JP2001332717A - フォトサイリスタ素子および双方向フォトサイリスタ素子 - Google Patents

フォトサイリスタ素子および双方向フォトサイリスタ素子

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JP2001332717A JP2000152210A JP2000152210A JP2001332717A JP 2001332717 A JP2001332717 A JP 2001332717A JP 2000152210 A JP2000152210 A JP 2000152210A JP 2000152210 A JP2000152210 A JP 2000152210A JP 2001332717 A JP2001332717 A JP 2001332717A
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photothyristor
photothyristor element
hfe
thyristor
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光感度が高く、高速応答可能で、かつ、高耐
ノイズ特性を有する双方向フォトサイリスタ素子を得
る。 【解決手段】 Si基板1上にPNPトランジスタTr
1とNPNフォトトランジスタTr2とからなるPNP
N構造のサイリスタを有するプレーナ型双方向フォトサ
イリスタ素子において、NPNフォトトランジスタTr
2のベース領域3aにSiGe層を用いてNPNフォト
トランジスタTr2のhFEを高くする。また、基板1
の裏面をメカニカル研磨17するか、またはポリシリコ
ン膜を設けてPNPトランジスタTr1のhFEを抑制
する。さらに、MOSFETTr3を駆動するVP回路
において、フォトトランジスタTr4のべ一ス領域7a
にSiGe層を用いてフォトトランジスタTr4のhF
Eを高くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、商用周波数ライン
などで使用されるフォトサイリスタ素子および双方向フ
ォトサイリスタ素子に関し、特に、光感度および動作応
答速度の向上と、ノイズ特性の向上とを両立させること
ができるフォトサイリスタ素子および双方向フォトサイ
リスタ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、いわゆる点弧用SSR(ソリ
ッド・ソテート・リレー)として、例えばN型シリコン
基板等の上に双方向サイリスタを形成し、これに光を照
射することによってゲート・トリガ信号を与えて制御す
る双方向フォトサイリスタ素子が広く用いられている。
【0003】このSSRは、一般に、スイッチングによ
る発生ノイズが少ないが、印加されるAC電源電圧が高
いところでスイッチングすると雑音が発生し、制御機器
に悪影響を及ぼす。このため、AC電源電圧が低いとこ
ろ(ゼロクロスポイント)でのみでSSRがスイッチン
グすることが望まれており、この実現のためには、一般
に、MOSFET(Metal Oxide Semi
conductorField Effect Tra
nsistor)が用いられている。
【0004】図6は従来のゼロクロス機能付きの双方向
フォトサイリスタ素子の概略的な構成を示す断面図であ
る。なお、ここでは片側部のフォトサイリスタ素子30
部分が示されている。
【0005】このプレーナ型フォトサイリスタ素子を構
成するN型シリコン基板1は、不純物濃度が一般に10
13atoms/cm3〜1015atoms/cm3であ
り、双方向フォトサイリスタ素子が形成される部分の周
辺にはN型のチャンネルストッパー領域12が設けられ
ている。
【0006】このN型シリコン基板(Nsub)1の表
面にP型のアノード拡散領域2が形成され、これにAl
等からなる電極層6を介してアノード端子Aが接続され
ている。このアノード拡散領域2の左側に一定の間隔を
開けて、P型のPゲート拡散領域3が設けられ、その中
