JP2001343727A - 熱現像カラー画像記録材料 - Google Patents

熱現像カラー画像記録材料

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JP2001343727A
JP2001343727A JP2000279122A JP2000279122A JP2001343727A JP 2001343727 A JP2001343727 A JP 2001343727A JP 2000279122 A JP2000279122 A JP 2000279122A JP 2000279122 A JP2000279122 A JP 2000279122A JP 2001343727 A JP2001343727 A JP 2001343727A
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Kazunobu Kato
和信 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で、保存安定性に優れた熱現像カラー
画像記録材料を提供すること。 【解決手段】 支持体上に、有機銀塩、還元剤、色像形
成材料、感光性ハロゲン化銀、および有機バインダーを
含む画像形成層を有する熱現像カラー画像記録材料にお
いて、該有機バインダーが疎水性かつ熱可塑性の有機ポ
リマーであり、該画像形成層がハロゲン放出プレカーサ
ーを含有することを特徴とする、熱現像カラー画像記録
材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像カラー画像記
録材料に関し、特に高感度で、保存安定性に優れた熱現
像カラー画像記録材料に関する。本発明の熱現像カラー
画像記録材料は、印刷工業分野で用いられるカラープル
ーフ材料、カラープリント、撮影用カラーフィルム、イ
ンスタントフィルムなど、各種カラー写真材料等として
有用である。
【0002】
【従来の技術】有機銀塩を利用し、熱現像により画像を
形成する方法は、例えば米国特許第3,152,904
号明細書、同第3,457,075号明細書、および
J.クロスタベール(Klosterboer)による「熱によっ
て処理される銀システム(Thermally Processed Silver
Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド
・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)
Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウォ
ールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編
集、第279頁、1989年)に記載されている。この
ような熱現像感光材料は、還元可能な非感光性の銀源
(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロ
ゲン化銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマ
トリックス中に分散した状態で含有する。感光材料は常
温で安定であるが、露光後に高温(例えば、80℃以
上)に加熱したときに、還元可能な銀源(酸化剤として
機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を
生成する。この酸化還元反応は露光により形成された潜
像の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可
能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色になり、非露
光領域と対照をなすことから画像が形成される。
【0003】また、これらの感光材料は、通常有機バイ
ンダーの有機溶剤溶液を用いて、その中に有機銀塩とハ
ロゲン化銀が分散され、有機溶媒に溶かした還元剤を添
加されるのが一般的であった。また、ハロゲン化銀は、
有機銀塩結晶の表面に接触して配置させることが画像形
成上重要な用件であると認識されてきた。例えば、M.R.
V. Sahyun, Thermally Developable Photographic Mat
erials (TDPM): A Review of the State−of−the−Art
in mechanistic Understanding, J. ImagingSci. & Te
chnology, 42, 23 (1998)に記載されている。有機銀塩
を利用した熱現像カラー感光材料は、前述のJ.クロスタ
ベールらの著書,第290頁のCOLOR TPSMの項に記載さ
れている。そこに記載されているように、1970年代
より、カラー画像を作成する試みがなされているが未だ
に実用に供されていない。有機銀塩熱現像方式で有効に
機能する発色システムが見出されていないためである。
また、発色システムが不安定で、塗布膜の製造後使用さ
れるまでの間に性能が劣化したり、熱現像後の保存時に
も非イメージワイズに発色し、かぶりとなって画像を損
なう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の解決
しようとする課題は、上記の従来技術の問題を解決する
新たな構成の熱現像カラー画像記録材料であって、特に
高感度で、保存安定性に優れた熱現像カラー画像記録材
料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、支持体上に、有機銀
塩、還元剤、色像形成材料、感光性ハロゲン化銀、およ
び有機バインダーを含む画像形成層を有する熱現像カラ
ー画像記録材料において、該有機バインダーとして疎水
性かつ熱可塑性の有機ポリマーを使用し、該画像形成層
にハロゲン放出プレカーサーを含有させることによっ
て、所望の効果を奏する優れた熱現像カラー画像記録材
料を提供しうることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】即ち、本発明によれば、支持体上に、有機
銀塩、還元剤、色像形成材料、感光性ハロゲン化銀、お
よび有機バインダーを含む画像形成層を有する熱現像カ
ラー画像記録材料において、該有機バインダーが疎水性
かつ熱可塑性の有機ポリマーであり、該画像形成層がハ
ロゲン放出プレカーサーを含有することを特徴とする、
熱現像カラー画像記録材料が提供される。
【0007】好ましくは、ハロゲン放出プレカーサー
は、下記一般式(H)で表される化合物より選ばれる。
【化3】 (一般式(H)において、Qは置換基を有していてもよ
いアリール基または置換基を有してしてもよいヘテロ環
基を表す。Z1およびZ2はそれぞれ独立してハロゲン原
子を表す。Aは水素原子または電子吸引性基を表す。) 好ましくは、ハロゲン放出プレカーサーは水中に固体分
散された微粒子である。
【0008】好ましくは、還元剤は水中に固体分散され
た微粒子である。好ましくは、還元剤は、一般式
(D):Q1−NHNH−Q2(式中、Q1は炭素原子で
−NHNH−Q2と結合する芳香族基、または5〜7員
の不飽和環を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル
基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す)で
表される化合物である。
【0009】好ましくは、色像形成材料は、下記一般式
(1)〜(18)で表される化合物のいずれかである。
【化4】 (式(1)〜(18)において、X1〜X18はそれぞれ
独立に水素原子又は置換基を表す。一般式(1)におい
て、R1およびR2はそれぞれ独立に電子吸引性基を表
す。一般式(2)〜(18)において、R3〜R35はそ
れぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m、n、p
およびqは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。rは
0〜5の整数を表す。)
【0010】好ましくは、色像形成材料は固体分散され
た微粒子である。好ましくは、色像形成材料は2当量型
である。好ましくは、有機バインダーは水分散されたポ
リマーラテックスより形成される。好ましくは、有機バ
インダーはポリビニルブチラールである。好ましくは、
有機バインダーは有機溶剤に溶解されて塗布される。な
お、本明細書において、「〜」はその前後に記載される
数値を最小値および最大値として含む範囲である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱現像カラー画像記録材料は、支持体上に、有
機銀塩、還元剤、色像形成材料、感光性ハロゲン化銀、
および有機バインダーを含む画像形成層を有する熱現像
カラー画像記録材料において、該有機バインダーが疎水
性かつ熱可塑性の有機ポリマーであり、該画像形成層が
ハロゲン放出プレカーサーを含有することを特徴とす
る。これにより、露光後、加熱するだけで多色画像が得
られる高感度のカラー画像記録材料が得られる。
【0012】本発明に用いることができる有機銀塩は、
光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感
光性ハロゲン化銀の潜像など)および還元剤の存在下
で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像
を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イオ
ン源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀
塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28
の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が
4.0〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する有機
または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ま
しくは画像形成層の約5〜70質量%を構成することが
できる。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有
する有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的に
は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の
銀塩を挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例として
は、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オ
レイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン
酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒
石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀および樟脳酸銀、これら
の混合物などを挙げることができる。
【0013】有機銀塩として、メルカプト基またはチオ
ン基を含む化合物の銀塩およびこれらの誘導体を使用す
ることもできる。これらの化合物の好ましい例として、
3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾ
ールの銀塩、2−メルカプトベンズイミダゾールの銀
塩、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾールの銀
塩、2−(エチルグリコールアミド)ベンゾチアゾール
の銀塩、S−アルキルチオグリコール酸(ここでアルキ
ル基の炭素数は12〜22である)の銀塩などのチオグ
リコール酸の銀塩、ジチオ酢酸の銀塩などのジチオカル
ボン酸の銀塩、チオアミドの銀塩、5−カルボキシル−
1−メチル−2−フェニル−4−チオピリジンの銀塩、
メルカプトトリアジンの銀塩、2−メルカプトベンズオ
キサゾールの銀塩、米国特許第4,123,274号明
細書に記載の銀塩、例えば3−アミノ−5−ベンジルチ
オ−1,2,4−チアゾールの銀塩などの1,2,4−
メルカプトチアゾール誘導体の銀塩、米国特許第3,3
01,678号明細書に記載の3−(3−カルボキシエ
チル)−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀
塩などのチオン化合物の銀塩を挙げることができる。
【0014】さらに、イミノ基を含む化合物も使用する
ことができる。これらの化合物の好ましい例として、ベ
ンゾトリアゾールの銀塩およびそれらの誘導体、例えば
メチルベンゾトリアゾール銀などのベンゾトリアゾール
の銀塩、5−クロロベンゾトリアゾール銀などのハロゲ
ン置換ベンゾトリアゾールの銀塩、米国特許第4,22
0,709号明細書に記載されているような1,2,4
−トリアゾールまたは1−H−テトラゾールの銀塩、イ
ミダゾールおよびイミダゾール誘導体の銀塩などを挙げ
ることができる。また、米国特許第4,761,361
号明細書および同第4,775,613号明細書に記載
されているような種々の銀アセチリド化合物を使用する
こともできる。
【0015】本発明においては、上記の有機酸銀ないし
は有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75モ
ル%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン酸
銀含有率85モル%以上の有機酸銀を用いることがさら
に好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用する有
機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に
用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀
としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いることが
できる。本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、上記
の有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩等が
挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させるこ
とにより調製される。これらの調製方法については、特
願平11−104187号明細書の段落番号0019〜
0021に記載の方法を用いることができる。
【0016】本発明においては、液体を混合するための
密閉手段の中に硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属
塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を
好ましく用いることができる。具体的には、特願平11
−203413号明細書に記載されている方法を用いる
ことができる。本発明においては有機酸銀の調製時に、
硝酸銀水溶液および有機酸アルカリ金属塩溶液、あるい
は反応液には水に可溶な分散剤を添加することができ
る。ここで用いる分散剤の種類および使用量について
は、特願平11−115457号明細書の段落番号00
52に具体例が記載されている。
【0017】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコール
の存在下で調製することが好ましい。第3アルコールと
しては、好ましくは総炭素数15以下の化合物が好まし
く、10以下の化合物が特に好ましい。好ましい第3ア
ルコールの例としては、tert−ブタノール等が挙げ
られるが、本発明で使用することができる第3アルコー
ルはこれに限定されない。本発明に用いる第3アルコー
ルの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングで
もよいが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、
有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好まし
い。また、本発明で用いる第3アルコールは、有機酸銀
調製時の溶媒としての水に対して質量比で0.01〜1
0の範囲で使用することができるが、0.03〜1の範
囲で使用することが好ましい。
【0018】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状やサイズは特に制限はなく、針状、鱗片状、塊状など
種々の形状を用いることができる。特に好ましいのは、
針状、および鱗片状であり、また特願平11−1041
87号明細書の段落番号0024に記載のものを用いる
ことが好ましい。針状結晶の場合、好ましくは短軸0.
01〜0.20μm、長軸0.10〜5.0μmであり、
より好ましくは短軸0.01〜0.15μm、長軸0.1
0〜4.0μmである。有機銀塩の形状は、有機銀塩分
散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。有
機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好まし
い。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を
短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましく
は100%以下、より好ましくは80%以下、さらに好
ましくは50%以下である。単分散性を測定する別の方
法として、有機銀塩の体積荷重平均直径の標準偏差を求
める方法があり、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷
重平均直径で割った値の100分率(変動係数)が好ま
しくは100%以下、より好ましくは80%以下、さら
に好ましくは50%以下、特に好ましくは30%以下で
ある。測定方法としては、例えば液中に分散した有機銀
塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変
化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒
子サイズ(体積荷重平均直径)から求めることができ
る。この測定法での平均粒子サイズとしては0.05μ
m〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ましい。より
好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜5.0μm、さ
らに好ましい平均粒子サイズは0.1μm〜2.0μm
である。
【0019】本発明に用いる有機銀塩は、脱塩したもの
であることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知
の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、
限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾
過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法
については、特願平11−115457号明細書に記載
の方法を用いることができる。
【0020】本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小
さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画
像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実
質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降
下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散
方法については特願平11−104187号明細書の段
落番号0027〜0038に記載の方法を用いることが
できる。そして、このような工程を経た後に、感光性ハ
ロゲン化銀水溶液と混合して感光性画像形成媒体塗布液
を製造する。このような塗布液を用いて熱現像画像記録
材料を作製するとヘイズが低く、低カブリで高感度の熱
現像画像記録材料が得られる。これに対し、高圧、高速
流に変換して分散する時に、感光性ハロゲン化銀を共存
させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下する。ま
た、分散媒として水ではなく、有機溶剤を用いると、ヘ
イズが高くなり、カブリが上昇し、感度が低下しやすく
なる。一方、感光性ハロゲン化銀水溶液を混合する方法
にかえて、分散液中の有機銀塩の一部を感光性ハロゲン
化銀に変換するコンバージョン法を用いると感度が低下
する。
【0021】上記において、高圧、高速化に変換して分
散される水分散液は、実質的に感光性銀塩を含まないも
のであり、その含水量は非感光性の有機銀塩に対して
0.1モル%以下であり、積極的な感光性銀塩の添加は
行わないものである。上記のような分散法を実施するの
に用いられる固体分散装置およびその技術については、
例えば『分散系レオロジーと分散化技術』(梶内俊夫、
薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p357
〜403)、『化学工学の進歩第24集』(社団法人化
学工学会東海支部編、1990、槙書店、p184〜1
85)等に詳細に記載されている。本発明での好ましい
分散法は、少なくとも有機銀塩を含む水分散物を高圧ポ
ンプ等で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けら
れた細いスリットを通過させ、この後に分散液に急激な
圧力低下を生じさせることにより微細な分散を行う方法
である。
【0022】本発明が関連する高圧ホモジナイザーにつ
いては、一般には、(a)分散質が狭間隙を高圧、高速
で通過する際に生じる『剪断力』、(b)分散質が高圧
下から常圧に解放される際に生じる『キャビテーション
力』等の分散力によって微細な粒子への分散が行われる
と考えられている。この種の分散装置としては、古くは
ゴーリンホモジナイザーが挙げられるが、この装置では
高圧で送られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で、高速
流に変換され、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その衝
撃力で乳化・分散が行われる。使用圧力は一般には10
0〜600kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の範
囲であり、分散効率を上げるために高流速部を鋸刃状に
して衝突回数を増やすなどの工夫を施したものも考案さ
れている。これに対して、近年さらに高圧、高流速での
分散が可能となる装置が開発されてきており、その代表
例としてはマイクロフルイダイザー(マイクロフルイデ
ックス・インターナショナル・コーポレーション社)、
ナノマイザー(特殊機化工業(株))などが挙げられ
る。
【0023】本発明に適した分散装置としては、マイク
ロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーシ
ョン社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH
(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−
110Y(H10Zインターラクションチャンバー付
き)、M−140K(G10Zインターラクションチャ
ンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH23
0Zインターラクションチャンバー付き),HC−80
00(E230ZまたはL30Zインターラクションチ
ャンバー付き)等が挙げられる。これらの装置を用い、
少なくとも有機銀塩を含む水分散液を高圧ポンプ等で加
圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細いス
リットを通過させることにより所望の圧力を印加し、こ
の後に配管内の圧力を大気圧に急速に戻す等の方法で分
散液に急激な圧力降下を生じさせることにより本発明に
最適な有機銀塩分散物を得ることが可能である。
【0024】有機銀塩の分散においては、流速、圧力降
下時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子サイズ
に分散することが可能であるが、写真特性と粒子サイズ
の点から、流速が200〜600m/秒、圧力降下時の
差圧が900〜3000kg/cm2の範囲が好まし
く、より好ましくは流速が300〜600m/秒、圧力
降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2の範囲
である。分散処理回数は必要に応じて選択できるが、通
常は1〜10回の処理回数が選ばれるが、生産性の点か
らは1回〜3回程度の処理回数が選ばれる。高圧下でこ
のような水分散液を高温にすることは、分散性、写真特
性の点から好ましくなく、90℃を越えるような高温で
は粒子サイズが大きくなりやすくなると共に、カブリが
高くなる傾向がある。従って、本発明では前記の高圧、
高流速に変換する前の工程もしくは、圧力降下させた後
の工程、あるいはこれらの両工程に冷却工程を含み、こ
のような水分散の温度が冷却工程により5〜90℃の範
囲に保たれていることが好ましく、さらに好ましくは5
〜80℃の範囲、特に5〜65℃の範囲に保たれている
ことが好ましい。特に、1500〜3000kg/cm
2の範囲における高圧下での分散時には前記の冷却工程
を設置することが有効である。冷却器は、その所要熱交
換量に応じて、二重管や二重管にスタチックミキサーを
使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適
宜選択することができる。また、熱交換の効率を上げる
ために、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質な
ど好適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、
熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5〜1
0℃の冷水、また必要に応じて−30℃のエチレングリ
コール/水等の冷媒を使用することもできる。
【0025】有機銀塩を分散する際には、水性溶媒可溶
な分散剤(分散助剤)の存在下で分散することが好まし
い。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アク
リル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モ
ノエステル共重合体、アクリロメチルプロパンスルホン
酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カルボキシメ
チルデンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合
成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのア
ニオン性ポリマー、特開平7−350753号公報に記
載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、
カチオン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース等の公知のポリマー、あるいはゼラ
チン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して
用いることができるが、ポリビニルアルコール類、水溶
性のセルロース誘導体が特に好ましい。
【0026】分散助剤は、分散前に有機銀塩の粉末また
はウェットケーキ状態の有機銀塩と混合し、スラリーと
して分散機に送り込むのが一般的な方法であるが、予め
有機銀塩と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理
を施して有機銀塩粉末またはウェットケーキとしてもよ
い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりp
Hコントロールしてもよい。機械的に分散する以外に
も、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、そ
の後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化さ
せてもよい。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機
溶媒を使用してもよく、通常有機溶媒は微粒子化終了後
除去される。調製された有機銀塩の分散物は、保存時の
微粒子の沈降を抑える目的で攪拌しながら保存したり、
親水性コロイドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチ
ンを使用しゼリー状にした状態)で保存したりすること
もできる。また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目
的で防腐剤を添加することもできる。
【0027】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物
は、少なくとも有機銀塩と水からなるものである。有機
銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有
機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であること
が好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズ
を最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ま
