JP2001342173A - 芳香族カルボン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

芳香族カルボン酸誘導体の製造方法

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JP2001342173A JP2001080577A JP2001080577A JP2001342173A JP 2001342173 A JP2001342173 A JP 2001342173A JP 2001080577 A JP2001080577 A JP 2001080577A JP 2001080577 A JP2001080577 A JP 2001080577A JP 2001342173 A JP2001342173 A JP 2001342173A
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aromatic
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carbon atoms
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Daisuke Takahashi
大輔 高橋
Masakazu Nakazawa
正和 中沢
Kunisuke Izawa
邦輔 井澤
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高純度の芳香族ブロモカルボン酸誘導体及び
芳香族アシルチオカルボン酸誘導体を高収率に製造する
方法の提供。 【解決手段】 一般式1の芳香族アミノ酸を水性溶媒中
で脂肪族カルボン酸又はアルコールの1つ以上、亜硝酸
ナトリウム並びに臭化水素の存在下に反応させ、一般式
2の芳香族ブロモカルボン酸誘導体を製造する。またこ
の芳香族ブロモカルボン酸誘導体とチオ有機酸をアミン
存在下に反応させ、一般式3の芳香族アシルチオカルボ
ン酸誘導体を製造する。 [Aはそれぞれ置換基を有してもよいC6〜C15のア
リール基もしくはC7〜C20のアラルキル基又はこれ
らの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基。Rは炭素原子数
C1〜C6のアルキル基、C6〜C10のアリール基又
はC7〜C11のアラルキル基。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特定の芳香族ブロモ
カルボン酸誘導体、及び特定の芳香族アシルチオカルボ
ン酸誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性芳香族アシルチオカルボン酸誘
導体は医薬中間体として有用な化合物であり、例えば
(S)−2−アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸
(以下「(S)−ATPPA」と略記することがあ
る)、(R)−2−ブロモ−3−フェニルプロピオン酸
(以下「(R)−BPPA」と略記することがある)等
は、例えばアンジオテンシン変換酵素抑制活性及び中性
エンドペプチダーゼ抑制活性を有し降圧剤として有用な
化合物の中間体として重要な化合物として知られている
(例えば、特開平7−48259号公報参照)。芳香族
アシルチオカルボン酸誘導体は芳香族アミノ酸から芳香
族ブロモカルボン酸誘導体を経て製造することができ
る。
【0003】例えば、特開平8−337527号公報、
特開平7−48259号公報には(S)−ATPPAに
ついて下記の製法が開示されている。D−フェニルアラ
ニンを2.5N硫酸溶液中、臭化カリウム及び亜硝酸ナ
トリウムと反応させアミノ基を臭素原子と置換して
(R)−BPPAを得る。次いで得られた(R)−BP
PAをアセトニトリル中でチオ酢酸及び水酸化カリウム
の混合物と反応させ、臭素原子をアセチルチオ基で置換
して粗(S)−ATPPAを得る。得られた(S)−A
TPPAをジシクロヘキシルアミン(DCHA)塩とし
酢酸エチルより再結晶し、脱塩する。
【0004】また、例えば欧州公開公報EP05245
53には下記の製法が開示されている。D−フェニルア
ラニンを水溶液中、臭化水素及び亜硝酸ナトリウムと反
応させ(R)−BPPAを得る。次にチオ酢酸と炭酸カ
リウムの水溶液を、(R)−BPPAの水酸化ナトリウ
ム溶液に加えて反応させ、酢酸エチルで抽出し、溶媒を
留去してオイル状の(S)−ATPPAを得る。
【0005】また、例えばテトラヘドロン・レターズ(T
