JP3508079B2 - プラズママイクロアンジュレーターの形成方法 - Google Patents

プラズママイクロアンジュレーターの形成方法

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JP3508079B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラズママイクロアンジ
ュレーターの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アンジュレーターは相対論的電子ビーム
を永久磁石などの交番磁場を用いて蛇行させ、波長のそ
ろった大強度の放射光を発生するものである。アンジュ
レーターに光共振器を組み合わせると自由電子レーザー
が実現される。自由電子レーザーは、高出力、高輝度、
波長可変、高効率、長寿命といった優れた特徴を有する
光源であり、近年科学研究のみならず半導体デバイスの
加工、同位体分離や放射性廃棄物の処理、医療などの応
用分野でも注目を集めている[シンクロトロン放射利用
技術((株)サイエンスフォーラム)]。
【0003】アンジュレーター放射光の波長は磁場の周
期長に比例し、電子ビームのエネルギーの2乗に反比例
する。電子ビームエネルギーをパラメーターとして放射
光の波長とアンジュレーターの周期長との関係を図1に
示す。
【0004】図1において、縦軸は放射光の波長(μ
m)、横軸は周期長(mm)である。例えば、20Me
Vのエネルギーで可視、紫外光を実現するには約1mm
の周期長を必要とする。もし、1μmの周期長が実現で
きれば波長3nmの軟X線が得られることになる。しか
し、永久磁石を用いた現在の方式では周期長を10mm
以下にすることは原理的に困難である[ibid.第一
篇放射光の基礎]。勢いビームエネルギーが増大し、加
速器は大規模とならざるを得ない。
【0005】最近、これらの問題を解決する画期的な手
段として、プラズママイクロアンジュレーター(以下、
単にプラズマアンジュレーターと称する)が提案された
[R.Fedele,G.Miano,V.G.Vac
caro:Phys.Scr.T30(1990)19
2;K.R.Chen,J.M.Dawson:Phy
s.Rev.Lett.68(1992)29;鈴木康
夫:核融合研究68(1992)488]。プラズマア
ンジュレーターは、周期的な密度分布(密度リップル)
を有するプラズマに相対論的電子ビームを入射し、誘起
されるイオン空間電荷の交番電場で電子を蛇行させるも
ので、磁場型に比べて格段にコンパクトで短波長の光源
を実現できる可能性がある。
【0006】本願発明者の一人(鈴木康夫)は、先に、
平行、或いは逆平行の電流により平面上に多数の糸状プ
ラズマを作り、それによって生ずる周期的磁場分布及び
/又は周期的電場分布により電子ビームを蛇行させるこ
とにより高輝度の光を発生する方法を開発し特許出願し
た(特願平4−188531号)が、さらに、周期長1
mm以下、周期数が数十以上の規則的なプラズマ密度リ
ップル又はプラズマスラブ列の実現が期待されている。
【0007】従来、プラズマ中にレーザーや電子ビーム
を入射し、波動を励起してプラズマ密度を変調すること
によりプラズマ密度リップルを形成する方法が提供され
ている。しかしながら、この方法は、周期長が密度など
のプラズマパラメータに直接依存することや複雑な非線
形効果を含むため、極めて制御が困難であるという問題
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は、こ
のような問題点を解消し、レーザーを用いた新しいプラ
ズマ密度リップルの形成法を提供することである。さら
に、本発明の目的は、極めてコンパクト(大きさ<1c
m)、短波長の放射光(可視光からX線まで)を発生す
ることのできるプラズママイクロアンジュレーターの形
成法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者は,この目的
達成のため鋭意研究の結果、レーザー干渉とレーザー共
鳴イオン化によるプラズマ生成を併用することに想到
し、中性気体にレーザーを照射して光電離によりプラズ
マを生成する際、同一波長のレーザー光2本を干渉さ
