JP2001353623A - スパイラルタップおよびその製造方法 - Google Patents
スパイラルタップおよびその製造方法Info
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Abstract
ップにおいて、切り屑詰まりや噛込みなどによる折損や
欠けを抑制して工具寿命を向上させる。 【解決手段】 ねじ部12に設けられた溝20のうち完
全山部16に位置する溝部20aは、ねじれ角が0°す
なわち軸心と平行なストレート溝で溝幅が大きく、食付
き部18に位置する溝部20bは、切れ刃22と反対の
ヒール24側の開口端縁は完全山部16と同じく軸心と
平行であるのに対し、切れ刃22側の開口端縁のねじれ
角は30°〜45°の範囲内(実施例では約40°)で
ねじ部12のねじ山のねじれ方向と同じ右まわり方向に
ねじれていて、工具先端側へ向かうに従って溝幅が狭く
なっている。
Description
よびその製造方法に係り、特に、折損や刃欠けを抑制し
て工具寿命を向上させる技術に関するものである。
その雄ねじを分断するように軸方向に設けられた溝に沿
って切れ刃が形成されているタップが広く知られてい
る。このようなタップは、ねじ山の高さが略一定の完全
山部と、その完全山部から先端側へ向かうに従って徐々
に小径になる食付き部とを備えており、リード送りされ
ることにより食付き部側から下穴内に食い込み、主とし
て食付き部の切れ刃で雌ねじが切削加工されるととも
に、完全山部はリード送りのガイドとして作用する。ま
た、止り穴用のものは、例えば特許第2813173号
公報に記載されているように、雄ねじのねじれ方向と同
じ方向へねじれたねじれ溝が設けられ、食付き部で発生
した切り屑がシャンク側へ排出されるようになってい
る。
設けられたスパイラルタップは、溝幅が広い方が切り屑
の排出性が高くなるが、溝幅が広くなると一般に溝の曲
率半径が大きくなるため、切り屑のカールが大きく(巻
き難く)なり、噛み込み易くなって刃欠けなどを生じ易
くなる。また、ねじれ溝は一定の溝幅で設けられてお
り、切れ刃と反対のヒール側の開口端縁も同じリードで
ねじれているため、逆転時に切り屑の噛込みなどでヒー
ルが欠け易い。また、ねじれ溝が全長に亘ってねじれて
いるため、冷却潤滑油剤が食付き部に達するまでの距離
が長く、十分な潤滑作用が得られなくて切れ刃が摩耗し
易い場合がある。
もので、その目的とするところは、切り屑をシャンク側
へ排出するスパイラルタップにおいて、切り屑詰まりや
噛込みなどによる折損や欠けを抑制して工具寿命を向上
させることにある。
めに、第1発明は、外周部に雄ねじが設けられるととも
に、その雄ねじを分断するように軸方向に設けられた溝
に沿って切れ刃が形成されているタップにおいて、前記
溝は、前記雄ねじのねじれ方向を正として0°以上のね
じれ角で設けられているとともに、完全山部では略一定
の溝幅で形成されているが、食付き部では、前記切れ刃
側の開口端縁のねじれ角が前記完全山部よりも大きくさ
れて溝幅が狭くなっていることを特徴とする。
において、(a) 前記食付き部における前記溝の前記切れ
刃側の開口端縁のねじれ角は25°〜50°の範囲内
で、前記完全山部におけるその溝のねじれ角は0°〜2
5°の範囲内で、(b) 前記食付き部における前記切れ刃
のすくい角θ1 は0°〜10°の範囲内で、前記完全山
部におけるその切れ刃のすくい角θ2 は、そのすくい角
θ1 よりも10°以上小さく、(c) 前記雄ねじの外径を
Dとした時、溝底径は0.2D〜0.5Dの範囲内であ
ることを特徴とする。
とともに、その雄ねじを分断するように軸方向に設けら
れた溝に沿って切れ刃が形成されており、且つその溝は
食付き部と完全山部とでねじれ角が異なっているスパイ
ラルタップの製造方法であって、(a) 円板形状の研削砥
石を、その回転中心線が前記食付き部に形成すべき前記
溝に対して略垂直になる一定の姿勢に維持しつつ、(a-
1) 前記タップ素材を、前記食付き部における前記溝の
ねじれ角に対応して軸心まわりに回転させつつ軸方向へ
相対移動させることにより、その研削砥石の外周面を主
体としてその食付き部に前記溝を研削加工する食付き部
研削工程と、(a-2) その食付き部研削工程の前または後
