JP2001328934A - 末梢静脈栄養輸液製剤 - Google Patents
末梢静脈栄養輸液製剤Info
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Abstract
肪、糖、アミノ酸および電解質を配合した末梢静脈栄養
輸液製剤を提供する。 【解決手段】 糖、アミノ酸、電解質および油脂を乳化
剤を用いて乳化した脂肪乳剤を含有する栄養輸液製剤で
あって、該栄養輸液製剤のpHが7.0〜7.5、滴定
酸度が5mEq/L以下、浸透圧比が1〜2.7および油脂
濃度が15〜25g/Lであり、かつ乳化剤の添加量が油
脂1重量部に対して、0.05〜0.10重量部である
末梢静脈栄養輸液製剤である。
Description
酸及び電解質を含む末梢静脈栄養輸液製剤に関する。よ
り詳細には、静脈炎及び血管痛の発生が少ない末梢静脈
栄養輸液製剤に関する。
能なことが多く、人体に必要なすべての栄養素を直接静
脈内に注入することにより、患者の栄養管理が行われて
いる。経静脈栄養法には中心静脈栄養と末梢静脈栄養が
ある。中心静脈栄養は、非経口的に人体に必要な全ての
栄養を長期間に亘り投与可能であるという利点を有す
る。しかし、中心静脈にカテーテルを挿入する手術が必
要となり、気胸、動脈穿刺、静脈壁穿孔などの医療事故
やカテーテル留置に伴う敗血症などの合併症を伴うおそ
れがある。一方、末梢静脈栄養は末梢静脈から投与可能
な栄養輸液を一般の点滴とほぼ同様に行うため、手技が
簡単であり医療事故などの危険性が少ない。しかし、従
来の末梢静脈栄養輸液は補給カロリーを糖質に依存して
いるため、輸液の浸透圧は高張となり、血管痛および静
脈炎発生の主要な原因となっている。このため、カロリ
ー補給源として糖質の代わりに、脂肪を含有した末梢静
脈栄養輸液の検討が行われ、既に提案されている(特開
平6−312923号公報、特開平9−20650号公
報)。しかしながら特開平6−312923号公報に開
示される末梢静脈栄養輸液製剤は、脂肪含有量が多く、
滴定酸度も高く、また乳化剤として添加しているレシチ
ン量も多いため、血管痛および静脈炎の発生の頻度が高
い。また、特開平9−20650号公報に開示される末
梢静脈栄養輸液製剤は、pH、浸透圧比などを一定の範
囲とすることが開示されるが、血管痛および静脈炎の発
生率から見ると十分ではない。
に鑑みてなされたもので、血管痛および静脈炎の発生が
可及的に起こらない、脂肪、糖、アミノ酸および電解質
を配合した末梢静脈栄養輸液製剤を提供することを目的
とする。
を達成するために、種々鋭意検討した結果、糖、脂肪、
アミノ酸および電解質を配合した末梢栄養輸液製剤にお
いて、油脂濃度を低く抑え、乳化剤を少なく配合し、か
つ前記成分混合時のpHを中性付近とし、滴定酸度およ
び浸透圧比を適切に調整することにより、混合溶液の安
定性も確保でき、かつ、従来よりも確実に、静脈炎およ
び血管痛の発生を抑えることが可能な末梢静脈栄養輸液
製剤が提供できることを見出した。また、2室容器の一
室に糖および脂肪を含有する溶液(A)および他の室に
電解質およびアミノ酸を含有する溶液(B)を収納し、
各室の溶液のpHを特定範囲に調整することにより、前
記末梢静脈輸液製剤を安定に供給することができること
を見出し、本発明に到達した。
て乳化した脂肪乳剤、糖、アミノ酸および電解質を含有
する末梢栄養輸液製剤であって、該末梢栄養輸液製剤の
pHが7.0〜7.5で、滴定酸度が5mEq/L以下、浸
透圧比が1〜2.7および油脂濃度が15〜25 g/Lで
あり、かつ乳化剤の添加量が油脂1重量部に対して、
0.05〜0.10重量部であることを特徴とする末梢
静脈栄養輸液剤である。
化した脂肪乳剤および糖を含有し、pHが5.0〜6.
