JP2001327858A - 多波長多段階の光反応を可能とする多面鏡装置、又はそれを使用する方法 - Google Patents

多波長多段階の光反応を可能とする多面鏡装置、又はそれを使用する方法

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JP2001327858A
JP2001327858A JP04984799A JP4984799A JP2001327858A JP 2001327858 A JP2001327858 A JP 2001327858A JP 04984799 A JP04984799 A JP 04984799A JP 4984799 A JP4984799 A JP 4984799A JP 2001327858 A JP2001327858 A JP 2001327858A
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light
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Yasuo Suzuki
康夫 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数又は1種類のレーザー光を使用する多面
鏡システムにより、レーザー光が鏡間で往復する光路を
発生させ、この光路に原子、分子、液体、固体、プラズ
マ、粒子ビーム等を導入して光励起、光電離、光解離、
光分解、光分離、光合成、光生成、光分析等を行うもの
である。 【解決手段】 多数の鏡を固定配置したものを2つ向か
い合わせ、又は階段状に設けることにより多面鏡システ
ムを構成し、この多面鏡システムの鏡面間を往復する複
種類又は1種類のレーザー光がその往復毎に鏡面を代え
るよう光路をずらし、その光路上の媒体(原子や分子の
気体、液体、固体、プラズマ、粒子ビーム)と多数回の
相互作用を起こさせる多面鏡装置をレーザー光の像転送
光学系あるいは共振器として使用し、単数あるいは複数
の多面鏡に単数あるいは複数のレーザーをつなぎ、複数
のレーザー光により、光反応(光励起,光電離、光解
離、光分解、光分離、光合成、光生成、光分析)を起こ
させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数又は1種類の
レーザー光を使用する多面鏡システムにより、レーザー
光が鏡間で往復する光路を発生させ、この光路に原子、
分子、液体、固体、プラズマ、粒子ビーム等を導入して
光励起、光電離、光解離、光分解、光分離、光合成、光
生成、光分析等を行うものである。
【0002】
【従来の技術】ルーチェ法(JAERI−Reseac
h 98−071)の導入によって、中性子散乱研究施
設開発にとってもっとも厳しい技術課題である大強度陽
子蓄積リングの荷電変換が容易になった。これは、1.
491GeVの粒子エネルギーと銅蒸気レーザー(51
1nm)とがルーチェ法の励起条件に調和良くマッチし
たことと、可視光領域のレーザーを使えることによって
大出力化(1kW程度)が可能になったこと,さらにき
わめて高効率な多面鏡システムが利用できることなどに
よる。しかも、ルーチェ法は超伝導線形加速器と陽子蓄
積リングをきわめて相性よく繋げるものであることがわ
かり、これにより蓄積リングの合理的設計が可能となっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、さらに合理化
を進めるには、超伝導線形加速器の合理化、つまり、加
速エネルギーの低減化が必要となる。ルーチェ法はレー
ザーによって、水素ビームを励起することによって弱い
アンジュレーター磁場によりイオン化しやすくするとこ
