JP2001341269A - 多層ポリエステル系シートおよびその成形品 - Google Patents
多層ポリエステル系シートおよびその成形品Info
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Abstract
かつ成形時の金型汚れを低減した多層ポリエステル系シ
ートおよびその成形品を提供する。 【解決手段】 固有粘度0.70dL/g以上を有する
ポリエステル系樹脂99重量%以上およびポリオレフィ
ン系樹脂1重量%以下からなる表層と、固有粘度0.7
0dL/g以上を有するポリエステル系樹脂92〜99
重量%およびポリオレフィン系樹脂1〜8重量%から成
る内層を少なくとも有する多層ポリエステル系シート、
および該シートを用いて成形された、表層の結晶化度が
10〜40%である多層ポリエステル系成形品。
Description
の特性を要求されるトレーなどの成形品を得るのに適し
たポリエステル系シート、詳しくは結晶性および容器成
形性に優れかつ成形時の金型汚れを低減した多層ポリエ
ステル系シート、およびその成形品に関する。
普及により、高温での使用に耐えうる食品用トレーが必
要とされている。特に半調理済み冷凍食品用のトレーと
しては、調理時の高温条件のみならず保存時の冷凍条件
での使用、すなわち約−20℃〜約200℃といった広
い温度範囲での使用に耐えうる必要がある。現在、上記
特性を有する食品用トレーとして、主としてポリエチレ
ンテレフタレート樹脂(以下PETと記す)からなるポ
リエステル系シートを容器成形時に結晶化させて得られ
た結晶化樹脂トレーが実用化されている。
ル系シートは、容器を熱成形する際その結晶化に時間を
要するため、容器生産時の成形サイクルが比較的長いこ
とが問題とされていた。さらに、かかるPETからなる
トレーは充分な耐熱性を有するものの耐衝撃性は充分と
はいえず、衝撃による容器破損が著しいという欠点をも
有していた。
のポリオレフィンを添加した樹脂(以下C−PETと記
す)からなるポリエステル系シートが提案されている。
C−PETシートは熱成形時の結晶性がPETシートに
比して向上しており、比較的成形性に優れることが知ら
れている。また、C−PETシートから得られた容器の
耐衝撃性はPETシートからなる容器のそれよりも良好
であることも知られている。
も低温における耐衝撃性は充分とはいえず、冷凍温度で
の移動中に衝撃が加わった場合に容器が一部破損してし
まうという欠点は解決されてはいない。さらに近年のラ
イフスタイルの変化に伴い、簡便に調理可能な冷凍加熱
食品の消費量は増加しているため、より優れた耐衝撃性
を備えた耐熱容器の必要性はいっそう高まっているのが
事実である。
熱成形によって生産される場合、予熱時のシートの垂れ
下がり量の適正化、金型からの離型性の向上、金型汚れ
の付着量減少や成形サイクルの短縮といった成形性の改
善も必要であるが、上記C−PETでは成形時における
金型へのポリオレフィン付着、すなわち金型汚れが著し
いことが問題となっており、その早期解決が望まれてい
る。
層にC−PET、内層に非晶性ポリエステルであるPE
T−Gを用いた多層シート、あるいは、ポリエチレンア
イオノマーをポリオレフィンとして用いたC−PET等
に関する特許が出願されている。
には優れるものの、成形時の金型汚れを解決できていな
い。また後者C−PETからなる容器は充分な耐衝撃性
を有しているとはいえず、加熱とヒートセット時に異臭
がある欠点、耐熱性に劣るため変色する欠点をも有する
ため、実用化には至っていない。
リエステル系シートおよびそのシートからなる成形品
は、その成形および使用に際する種々の問題を解決する
ことができていない。本発明は以上の背景に基づき、耐
熱性、耐衝撃性等の特性を要求されるトレーなどの成形
品を得るのに適したポリエステル系シート、詳しくは結
晶性および容器成形性に優れ、かつ成形時の金型汚れを
低減したポリエステル系シート、およびその成形品を提
供することを課題とするものである。
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル
系シートにおいて特定の組成を有する表層および内層か
らなる多層構造を採用することにより上記の課題が解決
されることを見いだし、本発明に到達した。
ル系樹脂99重量%以上およびポリオレフィン系樹脂1
重量%以下からなる表層と、固有粘度0.70dL/g
以上を有するポリエステル系樹脂92〜99重量%およ
びポリオレフィン系樹脂1〜8重量%から成る内層を有
する多層ポリエステル系シート。 2.多層ポリエステル系シート内層部のポリオレフィン
系樹脂の平均分散粒径が3μm以下であることを特徴と
する上記1記載の多層ポリエステル系シート。 3.上記1または2に記載のポリエステル系シートから
なり、表層の結晶化度が10〜40%である成形品。
発明における多層ポリエステルシートに用いられるポリ
エステルは、たとえばポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレ
ンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、液晶性ポ
リエステルおよび前記ポリエステルに任意の結晶核剤を
添加したものが挙げられるが、特に好ましくは、樹脂の
結晶性、成形性、耐熱温度および価格の点から、結晶核
剤を添加したPETである。
固有粘度が0.70dL/g以上、好ましくは0.80
dL/g以上である。固有粘度が0.70dL/g以下
である場合、得られたシートおよびその成形品は機械的
強度に劣り、また容器成形時のシート予熱工程でシート
垂れ下がりによる操業不良発生が起こりやすいため、好
ましくない。
分の一部として、他種芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカ
ルボン酸、脂肪族ジカルボン酸を用いても良い。芳香族
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフ
タル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ安息香
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼ
ンスルホン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など
