JP2001354043A - 回転差感応型カップリング及びこれを用いたデファレンシャル装置 - Google Patents

回転差感応型カップリング及びこれを用いたデファレンシャル装置

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JP2001354043A
JP2001354043A JP2000177288A JP2000177288A JP2001354043A JP 2001354043 A JP2001354043 A JP 2001354043A JP 2000177288 A JP2000177288 A JP 2000177288A JP 2000177288 A JP2000177288 A JP 2000177288A JP 2001354043 A JP2001354043 A JP 2001354043A
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Japan
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piston
coupling
pump
suction
torque
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JP2000177288A
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English (en)
Inventor
Tomiaki Ochiai
富明 落合
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝達トルクの変動を小さくする。 【解決手段】 トルク伝達部材5側のカム63と、トル
ク伝達部材3側のシリンダ55と、移動に伴ってシリン
ダ55の吸入口57から作動流体を吸入し吐出口59か
ら吐出するプランジャ61と、プランジャ61をカム6
3に押圧するスプリング65とを備え、吐出行程と吸入
行程との間に吸入待ち行程を設けると共に、3の倍数個
のプランジャ61を用い、吸入と吐出と吸入待ちの各行
程で常時同数のプランジャ61を作動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カップリングと
これを用いたデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】「自動車技術 24頁、社団法人 自動
車技術会 編集及び発行、Vol.54,No.4,2000
2000年4月1日発行」に図6のようなオートトル
クコントロール(ATC)カップリング301が記載さ
れている。
【0003】このカップリング301は4輪駆動車の後
輪側動力伝達系に配置されている。この車両は前輪駆動
ベースであり、下記のように、カップリング301は前
輪が空転したとき後輪に駆動力を伝達する。
【0004】カップリング301は、カム部材303、
ロータ305、軸方向に形成されたシリンダ307、ピ
ストン309、オリフィス311、メインバルブ31
3、遠心バルブ315、トルク制限バルブ317などか
ら構成されている。
【0005】シリンダ307、ピストン309、オリフ
ィス311、メインバルブ313、遠心バルブ315、
トルク制限バルブ317は作動流体であるオイルを満た
した閉回路を介して連結されている。
【0006】カム部材303はハウジングに固定されて
おり、このハウジングはプロペラシャフトを介してトラ
ンスファに連結され、エンジンの駆動力によって回転駆
動される。
【0007】また、カム部材303には軸方向に起伏す
る4個のカム319が周方向等間隔に形成されている。
【0008】ロータ305は連結軸を介してリヤデフ
(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレン
シャル装置)に連結されている。
【0009】シリンダ307はロータ305上に9個形
成されており、各シリンダ307は周方向等間隔に配置
されている。ピストン309は各シリンダ307に移動
自在に係合しており、スプリングによってカム319に
押圧されている。
【0010】ピストン309の吸入ポート321には吸
入ワンウェイバルブ323が設けられ、シリンダ307
の吐出ポート325には吐出ワンウェイバルブ327が
設けられている。
【0011】これらのワンウェイバルブ323,327
はボール329,331で各ポート321,325を開
閉するように構成されている。
【0012】前輪(エンジン)側と後輪側との差動回転
によってロータ305が矢印333の方向に回転する
と、例えば、カム319の山を乗り越えた矢印335の
ピストン309はスプリングの付勢力によってカム31
9の谷側に移動し、ここではワンウェイバルブ323,
327が開放されてオイルを吸い込む。また、カム31
9の山に乗り上げる矢印337のピストン309はカム
319のスラスト力によって押し戻され、ここではワン
ウェイバルブ323,327が閉じてオイルを吐出す
る。
【0013】このような各ピストン309の往復移動
(ポンプ仕事)によって閉回路をオイルが一方向に移動
し、下流(吐出側)の閉回路が高圧流路339になり、
上流(吸入側)の閉回路が低圧流路341になる。
【0014】オリフィス311、メインバルブ313、
遠心バルブ315、トルク制限バルブ317はそれぞれ
この高圧流路339に並列して接続されている。
【0015】オリフィス311は、その流路抵抗によっ
て高圧流路339に所定の圧力を発生させ、この圧力を
維持する。
【0016】高圧流路339に発生したこの圧力によっ
て各ピストン309がカム319に押圧され、ハウジン
グ(カム部材303)とロータ303が連結され、接触
部のカム角に応じて発生する押圧力の回転方向成分が伝
達トルクになり、エンジン側(ハウジング:カム部材3
03)から後輪(ロータ303)に駆動力が伝達され
る。
【0017】高圧流路339に生じる圧力は前後輪間の
差動回転速度が上昇する程大きくなるから、この差動回
転速度が上昇する程後輪に伝達される駆動力が大きくな
る基本的なトルク特性が得られる。
【0018】このトルク特性によって、悪路のような低