ろが特長である。一般的には水素ビームを励起するには
真空紫外域あるいは軟X線域の光が必要となるが、この
領域の大出力レーザーは存在しない。そこでルーチェ法
では、水素ビームの相対論的速度によりドップラーシフ
トを生じさせ、可視域のレーザーでの励起を可能とし
た。
【0004】レーザーの大出力化は可視光から長波長側
(赤外光)は容易であるにもかかわらず、水素ビームの
加速エネルギーを下げると、このドップラー効果が下が
ることになり、より短波長側のレーザーが必要となる。
また、より長波長側のレーザー光を用いることのできる
ライマン・アルファ線により励起すると、より強いアン
ジュレーター磁場が必要となり、ビームの広がりを大き
くする要因となる。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、実
用化されている可視域のレーザー技術の範囲内で、効率
よく荷電変換できる方法として,原子力研究分野などに
開発されている2段階励起法を導入してルーチェ法に適
用できること,さらに,どこまで加速エネルギーが下げ
られるかを解決することにある。
【0006】本発明は、下記の装置又は方法により上記
解決が可能になるものである。本発明の装置は、多数の
鏡を固定配置したものを2つ向かい合わせ、又は階段状
に設けることにより多面鏡システムを構成し、この多面
鏡システムの鏡面間を往復する複種類又は1種類のレー
ザー光がその往復毎に鏡面を代えるよう光路をずらすこ
とにより、 a)その光路上の媒体(原子や分子の気体、液体、固
体、プラズマ、粒子ビーム)と多数回の相互作用を起こ
させる多面鏡装置、又は b)その相互作用に加えて光反応(光励起,光電離、光
解離、光分解、光分離、光合成、光生成、光分析等)を
起こさせる多面鏡装置である。
【0007】又、本発明の方法は、多数の鏡を固定配置
したものを2つ向かい合わせ、又は階段状に設けること
により多面鏡システムを構成し、この多面鏡システムの
鏡面間を往復する複種類又は1種類のレーザー光がその
往復毎に鏡面を代えるよう光路をずらし、その光路上の
媒体(原子や分子の気体、液体、固体、プラズマ、粒子
ビーム)と多数回の相互作用を起こさせる多面鏡装置を
レーザー光の像転送光学系あるいは共振器として使用す
ることにより、 c)単数あるいは複数の多面鏡に単数あるいは複数のレ
ーザーをつなぎ、複数のレーザー光で光反応(光励起,
光電離、光解離、光分解、光分離、光合成、光生成、光
分析)を起こさせる方法、又は d)その多面鏡を複数置き、それぞれの光路と媒体との
交差角が異なることを利用して光反応(光励起,光電
離、光解離、光分解、光分離、光合成、光生成、光分
析)を起こさせる方法である。
【0008】更に又、本発明の方法は、e)多面鏡シス
テムにより、光反応領域には、光の往路で光を平行ビー
ムにして集めて長い光柱を形成して平行ビームを多重に
重畳し、復路で焦点に結ばせることからなる方法、若し
くはf)多面鏡システムにより、光反応領域には、往路
で光反応領域の1点に焦点を結ばせて多重に重畳し、光
の復路で光を平行ビームにして戻すことからなる方法で
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】1. 2段階励起法について このため当初検討したのが、2光子(1種類のレーザー
を使用)、あるいは、多光子(1種類のレーザーを使
用)励起である。これは、ある光子エネルギーの2倍の
ところに励起レベルがあれば、中間にヴァーチャルレベ
ルがあるとして考え,1波長2個の光子を同時に作用さ
せれば励起できるという(レーザー化学で使われる)手
法である。つまり、大きなレーザー出力があれば、2倍
の波長のレーザー光で励起できるというものである。大
