JP2001328175A - 反りを低減可能な光造形法および成形用樹脂型 - Google Patents

反りを低減可能な光造形法および成形用樹脂型

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JP2001328175A
JP2001328175A JP2000149649A JP2000149649A JP2001328175A JP 2001328175 A JP2001328175 A JP 2001328175A JP 2000149649 A JP2000149649 A JP 2000149649A JP 2000149649 A JP2000149649 A JP 2000149649A JP 2001328175 A JP2001328175 A JP 2001328175A
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resin
plate
photocurable resin
molding
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JP2000149649A
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Takaaki Inoue
孝昭 井上
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反りを低減可能な光造形法および該光造形法
からなる成形用樹脂型を提供する。 【解決手段】 光造形法において、光造形物を作製する
プレート上面に接着層を形成した後、該接着層上に光造
形物を作製することを特徴とする反りを低減可能な光造
形法および該作製法からなる樹脂型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光造形法に関する。
詳しくは、造形物の反りが低減可能な光造形法に関する
ものであり、特に成形用樹脂型を作製するための光造形
法に関するものである。更にかかる光造形法からなる成
形用樹脂型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光硬化性樹脂に光を照射して三次元形状
を形成する方法は現在広く知られている。かかる方法は
複雑な三次元形状の物体を極めて容易に作製する方法と
して利用されている。例えば特開昭56−144478
号公報には、液状の感光性樹脂に光を照射して得られる
シートを、該感光性樹脂内を上下するテーブルを使用し
て立体形状として作製する装置が示されている。特開昭
60−247515号公報には、光硬化性流動物質を容
器に収容し、導光体を容器内で相対的に移動するか、ま
たは硬化波長の2倍の相等しい波長を有しかつ位相の揃
った2以上の光束を交叉するように照射し交叉箇所を移
動することにより固体を形成する方法が記載されてい
る。かかる方法では加えられる光硬化性流動物質が上下
面に連続した硬化部分を形成するようにし、それを繰り
返すことにより所望の形状を得ている。また特開昭61
−114817号公報には、光硬化性樹脂を細長い所定
幅の開口部より光造形型樹脂材を均一に供給しながら作
製する光造形法が記載されている。すなわち、これらの
方法は基本的に、線状(一次元体)またはシート状(二
次元体)の硬化した光硬化性樹脂を連続的に積層するこ
とにより三次元形状を作製するものである。
【0003】また、この光硬化性樹脂で射出成形可能な
成形用樹脂型を作製する方法も広く知られており、実際
に使用する材料で複数個の試作成形品を極めて容易に作
製する方法として利用されている。例えば特開平7−2
05157号公報には、光硬化された光硬化性樹脂から
構成されている光造形簡易型が提案されている。より具
体的には特定範囲の平均粒子径等を有した強化粒子を配
合した光硬化性樹脂から構成されている光造形簡易型お
よびその製造方法が記載されている。
【0004】特開平9−316113号公報には、特定
の構造を有した単量体に特定範囲の平均粒子径または平
均繊維長の強化粒子を配合した光硬化性樹脂組成物およ
び樹脂製型の製造方法が記載されている。
【0005】これらの光造形法により得られた成形用樹
脂型は種々の対象の試作において利用される。特に樹脂
成形品部材を使用する電気・電子機器、自動車、および
その他の機械等の分野において、それらの製品開発初期
段階における試作成形品の製造に多く利用されてきてい
