JP2001342198A - 組み換え型タンパク質の製造方法 - Google Patents

組み換え型タンパク質の製造方法

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JP2001342198A
JP2001342198A JP2001099706A JP2001099706A JP2001342198A JP 2001342198 A JP2001342198 A JP 2001342198A JP 2001099706 A JP2001099706 A JP 2001099706A JP 2001099706 A JP2001099706 A JP 2001099706A JP 2001342198 A JP2001342198 A JP 2001342198A
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JP2001099706A
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Takahisa Yamada
隆央 山田
Isamu Tsuji
勇 辻
Hideki Matsui
英起 松井
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】活性なタンパク質の製造方法の提供。 【解決手段】遺伝子工学的に原核細胞宿主中で発現させ
たタンパク質を、還元電位が−331mVより大きい還
元剤を約0.1mM〜約50mMの濃度で含有する溶液
を用いて抽出し、メルカプト基を有さないアミノ酸また
はその塩を含有する溶液中でリフォールディングするこ
とを特徴とする活性型タンパク質またはその塩の製造方
法など。 【効果】本発明の製造方法を用いることにより、原核細
胞中に発現した組み換え型タンパク質の不活性体を効率
よく活性化でき、上記のような作用を有する生物学的、
薬理学的に活性な組み換え型タンパク質を大量に調製で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子組み換え技
術を用いて原核細胞中で発現させたタンパク質に対し
て、低濃度(約0.1mM〜約50mM、好ましくは約
0.1mM〜約10mM)の弱い還元剤(還元電位が−
331mVより大きい還元剤)の存在下での変性可溶
化、およびリフォールデイング操作を施すことにより、
生物学的に活性な組み換え型タンパク質を効率的に製造
する方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】多細胞生物は、その恒常性を保つために
細胞の増殖と死を巧妙にコントロールしている。個体発
生の過程では、多くの細胞が細胞死によって除去され、
また、成体においても臓器、組織を構成する細胞は常に
増殖と死のバランスを保ちながら、その機能を維持して
いる。こうした際の細胞死は、予め予定された死、"Pro
grammed Cell Death"であるとされており、物理的・化
学的要因で不慮に起こる細胞死であるネクローシス(Ne
crosis、壊死)とは形態学的に明確に区別されたアポト
ーシス(Apoptosis)の過程を経て起こることが知られ
ている。これまでにアポトーシスが関与する多くの生理
的、病理的現象が明らかにされてきており、細胞のアポ
トーシスを誘導あるいは抑制することにより、各種疾患
の診断、予防および治療を図る試みも盛んに行われてい
る(サイエンス(SCIENCE)267, 1456-1462, 1995)。
アポトーシスは当業界で特に注目されている生命現象の
一つである。
【0003】アポトーシスは種々の生理的条件下で誘導
されるが、中でもFas抗原(CD95,APO−1)
は免疫系の細胞に死を誘導する分子として近年注目を集
めている(サイエンス(SCIENCE)267, 1449-1456, 199
5)。Fas抗原は分子量45kDaのTNF(腫瘍細
胞壊死因子,tumor necrosis factor)レセプターファ
ミリーに属するI型膜タンパク質であり、Fasリガン
ドと結合することにより、細胞死を誘導する。Fas抗
原の発現が各種血球系細胞や、肝臓、心臓、小腸など多
くの組織や細胞で見られるのに対して、分子量40kD
aのII型膜タンパク質であるFasリガンドの発現は活
性化Tリンパ球やナチュラルキラー(NK)細胞、マク
ロファージ、精巣、角膜などに限られる。最近、マウス
における遺伝子の解析から、Fas抗原遺伝子は、lp
r(lymphoproliferation)マウスと呼ばれる自己免疫
疾患発症マウスにおいて変異が起きているlpr構造遺
伝子そのものであること、またlprマウスと同様の症
状を呈するgld(generalized-lymphoproliferative
disease)マウスではFasリガンドに変異が起きてい
ることが明らかにされた。ヒトにおいてもFas抗原遺
伝子に変異を有する自己免疫疾患患者が報告されてお
り、Fas/Fasリガンド系の機能不全が自己免疫疾
患を惹起することが強く示唆されている(サイエンス
(SCIENCE)268,1347-1349, 1995)。
【0004】また、ヒトFasリガンドの大部分がマト
リックスメタロプロテイナーゼ(matrix metalloprotei
nase)により切断され、可溶型Fasリガンドとして遊
離されることが判明し、Fasリガンドが細胞間の接触
による相互作用だけでなく、より広範に免疫応答を調節
している可能性も示唆されている(ジャーナル・オブ・
エクスペリメンタル・メディシン(JOURNAL OF EXPERIM
ENTAL MEDICINE)182,1777-1783, 1995)。Fasリガ
ンド以外にも、多彩な生物活性を有するTNFファミリ
ーに属するタンパク質の中で、TNF−α、リンホトキ
シン−α(Lymphotoxin−α、LT−α)およびリンホ
トキシン−β(Lymphotoxin−β、LT−β)にアポト
ーシスを誘導する活性があることが報告されている(ザ
・ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシ
ン(THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE)334, 1717
-1725, 1996)。またごく最近、Fasリガンド様タン
パク質として、TL4がHuman Genome Science社から報
告された(Immunity 8 21-30, 1998)。TL4は配列表
(配列番号:1)に示すように、アミノ酸240残基から
構成されるタンパク質で、N末端に37残基のcytoplas
mic tail、22残基のtransmembrane領域を含んでい
る。C末端側のreceptor binding領域(150残基)は、 F
asL、TNF−α、LT、 CD40L、TRAIL
などと各々、25−35%のホモロジーがあり、やはり
可溶型リガンドとして遊離し薬理作用を示すと考えられ
る。また、TL4に対するレセプターは、TNFRファ
ミリーのHVEM(herpes virus entry mediator)およ
びLTβRであり、soluble decoy receptorとしてTR6/
DcR3が存在する。TL4の生理作用として最近、 HV
EMおよびLTβRを発現している癌細胞に対してアポ
トーシスをもたらすことが分かり、抗ガン剤としての可
能性が注目されている(J. Clin. Invest. 102 1142-11
51, 1998; WO 98/03648号)。また、TL4は活性化P
BL細胞に対して、IFNγの発現分泌を促進すること
から免疫調節剤としての機能も有すると考えられる。さ
らにごく最近、TL4の正常ヒト肝実質細胞に対するDN
A合成促進作用が見いだされたことから、肝臓機能調節
剤としても有用である(特願2000-014044号)。
【0005】一般に生体内に微量にしか存在しない生理
活性タンパク質の薬理薬効作用について検討を行う場
合、組み換え型として多量発現させ純化するのが常套手
段となっている。Fasリガンド様タンパク質であるT
L4の場合においても、CHO細胞などを用いた動物細
胞発現系やSf-9細胞などを用いた昆虫細胞発現系を利用
して、活性型TL4の分泌発現が認められた。ただ、こ
れらの真核細胞の培養は効率的でなく、しかも組み換え
型タンパク質の発現量もそう高くはなく、生理活性タン
パク質の工業的規模での製造法として問題も数多い。一
方、大腸菌などの原核細胞を宿主として用いた場合、か
なりの確率で組み換え型タンパク質の高発現が期待でき
る。この場合、多量に生産された組み換え型タンパク質
は大腸菌内で封入体とよばれる不溶性の顆粒を形成し、
変性した還元型として存在する。従って、封入体から組
み換え型タンパク質を取得するためには、塩酸グアニジ
ンなどのタンパク変性剤で変性抽出を行った後、リフォ
ールディングとよばれる操作でポリペプチド鎖を巻き戻
し、活性型のコンフォメーションを賦与する必要があ
る。事実、このような手法を駆使して、成長ホルモンや
インターロイキン-2などが大腸菌から生産され、医薬
品として製造販売されている。ただ、このリフォールデ
ィング操作は、個々のタンパク質の性質によって、難易
度に幅がある。特に、システイン残基を多数含有する
(従って、多数のジスルフィド結合を形成する)タンパク
質の場合は、そう簡単ではないことはよく知られてい
る。実際、特開平4−218387号や特開平9−12
1886号においては、目的蛋白抽出時に強還元剤であ
るDTTを用いているが、リファールディング操作前に
透析、ゲルろ過等により、還元剤を除去する必要があ
る。また、Journal ofEndocrinology(1997) 153, 139-1
50では、目的蛋白抽出時にシステインを添加している
が、該方法が生理活性タンパク質の工業的規模での製造
法として適するか否かは不明である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】Fasリガンド様タン
パク質であるTL4の場合、システインは2残基で一対
のジスルフィド結合を形成するだけであるが、大腸菌で
組み換え型として発現させた場合、これら通常のリフォ
ールディング条件では、活性型のコンフォメーションを
有するTL4を効率よく取得することは不可能であっ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
欠点を解決すべく、原核細胞の高生産性を利用すると共
に、効率的な活性化方法(再生方法)を提供すべく鋭意
研究を重ねた。その結果、遺伝子組み換え型タンパク質
を原核細胞において発現後、活性化する方法において、
抽出時の低濃度での還元剤添加とリフォールディング時
のアミノ酸添加を組み合わせることにより、予想外にも
飛躍的に組み換え型タンパク質の収量が上昇することを
Fasリガンド様タンパク質であるTL4を具体例とし
て見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明