きな出力の期待できる2倍の波長のレーザーで2光子励
起ができることになりレーザーの選定が容易になる。
【0010】水素の電子軌道エネルギーレベルとその励
起確率は第1表の通りである。これを見ると例えばLβ
(ライマンシリーズ)の場合を考えて、1光子励起の場
合と2光子励起の場合では、出力密度(W/cm2)に
15桁の違いがある。これを同じ確率にするには、2光
子のときは10MWのレーザーを用いても光の径を1μ
m程度に絞らなければならないことになる。3光子の場
合は言わずもがなである。つまり、従来のルーチェ法に
は使えないことがわかる。しかしながら、長い光の柱を
作らずにその光を1点に集中できれば、2光子で光反応
を起こさせることができる(請求項6に該当する)。
【0011】
【表1】
【0012】2. 2波長2段階励起法について 更に考えたのが2波長2段階励起である。1段階で1s
から3pまで励起する代わりに、1s⇒2p、2p⇒3
sの2段階を踏もうというものである。その2段階に2
波長を用いることになる。この励起に用いられるライマ
ン・シリースとバルマー・シリースを第2表及び図1に
まとめる。実際には前者の第1段階の波長はライマン・
アルファLαを選び、後者の第2段階の波長はバルマー
・アルファHαとする。
【0013】図1は、水素励起とその励起光との関係を
示す図であり、そこでは、n=1レベルから上へ上がる
のをライマンシリーズ、n=2レベルから上へ上がるの
をバルマーシリーズというように励起する光の列に名前
がついている。
【0014】この2波長2段階励起を適用してバルマー
・アルファHαを利用すると、そのレーザー光は赤外光
(IRレーザー)となり出力の大きなものを容易に見出
せる。そこで、ライマン・アルファLαで第1段階を励
起できれば、その粒子はバルマー・アルファHαとアン
ジュレーター磁場のローレンツ・ストリッピングで容易
にイオン化できることになる。つまり、ライマン・アル
ファLαで第1段階励起の確率が、(ルーチェ法におけ
る)イオン化確率を決定すると考えることができる。
【0015】そこで現在の技術で大出力レーザーを作る
ことのできる、銅蒸気レーザー又はYAGレーザーをラ
イマン・アルファLα励起に用いる場合を考えてみる。
なお、各波長に対しての励起断面積も第2表にまとめて
ある。
【0016】
【表2】
【0017】(1) 銅蒸気レーザー(511nm)を
利用する場合 第1段階の大出力レーザーとして銅蒸気レーザーを選択
する。図2に示されるように、粒子(水素)ビーム(速
度β)と光(波長λ)が角度αで交差する場合、ドップ
ラーシフトにより、静止系での波長λ'はλ' = λ/γ
(1−βcosα)と書かれる。もし正面衝突(粒子ビー
ムの前面から光を当てるという意味で前面励起とよぶ)
の場合には、α=πとなり、λ'=λ/γ(1+β)とな
る。ここで、λ=511nm、λ'=121.6nmと
すれば、β=0.893,γ=2.219となりこれは1.143GeVに
相当する。このとき、もう一方のHαとなるレーザー光
の波長は2.757μm となり、遠赤外レーザーとなり、大
出力が得られやすい。ただし、参考のため追突(後面励
起とよぶ)の場合を考えるとλ' = λ/γ(1−β)か
ら150.9nmとなる。これは波長が短すぎて使えない。
【0018】図2では、粒子ビームと光とが角度αで交
差することが示されており、α<π/2のとき前面励起
(粒子ビームと光が正面衝突する)、又π/2<α<πの
とき後面励起となる。
【0019】(2) YAGレーザー「Nd・YAG―
2nd(532 nm)」を利用する場合 前面励起の場合には、上記と同じくα=πとなり、λ'
=λ/γ(1+β)からλ=532nm、λ' = 121.6 nmか
ら、β=0.90,γ=2.30となり、これは1.217GeVに相当
