JPH0935898A - プラズママイクロアンジュレーターの形成方法 - Google Patents
プラズママイクロアンジュレーターの形成方法Info
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- JPH0935898A JPH0935898A JP7210922A JP21092295A JPH0935898A JP H0935898 A JPH0935898 A JP H0935898A JP 7210922 A JP7210922 A JP 7210922A JP 21092295 A JP21092295 A JP 21092295A JP H0935898 A JPH0935898 A JP H0935898A
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- H05H—PLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
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- H05H7/04—Magnet systems, e.g. undulators, wigglers; Energisation thereof
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- H05H—PLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
- H05H3/00—Production or acceleration of neutral particle beams, e.g. molecular or atomic beams
- H05H3/04—Acceleration by electromagnetic wave pressure
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- Plasma Technology (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】アンジュレーターは相対論的電子ビームを交番
磁場を用いて蛇行させ、波長のそろった大強度の放射光
を発生するものであるが、本発明の目的は、極めてコン
パクト(大きさ<1cm)、短波長の放射光(可視光線
からX線まで)を発生することのできるプラズママイク
ロアンジュレーターの形成方法を提供することにある。 【構成】レーザー干渉とレーザー共鳴イオン化によるプ
ラズマ生成を併用することから成り、中性気体にレーザ
ー光を照射して光分離によるプラズマを生成し、その際
同一波長のレーザー光2本を干渉させて光学縞を形成
し、その縞の明暗に対応した規則的なプラズマ密度リッ
プルを発生させるプラズママイクロアンジュレーターの
形成において、可変波長レーザーを高温の蒸発源から発
生する蒸気原子に照射しその際レーザー光の波長を原子
の励起エネルギーに一致させ、多段階イオン化スキーム
(共鳴イオン化)により、該光学干渉縞の明暗に対応し
た規則的なプラズマ密度リップルを発生させることから
成るプラズママイクロアンジュレーターの形成方法。
磁場を用いて蛇行させ、波長のそろった大強度の放射光
を発生するものであるが、本発明の目的は、極めてコン
パクト(大きさ<1cm)、短波長の放射光(可視光線
からX線まで)を発生することのできるプラズママイク
ロアンジュレーターの形成方法を提供することにある。 【構成】レーザー干渉とレーザー共鳴イオン化によるプ
ラズマ生成を併用することから成り、中性気体にレーザ
ー光を照射して光分離によるプラズマを生成し、その際
同一波長のレーザー光2本を干渉させて光学縞を形成
し、その縞の明暗に対応した規則的なプラズマ密度リッ
プルを発生させるプラズママイクロアンジュレーターの
形成において、可変波長レーザーを高温の蒸発源から発
生する蒸気原子に照射しその際レーザー光の波長を原子
の励起エネルギーに一致させ、多段階イオン化スキーム
(共鳴イオン化)により、該光学干渉縞の明暗に対応し
た規則的なプラズマ密度リップルを発生させることから
成るプラズママイクロアンジュレーターの形成方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラズママイクロアンジ
ュレーターの形成方法に関する。
ュレーターの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アンジュレーターは相対論的電子ビーム
を永久磁石などの交番磁場を用いて蛇行させ、波長のそ
ろった大強度の放射光を発生するものである。アンジュ
レーターに光共振器を組み合わせると自由電子レーザー
が実現される。自由電子レーザーは、高出力、高輝度、
波長可変、高効率、長寿命といった優れた特徴を有する
光源であり、近年科学研究のみならず半導体デバイスの
加工、同位体分離や放射性廃棄物の処理、医療などの応
用分野でも注目を集めている[シンクロトロン放射利用
技術((株)サイエンスフォーラム)]。
を永久磁石などの交番磁場を用いて蛇行させ、波長のそ
ろった大強度の放射光を発生するものである。アンジュ
レーターに光共振器を組み合わせると自由電子レーザー
が実現される。自由電子レーザーは、高出力、高輝度、
波長可変、高効率、長寿命といった優れた特徴を有する
光源であり、近年科学研究のみならず半導体デバイスの
加工、同位体分離や放射性廃棄物の処理、医療などの応
用分野でも注目を集めている[シンクロトロン放射利用
技術((株)サイエンスフォーラム)]。
【0003】アンジュレーター放射光の波長は磁場の周
期長に比例し、電子ビームのエネルギーの2乗に反比例
する。電子ビームエネルギーをパラメーターとして放射
光の波長とアンジュレーターの周期長との関係を図1に
示す。
期長に比例し、電子ビームのエネルギーの2乗に反比例
する。電子ビームエネルギーをパラメーターとして放射
光の波長とアンジュレーターの周期長との関係を図1に
示す。
【0004】図1において、縦軸は放射光の波長(μ
m)、横軸は周期長(mm)である。例えば、20Me
Vのエネルギーで可視、紫外光を実現するには約1mm
の周期長を必要とする。もし、1μmの周期長が実現で
きれば波長3nmの軟X線が得られることになる。しか
し、永久磁石を用いた現在の方式では周期長を10mm
以下にすることは原理的に困難である[ibid.第一
