JP2001348094A - 飲料注出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 飲料の冷却、若しくは加熱の効率を向上させ
ることができ、また、飲料全体をほぼ均一に冷却し、若
しくは加熱することができる。 【解決手段】 収納庫１は断熱構造で扉３の開閉により
飲料容器１７を取出し可能に収納し得る収納室１２を形
成し、収納室筐体９を伝熱材により形成する。例えば、
収納室筐体９を冷却するための伝熱素子としてヒートパ
イプ１８を設け、電子熱交換装置２０のペルチェ効果の
利用によりヒートパイプ１８内で液体と蒸気の移動を行
わせ、収納室筐体９の全体を急速に、かつほぼ均一な温
度に冷却する。飲料容器内のほぼ均一に冷却された飲料
を注出コック３０により注出することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、生ビール
樽に充填された生ビールなど、所望の飲料容器に充填さ
れている所望の飲料を冷却し、若しくは加熱して適温状
態に保存するとともに、注出するために用いる飲料注出
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ペルチェ効果を利用した保冷装置
としては、例えば、特開平９−１７０８６２号公報、特
開平１０−２３８９２２号公報等に記載されているよう
に、ペルチェ素子の吸熱側熱導体を収納庫の熱伝導性材
からなる冷却板（吸熱板）に当接させ、ペルチェ効果に
より吸熱側熱導体を介して冷却板（吸熱板）を冷却さ
せ、収納庫内を冷却するようにした構成が知られてい
る。

【０００３】一方、出願人は、先に特願平１０−３７５
８０７号として、収納庫の頂部に電子冷却装置を備え、
電子冷却装置の駆動によりペルチェ効果を利用し、吸熱
ファンから収納庫内に冷気を送出するようにした構成に
ついて提案した。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のうち、前者の構成では、ペルチェ素子は収納庫の
冷却板（吸熱板）を直接冷却するため、ペルチェ素子に
よる冷却側の温度が低く、ペルチェ素子に対する離隔側
の温度が高く、収納庫に適用した場合には、ペルチェ素
子側と、ペルチェ素子に対する離隔側とで大きな温度差
を生じる。したがって、生ビール樽内における生ビール
に上層部と下層部とで大きな冷却温度差を生じる。ま
た、上記のように温度差が大きいため、ペルチェ素子に
よる冷却部からの外部に対する放熱量が多くなり、冷却
能力に劣る。更に、ペルチェ素子を収納庫の側方に突出
した状態に配置しているため、大きい設置スペースを必
要とし、自ら設置場所に制約を受ける。

【０００５】一方、後者の構成では、吸熱ファンによる
冷気の送出により収納庫内の気相をかき回すことにな
り、収納庫の内壁面の境膜抵抗が減少するため、冷却能
力の向上に限界がある。また、生ビール樽により送出さ
れる冷気を遮断し、生ビール樽の全体に亘って均一に冷
却し難く、生ビール樽内の生ビールに冷却温度差を生じ
るおそれがある。

【０００６】本発明の目的は、上記のような従来の問題
を解決しようとするものであり、収納庫における冷却
部、若しくは加熱部からの外部に対する放熱を抑制する
ことができ、しかも、収納室内の気相をかき回すことな
く、冷却し、若しくは加熱するようにして収納室内壁面
の境膜抵抗の影響を抑制することができ、したがって、
冷却、若しくは加熱の効率を向上させることができ、ま
た、収納室内全体の温度差を少なく抑制することがで
き、しかも、収納室内の気相を安定させた状態で飲料容
器全体をほぼ均一に冷却し、若しくは加熱することがで
きるようにし、飲料容器内の飲料全体をほぼ均一に冷却
し、若しくは加熱することができ、したがって、飲料と
しての商品価値を向上させることができるようにした飲
料注出装置を提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の飲料注出装置は、扉の開閉により飲料容器を
取出し可能に収納し得る収納室を有し、収納室筐体を伝
熱材により形成した断熱構造の収納庫と、上記収納室筐
体に沿って設けられ、液体と蒸気の移動により上記収納
室筐体を冷却し、若しくは加熱して上記収納室内を冷却
し、若しくは加熱し得るように設けられた伝熱素子と、
ペルチェ効果の利用により上記伝熱素子内で液体と蒸気
の移動を行わせる電子熱交換手段と、上記飲料容器内の
飲料を上記収納庫外に注出し得る注出コックとを備えた
ものである。