る。これら試作成形品の作製は、従来NC旋盤などで塊
状の樹脂材料を切削することにより行われていた。しか
しながら通常同一形状の試作品は複数個必要なため、光
造形法により成形用樹脂型を作製し成形により試作成形
品を作製することはコストの低減および納期の短縮が可
能とする。かかる理由により試作成形品の作製は、切削
による方法から成形用樹脂型を利用する方法に次第に代
わりつつある。
【0006】一方で、これらの試作品においては、例え
ば電気機器の外殻部品である場合には、それが設計どお
り問題なく内部本体を組み入れることができ、不要な干
渉等がないか等の確認が行われる。この為、成形で作製
する試作品が設計どおりの形状であること、すなわち反
りや変形等が生じないことが要求される。このためには
光造形法で得られる成形用樹脂型に反りや変形等が生じ
ないことが要求される。
【0007】しかしながら、前述した光造形法において
は、造形時に発生する光硬化性樹脂の不均一な収縮に伴
っての歪みが発生し、結果として成形用樹脂型に反りが
生じるとの問題があった。すなわち、光造形における光
硬化性樹脂は、光硬化した積層面と接する側は、かかる
積層面に拘束されており、一方で表面部分は自由液面で
あるため拘束がなく、1つの光照射された層において表
面部分の収縮はより大きくなり、したがって光照射され
た光硬化性樹脂は、表面側に対して凹状の反りを生じ
る。
【0008】その結果として成形用樹脂型を更に切削し
て修正をほどこしたり、または成形条件を試行錯誤して
目的とする成形品を得るなどの不必要な労力をかけるこ
とを必要としていた。したがって光造形により成形用樹
脂型を作製し、試作成形品を得る方法は、その低コス
ト、短納期の利点を十分に生かせないのが現状であっ
た。
【0009】かかる問題に対して、特開平7−2765
07号公報には、金属材料製のプレートの上面(光造形
物が作製される面)を面粗し加工をする事により金属材
料製のプレートとその上に光造形される造形物との接合
を強化し、光造形物の反りを最小に抑制できることが記
載されている。しかしながらこの様な方法を用いても造
形物には反りの低減は十分とは言い難い場合があり、十
分満足な結果を得ることはできていなかった。
【0010】更に光造形法による成形用樹脂型は、限り
なく切削などの加工を省略して、従来の切削加工よりも
短期間で型を作製できることが1つの特徴であるが、上
記公報に提案された方法は、金属材料製プレートと一体
化した後、エジェクターピン用の孔あけ加工を必要とす
るものであり、かかる点においても十分な方法とはいい
難いものがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反りを低減
可能な光造形法および反りが少ない成形用樹脂型を提供
することを目的とする。本発明者は、かかる課題を解決
するため鋭意検討を重ねた結果、光造形物を作製するプ
レート上面に接着層を形成した後、該接着層上に光造形
物を作製することにより、光造形物がプレート上面に強
固に固定され、反りを誘発する収縮力に対抗できること
を見出した。更に好ましい方法として光造形法により造
形を行う際、予め光造形物を作製するプレートの上面
(光造形物が作製される面)に透明性を有する光硬化性
樹脂を塗布、硬化させ、接着層を形成した後、光造形を
行うことによりプレートとその上に光造形される造形物
との接合が極めて強化され、それにより反りが低減され
た造形物を得ることが出来ることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、光造形法にお
いて、光造形物を作製するプレート上面に接着層を形成
した後、該接着層上に光造形物を作製することを特徴と
する反りを低減可能な光造形法に関するものである。
【0013】更に好ましい態様として、光造形法におい
て、(1)光造形物を作製するプレート上面に予め透明
性を有する光硬化性樹脂(A成分)を塗布する工程、
(2)該光硬化性樹脂(A成分)に光照射し該光硬化性
樹脂を硬化させ、プレート上面に接着層を形成する工
程、(3)上記接着層を硬化前の光硬化性樹脂組成物
(B成分)中に浸漬する工程、(4)B成分に光照射し
て硬化樹脂層の形成を繰り返すことにより、複数の硬化
層が一体的に積層されてなる光造形物を接着層上に作製
する工程、および(5)光硬化性樹脂組成物(B成分)
中の未反応の光硬化性樹脂を更に硬化させる工程からな
ることを特徴とする反りを低減可能な光造形法を提供す
るものである。
【0014】以下に本発明を詳しく説明する。本発明で
