JP2001338762A - 導電性液晶素子 - Google Patents

導電性液晶素子

Info

Publication number
JP2001338762A
JP2001338762A JP2000159747A JP2000159747A JP2001338762A JP 2001338762 A JP2001338762 A JP 2001338762A JP 2000159747 A JP2000159747 A JP 2000159747A JP 2000159747 A JP2000159747 A JP 2000159747A JP 2001338762 A JP2001338762 A JP 2001338762A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
layer
crystal layer
phase
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000159747A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinjiro Okada
伸二郎 岡田
Takashi Moriyama
孝志 森山
Akira Tsuboyama
明 坪山
Takao Takiguchi
隆雄 滝口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2000159747A priority Critical patent/JP2001338762A/ja
Publication of JP2001338762A publication Critical patent/JP2001338762A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極上に液晶性キャリア輸送層を積層構造で
形成することにより、液晶層を配向させた良好なキャリ
ア輸送層として形成し、素子を流れる電流値を増加した
導電性液晶素子を提供する。 【解決手段】 二枚の対向した電極間に少なくとも二つ
の第一の液晶層を形成し、該第一の配向性液晶層13,
15の間に第一の液晶よりも等方相への相転移温度が低
い第二の導電性液晶層14を形成してなる導電性液晶素
子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電性液晶素子に関
し、特に導電性液晶を用いた有機エレクトロルミネッセ
ンス素子(以下、有機EL素子と記す)に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は1960年代にアントラ
セン単結晶などの有機固体でのキャリア注入型ELが詳
しく研究されていた。これらは単層型のものだったが、
その後Tang等は正孔注入電極と電子注入電極の間に
発光層と正孔輸送層を有する積層型有機EL素子を提案
した。これらの注入型ELの発光メカニズムは、(1)
陰極からの電子注入と陽極からの正孔注入、(2)電子
と正孔の固体中の移動、(3)電子と正孔の再結合、
(4)生成された一重項励起子からの発光という段階を
経る点で共通する。
【0003】積層型有機EL素子の代表例としては、陽
極としてガラス基板上にITO膜を形成し、その上にT
PD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチ
ルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジア
ミン)を約50nmの厚みで形成し、その上部にAlq
3(トリス(8−キノラリト)アルミニウム)を約50
nmの厚みで形成し、さらに陰極としてAl,Li合金
を蒸着することで素子を構成する。陽極に用いるITO
の仕事関数を4.4〜5.0eVにすることでTPDに
対して正孔を注入し易くし、陰極には仕事関数の出来る
だけ小さな金属で安定な物を用いる。例えば、AlとL
iの合金やMgとAgの合金などである。この構成によ
ると5Vないし10Vの直流電圧を印加すると緑色の発
光が得られる。
【0004】また、キャリア輸送層として導電性液晶が
存在することも知られている。例えば、D.Adam
et al、“Natur”,Vol.371,P14
1には、長鎖トリフェニレン系化合物である、ディスコ
ティック液晶の液晶相(Dh相)の移動度が10-3〜1
-2cm2 /Vsecであり、メゾフェーズ(中間相、
液晶相ではない)での移動度が10-1cm2 /Vsec
である事が報告されている。さらに、棒状液晶において
も、半那純一“応用物理”、第68巻、第1号、p26
によると、フェニルナフタレン系のスメクティックB相