が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としてはシクロヘキ
サンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙
げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などが挙げら
れる。これらは樹脂の融点および結晶性を大きく低下さ
せない範囲で用いられ、その量は全酸成分の20モル%
未満、好ましくは10モル%未満である。
コール成分の一部として他種のグリコールすなわち炭素
数が1〜25のアルキレングリコールを用いることがで
きる。例えばジエチレングリコール、1,2−プロピレ
ングリコール、1,3−プロバンジオール、1,3−ブ
タンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノ
ナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロール
ヘプタン、ジメチロールペンタン、トリシクロデカンジ
メタノール、ビスフェノールXのエチレンオキサイド誘
導体(XはA,S,F)などである。これらのグリコー
ルは各種特性のバランスにより適切な組み合わせで用い
られるが、ポリマー中の主となるエステル単位の結晶性
を妨げないことが前提であるため、その共重合量は全グ
リコール成分の20モル%以下であることが望ましい。
って三官能以上のポリカルボン酸やポリオール成分を含
むこともできる。例えば無水トリメリット酸、ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパン、グ
リセリン、無水ピロメリット酸、ペンタエリスリトー
ル、5−ヒドロキシイソフタル酸などを3モル%以下使
用できる。
って二官能性のポリエーテル成分を含むこともできる。
例えばPTMG、エチレンオキサイド変成PTMGなど
を10重量%以下使用できる。また、p−フェニルフェ
ノール、ベンジルオキシ安息香酸、ナフタレンモノカル
ボン酸、ポリエチレングリコールモノメチレンエーテル
等の化合物も10重量%以下使用できる。
の表層に使用するポリオレフィン系樹脂は、その量が1
重量%以下であることが必要であり、0.5重量%以下で
あることがより好ましい。1重量%より多くのポリオレ
フィン系樹脂が表層中に存在している場合、例えば真空
成形、圧空成形時にポリオレフィン系樹脂が金型に転写
され金型汚れの原因となるため好ましくない。
高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、線状低
密度ポリエチレン、ポリプロピレン、マレイン酸変性ポ
リエチレン、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル
酸エチル−エチレン共重合体、エチレン−プロピレン共
重合体、メタクリル酸グリシジル−エチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル−アクリル酸エチル−エチレン
共重合体などが挙げられる。これらは単独で用いても良
いし、二種以上を併用しても良い。
の表層には公知の任意の結晶核剤、例えばタルク、カオ
リン、シリカ等の無機核剤、およびPBTオリゴマー、
安息香酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機
核剤などを添加することができる。結晶核剤の添加量は
0.01〜5重量%であり、核剤の種類に応じて適宜設
定される。なお、耐衝撃性を向上させる効果を併せ持つ
結晶核剤として前述のポリオレフィン系樹脂、例えばポ
リエチレン、ポリプロピレンなどが公知であるが、これ
らは金型汚れの原因にならない量の範囲で用いても良
い。
内層に用いられるポリオレフィン系樹脂として、例えば
高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、線状低
密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
樹脂、マレイン酸変性ポリエチレン、酢酸ビニル−エチ
レン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン共重合体、
エチレン−プロピレン共重合体、メタクリル酸グリシジ
ル−エチレン共重合体、メタクリル酸グリシジル−アク
リル酸エチル−エチレン共重合体などの変性ポリオレフ
ィン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良い
し、二種以上を併用しても良い。特に、内層の耐衝撃性
を向上させる観点からは、変性ポリオレフィン樹脂を単
独もしくはポリオレフィン樹脂と併用で用いることが好
ましい。特に好ましくは、メタクリル酸グリシジル共重
合体と低密度ポリエチレンとの併用、またはメタクリル
酸グリシジル共重合体の単独使用である。
層全重量に対して1〜10重量%、好ましくは3〜7重
量%である。1重量%より少ないと耐衝撃性改善効果が
充分ではなく、10重量%より多いとポリオレフィン系
樹脂特有の異臭が発生するため好ましくない。
レート(以下MFRと記す)は、その耐衝撃性改善効果
およびPETへの微分散性の観点から、5g/10分以
下、好ましくは3g/10分以下である。
は3μm以下、好ましくは1.5μm以下である。平均
分散粒径が3μmより大きい場合、成形品の耐衝撃性が
劣るため好ましくない。
0〜40%であり、好ましくは20〜35%である。結
晶化度が10%より少ないと容器の十分な耐熱性が得ら
れず、40%より大きいと過結晶化状態となり耐衝撃性
が著しく低下してしまう。
常、表層(容器にした場合の容器の最外層)と中間層と
内層(容器にした場合の最内層)とから構成されるが、
その厚みの比は表層:中間層:内層=0.1:9.8:
0.1〜3:4:3であることが好ましい。層の数は通
常三層であるが、そのほか例えば五層や七層であっても
よく、その際の総厚み比は上記三層の場合の厚み比に準
ずるものとする。
常の共押出法によって作製される。さらに該シートは、
加圧、真空、圧縮などの成形によりトレーなどの容器に
加工される。
には、目的に応じて種々の重合体あるいは添加剤を配合
して組成物を得ることができる。重合体としては、例え
ばポリアミド系重合体、ポリエステルエラストマーおよ
びその他のポリエステル系重合体、ポリスチレン系重合
体、ポリアクリル系重合体などが挙げられる。添加剤と