篇放射光の基礎]。勢いビームエネルギーが増大し、加
速器は大規模とならざるを得ない。
m)、横軸は周期長(mm)である。例えば、20Me
Vのエネルギーで可視、紫外光を実現するには約1mm
の周期長を必要とする。もし、1μmの周期長が実現で
きれば波長3nmの軟X線が得られることになる。しか
し、永久磁石を用いた現在の方式では周期長を10mm
以下にすることは原理的に困難である[ibid.第一
篇放射光の基礎]。勢いビームエネルギーが増大し、加
速器は大規模とならざるを得ない。
【0005】最近、これらの問題を解決する画期的な手
段として、プラズママイクロアンジュレーター(以下、
単にプラズマアンジュレーターと称する)が提案された
[R.Fedele,G.Miano,V.G.Vac
caro:Phys.Scr.T30(1990)19
2;K.R.Chen,J.M.Dawson:Phy
s.Rev.Lett.68(1992)29;鈴木康
夫:核融合研究68(1992)488]。プラズマア
ンジュレーターは、周期的な密度分布(密度リップル)
を有するプラズマに相対論的電子ビームを入射し、誘起
されるイオン空間電荷の交番電場で電子を蛇行させるも
ので、磁場型に比べて格段にコンパクトで短波長の光源
を実現できる可能性がある。
段として、プラズママイクロアンジュレーター(以下、
単にプラズマアンジュレーターと称する)が提案された
[R.Fedele,G.Miano,V.G.Vac
caro:Phys.Scr.T30(1990)19
2;K.R.Chen,J.M.Dawson:Phy
s.Rev.Lett.68(1992)29;鈴木康
夫:核融合研究68(1992)488]。プラズマア
ンジュレーターは、周期的な密度分布(密度リップル)
を有するプラズマに相対論的電子ビームを入射し、誘起
されるイオン空間電荷の交番電場で電子を蛇行させるも
ので、磁場型に比べて格段にコンパクトで短波長の光源
を実現できる可能性がある。
【0006】本願発明者の一人(鈴木康夫)は、先に、
平行、或いは逆平行の電流により平面上に多数の糸状プ
ラズマを作り、それによって生ずる周期的磁場分布及び
/又は周期的電場分布により電子ビームを蛇行させるこ
とにより高輝度の光を発生する方法を開発し特許出願し
た(特願平4−188531号)が、さらに、周期長1
mm以下、周期数が数十以上の規則的なプラズマ密度リ
ップル又はプラズマスラブ列の実現が期待されている。
平行、或いは逆平行の電流により平面上に多数の糸状プ
ラズマを作り、それによって生ずる周期的磁場分布及び
/又は周期的電場分布により電子ビームを蛇行させるこ
とにより高輝度の光を発生する方法を開発し特許出願し
た(特願平4−188531号)が、さらに、周期長1
mm以下、周期数が数十以上の規則的なプラズマ密度リ
ップル又はプラズマスラブ列の実現が期待されている。
【0007】従来、プラズマ中にレーザーや電子ビーム
を入射し、波動を励起してプラズマ密度を変調すること
によりプラズマ密度リップルを形成する方法が提供され
ている。しかしながら、この方法は、周期長が密度など
のプラズマパラメータに直接依存することや複雑な非線
形効果を含むため、極めて制御が困難であるという問題
がある。
を入射し、波動を励起してプラズマ密度を変調すること
によりプラズマ密度リップルを形成する方法が提供され
ている。しかしながら、この方法は、周期長が密度など
のプラズマパラメータに直接依存することや複雑な非線
形効果を含むため、極めて制御が困難であるという問題
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は、こ
のような問題点を解消し、レーザーを用いた新しいプラ
ズマ密度リップルの形成法を提供することである。さら
に、本発明の目的は、極めてコンパクト(大きさ<1c
m)、短波長の放射光(可視光からX線まで)を発生す
ることのできるプラズママイクロアンジュレーターの形
成法を提供することにある。
のような問題点を解消し、レーザーを用いた新しいプラ
ズマ密度リップルの形成法を提供することである。さら
に、本発明の目的は、極めてコンパクト(大きさ<1c
m)、短波長の放射光(可視光からX線まで)を発生す
ることのできるプラズママイクロアンジュレーターの形
成法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者は,この目的
達成のため鋭意研究の結果、レーザー干渉とレーザー共
鳴イオン化によるプラズマ生成を併用することに想到
し、中性気体にレーザーを照射して光電離によりプラズ
マを生成する際、同一波長のレーザー光2本を干渉さ
せ、光学干渉縞を形成すると、その縞の明暗(すなわ
ち、光子密度の大小)に対応してレーザー共鳴イオン化
法により規則的なプラズマ密度リップルが発生するこ
と、さらに、リップルの周期長は純粋に光学的に決定さ
れ、またプラズマ密度はレーザーパワーと中性気体密度
に比例するので、いすれも容易に制御できること、さら
にレーザー光の高い空間コヒーレンスを反映して、リッ
プルの規則性に特に優れていることを知見し、この知見
に基づいて、本願発明を達成した。
達成のため鋭意研究の結果、レーザー干渉とレーザー共
鳴イオン化によるプラズマ生成を併用することに想到
し、中性気体にレーザーを照射して光電離によりプラズ
マを生成する際、同一波長のレーザー光2本を干渉さ
せ、光学干渉縞を形成すると、その縞の明暗(すなわ
ち、光子密度の大小)に対応してレーザー共鳴イオン化
法により規則的なプラズマ密度リップルが発生するこ
と、さらに、リップルの周期長は純粋に光学的に決定さ
れ、またプラズマ密度はレーザーパワーと中性気体密度
に比例するので、いすれも容易に制御できること、さら
にレーザー光の高い空間コヒーレンスを反映して、リッ
プルの規則性に特に優れていることを知見し、この知見
に基づいて、本願発明を達成した。
【0010】本発明を、周期長10〜100μm、周期
数100〜1000のプラズマアンジュレーターを実現
するための具体例について説明する。先ず、プラズマア
ンジュレーターの概要を図面について説明する。
数100〜1000のプラズマアンジュレーターを実現
するための具体例について説明する。先ず、プラズマア
ンジュレーターの概要を図面について説明する。
【0011】図2において、1は相対論的電子ビーム、
2はプラズマ密度リップル、3は交番電場による力、4
はアンジュレーター放射光を示す。また、Zはプラズマ
のスラブ面に垂直な方向、zは電子ビームの進行方向を