いう光造形法とは、従来公知の光造形法のいずれも対象
とするものであり、例えば、光硬化性樹脂の液面の上か
ら光を照射し、液面で樹脂を硬化させ、テーブルを特定
のピッチで降下させることにより積層を行う自由液面
法、および透明の容器に入った光硬化性樹脂を容器の下
側から光を照射し積層を行う規制液面法のいずれの方法
も使用することが可能である。
【0015】また本発明は、光造形に使用する硬化を誘
因する光として可視光、レーザー光、紫外光、赤外光を
使用し、かかる光に反応して硬化する光硬化性樹脂とか
らなる造形システムを主たる対象とする。更に電子線、
X線、高エネルギー粒子線等のエネルギー線を使用し、
かかるエネルギー線に反応し硬化する物質を用いる造形
システムにおいても有効に使用することが可能である。
また化学物質に反応し硬化する物質に、該化学物質の反
応単位を正確に位置決めして投射する造形方法(いわゆ
るインクジェット方式など)においても応用可能な方法
である。更にはマスクを介して上記の光、エネルギー
線、および化学物質を投影する、いわゆるリソグラフィ
ー手法を用いる造形システムにおいても有効に使用でき
るものである。
【0016】本発明は、光造形物を作製するプレート上
面に接着層を形成することを特徴とするものである。プ
レート面の面粗し加工などで十分な反りの低減ができな
い原因として、その密着性が未だ不十分なことが判明し
た。更に密着性が不十分な原因を検討した結果、プレー
ト面と接する部分の光硬化性樹脂の硬化が不十分である
ことが見出された。これは成形用樹脂型に用いられる光
硬化性樹脂組成物は不透明であり、そのため光が層全体
に十分照射されないためだと考えられる。すなわちプレ
ート面と接する部分の光硬化性樹脂の重合が十分でない
ため、樹脂の強度が劣りプレート面から容易に剥離する
ものと考えられる。
【0017】上記より、かかる問題点を解決するために
は、プレート面と接する樹脂層が十分に重合し、光造形
物に反りが生じない程度にプレート面に強固に結合して
いる必要がある。したがって本発明にいう接着層とは、
十分に重合され光造形物を作製するプレートに強固に結
合している層をさす。
【0018】かかる接着層の形成方法としては、プレー
トにエポキシ系化合物やビニル系化合物などの各種の単
官能および/または多官能のモノマーやオリゴマーを塗
布し、かかる化合物を熱や光などで重合し硬化させる方
法を挙げることができる。例えばプレートに成形用樹脂
型を形成する光硬化性樹脂組成物を塗布し、それを熱や
光などにより硬化させる方法を挙げることができる。ま
た後述するように透明性を有する光硬化性樹脂をプレー
トに塗布し、かかる光硬化性樹脂に光照射し接着層を形
成する方法も挙げることができる。
【0019】ここで各種の単官能および/または多官能
のモノマーやオリゴマーを塗布する方法としては、公知
の各種方法を取ることができ、例えばブラシコート法、
バーコート法、ドクターブレード法、ディップコート
法、フローコート法(シャワーコーター、カーテンフロ
ーコーター)、スプレーコート法、スピンコート法、ロ
ーラーコート法(グラビアロールコート法、トランスフ
ァーロールコート法)等の方法を取ることができる。
【0020】光造形物を作製するプレートとは十分な強
度・剛性を有した、通常平らな板状のもので、造形装置
に固定されたもの、またはネジ等による固定で切り離し
可能なもののいずれをも指す。特に切り離し可能である
ものがより好ましい。切り離し可能とすることで、プレ
ート上面に接着層を形成する際の自由度が高まると共
に、かかるプレート面から光造形物を切り離す際にも作
業性が向上し、結果としてより寸法精度の高い光造形物
を得ることができる。
【0021】かかるプレートの材質としては、各種金属
を使用することが可能であり、例えば、ステンレス鋼、
アルミニウム合金などが挙げられる。その他セラミック
ス、ガラス、鉱物、および樹脂などを挙げることができ
るが、より好ましく金属製である。かかる金属製の場合
には、十分な強度を有すると共に、プレートの作製およ
び加工が容易なためである。
【0022】本発明の光造形法に使用される接着層は、
プレートと強固に結合する必要がある。更にその結合が
均一であることも重要である。一部に結合が弱い部分が
あるとかかる点を起点に接着層とプレートとの密着性が
徐々に低下し、光造形物の反りを誘発することになるか
らである。
【0023】したがって、接着層は熱による硬化方法よ
りは、光により重合される方法がより好ましい。熱の場
