JP2002001889A - 多層ポリエステル系シートおよびその成形品 - Google Patents

多層ポリエステル系シートおよびその成形品

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JP2002001889A JP2000183514A JP2000183514A JP2002001889A JP 2002001889 A JP2002001889 A JP 2002001889A JP 2000183514 A JP2000183514 A JP 2000183514A JP 2000183514 A JP2000183514 A JP 2000183514A JP 2002001889 A JP2002001889 A JP 2002001889A
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Nobuhiro Ide
伸弘 井出
Hiroshi Shimoyama
洋志 下山
Atsushi Hara
厚 原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐衝撃性および容器成形性に優れ、
かつ成形時の金型汚れを低減した多層ポリエステル系シ
ートおよびその成形品を提供する。 【解決手段】 固有粘度0.70dL/g以上を有する
ポリエステル系樹脂99重量%以上およびポリオレフィ
ン系樹脂1重量%以下からなる少なくとも1つの層と、
固有粘度0.70dL/g以上を有するポリエステル系
樹脂92〜99重量%およびJISK−6760−19
81に基づいて測定した密度が0.91g/cm3以下
のポリオレフィン系樹脂1〜8重量%および/またはエ
ポキシ基を含有する(共重合)ポリオレフィン系樹脂1
〜8重量%からなる層とを少なくとも含む二層以上で構
成される多層ポリエステル系シート、および該シートを
用いて成形された結晶化度が10〜40%である成形
品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱性、耐衝撃性等
の特性を要求されるトレーなどの成形品を得るのに適し
たポリエステル系シート、詳しくは結晶性、耐衝撃性、
容器成形性に優れかつ成形時の金型汚れを低減したポリ
エステル系シート、およびその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭用の電子レンジ、オーブンの広範な
普及により、高温での使用に耐えうる食品用トレーが必
要とされている。特に半調理済み冷凍食品用のトレーと
しては、調理時の高温条件のみならず保存時の冷凍条件
での使用、すなわち約−20℃〜約220℃といった広
い温度範囲での使用に耐えうる必要がある。現在、上記
特性を有する食品用トレーとして、主としてポリエチレ
ンテレフタレート樹脂(以下PETと記す)からなるポ
リエステル系シートを容器成形時に結晶化させて得られ
た結晶化樹脂トレーが実用化されている。
【0003】しかしながら、PETからなるポリエステ
ル系シートは、容器を熱成形する際その結晶化に時間を
要するため、容器生産時の成形サイクルが比較的長いこ
とが問題とされていた。さらに、かかるPETからなる
トレーは充分な耐熱性を有するものの耐衝撃性は充分と
はいえず、衝撃による容器破損が著しいという欠点をも
有していた。
【0004】上記問題を解決するために、PETに少量
のポリオレフィンを添加した樹脂(以下C−PETと記
す)からなるポリエステル系シートが提案されている。
C−PETシートは熱成形時の結晶性がPETシートに
比して向上しており、比較的成形性に優れることが知ら
れている。また、C−PETシートから得られた容器の
耐衝撃性はPETシートからなる容器のそれよりも良好
であることも知られている。
【0005】この種の食品用トレーがシートの熱成形に
よって生産される場合、上記特性に加え、予熱時におけ
るシートの垂れ下がり量の適正化、金型からの離型性の
向上、金型汚れの付着量減少や成形サイクルの短縮とい
った成形性の改善も必要である。しかし、上記C−PE
Tでは成形時における金型へのポリオレフィン付着、す
なわち金型汚れが著しいことが問題となっており、その
早期解決が望まれている。
【0006】上記欠点を改良するための方法として、表
層にC−PET、内層に非晶性ポリエステルであるPE
T−Gを用いた多層シート、あるいは、ポリエチレンア
イオノマーを用いたC−PET等に関する特許が出願さ
れている。
【0007】しかしながら、前者多層シートは耐衝撃性
には優れるものの、成形時の金型汚れを解決できていな
い。また後者C−PETからなる容器は充分な耐衝撃性
を有しているとはいえず、加熱とヒートセット時に異臭
がある欠点、耐熱性に劣るため変色する欠点をも有する
ため、実用化には至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の通り、現行のポ
リエステル系シートおよびそのシートからなる成形品
は、その成形および使用に際する種々の問題を解決する
ことができていない。本発明は以上の背景に基づき、耐
熱性、耐衝撃性等の特性を要求されるトレーなどの成形
品を得るのに適したポリエステル系シート、詳しくは結
晶性および容器成形性に優れ、かつ成形時の金型汚れを
低減したポリエステル系シート、およびその成形品を提
供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル
系シートにおいてその構成を多層のものとし、かつ特定
の性質を有するポリオレフィン樹脂をその一部の層に用
いることによって上記の課題が解決されることを見いだ
し、本発明に到達した。
【0010】即ち本発明は以下に示すものである。 1.固有粘度0.70dL/g以上を有するポリエステ
ル系樹脂99重量%以上およびポリオレフィン系樹脂1
重量%以下からなる少なくとも1つの層(層A)と、固
有粘度0.70dL/g以上を有するポリエステル系樹
脂92〜99重量%およびポリオレフィン系樹脂1〜8
重量%からなる層(層B)とを少なくとも含む二層以上
で構成された多層ポリエステル系シート。 2.シートの層Bに含有されるポリオレフィン系樹脂
が、JISK−6760−1981に基づいて測定した
密度が0.91g/cm3以下の低密度ポリオレフィン
系樹脂であることを特徴とする上記1記載の多層ポリエ
ステル系シート。 3.シートの層Bに含有されるポリオレフィン系樹脂
が、エポキシ基を含有するポリオレフィン系樹脂または
共重合ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする上
記1記載の多層ポリエステル系シート。 4.上記1から3のいずれかに記載のポリエステル系シ
ートから成形された結晶化度が10〜40%である成形
品。
【0011】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明におけるポリエステル系シートに用いられるポリエ
ステル系樹脂は、たとえばPET、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロ
へキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレ
ンナフタレート、液晶性ポリエステルおよび前記ポリエ
ステルに任意の結晶核剤を添加したものが挙げられる
が、特に好ましくは、樹脂の結晶性、成形性、耐熱温度
および価格の点から、結晶核剤を添加したPETであ
る。
【0012】本発明のポリエステル系シートに用いられ
るポリエステル系樹脂は、その固有粘度が0.70dL
/g以上、好ましくは0.80dL/g以上である。固
有粘度が0.70dL/g以下である場合、得られたシ
ートおよびその成形品は機械的強度に劣り、また容器成
形時のシート予熱工程でシート垂れ下がりによる操業不
良発生が起こりやすいため、好ましくない。
【0013】本発明におけるポリエステル系樹脂は、そ
の酸成分の一部として、他種芳香族ジカルボン酸、脂環
族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸を用いても良い。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ
安息香酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテ
ルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシ
ベンゼンスルホン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としてはシク
ロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸な
どが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などが
挙げられる。これらは樹脂の融点および結晶性を大きく
低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の20
モル%未満、好ましくは10モル%未満である。
【0014】本発明におけるポリエステル系樹脂は、そ
のグリコール成分の一部として他種のグリコールすなわ
ち炭素数が1〜25のアルキレングリコールを用いるこ
とができる。例えばジエチレングリコール、1,2−プ
ロピレングリコール、1,3−プロバンジオール、1,
3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチ
ロールヘプタン、ジメチロールペンタン、トリシクロデ
カンジメタノール、ビスフェノールXのエチレンオキサ
イド誘導体(XはA,S,F)などである。これらのグ
リコールは各種特性のバランスにより適切な組み合わせ
で用いられるが、ポリマー中の主となるエステル単位の
結晶性を妨げないことが前提であるため、その共重合量
は全グリコール成分の20モル%以下であることが望ま
しい。
【0015】本発明におけるポリエステル系樹脂は、少
量に限って三官能以上のポリカルボン酸やポリオール成
分を含むこともできる。例えば無水トリメリット酸、ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、無水ピロメリット酸、ペンタエリスリ
トール、5−ヒドロキシイソフタル酸などを3モル%以
下使用できる。
【0016】本発明におけるポリエステル系樹脂は、少
量に限って二官能性のポリエーテル成分を含むこともで
きる。例えばPTMG、エチレンオキサイド変成PTM
Gなどを10重量%以下使用できる。また、p−フェニ
ルフェノール、ベンジルオキシ安息香酸、ナフタレンモ
ノカルボン酸、ポリエチレングリコールモノメチレンエ
ーテル等の化合物も10重量%以下使用できる。
【0017】本発明における多層ポリエステル系シート
の層Aに使用するポリオレフィン系樹脂は、その量が1