示す。相対論的電子ビーム1が周期長d(m)のプラズ
マ密度リップル2に斜め(角度θ)に入射されると
〔K.R.Chen,J.M.Dawson:Phy
s.Rev.Lett.68(1992)29]、プラ
ズマ電子が排除され残されたイオンの空間電荷によって
矢印のようなビーム方向に対して横向きの交番電場3が
生じる。この交番電場の静電力により電子が蛇行し、ア
ンジュレーター放射光4が生じる。
2はプラズマ密度リップル、3は交番電場による力、4
はアンジュレーター放射光を示す。また、Zはプラズマ
のスラブ面に垂直な方向、zは電子ビームの進行方向を
示す。相対論的電子ビーム1が周期長d(m)のプラズ
マ密度リップル2に斜め(角度θ)に入射されると
〔K.R.Chen,J.M.Dawson:Phy
s.Rev.Lett.68(1992)29]、プラ
ズマ電子が排除され残されたイオンの空間電荷によって
矢印のようなビーム方向に対して横向きの交番電場3が
生じる。この交番電場の静電力により電子が蛇行し、ア
ンジュレーター放射光4が生じる。
【0012】プラズマの密度リップル2は
【数1】 で与えられる。
【0013】相対論的電子はプラズマ電子に比べて質量
がγ倍大きいので、その軌道からプラズマ電子をはじき
とばす。ここで、
がγ倍大きいので、その軌道からプラズマ電子をはじき
とばす。ここで、
【数2】 である。
【0014】この時、プラズマの応答は、密度の大小に
応じて次の2通りが考えられる。 A)nb>n0(空間電荷領域):電子ビームの通過に
よりプラズマ電子がすべて排除され、残されたイオンリ
ップル中を電子ビームが走ることになり、ビーム電子は
横方向の交番静電力
応じて次の2通りが考えられる。 A)nb>n0(空間電荷領域):電子ビームの通過に
よりプラズマ電子がすべて排除され、残されたイオンリ
ップル中を電子ビームが走ることになり、ビーム電子は
横方向の交番静電力
【数3】 を受けて蛇行する。
【0014】ここで、
【数4】 である。
【0015】電子ビームはイオンリップルに対しθの角
度で入射するので、電子の感じる交番力の周期長λuは
リップルの周期長dの1/cosθ倍になることに注意
する ので、以後dを中心に考えてゆく。
度で入射するので、電子の感じる交番力の周期長λuは
リップルの周期長dの1/cosθ倍になることに注意
する ので、以後dを中心に考えてゆく。
【0016】B)nb<n0(イメージ電荷領域):電
子ビームにより排除されるプラズマ電子の割合は小さ
く、プラズマは中性を保っている。この時プラズマを完
全導体とみなすと、電子ビームがリップル間を通過する
とき、プラズマ表面に正のイメージ電荷が誘導され、こ
れらイメージ電荷とビーム負電荷との間に交番静電力が
発生する[鈴木康夫:JAERI−M−95−00
9]。
子ビームにより排除されるプラズマ電子の割合は小さ
く、プラズマは中性を保っている。この時プラズマを完
全導体とみなすと、電子ビームがリップル間を通過する
とき、プラズマ表面に正のイメージ電荷が誘導され、こ
れらイメージ電荷とビーム負電荷との間に交番静電力が
発生する[鈴木康夫:JAERI−M−95−00
9]。
【0017】磁場型アンジュレーターからの放射光の波
長は、ビーム軸上で
長は、ビーム軸上で
【数5】 と与えられる。ここでnは高調波の次数、λu=2π/
kuは磁場の周期長である。
kuは磁場の周期長である。
【0018】Kはアンジュレーターを特徴づける重要な
アンジュレーター係数で、
アンジュレーター係数で、
【数6】 ぶ。
【0019】放射光のスペクトルは、K≫1では多くの
高調波を含み、巾の広いものとなる 周期数として
高調波を含み、巾の広いものとなる 周期数として
【数7】 ュレーター放射光は指向性が強く、スペクトル巾が狭い
という優れた性質を有する。
という優れた性質を有する。
【0020】一方、放射強度がK2に比例するのでKを
過度に小さく取ることは実用的でない。本発明において
は、0.1<K<1のプラズマアンジュレーターを目標
とする。プラズマアンジュレーターは式(4)のKの中
のローレンツ力−ecB0を空間荷電による静電力、e
E0で置き換えたものと考えればよい。
過度に小さく取ることは実用的でない。本発明において
は、0.1<K<1のプラズマアンジュレーターを目標
とする。プラズマアンジュレーターは式(4)のKの中
のローレンツ力−ecB0を空間荷電による静電力、e
E0で置き換えたものと考えればよい。
【0021】レーザー光の干渉による干渉縞の形成の概
要を図面について説明する。図3において、Aは半透
鏡、Bは全反射鏡、5はレーザーの平行光、6は電子ビ
ームを示す。レーザーの平行光5を半透鏡Aと全反射鏡
Bとで反射し、交差すると交差部に干渉縞が現れる。半
透鏡Aと全反射鏡Bの角度を調節することにより、交差
角φを変化する。すなわち、単一波長レーザーの平行光
5を半透鏡Aと全反射鏡Bとで反射し、強度の等しい2
本のレーザー光に分け小角(φ<数度)で交差し、干渉
させると、明暗の干渉縞7が現れる。VTは紙面の上か
ら見た干渉縞の図で、x方向はプラズマスラブ面に垂直
な方向をとり、紙面上にあり、y、zはそれと直交する
方向軸、zは紙面に垂直方向である。なお、x方向は図
2における矢印Zに相当する。VSは横から見た干渉縞
の図で、電子ビーム6は下から上に突き抜けているもの
で、矢印6は図2のzに相当する。この領域に適当な中
性気体を導入すると、光子密度に比例してプラズマが生
成されるので、干渉縞の明暗に対応した規則的なプラズ
マ密度リップルが形成されることになる。
要を図面について説明する。図3において、Aは半透
鏡、Bは全反射鏡、5はレーザーの平行光、6は電子ビ
ームを示す。レーザーの平行光5を半透鏡Aと全反射鏡
Bとで反射し、交差すると交差部に干渉縞が現れる。半
透鏡Aと全反射鏡Bの角度を調節することにより、交差
角φを変化する。すなわち、単一波長レーザーの平行光
5を半透鏡Aと全反射鏡Bとで反射し、強度の等しい2
本のレーザー光に分け小角(φ<数度)で交差し、干渉
させると、明暗の干渉縞7が現れる。VTは紙面の上か
ら見た干渉縞の図で、x方向はプラズマスラブ面に垂直
な方向をとり、紙面上にあり、y、zはそれと直交する
方向軸、zは紙面に垂直方向である。なお、x方向は図
2における矢印Zに相当する。VSは横から見た干渉縞
の図で、電子ビーム6は下から上に突き抜けているもの
で、矢印6は図2のzに相当する。この領域に適当な中
性気体を導入すると、光子密度に比例してプラズマが生
