JP2001327958A - 水中の溶存酸素低減設備 - Google Patents

水中の溶存酸素低減設備

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JP2001327958A
JP2001327958A JP2000148408A JP2000148408A JP2001327958A JP 2001327958 A JP2001327958 A JP 2001327958A JP 2000148408 A JP2000148408 A JP 2000148408A JP 2000148408 A JP2000148408 A JP 2000148408A JP 2001327958 A JP2001327958 A JP 2001327958A
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Michihiro Murakami
三千博 村上
Koji Takeyama
宏治 武山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷と冷却塔を循環させる冷却水等の溶存酸
素を低減し,溶存酸素に原因する各種トラブル発生を防
止する。 【解決手段】 大気に通ずる管路を備えた水槽と,この
水槽の外側に備えられた気液混合装置と,該水槽と該気
液混合装置との間に水を循環させる水路と,該気液混合
装置に不活性ガスを導入するためのガス供給路と,から
なる水中の溶存酸素低減設備であって,前記気液混合装
置が,ガス取入口をもつエジエクタ管と,攪流管と,そ
して屈曲部をもつ気液接触配管とからなり,該エジエク
タ管のガス取入口に不活性ガスを導入し,ついで該攪流
管で気泡と水を混合したあと,該気液接触配管でさらに
気泡と水を混合接触する水中の溶存酸素低減設備。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,水中の溶存酸素低
減設備に関する。
【0002】
【従来の技術】化学プラントや建物(工場)内で発生す
る各種の熱負荷を冷却水で取り除く設備や,ユニタリー
ヒートポンプその他の冷凍機の凝縮器に冷却水を循環す
る設備等が一般化しており,これら熱負荷で加温された
冷却水は通常は冷却塔で冷却したあと,熱負荷に戻すよ
うにしている。この冷却水循環路は通常は金属管で構成
されるが,冷却水に酸素が溶存(溶解)すると,該金属
管を腐食させる原因となる。
【0003】このため,耐食性のある金属管を使用する
ことが考慮されているが,溶存酸素を少なくすることも
腐食を防止するうえでは最も基本的な対策となる。溶存
酸素を少なくするには,配管系を大気に触れないクロー
ズド配管系とするのがよい。この目的のために,大気と
冷却水とを充填物層で直接的に気液接触させる開放型冷
却塔は使用せずに,これよりも熱交換効率は低下する
が,冷却水を塔内の管路内で散水と間接的に熱交換させ
る密閉式冷却塔を使用することが行われている。
【0004】しかし,密閉式冷却塔と熱負荷との間を冷
却水が循環するクローズド配管系であっても,管内圧が
所定圧を超えたら圧を開放する開放弁を設けたり,水槽
内で圧を開放するようにした開放水槽を設ける場合に
は,大気と冷却水が触れる機会が発生し,大気中の酸素
が冷却水中に移行する現象が起きる。このような開放弁
や開放水槽を設けることは,負荷側が化学プラント等の
機器類である場合には必須の要件となる。管内圧力が異
常に高くなることが回避されねばならないからである。
【0005】したがって,クローズド配管系であっても
溶存酸素が増大し,たとえ当初から純水を装填し,補給
水も純水を使用したとしても,水中の酸素濃度か高くな
ることがあり,このために配管系の腐食を促進する結果
となる。腐食が発生すると,管自体の強度の問題も発生
するが,腐食生成物やスケールが水中に浮遊して水流に
同伴するようになり,フイルタの目詰りを起こしたり,
管路抵抗を増大させたりして,トラブルの原因になる。
