JP2001348345A - ディールス−アルダー反応生成物の製造方法 - Google Patents

ディールス−アルダー反応生成物の製造方法

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JP2001348345A
JP2001348345A JP2000170317A JP2000170317A JP2001348345A JP 2001348345 A JP2001348345 A JP 2001348345A JP 2000170317 A JP2000170317 A JP 2000170317A JP 2000170317 A JP2000170317 A JP 2000170317A JP 2001348345 A JP2001348345 A JP 2001348345A
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reaction
diels
norbornene
reaction zone
cyclopentadiene
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Application number
JP2000170317A
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Fuyuki Aida
冬樹 相田
Yoshihisa Inomata
佳久 猪俣
Takashi Suzuki
貴 鈴木
Yasuo Matsumura
泰男 松村
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ディールス−アルダー反応において、長期に
わたる安定運転を可能とし、エチレン有効収率を向上さ
せ、かつポリマーなどの付着物の発生を防止し得る製造
方法を提供する。 【解決手段】 実質的に気相の存在しない条件下に、反
応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつつ、シクロ
ペンタジエン誘導体、α−オレフィン、ノルボルネンな
どを連続的に反応域に供給して加熱することにより反応
を行うことを特徴とするディールス−アルダー反応生成
物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はディールス−アルダ
ー反応生成物の製造方法に関し、詳しくは、反応流体を
反応域から上方に向けて抜き出しつつ反応基質を供給
し、反応域内に実質的に気相部分が存在しない条件下に
ディールス−アルダー反応生成物を連続的に製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディールス−アルダー反応は、触媒を必
要とせず加熱するのみで反応が進行するため、簡便な装
置で製造することができ、ノルボルネンやエチリデンノ
ルボルネンなどの製造に工業的に利用されている。たと
えば、ノルボルネンは、エチレンとシクロペンタジエン
とのディールス−アルダー反応を行うことにより製造さ
れる。シクロペンタジエンは、その二量体であるジシク
ロペンタジエンの熱分解で得ることができるので、シク
ロペンタジエンの代わりにまたはそれとともにジシクロ
ペンタジエンを用いることもある。またエチリデンノル
ボルネンは、ブタジエンとシクロペンタジエンとのディ
ールス−アルダー反応を行い、その後二重結合を転位さ
せることにより製造されている。この場合のシクロペン
タジエンについても同様に、それに代えてまたはそれと
ともにジシクロペンタジエンを使用することができる。
上記エチリデンノルボルネンは、チグラー系触媒やメタ
ロセン系触媒を用いて、ノルボルネン環部分のオレフィ
ン部位でエチレンやプロピレンと共重合を行うことによ
り、EPDMとして広範囲に使用されている。またノル
ボルネンは、そのオレフィン部位で開環重合することに
より、ポリノルボルネン(ノルボルネンゴム)が製造さ
れている。
【0003】最近ではノルボルネンとシクロペンタジエ
ンとのディールス−アルダー反応付加物であるテトラシ
クロドデセン(TCD)は、その開環重合体が優れた光
学特性、高透明性や耐熱性、吸油性等の性質を有するた
めに注目されている。テトラシクロドデセンは、シクロ
ペンタジエンとノルボルネンとのディールス−アルダー
反応により製造されるが、上記のようにノルボルネンは
エチレンとシクロペンタジエンとのディールス−アルダ
ー反応により製造され、またシクロペンタジエンはジシ
クロペンタジエンの分解で得られるところから、特開平
6−72909号公報には、エチレン、ジシクロペンタ
ジエンおよびノルボルネンを原料とし、さらに高沸点溶
媒を用いてテトラシクロドデセンを製造する方法が記載
されている。また特開平6−9437号公報には、高純
度ジシクロペンタジエンを使用するテトラシクロドデセ
