JP2001342211A - オレフィン気相重合用予備重合触媒及びその製造方法 - Google Patents

オレフィン気相重合用予備重合触媒及びその製造方法

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JP2001342211A JP2001063019A JP2001063019A JP2001342211A JP 2001342211 A JP2001342211 A JP 2001342211A JP 2001063019 A JP2001063019 A JP 2001063019A JP 2001063019 A JP2001063019 A JP 2001063019A JP 2001342211 A JP2001342211 A JP 2001342211A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気相重合において活性が高く、予備重合時に
塊、粗粒の発生が少なく、嵩密度が高く流動性に優れ、
また、気相重合時に流動層外への予備重合触媒及び製品
であるオレフィン重合体のパウダーの飛散が少なく、塊
の発生がほとんどなく、冷キシレン可溶成分が少ないオ
レフィン重合体を与えるオレフィンの気相重合用予備重
合触媒及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 特定の成分を含有し、特定の重量平均粒
径を有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及び
エチレン及び/またはα−オレフィンの予備重合体から
なり、特定のアルミニウムとチタンの比、特定の予備重
合触媒と固体触媒成分の比、特定の揮発成分量及び特定
の固有粘度を有するオレフィンの気相重合用予備重合触
媒及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィンの気相
重合用予備重合触媒に関する。更に詳しくは、気相重合
において活性が高く、予備重合時に塊、粗粒の発生が少
なく、嵩密度が高く流動性に優れ、また、気相重合時に
流動層外への予備重合触媒及び製品パウダーの飛散が少
なく、塊の発生がほとんどなく、冷キシレン可溶成分が
少ないオレフィン重合体を与えるオレフィンの気相重合
用予備重合触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン重合体は、強度等の機械的物
性、透明性等の外観、製膜性等の成形加工性や取り扱い
易さ等に優れるため、フィルムや成形品用材料として広
く利用されている。中でも、エチレン単独重合体、ある
いはエチレン−α−オレフィン共重合体である直鎖状低
密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンは、
フィルム成形用材料として好適に利用されている。
【0003】オレフィン重合体用の高活性な触媒はオレ
フィン重合体の製造工程において脱灰工程が簡略化され
た気相重合法に用いることができるため、その利用価値
は工業的に極めて高い。しかし、高活性な触媒を気相重
合法に用いてオレフィンの重合を行う場合、オレフィン
が重合する時の発熱が大きいため生成したオレフィン重
合体が融解、塊化し、オレフィンの重合の継続、即ち、
オレフィン重合体の製造が困難になることがある。
【0004】上述のオレフィンの重合時に発生する塊化
を防止する方法として、オレフィン重合用触媒にエチレ
ン及び/又はα−オレフィンを予備重合して得られる予
備重合触媒を気相重合法に用いる方法が知られている。
【0005】例えば、特開昭59−30806号公報、
特開平7−196720号公報及び特開平8−3376
11号公報には、質量平均直径(Dm)が80〜300
μmであり、質量平均直径(Dm)に対する数平均直径
(Dn)の比が3より少ないか、または3に等しいよう
な粒子寸法分布を有するα−オレフィンプレポリマー粉
末である予備重合触媒、および、そのプレポリマー粉末
を気相重合法に用いて、オレフィンの重合を連続的に実
施して、オレフィン重合体、例えば、エチレン単独重合
体又はエチレン−ブテン−1共重合体が得られることが
記載されている。
【0006】しかし、より高活性な触媒、例えば、特開
平11−322833号公報に記載されているような触
媒を用いて、懸濁重合で予備重合した場合、粗粒や塊化
物が発生し、予備重合触媒の嵩密度が低いため予備重合
触媒の流動性が著しく不充分で、懸濁重合槽から予備重
合触媒の抜き出し不良が起こる場合がある。また、予備
重合触媒の流動性が不充分な場合、気流にのせて予備重
合触媒を気相流動床式気相重合反応器に供給する際に予
備重合触媒の供給量を一定にできず、オレフィンの重合
温度が変動したり、気相流動床式気相重合反応器内にオ
レフィン重合体の塊化物が発生したりして、定常的なオ
レフィンの重合が困難になるという問題があった。
【0007】上述のような状況において、気相重合にお
いて活性が高く、予備重合時に塊、粗粒の発生が少な
く、嵩密度が高く、流動性に優れ、また、気相重合時に
流動層外への予備重合触媒及び製品であるオレフィン重
合体のパウダーの飛散が少なく、塊の発生がほとんどな
く、冷キシレン可溶成分が少ないオレフィン重合体を与
えるオレフィンの気相重合用予備重合触媒が望まれてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、気相
重合において活性が高く、予備重合時に塊、粗粒の発生
が少なく、嵩密度が高く流動性に優れ、また、気相重合
時に流動層外への予備重合触媒及び製品であるオレフィ
ン重合体のパウダーの飛散が少なく、塊の発生がほとん
どなく、冷キシレン可溶成分が少ないオレフィン重合体
を与えるオレフィンの気相重合用予備重合触媒及びその