は、遺伝子工学的に原核細胞宿主中で発現させたタンパ
ク質に対して、抽出時の低濃度での還元剤添加およびリ
フォールデイング時のアミノ酸添加、を施すことを特徴
とする組み換え型タンパク質またはその塩の効率的な製
造方法に関するものである。具体的には、本発明は、
(1)遺伝子工学的に原核細胞宿主中で発現させたタン
パク質を、還元電位が−331mVより大きい還元剤を
約0.1mM〜約50mMの濃度で含有する溶液を用い
て抽出し、メルカプト基を有さないアミノ酸またはその
塩を含有する溶液中でリフォールディングすることを特
徴とする活性型タンパク質またはその塩の製造方法、
(2)メルカプト基を有さないアミノ酸またはその塩
および還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオ
ン、システインおよびシスチン、またはシステアミンお
よびシスタミンを含有する溶液中でリフォールディング
することを特徴とする上記(1)記載の製造方法、
(3)タンパク質がFasリガンド様タンパク質である
上記(1)記載の製造方法、(4)Fasリガンド様タ
ンパク質がTL4である上記(3)記載の製造方法、
(5)還元剤がメルカプト基を有する化合物である上記
(1)記載の製造方法、(6)メルカプト基を有する化
合物が2−メルカプトエタノールまたはシステアミンで
ある上記(5)記載の製造方法、(7)メルカプト基を
有さないアミノ酸がアルギニンである上記(1)記載の
製造方法、および(8)タンパク質を遺伝子工学的に原
核細胞宿主中で発現させ、還元電位が−331mVより
大きい還元剤を約0.1mM〜約50mMの濃度で含有
し、かつタンパク変性剤を含む溶液を用いて該タンパク
質を該細胞から抽出・可溶化し、ついでメルカプト基を
有さないアミノ酸またはその塩を含有するリフォールデ
イング溶液で変性剤を不作用濃度まで希釈することを特
徴とする上記(1)記載の製造方法などを提供するもの
である。
【0008】本発明の実施例で用いられるFasリガン
ド様タンパク質は、公知のFasリガンドやTNFαな
どと同様の作用を有するものであって、哺乳動物由来の
Fasリガンド様タンパク質や、そのN末端にMetが
付加されたタンパク質等があげられ、中でも配列番号:
1または配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含有す
るタンパク質またはその部分ペプチド、特に配列番号:
1で表されるアミノ酸配列のN末端から第84(Il
e)〜第240(Val)番目の部分アミノ酸配列また
は配列番号:4で表されるアミノ酸配列のN末端から第
81(Leu)〜第239(Val)番目の部分アミノ
酸配列を含有する可溶型ヒトTL4または可溶型マウス
TL4およびそれらのN末端にMetが付加されたタン
パク質が好ましい。さらには、配列番号:1で表される
アミノ酸配列のN末端から第84(Ile)〜第240
(Val)番目の部分アミノ酸配列または配列番号:4
で表されるアミノ酸配列のN末端から第81(Leu)
〜第239(Val)番目の部分アミノ酸配列を含有す
る可溶型ヒトTL4または可溶型マウスTL4と同様の
作用を有する限り、そのN末端もしくはC末端の欠損型
ムテインや逆にN末端もしくはC末端が伸展したムテイ
ン、配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から
第84(Ile)〜第240(Val)番目の部分アミ
ノ酸配列または配列番号:4で表されるアミノ酸配列の
N末端から第81(Leu)〜第239(Val)番目
の部分アミノ酸配列中の特定のアミノ酸残基を置換した
ムテイン等があげられる。また、本明細書において、F
asリガンド様タンパク質とは、WO98/03648号、WO97/3
4911号、US Patent No. 5,874,240号などに記載のタン
パク質をも包含する意味で用いられる。本明細書におい
てタンパク質の塩としては、塩酸、臭化水素、硝酸、硫
酸、リン酸等の無機酸との塩、酢酸、フタル酸、フマー
ル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との
塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カ
ルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等
の薬学的に許容されうる塩や水和物等があげられる。
【0009】本発明で用いられる原核細胞としては、Es
cherichia coli(大腸菌)等のエシェリヒア属菌、Baci
llus subtilis(枯草菌)等のバチルス属菌、Serratia
marcescens(セラチア)等のセラチア属菌等があげら
れ、中でもEscherichia coli等が好ましい。これらの原
核細胞の形質転換、培養等は次に示す方法のほか、常法
(例えば、特開平3-204897号公報に記載の方法等)に準
じて行うこともできる。例えば、本発明の実施例で用い
られるFasリガンド様タンパク質をコードするcDN
Aを含有する発現型ベクターは、例えば、(i)Fas
リガンド様タンパク質産生細胞からメッセンジャーRN
A(mRNA)を分離し、(ii)該mRNAから単鎖の
cDNAを、次いで二重鎖DNAを合成し、(iii)該
相補DNAをファージまたはプラスミドに組み込み、
(iv)得られた組み換えファージまたはプラスミドで宿
主を形質転換し、(v)得られた形質転換体を培養後、
形質転換体から適当な方法、例えばFasリガンド様タ
ンパク質の一部をコードするDNAプローブとのハイブ
リダイゼーションにより、あるいは抗体を用いたイムノ
アッセイ法により目的とするDNAを含有するファージ
あるいはプラスミドを単離し、(vi)その組み換えDN
Aから目的とするクローン化DNAを切り出し、(vi
i)該クローン化DNAまたはその一部を発現ベクター
中のプロモーターの下流に連結する、ことにより製造す
ることができる。
【0010】cDNAを組み込むプラスミドとしては、
たとえば大腸菌由来のpBR322〔ジ−ン(Gene)、
2巻、95頁(1977年)〕、pBR325〔ジー
ン、4巻、121頁(1978年)〕、pUC12〔ジ
ーン、19巻、259頁(1982年)〕、pUC13
〔ジーン、19巻、259頁(1982年)〕、枯草菌
由来のpUB110〔バイオケミカル・バイオフィジカ
ル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochemical an
d Biophysical Research Communications)、112
巻、678頁(1983年)〕などがあげられるが、そ
の他のものであっても、宿主内で複製増殖されるもので
あれば、いずれを用いることもできる。またcDNAを
組み込むファージベクターとしては、たとえばλgt1
1〔ヤング及びデーヴィス(Young, R. and Davis,
R.)、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユー・エス・
エー(Proc. Natl. Acad. Sci.,U.S.A.)、80巻、1
194頁(1983年)〕などがあげられるが、その他
のものであっても宿主内で増殖できるものであれば用い
ることができる。プラスミドに組み込む方法としては、
たとえば、ティー・マニアティス(T. Maniatis)ら、モ
レキュラー・クローニング(Molecular Cloning) コー
ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spr
ing Harbor Laboratory)、239頁(1982年)に
記載の方法などがあげられる。またファージベクターに
cDNAを組み込む方法としては、たとえばヒューン
(Hyunh,T.V.)らの方法〔ディー・エヌ・エー・クローニ
ング、ア・プラクティカル・アプローチ(DNA Cloning,
A Practical Approach)1巻、49頁(1985
年)〕などがあげられる。
【0011】このようにして得られたプラスミドは、適
当な宿主たとえばエシェリヒア(Escherichia)属菌,
バチルス(Bacillus)属菌などに導入する。上記エシェ
リヒア属菌の例としては、エシェリヒア・コリ(Escher
ichia coli)K12DH1〔プロシージング・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A.)60巻、160頁(196
8年)〕、JM103〔ヌクレイック・アシッズ・リサー
チ(Nucleic Acids Research)、9巻、309頁(19
81年)〕、JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュ
ラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕、120巻、517頁(1978年)〕、HB1
01〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジ
ー、41巻、459頁(1969年)〕、C600〔ジ
ェネティックス(Genetics)、39巻、440頁(19
54年)〕、MM294〔ネイチャー(Nature)、21
7巻、1110頁(1968年)〕などがあげられる。
上記バチルス属菌としては、たとえばバチルス・サチリ
ス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン、24
巻、255頁(1983年)〕、207−21〔ジャー
ナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochem
istry)95巻、87頁(1984年)〕などがあげら
れる。プラスミドで宿主を形質転換する方法としては、
たとえばティー・マニアティス(T.Maniatis)ら,モレ
キュラー・クローニング(Molecular Cloning)、コー
ルド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spr
ing Harbor Laboratory)、249頁(1982年)に
記載のカルシウムクロライド法あるいはカルシウムクロ
ライド/ルビジウムクロライド法などがあげられる。ま
たファージ・ベクターを用いる場合には、たとえば増殖
させた大腸菌にインビトロパッケージング法を用いて導
入することができる。
【0012】このようにしてクローン化されたFasリ
ガンド様タンパク質をコードするcDNAは必要があれ
ばプラスミド、例えばpBR322、pUC12、pU
C13、pUC18、pUC19、pUC118、pU
C119などにサブクローニングすることができる。こ
のようにして得られたcDNAの塩基配列を、たとえば
マキサム・ギルバート(Maxam-Gilbert)法〔Maxam, A.
