JP2001329945A - 温度差駆動装置およびそれを備えた電子機器 - Google Patents

温度差駆動装置およびそれを備えた電子機器

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JP2001329945A JP2001014672A JP2001014672A JP2001329945A JP 2001329945 A JP2001329945 A JP 2001329945A JP 2001014672 A JP2001014672 A JP 2001014672A JP 2001014672 A JP2001014672 A JP 2001014672A JP 2001329945 A JP2001329945 A JP 2001329945A
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temperature difference
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rotor
temperature
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Kenichi Miyazawa
健一 宮沢
Osamu Takahashi
理 高橋
Shigeyuki Fujimori
茂幸 藤森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】温度変化による熱エネルギが効率よく利用可能
となる温度差駆動装置およびそれを備えた電子機器の提
供。 【解決手段】周囲温度の変化により機械的エネルギを発
生するサーモエレメント20の機械的エネルギを輪列40で
増速して発電機10のロータ11を回転駆動するにあたり、
制御部50でロータ11の回転数を所定の回転数に制御す
る。そして、制御部50に対して発電機10のロータ11の回
転数を設定するにあたり、発電効率の最も良い回転数を
設定すれば、発電機10は、常に最高の発電効率を発揮す
るようになり、優れたエネルギ利用効率で熱エネルギが
利用可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然環境等におけ
る温度変化を利用して機械的エネルギを取り出し、この
機械的エネルギで駆動する温度差駆動装置およびそれを
備えた電子機器に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来より、ゼンマイに蓄えられた機械的エ
ネルギにより駆動される腕時計や懐中時計等の機械時計
が利用されている。このような機械時計としては、ゼン
マイを手で巻き上げる手巻き式のものがある。この手巻
き式の機械時計は、ゼンマイに蓄えられた機械的エネル
ギがすべて開放されると、止まってしまうので、定期的
にゼンマイを手で巻き上げる巻き上げ操作が必要となっ
ている。また、止まってしまった時計は、正確な時刻を
示さないので、手巻き式機械時計が一旦止まってしまう
と、ゼンマイを巻き上げるとともに、時刻合わせを行う
必要があるので、取り扱いが面倒となる。
【0003】このため、回転自在に設けられた回転錘を
備え、この回転錘がゼンマイを自動的に巻き上げる自動
巻の腕時計が利用されている。自動巻の腕時計では、腕
の動きにより、ゼンマイが自動的に巻き上げられるの
で、腕に装着しておけば、ゼンマイに機械的エネルギが
常に蓄えられ、停止することなく動作を維持することが
できる。
【0004】しかしながら、自動巻の腕時計も、腕から
外して放置しておくと、やがて、ゼンマイに蓄えられた
機械的エネルギがすべて開放され、止まってしまう。そ
こで、自然環境における温度変化を利用して駆動エネル
ギを取り出し、取り出した駆動エネルギより動作する時
計置が利用されている。例えば、ジャガー・ルクルト社
の置時計アトモスは、物質の膨張力を利用して自然環境
における温度変化から駆動エネルギを取り出すようにし
ている。具体的には、常温で気体および液体の一方から
他方へ相変化する相変化物質を、伸縮可能な容器の内部
に収納し、温度変化により相変化物質の体積変化を利用
してゼンマイを巻き上げ、このゼンマイに蓄積された機
械的エネルギで動作するようになっている。そして、こ
の時計のゼンマイには、時計を72時間程度、連続的に
駆動するだけの機械的エネルギが蓄積可能となっている
ので、通常の環境における温度変化があれば、常に、ゼ
ンマイを、機械的エネルギが蓄えられた状態に維持する
ことができるので、止まることがなく、半永久的に動作
可能となっている。
【0005】このような温度変化から駆動エネルギを取
り出す手段では、水晶振動子を利用した精度の高い電子
時計等の電子機器を駆動することができないので、温度
変化により取り出された駆動エネルギで発電機を駆動す
るものが知られている(特開平10−14265号公
報)。
【0006】すなわち、前述の置時計と同様に、常温で
気体および液体の一方から他方へ相変化する相変化物質
を、伸縮可能な容器の内部に収納し、温度変化により相
変化物質の体積変化をラックにより回転駆動力に変換
し、この回転駆動力で発電機を駆動するようになってい
る。そして、発電機で発電した電力でモータ等の原動機
を駆動して駆動力を得ている。そして、このような時計
に電波修正機能を組み込めば、時刻の指示精度を維持す
ることもできるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような温度差を利
用した装置では、発電機の負荷に印加される電圧が一定
となるように、発電機に設けられたロータの回転数を増
減しているので、発電効率の最も良い回転数で常にロー
タを回転させることができず、発電効率が必ずしもよく
なく、入力される熱エネルギに対して利用できるエネル
ギが少なくなり、エネルギ利用効率が悪くなりやすい、
という問題がある。また、温度差による熱エネルギから
機械的エネルギを変換する第1の変換、第1の変換で得
られた機械的エネルギから電気的エネルギへの第2の変
換、および、第2の変換で得られれた電気的エネルギか
ら機械的エネルギへの第3の変換を順次行い、最終的な
機械的エネルギを得るまでに計三回のエネルギ変換の各
々でエネルギの一部を損失するので、この点からも、入
力される熱エネルギに対して利用できるエネルギが少な