製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の重量平均粒径を有
する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及びエチレ
ン及び/またはα−オレフィンの予備重合体からなり、
特定のアルミニウムとチタンの比、特定の予備重合触媒
と固体触媒成分の比、特定の揮発成分量及び特定の固有
粘度を有する予備重合触媒が、上記の課題を解決できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、マグネシウム、ハロ
ゲン、チタン及び電子供与体を含み重量平均粒径が15
〜45μmである固体触媒成分(A)、少なくとも1種
類の有機アルミニウム化合物(B)及びエチレン及び/
またはα−オレフィンの予備重合体(C)からなるオレ
フィンの気相重合用予備重合触媒であって、該予備重合
触媒に含まれるアルミニウムとチタンの比(Al/Ti
比)が3〜11(mol/mol)、予備重合触媒と固
体触媒成分の比(予備重合触媒/固体触媒成分)が2〜
35(g/g)、該予備重合触媒の揮発成分量(VM)
が2.0重量%以下であり、かつ135℃テトラリン中
で測定した固有粘度[η]が2.0dl/g以下である
オレフィンの気相重合用予備重合触媒及びその製造方法
に係るものである。また、本発明は、上記の気相重合用
予備重合触媒を使用して気相流動層によりオレフィンを
重合させるオレフィン重合体の製造方法に係るものであ
る。以下、本発明につき、詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において「重合」という語
は、単独重合のみならず、共重合を包含したものであ
り、また「重合体」という語は単独重合体のみならず共
重合体を包含したものである。
【0012】本発明で用いるオレフィンとは、炭素数が
2以上のオレフィンであり、例えば、エチレン、プロピ
レン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプ
テン−1、オクテン−1、デセン−1、3−メチル−ペ
ンテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられ、
好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセ
ン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1であ
り、さらに好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン−
1、ヘキセン−1である。
【0013】本発明で用いる気相重合とは気相中でオレ
フィンを重合するために用いられる重合方法であり、懸
濁重合や溶液重合等の他の重合体製造プロセスと比較し
て投資が少なく、エネルギーコストが少ないということ
が知られている。気相重合において通常、重合を円滑に
進めるために気相流動床式反応器が用いられている。気
相流動床式反応器とは、流動層を利用した反応装置であ
り、装置下部の細孔を多数有する板(これをガス分散板
と呼ぶ。)から導入したガスにより、反応器内部に充填
された粉体粒子を浮遊させた状態の層(この状態を流動
層と呼ぶ。)で反応を行うものである。
【0014】本発明で用いる予備重合とはマグネシウ
ム、ハロゲン、チタン及び電子供与体を含み重量平均粒
径が15〜45μmである固体触媒成分(A)と少なく
とも1種類の有機アルミニウム化合物(B)を用いて固
体触媒成分上で少量のオレフィンを重合させ、固体触媒
成分上にオレフィン重合体を生成させる方法であり、そ
れにより得られたものが予備重合触媒である。
【0015】本発明の予備重合において用いられるオレ
フィンとしては、前述した気相重合で用いられるオレフ
ィンが挙げられる。1種類のオレフィンを単独で用いて
もよく、2種類以上のオレフィンを併用してもよい。
【0016】予備重合触媒の製造方法としては、特に制
限はないが、懸濁重合、気相重合等が挙げられる。好ま
しくは懸濁重合である。また、回分式、半回分式、連続
式のいずれを用いて製造してもよい。
【0017】予備重合触媒を懸濁重合で製造する場合、
溶媒としては、炭素数20以下の炭化水素が挙げられ
る。例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、
ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素や、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。好ま
しくはノルマルブタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン
であり、よりに好ましくはノルマルブタン、ヘキサンで
ある。
【0018】スラリー濃度としては、通常の濃度であれ
ばよく、好ましくは、溶媒1ml当たりの固体触媒量
で、好ましくは0.001〜0.5g/mlであり、よ
り好ましくは0.005〜0.4g/mlである。
【0019】予備重合における重合槽内の攪拌速度は、
特に制限はないが、好ましくは固体触媒成分及び生成す
る予備重合触媒が浮遊する程度の攪拌速度、すなわち、
攪拌粒子浮遊限界速度以上である。
【0020】予備重合の重合温度としては、通常の重合
温度であればよく、好ましくは−10℃〜100℃であ
り、より好ましくは0℃〜70℃である。予備重合の重
合圧力としては、通常の重合圧力であればよく、好まし
くは常圧〜4.0MPaGである。
【0021】予備重合触媒の135℃テトラリン中で測
定した固有粘度[η]を制御する方法としては、水素や
有機金属化合物等の連鎖移動剤、予備重合温度の制御等
の方法が挙げられる。好ましくは、水素を用いる方法で
ある。水素を用いる方法としては、エチレンの供給前に