合には熱伝導などの不均一性を誘発する因子を含んでい
るからである。また光硬化性樹脂が不透明の場合には、
上記の如く層全体で均一な硬化が困難であるため、本発
明においてより好ましい接着層は、透明性を有する光硬
化性樹脂を光照射により硬化させて得られるものであ
る。
【0024】更に、かかる光照射においては、走査され
る光照射の下で硬化する方法に比較して、UVオーブン
などの均一な光照射の下で硬化させることが好ましい。
光硬化性樹脂全体をより均一に硬化させることが可能と
なるためである。
【0025】またかかる接着層は、かかる接着層上に形
成される光硬化性樹脂組成物との結合も強固である必要
がある。したがって接着層の樹脂は、光造形物を形成す
る光硬化性樹脂組成物と同種のものであることが好まし
い。
【0026】したがって、本発明の光造形法においてよ
り好ましい態様としては、光造形法において、(1)光
造形物を作製するプレート上面に予め透明性を有する光
硬化性樹脂(A成分)を塗布する工程、(2)該光硬化
性樹脂(A成分)に光照射し該光硬化性樹脂を硬化さ
せ、プレート上面に接着層を形成する工程、(3)上記
接着層を硬化前の光硬化性樹脂組成物(B成分)中に浸
漬する工程、(4)B成分に光照射して硬化樹脂層の形
成を繰り返すことにより、複数の硬化層が一体的に積層
されてなる光造形物を接着層上に作製する工程、および
(5)光硬化性樹脂組成物(B成分)中の未反応の光硬
化性樹脂を更に硬化させる工程からなることを特徴とす
る反りを低減可能な光造形法を挙げることができる。
【0027】上記の光造形法について、更に説明する。
上記(1)の工程におけるプレート、およびかかるプレ
ートに光硬化性樹脂を塗布する方法は先に説明したもの
と同様のものが使用でき、また同様の方法をとることが
できる。
【0028】A成分の透明性を有する光硬化性樹脂と
は、厚み500μmの硬化させた樹脂において、全光線
透過率が80%以上、ヘーズが80%以下であるものを
いう。より好ましくは、全光線透過率が85%以上、ヘ
ーズが75%以下のものである。
【0029】上記A成分としては、従来公知の各種の光
硬化性樹脂を使用することが可能であり、例えば、エポ
キシ系化合物、ビニル系化合物等を挙げることができ、
単官能性化合物および多官能性化合物のモノマーおよび
/またはオリゴマーが用いられる。これらの単官能性化
合物および多官能性化合物は、上記の透明性を満足する
ものであれば、特に限定されるものではない。上記の条
件を満足すれば無機充填剤、有機の充填剤、金属粉など
の成分を含むものであってもよい。
【0030】A成分としてより好ましいのは、光造形物
を形成する光硬化性樹脂組成物の主成分を使用する場合
である。すなわち以下に説明するB成分の光硬化性樹脂
組成物の主成分である光硬化性樹脂をA成分として用い
る場合がより好ましい。
【0031】(1)の工程の後、上記(2)の工程とし
て、かかるA成分に光照射を行い、かかる光硬化性樹脂
をプレート面と強固に密着するよう硬化させ、接着層を
形成する。かかる光照射はUVオーブンなどの均一な光
が照射できる環境下で行われることが、強固で均一なプ
レートとの密着性を達成できる点で好ましい。
【0032】接着層の厚みは1〜1000μmが好まし
く、より好ましくは10〜800μmである。1〜10
00μmの厚みの場合には、接着層が薄いことに起因す
る接着層自体の強度不足および、接着層が厚いことに起
因する不均一な硬化が生じない。
【0033】(2)の工程の後、上記(3)の工程とし
て、接着層をB成分である光硬化性樹脂組成物中に浸漬
する。これにより接着層中にB成分が浸透し、その後の
光照射により、接着層との化学的な結合が形成される。
かかる場合においても光が層全体に十分に照射されない
条件は同じである。しかしながら樹脂と金属間の親和性
に比較してより化学的な親和性が高いため、および成分
が接着層に浸透し接着層内部に入り込んだ成分と結合さ
れるため、十分な密着性が確保され、強固な積層体が形
成するものと考えられる。
【0034】B成分である光硬化性樹脂組成物は、成形
用樹脂型に求められる強度、剛性、および線膨張係数な
どを達成するために、充填剤を含むものが好ましい。よ
り好ましくは充填剤をB成分の全量100容量%中、5
〜70容量%、更に好ましくは10〜65容量%であ
る。かかる充填剤は平滑な積層面を形成するため、微細
なものが好ましく、より具体的には粒径として1〜70
μm、より好ましくは2〜20μmである。粒径が1〜
70μmの場合には、B成分である光硬化性樹脂組成物