にN型のカソード拡散領域4が形成されている。Pゲー
ト拡散領域3およびカソード拡散領域4には、電極層6
を介してカソード端子Kが接続されている。このアノー
ド拡散領域2、シリコン基板1およびPゲート拡散領域
3からPNPトランジスタTr1が構成され、シリコン
基板1、Pゲート拡散領域3およびカソード拡散領域4
によってNPNフォトトランジスタTr2が構成され、
両トランジスタTr1およびTr2によってPNPN構
造を有するサイリスタが構成されている。なお、5はP
型拡散により形成されるゲート抵抗RGKである。
【0007】これらの左側に、NPN型のフォトトラン
ジスタTr4を構成する拡散領域7、8が形成されてい
る。さらにその左側に、MOSFETTr3を構成する
P型のウエル拡散領域9が形成され、その表面側にN型
のソース拡散領域10およびドレイン拡散領域11が形
成されている。このMOSFETTr3はゼロクロス機
能を実現するために設けられ、フォトトランジスタTr
4はMOSFETTr3のゲートを駆動するために設け
られている。
【0008】これらのP型拡散領域またはN型拡散領域
は、不純物イオン注入方式や熱拡散方式により形成され
る。
【0009】上記N型シリコン基板1の裏面にはAu等
からなる電極層13が設けられている。また、N型シリ
コン基板1の表面には電気的な接続のためにAl等から
なる配線層(電極層)6が設けられ、電気的な絶縁が必
要とされる部分にはSiO2膜等からなるパッシベーシ
ョン膜14が形成されている。さらに、フォトサイリス
タとして光信号を入力するためのPゲート拡散領域(受
光部)3と、MOSFETTr3のゲートを光制御する
ためのフォトトランジスタTr4のP型拡散領域(ベー
ス領域)7では、ここでは図示していないが、配線層
(電極層)6を除去することなどにより開口されてい
る。
【0010】図7は、図6の双方向フォトサイリスタ素
子の片側部であるフォトサイリスタ素子30の等価回路
図である。
【0011】ここでは、アノード端子Aとカソード端子
Kとの間にPNPトランジスタTr1およびNPNフォ
トトランジスタTr2が接続されている。トランジスタ
Tr1のエミッタ領域(P型アノード拡散領域2)はア
ノード端子Aに接続され、トランジスタTr1のベース
領域(N型シリコン基板1)はトランジスタTr2のコ
レクタ領域(N型シリコン基板1)に接続され、トラン
ジスタTr1のコレクタ領域(サイリスタとしてのPゲ
ート拡散領域3)はトランジスタTr2のベース領域
(Pゲート拡散領域3)と接続されていると共に、抵抗
RGK5を介してカソード端子Kに接続されている。ト
ランジスタTr2のエミッタ領域(N型拡散領域4)は
カソード端子Kに接続されている。そして、抵抗RGK
5の両側にゼロクロス機能のためのMOSFETTr3
のソースS(ソース拡散領域10)およびドレインD
(ドレイン拡散領域11)が接続されている。また、N
型シリコン基板1とPゲート拡散領域3との間には、接
合容量Cj1が形成されている。
【0012】さらに、MOSFETTr3を駆動するV
P回路25が設けられ、MOSFETTr3のゲートG
は、VP回路25を構成するフォトトランジスタTr4
のエミッタ領域(N型拡散領域8)に接続され、そのフ
ォトトランジスタTr4のコレクタ領域(N型シリコン
基板1)はトランジスタTr1のベース領域(N型シリ
コン基板1)およびトランジスタTr2のコレクタ領域
(N型シリコン基板1)に接続されている。また、フォ
トトランジスタTr4のコレクタ領域(N型シリコン基
板1)とベース領域(P型拡散領域7)との間には接合
容量Cj2が形成されている。さらに、MOSFETT
r3のゲートGには、クランプダイオードZD(図6に
は図示していない)が接続されている。
【0013】この構成では、NPNフォトトランジスタ
Tr2に光が照射されることによって、NPNフォトト
ランジスタTr2がオン状態になってサイリスタに電流
が流れる。このとき、Pゲート拡散領域3に誤って過大
な電流が流れこまないように、例えば100kΩ程度の
抵抗RGK5によって保護している。