M. and Gilbert, W.、プロシーディングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・
ザ・ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sci.,U.S.
A.)、74巻、560頁(1977年)〕あるいはジデ
オキシ法〔Messing, J.ら、ヌクレイック・アシッズ・
リサーチ(Nucleic Acids Research)9巻、309頁
(1981年)〕によって決定し、既知のアミノ酸配列
との比較からFasリガンド様タンパク質のcDNAの
存在を確認できる。上記のようにして、本発明の実施例
で用いられるFasリガンド様タンパク質をコードする
cDNAが得られる。上記のようにしてクローン化され
たFasリガンド様タンパク質をコードするcDNAは
目的によりそのまま、または所望により制限酵素やエキ
ソヌクレアーゼで消化して使用することが出来る。
【0013】次に、クローン化されたcDNAから発現
させたい領域を切り出し、発現に適したビークル(ベク
ター)中のプロモーターの下流に連結して発現型ベクタ
ーを得ることができる。該cDNAはその5’末端に翻
訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端には
翻訳終止コドンとしてのTAA,TGAまたはTAGを
有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止
コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加す
ることもできる。さらに該DNAを発現させるにはその
上流にプロモーターを接続する。ベクターとしては、上
記の大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pB
R325,pUC12,pUC13),枯草菌由来プラ
スミド(例、pUB110,pTP5,pC194)な
どがあげられる。
【0014】本発明で用いられるプロモーターとして
は、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモ
ーターであればいかなるものでもよい。形質転換する際
の宿主がエシェリキア属菌である場合は、T7プロモー
ター,trpプロモーター,lacプロモーター,re
cAプロモーター,λPLプロモーター,lppプロモ
ーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SP
O1プロモーター,SPO2プロモーター,penPプ
ロモーターなどが好ましい。とりわけ宿主がエシェリキ
ア属菌でプロモーターがT7プロモーター,trpプロ
モーターまたはλPLプロモーターであることが好まし
い。なお、発現にエンハンサーの利用も効果的である。
このようにして構築されたFasリガンド様タンパク質
をコードするcDNAを含有するベクターを用いて、原
核細胞の形質転換体を製造する。
【0015】上記エシェリキア属菌を形質転換するに
は、たとえばプロシージング・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA)、69巻、2110頁(1972年)やジーン(Ge
ne)、17巻、107頁(1982年)などに記載の方
法に従って行なわれる。バチルス属菌を形質転換するに
は、たとえばモレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェ
ネティックス(Molecular & General Genetics)、16
8巻、111頁(1979年)などに記載の方法に従っ
て行われる。このようにして、 Fasリガンド様タン
パク質をコードするcDNAを含有する発現ベクターで
形質転換された原核細胞の形質転換体が得られる。宿主
としてエシェリヒア属菌を、プロモーターとしてT7プ
ロモーターを用いる場合、T7プロモーターの発現効率
の向上を目的として、 Fasリガンド様タンパク質を
コードするcDNAを含有する発現ベクターに加え、T
7リゾチーム発現プラスミドを共存させてもよい。
【0016】宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌で
ある形質転換体を培養する際、培養に使用される培地と
しては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体
の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せ
しめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デ
キストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源として
は、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチ
ープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆
粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機
物としてはたとえば塩化カルシウム、リン酸二水素ナト
リウム、塩化マグネシウムなどがあげられる。また、酵
母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加しても
よい。培地のpHは約5〜8が望ましい。エシェリヒア
属菌を培養する際の培地としては、例えばグルコース、
カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller)、ジャー
ナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェ
ネティックス(Journal of Experiments in Molecular
Genetics)、431−433頁、Cold Spring Harbor L
aboratory, New York 1972〕、LB培地等が好ましい。
ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるため
に、たとえばイソプロピル−β−D−チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)、3β−インドリルアクリル酸のよ
うな薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒア属
菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間
行い、必要により、通気や攪拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃
で約6〜24時間行ない、必要により通気や攪拌を加え
ることもできる。
【0017】組み換え型タンパク質が宿主原核細胞中で
封入体を形成する場合には、培養後、遠心分離等の方法
により集菌した後、細胞を破砕し、封入体を変性剤を用
いて可溶化することによって、組み換え型タンパク質を
抽出することができる。細胞の破砕は、常法で、たとえ
ば超音波処理により実施できる。懸濁媒体として中性付
近のpH値(pH6.5〜7.5)に調整した好適な緩
衝液(例えばリン酸緩衝液等)を用いることが好まし
い。この際、細胞の破砕を促進させるためEDTAを添
加してもよい。このようにして細胞を破砕した後に、不
溶成分(封入体)を任意の方法で、遠心分離するか、濾
過することにより分取する。原核細胞由来の蛋白質をで
きる限り除去するため、たとえば水、リン酸緩衝液を用
いて洗浄することが好ましいが、場合により4M程度の
尿素で洗浄してもよい。得られた沈殿(ペレット)を変
性剤を用いて可溶化する際の変性剤としては、公知の変
性剤、特にグアニジンまたは尿素等を使用することがで
きる。変性剤は通常水溶液として用いられ、水溶液中の
変性剤の濃度は、グアニジンでは1〜8モル/リット
ル、好ましくは約3〜6モル/リットル、尿素では5〜
9モル/リットル、好ましくは約8モル/リットルであ
る。グアニジンは通常グアニジン塩酸塩等のグアニジン
の酸付加塩として用いられる。
【0018】組み換え型タンパク質が宿主原核細胞中で
封入体を形成しない場合には、培養後、遠心分離等の方
法により集菌した後、細胞を変性剤を用いて可溶化する
か、あるいは細胞を破砕後変性剤で可溶化することによ
って組み換え型タンパク質を抽出することができる。集
菌した細胞の可溶化に用いられる変性剤としては、例え
ばグアニジンなどがあげられる。変性剤は通常水溶液と
して用いられ、水溶液中の変性剤の濃度は、グアニジン
では通常1〜8モル/リットル、好ましくは約3〜6モ
ル/リットルである。グアニジンは通常グアニジン塩酸