しく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜
15質量%の範囲が好ましい。本発明で用いる有機銀塩
は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/
2が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2.5g/
2である。
【0028】本発明にはCa、Mg、ZnおよびAgか
ら選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加するこ
とが好ましい。Ca、Mg、ZnおよびAgから選ばれ
る金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、
ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加するこ
とが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添
加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後
の感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存
性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好まし
くない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水
溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
【0029】本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn
およびAgから選ばれる金属イオンの添加時期として
は、該非感光性有機銀塩の粒子形成後であって、粒子形
成直後、分散前、分散後および塗布液調製前後など塗布
直前までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分
散後、塗布液調製前後である。本発明におけるCa、M
g、ZnおよびAgから選ばれる金属イオンの添加量と
しては、非感光性有機銀1モルあたり10-3〜10-1
ルが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2モルが好ま
しい。
【0030】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、画
像記録層中に、色像形成材料を有する。本発明に用いる
色像形成材料としては、上記一般式(1)〜(18)で
表わされる化合物のいずれかを使用することが好まし
い。
【0031】一般式(1)〜(18)において、X1
18はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表わす。
1〜X18で表される置換基は同一でも異なっていても
よく、好ましい例として、ハロゲン原子(例えば、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アリール
基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数
6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12であり、例
えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8で
あり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等)、ア
リールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ま
しくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜1
2であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキ
シ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素
数1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオ、
ブチルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6
〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましく
は炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ、ナフ
チルチオ等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましく
は炭素数2〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾ
イルオキシ等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2
〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好まし
くは炭素数2〜10であり、例えば、N−メチルアセチ
ルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホニルアミノ基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1
〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例え
ば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミ
ノ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは1〜
12であり、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチル
カルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシル
基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数
2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12であり、例
えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル
等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜
20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましく
は炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル
等)、スルホ基、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましく
は炭素数1〜12であり、例えば、メシル、トシル
等)、スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは
炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルホニルオキ
シ、ベンゼンスルホニルオキシ等)、アゾ基、ヘテロ環
基、ヘテロ環メルカプト基、シアノ基などが挙げられ
る。ここでいうヘテロ環基とは、飽和もしくは不飽和の
ヘテロ環基を表わし、例えばピリジル基、キノリル基、
キノキサリニル基、ピラジニル基、ベンゾトリアゾリル
基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリ
ル基、テトラゾリル基、ヒダントイン−1−イル基、ス
クシンイミド基、フタルイミド基等が挙げられる。これ
らの置換基はさらに他の置換基で置換されていてもよ
く、この置換基としては、写真性能を悪化させないもの
であれば一般に知られているどのような置換基でもよ
い。
【0032】X1〜X18で表される置換基としては、写
真用2当量カプラーの離脱基として公知のものが好まし
く、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環
基、ヘテロ環メルカプト基等が挙げられ、X1〜X18
して特に好ましい置換基は、写真用2当量カプラーの離
脱基である。
【0033】一般式(1)において、R1およびR2は同
一でも異なっていてもよく、電子吸引性基を表わす。こ
こでいう電子吸引性基とは、ハメットの置換基定数σp
が正の値を取りうる置換基のことであり、具体的には、
シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、N原子で置換
したイミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ
基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフル
オロアルカンアミド基、スルホンアミド基、アシル基、
ベンゾイル基、ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシ
基(またはその塩)、ホルミル基、ホスホリル基、カル
ボキシ基(またはその塩)、スルホ基(またはその
塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、アシ
ルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ基、また
はこれら電子吸引性基で置換されたアリール基等を表わ
す。ヘテロ環基としては、飽和もしくは不飽和のヘテロ
環基で、例えばピリジル基、キノリル基、キノキサリニ
ル基、ピラジニル基、ベンゾトリアゾリル基、イミダゾ
リル基、ベンズイミダゾリル基、ヒダントイン−1−イ
ル基、スクシンイミド基、フタルイミド基、インドリニ
ル等が挙げられる。また、R1およびR2は互いに結合し
て飽和または不飽和の炭素環または複素環を形成しても
よい。中でも、炭素数が30以下の置換基が好ましく、
より好ましくは炭素数20以下である。さらに好ましく
は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、イミノ基、アシル
基、ベンゾイル基、ヘテロ環基である。
【0034】一般式(2)〜(18)において、R3
35はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表わす。
3〜R35で表される置換基は同一でも異なっていても
よく、写真性へ悪影響のないものであればどのような置
換基を用いてもよい。具体例としては、X1〜X18の好
ましい例として挙げた置換基が挙げられる。これらの置
換基はさらに他の置換基で置換されていてもよい。ま
た、m、pまたはqが2以上であって、複数のR13、R
15またはR27が隣接する場合、隣接する2つのR 13、R
15またはR27は環を形成していてもよい。
【0035】R3〜R35で表される置換基として好まし
いものは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アニ
リノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルボ
キシル基、カルバモイル基、アシル基、スルホ基、スル
ホニル基、スルファモイル基、シアノ基、ヒドロキシル
基、メルカプト基、アルキルチオ基、ヘテロ環基であ
る。
【0036】本発明の熱現像カラー画像記録材料におい
ては、色像形成材料として、一般式(1)〜(18)で
表される化合物が好ましいが、一般式(1)、(3)、
(4)、(6)、(9)、(10)、(11)および
(15)で表される化合物がさらに好ましく、一般式
(3)、(4)、(9)、(10)および(11)で表
される化合物が特に好ましい。以下に一般式(1)〜
(18)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明
に用いる色像形成材料はこれらに限定されるものではな
い。
【0037】
【化5】
【0038】
【化6】
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
【化16】
【0049】
【化17】
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】
【化20】
【0053】本発明に好ましく用いられる、一般式
(1)〜(18)で表される色像形成材料は写真業界で
公知の方法によって容易に合成することができる。本発
明に用いる色像形成材料の添加量は、銀1モル当たり
0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.02
〜0.5モルであり、さらに好ましくは0.05〜0.
2モルである。色像形成材料は1種のみを用いても2種
以上を併用してもよい。また、本発明に用いることがで
きる色像形成材料を撮影材料に用いる場合には、色像形
成材料の添加量は、銀1モルあたり0.001モル〜
0.5モル、好ましくは、0.01モル〜0.2モルで
使用される。
【0054】また、本発明には以下のような機能性カプ
ラーを使用してもよい。発色色素が適度な拡散性を有す
るカプラーとしては、米国特許第4,366,237号
明細書、英国特許第2,125,570号明細書、欧州
特許公開EP96,873B号公報、ドイツ特許第3,
234,533号明細書に記載のものが好ましい。発色
色素の不要な吸収を補正するためのカプラーとしては、
欧州特許公開EP456,257A1号公報に記載のイ
エローカラードシアンカプラー、該欧州特許公開公報に
記載のイエローカラードマゼンタカプラー、米国特許第
4,833,069号明細書に記載のマゼンタカラード
シアンカプラー、米国特許第4,837,136号明細
書の(2) 、国際公開WO92/11575号公報の
クレーム1の式(A)で表わされる無色のマスキングカ
プラー(特に36−45頁の例示化合物)が挙げられ
る。
【0055】現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な
化合物残査を放出する化合物(カプラーを含む)として
は、以下のものが挙げられる。 現像抑制剤放出化合物:欧州特許公開EP378,23
6A1号公報の11頁に記載の式(I)〜(IV)で表
わされる化合物、欧州特許公開EP436,938A2
号公報の7頁に記載の式(I)で表わされる化合物、欧
州特許公開EP568,037A号公報の式(1) で
表わされる化合物、欧州特許公開EP440,195A
2号公報の5〜6頁に記載の式(I)、(II)、(I
II)で表わされる化合物。 漂白促進剤放出化合物:欧州特許公開EP310,12
5A2号公報の5頁の式(I)、(I’)で表わされる
化合物および特開平6−59411号公報の請求項1の
式(I)で表わされる化合物。 リガンド放出化合物:米国特許第4,555,478号
明細書のクレーム1に記載のLIG−Xで表わされる化
合物。
【0056】ロイコ色素放出化合物:米国特許第4,7
49,641号明細書のカラム3〜8の化合物1〜6; 蛍光色素放出化合物:米国特許第4,774,181号
明細書のクレーム1のCOUP−DYEで表わされる化
合物。 現像促進剤またはカブラセ剤放出化合物:米国特許第
4,656,123号明細書のカラム3の式(1)、
(2)、(3)で表わされる化合物および欧州特許公開
EP450,637A2号公報の75頁36〜38行目
のExZK−2。
【0057】離脱して初めて色素となる基を放出する化
合物: 米国特許第4,857,447号明細書のクレー
ム1の式(I)で表わされる化合物、特開平5−307
248号公報(特許第2835665号明細書)の式
(1)で表わされる化合物、欧州特許公開EP440,
195A2号公報の5、6頁に記載の式(I)、(I
I)、(III)で表わされる化合物、特開平6−59
411号公報の請求項1の式(I)で表わされる化合物
−リガンド放出化合物、米国特許第4,555,478
号明細書のクレーム1に記載のLIG−Xで表わされる
化合物。このような機能性カプラーは、先に述べた発色
に寄与する色像形成材料の0.05〜10倍モル、好ま
しくは0.1〜5倍モル用いることが好ましい。
【0058】本発明に用いる色像形成材料は、水または
適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エ
タノール、プロパノール、フッ素化アルコール等)、ケ
トン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソル
ブなどに溶解して用いることができる。あるいは、既に
よく知られている乳化分散法に従って、ジブチルフタレ
ート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリア
セテート、ジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチ
ル、シクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、
機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。ま
たは、よく知られている固体分散法に従って、ボールミ
ル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントン
ゴーリン、マイクロフルイダイザーまたは超音波によっ
てカプラー化合物の粉末を水の中に分散し、用いること
ができる。本発明では色像形成材料は画像形成層に添加
される。
【0059】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、画
像形成層中に有機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩
のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の
物質、好ましくは有機物質である。フェニドン、ハイド
ロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有
用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。
特に好ましい還元剤はヒンダードフェノール基を1分子
内に2つ以上有するポリヒンダードフェノール類であ
る。また、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように
誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。還
元剤は、画像形成層を有する面の銀1モルに対して10
〜150モル%含まれることが好ましく、20〜100
モル%で含まれることがさらに好ましい。
【0060】有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料に
おいては広範囲の還元剤を使用することができる。例え
ば、特開昭46−6074号公報、同47−1238号
公報、同47−33621号公報、同49−46427
号公報、同49−115540号公報、同50−143
34号公報、同50−36110号公報、同50−14
7711号公報、同51−32632号公報、同51−
1023721号公報、同51−32324号公報、同
51−51933号公報、同52−84727号公報、
同55−108654号公報、同56−146133号
公報、同57−82828号公報、同57−82829
号公報、特開平6−3793号公報、米国特許3,66
7,9586号明細書、同第3,679,426号明細
書、同第3,751,252号明細書、同第3,75
1,255号明細書、同第3,761,270号明細
書、同第3,782,949号明細書、同第3,83
9,048号明細書、同第3,928,686号明細
書、同第5,464,738号明細書、独国特許第2,
321,328号明細書、欧州特許公開第692,73
2号公報などに開示されている還元剤を用いることがで
きる。例えば、フェニルアミドオキシム、2−チエニル
アミドオキシムおよびp−フェノキシフェニルアミドオ
キシムなどのアミドオキシム;例えば4−ヒドロキシ−
3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジ
ン;2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル
−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せ
のような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコ
ルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒド
ロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジン
の組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエ
チル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダ
クトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジン
の組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロ
キシフェニルヒドロキサム酸およびβ−アリニンヒドロ
キサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミ
ドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと
2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノ
ールなど);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニル
アセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテートな
どのα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2’−ジヒド
ロキシ−1,1’−ビナフチル、6,6’−ジブロモ−
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチルおよび
ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示さ
れるようなビス−β−ナフトール;ビス−β−ナフトー
ルと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2’,4’
−ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3−メ
チル−1−フェニル−5−ピラゾロンなどの5−ピラゾ
ロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒド
ロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒド
ロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示され
るようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼン
スルホンアミドフェノールおよびp−ベンゼンスルホン
アミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元
剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオンなど;2,
2−ジメチル−7−tert−ブチル−6−ヒドロキシ
クロマンなどのクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5
−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジンなどの
1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、
ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メ
チルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン
−ビス(2−tert−ブチル−6−メチルフェノー
ル)、1,1,−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメ
チルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサンおよ
び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例え
ば、パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アス
コルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルな
どのアルデヒドおよびケトン;3−ピラゾリドンおよび
ある種のインダン−1,3−ジオン;クロマノール(ト
コフェロールなど)などがある。この中で好ましい還元
剤は、ヒンダードフェノール類である。
【0061】本発明においては、特に好ましい還元剤と
して、一般式(D)で表されるヒドラジン化合物が用い
られる。 一般式(D):Q1−NHNH−Q2 (式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳
香族基、または5〜7員の不飽和環を表し、Q2はカル
バモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ
ールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルフ
ァモイル基を表す)
【0062】Q1で表される基の好ましい例としては、
ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、
ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5
−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾ
ール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−ト
リアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジア
ゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5
−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール
環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オ
キサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イ
ソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環な
どが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合
環も好ましい。
【0063】これらの環は置換基を有していてもよく、
2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は
同一であっても異なっていてもよい。置換基の例として
は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボン
アミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホ
ンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファ
モイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリール
スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、およびアシル基を挙げることができ
る。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに
置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミ
ド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンア
ミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、
シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げる
ことができる。
【0064】Q2で表されるカルバモイル基は、炭素数
1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイ
ル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカル
バモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカル
バモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オク
チルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、
N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカル
バモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバ
モイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−
