JP5931369B2 - リン回収材およびその製造方法 - Google Patents

リン回収材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5931369B2
JP5931369B2 JP2011167374A JP2011167374A JP5931369B2 JP 5931369 B2 JP5931369 B2 JP 5931369B2 JP 2011167374 A JP2011167374 A JP 2011167374A JP 2011167374 A JP2011167374 A JP 2011167374A JP 5931369 B2 JP5931369 B2 JP 5931369B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aggregate
sedimentation
silica
calcium silicate
phosphorus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011167374A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012050975A (ja
Inventor
剛 明戸
剛 明戸
山田 一夫
一夫 山田
三浦 啓一
啓一 三浦
信孝 美濃和
信孝 美濃和
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Onoda Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Onoda Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp, Onoda Chemical Industry Co Ltd filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2011167374A priority Critical patent/JP5931369B2/ja
Publication of JP2012050975A publication Critical patent/JP2012050975A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5931369B2 publication Critical patent/JP5931369B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)

Description

本発明は、リンを吸着する性能に優れ、かつ、リンを吸着して形成した凝集体の沈降性に優れているリン回収材および製造方法に関する。
珪酸カルシウムを主成分とする脱リン剤が従来から知られている。例えば、特開昭61−263636号公報(特許文献1)にはCaO/SiO2モル比が1.5〜5の珪酸カルシウム水和物を主成分とする水処理剤が記載されている。また、特公平02−20315号公報(特許文献2)には空隙率50〜90%の独立気泡を有する珪酸カルシウム水和物からなる脱リン材が記載されている。さらに、特開平10−235344号公報(特許文献3)には珪酸カルシウム水和物を主成分とした直径数ミリ程度の球状または中空状に成形した脱リン材が記載されている。特開2000−135493号公報(特許文献4)には珪灰石を用いた脱リン方法が提案されている。
従来の珪酸カルシウムを主成分とする脱リン材を用いる処理方法は、回収物の脱水性や有機物混入の問題をある程度回避できるものの、リンとの反応速度が遅いため、回収物のリン濃度を上げるためには長い反応時間を必要とする。また、回収物に含まれるリン含有量が少ないため、リン酸肥料として有効に利用できないなどの問題がある。
この問題を解決するリン回収資材として、平均粒子径(メジアン径)150μm以下の微粉末であって細孔容積0.3cm3/g以上の多孔質珪酸カルシウム水和物からなるリン回収資材(特許文献5)、あるいはBET比表面積80m2/g以上、細孔容積0.5cm3/g以上の多孔質の珪酸カルシウム水和物からなるリン回収資材が知られている(特許文献6)。
特開昭61−263636号公報 特公平02−020315号公報 特開平10−235344号公報 特開2000−135493号公報 特開2009−285635号公報 特開2009−285636号公報
特許文献5および特許文献6に記載されているリン回収資材は、リンとの反応性が高く、ヒドロキシアパタイトを生成し、排水中のリン濃度を急激に低減することができ、消石灰など他の石灰質資材よりもリンの回収率が高い利点を有している。
本発明は、上記リン回収資材の利点を有し、リンとの反応性が良く、かつリンを吸着して形成した凝集体の沈降性に優れているリン回収材およびその製造方法を提供する。
本発明は、以下の構成によって上記課題を解決したリン回収材およびその製造方法に関する。