における移動度が10-3cm2 /Vsec以上である事
が報告されている。
【0005】このような液晶をエレクトロルミネッセン
ス(EL)に利用する試みとしては、INGAH.ST
APFF et al、“Liquid Crysta
ls”,1997,Vol.23,No4,pp613
〜617にはトリフェニレン系のディスコティック液晶
を用いた有機ELデバイスが報告されている。他に“P
OLYMERS FOR ADVNCED TECHN
OLOGIES”,Vol.9,443〜460頁,1
998年や、“ADVANCED MATERIAL
S”Vol.9,No.1,48頁、l997年、にも
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これまでの有機EL素
子はモノマーを使用したものは結晶状態を用いるために
幾つかの問題点があった。第一の問題点としては、IT
O等の電極からの有機層ヘの電子、正孔の注入効率が低
いことがあった。これは有機分子が結晶状態をとる場合
には微小結晶粒界がキャリアの伝導障害となるので、通
常はアモルファス状態で使われるが、この場合のキャリ
ア注入効率は低く、有機EL素子が電流量を確保できな
い大きな原因となっていた。
【0007】有機EL素子の電子構造はエネルギーギャ
ップが約3eV以上と大きいために熱励起型の自由キャ
リアは存在せず、電極からの注入キヤリアが電流(空間
電荷制限電流)を形成することになるので、電極からの
キャリア注入効率は重大な問題になっていた。注入効率
が低いために電流量を確保するためには印加電圧を大き
くしなければならず、ひいてはそれが素子層厚の薄膜化
につながり、電極間の電気的短絡や容量性負荷を増大さ
せる原因となっていた。
【0008】さらに、有機EL素子の第二の問題点とし
ては水の侵入や水分の影響による発光特性の劣化、有機
層間の化学反応などによる劣化、駆動劣化などの耐久性
の悪いことが問題となっていた。通常の有機EL素子に
おいては有機物積層の後に金属膜を蒸着することによっ
て陰極を形成するが、陰極に適するような仕事関数の小
さな金属は酸化され易く、耐久性が低い。また、スパッ
タによる保獲膜を形成する場合もその形成温度が高い場
合(一般には100℃が限界である)は有機層の劣化を
もたらし、また膜の応力による素子構造の破壊なども問
題となっていた。
【0009】また、キャリア輸送層として導電性液晶を
用いる場合の問題点としてはオーダーの高い液晶層は配
向させにくことが挙げられる。液晶分子がそのπ電子供
役面を配列させてスタックすることで、高次の導電性が
得られるため、その「配向性」は導電性液晶の導電性に
直接影響する。配向性が悪い場合には電子やホールの導
電に関して液晶層中にトラップサイトを形成してしま
い、導電性を全く失ってしまう事もある。
【0010】本発明は、この様な従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、電極上に液晶性キャ
リア輸送層を積層構造で形成することにより、液晶層を
配向させた良好なキャリア輸送層として形成し、素子を
流れる電流値を増加した導電性液晶素子を提供すること
を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、二枚の
対向した電極間に少なくとも二つの第一の液晶層を形成
し、該第一の液晶層の間に第一の液晶よりも等方相への
相転移温度が低い第二の液晶層を形成してなることを特
徴とする導電性液晶素子である。
【0012】また、前記第一の液晶層は真空蒸着によっ
て形成されていることを特徴とする。また、前記第一の
液晶層がディスコティックディスオーダード相を有する
液晶で形成されていることを特徴とする。また、前記第
一の液晶層がトリフェニレン骨格を有するディスコティ
ック液晶で形成されていることを特徴とする。
【0013】また、前記第二の液晶の等方相への転移温
度で第一の液晶層が液晶相を呈することを特徴とする。
また、前記第一の液晶層の等方相相転移温度以下で、か
つ第二の液晶層の液晶相転移温度以上で素子形成後に加
熱処理されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、電極上に液晶性キャリ
ア輸送層を積層構造で形成することで液晶層を配向させ
良好なキャリア輸送層として形成したことを特徴とした
有機EL素子である。
【0015】有機EL素子の駆動に高電界10V/10
0nmが必要な理由は、有機層のキャリア(正孔およ
び、電子)の移動度が低いことと、電極から有機層へ
のキャリアの注入効率が悪いことが原因となっている。
【0016】有機EL素子に用いる有機物はバンドギャ