μ路を走行中に、あるいは、発進時や加速時に前輪が空
転すると、大きく空転する程大きな駆動力が後輪に送ら
れて、悪路の走破性、発進性、加速性などが向上する。
【0019】メインバルブ313は、低圧流路341に
適量のオイルをバイパスさせることによって高圧流路3
39の圧力を調整し、上記の基本的なトルク特性を車種
に応じた所定の特性に設定する。
【0020】遠心バルブ315は、閉塞方向に働くスプ
リングと、遠心力を受けて開放方向に働くフライウェー
ト343から構成されており、互いに質量の異なったフ
ライウェートとばね常数の異なったスプリングを有する
2セットの遠心バルブ315が設けられている。
【0021】車両の低速走行中は両方の遠心バルブ31
5が閉じており、この状態では上記のトルク特性によっ
て差動回転数当たり最も大きな駆動力が後輪に伝達され
る。加速すると、その程度に応じて第1と第2の遠心バ
ルブ315が順次開放され、これに従って高圧流路33
9の圧力が2段階で低下するトルク特性に調整され、後
輪に伝達される駆動力が基本的なトルク特性より順に小
さくなる。
【0022】トルク制限バルブ317は、高圧流路33
9の圧力が一定値を超えると開放されて低圧流路341
にオイルをバイパスさせ、そのリミッター機能により後
輪への伝達トルクが所定値を超えないように制御する。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】カップリング301の
ように、複数個のピストンが行うポンプ仕事によってト
ルクを伝達するように構成された装置では、吐出圧の脈
動(伝達トルクの変動)を無くすために、 ピストンの個数=n×行程数 (n:整数) ・・・(1)式 ピストンの個数/カムの個数=行程数 または、行程数/2 ・・・(2)式 の両式を満足させる必要がある。
【0024】上記のように、カップリング301は、9
個のピストン309が4個のカム319上で吸入と吐出
の2行程を行っており、これらの式を満たしていない。
【0025】このような構成のカップリング301で
は、図6のように、ある瞬間には9個のピストン309
のうち5個が吐出行程にあって他の4個が吸入行程にあ
り、このときは吐出圧(伝達トルク)が大きい。また、
次の瞬間にはこれらの数が逆転して吐出行程のピストン
309が4個に減り、吐出圧(伝達トルク)が低下す
る。
【0026】このように、カップリング301では吐出
圧が脈動して伝達トルクが変動する。伝達トルクが変動
すると、後輪の駆動力が変動するだけでなく、カップリ
ング301からエンジン側に伝わる抵抗も変動するか
ら、車体の挙動が不安定になり易い。
【0027】また、ピストン309が軸方向に移動する
アキシャル型のポンプを用いたカップリング301で
は、上記のように、吐出と吸入に伴って5個のピストン
309と4個のピストン309が交互に軸方向移動する
ことにより、重心が軸方向に移動する。
【0028】この重心移動によって、軸芯を転回させる
方向(ピッチング方向)にモーメントが生じ、カップリン
グ301に振動が発生して耐久性と静粛性が低下する。
【0029】また、各ピストン309毎に2個のワンウ
ェイバルブ323,327が用いられており、各ワンウ
ェイバルブ323,327にはボール329,331が
必要であるから、部品点数と組み付け工数が多く、コス
ト高である。
【0030】その上、各ポート321,325は精密加
工が必要であり、コストがさらに上昇する。
【0031】また、ボール329,331は、ポート3
21,325を塞ぐ位置(吐出行程)と開放する位置
(吸入行程)との間を移動するときにオイルの抵抗を受
けるから、吐出行程と吸入行程との切り換えレスポンス
が低下し、後輪に伝達される駆動力の立ち上がりが遅く
なる。
【0032】また、カップリング301では、ピストン
309のポンプ仕事だけでトルク伝達を行っているか
ら、ポンプ容量に較べて伝達トルク容量が小さい。
【0033】そこで、この発明は、複数組のポンプを用
いながら伝達トルクの変動が極めて小さく、また、ワン
ウェイバルブの構造が簡単で、低コストな回転差感応型
カップリングと、これを用いたデファレンシャル装置の
提供を目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】請求項1の回転差感応型
カップリングは、一方が入力側になり他方が出力側にな
る一対のトルク伝達部材と、一側のトルク伝達部材に形
成されたカムと、他側のトルク伝達部材に形成され、作
動流体の吸入口と吐出口とを有するシリンダと、このシ
リンダに移動自在に係合し、移動に伴ってこれらの吸入
口から作動流体を吸入し吐出口から吐出するピストン
と、ピストンをカムに押圧するスプリングとを備え、両
トルク伝達部材が差動回転すると、スプリングの付勢力
とカムのスラスト力とを受けたピストンが往復移動し、
生じたポンプ仕事により両トルク伝達部材の間でトルク
を伝達するポンプとを備え、吐出行程と吸入行程との間
に吸入待ちの行程を設けると共に、3の倍数個のピスト
ンを用い、吸入と吐出と吸入待ちの各行程で常時同数の
ピストンを作動させることを特徴とする。
【0035】トルク伝達部材の間に差動回転が生じる
と、カムのスラスト力とスプリングの付勢力を受けてピ
ストンが往復移動しポンプが作動する。ポンプが作動す
ると、そのポンプ仕事により両トルク伝達部材の間でト
ルクが伝達される。
【0036】また、差動回転数が上昇する程ポンプ仕事
が大きくなり、伝達トルクが大きくなる。
【0037】また、本発明の回転差感応型カップリング
は、吐出行程と吸入行程との間に吸入待ちの行程を設け
て3行程にすると共に、ピストンの個数を3の倍数個に
し、これらの3行程で常に同数のピストンが作動するよ
うに構成されている。
【0038】3行程で同数のピストンを作動させるこの
条件は、吐出圧の脈動を防止する上記の(1),(2)式を
満足するものであり、従来例と異なり、常に同数のピス
トンが入れ替わり吐出行程に参加して作動流体を吐出す
るから、吐出圧の脈動が防止され、伝達トルクの変動を
防止する。
【0039】このように、吐出圧と伝達トルクの変動は
理論上発生することがなくなり、実質的にもこれらの変
動は極めて小さく抑えられる。
【0040】伝達トルクの変動が極めて小さいから、例