(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}
カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイ
ル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオ
キシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−
ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N
−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイ
ル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
【0065】Q2で表されるアシル基は、炭素数1〜5
0、好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例え
ば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シ
クロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシル
デカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフル
オロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾ
イル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。
2で表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜
50、好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニ
ル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカ
ルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシ
ルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベン
ジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0066】Q2で表されるアリールオキシカルボニル
基は、炭素数6〜50、好ましくは炭素数6〜40のア
リールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカル
ボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2
−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシ
ルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表
されるスルホニル基は、炭素数1〜50、好ましくは炭
素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホ
ニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘ
キサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルス
ルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチ
ルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルス
ルホニルが挙げられる。
【0067】Q2で表されるスルファモイル基は、炭素
数0〜50、好ましくは炭素数6〜40のスルファモイ
ル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルス
ルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファ
モイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシル
スルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキ
シ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5
−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイ
ル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファ
モイルが挙げられる。Q2で表される基は、さらに、置
換可能な位置に前記のQ1で表される5〜7員の不飽和
環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2
個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同
一であっても異なっていてもよい。
【0068】次に、一般式(D)で表される化合物の好
ましい範囲について述べる。Q1で表される不飽和環は
5〜6員の環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、
1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾー
ル環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール
環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキ
サジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チ
アゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソ
オキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしく
は不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、
2はカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水
素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
【0069】一般式(D)で表される化合物の合成は、
特開平9−152702号公報、同8−286340号
公報、同9−152700号公報、同9−152701
号公報、同9−152703号公報、および同9−15
2704号公報等に記載の方法に従って実施することが
できる。以下に、一般式(D)で表される化合物の具体
例を示すが、本発明に用いられる化合物はこれらの具体
例によって限定されるものではない。
【0070】
【化21】
【0071】
【化22】
【0072】
【化23】
【0073】
【化24】
【0074】
【化25】
【0075】
【化26】
【0076】
【化27】
【0077】
【化28】
【0078】
【化29】
【0079】一般式(D)で表される化合物の添加量は
広い範囲を持つが、好ましくは銀イオンに対して0.0
1〜100モル倍、さらに好ましくは0.1〜10モル
倍が適当である。一般式(D)で表される化合物は、溶
液、粉末、固体微粒子分散物、乳化物、オイルプロテク
ト分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。本発明で用いる
還元剤としては、上記の還元剤の中でも一般式(D)で
表されるヒドラジン誘導体が特に好ましい。
【0080】本発明の熱現像カラー画像記録材料では、
画像形成層がハロゲン放出プレカーサーを含有する。本
発明に用いられるハロゲン放出プレカーサーは、熱、あ
るいは光によってハロゲンを放出しうる化合物である。
このような機能を有する化合物は、ハロゲン原子を2つ
以上同一炭素原子に置換した有機ポリハロゲン化物であ
り、例えば、特開昭50−119624号公報、同50
−120328号公報、同51−121332号公報、
同54−58022号公報、同56−70543号公
報、同56−99335号公報、同59−90842号
公報、同61−129642号公報、同62−1298
45号公報、特開平6−208191号公報、同6−2
08193号公報、同7−5621号公報、同7−27
81号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,
340,712号明細書、同5,369,000号明細
書、同5,464,737号明細書に開示されているよ
うな化合物が挙げられる。本発明に用いられるハロゲン
放出プレカーサーは、2種類以上を併用してもよい。
【0081】本発明に用いられる好ましいハロゲン放出
プレカーサーは、一般式(H)で表される化合物であ
る。
【0082】
【化30】
【0083】一般式(H)において、Qは置換基を有し
ていてもよいアリール基または置換基を有してしてもよ
いヘテロ環基を表す。Z1およびZ2はそれぞれ独立して
ハロゲン原子を表す。Aは水素原子または電子吸引性基
を表す。
【0084】一般式(H)において、Qで表されるアリ
ール基としては好ましくは炭素数6〜30のものであ
り、より好ましくは炭素数6〜20の単環または縮環の
アリール基であり例えばフェニル基、ナフチル基が挙げ
られ、特に好ましくはフェニル基である。
【0085】一般式(H)において、Qで表されるヘテ
ロ環基は、N、OまたはSの原子を少なくとも1つ含む
3〜10員の飽和または不飽和のヘテロ環であり、これ
らは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成
していてもよい。ヘテロ環基の具体例としては、例え
ば、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジ
ル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インド
リニジル、イソインドリニジル、3H−インドリル、イ
ンドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノ
リジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナ
フチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノ
リニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボニリ
ル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニ
ル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェナルサジ
ニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニ
ル、イソクロマニル、クロマニル、ピロリジニル、ピロ
リニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリ
ジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、イ
ンドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モリ
ホリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリ
ル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾ
チアゾリル、ベンズトリアゾリル、トリアジニル、ウラ
シル、トリアゾピリミジニルなどが挙げられ、好ましく
は、チエニル、ピリジル、イソキノリル、キノリル、ト
リアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルが
挙げられる。
【0086】一般式(H)において、Qで表わされるア
リール基またはヘテロ環基は−SO 2−C(Z1
(Z2)A基の他に置換基を有していても良い。置換基
としては一般的に知られており、かつ、写真性能に悪影
響を及ぼさないものであればどのような置換基でも良
い。例えば、直鎖、分岐、環状又はそれらの組み合わせ
のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好まし
くは1〜12、さらに好ましくは1〜4であり、例え
ば、メチル、エチル、iso−プロピル、tertーブ
チル、nーオクチル、tertーアミル、シクロヘキシ
ルなど)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8であ
り、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペン
テニルなど)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜2
0、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8
であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基な
ど)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好
ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜12であり、
例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチルな
ど)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ま
しくは0〜10、さらに好ましくは0〜6であり、例え
ば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチル
アミノ、ジベンジルアミノなど)、アルコキシ基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、さら
に好ましくは1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキ
シ、ブトキシなど)、アリールオキシ基(好ましくは炭
素数6〜20、より好ましくは6〜16、さらに好まし
くは6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2-ナフ
チルオキシなど)、アシル基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜1
2であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、
ピバロイルなど)、アルコキシカルボニル基(好ましく
は炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに好
ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニルなど)、アリールオキシカルボ
ニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7
〜16、さらに好ましくは7〜10であり、例えば、フ
ェノキシカルボニルなど)、アシルオキシ基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは2〜16、さらに好
ましくは2〜10であり、例えば、アセトキシ、ベンゾ
イルオキシなど)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数
1〜20、より好ましくは2〜16、さらに好ましくは
2〜10であり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイル
アミノなど)、アルコキシカルボニルアミノ基(好まし
くは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、さらに
好ましくは2〜12であり、例えば、メトキシカルボニ
ルアミノなど)、アリールオキシカルボニルアミノ基
(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜1
6、さらに好ましくは7〜12であり、例えば、フェニ
ルオキシカルボニルアミノなど)、スルホニルアミノ基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜1
6、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メタンス
ルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなど)、ス
ルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ま
しくは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例
えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチ
ルスルファモイル、フェニルスルファモイルなど)、カ
ルバモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好まし
くは0〜16、さらに好ましくは0〜12であり、例え
ば、カルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカ
ルバモイルなど)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜
20、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜
12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェ
ニルウレイドなど)、アルキルチオ基(好ましくは炭素
数1〜20、より好ましくは1〜16、さらに好ましく
は1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオな
ど)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、よ
り好ましくは6〜16、さらに好ましくは6〜12であ
り、例えば、フェニルチオなど)、スルホニル基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に
好ましくは1〜12であり、例えば、メシル、ベンゼン
スルホニル、トシルなど)、スルフィニル基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ま
しくは1〜12であり、例えば、メタンスルフィニル、
ベンゼンスルフィニルなど)、燐酸アミド基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ま
しくは1〜12であり、例えば、ジエチル燐酸アミド、
フェニル燐酸アミドなど)、水酸基、メルカプト基、ハ
ロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基またはその塩、
カルボキシル基またはその塩、ニトロ基、ヒドロキサム
基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、スルホニルチオ基、
チオスルホニル基、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリ
ル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モリホリルな
ど)、ジスルフィド基、ポリエチレンオキシ基、4級ア
ンモニウム基などが挙げられる。これらはさらに置換さ
れていてもよい。
【0087】Z1およびZ2はそれぞれ独立してハロゲン
原子を表し、好ましくは臭素原子である。Aは水素原子
または電子吸引性基を表し、好ましくは水素原子または
臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。これ
らの化合物は2種以上組み合わせて使用してもよい。以
下に一般式(H)で表されるハロゲン放出プレカーサー
の具体例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定さ
れるものではない。
【0088】
【化31】
【0089】
【化32】
【0090】
【化33】
【0091】
【化34】
【0092】
【化35】
【0093】一般式(H)で表されるハロゲン放出プレ
カーサーの使用量は、感度やカブリなどの性能に合わせ
て所望の量でよいが、画像形成層の非感光性銀塩1モル
当たり10-4〜1モルが好ましく、10-3〜5×10-1
モルがさらに好ましい。
【0094】一般式(H)で表されるハロゲン放出プレ
カーサーは水あるいは有機溶媒、例えばアルコール類
(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化ア
ルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケト
ン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
メチルセルソルブなどに溶解して塗布液に添加し、乾燥
後、膜中で微結晶状態に存在させるか、あるいは既によ
く知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレー
ト、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセ
テートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸
エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解
し、機械的に乳化分散物を作製して用いるか、あるいは
固体分散法として知られている方法によって、これらの
化合物をガラスビーズ、ジルコニアビーズ、ジルコン・
シリケートビーズなどの分散メディアを用いて、水等の
適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、サンドミル
などの公知の分散機、あるいは超音波を利用した分散機
によって微細な固体状分散物を作成して塗布液に添加し
てもよい。
【0095】特に好ましいのは固体状分散物として添加
することである。予め微細な固体状分散物を調製して添
加することで安定して均一な粒子サイズで添加できるた
め、塗布液中で凝集を起こしたり、性能が変動したりす
ることが無く好ましい。特に、感光性画像形成層が熱可
塑性樹脂の水分散物をバインダーとするとき、固体状分
散物として添加することは最も好ましい。このとき還元
剤も固体状分散物として添加することが好ましい。固体
状分散物におけるハロゲン放出プレカーサーの粒子の平
均粒径は0.05〜5μmが好ましく、より好ましくは
0.1〜1μmである。また還元剤粒子の固体状分散物
における平均粒径は0.05〜5μmが好ましく、より
好ましくは0.1〜1μmである。
【0096】次に本発明に用いられる感光性ハロゲン化
銀について詳細に説明する。本発明に用いられる感光性
ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、
塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀
を用いることができる。ハロゲン化銀粒子内のハロゲン
組成の分布は、粒子の内部と表面において均一であって
もよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでも
よく、あるいは連続的に変化したものでもよい。また、
コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく
用いることができる。構造としては、好ましくは2〜5
重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒
子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀粒
子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いるこ
とができる。
【0097】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており、例えばリサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第
3,700,458号明細書に記載の方法を用いることが
できる。具体的には、調製された有機銀塩中にハロゲン
含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を
感光性ハロゲン化銀に変換する方法、またはゼラチンも
しくは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物およびハロ
ゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化
銀粒子を調製する方法を用いることができる。本発明に
おいては後者の方法が好ましい。感光性ハロゲン化銀の
粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑えるために小
さいことが好ましく、具体的には0.20μm以下、よ
り好ましくは0.01〜0.15μm、さらに好ましくは
0.02〜0.12μmである。ここでいう粒子サイズと
は、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆ
る正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さを
いう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合
には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの
直径をいう。その他正常晶でない場合、例えば球状粒
子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と
同等な球を考えたときの直径をいう。
【0098】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げる
ことができるが、本発明においては特に立方体状粒子、
平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用い
る場合の平均アスペクト比は、好ましくは100:1〜
2:1であり、より好ましくは50:1〜3:1である。
さらに、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も
好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子
の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限は
ないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が
高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。
その割合としては50%以上が好ましく、65%以上が
より好ましく、80%以上がさらに好ましい。ミラー指
数[100]面の比率は増感色素の吸着における[11
1]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.T
ani;J.Imaging Sci.,29,165
(1985年)に記載の方法により求めることができ
る。
【0099】また、本発明を撮影用感光材料に用いる場
合には、撮影に十分な感度を有するハロゲン化銀乳剤を
使用する必要がある。ハロゲン化銀乳剤の感度は、大き
くは受光素子としての受光面積、すなわちハロゲン化銀
粒子の投影面積に比例する。本発明のような熱現像方式
においては、現像開始点の近傍で生じる現像反応量が、
従来の液現像方式に比べて制限されるため、十分な画像
濃度を得るためには感光材料の単位面積あたりの現像開
始点数を増加させることが有効である。これを達成する
ためには、感光材料の単位面積あたりに含有されるハロ
ゲン化銀粒子数を増加させることが有効であるが、同時
に塗布されるハロゲン化銀量の増大が問題となる。特
に、撮影用の感度を有する比較的大サイズの(球相当径
0.4〜2μm程度の)ハロゲン化銀粒子を用いる場合
に大きい問題となる。
【0100】このため、受光面積に対して粒子体積の小
さい所謂平板状粒子を用いることが好ましい。平板状粒
子の形状は、投影面積に等しい円の直径を粒子厚みで除
した、所謂アスペクト比を用いて通常記述される。同じ
感度を有する場合でも、このアスペクト比が大きければ
大きいほど、使用銀量あたりのハロゲン化銀粒子数を増
加させることができ、好ましい。本発明の感光材料に用
いるハロゲン化銀乳剤は、粒子厚みが0.3μm以下、
さらには0.2μm以下で、アスペクト比が2〜10
0、好ましくは8〜80であるような平板状粒子が全投
影面積の50%を占められるような粒子よりなることが
好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤を用いると、少
ない塗布銀量でも高い感度と良好な粒状性が得られる。
粒子厚みは0.15μm以下がさらに好ましく、0.1
0μm以下が最も好ましい。感光材料に用いる全てのハ
ロゲン化銀乳剤をこうした厚み以下に設計すると、本発
明の効果は最も顕著である。このアスペクト比は5以上
であることが好ましく、8以上であることがさらに好ま
しく、12以上が最も好ましい。粒子と同体積の球の直
径で表した粒子サイズが約0.5μm以下の、比較的粒
子サイズの小さい粒子を用いる場合には、アスペクト比
をさらに粒子厚みで除した平板度で25以上の粒子が好
ましい。
【0101】これらの高アスペクト比平板の使用技術お
よび特性については、米国特許第4433048号明細
書、同第4434226号明細書、同第4439520
号明細書等に開示されている。さらに、粒子厚みが0.
