JP2001328808A - 繊維状二水石膏およびその製造方法 - Google Patents

繊維状二水石膏およびその製造方法

Info

Publication number
JP2001328808A
JP2001328808A JP2000145895A JP2000145895A JP2001328808A JP 2001328808 A JP2001328808 A JP 2001328808A JP 2000145895 A JP2000145895 A JP 2000145895A JP 2000145895 A JP2000145895 A JP 2000145895A JP 2001328808 A JP2001328808 A JP 2001328808A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gypsum
fibrous
hydrochloric acid
dihydrate
crystals
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000145895A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Yamaji
安之 山地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nittetsu Mining Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nittetsu Mining Co Ltd filed Critical Nittetsu Mining Co Ltd
Priority to JP2000145895A priority Critical patent/JP2001328808A/ja
Publication of JP2001328808A publication Critical patent/JP2001328808A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来ない長さを有する新規な構造の繊維状石
膏及びその製造方法の提供、特に低品位の副生排煙脱硫
石膏からの製造方法の提供。 【解決手段】 60〜105℃に加熱した濃度2〜6モ
ル/lの塩酸中で石膏粉を溶解し、形成された石膏溶解
塩酸溶液又はスラリーを0〜30℃に冷却して石膏結晶
を析出させ、長さが2mm以上で、径が1〜200μm
の繊維状の結晶を少なくとも含有することを特徴とする
繊維状二水石膏を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な細長い構造
の繊維状石膏及びそれを製造する方法に関する。より詳
しくは、従来提供されたことのない長さを有する新規な
繊維二水状石膏及びそれを不純物を含む低品位の副生排
煙脱硫石膏からも製造可能とし、かつ不純物含有量も合
わせて低減せしめることもできる繊維状二水石膏を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石膏は、その起源によって天然石膏と化
学石膏に大別される。天然石膏は、世界各地に比較的豊
富に存在する資源の一つであり、各大陸には純度のよい
豊富な埋蔵量の鉱床が少なくない。また、化学石膏は、
石灰と硫酸の反応により合成されたり、化学工業の製造
過程で副生されたり、排煙脱硫過程でも副生するなどで
得られる。
【0003】また、その石膏は、結晶水の数によって、
二水石膏、半水石膏(焼石膏)、無水石膏がある。結晶
水の含有量が最も多い二水石膏を加熱していくと、12
8℃で1.5分子の結晶水を失い半水石膏となる。それ
を更に加熱していくと163℃で残っていた0.5分子
の結晶水を失い無水石膏となる。このうち半水石膏は、
それに水を加えて練り合わせると一度失った結晶水を吸
収して二水石膏となり硬化する性質を有する。石膏は、
この特性を利用して工業分野から医療分野まで、更には
工芸分野にまで利用されており、多くの分野で活用され
ている。
【0004】結晶の形状としては、天然石膏には多くの
形態があり、外観の結晶状態や形状によって分類され透
明石膏、繊維石膏、雪花石膏、塊状石膏、雲母状石膏、
砂状石膏、粘土質石膏などの呼称が与えられている。化
学石膏の結晶は、大部分が粉粒状や微小短繊維状をして
おり、外観上粉体である。ただし、石膏の繊維化を目的
に、二水石膏を水熱反応によって繊維状〜針状の半水石
膏に転化した合成繊維石膏がある。
【0005】繊維状石膏を得る方法としては、米国フラ
ンクリン・キー・インコーポレイテッドが開発した硫酸
カルシウム半水石膏針状石膏合成方法(特開昭49−3
0626号公報)、兵庫県工業試験場が開発した排煙脱
硫石膏を水熱処理して短繊維状α型半水石膏を得る方法
(特開昭51−114396号公報)、及びドイツ国S