に、前記タップ素材を、前記完全山部における前記溝の
ねじれ角に対応して軸心まわりに回転させつつ軸方向へ
相対移動させることにより、その研削砥石の一方の側面
を主体としてその完全山部に前記溝を研削加工する完全
山部研削工程と、を有することを特徴とする。
の製造方法において、前記完全山部における前記溝のね
じれ角は0°で、前記完全山部研削工程は、前記タップ
素材を軸心まわりに回転させることなく軸方向へ相対移
動させて前記溝を研削加工するものであることを特徴と
する。
は、雄ねじのねじれ方向を正として0°以上のねじれ角
で溝が設けられているとともに、完全山部では略一定の
溝幅で形成されているが、食付き部では切れ刃側の開口
端縁のねじれ角が完全山部よりも大きくされて溝幅が狭
くなっているため、少なくとも食付き部の切れ刃は雄ね
じのねじれ方向と同じ方向へねじれており、食付き部で
発生した切り屑はシャンク側へ排出される。
り屑が良好に排出されて切り屑詰まりによる折損が抑制
されるとともに、溝幅が広くなると一般に切れ刃のすく
い角は小さくなるため、切り屑の噛込みなどに起因する
切れ刃の欠けが抑制される。完全山部は、主としてリー
ド送りのガイドとして機能し、切削作用は必要ないた
め、切れ刃のすくい角が例えば負であっても差し支えな
いのである。但し、第1完全山の切れ刃は、食付き部の
切れ刃と同様に構成される。
ため、切り屑の噛込みによる刃欠けが更に効果的に抑制
されるとともに、切れ刃と反対のヒール側の開口端縁の
ねじれ角も小さいため、逆転時に切り屑の噛込みなどに
起因するヒールの欠けも抑制される。更に、完全山部に
おける溝のねじれ角が小さいと、冷却潤滑油剤が食付き
部に達するまでの距離が短くなるため、食付き部の切れ
刃が良好に潤滑されて摩耗が抑制され、寿命が向上す
る。
のねじれ角が大きくされて溝幅が狭くなっているため、
一般に溝底の曲率半径が小さくなり、切れ刃のすくい角
が大きくなって良好な切削作用が得られるとともに、切
り屑が良好にカールさせられて食付き部や完全山部にお
ける切り屑の噛込みが抑制される。切れ刃と反対のヒー
ル側の開口端縁のねじれ角は完全山部と同様に小さいた
め、逆転時に切り屑の噛込みなどに起因するヒールの欠
けが抑制される。
対応してランドの幅が広くなるため、完全山部が螺合す
る前の食付き初期からリード送りの自己案内作用が良好
に得られるようになり、雌ねじの加工精度が向上すると
ともに、完全山部ではランドの幅が狭いため摩擦が軽減
される。
すくい角、溝底径を具体的に規定したもので、上記第1
発明の効果を良好に享受できる。
ラルタップを好適に製造できる製造方法に関するもの
で、研削砥石の姿勢を一定に維持したまま、食付き部に
溝を研削加工する食付き部研削工程および完全山部に溝
を研削加工する完全山部研削工程が行われるため、それ
等の研削工程を連続して行うことが可能で、ねじれ角が
変化している一連の溝を簡単に加工できる。また、食付
き部研削工程では研削砥石の外周面を主体として研削加
工が行われ、完全山部研削工程では研削砥石の一方の側
面を主体として研削加工が行われるため、溝の断面形状
が変化し、完全山部研削工程で研削加工される完全山部
の溝の溝幅が、食付き部研削工程で研削加工される食付
き部の溝の溝幅よりも大きくなり、ねじれ角と共に溝幅
が変化している第1発明、第2発明のスパイラルタップ
を好適に製造できる。第1発明、第2発明のスパイラル
タップは、食付き部の切れ刃側ではねじれ角が大きく、
切れ刃と反対のヒール側のねじれ角は小さいが、研削砥
石は食付き部の溝に対応して傾斜させられているため、
食付き部の溝のヒール側が完全山部研削工程で研削加工
されるようにすれば、完全山部におけるねじれ角と同じ
小さなねじれ角で食付き部のヒール側部分を研削加工で
きる。
角が0°の場合で、完全山部研削工程ではタップ素材を
軸心まわりに回転させることなく軸方向へ相対移動させ
れば良く、スパイラルタップを一層簡単に製造できる。
り穴に雌ねじを切削加工する場合に好適に用いられる
が、通り穴に雌ねじを加工する場合にも利用できる。タ
ップの材質は、超硬合金や高速度工具鋼が好適に用いら
れるが、その他の工具材料を採用することもできる。
積)が小さくなるため、溝数が2の2枚刃のスパイラル
タップが好適に採用されるが、例えば加工すべき雌ねじ