えば、この回転差感応型カップリングを4輪駆動車の前
輪側、あるいは、後輪側の動力伝達系に配置した場合、
カップリングを介して駆動される車輪の駆動力が安定
し、車両の走行性、旋回性、操縦性などが大きく向上す
る。
【0041】また、カップリングからエンジン側に伝わ
る抵抗の変動も防止され、車体の安定性が向上する。
【0042】また、吐出行程と吸入行程との間に吸入待
ち行程を設けたことによって吐出圧の立ち上がりが速く
なり、カップリングを連結するときのレスポンスが向上
する。
【0043】さらに、シリンダに設けられた吸入口と吐
出口をピストンによって開閉するようにすれば、ピスト
ンと吸入口及びピストンと吐出口でそれぞれワンウェイ
バルブを構成することが可能である。
【0044】この場合はピストンがバルブ本体になり専
用のバルブ本体が不要になるから、ピストン309毎に
2個のボール329,331が必要な従来例のワンウェ
イバルブ323,327と異なって、部品点数が大幅に
低減され、それだけ組み付け作業が容易になり、コスト
が低減される。
【0045】また、ポート321,325に要求される
ような精密加工が不要であり、コストがさらに低減され
る。
【0046】また、吐出行程と吸入行程との間でオイル
の抵抗を受けるボール329,331を用いない上に、
上記のように、連結する際のレスポンスが向上するか
ら、必要なタイミングで車輪に駆動力を送ることが可能
になり、車両の走行性、操縦性、発進性、加速性、悪路
走破性、スタック脱出性などを大きく向上させることが
できる。
【0047】なお、本発明では、ピストンとプランジャ
とを同義に用いている。
【0048】請求項2の発明は、請求項1に記載の回転
差感応型カップリングであって、ポンプが、ピストンを
径方向に移動させるラジアル型のポンプであり、ピスト
ンの径方向変位による慣性モーメント変化が、他のピス
トンの径方向変位による慣性モーメント変化によって常
時打ち消されることを特徴とし、請求項1の構成と同等
の作用・効果が得られる。
【0049】ラジアル型のポンプでは、回転のアンバラ
ンスを小さくするために、ピストンの個数とカムの個数
が公約数を持つことが必要である。
【0050】また、ピストンの径方向変位による慣性モ
ーメント変化を他のピストンの径方向変位による慣性モ
ーメント変化によって常時打ち消すこの構成は、例え
ば、径方向変位量の等しい複数個のピストンを周方向等
間隔に配置することであり、さらに、ピストンがこのよ
うに配置された場合は、カムも周方向等間隔に配置され
る。
【0051】この条件ではピストンの個数とカムの個数
が公約数を持つことになり、回転のアンバランスが極め
て小さく抑えられる。
【0052】また、ピストンが軸方向に移動するアキシ
ャル型のポンプを用いた従来例のカップリング301と
異なって、ピストンが径方向に移動するラジアル型のポ
ンプを用いたこの構成のカップリングは、重心の移動に
よる振動が発生しない。
【0053】このように、回転方向と、軸芯の転回方向
の両方でポンプの振動が防止されるこのカップリング
は、振動と騒音から解放され、耐久性と静粛性が向上す
る。
【0054】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2のいずれかに記載の回転差感応型カップリングであっ
て、両トルク伝達部材の間に配置され、ポンプの吐出圧
によって押圧され連結されるクラッチを設けたことを特
徴とし、請求項1または請求項2の構成と同等の作用・
効果が得られる。
【0055】また、ポンプの吐出圧によって押圧され両
トルク伝達部材を連結するクラッチを設けたこの構成で
は、ポンプ仕事だけでトルク伝達を行う従来例と異なっ
て、トルク伝達容量が大幅に強化されるから、車両の動
力伝達系に用いた場合、軽量、コンパクトでありなが
ら、大きな駆動力を車輪に送ることが可能になり、車両
の走行性、操縦性、発進性、加速性、悪路走破性、スタ
ック脱出性などを充分に向上させることができる。
【0056】請求項4の発明は、請求項3に記載の回転
差感応型カップリングであって、クラッチが、多板クラ
ッチであることを特徴とし、請求項3の構成と同等の作
用・効果が得られる。
【0057】また、この構成は、クラッチ板の枚数を変
えることによってトルク容量を容易に変えることができ
るから、トルク伝達特性を適用車種に合わせて調整する
ことが可能であり、異なった車種に広く適用できる。
【0058】また、多板クラッチは摩擦面面積が広く大
きなトルク容量が得られるから、軽量、コンパクトに構
成することが可能であり、特に、クラッチ板の枚数を増
やすことによってトルク容量を増やしながら大径化が回
避され、周辺部材との干渉が防止され、車載性が向上す
る。
【0059】請求項5のデファレンシャル装置は、エン
ジンの駆動力によって回転する入力側トルク伝達部材
と、その回転を一対の出力側トルク伝達部材を介して車
輪側に配分する差動機構と、トルク伝達部材の間に配置
され、差動機構の差動を制限する請求項1〜4のいずれ
かに記載の回転差感応型カップリングとを備えたことを
特徴とする。
【0060】差動機構に差動回転が生じると、トルク伝
達部材間の差動トルクによってポンプが作動し、請求項
1,2の構成では、ポンプ仕事によって差動機構の差動
が制限され、請求項3,4の構成では、さらにクラッチ
の摩擦抵抗によって差動制限力が強化される。
【0061】また、請求項1〜4の回転差感応型カップ
リングの上記のようなトルク変動防止機能によって差動
制限力が安定し、車両の旋回性、走行性、操縦性などが
大きく向上する。
【0062】また、良路を定速走行するときのように差
動回転が生じない状態では、デファレンシャル装置によ
る車輪間の回転拘束力が消失し、A.B.S(アンチロ
ック・ブレーキ・システム)との干渉が防止されると共
に、エンジンの燃費が向上する。
【0063】
【発明の実施の形態】図1〜図4によって回転差感応型
カップリング1(一実施形態)の説明をする。
【0064】このカップリング1は請求項1,2,3,
4の特徴を備えている。図1はカップリング1を示して
おり、図4はカップリング1を用いた4輪駆動車の動力
系を示している。左右の方向はこの車両の左右の方向で
あり、図1の左方はこの車両の前方に相当する。また、