くなり、エネルギ利用効率が悪くなりやすい、という問
題がある。そして、エネルギ利用効率が悪いことから、
電波修正機能に要する電力を得ることが困難なため、電
波修正機能の組み込みが難しいという問題もある。
【0008】本発明は、温度変化による熱エネルギが効
率よく利用可能となる温度差駆動装置およびそれを備え
た電子機器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、周囲温度の変
化により得られる熱エネルギを機械的エネルギに変換す
る機械的エネルギ変換手段を備えた温度差駆動装置であ
って、前記機械的エネルギ変換手段が出力する機械的エ
ネルギを蓄積する機械的エネルギ蓄積手段と、前記機械
的エネルギにより回転するロータを備えるとともに、こ
のロータの回転駆動により電力を発生する発電手段と、
前記機械的エネルギによる駆動力を前記発電手段に伝達
する伝達手段と、前記発電手段からの電力を受けて動作
するとともに、前記発電手段の前記ロータの回転数を所
定の回転数に制御する制御手段とを備えていることを特
徴とする。このような本発明では、機械的エネルギ変換
手段が発生する機械的エネルギの量が大きく変動して
も、機械的エネルギ蓄積手段がバッファとして機能する
ので、発電手段のロータの回転数が大きく変動すること
がない。そして、制御手段に対し発電手段のロータの回
転数を設定するにあたり、発電効率の最も良い回転数を
設定すれば、発電手段は、最高の発電効率を発揮するよ
うになり、優れたエネルギ利用効率で熱エネルギが利用
可能となる。
【0010】ここで、機械的エネルギ変換手段として
は、温度変化により体積あるいは形状が変化し、その変
化分が機械的エネルギとして利用可能な熱変換体を備え
たものが採用できる。そして、熱変換体としては、温度
変化により相変化を生じて体積が変化する相変化物質、
および、温度変化で形状が変化する形状変化体のいずれ
もが採用できる。例えば、相変化物質としては、気体お
よび液体の間で相変化を生じるもの、および、液体およ
び固体の間で相変化を生じるものの両方が採用できる。
また、気体および液体の間で相変化する相変化物質とし
ては、アンモニア、二酸化炭素および塩化エチレン等が
採用でき、液体および固体の間で相変化する相変化物質
としては、ワックス等が採用できる。一方、形状化体と
しては、バイメタルや形状記憶合金等が採用できる。
【0011】温度差駆動装置の効率を一層向上させたい
場合には、相変化しても、熱伝導率が著しく小さい気体
になることがない相変化物質、すなわち、液体および固
体の間で相変化する相変化物質を採用することが望まし
い。例えば、気相状態にある空気、アンモニアおよび二
酸化窒素は、その熱伝導率がそれぞれ0.024、0.
022および0.0145W/(m・K)であるのに対
し、液体または固体である水およびパラフィンは、その
熱伝導率がそれぞれ0.561および0.24W/(m
・K)となっているので、相変化物質が気体にならなけ
れば、その熱伝導率が著しく小さくなることがない。こ
れにより、固体および液体の間で相変化する相変化物質
を利用した熱変換体は、通常の動作温度範囲において、
良好な熱伝導率が確保されるようになり、周囲温度の変
化に対して良好な応答性が得られ、温度変動に応じて速
やかに体積が変化するようになるので、周囲温度が低下
する際にも、充分な機械的エネルギが得られるようにな
り、その変換効率が向上する。
【0012】また、気体および液体の間で相変化する相
変化物質は、異なる種類のもの同士を混合すると、化学
的に反応しないするので、当該相変化物質を収納する容
器を高圧にするとともに、その圧力を加減することで、
相変化温度を調節している。このため、相変化物質を収
納する容器が大型化する。一方、固体および液体の間で
相変化する相変化物質は、異なる種類のもの同士を混合
しても、化学的に反応しないものが多く存在しているの
で、熱変換体としては、異種の相変化物質を混合するこ
とで相変化温度を調節したものが採用可能となり、容器
の内部を高圧にする必要がなくなる。このため、固体お
よび液体の間で相変化する相変化物質を内部に収納する
容器には、高い気密性能を有するものが不要となるの
で、容器の製造が容易となるうえ、容器内部を高圧にす
る必要がないので、強力なバネ等の圧縮手段が不要とな
り、装置全体の小型化が図れるようになる。
【0013】このような相変化物質としてワックス、具
体的には、パラフィンワックス、マイクロワックス、ペ
トロラタム等の各種ワックスを用いることができる。こ
のようなワックスは、種類が異なるものを混合しても何
ら化学反応を生じないので、相変化を生じる温度が異な
るものを各種混合することにより、熱変換体の相変化温
度が容易に設定可能となるという利点を備えている。ま
た、前述のワックスには、適度な潤滑性、柔軟性がある
ので、熱変換体を収納する容器を損傷する恐れがないう
え、容器の素材と化学的に反応しないので、それ自身が
変質しないとともに、容器を変質させないというメリッ
トがある。そして、熱変換体の相変化物質としては、炭
素数が19〜70の範囲のn−パラフィンを採用するの
が好ましく、熱変換体としては、一種類のn−パラフィ
ン単体からなるもの、および、二種類以上のn−パラフ
ィンの混合物からなるもののいずれもが採用できる。二
種類以上のn−パラフィンの混合物からなる熱変換体を
採用すれば、炭素数の異なるものを適宜混合すること
で、相変化温度等の特性を容易に調整することができる
ようになるうえ、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン
酸およびデカン酸等の脂肪酸、脂肪酸カルシウム等の脂
肪酸塩、または、グリセリン等のアルコールからなる添
加剤を加えることが可能となり、これらの添加剤を適宜
加えることにより、相変化が生じる温度範囲を任意に調
節することが可能となるうえ、当該温度範囲における温
度に対する体積変化量をリニアに設定することも可能と
なる。
【0014】以上の温度差駆動装置において、前記機械
的エネルギ蓄積手段は、前記機械的エネルギにより弾性
変形する弾性体を備えていることが好ましい。このよう
な弾性体に機械的エネルギを蓄積すれば、機械的エネル
ギ蓄積手段の構造が簡単で小型のものとなり、温度差駆
動装置の軽量小型化が図れる。
【0015】さらに、前記温度駆動装置において、前記