〔1〕易溶解性シリカ原料中のアルカリ可溶性シリカのNaOH溶解液と石灰の水熱合成組成物であり、非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH)との凝集体からなり、Ca(OH)を10〜80wt%含み、Ca/Siモル比が2.0〜7.0であって、リン含有水溶液に添加したときに、シリカの溶解とC-S-Hの合成を同時に行って生成したCa/Siモル比5.98の組成物を上記非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH) との凝集体と同量用いたときの凝集体沈降5分後の沈降部分高さが4.1cmである沈降条件において、凝集体沈降5分後の沈降部分高さが3.2cm以下であり、上記非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH) との凝集体と同量の消石灰を用いたときの凝集体沈降2分後の沈降部分高さが13.1cmである沈降条件において、凝集体沈降2分後の沈降部分高さが4.9cm以下である凝集体沈降性を有することを特徴とするリン回収材。
〔2〕Ca(OH)が10〜50wt%、およびCa/Siモル比が2.0〜5.5である請求項1に記載するリン回収材。
〔3〕易溶解性シリカ原料を用い、該原料中のアルカリ可溶性シリカをNaOHで溶解したシリカ溶解液に、該アルカリ可溶性シリカ量に対するCa/Si配合比が1.0〜3.5になるように石灰を加え、30〜90℃に加熱して非晶質珪酸カルシウム水和物を生成させ、生成後、デカンテーションして不溶解残渣を分離し、上澄液に懸濁している非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH)との凝集体を回収するリン回収材の製造方法。
〔4〕易溶解性シリカ原料として、アルカリ可溶性シリカを含有する珪質頁岩、アモルファスシリカ、シリカゲル、シリカヒューム、オパール、および珪藻土から選ばれる1種または2種以上を用いる請求項3に記載するリン回収材の製造方法。
本発明のリン回収材は、水熱合成した非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH)2との凝集体からなる組成物であり、リンを吸着する性能に優れており、かつリンを吸着して形成した凝集体の沈降性が良いので、リンの除去効果が高く、かつ処理時間を短縮することができる。
本発明のリン回収材は、易溶解性シリカ原料を予めNaOHで溶解した後に、このシリカ溶解液に石灰(消石灰、生石灰)を添加して水熱反応させた合成物を用いるので、シリカ原料の未反応残渣が少なく、かつ高温で反応させる必要がなく、経済的に製造することができる。
また、この水熱反応後の上澄液には非晶質珪酸カルシウム水和物と共にCa(OH)2とが凝集体を形成して懸濁しており、この凝集体を回収することによって、沈降性のよいリン回収材を得ることができる。なお、非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH)2との凝集体を形成しないものは、反応後に回収した非晶質珪酸カルシウム水和物に消石灰や生石灰を加えても本発明と同等の沈降性を有するリン回収材を得ることはできない。
本発明の製造例を示す工程図 水熱合成した珪酸カルシウム水和組成物のXRDチャート
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
〔リン回収材〕
本発明のリン回収材は、易溶解性シリカ原料中のアルカリ可溶性シリカのNaOH溶解液と石灰の水熱合成組成物であり、非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH)との凝集体からなり、Ca(OH)を10〜80wt%含み、Ca/Siモル比が2.0〜7.0であって、リン含有水溶液に添加したときに、シリカの溶解とC-S-Hの合成を同時に行って生成したCa/Siモル比5.98の組成物を上記非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH) との凝集体と同量用いたときの凝集体沈降5分後の沈降部分高さが4.1cmである沈降条件において、凝集体沈降5分後の沈降部分高さが3.2cm以下であり、上記非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH) との凝集体と同量の消石灰を用いたときの凝集体沈降2分後の沈降部分高さが13.1cmである沈降条件において、凝集体沈降2分後の沈降部分高さが4.9cm以下である凝集体沈降性を有することを特徴とするリン回収材である。
本発明のリン回収材は、好ましくは、Ca(OH)が10〜50wt%、およびCa/Siモル比が2.0〜5.5である。
本発明のリン回収材は、Ca(OH)10〜80wt%含み、Ca/Siモル比が2.0〜7.0の水和組成物を乾燥したものであって、好ましくは、比表面積(BET)30〜80m/g、および細孔容積0.1〜0.3cm/gの珪酸カルシウム水和組成物の粉体である。
〔製造方法〕
本発明のリン回収材は、易溶解性シリカ原料をNaOHで溶解したシリカ溶解液に、石灰を加えて水熱反応させて製造することができる。この製造工程例を図1に示す。