ップが約3.0eVと広いために伝導帯(LUMO)に
熱励起型の自由電子が存在せず、電流はもっぱら電極よ
り注入されるトンネル電流によって賄われる。この電極
からの注入効率は電極の仕事関数と有機物のLUMO,
HOMOの準位ギャップだけではなく、有機物の分子配
列やその構造に大きく依存する面がある事が知られてい
るが、通常の有機EL素子に用いられる有機化合物(例
えば、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ
(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,
4’−ジアミン),α−NPD[ビス(N−(ナフチ
ル)−N−フェニル)ベンジジン],TAZ−01[3
−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−
tert―ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾー
ル]、Alq3など)は電流量をとるためには有機−電
極接合界面に10V/100nm程度の高電界を印加す
る必要がある。さらに有機物の移動度は10-6〜10-3
cm2 /Vs程度のものなので電流を確保するためにも
素子に印加する電界は高電界が要求されていた。
【0017】既に本出願人が出願した特願平11−25
5007号、特願平11−273879号では導電性液
晶を液晶性電荷注入層として採用することで上記問題点
を改善している。本発明では、液晶層の配向をより高く
するために複数の液晶層を積層構成にして配向性の高い
液晶材料で配向性の低い液晶材料層を挟むことで中間の
材料層を配向させる方式を用いている。その機能をつぎ
に箇条書きで説明する。
【0018】 導電性液晶は移動度としては10-2
2 /Vsを超えるものが存在する。(文献“Natu
re”,Vol.371,P141,D.Adam e
tal) 導電性液晶は温度によって相転移してネマティック
相もしくはディスコティックディスオーダード相、スメ
クティックA,Cなどの低次の液晶相を持つものは配向
性を強くもち、電極面上等の表面エネルギの高い面上で
液晶分子を配向させることができる。
【0019】 ディスコティック液晶はトリフェニレ
ンなどのコアの周囲に側鎖を構成する事で液晶性を発現
させているが、この側鎖は金属基板表面(1TOを含
む、また、表面エネルギーの高い層であれば有機層でも
配向性がある。)に対して濡れ性が悪く、液晶状態では
トリフェニレンなどのコアが電極表面に対して配向する
ために、コア部分のπ電子供役面が電極表面で配向し、
電極からのキャリアの受け渡しを容易にする効果があ
る。
【0020】この事で通常のアモルファス状態の有機物
に比べて注入効率を高めることができる。このように疎
水系の側鎖を持つディスコティック液晶を金属表面(l
TOを含む、また、表面エネルギーの高い層であれば有
機層でも配向性がある。)で配向させることによりキャ
リアの電極から有機層への注入効率を改善することがで
きる。この効果は通常の棒状液晶においてもフェニル基
やナフタレン基の配向によって同様に期待できる。この
配向性は低次の層の方が高く、ディスコティックオーダ
ード相よりもディスコティックディスオーダード相、デ
ィスコティックネマティック相が高い。このような液晶
層で他の液晶層を挟み込むことにより他の液晶層を配向
させることができる。
【0021】 液晶配向層は配向させたい液晶層の両
側にあることが望ましいが、片側でも配向性の寄与はあ
ることがわかった。
【0022】 秩序度の高い高次の液晶相は流動性も
低く配向が難しいが、液晶層の両側をπ電子供役面に対
し平行配向性のある膜で挟むことによって配向性を上げ
ることができる。低次のまたは配向性の良い液晶層で両
側の層を形成すると、平行配向性のある膜を形成するこ
とができる。また、液晶をキャリア輸送層として用いる
場合には蒸着法は他にないメリットがある。蒸着時の薄
膜の状態が粗であるために、蒸着によって形成した薄膜
液晶層は配向させ易い。とくに蒸着基板の温度が分子の
Tg(ガラス転移温度)以下になるような条件で蒸着し
た液晶膜は安定に粗な膜構造をとるので、加熱すること
によって液晶分子が再配列し易いものと考えられる。
【0023】 液晶性を持つ分子は再配向処理(後処
理)によって電極表面での分子配置を再構成することが
できるので注入効率を改善できる。後処理は液晶相温度
へ加熱するだけでも粘性の低い場合には効果が大きい
が、等方相温度まで加熱しても改善効果がある。等方相
まで加熱する場合には、用いる液晶以外の有機物質のT
g以上にならないことが必要であり、配向層とし用いる
液晶性物質が等方相にいたらない温度であることが重要