加える方法、エチレンの供給と同時に水素の流量を制御
しながら加える方法等が挙げられる。
【0022】得られた予備重合触媒は一般には乾燥した
形態で得られるが、乾燥する方法としては、窒素を流通
させて乾燥させる方法、真空ポンプを用いる真空乾燥方
法等が挙げられる。
【0023】本発明で用いる固体触媒成分(A)に含ま
れるマグネシウムとは周期律表第2族元素のマグネシウ
ム原子であり、チタンとは周期律表第4族元素のチタン
原子である。
【0024】固体触媒成分(A)に含まれるハロゲンと
は、周期律表第17族元素のハロゲンであり、例えば、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等であり、好ましくは
塩素原子である。
【0025】固体触媒成分(A)に含まれる電子供与体
とは、酸素原子、イオウ原子、窒素原子及び/又はリン
原子の少なくとも1種を含む有機化合物であり、例え
ば、アミン類、スルホキシド類、エーテル類又はエステ
ル類等が挙げられ、好ましくは、エーテル類またはエス
テル類である。
【0026】エーテル類としては、ジアルキルエーテル
類が挙げられ、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。好ましく
は、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランである。
【0027】エステル類としては、飽和脂肪族カルボン
酸エステル、不飽和脂肪族カルボン酸エステル、脂環式
カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等が挙
げられる。例えば、酢酸エチル、アクリル酸エチル、メ
タクリル酸エチル、安息香酸ブチル、コハク酸ジブチ
ル、マロン酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、イタコン
酸ジブチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソ
ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ
−n−オクチル等が挙げられ、好ましくは、フタル酸ジ
−2−エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−オクチルであ
る。
【0028】固体触媒成分(A)として、好ましくは、
マグネシウム、チタンおよびハイドロカルビルオキシ基
を含有する固体触媒成分前駆体に、第14族元素のハロ
ゲン化合物と電子供与体とを接触させて得られる接触生
成物に、さらにTi−ハロゲン結合を有する化合物を接
触させて得られるものである。
【0029】マグネシウム、チタンおよびハイドロカル
ビルオキシ基を含有する固体触媒成分前駆体として、好
ましくは、Si−O結合を有する有機ケイ素化合物の存
在下に、一般式Ti(OR1a4-a(式中、R1は炭素
原子数が1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子
を、aは0<a≦4を満足する数を表す)で表されるチ
タン化合物を有機マグネシウムで還元して得られる3価
のチタン原子を含有する固体生成物である。
【0030】Si−O結合を有する有機ケイ素化合物と
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン
等が挙げられ、好ましくはテトラブトキシシランであ
る。
【0031】一般式Ti(OR1a4-a(式中、R1
炭素原子数が1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原
子を、aは0<a≦4を満足する数を表す)で表される
チタン化合物の炭化水素基(R1)としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げら
れ、好ましくはブチル基である。
【0032】一般式Ti(OR1a4-aで表されるチ
タン化合物のハロゲン原子(X)としては、塩素原子、
臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくは、塩素
原子である。また、aとしては、1、2、3または4で
あり、好ましくは4である。
【0033】一般式Ti(OR1a4-aで表されるチ
タン化合物としては、例えば、ブトキシトリクロロチタ
ン、ジブトキシジクロロチタン及びトリブトキシクロロ
チタン、テトラブトキシチタン等が挙げられ、好ましく
はテトラブトキシチタンである。
【0034】有機マグネシウムとしては、Mg−炭素結
合を有するグリニャール化合物等が挙げられる。例え
ば、メチルクロロマグネシウム、エチルクロロマグネシ
ウム、プロピルクロロマグネシウム、ブチルクロロマグ
ネシウム等が挙げられ、好ましくはブチルクロロマグネ
シウムである。
【0035】固体触媒前駆体と接触させる第14族元素
のハロゲン化合物としては、炭素原子またはケイ素原子
のハロゲン化合物が挙げられ、好ましくは一般式SiR
2 4-bb(式中、R2は炭素原子数が1〜20の炭化水素
基を、Xはハロゲン原子を表す。bは0<b≦4を満足
する数を表す)で表されるケイ素原子のハロゲン化合物
である。
【0036】一般式SiR2 4-bb(式中、R2は炭素原
子数が1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表
す。bは0<b≦4を満足する数を表す)で表されるケ
イ素化合物の炭化水素基(R2)としては、例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が挙げら
れ、好ましくはブチル基である。
【0037】一般式SiR2 4-bbで表されるケイ素化
合物のハロゲン原子(X)としては、塩素原子、臭素原
