JP2001342458A - 蒸発系熱伝達作動液 - Google Patents

蒸発系熱伝達作動液

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JP2001342458A JP2000164792A JP2000164792A JP2001342458A JP 2001342458 A JP2001342458 A JP 2001342458A JP 2000164792 A JP2000164792 A JP 2000164792A JP 2000164792 A JP2000164792 A JP 2000164792A JP 2001342458 A JP2001342458 A JP 2001342458A
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hydraulic fluid
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heat
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    • F28D15/00Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies
    • F28D15/02Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes
    • F28D15/0266Heat-exchange apparatus with the intermediate heat-transfer medium in closed tubes passing into or through the conduit walls ; Heat-exchange apparatus employing intermediate heat-transfer medium or bodies in which the medium condenses and evaporates, e.g. heat pipes with separate evaporating and condensing chambers connected by at least one conduit; Loop-type heat pipes; with multiple or common evaporating or condensing chambers

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 熱伝達効率が優れ、環境問題を改善できる熱
伝達作動液の提供。 【解決手段】 式 Rf −(O−Rh ) x (式中、xは
1〜3の整数、xが1の場合、Rf は、直鎖状又は分枝
状の、2〜15個の炭素原子を有するパーフルオロアル
キル基等から選択され、xが2の場合、Rf は直鎖状又
は分枝状の2〜15個の炭素原子を有するパーフルオロ
アルカンジイル基等から選択され、xが3の場合、Rf
は直鎖状又は分枝状の、2〜15個の炭素原子を有する
パーフルオロアルカントリイル基などから選択され、R
h は各々、直鎖状又は分枝状の、1〜8個の炭素原子を
有するアルキル基、4〜8個の炭素原子を有するシクロ
アルキル含有アルキル基などから独立に選択される。)
のヒドロフルオロエーテルであって、GWP値が少くと
も4000以下の化合物の一種以上を主成分とする熱伝
達作動液。この化合物は、例えばCOCHであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピューター、
通信機器、整流装置やチョッパ制御装置、電動機等に用
いられる半導体素子、およびその他の電子・電気部品等
の発熱性素子、並びに、旋盤、ボール盤などの工作機械
の軸受け等の冷却、または空調用熱交換器等に用いられ
る、蒸発系熱伝達作動液、およびそれを用いたヒートパ
イプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気・電子機器に使用される半導
体素子等の発熱部、工作機械の軸受け等の発熱部、およ
び空調用熱交換器等に熱伝達(熱交換用)作動液が用い
られている。
【0003】熱伝達作動液を用いる蒸発系熱交換システ
ムは、基本的に蒸発気化部と凝縮部とを有する容器とそ
の中に保持される熱伝達(熱交換用)作動液で構成され
る。その作動の基本原理は、冷却を目的とする場合を例
として説明すると下記のとおりである。加熱された状態
の対象物から作動液の蒸発気化により熱を奪って対象物
を冷却させる。気化した作動液は、容器中央を上昇して
凝縮部に至り、熱を放散して液化する。液化した作動液
は、容器壁面を流下して蒸発部に至る。これを繰返すこ
とにより、熱は蒸発部と凝縮部の間を移動する。蒸発部
が冷却側となり、凝縮部が放熱側となる。時には蒸発条
件に応じて、蒸発に伴って気泡が発生する。この場合の
蒸発気化を沸騰気化と称する。沸騰気化は気泡の発生に
より作動液が攪拌されて熱交換が促進され得る。本願発
明に関しては、「蒸発系」の用語は、気泡の発生を伴わ
ない非沸騰系気化のみならず、気泡の発生を伴う、いわ
ゆる沸騰気化を含めた意味に用いる。
【0004】作動液を使用する熱交換システムの具体的
態様として、パーソナルコンピューターの半導体素子
(発熱部分)を蒸発系冷却システムの蒸発部に内蔵し、
または接触させて、そのシステムの凝縮部を空冷側に設
置すると、半導体素子の熱を奪って冷却させることがで
きる。一方、その熱交換システムの凝縮部(放熱側)を