である。
【0024】 発光層と液晶層の間には保護層として
同種のキャリアを導電する物質を用いることが有効であ
る。
【0025】このような本発明の導電性液晶キャリア輸
送層およびその構成は、光センサ、光導電体(複写機ド
ラム)、有機半導体素子(有機TFT)、温度センサ、
空間変調素子などの種々の用途に応用して用いることが
できる。
【0026】図1は、本発明の導電性液晶素子の実施態
様を示す概略断面図である。図1において、本発明の導
電性液晶素子は、基板11上に透明電極(陽極)12を
設け、該透明電極12の上に第一の液晶層である配向性
液晶層13、第二の液晶層である導電性液晶層14、第
一の液晶層である配向性液晶層15、保護層16、発光
層17および金属電極(陰極)18をこの順に形成して
なり、液晶層が配向性液晶層13および15で導電性液
晶層14を挟んで積層して構成されていることを特徴と
する。
【0027】本発明に用いられる導電性液晶のπ電子共
鳴構造としてはトリフェニレン、ナフタレン、ベンゼン
環などのほかに、例えばピリジン環、ピリミジン環、ピ
リダジン環、ピラジン環、トロボロン環、アズレン環、
ベンゾフラン環、インドール環、インダゾール環、ベン
ゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダ
ゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン
環、キノキサリン環、フェナントレン環、アントラセン
環等が挙げられる。
【0028】また、ディスコティック液晶のコア構造と
してはトリフエニレン構造や上記構造のほかに、トルク
セン骨格、メタル−フタロシアニン骨格、フタロシアニ
ン骨格、ジベンゾピレン骨格、メタル−ナフタロシアニ
ン骨格、ジベンゾピレン骨格、ヘキサベンゾコロネン骨
格などが挙げられる。
【0029】陽極材料としては実施例で用いているIT
Oの他に酸化インジウム、酸化すず、Cd2 SnO4
酸化亜鉛、沃化銅、金、白金などが挙げられる。
【0030】陰極材料としてはアルカリ金属、アルカリ
土類金属およびその合金であるナトリウム、カリウム、
マグネシウム、リチウム、ナトリウムカリウム合金、マ
グネシウムインジウム合金、マグネシウム銀合金、アル
ミニウム、アルミニウムリチウム合金、アルミニウム銅
合金、アルミニウム銅シリコン合金などが挙げられる。
【0031】発光層材料としてはAlq3の他にBeB
q,DTVBi,Eu(DBM)3(Phen)、さら
にはジフェニルエチレン誘導体、トリフェニルアミン誘
導体、ジアミノカルバゾール誘導体、ビススチリル誘導
体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導
体、芳香性ジアミン誘導体、キナクリドン系化合物、ペ
リレン系化合物、オキサジアゾール誘導体クマリン系化
合物、アントラキノン誘導体などが挙げられる。
【0032】保護層の材料としては、使用する液晶材料
への拡散の少ない材料が望ましいので、分子体積の大き
いものが望ましく、また使用温度ではディスオーダード
相以下の液晶相を持たないことで、非液晶性材料であれ
ばさらに望ましい。
【0033】実施例に用いた材料以外の例としては下記
のものなどがある。 1−TANTA(4,4’,4″−トリ(1−ナフチル
フェニルアミノ)トリフェニルアミン) 2−TANTA(4,4’,4″−トリ(2−ナフチル
フェニルアミノ)トリフェニルアミン) TCTA(4,4’,4″−トリ(N−カルバゾール)
トリフェニルアミン) p−DPA−TDAB(1,3,5−トリ[N−(4−
ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼ
ン) TDAB(1,3,5−トリ(ジフェニルアミノ)ベン
ゼン) TDATA(4,4’,4″−トリ(ジフェニルアミ
ノ)トリフェニルアミン) TDAPB(1,3,5−トリ[(ジフェニルアミノ)
フェニル]ベンゼン)
【0034】さらに発光層材料としてはジスチリルアリ
ーレン祷導体(DPVBi)やオリゴチオフェン誘導体
(BMA−3T)などが考えられる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0036】実施例1 第一の実施例として、図1に示すガラス基板上のITO
電極上に導電性液晶を真空蒸着してなる発光デバイス構
造を示す。図1において、11は陽極側のガラス基板で
あり、12は正孔注入用の陽極電極としてのITO層を
示し、13は二つの電極間に真空蒸着によって形成され
る第一の配向性液晶層を示し、14は導電性液晶層、1
5は第二の配向性液晶層、16は保護層、17は発光
層、18は陰極電極である。