塩等のグアニジンの酸付加塩として用いられる。細胞の
破砕は、常法で、たとえば超音波処理、フレンチ・プレ
スにより実施できる。破砕された細胞の可溶化に用いら
れる変性剤としては、公知の変性剤、特にグアニジンま
たは尿素を使用することができる。変性剤は通常水溶液
として用いられ、水溶液中の変性剤の濃度は、グアニジ
ンでは1〜8モル/リットル、好ましくは約3〜6モル
/リットル、尿素では5〜9モル/リットル、好ましく
は約8モル/リットルである。グアニジンは通常グアニ
ジン塩酸塩等のグアニジンの酸付加塩として用いられ
る。また、菌体内で発現させた組み換え型タンパク質が
システイン残基を含有する場合、封入体を形成するしな
いに拘わらず、変性剤を用いた抽出操作のさいに還元剤
を添加することは、一般的によく行われている(Biotec
hnology and Bioengineering 41 3-13, 1993)。
これは、菌体内もしくは抽出操作以前に形成された組み
換え型タンパク質のS−S結合(多くは天然型には存在
しない間違った分子間や分子内S−S架橋様式)を切断
する目的で、DTTなどの還元力の強い試薬を高濃度(少な
くとも10mM以上)添加するのが通常である。従って、抽
出後のS−S結合形成を伴うリフォールディング操作を
行う場合には、それに先だって透析やゲル濾過により還
元剤を除去する必要がある。
【0019】これに対して、本発明の製造方法は、変性
剤を用いた抽出操作中のS−S結合形成を妨げる目的
で、低濃度(約0.1mM〜約50mM、好ましくは約
1mM〜約10mM))の弱い(還元電位が−331mV
より大きい)還元剤(たとえば、2−メルカプトエタノ
ールまたはシステアミン等)を抽出操作時の酸化防止剤
として使用する。本発明の製造方法では、低濃度の弱い
還元剤を用いているので、従来技術のようにリフォール
ディング前の還元剤除去操作を必要としない。組み換え
型タンパク質抽出に際して、変性剤を含む抽出溶液に添
加される還元剤としては、本発明の目的が達成される限
り、いずれの還元剤でもよく、2−メルカプトエタノー
ルの他にグルタチオン、システイン、システアミンなど
があげられる。組み換え型タンパク質の収率の点で好ま
しい還元剤の添加濃度は0.1〜50ミリモル/リット
ル、特に好ましくは1〜10ミリモル/リットルであ
る。
【0020】上記のようにして封入体の可溶化を行う
か、あるいは菌体を変性剤で直接可溶化するか、あるい
は細胞を破砕後変性剤で可溶化した後、遠心分離等で不
純物を除去し、得られた上澄液に対して、組み換え型タ
ンパク質のリフォールディング(活性化、再生化)を行
うことができる。リフォールディングは、組み換え型タ
ンパク質を含有する上澄液を緩衝液で約10〜25倍に
希釈することにより行われる。この場合、変性剤の濃度
を活性化に適した中性pHにおいて不作用濃度まで希釈
することが望ましく、たとえば変性剤がグアジニンであ
る場合には希釈液中のグアニジンの濃度を0〜2.0モ
ル/リットル、好ましくは約1モル/リットル以下ま
で、変性剤が尿素である場合には希釈液中の尿素の濃度
を0〜4.0モル/リットル、好ましくは約2モル/リ
ットル以下まで希釈することが望ましい。
【0021】本発明の製造方法において、リフォールデ
ィング時に用いる希釈緩衝液には、チオール基(メルカ
プト基)を有さないアミノ酸(たとえば、アルギニン等)
を含有させる。後述の実施例5からも明らかなとおり、
チオール基を有さないアミノ酸(たとえば、アルギニン
等)の添加は前述の抽出時の低濃度での還元剤添加と組
み合わせると、予想外にも組換え型タンパク質またはそ
の塩の飛躍的な収量上昇をもたらす。さらに、リフォー
ルディング時の希釈緩衝液には、レドックスバッファー
(酸化型グルタチオン(GSSG)および還元型グルタチ
オン(GSH)、システインおよびシスチン、またはシス
テアミンおよびシスタミンなど)を加えてもよい。レド
ックスバッファー中の酸化剤および還元剤の濃度は一般
にそれぞれ0.01〜100ミリモル/リットル、特に
好ましくは0.1〜10ミリモル/リットルである。リ
フォールディングに際して希釈緩衝液に添加されるチオ
ール基を有さないアミノ酸としては、本発明の目的が達
成される限り、チオール基を有さないアミノ酸であれば
いずれのアミノ酸でもよいが、アルギニンの他にアスパ
ラギン酸、バリン、リジン、アラニン、シトルリン等が
あげられる。組み換え型タンパク質のリフォールディン
グにおける収率の点で好ましいアミノ酸添加濃度は、
0.1〜2.0モル/リットル、特に好ましくは0.1
〜1.0モル/リットルである。
【0022】なお、可溶化後かつリフォールディングの
前に、例えば抽出、塩析、透析、分配、結晶化、再結
晶、ゲルろ過、クロマトグラフィー等の公知で常用の精
製工程を導入することができ、好ましくは、たとえば
0.1モル/リットル リン酸緩衝液中セファデックス
(Sephadex)G−25(ファルマシア バイオ
テク(株))にかけることにより精製することができ
る。変性剤の分離は場合により0.1モル/リットル
リン酸緩衝液に対して透析することによっても可能であ
る。精製工程はリフォールディングに続いて行うことも
できる。一般にそのような精製としては例えば抽出、塩
析、透析、分配、結晶化、再結晶、ゲルろ過、クロマト
グラフィー等があげられ、好ましい例として透析や、た
とえばSP−Sepharose FF(ファルマシア
バイオテク(株))、CM−5PW(トーソー
(株))あるいは、DEAE−5PW(トーソー
(株))を介したイオン交換クロマトグラフィー、たと
えばODP−50(昭和電工(株))を用いた逆相クロ
マトグラフィー等による精製法があげられる。
【0023】本発明で得られる組み換え型タンパク質
は、公知の天然型タンパク質と同様の作用を有してお
り、公知の天然型タンパク質の使用方法と同様にして用
いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明明細書および図面におい
て、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-
IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略
号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。また、アミノ酸に関し光学異性
体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すも
のとする。 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :伝令リボ核酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム 2−ME :2−メルカプトエタノール DTT :ジチオスレイトール Gly(G):グリシン Ala(A):アラニン Val(V):バリン Leu(L):ロイシン Ile(I):イソロイシン Ser(S):セリン Thr(T):スレオニン Cys(C):システイン Met(M):メチオニン Glu(E):グルタミン酸 Asp(D):アスパラギン酸 Lys(K):リジン Arg(R):アルギニン His(H):ヒスチジン Phe(F):フェニルアラニン Tyr(Y):チロシン Trp(W):トリプトファン Pro(P):プロリン Asn(N):アスパラギン Gln(Q):グルタミン Asx :Asp+Asn Glx :Glu+Gln 本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。 〔配列番号:1〕ヒトTL4をコードするアミノ酸配列
を示す。 〔配列番号:2〕後述の参考例1で用いられたプライマ
−の塩基配列を示す。 〔配列番号:3〕後述の参考例1で用いられたプライマ
−の塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕マウスTL4をコードするアミノ酸配
列を示す。 〔配列番号:5〕後述の参考例3で用いられたプライマ
−の塩基配列を示す。 〔配列番号:6〕後述の参考例3で用いられたプライマ
−の塩基配列を示す。 以下の参考例および実施例によって本発明をより具体的
に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではな
い。
【0025】
【参考例】参考例1 大腸菌での可溶型ヒトTL4発現
用プラスミドの構築 ヒトTL4(配列番号:1)の細胞外領域に対応する第
84アミノ酸残基(Ile)から第240アミノ酸残基
(Val)までをコードするDNA断片を得るため、鋳
型として特開平11−141106号公報の参考例1に
記載のプラスミドpTB1939、プライマーとして2
個のオリゴヌクレオチド(配列番号:25’−TATA
CATATGATACAAGAGCGAAGGTC−
3’、配列番号:3 5’−AGCCGGATCCGA
CCTCACACCATGAAA−3’)を用いてPC