【0006】このため,クローズ配管系においても溶存
酸素を可能な限り低減することが望まれ,出来るだけ酸
素が溶存しないような対策を講ずることと,酸素が溶存
した場合にはその溶存酸素を除去する対策を講ずること
が必要となる。
【0007】このうち,後者の水中に溶存した酸素を除
去する技術としては,物理的方法と化学的方法があり,
物理的方法としては,溶解度の温度依存性を利用した加
熱式脱気法,酸素分圧差を利用した真空脱気法や不活性
ガス(特に窒素ガス)バブリング法,さらには非多孔質
膜または多孔質膜などを利用した膜脱気法等が知られて
いる。また,化学的方法としてはヒドラジンや亜硫酸ソ
ーダー等の還元剤を少しづつ添加して溶存酸素と化学反
応を起こさせる方法等が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記のようにクローズ
ド配管系においても脱気弁や開放水槽を必要とするの
で,大気との接触を完全に回避することは困難であり,
溶存酸素を除去する公知の技術のうちでも,経済性や装
置規模を考慮すると,冷却水の循環系に採用できるもの
は少ない。例えば,加熱式脱気法では,温度が低いこと
が使命である冷却水に対しては採用しがたく,真空脱気
法では装置が大掛かりとなり,膜脱気法では高価で且つ
メインテナンスが怠れないという問題がある。
【0009】窒素ガスバブリング法は最も採用しやすい
が,それでもバブリングのための設備や排気に特別の考
慮を必要とし,高い効率で経済的に酸素を除去するには
限界がある。例えば特開平7−328602号公報に
は,縦管に上部から下方に向かう水流を形成させ,底部
から不活性ガスをバブリングさせて溶存酸素を除去する
方法が記載されているが,不活性ガス気泡が水と接触す
るのは気泡が縦管内を自然に上昇する間だけである。し
たがって,水中の溶存酸素が気泡側に移行する機会が少
なく,溶存酸素を完全に低減するには多くのガスを必要
とするし,また排気設備が必要であり,自動化も困難で
ある。
【0010】また,還元剤を添加する化学的方法では冷
却水を汚染することになるので,好まれない。
【0011】他方,半導体の生産工程等では,熱交換器
の材質の面等から,銅,アルミ,鉄系合金等の複数の金
属と接して冷却水が循環することがある。このようなイ
オン化傾向の異なる全ての金属を防食するには,溶存酸
素量を極低域まで低減するしか方法がない。特に水中の
銅イオンによるアルミの溶出(腐食)は切実な問題であ
り,この腐食トラブルにより生産の停止を余儀なくされ
ることもある。密閉式冷却塔を使用してクローズド配管
系に構成しても,開放弁等からの酸素溶存が回避できな
いとすれば,溶存酸素量を確実に極低域まで低減する方
法の出現が強く求められている。
【0012】したがって,本発明の課題は,前記のよう
なクローズド配管系の冷却水経路において,可能な限り
酸素の溶存を防止すると共に,溶存した酸素を簡単な設
備で経済的に且つ効率良く且つ確実に除去することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決せんと
する本発明は,大気に通ずる管路を備えた水槽と,この
水槽の外側に備えられた気液混合装置と,該水槽と該気
液混合装置との間に水を循環させる水路と,該気液混合
装置に不活性ガスを導入するためのガス供給路と,から
なる水中の溶存酸素低減設備であって,前記気液混合装
置がガス取入口をもつエジエクタ管と,攪流管,さらに
は,屈曲部をもつ気液接触配管とで構成され,該エジエ
クタ管のガス取入口に不活性ガスを導入し,ついで該攪
流管,さらには該気液接触配管で気泡と水を混合接触す
る水中の溶存酸素低減設備を提供する。
【0014】より具体的には,密閉式冷却塔と熱負荷と
の間を冷却水が循環するようにした冷却水のクローズド
配管系に,大気に通ずる管路を備えた水槽を設置し,こ
の水槽において管内で発生した圧を開放するようにした
冷却水循環設備において,該水槽の外側に,ガス取入口
をもつエジエクタ管と攪流管と気液接触配管とからなる