【0037】ここで、12のITOは1n90%,Sn
10%のターゲットとを用いてArガスを200scc
m,O2 ガスを3sccmで200℃の基板加熱のもと
でスパッタ成膜を行った。スパッタ成膜後の仕事関数は
約4.35eVであるがこの膜を低圧水銀ランプUV光
照射して仕事関数を約4.6eVに高めて用いた。IT
Oの膜厚は70nmに設定した。
【0038】13の配向性液晶層は、下記の構造式で表
わされるHHOT(ヘキサキスヘキシロキシトリフェニ
レン)を用いた。HHOTは図1のITO基板を作成
後、真空槽中で内部を2×10-5torr以下に減圧し
た後に抵抗加熱蒸着法で蒸着した。HHOTの膜厚は約
35nmの厚さに形成した。蒸着圧力は1×10-5to
rrで約0.1nm/secの蒸着レートで蒸着した。
HHOTの移動度はタイムオブフライト法によると約7
0℃以下では1×10-4cm2 /Vsの移動度を持つ。
14の液晶層はHHOTよりも移動度の高い下記の構造
式で表わされるHHTT(ヘキサキスヘキシルチオトリ
フェニレン)を用いた。HHTTの移動度はタイムオブ
フライト法によると約70℃以下では1×10-2cm2
/Vsの移動度を持つ。蒸着条件はHHOTと同様な条
件でおこなった。膜厚は50nmに設定した。15の液
晶層は13と同じく、膜厚は約35nmのHHOTを用
いた。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】17の発光層および金属層と液晶層の間に
保護層16として、下記の構造式で表わされるαNPD
の蒸着層を厚さ60nmに蒸着圧力は1×10-5tor
rで約0.1nm/secの蒸着レートで真空蒸着によ
り形成した。
【0042】
【化3】
【0043】17の発光層は複数の発光波長を取れるよ
うにマスク蒸着により異なる有機層を用いた。有機層の
ホスト材料としては下記の構造式に示すAlq3を用い
て、ドーピング材料として下記の構造式に示すペリレン
(5wt%)を用いて発光波長を短波長側にシフトさせ
た層と、下記の構造式に示すDCM(スチリル系色素)
(5wt%)を用いて発光波長を長波長側にシフトさせ
た層、そして中心波長にはドーパントを用いないAlq
3層を用いた。この発光層の膜厚は60nmに設定して
真空蒸着によって保護層上に形成した。蒸着圧力は1×
10-5torrで約0.1nm/secの蒸着レートで
蒸着した。
【0044】
【化4】
【0045】18の陰極電極としては第一層にAlLi
(1.8wt%)合金膜を真空蒸着によって50nm形
成し、その上に第二層としてAl電極層を150nmの
厚さに真空蒸着によって形成して用いた。
【0046】このようにして、ITO電極上にHHO
T,HHTT,HHOT、保護層、発光層、陰極金属を
逐次蒸着して電極間に有機層を多層構成した素子を作成
した後に、素子の温度を93℃に3min昇温すること
で素子を流れる電流量を増加させエレクトロルミネッセ
ンス発光を実現することができた。
【0047】HHOTの等方相転移温度は99℃であ
り、HHTTの等方相転移温度は93℃である。発光量
は電流量に比例するために電流量でHHOT配向液晶層
を用いた場合と、用いていない場合をしきい値電圧4V
近傍での電流密度で比較すると、用いない場合が0.4
mA/cm2 であるのに対し、用いた場合には3.9m
A/cm2 に電流密度が増加している。素子の温度を7
0℃にした場合にも1.2mA/cm2 と若干の電流値
の増加が観察されている。
【0048】このように積層構造にして用いることで移
動度の高い液晶層を用いることができる利点と液晶層を
厚膜にして用いることのできる利点がある。低次の液晶
層のみでは、機械的な耐性、流れる電流による熱破壊に
対する耐性が弱いために、このように高次液晶層を積層
して用いることでそれぞれの耐性を改善することにな
る。
【0049】実施例2 第二の実施例としては、実施例1のHHOTの変わり
に、下記の構造式に示すHPOTを用いた。HPOTは
昇温時65℃で結晶相からディスコティック・ディスオ
ーダード相へ相転移し、さらに121℃で等方相へ相転
移する。HHOTの相転移点は昇温時68℃で結晶相か
らディスコティック・ディスオーダード相へ相転移し、
さらに99℃で等方相へ相転移する。HHTTの相転移
温度は昇温時66℃で結晶相からディスコティック・オ
ーダード相へ相転移し、75℃でディスコティック・オ
ーダード相からディスコティック・ディスオーダード相
へ相転移する。さらに93℃で等方相へ相転移する。
【0050】
【化5】
【0051】したがって、積層構造素子作成後の93℃
でのアニールに対して、液晶性配向層HPOTの等方相
転移温度が高いために、HPOTとHHTTの層間の混