【0014】また、サイリスタのPゲート拡散領域3と
カソード拡散領域4との間に設けられたMOSFETT
r3は、フォトトランジスタTr4を介してN型シリコ
ン基板1の電位によって制御される。そして、VP回路
25からの駆動電圧VG、またはアノードA−カソード
K間の電圧VA-KによってMOSFETTr3のゲート
に印加される電圧がMOSFETTr3の閾値電圧を超
えると、MOSFETTr3がON状態になり、サイリ
スタのPゲート拡散領域3とカソード拡散領域4との間
が短絡される。これにより、サイリスタの動作が制御さ
れ、ゼロクロス機能が実現される。なお、上記駆動電圧
Gについては外部からの電位入力はなく、テストパッ
ドである。
【0015】さらに、MOSFETTr3のゲートG
は、クランプダイオードZDに接続されているので、フ
ォトサイリスタ素子30のアノードA−カソードK間に
高電圧が印加されても、MOSFETTr3のゲートG
とソースSとの間の電圧がある一定電圧以上に高くなら
ないように電圧がクランプされる。
【0016】このように構成された2つのフォトサイリ
スタ素子30が、図8に示すようにCH(チャンネル)
1およびCH2としてサイリスタ部分を相互に逆並列に
して接続され、T1端子およびT2端子に接続された交
流電源の極性が変わる度に、双方向フォトサイリスタ素
子32の表面に直接光を照射すること等により、CH1
およびCH2のいずれかが動作し、基本的な光制御型双
方向フォトサイリスタ素子32として動作し、いわゆる
点弧用SSRとして用いられる。
【0017】なお、図8において、電源端子をT1およ
びT2としているのは、交流電源に接続した場合には両
電源端子T1およびT2がアノードA端子としてもカソ
ードK端子としても機能するからである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、双方向フォ
トサイリスタ素子の重要な特性は、光感度(最小トリガ
入力電流IFTと称する)および動作応答速度(Ton
と称する)と、これらとは相反する臨界オフ電圧上昇率
(dv/dt特性と称する)および転流特性等のいわゆ
るノイズ耐量特性である。これらは、一方の特性を向上
させると他方の特性が劣化するというトレードオフの関
係にあり、これらの特性を両立させることが双方向フォ
トサイリスタ素子における最大の課題となっている。
【0019】サイリスタを構成するNPNフォトトラン
ジスタTr2は、直流電流増幅率(hFEと称する)が
高い程、IFT特性やTon特性は良いが、代わりにd
v/dt特性や転流特性が低下する。
【0020】dv/dt特性の値が大きいと、オン状態
に移行しやすくなり、例えばACライン上に急峻な立ち
上がりのパルス状で尖頭値が2000Vに達するような
パルス状ノイズ電圧が重畳された場合、光照射がなくて
も誤点弧するという不具合が生じる。この原因は、Pゲ
ート拡散領域3の接合容量を介して流れる変位電流が、
トリガ電流として作用して誤動作するためである。
【0021】ゼロクロス用MOSFETTr3は、一般
的に、このdv/dt特性を向上させる効果をも有して
おり、急峻なパルスに俊敏に反応して、NPNフォトト
ランジスタTr2のベース領域(Pゲート拡散領域3)
とエミッタ領域(カソード拡散領域4)との間を短絡す
ることで高いdv/dt耐量を得ることができる。この
dv/dt特性は、MOSFETTr3の動作特性に大
きく依存しているため、dv/dt特性を向上させるた
めには、MOSFETTr3の動作応答速度を上げるこ
とと、さらには、MOSFETTr3を駆動するVP回
路25の動作応答速度を上げることが重要である。
【0022】一方、転流特性は、NPNフォトトランジ
スタTr2の高hFE化に伴い、保持電流(IHと称す
る)が小さくなる相関上、やはり不利である。この転流
特性は、以下に詳細に説明するように、Si基板に残存
する過剰キャリアが原因で発生する誤動作である。
【0023】正常動作では、CH1がオンしている交流
の半サィクル期間中に光照射が無くなった時、この半サ