易溶解性シリカ原料とは、常圧条件で好ましくは30℃以上に加熱した条件で、アルカリ溶液に溶解するアルカリ可溶性シリカを含むシリカ材料である。易溶解性シリカ原料として例えば、アルカリ可溶性シリカ成分を含む珪質頁岩(オパールCTと称されるシリカ成分を含有する珪質頁岩など)、アモルファスシリカ、シリカゲル、シリカヒューム、オパール、および、珪藻土から選ばれる1種または2種以上が該当する。砂岩や頁岩などのように、シリカが結晶質石英として存在する場合は、アルカリ溶液への溶解特性が低いので、本発明の原料には適さない。
溶解方法としては、例えば、蒸留水に0.5〜1.0wt%量(外割り)のNaOHを加えて30〜90℃に加温した水溶液に、易溶解性シリカ原料を投入して0.1〜1時間程度攪拌すると、易溶解性シリカ原料中のアルカリ可溶性シリカが徐々に溶解する。シリカの溶解量は液温が高く、攪拌時間が長いほど多くなるので、目的とするシリカの溶解量に合わせて液温と攪拌時間を適宜設定するとよい。また、別の溶解方法として、易溶解性シリカ原料に対し、NaOH水溶液を投入してもよい。
このシリカ溶解液に石灰を加え、加熱下で、水熱反応させ、非晶質珪酸カルシウム水和物を生成させる。石灰は消石灰および生石灰の何れも用いることができる。石灰は、非晶質珪酸カルシウム水和物を生成する石灰量を上回る量を使用し、未反応の消石灰や生石灰から生じた消石灰を非晶質珪酸カルシウム水和物が取り込むことによって、凝集体内部にCa(OH)2が分散した凝集体が形成される。
なお、易溶解性シリカ原料と石灰およびNaOHを同時に加えて加熱し、シリカの溶解と珪酸カルシウム水和物の生成とを同時に行って製造した珪酸カルシウム水和組成物は、これをリン回収材として用いた場合、本発明のリン回収材よりも凝集体の沈降性が低いものになる。
シリカ溶解液に加える石灰の添加量は、水熱反応させて回収した凝集体がCa(OH)10〜80wt%含み、Ca/Siモル比が2.0〜7.0の水和組成物になる量であり、好ましくは、Ca(OH)が10〜50wt%、およびCa/Siモル比が2.0〜5.5の水和組成物になる量がよい。
例えば、易溶解性シリカ原料中のアルカリ可溶性シリカ量に対して、Ca/Si配合比(モル比)が概ね1.2〜3.5になる量であれば、シリカとカルシウムが反応して非晶質珪酸カルシウム水和物が生成したときに、未反応のCa(OH)や生石灰から生じたCa(OH)が非晶質珪酸カルシウム水和物と共に上澄液に概ね15.8〜80wt%含まれる非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH)とからなる凝集体を回収することができる。
易溶解性シリカ原料中のアルカリ可溶性シリカ量に対するCa/Si配合比が1.0未満では、添加した石灰が全て消費されるので、Ca(OH)2を含む非晶質珪酸カルシウム水和組成物を得ることが難しい。一方、Ca/Si配合比が3.5より大きくなると、石灰の未反応分が多くなるので好ましくない。
水熱合成の液/固比は概ね6〜12が適当であり、液温30℃〜90℃の加熱下で1〜24時間程度攪拌するとよい。この水熱反応によって非晶質珪酸カルシウム水和物が生成する。
非晶質珪酸カルシウム水和物の生成後、デカンテーションして不溶解残渣を分離し、上澄液に懸濁している非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH)を一緒に回収することによって、Ca(OH)10〜80wt%含み、Ca/Siモル比2.0〜7.0の珪酸カルシウム水和組成物を得ることができる。
なお、リン含有水に添加したときに、リン吸収量が多く沈降性の高い凝集物を形成するには、Ca(OH)2を10〜50wt%含み、Ca/Siモル比2.0〜5.5の珪酸カルシウム水和組成物を製造するとよい。
回収物を乾燥し、比表面積(BET)30〜80m2/g、および細孔容積0.1〜0.3cm3/gの珪酸カルシウム水和組成物を得ることができる。乾燥は24時間程度、100℃前後の温度下に置けばよい。
本発明のリン回収材はリンに対する除去効果が優れている。例えば、リン濃度100mg/Lのリン含有水に対して、Ca(OH)2を約15wt%〜約30wt%含み、Ca/Siモル比が約2〜約3.5のリン回収材は、0.1wt%の添加量でリン濃度を約8mg/L以下まで低減することができ、Ca(OH)2を約45wt%〜約80wt%含み、Ca/Siモル比が約5〜約7のリン回収材は、0.1wt%の添加量でリン濃度を0.1mg/L未満まで低減することができる(実施例2、実施例5)。
さらに、本発明のリン回収材は沈降性に優れる。例えば、リン含有水に添加したときに、凝集物形成から2分後の沈降部分の高さ(沈降部分とその上側の液との界面の高さ)が、同一沈降条件下において同量の消石灰を用いたときの沈降部分の高さに比較してその1/2以下である(実施例3、実施例6)。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。なお、非晶質珪酸カルシウム水和物をC-S-Hと云い、合成後に回収したCa(OH)2を含むC-S-HをC-S-H組成物と云う。また、実施例に記載のCa/Si配合比とは、添加する消石灰または生石灰の量と、易溶解性シリカ原料中のアルカリ可溶性シリカ量のモル比である。