重量%未満であることが必要であり、0.5重量%以下で
あることがより好ましい。さらには、ポリオレフィン樹
脂を用いないことも好ましい。1重量%より多くのポリ
オレフィン系樹脂が層A中に存在している場合、例えば
真空成形、圧空成形時にポリオレフィン系樹脂が金型に
転写され金型汚れの原因となるため好ましくない。
【0018】上記ポリオレフィン系樹脂として、例えば
高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、線状低
密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピ
レン、マレイン酸変性ポリエチレン、酢酸ビニル−エチ
レン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン共重合体、
エチレン−プロピレン共重合体、メタクリル酸グリシジ
ル−エチレン共重合体、メタクリル酸グリシジル−アク
リル酸エチル−エチレン共重合体、エチレン−アクリル
酸共重合体の金属塩、エチレン−メタクリル酸共重合体
の金属塩などが挙げられる。これらは単独で用いても良
いし、二種以上を併用しても良い。特に、低分子成分含
有量の比較的少ないもの、たとえばメタロセン触媒によ
って重合されたポリオレフィン系樹脂を用いることが好
ましい。
【0019】本発明における多層ポリエステル系シート
の層Aには、公知の任意の結晶核剤、例えばタルク、カ
オリン、シリカ等の無機核剤、およびPBTオリゴマ
ー、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の
有機核剤などを添加することができる。結晶核剤の添加
量は5重量%以下であり、核剤の種類に応じて適宜設定
される。なお、耐衝撃性を向上させる効果を併せ持つ結
晶核剤として前述のポリオレフィン系樹脂、例えばポリ
エチレン、ポリプロピレンなどが公知であるが、これら
は金型汚れの原因にならない量の範囲で用いても良い。
【0020】本発明における多層ポリエステルシートの
層Bに用いられるポリオレフィン系樹脂としては、JI
SK−6760−1981に基づいて測定した密度が
0.91g/cm3以下の低密度ポリオレフィン系樹
脂、あるいはエポキシ基を含有するポリオレフィン系樹
脂または共重合ポリオレフィン系樹脂であることが必要
である。上記の超低密度ポリオレフィンとしては、エチ
レン−1-ブテン、エチレン−1-ヘキセン等をはじめと
するエチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−α
オレフィン共重合体(ブロックコポリマー、ランダムコ
ポリマー、ブロック/ランダムコポリマー)およびそれ
らの水添体などが挙げられ、特に限定するものではな
い。さらに、他のポリオレフィン系樹脂たとえば高密度
ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、線状低密度ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、
マレイン酸変性ポリエチレン、酢酸ビニル−エチレン共
重合体、アクリル酸エチル−エチレン共重合体、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合
体の金属塩、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩
などの変性ポリオレフィン樹脂等を本発明の効果を失わ
ない範囲で併用してもよい。好ましくは、JISK−6
760−1981に基づいて測定した密度が0.91g
/cm 3以下の低密度ポリオレフィン系樹脂またはエポ
キシ基を含有する(共重合)ポリオレフィン系樹脂の単
独使用か、両者の任意の比率での併用である。多層ポリ
エステルシートの層Bに、JISK−6760−198
1に基づいて測定した密度が0.91g/cm3以下の
低密度ポリオレフィン系樹脂またはエポキシ基を含有す
る(共重合)ポリオレフィン系樹脂を用いることによ
り、耐衝撃性、特には低温での耐衝撃性を高いレベルに
保つことができる。
【0021】上記ポリオレフィン系樹脂の添加量は、層
B全重量に対して1〜10重量%、好ましくは3〜7重
量%である。1重量%より少ないと耐衝撃性改善効果が
充分ではなく、10重量%より多いとポリオレフィン系
樹脂特有の異臭が発生するため好ましくない。
【0022】上記ポリオレフィン系樹脂のメルトフロー
レート(以下MFRと記す)は、その耐衝撃性改善効果
およびPETへの微分散性の観点から、10g/10分
以下、好ましくは5g/10分以下である。ただし、エ
ポキシ基を含有する(共重合)ポリエチレンについては
混練の過程においてMFR値の減少が起こりうるのでこ
の限りではない。
【0023】上記ポリオレフィン系樹脂の平均分散粒径
は好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下で
ある。平均分散粒径が5μmより大きい場合、成形品の
耐衝撃性が劣るため好ましくない。
【0024】本発明における多層ポリエステル系シート
の層Bには、その結晶性を向上させるために、公知の任
意の結晶核剤、たとえばタルク、カオリン、シリカ等の
無機核剤、およびPBTオリゴマー、安息香酸ナトリウ
ム、ステアリン酸ナトリウム等の有機核剤などを添加す
ることができる。結晶核剤の添加量は5重量%以下であ
り、核剤の種類に応じて適宜設定される。なお、シート