イクル期間中はフォトサイリスタ素子30におけるPN
PN構造部の電流保持機能によりオン状態が続くが、次
の半サイクルに入ると、光入射が無い限りCH2はオン
しない。
【0024】しかし、スイッチングする交流回路に負荷
Lが存在する場合は、交流電圧の位相よりもオン電流の
位相が遅れるので、CH1がオフした時点で、CH2側
に急峻な立ち上がりを示す電圧が印加される。
【0025】このため、N型Si基板1中に残存してい
る正孔がCH2側のPゲート拡散領域へ移動してCH2
側の正帰還作用を促し、CH2がオンするという誤動作
(転流失敗)を起こすという問題がある。
【0026】本発明は、このような従来技術の課題を解
決するためになされたものであり、光感度が高く、高速
応答可能で、かつ、高耐ノイズ特性を有するフォトサイ
リスタ素子および双方向フォトサイリスタ素子を提供す
ることを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明のフォトサイリス
タ素子は、PNPトランジスタと、該PNPトランジス
タの一部を共有するNPNフォトトランジスタとからな
るPNPN構造のサイリスタを備えたプレーナ型フォト
サイリスタ素子であって、該NPNフォトトランジスタ
のベース領域がSiGeエピタキシャル層またはSi/
SiGe超格子層を含み、そのことにより上記目的が達
成される。
【0028】本発明のフォトサイリスタ素子は、素子裏
面がメカニカル研磨されているのが好ましい。
【0029】本発明のフォトサイリスタ素子は、素子裏
面にポリシリコン膜が設けられているのが好ましい。
【0030】本発明のフォトサイリスタ素子は、前記N
PNフォトトランジスタのhFEが50以上2000以
下の範囲であり、かつ、前記PNPトランジスタのhF
Eが0.0005以上0.05以下の範囲であるのが好
ましい。
【0031】本発明のフォトサイリスタ素子は、ゼロク
ロス機能を実現するためのMOSFETと、該MOSF
ETを駆動するVP回路を備え、該VP回路を構成する
フォトトランジスタのベース領域がSiGe層またはS
i/SiGe超格子層を含んでいるのが好ましい。
【0032】本発明のフォトサイリスタ素子は、前記V
P回路を構成するフォトトランジスタのhFEが50以
上2000以下の範囲であるのが好ましい。
【0033】本発明の双方向フォトサイリスタ素子は、
本発明のフォトサイリスタ素子を2つ備え、各フォトサ
イリスタ素子を構成する前記サイリスタが逆並列に接続
されており、そのことにより上記目的が達成される。
【0034】以下、本発明の作用について説明する。
【0035】本発明にあっては、サイリスタとしてのP
NPN構造を構成するNPNフォトトランジスタのべ一
ス領域(サイリスタのPゲート領域)が、SiGeエピ
タキシャル層またはSi/SiGe超格子層を含む。S
iGe層は、Si基板にP型不純物を拡散して形成した
拡散領域(従来のフォトサイリスタ素子のPゲート拡散
領域)に比べてバンドギャップが狭く、キャリアの注入
効率がよい。よって、従来のNPNフォトトランジスタ
に比べてhFEを高くして、サイリスタの光感度(IF
T特性)を向上させることが可能である。また、SiG
e層は光吸収係数が高いため、これをPゲート領域に用
いることにより、サイリスタの光感度(IFT特性)を
より一層向上させることが可能である。さらに、NPN
フォトトランジスタのhFEを高くすることにより動作
応答速度(Ton特性)も向上し、サイリスタとしての
動作応答速度を早くすることが可能である。特に、Si
/SiGe超格子構造とすることで、Si基板上のSi
Ge層の実効膜厚を厚くすることが可能となる。
【0036】例えば、サイリスタを構成するNPNフォ
トトランジスタのhFEは、50以上2000以下の範
囲とするのが好ましい。50未満では高感度化や高速応
答化が不充分となり、2000を超えると保持電流や転
流特性が低下して、実使用上、デバイスとして機能しな
くなる。
【0037】また、本発明にあっては、素子裏面をメカ
ニカル研磨するか、またはポリシリコン膜を設けて、い
