JP2001332183A - シャドウマスク構体及び受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャドウマスク構体をカラー受像管に取り付
けた際の位置精度を向上し、画像の品位を向上する。 【解決手段】 パネル23の蛍光面31に対向するシャドウ
マスク構体33を、略矩形状のマスク本体34を枠状のマス
クフレーム36に溶接して構成する。マスク本体34は、パ
ネル23の内面形状に対応する有効面34aに、電子ビームB
r，Bg，Bbを通過させる多数の透孔を備える。マスクフ
レーム36は、長辺側側壁部と短辺側側壁部とを備える。
これら側壁部の長手方向の略中央部に、それぞれ溝状の
スリット部51を設ける。マスクフレーム36の四隅の角部
に設けたスプリング部材45をパネル23に設けたスタッド
ピン48に係合し、シャドウマスク構体33を所定位置に保
持する。スリット部51により、製造工程中の熱ストレス
によるマスクフレーム36の撓みを吸収し、マスク本体34
の変形を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスク構
体及び受像管に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、３色の蛍光体層からなる蛍光面と
対向してシャドウマスク構体を配置し、このシャドウマ
スク構体により電子銃から放出された３本の電子ビーム
を選別して、蛍光面上にカラー画像を表示するカラー受
像管が知られている。

【０００３】例えば、図３に示すように、通常、カラー
受像管１は、漏斗状のファンネル２、このファンネル２
に一体的に封着されるパネル３、ファンネル２のネック
部４内に封止される電子銃５、ネック部４の外側に装着
される偏向ヨーク６などを備えている。そして、パネル
３は、有効面が実質的に曲面からなる矩形状で、この有
効面の内面に、蛍光面７が形成されている。さらに、パ
ネル３の内側すなわち蛍光面７の電子銃側には、シャド
ウマスク構体10が配置されている。そして、このシャド
ウマスク構体10は、図３及び図４に示すように、パネル
３の内面形状に対応する曲面状で実質的に矩形状の有効
面が形成されたマスク本体11と、このマスク本体11の外
周部を支持する枠状のマスクフレーム12とを備え、マス
ク本体11の有効面には、電子ビームが透過する多数の透
孔が形成されている。また、このシャドウマスク構体10
のマスクフレーム12の周辺部には、スプリング部材13が
取り付けられているとともに、パネル３の内面にはスタ
ッドピン14が設けられ、スプリング部材13をスタッドピ
ン14に嵌合係止して、シャドウマスク構体10がパネル３
の内側に支持されている。

【０００４】ところで、近年の大型カラー受像管の高精
細化に伴い、蛍光面７を構成する３色の蛍光体層の間隔
や、シャドウマスク構体10の透孔同士の間隔を小さくす
ることが求められている。そして、この高精細化は、電
子ビームの蛍光面７へのランディングの位置精度の余裕
度が小さくなることを意味し、従来の大型管にもまして
より正確な位置へのランディングが必要になる。そし
て、このような高精細型のカラー受像管において、蛍光
面７上に色ずれのない画像を表示するためには、シャド
ウマスク構体10の各透孔を通過した３本の電子ビームB
r，Bg，Bbをそれぞれ蛍光面７を構成する三色の蛍光体
層に正確にランディングさせることが必要になる。そし
て、電子ビームBr，Bg，Bbの正確なランディングを実現
するためには、パネル３とシャドウマスク構体10との位
置関係、特に、パネル３の有効面の内面とシャドウマス
ク構体10の有効面との間隔（ｑ値）を所定の許容範囲内
に保つように構成する必要がある。

【０００５】しかしながら、実際には、シャドウマスク
構体10は、有効面を設けたマスク本体11のほぼ全周に接
してマスクフレーム12を取り付けて構成されているた
め、このマスクフレーム12の形状、寸法の個体差によ
り、マスク本体11にバランスの悪い不所望な力が加わっ
た状態で取り付けられる場合があり、パネル３に対する
マスク本体11の位置精度が低下するおそれがある。特
に、カラー受像管の製造工程では、数回の加熱工程通過
する際に、マスク本体11、マスクフレーム12、あるいは
インナーシールドなどは、常温では考えられない熱スト
レスを受けて変形する。そして、この熱ストレスによ
り、マスクフレーム12に撓みが生じ、このマスクフレー
ム12に固着されているマスク本体11が撓んで、３色の蛍
光体層に対する電子ビームのランディングがずれ、色ず
れが生じる問題を有している。