KBトローストベルクAGが開発した常圧下において塩
酸、硝酸、硫酸の水溶液、塩溶液又はこれらの混合物中
の硫酸カルシウムを温度40〜120℃で等温的に固体
相の存在下で硫酸カルシウムの二水塩、半水塩又は無水
塩からなる繊維状石膏に変える方法(特開昭54−18
927号公報)などが、既知の方法である。
【0006】それらの繊維状石膏を提案する従来技術の
うち、第1の技術である半水石膏針状石膏合成方法で製
造される繊維状石膏については、針状結晶繊維とするの
みで、具体的長さについては何等の言及もなく、また第
2の技術である短繊維状α型半水石膏を得る方法につい
ても針状結晶が得られるとするのみで同様に具体的長さ
については何等の言及もない。
【0007】それに対して、第3の技術を掲載する特開
昭54−18927号公報は、前2者の技術が提案され
た後に開発されたものであって、それらと同様に繊維状
石膏の提供を提案するものであるが、その公報では、従
前の技術によって提供される繊維状石膏は最大0.2m
mであると記述し、その上で、この公報では全長0.5
〜2.0mmの繊維石膏が製造できるとしている。
【0008】そして、この公報には実施例が16存在
し、そのうちの実施例12で製造する繊維石膏の長さは
0.5〜2.0mmであるとしており、最大長の2.0
mmが製造できるとする唯一の実施例となっている。そ
れ以外の実施例にも、1mmを越える繊維石膏を製造す
る例もあるが、多くの実施例は製造される繊維石膏が1
mm未満のものである。以上のとおりであるから、先の
公報には2mmを超える製造例については何等開示はな
い。なお、この公報に記載の製造方法では、実際には、
2mmあるいはそれに近い長さの繊維石膏が製造できな
いことは後述するとおりである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者が所属する企
業も排液及び排ガスの処理技術の研究開発を行ってお
り、本発明者は、大量に副生する十分に利用されていな
い排煙脱硫石膏に着目し、これを活用できる石膏製品を
開発すべく、嵩比重を低減させることのできるより長い
繊維状石膏の研究開発に着手した。このような事情に鑑
み、本発明者は従来技術を調査したところ、前記したと
おりの提案が既になされていることがわかった。
【0010】そこで、本発明者は、従前の提案において
最も長い繊維状石膏が製造できるとされている特開昭5
4−18927号公報にしたがって繊維状石膏の製造を
具体的にまず試みた。その結果判明したことは、そこで
最も長い繊維石膏が製造できるとされている実施例12
にしたがっても1mm以上の繊維石膏は製造不可能であ
ることが判明した。またそれ以外の実施例にしたがって
製造しても1mm以上の繊維石膏は製造できなかった。
【0011】以上のような検討結果を踏まえ、本発明者
は、より長い繊維状石膏を開発すべく独自の創意と工夫
により鋭意研究を進め、その結果開発に成功したのが、
本発明の繊維状二水石膏及びそれを製造する方法であ
る。したがって、本発明は、より長い繊維状石膏を提供
することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とし、
その結果、驚くべきことに今までに製造されたことのな
い長い新規な構造の繊維状二水石膏及びそれを製造する
方法が開発できたものである。そして、その繊維長は、
0.5mmから10mmに及ぶような長いものまでを含
むものであり、本発明では、少なくとも2mm以上、場
合によっては少なくとも2mmを超える長さのものを含
む繊維状二水石膏を製造するものであり、そのような繊
維状二水石膏の製造が本発明によりはじめて可能となっ
た。
【0012】
【課題を解決する手段】本発明者が、前記解決すべき課
題を達成するために開発した手段は、繊維状二水石膏及
びそれを製造する方法であり、そのうちの繊維状二水石
膏は長さが2mm以上で、径が1〜200μmである繊
維状の結晶を少なくとも含有する人工的に合成されたも
のであり、また、それを製造する方法は、加熱した塩酸
中で石膏粉を溶解し、形成された石膏溶解塩酸溶液又は
スラリーを冷却して石膏結晶を析出させるものである。
【0013】本発明の繊維状二水石膏の製造は、石膏を
高溶解度の高温度で溶解し、その後低溶解度の低温に冷
却することで結晶を析出させる晶析操作によるものであ
り、そのことは格別特殊な結晶製造手段ではない。しか
しながら、本発明では、その際に石膏を溶解する溶液に
塩酸を採用することにより、意外にも従来製造されたこ
とのない長さの繊維状二水石膏が製造できることを本発
明者が発見したものであり、このことは驚くべき事実の
発見であり、それにより新規な構造の繊維状二水石膏が
製造可能となった。
【0014】そして、その製造された繊維状二水石膏
は、従前の技術で製造する針状繊維石膏あるは繊維石膏
では、得らることのない2mm以上のものを少なくとも