07μmよりも薄い超高アスペクト比平板粒子の技術
が、米国特許第5494789号明細書、同第5503
970号明細書、同第5503971号明細書、同第5
536632号明細書、欧州特許第0699945号明
細書、同第0699950号明細書、同第069994
8号明細書、同第0699944号明細書、同第070
1165号明細書および同第0699946号明細書等
に開示されている。粒子厚みの薄い高アスペクト比平板
状粒子を調製するには、核形成時のバインダー濃度、温
度、pH、過剰ハロゲンイオン種、同イオン濃度、さら
には反応液の供給速度などを制御することが重要であ
る。形成された平板核の成長を、厚み方向ではなく、平
板の周縁方向に選択的に行わせるには、粒子成長のため
の反応液の添加速度を制御すると同時に、粒子形成時か
ら成長過程におけるバインダーとして最適なものを選択
していくことも重要である。このためには、メチオニン
含有量の低いゼラチンや、アミノ基をフタル酸や、トリ
メリト酸、あるいはピロメリト酸などで修飾したゼラチ
ンが有利である。
【0102】本発明に使用し得るハロゲン化銀の組成
は、感光性ハロゲン化銀に付与すべき特性に応じて選択
される。撮影用感光材料として高感度を付与する上で
は、臭化銀あるいは沃臭化銀を用いることが有利である
が、塩化銀含有量が50%以上、さらには80%以上の
いわゆる高塩化銀乳剤を用いると、現像後の感光材料の
ヘイズを低減することができ、好ましい。本発明におい
ては、様々な形状のハロゲン化銀粒子を用いることがで
きるが、これらの粒子の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。本発明で好ましく用いられるハロゲン
化銀乳剤は、粒子サイズ分布の変動係数で40%以下で
あることが好ましい。さらに、30%以下であることが
好ましく、20%以下であることが最も好ましい。ま
た、用いるハロゲン化銀粒子が平板状の形状の場合、粒
子厚みの分布も変動係数が小さいことが好ましい。この
ときにも変動係数で40%以下であることが好ましい。
さらに、30%以下であることが好ましく、20%以下
であることが最も好ましい。
【0103】ハロゲン化銀粒子は、上記のような形状を
工夫する以外に、粒子中に様々な構造を有するように調
製される。常用されるのは、粒子をハロゲン組成の異な
る複数の層状に構成する方法である。撮影材料用に用い
られる沃臭化銀粒子では、ヨウ素含有量の異なる層を設
けることが好ましい。現像性を制御する目的でヨウ素含
有率の高い層を核に、ヨウ素含有率の低い殻で覆ういわ
ゆる内部高ヨウ素型コアシェル粒子が知られている。ま
た、これとは逆に、ヨウ素含有率の高い殻で覆った、外
部高ヨウ素型のコアシェル粒子も知られている。これ
は、平板状粒子の粒子厚みが小さくなったときに形状の
安定性を高めるのに有効である。ヨウ素含有率の低い核
を高ヨウ素含有率の第一殻で覆い、この上に低ヨウ素含
有率の第二殻を沈積させることで高感度を付与する技術
も知られている。このタイプのハロゲン化銀粒子では、
高ヨウ素相の上に沈積させた殻(平板状粒子では粒子外
縁のフリンジ部に相当する)には結晶不整に基づく転位
線が形成され、高感度を得るのに寄与する。高ヨウ素相
の沈積には、ヨウ化カリウムのような水溶性ヨウ化物溶
液を単独あるいは硝酸銀等の水溶性銀塩溶液と同時に添
加する方法、ヨウ化銀微粒子を系内に導入する方法、ア
ルカリや求核剤との反応でヨウ化物イオンを放出する化
合物(例えばp−ヨウ化アセトアミドベンゼンスルホン
酸ナトリウム等)を添加する方法などを好ましく用いる
ことができる。
【0104】本発明においては、上記のような種々のホ
スト粒子表面に、エピタキシャル突起部を沈積させて用
いることができる。本発明において、ハロゲン化銀粒子
中には、遷移金属元素などの多価金属イオンをドープす
ることが好ましい。これらの多価金属イオンは、粒子形
成中にハロゲン化物や硝酸塩などの形で導入することも
できるが、多価金属イオンを中心金属とする金属錯体
(ハロゲノ錯体、アンミン錯体、シアノ錯体、ニトロシ
ル錯体等)の形で導入することが好ましい。本発明にお
いて好ましく用いられる金属錯体は、第一、第二あるい
は第三遷移系列に属する金属イオンにシアン化物イオン
等の分光化学系列上d軌道を大きく分裂させることので
きる配位子が配位した錯体である。これらの錯体の配位
形式は、6個の配位子が八面体型に配位した6配位錯体
で、そのうちシアンリガンドの数が4個以上であること
が好ましい。
【0105】シアンリガンド以外の好ましい配位子とし
ては、SCN、NCS、H2O等の無機配位子、さらに
はピリジン、ビピリジン、フェナントロリン、イミダゾ
ール、ピラゾール等の有機配位子から選んで用いること
ができる。好ましい中心遷移金属としては、鉄、コバル
ト、ルテニウム、レニウム、オスミウム、イリジウムを
挙げることができる。
【0106】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に
は、上述の金属錯体の他に、ハライドイオンあるいはチ
オシアン酸イオンを配位子とするルテニウム、ロジウ
ム、パラジウムあるいはイリジウムからなる錯体、、ニ
トロシル配位子を1個以上有するルテニウムからなる錯
体、シアン化物イオン配位子を有するクロムからなる錯
体、等を好ましく併用できる。本発明において、ハロゲ
ン化銀粒子には、既に述べた金属錯体以外に硫黄、セレ
ン、テルルのような所謂カルコゲン元素の2価のアニオ
ンをドープすることも好ましく行われる。これらのドー
パントもまた、高感度を得たり、露光条件依存性を改良
するのに有効である。
【0107】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の調
製法については、公知の方法、すなわち、グラフキデ著
「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Gla
fkides,Chimie et Phisique
Photographique,Paul Mont
el,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォ
ーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Photo
graphic Emulsion Chemistr
y,Focal Press,1966)、ゼリクマン
ら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊
(V.L.Zelikman et al.,Maki
ng and Coating ofPhotogra
phic Emulsion,Focal Pres
s,1964)等に記載の方法を基本に行うことができ
る。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等の種々
のpH領域で調製することができる。また、反応液であ
る水溶性銀塩と水溶性ハロゲン塩溶液の供給方法とし
て、片側混合法や同時混合法等を単独あるいは組み合わ
せて用いることができる。さらに、反応中のpAgを目
標値に保つように反応液の添加を制御するコントロール
ドダブルジェット法を用いることも好ましい。また、反
応中のpH値を一定に保つ方法も用いられる。粒子形成
に際しては、系の温度、pHあるいはpAg値を変えて
ハロゲン化銀の溶解度を制御する方法を用いることもで
きるが、チオエーテルやチオ尿素類、ロダン塩等を溶剤
として用いることもできる。これらの例は、特公昭47
−11386号公報、特開昭53−144319号公報
等に記載されている。
【0108】本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の調
製は、通常、ゼラチンのような水溶性バインダー水溶液
中に硝酸銀等の水溶性銀塩溶液と、ハロゲン化アルカリ
等の水溶性ハロゲン塩溶液とを制御された条件で供給す
ることで行われる。ハロゲン化銀粒子形成後、過剰の水
溶性塩類を除去することが好ましい。これは例えば、ハ
ロゲン化銀粒子を含むゼラチン溶液をゲル化、ひも状に
裁断し、冷水で水溶性塩を洗い流すヌーデル水洗法や、
多価アニオンよりなる無機塩類(例えば硫酸ナトリウ
ム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例
えばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、あるいはゼ
ラチン誘導体(例えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族
アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチンな
ど)などを添加してゼラチンを凝集させて過剰塩類を除
去する沈降法を用いても良い。沈降法を用いた場合には
過剰塩類の除去が迅速に行われ、好ましい。
【0109】本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、一種
だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの
異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なる
もの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。
感光性ハロゲン化銀の使用量は、銀量で0.01〜5.
0g/m2、好ましくは0.05〜2.0g/m2であ
る。
【0110】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、そ
の粒子中に周期律表の第VII族もしくは第VIII族の金
属、金属化合物または金属錯体を含有することが好まし
い。周期律表の第VII族もしくは第VIII族の金属、ある
いは金属化合物または金属錯体の中心金属としては、ロ
ジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、およびイ
リジウムが好ましい。具体的には、特開平7−2254
49号公報等に記載された構造の金属錯体を用いること
ができる。これらの金属または金属錯体は1種類でも2
種以上でもよく、同種金属および異種金属の錯体を2種
以上併用してもよい。第VII族もしくは第VIII族の金
属、金属化合物または金属錯体の添加量は、ハロゲン化
銀1モル当たり1×10-9〜1×10-2モルが好まし
く、より好ましくは1×10-8〜1×10-4モルであ
る。
【0111】ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム
化合物を用いることができる。例えば、ハロゲン化ロジ
ウム(III)化合物、またはロジウム錯塩で配位子とし
てハロゲン、アミン類、オキザラト等を持つもの、例え
ば、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロ
アコロジウム(III)錯塩、テトラクロロジアコロジウ
ム(III)錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘ
キサアンミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウ
ム(III)錯塩等が挙げられる。これらのロジウム化合
物は、水または適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロ
ジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行
われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば
塩酸、臭酸、フッ化水素酸等)、またはハロゲン化アル
カリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)
を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウム
を用いる代わりに、ハロゲン化銀調製時に、あらかじめ
ロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加
して溶解させることも可能である。ロジウムおよびロジ
ウム化合物の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×
10-8〜5×10-6モルが好ましく、より好ましくは5
×10-8〜1×10-6モルである。これらの化合物の添
加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時及び乳剤を塗布す
る前の各段階において適宜行うことができるが、特に乳
剤形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれる
ことが好ましい。
【0112】レニウム、ルテニウム、オスミウムは、特
開昭63−2042号公報、特開平1−285941号
公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報
等に記載された水溶性錯塩の形で添加される。特に好ま
しいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げ
られる。 [ML6n- ここでMはRe、RuまたはOsを表し、Lは配位子を
表し、nは0〜4の整数を表す。この場合、対イオンは
重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金属イ
オンが用いられる。
【0113】Lで表される配位子として、好ましくはハ
ロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配
位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙
げられる。以下に本発明に用いられる錯体の具体例を示
すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0114】 [ReCl6]3- [ReBr6]3- [ReCl5(NO)]2- [Re(NS)Br5]2- Re(NO)(CN)5]2- Re(O)2(CN)4]3- [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- Os(O)2(CN)4]4- レニウム、ルテニウムおよびオスミウム、およびこれら
の化合物の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり1×1
-9〜1×10-5モルが好ましく、より好ましくは1×
10-8〜1×10-6モルである。
【0115】第VII族もしくは第VIII族の金属、金属化
合物または金属錯体の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の
製造時および乳剤を塗布する前の各段階において適宜行
うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロゲン
化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。これらの金
属等をハロゲン化銀の粒子形成中に添加してハロゲン化
銀粒子中に組み込むには、金属等の粉末もしくはNaC
l、KClと一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水
溶性塩または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方
法、あるいは銀塩とハライド溶液が同時に混合されると
き第3の溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロ
ゲン化銀粒子を調製する方法、あるいは粒子形成中に必
要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入する方法など
がある。特に粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶
解した水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加する方法が
好ましい。粒子表面に添加するには、粒子形成直後、物
理熟成時途中もしくは終了時、または化学熟成時に、必
要量の金属等の水溶液を反応容器に投入することもでき
る。
【0116】イリジウム化合物としては種々のものを使
用できるが、例えばヘキサクロロイリジウム、ヘキサア
ンミンイリジウム、トリオキザラトイリジウム、ヘキサ
シアノイリジウム、ペンタクロロニトロシルイリジウム
等が挙げられる。これらのイリジウム化合物は、水また
は適当な溶媒に溶解して用いられるが、イリジウム化合
物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方
法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭
酸、フッ酸等)、またはハロゲン化アルカリ(例えばK
Cl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法
を用いることができる。水溶性イリジウムを用いる代わ
りにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウムをド
ープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させ
ることも可能である。
【0117】本発明に用いるハロゲン化銀は、さらに、
コバルト、鉄、ニッケル、クロム、パラジウム、白金、
金、タリウム、銅、鉛等の金属原子を含有してもよい。
コバルト、鉄、クロム、さらにルテニウムの化合物につ
いては六シアノ金属錯体を好ましく用いることができ
る。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシ
アン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオン、ヘキサ
シアノクロム酸イオン、ヘキサシアノルテニウム酸イオ
ンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。ハロゲン化銀中の金属錯体は均一に含有させても、
コア部またはシェル部に高濃度に含有させてもよく、特
に制限はない。
【0118】これらの金属の添加量は、ハロゲン化銀1
モル当たり1×10-9〜1×10-4モルが好ましくい。
これらの金属を含有させるには、単塩、複塩、または錯
塩の形の金属塩にしてハロゲン化銀粒子の調製時に添加
することができる。
【0119】本発明に用いるハロゲン化銀は、ハロゲン
化銀粒子の形成または物理熟成の過程において、カドミ
ウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩などが共存してい
てもよい。また、ハロゲン化銀には、欧州公開特許EP
293,917号公報に示される方法により、チオスル
ホン酸化合物を添加してもよい。
【0120】本発明に用いる感光性ハロゲン化銀粒子
は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知
られている水洗法により脱塩することができるが、本発
明においては脱塩してもしなくてもよい。本発明に用い
る感光性ハロゲン化銀乳剤は化学増感することが好まし
い。化学増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感
法、テルル増感法、貴金属増感法、還元増感法などの公
知の方法を用いることができ、単独または組み合わせて
用いられる。組み合わせて使用する場合には、例えば、
硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金
増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法、硫黄増
感法とセレン増感法とテルル増感法と金増感法などの組
合せが好ましい。
【0121】硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加し
て、40℃以上の高温で乳剤を一定時間撹拌することに
より行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使用
することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化
合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チ
オ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いること
ができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿
素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時の
pH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条
件の下で変化するが、ハロゲン化銀1モル当たり1×1
-7〜1×10-2モルが好ましく、より好ましくは1×
10-5〜1×10-3モルである。
【0122】セレン増感に用いるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間撹拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44−15748号公報、同43−13489
号公報、特開平4−25832号公報、同4−10924
0号公報、同3−121798号公報等に記載の化合物
を用いることができる。特に特開平4−324855号
公報中の一般式(VIII)および(IX)で示される化合物
を用いることが好ましい。
【0123】テルル増感に用いるテルル増感剤は、ハロ
ゲン化銀粒子表面または内部に、増感核になると推定さ
れるテルル化銀を生成させる化合物である。ハロゲン化
銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−3
13284号公報に記載の方法で試験することができ
る。テルル増感剤としては、例えば、ジアシルテルリド
類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カル
バモイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オ
キシカルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)
ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカ
ルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エス
テル類、ジ(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロー
ル類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P
−Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロ
カルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テル
ルなどを用いることができる。具体的には、米国特許第
1,623,499号明細書、同第3,320,069号明
細書、同第3,772,031号明細書、英国特許第23
5,211号明細書、同第1,121,496号明細書、同
第1,295,462号明細書、同第1,396,696号
明細書、カナダ特許第800,958号明細書、特開平4
−204640号公報、同4−271341号公報、同
4−333043号公報、同5−303157号公報、
ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカ
ル・コミュニケーション(J.Chem.Somlhe
m.Commun.)635(1980)、ibid
1102(1979)、ibid 645(197
9)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・
パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.