制御手段は、前記発電手段に流れる電流を調節すること
により、前記ロータを電磁ブレーキで制動して回転数を
一定回転に制御するものであることが望ましい。このよ
うに、発電手段に流れる電流を調節し、これにより生じ
る電磁ブレーキでロータを制動すれば、機械的にロータ
を制動するのと異なり、制動を行うためのエネルギ消費
が少なくなり、ロータの回転数制御に要するエネルギが
最小限ですみ、この点からも、優れたエネルギ利用効率
で熱エネルギが利用可能となる。
【0016】この際、前記伝達手段は、複数の歯車を組
み合わせた輪列とされ、この輪列の少なくとも一つの歯
車に、時間を示すための指針を設け、当該温度差駆動装
置を計時装置として利用することが好ましい。このよう
に温度差駆動装置を計時装置として利用すれば、外部か
らエネルギを供給しなくとも、半永久的に駆動する計時
装置が実現できる。
【0017】このような計時装置において、前記指針
は、時刻を示すものであり、前記指針が設けられている
前記歯車には、その回転角度位置を検出する位置検出手
段が設けられ、前記指針が示す時間を修正するために、
時刻情報を重畳した標準時刻電波を受信し、前記指針の
回転角度位置を修正する時刻修正手段を備えていること
が望ましい。
【0018】このようにすれば、時刻修正を行う必要が
なくなるので、メンテナンスにほとんど手が掛からない
ようになり、高所の時計台、あるいは、人や車の通行が
多い街頭等、メンテナンスが困難な場所に設置するのに
最適な時計が実現できる。
【0019】また、本発明の温度差駆動装置は、様々な
電子機器に適用でき、例えば、電子機器である電子制御
式機械時計に適用するのが望ましい。すなわち、前記機
械的エネルギ源によって前記発電手段に連動して回転駆
動され、その回転数が前記制御手段により調速制御され
る時刻表示手段を設ければ、水晶振動子等により高い時
刻指示精度が得られるようになるうえ、駆動に電池が必
要ないので、廃棄すると環境汚染の原因となる電池の消
費量低減に貢献できる。
【0020】
【発明の実施の形態】添付図面を参照して、本発明の実
施の形態を説明する。 [第1実施形態]図1には、本発明の第1実施形態に係
る温度差駆動装置である電子制御式機械時計1が示され
ている。この時計1は、機械的エネルギで駆動されて電
力を発生する発電手段としての発電機10と、発電機10に
供給する機械的エネルギを発生する機械的エネルギ変換
手段であるサーモエレメント20とを備えている。
【0021】発電機10およびサーモエレメント20の間に
は、サーモエレメント20が発生する機械的エネルギを蓄
積するゼンマイ31を備えた香箱車30と、複数の歯車42〜
45が組み合わされるとともに機械的エネルギによる駆動
力を増速して伝達する伝達手段としての輪列40とが設け
られている。また、時計1には、発電機10に備えられて
いるロータ11の回転数を所定の回転数に制御する制御手
段としての制御部50が設けられている。
【0022】香箱車30は、サーモエレメント20が発生す
る機械的エネルギを蓄積する機械的エネルギ蓄積手段で
あり、サーモエレメント20の体積変化で弾性変形する弾
性体としてゼンマイ31を備えている。また、香箱車30
は、逆回転防止のために、コハゼ33と係合している。
【0023】サーモエレメント20は、周囲温度の変化に
より体積が変化する熱変換体21を容器22の内部に収納し
たものである。熱変換体21は、固体および液体の一方か
ら他方へ相変化し、この相変化により体積が変化する相
変化物質であるワックスを含んだものとなっている。容
器22は、充分な剛性を有する有底筒状の密閉容器であ
り、可撓性を有する蓋部材23を有し、蓋部材23でその開
口が塞がれている。蓋部材23は、シリコンゴムあるいは
テフロン(登録商標)ゴム等を含んで形成された密閉性
に優れた強靱な膜である。
【0024】容器22の開口側の端部には、筒状のカバー
部材24が嵌合されている。このカバー部材24と容器22と
の間に蓋部材23が挟持され、この蓋部材23により、容器
22の内部が密閉されている。蓋部材23には、熱変換体21
の体積変化により駆動されるロッド25が連結されてい
る。カバー部材24には、ロッド25を案内する筒状のガイ
ド部24A が設けられている。これにより、熱変換体21の
体積変化に応じて、ロッド25の先端がガイド部24A の先
端面から進退可能とされている。
【0025】カバー部材24の外側面には、有底筒状の摺
動部材26がロッド25の移動方向に沿って摺動可能に設け
られている。この摺動部材26の開口側の端縁部には、径
方向外側へ突出する鍔26A が設けられている。鍔26A
は、コイルスプリング27の一端に係合されている。この
コイルスプリング27の他端は、容器22に対して位置が固
定された係止部材27A と係合している。摺動部材26の端
面には、両側に鋸歯状の歯を有するラック28が揺動可能
に設けられている。このラック28は、ロッド25の進退に
応じて進退駆動されるようになっている。
【0026】ラック28の両側には、当該ラック28を挟ん
で、それぞれ鋸歯状の歯を有する角穴車32および歯車34
が設けられている。このうち、角穴車32は、香箱車30の
図示しない香箱真に固定され、ゼンマイ31に直接連結さ
れている。歯車34は、同軸に通常の歯車35が一体化され
たものである。歯車35は、歯車36を介して香箱真に固定
された歯車37と係合している。これにより、歯車34が回
転駆動されると、ゼンマイ31と間接的に連結されてい
る。
【0027】ここで、ラック28は、前進すると、図2
(a)に示されるように、一方の側に設けられた歯28A
が角穴車32の歯に押されて、他方の歯28B が歯車34の歯
と噛み合い、後退すると、図2(b)に示されるよう
に、歯28B が歯車34の歯に押されて、歯28A が角穴車32
の歯と噛み合うようになっている。
【0028】そして、熱変換体21が膨張し、ラック28を
前進させる駆動力が生じると、この駆動力は、歯車34,
35および歯車36を介して歯車37を回転駆動して、ゼンマ
イ31を巻き上げるようになっている。一方、熱変換体21
が収縮し、ラック28を後退させる駆動力が生じると、こ
の駆動力は、角穴車32を直接回転駆動して、ゼンマイ31
を巻き上げるようになっている。これにより、熱変換体
21の膨張および収縮の両方でゼンマイ31の巻き上げが行
われるようになっている。