生産時には切り落としたシート両端を層Bに再利用する
工程が含まれる場合がある。その際には層B以外の層に
存在していた結晶核剤が層Bに混入するが、この混入核
剤量も上記添加量に含めてよい。
【0025】本発明の多層ポリエステル系シートの各層
には、目的に応じて種々の重合体あるいは添加剤を配合
して組成物を得ることができる。重合体としては、例え
ばポリアミド系重合体、ポリエステルエラストマーおよ
びその他のポリエステル系重合体、ポリスチレン系重合
体、ポリアクリル系重合体などが挙げられる。添加剤と
しては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐
系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリ
アゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッ
ケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、
過酸化物等の分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシア
ネート系化合物、カルボジイミド系化合物等の反応基を
有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、
中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃
剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料、染料などを添加
することができる。
【0026】本発明の多層ポリエステル系シートは、通
常、層A(容器にした場合の最外層):層B:層A(容
器にした場合の最内層)とから構成されるが、その厚み
の比は層A:層B:層A=0.01:9.98:0.0
1〜3:4:3であることが好ましい。層の数は通常三
層であるが、両最外層に層Aの樹脂組成物が位置してい
る限りたとえば五層や七層であってもよく、その際の総
厚み比は上記三層の場合の厚み比に準ずる。
【0027】また本発明の多層ポリエステル系シートは
二層からなるものであってもよい。この場合は本明細書
中に層Aとして記述した樹脂組成物からなる層が成形金
型に触れるように成形時に配置する必要がある。逆に配
置した場合、たとえば真空成形、圧空成形時にポリオレ
フィン系樹脂が金型に転写され、金型汚れの原因となる
ことがある。
【0028】さらに本発明の多層ポリエステル系シート
には前述の層A、層B以外の層を一層以上含むものでも
よい。両層以外の層に用いられる樹脂組成物は特に限定
はしないが、たとえばCHDM共重合ポリエステル、ポ
リエステルエラストマー、PET、イソフタル酸共重合
PET等の樹脂およびそれらの混合物を用いることがで
きる。
【0029】本発明の多層ポリエステル系シートは、通
常の共押出法、または、層Bを単層で押し出した後に別
途作製した層Aをラミネートすることなどによって得る
ことができる。
【0030】本発明におけるポリエステル系シートは、
加圧、真空、圧縮などの成形によりトレーなどの容器に
加工される。成形された容器などの層Aの結晶化度は1
0〜40%であり、好ましくは20〜35%である。結
晶化度が10%より少ないと容器の十分な耐熱性が得ら
れず、40%より大きいと過結晶化状態となり耐衝撃性
が著しく低下してしまう。成形された容器の結晶化度を
10〜40%にする方法としては、シート成形時のシー
ト加熱温度、時間の調整、成形金型内でのヒートセット
時間の調整等を適正化することにより行うことができ
る。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を更
に詳述するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。主な物性値の測定法は次の通りである。 (1) IV:フェノール/テトラクロロエタン=60
/40(重量比)の混合溶媒を用いて温度30℃にて測
定した。
【0032】(2)シート層B部のポリオレフィン系樹
脂の平均分散粒径:作製したシートを液体窒素で冷却
し、押しだし方向と並行な方向に折り割った。シートの
破片に金を蒸着した後にその破断面を走査型電子顕微鏡
で観測し、シート層B部におけるポリオレフィン樹脂の
分散平均粒径を測定した。
【0033】(3)金型汚れ:三和興業社製真空圧空成
形機TVP−33型にて、鏡面仕上げの金型(満注容量
320cc)を用いて真空成形を行い容器を得た。シー
トの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温度は
180℃とした。連続的に300回の成形を行い、金型
表面へのポリオレフィン付着量を目視にて観測、評価し
た。
【0034】(4)衝撃強度:トレー容器切り出し片を
用い、0℃雰囲気下デュポン式落錘衝撃試験機を用いて
176gのおもり(衝撃面:直径12mmの半球)を高
さ50cmから落錘させた時の、試験個数20個に対す
る割れた個数にて評価した。
【0035】使用したポリエステル系樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂および変性ポリオレフィン系樹脂は次の通り
である。 PET:東洋紡績社製IV=1.00g/dlのPET
樹脂 ポリオレフィン樹脂:日本ポリケム(株)社製線状低密
度ポリエチレンノバテックLL(UF230;密度0.