気液混合装置を設け,この気液混合装置のエジエクタ管
に該水槽内の水を供給すると共に該エジエクタ管のガス
取入口に不活性ガスを供給し,ついで該攪流管および気
液接触配管で気泡と水とを混合接触してから該水槽に戻
すことを特徴とする冷却水中の溶存酸素低減設備を提供
する。
【0015】また本発明によれば,密閉式冷却塔と熱負
荷との間を冷却水が循環するようにした冷却水のクロー
ズド配管系に,大気に通ずる管路を備えた水槽を設置
し,この水槽において管内で発生した圧を開放するよう
にした冷却水循環設備において,該水槽内に冷却水を導
入する導入管の吐出口と,該水槽内から冷却水を導出す
る導出管の吸込口とを水槽の下部位置において互いに間
隔を開けて対向配置し,水槽内の滞留水に対して該吐出
口から吸込口に向かう水流の動圧伝播を抑制する手段を
水面下に設け,且つ該水槽内の水面が空気と触れるのを
抑制する手段を設けたことを特徴とする冷却水中の溶存
酸素低減設備を提供する。ここで,動圧伝播を抑制する
手段としては,軸を水平方向にして水槽下部に設置され
た両端開口の連通管を使用することができ,この連通管
の一方の端近傍に該吐出口を連通管内に向けて配置する
と共にその他方の端近傍に該吸込口を連通管内に向けて
配置する。この設備によれば,大気開放水槽が存在して
も,水槽内の水の循環流が低減するので水面から酸素が
溶存する機会が少なくなる。水槽内の水面が空気と触れ
るのを抑制する手段としては不活性ガスによる水封或い
はフロートの使用が好適であり,これらによって酸素が
溶存する機会を更に減らすことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に本発明の好ましい実施の形
態を示した。図1において,1は化学プラント等の熱負
荷であり,2は密閉式冷却塔を示す。熱負荷1に冷却水
を通水することによって負荷から抜熱し,その冷却水を
密閉式冷却塔2の冷却コイル3に通水することにより,
散水管4から散水される水と間接的に熱交換すると共に
散水される水の蒸発潜熱を利用して放熱する。熱負荷1
と密閉式冷却塔2とのクローズド配管系に,大気に通ず
る管路5を備えた水槽6が設置されている。
【0017】図示の例では,循環ポンプ7の吸込側管路
に水槽6が設置されており,循環ポンプ7の駆動によっ
て,水槽6から導出管8を経て密閉式冷却塔2の冷却コ
イル3に冷却水を送り込み,冷却コイル3を出た冷却水
は負荷1への往管9を経て負荷1に入り,負荷1を出た
あと還管10を経て水槽6への導入管11に送られ,こ
の導入管11から水槽6に入る。この水槽6は圧力吸収
タンクとして作用する。
【0018】負荷1への往管9の途中から,水槽6に通
ずる分岐管12が接続され,この分岐管12には弁13
が介装されている。また,密閉式冷却塔2寄りの往管9
にはフイルターユニット14が介装されている。15は
密閉式冷却塔2のバイバス管であり,弁16と弁17の
開閉動作および開度調整により,密閉式冷却塔2への冷
却水の通水量を制御すると共に,弁13の開度調整によ
り負荷1への通水量を制御することができる。
【0019】このように,密閉式冷却塔2と熱負荷1と
の間の冷却水の循環系に,大気に通ずる管路5を備えた
水槽6を設置し,この大気開放管路5を通じて配管系内
で発生した内圧を大気に開放させる。また管路5には逆
流防止ダンパ18を介装させておき,内圧が大気より高
くなったときだけ圧を放出するように動作させる。系内
には冷却水として市水(水道水)を装填してもよいが,
負荷側が例えば半導体製造装置である場合には当初から
純水を装填し,ポンプのグランドパッキン等からの僅か
な水の漏出等を補償するために純水源19から補給管路
20を経て適宜純水を水槽6に補給する。このように純
水を使用し,大気開放管路5に逆流防止ダンパ18を介
装させた場合でも,それだけでは冷却水中には不可避的
に酸素が溶存してくることがわかった。
【0020】その原因の一つは,水槽6の水面より上の
空間に空気が不可避的に侵入することが挙げられる。そ