【０００６】さらに、上記のように高精細化されたカラ
ー受像管では、電子ビームのランディングの余裕度が小
さく、熱ストレスによるシャドウマスク構体10の位置ず
れを少しでも小さくすることが必要である。

【０００７】また、マスクフレーム12の熱ストレスの影
響を抑制する対策として、マスクフレーム12やマスク本
体11を熱膨張率の少ない材料で形成することが考えられ
る。しかしながら、熱膨張率の少ない材料にてマスクフ
レーム12やマスク本体11を形成すると、材料自体が硬く
なるため、成形性が悪化し、部品の精度を向上しにくく
なる。また、熱膨張率の少ない材料は、通常の低炭素鋼
に対して質量が増加するなどの問題を有している。

【０００８】さらに、上記のように高精細化されたカラ
ー受像管などでは、マスク本体11を薄肉化することによ
り、マスク本体11の透孔の形状、寸法の個体差による蛍
光面７のむらの低減が図られている。しかしながら、マ
スク本体11を薄肉化すると、変形しやすくなり、マスク
フレーム12の熱ストレスによる影響をより受けやすくな
る問題を有している。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、高精細
化に対応するカラー受像管では、解像度を向上させるた
め、通常のカラー受像管に比べて、３色の蛍光体層の配
列間隔が小さくされ、熱ストレスによる位置ずれ緩和を
目的として、マスクフレームを熱膨張率の小さい材料で
構成し、マスク本体を厚肉化して、マスクフレームの熱
ストレスに対する変形を抑制するなどの構成が考えられ
ている。そして、これら構成において、３色の蛍光体層
に対する電子ビームのランディングの位置ずれによる色
ずれを防止するためには、マスクフレームの形状が重要
になるが、従来のシャドウマスク構体では、マスクフレ
ームの熱ストレスによる変形により電子ビームのランデ
ィングのずれを十分に防止することが困難な問題を有し
ている。

【００１０】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、マスクフレームから加わる力によるマスク本体の
変形を抑制し、マスク本体の位置精度を容易に向上でき
るシャドウマスク構体及び受像管を提供することを目的
とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明のシャドウマスク
構体は、電子ビームが通過する複数の透孔を設けた有効
面を備えたマスク本体と、このマスク本体の外周部に沿
ってかつ前記有効面と交差する方向を幅方向として形成
された側壁部を備えて前記マスク本体の外周部を支持
し、前記側壁部には、前記有効面と交差する方向に切り
欠かれたスリット部が形成されたマスクフレームとを具
備したものである。

【００１２】また、本発明の受像管は、パネルを備えた
外囲器と、このパネルの内面に設けられた蛍光面と、電
子ビームを射出する電子銃と、これら蛍光面と電子銃と
の間に位置し前記外囲器に支持された請求項１ないし６
いずれか記載のシャドウマスク構体とを具備したもので
ある。

【００１３】そして、この構成では、製造時の熱ストレ
スなどによるマスクフレームの変形をスリット部で吸収
し、マスク本体の変形を抑制して、シャドウマスク構体
を受像管に取り付けた際のマスク本体の有効面とパネル
の蛍光面との位置精度が向上する。

【００１４】また、溝部は、実質的に矩形状のマスク本
体の長辺に沿って設けられた長辺側側壁部及び短辺に沿
って設けられた短辺側側壁部の一方あるいは両方に設
け、さらに、溝部は、各側壁部の長手方向の略中央部に
位置して設けることにより、マスクフレームの変形をス
リット部で十分に吸収し、マスク本体の変形を抑制し
て、シャドウマスク構体を受像管に取り付けた際のマス
ク本体の有効面とパネルの蛍光面との位置精度が向上す
る。

【００１５】また、マスクフレームは、溝部の近傍でマ
スク本体に固着することにより、マスクフレームの変形
をスリット部で十分に吸収し、マスク本体の変形を抑制
して、シャドウマスク構体を受像管に取り付けた際のマ
スク本体の有効面とパネルの蛍光面との位置精度が向上
する。

【００１６】さらに、マスク本体は、有効面の外周部
に、有効面と交差する方向を幅方向とし、マスクフレー
ムに固定されるマスク本体側壁部を備え、マスクフレー
ムの溝部の長手寸法は、マスク本体側壁部の幅方向の寸
法と略同等に形成していることにより、マスクフレーム
の変形をスリット部で十分に吸収し、マスク本体の変形
を抑制して、シャドウマスク構体を受像管に取り付けた
際のマスク本体の有効面とパネルの蛍光面との位置精度
が向上する。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明のシャドウマスク構
体及び受像管の一実施の形態を図面を参照して説明す
る。