室内に設置し、蒸発側を戸外に設置すると暖房機として
利用できる。本発明の蒸発系熱伝達作動液(熱交換用作
動液)は、上記のとおり、使用法を選択すれば対象部分
の冷却にも、又加熱にも使用できる。以下においては、
説明を簡明にするために冷却システムに関して熱伝達作
動液について説明する。
【0005】その冷却システムの具体的態様は、次のタ
イプによって代表される。 (1)自然循環密閉ループ形冷却システム 二相流自然循環ループ、ループ形ヒートパイプ、二相流
密閉ループ形サーモサイフォンがこのタイプに属する。
このシステムは、蒸発器、蒸気管、凝縮器、および液戻
り管を順次ループ状に配置し、その内部に作動液を封入
することにより構成する。 (2)自然循環密閉一体形冷却システム 重力利用形ヒートパイプ、二相流密閉形サーモサイフォ
ンがこのタイプに属する。蒸発部と凝縮部が一体となっ
た容器、および作動液により構成される。前記タイプ
(1)のシステムとは、作動液の循環が、蒸発部と凝縮
部が一体となった容器の中で行われる点で異なる。その
重力利用形システムは、熱伝達作動液を重力により容器
壁面を流下するものであるが、容器壁面にウィックを設
置することにより重力によらないで作動液を移動させる
ことを可能にできる。それにより、凝縮部を蒸発部より
上部に置く必要性をなくしたり(即ち、レイアウトの自
由度の改善)、又、熱伝達効率を改善ができる。この冷
却システム(熱交換システム)は、通常のヒートポンプ
として知られている。
【0006】(3)解放一体形冷却システム このシステムは、タイプ(2)の密閉用器の上部を開放
したものであり、容器中の作動液は蒸発により減少する
欠点がある。以上の3タイプは、作動液の循環の駆動力
として基本的に重力(およびウィック)を利用するもの
である。格別な動力を必要としない点、ポンプ等を基本
的に用いないので、コンパクトにできる点で長所があ
る。これらの系において、作動液の循環を促進するため
に、必要に応じてポンプを併用することができる。
【0007】(4)ポンプ利用循環密閉形冷却システム このシステムは、蒸発器、蒸気管、凝縮器、液戻り管、
作動液、およびポンプにより構成される。タイプ(1)
〜(3)の内、液の循環に重力のみを利用するものは、
基本的には蒸発部は下部に、凝縮部は上部に構成する必
要がある。本システムは、ポンプを用いて強制的に作動
液を循環させることができるので、蒸発器、凝縮器の設
置位置に大きな制約はないが、ポンプの設置にスペース
を必要とする。 (5)ポンプ利用密閉容器内作動液散布形冷却システム このシステムは、蒸発器、蒸気管、凝縮器、液戻り管、
作動液、およびポンプにより構成されるが、密閉容器内
で作動液を冷却対象に散布し、その表面を流下させつつ
蒸発させて、対象物から効率的に熱を奪うことができる
点に特徴がある。前記の蒸発した気体は、凝縮部で液化
させて、前記の流下した液体と合流させて、再循環させ
る。 (6)ポンプ利用解放型作動液散布形冷却システム 下部作動液溜めからポンプにより、作動液を上部に移送
して、解放系に支持した冷却対象に散布して、その表面
流下と蒸発により冷却を行ういわゆるクーリングタワー
タイプである。作動液の補充が必要となる。
【0008】本発明は、これらの様々なシステムにおい
て使用できる蒸発熱交換システムの熱伝達作動液に関
し、特に好ましくは、ポンプを必要としない自然循環
(重力循環)熱交換システムに使用する熱伝達作動液に
関するものである。この自然循環熱交換システムの典型
例が、熱交換器においてよく用いられているヒートパイ
プである。このヒートパイプの代表的な構成は、パイプ
状容器の一端を蒸発部とし、他端を凝縮部として、その
容器内面にはウィック(芯)を取り付けて、内部に作動
液を封入しすることにより構成される。この作動液は、
蒸発部で熱を吸収して蒸気となり、容器中央部を他端に
移動し、そこで熱を放出して液体になる。その液体はウ
ィックの毛細管を経由して蒸発部に戻る。これらの工程
を繰返すことにより、熱は一端から他端に、動力を必要
とすることなく移送させることができる。
【0009】前記ウィック部分の毛細管作用によって吸
い上げることのできる最大水頭(ΔPτ)がパイプ内の
全圧力降下より大きい場合、ヒートパイプが作動するこ
とになる。そのパイプ内の全圧力降下は、(1)作動液
が凝縮部から蒸発部へ戻るのに必要な圧力降下(ΔP
i)、(2)蒸気が蒸発部から凝縮部へ流れるのに必要
な圧力降下(ΔPv)、および(3)位置による水頭
(ΔPg)の和である。
【0010】熱伝達作動液、特にヒートパイプに使用さ
れる作動液として必要とされる性能面での具体的条件は
下記のとおりである。 (イ)容器との適合がよいこと。 (ロ)熱安定性が良いこと。 (ハ)濡れ性が良いこと。 (ニ)作動温度内での蒸気圧が適切であること。 (ホ)蒸発潜熱が大きいこと。 (ヘ)熱伝導率が大きいこと。 (ト)液相、気相ともに粘性係数が低いこと。 (チ)表面張力が低いこと。 (リ)凝固点が適切であること。
【0011】これらの特性は、個別に評価されることが
あるが、最大熱量輸送量を決定する特定値として、また
は、作動液の性能を評価する簡便な指標として、実用的
には、下記のメリット数(M)(単位:kW/m)がこ
の技術分野で使用される。 M=σLρ/μ σ:液体の表面張力[N/m] L:液体潜熱(または蒸発のエンタルピ)[J/kg] ρ:作動液の密度[kg/m3 ] μ:作動液の粘度[kg/ms] このメリット数が高い作動液ほど効率よく熱を運びかつ
抵抗が少ない優れた作動液である。
【0012】従来、熱伝達作動液としては、水、エタノ
ール、フロン、アンモニア、水銀、ナトリウム、セシウ