【0029】この際、サーモエレメント20の熱変換体21
に含まれるワックスとしては、炭素数が19〜70の範
囲にあるn−パラフィンが採用できる。このn−パラフ
ィンは、炭素数によって融点が異なるため、炭素数の異
なるn−パラフィンのなかから適宜な炭素量を備えたn
−パラフィンを選択することにより、所望の温度に近い
融点を有する相変化物質が得られる。また、炭素数が異
なり、相変化が生じる温度も異なるn−パラフィンを複
数種類混合することにより、所望の融点を有する相変化
物質が得られる。このため、熱変換体21に含まれるワッ
クスとしては、複数種類のn−パラフィンが混合され、
使用する環境に応じた動作特性が得られるように、その
混合比率が調整された相変化物質が採用されている。
【0030】そして、熱変換体21には、その相変化物質
と融点が異なるラウリン酸、ステアリン酸、脂肪酸カル
シウム、脂肪酸、オレイン酸、デカン酸およびグリセリ
ン等の添加剤が適宜混合されている。ここで、熱変換体
21は、融点の異なるラウリン酸(融点45℃)、ステア
リン酸(融点55℃)、脂肪酸カルシウム(融点65
℃)およびグリセリン(融点20℃)等を混合すること
により、その融点が変化する特性があるので、この特性
を利用し、動作温度範囲(−10〜+40℃)の全域で
温度−伸び量の直線性が確保されるように、ラウリン
酸、ステアリン酸、脂肪酸カルシウムおよびグリセリン
を適宜な割合で混合したものとなっている。以上のよう
な熱変換体21を備えたサーモエレメント20としては、エ
ヌテーシー工業株式会社製の製品が採用できる。
【0031】図1に戻って、輪列40は、二番車42および
五番車45の二つの歯車で香箱車30の回転駆動力を増速し
て発電機10のロータ11に伝達するものである。これらの
歯車42, 45には、発電効率の良好な回転数で発電機10の
ロータ11を回転させるための増速比が設定されている。
また、二番車42は、三番車43と係合している。この三番
車43は、二番車42と同軸位置に設けられるとともに、二
番車42とは別個に回転する四番車44と係合している。こ
れにより、二番車42の回転駆動力が増速されて四番車44
に伝達されるようになっている。二番車42には、図示し
ない時針用位置検出装置46と、時針47とが設けられてい
る。四番車44には、図示しない分針用位置検出装置48
と、分針49とが設けられている。なお、時針用位置検出
装置46は、二番車42の表面に多数形成された磁性薄膜か
らなる角度位置検出用スケールと、この角度位置検出用
スケールと対向する位置に設けられた磁気センサとを備
え、これらの角度位置検出用スケールおよび磁気センサ
から時針47の回転角度位置を検出するものとなってい
る。分針用位置検出装置48は、四番車44の表面に多数形
成された磁性薄膜からなる角度位置検出用スケールと、
この角度位置検出用スケールと対向する位置に設けられ
た磁気センサとを備え、時針用位置検出装置46と同様
に、これらの角度位置検出用スケールおよび磁気センサ
から分針49の回転角度位置を検出するものとなってい
る。これらの時針47および分針49と、図示しない時刻を
示す数字等が刻まれた文字板とを含んで時刻表示手段が
構成されている。
【0032】時針用位置検出装置46および分針用位置検
出装置48は、それぞれ時針47および分針49の回転角度位
置を検出する位置検出手段であり、その位置信号を制御
部50へ送出するようになっている。
【0033】発電機10は、略環状に形成されるととも
に、中間部分にコイル12が巻かれたステータ13を備え、
ステータ13のギャップの間に、永久磁石からなるロータ
11を回転自在に設けた交流発電機である。ここで、発電
機10が効率よく発電できるように、ロータ11の回転数、
ロータ11とステータ13とのギャップの寸法、ロータ11を
形成する永久磁石の材質、コイル12の巻線の太さや巻き
数が適宜設定されている。発電機10のコイル12の両端に
は、ダイオードおよび平滑コンデンサからなる整流回路
14と、ロータ11の回転に制動を加えるための調速回路15
とが並列に接続されている。発電機10で得られた交流電
力は、整流回路14で直流電力に変換され、この直流電力
が制御部50に供給されている。
【0034】調速回路15は、発電機10のコイル12に流れ
る電流を調節することにより、発電機10のロータ11に加
わる電磁ブレーキの制動力を加減するものである。ここ
では、ロータ11に加わる電磁ブレーキの制動力を微妙に
調節可能としたいので、調速回路15としては、トランジ
スタ等のスイッチング素子と直流抵抗とを直列に接続
し、スイッチング素子のON−OFF動作を高速で繰り
返させ、OFF時間に対するON時間を調節することに
より、電磁ブレーキの制動力を微妙に調節できるように
したものを採用している。
【0035】制御部50は、図3に示されるように、発電
機10のロータ11の回転数制御を行う回転数制御部60と、
時計1の表示時刻を修正する時刻修正手段としての時刻
修正部70と、これらの回転数制御部60および時刻修正部
70に安定した電力を供給するための電源回路51とを備え
たものとなっている。
【0036】回転数制御部60は、発電機10のロータ11の
回転数を検出する回転数検出回路61と、ロータ11の回転
数制御の基準となる周波数で発信する発振回路62と、ロ
ータ11の回転数を一定に保つために調速回路15へ所定の
操作信号を出力する回転数制御回路63とを備えている。
回転数検出回路61は、発電機10が出力する交流出力電圧
に基づいてロータ11の回転数を検出するとともに、ロー
タ11の回転数信号を回転数制御回路63へ送出するもので
ある。発振回路62は、水晶振動子64により常に安定した
周波数で発振するとともに、発電機10の最も効率よいロ
ータ11の回転数に応じた周波数信号を回転数制御回路63
へ送出するものである。回転数制御回路63は、回転数検
出回路61からの回転数信号と、発振回路62からの周波数
信号とを比較し、その差に基づいて算出した操作信号を
調速回路15へ出力するものである。操作信号は、例え
ば、High状態およびLow状態が交互に繰り返され
る矩形波電圧信号が採用でき、発電機10のロータ11の回
転速度を遅らせる場合には、High状態時間のLow
状態時間に対する割合、換言すれば、デューティ比を大
きくし、これにより、電磁ブレーキの制動力Bを強める