Perkin.Trans.)1、2191(198
0)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミスト
リー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テル
リウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Ser
enium and Tellunium Compounds),Vol.1(198
6)、同 Vol.2(1987)に記載の化合物を用いる
ことができる。特に特開平5−313284号公報中の
一般式(II)、(III)、(IV)で示される化合物が好
ましい。
【0124】セレンおよびテルル増感剤の使用量は、使
用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によるが、一
般にハロゲン化銀1モル当たり1×10-8〜1×10-2
モルであり、好ましくは1×10-7〜1×10-3モル程
度である。本発明における化学増感の条件としては特に
制限はないが、pHは5〜8であり、pAgは6〜1
1、好ましくは7〜10であり、温度は40〜95℃、
好ましくは45〜85℃である。
【0125】貴金属増感に用いる貴金属増感剤として
は、金、白金、パラジウム、イリジウム化合物等の増感
剤が挙げられるが、特に金化合物の増感剤が好ましい。
金増感剤の具体例としては、塩化金酸、カリウムクロロ
オーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金な
どが挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-7
1×10-2モル程度を用いることができる。
【0126】本発明では還元増感法を用いることもでき
る。還元増感法に用いる化合物としては、例えば、アス
コルビン酸、二酸化チオ尿素、塩化第一スズ、アミノイ
ミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化
合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等が挙げられ
る。また、ハロゲン化銀乳剤のpHを7以上またはpA
gを8.3以下に保持して熟成することにより還元増感
することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシン
グルアディション部分を導入することによっても還元増
感することができる。また、ハロゲン化銀乳剤のpHを
7以上またはpAgを8.3以下に保持して熟成するこ
とにより還元増感することができる。また、粒子形成中
に銀イオンのシングルアディション部分を導入すること
により還元増感することができる。
【0127】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、白
黒感光材料、カラー感光材料のいずれに用いてもよい
が、イエロー、マゼンタ、シアンの3原色を用いて色度
図上の広範囲の色を得るためには、少なくとも3層のそ
れぞれ異なるスペクトル領域に感光性を持つハロゲン化
銀乳剤層を組み合わせて用いる。たとえば青感層、緑感
層、赤感層の3層、緑感層、赤感層、赤外感層の組み合
わせなどがある。各感光層は通常のカラー感光材料で知
られている種々の配列順序を採ることができる。また、
これらの各感光層は必要に応じて2層以上に分割しても
よい。感光材料には、保護層、下塗り層、中間層、アン
チハレーション層、バック層等の種々の補助層を設ける
ことができる。さらに色分離性を改良するために種々の
フィルター染料を添加することもできる。
【0128】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、支
持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられていれば
よい。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色
性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳
剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン
化銀写真感光材料である。該感光性層は青色光、緑色
光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性
層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料におい
ては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に
赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。
しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また
同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置
順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間およ
び最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これ
らには、前述のカプラー、現像主薬、およびDIR化合
物、混色防止剤、染料等が含まれていてもよい。各単位
感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、ドイ
ツ特許第 1,121,470号明細書あるいは英国特
許第923,045号明細書に記載されているように高
感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって
順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。ま
た、特開昭57−112751号公報、同62−200
350号公報、同62−206541号公報、同62−
206543号公報に記載されているように支持体より
離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤
層を設置してもよい。
【0129】具体例として支持体から最も遠い側から、
低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)
/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(G
L)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層
(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/
RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RH
の順等に設置することができる。また特公昭55−34
932号公報に記載されているように、支持体から最も
遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に
配列することもできる。また特開昭56−25738号
公報、同62−63936号公報に記載されているよう
に、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL
/GH/RHの順に配列することもできる。
【0130】また特公昭49−15495号公報に記載
されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀
乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳
剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀
乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低めら
れた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられ
る。このような感光度の異なる3層から構成される場合
でも、特開昭59−202464 号公報に記載されて
いるように、同一感色性層中において支持体より離れた
側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順
に配置されてもよい。その他、高感度乳剤層/低感度乳
剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳
剤層/高感度乳剤層の順に配置されていてもよい。ま
た、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよ
い。
【0131】色再現性を改良するために、米国特許第
4,663,271号明細書、同4,705,744号
明細書、同4,707,436号明細書、特開昭62−
160448号公報、同63− 89850号公報の明
細書に記載の、BL、GL、RLなどの主感光層と分光
感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL) を主感
光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
本発明においては、ハロゲン化銀と色素供与性カプラー
および発色現像主薬は同一層に含まれていても良いが、
反応可能な状態であれば別層に分割して添加することも
できる。例えば発色現像主薬を含む層とハロゲン化銀を
含む層とを別層にすると感光材料の生保存性の向上がは
かれる。
【0132】各層の分光感度およびカプラーの色相の関
係は任意であるが、赤色感光性層にシアンカプラー、緑
色感光性層にマゼンタカプラー、青色感光性層にイエロ
ーカプラーを用いると、従来のカラーペーパー等に直接
投影露光できる。感光部材には、上記のハロゲン化銀乳
剤層の間および最上層、最下層には、保護層、下塗り
層、中間層、黄色フィルター層、アンチハレーション層
などの各種の非感光性層を設けても良く、支持体の反対
側にはバック層などの種々の補助層を設けることができ
る。具体的には、上記特許記載のような層構成、米国特
許第5,051,335号明細書に記載のような下塗り
層、特開平1−167838号公報、特開昭61−20
943号公報に記載のような固体顔料を有する中間層、
特開平1−120553号公報、同5−34884号公
報、同2−64634号公報に記載のような還元剤やD
IR化合物を有する中間層、米国特許第5,017,4
54号明細書、同5,139,919号明細書、特開平
2−235044号公報に記載のような電子伝達剤を有
する中間層、特開平4−249245号公報に記載のよ
うな還元剤を有する保護層またはこれらを組み合わせた
層などを設けることができる。
【0133】黄色フィルター層、アンチハレーション層
に用いることのできる染料としては、現像時に消色ある
いは除去され、処理後の濃度に寄与しないものが好まし
い。黄色フィルター層、アンチハレーション層の染料が
現像時に消色あるいは除去されるとは、処理後に残存す
る染料の量が、塗布直前の1/3以下、好ましくは1/
10以下となることであり、現像時に染料の成分が感光
部材から処理部材に転写しても良いし、現像時に反応し
て無色の化合物に変わってもよい。
【0134】具体的には、欧州特許公開EP549,4
89A号公報に記載の染料や、特開平7−152129
号公報のExF2〜6の染料が挙げられる。特開平8−
101487号公報に記載されているような、固体分散
した染料を用いることもできる。また、媒染剤とバイン
ダーに染料を媒染させておくこともできる。この場合媒
染剤と染料は写真分野で公知のものを用いることがで
き、米国特許第4,500,626号明細書の第58〜
59欄や、特開昭61−88256号公報の32〜41
頁、同62−244043号公報、同62−24403
6号公報等に記載の媒染剤を上げることができる。ま
た、還元剤と反応して拡散性色素を放出する化合物と還
元剤を用い、現像時のアルカリで可働性色素を放出さ
せ、処理部材に転写除去させることもできる。具体的に
は、米国特許第4,559,290号明細書、同4,7
83,396号明細書、欧州特許公開EP220,74
6A2号公報、公開技報87−6119号に記載されて
いる他、特開平8−101487号公報の段落番号00
80〜0081に記載されている。
【0135】消色するロイコ染料などを用いることもで
き、具体的には特開平1−150132号公報に有機酸
金属塩の顕色剤によりあらかじめ発色させておいたロイ
コ色素を含むハロゲン化銀感光材料が開示されている。
ロイコ色素と顕色剤錯体は熱あるいはアルカリ剤と反応
して消色する。ロイコ色素は、公知のものが利用でき、
森賀、吉田「染料と薬品」9、84頁(化成品工業協
会)、「新版染料便覧」242頁(丸善、1970)、
R.Garner「Reports on the Progress of Appl. Chem」
56、199頁(1971)、「染料と薬品」19、2
30頁(化成品工業協会、1974)、「色材」62、
288頁(1989)、「染色工業」32、208等に
記載がある。顕色剤としては、酸性白土系顕色剤、フェ
ノールホルムアルデヒドレジンの他、有機酸の金属塩が
好ましく用いられる。有機酸の金属塩としてはサリチル
酸類の金属塩、フェノール−サリチル酸−ホルムアルデ
ヒドレジンの金属塩、ロダン塩、キサントゲン酸塩の金
属塩等が有用であり、金属としては特に亜鉛が好まし
い。上記の顕色剤のうち、油溶性のサリチル酸亜鉛塩に
ついては、米国特許第3,864,146号明細書、同
4,046,941号明細書、および特公昭52−13
27号公報等に記載されたものを用いることができる。
【0136】また、本発明には以下で示す各種添加剤を
併用することもできる。油溶性有機化合物の分散媒: 特
開昭62−215272号公報のP−3、5、16、1
9、25、30、42、49、54、55、66、8
1、85、86、93(140〜144頁);油溶性有
機化合物の含浸用ラテックス: 米国特許第4,199,
363号明細書に記載のラテックス;現像主薬酸化体ス
カベンジャー:米国特許第4,978,606号明細書
のカラム2の54〜62行の式(I)で表わされる化合
物(特にI−、(1)、(2)、(6)、(12)
(カラム4〜5)、米国特許第4,923,787号明
細書のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラ
ム3)、ステイン防止剤:欧州特許公開EP29832
1Aの4頁30〜33行の式(I)〜(III)、特に
I−47、72、III−1、27(24 〜48
頁);褪色防止剤:欧州特許公開EP298321A号
公報のA−6、7、20、21、23、24、25、2
6、30、37、40、42、48、63、90、9
2、94、164(69〜118頁)、米国特許第5,
122,444号明細書のカラム25〜38のII−1
〜III−23、特にIII−10、欧州特許公開EP
471347Aの8 〜12頁のI−1〜III−4、
特にII−2、米国特許第5,139,931号明細書
のカラム32〜40のA−1〜48、特にA−39、4
2;発色増強剤または混色防止剤の使用量を低減させる
素材:欧州特許公開EP411324Aの5 〜24頁
のI−1〜II−15,特にI−46; ホルマリンスカ
ベンジャー:欧州特許公開EP477932Aの24〜
29頁のSCV−1〜28, 特にSCV−8;硬膜
剤:特開平1−214845号公報の17頁のH−1、
4、6、8、14、米国特許第4,618,573号明
細書のカラム13〜23の式(VII)〜(XII)で
表わされる化合物(H−1〜54)、特開平2−214
852号公報の8頁右下の式(6)で表わされる化合物
(H−1〜76)、特にH−14、米国特許第3,32
5,287号明細書のクレーム1に記載の化合物;現像
抑制剤プレカーサー:特開昭62−168139号公報
のP−24、37、39(6〜7頁);米国特許第5,
019,492号明細書のクレーム1に記載の化合物、
特にカラム7の28、29;防腐剤、防黴剤:米国特許
第4,923,790号明細書のカラム3 〜15のI
−1〜III−43、特にII−1、9、10、18、
III−25;安定剤、かぶり防止剤:米国特許第4,
923,793号明細書のカラム6 〜16のI−1 〜
(14)、特にI−1、60、(2)、(13)、米国
特許第4,952,483号明細書のカラム25〜32
の化合物1〜65、特に36;化学増感剤:トリフェニ
ルホスフィンセレニド、特開平5−40324号公報の
化合物50;染料:特開平3−156450号公報の1
5〜18頁のa−1 〜b−20, 特にa−1、12、
18、27、35、36、b−5、27〜29頁のV−
1〜23、特にV−1、欧州特許公開EP445627
A号公報の33〜55頁のF−I−1 〜F−II−4
3、特にF−I−11、F−II−8、欧州特許公開E
P457153Aの17〜28頁のIII−1〜36、
特にIII−1、3、国際公開WO88/04794号
公報の8〜26のDye−1〜124の微結晶分散体、
欧州特許公開EP319999A号公報の6〜11頁の
化合物1〜22、特に化合物1、欧州特許公開EP51
9306A号公報の式(1)ないし(3)で表わされる
化合物D−1〜87(3〜28頁)、米国特許第4,2
68,622号明細書の式(I)で表わされる化合物1
〜22(カラム3〜10)、米国特許第4,923,7
88号明細書の式(I)で表わされる化合物(1) 〜
(31) (カラム2〜9);UV吸収剤:特開昭46−
3335号公報の式(1)で表わされる化合物(18
b)〜(18r)、101〜427(6〜9頁)、欧州
特許公開EP520938A号公報の式(I)で表わさ
れる化合物(3)〜(66)(10〜44頁)および式
(III)で表わされる化合物HBT−1〜10(14
頁)、欧州特許公開EP521823A号公報の式
(1)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2
〜9)。
【0137】一般に写真感光材料の処理においては塩基
を必要とするが、本発明の熱現像カラー画像記録材料に
おいては、さまざまな塩基供給方法が採用できる。例え
ば、感光材料側に塩基発生機能を与える場合、塩基プレ
カーサーとして感光材料中に導入することが可能であ
る。このような塩基プレカーサーとしては、例えば熱に
より脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反
応、ロッセン転位またはベックマン転位によりアミン類
を放出する化合物などがある。この例については、米国
特許第4,514,493号明細書、同第4,657,
848号明細書等に記載されている。
【0138】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、画
像形成層中に有機バインダーを有する。本発明に用いる
有機バインダーは、疎水性でかつ熱可塑性の有機ポリマ
ーである。本明細書で意味する熱可塑性は、物理化学的
用語の熱可塑性の厳密な定義より広義である。熱可塑性
を意味する「プラスチック」が実用的な用語として、線
状ポリマーだけでなく3次元架橋されてゴム弾性を有す
るポリマーについても用いられているのと同様である。
本発明においては、ある温度以上に加熱された時に、そ
のポリマーの有する特性によって軟化、あるいは溶融状
態となりうる性質を意味する。従って、SBRポリマー
などもその架橋度によってゴム弾性を有するが、本発明
の主旨に従って、熱現像温度に加熱されることによっ
て、軟化、もしくは融解して物質の移動拡散が容易にな
り現像反応が起こり得る状態を形成する限りにおいて本
発明に包含される。その他の3次元架橋ポリマーに関し
ても同様である。具体的には、天然ポリマー、合成樹脂
ポリマー、コポリマー、その他のフィルムを形成する媒
体であり、例えば、疎水性に変性されたゼラチン、変性
ポリビニルアルコール、セルロースアセテート、セルロ
ースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリド
ン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ
(アクリレート)類、ポリ(メチルメタアクリレート)
類、コポリ(スチレンー無水マレイン酸)、コポリ(ス
チレンーアクリロニトリル)、コポリ(スチレンーブタ
ジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ
(ビニルホルマール)、およびポリ(ビニルブチラー
ル))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フ
ェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキ
シド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセ
テート)、ポリ(アミド)類などが挙げられる。バイン
ダーは水または有機溶媒、またはエマルションから被覆
形成してもよい。
【0139】本発明に用いる有機バインダーとしては、
特に、ポリマーラテックスが好ましい。ポリマーラテッ
クスは、有機溶剤を使用せずに塗布できるので、塗布膜
を乾燥するときに有機溶剤ガスを大気中に発散させない
こと、あるいは膜中に有機溶剤が残留しないので熱現像
の際に環境にガス化して飛散するなどの害がなく、好ま
しい。ポリマーラテックスは全バインダーの50質量%
以上であることが好ましい。また、ポリマーラテックス
は画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用いて
もよい。特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の
熱現像カラー画像記録材料を用いる場合には、保護層や
バック層にもポリマーラテックスを用いる必要がある。
ただしここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な
疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に
分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散
媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセ
ル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に
親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものな
どいずれでもよい。なお本発明のポリマーラテックスに
ついては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編
集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテッ
クスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司
編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテ
ックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(197
0))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は
1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm
程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては
特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の
粒径分布を持つものでもよい。
【0140】本発明に用いるポリマーラテックスとして
は通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆる
コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアと
シェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合があ
る。
【0141】バインダーに用いるポリマーラテックスの
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は保護層、バック層
と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像形成層
にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促すため、
好ましくは40℃以下であり、さらには−30〜40℃
が好ましい。保護層やバック層(特に最外層)に用いる
場合には種々の機器と接触するためにガラス転移温度は
25〜100℃であることが好ましい。
【0142】本発明に用いるポリマーラテックスの最低
造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃程度が好ましく、
より好ましくは0℃〜70℃程度である。最低造膜温度
をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。
造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低
造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)であ
り、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一
著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されてい
る。
【0143】ポリマーラテックスに用いられるポリマー
種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹
脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、または
これらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖の
ポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋され
たポリマーでもよい。またポリマーとしては単一のモノ
マーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種
以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリ
マーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマ
ーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分子量で500
0〜1000000、好ましくは10000〜1000
00程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形