成されるので、干渉縞の明暗に対応した規則的なプラズ
マ密度リップルが形成されることになる。
【0022】今、2本のレーザ〜光を平面波としてそれ
ぞれ
ぞれ
【数8】 で表すと、干渉後の光強度Iは
【数9】 となるので、干渉縞の周期長d(m)は周知の公式
【数10】 で表される。
【0023】ここで重要な点は、周期長dがレーザー波
長λLと交差角θの両方で制御できることである。しか
し、後に述べるように、共鳴イオン化法によるプラズマ
生成では利用するエネルギー準位によってレーザー波長
が固定されるために、角度φでのみ制御可能になる。典
型的なレーザー波長にたいする交差角φと周期長dとの
関係を図4に示す。
長λLと交差角θの両方で制御できることである。しか
し、後に述べるように、共鳴イオン化法によるプラズマ
生成では利用するエネルギー準位によってレーザー波長
が固定されるために、角度φでのみ制御可能になる。典
型的なレーザー波長にたいする交差角φと周期長dとの
関係を図4に示す。
【0024】図において、横軸はレーザー光の交差角
φ、縦軸は干渉縞の周期長d(μm)である。例えば、
波長370.9nmのレーザー光をφ=2°で交差させ
るとd=10μmとなる。最近、高エネルギー電子ビー
ムのビーム径を診断する装置にレーザー干渉縞を応用す
る方法が提案された[T.Shintake:Nuc
l.Instrum.Methods A311(19
92)453;新竹積:パリティ、8(1993)4
6]。図3に挿入された写真は該方法におけるYAGレ
ーザー(λ=1.064μm)を用いて周期長200μ
mの干渉縞を形成したものである。
φ、縦軸は干渉縞の周期長d(μm)である。例えば、
波長370.9nmのレーザー光をφ=2°で交差させ
るとd=10μmとなる。最近、高エネルギー電子ビー
ムのビーム径を診断する装置にレーザー干渉縞を応用す
る方法が提案された[T.Shintake:Nuc
l.Instrum.Methods A311(19
92)453;新竹積:パリティ、8(1993)4
6]。図3に挿入された写真は該方法におけるYAGレ
ーザー(λ=1.064μm)を用いて周期長200μ
mの干渉縞を形成したものである。
【0025】交差角φを変えて周期長を調整する場合、
鏡A−B間の距離IABを固定すると、干渉領域までの
距離Iが
鏡A−B間の距離IABを固定すると、干渉領域までの
距離Iが
【数11】 と変化し、電子ビームが干渉領域から外れてしまう。I
を固定するには、鏡A、Bの角度と距離を同時に変えな
ければならない。それには、
を固定するには、鏡A、Bの角度と距離を同時に変えな
ければならない。それには、
【数12】 とすればよい。
【0026】干渉領域の大きさはレーザー光の直径Dと
パルス長Lで決まる。典型的な長パルス(L>D)の場
合、干渉領域の有効体積はV=D3である。したがっ
て、密度リップルの周期数Nとレーザー光のパルス時間
巾τLはそれぞれ
パルス長Lで決まる。典型的な長パルス(L>D)の場
合、干渉領域の有効体積はV=D3である。したがっ
て、密度リップルの周期数Nとレーザー光のパルス時間
巾τLはそれぞれ
【数13】 となる。
【0027】一方、超短パルス(L≪D)では、干渉領
域は厚さL/sin(φ/2)の板状になり、
域は厚さL/sin(φ/2)の板状になり、
【数14】 となる。
【0028】自由空間を伝搬するレーザー光は、通常ガ
ウス型の強度プロファイル(∞exp(−r2/
r0 2))を持つ[霜田光一:レーザー物理入門(岩波
書店)1983,P62]。この場合、干渉領域の中心
部と周辺部とでは干渉縞の強度が異なる。密度の一様な
プラズマアンジュレーターを実現するには、中心付近
(r<r0)のみを切り出して用いる工夫が必要であ
る。
ウス型の強度プロファイル(∞exp(−r2/
r0 2))を持つ[霜田光一:レーザー物理入門(岩波
書店)1983,P62]。この場合、干渉領域の中心
部と周辺部とでは干渉縞の強度が異なる。密度の一様な
プラズマアンジュレーターを実現するには、中心付近
(r<r0)のみを切り出して用いる工夫が必要であ
る。
【0029】また、これまで平行光線の干渉を考えてき
たが、一方のレーザー光(U2)を焦点距離の長い凹面
鏡で集光すると、平面波と球面波の干渉となり〔レーザ
ー学会編:レーザーハンドブック(オーム社)198
2]、干渉縞のピッチが空間的に変化する。この配位
は、周期長を空間的に制御することによりテーパーアン
ジュレーターに応用できる可能性がある。しかし、平面
波と球面波の干渉では干渉縞も平面でなく球面になる。
プラズマアンジュレーターのように電子ビームを斜めに
入射する場合、ビームとプラズマ密度リップルとの交差
角θがビーム軌道に沿って変化することになり、不都合
が生じる可能性がある。ただし、この場合でも、周期長
の変調率δln(d)を現実的な1%程度とすれば、上
記の効果は無視できると考えられる。2本のレーザー光
をともに集光する場合には、上記の効果は特に顕著にな
る。
たが、一方のレーザー光(U2)を焦点距離の長い凹面
鏡で集光すると、平面波と球面波の干渉となり〔レーザ
ー学会編:レーザーハンドブック(オーム社)198
2]、干渉縞のピッチが空間的に変化する。この配位
は、周期長を空間的に制御することによりテーパーアン
ジュレーターに応用できる可能性がある。しかし、平面
波と球面波の干渉では干渉縞も平面でなく球面になる。
プラズマアンジュレーターのように電子ビームを斜めに
入射する場合、ビームとプラズマ密度リップルとの交差
角θがビーム軌道に沿って変化することになり、不都合
が生じる可能性がある。ただし、この場合でも、周期長
の変調率δln(d)を現実的な1%程度とすれば、上
記の効果は無視できると考えられる。2本のレーザー光
をともに集光する場合には、上記の効果は特に顕著にな
る。
【0030】レーザーによるプラズマの生成 レーザー干渉領域に中性気体を導入することにより、プ
ラズマ密度リップルを形成する。従来の放電と比較した
場合、レーザーを用いたプラズマ生成法は、空間的、電
気的に孤立したプラズマを無電流で生成できること、電
子温度が低く、密度の一様なプラズマが得られること、
などの特徴を有する。
ラズマ密度リップルを形成する。従来の放電と比較した
場合、レーザーを用いたプラズマ生成法は、空間的、電
気的に孤立したプラズマを無電流で生成できること、電
子温度が低く、密度の一様なプラズマが得られること、
などの特徴を有する。
【0031】ここでは、特に、重金属を加熱蒸発し、超