符号のない部材等は図示されていない。
【0065】図4のように、この動力系は、横置きのエ
ンジン201とトランスミッション203、トランスフ
ァ205、フロントデフ207(エンジン201の駆動
力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)、前
車軸209,211、左右の前輪213,215、後輪
側のプロペラシャフト217、カップリング1、リヤデ
フ219、後車軸221,223、左右の後輪225,
227などから構成されている。
【0066】カップリング1は後輪側の動力伝達系に配
置されており、下記のように、後輪225,227に伝
達する駆動力の制御を行う。
【0067】エンジン201の駆動力は、トランスミッ
ション203の出力ギヤ229からリングギヤ231を
介してフロントデフ207のデフケース233に伝達さ
れ、フロントデフ207から前車軸209,211を介
して左右の前輪213,215に配分され、さらに、デ
フケース233とトランスファ205とプロペラシャフ
ト217とを介してカップリング1に伝達される。
【0068】カップリング1が連結状態になると、エン
ジン201の駆動力はリヤデフ219から後車軸22
1,223を介して左右の後輪225,227に配分さ
れ、車両は4輪駆動状態になる。
【0069】また、カップリング1の連結が解除された
状態になると、リヤデフ219以下の後輪側が切り離さ
れて車両は前輪駆動状態になる。
【0070】図4のように、リヤデフ219はデフキャ
リヤ235に収容されており、このデフキャリヤ235
はケーシング本体237とフロントケーシング239と
をボルト241で連結して構成されている。
【0071】図1のように、カップリング1は、回転ケ
ース3(入力側のトルク伝達部材)、中空のインナーシ
ャフト5(出力側のトルク伝達部材)、多板クラッチ7
(クラッチ)、ラジアル型のプランジャポンプ9(ポン
プ)、油圧アクチュエータ11、ワンウェイバルブ1
3、オリフィス15、アキュムレータ17、トルク制限
バルブ19などから構成されている。
【0072】回転ケース3は、ケーシング本体20とフ
ランジ21から構成されており、フランジ21はケーシ
ング本体20の前部にボルト22で固定されている。
【0073】インナーシャフト5は後方から回転ケース
3に貫入しており、その前部をボールベアリング23に
よってフランジ21に支承され、後部をボールベアリン
グ25によってケーシング本体20の後部壁27に支承
されている。
【0074】ケーシング本体20とフランジ21との間
にはOリング29が配置されており、インナーシャフト
5と後部壁27との間には断面がX字状のシールである
Xリング31が配置され、回転ケース3とインナーシャ
フト5との間に密封された空間33を形成している。下
記のように、この空間33はアキュムレータ17に連通
し、アキュムレータ17を介して密封されている。
【0075】空間33とアキュムレータ17には、フラ
ンジ21に設けられたオイル注入孔35から所定量のオ
イルが充填されており、空間33とアキュムレータ17
は充填されたオイルと空気とで満たされている。オイル
を注入した後この注入孔35はオイルプラグ37によっ
て密封される。
【0076】図4のように、継ぎ手243側の連結軸2
45はフロントカバー239からデフキャリヤ235に
貫入しており、この連結軸245のフランジ部247
は、スタッドボルト39(図1)によって回転ケース3
のフランジ21に連結されている。
【0077】図1のように、インナーシャフト5にはフ
ランジ部41が形成されており、このフランジ部41に
はドライブピニオンシャフト249の前側に設けられた
フランジ部251が連結されている。ドライブピニオン
シャフト249の後側にはドライブピニオンギヤ253
が形成されており、ドライブピニオンギヤ253はリヤ
デフ219側のリングギヤ255と噛み合ってリヤデフ
219に駆動力を伝達する。
【0078】なお、デフキャリヤ235にはリヤデフ2
19の潤滑用オイルが封入されており、ドライブピニオ
ンギヤ253とリングギヤ255との噛み合い部と、こ
れらの支持ベアリングや各部材の摺動部などを潤滑して
いる。
【0079】多板クラッチ7は、軸方向に交互配置され
た複数枚のアウタープレート43とインナープレート4
5とからなり、各アウタープレート43はケーシング本
体20(回転ケース3)の内周に設けられた噛み合い歯
47に移動自在に連結され、各インナープレート45は
インナーシャフト5の外周に設けられた噛み合い歯49
に移動自在に連結されている。
【0080】多板クラッチ7とフランジ21との間には
プレート51が配置されており、その厚さを変えること
によってインナープレート45とアウタープレート43
の隙間が最適値に調整されている。
【0081】プランジャポンプ9は、ポンプケーシング
53、シリンダ55、吸入口57及び吐出口59、シリ
ンダ55と同数のプランジャ61(ピストン)、カム6
3、コイルスプリング65(スプリング)などから構成
されている。
【0082】ポンプケーシング53はケーシング本体2
0の噛み合い歯47と噛み合って、回転ケース3と一体
に回転する。
【0083】図2のように、シリンダ55はポンプケー
シング53に6個設けられている。各シリンダ55は径
方向に形成されており、周方向等間隔に配置されてい
る。また、ポンプケーシング53にはリング部材67が
溶接されており、リング部材67は各シリンダ55の底
部を塞いでいる。
【0084】吸入口57と吐出口59はポンプケーシン
グ53(各シリンダ55)に形成されており、吸入口5
7は径方向内側に配置され、吐出口59はそれより径方
向外側に配置されている。
【0085】プランジャ61はシリンダ55と液密に係
合しており、径方向の移動に伴って吸入口57を開閉す
る。
【0086】カム63はインナーシャフト5の外周にプ
ランジャ61と対向して4個設けられており、各カム6
3は周方向等間隔に配置されている。
【0087】コイルスプリング65は各シリンダ55の
内部に配置され、プランジャ61をカム63に押圧して
いる。
【0088】油圧アクチュエータ11は、ポンプケーシ
ング53に形成された軸方向のシリンダ69と、ピスト