etrahedron Letters), 34巻, 1457頁, 1993年に
は、(R)又は(S)−フェニルアラニンを臭化水素、
臭化ナトリウム、亜硝酸ナトリウムと反応させ(R)又
は(S)−BPPAを得、これをメタノール中でチオ酢
酸カリウムと反応させ(S)又は(R)−ATPPAを
得る方法が開示されている。
【0006】また、例えば国際公開WO99/4243
1には、D−フェニルアラニンをトルエンと水との混合
溶媒中、臭化水素、亜硝酸ナトリウムと反応させ(R)
−BPPAを得た例が開示されている。
【0007】本発明者等の知見によれば、上記のような
従来方法では臭素化とアシルチオ化の際にそれぞれ高疎
水性の不純物を副生してしまう。更に、これら不純物は
淘汰が困難で結晶の純度の低下を招いたり、あるいは晶
析収率が著しく低下したり、あるいは結晶化が阻害され
オイル状物又はオイル混じりの結晶が得られるなど、結
晶性状、結晶品質、晶析収率等に大きな影響を与えるこ
とが分かった。
【0008】また本発明者等の知見によれば(S)−A
TPPAをジシクロヘキシルアミン(DCHA)塩とし
て一旦結晶化し、これを脱塩した後、(S)−ATPP
Aを晶析することにより、これら不純物を除去すること
が可能である。しかし、この方法では工程が煩雑とな
り、コスト的にも不利であり、収率も低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は(R)
−BPPA等の芳香族ブロモカルボン酸誘導体及び
(S)−ATPPA等の芳香族アシルチオカルボン酸誘
導体を高純度かつ高収率で製造するための優れた製法の
開発にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、芳香族アミノ酸を水性溶
媒中で脂肪族カルボン酸及びアルコールからなる群より
選ばれる少なくとも1つ、亜硝酸ナトリウム、並びに臭
化水素の存在下に反応させ芳香族ブロモカルボン酸誘導
体を製造することにより、臭素化工程で生じる高疎水性
不純物の生成が著しく抑制されることを見い出した。ま
た、芳香族ブロモカルボン酸誘導体とチオ有機酸をアミ
ン存在下に反応させ芳香族アシルチオカルボン酸誘導体
を製造することにより、アシルチオ化工程で生じる高疎
水性不純物の生成が著しく抑制されることを見いだし
た。本発明者等は以上の知見に基づき本発明を完成させ
た。
【0011】すなわち本発明は以下の内容を含むもので
ある。
【0012】下記一般式(1)
【0013】
【化8】
【0014】[Aは、それぞれ置換基を有していてもよ
い炭素原子数6〜15のアリール基もしくは炭素原子数
7〜20のアラルキル基、又はこれらの炭素骨格中にヘ
テロ原子を含む基を示す。]で表される芳香族アミノ酸
を脂肪族カルボン酸及びアルコールからなる群より選ば
れる少なくとも1つ、亜硝酸ナトリウム、並びに臭化水
素の存在下に水性溶媒中で反応させ、一般式(2)
【0015】
【化9】
【0016】[Aは前記と同じ意味を示す。]で表され
る芳香族ブロモカルボン酸誘導体を得た後、該芳香族ブ
ロモカルボン酸誘導体とチオ有機酸をアミンの存在下に
反応させることを特徴とする一般式(3)
【0017】
【化10】
【0018】[Aは前記と同じ意味を示し、Rは炭素原
子数1〜6のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリー
ル基、又は炭素原子数7〜11のアラルキル基を示
す。]で表される芳香族アシルチオカルボン酸誘導体の
製造方法。
【0019】本発明はまた、一般式(1)で表される芳
香族アミノ酸を脂肪族カルボン酸及びアルコールからな
る群より選ばれる少なくとも1つ、亜硝酸ナトリウム、
並びに臭化水素の存在下に水性溶媒中で反応させること
を特徴とする一般式(2)で表される芳香族ブロモカル
ボン酸誘導体の製造方法を提供する。
【0020】本発明はさらに、一般式(2)で表される
芳香族ブロモカルボン酸誘導体とチオ有機酸をアミンの
存在下に反応させることを特徴とする一般式(3)で表
される芳香族アシルチオカルボン酸誘導体の製造方法を
提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0022】本発明における式中、Aはそれぞれ置換基
を有していてもよい炭素原子数6〜15のアリール基も
しくは炭素原子数7〜20のアラルキル基、又はこれら
の炭素骨格中にヘテロ原子を含む基を示す。置換基を有
する場合の置換基としては、本発明の反応に特に悪影響
を与えない基であれば特に限定されず、例えばアルコキ
シ基(好ましくは炭素原子数1〜7)、ニトロ基、アル
キル基(好ましくは炭素原子数1〜6)、アラルキル基