する。このとき、もう一方のHαとなるレーザー光の波
長は2.868μmとなる。したがって、銅蒸気レーザーと比
べ水素ビームのエネルギーは74MeVの違いとなる。
この程度の違いならばNd・YAGレーザーの方が使い
勝手がよい。
【0020】また、これも第2段階のレーザーは遠赤外
レーザーとなり、大出力が得られやすいのが特長とな
る。つまり、上記の実績のある2つの大出力レーザーで
2波長2段階励起を用いれば、それぞれ、1.143G
eVと1.217GeVの水素ビームでよいことにな
る。かなりの合理化が可能となる。
【0021】逆に、1GeVの水素ビームのとき、波長
はどの程度が必要になるか試算してみると、1GeVビ
ームの場合(逆に水素ビームのエネルギーが与えられた
場合には、γ=2.066,β=0.875であるから、λ=471.0
nm、Hαとなる波長は2.542μmとなる。この波長の大出
力レーザー(アレキサンドライトなど)が存在するかに
よることになる。
【0022】
【実施例】レーザーと光学システムについて、以下に第
1段階のレーザーとしてNd・YAG−2ndを選択
し、これを多面鏡システム(これを共振器として利用す
るか像転送光学系として利用するかはどちらでもよい)
をつなぎ、粒子ビームと相互作用させる。これによって
レーザー出力の低減化が図られる。第2段階のレーザー
にもこの多面鏡システムを利用することは不可欠であ
る。この波長のレーザー出力を確保するには次の3通り
の多面鏡システムがある。
【0023】この多面鏡システムの概要は図3のように
なる。図3(a)に示されるように、中心点Oに対して
対称に多面鏡A(A1乃至An),B(B1乃至Bn)
(図ではn=12の場合が示される)が配置される。両
多面鏡はそれぞれ曲率半径Zの球面鏡をベースとして距
離2Z離れて設置される。多面鏡A、Bは、図3(c)
に示されるように、それぞれが径方向にR±rにカット
され、半径(R−r)内はアパーチャーとなり、それぞ
れ角度方向にn等分される。それぞれの場所には、図3
(b),(c)に示されるように、半径rの鏡面群A1
乃至An,及びB1乃至BnがそれぞれO点を挟んで相
対する位置に設けられる。
【0024】光は、図3(a)に示されるように、B1
2から入射され、A1,B1,A2,B2,−−−,A
n,Bnと順次鏡面を移動しながら多面鏡間を往復す
る。このように光軸を回転させるために、それぞれの鏡
面はΦ方向に傾斜を付けなければならない。
【0025】A面からB面へ進む光線を往路、その逆を
復路とし、その往路をO点に向けて往路の光束を光柱に
利用する場合、A面の適当な曲率を持つ鏡面群は光束が
中心点Oに向くように光軸を少しずつ回転させる。この
場合、鏡面Anの法線は、鏡面Bn−1の中心とAnの
中心とを結ぶ線と、Anの中心とO点とを結ぶ線の中間
になければならない。又、Bnの法線は、Bnの中心と
Anの中心及びAn+1の中心を結ぶ線の中間になけれ
ばならない。
【0026】又、光の往復路の両者を光柱として用いる
場合には、AnとBnとの相対的位置を2π/nラジア
ンΦ方向に回転させ、Anの法線はBn−1とBnとの
中間に順次向け、Bnの法線はAnとAn+1との中間
に順次向ければよい。
【0027】実施例1(レーザー並列置きタイプ) 2.868μmのレーザーを図3のように配置し、多 面鏡シ
ステムを共振器あるいは像転送光学系として共用する。
後面励起の方法も方法としては存在するがこの場合は使
えない。
【0028】図4のレーザー並列配置タイプの多面鏡装
置においては、第1段階として、YAG−2ndレーザ
ーが発生され、それが導入鏡1、1’を経てビームダク
ト2に導入される。導入されたレーザーは、多面鏡シス