一方、発電機10のロータ11の回転速度を速くする場合に
は、デューティ比を小さくし、これにより、電磁ブレー
キの制動力Bを弱めるものとなっている。
【0037】時刻修正部70は、時計1の表示時刻を検出
する時刻検出回路71と、時刻情報が重畳された放送電波
を受信する受信回路72と、受信回路72が受信した電波に
含まれる時刻情報を取り出す標準時間出力回路73と、表
示時刻を修正するための修正信号を回転数制御回路63へ
出力する時刻修正回路74とを備えている。時刻検出回路
71は、時針47と連動する時針用位置検出装置46からの信
号、および、分針49と連動する分針用位置検出装置48か
らの信号を受け、これらの信号から時計1の表示時刻を
示す表示時刻信号を時刻修正回路74へ送出するものであ
る。受信回路72は、前述の放送電波を検波して前記放送
電波から搬送波等を取り除き、比較的低周波の放送信号
を標準時間出力回路73へ出力するものである。なお、受
信回路72が出力される放送信号には、時刻情報が重畳さ
れている。標準時間出力回路73は、受信回路72から送ら
れてきた放送信号から、正確な時刻を示す標準時刻信号
を取り出し、この標準時刻信号を時刻修正回路74へ送出
するものである。時刻修正回路74は、時刻検出回路71か
らの表示時刻信号と、標準時間出力回路73からの標準時
刻信号とを比較し、これらの信号の差の絶対値が所定置
よりも大きい場合には、回転数制御回路63へ修正信号と
して、減速信号または加速信号をを出力するものとなっ
ている。
【0038】この点について、さらに詳述すると、表示
時刻信号の示す時間が標準時刻信号の示す時間よりも進
んでいる場合には、時刻修正回路74は、回転数制御回路
63へ減速信号を出力するように設定されている。減速信
号を受けた回転数制御回路63は、ロータ11が適正な回転
数で回転しているときでも、調速回路15への操作信号の
デューティ比を大きくし、ロータ11の回転数を遅くする
ようになっている。この減速信号の出力は、表示時刻信
号と標準時刻信号との差の絶対値が所定置よりも小さく
なるまで継続されるようになっており、これにより、表
示時刻が進んでいる場合の時刻修正が可能となってい
る。
【0039】一方、表示時刻信号の示す時間が標準時刻
信号の示す時間よりも遅れている場合には、時刻修正回
路74は、回転数制御回路63へ加速信号を出力するように
設定されている。加速信号を受けた回転数制御回路63
は、ロータ11が適正な回転数で回転していても、調速回
路15への操作信号のデューティ比を小さくし、ロータ11
の回転数を速くするようになっている。
【0040】この加速信号の出力は、減速信号と同様
に、表示時刻信号と標準時刻信号との差の絶対値が所定
置よりも小さくなるまで継続されるようになっており、
これにより、表示時刻が遅れている場合の時刻修正が可
能となっている。
【0041】前述のような本実施形態によれば、次のよ
うな効果が得られる。すなわち、ゼンマイ31からの駆動
力を輪列40で増速して発電機10に伝達するとともに、制
御部50の制御により、ロータ11が一定の回転数で回転す
るようにしたので、発電機10が最も効率よく発電できる
回転数でロータ11が回転するようになり、サーモエレメ
ント20を介して熱エネルギを利用するにあたり、優れた
エネルギ利用効率を確保できる。
【0042】また、サーモエレメント20が出力する機械
的エネルギをゼンマイ31に蓄積するようにしたので、機
械的エネルギを蓄積する手段が簡単で小型のものとな
り、温度差駆動装置としての時計1を軽量小型化でき
る。
【0043】さらに、制御部50が調速回路15を操作し
て、発電機10のロータ11を電磁ブレーキで制動し、これ
により、ロータ11の回転数を一定回転に制御するように
したので、機械的ブレーキでロータ11を制動するのと異
なり、制動を行うにあたり、エネルギ消費が少なく、ロ
ータ11の回転数制御に要するエネルギが最小限ですみ、
この点からも、優れたエネルギ利用効率で熱エネルギを
利用できる。
【0044】また、時計1の駆動エネルギを周囲の温度
差から得るようにしたので、外部からエネルギを供給し
なくとも、時計1を半永久的に駆動することができる。
【0045】さらに、表示時間を修正する時刻修正部70
を設け、時刻修正を行う必要をなくしたので、メンテナ
ンスにほとんど手が掛からないようになり、高所の時計
台、あるいは、人や車の通行が多い街頭等、メンテナン
スが困難な場所に設置するのに最適な時計1を確保する
ことができる。
【0046】また、固体および液体の間で相変化する相
変化物質であるワックスを熱変換体21として備え、この
熱変換体21を容器22に収納したサーモエレメント20を採
用したので、サーモエレメント20の容器22に高い気密性
能を確保する必要がなく、サーモエレメント20の製造を
容易に行えるうえ、容器22を高圧にする必要がなくなる
ことから、強力なバネ等の圧縮手段が不要となり、この
点からも、時計1全体を小型化できる。
【0047】また、熱変換体21に、n−パラフィンの相
変化温度や温度特性を調節する添加剤を混合したので、
複数種類の相変化物質を混合する際に、各相変化物質の
計量が高い精度で行われなくとも、添加剤の添加で相変
化温度の調節や、相変化物質の温度特性の調整を高い精
度で行うことができるうえ、相変化物質を混合した後
に、熱変換体21の特性を確認しながら、添加剤を適宜添
加していくことにより、使用環境に対して最適な熱変換
体21を確実に得ることができる。しかも、添加剤の添加
により、その動作温度範囲内では、温度に対して体積を
リニアに変化させることができ、動作温度範囲内で使用
すれば、温度が相違しても、温度差に比例したムラのな
い駆動エネルギを発生させることができる。
【0048】さらに、相変化物質として、適度な潤滑性
および柔軟性を有するワックスであるn−パラフィンを
採用したので、温度差により熱変換体21が膨張・収縮を
繰り返しても、熱変換体21が容器22を損傷する恐れがな
いうえ、熱変換体21が容器22の素材と化学的に反応しな
いので、それ自身が変質しないとともに、容器22を変質
させないというメリットを得ることができる。
【0049】[第2実施形態]図4には、本発明の第2
実施形態が示されている。本第2実施形態は、前記第1
実施形態における一つのサーモエレメント20から駆動エ
ネルギを取り出すようにした機構を、二つのサーモエレ