わゆるBSD(Back Side Damage)処
理を行うことにより、意識的に裏面に欠陥層を設ける。
これにより、Si基板内のキャリアライフタイムを短縮
させて、サイリスタを構成するPNPトランジスタのh
FEを抑制し、転流特性を向上させることが可能であ
る。
【0038】例えば、サイリスタを構成するPNPトラ
ンジスタのhFEは、0.0005以上0.05以下の
範囲とするのが好ましい。0.0005未満ではデバイ
スの光感度が不充分であり、0.05を超えると転流特
性が不十分である。
【0039】さらに、本発明にあっては、ゼロクロス機
能を実現するためのMOSFETを駆動するVP回路に
おいて、フォトトランジスタのべ一ス領域が、SiGe
エピタキシャル層またはSi/SiGe超格子層を含
む。これにより、従来のVP回路を構成するフォトトラ
ンジスタに比べてhFEを高くして、VP回路の動作応
答速度を早くすることが可能である。また、MOSFE
Tを駆動するVP回路の動作応答速度を早くできる結
果、MOSFETの動作応答速度を早くすることがで
き、dv/dt特性を向上させることが可能である。さ
らに、SiGe層は光吸収係数が高いため、これを用い
ることにより、フォトトランジスタ(サイリスタを構成
するNPNフォトトランジスタおよびVP回路のフォト
トランジスタを含む)の光感度(IFT特性)をより一
層向上させることが可能である。
【0040】例えば、VP回路を構成するNPNフォト
トランジスタのhFEは、50以上2000以下の範囲
とするのが好ましい。50未満ではMOSFET駆動の
ための高速応答化が不十分である。また、VP回路を構
成するNPNフォトトランジスタとサイリスタを構成す
るNPNフォトトランジスタと同時に作製することか
ら、サイリスタの性能を考慮すると、2000未満であ
るのが好ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0042】(実施形態1)図1は本実施形態1のゼロ
クロス機能付きのフォトサイリスタ素子の概略的な構成
を示す断面図である。ここでは、本実施形態の双方向フ
ォトサイリスタ素子32aの片側部であるフォトサイリ
スタ素子30aの構成が示されている。また、図2はそ
のフォトサイリスタ素子30aの等価回路図である。さ
らに、図3はそのフォトサイリスタ素子30aを相互に
逆並列に接続した本実施形態1の双方向フォトサイリス
タ素子32aの等価回路図である。
【0043】本実施形態1のフォトサイリスタ素子30
aにおいて、図6および図7に示した従来の双方向フォ
トサイリスタ素子30と異なる点は、(1)サイリスタ
のPNPN構造部を構成するNPNフォトトランジスタ
Tr2のベース領域(サイリスタのPゲート領域)3a
に、SiGe層を用いたこと、(2)Si基板1の裏面
に、メカニカル研磨面17を設けたこと、および(3)
ゼロクロス用MOSFETTr3を駆動するVP回路2
5において、フォトトランジスタTr4のベース領域7
aに、SiGe層を用いたことである。その他の構成
は、従来のフォトサイリスタ素子30と同様である。
【0044】このように構成された2つのフォトサイリ
スタ素子30aが、図3に示すように、CH1およびC
H2としてサイリスタ部分を相互に逆並列にして接続さ
れ、いわゆる点弧用SSRとして用いられる双方向フォ
トサイリスタ素子32aが形成されている。
【0045】本実施形態の双方向フォトサイリスタ素子
32aは、例えば以下のようにして作製することができ
る。
【0046】まず、図4(a)に示すように、N型Si
基板1上に、気相成長法や超高真空化学気相成長法(U
HV−CVD)等により、PH3等からなるN型エピタ
キシャル層1aを成長して、NPNフォトトランジスタ
Tr2のベース領域3aを形成する領域、およびフォト
トランジスタTr4のベース領域7aを形成する領域を
選択的にパターニングし、エッチングすることにより凹
部35を形成する。
【0047】次に、 図4(b)に示すように、上記凹
部35に、気相成長法や超高真空化学気相成長法等によ
り、B24等からなる第1のP型エピタキシャル層21