して,水槽内に水流が発生すると,この空気が水中に溶
存しやすくなることがわかった。そこで,本発明は,先
ず,水槽内に冷却水の出入りがあっても水槽の上部では
水流が発生せずに水槽内で成層が維持できるように,水
槽6に冷却水を導入する導入管11の吐出口22と,,
該水槽内から冷却水を導出する導出管8の吸込口23と
を水槽の下部位置において互いに間隔を開けて対向配置
し,水槽内の滞留水に対して該吐出口22から吸込口2
3に向かう水流の動圧伝播を抑制する手段を水面下に設
けるようにした。図示の例では,この水流の動圧伝播を
抑制する手段として,水槽の下部位置に軸を水平方向に
して設置した両端開口した連通管21が用いられてお
り,この連通管21の一方の端近傍に吐出口22を連通
管内に向けて配置すると共に,他方の端近傍に吸込口2
3を連通管内に向けて配置し,吐出口22から吸込口2
3に向かう水流を殆んど連通管21内で発生させる構成
とした。ここで,端近傍とは端の若干内側でも外側でも
よいということである。また,負荷1を迂回して水槽6
に冷却水を導入する他の導入管12についても,その吐
出口24を連通管21の中腹部に設けると共にその吐出
方向を連通管21内の水流の方向に向ける構成とした。
連通管21の材質としては塩化ビニル樹脂またはステン
レス鋼が好適である。
【0021】この水流の動圧伝播を抑制する手段として
は,水槽床部に断面が半円状の覆いを設置してカマボコ
状の通路を形成したものでもよく,この通路を前記の連
通管21と場合と同様の関係をもって吐出口22と吸込
口23を配置すればよい。また,パンチング板で槽内を
上層と下層に仕切り,下層の水中に吐出口22と吸込口
23を間隔を開けて対向配置する構成でもよい。この場
合,吐出口22をラッパ状にして,すなわち,管内から
吐出口に向けて末拡がりの開口をもつように形成し,更
に,その開口部に多孔板等の抵抗体を設置して吐出流の
動圧を可能な限り緩和することが好ましい。吸込口につ
いてもラッパ状にして,ラッパ状の吐出口から緩やかに
槽内に流れこむ水流をそのまま対向する吸込口に取入れ
るようにするのがよい。このような手段を採用すると,
水槽内の貯留水にかき混ぜ流が発生するのを防止するこ
とができる。
【0022】このようにして,水槽6に戻る水の全て
は,いったん水槽内の水と合流し圧や熱が貯留水に伝達
するものの,水槽内の水の成層状態を殆んど乱すことな
く導出管の吸込口23に流れるようになり,このため水
槽6内で水流を形成する量が減り,波立ちも無くなる。
さらに,水槽内の水面全体にフロート25を浮遊させる
ことにより,一層水面が鎮静化することができた。その
結果,水槽の水面上の空間に空気が侵入しても,その空
気から冷却水内に酸素が溶存するのを低減できるように
なった。なお,このフロート25に代えて,水面上の空
間に不活性ガス例えば窒素を存在させて窒素による液面
押え(水封)としてもよい。すなわち,水槽内の水面が
空気と触れるのを抑制する手段として,フロート25の
使用,或いは窒素による水封を利用することによって,
酸素の溶存を低減できる。
【0023】次に,溶存した酸素を低減する設備につい
て説明する。図1において,水槽6の右側に示す一連の
設備が本発明に従う溶存酸素低減設備である。この設備
は,大気に通ずる管路5を備えた水槽6と,この水槽6
の外側に備えられた気液混合装置と,水槽と該気液混合
装置との間で水を循環する水路と,気液混合装置に窒素
ガスを導入するためのガス供給路26と,からなる水中
の溶存酸素低減設備であり,前記の気液混合装置がガス
取入口29をもつエジエクタ管27と,攪流管28とで
構成され,エジエクタ管27のガス取入口29に不活性
ガス例えば窒素ガス(各種の不活性ガスや還元性ガスな
どが使用できるが,以後,窒素ガスを例として説明す
る)を導入し,ついで攪流管28で気泡と水を混合す
る。この気泡水は所要の距離だけ管路内を流れてから水
槽6に戻るように,還流管28の後に所定長さ(例えば
10m以上)の気液接触配管44を接続してある。