ンの製造例が提案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法においてはガ
ス状のエチレンとその他のガス成分および液成分からな
る混相で反応が行われており、気相中のエチレン分だけ
液相中のエチレン濃度が低く、それによりエチレンの有
効収率が低くなることがある。また気相部分にはエチレ
ンの他に易重合性化合物であるシクロペンタジエンが共
存するため、その重合物がラインに蓄積し、閉塞などを
引き起こすことが問題となる。さらに気相部分が存在す
ると、反応温度や反応圧力の変動に伴い反応域における
気相部分の体積が変動し、反応域は一定容積であるため
に反応液容積が変動し、その結果安定な運転が困難にな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反応基質の
有効収率を高め、易重合性物質の重合によるライン閉塞
を防止し、さらに運転の安定性を高めることを課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、反応域
内に実質的に気相が存在しない条件下に、反応流体を反
応域から上方に向けて抜き出しつつ、シクロペンタジエ
ン誘導体およびα−オレフィンを連続的に反応域に供給
して加熱することにより反応を行うことを特徴とするデ
ィールス−アルダー反応生成物をの連続的に製造する方
法に関するものであある。本発明の第2は、反応域内に
実質的に気相が存在しない条件下に、反応流体を反応域
から上方に向けて抜き出しつつ、シクロペンタジエン誘
導体、α−オレフィン、およびシクロペンタジエン誘導
体とα−オレフィンとの付加体としてのノルボルネン誘
導体を連続的に反応域に供給して加熱することにより反
応を行うことを特徴とするディールス−アルダー反応生
成物を連続的に製造する方法に関するものである。本発
明の第3は、反応域内に実質的に気相が存在しない条件
下に、反応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつ
つ、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタ
ジエンならびにエチレンを連続的に反応域に供給して加
熱することにより反応を行うことを特徴とするディール
ス−アルダー反応生成物としてのテトラシクロドデセン
を連続的に製造する方法に関するものである。本発明の
第4は、反応域内に実質的に気相が存在しない条件下
に、反応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつつ、
シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエ
ン、エチレン、ならびにシクロペンタジエン誘導体とα
−オレフィンとの付加体としての2−ノルボルネンを連
続的に反応域に供給して加熱することにより反応を行う
ことを特徴とするディールス−アルダー反応生成物とし
てのテトラシクロドデセンを連続的に製造する方法に関
するものである。本発明の第5は、本発明の第1〜第4
のいずれかにおいて、炭化水素溶剤の存在下にディール
ス−アルダー反応を行うことを特徴とする製造方法に関
する。本発明の方法により、ディールス−アルダー反応
における反応基質の有効収率を高め、易重合性物質の重
合によるライン閉塞を防止することができ、さらに運転
の安定性を高めることが可能となる。
【0007】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明において用いるα−オレフィンとは、分子末端に炭
素−炭素二重結合を有する鎖状または環状のオレフィン
を意味し、そのオレフィンにはアルキル基、アリール
基、アラルキル基などの炭化水素基のほか極性基が置換
することがある。通常は炭素数が2〜10の範囲にある
オレフィンである。具体的には、エチレンの他、アルキ
ル基、アリール基、アラルキル基などで置換されるα―
オレフィンとして、プロピレン、2−メチル−1−プロ
ペン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチ
ル−1−ブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ペン
テン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、3,3−ジメチ
ル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オ
クテン、1−ノネン、1−デセン、スチレン、α−メチ
ルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、インデンなどが挙げられる。
さらにカルボキシル基、エステル基などの極性基が置換
したα−オレフィンとしてはアクリル酸誘導体およびメ
タクリル酸誘導体、具体的にはアクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジルな
どのカルボン酸エステル、あるいはアクリロニトリルの
ようなニトリル誘導体等も挙げられる。これらの中でも
ディールス−アルダー反応において反応性の高いα−オ
レフィン、具体的には、エチレンのほかに極性基置換オ
レフィンまたは炭素−炭素二重結合に水素原子以外の置
換基を一つ有する一置換オレフィンなどを使用すること
が望ましい。
【0008】本発明において用いるシクロペンタジエン
誘導体とは、具体的にはシクロペンタジエン自体を含
み、その他メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペ
ンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、ブチルシク
ロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、トリメ
チルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジ
エン、ペンタメチルシクロペンタジエンなどが挙げら
れ、ジシクロペンタジエンなどこれらのシクロペンタジ
エン誘導体の2量体も使用することできる。
【0009】本発明において、シクロペンタジエン誘導
体とα−オレフィンとの付加体としてのノルボルネン誘
導体とは、併用するシクロペンタジエン誘導体とα−オ
レフィンとのディールス−アルダー反応付加生成物であ
って、ノルボルネン骨格を有する化合物である。具体的
なノルボルネン誘導体には、2−ノルボルネンなどのノ
ルボルネン自体が含まれ、そのほか5−メチル−2−ノ
ルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロ
ピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネ
ン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−
2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、
5−オクチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−
ノルボルネン、5−メチル−5−フェニル−2−ノルボ
ルネン、5−(2−メチルフェニル)−2−ノルボルネ
ン、5−(3−メチルフェニル)−2−ノルボルネン、5
−(4−メチルフェニル)−2−ノルボルネン、5−メト
キシカルボニル−2−ノルボルネン、5−エトキシカル
ボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシ
カルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−エト
キシカルボニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
ノルボルネン誘導体としては、併用するシクロペンタジ
エン誘導体およびα−オレフィンのディールス−アルダ
ー反応付加体である限り、ノルボルネン骨格に対するメ
チル、エチル等の置換基の位置、立体構造はなんら制限
されない。
【0010】また特に本発明において好ましく用いられ
るノルボルネン誘導体としての2−ノルボルネンは、市
販品または合成品のいずれも用いることができる。2−
ノルボルネンは、エチレンとシクロペンタジエンまたは
ジシクロペンタジエンから製造することができる。特に
テトラシクロドデセンを目的化合物として反応を行う場
合には、あらかじめ2−ノルボルネンを反応原料として
使用することにより副反応を抑制することができるの
で、反応系内に一定割合以上の2−ノルボルネンを共存
させることが望ましい。
【0011】本発明の方法により、エチレンとシクロペ
ンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンから
は、ディールス−アルダー反応生成物としてノルボルネ
ンまたはテトラシクロドデセンを製造することができ
る。また、エチレンとシクロペンタジエンおよび/また
はジシクロペンタジエンとを用いてディールス−アルダ
ー反応を行う際に、ノルボルネン、たとえば2−ノルボ
ルネンを一定量共存させることにより、ディールス−ア
ルダー反応生成物としてテトラシクロドデセンを製造す
ることができる。
【0012】本発明においては、ディールス−アルダー
反応に影響しない炭化水素溶剤を用いることができる。
具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素などのほか、環境や人体に対する安全性等が高い
点および溶解力に優れている点から脂肪族炭化水素また
は脂環族炭化水素が好ましく使用される。より具体的に
はシクロペンタン、シクロヘキサン、エチルシクロペン