5に調整された溶液(A)ならびに電解質およびアミノ
酸を含有し、pH7.0〜7.5に調整された溶液
(B)からなる栄養輸液製剤であって、混合時のpHが
7.0〜7.5、滴定酸度が5mEq/L以下、浸透圧比が
1〜2.7および油脂濃度が15〜25 g/Lであり、か
つ前記脂肪乳剤が油脂1重量部に対して、0.05〜
0.10重量部の乳化剤により乳化されてなることを特
徴とする末梢静脈栄養輸液製剤である。
あって、該室と他室との隔離壁が隔離開放可能である輸
液容器の一室に、油脂を乳化剤を用いて乳化した脂肪乳
剤および糖を含有し、かつpHが5.0〜6.5に調整
された溶液(A)を収容し、他室に電解質およびアミノ
酸を含有し、かつpH7.0〜7.5に調整された溶液
(B)を収容したことを特徴とする末梢静脈栄養輸液製
剤を収容した輸液容器である。
後、糖を添加して溶液(A)を調製することを特徴とす
る糖および脂肪乳剤を含有する溶液(A)の製造方法で
ある。
(A)は、脂肪乳剤及び糖を含有する。本発明の脂肪乳
剤は、油脂を乳化剤を用いて乳化し、一般的には、平均
粒子径が200〜300nm、より好ましくは、230
〜270nmの脂肪粒子を含有する。油脂としては、植
物油、魚油、中鎖脂肪酸トリグリセリドまたは化学合成
トリグリセリドなどが挙げられる。具体的には、ダイズ
油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、トウモロコシ
油、ヤシ油、シソ油、エゴマ油等の植物油、鯨油、中
鎖、長鎖脂肪酸の合成トリグリセライド等が挙げられ
る。なお、これらの油脂は2種類以上を配合してもよ
い。溶液(A)中の油脂の濃度は、20〜33g/Lであ
る。
卵黄リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、大豆リン脂質、
水素添加大豆リン脂質または非イオン界面活性剤などが
挙げられる。具体的には、精製卵黄レシチン、精製ダイ
ズレシチンやその水素添加物、非イオン界面活性剤、例
えばポリソルベート80やHCO−60(いずれも商品
名)等が挙げられる。なお、これらの乳化剤は2種類以
上を配合してもよい。乳化剤の添加濃度は、油脂1重量
部に対して、0.05〜0.10重量部、好ましくは
0.05〜0.07重量部である。
各種輸液に慣用されるものでよく、グルコース、フルク
トースなどの単糖類、マルトース等の二糖類が例示され
る。その中でもグルコース、フルクトース、マルトース
等の還元糖が特に好ましい。また、本発明において調製
される溶液(A)には、グリセロールまたは糖アルコー
ルなどの多価アルコールを含有してもよい。糖アルコー
ルとしては、ソルビトール、キシリトール、マンニトー
ル等が挙げられる。これらの糖および多価アルコール
は、2種類以上配合しても良い。溶液(A)中の糖およ
び/または多価アルコールの濃度は25〜80g/L、好
ましくは45〜65g/Lである。
H調整剤として、塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ
酸などが挙げられる。これらのpH調整剤を適宜添加し
て溶液(A)中のpHを5.0〜6.5、好ましくはp
Hを5.0〜6.0に調整する。pHが5.0より低く
なると、油脂の分解が生じやすく、pHが6.5より高
くなると還元糖の分解が生じやすくなる。
油脂を乳化剤を用いて乳化させ、脂肪粒子の平均粒子径
を 200〜300nmに調製した後、糖を添加して溶
液(A)を得ればよい。具体例としては、油脂に乳化剤
を加えた溶液を、ポリトロンホモジナイザー(KINE
MATICA社製)を使用して、粗乳化処理を行う。そ
して、得られた粗乳化液をゴーリンホモジナイザー(A
PV−Ranie社製)を用い、平均粒子径が200
〜300nmになるまで精乳化処理を行う。次に、得ら
れた精乳化液に糖を含む溶液を混合し、pH調整液を加
え溶液のpHを5.0〜6.5に調整する。こうして得
られた溶液を孔径1.2μmのフィルター(富士フィル
ム社製)で濾過して、溶液(A)を調製する。
ミノ酸及び電解質を含有する。アミノ酸としては、必須
アミノ酸、非必須アミノ酸および/またはこれらのアミ
ノ酸の塩、エステルまたはN−アシル体などがある。具
体的には、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジ
ン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−スレ
オニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−アラニ
ン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−システ
イン、L−グルタミン酸、L−ヒスチジン、L−プロリ
ン、L−セリン、L−チロシン、アミノ酢酸などのアミ
ノ酸が挙げられる。また、これらアミノ酸はL−アルギ
ニン塩酸塩、L−システイン塩酸塩、L−グルタミン酸
塩酸塩、L−ヒスチジン塩酸塩、L−リジン塩酸塩等の
無機酸塩や、L−リジン酢酸塩、L−リジンリンゴ酸塩
等の有機酸塩、L−チロシンメチルエステル、L−メチ
オノンメチルエステル等のエステル体、N−アセチル−
L−システイン、N−アセチル−L−トリプトファン、
N−アセチル−L−プロリン等のN−置換体、L−チロ
シル−L−チロシン、L−アラニル−L−チロシン、L
−アルギル−L−チロシン、L−チロシル−L−アルギ
ニン等のペプチド類の形態でも良い。
例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシ
ウム、亜鉛、鉄、銅、マンガン、ヨウ素、リン等の無機
成分の水溶性塩、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリ
ウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリ
ウム、クエン酸カリウム、グリセロリン酸カリウム、酢
酸カリウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カル
シウム、グルコン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩
化マグネシウム等が挙げられる。
H調整剤として、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン
酸などを添加するとよい。これらのpH調整剤を適量添
加して溶液(B)中のpHを7.0〜7.5、好ましく
はpHを7.1〜7.3に調整する。pHが7.0より
低くなると、混合製剤のpHが適正範囲に調整されなく
なり、一方、pHが7.5より高くなると溶液(B)の
着色が生じやすくなる。
えば、下記表1に示される成分を含む。これらの調製法
は常法に従う。
つの室を有する容器であって、室と室の間の隔離壁が隔
離開放可能なプラスチック製容器である。例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニルなどの軟
質合成樹脂材料からなる輸液容器であって、室と室との
隔離壁が外からの圧力によって、該隔離壁の全部または
一部が開放され、該室と室が連通可能な容器がある。こ
のような容器の一方の室に糖および脂肪乳剤を含有し、
pHが5.0〜6.5に調製された溶液(A)を収容
し、他の室に電解質およびアミノ酸を含有し、pH7.
0〜7.5に調製された溶液(B)を収容してなる輸液
容器である。
性が高い包装材料を使用することで、輸液容器に収容さ
れた輸液製剤の安定性を高めることができる。このよう
な、輸液容器の外包装材料としては、エチレンビニルア
ルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、
ナイロンなどから構成包装材、またこれらの素材にシリ
カやアルミナなどのガスバリアー性物質を蒸着処理した
包装材およびこれらの素材を組み合わせた多層フィルム
から作成された包装材などが挙げられる。
た溶液(A)および溶液(B)を混合した後の輸液製剤
のpHは7.0〜7.5、滴定酸度は5mEq/L以下、浸
透圧比は1〜2.7および油脂濃度は15〜25 g/Lで
あり、かつ乳化剤の添加量が油脂1重量部に対して、
0.05〜0.10重量部に調整される。
明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
ン1.6gとを均質に分散させた後に、濃グリセリン
6.7gを適量の注射用水に溶解させた。該混合物を、
ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社