R(polymerase chain reaction)を行った。得られた
PCR産物の塩基配列をTAクローニングし、塩基配列
を確認した後、NdeIおよびBamHIで消化し、
2.0%アガロースゲル電気泳動で分画して、目的とす
るDNA断片を単離した。このNdeI−BamHI断
片を、同じくNdeIおよびBamHIで消化したpT
CIIのT7プロモーターの下流にT4DNAリガーゼを
用いて連結しプラスミドpTCII-shTL4(図2)
を得た。
【0026】参考例2 大腸菌での可溶型ヒトTL4の
発現 T7RNAポリメラーゼ遺伝子(lacプロモーター制御
下)を有する大腸菌MM294(DE3)に、上記参考例
1で得られたプラスミドpTCII-shTL4を導入
し、大腸菌MM294(DE3)/pTCII-shTL4を
得た。この形質転換細胞を、10μg/mlのテトラサ
イクリンを含むLB培地(1%ペプトン、0.5%酵母
エキス、0.5%塩化ナトリウム)1リットルを仕込ん
だ2リットル容フラスコ中で37℃、8時間振とう培養
した。得られた培養液を5μg/mlのテトラサイクリ
ンを含む主発酵培地(1.68%リン酸一水素ナトリウ
ム、0.3%リン酸二水素カリウム、0.1%塩化アン
モニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.05%硫酸
マグネシウム、0.02%消泡剤、0.00025%硫
酸第一鉄、0.0005%塩酸チアミン、1.5%ブド
ウ糖、1.5%カザミノ酸)19リットルを仕込んだ5
0リットル容発酵槽へ移植して、37℃で通気撹拌培養
を開始した。培養液の濁度が約500クレット単位にな
った時点で、75μM分のイソプロピル−β−D−チオ
ガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、さらに2時
間培養を続けた(1480クレットユニット)。最終的にこの
培養液の遠心分離を行うことにより、約210gの湿菌
体が得られ、−80℃に凍結保存された。なお本菌体に
おける可溶型ヒトTL4の発現量は、菌体抽出液をSDS-
PAGEに供し、可溶型ヒトTL4が示す17Kdのバンド
の染色度から、約4mg/g湿菌体(50mg/L)と推測
された。
【0027】この形質転換大腸菌MM294(DE3)/
pTCII-shTL4は、2000年2月2日から茨城
県つくば市東1−1−3、通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM B
P−7019として、また受託番号IFO 16356
として2000年1月20日付で大阪府大阪市淀川区十
三本町2−17−85、財団法人発酵研究所(IFO)
に寄託されている。また、配列番号:1で表されるアミ
ノ酸配列を有するヒトTL4をコードするDNAは、形
質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)DH
10B/pTB1939およびエシェリヒア コリ(Es
cherichia coli)DH10B/pTB1940として、
それぞれ1996年7月17日から茨城県つくば市東1
−1−3、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
所(NIBH)に寄託番号FERM BP−5595お
よびFERM BP−5596として、また1996年
7月11日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−
85、財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IF
O 15997およびIFO 15998として寄託さ
れている。
【0028】参考例3 大腸菌での可溶型マウスTL4
発現用プラスミドの構築 マウスTL4をコードするアミノ酸配列(配列番号:
4)の細胞外領域に対応する81アミノ酸残基(Le
u)から239アミノ酸残基(Val)(図7)までを
コードするDNA断片を得るため、鋳型としてWO 98/03
648号の参考例2に記載のプラスミドpTB1958、プライマ
ーとして2個のオリゴヌクレオチド(配列番号:5;
5’−GGCATATGCTGATACAAGATCA
ACGATCTC−3’、配列番号:6;5’−CGG
ATCCTCA GACCATGAAAGCTCCGA
AAT−3’)を用いてPCR(polymerase chain rea
ction)を行った。得られたPCR産物の塩基配列をT
Aクローニングし、塩基配列を確認した後、NdeIお
よびBamHIで消化し、2.0%アガロースゲル電気
泳動で分画して、目的とするDNA断片を単離した。こ
のNdeI−BamHI断片を、同じくNdeIおよび
BamHIで消化したpTCIIのT7プロモーターの下
流にT4DNAリガーゼを用いて連結しプラスミドpT
CII mTL4(図8)を得た。
【0029】参考例4 大腸菌での可溶型マウスTL4
の発現 T7RNAポリメラーゼ遺伝子(lacプロモーター制御
下)を有する大腸菌MM294(DE3)に、上記参考例
3で得られたプラスミドpTCII mTL4を導入し、
大腸菌MM294(DE3)/pTCII mTL4を得た。
この形質転換細胞を、10μg/mlのテトラサイクリ
ンを含むLB培地(1%ペプトン、0.5%酵母エキ
ス、0.5%塩化ナトリウム)1リットルを仕込んだ2
リットル容フラスコ中で37℃、8時間振とう培養し
た。得られた培養液を5μg/mlのテトラサイクリン
を含む主発酵培地(1.68%リン酸一水素ナトリウ
ム、0.3%リン酸二水素カリウム、0.1%塩化アン
モニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.05%硫酸
マグネシウム、0.02%消泡剤、0.00025%硫
酸第一鉄、0.0005%塩酸チアミン、1.5%ブド
ウ糖、1.5%カザミノ酸)19リットルを仕込んだ5
0リットル容発酵槽へ移植して、37℃で通気撹拌培養
を開始した。培養液の濁度が約500クレット単位にな
った時点で、75μM分のイソプロピル−β−D−チオ
ガラクトピラノシド(IPTG)を添加し、さらに4時
間培養を続けた(1905クレット)。最終的にこの培養液の
遠心分離を行うことにより、約210gの湿菌体が得ら
れ、−80℃に凍結保存された。なお本菌体における可
溶型マウスTL4の発現量は、菌体抽出液をSDS-PAGEに
供し、可溶型マウスTL4が示す17Kdのバンドの染
色度から、約50mg/g湿菌体(550mg/L)と推測
された。この形質転換大腸菌MM294(DE3)/pT
CIImTL4は、2001年3月5日から茨城県つくば
市東1−1−3、経済産業省産業技術総合研究所生命工
学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM B
P−7481として、また受託番号IFO 16550
として2001年2月1日付で大阪府大阪市淀川区十三
本町2−17−85、財団法人発酵研究所(IFO)に
寄託されている。
【0030】
【実施例】実施例1 可溶型ヒトTL4の大腸菌からの
抽出 参考例2で得られた菌体25gに、50mMトリス/H
Cl、5mMEDTA(pH7.5)125mLを加え
て超音波破砕機(ソニファー 450)(ブランソン
(株))を用いて4℃、5分間の菌体破砕を繰り返した
後、遠心分離(15000rpm、30分間)を行い、
沈殿画分(封入体画分)を得た。本沈殿画分を50mM
トリス/HCl、5mMEDTA(pH7.5)500
ml、50mMトリス/HCl、4M尿素(pH7.
5)50ml、にて洗浄を行った後、沈殿画分に50m
Mトリス/HCl、4Mグアニジン塩酸塩(pH7.
5)、5mM 2−メルカプトエタノール 75mlを
加えて4℃で一晩撹拌溶解した後、遠心分離(1500
0rpm、30分間)を行い上澄液を得た。
【0031】実施例2 可溶型ヒトTL4のリフォール
ディング 実施例1で得られた上澄液に0.8Mアルギニン、50
mMトリス/HCl(pH8.0)1.5リットルを加
えて、4℃で一晩活性化を行った。
【0032】実施例3 可溶型ヒトTL4の精製 実施例2で得られた活性化の終了した再生液をpH6に
調整し、限外濾過膜(再生セルロース膜 分画分子量3
K(k dalton)、膜面積0.1m2 X 2枚)(ミリポ
ア(株))で濃縮した後、蒸留水で4倍に希釈し、遠心
分離(8000rpm、15分間)を行ない上澄液を得
た。本上澄液を50mM酢酸緩衝液(pH6.0)15
0mM NaClで平衡化したSP−Sepharos
e FF(1.1cmID X 5cmL、5mL)(フ
ァルマシア バイオテク(株))に吸着させた後、0〜
60%B(B=50mM酢酸緩衝液(pH6.0)、
1.5M NaCl)の段階勾配で40分間、4ml/
分の流速で溶出し、TL4を含むフラクションをプール
した。続いて、50mM酢酸緩衝液(pH6.0)、1
50mM NaClで平衡化したCM−5PW(21.