音速の金属蒸気流として導入することを検討する。金属
蒸気流を用いる利点としては、 (1)通常の気体の場合、非電離成分が真空容器内を拡
散し、加速器などの超高真空システムに流入するので、
大規模な差動排気が必要になる。これに対し金属蒸気流
では、非電離成分は容器壁(水冷)に付着し、固体化す
るので真空システムに影響を与えない。 (2)蒸気源を工夫することにより低温で超音速の蒸気
流を生成できる。この場合、干渉領域の直前にアパーチ
ャを置くことにより、蒸気流の寸法(結局、プラズマの
寸法)を調整できる。レーザー光によるイオン化は干渉
領域以外でも起こり得る。干渉領域の外側で作られるプ
ラズマは、当然周期構造を持たないので、予め蒸気流を
干渉領域の寸法(=D)より小さく制限しておくことが
重要である。 (3)多くの元素が室温で固体であるので、選択の範囲
が広い。 (4)特に重い元素を用いる利点としては、プラズマア
ンジュレーターではイオン空間電荷の周期構造が相対論
的電子ビームとの相互作用の間維持されている必要があ
るが、そのためには、イオンの質量は大きい方がよい。
また、重元素ほどイオン化エネルギーが低下する傾向が
あるので、より電離し易い。
音速の金属蒸気流として導入することを検討する。金属
蒸気流を用いる利点としては、 (1)通常の気体の場合、非電離成分が真空容器内を拡
散し、加速器などの超高真空システムに流入するので、
大規模な差動排気が必要になる。これに対し金属蒸気流
では、非電離成分は容器壁(水冷)に付着し、固体化す
るので真空システムに影響を与えない。 (2)蒸気源を工夫することにより低温で超音速の蒸気
流を生成できる。この場合、干渉領域の直前にアパーチ
ャを置くことにより、蒸気流の寸法(結局、プラズマの
寸法)を調整できる。レーザー光によるイオン化は干渉
領域以外でも起こり得る。干渉領域の外側で作られるプ
ラズマは、当然周期構造を持たないので、予め蒸気流を
干渉領域の寸法(=D)より小さく制限しておくことが
重要である。 (3)多くの元素が室温で固体であるので、選択の範囲
が広い。 (4)特に重い元素を用いる利点としては、プラズマア
ンジュレーターではイオン空間電荷の周期構造が相対論
的電子ビームとの相互作用の間維持されている必要があ
るが、そのためには、イオンの質量は大きい方がよい。
また、重元素ほどイオン化エネルギーが低下する傾向が
あるので、より電離し易い。
【0032】これらの蒸気原子をレーザー光で効率的に
電離し、高密度プラズマを得る方法として、以下の方法
を検討する。ここで想定されるプラズマパラメータは、
周期d=10〜100μm、体積V=D3〜(数mm)
3、密度1014〜1015cm3である。
電離し、高密度プラズマを得る方法として、以下の方法
を検討する。ここで想定されるプラズマパラメータは、
周期d=10〜100μm、体積V=D3〜(数mm)
3、密度1014〜1015cm3である。
【0033】本発明において使用する共鳴イオン化法に
ついて説明する。これは、プラズマアンジュレーターへ
の応用では干渉縞は単周期でかつ静止している必要があ
るので、大出力の複数の波長を用いることができないこ
とから採用するものでプラズマアンジュレーターのイオ
ン化法として最適の方法である。この方法は、レーザー
同位体分離において目的の同位体を選択的にイオン化
し、分離濃縮するために研究開発された方法である。元
素のイオン化エネルギーは最小のセシウムでさえ3.9
eVで、重元素でも5〜10eVと大きく、共鳴波長が
120〜250nmと真空紫外領域に入ってしまう。こ
のような短波長領域で大電力の可変波長レーザーを得る
ことは困難である。そこで、原子中の軌道を周回する電
子を光子1個でイオン化するのではなく、一度イオン化
し易いように軌道の大きな状態、つまりエネルギーの高
い状態に一つの光子で上げ(励起し)、その後に、もう
一度他の光子で励起(イオン化、つまり電子を原子の周
りの軌道から放す)すれば、比較的長い波長の2つの光
子でイオン化(電離)できる。
ついて説明する。これは、プラズマアンジュレーターへ
の応用では干渉縞は単周期でかつ静止している必要があ
るので、大出力の複数の波長を用いることができないこ
とから採用するものでプラズマアンジュレーターのイオ
ン化法として最適の方法である。この方法は、レーザー
同位体分離において目的の同位体を選択的にイオン化
し、分離濃縮するために研究開発された方法である。元
素のイオン化エネルギーは最小のセシウムでさえ3.9
eVで、重元素でも5〜10eVと大きく、共鳴波長が
120〜250nmと真空紫外領域に入ってしまう。こ
のような短波長領域で大電力の可変波長レーザーを得る
ことは困難である。そこで、原子中の軌道を周回する電
子を光子1個でイオン化するのではなく、一度イオン化
し易いように軌道の大きな状態、つまりエネルギーの高
い状態に一つの光子で上げ(励起し)、その後に、もう
一度他の光子で励起(イオン化、つまり電子を原子の周
りの軌道から放す)すれば、比較的長い波長の2つの光
子でイオン化(電離)できる。
【0034】同一波長の光子を用いる場合を1波長2段
階イオン化と言い、共鳴イオン化法は、この波長を最初
の励起が丁度し易い波長に選んで行う方法に外ならな
い。レーザー同位体分離の基礎研究においては、ガドリ
ニウム、ネオジムなどの金属蒸気原子を1本のレーザー
光でイオン化する1波長多段階イオン化スキームが開発
されている[SHIBATA ET AL:JAERI
−M−90−162(1990);JAERI−M−9
4−025(1994)]。
階イオン化と言い、共鳴イオン化法は、この波長を最初
の励起が丁度し易い波長に選んで行う方法に外ならな
い。レーザー同位体分離の基礎研究においては、ガドリ
ニウム、ネオジムなどの金属蒸気原子を1本のレーザー
光でイオン化する1波長多段階イオン化スキームが開発
されている[SHIBATA ET AL:JAERI
−M−90−162(1990);JAERI−M−9
4−025(1994)]。
【0035】これにより比較的長い波長のレーザー出力
を大巾に軽減することができる。具体的な例としては、
を大巾に軽減することができる。具体的な例としては、
【数15】 などがある。
【0036】一般に、3段階より2段階の方がイオン化
断面積が大きい。特に、NdのλL=441.96n
m、2段階スキームが有望である。ここに、実験装置の
概略を図5に、Ndの1波長2段階イオン化スキームの
例を図6に示す。
断面積が大きい。特に、NdのλL=441.96n