【0024】ここで,エジエクタ管27は,図2に示し
たように,管30内に口径を絞ったノズル31を取り付
け,そのノズル口32の近傍の管壁33にガス取入口2
9を設けたものである。この構成により,管内を図2の
矢印の方向に流れる水流はノズル31で絞られてからノ
ズル口32より噴流として吐出して流速が増大するの
で,この噴流の近傍には負圧が発生し,その近傍の管壁
33のガス取入口29が窒素源に接続されていると,こ
こから窒素ガスが管内に導入され,噴流と混ざりながら
下流に流される。図3はエジエクタ管の他の例を示して
おり,この場合には管内に口径を絞った絞り部45を設
け,この絞り部45の胴部に,ガス取入口46を設けた
ものである。この場合も,ガス取入口46から窒素ガス
が導入されると,絞り部45の下流側には気泡流が形成
する。
【0025】本発明においては,このようなエジエクタ
管27より下流側に攪流管28を更に接続する。この攪
流管28としては,図4に示すように,水流の方向を変
える乱流形成フインaとb,cとd等を組合せて管34
内に設置した水流ミキサーを使用する。すなわち,直管
34内を流れる水が,曲面をもつフインa〜dによって
部分的に方向変換して乱流となり,この乱流の発生によ
って,エジエクタ管から送られてくる気泡同伴の水流
(気泡流)がかき乱される結果,気泡はさらに微細に分
散され,窒素ガスと水との攪拌が助成される。図3に示
す攪流管28は,乱流形成フインを6ユニット連結した
ものを1個の攪流管として例示してあるが,フインのユ
ニット数は特に限定されない。また,図3の攪流管28
を必要に応じて複数個連結することもできる。
【0026】本例では,攪流管28の下流側に屈曲部を
もつ所定長さの気液接触配管44を接続してあり,屈曲
部は市販のエルボ継手で形成した。本発明者らの実験に
よると,エジクタ管27で窒素ガスを導入したあとで,
攪流管28を設けることによって溶存酸素を非常に低域
まで低減できること,そして,屈曲部をもつ十分な長さ
の気液接触配管44を設けることによって,さらに極低
域まで溶存酸素を低減できることが確認された。
【0027】このようにして,ガス取入口29をもつエ
ジエクタ管27,攪流管28および屈曲部をもつ気液接
触配管44とからなる管状の気液混合装置を構成し,こ
れに水槽内の水を循環させながら,ガス取入口29に窒
素ガスを導入すると,窒素ガスは水槽6に戻るまでの間
に微細な気泡となって水とよく混ざり合い,その気泡中
に酸素分圧差によって酸素が移行し,水中の溶存酸素量
は極低域まで低減して(例えば0.5ppm以下,好ま
しくは0.3ppm以下まで低減して)水槽6に戻って
くる。そして,酸素を含む窒素気泡は,水槽6に通ずる
比較的長い還管路35内を流れたあと,水槽6に入り,
水槽上部の空間36に放出される。なお,水槽6からエ
ジエクタ管27へは,ポンプ37を介装した往管路38
を通じて水が強制的に送水される。
【0028】この往管路38には流量計39が介装され
ると共に,検査用サンプルを採取する検査用タッピング
40が取り付けられている。また,エジエクタ管27の
ガス取入口29に接続されるガス供給路26にも流量計
41が介装され,さらに電動弁42が介装されている。
窒素ガスの供給量は,この電動弁42の開度制御によっ
て行うことができ,また循環水量の制御はポンプ37の
回転数制御によって行うことができる。43はこれらの
制御を行う制御盤を示している。なお,図1において,
水槽6の外側に設置した溶存酸素低減設備は並列に2セ
ット設置した例を示したが,1セットをバックアップ用
として使用して24時間運転したり,必要に応じて交互
運転することができる。また,負荷1への冷却水入口側
に酸素濃度計47を取り付け,この冷却水の酸素濃度が
所定値(例えば1.0ppmを超えたときに,制御盤4
3が溶存酸素低減設備の駆動指令を発し,電動弁42を
開くと共にポンプ37を駆動することができる。
【0029】このように構成した本発明の溶存酸素低減
装置を,密閉式冷却塔2と熱負荷1の配管経路に設けた