【０００８】そして、上記構成において、伝熱素子とし
て、ヒートパイプを用い、電子熱交換手段を収納庫の上
部に設け、ペルチェ効果の利用により上記ヒートパイプ
を介して収納室筐体を冷却するように構成することがで
きる。

【０００９】上記のように構成された本発明によれば、
電子熱交換手段による伝熱素子内の液体と蒸気の移動に
より収納室筐体の全体をほぼ均一に冷却し、若しくは加
熱するようにしているので、収納庫における冷却部、若
しくは加熱部からの外部に対する放熱を抑制することが
でき、しかも、収納室内の気相をかき回すことなく冷
却、若しくは加熱するようにしているので、収納室内壁
面の境膜抵抗の影響を抑制することができる。また、収
納室内全体の温度差を少なく抑制することができ、しか
も、収納室内の気相を安定させた状態で飲料容器、すな
わち、飲料全体をほぼ均一に冷却し、若しくは加熱する
ことができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。図１ないし図３は本発
明の一実施形態に係る飲料注出装置を示し、図１は正面
図、図２は平面図、図３は図１のIII−III矢視断面図で
ある。

【００１１】図１ないし図３に示すように、収納庫１
は、収納庫本体２、扉３等から構成されている。収納庫
本体２は正方形状の底板４、頂板５間の両側部および背
部に左右の側板６、７および背板８が一体的に設けら
れ、これら底板４、頂板５、側板６、７および背板８に
内方で所望の間隔を存して正面側を開放した収納室筐体
９が配置され、収納室筐体９の正面側開放部の外縁部に
枠板１０が一体的に設けられ、枠板１０の外縁部が底板
４、頂板５、側板６、７の正面開放側でやや内方に後退
した位置で固定され、底板４、側板６、７、背板８と収
納室筐体９の外面および枠板１０の内面との空間に断熱
材１１が充填され、収納室筐体９内に飲料容器収納室１
２が形成されている。底板４、頂板５、側板６、７およ
び背板８には木、合成樹脂、ステンレス等の化粧材が用
いられ、収納室筐体９にはアルミニウム等の伝熱性に優
れた伝熱材が用いられ、枠板１０にはステンレス、合成
樹脂等の化粧材が用いられ、断熱材１１には発泡ウレタ
ン等の断熱性に優れた材料が用いられている。

【００１２】扉３は木、合成樹脂等の化粧材により形成
され、一方の側板７の開放側端部に垂直方向の回転軸を
有する蝶番１３により回転可能に取付けられている。扉
３の背面側周縁部には収納庫本体２の開放側で枠板１０
の周面に当接し得るガスケット１４が取付けられ、扉３
の背面にはガスケット１４の内方において断熱材１５が
取付けられている。収納庫本体２の底板４における下面
四隅には脚部１６が取付けられている。したがって、収
納庫１は断熱構造で扉３の開閉により飲料容器、例え
ば、生ビール樽１７を収納室１２に取出し可能に収納し
得るようになっている。

【００１３】収納室筐体９の内面には伝熱素子として、
扁平形状のヒートパイプ１８が複数本、接触状態で取付
けられている。本実施形態においては、２本のヒートパ
イプ１８が収納室筐体９の頂面中央部で交叉され、両側
面中央部と背面中央部に位置されて下端部に至るように
延長され、各面に接触状態に取付けられている。ヒート
パイプ１８は公知の構成であって、その一例として、減
圧したパイプの内部に液化フロンガス、代替フロン等を
入れ、上部で冷却された液化フロンガス等が下降し、下
側で吸熱され、温められて気化したフロンガス等が上昇
するようになっている。図示例においては、ヒートパイ
プ１８を収納室筐体９の内面に沿って設けているが、ヒ
ートパイプ１８を収納室筐体９の外面、若しくは内面お
よび外面に沿って設けることもできる。

【００１４】頂板５の中央部には角形の穴１９が形成さ
れ、この穴１９を利用して収納室筐体９の頂面中央部上
に電子熱交換装置２０が設けられている。電子熱交換装
置２０は、ペルチェ効果の利用により収納室筐体９、ヒ
ートパイプ１８が冷却されるように構成されている。そ
の一例について説明すると、ペルチェ素子２１の吸熱面
側に吸熱熱導体２２の一側面が当てられ、ペルチェ素子
２１の放熱面側に放熱フィン２３、放熱ファン２４が順
次設けられ、放熱ファン２４の上方において通気部材２
５が設けられている。この電子熱交換装置２０は放熱フ
ァン２４を上方に位置させて頂板５の穴１９内に配置さ
れ、吸熱熱導体２２が収納室筐体９の頂面に接触するよ
うに取付けられている。