成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜
性が悪く好ましくない。
【0144】本発明において、有機バインダーとして用
いられるポリマーラテックスの具体例としては以下のよ
うなものがある。メチルメタクリレート/エチルアクリ
レート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ス
チレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン
/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、ス
チレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸
コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化
ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニ
リデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタ
クリル酸コポリマーのラテックスなど。また、このよう
なポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマー
が利用できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビア
ンA4635、46583、4601(以上ダイセル化
学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、
821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)な
ど、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES
650、611、675、850(以上大日本インキ化
学(株)製)、WD−size、WMS(以上イースト
マンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHY
DRAN AP10、20、30、40(以上大日本イ
ンキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはLACS
TAR 7310K、3307B、4700H、713
2C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol
Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼ
オン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG35
1、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビ
ニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭化成
工業(株)製)、アロンD7020、D504、D50
71(以上三井東圧(株)製)など、オレフィン樹脂と
してはケミパールS120、SA100(以上三井石油
化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポ
リマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上
をブレンドして用いてもよい。
【0145】本発明においては、有機バインダーとし
て、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなど
のアセタール樹脂、特にポリビニルブチラールを用い、
有機溶剤に溶解して塗布することが好ましい。
【0146】本発明には中間層を設けることができる。
特に、複数の感色性の異なる層を有する場合に、混色防
止の目的でそれらの間に設けられる。中間層は、還元剤
の酸化生成物の捕獲剤を含むことが好ましい。捕獲剤は
耐拡散性で中間層に固定されていることが望ましい。熱
現像によって生成した還元剤の酸化生成物は層内を拡散
し、隣接する別の感色性の層に移動するため、色再現の
障害となる。捕獲剤は、この有害な還元剤酸化生成物の
隣接層への拡散を防ぎ、色の濁りを改良することができ
る。
【0147】酸化生成物の捕獲剤としては、前述の還元
剤として挙げた素材群の中で、特に耐拡散性の還元剤が
用いられる。その他、特開平8−220717号公報に
記載されているスルホンアミドフェノール化合物やスル
ホンアミドナフトール化合物、例えば化合物番号I−
(1)〜I−(53)、II−(1)〜II−(39)、特
開平2−183246号公報中の化合物番号1〜21、
特開平60−119555号公報に記載されている不動
性ヒドロキノン誘導体やレゾルシン誘導体、例えば化合
物番号(1)〜(12)、特開平8−286340号公
報に記載されているヒドラジン誘導体、好ましくは化合
物番号(C−1)〜(C−80)、あるいは特願平11
−104272号明細書に記載されているスルホンアミ
ドフェノール化合物、例えば化合物D−1〜D−8など
が挙げられる。捕獲剤の添加量は、還元剤の酸化生成物
のうち、隣接層に拡散する成分を有効に捕獲するだけの
量でよく、用いられる捕獲剤の反応活性によるが、通
常、還元剤の1/100モル〜10モル、好ましくは
0.1モル〜1モルである。
【0148】中間層は光吸収剤を含んでいてもよい。光
吸収剤としては、コロイド銀または耐拡散性染料が好ま
しい。染料は加熱により消色してもよい。コロイド銀は
その粒子サイズによってイエローまたはマゼンタ色の光
吸収特性を有する。感色性の異なる画像形成層の間の中
間層にコロイド銀を含むことにより、不要な光成分を除
き、好ましい色再現を与えることができる。コロイド銀
または染料の添加量は、吸光度が0.1〜2.0、好ま
しくは0.3〜1.0になる量である。
【0149】本発明において、感色性の異なる複数の画
像形成層は、紫外、青、緑、赤、近赤外などの種々の波
長領域に分光増感することができる。発色する染料の色
もこれらの種々の光の減色に発色することができる。感
光領域と発色染料の光吸収特性は必ずしも対応させる必
要はない。特に、近年、色分解し、レーザーで露光され
るような場合、都合の良い任意の組合わせを選ぶことが
できる。2色の発色系、3色の発色系、あるいは4色の
発色系など必要に応じて種々の層構成を設計することが
できる。これらの複数の層は順次塗布しても、同時重層
塗布しても良い。
【0150】本発明において、画像形成層、中間層、お
よび保護層は、分散安定剤として親水性ポリマーを含有
してもよい。親水性ポリマーとしては、ポリビニルアル
コール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースなどが好ましく用いられる。親水性
ポリマーの添加量は、これらの層の全バインダーの30
質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下
である。この場合の下限には特に制限はないが、0.1
質量%程度である。保護層においては、親水性ポリマー
の添加量は保護層の全バインダーの3質量%以下が好ま
しく、より好ましくは1質量%以下である。この場合の
下限には特に制限はないが、0.1質量%程度である。
【0151】あるいは、分散安定剤として界面活性剤を
用いることもできる。界面活性剤としては、公知のアニ
オン性界面活性剤を用いることができる。以下に分散安
定剤として用いられる界面活性剤の具体例を示すが、本
発明は以下の化合物に限定されるものではない。
【0152】
【化36】
【0153】これらの界面活性剤の添加量は、全バイン
ダーの5質量%以下が好ましく、より好ましくは質量%
以下である。この場合の下限には特に制限はないが、
0.1質量%程度である。
【0154】本発明の熱現像カラー画像記録材料におい
て、画像記録層の全バインダー量は0.2〜30g/m
2であることが好ましく、より好ましくは1〜15g/
2である。中間層の1層当たりのの全バインダー量
は、0.1〜5g/m2であることが好ましく、より好
ましくは0.3〜3g/m2である。保護層の1層当た
りの全バインダー量は、0.2〜10g/m2であるこ
とが好ましく、より好ましくは1〜5g/m2である。
保護層を2層以上設ける場合、保護層塗布液のpHは下
層用が5〜8であり、上層用が2〜7であることが好ま
しい。
【0155】本発明において、画像形成層、中間層また
は保護層には、架橋のための架橋剤、塗布性改良のため
の界面活性剤などを添加してもよい。本発明に用いられ
る界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、
フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的に
は、特開昭62−170950号公報、米国特許5,3
80,644号明細書などに記載のフッ素系高分子界面
活性剤、特開昭60−244945号公報、特開昭63
−188135号公報などに記載のフッ素系界面活性
剤、米国特許3,885,965号明細書などに記載のポ
リシロキサン系界面活性剤、特開平6−301140号
公報などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン
系界面活性剤などが挙げられる。
【0156】本発明においては、含フッ素界面活性剤を
含ませることによって、良好な帯電防止性を得ることが
できる。本発明に用いられる好ましい含フッ素界面活性
剤としては、炭素数4以上(通常15以下)のフルオロ
アルキル基、フルオロアルケニル基、またはフルオロア
リール基を有し、イオン性基としてアニオン基(スルホ
ン酸(塩)、硫酸(塩)、カルボン酸(塩)、リン酸
(塩))、カチオン基(アミン塩、アンモニウム塩、芳
香族アミン塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩)、ベ
タイン基(カルボキシアミン塩、カルボキシアンモニウ
ム塩、スルホアミン塩、スルホアンモニウム塩、ホスホ
アンモニウム塩、)またはノニオン基(置換、無置換の
ポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基またはソル
ビタン残基)を有する界面活性剤が挙げられる。
【0157】含フッ素界面活性剤については、特開昭4
9−10722号公報、英国特許第1,330,356
号明細書、米国特許第4,335,201号明細書、同
4,347,308号明細書、英国特許第1,417,
915号明細書、特開昭55−149938号公報、同
58−196544号公報、英国特許第1,439,4
02号明細書などにも記載されている。以下に具体例を
記す。
【0158】
【化37】
【0159】含フッ素界面活性剤は、2種以上混合して
もよい。含フッ素界面活性剤の使用量は、画像記録材料
1m2当たり0.0001〜1gであることが好まし
く、より好ましくは0.0002〜0.25gであり、
さらに好ましくは0.0003〜0.1gである。
【0160】含フッ素界面活性剤を添加する層は画像記
録材料の少なくとも1層であれば特に限定されず、例え
ば表面保護層、画像形成層、中間層、下塗り層、バック
層などを挙げることができる。その中でも好ましい添加
場所としては表面保護層であり、画像形成層側もしくは
バック層側のどちらか一方でもよいが、より好ましく
は、少なくとも画像形成層側の表面保護層に添加する。
表面保護層が2層以上から成る場合はそのいずれの層で
もよく、また表面保護層の上にさらにオーバーコートし
て用いることもできる。
【0161】本発明の熱現像画像記録材料には、種々の
支持体を用いることができる。典型的な支持体として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セルロー
スエステル、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート
などが挙げられる。このうち二軸延伸したポリエステ
ル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が、強
度、寸法安定性、耐薬品性などの点から好ましい。支持
体の厚みは下塗り層を除いたベース厚みで90〜500
μm であることが好ましい。支持体は透明、半透明、あ
るいは白色の反射支持体であってもよい。白色反射支持
体としては、白色無機顔料を練り込んだポリエステルフ
ィルムなどを用いることができる。
【0162】支持体の両面には塩化ビニリデン共重合体
を含む下塗り層、もしくは防湿層を設けることが好まし
い。塩化ビニリデン共重合体は単独で用いても2種以上
併用してもよい。塩化ビニリデン共重合体の含有量は、
塩化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層の片面当た
りの合計膜厚として0.3μm 以上であり、好ましく
は0.3〜4μmである。このような層には塩化ビニリ
デン共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含有させ
てもよい。支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重合
体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバイ
ンダーとする下塗り層を塗布してもよい。下塗り層の一
般的厚み(1層当たり)は0.01〜5μmであること
が好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。
【0163】本発明に用いる支持体は、二軸延伸時にフ
ィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像中に発
生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の
温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチ
レンテレフタレートが好ましく用いられる。このような
熱緩和処理は温度範囲内の一定温度で実施してもよく、
昇温しながら実施してもよい。支持体の熱処理はロール
状で実施してもよく、ウエッブ状で搬送しながら実施し
てもよい。ウエッブ状で搬送しながら実施する場合、熱
処理時の支持体の搬送張力は比較的低い方が好ましく、
具体的には7kg/cm2以下、特に4.2kg/cm2
以下にすることが好ましい。このときの搬送張力の下限
には特に制限はないが0.5kg/cm2程度である。
【0164】このような熱処理は、支持体に対する画像
形成層やバック層の接着性を向上させるための処理、塩
化ビニリデン共重合体を含有する下塗り層の設層等を施
した後に行うことが好ましい。このような熱処理後にお
ける支持体の120℃30秒加熱による熱収縮率は、縦
方向(MD)が−0.03%〜+0.01%、横方向
(TD)が0〜0.04%であることが好ましい。
【0165】本発明の熱現像カラー画像記録材料には、
米国特許第3,253,921号明細書、同第2,274,
782号明細書、同第2,527,583号明細書および
同第2,956,879号明細書に記載されているような
光吸収物質およびフィルター染料を使用することができ
る。また、例えば米国特許第3,282,699号明細書
に記載のように染料を媒染することができる。フィルタ
ー染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1〜
3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0166】本発明の熱現像カラー画像記録材料の画像
形成層には、色調改良、イラジエーション防止の観点か
ら各種染料や顔料を用いることができる。これらの染料
および顔料はいかなるものでもよいが、例えばカラーイ
ンデックス記載の顔料や染料があり、具体的にはピラゾ
ロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾ
メチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、
スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリ
ン染料、インドフェノール染料、フタロシアニンをはじ
めとする有機顔料、無機顔料などが挙げられる。好まし
い染料としてはアントラキノン染料(例えば特開平5−
341441号公報記載の化合物1〜9、特開平5−1
65147号公報記載の化合物3−6〜18および3−
23〜38など)、アゾメチン染料(特開平5−341
441号公報記載の化合物17〜47など)、インドア
ニリン染料(例えば特開平5−289227号公報記載
の化合物11〜19、特開平5−341441号公報記
載の化合物47、特開平5−165147号公報記載の
化合物2−10〜11など)およびアゾ染料(特開平5
−341441号公報記載の化合物10〜16)が挙げ
られる。染料および顔料の使用量は、目的の吸収量によ
って決められるが、一般的に画像記録材料1m2当たり
1μg〜1gの範囲が好ましい。染料および顔料の添加
法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子
媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でもよいが、
水溶性物質であれば水溶液で添加することが好ましく、
水不溶性物質であれば水を分散媒とした固体微粒子分散
物で添加することが好ましい。
【0167】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、画
像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含む
と光学濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色
銀画像を形成させるうえでも有利になることがある。色
調剤は画像形成層を有する面に銀1モル当たり0.1〜
50モル%含ませることが好ましく、0.5〜20モル
%含ませることがさらに好ましい。また、色調剤は現像
時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプ
レカーサーであってもよい。
【0168】有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料に
おいては広範囲の色調剤を使用することができる。例え
ば、特開昭46−6077号公報、同47−10282
号公報、同49−5019号公報、同49−5020号
公報、同49−91215号公報、同50−2524号
公報、同50−32927号公報、同50−67132
号公報、同50−67641号公報、同50−1142
17号公報、同51−3223号公報、同51−279
23号公報、同52−14788号公報、同52−99
813号公報、同53−1020号公報、同53−76
020号公報、同54−156524号公報、同54−
156525号公報、同61−183642号公報、特
開平4−56848号公報、特公昭49−10727号
公報、同54−20333号公報、米国特許第3,08
0,254号明細書、同第3,446,648号明細
書、同第3,782,941号明細書、同第4,12
3,282号明細書、同第4,510,236号明細
書、英国特許第1,380,795号明細書、ベルギー
特許第841,910号明細書などに開示される色調剤
を用いることができる。色調剤の具体例としては、フタ
ルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシン
イミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノ
ン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フ
ェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリ
ジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例え
ば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバ
ルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロア
セテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾー
ル、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト
−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよ
び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール
に例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリ
ールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチ
ルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチ
ルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシ
イミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロ
ニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,
N’−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5
−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオ
クタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテー
ト)および2−(トリブロモメチルスルホニル)−ベン
ゾチアゾール;ならびに3−エチル−5−[(3−エチ
ル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリ
デン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フ
タラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、また
は4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタ
ラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,
3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導
体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル
酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテ
トラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジ
ン、フタラジン誘導体(例えば、4−(1−ナフチル)
フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキ
シフタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−イソ
ブチルフタラジン、6−tert−ブチルフタラジン、
5,7−ジメチルフタラジン、および2,3−ジヒドロ
フタラジンなどの誘導体)もしくは金属塩;フタラジン
およびその誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル
酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテ
トラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリン
ジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導
体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀
生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジ
ウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸ア
ンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサ
クロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化
物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウム
および過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4
−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−
2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズオキ
サジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,
4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例え
ば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ
−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、および
テトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメル
カプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,
5,6a−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ
(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1
H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレ
ン)などが挙げられる。
【0169】色調剤は水溶液で添加することが好ましい
が、水不溶性の場合はメタノール溶液、粉末、固体微粒
子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒
子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動
ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミ
ル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子