水槽6に対して設置することにより,当該配管経路内の
冷却水中の溶存酸素を極めて低い水準まで,例えば1p
pm以下,好ましくは0.5ppm以下の濃度にまで,
低減することが可能である。この場合の溶存酸素低減装
置の駆動動力はポンプ37だけであるから制御性がよ
く,またポンプ37による水圧発生によって,エジエク
タ管27とそれ以降の攪流管28と気液接触管44にお
いて窒素ガスと冷却水との混合が極めて良好に行われ
る。そして,排ガスは,水槽6の上部空間36に溜まる
ので,この空間36に空気が侵入するのを防止する役割
を果たすと共に,過剰の排ガスは逆流防止ダンパ18を
経て大気に自動的に放出されるので,特に排ガス設備を
施設する必要もない。ただし,水槽6が保守員が出入り
するような機械室等に設置される場合には,水槽の水面
上の空間に存在した窒素ガスが室内に漏れるのを防止す
るために(保守員窒息の危険を防止するために),大気
開放管路5を窒素の逃げ道として十分に機能させるここ
とのほか,室内に酸素濃度計を設置して酸素濃度値が低
下した場合には排気フアンを自動運転して強制排気を行
う等の設備とするのが好ましい。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によると,
水中の溶存酸素を簡易な設備で極低域まで制御性よく低
減することが可能となり,溶存酸素による配管腐食によ
る各種トラブルを未然に防止することができる。とく
に,冷却水のクローズド配管系に本発明の設備を適用す
ると,腐食生成物によるフイルター目詰りや管路閉塞の
問題が低廉な設備費用のもとで回避できると共に配管自
体の腐食も未然に防止でき,当該設備の恒久化に大きく
貢献できる。また半導体製造装置等で特に問題となって
いる冷却水による機器腐食の問題も本発明を適用するこ
とによって未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う溶存酸素の低減設備の実施例を示
す機器配置系統図である。
【図2】本発明に従うエジエクタ管の例を示す略断面図
である。
【図3】本発明に従うエジエクタ管の他の例を示す略断
面図である。
【図4】本発明に従う攪流管の例を示す略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 熱負荷 2 密閉式冷却塔 5 大気に通ずる管路 6 水槽 8 水槽から冷却水を導出するための導出管 11 水槽に冷却水を導入するための導入管 12 水槽に冷却水を導入するための他の導入管 14 フイルタユニット 18 逆流防止ダンパ 21 両端開口の連通管 22 導入管の吐出口 23 導出管の吸込口 24 他の導入管の吐出口 25 フロート 27 エジエクタ管 28 攪流管 29 エジエクタ管のガス取入口 43 制御盤 44 気液接触配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小笠原 豊 宮城県仙台市青葉区二日町1番27号 鹿島 建設株式会社東北支店内 (72)発明者 大島 卓也 宮城県仙台市青葉区二日町1番27号 鹿島 建設株式会社東北支店内 (72)発明者 村上 三千博 千葉県鎌ケ谷市東中沢2−5−11 (72)発明者 武山 宏治 山形県天童市泉町2−6−17 ロイヤルハ イツ101 Fターム(参考) 4D037 AA08 AB11 BA23 BB03 BB04 4D038 AA05 AB27 BA01 4G035 AB20 AC09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気に通ずる管路を備えた水槽と,この
    水槽の外側に備えられた気液混合装置と,該水槽と該気
    液混合装置との間に水を循環させる水路と,該気液混合
    装置に不活性ガスを導入するためのガス供給路と,から
    なる水中の溶存酸素低減設備であって,前記気液混合装
    置がガス取入口をもつエジエクタ管と攪流管とで構成さ