子及びヨウ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子で
ある。また、bとしては、1、2、3及び4が挙げら
れ、好ましくは4である。
【0038】一般式SiR2 4-bbで表されるケイ素化
合物としては、例えば、ブチルトリクロロシラン、ジブ
チルジクロロシラン、トリクロロブチルシラン及びテト
ラクロロシラン等が挙げられ、好ましくはテトラクロロ
シランである。
【0039】固体触媒前駆体と接触させる電子供与体と
しては、前述のものが挙げられる。
【0040】固体触媒成分前駆体に第14族元素のハロ
ゲン化合物と電子供与体とを接触させて得られる接触生
成物に、さらに接触させるTi−ハロゲン結合を有する
化合物のハロゲンとしては、塩素原子、臭素原子及びヨ
ウ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
【0041】Ti−ハロゲン結合を有する化合物として
は、例えば、テトラクロロチタン、トリクロロブトキシ
チタン、ジクロロジブトキシチタン及びクロロトリブト
キシチタン等が挙げられ、好ましくはテトラクロロチタ
ンである。
【0042】本発明の固体触媒成分(A)の重量平均粒
径は15〜45μmであり、好ましくは20〜35μm
である。
【0043】固体触媒成分(A)の重量平均粒径が15
μm未満の場合、気相流動層外へ予備重合触媒が飛散し
て触媒が有効に使用されなかったり、気相流動床式反応
器の拡大部の壁面に予備重合触媒が付着し、塊化物を発
生させたりすることがある。また、45μmを超えた場
合は、得られる重合体パウダーの嵩密度が低下したり、
冷キシレン可溶成分が増加したりすることがある。
【0044】本発明で用いられる有機アルミニウム化合
物(B)とは、少なくとも1個のAl−炭素結合を有す
る化合物である。例えば、トリメチルアルミニウム、ト
リエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等
が挙げられ、好ましくはトリエチルアルミニウムであ
る。
【0045】本発明で用いるエチレン及び/またはα−
オレフィンの予備重合体(C)とは、固体触媒成分
(A)、有機アルミニウム(B)およびオレフィンであ
るエチレン及び/又はα−オレフィンを接触させて、固
体触媒成分(A)上に生成するエチレン及び/又はα−
オレフィンの重合体である。
【0046】α−オレフィンとしては、前述した気相重
合に用いられるオレフィンの内、炭素数3以上のオレフ
ィンが挙げられる。例えば、プロピレン、ブテン−1、
ヘキセン−1、ペンテン−1、3−メチル−ペンテン−
1等が挙げられる。
【0047】本発明の予備重合触媒に含まれるアルミニ
ウム原子とチタン原子の比(Al/Ti比(mol/m
ol))は3〜11である。好ましくは4〜8である。
Al/Ti比が3未満の場合、予備重合における重合速
度が遅くなったり、気相重合における活性が低くなった
りすることがある。Al/Ti比が11を超えた場合、
気相重合で得られるオレフィン重合体の冷キシレン可溶
成分が増加することがある。
【0048】本発明の予備重合触媒における予備重合触
媒と固体触媒成分の比(予備重合触媒体/固体触媒成
分)は2〜35(g/g)である。好ましくは4〜25
(g/g)である。(予備重合触媒/固体触媒成分)比
が2g/g未満の場合、気相重合時の重合発熱が大きく
なり、生成したオレフィン重合体が融解、塊化して気相
重合が困難になることがある。(予備重合触媒/固体触
媒成分)比が35g/gを超えた場合、予備重合設備を
非常に大きく設計することが必要になったり、気相重合
時に得られるパウダーの嵩密度が低下することがある。
【0049】本発明の予備重合触媒の重量平均粒径は、
特に制限されるものではないが、気相重合時に得られる
パウダーの嵩密度、予備重合触媒及び気相重合時に得ら
れるパウダーの飛散の観点から、好ましくは15〜75
μmであり、より好ましくは20〜75μmである。
【0050】本発明の予備重合触媒に含まれる揮発性分
量(VM)とは、予備重合触媒中に残存する予備重合で
用いられる溶媒や未反応のオレフィン等であり、この揮
発性分量(VM)は2.0重量%以下である。好ましく
は1.0重量以下であり、最も好ましくは0重量%であ
る。揮発性分量(VM)が2.0重量%を超えた場合、
予備重合触媒の流動性が低下する。
【0051】また、本発明の予備重合触媒の135℃テ
トラリン中で測定した固有粘度[η]は2.0dl/g以
下である。好ましくは1.7dl/g以下であり、より
好ましくは1.5dl/g以下である。固有粘度[η]
が2.0dl/gを超えた場合、予備重合触媒の嵩密度
が低下したり、粗粒が多く生成したりすることがあるた
め、予備重合触媒の流動性が低下する。流動性の低下
は、予備重合触媒の予備重合触媒の反応器からの抜出し
不良や、次の本重合である気相重合槽への供給不良をも
たらす原因となる。
【0052】本発明の予備重合触媒を使用して本重合で
ある気相重合を効率的に行うことができる。気相重合は
前述の流動床反応器を用いて公知の方法により行うこと
ができる。一般に、反応温度は30〜110℃、反応圧
力は0.1〜5.0MPa、反応器内のガス流速は10
〜100cm/秒であり、当業者により適宜選択され
る。
【0053】
【実施例】本発明について、以下に実施例をあげて、更
に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によっての
み限定されるものではない。実施例における重合体の物
性は下記の方法によって測定した。 (1)密度 JIS K−6760に従って測定した。 (2)MFR(メルトフローレート) JIS K−6760に従って、190℃で測定した。
【0054】(3)嵩密度 JIS K−6721に従って測定した。 (4)固有粘度[η] 135℃、テトラリンに重合体を融解し、粘度計により
測定した。