メント20から駆動エネルギを取り出せるようにした機構
としたものである。
【0050】すなわち、温度差駆動装置1Aは、二つのサ
ーモエレメント20を備えたものとなっている。サーモエ
レメント20のラック28A は、摺動部材26の端面と直交状
態に固定されている。このラック28A の歯は、左右対称
となった略三角形の通常の歯となっている。これらのサ
ーモエレメント20と角穴車32との間には、一方向の駆動
力のみを香箱車30に伝達させるためのラチェット機構17
0 が介装されている。このラチェット機構170 により、
図中左下のサーモエレメント20A は、ラック28A を前進
させる駆動力のみが香箱車30に伝達され、図中右上のサ
ーモエレメント20B は、ラック28A を後退させる駆動力
のみが香箱車30に伝達されるようになっている。
【0051】ラチェット機構170 は、図5に示されるよ
うに、ラック28A と噛み合う歯車171 と、角穴車32と噛
み合う歯車172 とを備えたものである。歯車171 および
歯車172 は、スプリング173 により互いに接近する方向
に付勢されているとともに、互いに噛み合う鋸歯状の歯
を有するワンウェイクラッチ174A, 174Bにより連結され
ている。
【0052】サーモエレメント20が発生する駆動力のう
ち、伝達すべき方向の駆動力が歯車171 に伝達される
と、ワンウェイクラッチ174A, 174Bの歯は、互いに噛み
合い、当該駆動力が歯車172 を介して角穴車32に伝達さ
れるようになっている。一方、サーモエレメント20が発
生する駆動力のうち、伝達すべきでない方向の駆動力が
歯車171 に伝達されると、ワンウェイクラッチ174A, 17
4Bの鋸歯状の歯の傾斜により、スプリング173 の付勢力
に抗して歯車171 が後退し、ワンウェイクラッチ174A,
174Bの噛み合いが解除され、当該駆動力は、角穴車32に
伝達されないようになっている。
【0053】このような本第2実施形態においても、サ
ーモエレメント20の熱変換体21が膨張する際の駆動力お
よび収縮する際の駆動力の両方でゼンマイ31の巻き上げ
が行え、温度上昇時だけでなく温度下降時にも、駆動エ
ネルギを取り出せるようになるので、ゼンマイ31の巻き
上げを短時間で行うことができ、前記第1実施形態と同
様の作用、効果を得ることができる。
【0054】[第3実施形態]図6には、本発明の第3
実施形態が示されている。本第3実施形態は、前記第2
実施形態における動作温度範囲が同じ二つのサーモエレ
メント20を、動作温度範囲が互いに異なる二つのサーモ
エレメント20C, 20Dとしたものである。
【0055】すなわち、温度差駆動装置1Bの二つのサー
モエレメント20は、ラチェット機構170 を介して角穴車
32と係合し、これにより、ラック28A を前進させる駆動
力のみが香箱車30に伝達されるようになっている。
【0056】これらのサーモエレメント20のうち、図中
右上のサーモエレメント20D は、図中左下のサーモエレ
メント20C よりも高い温度で動作するようになってい
る。サーモエレメント20C の動作温度範囲は、−10〜
+15℃となっており、サーモエレメント20D の動作温
度範囲は、+15〜+40℃となっている。
【0057】このような本第3実施形態においても、前
記第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる
他、動作温度範囲が異なるサーモエレメント20C, 20Cを
設けたので、温度差駆動装置1Bの動作温度範囲を二つの
サーモエレメント20C, 20Cで分担することにより、サー
モエレメント20C, 20Cの動作温度範囲が狭くなり、サー
モエレメント20C, 20Cとして小型のものの採用が可能と
なり、温度差駆動装置1Bをさらに小型化できる、という
効果を付加できる。
【0058】[第4実施形態]図7および図8には、本
発明の第4実施形態が示されている。図7は、本第4実
施形態を示す平面図であり、図8は、図7に示される香
箱車の中心軸を通る断面図である。本第4実施形態は、
前記第1〜3実施形態における直線的に作用する駆動力
を発生するサーモエレメント20を、駆動力としてトルク
を発生するサーモエレメント20E としたものである。
【0059】すなわち、サーモエレメント20E は、香箱
車30と同軸位置に回動自在に設けられた扇形状の容器22
A を備えたものである。容器22A には、径方向に延びる
二つの平面が設けられている。このうち、一方の平面の
外端近傍には、開口22B が設けられている。この開口22
B は、伸縮自在なベローズ23A で塞がれ、これにより、
容器22A が密閉されている。ベローズ23A は、その内部
が容器22A の内部と連通し、容器22A に充填された熱変
換体21の膨張により容器22A の周方向へ伸び、熱変換体
21の収縮により縮むようになっている。ベローズ23A の
先端は、容器22A を回動自在に軸支する軸25A に対して
位置が固定された係止部材27B と係合している。容器22
A のもう一方の平面は、その外側の端縁部分がコイルス
プリング27の一端と係合している。このコイルスプリン
グ27の他端は、軸25A に対して位置が固定された係止部
材27A と係合している。
【0060】このようなサーモエレメント20E は、熱変
換体21が膨張すると、コイルスプリング27の付勢力に抗
してベローズ23A が伸び、図7中時計回り方向のトルク
を発生するようになっている。一方、熱変換体21が収縮
すると、ベローズ23A が縮み、コイルスプリング27の付
勢力により、図7中反時計回り方向のトルクを発生する
ようになっている。
【0061】サーモエレメント20E と香箱車30とは、ラ
チェット機構180 を介して互いに係合し、これにより、
サーモエレメント20E が発生する一方向のトルクのみが
香箱車30に伝達されるようになっている。ラチェット機
構180 は、図8に示されるように、香箱車30を軸支する
香箱真35の端面およびサーモエレメント20E を軸支する
軸25A の端面にそれぞれ設けられたワンウェイクラッチ
174A, 174Bを備えている。これらのワンウェイクラッチ
174A, 174Bは、互いに噛み合う鋸歯状の歯を有するもの
であり、サーモエレメント20E の軸25A の端部に設けら
れたスプリング173 の付勢力により互いに接触する方向