の粘度と造形の精度の両立が可能である。またウイスカ
ーなどの微細繊維状の場合には、径が0.1〜1μm、
長さが5〜50μm程度のものが好ましい。かかる微細
繊維状の場合には、光造形物の強度や剛性の点でより有
利である。
【0035】かかる充填剤の具体例としては、有機高分
子材料の例としては、架橋ポリスチレン粒子、架橋アク
リル粒子、架橋シリコン粒子、アラミド繊維または粒
子、液晶ポリエステル繊維または粒子などを挙げること
ができる。
【0036】無機材料の例としては、ガラスビーズ、カ
ーボンビーズ、ガラス繊維、カーボン繊維、タルク、シ
リカ粒子、アルミナ粒子、窒化ケイ素粒子、酸化チタン
粒子などを挙げることができ、またウイスカー形状のも
のとしては、ホウ酸アルミニウム系化合物、硫酸マグネ
シウム系化合物、水酸化マグネシウム系化合物、酸化系
アルミニウム化合物、酸化チタン系化合物などを挙げる
ことができる。使用可能な無機材料の具体例としては、
特開平9−316113号公報に記載された無機充填材
の市販品などが挙げられる。
【0037】(3)の工程の後は、工程(4)として通
常の光造形法に従って光造形物を接着層上に作製する。
すなわちB成分に光照射して硬化樹脂層の形成を繰り返
すことにより、複数の硬化層が一体的に積層されてなる
光造形物を接着層上に作製する。硬化層の厚みは光造形
物に求められる形状や寸法精度、および作製時間などを
考慮し適宜選択可能であるが、通常は5〜500μm程
度の厚みが好ましく、より好ましくは10〜100μm
程度である。また光照射の方法も特に限定されるもので
はなく、一定方向に一列毎に走査する方法、一定方向に
一列おきに走査する方法、および走査方向を交叉させる
方法のいずれの方法も可能である。
【0038】上記工程(4)により光造形物を作製後、
工程(5)として光照射では十分に硬化しなかった未反
応の樹脂分を更に硬化させて十分な強度を有する成形用
樹脂型とする。硬化させる方法としては、熱によるもの
が好ましい。例えば加熱オーブン中において熱処理する
方法など挙げられる。
【0039】本発明においては、作製された光造形物を
プレートに密着したまま主金型に組み込み、成形用樹脂
型として利用することも可能である。しかしながら好ま
しくはプレートから光造形物を切り離し、成形用樹脂型
とする場合である。すなわち、本発明のより好ましい態
様として、上記工程(5)の前または後のいずれかにお
いて、工程(6)として光造形物をプレートから切り離
す工程を含んでなる反りを低減可能な光造形法が提供さ
れる。
【0040】プレートと一体化して成形用樹脂型を作製
する場合には、プレートに予めエジェクターピン用の孔
あけ加工をするか、または光造形物が作製された後にエ
ジェクターピン用の孔あけ加工をすることが必要とな
る。一方でプレートを切り離すことを前提とする場合に
は、かかる光造形後の孔あけ加工を極力省略することが
可能である。かかる点は切削などの加工を省略すること
により、コストや納期の低減を達成する成形用樹脂型の
利点を十分に生かすものである。
【0041】すなわち、本発明は、光造形法の利点を十
分に生かしつつ、反りを低減可能な光造形法を提供する
ものである。
【0042】尚、上記工程(6)はより好ましくは、工
程(5)の前に行われる。プレートから切り離した後
に、更に硬化を行うことで、より均一な硬化が可能とな
り、歪みや変形などを極力減少させることが可能とな
る。
【0043】本発明のよれば、上記の光造形法により反
りの低減された成形用樹脂型が提供される。かかる樹脂
型は造形後に修正のための切削加工などをほとんど必要
としないことから、短期間で試作品などの樹脂成形品を
得ることを可能とするものである。
【0044】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて更に説明す
るが、本発明はそれに限定されるものではない。なお、
評価は下記の方法によった。 (1)評価サンプル形状 (a)樹脂型可動側:図1〜図4に示す、縦140mm
×横80mm×高さ36mm、凸型形状 (b)樹脂型固定側:図5〜図8に示す、縦140mm
×横80mm×高さ30mm、凹型形状 (2)評価項目 (a)反り量 図9、10の模式図に示すとおり、評価サンプルの製品
形状部分において、(最大Z軸方向高さ−最小Z軸方向
高さ)を反り量とし、三次元測定機[ミツトヨ(株)F
J604]により測定を行った。 (b)透明性 金属材料製のプレートの上面(光造形物が作製される