せ、光学干渉縞を形成すると、その縞の明暗(すなわ
ち、光子密度の大小)に対応してレーザー共鳴イオン化
法により規則的なプラズマ密度リップルが発生するこ
と、さらに、リップルの周期長は純粋に光学的に決定さ
れ、またプラズマ密度はレーザーパワーと中性気体密度
に比例するので、いすれも容易に制御できること、さら
にレーザー光の高い空間コヒーレンスを反映して、リッ
プルの規則性に特に優れていることを知見し、この知見
に基づいて、本願発明を達成した。
【0010】本発明を、周期長10〜100μm、周期
数100〜1000のプラズマアンジュレーターを実現
するための具体例について説明する。先ず、プラズマア
ンジュレーターの概要を図面について説明する。
【0011】図2において、1は相対論的電子ビーム、
2はプラズマ密度リップル、3は交番電場による力、4
はアンジュレーター放射光を示す。また、Zはプラズマ
のスラブ面に垂直な方向、zは電子ビームの進行方向を
示す。相対論的電子ビーム1が周期長d(m)のプラズ
マ密度リップル2に斜め(角度θ)に入射されると
〔K.R.Chen,J.M.Dawson:Phy
s.Rev.Lett.68(1992)29]、プラ
ズマ電子が排除され残されたイオンの空間電荷によって
矢印のようなビーム方向に対して横向きの交番電場3が
生じる。この交番電場の静電力により電子が蛇行し、ア
ンジュレーター放射光4が生じる。
【0012】プラズマの密度リップル2は
【数1】 で与えられる。
【0013】相対論的電子はプラズマ電子に比べて質量
がγ倍大きいので、その軌道からプラズマ電子をはじき
とばす。ここで、
【数2】 である。
【0014】この時、プラズマの応答は、密度の大小に
応じて次の2通りが考えられる。 A)n>n(空間電荷領域):電子ビームの通過に
よりプラズマ電子がすべて排除され、残されたイオンリ
ップル中を電子ビームが走ることになり、ビーム電子は
横方向の交番静電力
【数3】 を受けて蛇行する。
【0014】ここで、
【数4】 である。
【0015】電子ビームはイオンリップルに対しθの角
度で入射するので、電子の感じる交番力の周期長λ
リップルの周期長dの1/cosθ倍になることに注意
する ので、以後dを中心に考えてゆく。
【0016】B)n<n(イメージ電荷領域):電
子ビームにより排除されるプラズマ電子の割合は小さ
く、プラズマは中性を保っている。この時プラズマを完
全導体とみなすと、電子ビームがリップル間を通過する
とき、プラズマ表面に正のイメージ電荷が誘導され、こ
れらイメージ電荷とビーム負電荷との間に交番静電力が
発生する[鈴木康夫:JAERI−M−95−00
9]。
【0017】磁場型アンジュレーターからの放射光の波
長は、ビーム軸上で
【数5】 と与えられる。ここでnは高調波の次数、λ=2π/
は磁場の周期長である。
【0018】Kはアンジュレーターを特徴づける重要な
アンジュレーター係数で、
【数6】 ぶ。
【0019】放射光のスペクトルは、K≫1では多くの
高調波を含み、巾の広いものとなる 周期数として
【数7】 ュレーター放射光は指向性が強く、スペクトル巾が狭い
という優れた性質を有する。
【0020】一方、放射強度がKに比例するのでKを
過度に小さく取ることは実用的でない。本発明において
は、0.1<K<1のプラズマアンジュレーターを目標
とする。プラズマアンジュレーターは式(4)のKの中
のローレンツ力−ecBを空間荷電による静電力、e
で置き換えたものと考えればよい。
【0021】レーザー光の干渉による干渉縞の形成の概
要を図面について説明する。図3において、Aは半透
鏡、Bは全反射鏡、5はレーザーの平行光、6は電子ビ
ームを示す。レーザーの平行光5を半透鏡Aと全反射鏡
Bとで反射し、交差すると交差部に干渉縞が現れる。半
透鏡Aと全反射鏡Bの角度を調節することにより、交差
角φを変化する。すなわち、単一波長レーザーの平行光
5を半透鏡Aと全反射鏡Bとで反射し、強度の等しい2
本のレーザー光に分け小角(φ<数度)で交差し、干渉
させると、明暗の干渉縞7が現れる。Vは紙面の上か
ら見た干渉縞の図で、x方向はプラズマスラブ面に垂直
な方向をとり、紙面上にあり、y、zはそれと直交する
方向軸、zは紙面に垂直方向である。なお、x方向は図