m、2段階スキームが有望である。ここに、実験装置の
概略を図5に、Ndの1波長2段階イオン化スキームの
例を図6に示す。
【0037】図5において、8は水冷された真空容器、
9は真空排気系、10はアパーチャ板、11は蒸発源、
12は偏向磁石、13は相対論的電子ビーム、14は可
変波長レーザー、15はコリメートされた蒸気流、16
はレーザー光ダンプ、17は放射光、18はプラズマア
ンジュレーターを示す。すなわち、(1)外壁を水冷し
た真空容器8の底部に蒸発源11を設置し、金属蒸気流
を発生する。(2)アパーチャ板10を通し、蒸気流の
横寸法を約1cm×1cmとする。(3)入射ポートか
ら相対論的電子ビーム13を蒸気流15にほぼ垂直に入
射する。(4)可変波長レーザーの平行光14を図3の
光学系を利用して蒸気流15の中で干渉させる。ここ
で、レーザー光の波長は蒸気原子を共鳴イオン化するよ
うに選択されている。直ちにプラズマ密度リップルが形
成され、電子ビームとの相互作用によりアンジュレータ
ー放射光が発生する。(5)電子ビームは偏向磁石12
により曲げられ、回収されるが、放射光は窓を通して取
り出され、利用される。
9は真空排気系、10はアパーチャ板、11は蒸発源、
12は偏向磁石、13は相対論的電子ビーム、14は可
変波長レーザー、15はコリメートされた蒸気流、16
はレーザー光ダンプ、17は放射光、18はプラズマア
ンジュレーターを示す。すなわち、(1)外壁を水冷し
た真空容器8の底部に蒸発源11を設置し、金属蒸気流
を発生する。(2)アパーチャ板10を通し、蒸気流の
横寸法を約1cm×1cmとする。(3)入射ポートか
ら相対論的電子ビーム13を蒸気流15にほぼ垂直に入
射する。(4)可変波長レーザーの平行光14を図3の
光学系を利用して蒸気流15の中で干渉させる。ここ
で、レーザー光の波長は蒸気原子を共鳴イオン化するよ
うに選択されている。直ちにプラズマ密度リップルが形
成され、電子ビームとの相互作用によりアンジュレータ
ー放射光が発生する。(5)電子ビームは偏向磁石12
により曲げられ、回収されるが、放射光は窓を通して取
り出され、利用される。
【0038】今、密度n0(m3)、大きさD(m)の
蒸気流にパワー密度J0(Wm−2)の共鳴レーザー光
を入射すると、蒸気原子のイオン化に伴いレーザー光の
パワー密度は
蒸気流にパワー密度J0(Wm−2)の共鳴レーザー光
を入射すると、蒸気原子のイオン化に伴いレーザー光の
パワー密度は
【数16】 の様に変化する。
【0039】ここではsはレーザー光に沿った距離、l
iはイオン化の平均自由行程、σiはイオン化面積であ
る。
iはイオン化の平均自由行程、σiはイオン化面積であ
る。
【0040】一方、生成プラズマ密度はnp(m3)は
【数17】 で求められる。
【0041】したがって、与えられたレーザーパワーで
高密度のプラズマを効率的に生成するためには、式(1
6)においてliを小さく、τLを大きく取ればよい。
しかし、liを過度に小さく取ると、プラズマアンジュ
レーターにとって本質的なプラズマ密度の空間的一様性
が失われる可能性がある。そこで共鳴イオン化法では、
レーザーエネルギー密度J0τL(Jm−2)を十分大
きくし、飽和領域でnp=n0の強電離プラズマを生成
する。この時プラズマ密度の空間分布は蒸気密度の分布
を反映し、十分一様になる。
高密度のプラズマを効率的に生成するためには、式(1
6)においてliを小さく、τLを大きく取ればよい。
しかし、liを過度に小さく取ると、プラズマアンジュ
レーターにとって本質的なプラズマ密度の空間的一様性
が失われる可能性がある。そこで共鳴イオン化法では、
レーザーエネルギー密度J0τL(Jm−2)を十分大
きくし、飽和領域でnp=n0の強電離プラズマを生成
する。この時プラズマ密度の空間分布は蒸気密度の分布
を反映し、十分一様になる。
【0042】ここで必要なレーザーエネルギーを概算す
ると、例えば、密度1015cm−3、体積V=D3=
1cm3のNdプラズマを生成するに要するイオン化エ
ネルギーは
ると、例えば、密度1015cm−3、体積V=D3=
1cm3のNdプラズマを生成するに要するイオン化エ
ネルギーは
【数18】 である。効率ηLは、0.1から2波長では0.8〜
0.9に達することもある。例えば、ηL=0.1の
時、レーザーエネルギーは9mJとなる。これは現在の
パルス色素レーザーや固体レーザーの技術で十分達成で
きる。
0.9に達することもある。例えば、ηL=0.1の
時、レーザーエネルギーは9mJとなる。これは現在の
パルス色素レーザーや固体レーザーの技術で十分達成で
きる。
【0043】さらに最近、2波長2段階イオン化スキー
ム、すなわち、最初1本のレーザー光で原子を励起し、
次に別のレーザー光でイオン化し、この2本目のイオン
化レーザー光を2本に分け干渉させれば密度リップルは
このイオン化レーザーの干渉で決まることが発見されて
いる。
ム、すなわち、最初1本のレーザー光で原子を励起し、
次に別のレーザー光でイオン化し、この2本目のイオン
化レーザー光を2本に分け干渉させれば密度リップルは
このイオン化レーザーの干渉で決まることが発見されて
いる。
【0044】次に、具体的に周期長d=10〜100μ
m、周期数N=100〜1000σプラズマアンジュレ
ーターの形成についての問題点を検討する。プラズマ
は、1波長(441.96nm)2段階の共鳴イオン化
法でNdプラズマとする。nb>n0(空間電荷領域)
およびnb≦n0(イメージ電荷領域)の条件下で、一
様な電子ビームおよび短バンチビームを入射した場合の
運動方程式を個別に解析し、アンジュレーター定数Kの
表式と必要なプラズマ密度npの値を具体的に求め、そ
の結果を表1に示す。
m、周期数N=100〜1000σプラズマアンジュレ
ーターの形成についての問題点を検討する。プラズマ
は、1波長(441.96nm)2段階の共鳴イオン化
法でNdプラズマとする。nb>n0(空間電荷領域)
およびnb≦n0(イメージ電荷領域)の条件下で、一
様な電子ビームおよび短バンチビームを入射した場合の
運動方程式を個別に解析し、アンジュレーター定数Kの
表式と必要なプラズマ密度npの値を具体的に求め、そ
の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 すなわち、表1は各種電子ビームの形態におけるアンジ
ュレーター定数K、周期長d、プラズマ密度npの関係
を示し、ここで、ro、Loは電子ビームパンチの半径
と長さである。