ン71とで構成されている。ピストン71はシール7
3,75を介してシリンダ69と液密に係合している。
【0089】ピストン71は多板クラッチ7と対向して
おり、リターンスプリング77によって多板クラッチ7
の連結解除方向に付勢されている。このリターンスプリ
ング77はシリンダ69に取り付けられたスナップリン
グ79に位置決めされたワッシャ81とピストン71と
の間に配置されている。
【0090】また、プランジャポンプ9の各吐出口59
はワンウェイバルブ13を介してシリンダ69に連通し
ており、各吸入口57は上記の密閉空間33に開口して
いる。
【0091】ワンウェイバルブ13は、リング状のダイ
ヤフラム83をビス85によってシリンダ69の内部に
固定して構成されている。
【0092】ダイヤフラム83には6個のリード部87
が設けられており、各リード部87は吐出口59上に重
ねて配置されている。
【0093】オリフィス15はピストン71に複数個形
成されており、それぞれは周方向等間隔に配置されてい
る。
【0094】シリンダ55(プランジャポンプ9)の油
圧がシリンダ69(油圧アクチュエータ11)の油圧よ
り高くなると、ダイヤフラム83のリード部87が撓ん
で吐出口59が開放され、プランジャポンプ9から油圧
アクチュエータ11にオイルが供給される。また、シリ
ンダ55の油圧がシリンダ69の油圧より低くなると、
リード部87が吐出口59を塞ぎ、吐出口59からプラ
ンジャポンプ9側にオイルが逆流することを防止する。
【0095】アキュムレータ17は中空のインナーシャ
フト5の内側に配置されており、カバー89,91、移
動部材93、コイルスプリング95、オイル流路97,
99、フィルタ101などから構成されている。
【0096】カバー89,91はそれぞれスナップリン
グ103,105によってインナーシャフト5の両端部
に固定されている。移動部材93はシール107を介し
てインナーシャフト5に係合しており、カバー89との
間でオイル室109を形成している。
【0097】コイルスプリング95はカバー91と移動
部材93との間に配置され、移動部材93を介してオイ
ル室109に一定の圧力を加えている。
【0098】オイル流路97,99はインナーシャフト
5の4箇所に形成されており、オイル室109と空間3
3とを連通している。図2のように、各オイル流路9
7,99はカム63の谷部分に(周方向等間隔に)放射
状に形成されている。
【0099】空間33側の油圧がオイル室109の油圧
より高くなると、オイル流路97,99を通って空間3
3からオイル室109にオイルが流入し、コイルスプリ
ング95が撓んで移動部材93が後方に移動する。ま
た、空間33側の油圧がオイル室109より低くなる
と、オイル室109からオイル流路97,99を通って
空間33にオイルが戻り、コイルスプリング95が伸び
て移動部材93が前方に戻る。
【0100】こうして、アキュムレータ17は空間33
に発生する油圧変動を吸収し、空間33の油圧を一定に
保つ。
【0101】また、フィルタ101はオイル流路97,
99のオイル室109側開口部に配置されており、オイ
ル中の金属粉などを漉し取って、オリフィス15の目詰
まり、プランジャ61とカム63及び多板クラッチ7の
磨耗などを防止する。
【0102】トルク制限バルブ19は、中空孔111が
形成されたオイルプラグ113、ポート115、コイル
スプリング117、ボール119などから構成されてい
る。
【0103】オイルプラグ113はポンプケーシング5
3に設けられたオイル流路121の内周に螺着されてお
り、ポート115は油圧アクチュエータ11のシリンダ
69とこのオイル流路121とを連通している。
【0104】コイルスプリング117はオイルプラグ1
13に支持され、ボール119を所定の押圧力でポート
115に押圧する。
【0105】シリンダ69の油圧が所定値を超えるとコ
イルスプリング117が撓み、ボール119が後退して
ポート115が開放され、オイル流路121と中空孔1
11を通ってシリンダ69からオイルが排出され、油圧
アクチュエータ11の押圧力が所定値以下に保つリミッ
タ機能が作動する。
【0106】また、シリンダ69の油圧が所定値を超え
ない範囲では、ボール119がポート115を閉塞して
オイルのバイパスが防止され、リミッタ機能が停止して
いる。
【0107】[カップリング1の動作]例えば、悪路走
行中、発進時、加速時に前輪213,215が空転し前
後輪間に差動回転が発生すると、エンジン201側の回
転ケース3と後輪225,227側のインナーシャフト
5が相対回転し、カム63のカムスラスト力とコイルス
プリング65の付勢力によって各プランジャ61が、4
個のカム63上をその山と谷との間で径方向に往復移動
する。
【0108】各プランジャ61は、カム63の山に乗る
と、図1,2のように、シリンダ55の吸入口57を塞
いで吐出口59を開放し、カム63の谷に下りると吸入
口57を開放する。
【0109】各プランジャ61がカム63の谷から山側
に移動する過程で吸入口57が塞がれると、オイルの吐
出行程が始まってシリンダ55の油圧が上昇し、この油
圧により、上記のように、ワンウェイバルブ13のリー
ド部87が撓んで吐出口59が開放され、油圧アクチュ
エータ11にオイルが供給される。
【0110】また、各プランジャ61がカム63の山か
ら谷側に移動する過程では、吸入口57が塞がれている
ことによってシリンダ55に負圧が生じ、この負圧によ
ってワンウェイバルブ13のリード部87が吐出口59
を閉塞する。
【0111】プランジャ61の径方向外側端部と吸入口
57との間には距離123が設定されており、プランジ
ャ61がこの距離123を移動する間は吸入待ちの行程
になり、吸入口57が開放されると吸入行程に移行す
る。
【0112】プランジャポンプ9ではこのように吐出行
程と吸入行程との間に吸入待ち行程が設けられている。
【0113】回転ケース3とインナーシャフト5が相対
回転すると、上記のようにしてプランジャポンプ9が作
動し、プランジャポンプ9が作動すると、プランジャ6
1が吸入行程にあるシリンダ55では吸入口57から空
間33のオイルが吸入され、プランジャ61が吐出行程
にあるシリンダ55では吐出口59からワンウェイクラ
ッチ13を介してオイルが油圧アクチュエータ11のシ