分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0170】本発明に用いることができる増感色素とし
ては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域
でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので有ればいか
なるものでもよい。例えば、シアニン色素、メロシアニ
ン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックス
メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリ
ル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオ
キソノール色素等を用いることができる。本発明に用い
ることができる有用な増感色素は、例えばRESEAR
CH DISCLOSURE Item17643IV
A項(1978年12月p.23)、同Item183
1X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用
された文献に記載されている。特に各種レーザーイメー
ジャー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの
光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有
利に選択することができる。
【0171】赤色光への分光増感の例としては、He−
Neレーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわ
ゆる赤色光源に対しては、特開昭54−18726号公
報に記載のI−1からI−38の化合物、特開平6−7
5322号公報に記載のI−1からI−35の化合物お
よび特開平7−287338号公報に記載のI−1から
I−34の化合物、特公昭55−39818号公報に記
載の色素1から20、特開昭62−284343号公報
に記載のI−1からI−37の化合物および特開平7−
287338号公報に記載のI−1からI−34の化合
物などが有利に選択される。
【0172】750〜1400nmの波長領域の半導体
レーザー光源に対しては、シアニン、メロシアニン、ス
チリル、ヘミシアニン、オキソノール、ヘミオキソノー
ルおよびキサンテン色素を含む種々の既知の色素によ
り、スペクトル的に有利に増感させることができる。有
用なシアニン色素は、例えば、チアゾリン核、オキサゾ
リン核、ピロリン核、ピリジン核、オキサゾール核、チ
アゾール核、セレナゾール核およびイミダゾール核など
の塩基性核を有するシアニン色素である。有用なメロシ
アニン染料で好ましいものは、上記の塩基性核に加え
て、チオヒダントイン核、ローダニン核、オキサゾリジ
ンジオン核、チアゾリンジオン核、バルビツール酸核、
チアゾリノン核、マロノニトリル核およびピラゾロン核
などの酸性核も含む。上記のシアニンおよびメロシアニ
ン色素において、イミノ基またはカルボキシル基を有す
るものが特に効果的である。例えば、米国特許3,76
1,279号明細書、同第3,719,495号明細書、
同第3,877,943号明細書、英国特許第1,466,
201号明細書、同第1,469,117号明細書、同第
1,422,057号明細書、特公平3−10391号公
報、同6−52387号公報、特開平5−341432
号公報、同6−194781号公報、同6−30114
1号公報に記載されたような既知の色素から適当に選択
してよい。
【0173】本発明に用いることができる増感色素の構
造として特に好ましいものは、チオエーテル結合含有置
換基を有するシアニン色素(例としては特開昭62−5
8239号公報、同3−138638号公報、同3−1
38642号公報、同4−255840号公報、同5−
72659号公報、同5−72661号公報、同6−2
22491号公報、同2−230506号公報、同6−
258757号公報、同6−317868号公報、同6
−324425号公報、特表平7−500926号公
報、米国特許第5,541,054号明細書に記載された
色素)、カルボン酸基を有する色素(例としては特開平
3−163440号公報、同6−301141号公報、
米国特許第5,441,899号明細書に記載された色
素)、メロシアニン色素、多核メロシアニン色素や多核
シアニン色素(特開昭47−6329号公報、同49−
105524号公報、同51−127719号公報、同
52−80829号公報、同54−61517号公報、
同59−214846号公報、同60−6750号公
報、同63−159841号公報、特開平6−3510
9号公報、同6−59381号公報、同7−14653
7号公報、同7−146537号公報、特表平55−5
0111号公報、英国特許第1,467,638号明細
書、米国特許第5,281,515号明細書に記載された
色素)が挙げられる。また、J−bandを形成する色素と
して米国特許第5,510,236号明細書、同第3,8
71,887号明細書の実施例5記載の色素、特開平2
−96131号公報、特開昭59−48753号公報が
開示されており、本発明に好ましく用いることができ
る。
【0174】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質は
Research Disclosure176巻17643(1978年
12月発行)第23頁IVのJ項、あるいは特公昭49
−25500号公報、同43−4933号公報、特開昭
59−19032号公報、同59−192242号公報
等に記載されている。
【0175】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させ
るには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、ある
いは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセ
トン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフル
オロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノー
ル、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−
1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、
N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは
混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0176】増感色素の使用量は、感度やカブリなどの
性能に合わせて所望の量でよいが、画像形成層(感光性
層)のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ま
しく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0177】本発明において、ハロゲン化銀乳剤および
/または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定
剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対してさら
に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安
定化することができる。単独または組合せて使用するこ
とができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前
駆体としては、米国特許第2,131,038号明細書
および同2,694,716号明細書に記載のチアゾニ
ウム塩、米国特許第2,886,437号明細書および
同2,444,605号明細書に記載のアザインデン、
米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀
塩、米国特許第3,287,135号明細書に記載のウ
ラゾール、米国特許第3,235,652号明細書に記
載のスルホカテコール、英国特許第623,448号明
細書に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾー
ル、米国特許第2,839,405号明細書に記載の多
価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記
載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,
263号明細書および同2,597,915号明細書に
記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,1
08,665号明細書および同4,442,202号明
細書に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,
128,557号明細書、同4,137,079号明細
書、同4,138,365号明細書および同4,45
9,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特
許第4,411,985号明細書に記載のリン化合物な
どが挙げられる。
【0178】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、高
感度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有して
もよい。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸
誘導体でもよいが、好ましい例としては、米国特許4,
784,939号明細書、同4,152,160号明細
書、特開平9−329865号公報、同9−32986
4号公報、同9−291637号公報などに記載の化合
物が挙げられる。安息香酸類は熱現像カラー画像記録材
料のいかなる層に添加してもよいが、支持体に対して画
像形成層(感光性層)側の層に添加することが好まし
く、有機銀塩層、中間層、保護層に添加することが好ま
しい。特に好ましいのは中間層、または保護層である。
安息香酸類の添加時期としては塗布液調製のいかなる工
程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加する場合は有
機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でもよい
が有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。安息香酸類
の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかな
る方法で行ってもよい。また、増感色素、還元剤、色調
剤など他の添加物と混合した溶液として添加してもよ
い。安息香酸類の添加量としてはいかなる量でもよい
が、銀1モル当たり1μモル〜2モルが好ましく、1ミ
リモル〜0.5モルがさらに好ましい。
【0179】本発明の熱現像カラー画像記録材料には、
現像を抑制あるいは促進させ現像を制御すること、分光
増感効率を向上させること、現像前後の保存性を向上さ
せることなどと目的として、メルカプト化合物、ジスル
フィド化合物、チオン化合物を含有させることができ
る。本発明において、メルカプト化合物を使用する場
合、いかなる構造のものでもよいが、Ar−SM、Ar
−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましく
は、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフトイミダゾ
ール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオ
キサゾール、ナフトオキサゾール、ベンゾセレナゾー
ル、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テト
ラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラ
ジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノン
である。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましく
は1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例
えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素
原子を有するもの)およびアリール(置換基を有してい
てもよい)からなる置換基群から選択されるものを有し
てもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとして
は、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、
6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,
2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカ
プト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル
−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾ
ール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾー
ル、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、
2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリ
フルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,
6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ
−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒド
レート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,
4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピ
リミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミ
ノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−
メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5
−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル
−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプト
テトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−
メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)
フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキ
サゾール、2−[3−(9−カルバゾリル)プロピルイ
ミノ]−3−(2−メルカプトエチル)ベンゾチアゾリ
ンなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されな
い。これらのメルカプト化合物の使用量は、画像形成層
中の銀1モル当たり0.0001〜1.0モルの範囲が好
ましく、さらに好ましくは、銀1モル当たり0.001
〜0.3モルの量である。
【0180】本発明の熱現像カラー画像記録材料には、
可塑剤として多価アルコール(例えば、米国特許第2,
960,404号明細書に記載された種類のグリセリン
およびジオール)などを用いることができる。
【0181】本発明の熱現像カラー画像記録材料は、重
ね合わされたときの接着故障防止のため、表面保護層に
マット剤を添加することが望ましい。マット剤は、一般
に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。
マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特
許第1,939,213号明細書、同2,701,24
5号明細書、同2,322,037号明細書、同3,2
62,782号明細書、同3,539,344号明細
書、同3,767,448号明細書等に記載の有機マッ
ト剤、同1,260,772号明細書、同2,192,
241号明細書、同3,257,206号明細書、同
3,370,951号明細書、同3,523,022号
明細書、同3,769,020号明細書等に記載の無機
マット剤など当業界でよく知られたものを用いることが
できる。マット剤として用いることのできる有機化合物
の具体例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポ
リメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポ
リアクリロニトリル、アクリロニトリル−α−メチルス
チレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレン
カーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セル
ロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロー
スアセテート、セルロースアセテートプロピオネートな
ど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシ
ニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムアルデヒド−澱粉反
応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコア
セルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼ
ラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の
例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシ
ウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラ
ス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記の
マット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用
いることができる。
【0182】マット剤は保護層の表面に凹凸を形成し接
触面積と小さくして、接着故障を防止する効果を有す
る。従って、その平均粒子サイズは保護層の厚みよりも
大きいことが好ましいが、小さいものでも凝集体を形成
して表面に突き出る場合もあるので、必ずしも保護層の
厚みより大きいことが必須ではない。実用的には1μm
以上が有用に使える範囲である。また、粒子サイズが大
きすぎると画像形成層に沈みこんで画像形成を妨げピン
ホールを与える危険性が高くなる。実用的には10μm
以下が有用に使える範囲である。従って、本発明では、
マット剤の平均粒子サイズは1〜10μmが好ましい。
また、マット剤の粒径分布は狭い方が望ましく、単分散
度が10%以下が望ましい。マット剤作製時あるいは複
数のマット剤の混合により、平均粒径、形状および粒径
分布を必要に応じた状態にすることもできる。
【0183】保護層が複数ある場合、一般に保護層は薄
層であるのでいずれの保護層に添加してもマット剤の効
果は得られるが、好ましくは最外表面層、あるいは外表
面にできるだけ近い層に添加するのがよい。本発明にお
いて、画像形成層の塗布液のpHは5.5〜7.8に調
整するが、調整の際に用いられる酸はハロゲンを含まな
い酸であることが好ましい。保護層のpHは添加される
薬品によって異なるが、2〜7と比較的低いが、複数の
保護層の場合、感光性層に近い層は4〜7、遠い層は2
〜5と低くすることが好ましい。
【0184】本発明において、透明支持体の場合、バッ
ク層は、所望の範囲での最大吸収が約0.3〜2.0であ
ることが好ましい。所望の範囲が750〜1400nm
である場合には、650〜360nmにおける光学濃度
が0.001以上0.5未満であることが好ましく、さら
に好ましくは光学濃度が0.001以上0.3未満のハレ
ーション防止層であることが好ましい。所望の範囲が7
50nm以下である場合には、画像形成前の所望範囲の
最大吸収が0.3以上2.0以下であり、さらに画像形成
後の360〜650nmの光学濃度が0.005以上0.
3未満になるようなハレーション防止層であることが好
ましい。画像形成後の光学濃度を上記の範囲に下げる方
法としては特に制限はないが、例えばベルギー特許第7
33,706号明細書に記載されたように、染料による
濃度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭54−
17833号公報に記載の光照射による消色で濃度を低
下させる方法等が挙げられる。
【0185】ハレーション防止染料を使用する場合、こ
うした染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後に
可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好まし
い吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物
でもよい。例えば以下に挙げるものが開示されているが
本発明はこれに限定されるものではない。単独の染料と
しては、特開昭59−56458号公報、特開平2−2
16140号公報、同7−13295号公報、同7−1
1432号公報、米国特許第5,380,635号明細
書、特開平2−68539号公報第13頁左下欄1行目
から同第14頁左下欄9行目、同3−24539号公報
第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物があ
り、処理で消色する染料としては特開昭52−1391
36号公報、同53−132334号公報、同56−5
01480号公報、同57−16060号公報、同57
−68831号公報、同57−101835号公報、同
59−182436号公報、特開平7−36145号公
報、同7−199409号公報、特公昭48−3369
2号公報、同50−16648号公報、特公平2−41
734号公報、米国特許第4,088,497号明細
書、同4,283,487号明細書、同4,548,8
96号明細書、同5,187,049号明細書が挙げら
れる。
【0186】本発明において、バック層に好適なバイン
ダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポ
リマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他
フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビア
ゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセ
ルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテー
トブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、
デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリ
ル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、
コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレ
ン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエ
ン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビ
ニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、
ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ
樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)
類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテー
ト)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類が挙げ
られる。バインダーは水または溶媒またはエマルジョン
から被覆形成してもよい。バック層用の全バインダー量
は、好ましくは0.01〜10g/m2であり、より好
ましくは0.5〜5g/m2である。
【0187】本発明において、バック層にベック秒を低
くするためにマット剤を添加するのは好ましい態様であ
り、好ましくはベック平滑度が10〜2000秒、さら
に好ましくは50〜1500秒になるように粒子サイズ
や添加量を変えて調整することができる。ベック平滑度
は、JIS P8119およびTAPPIT479より
求められる。
【0188】本発明においては画像形成層を有する面お
よび/またはその反対面の最表面層に滑り剤を含有させ
ることが好ましい。本発明に用いる滑り剤は、特に制限
はなく、物体表面に存在させた時に、存在させない場合
に比べて物体表面の摩擦係数を減少させる化合物であれ
ばいずれでもよい。本発明に用いる滑り剤の代表的なも
のとしては、例えば、米国特許第3,042,522号
明細書、英国特許第955,061号明細書、米国特許
第3,080,317号明細書、同4,004,927
号明細書、同4,047,958号明細書、同3,48
9,567号明細書、英国特許第1,143,118号
明細書等に記載のシリコーン系滑り剤、米国特許第2,
454,043号明細書、同2,732,305号明細
書、同2,976,148号明細書、同3,206,3
11号明細書、独国特許第1,284,295号明細
書、同1,284,294号明細書等に記載の高級脂肪
酸系、アルコール系、酸アミド系滑り剤、英国特許第
1,263,722号明細書、米国特許第3,933,
516号明細書等に記載の金属石けん、米国特許第2,
588,765号明細書、同3,121,060号明細
書、英国特許第1,198,387号明細書等に記載の
エステル系、エーテル系滑り剤、米国特許第3,50
2,473号明細書、同3,042,222号明細書に
記載のタウリン系滑り剤等がある。
【0189】好ましく用いられる滑り剤の具体例として