テム3により往復するレーザー光がその往復毎に鏡面を
代えるように光路をずらせて往復し、その光路を通過す
る粒子レーザーと第1段の光反応を行う。
【0029】第2段階として、IRレーザーが発生さ
れ、第1段階と同様に、それが導入鏡1、1’を経てビ
ームダクト2に導入される。導入されたレーザーは、多
面鏡システム3により往復するレーザー光がその往復毎
に鏡面を代えるように光路をずらせて往復し、その光路
を通過する粒子レーザーと第2段の光反応を行う。
【0030】実施例2(角度調整タイプ) 角度αを適当にもたせた多面鏡システムを別に作り、第
2段階レーザーを共振させる。図4のようになるが、図
面上では角度は大きく描いてある。角度に応じてレーザ
ーを適当に選べる。
【0031】図5の鏡角度調整タイプの多面鏡装置にお
いては、第1段階として、YAG−2ndレーザーが発
生され、それが導入鏡1を経てビームダクト2に導入さ
れる。導入されたレーザーは、多面鏡システム3により
往復するレーザー光がその往復毎に鏡面を代えるように
光路をずらせて往復し、その光路を通過する粒子レーザ
ーと第1段の光反応を行う。
【0032】第2段階として、IRレーザーが発生さ
れ、第1段階と同様に、それが導入鏡1’を経てビーム
ダクト2に導入される。導入されたレーザーは、多面鏡
システム4(その鏡面角度が調整される)により往復す
るレーザー光がその往復毎に鏡面を代えるように光路を
ずらせて往復し、その光路を通過する粒子レーザーと第
2段の光反応を行う。この場合には、第2段階用の多面
鏡システムが第1段階の多面鏡システムとは別に形成さ
れている。
【0033】実施例3(特定レーザータイプ) 角度αをさらに大きく変化させドップラーシフトにより
特定のレーザーの波長に合わせることができる。図6の
ように、α=1.906rad(109.2゜)とすれば、λ' = λ
/γ(1−βcosα)からYAG(1.064μm)で済ませ
られる。これはきわめて有望な方法であり、さらに図6
のような新しい変形多面鏡システムの考案に発展する。
【0034】図6の特定レーザータイプの多面鏡装置に
おいては、YAG−2ndレーザーが発生され、それが
導入鏡1を経てビームダクト2に導入される。導入され
たレーザーは、通路に沿って階段状に配置された多面鏡
システム5により往復するレーザー光がその往復毎に鏡
面を代えるように光路をずらせてジグザグに往復し、そ
の光路を通過する粒子レーザーと光反応を行う。図5
は、粒子ビームが光と大きな角度で交差する場合であっ
て、ビームダクトには階段状に設けられた多面鏡システ
ムが存在し、ダクト中で粒子ビームが光と多段階に正面
衝突して前面励起を行う多面鏡装置を示している。
【0035】実施例4 上記実施例では、第1段階のレーザーを特定した上で第
2段階のレーザーシステムを設定してきた。実施例4で
は、その双方を同時に検討することによって、2段階2
波長励起の方法をはるかに広く展開させることができ
る。
【0036】ひとつのレーザー(λ)をLα、Hα共通
に用い、しかも交差角(α)を共通とする場合には、つ
ぎの式が得られる。Lα、Hαの波長をそれぞれλ' 、
λ"として、前面励起と後面励起を併用して,λ' = λ
/γ(1−βcosα)、λ"=λ/γ(1+βcosα)か
ら、βcosα=(−λ' +λ")/(λ' + λ"),γ=λ
(λ' + λ")/2(λ'λ")が得られる。この2式の
パラメーターのうち自由に選択できるのは、水素ビーム
のエネルギー,レーザーの波長,交差角の3つうちのひ
とつとなる。
【0037】図7に示されるように、1つのレーザーを
Lα、Hα共通に用いる場合には、光が両方向に放出す
る必要がある。この場合、レーザーをYAG−2ndと
すると、λが与えられているので、上の式から、γ=2.