リンダ69に送られる。
【0114】また、シリンダ69にはオリフィス15に
よって差動回転速度(プランジャポンプ9の回転速度)
の2乗に比例する圧力が発生し、この圧力によって油圧
アクチュエータ11が作動する。
【0115】油圧アクチュエータ11が作動するとピス
トン71が多板クラッチ7を押圧し連結させる。
【0116】このように、プランジャポンプ9が作動す
るとポンプ仕事が発生し、さらに、多板クラッチ7が連
結され、これらのポンプ仕事と多板クラッチ7の摩擦力
とによってカップリング1が連結される。
【0117】カップリング1が連結されると、車両は四
輪駆動状態になり、後輪225,227にエンジン20
1の駆動力が送られて、発進性、加速性、悪路走破性な
どが向上し、スタックから脱出することができる。
【0118】また、ポンプ仕事と多板クラッチ7の摩擦
力はプランジャポンプ9の回転速度が上昇する程大きく
なるから、前輪213,215の空転が大きくなる程、
カップリング1を介して後輪225,227に送られる
駆動力が大きくなり、発進性、加速性、悪路走破性、ス
タック脱出性などの向上効果が大きくなる。
【0119】また、差動回転速度が過度に上昇してシリ
ンダ69の油圧が所定値を超えると、上記のように、コ
イルスプリング117が撓んでボール119が後退し、
シリンダ69からオイルが排出されてトルク制限バルブ
19のトルクリミッタ機能が作動し、油圧アクチュエー
タ11の押圧力(カップリング1の連結力)が所定値を
超えないように調整され、あるいは、カップリング1が
ロックしないように調整される。
【0120】また、アキュムレータ17は、プランジャ
ポンプ9の吐出圧変動(回転速度変化:前輪213,2
15の空転速度変化)に伴う空間33の圧力変化に応じ
て、上記のように、空間33との間でオイルをやり取り
して空間33の圧力を一定に保ち、カップリング1の動
作と車両の性能とを安定させる。
【0121】このとき、フィルタ101はアキュムレー
タ17と空間33との間でオイルの金属粉などを漉し取
り、特に、オリフィス15の目詰まりを防止してカップ
リング1のロックを防止する。
【0122】上記のように、プランジャポンプ9は、吐
出行程と吸入行程との間に吸入待ち行程を設けて3行程
にすると共に、プランジャ61を3の倍数個である6個
用い、さらに4個のカム63を用いて構成されている。
【0123】また、プランジャポンプ9のようなラジア
ル型のポンプでは、回転時のアンバランスと振動を防止
するために、プランジャの個数とカムの個数とが公約数
を持つことが必要である。
【0124】また、複数個のプランジャが行うポンプ仕
事によってトルクを伝達するカップリング1のような装
置では、プランジャポンプ9の吐出圧の脈動(カップリ
ング1の伝達トルクの変動)をなくすためには、上記の
(1),(2)式でピストンをプランジャと読み替えた、 プランジャの個数=n×行程数 (n:整数) (1)式 プランジャの個数/カムの個数=行程数 または、行程数/2 (2)式 を満足させる必要がある。
【0125】この両式で、行程数を本発明のように3に
すると、整数n毎のプランジャの個数(P)、カムの個数
(C)、PとCの公約数は、図5に示す表のようになる。
【0126】プランジャポンプ9のプランジャ個数(6)
とカム個数(4)はこの表中に括弧を付けて表示されてお
り、3行程にしたことによって、プランジャポンプ9は
(1),(2)式を満足し、吐出圧の脈動(カップリング1
の伝達トルク変動)を防止する条件を満たしている。
【0127】さらに、これらは公約数(2)を持ってい
る。
【0128】一方、吐出圧を一定に保つ(脈動を防止す
る)には吐出行程にあるプランジャが常に同数であれば
よい。
【0129】図3はプランジャポンプ9の回転角に対す
る各プランジャ61の変位と行程の変化とを示してい
る。
【0130】図2のように、6個のプランジャ61と4
個のカム63はそれぞれ周方向等間隔に配置されてい
る。矢印125を回転ケース3の回転方向とすると、図
2の状態は、カム63の頂点上にある1番と4番のプラ
ンジャ61は吐出行程を終了して吸入待ち行程に入り、
2番と5番のプランジャ61はカム63を上りながら吸
入行程を終了して吐出行程に入り、3番と6番のプラン
ジャ61はカム63を下りながら吸入待ち行程を終了し
て吸入行程に入る。
【0131】また、図3の横軸上に示したように、図2
の状態は回転角10°、100°、190°、280°
に相当し、図3の行程の変化が示すように、これらの回
転角の間では1番と4番、2番と5番、3番と6番の各
プランジャ61の組が吐出行程、吸入待ち行程、吸入行
程をこの順で繰り返す。
【0132】このようなことは、上記のようにプランジ
ャ61とカム63の個数が(1),(2)式を満足すること
によって可能であり、このように吐出行程、吸入待ち行
程、吸入行程のそれぞれで常時2個のプランジャ61が
入れ替わって作動し、吐出行程では常に2個のプランジ
ャ61がオイルを吐出するから、吐出圧の脈動が極めて
小さく抑えられる。
【0133】プランジャポンプ9の脈動が小さく抑えら
れると、そのポンプ仕事と多板クラッチ7の摩擦力の変
動が小さくなってカップリング1の連結力が安定し、後
輪225,227に送られる駆動力の変動が防止され
る。
【0134】また、図2のように周方向等間隔に配置さ
れた6個のプランジャ61のうち、1番と4番のプラン
ジャ61、2番と5番のプランジャ61、3番と6番の
プランジャ61は互いに180°対称の位置にあり、図
3のように、対称位置にあるこれらのプランジャ61は
径方向変位が常に等しい。
【0135】このことは、上記のように、プランジャ6
1の個数(6)とカム63の個数(4)が公約数(2)を持つ
ことによって可能であり、180°対称の位置にあるプ
ランジャ61は径方向変位が常に等しいことによって互
いの慣性モーメントを相殺すると共に、4個のカム63
も周方向等間隔に配置されたことによって回転方向のア
ンバランスが防止されるから、プランジャポンプ9は振
動が極めて小さい。
【0136】[カップリング1の効果]カップリング1
は、上記のように、伝達トルク(連結力)の変動が極め
て小さく抑えられるから、後輪225,227の駆動力
変動が小さくなり、カップリング1を介して駆動される