含むものであり、特殊な場合を除き、2mm以上のもの
を50%程度あるいはそれ以上含むものである。換言す
れば、本発明の繊維状石膏は2mm以上の長さを有する
ものであり、その中にその長さに満たないものを含むも
のである。すなわち、前記した従前の技術で製造できる
針状繊維石膏は200μm以下あるいは繊維石膏は実際
には1mm未満であるが、本発明では、それでは得られ
ない2mm以上、場合によっては2mmを超えるをもの
少なくとも含むものである。
【0015】また、その結果、得られる繊維状二水石膏
は、長さが長いと共に嵩比重も小さくなることから、そ
れら特性を生かしたゴム・プラスチックなどのフィラー
用石膏、ギブス包帯用、ガラス繊維やロックウール繊維
などの無機繊維の用途等に利用することを期待でき、そ
の際には従来の性質に比し、格段に優れたあるいは異質
の特性を発現することが期待できる。
【0016】さらに、その製造方法は、大気圧下におけ
る加熱溶解と徐冷再析出という手段が採用できることか
ら、簡便なものとすることができる利点がある。すなわ
ち、簡便な装置を使用でき、かつ簡易な操作で本発明の
繊維状二水石膏は製造することができる。加えて、不純
物の多い排煙脱硫の着色している低品位の副性石膏から
純度が高く白色度の高い高品質石膏に転換できる技術で
もあり、資源活用の点でも非常に有効なものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて詳述する。本発明の繊維状二水石膏は、前述したと
おり長さが2mm以上で、径が1〜200μmである繊
維状の結晶を少なくとも含有することを特徴とする人工
的に合成されたものである。また、その製造は石膏粉を
加熱した塩酸によって溶解し、形成された石膏溶解塩酸
溶液又はスラリーを冷却して石膏結晶を析出させるもの
である。
【0018】原料の石膏粉には、天然の石膏、合成した
石膏、燐酸精製時の副生石膏、排煙脱硫により副生する
石膏等の各種の石膏を粉体状にしたものが特に制限され
ることなく使用できる。以上のとおりではあるが、原料
石膏として、燐酸精製時の副生石膏あるいは排煙脱硫時
に副生する石膏を利用することが資源の有効活用の上で
望ましい。特にそれら副生石膏は現在生産過剰で、その
適正な処分が問題となっており、その有効利用は有意義
である。
【0019】また、その際の石膏の含水形態は、二水石
膏に限定されるものではなく、半水石膏あるいは無水石
膏であってもよい。それは、本発明の繊維状二水石膏の
製造が、石膏を一旦溶解し、その後冷却することにより
析出させる晶析操作によるものであるからである。すな
わち、塩酸中に溶解できる石膏であれば、溶解後の析出
時には二水石膏が析出するからである。
【0020】原料石膏粉の溶解に使用する塩酸について
は、その濃度は2モル/l以上6モル/l未満がよく、好
ましくは3モル/l以上5モル/l未満である。この塩酸
による石膏の溶解は、全量溶解するのが生産効率上ある
いは純度向上あるいは繊維形状の均一化の点で好ましい
が、一部未溶解のままでもよい。なお、その場合には未
溶解の石膏粉を沈降させた後に上澄み液のみを晶析操作
に利用することで全量溶解した場合と同様の効果が得ら
れる。以上のようにして溶解した後は石膏溶解塩酸溶液
又は塩酸スラリー(以下塩酸溶液等と略称することがあ
る)が形成されることになる。
【0021】石膏の溶解に使用する塩酸の濃度について
は、2モル/l未満では加温時の硫酸カルシウムの溶解
度が低く、冷却時に析出する繊維状二水石膏の量が少な
くなり、合成の効率が低くなる。逆に、塩酸の濃度が6
モル/lを超えると、冷却後における石膏の溶解度が高
く、効率的に繊維状石膏が得られない。加えて加温時に
石膏塩酸スラリーから揮発する塩化水素の量が増加し、
周辺の金属製品の腐食・劣化を促進するとともに、周辺
の作業環境の悪化を招き好ましくない。
【0022】石膏粉を溶解するための塩酸の加熱は、予
め塩酸を加熱し、石膏粉を添加混合した後も所定温度維
持のために加熱を継続する、あるいは常温の塩酸に石膏
粉を添加混合した後に加熱して所定温度に加熱する等の
各種の手法が特に制限されることなく採用できる。その
原料石膏粉を溶解するための加温温度は、60℃以上1
05℃未満がよく、好ましくは80℃以上100℃未満
である。
【0023】その理由は、加温温度が60℃未満では、
加温時と冷却時の塩酸に対する硫酸カルシウムの溶解度
の差が小さく、繊維状二水石膏の合成効率が低くなるか
らである。逆に、105℃を越えると石膏を溶解した塩
酸溶液等から揮発する塩化水素の量が増加し、周辺の金
属製品の腐食・劣化を促進するとともに、周辺の作業環
境の悪化を招き好ましくなく、また、塩酸溶液等の沸騰
による塩酸の飛散などの危険があるからである。
【0024】石膏を溶解した塩酸溶液等の冷却速度は、
0.5℃/分以上3℃/分以下がよく、好ましくは0.