を成長させた後、その上にP型Si/SiGe超格子層
13aおよび17aを形成する。
【0048】なお、SiとSiGeとは格子定数が異な
るため、一般的にはSi上にSiGeを厚く成長させる
ことはできないが、超格子構造とすることで、SiGe
の実効膜厚を厚くすることができる。所望の厚さは、例
えばデバイスの耐圧600V以上を得るためには、超格
子層全体で13μm以下である。ここで、凹部35が拡
散領域2、9よりも浅くなっているのは、作製上の制限
からである。
【0049】次に、 図4(c)に示すように、気相成
長法等により、B24等からなる第2のP型エピタキシ
ャル層23を成長させ、その後、SiO2等の酸化膜1
4aで全体を覆う。
【0050】次に, 図4(d)に示すように、N型Si
基板1に、PNPトランジスタTr1のアノードとなる
P型拡散領域2、MOSFETTr3のウエル拡散領域
9およびゲート抵抗RGK5(図4には示していない)
を形成する。これらは、B(ホウ素)をイオン注入方式
や熱拡散方式により拡散させることにより形成すること
ができる。本実施形態では、ゲート抵抗RGK5が約1
00kΩになるように拡散を行った。
【0051】次に、 図4(e)に示すように、NPN
フォトトランジスタTr2のベース領域(Pゲート領
域)3a内と、MOSFETTr3のウエル拡散領域9
内と、VP回路25のフォトトランジスタTr4のベー
ス領域7a内に、カソードとなるN型拡散領域4、ソー
スおよびドレインとなるN型拡散領域10および11、
エミッタ領域となるN型拡散領域8を形成する。このと
き、N型のチャンネルストッパー領域12も同時に形成
する。これらは、P(リン)をイオン注入方式や熱拡散
方式により拡散させることにより形成することができ
る。
【0052】その後、図1に示すように、電気的に絶緑
が必要な部分にはSiO2等からなるパッシベーション
膜14を形成し、電気的な接続のためにAl等からなる
配線層(電極層)6を形成する。基板裏面には、研磨面
17またはポリシリコン膜の上にAu等からなる電極層
13を形成する。
【0053】なお、図4では双方向フォトサイリスタ素
子32aの片側部分であるフォトサイリスタ素子30a
について示しているが、図3に示したように、2つのフ
ォトサイリスタ素子30aをCH1およびCH2とし
て、サイリスタ部分が相互に逆並列に接続されるように
形成することにより、双方向フォトサイリスタ素子32
aを作製する。これは、同一基板上に同時に2つのフォ
トサイリスタ素子を形成することにより作製される。こ
のようにして作製された双方向フォトサイリスタ素子3
2aの表面に直接光を照射すること等により、基本的な
光制御型双方向フォトサイリスタ素子32aとして動作
する、いわゆる点弧用SSRとして用いることができ
る。
【0054】このようにして得られる本実施形態の双方
向フォトサイリスタ素子32aにおいては、サイリスタ
のPNPN構造を構成するNPNフォトトランジスタT
r2のべ一ス領域3aが、SiGe超格子層13aを含
んでいる。SiGe層は、Si基板にP型拡散を行って
形成した従来のNPNフォトトランジスタのベース領域
に比べてバンドギャップが狭いので、キャリアの注入効
率がよく、hFEを高めることができる。図7に示した
従来例ではNPNフォトトランジスタTr2のhFEが
約40であったのに対して、本実施形態ではNPNフォ
トトランジスタTr2のhFEを約150にすることが
できた。これにより、本実施形態の双方向フォトサイリ
スタ素子32aの光感度(IFT)特性および動作応答
速度(Ton)特性を向上させることができた。また、
SiGe層は光吸収係数が高いため、これをPゲート領
域3aに用いることにより、サイリスタの光感度をより
一層向上させることができた。
【0055】また、Si基板1の裏面に、メカニカル研
磨面17を設けることにより、Si基板1内のキャリア
ライフタイムを大幅に短縮させて、PNPトランジスタ
Tr1のhFEを抑制することができる。図1に示した
従来例ではPNPトランジスタTr1のhFEが約0.