ム、ペンタン、ヘプタン等が用いられていた。水は、液
体潜熱が大きく、取り扱い性がよく、安全性が高いなど
点で優れた作動媒体である。しかしながら、作動安定性
が悪く、凝固点が高くて、寒冷地では凍結するので実用
上問題がある。アンモニアは銅の容器を損傷させ、又、
漏洩時の悪臭、毒性に問題がある。メタノールはアルミ
ニウムおよびステンレス容器を損傷させる。フロンは、
熱伝達効率に優れ、比較的安定性のある作動液として使
用されてきた。しかしながら、近年、空中に放散された
フロンが大気中でオゾン層を破壊し、地球上の紫外線量
を増加させ人体に悪影響を生じるとの観点より、その使
用が制限されている。その他に、今日では、地球温暖化
への影響を考慮すべきことも求められているが、それに
十分答えられる作動液は得られていない。
【0013】以上のとおり、従来の熱交換器において用
いられて来た作動液は、下記のような様々な問題点を有
していた。 (1)熱移送効率が悪い、(2)高温条件下の熱安定性
が悪い、(3)装置内面に酸化、腐蝕を発生させ、装置
の破損、老朽化を進める、(4)人体に対する毒性、爆
発の危険性がある、(5)オゾン層破壊、地球温暖化の
原因となる、(6)凍結点が高く寒冷地での使用に支障
をきたす、(6)高価である等の欠点があった。
【0014】この問題点のいくつかを改善する目的で、
有機化合物系の作動媒体の開発が試みられている。例え
ば、特開昭59−12288号公報には、直火方式の暖
房用熱交換器の作動液として使用することができる熱安
定性に優れたn−パーフルオロヘキサンが記載されてい
る。この作動液は、大気中に放出された場合、分解しが
たく、近年問題とされる地球温暖化の原因となる大きな
欠点を有する。
【0015】又、特許第2726542号公報には、作
動温度に相当する沸点のフッ化炭素化合物を95%以上
含有し、該フッ化炭素化合物よりも低沸点のフッ化炭素
化合物の含量を1%以下にした、PFCを含むフッ化炭
素化合物系(具体的にはパーフルオロヘキサン)ヒート
パイプ用作動液が記載されている。
【0016】この作動液は、従来使用されていたクロロ
フルオロカーボンの欠点、(1)大気中に排出された場
合、成層圏においてオゾン層を破壊して、重大な環境問
題を起こすこと、(2)100℃以上の温度で使用する
と、ヒートパイプ内壁との間で反応を起こし、容器内壁
の酸化あるいは腐蝕を生ずること、を克服することを目
的とするものである。しかしながら、作動液として必要
とされる熱伝達効率が悪く(例えば、HFEの蒸発潜熱
は、同程度の沸点を有するPFCのそれに比べ、数10
%以上の大きな値を有することからもこのことが言え
る。)、更に地球温暖化効果が大きいという欠点があ
る。
【0017】更に、特公表11−513738号公報に
は、二次ループ冷却システム中で、−15℃〜−60℃
の温度範囲で、液体のままのヒドロフルオロエーテルを
利用して、冷熱を強制循環冷却方式で用いることは記載
されている。しかしながら、同公報には、ヒドロフルオ
ロエーテルそれ自体を蒸発系熱伝達作動液として利用で
きることを示唆する記載はない。以上のとおり、今日ま
でに開発された作動液は各種欠点を有しており、あるい
は使用の形態に制約がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の作動
液が有する欠点を克服して、熱伝達効率の優れた、又、
オゾン破壊による環境問題を引起す恐れがないばかりで
なく、地球温暖化への悪影響もない熱伝達作動液、特に
ヒートパイプ用作動液として優れた性状を有する作動
液、およびその作動液を用いたヒートポンプを提供する
ことを解決すべき課題とする。本発明において、「蒸発
系熱伝達作動液」は、熱交換器において冷却部におい
て、沸騰を伴い、あるいは沸騰は伴わないで気化して熱
を奪い、気化した状態で放熱部に移動して熱を吸収して
液化することにより、熱伝達をする作動液を意味する。
【0019】第1に、熱伝達効率(冷却効率)の高い作
動液の開発が期待されている。熱伝達効率が向上するの
ことにより必要エネルギーの節約が図れるばかりでな
く、同じ熱伝達効率を達成する場合、熱交換器として必
要な容積を熱伝達効率が高くなるに応じて小さくできる
ので、それを用いる機器のコンパクト化を図ることがで
きる。具体的には、パーソナルコンピューターに代表さ
れる電子機器、変圧器などの電気機器、あるいは、空調
機器、モーター、各種機械の軸受け等、多くの発熱部分
の冷却部(あるいは発熱部)を小さくすることができる
ことになり、今日の軽薄短小化のニーズに応えることが
できる。勿論、パワーエレクトロニクス機器の冷却、大
型空調機器の熱移送部分等大規模の熱伝達部(冷却部)
にも使用して、小規模化を図ることができる。
【0020】前記のとおり、使用の規制対象とされたフ
ロンによるオゾン破壊ばかりでなく、代替フロンとして
開発されたパーフルオロカーボン作動液の地球温暖化へ
の悪影響も大きな社会問題となっている。このような社
会的状況にあって、第2には、上記のごとき環境への悪
影響のない作動液の開発が非常に重要な課題となってい
る。すなわち、オゾン破壊を起すことなく、具体的には
塩素、臭素、ヨウ素等を含まないオゾン破壊係数(OD
P)が、ゼロもしくは極めてゼロに近いものであること
(ここに「ODP」とは、Ozone Deoleti
on Potentialのことで、CFC11を1.
0とし、計算によって求められたオゾン破壊力の重量当
りの推定値を意味する。)、又、地球温暖化防止の観点
から、具体的には、A.M.Schmoltnerらが
提唱する(「J .Phys.Chem.97,8976
(1993)」参照)地球温暖化ポテンシャル(G.