タン、ジメチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサ
ン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサ
ン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,3
−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、n−
オクタン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、2,2,
3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタ
ン、アルキレートガソリン、n−デカンなどである。こ
こでいうアルキレートガソリンとは、硫酸ジルコニア、
硫酸、弗化水素などの強酸ないし超強酸を触媒としてイ
ソブタンをブテンでアルキル化したものであり、トリメ
チルペンタンを主成分とする混合物である。
【0013】なお炭化水素溶剤を使用することにより、
より低い圧力で実質的に気相の存在しない条件を達成す
ることが可能であり、従って生成物の収率も向上する。
また特にテトラシクロドデセンを製造する場合、炭化水
素溶剤の使用は、反応基質である2−ノルボルネン(エ
チレンとシクロペンタジエンとのディールス−アルダー
反応生成物でもある)自体の凝固防止にも効果があるの
で好ましい。また炭化水素溶剤は、任意の割合で使用す
ることができる。
【0014】本発明においては、反応域において気相が
実質的に存在しないよう、反応流体を反応域から上方に
向けて抜き出しつつ、反応基質としてのシクロペンタジ
エン誘導体、α−オレフィン、およびシクロペンタジエ
ン誘導体とα−オレフィンとのディールス−アルダー反
応付加体を、連続的に反応域に供給して加熱する。反応
流体を反応域から上方に向けて抜き出しつつ、反応基質
を連続的に供給するため、反応器としてたとえばオート
クレーブ(完全混合型)を用いる場合には、供給流体の
オートクレーブへの流入位置については制限がないが、
反応流体の流出位置は反応器上部、たとえば上方のフラ
ンジ部位近辺に設定する。これにより反応器内壁は全面
にわたって常に液に接触するようになる。また管状反応
器を用いる場合には、反応器を縦置きに設置して、流体
を下部より流入させ、上部より流出させるか、あるいは
複数の管状反応器を横置きに設置し、U字管などを介し
上下に連結し、最下部の管より順次上方の管へ反応流体
を移動させてもよく、また横置きに1本あるいは水平に
複数本設置した場合にはL字管などを端末に取り付けて
上方向に流出させるなどの方法を用いることができる。
これらの方法により反応器内壁はその全面が常に液に接
触するようになり、前述のような易重合性成分の重合物
の蓄積、またはそれによるラインの閉塞などが発生しな
い。また突発的なトラブルで反応液中に気相が生成して
も、反応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつつ反
応基質を連続的に供給することにより、発生した気相部
分は下流へ押し流され、実質的に気相が存在しない状態
が復元され、ラインの閉塞などが生じなくなる。
【0015】またこれらの反応装置を連結してもよく、
上流側が管型反応器で下流側が完全混合型反応器であっ
ても、上流側が完全混合型で下流側が管型反応器であっ
てもよい。オートクレーブ反応器においては撹拌は行っ
ても行わなくてもよい。また管型反応器は内部に撹拌用
エレメントを有しない単純なチューブでもよいが、市販
品のノリタケカンパニー(株)製の「スタティックミキサ
ー」、住友重機械工業(株)製の「スルーザーミキサ
ー」、櫻製作所(株)製の「スケヤミキサー」などの攪拌
用エレメントを有するものも使用することができる。い
ずれの場合も反応器内壁の全面が常に流体と接触してい
る反応器を用いることが肝要である。
【0016】流体は、これらの反応器に流入させる前に
熱交換器を経由させて、あらかじめ加熱しておくことが
できる。これにより反応器内における加熱をより温和な
条件にすることができるので、急激な加熱による副反応
や焼き付きなどが防止される。
【0017】本発明において、実質的に気相部分の存在
しない条件の選定および設定は、気体の状態方程式を用
いて反応温度と対象物組成から飽和蒸気圧を計算し、得
られた飽和蒸気圧よりも高い圧力を用いることによって
行うことができる。なお計算に用いる気体の状態方程式
には、理想気体の状態方程式の他に van del Waals式、
Redlich-Kwong(RK)式および Soave-RK(SRK)式
などが挙げられる。これらの中でもRK式およびSRK
式が実在気体に近いことから最も好ましい。ここで圧力
をP、気体常数をR、モル体積をVとし、臨界温度を
、臨界圧力をP、偏心係数をωとすると、SRK
式は以下の通りである。 PV/RT=V/(V−b)−αa/RT(V