製)に加え、粗乳化液を得た。該粗乳化液に適量の注射
用水を加え、全量を960mLとした後、ゴーリンホモ
ジナイザー(APV−Ranie社製)を用いて、平均
粒子径が0.28μm以下になるまで精乳化処理を行っ
た。次に、得られた精乳化液にグルコース66.7gお
よびL−ヒスチジン0.2gを含む溶液を混合し、塩酸
を加え溶液のpHを6.0に調整した。その後、注射用
水を加え全量を1000mLとした。このようにして得ら
れた溶液を孔径1.2μmのフィルター(富士フィルム
社製)に通過させ、溶液(A)とした。溶液(B): 下記表2の組成に従い、アミノ酸および一
部電解質を含む溶液を調製した。次に、クエン酸を加
え、溶液のpHを7.4に調整した。その後、注射用水
を加え全量を1000mLとした。このようにして得られ
た溶液を孔径0.22μmのフィルター(富士フィルム
社製)に通過させ、溶液(B)とした。
溶液(B)を2つの室からなるポリプロピレン製輸液容
器の各室に溶液(A):溶液(B)=3:1の容量比で
収容した。次に、各溶液を収容した輸液容器を高圧蒸気
滅菌にて滅菌処理を行った。用時、2室からなる輸液容
器の隔壁を外からの圧力により開封して、2つの溶液を
混合した際の、輸液製剤の油脂濃度は20.0g/Lであ
った。
にした以外は実施例1と同一な組成および方法にて溶液
を調製した。溶液(B): 実施例1と同様な組成および方法にて溶液
を調製した。
溶液(B)を2つの室からなるポリプロピレン製輸液容
器の各室に溶液(A):溶液(B)=3:1の容量比で
収容した。次に、各溶液を収容した輸液容器を高圧蒸気
滅菌にて滅菌処理を行った。用時、2室からなる輸液容
器の隔壁を外からの圧力により開封して、2つの溶液を
混合した際の、輸液製剤の油脂濃度は20.0g/Lであ
った。
にした以外は実施例1と同一な組成および方法にて溶液
を調製した。溶液(B): 実施例1と同様な組成および方法にて溶液
を調製した。
溶液(B)を2つの室からなるポリプロピレン製輸液容
器の各室に溶液(A):溶液(B)=3:1の容量比で
収容した。次に、各溶液を収容した輸液容器を高圧蒸気
滅菌にて滅菌処理を行った。用時、2室からなる輸液容
器の隔壁を外からの圧力により開封して、2つの溶液を
混合した際の、輸液製剤の油脂濃度は20.0g/Lであ
った。
した以外は実施例1と同一な組成および方法にて溶液を
調製した。溶液(B): 実施例1と同様な組成および方法にて溶液
を調製した。
溶液(B)を2つの室からなるポリプロピレン製輸液容
器の各室に溶液(A):溶液(B)=3:1の容量比で
収容した。次に、各溶液を収容した輸液容器を高圧蒸気
滅菌にて滅菌処理を行った。用時、2室からなる輸液容
器の隔壁を外からの圧力により開封して、2つの溶液を
混合した際の、輸液製剤の油脂濃度は20.0g/Lであ
った。
にした以外は実施例1と同一な組成および方法にて溶液
を調製した。溶液(B): 実施例1と同様な組成および方法にて溶液
を調製した。
溶液(B)を2つの室からなるポリプロピレン製輸液容
器の各室に溶液(A):溶液(B)=3:1の容量比で
収容した。次に、各溶液を収容した輸液容器を高圧蒸気
滅菌にて滅菌処理を行った。用時、2室からなる輸液容
器の隔壁を外からの圧力により開封して、2つの溶液を
混合した際の、輸液製剤の油脂濃度は20.0g/Lであ
った。
チン24gを均質に分散させた後に、60%グルコース
水溶液625mLを加え、ポリトロンホモジナイザー(K
INEMATICA社製)を用い、攪拌粗乳化した。該
粗乳化液に注射用水を加え、全量を833mLとした後、
ゴーリンホモジナイザー(APV−Ranie社製)を
用い、平均粒子径が0.17μm以下になるまで精乳化
処理を行った。次に、得られた粗乳化液252.4mL
に、2%L−ヒスチジン水溶液5mLおよび適量の注射用
水を加えて混合し、塩酸でpHを6.0に調整した後、
注射用水を加え全量を1000mLとした。このようにし
て得られた溶液を孔径1.2μmのフィルター(富士フ
ィルム社製)に通過させ、溶液(A)とした溶液(B): 下記表2の組成に従い、各成分を加温した
適量の注射用水に溶解させ、アミノ酸および一部電解質
を含む溶液を調製した。次に、クエン酸を加え、溶液の
pHを7.0に調整した後、注射用水を加え全量を10
00mLとした。このようにして得られた溶液を孔径0.