W.P.)が好ましくは、4000以下、より好ましく
は1000以下、さらに好ましくは500以下である作
動液の開発が望ましい。尚、従来の作動液として用いら
れていたパーフルオロカーボンにおいては、この値が高
く、例えば、C6 14においては4000であった。地
球温暖化ポテンシャル(係数)は、作動液が空中に放散
される場合、その空中寿命に正の相関がある。地球温暖
化ポテンシャルは下式によって表わされる。 〔地球温暖化係数〕様々な試料化合物について大気寿命
について上述した算出値を用いて地球温暖化係数(GW
P)を求め、一般に500〜2500cm-1である、対
象スペクトル領域に積分された赤外線吸収データを経験
的に求めた。計算は、気候変動に関する政府間パネルC
limate Change:The LPCC Sc
ientific Assessment、ケンブリッ
ジ大学出版(1990)に規定されたGWPの定義に基
づくものである。このパネルによれば、GWPは、以下
の式を用いた特定の時間分解能平面(ITH)での二酸
化炭素1kgによる温暖化に対する試料化合物1kgの
放出による潜在的温暖化分析(integrated
potential warming)である。
【数1】 ここで、ΔTは、特定の化合物が大気中に存在すること
による地表温度の算出変化量[Atmospheric
and Environmental Resear
ch,Inc.’sのより一層完全な一次元放射対流モ
デル(Wanget al.in J.Atmos.S
ci.38,1167(1981)and J.Geo
phys.Res.90,12971(1985)に記
載)から誘導された(Fisher et al.in
Nature 344,513(1990)に記載さ
れたパラメータを使用する)スプレッドシートモデルを
用いて算出]であり、Cは化合物の大気濃度であり、t
は化合物の大気寿命(上述した算出値)であり、xは考
慮対象化合物を示している。
【数2】 ここで、Siegenthaler(1983)と連結
する海洋−大気CO2 モデルにおいてA1 =0.300
36であり、A2 =0.34278、A3 =0.356
86、τ1 =6.993、τ2 =71.108、τ3
815.73である。
【0021】以上のとおり、本発明は、従来の作動媒体
の有している欠点を克服し、特に、近年の国際レベルの
解決すべき課題とされている、オゾン層破壊および地球
温暖化の防止を可能とした熱伝達作動液であり、さら
に、好ましくは、熱伝達効率の優れた、特に、メリット
数が25℃において3.5kW/m3 以上の作動液の提
供、およびその作動液を用いたヒートパイプの提供を解
決すべき課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、含フッ素有機
化合物であって、GWP値が、少なくとも4000以下
である化合物を主成分として含む蒸発系熱伝達作動液に
関する。更に本発明は、ヒドロフルオロエーテルを主成
分として含む蒸発系熱伝達作動液に関する。
【0023】更に、本発明は、そのヒドロフルオロエー
テルが、下式 Rf −(O−Rh ) x (式中、xは1〜3の整数であり、xが1である場合、
f は、直鎖状または分枝状の、2〜15個の炭素原子
を有するパーフルオロアルキル基と、5〜15個の炭素
原子を有するパーフルオロシクロアルキル含有パーフル
オロアルキル基と、3〜12個の炭素原子を有するパー
フルオロシクロアルキル基とからなる群から選択され、
xが2である場合、Rf は、直鎖状または分枝状の、2
〜15個の炭素原子を有するパーフルオロアルカンジイ
ル基またはパーフルオロアルキリデン基と、6〜15個
の炭素原子を有するパーフルオロシクロアルキル含有も
しくはパーフルオロシクロアルキレン含有パーフルオロ
アルカンジイル基またはパーフルオロアルキリデン基
と、3〜12個の炭素原子を有するパーフルオロシクロ
アルカンジイル基またはパーフルオロシクロアルキリデ
ン基とからなる群から選択され、xが3である場合、R
f は、直鎖状または分枝状の、2〜15個の炭素原子を
有するパーフルオロアルカントリイル基と、6〜15個
の炭素原子を有するパーフルオロシクロアルキル含有も
しくはパーフルオロシクロアルキレン含有パーフルオロ
アルカントリイル基と、3〜12個の炭素原子を有する
パーフルオロシクロアルカントリイル基とからなる群か
ら選択され、Rh は各々、直鎖状または分枝状の、1〜
8個の炭素原子を有するアルキル基と、4〜8個の炭素
原子を有するシクロアルキル含有アルキル基と、3〜8
個の炭素原子を有するシクロアルキル基とからなる群か
ら独立に選択され、ここで、Rf およびRh のうち一方
または両方が鎖中ヘテロ原子を1種以上含有できるもの
であり、Rf およびRh における炭素原子の数の合計が
4以上である。)、で表わされるヒドロフルオロエーテ
ルの一種以上を主成分として含む、蒸発系熱伝達作動液
に関する。
【0024】本発明は、特に下式 Rf −(O−Rh ) x (式中、xが1であり、Rh が1〜6個の炭素原子を有
するアルキル基であり、Rf は1種以上の鎖中ヘテロ原
子を含有することができるが、Rh はヘテロ原子を含有
することができない。)、で表わされるヒドロフルオロ
エーテルの一種以上を主成分として含む、蒸発系熱伝達
作動液に関する。
【0025】更に、本発明は、特に好ましくは、下式 Rf −(O−Rh ) x (式中、xが1であり、Rf は直鎖状または分枝状の、
3〜6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基
と、5〜8個の炭素原子を有するパーフルオロシクロア
ルキル含有パーフルオロアルキル基と、5〜6個の炭素