ュレーター定数K、周期長d、プラズマ密度npの関係
を示し、ここで、ro、Loは電子ビームパンチの半径
と長さである。
【0046】アンジュレーターの放射強度はK2に比例
するので、Kを過度に小さく取ることは効率的でない。
実用的には、K=0.1とすると、表1から最大10
15cm−3のプラズマを生成できれば、全ての条件が
満たされることがわかる。前記のようにレーザーを用い
て密度1015cm−3のプラズマが生成可能である。
するので、Kを過度に小さく取ることは効率的でない。
実用的には、K=0.1とすると、表1から最大10
15cm−3のプラズマを生成できれば、全ての条件が
満たされることがわかる。前記のようにレーザーを用い
て密度1015cm−3のプラズマが生成可能である。
【0047】プラズマ密度リップルの持続時間 共鳴イオン化プラズマの電子温度はげ0.01〜0.0
5eVと低く、イオン温度に比べて無視できる。さら
に、イオン温度は蒸気温度に等しい。蒸気温度は蒸発源
(約2000K)から金属蒸気流が膨張、冷却する過程
で決まるが、典型的には500K程度である。密度リッ
プルの持続時間τrはイオンが熱速度で1/2周期長を
走る時間と考えることができる。
5eVと低く、イオン温度に比べて無視できる。さら
に、イオン温度は蒸気温度に等しい。蒸気温度は蒸発源
(約2000K)から金属蒸気流が膨張、冷却する過程
で決まるが、典型的には500K程度である。密度リッ
プルの持続時間τrはイオンが熱速度で1/2周期長を
走る時間と考えることができる。
【0048】一方、レーザー光のパルス巾はτrにより
制限を受け、
制限を受け、
【数19】 となる。これは、d=10μmの時30ns、50μm
の時150ns、100μmの時300nsと十分実現
可能な値である。蒸気源の選択によりさらに蒸気温度を
下げることも可能である。
の時150ns、100μmの時300nsと十分実現
可能な値である。蒸気源の選択によりさらに蒸気温度を
下げることも可能である。
【0049】蒸気原子との衝突による電子ビームの減衰 高エネルギー電子の散乱はラザフォード散乱が支配的
で、その断面積は
で、その断面積は
【数20】 と与えられる。ここで、Zaは原子番号、reは電子の
古典半径、θは散乱角である。
古典半径、θは散乱角である。
【0050】例えば、γ=40(20MeV)、Za=
41、蒸気原子密度n0=3×1016cm−3(1T
orr)、L=1cm、θ=ビーム半径50μm/L=
1/100と仮定すると、電子ビームの減衰率Δne/
neは
41、蒸気原子密度n0=3×1016cm−3(1T
orr)、L=1cm、θ=ビーム半径50μm/L=
1/100と仮定すると、電子ビームの減衰率Δne/
neは
【数21】 となる。1Torrの蒸気圧でこの程度であるから、散
乱の影響は少ないと言うことができる。
乱の影響は少ないと言うことができる。
【0051】アンジュレーターの動作周波数 プラズマアンジュレーターは一度電子ビームと相互作用
すると、壊れると考えられる。次に密度リップルを生成
するまでに必要な時間からアンジュレーターの動作周波
数の上限を決めることができる。プラズマの蒸気流と同
じ速度u0=700〜1000m/sで上方に流れてい
る。したがって、このプラズマが干渉領域(〜D)から
流出する時間は、D/u0である。
すると、壊れると考えられる。次に密度リップルを生成
するまでに必要な時間からアンジュレーターの動作周波
数の上限を決めることができる。プラズマの蒸気流と同
じ速度u0=700〜1000m/sで上方に流れてい
る。したがって、このプラズマが干渉領域(〜D)から
流出する時間は、D/u0である。
【0052】レーザーによるプラズマ生成時間はほぼパ
ルス巾τrであり、これはD/u0に比べ無視できる程
小さいので、結局、逆数のu0/Dが動作周波数を与え
る。D=1cm、u0=1000m/sとして
ルス巾τrであり、これはD/u0に比べ無視できる程
小さいので、結局、逆数のu0/Dが動作周波数を与え
る。D=1cm、u0=1000m/sとして
【数22】 である。現在利用可能な可変波長レーザー(色素レーザ
ー、チタンサファイアレーザーなど)の繰り返し周波数
は100kHzに達していないので、式(22)は十分
な値と言うことができる。
ー、チタンサファイアレーザーなど)の繰り返し周波数
は100kHzに達していないので、式(22)は十分
な値と言うことができる。
【0053】具体的に、大きさD<1cm、周期長d=
10〜100μm、周波数N=100〜1000のプラ
ズマアンジュレーターを実現する上での問題点を検討し
た結果、必要なレーザー光のエネルギーと波長、光学系
の工夫、密度リップルの寿命、散乱による電子損失、動
作周波数、いずれも現在の技術で達成可能であることが
分かった。プラズマ密度の微細な周期構造を作ること
は、単にアンジュレーターだけでなく、プラズマを用い
た粒子加速器への応用も検討されている。
10〜100μm、周波数N=100〜1000のプラ
ズマアンジュレーターを実現する上での問題点を検討し
た結果、必要なレーザー光のエネルギーと波長、光学系
の工夫、密度リップルの寿命、散乱による電子損失、動
作周波数、いずれも現在の技術で達成可能であることが
分かった。プラズマ密度の微細な周期構造を作ること
は、単にアンジュレーターだけでなく、プラズマを用い
た粒子加速器への応用も検討されている。
【図1】アンジュレーターの周期長と放射光の波長との
関係を示すグラフ。
関係を示すグラフ。
【図2】プラズマアンジュレーターの概要説明図。
【図3】レーザー光の2波干渉による干渉縞の形成を説
明する図。
明する図。
【図4】レーザー光の交差角φと干渉縞の周期長dの関
係を示すグラフ。
係を示すグラフ。
【図5】レーザー干渉・共鳴イオン化法によるプラズマ
アンジュレーターの概要図。
アンジュレーターの概要図。
【図6】ネオジムの1波長2段階共鳴イオン化スキーム
を示す図。
を示す図。
1 相対論的電子ビーム、 2 プラズマ密度リップル、 3 交番電場による力、 4 アンジュレーター放射光を A 半透鏡、 B 全反射鏡、 5 レーザーの平行光、 6 電子ビーム、 7 干渉縞、 8 水冷された真空容器、 9 真空排気系、 10 アパーチャ板、 11 蒸発源、 12 偏向磁石、 13 相対論的電子ビーム、 14 可変波長レーザー 15 コリメートされた蒸気流、 16 レーザー光ダンプ、 17 放射光、 18 プラズマアンジュレーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 定本 嘉郎 新潟県上越市山屋敷町1−1−204 (72)発明者 佐藤 直幸 茨城県日立市鮎川町6−9−B302 (72)発明者 真瀬 寛 茨城県日立市高鈴町5−5−3