2における矢印Zに相当する。Vは横から見た干渉縞
の図で、電子ビーム6は下から上に突き抜けているもの
で、矢印6は図2のzに相当する。この領域に適当な中
性気体を導入すると、光子密度に比例してプラズマが生
成されるので、干渉縞の明暗に対応した規則的なプラズ
マ密度リップルが形成されることになる。
【0022】今、2本のレーザ〜光を平面波としてそれ
ぞれ
【数8】 で表すと、干渉後の光強度Iは
【数9】 となるので、干渉縞の周期長d(m)は周知の公式
【数10】 で表される。
【0023】ここで重要な点は、周期長dがレーザー波
長λと交差角θの両方で制御できることである。しか
し、後に述べるように、共鳴イオン化法によるプラズマ
生成では利用するエネルギー準位によってレーザー波長
が固定されるために、角度φでのみ制御可能になる。典
型的なレーザー波長にたいする交差角φと周期長dとの
関係を図4に示す。
【0024】図において、横軸はレーザー光の交差角
φ、縦軸は干渉縞の周期長d(μm)である。例えば、
波長370.9nmのレーザー光をφ=2°で交差させ
るとd=10μmとなる。最近、高エネルギー電子ビー
ムのビーム径を診断する装置にレーザー干渉縞を応用す
る方法が提案された[T.Shintake:Nuc
l.Instrum.Methods A311(19
92)453;新竹積:パリティ、8(1993)4
6]。図3に挿入された写真は該方法におけるYAGレ
ーザー(λ=1.064μm)を用いて周期長200μ
mの干渉縞を形成したものである。
【0025】交差角φを変えて周期長を調整する場合、
鏡A−B間の距離IABを固定すると、干渉領域までの
距離Iが
【数11】 と変化し、電子ビームが干渉領域から外れてしまう。I
を固定するには、鏡A、Bの角度と距離を同時に変えな
ければならない。それには、
【数12】 とすればよい。
【0026】干渉領域の大きさはレーザー光の直径Dと
パルス長Lで決まる。典型的な長パルス(L>D)の場
合、干渉領域の有効体積はV=Dである。したがっ
て、密度リップルの周期数Nとレーザー光のパルス時間
巾τはそれぞれ
【数13】 となる。
【0027】一方、超短パルス(L≪D)では、干渉領
域は厚さL/sin(φ/2)の板状になり、
【数14】 となる。
【0028】自由空間を伝搬するレーザー光は、通常ガ
ウス型の強度プロファイル(∞exp(
))を持つ[霜田光一:レーザー物理入門(岩波
書店)1983,P62]。この場合、干渉領域の中心
部と周辺部とでは干渉縞の強度が異なる。密度の一様な
プラズマアンジュレーターを実現するには、中心付近
(r<r)のみを切り出して用いる工夫が必要であ
る。
【0029】また、これまで平行光線の干渉を考えてき
たが、一方のレーザー光(U)を焦点距離の長い凹面
鏡で集光すると、平面波と球面波の干渉となり〔レーザ
ー学会編:レーザーハンドブック(オーム社)198
2]、干渉縞のピッチが空間的に変化する。この配位
は、周期長を空間的に制御することによりテーパーアン
ジュレーターに応用できる可能性がある。しかし、平面
波と球面波の干渉では干渉縞も平面でなく球面になる。
プラズマアンジュレーターのように電子ビームを斜めに
入射する場合、ビームとプラズマ密度リップルとの交差
角θがビーム軌道に沿って変化することになり、不都合
が生じる可能性がある。ただし、この場合でも、周期長
の変調率δln(d)を現実的な1%程度とすれば、上
記の効果は無視できると考えられる。2本のレーザー光
をともに集光する場合には、上記の効果は特に顕著にな
る。
【0030】レーザーによるプラズマの生成 レーザー干渉領域に中性気体を導入することにより、プ
ラズマ密度リップルを形成する。従来の放電と比較した
場合、レーザーを用いたプラズマ生成法は、空間的、電
気的に孤立したプラズマを無電流で生成できること、電
子温度が低く、密度の一様なプラズマが得られること、
などの特徴を有する。
【0031】ここでは、特に、重金属を加熱蒸発し、超
音速の金属蒸気流として導入することを検討する。金属
蒸気流を用いる利点としては、 (1)通常の気体の場合、非電離成分が真空容器内を拡
散し、加速器などの超高真空システムに流入するので、
大規模な差動排気が必要になる。これに対し金属蒸気流
では、非電離成分は容器壁(水冷)に付着し、固体化す