後輪225,227の駆動力が安定し、車両の走行性、
旋回性、操縦性などが大きく向上する。
【0137】また、カップリング1からエンジン201
側に伝わる抵抗も一定になり、車体の安定性が大きく向
上する。
【0138】また、吐出行程と吸入行程との間に吸入待
ち行程を設けたことによって吐出圧の立ち上がりが速く
なり、カップリング1を連結する際のレスポンスがそれ
だけ向上する。
【0139】また、プランジャポンプ9は回転のアンバ
ランスが極めて小さい上に、ラジアル型のプランジャポ
ンプ9は、アキシャル型のポンプと異なって重心の移動
による振動が発生しないから、回転方向(ロール方向)と
軸芯の転回方向(ピッチング方向)の両方で振動が防止さ
れる。
【0140】こうして、カップリング1は振動と騒音か
ら解放され、耐久性と静粛性が向上する。
【0141】また、シリンダ55(プランジャポンプ
9)の吸入口57はプランジャ61によって開閉され、
吐出口59はダイヤフラム83を用いたワンウェイバル
ブ13によって開閉される。
【0142】このように、吸入口57ではプランジャ6
1がバルブ本体になり、吐出口59のワンウェイバルブ
13は、従来例に用いられたワンウェイバルブ323,
327と異なって、部品点数が少ない上に、ポート32
1,325に要求されるような精密加工が不要であるか
ら、それだけ組み付け作業と加工が容易であり、低コス
トである。
【0143】また、吐出行程と吸入行程との間でオイル
の抵抗を受けながら移動するボール329,331を用
いない上に、上記のように、連結する際のレスポンスが
向上するから、カップリング1は必要なタイミングで後
輪225,227に駆動力を送ることが可能になり、車
両の走行性、操縦性、発進性、加速性、悪路走破性、ス
タック脱出性などが大きく向上する。
【0144】また、プランジャポンプ9の吐出圧によっ
て連結される多板クラッチ7を設けたことにより、ポン
プ仕事だけでトルク伝達を行う従来例と異なって、プラ
ンジャポンプ9と多板クラッチ7の両方でトルク伝達が
行われるから、トルク伝達容量が大幅に強化され、軽
量、コンパクトでありながら、大きな駆動力を後輪22
5,227に送ることが可能であり、車両の発進性、加
速性、悪路走破性、スタック脱出性などを充分に向上さ
せることができる。
【0145】また、多板クラッチ7はクラッチ板の枚数
を変えることによってトルク容量を任意に調整できるか
ら、カップリング1は、適用車種毎に必要なトルク伝達
特性が得られ、異なった車種に広く適用できる。
【0146】また、多板クラッチ7は摩擦面面積が広く
大きなトルク容量が得られるから、カップリング1はさ
らに軽量でコンパクトに構成することが可能であり、特
に、クラッチ板の枚数を増やせば大径化が回避され、周
辺部材との干渉が防止され、車載性が向上する。
【0147】なお、カップリング1は、図4の矢印27
1が示すように、トランスファ205とプロペラシャフ
ト217との間に配置してもよい。
【0148】この場合、カップリング1は、プロペラシ
ャフト217とリヤデフ219との間に配置された上記
実施形態の場合と同様に、駆動力を後輪225,227
に伝達し、また、伝達する駆動力を制御する。
【0149】また、カップリング1は、矢印273,2
75が示すように、フロントデフ207と左右いずれか
の前輪213,215との間に配置してもよく、矢印2
77,279が示すように、リヤデフ219と左右いず
れかの後輪225,227との間に配置してもよい。
【0150】矢印273,275の箇所に配置した場合
は、後輪225,227が空転するとカップリング1が
連結され、前輪213,215に駆動力が伝達されて車
両が4輪駆動状態になると共に、空転速度に応じて伝達
される駆動力が制御され、空転が停止すると前輪21
3,215への駆動力伝達が停止され、車両は実質的に
2輪駆動状態になる。
【0151】また、矢印277,279の箇所に配置し
た場合は、前輪213,215が空転するとカップリン
グ1が連結され、後輪225,227に駆動力が伝達さ
れて車両が4輪駆動状態になると共に、空転速度に応じ
て伝達される駆動力が制御され、空転が停止すると後輪
225,227への駆動力伝達が停止され、車両は実質
的に2輪駆動状態になる。
【0152】さらに、カップリング1は、矢印281が
示すように、トランスファ205のギヤ機構と組み合わ
せて配置してもよく、この場合は、プロペラシャフト2
17とリヤデフ219との間に配置された上記実施形態
と同等の機能が得られる。
【0153】なお、請求項5に記載されたデファレンシ
ャル装置は、請求項1〜4の回転差感応型カップリング
を差動制限機構に用いたものであり、このカップリング
によって安定した(変動しない)差動制限力が得られ
る。
【0154】また、本発明において、クラッチは多板ク
ラッチに限らず、単板クラッチ、コーンクラッチのよう
な他の形式の摩擦クラッチでもよい。
【0155】また、これらは湿式と乾式のいずれでもよ
い。
【0156】
【発明の効果】請求項1の回転差感応型カップリング
は、ポンプを吐出と吸入と吸入待ちの3行程にすると共
に、ピストンを3の倍数個にし、3行程のいずれでも常
に同数のピストンが作動するように構成したことによ
り、吐出圧の脈動が防止され、伝達トルクの変動が防止
される。
【0157】従って、カップリングを介して駆動される
車輪の駆動力が安定し、車両の走行性、旋回性、操縦性
などが大きく向上する。
【0158】また、カップリングからエンジン側に伝わ
る抵抗の変動も防止され、車体の安定性が向上する。
【0159】また、吸入待ち行程を設けたことによって
吐出圧の立ち上がりが速くなり、カップリングを連結す
る際のレスポンスが向上する。
【0160】また、従来例と異なって、ワンウェイバル
ブを構成する部品点数が大幅に低減され、組み付け作業
が容易になり、精密加工が不要になって、コストが低減
される。
【0161】また、オイルの抵抗を受けるボール32
9,331を用いないことと、上記のように吐出圧の立
ち上がりが速いから、必要なタイミングで車輪に駆動力
を送ることが可能であり、車両の走行性、操縦性、発進
性、加速性、悪路走破性、スタック脱出性などが大きく
向上する。
【0162】請求項2の回転差感応型カップリングは、