b) 純物質の定数は以下の通りである。 a=0.42747R /P b=0.08664RT/P α=[1+(0.480+1.574ω−0.176ω
{1−(T/T)0.5}] 混合物の場合は以下の混合則により計算される。 (aα)=ΣΣx(1−kij){(aα)(aα)
} b=Σx ここでkijは異種分子間の相互作用パラメーターであ
る。純物質の各種定数は、各種文献、たとえば化学工学
便覧などに記載されているので、上記気体の状態方程式
に各種純物質の定数を代入し、気液平衡を計算すること
ができる。また最近ではこれらの定数のデーターベース
を備えるとともに、これを利用して混合組成と温度を入
力することにより気液平衡を計算することが可能なプロ
グラムも市販されている。たとえばアスペンテック社製
のASPENPLUS(Release 9.3-1 または Version
10.0-1)が挙げられる。上記のようにして、反応混合
物の組成比、反応温度条件における気体の状態方程式よ
り算出された圧力よりも高い圧力を用いることにより、
実質的に気相部分の存在しない条件が達成される。実質
的に気相部分を存在させないためには、通常、算出結果
の蒸気圧よりも、0.05MPa 以上の高い圧力の領域
とすることが好ましい。
【0018】本発明においては、気相部分が反応域に存
在する場合、易重合性化合物が液と接触していない器壁
部分に滞留すると、そこで重合反応が進行し、スケール
となって反応器の閉塞を起こす。また気相部分の圧縮、
膨張が生ずるため、流体の流入が安定しない脈動状態と
なり、長期的に安定した運転を続けることができない。
気相部分が存在しなければ反応器内壁は常に液体が流動
している状態にあり、スケールの付着は起こらず、また
流入した量だけ流出するので脈動がなく、長期にわたり
安定した状態の運転が可能である。
【0019】本発明における温度、圧力等の反応条件
は、実質的に気相が存在しないことを前提とするが、い
ずれの場合でも反応温度は100℃以上である。100
℃未満の温度であると、極性基が置換されていないα−
オレフィンを用いる場合にはディールス−アルダー反応
が進行し難く、またシクロペンタジエン誘導体の2量体
としてのジシクロペンタジエンを原料に使用した場合に
はシクロペンタジエン誘導体への分解も起こり難いので
好ましくない。反応圧力は、同様に実質的に気相が存在
しないことを前提とするが、いずれの場合でも10MP
a 以下であることが望ましい。また空間速度は0.00
1〜100h−1であり、好ましくは0.5〜50h
−1である。空間速度が大きすぎると未反応物が多くな
り、小さすぎると生産性が低下し、さらに重合反応など
の副反応が併発し易くなる。
【0020】本発明において、シクロペンタジエン誘導
体とα−オレフィンとの配合割合は任意である。ただし
シクロペンタジエン誘導体は、目的のディールス−アル
ダー反応の他に、シクロペンタジエン誘導体の3分子以
上によるディールス−アルダー反応、すなわち重合反応
を起こすので、α−オレフィンの割合を多くしておくこ
とが望ましい。また特にエチレンとシクロペンタジエン
および/またはジシクロペンタジエンからテトラシクロ
ドデセンを製造する際に、シクロペンタジエンを使用す
る場合にはジシクロペンタジエン換算で、すなわちシク
ロペンタジエン2モルをジシクロペンタジエン1モルと
して、モル比においてエチレン/ジシクロペンタジエン
=0.1〜50、好ましくは0.5〜10とする。さらに
テトラシクロドデセンの収率を向上させるために、2−
ノルボルネンをエチレンとシクロペンタジエンおよび/
またはジシクロペンタジエンと併用することが望まし
い。その際の配合割合は、モル比としてノルボルネン/
エチレン=0.1〜50、好ましくは0.5〜10であ
る。またシクロペンタジエンをジシクロペンタジエンに
換算して、モル比としてノルボルネン/ジシクロペンタ
ジエン=0.1〜50、好ましくは 0.5〜10であ
る。
【0021】さらに、本発明においては反応系の適宜の
個所に、酸化防止剤、重合禁止剤を加えて反応、蒸留等
の操作を行うことができる。反応終了後、目的化合物で
あるテトラシクロドデセンなどのディールス−アルダー
反応生成物は、反応混合物の蒸留により得ることができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により説明
する。
【実施例】<実施例1>長さ55cm、内径5mmのチ
ューブの中央部を径5cmのコイル状に1周だけ巻き、
内径10cm、高さ15cmの耐熱容器の底にコイルを
水平に置き、またコイル両端部は耐熱容器の壁に沿わせ
て設置し、耐熱容器の上部から突出したところで水平に
折り曲げた。このようにして反応器から反応流体を上方
へ抜き出すことができるようにした。上記耐熱容器にオ
イルを注入して、チューブの内容量5mlに相当する部
分のみを加熱するオイルバスとし、250℃に温度を調
整した。ノルボルネン (11,700g)、純度95
%のジシクロペンタジエン(2,050g)および2,5