【００１８】図１において、21はブラウン管すなわち陰
極線管である受像管としてのカラー受像管で、このカラ
ー受像管21は、漏斗状のファンネル22と実質的に矩形状
で前面を所定の曲面状としたパネル23とを一体的に接合
し、封着して、ガラス製の外囲器24が構成されている。
そして、外囲器24内の一端であるファンネル22に一体又
は別体に設けられたネック部25内には、蛍光体を励起発
行させる電子ビームとしての赤色電子ビームBr、緑色電
子ビームBg、青色電子ビームBbを射出する電子銃27が封
止して配置され、また、ネック部25の外側には、各電子
ビームBr，Bg，Bbを偏向する偏向系を構成する偏向ヨー
ク28が装着されている。

【００１９】また、パネル23は、有効面が実質的に曲面
からなりほぼ矩形状で、外囲器24内の他側であるパネル
23の有効面の内面には、蛍光面31が設けられている。そ
して、この蛍光面31は、赤、緑、青のそれぞれの色を発
光する３色の蛍光体層からなり、蛍光体スクリーンを構
成している。

【００２０】そして、パネル23の内側すなわち蛍光面31
の電子銃27側には、シャドウマスク構体33が配置されて
いる。そして、このシャドウマスク構体33は、図１及び
図２に示すように、パネル23の内面形状に対応する曲面
状で実質的に矩形状の有効面34aが形成されたシャドウ
マスクとも呼びうるマスク本体34と、このマスク本体34
の外周部を支持する略矩形枠状のマスクフレーム36とを
備えている。そして、マスク本体34は、周囲をマスクフ
レーム36に溶接固着してマスクフレーム36の前面部に固
定され、有効面34aには、電子銃27が射出する各電子ビ
ームBr，Bg，Bbを通過させるシャドウマスク孔とも呼び
得る多数の透孔が所定のパターンで形成されている。な
お、マスク本体34の外周部には、マスクスカート部とも
呼びうる図示しない所定の幅寸法のマスク本体側壁部が
折曲して筒状に形成されている。

【００２１】また、マスクフレーム36は、マスク本体34
の長辺側を支持する一対の長辺側側壁部41と、マスク本
体34の短辺側を支持する一対の短辺側側壁部42とを備え
ている。そして、これら側壁部41，42の内面に、マスク
本体34のマスク本体側壁部が嵌合し溶接して固定されて
いる。また、四隅の角部にはそれぞれ側壁部41，42同士
を傾斜して接続するコーナ部44が形成され、各コーナ部
44の外側には、フレーム支持体としてのスプリング部材
45が固定されている。そして、このスプリング部材45
は、マスクフレーム36に溶接して固定された固定部から
外方に折曲されて係合部が形成され、この係合部に、係
合孔が設けられている。そして、この係合孔を、パネル
23の角部の内側に植設して突設したスタッドピン48に係
合することにより、マスクフレーム36すなわちシャドウ
マスク構体33が外囲器24内の所定位置に保持され、すな
わち、マスク本体34の有効面34aが蛍光面31に近接し、
かつ、有効面34aと蛍光面31とが所定の間隔を保つよう
に保持される。さらに、各側壁部41，42の長手方向の略
中央部には、それぞれ前面側から所定の長さ寸法Ｄで切
り込まれた溝状のスリット部51が形成されている。そし
て、これらスリット部51の長さ寸法Ｄは、マスク本体34
のマスク本体側壁部の幅寸法と略同じ長さに形成されて
いる。

【００２２】このように、本実施の形態では、シャドウ
マスク型のカラー受像管21について、マスクフレーム36
の形状を最適化することにより、すなわち、ほぼ矩形状
のマスクフレーム36の長辺側側壁部41及び短辺側側壁部
42の長手方向の略中央部に所定の長さのスリット部51を
設けたため、カラー受像管21の製造工程中の特に熱を加
える工程での熱ストレスによるマスクフレーム36の撓み
をスリット部51で吸収できる。すなわち、マスクフレー
ム36とマスク本体34のマスク本体側壁部とを溶接して固
着する場合、従来、溶接点を介して伝わったマスクフレ
ーム36の撓みをマスク本体34に伝えずに、マスク本体34
にバランスの悪い不所望の力が働くことを防止でき、こ
の不所望の力を原因とするパネル23に対するマスク本体
34の位置精度の低下を効果的に防止できる。