面)に透明性を有する光硬化性樹脂を塗布し、硬化させ
た後、透明な光硬化性樹脂を剥ぎ取り、かかるサンプル
をヘーズメーター[(株)村上色彩技術研究所製HR−
100型]により、23℃、相対湿度50%の雰囲気下
においてC光源を用いて全光線透過率およびヘーズ値の
測定を行った。尚、かかる光硬化性樹脂の厚みは500
μmであった。
【0045】[実施例1〜6、および比較例1、2]造
形装置として帝人製機(株)製SOLIFORM500
A、透明性を有する光硬化性樹脂として帝人製機(株)
製TSR−800およびTSR−9753をした。透明
性の無い光硬化性樹脂および樹脂型光造形用樹脂として
帝人製機(株)製TSR−753を使用した。上記に示
した評価サンプルについて、光造形を実施した。プレー
トとしてステンレス製のプレート(長さ300mm×幅
300mm×厚み5mm)を使用した。上記の透明性を
有する光硬化性樹脂をプレートの一方の全面に刷毛塗り
した。その後UVオーブン(1000W)にて30分間
処理を行い樹脂を硬化させた。かかる硬化された接着層
の厚みは500μmであった。その後プレートを造形装
置に取り付け光造形を実施した。光造形が終了した後、
プレートから光造形物を切り離し、洗浄および上記UV
オーブンで30分間、およびその後加熱オーブンでポス
トキュア(後硬化)の処理を行い、反り量の評価に供し
た。尚、比較例で接着層を用いない場合には、プレート
に直接光造形物を形成した。
【0046】[実施例1]評価サンプルとして(a)樹
脂型可動側について、接着層用の透明性を有する光硬化
性樹脂としてTSR−800を、樹脂型光造形用樹脂と
してTSR−753を使用し光造形を行った。得られた
コーティング物の全光線透過率は92.0%およびヘー
ズは65.0%、造形物の反り量は0.02mmであっ
た。
【0047】[実施例2]実施例1の評価サンプルを
(b)樹脂型固定側に変更し評価を行った。得られたコ
ーティング物の全光線透過率は92.0%およびヘーズ
は65.0%、造形物の反り量は0.03mmであっ
た。
【0048】[実施例3]評価サンプルとして(a)樹
脂型可動側について、接着層用の透明性を有する光硬化
性樹脂としてTSR−9753を、樹脂型光造形用樹脂
としてTSR−753を使用し光造形を行った。得られ
たコーティング物の全光線透過率は90.0%およびヘ
ーズは70.0%、造形物の反り量は0.01mmであ
った。
【0049】[実施例4]実施例3の評価サンプルを
(b)樹脂型固定側に変更し評価を行った。得られたコ
ーティング物の全光線透過率は90.0%およびヘーズ
は70.0%、造形物の反り量は0.02mmであっ
た。
【0050】[実施例5]実施例3の接着層用光硬化性
樹脂をTSR−753に変更し評価を行った。得られた
コーティング物の全光線透過率は69.0%およびヘー
ズは87.0%、造形物の反り量は0.20mmであっ
た。
【0051】[実施例6]実施例4の接着層用光硬化性
樹脂をTSR−753に変更し評価を行った。得られた
コーティング物の全光線透過率は69.0%およびヘー
ズは87.0%、造形物の反り量は0.23mmであっ
た。
【0052】[比較例1]事前に金属製プレートに接着
層を設けなかった以外は実施例1と同様にして光造形を
実施した。得られた造形物の反り量は0.45mmであ
った。
【0053】[比較例2]事前に金属製プレートに接着
層を設けなかった以外は実施例2と同様にして光造形を
実施した。得られた造形物の反り量は0.50mmであ
った。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】この表から明らかなように、実施例1と比
較例1を比較すると、本発明の方法で光造形を行った場
合には、反り量が小さい造形物が得られるのに対し、何
もコーティングを行わない場合には、反り量の小さい造
形物が得られない。同様に実施例2と比較例2を比較し
てもその効果が確認できる。
【0057】
【発明の効果】本発明の光造形法は、従来成し得がたか
った反りが低減された成形用樹脂型を提供することが可
能であり、特に電気・電子部品、自動車部品などの開発
試作品を製作する際有用な光造形物を得ることができる
ものであり、その奏する工業的効果は格別なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】評価サンプル(a)樹脂型可動側の平面図およ
び縦方向、横方向の大きさを表した図である。
【図2】評価サンプル(a)樹脂型可動側の底面図を表
した図である。