【００１５】そして、ペルチェ素子２１は電源供給部２
６から電流が供給されることにより、ペルチェ効果によ
り下側の吸熱面から上側の放熱面に向かう熱移動を生
じ、吸熱熱導体２２が冷却されるようになっている。ま
た、放熱ファン２４が電源の供給により駆動されると、
外気が放熱フィン２３を通って放熱ファン２４から上方
へ排出され、ペルチェ効果により、放熱フィン２３側へ
移動した熱が外気により放散されるようになっている。

【００１６】生ビール樽１７はステンレス等から成り、
その上部にはディスペンスヘッド２７が取付けられ、デ
ィスペンスヘッド２７の注出口２８には注出管２９の一
端が取外し可能に接続され、注出管２１の他端が収納庫
１の扉３の上部に貫通して設けられた注出コック３０の
基部に取外し可能に接続されている。また、ディスペン
スヘッド２７の注入口３１には炭酸ガス供給管３２の一
端が接続されている。炭酸ガス供給管３２は収納庫本体
２の任意箇所にシール状態で挿通され、収納庫１外に導
びかれた他端が炭酸ガスボンベ（図示省略）に減圧弁を
介して接続されている。そして、炭酸ガスボンベから炭
酸ガスを炭酸ガス供給管３２、注入口３１を介して生ビ
ール樽１７内に供給し、生ビール樽１７内の生ビールを
炭酸ガスにより加圧して注出口２８、注出管２９を介し
て注出コック３０まで供給する。したがって、注出コッ
ク３０の開閉により生ビールを注出することができるよ
うになっている。なお、上記炭酸ガスボンベは収納室１
２に収納するようにしてもよい。

【００１７】以上の構成において、以下、その動作につ
いて説明する。上記のように電子熱交換装置２０の駆動
により収納室筐体９を冷却するとともに、収納室筐体９
を介してヒートパイプ１８の端部を冷却する。このと
き、収納室筐体９だけであれば、収納室筐体９の下方ま
で冷却するには時間を要するが、上記のようにヒートパ
イプ１８を冷却するのに伴い、ヒートパイプ１８内で上
部の蒸気（ガス）が液化して下降し、下方で吸熱により
温められて蒸気（ガス）となって上昇するサイクルを繰
り返すことにより、収納室筐体９の全体を急速に、かつ
ほぼ均一な温度に冷却することができる。そして、上記
のように収納室１２内全体をほぼ均一な温度に冷却する
ことができるので、収納庫１における電子熱交換装置２
０による冷却部からの外部に対する放熱を抑制すること
ができ、しかも、収納室１２内の気相をかき回すことな
く冷却するので、収納室１２の内壁面の境膜抵抗の影響
を抑制することができる。したがって、上記のような冷
却により収納室１２内全体をほぼ均一な温度に冷却する
ことができ、収納室１２内の生ビール樽１７およびその
内部の生ビール全体をほぼ均一な温度に冷却することが
できる。そして、炭酸ガスボンベから減圧弁、炭酸ガス
供給管３２を介して炭酸ガスを生ビール樽１７内に供給
し、生ビール樽１７内の冷却されている生ビールを炭酸
ガスにより加圧して注出口２８、注出管２９を介して注
出コック３０まで供給する。したがって、冷却されてい
る生ビールを注出コック３０の開閉により注出すること
ができる。

【００１８】

【実施例】アルミニウム製の収納室筐体９を底面が約２
５０ｍｍ×２５０ｍｍ、高さが約４００ｍｍとなるよう
に設定し、図１に示す収納室筐体９における電子熱交換
装置２０の取付け箇所Ａ、電子熱交換装置２０からやや
離れた箇所Ｂ、電子熱交換装置２０から最も離れた箇所
Ｃについて冷却温度を測定した結果、その平均値はそれ
ぞれＡ＝−３℃、Ｂ＝−２℃、Ｃ＝−１℃であり、全体
の温度差は約２℃であった。一方、比較例として収納室
１２内に吸熱ファンにより冷気を供給する電子冷却装置
を用い、ヒートパイプ１８を用いなかった場合には、
Ａ、Ｂ、Ｃの各箇所の冷却温度の平均値は、Ａ＝−９
℃、Ｂ＝−１℃、Ｃ＝＋３℃であり、全体の温度差は約
１２℃であった。これからも本発明実施例によれば、収
納室１２内の全体の温度差を少なくすることができ、し
たがって、生ビール樽１７内の全体の冷却温度の差を小
さくすることができることが明らかとなった。また、本
発明実施例によれば、Ａ部の温度が比較例に比べて極端
に低下しないので、Ａ部から外部への放熱も抑制するこ
とができ、したがって、収納室１２、すなわち、生ビー
ル樽１７の生ビールの冷却能力を向上することができる
ことが明らかとなった。