8℃以上1.5℃/分以下がよい。その理由は、塩酸溶
液等の冷却速度が0.5℃/分未満では冷却速度が0.
5〜1℃/分程度のときに比べて繊維状石膏の繊維長が
長くならず、加えて繊維状二水石膏結晶の析出量は、温
度差に依存し冷却速度に依存しないため繊維状二水石膏
結晶の成長にかける時間を必要以上に長くとることは、
合成の効率が悪化するためである。また、冷却速度が3
℃/分を超える場合には、結晶の析出速度が速すぎ、細
かい繊維状結晶又は粉末状結晶が大部分となり、繊維状
二水石膏を得るという目的が達せられない。
【0025】塩酸溶液等から濾過あるいは遠心分離等の
固液分離操作で取り出したままの繊維状二水石膏は、そ
の繊維間に多くの残留する塩酸を含んでおり、これを取
り除くことが必要がある。その塩酸除去には、無水又は
低水分の低級アルコールによる洗浄を用いることができ
る。無水または低水分の低級アルコールは、塩酸の溶解
度が高く、かつ水とも良く混合するため、繊維状二水石
膏繊維間に残留する塩酸あるいは水の除去に好適であ
る。
【0026】また、無水又は低水分の低級アルコールを
使用する洗浄によって、繊維状二水石膏繊維間の塩酸あ
るいは水分が除去されることにより、乾燥時に繊維状二
水石膏繊維どうしが固着することを防ぐことができる。
洗浄に用いられる低級アルコール類としては、メタノー
ル、エタノールあるいはプロパノールなどが例示され
る。
【0027】晶析操作時の塩酸による加熱溶解あるいは
溶解後の冷却は、常圧下で実施するのが簡便な装置が使
用可能等の理由により好ましいが、加圧あるいは減圧下
で実施することも可能であり、本発明はかかる環境下で
実施することを排除するものではない。
【0028】本発明の繊維状二水石膏は、長さが2mm
以上で、径が1〜200μmである繊維状の結晶を少な
くとも含有するものであり、このような繊維長は従来の
製造方法では得られなかった新規なものであることは前
記したとおりである。本発明によれば、長さが2mm以
上の結晶を少なくとも含み、かつ0.5mmから10m
mに及ぶような長いものまで含むものである。本発明の
繊維状二水石膏は、通常2mm以上ものを50%程度含
有するものであり、好ましい製造態様においては長さ2
mm以上ものを70以上含むものである。また、その
維状二水石膏繊維のアスペクト比は20〜1000であ
り、好ましくは40〜200である。
【0029】本発明の好ましい製造態様は、常圧下で、
60〜105℃に加熱した濃度2〜6モル/lの塩酸中
で、石膏粉を溶解し、形成された石膏溶解塩酸溶液を0
〜30℃に冷却して石膏結晶を析出させるものであり、
その際の冷却速度は0.5〜3℃/分がよい。それによ
り、本発明では、長さ2mm以上ものを20%以上含む
ものが製造できる。
【0030】本発明のより好ましい製造態様は、常圧下
で、80〜100℃に加熱した濃度3〜5モル/lの塩
酸中で、石膏粉を溶解し、形成された石膏溶解塩酸溶液
を0〜30℃に冷却して石膏結晶を析出させるものであ
り、その際の冷却速度は0.8〜1.5℃/分がよい。
それにより、本発明では、長さ2mm以上ものを50%
以上含むものが製造できる。
【0031】
【実施例】以下に、本発明について、実施例及び比較例
によって具体的に説明する。本発明は、この実施例によ
って限定されるものではなく、特許請求の範囲によって
特定されるものであることはいうまでもない。
【0031】[実施例1]排煙脱硫で副生した硫酸カルシ
ウム二水塩(以下、排脱石膏という)20gを濃度4モ
ル/lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維
持しながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続
し温度維持しながら撹拌を停止し、未溶解不純物及び未
溶解石膏(以下、単に未溶解成分という)を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。
【0032】析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状結
晶をブフナーロートとろ紙を用いて、塩酸溶液からろ別
し、ろ紙上の硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を無水
メタノールで洗浄し、塩酸と水分を除き、50℃で乾燥
し、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム二水塩の結
晶)を得た。得られた繊維状二水石膏結晶の観察結果及
び製造条件を表1に記載した。また、その表には、他の
実施例及び比較例の観察結果及び製造条件も合わせて記
載した。
【0033】[実施例2]排脱石膏20gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して60℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶をブフナーロートとろ紙を用いて、塩酸溶液からろ
別し、ろ紙上の硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を無
水メタノールで洗浄し、塩酸と水分を除き、50℃で乾
燥し、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム二水塩の
結晶)を得た。
【0034】[実施例3]排脱石膏20gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して105℃に維持
しながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し
温度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降さ
せ、上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排
脱石膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、2
5℃まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を
液中に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊
維状結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した
後、同様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カル
シウム二水塩の結晶)を得た。
【0035】[実施例4]排脱石膏20gを濃度2モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同
様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム
二水塩の結晶)を得た。
【0036】[実施例5]排脱石膏20gを濃度6モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同
様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム
二水塩の結晶)を得た。
【0037】[実施例6]排脱石膏20gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分0.5℃の速さで、2
5℃まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を
液中に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊
維状結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した
後、同様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カル
シウム二水塩の結晶)を得た。
【0038】[実施例7]排脱石膏20gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分3℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同
様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム
二水塩の結晶)を得た。
【0039】[実施例8]排脱石膏15gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同
様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム
二水塩の結晶)を得た。
【0040】[実施例9]排脱石膏30gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同
様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム
二水塩の結晶)を得た。
【0041】[実施例10]天然の二水石膏(以下、天然
二水石膏という)20gを濃度4モル/lの塩酸250
mlに分散し、加温して90℃に維持しながら30分間
攪拌を行った。その後、加温を継続し温度維持しながら
撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、上澄み液を別容
器に移し未溶解成分と分離した。天然二水石膏が溶解し
ている塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃まで冷却
し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中に析出さ
せた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を実
施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同様に乾燥
して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム二水塩の
結晶)を得た。
【0042】[実施例11]試薬1級の硫酸カルシウム二
水塩(以下、試薬石膏という)20gを濃度4モル/l
の塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持しな
がら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温度
維持しながら撹拌を停止し、未溶解石膏を沈降させ、上
澄み液を別容器に移し未溶解石膏と分離した。試薬石膏
が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃ま
で冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中に
析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状結
晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同様
に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カルシウム二
水塩の結晶)を得た。
【0043】[実施例12]排脱石膏20gを濃度4モル
/lの塩酸250mlに分散し、加温して110℃に維
持しながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続
し温度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降さ
せ、上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排
脱石膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、2
5℃まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を
液中に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊
維状結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した
後、同様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カル
シウム二水塩の結晶)を得た。
【0044】[実施例13]排脱石膏20gを濃度8モル
/lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持
しながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し
温度維持しながら撹拌を停止し、未溶解不純物を沈降さ
せ、上澄み液を別容器に移し未溶解不純物と分離した。
排脱石膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、
25℃まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶
を液中に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の
繊維状結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した
後、同様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸カル
シウム二水塩の結晶)を得た。
【0045】[実施例14]排脱石膏20gを濃度8モル
/lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持
しながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し
温度維持しながら撹拌を停止し、未溶解不純物を沈降さ
せ、上澄み液を別容器に移し未溶解不純物と分離した。
排脱石膏が溶解している塩酸溶液を毎分0.3℃の速さ
で、25℃まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶を液中に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水
塩の繊維状結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄
した後、同様に乾燥して、繊維状二水石膏(繊維状硫酸
カルシウム二水塩の結晶)を得た。
【0046】[実施例15]排脱石膏40gを濃度4モル
/lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持
しながら30分間攪拌を行った。その後、撹拌を停止し
未溶解成分を分離せずに石膏を分散した塩酸スラリーを
毎分1℃の速さで、25℃まで冷却し、硫酸カルシウム
二水塩の繊維状結晶を析出させた。塩酸スラリーから取
り出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を無水メタ
ノールで洗浄し、塩酸と水分を除き、50℃で乾燥し、
繊維状二水石膏を得た。なお得られた繊維状二水石膏に
は未溶解排脱石膏が残留し、繊維・粉体混在状態であっ
た。
【0047】[比較例1]試薬石膏100gを、濃度22
g/100mlの塩化リチウム水溶液250mlに分散
し、撹拌しながら105℃で2時間処理した。その後、
撹拌を停止し、残留する試薬石膏を分散した塩化リチウ
ム水溶液スラリーを毎分1℃の速さで、25℃まで冷却
した後、溶液と分離し硫酸カルシウム二水塩と半水塩の
混合物を回収した。なお、冷却前の状態を目視したが前
記回収した硫酸カルシウム二水塩と違った様子は観察で
きかった。
【0048】[比較例2]試薬石膏100gを、濃度54
g/100mlの塩化亜鉛水溶液250mlに分散し、
撹拌しながら105℃で2時間処理した。その後、撹拌
を停止し、残留する試薬石膏を分散した塩化亜鉛水溶液
スラリーを毎分1℃の速さで、25℃まで冷却した後、
溶液と分離し硫酸カルシウム二水塩を回収した。なお、
冷却前の状態を目視したが前記回収した硫酸カルシウム
二水塩と違った様子は観察できなかった。
【0049】[比較例3]試薬石膏65gを、濃度0.1
モル/lの硝酸250mlに分散し、撹拌しながら90
℃で2時間処理した。その後、撹拌を停止し、残留する
試薬石膏を分散した硝酸スラリーを毎分1℃の速さで、
25℃まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の結晶を析出
させた。なお、冷却前の状態を目視したが前記回収した
硫酸カルシウム二水塩と違った様子は観察できなかっ
た。
【0050】[比較例4]排脱石膏20gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して50℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分1℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩を実施例
1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同様に乾燥し
て、硫酸カルシウム二水塩の結晶を得た。得られた硫酸
カルシウム二水塩は短繊維(長さ2mm未満)及び粉体
混在状態のものであった。
【0051】[比較例5]排脱石膏20gを濃度1モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。その上
澄み液を使用して実施例1と同様の晶析操作を行った。
【0052】[比較例6]排脱石膏20gを濃度4モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分を沈降させ、
上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離した。排脱石
膏が溶解している塩酸溶液を毎分5℃の速さで、25℃
まで冷却し、硫酸カルシウム二水塩の繊維状結晶を液中
に析出させた。析出した硫酸カルシウム二水塩の繊維状
結晶を実施例1と同様にろ別し、同様に洗浄した後、同
様に乾燥して、微小粒状結晶石膏(粉粒状硫酸カルシウ
ム二水塩の結晶)を得た。
【0053】[比較例7]排脱石膏10gを濃度1モル/
lの塩酸250mlに分散し、加温して90℃に維持し
ながら30分間攪拌を行った。その後、加温を継続し温
度維持しながら撹拌を停止し、未溶解成分(不純物)を
沈降させ、上澄み液を別容器に移し未溶解成分と分離し
た。その上澄み液を使用して実施例1と同様に毎分1℃
の速さで、25℃まで冷却したが、石膏は析出しなかっ
た。
【0054】実施例1によって得られた繊維状結晶につ
いて、X線回折計で同定したところ図1の上側のパター
ンが得られた。このパターンを既知の二水石膏のパター
ンである図1の下側のパターと比較する両パターンに差