(好ましくは炭素原子数7〜11)、ハロゲン原子、保
護基を有する水酸基、カルボキシル基、保護基を有する
アミノ基等が挙げられる。
【0023】炭素骨格中にヘテロ原子(窒素、酸素、イ
オウ原子等)を含む基としては、例えば(p−メチルベ
ンジル)チオメチル基、(p−メトキシベンジル)チオ
メチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルオキシエ
チル基、4−(t−ブトキシ)フェニルメチル基、4−
ベンジルオキシフェニルメチル基、フェニルチオメチル
基等が挙げられる。
【0024】また、Aは側鎖の官能基が保護された芳香
族アミノ酸、例えばO−ベンジルチロシン等を原料とし
て導入される基でもよい。
【0025】Aはベンジル基であるのが特に好ましい。
【0026】本発明における式中、Rは炭素原子数1〜
6のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、又
は炭素原子数7〜11のアラルキル基を示す。炭素原子
数1〜6のアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブ
チル基、t−ブチル基、イソプロピル基等が好ましく挙
げられる。炭素原子数6〜10のアリール基としてはフ
ェニル基、ナフチル基等が好ましく挙げられる。炭素原
子数7〜11のアラルキル基としてはベンジル基等が好
ましく挙げられる。Rとしては、メチル基、ベンジル基
が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0027】本発明の製造方法によって好ましく製造さ
れる代表的な化合物としては、D−フェニルアラニンか
ら誘導される前述の(R)−BPPA及び(S)−AT
PPAを挙げることができる。
【0028】
【化11】
【0029】前記一般式(2)で表される芳香族ブロモ
カルボン酸誘導体を製造する方法について説明する。
【0030】前記一般式(1)で表される芳香族アミノ
酸を水性溶媒中、脂肪族カルボン酸及びアルコールから
なる群より選ばれる少なくとも1つ、亜硝酸ナトリウ
ム、並びに臭化水素の存在下、反応させることにより前
記一般式(2)で表される芳香族ブロモカルボン酸誘導
体を製造することができる。例えば、水性溶媒、芳香族
アミノ酸、臭化水素水、並びにアルコール(及び/又は
脂肪族カルボン酸)の混合物に亜硝酸ナトリウムを添加
(好ましくは滴下)して反応させればよい。なお本発明
の効果を阻害しない範囲で任意の他の溶媒を加えてもよ
い。
【0031】反応温度は特に限定はされないが通常−10
℃〜40℃、好ましくは−5℃〜20℃の範囲である。反応
時間も特に限定されないが通常は1時間以上反応させ
る。好ましくは3〜8時間で行う。
【0032】亜硝酸ナトリウムは、原料の芳香族アミノ
酸1モル当量に対して、通常1〜3モル当量、好ましく
は1.1〜2モル当量の範囲で使用すればよい。また同
様に臭化水素は、原料の芳香族アミノ酸1モル当量に対
して、通常1〜8モル当量、好ましくは2〜5モル当量
の範囲で使用すればよい。
【0033】なお、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahe
dron Letters), 34巻, 1457頁, 1993年等にもある
ように、反応の際に、臭化ナトリウムあるいは臭化カリ
ウム等を存在させておいてもよい。臭化ナトリウム、臭
化カリウム等を存在させる場合、原料の芳香族アミノ酸
1モル当量に対して、0.1〜3モル当量、好ましくは
0.5〜1.5モル当量の範囲で使用すればよい。
【0034】本発明における、脂肪族カルボン酸は、フ
ッ素原子のようなハロゲン原子で置換されていてもよ
く、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、プロピオ
ン酸、ブタン酸等が好ましく挙げられる。更に、酢酸、
ギ酸、プロピオン酸が好ましく、特に酢酸が好ましく用
いられる。
【0035】本発明における、アルコールとしては、例
えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2
−プロパノール、ブタノール等の炭素原子数1〜6の低
級アルコールが好ましく挙げられる。更に1−プロパノ
ール、2−プロパノール、ブタノール等の炭素原子数3
〜4のアルコールが好ましく、特に2−プロパノールが
好ましく用いられる。
【0036】本発明において、脂肪族カルボン酸とアル
コールのいずれか一方を使用しても、両方を使用しても
よい。脂肪族カルボン酸とアルコールではアルコールの