【００２３】そこで、カラー受像管21の３色の蛍光体層
に対する電子ビームのランディングの位置精度の低下が
生じず、すなわち、ランディングの精度を容易に向上で
き、色ずれなどを抑制して画像の品位を容易に向上でき
る。

【００２４】また、マスクフレーム36を従来の材料、例
えば通常の低炭素鋼で構成しても、熱ストレスによりこ
のマスクフレーム36が撓むことを抑制でき、マスクフレ
ーム36の変形を原因とする電子ビームのランディングの
位置ずれが生じないカラー受像管21を提供できる。そこ
で、マスクフレームの熱ストレスの影響を抑制する対策
として、マスクフレームやマスク本体を熱膨張率の少な
い硬い材料で形成する構成に比べて、成形性が良好で、
部品の精度を容易に向上できるとともに、質量を軽減す
ることができる。

【００２５】なお、上記の実施の形態では、マスクフレ
ーム36の長辺側側壁部41及び短辺側側壁部42の両者にス
リット部51を形成したが、いずれか一方であっても、所
定の効果を奏することができる。

【００２６】また、カラー受像管は、シャドウマスク構
体のマスク本体とマスクフレームとの固着点を、スリッ
ト部の近傍に配置することにより、パネルに対するマス
ク本体の位置精度の低下を効果的に防止できる。

【００２７】また、各側壁部41，42に複数のスリット部
を形成することもできる。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、製造時の熱ストレスな
どによるマスクフレームの変形をスリット部で吸収し、
マスク本体の変形を抑制して、シャドウマスク構体を受
像管に取り付けた際のマスク本体の有効面とパネルの蛍
光面との位置精度を向上し、画像の品位を向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシャドウマスク構体及び受像管の一実
施の形態を示す構成図である。

【図２】同上受像管のシャドウマスク構体を示す一部を
切り欠いた斜視図である。

【図３】従来のカラー受像管を示す構成図である。

【図４】同上カラー受像管のシャドウマスク構体を示す
一部を切り欠いた斜視図である。

【符号の説明】

21 受像管としてのカラー受像管 23 パネル 24 外囲器 27 電子銃 31 蛍光面 33 シャドウマスク構体 34 マスク本体 34a 有効面 36 マスクフレーム 41 長辺側側壁部 42 短辺側側壁部 51 スリット部 Bb 電子ビームとしての青色電子ビーム Bg 電子ビームとしての緑色電子ビーム Br 電子ビームとしての赤色電子ビーム

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子ビームが通過する複数の透孔を設け
   た有効面を備えたマスク本体と、 このマスク本体の外周部に沿ってかつ前記有効面と交差
   する方向を幅方向として形成された側壁部を備えて前記
   マスク本体の外周部を支持し、前記側壁部には、前記有
   効面と交差する方向に切り欠かれたスリット部が形成さ
   れたマスクフレームとを具備したことを特徴とするシャ
   ドウマスク構体。
2. 【請求項２】 マスク本体は、実質的に矩形状であり、 溝部は、前記マスク本体の長辺に沿って設けられた長辺
   側側壁部に設けられたことを特徴とする請求項１記載の
   シャドウマスク構体。
3. 【請求項３】 マスク本体は、実質的に矩形状であり、 溝部は、前記マスク本体の短辺に沿って設けられた短辺
   側側壁部に設けられたことを特徴とする請求項１記載の
   シャドウマスク構体。
4. 【請求項４】 溝部は、側壁部の長手方向の略中央部に
   位置して設けられたことを特徴とする請求項１ないし３
   いずれか記載のシャドウマスク構体。
5. 【請求項５】 マスクフレームは、溝部の近傍でマスク
   本体に固着されたことを特徴とする請求項１ないし４い
   ずれか記載のシャドウマスク構体。
6. 【請求項６】 マスク本体は、有効面の外周部に、前記
   有効面と交差する方向を幅方向とし、マスクフレームに
   固定されるマスク本体側壁部を備え、 前記マスクフレームの溝部の長手寸法は、前記マスク本
   体側壁部の幅方向の寸法と略同等に形成されたことを特
   徴とする請求項１ないし５いずれか記載のシャドウマス
   ク構体。
7. 【請求項７】 パネルを備えた外囲器と、 このパネルの内面に設けられた蛍光面と、 電子ビームを射出する電子銃と、 これら蛍光面と電子銃との間に位置し前記外囲器に支持
   された請求項１ないし６いずれか記載のシャドウマスク
   構体とを具備したことを特徴とする受像管。