しては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐
系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリ
アゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッ
ケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、
過酸化物等の分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシア
ネート系化合物、カルボジイミド系化合物等の反応基を
有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、
中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃
剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料、染料などを添加
することができる。
に詳述するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。主な物性値の測定法は次の通りである。 (1) IV:フェノール/テトラクロロエタン=60
/40(重量比)の混合溶媒を用いて温度30℃にて測
定した。
脂の平均分散粒径:作製したシートを液体窒素で冷却
し、押しだし方向と並行な方向に折り割った。シートの
破片に金を蒸着した後にその破断面を走査型電子顕微鏡
で観測し、シート内層部におけるポリオレフィン樹脂の
分散平均粒径を測定した。
形機TVP−33型にて、鏡面仕上げの金型(満注容量
320cc)を用いて真空成形を行い容器を得た。シー
トの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温度は
180℃とした。連続的に300回の成形を行い、金型
表面へのポリオレフィン付着量を目視にて観測、評価し
た。
用い、0℃雰囲気下デュポン式落錘衝撃試験機を用いて
176gのおもり(衝撃面:直径12mmの半球)を高
さ50cmから落錘させた時の、試験個数15個に対す
る割れた個数にて評価した。
ィン系樹脂および変性ポリオレフィン系樹脂は次の通り
である。 PET:東洋紡績社製IV=1.00g/dlのPET
樹脂 ポリオレフィン樹脂:日本ポリケム(株)社製線状低密
度ポリエチレンノバテックLL(UF230) 変性ポリオレフィン樹脂:住友化学工業(株)社製ボン
ドファースト2Cおよび7M (2C:エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体;
7M:エチレン−アクリル酸アルキル−メタクリル酸グ
リシジル共重合体)
5mm厚みの多層シートを得た。シート内層および表層
の樹脂組成は以下の表1にまとめて示す。なお、シート
成形時のバレル温度は全て290℃とした。次にこのシ
ートを用いて、三和興業社製真空圧空成形機TVP−3
3型にて満注容量320ccのトレー容器を得た。シー
トの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温度は
180℃とした。各シートから得られた成形容器につい
て、前述の評価法に基づきポリオレフィン系樹脂の平均
分散粒径、金型汚れ、衝撃強度について評価した。その
結果を表2に示す。
た、タルクのみ、樹脂の総量に対する重量部として示し
た。
エステル系シート成形品は、金型汚れを生じず、かつ優
れた耐衝撃性を示していることがわかる。また成形時に
おける離型性、型決まり性も良好であった。一方、比較
例1〜3では、耐衝撃性および金型汚れの点で問題があ
ることが明らかである。
の多層ポリエステル系シートから得られた成形品は、表
2からも明らかなように成形時の金型汚れを低減しかつ
充分な耐衝撃性を有している。よって本発明の多層ポリ
エステル系シートは、耐熱性、耐衝撃性等の特性を要求
されるトレーなどの成形品を得るのに適したものであ
り、産業界に寄与すること大である。
Claims (3)
- 【請求項1】 固有粘度0.70dL/g以上を有する
ポリエステル系樹脂99重量%以上およびポリオレフィ
ン系樹脂1重量%以下からなる表層と、固有粘度0.7
0dL/g以上を有するポリエステル系樹脂92〜99
重量%およびポリオレフィン系樹脂1〜8重量%から成
る内層を少なくとも有する多層ポリエステル系シート。 - 【請求項2】 多層ポリエステル系シート内層部のポリ
オレフィン系樹脂の平均分散粒径が3μm以下であるこ
とを特徴とする請求項1に記載の多層ポリエステル系シ
ート。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリエステル
系シートからなり、表層の結晶化度が10〜40%であ
る成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001093323A JP4174701B2 (ja) | 2000-03-28 | 2001-03-28 | 多層ポリエステル系シートおよびその成形品 |
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JP2000089424 | 2000-03-28 | ||
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005187763A (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Toyobo Co Ltd | ポリエステル未延伸フイルム |
JP2005239818A (ja) * | 2004-02-25 | 2005-09-08 | Risu Pack Co Ltd | 耐熱性ポリエステル系シート、及びこれを使用した耐衝撃性を有する成形品 |
-
2001
- 2001-03-28 JP JP2001093323A patent/JP4174701B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005239818A (ja) * | 2004-02-25 | 2005-09-08 | Risu Pack Co Ltd | 耐熱性ポリエステル系シート、及びこれを使用した耐衝撃性を有する成形品 |
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