5mmID X 150mmL、13μm)(東ソー
(株))に吸着させた後、0〜40%B(B=50mM
酢酸緩衝液(pH6.0)、1.5M NaCl)の段
階勾配で30分間、5ml/分の流速で溶出した。TL
4のフラクションをプールし、TL4の沈殿防止の為、
蒸留水で2倍に希釈した。本希釈液を限外濾過膜(アミ
コン 8050YM−10)(ミリポア(株))で濃縮し
た後50mM酢酸緩衝液(pH6.0)、150mM
NaClに置換し、可溶型ヒトTL4約1.5mgを得
た。
【0033】このようにして得られた可溶型ヒトTL4
標品の純度を測定する目的で、SDSポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動を行った。本標品を100mM DTT
を添加したSample buffer[Laemmli, Nat
ure, 227, 680 (1979)]に懸濁し、95℃で1分間加熱
した後、マルチゲル15/25(第一化学薬品)で電気
泳動を行った。泳動後のゲルをクーマシー・ブリリアン
ト・ブルー(Coomassie brilliant blue)で染色した結
果、約17Kdに単一バンドの蛋白が認められた。この
ことから可溶型ヒトTL4の本標品は単一であり、きわ
めて高純度の標品であることが分かった(図3)。
【0034】実施例4 HPLCを用いた可溶型ヒトT
L4の分析 実施例3で得られた可溶型ヒトTL4の純度を測定する
目的でギルソンHPLCシステム(ギルソン(株))を
用いイオン交換、逆相HPLCにより分析を行った。イ
オン交換HPLCにおいては50mM酢酸緩衝液(pH
5.8)、150mM NaClで平衡化したCM−5
PW(7.5mmID X 75mmL、10μm)(東
ソー(株))に可溶型ヒトTL4 5μgを注入し、0
〜30%B(B=50mM酢酸緩衝液(pH5.8)、
1.5M NaCl)の段階勾配で30分間、0.8m
l/分の流速で溶出した。逆相HPLCにおいては30
%B(A=0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、B=
80% アセトニトリル/0.1%TFA)で平衡化し
たC4P−50(4.6mmID X 250mmL、5
μm)(昭和電工(株))に可溶型ヒトTL4 2μg
を注入し、30〜60%Bの段階勾配で40分間、0.
5ml/分の流速で溶出した。検出は280ナノメート
ルの波長で行い、得られたデータはクロマトコーダー2
1(システムインスツルメンツ(株))で波形処理を行
い純度を計算した。その結果、可溶型TL4は単一ピー
クを示し、このことから可溶型ヒトTL4の本標品は単
一であり、きわめて高純度の標品であることが分かった
(図4)。
【0035】実施例5 可溶型ヒトTL4収量に及ぼす
効果: 抽出時の還元剤添加効果およびリフォールディ
ング時のアミノ酸添加効果 参考例2で得られた菌体10gに、50mMトリス/H
Cl (pH7.5)50mlを加えて超音波破砕機
(ソニファー450)(ブランソン(株))にて4℃、
5分間の菌体破砕を4回繰り返した後、遠心分離(15
000rpm、30分間)を行い、沈殿画分(封入体画
分)を得た。本沈殿画分を50mMトリス/HCl、5
mM EDTA(pH7.5)10ml、50mMトリ
ス/HCl、3M尿素(pH7.5)10ml、にて洗
浄を行った後、菌体5gより得られる沈殿画分に50m
Mトリス/HCl、4Mグアニジン塩酸塩(pH7.
5)、0もしくは5mM 2−メルカプトエタノール1
5mlを加えて4℃で一晩撹拌溶解した後、遠心分離
(15000rpm、30分間)を行い上澄液を得た。
本上澄液1mlに50mMトリス/HCl、0、0.
2、0.4、0.6もしくは0.8Mアルギニン(pH
8.0)のリフォールディング液20mlを加えて、4
℃で一晩活性化を行なった後、酢酸でpH6に調整し、
蒸留水にて4倍に希釈して遠心分離(3000rpm、
15分間)を行い上澄液を得た。本上澄液を50mM酢
酸緩衝液(pH6.0)150mM NaClで平衡化
したSP−Sepharose FF(8mmID X
50mmL)(ファルマシア バイオテク(株))に吸
着させた後、0〜100%B(B=50mM酢酸緩衝液
(pH6.0)、1.5M NaCl)の段階勾配で2
0分間、1ml/分の流速で溶出した。得られたTL4
フラクションをプールした後、実施例4で示したC4P
−50(4.6mmID X 250mmL、5μm)
(昭和電工(株))を用いて可溶性ヒトTL4量を定量
した。
【0036】その結果、可溶型ヒトTL4収量はリフォ
ールディング時のアルギニン添加により、著しく上昇す
ることが分かった(図5)。さらに、このアルギニン添
加と抽出時の2−メルカプトエタノール添加を組み合わ
せることにより、両者が相乗的に作用して可溶型ヒトT
L4収量の飛躍的な増大をもたらすことも分かった(図
5)。なお、可溶型ヒトTL4収量に対する抽出時の2
−メルカプトエタノール至適濃度は5mM、リフォール
ディング時のアルギニン至適濃度は0.8Mであった。
【0037】実施例6 可溶型ヒトTL4の蛋白化学的
分析 (a)アミノ酸組成分析 実施例3で得られた可溶型ヒトTL4について、そのア
ミノ酸組成値をアミノ酸分析計(ベックマンシステム6
300E)を用いて決定した。その結果、本標品の測定
値は、N末端にMetが付加された可溶型ヒトTL4の
アミノ酸組成の理論値と一致した(表1)。 〔表1〕 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1モル当たりの 可溶型ヒトTL4の塩基配列 アミノ酸 残基数 から予測される値 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Asx 5.9 6 Thr1) 8.7 9 Ser1) 13.8 15 Glx 14.1 14 Pro 6.5 6 Gly 18.6 19 Ala 9.7 10 Cys2) N.D. 2 Val 12.7 15 Met 1.9 1 Ile 2.7 3 Leu 21 21 Tyr 7.9 8 Phe 3.8 4 His 5.0 5 Lys 12.0 12 Arg 7.1 7 Trp 2.6 3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 酸加水分解(6N HCl−4%チオグリコール酸、110℃、24及び48時 間加水分解の平均値) 1)0時間に外挿した値 2)未検出 約10μgを用いて分析を行った。
【0038】(b)N末端アミノ酸配列分析 N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(ア
プライドバイオシステムモデル492)を用いて決定し
た。その結果、得られた可溶型ヒトTL4のN末端には
Metが付加されていることの他は塩基配列から推定さ
れた可溶型ヒトTL4のN末端アミノ酸配列と一致した
(表2)。 〔表2〕 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 検出された 可溶型ヒトTL4の塩基配列 残基No. PTH1)−アミノ酸 から予測される (pmol) アミノ酸 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 Met(14) 2 Ile(18) Ile 3 Gln(9.8) Gln 4 Glu(8.3) Glu 5 Arg(7.1) Arg 6 Arg(9.9) Arg 7 Ser(3.6) Ser 8 His(3.6) His 9 Glu(3.6) Glu 10 Val(3.8) Val −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1)フェニールチオヒダントイン 50pmolを用いて分析を行った。
【0039】(c)C末端アミノ酸分析 C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(ベックマンシステム
6300E)を用いて決定した。得られた可溶型ヒトT
L4は塩基配列から推定されたC末端アミノ酸と一致し
た(表3)。 〔表3〕 −−−−−−−−−−−−−−−−−−− C末端アミノ酸 回収率(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−− Val 33.6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−− 気相ヒドラジン分解法(100℃,3.5時間) 4nmolを用いて分析を行った。
【0040】実施例7 可溶型ヒトTL4の活性測定 実施例3で得られた精製可溶型ヒトTL4の有する癌細
胞株に対する細胞障害活性を調べた。細胞障害活性は下
記のようにして測定した。すなわち、96穴プレートに
ヒト大腸癌細胞株WiDrを5000個/wellで播種
し、大腸菌由来可溶型ヒトTL4または特開平11−1
41106号公報の実施例1に記載の昆虫細胞由来可溶
型ヒトTL4を種々の濃度で、インターフェロンγ(Ge
nzyme社)を最終濃度200U/ml存在下、および非存在
下で作用させた。3日間培養後、ブロモデオキシウリジ
ンの取り込みをCell proliferation ELISA(ベーリン
ガー社)で測定した。その結果、インターフェロンγ存
在下において、大腸菌由来可溶型ヒトTL4は良好な細
胞障害活性を示し、その効果は昆虫細胞由来可溶型ヒト
TL4と同等であった(図6)。
【0041】実施例8 可溶型マウスTL4の大腸菌か
らの抽出 参考例4で得られた菌体30gに、50mMトリス/H
Cl、5mMEDTA(pH7.5)150mLを加え
て超音波破砕機(ソニファー 450)(ブランソン
(株))を用いて4℃、5分間の菌体破砕を繰り返した
後、遠心分離(15000rpm、30分間)を行い、
沈殿画分(封入体画分)を得た。本沈殿画分を50mM
トリス/HCl、5mMEDTA(pH7.5)90m
l、50mMトリス/HCl、4M尿素(pH7.5)
90ml、にて洗浄を行った後、沈殿画分に100mM
トリス/HCl、4Mグアニジン塩酸塩(pH7.