−ジメチルヘキサン(2,060g)を混合し、ポンプ
を使用してノルボルネンとジシクロペンタジエンの合計
量の空間速度が4.0h−1になるようにチューブ型反
応器に液送し、加熱ゾーンに入る前に、エチレン/ノル
ボルネンのモル比が1:8になるようにマスフローコン
トロラー(質量調整弁)を用いてエチレンを連続的に加え
た。また調圧弁を使用して、反応系内の圧力を5MPa
に維持した。なお、この条件では気相部分は存在しない
ことを前記SRK式により確認した。750時間連続運
転を行い反応混合物を得て、ガスクロマトグラフィーに
より分析を行った。エチレン有効収率は93%であっ
た。また反応器を切断し、オイルバスに浸漬していた部
分を観察したところ、特に付着物は見られなかった。な
お、エチレン有効収率は以下の式から求めることができ
る。
【0023】
【数1】
【0024】<実施例2>2,5-ジメチルヘキサンを使
用せず、その他は実施例1と同様に行った。この条件で
は気相部分は存在しないことを前記SRK式により確認
した。エチレン有効収率は91%であった。また反応器
を切断し、オイルバスに浸漬していた部分を観察したと
ころ、特に付着物は見られなかった。
【0025】<比較例1>反応圧力を2MPa、反応温
度を190℃にすること以外は実施例2と同様に行っ
た。この条件では気相部分が存在することを前記SRK
式により確認した。気相部が存在するため、原料系を安
定した状態で供給することができず、圧力にも脈動が認
められた。エチレン有効収率は10%であり、反応終了
後、反応器内部を切断して観察したところ、ポリマー状
の付着物が認められた。
【0026】
【発明の効果】ディールス−アルダー反応生成物の製造
方法において、実質的に気相が存在しない条件下で運転
することにより、長期にわたる安定運転が可能となり、
エチレン有効収率が向上し、またポリマーなどの付着物
の発生を防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 泰男 神奈川県横浜市泉区上飯田4663−1−205 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC21 AC28 BB11 BC10 BC11 BC18 BD80 BD81

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応域内に実質的に気相が存在しない条
    件下に、反応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつ
    つ、シクロペンタジエン誘導体およびα−オレフィンを
    連続的に反応域に供給して加熱することにより反応を行
    うことを特徴とするディールス−アルダー反応生成物を
    連続的に製造する方法。
  2. 【請求項2】 反応域内に実質的に気相が存在しない条
    件下に、反応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつ
    つ、シクロペンタジエン誘導体、α−オレフィン、およ
    びシクロペンタジエン誘導体とα−オレフィンとの付加
    体としてのノルボルネン誘導体を連続的に反応域に供給
    して加熱することにより反応を行うことを特徴とするデ
    ィールス−アルダー反応生成物を連続的に製造する方
    法。
  3. 【請求項3】 反応域内に実質的に気相が存在しない条
    件下に、反応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつ
    つ、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタ
    ジエンならびにエチレンを連続的に反応域に供給して加
    熱することにより反応を行うことを特徴とするディール
    ス−アルダー反応生成物としてのテトラシクロドデセン
    を連続的に製造する方法。
  4. 【請求項4】 反応域内に実質的に気相が存在しない条
    件下に、反応流体を反応域から上方に向けて抜き出しつ
    つ、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタ
    ジエン、エチレン、ならびにシクロペンタジエン誘導体
    とα−オレフィンとの付加体としての2−ノルボルネン
    を連続的に反応域に供給して加熱することにより反応を
    行うことを特徴とするディールス−アルダー反応生成物
    としてのテトラシクロドデセンを連続的に製造する方
    法。
  5. 【請求項5】 炭化水素溶剤の存在下に前記ディールス
    −アルダー反応を行うことを特徴とする請求項1から4
    のいずれかに記載の製造方法。
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