    れ,該エジエクタ管のガス取入口に不活性ガスを導入
    し,ついで該攪流管で気泡と水を混合接触する水中の溶
    存酸素低減設備。
  2. 【請求項2】 大気に通ずる管路を備えた水槽と,この
    水槽の外側に備えられた気液混合装置と,該水槽と該気
    液混合装置との間に水を循環させる水路と,該気液混合
    装置に不活性ガスを導入するためのガス供給路と,から
    なる水中の溶存酸素低減設備であって,前記気液混合装
    置が,ガス取入口をもつエジエクタ管と,攪流管と,そ
    して屈曲部をもつ気液接触配管とからなり,該エジエク
    タ管のガス取入口に不活性ガスを導入し,ついで該攪流
    管で気泡と水を混合したあと,該気液接触配管でさらに
    気泡と水を混合接触する水中の溶存酸素低減設備。
  3. 【請求項3】 密閉式冷却塔と熱負荷との間を冷却水が
    循環するようにした冷却水のクローズド配管系に,大気
    に通ずる管路を備えた水槽を設置し,この水槽において
    管内で発生した圧を開放するようにした冷却水循環設備
    において,該水槽の外側に,ガス取入口をもつエジエク
    タ管と攪流管と気液接触配管とからなる気液混合装置を
    設け,この気液混合装置のエジエクタ管に該水槽内の水
    を供給すると共に該エジエクタ管のガス取入口に不活性
    ガスを供給し,ついで該攪流管および気液接触配管で気
    泡と水とを混合接触してから該水槽に戻すことを特徴と
    する冷却水中の溶存酸素低減設備。
  4. 【請求項4】 密閉式冷却塔と熱負荷との間を冷却水が
    循環するようにした冷却水のクローズド配管系に,大気
    に通ずる管路を備えた水槽を設置し,この水槽において
    管内で発生した圧を開放するようにした冷却水循環設備
    において,該水槽内に冷却水を導入する導入管の吐出口
    と,該水槽内から冷却水を導出する導出管の吸込口とを
    水槽の下部位置において互いに間隔を開けて対向配置
    し,水槽内の滞留水に対して該吐出口から吸込口に向か
    う水流の動圧伝播を抑制する手段を水面下に設け,且つ
    該水槽内の水面が空気と触れるのを抑制する手段を設け
    たことを特徴とする冷却水中の溶存酸素低減設備。
  5. 【請求項5】 動圧伝播を抑制する手段は,軸を水平方
    向にして水槽下部に設置された両端開口の連通管からな
    り,この連通管の一方の端近傍に該吐出口を連通管内に
    向けて配置すると共にその他方の端近傍に該吸込口を連
    通管内に向けて配置した請求項4に記載の冷却水中の溶
    存酸素低減設備。
  6. 【請求項6】 水槽内に冷却水を導入する他の導入管の
    吐出口を該連通管の中腹部に設けると共にその吐出方向
    を連通管内の水流の方向に向けた請求項5に記載の冷却
    水中の溶存酸素低減設備。
  7. 【請求項7】 水槽の外側に,ガス取入口をもつエジエ
    クタ管と,攪流管と,屈曲部をもつ気液接触配管とから
    なる気液混合装置を設け,この気液混合装置のエジエク
    タ管に該水槽内の水を供給すると共に該エジエクタ管の
    ガス取入口に不活性ガスを供給し,ついで該攪流管と気
    液接触配管で窒素気泡と水とを混合接触してから該水槽
    に戻すようにした請求項4,5または6に記載の冷却水
    中の溶存酸素低減設備。
  8. 【請求項8】 ガス取入口をもつエジエクタ管は,管内
    に口径を絞ったノズルをもち,このノズル口の近傍の管
    壁にガス取入口が設けられたものである請求項1,2,
    3または7に記載の水中の溶存酸素低減設備。
  9. 【請求項9】 攪流管は,水流の方向を変える乱流形成
    フインを管内に設置した水流ミキサーである請求項1,
    2,3,7または8に記載の水中の溶存酸素低減設備。
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