22μmのフィルター(富士フィルム社製)に通過さ
せ、溶液(B)とした。
溶液(B)を2つの室からなるポリプロピレン製輸液容
器の各室に溶液(A):溶液(B)=33:17の容量
比で収容した。次に、各溶液を収容した輸液容器を高圧
蒸気滅菌にて滅菌処理を行った。用時、2室からなる輸
液容器の隔壁を外からの圧力により開封して、2つの溶
液を混合した際の、輸液製剤の油脂濃度は33.3g/L
であった。
を含有し、脂肪を含有しない市販製剤を用意した。
22g/L濃グリセリンを含有する10%脂肪乳剤(市販
製剤)を用意した。
液について、pH、浸透圧比、滴定酸度および平均粒子
径を下記に記載する方法で測定した。この結果を表3に
記載する。 (1)pH 各混合溶液のpHをpHメーター(F−24、堀場製作
所社製)を用いて測定した。 (2)浸透圧比 生理食塩水(0.9g/dL塩化ナトリウム溶液)の浸透圧
に対する各混合溶液の浸透圧比を測定した。なお、浸透
圧の測定は浸透圧測定装置(オスモスタットOM−60
20、京都第一科学社製)を用いた。 (3)滴定酸度 0.05mol/L水酸化ナトリウム溶液を各混合溶液に滴
下していき、pH7.4になった時点における水酸化ナ
トリウム溶液の滴下量から滴定酸度を算出した。なお、
滴定量の測定は自動滴定装置(COMTITE900、
平沼産業社製)を用いた。 (4)平均粒子径 粒子径および粒度分布測定装置(NICOMP380Z
LS、Particle SizingSystem社製)を用いて、動的光
散乱法により、各混合溶液中の脂肪粒子の平均粒子径を
測定した。
各混合溶液の製品評価を行うため、25℃、60%RH
条件下で各混合溶液を一定期間保存した。そして溶液混
合直後から48時間経過後の各混合溶液の性状を観察
し、pHおよび平均粒子径を試験例1と同様な方法で測
定した。
られた各混合溶液は、48時間経過後にも油滴は形成さ
れず、pHが一定で、平均粒子径も変化がなく、安定な
輸液製剤であった。一方、比較例1の製剤はレシチン添
加量が少ないため乳化が不十分であり、混合前製剤より
脂肪粒子は大きかった。また、混合溶液においても脂肪
粒子の粒子径は不安定なものであった。
行った。被験液として、実施例1、比較例3、比較例
4、ならびに50g/Lグルコース溶液および120g/Lグ
ルコース溶液を用意した。これらの5種の被験液各50
ml/kgをSD系雄性ラット(体重150〜200g)に1
日1回、4日間腹腔内投与した。以後は絶食とした。第
5日目に、さらに被験液各100ml/kgを腹腔内投与し
た。最終投与5分後に、生理食塩水に溶解した5%ポタ
ミンスカイブルー液2ml/kgをラットの尾静脈より投与
した。そして2時間55分経過後にラットを放血致死さ
せた後、ラットの腹水を採取した。この腹水を遠心分離
処理(150×g、5分間、4℃)し、上清を採取して、分光
光度計(U−3200、日立製作所社製)を用いて吸光
度を測定した。この吸光度の値からポンタミンスカイブ
ルー色素量(漏出色素量)を算出した。この結果を下記
表4に記載する。
P<0.01で有意差あり(多重比較検定)
張である120g/Lグルコースは浸透圧が等張である5
0g/Lグルコースと比較して漏出色素量の有意な増加を
認めた。実施例1は50g/Lグルコースと比較して漏出
色素量も少なく、また、レシチン量、pH、浸透圧比、
滴定酸度および平均粒子径が本発明の範囲から外れる比
較例3と比較して、漏出色素量が低値であった。また、
脂肪を含有しない比較例4と比較しても低値であった。
以上のことから、本発明は組織に対する刺激作用がな
く、また血管炎および血管痛を生じないことが示唆され
た。
について評価した。白色種ウサギ、雄性、13週齢を用
い、実施例1、比較例3および比較例4の3種の被験液
を、毎日1回、5日間、10ml/kg/hrの容量で、耳介
後静脈内に6時間持続投与した。5日目投与後に、全例
について耳介静脈血管の水腫の程度および耳介静脈血管
周囲の発赤の程度を表5の評価基準に従い、肉眼的に評
価し、この数値の平均値および標準誤差を求めた。この
結果を表6に記載する。
較検定)
では、投与血管周囲にはっきりとした水腫や発赤の変化
が認められたのに対し、実施例1では、ごく軽度の変化
にとどまり、明らかに血管障害度の少ないことが判明し
た。
質に分散させた後に、適量の蒸留水を加え、ポリトロン
ホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用い、
攪拌粗乳化した。該粗乳化液に適量の注射水を加え、全
量を1000mLとした後、ゴーリンホモジナイザーを用
い、平均粒子径が0.28μm以下になるまで精乳化処
理を行い、脂肪濃度180g/Lの脂肪乳剤を得た。次
に、得られた脂肪乳剤に対し、下記表7に示す容量比で
脂肪乳剤、注射用水および100g/Lグルコース溶液を
混合し、脂肪濃度が10g/L、20g/L、50g/L、90g
/Lのグルコース含有脂肪乳剤を調製して、合計4種の被
験液を作成した。
位:容量部)
と同様な方法で漏出色素量を求め、脂肪濃度の違いによ
る組織障害に及ぼす影響の検討を行った。参考のために
50g/Lグルコース溶液を調整して同様に検討した。こ
の結果を下記表8に記載する。
あり(多重比較検定)
び20g/L脂肪含有輸液群では対照群と同程度であった
が、50g/L及び90g/L脂肪含有輸液群では有意に増加
した。このことから、50及び90g/L脂肪含有輸液群
は組織刺激作用を有することが示唆される。従って、5
0g/L以下の脂肪配合量が適切であると考えられた。
について検討した。被験液として、レシチン含有量が
0.05、0.10および0.15重量部/油脂1重量
部である実施例2、実施例3および比較例2を用い、対
照液としてレシチン含有量が0.12重量部/油脂1重
量部である比較例5を用いた。
g)を投与前に16時間絶食した。その後、輸液ポンプ
を用いて前記3種の被験液各40ml/kg体重を1.0ml
/分の速度で、ラットの尾静脈より持続投与した。ま
た、対照液は4ml/kg体重を投与した。投与終了後45
分後にラットの尾静脈から血液を採血した。この血液を
遠心分離処理(150×g、5分間、4℃)を行い、上清を採
取して、リン脂質測定用試薬(リン脂質C−テストワコ
ー、和光純薬社製)を用いて、血中のリン脂質濃度を測
定した。この結果を下記表9に記載する。
比較検定)
シチンの含有量に依存して増加する傾向にあった。0.
05および0.10重量部/脂肪1重量部のレシチン含
有輸液製剤群では、血中のリン脂質濃度は比較例2およ
び5と比較して、有意に低値であった。このことから、
血中からリン脂質が速やかに代謝されるレシチンの添加
量は0.10重量部/脂肪1重量部以下であることが示
唆される。
糖、アミノ酸及び電解質を配合した輸液製剤であって、
油脂濃度を低く抑え、乳化剤を少なく配合し、かつ前記
成分混合時のpHを中性付近とし、滴定酸度および浸透
圧比を適切に調整することにより、静脈炎および血管痛
の発生を著しく少なくさせることができ、しかも従来の
末梢栄養輸液剤より安全性及び安定性の面で優れた効果
を有するものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 油脂を乳化剤を用いて乳化した脂肪乳
剤、糖、アミノ酸および電解質を含有する栄養輸液製剤
であって、該栄養輸液製剤のpHが7.0〜7.5で、
滴定酸度が5mEq/L以下、浸透圧比が1〜2.7および
油脂濃度が15〜25 g/Lであり、かつ乳化剤の添加量
が油脂1重量部に対して、0.05〜0.10重量部で
あることを特徴とする末梢静脈栄養輸液製剤。 - 【請求項2】 油脂を乳化剤を用いて乳化した脂肪乳剤
および糖を含有する溶液(A)ならびに電解質およびア
ミノ酸を含有する溶液(B)からなる栄養輸液製剤であ
って、混合時のpHが7.0〜7.5、滴定酸度が5mE
q/L以下、浸透圧比が1〜2.7および油脂濃度が15
〜25 g/Lであり、かつ乳化剤の添加量が油脂1重量部
に対して、0.05〜0.10重量部であることを特徴
とする末梢静脈栄養輸液製剤。 - 【請求項3】 2つの室を有する容器であって、該室と
室との隔離壁が隔離開放可能である輸液容器の一室に、
油脂を乳化剤を用いて乳化した脂肪乳剤および糖を含有
し、pHが5.0〜6.5に調整された溶液(A)を収
容し、他の室に電解質およびアミノ酸を含有し、pH
7.0〜7.5に調整された溶液(B)を収容してなる
ことを特徴とする末梢静脈栄養輸液製剤を収容した輸液
容器。 - 【請求項4】 油脂を乳化剤を用いて乳化させた後、糖
を添加して溶液(A)を調製することを特徴とする糖お
よび脂肪乳剤を含有する溶液(A)の製造方法。
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