〔実施例1:C-S-HおよびC-S-H組成物の合成〕
表1に示す合成条件に従い、水道水に0.5wt%量(外割り)のNaOHを添加して70℃に加温した後に、珪質頁岩100gを投入し、同温で1時間攪拌し、珪質頁岩中のアルカリ可溶性シリカを溶解した。このシリカ溶解液に消石灰を加え、70℃に加熱し、3時間攪拌して非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)を水熱合成した。珪質頁岩の不溶解残渣は直ぐに沈降するので、C-S-Hの合成後、デカンテーションして不溶解残渣を分離し、上澄液に懸濁しているC-S-HとCa(OH)2との凝集体を吸引濾過して回収した。回収物を105℃に加熱して24時間乾燥した。Ca/Si配合比、配合量、液/固比等を表1に示す。
本発明のCa/Si配合比の範囲に含まれる実施例を表1のNo.3〜No.7に示した。本発明のCa/Si配合比から外れる範囲の比較例を表1のNo.1、No.2に示した。また、NaOHと共にCa/Si配合比が1.5になるように消石灰を加えて70℃に加温し、3時間攪拌して非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)を水熱合成した比較例を表1のNo.8に示した。なお、比較例No.8は可溶性シリカの溶解と同時に水熱合成した以外は実施例No.5と同一条件である。
Figure 0005931369
実施例1において製造したC-S-H組成物(No.1〜No.7)のXRDチャートを図2に示す。図2に示すように水熱合成したC-S-Hはピークの高さが低く非晶質である。このC-S-H組成物について、Ca/Siモル比を規格(JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」)に準拠して測定した。さらにC-S-H組成物のCa(OH)2含有量を示差熱分析(TG-DTA)によって定量した。この結果を表2に示した。
Figure 0005931369
表2に示すように、Ca/Si配合比が0.6以下では、添加した消石灰が全て反応に消費されるので、合成後に回収したC-S-H組成物にはCa(OH)2が含まれていない(図2の試料No.1とNo.2のXRDチャートを参照)。一方、Ca/Si配合比が1.0以上では、Ca(OH)2を含むC-S-H組成物が回収される。これは図2のXRDチャートにも示されており、Ca/Si配合比が1.0以上の試料ではC-S-Hのピークと共にCa(OH)2のピークが現れており、このピークはCa/Si配合比が大きいほど高い。
〔実施例2:リン吸着試験〕
リン酸水素ニナトリウム水溶液(リン濃度100mg/L)を調製した。この試験液50gに、実施例1で合成したC-S-H組成物(No.1〜No.7)を、おのおの外割りで0.1wt%、0.2wt%、0.5wt%、1.0wt%添加して1時間攪拌した。この試験液を濾過して沈澱部分を分離し、濾液中のリン濃度を規格(JIS K 0102「工場排水試験法」)のモリブデン青吸光光度法に従って測定した。また、実施例1の試料No.2のC-S-H組成物(Ca/Si配合比0.6)に試料No.5、試料No.6のCa(OH)2含有量と同量になるように消石灰を後添加した比較試料No.9、No.10を調製した。この比較試料についても同様の試験を行い、リン濃度を測定した。さらに消石灰を用いて同様の試験を行った。これらの結果を表3に示した。
表3に示すように、試料No.5のC-S-H組成物は添加量0.1wt%でリン濃度は6.2mg/Lまで低下し、添加量0.2wt%以上でリン濃度は0.1mg/L未満まで低下する。また、試料No.6およびNo.7のC-S-H組成物は添加量0.1wt%でリン濃度は0.1mg/L未満に低下する。一方、比較試料No.9のC-S-H組成物は添加量0.1wt%でリン濃度は11.3mg/Lであり、比較試料No.10のC-S-H組成物は添加量0.1wt%でリン濃度は0.4mg/Lであり、消石灰は添加量0.1wt%でリン濃度は0.5mg/Lであり、何れも本発明の試料No.5、No.6に比べてリンの吸着効果は低い。
Figure 0005931369
〔実施例3:沈降試験〕
リン酸水素二ナトリウムを用いてリン濃度100mg/Lの水溶液(試験液)を調製した。この試験液100mlに、表4の試料(No.4〜No.10、消石灰)をおのおの0.2g(外割りで0.2wt%)を投入し、1分間攪拌する。その後、メスシリンダー(容量100ml)に懸濁した状態の試験液を移し、所定時間毎に沈降部分の高さを測定した。この結果を表4に示した。
表4に示すように、試料No.5を用いると、1分後の沈降部分の高さは約8cmまで低下し、2分後には約4cmに低下する。試料No.6を用いると、1分後の沈降部分の高さは約10cmまで低下し、2分後には約4cmに低下する。また、試料No.7を用いると、1分後の沈降部分の高さは約11cmまで低下し、2分後には約5cmに低下し、沈降部分の高さが短時間に急激に低下する。