【0055】(5)冷キシレン可溶成分 米国のCode of federal regula
tions,Foodand Drugs Admin
istrationの§175.1520に規定された
方法に従って、測定した。
【0056】(6)揮発成分量(VM) 減量法またはガスクロマトグラフィー法を用いて測定し
た。 (6−1)減量法 予備重合触媒の揮発成分量が約1重量%以上である場合
には、減量法を採用した。減量法では、加熱前の予備重
合触媒の質量と不活性ガス雰囲気下において110℃で
1時間加熱した後の予備重合触媒の質量の差(減量)を
求め、加熱前の予備重合触媒の質量に対する加熱後の予
備重合触媒の質量の割合として算出した。
【0057】(6−2)ガスクロマトグラフィー法 予備重合触媒の揮発成分量が約1重量%以下である場合
には、ガスクロマトフィー法を採用した。ガスクロマト
フィー法では、予備重合触媒から炭化水素などの揮発成
分を抽出し、予め内部標準法に従って作成された検量線
を用いて、ガスクロマトグラフィーの面積から予備重合
触媒に対する割合として算出した。
【0058】(7)重量平均粒径 固体触媒成分Aの重量平均粒径は、超遠心式自動粒度分
布測定装置(堀場製作所CAPA−700)を用いて測
定した。触媒成分の分散媒体としてはデカヒドロナフタ
リンを用いた。また予備重合触媒の重量平均粒径は、S
YMPATEC社レーザー回折式粒度分布測定装置HE
LOS&RODOSシステムを用いて測定した。
【0059】実施例における飛散率の評価方法を以下に
示した。尚、飛散率は運転状態を示すものであり、飛散
率が低いほど運転状態が安定していることを示し、飛散
率が高いほど運転状態が不安定であることを示す。 (8)飛散率 気相流動床反応装置において循環ガスのリサイクルライ
ンの途中に設置されたサイクロンによって捕集された予
備重合触媒及び製品パウダーの量を飛散量と規定した。
また単位時間あたりの飛散量を単位時間あたりの生産量
で割ったものに100を乗じたものを、飛散率と規定
し、単位は重量%で与えた。この飛散率により、気相重
合時に、循環ガスに同伴されて、流動層外へ飛散する予
備重合触媒及び製品パウダーの量を評価した。
【0060】実施例1 (1)固体触媒成分(A1)の合成 撹拌機を備えた内容積200LのSUS製の反応槽を窒
素で置換した後、ヘキサン80L、テトラエトキシシラ
ン20.6kg、テトラブトキシチタン2.23kgを
投入し、20℃とした。次にブチルマグネシウムクロリ
ド(ジブチルエーテル溶媒2.0mol/L)50Lを
温度を20℃に保ちながら4時間かけて攪拌下で滴下し
た。この時の攪拌の回転数は200rpmであった。滴
下終了後、更に20℃で1時間撹拌した後、濾過、トル
エン70Lで3回洗浄を繰り返した後、トルエン63
L、四塩化珪素(SiCl4)11.6kg、ジ(2-エ
チルヘキシル)フタレート(以下、DOPと略すことが
ある。)9.37kgを加え、105℃にて2時間反応
を行った。
【0061】その後、濾過、トルエン90Lで3回洗浄
を行った後、トルエン63Lを加え、70℃に昇温し、
TiCl4 13.0kgを投入し、105℃で2時間
反応を行った。その後、固液分離し、95℃にてトルエ
ン90Lでの洗浄を6回、室温にてヘキサン90Lでの
洗浄を2回行い、乾燥して粉体性状に優れた固体触媒成
分(A1)13.7kgを得た。得られた固体触媒成分
(A1)は、Tiを1.02重量%を含有しており、そ
の重量平均粒径は21μmであった。
【0062】(2)予備重合 撹拌機を備えた内容積210Lのオートクレーブを窒素
で置換した後、上述の合成によって得られた固体触媒成
分(A1)を常温で1.51kg投入した後にブタン1
00L、トリエチルアルミ(以下TEAと略すことがあ
る。)を固体触媒成分(A1)中のTiに対して5倍モ
ルのAl量(Al/Ti=5)で加えた。ブタン投入後
の槽内圧は0.18MPaGで、次に水素を槽内圧が
1.28MPaGになるまで加えたあとに、温度を40
℃に設定して昇温を開始した。また昇温と同時にエチレ
ンの供給を開始した。昇温終了後は平均温度39.7
℃、平均圧力1.81MPaGで重合を進行させた。エ
チレンの供給を開始後7.4時間で停止し、反応を停止
した。その後ブタンをフラッシュし、N2乾燥を3時間
行い予備重合触媒(1)29.2kgを得た。この時、
反応器からの予備重合触媒(1)の抜き出しもスムーズ
であった。
【0063】得られた予備重合触媒(1)はN2雰囲気
下で36メッシュの金網を用いて分級を実施し粗粒品
(塊化物)を除去した。分級後に篩網の上部から回収さ
れた粗粒品の割合は全回収量の1.2重量%であり、少
ないものであった。得られた予備重合触媒(1)に含ま
れるアルミニウムとチタンの比(Al/Ti)は5であ
り、予備重合体の固体触媒成分(A1)に対する質量比
(予備重合体/固体触媒成分)が11.3g/gであ
り、予備重合触媒(1)の揮発成分量は0.42重量%
であり、固有粘度[η]は1.46dl/gであり、嵩密
度は0.390g/cm3であり、その重量平均粒径は
55μmであった。
【0064】(3)本重合方法 上記予備重合触媒(1)を用いて、連続式の気相流動床
式反応器を使用してエチレンと1―ブテンの共重合を反
応器内温度89℃、反応器内圧力2.0MPaG、反応
器内のガス流速は34cm/sで、ガス組成比(エチレ
ン/1−ブテン/水素のモル比)を64/26/10と
し、固体触媒成分(A1)を0.83g/hの供給速度
で気流輸送し、TEAを固体触媒成分(A1)中のTi
に対して408倍molで供給して重合した。
【0065】その結果、触媒活性(固体触媒成分(A
1)1g当たりの生成重合体の質量:重合体/触媒(g
/g))は平均滞留時間3.6時間で27000g/g
であり、得られたエチレン−1−ブテン共重合体の密度
は0.921g/cm3、MFRは1.01g/10
分、冷キシレン可溶成分は4.3重量%、嵩密度が0.