920g/cm3) ポリオレフィン樹脂:住友化学工業(株)社製メタロセ
ン系ポリエチレンスミカセンE(FV203;密度0.
912g/cm3) 密度が0.91g/cm3以下の低密度ポリエチレン:
住友化学工業(株)社製 エクセレンVL400(密度
0.900g/cm3) 変性ポリオレフィン樹脂:住友化学工業(株)社製ボン
ドファースト7L(7L:エチレン−アクリル酸アルキ
ル−メタクリル酸グリシジル共重合体)
【0036】実施例1〜4および比較例1〜3 上記の各樹脂を用いて、自家製シーティング機にて0.
5mm厚みの多層シートを得た。層比は層A:層B:層
A=0.8:3.4:0.8とした。シート層Aおよび
層Bの樹脂組成は以下の表1にまとめて示す。なお、シ
ート成形時のバレル温度は全て290℃とした。次にこ
のシートを用いて、三和興業社製真空圧空成形機TVP
−33型にて満注容量320ccのトレー容器を得た。
シートの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温
度は180℃とした。各シートから得られた成形容器に
ついて、前述の評価法に基づきポリオレフィン系樹脂の
平均分散粒径、金型汚れ、衝撃強度について評価した。
その結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表中の数字は各成分の重量%を表す。ま
た、タルクおよびステアリン酸ナトリウムは、樹脂の総
量に対する重量部として示した。
【0039】
【表2】
【0040】表2より、実施例1〜4に記載の多層ポリ
エステル系シート成形品は、金型汚れを生じず、かつ優
れた耐衝撃性を示していることがわかる。また成形時に
おける離型性、型決まり性も良好であった。一方、比較
例1〜4では、耐衝撃性および金型汚れの点で問題があ
ることが明らかである。
【0041】
【発明の効果】以上特定組成のポリマーからなる本発明
の多層ポリエステル系シートから得られた成形品は、表
2からも明らかなように成形時の金型汚れを低減しかつ
充分な耐衝撃性を有している。よって本発明の多層ポリ
エステル系シートは、耐熱性、耐衝撃性等の特性を要求
されるトレーなどの成形品を得るのに適したものであ
り、産業界に寄与すること大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK03A AK03B AK41A AK41B AL01B BA02 BA16 BA27 EH20 GB16 JA06A JA06B JA11 JA13B JJ03 JK10 JL01 JL06 YY00 YY00A YY00B 4J002 BB052 BB102 BB142 BP032 CF011 CF051 CF061 CF071 CF081 CF101 CF141 CF181 FD200 GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固有粘度0.70dL/g以上のポリエ
    ステル系樹脂99重量%以上およびポリオレフィン系樹
    脂1重量%未満からなる少なくとも1つの層(層A)
    と、固有粘度0.70dL/g以上のポリエステル系樹
    脂92〜99重量%およびポリオレフィン系樹脂1〜8
    重量%からなる層(層B)とを少なくとも含む二層以上
    で構成された多層ポリエステル系シート。
  2. 【請求項2】 シートの層Bに含有されるポリオレフィ
    ン系樹脂が、JISK−6760−1981に基づいて
    測定した密度が0.91g/cm3以下の低密度ポリオ
    レフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の
    多層ポリエステル系シート。
  3. 【請求項3】 シートの層Bに含有されるポリオレフィ
    ン系樹脂が、エポキシ基を含有するポリオレフィン系樹
    脂または共重合ポリオレフィン系樹脂であることを特徴
    とする請求項1記載の多層ポリエステル系シート。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載のポリ
    エステル系シートから成形された結晶化度が10〜40
    %である成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011102365A (ja) * 2009-11-11 2011-05-26 Nippon Ester Co Ltd ポリエステルエラストマー樹脂組成物

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