原子を有するパーフルオロシクロアルキル基とからなる
群から選択され、Rh が1〜3個の炭素原子を有するア
ルキル基である。)、で表わされるヒドロフルオロエー
テルの一種以上を主成分として含む、蒸発系熱伝達作動
液に関する。
【0026】本発明は、下式
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】 からなる群から選択されるヒドロフルオロエーテルの一
種以上を主成分として含む、蒸発系熱伝達作動液に関す
る。
【0027】本発明は、前記各発明において、更に、ヒ
ドロフルオロエーテルと共に共沸様混合物を構成する成
分として、6〜8個の炭素原子を含む、直鎖状、分枝状
または環状のアルカン、4〜6個の炭素原子を含む環状
または非環状のエーテル、3個の炭素原子を有するケト
ン、1、3、または4個の炭素原子を含む塩素化アルカ
ン、2〜3個の炭素原子を含む塩素化アルケン、1〜4
個の炭素原子を含むアルコール、2〜3個の炭素原子を
含む部分フッ素化アルコール、1−ブロモプロパン、ア
セトニトリル、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3
−ペンタフルオロプロパン、並びに1,3−ジクロロ−
1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンからなる
群から選ばれた一種以上の成分を含む、蒸発系熱伝達作
動液に関する。
【0028】本発明は、前記各発明において、更に、グ
リコール類、エステル類、ヒドロフルオロエーテルと共
に共沸様混合物を構成する成分以外のアルコール類、エ
ーテル類、ケトン類、およびハロゲン類、からなる群か
ら選ばれた一種以上の成分を含む、蒸発系熱伝達作動液
に関する。本発明は、CF3 −CFH−CFH−CF2
−CF3 を主成分として含む蒸発系熱伝達作動液に関す
る。本発明は、HCF2 O(CF2 O)n (CF2 CF
2 O)m CF2 H(n=0〜2、m=0〜5)を主成分
として含む蒸発系熱伝達作動液に関する。
【0029】本発明は、前記各発明の蒸発系熱伝達作動
液を用いるヒートパイプに関する。
【0030】又、本発明は、上記各発明において、不純
物質の含有量が蒸発系熱伝達作動液の全質量に基づいて
1質量%以下とする、蒸発系熱伝達作動液に関する。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態についてより
詳細に説明するが、本発明はこの実施の形態に限定して
解釈されるべきでない。本発明は、含フッ素有機化合物
であってGWP値が少なくとも4000以下であり、O
DP値がほぼゼロである化合物を主成分として含む蒸発
系熱伝達作動液である。前記C6 14をはじめとした公
知の熱伝達作動液とは異なり、当該含フッ素有機化合物
を用いると、当該化合物が環境中に放出された場合で
も、オゾン破壊を起こすことなく、又、環境中での分解
性が相当高いことに基因して地球温暖化への悪影響は少
ない。本発明は、各種のヒドロフルオロエーテルもしく
はCF3 −CFH−CFH−CF2 −CF3 、又は、H
CF2 O(CF2 O)n (CF2 CF2 O)m CF2
(n=0〜2、m=0〜5)を主成分として含む、熱伝
達作動液である。前記公知の熱伝達作動液とは異なり、
ヒドロフルオロエーテルを熱伝達作動液の主成分として
用いると、非常に熱伝達効率が改善されることが確認さ
れた。しかも、これらの化合物はいずれも、従来のヒー
トパイプ等の熱伝達装置において使用されている、アル
ミニウム、銅、ステンレスなどの公知の熱伝達作動液の
容器への悪影響が少なく、密閉された容器中での安定性
が良いので、従来の装置をそのまま利用できる利点があ
る。又、環境中に放出された場合でも、いずれもそれ自
体毒性は低く実使用に適した作動液と言えるものであ
る。
【0032】ヒドロフルオロエーテルとしては、酸素に
より結合される一方の成分が少なくとも部分的にフッ素
化されたアルキル、アリール、アルキルアリール、また
はアリールアルキル基であり( ここで、これらの各基は
へテロ原子を含んでいても良く、アルキルは、ヘテロ原
子を環構成成分として含んでいてもよい脂環式アルキル
であってもよい。) 、他方がフッ素化されてないアルキ
ル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアル
キル基であるエーテルが挙げられる。
【0033】特に、ヒドロフルオロエーテルの内、下記
のものは、使用温度範囲−20℃〜+150℃におい
て、熱伝達効率が優れているばかりでなく、環境への悪
影響がより少ない。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0034】本発明のヒドロフルオロエーテルと類似の
熱伝達作動液の主成分として使用できるその他化合物と
しては、CF3 −CFH−CFH−CF2 −CF3 、ま
たは、HCF2 O( CF2 O) n ( CF2 CF2 O) m
CF2 H( ここで、nは0〜2、mは0〜5) 、具体的
には、HCF2 −O−CF2 H、HCF2 −O−CF 2
−O−CF2 H、HCF2 −O−CF2 CF2 −O−C
2 H、HCF2 −O−CF2 −O−CF2 CF2 −O
−CF2 Hなどが挙げられる。
【0035】前記各発明において、本願発明のヒドロフ
ルオロエーテルと共に共沸混合物を構成する成分として
用いることのできる化合物には、6〜8個の炭素原子を
含む、直鎖状、分枝状または環状のアルカン、4〜6個
の炭素原子を含む環状または非環状のエーテル、3個の
炭素原子を有するケトン、1、3、または4個の炭素原