一方、消石灰を用いた場合には、沈降部分の高さは1分後に約15cmで、2分後では約13cmであって沈降速度が遅い。また、比較試料No.8を用いた場合には沈降部分の高さは1分後に約11cmで、2分後では約6cmであり、比較試料No.9を用いた場合には沈降部分の高さは1分後に約13cmに近く、2分後では約7cmであり、何れも試料No.4〜No.7を用いた場合よりも沈降速度が遅い。
表4に示すように、本発明の試料No.4〜試料No.7を用いた場合には、同量の消石灰に比べて、同一の沈降条件下において、沈降部分の高さは概ね1/2以下(具体的には約2/3〜約1/3)であり、格段に沈降性が良い。
なお、試料No.6〔Ca(OH)2 47.0wt%、Ca/Siモル比5.27〕と試料No.7〔Ca(OH)2 79.3wt%、Ca/Siモル比6.85〕を比較すると、表3に示すように、リンの吸着効果は同等であるが、表4に示すように、凝集体の沈降部分の高さは試料No.6のほうが低く、沈降性が良いので、本発明のリン回収材(C-S-H組成物)はCa(OH)2を50wt%以下含み、Ca/Siモル比が5.5以下であるのが好ましい。
また、試料No.4〜試料No.7において、凝集体の沈降部分の高さは試料No.4〔Ca(OH)2 15.8wt%、Ca/Siモル比2.08〕が最も低い。
従って、沈降性の良い凝集物を形成するには、Ca(OH)2を10〜50wt%含み、Ca/Siモル比2.0〜5.5の珪酸カルシウム水和組成物が好ましい。
また、シリカ溶解とC-S-H合成を同時に行った比較試料No.8を用いた場合には、凝集体形成1分後の沈降部分の高さは試料No.4〜No.7よりも高く、特にCa/Si配合比が同等である試料No.5に比べると沈降部分の高さがかなり高く、本発明のリン回収材(C-S-H組成物)よりも沈降性が劣る。
また、実施例1の試料No.2のC-S-H組成物(Ca/Si配合比0.6)に試料No.5、試料No.6のCa(OH)2含有量と同量になるように消石灰を後添加した比較試料No.9、No.10の沈降部分の高さは、1分後で、それぞれ12.8cm、13.5cmであり、2分後で、それぞれ7.2cm、8.8cmであるから、試料No.5、No.6の沈降部分の高さよりも約1.5〜2倍も高く、本発明のリン回収材(C-S-H組成物)よりも沈降性が劣る。
Figure 0005931369
〔実施例4〕
表5に示す合成条件に従い、水道水に0.5wt%量(外割り)のNaOHを添加して70℃に加温した後に、珪質頁岩100gを投入し、同温で1時間攪拌し、珪質頁岩中のアルカリ可溶性シリカを溶解した。このシリカ溶解液に生石灰(CaO)を加え、70℃に加熱し、3時間攪拌して非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)を水熱合成した。C-S-Hの合成後、デカンテーションして不溶解残渣を分離し、上澄液に懸濁しているC-S-HとCa(OH)2との凝集体を吸引濾過して回収した。回収物を105℃に加熱して24時間乾燥した。Ca/Si配合比、配合量、液/固比等を表5に示す。
Figure 0005931369
実施例4において回収したC-S-H組成物について、Ca/Siモル比を規格(JIS R 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」)に準拠して測定した。さらにC-S-H組成物のCa(OH)2含有量を示差熱分析(TG-DTA)によって定量した。この結果を表6に示した。表6に示すように、Ca/Si配合比が0.4では、添加した生石灰が全て反応に消費されるので、合成後に回収したC-S-H組成物にはCa(OH)2が含まれていない。一方、Ca/Si配合比が1.0以上では、Ca(OH)2を含むC-S-H組成物が回収される。
Figure 0005931369
〔実施例5〕
リン酸水素ニナトリウム水溶液(リン濃度100mg/L)を調製した。この試験液50gに、実施例4で合成したC-S-H組成物(No.11〜No.14)を、おのおの外割りで0.1wt%、0.2wt%、0.5wt%、1.0wt%添加して1時間攪拌した。この試験液を濾過して沈澱部分を分離し、濾液中のリン濃度を規格(JIS K 0102「工場排水試験法」)のモリブデン青吸光光度法に従って測定した。これらの結果を表7に示した。
表7に示すように、試料No.13のC-S-H組成物は添加量0.1wt%でリン濃度は7.9mg/Lまで低下し、添加量0.2wt%以上でリン濃度は0.1mg/L未満まで低下する。また、試料No.14のC-S-H組成物は添加量0.1wt%でリン濃度は0.1mg/L未満に低下する。
Figure 0005931369
〔実施例6〕
リン酸水素二ナトリウムを用いてリン濃度100mg/Lの水溶液(試験液)を調製した。この試験液100mlに、表5の試料(No.13、No.14)をおのおの0.2g(外割りで0.2wt%)を投入し、1分間攪拌する。その後、メスシリンダー(容量100ml)に懸濁した状態の試験液を移し、所定時間毎に沈降部分の界面高さを測定した。この結果を表8に示した。試料No.13を用いると、1分後の界面の高さは約8cmまで低下し、2分後には4.5cmに低下する。試料No.14を用いると、1分後の界面の高さは約10cmまで低下し、2分後には4.8cmに低下する。
Figure 0005931369