Claims (3)
- 【請求項1】中性気体にレーザーを照射して光分離によ
るプラズマを生成し、その際同一波長のレーザー光2本
を干渉させ光学干渉縞を形成し、その縞の明暗(すなわ
ち、光子密度の大小)に対応した規則的なプラズマ密度
リップルを発生させることから成るプラズママイクロア
ンジュレーターの形成方法。 - 【請求項2】請求項1に記載のプラズママイクロアンジ
ュレーターの形成方法において、可変波長レーザーを高
温の蒸発源から発生する蒸気原子に照射しその際レーザ
ー光の波長(すなわち、光子エネルギー)を原子の励起
エネルギーに一致させ、多段階イオン化スキーム(共鳴
イオン化)により、該光学干渉縞の明暗に対応した規則
的なプラズマ密度リップルを発生させることを特徴とす
るプラズママイクロアンジュレーターの形成方法。 - 【請求項3】単一波長レーザーの平行光を半透鏡と全反
射鏡を用いて強度の等しい2本のレーザー光に分け、小
角(φ<数度)で交差し干渉させることから成る請求項
2に記載のプラズママイクロアンジュレーターの形成方
法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21092295A JP3508079B2 (ja) | 1995-07-17 | 1995-07-17 | プラズママイクロアンジュレーターの形成方法 |
US08/634,349 US5822342A (en) | 1995-07-17 | 1996-04-18 | Method of forming a plasma micro-undulator |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21092295A JP3508079B2 (ja) | 1995-07-17 | 1995-07-17 | プラズママイクロアンジュレーターの形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0935898A true JPH0935898A (ja) | 1997-02-07 |
JP3508079B2 JP3508079B2 (ja) | 2004-03-22 |
Family
ID=16597302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21092295A Expired - Fee Related JP3508079B2 (ja) | 1995-07-17 | 1995-07-17 | プラズママイクロアンジュレーターの形成方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5822342A (ja) |
JP (1) | JP3508079B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR19980071020A (ko) * | 1997-02-07 | 1998-10-26 | 가나이츠토무 | 레이저플라즈마x선원과 그것을 사용한 반도체노출장치 및 반도체노출방법 |
WO2007000989A1 (ja) * | 2005-06-27 | 2007-01-04 | Kyoto University | 電磁波制御素子、電磁波制御装置、電磁波制御プラズマ及び電磁波制御方法 |
WO2015087944A1 (en) * | 2013-12-11 | 2015-06-18 | Inter-University Research Institute Corporation High Energy Accelerator Research Organization | Optical resonator |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2945676B1 (fr) * | 2009-05-15 | 2012-01-27 | Centre Nat Rech Scient | Procede de generation et systeme laser a electrons libres par interaction avec un onduleur laser |
HU230587B1 (hu) | 2011-08-18 | 2017-02-28 | Pécsi Tudományegyetem | Rövid periódusú undulátor |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2650447A1 (fr) * | 1989-07-25 | 1991-02-01 | Commissariat Energie Atomique | Laser a electrons libres, a onduleur en milieu gazeux |
-
1995
- 1995-07-17 JP JP21092295A patent/JP3508079B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
1996
- 1996-04-18 US US08/634,349 patent/US5822342A/en not_active Expired - Fee Related
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR19980071020A (ko) * | 1997-02-07 | 1998-10-26 | 가나이츠토무 | 레이저플라즈마x선원과 그것을 사용한 반도체노출장치 및 반도체노출방법 |
WO2007000989A1 (ja) * | 2005-06-27 | 2007-01-04 | Kyoto University | 電磁波制御素子、電磁波制御装置、電磁波制御プラズマ及び電磁波制御方法 |
JPWO2007000989A1 (ja) * | 2005-06-27 | 2009-01-22 | 国立大学法人京都大学 | 電磁波制御素子、電磁波制御装置、電磁波制御プラズマ及び電磁波制御方法 |
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