剤に作用して、有機
硫黄化合物類の酸化を促進する役目を担うものである。
このような遷移金属触媒としては、周期律表第IIIa、I
Va、Va、VIa、VIIa、VIII属の金属のテロポリ酸
塩、酸化物、ハロゲン化物、および、それらの錯塩等を
挙げることができる。その具体には、例えばタングステ
ン、バナジウム、モリブデン、チタン、クロム、オスミ
ウム、レニウム等のヘテロポリ酸塩、酸化物、ハロゲン
化物、および、それらの錯塩等が例示される。タングス
テン化合物の具体例としては、りんタングステン酸(H3
[PW12O40]、等)、酸化タングステン(WO3、等)、およ
び、タングステン塩化物(WCl6、WOCl4、WO2Cl2、等)
等を挙げることができる。バナジウム化合物の具体例と
しては、酸化バナジウム(V2O5、等)、酸化バナジウム
アセチルアセトン錯体(VO(acac)2、等)および、バナ
ジウム塩化物(VOCl3、等)等を挙げることができる。
モリブデン化合物の具体例としては、酸化モリブデン
(MoO3、等)、酸化モリブデンアセチルアセトン錯体
(MoO2(acac)2、等)および、りんモリブデン酸(H 3[PM
o12O40]、等)等を挙げることができる。これらの遷移
金属触媒はの使用量に特に制限はないが、通常、燃料油
に対して1×10−5 〜 10 g/Lの割合、好ましく
は1×10−4 〜1 g/Lの割合で添加される。
【0022】酸化剤としては、過酸化水素、二酸化窒
素、硝酸、有機ヒドロペルオキシド(t−ブチルヒドロ
ペルオキシド等)等が挙げられるが、過酸化水素の使用
が好ましい。この過酸化水素は、ジベンゾチオフェン類
などの有機硫黄化合物と1:2のモル比で反応し、主酸
化生成物としてスルホン類を与える。過酸化水素の使用
濃度は、反応条件により適宜設定することができるが、
入手しやすい30%水溶液として使用することが好まし
い。過酸化水素の添加量は反応条件により適宜設定する
ことが出来るが、一般的には燃料油中に含まれる硫黄分
に対して2倍モル量以上添加するのが好ましい。具体的
には、硫黄分500ppmの軽油1Lに対して、30%過酸化
水素水溶液として1.5ml以上程度としておけば充分
である。
【0023】本発明方法の実施態様に特別な制約はない
が、前記の有機硫黄化合物を含有する燃料油と、前記の
遷移金属触媒、および、酸化剤を含有した極性有機溶媒
とを、液体の状態で反応器に供給する態様を採ることが
好ましい。
【0024】反応温度は、反応原料が液状を保持できる
温度であれば適宜設定することができる。このようなこ
とから一般的には−100〜120℃、好ましくは−5
0〜80℃で行うことができる。反応の再現性を達成す
るためには、反応器を上記温度範囲に保つための温度調
節が有効である。温度調節のための加熱および除熱は、
反応器外壁より、熱媒体を用いて行うことができる。場
合によっては、温度調節装置を反応器内に直接設置する
ことも可能である。反応に際しては、反応原料が極性有
機溶媒と十分に接触するように攪拌することが有効であ
る。反応器は流通系でも、回分式でも、又、半回分式で
も行うことができる。
【0025】反応終了後、酸化反応生成物を分離する。
有機硫黄化合物は酸化されることにより、酸素と結合し
た有機硫黄酸化物に変換される。例えばジベンゾチオフ
ェン類は、酸化されて主としてジベンゾチオフェンスル
ホン類に変化する。すなわち、ジベンゾチオフェンで
は、ジベンゾチオフェンスルホンとなり、4,6−ジメ
チルジベンゾチオフェンでは、4,6−ジメチルジベン
ゾチオフェンスルホンとなる。
【0026】生成した有機硫黄酸化物は、抽出および吸
着等、各種の分離操作を用いて除去することが出来る。
吸着操作の吸着剤には、ゼオライト、粘土鉱物、活性炭
等を挙げることができる。抽出操作の抽出剤には、アセ
トニトリル、メタノール、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルホルムアミド、スルホラン等を挙げることができ