方が好ましい。
【0037】水性溶媒に存在させるアルコール又は脂肪
族カルボン酸の量は特に限定されないが、芳香族アミノ
酸に対して通常0.1〜20倍量(wt/wt)好ましくは
0.5〜5倍量の範囲で使用すればよい。
【0038】なお、上述した水性溶媒としては水が好ま
しく用いられる。本発明の効果を阻害しない範囲でアセ
トニトリル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒と水との
混合溶媒を用いることもできる。水性溶媒の量は特に限
定されないが、芳香族アミノ酸に対して通常1〜50倍
量(wt/wt)の範囲で使用することができる。
【0039】反応終了後、反応溶媒を必要により濃縮ま
たは留去し、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアル
コール、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチル
エーテル等の溶媒で抽出を行えばよい。その後、抽出溶
媒を留去することで芳香族ブロモカルボン酸誘導体を得
ることができる。また例えばアミン塩等の塩とし晶析等
により固体又は結晶として得ることもできる。
【0040】上述したような方法により、芳香族アミノ
酸から芳香族ブロモカルボン酸誘導体を製造する工程に
おいて、高疎水性不純物の生成が著しく抑制され、純度
の高い芳香族ブロモカルボン酸誘導体を得ることができ
る。
【0041】前記一般式(3)で表される芳香族アシル
チオカルボン酸誘導体を製造する方法について説明す
る。
【0042】前記一般式(2)で表される芳香族ブロモ
カルボン酸誘導体とチオ有機酸をアミン存在下に反応さ
せることにより前記一般式(3)で表される芳香族アシ
ルチオカルボン酸誘導体を製造することができる。
【0043】例えば、溶媒中に、チオ有機酸、アミン、
芳香族ブロモカルボン酸誘導体を加え反応させればよ
い。これらの添加順序は特に限定されない。また、芳香
族ブロモカルボン酸誘導体を予めアミン塩としておき、
必要により更にアミンを添加し、これを溶媒中でチオ有
機酸と反応させてもよい。
【0044】チオ有機酸としては下記一般式(4)で表
わすことができる。 R−COSH (4) [Rは前記と同じ意味を示す。]
【0045】具体例としては、チオ酢酸、チオ安息香
酸、チオプロピオン酸等が挙げられる。好ましくはチオ
酢酸、チオ安息香酸、特にチオ酢酸が好ましく用いられ
る。
【0046】反応温度は特に限定されないが通常−10
℃〜40℃、好ましくは5〜25℃の範囲である。反応
時間は特に限定されないが通常0.5時間以上反応させ
る。好ましくは1〜5時間の範囲である。
【0047】チオ有機酸の量は、芳香族ブロモカルボン
酸誘導体1モル当量に対して、通常0.8モル当量〜
3.0モル当量、好ましくは1.0モル当量〜2.0モ
ル当量で用いる。用いるアミンの量は特に限定されない
が、反応収率を高くするため、通常芳香族ブロモカルボ
ン酸誘導体1モル当量に対して1モル当量以上で用い
る。また、好ましくは1〜2モル当量、更に好ましくは
1.3モル当量〜1.6モル当量で用いる。エチレンジ
アミン等の1分子内に複数のアミノ基を有するアミンの
場合は上記量をそのアミノ基の数で除した当量を用いれ
ばよい。なお、アミン以外の他の塩基を併用して上記に
示したような量で用いることもできる。しかしながら、
アミンの量が不十分であると不純物の生成を招くことに
なるため、通常その必要はない。
【0048】本工程で使用する溶媒としては、酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル
類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、ブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、
メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類、アセト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、シクロヘキ
サン、トルエン、ベンゼン等の炭化水素類、ジクロロメ
タン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジメ
チルホルムアミド、水又はこれら任意の溶媒の混合溶媒
等が挙げられる。好ましくは酢酸エチル、イソプロピル
アルコール、エタノール、メタノール、メチルイソブチ
ルケトン、トルエンが挙げられる。
【0049】アミンとしてはトリエチルアミン、ジエチ