合が起こりにくく、HHTTの高い移動度を素子として
用いることができるので好ましいと考えられる。
【0052】実施例3 第三の実施例として、図2に示す構成で配向性液晶層で
挟む液晶物質をディスコティックディスオーダード相を
有する下記の構造式に示すDBP−50(ヘキサキスブ
チロキシジベンゾピレン)を用いた。
【0053】
【化6】
【0054】本構成では保護層を用いず発光層もAlq
3層のみのものを用いた。図2に素子構造断面図を示す
が、この二点以外は実施例1と本実施例は同様である。
図2において、21は陽極側のガラス基板であり、22
は正孔注入用の陽極電極としてのITO層を示し、23
は二つの電極間に真空蒸着によって形成される第一の配
向性液晶層を示し、24は配向させる導電性液晶層、2
5は第二の配向性液晶層、26は発光層である。27は
陰極電極である。
【0055】この液晶DBP−50はHHTTのように
オーダード相を持たない物質であるが、液晶のコア部分
が大きく、HHOTに比べると配向性が低い。この液晶
の相転移温度は96℃で等方相へ相転移する。HHOT
は昇温時68℃で結晶相からディスコティック・ディス
オーダード相へ相転移し、さらに99℃で等方相へ相転
移する。等方相への転移温度がDBP−50に比べて高
いので素子構成後96℃でアニールすることができ、本
方法でHHOT,DBP−50,HHOTの液晶層を流
れる電流量を改善できる。
【0056】10V/l00nmの電界強度のときの電
流密度と液晶層の素子構成(液晶層以外の部分は同じ;
ITO/液晶層/Alq3/AlLi)の関係を次の表
1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1の結果から、DBP−50のみでもH
HOT(65℃)での電流量は多いが、3層構成にする
ことによってさらに電流量が増加している。ここで液晶
層の膜厚は合計で120nmで比較した。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液晶性のキャリア輸送層を用いる場合において液晶層の
両側に配向の容易な液晶層を用いることで素子を流れる
電流値を増加させることができる。この時、挟む液晶層
の等方相相転移温度より挟まれる液晶層の相転移温度が
低い材料を用いて、挟まれる液晶の等方相相転移温度近
傍で加熱配向処理を行うことで素子を流れる電流値をさ
らに増加させることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性液晶素子の一実施態様を示す概
略断面図である。
【図2】本発明の実施例3の導電性液晶素子を示す概略
断面図である。
【符号の説明】
11 基板 12 陽極(ITO) 13 配向性液晶層 14 導電性液晶層 15 配向性液晶層 16 保護層 17 発光層 18 陰極電極 21 ガラス基板 22 陽極(ITO) 23 第一配向性液晶層 24 導電性液晶層 25 第二配向性液晶層 26 発光層 27 陰極電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪山 明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 滝口 隆雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB03 AB14 AB18 BA06 CA01 CB01 CB03 DB03 EB00 FA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二枚の対向した電極間に少なくとも二つ
    の第一の液晶層を形成し、該第一の液晶層の間に第一の
    液晶よりも等方相への相転移温度が低い第二の液晶層を
    形成してなることを特徴とする導電性液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記第一の液晶層は真空蒸着によって形
    成されていることを特徴とする請求項1記載の導電性液
    晶素子。
  3. 【請求項3】 前記第一の液晶層がディスコティックデ
    ィスオーダード相を有する液晶で形成されていることを
    特徴とする請求項1記載の導電性液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記第一の液晶層がトリフェニレン骨格
    を有するディスコティック液晶で形成されていることを
    特徴とする請求項1記載の導電性液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記第二の液晶の等方相への転移温度で
    第一の液晶層が液晶相を呈することを特徴とする請求項