子を含む塩素化アルカン、2〜3個の炭素原子を含む塩
素化アルケン、1〜4個の炭素原子を含むアルコール、
2〜3個の炭素原子を含む部分フッ素化アルコール、1
−ブロモプロパン、アセトニトリル、1,1−ジクロロ
−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、並び
に1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフル
オロプロパンからなる群から選ばれた一種以上の成分が
含まれる。
【0036】本発明に係る共沸様混合物の具体的事例と
しては、( 1) 95重量%〜61重量%のペルフルオロ
ブチルメチルエーテルと5重量%〜39重量%のシクロ
ヘキサンとの混合物、( 2) 99重量%〜83重量%の
ペルフルオロブチルメチルエーテルと1重量%〜17重
量%のメチルシクロヘキサンとの混合物、( 3) 99重
量%〜86重量%のペルフルオロブチルメチルエーテル
と1重量%〜14重量%のヘプタンとの混合物、( 4)
92重量%〜42重量%のペルフルオロブチルメチルエ
ーテルと8重量%〜58重量%のテトラヒドロフランと
の混合物、( 5) 94重量%〜62重量%のペルフルオ
ロブチルメチルエーテルと6重量%〜38重量%のi−
ブチルクロリドとの混合物、( 6) 上記各事例におい
て、エーテル成分が、35重量%のペルフルオロ−n−
ブチルメチルエーテルと65重量%のペルフルオロイソ
ブチルメチルエーテルで構成される混合物などが挙げら
れる。
【0037】又、本発明は、上記各発明において、不純
物質の含有量が蒸発系熱伝達作動液の全質量に基づいて
1質量%以下とする、蒸発系熱伝達作動液に関する。不
純物としては、ヒドロフルオロエーテルを製造する際に
不純物として生成する、1部塩素を含むものがある。そ
の不純物は、容器例えばアルミ容器への攻撃性を有して
おり、容器の耐久性を低下させたり、作動液の漏洩に繋
がるばかりでなく、漏洩する作動液は、オゾン層破壊の
原因とも成り得るので極力少なくすべきである。全質量
に基づいて1質量%を超えて含まれると、特に、前記問
題点が顕著となる。
【0038】更に、本発明は、上記各発明において、凝
固点降下剤などとしてアルコール類、グリコール類、エ
ーテル類、エステル類、ケトン類、ハロゲン類(但し、
共沸混合物構成成分とは重複するものは除く。)からな
る群から選ばれた一種以上の成分を含むことができる蒸
発系熱伝達作動液に関する。上記添加成分は、ヒドロフ
ルオロエーテルの熱伝達効率を低下させない範囲で添加
することにより、凝固点を下げることができ、使用条件
を改善することができる。
【0039】本発明は、上記各発明の蒸発系熱伝達作動
液を用いるヒートパイプに関する。ヒートパイプの形態
には各種あり、本発明のヒートパイプは、特定の形態に
限定されるものではない。重力利用流下式ヒートパイ
プ、ウィック(毛細管)利用ヒートパイプ等、前記した
各種のタイプのものとして利用できる。その他、回転式
遠心力利用ヒートパイプ、電気流体力学的ヒートパイ
プ、磁気流体力学的ヒートパイプ、浸透圧ヒートパイプ
などにも応用可能である。ウィックの材料としては、ス
テンレス製金網、発泡ニッケル、ニッケルフェルト等の
中から使用する熱伝達作動液に応じて選択することがで
きる。このうち、重力利用流下式ヒートパイプ、ウィッ
ク(毛細管)利用ヒートパイプが、コンパクト性、付加
動力の不要性の点で特に優れている。これらの非動力系
に加えて、循環にポンプを利用するものにも、本発明の
電熱作動媒体を利用することができる。
【0040】次いで、本発明のヒートポンプの具体的態
様について説明する。図1は、本発明の熱伝達作動液を
用いた整流器冷却用ヒートポンプを示し、特に、発熱素
子を作動液に浸漬するタイプを示す。熱伝達作動液1
は、蒸発器2中に液相で封入されている。蒸発器2中に
は、電気端子Cを有する発熱源(素子)Aが、冷却効果
を上げるよう冷却フィンBに挟まれて作動液に浸漬され
ている。素子の冷却は、冷却フィンに伝わった素子の
熱、および、素子のケーシングの熱が、熱伝達作動液と
熱交換して、作動液が沸騰蒸発することによって促進さ
れる。気化した作動液ガスは蒸気管を介して凝縮器4に
至る。ここで作動液ガスは凝縮されて作動液になり、液
管5を介して蒸発器2に還流する。以上により、熱伝達
作動液循環のための動力を使用しないで、省スペース
で、発熱する素子を効率的に冷却して、整流器の順調な
運転が可能となる。
【0041】図2は、熱伝達作動液1を液溜め6に内蔵
し、その溜めから接続管7を介して延設する複数の蒸発
器2に作動液を導く。作動液は、その複数の蒸発器2の
間に発熱素子Aを挟持しているので、発熱した素子から
熱を奪い、沸騰気化する。気化した作動液は、蒸発器2
の中央部の補助管8から上方に移動して、蒸発管3を介
して、凝縮器4に至る。気化した作動液は、凝縮器4で
凝縮され液相に戻る。液化した作動液4は、液管5を介
して液溜め6に還流する。以上により、熱伝達作動液循
環のための動力を使用しないで、省スペースで、発熱す
る素子を効率的に冷却して、整流器の順調な運転が可能
となる。
【0042】以下に、実施例により本願発明をより詳細
に説明するが、本発明はこの実施例に限定して解釈され
るべきでない。
【0043】
【実施例】[熱伝達作動液のメリット数]熱伝達効率を
簡便に表示する手段としてメリット数が使用されている
こと、およびその定義は前記のとおりである。ここで、
熱伝達作動液のメリット数を、沸点( ℃) 、分子量( g
/mol) 、密度(g/ml)、表面張力(N/m)、
蒸発潜熱( J/kg) 、粘度( kg/ms) に基いて算
出した結果を表1に記す。本願発明の作動液は、No.