【００１９】また、本発明実施例によれば、収納室１２
内の気相をかき回すことがないので、比較例のように吸
気ファンにより収納室１２内の気相をかき回す場合に比
べて収納室１２の内壁面の境膜抵抗が減少し、しかも、
生ビール樽１７による冷気の遮断がなく、全体をほぼ均
一に冷却することができ、これらの点からも、本発明実
施例が冷却効率に優れていることが明らかとなった。

【００２０】なお、上記実施形態においては、生ビール
の冷却に用いているが、その他の飲料の冷却に用いるこ
ともでき、また、電子熱交換装置２０を収納庫１の下側
に配置し、収納室筐体９の内面、若しくは外面に沿って
熱サイフォンを設け、電子熱交換装置２０のペルチェ素
子２１に逆向きに電流を流すなどにより吸熱側と放熱側
とを逆にし、熱サイフォンの下側で液体を加熱して蒸気
（ガス）を上昇させ、上側で吸熱され、温められて液化
して下降させるように構成することにより収納室筐体９
を加熱し、収納室１２、すなわち、所望の飲料を加熱す
ることもできる。このほか、本発明は、その基本的技術
思想を逸脱しない範囲で種々設計変更することができ
る。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
子熱交換手段による伝熱素子内の液体と蒸気の移動によ
り収納室筐体の全体をほぼ均一に冷却し、若しくは加熱
するようにしているので、収納庫における冷却部、若し
くは加熱部からの外部に対する放熱を抑制することがで
き、しかも、収納室内の気相をかき回すことなく冷却、
若しくは加熱するようにしているので、収納室内壁面の
境膜抵抗の影響を抑制することができ、したがって、冷
却、若しくは加熱の効率を向上させることができる。ま
た、収納室内全体の温度差を少なく抑制することがで
き、しかも、収納室内の気相を安定させた状態で飲料容
器、すなわち、飲料全体をほぼ均一に冷却し、若しくは
加熱することができ、したがって、飲料として商品価値
を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る飲料注出装置を示す
正面図である。

【図２】同飲料注出装置を示す平面図である。

【図３】同飲料注出装置を示し、図１のIII−III矢視断
面図である。

【符号の説明】

１ 収納庫 ２ 収納庫本体 ３ 扉 ９ 収納室筐体 １１ 断熱材 １２ 収納室 １７ 生ビール樽（飲料容器） １８ ヒートパイプ（伝熱素子） ２０ 電子熱交換装置 ２１ ペルチェ素子 ３０ 注出コック

フロントページの続き (72)発明者 高橋 一善 東京都品川区東品川２丁目２番24号 ナス トーア株式会社内 (72)発明者 加藤 康夫 東京都品川区東品川２丁目２番24号 ナス トーア株式会社内 (72)発明者 甲賀 篤志 東京都品川区東品川２丁目２番24号 ナス トーア株式会社内 (72)発明者 小川 忠裕 東京都品川区東品川２丁目２番24号 ナス トーア株式会社内 (72)発明者 武田 誠 神奈川県横浜市戸塚区品濃町546−８ Ｆターム(参考） 3E082 AA04 BB03 CC01 DD01 EE02 FF09 3L045 AA04 BA01 CA01 DA04 EA02 FA01 PA04

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 扉の開閉により飲料容器を取出し可能に
   収納し得る収納室を有し、収納室筐体を伝熱材により形
   成した断熱構造の収納庫と、上記収納室筐体に沿って設
   けられ、液体と蒸気の移動により上記収納室筐体を冷却
   し、若しくは加熱して上記収納室内を冷却し、若しくは
   加熱し得るように設けられた伝熱素子と、ペルチェ効果
   の利用により上記伝熱素子内で液体と蒸気の移動を行わ
   せる電子熱交換手段と、上記飲料容器内の飲料を上記収
   納庫外に注出し得る注出コックとを備えた飲料注出装
   置。
2. 【請求項２】 伝熱素子がヒートパイプであり、電子熱
   交換手段が収納庫の上部に設けられ、ペルチェ効果の利
   用により上記ヒートパイプを介して収納室筐体を冷却す
   るように構成された請求項１記載の飲料注出装置。