03であったのに対して、本実施形態ではPNPトラン
ジスタTr1のhFEを約0.01にすることができ
た。これにより、本実施形態の双方向フォトサイリスタ
素子32aの転流特性を向上させることができた。
【0056】さらに、VP回路25を構成するフォトト
ランジスタTr4のべ一ス領域7aがSiGe超格子層
17aを含んでいるので、NPNフォトトランジスタT
r1と同様に、フォトトランジスタTr4のhFEを高
くすることができる。図7に示した従来例ではVP回路
25を構成するフォトトランジスタTr4のhFEが約
40であったのに対して、本実施形態ではVP回路25
を構成するフォトトランジスタTr4のhFEを約15
0にすることができた。これにより、本実施形態では、
VP回路25を構成するNPNフォトトランジスタTr
4の動作応答速度が早くなり、MOSFETTr3の動
作応答速度が早くなるので、dv/dt耐量を向上させ
ることができた。
【0057】なお、上記NPNフォトトランジスタTr
2およびTr4のベース領域3aおよび7aは、Si基
板1上に超高真空化学気相成長法(UHV−CVD)を
用いてSiGe層(ここでは超格子構造ではないSiG
e層)を選択的に気相成長させることによっても形成す
ることができる。この方法は、プロセス的には簡単であ
るが、厚さ(縦方向の距離、P型層の深さ)をあまり厚
くすることができない。よって、素子設計に制限がある
が、実現は可能である。
【0058】(実施形態2)図5は、実施形態2の双方
向フォトサイリスタ素子の構成を示す断面図である。こ
こでは、双方向フォトサイリスタ素子の片側部であるフ
ォトサイリスタ素子30bの構成を示している。
【0059】このフォトサイリスタ素子30bは、Si
基板1の裏面に、メカニカル研磨面17の代わりにポリ
シリコン膜18が設けられている。その他の構成は、実
施形態1のフォトサイリスタ素子30aと同じであり、
図3に示すように、2つのフォトサイリスタ素子30b
をCH1およびCH2として、サイリスタ部分を相互に
逆並列に接続することにより、双方向フォトサイリスタ
素子32aとして用いることができる。
【0060】この構成によっても、Si基板1内のキャ
リアライフタイムを大幅に短縮させて、PNPトランジ
スタTr1のhFEを抑制することができる。図1に示
した従来例ではPNPトランジスタTr1のhFEが約
0.03であったのに対して、本実施形態ではPNPト
ランジスタTr1のhFEを約0.01にすることがで
きた。これにより、双方向フォトサイリスタ素子の転流
特性を向上させることができた。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ベース領域にSiGeエピタキシャル層またはSi/S
iGe超格子層を用いることにより、サイリスタを構成
するNPNフォトトランジスタのhFEを高くして、サ
イリスタの光感度(IFT特性)および動作応答速度
(Ton特性)を向上させることができる。また、サイ
リスタのPゲート領域の光吸収係数が高いため、サイリ
スタの光感度をより一層向上させることができる。
【0062】また、本発明によれば、素子裏面をメカニ
カル研磨するか、またはポリシリコン膜を設けることに
より、サイリスタを構成するPNPトランジスタのhF
Eを抑制し、転流特性を向上させることが可能である。
【0063】さらに、本発明によれば、ゼロクロス機能
を実現するためのMOSFETを駆動するVP回路にお
いて、NPNフォトトランジスタのべ一ス領域にSiG
eエピタキシャル層またはSi/SiGe超格子層を用
いることにより、VP回路を構成するNPNフォトトラ
ンジスタのhFEを高くして、VP回路の動作応答速度
を早くすることができる。さらに、MOSFETの動作
応答速度を早くすることができるので、dv/dt特性
を向上させることができる。
【0064】従って、本発明によれば、光感度が高く、
高速応答可能で、かつ、高耐ノイズ特性を有する双方向
フォトサイリスタ素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の双方向フォトサイリスタ素子の概
略構成を示す断面図である。
【図2】実施形態1の双方向フォトサイリスタ素子の片
側部であるフォトサイリスタ素子の等価回路図である。
【図3】実施形態1および実施形態2の双方向フォトサ
イリスタ素子の等価回路図である。
【図4】実施形態1の双方向フォトサイリスタ素子の製
造工程を説明するための断面図である。