の径寸方が6mmより大きい場合など、3枚刃以上のス
パイラルタップに適用することも可能である。
は0°以上であれば良く、0°すなわち軸心と平行なス
トレート溝を含む。第2発明も同様である。
要件は、あくまでも好適な一実施態様で、第1発明の実
施に際しては、第2発明の要件から外れていても良い
し、第2発明の一部の要件だけを満たすものでも良い。
基本的には、工具の材質や被削材の材質、雌ねじの諸元
などに応じて適宜設定される。また、食付き部における
ねじれ角の要件を満たす溝が、完全山部に僅か(ねじ山
の数ピッチ分)に侵入していても差し支えない。
明のスパイラルタップを好適に製造できる製造方法の一
例で、完全山部と食付き部とで異なる工具を用いて溝加
工を行うなど、その他の製造方法で第1発明、第2発明
のスパイラルタップを製造することも可能であり、完全
山部における溝底形状を軸心と略平行な平坦面にするこ
ともできる。
中心線が食付き部における溝に対して略垂直になる姿勢
で配置され、溝に対して完全に垂直であれば、食付き部
には研削砥石の外周部の断面と同一の断面形状の溝が加
工される一方、多少傾斜している場合は研削砥石の干渉
切削で外周部の断面よりも大きな断面形状の溝が加工さ
れる。「溝に対して略垂直な姿勢」は、完全山部研削工
程よりも食付き部研削工程の方が狭い溝幅で研削加工が
行われることを意図するもので、溝に対して例えば±1
0°程度ずれていても差し支えない。
部研削工程は、研削砥石をタップ素材に切り込ませたま
ま連続して行うことが望ましいが、必要に応じて一旦研
削砥石をタップ素材から離間させて研削作業を中断する
ことも可能である。
石の回転中心線が前記食付き部に形成すべき前記溝に対
して略垂直になる一定の姿勢で前記タップ素材の先端側
に保持して、そのタップ素材を、その食付き部における
その溝のねじれ角に対応して軸心まわりに回転させつつ
軸方向の先端側へ相対移動させることにより、その研削
砥石の外周面を主体としてその食付き部に前記溝を研削
加工する食付き部研削工程と、(b) その食付き部研削工
程における前記研削砥石の姿勢を維持しつつ、前記タッ
プ素材を、前記完全山部における前記溝のねじれ角に対
応して軸心まわりに回転させつつ軸方向の先端側へ更に
相対移動させることにより、その研削砥石の一方の側面
を主体としてその完全山部に前記溝を研削加工する完全
山部研削工程と、を有して構成される。
線が前記食付き部に形成すべき前記溝に対して略垂直に
なる姿勢で、その研削砥石の外周部がタップ素材の完全
山部のシャンク側部分に所定寸法だけ切り込む研削位置
まで接近させる切込み工程と、(b) その切込み工程にお
ける前記研削砥石の姿勢を維持しつつ、前記タップ素材
を、前記完全山部における前記溝のねじれ角に対応して
軸心まわりに回転させつつ軸方向のシャンク側へ相対移
動させることにより、その研削砥石の一方の側面を主体
としてその完全山部に前記溝を研削加工する完全山部研
削工程と、(c)その完全山部研削工程における前記研削
砥石の姿勢を維持しつつ、前記タップ素材を、前記食付
き部における前記溝のねじれ角に対応して軸心まわりに
回転させつつ軸方向のシャンク側へ更に相対移動させる
ことにより、その研削砥石の外周面を主体としてその食
付き部に前記溝を研削加工する食付き部研削工程と、を
有して溝加工を行うこともできる。
は、一定の溝深さで溝加工を行うようにしても良いが、
完全山部研削工程では溝幅が広くなるため、食付き部研
削工程に比較して研削砥石を若干離間させて溝深さを浅
くすることも可能である。また、完全山部研削工程で
は、シャンク側程溝底径が大きくなるように、研削砥石
を徐々にタップ素材に対して離間または接近させること
により、折損強度を向上させることができる。
けられているものでも良く、その場合は溝を研削加工し
た後に雄ねじのねじ山に所定の逃げを設けるようにすれ
ば良いが、雄ねじを設ける前の円柱形状の工具材料(タ
ップ素材)を用いて溝加工を行い、その後にねじ山を設
けるようにしても良い。
明、第2発明のスパイラルタップの製造に好適に用いら
れるが、例えば先端部に雄ねじのねじれ方向と反対方向
へねじれたスパイラル溝を有するスパイラルポイントタ
ップの製造など、ねじれ溝を有する他のスパイラルタッ
プの製造にも適用され得る。
詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例である2枚
刃のスパイラルタップ10を説明する図で、(a) は軸心
と直角方向から見た平面図、(b) は(a) におけるB−B
断面図、(c) は(a) におけるC−C断面図である。この
スパイラルタップ10は、右ねじの雌ねじを切削加工す
るためのもので、高速度工具鋼または超硬合金にて構成
されており、加工すべき雌ねじに対応する雄ねじが外周
部に設けられたねじ部12、および円柱形状のシャンク
14を軸方向に一体に備えている。ねじ部12は、ねじ
山の高さが一定の完全山部16と、その完全山部16か
ら工具先端側へ向かうに従って小径になる食付き部18
とを備えているとともに、軸心に対して対称的に軸方向
に一対の溝20が設けられ、その溝20に沿って切れ刃
22が形成されている。
20aは、ねじれ角が0°すなわち軸心と平行なストレ
ート溝で溝幅が大きく、食付き部18に位置する溝部2
0bは、切れ刃22と反対のヒール24側の開口端縁は
完全山部16と同じく軸心と平行であるのに対し、切れ
刃22側の開口端縁のねじれ角は30°〜45°の範囲
内(実施例では約40°)でねじ部12のねじ山のねじ
れ方向と同じ右まわり方向にねじれていて、工具先端側
へ向かうに従って溝幅が狭くなっている。また、溝部2
0a、20b共に溝底径は略一定(バックテーパ分だけ
変化している)で、ねじ部12の外径D(本実施例では
6mm)に対して0.3D〜0.4Dの範囲内(実施例
では約0.36D=2.16mm)であり、食付き部1
8における溝部20bの溝底の曲率半径は小さくて切れ
刃22のすくい角θ1 は5°〜8°の範囲内である一
方、完全山部16における溝部20aの溝底の曲率半径
は大きくて切れ刃22のすくい角θ2 はすくい角θ1 よ
りも10°以上小さい負(マイナス)の値である。但
し、上記溝部20bの切れ刃22側の側壁は、完全山部
16のうち最も食付き部18側に位置する第1完全山に
達しており、その第1完全山の切れ刃22のすくい角
は、食付き部18の切れ刃22のすくい角θ1 と同じで
ある。なお、図は必ずしも各部の寸法や角度を正確に表
したものではない。
部18とでねじれ角が変化している溝20の加工方法を
説明する。
で、外周部の断面は略円弧形状を成しているとともに幅
寸法は食付き部18の溝部20bの幅寸法よりも狭く、
中心線Sまわりに回転駆動されつつタップ素材32に接
近させられることにより、外周部分でタップ素材32に
対して研削加工を行う。タップ素材32には予めねじ部
12が設けられており、研削砥石30により溝20を研
削加工した後に、ねじ部12のねじ山に逃げなどが設け
られるが、ねじ部12を設ける前の円柱形状の素材に溝
20を研削加工し、その後にねじ部12を設けるように
しても良い。図2は、研削加工前の状態で、(a) は正面
図、(b) は平面図であり、研削砥石30は、(b) の平面
視において、回転中心線Sが前記溝部20bに対して略
垂直になる姿勢、具体的には研削砥石30の回転平面と
タップ素材32の軸心Oとの交差角度αが溝部20bの
ねじれ角(約40°)と略等しい角度(実施例では約4
4°)になる姿勢で、タップ素材32の先端側に配置さ
れている。なお、以下の図3〜図5の(a) 、(b) も、そ
れぞれ図2の(a) 、(b) に対応する。
示すように研削砥石30を移動させて、タップ素材32
の先端側の予め定められた研削位置まで接近させる。こ
の研削位置は、タップ素材32が軸方向の先端側へ相対
移動させられることにより、研削砥石30がタップ素材
32の外周部に切り込んで溝加工が行われる際の溝底径
が約0.36D=2.16mmになるように定められて
いる。
しつつ、前記タップ素材32を、図4に示すように前記
食付き部18における溝部20bのねじれ角(約40
°)に対応して軸心Oまわりに回転させつつ矢印Yで示
すように軸方向へ移動させて、食付き部18に研削加工
を行う。その場合に、(b) の平面視において、研削砥石
30の回転平面とタップ素材32の軸心Oとの交差角度
αが溝部20bのねじれ角と略等しいため、主として研
削砥石30の外周面で食付き部18に研削加工が行わ
れ、研削砥石30の外周部の断面形状に対応して比較的