403g/cm3であった。得られたエチレン−1−ブ
テン共重合体の嵩密度が高く、冷キシレン可溶分が少な
く、飛散率は0.13重量%であった。また気相流動床
式反応器の槽内に塊化物の発生はなかった。
【0066】実施例2 実施例1における固体触媒成分(A1)の合成におい
て、ブチルマグネシウムクロリドを滴下する時の温度を
5℃に、滴下終了後の撹拌温度と時間を5℃で1時間、
更に20℃で1時間に、また攪拌回転数を220rpm
に変更した以外は実施例1と同様にして粒径28μmの
固体触媒成分(A2)を得た。この粒径28μmの固体
触媒成分(A2)を用いた予備重合において、TEAの
投入量をAl量で固体触媒成分(A2)中のTiに対し
て6倍モル(Al/Ti=6)に、ブタン投入後の槽内
圧を0.38MPaGに、ブタン投入後に水素を投入し
て昇圧した後の槽内圧を1.38MPaGに変更した以
外は実施例1と同様にして、予備重合を行い、予備重合
触媒(2)17.4kgを得た。この時、反応器からの
予備重合触媒(2)の抜き出しもスムーズであった。
【0067】上記で得られた予備重合触媒(2)に含ま
れるアルミニウムとチタンの比(Al/Ti)は6であ
り、予備重合触媒(2)の固体触媒成分(A2)に対す
る質量比(予備重合体/固体触媒成分)は10.5g/
gであり、予備重合触媒(2)の揮発成分量は0.28
重量%であり、固有粘度[η]は1.36dl/gであ
り、嵩密度は0.364g/cm3であり、重量平均粒
径は69μmであった。
【0068】上記の予備重合触媒(2)を用いて実施例
1と同様に気相重合を実施した。その結果、触媒活性は
平均滞留時間3.4時間で24200g/gであり、得
られたエチレン−1―ブテン共重合体の密度は0.92
04g/cm3、MFRは0.94g/10分、冷キシ
レン可溶分は4.1重量%、嵩密度は0.362g/c
3であった。また飛散率は0.16重量%であった。
【0069】実施例3 実施例1における固体触媒成分(A1)の合成におい
て、ブチルマグネシウムクロリドを滴下する時の温度を
5℃に、滴下終了後の撹拌温度と時間を5℃で1時間、
更に20℃で1時間に、また攪拌回転数を140rpm
に変更した以外は実施例1と同様にして粒径41μmの
固体触媒成分(A3)を得た。この粒径41μmの固体
触媒成分(A3)を用いた予備重合において、TEAの
投入量をAl量で固体触媒成分(A3)中のTiに対し
て6倍モル(Al/Ti=6)に、ブタン投入後の槽内
圧を0.04MPaGに、ブタン投入後に水素を投入し
て昇圧した後の槽内圧を1.04MPaGに変更した以
外は実施例1と同様にして、予備重合を行い、予備重合
触媒(3)29.0kgを得た。この時、反応器からの
予備重合触媒(3)の抜き出しもスムーズであった。
【0070】上記で得られた予備重合触媒(3)に含ま
れるアルミニウムとチタンの比(Al/Ti)は6であ
り、予備重合触媒(3)の固体触媒成分(A3)に対す
る質量比(予備重合体/固体触媒成分)は18.3g/
gであり、予備重合触媒(3)の揮発成分量は0.34
重量%であり、固有粘度[η]は1.69dl/gであ
り、嵩密度は0.361g/cm3であり、重量平均粒
径は111μmであった。
【0071】上記の予備重合触媒(3)を用いて実施例
1と同様に気相重合を実施した。その結果、触媒活性は
平均滞留時間3.8時間で17400g/gであり、得
られたエチレン−1―ブテン共重合体の密度は0.92
04g/cm3、MFRは0.97g/10分、冷キシ
レン可溶分は4.6重量%、嵩密度は0.319g/c
3であった。また飛散率は0.45重量%であった。
【0072】比較例1 実施例1における固体触媒成分(A1)の合成におい
て、ブチルマグネシウムクロリドの滴下する時の温度を
5℃に、滴下終了後の撹拌温度と時間を5℃で1時間、
更に20℃で1時間に、また攪拌回転数を120rpm
に変更した以外は実施例1と同様にして粒径45μmの
固体触媒成分(A4)を得た。この粒径45μmの固体
触媒成分(A4)を用いた予備重合において、TEAの
投入量をAl量で固体触媒成分(A4)中のTiに対し
て2倍モル(Al/Ti=2)に、ブタン投入後の槽内
圧を0.15MPaGに、ブタン投入後に水素を投入し
て昇圧した後の槽内圧を0.55MPaGに変更した以
外は実施例1と同様にして、予備重合を行った。その結
果、予備重合槽から予備重合触媒(4)の抜き出し不良
が発生した。
【0073】上記で得られた予備重合触媒(4)に含ま
れるアルミニウムとチタンの比(Al/Ti)は2であ
り、予備重合触媒(4)の固体触媒成分に対する質量比
(予備重合体/固体触媒成分)は18.7g/gであ
り、予備重合触媒(4)の揮発成分量は0.38重量%
であり、固有粘度[η]は2.99dl/gであり、嵩密
度は0.333g/cm3であり、重量平均粒径は12
9μmであった。
【0074】比較例2 実施例1における固体触媒成分(A1)の合成におい
て、ブチルマグネシウムクロリドを滴下する時の温度を
5℃に、滴下終了後の撹拌温度と時間を5℃で1時間、
更に20℃で1時間に、また攪拌回転数を120rpm
に変更した以外は実施例1と同様にして粒径44μmの
固体触媒成分(A5)を得た。この粒径44μmの固体