694,α=2.40rad (137.7゜)が得られ,そのときの粒子
エネルギーは1.587 GeVとなる。図7は、粒子ビームが
光と大きな角度で交差する場合であって、ビームダクト
には階段状に設けられた多面鏡システムが存在し、ダク
ト中で粒子ビームが光と多段階に正面衝突及び追突して
前面励起及び後面励起を行う多面鏡装置を示している。
これは、1つのレーザーをLα、Hα共通に用いる場合
で、光を両方向に出すものである。この場合はレーザー
光を与えてαと粒子ビームのエネルギーを求めた。
【0038】実施例5 更に、粒子(水素)エネルギーを特定(この場合は1G
eV)して1GeVとした場合には、γ=2.066、β=
0.875であるから、波長と角度αを求めると、λ=423.6
nmのレーザーを用い、α=2.474rad(141.8゜)の角度
で水素ビームと交差させればよいことになる。この場合
は1つの光でLαとHαを作れることになる。
【0039】実施例6 多面鏡システムにより、光反応領域には、光の往路で光
を平行ビームにして集めて長い光柱を形成して平行ビー
ムを多重に重畳し、光の復路で焦点に結ばせることによ
り、粒子ビームとの光反応を行わせることができる。即
ち、図8に示されるように、光反応領域には、往路で光
を平行ビームにして集めて長い光の柱を形成する。そし
て、その復路のある点で焦点を結ばせるが、この焦点は
光反応領域から外れてもよい。これにより、平行ビーム
を光反応領域に束ねることにより長い光の柱を作り、粒
子ビーム(媒体)と長距離の相互作用が可能となる。
【0040】又、多面鏡システムにより、光反応領域に
は、光の往路で光反応領域の1点に焦点を結ばせて多重
に重畳し、光の復路で光を平行ビームにして戻すことに
より、粒子ビームとの光反応を行わせることができる。
即ち、図9に示されるように、往路で光を集中させて光
の密度を上げ、往路で平行ビーム入射され戻すが、光反
応領域から外れてもよい。これにより、全ての点を1点
に集中させることができるので、局所的に光を集めて粒
子ビーム(媒体)と強い光と相互作用させることが可能
となる。
【0041】図10に示されるように、角度αよおり±
αの位置にある鏡からの光は、粒子ビームにとっては±
△λだけのスペクトルのずれが生ずる。このずれを用い
て粒子ビームにスペクトル巾の拡がった光を反応させる
ことができる。これは、光スペクトルの拡がったものが
欲しい時に、この方法を用いることができる。
【0042】図10中の式では、従来の多面鏡システム
では、α→0であつたので、△λ→0であつたが、αが
有限の場合には鏡の層を増やすとこの効果が増すことに
なる。特に、粒子ビームに速度巾あるときに有効であ
る。
【0043】
【発明の効果】2段階2波長の励起を利用することによ
り、長波長レーザー光を選択することが可能となる。ま
た逆に、レーザー光はそのままに,粒子ビームエネルギ
ーを下げることが可能になった。どちらを選ぶにして
も、どれを選ぶかによって、さまざまなレーザーや光学
システム(多面鏡システム)を構築できることがわかっ
た。従来の設計では、1.491GeVの水素ビームエ
ネルギーが必要であったものが、1.143GeV,あ
るいは、1.217GeVにまで低減できたことは特筆
に価する。しかも、いずれの場合も大出力レーザーの選
択が非常に容易である。また、たとえ1GeVの水素ビ
ームの場合でも、471.0nmという比較的長い波長
のレーザーで可能となった。
【0044】又、多面鏡システムとの組み合わせ法に多
くの選択が可能となり,どれを選ぶかは今後の課題であ
る。
【0045】バルマーシリ―ズの他のレベル使用も可能
であり、もしHβやHγを選ぶことを考慮するとさらに
多くの選択肢が増える。さらには、多波長多段階光反応
も可能性もある。
【0046】更に又、本発明はドップラシフトを用いて
高エネルギー水素イオンを励起する方法を例にして説明
したが、一般の媒体(気体、液体、固体、プラズマ、粒
子ビーム)にとっての光反応に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水素励起レベルと励起光との関係を示す図で
ある。
【図2】 粒子ビームと光とが角度αで交差するのを示
す図である。
【図3】 多面鏡システムの基本構造を示す図である。
【図4】 並列に設けられた2種類のレーザー源と1組
の多面システムとからなる多面鏡装置を示す図である。
【図5】 並列に設けられた2種類のレーザー源と2組
の多面システムとからなる多面鏡装置を示す図である。
【図6】 粒子ビームが光と大きな角度で交差する場合