に付勢されている。なお、スプリング173 は、軸25A だ
けでなく、サーモエレメント20E をも香箱車30に向かっ
て付勢している。
【0062】サーモエレメント20E が発生するトルクの
うち、伝達すべき時計回り方向のトルクが発生すると、
ワンウェイクラッチ174A, 174Bの歯は、互いに噛み合
い、当該トルクが香箱真35に伝達されるようになってい
る。一方、サーモエレメント20が発生するトルクのう
ち、伝達すべきでない反時計回り方向のトルクが発生す
ると、ワンウェイクラッチ174A, 174Bの鋸歯状の歯の傾
斜により、スプリング173 の付勢力に抗して軸25A が後
退し、ワンウェイクラッチ174A, 174Bの噛み合いが解除
され、当該トルクは、香箱真35に伝達されないようにな
っている。
【0063】香箱30A の内部に収納されたゼンマイ31A
は、図9に示されるように、香箱30A の内側面と係合す
る端部に摩擦係合部31B を設けたものである。この摩擦
係合部31B は、ゼンマイ31A に巻き上げの余地がある場
合には、香箱30A の内側面との摩擦力で香箱30A と確実
に係合するようになっている。これにより、ゼンマイ31
A の巻き上げが完了するまでは、サーモエレメント20E
のトルクでゼンマイ31A の巻き上げが確実に行えるよう
になっている。一方、ゼンマイ31A に巻き上げの余地が
なくなり、ゼンマイ31A に大きなトルクが加わると、摩
擦係合部31B と香箱30A の内側面との摩擦力がトルクに
負けて、摩擦係合部31B が香箱30A の内側面を滑るよう
になっている。これにより、ゼンマイ31A の巻き上げが
完了した後、ゼンマイ31A に大きなトルクが加わらず、
ゼンマイの破損が未然に防止されるようになっている。
【0064】このような本第4実施形態においても、前
記第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる
他、香箱車30と同軸配置可能な扇状のサーモエレメント
20Eを採用し、納まりをコンパクトにしたうえ、サーモ
エレメント20E からトルクを取り出すようにし、相変化
物質が体積を変化しても、サーモエレメント20E の大き
さが変わらないようにしたので、温度差駆動装置をさら
に小型化できる、という効果を付加できる。
【0065】[第5実施形態]図10には、本発明の第
5実施形態が示されている。本第5実施形態は、前記第
1実施形態におけるロッド25が熱変換体21に直接駆動さ
れるサーモエレメント20を、半流動体55を介してロッド
56が熱変換体21に間接駆動されるサーモエレメント20F
としたものである。すなわち、サーモエレメント20F の
ロッド56は、図10に示されるように、蓋部材23と連結
されておらず、カバー部材24に設けられたガイド部24A
にガイドされて往復自在となっている。ここで、ガイド
部24A は、容器22よりも小さな内径を有するものとなっ
ている。
【0066】そして、カバー部材24および蓋部材23が形
成する空間には、グリース状の半流動体55が充填されて
いる。これにより、熱変換体21が膨張すると、蓋部材23
が半流動体55側に膨らみ、半流動体55を介してロッド56
が前進駆動される一方、熱変換体21が収縮すると、蓋部
材23が容器22側に後退し、半流動体55を介してロッド56
が後退駆動されるようになっている。この際、ガイド部
24A の内径が容器22の内径よりも小さいので、蓋部材23
の変位量が拡大されてロッド56に伝達されるようになっ
ている。このため、サーモエレメント20F は、温度差が
同じ場合には、サーモエレメント20よりも大きな変位量
が得られるようになっている。なお、ロッド56の蓋部材
23側の端部近傍には、半流動体55が外部に漏れないよう
に、ガイド部24A の内周面と密着するOリング57が装着
されている。
【0067】このような本第5実施形態においても、前
記第5実施形態と同様の作用、効果を得ることができる
他、同じ温度差でより大きな変位量がロッド56に与えら
れるようになるので、輪列40の増速比が低減可能とな
り、歯車の縮小や一部省略により、時計1をさらに小型
化できる、という効果を付加できる。
【0068】[変形例]なお、本発明は、前記各実施形
態に限定されるものではなく、次に示すような変形など
をも含むものである。すなわち、本発明の温度差駆動装
置としては、時計に限らず、タイムレコーダ、ストップ
ウォッチ、および、キッチンタイマ等の他の計時装置で
もよく、あるいは、電子回路からなる計測装置を有する
ペンレコーダ、例えば、地震計や温湿度記録計等の自記
記録計でもよい。
【0069】また、本発明の温度差駆動装置は、オルゴ
ールとしても利用できる。例えば、図11に示されるよ
うに、二番車42の軸に円盤81を設け、この円盤81の表面
に多数のピン82を立設し、これらのピン82で櫛形の固定
音階板83を振動させれば、メロディを奏でるオルゴール
として利用できる。ここで、オルゴールの起動/停止を
行うために、図11の如く、停止手段84を設けることが
望ましい。停止手段84としては、例えば、弾性変形可能
な係止部材85と、この係止部材85を操作する操作部材86
とを備えたものが採用できる。係止部材85の先端は、発
電機10に設けられているロータ11のカナ11A と係合し、
ロータ11の回転を停止させるものである。操作部材86
は、係止部材85を弾性変形させ、係止部材85の先端とロ
ータ11のカナ11A との係合を解除するものである。この
操作部材86を操作することにより、オルゴールの起動/
停止が行えるようになっている。
【0070】また、相変化物質としては、固体および液
体の相変化で体積が変化するワックスに限らず、液体お
よび気体の相変化で体積が変化するアンモニア、二酸化
炭素および塩化メチル等でもよく、要するに、相変化に
より体積が増減するものであればよい。
【0071】さらに、熱変換体としては、温度変化によ
り相変化する相変化物質に限らず、温度変化で形状が変
化するバイメタルおよび形状記憶合金等の形状変化体で
もよい。例えば、熱変換体であるバイメタルを利用した
機械的エネルギ変換手段としては、図12に示されるよ
うに、基端側が固定されたバイメタル91の先端に対し
て、進退可能に設けられた駆動ロッド92の端部に、鋸歯
状の歯を有するラック28Aが揺動可能に設けられている
ものが採用できる。