るので真空システムに影響を与えない。 (2)蒸気源を工夫することにより低温で超音速の蒸気
流を生成できる。この場合、干渉領域の直前にアパーチ
ャを置くことにより、蒸気流の寸法(結局、プラズマの
寸法)を調整できる。レーザー光によるイオン化は干渉
領域以外でも起こり得る。干渉領域の外側で作られるプ
ラズマは、当然周期構造を持たないので、予め蒸気流を
干渉領域の寸法(=D)より小さく制限しておくことが
重要である。 (3)多くの元素が室温で固体であるので、選択の範囲
が広い。 (4)特に重い元素を用いる利点としては、プラズマア
ンジュレーターではイオン空間電荷の周期構造が相対論
的電子ビームとの相互作用の間維持されている必要があ
るが、そのためには、イオンの質量は大きい方がよい。
また、重元素ほどイオン化エネルギーが低下する傾向が
あるので、より電離し易い。
【0032】これらの蒸気原子をレーザー光で効率的に
電離し、高密度プラズマを得る方法として、以下の方法
を検討する。ここで想定されるプラズマパラメータは、
周期d=10〜100μm、体積V=D〜(数mm)
、密度1014〜1015cmである。
【0033】本発明において使用する共鳴イオン化法に
ついて説明する。これは、プラズマアンジュレーターへ
の応用では干渉縞は単周期でかつ静止している必要があ
るので、大出力の複数の波長を用いることができないこ
とから採用するものでプラズマアンジュレーターのイオ
ン化法として最適の方法である。この方法は、レーザー
同位体分離において目的の同位体を選択的にイオン化
し、分離濃縮するために研究開発された方法である。元
素のイオン化エネルギーは最小のセシウムでさえ3.9
eVで、重元素でも5〜10eVと大きく、共鳴波長が
120〜250nmと真空紫外領域に入ってしまう。こ
のような短波長領域で大電力の可変波長レーザーを得る
ことは困難である。そこで、原子中の軌道を周回する電
子を光子1個でイオン化するのではなく、一度イオン化
し易いように軌道の大きな状態、つまりエネルギーの高
い状態に一つの光子で上げ(励起し)、その後に、もう
一度他の光子で励起(イオン化、つまり電子を原子の周
りの軌道から放す)すれば、比較的長い波長の2つの光
子でイオン化(電離)できる。
【0034】同一波長の光子を用いる場合を1波長2段
階イオン化と言い、共鳴イオン化法は、この波長を最初
の励起が丁度し易い波長に選んで行う方法に外ならな
い。レーザー同位体分離の基礎研究においては、ガドリ
ニウム、ネオジムなどの金属蒸気原子を1本のレーザー
光でイオン化する1波長多段階イオン化スキームが開発
されている[SHIBATA ET AL:JAERI
−M−90−162(1990);JAERI−M−9
4−025(1994)]。
【0035】これにより比較的長い波長のレーザー出力
を大巾に軽減することができる。具体的な例としては、
【数15】 などがある。
【0036】一般に、3段階より2段階の方がイオン化
断面積が大きい。特に、Ndのλ=441.96n
m、2段階スキームが有望である。ここに、実験装置の
概略を図5に、Ndの1波長2段階イオン化スキームの
例を図6に示す。
【0037】図5において、8は水冷された真空容器、
9は真空排気系、10はアパーチャ板、11は蒸発源、
12は偏向磁石、13は相対論的電子ビーム、14は可
変波長レーザー、15はコリメートされた蒸気流、16
はレーザー光ダンプ、17は放射光、18はプラズマア
ンジュレーターを示す。すなわち、(1)外壁を水冷し
た真空容器8の底部に蒸発源11を設置し、金属蒸気流
を発生する。(2)アパーチャ板10を通し、蒸気流の
横寸法を約1cm×1cmとする。(3)入射ポートか
ら相対論的電子ビーム13を蒸気流15にほぼ垂直に入
射する。(4)可変波長レーザーの平行光14を図3の
光学系を利用して蒸気流15の中で干渉させる。ここ
で、レーザー光の波長は蒸気原子を共鳴イオン化するよ
うに選択されている。直ちにプラズマ密度リップルが形
成され、電子ビームとの相互作用によりアンジュレータ
ー放射光が発生する。(5)電子ビームは偏向磁石12
により曲げられ、回収されるが、放射光は窓を通して取
り出され、利用される。
【0038】今、密度n(m)、大きさD(m)の
蒸気流にパワー密度J(Wm−2)の共鳴レーザー光