5)、5mM システアミン 900mlを加えて4℃
で一晩撹拌溶解した後、遠心分離(8000rpm、3
0分間)を行い上澄液を得た。
【0042】実施例9 可溶型マウスTL4のリフォー
ルディング 実施例8で得られた上澄液に0.8Mアルギニン、50
mMトリス/HCl(pH8.0)22.5リットルを
加えて、4℃で一晩活性化を行った。
【0043】実施例10 可溶型マウスTL4の精製 実施例9で得られた活性化の終了した再生液を限外濾過
膜(再生セルロース膜分画分子量10K、膜面積0.1
2 X 2枚)(ザルトリウス(株))で濃縮した後、
pH6に調整し、蒸留水で4倍に希釈し、遠心分離(8
000rpm、15分間)を行ない上澄液を得た。本上
澄液を50mM酢酸緩衝液(pH6.0)で平衡化した
SP−Sepharose FF(5cmID X 5c
mL、100mL)(ファルマシア バイオテク
(株))に吸着させた後、50mM酢酸緩衝液(pH
6.0)、0.75M NaClにてTL4を溶出し
た。次に、50mM酢酸緩衝液(pH6.0)で平衡化
したSP−SepharoseHP(1.6cmID
X 15cmL、25μ)(ファルマシア バイオテク
(株))に吸着させた後、0〜70%B(B=50mM
酢酸緩衝液(pH6.0)、1.5M NaCl)の段
階勾配で30分間、4ml/分の流速で溶出した。続い
て、50mM酢酸緩衝液(pH6.0)、150mM
NaClで平衡化したCM−5PW(21.5mmID
X 150mmL、13μ)(東ソー(株))に吸着さ
せた後、0〜60%B(B=50mM酢酸緩衝液(pH
6.0)、1.5MNaCl)の段階勾配で40分間、
5ml/分の流速で溶出した。TL4のフラクションを
プールし、TL4の沈殿防止の為、蒸留水で2倍に希釈
した。本希釈液を限外濾過膜(ビバスピン20 分画分
子量10K)(ザルトリウス(株))で濃縮した後50m
M酢酸緩衝液(pH6.0)、150mM NaClに
置換し、可溶型マウスTL4約1.2mgを得た。この
ようにして得られた可溶型マウスTL4標品の純度を測
定する目的で、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
を行った。本標品を100mM DTTを添加したSa
mple buffer[Laemmli, Nature, 227, 680
(1979)]に懸濁し、95℃で1分間加熱した後、マルチ
ゲル15/25(第一化学薬品)で電気泳動を行った。
泳動後のゲルをクーマシー・ブリリアント・ブルー(Co
omassie brilliant blue)で染色した結果、約17Kd
に単一バンドの蛋白が認められた。このことから可溶型
マウスTL4の本標品は単一であり、きわめて高純度の
標品であることが分かった(図9)。
【0044】実施例11 HPLCを用いた可溶型マウ
スTL4の分析 実施例10で得られた可溶型マウスTL4の純度を測定
する目的でギルソンHPLCシステム(ギルソン
(株))を用いイオン交換、逆相HPLCにより分析を
行った。イオン交換HPLCにおいては50mM酢酸緩
衝液(pH5.8)、150mM NaClで平衡化し
たCM−5PW(7.5mmID X 75mmL、10
μ)(東ソー(株))に可溶型マウスTL4 10μg
を注入し、20〜70%B(B=50mM酢酸緩衝液
(pH5.8)、1.5M NaCl)の段階勾配で3
0分間、0.8ml/分の流速で溶出した。逆相HPL
Cにおいては30%B(A=0.1%トリフルオロ酢酸
(TFA)、B=80% アセトニトリル/0.1%T
FA)で平衡化したC4P−50(4.6mmID X
250mmL、5μ)(昭和電工(株))に可溶型マウ
スTL4 2.5μgを注入し、30〜60%Bの段階
勾配で40分間、0.5ml/分の流速で溶出した。検
出は280ナノメートルの波長で行い、得られたデータ
はクロマトコーダー21(システム インスツルメンツ
(株))で波形処理を行い純度を計算した。その結果、
可溶型TL4は単一ピークを示し、このことから可溶型
マウスTL4の本標品は単一であり、きわめて高純度の
標品であることが分かった(図10)。
【0045】実施例12 可溶型マウスTL4収量に及
ぼす効果---抽出時の還元剤添加効果およびリフォール
ディング時のアミノ酸添加効果 参考例4で得られた菌体10gに、50mMトリス/H
Cl、5mM EDTA(pH7.5)50mlを加え
て超音波破砕機(ソニファー450)(ブランソン
(株))にて4℃、5分間の菌体破砕を4回繰り返した
後、遠心分離(15000rpm、30分間)を行い、
沈殿画分(封入体画分)を得た。本沈殿画分を50mM
トリス/HCl、5mM EDTA(pH7.5)10
ml、50mMトリス/HCl、4M尿素(pH7.
5)10ml、にて洗浄を行った後、菌体1gより得ら
れる沈殿画分に50mMトリス/HCl、4Mグアニジ
ン塩酸塩(pH7.5)、0もしくは5mM システア
ミン30mlを加えて4℃で一晩撹拌溶解した後、遠心
分離(15000rpm、30分間)を行い上澄液を得
た。本上澄液に0.8mlに50mMトリス/HCl、
0、0.2、0.4、0.6もしくは0.8Mアルギニ
ン、(pH8.0)のリフォールディング液20mlを
加えて、4℃で2日間活性化を行なった後、酢酸でpH
6に調整し、蒸留水にて4倍に希釈して遠心分離(30
00rpm、15分間)を行い上澄液を得た。本上澄液
を実施例11で示したC4P−50(4.6mmID
X 250mmL、5μ)(昭和電工(株))を用いて
可溶性マウスTL4量を定量した。その結果、可溶型マ
ウスTL4収量はリフォールディング時のアルギニン添
加により、著しく上昇することが分かった(図11)。
さらに、このアルギニン添加と抽出時のシステアミン添
加を組み合わせることにより、両者が相乗的に作用して
可溶型マウスTL4収量の飛躍的な増大をもたらすこと
も分かった(図11)。なお、可溶型マウスTL4収量
に対する抽出時のシステアミン至適濃度は5mM、リフ
ォールディング時のアルギニン至適濃度は0.8Mであ
った。
【0046】実施例13 可溶型マウスTL4の蛋白化
学的分析 (a)アミノ酸組成分析 実施例10で得られた可溶型マウスTL4について、そ
のアミノ酸組成値をアミノ酸分析計(ベックマンシステ
ム6300E)を用いて決定した。その結果、本標品の
測定値は、N末端にMetが付加された可溶型マウスT
L4のアミノ酸組成の理論値と一致した(表4)。
【0047】 〔表4〕 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1モル当たりの 可溶型マウスTL4の塩基配列 アミノ酸 残基数 から予測される値 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Asx 9.4 9 Thr1) 7.3 7 Ser1) 10.8 12 Glx 12.8 12 Pro 11.0 9 Gly 19.5 20 Ala 11.1 11 Cys2) N.D. 2 Val 13.2 14 Met 3.1 2 Ile 3.9 4 Leu 20 20 Tyr 7.8 8 Phe 4.1 4 His 4.9 5 Lys 3.3 3 Arg 13.4 14 Trp 2.4 3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 酸加水分解(6N HCl−4%チオグリコール酸、110℃、24及び48時 間加水分解の平均値) 1)0時間に外挿した値 2)未検出 約10μgを用いて分析を行った。
【0048】(b)N末端アミノ酸配列分析 N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(ア
プライドバイオシステムモデル492)を用いて決定し
た。その結果、得られた可溶型マウスTL4のN末端に
はMetが付加されていることの他は塩基配列から推定
された可溶型マウスTL4のN末端アミノ酸配列と一致
した(表5)。
【0049】 〔表5〕 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 検出された 可溶型マウスTL4の塩基配列 残基No. PTH1)−アミノ酸 から予測される (pmol) アミノ酸 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 Met(34) 2 Leu(31) Leu 3 Ile(35) Ile 4 Gln(24) Gln 5 Glu(20) Glu 6 Gln(20) Gln 7 Arg(15) Arg 8 Ser(11) Ser 9 His(6.4) His 10 Gln(9.5) Gln −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1)フェニールチオヒダントイン 100pmolを用いて分析を行った。
【0050】
【発明の効果】本発明では遺伝子工学を用いて原核細胞
中に発現した組み換え型タンパク質の不活性体を効率よ
く活性化でき、上記のような作用を有する生物学的、薬
理学的に活性な組み換え型タンパク質を大量に調製でき
る。このようにして得られる活性なタンパク質のなかで
も、例えば、Fasリガンド様タンパク質であるTL4
は、抗ガン剤として癌(乳癌、前立腺癌、大腸癌、胃癌
など)、免疫調節剤として癌、ウイルス感染、腎炎、自
己免疫疾患、リウマチ関節炎など、肝臓機能調節剤とし
て肝炎などに対する治療薬として有用である。
【0051】