1〜3の作動液であり、No.4〜12の作動液は、従
来公知の作動液である。本発明の作動液はいずれも、
3.5kW/m3 以上のメリット数を有することが分か
り、従来の作動液に比べて熱伝達効率が優れていること
が理解できる。No.11および12の作動液は、3.
5kW/m3 以上のメリット数を有するが、大気中で分
解し難く、地球温暖化への悪影響をもたらすものであ
り、本願発明の解決すべき課題を解決できるものではな
い。
【0044】
【表1】
【0045】実施例1 本発明の熱伝達作動液を小型ヒートパイプの形態でノー
ト型パソコンの冷却に応用した具体的態様について説明
する。直径1mm、長さ15cmの銅製パイプの内面に
ステンレスのメッシュ構造物を配設し、その内部に熱伝
達作動液C4 9 OCH3 (住友スリーエム製品番号H
FF−7100)を封入する。そのパイプの一端を蒸発
部分として、ノートパソコンの発熱部分であるCPUに
接触させる。他端を凝縮部分として放熱板を溶接し、そ
の放熱板を液晶パネル裏側の放熱板に接触させる。以上
の構成により、ノートパソコンのCPUで発生した熱
は、熱伝達作動体C4 9 OCH3 の気化により凝縮部
分に伝達される。その熱は放熱板を介して外部に放散さ
れ、同時に気化された熱伝達液は凝縮液化される。液化
したC4 9 OCH3 は、メッシュ構造のウイッグを毛
細管作用で移動して、蒸発部に循環される。以上の構成
により、ノート型パソコンは非常にコンパクトに構成さ
れしかも従来のものに比べて放熱効果も優れている。更
に、寒冷地および高温地での耐用性に優れたパソコンを
提供できる。
【0046】実施例2 本発明の熱伝達作動液をサイリスタ用ヒートパイプユニ
ットの形態で新幹線などの車載用整流器もサイリスタな
どのパワーモジュールの冷却に応用した具体的態様につ
いて説明する。吸熱部(沸騰蒸発部)と放熱部(凝縮
部)とが一体の容器を形成するヒートパイプ容器に熱伝
達作動液C4 9 OCH3 (住友スリーエム製品番号H
FF−7100)を封入する。そのパイプ容器の下方部
を吸熱部として、その外側表面に車輛用整流器に組み込
まれたサイリスタの放熱部一端を接触固定する。ヒート
パイプ容器で吸熱部の上方空間を放熱部とする。放熱部
は、気化した熱伝達作動液ガスの複数の放熱通路と、そ
の通路を囲む形態で、ヒートパイプ外面に接触して付設
した空冷フィンとで構成する。以上の構成により、整流
器に組み込まれたサイリスタで発生した熱は、サイリス
タの放熱部、およびヒートパイプ吸熱部外部表面を介し
て、吸熱部(沸騰気化部)中の熱伝達作動体C4 9
CH3 に伝達される。そこで、熱伝達作動液C 4 9
CH3 は、沸騰気化により熱を吸収する。気化した作動
液ガスは、上昇して放熱部(凝縮部)の放熱通路に入
る。そこで作動液ガスは、空冷フィンにより冷却・凝縮
される。凝縮された熱伝達作動液は、流下して吸熱部に
帰還する。以上の熱伝達作動液の循環により、整流器中
のサイリスタは所定温度以下に保たれて正常の性能が発
揮できる。この冷却システムのヒートパイプは、一体型
容器であり、又、空冷フィンと組み合わされて構成され
ている。したがった、無駄な空間や配管を必要とせず、
コンパクトに設計できるので、車輛搭載用整流器の冷却
に適している。
【0047】
【発明の効果】本発明の熱伝達作動液は、メリット数
3.5kW/m3 以上の熱伝達効率が非常に高く、容器
への反応性( 酸化、腐蝕等) が少ないという効果を奏す
ることができる。更に、従来のヒートポンプシステムに
そのままの形態で使用することができるという利点もあ
る。又、その熱伝達液を利用したヒートポンプは、基本
的には自然循環系であり作動液の循環時ポンプを必要と
しないので、冷却(加熱)部を非常にコンパクト化でき
る。その結果、コンピュータ、ゲーム機器などの情報機
器の半導体、モーターの冷却部、玩具、電車などの車輛
搭載用整流器のサイリスタ、モーターなどのパワーモジ
ュールの冷却、工作機械の軸受けの冷却、エアーコンデ
ィショナーなどの冷暖房など多くの機器の冷却、加熱に
応用できて、その効率化を図るとともに、機器のコンパ
クト化を促進できる。本発明は、上記効果とともに、今
日の社会的課題である、オゾン層破壊防止、地球温暖化
防止に有効な熱伝達作動液、およびそれを用いたヒート
ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明の熱伝達作動液を用いた整流
器冷却用ヒートポンプを示し、特に、発熱素子を作動液
に浸漬するタイプを示す。
【図2】第2図は、本発明の熱伝達作動液を用いた整流
器冷却用ヒートポンプを示し、特に、発熱素子を液溜め
から延設される蒸発器の間に挟むタイプを示す。
【符号の説明】
1…熱伝達作動液 2…蒸発器 3…蒸気管 4…凝縮器 5…液管 6…液溜め 7…接続管 8…補助管 A…発熱素子(発熱源) B…冷却フィン C…電気端子

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含フッ素有機化合物であって、GWP値
    が少なくとも4000以下である化合物を主成分として
    含む蒸発系熱伝達作動液。
  2. 【請求項2】 ヒドロフルオロエーテルを主成分として
    含む請求項1に記載の蒸発系熱伝達作動液。
  3. 【請求項3】 下式 Rf −(O−Rh ) x (式中、xは1〜3の整数であり、xが1である場合、
    f は、直鎖状または分枝状の、2〜15個の炭素原子