請求項1の構成と同等の効果が得られる。
【0163】また、ピストンの径方向変位による慣性モ
ーメント変化を他のピストンで打ち消すこの構成は、回
転のアンバランスが極めて小さい上に、ラジアル型のポ
ンプを用いたこの構成は、アキシャル型のポンプを用い
た従来例と異なって、重心の移動による振動が発生しな
い。
【0164】このように回転方向と軸芯の転回方向の両
方でポンプの振動が防止されることにより、振動と騒音
から解放され、耐久性と静粛性が向上する。
【0165】請求項3の回転差感応型カップリングは、
請求項1または請求項2の構成と同等の効果が得られ
る。
【0166】また、トルク伝達がポンプ仕事とクラッチ
の両方で行われるから、トルク伝達容量が大幅に強化さ
れ、軽量、コンパクトでありながら、大きな駆動力を車
輪に送ることが可能であり、車両の走行性、操縦性、発
進性、加速性、悪路走破性、スタック脱出性性などを充
分に向上させることができる。
【0167】請求項4の回転差感応型カップリングは、
請求項3の構成と同等の効果が得られる。
【0168】また、クラッチ板の枚数を変えることによ
って、トルク伝達特性を適用車種に合わせて調整するこ
とが可能であり、異なった車種に広く適用できる。
【0169】また、多板クラッチによって大きなトルク
容量が得られ、軽量でコンパクトに構成可能であり、特
に、大径化を回避し車載性を向上させながらトルク容量
の増加が可能である。
【0170】請求項5のデファレンシャル装置は、請求
項1〜4の回転差感応型カップリングによる安定した差
動制限力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のカップリングを示す断面図であ
る。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】プランジャポンプ9の回転角に対する各プラン
ジャ61の変位及び行程の変化を示すグラフである。
【図4】実施形態のカップリングが用いられた4輪駆動
車の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図5】行程数3の場合の、整数n毎のプランジャの個
数(P)、カムの個数(C)、PとCの公約数を示す表であ
る。
【図6】従来例の構成図である。
【符号の説明】
1 回転差感応型カップリング 3 回転ケース(トルク伝達部材) 5 インナーシャフト(トルク伝達部材) 7 多板クラッチ(クラッチ) 9 ラジアル型のプランジャポンプ(ポンプ) 55 シリンダ 57 吸入口 59 吐出口 61 プランジャ(ピストン) 63 カム 65 コイルスプリング(スプリング)
フロントページの続き Fターム(参考) 3D036 GA16 GA23 GA41 GA45 GB05 GC07 GD03 GD04 GF09 GG40 GH01 GH05 GH06 GH13 GH17 GH18 GH19 GH20 GH22 GH23 GH24 GJ17 3D042 AA01 AA06 AA07 AA08 AB17 CA01 CA09 CA12 CA18 CB04 3D043 AA01 AA06 AA07 AA08 AB17 EA03 EA18 EA38 EA42 EB02 EB06 EB12 EB13 EC01 EE07 EF06 EF12 EF19 EF24 3J057 AA04 BB04 GA01 GA12 GA26 HH02 JJ05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方が入力側になり他方が出力側になる
    一対のトルク伝達部材と、一側のトルク伝達部材に形成
    されたカムと、他側のトルク伝達部材に形成され、作動
    流体の吸入口と吐出口とを有するシリンダと、このシリ
    ンダに移動自在に係合し、移動に伴ってこれらの吸入口
    から作動流体を吸入し吐出口から吐出するピストンと、
    ピストンをカムに押圧するスプリングとを備え、両トル
    ク伝達部材が差動回転すると、スプリングの付勢力とカ
    ムのスラスト力とを受けたピストンが往復移動し、生じ
    たポンプ仕事により両トルク伝達部材の間でトルクを伝
    達するポンプとを備え、吐出行程と吸入行程との間に吸
    入待ちの行程を設けると共に、3の倍数個のピストンを
    用い、吸入と吐出と吸入待ちの各行程で常時同数のピス
    トンを作動させることを特徴とする回転差感応型カップ
    リング。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発明であって、ポンプ
    が、ピストンを径方向に移動させるラジアル型のポンプ
    であり、ピストンの径方向変位による慣性モーメント変
    化が、他のピストンの径方向変位による慣性モーメント
    変化によって常時打ち消されることを特徴とする回転差
    感応型カップリング。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2のいずれかに記
    載の発明であって、両トルク伝達部材の間に配置され、
    ポンプの吐出圧によって押圧され連結されるクラッチを
    設けたことを特徴とする回転差感応型カップリング。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の発明であって、クラッ
    チが、多板クラッチであることを特徴とする回転差感応
    型カップリング。
  5. 【請求項5】 エンジンの駆動力によって回転する入力
    側トルク伝達部材と、その回転を一対の出力側トルク伝
    達部材を介して車輪側に配分する差動機構と、トルク伝
    達部材の間に配置され、差動機構の差動を制限する請求
    項1〜4のいずれかに記載の回転差感応型カップリング
    とを備えたことを特徴とするデファレンシャル装置。
JP2000177288A 2000-06-13 2000-06-13 回転差感応型カップリング及びこれを用いたデファレンシャル装置 Pending JP2001354043A (ja)

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