の階段状に設けられた多面鏡システムからなる前面励起
を行う多面鏡装置を示す図である。
【図7】 粒子ビームが光と大きな角度で交差する場合
の階段状に設けられた多面鏡システムからなる前面励起
及び後面励起を行う多面鏡装置を示す図である。
【図8】 光の往路で光を平行ビームにして集め、光の
復路で焦点を結ばせる多面鏡装置を示す図である。
【図9】 光の往路で光の焦点を結ばせ、光の復路で光
を平行ビームにして集める多面鏡装置を示す図である。
【図10】 粒子ビームと鏡からの光との角度により光
スペクトルの巾が拡がることを説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1又は1’:導入鏡 2:ビームダクト 3:多面鏡 4:出射鏡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G075 AA01 BA04 BA05 BB05 CA11 CA36 EB33 5F072 AA03 AB02 KK06 YY20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の鏡を固定配置したものを2つ向か
    い合わせ、又は階段状に設けることにより多面鏡システ
    ムを構成し、この多面鏡システムの鏡面間を往復する数
    種類又は1種類のレーザー光がその往復毎に鏡面を代え
    るように光路をずらし、その光路上の媒体(原子や分子
    の気体、液体、固体、プラズマ、粒子ビーム)と多数回
    の相互作用を起こさせる多面鏡装置
  2. 【請求項2】 多数の鏡を固定配置したものを2つ向か
    い合わせ、又は階段状に設けることにより多面鏡システ
    ムを構成し、この多面鏡システムの鏡面間を往復する複
    種類又は1種類のレーザー光がその往復毎に鏡面を代え
    るよう光路をずらし、その光路上の媒体(原子や分子の
    気体、液体、固体、プラズマ、粒子ビーム)と多数回の
    相互作用を起こさせ光反応(光励起,光電離、光解離、
    光分解、光分離、光合成、光生成、光分析)を起こさせ
    る多面鏡装置。
  3. 【請求項3】 多数の鏡を固定配置したものを2つ向か
    い合わせ、又は階段状に設けることにより多面鏡システ
    ムを構成し、この多面鏡システムの鏡面間を往復する複
    種類又は1種類のレーザー光がその往復毎に鏡面を代え
    るよう光路をずらし、その光路上の媒体(原子や分子の
    気体、液体、固体、プラズマ、粒子ビーム)と多数回の
    相互作用を起こさせる多面鏡装置をレーザー光の像転送
    光学系あるいは共振器として使用し、単数あるいは複数
    の多面鏡に単数あるいは複数のレーザーをつなぎ、複数
    のレーザー光により、光反応(光励起,光電離、光解
    離、光分解、光分離、光合成、光生成、光分析)を起こ
    させる方法。
  4. 【請求項4】 多数の鏡を固定配置したものを2つ向か
    い合わせ、又は階段状に設けることにより多面鏡システ
    ムを構成し、この多面鏡システムの鏡面間を往復する複
    種類又は1種類のレーザー光がその往復毎に鏡面を代え
    るよう光路をずらし、その光路上の媒体(原子や分子の
    気体、液体、固体、プラズマ、粒子ビーム)と多数回の
    相互作用を起こさせる多面鏡装置をレーザー光の像転送
    光学送系あるいは共振器として使用し、その多面鏡を複
    数置き、それぞれの光路と媒体との交差角が異なること
    を利用して光反応(光励起,光電離、光解離、光分解、
    光分離、光合成、光生成、光分析)を起こさせる方法。
  5. 【請求項5】 多面鏡システムにより、光反応領域に
    は、光の往路又は復路で光を平行ビームにして集めて長
    い光柱を形成して平行ビームを多重に重畳して光反応を
    起こさせ、復路又は往路で焦点に結ばせることからなる
    請求項4又は請求項5に記載の方法。
  6. 【請求項6】 多面鏡システムにより、光反応領域に
    は、光の往路又は復路で光反応領域の1点に焦点を結ば
    せて多重に重畳して光反応を起こさせ、光の復路又は往
    路で光を平行ビームにして戻すことからなる請求項4又
    は請求項5に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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