ルアミン、イソブチルアミン、ジイソプロピルアミン、
ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイ
ソプロピルエチルアミン、エチレンジアミン又はジメチ
ルアミノピリジン等が好ましく挙げられる。更に好まし
いアミンとしてはトリエチルアミン、ジエチルアミン、
ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙
げられ、特にトリエチルアミンが好ましく用いられる。
【0050】上述したような方法により、芳香族ブロモ
カルボン酸誘導体から芳香族アシルチオカルボン酸誘導
体を製造する工程において、高疎水性不純物の生成が著
しく抑制される。また、前述した本発明の芳香族ブロモ
カルボン酸誘導体の製造方法を組み合わせて用いること
により、より高純度の芳香族アシルチオカルボン酸誘導
体を得ることができる。
【0051】本発明の製造方法に従って得られた芳香族
アシルチオカルボン酸は晶析工程で種々の問題を引き起
こす高疎水性の不純物含量が著しく低減されているた
め、晶析操作により純度の高い芳香族アシルチオカルボ
ン酸の結晶を高収率で得ることができる。
【0052】晶析に使用する好ましい溶媒としてはシク
ロヘキサン、ヘプタン、ヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。また、晶
析収率等に影響を及ぼさない範囲でこれら炭化水素系溶
媒と他の溶媒との混合溶媒を使用してもよい。他の溶媒
としては、酢酸エチル等の酢酸エステル類、メタノー
ル、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール等の
アルコール類、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチル
エーテル等のエーテル類、アセトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン類、ジクロロメタン、ジクロロエタン
等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、ベンゼン等の芳
香族炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド等が挙げられ
る。晶析の方法は特に限定されず当業者に公知の方法
(濃縮晶析、冷却晶析等)を用いることができるが、特
に冷却晶析によるのが好ましい。
【0053】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これら実施例はもちろん本発明を限定するもので
はない。なお収率及び不純物の分析は、イナートシル
(登録商標)ODS-2 (InertsilTM ODS-2)カラム(ジーエ
ルサイエンス(株))を用いたHPLC分析にて行っ
た。
【0054】<実施例1>D−フェニルアラニン10g
(61mmol)、酢酸10ml、水10ml、臭化カ
リウム8.36g(70mmol)、48%臭化水素水
41g(243mmol)を混合させた。氷冷下、33
%亜硝酸ナトリウム水溶液16g(76mmol)を2
時間かけて滴下し、3時間攪拌の後、室温で一夜攪拌し
た。トルエンで抽出し、有機層を2%亜硫酸ソーダ水溶
液、20%食塩水の順で洗浄した後、濃縮し、油状の
(R)−BPPAを得た。HPLCで分析したところ、
(R)−BPPAの収率は81%(11.3g)であっ
た。
【0055】<実施例2>D−フェニルアラニン2g
(12mmol)、イソプロピルアルコール8ml、臭
化カリウム1.2g(10mmol)、48%臭化水素
水8.3g(49mmol)を混合させた。氷冷下、3
3%亜硝酸ナトリウム水溶液3.0g(15mmol)
を2時間かけて滴下し、3時間攪拌の後、室温で一夜攪
拌した。トルエンで抽出し、有機層を2%亜硫酸ソーダ
水溶液、20%食塩水の順で洗浄した後、濃縮し、油状
の(R)−BPPAを得た。HPLCで分析したとこ
ろ、(R)−BPPAの収率は82%(2.3g)であ
った。
【0056】<実施例3>実施例2で油状で得た(R)
−BPPA(7.8g)をトルエンに溶解させ、氷冷
下、チオ酢酸4.1gを加え、トリエチルアミン4.9
gを滴下した。3時間攪拌の後に3%硫酸水素カリウム
水溶液で2回洗浄を行い、濃縮乾固させ、(S)−AT
PPA(7.5g)の固体を得た(収率98%)。得ら
れた(S)−ATPPA(5.8g)にシクロヘキサン
45mlを加え、50℃まで加熱して溶解させた。その
後、種晶を接種して冷却晶析を行い(S)−ATPPA