触媒成分(A5)を用いた予備重合において、TEAの
投入量をAl量で固体触媒成分(A5)中のTiに対し
て7.5倍モル(Al/Ti=7.5)に、ブタン投入
後の槽内圧を0.26MPaGに、ブタン投入後に水素
を投入して昇圧した後の槽内圧を1.16MPaGに変
更した以外は実施例1と同様にして、予備重合を行い、
また、N2乾燥時間を0.5時間とし、実施例1におけ
るN2乾燥時間より短くして、予備重合触媒(5)28
kgを得た。
【0075】上記で得られた予備重合触媒(5)に含ま
れるアルミニウムとチタンの比(Al/Ti)は7.5
であり、予備重合触媒(5)の固体触媒成分(A5)に
対する質量比(予備重合体/固体触媒成分)は18.7
g/gであり、予備重合触媒(5)の揮発成分量は2.
5重量%であり、固有粘度[η]は1.03dl/gであ
り、嵩密度は0.378g/cm3であり、重量平均粒
径は143μmであった。この予備重合触媒(5)を用
いて気相重合の実施を試みたところ、予備重合触媒
(5)の流動性が悪く、予備重合触媒(5)の供給不良
が起こり気相重合の実施が出来なかった。
【0076】比較例3 実施例1における固体触媒成分(A1)の合成におい
て、ブチルマグネシウムクロリドを滴下する時の温度を
5℃に、滴下終了後の撹拌温度と時間を5℃で1時間、
更に20℃で1時間に、また攪拌回転数を100rpm
に変更した以外は実施例1と同様にして粒径47μmの
固体触媒成分(A6)を得た。この粒径47μmの固体
触媒成分(A6)を用いた予備重合において、TEAの
投入量をAl量で固体触媒成分(A6)中のTiに対し
て12倍モル(Al/Ti=12)に、ブタン投入後の
槽内圧を0.22MPaGに、ブタン投入後に水素を投
入して昇圧した後の槽内圧を1.22MPaGに変更し
た以外は実施例1と同様にして、予備重合を行い、予備
重合触媒(6)28.1kgを得た。
【0077】上記で得られた予備重合触媒(6)に含ま
れるアルミニウムとチタンの比(Al/Ti)は12で
あり、予備重合触媒(6)の固体触媒成分(A6)に対
する質量比(予備重合体/固体触媒成分)は17.7g
/gであり、予備重合触媒(6)の揮発成分量は0.3
5重量%であり、固有粘度[η]は1.40dl/gであ
り、嵩密度は0.374g/cm3であり、重量平均粒
径は131μmであった。
【0078】上記の予備重合触媒(6)を用いて実施例
1と同様に気相重合を実施した。その結果、触媒活性は
平均滞留時間4時間で21500g/gであり、得られ
たエチレン−1―ブテン共重合体の密度は0.922g
/cm3、MFRは1.04g/10分、冷キシレン可
溶分は5.5重量%、嵩密度は0.309g/cm3
あった。また飛散率は0.37重量%であった。
【0079】実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた
予備重合触媒の結果を表1に示し、また、その予備重合
触媒を用いて実施した気相重合における触媒活性、得ら
れたエチレン−1−ブテン共重合体の物性及び運転時に
おける飛散率を表2に示した。
【0080】本発明の要件を満足する実施例1〜3に記
載された発明は、気相重合において活性が高く、予備重
合時に塊、粗粒の発生が少なく、嵩密度が高く流動性に
優れ、また、気相重合時に流動層外への予備重合触媒及
び製品であるオレフィン重合体のパウダーの飛散が少な
く、塊の発生がほとんどなく、冷キシレン可溶成分が少
ないオレフィン重合体を与えるオレフィンの気相重合用
予備重合触媒及びその製造方法である。
【0081】これに対して、比較例1は本発明の要件で
ある予備重合触媒の固有粘度[η]を満たさないため
に、予備重合層から予備重合触媒の抜き出しが不良であ
り、比較例2は本発明の要件である予備重合触媒の揮発
成分を満たさないために、予備重合触媒の流動性が悪
く、予備重合触媒の供給が不良であり、比較例3は本発
明の要件である固体触媒成分の重量平均粒径及びAl/
Ti比を満たさないため、得られたエチレン−1−ブテ
ン共重合体の冷キシレン可溶成分が多いものであった。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、気相重合において活性
が高く、予備重合時に塊、粗粒の発生が少なく、嵩密度
が高く流動性に優れ、また、気相重合時に流動層外への
予備重合触媒及び製品パウダーの飛散が少なく、塊の発
生がほとんどなく、冷キシレン可溶成分が少ないオレフ
ィン重合体を与えるオレフィンの気相重合用予備重合触
媒を製造することができ、その予備重合触媒を用いて冷
キシレン可溶成分が少ないオレフィン重合体を製造する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊本 伸一 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内 Fターム(参考) 4J028 AA01A AA02A AB01A AB02A AC06A AC07A BA00A BA01A BA01B BA02B BB00A BB01B BB02B BC06A BC15B BC33A BC34A CB27A CB28A CB43A CB44A CB92A DA01 DA02 DA03 DA04 DA05 EB02 EB03 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 FA04 GA04 GA08 GA09 GA21 GA26 GB03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウム、ハロゲン、チタン及び電子