曲率半径が小さい円弧形状の溝部20bが形成される。
この図4の工程は食付き部研削工程である。
削砥石30の姿勢を維持したまま、タップ素材32を、
図5に示すように前記完全山部16における溝部20a
のねじれ角(=0°)に対応して、軸心まわりに回転さ
せることなく矢印Yで示すように軸方向へのみ更に直線
移動させて研削加工を行う。この場合には、(b) の平面
視において、研削砥石30の回転平面はタップ素材32
の軸心Oに対して交差角度α(約44°)で傾斜してい
るため、主として研削砥石30の一方の側面(図5(b)
における右上側の側面)で完全山部16に研削加工が行
われ、前記溝部20bよりも曲率半径が大きい溝部20
aが軸方向に形成される。また、交差角度αにより、前
記食付き部18における切れ刃22と反対のヒール24
側の部分にも研削加工が施され、ヒール24側の開口端
縁が軸心Oと平行になる。この図5の工程は完全山部研
削工程である。なお、この完全山部研削工程では、研削
砥石30を前記研削位置に保持して溝底径が一定の溝部
20aを設けるようにしても良いが、研削砥石30を徐
々に上方へ離間させてシャンク14側程溝底径が大きく
なる溝底勾配(例えば1/60程度)を設けることによ
り、折損強度を向上させることもできる。
工され、その後、タップ素材32を軸心Oまわりに18
0°回転させて、同様の研削加工を行うことにより他方
の溝20を形成する。また、更にねじ部12のねじ山に
逃げを研削加工したり、必要に応じて所定の仕上げ研削
などを行うことにより、目的とするスパイラルタップ1
0が製造される。
下穴が設けられた銅やアルミニウムなどの被削材に対し
てリード送りされることにより、食付き部18側から下
穴内に食い込み、主として食付き部18の切れ刃22で
雌ねじが切削加工されるとともに、完全山部16はリー
ド送りのガイドとして作用する。その場合に、食付き部
18の切れ刃22は、雄ねじのねじれ方向と同じ右まわ
り方向へ40°程度のねじれ角でねじれているため、そ
の食付き部18で発生した切り屑はシャンク14側へ排
出され、止り穴に対するねじ立て加工に好適に用いられ
る。
は、完全山部16の溝部20aの溝幅が広いため、切り
屑がシャンク14側へ良好に排出されて切り屑詰まりに
よる折損が抑制されるとともに、完全山部16における
切れ刃22のすくい角θ2 は第1完全山を除いて負であ
るため、切り屑の噛込みなどに起因する切れ刃22の欠
けが抑制される。完全山部16は、主としてリード送り
のガイドとして機能し、第1完全山を除いて切削作用は
必要ないため、切れ刃22のすくい角θ2 が負であって
も差し支えない。
ねじれ角は0°であるため、切り屑の噛込みによる刃欠
けが更に効果的に抑制されるとともに、切れ刃22と反
対のヒール24側の開口端縁のねじれ角も0°であるた
め、逆転時に切り屑の噛込みなどに起因するヒール24
の欠けも抑制される。更に、完全山部16における溝部
20aはストレートであるため、冷却潤滑油剤が食付き
部18に達するまでの距離が短く、食付き部18の切れ
刃22が良好に潤滑されて摩耗が抑制され、寿命が向上
する。
開口端縁のねじれ角が約40°とされ、溝部20bの幅
寸法が狭くなっているとともに溝底の曲率半径が小さ
く、切れ刃22のすくい角θ1 が5°〜8°程度と大き
いため、良好な切削作用が得られるとともに、切り屑が
良好にカールさせられて食付き部18や完全山部16に
おける切り屑の噛込みが抑制される。切れ刃22と反対
のヒール24側の開口端縁のねじれ角は完全山部16と
同様にストレートであるため、逆転時に切り屑の噛込み
などに起因するヒール24の欠けが抑制される。
幅が狭くなるのに対応してランドの幅が広くなるため、
完全山部16が雌ねじに螺合する前の食付き初期からリ
ード送りの自己案内作用が良好に得られるようになり、
雌ねじの加工精度が向上するとともに、完全山部16で
はランドの幅が狭いため摩擦が軽減される。
砥石30の姿勢を一定に維持したまま、食付き部18に
所定のねじれ角の溝部20bを研削加工する食付き部研
削工程と、完全山部16にストレートの溝部20aを研
削加工する完全山部研削工程とが連続して行われるた
め、ねじれ角が変化している一連の溝20を簡単に加工
できる。食付き部研削工程では研削砥石30の外周面を