の結晶を得た。(収量4.9g、晶析収率85%)
【0057】<比較例1>D−フェニルアラニン10g
(61mmol)、水25ml、臭化カリウム8.36
g(70mmol)、48%臭化水素水41g(243
mmol)を混合させた。氷冷下、33%亜硝酸ナトリ
ウム水溶液16g(76mmol)を2時間かけて滴下
し、3時間攪拌の後、室温で一夜攪拌した。トルエンで
抽出し、有機層を2%亜硫酸ソーダ水溶液、20%食塩
水の順で洗浄した後、濃縮し、油状の(R)−BPPA
を得た。HPLCで分析したところ、(R)−BPPA
の収率は74%(10.3g)であった。
【0058】<比較例2>比較例1で得られた油状の
(R)−BPPA(10g)をメチルイソブチルケトン
に溶解させ、チオ酢酸カリウム7.3gのメチルイソブ
チルケトン懸濁液中に徐々に滴下した。一夜攪拌の後に
3%硫酸水素カリウム水溶液で2回洗浄を行い、20%
食塩水で洗浄した後、濃縮乾固し油状の(S)−ATP
PA(9.8g)を得た(収率98%)。得られた油状
(S)−ATPPA(6.8g)にシクロヘキサン35
mlを加え、50℃まで加熱して溶解させた。その後、
種晶を接種し、冷却晶析を行い(S)−ATPPA結晶
(5.3g)を得た。(晶析収率79%)
【0059】<比較例3>D−フェニルアラニン10g
(61mmol)、水15ml、トルエン17ml、臭
化カリウム3.6g(31mmol)及び48%臭化水
素水40.8g(242mmol)を混合させた。亜硝
酸ナトリウム5.43g(78mmol)を水10ml
に溶解した水溶液を、−5℃で5時間かけて滴下し、3
時間攪拌の後、15℃で更に8時間攪拌した。トルエン
で抽出し、有機層を2%亜硫酸ソーダ水溶液、20%食
塩水の順で洗浄した後、濃縮し、油状の(R)−BPP
Aを得た。HPLCで分析したところ、(R)−BPP
Aの収率は76.5%(10.6g)であった。
【0060】比較例と実施例における不純物含量と
(S)−ATPPA結晶の晶析収率を以下にまとめる。
なおブロモ化工程で生じる不純物を不純物X、アシル化
工程で生じる不純物を不純物Yとする。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】本発明によれば芳香族アシルチオカルボ
ン酸誘導体及びその前駆体である芳香族ブロモカルボン
酸誘導体を製造する際、高疎水性不純物の生成が著しく
抑制され、医薬中間体として有用な高純度の芳香族ブロ
モカルボン酸誘導体及び芳香族アシルチオカルボン酸誘
導体を高収率で製造することができる。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 [Aは、それぞれ置換基を有していてもよい炭素原子数
    6〜15のアリール基もしくは炭素原子数7〜20のア
    ラルキル基、又はこれらの炭素骨格中にヘテロ原子を含
    む基を示す。]で表される芳香族アミノ酸を脂肪族カル
    ボン酸及びアルコールからなる群より選ばれる少なくと
    も1つ、亜硝酸ナトリウム、並びに臭化水素の存在下に
    水性溶媒中で反応させ、一般式(2) 【化2】 [Aは前記と同じ意味を示す。]で表される芳香族ブロ
    モカルボン酸誘導体を得た後、該芳香族ブロモカルボン
    酸誘導体とチオ有機酸をアミンの存在下に反応させるこ
    とを特徴とする一般式(3) 【化3】 [Aは前記と同じ意味を示し、Rは炭素原子数1〜6の
    アルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、又は炭
    素原子数7〜11のアラルキル基を示す。]で表される
    芳香族アシルチオカルボン酸誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 Aがベンジル基である請求項1記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1)で表される芳香族アミノ酸
    がD−フェニルアラニンであり、一般式(2)で表され
    る芳香族ブロモカルボン酸誘導体が(R)−2−ブロモ
    −3−フェニルプロピオン酸であり、一般式(3)で表
    される芳香族アシルチオカルボン酸誘導体が(S)−2
    −アセチルチオ−3−フェニルプロピオン酸である請求
    項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 脂肪族カルボン酸が酢酸、ギ酸、トリフ
    ルオロ酢酸、プロピオン酸又はブタン酸である請求項1