異がなく、実施例1の繊維状結晶は二水石膏と同定され
る。また、実施例2〜15及び比較例1〜7によって得
られた各結晶についても、X線回折計で同定したところ
実施例1と同様のパターンが得られ、いずれも二水石膏
であることが同定される。
【0055】実施例1〜15及び比較例1〜7によって
得られた各結晶の観察結果及び製造条件は、前記したと
おり表1に記載した。その表中の観察結果には、長さ、
径及び長さ2mm以上の存在割合が掲載され、製造条件
には、使用原料、塩酸濃度石膏スラリー濃度、加温時最
高温度及び冷却速度が掲載されている。その長さ及び径
は、目視及び顕微鏡観察によってそれぞれを測定した。
【0056】繊維長2mm以上の繊維状結晶の存在頻度
については、低倍率の電子顕微鏡写真の1画面に移って
いる繊維状二水石膏総数及び2mmを超えている繊維の
本数を数え、この比率を百分率に直し、繊維長2mm以
上の繊維状結晶の存在割合とした。なお、その際、繊維
長2mm以上の繊維の計数結果から算出した百分率を、
2捨3入または7捨8入して5%刻みで表記した。
【0057】
【表1】
【0058】比較例1ないし3は、従来技術において最
も長い繊維状石膏が製造できるとされている特開昭54
−18927号公報に記載の実施例にしたがって実施し
た比較例である。その比較例1の方法は、合成された石
膏の形状が微小柱状であり、繊維長2mmを超える繊維
状二水石膏の比率は0%であった。また比較例2の方法
では、合成された繊維状石膏の繊維長の範囲が0.02
〜0.6mmであり、繊維長2mmを超える繊維状二水
石膏の比率は0%であった。
【0059】そして、比較例3の方法では、合成された
石膏の形状が粉粒体であり、繊維長2mmを超える繊維
状二水石膏の比率は0%であった。これらのことから、
従来技術で最も長い繊維状石膏が製造できるとされてい
る特開昭54−18927号公報に記載の方法にしたが
った比較例1、2、3の製造方法では、本発明のように
繊維長2mmを超える長さの繊維状二水石膏を決して得
られないことが判る。
【0060】実施例1、2、3と、実施例12との比較
から、加熱温度が50℃未満では原料石膏粉の溶解が不
充分なために繊維状二水石膏を再析出させた場合、繊維
状二水石膏と原料石膏粉が混在してしまうことが判る。
他方、実施例1、2、3と比較例5の比較から、加熱温
度が105℃を超えると、スラリーが沸騰し、塩化水素
ガスが反応容器外へ揮発し、作業環境が著しく悪くなる
ことが判る。
【0061】実施例4と比較例5の比較により、塩酸濃
度が2モル/lを下回る1モル/lでは、原料石膏粉が
溶解せず、再析出できないため繊維状石膏を得られない
ことが解かる。他方、実施例13により塩酸濃度が8モ
ル/lを超えると、室温程度にスラリーを冷却しても、
溶解している石膏が多く、再析出によって得られる繊維
状二水石膏の収量が減少することが解かる。
【0062】実施例6と実施例14の比較により、冷却
速度を0.5℃/分未満にしても0.5℃/分の場合と
変化がなく、冷却速度を極端に遅くしても、繊維長が伸
びないことが解かる。また、実施例7と比較例6との比
較により、冷却速度が3℃/分を超える速さになると、
急激な冷却により、粉粒状二水石膏結晶が生成し、目的
とする繊維長が2mmを超える繊維長の繊維状二水石膏
が得られないことが判る。
【0063】実施例8と比較例7との比較により、スラ
リー中の石膏濃度が40g/l未満では、冷却終了時点
(ほぼ室温)での溶解度未満であるため、再析出により
繊維状二水石膏を得ることができない。また、実施例9
と比較例15との比較により、120g/lを超えた石
膏濃度にしても、冷却により再析出する繊維状二水石膏
の量は一定となり、収量が増えないばかりか、繊維状二
水石膏に原料石膏粉が混在してしまい、純度の高い繊維
状石膏を得ることができない。
【0064】以上の実施例1ないし15、特に実施例1
ないし11によって、原料石膏が不純物多量に含む低品
位の排脱石膏であっても、また天然の二水石膏あるいは
試薬のような合成の高純度の二水石膏であっても、本発
明による石膏の溶解・再析出操作によって、本発明の新
規な構造の繊維状二水石膏が得られることが判る。
【0065】
【発明の効果】本発明の繊維状二水石膏は、従来の針状
繊維石膏あるいは繊維石膏で製造技術では、得らること
のない2mm以上のものを少なくとも含むものであり、
特殊な場合を除き、2mm以上のものを50%程度含
み、嵩比重も小さいものとなる。その結果、従来の針状
繊維石膏あるいは繊維石膏にはない、それらの特性を活
かしたゴム・プラスチックなどのフィラー用石膏、ギブ
ス包帯用、ガラス繊維やロックウール繊維などの無機繊
維の用途等に利用することを期待できる。
【0066】また、その製造方法は、大気圧下における
加熱溶解と徐冷再析出という手段が採用できることか
ら、簡略なものであるという利点がある。すなわち、簡
便な装置を使用でき、かつ簡易な操作で本発明の繊維状
二水石膏は製造することができる。加えて、不純物の多
い排煙脱硫の着色している低品位の副性石膏から純度が
高く白色度の高い高品質石膏に転換できる技術でもあ
り、資源活用の点でも非常に有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によって得られた繊維状結晶及び二水
石膏のX線回折パターンであり、上側が実施例1によっ
て得た繊維状結晶のもので、下側が二水石膏のものであ
る。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長さが2mm以上で、径が1〜200μ
    mである繊維状の結晶を少なくとも含有することを特徴
    とする人工的に合成された繊維状二水石膏。
  2. 【請求項2】 アスペクト比が20〜1000である請
    求項1記載の繊維状二水石膏。
  3. 【請求項3】 加熱した塩酸中で石膏粉を溶解し、形成
    された石膏溶解塩酸溶液又はスラリーを冷却して石膏結
    晶を析出させ、長さが2mm以上で、径が1〜200μ
    mの繊維状の結晶を少なくとも含有することを特徴とす
    る繊維状二水石膏を製造する方法。
  4. 【請求項4】 塩酸濃度が2〜6モル/lである請求項
    3記載の繊維状二水石膏を製造する方法。
  5. 【請求項5】 圧力が常圧下で、加熱塩酸温度が60〜
    105℃、石膏溶解塩酸溶液又はスラリーの冷却時の温
    度が0〜30℃である請求項3又は4記載の繊維状二水