を入射すると、蒸気原子のイオン化に伴いレーザー光の
パワー密度は
【数16】 の様に変化する。
【0039】ここではsはレーザー光に沿った距離、l
はイオン化の平均自由行程、σはイオン化面積であ
る。
【0040】一方、生成プラズマ密度はn(m)は
【数17】 で求められる。
【0041】したがって、与えられたレーザーパワーで
高密度のプラズマを効率的に生成するためには、式(1
6)においてlを小さく、τを大きく取ればよい。
しかし、lを過度に小さく取ると、プラズマアンジュ
レーターにとって本質的なプラズマ密度の空間的一様性
が失われる可能性がある。そこで共鳴イオン化法では、
レーザーエネルギー密度Jτ(Jm−2)を十分大
きくし、飽和領域でn=nの強電離プラズマを生成
する。この時プラズマ密度の空間分布は蒸気密度の分布
を反映し、十分一様になる。
【0042】ここで必要なレーザーエネルギーを概算す
ると、例えば、密度1015cm−3、体積V=D
1cmのNdプラズマを生成するに要するイオン化エ
ネルギーは
【数18】 である。効率ηは、0.1から2波長では0.8〜
0.9に達することもある。例えば、η=0.1の
時、レーザーエネルギーは9mJとなる。これは現在の
パルス色素レーザーや固体レーザーの技術で十分達成で
きる。
【0043】さらに最近、2波長2段階イオン化スキー
ム、すなわち、最初1本のレーザー光で原子を励起し、
次に別のレーザー光でイオン化し、この2本目のイオン
化レーザー光を2本に分け干渉させれば密度リップルは
このイオン化レーザーの干渉で決まることが発見されて
いる。
【0044】次に、具体的に周期長d=10〜100μ
m、周期数N=100〜1000σプラズマアンジュレ
ーターの形成についての問題点を検討する。プラズマ
は、1波長(441.96nm)2段階の共鳴イオン化
法でNdプラズマとする。n>n(空間電荷領域)
およびn≦n(イメージ電荷領域)の条件下で、一
様な電子ビームおよび短バンチビームを入射した場合の
運動方程式を個別に解析し、アンジュレーター定数Kの
表式と必要なプラズマ密度nの値を具体的に求め、そ
の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 すなわち、表1は各種電子ビームの形態におけるアンジ
ュレーター定数K、周期長d、プラズマ密度nの関係
を示し、ここで、r、Lは電子ビームパンチの半径
と長さである。
【0046】アンジュレーターの放射強度はKに比例
するので、Kを過度に小さく取ることは効率的でない。
実用的には、K=0.1とすると、表1から最大10
15cm−3のプラズマを生成できれば、全ての条件が
満たされることがわかる。前記のようにレーザーを用い
て密度1015cm−3のプラズマが生成可能である。
【0047】プラズマ密度リップルの持続時間 共鳴イオン化プラズマの電子温度はげ0.01〜0.0
5eVと低く、イオン温度に比べて無視できる。さら
に、イオン温度は蒸気温度に等しい。蒸気温度は蒸発源
(約2000K)から金属蒸気流が膨張、冷却する過程
で決まるが、典型的には500K程度である。密度リッ
プルの持続時間τはイオンが熱速度で1/2周期長を
走る時間と考えることができる。
【0048】一方、レーザー光のパルス巾はτにより
制限を受け、
【数19】 となる。これは、d=10μmの時30ns、50μm
の時150ns、100μmの時300nsと十分実現
可能な値である。蒸気源の選択によりさらに蒸気温度を
下げることも可能である。
【0049】蒸気原子との衝突による電子ビームの減衰 高エネルギー電子の散乱はラザフォード散乱が支配的
で、その断面積は
【数20】 と与えられる。ここで、Zは原子番号、rは電子の
古典半径、θは散乱角である。
【0050】例えば、γ=40(20MeV)、Z
41、蒸気原子密度n=3×1016cm−3(1T
orr)、L=1cm、θ=ビーム半径50μm/L=
1/100と仮定すると、電子ビームの減衰率Δn
【数21】 となる。1Torrの蒸気圧でこの程度であるから、散
乱の影響は少ないと言うことができる。
【0051】アンジュレーターの動作周波数 プラズマアンジュレーターは一度電子ビームと相互作用
すると、壊れると考えられる。次に密度リップルを生成