    記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルコールが炭素原子数1〜6のアルコ
    ールである請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 アミンがトリエチルアミン、ジエチルア
    ミン、イソブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシ
    クロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプ
    ロピルエチルアミン、エチレンジアミン又はジメチルア
    ミノピリジンである請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 下記一般式(1) 【化4】 [Aは、それぞれ置換基を有していてもよい炭素原子数
    6〜15のアリール基もしくは炭素原子数7〜20のア
    ラルキル基、又はこれらの炭素骨格中にヘテロ原子を含
    む基を示す。]で表される芳香族アミノ酸を脂肪族カル
    ボン酸及びアルコールからなる群より選ばれる少なくと
    も1つ、亜硝酸ナトリウム、並びに臭化水素の存在下に
    水性溶媒中で反応させることを特徴とする、下記一般式
    (2) 【化5】 [Aは前記と同じ意味を示す。]で表される芳香族ブロ
    モカルボン酸誘導体の製造方法。
  8. 【請求項8】 Aがベンジル基である請求項7記載の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 一般式(1)で表される芳香族アミノ酸
    がD−フェニルアラニンであり、一般式(2)で表され
    る芳香族ブロモカルボン酸誘導体が(R)−2−ブロモ
    −3−フェニルプロピオン酸である請求項7記載の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 脂肪族カルボン酸が酢酸、ギ酸、トリ
    フルオロ酢酸、プロピオン酸又はブタン酸である請求項
    7記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 アルコールが炭素原子数1〜6のアル
    コールである請求項7記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 下記一般式(2) 【化6】 [Aは、それぞれ置換基を有していてもよい炭素原子数
    6〜15のアリール基もしくは炭素原子数7〜20のア
    ラルキル基、又はこれらの炭素骨格中にヘテロ原子を含
    む基を示す。]で表される芳香族ブロモカルボン酸誘導
    体とチオ有機酸をアミンの存在下に反応させることを特
    徴とする下記一般式(3) 【化7】 [Aは前記と同じ意味を示し、Rは炭素原子数1〜6の
    アルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、又は炭
    素原子数7〜11のアラルキル基を示す。]で表される
    芳香族アシルチオカルボン酸誘導体の製造方法。
  13. 【請求項13】 Aがベンジル基である請求項12記載
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 一般式(2)で表される芳香族ブロモ
    カルボン酸誘導体が(R)−2−ブロモ−3−フェニル
    プロピオン酸であり、一般式(3)で表される芳香族ア
    シルチオカルボン酸誘導体が(S)−2−アセチルチオ
    −3−フェニルプロピオン酸である請求項12記載の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 アミンがトリエチルアミン、ジエチル
    アミン、イソブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ
    シクロヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソ
    プロピルエチルアミン、エチレンジアミン又はジメチル
    アミノピリジンである請求項12記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106039626A (zh) * 2016-06-22 2016-10-26 上海汇友精密化学品有限公司 一种水成膜泡沫灭火剂的制备方法

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