る。本反応系では添加溶媒として、脱硫処理対象の燃料
油と混合しないアセトニトリル等の極性有機溶媒を使用
するため、上述の有機硫黄酸化物は主としてその極性溶
媒中に分配するので、分液することによりその大部分を
除去することが可能であり、分液後の燃料油は、更なる
抽出および吸着操作等によりさらに精製することが出来
る。
【0027】反応生成物である有機硫黄酸化物を除去し
た燃料油は、そのまま有機硫黄化合物が除去されたもの
として、目的とする用途に使用することができる。ま
た、一部を反応原料に再循環することもできる。さら
に、添加したアセトニトリル中に分配した炭化水素類を
分離・回収することにより、処理物の歩留まりを向上す
ることが出来る。
【0028】
【実施例】以下に、本発明の内容を実施例により具体的
に説明する。しかしながら、以下に示す、実施例は一例
であり、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。
【0029】実施例1 内容積250ccのガラス製反応器中に、りんタングス
テン酸 10mg(H3[PW12O40]水和物、遷移金属触
媒)をとり、30%過酸化水素水溶液1ml(硫黄化合
物に対して20倍モル量程度)を添加後、撹拌し、さら
に、アセトニトリル50mlを添加する。しかる後、モ
デル燃料油として調整したジベンゾチオフェン(DB
T、有機硫黄化合物)のn−オクタン溶液50ml(D
BT濃度、10mM)を、反応器中に入れる。反応器に
還流冷却器を設置後、反応器を60℃に保たれている水
浴中に浸し、反応器内の液体をマグネチックスターラー
で攪拌しながら、酸化反応を行った。ジベンゾチオフェ
ンの酸化反応は、アセトニトリル相中で速やかに進行し
た。反応生成物を、ガスクロマトグラフイーおよび液体
クロマトグラフィー分析した結果、主反応生成物が、ジ
ベンゾチオフェンスルホンであることを確認した。結果
を以下に記す表1に示した。反応開始後2時間経過後の
反応原料の反応率は100%であった。また、ジベンゾ
チオフェンスルホンの収率は97モル%であった。
【0030】比較例1 アセトニトリルを添加しない他は、実施例1と同じ条件
下に、酸化反応を行った。結果を以下に記す表1に示し
た。反応開始から2時間経過後、反応はほとんど進行せ
ず、反応率は1.3%であった。
【0031】実施例2、3 遷移金属触媒の効果を確認するために、遷移金属触媒の
種類を変更し、その他の条件は実施例1と同じ条件下
に、酸化反応を繰り返した。遷移金属触媒としては、酸
化バナジウム(実施例2)、および、酸化バナジウムア
セチルアセトン錯体(バナジルアセチルアセトネート、
実施例3)、を各々用いた。結果を以下に記す表1に示
した。
【0032】実施例4 基質である硫黄化合物に関し、実施例1で用いられてい
るDBTを4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(DM
DBT)に変更し、その他は実施例1と同じ条件下に酸
化反応を繰り返した。結果を以下に記す表1に示した。
【0033】実施例5 遷移金属触媒、および、30%過酸化水素水溶液の使用
量に関し、実施例1で用いられている量を変更し、その
他の条件は実施例1と同じ条件下に、酸化反応を行っ
た。結果を以下に記す表1に示した。
【0034】実施例6 n−オクタンとアセトニトリルとの溶媒比に関し、実施
例5で用いられている量を変更し、その他の条件は実施
例5と同じ条件下に、酸化反応を行った。結果を以下に
記す表1に示した。
【0035】実施例7 反応温度に関し、実施例1で採用されている温度を40
℃とし、その他の条件は実施例1と同じ条件下に、酸化
反応を繰り返した。結果を、以下に記す表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】実施例8 燃料油として、深度脱硫軽油(硫黄分,566ppm)100
mlを用い、反応時間を3時間とした他は、実施例1と