するまでに必要な時間からアンジュレーターの動作周波
数の上限を決めることができる。プラズマの蒸気流と同
じ速度u=700〜1000m/sで上方に流れてい
る。したがって、このプラズマが干渉領域(〜D)から
流出する時間は、D/uである。
【0052】レーザーによるプラズマ生成時間はほぼパ
ルス巾τであり、これはD/uに比べ無視できる程
小さいので、結局、逆数のu/Dが動作周波数を与え
る。D=1cm、u=1000m/sとして
【数22】 である。現在利用可能な可変波長レーザー(色素レーザ
ー、チタンサファイアレーザーなど)の繰り返し周波数
は100kHzに達していないので、式(22)は十分
な値と言うことができる。
【0053】具体的に、大きさD<1cm、周期長d=
10〜100μm、周波数N=100〜1000のプラ
ズマアンジュレーターを実現する上での問題点を検討し
た結果、必要なレーザー光のエネルギーと波長、光学系
の工夫、密度リップルの寿命、散乱による電子損失、動
作周波数、いずれも現在の技術で達成可能であることが
分かった。プラズマ密度の微細な周期構造を作ること
は、単にアンジュレーターだけでなく、プラズマを用い
た粒子加速器への応用も検討されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンジュレーターの周期長と放射光の波長との
関係を示すグラフ。
【図2】プラズマアンジュレーターの概要説明図。
【図3】レーザー光の2波干渉による干渉縞の形成を説
明する図。
【図4】レーザー光の交差角φと干渉縞の周期長dの関
係を示すグラフ。
【図5】レーザー干渉・共鳴イオン化法によるプラズマ
アンジュレーターの概要図。
【図6】ネオジムの1波長2段階共鳴イオン化スキーム
を示す図。
【符号の説明】
1 相対論的電子ビーム、 2 プラズマ密度リップル、 3 交番電場による力、 4 アンジュレーター放射光を A 半透鏡、 B 全反射鏡、 5 レーザーの平行光、 6 電子ビーム、 7 干渉縞、 8 水冷された真空容器、 9 真空排気系、 10 アパーチャ板、 11 蒸発源、 12 偏向磁石、 13 相対論的電子ビーム、 14 可変波長レーザー 15 コリメートされた蒸気流、 16 レーザー光ダンプ、 17 放射光、 18 プラズマアンジュレーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 直幸 茨城県日立市鮎川町6−9−B302 (72)発明者 真瀬 寛 茨城県日立市高鈴町5−5−3 (56)参考文献 特開 平5−343200(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 13/00 H01S 3/00 H05H 1/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中性気体にレーザーを照射して光分離によ
    るプラズマを生成し、その際同一波長のレーザー光2本
    を干渉させ光学干渉縞を形成し、その縞の明暗(すなわ
    ち、光子密度の大小)に対応した規則的なプラズマ密度
    リップルを発生させることから成るプラズママイクロア
    ンジュレーターの形成方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のプラズママイクロアンジ
    ュレーターの形成方法において、可変波長レーザーを高
    温の蒸発源から発生する蒸気原子に照射しその際レーザ
    ー光の波長(すなわち、光子エネルギー)を原子の励起
    エネルギーに一致させ、多段階イオン化スキーム(共鳴
    イオン化)により、該光学干渉縞の明暗に対応した規則
    的なプラズマ密度リップルを発生させることを特徴とす
    るプラズママイクロアンジュレーターの形成方法。
  3. 【請求項3】単一波長レーザーの平行光を半透鏡と全反
    射鏡を用いて強度の等しい2本のレーザー光に分け、小
    角(φ<数度)で交差し干渉させることから成る請求項
    2に記載のプラズママイクロアンジュレーターの形成方
    法。
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