【0072】ここで、ラック28A の歯は、香箱車30の角
穴車32の歯と係合するものである。ラック28A の先端に
は、駆動ロッド92の前進時に、その歯と香箱車30の角穴
車32の歯とが噛み合うように付勢するテンションスプリ
ング93が連結されている。このテンションスプリング93
は、駆動ロッド92の後退時に、ラック28A の傾斜を許容
する程度の付勢力を備えたものとなっている。このた
め、駆動ロッド92の後退時には、ラック28A が図中左側
へ傾き、ラック28A の歯と角穴車32の歯との噛み合いが
解除されるようになっている。これにより、バイメタル
91が温度変化により変形すると、駆動ロッド92がコイル
スプリング94の付勢力に抗して前進し、角穴車32を回転
させ香箱車30内のゼンマイ31を巻き上げるようになって
いる。一方、バイメタル91が元に戻る際には、角穴車32
が回転しなくとも、ラック28A が図中左側へ傾き、ラッ
ク28A の歯と角穴車32の歯との噛み合いが解除され、駆
動ロッド92がコイルスプリング27の付勢力により、元の
位置まで後退するようになっている。
【0073】また、機械的エネルギ蓄積手段としては、
弾性体を弾性変形させることで機械的エネルギを蓄える
ものに限らず、下端に重錘が接続された線状部材を巻き
上げて重錘の高さレベルを上昇させ、重錘の位置エネル
ギに変換して機械的エネルギを蓄積する重力式のもので
もよい。
【0074】
【発明の効果】前述のように本発明によれば、温度変化
による熱エネルギを効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す概略構成図であ
る。
【図2】前記第1実施形態の要部の動作を説明するため
の概略図である。
【図3】前記第1実施形態の電気回路を含む全体の構成
を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す概略構成図であ
る。
【図5】前記第2実施形態の要部を示す拡大断面図であ
る。
【図6】本発明の第3実施形態を示す概略構成図であ
る。
【図7】本発明の第4実施形態を示す概略構成図であ
る。
【図8】前記第4実施形態の要部を示す拡大断面図であ
る。
【図9】前記第4実施形態の弾性体であるゼンマイを示
す平面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の要部を示す断面図で
ある。
【図11】本発明の変形例を示す概略斜視図である。
【図12】本発明の異なる変形例を示す概略側面図であ
る。
【符号の説明】
1 温度差駆動装置としての電子制御式機械時計 10 発電手段としての発電機 11 ロータ 20,20A〜20F 機械的エネルギ変換手段としてのサーモ
エレメント 30 機械的エネルギ蓄積手段としての香箱車 31,31A 弾性体としてのゼンマイ 40 伝達手段としての輪列 42〜45 歯車 47 指針としての時針 49 指針としての分針 50 制御手段としての制御部 70 時刻修正手段としての時刻修正部 91 機械的エネルギ変換手段の熱変換体としてのバイメ
タル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G04C 9/02 G04C 9/02 A 10/00 10/00 C G04G 5/00 G04G 5/00 J

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周囲温度の変化により得られる熱エネルギ
    を機械的エネルギに変換する機械的エネルギ変換手段を
    備えた温度差駆動装置であって、 前記機械的エネルギ変換手段が出力する機械的エネルギ
    を蓄積する機械的エネルギ蓄積手段と、前記機械的エネ
    ルギにより回転するロータを備えるとともに、このロー
    タの回転駆動により電力を発生する発電手段と、前記機
    械的エネルギによる駆動力を前記発電手段に伝達する伝
    達手段と、前記発電手段からの電力を受けて動作すると
    ともに、前記発電手段の前記ロータの回転数を所定の回
    転数に制御する制御手段とを備えていることを特徴とす
    る温度差駆動装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の温度差駆動装置におい
    て、前記機械的エネルギ蓄積手段は、前記機械的エネル
    ギにより弾性変形する弾性体を備えていることを特徴と
    する温度差駆動装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の温度駆動
    装置において、前記制御手段は、前記発電手段に流れる
    電流を調節することにより、前記ロータを電磁ブレーキ
    で制動して回転数を一定回転に制御するものであること
    を特徴とする温度差駆動装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の温度差駆動装置におい
    て、前記伝達手段は、複数の歯車を組み合わせた輪列で
    あって、この輪列の少なくとも一つの歯車には、時間を
    示すための指針が設けられていることを特徴とする温度
    差駆動装置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の温度差駆動装置におい
    て、前記指針は、時刻を示すものであり、前記指針が設
    けられている前記歯車には、その回転角度位置を検出す
    る位置検出手段が設けられ、前記指針が示す時間を修正
    するために、時刻情報を重畳した標準時刻電波を受信
    し、前記指針の回転角度位置を修正する時刻修正手段を
    備えていることを特徴とする温度差駆動装置。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
    の温度差駆動装置を備えた電子機器であって、当該電子
    機器は、前記機械的エネルギ源によって前記発電手段に
    連動して回転駆動され、その回転数が前記制御手段によ
    り調速制御される時刻表示手段を備えた電子制御式機械
    時計であることを特徴とする温度差駆動装置を備えた電
    子機器。
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