    石膏を製造する方法。
  6. 【請求項6】 石膏溶解塩酸溶液又はスラリーの冷却速
    度が0.5〜3℃/分である請求項3、4又は5記載の
    繊維状二水石膏を製造する方法。
  7. 【請求項7】 石膏溶解塩酸溶液又はスラリー中の石膏
    濃度が、3〜15重量%である請求項3ないし6のいず
    れか1に記載の繊維状二水石膏を製造する方法。
  8. 【請求項8】 析出した石膏結晶を個液分離後に無水ま
    たは低水分の低級アルコールで洗浄し、残留する塩酸と
    水分を除去する請求項3ないし7のいずれか1に記載の
    繊維状二水石膏を製造する方法。
  9. 【請求項9】 石膏粉が、石灰石−石膏法または石灰−
    石膏法による排煙脱硫で副生した排脱石膏である請求項
    3ないし8のいずれか1に記載の繊維状二水石膏を製造
    する方法。
JP2000145895A 2000-05-18 2000-05-18 繊維状二水石膏およびその製造方法 Pending JP2001328808A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000145895A JP2001328808A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 繊維状二水石膏およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000145895A JP2001328808A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 繊維状二水石膏およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001328808A true JP2001328808A (ja) 2001-11-27

Family

ID=18652336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000145895A Pending JP2001328808A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 繊維状二水石膏およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001328808A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114956621A (zh) * 2022-05-26 2022-08-30 中南大学 α-半水石膏复合材料及其制备和应用

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114956621A (zh) * 2022-05-26 2022-08-30 中南大学 α-半水石膏复合材料及其制备和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9061919B2 (en) Magnesium oxide powder having excellent dispersibility and method for producing the same
Dong et al. Synthesis of reactive MgO from reject brine via the addition of NH4OH
JP5201455B2 (ja) リン回収資材とその製造方法およびリン回収方法
Miao et al. Direct transformation of FGD gypsum to calcium sulfate hemihydrate whiskers: Preparation, simulations, and process analysis
CN104532339B (zh) 一种利用低品位天然石膏或石膏尾矿制备硫酸钙晶须的方法
JP5931369B2 (ja) リン回収材およびその製造方法
CN103523814A (zh) 一种常压开放体系中石膏异形粉体制备与改性一体化方法
CN1194898C (zh) 利用废渣磷石膏联产硫酸钡和氯化钙的方法
CN102776569A (zh) 一种利用天然石膏制备硫酸钙晶须的方法
EA010106B1 (ru) Способ комплексного использования составляющих оливина
CN112714751B (zh) 活性高纯度氧化镁及其生产方法
KR20150009701A (ko) 나트륨이 제거된 패각을 이용한 침강성 탄산칼슘의 제조방법
JP2006335578A (ja) 葉片状二水石膏及びその製造方法
WO2005068356A1 (ja) フッ化水素の製造方法
JP2001522344A (ja) ホウ酸カルシウムの製法
JP2001328808A (ja) 繊維状二水石膏およびその製造方法
JPH11513657A (ja) ホウ酸カルシウムの製造方法
CN109319896A (zh) 用粉煤灰和钒钛磁铁矿制备絮凝剂的方法
JPS59137317A (ja) 針状α型半水石こうの製造方法
KR101110783B1 (ko) 산처리에 의한 탄산칼슘의 불순물 3단계 제거방법
JP6670534B2 (ja) リン回収材およびその製造方法
WO2008062538A1 (fr) Gypse dihydrate en paillettes et son procédé de production
JP3741269B2 (ja) 排水処理剤、排水の処理方法及びその装置
EP0096063A1 (en) PROCESS FOR RAPID CONVERSION OF FLUOROANHYDRITE INTO GYPSUM.
Tan et al. Preparation of calcium sulfate hemihydrate whiskers from complex jarosite waste

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20050210

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050405

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050809