    1記載の導電性液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記第一の液晶層の等方相相転移温度以
    下で、かつ第二の液晶層の液晶相転移温度以上で素子形
    成後に加熱処理されていることを特徴とする請求項1記
    載の導電性液晶素子。
JP2000159747A 2000-05-30 2000-05-30 導電性液晶素子 Pending JP2001338762A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000159747A JP2001338762A (ja) 2000-05-30 2000-05-30 導電性液晶素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000159747A JP2001338762A (ja) 2000-05-30 2000-05-30 導電性液晶素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001338762A true JP2001338762A (ja) 2001-12-07

Family

ID=18664035

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000159747A Pending JP2001338762A (ja) 2000-05-30 2000-05-30 導電性液晶素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001338762A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4058842B2 (ja) 有機電界発光素子
JP4023204B2 (ja) 有機電界発光素子
JP3855675B2 (ja) 有機電界発光素子
JP4039023B2 (ja) 有機電界発光素子
JP4144192B2 (ja) 有機電界発光素子の製造方法
US6150043A (en) OLEDs containing thermally stable glassy organic hole transporting materials
KR100903918B1 (ko) 유기 전계발광 소자 및 표시 장치
JP2006156390A (ja) 有機電界発光素子及びその製造方法
JP2003031371A (ja) 有機電界発光素子及び青色発光素子
KR20150063026A (ko) 저전압 구동 유기발광소자 및 이의 제조 방법
JP2004006287A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
US6858271B1 (en) Conductive organic compound device, conductive liquid crystal device, and organic electroluminescence device
JP2004335143A (ja) 発光素子
US6528940B1 (en) Conductive liquid crystal device, and organic electroluminescence device
JP2000150169A (ja) 有機電界発光素子
EP1744380B1 (en) Organic light emitting display device
JP3750315B2 (ja) 有機電界発光素子
JP4135411B2 (ja) 非対称1,4−フェニレンジアミン誘導体、及びこれを用いた有機電界発光素子
US6870583B2 (en) Conductive liquid crystal device and organic electroluminescence device
JP4147621B2 (ja) 有機電界発光素子
JP2002367786A (ja) 発光素子
JP2003208988A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置
US6788361B2 (en) Electro-conductive liquid crystal element and organic electro-luminescence element
JP2004327166A (ja) 有機電界発光素子及びその製造方法
JP2001167887A (ja) 導電性液晶素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子