Claims (4)

  1. 易溶解性シリカ原料中のアルカリ可溶性シリカのNaOH溶解液と石灰の水熱合成組成物であり、非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH)との凝集体からなり、Ca(OH)を10〜80wt%含み、Ca/Siモル比が2.0〜7.0であって、リン含有水溶液に添加したときに、シリカの溶解とC-S-Hの合成を同時に行って生成したCa/Siモル比5.98の組成物を上記非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH) との凝集体と同量用いたときの凝集体沈降5分後の沈降部分高さが4.1cmである沈降条件において、凝集体沈降5分後の沈降部分高さが3.2cm以下であり、上記非晶質珪酸カルシウム水和物(C-S-H)とCa(OH) との凝集体と同量の消石灰を用いたときの凝集体沈降2分後の沈降部分高さが13.1cmである沈降条件において、凝集体沈降2分後の沈降部分高さが4.9cm以下である凝集体沈降性を有することを特徴とするリン回収材。
  2. Ca(OH)が10〜50wt%、およびCa/Siモル比が2.0〜5.5である請求項1に記載するリン回収材。
  3. 易溶解性シリカ原料を用い、該原料中のアルカリ可溶性シリカをNaOHで溶解したシリカ溶解液に、該アルカリ可溶性シリカ量に対するCa/Si配合比が1.0〜3.5になるように石灰を加え、30〜90℃に加熱して非晶質珪酸カルシウム水和物を生成させ、生成後、デカンテーションして不溶解残渣を分離し、上澄液に懸濁している非晶質珪酸カルシウム水和物とCa(OH) との凝集体を回収するリン回収材の製造方法。
  4. 易溶解性シリカ原料として、アルカリ可溶性シリカを含有する珪質頁岩、アモルファスシリカ、シリカゲル、シリカヒューム、オパール、および珪藻土から選ばれる1種または2種以上を用いる請求項3に記載するリン回収材の製造方法。
JP2011167374A 2010-08-03 2011-07-29 リン回収材およびその製造方法 Active JP5931369B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011167374A JP5931369B2 (ja) 2010-08-03 2011-07-29 リン回収材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010174393 2010-08-03
JP2010174393 2010-08-03
JP2011167374A JP5931369B2 (ja) 2010-08-03 2011-07-29 リン回収材およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012050975A JP2012050975A (ja) 2012-03-15
JP5931369B2 true JP5931369B2 (ja) 2016-06-08