    供与体を含み重量平均粒径が15〜45μmである固体
    触媒成分(A)、少なくとも1種類の有機アルミニウム
    化合物(B)及びエチレン及び/またはα−オレフィン
    の予備重合体(C)からなるオレフィンの気相重合用予
    備重合触媒であって、該予備重合触媒に含まれるアルミ
    ニウムとチタンの比(Al/Ti比)が3〜11(mo
    l/mol)、予備重合触媒と固体触媒成分の比(予備
    重合触媒/固体触媒成分)が2〜35(g/g)、該予
    備重合触媒の揮発成分量(VM)が2.0重量%以下で
    あり、かつ135℃テトラリン中で測定した固有粘度
    [η]が2.0dl/g以下であることを特徴とするオ
    レフィンの気相重合用予備重合触媒。
  2. 【請求項2】予備重合触媒の重量平均粒径が15〜75
    μmであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィ
    ンの気相重合用予備重合触媒。
  3. 【請求項3】固体触媒成分(A)の重量平均粒径が20
    〜35μmであることを特徴とする請求項1に記載のオ
    レフィンの気相重合用予備重合触媒。
  4. 【請求項4】予備重合触媒と固体触媒成分の比(予備重
    合触媒/固体触媒成分)が4〜25(g/g)であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの気相重合
    用予備重合触媒。
  5. 【請求項5】揮発成分量(VM)が0.5重量%以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの気
    相重合用予備重合触媒。
  6. 【請求項6】135℃テトラリン中で測定した固有粘度
    [η]が1.7dl/g以下であることを特徴とする請
    求項1に記載のオレフィンの気相重合用予備重合触媒。
  7. 【請求項7】アルミニウムとチタンの比(Al/Ti
    比)が4〜8(mol/mol)であることを特徴とす
    る請求項1に記載のオレフィンの気相重合用予備重合触
    媒。
  8. 【請求項8】固体触媒成分(A)が、マグネシウム、チ
    タンおよびハイドロカルビルオキシ基を含有する固体触
    媒成分前駆体に、第14族元素のハロゲン化合物と電子
    供与体とを接触させて得られる接触生成物に、さらにT
    i−ハロゲン結合を有する化合物を接触させて得られる
    ことを特徴とする請求項1に記載のオレフィンの気相重
    合用予備重合触媒。
  9. 【請求項9】固体触媒成分前駆体が、Si−O結合を有
    する有機ケイ素化合物の存在下に、一般式Ti(O
    1a4-a(式中、R1は炭素原子数が1〜20の炭化
    水素基を、Xはハロゲン原子を、aは0<a≦4を満足
    する数を表す。)で表されるチタン化合物を、有機マグ
    ネシウム化合物で還元して得られる3価のチタン原子を
    含有する固体生成物であり、第14族元素のハロゲン化
    合物が一般式SiR2 4-b b(式中、R2は炭素原子数が
    1〜20の炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。b
    は0<b≦4を満足する数を表す。)で表される化合物
    であり、電子供与体が、有機酸のエステル類またはエー
    テル類であることを特徴とする請求項8記載のオレフィ
    ンの気相重合用予備重合触媒。
  10. 【請求項10】マグネシウム、ハロゲン、チタン及び電
    子供与体を含み重量平均粒径が15〜45μmである固
    体触媒成分(A)と少なくとも1種類の有機アルミニウ
    ム化合物(B)を用いてエチレン及び/又はα−オレフ
    ィンを重合させることを特徴とする請求項1〜9のいず
    れかに記載のオレフィンの気相重合用予備重合触媒の製
    造方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜9のいずれかに記載の気相重
    合用予備重合触媒を使用して気相流動層によりオレフィ
    ンを重合させることを特徴とするオレフィン重合体の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011508037A (ja) * 2007-12-28 2011-03-10 バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ オレフィン類の重合用触媒成分

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