同じ条件下に酸化反応を行った。反応終了後、アセトニ
トリルを分液した処理油を、水洗および脱水し、アルミ
ナ吸着処理後、硫黄分を分析した。結果を以下に記す表
2に示した。反応処理後の硫黄分が207ppm(脱硫率,63
%)へと大きく低下したことから、深度脱硫軽油の場合
にも、本発明による酸化脱硫法が有効に作用することが
確認できた。
【0038】比較例2 アセトニトリルを添加しない他は、実施例8と同じ条件
下に、酸化反応を行った。結果を以下に記す表2に示し
た。反応処理後の硫黄分は489ppm(脱硫率,14%)であ
り、アセトニトリル添加の場合に比べて脱硫率がかなり
低いことがわかった。この結果から、反応系へのアセト
ニトリルの添加が酸化脱硫に有効であることを確認でき
た。
【0039】比較例3 遷移金属触媒および過酸化水素を添加せずに、実施例8
と同じ溶媒比で軽油とアセトニトリルを混合し、アセト
ニトリルを分液後、水洗および脱水し、アルミナ吸着処
理後、硫黄分を分析した。結果を以下に記す表2に示し
た。アセトニトリルによる抽出処理後の硫黄分は489ppm
(脱硫率,14%)であり、酸化処理を組み合わせた場合
に比べて脱硫率がかなり低いことがわかった。この結果
から、反応系へのアセトニトリルの添加に酸化反応を組
み合わせた酸化脱硫法が燃料油の脱硫に有効であること
を確認できた。
【0040】実施例9 遷移金属触媒の効果を確認するために、遷移金属触媒と
して酸化バナジウムを用いた他は、実施例8と同じ条件
下に、酸化反応を行った。結果を以下に記す表2に示し
た。
【0041】実施例10〜12 軽油とアセトニトリルとの溶媒比を変更した他は、実施
例8と同じ条件下に、酸化反応を繰り返した。結果を以
下に記す表2に示した。
【0042】実施例13 反応系にアセトニトリルとベンゼンの混合溶媒を添加し
た他は、実施例8と同じ条件下に、酸化反応を繰り返し
た。結果を以下に記す表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、硫黄化合物特に有機硫
黄化合物を含有する液体燃料油を、極性有機溶剤と遷移
金属触媒の存在下に、酸化剤により酸化することによ
り、有機硫黄化合物を含酸素有機硫黄化合物に選択的に
変換し、燃料油中から除去、すなわち、脱硫することが
出来る。この脱硫方法では、従来から知られている水素
化反応を利用する脱硫法では脱硫することが困難であっ
たアルキル置換ジベンジチオフェン類等の難脱硫性化合
物を除去できるものであり、その含有量も少ない量にま
で脱硫する超深度脱硫が可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 山本 順寛 東京都文京区本郷7丁目3番1号 東京大 学大学院工学系研究科内 Fターム(参考) 4H013 AA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫黄化合物を含有する燃料油を、極性有機
    溶剤と遷移金属触媒の存在下、酸化剤で処理することを
    特徴とする燃料油の酸化脱硫方法。
  2. 【請求項2】酸化剤が過酸化水素であることを特徴とす
    る請求項1記載の燃料油の酸化脱硫方法。
  3. 【請求項3】硫黄化合物が有機硫黄化合物であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の燃料油の酸化脱硫方
    法。
  4. 【請求項4】有機硫黄化合物がジベンゾチオフェン類で
    あることを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の燃料
    油の酸化脱硫方法。
  5. 【請求項5】極性有機溶剤がアセトニトリルであること
    を特徴とする請求項1乃至4何れか記載の燃料油の酸化
    脱硫方法。
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