【配列表】 [Sequence Listing] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Method for Producing of a Recombinant Protein <130> B01112 <150> JP 12-097891 <151> 2000-03-30 <160> 6 <210> 1 <211> 240 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Glu Glu Ser Val Val Arg Pro Ser Val Phe Val Val Asp Gly Gln 1 5 10 15 Thr Asp Ile Pro Phe Thr Arg Leu Gly Arg Ser His Arg Arg Gln Ser 20 25 30 Cys Ser Val Ala Arg Val Gly Leu Gly Leu Leu Leu Leu Leu Met Gly 35 40 45 Ala Gly Leu Ala Val Gln Gly Trp Phe Leu Leu Gln Leu His Trp Arg 50 55 60 Leu Gly Glu Met Val Thr Arg Leu Pro Asp Gly Pro Ala Gly Ser Trp 65 70 75 80 Glu Gln Leu Ile Gln Glu Arg Arg Ser His Glu Val Asn Pro Ala Ala 85 90 95 His Leu Thr Gly Ala Asn Ser Ser Leu Thr Gly Ser Gly Gly Pro Leu 100 105 110 Leu Trp Glu Thr Gln Leu Gly Leu Ala Phe Leu Arg Gly Leu Ser Tyr 115 120 125 His Asp Gly Ala Leu Val Val Thr Lys Ala Gly Tyr Tyr Tyr Ile Tyr 130 135 140 Ser Lys Val Gln Leu Gly Gly Val Gly Cys Pro Leu Gly Leu Ala Ser 145 150 155 160 Thr Ile Thr His Gly Leu Tyr Lys Arg Thr Pro Arg Tyr Pro Glu Glu 165 170 175 Leu Glu Leu Leu Val Ser Gln Gln Ser Pro Cys Gly Arg Ala Thr Ser 180 185 190 Ser Ser Arg Val Trp Trp Asp Ser Ser Phe Leu Gly Gly Val Val His 195 200 205 Leu Glu Ala Gly Glu Lys Val Val Val Arg Val Leu Asp Glu Arg Leu 210 215 220 Val Arg Leu Arg Asp Gly Thr Arg Ser Tyr Phe Gly Ala Phe Met Val 225 230 235 240 <210> 2 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 2 tatacatatg atacaagagc gaaggtc 27 <210> 3 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 3 agccggatcc gacctcacac catgaaa 27 <210> 4 <211> 239 <212> PRT <213> Mouse <400> 4 Met Glu Ser Val Val Gln Pro Ser Val Phe Val Val Asp Gly Gln Thr 1 5 10 15 Asp Ile Pro Phe Arg Arg Leu Glu Gln Asn His Arg Arg Arg Arg Cys 20 25 30 Gly Thr Val Gln Val Ser Leu Ala Leu Val Leu Leu Leu Gly Ala Gly 35 40 45 Leu Ala Thr Gln Gly Trp Phe Leu Leu Arg Leu His Gln Arg Leu Gly 50 55 60 Asp Ile Val Ala His Leu Pro Asp Gly Gly Lys Gly Ser Trp Glu Lys 65 70 75 80 Leu Ile Gln Asp Gln Arg Ser His Gln Ala Asn Pro Ala Ala His Leu 85 90 95 Thr Gly Ala Asn Ala Ser Leu Ile Gly Ile Gly Gly Pro Leu Leu Trp 100 105 110 Glu Thr Arg Leu Gly Leu Ala Phe Leu Arg Gly Leu Thr Tyr His Asp 115 120 125 Gly Ala Leu Val Thr Met Glu Pro Gly Tyr Tyr Tyr Val Tyr Ser Lys 130 135 140 Val Gln Leu Ser Gly Val Gly Cys Pro Gln Gly Leu Ala Asn Gly Leu 145 150 155 160 Pro Ile Thr His Gly Leu Tyr Lys Arg Thr Ser Arg Tyr Pro Lys Glu 165 170 175 Leu Glu Leu Leu Val Ser Arg Arg Ser Pro Cys Gly Arg Ala Asn Ser 180 185 190 Ser Arg Val Trp Trp Asp Ser Ser Phe Leu Gly Gly Val Val His Leu 195 200 205 Glu Ala Gly Glu Glu Val Val Val Arg Val Pro Gly Asn Arg Leu Val 210 215 220 Arg Pro Arg Asp Gly Thr Arg Ser Tyr Phe Gly Ala Phe Met Val 225 230 235 239 <210> 5 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 5 ggcatatgct gatacaagat caacgatctc 30 <210> 6 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 6 cggatcctca gaccatgaaa gctccgaaat 30
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】可溶型ヒトTL4(Ile84-Val240)のアミノ酸配
列を示す。
【図2】プラスミドpTCII-shTL4の構築図を示
す。
【図3】可溶型ヒトTL4の精製標品のSDSポリアク
リルアミドゲル電気泳動での挙動を示す。レーン1は分
子量マーカーを、レーン2は可溶型ヒトTL4の精製標
品を示す。
【図4】可溶型ヒトTL4の精製標品のイオン交換HP
LCおよび逆相HPLCでの溶出パターンを示す。
【図5】可溶型ヒトTL4の収量に及ぼす抽出時の2−
メルカプトエタノール添加効果およびリフォールディン
グ時のアルギニン添加効果を示す。
【図6】可溶型ヒトTL4の生物活性を示す。
【図7】図7は、可溶型マウスTL4(Leu81-Val239)の
アミノ酸配列を示す。
【図8】図8は、プラスミドpTCII mTL4の構築
図を示す。
【図9】図9は、可溶型マウスTL4の精製標品のSD
Sポリアクリルアミドゲル電気泳動での挙動を示す。レ
ーン1は分子量マーカーを、レーン2は可溶型マウスT
L4の精製標品を示す。ゲルはマルチゲル 15/25
(第一化学薬品(株))を用い、クーマシー・ブリリア
ント・ブルーで染色を行った。
【図10】図10は、可溶型マウスTL4の精製標品の
イオン交換HPLCおよび逆相HPLCでの溶出パター
ンを示す。
【図11】図11は、可溶型マウスTL4の収量に及ぼ
す抽出時のシステアミン添加効果およびリフォールディ
ング時のアルギニン添加効果を示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遺伝子工学的に原核細胞宿主中で発現させ
    たタンパク質を、還元電位が−331mVより大きい還
    元剤を約0.1mM〜約50mMの濃度で含有する溶液
    を用いて抽出し、メルカプト基を有さないアミノ酸また
    はその塩を含有する溶液中でリフォールディングするこ
    とを特徴とする活性型タンパク質またはその塩の製造方
    法。
  2. 【請求項2】メルカプト基を有さないアミノ酸または
    その塩および還元型グルタチオンおよび酸化型グルタ
    チオン、システインおよびシスチン、またはシステアミ
    ンおよびシスタミンを含有する溶液中でリフォールディ
    ングすることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】タンパク質がFasリガンド様タンパク質
    である請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】Fasリガンド様タンパク質がTL4であ
    る請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】還元剤がメルカプト基を有する化合物であ
    る請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】メルカプト基を有する化合物が2−メルカ
    プトエタノールまたはシステアミンである請求項5記載
    の製造方法。
  7. 【請求項7】メルカプト基を有さないアミノ酸がアルギ
    ニンである請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】タンパク質を遺伝子工学的に原核細胞宿主
    中で発現させ、還元電位が−331mVより大きい還元
    剤を約0.1mM〜約50mMの濃度で含有し、かつタ
    ンパク変性剤を含む溶液を用いて該タンパク質を該細胞
    から抽出・可溶化し、ついでメルカプト基を有さないア
    ミノ酸またはその塩を含有するリフォールデイング溶液
    で変性剤を不作用濃度まで希釈することを特徴とする請
    求項1記載の製造方法。
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