は、セロゾール524(主成分カルナバワックス)、ポ
リロンA,393,H−481(主成分ポリエチレンワ
ックス)、ハイミクロンG−110(主成分エチレンビ
スステアリン酸アマイド)、ハイミクロンG−270
(主成分ステアリン酸アマイド)(以上、中京油脂
(株)製)などがある。滑り剤の使用量は添加層のバイ
ンダー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.
5〜30質量%である。
【0190】本発明の応用の一つとして、生成した色素
像を加熱により拡散させ、固定層に転写させてもよい。
該固定層は、画像形成層(感光性層)と同一支持体上に
あっても、別の支持体上にあってもよい。別の支持体上
にある場合は、画像形成層を有するシートを固定層を有
するシートを互いに重ね合せた状態で、熱により生成し
た色素が拡散により固定層に移動し、固定される。その
後、両シートを剥離することにより、画像形成層とは分
離された色素の転写画像が得られる。
【0191】本発明の熱現像カラー画像記録材料におい
て、画像形成層(感光性層)、保護層、バック層など各
層には硬膜剤を用いてもよい。硬膜剤の例としては、米
国特許4,281,060号明細書、特開平6−2081
93号公報などに記載されているポリイソシアネート
類、米国特許4,791,042号明細書などに記載され
ているエポキシ化合物類、特開昭62−89048号公
報などに記載されているビニルスルホン系化合物類、ま
たはオキサゾリン化合物などが用いられる。
【0192】本発明において、熱現像写真乳剤は、浸漬
コーティング、エアナイフコーティング、フローコーテ
ィング、または米国特許第2,681,294号明細書に
記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む
種々のコーティング操作により被覆することができる。
所望により、米国特許第2,761,791号明細書およ
び英国特許第837,095号明細書に記載の方法によ
り2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができ
る。
【0193】本発明の熱現像カラー画像記録材料はいか
なる方法で現像されてもよいが、通常イメージワイズに
露光した画像記録材料を昇温して現像される。用いられ
る熱現像機の好ましい態様としては、画像記録材料をヒ
ートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタ
イプとして特公平5−56499号公報、特許第684
453号明細書、特開平9−292695号公報、特開
平9−297385号公報および国際公開WO95/3
0934号公報に記載の熱現像機、非接触型のタイプと
して特開平7−13294号公報、国際公開WO97/
28489号公報、同97/28488号公報および同
97/28487号公報に記載の熱現像機がある。特に
好ましい態様としては非接触型の熱現像機である。好ま
しい現像温度は80〜250℃であり、さらに好ましく
は100〜140℃である。現像時間は1〜180秒が
好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。
【0194】本発明においては、画像記録材料の熱現像
時の寸法変化による処理ムラ、物理的ベコを防止する方
法として、80℃以上115℃未満(好ましくは113
℃以下)の温度で画像が出ないようにして5秒以上加熱
した後、110℃以上(好ましくは130℃以下)で熱
現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方
法)を採用することが有効である。また、熱現像後の冷
却は徐々に行うのが好ましく、現像温度から70℃まで
の冷却速度は200℃/分以下であり、好ましくは50
〜150℃/分である。
【0195】本発明の画像記録材料はいかなる方法で露
光されてもよいが、露光光源としてレーザー光が好まし
い。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、
YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが
好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波発生素子
などを用いることもできる。
【0196】本発明の画像記録材料は露光時のヘイズが
低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞発
生防止技術としては、特開平5−113548号公報な
どに開示されているレーザー光を画像記録材料に対して
斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/3175
4号公報などに開示されているマルチモードレーザーを
利用する方法が知られており、これらの技術を用いるこ
とが好ましい。本発明の画像記録材料を露光するにはSP
IE vol.169 Laser Printing 116−128頁(1
979)、特開平4−51043号公報、国際公開WO
95/31754号公報などに開示されているようにレ
ーザー光が重なるように露光し、走査線が見えないよう
にすることが好ましい。
【0197】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。
【0198】≪材料の説明≫ <バック層を有する熱処理を施した支持体の作成>厚み
250μmのPETベースに次の層を設けた。 (下塗り層の塗布)PETベースの一方の面に次の下塗
り層(a)と下塗り層(b)とを塗布し、それぞれ18
0℃で4分間乾燥した。
【0199】 [下塗り層(a)] ポリマーラテックスV−5 コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタイプのラテックスで、 コア部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリ ロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(質量%) シェル部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アク リロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(質量%) 重量平均分子量38000、固形分量3.0g/m2 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 23mg/m2 マット剤(ポリスチレン、平均粒子径2.4μm) 1.5mg/m2
【0200】 [下塗り層(b)] アルカリ処理ゼラチン (Ca2+含量30ppm、ゼリー強度230g) 83mg/m2 化合物A 1mg/m2 化合物H 2mg/m2 メチルセルロース 4mg/m2 エマレックス710 3mg/m2 (日本エマルジョン(株)の商品名、ポリオキシエチレン)
【0201】(バック層の塗布)PETベースのもう一
方の面に、次のバック第一層およびバック第二層を逐次
塗布し、それぞれ180℃で4分間乾燥した。 [バック第一層] ジュリマーET−410(日本純薬(株)製) 38mg/m2 SnO2/Sb(重量比9/1、石原産業(株)製の針状粒子で、商品名FS− 10D) 200mg/m2 染料A 20mg/m2 マット剤(ポリメチルメタクリレート粒子、平均粒子サイズ5μm) 10mg/m2 架橋剤(デナコールEX−614B、ナガセ化成工業(株)製) 13mg/m2
【0202】 [バック第二層] ラテックスバインダー(ケミパールS−120、三井石油化学(株)製) 500mg/m2 コロイダルシリカ(スノーテックス−C、(日産化学(株)製) 40mg/m2 架橋剤(デナコールEX−614B、ナガセ化成工業(株)製) 30mg/m2
【0203】
【化38】
【0204】(支持体の熱処理)下塗り層およびバック
層を塗布し、乾燥したPETベースに、張力5kg/c
2、温度130℃で10分間の第一熱処理を行い、続
いて張力10kg/cm2、温度40℃で15秒の第二
熱処理を行って、バック層を有する熱処理を施した支持
体を作成した。
【0205】<感光性ハロゲン化銀乳剤の調製>水70
0mlにフタル化ゼラチン11g、臭化カリウム30m
g、およびチオスルホン酸ナトリウム10mgを溶解し
て温度35℃にして、pH5.0に合わせた後、硝酸銀
18.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1
モル/リットル含む水溶液をpAg7.7に保ちながら
コントロールダブルジェット法で6.5分間かけて添加
した。ついで、硝酸銀55.4gを含む水溶液476m
lと臭化カリウムを1モル/リットル含む水溶液をpA
g7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で
30分間かけて添加した後、4−ヒドロキシ−6−メチ
ル−1,3,3a,7−テトラザインデン1gを添加
し、さらにpHを下げて凝集沈降させ、脱塩処理した。
その後、フェノキシエタノール0.1gを加え、pH
5.9、pAg8.2に調整し、臭化銀粒子(平均粒子
サイズ0.12μm、投影面積直径変動係数8%、(1
00)面比率88%の立方体粒子)を調製した。
【0206】こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に
昇温して、銀1モル当たりチオスルホン酸ナトリウム
8.5×10-4モル添加し、120分間熟成した後、4
0℃に急冷して1×10-5モルの増感色素Aと5×10
-5モルの化合物B、および5×10-5モルのN−メチル
−N´−{3−(メルカプトテトラゾリル)フェニル}
ウレア、化合物Aを100ppm添加し、30℃に急冷
してハロゲン化銀乳剤Aを得た。同様にして、増感色素
Aの代わりに増感色素Bを用いたハロゲン化銀Bを作成
した。増感色素を添加しないハロゲン化銀乳剤も準備
し、これをハロゲン化銀Cとした。
【0207】
【化39】
【0208】<有機酸銀分散物Aの調製>ステアリン酸
4.4g、ベヘン酸39.4g、蒸留水770mlを9
0℃で攪拌しながら1NのNaOH水溶液103mlを
添加し、240分間反応させた後、75℃に降温した。
ついで、硝酸銀19.2g含む水溶液112.5mlを
45秒かけて添加し、そのまま20分間放置し、30℃
に降温した。次に、吸引濾過によって固形分を濾別し、
濾水の電気伝導度が30μS/cmになるまで水洗し
た。こうして得た固形分にポリビニルアルコール10質
量%水溶液100mlを添加し、さらに総重量が270
gになるように水を加えた。次に、自動乳鉢で粗分散し
てから、分散機“ナノマイザー”(ナノマイザ(株)
製)を用いて衝突時の圧力1000kg/cm2で分散
し、平均短径0.04μm、平均長径0.8μm、変動
係数30%の針状粒子分散物を得た。
【0209】<還元剤分散物の調製> (還元剤分散物A)1,1−ビス(2−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチル
ヘキサン250gとポリビニルアルコール125gに水
600gを添加し、よく混合しスラリーを作成した。こ
のスラリーを分散ビーズ(平均直径0.5mmのジルコ
ニア粒)840gとともにベッセルに入れ、分散機サン
ドミル(1/4Gサンドグラインダーミル、アイメック
ス(株)製)で5時間分散し、平均粒子サイズ0.5μ
mの還元剤分散物Aを得た。
【0210】(還元剤分散物B)還元剤B100gとポ
リビニルアルコール125gに水600gを添加し、よ
く混合しスラリーを作成した。このスラリーを分散ビー
ズ(平均直径0.5mmのジルコニア粒)840gとと
もにベッセルに入れ、分散機サンドミル(1/4Gサン
ドグラインダーミル、アイメックス(株)製)で5時間
分散し、平均粒子サイズ0.4μmの還元剤分散物Bを
得た。
【0211】
【化40】
【0212】<フタラジン誘導体可溶化液の調製>次の
割合で混合攪拌して次のフタラジン誘導体Aの可溶化液
Aを作成した。 フタラジン誘導体A 25g レオポールBX 2.1g (竹本油脂(株)の商品名、トリイソプロピルナフタレンスルホンサンソーダ) ポリビニルアルコール 100g (クラレ(株)のPVA−217)(20%水溶液) 水 373g
【0213】
【化41】
【0214】<捕獲剤分散物Aの調製>捕獲剤A100
gとポリビニルアルコール125gに水600gを添加
し、よく混合しスラリーを作成した。このスラリーを分
散ビーズ(平均直径0.5mmのジルコニア粒)840
gとともにベッセルに入れ、分散機サンドミル(1/4
Gサンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)で
5時間分散し、平均粒子サイズ0.3μmの捕獲剤分散
物Aを得た。
【0215】
【化42】
【0216】<有機ポリハロゲン化合物の固体微粒子分
散物の調製>有機ポリハロゲン化合物A30gに対して
ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.5g、化合物
C0.5gと、水88.5gを添加しよく攪拌してスラリ
ーとして3時間放置した。その後、還元剤固体微粒子分
散物の調製と同様にして、固体微粒子分散物を調製し
た。粒子径は、粒子の80質量%が0.3〜1.0μmで
あった。
【0217】
【化43】
【0218】<色像形成材料の分散物Aの調製>色像形
成材料A100gとポリビニルアルコール125gに水
600gを添加し、よく混合しスラリーを作成した。こ
のスラリーを分散ビーズ(平均直径0.5mmのジルコ
ニア粒)840gとともにベッセルに入れ、分散機サン
ドミル(1/4Gサンドグラインダーミル、アイメック
ス(株)製)で5時間分散し、平均粒子サイズ0.7μ
mの色像形成材料分散物Aを得た。
【0219】
【化44】
【0220】<色像形成材料の分散物Bの調製>色像形
成材料として色像形成材料Bを用いた以外は、色像形成
材料の分散物Aと同様にして、色像形成材料の分散物B
を作成した。平均粒子サイズは0.3μmであった。
【0221】
【化45】
【0222】≪実施例1≫ <熱現像カラー感光材料の作製>前記バック/下塗り層
を施したPET支持体の下塗り層(a)、(b)のつい
た側に、下記の画像形成層A塗布液、および保護層塗布
液を同時重層塗布した。 (画像形成層A塗布液の調製と塗布)上記の有機酸銀分
散物85g、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを18g、還元
剤分散物Bを24g、色像形成材料分散物Aを45g、
Lacstar#3307B(大日本インキ化学工業
(株)製、SBRラテックス;Tg13℃、49質量
%)46g、クラレポバールMP−203の10質量%
水溶液を6g、フタラジン誘導体可溶化液Aを13g、
有機ポリハロゲン化物分散物10g、5−メチルベンゾ
トリアゾール0.07g、染料Aを6mg、さらに水2
5gを加えてよく混合した。塗布銀量が1.2g/m2
になるように塗布した。
【0223】(保護層塗布液の調製と塗布)固形分2
7.5%のポリマーラテックス(メチルメタクリレート
/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートメタアクリル酸=59/
9/26/5/1の共重合体でガラス転移温度55℃)
109gに水3.75gを加え、造膜助剤としてベンジル
アルコール4.5g、化合物−2を0.45g、化合物
−3を0.125g、化合物−4を0.0125モル、お
よびポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−
217)2.25gを加え、さらに水を加えて、150
gとし、塗布液とした。感光性層の上に、ポリマーラテ
ックスの塗布量が2.0g/m2になるように塗布した。
【0224】
【化46】
【0225】2層を同時重層塗布し、塗布後、60℃で
2分間乾燥し、熱現像カラー感光材料を得た。得られた
感光材料をサンプル1とする。
【0226】<比較用感光材料の作成>上記の熱現像カ
ラー感光材料の作製において、画像形成層Aの代わり
に、次の画像形成層Rを塗布した以外は同様にして、比
較用感光材料を得た。得られた感光材料を比較サンプル
1とする。 (画像形成層R塗布液の調製と塗布)上記の有機酸銀分
散物85g、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを18g、還元
剤分散物Bを24g、色像形成材料分散物Aを45g、
酸処理ゼラチン(20質量%)120g、フタラジン誘
導体可溶化液Aを13g、有機ポリハロゲン化物分散物
を10g、5−メチルベンゾトリアゾールを0.07
g、染料Aを6mgを加えてよく混合した。塗布銀量が
1.2g/m2になるように塗布した。
【0227】<熱現像による色素画像の形成>サンプル
1を780nmにピークをもつ干渉フィルターと濃度差
0.1の階段濃度ウェッジを介して、発光時間10-6
のキセノンフラッシュ光で露光し、115℃で15秒間
熱現像処理を行った。マゼンタ色の画像が得られた。マ
クベス濃度計によって濃度測定した。下表1に示すよう
に、緑濃度が高く、青濃度や赤濃度の低い画像が得られ
た。比較サンプル1に比べて、本発明のサンプル1は、
カブリが少なく、最大緑濃度が高い優れた性能を示し
た。
【0228】
【表1】
【0229】次に保存安定性を比較した。サンプルを、
強制的エージング条件として50℃、相対湿度75%の
環境下に3日間保存した後に熱現像処理し、写真性能を
測定した。感度は緑濃度0.3を与える露光量の逆数の
対数値であり、初期値との差で示した。結果を表2に示
す。比較サンプル1はカブリが増加し、最大緑濃度の低
下、感度の低下が大きいのに対して、サンプル1は変化
が極めて少ない良好な保存安定性を示した。
【0230】
【表2】
【0231】≪実施例2≫実施例1の色像形成材料分散
物A45gの代わりに、色像形成材料分散物Bを29g
用いて、サンプル2を作成した。実施例1の比較サンプ
ル1と同様に対応する酸処理ゼラチンを用いた比較サン
プル2を作成した。実施例1と同様に熱現像した結果、
イエロー画像が得られた。性能を表3と表4に示す。サ
ンプル2は、カブリが少なく、最大青濃度が高い優れた
性能を示した。また、保存安定性についてもサンプル2
は変化が極めて少ない良好な保存安定性を示した。
【0232】
【表3】
【0233】次に保存安定性を比較した。サンプルを強
制的エージング条件として50℃、相対湿度75%の環
境下に3日間保存した後に熱現像処理し、写真性能を測
定した。感度は青濃度0.3を与える露光量の逆数の対
数値であり、初期値との差で示した。結果を表4に示
す。比較サンプル2はカブリが増加し、最大青濃度の低
下、感度の低下が大きいのに対して、サンプル2は変化
が極めて少ない良好な保存安定性を示した。
【0234】
【表4】
【0235】≪実施例3≫実施例1において、色像形成
材料Aの代わりに色像形成材料Cを用いた以外は同様に
してサンプル3を作成した。その結果、実施例1と同様
に、良好なマゼンタ色素画像が得られた。また、保存安
定性も良好であった。
【0236】
【化47】
【0237】≪実施例4≫次の層を順に、画像形成層
A、中間層、画像形成層B、保護層を塗布した。 (画像形成層A塗布液の調製と塗布)上記の有機酸銀分
散物85g、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを18g、還元
剤分散物Bを24g、色像形成材料分散物Aを45g、
Lacstar#3307B(大日本インキ化学工業
(株)製、SBRラテックス;Tg13℃、49質量
%)46g、クラレポバールMP−203の10質量%
水溶液を6g、フタラジン誘導体可溶化液Aを13g、
有機ポリハロゲン化物分散物10g、5−メチルベンゾ
トリアゾール0.07g、染料Aを6mg、さらに水2
5gを加えてよく混合した。塗布銀量が1.2g/m2
になるように塗布した。
【0238】(中間層塗布液の調製と塗布)捕獲剤分散
物A15g、コロイド銀6g(ゼラチン10g、水10
0ml、コロイド銀5を含む黄色分散物)、Lacst
ar#3307B(大日本インキ化学工業(株)製、S
BRラテックス;Tg13℃、49wt%)23g、ク
ラレポバールMP−203の10質量%水溶液を10
g、さらに水10gを加えて良く混合した。捕獲剤Aが
0.5g/m2になるように画像形成層Aの上に塗布し
た。
【0239】(画像形成層Bの調製と塗布)上記の有機
酸銀分散物85g、感光性ハロゲン化銀乳剤B18g、
還元剤分散物B24g、色像形成材料分散物B29g、
Lacstar#3307B(大日本インキ化学工業
(株)製、SBRラテックス;Tg13℃、49wt
%)46g、クラレポバールMP−203の10質量%
水溶液を6g、フタラジン誘導体可溶化液A13g、有
機ポリハロゲン化物分散物10g、5―メチルベンゾト
リアゾール0.07g、染料A6mg、さらに水25g
を加えて良く混合した。塗布銀量が1.6g/m2にな
るように塗布した。
【0240】(保護層塗布液の調製と塗布)固形分2
7.5%のポリマーラテックス(メチルメタクリレート
/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートメタアクリル酸=59/
9/26/5/1の共重合体でガラス転移温度55℃)
109gに水3.75gを加え、造膜助剤としてベンジル
アルコール4.5g、化合物−2を0.45g、化合物
−3を0.125g、化合物−4を0.0125モル、お
よびポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−
217)2.25gを加え、さらに水を加えて、150
gとし、塗布液とした。感光性層の上に、ポリマーラテ
ックスの塗布量が2.0g/m2になるように塗布した。
【0241】4層を同時重層塗布し、塗布後、60℃で
2分間乾燥し、熱現像カラー感光材料を得た。得られた
感光材料をサンプル4とする。
【0242】<熱現像による色素画像の形成>サンプル
4を780nmにピークをもつ干渉フィルターと濃度差
0.1の階段濃度ウェッジを介して、発光時間10-6
のキセノンフラッシュ光で露光し、115℃で20秒間
熱現像処理を行った。マゼンタ色の画像が得られた。マ
クベス濃度計によって濃度測定した。下表5に示すよう
に、緑濃度が高く、青濃度や赤濃度の低い画像が得られ
た。分光吸収を測定した結果、560nmに吸収極大を
有していた。
【0243】
【表5】
【0244】次に、サンプル4を488nmにピークを
もつ干渉フィルターと濃度差0.1の階段濃度ウェッジ
を介して、発光時間10-6秒のキセノンフラッシュ光で
露光し、115℃で20秒間熱現像処理を行った。イエ
ロー色の画像が得られた。マクベス濃度計によって濃度
測定した。下表6に示すように、青濃度が高く、緑濃度
や赤濃度の低い画像が得られた。分光吸収を測定した結
果、470nmに吸収極大を有していた。
【0245】
【表6】
【0246】また、サンプル4は高い感度を有し、か
つ、強制的に50℃、相対湿度75%の環境下に3日間
保存しても写真性能に変化がなかく、安定であった。
【0247】
【発明の効果】本発明によれば、高感度で、保存安定性
に優れた熱現像カラー画像記録材料を提供することがで
きる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、有機銀塩、還元剤、色像形
    成材料、感光性ハロゲン化銀、および有機バインダーを
    含む画像形成層を有する熱現像カラー画像記録材料にお
    いて、該有機バインダーが疎水性かつ熱可塑性の有機ポ
    リマーであり、該画像形成層がハロゲン放出プレカーサ
    ーを含有することを特徴とする、熱現像カラー画像記録
    材料。
  2. 【請求項2】 ハロゲン放出プレカーサーが、下記一般
    式(H)で表される化合物より選ばれることを特徴とす
    る、請求項1に記載の熱現像カラー画像記録材料。 【化1】 (一般式(H)において、Qは置換基を有していてもよ
    いアリール基または置換基を有してしてもよいヘテロ環
    基を表す。Z1およびZ2はそれぞれ独立してハロゲン原
    子を表す。Aは水素原子または電子吸引性基を表す。)
  3. 【請求項3】 ハロゲン放出プレカーサーが水中に固体
    分散された微粒子であることを特徴とする、請求項1ま
    たは2に記載の熱現像カラー画像記録材料。
  4. 【請求項4】 還元剤が水中に固体分散された微粒子で
    あることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載
    の熱現像カラー画像記録材料。
  5. 【請求項5】 還元剤が、一般式(D):Q1−NHN
    H−Q2(式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結
    合する芳香族基、または5〜7員の不飽和環を表し、Q
    2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル
    基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、また
    はスルファモイル基を表す)で表される化合物であるこ
    とを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱現
    像カラー画像記録材料。
  6. 【請求項6】 色像形成材料が、下記一般式(1)〜
    (18)で表される化合物のいずれかであることを特徴
    とする、請求項1〜5のいずれかに記載の熱現像カラー
    画像記録材料。 【化2】 (式(1)〜(18)において、X1〜X18はそれぞれ
    独立に水素原子又は置換基を表す。一般式(1)におい
    て、R1およびR2はそれぞれ独立に電子吸引性基を表
    す。一般式(2)〜(18)において、R3〜R35はそ
    れぞれ独立に水素原子または置換基を表す。m、n、p
    およびqは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。rは
    0〜5の整数を表す。)
  7. 【請求項7】 色像形成材料が固体分散された微粒子で
    あることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載
    の熱現像カラー画像記録材料。
  8. 【請求項8】 色像形成材料が2当量型であることを特
    徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の熱現像カラ
    ー画像記録材料。
  9. 【請求項9】 有機バインダーが水分散されたポリマー
    ラテックスより形成されることを特徴とする、請求項1
    〜8のいずれかに記載の熱現像カラー画像記録材料。
  10. 【請求項10】 有機バインダーがポリビニルブチラー
    ルであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに
    記載の熱現像カラー画像記録材料。
  11. 【請求項11】 有機バインダーが有機溶剤に溶解され
    て塗布されることを特徴とする、請求項10に記載の熱
    現像カラー画像記録材料。
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