Family

ID=45904977

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011167374A Active JP5931369B2 (ja) 2010-08-03 2011-07-29 リン回収材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5931369B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5864045B2 (ja) * 2011-02-28 2016-02-17 小野田化学工業株式会社 リン回収材の製造方法
JP2013006733A (ja) * 2011-06-24 2013-01-10 Taiheiyo Cement Corp リン回収・肥料化方法
WO2012176579A1 (ja) * 2011-06-24 2012-12-27 太平洋セメント株式会社 リン回収・肥料化方法
JP5930535B2 (ja) * 2011-06-24 2016-06-08 太平洋セメント株式会社 リン回収・肥料化方法
WO2013168245A1 (ja) * 2012-05-09 2013-11-14 太平洋セメント株式会社 リン回収材、リン回収材の製造方法、およびリン回収方法
JP5972050B2 (ja) * 2012-05-25 2016-08-17 太平洋セメント株式会社 リン回収材の製造方法
EP2890645B1 (en) * 2012-08-30 2020-04-22 NClear Inc. Method for producing a composition for the removal of phosphates from solutions
CN104525099A (zh) * 2014-12-19 2015-04-22 青岛美高集团有限公司 一种具有高吸附性能的硅胶及其制备方法和用途
CN113104856B (zh) * 2021-05-08 2022-11-04 中南大学 一种水体除磷材料的制备方法、产品及应用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62152588A (ja) * 1985-12-27 1987-07-07 Ube Ind Ltd リン酸塩を含有する水の処理方法
JP5164033B2 (ja) * 2006-03-10 2013-03-13 独立行政法人産業技術総合研究所 シリカ多孔質凝集体の製造方法
JP5201454B2 (ja) * 2008-05-30 2013-06-05 小野田化学工業株式会社 リン回収資材およびリン回収方法
JP5201455B2 (ja) * 2008-05-30 2013-06-05 小野田化学工業株式会社 リン回収資材とその製造方法およびリン回収方法
JP5703509B2 (ja) * 2010-10-15 2015-04-22 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 排水の脱リン脱色消毒剤と処理方法および処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012050975A (ja) 2012-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5931369B2 (ja) リン回収材およびその製造方法
JP5864045B2 (ja) リン回収材の製造方法
JP5972050B2 (ja) リン回収材の製造方法
WO2021204210A1 (zh) 以水泥和"三废"为原料的微纳米材料系列产品及合成工艺
JP5201455B2 (ja) リン回収資材とその製造方法およびリン回収方法
JP5128040B2 (ja) バイオマス灰溶液からの沈着炭素を含む又は含まない沈降シリカ及びシリカ・ゲル、及びプロセス
CN100434364C (zh) 高岭土低温碱熔法合成4a沸石
Rozhkovskaya et al. Synthesis of high-quality zeolite LTA from alum sludge generated in drinking water treatment plants
KR102070380B1 (ko) 합성-헥토라이트의 저온 상압 제조방법
CN107848816B (zh) 用作混凝土或水泥类材料中的促硬剂的硅酸钙水合物的制造方法及用该方法制造的硅酸钙水合物
CN108584969B (zh) 水化硅酸钙纳米片制备方法
JP5164033B2 (ja) シリカ多孔質凝集体の製造方法
KR101385237B1 (ko) 실리카퓸을 이용한 나노크기의 규산칼슘 수화물 제조방법
JP2002506788A (ja) シリカ不純物を二8面体型または三8面体型スメクタイト粘土へ熱水変換して粘土を精製するプロセス
JP5946105B2 (ja) リン回収材、およびリン回収方法
JP6670534B2 (ja) リン回収材およびその製造方法
CN1200101A (zh) 生产硼酸钙的方法
JP2006335578A (ja) 葉片状二水石膏及びその製造方法
CN110040740A (zh) 晶种导向法合成全硅sod沸石的方法
CN100542959C (zh) 一种氧化铝生产中的化灰方法
CN103635425B (zh) 由二氧化硅与碳构成的颗粒以及二氧化硅与碳的混合物的制造方法
JP4753182B2 (ja) フッ素含有排水の処理方法
JPH05507054A (ja) 膨潤性の層状シリケートの簡単な製造方法
JP2013052346A (ja) リン回収材
JP4822007B2 (ja) フッ素除去剤とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140724

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150401

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151014

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160323

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160413

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160427

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5931369

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250