主体として研削加工が行われ、完全山部研削工程では研
削砥石30の一方の側面を主体として研削加工が行われ
るため、溝20の断面形状が変化し、完全山部研削工程
で研削加工される完全山部16の溝部20aの溝幅が、
食付き部研削工程で研削加工される食付き部18の溝部
20bの溝幅よりも大きくなり、ねじれ角と共に溝幅が
変化している一対の溝20を有するスパイラルタップ1
0を好適に製造できる。
10について説明したが、図6に示すように3本の溝4
0が設けられて3枚の切れ刃42が形成された3枚刃の
スパイラルタップにも本発明は適用され得る。図6の
(a) 、(b) はそれぞれ図1の(b) 、(c) に対応する図
で、(a) の食付き部における溝40の切れ刃42側の開
口端縁は所定のねじれ角でねじ山と同じ方向へねじれて
おり、(b) の完全山部における溝40はストレートであ
る。
細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であ
り、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良
を加えた態様で実施することができる。
す図で、(a) は軸心と直角な方向から見た平面図、(b)
は(a) におけるB−B断面図、(c) は(a) におけるC−
C断面図である。
で、研削加工前の研削砥石とタップ素材との位置関係を
示す図である。
接近させた状態を示す図である。
へ移動させて食付き部にねじれ溝を加工する食付き部研
削工程を示す図である。
させて完全山部にストレート溝を加工する完全山部研削
工程を示す図である。
それぞれ図1の(b) 、(c) に対応する図である。
食付き部 20、40:溝 22、42:切れ刃
30:研削砥石 32:タップ素材 O:タップ
素材の軸心 S:研削砥石の回転中心線
Claims (4)
- 【請求項1】 外周部に雄ねじが設けられるとともに、
該雄ねじを分断するように軸方向に設けられた溝に沿っ
て切れ刃が形成されているタップにおいて、 前記溝は、前記雄ねじのねじれ方向を正として0°以上
のねじれ角で設けられているとともに、完全山部では略
一定の溝幅で形成されているが、食付き部では、前記切
れ刃側の開口端縁のねじれ角が前記完全山部よりも大き
くされて溝幅が狭くなっていることを特徴とするスパイ
ラルタップ。 - 【請求項2】 前記食付き部における前記溝の前記切れ
刃側の開口端縁のねじれ角は25°〜50°の範囲内
で、前記完全山部における該溝のねじれ角は0°〜25
°の範囲内で、 前記食付き部における前記切れ刃のすくい角θ1 は0°
〜10°の範囲内で、前記完全山部における該切れ刃の
すくい角θ2 は、該すくい角θ1 よりも10°以上小さ
く、 前記雄ねじの外径をDとした時、溝底径は0.2D〜
0.5Dの範囲内であることを特徴とする請求項1に記
載のスパイラルタップ。 - 【請求項3】 外周部に雄ねじが設けられるとともに、
該雄ねじを分断するように軸方向に設けられた溝に沿っ
て切れ刃が形成されており、且つ該溝は食付き部と完全
山部とでねじれ角が異なっているスパイラルタップの製
造方法であって、 円板形状の研削砥石を、その回転中心線が前記食付き部
に形成すべき前記溝に対して略垂直になる一定の姿勢に
維持しつつ、 前記タップ素材を、前記食付き部における前記溝のねじ
れ角に対応して軸心まわりに回転させつつ軸方向へ相対
移動させることにより、該研削砥石の外周面を主体とし
て該食付き部に前記溝を研削加工する食付き部研削工程
と、 該食付き部研削工程の前または後に、前記タップ素材
を、前記完全山部における前記溝のねじれ角に対応して
軸心まわりに回転させつつ軸方向へ相対移動させること
により、該研削砥石の一方の側面を主体として該完全山
部に前記溝を研削加工する完全山部研削工程と、 を有することを特徴とするスパイラルタップの製造方
法。 - 【請求項4】 前記完全山部における前記溝のねじれ角
は0°で、前記完全山部研削工程は、前記タップ素材を
軸心まわりに回転させることなく軸方向へ相対移動させ
て前記溝を研削加工するものであることを特徴とする請
求項3に記載のスパイラルタップの製造方法。
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