【図5】実施形態2の双方向フォトサイリスタ素子の概
略構成を示す断面図である。
【図6】従来の双方向フォトサイリスタ素子の概略構成
を示す断面図である。
【図7】従来の双方向フォトサイリスタ素子の片側部で
あるフォトサイリスタ素子の等価回路図である。
【図8】従来の双方向フォトサイリスタ素子の等価回路
図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 1a N型エピタキシャル層 2 アノード拡散領域 3 Pゲート拡散領域 3a Pゲート領域 4 カソード拡散領域 5 ゲート抵抗RGK 6、13 電極層 7 P型拡散領域 7a フォトトランジスタTr4のベース領域 8 N型拡散領域 9 ウエル拡散領域 10 ソース拡散領域 11 ドレイン拡散領域 12 チャンネルストッパー領域 13a、17a Si/SiGe超格子層 14 パッシベーション膜 14a 酸化膜 17 研磨面 18 ポリシリコン膜 21 第1のP型エピタキシャル層 23 第2のP型エピタキシャル層 35 凹部 25 VP回路 30、30a、30b フォトサイリスタ素子 32、32a 双方向フォトサイリスタ素子 A アノード端子 K カソード端子 Tr1 PNPトランジスタ Tr2 NPNフォトトランジスタ Tr3 MOSFET Tr4 フォトトランジスタ G ゲート S ソース D ドレイン Cj1 シリコン基板とPゲート拡散領域、またはシリ
コン基板とPゲート領域との間の接合容量 Cj2 フォトトランジスタTr4のコレクタ領域とベ
ース領域との間の接合容量 ZD クランプダイオード T1、T2 双方向フォトサイリスタ素子の電源端子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PNPトランジスタと、該PNPトラン
    ジスタの一部を共有するNPNフォトトランジスタとか
    らなるPNPN構造のサイリスタを有するプレーナ型フ
    ォトサイリスタ素子であって、 該NPNフォトトランジスタのベース領域がSiGeエ
    ピタキシャル層またはSi/SiGe超格子層を含むフ
    ォトサイリスタ素子。
  2. 【請求項2】 素子裏面がメカニカル研磨されている請
    求項1に記載のフォトサイリスタ素子。
  3. 【請求項3】 素子裏面にポリシリコン膜が設けられて
    いる請求項1に記載のフォトサイリスタ素子。
  4. 【請求項4】 前記NPNフォトトランジスタのhFE
    が50以上2000以下の範囲であり、かつ、前記PN
    PトランジスタのhFEが0.0005以上0.05以
    下の範囲である請求項2または請求項3に記載のフォト
    サイリスタ素子。
  5. 【請求項5】 ゼロクロス機能を実現するためのMOS
    FETと、該MOSFETを駆動するVP回路を備え、
    該VP回路を構成するフォトトランジスタのベース領域
    がSiGe層またはSi/SiGe超格子層を含む請求
    項1乃至請求項4のいずれかに記載のフォトサイリスタ
    素子。
  6. 【請求項6】 前記VP回路を構成するフォトトランジ
    スタのhFEが50以上2000以下の範囲である請求
    項5に記載のフォトサイリスタ素子。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
    のフォトサイリスタ素子を2つ備え、各フォトサイリス
    タ素子を構成する前記サイリスタが逆並列に接続されて
    いる双方向フォトサイリスタ素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7521310B1 (en) * 2005-10-29 2009-04-21 National Semiconductor Corporation Vertical thyristor in complementary SiGe bipolar process
JP2014187280A (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Sharp Corp 双方向フォトサイリスタチップおよび双方向フォトサイリスタチップの製造方法
CN110600466A (zh) * 2019-09-03 2019-12-20 捷捷半导体有限公司 一种基于可控硅原理的双向可编程过压保护器件

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