    を有するパーフルオロアルキル基と、5〜15個の炭素
    原子を有するパーフルオロシクロアルキル含有パーフル
    オロアルキル基と、3〜12個の炭素原子を有するパー
    フルオロシクロアルキル基とからなる群から選択され、
    xが2である場合、Rf は、直鎖状または分枝状の、2
    〜15個の炭素原子を有するパーフルオロアルカンジイ
    ル基またはパーフルオロアルキリデン基と、6〜15個
    の炭素原子を有するパーフルオロシクロアルキル含有も
    しくはパーフルオロシクロアルキレン含有パーフルオロ
    アルカンジイル基またはパーフルオロアルキリデン基
    と、3〜12個の炭素原子を有するパーフルオロシクロ
    アルカンジイル基またはパーフルオロシクロアルキリデ
    ン基とからなる群から選択され、xが3である場合、R
    f は、直鎖状または分枝状の、2〜15個の炭素原子を
    有するパーフルオロアルカントリイル基と、6〜15個
    の炭素原子を有するパーフルオロシクロアルキル含有も
    しくはパーフルオロシクロアルキレン含有パーフルオロ
    アルカントリイル基と、3〜12個の炭素原子を有する
    パーフルオロシクロアルカントリイル基とからなる群か
    ら選択され、Rh は各々、直鎖状または分枝状の、1〜
    8個の炭素原子を有するアルキル基と、4〜8個の炭素
    原子を有するシクロアルキル含有アルキル基と、3〜8
    個の炭素原子を有するシクロアルキル基とからなる群か
    ら独立に選択され、ここで、Rf およびRh のうち一方
    または両方が鎖中ヘテロ原子を1種以上含有できるもの
    であり、Rf およびRh における炭素原子の数の合計が
    4以上である。)、で表わされるヒドロフルオロエーテ
    ルの一種以上を主成分として含む、請求項2に記載の蒸
    発系熱伝達作動液。
  4. 【請求項4】 下式 Rf −(O−Rh ) x (式中、xが1であり、Rh が1〜6個の炭素原子を有
    するアルキル基であり、Rf は1種以上の鎖中ヘテロ原
    子を含有することができるが、Rh はヘテロ原子を含有
    することができない。)、で表わされるヒドロフルオロ
    エーテルの一種以上を主成分として含む、請求項3に記
    載の蒸発系熱伝達作動液。
  5. 【請求項5】 下式 Rf −(O−Rh ) x (式中、xが1であり、Rf は直鎖状または分枝状の、
    3〜6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基
    と、5〜8個の炭素原子を有するパーフルオロシクロア
    ルキル含有パーフルオロアルキル基と、5〜6個の炭素
    原子を有するパーフルオロシクロアルキル基とからなる
    群から選択され、Rh が1〜3個の炭素原子を有するア
    ルキル基である。)、で表わされるヒドロフルオロエー
    テルの一種以上を主成分として含む、請求項3または4
    に記載の蒸発系熱伝達作動液。
  6. 【請求項6】 下式 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 からなる群から選択されるヒドロフルオロエーテルの一
    種以上を主成分として含む、請求項2〜5のいずれかに
    記載の蒸発系熱伝達作動液。
  7. 【請求項7】 更に、ヒドロフルオロエーテルと共に共
    沸様混合物を構成する成分として、6〜8個の炭素原子
    を含む、直鎖状、分枝状または環状のアルカン、4〜6
    個の炭素原子を含む環状または非環状のエーテル、3個
    の炭素原子を有するケトン、1、3、または4個の炭素
    原子を含む塩素化アルカン、2〜3個の炭素原子を含む
    塩素化アルケン、1〜4個の炭素原子を含むアルコー
    ル、2〜3個の炭素原子を含む部分フッ素化アルコー
    ル、1−ブロモプロパン、アセトニトリル、1,1−ジ
    クロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパ
    ン、並びに1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペ
    ンタフルオロプロパンからなる群から選ばれた一種以上
    の成分を含む、請求項2〜6のいずれかに記載の蒸発系
    熱伝達作動液。
  8. 【請求項8】 更に、グリコール類、エステル類、ヒド
    ロフルオロエーテルと共に共沸様混合物を構成する成分
    以外のアルコール類、エーテル類、ケトン類、およびハ
    ロゲン類、からなる群から選ばれた一種以上の成分を含
    む、請求項2〜7のいずれかに記載の蒸発系熱伝達作動
    液。
  9. 【請求項9】 CF3 −CFH−CFH−CF2 −CF
    3 を主成分として含む、請求項1記載の蒸発系熱伝達作
    動液。
  10. 【請求項10】 HCF2 O(CF2 O)n (CF2
    2 O)m CF2 H(n=0〜2、m=0〜5)を主成
    分として含む、請求項1記載の蒸発系熱伝達液。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の蒸
    発系熱伝達作動液を用いるヒートパイプ。
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