【図3】評価サンプル(a)樹脂型可動側の側面図、お
よび高さを表した図である。
【図4】評価サンプル(a)樹脂型可動側の斜視図を表
した図である。
【図5】評価サンプル(b)樹脂型固定側の平面図およ
び縦方向、横方向の大きさを表した図である。
【図6】評価サンプル(b)樹脂型固定側の底面図を表
した図である。
【図7】評価サンプル(b)樹脂型固定側の側面図、お
よび高さを表した図である。
【図8】評価サンプル(b)樹脂型固定側の斜視図を表
した図である。
【図9】測定項目である反り量について評価サンプル
(a)樹脂型可動側の反り量を模式的に表した図であ
る。製品部分においてZ軸方向の最も高い部分の高さと
もっとも低い部分との差により反り量は算出される。
【図10】測定項目である反り量について評価サンプル
(b)樹脂型固定側の反り量を模式的に表した図であ
る。製品部分においてZ軸方向の最も高い部分の高さと
もっとも低い部分との差により反り量は算出される。
【図11】評価サンプル(a)樹脂型可動側の造形を模
式的に表した図である。
【図12】評価サンプル(b)樹脂型固定側の造形を模
式的に表した図である。
【符号の説明】
1 評価サンプル(a)樹脂型可動側 2 評価サンプル(a)の縦方向の長さ(140m
m) 3 評価サンプル(a)の横方向の長さ(80mm) 4 評価サンプル(a)の製品部分 5 評価サンプル(a)の製品部分の縦方向の長さ
(107mm) 6 評価サンプル(a)の製品部分の横方向の長さ
(57mm) 7 評価サンプル(a)の高さ方向の長さ(33.5
mm) 8 評価サンプル(a)の製品部分の高さ方向の長さ
(13.5mm) 9 評価サンプル(b)樹脂型固定側 10 評価サンプル(b)の縦方向の長さ(140m
m) 11 評価サンプル(b)の横方向の長さ(80mm) 12 評価サンプル(b)の製品部分 13 評価サンプル(b)の製品部分の縦方向の長さ
(110mm) 14 評価サンプル(b)の製品部分の横方向の長さ
(60mm) 15 評価サンプル(b)の高さ方向の長さ(30m
m) 16 評価サンプル(b)の製品部分の高さ方向の長さ
(15mm) 17 評価サンプル(a)における反り量 18 評価サンプル(b)における反り量 19 金属材料製のプレート 20 透明性を有する光硬化性樹脂

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光造形法において、光造形物を作製する
    プレート上面に接着層を形成した後、該接着層上に光造
    形物を作製することを特徴とする反りを低減可能な光造
    形法。
  2. 【請求項2】 光造形法において、(1)光造形物を作
    製するプレート上面に予め透明性を有する光硬化性樹脂
    (A成分)を塗布する工程、(2)該光硬化性樹脂(A
    成分)に光照射し該光硬化性樹脂を硬化させ、プレート
    上面に接着層を形成する工程、(3)上記接着層を硬化
    前の光硬化性樹脂組成物(B成分)中に浸漬する工程、
    (4)B成分に光照射して硬化樹脂層の形成を繰り返す
    ことにより、複数の硬化層が一体的に積層されてなる光
    造形物を接着層上に作製する工程、および(5)光硬化
    性樹脂組成物(B成分)中の未反応の光硬化性樹脂を更
    に硬化させる工程からなる請求項1に記載の反りを低減
    可能な光造形法。
  3. 【請求項3】 更に上記工程(5)の前または後のいず
    れかにおいて、(6)光造形物をプレートから切り離す
    工程を含んでなる請求項2に記載の反りを低減可能な光
    造形法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光
    造形物から作製された成形用樹脂型。
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EP3181335A1 (en) 2015-12-14 2017-06-21 Ricoh Company, Ltd. Information processing apparatus for additive manufacturing system, information processing metod for additive manufacturing system, and carrier medium

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